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1968-04-12 第58回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       大野  明君    正示啓次郎君       田村 良平君    阿部 昭吾君       井上 普方君    下平 正一君       渡辺 惣蔵君    吉田 之久君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君  委員外出席者         建設省計画局宅         地部長     播磨 雅雄君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月十二日  理事内海清君同月十一日委員辞任につき、その  補欠として内海清君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  都市計画法案内閣提出、第五十五回国会閣法  第一五二号)  都市計画法施行法案内閣提出第五六号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  昨十一日理事内海清君の委員辞任に伴いまして、理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、−委員長は、理事内海清君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 都市計画法案都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  本日、両案審査のため、日本住宅公団から総裁林敬三君、理事明君参考人として御出席を願っております。  参考人の御意見は、質疑応答形式でお聞きすることにいたしたいと存じます。さよう御了承願います。  両案に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田之久君。
  5. 吉田之久

    吉田(之)委員 初めに大臣にお伺いいたします。  最近、人口問題や都市問題を研究しておられる学者たちのほぼ一致した見解によりますと、西暦紀元元年ごろには地球上には大体二億人の人類が住んでおった。それが、ヨーロッパにおける産業革命が起こります直前、一七五〇年ごろには七億五千万人ぐらいの人口にふえておった。ところが、産業革命が起こりますや、一九〇〇年までのわずかに百五十年の間にこの人口が倍の十五億になっております。そして、一九〇〇年から一九六〇年までわずかに六十年の間に、人口はさらに倍になりまして、三十億になってまいりました。さらに、この一九六〇年から二〇〇〇年までの間に、あとまず三、四十年のこのわずかな期間に、現在の三十億の人口は六十億にふくれ上がるのではないか、いわば今日の異常な人口増加というものは、まさに人口爆発というべき状態とも言えるのではないかというふうなことが述べられているわけでございます。しかも、こういう人口増加が、一つの大きな特徴として、都市に集まりつつある。そういう傾向が、現在、世界で四つのメガロポリスを形成しつつある。一つアメリカ東海岸であり、そしてヨーロッパにおいてのベルギー、オランダ、西ドイツに至るベルト地帯であり、さらに、ロンドンを中心とするイギリスの一角であり、いま一つは、日本の、東京から広島に至る東海道メガロポリスであろう、こう言われておるわけなんですが、はたして、こういうメガロポリスというものが、日本において集中的に東京から広島ないしはさらに西へ伸びていくでありましょうが、この一帯にだけ広がっていくことが、日本の今後の都市形成上正常な形であるとお考えになるかどうか。特にお聞きしたい点は、日本海側にも一つのこれに対応するメガロポリス的なものが構成されていかなければ、将来の日本産業そのものにとって、あるいは行政その他政治万般にとって、非常に奇形的なことになりはしないかというふうな疑いを持つわけでございますけれども、この点につきまして大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 吉田さんが勉強された世界人口問題の推移等については、私もそういうふうに相なっているということをよく承知いたしております。そこで、御指摘の、日本太平洋岸と申しますか、表日本に集中的に人口産業が集まってきておるというこの現実事態をどう考えるかということでございますが、結局経済、貿易という上に立っていかなければならぬ日本の国情からしますと、国際経済との結びつき、交流、したがって、現状におきましては、太平洋岸に集中的な現象があらわれておるということは必然のことでもあろうし、またやむを得ないことでもあろうか、現状においてはそう思うわけでございます。しかしながら、どこの国とも仲よくとにかく平和の国として世界に立っていこうとする日本としましては、やはり今日大陸との交流が不自然の形になっておりますから、これが自然の形に、日本の願っている状態世界の情勢が落ちついてまいりますれば、当然大陸との交流というものは大きく脚光を浴びてまいり、必然的にお説のように日本海沿岸というものはかなり開発を期待せられるということは今日から考えておかなければならないことじゃないか、こう考えております。
  7. 吉田之久

    吉田(之)委員 特に、この前建設省が発表されました国土建設長期構想によりますと、今後第一次産業就業人口はだんだん減ってまいりまして、昭和三十九年度に千二百万人であった第一次産業就業人口は、六十年度には五百万人に減少するのではないか、一方、二次産業、三次産業のほうでは、三十九年度三千二百万人の人口が、六十年度には五千万人に増加していくのではないかというふうなことがいわれております。また、市街地人口は、昭和四十年には四千七百万人であったものが、昭和六十年には何と九千三百万人になるであろう、その時点人口全体から比較いたしまして、総人口の七九・九%、約八割が昭和六十年の時点においては都市に住むというような傾向になってくると思うのです。この場合にわれわれが特に考えなければならないのは、いまいろいろと論議されております新しい都市計画法案、この法案は、それぞれの地域地域における住みよい都市をつくっていこうという、いわばミクロの都市計画には一応対応しようとする新しい姿勢が見られるわけなんですけれども、その都市計画の上に位する数多くの上位計画、こういうものと総合一体として考えていくべきマクロの対策という点では、この都市計画法案というものは十分なかまえを示していないのではないかというような気がするわけなんでございますけれども、この点いかがなものでございましょうか。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 建設省一つ構想として整えております国土建設長期構想案によると、大体日本現状どおりに進むとすれば、僅々十数年の間でこれだけの工業化をいたしてきておるわけでございますから、この趨勢をもってすれば、おおよそただいま御指摘のような状態になってくるのではないか。これはひとり建設省考え、見通しだけでなしに、かなり内外の多くの方々がそういうふうな状態を見通しておられるわけであります。しかし、はたして的確にそのようにいきますか、今後の世界経済の中で日本経済がどういうふうに発展してまいるかということと関連してまいりますから、かちんと予測するということはできませんでしょうけれども、おおよその傾向はとらえておると私も思っておるわけであります。  そこで、こういう趨勢をとらえて全国総合開発計画を一ぺん見直してみなければいかぬのじゃないか。そこでただいま作業中の国土総合開発計画の再検討をいたして、秋には一応の決定、発表ができるのではないかと政府部内でも期待をいたしておるわけであります。そこで、そういう傾向をとらえつつ新しい都市計画各地において立案、策定いたしてもらいたいということで、御審議をいただいております都市計画法つまり地についた全国総合開発計画という大きな指標のもとに、地についた現実事態に対する計画は、およそ土地利用計画はこういう方向で考えていくべきじゃなかろうかというのが、この法案精神になっているわけでございまして、これは実施面におきましては、中央政府ももちろん重大な関心と慎重さを必要といたしますとともに、それぞれの地域における計画策定にあたっても、地域住民意向を尊重しつつ、どういう計画が具体的に各地域に持たれるかということは、より重要な意義を持ってくることになろうかと思うわけでございます。そういう意味で、各地域においても、日本の将来というものはどういうふうになるであろうか、同時に、将来の日本を描きつつ自分たち地域というものはどうあるべきかという上からひとつ都市計画を策定いたしてもらいたいということが、私どもの強い念願でございます。そういうために私どもも万全の努力を払っていかなければならぬというように考えておる次第でございます。
  9. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣がおっしゃることは一応うなずけるのですが、しかし、実際予想される今後の日本各地都市計画というものは、非常に大小さまざまであって、アンバランスきわまりないものになるのではないか。いま各地域地域の新しい都市発展を試みながら、全体として日本の将来をどのように形成していくか、都市づくりを形成していくかというふうな問題とが結びつかないままに都市計画各地で進められていくことになりはしないか。たとえて言えば、極端な場合、ある地域では二十万人の人口都市計画が新法によって進められておる、ある地域では二千万人の都市計画を進めようとしておるというふうな、思い思いの都市計画が進んでくるのではないかという点が心配されるわけなのでございまして、結局は、総合的に十年後、二十年後に振り返ってみると、事志と違ったというふうなかっこうになりはしないかという点をおそれるわけでございます。  いま一つは、特に具体的な都市計画決定手続の点で、二つ以上の都府県区域にわたる都市計画というものが、実際はどういうところで具体的に計画されていくのであろうか。たとえば、私の申し上げるのは、一つの府の都市計画ができた、一つの県の都市計画ができた、たまたまそれがいつの間にか融合してしまう、その境界線上に一つの新しいベッドタウンができようとする場合に、この境界線にかかる、両府県にかかる都市計画というものは、その部分だけ今度は建設大臣が直接やられるということになるのか、あるいはそういう二つ都市計画が接続してしまう場合には、その時点において、二府県都市計画が一挙に二府県にまたがる都市計画として今度は国が指導に乗り出すのか、こういう問題につきましてやや不明確な感じなしといたしませんので、まずその点をお伺い申し上げたいと思うのです。
  10. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 ただいまの第一点の問題は、確かに、各都市都市計画区域ごとに、自分のところで非常に望ましいと思う人口をもとにしまして都市計画をいたしますと、極端に言えば、全国合わせると何倍かになるという形になろうかと思います。そこで、私どもといたしまして、全国総合開発計画におきまして、地方別人口配分なり産業配分なりというものが行なわれて、さらに、それとの調整——法律的には全部調整をとることになっておりますので、調整のとれた形で今度は地方ごと開発計画というものがきめられる。たとえば首都圏で申し上げますと、既成市街地はどういう人口配分考えるか、近郊整備地帯ではセクターごとにどういう人口配分考えるかというのが、いわば上位計画できまってくる。したがいまして、そういうものと、それぞれの地方で立てます都市計画というものが調整のとれたものでなければならないということを、今度の法律の中ではうたっているわけでございまして、そのために、都市が連檐しておりますかなり重要な地域につきましては建設大臣の認可も必要とするというふうにいたしておりますので、その辺につきましての調整は、私どもといたしましては最善努力を払っていきたい、こう考えておるわけでございます。  それから、第二点の、二府県にまたがります場合に、手続として建設大臣がやるということになってくると変な形になるのじゃないかというお話でございますが、これはたとえば工業整備特別地域——これは例でございますので、実際はどうなるかわかりませんが、福山・笠岡地区というようなところがございまして、岡山県と広島県にまたがっているところが工業整備地域に指定されております。このほかにもございます。あるいは、首都圏都市開発区域にも、東京都と神奈川県にまたがったところが一つ都市開発区域として指定されておるところがございます。そういうところにつきましては、大臣がきめるといいましても、これは知事にかわりましてきめるので、普通のところでございますと、知事市町村がきめるわけでございますが、そういうところですと、大臣市町村がきめる、こういうふうに法律に書いてございます意味は、両県にまたがります知事にかわりましてきめる、しかも知事意見を出させ、知事の案を出させまして、それに基づいてきめる、こういうことにいたしておりますので、具体的には県のほかの地域との調整は十分はかられる、こういうふうに考えております。
  11. 吉田之久

    吉田(之)委員 いまの御説明でだいぶわかってまいりました。要するに、知事がきめる都市計画と、それから府県の接点に広がる一つ都市計画、前者のほうが大きくて後者のほうが小さいけれども、その小さい都市計画についても、形式上は、これは二府県にまたがるものであるから建設大臣がきめる、しかし、それはあくまでも形式上の問題であって、主体的には二府県知事がそれの計画立案中心となるであろう、こういうふうに解釈すれば、建設省のほうが直接携わる都市計画が非常に小さい部分的なものである、知事考え都市計画のほうがはるかに大きいものであるというふうな一つのちぐはぐな点も、実態的には了解できると思うのです。  そこで、いま局長がお話しになりましたように——しかし、この二府県にまたがる区域都市計画計画推進であるとか、あるいは先ほど申されました上位計画と、現にこれから進められる個々の都市計画の態様というふうな問題あるいは、調整という問題は事実非常に重要な問題である、したがって、これには相当な時間をかける場合が間々出てくると思うのですが、この法律ができても、わずか一年や二年の間に全国を網羅するそういう調整が可能であるとお考えになるかどうかという点で御答弁をお願いいたしたいと思います。
  12. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先生おっしゃいますとおり、このような問題につきまして、上位計画との調整、あるいは二府県にまたがるような地域につきまして知事がつくる案に基づいて大臣がきめるわけでございますが、そういう場合に、二府県のお互いの立場というようなこともございますけれども、なかなか調整がつきにくいというようなことはあろうかと思います。私どもといたしましては、新都市計画法ができました以上、施行になりましたら、できる限り早い機会に新しい都市計画施行による調整区域市街化区域の区分というものをやっていただきたいと思いますけれども、これが直ちにあるいはすぐに全国一ぺんにできてくるというふうにはなかなかいかぬ面もあろうというふうに考えております。
  13. 吉田之久

    吉田(之)委員 いまの御答弁のように、相当この点については時間を十分にかけるべき事態方々に発生すると思います。そういう点は、ひとつ建設省におかれましても、拙速を尊ぶというふうなことにならないように、最大の配慮と、それから積極的な進め方について万全の対策を講じておかれるべきではないかという点を特に申し上げておきたいと思う次第でございます。  それから、しばしば問題になっておりますのは、この都市計画推進にあたって、住民意向をどのようにくみ入れていくか、いわば住民意思をどのように参加させるかという問題が指摘されているわけなんですが、特に今度の都市計画のねらいというものは、旧来のようにただだだっ広く広がっていく都市計画でなしに、できるだけ高度に立体的に、しかも多角的に建設された都市をつくっていこうという問題になると思うのです。したがって、考えらるべき建築様式もずいぶん変化を示すと思います。いままでの住民感情からいえば、ずいぶんいままでの概念と違った、違和感と申しますか、そういうものを当分の間は持つだろうと思うのです。こういう違和感を持つ住民に対して、よほど熱心な指導がなされなければならない、また、その住民に対しての説得や住民の側からの意見をよりよく吸収していくことも、建設省としては特に熱心に考えてもらわなければならない、こう思うわけなんです。つきましては、こういう計画がいよいよきまるまでの段階として、現在の時点において建設省のほうが住民のために施すべきいろいろな説明あるいは意見のくみ上げ方、PRのしかたという点について、どのようなことをさしあたってお考えになっているか。  それからいま一つわれわれが考えますことは、一つ計画がきまったならば、これを遅滞なく、しかもきわめて判然と住民に知らさなければならない。おれの田んぼが市街化区域に入ったのか、あるいは調整区域に入ったのか、その辺のところが、徹度しないままにあとであらざる紛争を起こすというふうなこと、あるいは思い違いのためにいろいろな苦情が起こるというふうなことがあってはならないと思うのです。こういう公示のしかた、それにつきましては、いままでのお役所仕事の、ただ告示をしたというだけのことではなしに、最近極度に発達いたしておりますところの新聞などを通じましてその該当地域住民に十分に徹度する方法を講ずることも一つ方法なのではないかというふうに考えるわけでございますが、そういうところまで踏み切った徹度のしかたをしようとお考えになるかどうか、伺っておきたい。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 吉田君の御注意の点は、全くそのとおりと感じます。これは都市計画法の改正とは申しましても、今日の日本状態に応じて一ぺん都市計画をみんな見直していこうということでございますから、まず第一は、今回のいろいろな御論議の中にあらわれております重要な諸点につきまして、一番大きい任務を持つ市町村府県に、本法のねらっている精神というものをよく理解していただくということが第一だと思うわけであります。施行までには相当の時日もございますから、この徹度方については特段の勉強をしなければならぬ、こういうふうに思っております。  もう一つは、先日、佐野委員からも強く言っておられました、都市計画決定以前にこの住民意思が強く反映できるような仕組みに幾らか欠けているところがあるのではないかという御指摘は、私ども法案を見直して、まあ大体は、何といいますか、住民利益住民意思を最も端的に反映いたしております議会の参加というものが直接的にはございますから、ただいま吉田委員の言われますようなところでいいんじゃないかなとも感じないわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、この地域住民意思が強く反映されるように慎重を期してまいらなければならぬということだけは、もう全然同感でございます。
  15. 吉田之久

    吉田(之)委員 ほとんど時間もございませんので、あと一点だけ御質問いたしたいと思います。  特にこういう膨大な都市計画全国各地推進していこうとする場合に、その財源を一体どこに求めようとなさるのか。今日の市町村は、御存じのとおり、きわめて財源が枯渇いたしております。したがって、都市計画税等もそう急速に多くを課することはできないというふうな状態でありますが、それにもかかわらず都市建設だけは積極的に推進していかなければならない、こういう状態でございますので、当然われわれは財源難という点を非常に気にいたしているわけなんでございますけれども、この点につきましては、特に今日の日本行政機構というものは縦割り主義でございまして、したがって、各省庁の事業というものが調整されることが非常に少のうございます。したがって、非常にばらばら計画され、ばらばらに投資されておる。こういう点での弊害もこの際一挙に改善していかなければ、有効な都市計画というものが推進できないのではないかということを憂慮いたしている次第でございます。こういう問題と、特に先ほど申しました財源措置に新たに何らかの対策を講じようとなさっているのかどうか。それから、特にわが国におきましては、こういう都市計画事業計画した場合に、ただ、まず計画をする、あとでまた財源ができ次第これをいろいろと裏づけをしていくというふうな進め方が一般化しているようでございますけれども、各機関の事業実施計画を、その財源とともに明示した実施計画を作成して、そして、先ほど問題になっております地域住民にもこういう細部にわたる点、裏づけの点までも十分によく公示、周知徹底させていくということが、これからのわが国都市計画にとっては非常に重要な要素になるのではないか。諸外国の地域計画または土地利用計画等と照らし合わせて、その点、わが国の今後のこの種の計画推進の中で改善すべき点がありとお考えにならないかどうかということを最後にお聞きしておきたいと思う次第でございます。
  16. 保利茂

    保利国務大臣 国土の効率的な利用ということで地についた都市計画を立てていただいて、そしてできるだけ土地利用度を高めていかなければならないという一面の要請からいたしまして、あらゆる社会資本整備が立ちおくれておる中に、今度新たにかような、大きな改革と申しますか、とにかく都市並びに都市周辺利用を高めるということから、大きな任務をこの都市計画法は持っておるわけでございます。したがって、全体の社会資本整備が立ちおくれておるとは申しましても、国民生活の実態からいたしまして、本事業を達成してまいりますためにはやはり相当の財源というものは必要である、確保してまいらなければならぬということにつきましては、この法律を背景として私ども最善努力を払い、前進をはかってまいるようにしなければならぬと期しておるようなわけでございます。しからばただいま具体的にどういう財源を用意するかということにつきましては、正直申しまして、具体的にこうというものを持っておりませんけれども、少なくとも、この計画が策定されて、その計画を実施して実現しようとする限りにおいては相当の財源は必要であるということは、もう当然覚悟しておらなければならない、そういうことで最善を尽くしてまいりたいと思います。
  17. 吉田之久

    吉田(之)委員 最後にちょっと。財源に対する具体的な考え方はまだ持っていないという大臣の御答弁でございますけれども、最近運輸省等におきまして、通勤高速鉄道建設財源に関連して、沿線土地所有者からの開発利益還元策を検討し、当面住宅公団との協調方式を考慮しているというふうなことをわれわれも聞き及んでいるわけでございますけれども、この種の受益者負担金制度というふうなものを、建設省ではただいまの時点では全然お考えになっておらないかどうかという点を特にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 保利茂

    保利国務大臣 都市並びに都市周辺の通勤状態というものは今日非常に最悪の状態にあるということ、したがって、大量の通勤者を新たに造成するということになる住宅団地の開発というものは、この通勤施設とのにらみ合いを怠ると、ますます今日の状態を悪化せしめていくということになるから、運輸省の輸送施設と団地開発というものが関連して行なわれていくようにしなければならぬということでは、両当局それぞれ連絡をとって、そういう弊害をさらに助長することのないように配慮いたしてやっておるわけでございます。ただ、運輸省といいますか、国鉄といいますか、いまとにかく国鉄経営が、御案内のように、かなり困難をきわめておる。これは苦しまぎれの発案では困ると私は思っております。当然社会的に容認されるような合理性があるならば、あえてそれは当然のこととして迎え入れるにやぶさかではございませんけれども、国鉄経営の苦しまぎれのために、とにかくそこらから、線路を引っぱる沿線から金を集めようという安易な考え方には、私は賛成はいたしかねます。
  19. 加藤常太郎

    加藤委員長 北側君。
  20. 北側義一

    ○北側委員 今回の法案につきまして、いままで同僚の各委員が問題点についていろいろとお聞きになったわけでありますが、やはり同法案につきまして一番問題になるのは、市街化区域及び市街化調整区域、このように分けまして、どうしても市街化区域のほうは公共投資が行なわれ、地価が当然に上がってくると思うのです。また同法案によりますと、市街化区域は農地の転用統制が廃止される、こういう点もありまして、そこで、不動産業者、こういう人が暗躍して地価が上がる、そのようなおそれがないか、このような点の憂いもあるわけです。そういう点で、やはりこの面に対しての対策、今回のこの法案につきましてはやはり何らかの対策を打たなければ、この法案は非常にむづかしいのじゃないかと思うのです。また、いま一つ、これをきめるところの知事その他が、調整区域市街化区域、この境界をきめるについて、やはり実際上運営にあたって非常に問題が起こってくると思うのです。  やはりそれに対して、うちのほうは市街化区域へ入れてもらいたい、そういう問題が相当起こってくるのは当然であろうと思うのです。そういう点についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  21. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 しばしばこの委員会でも議題になりましたが、市街化区域を指定すると地価が上がるという問題に対してでございますけれども一つは、市街化区域地域のとり方によって地価の影響ということが相当変わってくるんじゃないか。私どもといたしましは、既成市街地、あるいはそれに連檐するところを含めまして既成市街地、そのほかに、おおむね十年間に優先的に市街化をはかるべき区域というものをきめて、それを市街化区域にしたい、こういうふうに考えておりますけれども、その十年間にどれくらいの宅地の需要があるか、そこに想定されます人口あるいは入ってまいります工場その他の産業、そういうものから考えまして、住宅地、工業用地等がどれくらいそこに必要であるか、そのほかのことも考えまして、市街地市街化区域の面積をきめるわけでございます。したがいまして、需要に対応いたしますに十分な広さを持った市街化区域の設定ということを考えていかなければならぬ。ただ、それにいたしましても、地価の問題というのは懸念されるわけでございますが、それに対しまして、私どもといたしましては、一つは、やはり宅地の供給をこの区域において大いに積極的にやるということがどうしても必要でございます。そのためにこそ市街化区域も設定をするわけでございます。  ただ、宅地の供給をやりやすくする手段といたしまして、この都市計画法におきましては、第一に、宅地開発者がどうしても公共施設と同時に宅地の整備をいたします。その場合に、従来でございますと、宅地開発者が幹線的な公共施設につきましてもほとんど全部どうしても自分の負担で整備をしてしまうという形がございますけれども、本法案におきましては、幹線的な公共施設につきましてはその費用の一部を公共団体なり管理者なりが引き受けるという規定を置いておりまして、幹線的な公共施設についての費用負担が、宅地開発者、ひいては宅地を買う人に及ばないような措置を講じております。  さらに、市街化区域は、当然でございますけれども、主要な公共施設は公共団体の責任で整備するわけでございますが、その面におきましても、従来宅地開発者が負担をしておりました公共施設の分を公共団体の手でやる。ただし、支線的なもの、あるいは区画街路とか、あるいは排水路の支線的なものというふうな、支線的な部分は従来とも宅地開発者がやっていくというような形で、宅地開発と同時に、公共施設の整備をしながら宅地の供給をふやしていくような措置をとってまいりたい。  さらに、この法案におきましては、附則で農地転用をはずしております。したがいまして、従来とかく農地転用に非常に手間がかかる、時間がかかるといったことによって、宅地開発者が経費とか手数の点でいろいろわずらわしい点があったわけでございますけれども市街化区域におきましては今度は農地転用制度そのものがはずれることになりますので、農地の宅地化につきましてのコストなり手数が省けるということによって、宅地の開発、供給に対します促進手段というふうになると考えております。  さらに、この法律ではございませんけれども、特に大規模に行なわれるものにつきましては課税の軽減措置というものも別途ございますので、そういうような手段を活用して、公共施設を整備しながら宅地の供給を促進していくことによりまして、そういう期待感を住民に与えることによりまして、ある程度地価の安定への作用を期待しておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  22. 北側義一

    ○北側委員 今回の都市計画地方計画とどうしても適合しなければならないわけですね。そういう点で、この十年という一つの期間が、地方計画との適合の上で年数としていいか悪いかということですね。おたくさんのほうでは、いいから出されたのでしょうが、地方計画が非常に変更している場合も私はよく見ているわけです。そういう面で、この十年間という年数は少し長いような感じがするんじゃないかと思うのです。特に大都市の周辺都市では、上水道計画にしましても、また下水道計画にしましても、非常に変わっているわけです。十年と一応きめておられるわけですが、そういう点が地方計画に適合するかどうか、そこらが非常に心配なわけです。  いま一つは、いままでのいろいろな計画を見ますと、たとえば道路整備法なんかでも、先般のは三年で大体中間改定されております。また、住宅のほうは、四十一年のその前の分を見ますと、やはりそのようになっております。こういう計画が変わってくると、そういう適合がうまくいくかどうか心配なわけですが、その点はどうでしょうか。
  23. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 十年計画が期間が不適当ではないかということでございますが、大体、地域計画等におきましても、たとえば首都圏整備計画等においても、あるいは近畿圏の整備計画においても、具体的に整備計画として出された場合には、十年くらいの期間をとっております。したがいまして、私どものほうの都市計画もそれをある程度、受けてやっておるわけでございますが、そういうような考え方で、やはり十年くらいというところが一歩適当じゃないかというふうにきめたわけでございます。  それからまた、近畿圏等におきまして、現在農地転用の許可の行政運用の指針といたしまして、建設省、近畿圏、農林省等で覚え書きをつくりまして、実際の行政運用といたしまして、大体市街化区域、農林区域というものは分けております。そういう場合におきましても、やはり五年くらいでここは農地をはずすかどうか、農地転用をはずさないところは当然農業投資が行なわれるということを考えますと、五年では短い。農業投資というものを考えますと、やはり十年というような単位が——一年でも短い場合があると思いますけれども、どうしても十年という単位がとられてくる。  御質問の、建設省なりその他の省できめておりますいわゆる長期計画、これは五カ年計画、それに対してこちらは十年で、合わないではないかということでございますが、これはわれわれ五カ年計画を立てております場合には、必ず長期構想、二十年計画なり十年計画というものを持っております。それに基づいて五カ年計画を立てておるわけであります。  それともう一つ、ちょっとこれは誤解があるといけないと思いましてお答えするわけでございますが、この十三条の「都市計画基準」でいっております道路、河川、鉄道等の施設に関する国の計画と申しますのは、いわゆる五カ年計画等のことではございませんで、国が直接施設について計画を立てます、たとえば高速自動車国道の具体的計画でございますとか、あるいは直轄でやっております国道の具体的計画でございますとか、鉄道の具体的計画、こういうものは、都市計画を立てます場合に、一つの与件と申しますか、前提として考えていかなければならない。当然、町の中に入ってまいりますれば、都市計画として考えなければならない分もあるかと思いますが、与件として考えていかなければならないという意味で、施設計画そのものをいっているわけではございません。いわゆる経済計画的な長期計画というものをここで書いているわけではございません。  そういうようないろいろな観点から、私どもといたしましては十年ということを一つの目安に考えたわけでございます。
  24. 北側義一

    ○北側委員 たとえば市街化区域がきまりますね。そこへ住宅はずっと建っていく。そこで考えなければいけないことは、人口の配分というのですか、人口配分計画というのですか、これはいまのところはきちんとしたものがないわけですね。そうすると、ある市ではなるほどそういう区域をつくって非常に人口が流入してくる。特に大都市周辺はそうです。たとえば県なり府なり、一応のめどを立てていろいろな計画をするわけですが、人口の流入が非常に多くて、その計画を変更しなければどうしようもない、そういう都市が、先ほど申し上げたとおり、見られるわけです。そういう点、こういう人口の配分計画はどのようにお考えになっておられるのか。たとえば、この市は大体一応のめどは立てておられるのでしょうが、つまり非常に変動が激しいということなんです。その点どのように考えておられるのでしょうか。
  25. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 都市計画で、先生おっしゃいますように、ここは住宅地にする、あるいはここは工業地にするという市街化区域の中で、あるいは市街化区域そのものの設定につきまして、当然人口というものはやはり一番大きな前提要件になってくるわけでございます。したがいまして、この人口を、たとえば十年後の人口をどういうふうな形でつかまえるかということは、非常に大きな問題でございます。その場合に、一つは、先ほど吉田先生にお答えいたしましたように、上位計画である、たとえば近畿圏で申し上げますと、近畿圏の整備計画の上でどれくらいの人口というものをその部市地域——広い意味都市地域について設定しているかというような数字が一つの大きなファクターになっていく。それからもう一つは、その人口の伸びというものをいろいろ計算する方法がございます。もちろん過去の伸びを修正したりして使うわけでございますが、いろいろな計算方法がございまして、そういうような計算方法に基づきまして将来の人口というものをきめてまいるわけでございます。いろいろな観点のファクターを複合いたしましてきめてまいるわけでございますが、おっしゃるとおり、大都市の近郊で非常に急激にこの予想がくつがえされるということが出てくるか思います。私どもといたしましては、そのために五年ごとに必ず都市計画をつくる責任者が基礎調査をしてくれ、その基礎調査は、総合的な観点から、人口その他あらゆる面につきまして基礎調査をして、その段階で必ずもう一ぺん都市計画を見直してくれということを法律にうたっております。したがって、定期的にはそういうような方法人口の見直しあるいは都市計画の見直しというものが行なわれると思いますけれども、もちろん、その間におきまして都市計画を変更してはいかぬということではございませんので、その間に突然特別な理由によりましてそこに非常に人口がふえるというようなことがございますれば、その段階でやはり都市計画を変えていく、こういうことをやってまいるほかしかたがないのではないか、こういうふうに考えております。
  26. 北側義一

    ○北側委員 これに関連してでありますが、奈良市で平城ニュータウンが建設されておるわけです。この問題で、先般は林総裁がおられませんでしたし、建設大臣もおられなかったわけですが、ここで日本住宅公団が、奈良市を中心として一市二町、こうなるのですが、これは日本住宅公団でも有数な——第二番目くらいの大きな区域と聞いております。当初計画が一万六千二百戸、六万六千人、これは計画を変更するかもわからない、このような先般の御答弁があったわけでありますが、そのような大規模な団地の造成に対して、これは大体三十五億の用地買収費を使っておるわけです。ところが、奈良市は人口が急激にふえたので、その団地に水を送るわけにいかない、このようなことで現在延びておるわけです。これは考えますと、計画の粗雑さもあったのでしょうが、奈良県におきましてもこの上水道計画は変更せざるを得なくなっておる、このような実態になっておるわけです。非常に住宅難がこういうふうに激しいときに、そういうことで人口配分計画は非常に大事じゃないかと思うのです。三年でそのように想像もつかないように急激にふえて、団地の用地買収をしても上水道が建設されない、当初計画を変更しなければならない、このようになってきておるわけです。そのしますと、この三十五億という膨大な金、これはやはり金利がつくわけです。その金利というのは、結論としては家賃にはね返ってくるわけですね。そうしますと非常に問題があろうと思うのです。この問題につきましては、建設大臣も先般はおられませんでしたが、一体こういう問題を——これはやはり公団側としては建設省にお願いして——上水道の水を現在奈良市は木津川からとっております。須川ダムができるのですが、できても木津川の水は返さねばならぬ、こういう実態なんです。御答弁では、一年半ないし二年ぐらいおくれる、こういう答弁でしたが、奈良市の市会議員に私のほうのがおりますので聞いてみますと、市議会ではこれは白紙状態である。奈良市のほうでは非常にそういう点で問題があろうと思うのです。ふえるといいましても、計画を見てみますと、奈良県全体で三十八年度で八十万九千百八十一人、四十年では八十二万五千九百六十五人、このようになっております。だから、ふえるといってもその大幅なふえ方じゃないと思うのです。奈良県全部の人口のふえ方ですからね。そこで一番問題になるのは、そういう考え方が公団側は甘かったのじゃないか、または人口配分計画というものはこういう事例があると考えなければいけない、かように私は思うわけなんです。その点についてひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  27. 保利茂

    保利国務大臣 奈良のニュータウンのお話は、林総裁からも私直接報告を受けております。元来、住宅公団でも、今日の住宅需要に応じて、非常に大きな使命を持って団地開発をやっているわけでございますけれども、なかなか適地を適正な価格で得るということは困難であるという事情も、これは天下の認めるところで、その点公団も非常に苦労をされておるわけであります。たまたま奈良市におきましてそういう優良な適地を心配していただいて、相当の上水の需要がある、それで、奈良市としても当時は十分そのくらいの水は分けてあげられるという予定をされて、公団のほうでもそれを予定しておったところが、ただいまお話のように、なかなか水が簡単に分けられそうにないというようなことで、しかしながら、非常に貴重な投資もしておるわけでありますし、また適地でもありますから、水の問題を解決して団地の開発を進めたいということで、ただいま公団に苦労していただいておるわけであります。そこで、上流の水資源の確保につきましては、私ども建設省のほうとしてもまたやるべきことはやらなければならぬというように、関連して考えているわけであります。具体的には、公団総裁が見えておりますから、総裁から申し上げます。
  28. 林敬三

    ○林参考人 ただいま建設大臣からお答え申し上げました点につきまして、なお私、責任者といたしまして、つけ加えて申し上げたいと思います。  いま御質問ありましたように、これは将来住宅団地を開発する上においてはなかなかいい土地だと思うのでございますが、当初奈良市の上水道から供給を受けるということで県、市とは打ち合わせをいたしましてこの買収をいたしたわけでありますが、いま御指摘ありましたように、当初の予想よりも、まことに予想のつかないくらいの急激な人口の増が奈良市のあの地帯にあった。また上水道もそのために需給のバランスが悪化して、四十一年には断水をするというような事態で、こういうことでは、いまおっしゃいました二百万坪にのぼる大団地の開発は将来にたいへんむずかしい問題になってまいりますので、目下これについては建設省当局あるいは近畿圏整備本部、奈良県当局、奈良市とも熱心に打ち合わせをしてこの打開を要請中でございます。現場といたしましては、地元の自治体とは、月に必ず一、二回、この問題については次ぎどうする、次ぎどうするというふうにしていろいろお願いもし、将来の問題を解決してぜひこれを具現してつくり上げていくようにいたしたいと存じておりますが、さしあたっては、宅地債券を売っておりますので、四十五年から四十七年にある程度の宅地をつくって、債券を持っている人に譲り渡さねばならぬ責任がこちらもございますし、また、そうでありますと、それだけでは生活が成り立ちませんので、そのほかに公団住宅をそこへつくって一つの社会をつくり上げていかなければならない。そこで、やはり相当戸数のものを四十五年から四十七年にはここへっくり上げていかなければならないということがございます。そこで、そのためには、基本的な大水道計画というものは間に合いませんから、とりあえずは、その地域内に井戸を掘って、地下水資源によってそれだけの水を供給できるということをまずはかるほかないわけでございます。それで、この奈良盆地の地下水の調査について奈良市とはお話がつきまして、そして井戸を掘るということで公団も応分の分担金を出しまして、そしてその地下水によって当初ある程度の戸数は水道をまかなう、そして将来は県、市あるいは近畿圏整備本部及び建設省、全体とはかりまして基本的な解決をして、八年ないし十年計画での大住宅団地の造成ということを完了するようにいたしてまいりたいと存じます。御指摘のように、当初の予定計画から見ますと、この水の問題でまずぶつかりまして、予定がいまのところ少しおくれておりますことをまことに遺憾に存じますが、鋭意努力しましてこのおくれを、将来においては結局最後のところは取り戻すというぐらいにいたして、四十八年から五十年ごろにはこれができ上がるというような方向で努力してまいりたいと存じております。
  29. 北側義一

    ○北側委員 いまの実態ですと、まだ大幅におくれてくると思うのです。そうしますと、結局それの用地を買収した買収費に対して、どうしてもやはり金利というものがかかってまいります。その分が、先ほど申しましたとおり、家賃にかかっていく、そのように私は思うわけなんです。そこで、できるだけその負担を軽くするために規模を大きくされる、このように考えておられるのではないか、これは私の想像ですが、そのように私は思うわけなんですが、大体三十五億の金利というのは一年間でどれくらいになるのですか。また、現在のところは何年間くらいおくれるような見通しなんですか。
  30. 林敬三

    ○林参考人 いまちょっと金利の計算はすぐにできませんので、あとで申し上げますが、いまの御質問の眼目でありますが、やはりそれだけの投資をいたします。そしてそこへ土地をつくり、その土地を売るのが目的なのでございます。そのほかに、公団で内部でそれを買いましてそしてそこに家を建てる、この両方をやるわけでございます。それでもし完成時がおくれますと、それだけ金利の損失になるわけでございますから、やはり金利の観念というものは、こういう公共のための大事な資金を使わしていただいてやる以上は、十分に考えてまいらねばならぬと思っております。それで、できるだけでき上がりの目標時にはおくれないようにということで、金利の損失がないように、ロスがないようにという努力を励んでまいりたいと存じております。四十五年から四十七年に、宅地債券を買った人にまず売るというのが一番先でございまして、それには間に合わせまして、そうなれば初めの計画どおりの金利でいくわけでございます。ただ、大規模の宅地開発というのは、御承知のように、何十万坪あるいは百何十万坪というところに及ぶわけでございまして、これが関係の自治体とのいろいろな公共事業の問題もございますし、それからまた、いろいろ買収に伴う問題もございますし、そういうことで、いわゆる相手方のある行為になるわけでございます。それで、大体早くて三、四年、長いのは十年かかってやっとでき上がるということでございまして、要するに、そのぶつかります状況によりまして、予定どおりいかない、あるいは少し早くいくもの、いろいろ出てまいりまして、計画どおりにいかない場合もあるのでございます。相当長いがまんを要して、そして折衝して、こちらとしては、できるだけこれを買う庶民の方々に安く買えるように、また、ここに住む庶民の方々に安く住んでいただくということをはかるように最善努力をいたしてまいりたいと存じております。
  31. 北側義一

    ○北側委員 先般ちょっとお聞きしたところでは、先ほど言いましたとおり、大体一年半から二年くらいおくれる、こういう計画だったのです。現在地下水を研究されて、試掘ですか、されておられる、このように聞いておるのですが、これは聞いてみると、あの辺は非常に金けの水が多いということです。それではたしてそれだけの大団地に向くかどうか。こすなり、そういうようにされるのでしょうが、そういう点で非常に心配しておられる人も現におるわけです。いずれにいたしましても、この問題につきまして、用地買収のむずかしさ、これはよくわかります。よくわかりますが、何といいましても、やはりおくれればおくれるだけ、これはどう答弁があっても、一年半ないし二年おくれれば、金利はやはりかかってくると思うのです。  そこで、これは別な問題ですが、公団の宅地造成について、従来のやり方、これは三年間で五、四、一の割合で買収を進めてきた。建設大臣、こうなっておるのですね。それが今度二、五、三の割合、このように改める、このようになっておるわけです。そうなりますと、たとえば今度公団が公債を売られるにしても、あすこに残っておる周辺の土地は猛烈に地価が上がっております。そういう考え方からしますと、従来の五、四、一の割合を二、五、三の割合にすると、かえって公団としてはいわゆる高いものを買わなければならないような事態におちいるのではないか、そういう心配が私にあるわけですが、その点どうでしょうか。
  32. 林敬三

    ○林参考人 初めにおっしゃいました、一年半ないし二年いまのところおくれているのでございます。これは今後の努力で、ちょうど汽車のおくれておるのと同じように、できるだけこれを回復してまいりたいと思っておりますわけでございます。  それから水のことにつきましては、いまボーリングを始めるという段階でありますけれども、その事前調査では、まずまず当初の四十五年から四四十七、八年のところにまかなうだけの水はいけるだろうという、相当明るい見通しを持っております。なお、水質のことなどはよく気をつけまして、もしそういうことでありますれば、浄水装置をしっかりつけて間違いないようにするとかいうことでやってまいりたいと存じます。  それから、宅地の造成につきましての資金の配当、これがいままでは初年度五、その次が四、その次が一ということになっておりましたのを、今度から二、五、三というふうに改めるわけでございます。これは、実際に即してこういうふうに改めるというのでございまして、御承知のように、最近はたいへん宅地の需要がふえてくる、地価が急激に上がる、それから、いろいろの地方自治体や地元との問題がたいへんむずかしくなってきている、そして、昔はもう工場誘致と同じようにすすめて、どうぞ来てください、いろいろなことは取り計らいますというのであったのが、いまは、これは自治体側から見れば無理ないと思いますが、逆の状態になっております。それがために、一たんここに団地をつくろうと思いましても、それからあと、初年度に一気にほとんど全部買ってしまうというようなことがやりにくくなってきておる。みすみすお金を残してしまうということは、これはまたほかにも需要のあるお金でございますので、それを合理的に合わせまして、初年度に二、次の年五、その次の年三というぐらいにするのが一番妥当だという、これはやむを得ざる社会情勢の変化ということで——ほんとうはお話のように初年度に多いほうがいいのでございます。きめてしまって早くやったほうがいいのでございますけれども、何といっても、そこは相手方があって解決がつきませんので、少し時間を終わりのほうに力をかけてやっていくように是正をしている次第でございます。  なお、この問題につきまして担当理事のほうから少し補足して説明をさしていただきます。
  33. 尚明

    ○尚参考人 いまの公団の用地買収費の予算が二、五、三に改められましたのは、たとえば用地予算全体が、ことし着手するもので、取得するものが全体としてかりに三百億ある、そうすると、ことしそのうちの六十億円だけを現金としていただく、そういう関係が二なんでございます。簡単に買えるような地区の場合は、そこへ全額払っていくわけでございます。つまり、私どもの総予算に対する資金の充当が二、五、三という割合になっておるわけでございます。中には、初年度はほとんど各省あるいは地方公共団体との協議に費やされて、やっと三月にほんのちょっと買い進むことができる、それでほとんど翌年度に大量の資金が出るというようなところもございますし、簡単なところは初年度に全部買ってしまう。価格は、大体一番最初の初年度のときに、全体で幾らとして取りきめるというふうにいたしておるわけでございます。
  34. 北側義一

    ○北側委員 大体わかったのですが、いままでの公団の用地を買収した実例から申しますと、二年度には非常に地価が上がってくる、これはもう当然のことなんです。そういう点で私はこの問題を非常に心配するわけなんです。たとえば、平城ニュータウンの場合を例にとりますと、大体こうなっております。私の調べたところでは、昭和三十五年から三十八年までが、農民から坪当たり大体五百円から千円くらいで買われております。また、昭和三十八年から昭和四十年までが千円から大体三千円、このような用地買収が、地元農民からいわゆる仲介人である土地会社によってなされておるわけです。公団が買収しますのは、当然、土地鑑定人によって鑑定された近傍類地の値段で買われるわけですが、実際問題としては、近鉄は四千三百円、京阪電鉄は三千九百円、富国開発では三千七百円、三つの契約代理人がこのような値段で買っておるわけです。そうしますと、団地がくると地価がぐっと上がる、これはいままでの事態を見ましてもそういうふうになっております。そういう点で、ここは少々機構改革しても、一挙に最初にばちんと買っていく、この方法でいいのではないかと私は考えるわけです。現在あの近辺では非常に地価が上がっております。いま聞きますと大体七千円くらいになっておるところがありますね。この問題も最後において当然これは区画整理をやられると思うのです。区画整理をなす場合、そういう団地の日本住宅公団が買収されなかった地域につきましては、区画整理を行なう場合に、やはりそれを見込んで買われた人がずいぶんおられるわけです。そういう点、区画整理が今度非常にむずかしくなっていく。たとえば、上水道がおくれればおくれるほど、それだけ状況が変わっていくわけです。私はそういう点を非常に心配しておるわけです。その点はどうでありましようか。
  35. 尚明

    ○尚参考人 私どもが地区を開発するにあたりましては、たとえばそれを区画整理事業として実行いたしたいと考えますと、私どもとしてはおおむね四割程度以上を公団として先買いとして取得する。そこで公団が地主になるわけでございます。あとの六割は個々の方がそのままお持ちで、その状態で区画整理をする。四割を切れるほどしか私どものほうの手に入っておりませんと、事業としてでき上がりました土地、これを公団がアパートを建てたりあるいは分譲宅地として売るわけですが、それがきわめて高くなる状態でございますので、まず私ども一つのねらいは、必ず四割以上買えるか、四割以上買えないような状態になりましたときには、その地区の開発を放棄している例が多うございます。そういうことで、必ず一定の、四割程度以上、ところによりましては、ここでは五割以上買わないと事業に乗らないというところでは、五割以上というふうに、目標を定めて買いまして、その目標がほぼ達成される見込みのあるところで初めて契約をいたして買収するわけでございます。あとの民地のほうは、これは民間の方がお持ちでございますので、それから後にまた売買がされるというようなことは当然起こるのでありまして、それにつきまして私どものほうとしてとやかく規制をすることはできない、そういう仕組みになっておるわけでございます。
  36. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連。大臣にお尋ねしますが、この二、五、三の事業費の件ですけれども、これはやはり建設省のこういった意向というものを反映して公団がこういった事例に踏み切ったのですか。一体こういう土地の取得に関しては、公共事業として、こういった五、四、一というよりも二、五、三のほうがいいと建設省なんかも理解しているのですか。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 五、四、一とか二、五、三とか、私は実はあまりよく知らないのです。これはおそらく公団と事務当局の事務調整の上でやっていることだと思うのでございます。私が判断を加えるような問題にはのぼってきていなかったわけでございます。
  38. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 ただいまの買収率の変更の問題でございますが、公団が獲得いたしましたときは、確かに五、四、一で買えたのであります。しかしながら、御承知のようにだんだんと宅地事情が窮迫化してまいりまして、一方、公団の予算も非常にふえてまいりました。そういうことで、公団の実行ベースに合わせまして、二、五、三に変更するほうが実態に合っておる、こういう公団の御意見もございまして、私ども見ておりまして実質そのとおりでございますので、建設省といたしましても、事務的に考えまして、それに合わしたほうが、資金効率から申しましてもいいだろう、こういうことで、四十三年度の要求からそういうことにいたしたのでございます。
  39. 北側義一

    ○北側委員 この用地買収にあたりまして、富国開発の件、また京阪電鉄、当然契約代理人ということで出ておるわけですが、そういう点から、土地台帳には全然名前が出てこない、このような状況ですね。
  40. 尚明

    ○尚参考人 富国開発は契約代理人でございまして、契約代理人として扱いました土地は、相互土地という会社の所有地と、個人——たしか十人くらいだったと思いますが、その方が所有の土地、これは登記されているわけでございますが、それの契約代理人になったわけでございます。
  41. 北側義一

    ○北側委員 聞くところによりますと、京阪の分は、相互土地株式会社から買収された分、このように聞いておるわけです。そこで思いますことは、富国開発が契約代理人になっておりますが、富国開発の内容にしましても、相互土地株式会社の内容にしましても、これは何ら変わらないものだ。それがなぜ契約代理人が京阪電鉄になったのか、こういう点が非常にふしぎなわけです。私は全部調べたわけです。土地台帳の地積、番号です。一筆に全部載っております。全部私は調べました。そうすると、どの土地台帳を見ても、京阪も出てこなければ富国開発も出てこない。出てくるのは相互土地、これが出てくるわけです。また、近鉄は近鉄でやっております。そういう点で非常に私は不審をいだいたわけです。なぜそのように相互土地が契約代理人にならなかったのか。あとからまた聞きますが、昭和三十八年に会社が設立されております。そして昭和四十年八月三十日に商号変更して、その後すぐ昭和四十年十月十五日には東京へ本店が移転しておる。その奈良の鍋屋町二番地にあった相互土地、そこの代表取締役、これはその際に全部かわっております。そうしますと、契約代理人である京阪、それに売り込んだところの相互土地、この相互土地というのは、そうなると、全くのトンネル会社になってくる。その点どうでしょうか。
  42. 尚明

    ○尚参考人 まず富国開発のほうから申し上げますと、富国開発の場合は、個人の方……。
  43. 北側義一

    ○北側委員 富国開発はけっこうです。相互土地だけでけっこうです。
  44. 尚明

    ○尚参考人 相互土地は、土地を買いまして、一部は京阪を代理人として売っており、ごく一部につきまして富国を代理人として当方に譲渡いたしております。そこで、この相互土地という会社は京阪の子会社のように私ども聞いております。そして向こうの希望でもって、私の持っている土地をこの人を契約代理人としてこちらと契約してくれと、向こうの申し出に基づいたものでございます。
  45. 北側義一

    ○北側委員 そこで問題になります。たとえば京阪電鉄が契約代理人になったその土地は、かなりの坪数があるわけです。やはりそれは相互土地から入っているわけですね。そうしますと、相互土地の内容というものは、いまあなたは京阪電鉄の子会社である、このようにおっしゃっているわけですが、この会社の取締役にはどういう人がおられるか御存じですか。
  46. 尚明

    ○尚参考人 相互土地の代表取締役の方は、当時私どもと契約したときは、石田平市郎という方が代表取締役でございます。現在は浅見仁という方と聞いております。
  47. 北側義一

    ○北側委員 代表取締役だけではなくして、どういう人がおられるか、このようにお聞きしているわけです。取締役のメンバーをずっと——そのメンバーを見たら、京阪の子会社かどうかわかるでしょう。それを私はお聞きしているわけです。
  48. 尚明

    ○尚参考人 第一相互の各重役の名前はここで詳細わかりませんので、追って資料で……。
  49. 北側義一

    ○北側委員 私の調べたところで申し上げましよう。  相互土地の内容、これにつきましては、営業所が奈良市鍋屋町二番地、このようになっております。取締役の内容につきましては、いまあなたが言われたとおり、石田平市郎という方が代表取締役です。この石田平市郎という方は、大洋土地という会社の社長なんです。それから式地晧という方がおられます。この方は京阪土地興業の取締役、これは定款に出ております。それから服部治時、この方は、当時建設委員をやっておられた服部安司さんのにいさんです。それから森本一男、これは奈良の市会議員です。細井政治郎、この方は富国開発の奈良支所長です。これを見ますと、京阪電鉄が契約代理人になったが、子会社とはこれは言えないものですよ。奈良の市会議員まで入っているのですよ。これでは子会社とは絶対言えないです。そういう点、非常にばく大な金を出して買うのに、私はこれは不穏当だと思うのです。これは会社の設立はどうなっておるかといえば、こうなっております。会社が設立されたのは昭和三十八年十月二十一日。そうしますと、この会社が設立された当時は、ちょうど公団がこの平城ニュータウンのほうへ建設計画がなされるその当時のように私は思うわけです。また、この会社が商号変更して、そうして、先ほど言いましたとおり、本店を移転したのは昭和四十年の十月十五日。そうして、いま名前を読みました役員が全員辞任しております。本店が東京へいっておるわけです。このように考えますと、あなたの言われた答弁は正しくないと思うのですね、私の調べたところでは。そういう点でどのように考えられるでしょうか。
  50. 尚明

    ○尚参考人 私がいま京阪の子会社と相互のことを申しましたが、正しくはむしろ系列会社と言ったほうがいいのかもしれません、京阪の方も参画しておるということで。そうして、それがいずれにせよ、三十八年ごろから土地を当地区において買収して持っていたようでございます。私どもが買いましたのは四十年から四十一年でございます。価格をきめてその譲渡を受けようとするに際しまして、代理人を京阪電鉄にしてくれということを先方が要望したわけでございまして、私のほうはこれを契約代理人として扱って買ったわけでございます。これは普通の買収の場合でも、地主の方々が一々その登記事務その他をいろいろやるのはめんどうであるから、この人に一切の事務をやってもらいたいという委任をいたしますれば、私どもはその委任をされた方と売買契約をするという例になっております。
  51. 北側義一

    ○北側委員 あなたの言われるその点はわかるのですが、しかし、契約代理人にこの人をしてくれ、それだけで公団がぱっと土地を買う、その前の事実上農民から土地を買った会社はどういう内容であるか、それは全然調べてない、わからない、これではちょっと無責任だと私は思うのです。やはり何億という金を出すのですからね。それぐらいのことは当然調べるのが妥当ではないか、このように私は思うわけなんです。  いま一つ不審な点は、細井政治郎という人は富国開発の奈良の支所長なんですが、その人がやはり相互土地の取締役に入っておる。またここは大洋土地の社長が代表取締役になっておる。この設立された会社と、またその役員が全部辞任した年月日を見ますと、おたくさんからいただいた資料で、いわゆる公団が買収するその前に会社が設立されて、買収が終わったらもうすぐ解散しておる、こういう会社なんですよ。そういう点で、契約代理人が富国開発とか京阪になっておりますが、実際は京阪の場合と富国開発の場合は同じ事務所で事務をとっておったのです。これは鍋屋町二番地。おたくさんの資料でもやはりそうなっております。そういう点でこれは地元の人たちはいんろなことを言うておるのです。その意味も私はこの面につきまして何かわかるような気がするのです。これはもう答弁はけっこうですが……。また、この相互土地は、公団へ売り渡したその年月日を見ますと、買収してから一週間から十一日、こういうのがずいぶんあるわけです。これを見まして、私、何とこれはひどいなと思ってびっくりしたのです。それとあわせて、先ほど言いましたとおり、富国開発の取締役である広瀬義一さん、この方は、やはり先ほど言いました奈良市鍋屋町二番地、相互土地会社と同じ籍になっております。先般は、繊維業者の集まりであって、土地をまとめるために富国開発をつくった、このような答弁があったわけですが、そういう点少し調べてみたのですが、先般の答弁とはだいぶ内容が変わってきておるわけなんです。その点どうでしょうかね。
  52. 林敬三

    ○林参考人 いろいろと平城の土地の買収のことについてお尋ねでございますが、ここは御承知のように三十九年に公団ではずっと調べまして、それからいろいろ関係自治体当局やあるいは関係官庁とも打ち合わせまして、そしてここをやることが適当であると認めて決心をしました。四十年の初めからおもに上半期にこれを買うということをこの第一地区についてはいたしたわけでございます。それで、その以前に、三十五年くらいから——それまではほんとうの、言ったら悪いですが、つまらぬ雑木林で、道もなければ水も出ないというところだったのですが、将来これが住宅地になるとまたそこでずっと値打ちが出てくるわけでございますし、それからほかの何か機関がそこへ来るということになるとまた値打ちがずっと出る。目的が違いますと、たちまち土地の値が出るということ、この点で私どもいろいろと苦心のあるところであり、かつ、現在のいろいろな法制その他、経済状態においてはまたいたし方ないというところをできるだけ有意義に、また社会的に見まして不満とか妥当でないとかということのできるだけ少ないように、こう思って、土地を買ってニュータウンをつくるという微力をいたしておるわけでございます。  それで、さっきいろいろお話ありましたが、五百円で買ったとか七百円で買ったとかという時代というものは、まだ海のものとも山のものともわからない。それからまた、売る方は早くお金がほしいというときに、その判断でお売りになっていると思うのでございます。これが自治体やその他と打ち合わせをして公団が来るとなると、今度はそんな値段じゃもうどなたも絶対にお売りにならないという状況になるわけであります。そのころの公団が決心をいたします前にそこらを近鉄が相当たくさん買って持っておった、まあそこいらから見当をつけまして、さっき尚理事が申しましたように、四割はこれは妥当な値段でこちらが買うなら買えるかという見当をつけたわけでありますが、そのほかに、京阪か相互というような——まあこれはどっちが系列になっておりますか、下になっておりますか、そういうことで土地を買って将来のことを考えながら持っていたというのもあるし、また、繊維業者の方でいろいろとばら買いみたいにやはり持っていらっしゃるという方も、これもいわゆる売買の自由でございまして、公団がそこでいけないと言うことはできない状態でございます。ただ、不当にそういう方から高く買うということは、これはもういけませんので、それで不動産鑑定士の鑑定をとりまして、公団もやがて来るという前提になった、ある程度そこでぐっと値の出たところではありますけれども、いままでの近傍類地やその他から見ての妥当な鑑定価格というものを出してもらって、それの範囲以下でもって公団は一括して買うということをいたしておるわけでございます。そこで、その農地でありますとか、あるいはいろいろなところで、いわゆる事実上もう売買は済んでおっても、登記の済んでないものもございます。そこで、御指摘のように、一週間で売ったではないかとおっしゃいますが、一週間で何倍にして中間利益を得ているというふうには思わないのでございます。ですが、こちらとしては、とにかくある土地というものを社会的妥当な値段で、こちらの経営からいって妥当で庶民のためのあれになるという見当をつけて、急激にぐっと世間でいま相場が上がっているところをぼっと買うわけでございまして、その前の土地の経歴というものが一つ一つどうだったかということは、そこまではとても入り切れないで、よくよくけしからぬことがあればそこでやめますけれども、そうでなければこれの買収をやっているというのが実情でございます。  それから契約代理人になられます方も、地主がみんなで推薦してそうして判こをちゃんと押して持ってこられるわけでございまして、それはやはり——しかし、こちらは全然調べないかというと、そんなことはないので、取引の相手方でありますから、非常におかしな風評のある人とか危険な人とか、そういう人はもちろんこれは排除するわけでございますが、一応宅地建物取引業法による免許を得てそうして来ておられるという方たちをお相手にして正常な取引をするということになるわけでございます。あとでそれがこっちの取引が済んだところで解散してしまわれたり、そこいらになりますと、いろいろ先方の都合があると思いますが、何ともそこまではチェックすることもトレースすることもできないわけでございますが、いずれにいたしましても、いろいろ御心配の点、よく私どもも気をつけまして、今後も一そう誤りのないようにして、かつ有効な土地の買収と宅地の造成というものをはかってまいりたいと存じます。
  53. 北側義一

    ○北側委員 結局、その会社の設立年月日とその役員がやめる年月日があまりにもぴしゃっと一致し過ぎるので、それでお聞きしたわけです。  また地価の鑑定をやった大和銀行なんかは、これは近鉄と大和銀行との合資で西大和土地KKという会社をつくっているのですよ。そうしてそれを鑑定さすのでは、これはどうしたって近鉄に有利なようにやりますよ。現在、じゃんじゃんそうやって近鉄と日本生命と、それから大和銀行が合資して土地を買収していますよ。そういう銀行が来てどうこうするのだったら、ちょっとその点、私、不審があると思うのですね。そこまでは公団のほうではわからないという点も、これは考えられます。これは参考資料をもらいますと、土地台帳に公簿面積で書いてあるのでしょうか、どうでしょうか。
  54. 尚明

    ○尚参考人 公簿でございます。
  55. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、これはあとで非常に地積が変更されておるわけです。土地会社が買ってからその地積が大きく変更されておるわけですが、その点御存じですか。
  56. 尚明

    ○尚参考人 これは少し区画整理の技術的な問題になるのでありますが……。
  57. 北側義一

    ○北側委員 いや違う。土地台帳による地積が公団に入る前に大幅に変更されておるわけです。
  58. 尚明

    ○尚参考人 登記変えでございますか。
  59. 北側義一

    ○北側委員 そうです。知っているか、知っていないか。
  60. 尚明

    ○尚参考人 それは私どもあまり詳しくは存じておりません。
  61. 北側義一

    ○北側委員 その点を一ぺんずっと私読み上げますから、聞いておいてください。  奈良市の歌姫町です。地番千百十五番、ここが旧地積は七畝十四歩、これは二百二十四坪になります。これは吉崎清平さんという人が持っておりました。これは売買されて、相互が買ったのは昭和四十年二月八日。そして地積変更がなされておるわけです。その相互土地が買ったあとにおいて、昭和四十年六月二十五日に地積変更されております。どのように地積変更されたか。これが五千九百四十六平米、坪にして千八百二坪、そして日本住宅公団昭和四十年七月一日に買っております。土地台帳から私調べたのです。山なんかは延びます。これは了解できます。ところが、二百二十四坪の旧地積が千八百二坪になっておる。ざっと計算しますと八倍から九倍の間ですね。同じく千六百十一番、これは四畝二十二歩ありました。坪に直しますと百四十二坪。岡島さんという人が売買されたわけですが、相互が昭和四十年五月二十九日に買って、地積変更は昭和四十年六月二十五日。その地積はどうなったか。千三百七十三平米、坪に直しますと四百十六坪になっておりまして、同じように昭和四十年七月一日に日本住宅公団が買っております。それから千六百十九番、これは十歩で、山本佐助さんが持っておられた土地です。これは第一相互に昭和四十年九月十一日に交換されております。地積変更は昭和四十年九月十六日、そしてその新地積が四百平米、百二十一坪。十坪が百二十一坪、これは十二倍になっております。公団が昭和四十年九月二十二日に買っておられる。その他ずっと、大体登記謄本を取って調べただけでこれだけ。ほかに全部私調べました。どれを見ても猛烈にふえておるわけです。延びのあるのはわかるのです。山で普通三倍といわれております。ところが、これを見ますと、大体十倍近く延びている部分があるわけです。もちろん、これは法務局におきまして測量なさるようなことは知っています。地積変更する場合には三つの要件がある。それも知っております。ところが、あまりにも幅が大き過ぎるのです。たとえば、相互土地は農民から公簿でやはり買っております。そしてそれが地積が変更される、そして公団に売買される、そうしますと、十坪の土地が百二十一坪になった。十坪で買ったものが百二十一坪になる、これはむちゃくちゃだと思うのです。その点どのようにお考えでしょうか。
  62. 林敬三

    ○林参考人 御承知のように、公団は公簿で土地を取得するのを原則としております。しかし、実測で買ったほうが妥当である、あるいは実測で買うことを希望するというところ、また、実測で買わなければならぬというところは、実測をしてやっておるわけでございます。公簿を原則とする理由は、未開発地域土地の売買というのは、ほとんどが公簿でやるという慣行になっておりますのと、それからまた、公簿で買いますときの単価というものは、いわゆるなわ延びというものをこちらも見越し、向こうも見越して、そして鑑定機関もそのなわ延びを見越して買っておりますので、そこに公簿で買ったから、実測で買ったからといって、大きく見ました場合にはアンバランスはないということで、迅速にもいきますし、それからプラニメーターで、大体どのくらいなわ延びがあるかという見当をつけまして、そしてその範囲内におさまるとき、公簿で実測を含んで買っておるわけでございます。そこで、個々の地主になると、その直前になってそれを実測に変えて登記のし直しをするという方が出てくることがときどきほかのところなんかでもございますが、このケースについては、私も——これは決して責任のがれではございませんが、着任前のことでございまして、その後のことであってもこういうことは明確には知らないのでございますけれども、しかし、これは近所やいろいろのこともあって、全体としてはプラニメーターではかりますから、そんなにむちゃな買い方をこっちとしてはしていないわけでございますが、あと代理人の方と地主との間でどういう分け方になって具体的になってまいりますか、そこのところ、そんなにひどいアンバランスでひどいことをやられているようにいままで存じておりませんでした。しかし、少なくもこういう御疑問が出るということもまことにいけないことでございまして、一そう気をつけてまいりたいと思います。
  63. 尚明

    ○尚参考人 先ほどもお話しのように、なわ延びというのは普通それほど多くなく、三割とか五割くらいのことが多くてもあるのでございますが、こういうときに、しばしば六倍とか八倍とかいうのが出るケースがございます。それはなわ延びのあった土地、したがいまして公簿上面積が小そうございます。そこを分筆分筆ということを何回かやっておりまして、その残ったところを引き算でもって分筆するときに実測いたします。そうすると、たとえば実際に二百坪あるのですが、公簿上は百坪あるところがございます。そこへ分筆でもって九十坪やりまして、実測で分筆すると、残りは公簿上たった十坪というのが、事実は百坪になるというような事態が起きることがございます。地主さんは、そういうふうな土地になりますと、自分のところは著しくなわ延びがあるというときには、それに気がつきますと、公簿訂正をされます。公簿訂正されておりますところでは、それが公簿でございますから、私どもはそれに準拠して買う。全体としては、先ほど申しましたように、地積はプラニメーター等ではかりますので、そごがないようにいたすということでございまして、特例として数倍になることはあるのでございます。
  64. 北側義一

    ○北側委員 これはところによってはそうなるのは、あなたの言われるとおりでしょう。ところが、ほとんどそうなんです。私は地積番号は全部知っております。ここまでやるために三カ月かかったのです。これは奈良のほうでどうしてもやってくれという強い要求があって、地元の人が全部調べているのです。また私も三回行って調べました。いま読み上げたのは、分筆された土地じゃないのです。そこで、これは実測は買収されてからされたのですか。八十五万ほどありますね。
  65. 尚明

    ○尚参考人 公簿で買ったわけでございます。つまり、実測されたものが公簿台帳にそのまま載れば、公簿台帳の数字で買ったわけです。
  66. 北側義一

    ○北側委員 そうしますと、たとえば錯誤、不錯誤という名目で直してあるわけですか。あまりにも幅が大き過ぎるということです。その点を非常に心配するわけです。たとえば、読み上げませんが、千四百九坪のものが九千九十坪になっている。これはこれだけでしたら私も何も言わないのです。そういうこともあり得るだろうかと考えつくのですが、大半がそうなんです。私は土地台帳を全部調べました。そしてびっくりしたわけです。これはどういうことになっておるのだろう、そこらにいわゆる黒いうわさが住民の間に立つのはこれはやむを得ぬと思うのです。会社を見ましてもそういう会社であるし、地積の延びを見ますと、そういう地積の延びになっている。そこらが非常に心配になってくるわけです。普通常識で考えたって、山でよく延びて三倍です。畑で五%か一〇%、これは普通です。ところが、土地台帳を見ますと、近鉄の分の延びはわりかた低いのです、実測のは当然ですね。また、地元の農民から買収したときの坪数は、公簿で見てはっきり書いているのです。四軒ほど回りました。そういう点から考えますと、非常に不審になってくるわけです。また、相互土地の地積変更とここに書いてありますが、地積錯誤、錯誤と、全部直してある。この錯誤を直した人が滝岡という人です。これは法務省で調べてみましたところが、何と滝岡というのは、そういう事実があっていま警察へつかまっておるのです。  一ぺん読んでみます。奈良地方法務局会計課主計係長滝岡さんという人です。これは法務省から聞いたんですからね。「不正事実 同人は、昭和三九年五月一日より奈良地方法務局登記官(登記課不動産第一係長)として、不動産登記申請の受付・調査・記入・校合等の職務を担当し、同四一年三月一九日同局会計課主計係長となったものであるが、 1昭和四〇年九月八日奈良地方法務局庁舎内で、かねてより知合いの宅地建物取引業者藤本喜蔵より、同人及びその他の者らの申請に係る奈良市山陵町字盗人谷一三七七番地の一の山林一二五平方メートルについての地積を一三六九九平方メートルに変更」この人がしたというのです。この相互土地のやった人を見ますと、全部そうなんです。滝岡さんの名前を書いています。これを見てください。そうなるとよけい不審になってくる。そういう事実が出てきておるわけです。そうしますと、このあまりにも地積の延びの激しいのと、その登記した本人がそういうことでいわゆる供与を受けてつかまっておる、こういうことを考えますと、これはもうおかしいなと思わざるを得ないような事態が起こってきているわけです。その点どうでしょうか。
  67. 林敬三

    ○林参考人 いろいろ御指摘ございましたが、私のほうで買いました全体の面積でいいますと、このプラニメーターではかりますと、違っていないのでございます。具体の個人のことになりますと、そこのところは境界がいろいろあってたいへん時間がかかりますので、プラニメーターで全体で買ったところをはかりますと、それはこちらで予測していたとおりの面積があるわけです。
  68. 北側義一

    ○北側委員 実測なさったのですか。
  69. 林敬三

    ○林参考人 詳細の実測はいたさないのですが、私も技術のことはよく知りませんが、プラニメーターというのでずっとはかりますと、個々の境界で何兵衛は幾ら持っていたということはわかりませんけれども、でこぼこをずっとうまいことやりますと、ほんとうに一つ一つ三角点を置いてはかりませんでも、全体の面積はほぼそのとおり出るという機械があるのでございます。それではかりまして、個々のなわ延びはどれだけあるということで計算しますと、それで合うのでございます。あとのこまかい中のことになると、これは公にちゃんと免状を持っている測量士を雇ってきて、それがちゃんと測量をして登記機関に持っていって、登記機関が受け付けますと、こちらとしてはそれについてのことをどうとも言えないという点はあるわけでございます。しかし、いま伺いますと、その受け付けた登記所の人が、区域外の土地のことでございましょうが、何か汚職があるということ、まことにいけないことだと思っております。これはなおしかし私のほうも調べて、今後の措置についてはできるだけりっぱにでき上がるようにいたします。  なお一言つけ加えさせていただきますと、先ほど鑑定機関、これは取引銀行の付属鑑定機関のようなものでおかしいじゃないかということでございますが、そういう御指摘を受けますと、なるほど、その銀行の預金の中まで知りませんでしたのでそこを頼んだのですが、それじゃそういうことをちょっと勘ぐられてもしかたがないかという心配もありまして、それでほかの二つの鑑定機関に、私聞きましてからもう一つかけてみた。これはやはりそれより以下の数字になっております。ですから、その鑑定は特に情実をもってやったということではないと存じますし、また、鑑定士というものは銀行から離れた一つの権限を持ち、信用のあるものでございますから、そういうことはないと存じます。ただし、これは李下の冠、瓜田のくつでございまして、これは私のところは非常にやかましく言っておりまして、とにかくまず、取引があったらそこのところの鑑定書はとらぬというふうにして戒めて、いやしくも誤りなきを期しております。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連。いまの尚参考人総裁答弁はちょっと違うと思うのです。なぜかというと、あなたは、いま、公簿上のことは信用しているから実測しないという答弁をしている。こちらは、プラニメーターとかなんとかいう機械で、一々はかっているものじゃないのだから、はっきりいったら出てこない。ところが、この土地を担当した役人がいま警察にあげられているのです。その人がつくった公簿を信用して買ったのなら、それこそ公団は不正な土地を買って詐欺にあったという結論が成り立つわけです。その点はどうなんですか。
  71. 尚明

    ○尚参考人 私が公簿を信用してと申しましたのは、もちろん、前提として買うべき土地の実態も見ますし、それからプラニメーターではかりまして、それは数量的に間違いがないというところで、数量は公簿のほうを用いるという意味でございます。  なお、平城につきましては、すでに測量は終わっておりまして、何らそごはございません。買うときには具体に一々こまかい測量ができませんので、プラニメーターではかって大体公簿のほうが少し内側にくるのが普通でございます。それで大体よろしいということで、数量を公簿のほうを使って買う、そういう意味でございます。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、その公簿と実測した点とは全然違いがなく、合ったのですか。合わしたんじゃないですか。
  73. 尚明

    ○尚参考人 詳細の一々の地区についてどれだけの誤差があったかということはリストはございませんが、全部として合っているという報告を受けております。
  74. 北側義一

    ○北側委員 いま一つ不審なところがあるのですが、法務局の登記官は係長ですから、好きなようにできるわけです。疑ったら切りがないのです。ところが、この相互土地の代表取締役をやっておる石田さん、用地課長、また総務課長、ここらの人がやはり不正事件を起こしているわけです。どういう不正事件を起こしているかというと、今度は登記官の買収をやっているのです。土地会社のほうが登記官を買収しているのです。これも法務省から出てきているのです。こうなってくると信用できなくなる。機械ではかられたと言いますが、地元の人たちは、この問題については非常に疑心暗鬼であります。地元の人、特に土地ブローカーをやっておる人なんか、こういう実情を全部知っております。そういう人の言によりますと、公団が買うた土地が少し足らないかもわからない、なぜ足らないようになったのだと聞いたところが、それは、この土地買収のやり方というのは、初めから値段がきまっておった、近鉄の場合は四千三百円、京阪の場合で三千九百円、富国で三千七百円、このように初めから値段がきまっておったというのです。そうすると、初め用地買収のときはこの値段でいけたが、買収していくと、そのうちだんだん農家が売らぬようになった。おれのところはこの値段でないと売らぬ、こういうようなことが出てきた。こうなると、それはどうしても地積で何とかしないとどうにもならないんだ、こういううわさを私は聞いておるのです。そういうことを言うておる人もおるわけですよ。そうしてこの登記官また土地会社の人、ともにそういうような——これは別件でございますが、そういうことをやってつかまった。警察にあげられておる。こうなりますと、地元の人が言うのも一理あるんじゃないか、こういうぐあいに私も考えざるを得ないようになってくるのですね。公団のほうは非常にきびしくちゃんとやっておられるということにつきましては常々から聞いておりますが、公団のほうでこういう点は御存じなかったのじゃなかろうか、このように私は思うわけなんです。
  75. 尚明

    ○尚参考人 買収した土地の地積のことでございますが、実は私どもは、区画整理をするためには、今度は次の段階といたしまして、建設大臣土地区画整理事業の事業計画書というものを出すわけです。その中には、公共用の土地として道路の面積がどれだけあるか、水路の面積がどれだけあるか、民有地として畑がどれだけあるか、田がどれだけあるか、なお、公団の買った土地が何平米、何坪あるのか、そして全体の地区の測量をしたときに測量増になる数量がどれだけあるか、こういう数字を全部建設大臣に提出しなければならないことになっております。したがいまして、もしここに誤差があれば、当然建設省に出せるような書類にならないわけです。したがいまして、私どもは、そういうことのないように、当然、買うときから十分の注意をして、地積が誤差のないようにして買っておるわけであります。
  76. 北側義一

    ○北側委員 そこで、先ほど言われました測量をなさった。昭和四十二年三月から六月までに八つの測量会社がこの土地を測量しております。しかし、これは地積の測量はしていない。この八つの測量会社に全部聞いてみました。計画測量だけです。地積の測量はやっておりません。その点どうなんですか。
  77. 尚明

    ○尚参考人 測量して全体の数量が、輪郭、それから要所要所も出るわけでございます。それからあと、公図と重ねていってさらに詳細の数量を出すわけでございます。いま私どもに平城につきましては詳細の数量を出す作業をやっております。
  78. 北側義一

    ○北側委員 では、あなたが先ほど言われた答弁といまの答弁とは違うのですよ。八つの測量会社が計画測量だけして、地積は測量していないとはっきり言っております。あなたの言う答弁と違うじゃないですか。そんなでたらめ言っちゃいけないですよ。これは林総裁が言われたのが正しいのでしょう。
  79. 尚明

    ○尚参考人 地区全体の測量をいまいたしておるわけでございます。
  80. 北側義一

    ○北側委員 いま測量をやっていないのですよ。
  81. 尚明

    ○尚参考人 失礼いたしました。いま全体の測量をしたところでございます。
  82. 北側義一

    ○北側委員 だから、測量をされたのは、計画測量なんですね。昭和四十二年の三月から大体六月ころまでで測量会社が八つ入ってやっております。これは山の高さとか、そういういろんなものを測量なさるためになさったわけです。また建設省のほうも、水路、道路、これをとるために来られた、そのように聞いております。そういう点——まあ私は決して公団を疑っているんじゃないのですよ。私の言うのは、ただ、下部でそういうことになっておるのを公団が御存じないように思うのです。この問題は、そういう点で、せっかく買われた土地が全部足らないようになったり——うわさではそのようなことを言っておりますので、これは私が実測したわけじゃない。私も足らぬとはよう言いません。そういう点は特に考えてもらわなければいけない、このように私は思うわけなんです。そういう点を考えてみますと、土地買収にあたってはあくまでも非常に細心な注意を払ってやっていかなければならないように思うんです。そのほか、広陵団地の件につきましても会計検査院のほうから指摘を受けておるわけなんです。広陵団地のほうは一社が地価評価の鑑定人です。それについて会計検査院のほうから、きょうお見えですが、指摘を受けております。そのほか、昭和四十年度の決算報告、これを見ましても、やはりそのような指摘を受けておる。これはその当時です。そういう点でそのようなうわさが流れたり——ある程度のうわさはいたし方ないいと思うのですが、やはりそういう点まで目を通してやっていただかなければ、地元の人の黒いそういううわさが消えることはないと思うのです。会社の設立を見ても、役員のメンバーを見ても、また地積の変更があまりにも大幅過ぎる、そういういろんな事情からずっと見てまいりますと、これはもう信用できないような要素がやはり幾ぶんか含まれておる、このように私思うわけなんです。また、広陵団地の件についても、その当時はそのように言われております。この用地買収で結局先ほどの法務省の——これは平城と並行してやったわけですからね。法務省の登記官もこのときもつかまっておる。そういうようになっておるわけです。  あわせてもう一点、金剛団地のほうがありますので、これを少しお尋ねしたいと思うんですが、金剛団地の面でこれを見ますと、大体南海がこれを買うたわけです。南海が買うた分を見ますと、大体平均四カ月から五カ月です。これも大体全部調べました。地元から買うて公団に売られるまでに、長いもので一年、大体四カ月半から五カ月になっておりますが、これは公団がくるようになってから南海は買われたわけですね。そういう点、何か、公団が土地の買収が非常に困難であるというのはよくわかるのですが、それを食いものにされておるような感じを私は受けるわけです。その中でも特にひどい分があるわけです。どういう内容があるか。これをひとつ読みますが、こういう内容があるんです。これも土地台帳の写しを持ってきております。言うてみますと、これは中尾さんという人です。二千六十五の中から、これは十筆あります。それが昭和三十七年一月十七日に中尾さんがPL教団に売っております。PL教団から三十七年二月一日に南海が買うております。同じように住宅公団が三十七年三月七日。これは四つですね。中尾さんから公団にいくまでに、二カ月間に二つのそのような土地台帳に変更がある。土地台帳に変更があるという以上は、これはどうしたって全然もうけなしじゃやらないと思うんですよ。そういう点も私は非常に不審を抱くわけなんです。そういう点でひとつ用地買収にしっかりしたあれをもってやっていただきたい、このように私は思うわけなんです。その点どうなんでしょうか。
  83. 保利茂

    保利国務大臣 先ほど来から公団と北側君との間のお話を伺っておりまして——私も、公団の用地等についていろいろあられもない疑いを受ける場合があるのじゃないかということは、就任以来心配をいたしておりました。林総裁とも特にお話をいたしまして、とにかく、疑いを持たれやすいことであるから、あなたがおやりになっていることであれば絶対間違いないことは、これはもう太鼓判を押して保証する、しかし、総裁にしても自然人でございますから、幾ら御信頼をいたしておりましても、一々のところには手が届かない場合もあろうし、したがって、公団の役職員の方々総裁のお考えを徹底していただく、そうして世の誤解を受けることのないように願いたいということで、先ほど来お話を伺っておりましてもははあと思うことは、なかなか金の動くことでございますから、同業者間の、何といいますか、ねたみも出てまいりましょうし、そういう点で、少しでも間違いがあると、さもたいへんなことがあったようになりましょうし、そういう点はもうほんとうに注意を要することだと思いますから、総裁ともさらに協議を続けまして、今後誤解を持たれることのないように十分気をつけてまいるつもりでおります。
  84. 北側義一

    ○北側委員 最後に、先ほどの平城団地の買収の方法で、四千三百円、三千九百円、三千七百円、こういうう値段を固定されて買収されたわけですが、今後もこういう買収のやり方をやるのですか。これはちょっとまずいですよ。
  85. 尚明

    ○尚参考人 最近やっておりますのは、このような広大な地区の場合は、その中に幾つかの地帯を分けまして、そして価格を、たとえば一万坪くらいありますと五種類くらいになるケースが多うございますが、この地域の分は幾らいたします、この地域は幾らいたします、そういうふうにして地域によって価格を変えまして、そして大体買収は始めますと約半年か一年で終わりますので、その地区の価格はその途中では変更いたさないというやり方で価格をきめております。
  86. 北側義一

    ○北側委員 私が心配するのは、たとえば近鉄の場合、四十年三月から買収が始まって、昭和四十三年二月二十三日に買収されていますが、この間約四年間あるわけですね。そうしますと、四年たつとやはり地価というのはうんと変わってまいります。だから、四千三百円と固定した買い方、そういう買い方はいけないと思うのです。そうすると、やはりそういう問題があるから、初めは買えても、だんだんあとで買えないようになるから、そういうことは——これはほかのブローカーが言っているのではない。買収に当たったブローカーが言っておるのですよ。買収に当たった人が言っておるのです。そういう点で、初めはそうやって買えるというので、公団で言われる値段で買えた。だんだん地価が上がってくると、値段が固定化されているのだから、地価は上がってくるのに固定された値段で買えというのは、そこにどうしてもいろいろな問題が出てくるのではないかと思うのです。それでこういう買い方は非常にまずいと思うのです。これはその当時の地価によって購入するようにしなければ、これからもこれはこういう疑惑を持たれるような事件が起こってくるのではないかと思うのです。答弁はありませんか。——なかったら、これで終わります。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほどに関連してなんですが、不動産鑑定士の問題で、先ほどの鑑定士の問題でも、銀行の関係でいろいろ総裁のほうからも今後注意するということがありましたが、この不動産鑑定士というものは、その土地の鑑定値段を依頼される場合には、一人に頼むのですか、二人とか、そういった複数になるのですか。こういった問題は、建設省のほうとしてはそういう規定があるのですか。
  88. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 不動産鑑定士が関係する場合でございますが、鑑定士に頼まれる場合、その方がどういった性質の仕事のために頼まれるかということによりまして一人頼んではいけないというところまで法律にきめてございません。実際建設省が地建あたりで用地買収をいたしますときには、複数で鑑定してもらうようにいたしております。
  89. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、ただいま問題になりましたこういった団地のような大量に土地を取得する場合なんかの鑑定依頼の場合には、複数ということに理解してよろしいですか。
  90. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 やり方といたしましてはそうすべきであると思います。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総裁にお尋ねしますが、現実にいまの団地の取得は何名の不動産鑑定士に依頼して値段を出したのですか。
  92. 林敬三

    ○林参考人 最近は必ず三つの機関から鑑定をとるということにいたしております。しかし、これは一つのあの鑑定機関制度というものの発達の歴史もあると思いますが、数年前ははなはだたよりなかったという点があるのでございます。それで、むしろ、公団でございますと、公団自身が職員を使っていろいろ近傍類地の売り先をさがしまして、そしてそこから妥当な値段を出すということで、なおそれでどうにもならないときは鑑定士の鑑定をつける、こういうような取り扱いにしておったのです。したがって、一社ぐらいでやってしまうという例があったのでございますが、最近は不動産鑑定上のいろいろの制度が確立してきまして、それから発展してまいりまして対社会的に非常に信用が持てるようになった。私どもが非常な労力を使って近傍類地をさがしましても、なかなか具体的に幾らでお売りになった、買いましたと言う方は少なくなった。むしろそういう第三者鑑定機関に依頼したほうがいい。しかも一社では不十分だから三社ということにいたしております。ただ例外的に、たとえば国有地をこっちが買うというようなときになると、一社だけでよろしいということになっております。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 現実にただいた問題になったところは何社だったか、何人だったか聞いておるのです。
  94. 尚明

    ○尚参考人 ただいまの平城地区の場合は、奈良県側のほうのところは住友信託銀行と大和銀行でございます。なおそのときは不動産研究所にも依頼をいたしましたのですけれども、不動産研究所が忙しかったのか回答が非常におくれましたので、この二社を使ったわけでございます。次に翌四十一年、京都側を買いますときには、不動産研究所、大和銀行、住友信託銀行、この三社から鑑定をとっております。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは資料要求でありますけれども、鑑定結果の一覧表をあとでお願いしたいのです。  大臣にお尋ねしますが、こういった土地の鑑定方法には、法務省または自治省、大蔵省、建設省と、鑑定の機構が対象とするところが違うのですけれども、こういうものは一つにまとめて、いろいろと自治省あたりの鑑定のしかたと大蔵省の鑑定のしかたと違うけれども、一括して国がやるということは考えられませんか。
  96. 播磨雅雄

    ○播磨説明員 ただいまのお尋ねでございますが、不動産、固定資産税の鑑定あるいは相続税の評価、それぞれ歴史的な経過もございます。また、そのそれぞれの水準も現実——おかしいことかもしれませんが、違っておることは、歴史的な事実でございます。こういったことで、私たちといたしましては、統一できたらしたほうがいいじゃないかというお話は十分わかりますけれども、またその方向に努力すべきであろうと思いますけれども、いまにわかにこれを一本化するということは非常に困難かと思います。今後各省とも十分意見を交換しまして対策考えたいと思います。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 土地の値段は重大な問題でありますことは、毎回の質問、また討論、大臣のお答えでもわかります。大臣も来年の春ごろから土地の価格の公示制度なるものを考えられておる。そういう段階にあって、土地の値段の評価が各省まちまちであるということは、たとえば米の値段なら、酒屋さんがきめた場合と、米屋さんがきめた場合と、鉄工場を経営している社長さんがきめた場合と、米の値段が違う、国の米価という問題がまちまちになってしまうということです。土地というものは再生産がきかない、当然統制されてもしかるべき対象になっている。土地というものは特別の商品であって商品でないという見方もある。そういった特殊的なあいまいもことした目的物になっておりますが、こういったあいまいもことされているのは、そういった官庁のセクショナリズムと申しますか、そういった面で、大蔵省の査定は十円だ——たとえばですよ。建設省が査定すれば八円だ、それから自治省がきめたら二十円なんというようにまちまちで、いま大臣がおっしゃったように目的によって違う。これは税金として取るほう、または地方自治体の財源と見るほう、また建設省が建設の立場から見るほう、こういうようにその目的によって土地の値段というものが左右されていくような評価のしかたというものは、私は非常に不明朗だと思う。これは非常に大きな問題ですから、この点について建設大臣にお答え願いたいのですが、こういった問題が統一されなければ、土地の値段の問題は明朗化されない。一体これに対して建設省としてはどういう考えを持っているか。こういった問題はこういうように統一するのだというお考えがあると思いますが、この点について保利大臣からお答え願いたいと思います。
  98. 保利茂

    保利国務大臣 土地問題というものが国民的な課題として解決されなければならないという今日のなにから言いますと、統一評価ということは、いろいろ各省の沿革的歴史的ななにもあるかもしれませんけれども、そういうものを一ぺん洗い直して、統一評価でもって、そうして固定資産税だとか相続税だとか、いろいろのことは税率をもって調整をはかっていくということをやらないといけないところにきておるのではないかという考えを持っておりますから、そういう方向で検討を進めてまいりたいと思います。
  99. 加藤常太郎

    加藤委員長 阿部昭吾君。
  100. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は若干の点についてお尋ねをしたいのですが、建設大臣は農業や農政の問題に対しても非常に深い見識を持っておられる、こういうように私ども思っているのでありますが、今度の都市計画法に対して、農業の観点からと、都市そのものの要求する立場からとでは、やはり根本的な立場の違いがあると思う。特に、私どもの党内でもそうなんですが、大都市都市問題、これと、地方農村の中小の都市問題というのは、内容においてもやはり相当な違いがあるというふうに私ども思っているわけであります。そういう意味で、一つに、はきのうも参考人に若干伺ったのでありますが、地方都市都市近郊における農業、そして将来とも農業以外にみずからの生活経営の意欲や将来性その他を全然持たないというすぐれた優良農民というのはたくさんいるわけであります。この皆さんの農地が、地方都市の周辺において市街化区域に設定をされるということになりますると、いずれこの皆さんは農業から、きついことばで申し上げますると、締め出されざるを得ない状態になっていくと思う。この皆さんに対して、都市計画法施行されていった段階で将来保障できる何かのものを持っているのかどうか。私はいろいろ考えてみますると、結局、この都市近郊における農民が、市街化区域に設定された区域内に一定の農地を持って、政府がおっしゃる自立経営農家であろうとも、市街化区域に設定された段階では、十年間の期限のワク内において農業からはとにかくはみ出ざるを得ない。はみ出ることに対して、この皆さんが将来とも農業以外に生活や経営、こういうものの自信のあるいき方を持たぬという場合に、この皆さんに対する将来的な保障の問題、生活を保障していくという根本的な問題がこの都市計画法の中にあるのかどうかということなると、私にはない、こう思わざるを得ないのですが、大臣考え方をお聞きしたい。
  101. 保利茂

    保利国務大臣 御懸念のように、地方の中小都市の周辺の農村が、本法が実施され、計画が実施されるようになったならば、どういう影響を与えてくるかという点には十分の配慮をいたしておかないと、かえって不測の憂慮すべき事態を引き起こすことがあり得るという御心配につきましては、私どもも最も心配し、意を注いでおるところでございます。  元来、この新法の期待いたしまする計画をすみやかに持っていただきたいという期待は、人口産業の著しく過度の集中を来たし、またその傾向を依然としてとっておる地帯を私は頭に置いておるからでございます。地方の小さい都市等に、都市計画法が変わったからどうというようなことを、そう直ちに鳥の立つように騒ぐようなことはしてもらいたくないというのが、私は正直なところでございます。ただ、今日の都市行政が著しい人口産業の集中によって過密化を来たしておる、それの事後追認というような形になっておるものでございますから、したがって今後は、こういう事後追認だから、あと追いかけばかりをやっておってもしようがないじゃないか、まあ相当長期の計画をそれぞれ地元に立てていただいて、各県とも各県の産業なりあるいはその地域開発計画を持っておられるわけですから、それらとにらみ合わせてこの都市計画を策定していただきたいということが、第一にお願いいたしたいところでございます。  地方の中小都市は、これは私はかねてそう思うのでございますけれども、近来都市の様相がだいぶ変わってきておるとは申しますものの、やはり近郊農漁村の購買力の上にその地方の中小都市というものが成り立っているということは、やはり考えなければいかぬ。したがって、中小企業対策等にいたしましても、近代農村の購買力というものを高めてまいるというところに一つのまた中小都市対策というものが相関連してくるのじゃないか。そういう意味において、農村の繁栄といいますか、購買力を強化してまいるということは非常に大事なことだろう。今後大都市の周辺あるいは地方中心都市等におきましては、その近在の農村地帯は、おそらくは、近代農業と申しますか、だんだんと国民の食生活の移り変わり等もありまして、高級野菜、新鮮度の高い野菜等の要請がますます強くなりますから、そういうふうな園芸換金作物等をうんと取り入れることによりまして近郊農村の繁栄というものははかっていけるのじゃないか。僻地農村のほうにいたしますれば、とにかく高速自動車道等々の交通の整備をいたしまして、東北の僻村からも九州の僻地からも、やはり阪神であるとか京浜であるとかに、その鮮度を失わないようにして交流するようになるというところに僻地農村の繁栄への道も開けていくんじゃないかというように私は考えておるようなわけでございます。  そこで、市街化地域に指定された中に、ただいまお話しのようなりっぱな農地がある、農業を営んでおられる、そういう方をどういうふうに扱っていくかということは、これはもうみんなが心配していかなければならぬところでございますから、一ぺんに都市の基幹施設——いや下水道がどうだ、いや道路がどうだといってみましても、一度にできるわけじゃございませんから、長い目で見て、十年ぐらいのうちにその地帯が市街化するであろうと想定せられましても、その間というものは、やはり農地として、あるいは農業対象の用地として十分機能を発揮していただくように保護していかなければならない、私はそう考えておるようなわけでございます。
  102. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そういたしますと、市街化区域を設定するこのねらいは、都市というものが無軌道にスプロールしていくことを防止する。したがって、一定の地域の事情と条件に基づいて、秩序のないスプロールにならぬような市街化区域を設定するということは、これは当然やらなければいけない。ところで、その中に優良農地が——まさか虫食いのように入れるわけにはいかぬのですが、当然にやはり含むような場所が相当出てくる。いま、この都市計画法施行された段階で地図の上にどういう区域が設定され、色が塗られていくであろうかということを、私どもなりに地域現状というものに立脚をしながらいろいろ描いてみるわけです。県の段階や市町村段階のこの問題に取り組んでおる方々意見等も聞きながら、地図の上にどういう色が塗られていくであろうかということを話し合ってみますると、その中にあるやはり相当優良農地、そこにも色を塗らざるを得ない、こういうことが起こってくるのです。ところが、その場合、あまり無理をして、地方の中小都市段階では、大臣も心配してくださって、一挙にそういう矛盾が起こらぬように弾力的な運用をしていきたい、こうおっしゃられることはわかるのですけれども、そうなると、勢い、市街化区域というものは非常に限定した区域のワク組みの中に地図を塗っていかざるを得ないことになると思うのです。そうすると、逆に、秩序のないスプロールというものを防止できるかどうかということがやはり矛盾をしてくるではないか。そこで、この場合に不幸にして、二十ヘクタール一団地などというぐあいになって、その区域に隣接あるいは市街化区域が設定される中にまとまった団地がない場合でも、かりに五町、七町でも、当面、一定面積の優良農地、農業に将来とも意欲と希望を持つ方々がその区域内に設定されざるを得ないということになりますと、農業投資はそこでストップを受ける。したがって、その市街化区域に設定された中では、勢い、十年間では農業をやっていくことができない条件に次第次第に煮詰まっていくわけでありますから、皆さんは市街化区域の外へ出ていかざるを得ないと思うのです。出ていかざるを得ないのであるが、簡単に出ていくことができるかどうかといううことになると、いまもそう簡単なわけにはいかない。そういう意味で、私は、一つ考え方として実際上の問題に無理が入ってくると思うのです。なぜかというと、特に私ども地域のように食糧生産基地と呼ばれるような、長期計画でもそういうような青写真を持っておるような地帯では、交換分合というものが何年か前にほとんど終わって、いまは圃場の大型化とか、基盤整備とかあるいは農業の集団栽培とか、そういう方向に都市近郊といえどもみんな入っていっておる。そこに多かれ少かれ一定の市街化区域というものを設定せざるを得ないという事情が起こってきているのです。この法律施行される段階で地図の上にどういう色が塗られていくであろうか。その外に出ざるを得ないのでありますから、外へ出ていくのを行きやすくするためには、もう十年、十五年前に交換分合をやってしまったのでありますけれども都市計画市街化区域を設定する段階で、その内部に将来とも農業に意欲と希望を持つ方々が安心して農業をやれるように、もう一ぺん都市計画を進めていく、市なら市、県なら県、こういうところの責任で交換分合なり何なりをやって一定面積を確保していく、こういうことが並行してこないと、市街化区域の中に組み込まれる優良農民の将来というものは非常に考えななければならぬじゃないか。これを保護していくためには、一つには、消極的には、当面の段階でも——きのうも全中の参考人がおっしゃっておるように、市街化区域の中といえども、優良農地については農地法の保護を受けられるようにしてもらいたい、こういう意見があったわけです。しかし、それは消極的だと思うのです。十年なら十年のワク組みの期限の中では当然農業をやっていけない状態になるのですから、安心できるように積極的な方向をとるためには、市街化区域のワクの外に分合か何かを、市なら市、県なら県の責任でやらして一定面積を確保して与えさせていく、こういうことが必要ではないかと思うのですが、無理でしょうか。
  103. 保利茂

    保利国務大臣 いろいろのお世話のしかたがあろうかと思うのでございます。かりに市街化区域の中で将来とも農地として保全していったほうがよかろうというようなところ——これはどっちにしても、山形県なら山形県内の都市計画は山形の知事さんがおきめになる、知事さんがおきめになるについては、おそらくは山形市くらいのものでございましょうが、山形市の市長さん並びにその周辺の村落の方々——ここをつぶすのはもったいないじゃないかということは、もう建設省の役人じゃわかりようもありはしない。やはり山形市なり周辺の地域の方が、あそこはなるほど十ヘクタールくらいしかないけれども、あそこを市街化するのはもったいないじゃないか、これはやはり山形市民の蔬菜の供給地として育成していくようにしようじゃないかというようなことは当然考えられる、考えてもらわなければならない。ただ、その場合に、役所流に言いますと、二十ヘクタールが単位でございます。そうすると、それじゃ十九ヘクタールはどうするのか、十八ヘクタールはどうするんだろう、そんなところに弾力性のない、硬直した考えを持つべきではない。地元の方がごらんになって、農地として活用したほうが、近在の人のためにも、また市民のためにも大いに有用であるというようなところは、よしんば市街化区域の中にありましてもこれは保全していくようにしたほうがいいんじゃなかろうか。しかしながら、そうは言っても、山形市でおよそ十年後を見通すと、これくらいの人口がどうも山形におりそうだとなれば、それに応ずるところの地域はやはり確保していただいて、そして仰せのようなスプロール化を避けて、ほんとうに農地は農地として効率の高い利用ができるように配慮していかなければならないんじゃないかというように考えるわけでございます。これはもうすべて地元市町村並びに県知事がその地域の特性をよくごらんになって運用していただかないと、とんでもないことになるんじゃないかという感じがするわけでございます。そういう点について、私どもも、地方公共団体がよくこの法案の趣意を理解していただいて、誤りのない運用をしていただくように努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  104. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣の御答弁の限りでは私もよくわかるのです。しかし、現地において、この法律施行されて市街化区域調整区域、農業振興区域、こういうぐあいに区分をして地図に色を塗っていくということになります場合、どこをどのように市街化区域にするかは、東京におって、あるいは出先をいろいろ持っておっても、建設省で全部やろうといったって、それは無理だ。当然、県の関係機構なり市町村なり、そういうところで具体的な地図を塗っていく作業はやるようにするんだ、こうおっしゃるのですが、実はその場合いろいろな問題が起こってくる。たとえば私の地域——私の地域は、山形県庄内という、今度全国で米づくり日本一の県なんです。この県のどまん中で、都市近郊はいまどういう状態が起こっておるかということになると、二つの流れがある。一つは、農地を売って宅地化して区画整理をやる。そういたしますと、私の記憶では、この四、五年ぐらい前までは、農地の値段というのは、十アール当たり大体三十万から四十万ぐらいが農地の普通の売買価格であった。ところが、都市近郊の十アール当たりの農地を、区画整理をやり、宅地化をやって、そうして整備をして売ってまいりますと、ほとんど三百坪四百五十万ないし六百万ぐらいになる。この農地を宅地化して売って、そうして遠隔の地に農地を買い求めていこう、こういう動きが非常に大きくなってきております。都市近郊の皆さんが農地を宅地化して売って、売った金で新たに遠隔の地に——十キロ、十五キロないしは二十キロ離れた地域に新たな農地の買い求めをやっていく。それがなぜ可能かということになると、一つには、稲作技術の技術革新で、昔のように四つんばいでたんぼの草取りなどをやらぬで、除草機で一ぺんやってしまったあと、除草剤か何かで片づけてしまう。それから防除や何かにいたしましても、全部大がかりな機械でやってしまう。小型トラックか何かでたんぼに出かけていくのでありますから、十五キロや二十キロの遠隔の地なんかは、稲作経営上は全然苦にならない、ネックにならぬという現象が起こってきておるのであります。そのため、三百坪の農地を五百万程度で売った皆さんは、十キロ、二十キロ離れた、そういう都市化の現象が起こらぬ農地、将来とも宅地化の可能性の起こらぬような場所に農地の買いあさりに進出をするわけなんです。四、五年前までは、将来そういう宅地化といった可能性の起こらぬような地帯の農地は、せいぜい一反歩、十アール三十万ないし四十万であった農地を、一挙に百万、百二十万という価格で、十キロ、二十キロ離れた場所に農地の買い占めに出ていっておられる。農業だけはやめない。都市近郊はスプロールがあり、土地の値もある程度、四百万、五百万で売れるものですから、これを手放して遠隔の地に買いにいく、こういう現象が起こっておる。私ども中心をなす十万の町から二十キロくらい離れた中間部あるいは山にほんとうに近いような農地さえ、全部百万からそれ以上の値になってきているのです。このことは、建設省が国道のバイパスの用地買収なんかやっておられますが、これなんかも大体百万以上で買わざるを得ない状態です。河川改修の流域農民が相当恩恵を受けるであろう場合でさえ、やはり八十万かそこらの価格でなければ用地の確保ができない。さらに国鉄の線増工事が起こっておる、複線工事が起こっておる、この用地でさえ、やはりたんぼのどまん中を走っておる国鉄の線路でありますから、将来宅地化などの可能性は出てこない、この場合の用地買収さえ、百万以上の金でなければ全然手に入らないという現象が都市近郊で起こってきているのです。したがって、将来この法律施行された場合に、私どもの現場でどういう状況が起こるであろうかというふうに思いますと、都市近郊の農民は、市街化区域にぜひ入れさせていこうという動きが出てくる。市街化区域にぜひ指定をしてもらって、やはり宅地化をして、土地を値をよく売っていきたいという動きが土地所有者の間に出てくると思うのです。もう一つは、農業をよすわけにはいかない、農業以外に生活や何かの可能性は全然持たない、希望や意欲を持つこともできない、したがって農業を離れるわけにもいかぬし、市街化区域設定は困るという意見の人と、ぜひこの市街化区域の設定をしてもらいたいという動きが都市周辺において非常な争いとなって起こってくると、私どもは私どもの現地の状況から判断をしておるわけです。その場合どっちが強力かということになりますと、私の見方は、やはり市街化区域にしてもらうという議論のほうが強いと思うのです。したがって、大臣がいまおっしゃるように、市町村なり県なり、現地の実情によく通じておる皆さんのところで、地図の上に色を塗るような、ここをこうしようじゃないかという相談をやらせるのですから、そこは弾力的にとおっしゃるのですけれども、結局するところ、私の判断では、市街化区域を相当やはり広く設定していくという動きになるであろうというふうに、私の地域現状をいろいろ回って相談したり話し合ったりしておるのですが、そうなっていくだろう。その場合に、優良農民である皆さんが、その市街化区域内に農地を持っておった場合、市街化区域は勢いどうしても広い面積になっていくと思います、その中に残された優良農民、優良農地というものは、将来農業をやっていく可能性は成り立たぬという状態が起こってくる。したがって、大臣は弾力的にとおっしゃっても、そうはいかないのではないか、こう思うのです。
  105. 保利茂

    保利国務大臣 たいへん教えていただきましてありがとうございますが、おそらくは、私も地方——地方でなくても、この都市計画法を発端としてどういう総合的な土地政策が今後進展してまいりますか、進展してまいらなければならない、そう思います。いろいろ本委員会の論議を通じましてもおおよその事態は相定されるわけであります。したがって、おそらく、そういう微妙な接触点に立つ地帯は、阿部さんが言われるように、市街化に入れてもらったほうがいいのじゃないか、そういう市街化に入れてもらうと身動きがどうにもつかぬようになるぞという、相当紛議を生ずるものだと思います。その紛議をどう取りさばくか、これはやはり県知事都市計画審議会で、そこにいろいろよく地元の意見が反映されて、山形市とするなら、山形市としてはこの辺に線を引くよりしようがなかろうというようなところに当然落ちつくであろうし、また、そういう広域的な視野に立って線を引かないと線は引けないだろう。問題は、いま高く売って、ほかに農業を続けていくだけの、多少不便であっても、かえ地を容易に得られるようなところは、仰せのとおりだろうと思うのですけれども、しかし、市街化区域に指定された農地を売って、しかし農業を続けたい、他に代替地は得られないというような場合も当然想像しなければならぬ。それからまた、同じ市街化区域に農地を持っておられる方が、そういう経済的な打算の上からのみ問題を考えるわけにはいきませんけれども、しかし、農耕地として利用するよりも、住宅地として利用したほうが何層倍か経済利益も伴っていくというようなことになりますれば、必ずしも持っておられる農地の売り急ぎをされるようなことなしに、みずからいろいろ関連施設の進捗にあわせまして、ここまで道もつき、下水道もつくというようなことになるならば、その農地を自分で住宅地に転用して、所有権を移さずして御自分でその地域利用目的に沿うように利用していかれるということは、必ずしも空論でなしに、実際的に起こり得ることだと思うわけです。そういう場合に、農業をやっておられる方ですから、そう大きな資金があろうはずもございませんし、たとえば三階建て、四階建ての住宅、アパート等をつくろうとする場合に、国の助成なりあるいは保護なりというもの、資金的な助成、融資等が相当行なわれるというようなことが相伴わないとこれは不可能でございますけれども、私は、当然伴っていかなければならないという考え方を強く持っておりますので、そういう上からいたしまして、おそらく、阿部さんから教えていただいた地帯は阿部さんの言われるようなことが多かろうと思いますけれども、その他の地方もみんなそうだとばかりも言えぬのじゃないだろうか。しかし、たいへんいいことを教えていただきまして、そういう点をこれからひとつ実施段階におきましては十分気をつけてまいるようにいたしたいと思います。
  106. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこでまたもう一ぺん私の主張ということになるのですが、私はやはり、市街化区域をやっちゃいかぬというふうには言えないと思うのです。いまそういう歴史的な要求ですから、それはわかるわけです。しかし、その中にある優良農民、優良農地、この皆さんは、市街化区域に地図の上に色を塗られてしまえば、いずれ農業からはみ出ざるを得ない。はみ出た場合、この人は、生活に対して希望も意欲も持つことができぬということになっていく人が非常に多いわけですね。その皆さんに限っては、都市計画市街化区域、そういう事業推進する県なり市なりの責任で、農業をやれるような条件というものを市街化区域の外側に保障していく、こういうことを義務づけさしていくということをやらなければいけないんじゃないか、こういうことなんですが、大臣、いろいろなかなかいい御答弁をしてくださるのですが、そこまでいくとすらっとはずれちゃうのですが、その辺はどうでしょう、そこを義務づけたらどうか。
  107. 保利茂

    保利国務大臣 それはその区域の中ですか。
  108. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 外です。市街化区域内に設定された優良農民、優良農地が、将来とも農業をやれるように市街化区域の外に保障していく……。
  109. 保利茂

    保利国務大臣 その点につきましては、これは決して避けるわけじゃないのですが、私は用意がないからなにしますけれども、今後農林省とも——それは一番大事なところでございますから、両省でよく相談をして、できるだけの措置はとってまいりましょうけれども、ただ、いまお話しのように、多少めんどうを見ればほかにあるじゃないかというようなところについては、これはもう当然そのあっせん、お世話を申し上げるというようなことはしなければならぬと思います。しかし、どうもそういうところがないということがわかり切っておるのに義務づけしてみたところで、これはいたし方もなかろう。いろいろ各地地域の特性がございますから、特性に合って、少なくとも山形県なら山形県で都市計画を立てられる場合においては、なるほどこの市街化区域には何戸の農家がある、何ヘクタールの農地がある、これはどういうふうにするか、こういうところにお世話ができるじゃないかというようなことについては、これは相談を受けてからやるということでなしに、計画の策定にあたって、私は積極的に御相談を申し上げるというような姿勢が必要じゃないかと考えるわけでございます。いずれにいたしましても、この点は実施上きわめて大事な、しかも微妙な問題でございますから、特に農林省と建設省との間でよく相談をいたしまして、地元の御要請にこたえ得るようにやりたい、こう思っております。
  110. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、あれでしょうか、私どもは、勾配十五度未満の農地として開発可能な土地、これがまだまだ日本に相当たくさんあるというふうに思っているのです。大臣はどのくらいあると思っておられますか。
  111. 保利茂

    保利国務大臣 よく覚えておった時代もありますが、いまは忘れてしまいましたけれども……。
  112. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 三百万ヘクタールはある、簡単にこう言っております。
  113. 保利茂

    保利国務大臣 そんなにはないでしょう。
  114. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 あると言っておるのです。
  115. 保利茂

    保利国務大臣 それは北海道等を含めてです。無理をすればそういうところがないではないということを言ったことは私は覚えております。
  116. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま私の地域で、現在の都市計画法とは無関係に、私ども都市をどのように発展させるかということで、港の建設計画とか、それから背後の木材コンビナートの建設とか、いろいろなスケジュールを持っておるわけであります。その場合に、米作日本一の美田百三十七ヘクタールを壊廃するということが計画の中でのってきているわけなんです。そうすると、日本一の米作地百三十七ヘクタールを、都市づくりのために、工場建設のためにつぶすということは大問題だということで起こってきた問題は、秋田県の八郎潟に、隣の県だから、大量にこの地域の農民を送ろうじゃないかという議論がある。八郎潟はそう簡単に受け入れる用意がない。そこでわが県内でも、傾斜十五度未満のものをこれから開発をやって——それは水田にはなかなかならぬと思います。水田になる面積はそんなにないわけでありますが、最近畜産なども非常に進んできておる。こういうところを農地開発をやるならば、いまの市街化区域の設定にしても、都市整備にしても、まだその周辺の農業の将来というものを確保し得る可能性と余地はたくさんあるのではないか、こういう意見が私ども地域では実はたいへん起こっているのです。やはり都市から問題が要求されてきておる、それは確かに一つの歴史的な大きな課題と思っているのです。同時に、もう一面の農業という側面からの問題に対して、やはり建設省が、農林省側が理屈を言わぬようにいかにこっちのほうだけをすらっと通すようにするかという、こういうことではなくて、もっとより積極的に、私どもはやはり農業の側面から、都市計画法というものが一体いかなる課題を持つかということを真剣に考えてやっていかなければいかぬじゃないかと思っているわけです。  ちょうど四十分になるのですが、もう一つだけお伺いして、あとは次回に譲らしていただきたいと思うのですが、私の地域でもたくさんの区画整理事業をいままで進めてきておるわけなんです。その場合になりますと、いままでもずっとお話が出ておりますように、土地所有者がみんな寄り集まって区画整理の組合をつくって区画整理事業をやって宅地化して分譲する。その場合に、私も実は一反歩ほどつぶされたあれがあるのですが、減歩率三五%があたりまえなんです。道路で取られる、緑地、公園で取られる、防火用水のあれで取られる、将来の保育所とか公民館なんかの建設用地を残すというようなことで、私どもが区画整理組合に設定されて取り上げられた農地の面積のうち、三五%が減歩率だ。その三五%の面積によって、全体の道路とか、緑地とか、公園とか、保育所の用地とか、側溝とか、いろいろなものを全部それでやっていく。その場合に、きょう大臣答弁では、なるべく今後は幹線道路とかいろいろなものについては国がもっともっと——都市計画都市整備をやるのに対し、従来みな末端に対して負担させて、その分は地価を引き上げていくようになっていたわけですけれども、そういうことが起こらぬようにいろいろ努力する、こうおっしゃっているのですけれども、この前わがほうの岡本委員の御質問に対して、都市局長答弁は若干違っているんですね。幹線道路みたいな話は若干言っているのです。しかし、従来やっておるものをそう大幅に変えていくということはいまのところ考えていない。従来、この都市計画都市整備の段階で、街路整備とかいろいろなもので政府が金を出しているわけですが、下水道とかいろいろな分野に分かれておる、そういうものをもっともっと集中的に統一的にやっていこうということで、話としては、幹線の整備とかそういうものはやりますけれども、いま言った一番金がかかるのは都市計画整備ですから、当然、保育園をどうするとか、公民館の建設の関係をどうするとか、防火関係をどうするとか、いろいろなものが起こってくるわけですが、こういうものは全然入っていないわけです。局長答弁で見ますと、そういうものは、都市開発資金ですか、何か二つほどの借金政策だと思いましたけれども、そういうものでやらしていくのだ——地方債ですか、そういうようなことを言われておるだけで、局長の策弁だと、あまり希望の持てないような、非常にきびしいというふうに感ずるし、大臣のお話を聞いておりますと、いろいろこれを基点にしてやっていくのだというふうに、何かこうバラ色のように聞こえるのですが、食い違いがあるように思うのです。
  117. 保利茂

    保利国務大臣 山形県に佐賀県が昨年米作日本一をとられて、私は非常に残念だと思っている。同様に私の地域も二、三年来米作日本一をやっておったのであります。同じようなところでございます。  先ほど第一問でおっしゃっておりました、都市サイドからのみ都市計画法考えるといかぬじゃないか、全く同感でございます。したがいまして、先ほど御指摘の、傾斜十五度地帯のまだ相当農業開発の余地ありというようなところは、当然農業振興地域として重要視されていかなければならないところだろう。これはいずれにしても地元の計画がもとになっている。本法の一面には、農村、農業をどうするかということが絶えず形影相伴っているということを忘れてはならないという考えを私は強く抱いているわけであります。そういう上で、市街化調整区域あるいはその他の地域における農業振興の対策については、これは熱意を傾けてまいるつもりでおるわけでございます。いろいろまた御注意等がありますれば御注意をいただいて、万全を期してまいりたいと思っております。  なお、都市計画事業の遂行にあたりましては、おおよそ十年ぐらいを見通して、市街化するであろうというところには積極的な都市施設を進めてまいらなければならない。国としてのなすべき基幹的な施設というのは、当然そういう意味において相当の財源を要するということは、先ほどのお話にもございましたように、そのことは覚悟いたしております。さればとて、一々の事業について補助率の是正をして地方負担を軽減するの措置を講じてまいるということも、実際地元の要請からいえばそれは強いと思いますが、しかしながら、これは財政の状況とにらみ合って考えていかなければならないことでございますから、補助率の手直しということをいま直ちにここでお約束をしていくということは、私といえども、どうも残念ながら申し上げにくいわけであります。しかし、下水道等は四十二年、四十三年度と補助率等を上げてまいっておりますけれども、その他の事業について補助率は一応現行のことを想定して、しかし、直接地元の後年にわたっての負担にならないように、どっちにしても土地利用程度を高くする、効率化をはかってまいるということでございます。したがって、その地域の発展ということを考えてみますと、地元の財産なんでございますから、その財産形成の上から、当然これは地元で御負担になるのは避けられないことだと思うわけでございます。ただ、全体としての都市計画事業遂行にあたっての予算措置、財源措置は非常に大事なものであるということを考えております。
  118. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それでは四十三分になりましたので、次回に譲らせていただきたいと思います。
  119. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日はこの程度とし、次回は、来たる十七日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会