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1968-05-06 第58回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月六日(月曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       篠田 弘作君    葉梨 信行君       赤路 友藏君    勝澤 芳雄君       森本  靖君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         経済企画庁長官         官房長     岩尾  一君         外務大臣官房長 齋藤 鎭男君         外務省経済協力         局長      上田 常光君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         文部政務次官  久保田円次君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君         食糧庁次長   田中  勉君         通商産業省貿易         振興局長    原田  明君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    工藤 振作君         経済企画庁経済         研究所主任研究         官       宍戸駿太郎君         外務大臣官房国         際資料部外務参         事官      岡田  晃君         大蔵省国際金融         局次長     奥村 輝之君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月二十六日  委員鈴切康雄辞任につき、その補欠として山  田太郎君が議長指名委員に選任された。 五月六日  委員大野明君、柳田秀一君及び山田太郎辞任  につき、その補欠として葉梨信行君、赤路友藏  君及び鈴切康雄君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員葉梨信行君及び赤路友藏辞任につき、そ  の補欠として大野明君及び柳田秀一君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予備費使  用総調書(その2)  昭和四十一年度特別会計予備費使  用総調書(その2)  昭和四十一年度特別会計予算総則  第十条に基づく使用調書  昭和四十一年度特別会計予算総則  第十一条に基づく使用調書(そ (承諾を求  の2)             めるの件)  昭和四十二年度一般会計予備費使  用総調書(その1)  昭和四十二年度特別会計予備使用  総調書(その1)  昭和四十二年度特別会計予算総則  第十一条に基づく使用調書(そ (承諾を求  の1)             めるの件)      ————◇—————
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和四十一年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和四十一年度特別会計予算総則第十条に基づく使用調書昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)、以上四件の承諾を求めるの件、及び昭和四十二年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和四十二年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和四十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 きょうは四十一年度の後期と四十二年度予備費使用に関して、憲法規定に基づいて当委員会承認を求められておる、このことに関連をいたしましてお伺いをいたすわけなんです。  まず第一に、この四十二年度大蔵省予備費使用調書の中で、インドネシア共和国に対して一千万ドル、すなわち三十六億円を予備費から支払っております。このことはいままでも何回か問題になったと思いますが、いわゆる昨年度の六千万ドルの援助のうち、無償一千万ドルというこの三十六億だと思うのですが、この調書によると、「インドネシア共和国経済上の困難を緊急に救済するため、同国に対する贈与に要する経費」、こういうように説明がしてあるのですが、これをもう少し具体的に説明をしていただきたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 一千万ドルにつきましては、御承知のようにインドネシア経済状態が非常に悪化して、総理インドネシアを訪問したときも強い要請がありましたし、あるいは書簡をもって、一千万ドルの無償供与をすぐに実施してもらいたいという強い要請があって、これに応じて予備費支出となったものでありますが、そのときのインドネシア経済状態がわれわれから見ても緊急を要するという判断のもとに、予備費支出をいたすことになったわけでございます。  なお、経済状態の実情を政府委員からもう少し補足させることにいたします。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それはけっこうです。インドネシア経済状態説明をということなんですが、私は、三木外務大臣の名で交換公文を取りきめになった、その交渉経過といいますか、経緯、それについてお伺いいたしたいと思っておるわけなんです。と申しますのは、先日も外務委員会で若干この点に触れておりますが、六千万ドルの借款を望んできた。そして、インドネシア金利三分、三%を主張した。日本は五%以下ではどうにもならない、こういうことが一つ問題点になったようであります。  そこで、一つはこの五%以下できめることはできないというこの背景ですね、その背景一つ、そこで五%と三%の交渉が続いたわけなんです。その中にあって、インドネシア側は、いままでスカルノの時代に日本から多くの援助がきた。しかしそのうちの一部はリベートとして日本政治家に還元せられておる。もしそれを否定するならば、スカルノを裁判にかけてでもその点を明らかにしよう、こういったような、ある一種の脅迫といいますか、そういうようなことがその交渉の中であったやに伝えられておるわけなんです。そこで政府も困って、結局は一千万ドル、三十六億円を無償贈与することによって金利を五%というところにとどめた、こういうように私は聞いておりますが、その経過にあたってそういうような事実があったのか。かりに三%の金利にするならば、この一千万ドル、すなわち三十六億円は無償供与しなくても済んだのではなかろうか、このようにすら思うのですが、その辺のところはいかがですか。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 いま御指摘になったような話は交渉の途中に聞いたことはございません。しかしインドネシアに対する諸外国援助は、金利が三%というのが各国金利水準でありますので、インドネシア側金利三%を強く要求したことは事実でございます。そればかりとも言えませんけれども、五千万ドルと一千万ドルと分けた中には、金利の点も相当配慮してそういう結果になったことは事実であります。そこでわが国としても、インドネシアが今後諸外国から援助を受ける場合に、日本金利が諸外国よりも非常に高い水準であるということは、インドネシア経済再建をする場合に諸外国援助にも影響力を与えますし、またこれは非常に強いインドネシア要請でもありますので、せっかく日本インドネシア経済の安定のために援助しようというのでありますから、そういう国際水準あるいはインドネシア要請、こういうものを勘案して、日本も三%にすることが適当であるというためには、いま言ったような操作もせざるを得ないという状態であったのが当時の正直な状態でございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 最初は、別に一千万ドルを贈与してくれ、こういうような交渉ではなかったと聞いておるのです。ただ金利の点で相当激しく交渉をした。日本はどうしても五%以下で借款を与えることはできない。そこで無償、有償といいますか、借款無償合わせて、インドネシア要求が通るようにといいますか、そういうような措置をとったと、こういうように思うのですが、その五%を日本としては絶対に下げられないということ、これはどういうところに理由があるのか、またほかの借款等金利は大体どのようになっておるのか、また、他の各国先進国インドネシア等経済援助をやっているところの、いわゆる借款を与えるときの利子というものはどういうようになっておるのか、その辺のところをひとつ大蔵大臣から、なぜ五%を譲れなかったのか、そういうことによってむしろ一千万ドル、三十六億円を無償贈与したということは、日本負担といいますか、言いかえるならば、国民税金がそれだけ多くインドネシアへただで行った、無償で行った、そういうことになるのですが、なぜ金利の点がそのように問題になったのですか。
  8. 奥村輝之

    奥村説明員 輸出入銀行は、現在の資金構成から見まして、三%というふうな金利を出すことはむずかしい、こういう点が一点ございます。  それからほかの国はどうかと申しますと、ほかの国は贈与で出している国もございますし、それから三%近くで出している国もございます。そういう事情で、わが国としても何らかの方法で実質的な金利水準をある程度低く持っていくためには、どうしたらいいかというところに苦心があったわけであります。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで大蔵大臣輸出入銀行が三%という金利では、いままでそういう例もないし、どうにもやれない、だからといって、政府責任において使えるという憲法規定があるからといって、一般会計からの、すなわち税金からの予備費を簡単に三十六億円贈与するということは、どういうことなんですか、金利が三%でいいのか、五%かということは別の問題にして。しかし輸銀のほうがインドネシア要求をのめない、そういう事情があったから予備費であげたのだ、こう簡単に割り切れますか。いかがでしょう。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、輸銀資金は六分五厘の運用部資金政府からの、一般会計からの繰り入れというものによって運営しておりますので、したがって私どもは、輸銀金利はどうしてもこれをペイさせるためには五%の金利を引き下げるということは不適当であるというふうに考えております。またしたがって、いままで各国への援助においても、金利はやはり輸銀がペイする金利ということを中心にやっておりますので、特別の例をつくることは非常に他国との問題に波及する影響がございますので、そういう点で、この条件については日本側はいろいろ難色を示しましたが、しかしインドネシア側負担の軽減という要望については日本側も十分考慮すべき必要があるということを考えた結果、先ほど外務大臣が答弁したような方法をとったわけでございます。結局これによってインドネシアの緊急必要とされておる六千万ドルの援助というものが実質的にできるということと、もう一つインドネシア負担を軽くしてやるということができるということから考えて、無償供与というものが予算範囲内で実現するということなら、両国にとってこれが一番いい方法じゃないかというふうに私ども考えた次第でございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 三十六億円といえば相当な金です。これをかりに国民福祉関係とでもいいますか、あるいは学校の子供の給食等に回しても相当な金なんです。国内の予算ではできるだけ締めつけるといいますか、あるいは病人にすら十分な医療給付をやっていないくせに、簡単に予算範囲——なるほど憲法八十七条によれば、内閣責任において予備費支出できる、こうなっておるからといって、それが一番安易な道だからといって、予備費を簡単に支出することはどうなんでしょう。もしかりに、三%がいいのか五%がいいのか、その金利についてはこれは別といたしまして、しかし三%で各国ともやっておる、また日本も三%の金利でせねばならない、こういうことであるならば、別に輸銀のほうが三%にできるような措置考える、そのほうが筋じゃないですか。今後もかりにまたそういう金利の問題が交渉の中で出てきた、そういたしますと、現在の財投等から考えて、輸銀が三%にできないというならば、また話を妥結するためにちょっと予備費をつまんで、それを無償贈与するという方法によって解決をしていこうというお考えなんですか。今後経済援助はますます重要になるといいますか、またその量もふえてくると思います。そういうときに金利の問題は必ず交渉一つの大きな山になると思います。だからといって、今後もこういう予備費予算範囲内で政府が使えるからといってやられるおつもりなんですか。いかがです。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 こういう措置をやはり避けることが好ましいということを考えまして、本年度からはこういうインドネシア援助というものは輸銀を通さないで、これは海外経済協力基金資金によって対処したいという考えで、ただいま法案を国会に提出して御審議をお願いしておる次第でございます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 海外協力基金法改正融資のためと違うでしょう。消費財商品そのもの援助してやるということ、基金ではそれができない、そこで海外協力基金法改正して、インドネシア消費財商品援助として直接出す、そのための改正じゃないですか。借款金利と今度の海外協力基金法改正とは直接結ばれますか。
  14. 奥村輝之

    奥村説明員 昨年私どもインドネシアに出しました五千万ドルの借款及び一千万ドルの贈与合わせて六千万ドルでございますが、これは商品援助でございます。商品援助輸出入銀行ではできるわけでございますが、現行法においては基金ではできないということになっております。その点が第一点でございます。もう一つは、先ほど申しましたが、基金輸銀とでは資金構成が違いますので、金利の点でややソフトな金利による融資がむずかしいという点が第二点でございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 現在のままであると、海外協力基金法では商品援助はできない。だからその商品援助ができるように改正を出してきておるのでしょう、今度は輸銀を使わずに海外協力基金でやれるように。しかしいまの大臣答弁金利の問題を言っていますね。それはどうつながるのですか。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 まず海外経済協力基金商品援助ができるようにするということが一つと、もう一つは、いま次長が言いましたように、資金構成が違いますから、ソフトな条件に応じ得るということ、この二点でございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば去年だって海外協力基金でやれたんじゃないですか。去年の借款はすべて商品だったわけですか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 だからそれが、去年やろうとしても海外基金では商品援助はできないたてまえになっておりますので、去年はやれなかったということでございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 商品援助ですが、いま言っているのは金利なんですよ。もちろん、金を貸してその金の見返りとして物を出すのかわかりませんが、いま言っているのは金なんですよ。物じゃないんです。そしてその金の金利の問題が交渉中心になって、こういう措置になったんじゃないですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 だから商品援助の金が基金からは出せない、したがってソフトな条件で応じ得ることができないということでございましたから、本年度からそれができるように改正をお願いしておるわけでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、いままで海外協力基金は一体何をやっておったのです。やはり借款も与えたのじゃないですか。
  22. 奥村輝之

    奥村説明員 田中先生の御質問の中で、私どもちょっと御説明を要する点があろうかと思うのであります。  商品援助と申しましても、プロジェクト援助と申しましても、いずれにしても、日本生産物役務、こういうもので援助をする。日本から援助はいたしますが、外国から自由に買える外貨を出すわけではなくて、日本商品役務を買ってもらう、こういう形の援助でございます。そういうものでございますから、いままで基金がやっておりましたのも援助でございますが、基金のやっておりましたのはプロジェクト援助、これが基金援助でございます。輸出入銀行のほうはプロジェクトに対する援助、それから商品に対する援助あるいはリファイナンス、こういうものが行なわれておったわけでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 それは、昨年の六千万ドルの借款というのは商品なんですか。結局は物にかわるのだろうが、物で渡すという交換公文にはなっておりませんね。
  24. 奥村輝之

    奥村説明員 私どものほうは、輸出入銀行使用にあたりまして、日本商品提供者に対して輸出するために代金を払ってやる、こういう形になっております。したがって円借款と申しますのは、いわゆる円をもって日本輸出業者向こうにかわって提供してやる。もう少し技術的に申しますと、インドネシアに貸してやりまして、インドネシアから日本輸出業者に金を支払う、こういうかっこうでございます。結局出るものは何かと申しますと、商品の形で出ていくわけでございます。しかしその裏には、日本から出た円によって日本輸出代金、言いかえればインドネシア輸入代金借款によって決済されるわけでございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それなら、借款を与えるということは現在の基金でもできるんじゃないですか。
  26. 奥村輝之

    奥村説明員 基金のほうは、商品援助というものは現行規定上はできない、プロジェクト援助しかできない。もう一つは、繰り返して申し上げて恐縮でございますが、ソフトな条件融資基金でなければできないということでございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 結局、交換公文といいますか、契約といいますか、いわゆる日本政府としての債務負担行為ですね。これは金額なんです。金なんですね。物じゃないわけなんです。そうでしょう。だから、五千万ドルとか一千万ドル、こういうことになるのだから、それは一応借金を与える、こういうことはできるんじゃないですか。なるほど、商品とは書いてございません。しかし商品そのものでなくて、直接そのものを、たとえば肥料何トン、何千万円を与えるというような交換公文なり協定のしかたがありますね。そういうのなら、そのものずばりなんですよ。しかしながら、このたびの五千万ドルというのはそうじゃないですよ。物を対象にしたものと違うのでしょう。あるいはこれはまだ公開されていないのですから、内容はよくわかりませんがね。そうじゃないのですか。去年のやつは、たとえば肥料幾ら鉄鋼幾ら、合わせて五千万ドルということじゃないでしょう。
  28. 奥村輝之

    奥村説明員 どうも繰り返して恐縮でございますけれども、現在の輸出入銀行から融資いたします場合には、商品援助というのはできるわけでございます。というのは、プロジェクト援助でなくて相手国国際収支の……。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 それはわかっている。わかっておるのだけれども、去年三十六億という金をやっておるわけですよ。無償贈与しているわけです。それは金利にかかっておった。経済協力基金のほうは資金構成からいって三%には応じられる。ところが、輸銀のほうは応じられない。こういう説明なんでしょう。それは何かといったら、商品が、輸銀では出せるが現行基金法では出せない、こういう。しかし、去年の契約というか協定というか、交換公文ですが、これは物によって援助するという協定なんですか。五千万ドルを貸すということじゃないですか。協定の中には、先ほども言ったように、肥料何トン、幾ら鉄鋼幾らというような、物を対象としたきめ方もあるわけなんですよ。現にやっておるわけなんです。去年のやつは中身はどうなんです。その中身はわれわれに公開になっていないのですね。
  30. 上田常光

    上田(常)政府委員 この六千万ドル——五千万ドルの借款贈与もいずれも物のことは書いてございません。ただし、日本法令範囲内で、また一方相手側インドネシア側法令に従って、と書いてございます。ということは、インドネシア側にはBE制度というのがございます。そのBE制度に従って出すということでございます。したがって、肥料何トンとか、物については書いてございません。したがって、こういう場合には現在の基金法では出せないわけでございます。基金法では、特別なプロジェクト開発に必要なものとなっております。これはプロジェクト開発ではございません。これはインドネシア側はボーナスエクスポート、つまり一般予算の必要上、また一般の必要上、BEという制度をとっております。それに対して出すのでございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 そのことばかりやっておってもらちがあかぬと思うのですが、海外協力基金法が現在商品援助はできない、これはわかっております。だから、商品援助ができるようにということで改正が出ておることも承知いたしております。しかし、金を与えて、それで向こうはいわゆるBEという制度一つ政府からの輸入権というものをとってそれで輸入する。そして物がいくのだが、結局、出すのは金でしょう。だから、私は変わりないと思うのですが、その点はあらためて、基金法改正もありますから、このときに譲るとして、そこで大蔵大臣、今度の海外協力基金法改正ということは結局そういうところにあったんで、今後は一切こういう予備費からの無償贈与ということはやらない、そういう上に立つわけですね。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 少なくともインドネシアに関する限りは、今後そういうことはなくするというふうに思っております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 それではその他の国にあってはどうなんです。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは外交の問題でございますので、いついかなることで外国から日本緊急援助を求められることがあるかもしれないという事情はございますので、そういう場合には、やはり予備費で対処する以外に方法がないということもございましょうし、一がいにあらかじめこれを今後絶対にないというようなことは、返答できないと思います。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく相手から贈与してくわという最初の申し出はなかったわけですよ。金利の問題が交渉の焦点になって、結局金利向こうの希望のようにできないので、それではつかみ金として一千万ドルあげましょうということで話がついた妥協なんですよ。そういうことで、国民税金一般会計ですよ、国が三十六億円簡単に出すということはどうなんでしょう。なるほど予備費については、憲法八十七条の規定では「内閣責任」でということになっております。しかしこのことは一たん予備費国会承認を得ておる、そしてその範囲内であるならば政府は何でもかんでも使えるというように読むべきではないと思うのです。法制局見えておりますか。——この八十七条の「内閣責任」ということは、私はそういう思いつきで、あるいは妥協的に出すということを意味しておるものではない、こう考えるわけなんです。と同時に、そのことによって、国が三十六億円のいわゆる債務負担行為を行なったわけです。予備費国会において予算として一括して承認を得ている、だからそれを使う場合は政府ベースだけで事がやれるのだということと、私は別だと思うのです。憲法八十五条の債務負担行為というものと、八十七条の予備費支出というところは私は直ちにつながらない。やはりかりに予備費を使うのであっても、八十五条の債務負担行為となるならば、これは国会承認を得べきではないか、このように思うのですが、法制局いかがです。来ていないですか。——それでは大蔵大臣、どう思います。八十六条で政府責任において出せるんだから何でも出せ、そういうものではないと思います。少なくとも政府責任においてということは、まず第一に給与とかなんとかいったような、これも法律に基づくもの、あるいは災害だといっても、災害の場合は緊急援助が必要でしょう。しかしその根拠はそれぞれ法律が必要でしょう。だから支出のもとというものはなくちゃいかぬと思うのです。一千万ドル、三十六億円という金を予備費から出すその行為は、予備費はかってに使えるから、八十七条でかってに出せるからといって、八十五条の債務負担行為国会承認を受けなくてもいいとは読めないと思うのですが、どうです。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 予算範囲内では債務負担はできるし、また予備費支出についてはいま特に基準というものがきまっておりません。予見しがたい予算の不足に充当するためということでございますので、追加需要、予算の不足というものは予見できなかった。予算の編成当時、予見できなかったという要件があれば予備費支出はできるということで、そのほかの基準が特にきめられておりませんので、これは政府の判断にまかせられているというふうに思います。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 内閣責任において支出することができる、なるほどそうなんです。しかし、だからといって、何でもかんでもむやみやたらにかってに予備費は使えると読むべきではなかろう。少なくともそれだけの根拠が必要である。あるいは継続事業というようなことでも、前の年あるいはその前あるいはその年の予算等において承認を一括して得ておるとか、あるいは給与にしても、米価にしろ、それぞれ根拠法があるわけです。災害の場合だって、緊急のときには、いわゆる特別な救済をする激甚地災害の指定等々、それも法律に基づくものですよ。したがって、かってに出せるからといって、何でも出せるというように読まれては困ります。そういう感覚で大蔵大臣がおられては私は困ります。少なくとも八十七条で内閣責任において出せるということは、その出すことに至る一つの根拠がなくてはいかぬと思うのです。その根拠は法律である場合がありましょう。政令である場合もありましょう。あるいは今回のような外交的交渉の場合もありましょう。しかしそのこと自体は、国の債務負担行為なら八十五条の承認は得べきであって、八十七条の金だからかってに出せるのだというような解釈は困ります。この点につきましては私は了承できかねますので、あらためて大蔵大臣内閣法制局長官に同時に来てもらって、少し憲法上の論議をすることを留保いたします。
  38. 船後正道

    ○船後政府委員 予備費支出の問題でございますが、予備費憲法、財政法上「予見し難い予算の不足」ということに該当いたしますれば、これは憲法八十五条によりまして、すでに国会が議決をしております金額の範囲内で支出し得る。したがいまして、この「予見し難い予算の不足」には、先生の指摘されましたような継続費的な事業はもとより、新たな財政需要も含まれる、かように考えております。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 やりますかね、議論を。それではほかの大臣、十二時までの約束を午後まで延ばしていただきます。  八十五条で承認を受けているものだというが、今回の一千万ドルの贈与は八十五条の承認を受けていないですよ。もちろん予見すベからざる支出に違いません。しかし八十七条によって、予備費政府責任において出せるからといって、何でもかんでも簡単に出されては困りますよ。それぞれの根拠がなくてはいけません。その根拠は何か。交換公文です。その交換公文は何かといえば、国の債務負担行為なんです。そうでしょう。そうすると八十五条の国会承認事項ですよ。これはいま言ったように、内閣法制局長官を交えて論議をいたします。さらにそれでわからなければ、私は憲法の専門家の当委員会への参考人というようなことでもけっこうですので、来てもらって、この点を明らかにしていきたいと思う。でなければ、八十七条によって予備費は何でも使えるのだといって、そう簡単に使われては困りますよ。政府責任においてといったって、無条件じゃないんですよ。おのずから条件がありますよ。この点につきましては、先ほど言ったように、私はあとに問題を残します。
  40. 大石武一

    大石委員長 わかりました。後日に手続をとります。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 それから通産大臣、今度は四十一年度で輸出保険特別会計へ予備費が二十八億四千三百万円出ておりますね。これは「輸出保険事故の増加に伴い、保険金の予算の不足を補う必要があったので、」とありますが、保険金の事故が増加したという原因は何ですか。
  42. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御承知の四十一年九月三十日のインドネシアの政変が原因で国内が大混乱におちいりました。それで国立銀行の外貨が不足したまま、これを救済する方法が間に合わなかった。そういうことのために、ここに保険事故が発生するに至ったのであります。それで、そういう場合を予見して保険会計では、経常的な支出、収入のほかに、保険料等を予備費として設定しました。そして、そういう大量の資金不足の場合に備える、そういうことをやっておるわけであります。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 四十年九月三十日に政変があった。そうして四十年末ごろにはインドネシア国立銀行のドルがもうなくなっておる、支払い停止になる、そういうことは常識だったわけでしょう。その後もどんどん輸出保険契約を結んでおりますね。政変以前の分と政変以後の分との件数、金額、及び大手数社でけっこうです。わかりますか。あぶないということがわかって以後の保険契約……。
  44. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 保険約款に明記されておるので、そういう事情が発生しないのに保険事故とてこれを届け出るというわけにいかない。それでいよいよあぶないということがわかり、なおかつそのときはよほど輸出する額が少なくなっておったと思いますが、従来のやりきたり、惰性もありまして、あぶないながらもある程度の輸出契約は行なわれておったように思われますが、その金額等につきましては事務当局から説明させます。
  45. 原田明

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  インドネシアにおきましては、九月の三十日にクーデターが起こりまして、政変が起こったわけであります。しかし、その後もインドネシアの中央銀行は、輸出代金は確実に払ってまいっておりました。したがいまして保険の立場から考えました場合に、代金が払われなくなるかどうかという判定をいたしますための代金不払いという状況は、十二月の末まで起こらなかったわけでございます。十二月の二十八日になりまして銀行から事故届けが出まして、初めて代金の支払いが停止したということであります。したがって、即日保険は中央銀行の支払い遅延を免責事項としてきめましたわけであります。そのあとでもまだ若干向こうは金を払ってきておるような状態でございます。また先生の、十二月の末までの以前と以後とに一体どのくらい分かれているかという御質問でございますが、十二月二十八日に免責事項が発動いたしましたので、二十八日以後は包括保険以外はほとんど保険がございません。またありましても、中央銀行の不払いによる分は免責になっておりますので、保険金支払いとは関係がないという状態でございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 保険事故として輸出保険で支払ったといいますか、カバーしたのは、インドネシア関係全部で百二十八億とか何かでしたね。
  47. 原田明

    ○原田政府委員 百八十二億です。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 百八十二億ですか。この百八十二億のうちで契約の時期をひとつ明らかにしてもらいたい。契約の時期と支払いの時期、できますか。
  49. 原田明

    ○原田政府委員 契約の時期は、先生御質問の十二月よりほとんど大部分前でございます。それから支払いの時期は、四十年、四十一年、四十二年に分かれております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 だからそれをもう少し明らかにできるならしてもらいたいのです。原田局長は前にもそういう答弁があった。同じような答弁をきょうまたしておられるわけです。クーデターがあった後でも、インドネシア国立銀行は支払いをした、だからとめるわけにいかないんだ。しかしもし、これが民間保険であったならば、たとえばガンで死期が近づいておる人に多額の保険契約をするでしょうか。すなわちその人はまだ死んでいない、息をしておる。しかしやがて死ぬであろうことは明らかです。いまあなたの言われたクーデター後であっても、まだ支払いは若干続いたというのと同じ条件じゃないですか。そうならばこの輸出保険というものは、明らかに一般の保険契約とは違う特殊なものであるということが言えますね。いかがです。はたして保険会計からいって、すでに死期が近づいておるガン、その他でもいい。その病人と多額の保険契約を民間保険会社だったらするでしょうか、どうでしょう。
  51. 原田明

    ○原田政府委員 保険会計にとりまして、はたしてインドネシアならインドネシアが、先生のおたとえのとおり瀕死の状態にあるかどうかというような判定は、政権がかわるかかわらないかというようなことではございませんで、保険契約に対して、金を払ってくるかどうかということできめるのが通常でございます。そういたしますと、どの国でも大体中央銀行というものは非常にしっかりしておりまして、政権が交代いたしましても代金決済を続行して、その国の金融機関としての信用を全うしたいという態度をとっておるのが普通でございます。したがいまして、インドネシアの場合におきましても、中央銀行は政権交代後も、ずっと順調に金を払ってまいっておりました。したがいまして保険という立場から考えました場合には、私どもは瀕死という状態ではございませんで、やはり見込みのある状態であったわけでありますが、ついに十二月の末になりまして、ほんとうにあぶなくなって事故が起こったということであろうと思います。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえばジェトロが海外市場調査をやっておる。また多くの商社はそれぞれ自分の社員等を通じて情報を収集しておる。したがってあなたがそう言っておるけれども、もうインドネシアはこげつくということは私は常識であったと思う。しかし保険という手があるから出すんだ、いわゆる親方日の丸の保障によってやるんだ、こういう安易な商売をしたと思います。しかもその安易な商売をして損をするところが損をしなかったということは、いわゆる利益を受けたことになります。しかも先ほど言っておるように、この輸出保険契約は、一般のいわゆる民間ベースでいうならば成り立たないところの保険契約なんです。それを国が結んでおります。そうするならば、公職選挙法の百九十九条の国と特殊な契約を結んでおる当事者であろうと思います。その特殊な契約を結んでおる、利益を受けておる、利益はあくまでももうけるということだけでなく、損をするところが損をせずに済んだということも利益なんです。その商社が大手数社で、もう参議院等でも明らかにせられておりますが、四十一年七月一日から四十二年の六月三十日のこの一年間に、自民党の献金機関である国民協会等を通じて約九千万円にのぼる献金をしておる。その間に、四十二年一月には衆議院選挙が行なわれました。まさに公職選挙法百九十九条でいうところの禁止になっておるところのものから献金が出た、そういうことになります。それを受け取った国民協会等々は、政治資金規正法にこれまた違反を犯したということになりますが、きょうは決算で警察関係あるいは自治省関係を呼んでおりませんので、そういう指摘だけにとどめたいと思いますが、その点については専門の大臣おらぬですな。どう思いますか。これはあらためて警察なりあるいは自治省のところでもう一ぺんやりますが、明らかに公職選挙法百九十九条の違反であり、政治資金規正法の違反を犯しておると私は断定したいのです。
  53. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 いろいろな方面に関連のある問題ですから、通産省としてどういう解釈をしておるかということだけにとどめたいと思います。  これはまあ、保険料を支払って輸出取引の危険を担保する契約でございまして、これは輸出保険の約款の規定に従って契約を結んでおる。そういう保険事故が起こった場合には損害のこれこれを、八〇%あるいは九〇%、全部ではございませんが、一部を国が約款に従って支払うという、これはもう一つ制度になっておるものであります。それがどういう方面につながるかつながらぬかということは、全然問題にしておらないのであります。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省は保険契約に従って払った、私はその保険契約を結ぶ時点において問題がある、こういうことを言っておる。しかもこれはいわゆる特殊契約です。一般の保険契約という概念からはずれたところの特殊契約である。そのことによって当然損をすべきものが損をせずに済んだ、すなわち利益を得るということは、私は積極的に金が入ることだけでなくて、消極的に、当然損をすべきものが損をせずに済んだのも利益を得たことであろうと思うのです。しかもその間にその保険金の支払いを受けた商社が、九千万円の政治献金をしておる。しかもその期間に総選挙があった。そうすると公選法の百九十九条でいうところの特殊な契約によって利益を得たものになるわけだ。したがってこの商社は、公選法百九十九条の違反を犯した。さらにこれを受け取った国民協会等々は、政治資金規正法によってこれまた禁じられているものから受け取ったということになる、そう言っておるわけなんです。しかしここは、問題がこういうところまで行くかどうか考えてなかったので、きょうは警察なり自治省を呼んでおりませんので、そういう指摘だけにしておきます。通産省は保険契約により支払ったわけで、それでいいわけです。ただ私が言っているのは、保険契約を結んだ時期において、予見すべき時期にあったのではなかろうか、そういうことを言っておるわけです。  大蔵大臣以外の三大臣は午前中だそうですので、私一人があまり時間をとっても他の同僚議員に御迷惑を与えますので、どうも中途はんぱでございますが、この程度でおきたいと思いますが、最後に三木大臣、それからせっかく来ていただいたのですから、宮澤企画庁長官、先ほど来私が言っているように、法律的な問題は別として、とにもかくにも海外援助等を交渉するにあたって、これが一番安易だということで、憲法八十七条によって政府責任において出せるんだからというので、予備費をつまんで出すというようなことは、今後一切やってもらったら困ると思うのです。大蔵大臣はそういうことのないように基金法改正する、この基金法は宮澤さんの所管なんですが、ひとつこういう点について、これからいろいろと外交交渉に当たられる三木大臣から所信を伺いたいのと、それから、基金法の所管でもあるところの宮澤企画庁長官から、経済全般の上からいって、財政の上からいって、あるいは国民の税負担の関係からいって、そういう安易なことは許されないと思うのですが、どうです。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 海外援助に対する日本金利水準というのはいつも問題になるわけであります。そういう点で海外援助基金法国会の御審議を得て、輸銀基金法の二本立てにすることは、海外援助に対する一歩の前進である、整備されたものになってくるという感じでございます。  また、一千万ドルの無償援助に対していろいろ論議がかわされたわけでありますが、あの場合においてはインドネシアの緊急な必要性、それといま政府委員から答弁をしておりますように、まあ憲法上は説明のつくような形であるということでこれは使ったのですが、これはやはり先例といいますか、絶対とはいえないでしょうけれども、好ましい先例だとは私は思わない。今後やはりこういうふうな形でなしに、基金法もできますとそういう必要もなくなってくると思いますが、やはり好ましい先例ではないので、今後は基金法を活用することによって、この国際的な金利水準日本援助金利水準との間のいろいろな開きというものを、埋めていくような援助政策をとることが好ましいと考えております。
  56. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の経緯は、先ほどの御質問あるいは政府側の答弁のとおりでありまして、私としてはやむを得ない措置であったと思いますけれども、やはりほかに法律をきちっと改正をして、そういう事態に対処できる方法があれば避け得た事態であろうと思いましたので、今回基金法改正を御審議願っておるわけであります。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 最後に、直接予備費とは関係がないのですが、せっかく関係大臣が見えておりますので、一言だけ伺ってやめたいと思います。  椎名通産大臣、中国との肥料協定が五月四日ですか、できたようですね。その価格はまた出血輸出だ、そういうように新聞報道で伝えられておりますが、その経過といいますか、なぜ出血輸出までやるような結果になったのか、そういう点について簡単でけっこうですから、これはまたあらためて聞く場所で聞きたいと思いますが、一言その経過及び今後は肥料輸出はどうなるのか、そういうような点についてお伺いします。  それから外務大臣には、これは最近外務省内でということで、大臣の御意見かどうか知りませんが、中国問題に対して新たな見解を検討しておられると聞いております。と申しますのは、国府は中国の国内問題である、こういうようなことを外務省の一部では、というようなことで新聞に報道になったように思います。私はたいへんけっこうだと思うのです。そういうことについて外務大臣どうお考えになっておりますか。この二点をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  58. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 まあこれは商売ですから、好悪いろいろな条件というものがあると思いますが、総括して去年よりも今度は幾らか値段がいいんだそうであります。そういうことを私は聞いておる。ただ、しかしそれが出血になっておるかどうか、そのことはよくわかりません。商売のことですからもうけるときもあれば損するときもあれば……。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃちょっと聞きます。  去年並み程度だと聞いておるのですが、ともかく出血である。そのことが結局この次に、たとえばインド等の交渉にも価格について関係がある。そういうことを聞いておる。それから西欧諸国から来る場合、スエズ運河がいま閉鎖されておる。船賃がだいぶかかるのですね。一トン、七ドルですか、何か多くかかる。そういうことで、いま中国なり東南アジアに対して肥料を輸出するいいチャンスではないか、こう思っておるのですが、相も変わらず出血輸出だ。こう聞きます。  また、ついでですから伺いますが、インドネシアで、最近肥料の輸出をとめたのですが、そのことでインドネシアは相当頭に来ているようです。そうしてあらゆるものをキャンセルするというようなことを言っていますが、キャンセルしてもらったらこっちはもうけでしょう。そういうことであるなら本年度は、六千万ドルというのが六千万ドルではおさまらぬと思うのです。もし、そこの四大臣で、インドネシアの本年度援助がどの程度になるかということもひとつ御答弁願えるならあわせてしていただきたいと思います。
  60. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 出血輸出であったかどうかということについては、なおよく実情について調査いたしまして、もし、ただ商売上の結果がいいか悪いかというだけの範囲ではなくて、それ以外の原因によって、政府も努力すればそれを排除し得るというようなことがありますれば、それに対する対策も考えなければいかぬと思います。  それからインドネシアへの肥料輸出をとめたかどうかということについては、まだ何も聞いておりません。
  61. 三木武夫

    三木国務大臣 中国問題に限らず世界情勢は静止するものではないのです。絶えず検討を加えなければならぬわけであります。いま中国問題に関連して、中国問題は内政問題である云々というお話がありましたが、これは台湾も中国も、まあ国府も中共もみんなやはり内政問題である、こう言っておるわけであります。しかし内政問題であるといっても、これは今日の段階ではやはり複雑な国際的背景を持った問題であるということを絶えず私は言っておるので、格別新しい考え方で中国問題にしようということではないのです。両方が内政問題であるといっても、その内政という問題は、単純な内政問題ではない。非常に複雑な国際的背景を持った問題である。こういうように私は常に言っておるので、特に最近になって新しく見解を変えたという事実はございません。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、これで終わります。  しかし外務大臣、どうやらベトナム問題もテーブルに着くようになったようです。新しく展開されるであろうところの世界情勢、ことに東南アジアの情勢に対して外務大臣は、ひとつ勇気を持って政策を転換していただきたいと申し上げて終わります。
  63. 大石武一

    大石委員長 華山親義君。
  64. 華山親義

    ○華山委員 冒頭に伺いますが、先ごろインドネシア債権国会議がロッテルダムですかで開かれたわけでございます。このことにつきましてインドネシア政府の言ったところとして伝えられ、報道されておるのでございますけれども、六千万ドルから八千万ドルに上げる内諾を与えたということが報ぜられております。その経緯を伺いたい。
  65. 三木武夫

    三木国務大臣 ロッテルダムの会議は時期的に日本政府としては非常に困難な時期であったわけでございます。それら海外協力基金法もまだ国会を通過しておりませんし、何はかの約束をこの会議において出すべき立場に政府はなかったのでございます。したがって日本政府はそういう基金法の通過等も見まして、その上で、財政事情等も考えて、できるだけのことをするという以上の発言は、ロッテルダムの会議でいたしておらないのでございます。したがっていろんな数字が出るとすれば、まだ諸外国の憶測の域を脱しないものであると御承知おきを願いたいと思うのであります。
  66. 華山親義

    ○華山委員 国際会議の公開の席上ではそういうことはなかったろうと私はいろいろ考えますけれども、内面的な話し合いになっていろいろなことがあり得るわけでございます。それらの場合におきましても八千万ドルというふうなことは一切ロッテルダムの会議ではなかったのでございますかどうか、簡単にお話しを願いたい。
  67. 三木武夫

    三木国務大臣 ございませんでした。
  68. 華山親義

    ○華山委員 私考えるのに、最近あるいはフィリピンの商社の閉鎖であるとか、あるいはインドネシア方面から日本の利益につきましていろいろなことを言われておるとか、何か日本の外交というものが東南アジア諸国に引っぱられておるのじゃないか。そういうことがあっちゃ困るから、じゃあしようというふうなことになっている傾向があると思いますけれども、その点どうでございますか。
  69. 三木武夫

    三木国務大臣 引っぱられ過ぎているのではないかという御批判でございますが、そういう形でものを言えばたよられ過ぎておる、こういうことはあると思う。それは統計の数字から見ましても、日本経済成長というものはこれはなまやさしい数字ではないんですね。しかし、日本にもまた国内のいろんな解決をすべき困難な問題をかかえておりますから、日本が東南アジアの援助というものにも限界を持っておる。しかし、東南アジア諸国の期待はもっと大きいものがある。そういう点でなかなか東南アジア諸国の期待にこたえ切っていないというところにいろんな問題が起こってくる余地というものは確かにある。だから今後東南アジアに限らず、いわゆる後進国援助というものに対してはわれわれもひとつ検討をいたしまして、日本の国内的諸要請との間に調和点を見出して、できるだけそういう諸国の要請にこたえ得るようなことにしないと、そのギャップというものは拡大する傾向にあるということは言えると思います。
  70. 華山親義

    ○華山委員 ただいまの六千万ドルから八千万ドルに上げることについて債権国会議で内諾を与えたというふうなことがインドネシアの方面から、インドネシアから出るというふうなことについては、私は、外務大臣はないとおっしゃるのでございますから内諾はないものと考えますけれども、私は、こういうことによって日本を牽制するものではないか、そういうふうな気持ちがいたしてしかたがございません。しかし政府といたしまして、そういうことがないということをここでおっしゃったのでございますから、そのことは一つのこととして受け取っておきます。  それからただいま田中委員からお話のありました予備費の性格でございますけれども、この点は予算そのものが法ではない、こういうふうなことは憲法の通説なんです。これは予備費といえども予算の一部なんだ。予算があるからといって法律をこえるわけにはいかないように、予備費があるからといって私は法律や条約をこえることはできないと思う。したがってこの面につきまして、私はいろいろな学者の意見を聞き、また著書等もいろいろあさってみました。具体的に著書等にこの問題に触れた問題はございませんけれども、私は予備費があるから、本来ならば法律なりあるいは条約なり、条約といってもことばの問題は別でございますが、によらなければいけないようなものをやれるという理屈は私は出ないと思う。そこでインドネシアばかりではございません。この前の国会でも指摘したのでございますけれども、ここにはオーストリアに対するある種の損害についての補償の問題が予備費から出ておる。それかと思うと、この国会では予算に計上するとともに、シンガポール及びマレーシアに対するいわゆる決済のことが、条約ですか、覚え書きですかが国会にかけてある。そういうふうなことで、予備費があるから法や条約をこえてなし得るという理屈はないと私は思う。その点大蔵大臣どうお考えになりますか。
  71. 水田三喜男

    水田国務大臣 予備費があるから何をしてもいいというものではございませんで、この予備費支出するかどうか、何にこれを支出するかということは政府の判断にまつということで、ただ予備費があるからどんな事態があってもここから支出していいというものではない。
  72. 華山親義

    ○華山委員 それですから、予備費支出であっても、条約なら条約、法律なら法律を必要とするものはそれによらなければいけないのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。憲法七十三条につきましても、外交の面につきましては内政と違うという立場もあるでありましょう。事後において国会承諾を求めることを条約においては認めておるわけです。そういたしますならば、このような場合予備費で出した。しかしオーストリアとの覚え書き、あるいはインドネシアとの交換公文、そういうふうなものは国会の事後承諾でも得なければいけないのじゃないか、七十三条と予備費の関係はどういうふうにお考えになりますか。
  73. 水田三喜男

    水田国務大臣 ですから予備費政府責任において支出したときは事後において国会の御承認を得る処置をとっております。
  74. 華山親義

    ○華山委員 予備費というものは予算の一部なんです。予算の一部を、予算があるからといってやっていいということであるならば問題がないでしょう。この間の特別会計のあの問題だって問題がない。しかし政府支出というものは、予算によるほかに条約なりあるいは法律で縛られておる。予備費だって予算の一部なんですから、法律や条約に縛られることは当然なんだ。その点、予備費というものは法律でも条約でも何でもかまわないのだ、何でもできるのだ、こういうふうにお考えになるのですか。
  75. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、予見しがたい予算の不足によるためということでございますので、予算編成のときに予見しなかった事態が起こったという場合に、これを予備費支出するかしないかということは政府責任においてこれを判断して決定する。した場合には事後において国会承認を得るという手続をとっておるわけでございます。
  76. 華山親義

    ○華山委員 その場合には法律や条約等はなくてもよろしい、こういうことですね。私は大問題だと思います。先ほど田中委員の言われたとおり、この問題につきましてはさらに国会としてこの点は研究をする必要があると思いますので、委員長にもなお申し上げておきます。  それから、この点につきましては私は非常に尚早かもしれませんが、オーストリアの請求権の処理というのがここに出ておりますけれども、これは十一月二十九日に交換公文を閣議決定した。十一月三十日には国会を召集していて、十二月の六日には補正予算を出している。そしてこれの予備費使用の決定をしたのが二月二十三日だ。何も急いでないじゃないですか。その間に国会もあるのですから、その国会交換公文承諾をかけるなり、あるいは補正予算を組むなりする余裕が十分にあるのじゃないか。うるさい問題はまあとにかく予備費でやっておこう、こういうふうなにおいが強い。ことにこの三十五億のインドネシアの問題につきましては非常に論議が多い、そういうふうな論議はうるさいから、ひとつ予備費で出してやってしまえば、あとは国会においても力の弱い決算委員会にでもかけて承諾を得ればいいんだ、こういうふうなずるい考え政府にあるのではないかと私には思われるわけです。どうしてオーストリアのこの賠償につきまして、このようなことにあったときに補正予算を出さないのです。補正予算とともに国会承認交換公文として求めたいのですか。時間が十分あるじゃないですか。予備費使用を決定したのは二月、三月もおくれた二月の末なんです。この点の事実の関係を御説明願いたい。
  77. 三木武夫

    三木国務大臣 政府委員からその間の事情説明をいたすことにいたします。
  78. 岡田晃

    ○岡田説明員 本件の交渉昭和二十九年にそもそもオーストリア政府日本政府に対して問題々提起いたしまして、その当時は六十六万七千ドルの請求を提起してきたわけでございます。その後日本側と鋭意折衝を重ねまして、特にナショナリティ・オブ・クレームの問題がございまして、そこで話し合いがつかず日時を遷延したわけでございますが、三十八年から問題が煮詰まりまして、三十八年から四十年の三月までに十回にわたって日本とオーストリアとの間で交渉を続けたわけでございます。しかしそこで話がなかなか煮詰まらず、オーストリア側の外務省で長年本件を担当いたしておりました条約局長がわがほうの日本の大使になって参ったわけでございます。このハルトルマイル大使が、今度は自分が長い間この問題を本国において扱ってきたので、これを大使として日本政府との間で解決したいということで、非常な熱意を持ってわがほうとの間の折衝に当たられたわけです。ところがこのハルトルマイルオーストリア大使が、いよいよ話し合いが煮詰まりかけてまいりましたときに帰朝の命令が出るということになりまして、そこで大使が離任されることが間近いということでございましたので、ただいま先生の御指摘のように、十一月の、実ははっきり申しますと十月の二十二日にわがほうといたしましてはオーストリア側に対して、大体われわれの腹ではこのくらいのもの、四・七%、六十六万ドルくらいになったものでございますから、そこで大使が帰られるということでこれは急いだわけでございまして、決して国会が十一月三十日に開かれるためにこれをあわてて調印したというわけではございません。
  79. 華山親義

    ○華山委員 この問題は昨年も申し上げたのでございますけれども、オーストリアだけに関係したものじゃない。昨年はギリシアについてやっており、その前にも何件かそういうことをやっておる。オランダについては三十一年でしたかに外務委員会に条約をかけて、そして予算を組んでいる。こういうふうな事情があるわけです。こういうふうなやり方というものは、オーストリアの場合には特別な事情があったにしろ、もはや慣行になっている。できるだけいま大蔵省のとっている態度に応じて予備金でまかなえるものは負債も予備金でやっていこう、交換公文や条約はもはや国会の審議には付さないようにしよう、こういう意図があるように私には思えます。私はこの問題は非常に重要な問題である。田中先生のおっしゃったとおり、債務を負担することでもございますし、第七十三条の問題でもある。私はこの場合であるならば、そんなに急ぐことであったならば、一歩譲って申しますが、予備費支出をするとともに、第七十三条ただし書きによって国会の事後の承諾を得なければいけないのじゃないか、こう私は考えるのでありますが、きょう大蔵大臣の言われた予備費のある範囲内においては、法律がなかろが、条約の承諾がなかろうが、何でもやっていいんだというふうなことはたいへんな問題でございますから、今後ともわれわれは研究を重ねますが、この問題につきまして当面は反対であるということを申し上げておきます。  それから予備費の性格についてでございますけれども、昨年私はこの委員会におきまして、従来のように予算の各省との復活折衝の始まる前に、ばく大な予備費というものを置いて、そこからちょびりちょびり各省の要求に対してやるような、予備費をばかにしたようなやり方というものは困るじゃないかということを申し上げたのでございますけれども大蔵大臣予算折衝の調整の間においてはやむを得ないというふうなことを答弁された。しかしこの予算では公開式というふうなことを言われて、予備費というものを正直に組まれたことは一つの進歩だと思う。しかし一面におきまして予算の総合主義と予備費というものとの関係は重大な問題だと思います。予算の総合主義というふうなものは、財政の硬直化と言われますけれども、一面においてはこれは財政の硬直化なのです。国にどういう需要の変動があろうとももう補正予算は組まないということ、これこそ硬化じゃありませんか。これは財政の硬化になりませんか。
  80. 水田三喜男

    水田国務大臣 従来経済の成長期におきましては、年度の途中で予算の補正をやる財源というものが出てまいります。したがってこれが慣例となって、年度途中においても補正予算を組めるということで今日まできておったわけでございますが、今年度は御承知のように、昭和四十二年度におきましても税収の面からは予定した歳入を確保できなかったという実績もございますし、四十三年度においても同様でございます。税の自然増というものをそう見込むわけにはいかぬと思います。したがって年度途中において予算の補正をするような余裕はないと考えましたので、当初予算においてあらゆる考えられる財政需要を全部並べてこれの均衡をとり、当初予算においてこの合理的な配分をするという措置をとったわけでございまして、こういう措置をとることが財政硬直化の原因になるというふうには私は考えません。もうこういう措置をとらなければ年度途中において必要な追加需要に対処できないという事情を私どもは察して、こういう予算編成方針をとった次第でございます。
  81. 華山親義

    ○華山委員 私は財政の硬直化の原因になるということを言ったのじゃない。このこと自体が財政の硬直化じゃないかということを言ったのです。これはたいへんなことでも起きたら別でしょうけれども、一年間一番初めにつくった予算で通すのだ、そういうふうなことが財政の硬直化じゃないですか。財政の硬直化ということばが悪ければ予算の硬直化かもしれない。  まあその点は別にいたしまして、このたびの予備費というものは、従来の経験に基づいて一般予備費に七百億、人事院の勧告による公務員のベースアップのために五百億、こういうことで千二百億を組まれたと私は聞いておりますけれども、また国会でもそういうふうに論議されたと思いますが、そのとおりであればよろしゅうございますし、違っておれば御答弁を願いたい。
  82. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは違っておりまして、災害に対して幾ら、公務員給与の改定について幾らというふうに、予備費をあらかじめ特掲しておるわけではございません。
  83. 華山親義

    ○華山委員 特掲しておるわけではないことは私も知っておる。では千二百億というものはどういう根拠でつくられたのか。
  84. 水田三喜男

    水田国務大臣 いままでの実績も考えましたし、また起こり得る補正要因をも一応考えまして、全体として千二百億円の予備費を準備すればいろいろな事態に対処できるのではないかという計算をしたわけでございます。
  85. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、昨年までは補正予算において米価についての補正をしておったが、それはもう全然見ないというたてまえですか。千二百億の中からやろうというたてまえでございますか。
  86. 水田三喜男

    水田国務大臣 千二百億の予備費の中では食管会計の繰り入れということは今年度考えておりません。
  87. 華山親義

    ○華山委員 それで、補正予算を組まないということであるならば、とにかく米価がきまったという場合にはもう消費者米価を上げて赤字をなくす、これ以外に方法はないものと算術的にわれわれも考えますし、一般考えておるわけでございますけれども、そうなるわけでございますね。
  88. 水田三喜男

    水田国務大臣 食管会計の損益はただ米価のきめ方だけによるわけでもございませんので、したがって生産者米価が上がったというときに機械的にスライドして、消費者米価が上がるというふうには考えておりませんが、いずれにしましても、生産者米価が上がるということは食管会計の損益勘定の中で重大な影響のある要素でございます。したがって合理的な消費者米価の引き上げということも行なわれるのじゃないかと考えておりますが、これをどういうふうにきめるかということは今後の問題でございますし、主管官庁において米価審議会その他の意向を聞いて適当にきめられるものと期待しております。
  89. 華山親義

    ○華山委員 大蔵省大蔵大臣としては、このことのためには補正予算を組んで食管会計に繰り入れることはやらない、こういう御方針でございますね。
  90. 水田三喜男

    水田国務大臣 本年度予算編成はそういうことをしないという方針のもとに編成したものでございますので、なるたけそういう事態がないことを私どは期待しておるわけでございます。
  91. 華山親義

    ○華山委員 この点につきまして先ほどの春闘におきましては相当の高い——当事者にいたしますれば、また私たちにいたしましては不満ではありますけれども一般の人たちの考えるよりは高い水準できまっおるようでございます。また特に公労協の問題にいたしましては事実上解決をいたしたようでございますけれども、七%プラス四百円、昨年の六・五%プラス三百円よりも高い。単純平均では五千三十六円、加重平均では五千百三十二円というように初めて五千円台に乗ったわけであります。この適否の問題は別にいたしまして、こういうふうなことで特別会計その他三公社五現業の予算でできますか。
  92. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ裁定が下されておりませんので、何とも申し上げられませんが、裁定がございましたら政府としてはこの裁定の実現に努力するつもりでございます。
  93. 華山親義

    ○華山委員 補正予算を組まなくてもできるわけでございますね、努力するということは。
  94. 水田三喜男

    水田国務大臣 なるたけ補正予算を組まぬ範囲で実現できるように努力したいと思っております。
  95. 華山親義

    ○華山委員 なるべくというのですからなんですが、先ほどもなるべくとおっしゃったけれども、補正予算を組まないという総合予算主義には相当弾力性をお持ちのように考えられます。  その次に、米価にいたしましても御承知でございましょうけれども、家族労働賃というのがあります。物財費と家族労働費のことが基礎になるわけですけれども、家族労働費というものは六・五%を占めている、したがって、今度の米審というものはあのとおりになるかどうか知りませんが、相当政治的なことで人を選ばれておられるようでございますから、どうなるかわかりませんけれども、すなおな考えをしますれば、米価はこの春闘の影響等を受けまして、相当家族労働賃というものは上がることを考えなければならない。そういうふうなことからも私は今後米価につきまして、なるべく上げない、こういうふうにいわれているわけでございますけれども大蔵省がそのような態度をとる限り、私は本年の生産者米価というものは家族労働費を大幅に切らざるを得ないと思います。その点どういうふうにお考えになりますか。
  96. 水田三喜男

    水田国務大臣 米価は合理的にきめられるべきものと思っております。したがって米価をきめる主管官庁があり、またきめるについてのいろいろな手続もございますので、事前に財政当局がこれについていろいろ発言するということは、私は避けたいと思っております。
  97. 華山親義

    ○華山委員 人事院勧告を五百億、そんなことはないのだとおっしゃいますけれども総理大臣は本会議で五百億円以内において処理するということを申しましたね。ですからいま大臣は、私たちにはそういうことをおっしゃいましょうけれども、五百億の範囲内でやろうという考え方に私は間違いないと思うのです。それはおっしゃるとおり予備費というものに五百億と七百億との違いはないのですから、多少七百億に食い込むことができるでしょうし、また昨年のように不用額でこれをふやしていくことができると思いますけれども、とにかく標準になるのは五百億に間違いがないのじゃないですか。基準は五百億には間違いがないのじゃないですか。
  98. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもうたびたび申し上げておりますとおり、全体として千二百億円の範囲内において他の財政追加需要とも勘案しながら、人事院の勧告がありましたら給与の改善について合理的にきめたい、できるだけの努力はしたいと思っております。
  99. 華山親義

    ○華山委員 大蔵大臣の答弁はそう言っちゃたいへんなんでございますけれども、私は大蔵大臣の人柄を尊敬しているつもりなんですが、たいへん何かぐにゃぐにゃおっしゃいますけれども、もう少しすっぱりおっしゃったらどうですか。  それで、先ほどおっしゃいましたとおり、公労協の賃上げというものが昨年より高くて初めて五千円台に乗った、こういう実態、そしてまた昨年の人事院勧告を読んでみますと、人事院勧告ではいわゆる春闘の結果が四月にさかのぼって行なわれるところもあるということで、これに二・二%でしたかつけ加えている。おそらく私いまから推察はできませんけれども、ある程度の高い人事院勧告が出ると思います。その際に、否定されますけれども、五百億というものを基準とするならば昨年のようなことすらもできない。昨年よりもできないということであるならばどうするのか、昨年も完全実施をしておらない。八月からしか出しておらない。それを短縮するほかに方法はない。そういうふうなことになっている。しかし昨年の人事院勧告につきまして、人事院総裁はその前とは違った意見を強く出している。それは、政府はとにかく期間につきましてぜひこれをやってもらわなければならないのだということを強く出しているのが昨年の人事院勧告の特色のあるところだ。大臣、どうですか。完全実施に近づくための、補正予算は組まなくても何とか予算措置はやりたい、財政措置はやりたい、こういうふうにお考えですか、もうこれは五百億だから足してみたところがたいしたことはないので、とてもできないのだというふうにお考えですか、どうでございますか。
  100. 水田三喜男

    水田国務大臣 五百億のワクということをさっきから申しておりますとおり全然考えておりません。したがって、勧告が出ましたらその最大の努力をやるということを申しておるわけでございまして、五百億円のワクを全然最初から考えておりませんから……。
  101. 華山親義

    ○華山委員 じゃ、またお聞きすることになりますけれども、従来大体七百億だった。昨年よりは少し多いようでございますが、大体七百億なんです。昨年公務員給与の改定で補正予算が五百億なんです。そうだったら七百億は一般の災害費その他の問題、五百億は人事院勧告だと考えるのはあたりまえじゃないですか。もう一ぺん伺いますが、なぜ千二百億という計算が出たのか。
  102. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は千二百億円というものは相当充実した予備費であると考えております。と申しますのは、義務的経費の精算とか、従来予備費支出しておりましたものでも、あらかじめ予見できますものは当初予算の中でも見るというようなことを、総合予算主義でありますからしておりますので、七百億を去年と同じ七百億と比較すること自身が間違いであろうと私は考えております。
  103. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ私は今後のこともありますから申し上げておきますが、人事院の勧告を期間的にも前進するために努力する。そのために五百億円にとらわれない、しかし補正予算は組まないのだ、こういうことでよろしゅうございますか。
  104. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまのところそういうつもりでおります。
  105. 華山親義

    ○華山委員 それから、佐藤総理大臣が諸外国を訪問されましたね。中華民国。東南アジア。東南アジア、大洋州。アメリカ。その経費を全部合わせますというと一億七千四百万円になる。その中で一億四千四百万円が庁費になっている。ですから、大部分が庁費になっているわけでございますけれども、この庁費というものは何にお使いになったのですか。
  106. 水田三喜男

    水田国務大臣 大部分が飛行機の借り上げ費用でございます。詳しいことは事務当局からお答えいたさせます。
  107. 船後正道

    ○船後政府委員 総理の昨年度外国訪問で予備費支出いたしましたが、そのうち航空機の借り上げ料は、全部で一億二千百万円でございます。庁費の大部分が航空機の借り上げ料でございます。
  108. 華山親義

    ○華山委員 予備費支出をなさいまして、どれだけの、予備費を使われた効果があったかどうかの問題につきましては、別の機会に総理大臣に私なり同僚の議員からお尋ねいたすことにいたします。  それから会計検査院に伺いますが、この中に報償費がある。報償費は簡易証明でございますけれども、この場合、報償費は簡易証明でどこまで究明されるのですか、どこまで調べられるのですか。この報償費は、おそらく外国人に渡っているものが多いと思うのですが、外国人まで一々簡易証明をとるのか。あるいは一括して同行したところの会計の主任書記なり、あるいは書記官なり、その程度に渡していればいいのか。その点、会計検査院に伺いたい。
  109. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 報償費につきましては、先生御承知のように簡易証明が許されてございまして、一応証拠書類のいただけるものにつきましては全部これをいただくことにいたしておりますが、証拠書類のどうしてもとれないというような種類のものもございますので、それにつきましては、現実に検査に参りました際に、相手方に支出されたかどうかということについて心証を得ることにいたしております。こういうことでございます。
  110. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、報償費には受け取り証がなくたっていいわけですね。外国人の場合だけですか。
  111. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 本来は書類が必要でございますが、こちらに提出されるということについて、正当債主でない、内部でありますれば、一応会計課長から官房長に渡りましたところで、その先の追及ということにつきましては、証拠書類がどうしてもとれないという場合には、その相手方の正当債主に出されたということについて、実際の検査のときに心証を得るということにとどめておる次第でございます。
  112. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますというと、国内の書記官なり、あるいは書記の人に金が渡っておればいいのであって、個々の別々のことにつきまして、外国人から受け取りをもらえないのは、一般の場合でしょうから、いいということなんでしょうけれども、その会計担当の書記官なり、そういう人は、だれに渡したかということは明白にしておかなければいけない。それは簡易証明として会計検査院は聞くわけですか。   〔委員長退席、四宮委員代理着席〕
  113. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 先ほど申し上げましたように、実際の検査にあたりまして仮の債主である官房長あたりから聞くことにいたしております。
  114. 華山親義

    ○華山委員 そんなことを聞いているのではないのですよ。最終に外国人に渡ったところまでは調べないのかと聞いておる。受け取り証をもらわなくても、官房長なら官房長に聞く際に、この金は外国人のだれに渡ったかということまで聞かないでいいのか、あるいは聞くのかということを聞いておる。
  115. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 それは聞くことになっております。
  116. 華山親義

    ○華山委員 聞くことになっておるなら、初めから聞くことになっておるとお答えになればよいのです。  もう一つ、吉田茂氏の一千八百万円の国葬費がございますね。これにつきまして、これは大蔵省に伺いますけれども、最近各省で省葬というものが行なわれますね。たとえば昨年秋は防衛庁の装備局長ですか、自分でおなくなりになったのですけれども、あのときも庁葬ということになった。通産省等にも特にそういうことをひんぴんとして聞くのですが、あの省葬の経費というのはどこから出るのですか。
  117. 船後正道

    ○船後政府委員 各省の省葬、庁葬につきましては、その費用はおおむね庁費から支出いたしております。
  118. 華山親義

    ○華山委員 庁費からそういうものを支出することについて、大蔵省は原則論として承認しているわけですか。
  119. 船後正道

    ○船後政府委員 庁葬、省葬の実施につきましては、昭和四十一年の三月に事務次官会議で各省どういう基準でこれを実施するかということを申し合わせておりますが、当該省庁の業務につきまして功績のあった者、殉職者等に対しましては、これを各省庁において省庁葬を行なう。この場合の経費の全部または一部は国費をもって支弁するということでございます。したがいましてこの費用を国費でもって支弁するということになりますれば、該当の予算の目といたしましては、やはり内容が会場の借り上げ料等になるわけでございますので、庁費でもって支出するのが妥当であると存じます。
  120. 華山親義

    ○華山委員 大蔵大臣、こういうことはおやめになったらどうですか。昔はこんなお役所で葬式を出すなんてことはなかったですよ。国費でそういうことをやるのはおかしいと私は思う。それで伺うのですが、私もそうだと思っておりましたけれども、省葬というものが内部的に次官会議か何かでおきめになっていて、それについては基準があって、そしてそれを庁費でまかなうということになっているならば、吉田茂氏の場合、社会党は吉田茂氏の国葬について、別にそのこと自体について、政府がおやりになるならやっても別に何とも言わないような態度をとってきた。それにつきましても、どうしてこれは内閣の庁費でやらないで予備費なんか出すのです。国と省と同じじゃないですか。
  121. 船後正道

    ○船後政府委員 予備費支出するか、あるいは既定の経費で支出するか、いずれも支出すべき経費の多寡によってきまってくるわけでございます。各省庁葬の場合には比較的経費も少額でございますので、実行上支出するのが可能でございますが、吉田茂氏の国葬の場合には、全体の経費がかなりの額にのぼりましたので、予備費支出をしたわけでございます。
  122. 華山親義

    ○華山委員 多額だから出されたということでございますけれども、私考えるのに、とにかく佐藤総理大臣の先生なんですから、やはり国葬でおやりになりたかったろうと思うのです。しかし、これは私は問題だと思いますよ。それを庁費の中でおやりになったというならば、私はあまりどうとも思いませんけれども予備費から出すというふうなことはどうかと思うのです。国葬ということについての準則が何もないのでしょう。天皇がおなくなりになった場合には、国民大喪に服するということですから、これは当然その規定に基づいて国葬ということはあるわけです。しかし、私は伝え聞くのでございますけれども、明治憲法の当時は、皇后さまや皇太后さまがおなくなりになった場合には国葬でやっていた、ところがこのたびの昭和憲法、新憲法になってからは、貞明皇后がおなくなりになったその際には国葬でやらない、こういうふうなことですね。うそかどうか知りませんけれども、その際に吉田さんが総理大臣であって、そして吉田さんは、国葬は法律上天皇に限られるのだというふうなことから、貞明皇后の国葬をおやりにならなかったというふうに伝えられている。私はその点をいまさらかれこれ申しませんけれども、これを予備費から出されたというふうなこと、国費でまかなわれたというふうなこと、私はたいへん不満であります。  その次に、警察の装備品緊急整備があります。  その後ここに掲げられている装備のほかに、羽田以後に佐世保や成田、王子等で警察では相当の経費を要したと思いますが、その経費はどのくらいになりますか。
  123. 船後正道

    ○船後政府委員 四十二年の警察庁の警備関係の予備費使用の額でございますが、四十二年十一月のいわゆる羽田事件でございますが、これが四千万円支出をいたしております。それ以後、四十三年二月以降、佐世保あるいは新東京国際空港等に伴いまして予備費支出をいたしておりますが、その全体の額は一億二千七百万円というふうに相なっております。
  124. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、一億二千七百万円というのは予備費支出が決定したわけでございますか。
  125. 船後正道

    ○船後政府委員 決定いたしております。
  126. 華山親義

    ○華山委員 その大部分は何の経費ですか。
  127. 船後正道

    ○船後政府委員 羽田、佐世保、それから新東京国際空港、それぞれ予備費の内容が若干違いますが、羽田の際は、部隊及び個人装備品、特に警官の危険防止のための防石面でございますとか、たれおおいでございますとか、そういった関係のものが主たるものでございます。それから佐世保になりますと、これは全九州のみならずその他の地域からもかなりの警官をその方面に派遣いたしておりますので、それに要した活動旅費等が主たる内容になっております。  それから、新東京国際空港の場合は、活動旅費と、やはり個人用のいろいろなヘルメット、そういう防護品が主たる内容でございます。
  128. 華山親義

    ○華山委員 その中で、伺いたいのでございますけれども、警察官の協力活動費といいますか、旅費その他いろいろなことができるだろうと思うのですけれども、この経費は国で全額負担するものであって、地方には負担させないたてまえと思いますが、そうですが。
  129. 船後正道

    ○船後政府委員 警察活動に要する経費につきましては、法律の規定がございまして、事案の性格によって、全額国費支弁のものと地方費支弁のもの、地方費支弁の中でも国の補助金によってまかなうものと、人件費等警察職員の設置に伴うもの、これは全額地方負担でございます。こういうふうに区分されているわけでございまして今回の警備出動に伴います経費は主として国費支弁にかかわる経費でございます。
  130. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、このたびの警察の活動費は、一つ例を引きますが、長崎県の場合、佐世保に長崎県の警察官が出て、そこで超過勤務手当なりその他の経費がかかった、これは長崎県の負担ですか、国の負担ですか。
  131. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  ただいまお話のございましたように、警備出動に要する経費は全額国費でございます。ただ、ただいまお尋ねのように、超過勤務手当につきましては、四十二年度におきましては、まだその応援派遣をしたそのもとの所属の府県の負担ということでございます。旅費その他の経費は全額国費であります。
  132. 華山親義

    ○華山委員 私はおかしいと思いますね。国の警備の問題でしょう。しかも法律上そういうふうな重大な問題については国が持つと書いてある。超過勤務手当を府県で持つというのはおかしいじゃないですか。どこからそういうことが出てくるのですか。何か規定でもあるのですか。私こまかいことを知りませんけれども、どうなんでしょうか。
  133. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 四十三年度予算におきましては、ただいまお話しのような点もございますので、警備出動に出ました場合の機動隊員の超過勤務手当につきましては、全額国庫で補助する、こういうことに改められまして、四十三年度からはそのように計上しております。
  134. 華山親義

    ○華山委員 四十二年度までの分はそうだけれども、四十三年度から出てきたものはそういうふうに変わる、こういうことでございますか。
  135. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 そのとおりでございます。
  136. 華山親義

    ○華山委員 それにつきまして、私は、実質上非常に地方に負担がかかっているのではないかということを心配する。これは一体だれが、これだけは国で持ちますよというふうなことをきめるのですか。国だけできめるのですか、県と相談してきめるのですか。
  137. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  先ほど大蔵省から御説明もございましたように、警察の費用の問題につきましては、警察法に規定がございまして、警察法三十七条に規定しておるところに従って負担を区分しておるわけであります。  その概略を申し上げますと、県の警察の費用のうち国家公務員がありまするので、地方警務官、そのような国家公務員の人件費、それからこの教養、鑑識、統計、装備といいまするような、警察として全国的な統括なり調整をはかる必要がある、大体同じレベルくらいに維持したいというような問題がございます。そういうことに要する経費、それから先ほど来だいぶ申し上げておりまする警備に要する経費、それから国の公安にかかるような特殊な犯罪の捜査といいますか、そういう国全体の治安に影響するような事件の捜査費、旅費、こういうようなものは全額直接国費で負担をしておるわけでございます。それ以外の経費は原則として都道府県の負担になっております。ただ、警察官の設置に伴って必要となる主として人件費でございますけれども、そういうもの以外の経費については国がその半額を補助するという補助金の制度をとっておるわけでございます。つまり全額国費の分と、それから国が半額補助をいたします分と、それ以外に純県、こういう三本立てに法律で定められておるのでございます。
  138. 華山親義

    ○華山委員 大体そのとおりのことは私も存じておりますが、それが警察署を建てる、そういうふうなときに半額負担といったって半額は来ないのですね。それから交通安全のための信号機、これも半額は国が負担ということになっておったと思うけれども、半額は来ないのですね。だから超過負担になっているわけなんです。それで、このような佐世保とかそういうふうないろいろな問題が起きたときに警察官を活動させるところの経費というものについても、私はこれは地方が負担をさせられているのじゃないか、こういう気持ちがしてならない。その問題につきまして、昔、私のおったところで、もうお忘れの方もあると思いますけれども、大高根事件というものがあった。その際に多くの警察官が出動した。この出動の経費は国が持つからということであったけれども、それで県は済むのじゃないのですよ。そういうことがあるわけでございますから、とにかく私が聞きたいのは、そういうふうな金というものは全額国庫負担でやって、県庁や何かには経費がかかってないのだということを、だれが認定するのか、県庁との協議によってその額がきまるのかということを聞きたい。
  139. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 最初お尋ねのございましたように、施設等はほとんどが補助対象でございます。交通安全対策も補助対象経費でございます。まあ県の超過負担という問題で私どもも年々行政費の補助金をふやしていただいておりますし、特に一番最近になりまして超過負担の大きな問題になりましたのは交通安全施設でございます。これらについては特別な予算措置が逐次講ぜられまして、整備の三年計画、あるいは本年度からは御承知のような反則金制度が設けられました。そういうことで超過負担の一番大きな問題の一つの交通安全施設については相当な改善がされるのではないか。施設等につきましても御指摘のような問題がございますので、私どもとしては単価の問題その他極力その改善をはかりたいと考えております。  なお直接国費支弁の経費につきましては、これは大体県の警察本部長が会計の規程によりまして国の支出官に任命されております。したがいまして直接県本部長が国の支出官としてこの経費の経理をするというたてまえになっておりまして、もしこれに不足をいたしますると、先ほど来のお話のように予備費でまかなうということになっておりまして、私どもとしては警備出動に対しては国費でまかなっておるというように考えております。   〔四宮委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 華山親義

    ○華山委員 旅費は活動費であると思いますが、旅費の支出につきましては、こまかなことを聞いておかしいですけれども、警察官がたとえば福岡県から長崎に行った、その場合の旅費というものは県費で支弁されるのか、国費で支弁されるのか、県費で支弁されるのであるけれどもその点については国庫が負担するというたてまえなのか。私は警察官に対しまして旅費の支給が国から出るということはおかしいと思う。給与というものは、旅費といえどもそうですけれども、これは警察官の給与は原則として県が持つものでしょう。それについて国費で、国の支出官が出す、私はおかしいと思う。どうでしょう。たとえばその点について県の出納室に入らないというたてまえ。だけれども、人件費的なものは県が持つということが原則になっているわけですね。補助の形で出すというのだから、これは県の出納室に入らなければいけないのじゃないのか。警察本部長が支出官として出す。県庁のほうは何も知らない。それですから、県庁のほうは足りなければ別な名目で、ただ旅費の請求があれば払うんだということでやっていくというふうなことで、分担が明確にならないのじゃないかということを申し上げている。  大蔵省に伺いますが、そういうふうな身分が県庁にある者に対して国が旅費を支出する、補助でなくて支出官が出すというふうなことは、これは差しつかえないですか。そんなことをやるとおかしくなりますよ。たとえば大蔵省の役人に対しまして農林省から旅費が出てみたりいろいろなことが出てくる。農林省の何らかのことで大蔵省が出張しなければならない、大蔵省のほうで役人が行くというならば、農林省の経費から大蔵省のほうに予算を移してやるべきじゃないか。その点どういうふうに分けますか、ひとつ方針を伺いたい。——いや大蔵省から伺いたい。
  141. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 一応事務的なことをお答えいたします。  先ほど申し上げました警察の費用のうち直接国費の分につきましては、警備の出動旅費、これは全額国費でございますけれども、これは県の本部長が国の会計規程による支出官として経理をいたしまして、補助金じゃございませんから全然県の出納ということはありません。ただお話のように、国が当然負担すべき出動旅費について県費で負担をしたというような事実がもしありましたならば、県費の分についての県の監査委員の監査、こういうものは当然出てくると思います。したがいまして国費については検査も会計検査院の検査を経ておる、こういうたてまえでございます。
  142. 華山親義

    ○華山委員 本人が超過勤務手当を県からもらったり国からもらったり、そういうことはいいんですかね。それが、国費が県に入って、県のほうの出納室から出るならば私はわかる。旅費なり超過勤務手当が、この分は国の分ですよと言って国から支出官が出して、この分は県の分ですよと言って出納室から出る、おかしいと私は思うのです。一本に出るべきじゃないか。一本に出ないから、県のほうでは、あるいは県会議員は、一体、県の警察に関する金の使い方はさっぱりわからぬ、予算の請求はする、しかし、どういうふうに警察というものが金を使っているのか少しもわからぬ、こういうふうな結果が出るわけです。そういうことは、警察に対して県が不協力になるということもあり得るわけです。補助金でないからすぐ出してもいいんだということには、私は、あまりぴんときませんけれども、どうなんです、その点。身分は県にあるんですからね、警察官の身分は。
  143. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 警察法で定められました、先ほど来申し上げておりますけれども、やはりいまの警察の性格は、これは都道府県警察と申しますか、いわゆる都道府県の自治体警察の性格でございます。しかし、やはり警察の仕事は、相当に国の事務、国家的な立場で処理さるべき問題が非常にあるわけでございまして、したがいまして、都道府県警察という実態を踏まえながら、国家的な事案に対する活動費でありますとか、あるいは、都道府県警察でございますけれども一部の幹部は国家公務員でございます。こういう人事権というようなこと、あるいは、先ほどの補助金、そういうことで、人事、財政の両面におきまして、都道府県警察という実態を踏まえた上で、そこに国家的な要請を調整しているように私は考えておるのです。そういうことからいたしまして、費用も、たとえば羽田とかああいう警備になりますと国が出す。県なんかでお祭りがあります。お祭りなんかの出動費、これは県費であります。こういう形に現実になっておるわけです。それから、全体を見ますと、都道府県警察に要する経費全体の、いま手元にはっきりした資料はございませんけれども、八五%は県費であります。国費は一割強ということでありまして、そういうたてまえで警察財政制度が運用されておるというのが実情であります。
  144. 華山親義

    ○華山委員 くどいようですが、衆議院選挙というのは国の仕事でしょう。そのときに、県庁の職員なり役場の職員が働きますね。その際に、超過勤務手当や旅費は、国では負担はしていますよ。しかし、これは県費なり市町村費で出しているのです。自衛官募集にしたってそうですよ。自衛官募集などというのは、何ら市町村には関係がない、県には関係がない。しかし、非常に少ないものではあるけれども、そのために出張し、そのために仕事をした場合は、県ないし市町村が出しているのです。警察だけが県や市町村の出納室と別にして出さなければならないという理屈が私にはわからない。そういうふうなことで、とにかく、いまもおっしゃったとおり、自治体警察が本則であるならば、私は、報償費等のことまでかれこれ言うのではない。そういうふうなものはきちんと明らかにして、これを県の出納室に入れて、委託でもあるいは何でもいいんだから、県の出納室から出すべきじゃないか、こういうふうに言っているわけです。その点、どうでしょうかね。大蔵省のほうでどう考えますか。仕事によって、警察は特別だから県の出納室は別だ、こういうふうにお考えになりますか。何か秘密でもあるのですか、この中に。
  145. 船後正道

    ○船後政府委員 国費を直接支出する場合には、国の支出官の手を通って支出するわけでございます。警察の経費が、先ほど来御説明いたしましたような費用の負担区分になっておりまして、直接国費支弁にかかわる分はやはり国の支出官から支出するというたてまえになっておるわけでございます。
  146. 華山親義

    ○華山委員 なっていることを聞いているのじゃないのですよ。なっていることがおかしいじゃないかということを言っている。そういうことならば、これから選挙のときには、出張旅費や何かは国で払いますか。県にやらないで、県から出さないで、払いますか。
  147. 船後正道

    ○船後政府委員 普通の出張旅費につきましては、これは国費の支弁ではございません。したがいまして、これは県の出納を通して支出するということになるわけでございます。
  148. 華山親義

    ○華山委員 私は、警備費のことで、国で負担しているものについて言っている。
  149. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 現在の警察の財政処理といいますか、費用負担については、法律で明らかに制限されておりまして、これだけの費用は都道府県警察がやるけれども、それは直接国が負担して、国が出す、こういうたてまえに現在なっておるものですから、私どもとしては、現在の体制でいくべきではないか、このように考えます。
  150. 華山親義

    ○華山委員 水かけ論ですから、やめますけれども、国が直接負担することになっているからそうするんだというんですけれども、衆議院選挙だったらどうなんです。これは直接国が負担するんでしょう。しかし、その旅費は、超過勤務手当は、全部出納室を通じていっているわけです。私は、警察だけそういう特別扱いをしなくちゃならないという理由がわからない。もう一ぺんくどいようですけれども伺いたい。なぜ警察だけがそういうことをしなければいけないのか、大蔵大臣はたいへんでしょうから、だれか……。
  151. 船後正道

    ○船後政府委員 先ほど来申し上げておりますように、警察法三十七条で、経費は国費で支弁するということが法律上定められておるわけでございます。したがいまして、国費支弁にかかわる経費は国の支出官のほうで支出するというたてまえは、これは会計法のたてまえ上くずすわけにはいかないのでございます。
  152. 華山親義

    ○華山委員 私は、制度のことを言っているのです。そんなものをやめたらいいでしょう、警察本部長が支出官なんていうことは。全部県に回したらいいんだ。私は、報償費等のことまで言っているのではない。公然たる活動でしょう。それが、県庁では、自分のほうではいろいろな経費を出しましても、超過負担のあることは承知しておって出しましても、そのほかに警察だけで使っている金があるというふうなことは、これは不明朗です。そういう意味で、私は、ひとつ御研究を願いたい。  それだから、各県から、国のほうで警察のほうに直接、警察本部長の払う金は一体どのくらいあるのか調べてくれということを盛んに言ってくるじゃないですか。それについて警察本部長は、これはわれわれの要求に対して応じない。そこに私は、何かがあるからじゃないかということを言っている。これはもっと明朗になるべきだと私は思います。まあ、しかし、きょうは確答得られませんが、またこの次にいたします。たいへん長くなりましたので……。
  153. 大石武一

    大石委員長 吉田賢一君。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 四十一年度予備費、四十二年度予備費、前者その2、後者その1、並びにこれに関連する事項について質問いたします。  予備費使用の目的が、数額的に見ますると、一つは自然の災害対策の予備費が大きい、各省庁にわたっております。それからいま一つは、食管会計による予備費、数額的にはこう大別し得るようであります。したがいまして、私はこの二点を中心に伺ってみたいのであります。  まず、災害対策の予備費に関しまして、前提といたしまして、昭和三十七年ごろから数年間にわたる災害国日本の台風、豪雨、地震その他の自然災害によって、わが国は年間どれほど物的並びに人的の被害を受けておるであろうか。簡単でよろしゅうございますから、総理府から数字の説明を願いたい。
  155. 工藤振作

    ○工藤説明員 お答えいたします。  災害対策基本法で、毎年国会に対しまして被害額を御報告いたしておりますが、その数字で申し上げますと、人命損傷は別にいたしまして、施設等の被害額は三十七年度二千三百五十五億、三十八年度二千六百億、三十九年度四千三十一億、四十年度四千三百四十一億、四十一年度三千三百七億、以上五カ年間を総計いたしますと、一兆六千六百三十六億、これだけの被害がございます。  なお、さらに、まだ国会に御報告いたしておりませんで、ただ各省から報告を聴取をした未査定の金額でございますが、四十二年度に約三千八百九十億、この程度の施設等の被害が出ております。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 参考に、人的被害はどのくらいあるのでしょう。
  157. 工藤振作

    ○工藤説明員 死者、不明合わせまして三十七年度五百八十三名、三十八年度九百一名、三十九年度三百六十三名、四十年度千百六十八名、四十一年度六百二十八名、未査定の四十二年度五百八十九名。  以上でございます。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これに対しまして予備費並びに経費を、予算の面から見てどのくらい使用したことになりましょうか。これを簡単に、数字でよろしゅうございますから、大蔵省から御説明願いたいと思います。
  159. 船後正道

    ○船後政府委員 毎年度災害対策といたしまして、補正と予備費と合計いたしまして申し上げます。  三十八年度は五百十五億円、三十九年度は四百六十五億円、四十年度は五百十五億円、四十一年度は四百七十四億円、四十二年度は若干計数整理が必要かと思いますが、五百六、七十億程度と考えております。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、食管会計による予備費使用は、プラスいまの数字になるわけですね。
  161. 船後正道

    ○船後政府委員 ただいま申し上げましたのは、災害対策としての経費でございますから、食管繰り入れの経費は、そのほかにあったわけでございます。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ほかに予備費を使った面は、そうしますと若干出ておるようでありますが、全体の数字から見たら、そう大きな割合ではないのでしょうね。——それじゃ、こちらでわかっておりますからよろしゅうございます。  そこで今度は質問をいたしたいのであります。大臣に伺ってみたいのでありますが、水田さん、まさに私は、日本は災害の国と思うのです。歴史を見ますと、徳川時代におきましては、二百回地震があったそうです。このごろ地震が少なくなりまして、まことに天恵と申さなければなりませんが、それでも災害の国日本でありまするので、毎年このような膨大な予算並びに物的、人的被害を繰り返しております。私は、経済成長も重要であります、社会開発も重要でありますが、別の角度から災害対策というものが抜本的に立てられまして——災害の国日本は、なおたとえば病気の多い日本に医学のすばらしき成長といわれるものもございますが、日本におきまして、いまそのつど災害対策本部におきまして抜本対策は講じるべくやっておりますけれども、年々繰り返されますこの災害対策につきまして、この機会に根本的にこの自然の猛威に対しましてこれを防止する、もしくは敏速にその原因をつかみ、正確にその対策を立てる、そしてすみやかにその復興もしくは対策の実現を進めていくということが災害国日本のまさにあるべき行政の姿ではないか、こう思うのであります。これは総理府に聞くべきが順序かもしれません。しかしいまの財政制度では、予備費を大臣が所管をされておるのだし、予備費使用権限を持っておりますし、予備費によってこれを一切まかなっておるというのが大体の情勢でありますので、こういう点からぜひあなたに伺うのですが、このような自然の猛威を、いま申しましたように防止するとか、あるいは予知するとか、あるいは起こった現象に対しまして、最も敏速に、かつ正確に情報をつかんで、これが対策を立てる、そして実行に移す、そして実現する、そして国民が期待するような災害対策が行ない得るということに運んでいくことが私は重要だと思うのです。そういう意味におきまして、近ごろだんだんあなたのほうも御熱心になっておられますが、例のアメリカのPPBの方式、あれをここへずばっと持ってくる方法はないだろうか。そして自然現象は、気象庁が、こんなに発達しておるのですから、気象をつかむこと、ないしは電波がここまで進歩しておりますし、全国的に類似の現象ですから、川が決壊した、がけくずれがあった、森林がどうした、あるいは津波があったというのも、これは数百年来繰り返して、同じ形で、同じ結果で、そして被害、大小、同じ状況であります。といたしますると、共通の要素が多分にあるものと思います。長期計画をもちまして、これが抜本対策を立てるということがまさにこの財政を預かり、もしくは予備費を預かっておる大蔵大臣一つの職責でないだろうか、また閣僚のお立場としましても、大切な国庫並びに国民税金を使って、この猛威に対決するのでありますから、言うならば、一種のこの自然に対する戦略体制を用意するということが必要ではないだろうか、こういうふうに考えます。PPBの方式を導入いたしまして、これに取り組んでいくという姿勢をおとりになってはどうかと思いますが、これはいかがでしょうか。
  163. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはすでに申し上げましたように、あの制度はぜひ日本でもこれを導入していきたいという考えのもとに、いま財政当局においても研究を始めておるところでございます。いまおっしゃられる問題でございますが、起こった災害の復旧を計画的にやるということも必要でございますが、それより以前の根本対策としては、やはり治山治水の長期計画が必要であると考えて、今度政府は新しい治山治水計画をつくる、改定を考えておるときでございますが、これらの仕事を効果的にやるというためにもやはりいま言ったPPB制度というようなものを取り入れることがいいのじゃないかということを考えて、いま検討中でございます。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、この機会に——企画庁の経済研究所の宍戸主任研究員は見えておりますね。あなたのほうではかねてこのPPBSの御調査研究が相当進んでおるように承っております。これは非常に重要な仕事と思いますが、私がいま述べましたようなこの自然現象は定型的な自然現象でございます。したがって、これは長期的にあらゆる資料を正確に収集し得るものだろう、こう思います。したがって、日本といたしましてもこの対策は——いま大臣は治山治水の対策を長期的に立てておるというふうにおっしゃっておりますが、同様に河川にいたしましても、河川の決壊はこれまたいつもきまっております。あるいはまた宅地の決壊にしても、山の側に向いた宅地はどんどんと土砂が流れ込んで人が死ぬということもいずれも似たような現象であります。したがって、このようないまの災害基本法にうたっておりまする台風とか豪雨とか地震とかその他もろもろの自然原因によるところのこういうような現象に対しましては、PPBSを導入し得る対象になるのではないか。私自身もしろうとでございますので、読みものや人に聞いた知識しかございませんが、条件があるならばどんどんと用いていくというふうにしてしかるべきでないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、あなたは長く御研究になって、相当成果もあり、いろいろお書きになったものもあるようでありますが、どうでございますか。適用の対象範囲として導入し得る可能性ありやなしや、この点についてひとつ御説明を要点だけしていただきたい、こう思います。
  165. 宍戸駿太郎

    ○宍戸説明員 経済企画庁におきましては、PPBS導入というもので予算の効率的な使用、それから特にコスト・ベネフィットの分析等を中心といたしまして予算を検討するということはきわめて有効であるというふうに考えておりまして、またPPBSそのものが科学的な経済政策を進める上において一つの方策としてはきわめて有効なる方式であるという点できわめて注目をいたしておるわけでございます。これはPPBSの一般的な考え方でございまして、研究所におきまして四月の二十一日に一応システム分析の調査室というものを発足いたしました。システム分析と申しますのは、PPBSのもっと広い一つの概念でございます。システム分析の理論的開発、それからそれに必要なデータの収集というものを中心といたしましてまず検討を始めてみたい。それから漸次いろいろな分野を取り上げましてケーススタディを行なう予定にいたしておるわけでございます。それで、PPBSの考え方というものは、結局できるだけ効果を数量化いたしまして、その量的な効果に対します費用をいろいろ分析をするわけであります。そうして各種の手段の中で最も効率的な手段を出すという方式になっておるわけでございまして、現在庁内、それから各省庁から人材を集めましてシステムアナリストの養成を行なっております。現在室員が十一名でこの作業を始めておるわけでありますが、何せまだ先月発足したばかりでございます。初年度は基礎的な検討の段階になっておるわけであります。  ただいまの災害復旧関係ですが、災害復旧に関しましては二つ考えられるわけであります。県の報告等に基づきますところの現状調査、それに基づく災害の原形復旧、これに関しましては、PPBSが比較的長期的な分析を対象としておりますので、わりあいに緊急措置が必要な場合の災害復旧に関しましては、PPBSの従来の適用例から見ますと比較的少ないわけでございます。むしろ、方法としましては、やや不適当かと見ておるわけでございますが、逆にいまの災害の予防、長期的な方法、このPPBSよりはもっと基礎になります災害の予防に対する事前の措置、適切な対策ということにつきましては、むしろわれわれとしましてはオペレーションズリサーチの方法をかなり重要視しておりまして、デスィジョン・ルール等のOR方式というようなもので、PPBSプロパーとしては若干離れておりますけれども、検討はしてみたいと思います。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、検討の対象としてこれを適用し、導入し得る範囲のものが相当ある、こういうふうに考えていいのでしょうか。たとえば、この自然の災害自体は公共事業に属するものが多いのであります。もちろん中には農家の被害、農地の被害等もありますけれども、しかし、河川とか道路とか森林とか、そういったものは公共事業に属しますので、物的、数学的にこれを評価し得る要素は多分に持っております。したがいまして、これを予知したり、また予防したりあるいは防災したり回復したりするような、そういう情報は当然分析の対象になるのではないか。したがって、これを人的に物的にあるいは資金とか予算とか、そういった面の準備、訓練その他がございましたならば、条件があるならば私は今後の対象になるのではないかとも考えるのですが、進んで積極的にあなたのほうで御調査、研究、検討するというふうにせられますかどうですか。
  167. 宍戸駿太郎

    ○宍戸説明員 PPBSの領域はいろいろございまして、国防関係から輸送の問題、非常に多角的にわたっておりますが、災害復旧関係は非常に新しい領域でありまして、いまのORとの関連で検討していきたいというような感触でありまして、基礎的には、いろいろと興味ある問題を含んでいると思います。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはいまお聞き及びのとおりに、最低において二千億円から最高におきましては約七千億円に達するような物的被害があるわけです。しかし、これは基本法の対象になるものだけでありますから、その他の個人被害を計算しましたら、これはとても想像に絶するほどの被害があります。人的被害はもちろん、その他畜類の被害等々ありますので、もし相当の可能性ありとすれば、積極的に検討せられんことをこの際に強く御要望申し上げておきます。そうしてできますならば当委員会に対しましても研究の成果を、ある時期には御発表、御報告していただきますならばなお私は望ましいことと思います。  そこで、大臣にお尋ねいたしたいのであります。第四でありますが、年々災害予備費が相当に出ておりますことは申し上げるまでもございませんけれども、もし、いまのPPBSを取り入れて何かの効果がありとするならば、私はまことにこれは、こういう問題の一つの解決の手といたしまして重要なことになるんではないだろうか、そこで、並行して考えていただきたいことは、一つは、通覧いたしますると、予備費なるものが、毎年予備費として計上しておりますけれども、全然使っていない予備費が相当あるようであります。これは、いま大臣にこまかく私が指摘して申し上げるのもいかがかと思いますけれども、事務のほうでひとつ検討させていただきたい。毎年計上しておるけれども全然使っていない予備費あり、こういうような予備費は、やはり、言うならば私は客観的に正確な資料によって算出されたものではないのではないだろうか、つまり、予備費作成の前提が誤っておるのではないだろうか、もっと露骨なことばで言うならば、予算作成についての一つの惰性になずんだことによるのではないだろうか、こういうふうにも考えられまするので、そういうようなそしりも免れないと思うのです。したがいまして、こういう予備費につきましてはもう一ぺん再検討してはどうですか。そうしてこの省庁、その部局はもっとほかにほしいものは——のどから手が出るほどに重要な施策について経費がほしい、けれども予備費だから流用は法律上許されない、こういうことになる。予備費は依然として去年も余る、ことしも余る、使用ゼロ、報告書を見たらゼロというのはずいぶんあるようであります。でございまするので、かりに少なくともあなたも大切な国民税金を大切に使うという御方針でありまするので、そういうのは適当に整理してはどうか、そうしてもっと優先的に使うべき方向へ使うというふうにして、計上された予備費についてゼロ、ゼロ、使用ゼロというようなそういう個所については再検討されてはいかがか、こういうように思うのであります。  そうしてもう一点は、食管会計は別として、以外の予備費の大部分は災害対策費用であります。したがいまして、その予備費の角度からも、私は予備費そのものの今後のあり方につきまして、どうならば最も合理的に効率的に予備費というものを計上し得るかということ、その面からもひとつ御検討いただきたい、こういうふうに思うのですが、この二点についていかがです。
  169. 船後正道

    ○船後政府委員 使っていない予備費があるではないかという御指摘は特別会計の予備費についてのことだと思うのでありますが、特別会計でもそれぞれその会計の設置されました目的が若干違うわけでございます。大別いたしまして、事業を行なっておる特別会計、この中でも保険事業を行なっておりますもの、そのほかに特定の基金を管理するような特別会計、いろいろあるわけでございますが、それぞれその会計では収入が特定いたしておりまして、そこの収入をよそへ回すわけにはいかないというものもございます。それから他方、保険の会計のように単年度で見ますと、その年度はたまたま保険事故がなかった、予見しがたいような大きな保険事故が生じなかった、したがって予備費は使わずに済んだ。しかしある年になりますと、まさに予見しがたいような事故でもって大幅に予備費が要るというようなこともあるわけでございます。したがいまして、特に保険関係の特別会計では、何年も予備費がそのまま不用になったという例も多いのでございますが、その点、今後種々検討はいたしたいと存じますが、以上のような事情によるものでございます。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 金額の大小にかかわりませず、私は、使用ゼロとなっております個所については再検討せられることが必要であろう、こう思われますが、それはどうなんですか。
  171. 船後正道

    ○船後政府委員 再検討はもちろん毎年いたしております。ただ、特別会計ごとにそれぞれ特定の財源があるわけでございます。したがいまして、予備費を少なくしようということになりますれば、その歳入のほうを削るということにもなろうかと存じますが、しかし、単年あるいは数年度の収支バランスだけで判断いたしまして、歳入のほう、たとえば保険でございますと保険料率でございますが、これを引き下げるのはいかがであろうかというような問題もございまして、毎年検討はいたしておりますけれども、御指摘のような事情にある特別会計も少なくないわけでございます。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次には予備費の角度から食管会計に触れてみたい、こう思うのであります。  きょうは食糧庁長官が見えておりませんので……
  173. 大石武一

    大石委員長 食糧庁次長が見えています。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次長に伺いますが、食管会計は、財政の角度から、また赤字の累増の実情から、あるいはまた食管会計の米の生産者、消費者の立場等々から、よほど解決が急がれておるような重要課題のようにも考えられております。きょうはそういう根本問題を深く掘り下げる余裕もありませんので、それはいたしませんが、しかし、やはり予備費使用の額もかなり大きなものになっております。災害費用とは違いますから、別に資金的問題もございますけれども、見のがしがたい問題を持っておるらしいので、私は二、三伺ってみたいのであります。  まず事務のほうに伺いますが、食管会計について毎年操作しておる資金量は、総計どのくらいになるのですか。
  175. 田中勉

    田中(勉)政府委員 ただいま御指摘のございました食管会計で予定いたしております買い入れの数量でありますが……
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いや、食管会計としまして毎年操作しておる資金量ですね、総資金量はどのくらいになっているのですか。
  177. 田中勉

    田中(勉)政府委員 総資金量は二兆四千億になっております。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは買い、売りのプラスになりますね。出入りでですか。
  179. 田中勉

    田中(勉)政府委員 食管会計の運用の総体の資金でございます。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 年間の借り入れ資金あるいは手持ち資金というもの、借り入れ資金の総量とそれから支払い利息の総額、こういったものは大体どのくらいになりますか。
  181. 田中勉

    田中(勉)政府委員 借り入れの限度は一兆五千億程度でございます。それから、金利のほうは大体四百四十億程度ということになっております。
  182. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 借り入れの限度はそれでわかりますが、実情は大体どのくらいになりますか。
  183. 田中勉

    田中(勉)政府委員 先ほど申し上げましたのは年間の最高限度の借り入れ額でございますが、通常、年間を通じての借り入れ金額の総額は八千七百八十億ぐらいでございます。
  184. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 去年、ことしの赤字の集計は何ぼになりますか。
  185. 田中勉

    田中(勉)政府委員 昨年度と申しますと、四十二年度でございますね。二千四百十五億の一般会計からの繰り入れであります。
  186. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで伺いたいのでありますが、国内米のコストにつきまして、このコストの内容をなすものが相当な赤字の内容になるのじゃないかと思っておりますが、このうちで金利が相当かさむようでございます。たとえば普通四百億円の金利を払っていかれるということでありますので、このような膨大な金利を払っていくということになりますと、これはとても今後の赤字の解消なんて及びもつかぬことでございますが、これにつきまして何か対策はお持ちであるかどうか、これをまず伺っておきたいのです。
  187. 田中勉

    田中(勉)政府委員 金利の問題につきましては、四百四十億程度と見込んでおるわけであります。金利の節減につきましては、金融事情等の事情がございますけれども、国庫余裕金の利用の増加をはかることによりまして、極力金利のコストを引き下げるように努力をいたしてまいりたいと思います。
  188. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただしかし、国庫余裕金とおっしゃいますけれども、私らの調べたところによりますと、国庫はこの四十三年の五月一日にはゼロになっております。そういうところで余裕金を対象にたしまして、金利のかからない金を求めようというようなことは、これは不可能であります。別の角度から食管会計は赤字解消の努力を必要とするのではないであろうか。たとえば国内米だけをとってみましても、あなたのほうでは、資料によりますと、去年四十二年度で集荷経費がトン当たり二千三百七十六円、トン当たり運賃が千六百七十六円、保管料が二千四百十六円、事務費が三千三百二十四円、金利が四千百七十九円というようにトン当たりの諸経費が要っております。したがいまして中間経費というものにつきまして相当考え方を改めていくという面に努力する必要があるのではないだろうか、こういうふうにも考えられるのですが、これはいかがでしょうね。
  189. 田中勉

    田中(勉)政府委員 いま御指摘ございましたように、食管の中間経費としては集荷経費なり運賃なり保管料なりあるいは事務費、金利というものがあるわけでございます。食糧を扱っていきます関係上、集荷経費にいたしましても運賃あるいは保管料にしても、当然にそういう経費がかかるわけでございます。しかしながら現実問題としては、これらの食管を管理いたしておりますあるいは保管料の問題にいたしましても運送賃の問題にいたしましても、これらにつきましては現業遂行上、極力経済的な、また節減できる面も考えているわけでございます。一例をとって申し上げますならば、運送賃の問題につきましては、特に最短距離輸送方式、すなわちLP計算による運送方法考えておりますし、保管料等の問題につきましては、これは消費地あるいは農村、いろいろ保管場所の相違によります保管金額の差というものがあるわけでございますので、極力保管料のところにこれを保管するというようなことも考えていかなければならぬと思います。それからこの項目の中には出ておりませんけれども外国食糧等の問題につきましては、外国から買いましたものを従来ならば相当量袋詰めをして国内の売却操作に載せているわけでございますが、最近の国際的な運輸関係あるいは港湾整備等の関係からいたしまして、海外からバラ積みで持ってまいりますもの等につきましては、極力国内におきましてもそういう包装容器を使わないケースを推進いたしておりまして、これによる相当な節減も可能となるわけでございます。また国内の米等におきましても、現在産地におきまして、そう大きな規模のものではございませんけれども、バラ保管のためのサイロ等も建設を見ているわけでございますので、これらの建設を見ております段階におきましては、これに次ぐところの運送なりまた保管の形態なり、消費地においての米屋に対する売却というような面につきましても、極力バラ一貫体制というようなことによりまして中間の諸経費を節減してまいりたい、こういうことに考えているわけでございます。
  190. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵大臣に伺いたいのでございますが、食管会計の赤字につきましては、これは申し上げるまでもなく昨年来からとみに財政硬直の一原因と指摘せられ、もしくはこれが対策等につきまして論議が花のように多く行なわれておるようでございます。そこで現状からいたしますと、早期に何らかの根本的な改善を見る必要があるのでないであろうか。もちろん農家の立場もあります。消費者の立場もあります。同時は全体の財政経済の立場もございます。そこで、二千数百億円の赤字を去年もことしも出しておるということになると、このまま推移いたしまして赤字が解消され、財政負担が軽くなる見通しはどうも立ちにくいのではないであろうか。そこで間接統制に移行すべしというような議論がいろいろと行なわれているようでございます。その議論の内容はさておきまして、大蔵大臣といたしまして、予備費使用管理の角度から、権限をお持ちになるあなたのお立場から見ても、また一国財政の主管庁の大臣のあなたとしても、またいまの財政硬直打開の重大な国策に当面しておる現在の時点からいたしましても、食管会計の赤字問題に対しましてはどういう面からどういう対策を打っていくべきであるかということを、アウトラインでけっこうでございますから、きょうは詳細なことを伺うつもりはございませんが、大体大臣のお考え方をひとつ明らかにしておきたいと思うのです。いかがなものでございましょうか。
  191. 水田三喜男

    水田国務大臣 私個人としてはいろいろ考えもございますが、これはきわめて重要な問題でございますので、いま大蔵省としましては財政制度調査会に一部を設けまして、食管制度のあり方の検討を諮問しておりまして、本年度末までには答申を大体もらえるという予定でございます。いま検討しているときでございますので、財政当局としては一応ここらの答申を見て、それからいろいろ意見をきめたいというふうに考えております。しかし個人としまして見ますと、私は戦後最初のときから国会におりますので、食管制度の変わり方についても最初から全部知っております。知っておりますからまたいろいろなことが言おうと思えば言えるのでございますが、この制度を社会保障制度として利用するかしないかということがまず一つの問題だろうと思います。国民の所得水準が上がってエンゲル係数の問題も大きく改善されるというときになったら、食管制度を生活に困る人の社会保障の機関として利用するかどうかというものについてのまず根本的な考え方からいろいろ整理してかからなければいけないのじゃないかというようなことも考えておりまして、こういうことも財政制度調査会の検討の一つの問題としていただこうということを考えておるのでございますが、いろいろな角度からこの問題は考えなければいけない時期に私は来ていると思います。
  192. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 朝野とも、あるいは学者その他の経験者あるいは団体、いろんな角度から相当な具体的提案が出ているようですね。たとえば間接統制の移行論というものも相当詳細なものが出ているようでございますが、いずれにいたしましても、八月というともう二、三カ月でありますが、八月には予算が顔を出してきます。来年度予算に何か相当盛り込んでいくということにならぬと、またことしや来年の年末に財政制度審議会から何か答申があってそれを土台にしてというのでは少しおかしいのではないか。やはり少しはこの辺で大臣から相当——結論でなくてよろしゅうございますから、いまの段階でも方向くらい明らかにしておいていただくほうが、これは財政と関係ない制度じゃありませんので、最大の問題をこの中に内包しておると思いまするから、少しこのあたりで大臣の御意見、個人の御意見でも何でもいいですが、何かずっとあってしかるべきではないだろうか。何もかも財政制度審議会におんぶしていくという印象を与えるのもおもしろくありませんし、議論もずいぶん行なわれておりますししますので、この辺で根本的な改善の方向くらいはあってしかるべきではないかと思うのですがどうでしょうか。
  193. 水田三喜男

    水田国務大臣 私のいま申しましたことは、すぐに来年度食管制度の改革を行なえるという意味ではございませんで、もう少し長期的な意味の検討を願っておるのでございますが、さしあたり今後の問題としましては、今年度予算編成のときの話し合いとしましては、農林省が新米価のあり方を中心にして米価審議会に相談する、そうしてそこでことしの米価をきめると同時に、この食管制度の合理化についても検討してもらうということが、ことしの予算編成のときの農林省との話し合いでございまして、そこで何らか合理的な結論を出してもらえるということを前提として、それを期待して二千四百十五億円という金額を今年度は食管制度に繰り入れるという措置をしたわけでございます。したがって今年度、来年度という合理化の一歩を踏み出すことは、いま政府としては米価審議会に非常に期待しているところでございます。
  194. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 米価審議会におきまして慎重な検討、各方面の意見を集約いたしましたところで結論を出すということはしごく望ましいのでありますけれども、それはそれといたしましてこれは相当考える余地がほかにあるんじゃないだろうかとも思うのですが、それでは食糧庁に伺いますが、あなたのほうの庁内で食管会計の運営改善について特別の委員会を設けて検討しておるらしいのですね。これは何か相当結論を出しておるのですか。どういう方向で何を重点に検討しておるのでしょうか。結論はまだないでしょうが、ちょっとそこを明らかにしておいてもらいたい。
  195. 田中勉

    田中(勉)政府委員 ただいまお尋ねございました食糧庁内部における食管特別会計の運営の合理化委員会という御質問でございましたが、この発足の趣旨は、私ども庁内におきまして食糧管理制度を運営していく場合におきまして、現実の幾多の業務関係の仕事が予算関係に伴って非常に出てきているわけであります。各部にわたり、あるいは各課にわたっておりますこれらの一連の仕事を、庁内で便宜そういう特別委員会というものを設けまして、これを一つ一つ掘り下げて、そこに合理化の方向を見出せるならばその方向に進めてまいりたいと思っておりますし、現実問題として大きな方向というよりは、現実の食糧庁内部におきまして相当多岐にわたって分散されております仕事を総合的に、むしろ全体として合理化の方向からこれをながめていくというような、そこに何らかの方向づけをするというようなことをやっているわけでございまして、現在の段階におきましては逐次そういう具体的なところから入っていって、相当な基本的なものにまで将来いければその方向に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  196. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣、われわれの知ったところによりますと、四十二年度の国内買い入れ米がこの間六十万トンぐらいありましたね。四十三年度には二百五十万トンになるらしいのですね。そうすると二百五十万トンというと、国民の年間消費量の四分の一に該当するらしいのですね。というようなものが依然としてさきの中間経費の一部として膨大な経費を食っていくことになるのですが、まことにやむを得ざることかもしれませんけれども、同時にまたいろいろな角度からいたしますと、何らかここに打つ手の余地があるのではないか、何か方法があるのではないだろうかとしろうとながら考えられるのです、これが一つ。  いま一つは、食糧証券金利五分八厘も出しまして、年間四百億円も金利を払って、そして一兆円以上も借金を持って、最低が三千七、八百億円らしいのですが、ともかくそういうような元来の資本金も持たない食管会計、そういうような状態で、その面から見てもやはり持つべき資金、持つべき資本金というものに何かもう少し国の財政的見地から方法はないものであろうか。このような膨大な借金をして赤字累積、赤字累積になっていく。それで五分八厘の金利を使っていかなければならぬところの大きな金を操作して、二兆四千億円の資金操作をやっておる。四百億円以上の金利を払っておりますというのでは、これはどこから考えましてもまさにもう破産ですね。それは会計自体が破産ですよ。会計は、それはだれも損する人はないかもしれませんけれども、特別会計というものはそれなりに一つの品位もなければならぬ。破れ世帯でどないでもなれということで、何ぼでも赤字の出しっぱなし、借りっぱなし、こういう状態ではいけません。ですからたとえば私が先に指摘いたしました国内米だけのコスト内容をなすところの諸経費等々からいたしましても、トン当たり四十一年度は一万一千六百二円、四十二年度はトン当たり一万三千九百七十円、こういうようなことになっております。ですからいまのようなこの状態から見まして、資金面から何かの手がないものであろうか。もっとも現状は大蔵省の日銀余裕金も乏しいらしいのです。しかし最低三百億円もあればいいようでございますが、余裕金でというわけにいきますまいけれども、何か国の財政的な見地から、これは考える手はないものであろうか。これはまた別の機会に詳しく伺うことにしたいと思いますけれども、この機会に予備費を爼上に乗せておるときでありますので、大臣何かこの辺は打開の対策ありや。なければなるまい。もしくは、また何か検討する段階に来ているのではないであろうか。こういうように考えられるのですが、その二点について伺っておきます。
  197. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、結局この食管制度の果たしている機能の問題をどう再検討するかという問題にすべてがかかっておると思います。戦前の食糧統制から戦後の食糧管理のこの特別会計の果たしてきた機能というものは、いまの機能とはだいぶ変わっております。この制度が、機能が変わってきて、新たに生活保障というような機能までこの制度に持たせるかどうか、これによって私はこの改善の方法も変わってくると思いますので、単に金融のやりくりをどうするとか産米の買い入れをどうするとかいう問題でなくて、食管会計については、もう一ぺん食管会計の果たすべき機能というものを中心に再検討をする必要がある。これによって根本的な対策もできるでありましょうし、いろいろ今後食管会計に何を機能させるかという問題がきまってきて、それに伴っていろいろな改善もできるというふうに考えております。いまのままでいって、政府の買い入れのほうが高くて消費者への配給のほうが安い、末端の逆ざや現象というようなものをさらにどんどん将来拡大していくような形でこの食管制度の維持ということは現実にはもうできないところへきておりますので、問題はやはり食管制度の機能の問題から再検討する必要が私はあろうと思います。
  198. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと文部省に伺っておきたいのですが、この災害対策につきまして、これはしょっちゅううたわれまして、さっきも華山君が超過負担の問題に触れておりましたですから、私はそこへ触れることはよします。同様の問題を思っておりますのですけれども、よしまして、これに関連いたしまして、日本の小中学校の物的施設ならずして人的施設のほうの問題であります。物的施設につきましても、これは超過負担の解消ということをすみやかにせなければならぬことはもう当然でありますが、人的の問題につきまして、教職員の性別の問題であります。私はこの点は興味を持って見ておるのでありますが、日本では女子教員というものが比較的少ないのですね。ソ連のごときは断然多いのですね。ソ連のごときは、初等学校におきましては女子教員は一九五五年には八三%一、六二年には八七%、中等学校におきましては五五年には六七%二、六二年には七〇%一、日本では一九六四年初等では四八・〇%、中等では一二%六、一九六七年には初等では四九%一、中等では一九%四というように非常に少ないのであります。これは女性が何か向かないというのでありますか、希望者が少ないというのであるか、あるいは男女に何か優劣があるのであるというのか、あるいは給与等に差があるというのであるか、適当にあらずというのかどうか。アメリカあるいはイギリス、西ドイツ、フランス等を比較いたしてみましても、比較的近いのは西ドイツ、しかしその他はいずれも日本は女性が少ない、こういうことでありますが、女性が初等教育なんかには場合によっては非常に適当であり、これは一人当たりの児童数さえ制限いたしましたら非常に適当だという見方もあるのですが、この点についてひとつ何か御意見を伺っておきたいと思うのですが……。
  199. 天城勲

    ○天城政府委員 御指摘のように現在日本の初等教育におきます女子職員は大体四八%ほどでございますが、戦後の様子を見ますと、終戦直後は約五〇%くらいございました。これはたいへん教員の需給関係の不自然なときだったと思いますが、三十四年ごろまでむしろ減ってまいりまして、それ以後ふえてきておるのがこの二十年の状況でございます。したがいまして、三十四年以降の傾向が大体普通の傾向として考えられるのじゃないか。その意味では日本も女子教員がだんだんふえてきておる、こういうふうに見ていいのじゃないかと思います。  男子教員、女子教員に何か差があるかという問題でございますが、御案内のように制度上、免許、給与の上からもあるいは身分、扱い全く平等でございます。もちろん男子、女子もそれぞれの優劣があるのでございますけれども、最近は教頭とか校長とかの管理職への女子職員の進出も出てまいってきておるわけでございまして、本質的には優劣の問題はちょっと言えないと思います。むしろいまの教員養成大学の学生の男女の比率から見ましても、最近は優秀な女子学生が教員養成学校にどんどん進出してきております。教職が高等教育を受けた女子にたいへん向く仕事だという実態のほうが強く出ておるのではないか、こういうふうに思います。
  200. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうはこれで終わります。
  201. 大石武一

  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵大臣も時間がおありでありますので、大蔵大臣に早いところ質問をしていきたいと思います。  私は、去る四月二十二日の外務省の所管のときにはもっぱら移住事業のことについてだけ質問させていただきました。また他の同僚議員によって経済協力及び技術協力の一部が質問されましたが、私としては、この重要な経済協力という問題についてこの程度の政府説明においてはどうも納得できないものがあるわけであります。そこで、幸いにしてただいま昭和四十二年度の前期の予備費使用にあたりインドネシア共和国経済協力に必要な経費及び総理のたびたびの東南アジア及び大洋州諸国訪問についての国費支出についての報告がありますので、これを基点にして技術協力を中心にした経済協力について御質問をいたしたいと思います。  大蔵省主計局編として出されておりますところの「昭和四十一年度決算の説明」によりますと、経済協力費として支出されておる金は、通産省所管のものが七億七千六百余万円、外務省所管のものが六十九億八千四百余万円、大蔵省所管のものが百八十八億六千余万円で、計二百八十八億七千六百余万円となっております。この中で大蔵省所管のものが海外経済協力基金への出資金とアジア開発銀行への出資金でありますから、これを除いた外務、通産の分が大体いわゆる技術協力に当たるものと思われるのでありますが、そうすると、この金額は締めて七十八億円前後となります。御承知のとおり、わが国は、国際社会の義務として国民所得の一%を低開発国の援助に回すことに話をしてきめております。これを過去の実績によって見ますと、一九六二年には二億八千七百六十万ドル、経済援助実績に対する国民所得の比が〇・六二%です。一九六三年には二億六千七百三十万ドルで〇・五一%、一九六四年には二億八千九百八十万ドルで〇・四八%、一九六五年には四億八千五百五十万ドルで〇・七一%、一九六六年には五億三千八百八十万ドルで〇・六九%というふうになっておりますが、必ずしも一%には達していない、これはいかなる事情であるか、概略御説明願いたいと思います。
  203. 奥村輝之

    奥村説明員 先ほど御指摘の国民所得の一%云々というのは、UNCTADの話における目標額であると思います。これは先般行なわれましたUNCTADの会議においては、国民総生産の一%を一応目標にするという話が出ておるわけであります。しかし、この数字は期限のないものでございます。しかも援助国には一人当たりの国民所得が高い国もございます。また低い国もございます。援助の絶対量の多い国もございます、また絶対量の少ない国もある。したがって、各国が一律に一定の目標を頭に置いて進められるものではないということを私どもも関係の会議において発言いたしまして、議長の報告においてもその発言が採択せられておるという状態であります。要は日本の国力に応じてこの援助額はいかにあるべきであるかということであります。現在の日本の財政、金融あるいは国際収支の特況から見まして、現在到達しておる。パーセンテージというものは——日本援助の絶対量は非常に多いわけであります。その意味では私どもは適当な線ではないかと考えております。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここで問題になるのは、五億ドルをこすこの援助がはたしてどういう内容のものであるかということであります。その大部分は海外投資であり、借款であり、そして延べ払いによる輸出であって、さらにわが国の場合は当然の義務である賠償金であります。これから見てもわかるように、経済協力は量もさることながら質のほうに問題があるのではないかと思うのであります。すなわち、賠償は幾ら金額が多くても、受け取る側からするならば、ただいただくべきものをいただいておるというのであって、賠償が経済援助だとは思っていないのであります。また借款や延べ払い輸出も広い意味からすれば援助には違いないが、しかし、ただでいただいておるのではありません。利子も払い、将来お返しをしなければならないものでもあるし、しかも日本の場合は金利も非常に高いわけであります。返済期限も非常に短い。日本の場合においては金利が五分で通常十五年の借款外国では三分以下で二十年以上、二十五年、長いものでは四十年もあるわけであります。この金利条件の違いについてどのように考えておられるか、その事情と今後の方向についてお願いをします。
  205. 奥村輝之

    奥村説明員 先ほども説明申し上げましたように、日本の対外援助条件というものは、これは日本援助の額と数量というものと関係があるわけであります。非常にわずかな量しか援助しなければ、これは贈与で全部出しても済む場合がございます。しかし、かなりの額を出していくということになりますと、これは全体としては、やはりその国の金融事情、財政事情によって制約せられるところが大きいわけであります。  いま御指摘のあった、各国が非常に安くて、日本が高いではないかという点でございますが、これは、私どもは国際的な援助会議におきまして、日本の賠償問題その他技術援助の問題等の贈与の問題、それから借款の問題あるいは民間の長期の延べ払い輸出の問題、こういうことを説明いたしまして、国際的には、日本の現状としては認められた条件であるのではないかというふうに私ども考えておるわけであります。また国によって非常に状況が違いまして、古い植民地に対して相当の割合の援助を出している国もございます。そういうものが統計的には同じように出てくるわけであります。いかなるプロジェクト援助するか、相手国はいかなる状態にあるかというふうなこととも非常に密接な関係があるわけでございまして、一がいにこの条件の問題を議論することは、私はできないと思います。  しかし、今後の方向でございますけれども、これはやはり日本の国力に応じて——後進国の経済発展を通じて日本の国力も伸びていくわけでございます。世界経済の繁栄を通じて日本が伸びるほかないわけであります。そういう意味で、国力の伸長に応じて、条件問題も量の問題も漸進的にお説のような方向へ持っていくということが必要ではなかろうかと思います。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、むしろ海外技術協力の政府の姿勢に問題があるのではないかと思うのです。長期的視野に立った経済協力が開発途上国の安定と繁栄に資し、これがひいては世界経済全体の安定的な拡大と平和の達成につながることは、もはや今日の常識であります。しかも、昨年ラスク国務長官がモントリオールで演説したときのことばでありますけれども、兵器をつくればつくるだけ平和になるという考えはもう誤りだ、平和の根本は低開発国を発展させ、貧乏をなくすることである、そのように述べているわけであります。アジアに対する平和という問題に対しては、私は、日本が大きな一つの貢献をすべき今後の姿勢でなくてはならないと思うわけでありますけれども、このように高い金利、そして短い期限ということについて、大蔵大臣として、今後どのように具体的にこの問題に取り組んでいかれるかについてお伺いいたします。
  207. 水田三喜男

    水田国務大臣 確かにいまおっしゃられましたように、貧乏が世界平和の敵であるという考えから、世界の先進国は、世界の繁栄のためには低開発国の援助をすることがお互いの義務であるという考え方で、いま開発途上国の援助を義務としてやるという国際協力の体制ができておるのでありますが、そこで一番問題になることは、そういう国際協力と国内の体制との整備の問題であろうと思います。  昨年、国際会議へ私どもは出て、総会で申しましたが、これから一番必要なのは、いわゆる先進国が他国の援助について、自国の国民をどう納得させるか、これについての努力を払うことが当面の義務である。同時に、被援助国はその援助を有効に使う、そのための受け入れ態勢を整備することがやはり一つの義務であるという話を、日本の代表は世界に向かってしたわけでございますが、私どもがいま各国援助をやるというときに一番むずかしいと思っている壁の問題は、外国に対して三分の低利で援助をするのに、国内においては、中小企業の問題にしましても政府関係機関の安いところで八分二厘という金利水準を持っている。そういう問題をどう考えるかということになりますと、まだまだ日本としては国内政策として体系立てるべき問題がたくさん残っているというときに、対外関係からこういういろいろな援助条件を持ち込んでくるということについては、当然いろいろな摩擦がございますので、この摩擦をなくするために、国内にもこの対外援助の意味を十分理解してもらうということをしないと、対外援助というといかにも簡単なようでございますが、実際にはむずかしい問題でございますので、今後私どもはこういう意味におきまして、われわれの義務が単に自分の国をよくするということじゃなくて、開発途上国をいかに援助するかということがわれわれの新しい義務であるということを国民に十分納得してもらう。そのためには、よく国会でもいろいろ批判を受けましたが、やはり対外援助については国会のいろいろな審議を十分待ち、各党の御意見も聞いてやるということが必要であり、これが国民に理解を得てもらう一番いい道だと思います。  今回のたとえばインドネシアの問題におきましてもいろいろ私どもは言われましたが、そうじゃなくて、やはり予算範囲内においてわれわれができるだけの援助をするということで、国会がまだ法案をきめていない、予算が通っていないという間に政府がかってにこういうことを裏できめるというようなことはやはりいけない。国会の審議を待って、そうして予算が通ってから堂々と国民の了解を得て対外援助の額もきめるというようなことをすべきであるというふうに私ども考えて、今後の対外援助についてはできるだけ条件の緩和もはかりますが、同時に、それは国内体制との調和を逐次とりながらやっていくというような方針で今後臨みたいと私は考えております。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日本から援助してもらうということは確かにありがたいことには違いないが、それかといって、あまり恩に着せてもらいたくない、また、日本はとにかくわれわれから比べると持てる国だから、われわれを救済し、指導し、発展させてくれるべきではないか、こういう気持ちが東南アジア諸国の偽らない気持ちではないかと思うわけであります。  そこで、経済援助の根本精神とか、また過去における援助の効果だとかいうものについては、ある程度同僚議員が質問をされましたので、時間の都合もありますので、この点は省略することにいたしまして、今後ますます重要性を加えてくるものと思われるところの技術協力に限って二、三質問をいたしたいと思います。  さきに四十一年度決算の数字のところで申し上げましたように、四十一年度の海外援助は五億三千万ドル、すなわち千九百億円に対し、その技術援助と思われるものは七十八億円でありますから四%強ということになります。諸外国ではその比率が二〇%から三〇%ということであるから、わが国の技術援助は比率からしても全く低い。この点先進国としての日本が低開発国に対して技術援助にもっと力を入れるべきではないか、このように思うわけでありますが、その点について伺います。
  209. 上田常光

    上田(常)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおり、経済協力の中で、特に技術協力の分野はわれわれ日本人といたしましては後進国に対して最もやりいい立場にありますし、また比較的費用が少なくて、しかも非常に効果のあがる分野だと思っておりますので、この技術協力の分野でもっともっと日本経済協力を強化しなければいかぬということはかねて思っておりますし、またそうしようと思って努力しておる次第でございます。ただ、 いま先生がおっしゃいましたように、残念ながら、いままでのところ特にほかの先進諸国と比べましてわが国経済援助の中で占める技術協力の量は非常に少のうございます。この点は私どももよく存じておりますので、今後とも特にこの技術協力の分野でもっと日本援助を強化していかなければならぬと思っております。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま言われたわけでありますけれども、要するに、わが国においてはわずかに四%強、諸外国においてはその比率が二〇%から三〇%というそういう技術協力の線が出ているわけであります。日本が今日までそのようにして技術協力に対して非常にしやすい条件にありながらできなかった、阻害されておったという理由については、どういう点ですか。
  211. 上田常光

    上田(常)政府委員 これは全般的にそうでございますが、特にわが国にとりましては、経済援助という分野は、実はこれは比較的新しい分野でございまして、しかも、日本にとりましては、これはむしろ賠償という形で発生的には起こった。これに対しまして、たとえばフランスですとかほかの国を見てみますと、先ほど大蔵省の方から御説明がありましたように、いろいろ昔の植民地に対する関係というのが西欧諸国にございました。そういう歴史的な点から考えましても、西欧諸国のほうはいわばつながりが深い。日本の場合は、歴史も浅いし、特に資金的には賠償というような形で、そういう資金負担を負わされて発生したというようなこともあって、いままで日本の技術援助の占める比率というものは残念ながら低かったんじゃないかと思います。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 きょうは実は海外技術協力事業団の理事長にも来ていただこうと思ったわけでありますけれども予備費の関係でこれはまた後日に譲るということにいたしまして、外務省のほうには外務省のほうとしての観点から次のことについてお答え願いたいと思います。  まず第一は、海外技術協力事業団の概要の業務のところに出ております研修員の受け入れ事業についてであります。すなわち、受け入れ計画別に見ますと、コロンボ計画によるものがトップで、以下相手国政府によるものがこれに次いでおります。また、これを業種別に見ますと、農林水産業が三分の一を占め、あと軽工業、教育、行政一般、建設、郵政関係が多く見られますが、こういう技術習得の成果が帰国後どういうふうに活用され、その国の経済発展に貢献しているか。たとえば農業にしても日本は集約的水田耕作が主体で、機械化と肥料、農薬物の大量の投下がささえとなっておるのでありますが、南方各国のほうは、同じ水田稲作にしても全く異なった粗放式のものだと聞いております。日本の農業技術がこれら研修員によって自国でどう活用されているか、これをお聞かせ願いたいのであります。
  213. 上田常光

    上田(常)政府委員 これは技術協力のみならず、全般的に経済協力の効果の問題でございます。特に技術協力につきましては、昨年度すでに私どもいわば追跡調査といたしまして、日本で研修を受けて帰りました者にそれぞれアンケートを出しまして、そういう研修員が帰国後どういうところでどういうようなポストについているかというのを調べたのでございます。その結果を概略申し上げますと、大体比較的満足すべき地位にあると考えております。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、あなたがいまそういうふうに言われましたので、あとでその追跡調査に関するところの報告の資料を提出していただきたいと思います。  それで、同様のことが言えると思うのですけれども、軽工業とか重工業、建設その他についても、日本で半年か一年、貴重な国費を使って習得したことが先方の発展に役立っているならまだしも、あなたの言うように満足をしたという状態でないと私は聞いているのですが、その点についていかがでしょうか。あなたと私とはちょっと考え方が違うわけです。あなたの言うのは、非常に満足した状況だというけれども、私のいろいろの見方、そして私のほうの党員からもいろいろな情報が入っております。私のほうの党員もかなりそういうところに行っておりますので、そういうところからのいろいろな情報が入っておりますし、一つ問題を見ても、インドネシアの問題でもうまくいっていないとか、黒い霧の話や、賠償でやった建物もちょうどにいっているものは実際にはないというようないろいろな問題がある。あなたが満足をしているというふうに言われたわけですけれども、その点についてさらに詳しい状況をお知らせ願いたいわけです。
  215. 上田常光

    上田(常)政府委員 ただいまの私の御説明、若干説明が不十分で、あるいは誤解を招いたかと存じます。私が申し上げましたのは、人の技術協力について先ほど申し上げたのでありまして、つまり、研修員と申しますか、相手国政府の要望に基づいて日本政府で受け入れて、日本政府の費用で研修してあげた、そういう方々が帰ってからどういうところに働いているかという点について申し上げたのであります。  あとの、先生のいまお話がございました、たとえばインドネシアのビスマヌサンタラのような建物のいろいろな問題になりますと、これは人の問題じゃなくて、賠償を担保にしてつくった建物でございます。こういうぐあいに、日本経済協力全般について申しますと、それは確かに先生御指摘のとおり、必ずしも全部が当初の希望どおりに、もしくは当初予期したようにいっていないことは確かでございます。ただ、その場合も、これは多少言いわけがましくなるのでございますが、ある場合にはわれわれとしてはいかんともなしがたいような理由によって予定のとおりに事が運ばなかったという点もございます。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどあなたが言われた追跡調査の件について、私の知り得たところによりますと、概してわが国の技術協力というものは総花的で散発的で徹底をしていないというふうに私は聞いておるわけであります。それというのも、これまでに各委員から指摘されたように、技術協力そのものに対する理念、基本方針というようなものが確立されておらず、その目的がはっきりされていないというところに原因があるのではないかと思うのですが、その点についてもう少し詳しい説明を願いたい。
  217. 上田常光

    上田(常)政府委員 確かに技術協力だけに限って見ましても御指摘のようなことが言えるかと思います。と申しますのは、比較的やはり各国にいわば総花的にばらまかれておる。これは実はけさほど外務大臣からもお答え申し上げましたように、いわば日本があまりに期待され過ぎている結果なのでございまして、あまりに要請が多過ぎるものでございます。しかも、予算的に申しますと、そのすべての要請に応じられない、そこでどうしても外交的考慮その他を考えまして、つい総花的な印象を与えるような結果になったのでございます。しかし、これは決して望ましい姿とは存じておりません。なるべくもっと日本としてもそれぞれの国もしくは地域別に一つの方針を立てまして、その方針に沿っていわば計画的に今後の経済協力、特にこの技術協力ができるように持っていきたいと考えておる次第でございますけれども、いままでの結果を見ますと、確かに御指摘のような点があることはいなめないと思います。これは今後直していきたいと考えております。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次にお尋ねしたいことは専門家の派遣についてであります。  コロンボ計画、中近東アフリカ計画などによって相手国の技術指導にわが国から専門家を派遣しておられますが、これについても技術指導の成果を受け入れ国はどう活用しているか。わが国の技術が相手国の産業に根をおろして、経済の発展にはたしてどの程度役立っているのか。もし役立っておるとするならばこれにこしたことはないけれども、これまた必ずしもそうでないようにも聞いております。実情は正直のところどのような状態になっておりますかお伺いいたします。
  219. 上田常光

    上田(常)政府委員 お答え申し上げます。  これも詳しくいま個々の国について申し上げる資料を手元に持たないのでございますけれども、大体においていままで相手から頼まれて日本から出しました専門家はみな喜ばれているのだと私は承知しております。中で一番問題になりますのはむしろことばの点だと思います。内容的にと申しますか、技術的もしくは知識を非常にお持ちで適当な専門家がおられましても、必ずしも相手国のことばがよくおできになるというわけではない。そこで相手の国に行った場合に多少ことばの点で不自由があるということはございまして、それがしいていうと一般に専門家派遣の一つの大きな障害と申しますか、問題なんでございますけれども、そういう点で、あるいは相手の国の期待するほどのことはなかったという点があるかもしれませんが、それ以外は大体はいままでのところ受け入れ国のほうからも喜ばれておりますし、また中にはもっといてほしいといわれている例も聞き及んでおります。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまあなたが言われたその中に、相手国のほうでいてもらいたい、そういうふうな要望も強いいわゆる専門家の派遣について、あるいは優秀な専門家、そういうものについての派遣は、待遇とかそういうものについて、私は非常に問題があるのではないかと思うのです。派遣中の報酬はもちろんのこと、もとの職場への復職とか、派遣期間中の原職場での昇進などについて十分なる考慮が払われているかどうかという問題があると思いますが、その点いかがでしょうか。
  221. 上田常光

    上田(常)政府委員 まさにその点が実は今後特に専門家の派遣を進めます上に一番問題の点でございます。たとえばお医者さんをとってみましても、相手国からぜひ派遣してほしいという要請がございましても、ほんとうに行っていただける先生がはたして見つかるかどうかということが事業団と申しますか、技術協力をやっていきます上に一番問題でございます。なぜかと申しますと、それは現在の待遇と申しますよりも、一番問題になりますのは将来の身分保障と申しますか、帰ってきたときにどうなるかという問題でございます。現在相手国に出ております限りにおいては、大体コロンボプランできまっております待遇を与えて出しておるのでございますけれども、これは多少問題がございますけれども、そうたいした問題はないと思います。一番問題はやはり帰ってからのことです。身分の保障がないままに出ていってしまうので、どうもそういう専門家としておいで願いたいとお願いしましても、お受けいただけない例もあります。この点につきましては、今後われわれとしては行く行くは一つの技術者のプールといいますか、あるいは身分保障制度をもう少し拡張していきたいと思っております。この意味で、この四十三年度予算に初めて、若干ではございますけれども、先生方の御審議をいただきまして、派遣者の身分を保障するような予算がつきました。これは今後この方向に向かって一歩を進めたものだと思っております。将来はこういうラインに沿ってもっとこれを強化拡充して、専門家が安心して国外に出、また帰ってきたときも、あるいはせっかく外国で身につけられた指導に関する知識をまたほかの地域で生かしていかれるように、プール制と申しますか、何かそういったような制度をもっと組織的に強化拡大していきたいと考えております。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに待遇においてもそのようなことは言えると思います。大体最高が五百ドルぐらい、十八万円ですね。それから外交官相当の八割ぐらいの待遇しかしてないのが実情ではないかと思うのですね。そこで、実は低開発国においては技術員が長期にいてもらいたいという要望が強いわけでありますが、身分保障がはっきりしないので長期滞在ができない状態ではないかということも言えるし、私の聞いたところによりますと、向こうから帰ってきた人の話では、地位もいすもなくなってしまうから長期に滞在なんて思いも寄らないというのが真実の声だと思うのです。その点について、さらに強い御決意の改善策をお聞かせ願いたい。
  223. 上田常光

    上田(常)政府委員 費用につきましては、確かに先生おっしゃいました最高五百ドルぐらい、そんなものでございます。ただ、そのほかに住宅費とかあるいは交通費等を相手国側で負担するというような話し合いになっておるところが多いのでございます。それは別といたしまして、特に身分の点につきましては、今後私どもといたしましてもいま御指摘の線に沿いまして強力に実現いたしますよう努力いたすつもりでございます。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 海外技術協力の問題については、研修員の受け入れにしても、専門家の派遣にしても実にちりぢりばらばらというような感じを受けるわけであります。技術と資金が分離して一貫した援助計画が立っておらず、申し込み順にお引き受けするといったやり方をしているように思われますが、大体先方自身の経済建設の計画なり国土開発計画といったものをどの程度研究して援助をされておるか、最後にお尋ねしたいと思います。
  225. 上田常光

    上田(常)政府委員 われわれといたしましても、開発いたしますときに、初めのフィージビリティー調査に人を頼まれて出すわけであります。そういう場合も、その調査をした結果がなるべく行く行くは日本の役に立つような、いろいろな形がございましょうけれども、何かそこに資金的な面とも関連性ができるように持っていくように努力いたしておるわけでございます。いろいろ相手国の五カ年計画その他、その地方地方の開発計画が国によって違いますが、ございます。われわれといたしましても、頼まれました場合でも、ただすぐ行くのではなくて、よく相手国政府からその全般の五カ年計画ないしはその地方の開発計画を聞きまして、その上で、わずかの予算なんでございますから、最も将来日本にとってもわが国益に合致すると思われるようなプロジェクトをなるべく選択して、そして調査団も出すように努力しておる次第でございます。
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まだいろいろお伺いしたい問題もたくさんありますけれども予備費との関連でもありますし、時間の都合もあることでもありますので、本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、経済技術協力についてはこれで終わったというのではありません。今後十分に関心を持ち、質疑の機会を持ちたいと思いますので、いまあなたが言われたように、海外技術協力の問題については非常に不十分なところが多々論議の中にもあるわけでありますから、その点を十分に考えられて具体策を講じていただきたいことを要望して、質疑を終わります。
  227. 大石武一

    大石委員長 次回は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十五分散会