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1968-03-22 第58回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十二日(金曜日)     午後六時五分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 小泉 純也君    理事 田中 榮一君 理事 野田 武夫君    理事 福家 俊一君 理事 曽祢  益君       青木 正久君    世耕 政隆君       渡海元三郎君   橋本登美三郎君       松田竹千代君    毛利 松平君       山口 敏夫君    山田 久就君       伊藤惣助丸君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         外務政務次官  藏内 修治君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君  委員外出席者         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         専  門  員 吉田 賢吉君     ――――――――――――― 三月十五日  委員毛利松平辞任につき、その補欠として松  野頼三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松野頼三君辞任につき、その補欠として毛  利松平君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  渡部一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員福田篤泰君、渡部一郎辞任につき、その  補欠として渡海元三郎君、伊藤惣助丸君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員渡海元三郎辞任につき、その補欠として  福田篤泰君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約  の締結について承認を求めるの件(条約第一一  号) 同月十五日  在日朝鮮人帰国に関する請願井岡大治君紹  介)(第二六四九号)  同(木原実紹介)(第二六五〇号)  同(広沢賢一紹介)(第二六五一号)  同(古川喜一紹介)(第二六五二号)  同(石田宥全君紹介)(第二六七〇号)  同(井岡大治紹介)(第二六九三号)  同(石田宥全君紹介)(第二六九四号)  同(木原実紹介)(第二六九五号)  同(木原実紹介)(第二七九〇号) 同月二十二日  在日朝鮮人帰国に関する請願小林信一君紹  介)(第二九三六号)  同(川上貫一紹介)(第二九六三号)  同(本島百合子紹介)(第二九六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十一日  在日朝鮮人帰国に関する陳情書  (第一五七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公海に関する条約締結について承認を求める  の件(条約第六号)  領海及び接続水域に関する条約締結について  承認を求めるの件(条約第七号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  公海に関する条約締結について承認を求めるの件、領海及び接続水域に関する条約締結について承認を求めるの件、以上両件を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。曽祢益君。
  3. 曾禰益

    曽祢委員 私、先般の当委員会におきまして、これはまだこの領海及び接続水域に関する条約審議の際ではなかったのですけれども、一般国際状勢に関する質問の中で、この条約に触れております。いわゆる領海における外国軍艦無害通航権の問題と、日米安全保障条約に基づく事前通告問題等に関連して御質問いたしました。また、そのあとで、前委員会において、同僚戸叶委員から、この条約審議の際に、同じ問題をとらえての御質問がございました。  これらの質問の中で、たとえばポラリス潜水艦領海通過する問題について、当初、予算委員会等における総理大臣並びに外務大臣答弁の中には、領海における無害通航権というものをあまりに幅広く考え過ぎておって、特に、ここには速記録を持ってきておりませんが、あるときの質問に対する総理大臣答弁のごときは、何か国際法というものがぴしっとあって、これは変えられない原則で、領海通過権だけはどうにもしようがないんだ、したがって、アメリカポラリスであろうが、ソ連中共ポラリスであろうが、これは無害通航権を認めなければならぬととられるような御答弁であったと思うのです。これは私の常識的な考え方からいって、どうもおかしい。領海無害通航権というものは、それほど確立した、かつ無制限的なものではないはずである。公海自由の原則に伴う一つ慣習としてこの条約承認されて、成文法としてのあれになれば別でありますけれども、従来の慣行から見れば、それほど無制限領海通航権——平時といえども外国軍艦、しかもその軍艦たるや、おそらく従来の国際法が予想しておらなかったような沿岸国の平和と安全に至大な関係のある、マイナス意味もありますが、とにかく核ミサイルを積んだポラリスが来るというときに、従来の国際法領海無害通航権軍艦にも許すということで無制限に許してしまうということになるならば、これは事重大であるという見地から、そういうふうな無制限解釈をすべきでないと思う。この条約案文について見ても、一方においては、軍艦を含めての船舶に対する無害通航はある程度条件によっては認めなければならぬといっておりますが、同時に、他の条項では、やはり無害通航権が決して無制限でないということもいっている。こういう点を指摘しながら、私は、ここから先は確かに軍艦であっても平時ならば無害通航権として大体認められてしかるべきと思われるのは、ほとんど領海国際通路になっておって、どうしてもそこを通らなければならないというようなときには、一がいに軍艦だから、危険だからというようなことで通航を禁止するのは、どうも国際法の少なくとも慣習法に反するのではないか、その程度であって、あまり行き過ぎた無害通航権を認めると、これは日米安保条約事前協議権の問題ではなくて、どの国に対しても、ソ連ポラリス潜水艦あるいは中共も持つかもしれないポラリス潜水艦についても、同様に、わが国領海をそうしょっちゅう通過権があるから無制限に通っていいということになるならば、これは事重大である。つまり、安保条約適用の問題の前に、無害通航権というものを、軍艦、特にポラリス潜水艦のごときものについて、もっとよほど制限的に考えていくべきでなかろうかという見解を述べたつもりです。それに対して、大体従来の、やや私に言わせれば無害通航権拡大解釈におちいりはしないかという心配をなくすような外務大臣の御答弁があったように思います。またさらに、戸叶委員の同じ点についての質問に対しては——ある国のように、この問題についてはむしろ許可権拒否権日本が持ったらどうかということに対して、それは、この条約成立過程における日本代表部の行動あるいは日本が明治以来とってきた一般的な原則が、非常にそういうところは自由主義的というか、公海領海無害通航についてはかなり自由に考えておった経緯等から見て、それは行き過ぎだ、しかし、事前通告の点ならば考えてもいいという外務大臣のお話があった。  長くなって非常に恐縮でございますが、そういう経緯の上に立って、さらに私はきょう御質問したいと思うのは、まず第一に、無害通航権に関する国際法学者のいろいろな説があって、それは、無害通航権をほとんど権利として認めたらいいじゃないか、軍艦についてもそうだというほうと、軍艦等については無害通航権権利としてはないのだというふうに、かなり国により学者により意見が違います。しかし、大体ここら辺が常識の線ではなかろうかと思われるのは、お互いによく知っているオッペンハイム議論ではないかと思うのです。このオッペンハイム議論あたりが大体いいのではないか。  このことはどういうことかというと、次のように言うことが安全であろう。第一に、通航無害に、危険なく行なわれるならば、これは平時において拒否されないという慣習ができ上がっているということである。第二に国際交通要路の一部を形成している領海においては、軍艦通航は拒否することができぬという国際法上の慣習となっている。つまり、ここではっきり分けておると思うのですね。少なくともオッペンハイムは、第二の、国際交通要路の一部を形成している領海においては軍艦通航は拒否することができないというのは、これは国際法上の慣習になっている。成文法がないから当然です。これは国際通路にあたっておる領海の場合には無害通航権慣習法だ。ところが、そうでない、国際通路でない場合には、通航がイノフェンシブ、無害に危険なく行なわれるならば、これは平時においては拒否されない慣習ができておる。当然に向こう無害通航権——権じゃない、これは慣習にすぎない。これは沿岸国制限しあるいは場合によっては拒否することができるのだが、向こう通航権を与えるのではなくて、しかし、慣習としては、平時だったら、そういうときには権利があるのだが、通航をとめない慣習が成立する、私は、この程度解釈するのが、第一、これは核ミサイルなんかのある前の話でも、このくらいの制限解釈国際法常識だと私は思うのです。したがって、どうも、政府全体のこの問題に対するあるいは今度の条約案に対する態度が、この間の戸叶委員質問に対する返事もありましたけれども、会議の表決において、軍艦に対する許可権については反対だ。投票したら、通告に対しては賛成ですか。まあとにかく、私はもう少し——日本海洋国だから、領海の問題あるいは接続水域の問題、大陸だなの問題等について、ややもすれば、ことに新興国中南米諸国なんかがわが国船舶航行漁業等制限を加えてくるほうが多いので、そういう立場から、なるべく領海については無害通航権もついでに主張しておいたほうがいいという考えで従来こられたと思うのです。それはそのとおり。しかし、いまわが国の政治問題になっておるような、また、これからの核ミサイルを持っておる軍艦、特にそれがポラリス型のきわめて戦略的な核兵器を搭載している、しかも常時搭載しているような外国軍艦領海通航ということになれば、私は、この条約に認められているわが国の平和と安全等見地からも、核ミサイルだけは、これは通告どころか許可制にして、拒否する権利があるのだというくらいの解釈のほうが、むしろ正しいと思うのです。それはどうなんですか。この間の戸叶委員に対する御答弁事前通告制は事前通告制は、これはほとんど通告だけで通っていいということになると思うのです。それよりも、もう少し私は根本から考えて、もっとこれはわが国がコントロールできるのだというふうに解釈するほうが正しいと思うのです。その点についての御意見をまず承りたいと思います。
  4. 高島益郎

    高島説明員 初めに条約の御説明を簡単にさせていただきます。  ただいま先生が御指摘になりましたオッペンハイムの説でございますが、これは、御指摘のとおり、国際間におきまして、この条約を採択する以前に国際間に行なわれておりました慣行を整理したものでございまして、海洋法会議におきましても、そのような前提に立ってこの条約ができた次第でありますので、ただいまのオッペンハイム指摘した学説と、その条約において採択されている国際慣行とは、決して矛盾するものではございません。したがって私どもといたしましても、ただいま先生の御指摘になったオッペンハイム学説の内容は、大体この条約の中に具現されているというふうに考えます。  特に、先生の御指摘国際航行に使用される海峡無害通航でございますが、これははっきり明文化されておりまして、一般的に第十六条の中に、「外国船舶無害通航は、公海の一部分と公海の他の部分又は外国領海との間における国際航行に使用される海峡においては、停止してはならない。」これは一般船舶についての無害通航ではございますけれども、軍艦につきましても大体こう考えるということが明文で定められたわけであります。  なお、第二十三条の関係におきましては、この前の会議で御説明いたしましたとおり、従来の慣行を成文化しようと努力をしたわけでありますけれども、この前御説明したとおりの経過によりまして、これが否決されました。しかし、私ども、否決されましたからといって、そのような慣行がここに完全に否決されたものとは考えておりません。やはり大多数の国によって支持された慣行が、この条約採択会議で否決されたにもかかわらずやはり存在している。したがって、特に通告の問題については、大多数の国が支持しているわけでございますので、そういう意味で、成文化されませんでしたけれども、慣行としては存在しているというふうに考えております。したがって、通告制度をこの条約が書いていないからといって、そういう制度をとってはならないという立場はわれわれはとっておらない次第であります。
  5. 曾禰益

    曽祢委員 私はもう一歩基本に触れているわけです。むろん、これは十六条の何項かにあるように、外国船舶、これは軍艦を含めて、国際通路の場合には許すのはあたりまえだと思うのです。しかし、それ以外については……。それから、事前通告制度をしこうと思えば、この条約で禁止されてない、それはそのとおり。しかし、もう少し考えたほうがいいのではないか。やはり核ミサイルを積んでいる軍艦、しかもそれは常時積んでいるポラリスのような場合には、これはわが国の平和と安全上大きな問題です。したがって、そういうものについては、これは通告制でなくて、われわれの平和と安全に関係があるので、それについては許可がいる。ただし、それが国際通路の場合には、これは条約並びにこの条約の十六条からいっても、従来の慣行からいっても、これは認めるというふうな態度がとれないのか。私はとったほうがいいのではないかと思う。そのことによって、たとえば日本同盟国といいますか、安全保障条約を結んでいるアメリカの場合でも、事実上それが非常な支障を来たすのではない。何となれば、この条約が予想しているような公海から領海を通って内水の港に来るとか、港から領海を通って公海に出るなんというようなことは予想していないので、ポラリスの立ち寄りは認めないというたてまえになっているわけですから、あくまで領海を突っ切る、通過するというときばかりなんですから、事実上、それは、わが国安保条約事前協議制であるかないかの問題よりも、日本領海上を通過するのに、かってに無制限に平和と安全に関係のあるような危険なものが通航権があるというほうがおかしいのであって、事前協議の対象というよりも、日本としてはこれは当然に条件をつけ、あるいは場合によって拒否できる、ただし、国際通路は別だ、こういう解釈をしていくほうが正しいのじゃないか。これは一つ政策論に関連しておることですが、私は、そこまでお考えになるのがいいのではないか。また、そうなると、この条約適用上もしどうしてもできないというなら、これは共産主義諸国がほとんど全部署名の際に権利を留保しておりますが、必ずしも同じ案文でなくともいいですよ、核ミサイル等の場合には、これはわが国としてはいわゆるわが国許可が要るものとするというようなことを、これは異例かもしれないけれども、私は、条約の批准にあたって、これがかりに国会意思ならば、その国会意思に基づいて留保するということがあってもしかるべきじゃないか。しかし、そういうややこしいことをしないで、この条約をすなおに解釈して、核ミサイルまで平和と安全に関係ないから無害通航権をそう一般的に認めるという必要はどこにあるか、私はないのじゃないかと思う。当然に平和と安全に関係があるから、これは無害通航権ではない、ただし、国際通路だけは別だ、この解釈がこの条約からすでに出てくるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 先般、いま御指摘のように、戸叶議員質問に答えて、事前通告制ということに検討を加えるということを言ったわけです。したがって、沿岸国、この場合日本でありますが、無害、安全、秩序という、これを厳格に解釈したらいい。これが有害であるというときには、もし事前通告制であるときには拒否する場合もある、そういうふうなことで、たてまえとして全部許可ですか、そういう原則はとろうとは考えていないわけであります。日本がそういう一つ領海通過が非常に有害であるというふうに考えられた場合は、これは拒否することは当然である。だから、あの沿岸国の安全、秩序無害ということに対しては、この解釈というものを厳格にする。だから、一切のものを許可という制度にはしない、こういうことでこれの条約の運用をやりたいと私は考えておる次第でございます。
  7. 曾禰益

    曽祢委員 私は、全般的に許可制にしろと言っていないのですよ。ただ、通告制ということは、通告した場合に許可しないということはちょっとおかしい。だから、普通は通告制国際通路以外のところは通告制、ただし、通告制であるけれども、少なくとも各ミサイルを常時装備しているような船は、これは無条件には許さぬ、それをぴしっとしておかないと、ある軍艦の場合には危険だとかなんとかいう認定は困難であるし、ある国とある国とを——これは安全保障条約日本国内における基地の問題ならいいですよ。これは当然に、同盟国と同盟しない国、つまり、アメリカの場合と中ソの場合は違ってくるけれども、領海通航権について、アメリカポラリスミサイルだけは平和と安全にマイナスじゃないのだから入れてやろう、ソ連中共の場合には平和と安全にマイナスだから拒否する、そういう取り扱いは、私は実際問題としてできないと思う。ですから、一般的の事前通告制でもいいかもしれないけれども、事前通告制というのは、単なる手続だけじゃない、事前通告制をしいておいて、一般的な許可制はとらぬけれども、しかし、この平和と安全上危険だと思う場合には——私は、常時核ミサイルを持っているポラリスはこれに該当すると思いますけれども、これはさらに御検討の上で、この次の機会見解を表明されてけっこうですから、もう一ぺん、通告制を考慮してみようという以上に、核ミサイルを常時装備しているような軍艦の場合には、これは平和と安全上から、われわれはこれを許可しない場合があるというぐらいなことで、ぴしっとやってもらったほうがいいのじゃないか。これはこの次の御返事でもけっこうですから、御研究を願いたい。  それから、もう一つ申し上げたいのは、これも私が言ったのですけれども、それならば、実際は、日本の場合に具体的に考えて、ほんとうに国際通路に現在なっており、今後ともしょっちゅう国際通路になりそうな、しかも領海を通らなければ通航できない場所が現実にあるかというと、これは私は非常に少ないと思うのですが、その点は外務省のほうでは御研究になっているか。具体的にそういう国際通路に当たり、しかも領海の場合があるかどうか、それをちょっと事務当局からでいいですからお答え願いたい。
  8. 高島益郎

    高島説明員 私のほうで検討しました結果、九州五島列島の東端のほうにございます平島と江の島の中間の水路は、そういう航路に使われているそうでございます。
  9. 曾禰益

    曽祢委員 私も、これは実際海上保安庁のほうに聞いたのですから、種あかしをしてもいいのですけれども、大体日本の場合には、一番大きな日本海と太平洋との通路に当たる三大海峡、つまり、対馬海峡宗谷海峡津軽海峡、これはいずれも狭いようであるけれども、両岸からはかって三海里以上あるわけですね。したがって、つまり、まん中の水道は公海なんですよ。だから、そこまでは公海を通るのだから、日本領海通航ではない。無害通航権の問題を起こさない一番大きなところは日本海、こういうことですね。そうすると、一体どこがあるかと思うと、私の調べたところでは、一つは、いまお話しのように、これはあまりしょっちゅう通らないところらしいけれども、大体大洋州ですね、オーストラリア、ニュージーランドあるいはニューギニアとか、そっちの方面から真南から来る、いわゆる東南アジアではなくて、真南から来る船が、大隅海峡から九州の西海岸を通って、そうして五島列島と平戸との間を通過して日本海に入る場合がある。数は少ないけれど、これは一種の国際航路みたいになっている。この場合と、もう一つは、これは日本領土権に非常に関連する問題であるけれども、北の納沙布岬水晶島との間、これはわれわれの見解によれば、どっちも日本領海に入ると思うけれども、水晶島はわれわれは少なくともソ連領土だと思っておりませんが、これはいずれにしても、これはソ連であろうが日本であろうが、どうしてもここだけは、納沙布岬水晶島との間は、これは領海を通らなければ通航できないらしいのです。まあほかにも地図の上で考えればあり得るけれども一現実にいま外国船日本船が使っている日本に関連する国際航路で、その領海を通らなければいけないというのはこういう例であって、現実には、ちょっと考えれば、対馬海峡宗谷海峡津軽海峡は全然そんな問題を起こさないのですよ。だとすると、何か国際通路になっている海峡等においては、いわゆるポラリス潜水艦を含めて、外国軍艦を含めての無害通航権があるといってみても、そのことは、いってみると、いかにもそういうケースが多いように思うけれども、現実にはそれを適用する場合は非常に少ないのだ。これはあまり起こらないのですよ。この点を踏まえていかないと……。したがって、国際通路なら許すというけれども、その国際通路になっている領海で絶対に通らなければならないところはほとんどないのだ。なればこそ、原則的には、ポラリスみたいなのが日本に来る、日本領海に入る、日本領海通過するということは、事実上必要のないことなんで、そうアメリカ同盟国だから気を使わなければならないとか、国際交通上、核兵器を積んでいる軍艦といえども無害通航権を認めなければいかぬという場合は、ほとんど起こらないということが事実において証明されるのじゃないですか。その点はどうお考えでしょう。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 たてまえとしていろいろ先般申し上げたので、実際問題としてはほとんど起こらぬと思います。ただ、まあ国会論議というものは、非常に希有の例でもたてまえ論として非常に論議を呼びますから答えたので、実際問題としてはほとんどもう起こらない、それは曽祢君の言われるとおりだと私も思っています。
  11. 曾禰益

    曽祢委員 それではこの次の機会に、いま申し上げた通告制と、それから領海通過ポラリスあるいは核ミサイル搭載外国軍艦の場合の点についてもう一ぺん質問をし、その際に外務大臣政府答弁をもう一ぺん求めます。  これで私は留保して本日の質問を終わります。      ————◇—————
  12. 秋田大助

    秋田委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
  13. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は東京都の北区にある米軍野戦病院について質問いたします。  去る三月十八日、突然午前九時ごろ、米軍病院側から、ハードフィルト大尉という方から電話がありまして、病院の開設を通告してきました。まず、この点について大臣は御存じだったでしょうか、お答え願います。
  14. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのような通告があったと承知しております。
  15. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 外務省にございましたか。
  16. 東郷文彦

    東郷政府委員 外務省にございました。
  17. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 このことについては、付近住民をはじめ、北区議会においても再三抗議を行なってきたわけであります。たとえば昭和四十年あるいは四十一年、二年、区議会において与野党が一致し、意見書をつくり、防衛施設庁等にもその意見書を提出した、このようにも伺っておりますが、施設庁においてはこのようなことがあったでしょうか。
  18. 東郷文彦

    東郷政府委員 北区からのいまお話しのような陳情は外務省にも参っております。施設庁その他にも行っておるものと了解しております。
  19. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 四十一年ごろ地元から陳情が参っておりますのは、キャンプ王子が現在あまり使用されておらないから、ぜひ返還してほしいという陳情があったことは記憶しております。
  20. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この病院の開設にあたっては、非常に大きな問題がございます。  その一つは、現在ベトナムで行なわれております戦争において傷ついた人たちが横田にまず来るわけです。その横田から今度はヘリコプターで直接にこの北区の野戦病院に来る。現にヘリポートもでき上がっているわけであります。そこで、問題になりますことは、その基地使用にあたってのいろんな問題であります。これは一つはそのヘリコプターの爆音であります。普通のヘリコプターと違いまして、バートル107というのは、両方にございまして非常に音が大きいわけです。  この付近一帯は文化地帯にもなっておりまして、現在では大学、高等学校、中学校、多くの学校が付近に存在するわけであります。  そこでまた、この病院に入った場合にはどのようなことができるのかという質問に対し、病院側にいる米軍人は、ベトナムから来た場合にその病院からの外出は自由である、しかも朝の九時から夜十時までは自由だ、さらに日本人の出入りも自由である、このようにいわれているわけであります。そういうことを大臣は御存じでしょうか。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 この王子の陸軍病院、これが住民に対していろんな波紋を描いておることはわれわれも承知しております。この問題は、昭和三十九年の旧行政協定の時代からアメリカの施設として提供したわけであります。アメリカの施設としては向こうがこの病院をつくるということは、新安保においても引き継がれておりますから可能であります。しかし、われわれの注目をすることは、王子というところが郊外ではないわけですから、非常に関心を政府としても持たざるを得ない。それで、昨日、二十一日に厚生省の公衆衛生局長と向こうの医療部隊の司令官とが会談いたしまして、一つは、野戦病院ではない、やはり総合的な陸軍病院、したがって、ベトナムから直接に王子に運ぶものではない、やっぱり野戦病院とかあるいは中間病院を経て王子に来るわけで、直接ベトナムから運ぶものではない、ことに日本の住民の人たちが心配しておった伝染病に対する防疫については、これは地元の厚生省の防疫担当官、地元の保健所長、これと王子陸軍病院長が防疫対策については協議をする、伝染病に対しては十分な注意を払う、そしていろんな防疫上の諸問題については、今後も引き続いて緊密な連絡をとるというような話し合いができたわけでございます。そして両方が確認して、こういう点では、いわゆる伝染病というものを中心とする防疫の諸問題については細心の注意を払う。  また、もう一つ騒音という問題、これもやはり、文教地区においてはあまり騒音というものも困るでしょうから、これは今後できるだけの善処を要望したいと思っております。  それから、外出が自由であるという風紀上の諸問題についても、厳重な風紀上の諸問題を起こさない注意をアメリカにいたす所存であります。  そういうことで、この王子の陸軍病院というものの開設に伴って、付近の住民に対するいろいろな点で迷惑をかけることを、これをできるだけ最小限度にするために、われわれとしてもできるだけのことをする所存でございます。そして、そういういま心配されておるようなことが現実の問題として起こらないような努力をいたす覚悟でございます。
  22. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この施設については、かつて北区議会において、肢体不自由者コロニーという施設をつくりたい、こういう一つの計画のもとに、防衛庁に申し入れをしたことがあるそうであります。以来、そのことを主張し、また申し入れを続けてきたけれども、現状になってしまったということについて、区議会議長をはじめ区長も、非常にその点については嘆いておりました。  そこで、ただいまベトナムからは直接来ない、こういうお話がございましたが、病人というのは時間をかければまずいわけで、確かに、ベトナムから横田に入り、横田から来れば、直接ではないかもしれません。しかし、ただ乗り継ぎだけでは、やはり直接とほとんど変わらない状況ではないかと思います。そこで、それではベトナムの兵隊さんは来ないのかという疑問がわいてくるわけであります。その点について、付近住民たちも、ベトナムから来るに違いない。もし来るとすれば、非常に検疫等について心配である。いままで何回かあの施設の中に入ってみたけれども、あの中には十分な衛生設備がない。たとえば汚物にしても汚水にしても——汚物であれば焼けばいいのですけれども、汚水処理等については施設はない。そうなれば、当然そういったものを北区の川とか下水に送るだろう。こういうときには、ペストだとかコレラだとかチフスとかいう問題が出てくる。たとえアメリカが検疫をしてきたといっても、そういう中にこういう心配がある、このようなことも言っているわけです。その点についてもう一回伺いたいと思います。
  23. 三木武夫

    三木国務大臣 伝染病については、ペストなどはあそこへそういう患者を運ばないように話は聞いておりますが、しかし、伝染病棟もつくらないということですから……。しかし、伝染病というものがいろんな設備が不完全なために住民に非常な不安を与えるということに対しては、アメリカ側とも十分に話して、その不安を取り除くために万全の処置を講じたいと考えております。
  24. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう一つ、いま伺いましたが、ベトナムからの兵隊のことでございます。
  25. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、ベトナムで傷ついた兵隊が王子病院に来ないという意味ではありません。ベトナムから直接王子の陸軍病院に運ぶことはしない、やはり野戦病院とかあるいはその他の中間病院を経て王子病院に来ることはあり得る。だから、そういう意味で間接で、もとはその傷ついたのがどこかといって、そういうふうに探してみれば、ベトナムから来る負傷兵もおる。しかし、直接には来ないということでございます。
  26. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、ここで先ほど北米局長から通告があったという話を聞いて、実は驚いたわけでございますが、地元においては毎日のようにハチの巣をつついたような騒ぎをやっておるわけであります。もしほんとうに政府通告がきておったならば、当然、政府は、それらの住民たちに対して、いわゆるたいへんな騒ぎをやっているわけですから、乗り込んでいって、こういう通告があった、しかし、あなた方が考えるような心配はない、このくらいの思いやりのある態度をとるべきではなかったか、私はこのように思うわけです。その点について……。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 今後は住民の人たちに不必要な——不必要なといいますか、非常な不安を与えるようなことのないように、政府としてもできるだけのことをいたすことにいたします。
  28. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 次に、この野戦病院、陸軍病院でございますか、ここにたとえばベトナムの兵隊さんが来た場合、その人たちの法的地位はどのようになるでしょうか。
  29. 東郷文彦

    東郷政府委員 地位協定第一条の定義によりまして、日本におります合衆国の軍人は、地位協定上の取り扱いを受けることになります。したがって、この王子の病院に患者として入ります合衆国の軍人は、地位協定上の軍人という取り扱いになります。
  30. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、いままでの政府解釈ですと、いかなる軍人、いかなる軍隊、または米軍といえども、日本に来れば在日米軍になる、こういう政府解釈がございますが、それでよろしゅうございますか。
  31. 東郷文彦

    東郷政府委員 合衆国の軍人でありまして、公務によりまたはその旅行命令書を持って来る軍人は、地位協定上の軍人になります。いまのようにけがをし、あるいは病気になって来る者も、さような旅行命令書を持って参るわけでございますので、これも地位協定上の軍人になります。
  32. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その地位協定上の軍人というとわからないのですが、たとえば第十三戦術空軍または第三空軍とかいう米軍日本に来た場合には、全部在日米軍の管轄のもとに在日米軍とみなす、こういう解釈がありますけれども、それとの関係はどうでしょうか。
  33. 東郷文彦

    東郷政府委員 ただいま地位協定上の軍人と申しましたのは、合衆国の軍人であって、日本においては地位協定で認めた地位を認める、こういう意味でございます。それにつきましては、必ずしも、アメリカのどの部隊に所属しているということは、いまの地位協定上の取り扱いを受ける条件にはなっておりません。
  34. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そこら辺がちょっと、地位協定による米軍——じゃ安保条約上ではどうなるのですか。
  35. 東郷文彦

    東郷政府委員 安保条約では、第六条におきまして、合衆国が日本の施設、区域を使うことができるということになっておりまして、それに基づいて、日本に参ります軍人の地位を規定しているのが地位協定の規定でございます。それで、日本に参ります合衆国の軍人というのは、安保条約の目的の範囲内で参るものでありまして、したがって、日本におる間は地位協定上の待遇、特権を得る、こういうことになります。
  36. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ですから、日本に兵隊さんが来た場合の法的地位は、在日米軍に所属しないということですか。
  37. 東郷文彦

    東郷政府委員 旧安保条約におきましては、日本に軍隊を配備することを認めた。したがって、そこで在日米軍という観念がはっきり出ておったわけでございますが、新条約におきましては、ただいま申し上げましたように、六条で日本の施設、区域を使うことができる。そこで、在日米軍という特定の観念は旧条約の場合のようには存在しないわけでございます。
  38. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それでは、私は若干考え方が違っていたわけでございますが、いまの説明によりますと、新安保条約によっては、在日米軍でなくても地位協定によって日本の施設、区域を使うことができる、こういう解釈になるわけでございますが、そうしますと、現在、在日米軍以外に、日本に駐留もしくは日本に拠点を持っている部隊または師団または航空隊、通信施設隊というものを教えていただきたいと思います。
  39. 東郷文彦

    東郷政府委員 ちょっといまの御質問の趣旨がよくわかりませんでしたけれども、先ほど申しましたように、安保条約六条によりまして、合衆国の軍隊は日本の施設、区域を安保条約の目的の範囲内で使うことができるということでございますので、旧条約のように日本に配備された軍隊という観念は新条約のもとではないわけでございます。
  40. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、たとえばこういうことが考えられるわけです。日本の施設、区域を米軍が地位協定によって使うことができる。そうなってきますと、たとえば在日米軍の管轄下にない、その指揮系統にないアメリカの戦術空軍、海軍、航空隊等が、実際に指揮系統が違うのが存在いたしますけれども、このようなところから直接に戦闘行動もしくはこの中における配置の変更または装備の変更等についてはどのような解釈をしておるわけですか。
  41. 東郷文彦

    東郷政府委員 安保条約第六条は、米軍日本の施設、区域を使うのは日本の安全及び極東の平和と安全に寄与するため、そういう目的の制限がございます。その範囲内で、いまおっしゃったようないわゆる作戦行動と申しますか、そういうことが行なわれます場合、すなわち、アメリカのほうでいまの配置における重大なる変更あるいは戦闘作戦行動をやろうというときには、事前協議をしなければならないというふうに安保条約の規定がなっておるわけでございます。
  42. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、私はそのような問題を考えてまいりますと、当然、外務省自体において、在日米軍以外に、どこに向こうのいま言った米軍が配属されているかということぐらいはお互いに頭になければ指摘できませんし、またいろんな問題があっても、何もこちらから随時協議または事前協議ができないのではないかと思うわけです。  そこで、進めますが、先ほど申し上げました在日米軍の管轄のほかにある空軍、海軍または陸軍という師団を教えてください。
  43. 東郷文彦

    東郷政府委員 安保条約第六条に基づきまして、どういう軍隊が現に日本におるかということは、われわれのほうあるいは防衛庁の間でも大体わかっておるわけでございます。また、第七艦隊の軍艦のように随時寄港する、こういう形のものもございます。いずれにいたしましても、旧条約においては、日本に配備することを認めるというところから、在日米軍という観念があったわけでございますが、新条約のもとでは、日本の安全及び極東の平和と安全のために施設、区域を使うことができるという規定になっておりまして、旧条約にいうような、これが在日米軍、これはそうではないという観念はないわけなんでございます。
  44. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私たちは、そういう政府考え方をきょう初めて、私は不勉強のせいか知りませんが、知ったわけでございます。そうなりますと、今度はいろんな問題が出てまいります。きょうは時間がございませんから、また別の機会に譲るといたしまして、いずれにしても、それらの傷病兵が病気がなおって再びベトナムに帰る、またベトナムから、なおったら帰れ、こういう指令を受けた場合には、戦闘作戦行動の協議の対象にならないかということであります。大臣、答えてください。
  45. 三木武夫

    三木国務大臣 それをいわゆる事前協議でいう戦闘作戦行動というふうにはわれわれは考えておりません。
  46. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それでは、そのように解釈するならまた解釈があるのだと思いますが、この際、もう一つ聞いておきたいのですが、これは政策、いわゆる政治的な解釈でなくして、法の解釈の上から将来のために伺っておきたいと思うのです。一つは、戦争のときには戦時国際法によって追跡権というのがございますね。たとえばベトナムにおいて民族解放戦線がカンボジアに行った、米軍は戦時国際法によって追跡する、こういって、カンボジアのシアヌーク元首は怒ったことがございます。最近ではイスラエルがヨルダンの国境を越えて向こうに行った。これも戦時国際法上違反ではない、このようにいわれているわけです。これをたとえばわが国において考えてみた場合、現在の北ベトナムまたは解放戦線においては、その力があるかないかは別として、日本から多くの補給物資が来ている、また帰休兵や傷病兵が日本の基地を利用しているということから、戦時国際法によって彼らは追跡する、さらにまた友好国から攻撃可能な兵器を持って日本を攻め込んだ場合、これは実際上ないかもしれません。しかし、法解釈の上からいった場合に、わが国安保条約第五条によって、日本の基地を攻められた場合には共同防衛する、こういう規定がございます。そういう解釈で正しいのでしょうか。
  47. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 戦時国際法上追跡権と申しますのは、権というはっきりした権利はございませんが、申しますれば戦争のことでございますから、追っかけてほかの国に入っていくということも当然あり得ると思います。それは追跡権と申しますのは、むしろ平時の観念でございまして、領海内で国内法、たとえば関税法だとか麻薬の問題だとかというものに違反した船を公海上まで追跡するという権利、これを追跡権と普通国際法で言っております。しかし、カンボジアあたりで追跡権と言っておりますが、あれは追跡していくということで、権利というようなものじゃないと思います。それで、一方、こちらのベトナムの問題に関係いたしますが、ベトナム戦争自身、われわれの考えでございますと、北からの浸透に対する一種の集団安全保障権の発動というふうに考えております。北の武力行使自体は不法なものだと考えておりますので、その不法な武力行使をまた日本にまで行なうということになりますれば、これは国際法上と申しますか、そういった権利としてもちろん考えられる問題でございませんし、当然侵略行為というふうに考えざるを得ないと思います。
  48. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 現実の運用面のことで、政策論ではないのです、私の言っているのは。純然たる法解釈の上に立って解釈した場合には、われわれから見れば、そのようなことが可能である、こう考えることができるわけですが法解釈と実際の政治論とはまた違うと思うのです。また、追跡権と申しましたけれども、追跡でもけっこうです。そう見た場合に、それが実際、法解釈の上からそのとおりでいいかということです。そのことについて率直に聞いておきたいと思うのです。
  49. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 先ほど申し上げましたように、北ベトナムの浸透自体が不法行為と考えられます。したがって、いいと申しますのはどういう——違法でないかという意味でございましたら、不法行為だと私は解釈しております。
  50. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これはあり得ないことだろうと思うのですが、しかし、たまたまベトナムにどこかの国あるいは北ベトナムの友好国が参戦することも考えられぬこともないと思うわけです。その場合に、私たちは、常に現在その後方基地にあるところの日本列島がそういう戦いに巻き込まれるのじゃないか。いま言ったような純然たる法解釈で言うならば、確かにわが国アメリカとの安保条約第五条によってそれを共同で防衛する、こういうことは規定にあるわけですよ。さらに現実の問題として、イスラエルでもあったし、またカンボジアにそういうことを米軍通告して騒ぎにもなったしということから、わが国においてもそういうようなことがもし起きた場合には、実際法律上は可能だ。その場合にいま違法行為だと言われたのがちょっとわからないのです。
  51. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 私は少しぼかしておりましたようでございますが、日本がその場合に自衛権の発動として武力行使をすることができるかどうかというお話でございますれば、日本に対する武力行使が行なわれた場合に、それに対して反撃することは適法だ、安保条約の五条でも予定しているところでございます。
  52. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 わかりました。時間がありませんから、この問題はこれでやめておきます。  さらに、先ほどの陸軍病院の件でございますが、これは大臣にお伺いをするわけですけれども、このようなことは開設以前から騒がれておったわけであります。住民の多くは、この問題を早く外務省で、それこそ第四条による随時協議、そして地位協定における第二十五条の合同委員会において早く討議していただきたかった、そしてまた、その中においてそういう住民の不安をなくするように配慮するのが政府のほんとうの行き方ではないか、このようにも言っている住民があるわけです。そのことについて最後に大臣から所見を伺って、終わりたいと思います。
  53. 三木武夫

    三木国務大臣 今後、住民のいろいろな不安がある、その不安を除去するために最善を尽くしたいと考えております。
  54. 秋田大助

    秋田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五分散会