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1968-03-21 第58回国会 衆議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年三月二十一日(木曜日) 午後一時四十九分
開議
出席委員
委員長
床次
徳二君
理事
上村千一郎
君
理事
小渕 恵三君
理事
本名 武君
理事
川崎
寛治
君
理事
美濃 政市君 北澤 直吉君
小坂善太郎
君 古屋 亨君
山口
敏夫
君 猪俣 浩三君 中谷 鉄也君 帆足 計君
伊藤惣
助丸君
出席国務大臣
郵 政 大 臣
小林
武治
君
出席政府委員
総理府特別地域
連絡局長
山野
幸吉君
郵政政務次官
高橋清一郎
君
委員外
の
出席者
総理府特別地域
連絡局監理渡航
課長
守谷
道夫
君
—————————————
三月二十一日
委員大村襄治
君及び
篠田弘作
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
山口敏夫
君及び
箕輪登
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員山口敏夫
君
辞任
につき、その
補欠
として大
村襄治
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
三月十九日
沖繩
における
テレビジョン放送
に必要な
設備
の
日本放送協会
による
設置
及び
無償
貸
付け
に関す る
法律案
(
内閣提出
第七七号)
沖繩県
における
公職選挙法
の適用の
暫定措置
に 関する
法律案
(
川崎寛治
君外九名
提出
、第五十 五回
国会衆法
第三一号)
沖繩
に対する
財政措置
その他の
援助
に関する臨
時措置法案
(
多賀谷真稔
君外七名
提出
、第五十 五回
国会衆法
第三三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
沖繩
における
テレビジョン放送
に必要な
設備
の
日本放送協会
による
設置
及び
無償
貸
付け
に関す る
法律案
(
内閣提出
第七七号)
沖繩
及び北方問題並びにその他の
固有領土
に関 する件 ————◇—————
床次徳二
1
○
床次委員長
これより
会議
を開きます。 去る十九日、本
委員会
に付託になりました
内閣提出
の
沖繩
における
テレビジョン放送
に必要な
設備
の
日本放送協会
による
設置
及び
無償
貸
付け
に関する
法律案
を
議題
とし、
政府
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
郵政大臣小林武治
君。
小林武治
2
○
小林国務大臣
ただいま
議題
となりました
沖繩
における
テレビジョン放送
に必要な
設備
の
日本放送協会
による
設置
及び
無償
貸
付け
に関する
法律案
の
提案理由
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
沖繩
における
テレビジョン放送
の
普及
を
援助
するため、
日本放送協会
が
沖繩島那覇地区
に
テレビジョン放送
に必要な
設備
を
設置
し、これを
沖繩放送協会
に
無償
で貸し
付け
ることがでまる道を開くこととしようとするものであります。
沖繩
におきましては、昨年制定された
放送法
に基づき、あまねく
沖繩全域
において受信できるよう
放送
を行なうことを使命とする
沖繩放送協会
が昨年十月に設立されております。 同
協会
におきましては、昨年
日本政府
が譲与いたしました
設備
により
先島地
区において
テレビジョン放送
を行なうとともに、その設立の趣旨に沿うよう、
目下沖繩島那覇
を
中心
とする
テレビジョン放送網
の
建設準備
を取り進めているところでありますが、
琉球政府
及び同
協会
におきましては、
那覇地区
に
開設
する
テレビジョン放送局
の
設置
について、
日本放送協会
の
援助
を得てこれが万全を期すべく、
日本政府
及び
日本放送協会
に
要請
を行なってまいりました。
日本放送協会
におきましては、従来から
沖繩
に対しまして番組の提供や
技術協力
を積極的に行なってきているところでありまして、今回の
沖繩側
の
要請
につきましても、これにこたえて
援助
を行なうことによりまして、
沖繩
における
テレビジョン放送
の
普及
をはかり、もって
沖繩
の
文化
の
向上
、さらには
本土
、
沖繩
の
一体化
の
促進
に寄与しようという
意向
を有しております。
政府
といたしましても、
日本放送協会
がこの
援助
を行ないますことはきわめて適切であると考えまして、日本政送
協会
が
放送法
に定められております
業務
のほかに、この
援助
を行なうことができますよう
法律
をもちまして
措置
する必要があると考えた次第であります。 以上がこの
法律案
を提案する
理由
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
床次徳二
3
○
床次委員長
これにて
本案
の
提案理由
の
説明
は終わりました。
本案
に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
床次徳二
4
○
床次委員長
次に、
沖繩
及び北方問題並びにその他の
固有領土
に関する件について
調査
を進めます。
総理府所管
、
沖繩財政援助費等
について、
政府当局
から
説明
を聴取いたします。
山野特別地域連絡局長
。
山野幸吉
5
○
山野政府委員
昭和
四十三
年度
の対
沖繩援助費
につきまして、その
策定
の
方針
及び
概要
を御
説明
いたします。 去る一月十一日開催されました
日米協議委員会
において合意された
昭和
四十三
年度
(一部、
昭和
四十四
年度
計上予定
のものを含む。)における
日本政府
の対
沖繩援助費総額
は、百五十三億七千余万円で、
一般会計分
百二十五億七千余万円、
財政投融資分
二十八億円であります。 今回の
日本政府
の対
沖繩援助費
に関する
日米
間の合意にあたりましては、両
政府
の
事務当局
間の緊密かつ、円滑な
事前協議
により
琉球政府
の
意向
を勘案しつつ
日本政府
の意志が十分反映されたものと考えております。また、
日本政府
の
明年度
の
財政事情
はきわめてきびしいものがあるにもかかわらず、前
年度
の百三億余円の
援助費
を大きく上回る額とされたのでありますが、これは佐藤、
ジョンソン会談
後の
本土
と
沖繩
の
一体化施策
を強力に進めるための当然の
措置
と考えるものであります。また、
明年度
の対
沖繩援助費
の
策定
に当たっては、
政府
として、あらかじめ
沖繩
の
民生福祉
の増進と
経済
の
発展
のために必要な効果的な
施策
につきまして真剣な
検討
を加えたことはもちろん、
琉球政府
及び
沖繩住民
の
要望
並びに昨年の当
委員会
の貴重な
現地視察報告等
に対し十分な考慮を払ったつもりであります。 今回の
援助費
の
重点施策
といたしましては、
教育文化
の
充実向上
、
社会保障
の
拡充
と
医療水準
の
向上
、
産業発達
のための
金融対策
、
産業基盤整備
の
促進
、
市町村財政
の
充実強化
をあげることができます。 その内容のおもなるものにつきまして逐次簡単に御
説明
いたします。 まず
国土保全
及び
開発関係
の
援助
といたしましては、
土地改良
、
農業施設
、
道路
、
港湾漁港
、
森林開発
、
治山治水
、護岸について前
年度
に引き続きそれらの
整備
を
促進
することとし、特に
那覇
、泊両港の
港湾機能
が限界に達している
現状
に対処して
那覇
市安謝に
那覇新港
の
建設
に着手することとし、また、
那覇
空港の
民間航空機用施設
の
拡充
、西表島の
林道開設
及び
沖繩本島
の
天然ガス
の
試掘調査
に必要な経費について
援助
を行なうこととしております。
社会福祉
及び
医療関係
の
援助
につきましては、
生活保護
に対する
援助
を従来の
生活扶助
に限らず、
教育
、
住宅
、
医療等
の
扶助
もすべて
援助対象
とし、
福祉年金
についても、従来の
老齢福祉年金
のほかに
障害福祉
、
母子福祉
の両
年金制度
を新たに発足し得るよう
援助
することとしております。また、
那覇
市に新
那覇病院
を、
規模
四百床三ヵ年
計画
で
建設
し、同
病院
を
琉球大学保健学部
の
教育病院
、
地域医療センター
、
医師
後
教育
の
機関
としての
機能
を十分果たし得るよう
整備
することとし、さらに、
那覇中央保健所
の
新設
及び
老人福祉施設
の
建設
を行なうほか、
身障者巡回相談事業
につきまして
援助
をすることといたしております。 次に、
沖繩
における
住宅事情
にかんがみ、従来に引き続き
公営住宅
の
建設戸数
を増加するとともに、来
年度
新たに
住宅建設
を
促進
するための
低利長期資金融資
の
方途
を講ずることといたしました。 これら
新規事業
とともに、前
年度
に引き続き、
児童福祉対策
、
医師
、
歯科医師
の派遣、
結核患者
の
本土収容
、
結核集団検診
、
ハンセン
氏病、精神病、
原爆被爆者対策等
を実施し、
沖繩
の
医療事情
の
改善
をはかってまいりたいと考えます。
文教関係
の
援助
におきましては、まず
教育
の
充実向上
をはかるため、来
年度
においては
義務教育
諸
学校
の
施設備品
の
整備
を一そう
促進
するとともに、新たに
琉球大学
に
医学研究
及び
医療公衆衛生要員
の養成のため
保健学部
を
新設
することとし、さらに来
年度
は
私立学校
に対する
助成
、
モデル幼稚園
の
建設
、青年の
家体育館
の
建設
を
援助
することといたしております。また、前
年度
に引き続き
教職員給与
の
半額援助
、
教科書無償給与
、
国費沖繩学生
の招致、
育英資金
の
充実
、
教育技術
の
研修等各般
にわたって
教育文化面
における
本土
との
一体化
を一段と推し進めることといたしております。
産業開発関係
及び
財政投融資関係
の
援助
におきましては、
農林漁業
及び
中小企業
に対する
金融
上の
援助
を、従来の
出資金
の
援助
のほかに新たに
長期低利
の
資金融通
の
方途
を講じ、さらに
沖繩
における
産業長期資金
の
逼迫状況
を緩和し
産業開発
を
促進
するための
資金
として
出資金
の
援助
と
長期低利
の
資金融通
の
方途
を講ずることといたしました。このうち
琉球政府
に対する
長期低利
の
資金融通
につきましては、別途
法律案
の御
審議
をお願いしたいと考えております。 このほか、
肉牛生産
を
中心
とする
畜産振興
、
沖繩経済発展
のための諸
施策
を総合的、継続的に研究するための
経済開発研究所
の
開設
、
糖業
の
振興
についても
増額助成
を行なうことといたしております。 次に、本
年度
においては、
沖繩
の
市町村
の
行政水準
を
向上
させるための
援助
を新たに行なうことといたしたいと存じます。 これらの
援助
のほか、
那覇市民センター
の
建設
、
海員学校
の
新設
、
警察学校
の
移転改築
の
援助
を行なうこととし、前
年度
からの
継続事業
でありますUHF、
電話回線
の
建設
、
裁判所庁舎
、
那覇
市
清掃施設
の
建設
を完成するための
援助
が含まれており、さらに
琉球政府
の
行政事務
及び
職員資質
の
改善
、
向上
のための
技術援助
、
気象業務
、灯台、
移住振興
、
南方同胞援護会
を通ずる
社会福祉関係
の
援助
についても前
年度
に引き続き
援助
を行なうことといたしております。 以上御
説明
いたしました
明年度
対
沖繩援助費総額
百五十三億七千余万円の
予算計上等
につきましては、
日本政府
と
琉球政府
との
会計年度
の
相違等
を考慮して、
昭和
四十三
年度
一般会計分
九十二億八千余万円、同
年度財政投融資計画分
二十億円
合計
百十二億八千余万円と
昭和
四十四
年度
一般会計計上予定分
三十二億九千余万円、同
年度財政投融資計画予定分
八億円、
合計
四十億九千余万円とにそれぞれ
区分計上
、または、予定いたしております。 なお、
昭和
四十三
年度
一般会計
の対
沖繩援助費
の
総額
はさきに申し述べた九十二億八千余万円に前
年度
分二十一億三千余万円を含めた百十四億一千余万円と相成っております。 以上をもちまして私の御
説明
にかえたいと存じます。
床次徳二
6
○
床次委員長
この際、去る一月十八日から二十七日まで
政府小笠原諸島調査団
の
団長
として
現地
に派遣された
守谷道夫
君から、
小笠原諸島
の
実情
について
説明
を聴取いたします。
説明員守谷道夫
君。
守谷道夫
7
○
守谷説明員
一月十八日から十日間
小笠原
に
調査
に行ってまいりました
調査団長
の
守谷
でございます。これから
小笠原
の
現況
につきまして
概要
の御
説明
を申し上げたいと思います。
小笠原諸島調査団
の日程は、一月十八日から十日間、二十七日まででございます。往復を約三日間とりまして、うち、
父島
に三日、
母島
に二日、
硫黄
島に一日と
調査
をしてまいりました。この
父島
、
母島
、
硫黄
島を
中心
にいたしました
理由
は、
小笠原諸島
と俗に申しますが、名前がついておりますのは二十七諸島でございます。そのうち
戦前
から
住民
がおりまして
生活
をしておりましたのは、
父島
、
母島
、
硫黄
島が
中心
でございます。それ以外は、わずかに北
硫黄
島に
少数住民
がいただけでございますので、
父島
、
母島
、
硫黄
島を
中心
にしたわけでございます。 この
調査
につきまして、
関係各省
及び東京都、十六省庁になりまして、
調査官全員
で二十六名でございます。なお、これに加えまして、旧
島民
の代表二名が参加いたしました。その結果の
概要
はこれから申し上げるとおりであります。 まず、
小笠原
の
一般的状況
について申し上げますと、
父島
、これは
地図
がございますので、
地図
を参照して御承知いただきたいと思います。
父島
の
大村
に、
米軍基地
を
中心
といたしました
公共施設
、
基幹道路
、
現地島民住宅
など、これらが一応
整備
されております。ところが、それ以外の
地区
−
戦前
はそれ以外の
地区
といいますと、扇村の
地区
が
中心
でございましたが、扇村の
地区
はすべて
ジャングル
の中に埋没しておるというのが
父島
の
現状
であります。
母島
は、全島すべて
山林原野
でございまして、旧
村落
、これは村が北村と沖村とございましたが、旧
村落
の
あと
はほとんど確認できないような
現状
にあります。
硫黄
島は、
米空軍
の飛行場及びコーストガードの
ロラン局
を
中心
にいたしまして、
滑走路
及び
基幹道路
はかなり
整備
されております。旧
村落
の
あと
は全くございません。
父島
の
大村地区
におります
現地住民
の
実情
につきましては、全
世帯
四十四
世帯
、
戸数
にして四十二戸でございます、それを
対象
に
アンケート調査
を実施しまして、この島に籍を有する者が二百十八名であります。
留学
、
就職等
の
離島者
四十四名、これは
留学
、
就職
、
米軍人
との
婚姻等
でございますが、それを除きまして、現在、
大村居住者
百七十四名であることが判明いたしました。 このほか、
住民
の
自治組織
、
公衆衛生
の
状況
、
教育
の
状況
、就業の
状況
から食糧及び
生活物資
の
需給状況等
につきましても
調査
を行ないまして、予期以上の実態が明らかになったものと思っておる次第であります。
住民
の最大の
関心事
は、
復帰
後に現在
使用
中の
土地
及び住居の問題、及び
教育制度
の切りかえに伴います問題、特に
日本語能力
が弱いということ、今後の
就労
に不安があるのではないかというよ——うなこと、
生活
の
収入
の問題この三つが主たる
関心事
であるというふうに考えられます。 現
島民
の
生活
は、どういうことで
生活
を行なっているかということを申し上げますと、主としまして
米軍
に
雇用
されることによって維持されているということであります。
米軍雇用者
は五十七名、そのうち
漁業
に従事している者十五名、これが
収入
の源泉になっておるわけであります。
復帰
後はこれらの
人たち
は
進出官公庁
への
雇用
であるとか、
漁業者
の
生活対策
、その他の
方策
を講ずる必要があると考えられますし、また、これらのことは、当面約二百名の
島民
につきまして考えていかなければならないことであろうかと思考されます。 現在の
公衆衛生状況
につきまして見ますと、
米軍
の管理は適切に行なわれておりまして、
住民
の
公衆衛生
に対する不安はほとんどないというふうに考えられます。 戸籍につきましては、過去二十三年の間に、出生、死亡、
婚姻等
につきまして未届けのものが
相当数
に上がっておりますが、これも
復帰
に伴い
措置
をする必要があろう、そのように考えております。 水及び電力につきましては、現在は
米軍
が非常な低料金で
供給
をしておりまして、何らの不安がないものと認められます。しかしながら、
本土
へ引き揚げた旧
島民
の帰島
規模
などを考慮しまして、今後十分技術的な
検討
を加えまして、
水源
であるとか電源であるとか、その他のキャパシティーについては
検討
を加える必要があるというふうに考えられます。 おもなる
産業
のうちの
農業
につきまして考察いたしますと、現在おります二百人については、
農業
と称するものはほとんど行なわれておりません。
戦前
は
農業
と
漁業
が主であったわけですが、
農業
については、
家庭菜園
の延長というような形で、一戸たった二十アールほど
耕作
をしておるのが
現状
であります。しかしながら、
父島
及び
母島
の
耕作適地
と考えられるものが約七百ヘクタール
程度
と推定されるのではないかというふうに考えられますので、これを開発いたしますと、
小笠原
の
気象的条件
、
地理的条件
に適した
野菜類
の
露地栽培
や
亜熱帯植物等
を
中心
にしました
農業開発
ということを進める
可能性
も考えられる模様でございます。しかしながら、
小笠原
の
農業
につきまして、
調査団
は、農作物、樹木についての病虫害による
汚染状況
を
調査
したのでございますが、この
汚染度
がかなりあるのではないかというふうに考察されます。この
駆除対策
、
コマーシャルベース
に乗り得る
適作作目
の
検討
、こういうことにつきましては、今後
農業開発
という面につきましてさらに精密な、専門的な
調査
を必要とするものであるというふうに考えられます。
漁業
につきましては、現在
カヌー漁業
を実施しております。これは十五戸でございまして、
カヌー
は二十一隻ございます。これによります
漁獲物
を
米軍
のあっせんでグアム島に輸出しております。月に四・五トンから五・四、五トン
程度
でございます。その
漁獲物
の収得に要します日は、月に一週間から十日
程度
の
就労日数
で済む
状況
にあります。したがいまして、魚族は相当あるのではないかということが考えられるわけでございまして、
米軍撤退
後は、
本土
への
漁獲物
の輸送、
本土
の
引き受け体制
の
整備
及び
現地
におきます
保管施設
であるとか、そういうことの解決の必要があるのではないかというふうに考えられます。これにつきましても、
現地
の、現在
漁業
に従事しております
漁民
は非常に心配しておりますので、こういったことについてもさらに専門的な
検討
が必要であるというふうに考えられます。
漁業資源
、これは将来養殖ということも含むと思いますが、及び
漁港
に関しまして、
専門官
が専門的な、技術的な
調査
をまず
現地
において一応行なった結果によりますと、先行き相当有望な点ということも考えられるということでございまして、今後さらに帰島いたします
島民
の中のいわゆる
漁民
の
規模等
を勘案いたしまして、
小笠原
の現在考えられます最も有望な
産業
として、
水産業
の
振興
の
方策
について十分な
検討
を必要とするものと考えるわけであります。 林業に関しましては、
山林
は荒廃にまかされておりますので、今後、
国土保全
、
水源
の涵養、防風、防潮の
対策
、これを含めまして、総合的に
対策
を考えることが必要と認められます。 いずれにいたしましても、
農林漁業関係
につきまして、今後さらに
専門家
による
調査
が必要であるということが認められます。
建設関係
では、
米軍施設
内の
道路
以外は
路面維持
に問題のある
道路
が多く、あるいはすべて
ジャングル
の中に埋没してしまっているということでございまして、
実地測量
を含めた今後の
調査
に期待することが多いわけであります。なお、
道路
あるいは
建設関係
につきまして、砂利であるとか砕石あるいは
木材等
の
建設資材
の
現地調達
ということが現在困難な点がいろいろ考えられまして、現在におきましては、ほとんど
島外
からの輸入に依存しているという
現状
であります。将来は
現地調達
の
可能性
も
調査
し、
島外
からの
補給方法
について
対策
を講ずる必要があります。
港湾
及び空港につきましては、
現況
及び将来の
利用可能性
について
調査
をしたわけでございます。引き揚げ旧
島民
の帰島
規模
、
復興
の
方針
、これらのかね合いも考慮して、総合的な
交通施設
、
交通機関
の
整備見通し
について、今後
専門的検討
を必要とするというふうに考えております。
無線通信施設
につきましては、現在全く
米側
に依存しております。
戦前
の
海底ケーブル
、
無線通信所
も現在不明であります。あるいはまた
ジャングル
の中に埋没しているものと思われる
状況
でありますので、さらにこれらについて
調査
をする必要がありますが、
復帰
に伴いまして、応急的な
連絡通信施設
をとりあえずつくる必要がある、そのように考えております。その後の
通信施設
の
整備
につきましては、
進出
諸
機関
の
調査状況
並びに旧
島民
の帰島、
村づくり
の
規模等
との
関連
において
計画
をする必要がございます。 郵便、
警察等
の
施設
につきましては、
ジャングル
の中に埋まっております。これらのことにつきましても、
土地関係
の
実測調査
との
関連
によって明らかになることと考えております。
気象業務
は、
大村三日月山
に
新設
されました
米軍施設
を引き継いで、さらにその
整備
をはかることが将来
気象観測
という上において重要なことではないかというふうに考えられます。 また、
米軍施設
の
現況
、
使用不動産
の
国有地
、
民有地別
、
隣接海域
の
現況等
についても、今後適切な
調査
を必要といたしております。
戦前
の
土地所有状況
を、
現地
につきましてある
程度
確かめることができました。その
所有状況
については、大体の推測が可能ではないかということが考えられます。これにつきましては、今後精密な
実地測量
を必要とするのではないかというふうに認めております。
現地
の
住民
の
自治組織
といたしまして、五人
委員会
があります。その機構、権限、
運営状況
が今回明らかになりました。この
組織
は百ドル以下の
民事裁判
及び軽犯罪についての
裁判権
を持つ
小笠原裁判所
、ボーニンアイランズ・コートの裁判官の選出を行なったり、俗に
BITC
といっておりますボーニンアイランス・トレーディング・カンパニーという一種の
生活
協同組合ともいえる日
用品供給団体
にも
関係
を持っております。
住民
は、五人
委員会
、カウンシルがどういうふうに今後なっていくか、あるいは
BITC
の
機能
、すなわち
生活必需物資
の
需給
ということでございますが、これらの
事項
の存続について
希望
を表明しております。当面これらの問題について現
住民
に不安のないように、
住民
の
要望
を十分考慮して考えていく必要があるのではないかというふうに認められます。 以上、今回の
調査
につきましては、
基地司令官
との
面接
であるとか、五人
委員会
あるいは
住民
の
現況面接調査
であるとか、団体的な行動に縛られまして、
関係各省
の分掌についていろいろな制約がありましたが、
精一ぱい
の
調査
を行ないまして、
現状把握
という
意味
におきましては期待したとおりの資料が集められたもの、そのように考えております。 なお、
復帰
に伴いまして、どのようなことが暫定的な
意味
においてこれらの
調査
から考えられるかと申し上げますと、まず
土地
の
所有権
及び
利用
につきましては、次のこれから申し上げます
事項
につきまして、適切な
措置
が必要であろうというふうに考えられます。 一つは、現にあります
基地施設
、
公共施設住宅等
の
措置
であります。第二点は、旧
島民
の権利の
保護
及び現
島民
の
保護
であります。この一、二の点を含めまして、第三点として
計画
的な
復興
へつながる問題、
措置
ということを考えていく必要があると思います。特に
父島
の
大村地区
におります現
島民
につきましては、
復帰
にあたりまして、先ほど申し上げましたように、当分の間、
住宅
であるとか
教育
であるとか
雇用
その他の
生活
の
援護
という点も考えなければならぬということを痛感した次第であります。 なお、
本土
に引き揚げております旧
島民
の帰島につきましては、
復帰
後、早急に帰りたいという
希望
を旧
島民
は表明すると考えられますが、
現状
におきましてはほとんどが
ジャングル
の中にありまして、
人間生活
を営む
状況
にございません。したがいまして、
父島
の
大村地区
を拠点として、徐徐に各
地区
各島に
整備
の手を伸ばして、適正な帰島
計画
というものにつながっていかなければならないと思います。そして、本格的な帰島というものは、島全体の
復興
との
関連
において実施するのが適切ではないかというふうに考えられます。 なお、島全体につきまして、将来の問題ということでございますが、
現状
から見ますと、五村ございましたが、旧集落を復元するという考え方だけにとらわれないで、新たな総合的な
計画
、こういったものから、より効率的な
村づくり
というものを考えて
復興
を行なうのが一番よい
方法
ではないかというふうに考えられます。 なお、それらについて当面注意すべき
問題点
を大きく
現状把握
という点から捨ってみますと、第一点は
本土
との
交通通信手段
の確保であります。第二点が
小笠原諸島
の
産業
のあり方の
調査研究
であります。第三点が自然及び戦跡の
保護
の問題であります。第四点は、いろいろな
施設
との
関連
において、いかに今後の
村づくり
をするかというのが第四点になると考えられます。 各
島別
にそれらのことを申し上げますと、
父島
は一体として開発すべきであると考えます。しかしながら、現在
父島
の
大村地区
には拠点がございますので、これをまず今後の開発の拠点として順次手を伸ばしていく。特に
大村地区
におきまして、現在約二百人の
現地住民
及び
米軍
が、そのキャパシティの中における市街地を一応ながらつくっておりますので、その市街地の
利用
ということもその際
検討
する必要があるのではないかというふうに考えられます。
母島
は全島
ジャングル
に埋没しております。したがって、一体として開発すべきであるというふうに考えられます。しかしながら、
母島
においての集落
建設
は、
母島
の農地改革の
整備
、
住民
が生計を維持するための
産業
施策
との
関連
において行なうべきであるというふうに思います。
硫黄
島は、これは先ほど御
説明
申し上げましたとおり、基地の
施設
及び戦跡が
中心
になっております。これらのことを
中心
にしまして、
硫黄
島については特別な活用の
方法
というのを
検討
する必要があるのではないか、そのように考えております。 今後の行政体制でありますとか、当面とるべき
措置
、これについては当面の
法律
的な問題あるいは事実上の問題等がございます。これらにつきましては、現在各
調査団
員が専門的に
調査
した結果による
問題点
を整理しつつありまして、これにおきまして、当面の
措置
について、
法律
的、事実上の問題を処置いたしまして、今後の
復興
につなげていくというふうなことがまず第一ではないかというふうに考えられます。 詳しくは十六省庁から二十六名の
調査団
が行っておりますので、各省庁
調査
官がまた御
説明
する機会もあることとは思いますが、私からは、総合的な
意味
におきまして、この前行ってまいりました
小笠原諸島
の
現状
について、一部所見を交えまして御報告する次第であります。
床次徳二
8
○
床次委員長
ただいまの
説明
に対して質疑の申し出がありますので、これを許します。帆足君。
帆足計
9
○帆足
委員
意見にわたりますことはまた他の機会にいたしまして、きわめて事務的なことでお尋ねいたしますが、
調査団
の皆さんには非常に御苦労なさいまして、適切な資料をいただきまして感謝いたします。お礼を申し上げます。 とりあえず予備知識としてこれをいただきましたので、大体のことはよくわかりました。きょうの御報告の要旨を
小笠原
におりました旧
島民
諸君にもよく徹底していただきまして、人生は甘いものではないぞということを、酔っぱらいの運転手じゃありませんけれども、天国は甘いものじゃないぞということをよく知らせていただいて、そしてそごのないようにしていただくことをまずお願いいたします。 それから、
調査団
の中には防衛庁の方も参加いたしましたか、ちょっとそのことを伺います。
守谷道夫
10
○
守谷説明員
調査団
が参りました船は、防衛庁の護衛艦と海上保安庁の巡視船、この二隻で、防衛庁は「たかつき」という船でございます。海上保安庁は「いず」という巡視船でございます。これが行きまして、防衛庁からも乗り組み員として乗っておりますし、かつまた
調査団
の中にも防衛
施設
庁の職員が二名入っております。
帆足計
11
○帆足
委員
この
小笠原諸島
の軍事的な意義につきましては、これはまた私ども国会は、やはり戦略というものをよく知っておかねばなりません。従来国
会議
員というものは戦略においては軍人に劣るとされておりましたけれども、アメリカの事例などを見ますと、やはり政治家のほうが戦略には詳しい、戦術には軍人が詳しい、私はそう思いますから、適当な機会に
小笠原
の戦略上の観点について、理性的な、客観的な
意味
について質問したいと思いますけれども、とりあえずただいまの
調査
報告を見ますと、世間に懸念され、喧伝されているよりもはるかに、現在アメリカ軍が使っておる基地の役割りというものは予想外に小さいということをこの報告書で痛感いたしました。小
規模
の海軍基地のほかに、大きな、たとえばB52のような爆撃機が動くような基地が現在はありますでしょうか。また、ロケットの発射演習場のようなものが現在ございますか。そのことに触れておりませんからお伺いしたい。これは、この是非曲直の判断ではなくて、
現状
がどうなっておるか、こういうことでございます。
山野幸吉
12
○
山野政府委員
私どもも
調査団
からいろいろな詳細な
現状
の
説明
を受けましたが、ただいま御指摘のような点につきましては、私どもも専門的な知識を持っておりませんので、別の機会に防衛庁のほうからお答え申し上げたほうが正確ではないだろうかと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
帆足計
13
○帆足
委員
けっこうでございます。
委員長
、適当な機会にそのようにお取り計らい願います。
床次徳二
14
○
床次委員長
次回の
委員会
は来たる三月二十六日火曜日、
委員会
を開き、総理府総務長官及び外務当局より
説明
を聴取する予定にいたしております。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十九分散会