運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-21 第58回国会 衆議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十一日(木曜日)    午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 上村千一郎君 理事 小渕 恵三君    理事 本名  武君 理事 川崎 寛治君    理事 美濃 政市君       北澤 直吉君    小坂善太郎君       古屋  亨君    山口 敏夫君       猪俣 浩三君    中谷 鉄也君       帆足  計君    伊藤惣助丸君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         郵政政務次官  高橋清一郎君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局監理渡航         課長      守谷 道夫君     ————————————— 三月二十一日  委員大村襄治君及び篠田弘作辞任につき、そ  の補欠として山口敏夫君及び箕輪登君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員山口敏夫辞任につき、その補欠として大  村襄治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十九日  沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の  日本放送協会による設置及び無償付けに関す  る法律案内閣提出第七七号)  沖繩県における公職選挙法の適用の暫定措置に  関する法律案川崎寛治君外九名提出、第五十  五回国会衆法第三一号)  沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨  時措置法案多賀谷真稔君外七名提出、第五十  五回国会衆法第三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備の  日本放送協会による設置及び無償付けに関す  る法律案内閣提出第七七号)  沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関  する件      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  去る十九日、本委員会に付託になりました内閣提出沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備日本放送協会による設置及び無償付けに関する法律案議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。郵政大臣小林武治君。
  3. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま議題となりました沖繩におけるテレビジョン放送に必要な設備日本放送協会による設置及び無償付けに関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、沖繩におけるテレビジョン放送普及援助するため、日本放送協会沖繩島那覇地区テレビジョン放送に必要な設備設置し、これを沖繩放送協会無償で貸し付けることがでまる道を開くこととしようとするものであります。  沖繩におきましては、昨年制定された放送法に基づき、あまねく沖繩全域において受信できるよう放送を行なうことを使命とする沖繩放送協会が昨年十月に設立されております。  同協会におきましては、昨年日本政府が譲与いたしました設備により先島地区においてテレビジョン放送を行なうとともに、その設立の趣旨に沿うよう、目下沖繩島那覇中心とするテレビジョン放送網建設準備を取り進めているところでありますが、琉球政府及び同協会におきましては、那覇地区開設するテレビジョン放送局設置について、日本放送協会援助を得てこれが万全を期すべく、日本政府及び日本放送協会要請を行なってまいりました。  日本放送協会におきましては、従来から沖繩に対しまして番組の提供や技術協力を積極的に行なってきているところでありまして、今回の沖繩側要請につきましても、これにこたえて援助を行なうことによりまして、沖繩におけるテレビジョン放送普及をはかり、もって沖繩文化向上、さらには本土沖繩一体化促進に寄与しようという意向を有しております。  政府といたしましても、日本放送協会がこの援助を行ないますことはきわめて適切であると考えまして、日本政送協会放送法に定められております業務のほかに、この援助を行なうことができますよう法律をもちまして措置する必要があると考えた次第であります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  4. 床次徳二

    床次委員長 これにて本案提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 床次徳二

    床次委員長 次に、沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関する件について調査を進めます。総理府所管沖繩財政援助費等について、政府当局から説明を聴取いたします。山野特別地域連絡局長
  6. 山野幸吉

    山野政府委員 昭和四十三年度の対沖繩援助費につきまして、その策定方針及び概要を御説明いたします。  去る一月十一日開催されました日米協議委員会において合意された昭和四十三年度(一部、昭和四十四年度計上予定のものを含む。)における日本政府の対沖繩援助費総額は、百五十三億七千余万円で、一般会計分百二十五億七千余万円、財政投融資分二十八億円であります。  今回の日本政府の対沖繩援助費に関する日米間の合意にあたりましては、両政府事務当局間の緊密かつ、円滑な事前協議により琉球政府意向を勘案しつつ日本政府の意志が十分反映されたものと考えております。また、日本政府明年度財政事情はきわめてきびしいものがあるにもかかわらず、前年度の百三億余円の援助費を大きく上回る額とされたのでありますが、これは佐藤、ジョンソン会談後の本土沖繩一体化施策を強力に進めるための当然の措置と考えるものであります。また、明年度の対沖繩援助費策定に当たっては、政府として、あらかじめ沖繩民生福祉の増進と経済発展のために必要な効果的な施策につきまして真剣な検討を加えたことはもちろん、琉球政府及び沖繩住民要望並びに昨年の当委員会の貴重な現地視察報告等に対し十分な考慮を払ったつもりであります。  今回の援助費重点施策といたしましては、教育文化充実向上社会保障拡充医療水準向上産業発達のための金融対策産業基盤整備促進市町村財政充実強化をあげることができます。  その内容のおもなるものにつきまして逐次簡単に御説明いたします。  まず国土保全及び開発関係援助といたしましては、土地改良農業施設道路港湾漁港森林開発治山治水、護岸について前年度に引き続きそれらの整備促進することとし、特に那覇、泊両港の港湾機能が限界に達している現状に対処して那覇市安謝に那覇新港建設に着手することとし、また、那覇空港の民間航空機用施設拡充、西表島の林道開設及び沖繩本島天然ガス試掘調査に必要な経費について援助を行なうこととしております。  社会福祉及び医療関係援助につきましては、生活保護に対する援助を従来の生活扶助に限らず、教育住宅医療等扶助もすべて援助対象とし、福祉年金についても、従来の老齢福祉年金のほかに障害福祉母子福祉の両年金制度を新たに発足し得るよう援助することとしております。また、那覇市に新那覇病院を、規模四百床三ヵ年計画建設し、同病院琉球大学保健学部教育病院地域医療センター医師教育機関としての機能を十分果たし得るよう整備することとし、さらに、那覇中央保健所新設及び老人福祉施設建設を行なうほか、身障者巡回相談事業につきまして援助をすることといたしております。  次に、沖繩における住宅事情にかんがみ、従来に引き続き公営住宅建設戸数を増加するとともに、来年度新たに住宅建設促進するための低利長期資金融資方途を講ずることといたしました。  これら新規事業とともに、前年度に引き続き、児童福祉対策医師歯科医師の派遣、結核患者本土収容結核集団検診ハンセン氏病、精神病、原爆被爆者対策等を実施し、沖繩医療事情改善をはかってまいりたいと考えます。  文教関係援助におきましては、まず教育充実向上をはかるため、来年度においては義務教育学校施設備品整備を一そう促進するとともに、新たに琉球大学医学研究及び医療公衆衛生要員の養成のため保健学部新設することとし、さらに来年度私立学校に対する助成モデル幼稚園建設、青年の家体育館建設援助することといたしております。また、前年度に引き続き教職員給与半額援助教科書無償給与国費沖繩学生の招致、育英資金充実教育技術研修等各般にわたって教育文化面における本土との一体化を一段と推し進めることといたしております。  産業開発関係及び財政投融資関係援助におきましては、農林漁業及び中小企業に対する金融上の援助を、従来の出資金援助のほかに新たに長期低利資金融通方途を講じ、さらに沖繩における産業長期資金逼迫状況を緩和し産業開発促進するための資金として出資金援助長期低利資金融通方途を講ずることといたしました。このうち琉球政府に対する長期低利資金融通につきましては、別途法律案の御審議をお願いしたいと考えております。  このほか、肉牛生産中心とする畜産振興沖繩経済発展のための諸施策を総合的、継続的に研究するための経済開発研究所開設糖業振興についても増額助成を行なうことといたしております。  次に、本年度においては、沖繩市町村行政水準向上させるための援助を新たに行なうことといたしたいと存じます。  これらの援助のほか、那覇市民センター建設海員学校新設警察学校移転改築援助を行なうこととし、前年度からの継続事業でありますUHF、電話回線建設裁判所庁舎那覇清掃施設建設を完成するための援助が含まれており、さらに琉球政府行政事務及び職員資質改善向上のための技術援助気象業務、灯台、移住振興南方同胞援護会を通ずる社会福祉関係援助についても前年度に引き続き援助を行なうことといたしております。  以上御説明いたしました明年度沖繩援助費総額百五十三億七千余万円の予算計上等につきましては、日本政府琉球政府との会計年度相違等を考慮して、昭和四十三年度一般会計分九十二億八千余万円、同年度財政投融資計画分二十億円合計百十二億八千余万円と昭和四十四年度一般会計計上予定分三十二億九千余万円、同年度財政投融資計画予定分八億円、合計四十億九千余万円とにそれぞれ区分計上、または、予定いたしております。  なお、昭和四十三年度一般会計の対沖繩援助費総額はさきに申し述べた九十二億八千余万円に前年度分二十一億三千余万円を含めた百十四億一千余万円と相成っております。  以上をもちまして私の御説明にかえたいと存じます。
  7. 床次徳二

    床次委員長 この際、去る一月十八日から二十七日まで政府小笠原諸島調査団団長として現地に派遣された守谷道夫君から、小笠原諸島実情について説明を聴取いたします。説明員守谷道夫君。
  8. 守谷道夫

    守谷説明員 一月十八日から十日間小笠原調査に行ってまいりました調査団長守谷でございます。これから小笠原現況につきまして概要の御説明を申し上げたいと思います。  小笠原諸島調査団の日程は、一月十八日から十日間、二十七日まででございます。往復を約三日間とりまして、うち、父島に三日、母島に二日、硫黄島に一日と調査をしてまいりました。この父島母島硫黄島を中心にいたしました理由は、小笠原諸島と俗に申しますが、名前がついておりますのは二十七諸島でございます。そのうち戦前から住民がおりまして生活をしておりましたのは、父島母島硫黄島が中心でございます。それ以外は、わずかに北硫黄島に少数住民がいただけでございますので、父島母島硫黄島を中心にしたわけでございます。  この調査につきまして、関係各省及び東京都、十六省庁になりまして、調査官全員で二十六名でございます。なお、これに加えまして、旧島民の代表二名が参加いたしました。その結果の概要はこれから申し上げるとおりであります。  まず、小笠原一般的状況について申し上げますと、父島、これは地図がございますので、地図を参照して御承知いただきたいと思います。父島大村に、米軍基地中心といたしました公共施設基幹道路現地島民住宅など、これらが一応整備されております。ところが、それ以外の地区戦前はそれ以外の地区といいますと、扇村の地区中心でございましたが、扇村の地区はすべてジャングルの中に埋没しておるというのが父島現状であります。母島は、全島すべて山林原野でございまして、旧村落、これは村が北村と沖村とございましたが、旧村落あとはほとんど確認できないような現状にあります。硫黄島は、米空軍の飛行場及びコーストガードのロラン局中心にいたしまして、滑走路及び基幹道路はかなり整備されております。旧村落あとは全くございません。  父島大村地区におります現地住民実情につきましては、全世帯四十四世帯戸数にして四十二戸でございます、それを対象アンケート調査を実施しまして、この島に籍を有する者が二百十八名であります。留学就職等離島者四十四名、これは留学就職米軍人との婚姻等でございますが、それを除きまして、現在、大村居住者百七十四名であることが判明いたしました。  このほか、住民自治組織公衆衛生状況教育状況、就業の状況から食糧及び生活物資需給状況等につきましても調査を行ないまして、予期以上の実態が明らかになったものと思っておる次第であります。  住民の最大の関心事は、復帰後に現在使用中の土地及び住居の問題、及び教育制度の切りかえに伴います問題、特に日本語能力が弱いということ、今後の就労に不安があるのではないかというよ——うなこと、生活収入の問題この三つが主たる関心事であるというふうに考えられます。  現島民生活は、どういうことで生活を行なっているかということを申し上げますと、主としまして米軍雇用されることによって維持されているということであります。米軍雇用者は五十七名、そのうち漁業に従事している者十五名、これが収入の源泉になっておるわけであります。復帰後はこれらの人たち進出官公庁への雇用であるとか、漁業者生活対策、その他の方策を講ずる必要があると考えられますし、また、これらのことは、当面約二百名の島民につきまして考えていかなければならないことであろうかと思考されます。  現在の公衆衛生状況につきまして見ますと、米軍の管理は適切に行なわれておりまして、住民公衆衛生に対する不安はほとんどないというふうに考えられます。  戸籍につきましては、過去二十三年の間に、出生、死亡、婚姻等につきまして未届けのものが相当数に上がっておりますが、これも復帰に伴い措置をする必要があろう、そのように考えております。  水及び電力につきましては、現在は米軍が非常な低料金で供給をしておりまして、何らの不安がないものと認められます。しかしながら、本土へ引き揚げた旧島民の帰島規模などを考慮しまして、今後十分技術的な検討を加えまして、水源であるとか電源であるとか、その他のキャパシティーについては検討を加える必要があるというふうに考えられます。  おもなる産業のうちの農業につきまして考察いたしますと、現在おります二百人については、農業と称するものはほとんど行なわれておりません。戦前農業漁業が主であったわけですが、農業については、家庭菜園の延長というような形で、一戸たった二十アールほど耕作をしておるのが現状であります。しかしながら、父島及び母島耕作適地と考えられるものが約七百ヘクタール程度と推定されるのではないかというふうに考えられますので、これを開発いたしますと、小笠原気象的条件地理的条件に適した野菜類露地栽培亜熱帯植物等中心にしました農業開発ということを進める可能性も考えられる模様でございます。しかしながら、小笠原農業につきまして、調査団は、農作物、樹木についての病虫害による汚染状況調査したのでございますが、この汚染度がかなりあるのではないかというふうに考察されます。この駆除対策コマーシャルベースに乗り得る適作作目検討、こういうことにつきましては、今後農業開発という面につきましてさらに精密な、専門的な調査を必要とするものであるというふうに考えられます。  漁業につきましては、現在カヌー漁業を実施しております。これは十五戸でございまして、カヌーは二十一隻ございます。これによります漁獲物米軍のあっせんでグアム島に輸出しております。月に四・五トンから五・四、五トン程度でございます。その漁獲物の収得に要します日は、月に一週間から十日程度就労日数で済む状況にあります。したがいまして、魚族は相当あるのではないかということが考えられるわけでございまして、米軍撤退後は、本土への漁獲物の輸送、本土引き受け体制整備及び現地におきます保管施設であるとか、そういうことの解決の必要があるのではないかというふうに考えられます。これにつきましても、現地の、現在漁業に従事しております漁民は非常に心配しておりますので、こういったことについてもさらに専門的な検討が必要であるというふうに考えられます。  漁業資源、これは将来養殖ということも含むと思いますが、及び漁港に関しまして、専門官が専門的な、技術的な調査をまず現地において一応行なった結果によりますと、先行き相当有望な点ということも考えられるということでございまして、今後さらに帰島いたします島民の中のいわゆる漁民規模等を勘案いたしまして、小笠原の現在考えられます最も有望な産業として、水産業振興方策について十分な検討を必要とするものと考えるわけであります。  林業に関しましては、山林は荒廃にまかされておりますので、今後、国土保全水源の涵養、防風、防潮の対策、これを含めまして、総合的に対策を考えることが必要と認められます。  いずれにいたしましても、農林漁業関係につきまして、今後さらに専門家による調査が必要であるということが認められます。  建設関係では、米軍施設内の道路以外は路面維持に問題のある道路が多く、あるいはすべてジャングルの中に埋没してしまっているということでございまして、実地測量を含めた今後の調査に期待することが多いわけであります。なお、道路あるいは建設関係につきまして、砂利であるとか砕石あるいは木材等建設資材現地調達ということが現在困難な点がいろいろ考えられまして、現在におきましては、ほとんど島外からの輸入に依存しているという現状であります。将来は現地調達可能性調査し、島外からの補給方法について対策を講ずる必要があります。  港湾及び空港につきましては、現況及び将来の利用可能性について調査をしたわけでございます。引き揚げ旧島民の帰島規模復興方針、これらのかね合いも考慮して、総合的な交通施設交通機関整備見通しについて、今後専門的検討を必要とするというふうに考えております。  無線通信施設につきましては、現在全く米側に依存しております。戦前海底ケーブル無線通信所も現在不明であります。あるいはまたジャングルの中に埋没しているものと思われる状況でありますので、さらにこれらについて調査をする必要がありますが、復帰に伴いまして、応急的な連絡通信施設をとりあえずつくる必要がある、そのように考えております。その後の通信施設整備につきましては、進出機関調査状況並びに旧島民の帰島、村づくり規模等との関連において計画をする必要がございます。  郵便、警察等施設につきましては、ジャングルの中に埋まっております。これらのことにつきましても、土地関係実測調査との関連によって明らかになることと考えております。  気象業務は、大村三日月山新設されました米軍施設を引き継いで、さらにその整備をはかることが将来気象観測という上において重要なことではないかというふうに考えられます。  また、米軍施設現況使用不動産国有地民有地別隣接海域現況等についても、今後適切な調査を必要といたしております。戦前土地所有状況を、現地につきましてある程度確かめることができました。その所有状況については、大体の推測が可能ではないかということが考えられます。これにつきましては、今後精密な実地測量を必要とするのではないかというふうに認めております。  現地住民自治組織といたしまして、五人委員会があります。その機構、権限、運営状況が今回明らかになりました。この組織は百ドル以下の民事裁判及び軽犯罪についての裁判権を持つ小笠原裁判所、ボーニンアイランズ・コートの裁判官の選出を行なったり、俗にBITCといっておりますボーニンアイランス・トレーディング・カンパニーという一種の生活協同組合ともいえる日用品供給団体にも関係を持っております。住民は、五人委員会、カウンシルがどういうふうに今後なっていくか、あるいはBITC機能、すなわち生活必需物資需給ということでございますが、これらの事項の存続について希望を表明しております。当面これらの問題について現住民に不安のないように、住民要望を十分考慮して考えていく必要があるのではないかというふうに認められます。  以上、今回の調査につきましては、基地司令官との面接であるとか、五人委員会あるいは住民現況面接調査であるとか、団体的な行動に縛られまして、関係各省の分掌についていろいろな制約がありましたが、精一ぱい調査を行ないまして、現状把握という意味におきましては期待したとおりの資料が集められたもの、そのように考えております。  なお、復帰に伴いまして、どのようなことが暫定的な意味においてこれらの調査から考えられるかと申し上げますと、まず土地所有権及び利用につきましては、次のこれから申し上げます事項につきまして、適切な措置が必要であろうというふうに考えられます。  一つは、現にあります基地施設公共施設住宅等措置であります。第二点は、旧島民の権利の保護及び現島民保護であります。この一、二の点を含めまして、第三点として計画的な復興へつながる問題、措置ということを考えていく必要があると思います。特に父島大村地区におります現島民につきましては、復帰にあたりまして、先ほど申し上げましたように、当分の間、住宅であるとか教育であるとか雇用その他の生活援護という点も考えなければならぬということを痛感した次第であります。  なお、本土に引き揚げております旧島民の帰島につきましては、復帰後、早急に帰りたいという希望を旧島民は表明すると考えられますが、現状におきましてはほとんどがジャングルの中にありまして、人間生活を営む状況にございません。したがいまして、父島大村地区を拠点として、徐徐に各地区各島に整備の手を伸ばして、適正な帰島計画というものにつながっていかなければならないと思います。そして、本格的な帰島というものは、島全体の復興との関連において実施するのが適切ではないかというふうに考えられます。  なお、島全体につきまして、将来の問題ということでございますが、現状から見ますと、五村ございましたが、旧集落を復元するという考え方だけにとらわれないで、新たな総合的な計画、こういったものから、より効率的な村づくりというものを考えて復興を行なうのが一番よい方法ではないかというふうに考えられます。  なお、それらについて当面注意すべき問題点を大きく現状把握という点から捨ってみますと、第一点は本土との交通通信手段の確保であります。第二点が小笠原諸島産業のあり方の調査研究であります。第三点が自然及び戦跡の保護の問題であります。第四点は、いろいろな施設との関連において、いかに今後の村づくりをするかというのが第四点になると考えられます。  各島別にそれらのことを申し上げますと、父島は一体として開発すべきであると考えます。しかしながら、現在父島大村地区には拠点がございますので、これをまず今後の開発の拠点として順次手を伸ばしていく。特に大村地区におきまして、現在約二百人の現地住民及び米軍が、そのキャパシティの中における市街地を一応ながらつくっておりますので、その市街地の利用ということもその際検討する必要があるのではないかというふうに考えられます。母島は全島ジャングルに埋没しております。したがって、一体として開発すべきであるというふうに考えられます。しかしながら、母島においての集落建設は、母島の農地改革の整備住民が生計を維持するための産業施策との関連において行なうべきであるというふうに思います。硫黄島は、これは先ほど御説明申し上げましたとおり、基地の施設及び戦跡が中心になっております。これらのことを中心にしまして、硫黄島については特別な活用の方法というのを検討する必要があるのではないか、そのように考えております。  今後の行政体制でありますとか、当面とるべき措置、これについては当面の法律的な問題あるいは事実上の問題等がございます。これらにつきましては、現在各調査団員が専門的に調査した結果による問題点を整理しつつありまして、これにおきまして、当面の措置について、法律的、事実上の問題を処置いたしまして、今後の復興につなげていくというふうなことがまず第一ではないかというふうに考えられます。  詳しくは十六省庁から二十六名の調査団が行っておりますので、各省庁調査官がまた御説明する機会もあることとは思いますが、私からは、総合的な意味におきまして、この前行ってまいりました小笠原諸島現状について、一部所見を交えまして御報告する次第であります。
  9. 床次徳二

    床次委員長 ただいまの説明に対して質疑の申し出がありますので、これを許します。帆足君。
  10. 帆足計

    ○帆足委員 意見にわたりますことはまた他の機会にいたしまして、きわめて事務的なことでお尋ねいたしますが、調査団の皆さんには非常に御苦労なさいまして、適切な資料をいただきまして感謝いたします。お礼を申し上げます。  とりあえず予備知識としてこれをいただきましたので、大体のことはよくわかりました。きょうの御報告の要旨を小笠原におりました旧島民諸君にもよく徹底していただきまして、人生は甘いものではないぞということを、酔っぱらいの運転手じゃありませんけれども、天国は甘いものじゃないぞということをよく知らせていただいて、そしてそごのないようにしていただくことをまずお願いいたします。  それから、調査団の中には防衛庁の方も参加いたしましたか、ちょっとそのことを伺います。
  11. 守谷道夫

    守谷説明員 調査団が参りました船は、防衛庁の護衛艦と海上保安庁の巡視船、この二隻で、防衛庁は「たかつき」という船でございます。海上保安庁は「いず」という巡視船でございます。これが行きまして、防衛庁からも乗り組み員として乗っておりますし、かつまた調査団の中にも防衛施設庁の職員が二名入っております。
  12. 帆足計

    ○帆足委員 この小笠原諸島の軍事的な意義につきましては、これはまた私ども国会は、やはり戦略というものをよく知っておかねばなりません。従来国会議員というものは戦略においては軍人に劣るとされておりましたけれども、アメリカの事例などを見ますと、やはり政治家のほうが戦略には詳しい、戦術には軍人が詳しい、私はそう思いますから、適当な機会に小笠原の戦略上の観点について、理性的な、客観的な意味について質問したいと思いますけれども、とりあえずただいまの調査報告を見ますと、世間に懸念され、喧伝されているよりもはるかに、現在アメリカ軍が使っておる基地の役割りというものは予想外に小さいということをこの報告書で痛感いたしました。小規模の海軍基地のほかに、大きな、たとえばB52のような爆撃機が動くような基地が現在はありますでしょうか。また、ロケットの発射演習場のようなものが現在ございますか。そのことに触れておりませんからお伺いしたい。これは、この是非曲直の判断ではなくて、現状がどうなっておるか、こういうことでございます。
  13. 山野幸吉

    山野政府委員 私どもも調査団からいろいろな詳細な現状説明を受けましたが、ただいま御指摘のような点につきましては、私どもも専門的な知識を持っておりませんので、別の機会に防衛庁のほうからお答え申し上げたほうが正確ではないだろうかと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  14. 帆足計

    ○帆足委員 けっこうでございます。委員長、適当な機会にそのようにお取り計らい願います。
  15. 床次徳二

    床次委員長 次回の委員会は来たる三月二十六日火曜日、委員会を開き、総理府総務長官及び外務当局より説明を聴取する予定にいたしております。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会