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1968-05-22 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十二日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       井上  泉君    板川 正吾君       久保 三郎君    神門至馬夫君       米田 東吾君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       前川 憲一君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 菅川  薫君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         労働省職業安定         局参事官    中嶋 寧綱君         建設省道路局路         政課長     小林 幸雄君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社販         売部長     斎藤 欣一君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月二十二日  委員米田東吾君及び渡辺芳男辞任につき、そ  の補欠として大柴滋夫君及び渡辺惣蔵君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大柴滋夫君及び渡辺惣蔵辞任につき、そ  の補欠として米田東吾君及び渡辺芳男君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十一日  中小私鉄バス振興助成に関する請願(安宅  常彦紹介)(第六六一〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第六六一一号)  同(阿部哉君紹介)(第六六一二号)  同(赤路友藏紹介)(第六六一三号)  同(淡谷悠藏紹介)(第六六一四号)  同(井岡大治紹介)(第六六一五号)  同(井手以誠君紹介)(第六六一六号)  同(猪俣浩三紹介)(第六六一七号)  同(石川次夫紹介)(第六六一八号)  同(石田宥全君紹介)(第六六一九号)  同(石野久男紹介)(第六六二〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六六二一号)  同(板川正吾紹介)(第六六二二号)  同(稻村隆一君紹介)(第六六二三号)  同(江田三郎紹介)(第六六二四号)  同(大出俊紹介)(第六六二五号)  同(小川三男紹介)(第六六二六号)  同(大柴滋夫紹介)(第六六二七号)  同(大原亨紹介)(第六六二八号)  同(岡田利春紹介)(第六六二九号)  同(岡田春夫紹介)(第六六三〇号)  同(岡本隆一紹介)(第六六三一号)  同(木原津與志君紹介)(第六六三二号)  同(兒玉末男紹介)(第六六三三号)  同(河野密紹介)(第六六三四号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第六六三五号)  同(加藤勘十君紹介)(第六七五八号)  同(加藤清二紹介)(第六七五九号)  同(加藤万吉紹介)(第六七六〇号)  同(勝澤芳雄紹介)(第六七六一号)  同(勝間田清一紹介)(第六七六二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第六七六三号)  同(金丸徳重紹介)(第六七六四号)  同(川崎寛治紹介)(第六七六五号)  同(川村継義紹介)(第六七六六号)  同(河上民雄紹介)(第六七六七号)  同(河野正紹介)(第六七六八号)  同(木原実紹介)(第六七六九号)  同(北山愛郎紹介)(第六七七〇号)  同(久保三郎紹介)(第六七七一号)  同(久保田鶴松紹介)(第六七七二号)  同(栗林三郎紹介)(第六七七三号)  同(黒田寿男紹介)(第六七七四号)  同(小林信一紹介)(第六七七五号)  同(小松幹紹介)(第六七七六号)  同(佐々木更三君紹介)(第六七七七号)  同(佐野憲治紹介)(第六七七八号)  同(佐野進紹介)(第六七七九号)  同(阪上安太郎紹介)(第六七八〇号)  同(實川清之紹介)(第六七八一号)  同(島上善五郎紹介)(第六七八二号)  同(島本虎三紹介)(第六七八三号)  同(下平正一紹介)(第六七八四号)  同(田中武夫紹介)(第六七八五号)  同(田邊誠紹介)(第六七八六号)  同(田原春次紹介)(第六七八七号)  同(多賀谷真稔紹介)(第六七八八号)  同(高田富之紹介)(第六七八九号)  同(只松祐治紹介)(第六七九〇号)  同(楯兼次郎紹介)(第六七九一号)  同(千葉佳男紹介)(第六七九二号)  同(戸叶里子紹介)(第六七九三号)  同(堂森芳夫紹介)(第六七九四号)  同(平岡忠次郎紹介)(第六七九五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六七九六号)  同(帆足計紹介)(第六七九七号)  同(穗積七郎紹介)(第六七九八号)  同(細谷治嘉紹介)(第六七九九号)  同(堀昌雄紹介)(第六八〇〇号)  同(安宅常彦紹介)(第六九〇二号)  同(阿部昭吾紹介)(第六九〇三号)  同(阿部哉君紹介)(第六九〇四号)  同(赤路友藏紹介)(第六九〇五号)  同(淡谷悠藏紹介)(第六九〇六号)  同(井岡大治紹介)(第六九〇七号)  同(石川次夫紹介)(第六九〇八号)  同(石田宥全君紹介)(第六九〇九号)  同(石野久男紹介)(第六九一〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六九一一号)  同(板川正吾紹介)(第六九一二号)  同(稻村隆一君紹介)(第六九一三号)  同(猪俣浩三紹介)(第六九一四号)  同(江田三郎紹介)(第六九一五号)  同(小川三男紹介)(第六九一六号)  同(大出俊紹介)(第六九一七号)  同(大原亨紹介)(第六九一八号)  同(大柴滋夫紹介)(第六九一九号)  同(岡田利春紹介)(第六九二〇号)  同(岡田春夫紹介)(第六九二一号)  同(岡本隆一紹介)(第六九二二号)  同(加藤勘十君紹介)(第六九二三号)  同(加藤清二紹介)(第六九二四号)  同(加藤万吉紹介)(第六九二五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第六九二六号)  同(勝間田清一紹介)(第六九二七号)  同(角屋堅次郎紹介)(第六九二八号)  同(金丸徳重紹介)(第六九二九号)  同(神近市子紹介)(第六九三〇号)  同(川崎寛治紹介)(第六九三一号)  同(川村継義紹介)(第六九三二号)  同(河上民雄紹介)(第六九三三号)  同(河野正紹介)(第六九三四号)  同(木原津與志君紹介)(第六九三五号)  同(木原実紹介)(第六九三六号)  同(北山愛郎紹介)(第六九三七号)  同(久保三郎紹介)(第六九三八号)  同(久保田鶴松紹介)(第六九三九号)  同(栗林三郎紹介)(第六九四〇号)  同(黒田寿男紹介)(第六九四一号)  同(小林信一紹介)(第六九四二号)  同(小松幹紹介)(第六九四三号)  同(兒玉末男紹介)(第六九四四号)  同(河野密紹介)(第六九四五号)  同(佐々木更三君紹介)(第六九四六号)  同(佐野憲治紹介)(第六九四七号)  同(佐野進紹介)(第六九四八号)  同(阪上安太郎紹介)(第六九四九号)  同(實川清之紹介)(第六九五〇号)  同(島上善五郎紹介)(第六九五一号)  同(島本虎三紹介)(第六九五二君)  同(下平正一紹介)(第六九五三号)  同(田邊誠紹介)(第六九五四号)  同(田原春次紹介)(第六九五五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第六九五六号)  同(高田富之紹介)(第六九五七号)  同(只松祐治紹介)(第六九五八号)  同(楯兼次郎紹介)(第六九五九号)  同(千葉佳男紹介)(第六九六〇号)  同(中井徳次郎紹介)(第六九六一号)  同(中澤茂一紹介)(第六九六二号)  同(中嶋英夫紹介)(第六九六三号)  同(中村重光紹介)(第六九六四号)  同(永井勝次郎紹介)(第六九六五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六九六六号)  同(成田知巳紹介)(第六九六七号)  同(西宮弘紹介)(第六九六八号)  同(野口忠夫紹介)(第六九六九号)  同(野間千代三君紹介)(第六九七〇号)  同(芳賀貢紹介)(第六九七一号)  同(長谷川正三紹介)(第六九七二号)  同(畑和紹介)(第六九七三号)  同(華山親義紹介)(第六九七四号)  同(平林剛紹介)(第六九七五号)  同(松前重義紹介)(第六九七六号)  同(松本七郎紹介)(第六九七七号)  同(三木喜夫紹介)(第六九七八号)  同(武藤山治紹介)(第六九七九号)  同(村山喜一紹介)(第六九八〇号)  同(森義視紹介)(第六九八一号)  同(森本靖紹介)(第六九八二号)  同(八木一男紹介)(第六九八三号)  同(八木昇紹介)(第六九八四号)  同(八百板正紹介)(第六九八五号)  同(安井吉典紹介)(第六九八六号)  同(山内広紹介)(第六九八七号)  同(山口鶴男紹介)(第六九八八号)  同(山崎始男紹介)(第六九八九号)  同(山田耻目君紹介)(第六九九〇号)  同(山花秀雄紹介)(第六九九一号)  同(山中吾郎紹介)(第六九九二号)  同(山本幸一紹介)(第六九九三号)  同(山本政弘紹介)(第六九九四号)  同(山本弥之助紹介)(第六九九五号)  同(米内山義一郎紹介)(第六九九六  号)  同(横山利秋紹介)(第六九九七号)  同(田中武夫紹介)(第六九九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  港湾に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び港湾に関する件について調査を進めます。  この際、日本通運株式会社に対する特別監査について運輸大臣から説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本通達不祥事件に端を発しまして、同社業務運営につきましても監査の必要を認めまして、先月以来地方の支社、支店並びに今月になりましてから本社につきまして総合監査を行ないました。  監査の結果を見ますと、全般的に見まして運賃の取り過ぎであるとか、あるいは運送保険の不当な付保問題等がかなりあることが判明いたしました。また同社経営につきましても、通運業を主務とする日本通運会社としては限度を逸脱すると思われるような企業に手を出しておったり、あるいはその人事関係その他経営内容等につきましても、社会性公益性を無視したような要素もある傾向があります。  そこで、いままでやりました監査は、全国で二十九の現場事業所でございましたが、本社並びにこれらの事業所監査の結果に基づきまして、近日中に適当なこれに対する刷新指示を行なう考えであります。そしてまた、違反事項等につきましては、関係業法に基づきまして厳正な行政処分を行なう考え方であります。  以上でございます。
  4. 大野市郎

    大野委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。中川一郎君。
  5. 中川一郎

    中川(一)委員 私は、札幌市における高速軌道について、若干この際質問をいたしたいと存じます。  去る三月十五日付をもって、札幌市から、札幌市の北二十四条から平岸に至る間の高速軌道申請が出ておると思うわけでありますが、この軌道は、一九七二年、昭和四十七年に、冬季オリンピック大会が開催され、これに間に合うようにということで準備を進めておるわけでありますが、この認可申請に対して、運輸省においては目下審査中と存じますが、審査の経緯並びに認可見通し等について、まずお尋ねをいたしたいと存じます。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 札幌市の北二十四条−平岸間七・三キロの地方鉄道免許申請は、お説のとおり本年の三月十五日に提出されましたが、運輸省としましては四月九日、運輸審議会に対して諮問を行ない、目下同審議会において審理中でございまして、近く聴聞会が開催される予定であります。この聴聞会の結果等を見まして、できるだけ早期結論を出す考えでおります。具体的には政府委員から答弁させます。
  7. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  札幌市の北二十四条−平岸間七・三キロの地方鉄道免許申請が、本年三月十五日に提出がございました。札幌市におきましては、北海道におきまして最も人口の増加も激しく、また経済社会の発展も大きい地域でございまして、その地帯におきますところの交通事情も次第に大都市的様相を呈しつつございまして、従来のおもな交通機関でございましたところの路面電車並びにバス等交通というものも、若干停滞を見せつつございまして、将来といたしましては、高速鉄道というものの整備が必要だという情勢にだんだんなってまいったのでございます。  こういう事情にかんがみまして、札幌市といたしましては地下鉄計画というものを樹立いたしまして、これを将来の札幌交通の根幹としたいということでこの申請が出ているのでございますが、たまたま冬季オリンピックの開催をも控えまして、その際の輸送というものにも間に合わしたいということで申請がございまして、当局といたしましてもこれにつきまして鋭意審査を進めておるところでございます。  そこで、今回申請がございました札幌市の高速鉄道でございますが、これは新しい様式を開発いたしまして、その新しい様式のものでぜひつくりたいという希望でございます。これにつきましては、従来と違った新しい様式のものでございますので、私のほうといたしましても、まず第一番に技術上の問題、特に安全の面というものを十分に考慮しなければなりません。そこで、土木の面、それから電気の面、さらに運転方式の面、各般にわたりまして十分に技術的な審査を現在重ねております。それで、その技術的な審査の結果でございますが、まだ最終的な結論には至っておりませんが、大体において今度の構想でいかぬというところはない。具体的な問題といたしまして、設計の細部につきまして、さらにもっと審査をすべき必要はございますが、ごく大ざっぱな問題といたしましてはいけないことはない、いけるという確信を持ちつつございます。  ただ、これは技術的な問題だけでなくて、輸送上の必要性あるいは収支の問題等からいって、企業維持見込みというような各般の問題につきましても十分審査をいたしまして、特にこういった問題につきましては運輸審議会におきまして十分御審議を願うわけでございますが、私どもといたしましても早くこれを整備いたしまして、運輸審議会結論というものを早く得たい、このように考えております。運輸審議会といたしましても、先ほど大臣から申し上げましたように、近く聴聞会を開いて札幌当局からの計画、意向というものを十分に聴取をしたい、こういう運びになっておりまして、このような点を踏まえまして、できるだけ早期結論を出したい。そういたしまして、冬季オリンピックに間に合うように努力いたしたいというふうに考えております。
  8. 中川一郎

    中川(一)委員 早期にいたしたいということで、まことにけっこうでありますが、地元の新聞に、六月中旬ごろには認可になる見込みであるという、具体的な月までの発表というか、記事が載っていたようですが、そういった時期に大体なると見ておってよろしいのですか。
  9. 山口真弘

    山口説明員 この点につきましては、いま計画しております聴聞会の模様、それから運輸審議会審査内容という点がございますので、はっきりいつまでにということを申し上げることばちょっと困難かと思います。
  10. 中川一郎

    中川(一)委員 そこで、早くしていただくと同時に、やはり大事な路線ですから慎重な検討も必要であろう、聴聞会を開き、あるいは審議会を開き、さらには技術的な検討もされておる、まことにけっこうでありますが、この際私ども考えておる点を申し上げて、運輸当局意見を聞いておきたいわけです。  いま申請になっております路線は、四丁目線といって、札幌の駅を横切る動脈、一番繁華街を通るわけであります。人の動きからいきますと一番いいように見えるわけですが、反面、工事をやる上には非常な支障のあることも事実であります。商店街相当期間、四年間かかるそうですが、四年間にわたって迷惑をかけ、さらにはまた国鉄の下には民衆駅もありまして、デパート等もあるわけですから、難工事が予想されるわけであります。そこで、その路線に近い二丁目線あるいは創成川等を使うならば、人家もわりあいに少なく、工事も非常にやりやすいのじゃないか。しかも繁華街とそう離れておらないので、利用の面からいってもそれほどマイナスにならぬじゃないかという声もあるわけですが、この点については運輸省はどのようにお考えであるかお伺いしたいわけです。
  11. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  地下鉄路線建設につきまして、工事の難易だとか、特にそれに関連いたしまして建設費の問題、これを十分に考慮いたしまして、できるだけそういった支障のないところを通すということはけっこうなことであろうと思うのでございます。ただ、そういった工事上の問題とともに、さらに輸送需要がどこで発生し、そうして将来それがどうなっていくかというような、むしろ輸送面必要性というものに十分に対処いたしまして、利用者の利便の増進をはかる、それも、現在並びに将来の輸送の問題に関連してそれを考えていくということが必要であろうかと思うのでございまして、本路線選定にあたりましては、市の当局といたしましてはその後者の面に特に重点を置きましてこの路線選定したもの、かように考えております。
  12. 中川一郎

    中川(一)委員 需要の面を尊重してやられたという御答弁ですが、まあ、市はそのほうがいいというわけで現在出しておられる路線を出されたわけです。運輸省としては、その市の考え方が現下あるいは将来に向かっていいものというふうにお考えですか、その点を承っておるわけです。
  13. 山口真弘

    山口説明員 この点は、路線選定につきまして、運輸審議会等におきまして十分に審査をするところでございます。私ども段階では、やはり輸送の一番多いところにこういう鉄道をつけるということのほうが、将来の都市の形態からいって望ましいというように考えておりますが、この点は、先生の御意見のございます点につきましては、運輸審議会等におきまして十分に検討をしていただくつもりでおります。
  14. 中川一郎

    中川(一)委員 この点はひとつ大いに審議をして、将来に向かって誤りのないようにしていただきたいと存じます。  それに関連をいたしまして、やはり札幌駅からあまり離れておっては、これは意味をなさないわけで、札幌駅とつながるところでなければならぬというふうに思うわけですが、承りますと、札幌駅のホームをさらに二百メートルほど東のほうへ延ばすという計画があるやに承っておりますが、この点はどうなっておりましょうか。
  15. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  この地下鉄並びに既存の高速鉄道との連携問題ということにつきましては、ひとりこの札幌の問題だけではなくて非常に大切でございまして、鉄道同士連絡、連携が十分にいきませんと、当該鉄道の効果というものも非常に減殺されるわけでございます。したがいまして、この地下鉄路線と特に大きな輸送力を持つところの国鉄との連絡というものは非常に大切でございまして、これが非常に便利になるということは私ども何としても考えなければならぬことであろうと思います。ただこの点は、具体的に工事施行段階でどういう設計になってくるかということに関連をしてくるわけでございまして、その点につきましては国鉄並びに市側でも十分に相談をさせて、そして連絡に便利なような連絡設備を設けさせるということが必要であろうと思いますので、御趣旨に沿いましてこれは善処してまいりたい、このように考えております。
  16. 中川一郎

    中川(一)委員 次に建設省に承りたいのですが、豊平川をこの七・三キロの高速鉄道が越えるわけですが、その越える場合、地元としてはできれば高架というか、橋の形をとって豊平川を渡りたいというのに対して、建設省は、上はまずいからひとつ下を通せということだそうでありますが、私どもの見るところでは、上を通したほうが工法としても容易であり、工事費も安いとするならば、上を通す地元の案でいいんじゃないかという気がするわけですが、この点はどういうわけで上を通していけないのか、お聞きしたいと思います。
  17. 小林幸雄

    小林説明員 お答えいたします。  札幌市の当初の計画では、御質問のように豊平川の上を高架で渡りたい、こういう計画でございます。しかしながら豊平川高架にいたしますと、その前後の道路等の取りつけ関係がございまして道路上を高架にしなければならない、関連してそういう結果になるわけでございます。そこで、この道路なるものは、都市計画上この種の高架鉄道というものをその上に敷設することを予想してつくられたものではないわけでございます。したがいましてかりに川の上を高架にしますと、おのずから道路の上を高架にしなければならない、こういうことになりますと、道路交通上あるいは将来の都市計画上いろいろな問題が出てくるわけでございます。これは予想されることとしましては、自動車交通相当支障を来たす、あるいは将来道路道路との交差点における立体交差、あるいは自動車増加に伴いまして将来における都市高速道等の問題、いろいろな問題が予想されるわけでございます。その辺について確たる見通しもなく漫然と道路上における高架鉄道にするということは、都市計画的に問題があると思います。したがいまして……
  18. 大野市郎

    大野委員長 発言者に注意いたしますが、声を大きくしてください。速記がとりにくいそうですから。
  19. 小林幸雄

    小林説明員 そのような都市計画上の種々の問題があるわけでございます。さらに加えまして、札幌相当の積雪があるわけでございまして、道路上に高架鉄道を敷設いたしますと、冬季における雪の処理とからみまして、道路交通相当支障を及ぼすおそれがあるというふうな観点から、とりあえずオリンピックに備えました緊急整備区間につきましては、道路上の高架は御遠慮願う。ただし、豊平川を越えましてその先で定山渓鉄道にかかるところがあります。この辺は道路でございませんので、高架でつくることにつきましては建設省といたしまして別に異存はないわけでございます。
  20. 中川一郎

    中川(一)委員 建設省の技術的ないろいろな理由からそうされたということはよくわかりますが、やはりあれだけの、二百数十億かかるそうですから相当な金がかかる。安全で、かつ経済性がなければならないという要請も一方にあるわけですので、ひとつこの点についてはさらに十分御検討いただいて、善処できるものならしてやっていただき——技術的にとうしてもだめなものはいたし方ないと思いますが、善処していただき、考慮する点があったら考慮していただくということでお願いをして、この点は終わりたいと思います。  最後に、この鉄道ができますと、長年、明治時代からだと思いますが、市民の足になってきました定鉄との関係が出てくるのではないか。この鉄道との関係は、一体今後どうなるのか。その辺について運輸省考え方を聞いておきたいと思います。
  21. 山口真弘

    山口説明員 今回、免許の申請がございました区間は、北二十四条−平岸間でございます。でございますが、市の計画によりますと、真駒内までこれを延ばして、それによりまして冬季オリンピックの大会までにこれを開通させたいというふうな希望を持っておるわけであります。そういたしますと、この線が定山渓鉄道と全く重複するというかっこうになるわけでございまして、これにつきましては、この定山渓鉄道をそのままにしてこれを敷くか、あるいはこれをはずして敷くか。これははずして敷いたほうが合理的ではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう問題につきまして現在両者間で調整をしておるという段階でございまして、私どもできるだけ指導いたしましてこの調整を早くつけてまいりたい、このように考えております。
  22. 中川一郎

    中川(一)委員 その点はひとつ民営圧迫にならないように、今後調整をとってやっていただきたい。それから最初に申し上げたように、大事な路線であり、早くオリンピックに間に合わすというタイム・リミットもあるわけですから、それに御協力いただき、かつ路線について、先ほど申し上げました二丁目あるいは創成川等を通ったほうがいいのではないか。あるいはまた札幌駅との連絡の問題、さらには豊平川を渡る鉄橋の問題等についても十分に、慎重に御検討いただいて、誤りのない、いい路線早期に御認可くださるようにお願いいたしまして、私の質問は終わります。
  23. 大野市郎

  24. 米田東吾

    米田委員 私は、まず個人タクシーの問題につきまして御質問したいのでございますが、運輸省の方針としては個人タクシーの免許についてはどうなんでしょうか。前向きで取り組んでおられるのでしょうか。それとも規制をするという方針でございましょうか。まずそこらあたりからお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 個人タクシーの免許につきましては、現在といえども従来同様、優秀な個人タクシーを育成するという意味におきまして、前向きで育成していくという方針でおります。
  26. 米田東吾

    米田委員 個人タクシーの免許の資格要件といたしましては、ハイヤー、タクシー等の運転手の経験が、一定の経験年数として三年ないしそういうものが必要になっていると思うのであります。そうなってまいりますと、ハイタクの企業の中にある運転経験者が年がいって、やがて、ひとつ自分の車でやろう、そういうようなケースが多いと思いますが、実際はどんなふうになっておりますか。
  27. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私どもの一応の免許の基準がございますけれども、それによりますると、やはり優秀といいますか、もちろん運転は非常に優秀である、それからお客に対するサービスも優秀である、そういった点で個人タクシーの成果があると思います。したがいまして、たとえば運転経歴は十年なければならぬということ、年齢は一応四十歳から五十五歳ということ、あるいは資産、信用力という点についても見る、そういったわりにきびしい基準をつくっておりまして、それをパスさせるということでやっております。
  28. 米田東吾

    米田委員 それで、実際に申請をしている方々の中身というものは、そういうハイタクの会社の従業員といいますか、そういう運転手が申請をするというケースが多いのじゃないかと思うのですが、そこらあたりのパーセントはどんなぐあいですかわかりませんか。
  29. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 手元に資料がございませんけれども、大体タクシーの会社につとめておった運転手さんが多いようでございます。
  30. 米田東吾

    米田委員 実は私、これは新聞の資料だけでございまして、自動車局長のほうにこういう状態があがっておるかどうかわかりませんが、これは新潟にあったことでございますけれども、東新タクシーという会社が、これは道路運送法上免許されている会社でございますけれども、この会社が労働組合と覚え書きという協定を結びまして、個人タクシーの免許の申請をする場合、すると同時に会社のほうでは、その運転手が役付とかあるいは配車係とか主任とかそういうものになっていれば、直ちにそれはやめてハンドルのほうに戻す。それからもう一つありまして、受理されて公示になると会社をやめなければならない。認可されるかされないかは別の問題。公示と同時に会社をやめる、こういう協定を結んでおる。そしてこの協定は、四十二年十一月二十日付で結ばれております。そしてこの覚え書きが結ばれると同時に、四十三年三月二十日付をもって現に公示されている者は直ちにやめなければならない、こういうことで、実際にやめている人がいるかどうか私調べておりませんけれども、いずれにしてもそういう覚え書きを結んでおるわけであります。  これは私は、実は非常に重要だと思うのでありまして、地元の新聞もこのことを報道して、個人タクシーという制度に水をさすのじゃないかということが一つ。それからもう一つは、運転手がみんな個人タクシーを希望して会社をやめていく、それを押えるための一つの手段としてこういうことが行なわれておるのではないか、これはよくないことではないか、そういうことを主題にして批判の報道をずっとしておるわけであります。こういうことは運輸省としては、どのような見解をお持ちでございましょうか。あなたのほうにもこういう締結した覚え書きというようなものはあがってきておりませんか。これは新潟陸運局と思いますが、資料がありましたらひとつ示していただければと思います。
  31. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまのお話でございますが、よく実態をつかまないとわかりませんけれども、ただいまの先生のお話によりますと、どうも私どもといたしましても、全く非常識な話ではないかと存じます。ただ、これは労使関係でございますので、むしろ労働関係の監督官庁がそういう点、おかしければいろいろ監督するなり指導すべきではないかとまず第一に考えます。それから、労使間でそういう取りきめをすることが一体いいのかどうか。これはもちろん労働関係の専門の役所からの見方もございますけれども、私どもといたしましても、そういうことで本人が個人タクシーの申請を希望しまして、そういう職業を選択するのだというにもかかわらず、そういうような取りきめをするという実態は、私はおかしいのではないかと存じます。  なお、資料につきましては私の手元にございませんけれども、もしそういうことがあって弊害が非常にひどければ、現地の陸運局を通じまして一ぺん実態を調べさせてみたらどうかと考えておりますが、その点どうぞよろしく願います。
  32. 米田東吾

    米田委員 おっしゃるとおりこれは労使関係の問題か、あるいは労組法上労働組合がこういう内容の協定の法律行為が一体可能かどうか、そういう問題がありますから、私はあとで労働省から聞きたいと思いますけれども、問題は運輸行政の面で、私質問いたしましたように、多分に個人タクシーを希望する方々は、一般のハイタクの企業の中におられる老齢の運転手、そういう方々がやはり夢として、やがて一定の時期が来たら自分で車を持ってひとつ自分でかせぐ、労働条件やそういう点では制約を受けないで、安全な運転でもってサービスをやろう、そういうことが一般的な運転手の考え方だと思うのであります。それが今度のようなこういうことが許されるといたしますと、これはやはりあなたのほうの行政の面からいきましてもゆゆしい問題になるのではないか。公正な競争が阻害されるとか、あるいは良質の運転手が狭められてくるとか、運輸行政の、特に自動車行政の面からいきましても私は問題だと思うのでありまして、こういう点については単に労使関係ではなしに、ハイタクの行政上の問題としても、何らかの指導なり措置ができないものかどうか、これは十分検討していただくに値する問題ではないか、こう思っておるわけであります。新潟陸運局の自動車部長の見解なんかもこの新聞に載っております。したがいまして、新潟陸運局は知らないはずはないと思うのであります。参考までに読んでみますと、新潟陸運局の当時の柴田自動車部長は、こう言っているのです。「個人タクシーを開業するには、タクシー運転手三年以上、三年間処罰を受けたことがないなど厳格な基準があり、どうしても時間がかかる。」これは認定に時間がかかるということだと思います。「今度のような覚え書きは、いままで聞いたこともないが、本来個人タクシーは、運転手に夢と希望を与え、業界に新風を送り込む趣旨で発足したもので、この姿は逆行するものだ。会社から離れ、個人タクシーができるのは、しにせがのれんを分けてやるのと同じ意味があり、決して会社の不利益ばかりではないはず」こういうようなことを自動車部長は記者に語っておられる。ですから、監督の陸運局なりあなたのほうの御見解は一応あると思いますけれども、ただ好ましくないとか、個人タクシーの将来のためにこれは考慮しなければならぬとかいう消極的な態度では、今日のこの企業主の状態から考えますと、直らないのじゃないか。逆にこういうことがどんどん拡大するのじゃないか。しかも労働組合がその一翼をになって協定を結んでおる、こういうことになりますと、これはほんとうにゆゆしい問題だと思うのでありますが、積極的な局長の御見解がございましたら聞かせていただきたいし、なお新潟陸運局から資料を取り寄せて、これから十分検討していただきたいと思っております。
  33. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生のお読みになった新聞の新潟陸運自動車部長の考えでございますけれども、私どもがそういうようなことでいままで指導したとおりのことを部長は言っております。それで先ほど申しましたように、この問題はやはり労使関係もございますので、労働関係関係庁ともよく相談して、どういう手を打ったらいいかということにつきまして、真剣に検討していきたいというふうに存じます。
  34. 米田東吾

    米田委員 それで局長にちょっと要求しておきますが、新潟陸運局がこの覚え書き、要するに東新タクシーと労働組合との間に結んだ覚え書きですが、その写しがありましたら、あなたのほうで取られたら、私のほうにも一部いただきたい。この覚え書きを結ぶことによって、ここにありますように、すでにもうやめていっている運転手がおるのかおらないのか、おるとすればもう何名やめていっておるか、それもわかったら、私のほうに資料として聞かせていただきたいと思います。
  35. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまの先生の御要求に対しましては、さっそく手を打ちまして資料を提出いたしたいと思います。
  36. 米田東吾

    米田委員 これは労働省の所管は基準局になりますか——お聞きしたいのでありますけれども、本来こういう覚え書きは、性格としてはやはり一つの労働協約だと思うのでありまして、法律行為だと思いますが、こういうものは無効ではないか、法的にそういうふうに私は考えるのでありますけれども、労働省の御見解はいかがでございますか。
  37. 藤繩正勝

    藤繩説明員 恐縮でございますが、実はおくれていま参りましたので、もう一度。
  38. 米田東吾

    米田委員 それでは要約して申しますと、新潟の東新タクシー株式会社と全新潟タクシー労働組合東新分会との間で、個人タクシー免許申請の者に対して、次のような取り扱いをするという覚え書きを結んでおるわけであります。この協定を結んだのは昨年の十一月二十日付です。この中身を見ますと、こういうことであります。個人タクシー免許の申請を意思表示したときは、役職者は役職をやめるほか、非乗務員は乗務員に戻る、それから陸運局の公示があった後、最初の賃金締め切り日をもって退職する、すでに公示されている申請者は、四十三年の三月三十日付で退職しなければならない、こういう内容の協定を結んでいるわけであります。個人タクシーというものを希望する人が、希望をすることによってこのような差別扱いを受ける。はなはだしい場合は、公示というのは、これは認可ではない、それからかりにそれが認可につながるとしても、はなはだしいのは二年も三年も、認可までにいま時間がかかっているわけです。そうしますと、その間は、会社をやめるわけでありますから生活ができない。非常に不当な、しかもこれは憲法上の問題にもなるのではないか。それから労組法上も問題が出てくるのではないか。それから民法上も問題が出てくると思います。もう一つは、職業安定法第二条、この関係も問題が出てくると思います。私しろうとでありますからよくわかりませんけれども、研究をしますと、総体的にこういう違法な覚え書きというものは本来無効じゃないかというふうに思いますけれども、見解はいかがでございましょうか。
  39. 藤繩正勝

    藤繩説明員 いま御指摘の案件につきましては、ただいま先生から御紹介をいただきまして初めて承知したようなわけでございまして、その内容も詳細には承知いたしておりませんし、また特に、そのような覚え書きが結ばれた背景等についても承知いたしておりませんので、確実なことは申し上げられませんけれども、お伺いした限りでは、やはり一種の、労働条件を内容といたします労働協約のような性質を持った覚え書きじゃないかというふうに思われます。つまり使用者と労働組合との間の、労働組合員の退職というような重要な労働条件に関する取りきめでございますから、おそらく要件を満たしておれば労働協約というような性質を持ってくるかと思うわけでございますが、一般的に申しまして、労働協約の内容は、もとより公序良俗あるいは法令に反することはできないのでありまして、個人タクシーの免許手続その他については私もつまびらかにいたしませんが、いまお話の限りにおきましては、一般的な常識から見てかなり無理があるのではなかろうかというふうに受け取れますので、十分研究をいたしたいというふうに思います。
  40. 米田東吾

    米田委員 あなたはいま突然お聞きしたということですから、やむを得ないと思いますけれども、十分検討していただきまして——これは民法第九十条の規定からいきましても、あなたのおっしゃる公序良俗の条項からいきましても無効だと思います。それから職安法第二条からいきましても、こういうことは許されない。要するに、職業選択の自由を奪われているわけであります。同時に、これは憲法二十二条にも違反すると思います。もう一つは、労働組合が対会社との関係で、こういう労働者がはっきり不利益になるようなことが大体協約としてできるものかどうか。労組法の趣旨からいきましても、これは逸脱しているのではないかと思います。労組法では、こういうようなことは言っておらないわけであります。労働条件の維持改善あるいは団体交渉等について保護をしている。ところが、これは労働者に対してはマイナスなんです。しかもやめていく場合は、これは労働者でないわけであります。免許申請をして公示になってやめる。そうなれば、労働組合でこれをどうこうするということはできない問題じゃないのか。労働組合から離れてくる問題じゃないか。そういうものに対する規定もある。ですから、これはもうどこから考えましても、この契約行為は無効だ、こういうふうに思いますので、そういう点でひとつ十分今後、運輸省のほうと、資料をとっていただきますので、それを検討していただきまして、さっそくそういう違法な契約を結んでおるところについては、御指導いただいて、直ちに措置されるようにお願いをしておきたい。よろしゅうございますね。
  41. 藤繩正勝

    藤繩説明員 十分運輸省とも連絡をとりまして、研究をしたいと思います。
  42. 米田東吾

    米田委員 次に、大臣がおいでになりましたので、大臣に若干お聞きしたいのでありますが、一つは、刑法第二百十一条の改正も今度国会を通りました。それからもう一つは、道路運送法の改正によりまして、反則金制度というものが、この七月からでございますか、施行されるという段階になっておるわけです。総体的に交通産業に働く労働者に対する、まあ端的に言えば、法律上の締めつけというものがきびしくなってきている。そういう方向で事故をなくそう、交通の安全を期していこうという態勢に私はきていると思うのであります。しかし、御承知のように、交通の安全、それは決して、運転手だけにそういう条件を当てはめて、そうしてきびしく律することだけでは解決しない。当然、労働条件あるいは企業責任、そういうものがこれに付随して、両々相まってなされなければ、交通の安全を期することは私はできないと思うのであります。  ところが、最近の傾向を見ますと、これはハイタク関係にいたしましても、あるいは道路運送法上の各企業自動車の運転手等を見ましても、むしろ勤務時間の面、あるいは賃金形態の面、たとえば時間外労働というものが野放しに行なわれておるとか、あるいは休日労働等についてはほとんど顧みられておらないとか、あるいは、賃金の関係では、最近ますます歩合制、請負制の賃金の傾向というものが強まってきておる、刺激的賃金の体系というものが強まってきておる、そういうふうに思うのでありますけれども、こういう刑法二百十一条の改正、反則金制度の施行、こういう時期とあわせてひとつ、もっと大臣としては、企業の側の責任、それから運転手に対する労働条件や賃金に対して十分なメスを加えて、これを思い切って改善させるという行政措置が必要じゃないかと思いますけれども、この点については大臣はいかような御見解を持っておられるでしょうか。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は、両々相まって行なうべきであると思います。最近の交通事情等を見ますと、一方において、国鉄や私鉄の運転者に対する社会的責任の追及等々を見ますと、あれだけの責任が追及されているならば、同じように人命を預っているトラックの運転手にしても、バスの運転手にしても、やはり責任が社会的に加重されてきていいと思うのです。そういう意味からも、社会的にそういう要請があることはやむを得ないと思います。しかし、他面において、いまおっしゃいましたような労働条件あるいは休養施設、勤務条件、そういうようないろいろな問題も非常に重大な要素であると思いますので、その点の監督も特に注意してまいりたいと思います。
  44. 米田東吾

    米田委員 そこで、私、ひとつ労働省の基準局長にお聞きしたいのでありますが、いま大臣の御答弁もいただきましたが、この面についてはかねがね労働省は、たとえば二・九通達とか、あるいは四十一年十月の労働省通達、こういうものを出しまして、運転手あるいは企業に対して相当、労働時間や賃金のあり方について指導をしておられます。これは一体どうですか。この通達なり労働省の指導というものは、徹底してきておりますか。要するに企業やあるいは運転手にこれが守られるという状態になってきておりますか。私は、逆じゃないかと思っておるのでありますけれども、労働省としてどういうふうに把握しておられますか。できれば、何か統計的な数字がありましたら聞かしていただきたい。
  45. 藤繩正勝

    藤繩説明員 御指摘のように、昨年の二月九日に、自動車運転者等の労働時間を中心といたしまして改善基準を定めまして、これを通達いたしたわけであります。その後におきまして、私ども労働基準監督機関としては、もとより当然のことながら、その徹底のための監督指導を非常に強化いたしておりますし、また、民間の企業側でも、これの協力方について非常な熱意を示しておられます。また、関係の大かたの労働組合からも趣旨に御賛同いただきまして、前向きの御協力をいただいておるわけであります。漸次浸透してきているというふうに考えております。  数字について若干申し上げますと、まず、労働基準監督機関の監督指導の状態でございますが、従来、たとえば三、四年前の昭和三十八年あるいは三十九年のころを見ますと、年度間の盲動車運転者に対する監督実施状況は、年間三千六百件前後でございます。それが、昭和四十一年度には九千百四十一の事業場を監督いたしております。昭和四十二年、これは暦年ございますが、二万一千八百九十の事業場を監督をいたしておりまして、相当の違反を指摘し、是正勧告をし、それでも聞きいれない場合には、最終的には悪質事案について送検処分を行なっております。ちなみに、昭和三十八年は送検処分八件、昭和三十九年は七件という程度のものでございましたが、昭和四十年には三十四件、昭和四十一年には五十五件、昭和四十二年には二百六十五件の事案について送検処分に付しておるというような実態でございます。  それから、どの程度こういった中身が徹底してきているかということにつきましては、ちょうど一年たちました現在、この春の交通安全週間でただいま一斉勧告を行なっておりますので、近く総合的な結果が得られると思いますが、一例を申し上げますと、この改善基準を内容といたします三六協定の届け出でございます。御承知のように、問題は三六協定にございますので、それの限度を示した改善通達でございますが、その三六協定は、この一月末で、大体四五%程度改善基準に沿った届け出がすでになされております。   〔委員長退席、福井委員長代理着席〕 その後さらにこのパーセントは上がってきていると思いますが、そういう状態にございます。  それから、労働時間でございますが、たとえば労働省でとっております毎月勤労統計調査というものがございますが、これで見ますと、昭和四十一年と四十二年では、全体として労働時間は横ばいでございます。製造業が若干延びてきておりますけれども、民営の旅客自動車、つまりタクシーでございますが、鉄道を除きましたものにつきましては、月間、わずかでございますが、〇・九時間ばかり減っております。特にトラックのもの、道路貨物運送業では二・六時間ばかり減っておるというような傾向が見えます。これは何も改善通達だけの成果であると申し上げるわけではございませんが、従来非常に長かった長時間労働にやや改善のきざしが見られたのではなかろうか。もとよりそうは言いましても、まだまだ他の産業に比べて条件が悪いということを私どもは率直に認めておりますけれども、今後とも改善の努力を常に重ねていきたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 米田東吾

    米田委員 ついでにもう一つ聞きますが、時間がないのですが、この二・九通達で、「賃金形態」のところで、要するに、給料の歩合給制度に対して一定の通達を出しております。(3)の「賃金形態」の(イ)、(ロ)の(ロ)の項、「いわゆる歩合給制度のうち、極端に労働者を刺激する制度を廃止することとし、歩合給の歩率は水揚げ等の多寡にかかわらず一定率にするよう逐次改善に努めること。」こういうふうなことがありますが、私は、これはおそらくいま全体としては逆の方向にいっているのではないか、むしろハイタク関係企業においてその傾向が強いのじゃないか、はなはだしいのは一車二人制で完全請負あるいは個人請負の形をとる、そういうような傾向にあると思いますので、これについては私は、特にこれから徹底してあなたのほうは調査指導をしていただきたい、それだけお願いしておきます。  それから、前にわが党の久保委員のほうから、この間山梨県下に起きました、修学旅行の中学生にぶつけて犠牲者を出しましたあのダンプの運転手の労働条件、特に三・六協定の関係等について資料要求しているはずであります。これはひとつ早急に出していただくようにお願いしたいし、それからいま社会党が社会労働委員会に出しておりますが、労働基準法の一部改正、中身はおわかりですね。これなんかにつきましては、労働省は前向きで検討しておられますか。たとえば運転手に対する三十六条協定の規制だとか、あるいは企業の責任という点を非常に重視いたしまして、企業主にいわゆる労働時間台帳というものを備えつけさせて、運転手だけに手帳を渡すのではなしに、企業主にもそういう厳格な労働時間についての規制をさせる、責任を持たせる、そういう中身になっておりますが、そういう点についてはおわかりだと思いますけれども、ひとつまとめていまの点について見解だけ簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  47. 藤繩正勝

    藤繩説明員 本年度におきましては、私どもといたしましては、自動車の運転者の問題について、三点の重点事項を定めております。  一つは、御指摘のタクシー、都市部のタクシーにつきましては、累進歩合制を、特に刺激的な累進歩合制をまずなくすということに重点を置いております。  それからトラックにつきましては、労働時間の把握を明確ならしめるために、とにかく乗務員手帳の普及をはかっていくということであります。  第三は、ダンプにつきましては、議員立法の趣旨を尊重いたしまして、あの機能を十分に生かしていきたい、かように思っておりますので、御指摘の点を十分踏まえまして、さらに努力をいたしたいと思っております。  それから山梨の修学旅行の件につきましては、昨日、私、提出するように命じておきましたので、もう一度国会関係の係に注意をして早く出すようにいたしたいと思います。  それから御提案の労働基準法の一部改正につきましても、十分勉強さしていただきたいと思います。
  48. 米田東吾

    米田委員 最後に、私、大臣国鉄の副総裁からお聞きをしておきたいのでありますが、国会はいよいよあさってで終わるわけであります。あげてこれから参議院選挙に入るという状況になるわけです。  そこで私が御質問をしたいのは、これはどちらかといえば大臣と副総裁の決意のほどを聞かしていただければいいのでありますけれども、かつて四十年の参議院選挙、それから昨年一月の衆議院選挙、それぞれ、四十年の場合は専売公社、昨年の場合は特に国鉄の長野管理局等におきまして——この特徴は、その機構、公社あるいは管理局という組織をあげて何か選挙運動をやり、そして違反に問われておる。きわめて不明朗、不名誉な、しかも国民に重大な疑惑と不信を与えるような選挙違反を起こしておるわけであります。以来、選挙の関係になりますと、官僚の横すべりといいますか、選挙にあたって立候補する、それに対して公社だとかそういうところが企業ぐるみで応援をする、見て見ないふりをする、そういうようなことがしばしば指摘をされておるわけであります。今度の参議院選挙にあたりましても、よそのことは私は申し上げませんけれども、私が所属しておる運輸委員会関係では、確かに国鉄の前役員の方がいま地方区に出ておられるように聞いております。おそらくそうだと思います。私はまだ詳細なことはきょうは申し上げませんけれども、どうも心配されるのは、やはり投書なんかを見ますと、いろいろ業務上の問題とうらはらの関係で、違反ではないと思いますけれども、そういう疑いを持たれるようなことがないわけでもないように見受けるわけであります。これは私は厳重に注意をしてやっていただかなければなりませんし、こういうことによって、あとになってまた、四十年の選挙のように、あるいは四十二年の選挙のように、国民からたいへんな糾弾を受けるというようなことがあっては困ると思いますので、あらかじめ、国会がありませんから、最後でございますので、そういう点についてどのような自戒、反省の対策を——これは徹底しておられると思いますけれども大臣と副総裁からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前に何か専売公社の問題で社会的に指弾を浴びたことがありましたが、この点につきましては、自粛自戒を厳にいたしまして、かりそめにも世の中から誤解を受けることがないようにすべく私も努力をいたします。選挙運動というものは全く自由意思でやるべきものでありまして、上から示達をするとか、あるいはそういう職権関係利用してやるべきものではない、完全に自由意思で、あるいは労働組合が、あるいは業者団体が自分たちの利益を考えて行動する、これは自由である以上はいいと思いますけれども、かりそめにも上からそういう指令であるとか職権を利用する行為というようなことは、やらしてはいかぬと思っております。
  50. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま運輸大臣が申されましたとおり、国鉄のほうといたしましても、もう党のいかんにかかわらず、公職選挙法百三十六条に違反するような、いわゆる地位の利用等によって国民から疑惑の目を受けるようなことがあったり、あるいは国鉄法三十二条によります職員の業務専念義務に違反する等のことがないように、十分前例等も具体的に示しまして、関係地方にはすでに話をいたしておりますが、ただ公務員と違いまして、個人としてやる分には、これは国鉄職員は自由でございますので、いやしくも個人の行動と地位の関係の混同のないように十分戒めてまいるつもりであります。  ただ先生のお話の中で、私のほうの旧役員が地方区にというお話でございましたが、これは私どものほうの役員ではありませんので、その点だけをひとつ……。
  51. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  ただ副総裁、私が言いたいのは、特徴的なのは、専売公社とかあるいは何々管理局とか、そういう機構が、結果的に見ますと、そういう違反なり運動の何か一つの主体になっているような、こういう感じはよくない。おっしゃるとおり、国鉄の方方なりそういうものは決して国家公務員法に縛られるものではないのでありますから、公職選挙法だけであります。ですから、公社がやったのではないか、管理局がやったのではないか、こういうかっこうになっては困る。その点だけひとつ十分注意していただきたいと思います。  終わります。
  52. 福井勇

    ○福井委員長代理 板川正吾君。
  53. 板川正吾

    板川委員 運輸行政について質問いたします。  まず大臣に一つ。先ほど報告のありました日本通運株式会社に対する特別監査についての報告、これについて一言だけ伺いたいと思うのです。  この報告書というのは中間報告ということのようでありますが、大臣説明によると、運賃の取り過ぎ、保険料の取り過ぎ、経営範囲の限度を越えたやり方、人事、経営について社会性公益性を無視しておったというようなことが口頭で追加されております。この文書自体は、新聞にも出ておりましたように、こういう方針で監査したということだけであります。そして抜き打ち監査をこういうことで、こういう何カ所やったというだけでありまして、この監査の結果についての運輸省の見解、これに対する処分等があればどういう処分をされるか、またこうした監査の実態に基づいて将来どういうふうに指導すべきか、こういうような点に対する報告はいつ行なわれるのですか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 近い将来に省議を開きまして、関係各部局からの報告を正式に聞きまして、その上で判断をきめまして、二十五日ぐらいまでには公表したいと考えております。
  55. 板川正吾

    板川委員 監査の結果については、ひとつあとで詳細に報告を願いたいと思います。  それでは私、以下、民鉄、バス等経営問題等関連する問題を質問いたしたいと思います。ただし、私はこれに対する答弁はあえて要求はいたしません。そのかわり、ぜひ、こういった問題点を指摘いたしますから、来たるべき国会において十分な資料等をもって答弁していただきたい、あるいはこれの具体化のために事実をもって示してもらいたい、こういう意味で申し上げたいと思います。  第一に私が申し上げたいのは、地方民営鉄道に対する対策であります。  実は運輸省に、民鉄の将来はどうなるのだということを聞く場合に、ほとんどそれに対する対策というのがないのです。運賃をケース・バイ・ケースでやるとか、あるいは多少の補助をするとかという程度しかない。これでは、これからの民鉄に対する対策とはいえないと思うのです。たとえば道路の急速な整備、自家用車のこれまた急速な普及、住民の都市集中化、国民所得の向上、こういう経済社会の変動によって、いわゆる地方中小私鉄、これが大きく斜陽化していることは事実なんです。今後五年から十年たって、一体地方の民営鉄道というのはどういうそうした社会経済の影響を受けるだろうか、またそれによって地方民営鉄道、私鉄がどのような変貌を遂げるだろうか、その予想を運輸省としてどういうふうに考えておるだろうか。それに対する政府の対策というのは、あるいは指導の方針というのは、具体的にどういうものを考えられるか。こういう点についてぜひ、次の国会のときに詳細に答弁できるように御用意を願いたいと思うのです。  参考までに申し上げますと、そうした社会経済の変動、これに対抗する手段として幾つか考えられます。たとえば、隣接する地方鉄道を数社合併をして、あるいはその所有するバス路線等も一体化をはかって経営の基盤を強化するということも、一つの方法でありましょう。そういう方針は持つのか持たないのかということもありましょう。それから合併会社に対して税制上、金融上の恩典等を与えて、これを育成するという方法もあろう、こう思います。そのほかの点もありますが、こういうような点。  それから、地方鉄道軌道整備法という法律がございます。これはこの間もちょっと触れましたが、鉄軌道整備法というのは議員立法でありまして、条文はまことによろしいのであります。しかし、その内容というのは実は有名無実でありまして、実質的にはたいして効果がないのであります。いま地方軌道か非常な危機——社会経済の大きな革命的なといいましょうか、大きな影響を前にして変貌を遂げようというときに、本来であれば、この鉄軌道整備法が有効に作用すればいいと思うのですが、実際は作用しておりません。ですから、こういう鉄軌道整備法等が法文のとおりに作用できるような運用をはかるべきではないかという点も考えられるのではないかと思います。  要するに、今後の私鉄の対策については、運賃値上げ等によって一時経営を何とか保つというものもありましょう。あるいは、合理化して権衡を取り戻すような措置もありましょう。あるいは、バスに転換せざるを得ないというものもありましょう。とにかく、こうした予想される幾多の対策に対して、運輸省はどういうような具体的な指導方針をとられるのか、ぜひひとつそれを次の国会で明らかにしてもらいたいと思います。  それから次は、これまた地方の民営バスの対策です。これは何回か論じられておりますが、これまた地方鉄道と同じように、道路整備、自家用車の普及、あるいは都市集中化、国民所得の向上、こういうような社会経済の影響を地方バスがどういうように受けてくるだろうか、予想される将来をどう考え、政府はこれに対していかなる対策をとろうとするのか、これまた具体的に研究をして、ひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。  やはり参考までに申し上げますと、自家用車の普及、道路整備地方バスにどのような影響を与えるのか。この自家用車の普及でありますが、これは運輸省がさきに発表した資料によりますと、これは自家用車というよりも自動車保有台数でありますが、昭和四十六年には二千百三十四万台という予想を立てております。これは二輪車、三輪車を含みますが、二輪車、三輪車はごくわずかになってきております。昭和四十七年には二千四百五十二万台、約二千五百万台、昨年の六月が一千万台ですから、昨年から見ますると二倍半近く昭和四十七年までの五年間にふえるのです。こういうように地方の——自家用車は地方において特にふえるのですが、ふえてきますると、バス経営にどのような影響を与えるだろうかという点。それからバスの乗客は、こういうふうに自家用車が普及してまいりますと、通勤とか通学が主となりまして、一般客はもうバスはあまり利用しなくなる、こういう傾向になります。  それから運賃値上げという説がありますが、専門家の説によりますと、運賃値上げというのは、もう一回ぐらいは何とかきくだろう、しかし、もう一回も上げたら、もう運賃値上げでバス経営が改善されるということはない、値上げすればするほど、それは自家用車に逃げる、こういうようなことが専門家の間に予想されておるのであります。そういう傾向等も考えてもらいたいと思います。  それから賃上げはことし五千円ありましたが、おそらく来年は五千円以上あるでしょう。そして世間並みの待遇をしなければ運転手、車掌は参りませんから、これはどうあっても世間並みの待遇は、地方バスといえどもしなければなりません。またそれに対して、合理化でワンマンカー等をふやすという考え方もありますが、ワンマンカーというのはあまりふやすべきではないと私は思う。これは厳格に法律のたてまえからいっても、特定の場合にやむを得ずやるのであって、このワンマンカーをやたらにふやすべきではないのでありまして、やはり合理化といっても運転手、車掌の二人は最低必要なのであります。こういう社会経済の状況から考えて、経営者はどういう態度をとるかというと、今度の春闘を通じて、たとえば四国の高知県バスとか土佐とか、こういう地方バス会社がとりますように、こういう状態になったらやむを得ないから不採算路線を切り捨てよう、たとえば一日一万円の収入がなければやっていけない、一万二千円の収入がなければやっていけないというときに、八千円、七千円というような路線バスはやめちゃおう、こういうことになってくる。赤字路線を全部やめていこう。いままでは、どんどん伸びている時期だから、いまは赤字でもやがて黒字にたるということで持っておったけれども、これは人口が都市に集中して過疎化してくるのですから、黒字になる予想もない、それじゃやめちゃおう、こういう対策をとるに違いないのであります。しかしやめようとすれば、これは大臣の許可が必要であります。大臣は、おそらくこういう地域では、通勤通学者しか乗らない状態ですから、通勤通学者の足を確保するために、公共性を確保するためにということで許可を渋ってなかなかしないだろうと思うのです。これが普通です。そうしますと、織田大蔵じゃないが、五万円の罰金を払ってもいいからやめちゃおう、こういうものも出てくるかもしれません。しかしそういう場合に、一体どういう対策を持っているだろうか、立て得るだろうか。自動車局長は何か、マイクロバスが非常にいいとかいうような説をこの間ちょっと言いましたが、ああいう臨時的、緊急的なものは通常の輸送機関じゃないのです。通常の輸送機関はやはり、バス経営者が責任を持って経営するという形をとらなくちゃいけないのですが、たとえばこれは道路運送法にありますように、通勤の足を確保するために、事業の管理の委託という制度がありますね。たとえば、バス会社は赤字でやっていけない、だからこれをひとつ市町村に管理の委託を申し込んだ場合に、市町村がこれに対して、ぜひそのバス路線は必要だというなら、市町村がその管理の受託をする、こういう方法もあるだろうし、また、赤字に対する市町村の補助というものもあるでしょう。そういうようないろいろな対策をとって、ともかくも地方住民の足を確保するという体制を、これからとらなくちゃいけないと私は思う。過疎地帯における地方バス、しかも赤字路線バスをやめようとする場合に、どういうような対策を今後とられようとするのか、この点等を考慮されて、ひとつ次の機会に方針を明らかにしていただきたいと思います。  次に、私鉄と大都市通勤輸送対策について。鉄道関係でございます。これからの鉄道輸送という交通運輸の使命というのは、私は通勤通学者の足を確保する、こういうことに尽きると言っては過言かもしれませんが、まあ尽きるのじゃないか、こう思います。乗客の四分の三、大半が通勤通学者ですから、輸送の使命の重点は、通勤通学、定期券利用者の足を確保する、こういうことにある、こう思います。  ところで東京、大阪、名古屋、この三大都市、大都市交通の特徴はといえば、いま言った通勤通学の輸送というのが特徴であります。通勤通学の輸送は、イコール定期券利用者輸送であります。また、これからの鉄道輸送機関の使命というのは、先ほど言いましたように通勤通学の輸送でありますが、大都市輸送の実情を見ますと、私鉄がどの程度の役割りを果たしているかということを見ますと、この三大都市圏を中心にしまして、定期券輸送の四九%が私鉄、国鉄が三八%、公営企業が二二%となっております。首都圏、東京都を中心に考えてみる場合に、国鉄が四七%、私鉄が四五%、公営が八%。しかし、名古屋地区では私鉄が六二%、国鉄が二%、公営企業が二七%という定期券輸送の率を占めております。特に名古屋地方では、国鉄が、定期券輸送は私鉄に全部まかせるのだ、定期券輸送をしたのじゃもうからぬ、こういうふうなことで、私鉄にまかせるということを、この間国政調査に行ったときに向こうの局長説明しておりましたが、名古屋地方では私鉄が定期券輸送の非常な役割りを持っておるのですね。こういうように、大都市の定期券乗客の輸送における私鉄の役割りというものは、相当な役割りを果たしておる、まずこういうことをひとつ念頭に置いていただきたいと思います。  それから、都市の人口の集中化というのを、運輸省の、大臣の諮問機関である運輸経済懇談会、ここで資料を出しておられますが、首都圏だけを拾い上げてみますと、昭和四十年に二千六百十六万人の人口であったのが、六十年には三千九百七十八万人と予想され、その間一千三百六十二万人の人口が首都圏に集中をされる、こういう資料が出されております。それから通勤人口も、昭和四十年には百三十九万東京都心に通勤しておった者が、六十年には三百八十六万人、四百万人近くなる。これを現在の中央線並みの輸送力輸送しようとすれば、鉄道を二十四本ないし二十五本新設しなければならない、こういう資料が出ておりますね。これはどうしてそういう計算をしたかというと、東京都に流入する人口の九割が鉄道利用するものとし、しかも、その九割のうちの六割がラッシュに集中されるという計算をして、そうして二十四本ないし二十五本新設しないと輸送ができない、こういう説を立てております。これは、二十五本というのは混雑度一五〇%です。現在の混雑度は二三〇から二七〇ぐらいだろうと思いますから、混雑度を緩和すると二十四、五本。ところが混雑度を現在程度にしますると、二〇〇%程度にしますると一九本ということになりますが、大体二十本前後とにかくつくらなくちゃいけないということになります。ところが、それを全部国鉄でやるというわけにはいかない。私鉄にもその輸送量の増加分を輸送する任務もあります。  そこで、私が具体的に伺いたいのは、これは返事はもちろんあとでいいんですが、現在の私鉄の輸送力都市の大手私鉄の輸送力が、現行の設備、いまの複線の輸送力、それから八両編成の二分半のヘッド、こういう程度の輸送力の限界がいつごろくるのだろうか、限界がいつごろくるか。あと五年後、六年後、八年後か十年後か、それをひとつ調べてもらいたいと思います。  そうして、これはいまの設備を複々線化していかなければ輸送力が増強できないと思いますが、複々線化する場合に、これはもう当然、踏切の関係からいって高架にしなければだめであります。立体交差にしなければ、複々線の場合にはもう交通遮断状態になりますから、これは道路高架にするか、鉄道高架にするか、いずれにしても立体交差にしなければだめでありますが、その立体交差に要する費用というのが、伝えられるところによるとキロあたり二十億程度かかるといわれております。キロ当たり二十億ということになりますると、五十キロの路線高架にしますと一千億円です。まあこれは二十億から十五億といわれておりますが、一千億円から七百五十億円。三十キロの場合でも六百億円。とにかく一割の利子としても六十億ないし百億という金がかかって、これはとても私鉄でこれをやっていくというわけにはまいらない。これはどうもやっていけません。そういう場合に、国鉄輸送力については国鉄建設公団があって、これが担当しておりますが、こういう場合に私鉄の複々線等に対する民鉄の建設公団をつくるとか、あるいは鉄道建設公団の任務の範囲を広げてそれにやらせるとか、いろいろ説もあるようでありますが、一体どういうような方針をとられるだろうかという問題。もし国が相当な投資をして施設を貸与するということであれば、これは、民営鉄道経営の主体というのは一体どういうことになるか。いまの民営方式でいいのであろうか、あるいは、いわれるように公団方式なりをとらざるを得ないであろうか、そんなような問題等を念頭におきまして、都市の人口の集中、それから輸送力、どうしても鉄道によって輸送せざるを得ませんから、その場合に私鉄はどういう変貌を遂げるのか、それに対する運輸省の方針というのがどういう方針であるか、ぜひ次回にまとめて資料を示しつつ答弁を願いたいと思います。  それからもう一つは、大都市交通の規制の問題ですが、これは西欧の諸国でも運輸大臣が非常に困っておるのですね、大都市道路交通の麻痺状態に対して。西ドイツでもフランスでもイギリスでも、運輸大臣が非常に困って、どうしたらいいかというのでいろいろ対策を立てております。もちろんこれは運輸大臣だけの仕事じゃないでしょう。建設大臣もあるし、自治相もあるでしょう。しかしやはり交通の任務を担当するのは運輸大臣ですから、運輸大臣がひとつ中心になって、一体この都市交通、路面交通をどういうように規制されようとするのか、自動車はふえる、道路はそれほどふえない、ますます道路交通の渋滞が行なわれる。そうしてドライバーはむしゃくしゃするから、たまりかねて広い道路へ出たときにスピードを出して事故を起こす。公害は起こる。いろいろな弊害があるわけでありまして、この都市交通行政というものを一体大臣はどういうふうに考えて、どうやろうとされておるのでしょうか。いまのままで、このまま野放しにして、行き詰まってもしかたがないということじゃないと思うのでありまして、何らかの方針なり抜本的な対策というものを考えなくちゃいけない、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  時間がありませんから最後に、地方鉄道法の改正についてこれまた伺っておきますが、地方鉄道法は非常に陳腐化しております。現在にもう当てはまらない条文が非常に多いのです。たとえば三十条以下の、政府による民営鉄道の、私鉄の買収という規定がありますが、これは、政府がいま買収することはありません。国鉄または国鉄建設公団ということに読みかえ規定もありませんから、この三十条以下の私鉄の買収、補償、こういった規定は実は有名無実化して、これまた空文化しておるわけであります。これに対して、いま国鉄地方鉄道を買収して国鉄の新たな輸送計画を立てるというのが方々で予定がありますが、この法律を改正して、江若鉄道のような紛争が起こらないように整備をする必要があるのじゃないだろうか。さらにその罰則の問題ですが、これまた福島交通織田大蔵社長の場合に、われわれもひっかかりましたが、許可なく事業廃止しても罰則はありません。過料が千円です。あとは大臣の役員解任権しかないのであります。廃止を強行しても罰則がないというのはおかしいのであります。したがって、この罰則規定等もこの際直したらどうだろうか、こう思うのであります。  以上の諸点についてぜひ、次の国会でけっこうでありまするから詳細な、具体的な資料をもって示しつつひとつ答弁を願いたいと思います。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 以上の諸点につきましてよく調査いたしまして、この次の国会に御答弁申し上げたいと思いますが、現在行政刷新本部というのを運輸省の中へつくりまして、その中の第一部会で、大体そういう各方面の問題を検討しております。ただ議会がいつ開かれるかということによりまして、あまり早いと的確なお答えをすることはできないかもしれませんが、それでも誠心誠意できるだけのことを尽くしまして御答弁申し上げたいと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 以上で終わります。
  58. 福井勇

    ○福井委員長代理 加藤六月君。
  59. 加藤六月

    加藤(六)委員 先般の交通安全対策特別委員会で、韮崎バイパスの交通事故の問題を自動車局長関連質問質問させていただいたわけでございますが、本日資料のごくささやかなものをいただいたわけでございますが、私は本日、実は乗務員手帳を中心に御質問いたしたい、こう思っておったわけでございます。  まず一番最初にお伺いしますが、昨日も大臣より御答弁がありましたが、個人タクシーの免許の問題でございます。これを大臣は、地方都市はどの程度の都市までに、今後個人タクシーの免許を出す範囲をお広げになりたいという意向がありますか。昨日は大都市近郊という程度のことしかおっしゃらなかったのですが、いま少し具体的にまず大臣から承っておきたい、こう思います。
  60. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 住民の要望がかなりありまして、かつ、流しをやって採算がとれる、そういう地点を考えてみたいと思います。具体的には局長から答弁させます。
  61. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 個人タクシーをいま認めております地域は、六大都市も含めまして、全国で四十八都市でございます。大臣も申しましたように、流し営業が可能な環境になり次第、さらに、たとえば千葉市あるいは尼崎市とか、そういうような地帯に今後認めていきたいというふうに思います。
  62. 加藤六月

    加藤(六)委員 その次に、これは自動車局長にお伺いいたしますが、きょういただきました資料の四十二年二月九日付のいわゆる二・九通達でございますが、この通達を出すときに、運輸省、警察庁、それから労働省が十分に相談いたした上で出したというように承っております。もちろん局長は、その当時自動車局においでにならなかったわけでございますので、わからぬと思いますが、運輸省がこの通達に対してどの程度関与され、相談にあずかっておられたかという問題を承りたい、こう思います。
  63. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 この資料は実は労働省からの資料でございまして、私どもの資料でございませんので、その点おことわり申し上げておきます。  それから、二・九通達の点につきましては、労働省と十分事前に打ち合わせいたしまして、こちらの自動車運送企業の面からの立場も申し上げましたし、それから、これは運送事業以外の自家用のトラック等ももちろん対象に入っておりますし、そういう点につきましても、警察庁のほうともいろいろ相談いたしまして、十分連絡をとりながらやったというように私聞いております。したがいまして、昨年の二月から本年の二月まで一年間経過したのでございますけれども、いよいよ本年からきびしくやっていこう、過去一年間は一応予備期間というふうに私ども考えております。先ほども説明がありましたように、これからこれを企業者が十分に守って——安全運転まで響きますので、注意、指導をしていきたいというふうに私ども考えておる次第でございます。
  64. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣に実はこの問題でお伺いしたいと思っておりましたのは、最近の一般の中小企業は非常に労働力不足、特に技能者不足ということに悩まされておるわけでございます。これは単に自動車業界だけではなしに、環衛団体、端的に申し上げますと、美容院とか散髪屋とか、クリーニング屋とか、いろいろな関係におきましても人手不足という問題で悩まされております。したがいまして、環衛団体その他におきましては、こういつた優秀なる従業員を長く自分の企業内に確保し、さらに能力の向上を期さすためにはいろいろな方法を講じております。特に、環衛金融公庫ができました。この関係で、従業員手帳というものを出させまして——現在の段階における雇用主が、従業員に対して出す。しかも、一定の店に何年以上かおって、あらためて独立する場合には、公庫その他から融資をする。土地、建物、設備に対する融資をして、やらすというところまでの非常に前向きな——現在のそういった環衛団体の、これはそのうちのごく限られた団体にしぼられるようでございますが、非常に前向きな、従業員が希望を持って働けるような態勢、もう何年かしたら自分は独立して店ができるんだというところまで実は考えておるわけでございます。したがいまして、私も昨年来、自動車局のほうにもいろいろ意見を具申申し上げておったわけでございますが、一般のトラックあるいはバス、タクシー、こういう方方の中から、将来は個人タクシーをやりたいという希望がある方はこちらのほうへ転向さす道を開くということが、現在の非常に質的低下を来たしておる運転手の質の向上と、また渡り鳥のように、現在非常に——きょうは時間がないので、あまり詳しく申し上げられませんが、労働基準法違反とか、いろいろなことがいわれておりますが、いろいろな運転手を供給するような組合ができております。完全な意味の労働大臣の許可を得ておるのか得てないのかわからないような組合もあります力そういう運転手がいろいろなバスバス会社はあまり採用しておりませんが、私の調べたところではトラック会社、タクシー会社に相当数流れていっております。これらが事故を起こす。警察が追及する。その人間がいなくなっておるという数が、東京都内でも何千名という数になっておるわけでございますが、そういったいわゆる悪質なる運転手が起こす事故を防止するためにも、また、それぞれの会社が企業を確立する意味におきましても、この乗務員手帳を、単なる労働時間を管理するとか、あるいは労働基準法を守らすとかいう、縛りつけるものでなくして、個々の人間に希望を持たして、将来個人タクシーなり、あるいはどうしてもトラック事業がやりたいという場合はまた別に考えなくてはいかぬと思いますが、まあ小さい限定免許の運送会社への道を開かすというようなことをお考え願えれば非常にありがたりんじゃないか、こう思うわけでございます。こういったことについて、ひとつ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 りっぱな人間で、勤務成績もよく、安全運転を確実に励行して、そうして警察その他からもほめられるような人が自主営業を希望する場合には、できるだけその成績等を見まして便宜をはかってやるということは、行政として正しいやり方であると思います。したがいまして、そういう方面に向かって具体的に検討してみたいと思います。
  66. 加藤六月

    加藤(六)委員 この二・九通達につきまして自動車局長にお尋ねいたしますが、ある面では非常にりっぱであったのでございますが、いろいろ調査してみますと、この通達の内容は時間外労働の制限と、もう一つは極端なる刺激給、いわゆる歩合給を押えようという、二つの趣旨から出ておるようでございます。いま局長は猶予期間を約一年間置かした、ことしからは本格的に取り締まる、というのではないですけれども、たとえばタクシー会社に例をとってみますと、相当厳重に監査したいという御意向のようでございます。私らはもちろん、この点について賛成でございます。賛成でございますが、ここで考えてみていただかなくてはならないと思いますのは、これは私の調査の範囲内でございますが、中小のタクシー会社——大きいタクシー会社は知りませんけれども、中小のタクシー会社の場合には、現在人件費が総水揚げの大体五一%から五二%になっております。さらにこれに健康保険その他の関係全部、あるいは制服ということまで満たしていきますと、五四%ないし五五%というものになっております。これは、二・九通達を完全に実施しない前の段階においてこういう状態でございます。  もちろん人の命、あるいは事故防止等から考えまして、二・九通達というものが完全に実行されるのは好ましいと思いますが、しかし、ここで考えてみますと、現在のタクシー運転手にはいろいろな立場のものがあると思うのです。東京都内のように、純粋にタクシー運転手として家族を、あるいは一家一族を養っておるという方々の場合、それから地方の中小タクシー会社のように、いわゆる兼業で働きに来てタクシーの運転手をやっておる場合、いろいろ千差万別だと私は思うわけでございますが、ただ、この通達によって、働きたいという運転手が働けなくなる。時間的に縛られます。今月はどうしても金が要るというので、これはいろいろの会社にありますが、自分にはひとつ夜勤をさしてもらいたい、超勤をさしてもらいたいということを申し出る。これは一般の生産会社にもたくさんあります。それと同じように、個々の運転手の場合の個々の事情によりまして、今月はどうしても子供の学資あるいは子供のいろいろ要ることがあるので、少し多く働きたいということが起こった場合に、働けなくなる、こういう問題が出てくるんじゃないだろうか。しかしこれも全体の労働者の地位が確保され、向上するため、生活が向上するためにはやむを得ぬということになっていきますと——毎年毎年、中小のタクシー会社の場合はベースアップもやっております。物価の値上がりを来たし、いろいろなものの値上がりを来たしております。逆に、総水揚げというものが少なくなってきておる。このときにはたしてこの二・九通達というものが、中小タクシーの場合完全にできるだろうかどうだろうか。私はこれは非常に疑問に思っております。今後自動車局としては、各陸運局あるいはその他を通じて、こういった中小のタクシー会社にも二二九通達というものを完全に実施さすのか、少しはそういった個々の事情については余裕ある態度を示されるのかどうか承っておきたい、こう思います。
  67. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 二・九通達の実施につきましては、第一次責任は実は労働省でございますので、私のほうからそういった意味で責任ある見解を示すわけにはまいらぬと思いますけれども、第二次的に申しまして、やはりこれは労働条件ひいては安全に関しますので、中小タクシーといえどもこの点は実は守ってもらわなければならぬと存じております。また、そういうふうに企業者もひとつ姿勢を正して、もちろん苦しい事業所もあるかもしれませんけれども、やはりそういった面で企業者も十分理解して、労働条件というものによって運転者が安んじて仕事ができるという環境をやはりつくってやらなければいかぬのじゃないかというふうに存じております。したがいまして、運賃の問題にも実は関連するのでありますけれども、そういう意味からいたしまして、どうもコスト割れだということがあれば、やはり地方的なアンバランスがありますれば、そういう点も考慮していくべきじゃないかというふうに存じておる次第でございます。
  68. 加藤六月

    加藤(六)委員 わかりました。免許を出した以上は、そういった会社をどうしても育ててりっぱなものにしてやらなければならないという義務というもの、あるいは責任というものを自動車局に感じてもらいたい、私はこう思うわけでございます。  端的に申し上げまして、先ほど大臣から日通監査その他について御報告がございましたが、私は免許を出したあとの自動車会社、特にトラック会社、タクシー会社に対しての自動車局のフォローといいますか、あとをいろいろ監督指導をしていく行き方が非常におかしいんじゃないかという感じを非常に持ったわけです。  その端的な例が、大臣も御存じのように、日通の業務委託の問題につきまして、岡山県のごとき九カ所以上、許可を得ずに日通がやっておった。たまたまこれは警察が違反問題でつかまえまして、初めてわかった。しかも日通問題が起こって一カ月以上たったときにおいて、そういうことであった。私はこれは非常に残念に思ったわけでございます。  ほかの問題から観点を変えて伺いますと、先般の三郷運送の場合、私は質問したわけでございますが、免許を出したときの資本金が一体幾らであって、何台の車両台数であったか、それからあと増車増車を重ねていっておるのかどうかわかりませんが、そのあとの経過等がすぐ電話一本で本省にわかるのではないかというお尋ねをしたところが、なかなかわからない、名古屋の陸運局の者が現場に飛んでいっておるからわからないというお話がございました。まさか三郷運送関係の一切の書類を持って現地に飛んでいっているとは私は思わなかったわけでありますが、この免許後の指導というものはいかにやっておられるか、ちょっと承りたいと思います。
  69. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 免許後の指導につきましては、やはり定例監査でございますね、これを各業種別につきまして、陸運局並びに本省が分担してやっております。ただ非常に数が多うございますので、よほどの人間を動員いたしませんと、一年間に相当の数をやるわけにもまいりませんが、そういったような人間の増加もいまなかなか望めないような状況でございますし、私どもたいへん残念に思っておるわけでございますけれども、定例監査でもって見ていく。  もう一つは、ただいまタクシー問題で、乗車拒否とか、あるいは何か事故が起きたときに、そういったときの特別監査ということも、定例監査以外にそのつどやっております。そういう程度でございまして、先生のお話にございましたようなフォローは十分とれていないのではないかと、私自身も実はそれで悩んでおるところでございます。全力をあげてやれるだけの事柄をやるよりほか、方法はないのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  70. 加藤六月

    加藤(六)委員 たとえばタクシーの増車をやる場合の決定というのは、どういう方法でどのようにやっておられますか。
  71. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 増車の決定の場合はやはり道路運送法によりまして基準がございますし、それ、よりましてやるわけでございますけれども、そういう場合に特に問題になりますのは、過去において優秀な会社であったかどうかという点、それからもちろん資力の問題、そういう点に重点を置きまして増車の場合は検討しておる。したがいまして、新しく免許をする場合と同じような厳正な態度でやるように、そういう指導でやっております。
  72. 加藤六月

    加藤(六)委員 しからば承りますが、増車を出す場合に、厳重なる車庫面積その他の調査をされておるかどうか。それから、有資格運転手をそろえておるかどうかといった問題について御調査になっておりますか、なっておりませんか。
  73. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 調査することになっております。
  74. 加藤六月

    加藤(六)委員 いまの、たとえば例をタクシーにとってみますと、業界に自主調整という名目で全部やらせておりませんか。個々の会社について増車をする場合に陸運局は、現実には陸運局というより増車は陸運事務所がやるわけでありますが、その点調査をされておりますか、おりませんか。
  75. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 自主調整をやるということは、実は私は聞いておりません。やはり独自の立場から陸運事務所がやっておるというふうに信じております。
  76. 加藤六月

    加藤(六)委員 いままで過去数年間の地方都市における増車させた実態というものを私が調べてみましたところ、運輸省あるいは陸運局の正しい見解というものが示されて、個々の業者について実態を調査して増車をやらせたという例はほとんどありません。あるとすれば一、二カ所です。あとは全部業者が会長を中心に、この会社は何台の増車、この会社は何台の増車というものを書いて持ってきまして、それに対してそのままやるか、あるいは比例配分するかということで押っつけておるようなものでありますが、いま局長がおっしゃいましたように、個々の業者について、新免許を出すときと同じように、有資格の運転手をそろえておるかそろえていないか、あるいは資力並びに車庫能力、そういったものについてほんとうにお調べになっておりますかどうか、これははっきり御答弁を願いたい、こう思うわけであります。
  77. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 過去のことにつきましては、あるいはそういう点があったかもしれませんけれども、少なくともこれからはそういう点を厳正にやっていくようにひとつ十分、陸運局並びに陸運事務所に対しまして指導していくといいますか、監督を強めていくというふうにしていきたいと思います。
  78. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が申しますのは、現実に、東京都内におきましては最近は増車を出していないようでありますが、増車をもらった会社が、運転手が集まらないために車を遊ばす、あるいは資金繰りに困るということで、どんどん買収されていっております。それは局長もお調べになればわかると思いますが、過去わずか四年の間に二百台のタクシー会社が千何百台のタクシー会社になったという会社があります。これは増車をもらったんではございません。全部中小のタクシー会社を買収し買収し大きくなっていっているわけでございます。しかも中小のタクシー会社の場合は、増車をもらうということは非常にいいことだ。何となれば、一台につき何ぼというナンバープレート権がついているということで、現実にナンバープレート権を許可台数を基準にして売買が行なわれておって、不動産とかあるいは運転手とかいうものを基準にしての買収でないという事実も調査して知っておるわけでございます。そういう観点で、増車をする場合にその能力——先ほど局長がおっしゃいました資力とか、あるいは過去の業績で交通違反、乗車拒否その他をやっていないかどうかということを調べたり、それから三台増車さしてやる場合には完全な意味において有資格運転手が五名そろうかどうか、しかも新免のときにはちゃんとその運転手の免許番号まで全部そろえて出さしておりますが、それと同じような方法を増車の場合にもおやりになっておれば、いま申し上げました利権の伴うようなそういう増車権をとって大きいタクシー会社に売りつけるということはなくなるのではないか。完全に経営者が経営していくという意思を持たずに増車をもらい、そして売っていっておるということは、ある面では非常に嘆かわしいことではないか、こう思うわけでございまして、どうぞこの増車のときにおきましても、そういった意味の厳重なる審査をひとつやっていただきたいということを御希望申し上げておきます。  その次に、東京陸運局に話を限るのはたいへん恐縮なわけでございますが、東京都内においては、これはたしか陸運局長の通達であったと思いますが、実車率五六%、一日水揚げ一万二百五十円、これをオーバーするようなことがあると増車あるいは新免というものを考えなくてはならないというようなことをはっきり言われておるように思いますが、現実の東京陸運局内におけるタクシー会社の実車率あるいは一日の水揚げ金はどの程度になっておるでしょうか。
  79. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 担当の課長でよろしゅうございますでしょうか。私ちょっと、申しわけございませんが……。
  80. 菅川薫

    ○菅川説明員 先生がおっしゃいました実車率五六%、それから水揚げが一万二百五十円という点ですが、これば前に東京の自動車運送協議会で、今後増車等を考える場合に、一台のそういう実車率とか一日の水揚げ高を基準にして考えるのが適当であるという答申がございまして、その時点において実車率等を計算した場合に、そういう数字になっておったわけでございます。現在は御承知のように、個人タクシーの免許とか、その他供給力の増強についての措置をいたしておりますが、現在ではその基準に必ずしもとらわれないで、供給力が不足しておると思えば、それに対してそういう供給力増加の措置をしていくという方向で措置しております。  具体的な数字はいまちょっと持っておりませんが、現在の時点では、少なくともその実車率等の数字はオーバーしている状況にあると思います。
  81. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで大臣、私は一番最初に個人タクシーの問題をお伺いしたわけですが、実はいま旅客課長から乗車拒否その他の問題等も出てきたわけですが、乗車拒否を食らったときの情けないと申しますか、腹が立つ気持ちというのは——乗車拒否を食らった皆さんたくさんあるだろうと思うのですが、われわれ若手代議士だけの話で、いままで十八人乗車拒否を食らった、おまえは運輸委員をしているのだから何とかしろという問題をやかましく言われます。   〔福井委員長代理退席、委員長着席〕 この解決策はいろいろ方法があると思います。時間がありませんのであまり詳しく申し上げられませんが、一つだけここで提案してみたいと思いますのは、実は個人タクシーの問題でございます。  現在個人タクシーは、一日百八十キロの走行キロでやっております。ところが雨が降ったり雪が降ったり、どこかでいろいろな催しものがありますと、個人タクシーの姿はほとんど見られない。主としてかせぎのいいとき、交通の混雑しないところしか個人タクシーは走らないという傾向は、だれでも口にしております。個人タクシーは非常にいい。交通事故を起こさない。あるいは、暴走をやらない。いい面もございますが、一般の国民の足の立場から考えた場合に、何だ個人タクシーは、こういうときに限って出てきていないじゃないかということがよく言われます。これはどこに原因があるか。一人一車、一日百八十キロという問題。これはすでに当委員会においても議論されたと思いますが、個人タクシーを複数制にしたらどうだろうかという問題でございます。この問題をお考え願いますと、またいろいろ基本的な問題にも触れてくると思いますが、東京都内の場合なら二人で一日三百六十キロか三百六十五キロ走れるようにいたしますと、都内を走っておる車の台数は同じでございましても、走行キロからいきますと、個人タクシーの一日百八十キロが三百六十キロ——タクシー会社と同じにいたしますと三百六十五キロという走行キロが確保できる。ということになりますと、相当数の乗車拒否という問題がある面では解決できるのではないかと思いますので、大臣、この問題につきまして一度御検討していただきたいということで、私の質問を終わらしていただきます。
  82. 大野市郎

  83. 野間千代三

    ○野間委員 それでは二、三質問をいたします。  私の質問は、最初に港湾関係の問題ですが、港湾の運送事業者の集約の問題とそれから港湾労働の問題というふうにあるのですが、時間がございませんので、とりあえずきょうは港湾労働の問題点について御質問をいたしたいと思います。  港湾労働法が施行されましてから、約二年を経過したわけです。ところが、この港湾労働法に対少問題がある。港湾労働法が目的としている労働力の確保あるいは港湾労働者の雇用の安定それから福利の向上、こういうものが港湾労働法の趣旨であるわけです。ところが、最近この法律をいろいろ悪用といいますか逆用したりして、たとえば、港湾労働者の定数を策定して、その定数の中で常用労働者あるいは日雇い港湾労働者というふうに雇用をするわけでございますけれども、この常用労働者の中に擬装をしている労働者、つまりよくいわれる擬装雇用が行なわれているという問題があります。それから調整手当が失対の休業手当と用じような考え方で行なわれているために、登録をした日雇い港湾労働者がなかなか集まってこないという問題、いろいろあるのですが、きょうは、その問題は一応次の機会に譲ることにいたします。いずれにしても、港湾労働法をもう一回洗い直す必要があるというふうに思います。これは社会労働委員会等にわが党のほうでも意見を出しておりますから、専門はそのほうでやっていただきますが、きょうは十六条ただし書きの問題について二、三お尋ねをしたいのであります。  申すまでもなく、十六条は、登録労働者から採用をして、ただし、足りない場合には直接雇用してもいい、こうなっておるのだけれども、最近、たとえば横浜、川崎の例をとると、ことしに入って、常用労働者——もちろんこれには擬装雇用がだいぶ入っておるのだけれども、これでは大体二千人から三千人は足りない。実際に職安に集まってくるのが多少足りないという面もあるのだろうけれども、そこから直接雇用が行なわれてきている。そうして、たとえば私は横浜ですが、横浜の場合には、一番目立つのは日通のトラックによる直接雇用であります。これは当初、四十二年ごろは、直接雇用に来る自動車のうちの三分の一ぐらいが日通だったのだが、最近は三分の二ぐらいになっているというふうにいわれますが、この点について労働省のほうで承知しておられるかどうか。  それからもう一つ目立つのは、藤木企業による直接雇用であります。藤木企業は、御承知のように、資本金一億円、人員が約一千人であります。おそらく五大港の中で、つまり日本の港湾運送事業者ではいわば屈指の企業だといわなければならぬと思います。これが最近、五人直接雇用したということが新聞で報ぜられておりますけれども、この藤木企業内容について、労働省並びに運輸省港湾局のほうで承知しておられるかどうか。まず、それからお伺いしたいと思います。
  84. 中嶋寧綱

    中嶋説明員 お答え申し上げます。  第一点の、横浜地区で日通が直接募集をしている、その事実を知っておるかどうかということでございますが、たまたま私も先般横浜港を視察に参りまして、朝早く野毛町を見ましたところが、おっしゃるように、日通の自動車相当参っておりまして募集している状況は承知しております。これにつきましては、どういうことでこういうふうになっているのかをいま現地で調べさせておりますが、そのときの状況では、横浜の港湾というよりはむしろ、神奈川県下の各地に作業所がございますので、そちらのほうから人手不足のために集めに来ておるのではないか、こういうふうな疑いがございます。  第二点の藤木企業の直接雇用の問題でございますが、これは新聞にも報道されておりまして、事情を承知いたしております。これは御指摘のように、十六条で登録日雇い労働者を優先雇用するわけでございますが、求人を申し込みまして、求人で未充足の分につきましては直接雇用ができるという制度になっておりますが、その未充足の分をこえて直接雇用している事実がわかりましたので、これもまた神奈川県当局のほうに調べさせて、その処分についていま検討させておるところでございます。
  85. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 藤木企業という名前は、私、前から存じておりました。いまの先生のおっしゃる直接雇用の問題につきましては、いま担当の者から聞きましたが、担当の者は知っておりました。そういうことがあるということを知っております。
  86. 野間千代三

    ○野間委員 それで、日通の問題は私もまだ調査中なのですが、日通が最近港湾のほうにも進出しておりますから、この件も十分に調査をしてもらいたいというふうにお願いをいたします。  藤木のほうですけれども、いま、労働省でお答えになっているのは、先般発覚をした、五人の未充足分を直接雇用したという問題だけですか。
  87. 中嶋寧綱

    中嶋説明員 現在具体的に情報として入手しておりますのは、そのことでございます。
  88. 野間千代三

    ○野間委員 実は、この五人の問題だけではないのであります。これはなかなか巧妙にできておりますから問題なんだけれども、実は横浜に第一産業という会社がありました。これは幽霊会社で、第一船舶という会社の中に事務所がある。この第一船舶というのは長谷川清という人が社長で、その弟がこの第一産業の社長をやっておった。これは毎日大体二十名くらいの、桜木町あるいは野毛の登録してない一般の日雇い労働者をやみ手配をすることを主とした会社だと思います。これが藤木企業あるいは藤木荷役等に対してやみ手配をしておったという会社であります。これはいま中嶋参事官の言われた事件が発覚すると同時に解散をして、第一船舶のほうへ吸収されました。  それからもう一つは、日清産業というのがあります。この日清産業というのは、日通と長谷川清との間でつくった会社であります。日通と長谷川清のこの二つの字をとって、日清というふうにしてあるわけですね。これは船内無免許の業者であります。これはもっぱら藤木企業のほうに、船内荷役の労働者をやみ手配をしている会社であります。この船内無免許業者の日清産業という会社がかつてあった。ところが、無免許で船内営業しておったということで、これも実は先ほどの問題が発覚すると同時に解散をして、第一船舶に移りました。そういう会社があったということ、そして長谷川清というのが社長をやっておったということは、横浜を調べてもらえばこれはわかるはずであります。ですから、これは港湾局のほうでもひとつ調査をしてもらいたいと思うのであります。つまり藤木企業のほうは、五人の問題だけではなくて、第一産業あるいは日清産業を通じてやみ手配をしておる、これが実態なんであります。ですから、ただ単に五人の問題だけでどう処置したらいいかを考えてもらっては困るのです。おそらくこれは、現地の神奈川県の労政課では承知しておるのじゃないかというふうに思います。  それから三番目に、いま私が申しましたその二つの会社を吸収した第一船舶企業という会社でありますけれども、これは船内の荷役を担当する会社で、社長が長谷川清という人であります。この長谷川清という社長のもとに、役員として大久保秀雄という人がおります。これは藤木企業の社長であります。藤木企業の社長が役員として入っておる会社が、第一船舶企業であります。したがって、第一船舶企業も実ば藤木企業に対する手配師的な役割りを分担している会社であります。ですから、藤木企業のやみ手配を調査をする場合には、第一船舶企業のや入手配を調査をしなければ完全にならないということになるのであります。したがって、現在すでにちゃんと第一船舶企業というのは存在するのでありますから、これはこういうふうに明らかになってくると、それからどうするかはわかりませんが、ここが実は問題なんです。県のほうでどの程度まで内偵が進んでいるかわかりませんけれども、おそらく相当程度つかんでおらなければならぬはずだというふうに思います。したがって、藤木企業の五人の問題は、五人の問題ではなくて、実はこういうふうに組織的にできている。そこで、港湾暴力というものがいまだに存在しておるというふうにいわなければならぬのであります。ただ、くりからもんもんの人がけんかをするのではなくて、手配をする会社を通じて、しかもそれが、たとえば日清産業にしても第一産業にしても、ばく大なやみ手配料を取っておったことは事実であります。しかもなおこの第一船舶企業がそういうことをしておるのでありますから、つまり企業による搾取あるいは手配が行なわれていって、これがつまり昔からある港湾の暴力だというふうにいわなければならぬと思います。したがって、そこを十分に検討、調査をしてもらって、きちっとした処分を出してもらわなければ困るのじゃないかというふうに思うのです。  それではなぜ藤木企業がそういうことになっておるかというと、第一船舶は藤木企業が全額出資をしている会社であります。先ほど申しました第一産業も、藤木企業が全額出資をしておる。それから日清のほうも、日通と長谷川清の合作なんだけれども、主として藤木企業が資本を出しておるという形態であります。なぜそうなったかというと、第一船舶企業というのは、社長が、いま申しましたように長谷川清であります。これが問題なんですね。長谷川清というのは、昭和三十一年に刑務所から出所をしたのです。刑務所を出所する前に、実は犯罪が長谷川清によって行なわれておって、その後代理人を犯人に仕立てて、そして代理人が刑に服したのです。それが検察審査会ですか、そこで摘発をされて、そうして代理人が釈放になって長谷川本人が入るというふうになったのです。これは事実なんです。そのために、ちゃんと言いますけれども、時の横浜の伊勢崎署長は罷免になったのです。そういう経歴のある男であります。これが三十一年に出所してきて、それを藤木が拾ったのです。藤木が拾って自分の会社でしばらく使って、いま言いましたように日清産業の社長にした。いまでも第一船舶の社長であります。なぜそれでは藤木は、そういう経歴のある長谷川清を使わなければならぬかというのが問題なんですね。ここに実は、戦後いわゆる港湾暴力が行なわれておった当時の問題が介在しておるというふうにいわなければならぬ。したがって藤木企業に対する処分というのは、港湾労働法違反はもちろんでありますけれども、そこでまず最初に、中嶋さん、いまのようなことかはっきり——私は横浜におって、業界にもある程度通じておりますので、きちっとした資料に基づいて申しておりますから間違いがないのであります。そこまでちゃんと調査をして最終的な判断を下すというふうにしてもらいたいのですが、いかがですか。
  89. 中嶋寧綱

    中嶋説明員 いま御指摘ございました藤木企業以外の会社のことにつきましては、たまたま私承知しておりませんでしたが、御指摘もありましたし、よく調べまして、そういったことも今後の処分の措置のときによく検討さしていただきたいと思います。
  90. 野間千代三

    ○野間委員 次に港湾局長、これは港湾局長の得意の問題ではないのでなんだけれども、藤木企業の実態は、いま申しましたようなことなんです。そこでいま労働省お答えのように、港湾労働法違反によって処罰が行なわれますと、これは当然港湾運送事業法のほうでも処罰をしなければならぬというふうになりますね、これが一つであります。  それからもう一つは、これは港政課長なり港政課のほうの担当の方がいらっしゃれば承知しておると思いますが、藤木企業はこういう問題以外に免許違反を行なっております。それは四十二年の六月ころであったと思います。パールアイランド号という船が日産の輸出自動車を荷役をしたのでありますが、藤木企業は、御承知のように、京浜港における免許業者である、この日産の輸出自動車の荷役は京浜港ではなくて、横須賀の長浜港で行なわれたのであります。しかも長浜港でやったのは、藤木企業が船内をやりました。長浜は申すまでもなく横須賀の港であります。したがって、これはつまり横須賀においては無免許営業を行なったというふうにいわなければならぬと思うのですね。したがって、先ほど言いましたように、港労法違反による罰則が適用されれば、当然それが港湾運送事業法のほうにかかってくる、これはお役人さんのほうが詳しいと思いますけれども、港労法によって罰せられれば、港労法違反というのは港湾運送事業者にとってはたいへんきびしい処罰が行なわれるはずですね。ちょっといま条文を忘れましたが、港湾労働法違反、あるいは職業安定法違反等が行なわれる場合には免許の取り消しあるいは停止等が行なわれるはずであります。したがって、大きな企業だからといってお役所のほうではときどき遠慮をされるのだけれども、遠慮しないで、法にきめられたとおりに免許の停止あるいは取り上げまでどうか——しかしこれは第一船舶まできちっと明らかになれば、当然藤木企業関連してまいりますので、藤木企業そのものが停止なりあるいは取り消しが行なわれてしかるべきだと思うのですね。それからもう一つ、無免許営業も行なっておりますから、これも明らかに事業法違反に問われて、免許の停止あるいは取り消しの条項に該当するというふうに思います。これはいかがですか。
  91. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 第一点は、労働省のほうでお調べになった結果、港湾運送事業法違反になるのではないかというお話でありますが、労働省の結果を待ちまして、私どもも事実をよく調査いたしまして、港湾運送事業法違反であれば、そのような法律による措置をいたします。  それから第二点の、長浜港におきます昭和四十二年六月の問題でありますが、これはそういう疑いが当時ございましたので、出先の海運局に調査させまして、——はっきりとしたそういう事実行為がわかりません。したがいまして、社長に対しまして、今後疑いのあるような行為はしないようにという厳重注意をした、こういうことでございます。
  92. 野間千代三

    ○野間委員 前のほうのはそれでけっこうです。処断のあと当然やらなければならぬ、それでけっこうです。  あとのほうの長浜でやったというのは、これは疑いじゃないのですよ。明らかな事実なんですよ。私は当時海運局なり港湾局が、いま局長がお答えになったような措置をとられたので、実はその当時問題にしようと思ったのです。ただあれだけの大きな企業が、一カ所だから実はそのままにしておったのだけれども、今度の問題が出たから、やはりこれはあの当時すでにきちんとしておくことが必要だったんじゃないかというふうに思うのです。したがって、過ぎたことではあるけれども、実は申し上げると、藤木企業の社長さんの大久保秀雄という人は中央職業安定審議会港湾部会の委員なんです。それから港湾審議会委員でもあります。それから副社長の藤木幸夫さんというのは、藤木幸太郎という会長のむすこであります。そのむすこさんが職業安定審議会の横浜地区審議会委員ですね。そういう立場にある。つまりこういうことをしてはならぬということを、あるいは港湾運送はこうなければならぬということを審議をして政府に建議する委員の立場にあるのです、この藤木企業は。それだけの立場にありながら、ときには業法違反をする、ときには職業安定法違反をするというところに問題がある。そこに着目をして調査をし、あるいは処断をすべきだというふうにいかなければならぬと思うのですね。したがって、これは大臣どうですか。いま問題になっている集約の問題なんかで建議が行なわれている。私がいつも言うように、この前も言ったように、答申は大企業が優先になっている。一つはこの港湾審議会委員が、日本で一番大きい藤木企業の社長であったというかっこうなんですね。そうしてなおかつ、そういう企業の代表であるだけに重要な、大臣に答申をする港湾審議会であるとか、あるいは中央職業安定審議会であるとか、そういうところの正規の委員をやっている。その委員をやっている会社がこういうことをやっている。大臣、これはもう日通の問題と同じように、十分に峻烈に措置すべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう風評を前からちょっと聞いておりましたが、実情をよく調査いたしまして慎重に処理いたしたいと思います。
  94. 野間千代三

    ○野間委員 それから大臣通運業の場合には、三十七条でしたか、大臣監査ができますね。それから海上運送法でもたしかそういう意味のことがあったような気がするのですが、この港湾運送事業法というのは全くそういうことがないのですね。したがって監督官庁が主導的に内部を監査をするということが、実際としては法律上はできないというふうになっておるような気がするのですが、これはたとえば、五人であるとかという問題が出たときに重要なんですね。こういうときをとらえてやはり十分な監査体制をとったりして、再びあやまちのないようにして、そうして法律が守られるという体制をとらなければならぬと思うのですが、それはいかがでしょう。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法的にどういう欠陥があるかも含めまして、よく調査してみたいと思います。
  96. 野間千代三

    ○野間委員 それでは、それは大臣にひとつ善処を願いたいと思う。  次に、この問題で、時間もありませんので、労働省の中嶋さん、こういう実態なので、いままで問題になっておった十六条ただし書きの問題、あるいは十九条の事後の届け出をして済ましてしまうという問題がありますね。すみやかに十六条を改正してただし書きは削除しなければならぬじゃないかというふうに思うのですが、これはいかがですか。
  97. 中嶋寧綱

    中嶋説明員 十六条のただし書きにつきましては、運用上いろいろ問題点があることを承知いたしております。これにつきましては、港湾調整審議会のほうでもそういう問題点を取り上げ、それをどう解決するかということをいま御審議いただいているわけでございます。労働省としましてもいろいろ検討いたしておりますが、制度的にいいまして港湾荷役作業の波動性があるものですから、安定所の登録日雇い港湾労働者の中で全部をあっせんすることは、いまの段階ではむずかしい状況でございます。そこで直ちに十六条を廃止するということについては、これはいろいろ問題があるところでありますので、港湾調整審議会の御意見等も十分あわせ考え、今後も検討をしていきたいと思います。問題があるところについては、運用上の問題はできるだけ早く解消していきたい、こういうふうに考えております。
  98. 野間千代三

    ○野間委員 それでは法改正のほうを急いでいただくように——おそらく労働省としては改正をしたい立場にあるはずですね。ですからひとつ、主導的に改正される方向に御努力を願いたいというふうに思います。  労働省の方けっこうです。  次に港湾局長にお尋ねするのですが、近代化の答申の問題から、港湾の近代化を促進をするという意味で、中央に中央近代化促進協議会というものがつくられているというふうに聞いておるのですが、それはどういう経過になっておりますか。
  99. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 港湾審議会からの答申を受けまして、その答申を受けた方と申しますか、いわゆる港湾の運送業界あるいは鉄鋼業界あるいはまた荷主とか港運協会とか、そういったところの方々が設立者になりまして、財団法人港湾近代化促進協議会というものを設立したいという申し入れがございまして、四月二十二日に設立の許可を与えたわけでございます。
  100. 野間千代三

    ○野間委員 実は時間がないので、大臣のいるうちにちょっと急ぎたいのですが、それで私のほうで申し上げますけれども、この促進協議会に日本港運協会が入っている。その日本港運協会の主要な役員を申し上げると、日本港運協会が促進協議会に参加しているのだけれども、日本港運協会の中を見ると、いま問題の藤木企業の一族である伊夫岐直一さんという人が常任理事であります。それから常務理事に中野洋兵衛さんという人が欠員補充として入ってきている。この中野洋兵衛さんという人は、やはり藤木企業の中にあった全沿岸業界の事務局職員で、これが藤木企業から推されて日港協の常務理事に欠員補充として入ってきている。それから藤木企業の大久保秀雄という社長さんが理事であります。そういうふうに藤木企業が、実は企業が大きいだけに日港協の相当実力的な役職に入っているのであります。したがって日港協のこういう体制が変わらない限り、これから近代化を進めようとしている中央の促進協議会の構成員として日本港運協会が入っていることには問題があるんじゃないかと私は思うのです。そして、いま申しました中野洋兵衛という人がおりますが、これは実は、いま局長の答えられた近代化促進協議会の委員の一人になっております。中野洋兵衛はおりませんか。
  101. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 私の資料には全然ございません。
  102. 野間千代三

    ○野間委員 それでは、ちょっと委員の名前を言ってください。
  103. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 評議員といたしまして小川乕三、この人は日本港運協会の会長であります。斎藤正年さん、これは鉄鋼連盟の専務理事、谷林さん、佐藤さん、石橋さん、夏目さん、会長は若狭さん、専務理事今成さん、常務山県さん、もう一人の常務が長野さん、あとは監事欠でございます。
  104. 野間千代三

    ○野間委員 長野何といいますか。
  105. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 長野洋兵衛でございます。
  106. 野間千代三

    ○野間委員 わかりました。私の書き違いで、その長野洋兵衛であります。その長野洋兵衛さんというのは藤木企業のビルの中にあった全沿岸業界の、いわば業界の団体があったのですが、その事務局の職員をしておった人であります。これが、先ほど言いましたように日港協の常務理事補欠として入って、そして近代化促進協議会の委員に、しかもこれは業界あるいは横浜港運協会などには無断で、藤木が近代化促進協議会の委員に送り込んでいるという実態なんです。  そこで私は、いまのようなことを少し整理をして局長に聞いてもらえば——日本港運協会あるいは促進協議会にまで藤木企業相当大幅に勢力を扶植しておると言わなければならぬ。したがって、そういうかっこうの中でいま藤木企業のこういう問題が出ておりますから、そういうものが整理をされない限り、いま集約の問題が出ている地区協議会なりあるいは集約の問題なりというものは当然進まない。これがこの前、小川会長が参考人として出席になったときに、日本港連協会の首脳部は不信の声がありますよと私が言った問題なんです。小川さん自身もあのときに、首脳部に対して不信の声があるということを答えている。したがって、日本港運協会のこういう不信の問題が整理をされなければ、法律上は九月三十日になっておるけれども、集約の問題が進むわけはない。こういう問題からも、企業の実態から見ましても、進むわけはないのです。したがって、これは近代化促進協議会の進行のしかた、しかも二千六百万ですか、近代化促進協議会をつくるのに集める金が。そのうちの千五百万円という膨大な金が日本港運協会に割り当てられている、こういう実態がある。これで集約近代化ということがこの促進協議会によってできるのかどうか、そういう疑問を持たないわけにはいかないというふうに考えるのですが、いかがですか。
  107. 宮崎茂一

    ○宮崎(茂)政府委員 いまの長野洋兵衛さんという方は、日本港運協会から推薦されて役員になられたというふうに聞いております。  それから近代化促進協議会の問題でございますが、御承知のように、いまできたばかりでございまして、これは申請書で見ますと、いろいろ港湾の近代化の方策に関する調査研究とか、あるいは関係者に対する周知普及でありますとか、運賃の合理化に関する調査研究とか、そういったようないろいろな調査研究をやる民間団体であるわけでございまして、これはすぐ集約化の仕組みと申しますか、そういうものではなかろう。御承知のように、集約化というのは地方海運局を中心に私どものほうはやらしております。したがいまして、そういう問題が地方海運局でまとまれば、これは本省に上がってくるのだろうと思いますが、港湾審議会というのがございますから、もしそういう基本的な問題か何かあれば、港湾審議会に諮問することになると思います。近代化協議会も、私どもの立場といたしましては、民間団体のそういういろいろな調査研究をする機関でございますので、調査依頼と申しますか、そういったこともやるかもしれませんが、これはまたやはり今後の問題と申しますか、生まれたばかりのこの促進協議会がどういうふうに動いていくのか、どういう役割りを果たしていくのかということにもかかわると思いますので、一がいに集約化とこれとを結びつけるというふうにはいかないのではないか、かように考えます。
  108. 野間千代三

    ○野間委員 それは宮崎さん、そういうものじゃないのですよ。これはそういうのんきな話じゃないです。推進をするための機関をつくって、それが中心になって推進をしろ、答申はこうなっておる。しかしそれが、いままでこの運輸委員会でそれぞれ業界の代表が出て申し述べられたとおりに、そう簡単にはいかない。したがって、地区のほうからまず積み上げなければならぬということになってきたもの、だから、地区から積み上げてきている。したがって答申のとおりのものはできない、できないが、それに似たものをつくろうというので、財団法人港湾近代化促進協議会を考えられた。ここに読み上げると、日時が昭和四十三年四月十六日火曜日午後四時、場所が経団連ビル会議室、出席者は、発起人——名前だけ言いますが、荒木、小川、斎藤、佐藤、谷林、米田、若狭、そして運輸省が宮崎茂一、見坊力男、向井清、吉末幹昌、事務局が藤川さん、長野さん、安藤さん、こうなっておる。これが実態でしょう。港湾局長建設が専門だから、そうおっしゃるけれども、近代化の問題、集約化の問題はここに問題があるのです。そしてその構成は、さっき言ったように日本港運協会がちゃんと入って、しかもそれが千五百万円の資金を出すのですよ。大臣、これは少し大臣のほうでも御勉強いただいて、こういうこまかいことばおそらく大臣は直接知らぬでしょうけれども、お調べをいただいて、この問題はもう少し掘り下げて御検討いただきたいというふうに思いますので、大臣から……。
  109. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見をよく拝聴しましたので、詳細を調べます。そして善処いたします。
  110. 野間千代三

    ○野間委員 時間がなくて、あとをせかれているので、これは大臣、簡単に答えてもらいたい。  自動車行政で陸運事務所の許認可あるいは車検、登録、そういう仕事を地方に委譲するとかなんとかいう問題があったけれども、もう議会が終わるし、実はわが党のほうでも、これはきちっと運輸行政を統一的にしなければならぬという考え方から、大体意見が一致しまして、運輸省が担当する、したがって許認可事項、車検事項等も残す、そして陸運事務所を陸運局の系統に置いて、職員の身分を公務員にする、これが正しいという意見に大体まとまりました。したがって運輸省のほうでそれをどう考えておるのか、それが一つ。  それからもう一つは、先ほどちょっと出ましたけれども、大都市における交通規制をしないと大量輸送に持っていけない。大衆を大量に輸送することが、いま産業の方面からも要求されておる。そういう関係で、わが党のほうでも大都市における大量輸送を確保するための法律をつくりたいというふうに考えておるのだけれども、これは当然運輸省のほうでもそういう考え方をすべきじゃないかというふうに思うので、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  111. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず、後者の大都市における大衆輸送の優先確保の問題は、私らも同感でありまして、議会が終わり次第さっそく検討して、何らかの行政ないしは法的措置を講ずるようにしたいと思っております。  第二に、地方事務官の問題は、ごく地方的なものやローカルなもの等で、余分なものというと変ですけれども、府県でやって適当だと思うものは府県にやらせますが、それ以外の車検登録、交通安全そのほか国家的統一を要するような問題は、いま陸運事務所のやっている仕事はほとんどそういうことだと思いますが、これは当然運輸省の機構でやるべきものでありまして、身分も運輸事務官にして国の機関にしたい、そう考えております。
  112. 野間千代三

    ○野間委員 終わります。
  113. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  114. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣にお答えいただける時間が非常に制約を受けております。  最初にお願い申し上げたい点は、個人タクシー制度の健全な発展のためには年齢あるいは経歴、法令違反の有無あるいは健康等に関する免許基準を厳正にすることは大いに賛成であります。社会一般の望んでいる状態は、言うなれば無事故であり、そしてまた無違反であり、安全運転である。これは会社タクシーでも個人タクシーでも同じであると思いますし、区別があるわけはないのであります。会社のタクシーだから事故があってもよろしい、違反があってもよろしい、あるいは粗暴運転してよいというわけにいかない。であるならば、個人タクシーの免許基準のみを冒頭に申し上げましたように厳正にするべきではなくて、会社タクシーも、その運転者についても同一の観点に立って考えるべきではないか、このように考えるわけですが、大臣考えを聞かせていただきたい。
  115. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原則としてそうであると思います。ただしかし、法人企業で大ぜいの人間を使う場合と、個人企業で個人の力量その他によってやる場合とはおのずから取り扱いも違う要素もあると思いますが、お客さんの安全その他から見れば、それを中心にしてものを考える必要もありますので、原則として同感であります。
  116. 松本忠助

    松本(忠)委員 現在の会社タクシー等を見ましても、いまのような同一基準をもって審査をしたならば、おそらく会社タクシーはほとんどつぶれてしまうのではなかろうかと私は思うくらいであります。こういう点から考えましても、この免許基準を、個人タクシーについて特に緩和ということではないけれども、一応考慮すべき点についてひとつお願いしたい。  それは、先般も個人タクシーの免許について、参議院の公明党の多田議員からの質問に答えられて、年齢の引き下げをはかる、三十五歳という一応話が出ておりますが、この実施の時期についてお答えをいただきたい。
  117. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三十五歳程度が私は適当だと思いまして、議会が終わりましたらさっそく事務的に検討を命じまして、できるだけ早期にやりたいと思っております。
  118. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから経験年数の点でありますが、現在十年ということが一つの基準になっております。これは地方でたとえば十年間トラックの輸送をやった、こういう場合でもよろしいわけです。また極端な話として、東京で八百屋さんあるいは魚屋さんをやっていた。そういう人が商売がぐあいが悪くなって廃業をして、その人が免許申請をしても十年の経験があればよろしいわけです。そこで、たとえば東京でタクシーなりハイヤーなりの運転を七年間継続してやっていた者が東京で申請をする場合には、この免許基準を七年に短縮してもよろしくはないか。前に申し上げたような例に比べまして、地理も明るいし、都内の交通にもなれているという点からいつでも、七年で十分この基準に当てはまると私は思いますが、大臣はどうでしょう。
  119. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は運転手として十年無事故、無違反であるということは必要な条件だと思います。そういうところで個人タクシーに対する評価が高いし、安心してお客さまが乗っていられるのだろうと思います。
  120. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいま申し上げたように、単なる十年の経験というのが、ハイヤー、タクシー、そういうものには全然無経験な者、全然商売違いな者、東京の地理も知らない、大阪の地理も知らない者が免許申請しても、それが単に十年の経験があればおりる、そういうことを考えてみれば、東京なり大阪なりで経験がある者が東京、大阪で申請をした場合は、七年でも十分いいと私は思うのであります。どうですか、この点は。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 個人タクシーを認めた趣旨の一つには、やはりタクシー会社によって、一生懸命やっておってうだつが上がらぬ者は、自己営業させて、前途に希望を持たせよう、そういう配慮もあって、そういうことをやることによってタクシーの運転手が事故を起こさぬようにやらせよう、励みをつけるという意味も非常に多かったのでありまして、そういう点から見ましてもやはり運転手としての十年は必要であると思います。
  122. 松本忠助

    松本(忠)委員 そういういまの大臣のお答えからするならば、全然違った職業に従事していた者、これがただ単なる十年の経験があればよろしい、これはどうですか、おかしくないですか。大臣のいま言われるように、タクシー会社に長いこと勤続していた、そしてそれに対して将来の光明を与える意味からやる、どうですか、その点。いまそういう例がたくさんある。
  123. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 そういう例があるいはあるかと存じますけれども、原則といたしましては、やはりこれはタクシーというものに経験のあるという者を重点的に点数をつけておるというふうにやっております。
  124. 松本忠助

    松本(忠)委員 これは大臣に申し上げておきたいのですが、現実にはタクシーの経験のある者ばかりが免許になっていない。私が申し上げたように八百屋、無医、はなはだしい例はそういうのが転廃業して個人タクシーになっておる例がたくさんある。それが免許になっておる例がたくさんあるわけであります。全部私は承知をしております。であるならば、いま大臣が言われるように運転手さんの将来の光明のためにも、生活の安定のためにも、個人タクシーを免許するという趣旨からしても、こういう全然違った職業に従事していた者、それに対して免許を与えるということがおかしくないか、私はそう思う。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もしそういうふうに逢う職業の方が個人タクシーをやっておるというならば、私は、私の趣旨としてはあまり賛成できないのです。やはり運転手として一生懸命やってきたということを、大いにメリットとして考えてやるほうがいいと思います。
  126. 松本忠助

    松本(忠)委員 それであるならば重ねて申し上げますけれども、運転手としてのそういう勤務年数が七年であっても十分に、これは十年以上の経験を持っておる者と同じような能力があると私は判定する。であるから、タクシー会社に七年間まじめにつとめた者においてはこれを下げて、七年間でいいという例をつくる考えはありませんか。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点につきましては見解を異にいたしまして、私は十年間は必要であると考えます。
  128. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、もうその問題は時間もありませんから他日に譲ります。  個人タクシーの免許について、東京陸運関係のものは、三十九年度の分までは一応四十二年度末で終わったわけです。ところが四十年度以降申請の分、四十年申請の分は五百九十七件でありますが、この審査のスケジュールについて大臣に聞いておきたい。
  129. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 東陸管内の、特に東京特別区につきましては、三十九年度にオリンピックがございまして約三千件近い申請が一ぺんに出たわけでございます。それにつきましての処理を……
  130. 松本忠助

    松本(忠)委員 ですから、四十年の五百九十七件をいつやるのか聞けばいいのです。
  131. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 これは四十年の五百九十七件の申請と四十一年の六百四十六件あります。さらに四十二年度に約一千二再件ございます。合わせまして約二千二百件ぐらいございます。これにつきましては今年度から来年の半ばごろにかけまして、要するに一年半ぐらいかけまして整理したいというふうに東陸では言っております。
  132. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは確認しますが、四十四年の半ばごろというのは六月、少なくとも六月までに四十二年度の千二百九件までを含んで審査をする、こういうわけですね。
  133. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 そういう目標で努力するように東陸でも申しております。
  134. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから大阪、名古屋の分についてはどうでしょう。
  135. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 大阪、名古屋につきましては、たいした件数もございません。大体年に一ぺんくらいずつ処理しておりますので、たとえばことしの分はことしじゅうに終わるというふうになっておりますので、その点はそうかからないと思います。
  136. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、現在資料もいただいておりますが、大阪の分それから名古屋の分について、いつごろまでに完了する予定であるか、そのスケジュールをあとで一応聞かせていただければけっこうであります。  いずれにいたしましても この審査が非常におくれていた。三十九年度の分までは非常におくれていたけれども、昨年東陸の職員の方々に非常なお骨折りをいただいてこれを完遂していただいたことは、私も再びとしております。その御苦労を多としております。してございますが、四十、四十一、四十二年度の分が、もうすでに三年間もたまっているわけです。  あとからもまた申し上げますけれども、専売公社と日通の合弁で名古屋に申請したいわゆる名古屋のたばこ配送会社、これを一つの例にしましても、これは四十二年の九月三十日に申請して、その年の暮れの十二月二十七日、わずか三カ月で免許になっている。これは個人タクシーと貨物運送事業、限定の運送事業と違うといえばそれまでですけれども、このような三カ月でも免許になるものが、なぜ個人タクシーの免許には時間がかかり過ぎるのか、私はこれをいままでもついてきたわけです。幸いにしましていま局長の、少なくとも四十四年六月までには一切を完了しよう、こういうお話を伺いまして、非常に喜びとするものですが、どうかこのスケジュールに従って、一刻も早く四十年度、四十一年度と、逐次古い分から片づけていただいて進めていただきたい、このことを要望しておきます。  それから次に、たぶん局長御存じとは思いますけれども、川崎の競輪、競馬が開催されます。こういったときに川崎の駅におけるタクシーの利用状況、これは御承知かと思いますけれども、呼び込み屋、牛太郎ともいっておりますが、呼び込み屋が競輪場、競馬場に行くお客さんを、五人一組くらいでタクシーに乗せて送り出しています。タクシーのほうは競輪場まで一人百円、五人で五百円の収入になるわけです。タクシーの運転手のほうは牛太郎に百円やるわけです。メーターが百四十円くらい。でありますから一回に二百六十円くらいふところに入るわけです。これをまず平均五回はやっているわけです。千三百円くらいがふところに入っている。それからまた競輪が終わるときに、今度は川崎から銀座まで、競輪で相当かせいだ人たちを乗せる。今度は五人くらい乗せれば、大体これの相場が五千円、一人千円くらい。これは高速道路を通ってきますけれども、その通行料などはタクシーのほうで負担しても、メーターが大体千三百円くらい、そうすると三千五百円くらいの収入があるわけです。こういうことを年じゅうやっている運転手さんがあるわけです。こういう者に対する取り締まりが全然なされていない。そして競輪場あるいは川崎の駅において、善良なお客さんたちが非常な迷惑を受けている。この点について何らかの改善策を考えなければいけないのじゃなかろうかと思うわけです。  それからもう一点は、これは相乗り制度の提案でありますけれども、国電の田端とか王子とか——私はこちらのほうに住んでおります関係上、よく見ておりますが、大体夜の十二時過ぎにこれらの駅で乗る方は、社交さんが多いわけでありますが、タクシーに乗っていく方向が、ほとんどが同一方向に帰っていく。これらの人が一人ずつ乗るために待つ人の行列が非常に長くなるわけです。それで特に雨の日などは車も少なくなって、駅頭が非常に混乱しております。そこで、私はしろうとでありますが、しろうとの提案としてひとつ聞いておいていただきたいのは、タクシーにメーターを二つつけて、正式に相乗りを許すことにしてはどうかと思う。同一方向に行く者が二人、あるいは二組乗ってもいいと思います。先におりるほうが第一メーター、あとからおりるほうは第二メーターというふうにして料金を払うようにする。これにはいろいろ問題があると思います。自分だけで乗りたいという人もあるでしょうし、また犯罪防止、いろいろな面から問題はあると思いますけれども、この相乗り制度を正式に取り上げて考えてみることはできないか、この点局長にお伺いしておきたいわけであります。
  137. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 第一の競輪場等におきまして、そういったような不法運転手ですか、いるということはよく聞いております。こういうものにつきましては、やはり現場で警察の力をかりまして、そういう現行犯としてとっつかまえるということをお願いしますとともに、そういった運転手を雇っておる事業者に対しまして特に注意はしておるのでございますけれども、どうも私どもの監督が行き届かないと思いますので、これからもつとめて注意いたしまして、使用者にも十分監督を強めますし、こういうことが重なればあるいは行政処分をする、さらにひとつ監督を強くしたいと思っております。  第二点の、駅頭でバスがないとかいうことでタクシーの相乗りをするということ、私も一つのアイデアではないかと存じますので、ひとつ検討させていただきたいと存じます。ちょっとここで意見を申し上げられませんので、検討させていただきたいと思います。
  138. 松本忠助

    松本(忠)委員 それから党の交通対策委員会のほうに、こういう手紙が来ております。これは車の所有者からの訴えでありますが、この車の所有者に無断で、知人が自動車を持ち出してしまった。知っている人だから、あとで話せばよろしいということで持ち出してしまった。ところが持ち出して乗っていって主婦をはね飛ばしてしまった。そしてとうとう死亡させてしまったわけです。その問題に関しまして、ことしの一月二十四日に名古屋の地裁では、五百余万円の賠償金を二人の連帯責任で支払うように言い渡したわけです。知人には支払い能力がないので、車の持ち主が一人でかぶりそうだ、これを何とかしてくれないかという訴えがあったわけであります。  そこで自賠法の第三条には、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」こういう運行供用者の問題があるわけであります。そこでもちろんこの問題は、いまきめられておるわけでありますから、運行の供用者の問題として考えなければなりませんけれども、運転者自身にも責任があると思います。所有者のみではなくて、運転者にも保険をかける義務を負わせてはどうか、こういう点でペーパードライバーの保険制度というものが六月の一日から実施されるということを聞いておりますけれども、これはあくまでも任意であります。そこでこれを強制化する考えはないかどうか、この点について局長のお答えをいただきたい。
  139. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 その点について、強制するかどうかということにつきまして、まだ十分検討してない段階であります。おそらくそういうような事例が今後ふえるかと存じますので、検討しなければならないかと思いますけれども、現在としてはまだしておらないのでありますので、ひとつ検討してみたいと思います。
  140. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではこの問題は、一応よく検討をしてみてお答えをいただきたいと思います。  それから去る三月六日の当委員会におきまして、製造たばこの小売り店の配達について質疑をいたしましたおりに、東京、大阪、名古屋につきまして配送の会社の免許がすでにおりておりまして、仕事をやっております。そこで福岡のほうにも配送会社の申請がなされておりまして、三月十四日に公聴会が開かれることになっておりましたが、これは事実開かれましたかどうか。
  141. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 開かれたというふうに聞いております。
  142. 松本忠助

    松本(忠)委員 局長に重ねてお伺いするわけですが、申請者であるところの九州たばこ配送株式会社または関係の業者であるところの福岡県運輸事業協同組合連合会、このどちらからも公正な意見の開陳がなされたかどうか、この点について聞いておりませんか。
  143. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私直接書面を見ておりませんので、確信を持って言えませんけれども、公聴会でございますから両方の意見を公正に聞いておるというふうに存じます。
  144. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、九州たばこ配送会社の免許は認可になりましたのかどうか。もちろん権限は福岡の陸運局長にあるわけでございますから、あなたにあるわけじゃございませんが聞いておるかどうか。
  145. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私まだ免許をしたというふうに聞いておりません。
  146. 松本忠助

    松本(忠)委員 その点で局長のほうのお答えをいただく分は終了でございます。あと専売公社関係の方々にお伺いいたしたいわけであります。  三月六日の当委員会で、東京たばこ配送株式会社の業績と大阪の関西たばこ配送株式会社の業績について、私が調査したものを申し上げました。その当時に、東京たばこのほうの業績がどうしてもつかめなかった。そのときは、大阪の業績についてのみ私は当委員会で申し上げました。その後公社の手をわずらわしまして書類をいただきまして、それによりまして調べましたところが、大阪と東京とは比べものにならないぐらい収益において差があるわけです。もちろんこれは公社の総裁の責任じゃない。このことはわかっておりますけれども、大事な専売製品を委託し、配達している、その二つの東京たばこなり関西たばこなりの業績があまりに違い過ぎるという点について、総裁は何かこれに対して注意を与えたことがあるかないか、この点をまず最初に聞いておきたい。
  147. 東海林武雄

    ○東海林説明員 お答えいたします。  大阪のほうはこの前御報告申し上げたように、相当な収益をあげておりますけれども、東京のほうはある事件がございましてその成績が減殺されている、こういうことでいまだに利益をあげるに至っておらないような状況でございます。
  148. 松本忠助

    松本(忠)委員 総裁は事件のことばかりにこだわっていらしゃいますけれども、事件発生以前から大阪と東京では業績が違い過ぎるということ、たとえば初年度の問題だけを一つ取り上げてみても、東京のほうは、実際に仕事の行なわれたのは三十八年二月二十五日から三月三十一日、わずかな期間でございますが、この間に東京では八十七万三千円の損失です。ところが大阪のほうはどうかというと、第一期の期間は七カ月だったわけです。七カ月で損失はわずかに三十三万一千円、片っ方は足かけで二カ月、しかもその損失が八十七万三千円、大阪のほうはもう二期からは引き続いて八分ないし一割配当ができているわけです。ところが東京のほうは事件の以前から、そしてまた事件後も全くその業績がふるっていないわけです。こういう点について、いわゆる板橋事件といいますか、その板橋事件ばかりを総裁は頭に置いておられて、東京は業績があがらない、業績があがらないといわれておりますけれども、根本的な問題が私はあると思うのです。その点はどうでしょう。
  149. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 多少こまかいことでございますので、かわってお答えするのをお許しいただきたいと思います。  東京と大阪と、東京のほうが先に始まりました。先生のおっしゃるとおりであります。東京を始めます場合に、いろいろとこういった特殊な会社をつくって仕事をやってまいります上におきまして、たとえば労働組合との話し合いといったようなことでかなり時間をとった。正確には覚えておりませんが、そのためにかなり予定よりも発足がおくれたというような点が第一点であります。そのためのある程度の不経済というものがあって、会社が発足いたしましてからしばらくの間、そういったものを解消しなければならぬといったようなことがございました。  それからもう一つ、先生御指摘のように、東京と大阪で若干仕事のやり方自身も違ったような点があったように思います。大阪のほうが人の使い方がうまいといったような点もあったかと思います。そういう点につきまして、私どもは事務的に東京に対しまして、大阪がこういうふうにやっているからおまえのほうもどうだといったようなことは、事実問題として指導をいたしております。したがいまして、さっき申し上げた事故は事故といたしまして、現在では東京と大阪とそう違った仕事のやり方ではない、同じような業績はあげられるようなかっこうで仕事をしている、こう思っております。
  150. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間がございませんから、総裁に重ねてお尋ねしておきますが、東京に欠陥があるのではないかと私は申し上げた。これは専売公社としても共済会からそれの出資が出ているわけです。もちろんまた職員も、公社の出身者の先輩の方々が全部行っているわけです。当然何らかの関心を持たないということはないと私は思う。先ほどお答えがなかったようですが、東京たばこの状況について、総裁は指導とか忠告を、あるいは何らかの処置をとったかどうか、この点を伺っておきたい。
  151. 東海林武雄

    ○東海林説明員 これは注意したことがございます。
  152. 松本忠助

    松本(忠)委員 具体的に注意したことがあるというわけですか。
  153. 東海林武雄

    ○東海林説明員 はい。
  154. 松本忠助

    松本(忠)委員 その具体的な問題をあとで知らしていただけばよろしい、もう時間がございませんから。  それでは東京たばこのほうの決算書の中で、第五期の決算書に、先ほど申し上げましたところの板橋事件に関することと思うのですが、特別損失金の千九百八十四万七千六百八十一円、こういうのがあるわけです。これは全部が板橋事件の損失金でございますか。
  155. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 おっしゃるとおりでございます。
  156. 松本忠助

    松本(忠)委員 私、板橋事件につきまして調査いたしてみました。板橋の警察署に届け出られている東京たばこ配送株式会社の板橋派出所長大野精作さんからの届け出によりますと、窃盗によるところの被害金額は八百三十七万五千円、物件はたばこ約四十七万個、内訳がハイライト二十四万三千百七十六個、いこいが二十万四千八百個、以下ホープ、新生、ピース、ひびき、パール、全体で四十六万九千六百五十六個の被害届けが出ている。この金額は八百三十七万。ところがいまの斎藤部長さんのお話ですと千九百八十四万、約二千万近いものが全部窃盗だ。一方は八百三十七万の被害届けが出ているのに、お宅のほうで決済書に記載しているのは約二千万。この違いはどういうわけですか。
  157. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 配送会社のほうから警察のほうに届けの出ております数字につきましては、実は私のほうは直接存じておりませんが、会社がその後調べまして、私たちのほうもチェックいたしました正確な数字は、いま申し上げております約二千円。したがいまして総合いたしますと、とりあえず出した盗難届けというものはその後調べてみたらとにかくもっと損失がふえていたということではなかろうかというふうに、これは想像でございます。
  158. 松本忠助

    松本(忠)委員 二千万と八百万ではあまりに違い過ぎます。この点を十分御調査を願いたいと思います。  そこで総裁に伺うわけでありますが、二千万の賠償を求めたわけでございますが、この二千万の求償について、お話によりますと、年賦払いで五回の分割で四百万円ずつ、昭和四十一年と四十二年で八百万、残りが千二百万円ある。この千二百万円についてはどのようにして回収しますか、伺っておきたい。
  159. 東海林武雄

    ○東海林説明員 残金の千二百万円につきましては、本年度中に全部完済させるつもりでございます。
  160. 松本忠助

    松本(忠)委員 これはあなたのほうの債権なんですから、当然取り上げはみっしりやっていいと思うのです。何も遠慮する必要はないと思うのです。言うならば、二千万円のお金を貸したと同じような形なんです。金利を取れないのはどういうわけですか。
  161. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実はこの損害、ただいま八百万円とか二千万円とかいう問題がございましたが、この損害が起こりましたときに、一体損害額を幾らにするかということにつきましていろいろ議論をいたしました。この二千万円という損害額は非常にシビアーと申しますか、きつい損害額になっております。公社の財政に損害が起こりましたときにどれだけ賠償金を取るか、公社の損失だけと申しますと、原価で取ればよろしいということでございますが、このものにつきましては、不正行為を働いた者がすぐ自殺してしまいましたので、どこにどういうふうに消えてしまったのかよくわかりませんが、たぶん市中に流されているであろう、そうすれば公社の得べかりし利益というものをやはり返してもらうべきじゃないかということで、この二千万円の賠償金の中には、公社のほうの得べかりし利益、正当に売ったらもうかったであろうという金額も入っております。したがって原価ではございません。そういう点につきまして、いろいろ会社側と公社側で議論があったわけであります。しかし私のほうは国の仕事でございますから、この辺ぴしっとやってほしい、会社側で反証がない限りはこれで払ってもらわざるを得ないということで非常にきつい。それとその際、当時の会社というのは御承知のとおり財政状態もあまりよろしゅうございませんでしたし、あるいは会社のほうで、きまったものはきっちりと完済いたしますといったような、そういう誠意というものも見られましたので、そういうことを勘案いたしましてこういうことにいたしたわけであります。いま総裁から御答弁申し上げましたようにまことに先生のおっしゃるとおりでございます。これはできるだけ本年度じゅうに、繰り上げても償還させたい、こういうふうに思うのでございます。
  162. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは前川監理官にお伺いいたします。  あなたの監督のお立場としてはもちろん公社に対する監督のお立場であって、たばこの配送会社のことについては責任を負う必要はないわけでございますね。そこで責任問題にはなりませんけれども、専売品であるところのたばこはおそらく窃盗した者が、ほんとうの短期間ですから、自分で吸ったものではないわけです。そうだと当然横流しされていたということになると思うのですが、その保管なり管理なりについて粗漏があったということについて、監理官としてどのように思いますか。
  163. 前川憲一

    ○前川説明員 もちろんたばこは財政物資でございますから、普通の商品以上に厳重な管理をすべきであるということは、これは当然公社の効率的運営の基本方針から出てまいるものだと思います。そういう事件が過去においてありましたことはまことに遺憾でございますが、その後公社といたしましても、その事件の経験にかんがみまして在庫管理を十分にやっておる。したがってむしろ、その後はそういう問題が起こっていないということによって私たち喜んでおるような次第でございます。
  164. 松本忠助

    松本(忠)委員 配送の業務は、直接専売公社で配給するといっても、事実は日通の手をかりてやっていることはもうはっきりしているとおりだ。その日通にまかせ切ったり、または専門的な限定のこの会社にのみやらせる、そこにやらせておくところに間違いができるのじゃないかと思う。もう少し門戸を開放して、そして他の会社等にもやらせるようにしたほうが私はいいと思うのですが、監理官の意見はどうですか。
  165. 前川憲一

    ○前川説明員 先生のお説のとおり、フェアにかつオープンにしておいたほうがお互いに競争原理が働きましてりっぱにやるであろうということは、原理的には私も同意見でございます。ただ実際問題といたしましては、このたばこの臨店配給というものは——私も運送のことはよくわかりませんけれども、あまりうまみのある仕事ではないというふうにも聞いておりますので、従来のところは日通以外に特にやらしてくれというふうに言ってくる者があまりなかったやに聞いております。もちろん今後の問題といたしましては、そういうたばこの臨店配給、配達ですか、配送をできるような能力と申しますか、条件を備えた会社がございますれば、そういうところの申請を拒否するつもりはありませんし、むしろオープンにいたしまして日通と競争させる、こういう方針でいきたいと思っております。
  166. 松本忠助

    松本(忠)委員 結論を急ぎます。いまの監理官のお話でうまみのない仕事だというけれども、うまみがないどころじゃないのです。大阪では一割の配当が十分最初からできているのです。東京だってやり方のいかんによれば、一割配当は十分できるわけです。決してうまみのない仕事じゃないわけです。ですからこれは日通とか、あるいは専売の特定の会社ばかりでなく、大いに門戸を開放すべきである。そういう意味において九州の今回の処置についても、まだ陸運局で決定されていないようでございますけれども、この点についてもとくとお考えおきを願いたいと思う。  それから最後に、都内のたばこの小売り店につきまして東京たばこ配送株式会社のサービスの状況を聞いてみました。私買うたびに聞いてみましたが、非常にそのサービスが悪いという声を聞いております。時間があれば具体的に申し上げるのですが、その余裕もありませんので、まことにサービスの悪い点、これを何とか改善しなければならないと思います。直接配送の業務については、やはり末端の臨店配給ということが一番大事だと思います。監理官もどうかこの点についても、サービスの改善等については配慮されるようにひとつ希望しておきます。
  167. 前川憲一

    ○前川説明員 その御希望を十分伺いまして、監理官といたしましても注意したいと思います。また聞くところによりますと、公社におきましても特に輸送問題は大事でございますので、輸送問題研究会という、内輪で輸送の効率化については十分研究をいたしておるということであります。
  168. 大野市郎

    大野委員長 次回は明後二十四日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会