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1968-04-26 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 山村新治郎君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       小渕 恵三君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 英一君    福家 俊一君       水野  清君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         食糧庁次長   田中  勉君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         議     員 野間千代三君         法務省民事局参         事官      味村  治君         大蔵省証券局企         業財務第一課長 安井  誠君         日本専売公社総         務理事     山口 龍夫君         参  考  人         (東京運協会         理事長)    大石 信二君         参  考  人         (日本海運貨物         取扱業会理事) 大橋 俊吾君         参  考  人         (京浜中小港運         業協議会会長) 菅井 雅一君         参  考  人         (大阪港湾事業         協同組合理事         長)      芳田 大作君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 四月二十四日  都市鉄道整備促進法案久保三郎君外九名提出、  衆法第二八号) 同日  山手線大崎西口復活に関する請願(菊池義郎  君紹介)(第四六四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  国鉄安全輸送に関する陳情書外六件  (第二六六号)  阿波池田保線区の存置に関する陳情書  (第二六七号)  地方鉄道発展促進に関する陳情書  (第二六八号)  第二関西国際空港の建設促進に関する陳情書  (第二六九号)  福井、富山間に快速電車運行に関する陳情書  (第二七〇号)  長崎県五島地区気象観測用レーダー基地設置  に関する陳情書  (第二七一号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  都市鉄道整備促進法案久保三郎君外九名提出、  衆法第二八号)  陸運に関する件  港湾に関する件(港湾運送事業集約に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  久保三郎君外九名提出都市鉄道整備促進法案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間議員 ただいま議題となりました都市鉄道整備促進法案につきまして、提案者を代表して提案の趣旨及び内容説明いたします。  都市における交通は、産業と人口の過度の集中により、通勤輸送殺人的混雑路面交通の恒常的な渋滞そして救いようのない交通事故の頻発を招き、都市問題の中心的課題ともなっております。  この都市交通問題を解決するには、都市問題全般にわたる総合対策樹立とその強力な推進が肝要であることは言をまちませんが、当面極度に混乱を続けておる都市交通現状を打破することが緊急に必要なことであり、それには道路網整備により路面交通円滑化をはかると同時に、高速鉄道建設を促進し、大量輸送機関輸送力増強しなければならないと考えるのであります。  しかるに、都市において高速鉄道建設し、都市交通運営している企業は、それぞれの性格の相違があっても、今日では、その運営がはなはだしく悪化しているのであります。  たとえば、地方公営企業法改正によって地方公営企業財政再建策がとられておりますが、この方法は、路面電車の撤去と債務に対する利子の一部補給とをするのみにとどまり、企業の拡大的な再建は期待できないところであり、また帝都高速度交通営団は累積された建設借り入れ金利子運輸収入の約半分にも達するなど、これが再建はきわめて困難な実情にあり、都市高速鉄道として十分にその使命を発揮し、進んで都市鉄道建設を強化するにはきわめて困難な立場にあります。  しかしながら、これが再建高速鉄道建設促進都市問題解決の基本的な政策手段として、その抜本的解決が求められているのであります。  すなわち、かかる状態を招来したものは、多額の費用を要する高速鉄道建設資金の調達を、借り入れ金運賃収入に依存する独算制あるいは企業採算のワク内で処理しようとすることに原因があり、これを改善することなくして都市交通整備を望むことは困難であります。  よってこれが解決の方策は、建設資金につき政府が援助すると同時に、整備計画の達成にも政府責任を持つ内容のものであることが必要であります。本法案は、このことを中心とし、以下申し述べる諸点を含むものでありまして、大都市及びその周辺の地域における高速鉄道建設及び連絡施設等整備計画的に促進することによって、都市交通輸送力増強し、交通円滑化をはかろうとするものであります。  次に、本法案内容について申し述べます。  まず第一に、都市交通整備計画樹立についてであります。本法案においては、関係地方公共団体の長及び本法案の中でその性格を強化いたします都市交通審議会意見を徴し、運輸大臣都市鉄道整備計画案を作成し、閣議において決定することにいたし、政府責任を明確にして計画適確実行を保証しようとするものであります。  今日までにおいては、従前の都市交通審議会にはかり計画の策定をいたしてきておりますが、それは政府が積極的に責任を負うものではないのであります。  そこで、大都市における交通問題については、道路と同様の比重において高速鉄道増強計画推進政府責任を負うことといたすものであります。  第二は、事業実施についてであります。  整備計画による事業関係鉄道事業者である国鉄鉄道建設公団地方鉄道事業者及び軌道経営者にそれぞれ実施させようとするものであります。  さきに述べましたとおり都市交通円滑化をはかるには道路網整備高速鉄道建設が必要でありまして、このうち道路網整備については特定財源一般財源によってこれをまかなっておるのであります。しかしながら、高速鉄道建設も同一の効用を果たすものであるにもかかわらず、そのような措置は講ぜられておりません。そこで、企業経営が悪化しておる現状からして、当然その建設費用については道路と同様に国の援助をし、輸送力増強経営改善をはかることが必要でありますので、建設工事のうち最も費用のかかる高速鉄道トンネル部分及び高架橋部分についてはその費用の全額の補助といたし、その他の部分建設、すなわち可動施設駅舎等は、当該鉄道事業者の負担とし高速鉄道相互連絡施設、あるいは既設鉄道高速鉄道にする等の改良計画等についてはその事業によりおおむね四分の三ないし三分の一までの補助をしようとするものであります。もちろん、国鉄鉄道建設公団をして行なわせる計画については、国の助成対象からは除外いたすものであります。  これによって、都市高速鉄道建設を促進し、都市交通円滑化をはかるばかりでなく、建設資金の重圧に苦しんでいる鉄道事業経営を安定させようとするのであります。また、当該鉄道事業が将来経営が安定し、益金を生じてまいりました際には、補助金相当部分国庫に納入させることは当然であります。  第四は、現行の都市交通審議会令による都市交通審議会を強化し、都市交通整備計画樹立都市交通に関する重要事項につき調査審議させようとするものであります。  最後に、本法案による計画実施には年間八百億円程度国庫支出を見込んでおりますが、当面は、すでに策定され、実行に移されつつある計画を踏襲すると同時に、若干の計画追加修正を含む工事実施を企図いたしております。  以上で説明を終わります。
  4. 大野市郎

    大野委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 大野市郎

    大野委員長 港湾に関する件について調査を進めます。  これより本件に関して参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、東京運協会理事長大石信二君、日本海運貨物取扱業会理事大橋俊吾君、京浜中小港運業協会会長菅井雅一君、大阪運事業協同組合理事長芳田大作君、以上四名の方々であります。  参考人各位には、本日御多用中にもかかわらず御出席を賜わり、まことにありがとうございます。港湾運送事業に関する問題については、港湾環境の変化、コンテナ輸送など港湾荷役近代化による業界集約化が特に問題になっておる現状でありますので、深い御見識を有せられる参考人各位から、それぞれの立場に立って忌憚のない御意見を承り、もって本委員会調査参考に資したいと存じます。御意見開陳は、おおむね十五分程度におまとめをいただくようにお願いをいたします。御意見開陳は、委員長指名順に御発言を願うことにいたします。なお御意見開陳あと委員から参考人各位に対し質疑を行ないますから、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、大石参考人お願いをいたします。
  6. 大石信二

    大石参考人 御紹介をいただきました、私、東京運協会理事長大石であります。今回、国の最高機関でありますこの国会におきまして、いま問題になっております港湾問題の御調査のために私への発言機会を与えられまして、まことに光栄に存じておるわけでございます。  まず冒頭、迂遠ではございまするが、港湾実情を知っていただくという意味合いから、先生方に、もうすでに御熟知のことではございまするが、なまのままいま一度お聞きを願いたい。ということは、港湾行政的にも経済的にもまことに複雑多様があるということでございます。御承知のとおり、港湾労働に端を発しました港湾労働協議会審議会に改変されて、さらに一回の延長を見まして、無慮七、八年を要しまして打ち出されましたのが、去る三十九年にいわゆる新三・三答申として出されたわけでございます。労働から端を発しまして、長い月日をかけて、それは港湾管理運営の問題であり、業の強化の問題であり、労働の問題である、こう打ち出さなければならないほど、いわゆる港湾複雑多岐の中にある。このことは私ども業から見ますると、常に雑誌等でも御記憶でございましょうと思うのでありますが、港湾実態はよく八局三十種類の事務に包まれておるといわれております。小さな市町村の委認事務その他のものを含めましても、八局三十種類にそれが日々の業務の中でつながっているという業態は、おそらくはかにあり得ないだろうというふうにまで考えられるわけでございますが、私がなぜこのようなことをいまさら申し上げるかと申しますと、このような長い年月を費やして打ち出されたその問題が、三十九年以来矢つぎばやに労働法として発足をし、港湾事業法の一部改正として発足し、さらにまた管理運営の面の検討埠頭効率化問題等のために、港湾審議会の中に港湾運送部会、あるいは管理部会というような機構をつくって、各界からの検討を進められておる。こういう形の中で、すらすらっと出てまいった港湾労働法、あるいは港湾運送業法の中に、もう一ぺん行政の面から考えてみなければならなかった多くのものがあるんではないだろうかということを、これは私たいへん口幅ったい申しようでありまするが、先生方にもいま一度聞いていただきたい。といいますことは、このような長い年月の中で、いま一、二の例をとってみますと、ひとつバナナ船が入ったといたしますると、そこにはいわゆる農林省の関係あるいは大蔵省関係、そしてまた入るときには港湾管理者関係交通の場合には水上署海上保安部というような交錯の中で進められている。この業務中心として打ち出された形の中から、法律が生まれてまいったというならばまだしものこと、そうでなく、労働に端を発したその中から出てまいった答申によって、次次に出されたそのものが、しかく安易に適正なものばかりであるかということを、私はいま一度考えてみていただかなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そのような複雑な港は、じゃどのように現在運営されているかといいますと、港湾波動性があるということは、皆さんもお聞き及びのとおりでございます。しかし、その波動性が取り上げられて外にあらわれておる形は、どのような形であらわれておるかといいますと、これはいわゆる月末、月中集中というような名前で呼ばれております。しかし、私は大正十三年から港で商売をいたしております、きっすいの港っ子でございますが、一体波動というものはそんななまやさしいものであるのかということでございます。ということはどういうことかと申しますると、荷主波動、天候の波動貨物による波動、港の上屋における波動等々がいわゆる交錯しているわけでございます。そのような状態でございまするから、港の運営をするのにはどうしても港の機能全体が有機的に交錯してつながって、初めて機能が発揮できるということが、これは偽らないほんとうの姿なんであります。  その姿に対して現在示されておりまする法律はどのような方向を示しておるかと申しますると、いわゆる一貫縦割り直営体制というものを基本にいたしております。一体直営体制というものがそれほど港に必要なんであろうかということを、いまさらながら私は、たいへん口幅ったいことでございまするが、考えてみたい。これは考えなければならぬのではないかというふうに考えられるわけでございまするが、しかし、私も当初の港湾労働等対策審議会委員もいたしておりまして、今日の流れそのものを見まして、私は決してこれが無理な流れであるとは申しません。といいますことは、昨年の経済懇談会報告にもありまするように、貨物の流動の革命的な流れと申しまするか、また企業大型化、これは経済界要請によりまする規模の拡大等々は、十分私も解していると自負いたしておるのでございまするが、そのようにして複雑多様な港に対する処置というものは、常に行政自身がつかまえておって、そしてそれに対応していく。法律で触れられないところに対応していくというような姿がどうしてもほしいのではないかということを基本的に考えておるわけでございます。しかし、そういう形の中で今次のいわゆる港務当局がわれわれに求めている姿を考えてみますと、法基準充足ということが、今年九月に先行しなければならない。そうしてそれが二〇%増しの姿によって進められなければならないと言うておるのでございます。  ひるがえって、私は東京理事長でございまするので、東京の港の姿を申し上げてみたいと思うのであります。御承知のとおり、東京港は貨物も相当量伸びておりまするが、姿自体が大きく変わろうといたしております。といいますことは、はしけ港として生まれた東京港、河川を中核として育った諸産業、それらにつながる役割りを果たして今日に至っているわれわれ業者でございまするが、これらがいわゆる接岸作業へ移行しております。のみならず、今日もう外貿埠頭の進出、あるいはコンテナ機能もすでに始まっておる姿であります。したがいまして、私どもはその姿に見合う体質改善——法律の指示、指向するところは、それに見合う姿を求めるということではないのでありましょうか。私は断じてそうであると思うのであります。そのときに、いま法基準充足をそのままの姿で、省令が示すような姿でやったとしたら一体どういう姿になるんだろうということを考えますときに、私は、すでに運輸省が出しておりまする省令とか基準というようなものを、もう一ぺん考えてみる必要があるんではないか。もう法律は先行して回っているんだから、九月にはそのような姿にしなければならないんだというしゃくし定木だけでいいのであろうかどうかということを考えてみる必要がありはしないか、こう考えるのであります。  私は、四十二年の四月三十日に運輸省から整備計画提出ということが打ち出されたわけでございますが、そのときに、所管の関東海運局に向かいまして、これは個々にもしそのような整備を急ぐとしたらばどういう結果になるか、ひとつ計算をしてみようではありませんかということを申したわけでございます。それはどういうことかと申しますると、私ども業者は現在、各業種を含めまして二百二十六店社ございます。それらの業者がいわゆる登録から免許に移っております。これは運輸省のあたたかいお気持ちから、法適用後もそのような姿によって事業を続けてよろしいということで進んでおったわけでございまするが、それがもし法基準が示す基準を、はしけ労務それから荷役機械という姿において充足するとしたらどういう姿になるかということを、あらかじめ予想してみたわけでございますが、はしけにおいて倍になるでしょう。それから荷役機械において、これまた倍くらいになるであろうと思います。労務においてもそのようなことが言えるのではないか。しからば、そういう形の中で存続し得る業者があるであろうかと私は言ったわけでございます。したがって、これはどうしても、いま打ち出されている集約の中で検討されなければならぬのではないか。とすれば、その集約に対する諸種の業者要請に対して、具体的に何らかが示されなかったならば、どうしてもころがっていかぬのではないかという相談をいたしたわけでございます。  当時の関東海運局運航部長は、なるほどそのとおりだ、今日港運部会集約問題について検討されているから、いずれそこでそれぞれの姿が出てくるであろう、そのときに業界相談をしていこうではないかというお話があったわけでございます。したがいまして私どもは、この港湾集約に対する審議会考え方というものを首を長くして待っておったわけでございまするが、今日運輸省が言っておられることは、集約問題と法基準充足とは別の問題だ、それはすぐに進めなければならぬのだ、こう主張しております。私は、いまの東京の姿で言うならば、法基準が示すものを増強することは遊休施設を増すばかりでなく、あと体制への移行の施設改善を求める姿ではなくなるんだ、反対の方向へ行くんだ、したがって法六条の一号のいわゆる港湾過剰施設を生むことになるんだというふうに考えられまするので、これは別の形に置きかえた施設の要求に置きかえられていかなければならぬ。したがってそれはどうしてもいまわれわれがお願いをし、あらかじめ了承を得ておりまする地区促進体制の中で、いわゆる法の基準充足をも含めて検討されてしかるべきではなかろうか、こういうことが私が第一に申し上げたい問題でございます。  その他、時間がございませんので、実は、先生方のお手元には、私が「海運貿易」に掲載いたそうと思ったプリントがございます。そのプリントあるいは陳述要旨等にも盛ってございまするので、はしょって申し上げますが、そういう姿の中で、私どもいまの対処の方法といたしましては、いろいろの矛盾を持っております。つまり、基準充足についても、港ごとの変わっていく姿に合わせた基準に置きかえていかなければならぬから、どうしても地区促進体制の中で考えてもらいたいということが一つ。それから、直営率の問題にいたしましても、まさに実情に合わぬということを運輸当局御存じのはずです。その御存じのものが省令で出ているから、それはどうしてもいわゆる九月までに直さなければならぬといわれます。また附則4の、十六条の関連下請の問題にいたしましてもそのとおりです。いわゆる総合的な機能の中で港運営をしているのであるから、集約体制の中でこそ考えられてしかるべきであって、決して個々にそれを取り上げて、法に誤っているからということをどうしても強調なさらなければならぬということは、これはもしいけなかったならば、省令改正をしてでもやっていただくということがほんとう行政の姿でないかというふうに考えられるわけでございます。  時間がございませんので申し足りないわけでございまするが、お手元へ差し上げてございまする資料等をごらんいただきまして御了得いただければ非常に幸いだと存じます。以上、終わります。
  7. 大野市郎

    大野委員長 次に、大橋参考人お願いします。
  8. 大橋俊吾

    大橋参考人 本日は、この機会をいただきまして厚くお礼を申し上げます。  ただいま、港湾の情勢につきましては大石さんからお話がございましたが、私が申し上げたいことは、今回五大港一般港湾運送事業集約について、最も問題となっておりまする個品限定一種業種でございます。そのことは、今回の集約について、専門委員会報告におきましてもごらんのとおり、業種の存続とか、あるいは自主性が何ら明確に示されていないということ、これが大きな問題でございます。言うなれば、この集約の大きな流れの中で抹殺されていくかのごとき状態が出ておるということが、われわれ業者としては重大な問題で、これは承知できないということから、いろいろと陳情を申し上げておる次第であります。これからこの問題について御説明申し上げますが、特にお手元に差し上げております資料の、個品限定一種業者、すなわち通称海貨業者と申しておりますものの問題点を、実態に触れまして、その業務のあり方、そういうものについて御説明を申し上げたいと存じております。  まず第一に、個品限定一種業種とは何だ、こういう問題でございますが、私ども業態荷主からの委託を受けまして、船舶への、輸出貨物あるいは輸入貨物の受け渡しを一貫元請しておる業種でございます。1に掲げておりますのは、これは法律用語でかような解釈をいたしておりますが、これが免許を受けておる業務でございます。それにはいわゆる公示料金といたしまして、輸出船積み料金という一貫料金が設定されております。その内容資料に(1)と(2)とございます。実はこの料金がすでにもう問題にはなっておったのでございます。こういうことからいろいろ問題もございましたが、当局考え方をこの中から拾い上げて考えてみますと、埠頭が高度に利用されていないということ。そういう問題から、貨物流れは、将来の状況からいって、埠頭効率につらなる流れを一本にしてしぼりたいというのが本意じゃなかろうかと思うのでございます。それで、埠頭で直積みされる料金のみを一貫料金として認めていこうじゃないかということが、この中にうたわれております。それでは、埠頭でそのほかにわれわれが現在やっておりますところの主要業務でございまする、いわゆる三、四種を通じて行なうその行為の一貫料金の設定は、実は考えていないのだというような方向になっておるようでございます。そこで、埠頭効率使用料金合理化について、昨年の四月一日に運輸大臣特別委員会に諮問を発しております。その専門委員会において検討されまして、七月十四に埠頭効率使用中間答申が出されたのでございます。その内容はお手元にございまして、一から四までございますが、時間の都合で省略させていただきます。そういう関係から、実はそういう角度に集約されていくということ。  さらにもう一つの問題は、五大港における一般港湾運送事業集約についての具体案が、去る三月四日に出されております。これをごらんいただきますと、個品限定業者乙仲)に示されておる中身でございますが、時間の都合で省略させていただきますが、ちょっと発表させていただきますと、実は埠頭効率向上を目ざして関係業種との縦の強力なつながりを持てということでございまして、可能なものにあっては合併等によって無限定一種の業者へ脱皮をはかれということ、そうしてそういうふうな整備をなされたものについて、はじめて十六条の二、四、則四の問題の解決をはかるためにその調整を認めてやろう、こういうことでございます。それ以外に、その方法として(イ)と(ロ)の方法で協同組合をつくりなさい。小さなものは一本になって協同組合で一束になれ、こういうようなことでございましょう。しかもその協同組合というものは(イ)と(ロ)の間において、その期間は一年あるいは半年というふうにうたわれておる問題もございます。こういう問題が、私ども非常に将来の問題を案ずるわけでございます。  それでは一体港湾運送貨物取り扱い業というものはどういう仕事をやっておりましょうかということでありまして、以上のとおりで、三種、四種を通じてやる仕事に対して何らこの答えの中に明示されていない。業者立場が何も明示されていないということは、いわゆる埠頭効率利用を焦点として考えられているように思われるのでございます。  しからば現在の輸出貨物が、どのような流れで港頭地区に累積されているかという状況は、その資料一をごらんくださればわかりますように、流通革命の流れは今後急速な進展を見るということは明らかではありますが、これが対策としてコンテナ輸送一本化あるいは埠頭高度利用、協同一貫責任体制の確立を強く要請されていることは当然ではございますが、これはいわゆる流通革命体系全般の抜本的な改善を促進する必要があり、それに対応するために港湾運送事業者の強力かつ大規模な縦の一貫体制の確立が要請されているのである。しがしながら、いわゆる輸出貨物個品限定業者の場合は、主として取り扱う船積み個品貨物の港頭地区への流通経路というものを、まずこれを検討する必要があるのではなかろうかと考える次第であります。  それで実は、どういうふうに貨物流れて港頭地区に輸送されているかという状況は、ここにも書いてございますが、各地の利用者(工場、メーカー、貿易商社)は七千軒もございます。これらの一つ一つ業者から持ち込まれて、その一つ荷主が、あるいは四トン、五トンという小さな荷口があるのでありまして、その中身の品種というものはもう種々雑多でございまして、非常に複雑なものでございます。しかも、その中で三回、四回にわたって、トラックとかいろいろな輸送機関を通じて港頭地区のストックポイントに流れておるというような状況がございますことを御認識願いたいのであります。しかも、いわゆる埠頭効率利用の本船直積みに対応するための流れとはいいながら、実はそれらの貨物は一応品ぞろえする必要があります関係から、別のストックポイントが必ず必要である。こういうことがはっきりしておるわけでございます。  そうして、このようにして船積み直前に至るまでのカーゴレディといいますか、この手続とか行為が非常に複雑多岐にわたっておる。その内容を概念的に分析いたしますと、荷主からの受注(販売行為)。それからメーカーと輸送関係機関との連絡、あるいは船会社との交渉、連絡。必要書類の作成、検量、改荷あるいは現場作業に対する指揮、あるいは本船積み手配、指図、こういった非常に複合した問題がありまして、最終的には事故処理、全般的な責任問題、こういう問題もございます。以上のとおり大別して考えられるのでございますが、輸出船積み貨物の作業体制合理化埠頭の効率利用に対応する集約化、運賃料金の適正化のための体制の確立をはかることはいうまでもないことではございますが、輸出船積み貨物の処理、その一連の行為は、将来どのように事務的にまた作業体制の変革がなされても、船積み貨物を取り扱う一貫行為の中において、従来行なってきた必要な手続あるいは手順、ハンドリング行為というものが抜本的に変化するということはとうてい考えられないのであります。将来埠頭効率利用につながるコンテナの流れに乗る貨物の量は、運輸省も経済企画庁も測定しておりますが、あるいは四〇%か五〇%程度であろうといわれております。われわれ海運貨物取り扱い業者が扱っておる中身が、コンテナ輸送に振りかわるであろうと思われますものは、遠い先の将来でも四、五〇%程度であろう、こういうような見通しがございます。それなれば三、四種を通じて行なうところの船積み作業、海貨限定業者がいまやっておるもの、これあたりの作業、仕事そのものは一体どうなるのかという大きな問題がここにあるわけでございます。  また、以上のような複雑多岐にわたる行為に対して、港湾運送業者大型化した場合、はたして利用者側が満足する従来のごとききめのこまかいサービスが、あるいは責任が完遂できるかどうか、こういう問題もまことに憂慮すべき問題でございます。  以上は輸出貨物について申し上げたのでございますが、輸入貨物もそれと反対的な行為が行なわれております。  以上のとおりに、具体的方針についても何らないのでありますが、しかしながら、いま申し上げましたような複雑多岐にわたる作業行為、いわゆるハンドリング行為を一連の流れの中でやっていくということでございますが、しからば埠頭につながる貨物はどのような現実であろうかという問題をこれから説明さしていただきたいと思います。  別紙にございますように、実はこれは神戸港の摩耶埠頭の実例をここにあげております。  現在神戸港の摩耶埠頭で、輸出貨物量の中からどのくらいのものが直積みされておるか、効率利用に当てはまる作業が行なわれておるかという問題は、わずかの六・五%程度にすぎないというのが現状でございます。もちろん将来の埠頭効率利用に対しては、われわれ業者も進んで努力し協力する必要もございますし、当然と考えておりますが、はしけへ落として本船にアロングサイドするのは将来とも決して少なくないのであります。これが等閑に付せられるということが問題でございます。現在では、神戸の状況をいいますと、地方から、あるいは営業倉庫、あるいは背後地の私設倉庫、公共上屋からはしけで本船にアロングサイドされている荷物が非常に多いのでございます。従来から経岸荷役、はしけ荷役を通じて免許の対象になっておるもの、それがいま等閑に付せられておるということでございまして、私どもとしては非常に心配いたしましたが、特別委員会集約の方針の答申の中にもこれらに関して何ら示されていないし、また当局もこれに対して何らの方針も明確に示しておりません。業者はその事業の将来のあり方について非常に心配いたしておる次第でございます。  次に、神戸港を代表といたしまして、外国貨物の扱い量その他を明細に分析してみました。  輸出量としては月間八十万トン、輸入量は月間百万トン、輸出貨物を扱う業者九十一社の中で、特に個品限定を扱う業者が七十一社、その扱う貨物量が、輸出貨物が九五%、輸入貨物が二〇%、そして無限定業者と称しまして、ステベあるいは倉庫業者をやっているものが二十社ございます。その中で、主として輸出貨物をやっているものが五%程度にしかすぎない。これは主として船舶運航業者の依頼を受けて、本船の荷役にあわせて輸入貨物をやっておるという作業が、主として無限定一種業者のやる行為でございます。  以上のとおりでございまして、先ほどの、別紙一の、それでは神戸港へどのような姿で、これは京浜その他各地とも同様であると思いますが、輸出貨物がどのようにして港頭地区流れてきておるかという集貨状況及び経路を説明いたしましたが、その中から、神戸港に集貨される八十万トンはどのようにして来ているかということをここにあげてみますと、神戸周辺として、大阪、堺、中国、四国方面から来て、はしけで輸送されているもの、あるいはそれから揚げられて背後地で荷さばきをしているものが三〇%、新港地区公共上屋へ小口貨物として入っておるものが四〇%、背後地の営業倉庫その他へ入っておるものが三〇%。この中で、いわゆる経岸荷役と、アロングサイドする、三種、四種を通じてやる荷物があるわけでございます。  しからば、埠頭は現在どのように利用されておるかという点をここに参考として書いてございますが、まず、神戸港における摩耶埠頭、これは公共上屋でございますが、十一バースございまして、一突から三突までが普通定期船を扱っております。そしてコンテナ船が一突あります。そういうことで、詳細はここに摩耶ターミナル会社の実績をつけてございます。  最終的に結論として、時間がないようでございますので、お願い申し上げておきたいことは、実はいままで申し上げましたことは、いわゆる輸出貨物を扱ういろいろな経路その他について明細申し上げたのでございますが、埠頭高度利用に対する答申に示された趣旨に対応するために業者が協力いたしますことはもちろんでございまして、今後も十分に努力していく心がまえでおります。しかしながら、流通革命の急速な流れ一貫輸送体制要請等、将来の高い次元のビジョンについては前向きの姿勢で進むように指示されております、そのことは各業者とも十分心得てはおりますが、ただいまも数字的に示しましたように、かつまた、港頭地区への集貨の状況並びに個品貨物の船積みに至るまで、及びその後の処理等、一連の特殊的なハンドリング行為、こういうものも非常にむずかしいいろいろなものがございます。そういうことで、現在九〇%は三種、四種を通じてやっておる状況下におきまして、これらの行為に対して、本業務自主性が何らうたわれていないということに、業者一同まことに不満であり、かつ不安を持っておる次第であります。  現在各港で起こっている状況を申し上げますと、今回の集約化のために、各業者の実績二〇%アップという線が出されておりますが、そのために料金のダンピングによる集貨競争が非常に行なわれておるということは事実であります。ある港では、個品限定業者は輸出船積み貨物一貫元請行為ができなくなるぞということで、無限定一種業者が、自分のほうへ持ってこいということを言いまして、商権獲得に狂奔しておるというような状況がございますことを伺っておりまして、個品限定業者はただいま一大恐慌を来たしておるというようなことを伺っております。  将来の見通しをつけて自主的に集約せいということではございますが、われわれにとっては、業種集約以前の問題でございます。すなわち、業種の確立が何ら示されていないという点が大きな疑問であって、このようなことでこのまま行政指導され、実施に移されるということになれば、われわれ業者にとっては、別紙のとおり非常に多くの従業員をかかえ、あるいは労務者をかかえておる状態でございますために、一大社会問題でございます。今後どのようになろうかということは、業者一同まことに憂慮しておる次第でございます。  つきましては、この答申では次の二点について何ら示されておりません。答申では、無限定一種業者への脱皮を求められていますが、無限定一種というのは、二種、つまり船内を持って、船主の委託を受けておるもの、これが現在の規定にありますが、個品限定業者がかりに無限定に脱皮するということになろうとしても、実際二種を必要としない関係から、個品限定業者全体にとっては事実上不可能な問題でございます。それと、無限定一種業者に脱皮せよということでございましたが、経過措置として事業協同組合をつくれということでございますが、この協同組合一、二例の問題ではございません。いわゆる埠頭効率につながる十六条充足のためには、将来そのままに存続すべきであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。さらに、個品限定業種の存在は、いわゆる限定として従来から存在価値があるのでありまして、そのために認可されておるのでありますから、将来とも存続されるべきものであろうと考えられます。  さらに慫慂されております無限定一種への脱皮に対しては、二種業は全然われわれ必要ないのだから、将来は、二種を除く三種、四種を通じて行なう独立した業種としてその成立に対しぜひ御指導願いたいということ、そうしてそれに対応する、事業協同組合というものは期限を設けずにそのまま存続さしてほしいということでございまして、大部分が中小企業者でございます関係から、特に個品限定は中小企業でございますので、それに対する集約については、やはり段階的に配慮されるということと、ぜひひとつ補償、助成措置が講ぜられるべきであろう、かように考えております。ぜひさように御配慮願いたいと思います。  以上でございまして、何とぞ事情御理解賜わりまして、われわれ業者のためにできるだけ御援助くださいますよう特にお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  9. 大野市郎

    大野委員長 次に、菅井参考人お願いいたします。
  10. 菅井雅一

    菅井参考人 私は、横浜におきまして港湾運送事業を営んでおります京浜中小港連業協議会会長菅井雅一であります。  不肖私が、本日港湾運送事業集約化について参考人として本委員会において意見開陳する機会を得ましたことは、中小港運業者の一人としてまことに光栄に存じ、厚く御礼を申し上げます。  昭和四十一年の六月、港湾運送事業法の一部改正、同施行規則の改正等が行なわれ、港湾運送事業近代化は縦、横の集約として、一貫責任体制の確立、すなわち直営率七〇%、元請、下請との資本的、人的、物的系列化と新規事業者に対する免許基準、これは取り扱いトン数とか施設とか人員等のことでございますが、この引き上げが行なわれたのであります。ただし、既存業者に対しては直営率七〇%、元請、下請との資本等による系列化は二年間の猶予期間が設けられ、業界あげてこれが対策に努力してまいっておりますが、その猶予期間もこの九月末で期限が切れようといたしております。  また、新規事業者に対する免許基準の引き上げは、既存業者に対し企業基盤の拡大に対する企業努力、すなわち施設の拡充のため、事業計画の変更認可申請において、法第六条を準用する法第十七条第二項によって、直ちに新免基準に達しなければならない結果となり、一挙に相当の施設、人員等の拡充が要求されたのであります。この点につきましては、運輸当局におかれましても、その矛盾を補うためでしょう、四十二年三月八日、港湾運送事業法の改正に伴う事業整備計画及び事業計画の変更認可に関する経過的措置について、行政指導のもとに、四十三年九月末日までに既存業者施設、人員等を新免基準まで拡充するよう整備計画書の提出を求められ、業者は目下鋭意努力中であります。  以上のとおり、業界は今年九月末日まで新免基準まで相当の施設の拡充、人員の雇用の増加、また元請、下請との資本等の系列化について鋭意努力中でありますが、現実は貿易の伸び必ずしも当初の予想どおり伸展いたしておりません。相当数の業者は、九月末日までに目標に達し得ないのが実情であります。取り扱いトン数に達するために、相当のダンピング等もやむを得ないとして激甚な競争を招来し、港湾の秩序を著しく乱しているのであります。  かかる現状下に突如として、五大港における一連の業種集約化について答申が出されたのであります。これより先、今春二月港湾審議会港湾運送部会専門委員会より答申案が発表されたのであります。前述の九月三十日を目標に控え、業界は混乱と不安に明け暮れている矢先、さらにこれに加えて、九月三十日までに免許基準の二〇%増しに満たない業者の協業化、努力してかろうじて二〇%増しを果たしても一年間に限るという一港一協同組合化、乙仲港湾業界より消え去らねばならない、これでは全くいままでの努力は水泡に帰す結果となり、やりくり算段してばく大な資本を投下して、何とか九月末日までに新免基準に達しようとする業者にとって、一体どうすればよいのか、全くぼう然自失であったのであります。  業界五大港こぞって日港協本部に対し、港湾審議会港湾運送部会において、われわれ集約により犠牲となる中小業者の生きる方策を加味した答申がなされるよう、代表者を送り、再三再四にわたり要求したのでありますが、日港協幹部はただ、運輸当局の強い方針であり、本答申案はわれわれ業者代表の強い要請により相当緩和されたものであり、これ以上はいかんともしがたいとの一方的回答で、われわれの審議会会場より業界代表の一斉退場要求も黙殺され、結果的に何らの救済策が施されることなく、答申となったのであります。  この期に至りまして、われわれ中小業者はこぞって立ち上がり、生きるための最後の手段として、過日本院に対し、請願書をもって、  一、当面集約の時限 九月三十日を相当長期にわたり延期されたい  一、答申に基づく集約には絶対反対である  一、集約は各港の特殊事情を十分考慮されたい  一、集約は自主的かつ段階的に実施されたい  一、各地区に協議会を設け集約案を作成せしめられたい を、請願いたした次第であります。  次に、港湾近代化について私見を述べさせていただきます。  横浜市の交通事情を説明いたしますと、今月十七日先生方港湾の視察がなされました。あの本牧埠頭へ向かって左側にあります磯子地区の埋め立ては、昭和三十年に始まりまして三十九年内に完成いたしました。この坪数は、約百二十五万七千坪の埋め立て地であります。ここに石川島播磨重工をはじめ大手の十三社が進出し、続いて本牧埠頭の四十四万坪の建設が三十八年五月より始まりまして、四十五年の十月完成の予定のようであります。  しかるに、横浜市の道路は、これら海岸地帯の工場が活動を開始しました現在に至っても、一つとして主要国道に結びつく道路の開発はなされておりません。このため、先生方がお通りになった国道一号線の高島町の交差点は、先生方のお通りになったときには、たしか午後三時ごろで一番交通のひまなときでございますが、それでも、統計によりますと三・五回の信号待ちということになっております。平均して大体四回待ちという状態であります。加えて、本牧埠頭が四十五年の十月、二十九バースが完成されますと、単なる算術計算をいたしましても、現在の横浜港の貨物の月間取り扱いトン数は六百二十五万トンでございますから、これが一千一万トンに増加するわけです。そして、横浜市の交通は一そう混雑して、これにコンテナの輸送が加わりますと、完全に麻痺状態になることは論をまたないと思います。  このためと存じますが、市が道路計画を進めておりますところの本牧から大黒町を結ぶベイブリッジでございますが、これも計画だけで、着工の見通しはないということでございます。その他多くの計画があるようでございますが、港に関係すると思われます羽田−横浜線が、ただいまは神奈川まで来ておりますが、神奈川から港頭を結ぶ高架線は四十二年の十月着工、四十七年三月竣工予定でありまして、先生方がごらんになりました磯子のまた左方に杉田の埋め立てをやっております。これは四十三万坪でして、四十五年の十月に完成いたす計画であります。この埋め立て地には、約百店社が進出する予定だそうでございます。これが営業開始いたしますと、この羽田−横浜線の道路一本ではいかんともしがたいものと思います。  また、飛鳥田市長にこの間ある陳情のことでお伺いいたしますと、市の港湾局で各種のデータに基づいて研究した結果、将来予想されるコンテナ化は横浜においては最大限二五%である、その主体は雑貨であると申しております。したがって、残りの七五%は現在の荷役形態が続くものと思います。この二五%のコンテナ化のために全国の港湾業者集約を急がねばならない理由が、私にはわからないのであります。われわれ業者は、はだに感じるいろいろの変化に対しては、積極的に取り組むかまえは常に持っております。しかしながら、いかに前向きの姿勢でも、できないものはどうしてもできないのです。  次に、港湾労働者の不足ということでございますが、その前にコンテナの輸送のことでちょっと……。こういうことが行なわれるようでしたら、写真なり何なりにして皆さん方にお示しすればよかったのでございますが、ある業者がコンテナを輸送して工場へ運んだそうでございます。そうしますと、コンテナが、トレーラーでもって工場へ運ぶのに、その工場の門が入らないのだそうです。したがって、どういうことをしたかと思いますと、クレーンで持ち上げて道路におろして、そのコンテナをころで運んで工場内に入れた、こう申しております。このコンテナの輸送問題については、ただ港湾だけでなく、道路の管理がされませんと、また工場の受け入れがそれに対応いたしませんと、全くナンセンスでございます。  そして、港湾における労働者の不足ということでございますが、この問題は港湾に限ったことでなく、全国的な問題でありまして、特に私の強調したい点は、横浜港におきまして月間六百二十五万トンの揚げおろしに必要なギャング数——ギャングと申しますのは、これは船内荷役に必要な一つの作業単位でございます。ですから一ギャングと申しますのは、十五名から十七名で構成されております。これが約八千ギャング必要であります。そうしますと、三ミリ以上の雨が降りますと、船にはセメンだとか紙だとか、いろいろ雨にぬれてはいけないものがございますので、船のハッチを締めまして、それで作業を中止するのでございます。ギャングが足りない足りないと言っておりましても、もしも雨の日に仕事ができるようになりますと——この仕事のできない日が、私ども調べますと、去年では年間八十日あります。これを月に平均いたしますと、七日あるわけでございます。一週間。このギャングでどれくらいのトン数の仕事をするかといいますと、月に平均約百五十万トンの仕事ができるわけでございます。百五十万トンは六百二十五万トンに対する約二四%でございますから、それだけ労働力というものは、雨の日に仕事ができるような方法にすれば、二四%浮いてくるわけでございます。ですから、こういうことは国なりまたは市の港湾管理者が協力して、雨でも接岸荷役ができる設備をすれば、港湾における限りにおいては、人手不足はある程度解消されるものと思います。このような設備をすることが、港湾近代化だということじゃないでしょうか。  それでは雨をよけるためにどうしたらいいかといいますと、御存じのとおり、船には大きなマストが一本船首に立っております。中央にももちろん立っておりますが、これは、船の構造からいいますと、これに荷役のときに必要なデリックがつきますから必要なもので、こんなものは大体現在の汽船では必要ないものでございます。荷役以外には必要ないものでございます。これは昔の帆船時代の名残りでございます。ですから、こんなものぶった切ってしまえばいいのです。ぶった切ってしまいまして、こちらの上屋から、船が着きましたら、オーニングカバーをかぶせれば雨がよけられる。そういうこともあるわけです。またこのオーニングカバーをやると、おまえそういうことを言うけれども、たとえば風が吹く、雪が降ってきたらどうするのだ、相当に大きなものにしなければいかぬのじゃないか、もしそういうことでしたら、船の土手っ腹に、船側に——ハッチというのはみんなデッキの上についておるのですけれども、船側に穴をあけまして、それから倉庫に対して流せばいいのです。トンネルをつくればいいのじゃないですか。トンネルをつくってベルトコンベヤーでそれを流すようにすれば、雨の日にでも仕事ができるはずです。これはわれわれ港湾業者ではできないのです。これはやはり船会社なり荷主なりがこれに協力していただきませんと、そういうことができないわけでございます。二四%にものぼるこの人手不足がそれで解消するということでございますから、その点におきましても、船会社なり荷主さんの協力があれば、こういうことができると私は信じております。  また、そういうふうな船の描造の面につきますと、船の土手っ腹に穴をあけるということは構造上非常にむずかしい問題でしょうけれども、何せわが国の造船界の技術は世界一を誇っているくらいでございますから、こういうものはわが国の造船技術陣に要請すれば難なく解決すると私は信じております。このような努力をするべきところをしないで、ただ港湾業者近代化という美名のもとに集約をしいることに対しては、私は全く理解に苦しむものでございます。  料金問題につきまして、昭和四十一年六月七日の参議院の運輸委員会でございますが、大倉先生の、日本の港湾運送料金は諸外国に比べてどうか、安いのか高いのかというような質問に対しまして、時の佐藤港湾局長は、料金のきめ方その他については各国ともに違っておりますけれども、数字ははっきりいたしませんけれども、横浜、ニューヨークその他について三十七年度現在における数字で示せば、横浜を一〇〇と見た場合にニューヨークは六三九、ロンドンは三二八、ロッテルダムは二七七で、日本は欧州並びにアメリカと比べて非常に低いという御答弁をしております。  日本産業の高度成長に港湾業者として大いなる貢献をしているにもかかわらず、上述のごとく諸外国に比べて非常に安い料金であることがその実情でございます。当局は、集約されるまでは料金アップをしないことを荷主に約束されておるようでございますが、これは何らわれわれの関知せざることでございまして、これに拘束される必要は何らわれわれとしてはございません。何とぞ独自の立場におきまして御検討くださるようお願い申し上げる次第でございます。  以上申し述べましたが、今次港湾運送の集約については、先祖伝来、港湾の発展のために戦後の荒廃から今日の隆盛をもたらしたわれわれ既存業者及び従業員の生活権擁護のため、中小業者を代表いたしまして、われわれの生きる道を与えていただくよう、諸先生方の御理解ある御支援、御指導を賜わりますようお願いいたしまして、私の陳述を終わります。ありがとうございました。
  11. 大野市郎

    大野委員長 次に、芳田参考人お願いいたします。
  12. 芳田大作

    芳田参考人 ただいま御紹介にあずかりました、私、芳田でございます。  私は大阪はしけの単独業種、いわゆる法律上第三種業種を営んでおる者でございますが、今日この機会を与えてくださいましてまことに感謝いたします。  時間がございませんので、直ちに端的に、現在第三種業者が、改正法令のとおりに実施されますと、全部港から追放されなければならないという立場に追いやられておるということについてお訴え申し上げたいと存じます。  一つは、今度の改正法令で、九月三十日までに、いわゆる元請業者はそれぞれの一種、二種、三種、四種について、みずから七〇%の直営を行なわなければならないということを示されております。この七〇%が行なわれると、われわれ三種業者にどういうことが起こるかということについて具体的に申し上げます。  まず、元請業者が七〇%の仕事を実際にできるかということを申し上げますと、決して七〇%の仕事はできない。なぜできないのだ。はしけは船内、沿岸の作業と違いまして、少なくとも一航海に五日間の日数を要します。本船が港へ入港してきまして、荷物の積みおろしあるいは積み込みをやるまでの間に日数を限られまして、ランディングを切られますと、その日数が大体五日間から七日間でございます。その間にはしけは一回荷物を積んだら、その本船がおる間にもう一回使用することができないというのが実情でございます。しかも、はしけ性格から申しまして、A点からB点までの海上輸送をやるということはもちろんでございますが、副次的な使用として倉ばしけと称しまして、工場の滞貨あるいは倉庫の滞貨等を一応はしけへ取っておいていわゆる倉ばしけ、倉庫代用とする使命を持っておるわけでございます。  それから本船が非常にふくそうしてまいりますと、労働力、沿岸荷役能力あるいは船内作業というふうなものが不足いたしまして、しばらくはしけは滞船せなければならない、あるいは貨物によって、スクラップあるいはばらものの油糧種実のコットンシード、そういうものを積みますと、多いときは一カ月以上あるいは少なくても二十日ぐらい、はしけは滞船せなければいけない、こういうふうな性格から考えますと、はしけの直営を、引き受ける貨物の七〇%を元請でやれということは言うべくして決して行なわれない。それをやろうとするならば、少なくとも一五〇%あるいは状況によって二〇〇%の施設及び労働者が要るということでございます。例をとりますと、スクラップが一万トン入ってきた。自分のところのはしけで五千トン取った、これは二十日間あかないんだ、あとから入ってくる荷物ははしけがないから仕事ができないのだ、手をあげて、うちはもう施設がないからやれないんだ、直営しろということになっておるのだから、はしけがないからもう仕事ができないのだということになりますと、これを施設のある会社にまかさなければならない。ところが、現在の港湾運送事業実情を申し上げますと、住友倉庫なら住友倉庫は、たとえばドッドウエルだとかロイドの汽船会社とエージェントの関係を結んでおります。それから、三菱倉庫はマースクラインならマースクラインとエージェントの関係を結んでおります。住友倉庫に入ってくるドッドウエルの貨物を、住友倉庫は、うちはもうはしけ全部積んでおりますから、施設がございませんので三菱倉庫へやっていただきます。ドッドウエルのエージェントをやっておる住友の仕事をマースクラインのエージェントの三菱倉庫へやるかどうか、また、こういうエージェント関係で外国商社あるいは外国船会社が、相手の会社が、そういうことが、たとえ港湾調整協議会ができましても、事実上できるかどうかということになりますと、これは決してできない。そうなりますと、少なくとも元請が直営を七〇%やれということは、法令で定められておるだけでございまして、現実には全く実現できない。こういう政令が現にできておるわけであります。企業でございますので、少なくとも企業の採算制の立場から申し上げますと、そういう過剰施設を持つということは企業としては全く成り立たない、こういうことがはっきりわかっておるわけでございます。いま、かりに、そういうことを政令で示されますと、大手筋の業者は、たとえ赤字であろうと何であろうと、これはこさえなければ免許がもらえないんだということになりますと、一応踏み切ってそういう施設をこしらえられますと、今度はその過剰施設企業採算のためにお互い同士が交流し合う。元請同士で、足らないはしけはうちのを使ってくれということになりますと、私どもがいまやっておる元請の下請を主体とする第三種業者は、事実上免許はもらって残りますけれども、大手同士の交流によってわれわれは仕事がなくなってくる。しかも、その大手もそういう不要不急の過剰施設をかかえて企業としては成り立たない、こういう結果も当然生まれてくるわけでございます。企業にはおのずから適限経営線がございまして、赤字が出ない線で企業をやっていく、小さければ小さいなりに企業をやっていくということでなければ企業として存続ができない。こういう点ははっきりいたしておりまして、元請が七〇%は絶対に直営できない。  しからば、現在三種業者はどのくらいのシェアを占めておるか、こういうことを申し上げますと、全国の五大港の各港において現在三種の、下請を専業としておる私どもが占めておるシェアは五〇%以上である。実質的に考えますと七〇%くらいじゃないか。数字の上では五〇%でございますけれども、これをしさいに検討してみますと、はしけが夜荷役をやらなければいけない、オールナイトの仕事をして代日の休暇を与えなければならないような仕事は全部下請にやらす。あるいは積みおろして積み込むときに、スクラップは一カ月滞船しなければいけない、あるいは綿の実は二十日間寝なければいけない、こういうふうな荷物はほとんど下請にやらしております。運んだ数量から申し上げますと、数字は五〇%強でございますけれども、これをしさいに検討してみますと、実際に貨物の輸送の内容は五〇%じゃなしに、むしろ七〇%下請のほうでやっておる。これをいま急に元請のほうに七〇%やれ、下請は三〇%しか下請することができないのだというふうになりますと、これはもう第三種の下請業者はそれだけ仕事がなくなって、港から出ていきなさい——免許はもらえることはもらえるのでございますけれども、仕事がなくなれば、どれほど集約しても、あるいは三千トンのいま免許を一万トンの大きさにしたって、仕事がなくなりますので、これはもう集約以前の問題である。私ども第三種業者は決して近代化合理化ということに反対いたしておるものではございません。体質を改善すること、あるいは企業規模を大きくしなさいということもけっこうでございます。あるいは一貫責任体制をとりなさい、けっこうでございます。一貫責任体制の中に入れてください。それから、企業経営責任をとるために経理的な基盤を強化しなさい、これもけっこうでございます。しかしそういうことで企業規模を拡大し、そういうことで免許をもらっても、いま申し上げたような事情で港から仕事を取り上げられて追放される。事実上追放されるにひとしい法令が実施されるということになりますと、せっかく免許をもらっても何にもならない、こういう結果で、しかもこれが現に法律八十四号で、昭和四十三年九月三十日にはこの政令とこの法令が実施されるというまことに苦しい立場に追い込められていま全国五大港業者は全く生きた気持ちもなく、まことに不安の念で、過去二年間にわたって日本港運協会のかさの下で、このことについて一応運輸審議会答申の線内で、あるいは専門委員会会議の中でこの点を解決していただくように、私ども二年間にわたって苦労してきたわけでございますが、港運協会の代表の運輸審議会の方や、専門委員会の方がいろいろ骨を折っていただいたこととは思いますけれども答申には一向にそういうものがあらわれてこない。しからばわれわれは九月三十日をもって仕事の分野を取り上げられて消えていくのかということになりますと、ここで現在はしけの第三種事業をやっておる者の存在価値ということを先生方にあらためて御認識いただきたいと思います。  一つは、はしけの回漕事業経営ということは、だれでもできることではないわけでございます。非常に専門的な知識が要ります。たとえばその港のどこの岸壁の水の深浅状況、あるいは潮流の関係、河川の橋の高さ、あるいは指定港域間の潮流の関係で何月何日の天候は、あるいは潮の干満はどういうことであるかというふうな非常に専門的な知識が要ることでございます。  いま一つは、深い体験がないとできない。はしけの修理個所にいたしましても、どこの部分をどれだけ強度を増せばこれに耐え得るか、あるいはコンテナ化された場合に直ちにコンテナに対応できるはしけにはどういう構造にしたらいいか、そういう体験と深い知識を要請されております。その上に日曜祝日を返上して——もうすでに御承知のとおりと思いますけれども、海運関係で日曜祝日をそのとおり励行いたしておったのでは、船の運航はできぬわけでございます。私どもは日曜祝日を返上して、夜中に雨戸の鳴る音を聞いても、あああの何番ブイのはしけはだいじょうぶだろうか、あの岸壁におるはしけはだいじょうぶだろうかと直ちに床をけって立ち上がってそのまま岸壁へ行き、あるいは本船に行ってはしけ実情を確かめる、こういうふうに非常にたゆまざる努力がなければ、はしけ経営ということは許されぬわけでございます。しかも、われわれが存在することによって、たとえば港湾の暴力事件が起きたことがあるでしょうか。われわれは元請の手足となって、いわば元請の船差しになりあるいは元請の船舶の管理人となって、いわゆる唯々諾々として、元請がどうやったら、元請のはしけとわれわれのはしけとで効率的な運営ができるだろうか、あるいは港湾のふくそう時あるいは荷物の停滞時に、このいわゆるふくそう時を解消できるだろうかということで、一日に少なくとも、朝昼晩はもちろんのこと、五、六回は元請のところへ連絡に参りまして、真に元請の意図をそのまま受けてわれわれは港の仕事につとめてきておるわけです。  このわれわれが、すでに御承知のとおり、昭和十七年十二月に、あの戦争当時に銃後の輸送が大事だということでございまして、企業統合令によりまして一応企業を返上したことがございます。これは時節柄まことに当然のことでございまして、私どももきん然としてこの統合に参加したのですが、終戦時には全く施設が荒廃いたしまして、当時大阪港で、港湾関係のみで三十八万トンあったはしけが、沈没船も入れまして四万七千トンになっておる。その四万七千トンを昭和二十四年三月に企業再開ということで、われわれは郷里から家、屋敷を売り払って、もう一回あの仕事ができるのだということで今日まで、まことに血のにじむような努力で仕事をやってきたわけでございます。  われわれのこの労働力を、私はあえて経営労働力と称します。と申し上げますことは、われわれの範囲は合理化できるだけやっておる。親子で四千トンぐらいな船を何とか経営している。あるいは兄弟、親族で五千トンぐらいな船を何とかまかなっている。これ以上省力、合理化はできないのだというところまで合理化はできておるわけでございます。この経営労働力を一たん港から追放したら、私は、これから港が大混乱におちいるということをあえて先生方に申し上げておきたいと思います。  しかもその上に、法律は一見まことに公平に、一貫責任体制としてはしけのほうも、みなし規定によってこの七〇%の解決に当たられるようにできていますけれども、現実の問題は、免許を受けるのにそのいずれか一つを七〇%やれ——大部分の元請がはしけを基盤に免許を受けておるわけでございます。だからはしけにはみなし規定の適用がないのだ、現実にははしけはみなし規定を適用して七〇%の直営率の中に参加して、一貫責任体制の一翼をにないたいのですけれども、になうという法律的な裏づけがないわけでございます。船内と沿岸とはしけを同様に、一律に律すること自体がもうすでに、いままで申し上げたことではっきり御了承願えたことと存じます。せっかく一貫体制のうちに私ども入りたいのにかかわらず、入れない。だから非常に極端な変則的な事項が起きています。  たとえば、具体的な例を申し上げますと、大阪港で住友倉庫が一〇〇%出資会社の大成海連株式会社という子会社を持っています。いずれもはしけの仕事をしています。一〇〇%出資会社の子会社のこの大成海運の持った仕事が、住友倉庫がした直営率の中に入らない。一方船内や沿岸は、住友倉庫がはしけ基盤で免許をもらっておるので、何ら関係ないのがたった一〇%の資本提携で、住友倉庫がやったとみなすという直営率の適用が受けられる、こういう矛盾があるわけでございます。  で、この一〇〇%出資会社とかあるいは過半数の出資会社、こういう会社がやった仕事は親会社がやったことだという実績のうちに当然入れられなければ、これはもう経済界から見たら変則的な事項だと断ぜざるを得ぬわけです。しかもわれわれ三種業者の今度のこの政令の受け取り方は、これはいわゆる法律をこしらえて企業統制をやっているのである。この企業統制で大手筋の寡占経済、いわゆるシェアの寡占時代を招来して、大手筋だけで経済を支配しようとしておる、われわれは企業統制によって追放されるんだというふうな、まことに情けない考え方を抱かざるを得ないような状態へ現在追い込まれておるわけであります。法律で一見いかにも公平に、みなし規定という適用があるように書いていますけれどもはしけが基盤であるためにわれわれは一貫体制の中へ入れられないというふうなことがあるわけであります。この点をひとつ先生方にぜひお願いしまして……。  しかも、かような状態が押し進められまして、港から仕事をなげうってわれわれが立ちのかなければならないという場合にも何ら補償の方法もない、援助の方法一つもございません。近代化業種に指定されて近代化設備資金の借用ということはできますけれども、設備資金の借用だとか、あるいは登録税の軽減とか、あるいは所得税の減免ということは残った業者に対する恩典でございまして、やめていこうとする人については何らの恩典がここにない。だからせめて財政資金で、あるいは政府資金で補償ということが不可能なら、残った業者のメリットで、たとえば厚生分担金、そういう制度で、荷主にも原価計算のほかに何とか取り扱いトン当たり一円でも二円でも別に負担していただいて、これを転廃業資金の補助金にするとか、私は考えればいろいろな方法があると思うのです。  こういう点をよく御認識くださいまして、とりあえずお願い申し上げたいのは、九月三十日に追っておりますこの直営率の七〇%の緩和策、それから兼用を禁止されております。第六条の二号の関係で、元請が一種と三種の免許をとる場合は一種と三種の施設及び労働力が二つとも要る、こういう考え方自体が私はおかしいと思う。この二つを何とか御緩和願いたい。迫ってくる九月三十日までに何とか手を打っていただきたいということと、万一やめていかなければならない、転廃業する者に対しては補償の方法を考えていただきたい。あるいは集約統合するという場合には、直接援助の手を延べていただきたい。こういう点を、こういう機会をつくっていただいたことを感謝いたしますとともに、衷心お願いいたす次第であります。     —————————————
  13. 大野市郎

    大野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  14. 砂田重民

    ○砂田委員 皆さん方それぞれのお仕事に基づいてこまかい点をお述べいただきまして、たいへん参考になりました。ありがとうございます。  そこで、私は基本的なことを一つだけ伺っておきたいと思います。大石さんが東京運協会理事長をなさっておられますから、大石さんに伺うのですが、今度の専門委員会意見なりあるいは審議会答申ですね、あの答申案をまとめられた審議会の構成委員の中には、皆さん方の代表の方方が入っておられたわけです。皆さんは日本港運協会の傘下におられる方々ばかりだと思いますが、そのあなた方の代表者の方が出席しておられる審議会で、いま皆さんおっしゃったようなことが、皆さんを代表して出ていかれた港運協会の幹部の方々によって、十分そういった意見が表明をされたのかどうなのか。何か、答申が出ましてから、たいへん皆さん方の騒ぎが急に大きくなった。いまごろなぜこういう騒ぎが起こってくるんだろうかという点は、私たち大勢の者が奇異に感ずるところであります。そういった集約化の対象になると思われるような方々のいま御心配になっておられるようなそういう意見が、港運協会のあなた方の代表者によって審議会で十分述べられたのかどうか。これだけ一つ承っておきたいと思います。
  15. 大石信二

    大石参考人 ただいま砂田先生からのお尋ねでございますが、まさに私どもの寄って構成している日本港運協会のあり方ということで御指摘がございましたが、おっしゃるとおり、会員の一人としてまことに申しづらいわけでございますけれども、私どもも、先ほど実は時間がなくて舌足らずに相なってしまったわけでございますが、幾たびか日本港運協会へ、いわゆる会員の実情というものと、東京運協会が持っておる、いわゆる集約、あるいは業の近代化というものに対する考え方というものを打ち出しております。いわゆる意見の具申を、文書あるいは口頭でやっておるわけでございます。日本港運協会も非常に回を重ねる会合を持っておられまするが、私どもは、審議会へいろいろ反映してもらいたい、委員を含めた一つの形の中で、いろいろの問題点を含んでおるので、反映してもらいたいという形を打ち出して、時によれば文書で難詰したこともあるわけなのでございますが、委員の各位は、われわれは業界の代表として審議会に出ているのではないんだ、審議会で論議されるであろうものをもって、あなた方に報告し、あなた方の意見は聞いておいて自分らの意見は出し得るが、いわゆる業界意見審議会では出さないんだ、われわれは業界の代表でないんだ——もちろん、私どももそれは承知いたしております。審議会委員は、業界の推薦で運輸省が任命なさるわけなのでございますから、いわゆる業界の代表の機関としてでないとしても、業界実情運輸当局へ反映させてもらうんだということは、業界人としての立場ではないかというように申しておったわけでございますが、会議のあるたびに、その回答は、われわれは十分そのように言っておるが、運輸省の姿勢がそのとおりなんだから、われわれの思うようにいかぬのだという回答であったのが、いままでの実情であった。これは各地の委員各位もみんなそのように考えているだろうと思いまするので、日本港運協会のあり方というものについて非常に残念に思っております。  なお、冒頭に申し上げたように、私どもは、先ほどいわゆる新法の基準充足というものがまず最初に困った問題だということを申し上げましたが、それは私自身も、いわゆる審議会流れ、あるいは財界の要請荷主要請、また港のあり方のそうした流れの趣旨は体しております。しかし業自身の一つ状態の中で何よりも先行しなければならないのは、港の秩序である。それが先行して初めていろいろの施策が生きてくるんだ、こういう考え方のもとに、業界自身の協同化ということを非常に進めてきました。東京ではおそらく私は、この問題が起こってから協同化が進んでいることは、他に自慢ができるだろうと思うくらいに進んでおりまするので、むしろ各業種自体がそれぞれの基準充足をしなさんな、全体的の集約体制の中でやらなきゃだめなんだというふうに押えたくらいな実情にあったわけです。したがって、そういうことを強く日本港運協会にも言っておったわけなのでございますが、事ここに至ってしまったというのが実情でございます。
  16. 砂田重民

    ○砂田委員 大橋さんにひとつ伺いたいのですが、大橋さんからわれわれいだたきました資料を見ますと、貨物流れのことですが、積む船の名前が決定をして、乙仲に渡される貨物であるならば、その船の着く岸壁がわかっていることですから、その埠頭の上屋からすぐに運べるのだろうと思うのですが、この大橋さんからいただいた資料によると、そうではなくて、積む船の名前もわからないような形で渡される貨物が相当量あるような数字が出ております。こういう点は、上屋の効率使用といっても、あなたのところで効率的に使用しようと思ってみても、ままにならないことが多いと思うのであります。荷主さんの側から今度の港湾運送事業集約化の問題とからんで、初めから船をきめてかかったようなそういう貨物をあなたのほうへ渡すとか、たとえばそれも一例ですが、そういった港湾埠頭の効率的な使い方について荷主の側でも協力をするというようなそういう態度が、何か最近変化が見えますか。
  17. 大橋俊吾

    大橋参考人 実はその点でございますが、荷主も協力する体制は持っております。しかし貨物、特に繊維製品だとか特殊な雑貨貨物につきましては、製造工程が非常にございまして、メーカーが各地に非常にたくさんあるということであります。そして輸出のワンロットで、一荷主一つの品物というものもございますけれども、各地のメーカーから寄せ集めてきて、一応ストックポイントに置いて、それを選別して品ぞろえをして出すというケースがわりあいに多いのでございます。まとまったものは、さような形態では一度に出ることもございますけれども、輸送機関の関係から、それが数回あるいは十数回に分かれて入るというような状況がございますのと、積み荷期間といわゆる発注期間とが合わないということもございます。したがって、ここにも実際に船名につながる、指定された船に積まれる予定である貨物の量が幾らであろうかというものを示してございますが、この量はわずかに一二%程度です。このくらいの程度が、すなわち船名がきまった定着バースにつながる貨物として入荷されておる。その他のものは、あるいは背後地の倉庫あるいは輸送の途中だとかいろいろの情勢がございます関係から、そのような姿には入らない。いまの状態ではやはり背後地にはストックポイントが要る、その中で荷さばき行為をやらなければならないという状況が、日本の雑貨輸出貨物の特徴になっております。  以上でございます。
  18. 砂田重民

    ○砂田委員 だいぶこまかい実情がいろいろ私たちにもわかってきたと思うのですが、やはりわれわれとしても日本港運協会の代表の方にも、また荷主さんや船会社の方々の意見機会を見て十分承わりまして、皆さま方からきょう伺いました御意見もあわせて、ひとつ公平な立場から考えてやってまいりたいと思います。ありがとうございました。
  19. 大野市郎

  20. 野間千代三

    ○野間委員 時間がないので、ちょっと残念なんですが、私は社会党でございますので、たいへんいい御意見を伺って参考になりました。  二、三お尋ねをいたしたいのですが、いまの砂田先生の御質問と同様の趣旨なんですが、たとえば二月二十八日の東京運協会の第四回臨時総会、議長さんは福田さんですね。その臨時総会で、第三項目に「個品限定業者乙仲)の存在を否定する集約には、納得できない。」というふうに書かれております。それから四十三年三月六日の横浜の限定一般港湾運送事業者の総会で、やはりこの総会の決議で、「限定一般港湾運送業者一同としては脱退も敢えて辞さない。右決議す。」こういうふうになっております。同様の趣旨の決議その他がほかに私の手元にも数通ございまして、たとえば兵庫県の港湾運送協会の総会であるとか、あるいは大阪であるとか、あるいは京浜海運貨物取扱同業会であるとか、こういうふうにたくさんあるのであります。いま私が疑問に思うのは、砂田さんと同じで、それぞれみな日本港運協会のいわば一つの組織の中にあるわけですね。これが、まあ代表の方の御意見もあるでしょうが、審議会での御意見もあるでしょうが、やはり審議会に出ておったり何かするのは、当然その背景になっている自分の持っている業界意見を、やはり審議会に反映をしたいというのがあると思うのですね。そういう意味でまいりますと、反映をするための皆さんの努力が足りなかったのか。私が疑問に思うのは、日本港運協会の組織が問題じゃないかという気がするのであります。これが、たとえば乙仲なら乙仲の同業会があるにしても、集約の問題は主として影響を受けるのは中小業者ですね。芳田さんが言われるように、特に零細な企業がこぼれる見通しであるというのが集約の最も重要な問題だと思うのであります。したがってこういう場合には、特にこぼれる対象になりそうな中小業者意見がきわめて重要だと思うのですね。したがって、この問題で日本港運協会意見をまとめてみたり、あるいはそれを審議会に反映をするという場合には、やはり日本港運協会が中小企業、これは海貨あるいは限定一種あるいは諸種の単独ということに限らず、中小企業の方々の意見が十分に日本港運協会の代表の意見審議会意見に反映ができるような日本港運協会の組織的な運営が必要であったのじゃないかというふうに思うのですが、そういう点について協会の内部のあり方はどうであったのかという点について、ひとつ協会の代表として東京理事長、中小の代表として京浜の菅井さんから御答弁いただきたい。
  21. 大石信二

    大石参考人 全く先生の御指摘のとおりでございます。  その前に、ちょっと私東京の組織を申し上げたいと思うのでございますが、東京では要するに業の近代化ということを進めるために、実は二百二十六店社が業種を全部まとめまして、各部会をつくりましても、東京地区としての意見を発表する場合には、それぞれいわゆる機関にかけまして、各委員会の上に理事会をおきまして理事会機関にかけて処置をしているというのが実情でございます。したがって東京地区としては、まあ乱れない形において運営していると思うのでありますが、日本の組織は各部会から委員を出している。要するに地区代表ではなしに、部会から出しているという形の中で運営されております。そこにいわゆる日本港運協会の組織自体にも若干危惧があり、また地区とぴたりとしないものがある。東京の今回の総会の決議をことさらそこへ持ち出したゆえんのものは、各部会で別々に行って発言することと、協会、地区意見が一致しないということがあっては困るという意味で、特に総会の決議をもってそこへ提示いたしたわけでございます。そんなわけでございますので、先生の御指摘のとおり、私どもも日本港運協会地区の代表をどういうふうな組織の中で消化していくかということが、今後の課題であろう、こう思っております。われわれの怠慢ももちろん認めざるを得ないだろう。要するに会に対して強く主張していない、部会ごとの委員の諸君をも含めて非常に不満を持つわけでございますが、事実そういう実情でございまして、先生の御指摘、まことにごもっともだと思います。
  22. 菅井雅一

    菅井参考人 私の聞いている範囲では、日港協の幹部は、われわれは業界の代表ではないんだということで一方的に取り上げてもらっていないということを聞いております。
  23. 野間千代三

    ○野間委員 これは、一応組織の中ですから大石さんに伺いたいんですが、これからいずれにしても集約の問題は進んでいくわけですよ。どういうふうに進むかは別にして、とにかく時代の要請としてもいかなければならないという点はあると思うのです。そうなってまいりますと、むしろこれからがきわめて重要じゃないかというふうに思うので、そこで日本港運協会の改組をしてもらったほうがいいんじゃないか。これはわれわれはできない、皆さんがやらなければならぬが、改組を求むべきではないかと思うのですが、そういうことはどこかで考えておられるのですか。
  24. 大石信二

    大石参考人 私どもも当初日本港運協会——いわゆる全国の業者が目ざめて、一つの形の中で業者の意思を決定していくということを望んで、創立当時そのことを強く主張しておったわけでございますが、今日そういう実情になっておるのであります。私の口からこれを改組すべきであるということは、こと組織に関する問題であり、いま私として日本港運協会がまず組織を変えろということを申すことは、一応差し控えさせていただきたいと思います。ただ、審議会に対しては大きな不信を持っております。かつて日本港運協会にそういう要請をすると同時に、審議会の部会長あてにも、ビジョンをつくることもけっこうだけれども、港運の実態を知ってもらわなければほんとうの審議ができないじゃないかというふうに考えられます。私ども、その件につきまして天埜部会長に会って、いま各地ともこういう問題で、それは思い違いであるか、いままで手おくれになっておるのかは知らぬけれども、とにかく答申を出すのをもう少し待ってくれ、いましばらく審議を続けてもらえぬかということを天埜部会長まで申し出ました。そうして各委員にも私どもはその陳情を送付しておいたのです。ところがその送付したのを受け取られた委員から、こういう陳情東京運協会からあったかといって、審議会の席上で尋ねたそうですが、ないと言ったということなのであります。私どもは真剣に、これだけ重大な、しかもわれわれも公器をもって任ずる業務に携わる者として、そういうことのために実情調査してくれ、もう少し結論を待ってくれというような陳情をしておるのにかかわらず、その陳情を受け取ったその日の会議において、陳情を受けておらぬというようなことを言っている審議会に対して、私は非常な不満を持っておるわけであります。  以上でございます。
  25. 野間千代三

    ○野間委員 実情はわかりました。ただ御希望申し上げておきたいのは、先ほど申したようなことで、部会ごとに出るとどうしても、ことばには語弊がありますが、大きな業者が出ることとなると思うのです。そうなるとその会議は、中小零細のほうは発言をしにくいということになる。これは私どもの経験でもありますが、その辺はやはり改組をしておかないと、今後やはり年中こういうことがあるという危険があるのです。これは内部で御努力をいただいたほうがいいんじゃないかというふうに、老婆心ですけれども、申し上げておきたいと思います。  それから次に、いま乙仲の問題がたいへん問題になっておるわけで、これは代表として大橋さんが出られたわけです。よく事情はわかるのですが、そこで一つ伺っておきたいのは、専門委員会答申の中でこういうことがあるのです。個品限定業者乙仲)の、集約方法の中の(イ)の項で、特定の無限定一種業者と密接な提携関係にある乙仲業者が集まって協同組合をつくれ、こうなっておるわけですね。そうすると、先ほどの御説明にあるように、乙仲というのは荷主に直接関係をしておるという格好ですね。そうなると無限定の業者と密接に関係のある乙仲が集まるということが、乙仲業態からいってあり得るのかどうかという心配があるわけです。その辺は大橋さんいかがですか。
  26. 大橋俊吾

    大橋参考人 ただいまの御質問ごもっともでございます。私ども自身がその疑問を持っております。実は、先ほど申し上げましたように無限定一種業種と申しますものは、船舶の運航業者の代行であって、船内荷役を主としてやっておるものであるということは、はっきり申し上げておったとおりでございます。私ども荷主からの求めに応じて、荷主からの委託を受けて船側までをやっておる作業を主として一貫元請して両立してやっておるわけです。それであって、今度は効率埠頭につながる作業のあり方として答申にこたえるという問題がございます。一貫体制の確立というたてまえから、いわゆるそれらのものが一環となって、一つ流れの中で作業をコントロールする体制を求めておる、かように考えておるわけでございます。しかし実態を申し上げますと、いわゆる埠頭の効率につながる荷役の体系とはいいながら、いわゆる埠頭バースには指定された本船が必ずそこへいつも着くということじゃございません。ある船が着いたら、あとまた別な変わった船が着いてくる。そのためにはそれらに従属しておる、元請しておるいわゆる無限定一種業種は始終変わっておるわけですね。埠頭へ船が着くが、いわゆる特定の無限定業種そのものは船とともに変わって回転しておる。それと船と密接な関係を持てということに対して、私ども非常に合理的な考えとしても一貫体制の組織そのものはよかろうけれども、しかしそれとはっきりした連携を持つということはどのようなものであろうか。ことに資本提携の必要があるとかいうような問題に対しては、非常に疑義を感じておるわけです。  以上です。
  27. 野間千代三

    ○野間委員 あとがつかえておるようで、たいへん残念なんですが、もう一点だけ。これは横浜の中小港運業協議会会長菅井さん、私地元が横浜なものですから、横浜の乙仲さんがだいぶ集まって、いま大橋さんの言われるようなことも含めて論議があったようなことを伺っておったのですが、しかしいま私が質問をした、特定の無限定と密接に関係の者は集まれといったけれども集まれなかったわけですね。それは一港一組合でもって乙仲が全部集まれということなんですね。これはたとえば横浜でいうと百五、六十の業者一つの組合に集まれということになるのじゃないかと思うのです。それはそれだけのことが集まるとなると、やはり相当なメリットというか、業者にとってはこれだけの利益が集まったためにあるという必要があるのじゃないかと思うのです。そうすると、考えとしてもしそういうふうに集まらなければならぬとすれば、どういうことが必要なのか、こういう条件が整えばそれは集まれるでしょうというものがあれば、それはお示ししてもらいたいし、もしとても無理なんだという事情があれば、無理であるという事情についてちょっとお聞きいたしたい。
  28. 菅井雅一

    菅井参考人 もし集まる条件があるといたしますと、国から土地をいただいて大きなターミナルがあれば、そういうふうな行為はできると思います。これもしかし、乙仲さんはみんな免許を受けるときに自分の倉庫を持つことになっておりますから、その倉庫の買い上げを政府がしていただきませんと遊休倉庫になってしまいます。その補償または買い上げということがなされ、また大きな、それにかわるべきターミナルが設定されるということがあれば、不可能ではないと私は思います。
  29. 野間千代三

    ○野間委員 大体わかりました。  実は単独のはしけ芳田さんも見えておりますが、今度は単独の方々の集約が非常にたいへんだと思うのです。それからもう一つは、船内という業者がそれぞれの港ではあまり多くないという関係から、限定、無限定とのつながりですね、これをつけるのが非常にむずかしいという事情、たくさんあると思うのです。こういう問題について実は伺いたかったのですが、あと予定が詰まっておりますから、残念ですけれどもまた別な機会にさせていただくことにして、いままでの皆さんの御意見を伺って、実は私ども時代の趨勢なりあるいは荷物の流れなどの関係から見ると、いずれにしても集約をしなければならぬじゃないかというふうに思いますが、しかしそれにはやはり月末集中とか月中集中とか、そういう問題や、あるいは港湾道路関係とか、そういう外的条件を同時に整備をされながらであれば、これは港湾業者のほうもそれに従って当然整理されてくるというふうになると思うのです。いまぽこっと港湾業者だけをやるというところに相当の無理があるということになるのじゃないかということもわかりますので、そういう点も十分に配慮をしながら、当委員会で皆さんのきょうの御意見を尊重しながら、政治の場面で努力をしてまいりたいと思っております。たいへんありがとうございました。終わります。
  30. 大野市郎

    大野委員長 参考人に一言申し上げます。  本日は御多用のところ御出席をいただき、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。どうぞお引き取りください。      ————◇—————
  31. 大野市郎

    大野委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。板川正吾君。
  32. 板川正吾

    ○板川委員 私は、今回の日通の不正経理、乱脈経営の不祥事件について、大臣その他関係者に伺いたいと思います。私の観点は、日通の不正、乱脈の内容を暴露するということよりも、なぜこういうような事態を日通が招くに至ったのか、その原因を追及し、あわせて今後の通運行政の根本について触れてみたいと思います。  そこでまず第一に伺いますが、新聞の報道によりますると、問題の日通を含めまして通運業者四百二十四社が料金の値上げを申請したと報道されております。中には一挙に五割から七割も値上げする、こういうふうな報道がされておりますが、この値上げ申請に対して大臣は、今年度内は認めない方針だということの報道のあることも了承しておりますが、あらためて大臣のこれに対する所見を当委員会として伺っておきたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通運料金の値上げは、物価に影響するところがきわめて大でありますので、本年度内は認めない方針であります。
  34. 板川正吾

    ○板川委員 値上げ申請の理由を見ますると、人件費や物価の値上がりで経営が危機に瀕しておる、こういう理由がついておるようであります。これが主たる理由のようであります。確かに地方の中小零細通運業者の中には、そうした理由に値する実態も非常に多いのじゃないかと思います。しかし、だからといって、この料金値上げを認めれば、実質的には七〇%を占める日通にも適用されて、あの乱脈経営で世論の大きな批判を受けている日通に、さらに料金の値上げを認めるということにもなりますから、もちろん国民感情としてこれは値上げすべきではない。したがって、大臣のそうした方針には私ども同感であります。それとまた別に、中小零細運送業者には何らかの特別の対策を講じてやる必要があるのじゃないかと思うのですが、これに対して運輸当局の見解はいかがですか。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく実情調査し、また申請書類を調査いたして検討を加えます。
  36. 板川正吾

    ○板川委員 私は、以下述べるような対策をとるならば、料金値上げせずとも中小運送業者に大きなプラスがある、以下私が述べるような点に改良を加えられるならば零細業者にプラスがあるものと思うので、その点から伺います。運輸省に、これは事務当局でいいですが、日通が元請をして、そうして地方の旧免業者に下請をさせておる製造たばこの臨店配給のトラック運賃、この認可運賃について伺いたいのであります。  二トン車一日八時間以内の貸し切り、六十キロ以内の場合には、トラック借り上げ料が四千四百円、同じ条件で一トン車の場合には三千五百円、こういうふうになっておると思うのであります。取り扱い専属制運賃率というのを見ますとそうなっておるのでありますが、これは間違いございませんか。
  37. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 間違いございません。
  38. 板川正吾

    ○板川委員 それでは専売公社に伺いますが、地方局が日通とたばこの運送契約をする場合に、その運賃は運輸省の認可運賃を支払うという原則になっておると思います。したがって、この場合に二トン車四千四百円、一トン車三千五百円、それに荷さばき料としてたばこ一万本当たり二円五十銭の割合、大体二トン車で八、九十万本積むそうでありますが、そういう荷さばき料を公定のトラック運賃に加えますと、二トン車が一日借り上げが四千六百五十円見当、四千四百円と二百五十円の荷さばき料で四千六百五十円、一トン車は三千五百円プラス百二十五円で三千六百二十五円、多少の端数は違うかもしれませんが、この金額を日通に支払っておるというたてまえになっておると思いますが、この計算に間違いがありますかどうか。
  39. 山口龍夫

    ○山口説明員 そのとおりでございます。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 しかし私の調査によりますと、実際に日通が下請旧免会社に支払っておる金額は、二トン車が四千六百五十円専売公社が支払っておるのにかかわらず、四千円しか支払っておりません。これは四千六百五十円に対して一四%のいわゆるマージンを取ったということになります。それから一トン車の場合には三千六百二十五円に対して実際に支払われておるのが三千円でありますから、これまた一七%の手数料を取っておる、こういうふうになると思いますが、この考え方に異論はありませんか。
  41. 山口龍夫

    ○山口説明員 私どもは直接運送をやっておる業者の場合でございましても、それが下請に回る場合でございましても、認定料金に基づきまして、認定料金に幅のあるものはその最低のものをとるということで契約いたしております。その直接の契約をしております業者がどういうふうな下請との契約をやっておるかということは、実は私どもにもよくわかりません。ただいまのような事実があるかどうかにつきましては、ちょっと申し上げかねる点でございます。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 話が横道にそれますと時間を食いますから申し上げませんが、これは個人の業者ならば別ですが、国ですから、私は下請にどう払われるかまで関心を持つべきだと思います。  次に運輸省に伺いますが、認可運賃の算定基準の原則、これは道路運送法の八条の二に示されておりますように「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むもの」とするということになっておりますが、この認可運賃の算定基準となっておる適正な利潤とは一体いかなる程度を適正な利潤と言っておるのか。この適正利潤の算定の基礎について伺っておきたいと思います。
  43. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま運輸省でやっております算定の方式は、売り上げについて五%程度が適正利潤ではないかというふうに見ております。
  44. 板川正吾

    ○板川委員 おかしいですね。売り上げに五%といったって、それは回転率と関係しているのですよ。だからそれに回転率をかけて、そうして総体として資本について一割なら一割。税金を納め、一割配当、こういうのが適正利潤と見ておるのじゃないのですか。たとえば電気料金のような場合には、大体一割配当というふうに見ておる。この場合に、政府の規定する認可運賃の原則は、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むもの」という大原則は、いかなる場合もこの条項は同じであります。したがって、一割程度配当するというのを込めておる。したがって適正な利潤というのは一割程度、こういうように考えているのじゃないですか。売り上げの五%というのは、回転が多ければ二割にも三割にもなるじゃないですか。二割も三割ももうけていて適正運賃と認めますか。
  45. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 いまの御説明が不足でございました。先生がおっしゃったような意味でございます。したがいまして、売り上げの五%という単純な比ではございません。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 それでは適正な利潤というものは一割見当というふうにわれわれ理解していいですか。これらに異論がありますか。
  47. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 大体そういうふうに認めております。
  48. 板川正吾

    ○板川委員 運輸省は地方陸運局別に定額で運賃を認可し、管内の業者にこれを守るべしと言っております。したがって、公社や公団、食糧庁等は国が認可した運賃を国が破るというわけにいかないから、そのまま正当運賃として認可運賃どおり支払う、こういうたてまえになっております。それで、日通はその認可運賃を受け取って、その中から、たとえばたばこの臨店配給の例をとりましても一四%ないし一七%差っ引いて下請運送店に支払う。こういうことになっておりますが、この場合に、下請運送店の側からいうならば、一割の適正利潤というものを除外すると、認可運賃の九割と一応見ると計算してもいいと思いますが、その適正な利潤を差っ引いた適正な原価を下回って支払われるということになります、一四%ないし一七%引かれますから。そうしますと、下請の立場からいえば、いわば大企業の犠牲になって、コストを割って仕事をしておる、こういうことになりますが、運輸省はこの下請の立場をどういうふうに解明するか、この取引条件について運輸省としてはどのような考え方を持っておられるか、これを伺いたい。
  49. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 元請と下請の関係でございますけれども、運送契約の当事者は荷主と元請業者でございます。それで、あと下請かいなかにつきましては、これは元請と下請業者の内部関係でございます。したがいまして、荷主は、運賃は元請業者に払うというのがたてまえでございます。その元請業者荷主からもらった運賃を、今度は下請に渡してやる。その場合に、その内部関係につきましては、たとえば荷主からもらった運賃そのままをそっくり渡すということもございますかもしれませんけれども、一般の商慣習といたしましては、何がしかの分は差っ引いて渡す。これは何かと申しますと、大体言われておりまするのは、たとえば荷主さんを獲得するとか、あるいはいい集貨を獲得するとか、そういうためにいろいろな経費を元請業者はかけておりますので、そういう点に見合う適当な額を差っ引いて下請へ渡すということは、商慣習のみならず一応理由があるのではないかと思っております。ただ、その場合におきまして、先生おっしゃいましたように、非常に不当な、普通のパーセンテージをこえるということでは、これはまさに下請を搾取することに相なります。したがいまして、そこに合理的な妥当な線があるのではないかとわれわれ実は見ておるのでありまして、この点につきましては、あるいは下請と元請の力関係ということで、下請の人が元請のえじきになるということもままあるかと存じます。したがいまして、この点につきましては、やはり合理的な意味でのそういった集貨費とか、そういうものは差っ引いて渡せというふうに、今後も強く指導していきたいというふうに存じておる次第でございます。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 日通が元請をして、実際の仕事は出先の専売局の販売所から下請をしておる運送店に行って、そうして実際の仕事はそちらでやる、しかし契約と支払い、金を受け取って支払うのは日通がやる、こういうことでありますが、そういう取引、元請と下請との関係の取引条件、これはどの程度がいいとか、合理的にきめてやる必要があると思う。  これは公取に伺いますが、大企業が経済的に優越した地位を利用して不当な取引条件を下請にきめるという、いまのような場合に、私は一七%というのは、契約の内容からいいまして不当だという観点に立っておりますから、その上で言うのでありますが、これは公正取引という観点から問題が取り上げられるべきだと思いますが、公取の見解はいかがです。
  51. 山田精一

    ○山田政府委員 日本通運と下請事業者の間の取引条件につきましては調査しておらないのでございますが、もしも御指摘のように、下請事業者に対しまして日通が、自己の優越した地位を不当に乱用いたしまして著しく不利な条件を押しつけておるといたしますれば、これは独占禁止法上の不公正な取引方法という問題が生ずるおそれがございますので、調査をいたすことといたしたいと存じます。
  52. 板川正吾

    ○板川委員 公取委員長、いまことばが一言多過ぎたぞ。告示十一号で、「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して」——「著しく」じゃないです、「正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」これが不公正取引のたてまえです。あなた、「著しく」なんてよけいなことを言うのじゃない。それはちょっとおかしい。したがって、私は日通と下請関係のいまの取引条件は、優越した地位を乱用した、やはり不公正取引の範疇に入るのではないか、こう思うのでありまして、公取としてはこの点の調査を開始してもらいたいと思います。  それからこの際私見を申し上げておきますと、私は適正な取引条件というのは、能率的な経営のもとにおける原価を償うというたてまえ、そうして一割の利益というふうに見ておりますから、したがって、その一割の範囲で、たとえば元請に、専売公社から受け取った金額のうちから九五%を支払い、五%は日通が事務手数料その他に取る、こういうような分け方にすれば——私はこの契約の内容業務内容からいって、日通が一銭も取ってはいけないということを言っているのじゃない。しかし全部取ったところで、一割の原価を保証してやらなくちゃおかしいじゃないか。適正な経営のもとにおける原価を割ってまで日通が頭をはねて、しかも一方的に取引条件を押しつけていく、こういうようなことは、私は優越地位の乱用に当たるのだと思います。したがって適正な取引条件をぜひひとつ早急に検討して、この程度がいいだろうというふうに指導すべきじゃないか。そうすれば零細中小通運業者が、ある程度料金の値上げがなくても救われる、こう思うのでありまして、その点の取り扱いをさっそくやってもらいたいと思います。
  53. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいま先生の御指摘、非常に重要問題だと思います。日通が今回問題になりまして、いろいろな点で批判を受けておりますが、こういった問題も大きな点ではないかと思っております。したがいまして私どもといたしましては、こういった問題も含めまして、日通の特別監査もやりますけれども、今後事務的に、どの程度が一体適正なものであるかという基準を私ども自身もつくりまして、そういったような点で強い指導をしていきたい。これは公正取引委員会立場もございますけれども運輸省といたしましても、そういう意味で強い指導をしていきたいという姿勢でおります。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 それをひとつ公取とも連絡して、適正な取引条件を相談してきめてください。  公取の都合もあるようですから公取委員長に先に伺いますが、運輸省では、通運料金をきめる場合に、末端については業務の態様がまちまちの場合がある、そこで料金の定額明示という原則があるにかかわらず、実費を取っていいというふうに言っておるのであります。そしてそれは「通運料金適用方」という中に、「付帯費用」として「未掛金の立てかえ、運送保険の締結、貨物の荷づくり、仕分け、その他事業に付帯する業務については実際に要した費用を収受する。」要するに実費を取っていいということをきめておるようであります。このきめ方に問題があるとしても、これはきめております。そこで日通では同業者と申し合わせをいたしまして、特別料金というものを申し合わせ事項として定額できめました。本来料金というのは、通運事業法の二十条の三項にあるように、定額で明示するというのが原則です。しかし末端の場合には実費でいいというたてまえをとっておると思うのです。しかしこういうふうに定額で特別料金をきめるのならば、これは初めから通運料金として定額で許可をもらえばいいと思うのです。ですから、実費を取っていいということを申し合わせして定額できめておるということは、これは独禁法上価格協定に当たるのじゃないかと思うが、この点について見解はいかがですか。
  55. 山田精一

    ○山田政府委員 御指摘のように、実費を取りますことは一応認可料金ということに相なっておりますが、もしもその料金内容が、認可料金の範囲外のものにつきまして同業者の中で協定をいたしたということになりますと、独占禁止法上の問題が生じてまいりますので、ただいま関係者から事情を聴取いたしておる段階でございます。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 運輸省に伺いますが、通運料金は二十条三項によって定額明示が大原則ですよ。こういうふうに特別料金が定額で扱えるならば、料金として認可申請をさせて認可するなりすべきであって、これは実費扱いと違うということになるのじゃないですか。それはそうとして、とにかく定額で明示できるなら、それは認可事項として取り扱うべきじゃないですか。この点いかがですか。
  57. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのお話は要するに、通運事業に付帯して行なわれるいろいろな業務についての料金の件であると存じます。その中で定額の料金といたしまして、トン当たり幾らとかというふうにはっきり明記できるものもございます。たとえば貨物の……
  58. 板川正吾

    ○板川委員 そうじゃないんだ。特別料金として申し合わせて定額で明示している、これをどうするんだ。
  59. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 そこでその定額料金で明示しているものもございますとともに、定額料金として明示しにくいものもあると存じます。御質問の点は後者のほうではないかと存じますが、その点につきまして、これは要するに定額でなくでもそういうものは実費で取れるのだということの認可を申請させまして認可はいたしております。制度はそうなっております。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、特別料金というのは認可しておる料金ですか。日通がリーダー役で協定した「東京の通運付帯実費料金表」というのが四月二十日の読売新聞に出ておりますが、これは運輸省が認可した料金ですか。
  61. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 それにつきましては、ただいま申しましたように、定額ではございませんけれども、そういうものは実費で取れるのだということで、だから額はきめておりません。額はきめておりませんが、実費を取っていいという認可はしております。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 これは適用方で付帯費用としてその実費は取っていいということを認めているのですから、そのことを私は言っているのじゃないのです。ただし、その実費を取っていいというのは、定額できめにくいから実費を取っていいということになっている、態様が違うから。むしろを二枚使う場合もあるし、三枚使う場合もあるでしょう。新しい場合も古い場合もあるから、そのときの実費でいいというたてまえなんでしょう。ところが新しいのか古いのかは別としてとにかくこの場合は取ろうというので、日通がリーダー役で協定した「東京の通運付帯実費料金表」というのがある。これは公取委員長、いまの運輸省の回答からいってカルテル、価格協定になりませんかと言っているのです。
  63. 山田精一

    ○山田政府委員 これは認可料金以外のものにつきまして協定をいたしておる疑いがございますので、ただいま調査中でございます。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 それは、調査の結果をひとつあと報告していただきましょう。  公取委員長に伺います。この日通の今回の不正経理、乱脈経営もさることですが、各方面から日通に対するいろいろのふんまんというのが毎日の新聞に出されていることは、御承知だと思うのです。このような日通の経営がそうしたあり方になったのは、言われるように独占の上にあぐらをかいておる、これが最大の原因だ、こういうことだと思います。しかしまた関係者から言うならば、何も独占しているわけじゃないんだ、どうぞ入るのなら入ってください。また運輸省も、必ずしも日通独占を許しているわけじゃないから、やりたいという希望者があれば、条件さえ合えば許可しますよ、こう言っているのですね。しかし、そこに競争して、いわゆる新しい企業の参入、ニューエントリーがないということは、それだけ日通の強大な資本力というものと競争できない、こういう感じからいわゆる新規の企業参入というものがないのですね。だから、いわばこれが独占の形態ですよ。この独占的な企業形態の上に、日通がその経済力の優越さを利用して一方的に取引条件を押しつけたり、かってなまねをするということ、また今回の不正経理、乱脈経営というのがこれほどひどくなったということは、何らかこれに対する監視機構というものがなくちゃならぬと思います。あれほどもうかっておる日通が、たとえば企業全体としてもうかっているなら料金を下げるなり、あるいはサービスをよくするなりして、そして社会に返すべきですよ。それを裏に回って、子会社に投資してもうけてふところに入れる、企業を私物化する、こういうことは私は許されないと思うのです。  そこで、この日通のような独占的な企業体が最近相次いでできようとしておりますね。たとえば鉄鋼の八幡、富士の合併もそうです。それから王子を中心とする製紙の合併もそうです。そういうことになりますと、この独占の弊害をどうして除去するかということが私は問題だと思うのです。きのう佐藤総理は物価対策特別委員会で、特別な監視機構をつくってもいい、こういうようなことも言ったようであります。社会党が、さきに私は商工委員会で、この市場支配的事業者の経済力乱用防止法というのをつくりまして、独占企業体がかってなことをしたり、価格管理をしたり、こういうことをさせないような、チェックする機能を公取が積極的に果たすべきだ、こういうふうに考える。その場合にはいまの独禁法の二条の七項による不公正取引、告示十一号による不公正取引の優越地位の乱用、これで私はできるという——これだって妙法じゃない、できれば具体的に法律を出して、そして社会にもはっきりして、こういうことをやっちゃいけない。それから不正な経理、価格管理、こういうものをできないような仕組みを考えるべきだと思います。これは日通事件から派生した重要な問題ですが、公取委員長の見解を伺っておきたいと思います。
  65. 山田精一

    ○山田政府委員 私どもは、ただいま御指摘のございましたような、いわゆる市場支配と申しますか、競争の実質的制限になりませんように現行法を十分厳重に運用いたしてまいりたい、かように考えております。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 現行法の二条の七項、告示でそういうことがやってできないということではない、われわれもそう考えておりますが、ひとつ積極的に取り組んで、なお、よりベターな策としてはそういう特別な監視機構というものを公取なりに設けるなりする必要があるのではないか、こう思いますが、この積極的な取り組み方についてもう一ぺん見解を伺いたいと思います。
  67. 山田精一

    ○山田政府委員 現在の段階におきましては、現行法を積極的に運用いたしてまいりたいと考えております。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 その点は、いずれまた委員会をかえて独禁政策については伺いますから、その点はそれでいいです。  食糧庁に伺いますが、例の悪名高いプール単価制を廃止するということが報道されております。そして実費払い方式に変えたい、米麦の輸送について農林省の決意として報道されておりますが、そういう方針を今後おとりになるということに決定をしておりますか。
  69. 田中勉

    ○田中(勉)政府委員 ただいま報道関係のことを御引用になりまして、そういうことを考えているかどうかということでございますが、私のほうは戦後二十年来、このプール単価制というものは、現在の食糧配給その他食糧の集荷、全国的な規模において需給関係にマッチした適切な運送を行なう必要があるというようなことからいたしまして、現在の事務能力その他の面から見ましても、プール単価制を採用することが従来の方針でもございましたし、またそのこと自体をいまの段階で変更するという考えは持っておりません。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 読売新聞の四月十五日の朝刊に、農林省がそう決意した、こういうふうに報道されておりますが、食糧庁はプール単価制を廃止する意思はない、実費払い方式に変える必要はない、こういうふうに考えておって、これは誤報である、従来の方式を変える必要はない、こういうふうに考えておりますか、その方針ですか。
  71. 田中勉

    ○田中(勉)政府委員 新聞の報道について、責任ある食糧庁の見解としてそういうものが出たとは考えていませんし、また現段階において——遠き将来のことは別でありますけれども、現段階において、現在採用いたしておりますプール単価制を変更する考え方は持っておりません。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 プール単価制の利点、それからこれに対するいろいろの批判が御承知のとおりにありますが、このプール単価制の利点、改正できない理由というのはどこにあるのですか。
  73. 田中勉

    ○田中(勉)政府委員 先ほど申し上げましたように、食糧庁といたしましては、一般消費者に対して米麦等の配給責任を負っているわけでございますが、全国規模で適切な配給計画を立て、そのための運送をするわけでございます。しかもその運送方法におきましては、一年を通じ、冬のような条件の悪いときとか、いろいろなことを年間を通じて運送いたさなければならぬわけでございます。この点におきまして、このプール単価制を採用することが事務能率の促進ということになっておるわけでございます。  そこで私のほうの現在の実務処理の問題からいたしましても、現在の食糧の需給操作の観点から見ました運送につきましては、これが最も適切なやり方だと考えているわけでございます。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 運輸省、このプール単価制のやり方は実際に運送した数量を調べ、そしてそれに運輸省がきめた料金なり運賃なりを加えて、そして公定価格にかけて出すのだそうです。ところが、運輸省がきめたものを絶対のものとしてそれできめていくのですが、この内容についてとかく世論に批判があるのです。運輸省がきめるこの単価、これについて再検討するという意思はありませんか、あるいは改良を要する点はありませんか。
  75. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 運輸省といたしましては、現在の認可料金というものが絶対に適当だとは私は申せないと思います。と申しますのは、経済実態が変わっている点もございますし、たとえば新しい輸送方法等が出てまいります。やはりそういうものに合わせまして直していくべきではないかというふうに存じております。まだ具体的にどの点というふうにまでいっておりませんけれども、これはぜひ検討いたしまして、極力早い機会に訂正していきたいというふうに存じております。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 このプール単価制を固執するということと関連するのですが、これも新聞報道です。食糧庁や関係者も大体は知っているだろうと思うのですが、世論が非常にきびしいために、いわゆる全国通運関係にも食糧輸送をさしてもいい、こういうふうなことを政府も考えた、しかしそれはあくまでも日通が元請になって、全国通運はその日通の下請になるという契約方式だ、それを食糧庁あるいは専売公社が固執をしておる、こういうふうに報道されておりますが、プール単価制をとりつつ、別個に全国通運と契約するという方式がとれますか。
  77. 田中勉

    ○田中(勉)政府委員 プール単価制採用という前提のもとに、日通以外のものが別の特定な運送契約の相手方として対象になり得るかという御質問のように承ったわけでございます。  まず前提といたしましては、先ほど申し上げましたように、現段階におきましてはプール単価制を変更する考え方は持っておらないわけでございます。したがいまして、やはり全国的な食糧運送につきましては日通を相手方として運送契約をかわしていくということになるわけでございますが、現在検討いたしております全国通運の食糧運送に対する参加の可能性、またどういう形においてそれができるかということになりますと、実質的にそういう全国通運加盟の新免業者がそれぞれ現地現地において運送の実務を担当するという機会が出てくるわけでございますので、それらの現実の、そういう運送実行者の全国的な一つの交互計算会社になっております全国通運を運送の相手方として契約するということにつきましては、いまのプール単価制を採用するたてまえという点から見て、全国通運を日通のほかに、単独契約の相手方として取り扱うことには問題があるように考えております。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 専売公社はどうですか。
  79. 山口龍夫

    ○山口説明員 専売公社の場合は、扱うケースによって若干違いますが、専売公社の、たとえばたばこの輸送関係で申し上げますと、葉たばこを原料工場に運び、原料工場から製造工場に運び、製造工場から、できました製品を各出張所へ、全国五百ぐらいございますが、そこに運ぶというような輸送業務が主となっております。この輸送につきましては、全国を四万幾つの区間に、経路ごとに区分いたしまして、認定運賃を基礎にして区間ごとに契約をきめておるわけでございます。したがいまして、いわゆるプール運賃という形をとらないで、区間ごとのこまかい積算をやったものについて実費を支給しております。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 専売公社のほうはプール制じゃありませんから、それはそうなんですが、この際伺いますが、たとえば臨席配給のような、はっきりとその地域だけの業務ですね。こういうものは別に日通と同じ——運賃、料金というのは運輸省がきめた認可表によればいいのです、それに扱い料と荷さばき料として一万本二円五十銭程度の割合で払えばいいのですから、これは別に日通の窓口を通さなくても、その地域で県ごとに直接契約をして直接払う、こういう方式はとれませんか。
  81. 山口龍夫

    ○山口説明員 臨店配給の仕事と申しますのは、公社の出張所から小売り店一軒ごとにずっと回って歩きまして、それに公社の職員が同乗いたしまして、小売り店頭で注文取りとか商談をやりながら、運送業者のほうでトラックで運びました現品を小売り屋に届ける。すべて公社の指示に従ってやるわけであります。そういうような仕事。小売り屋さんはお客さんでございますので、いわゆるお客さんに対する態度でやっていかなければいかぬということで、いろいろ注文をつけております。したがって、そういうような特殊な運送業務を十分にやれる能力を持った業者がその地区におりますれば、必ずしも日通でなければならぬという問題じゃございません。その点われわれのほうも部内に研究会を持ちまして、検討を続けておる段階でございます。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 食糧庁のプール単価制を私がそのままいいということでもないのですけれども、しかし食糧庁の場合には全国が非常に錯綜しておって、そして、一々計算して実費支払い方式になるとなかなかたいへんだ。プール単価制という一つの便利な計算方法があるからということはわかのです。しかし、専売公社の場合には、それほど錯綜してないし、特に臨店配給という程度のものは私は日通の窓口を通さなくたって、実際は実務は出先とその下請がやっておるのですから、一七%も一四%も中間マージンを取られなくたって、直接契約して、直接払ったほうがいいじゃないか。直接払ったって同じでしょう。政府がきめた公定料金なんだから、それに荷さばき料を足せばいいんだから、それ以上払っているわけじゃないし、日通にやらせたからもっと安くなるわけじゃないのでしょう、一括契約したって。それならそういう方式をおとりになったほうが合理的じゃないか。また、中小企業というものの官公需をふやせという法律がありますね。これは公団も公社もみんな、中小企業の官公需確保に関する法律というのができたときには、できるだけふやしてやるように責任を持っているのですよ。だから、何もわざわざこの場合に日通を経由して二割近く手数料を取られるようなことのないように、直接やっても決してめんどうな仕事じゃない、こう思います。これはひとつ検討してそういうような扱いができるようにやってもらいたいと思いますね。  次は、これは大臣にひとつ伺いますが、日通の関連会社あるいは子会社がたいへん整理されたといいましても、まだたくさんあります。電気事業法では、関連する事業の範囲がある程度制限をされておる。直接に関連するもの以外に電気事業者が温泉旅館を経営したり、娯楽施設経営したりすることはしない。日通の今度の乱脈経営、不正経理というものは、子会社の窓口を通じてごまかしてきたというふうにいわれております。それだけじゃなくて、こういう公共的な企業であり、しかも国家の食糧輸送、たばこ輸送、防衛庁の輸送を一〇〇%担当しておる日通、巨大企業の日通、公益企業の日通ということになれば、私はその本業に専念してもらうために、子会社の範囲というものをある程度制限すべきではないか。大臣もそういう趣旨を述べられているやに伺っておりますが、この際大臣から、その点についてはっきり見解を伺いたい。
  83. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電気事業法による電気会社の場合は、地域的独占でありますから、これはある程度法的独占といいますか、公益性は通運事業よりはるかに強いと思います。したがって、通運事業を電気事業と同一視することはむずかしいと思いますが、日通の場合は、事実上全国独占の仕事をしておったところに非常に大きな欠陥が出てきたと思いますので、もう一つ競争会社が強力に出てくれば、そういうことはなかったかもしれません。そういう意味において、法的欠陥という問題よりも、事実上の存在としての問題点を矯正するということをわれわれは考える必要があるのではないかと思います。ただ日通の場合は、しかし、戦争中の企業整備による強制合同の会社がそのまま存続して、戦後プライベート・カンパニーとなって、事実上独占状態を続けてきたということでありまして、その点については、非常な国民性と申しますか、社会性を持っておるし、また、のれんをはずした人たちに対する何らかの道義的負担も私は持っているように思います。そういう面からして、ほかの関係もないようなことや、単に利潤本位だけの直接関連のないようなところに手を出すということは好ましくないのでありまして、そういう観点からする行政指導を行なおう。そういう点からも、七十一ばかりある関係諸会社についても、これは手を引くとか整理するとか、そういう処理をしなければならないと思います。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 本来なら、公益的な事業、それから独占という形態を与えられておる社会の恩恵に対して、経営者自身が自粛すべきものだと思います。しかしこういった事態を——企業を全く私物化して、一割二分配当をしていればあとは何をやってもいい、こういう感覚でおる異常者がおるものですから、この際何らかの機会にそれに対する制限をされることも私はやむを得ないんじゃないか、そう思っております。  そこで次に伺いますが、これは問題なのは、この数年間なぜそうした日通の乱脈経営というのが監督官庁の運輸省でわからなかったか、わかることができなかったか、こういう点で、私は運輸省の怠慢があると思います。最近の新聞によりますと、運輸省では抜き打ち監査を行なって、そうしていままでの業務監査から企業全般を見るための監査をやった、こういうふうにいわれておりますが、運輸省何しておるんだと言われたものだから、ここらであわてて抜き打ち監査をした。われわれのほうで俗なことばで言えば、これは葬式済んで医者話ということになるんだそうです。あとの祭り、葬式済んで医者話。葬式が済んでから、あのときあの医者を頼めばよかったななんて言っているようなもので、事件が起きてからあわてて抜き打ち監査なるものをやったのでありますが、この日通事件を経過的に見ますと、三十六年に社内の業務監査室を廃止しましたね。どこの会社でも社内の監査室というのがありまして、社内業務の監査をするのでありますが、それをむだだからといって三十六年に廃止をした。同時に、翌年の三十七年から金の延べ板を配り始めた。時間的に言うと、こういう経過をたどっておるんですね。本来日通のような非常にふくそうした業務には、内部に精通した者をもって内部監査をやって、そうして不正なりむだをなくすということが私はたてまえであろうと思うし、ほんとうは日通の組織こそ監査室が必要だと思っておったのでありますが、三十六年になくして、翌年から金の延べ棒、こういうふうになってきた。今回またあらためて監査室を置くことに復活したそうでありますが、こういう日通のような公益的な大企業について監査室をなくすような場合には、これこそ運輸省業務監査をして、そしてそういうことはいけない、こういうことをなぜいままで言わなかったのか。この辺が運輸省として監督上の怠慢ではないか、こう思うのでありますが、これは運輸大臣どうお考えですか。
  85. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御指摘のとおりだろうと思います。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 葬式済んで医者話ではないが、これからひとつこういうことのないように、監査機構というものを充実してもらいたいと思います。  それから法務省に伺いますが、御承知のように、いまの商法による監査役制度というものは、この日通の事例に見られるように——これは日通ばかりではないでしょう、ほとんどどこの会社でもそうでありますが、いわば有名無実的な存在であります。全部そうだというわけじゃありませんが、おそらく大部分だと思います。ドイツの監査制度というものは、御承知のように、取締役の上に監査役がいて、そうしてあらゆる支出は監査役の了承を受けなければできないというたてまえになっておるそうであります。最近不正経理、粉飾決算が横行いたしまして、一般の投資家の不信を招いておる。そこで商法上の監査制度を改正しようという動きがあるそうであります。法制審議会の商法部会では、いまそれに対して検討しておると伝えられておりますが、いつごろ具体的にまとまり、法改正の段取りになるのか。その内容について簡単でけっこうですから……。
  87. 味村治

    ○味村説明員 ただいま御指摘のとおり、商法上は、現在業務監査は取締役会が行なう、それから会計監査は監査役が行なうという制度になっておりますが、いずれの業務監査にいたしましても会計監査にいたしましても、どうも十分に充実して行なわれていないようだという声が非常に強いわけでございます。たまたま山陽特殊鋼その他の粉飾決算の事例もかなり出てまいりましたので、昭和四十一年の秋以来、法制審議会の商法部会におきまして、監査制度をいかにすべきかということで審議をいたしております。それで昨年の四月末に、実は監査制度に関する問題点ということで、商法部会で審議中の問題点を発表いたしました。これは言ってみますれば、世論がどのように考えているかということをできるだけ早く知りたいというような見地からでございますが、発表いたしまして、その発表いたしました問題点につきましてその後上審議を続行しているわけでございます。問題点は、ごく大ざっぱに申し上げますと、一つは取締役会が業務監査をし、監査役が会計監査をするという現在のたてまえを維持した上で、その監査機能をそれぞれ強化するという方法と、もう一つは、それと別に、監査役が戦前のように業務監査までやるという方向で監査機能を強化するという二つの方法を考えまして、それぞれの問題点を具体的にあげたわけでございます。それでその後審議を続けまして、本年の一月に、大体あとのほうの、監査役が業務監査もやるんだという方向のほうが日本の実情に適しているんじゃなかろうかということになりまして、その方法具体案検討するということになっています。目下小委員会を設けまして具体的な問題点について審議を進めているわけでございますが、何ぶんにも株式会社制度の根本に触れる問題でございますので、なかなかいろいろな御意見もございまして、ただいまのところではいつ成案を得るということをちょっと、まことに申しわけないのですが、申し上げかねるわけでございます。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 日通事件ばかりでなくて、悪質な粉飾決算が、倒産とからんで非常に多いようでございます。監査役の業務監査までの権限拡大という方向も、私も妥当かと思いますが、ただ、伝えられるところによりますと、公認会計士の監査意見を株主総会に報告するというのが意見に出ておったら、財界が非常にそれに反対する、それは株主総会が総会屋に荒らされるおそれがあるということであります。しかし私は、その程度の危険があっても、そうあったほうがほんとうじゃないかと思うのですね。御承知のように、労働組合法五条の二項の七では、労働組合では公認会計士の監査報告を大会に出して承認を受けるというたてまえになっておる。それは別といたしまして、そのほうがいわゆるガラス張り会計であるし、独占的な企業体に対してはその程度のことがあったほうが、まあひとつの反省にはなるんじゃないか。まあ、自分の意見だけを申し上げておきます。  それから、今度は運輸省に伺いますが、監査した結果、日通の会計は非常に複雑で専門家がやってもなかなかわからぬ、こういうことを言われております。今度の特別監査をするについても、だれを担当させたらいいかということで、適任者という意味でなかなかむずかしいとかいう話を聞いておりますが、通運会計というのは通運事業法二十五条により省令で様式は定められておって、こういう帳簿、こういう様式で会計処理をしなさい、こういうことになっておりますね。運輸省令で定めた帳簿、伝票、書類、こういうものを定めていながら、運輸省及びその道の専門家が日通の帳簿がさっぱりわからぬ、こういうふうに専門家ですら音を上げるというのは、どこに欠陥があるのですか。
  89. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 ただいまのお尋ねの件は、日通本社のことについてかと存じますが、実は私どもいままで監査してまいりましたのは、免許を受けました各事業店所でございますね。各駅ごとにございます事業店所、これを監査しておったものでございます。したがいまして非常に複雑な、膨大な経理というようなことは——そういう小さな事業店所ごとにはそれほど大きな分量ではないのでございまして、今度やりまする特別監査というのは、私どもいま考えておりますのは、初めてでございますけれども、こういう事件がございましたので、通運事業のみならず、全般の事業につきまして監査したいという趣旨でございます。したがいまして、単に通運事業だけの狭い点だけを見るのではなしに、全般を見ていきたいということでございます。  なお、お尋ねの、そういった専門家がいないのではないかという御心配をいただきましたけれども、これにつきましては私どもはやるだけやるというので徹底していきたいという覚悟でやっております。やれるだけのことはやりたいというふうに考えております。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 それは、やるだけはやるという意気はまことに盛んだけれども、しかしさっぱりわからないんじゃ、やるったってやれないじゃないですか。自分で省令で会計規定をつくり帳簿をつくりしておいて、それが見てよくわからぬで、やるだけやるではいけないと思う。まあいいでしょう。それはひとつこの帳簿を省令改正するべきものは改正し、統一をして、そうしてだれにもわかるような方向で備えさせる、帳簿を持たせる。こういうことは免許事業者の当然の責務ですから、ひとつそういう会計書類、帳簿書類のつくり方についても特段の研究をしてもらいたいと思います。  時間がありませんから、大蔵省証券局に、公認会計士の問題についてはよしましょう。ただ、一言だけ大蔵省に伺いますが、日通の西村前副社長が企業会計審議会委員として推薦をされております。健全会計の指導的な役割りを果たしている企業会計審議会委員に西村前副社長を任命したいきさつはどうなんです。これはどろぼを警視総監に雇うようなものじゃないですか、大蔵省、これはどういう見解ですか。
  91. 安井誠

    ○安井説明員 お答え申し上げます。  企業会計審議会大蔵省の付属機関として、企業会計原則あるいは監査基準の設定等の審議をしていただくことになっておるわけでございます。したがいまして、委員といたしましては学識経験者として商法学者あるいは会計学者のほかに、公認会計士のほうから数名、同時に経済界のほうからも数名おいでいただいているわけでございます。いま御指摘がございましたが、経済界の御推薦をいただきまして、私どもどの方が一番明るいかということも必ずしも存じませんので、そこできまりましたことがそのまま、何と申しますか、そこできまりましたことで証券取引法に基づく企業会計原則なり監査が十分に行なわれるようにということを期待いたしておりましたので、御推薦いただいたものを任命いたしたという形になっております。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 大蔵省の諮問機関でしょうから、ただだれでもいいから財界が推薦したものをというばかりじゃなしに、多少は大蔵省として目ぼしい人を立てて、あの人はなかなか企業経営に明るい専門家だから、ああいう人をというふうに、大体事前に話をするのじゃないの。それと全く関係なく選ぶの。
  93. 安井誠

    ○安井説明員 あるいは私のことばが足りなかったかと思いますが、経済界のほうの御推薦と申し上げましたのは、たとえば経団連等におきまして経済法規委員会というのがございます。あるいは経理懇談会というのがございます。そこでいろいろ議論をなさっておられる方があるわけでございます。その中からお選びいただきまして、大蔵省に御推薦いただくわけでございます。御指摘がありましたように、選定をいたしました責任大蔵省にございます。その際私どもはまことに不敏でございまして、もしいま伝えられておることが事実であるとすれば、われわれとして非常に選択を誤ったということは申し上げざるを得ないと思います。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 頭のいい大蔵省ということが言えそうだけれども、ずいぶん頭のいい委員を選んだものかなと思います。それはまた、必要があればお聞きいたします  最後に一つだけ大臣に伺いますが、日通の通運事業、これは一体どういうふうに持っていったら公正で、しかも社会にサービス機構として奉仕でき、企業自体も健全に発展するか、通運行政というものはどうあるべきかという点について最後に伺いたいと思いますが、昨日の新聞によりますと、財界も日通の今回の事件に全くあきれ返って、これはやはり独占であるからいけないのだ、そうしてどうしてもこれを直すためには複数制をとるべきだ、日通と同じような全国組織をつくった通運業者を各駅に複数制的にやって、競争原理を導入すべきだという意見を、財界も政府運輸省に申し入れをしているということが昨日の新聞にも出ております。実はわが党内におきましても、複数制か単一制かということで意見一致しておりませんので、これは私の意見として申し上げますが、複数制ということになると私は問題点があるだろうと思うのです。こういう問題点を一体どう考えておるか。それは複数制をとるということになれば、御承知のように、通運料金というものは画一的にきめられますね。Aという店が扱ったから幾らで、Bというのは料金が違うというわけにはいきません。どこが扱っても同じ料金ということになります。そして複数制になれば当然、一社扱いがずっと分散されますから減ってきます。じゃ、その料金のコストを計算する場合には能率の悪いほう、あるいは規模の利益を受けていない小さいほう、こういうもののコストを中心料金がきまる、こういう可能性がある。そうすると、大企業のほうが、カルテルと同じで、最低の線が、経営をしてそれに一割のプラスをする、それが適正利潤だということになると、大きいところはうんともうかる、こういうことにもなるのですね。そこでそういう料金のきめ方から考えますと、複数制というのは輸送コストを上げるおそれがあると思うのです。しかし日通式な大きな企業をそのまま強化して単一的な方向に持っていく現状も、私はこれまた改革をしなければならない。結局単一制をとって、そしてその上にこれは特殊法人化して、そして社会的な監視機構を強化する、こういうことのほうが私は妥当じゃないかなという感じがする。この複数制が日通を現状のままでなくて特殊法人化して、そして不正経理、かってなことができないような社会的監視機構をその中に加えていく、こういうことといずれがいいのか、この点について大臣の所見を承っておきたいと思います。
  95. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は自由経済論者でありまして、競争原理を伴った自由企業体制ができるだけ拡充するほうがいいと思っております。したがいまして、日通の取り扱いの問題にいたしましても、法的統制といいますか、経済統制的な要素を国家権力をもって拡充していくということはあまり好ましくないと考えておるのです。ですから先ほど御答弁申し上げた中にも、日通はやはり自由企業体として独自の自由経済法則に基づいてやらせるほうが能率的であり、いいだろうと思います。ただ、日通が悪くなったのは独占状態にあったために悪くなったので、ここで競争させて自由企業として、更生させるというほうが、長い目で見て国民の福祉に沿うゆえんだ、そういうふうに考えております。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 一長一短あって、私のほうもまだそれに対する確定的な見解が出ないのですが、確かに大臣の言われるように、競争原理を導入して、それによりサービスと料金の低下なり、そういう競争によっての利益を受けさせよう、これも一つの見解です。ただ大臣、それは一般的原則であって、日通とか国鉄とか、こういう特殊企業には多少その例外的な条件があることも念頭に置いてください。これは押しつけるわけじゃないのですが、たとえば戦後、御承知のように集中排除法が適用されまして、そうして戦時中巨大な企業が、あるいは戦時中合併した企業が分散をされた。たとえば電力会社が九電力になり、あるいは日本製鉄が八幡と富士に二つに分かれました。そのときに、日通は分離されなかったのですね。それはやはりそれだけの——なるほどこういう通運業というのは画一的統一性もあるということもあったかと思うのです。だから、そのときに分離しなかった状態ですから、一般的な競争原理というだけではなかなかむずかしいものがあるかと思います。しかしこれはわれわれの見解ですから、大臣の見解を承っておくことにいたします。  われわれのほうとすれば、通運業法の中に特殊法人日本通運株式会社という一章を設けて、この中に所要の社会的規制を加える、こういう方式をとったらどうかな、こういうふうな感じがしておるのですが、そうした私見を述べて、この問題は時間がありませんから、きょうはこれで終わりたいと思います。
  97. 大野市郎

    大野委員長 次回は来たる五月七日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会