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1968-03-22 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十二日(金曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 山村新治郎君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅波  茂君       中川 一郎君    西村 英一君       福家 俊一君    水野  清君       井上  泉君    板川 正吾君       唐橋  東君    内藤 良平君       渡辺 芳男君    沖本 泰幸君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         日本国有鉄道常         務理事     林  武次君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 三月二十一日  委員松本忠助辞任につき、その補欠として広  沢直樹君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員渡辺芳男君及び広沢直樹辞任につき、そ  の補欠として唐橋東君及び松本忠助君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員唐橋東辞任につき、その補欠として渡辺  芳男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十一日  国鉄川之江阿波池田線早期着工に関する陳  情書  (第一三五号)  国鉄線路等高架化促進に関する陳情書  (第一三六号)  南九州地域鉄道輸送力増強に関する陳情書  (第一三七号)  国鉄安全輸送に関する陳情書  (第一三八号)  鹿児島交通南薩線国有鉄道移管に関する陳情  書  (第一三九号)  国鉄定期運賃値上げ反対に関する陳情書  (第二〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  日本国有鉄道経営に関する件(定期旅客運賃  改定に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。唐橋東君。
  3. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、私は会津線只見川口間の冬季間の輸送問題についてお伺いしたいわけでございますが、この問題は先日の災害対策特別委員会並びに昨日の災害対策特別委員会懇談会において、おおよその論議が出ておるのでございますけれども、特に現在ストップになっておりますこの種の問題でございますので、さらに国鉄当局にお伺いしたいと思うわけでございます。  御承知のように、只見地区における降雪は、二月末日までで十七メートルをこし、積雪量は三メートル六十を記録して、現在もまだ只見線交通ストップをしておる状態なんでございます。したがって、そこの国道線、これもまたストップしておる。こういうような状態でございますので、あの地区は全く孤立状態になっておるということは御承知のとおりでございますが、これらに対して、この前災害対策特別委員会でいろいろとそれに対する対策等もお聞きしておるのでございますが、時間の関係で非常に一般論に終わっておりまして、したがって多少具体的にお伺いしたいわけでございます。  その第一は、いまなだれ危険性があるので、川口只見間はストップしておる、こういうことでございますが、あの間おおよそ三十キロの間でございますけれども、そのなだれが全面的に危険だ、こういうわけではないわけでございまして、年々のことでございますから、なだれ実態調査とかそれに対する対策基本、こういうようなものは、当局におきまして当然いままでの統計やあるいはそのなだれ実態等によって調査されておると、こういうように思うのでございますが、あの地区におけるなだれ実態をどのようにつかんでおるのか、このことをまずお伺いしたいわけでございます。
  4. 仁杉巌

    仁杉説明員 会津線只見川口間のなだれにつきましては、大体十二月、一月、二月、三月というふうなときに起こるわけでございますが、いままでの統計から見ますと、二月、三月に非常に多く起こっておりまして、三十九年の豪雪のときには大体六十回余り起こっております。その後四十年、四十一年はやや少なくて四十五回、十六回という程度でございますが、四十二年度つまり今年度、四十三年の三月まででございますが、その間において、すでになだれ発生回数は八十五回というような、いままでに例を見ないほどのかなりの回数が起こっております。積雪も、只見におきます最大積雪量が三十九年のときは三メートル四十であったものが、今度は二月四日に五メートル三十に達するというようなことで、やはりことしのあの付近の雪は相当多い。また、なだれ発生回数も非常に多いというような実情でございます。
  5. 唐橋東

    唐橋委員 回数は一応そのとおりだと思います。しかし、なだれ発生というものは回数だけでなく、個所が一番問題だと思うのですが、個所はどのようにつかんでおりますか。
  6. 仁杉巌

    仁杉説明員 個所ということになりますと、私のほうも現在はっきりしたものをつかんでおりませんが、いままでなだれをとめる対策といたしまして、なだれおおいであるとか、あるいはなだれをとめるさくであるとか、あるいはなだれめ階段であるとか、防雪林それから雪庇の防止さく、あるいは起こってまいりましたときのなだれの、線路の上をおおいます雪おおいというようなものにつきまして、現在五十ヵ所——大体やらなければならないと思われているところは百ヵ所程度ございますが、先生も御承知のとおり三十入、九年ごろから逐次増強をいたしまして、現在大体半分程度のところができまして、あと半分がまだ工事がされていないということで、そういう意味から申しますと、いままでのなだれ発生個所の半分は一応対策ができた、しかしまだ半分が残っておるというような状況でございます。
  7. 唐橋東

    唐橋委員 これは地元の、いわば長年そこに住みついております人たちの現場のことばでございますので、一応科学的なものかどうかという議論はあると思いますが、現在なだれの危険のためにストップしているという、そういう問題に直面している場合に、数ヵ所その対策を立ててもらう、いわば、あとでも申しますが、施設等は別といたしまして、数ヵ所最も危険な個所手入れさえしてもらえば速急に汽車は通せるのじゃないか、こういうようなこともはっきり地元人たちは申しており、そういう点についてはもう地元人たちが連日あなたたちのところにも陳情に来ておると思うのですが、そういう点でこの数ヵ所といわれる場所除雪人夫で頭の上を切る、こういうことをしさえすればもう通るのじゃないか、こういうような点もいわれておるのですが、当面この問題に対して、いま私が申し上げましたような、最も危険な個所調査して、そしてそれに対する対策を立てて一日でも早く開通する、運休を取りやめる、こういう対策はとられているのですか。それとも自然にそういう危険の多い場所がなくなるまで、やはり時期的に待っておるという、こういう状態なのですか。ここが一番地元としてはお聞きしたい要点だ、こういうようにも考えますのでお伺いしたいわけでございます。
  8. 仁杉巌

    仁杉説明員 この議論先生も御承知のとおり、もう三十九年、四十年、四十一年と毎年ございますが、そのたびに地元の方はあそことあそこを取ればいいんじゃないかというふうなお説がございます。それで、そのつど私ども現地指示をいたしまして、地元の方のお話もよく伺って、できるだけその実態を把握して除雪をするようにという指示をいたしております。しかし、やはり仙台管理局長というような責任の立場に立ちますと、地元の方が考えられるより以上に安全をとる。これはたくさんの方の生命を預かるわけでございますからやむを得ないと思いますが、そういう態度に出まして、毎年地元の方と管理局側との間に意見の相違が出てまいります。ことしも、先生お話のような事態があるようでございます。それで、実はことしは豪雪でございますので、なかなか上のほうの雪庇を取ることがむずかしい。人力でも危険であるというようなことで、実は自衛隊お願いをいたしまして、迫撃砲で落としていただく、こういうことはアメリカあたりでもございますし、日本でも例がございますので、そういうお願いもいたしましたが、不発弾等が出る可能性もあるというようなことで、まだそこまで自衛隊との話が進んでいないようでございます。そういうようなことでいろいろ努力をいたしておりまして、仙台管理局長は、現地におきまして、大体四月一ぱいとめたいというような話をしたようでございます。しかし、その後私ども実態を見まして、地元の方も非常にお困りになっておる、そういう段階において四月一ぱいというのはちょっと長過ぎるのではないかということで、現地指示をいたしまして、現地の方々の御意見も伺いながら、作業に危険でない限り、できるだけの力を注ぐというような方法を講じまして、できるならば中旬以降、なるべく早く開通するようにというふうに本社から督励をいたし、なお、必要があれば本社からも人を派遣いたし、まして、管理局とよく打ち合わせをして、一日も早く開通するようにつとめるつもりでおります。
  9. 唐橋東

    唐橋委員 一応当面の対策としての基本的な方針をお伺いしているわけなんですが、四月一ぱい輸送がとまる、こういうことになれば、あの地区孤立化ということはものすごい問題だと思うのです。御承知のように、先ほど申し上げましたあの国道そのものは、やはり鉄道路線よりももっと除雪が困難でございます。いま市町村あるいは県が総力をあげて国道除雪に当たっておりますけれども、これもなかなか思うようにいかない。やはりたよるものは汽車以外にない。こういうときに、いま私が申し上げましたような、一日でも早くこの最も危険な個所をまず手入れをして、そうして通していく、こういうことがあの孤立化を救援する最大のものでなければならない、こんなことでありますので、いままでもおやりになっておるとは思いますけれども、少なくとも四月一ぱいあそこを孤立化するというようなことのないように、ひとつ特段の御協力お願いしなければならない、こういうように考えておるわけでございます。  第二の質問に入りますが、前の質問のときにも、あの地域なだれを防止する施設として、今後一億三千万程度予算があればなだれ防止の一応の設備はできます、こういうことでございますが、この一億三千万の予算というものを年次的に二年、三年かかっていくということであれば、来年もことしと同じような豪雪があるというような予想も、これは年々そういう豪雪があるかどうかということはいろいろ議論がありますが、心理的にはそういうことも考えられるわけでございます。そうすれば、この一億三千万のなだれ防止施設というものを、年次計画としてもっと切り上げていけないものだろうか、これが一つ大きな要求になっておるわけでございますが、それに対する御意見をお伺いしたいわけです。
  10. 仁杉巌

    仁杉説明員 先生のお説のごとく、総額で二億五千万くらい、現在まで三十九年、四十年、四十一年、四十二年というふうにやってまいりましたが、この金が大体一億二千万くらいでございますので、残りが一億二千万、約半分ということになります。大体いままでの例を申し上げますと、多いところで五千万、少ないときで二千五百万程度の金で工事を進めておるわけでございます。これを一ぺんにやれないかというようなお話でございますが、現在の雪害状態を申し上げますと、大体総額において雪害で二百七十億くらい一いろいろやっておりますが、そのうち現在まで資金の事情がいろいろございまして、第三次計画の約二百七十億の金の中で、大体四分の一程度完遂率になっております。ところが会津線のほうは、いろいろ地元で御不満はあるかもしれませんが、大体半分程度は現在進んできたというようなことでございまして、進捗率といたしますと必ずしも悪くはないというふうに考えてはおりますが、運休をするというような特別な事態もございますので、これをこのまままいりますと、三次計画の中では完全にできる、大体四千万円くらいかけまして、あと三年くらいでやりたいと考えております。それをできるだけ繰り上げる方向で検討をするということでございますが、何せ国鉄財政事情もございますので、全般的にあっちもこっちも雪害対策をいたさなければなりませんので、ここだけに集中するわけにまいらないかとも思いますが、できるだけ金を集中的に使うように努力をいたすつもりでおります。
  11. 唐橋東

    唐橋委員 国鉄財政事情というような点が出ておるわけでございますが、その点については私も了承いたします。しかし、いまのような状態になっておりますのは飯山線の会津線ではないのか。こういうことになってまいりますと、やはりこれは、あと総裁にもお伺いしたいのですが、先ほど申しましたように、あの地域生命線なんです。この生命線ということは、全く国鉄以外にたよるものがない、こういうのがあの地域実態でございますので、国鉄がいまいろいろ危険防止やその他に御協力をいただいておるということはわかりますが、特殊な路線といたしまして、これはやはり確保していただいて、そして全く重点的なものとして取り上げていただく、これ以外に一般論では解決できないのではないか、こう思いますので、この会津線除雪設備に対しては、年次計画を繰り上げ、あの地域に住む人たち生命線をひとつ確保していただくということに対する、総裁の大きな御決断をお願いしたいと思うのでございますが、これに対して総裁の御意見をひとつお伺いしたいわけでございます。
  12. 石田禮助

    石田説明員 唐橋さんの仰せられることはよくわかります。ひとつ御趣意を体しまして、それに沿い得るようにできるだけ検討いたしたいと思います。
  13. 唐橋東

    唐橋委員 それからもう一つ施設の部面と同時に、あの地域実態を申し上げますと、会津川口只見間二十七・六キロ、その間に六つの駅がございますが、全部無人駅でございます。人のいない駅なんです。そしてちょうど中間会津横田駅に交換駅を設け、そこに少なくとも二人、三人の駅員を置いておくことが大切でないのか。それがやはり冬季間の交通確保というような、あらゆる路線の監視やその他も兼ねてできるのではないか、こういうような質問を先回申し上げましたところ、輸送力等の問題であって、この冬季間の交通とはあまり関係ないんだ、こういうような御答弁をいただいておるわけでございますが、しかし私の見るところによりましては、実はそれが非常に企業的な考え方であって、あの六つ無人駅の中間に、少なくとも交換駅を置けば——いまここに私、時刻表を持っておりますが、川口駅で四十分も待っておるわけです。そして只見川口の間では、向こうが発車したときには、中間は全部無人駅ですから、川口に来ないうちは発車できないのです。それが全く輸送のおくれを来たしております。輸送能力があがらないということは、今度は冬季間でなくとも、貨物にしても人員にしても、それならばバスにたよったほうがいいんだ、貨物列車よりはトラックのほうが早いんだということは、非常にあの間における輸送の時間の問題が基本になっております。ですから輸送の率といいますか、少ないんだということは、実は、そういう約三十キロにわたる間全く交換駅がないという、そのための時間的なロスが非常に大きく響いているんだということをひとつ御認識いただいて、こういう意味からもあの中間にひとつ交換駅を設けることが輸送力を増大していく基本になるのではないか、こういうふうに考えますが、あの無人六つの中にいま申しましたような交換駅が設けられないものか、これをひとつお伺いしたいわけでございます。
  14. 今村義夫

    今村説明員 ただいま先生お話しのとおり、現在は無人駅ばかりでございますが、輸送力の問題からいきますと確かに先生おっしゃるように、行き違い設備があればそれは輸送力はふえますけれども、現在の輸送人員を、利用者の数を見てみますと、必ずしも行き違いの設備をせなければならぬというほどのものではございませんし、各駅の乗降の人員を見ましても、いまむしろこの程度利用人員の駅では現在はそれを無人化する。ほかの地区ではむしろその程度の駅なら、現在駅員が配置してあるところでも無人化したいということで、実はこれは国鉄全体の要員事情もございますけれども合理化の線で進めておるような現状でございます。したがいまして、この程度の駅を有人化するということは、いまの国鉄現状では非常に困難ではないかというふうに考えております。
  15. 唐橋東

    唐橋委員 いまの御答弁、私たち地元としては非常に理解に苦しんでいるわけです。一つ一つの駅を見てみますと、これは確かに乗客の数、そういうものはあるだろう。しかし、六つが連続無人なんですよ。ここに一つの特色があるのです。したがって、いま申し上げましたように、あの国鉄ダイヤ会津若松を発車して、そして川口に来た。川口から只見に行くのに、ここで四十分も待っておる。こういうダイヤがございますか。こういう点が輸送力増強しない一つの原因であります。  もう一つ、今度この三月の二十日からですか改正になった時間割りは、地元として非常に問題になってきているのです。その実情を申し上げますと、現在会津坂下発五時の列車があるのですが、それが急行になりました。これは非常に地元としては喜んでおりますが、実はこの五時発車のものは通勤列車だ。その通勤列車が七時四分坂下発になりました。十九時四分ですね。そうしますと、あの坂下の駅というのは、いま申しました地域会津平野に出た場合のいわば学校のある地域なんです。それで学生はいままでこれで通っていたものが、今度は七時まで待っていなければならぬ。その前の列車はどうかというと四時三十四分が、会津若松を十五時五十三分に出て、十六時三十四分でこれは坂下どまりなんです。十六時三十四分から十九時四分まで、今度は向こうに行くのは普通短距離人たちはないんだということなんです。こういう時間改正の中で輸送力が減ってくる、こういう問題が出てきておるわけです。急行が入ることはほんとうにありがたいんです。ありがたいんですが、あの駅の必要性というものは御承知のように、あの短区間輸送こそが輸送力増大のポイントになると思う。にもかかわらずこういうような時間改正なので、いま学生は、もうこの改正になれば、来年はこのままでいけば下宿している者が一つ学校で五十人は出てくる。急行で通うわけにいきませんので、坂下に下宿しなければならない生徒が出てくる。こういうように具体的問題がやはり出てきておるのです。そういうところに国鉄の非常な机上プランがあるのじゃないか。だから地元要求といたしましては、この会津坂下ストップの十六時三十四分をそのまま川口駅まで延ばしてもらえば、いまの問題は解決する。学生や勤め人の通勤列車になるのです。通勤列車になるものがストップしておる。そうして、繰り返すようですが、七時まで待っていなければならない。こういうダイヤ編成の中で輸送力増強というものはあり得ないということ。これは単線でございますから、いま私が申し上げました十六時三十四分どまりを多少、学校やその他の場合にはそこを五時にしていただいて、そうしてそのまま川口まで行っていただいても、決してその先の急行とは関係がないんですよ。過密過疎ということばがございますが、過疎地域ダイヤ編成などは、地元通勤体制を確保してやるという、こういう条件の中に編成していただきたい。こういう点もあるわけです。ひとつ御答弁願いたい。
  16. 今村義夫

    今村説明員 いまの十六時半の坂下どまりのものを川口まで延ばせというお話でございますが、おそらくこれは十七時半くらいに坂下を出て若松のほうに向かう列車に折り返しておるので、したがってこれはそのまま車を、先生のおっしゃるように川口方面に対する通学輸送対策として延ばせというお話はよくわかりますけれども、これをやりますためには、おそらく車が要るのじゃないか。したがってそういった車の状況なり、これがうまくいまの車の配置で運用がきくかどうか、その辺のところを十分検討いたしまして、この次の機会に実現するように検討させていただきたい。かように思います。
  17. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、そういうこまかい点は省略いたしまして、私の申し上げますのは、どうしても実情として中間六つ無人だ、こういうような状態の中の中間駅は少なくとも交換駅だというような状態が、輸送力増強基本になるのじゃないか、こういうことでございますので、この点は地元からあなたたちも再三陳情を受けておると思います。この横田駅の有人化とでも申しますか、そういうような点については、来年度の降雪期間を迎えるまで、先ほどの答弁では有人化はあまりないのだというような答弁でございますので、全体計画の中からもう一度、本年の雪の降る前にこの有人化に対する、交換駅に対する再検討お願いしたいと思うのですが、これに対してはどうでしょうか。
  18. 今村義夫

    今村説明員 全体の感じから申し上げますと、先ほど申し上げたとおりで、国鉄もできるだけ要員を切り詰めてやっていかなければならぬ状態でございますので、非常に困難だとは思いますけれども先生おっしゃるように、六駅が無人であるということと、積雪地帯ということでございますし、これは将来只見線が奥のほうと全通いたしますれば、また情勢も変わってくるかと思いますので、その辺のところをよくにらみ合わせながら、一ぺん検討さしていただきたいと思います。
  19. 唐橋東

    唐橋委員 それからもう二つだけお聞きしたいのですが、一つは、これは御検討願いたいと思うのですが、バス国鉄との連絡体制ができていないということです。といいますのは、先ほど申しましたように、なだれが非常に危険だ、こういう場所までは汽車が行ける、こちらも行ける、そうすれば、この間はやはり国道バスを通していくという、こういうような対策も、やはり雪の降る前あるいは雪が今度消える期間、しかもその前後一ヵ月間です。こういうバス路線鉄道路線の有機的な問題が解決されていないのです。ここをひとつ十分御検討願いたい。いまバス路線除雪は非常に力をあげてやっていますが、いまのようなバス路線鉄道路線の総合的な関連の中で、この区間はともかくバス除雪はできる、この区間鉄道が通せる、こういうことになれば、冬季間の輸送というものはほんとうに確保できる状態があるのです。それがバス路線バス路線鉄道路線鉄道路線と、独立でございますので、この点については十分なる御検討を願いたいのですが、この点について御答弁願います。
  20. 今村義夫

    今村説明員 お話のように、こういう積雪地帯におきまして、利用できる機関を総合して輸送力をつげる、そして地元利用者の皆様の利便をはかるということは、当然やらなければならないことだと思います。ただおそらく、バス会社バス会社だけを見る、国鉄国鉄だけを見るというのが、いまの実情だろうと思いますけれども、その点は国鉄のほうから、そのバス会社にも協調するようにひとつ働きかけて、そういうことが可能でありますれば、ぜひそういうかっこうに持っていくことは、これは当然国鉄としてもやるべきことだろうと思いますので、そういう方向で指導いたします。
  21. 唐橋東

    唐橋委員 いまの点はできるだけ早急に、いまからでも現地指示をいたしまして、そして有機的な関連の中における交通確保、この点は早急にはかっていただきたい。また、今後の問題として十分御検討願いたいといろ要望をつけておきます。  最後に総裁にお伺いしたいのは、野岩羽線の問題なんです。野岩羽線といろと、総裁は野岩羽線じゃない野岩線だ、こういうようにおっしゃるかとも存じますが、宇都宮−会津若松−米沢、この路線が、宇都宮−会津若松間は建設線になりました。しかし会津若松から米沢まで、これが非常に長い間の問題でございまして、まだ調査線が出ていないのです。しかし時間がありませんから申しませんが、総裁、ひとつ十分御検討願いたいのは、会津の中には会津若松市に喜多方市があります。これが平地の市なんです。喜多方市と米沢市は隣接なんです。山形県と福島県で非常に遠いようにお考えになられているかと思いますが、実はあの喜多方市と米沢市両市は隣接なんです。しかも、こんなことはちょっと古い話になりますが、会津侯が米沢に行ったというような関係で、昔は非常に文化的に交通がよけいで、むしろ新潟や郡山よりは深い関係があったわけです。いまでもあの裏磐梯から米沢に出る道路もあるのですが、この路線、いわゆる若松−米沢間というものが非常におくれてきておりますために、長い間地元の要望としてこの線の開通を望んでいるのですが、これがあの中羽地帯の縦貫道路として非常に重要な意味を持つ。こういうのが野岩であり、そこに羽をつけていく、羽がついてはじめて通るということになるわけですが、ひとつこの野岩羽線の問題の中で、米沢−会津若松間を十分御検討を願い、いま私がいろいろ申し上げる資料等もございますが、これに対して十分なる御検討を切にお願い申し上げるわけでございますが、ひとつ総裁の御意見をお伺いしたいわけです。
  22. 石田禮助

    石田説明員 ただいまの若松−米沢の問題は、実は新線建設のほうだと思うのでございまして、運輸省のほうから答弁をいたすべきかと思います。
  23. 増川遼三

    ○増川政府委員 ただいまお説の野岩羽線に関しまして、喜多方から米沢に至る間につきましては、現在なお予定線でございますことは御承知のとおりでございます。これにつきましてはその地域地域開発という意味と、奥羽線の代行という意味合いもございますし、これについてはわれわれも慎重に検討させていただいております。鉄道建設審議会の議を経て決定すべきものでございますが、この線の重要度を十分認識いたしておりますので、いずれ建設審議会の開催せられます機会に十分御説明申し上げまして、工事線の答申を得ました上で取り運びたいと存じます。
  24. 唐橋東

    唐橋委員 審議会にはしばしば、いろいろ意見も出ておると思いますが、やはり全国的に見てなかなかこの種の問題が浮き上がってこないというのが地元一つの要望でございますので、特にこれは審議会等に対して私たち意見も十分伝えますが、やはり当局としてもさらに十分なる御検討お願いしたい。要望をつけまして質問を終わります。
  25. 大野市郎

  26. 野間千代三

    ○野間委員 国鉄の問題で若干質問をいたします。  初めに、定期の値上げの問題です。最初に総裁お願いをいたしますが、国鉄は法定上では五割まではまけなければならぬ。それ以外は、これは国鉄の責任ではない。したがって五割までの間は上げることができる、こういう主張がだいぶ長く行なわれております。計算をしてまいりますと、国鉄が上げられる、つまり大臣の認可の範囲で上げられる金額が、通勤の場合に大体三百八十三億くらいではなかったかというふうに思います。その中で今回二百五十三億五千万円上げるわけですね。通勤割引で二百五十三億五千万円上げるというふうになるわけで、残りは百二、三十億しか残っていない。あとはその程度しか残っていない。したがって、これは私は常に主張するのですが、つまり三百八十億くらいしか残っていないという分は、これは当然政府の政策的な、つまり通勤輸送という、通勤者にとってはやや公共性がある、国鉄にとってもやや公共的な負担というふうに言えると思うのですね。そのうちの、残っておった分の三分の二くらいの二百五十三億五千万円を今回上げてしまうということになると、あと残りはいま言ったように百三十億しかない。そうすると、もはやこれは百三十億というぎりぎりの限界であって、もうこれは上げる余地がないくらいの金額じゃないかというふうに思うのであります。通学のほうは、今回四十五億六千万円ですか、これは割引率が相当高いので、残額はだいぶ、三百億か四百億ありそうだけれども、これは通学者の置かれている経済的な位置からすると、もちろんそう上げられない。したがって、もはや今回の値上げの場合でもすでに限界に到達をしておる範囲の中で値上げをするようになっておるのじゃなかろうか。したがって、この前新聞で発表のあった物価安定推進会議あるいはその他で、今回の国鉄の通勤通学定期の値上げというのは、国鉄としてすべき問題ではなくて、他に財源を求めて、通勤定期、通学定期の値上げを抑制をしておく。もちろん抑制をする以上は、いまの国鉄の財政がきわめて緊迫をしておることは明らかなので、それをどうするかという問題にむしろ問題を発展をさせるべきだと思うのですね。そういう考えを押していくべきではないかというふうに思っておるのでありますが、とりあえず総裁の見解を承りたい。
  27. 石田禮助

    石田説明員 このたびの定期割引の是正の問題でありまするが、定期と定期外との関係ですが、輸送量を示す人キロを土台にいたしますと、定期のほうが四五%、定期外は五五%、これはつまり輸送量の比較でありまするが、それに対して国鉄の収入というのは、定期の四五%に対して収入としてはわずかに一三%。それから定期外のほうは五五%の輸送量に対して八七%、要するに輸送量に比べ、収入の割り合いというものを見ると、定期客というものは定期外の客の負担において安い運賃で乗っておる。こういうことに見て私は差しつかえないのじゃないかと思う。そういうことで、いわゆる利用者負担という原則に基づいて、これは是正して差しつかえないのじゃないか。さらに国鉄運賃法には、御承知のとおり、五〇%までは割り引きしろとありまして、それ以上のものは全く国の政策の問題、結局国の政策というものを国鉄の犠牲においてやっておるのが五〇%以上の割引だ、こういうふうに考える。  それで、いま野間さんがおっしゃった、国に補助をさせたらどうか、こういうことなんですが、国が補助してくれるということは、私は確かに理屈があると思います。しかし、いまの国の財政の状態としては、とてもこれはむずかしい。しかも通勤のほうの割引の負担というものは、大部分が企業で負担している。私は企業には十分の負担力があると思います。私が工業クラブあたりへ行くというと、盛んに、国鉄はどうもけしからぬじゃないかと言われたが、いや、君らは一年間に五千億も六千億も交際費を使っているじゃないか、そのうちわずかを出せばいいじゃないかと言ったら、近ごろは何ら異議なしですね。(「総裁の交際費は幾らだ」と呼ぶ者あり)私は交際費はない。
  28. 大野市郎

    大野委員長 不規則発言には答えないでください。
  29. 石田禮助

    石田説明員 そういうことで、これは国に負担させるべきかどうかということは議論の余地があると思いますが、いまの大蔵省のふところぐあいを見ると、どうも国に対してこういうことを言っていくのは無理だ、しかも企業のほうには負担力が十分あるので、負担力があるほうに持っていった、こういうことであります。
  30. 野間千代三

    ○野間委員 これは総裁得意の負担論ですが、それは大企業が確かに交際費を五千億円も使っておる。しかもそれはほとんどが無税だ、税の減免までされておる。そういうものは確かにむだなんだ。だからそれで負担をしてくれるなら、ほかの方法で、法律の問題とか何かにしてそれで国鉄に入るのならいいのですよ。それを入れて、そのかわりに定期を上げないということなら総裁の負担論が成り立つと思うのですが、それはそういう理論を言ってもだめなんですね。それから、確かに大企業の中には通勤定期分を負担してくれるということはありますけれども、最近はやはりそれを人件費に逐次繰り入れておる。人件費の一部にされておる。それからいまは、職員の当然上がるべきベースが通勤定期の分だけ上がらないという作用になりつつある。今回の二百五十三億の分、この三七・三%上がる今度の分はほとんど企業が負担をしない。これは私が予算の分科会でも言ったとおり、ほとんどの会社が、担当大企業でも今回の分は個人に負担してもらうというふうに答えておる。大企業ですらそうですから、あとの中小企業あるいは個人事業、そういう方面の、つまり零細な低賃金の通勤者は全く本人が、いままでの分もこれからの分も負担をするのであります。今度の負担の増加というものは、たいへんな問題ですね。これはもう国鉄の皆さんのほうでも出しておるとおり、いま通勤の平均がたしか十六キロであったと思いますが、たとえば横須賀線で鎌倉から通うと千五百三十円も上がるのですね。いま通勤の時間は一時間をこえております。通勤距離が延びておる。そういう実態であります。私が通っておる川崎からでも五百八十円、一ヵ月の定期で上がります。一ヵ月に五百八十円、あるいは千五百三十円などという高額な通勤の負担の増加をしなければならぬということは、これは総裁、実は家計のほうから言ってもたいへんな問題なんです。この分まで大企業が払うということはないのです。したがって、中小企業あるいは零細企業などに働いている労働者は、通勤からくる負担分は非常にたいへんなんです。そうして毎年のベース改定でも、これからはそう簡単にはいかぬと思うのですね。しかも最近の経済の情勢というものは、私が申し上げるまでもなく、三井大財閥におられたからおわかりでしょうが、いまの景気の動向あるいは国際的な経済の動向、これが日本の経済に与える影響というものは無視できない。佐藤内閣はわりあい国会では簡単なことを答えておりますけれども、しかし実態は今年の四月以降あるいは後半からは経済の影響が非常に出てくる。したがって、もちろん大企業のほうでも負担をしないし、個人の負担は激しいものになってくるというふうに思うのです。したがって、そういう意味から言えば、今回の定期値上げというものは国民生活に与える影響が非常に大きい。しかも、それがまた物価にはね返ってくる影響も大きい。経済企画庁ですか、あるいは国鉄ですか、〇・〇八%しかないと言っている。これはしかし物価が全然変動のないときの計算であればいいのですが、いまのような物価が常に変動している、変動というより急上昇しているその中での国鉄の値上げというものが与える影響というのは、これは私は相当大きく影響してくるのじゃないかと思うのですね。これは、きょう運輸大臣がおられないのでたいへん残念ですけれども、まず私は国鉄総裁に申し上げたいのだが、五〇%までは企業の責任、国鉄の責任だ、それ以上はこれは明らかに国の政策でやっておるものであるから国が負担をすべきだという、いま総裁の言われた立論は、これは私は正しいと思う。したがって、もし国鉄のほうで定期運賃の値上げをしないで、利子補給であるとか、あるいは国鉄に対する政府の出資であるとかいう方面の政策を進めていって、最初からそういう方針でいったのならよかったのだけれども、今回の場合には総裁のほうではこの定期運賃の値上げも国鉄財政に対する一つの政策として出しておられるというところに、国民から見ると国鉄に対してたいへん信用を失うという結果になり、いまのような大きな問題に発展をしてきているのじゃないかと思うのですね。ですからこれは、作業もだいぶ進んでおるようでありますけれども、やはり国鉄運賃の値上げはしないで——確かに国の財政は硬直化だといわれている。しかし硬直化という問題は、これはいろいろ分析をすれば、国鉄の財政に対し、あるいは国民の足である国鉄の経済危機を打開する方策をとるのに、どれほどの金が必要なのか。いま定期だけで二百五十三億、国鉄にとっては二百五十三億は大きいけれども、国全体から見ればそう大きいものではない、私は捻出できないものではないと思うのですね。そういう方向で国鉄が押していくべきではなかったのかと思うのですが、いかがでしょう。
  31. 石田禮助

    石田説明員 御承知のとおり国鉄の財政というものは、最近においては競争が非常に激しくなってきたために、収入のほうは増はありますが、そのペースはきわめて弱い。一方経費というものは遠慮会釈なく上がっていくということで、国鉄の収支からいくと、どうしたって運賃を上げなければならないようなときに来ている。それで、ことに通勤輸送力の増ということになりますと七、八千億今度第三次計画において国鉄は投資することになっている。これは金ばかりかかって収入が非常に少ない。したがってこういうものを借金でやることによって、国鉄というものは元利の支払いのためににっちもさっちも行かなくなってくる。どこからかやはり利子のつかない金を持ってこなければならぬ。そこでさっき申したような通勤定期と定期外との収入、輸送量はきわめてアンバランスだ、ここに是正を求めるということが一つ。さらにさっき申したような、通勤の割引につきましては、これは大部分は企業の負担になっている。企業の負担になれば、これは全部企業が負担するわけじゃない、結局はそれは経費になって利益が減る。利益が減れば、それだけ法人税が減る。結局法人と大蔵省とのフィフティ・フィフティの問題になってくる。法人税が五割とすれば、これは野間さんの言うようにあまり企業に同情する価値は私はないと思うのですよ。  それからもう一つ私が申したいことは、通勤代は大部分企業の負担であって、中小企業、さらに個人が負担する場合においては、これは個人に対して非常に気の毒な場合があるのですが、これはどうも忍んでもらわなければいかぬ。とにかく昭和二十四年に国鉄が公共企業体になってから、公共負担というもので昭和四十二年までに国のために御奉公した金が一兆二百億ある。結局、国はそれだけの荷物を国鉄にしょわしてきた。私はそれでごかんべん願うことはできぬかと言うのです。これはきりがないですよ。ことに国鉄のいまのプラスマイナスの情勢というものは、以前とはまるで違っている。国鉄輸送の独占力に大きいひびが入っている。これは新しい頭であなた方にも見てもらわにゃいかぬ。いままでのような安い運賃をしじゅう国鉄に押しつけて、しかも公共負担というようなお荷物をしょわせるというようなことは、めしも食わせないでやせこけた子供におやじがおんぶしているようなかっこうで、おもしろくないですね。これは政府なり国会は、子供を愛してくれる愛の精神を発揮してもらいたいと思う。ということで、国鉄の情勢からいえば一番抵抗の少ないのは通勤輸送の割引の問題じゃないか。全然抵抗がないとは言いませんけれども、一番軽いのじゃないか、こういうことで今度国鉄としてはこれに踏み切った次第であります。これをやらなかったら、結局国鉄は、通勤輸送の改善なんていうものは独立採算をやっている以上できはしませんよ。結局これだけの御迷惑はかかるけれども、  一方において通勤輸送の改善を考えれば、いずれにウエートを置くかという問題で、私の結論からいけば、ひとつ涙をのんで御負担をお願いしても通勤輸送の改善というものはやるべきじゃないか。いまのような交通地獄を継続するなんというのは人道問題だということで踏み切った次第でありまして、決して百点じゃありませんけれども、私は及第点にはなると思う。
  32. 野間千代三

    ○野間委員 国鉄を愛するというか、国鉄を何とかしなければならぬということには、ぼくらも運輸委員会に所属をしている以上変わりはないのですよ。しかも、国鉄が国の経済なり国民生活に与えているいい影響は至大なものですからね。したがって国鉄を何とかしてりっぱな国鉄にしたいとは考えておるのですが、いま総裁が言われたことは、そういう意味からいけば国会なりあるいは国のほうで——私は総裁が言われている中で、国鉄が持っている性格からすれば、国民の生活の中で家計の中に占める割合に一定限度があって、国民生活に日常えらい影響を与えないということ、これは国鉄の運賃が持っているある一定の限界じゃないかと思うのです。これはやむを得ない。したがってそれ以上のものは通勤にしろ一般の運賃にしろ国なりで補助をする、これがいま西ドイツあるいはイギリスやフランスで、政府と国鉄の間に双務協定を結んでやりとりをしているという問題です。日本では合理化合理化といいながら、そういう方面の合理化が行なわれていないところに、いま総裁が声を大にされる原因もあるのだろうと思う。  そこで基本的にはそういう意味で今後の国鉄を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるのですが、そういう政策を実現する手段の一つとして定期客という抵抗の少ない——というのは、わりあいに文句を言わないとかいう意味での抵抗が少ないととりたいのだけれども、そういう方面にしわを寄せてはまずいと思うのです。  そこで、同じ問答を繰り返しておってもしかたがないが、国鉄の問題は基本的には運賃に問題がある。その運賃の額にはある一定の、国鉄の性格上からくる限界がある。それ以上基本的に国鉄の財政をどうするか。ただ単なる独立採算制だけではいけないということは、私もそう思います。したがって、国鉄のあり方の基本の柱をどう立てるかは、これからの問題として大いに中曽根運輸大臣もだいぶ意欲的に取り組もうとされておるようですから、われわれもその方向に基づいて、再びこういう無理な運賃値上げなどが行なわれないような方向で国鉄が再建できるように努力をしたいと思うのです。  それで、いま総裁が個人の負担にお願いをしておるというふうに言われておるのですが、一応基本的な論争については以上できょうは終わっておきますが、この前の私の質問に対して、今度の通勤、通学の料金改定、運賃値上げの際にこれこれは据え置きたい、これこれは新料金から割り引きをしておきたい、それから一時問題になった通勤証明書はこうしたいんだというようなことがだいぶ煮詰まってきておると思うので、この際、正確にこれこれ、これこれですというふうに述べていただいて、そのために減収がどのくらいになるか、一回きちっとしてくれませんか。これは運輸省のほうですね。
  33. 増川遼三

    ○増川政府委員 定期運賃改定に際しましては、当局としては運輸審議会にも現在諮問をいたしておりまして、近くその結論を得た上で答申がいただけるものと考えておりますが、その際にも社会保障的な特別措置につきまして議論の内容を盛り込んでいただけるものと考えております。それに基づきまして、当局といたしましては特別措置を加えて認可をするというふうに考えておるのであります。  その内容といたしましては、生活保護世帯、それから母子福祉年金受領世帯及び児童扶養手当受領世帯におきまして通勤定期を購入する場合におきまして、一世帯一人につきまして割り引き率を現行のまま据え置くことといたします。また学生の通学につきましては、義務教育期間中にあります小中学生につきましては、これを従来どおりの据え置きをいたします。それから高校生及び職業訓練生につきましては、改定後の学生定期運賃、通学運賃の一割引きというふうにいたします。よってもって各家庭の負担増を緩和したい、こういうふうに考えておるわけでございます。これに基づきましては、試算によりますと大体二十億ないし二十五億程度の期待額が減少するのではないかというふうに考えられます。  それから通勤証明書の件でございますが、定期券の不正使用を防止する目的で国鉄におきまして検討されたのでございますが、旅客サービス上の観点からその実施を見合わすようにということで、大臣から国鉄に対しまして指示がなされたわけでございます。大体国鉄のほうにおきましては、そのような復活を取りやめるという方向で措置を考えておられるようでございますが、これに対しまして、不正使用の防止につきましては旅客サービスの点を考えながら適切な方法を検討して実施に移していただく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 野間千代三

    ○野間委員 生活保護世帯その他、その人たちのあれは、一世帯で通勤一人ですか。たとえば二人も三人も通勤をしておることがあり得る場合に、いまの答弁では一人という意味ですか。
  35. 増川遼三

    ○増川政府委員 一世帯一人ということにしております。
  36. 野間千代三

    ○野間委員 そうすると、たとえば三人おる場合に、その中の一人だけが据え置きになって、あとの二人は改定でいくということになるわけですね。そうすると、その一人を選ぶのはどういうふうに選ぶのですか。
  37. 増川遼三

    ○増川政府委員 生活保護世帯とか母子福祉年金受領世帯あるいは児童扶養手当受領世帯と申しますのは、実態を拝見いたしますると、そういう世帯で通勤をしておるという方は大体一人ということになっておりまして、数人おりますると、一世帯の収入というものがそれだけふえますので、こういう世帯に該当しなくなるというのが実態でございますので、一世帯一人ということで差しつかえないと考えております。
  38. 野間千代三

    ○野間委員 生活保護世帯の場合には確かにそうだと思うのですが、児童扶養手当をもらっているところとかいうところなどは、一人というふうに限定できないんじゃなかろうかというふうに思うのですが、数の問題は別にして、まあ三名はおらぬでしょうが、もし二名くらいおって、まだそれほど大きくない、つまり給料がそう多くない人が、一人くらいはおるんじゃないかというふうに推測ができるのですが、その辺はどうでしょうか。
  39. 増川遼三

    ○増川政府委員 この点につきましては、厚生省の当局とも十分打ち合わせまして、このような措置で十分であろうという結論を得ましたので、そういう措置をとりたいと考えたわけでございます。
  40. 野間千代三

    ○野間委員 こだわるわけじゃないのですが、世帯の中に一名とは限らないんじゃないかということは、まずどうですか。一名とは限らぬでしょう。だから、一名とは限らぬとすれば、それは一名だけであるというふうにしてしまうと、それではそのうちのどれなんだということになりますね。そうすると、あるいは通勤定期を高く払うほうが据え置きにならないで、安いほうが据え置きになるというふうなことがあり得るのですね。したがって、これは厚生省のほうの資料を見てみないとわかりませんけれども、二名までというふうにも考えられるので、これはそのうちの一名というふうに無理に限定せぬほうがいいんじゃないですか、それはどうでしょう。
  41. 増川遼三

    ○増川政府委員 大体こういう世帯につきましては、世帯主あるいはその生活をささえておる者という方がおられると思います。そういう方を対象にわれわれは考えておるわけでございますが、そのような複雑な関係につきましては、なお関係当局と問い合わせまして妥当な結論を出したいと考えます。
  42. 野間千代三

    ○野間委員 いま言われましたように、確かに世帯をささえている人がいるわけですね。その人の通勤額と、それから一人ぐらいあるいは他にいるかもしれません、その通勤の額とを比較すると、ささえていないほうが通勤の額は多いかもしれないですね。それはあり得ますよ。ですから、これはぜひ限定をしないで、たとえば生活保護世帯、母子福祉年金、児童扶養手当をもらっている世帯というふうにきめたら、それに該当している者はそれを据え置きなら据え置きというふうにしないと、これは首尾一貫しないと思うのです。そのために国鉄がばく大な収入が減るなんということはないわけです。たかだか総額で二十億から二十五億なんだから、それはひとつ厚生省当局の資料をもう少し正確に見て、基本としてこの世帯のものは据え置く。つまり、これは今後値上げをする場合に一つの考えになると思うのです。こういう困窮者の生活に対してどうするかということは、私は通勤定期を上げることには反対なんだけれども、もしする場合こういうことをとる——これでまだ十分でないでしょうけれども、こういうことをとることはいいことだと思う。これは十分に検討してくれませんか、どうですか。
  43. 増川遼三

    ○増川政府委員 さらに厚生当局に確認をいたしまして措置いたしたいと思います。
  44. 野間千代三

    ○野間委員 それから、これはあるいは大臣の範囲かとも思うのですが、政務次官がいらっしゃるから若干お尋ねをしたいのです。  その前に、運審のほうの状況と認可の状況はどうなっているのですか。
  45. 増川遼三

    ○増川政府委員 去る三月の十五日に、運輸審議会におきまして公聴会を開催いたしました。目下そのあとの審議をしていただいておるわけでありまして、本日も審議をしていただいておるようでございます。運審からの連絡によりますと、今週中あるいは来週の初めに答申を出せる見込みであるというふうに伺っております。したがいまして、答申を得ましたならば、所要の当局としての審議を重ねまして、でき得るならば四月一日実施に間に合うように措置をとりたいと考えております。
  46. 野間千代三

    ○野間委員 そのいまの運審の問題ですが、私どもも十五日の公聴会の状況を伺っておるのですが、出席者のうちの七割は反対でしたですね。反対の意見は、しかも相当強い意見です。それで賛成の方でも条件つきですね。一つの例としては、これは通勤輸送のほうに使ってくれ、いろいろな条件がついておりますがね。最近の政府のやり方は、いろいろな答申にしても何にしても、いいところだけとるという傾向が強いですが、それでこういうふうに、国民生活に直接影響のある問題ですから、せっかく公聴会を開いて公述人からちゃんと運輸大臣が意見を求めたわけですね。求めた結果が、七割は反対であったということなんですよね。そういうものをいま、局長のいわゆる当局として所要の慎重な審査をして決定をするという場合に、それはどういうふうに反映をされるのですか。
  47. 増川遼三

    ○増川政府委員 公聴会の開催は運輸審議会の主催でございます。公聴会におきまして述べられました諸意見につきましては、十分運輸審議会におきまして考慮されるものと考えます。ここで出されました答申に基づきまして、われわれはその点は考慮していこう、その答申を尊重するというたてまえで措置をしたいと思います。
  48. 野間千代三

    ○野間委員 それは形の上ではそうだ。しかし運輸審議会は大臣が聞いておるわけですね。そうして最終的には大臣が認可の判こは押すわけでしょう。その際に、運輸審議会の、もちろんそれは答申が基礎にはなるでしょうけれども、しかしその答申がどう出るかは、これはまだわかりませんから言及はしにくいけれども、運輸省として国民の代表であった公述人の述べた意見が、しかも絶対多数が強い反対論であるということを考えてみると、これが十分に運審の答申に出てくれば問題はない。出てくれば、これは当然運賃値上げすべきでないという答申になるはずなんだ。そうなれば、もちろん運輸大臣としてもそれを採用するんでしょうが、そういうふうにスムーズに国民の意見が大臣に到達をするというふうになってくべきなんだけれども、大臣としてもいよいよ自分で認可をする際には、運輸審議会で述べられてきた学識経験者なり、あるいは公述人なりの意見というものは、十分にこれは尊重しなければならぬと思うのですね。これはひとつそういう方向で検討してもらいたいというふうに思います。  それからもう一つ国鉄のほうでは、大臣の認可があるとやはり公示をするわけでしょうね。手続はどうなりますか。
  49. 今村義夫

    今村説明員 大臣の認可がございますれば、公示いたします。
  50. 野間千代三

    ○野間委員 公示の日数はどうなりますか。
  51. 今村義夫

    今村説明員 日数は、法律では前日でもよろしいことになっております。
  52. 野間千代三

    ○野間委員 法律上では確かに常務の言うように一日でも半日でもいいのでしょうけれども、いままでは、鉄道営業法とそれから地方鉄道法ですかでは七日になっておるんですね。それを準用するというか、準用をして大体七日間の公示期間をもっていままでやっておったんじゃないですか。
  53. 今村義夫

    今村説明員 おっしゃるとおりに、営業法では一週間前ということになっておりますが、国鉄の運賃に関しては、国会で議論がされるというようなこともありまして、あの規定は国鉄には適用がないということで、前の日でもあるいは半日前でもいいというようなかっこうになっておるわけでございます。
  54. 野間千代三

    ○野間委員 その地方鉄道法によると、あれは国鉄は除外をする、私鉄は七日間である。その立法の精神は、いま常務の言うように国会で審議が行なわれるということですね。あるいは運審があるとか、いろいろあるでしょう。しかし今度の場合は、認可事項になっておるから国会で審議はないわけですよ。法律事項ではない。したがってそれは地方鉄道法のワクと同じような形になってくるのじゃないですか。
  55. 今村義夫

    今村説明員 まあ国鉄の運賃値上げに関する限りは、法律的には、今度の場合はもちろん国会の法律事項ではございませんので、大臣の認可だけということになりますけれども、法律的には違法なものではない、その前日でもよろしいというふうに解釈しております。
  56. 野間千代三

    ○野間委員 今村さん、確かに法律上は違法ではないが、ものの性格上から見ると、これは公示の期間を一週間、地方鉄道法を準用して一週間を置くべきものだ。それはつまり国会で審議が行なわれる——運賃法の改正であれば国会で十分に審議が行なわれる。そして国民に周知徹底ができる。今度の場合にはそういう経過がないのでありますから、それは私鉄と同じですね。いままでのやつは公示期間が多少短くても国民はわかったが、今度の場合には、私鉄と同じように、わからぬのですから、それこそ法律上はわからないのですから、したがって地方鉄道法と同じように、一週間の公示期間を置くべきじゃないのですか。それはいかがです。
  57. 今村義夫

    今村説明員 もちろん国会で、議論はいまもやっていただいているわけですけれども、法律事項として正式に取り上げられる問題ではございませんので、確かにそういう面はあろうかと思いますけれども、まあ私どもとしては、こういうかっこうでいろいろ国会の問題にもなり、あるいは十分もう内容は国民の方は御承知だと思いますし、もちろん認可の時期にもよりますけれども、認可が出ますれば、なるべくその認可が出た時点において早く公示をするということは、これは当然われわれも考えなければならぬと思いますけれども、認可の時期によっては一週間の期間はとれない場合もこれはあり得ると思います。しかし、決してそれは違法であるとは思っておりません。
  58. 野間千代三

    ○野間委員 それでは政務次官、これは政治上の取り扱いですからね、政治家のほうに伺うのだけれども、法律上は問題はないのですというふうに逃げられるわけですね。しかし、値上げの手続は、この地方鉄道法や営業法できめられた手続を経ないでこれは上げられるわけですね。したがって、上がってくる経過は私鉄と同じなんです。したがって、これは私鉄と同じ一週間の公示期間をおいて上げるというふうにすることが、法の趣旨からいくと、そのほうが適法ではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  59. 金子岩三

    ○金子政府委員 野間委員が一週間ということを強調されておりますが、日にちのことは私は責任は持てませんけれども、やはり十分周知徹底するような方法を講じさせるように努力いたしたいと思います。
  60. 野間千代三

    ○野間委員 これは、周知徹底をするのだけれども、こういうこともあり得ると思うのですよ。二十五、六日ごろに運審の答申が出る。そうすると、おそらく運輸省で一時間か二時間で審査が終わるというわけでもないでしょう。一日か二日審査がかかる、これは常識でしょうね。そうすると二十七、八日に大臣の認可というふうになりますと一たとえば二十八日に認可が出たとするならば、二十九、三十、三十一と、三日ですね。そうすると、私鉄でやっているのとは、半分ですね。しかも私鉄の場合には区切られた区間国鉄の場合には全国津々浦々で通勤者はこうなる、通学者はこうなると、こういうことになるわけですね。したがって、むしろ私鉄よりも期間が長くなければならぬというのが常識でしょうね。しかし私鉄が一週間と法律できまっているのだから、それと同じような性格のものをやるとすれば、一週間は最低必要であるというふうに思えるのですね。これはどうでしょう。
  61. 金子岩三

    ○金子政府委員 御意見はよくわかりますが、いま御説明なされておるように、二十八日、二十九日に認可をして公示するということになれば三日しかないという御意見もありますので、御意見の御趣旨に沿うように、つとめてひとつ周知徹底するような方法を講じさせたいと思います。
  62. 野間千代三

    ○野間委員 いまの政務次官のおことばを常識的に解釈をすると、四月一日に上がらぬということです。四月五、六日ごろになるということになるのですね。これはまたあとで大臣が見えるそうですから、もう一回触れてみたいと思います。  あと、運賃のいまのような問題と、予算関係の問題で多少あるのですが、大臣が見えるそうですからその際にすることにいたします。  次に、いま問題の合理化の問題なんです。総裁、いままでいろいろ私も予算の分科会や運輸委員会を通じて、現在の国鉄合理化の問題について触れてまいりました。これは当局が提案をされておることにけちをつけるんじゃなくて、私は主として国鉄安全輸送という部面から、この提案をされておる合理化の問題について、運輸委員という立場で検討してまいりました。二、三問題があったのですが、そのうちの一つで、今度動力車の乗務員の助士を廃止をするという問題が出ておりますね。これはたいへん大きな問題で、国鉄安全輸送という立場から見ると、電気機関車あるいはディーゼル機関車の助士を廃止するということに、私は国民の立場からいって、たいへん危倶があるというふうに一般的に受け取っていると思う。しかもこの問題は、つまり運転乗務員ですから、国鉄の安全運行という中枢部の中心の問題ですね。したがって、これはただ単に経営合理化であるとか、あるいは財政上の問題であるとか、あるいは人員を削るとか、そういう程度の問題として取り扱われては困るというふうに思います。したがって、今回の動力車乗務員のうちの助士を廃止するという問題は、よほどこれは真剣に取り扱ってもらわないと困るのじゃないかというふうに思うのです。  そこで、この問題では二、三の問題があるのですが、まず最初に、機関車乗務員が現在二人乗務を行なっていても相当な疲労がある、相当強い精神的肉体的な疲労があるというのは、これはおたくのほうの国鉄日本鉄道技術協会というところ、あるいは鉄道労働科学研究所というようなところでだいぶ調査をしていただいております。たとえば、鉄道労働科学研究所では、「東海道新幹線における高速電車運転の生理的負担と長時間の反復運転による影響について」とか、あるいは「電気機関車乗務の生理的負担に関する研究」、「電気機関車乗務の生理的負担に関する研究」というふうに、これは、一つは米原機関区、一つは名古屋機関区というふうに研究をされている。それから、「電車運転の生理的負担並びに疲労に関する調査」、これは池袋電車区で行なわれている。「速度差による電車運転の生理的負担に関する研究」、これは静岡運転所で行なわれている。「ディーゼル機関車乗務員の運転の生理的負担と折り返し時間の長短による復路乗務に対する影響について」というのも研究がされている。それから、「動力車運転台の機器配置に関する意見調査」、「動力車運転台の視界調査」、それから「動力車乗務員等の作業負担度及び疲労度に関する労働科学的研究」というふうに、たいへん、乗務員の労働というものの性格、性質、内容、これが運転に与える影響ということを、国鉄ですらこれほど膨大な検査を行なわれているわけですね。それぞれの内容を見ると非常に精細に計算をされて、精神的な疲労、肉体的な疲労が往路と復路ではどう変化をするか、あるいは一乗務の範囲の中ではどういうふうに身体に影響を与えるかということを詳細にわたって研究をされておりますね。この研究が基礎になって、いまの乗務交番が組まれているはずなんですね。そういうふうに機関車乗務員というものはきわめて重要な、疲労度の高い仕事をしておるわけですけれども、そういう環境にある乗務員を一名にしてしまうということには、私はたいへんこれは、こういう疲労度の研究から見ても問題があって、それが二人が一人になった場合には、その分だけあらためて労働が加重されるという結果になるのではないかと思うのです。したがって、それはどういうふうに考えておられるか。
  63. 石田禮助

    石田説明員 野間さんに私はまずもって断わっておきますが、国鉄は根本において輸送の安全あって初めて輸送力があるんだ、したがって輸送の安全というものを犠牲にした輸送力なんて、こんなものはナンセンスです。絶対にそういうことはやらぬということは、これは根本方針であります。いまおっしゃった、二人運転のやつを一人にするということは安全度において困るじゃないかというのですが、私鉄の場合には運転しているのは一人です。あとの一人はカバーですね。これは一人減らしたからって、運転には何ら差しつかえがあるわけはない。ということは、すでに東京あるいは大阪あたりの電車にしましても、みんな一人運転です。二人運転をやっているところなんて、ありはしない。ただ長距離へ行く場合において二人運転ですが、長距離といっても、たとえばいまでも水戸とか宇部宮までは一人運転です。彼らはそこでやめるわけじゃない。また帰ってくるということで、まっすぐに行くか、あるいは往復でもってキロをカバーするかという問題なんです。とにかく、私は事故は大きらいです。だから事故を防ぐためには、万難を排してできるだけの施設をやっています。たとえば青函連絡船を見てごらんなさい。あなたは国鉄におったかどうか知りませんが、ぼろ船であの危険な海を千人以上の乗客を運んでいる。何もやりはせぬ。直したのは私なんです。宇高船だってそうじゃないですか。あれだって実にいやなところだ。霧はかかる。そうして船の数は非常に多い。船は横っ腹からやられるおそれがある。依然として変な船を使ってやっている。これはいかぬということで、やられても沈まない船、沈むにしても時間のかかる船、その間にはちゃんと安全装置をつけて、決して乗客に犠牲者を出すようなことはしたくない、こういうことで、いまりっぱな三千トンの船ができていますよ。そのほかにわれわれがやっていることは、たとえばこの数年間に輸送の安全装置として千八百億を投入している。ざらに、これがまた第三次計画が終わるまでには千二、三百億を投入しよう、こういうことで、輸送安全というものに対していかに国鉄が金を惜しまないでやっているかということを、まずひとつ根本問題としてあなたの頭に入れておいていただきたい。今度スチームロコを廃止する。その結果は、電気機関車なりディーゼル機関車にする。石炭をたく人なんて要らない。運転手は一人でいい。いままでだって、スチームのときに四つ目で見ているわけじゃない。二つ目ですよ。東京の近辺だってみんな一人でやっている。さらに疲労度と申しますが、とにかく運転士の責任はすこぶる重大だということで、実際にハンドルを握る時間は昼間は四時間、夜は三時間半。それも、ずっと行くんじゃない。その間にかなり休む時間を持っている。こういうことで、われわれは疲労度については十分注意して、絶対事故の起こらぬようにしている。東京あたりの電車だって、二分十秒くらいの間隔でやっているが、あれだって昼間はやはり四時間やっています、途中休み休み。何らの故障はない。われわれの根本方針はそういうことでやっているので、危険をおかしてまでやるということは絶対しないのだということは、ひとつ御信用願いたいと思う。
  64. 野間千代三

    ○野間委員 総裁、おことばですけれども、確かに運転は一人でやっているのですよ、二人で一つのハンドルを持っているのじゃないが、私も一緒に乗ったことがあるけれども、やはり左右におって安全を確認しながら、あるいは何秒おきかにくる信号なりあるいは踏切なり、そういうものをお互いに確認しながら、協力して一体になって運転をやっている。それの必要性から二人乗せていたわけですよ。  総裁、これは少し真剣に聞いてもらいたいのですが、ちょうど同じようなことがアメリカであったのです。一九五九年にアメリカの鉄道会社で、二人乗務を一人乗務にする就業規則の改正が提案された。これが組合との間に争いになって、実にこの問題は、アイゼンハワー大統領が鉄道委員会を設置をする、あるいはケネディ大統領が強制仲裁のための鉄道委員会を設置したり何かしてやってきたのです。最終的には、やはり二人乗務を残さなければならないということになって二人乗務を残したのだが、一人乗務に減ったところもあるのです。その結果、一九六四年の五月七日に、アメリカの運輸省の当局で報告書を発表した。その報告書によると、いろいろな資料があるのであります。たとえば一人乗務になってからと二人乗務のときとの衝突率だとか、事故率であるとか、あるいは死亡事故であるとか、あらゆる方面の資料を運輸省が発表しているのです。たとえばその中の衝突率を見ると、二人乗務でやっておったときは、一九六一年は一・〇七で、一九六三年までそうであったのですが、そのときでも、少し上がって一・一八くらい。これが一人乗務になった一九六五年には一・四一〇、これだけ上がっている。約三割くらい増加をしている。こういう事実があるのであります。ですから、私どもは心配をするのです。これは運輸省の発表で、もう一つ、一九六六年には、ウイーンフィールト・ホーマーといろアメリカの統計学者がワシントン・ポスト紙の一九六六年三月二十日に、一人乗務のときと二人乗務のときの事故の違いを統計で発表しております。それによると、一九六一年、二人乗務でやっておったときには八五%であります。それが一人乗務になった一九六五年には実に一一五%まで事故がふえている。こういうふうに、すでにアメリカで同じような問題があって、これだけの違いが出ている。こういうことはやはり他山の石として十分に考えておく必要があるのじゃないかと思うのです。ですから、二人乗務を一人乗務にするという問題はもっと真剣に取り組む必要がある。そうしてできるだけこれは避けるべきであると思うのですが、いかがですか。
  65. 石田禮助

    石田説明員 これは技術的の問題になりますので、林常務から答弁いたします。
  66. 林武次

    ○林説明員 いまの野間先生お話しの二人乗務と一人乗務の場合の事故の件数の問題でございますが、いまの八五あるいは一一五というふうな数字は、おそらく一ヵ月間の列車事故の件数だと思います。それには踏切事故等も入っておりまして、二人乗務と直接関係はないと思いますが、まあアメリカのことは特別といたしまして、私ども国鉄で、一体その二人乗務と一人乗務と信号確認の問題についてどうあるか。私は保安を担当しておりまして、最も慎重に検討いたしました結果、昭和二十五年から四十年までの十六年間の信号冒進に関する事故の詳細なデータをとりまして、一人乗務の場合と二人乗務の場合との事故率を比較してみた数字がございますが、それによりますと、二人乗務のほうは必ずしも安全であるということは出ておりません。それで、従来から、一人よりも二人のほうが安全ではないかという議論と、二人乗った場合にはお互いが依存し合うということでかえって事故が多いのではないか、もちろん両方の議論がございますが、私どもで過去十六年間で信号冒進関係の事故率をとりました結果は、むしろ一人乗務のほうが多少少ないという結果が出ております。
  67. 野間千代三

    ○野間委員 それは林さん、統計というのはとり方によって、目的的にとればいろいろなとり方が出てくるでしょう。それならば、林常務がそういうふうにおっしゃるならば、私のほうでも、国鉄の死傷を伴う重大事故というのを三十四年から四十一年までとっている。これは、死傷を伴う重大事故なんです。それが、一人乗務の場合と二人乗務の場合はどうなるか、出てくるんです。その前に、現在一人乗務をやっておるところは、組合との協定をして、キロ数と編成数とこれを組み合わせて、この程度までは一人乗務でも、つまり疲労度から見てもあるいは距離から見ても一応はだいじょうぶであろうという結論は出ておるわけですね。しかし、夜間は困るとかいうふうに、一人乗務でもそう問題がなさそうだというところを選んで、ちゃんと計算して一人乗務にしたわけでしょう。これは、たしか国鉄の組合と動力車の組合と当局の間、三者の間で、七年間か八年間くらい協議をしておるはずですよ。協議した結果その結論に到達をして、一人乗務にしたわけですよ。したがって、安全なところを通っておるわけです。いま私が問題にしておるのは、その協議をし合った対象からはずれた、長距離であるとか、あるいは電気機関車、ディーゼル機関車というふうに長距離列車、そういう方面が残っておるわけですね。そこの問題なんです。そこで、いま林さんから言われるから私も申し上げるけれども、三十四年から四十一年までの国鉄の死傷を伴う重大事故を見ると、一人乗務のところは、いま言ったように、一人乗務で大体間違いないと考えるからこの協定をして一人乗務にしたわけです。そのところでも電車関係で十六件。総数が四十一件ですが、電車で起きた事件が十六件。これが三九%。ディーゼルカーで起きたのが十四件。これが三四%。これは一人乗務の四十一件中七三%が電車、ディーゼルカーで起きている死傷事故であります。一方、現在一人乗務をやっておるところで、同じこの四十一件のうちの割合を見ると電気機関車が三件、蒸気機関車が人件、パーセンテージにすると二六%。これは国鉄が基準にしておる死傷を伴う重大事故というものを持ってきてあげた件数であります。これで言っても、安全であろうと考えて協定をして一人乗務にしたところが七三%の割合で死傷事故があり、二人乗務のほうで現在やっておるところでは二六%しかない。それは林さんのほうで出されれば、こういうことも出るのですよ。私のほうでは信号だけではなくて、死傷を伴っている、国民が死んでいる重大事故をとっているわけです。こういう結果も出てくるのですよ。そこでこの二人乗務を一人乗務にするというのは、これは私はそう軽々にはしてはいないでしょうと思います。それはちゃんといろいろ計算の上しているでしょうが、実態として、たとえばアメリカの経験もあり、私がいまとったような国鉄自体の数字も出てくるということなんであります。そこで、いま常務あるいは総裁の言われた一人乗務にしたのは——実は大臣にちょっと質問があるので時間がないので残念ですが、一人乗務、二人乗務の争いはやはり国鉄でも相当長期に行なわれてきている。それで最終的に運転取扱心得第三十三条削除についての確認が行なわれて、四十一年三月二十五日に動力車の乗務員数の基準に関する協定というのができあがったわけですね。これによって現在の一人乗務が行なわれているわけでしょう。したがってこの協定は、いま廃止をしようとしておる電気機関車あるいはディーゼル機関車は二人乗務であるということを前提にして、ただしこの部分だけ電車のうちの編成は幾ら、キロ数は幾ら、それから夜間はどうする、ディーゼルの場合の同じようなことはどうする、その場合には一人乗務でいいという協定を結んだわけですね。そういう関係になっておる。したがってもし全部、電気機関車もディーデル機関車も二人乗務を一人乗務にするとすれば、せっかくここで結んである、この基準に関する協定も破棄をする。そうしてしかも、もう一つあるのは、これは林さん、ちょっとこまかくなって恐縮ですけれども、運転取扱心得第三十三条というのを削除をいたしました。これは二人乗務ですね。その際の確認として労使双方でこの乗務はとるけれども、現在二人乗務を行なっているものまで変えるものではないという確認をしているわけですね。これも破棄しなければならぬというようになってきますよ。こういうように労働慣行全体を破棄をして、そうして一挙に、私が先ほど指摘をした、危険だと想定をされる二人乗務を一人乗務に強行するという結果になるわけですね。これは国鉄のとる方法として私は必ずしも妥当ではないのじゃないか。これはやはりいま総裁が言われた、国鉄は絶対に安全が基本なんですという考えからいけば、少なくとも私は、当事者双方でこの七年間も協議をしてようやく到達をしたこの乗務員数の基準に関して協定が結ばれたときのように十分に協議をして、協議が煮詰まったときに労働協約をちゃんと結んで、もしするならば結んで、それから実施をするとかいうふうに、そういう慎重さはやはりとらなければならぬのじゃないか。たいへん長くなりましたけれども、そう思いませんか。
  68. 林武次

    ○林説明員 いまのお話のEC・DCの協定のお話でございますが、御承知のとおり電車、気動車につきましては、電車は大都市の通勤車から、大体最初三両とか四両とかいう編成から始めまして、それが次第に編成がふえてきた。それから気動車につきましては、地方の線区におきまして、大体一両くらいから始まった。ところが動力の近代化がだんだん進みまして、東海道本線のようなところにも電車が走る、あるいは地方へ気動車が走るということで、場所場所によりまして、あるいは一人乗務になったり、あるいは二人乗務になったりいろいろなことがございましたので、まず現状を労使双方で認識の上に、なるべく現状に合うように、まちまちになっていたものを一つの基準に当てはめたというのがEC・DC協定でございます。  それから先ほどお話のございました運転取扱基準規程の三十三条問題でございます。これはおっしゃるとおり昔の規程は機関助士が同乗しなければ機関士は機関車を運転してはならない、これは蒸気機関車の問題でございます。ただし電車、気動車についてはこの限りでないという条文のことだと思います。それは確かに四十年七月に運転基準規程を改正しましたときに、その条文は私と組合との間でお話をしまして最終的に話をつけましてとったわけでございますが、おっしゃるとおりそのときに、この三十三条を削除する問題について、これが直ちに一人乗務につながる問題ではない、一人乗務の問題については別途将来の問題として検討しましょうという話し合いの上でとった条文でございます。
  69. 野間千代三

    ○野間委員 そのとおりですね。そこで総裁、いま私と林常務との間での質疑でおわかりになっていただけたと思うのですが、まず一つは先ほど言いましたように、アメリカの貴重な経験を見ても——これは国鉄に差し上げてもけっこうですが、ちゃんと統計学者までがワシントン・ポスト紙というところに発表をしているものがあります。これはもちろんこの事故が全部運転士の責任によるものだけではないかもしれない。しかし絶対的にこれは六割も七割も、二人のときよりも一人のときのほうがひどくなったということは明らかですね。これはおわかりになっていただけると思うのです。それから国鉄が規定をしている重大事故の例を私が調べた結果を見ても、一人乗務と二人乗務と、しかも一人乗務は林常務が言うように長年協議をしてきた結果、ここはだいじょうぶだという協定をした結果一人乗務になったところでも、一人乗務と二人乗務と比較するとこれだけの違いがあるというふうにいま申し上げたわけであります。したがって、実態としてたいへんこれはむずかしい問題を内蔵をしておるということは、これは総裁もおわかり願えたと思うのです。  そこで総裁あとは私どもの権限の範囲外ですからこういうふうに申し上げるのですけれども、これだけの内容を含んでいる重要な問題なので、直接担当をしている当事者双方で十分に話し合いをし煮詰めて、そうしてかつて四十一年三月二十五日に協定を締結したけれども、もしもう少し一人乗務の範囲を広げようとするならば、やめるなら別だけれども、もしするならば十分に当事者双方で、労使双方で協議をして、その結論に基づいて協定を結んで、実施するものは実施するというルールの上に立って進めてもらいたいというふうに思うのです。これは総裁いかがですか。これはいいでしょう。
  70. 林武次

    ○林説明員 いまのEC・DC協定の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、各地区でまちまちになっていたものをこういう両数、こういう距離というものについては二人、こういうものについては一人というふうにきめた。各地区でいろいろ電車、気動車等の発生過程においてまちまちであったものを、全国同一の基準にしたというのがEC・DC協定でございまして、それと今回のディーゼル機関車、電気機関車の機関助士を廃止する問題とは別の問題でございますということと、もう一つ、いま野間先生からお話がございました重大事故に関する件数の問題につきましては、私が先ほど申し上げましたのは全部、絶対件数だけでは比較できませんので、乗務キロ当たりでとっているわけであります。いまのお話は絶対件数のお話でございまして、私どもはもう少し先生のいまおっしゃいました資料について詳細に検討いたしたいと思いますが、絶対件数だけでこれを言うことはできないと思いますので、もう少しその辺は私らに検討させていただく機会を与えていただきたい、こう思います。
  71. 石田禮助

    石田説明員 国鉄は今度の合理化問題につきましては、去年の三月から約十五項目にわたって組合と協議しておるのでありまして、そのうちの大部分というものはしあわせに解決できたわけであります。いま残っておる問題で一番大きな問題は、二人乗務を一人乗務にするということ——そのほかの問題は私は協議がつくということに報告を受けております。一番大きな問題はいまの問題だ。これにつきましては、私が専門家から聞くところによると、いわゆる百万キロベース、乗車ベースからいって一人よりも二人のほうが事故が多い、こういうふうに承知しておりますので、私はその報告を信用してやっておるのであります。いずれにいたしましても、とにかく最近における国鉄輸送安全装置というものは、この数年の間に非常に進歩している。これはもう昔とまるで違う。そういうことを考えて、いまの乗務員の問題なんかについてもひとつ考えていただきたい。いずれにしましてもさっき申しましたように、国鉄というものは輸送の安全というものはいかなる事情においても優先することが大事である、こういうことだけは申し上げておきます。
  72. 野間千代三

    ○野間委員 それは総裁のちょっと画竜点睛を欠くというか、総裁のそういうお気持ちであることはそれはけっこうです。それは当然でしょう。またそういうことで努力されていることも、私ども十分に国民全体が認めるところだと思うのです。そこでいま問題になっている乗務員の削減の問題は、それは出されているにはそれぞれ根拠があるでしょう。林常務の言われるような根拠もあるでしょう。一面、私どもが提起したような問題もあるわけですよ。そして同じ国鉄の運行の中から、あるいは列車、電車の運行の中から出てくる実態ですね、そろいう実態をお互いに資料を交換して精査すればいいのですよ。そういうふうに出てきている問題を全部精査をして、一定の結論が出て、そうしてそれが実際に運転をしている労使双方、当事者双方で協議をして結論を見るという努力をしなさいということなんです。それはいいでしょう。どうでしょう。
  73. 石田禮助

    石田説明員 御意見の点は十分参考にいたしまして善処することにいたします。
  74. 野間千代三

    ○野間委員 実は大臣に暫定予算の性格の問題と運賃、料金改定の問題で見解を承りたいと思ったのですが、時間がないようですから、できれば適当の機会に伺うことにして、最後に、国鉄の料金値上げの問題は国民生活、日本経済にたいへん影響があるということが一つ、それから国鉄がいま進めている二人乗務を一人乗務にするという問題も一方ではまたきわめて重要な問題なので、いま質疑をしたわけですが、大臣のほうでもひとつ監督の立場で十分に配慮をして善処されるように希望をして、私の質問を終わります。
  75. 大野市郎

    大野委員長 国鉄経営についての質疑は、あとにいたします。      ————◇—————
  76. 大野市郎

    大野委員長 次に、日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣。
  77. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいま議題となりました日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正は、政府が外航船舶の建造のための融資について利子補給金を支給する旨の契約を日本開発銀行と結ぶことができる期間を昭和四十四年三月三十一日まで延長することであります。  わが国海運業につきましては、企業の再建整備と国際競争力の強化をはかるため、昭和三十八年にいわゆる海運二法を制定し、既存船については五年間日本開発銀行の融資に対する利子の支払いを猶予するとともに、新造船については集約の実施が昭和三十八年度中に行なわれることを予定して、昭和三十八年度から昭和四十二年度までの五年間、内容を強化した利子補給契約を結ぶことができるようにしたのであります。  しかるに、集約の実施の確認が当初の予定よりおくれ、昭和三十九年度に行なわれましたため、内容を強化した利子補給契約は昭和三十九年度から結ぶこととなり、その結果、昭和四十三年度は再建整備計画期間中であるにもかかわらず、日本開発銀行の融資に関する利子補給契約を結ぶことができないこととなっております。  したがいまして、再建整備計画期間中である昭和四十三年度については、現行と同じ内容の利子補給契約を結ぶことができることとする必要があると考えるのであります。  これがため、所要の予算措置を講ずるとともに本法案を提案した次第であります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  78. 大野市郎

    大野委員長 これにて提案理由の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  79. 大野市郎

    大野委員長 続いて、日本国有鉄道経営に関する件について引き続き質疑を行ないます。小川三男君。
  80. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは国鉄当局に伺いますが、現在世界的大事業体である国鉄経営の徹底的な合理化のためにはあらゆる角度から検討しなければならない。その一角として伺いますが、国鉄では現に上野、有楽町、新橋、大阪でガード下を賃貸していますね。あれは数年前に問題になって、行管当局からも勧告を受けた。それでその後、現在の状態はどうなっておるか。国鉄当局からこういろ注意書が出ておるわけです。名義人と使用者は同一にしなさいという注意書が、国鉄当局から賃貸している人たちに対して配付されている。いま名義人と使用をしておる者が同一であるかどうか、その点伺います。
  81. 仁杉巌

    仁杉説明員 ただいま国鉄におきまして、高架下の使用の件数といたしましては二千五百八十九件ございます。数量で申し上げますと、約四十四万平方米でございます。これはだいぶ前から問題になりまして、御承知のとおり昭和二十八年ごろから問題になりましたが、高架下の刷新につきましては、昭和三十二年の三月に高架下管理刷新委員会というものができまして、これによりまして、三十三年の四月に管理の刷新に関する基本原則及び具体措置並びに立法措置について答申をいただきまして、現在は大体これに基いて処理をしているわけでございます。  それで、現状を申し上げますと、いま申し上げました総件数のうちで、問題になります転貸しあるいは賃貸し等の件数は、三十三年当時六百六件ございましたものがその後三百八十三件は整理ができまして、現在まだ未処理になっておりましていろいろと手を尽くしておりますのが二百二十三件ということになっております。
  82. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、それはいま、名義人と現在使用しておる者とが違うということですね。時間がないから簡単に答えてもらいたい。
  83. 仁杉巌

    仁杉説明員 それは大体賃貸しと申しまして、一つの高架下を借りた方が造作をいたしまして、そうして貸しているというのが大部分でございまして、これが約二百件くらいにのぼっております。
  84. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは総裁、たとえばガード下のようなああいう施設は、国鉄の公傷者あるいは公傷によりなくなられた遺族の方々の生活の安定をはかるために提供することが妥当だと私は考えるのです。  そこで、時間がないから端的に伺いますが、東京都千代田区丸ノ内三丁目三番地、社団法人東京クラブ理事長安井謙、この安井謙さんは、現参議院議員の安井謙さんと同一人なのか、あるいは同名異人なのか、その点伺っておきます。
  85. 仁杉巌

    仁杉説明員 これは参議院議員の安井先生でございます。
  86. 小川三男

    ○小川(三)委員 安井さんがお借りしておるとすると、これは安井謙さんが代表者です。ところが、ここに同じく株式会社東京クラブというのがある。これは同じところで、株式会社東京クラブは約百卓のマージャンを——これはマージャン以外にやってないのです。一体、安井謙さんはマージャン屋さんなのか。しかも社団法人東京クラブというものはマージャンをやるための社団法人東京クラブであり、またそれを知ってあなたのほうは貸しておるのか。
  87. 仁杉巌

    仁杉説明員 このいきさつは調べますと、まず最初に貸しましたのは、昭和二十七年に東京都の職員集会所として貸しております。これは約三百平米でございます。それがマージャンクラブのようなかっこうになりまして、丸ノ内の警察からの勧告もございまして、これは社団法人の直営をやめまして株式会社東京クラブというものを設立いたしました。そのために、国鉄はこれを相手として貸し付けをいたしたわけでございます。
  88. 小川三男

    ○小川(三)委員 一体これは、あなたのほうで安井謙さんから幾ら家賃取っています。
  89. 仁杉巌

    仁杉説明員 年間六万五千円でございます。
  90. 小川三男

    ○小川(三)委員 それからさらに続けますが、同じく東京都千代田区丸ノ内三丁目三番地、サンゼット商事株式会社、この取締役社長は満尾君亮、この人は、ともかく国鉄、運輸省の局長をやっておられた、東京陸運局長か自動車局長かともかく局長をやってやめられた方、この人はいまさらにまた貸ししていて、明け渡しを請求されて訴訟になっています。そして安井謙さんには六万五千円などというようなこんな安い金で貸して、しかも株式会社東京クラブはマージャン屋を経営している。それから満尾君亮に対してもそうでしょう。一体この満尾君亮のサンゼット商事株式会社に対して、幾らで貸しているのですか。
  91. 仁杉巌

    仁杉説明員 サンゼット商事株式会社に対しましては、面積が三十七平米でございまして、年間十一万八千円足らずでございます。先ほど私の答弁でちょっと間違えましたが、社団法人東京クラブ、これは理事長が安井謙さんでございますが、これには四十八平米、それで貸し料は十万六千円足らずでございます。いま六万と申しましたのは間違えました。
  92. 小川三男

    ○小川(三)委員 総裁、このように、調べればあとまだまだたくさん資料があるのですよ。ここにたくさんあります。みんな使っている人たちのもので、たとえば上野運送株式会社、これはマージャン屋ですよ。運送会社がマージャン屋をやっているということは、何を運送しているのですか。こういうようなことばかりやっているのです。まずこういう問題を、あなたは五万人の合理化を言う前に、あなたのほうの内部の合理化をやるべきですよ。従業員にいたずらに合理化を押しつける前に、こういう内部の問題を処理しなければだめですよ。これは有楽町だけじゃないですよ。上野もそのとおりです。大阪もそのとおりです。新しくできた新幹線のガード下については、東京高架株式会社にやらせているということに名称だけはなっているでしょう。実際において東京高架株式会社がどれだけこれを掌握していますか。さらに問題は、東京高架株式会社とは何だ。これもみんな国鉄の息のかかった諸君ですよ。しかも全部高級官僚の手に握られている。かつて高級官僚であった人たちです。一体、安井謙さんがマージャン屋をやらなければ生活できないようなことはないでしょう。こういうような点をまず根本から改めることを私は総裁要求したい。これをひとつやってもらわないといかぬ。したがって、あらためて資料として提出を求めたいのは、大阪、有楽町、上野のガード下の現実、現状どうなっているかということを全部資料を出してもらいたい。これは運輸省に要求したってなかなか出さないのですよ。ですから、こういうものを明らかにしてもらいたい。そういう点ひとつ国鉄としては出してもらいたい。
  93. 石田禮助

    石田説明員 ひとつただいまの資料をちょうだいいたしまして、十分に検討いたしたいと思います。  国鉄は過去においては鉄道会館なんということでえらい問題を起こし、高架下の問題なんかについても賃料の問題があるということを私は聞いておりましたが、それについてはその後三十一年か何かに委員会をつくりまして、もう十分にその点は刷新したという報告を受けておるのでありますけれども、もしもおっしゃるようなことであるとするなれば、さらに再びスタートして刷新をしなければならぬ、こういうことに考えております。どうぞひとつその材料をちょうだいいたしたいと存じます。
  94. 小川三男

    ○小川(三)委員 これはあなたのほうで十分調査されて、むしろ私のほうへ材料をもらいたい。  では次に、現在交通公社、日本旅行会その他、国鉄の切符その他団体の扱いをしている業者は、何業者ありますか。
  95. 今村義夫

    今村説明員 切符の売買を認めておりますのは、交通公社と旅行会と、それから一部でございますけれども近畿、この三社でございます。
  96. 小川三男

    ○小川(三)委員 この三社の扱う手数料は幾らになりますか。
  97. 今村義夫

    今村説明員 手数料は切符の種類によって違いますが、個札でございますと四・〇%、定期がたしか二・二%ぐらいだったと思います。周遊券あたりは若干高くて五%というかっこうではなかったかと思っております。
  98. 小川三男

    ○小川(三)委員 この場合、総裁、あなたは国鉄経営について非常に苦心されておられるわけですが、四十一年度に日本交通公社で一般乗車券を扱った金額が六百九十億、団体乗車券が九十八億、日本旅行会が四十七億。こうしますと、交通公社だけで扱った額は全部で七百八十八億、ということは一日に二億をこえるわけですよ。この精算はどうなっていますか。いつ精算しているのか。
  99. 今村義夫

    今村説明員 精算は旬ごとに取りまとめまして、翌旬の五の日ということになっております。
  100. 小川三男

    ○小川(三)委員 四十二年度は四月から一月まで十ヵ月で、交通公社の一般乗車券が五百九十一億、それから団体が九十億。日本旅行会が四十七億。四十二年度はまだ二ヵ月残っているわけです。四十一年度二団体で扱ったのは八百三十五億。したがって近畿ツーリストを加えるならば、おそらく一日二億以上の金額を扱っているわけです。この支払いは、十日間で精算して、それは翌月の二十日までに支払いをすればいいということでしょう。そういうことになってないですか。
  101. 今村義夫

    今村説明員 代売の関係の精算は、旬ごとに取りまとめまして、翌旬の五の日までに精算することになっていると思っております。
  102. 小川三男

    ○小川(三)委員 この概算というのは、どういうぐあいに押えるのですか。たとえば一千万売り上げた、概算ですから、二百万払っておいてあと八百万は次の精算期日までに精算すればいいのか。一体概算というのはどういうように押えるのか。基準があるのか。あれば伺いたい。
  103. 今村義夫

    今村説明員 あっせん業者が売り上げたものは、旬ごとに取りまとめて一旬分を次の五の日に全部を国鉄に納入させるというたてまえでございます。
  104. 小川三男

    ○小川(三)委員 全部、きょう売り上げたものはきょうあなたのほうで受け取っていますか。
  105. 今村義夫

    今村説明員 一旬分を、たとえば一日から十日までの十日分までは取りまとめまして、それを十五日に納めるというかっこうでございます。
  106. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうじゃないですよ。二十日ですよ。翌月の二十日ですよ、精算は。この期間は無利子で一日何億という金が使えるわけです。こういうことを各団体にやらせておる。総裁、これは重大な問題ですよ。一日おそらく三億も五億も売り上げているでしょう。その金額を無利子で翌月二十日までに納めることができるなどという、こんなずさんな経営国鉄がやるということはないと思うんですよ。
  107. 今村義夫

    今村説明員 翌月二十日ということはないと思います。私は次の旬の五の日というふうに承知いたしております。
  108. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは運輸省から持ってきた資料ですよ。精算は翌月の二十日、これが間違いですか。
  109. 今村義夫

    今村説明員 貨物の後納のほろは翌月末になっておりますけれども、乗車券のほうは翌旬五の日というふうに私は承知いたしております。
  110. 小川三男

    ○小川(三)委員 いいですか。一般乗車券、団体乗車券——一般乗車券は一旬分をまとめて十日おくれて精算納入する。一旬ですよ。十日ですよ。そしてそれを十日おくれて納入することができるのですから、最初に売ったものは二十日間使えるわけですよ。そういうことになるでしょう。それから団体の場合は、精算は翌月の二十日、こういうことになっておる。これはこの報告が間違いであれば、運輸省の報告の間違いである。したがって、こういう金額を——国鉄でもっていま払っている利子は平均して幾らくらいになりますか。
  111. 石田禮助

    石田説明員 国鉄が払っておる利子は一ヵ年に約千六百億でございます。
  112. 小川三男

    ○小川(三)委員 利率は。
  113. 石田禮助

    石田説明員 これは借金の種類によって違うのですが、平均してやはり一年に七分以上でしょうね。
  114. 小川三男

    ○小川(三)委員 七分以上であったら、他に国鉄の切符を売って、国鉄が手数料を払っておきながら、この期間何億という金を無利子で使えたら、こんなにいい事業はないでしょう。国鉄は今度何か仕事を民託にする、民託にすると言っているが、これもいわば民託ですよ。こういうずさんな民託を行なっておきながら、さらにこれから民託を拡大するなどということは、経営のベテランである総裁はおそらくこういうことはやらせないだろうとぼくは考えていたのです。ところが、調べてみるとやっているのですよ。利子はどうなんです。
  115. 石田禮助

    石田説明員 私は、その問題についてはいつかやかましゅう言うたので是正したはずなんですからして、交通公社のものを来月にあれするのは、私はないと思うのです。それはしかし、よく調べます。ただ貨物運賃については、翌月払いということがある。たとえば日通のものとかはやはり荷主から現金で取るようなことはできませんから、やはりこれは一方の営業政策で多少延ばすということも考えるが、しかし切符の問題について来月半ばに取るということは、私は絶対にないと考えております。
  116. 小川三男

    ○小川(三)委員 ここで、精算日は翌月の二十日となっておる。だから、それを聞いておるのです。翌月二十日であったら、その間というもの、手数料は取り、利子は払わないで済むといったら、こんな有利な事業は世の中にないでしょう。
  117. 今村義夫

    今村説明員 私、ちょっと間違えておりました。いま先生のおっしゃるように、翌月二十日というのは、団体乗車券と貸し切り乗車券の場合が翌月の二十日でございまして、その他は私が先ほど申し上げたとおり翌旬——先ほど翌旬五の日と言いましたが、翌旬末であります。これは訂正いたします。普通の一番多いものは翌旬末でございまして、団体と貸し切りだけが翌月の二十日ということでございます。失礼いたしました。
  118. 小川三男

    ○小川(三)委員 いいですか、一般乗車券は一旬分を取りまとめて——一旬分ということは十日間でしょう。それを十日おくらせて精算することができるのですよ。早く持っていく者はありませんよ。これは利子を払わないで済むのなら、まるで国鉄におんぶして、国鉄のふところの中に入って膨大な利益を得ている集団だということですよ。こういうことを一方でやらせておきながら、今後さらに民託を拡大するという方針は、私は重大な誤りだろうと考える。その点ひとつ総裁の御意見を伺いたい。
  119. 石田禮助

    石田説明員 私は、十日までの分を二十日までに払うということは、これは別に非常な寛大な条件じゃないと思うのです。普通の商売人だって、少なくとも一週間や十日というものは無利子はある。これはひとつ御再考をお願いしたい。たとえば交通公社がこれによってどのくらいもうけているか、あの利益というのは実に少ないということで、交通公社がこれによって暴利を得ていることは絶対にないということは、私は申し上げておきます。たとえば四十二年度の決算では、総利益が約三億三千万円くらいある。そのうちの半分以上は税金に取られている。だから、配当なんかしてない。その前の年が二億三千万円で、税金に一億六千万円取られている。残るところはわずかに七千万か八千万。それで、こんなばかなことはない、要するに税金の専門家を入れろということを私がやかましく言いまして、四十二年度におきましてはそのために税金が約半分で済んだ、こういうことで交通公社としてはなかなか経費がかかります。
  120. 小川三男

    ○小川(三)委員 税金のことを言っているんじゃないのです。税金はそれは別の問題として、交通公社がどれだけであろうと、いずれにしたってこの間というものは何億という金を無利子で使えている。銀行預金したって、すぐ計算出るでしょう。交通公社、日本旅行会、近畿ツーリスト、こういうような団体にこういうずさんなことをやらしておくこと自体に問題がある、そういうことじゃないですか。
  121. 石田禮助

    石田説明員 交通公社というものは非常に経費がかかるのです。やはりこれは人が仕事をする。人件費というのは非常に大きい。そういうことで、国鉄の普通の切符について今旬のものをその次の旬の末日に払うというのは、これはやはり国鉄として当然見てやらなければならぬ問題である。これは私が国鉄総裁になる前に比べるとだいぶ短縮したということで、さっき申しましたように、交通公社は非常に経費がかかるんだから、やはりその点は考えて、われわれはすべての条件を見てやる必要がある。その結果、さっき言ったように決してえらい利益でなくて、いまでもまだ配当もしないでやっておる。これによって交通公社のプラス・マイナスといのは一体どうかということをひとつ御了承願いたい。御参考までに申し上げた次第であります。
  122. 小川三男

    ○小川(三)委員 じゃ交通公社については、資料によって交通公社の経営の全貌を新たに調査しましょう。私のいま総裁に申し上げているのは、これから総裁国鉄合理化の案として、車両の修理やその他を民託に出す、こう言っているのです。一方で、さっき申し上げたように、自分の所有物であるガード下などをこんな安い家賃で貸しておいて、しかも借りている人たちは、それをさらに又貸しして、一ヵ月六十万もあげているところがあるんですよ。それで、なぜそれが問題になったかというと、さらに高く貸すために、いま入っているものに立ちのきを要求している。そうしてたまたま法廷の争いになって、調べたらそういうことが出てきている。こういうようなことを国鉄は一方でやらしておいて、そうしてさらに民託を拡大していくということに私は誤りがあるんじゃないか、こう言うておる。
  123. 石田禮助

    石田説明員 それは私は、高架下の又貸し問題と民託の問題とはまるで性質が違うのです。民託の場合には、国鉄が自分でつくるよりは外へ注文したほうが安い、これは計算がきわめて簡単明瞭です。だからして、高架下の経営において変なずさんなことをやっておるからして民託をやるのは変だ、こういう論理には私は承服できません。はっきりしているのです。自分でつくるよりは外へ出したほうが品物が悪くなくて、むしろよくて安いわけなんで……(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)どうしておかしいのですか。昔、たとえば電気製品や何かは外国から輸入しておって、日本にはほんとうに信頼すべき製造家がいなかった。ところが最近における日本の工業というものは、非常に発達をしてきて、これは何も外国に注文する必要もなし、そして昔と同じように自分でつくる必要もない。自分でつくる場合には数量はわずか。それを民間でつくれば、数も多くつくっているし、しょっちゅうつくっているからしていいものもできるし、かつ国鉄よりも安くできる。それで民託する、こういうことなんで、両方をまぜて考えられるということは私はどうかと思います。
  124. 小川三男

    ○小川(三)委員 それは総裁、私の言っていることと逆ですよ。いまいろいろな修理やその他のもので民託にまかせるというあなたのほうの御方針は、それなんです。けれども一方で、高架の下だってそうでしょう。これは東京高架、大阪高架というような会社にまかせるということは、これはいわば民託でしょう。あなたのほうで直接管理しているんじゃないでしょう。いま直接管理しているところですらも、このようなずさんなことをやっておるのですよ。だからそこに問題がある。  じゃ、次に変えますが、たとえば国鉄で上屋をつくる、駅前を舗装する、こういう場合に地方公共団体や各種団体から寄付を取って工事をやっておる。それで駅前の広場が舗装され、上屋ができたら——これは、雨ざらしになるからといって上屋をつくらしておる例がある。あなたのほうで出せと言えばぼくのほうで資料を出しますが、そういうものをつくらして、全部これは寄付でやっておる。こういうものをあなたのほうとしては、自分の資産として計上する場合にどういう処理をやっていられるか。それから寄付は一体経理上どういう処理をやっていられるか。
  125. 今村義夫

    今村説明員 駅前広場、大体そういうものは利用債でやっておると思いますが、一部新駅設置等の場合には、これは寄付を受けて新駅を新しく設置する、その場合には、それは国鉄の財産に編入しているわけでございます。
  126. 小川三男

    ○小川(三)委員 新駅じゃないですよ。旧駅ですよ、広場。そういうことをやらせているんですよ。しかも、国鉄はこういう様式でやらしているんだ。地元の業者が、ある町で国鉄の駅前広場を舗装しなければならぬ、国鉄へ頼んだら国鉄は絶対にやらぬと言う。しかたがないから、町で寄付を集めてやったら、その認可をとるために申請書を出せ。その場合に地元の請負業者等でやらせようとしたら、地元の請負業者がやることは許さない。あくまで東鉄工業でなければならない。そうすると、東鉄工業は地元の建設業者よりもはるかに高いのですよ。こういうことをどこへいってもやっているんですよ。たとえば東鉄管内では、ほとんど仕事をやっているのは東鉄工業でしょう。しかもこの東鉄工業には、国鉄のかつての首脳部がみな出ていますよ。こういうところは、これは総裁、ぜひとも国鉄自体をもっと内部から洗い出さなければ私はだめだと思う。  それでは、いまの寄付をどういうぐあいに処理しているか。
  127. 仁杉巌

    仁杉説明員 駅前広場の舗装の問題は、これは場所場所によって異なりますが、原則といたしまして、国鉄の用地内の分につきましては国鉄工事として実施をする。それから地方の所有になっております用地につきましては、地方が分担する。それが戦災を受けました都市あたりでは、大体駅舎の側半分を国鉄が所有し、それから駅舎と反対側の半分は地方の公共団体が、市なり町なりというものが所有をする、そういうふうなかっこうになっております。  それで、舗装をする場合には、市の土地の所有区分については市が出す、国鉄の所有になっておるところについては国鉄が金を出して舗装をする、これが原則でございます。ただ、国鉄はいまのような財政事情でございますので、地方の方は非常に舗装ということを強く言われますが、場所によって、町のほうは金があって出せるけれども国鉄のほうは出せないというような事情で、極端に申します場合には、町のほうの所有区分だけは舗装ができているけれども国鉄側は舗装ができてないというようなところも、たまにはできるような実情でございます。先生のおっしゃいます場合がどの場合に当たるかよくわかりませんが、もし先生がおっしゃるように、寄付を取って国鉄側がやったとすれば、おそらく町と国鉄との話し合いの中で、町のほうで国鉄の部分を、国鉄が金がないというので国鉄部分の用地の範囲内のも町で寄付してやってあげましょうというような話し合いが行なわれたのではないかというふうに考えますが、その辺は具体的になりませんと、場所場所によって違いますので、ちょっとお答えしかねます。  それで、そういうふうになった場合には、やはり国鉄の財産になりますので、寄付を受けるというようなかっこうに処理されていると考えております。
  128. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうすると、地元で集めた金は、国鉄の経理としては一体寄付として受け入れているのかどうか。
  129. 仁杉巌

    仁杉説明員 きょうは経理の担当者がおりませんので規定的にちょっとお答えしかねます。私はそういうふうに処理されていると思いますが、なおよく調べまして、後日先生にお答えをいたします。
  130. 小川三男

    ○小川(三)委員 国鉄はいま五万人合理化をめぐって盛んに団体交渉をやっているわけです。そういうときに、先ほど野間委員からも強く指摘されておりますが、そういう問題のみでなく、たとえば資材の購入にしても、それから工事の請負にしても、国鉄一家といわれているほど、国鉄はそういう仕事の点については、全部と言ってもいいほど、出入している業者には国鉄のかつての高級職員が入っているということです。そういう人たち国鉄との結びつき、そういうものをまず総裁、断固としてメスを入れてもらいたいと思う。そうして、いまも言ったような交通公社の問題にしても、交通公社が赤字であったらやめたらいい。国鉄が直接やられたらいい。赤字でいやなものならやめさしたらいいでしょう。そうじゃない。へばりついてやっているのはうま味があるからなんですよ。それからガード下の問題にしてもそのとおりなんです。ですからそういう面で、必ずしも五万人を対象にせずに、内部のそういう問題について努力してもらいたい。その点を要望して私の質問をやめます。
  131. 石田禮助

    石田説明員 御注意の点はよくわかりました。とにかく汚職というものに対しては最善の努力をいたしまして、これがないようにいたしたいと思います。  それからさらにさっきのお話で、たとえば高架下あたりの経営についてはなはだまずいことをやっているのに、五万人の合理化とはこれどうだという仰せがありましたが、それはそれ、これはこれで、これはやはりおもむろに片っ方のほうはやっていく。しかし、それが解決つかなかったら五万人の合理化をやらぬ、こういうことはできぬ。これはやはり、できることはやる。それでいまやっておることではなはだまずいことは是正していく。相並んでいくということにする以外には、国鉄合理化ということはできぬと私は思います。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  132. 今村義夫

    今村説明員 ちょっと、まことに恐縮でございますけれども訂正さしていただきたいと思います。  先ほど団体乗車券と貸し切り乗車券の翌月二十日と申し上げましたのは、これは誤りでございまして、団体と貸し切り乗車券だけは収納した翌日に国鉄に納入するということになっておりますので、その点まことに申しわけございませんが訂正さしていただきます。
  133. 小川三男

    ○小川(三)委員 それは違いますよ。翌日納めるのは概算ですよ。だから私がさっき聞いたでしょう。たとえば一千万円を売り上げて二百万円納めても概算だ。概算の基準をどこに置くのだと聞いたら、あなたは答えられなかった。そうして、あとでそれを精算する。だから概算が問題なんです。きょう一千万円を売り上げておいて二百万円納めておいて、あとの八百万は十日間おいて翌月の二十日で済むのです。だから概算の押え方が重大だということを言ったのです。
  134. 今村義夫

    今村説明員 実は契約では当日の発売額に相当する金銭を翌日中に支払わなければならないということになっておりますので、発売した団体乗車券で、何人の旅行ということで総額何ぼと出ます。その場合にはすぐ翌日に国鉄納入ということになっておると思います。
  135. 小川三男

    ○小川(三)委員 それはそうじゃないですよ。たてまえはそうなっているけれども、問題はここに概算というからくりがあるのです。そうでしょう。きょうぼくが交通公社としてたとえば二千万円売り上げたけれども二千万円持っていきませんよ、概算でいいのですから、二百万でも三百万でも納めて、あとは精算日まで自分のほうで金を使えるのです。やっているのですよ。
  136. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  137. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間もないようでございますから、簡単に二、三国鉄当局にお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、今回の国鉄運賃値上げはなぜ学生と通勤の定期券値上げだけに限ったのであるか、その点をお聞かせいただきたいと思うのであります。国鉄は昭和四十一年に、御承知のごとく旅客で三一・二形、貨物で一二・三%の値上げをいたしております。これは平均いたしますと五二%の大幅の値上げだったと思うのです。それからまだわずか二年しかたっていない今日、通勤通学だけの定期を三五%も値上げをするというその理由がよくわからぬ。
  138. 石田禮助

    石田説明員 国鉄は通勤輸送の改善をやるのに、どこからかやはり自己資金をつくらなければならぬ、利息のつかない金を。そうせぬと、借金でやった場合には、これはもう利息の支払いと元金の償還で国鉄の独立採算というものは維持できぬ。どこからそういう利子のつかない自己資金を得るか、こういうことになりますが、これに対する方法というものは、一般の運賃の値上げをするか、あるいはまず定期の割引是正をするか、大体私は二つだと思います。それで一般の運賃の値上げをするということは、これは物価に及ぼす影響が非常に大きい。これは避けにゃいかぬ。しかも、これは四十一年にやったばかりでございます。  そこでどこへ持っていくかというと、定期運賃の是正に持っていこうということは、これも物価に影響ないとは申しませんが、しかしこのうちの大部分というものは企業の負担であるということになれば、その差だけが物価に影響するだけなんです。これは影響する点からいえば、一般の運賃の値上げをするに比べたら非常に少ない。そうしてもう一つは、そういうことで定期の是正をすること、そのこともある程度は物価に影響します。しかしいま言ったように影響は非常に少ない、ここで定期の是正ということに決心した次第であります。
  139. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 国鉄経営を運賃のみに依存をして、運賃の値上げでものを処理していくという考え方のみにたよっておるということは、いささか経営能力として私は疑わざるを得ないのであります。もうちょっとほかに考えるべき道があるのではなかろうか、こういうことも考えられるのであります。たとえば先ほども野間議員の質問にも答えておられましたが、定期は企業関係のほうからも支払いされるので、そうたいした生活に影響がない、こういう話のようでございますが、しかし学生定期は、政府の文教政策と重大な関係を持たなければならぬと思うのであります。また通勤定期は、これまた社会政策の面ときわめて重要な関連を持つといわなければならぬのであります。このことは、ひいては国民生活に至大の影響を与える、こう考えなければならぬと思っておるのであります。ただ単に、国鉄経営が運賃のみに依存をしてこの判断をしていくということはいささかどうか。あるいは、これほど公共性の強い日本の基幹産業あるいは基幹輸送ともいうべきこういう重大な使命を持っておるものに対しましては、政府がもっと思い切った援助の手を差し伸べるべきではないか。政府の補償等必要なことを考えるべきではないか、こういうことも考えておるのですが、そういうこと等に対する総裁の考え方、並びに引き続いて、運輸当局として、政府としてどういう考え方をされておるか、双方の御意見を伺いたいと思います。
  140. 石田禮助

    石田説明員 私の説明が少し足りなかったのですが、国鉄の自己資金をつくるについて、運賃のみということを申し上げたのはそれは間違いであります。運賃も上げますが、そのほかにわれわれがやらなければならぬのは、収入をふやす、積極的合理化もする、つまり投資効果をふやすということで、これは一番大きな問題だと思います。ただそのほかに、さらに消極的の合理化、つまり経費の節約というようなこと、これも積極的、消極的の合理化をやって、そうしてなおかつそれでも足らぬ、その場合にどうするかということになると、いま言ったような運賃——一般の運賃というものになりますと、これは物価に相当影響を及ぼすので、いわゆる定期の割引の是正、こういうことになったのであります。  さらに、いまおっしゃった政府に対する要望でありまするが、つまり定期の割引是正にしましても、これはやはり公共負担の一つであります。要するに五割以上の定期の割引というのは、政府の政策というものを国鉄の犠牲においてやった、それから公共の負担の是正の一端としてこの割引の是正をやる、こういうことです。そのほかに、われわれが大いに戦って目的を達しなかったのは地方納付金、これなんか全く政府が出すべきものだ。それを国鉄が出している。これは間違っているのじゃないか。筋はそのとおりなんです。しかし、地方の町村というのはとてもそんなことをやられたらかなわぬということで、結局政治的に私らが負けたのです。そのほかにわれわれが大蔵省に要求することは、とにかく赤字線というものがあるのだ、そしてまた一方、運賃というものを押えられているのだから、七分以上の資金をもってすることはとても耐えられぬ、これを何とかしたらどうだというようなことで、四十三年の予算から、まず利子は、これから借金するものについては六分五厘というものを土台にする、それ以上のものに対しては大蔵省としてひとつ見よう、そういう意味におきまして五十三億円の利子補給をする、こういうようなことです。出資というようなものにつきましては、たとえば通勤輸送なんというのは住宅政策の一端じゃないか、政府は団地ばかりつくって、足を国鉄だけに見させるというのはどういうわけか。問題にならぬ。ひとつ出資しろということで相当強硬に談判したのですが、大蔵省はがんとして言うことを聞かぬということで、国鉄もやむを得ず泣き寝入りになったという次第であります。しかしこれは、将来とも必ず起こってくる問題で、そのときはまた大いに対決しなければならぬということを私は考えております。
  141. 増川遼三

    ○増川政府委員 定期運賃その他を含めまして公共負担というのは、国鉄としてもある程度その性格上負わされてもやむを得ないというふうに考えておるのでございますけれども、単に公共負担を国鉄だけに負わしてしまうということにつきましては、企業の面から見ていろいろ問題になっておるわけでございます。過度の負担につきましては是正するようにつとめまして、国の財政事情ともバランスをはかっていく必要があると思うのでございます。このたび、利用者にもこれを負担していただくということで、定期の一部値上げという措置をとらざるを得ないと考えたわけでございます。国の財政事情の許す限りにおきまして、こういった公共負担というものは国がめんどうを見る。一方におきまして、国鉄のほうといたしましては、国鉄の性格にかんがみまして、国鉄企業の健全を維持し得る範囲におきまして、政策的に公共負担をしていただく。要は国鉄のあり方いかんという根本問題なんでございまして、したがいまして、われわれといたしましては、国鉄財政再建のための諮問委員会を近く発足させる予定でございますし、また物価安定推進会議も提唱しております特別委員会等も活用させていただきまして、その答申を得て、総合的に検討の上、健全化への方途を講じたいと考えておる次第でございます。
  142. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 何かいまの答弁もう一つ要領がわからぬですが、公益優先であり、公共事業の一番最たる国鉄、いわゆる国民の足、こういうものに対しては、かねがね佐藤総理の言っている社会資本の増強という面から考えましても、私はもう少し国として何らかの処置をとるべき方法があるのではないか、こういうことを伺っておるのであります。しかし不得要領で、要領を得ませんから、これ以上追及しようとは思いません。  国鉄総裁にもう一つ伺っておきたいと思うのは、国鉄のいまの経営方針自身を見てみますると、新幹線の建設とかいろいろなはでなことには非常に熱心のようでございますが、東京、大阪、こういう通勤通学の非常に混乱しているところに対してのおもんばかりというのが非常に希薄ではないかと思う。今度の定期の値上げの理由も、これらの緩和のためにと言っておられるようですけれども、値上げで得られる利益というのが大体三百億と推定されておるようであります。一体三百億で、阪神あるいは京浜、大都市付近の通勤通学というものが緩和されるだけの仕事ができるものであるかどうか、その辺の目安をどこへ置いておられるか、この点を伺いたいと思います。
  143. 石田禮助

    石田説明員 まず新幹線の点から申しますが、これは国鉄としては、東海道の在来線というものが、新幹線をつくるということに決心した時分には、御承知のとおりもう行き詰まっちゃって、輸送力の余裕がない。しかも年々歳々輸送需要というものはふえてくる。何とかしてこの輸送需要の増に対して輸送力をふやさなければならぬ。ではこれをどうするか。在来線のような狭軌でいくか、あるいは広軌でいくかということでいろいろ研究した結果、新幹線ということになったのでありまして、これは私は非常な成功だと思う。もしも在来線だけでいっておった日には、輸送需要に対して輸送力が足らぬ。国鉄として、交通機関としての任務を尽くすことができない。幸いに新幹線ができたために、まず東海道のほうはどうにかやっていくことができる。しかも経済的にいっても非常なこれは成功であった、こういうことなんです。  それから、三百億を定期の率の是正によって得る、これでもって一体通勤輸送力がちゃんと目的どおり達成できるか、こういうことでありまするが、この三百億の金というものは、御承知のとおりこれは利息のつかない金でありまするからして、これを利息の財源にいたしまして借金して、そうしてやる。そういうことで、まあ四千億ぐらいの金というものは借金してやっても、まずこの三百億でもって利息の支払いはできる。これで独立採算を維持する上における非常な一助になる、こういうことでありまして、現在の通勤輸送に対する投資というものは、これは三百億では足らぬのでありまして、またこの次に来たるものに対しては考えなければならぬ、こういうことでありますが、まず大体は三百億で目先十分である、こういうことに考えております。
  144. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 国鉄の昭和四十一年度の借り入れ金に対する残額というものは一兆三千六百億、こう報道されておるようですが、一兆三千六百億の金利負担というのがなかなか膨大なもので、八百二十五億と報告されておるのであります。こういうことになってまいりますと、国鉄経営というのはもう金利支払いだけにきゅうきゅうとしなければならぬという立場に追い込まれるのではないか、こういう心配をいたすのですが、これらに対して、経営者として、責任者として、一体将来の考え方はいかようにお考えになっておりますか。
  145. 石田禮助

    石田説明員 これはもっともな御質問だと思います。現に国鉄が借金しておる。たとえば四十年のごときは借金が三千二百七十六億、それに対して工事に使ったのが三千二百二十億、差し引き五十六億というものは、つまり借金に対して借金して返しておる、こういう状態なんであります。さらに四十二年におきましては工事費が三千七百八十億、これに対して借金が四千百五億、要するに三百二十五億というものは工事費以上の金を借りている。この余った金を借金の利息その他に払っておる。四十三年に至りましては、ざらに工事費が三千七百八十億に対して借金が四千四百六十五億、差し引き六百八十五億というものは工事費でないほかに使われている。利息の支払いだとか……。これはきわめて不健全な財政状態であります。ありますが、これにつきましては国鉄としては根本的に考えなければならぬ。つまり独立採算のワクの中で経営しなければならぬのにもかかわらず、大きな公共負担というものをしょわされている。それにまた、地方の納付金のようなものをしょわされている。さらにまた、大きな赤字線というようなものをやっておる。たとえば最近四十一年度ですか、くらいの数字を見ますと、黒字線が約プラスの千億に対して赤字線が千四百億、全くこれは国鉄の公共性というものの土台にしょわされた政府のためのお荷物なんです。こういうことはぜひとも是正していかなければならぬ。すでに大蔵省なんぞは、その点について非常に強く主張しているのであります。公共負担の問題と赤字線の問題、それから納付金の問題というようなことで、国鉄としては結局こういう問題を、政府が喜ぶと喜ばざるとにかかわらず、やらざるを得ないような立場に近づきつつある、こういうことを申し上げておきます。
  146. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 もう一つ伺いたいと思いますのは、国鉄は現在二百四十二の路線を持っておると報告されておるんですが、このうちの二百二十八路線が赤字路線だ、こういわれておるようであります。これはたいへんなことだ、こう思うのですが、この二百二十入赤字路線というものに対して一体どうされる考えでありますか。先ほどもちょっとお答えがあったと思うのですが、運輸省のほうで昨年、経営改善研究会というのが十月二十五日に発足をいたしておるのであります。これらの委員会の中にも小委員会等をつくっていろいろ検討も加えておるようでありますが、これらに対する国鉄経営当事者としてのお考え——これは廃止するということになりますと、国民の足を奪うということになってたいへんなことになると思うのですが、先ほども申し上げましたように、これらに対しましてはひとり国鉄だけにまかしておくというんじゃなくて、国も何らかの処置をとるべきではないかということを私は考えている。国鉄に対しまして国の投資というのは四十億余りにすぎない、こういう実情であって、もう少し国民の足というものは今日の近代的社会にいかに重要であるかということをお考えになって、この赤字路線等に対する対策というものを、政府と一体になって国鉄経営者は考えられるべきじゃないか、こういうことを考えておるんですが、一体いかようにお考えになっておりますか。
  147. 石田禮助

    石田説明員 私はおっしゃることはごもっとも千万だと思う。すでに三十九年に設置せられました、内閣によってつくられた国鉄経営問題懇談会というものにおきまして、終戦後国鉄というものはインフレーションというもののために、しょっちゅう運賃というものを安く押えつけられてきて、自己資金というものの造成がはなはだ貧弱であった、そこへもってきてさらに公共負担のお荷物、さらにまた赤字線の経営、これに対しては政府としては出資並びに公共負担の是正というようなことを真剣に考らなければならぬという結論はもう出ておるのでありまして、今度私は運輸省がどういう委員会をつくられるか存じませんが、結論は同じことだと思う。結局問題は、もう委員会の問題でなくて、いかにして実行するかということであります。実行の問題であります。もう議論なんというようなことは、何べんも何べんもこれまでやっている。問題にならぬのです。こういうことで、少なくとも国鉄は独立採算のもとにやっていく以上には、この公共負担であるとか、あるいは地方納付金であるとか、赤字線の経営などというものは、ぜひともこれは解決しなければいかぬ。好むと好まざるとにかかわらず、必ずしわはそこに寄っていく。それが解決されて初めて国鉄経営が健全化される、こういうことを考えております。
  148. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間がもうないようでありますから簡単に伺いますが、先ほどから申し上げますように、国鉄がいかに国民経済的な立場から考えて重要であるかということは言うまでもないのであります。そこで鉄道建設公団というのが新線のいろんな建設をおやりになっているわけなんですが、この鉄道建設公団というのが将来とも、赤字路線にかかわらず建設をやり、進めていく、こういうことに相なるのでありますか。それともこの委員会等の発足によって、今後この鉄道建設公団というのがどういうことに相なるのか、これは運輸省のほうに伺いたいのです。
  149. 増川遼三

    ○増川政府委員 日本鉄道建設公団は御承知のとおり、新線を建設しております。この中で地方開発線及び地方幹線につきましては、当初から赤字ということが見込まれるのでございます。国鉄財政負担にもかかわる問題でございまして、これらに対しましては負担を軽減するために、国鉄及び政府出資による無償資金というものを財源としてやらしておるわけでございまして、これはでき上がりますと無償で貸し付けるという形に相なるわけでございます。また有償で貸しつける路線につきましても、将来国鉄経営上赤字になるおそれもあるわけでございますけれども、利子補給の財政措置によりまして、公団の国鉄に対する貸し付け料を低減するという措置がほかられるわけでございます。結果的には国鉄財政の負担を軽減するというふうにはかっておるわけでございますが、これらの新線の建設につきましては、やはり他の交通手段との関係とか、あるいは国民経済全体におきます開発効果、あるいは国鉄の財政負担、こういった問題など総合的な観点から再検討を加えまして、今後処置を加えるというふうに持っていきたいと思います。新たに諮問委員会を発足させます場合には、こういった点も十分検討をしていただきまして、基本的な考え方をまとめました上で、鉄道建設審議会にもこういった考え方を反映いたしまして御審議をいただいて、その結論に従って公団の行き方を定めてまいる、こういうつもりでございます。
  150. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 最後に二問だけお尋ねいたしておきたいと思うのであります。その一つ国鉄の従業員、人の問題でございます。いま国鉄全体の年齢別を見てみますると、三十五歳から五十歳までの人が全体の六〇%を占めておるようであります。四十歳から五十歳までが三九%を占めておるようでございます。こういう状態では、近い将来に老齢者が非常に多くなって、これらが退職したときには若年労働者というものは大幅に不足して、国鉄経営は人手不足で非常な困難な事態におちいるのじゃないかということが心配されるのであります。これらに対する当局としての国鉄は一体どういう対策を立てておられるか、それを伺いたいのが一つ。  もう一つは、国鉄の事故防止について、労使間で昭和三十七年に事故防止委員会というものが設置されたと思うのですが、この委員会がそのまま置き去りにされて、事故防止等に対してのいろいろな審議、委員会というのがなかなか円滑に運営されていない、こう伺っておるのですが、最近の交通事故等から考えまして、これらの問題に対しまして怠りなく委員会その他を開いて万全の措置を講ぜらるべきではなかろうか、こう思っておるのですが、この二問に対しましてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  151. 石田禮助

    石田説明員 ただいまの国鉄の職員の年齢構成でありますが、これは実に大きな問題なんです。御承知のとおり、いまおっしゃったとおり三十五歳以上の者が非常に多い。たとえば三十五歳から四十五歳まで、これは現在四割七分を占めております。この人たちが退職するときに退職金の支払いをどうするか、これは大きな問題であります。といって、それに対していまから準備金をリザーブするということは、国鉄のいまの財政では許さぬ。これはやはりそのときになってひとつ知恵をしぼっていく、こういうことなんでありますが、問題はさらに、これだけの人がまとまってやめてしまう、そうするとそれだけのものを補充しなければならぬ。それだけの要員がそのときになってうまく手に入るかどうかということは、あなたが御心配くだすったように、当然私どもとしては心配しなければならぬ問題であります。といって、いまから若い人間をよけいにやるということは、ちょっとこれは経費の点からしてできない。これはひとつそのときになって知恵をしぼって問題を解決する以外に方法はないのじゃないかということでありまして、これははなはだどうも遠きおもんぱかりを欠くようでありますが、いまの国鉄の財政状態からどうしてもできない。
  152. 林武次

    ○林説明員 いま先生からお話のありました事故防止b委員会の問題でございますが、おっしゃるとおり三十七年に三河島の事故のあとでつくりまして、最初は国鉄労働組合、新国鉄労働組合、動力車労働組合、三者と使用者側と、ほんとうに事故防止をするためにはどうしたらいいかという、かなり真剣な議論が実は行なわれたのでございますが、不幸にして途中で一部の組合がその事故防止委員会を脱退するというふうなことが起こりまして、現在まで二十数回事故防止の問題で委員会が持たれておりますが、当初は労使を超越しまして事故防止を一体どうしてやったらいいのかという非常に真剣な議論がなされたのでございますが、それが最近だんだん変わってまいりまして、事故防止というよりもむしろ——事故防止ともちろん関連はございますが、職場改善の要求の問題であるとか、要求の場というようなかっこうにだんだん変わってまいりまして、最近は事故防止委員会の開催のピッチが多少延びておるような状況でございます。
  153. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それじゃこれで終わりますが、いま総裁から申されました従業員の問題、これらについてはやはりもっと具体的に年次計画等を立てられて万全を期せらるべきである、かように私は考えております。それらの点が総裁答弁の中からお聞きすることができなかったことは、私はまことに残念に存じておるのであります。少なくも国鉄たるものは、年次計画を立てて、いかなる事態にも対処できる姿勢がなければならぬのじゃなかろうか、こう思っておるのであります。  答弁は要りませんけれども、それだけを要望申し上げておきます。
  154. 大野市郎

  155. 松本忠助

    松本(忠)委員 国鉄経営という問題に限りまして、かつ各党の議員諸氏からも相当突っ込んだ質問がございましたので、私は重複を避け、角度を変えて四、五点お伺いいたしたいと思います。  最初に、大臣がいらっしゃいませんので次官にお答え願いたいのでありますが、総理は四十一年一月に、国鉄、私鉄など今回値上げを認めたものは今後当分、数年間は値上げを認めるべきではない、こうはっきり言明をいたしております。その記憶も薄れないうちに、四十一年に比べまして三倍近い値上げを認めるということは国民を裏切ることになると思いますが、いかがでしょうか。また中曽根運輸大臣も昨年十二月に、国鉄定期はできるだけ値上げをしたくない、国鉄の運賃は物価一般への影響が大きい、値上げは単に国鉄の財政問題としてではなく政治問題と考えると言明し、今年の一月に入りましては、国鉄財政の窮迫化の中で大都市対策を進めるために定期運賃値上げを実施せざるを得ない、このように態度が変わってまいりました。なぜこのように態度が急変したのか、この点をひとつ大臣にかわって次官からお答え願いたいのであります。
  156. 金子岩三

    ○金子政府委員 御意見ごもっともとも承りましたけれども、これは御承知のとおりいろいろな事情がありまして、四十一年の一月からいたしますと情勢もたいへん変わっておりますし、また、いまの運輸大臣の中曽根さんがいろいろ御発言になったことが急に変わったということに対していろいろ御疑問もあろうかと思いますが、これもやはり諸般の情勢がやむを得ないような事態に相なったと私は考えておるのであります。
  157. 松本忠助

    松本(忠)委員 諸般の情勢が変化した——心境の変化ということを昔言ったことがありますけれども、それで逃げられたのでは国民が迷惑だと思う。やはり大衆の負担というものを少なくして、ほんとうに政治とわれわれの生活が密接な関係にあることを十分に自覚して、この点については今後政府としても十分御配慮を願いたい。きょうは大臣がおりませんので、この点でとどめておきます。  総裁にお伺いいたしますが、総裁は先ほどからいろいろの委員の方々の質問に答えられまして、通勤定期は大体企業負担だから大衆にはそれほど迷惑はかからない、このようにきょうの御答弁の中にもあったように思います。通勤者の多くは、通勤費の自己負担をする中小企業につとめている人が非常に多いと私は思う。総裁の言われるように、全部が全部会社負担だとは言い切れないと思う。大企業の中でも、一部会社負担、残りは従業員負担、こういう会社が多いわけでございます。学生の場合は、これはいやでもおうでもその値上げ分を全面的に負担しなければならない。これが直接家計に響くことは目に見えております。これでも大衆に迷惑がかからないと言えるのかどうか。総裁利用者の内容をはっきりつかんでこのように言われたんだと思いますけれども、負担がかからないという根拠がございますならば、それを示す的確な資料があるとするならば、それを見せていただきたいと思うわけであります。
  158. 石田禮助

    石田説明員 私が申し上げることは、今度の定期の割引の是正によって国鉄が目途とするものは三百億円、そのうちで学生の部分というものは約三十億から四十億、これは全部御本人の負担になる、これは認めざるを得ない。問題は通勤のいわゆる二百六十億ぐらいのものでどのぐらいが本人の負担になるか、こういうことでありますが、私は全部とはいわぬが、過半はやはり企業家の負担になるのじゃないかということを申し上げたんであります。企業家の負担であれば、これは経費として落すことができ、それだけ利益が減る。利益が減れば法人税が減る。ゆえに企業家の負担というものは、つまり半分だ。あとは大蔵省が負担する。われわれが見渡すところ、一体どこに物価に影響を及ぼすことの最も少ない部分があるかということになりますと、やはり定期割引の是正のところにいかざるを得ない。これはひとつ御賛成願いたい。これは公共負担の一部でありますが、国鉄が独立採算の上に立ってこれを維持できる以上は負担したいと思いますが、国鉄というものは独立採算の上で経営していかなければならぬ、しかもいまや収入の増というのはきわめて貧弱で、そして経費というものは遠慮会釈なくふえていく、そこへもってきて好むと好まざるとにかかわらず、国鉄がいまぜひともやらなければならぬものは通勤輸送の改善である、いまのような交通地獄というものは耐えられない、しかしそれをやるについては非常に金がかかる、収入が少ない、これを借金でやるというのは、とても国鉄としては許されない、こういう利息のつかない金を得て通勤輸送をやろう、こういうふうなことで、決してこれは百点ではありませんが、七十五点や八十点ぐらいになるのじゃないかということは言えると思います。
  159. 松本忠助

    松本(忠)委員 裁総が高齢にもかかわらず陣頭指揮でやっている、その御努力に敬意を表するし、そうしてまた、いまとうとうとして総裁が述べられましたことは先ほどから何べんか聞きました。私がお伺いしたいのは、その通勤定期の二百七十億、これのどのくらいが会社の負担になるのか、自己の負担になるのがどのくらいか。的確に資料があるならば——何か根拠があってそう言われるわけでしょうが、根拠があるなら見せていただきたい、根拠があるならその数字を教えていただきたい、こういう点を私はお願い申し上げたい。簡潔にひとつお願いします。
  160. 今村義夫

    今村説明員 通勤定期の勤務先負担の現状につきましては、四十二年の十月に、これは部外の機関でございますが、社団法人中央調査社へ委託して調べた数字でございますが、前回、三十九年八月現在におきまして九十七・三%の勤務先負担でございましたものが、人員にいたしまして大体九九%になっておる。それから全額本人負担が、前回の二・七%が今回は一考に下がっておるという結果が出ております。
  161. 松本忠助

    松本(忠)委員 今村務理事お話でほぼ了解できますが、なお詳細に、この点資料を見せていただきたいと思うのです。私どももこの点については十分検討を進めて、今後また再び定期の値上げということが予想される、そういうときの一つの参考にいたしたいと思いますので、資料を後ほどちょうだいいたしたいと思います。  それから次にお伺いしたいことは、次官も総裁も、また鉄監局長もお歴々にお願いしたいことは、朝のラッシュ時に上野から御徒町そして秋葉原、この区間を実際にお乗りになったことがあるかどうか、この点をひとつ答えていただきたい。
  162. 金子岩三

    ○金子政府委員 私はありません。
  163. 松本忠助

    松本(忠)委員 鉄監局長、いかがですか。
  164. 増川遼三

    ○増川政府委員 以前には乗ったことがございますが、最近は乗ったことはございません。
  165. 松本忠助

    松本(忠)委員 総裁、いかがですか。
  166. 石田禮助

    石田説明員 私はありません。
  167. 松本忠助

    松本(忠)委員 いずれも話には聞き、報告は受けていらっしゃると思うのです。実際これがどのような定員になっているかということは、おそらく御報告があっておわかりだと思うのですが、実際にそれにお乗りになっていらっしゃらないからわかりませんでしょう。私は毎朝これに乗ってまいります。身をもって経験しております。実にその混乱ははなはだしいものでございます。大体数字の上にあらわれたのはどのぐらいなのか、ひとつ参考のために言っていただきたいわけです。
  168. 石田禮助

    石田説明員 約三〇〇%だと思っております。三倍です。
  169. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうです。ただいまの総裁お話しのとおり、三倍のすし詰めでございます。この三倍のすし詰めの電車に乗せられて、人間並びの扱いをされない通勤者、そのわれわれは、運賃は安い、このようには思っておりません。やはり通勤定期というものはたいへんなものだというふうに考えながら、しかもこのすし詰めの電車にがまんをしながら乗っている人がたくさんいるわけであります。  それでお伺いしたい点は、今後輸送改善を行なったとして、利用者が通勤、通学にラッシュの苦しみを味わわないで済むだけの改良がなされる約束ができるかどうか、総裁にこの点をお伺いしておきたいわけであります。
  170. 石田禮助

    石田説明員 これは鉄道の問題でありまするが、第三次計画によりましてわれわれが予定の通勤輸送の改善をすることによってどういうことになるかというと、まず二四〇%ということになっております。これも私は保証できぬ。ということは、これは政府の住宅政策によるのであります。
  171. 松本忠助

    松本(忠)委員 先ほどもそのお話が出てまいりました。確かに野放しの住宅政策や交通対策が、現在の通勤対策の不備をかもし出していることは、私も承知しております。人口が郊外へと急激に広がっていく都市の周辺におきまして、国鉄の第三次計画が完成しても、また新しい通勤対策が必要になり、そのたびに利用者負担をしいられるのでは、私はたまらないと思います。国鉄の赤字解消に今後どのような姿勢で取り組むのか、総裁の所見を伺っておきたい。
  172. 石田禮助

    石田説明員 これはいま言ったような第三次計画が完成した暁においても、わずかに二四〇%しか緩和できぬ。そのときにどういう状態になっているかというと、私はすぐ先に大きな山ができていると思う。だから、これは運輸大臣にも申したのですが、いまから第三次計画あとをどうするかという計画を立てる必要があるのじゃないか。そうせぬとこれはたいへんな問題だというふうに考えておるのでありまするが、現在の国鉄としては、まずこの第三次計画を完成するということが精一ぱい、それ以上の力はないのであります。いずれにしても、これは政府の住宅政策というものと非常な関連があるのでありますから、かりに国鉄が新しい計画をやるにしましても、自己の資金をもってやるということはこれは問題にならぬ、やはり政府から出資してもらうということに進む以外に私は方法はないと思います。
  173. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは次に問題を移しまして、先般の予算分科会で、副総裁はわが党の沖本議員の質問に対しまして、立体交差、高架等につきまして、現時点におきましての予想を立てる点が非常に甘かった、このように認められたわけです。どの程度その予想が甘かったのか、その予想の甘かった点についてお答えをいただきたい。
  174. 仁杉巌

    仁杉説明員 いま先生の申されました立体化という意味でございますが、この間議論になりましたのは連続立体と申します、連続にずっと高架にしていくという問題でございます。一件一件高架にいたしてまいりますのは、計画並みとは申しませんが、大体話のつきましたのから逐次毎年やっております。先日、沖本先生お話で副総裁のお答えしましたのは、連続にする、それが全国で数ヵ所ぐらいであろうというふうな考え方を一応いたしておったわけであります。ところが、実際に三十九年、四十年ごろから全国から出てまいりました要求を見ますと、ちょっと見ましても二十から三十ある。ちょっと長期に見ると六十ぐらいになりそうであるというようなことになりました。その金が、全国的な視野で長期に見ますと、現在の金で四千億ぐらい。財政事情でどうなるかわかりませんが、五年ぐらいにできればと思いますのが、大体二十ヵ所で千六百億くらいの数字になっておる。これは、長期計画の中ではそれほど見ておりません。百億足らずぐらいしか見てなかった。だから、この分だけは何かほかの資金を考えなければならぬというので、いろいろ建設省、自治省、大蔵省等とも折衝いたしまして、いままではわれわれが半分、五〇%の金を見て負担することになっておりましたのを、まだ最後的には煮詰まりませんが、国鉄が一〇%程度で、あとは道路側の負担というようなかっこうにして、何とかカバーしていくことに努力をしておるところでございます。
  175. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうしますと、ただいまの仁杉常務のお話では、早急に計画変更をするということになるわけですね。そしてまた、しなければ当然大きな食い違いが出てくるわけでございますから、この計画の変更面、予算面におきまして、いまのお話からかなり膨大な仕事だと思いますので、この点について、これを現時点に合ったようにやっていくために一そう努力をしてもらいたいわけでありますが、計画変更を早急に正式に取り上げるのかどうか、この点をひとつ明確にしておいていただきたい。
  176. 仁杉巌

    仁杉説明員 この問題は、ただいまお答えしましたように、まだ建設省と事務折衝をいたしておる段階でございますが、建設省も私のほうも、前向きでこれに取り組んで何とか処理をしていきたいというふうに考えております。ただ、来年度の予算につきましてはさほど大きな変更はできませんが、これは建設省なりあるいは国鉄なりの予算の範囲内で処理できるものは処理をしていきたいというふうに考えまして、せっかく努力するようにいたします。
  177. 松本忠助

    松本(忠)委員 それの解消の時期ということについてのお見通しは、はっきりはしておりませんか。
  178. 仁杉巌

    仁杉説明員 一応自民党の政調会等の段階で議論されましたのは十年くらいというような規模でございますが、先ほど申しましたように、いずれにいたしましても四千億というような金になりますので、はたしてそれでできるかできないかというようなことにつきましては、これからの財政状況でだんだん組まれていくというふうに考えております。
  179. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、次に問題を移しまして、万博の旅客の輸送計画についてでございます。一日十七万から四十万の入場者を予定しているというわけでありますが、これに対する対策、また外人客に対する計画についてお伺いしておきたい。
  180. 今村義夫

    今村説明員 万博の輸送計画につきましては、万博事務当局からの指導に基づきまして、目下鋭意作業中でございますが、国内的には、臨時列車その他によりまして大体はけるつもりでございます。ただ、ゴールデン・ウィークというような非常な混雑時期には、そういう臨時列車の運転は、おそらく万博専用ということにはできないと思います。とにかくこの間だけは取りやめまして、あとは大体できるつもりでございます。  それから外客につきましては、これは万博の資料では確か二十九万五、六千だというふうに記憶しておりますが、これにつきましてはいろいろ数字を当たっておりますが、大体新幹線でやれるんじゃないか。もちろん新幹線増発もいたしますし、予定は六ヵ月でございますので、百五十日かりにやれるといたしましても、大体私どもとしては外客に御迷惑がかかるようなことはないのではなかろうか、このように考えております。
  181. 松本忠助

    松本(忠)委員 いずれにいたしましても万博は二年後に迫っておるわけでありまして、この問題に対する確固たる方針、基礎を持って善処していただきたい。  最後に、次官に一点だけお伺いしておきたい。  私鉄の大手は、国鉄の定期券値上げに便乗いたしまして値上げを要求いたしておりますが、大臣は年内の値上げは認めないというふうに語っておりました。国鉄の定期値上げのときと同じように口約束に終わることのないように、私ははっきりしておいてもらいたいと思うわけです。私鉄の定期券値上げに対してどう対処されるのか、この点を大臣にかわってお聞かせを願いたい。
  182. 金子岩三

    ○金子政府委員 大臣にかわって答え得ることと答え得ないこととありますので、御意見は十分大臣に伝えておきたいと思います。
  183. 松本忠助

    松本(忠)委員 副大臣ともいわれる政務次官が、どうもそれでは困るわけであります。大臣がいらっしゃらなかったら、あなたはどうする。では私は、大臣にかわってとは言いませんから、次官としてのお考えを聞かしていただきたい。
  184. 金子岩三

    ○金子政府委員 御意見を十分尊重したいと思います。
  185. 松本忠助

    松本(忠)委員 まあ尊重に、検討に、善処にと、いつも言うことはきまっている。それではほんとうに、いつも泣くのは国民ばかりです。そういう政府では、私たちほんとうに安心しておまかせできないと思う。少なくとも運輸大臣のかわりとして事務統括をなされる副大臣でありますから、十分ひとつ勉強もし、りっぱなお答えをしていただきたい。いかがでございますか、決意のほどをもう一ぺんはっきりおっしゃっていただけませんか。
  186. 金子岩三

    ○金子政府委員 いずれにしましても、大臣が最後の決定をするのでございますから、大臣と私といつも腹が一緒ということは言えませんから、そういう大きな問題は、やはり大臣の決意を聞くのに政務次官がかわるということは不可能じゃないかと私は思います。申し上げておきます。
  187. 松本忠助

    松本(忠)委員 あなた個人の見解はいかがですか。
  188. 金子岩三

    ○金子政府委員 個人の見解は先ほど申し上げたとおり、御意見を十分尊重したいと思います。
  189. 松本忠助

    松本(忠)委員 わかりました。もうどうも、しっぽをつかまれるようなことは答えたくないというふうにしか解釈されません。したがいまして、きょうはもうこの辺でとどめておきます。  本会議の時間もありますので、きょうはこれで終了させていただきたいと思います。
  190. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる二十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会