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1968-03-06 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月六日(水曜日)    午前十時九分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 山村新治郎君    理事 小川 三男君 理事 野間千代三君    理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       小渕 恵三君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       西村 榮一君    福家 俊一君       水野  清君    井上  泉君       神門至馬夫君    内藤 良平君       矢尾喜三郎君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 澤  雄次君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         中小企業庁計画         部下請企業課長 佐野 泰彦君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部運         転車両課長   田付 健次君         日本専売公社販         売部長     斎藤 欣一君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議開きます。  陸運に関する件、航空に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間委員 それでは大臣の一般的な方針に対して二、三質問をいたします。  時間がだいぶ制限をされておりますので簡単にいたしますが、最初に、大臣の新しい考えとして、免許行政からいわば経済官庁として運輸省国民サービスを中心にした権威のある官庁につくりかえていきたい、こういうお考えで、これは私はたいへんけっこうだというふうに思います。いままでの大臣から、こういう方針を聞いたことがありません。運輸省の体質を改善するということで、私も大いに期待をしたいと思いますが、問題はたいへんむずかしいと思います。いわば機構いじりに終わる危険性なしとしませんし、また、いま持っておる権限を他に移すとかいうことも、役所としては非常にむずかしい実態があるでありましょうし、たいへんむずかしい問題じゃないかというふうな気がいたしますので、ぜひこれは大臣のいわば勇断をもって、そういう運輸省の立て直しに、ひとつ精一ぱい御努力をいただきたいというふうに思います。  そこで、それは今後、たとえば六月ごろに考えがまとまるということなどを含めて、それぞれの時期にわれわれもまた委員会を通じて、大臣のいまの考え方が実行されることについて、何といいますか、参加をしていきたいと思います。したがって、とりあえず大臣が先日述べられた中での問題点だけについて二、三質問をいたします。  一つは、最近やや流行ぎみでありますけれども、官庁汚職の問題であります。私はきょう一つ一つの問題について取り上げるわけではないのでありますが、実は官庁汚職関係一つのいわば結末の段階に来て、その汚職対象とされた方の取り扱いなんですね。もちろん起訴され、あるいは刑事責任を問われるという状況の方は別であります。それはそれとして司直の手によって行なわれてまいりますが、そこまでに至っていないとか、あるいはそういう形にならなかったが、世の中としては、これは明らかに官庁汚職関係であるというふうに言われるものがあるのでありますけれども、その汚職対象とされた方々をどういうふうに扱っていくかということが、なかなかむずかしいと思います。最近の例でまいりますと、これは具体的に氏名を申し上げるのは差し控えますけれども、いわば同じ運輸大臣監督下にある職場に転換されるということがあるわけですね。これは一般国民から見ると、国民の常識なり良心から見ると、これは必ずしも適当でない。いわば官庁側国民のそうした気持ちを無視したというふうに受け取るわけです。したがって、こういう取り扱いについては相当慎重に、しかも時間をかけてやらなければならぬと思うのでありますが、最近の例で見ると、直後にそれが行なわれて、何のためにそういう追究があったのかという、国民のひんしゅくを買うということが行なわれておった例があるのでありますが、こういうことは大いに考え直さなければならぬ。むしろ鋭く糾弾をしなければならぬというふうに思いますが、こういうことの取り扱いが行なわれましたので、そういう点について、ひとつ大臣のお考えを伺っておきたいのですが、やはりこういう問題はきちんとえりを正し、そして汚職というものは割りが合わない、絶対に合わないという、きちんとしたけじめをつける必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は原則的にはただいまのお話に賛成であります。ただ人事というものは信賞必罰で、しかも電光石火にやるほうが効果があるように私は考えました。そこで先般来の陸運関係の問題につきましては、即刻処理して、世間も、また本人も早く常態に復するようにしたほうがいいと思ったのであります。とりあえず官房付に発令いたしまして、全部官房に集めまして、それからは一つはあまり対外的接触のない配置、もう一つは格下げをする、そういうことで、たとえば大学を十七年に出て入った者が、後輩の十八年のあとのポストにいく。そういうふうなやり方で、後輩あとへ席をきめられるということは、公務員にとっては精神的に非常につらいことであると思います。言いかえれば大尉が中尉あとにいって、中尉仕事をやらされるということは、役人の仲間では非常につらいことであるのであります。そういう意味において、本人のある意味における制裁としては、きき目があるように私も思いまして、そういう配置、そういう処理をとったのであります。それから海運局陸運局課長係長クラスでいろいろ問題のあった者は、事態の重い者は懲戒免、諭旨免をいたしまして、そしてさらに一般業者との接触部面の多い係長課長クラスにつきましては、配置転換をやらせまして、原則として二年をこえた者は配置転換を行なう。それで四十二年、昨年の十二月中旬に実施しましたのが海運局で八十八名、陸運局で百七名、計百九十五名。それから関東海運局東京陸運局事件が継続中でございましたので、その事件の終末を待ちまして、本年二月中旬に関東海運局で三十四名、東京陸運局で七十名、計百四名、昨年以来合計二百九十九名の配置転換を実行いたしました。一応こういう処理を行ないまして、あと事態の推移を見ようと思っておるのであります。
  5. 野間千代三

    野間委員 いま大臣の言われるように全般的に配置転換でやられたこと、これは私もそう否定しないが、いわば高級官僚の場合の取り扱いなどは、これは人事関連するべきでないというふうに私は思うのです。高級官僚下級官僚と、別段汚職上における差別扱いというものはないのだけれども、取り扱う場合には、高級官僚の場合の世間に与える影響というのは、これは大きいのですね。そういう意味人事とは関連させないで、やはり汚職汚職として取り扱って、そしてたとえば配置転換をする場合においても、相当な時期を見るとか、やはりいわば峻烈な態度を堅持をしながら考えるというふうにしなければならぬじゃないかというふうに思うのです。これは将来こういうことはないことが望ましいので、あってはならぬと思いますが、そういうふうに考えますので、その点だけひとつ申し上げておく次第であります。  次に最近、日通の問題がだいぶ大きな問題として出てきておるのでありますが、最近ではたとえば金の延べ棒事件であるとか、あるいは日通富士見ランドですか、あすこでの大和造林との間の脱税あるいはリベートであるとか、あるいはすでに去年あたり、保険料事件というのがあったと思います。国鉄コンテナ輸送に対する保険料を徴収をしながら、保険会社に対する支払い、納入がしていないという事件があって、これが問題になったはずであります。それから防衛庁の運送料相当多額水増しをした。四トン車で運んでおきながら六トン車で運んだように請求をした。こういう問題はおそらく、いまはやりの防衛庁問題と関連をさせると、もっと深く問題の根源があるというふうに私は思っております。それから船橋サーキットに対して債務保証をして、これがこげついておる。あるいは米麦輸送料水増し相当多額にのぼっている。これなどは三十億円くらいにのぼっておるのではないかというふうにもいわれております。それから四十二年までに債務保証額が五十八億にものぼっているというふうにもいわれておりますね。この問題はすでに新聞紙上なり、あるいはそのときに相当大きく報道されたりした問題でもあります。こういうことになっておりますと、これはもちろん運輸省管轄でございますから、すでにこういう問題があとからあとから出てきておるという実態、そうしていま司直の手によって相当深く追及をされておりますけれども、こういう問題があった当時、すでに運輸省として内容を精査をするなり、あるいは資料を求めるなりして問題の根源を掘り下げておく必要があったのではないかというふうに思います。これは運輸省として監督の立場でこの経理の内容追及をしたりすることは可能なんじゃないかと思いますが、この辺はいかがですか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 野間委員のお説のとおりでありまして、この点は監督不行き届きであるとわれわれも反省しなければならぬと思います。日通総合的企業を行なっておりまして、通運自動車海運倉庫航空観光等、多岐にわたる事業を営んでおります。元来日通は、戦争中、中小企業その他全国の企業が国策に基づいて統合してできた会社でありますから、その主任務とする仕事を主として行なうべきであって、ほかの方向にあまり手出しをするということは、道義的にもどうかとわれわれは考えます。しかし、現在の法律体系のもとにおいては、それを禁止するという条項がないわけでありまして、これは日通首脳部におけるそういう自粛精神にまつよりしようがないと思っておるのであります。  そこで、運輸省といたしまして監督するとしますと、通運事業法あるいは倉庫業法、そういう業法によってこれを監督するということになって、一断面しか見られないという情勢になっております。企業全体をがさっと全部監督するという権限は現在はないわけなんです。そういう点から、おそらくいままで大がかりに監査するというようなことを運輸省としてもやらなかったのではないかと思いますが、しかし、今回の事件等考えてみましても、その点は再検討いたしまして、もう少し監督を総合的に行なえるようにいたしたいと考えております。
  7. 野間千代三

    野間委員 通運事業法でいけば、三十七条で帳簿書類検査はできるわけですね。あるいはその他倉庫業法であるとかもあるいは自動車運送事業法であるとか、そういうものでいま大臣の言う下部のほうは見れるというふうにできますね。やはりこれは、日通の場合には中枢部に問題がある。いまは中枢部に問題がある。したがってこの通運事業法相当強く適用すれば、相当深く運輸省としても検査ができるのではないかというふうに思います。これはどうですか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点はある程度はできると思いますので、今後検討してみたいと思います。
  9. 野間千代三

    野間委員 それで実はいま大臣の言うように中枢部の問題と同時に、関連企業日通との関係ですね、この間に相当な問題がありそうであるということは、想像にかたくないというふうに思います。  そこで、いまわれわれの能力ではとてもこれだけ大きなものを知ることはなかなかむずかしいのでありますが、しかしそれはそれとして、われわれはわれわれとしてまた取り組まなければいかぬと思っておりますが、とりあえず運輸省として、日通営業報告がありますね、この営業報告をここ二年ぐらいの——日通の決算は一回ですか、二回ですか。
  10. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 私いま手元に明細資料がございませんので何でございますけれども、一回だと存じます。
  11. 野間千代三

    野間委員 それでは、その営業報告を去年とおととしの分、それから日通の主たる——これは米、麦とか、独占的にやっているのがありますね。独占的にやっている主たる扱いの貨物、この年間の扱い量、金額、それと荷主ですね。それから大きな投資先ですね。それから関連企業事業内容、その営業報告収支状況、とりあえずこういうものについて委員会資料提出を願いたいというふうに思います。  日通の問題は、その資料が出たときにまたあらためて質疑をいたしたいと思います。  次に、事故の問題ですが、大臣の言う国民に対するサービスを基本にした官庁ということになると、当面、いま事故の問題をどういうふうに解決をしていくかということが、運輸省としてたいへん重要な問題になっておると思います。そこでとりあえず報告のあった南海事故の問題ですが、きのう板川委員からも質問がございましたけれども、補足をして申し上げます。一月の二十四日に運輸省南海に対して警告書を発せられております。それに対して二月の十二日に回答があったわけですが、この警告書回答の間に私は考え方相当開きがあるというふうに思うのですが、運輸省はどう考えておられますか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は警告書を渡しますときにも、一々警告内容について説明をし、また、向こう回答をもらうときにも、その回答内容について一々点検いたしまして、長時間社長、会長と会談をいたしました。私はそれほどの食い違いはないように思っております。
  13. 野間千代三

    野間委員 たとえば超勤の問題でも、平均して七十時間ぐらいだというふうに答えておりますが、運転関係従事員が月七十時間、しかも平均ですから、あそこの会社の場合には、やる者とやらない者が出てくるということで、やはり百時間をこえる場合があると思うのですね。こういう扱い方。それからATSも、五月と十月というのは従来どおりですね。この期間添乗員を乗せるといっていますけれども、五月と十月というのは、これは事故前の状態であります。これは警告書でいう繰り上げて実施をするということになっていない。それから運転士の不足に対する補充も、回答は、第一次で参りますと三十名くらいですが、私が現地に行ってまいりました状況では、今日すでに三十七名から四十名は足りないという実態であります。第一次は六月の十六日ですが、運転士補充というのはなかなか困難で、六月の十六日に、はたして三十名というふうに答えている内容補充になるのかどうかということは私は非常に危険じゃないか、あぶないというふうに思いますが、この三つの問題などについては、私は警告書回答の間の相当大きな開きじゃないかというふうに思います。したがって、こういう問題についてはどういうふうに取り扱っていこうとされているのか。それから、時間外労働調整基準というものをつくろうというふうに答えておられるけれども、その中で協定違反者に対する強硬な措置をとるというふうに書いてある。協定違反者というのは何なんですか。協定をするのは労使双方、甲乙で協定をする。その協定内容は、何時間残業をする、超勤をするということに協定をするわけです。これは本人は断われるわけです。断われるものに対して——これはおそらく、この警告書に対する回答でありますから、協定違反者を罰するというのは、協定がしてあるにもかかわらずもっと超勤をさせようという者があったら、それは罰しなければならぬということになるのだけれども、そうするとこれは使用者側を罰することになるのですね。そういう考え方なのかどうか、こういう関連について少しお答えをいただきたい。
  14. 増川遼三

    増川政府委員 社長からの報告をしさいに検討いたしますと、運輸大臣からの警告書に盛られました内容につきまして逐一報告がございました。先般これにつきましての概要を資料として提出いたしたわけでございますが、この報告の詳細を見ますると、たとえば運転士補充等につきましてははっきり明文をもって、数字もあげて具体的に書いてございます。したがいまして私のほうといたしましては、その具体的な内容を一応了としておるわけでございます。  その他時間外労働調整基準というものの作成をするということをうたっておるのでございますが、この内容につきましてはまだ明細の具体的なものの提出がございません。その内容をあらためて聴取いたしまして、内容を検討していきたいと考えておる次第でございます。  われわれといたしましては、その他あらゆる点に関しまして、実績を十分見ながら、かつ積極的に随時監査陸運局をしてやらせまして、その内容によりましてあらためて指導を強化していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  15. 野間千代三

    野間委員 いまの御答弁でまいりますと、大臣、二十四日の警告書に対して二月十二日の回答書は、これは原則的には了解をしているわけですね。その原則的に了解をしているところに、実は問題があるのです。十二日の回答内容は精細に検討をしたそうだけれども、精細に検討すれば検討するほど、二十四日の警告書とは内容が違うのです。これは合っていかないのです。これはこの回答書を見ただけでも、私が四点ばかりあげたけれども、この問題だけでも、運輸大臣の言う強く警告をしたにもかかわらず、十二日の回答は私は必ずしもまじめじゃないと言っても過言じゃないと思うのです。ですから、これはいま局長の言うように、この回答では不満足であるから、この内容に関してどういうふうに正確に実施しようとしているのかという態度で新しい回答を求めるならば、これはわかりますよ。その点どうなんですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 南海電車の現在の実力等を見ますと、ある程度の限度しかやれないこともあるわけです。たとえば運転員補充とか、そういう問題もあるわけです。ですから単に文章の上でうまいことを書いてきただけではだめなのでありまして、一番大事なことは、書いてきたことを必ず実施することだ。そういう点から可能な限度のことを向こうからは言ってきたと私は思っています。そしてそれを現実に実行しているかどうかということを厳重に監査しながら実績を見ていこうというのが、われわれの考え方なのであります。中にはいま御指摘のように超勤の問題、時間外問題等については向こう調整を要する問題があると思いますので、それらは事業を実行している過程において随時監査しながら実績を見ていくという考えでおりますけれども、あまりに多くばかりを求めてやらしても、できないことを書いてくるという状態ではかえって害があるとわれわれは考えまして、最低限これだけはやるというものは必ず実行させようと思っているのが、われわれの考え方であります。
  17. 野間千代三

    野間委員 それはそうだ。私も、無理なことを言ってもしようがないし、やれないことはやれないでしょう。ただ一番問題は、超勤あるいは休日出勤など、要員の関係ですね。運転従事員はそう急激にはふえない、これは事実であります。しかし問題は、どういうふうにふやしていくかです。あるいは協定を扱う場合に、どういう態度で扱うのか。かつての協定扱い方は非常にルーズでありました。こういうふうにいろいろ問題がありますが、それはまたあらためて時期を見て、この内容の実行なり事故対策をどういうふうにしているのかということについて御報告をいただいて、あらためて質疑をしたいと思います。  ただ、もう一つお願いをしたいのは、国鉄の問題はまた別に質疑をいたしますけれども、私鉄の場合には、たとえば四十二年の一年間だけで、大阪陸運局関係だけで、これはけが人を出すとか実際の事故にはならなかったが、たとえば神戸電鉄で連結器が離れたとか、あるいは近畿鉄道でブレーキの事故があった。同じような故障京福鉄道であった。あるいはポイントの故障が京阪、モーターの故障が阪急であったというふうに、問題の大阪陸運局管内だけでこういうふうに私鉄の問題があるのです。したがって、あらためて全私鉄に対して、これは私鉄に限りませんで国鉄も含めますけれども、交通機関に対して、安全施設の確保についてどういう態度で臨まれておりますか。
  18. 増川遼三

    増川政府委員 大きな事故のありますつど、中央からも検査員を派遣いたしまして、詳細にその実態を把握します。と同時に、これに基づきまして所要の警告あるいは指導方針というものを地方へ授けまして、それに基づいて地方支分部局におきまして現実監査なり指導なりをやっていただいておるわけでございます。過去に関西関係におきまして御指摘のとおりの各種の大きな特殊の事故がございましたが、そのつどそれらに類する事故の再発を絶対に防止するという覚悟のもとに指導いたしておるわけでございます。ただまことに遺憾ながら、南海につきましては同種の事故が重ねて起こったわけでございまして、この点につきましては、前の事故に際しましても相当厳重に警告し、監督指導をしてまいったのでございますが、なおこれによる改善実績があがっていなかったわけでございます。したがいまして、今回の南海事故につきましては、相当厳格なる監視を今後もなお続けるという態度で臨んでおる次第でございます。
  19. 野間千代三

    野間委員 それでは、次に私鉄経営の問題なんですが、私鉄事業というのは、鉄軌道部門のみならず非常に多角経営をしているわけですね。デパートとか、あるいは不動産業であるとか、これは資料で見ると、鉄軌道関係固定資産増加額、それから傍系会社に対する投資あるいは関連企業に対する投資増加額、こういうものの傾向線をたどってみると、これは傍系のほうが多いのです。安全輸送その他輸送力増強というふうに言いながらも、そういうような五カ年計画などが出ておる中においても、やはりそういう傾向が出ておるということがあらわれてまいります。したがって、当然の結果として、最も混雑をする時間の乗車効率はあまり改善をされていない。常に大体同じくらい、一九〇から二〇〇幾つかを前後して常に変わらないという実態であります。これはもちろん乗客がふえるという点もあるでしょうけれども、関連企業鉄軌道関係との投資額等に必ずしも関係がないとは言えないと私は思うのです。したがって、私は、私鉄企業多角経営をすることは否定していませんが、多角経営の中における鉄軌道関係に対する首脳陣考え方というものに問題があるというように思うのですが、これは今後どういうふうに指導されてまいりますか、大臣にお伺いしたい。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私鉄交通地獄緩和等に果たしている役割りは非常に大きいのでありまして、全国的な統計からすれば、都市近郊については国鉄または公団等よりも大きな仕事を負担しておるのであります。私鉄がそういう仕事をやっていく上について、いままではあるいはデパートをやったり、あるいは不動産事業をやったりして、土地の値上がりと一緒に鉄軌道等経営収支というものを見てきたことは、御指摘のとおりであります。しかし、これからの交通問題等考えてみますと、従来どおり経営でいいかどうかは、私も同感するところが多いのであります。そこで現在のようにどんぶり勘定でやっていて、そうして私鉄でマイナスのところはデパートやチェーンストアで、あるいは土地の値上がりで補っていくというやり方は、これは資本主義的な非常に機能主義的な一つのやり方でございますけれども、それで公共性や公益性が厳に維持できるか、あるいは運賃にしても適正運賃が確保できるかという点について、社会の批判を受けなくちゃならぬ段階に徐徐に到達しているように思います。それから、これからは土地の値上がりも相当ひどくて、従来のように私鉄が不動産その他でもうけて鉄道を埋めていくということも、なかなかむずかしくなってくるだろうと思います。そういう面から、私鉄の鉄道面におけるひずみが出てきて、事故が起きたり安全対策が阻害されるようでは非常にいけないという気がいたしまして、そういう意味において私鉄経営自体をここで根本的に再検討いたしまして、必要に応じて立法措置を講じながら、鉄軌道面における安全と交通対策を確保しつつ、それと同時に公共的な責任も負わせる、そういう形で特別立法を実はしたいと考えておりまして、目下検討しておる最中でございます。
  21. 野間千代三

    野間委員 最後に、地方鉄道法三十七条、運輸大臣の民間私鉄の役員首脳陣の罷免権の問題であります。大臣のお考えでまいりますと、罷免権に接近をしているというお答えのようであります。私はやり方については、実際に行なう場合については確かに問題があると思う。したがって、私もやたらにこれを振り回すべきじゃないと思いますし、きわめて慎重に扱わなければならぬ条文であって、そういう意味では罷免権に接近しているという表現があるかもしれません。あるかもしれませんが、ただこの条文の書き方で解釈をしていくと、罷免権に接近しているということになるかもしれませんが、実は私鉄企業の場合、あるいは総括的に民間の企業の場合には、たとえばそれが公共的な性格を持っておった場合でも、社会的に責任を負う立場にはないわけですね、法令の上では。社会的な公共性に対する責任を負っていない。責任を負っておるのは株式総会だけであります。したがって、それを監督している官庁が責任を負うのか、あるいは責任を負うとすれば民間の企業首脳陣はどういう形で責任を負うのかということになってくる、社会責任となってくれば。それを考えれば、三十七条というのはやはり監督官庁が社会的責任を自分自身が感じると同時に、その企業者に対する責任を求めるために罷免権を発動するということがあってもいい、あるべきだというふうに考えますれば、三十七条は、これは罷免権とひとしい権限として考えて、社会的責任を追及する場合には、やはりこれはきちんと監督官庁が責任を負うと同時に、その立場で発動していくべきじゃないかというふうに思うのですが、これはいかがですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方鉄道法第三十七条の適用につきましては、地方鉄道業者が法令違反、監督命令違反、許認可条件違反、そのほか公益を害する行為をした場合の制裁として、主務大臣の処分に関する規定があるわけであります。先般来、福島交通の事件南海の問題につきまして、この条文も参考のためにいろいろ検討いたしました。運輸大臣が社会、公益を代表して監督権を発動するという場合には、最後には、ここに公益を害する行為をした場合というのがあるわけです、これを具体的に適用できるかどうかという部分も非常に検討の対象になったのであります。福島交通の場合には法令違反という、そういうような疑問も若干ありました。しかしあの前後の措置を見ますと、それで処分権を発動した場合に、先方が仮処分を申請してきた場合に勝てるかどうかという点については、ちょっと疑問の余地もあったのであります。いわんや公益を害する行為という場合になりますと、これは資本主義制度のもとにおける会社経営の自主性、独立性、有機性という問題も考えまして、なかなかデリケートな要素があるようにも思いますし、また現実監督上の問題といたしましても、ごたごたしている間にゆるみができて事故を起こすということが一番おそるべき問題でありまして、そういう総合的な考えを持っていろいろ指導いたしまして、社会的に要請されている方向に問題を解決しようと思って実は努力したのが、その実態であります。しかし地方鉄道法を全般的に読んでみまして、この法律が現在これだけ公益性や社会性を持ってきている都市近郊私鉄の適用法規として、そのまま妥当しているかどうか疑問の余地も多分にあると私思っております。そういう意味におきまして、この地方鉄道法というものをどういうふうに運用しあるいは改正していくかという点を、現在検討したいと思っておるのであります。
  23. 野間千代三

    野間委員 わかりました。確かに地方鉄道法という法律そのものがすでにかたかなで、古いですね。ですから、いまの地方鉄道、私鉄企業が持っている公共性とこの法律ができた当時の社会的事情では、格段の相違があると私も認めております。したがって、公共性という立場で私鉄企業をどういうふうに考えたらいいかという点について、大臣のお答えのように、十分に検討する必要があると思います。  以上で終わります。
  24. 大野市郎

    大野委員長 小川三男君。
  25. 小川三男

    ○小川(三)委員 運輸大臣に伺いますが、あなたの所信表明の中で、新国際空港はもちろん軍事基地ではないということを——「軍事基地を目的としたものでは絶対にありません。」と言い切っているのであります。それから運輸省、千葉県、新国際空港公団が地元へ配布したこのビラ、それから地元の皆さんへという、これを続いて出している。これにも、新空港は軍事基地には決していたしません、どこにも、軍事基地にはしませんということが明確に出ています。もしこれが軍事基地であるなら、これは明らかに憲法違反です。憲法第九条では、国の交戦権を否定して、陸海空三軍の軍備は持たないということを明記してある。したがって、その国が軍事基地をつくるはずがないのです。しかし一体、軍事基地についてあなたのほうではどういう理解をされているのか、その点を伺いたい。軍事基地とは何かということ。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この定義は専門家の御意見を聞かなければ正確にはわかりませんが、私は、軍事基地と一がいに申されることは、常駐的に、つまり計画的に、そして長期にわたって、それを目的として、軍事的行為の目的を持ってその一定の区域が利用される、そういう場合に、軍事基地としての性格が強く出るだろうと思うのであります。つまり目的が軍事用に使われるということ、それから長期、計画的にそれが行なわれるということ、この二つが必要であるだろうと思います。
  27. 小川三男

    ○小川(三)委員 この点は非常に重大であるので明確にしておきたいのですが、現に羽田を軍事基地だとは言っていません。あれは平和目的の飛行場であるということは、一般的に理解されている。けれども、現に羽田でMACのチャーター機が飛んでいます。この数字はあなたのほうでお持ちでしょうけれども、四十一年で千三百六十九回、四十二年度で二千二百二十六回、四十三年の一月で百七十四回、二月は二十七日までで二百八回。四十二年度の二千二百二十六回というのは、一日平均にすれば六・五飛んでいるわけです。これはアメリカの軍用機ですよ。MACチャーター機である。けれどもここにはっきりと、これは朝日新聞の四十三年二月九日では、ここに写真が見えていますよ。ユナイテッド・ステーツ・マリーン、これは明らかにアメリカの海軍の軍用機です。ここに出ています。しかも軍装をした軍人が乗りおりしているでしょう。こういうものを軍用基地とは解釈しないのか。かりに日本ではそう解釈しないとしても、交戦国である相手側から羽田の現在のこの飛行機の発着陸を見たら、これを軍事目的に使用していないということは言えないでしょう。その点はどうですか。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 羽田は、国際的にも国内的にも純民間用の国際飛行場になっておるのでありまして、米軍に提供されているものではありません。民間機がアメリカの軍に徴用されて、輸送のためにときどき使われるということはございます。お説のとおりに、多いときは月二百回、少ないときは百何十回くらい使われておりますが、これはストップオーバーのために使われておるので、そのために羽田というものが向こうに専門的に提供されておるものではないのであります。羽田の発着全般を考えてみますと、国際航空用にほとんどその大部分は使われておるのでありまして、MACのために使われておるというのは、その間を利用して、比較的ひまな時間帯にそれをストップオーバーとして使うということを認めておるのでありまして、これがために羽田が軍事基地とか軍用になっておるということは、社会的にも言えないだろうと思います。
  29. 小川三男

    ○小川(三)委員 それはあなたのほうではそう言うかもしれないけれども、もしベトナムに対等の爆撃能力があったとしたら、羽田を見のがしますか。そんなことはあり得ないでしょう。どうですか、その点は。あなた、自分の立場だけでそう言うけれども、それじゃベトナムの立場になって、ベトナム民主共和国の立場になって考えたらどうですか。その点をはっきりさしておいてもらいたい。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 軍が民間機を徴用して、輸送事務、人員の輸送、転勤とかそういう目的のために使っておるのであって、あそこから戦闘行為が行なわれるとか、あるいは常時そのために使われているという事実ではないのでありますから、軍事基地と言うことは絶対できないだろうと思います。
  31. 小川三男

    ○小川(三)委員 それはおかしいですよ。最も古い条約であるヘーグの陸戦条約、海戦条約、一九二二年の空戦における条約でも、軍事目的に使用したものはこれを爆撃し得ることという規定がありますよ。軍事目的に使用していて爆撃できないなんて、そんな治外法権みたいなところは戦争の場合ありませんよ。いわんやアメリカのように、ベトナムを現在至るところ爆撃しているでしょう。ああいう戦闘能力が相手国にあったとしたら、日本の羽田を見のがしますか。これはMACのチャーター機だけではないですよ。これは明らかにアメリカの海軍の飛行機ですよ。そういうものが——これは軍事基地でないとあなたのほうで言い切っても、事実はこれは否定できませんよ。だから事実についてはっきりさせていただきたい。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 アメリカの海軍機が羽田に、星のマークのついたのが発着したこともございます。その場合を調べてみると、パンアメリカンに乗ってアメリカに帰るアメリカの将校が、時間が間に合わなくて、アメリカの星のマークの飛行機に乗って羽田へかけつけたという事実があるのです。それは先方に対して注意をしておきました。まあMACのチャーター機が発着するという程度では、これを軍事基地と言うことは私はできないと思いますので、向こうのチャーター機以外の飛行機が激しく羽田を往復するとか、その目的のために往復するということは私たちはさせない方針でありますが、いまの程度の閑散な時間帯を利用して行なうという程度では、これは認めておいてもやむを得ないのじゃないかと思います。
  33. 小川三男

    ○小川(三)委員 それはちょっとおかしいですよ。あなたは断われますか。しかもあのチャーター機はあそこからベトナムへ直接飛び、あるいは沖繩へ飛び、軍需物資を載せているんですよ。それから武装した兵員も乗っているんですよ。それであそこで油を補給し、休憩をとって、現にそのまま戦場へ飛んでいる飛行機もあるんですよ。チャーター機はそういう行為をしている。これは平和空港であっても、軍事目的に一部使用されているということは否定できないでしょう。どうですかその点、全部とは言わなくても、一部軍事目的に使用されているということは否定できないでしょう。それも否定できますか。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 軍事基地の場合は、先ほど申し上げましたように、私の考えでは、その軍事的目的のために長期に、計画的にこれが使用されている、そういう場合を言うのでありまして、現在の状態で羽田が軍事基地などと言うことはできないと思います。
  35. 小川三男

    ○小川(三)委員 だから、軍事基地だと言っているんじゃないですよ。軍事目的に一部使用されているということはどうかということです。しかも一時じゃないですよ。三十九年、四十年、四十一年、四十二年、四十三年と、もう五年にわたって使っているでしょう。この長期にわたって軍事を目的とした飛行機が発着陸しているということを——これは羽田全部が軍事基地だと言っているのじゃない。軍事基地をあんなところに置いたら憲法違反だ。だからそれはいいですよ。軍事基地だとは言わなくてもいい。軍事目的に一部使用されているという事実を否定しますか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 人間を輸送するためにあれは使われておるのでありまして、戦闘行為自体を目的に使っているのではないと私は思っております。
  37. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたそんなことを言って……。それではあなた、飛行機の中を見ましたか。日本でそれを立ち入って検査することができて、何月何日に飛んできた飛行機については、立ち入り検査した結果、あれは武装した兵員ではなくて平服の軍人であったというような証拠はありますか。そうじゃないでしょう。直接飛んでいっているでしょう。その点どうですか。これは重大な問題ですからはっきりさせておいてもらいたい。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 家族も乗っていることもありましょうし、技術者が乗っていることもありましょうし、あるいは将校が乗っていることもあるだろうと思います。それはやはりアジア全般、韓国へ行く人もありましょうし、台湾へ行く人もありましょうし、日本の米軍基地に着任する人もあるだろうと思うのです。そういうわけで、総合的に私は使われていると思います。一部にはベトナムに行く人もあるでしょう。一部にはあるかもしれません。だからといって、それが軍事用に使われているとか、あるいは戦闘目的に使われていると即断することはできないと思います。
  39. 小川三男

    ○小川(三)委員 軍事目的に使用しているのではないということをあなたのほうで立証する何かあるのですか。MACのチャーター機、米軍の輸送司令部の命令によって動いている飛行機が、何で軍事目的でないと否定できるのですか。あなたのほうでそんなことを言ったって、米軍は否定しませんよ。明らかにあれは戦闘目的で発着陸している飛行機であるということを米軍が言っているのですよ。資料を出しましょうか。——ですから、それはあくまで一部は軍事目的に使われているんだということを認めないわけにいかないのですよ、あなたがどんなに否定しても。否定できるならば、できるような立証すべき証拠をあげてもらいたい。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の考えはさっき申し上げたとおりでございます。
  41. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃ、言いますが、もし成田にあなたたちがつくろうとしている新国際空港に、アメリカがいまのように発着することを要請した場合にどうしますか。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新国際空港は軍事基地には絶対使わせません。
  43. 小川三男

    ○小川(三)委員 軍事基地を言っているのじゃないのですよ。さっき言ったように、あなた、そんな軍事基地なんかつくったら、憲法違反ですよ。縛られますよ。軍事基地ではなくて、軍事目的にアメリカ空軍が使用を申し入れてきた場合に、これを拒み得ますかと聞いているのです。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 戦闘行為のためにそれを利用するというようなことについては、われわれはこれは拒絶しようと思います。
  45. 小川三男

    ○小川(三)委員 そうですか。これは非常に重大な問題ですから、明確にしておかないといけないと思いますが、四十二年四月二十八日の運輸委員会で、外務省の北米局安全保障課長の浅尾新一郎君は、「私のほうの条約あるいは法律の解釈としては、御指摘のとおり、日本の飛行場にははいれるということになっております。」拒み得ませんとはっきり言っているのです。「地位協定の第五条で、日本国の港あるいは飛行場にはいれるということでございますから、」どこでもはいれる。大阪の空港も成田、当時の富里でもはいれる。私のほうでは拒み得ませんということを言っているのですよ。外務省は拒み得ませんと言う。運輸大臣のあなたは拒み得ると言う。安保条約の一部を廃棄したのならこれは重大な問題です。これは安保条約によって、地位協定によってできている条約ですから、あなたは条約を否定して、アメリカの要請に対して拒み得る、あなたは拒むつもりである。じゃ、羽田は拒むか、きょうあすにでもあなたは拒みますか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地位協定によって、米国側がそういう権限を持っていることは御説のとおりであります。しかしそれは一般的に、日本の空港あるいは港湾に対して入ることができるように一般的に規定されているとおり、具体的にどういうふうに使うかということは、日本側の航空官庁とも協議をして実行していくべき問題であって、われわれも一般的にはそういう権限を受け付けますけれども、具体的な様相が日本の状況に適合しないという場合には、私たちは拒絶しようと思っております。向こうがそれに対してどういう態度に出るかわかりませんが、それは外交交渉の問題にもなるだろうと思います。
  47. 小川三男

    ○小川(三)委員 このことは非常に重大な問題ですが、あなたは拒み得る、拒むつもりである、こういうことですね。であったら、それを立証するために羽田を拒んだらどうですか。拒み得ますか。どうですか、その点。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 軍が民間機を徴用して輸送のために使うという程度のことは、私たちも羽田においては認めておるのです。しかし、新国際空港の場合に向こうがどういうふうに使うかということは、まだはっきりわかっていることではないのでありまして、それが直接戦闘目的のために利用されるというようなことであるならば、われわれは拒絶する考えであります。
  49. 小川三男

    ○小川(三)委員 安保条約によって規定された地位協定では、日本の公共的施設は優先的にアメリカ軍は使うことができるという規定があるんですよ。したがって、アメリカは勝手に使用することができるわけだ。現にここに通告なしに着陸しています。上空まで来て管制塔に連絡して直ちにおりてくる。事前に入るなんという通告をしていませんよ。だから現実に羽田が非常に困っているわけです。あなたはそれを拒むというなら、羽田で拒んでみたらどうですか。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 羽田の場合でも、度数が多くなった場合には、こちらは先方に申し入れをして度数を減らさせたり、あるいは日本の民間航空機、外国の民間航空機の発着に支障がないように向こうに対していろいろ要求をして、向こうもそれに応じておるのであります。したがって、地位協定の上に一般的、抽象的に権限があるからといって、それがそのまま額面どおり実行されるのではないのです。両国の実情に応じて、これはお互いが話し合いながら進めていく問題なのでありまして、私は私の所信を断行できると思っております。
  51. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなの所信ではなくて、日本政府が置かれているこの安保条約の規定をあなたは拒み得るのか。あなた個人の問題じゃないですよ。日本政府として安保条約で規定されてあるこの地位協定の問題を、あなは拒み得るのか。それから数が多いとか少ないとかが問題じゃないんですよ。少なくとも軍事用に使用されているということであったら——これはあくまでそうですよ。佐世保だって横須賀だって、あれは軍港とは言ってないでしょう。けれども現にあれほどの軍船団が入ってくることは、交戦国のほうから見たら軍港ですよ。その点どうです。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 佐世保の場合は日米合同委員会で合意したもので、提供水域になっておりますから、向こうが入ってくることになっております。
  53. 小川三男

    ○小川(三)委員 きょうの新聞で出ておるけれども、福岡市議会は板付基地をアメリカ空軍が使用することを禁止するという決議をしていますよ。こういうように板付も使用されているんですよ。羽田も使用されているんですよ。ですから今後三里塚につくろうとしている国際空港を、あなたのほうで拒み得るというが、何条約によって拒み得るのか。あなたの主観じゃないですよ、条約の第何十条の規定によって拒み得るということを明確にしてもらいたい。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 板付の場合も合同委員会で日本が合意して、向こうに提供しているものなんです。それを先方が日本に使うことを譲歩していま使っているというのが実情なんです。新東京国際空港の場合にはそういう合意は私はいたしません。
  55. 小川三男

    ○小川(三)委員 羽田はどうなんです。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 羽田も合意はしてないのです。ただし地位協定にあるような一般的、抽象的な権限に基づいて、向こうが民間機を。チャーターして出入させている、これは地位協定によって、権限によってわれわれは認めておるのであります。
  57. 小川三男

    ○小川(三)委員 地位協定によって羽田を認めているんでしょう。じゃ、三里塚は認めないということは、あなたはできないでしょう。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三里塚を向こうがどういうふうに利用するかということを見た上でなければ、われわれの考えはきまらないわけであります。われわれはあれを軍事基地に使用しようとか、あるいは直接戦闘目的にあれが活用されるようなことは拒絶するつもりでおるということを申し上げておるのであります。
  59. 小川三男

    ○小川(三)委員 だから先ほどから言っているように、軍事基地であるとは言ってないんですよ。軍事基地であろうがなかろうが、地位協定によってアメリカ空軍が使うといって申し込んでこられたら、何かの条約によってあなたのほうで拒み得るかいなかとだけ聞いておきたいのです。
  60. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままで答弁申し上げたとおりです。
  61. 野間千代三

    野間委員 関連して。大臣、七百幾つかある軍事基地は、これは安保協定をきめるときにできているわけですよ。そして羽田空港は明らかに基地ではない、これは事実だ。ただ、いま兵員の輸送に、大臣の言うように、民間チャーター機を使ってやっているわけだ。その兵員の輸送も、私が質問したときに、航空局の答えでは、約三分の一ぐらいが直接ベトナムへ行きベトナムから帰ってきているということが資料であがっているのです。これは明らかに軍事基地ではないが、小川委員の言うように、軍事目的であることは事実であります。しかも、戦闘行為直接ではないが、戦闘行為の準備行動であるわけです。これは完全軍装をして、そしてベトナムへ着陸をしているのだから、すぐ戦闘に参加するわけです。したがって、直接羽田から戦争行為に入ってはいないけれども、戦争行為の準備の段階としてやっておるから、明らかにこれは軍事行動です。軍事作戦上の輸送ですよ。したがって、これは軍事目的でしょう。それを断われと言ったら、それは断われない。安保条約の地位協定上断われない。したがって数を減らしたりなにかはするということで、あるいは数は減らしているかもしれない。そういうかっこうである場合に、そういう例がある場合に、新しい国際空港ができる、そこにしかもSSTとか七百人も乗せられる飛行機が離着陸をする。そうするとベトナム戦争が激化した場合に七百人、千人の大量の完全軍装した兵員が新しい国際空港におりるということを要請されることは明らかである。これは羽田は断わっていないじゃないですか、どうですか。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新東京国際空港ができました場合には、あの飛行場をアメリカ側が戦闘用の目的のために使うとか、あるいは軍事基地的に使おうという考を持ってきた場合には、それを拒絶いたします。しかし一般的抽象的権限に基づいて、現在のところは、アメリカ側は日本の空港やあるいは港を使用する権利はありますから、そういうあまり戦闘目的や軍事目的というものにかかわらないようなやり方でやるなら、これは認めてもいいと思います。しかしそれはそのときになってどういう態様で使われるかという事実認定をやった上で行なうべき問題で、私らは新東京国際空港は羽田よりももっと純民間飛行場、日本人だけが使いたい、日本人だけが外国の民間飛行機も入れさして使いたいという性格にしたいと思っております。
  63. 野間千代三

    野間委員 それは大臣、かってだよ。羽田の空港はあれは純民間ですよ。これは安保条約の軍事基地から完全に除かれて、民間航空のために使うというのが羽田空港の趣旨です。それがベトナム戦争の激化によって、いま私が言ったように、事実として完全軍装をした兵員を輸送している。しかも輸送先が直接ベトナムなんです。これは事実なんです。それは断わっていないのですよ。私が断われと言ったら、断われないと言った。そうすると今度は、大きな国際空港ができたときに、それは羽田と全く同じ純民間用の空港でありましょう。それが七百人も輸送できるとすれば、これはアメリカにとって、ベトナム戦争が激化をすれば有効な兵員を輸送する飛行場になり得るじゃないですか。そうすると、もう一点お聞きいたしますけれども、羽田では二百人乗っている完全軍装をしたアメリカ軍が、ベトナムへ行っている。これと同じような形で、七百人の完全軍装をした兵隊がチャーター機でもってベトナムへ行くということと同じ例だね。数が多いだけだ。これは断われるのですか、断われないのですか。これは仮定の問題ではなくて、やがてあるというふうに考えられる。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さっき申し上げましたように、戦闘目的や軍事基地用として新東京国際空港を使うことは、私は拒絶いたします。それは、日本政府はそういう方針を堅持しているということをこの際申し上げます。七百人乗りの新しい飛行機が、どうするかはわかりませんが、あの飛行機は非常に航続距離が長いですから、直接そういう場合にはベトナムへ行くのではないかと思います。とにかく先ほど申し上げましたように、戦闘目的や軍事基地的に使うことは拒絶いたします。
  65. 小川三男

    ○小川(三)委員 あなたは軍事目的か目的でないか、まるで飛行機の選定権が日本にあるようなことを言っているけれども、外務省の浅尾説明員は「ただいまも航空局長から御答弁ありましたように、羽田を米軍が使用するのは協定上認められている権利でございますので、そのつど外務省あるいは日本側に、使いたいということの承認を求める性格のものでございません。条約上認められている権利でございます。」したがって、そのつど、きょうは兵員だけ輸送します、きょうは武器だけ輸送しますと一々日本へ申し入れて、選定権が日本にあるなどということはないですよ。もしあるとするならば、あなたと外務省との非常な見解の食い違いがある。これは次に外務省を呼んでここでやらないと——その点、明確にしてもらいたい。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 羽田の場合でもこちらから申し入れをしますと、使用を差し控えたり、あるいは時間帯を調節したりしているのが実情であります。すなわち、向こうが言ってきたものがそのまま無条件に受け入れられているという状態でないのです。それは日米安保条約というものが相互信頼の上にできている条約なのであって、権利、権限、義務ばかりを角突き合ってやっているものではないのです。そういう点からも、私が申し上げたとおり実行いたすということを申し上げておきます。
  67. 小川三男

    ○小川(三)委員 それはおかしいな。だからさっきあなたが——一体いまの羽田の限界というものを、月に二千機飛んで来たらこれは多過ぎる、あるいは八百機ならちょうどいいといったようなことじゃないでしょう。アメリカにとってはベトナム戦が、エスカレートすることによってどんどんあそこを使いますよ。現にベトナム戦と並行して発着陸が多くなってきているのですよ。そういう点どうです、あなたはいまでも拒めたら拒んでみたらどうですか。
  68. 澤雄次

    ○澤政府委員 大臣もたびたび申し上げましたように、アメリカは羽田にMACチャーター機を自由に発着させる権利を有しているわけでございます。しかし当委員会でも現地へ御視察いただきましたように、これ以上MACチャーター機がふえれば、民間の飛行機の発着あるいは停留に支障を及ぼす。羽田は元来純民間航空の目的のためであるので、これ以上の使用は制限すべきである。当委員会でもこういう御判断をいただきまして、アメリカ政府に申し入れて、アメリカ政府もこれを了として、その後MACチャーター機はふえない。しかも大臣が申し上げましたように、昼間帯を利用する、飛行機があまりいない昼間帯を利用するということで、アメリカは条約上一応絶対の権限を有していると言えるのでございますが、日本側の要望をいれて民間航空優先という線を貫いてきておるわけでございます。
  69. 小川三男

    ○小川(三)委員 澤さん、いまあなたはそう答えられたが、それでは一体、MACというのは米軍輸送司令部の飛行機ですよ。あれは平和目的のために動いているとあなたは御理解になっているのですか。あれはアメリカの極東戦略の一部として使っているのでしょう。それを否定できますか。
  70. 澤雄次

    ○澤政府委員 いえ、私はMACチャーター機が民間目的のためだと申し上げているのではございません。あれは合衆国政府の公の目的のために使われているものでございますが、しかしアメリカ政府は条約上の権利は持っているけれども、やはり羽田の本来の目的を考えてその使用を制限しておる、こういうことを申し上げているわけでございます。
  71. 小川三男

    ○小川(三)委員 この議事録はあとであなたのほうに回しますが、外務省の浅尾氏の答弁は、富里を例にした場合でもこれは断われ得ません。そこで、軍事基地ではないですよ、新東京国際空港も羽田も軍事基地ではないけれども、軍事目的として一部使われているということは否定できないでしょう、どうです。それをはっきりさせていただきたい。
  72. 澤雄次

    ○澤政府委員 この運輸省の地元へ配布申し上げましたビラにもございますように、新空港は軍事基地には決していたしませんということをかたくお約束しているわけでございます。軍事基地にしますには地位協定に基づいて両国政府の合意が要ることは、御承知のとおりでございます。それで先ほど大臣が申し上げられましたように、もし爆撃機あるいは戦闘機というようなものが羽田なりあるいは新東京国際空港を使用しようとしました場合には、これは日本政府は重大な決意を持ってこれを拒否するということを大臣が申し上げましたわけでございます。  このMACチャーター機が本来の民間目的を阻害しない限度でこれを使用するという場合には、その状態をよく見て、民間の使用に影響のない場合にはこれを認めても差しつかえないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  73. 小川三男

    ○小川(三)委員 ですから、あなたのほうでどんなに重大な決意を持とうとも、条約で権利を持っているものがそれを行使することは拒み得ないでしょう、どうですかその点。拒み得ないでしょう。得ないとしたら、アメリカが軍用機を持ってきようがチャーター機を持ってきようが、軍事目的の一部として使用するときだって拒み得ないでしょう。それをはっきり言ってもらいたい。三里塚に軍事基地をつくるなんということは、こんなことは、この文章おかしいですよ。軍事基地をつくるなんということはできないですよ。憲法第九条が明白にしていますよ。交戦権を持たない国が、陸海空三軍を持ってはいけないということを憲法で規定している国が、軍事基地をつくったらおかしいですよ。そんなことはごまかしですよ。いきなり軍事基地にすりかえているけれども、軍事基地と言っているのではないのですよ。軍事目的に一部使用することも拒み得るかどうかということを聞いているのです。
  74. 澤雄次

    ○澤政府委員 私のほうで決して軍事基地にいたしませんと申し上げましたのは、地元の反対の方、あるいは外部から応援に来られた方が、新空港をつくればこれが軍事基地になる、こういうことを反対理由の一つに掲げておられるので、私のほうでは絶対に軍事基地にいたしません、このようにお答え申し上げているわけでございます。
  75. 小川三男

    ○小川(三)委員 だから私は軍事基地に使用するということを言っているんじゃないのですよ。米軍がこれを一部軍事目的に使用するということを拒み得るかどうか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さっきここで質問を始める前に、小川さんは軍事基地ということばを使ったのですが、それは速記録を調べればわかります。だから私は軍事基地じゃないということをはっきり申し上げたのです。そうしたらあなたは今度は、軍事目的というふうにことばが変わってきた。速記録をお調べになればわかります。そこで私はさらに、地位協定に基づいて一般的、抽象的には先方は日本の空港や港に入る権限を有しておるけれども、具体的にどの飛行場をどういうふうに利用するかという場合には、日本には日本の考えもあり、アメリカも日本の考えを尊重するようないままでの慣習でもあります。羽田の実例を見ればわかります。そういう点からして軍事基地的に使うこと、あるいはそれを戦闘目的に利用されるというようなことについては拒絶するということを申し上げておるわけです。
  77. 小川三男

    ○小川(三)委員 この問題は外務省の担当の方に出ていただいて、じかに明確にしたい。軍事基地、軍事基地というのはあなたのほうでしょう。軍事基地にしませんということを言っているが、私は軍事基地とは言っていないでしょう。軍事目的に使用するからいかぬと言っている。その点は明確にしなければいかぬ。  それから次にまいりまして四十一年度の予算、空港に使おうとする四十一年度の予算が二十五億、それから四十二年度が五十億、その合計が七十五億、このうち、仕事ができないのですよ、ですから三十一億九千二百万円は翌年度へ繰り越す見込みである、こういうことを言っている。これはおそらく用地取得の経費。ですから用地取得について、いま条件派と空港公団は折衝中でありますが、あれの最終価格を示してもらいたい。公団が買い得るぎりぎりの価格補償は、十アール当たり畑について幾ら、宅地について幾ら、水田について、山林、原野、その科目にわたって明確に数字を出してもらいたい。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうデリケートな問題は、この委員会で発言しないほうが空港が促進されると思います。そういう両方でネゴシエーションをやるという場合には、手のうちをそう簡単に見せるものではないと私は思う。また、それは空港を促進する上に弊害が出てくると私は思っております。ですから最終価格を幾らにするかということは答弁を差し控えたいと思います。
  79. 小川三男

    ○小川(三)委員 それがどうしてここで、当委員会で論議できないのです。だってあなた、地元と折衝するのに公開しなければならないでしょう。あなたのほうで話し合いをする、話し合いをする。話し合いというのは、用地の価格を提示しないで話し合いが進行するわけがないでしょう。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 入学試験の前に、試験の答案を見せるものはいないと思います。あるいは競争入札の前に、落札の値段を見せるものはないと思います。やはりわれわれは国家の利益も考えなければなりませんから、ここで差し控えるということを申し上げておるわけです。
  81. 小川三男

    ○小川(三)委員 いやしくも農民が土地を手離すか手離さないかは、価格と補償の額によるでしょう。条件派といえども、無条件で政府に提供するという人はいませんよ。したがって、これは入学試験などというような、そんな問題ではありません。あなた、農民にとっては土地は命にもかえがたい重大な問題なんですよ。その重大な問題を、あなたのほうで引き取ろうとするのに、価格を提示しないなどということがあり得ますか。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地元の人の立場はよくわかっておりますし、また土地を提供される人々の愛惜の感情もよくわかります。したがいまして、その場合になったらよく話し合いを進めまして、地元の人々の立場を十分考えて、納得づくでこの問題を解決したいと思っております。
  83. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは富里から始まってもうすでに五年半ですよ。そして成田へ空港をつくるといってもう二年になります。いまもって価格を提示しないで、話し合い話し合いと言ったって、価格も提示しないでどうしてできますか。  それじゃ内容を言いましょうか。いま空港公団用地課の諸君は、現地に来て何をやっておりますか。辞表をふところに入れて、あなたが承諾してくださらなければ辞表を出してやめます。けれども今度は手帳を出して、何月何日あなたとどこどこで飲んでおります。これは公金を使って飲んだので、私がやめれば、おそれながらとやらなければならぬ。その場合にはあなたに非常に迷惑をかけますが御承知でしょうね。これは恐喝ですよ。こんな詐術を使って、これが誠実な話し合いなどということが言えますか。あなたは現地を知らないから。(「そんなことがあるかね」と呼ぶ者あり)ありますよ。明確にありますよ。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうような事実は、私はまだ報告を聞いておりません。誠心誠意御納得がいくように、話し合いを進めるようにしようと思っております。
  85. 小川三男

    ○小川(三)委員 誠心誠意話し合いをするというけれども、この問題について大臣はあなたで七人目だ。しかも大臣で現地へ来たのは大橋さんだけだ。しかも、大橋さんは何時に来たと思います。午前七時ですよ。ま冬の午前七時に人の家を訪問して、しかも突然訪問して、疾風のごとくに帰ってしまった。これが話し合いですか。そんなことは話し合いじゃないですよ。
  86. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 話し合いは公団の総裁をトップとして、その局部局部の責任者が進めているものでありまして、その話し合いがうまく行なえるように、私たちはあとから見守っているという立場にあります。私も、適当な時期が来て私が現地へ行くのが適切であるというときになったら参りますけれども、それまでは東京にいてよく援護してあげようと思っております。
  87. 小川三男

    ○小川(三)委員 時間がないからここでやめますが、あなたは大橋運輸大臣からお引き継ぎを受けて、どのような引き継ぎを受けたか知りませんが、国際空港の位置の決定にあたって政府が無理をしていないかどうかということです。非常に順調にすなおな状態で位置の決定ができたかどうか。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地元には御迷惑をおかけいたしておりましてはなはだ恐縮に存じております。しかし、日本全体のことを考え、特に世界の国際航空の要衝に当たっております日本の立場を考えますと、これは全国民のためにその話し合いを進めていただきたいとお願いをいたすものでございます。
  89. 小川三男

    ○小川(三)委員 これは無理に無理を重ねているんですよ。ですから公団の総裁が現地へなど来やしませんよ。副総裁だって来ませんよ。運輸省もそのとおり。なぜ来られないような状態にしてしまったのかということです。それが一つ。(「社会党の扇動だ」と呼ぶ者あり。)社会党の扇動であれだけ地元の農民が団結するなら、社会党たいしたものだよ。無理に無理を重ねているから、十月十日のくい打ちにしても、二千に近い武装警官隊を前面に押し出さなければ三本のくいも打てないというような状態一つ。そういうようなことを繰り返しているのです。いま現地に入っているのは私服警官とガードマンでしょう。あとはさっき言ったような詐術を弄している用地屋ですよ。まじめな者がだれが一人入っていますか。こんなことで何ができますか。政府がよく言うんだが、機動隊と全学連をいつでも対象に出して、全学連を前面に出しているが、問題は全学連でなくて地元の農民ですよ。地元の農民とどうして対話をしないのか。いいですか、民主主義の原則である話し合いも協議も何の過程も経ないで、突然おまえのところだと決定しているでしょう。あなたの郷里の群馬県で、ここへ飛行場をつくるから直ちにあなたたちは立ちのきなさいといったら、あなたすなおにそれを引き受けますか。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 静穏な状態でよく納得ずくで両者の話し合いが行なわれるようにいたしたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いしたいと思います。
  91. 小川三男

    ○小川(三)委員 いいですか、この間のときもそうですよ。戸村委員長——これが戸村委員長だ。大地にはいつくばったようなかっこうになって、何も持っていないでしょう。彼が身につけているのはえんぴつ一本ぐらいだろう。そういうような状態の者を乱打して、いまもって頭が痛くて、脳震盪の強い状態で、起きられないというような状態になっているんだ。こういうように、何も持たない者を、これは委員長だからなぐりつけたんですよ、明らかに。これはもう委員長だから。だから石橋副委員長と戸村委員長、この二人が重傷を負っているんだ。こういうことをやっておる。これは指定しているんだ。しかも、公団にいるのはだれだ。千葉県の刑事部長をやっていた者や、纐纈彌三のように、みなさい、あれは左翼弾圧の張本人ですよ。あれのもとで三千人もの左翼運動者が逮捕されたといわれているのだ。こういう者を前面に押し出して、警察権力が表へ出てこなければ何も仕事ができないというようなことで、何ができる。このまま時間を推移していったら、ただ日時を経過するだけじゃないですか。しかも重大な国費を乱費していながら、何です、あの船橋や千葉や成田や至るところの料亭で飲み歩いているのは、空港公団の職員ですよ。そんなことを許しておいて何ができるのだ。  それじゃ澤さんに答えてもらいましょう。いまどれだけの土地を手に入れました。きょう現在でいいですよ。
  92. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在まで契約を締結しましたのは三十名の方で、面積は二十七ヘクタールでございます。それから売り渡しの承諾書を公団に持ってこられた方は、さきの三十名を含めまして八十九名、その面積は百四ヘクタールでございます。
  93. 小川三男

    ○小川(三)委員 それじゃ澤さん、買収の済んだものがあるのでしょう。あったら価格は言えるでしょう。
  94. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは公団提示価格で買収を応諾された方でございます。畑について申し上げますと一反百十万でございます。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 買収価格につきましては公平に行なわれるようにしたいと思いますので、初めにそういうふうに百十万で御納得していただいた人でも、将来同じような場所が値が上がるという場合には、これは値上がり分も見てあげなくてはいけない。先に契約したから損するということがないようにこの土地買収については行なっていきたいと思うのです。  先ほどのお話の中でいろいろ負傷の事件のお話がございましたが、委員長、副委員長が負傷なさいましたことはまことに遺憾でございまして、できるだけ早くなおっていただきたいと思いますが、やっぱり、あのケースを見ていますと、角材とヘルメットと石ころを先になくすことが先決だと私は思う。警察官のほうから先に出ていってぶんなぐったという事実はないのです。石ころが飛んでき、角材とヘルメットが押し寄せてきて暴力をふるうからやむを得ず防戦に回るというのが事実なのでありまして、秩序を破壊するほうを先に押えなければ、国家の秩序はもたぬと私は思います。
  96. 小川三男

    ○小川(三)委員 それでは言いますが、全学連が来ているのはこの間の二十六日一回だけでしょう。その前の十月十日はどうしたのです。農民は何一つ持っていやしないでしょう。それをあの武装警官隊を二千名近くも押し出してきて、ガードマンを擁護して——ガードマンは営業でやっているのですよ。その営業者を擁護するために武装警官隊を前面に押し出してきて、あれからですよ、農民が激化してきているのは。その責任はあげて政府側にあるということを私は指摘して、終わります。
  97. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  98. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 中曽根大臣質問をいたしたいと思うのですが、連日まことに御苦労でございます。先ほどから応答を伺っておりますと、別に大臣をお互いがいじめるために言っておるわけじゃないのであります。国家将来のことをおもんばかり、あるいは国民の生活安定のためにいかにわれわれはすべきかということで、実は大臣に食い下がっておるわけでございまして、その点は、私もあるいはことばがきつくなる場合もあるかと思いますが、ひとつ御寛容のほどお願い申し上げます。  まず先に伺いたいと思いますのは、昨日大臣は日本の運輸行政の将来に対する一つの大きな理想ですか、抱負を述べられたのであります。私はまことに中曽根運輸大臣らしい構想であると想像をいたしたのであります。この機会に私はさらにお伺いをいたしたいと思うのは、最近はおかといわず、あるいは海といわず、交通事故が日に日に頻発をいたしておるのであります。これらの問題に対して一体どう対処しようとされておるか、その問題について伺いたい、こう思っておるのであります。その一例を申し上げますると、たとえば陸上の問題については交通安全対策のいろんな法律もできてまいりました。海上においては、いま政府のほうでも海上交通法を提出される予定のようでございます。これらは考えてみますると、タンカーがだんだん大型化してまいりまして、マンモス化してまいっております。あるいは大阪湾にいたしましても、東京湾にいたしましても、将来を思いますると、なかなか容易なことではない、こう考えておるのであります。いま目ぼしい石油精製工場すなわちコンビナートを考えてみましても、三重県の四日市あるいは岡山県の水島、あるいは和歌山県あるいは鹿児島の喜入、こういうところに方々あって、水島等々に入る原油は、大阪湾の明石海峡を通って十万トン以上の船、二十万トンの船が水島に航行を続けておるのであります。これは一つ間違いまするならば、たいへんなことになるんじゃないかということをおそれるのであります。そういうことのために交通安全、海上交通法等の用意があるのであろうと思うのですが、むしろそういうことを方々に行なうよりも、たとえば鹿児島の種子島のような一つの大きな島、こういうものを大きなコンビナートに仕上げてしまって、原油から精製された油を東京に、あるいは千葉に、あるいは大阪に、種子島なら種子島という島から運ぶ、こういうような構想を立てられて、その島には原油を、三十万トンあるいは四十万トンという大型船で持ってきて精製をする、こういうようなこと等が必要ではないかと、こう想像をするのですが、そういうことに対する大臣の所感をひとつ伺いたいと思うのであります。
  99. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの山下さんのお考えには、非常に共鳴いたします。具体的にいろいろ検討してみたいと思います。
  100. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 これはひとり運輸省のみの問題ではございませんから、あるいは通産省との関係等もございましょうし、大臣のごとき若さと、この前のお話のようにりっぱな理想を持った方が閣議その他の関係で発言をなさいますならば、私は相当な影響力があるんじゃなかろうかということも想像いたしますので、ひとつよく御勘案願いたい、かように思うのです。  次に伺いたいと思うのは、今度はいろんな具体的なことについて伺いたいと思うのですが、最近、国鉄の通勤通学の定期の値上げに続いて、私鉄の通勤通学の値上げが要請されようといたしておるようであります。これはきわめて重大な問題であると思うのであります。大臣は、過般の新聞を見ますると、さような便乗値上げ的なものは認めない、こう言っておられるようであります。運輸省が発表したところによりますると、昭和四十二年度の上半期の決算を見てみますると、大手十四社の上半期の利益というのが八十一億円の黒字を出しておる。こう発表されておるのであります。かような実情にあるにもかかわらず、通勤通学の値上げを行なわなければならぬ、こういうのは、一体どこにその基因があるか。大臣の言われるように便乗値上げのそしりはまぬがれない、こう思うのですが、これは断固として値上げをさせない、こういう方針でおいでになるか。その辺のことを伺いたいと思うのであります。
  101. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私鉄国鉄の財政につきましては基礎条件において非常に違うところがありまして、私鉄はまたいろいろ関連事業を営んだり、あるいは土地、不動産、観光、あるいはチェーンストアから百貨店に至るまでやっております。私鉄も、複々線化であるとか、安全基準を確保していろんな施設をやるとかで投資もふえておりまして、確かに苦しいであろうということは想像されますけれども、しかし国鉄とは基礎条件がまるきり違いますので、お説のように、四十三年度中はこれを認めない方針でいくつもりであります。
  102. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 いま大臣は、私鉄はいろいろの事業に手を出しておる、こういうことを言われたのですが、御承知のごとく、百貨店あるいは土地造成あるいはプロ野球、いろんなことに手を出しておる。あるものはゴルフ場まで設置している、こういうところも少なくないようでありますが、企業の性質からいって私鉄という企業、運送業という事業、こういうものが一企業という利益、採算の上にのみ立った企業という観念というものは私は捨てるべきではないか、こう思うのであります。もっと公的な立場の企業である、こういう立場に立つべきものではないか、そういうことを考えるならば、あれにもこれにも投資する、こういうことがかえって災いを生ずるのではなかろうかということをおそれるのでありますが、大臣はこれらに対していかなるお考えでございましょうか。
  103. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私鉄の社会的機能というものは、今日のような時代になりますと、昔と非常に変わってきておりまして、公共性、公益性が非常に要求されてきておると思います。そういう観点に立ちまして、前回申し上げましたように、私鉄に関するある程度の助成も行なうと同時に、監督も社会的面から強化するという方向で、実は特別立法をする必要を感じておりまして、そういう立法をぜひ適当な機会にやりたいといま準備さしておる最中であります。
  104. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 その特別立法というのは、一体、いろいろの事業投資してはならぬ、ただ企業そのものが輸送に専念せなければならぬということを考えた上に立っての立法の処置でありますか、何でありますか。
  105. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 関連事業との関係は非常にデリケートな面がありまして、どのようにして社会性、公益性を維持しながら、軌道あるいはバス事業者として市民の負託にこたえていくかという点は、よく慎重に検討してまいりたいと思っております。
  106. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それじゃ慎重ということですから、慎重に御検討願うといたしまして、具体的な問題に入っていきたいと思うのであります。  まず最初に伺いたいのは、過般、御承知の地下鉄の大きな災害がございました。その問題についてちょっと伺いたいと思うのです。  一月二十七日、日比谷線の六本木駅付近で、御承知のごとく、電車が火災を起こして燃えてしまったのであります。これは地下鉄の法規に従って地下鉄の電車は不燃焼性の材料を使用しなければならぬ、こう規定をされておるのです。もちろん不燃焼性のものを使用されておったのではあろうと思いますが、一体どういうわけでああいう大きな事故になったのか。もしあれに人が乗っておったらたいへんな生命を奪ったであろう、こう想像をいたすのであります。これに対しては今後万全の処置をとられることはもちろんのことであろうと思うのでありますが、私が伺いたいと思いますのは、事故そのものもお聞きいたしますと同時に、最近東京、大阪におきましても、地下鉄の中に郊外電鉄が乗り入れをいたしてまいってきておるのであります。たとえば私の選挙地元で申し上げますると、阪神電車は神戸の湊川まで地下鉄で入りまして、そうしてそこまで今度は山陽電車が入ってまいります。北のほうには神有電車が入ってまいります。かようになってまいりますると、地下鉄で規定をされておる不燃焼性材料使用の電車、この問題と郊外電鉄とのかね合い、そういうものが一体いかようなかみ合わせになって、いかように利用されることになるのか、その辺のことを伺いたいと思います。
  107. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地下に入っていく電車につきましては、地下鉄の車両としての基準をやはり厳守しなければいかぬと思います。そこで、先般事故発生後、地下鉄車両の不燃化構造基準を再検討するために省内に地下鉄車両AA基準検討委員会を設けまして、次の分科会をつくって作業を進めております。一つは床下機器等の配置。次に使用材料の不燃化。三番目に主回路の構造であります。技術的に早期改造の困難な機器につきましては、その使用取り扱い上の指導を徹底して同種事故の再発防止につとめると同時に、当面といたしましては、電気配線を金属管等で被覆する。それから主回路を改良する。そして地下鉄車両AA基準の全面的改良を促進するために、床下機器の配置、寸法と材質についての実態調査、使用材料の耐熱試験等を実施する予定であります。
  108. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ああいう事故があったのでありますから、当局としても落ち度なくいろいろな対策を樹立されることは当然だと思うのですが、どうも日本のいままでのいろんな地下鉄あるいは地下街、トンネル等々を見ていきますと、万全の措置が講ぜられているとは言いがたいのであります。非常用の手段等についての設備が全く置き去りにされている、こういう点が少なくないのでありまして、それらの点について今後十分配慮し、考慮していただきたい、これを希望申し上げておきます。  次に、時間がありませんから、伺いたいと思いますのは、過般米原の駅で大きな脱線事故がございました。このことについて、これは国鉄当局ですか、あの新聞記事等を拝見いたしますると、米原の駅は御承知のようにカーブになっております。したがって信号機が二つこうあって、その二つとも赤であるのを無視して入っていったという、きわめて遺憾な事態だと思うのですが、こういうものに対しての今後の改良、改善あるいは自動装置等がこれに対してどうなっておったのか、あったのかないのか、その辺のことを伺いたいのが一つ。  それからもう一つは、同じ国鉄関係で、過般信越線の岩塚と塚山駅の間で御承知のごとく、信号機の点検係というのですかが三人命をなくした、こういう事故がございます。おそらく、信号機の点検というのは、雪が降りますと信号機が見えなくなるのでしょう。これらの問題を保全していく仕事であろうと想像いたすのでありますが、これが御婦人の方だったと新聞に書いてあるのです。これは国鉄職員であるのか職員でないのか。請負事業でやらしておるのかどうか、あるいはまた、そういう信号機が熱の関係あるいは水の関係、いろんな関係からそういう操作をせぬでも自然に信号機が完全に機能を発揮できるような体制がとれないものであるのかどんなものか、その辺のことを伺いたいと思うのであります。
  109. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 まず、米原の構内におきます二月十五日の事故でございますが、これにつきましては大臣からも、国鉄らしからぬ事故だといっておしかりを受けました。私ども非常に恐縮いたしておる次第でございます。関係運転士がごく最近警察から帰ってまいりましたので、まだ直接本人から事情を取り調べてはおりませんけれども、大体推定いたしましたところによりますと、関係者の証言、たとえば駅の助役等の証言によりますと、いま先生のおっしゃったとおり、初めの信号機は注意信号、その次は赤、その間にもう一つ中継信号——ちょうどカーブになって見にくいのでもう一つ赤信号を中継する信号機が一つ、三つ信号機がございます。第一の信号機は警戒、黄色であります。注意して行けるわけでございますが、第二、第三の赤信号機をおかしていったということでございます。私のほうは御承知のとおり、自動列車停止装置がついておりますので、こういうことはあり得ないことではありますが、実はそのもとの電源を入れるのを忘れたのではないかというふうにいま推定されます。しかしこれはまだ本人から直接聞きませんので、確定的なことは申し上げられませんが、いろいろな事情から推定いたしますと、信号機が故障であったということは絶対にございません。駅の助役も注意信号で出発合い図した、これも証言しております。これらを総合いたしますと、残念ながら列車停止装置のもとの電源を入れ忘れたのじゃないか。電源を入れますと目の前に白いランプがつくようになっておりますので、それが消えておりますと目前ですぐわかるわけでありますが、それを失念したのではないか。それを失念した上に、しかも赤信号をおかしたということでありまして、まことに国鉄らしからぬお恥ずかしい事故でございました。今後十分そういったことがないように具体的な方法を検討してまいりたいと思います。  それから、第二の岩塚−塚山間の事故につきまして、これは新潟県では大体除雪人夫はほとんど女性でございます。男性もおりませんので、大体私のほうでも半分以上は女性を使っております。二人なくなり一人けがされましたが、なくなった方のうちの一人はもう五年も国鉄の除雪を毎冬やってきてくださいました。一人の方も一年、去年から除雪に加わっておるという方で、これは全部直用でございます。間に一切の業者を入れませんで、国鉄の保線区というところで直接雇用契約をいたしております。臨時職員という形で仕事をしてもらっております。したがって、臨時職員だけでは仕事があぶのうございますから、必ず正規の資格のある職員をつけて、それの引率のもとに作業をいたしたわけであります。過般の作業は信号機の除雪ではなくて、信号機の下の箱がございます。その箱のふたが雪であかなくなりますので、箱のふたがあかるように前の雪をとりにいったというふうに聞いておりますが、何といたしましても駅を出てすぐでございます。列車も定時で走っておりましたし、指導者も時計もダイヤもきちっと持っておりましたので、どうしてああいう間違いが起きたか、もう一、二分——一、二分といわないでもうあと三十秒待てば列車がトンネルから出るということがわかっておるわけであります。どうして無理にトンネルに入ったか、その辺の事情が、なくなったのでわかりませんが、三人の女性につきましては、できるだけの、職員と同じようなあとの弔慰のいたし方を大体完了いたしました。
  110. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 他の職員と同じような取り扱いをしたいということはけっこうなことだと思うのですが、それは直用であっても職員規則外の規定でお雇いになっているわけですか。
  111. 井上邦之

    井上説明員 私からお答えいたします。  臨時人夫の場合にも規定がございまして、これは組合と協定の上つくった規定でございまして、それに基づきまして、労働基準法で定められた補償を上回る補償をするように規定をつくっております。それに基づきまして、そのうちでなるべく手厚くなりますように私どもは計らいまして新潟支社に連絡、指示をいたしました。それによって事務を進めております。
  112. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それではこの補償と万全の措置を講ぜられるように希望を申し上げておきます。すでに時間も参っておるようでありますから、あと一つ、二つだけ簡単に伺いたいと思うのであります。  国鉄関係でもう一つ伺いたいと思いますのは、いま大阪−岡山間の新幹線の工事が進捗いたしておるのであろうと思うのでありますが、その経過も聞きたいのでありますけれども、時間もありませんから……。ただ補償問題等でいまだ未解決の個所が非常に多いと思うのであります。これらに対しまして一体国鉄当局はいかなる処置を講ぜられておるのか、ただ了解の得られたところだけ工事を進めていく、こういうかっこうにしか見えないような感じがいたすのですが、その経過、その処置等をちょっと伺いたいのであります。
  113. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 具体的な話でございますので、担当の仁杉常務から御説明いたさせます。
  114. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、実は山陽新幹線の工事の契約は主として隧道区間、特に西宮から西明石に至ります六甲山系のトンネル、あるいは相生から岡山県の備前町に抜けます間の県境にある長大な隧道、これらにつきましてただいま契約を終わっておりますが、われわれがよく申します平地と申しますか、平らなところで用地買収をしてから工事にかかるという区間につきましては、まだ着工いたしておりません。その原因はやはり用地買収が難航しているということでございます。それでこの難航している原因でございますが、これにつきましてはいろいろな事情がございます。場所によって異なりますが、兵庫県の西宮市等では線路の幅が大体十三メートル余りでございますが、その両わきに五十メートルずつの空地をつくって緑地化してくれというような御要求がございます。もし全線でこういうことをいたしますと、八百億程度の金がかかるというような問題もございますし、公害基本法はできておりますが、騒音の規制をする法律等もまだできておりませんので、われわれだけの段階でなかなか処理がむずかしいというような点がございまして、ただいまそれらにつきまして、地元並びに私どもの考え方、これらを何かの形で調整をいたしまして、何らかの手を打ちながら用地買収を進めていきたいというふうに考えておりますが、いままだわれわれの国鉄部内におきます思想も統一ができておりませんので、いま鋭意それらの考え方をまとめ地元と折衝をしたい。それでできますならばことしの秋ぐらいに、岡山県下等では用地買収を終わりまして、秋ぐらいから平らなところの工事に着工したいというふうに考えているわけでございます。
  115. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 地元の意見を聞きますと、東京−大阪間の新幹線の鉄道の近くの家は風圧でかわらが降るとか、あるいは振動で家がゆがむとか、いろいろのことを聞くのであります。したがいましてこれらの公害に対する配慮が十分なされなければ、土地買収等はなかなか容易でないであろうと想像いたすのであります。したがいまして西宮地区あるいは尼崎地区それぞれの沿道の者は、公害を一番中心にしておそれをなしておるのであります。したがって五十メートルのグリーンベルトをつくってくれとか、いろいろな要求もあるようでありますが、これらをただ金がかかるからできない、こういう一片のことばで退けるわけにいかない事態ではないか、こういうことも考えられるので、その辺は国鉄当局としても十分ひとつ御配慮いただきたい、こう思うのであります。  次にもう一つ最後に伺いたいと思いますのは、先ほど申し上げました海難事故、タンカー等の問題について、過般東京湾の千葉で転覆いたしましたタンカー、この救助作業というのがきわめて、新聞、ラジオを聞いておりますと歯がいったらしいほどなまぬるいやり方のように思われます。御承知のごとく、海上保安庁もあり、海上保安庁にはそれぞれの救助船もあると思うのでありますが、あれはほんに岸近くの事故であって、太平洋のまん中とかなんとかいうことならいざ知らず、なぜああいうものが早急に救助できないのか、また救助するためにはもっと何らかの救助船、救助の機械が必要なのか、その原因についてお伺いをいたしたいと思います。
  116. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 二月の二十日に起こりましたタンカー第十一大東丸の館山沖付近の事故でございますが、救助作業がおくれましたことについては私どもも——まず第一に漂流船体を発見したのが海上保安庁の巡視船でございます。それから、朝方発見いたしましてそれについて回ったわけでございますが、天候が非常に悪かったこと、それから船体が転覆をいたしまして、タンカーの底でございますから、なわをかけたり、横だきにしたりすることができない。当時の風速は二十メートルで、漂着したところは岩礁が非常に多かった。そこで海上に投げ出されていると思われる者の捜索と同時に、船内に生存者がいるという公算が多いので、ヘリコプターによりまして生存を確かめる。このときも荒天のために船体が非常に動揺しているということで、ヘリコプターで人をおろすことができないという状況でございました。陸岸からも、もちろん岩礁の多いところでございますので、伝馬船、自動艇等も近づけなかったというのが当日の状況でございます。翌日になって風浪の合い間を縫ってやっとヘリコプターから人をおろして生存を確認いたしました。しかし依然として天候が悪いために、船底の焼き切り作業というものが、専門の深田サルベージによっても相当の時間がかかってしまったわけでございます。結局遺憾ながら、行くえ不明者あるいは船内における死亡者を出してしまいました。救助できたのは四名でございます。私どもといたしましては、いま御指摘のとおり、海上保安庁における救助能力の向上、そのための機材の整備ということにつきまして、なお一そう研究もし、努力もしようということで現実に手を打ちつつございます。そういう状況で、今後はこういう事故に対処して、何よりも一分一秒を争う人命のことでございますから、でき得る限りの救助ができるように態勢を整えていきたい、かように考えております。
  117. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 事人命の問題でございますから、ひとつ保安庁としても今後十分御配慮していただきたいと思うのであります。  さらに私は、パナマ運河の事故の問題、いろいろと伺いたいことがたくさんございますが、時間がまいりましたから、いずれそれらの問題は他の機会に譲りたい、かように考えるのであります。  最後に大臣に一言だけ伺っておきたいと思うのです。南海事故等については、先ほど野間議員、あるいは昨日も質問等ございましたが、南海は一昨年十カ月の間に三回も大きな事故を起こしております。こういうこと等は、これは労働条件の劣悪等いろいろな関係もあるのではないかということも考えているのですが、他の大手電車よりもなぜ南海だけがああいう大事故が多いのかということで、実は納得いかない点が少なくないのであります。そのために大臣は、先ほど答弁もございましたように、相当きつい勧告もされたようでございますけれども、ただ単なる文書の勧告や厳重な抗議を申し込まれただけではこれらを防ぐことはできないと思うのですが、私鉄全般に対して今後一そうひとつ運輸当局として監督を厳重にされて事故絶滅に努力されなければならぬと思っておるのであります。そのほかまだいろいろ伺いたいこともありますけれども、これら各私鉄に対する事故その他の一般的な、南海だけでなくして、指導監督を一体いかように行なっておられるのか、最後に大臣に伺っておきたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 南海事故がありました直後、全国の私鉄に対して示達を出しまして、運転要員の確保あるいは安全基準の励行、そのほか必要な措置を具体的に指示いたしまして、万遺憾なきを期するように手配はいたしております。なおまた私鉄の連合会等の会合におきましても、そのことを特に私からも直接お願いを申し上げてあります。さらに、先ほど申し上げましたように、最近における私鉄の社会性、公共性にかんがみまして、この時代に即応するように私鉄自体の機能が発揮できるような形で取り扱っていきたいと思いまして、必要な立法措置をいま検討いたしまして、それができましたら御審議をわずらわしたいと思っております。
  119. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 終わります。
  120. 大野市郎

    大野委員長 沖本泰幸君。
  121. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間が限られておりますので、十分な質問もできませんが、また先輩議員がいろいろ御質問なさって重複する点もあると思いますけれども、そういう点はひとつ御了承いただきたいと思います。  話は少し古くなりますけれども、私は特に南海電車事故に限りまして、それと大臣の所信表明の内容について、この二点についてお伺いしたいと思うわけでございます。  それでまず、所信表明の中でお伺いしたいわけでございますが、これを読ましていただきますと、この中にいわゆる「三カ月余を経過いたしました今日、私はその方向が正しかったということを確信いたしております。」いわゆるサービス官庁でなければならないということ。同時に、経済官庁としての使命を強く認識して行政を行なうべきであるという点について確信をお持ちになったのだと思いますし、今後もその方向を一そう強めてまいりたい、こういう大臣の御確信でございますが、どういう点が確信をお持ちになるに至ったか、具体的な例についてお答えいただきたいと思うのです。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 率直に申し上げまして、高度経済成長に伴いまして、運輸行政というものは非常に重要なかなめになってきつつあったと思いますが、運輸省の内部、あるいは客観的に見ましても、そういう質が変わってきた責任の重大性というものの自覚が不足しておったように思います。私は全くのしろうとから、これを外部から見ておりまして、幸いに運輸大臣を拝命いたしましたから、日ごろの考え方を適用しまして、時代に合う運輸行政に改革しようと思って考えたのが、ここにございますように、サービス官庁あるいは経済官庁としての運輸省の重要な使命であります。そういう方向に切りかえていくために、いま部内でいろいろ機構を設け、作案をし、案ができましたら実行に移したいと思っております。しかし一朝一夕にしてこれはできるものではないのでありまして、まず基本方針をきめ、軌道を敷きまして、その軌道の上に時間をかけてじっくりじっくり実力をつけながら、その方向に切りかえていきたいと思っております。
  123. 沖本泰幸

    ○沖本委員 こまかい点に移りますが、同じ内容の中に「年末年始には、各交通機関に対し特別総点検を命じ、私以下運輸省各機関の幹部も現場へ出て指揮監督し、かなりの効果を」あげておる、こういう点をお述べになっていらっしゃるけれども、それでは運輸省自体が各交通機関の総点検をおやりになったことがあるでしょうか。
  124. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この間の総点検は運輸省が自分でやっております。航空関係とか、あるいは海運の一部とか、そういう問題につきましては運輸省みずからやりましたし、それから政府関係機関である国鉄とか公団とかがやっているものは、国鉄、公団をして実行させまして、それを運輸省監督するということをやりました。また一般の交通業者につきましても、守るべき基準を具体的に示しまして、それが実行されているかどうかということを、監督官庁として現場を査察いたしましてそれを確認したのであります。  その結果、統計によりますと、昨年の十二月十日から本年の一月十日に至る間の成績は、交通運輸業者の事故は一三%から一五%ぐらい減少しております。人の死傷した部分につきまして一三%ないし一五%減少しておりますし、道路上の一般自動車等の交通事故も約五%ないし六%減少いたしました。これを見まして、やはりやればきき目があるもんだな、やらなければだめだ、そういうことを非常に痛感いたしまして、今後とも必要に応じてそういうことを実施していきたいと思っております。
  125. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大臣のお話はわかるのですが、じゃ、南海電鉄について大阪陸運局なり本省から、どなたかが現場に行くなり、内容について点検なさっているのかどうか。
  126. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの事故が起きました直後に、本省から田付という専門家の課長を派遣いたしまして、現場を踏査し、またあの運転員に会い、精密な視察を行なって、その報告を私は聞いております。また大阪陸運局におきましても責任者を派遣いたしまして、同じように監察を行なっております。
  127. 沖本泰幸

    ○沖本委員 昨年から二度、三度と重大な事故を起こしたということについて、南海電車の問題を特に取り上げて所信表明の中に出ておりますけれども、昨年の箱作の問題であるとか、転覆事件であるとか、そういうものに対してもその後全然だれも行っていない。ただ南海から報告はとっておる。しかし、本省なり陸運局からどなたも行っていらっしゃらないわけです。その点どうですか。
  128. 増川遼三

    増川政府委員 南海電鉄に対しましては、昨年の八月に特別の監査を実施いたしております。またそれと並行いたしまして、同時期ごろに大手十四社に関しましては全部特別監査を実施いたしました。
  129. 沖本泰幸

    ○沖本委員 呼びつけて報告はとっておる。けれども、実際に担当者の方が南海自体に行っていらっしゃらない。これは新聞社が調査した結果です。
  130. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの事故の直後はここにおります田付君が行きました。彼はそういう関係の専門家であります。また、この前八月やったときの監察をやったのもこの田付課長でありまして、その本人をすぐ派遣いたしまして現場の踏査をやらしたのであります。その後警告書を発して、それに対応する南海側からの回答が十二日に出まして、これからそろそろ花見のシーズンに入って、またお客さんが込み合う時期に入っておりますから、今度は抜き打ち検査を適当なときにやろうと思って、いま準備さしておる次第です。
  131. 沖本泰幸

    ○沖本委員 サービス官庁であるということなのですが、その事故の起きました一月十八日の午後五時十五分ですか、あの事故列車の発進した時間です。それから二十五分後に事故を起こしているわけです。その時分大臣はどこにいらっしゃいましたか。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は大阪、神戸の港湾並びに万国博の敷地等をヘリコプターで視察しまして、夕方神戸に着いて知事や神戸市長の陳情を受けて、その受け終わったときにあの事故を聞いたのでございます。
  133. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私は実際に事故の現場に事故発生後十五分後に行っておったわけです。大臣が来られるというので、報道関係と私とは一生懸命になって寒い中待てど暮らせど大臣はお見えにならないのです。いろいろ聞いてみると、社長と常務が陸運局へ行って大臣にお目にかかっておわびした。大臣はその足でもう東京へ引き返された。テレビを見ておると、テレビの放送では大臣が記者会見なさって、専門家をすぐ派遣するようにした。これではサービス大臣じゃない、こう思うのですが、どうでしょうか。
  134. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は現場に大臣が直接行くのがはたして適切であるかどうか、疑問に思っております。確かに重傷なさった人や入院なさった人にお見舞い申し上げるということは、これはけっこうなことであると思いますし、必要に応じてやるべきことであると思いますが、大事なことは事故の真相を究明して、そして再発を防止するというところに重点があると思うのです。そういう関係から大阪陸運局に直ちに直行いたしまして、そこで会社の責任者を呼び、それから社長を呼びまして、いろいろ実情を調査したのであります。そのときに病院や現場に行くのがいいかどうか、自分も判断いたしましたが、ちょうどエンタープライズが佐世保に入る前でありまして、いろいろな手配をしておりました。そして翌日閣議でそれらの報告もしなければならぬ立場にありましたから、夜行で帰ってきたのであります。そういう観点からいたしまして、お見舞いができなかったのは残念でありますけれども、処置としてはやはり国の公の仕事のほうが歩のときは大事であると思ったのであります。
  135. 沖本泰幸

    ○沖本委員 総点検を命じられて——その所信表明の中から見ても、私以下全幹部が率先して臨検にあたっておるとおっしゃる点といまの内容とは食い違いを私は感じるわけなんです。あのような場合、大臣がお出になるならないという問題は、いろいろあると思いますけれども、しかし、そんなに遠いところじゃないのですから、現実に現場に行って——高速道路を通ればすぐ来れるところなんです。お越しになって、そこで社長なり常務なりの報告をお聞きになればいいじゃないかと思うのですが、当面の責任者である南海社長、またその業務関係の責任者である常務も、会社の責任ある立場の人は現場にだれもいなかったのです。ただ駅員だけがうろうろしておった。車両点検の課長さん程度の者が、車庫なり事故現場のところで事故の原因を調べておった。ところが混雑する乗客と自分の近親者をさがす人たちで、駅はごった返しているわけです。それに事故者の氏名の発表もろくすっぽなければ、駅の中はがらがらになっていたわけです。これでは大臣がおっしゃる私鉄サービスという点、あるいは事故に対する対処という問題とはだいぶ違うと思うのです。ですから現地にお越しになれば、そういうこともつぶさに解決できていくと思うのですけれども、いまこの所信表明と大臣のお話とだいぶ食い違いを感ずるものですから、特にそういう点を伺ったわけです。この問題に関しまして、先ほどは地下鉄に対する火災事故で今後の処置についてはいろいろ御発表になりましたけれども、では南海のこの事故に対する今後の対策というものはどういうふうにしたらいいのか、お立てになっていらっしゃいますか。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運輸省の専門家を派遣しまして、昨年の事故それから今日に至るまでの南海のとった処置等もよく調べまして、運輸省として警告書をつくりまして、それを南海電鉄に私から手交しまして、これこれのことをやれということを指示したのであります。その警告書内容につきまして、必要とあらば提出いたします。それに対して南海側が、このようにいたしますという南海側の回答がまいりまして、いまそれを実施している最中なのであります。回答内容はおおむね南海の実情から見て妥当で、了承する線が多いのであります。ただ問題は、それが実行できるかどうかということにあるのでありまして、それを督励するために大阪陸運局に特に命じまして、おそらく常時査察していると思います。そういうことを命じてあります。しかし、情勢を見て、ただいま申し上げたとおりに、本省といたしましての抜き打ち検査をやる必要があると思っております。
  137. 沖本泰幸

    ○沖本委員 抜き打ち検査も非常にけっこうなんですが、私の調べたところでは、陸運局の係の方は常時見ていない。ただ、本省からいろいろ指示される点について、呼びつけて南海から報告を聞いておる、そういう程度であるという事実があるわけです。  そこで南海なんですけれども、関西のほかの私鉄はほとんど大阪市内中心部へ乗り入れの工事をいろいろやっております。車両も新しくしていって非常に改革をされている点が多くあるわけなんですけれども、南海については——ほかの私鉄は地下へもぐっていく、そういう方式をどんどんとっていっているわけですけれども、南海は最初から市内の中心部へ乗り入れておるわけです。しかし、ふくそうしてきた現在の交通事情の中で、事故の現場はちょうど高架が下がって地面におりたところなんです。ですから電車の行き過ぎ事故は一ぱいあるのです。私が行っておったというのは、私の住まいから約五分くらいのところなんです。何かあるだろうということは、前からいろいろ想像できる状態だったわけです。ですから、ほかの私鉄が地下に乗り入れて、そうして交通の錯綜を避けながら、中心部の交通の緩和をはかっていこう、こういう点から、やはり将来のための乗客輸送ということを考えておるわけです。いま南海電鉄の地上を走っておる路線のために、どれほど東西の交通が麻痺させられているかわからないわけです。そうして南海事故関係では、乗客が一両目に乗らないということを御存じですか。一両目は事故になるからというので、全然乗らないのです。ですから、二両目以後が込むのです。車両も、ひどいのになると明治時代のかさのついた車両があるのです。どういう事情か、行ってごらんになったらすぐにわかるわけです。衝突事故を起こした、いわゆる回送する電車ですが、それは天下茶屋の駅の工場で修理をして出す電車だったわけです。あんな高い土地にいつまでもそういうものを置く必要はないじゃないか、もっと土地の安いところにかえて、ここを売れば、もっと高いものに売れていいんじゃないか、こういうようなことを池永常務に話をしましたけれども、常務の話では、何ぶん明治からやってきたところで、会社がもうかっていないからそうはいかないというような話もしておりました。そういう点でATSを四月から実施する、こういうことよりも、電車のスピードアップとかいうものと、それから駅の間隔、信号の間隔あるいはポイントの間隔というようなものは、全部明治以来なんです。そういうところに、もっと根本的に解決しなければならない問題があるんじゃないか。ところが南海は、ほかの私鉄ほど差し迫って競争相手もいないし、そういうところからあぐらをかいて、ああいう事故の原因をつくっていくようなことになったのじゃないかと思うのです。常務の話では、箱作の事件からこっちは大いに職員の精神訓練をやって、毎朝始発から見送っておる、こういうようなことを言っておりましたけれども、職員の精神的な面だけはかっていく、そういう答えしか常務からは出ませんでした。具体的なこういう改善策がある、こういうふうに金をかけてやっていきます。こういうふうに本省のほうにお願いして南海電車改善策をはかっていくという話は、私が会ったときは全然出なかったわけです。そういう点について、東京都内でも私鉄がずいぶん交通を遮断して、路線は自分の占有地であるから、こういうようなことで交通麻痺の原因になっているような問題がたくさんあると思うんですけれども、そういう問題に対して、どんどん自動車道路が発達してハイウェーをつくって交通緩和をはかっておるのに、私鉄のほうは自分の敷地を持っておるからということであぐらをかいて、高架にもしない。そういう問題点がたくさんあると思うのです。そういう点についていかがでしょうか。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 南海のほうはわれわれの警告書に対しまして回答書を寄せまして、運転要員を充実させる、それから超過勤務の片寄りを調整する、あるいはATSを繰り上げて行なう、それから回送列車が高野線に入るために本線を横切るというようなことがないように、あの修繕工場を高野線側にまたつくる、あるいは回送列車と普通の急行のダイヤとの関係を安全になるように改定する等々のいろんな改善策を持ってきまして、それを実行中なのであります。そういう具体的な十数項目に及ぶものがすでにできておりまして、それを具体的に監査していこうと思っております。  それから、私鉄一般と都市との関係でございますが、確かに御指摘に当たるようなところがあると思いまして、これらの問題につきましては具体的に検討してまいりたいと思います。
  139. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それから先ほど大臣は、質問に対して、人事の問題に対しては信賞必罰でいく、電光石火の人事が一番いいんだ、こういう確信のある御答弁だったわけですけれども、私の考えとしては、原則として二年をこえるような状態に対しては配置転換していく、こういう問題は非常にけっこうだと思うのですけれども、その信賞必罰以上に、罪を犯さないような仕事をさしていくということのほうが大切ではないのでしょうか。もっとそういう点で公務員を守ってあげる、こういう観点から、全然同じ系統で事故を起こさないように、ほかの業務の者が汚職が起きそうな者を監督できるような業務の組みかえ、組み方とか、そういうものの中に問題がもっとあるんだろう、こういうふうに考えるわけですが、その点いかがですか。
  140. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公務員を大切にするということはまことに同感でありまして、いろいろ世上一部の公務員が批判されますけれども、公務員がサボったり、あるいは常軌を逸するようなことになると、日本の行政自体が停止して共同生活ができなくなってしまうわけです。そういう意味において、目に見えないけれども、日本の国家秩序を維持していく上について公務員は非常に大きな職責を果たしているわけだろうと思うのです。そういう考え方に立って、まじめな公務員を優遇してその機能を全力発揮させるようにしてやることが、政治の責任であるように思います。  私は、これは個人的所見でありますが、係長とか地方課長あたりで汚職がときどき出ますのは、やはり昇進の問題なんかともからんでいるだろうと思うのです。いわゆる有資格者というものが、大学や公務員の上級職を受ければそのままずっと上のほうまでいってしまうけれども、能力があってもそういう試験を受けてないとか合格してない者はいつも下積みでいるということは、人事をうっせきさせるもとにもなっていると思うのです。そういう意味において、私先般の閣議でも発言しまして——別に学歴無用論というものを言う気はないのですけれども、必ずしもそういう資格や何かにとらわれないで、能力のある者はどんどん地方の支分部局の職員にでも抜てきする、そうしてこの停滞を打破してやるということが、汚職を避け、彼らに職務に精励させる一番大事な要件であるだろうと思うのです。ですから、私個人としましては、公務員法をそういう必要に応じて改正する必要があるだろうと感じておりまして、そのことも閣議で発言したことがあります。そういう考え方で今後とも処していきたいと思っております。
  141. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それで先日、大阪陸運局汚職問題を起こして、いろいろなことがあってから大臣もそういう方法をいろいろ考えるのだろう、こう思うのですが、電光石火というおことばを聞いたのでなるほどと、こう思ったのです。検察庁の刑事処分が二十日で、運輸大臣の行政処分も二十日だったと思うのですが、全くあまり電光石火過ぎて、私何か妙なものを感じるのです。前もって、法務省のほうの刑事処分が決定すれば早く運輸省のほうも行政処分をきめるのだという談話が、新聞なんかに出ておったわけなんですが、そこで、何か中曽根運輸大臣と赤間法務大臣の間に、日にちのお約束があったのじゃないでしょうか。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう事実はありません。法務省、検察庁が処分を発表したのは二十日でありまして、土曜日です。私が行政処分をしたのは二十三日の月曜日であります。
  143. 沖本泰幸

    ○沖本委員 というのは、検察庁のほうのタクシー汚職と同時に処分の発表をしたわけです。そのときには、運輸省のほうの処分発表については、大阪地検と最高検とが午前中に電話で交渉をやって午後に発表した、こういう事実があるわけなんです。そのあわて方と大臣のおっしゃった電光石火というのと合わすと、似てくるのですがね。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうことは私全く知りません。私は、検察庁の処分があったらそれは直ちにやろうということを新聞記者にも言っておりましたし、部内の者にも言って、そしてその状態を見守っておったわけです。赤間さんからも、どうするというようなことは一言も聞いておりません。検察庁の処断が出ましたから、官房長に命じまして、行政処分を即刻自分の判断で決定して、そして発表したわけなんです。あれは局長の任命が出てきましたから、火曜日の閣議にかける必要があるので、前の日の月曜日にそれを発表したという状態です。
  145. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あの問題は、いわゆるせんべつをもらったことがわいろ性がある。これはもう確かにわいろの犯罪を構成する。しかし、今度は運輸省のほうも行政処分をして、いわゆる信賞必罰でいくから、そういう点も考えて、今後のために不起訴処分あるいは起訴猶予——こういうような罪を問わないということは——やはり今後に関しては断じて法的処置をとっていくということを、閣議で法務大臣も法の解釈について発表されましたし、また総理大臣もそれに関連して、公務員の今後のあり方については厳罰主義で臨むというような通達を出されたわけです。それはそれでけっこうなんですけれども、そこでちょっと話は変わるのですが、各大臣が御就任なさると、ほとんどといっていいくらい関西へお越しになるんですが、そのおもな目的は何でしょうか。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは閣僚の仕事の性質によって違うと思いますが、私の場合は、万博の敷地の状態を見ること。万博行きの特急電車を建設することになっておりますから、そこに相当の財政投融資を入れたりしておるものですから、その路線その他を見ること。それから神戸、大阪の港湾の状態を見ること。あそこへコンビナートがどんどんできて、外貿埠頭公団の敷地の問題もありまして、私の目の中へおさめておく必要があったのであります。そこで、それらの仕事を一日にやることはとてもむずかしいので、海上保安庁のヘリコプターを使いまして、沿岸地帯をずっと低空で行きまして視察をして、そして神戸におきまして、神戸の市長及び知事からいろいろ地元の陳情を受けた、そういうことでございます。
  147. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大体財界あるいはいろいろな関係の方とお会いになってもろもろの陳情も受けるし、今後はよろしくと、こういうようなことがある、こういうふうに伺っているわけです。そこで、いろいろ聞きますと、そのつど慣習的とかあるいは儀礼的に、財界あるいはいろいろな業者のほうから、大臣に対して就任のお祝いが出る。それも、大体その額の単位は百万から二百万ぐらいが普通だ、こういうふうに聞いておるわけです。大臣はいただかれたでしょうか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そんなものをもらったことはありません。
  149. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大体いただかれるという話なんですけれどもね。それは当然儀礼的な問題もありますし、慣習的な問題もあって、もらっちゃいけないということもないと思いますけれども、しかし、そこで一番大事なことは、行政指導をしなければならない官庁関係する業者であるとか、財界であるとかというものと、その担当大臣の方々、そこに就任祝いのやり取りがあるということになれば、これはわいろ性が出てくるということになってくるわけです。ですから、こういう点は、ひとつ大臣にその点をお伺いしておいて、また閣議で十分おっしゃっていただきたいのですが、お役人のせんべつばかり責めて、大臣のお祝いやせんべつが責められないのは、私はおかしいと思うのです。そういう点に対して、大臣のお考えはいかがですか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 綱紀粛正を言っている御本尊がそんなものをもらったら、これはまことに破廉恥な次第でありまして、そういう事実はございません。それから、ほかの関係閣僚も関西へ行ったからといって、そういう就任祝いなんかもらうことはないと私は確信しております。そんな見識のない閣僚はいないはずであります。いままでよく関西へ行きまして、地元の商工業者やその他と懇談したり何かしていることはあります。それはやはり関西には関西のいろいろな大きな問題がございまして、地盤沈下であるとかなんとかいわれて、問題をかかえておるわけです。東京の場合は、地元ですからいろいろ実情を陳情に来たり、目で見て知っておりますけれども、大阪や神戸の場合は、行く機会がないからほとんど知らないわけです。しかし大挙みんなが出てくるよりも、一人でこっちが行って向こうの連中に全部会うほうが能率的でもありますし、現場を見るということは必要でもありますので、私は関西へ行くことを必ずしも否定して、悪いものであるとは思っていないのです。要は、その接触のぐあいにあると思うのです。廉潔を持して、ほんとうに公務員としての考え方に徹してやれば、堂々と大いにやっていいと私い思っております。
  151. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう時間が参りましたからあれですけれども、南海電鉄の人事について、銀行関係の頭取さんなんかとお話し合いがあったということが「財界」という雑誌にも出て、けさの御答弁の中にもいろいろあったわけですが、やはりそういうことも関西へお越しになってあったわけでしょう。
  152. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 南海人事は、関西へ行って話したということはありません。そんなやぼなことはいたしません。しかし、それは社長がこういう警告書その他の問題で上京しましたときに、社長ともじっくり懇談をしておるわけです。あの「財界」の記事は事実でない項目が非常に多うございます。私が総理から差し控えろというようなことを言われたとか、それに従ったとかということは、全然ない事実なんです。  それから南海自体の首脳部の問題は、南海自体の首脳部がみずから決する問題でありますが、私の推察では、ことしの上半期に一段落ついたら進退を決するものであると確信しております。
  153. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ちょっと関連して。いま大臣が、関西にそれぞれ行かれること、また財界と会うことを、関西は関西の特異性があって必要な場合もある、こうおっしゃったのですが、それでは労働界の関係ともお会いになったことがあったのでしょうか。新聞紙上あるいはラジオ等で伺うと、財界とはしばしばお会いになっている大臣が多いようでありますが、労働界、財界以外とお会いになるということはあまり聞かないようでありますが、むしろ労働界は労働界で、それぞれ地域的な特異性もあるであろうと思うし、もしそういうことが必要であるといたしますならば、労働団体、労働界とも会われるということが私は当然のことではないかと思うのですが、どうお考えでしょうか。
  154. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のとおりであります。海員組合の大会なんかには、私らも出ることがございます。それから東京におきましては、総評やあるいは海員組合やその他労働関係の皆さんともお会いしております。関西へ行って、今回はお会いすることはできませんでしたけれども、そういう機会を与えていただけば喜んでお会いいたしたいと思います。
  155. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まあ別にこれはたいしたことでもありませんけれども、そういうやぼなことはしないというふうにおっしゃっていましたけれども、住友の堀田さんとはお会いになったということを聞いたのですがね。
  156. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう事実はございません。
  157. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大臣はないということをおっしゃっておられますけれども、私の調べたところでは、名前を出すわけにいきませんが、過去の大臣の方々の中にはそういうものをいただかれて、自分にいろんな問題があってあわてて返した、そういう事実も聞いております。ではだれか、証拠を出せということになればまた問題になりますが、そういう点、ひとつよくお考えいただいて、下にもきびしければ上にもきびしい、こういう点で今後おやりになっていただきたい、かようにお願いして、私の質問を終わります。
  158. 大野市郎

    大野委員長 松本忠助君。
  159. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ただいま自民党さんのお席にはまことにりょうりょうたるものでありまして、私、非常にこの点を残念に思う。まず委員長からこの点については厳重に自民党の方々に御注意いただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問に入ります。  きょうは、国鉄職員に対する綱紀の粛正の問題、それから国労の遵法闘争と安全運転の問題、それから専売たばこの配送に関する問題、それから自賠責の保障額の引き上げの問題、この四点について伺いたいわけでございますが、若干時間も少ないようでございますので、まず国鉄職員に対する綱紀の粛正の問題について先にお伺いいたしたいと思います。  大臣にお伺いするわけでありますが、大臣が昨年十二月十四日、当委員会に初めて出席せられまして、その際所信の表明がございました。その際の発言につきましては、頭脳明晰な大臣はよもお忘れはないと思いますが、当日の発言のところを、わずかでございますからちょっと読んでみたいと思います。「先般来運輸省の下部機構において一部不祥事件が新聞に散見いたしましたが、これは一面において官紀の弛緩によるところと同時に、また、その接触しておりまする業界が、わりあいに近代性、合理性に欠けているところからも来ているところでもありまして、その部分につきましては鋭意改善につとめまして、官紀を振粛し、合理化、近代化を徹底いたしまして、御期待に沿うよういたしたいと思います。」このような大臣の発言がございます。この発言の中で「下部機構」と申されました。またその接触されております業界が云々というようなことを言われております。業界でも非常にこのことばについて不満の意を表している者がございました。  そこで、私がお伺いしたい点は、はたして下部機構ばかりで、上部にはそれがなかったかという点、それから接触する業界が云々と言われますが、その業界を指導監督する立場にあるお役所が、逆に業界に指導されたなれ合いに徹し、何ら罪悪感を持たないで不正行為を繰り返している点について、どう思われますか。以上の二点について、まず大臣のお答えをいただきたいと思います。
  160. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 綱紀粛正の問題は、末端もさることながら、上級にいけばいくほど戒心しなければならぬ問題であるだろうと思います。私は着任以来、運輸省の本省はもとより、地方の支分部局に至るまで長を集めまして、そのことを特に訓示をし、徹底さしておりますが、今後ともその努力を続けていきたいと思っております。
  161. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 去る三月の一日に参議院の決算委員会におきまして、公明党の黒柳議員から官僚の招待ゴルフ、ウィークデー・ゴルフにつきまして、官庁の綱紀紊乱をただしました。その際、運輸省、大蔵省、専売公社等次々と名前をあげております。その中に、当委員会にも関係のある政府委員のお名前も散見いたしました。当日の決算委員会には大臣は御出席ではなかったようでございますが、官房長が平あやまりにあやまったというような新聞記事が出ておりました。当日読み上げられました方々は、事実あのようなことはあったのでございましょうか。私は全くこれを信じたくないのでございますが、私が読み上げましたとおり、大臣は決意をし、そして汚職追放を叫ばれております。それにもかかわらず、次々と大臣の信頼する上級の幹部が、国民から不信を買うような行為を繰り返されている点についてはなはだ残念に思う次第でありますが、先般の黒柳発言につきまして、何か大臣のほうで言うべきことがあるならばお聞きしておきたいし、また、これに対して大臣はどのような処置をとられたか、また今後とられようとするのか、お伺いいたしたいと思います。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般の黒柳議員の発言に関しましては、官房長からも報告を聞きまして、すぐ関係者を呼びまして調べました。事実そのようなことがあったようであります。ただ休暇をとって行ってはおります。そこで、あれはたぶん八月の事件であったと思いますが、私が着任する前のことで、あの通達や私が訓示を出す前のことであったので、士気がまだそれほど引き締まっていなかった時代であると思います。私が着任しましてからは、すみずみまで目を通してやっておりますから、再びそういう過失を起こさないように厳重に訓戒してやっております。
  163. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 たいへんごりっぱなおことばで、私は安心いたしました。  去る十二月十四日に当委員会におきましても、私が大臣の異例な通達を爼上にのっけて私は質問いたしました。その際に、業者の供応は固辞すること、あるいは自分でゴルフ、マージャンをする場合でも、休日、勤務時間外以外にはやらないこと——これは大臣の通達の内容でございます。このことにつきまして、当日私が申し上げました。私は「こういうことはいままで再三再四世間のうわさにのぼっていたことでございますが、どうやらこれが事実であったということを大臣みずからが裏書きをしてくれたことと思う。」このように申し上げましたところ、大臣は「逆は必ずしも真ならず」とおっしゃいました。数学の定理を持ち出されまして、そして「おっしゃるとおりではないのです。念のためにさらに厳重に通達しているという趣旨でもあります。」こう言われました。そして事実を打ち消された。しかしただいま申し上げましたように、大臣着任以前ではございますが、こういう事実があったわけであります。この点については、はなはだ残念に思うわけでございます。大臣が十二月十四日にお答えになりました点と、ただいまの答えがだいぶん相違いたします点を、私もう一度大臣のお考えを聞いておきたいわけであります。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は遺憾の意を表します。
  165. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではもう取り上げません。  それでは次に移りまして、昨日当委員会において所信の表明をされました。その中にもいま大臣がりっぱに発言なさいました「再三申し上げておりますように、綱紀の粛正については就任以来しばしば職員の注意を促してまいりました。特に昨年末には、大臣名の通達を発して具体的な問題についてこまかく指示をいたしております。その後二、三の事件が新聞紙上に報ぜられておりますが、いずれも通達以前の事件でありまして、通達以後は職員も十分私の意を体して、自粛自戒していることと思っております。」このように言われておるわけであります。たいへんけっこうなわけなのでありますが、ここに一例をあげて、それが着任の以前か以後か判断をしていただきたい。  これは運輸省ではございませんが、大臣監督すべき立場にある日本国有鉄道における上級職員の姿でございます。国鉄のことは知らぬと言われるならばごかってではございますが、それならば何のために鉄監局長はあるのか。鉄監局は現在国鉄、民鉄の監督指導のために設けられている部局でございます。やはり責任の一半は負わねばなるまいと私は思うのでございます。  その一例は、昭和四十三年一月十三日土曜日でございます。当時国鉄東京第一工事局の矢野契約課長外数名が、午前七時三十分ごろから西熱海のゴルフ場でゴルフを楽しんでおります。この前日、金曜日でありますが、金曜日の午後三時ごろ熱海の水心居、これはなんでも国鉄関係の寮だというふうなことも聞いております。そこに一泊いたしまして、翌土曜日の一日、数名の者とゴルフに興じておったということであります。この点事実かどうか確認をしてみていただきたいわけでございます。  第二例は、四十三年一月三十日火曜日、この日に国鉄東京第一工事局長の富田善明氏が佐藤工業の招待によりまして、戸塚カントリークラブでゴルフに興じていた、こういう事実がございます。これらはいずれも、大臣通達が行なわれたあとだと私は思うのでございます。これらについて大臣はどのようにお考えになられていますか。重ねて通達をお出しになって、厳重に部内に綱紀の粛正をはかるのかどうか、この点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
  166. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事実を調べまして、もしそのようなことがありましたら、国鉄に厳重に注意したいと思っております。
  167. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃこの点について国鉄の副総裁……。
  168. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの松本先生の御指摘の点でございますが、第一の一月十三日の事件は、きょう初めて伺ったものでございますから、即刻取り調べることにいたします。  第二の一月三十日の東京第一工事局長の件につきましては、やはり三月一日の決算委員会で黒柳先生から御指摘のあった点でございます。この点調査いたしましたが、当日戸塚カントリークラブへ行ったことは事実でございます。ただ私どもといたしましては、この点につきましても非常にいろいろ世間的に問題になりますので、実は去る一昨年でありますが、十二月五日に総裁名で約三千人の幹部職員に全部親展の手紙を出しまして、一片の通達等でなしに、全部家庭あてに親展の通達を出し、私のうちにも参りました。そうして、とにかく自分の時間と自分の金でやれということを非常に強調いたしました。むずかしいことよりも、とにかく自分の金と自分の時間、すなわち休暇あるいは休日にやれということを厳命いたしております。それが相当徹底したと思っておりますが、まだ先般のようなことが起きたのはたいへん申しわけなく思っております。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣並びに副総裁からそのようなお話でございますので、以上をもって終わりますが、国民の血税を使って運用するところのお役所でございます。また国鉄本社でございますので、どうか今後そのようなことのないように、国民の疑惑を招くようなことのないように、重ねて要望いたしておきたいと思います。  それでは次に移ります。専売公社の関係の方にお伺いするわけでございます。昨日の本会議におきまして、同僚の田中議員の総理に対する質疑の中で、たばこの配送会社の問題がございました。時間もあと十五分ほどしかございませんので簡単にお伺いしたいと思いますが、東京たばこ配送会社というのがございます。この会社は昭和三十八年の二月に設立せられまして、会社の総員が二百八十名、現在小型トラック九十三台、資本金三千万円、このような会社でございます。この会社は、たばこの小売り店向けの配送、売り渡し代金の集金、保管倉庫の管理等を目的としている会社でございますが、従来は日本通運株式会社が担当していた仕事の面ではないかと思います。また、関西たばこ配送会社というのもございます。これも三十八年の九月に設立せられまして、総員二百五名、小型トラックが七十台、二千万円の資本金の会社でございます。やっていることは、東京たばこ配送会社と全く同様でございます。また名古屋にも昨年末か設立せられましたそうでございますが、このほうはさておきまして、東京と関西の両たばこ配送会社の役員の構成はどうなっているのか、専売公社の関係の方にお答えを願いたい。特に現役員の前歴についてはっきりとおっしゃっていただきたいと思うわけでございます。
  170. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたように、このおのおのの配送会社、東京、関西、名古屋で、公社の出身者が役員になっているのがございます。東京たばこ配送会社につきましては、公社の出身役員がたしか二人おると思います。関西も同様二人おります。前歴を申し上げますと、前歴は、東京の場合は、社長がかつて専売公社の地方局長をしておった方でございます。関西の場合も同様でございます。その下にもう一人重役がおりますが、これは地方の支局の部長クラスの方であったというふうに思っております。
  171. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私からそれでは一応申し上げてみたいと思います。間違っていましたらひとつ御訂正を願いたい。  東京の関係を申しますと、代表取締役の白山広治さんとおっしゃる方は専売公社の広島の地方局長をやられた方、それで退官後今回こちらに入った。同じく取締役の大野源吾さんは専売公社の仙台地方局の部長さんをやられておった方でございます。それから金子正久さんという方がおりますが、この方は日通の調査役というように聞いております。それからもう一人高橋時男さん、この方は専売公社の大阪社長をやられまして、その後日通に入りました。日通の役員を現在兼任している。それから島村六郎さん、この方は東京たばこの小売りの組合と思いますが、そちらの組合の副理事長、こういう方がいずれも取締役、代表取締役になっているわけであります。監査役には小川清矣さん、もと会計検査院の方でございます。  そこで大阪のほうでございますが、全くこれと軌を一にしておりまして、代表取締役の井上和夫さんは専売公社の広島の地方局長をやられた方、取締役の岡野浩孝さんはもと専売公社の神戸の支局長というふうに伺っております。それから前田四郎さんは日通の参事で、現在出向の形になっている。また、先ほど東京のほうの取締役に名を連ねております高橋時男さんが、大阪のほうにも名前を連ねております。全くこれは経歴はそのとおり、同じでございます。そして大阪のほうはたばこ組合の理事長の柏原平太郎さんという方が取締役に入り、監査役はまた東京と全く同一の状態で、会計検査院の成行勉さんとおっしゃいます方が入っておるわけであります。  以上のような役員の構成になっているようでございますが、この点間違いございませんでしょうか。
  172. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いまおっしゃったとおりでございます。間違いございません。
  173. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは全くこちらの推測でございますが、監査役さんが二名とも会計検査院の出身、この辺のところは実にうまくできているんじゃなかろうかというふうな考え方をするのが私の悪いくせかもしれませんが、どうもちょっと解せない。また、もともと日通さんの息のかかった会社ですから、従来の実績もあって、日通から役員が送り込まれることは当然のことと思うのでありますが、こういうふうに考えますと、これらは単なるいままでの日通に対してやらせていた仕事を名前を変えて配送会社とし、仕事がやりいいというようなことをきっと言うでしょうけれども、息のかかった都合のいい会社をでっち上げて、そうしてそこにやらせているとしか思えないわけであります。こういう点について私の推測が間違っているかどうか、ひとつお答えを願いたい。
  174. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 このたばこの配達専門の会社をつくります——これは私のほうは配達委託と言っておりますが、これをやりましたのは、先生御指摘のとおり、三十八年から東京、大阪を中心といたしました都会地において始めたわけでございます。たばこの配達は、御承知のとおり、専売公社が全国に二十万くらいあるたばこ屋さんに毎日毎日たばこを配達する仕事でございます。普通の運送と違いましてきわめて特異な配達でございますが、元来は専売公社自身でやっておりました。専売公社が自分の車をもちまして、専売公社の職員が運転をいたしましてやっておった。これがずっと昔からのやり方でございます。その後、そういうことをやっておりましてはなかなか能率の問題もありますし、配達の部分だけは日本通運はじめ民間の運送会社にお願いする、そこから車を雇い上げまして、雇い上げました車に公社の職員が乗っていくというのがその次の形態。ただいま配達委託を行なっております。この専門の配達会社のありますほかの地域では、いまでもそういう形態をとっております。民間の運送会社の車を雇い上げまして、それに公社の職員が乗っておりまして、たばこの臨店配達と申しますのをやっております。  そこで、いま御指摘のございました東京、大阪の配送会社の場合は、公社の職員が配達のために乗っていくということはございませんで、すべてをこの配送会社のほうにまかせてございます。すなわち配送会社が公社の代理人のようなかっこうになりまして、公社のたばこを配達し、代金を取っていく、そういう仕事をやっているわけでございます。なぜこういうことをやりましたかということにつきましては、いろいろな考えがあったのでございますが、一つは、私のほうでやります仕事でいろいろな仕事がございます。たばこを運ぶ仕事のほかに、これは販売促進活動と申しておりますが、市場の調査をいたしますとか、販売の計画を立てますとか、小売り店と商談をいたしますとか、あるいは小売り店の指導をいたしますとか、いろいろな仕事があるわけでございます。仕事としてはそちらのほうに重点を置かなければいけないという観点に立ちまして、そういう努力をしてきたわけでございます。同じ私どものほうの出先で、配達という仕事と販売活動という仕事と、二つの非常に質の変わったものを管理するということは非常にやりにくいということから、いろんな外部からの——外部と申しますか、たとえば専売制度調査会、行政管理庁あたりからも御指摘がありまして、そういった外に出せるものは出したらいいじゃないかというふうな御指摘がございました。そこで、できるだけそういったものは外に出して、本来の、いま申しました販売促進活動というほうにもっぱら努力を集中するというふうな体制にいたしますために、こういった会社をつくったわけでございまして、したがってこの車には公社の職員は乗ってまいりません。たまたま、御承知のとおり昭和三十八年ごろ、運輸省の方おいでになりますが、ちょうど道路交通法が改正になりまして、都市の交通事情が非常にむずかしくなりました。私どもたばこを運びます場合に、そういった交通規則というものを守りながら通常の時間で配給するということはなかなかむずかしくなりました。ある場合には朝早く配給する、ある場合には夜になって配給する、ある場合には休日になって配給するといったような必要性も起こってまいりました。公社の職員でやるといたしますと、勤務形態というものも非常に変わってまいりますでしょうし、あるいはそのために余分の人もかかえなければいけません、あるいは経費も高くつきますといったような事情も考慮いたしまして、こういった専門会社に委託いたしまして、公社の就業規則にとらわれないで、弾力的に配達ができるようにという目的のためにこういった会社をつくったわけでございます。専売品のたばこの臨店配達と申しますか、それはある意味ではもちろん商行為でございます。小売り屋さんとの契約に基づきまして、小売り屋さんのほしいたばこを販売する、それを配達するという仕事でございますが、片や専売品でございますので、ある意味では専売法に基づく行為と申しますか、法律的ないろんな問題もございます。そういうわけで、この会社というのは公社のいわば手先と申しますか、本来は専売公社自身がやるべき仕事も、ある程度とにかくこの会社にやっていただくというふうな点もあると思います。そういうわけで公社と表裏一体になってやっていただく。公社がやっていたと同じように、あるいはそれ以上に能率をあげてやっていただくというような必要性もございまして、公社の関係の職員というものは、むろん経営陣もそうでございますが、実際に車に乗って仕事をする人の中にも、公社に勤務した人が入っている例がございます。そういったことでいままでやってまいりまして、公社がやっておりましたらできなかったであろう臨店配達というものが、どうにか維持できております。経費の点につきましても、私たちが直接やりますよりも安くできるように考えております。
  175. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろお話を聞きますと、もちはもち屋にまかせるというようなこと、そのほうがたいへんいいと思いますけれども、世上一般に、たとえば日立製作所では日立運輸というようなものを持っております。これらの直営の運送店というものは、仕事をやらせるために非常に都合がいい、これは大いにあると思うのです。しかしその場合に、この運賃の形態を見てみますと、要するに親会社のほうは下請の会社、運送会社のほうを生かさず殺さずという程度の運賃を払って、そうしてもっともやりやすい仕事を効率的にやっている。ところが専売公社がたばこの配送会社にやらせている運賃などというものは、ちょっと常識で考えられないような運賃を払っている。もちろんこれは定められた料金でございますから問題にすることはできませんでしょうけれども、それ以外にもいろいろとえたいのわからぬものを払っている。こういう点については後ほど詳しく申し上げたいと思います。こういう点がございますので、この専売公社のお役所仕事的なあり方、これはもういろいろと世間から非難を受けております。やる気があればもっと大々的に合理化、作業の能率の向上も可能であるという見方が強いわけであります。特に原料葉たばこや製品の輸送につきましては、これまで日本通運の独占輸送にまかせていたために、米麦の独占輸送と同様に、いろいろなうわさが乱れ飛んでおります。ただいま専売公社の方から御説明がございました東京、関西のたばこの配送会社の設立は、日通独占の非難を避けるため、また配送の合理化、能率化をはかるためという看板をかくれみのとしたところの、専売公社と日本通運のなれ合い経営によるところのトンネル会社ではないか、このように私は思うのでございますが、大臣の見解を伺っておきたいのでございます。
  176. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのことをただいま初めて承りますので、実情をよく調査いたしまして、不穏当なことがありましたら改革いたしたいと思います。
  177. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣がこれだけの問題を知らないなんということは、私はないと思うのでありますが、しいてそれ以上のことは申し上げません。これだけの大きな問題を、中曽根大臣ともあろうものが知らなかったなんということは、ちょっと私は信じられないわけでございます。  それでは次にもう一点大臣と、中小企業庁の方が御出席でございますので、伺っておきたい点がございます。  官公庁の契約は、会計法によりまして、一般競争契約を原則としております。これは国民の貴重な税金をむだづかいさせないためであろうと私は思います。政府はこの原則をさらに進めて、中小企業育成の大方針のもとに、昭和四十一年法律第九十七号をもちまして、官公需についての中小企業者の受注確保に関する法律を制定し、この実行方法につきましては、昭和四十一年八月十六日に閣議決定まで行なっております。ここで私が伺いたいのは、官公需法について運送業はその対象になるのでしょうかどうでしょうか。この点についてまず大臣のお答えをいただき、次に中小企業庁の、ただいま御出席いただきました佐野下請企業課長さんの見解をお伺いいたしたいと思います。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 適用になると思います。
  179. 佐野泰彦

    ○佐野説明員 いま大臣が言われましたように、適用になっております。
  180. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 御両所の見解が全く一致でございます。  それでは重ねてお伺いいたしますが、大臣もお立ちになる時間がございますようですから、この一点だけを伺っておきたいと思います。  中小企業の協業化を進めている政府の方針に合致いたしまして、運送事業者も共同受注、共同配車の方向に向かっていることは御承知と思います。特に九州の福岡地区におきましては、福岡県運輸事業協同組合連合会、このようなのがございます。これは運輸省もその成果を大きく期待している組合でございまして、しばしば運輸省の御指示によりまして、全国各地から同組合の経営施設を視察に来ているほどりっぱな組合であるというふうに私も聞いております。一方、日本専売公社の福岡地方局内に設立事務所を置くところの九州たばこ配送株式会社は、福岡陸運局に対しまして、一般小型の、区域限定の貨物自動車免許申請をいたしております。前記の福岡県運輸事業協同組合連合会から、この申請に対しまして反対の意見が出ているために、三月十四日の午後から公聴会が行なわれることになっております。地方陸運局のことでございますから、あるいは御存じないかと思いますが、一応大臣に、その事実があるかないかをお伺いしておきます。
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自動車局長をして答弁させます。
  182. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいまの先生の御指摘のとおり、実はこれは福岡の陸運局長の権限でございまして、本省のほうへ回ってこない件でございます。陸運局のほうから電話で調べましたところ、先生おっしゃったように、こういう会社の設立発起人が、一般小型運送自動車の免許を福岡陸運局長に出しておりまして、すでに申請の公示が行なわれまして、御指摘のとおり、聴聞はこの三月十四日に行なわれる予定だというふうに聞いております。
  183. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この間に種々の問題点はございますが、東京、大阪のように官公需法の発令以前ならいざ知らず、ただいまもお話があったように、大臣中小企業庁の佐野下請企業課長も言われておるように、官公需法が発令になり、しかもその対象に運送事業がなっておるという状態、この事態を知った以上は、やはり福岡の地場業者でございますか、これらの業者の意見、希望というものもいれてあげてもいいんじゃなかろうか、このようにも考えられるわけであります。ただ申請書の形式が整っていれば免許をおろすというようなわけにはいかないと私は思う。  ただ、ここできよう一例だけあげておきますが、九州たばこ配送株式会社から提出されております申請書の事業の収支見積もりをちょっと見てみます。この収支見積もりに収入が四千五百九十三万六千円とございます。支出が四千五百二十二万三千円とありまして、差し引きの利益がわずかに七十一万三千円でございます。初年度でございますからいたしかたないといたしましても、東京、大阪の例からいたしますと、相当の利益が上がるように私は思われるのでございます。ここで東京、大阪がどれぐらいいままでに利益があったかということをひとつ専売公社の方から御存じならば教えていただいて、そしてこの九州たばこ配送株式会社の申請書によるところの事業の収支見積もりと、どれぐらいけたが離れているかということを聞いてみたいと私は思う。もしお調べがなければ、こちらから申し上げます。
  184. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実は先生もおっしゃいましたように、手元に資料を持ち合わせておりませんし、外部の会社のことでございますので、正確な数字を覚えておりません。
  185. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは私が、ごく最近の例だけでございますが、申し上げておきたいと思います。大阪の例をもってひとつ申し上げてみたいと思いますが、大阪のほうは先ほども申し上げましたように、三十八年に会社が設立せられまして、四十年の三月には利益金が三百八十万でございます。対資本の利益率が一九%、配当は一割をいたしております。四十一年三月の決算におきましては利益金が五百九十二万円、対資本の利益率は前期よりも一〇%上がりまして二九%、しかし配当は同じように一割、四十二年三月の利益金は五百八十万円計上をいたしまして、対資本の利益率が二九%、配当は一割、このような状態になっているわけであります。これから考えますと、九州たばこ配送株式会社提出せられておりますところの申請書の事業の収支見積もりがいかにも規模が小さ過ぎる、利益が上がらな過ぎるというふうに私は思うのでございます。  そこで私が試みに、福岡県協同組合連合会で試算をさせてみました。売り上げのほう、要するに収入のほうは、専売公社のほうで払ってくれる運賃をそのまま適用いたします。同様の規模をもって行ないます。そういたしましたところ、支出面では三千四百五十二万三千二百八十七円という支出の数字が出てまいる。そうなりますと、収入は先ほど申し上げましたように四千五百九十三万六千円でございますから、一千百四十一万二千七百十三円という利益が出てまいります。たばこ配送会社のほうの収益率はわずか二%、協同組合の試算の収益率は二五%というふうになります。それで先ほど申し上げましたように、大阪の例からいたしますならば、四十一年、四十二年と対資本の利益率は二九%にも上がっているわけであります。こういう点を考えますと、この九州の協同組合側の支出の算定も決して不当に安く見積もった、こうは考えられないわけでございます。  そこでもう少しこの九州のたばこ配送会社提出しておりまする収支見積もりの内容を検討してみますと、一日一車の平均収入が六千六百五十八円となっております。この一日当たりの労務経費が、この中に二千三百三十六円というものが計上されております。この不当な労務経費は何を物語るのか、私は非常にこの点疑問に思っております。基本料金は四千百八十円と基礎がはっきりしているかもしれませんが、この労務経費が問題であろうと思うのであります。この辺のところ、公聴会等の席におきまして、問題を相互に理解ができるまで十分話し合う必要があるのではなかろうかと思うわけでございます。どうか公聴会におきましては十分意見を述べる機会を与えていただきますと同時に、当局もこれらの申請書の内容について十分に調査をしていただきたいと私は希望するわけでございます。このたばこの配送会社の問題につきましては、いろいろの観点から今後また当委員会あるいは大蔵委員会あるいは予算の分科会等におきまして、出席をいたしまして逐次究明をしてまいりたい、疑念を晴らしてまいりたい、このように思っておりますが、きょうは以上の点でこのたばこの会社の点につきましてはやめておきますが、どうか御当局におかれましても、一地方陸運局の問題である、本省では知ったことではないというようなことを言わずに、この点については十分に調査をしていただきたい。つけ加えますならば、高い運賃を払わなくても済む、そしてお得意さんに、たばこの小売り店に間違いなくたばこが届くなら、そして集金事務が代行されて行なえるなら、たいへんけっこうなことだと思う。運賃が安くなるということならば、日本全国そういう形態になったときには、勢いたばこの小売り値段も政府は上げなくても済むような事態も起きるのではなかろうか、物価の値上げ値上げというようなことばかりで、ほんとうにいやな気分の毎日でございますが、せめてたばこだけでも値上げをしないで据え置かれたならば、どれほどか大衆は安心し、喜ぶのじゃなかろうか。余分な経費を払うことなく、そうしてたばこの配送が完全にでき上がるようにわれわれ国民の一人として期待しておりますので、どうか関係陸運局、また本省、公社あるいは中小企業庁等におましても十分監督をしていただきたい、よくこの行くえを見守っていただきたい、このように希望するわけでございます。  それでは、先ほど申し上げましたように、まだ二点質問を用意しておりますが、きょうはこれでとどめておきます。
  186. 大野市郎

    大野委員長 次回は明後八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会