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1968-02-28 第58回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十八日(水曜日)    午前九時四十五分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 山村新治郎君    理事 野間千代三君 理事 山下 榮二君       大竹 太郎君    小渕 恵三君       加藤 六月君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       福家 俊一君    板川 正吾君       神門至馬夫君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         海上保安庁警備         救難監     猪口 猛夫君         日本国有鉄道常         務理事     林  武次君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 二月二十四日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として松浦  周太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  菅波茂君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十六日  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第三七号) 同月二日  中小民営鉄道振興に関する請願福井勇君紹  介)(第八〇号)  身体障害者福祉法適用を受ける内部障害者の  鉄道運賃割引に関する請願粟山秀紹介)(  第八二号) 同月十三日  対馬航路改善に関する請願倉成正紹介)(  第六二四号)  港湾運送に従事する機動しけ船舶検査に関  する請願亀山孝一紹介)(第六二五号)  港湾運送に従事する機動しけ船主地位及び  生活の安定に関する請願亀山孝一紹介)(  第六二六号)  港湾運送に従事する機動しけ船舶職員に関  する請願亀山孝一紹介)(第六二七号)  中津川線に園原駅設置に関する請願吉川久衛  君紹介)(第六七〇号)  磐越西線の全面電化促進に関する請願天野光  晴君紹介)(第七一七号)  東北新幹線の早期着工に関する請願天野光晴  君紹介)(第七一八号)  常磐線複線化促進に関する請願天野光晴君  紹介)(第七一九号)  国鉄丸森線等建設促進に関する請願天野光  暗君紹介)(第七二〇号)  国鉄福相線等早期着工に関する請願天野光  晴君紹介)(第七二一号) 同月二十七日  港湾運送に従事する機動しけ船舶検査に関  する請願外一件(砂田重民紹介)(第一六八  三号)  港湾運送に従事する機動しけ船舶職員に関  する請願外一件(砂田重民紹介)(第一六八  四号)  港湾運送に従事する機動しけ船主地位及び  生活の安定に関する請願外一件(砂田重民君紹  介)(第一六八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二日  鹿児島交通南薩線国有鉄道移管に関する陳情  書外五件  (第八七号)  国鉄真岡烏山線廃止反対等に関する陳情書  (第八八号)  大阪国際空港周辺移転補償対象区域拡大に関  する陳情書(第八  九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第三七号)  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件(基本施策に関する問題)  陸運に関する件(南海電鉄列車衝突事故に関す  る問題等)  海上保安に関する件(最近における主要海難に  関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(東海道本線米  原駅構内における列車衝突事故に関する問題  等)      ――――◇―――――
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  この際、運輸行政基本施策及び昭和四十三年度運輸省日本国有鉄道予算について、運輸大臣から説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 第五十八回国会にあたり、運輸大臣として行政方針を申し述べます。  私は運輸大臣就任いたしました直後、さき臨時国会の当委員会におきまして、今後の運輸行政方向について申し述べました。その際、運輸省は今後サービス官庁でなければならないこと、また同時に、経済官庁としての使命を強く認識して行政を行なうべきであるという点を申したのであります。三カ月余を経過いたしました今日、私はその方向が正しかったということを確信いたしております。今後もその方向を一そう強めていきたいと思っております。  このような意味におきまして、私は、この際、運輸行政全般あり方について根本的な再検討を加えてまいりたいと考えております。すなわち将来の運輸行政あり方についての基本的方向を固めますとともに、運輸省の組織、行政事務、定員、法令等全般につき再検討を加え、当面の具体的な改革案を作成して実施に移す所存であります。  次に、昭和四十三年度における運輸省行政施策重点についてでありますが、これにつきましては、後刻、昭和四十三年度の運輸省予算説明を行ないますので、その中においてあらためて御説明いたしたく存じます。  そこで、この際は、目下当面問題となっております件についての行政方針について、若干申し述べさせていただくことといたします。  まず、先ごろ相次いで起こった鉄道事故についてであります。交通事故防止については、私は、就任以来最も重点を置いてまいったのでありまして、そのため特に年末年始には各交通機関に対し特別総点検を命じ、私以下運輸省機関の幹部も現場へ出て指揮監督し、かなりの効果をおさめたものと思っておりました。ところが先月中旬以来、大阪南海電鉄事故をはじめといたしまして、東京地下鉄国鉄米原事故など、一連の鉄道事故発生いたしましたことはまことに遺憾のきわみであります。私は直ちに関係者を呼び厳重注意を与えますとともに、事務当局に命じましてその根本的な原因がどこにあるのか至急調査し、再びかかる事故発生することのないよう抜本的対策を講じさせることといたしました。特に南海電鉄に対しましては、短期間に二度ならず三度も大きな事故を起こしました責任をきびしく追及し、事故絶滅社内体制を確立させることといたしております。また地下鉄火災につきましては、幸い旅客の死傷事故とはなりませんでしたが、まかり間違えば重大な事故となったことを重視し、徹底的に原因を究明し、車体構造、材質などについての改善措置を講ずるとともに、施設運転保安のあらゆる面から再検討を加え、事故再発を防ぐ対策実施するよう指示いたしました。なお、これらの事故につきましては、後刻事務当局より詳細に説明をいたさせる予定であります。  次に、日本海における漁船安全操業につきまして御報告申し上げます。  御存じのとおり、プエブロ号事件以来、日本海におきますわが国漁船操業安全確保問題となっております。このため、海上保安庁では二月一日以降、同海域に常時三隻の巡視船を配備し、日本漁船安全指導に当たらせますとともに、水産庁とも協議の上、漁業組合などに対し具体的な方法について指示指導を行なってまいりました。現在までのところ特異な事態発生しておりませんが、今後とも情勢の変化に十分注意し、状況によっては警備を増強するなどの対策を講じてまいりたいと存じます。  次に、一昨日来、新東京国際空港建設をめぐりまして、千葉県成田市において一部学生が暴力をもって警官隊と乱闘、数多くの負傷者を出しましたことについて申し上げます。  御存じのように、新空港わが国が世界の大勢におくれないため計画された国家的大事業でありまして、一部学生が唱えるような軍事基地を目的としたものでは絶対にありません。運輸省と新空港公団におきましては、かかる事態が起こらないよう、従来から忍耐強く地元の説得に当たるとともに、今回の事態が予想されるや、直ちに地元民に対し呼びかけを行なうなど、事態の回避につとめたのでありますが、不幸にしてかかる結果となりましたことはまことに遺憾であります。このような事態に惑わされることなく、今後とも新空港建設について努力を続ける所存であります。  最後に、昨年来相次いで新聞紙上に報ぜられました一部運輸省職員不祥事件について申し上げます。  私は、再三申し上げておりますように、綱紀の粛正については就任以来しばしば職員注意を促してまいりました。特に昨年末には、大臣名通達を発して具体的な問題についてこまかく指示をいたしております。その後二、三の事件新聞紙上に報ぜられておりますが、いずれも通達以前の事件でありまして、通達以後は職員も十分私の意を体して自粛自戒いたしておると思っております。また、先日、さきに生じました大阪陸運局事件につきまして検察当局の結論が出ましたので、直ちに関係者に対して所要行政処分を行なうとともに、必要な配置転換を行ない、人事の刷新をはかった次第であります。今後とも網紀粛正につきましては一そう厳重にいたしますとともに、職員に対しては信賞必罰をもって臨む考えであります。  以上、運輸行政に対する基本的方針を申し述べますとともに、当面の問題についての態度を明らかにいたしました。その他、種々の問題につきましては、本委員会はじめ、国会におきます答弁により明らかにいたしていきたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)  次に、昭和四十三年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、三十億八千六百四十八万六千円、歳出予算総額他省所管計上分百五十五億九千七百四万二千円を含み一千五百四十七億一千七百五十四万二千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百九十九億九千八百十四万一千円の増加となっており、一四・八%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では百五十億二千四百五十一万五千円、公共事業費では四十九億七千三百六十二万六千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船保険特別会計歳入歳出予算額は四億一千四百二十万八千円であり、木船鋼船化傾向を反映し、前年度に比較して二千二百八万七千円の減少となっております。自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は一千八百四十三億九千三百五十二万五千円であり、車両数増加保険金額引き上げ等により、前年度に比較して六百一億一千八十万一千円の増加となっております。港湾整備特別会計歳入歳出予算額は七百五十五億六千六百九万八千円であり、前年度に比較して四十八億七千六百三十一万三千円を増加し、新港湾整備五カ年計画の初年度として港湾整備を推進することとしております。自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は三十七億六千九百二十一万円であり、車両数増加により、前年度に比較して十二億四千八百七十八万八千円の増加となっております。このほか、昭和四十三年度財政投融資計画中には当省関係分として五千四百十億円が予定されております。  昭和四十三年度予算におきましては、当省は次の諸施策重点を置いて、運輸行政を推進いたしたいと考えております。  わが国経済をめぐる国際環境は、最近ますますきびしさを加えており、今後の国際収支の悪化が懸念されておりますが、当省におきましては、海運航空、観光の各分野において貿易外収支改善をはかるとともに、船舶鉄道車両等の輸出の振興につとめ、国際収支改善に寄与したいと考えております。  次に、わが国交通関係社会資本は、数次の長期計画実施にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して不足の状態にあり、また、物的流通部門の立ちおくれが、物価の安定及び経済効率化の隘路となっております。このため、鉄道港湾空港等輸送基礎施設計画的な整備充実をはかるとともに、物的流通近代化運輸事業基盤強化につとめる考えであります。  さらに、海陸空にわたる交通量の激増は交通事故の頻発と死傷者増加を招来しており、当省といたしましては、交通機関基本的使命である交通安全対策を強力に推進することといたしております。また、排気ガス騒音等交通機関の発達に起因する公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通公害対策及び防災対策強化につとめる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。昭和四十三年度の予算の編成にあたりましては、まず四十三年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮し、損益勘定におきましては、公共負担の是正としての通勤通学定期運賃割引率の改定、四十三年度からの新たに設けられた日本国有鉄道財政再建補助金五十四億円等を含め、収入支出予算九千三百九十七億円を計上し、また、資本勘定におきまして、財政投融資二千六百四十億円を含め、収入支出予算五千百六十八億円を、工事勘定におきまして三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき、大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強及び保安対策強化等を推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十三年度運輸省予算説明及び昭和四十三年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和四十三年度の運輸省関係予算についての御説明を終わります。      ————◇—————
  4. 大野市郎

    大野委員長 次に、船舶安全法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。中曽根運輸大臣
  5. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正の第一点は、満載喫水線標示しなければならない船舶範囲を拡大することであります。  別途今国会において承認をお願いすることといたしております千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約を受諾するため、近海区域または沿海区域航行区域とする長さ二十四メートル以上総トン数百五十トン未満外航船等に対しまして、新たに満載喫水線標示を義務づけることといたしました。  また、この条約適用を受けない船舶につきましても、積み過ぎによる海難防止するため、満載喫水線標示しなければならない船舶範囲を拡大し、沿海区域航行区域とする長さ二十四メートル以上の内航船総トン数二十トン以上の漁労船等に対しまして、新たに満載喫水線標示を義務づけることといたしました。  改正の第二点は、無線設備設置しなければならない船舶範囲を拡大することであります。  海難を予防するとともに事故発生時の通信手段を確保するため、無線設備設置しなければならない船舶範囲を拡大し、内航旅客船につきましては沿海区域航行区域とする総トン数百トン以上のものに対しまして、内航非旅客船につきましては遠洋区域または近海区域航行区域とする総トン数三百トン以上千六百トン未満のもの及び沿海区域航行区域とする総トン数三百トン以上のものに対しまして、新たに無線設備設置を義務づけることといたしました。  なお、無線設備は、無線電信であることが原則でありますが、今回新たに無線設備設置を義務づけられた船舶は、すべて内航船であることを考慮いたしまして、これらの船舶につきましては、無線電話をもって足りることとしております。  また、無線設備に関する改正に伴いまして、電波法及び船舶職員法関係規定整備をすることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  6. 大野市郎

    大野委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  7. 大野市郎

    大野委員長 次に、陸運に関する件、海上保安に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  南海電鉄列車衝突事故概要帝都高速度交通営団火災事故概要、最近における主要海難概要及び信越本線越後岩塚−塚山駅間における死傷事故東海道本線米原構内列車衝突事故概要について、政府より順次説明を聴取いたします。増川鉄道監督局長
  8. 増川遼三

    増川政府委員 まず、南海電鉄列車衝突事故につきまして、概要を御報告申し上げます。  資料を御配付申し上げましたので、大体の詳細は御承知願いたいと思います。  去る一月十八日十七時十七分、南海本線天下茶屋構内におきまして列車衝突事故発生をいたしております。死傷者としましては、死亡はございません。重傷十名、軽傷二百二十九名、微傷五十七名、合計二百九十六名の傷害者を出した次第でございます。まことに遺憾に存じております。  状況は、すでに新聞でも報道せられたとおりでございますので省略させていただきたいと存じます。  これが原因につきましては、詳細は目下なお検討中でございますけれども、臨時急行第一五二列車担当運転士が信号を無視しました上、制動の時期を誤った、そういうためにこの事故が起こったというふうに推定をされるのでございます。単なる機械的な偶発の事故とは考えられない、人災に属するもので、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  これに対しましては、直ちに復旧作業に当たり、また負傷者の救出に当たり、その後の諸対策を早急に進めたわけでございます。十八日二十一時十四分に開通を見た次第でございます。  これに対しましては、当局といたしまして即日担当の課長を現地へ派遣いたしまして、種々指導すると同時に、本省におきましても対策本部を設けまして、種々対策を講じ、状況を把握しつつ、また対策現地指示する等の措置をとったのでございます。なお、会社当事者におきましても、所要措置の万全を期したと考えております。  この問題に対しましては、運輸大臣名をもちまして、運転事故防止に関する厳重なる警告を発した次第でございます。  これに対しまして、去る二月十二日に会社側から、資料のような概要をもちました改善策につきまして回答書を提出してまいったところでございます。この内容を拝見いたしますると、設備的な事柄につきましては一応了承できることではございますけれども、業務執行体制労務管理等につきましては、なお今後状況を見ませんと必ずしも安心ができないという状況でございます。随時監査をいたしまして、南海電車が特にこういった労務管理業務体制というものの不安定な点を根底から改善されることを期待をしておる次第でございます。次に、交通営団火災事故につきまして概要を申し上げます。  これも資料を配付してございますので、詳細はそれで御承知いただきたいと存じますが、去る一月二十七日十二時三十九分、日比谷線の六本木−神谷町間におきまして列車火災発生いたしまして、列車乗務員五名、駅務員三名が負傷をしたわけでございます。幸い乗客等につきましては、途中の駅でおろしまして、回送の形になっておりましたので、お客さんに対する傷害というものはなかったわけでございます。  この点につきましては、技術的な点につきましては、詳細なお調査中でございますが、抵抗器過熱ということが一つの原因になりまして火災発生したわけでございます。  なお今回につきましては、この過熱によって火を吹きまして煙が発生しました際に、その消火作業が非常に遅延いたしまして、これが不手ぎわ、不適切なことになっておりました。これが今回の事故を大きくしたところでございます。機械的な原因から、さらに人災的な色彩を加えたということに特色があるわけでございます。  それに対しまして当局といたしましては、技術的な点におきまして不燃化対策をさらに一そう検討しまして強化いたしますとともに、こういった際における応急措置の万全ということにつきまして再教育並びに再点検ということをする必要があるということを痛感いたしまして、そのような警告措置をとった次第でございます。  一応最近に起きました大きな特異な事故二件につきまして私から御報告を申し上げました。
  9. 大野市郎

  10. 猪口猛夫

    猪口説明員 それでは、最近におきます海難状況を御報告申し上げます。  海難全般といたしましてはほぼ横ばい程度でございまして、海難増加している顕著な徴候は見えておりません。四十二年と四十三年の一月以来の海難状況を比較して申し上げますと、四十二年は、その二カ月で約四百十一件の海難がございました。そして四十三年は三百七十八件という海難がありますが、そのように大体横ばい程度状況であります。  四十三年に入りまして、顕著な海難事故といたしましてはお手元にございます資料のように、二月十五日から十六日にかけまして日本南方海岸を通過いたしました低気圧に基づく海難が顕著なものと思われます。その概要を申し上げますと、海難隻数はこの二日間で三十三隻、その海難に伴う人身事故は計二名ということになっております。そのおもなるものを御説明申し上げますと、この低気圧の前後に起きました海難といたしましては、お手元資料の二ページ以降にあります特異海難の欄の中で、楽洋丸事件と第十一大東丸海難が顕著なものと思われますのでその二隻につきまして御報告申し上げたいと思います。  楽洋丸につきましては、資料にもございますように、二月の十六日、楽洋丸が十三日以降行方不明になっておるという届け出がございまして、それに基づきまして調査いたしました結果、十四日二十二時尾道を出港した以後行方不明になったということがわかった次第でございます。その船主報告に基づきまして、海上保安庁では、巡視船艇航空機等によりまして捜索を行ないましたが、残念ながら発見するに至らず、全乗り組み員が行方不明になったということを推定せざるを得なかった次第でございます。そういう推定をいたします資料といたしましては、同船が積んでおりました救命艇あるいは諸種の救命設備等の破片あるいはパッチボード等がその付近海岸等に漂着しておりましたので、それによってそういうことを推定せざるを得ない羽目になった次第でございます。  それから第十一大東丸は、その二月の十五日、十六日の低気圧よりは自後のことでございましたが、やや特異的な事情、予期せざる気象異変に伴いまして東京湾口で遭難した事例でございます。それは、お手元にもございますように、第十一大東丸は、空船館山から千葉に向かう途中、二月二十日の午前六時五十分ごろ、千葉県の館山北西四・二海里付近におきまして強風大波のため転覆し、船体は圧流されまして岩井袋海岸に漂着した事例でございます。乗り組み員十一名中二名は転覆直後船からほうり出されまして、付近航行船に救助されましたが、他の九名につきましては生死不明でございまして、事後、巡視船艇航空機あるいは海上自衛隊援助等を得まして、極力その捜索に当たったのでございましたが、ついに最後の段階になりまして、二十一日の十二時十分に船底に開孔いたしまして、なお存命中の二名を救助いたし、他の五名は残念ながら遺体として収容した次第でございます。なお、船長及び航海士の二名は目下行方不明でございますので、極力その捜索に従事している次第でございます。  以上、本年に入りましてからの海難概要とおもな特異な海難につきまして御報告申し上げた次第でございます。
  11. 大野市郎

    大野委員長 次に、堀海運局長
  12. 堀武夫

    ○堀政府委員 パナマ運河における邦船の事故について御説明を申し上げます。  お手元に配付してありますところの「昭和海運昭山丸のパナマ運河における事故概要」という書類をごらん願いたいと思います。  第一に、この昭山丸の所有者は昭和海運という会社でございます。これは中核体の一つであることは御承知のとおりでございます。事故の種別は、座礁でございます。発生の年月日は、二月二十五日午前十一時四十八分、これは現地時間でございますが、日本時間では二十六日の午前一時四十八分でございます。場所はパナマ運河内のエンパイアリーチ付近、別図が添付してございますが、それをごらんいただきますと、この右のほうが太平洋岸、ここにかけじるしがしてございますが、事故現場はここのところでございます。  この船の船長は鈴木正という四十五歳の方でございます。事故の結果は、乗り組み員三十二名は全員無事でございます。運河の護岸は破損をしてないということでございます。  その事故状況でございますが、昭山丸は、リベリアのサンファンキャリアという会社に定期用船されて、ペルーにおいて鉄鉱石五万トンを積み取りましてフランスに向かう途中、パナマ運河で護岸に接触した反動でもって浅瀬に乗り上げ、その結果船底を破損をした。そのために第一船倉下のタンクに浸水をして、そして座礁した、こういうことでございます。  事故の現場は、運河の中で最も幅の狭い地点で、一方航行となっておりましたために、この事故によりまして一時はパナマ運河が通行不能という状態になりました。  しかし、昭山丸は二十六日午前五時三十分、日本時間で申し上げますと二十六日午後七時三十分に、破損部分を補修した上、空気の圧入を行ないましたところ、成功いたしまして、浮力を得て、事故後十八時間にして離礁いたしまして、自力航行によりましてガンボア、これは座礁地点から三マイルの地点でございます。この別表によりますと、このかけじるしの少し左側のほうにガンボアというところがございますが、ここに係留をしたということでございますが、これにより運河の交通は全面的に再開をされました。本船は、この地点において応急修理を、約一週間かかる見込みだそうでございますが、応急修理を行なうことになっております。  なぜそういう護岸に接触をするような事故が起きたかということにつきましては、今後の調査にまたなければ判明いたしません。  以上でございます。
  13. 大野市郎

    大野委員長 次に、林国鉄常務理事
  14. 林武次

    ○林説明員 まず最初に、信越本線越後岩塚−塚山駅間におきます死傷事故につきまして御報告申し上げます。お手元資料が配付してございます。ごらんいただきたいと思います。  ことしの二月の十二日の八時四十六分、場所は信越本線の越後岩塚−塚山駅間でございます。一枚開きますと図面がございますが、塚山駅から、塚山信号検査長所属の信号検査掛が、除雪のために作業員三名を引率いたしまして塚山駅を出発いたしました。八時四十六分ごろに、長さ六十二メートルの塚山第三トンネルというのがございますが、そこに数メートル入りましたときに、前方から三三二という旅客列車が入ってまいりました。信号検査掛は、作業員三名とともに、このトンネルの中に二十メートルに一カ所、二カ所待避所がございますが、そこの待避所に待避しようと思いまして列車方向に向かって走行いたしましたが、この列車に触れて、四名のうち三名がなくなられたわけでございます。  一方、客三三二列車は、岩塚駅を定時に発車いたしまして、塚山駅に定時に到着の予定で時速六十キロで進行してまいりましたが、前万トンネル内に人影を認めまして、急ブレーキでとまったのでございますが、先ほど申し上げましたように、鉄道職員の信号検査掛が一人、作業員の女性の方二人なくなられまして、もう一人の方が負傷したわけでございます。  それから次に、東海道本線の米原駅構内におきます列車衝突事故について御報告申し上げます。これも一番最後に折り込みの図面がございます。  発生いたしました日にちは二月十五日十二時五十六分でございます。それで、左のほうが米原の駅の本駅、旅客列車の発着する駅でございます。右のほうにありますのが、貨車の出発する線でございます。それで、この図面にございますように、八五九Mという電車が米原の駅から出発してまいりまして、一方この右のほうの貨物下り四番線、ここに五六六という列車がおりました。これが信号のところに青いしるしがついてございます。最初に出発するときは注意で出ましたが、途中で緑の進行信号になりまして、この線を出発いたしまして、東海道本線の三二三号という転轍機のところを渡っておりますときに、先ほど申し上げました本駅から出てまいりました八五九Mという電車がこの貨車に衝突をいたしたわけでございます。そのために、この貨物列車の貨車が九両脱線をいたしました。それから八五九M電車の前部三両が脱線をいたしております。負傷者は、お客さんが二名、車内販売の女性が三名、五名の軽傷者を出したわけでございます。  原因につきましては、ここに書いてございますように、八五九M電車の電車運転士が下りの第二出発信号の停止信号を冒進したことによるものと思われます。この図面に書いてございますように、最初米原駅から出ましたときは、信号に黄色が塗ってありますが、注意信号で出まして、右の第二出発信号機、これが貨物列車が前を横断しておりますので、停止信号になっております。その前にもう一つ赤いしるしがございますのは、中継信号と申しまして、第二出発信号機の中継をやっている信号でございます。これも赤を示しておったのでございますが、それを冒進いたしまして、この信号機を過ぎましてから、前方約百五十メートルに貨物列車があるということを認めて非常ブレーキをとったのでありますが、貨物列車の横腹に衝突してしまったという事故でございます。  以上でございます。
  15. 大野市郎

    大野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午前十時二十六分散会