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説明員(田代一正君) 私は現在
銀行局担当の財
務調査官でございまして、予算査定とか、あるいは
財政投資の査定の任には直接ないものでございます。ただ私、
乙竹長官は前から知っておりますし、
通産省の予算の主計官もかつて四年ほどやったことがございます。そういう関係もございまして、かなり
中小企業の問題につきましては、ずいぶん過去も考え、また現在もいろいろ考えさせられておるものでございます。そこで、基本的な問題になりますけれども、実は昨年来、好況下でなおかつ
倒産が多いのはどういうわけかということが非常に疑問だったわけです。最近では
引き締め下の
倒産ということも若干ございますが。そこで、日本
銀行の諸君とか、私どもの局の中でいろいろ議論してもらったわけですが、その根底に流れておる
一つの問題としましては、
一つは、
皆さん御
承知のように、経済社会
発展計画をごらんいただくとおわかりだと思いますが、やはり労働力がどんどん逼迫していくという過程にあります。そういたしますというと、従来とかく人海戦術とかいうことで、あるいはまた賃金が安いということで、そのことのみにたよって
経営をしているというと、どうも
倒産率が高いんじゃないかということですね。それが一点。それから第二点は、やはり、
消費者革命といわれておりますが、そういうことが意味するように、消費は非常に高い。したがって、そういった消費の先行需要にマッチするようにしなければならぬわけですが、ところが
中小企業は、なかなかそこにマッチできないという人もいる。そういう人はやはり
倒産ということになると思います。それが第二点。それから第三の点としましては、これは過去の不況時代の経験から、親
企業、下請
企業の関係でございますが、やはり下請
企業が、ある程度整理の過程にあったということも
一つの因をなしている。こういうことがことしの秋ごろのわれわれの判断でございます。したがいまして、そういう点から申しますと、私は何年かを見ておりますが、
中小企業にしては非常に大きな転換期にぶつかっているんじゃないか、基本的には。ですから、転換期に即応するような、一言に申しますと
中小企業の
体質を強化する。しかも、それも非常に抽象的な考え方じゃなく、
業種別とか、業態に合わしたものの考え方をしていく。これはさっき
乙竹長官も申しておりましたが、そういう角度で考えなきゃいかぬだろう、こう考えております。
それから第二の御
質問の、ホテルと
中小企業の
お話がございました。おっしゃるとおり、開発
銀行ではホテルに対して
融資を若干いたしております。これも基本的な考え方といたしましては、
一つは
国際収支対策ですね。観光ホテルと申しますと、日本に観光客がたくさんくる。そこで外貨をたくさん落とすだろうという
一つの大きなねらいから、こういったことをやっておると思います。その額は大体オリンピック前後をピークとしまして、最近は減っておるというようなぐあいに私は了解しております。それからもう
一つは、
地域開発という
観点から国際観光ホテルに
融資をするということがあります。これは開発
銀行の地方開発という
ワクの中でやっております。これも実は私は数年前に南九州に行ったことがありますが、南九州のある
地域は、農業の生産を上げるということは非常に無理だ、いきおい
地域振興をするためには、国内の観光を相当そちらに誘引するということによって県民所得を引き上げるという部面が全然ないとは言えないと思うのです。そういう角度から若干地方開発の中で、ホテル
融資が行なわれておるというぐあいに私は考えます。
以上たいへん雑然と申し上げましたけれども、そういうぐあいに私は考えております。