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国務大臣(
佐藤榮作君) 第一の
核基地の重要性、これについて黒柳
委員の
お話しになるように、中共が核
開発をしている限りにおいては、一そうその重要性が増すのではないかという御指摘でございます。私は、先ほ
ども岡田君にお答えいたしましたように、
国際情勢はいろいろ
変化していきます、
科学技術も
進歩していきます。その場合に、攻撃
兵器ばかりではなく、やはり防御
兵器の
変化もございます。攻撃
兵器もだんだん変わっていくだろうし、そういうことを十分
考えて
核基地というものをやはり考うべきじゃないか。これは主として、全体の場合じゃなくて、
沖繩の場合に適用いたしまして、そういうことをやはり
考えるべきじゃないか。だから、私いま
白紙だと、こういうような言い方をしておるわけであります。これはまだしばらく
交渉の余地がある問題でございますから、そのときをひとつよく見きわめて、そうして私
ども一がわが国の長期にわたる安全確保、こういう観点でこういう問題を見ていくべきじゃないかと、かように思っております。その場合でも、先ほど申したように、
沖繩の
祖国復帰、政権
返還、これを阻害するというか、先に延ばすようなことがないように考うべきだということを特につけ加えておきます。
次に自主防衛の問題でございますが、これはわが国の防衛力を整備することは、国力国情に応じ
日本の憲法のもとにおいて整備するのでございまして、国力国情に応ずるということでございます。だから、
国民全体がですね、この国はわれわれの手で守る、そういう気概をひとつ示してほしい、こういうことを申しますが、と同時に、国力国情に応ずるということで限度がございます、そこでただいま
お話しになりましたように、核の時代になって、今日のような
通常兵器の攻撃に対処するだけでは十分ではないんじゃないか、こういう御指摘がございました。私
どももこれは十分ではないと、かように思うからこそ、日米
安全保障条約のもとにわが国の安全の確保を実はしておるのであります。この日米
安全保障条約、これは
ジョンソン大統領も、あらゆる攻撃に対して
日本を守る、こういうことを約束してくれておりまするので、これは私
どもが持たなくとも、一国によって一国の安全を確保するというような今日ではございませんから、この集団相互防衛、そういう形で安全を確保することも
一つの行き方だと、かように思っておりますので、しばらくこの形で進めていきたいと、かように思います。
次に核アレルギーの
お話が出ております。これは、核アレルギーというもの、これを解消することは必要だと思いますが、これは核というものに対する正しい理解を持たない結果だと、かようにも言えると思います。正しい理解を持つならば、いわゆる核アレルギーにもならないだろう、また、平和利用等についてはですね、もっと核の持つ力を高く
評価してしかるべきじゃないか、かように思いますので、ただいま御指摘になりましたように、私は、正しい理解を持つようにこの上とも努力すべきだと、かように思っております。ただ単にこれが
兵器というだけではないのでございまして、そういう
意味では正しい理解をすることが必要だ。
また第四の問題といたしまして、他国のかさのもとにいつまでもいるということは、自分を守る上から見てがまんができなくなるんじゃないのか、フランスのドゴール
大統領はすでにその道をとったと、かように言われます。しかし私は、先ほどお答えいたしましたように、
日本としては相互援助
条約、この防衛体制、このもとにわが国の安全を確保していく、こういう
考え方でございますので、ドゴールさんのとった道はただいま
考えておりません。
第五−最後のお尋ねでございますが、小笠原の、これはまあ二十二年間占領下にあったのでございます。わずかに
日本国籍を持っていた人で帰った者は百七十名といわれ、ただいま二百名前後じゃないかといわれておりますし、
アメリカの軍がどれくらいいますか、それも数ははっきりいたしません。いずれにいたしましても、ただいまの
状態では、この
地域が荒廃に帰しておることは確かでございます。したがいまして、現実に実地
調査をいたしまして、しかる後にこういう対策を立てたらどうだろうか、かように思います。おそらく帰島する——島に帰りたいという方もこれから出てくるでしょう。しかし、もとその数が五千といわれたり、三千といわれたり、いろいろしておりますし、その実情は明らかではありません。また、過去の権利義務がいかようになっているか、そういう問題もありますし、実情を把握しないと、都に帰属するんだ、いや国で直轄するのだ、いたずらにそんな議論にただいま突っ走る、そういうような段階ではないと思います。私は、実情を把握して、そうして帰島される方々にも、また島の将来の
開発にも役立つように、そういう観点から、どういうのが一番いいか、これは皆さんとともに
考えていきたいと、かように思っております。