○中谷
委員 もし検挙率の低さということが琉球警察の教養というような問題と
関係があるかのごとき、あるいは捜査技術と
関係があるかのごとき趣旨の御答弁であれば、私は沖縄の現地の警察官がかわいそうだと思う。沖縄の現地の警察官は、パトロールするときにピストルを持っておりませんよ。なぜピストルを持っていないか、それは、ピストルを持ってパトロールした場合に、米軍人などのほうからのトラブルが生じて、おみやげに持って帰るからピストルをくれというようなことを言われるという状態に追い込められている。だから沖縄の警察に対して一番しなければならないことは、米軍人軍属が、公務外において沖縄県民の目の前でゆうゆうと犯罪を犯している、しかし琉球の警察官はそれに対して手が出ないという、この
実態を解決しないで、装備だとか通信だとか、そんなものを幾ら充実しても、それは同じ
日本人である琉球警察官の、沖縄県民の基地反対闘争に対するところの治安対策としての面が強化されるだけであって、私は何ら
意味がないと思う。だから、私は警察庁に、そういう
実情であったならそのことは徹底的にやってみましょうという御答弁をいただきたいと思うけれ
ども、要するに、検挙率の低さということは、米軍人軍属というものに対して琉球警察官が権限を持っていない、この点が私は一番大きな問題だと思う。逆に言うと、布令八十七号の問題だと思う。この点を明確に
調査をし、そのようなことを解決することが本土一体化であり、沖縄警察が沖縄住民の人権を守ることだ。警察というのは、本来人権を守るためになければいけないと私は思う。そういう方向へ努力をするということで御答弁をされるかどうか、これが一点。
もう一点は、琉球警察の警察官が米軍人軍属をやっとの思いで、凶悪犯の場合、三人のうちの一人くらいを逮捕したといたしましても、その
裁判の結果がうやむやだ。軍事基地内の軍事法廷において
裁判が行なわれる。被害者も琉球警察の
当局者も、新聞社さえも、それが沖縄県民に対して行なったところの犯罪の結果が、それが起訴されたのか、起訴されないのか、どんな判決を受けたというふうなことが不明だということが一番沖縄県民の
不満の根源になっている。そういう問題についての、たとえば現行犯で沖縄の警察が検挙して、米空海いずれに渡すかどうかは別として、現在の法制では渡さなければいかぬが、渡した者についての
裁判結果というものが警察当局に明確に連絡をされるようなことについて、早急に努力をされるべきだと思うけれ
ども、この点についての御所見を承りたい。
同時に、
人権擁護局長に
お尋ねをしておきますけれ
ども、
裁判が公開されていない、米軍人軍属が沖縄県民に公務外において行なったところの犯罪、このような
裁判が公開されていない。私がライトホールという総務
局長に会って聞いたところによると、いや公開をしているのだと言うけれ
ども、軍事基地の中にあって、法廷がどこにあるかもわからない、
裁判の日時も知らされない、軍事基地に入るためにはパスポートがなければ入れないということは、これは事実上の非公開です。これが非常に沖縄県民に対して
不満を来たしておる。私自身が直接聞いた話ではありませんけれ
ども、沖縄県民は、米軍のほうはベトナム戦争をやっているのだ、沖縄県民に対するところの犯罪があっても、それに対して厳罰を加えたら米軍の士気が低下するというふうなことを言っておるということも、沖縄県民の中ではささやかれておる。これは明らかに人権侵害だと思う。こんな問題を、警察のほうが本土一体化ということで、装備、通信についてのレベルアップをする、
人権擁護局のほうは検討するというようなことでは、私は、沖縄県民の立つ瀬がないと思う。
人権擁護というのは、やはり
人権擁護局がどんどん沖縄のほうへ行ってもらわなければならぬ。専門官を派遣することを含めて検討されるかどうか。
人権擁護の専門の人を
人権擁護局としては派遣すべきであると思うが、この点。さらに、国際人権年が近づいてまいりましたけれ
ども、
法務省としては、この機会に沖縄の人権侵害の事実をも
調査される意思があるのかどうか、これらの点についてひとつお答えをいただきたいと思います。