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1967-12-14 第57回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月四日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 八田 貞義君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    荒舩清十郎君       上村千一郎君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    金子 一平君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       橋口  隆君    福永 健司君       藤波 孝生君    稻村 隆一君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君 十二月七日  關谷勝利委員長辞任につき、その補欠として  三池信君が議院において委員長に選任された。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十二年十二月十四日(木曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 伊能繁次郎君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 八田 貞義君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    上村千一郎君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       塩谷 一夫君    橋口  隆君       藤波 孝生君    淡谷 悠藏君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛施設庁長官 山上 信重君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部長      財満  功君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 十二月七日  委員金子一平辞任につき、その補欠として三  池信君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員塩谷一夫辞任につき、その補欠として周  東英雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員周東英雄辞任につき、その補欠として塩  谷一夫君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として稻  村隆一君が議長指名委員に選任された。 同日  理事藤尾正行君同日理事辞任につき、その補欠  として上村千一郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月十一日  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案河野密君外十三名提出衆法第  二号) 同月十二日  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  特別職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第二号)  防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第三号) は本委員会に付託された。 同月十四日  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案河野密君外十三名提出衆法第  二号) は撤回された。 同月十二日  退職公務員恩給共済年金等に関する請願  (愛知揆一君紹介)(第一号)  同(赤城宗徳紹介)(第二号)  同(池田清志紹介)(第三号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第五号)  同外二十四件(上村千一郎紹介)(第六号)  同外四件(大石八治君紹介)(第七号)  同(奥野誠亮紹介)(第八号)  同(鴨田宗一紹介)(第九号)  同(吉川久衛紹介)(第一〇号)  同(黒金泰美紹介)(第一一号)  同(坂田道太紹介)(第一二号)  同(菅波茂紹介)(第一三号)  同外六件(砂田重民紹介)(第一四号)  同(砂原格紹介)(第一五号)  同(田中角榮紹介)(第一六号)  同外三件(丹羽久章紹介)(第一七号)  同(西岡武夫紹介)(第一八号)  同(野田卯一紹介)(第一九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二〇号)  同(廣瀬正雄紹介)(第二一号)  同(福井勇紹介)(第二二号)  同(保利茂紹介)(第二三号)  同(箕輪登紹介)(第二四号)  同(森田重次郎紹介)(第二五号)  同外十九件(山手滿男紹介)(第二六号)  同(相川勝六紹介)(第八五号)  同(稻村左四郎紹介)(第八六号)  同(内海英男紹介)(第八七号)  同(大久保武雄紹介)(第八八号)  同(大竹太郎紹介)(第八九号)  同(大坪保雄紹介)(第九〇号)  同外三件(大村襄治紹介)(第九一号)  同(岡田利春紹介)(第九二号)  同(岡本茂紹介)(第九三号)  同(上林山榮吉君紹介)(第九四号)  同外二件(神田博紹介)(第九五号)  同外二件(木部佳昭紹介)(第九六号)  同(北澤直吉紹介)(第九七号)  同(草野一郎平君外二名紹介)(第九八号)  同(熊谷義雄紹介)(第九九号)  同(小坂善太郎紹介)(第一〇〇号)  同(佐々木義武紹介)(第一〇一号)  同(佐藤孝行紹介)(第一〇二号)  同(坂本三十次君紹介)(第一〇三号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇四号)  同外四件(始関伊平紹介)(第一〇五号)  同(白浜仁吉紹介)(第一〇六号)  同(進藤一馬紹介)(第一〇七号)  同(正力松太郎紹介)(第一〇八号)  同(田中伊三次君紹介)(第一〇九号)  同(田中榮一紹介)(第一一〇号)  同(地崎宇三郎紹介)(第一一一号)  同(塚田徹紹介)(第一一二号)  同外二件(徳安實藏紹介)(第一一三号)  同外六件(床次徳二紹介)(第一一四号)  同(中川俊思君紹介)(第一一五号)  同(中山榮一紹介)(第一一六号)  同(西村英一紹介)(第一一七号)  同外四件(橋口隆紹介)(第一一八号)  同外九件(原健三郎紹介)(第一一九号)  同(福田一紹介)(第一二〇号)  同(藤尾正行紹介)(第一二一号)  同(増岡博之紹介)(第一二二号)  同(村上信二郎紹介)(第一二三号)  同外一件(渡辺肇紹介)(第一一二四号)  同(安倍晋太郎紹介)(第一二五号)  恩給共済年金の増額に関する請願愛知揆一  君紹介)(第二七号)  恩給の不均衡是正に関する請願外一件(愛知揆  一君紹介)(第二八号)  同外一件(小川半次紹介)(第二九号)  同外十七件(大坪保雄紹介)(第三〇号)  同外二十六件(黒金泰美紹介)(第三一号)  同外四件(坂田道太紹介)(第三二号)  同外八件(菅波茂紹介)(第三三号)  同(丹羽久章紹介)(第三四号)  同外十件(西岡武夫紹介)(第三五号)  同(野田卯一紹介)(第三六号)  同(野田武夫紹介)(第三七号)  同外三件(福井勇紹介)(第三八号)  同外十件(森田重次郎紹介)(第三九号)  同外一件(山下元利紹介)(第四〇号)  同外十三件(山手滿男紹介)(第四一号)  同外一件(愛知揆一君紹介)(第一二六号)  同外二十一件(稻村左四郎紹介)(第一二  七号)  同外一件(上村千一郎紹介)(第一二八号)  同外六件(内海英男紹介)(第一二九号)  同外十五件(大竹太郎紹介)(第一三〇号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第一三一号)  同外二件(大橋武夫紹介)(第一三二号)  同外四十一件(鹿野彦吉君紹介)(第一三三  号)  同(金子一平紹介)(第一三四号)  同外二件(北澤直吉紹介)(第一三五号)  同外三件(熊谷義雄紹介)(第一三六号)  同外一件(草野一郎平紹介)(第一三七号)  同(坂本三十次君紹介)(第一三八号)  同外一件(櫻内義雄紹介)(第一三九号)  同外五件(白浜仁吉紹介)(第一四〇号)  同外十一件(正力松太郎紹介)(第一四一  号)  同(進藤一馬紹介)(第一四二号)  同外二十一件(關谷勝利紹介)(第一四三  号)  同(綱島正興紹介)(第一四四号)  同外十二件(塚田徹紹介)(第一四五号)  同外二件(中山榮一紹介)(第一四六号)  同外三件(丹羽喬四郎紹介)(第一四七号)  同外四件(西岡武夫紹介)(第一四八号)  同外三件(村上信二郎紹介)(第一四九号)  同外二十四件(渡辺肇紹介)(第一五〇号)  恩給格差是正に関する請願上村千一郎君紹  介)(第四二号)  同(丹羽久章紹介)(第四三号)  同(保利茂紹介)(第四四号)  同(金子一平紹介)(第一五一号)  同(進藤一馬紹介)(第一五二号)  同(原健三郎紹介)(第一五三号)  恩給共済年金等に関する請願坂田道太君紹  介)(第四五号)  同(藤枝泉介紹介)(第二二一号)  旧軍人恩給に関する請願羽田武嗣郎紹介)  (第四六号)  同(北澤直吉紹介)(第一五四号)  同(進藤一馬紹介)(第一五五号)  同(塚田徹紹介)(第一五六号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第四七号)  久留米市の旧歩兵第四十八連隊本部建物の保存  に関する請願進藤一馬紹介)(第一六三  号)  同(綱島正興紹介)(第一六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月九日  人事院勧告完全実施に関する陳情書外五件  (第一号)  人事院勧告完全実施等に関する陳情書外五十  三件(  第二号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書外九件  (  第三号)  青少年の健全育成対策強化に関する陳情書  (第四号)  同和対策審議会答申完全実施に関する陳情書  外二件(第  五号)  旧軍人恩給に関する陳情書外七件  (第六  号)  建設関係現場職員給与改善に関する陳情書  (第七号)  合併市町村暫定手当支給地域区分改正に関  する陳情書(第一  三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  特別職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第二号)  防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第三号)  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今回はからずも当内閣委員会委員長に就任いたしました。はなはだ微力ではありますが、委員各位の格別の御協力によりまして、円満かつ適正なる委員会運営を行ない、この重責を全ういたしたいと存じます。  皆さまの御協力と御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 三池信

    三池委員長 理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事藤尾正行君より理事辞任申し出があります。これを許可することとし、その補欠選任につきましては、委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、上村千一郎君を理事指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 三池信

    三池委員長 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  今会期中、国の行政改善をはかり、公務員制度及び給与の適正を期する等のため、  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項  以上の各事項について、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料要求等方法により国政調査を行なうこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますので、御了承願います。      ————◇—————
  7. 三池信

    三池委員長 内閣提出一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、以上の各案を一括して議題といたします。
  8. 三池信

    三池委員長 まず、趣旨説明を求めます。田中総理府総務長官
  9. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  本年八月十五日、一般職国家公務員給与につきまして、俸給表を全面的に改定いたし、宿日直手当及び勤勉手当等改定すること、及び都市手当新設するとともに暫定手当についてその一定部分を逐次俸給に繰り入れてその整理を進めること等を内容とする人事院勧告がなされたのでありますが、政府といたしまして、その内容を慎重に検討いたしました結果、実施期日につきましては、例年より一カ月繰り上げまして本年八月一日からとし、内容につきましては、都市手当調整手当として、他は勧告どおりこれを実施することが適当であると認めましたので、この際一般職職員給与に関する法律等について所要改正を行なおうとするものでございます。  まず、一般職職員給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号)の一部を次のとおり改めることといたしました。  第一に、全俸給表俸給月額を引き上げることといたしました。この結果、俸給表全体の改善率は平均七・〇%に相なるのでございます。  第二に、初任給調整手当につきまして、医療職俸給表(一)の適用を受ける医師に対する支給月額限度を五千円から一万円に引き上げることといたしました。  第三に、都市手当に関する勧告につきましては、慎重に検討を重ねました結果、勧告趣旨を実質的に尊重いたしまして、これを調整手当として実施することといたしました。この調整手当は、民間におきまする賃金、物価及び生計費が特に高い地域人事院規則で定めるものに在勤する職員に対して支給することといたし、その支給額は、甲地に在勤する者に対しては、俸給俸給特別調整額及び扶養手当月額合計額の百分の六、乙地に在職いたしまする者に対しましては、同合計額の百分の三とすることといたしました。  また、転勤等によりまして調整手当月額が減少する場合または調整手当が支給されなくなる場合には、二年間の異動保障を行なうことといたしました。  なお、この調整手当につきましては、本法施行後三年以内に調整手当に関して必要と認められまする措置国会及び内閣に同時に勧告することを目途といたしまして、人事院において、調整手当に関する調査研究を行なうべきことを附則規定することといたしました。  第四に、宿日直手当につきまして、支給額限度を四百二十円から五百十円(土曜日等に退庁時から引き続いて行なわれまする宿直勤務にありましては、五百四十円から七百六十五円)に引き上げるとともに、常直的な宿日直勤務に対しまする手当支給月額限度を三千円から三千六百円に引き上げることといたしました。  第五に、勤勉手当につきまして、三月に支給する同手当を〇・一月分増額して、〇・五月分とすることにいたしました。  次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律昭和三十二年法律第百五十四号)の一部を改めまして、現に暫定手当の支給されていない地域に在勤する職員に対しまして、本法施行の日の翌月から昭和四十五年三月三十一日までの間、一定額暫定手当を支給することといたしました。これは、別途行なうことといたしておりまする暫定手当一定部分俸給への繰り入れ措置の一環として行なうものでございます。  なお、本法附則を設けまして、俸給の切りかえ方法、切りかえに伴う措置調整手当暫定手当との調整調整手当の額の特例及び暫定手当一定部分俸給へ繰り入れるための措置並びに調整手当新設に伴いまする関係法律の一部改正等規定することといたしました。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明を申し上げた次第でございます。  引き続きまして、ただいま議題と相なりました特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  政府は、本年八月十五日に行なわれました人事院勧告に基づきまして、八月一日以降一般職国家公務員給与改定することとし、別途法律案提出いたしまして御審議を願うことといたしておりますが、特別職職員給与につきましても、一般職国家公務員給与改定に伴い所要改正を行なおうとするものでございます。  第一に、特別職職員俸給月額を引き上げることといたしました。具体的に御説明をいたしますと、内閣総理大臣等につきましては、内閣総理大臣は十五万円引き上げて五十五万円、国務大臣等は十万円引き上げて四十万円、内閣法制局長官等は六万円引き上げて三十二万円とし、その他政務次官等につきましてはそれぞれ二万円引き上げることといたしました。次に、大使及び公使につきましては、国務大臣と同額の俸給を受ける大使は十万円引き上げて四十万円、大使号俸は六万円引き上げて三十二万円とし、大使及び公使号俸以下につきましてはそれぞれ二万円引き上げることといたしました。また、秘書官につきましては、一般職国家公務員給与改定に準じまして引き上げることといたしました。  第二に、常勤の委員に対し日額手当を支給する場合の支給限度額を千百円増額いたしまして、日額一万五百円に改めることといたしました。  第三に、特別職職員にも新たに調整手当を設け、一般職国家公務員の例に準じまして支給することとし、これに伴い規定を整備することといたしました。  なお、本法附則を設けまして、調整手当暫定手当との調整暫定手当一定部分俸給へ繰り入れるための措置及び調整手当新設に伴いまする関係法律の一部改正等につきまして規定することといたしました。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第でございまして、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成くださいますようひとえにお願いを申し上げます。
  10. 三池信

  11. 増田甲子七

    増田国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この改正案は、このたび提出されました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員俸給改定等を行なうものでございます。  すなわち、第一条においては、参事官等及び自衛官俸給一般職に準じて、それぞれ従前の例にならい改定するとともに、自衛官の営外手当及び防衛大学校の学生学生手当改定を行なうこととし、このほか、同じく一般職の例に準じて、勤勉手当支給率改定するとともに、参事官等事務官等及び指定職自衛官調整手当新設することといたしております。  なお、事務官等俸給及びこれに繰り入れられる暫定手当相当額医療職初任給調整手当宿日直手当等については、一般職職員給与に関する法律規定を準用しておりますので、同法の改正によって同様の改定が行なわれることとなります。  第二条においては、調整手当新設に伴い、暫定手当に関する規定の整備を、一般職に準じて行なうことといたしております。  第三条においては、一般職において、現在暫定手当を支給されていない地域職員に対し、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律施行の日の翌月の初日から暫定手当の一段階相当額の五分の一の額が支給されることとなることに伴い、従前の例により自衛官俸給改定することといたしております。  第四条においては、昭和四十三年四月一日から一般職において暫定手当の一段階相当額の五分の一の額を俸給に繰り入れることに伴い、参事官等俸給改定することといたしております。  また、この暫定手当俸給繰り入れのほか、一般職において同日から暫定手当の一段階相当額の五分の二の額が支給されることとなるに伴い、従前の例にならい自衛官俸給改定することといたしております。  なお、附則においては施行期日俸給の切りかえ、切りかえに伴う措置並びに調整手当暫定手当との調整等所要規定を定めております。  この法律案の第一条及び第二条の規定は、公布の日から施行し、昭和四十二年八月一日から適用することとし、第三条の規定は、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律施行の日の翌月の初日から、第四条の規定昭和四十三年四月一日から、それぞれ施行することといたしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  12. 三池信

    三池委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  13. 三池信

    三池委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  14. 楢崎弥之助

    楢崎委員 質疑あと回しにいたしまして、資料要求を先にさしていただきます。  施設庁の方はまだお見えではありませんか。——十一月二十九日の当委員会における質問において、私は板付飛行場における最近の米軍実戦機発着の状態及び戦略物資の移動と申しますか積みおろしについての資料要求をいたしました。本日その資料をいただいたわけでありますが、この資料のうち、軍用機ということになっておる部分について、自衛隊機を含むとなっておりますが、このうちの自衛隊機発着回数は明確に出ておりますか。
  15. 鐘江士郎

    鐘江説明員 本日提出いたしました資料につきましては、民間機軍用機の二種類に分けまして提出いたしたわけでございますが、現在手元に、自衛隊機が何機かという資料を持ち合わせておりません。
  16. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは重ねて、自衛隊機発着回数提出していただきたいと思います。それが資料要求の一つであります。  二番目の資料要求は、これも十一月二十九日の内閣委員会における質疑関連をいたしまして、雁ノ巣地域電波障害制限地域設置に関する米軍要求があった問題を取り上げました。そこでこの際、米軍通信施設に関して、このような電波障害制限地域設置要求米軍のほうから最近次々に出されておるわけであります。そこでこの際、現在まで通信施設関連をして、電波障害制限地域設置要求日本全土にわたって何カ所出されておるか、年月日を追うて、その場所を明確にしていただきたいと思います。
  17. 鐘江士郎

    鐘江説明員 第一の自衛隊板付飛行場におきまして、あの離着陸の回数のうち自衛隊機が何回含まれているかということは、現在施設庁内部調査しております。  それから、第二の電波障害に関しましての米側要求件数、これは詳しい資料は現在持ち合わせておりませんが、私が記憶しておりますところでは、雁ノ巣施設を含めまして十二だと記憶しております。その十二の施設につきましては、相当以前から米側から要求があったものもありまして、この問題につきましては、前回の委員会で私が申し上げたとおり、日米双方で、米側要求をなるべく狭めると申しますか、内容もなるべく緩和してもらうという考え方におきまして、中央でいままで折衝いたしておりました関係上、この問題はいままで外部には正式に発表しなかったわけでございますが、いずれにいたしましても、要求のあった日時につきまして、内容につきまして後刻御報告をいたします。
  18. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もうわかっておるんですよね。それらの設置要求されておる地域住民は非常に問題にしておるところです。わかっておるはずですから、十二カ所はどこそこといま明確にしていただきたいと思います。
  19. 鐘江士郎

    鐘江説明員 米軍に提供しておるものを、施設名称で申し上げますと、稚内通信施設、キャンプ千歳、それから三沢飛行場、柏通信施設、大和田通信所、厚木海軍飛行場、それから横須賀海軍施設、キャンプ淵野辺、それから岩国飛行場、それから雁ノ巣空軍施設、佐世保海軍施設及び佐世保崎辺地区、以上でございます。
  20. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これは何年何月何日に要求されたか、ここではわかりませんか。
  21. 鐘江士郎

    鐘江説明員 現在わかりません。
  22. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは後刻それを出していただきたいと思います。  それともう一つは、これは日米合同委員会に、この十二カ所の一つ一つについてどういう制限をしてくれという具体的な要求があったと思います。そこで、できればその要求内容資料として出してもらいたい。もしどの場所はこういうあれだということができなければ、場所は言われなくてもいいから、一番シビアーな制限内容と一番軽い制限内容と二つでよろしゅうございますから、場所はいいが、内容について——これは日本政府としては、なるたけこの範囲を狭めたいという努力をされておることはいま伺いました。それで、その案が直ちに現実のものとなるとは私は思いませんが、いま米軍から出ている案で一番シビアーな内容と軽い内容、この二つを資料として出してもらいたい。
  23. 鐘江士郎

    鐘江説明員 資料要求の第一の米側要求内容の点でございますが、これは前内閣委員会でもお答え申し上げましたとおり、今後この内容につきましては日米双方で詰め合うということになっておりますので、現在このことを発表いたしますと、いたずらに地元の皆さまの反感をあおるということでございますので、残念ながらこの資料につきましては差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、第二の一番強い要求といいますか、シビアーな要求、それから一番軽い要求はどういう要求内容になっているかということにつきましては、すでに措置をいたしておりますところの神奈川の上瀬谷通信施設、これがティピカルな例でございますので、上瀬谷通信施設の例を資料としてお出しするということで御了承願いたいと思います。
  24. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は内容は、条約あるいは協定等と違って、発表されないということはないと思うんですよ、大体もうわかっているんですから。  それでは形を変えてお伺いしますが、この上瀬谷の制限内容資料としていただいたが、この上瀬谷よりもシビアーな例が出ておりますか、その十二カ所のうち。
  25. 鐘江士郎

    鐘江説明員 上瀬谷の制限基準につきましては、すでに御承知だと思いますが、第一ゾーン、第二ゾーン、第三ゾーン、第四ゾーンと四つのゾーンに分けて、各地帯ごとにそれぞれ制限のワクがあるわけでございます。ただいま資料は持ち合わせておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、上瀬谷通信施設におけるところの第一ゾーン、これは大体ほかの十一の施設につきましてもほぼ同様な制限内容、かようになっているように記憶しております。
  26. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それで私はこう思うのです。この上瀬谷の一番ひどいところの第一ゾーンの制限は、これは全部きておろうと思います。ただ第二ゾーン、第三ゾーン、第四ゾーンの外郭の範囲についてはいろいろあろうと思いますが、しかし制限の内容——質の問題については、私は大差ないと思う。  それでは上瀬谷のこの制限地域が一番参考になる、大体大同小異だ、そのように理解してよろしいわけですね。
  27. 鐘江士郎

    鐘江説明員 十二の施設の内容につきまして、私、現在資料を持ち合わせておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、こういう上瀬谷通信施設におけるところの規制内容とほぼ同様であるということで、御理解いただいてけっこうだと思います。
  28. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は上瀬谷の制限内容について施設庁から資料をいただいております。  そこで、委員長にお願いをいたしますが、この施設庁提出資料を議事録にどとめていただきたい。ここで読んでもいいのですが、時間がかかるから。よろしゅうございますね。——こういう、以上のような上瀬谷の制限内容とほぼ同様であると考えていいということであります。そして日本政府の態度としては、なるだけこの制限内容が緩和されるように、目下日米合同委員会特別委員会で交渉していくつもりだ、こういうことでよろしゅうございますね。  そこで、もう一点伺っておきますが、それではこの十二カ所の制限緩衝地帯の設置の問題については、本年一月に特別に設置されました日米合同委員会の下部機関である電波障害に関する特別委員会で全部一括して扱われますね。そういう方針でいかれておるわけですね。
  29. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この特別委員会につきましても、前回の委員会でお話し申し上げましたとおり、いかにしてこの制限内容を緩和してもらうかということで折衝をすることになっておりますので、ただいまお話のありました十二カ所につきましても一括検討の対象になっております。
  30. 楢崎弥之助

    楢崎委員 念のために、この十二カ所に少なくとも一様に米軍から要求が出されておる制限内容の一番ひどい、ファーストゾーンの内容を言うと、建造物の高さについては、木造建造物は二十フィート、鉄骨、鉄塔建造物、鉄筋コンクリート、そのようなものは一切だめだ、次に交通量は、車両数は毎時五車両、土地の使用率、建蔽率のことでしょうが、全建造物について建蔽率は五%、これはたいへんな制限だと思います。住宅については世帯数、千坪について一所帯、立ちのきをしなくちゃならぬ個所がずいぶん出てこようと思いますよ。それから電波の雑音発生機器による最大消費電力、電波雑音防止器付はだめだ、防止器なしもだめだ、それから工場なんかは電波線を使用しない小屋——小屋なんです。だから工場はだめだというのです。これでいくとラジオもテレビも螢光灯等もだめだということになろうと思うのです。これは住民生活に対するたいへんな圧迫であるし、憲法にも触れる問題であります。このような人権制限、私権の制限に対する措置を先だっても取り上げましたが、あなた方が地位協定の第三条でやるという根拠は——第三条には国内関係法令の範囲内ということが書いてある。しかし、その国内の関係法令というものは、いろいろいじってみたができないから、結局は住民との個人の民事契約による。民事契約ということになれば拒否されればできないということになる。一体このような、まあ一カ所か二カ所ならともかく、全国にわたって十二カ所に及ぶような、このような非常にきびしい制限内容要求米軍からきておるときに、関係法令なしで、あなた方はあくまでも行政措置でやっていくというような方針を今後ともとるのかどうか、これはひとつ防衛施設庁の監督の立場にある防衛庁長官のお考えも同時に聞かしていただきたいと思います。
  31. 山上信重

    ○山上政府委員 お答えする前に、私、このたび防衛施設庁長官を拝命しました山上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま御質問の問題でございますが、電波障害の制限区域を設けてほしいということは、かねて米側から一般的にそういう希望がございます。そういったような意味合いから、多数の個所についていろいろ大きな要望が出ておりますが、これはただいま先生も御指摘になりましたように、実際の生活あるいは実情その他等と吻合しない面もございます。したがいまして、私のほうはこれを直ちに実施できるとはとうてい考えられないのでございますので、目下そういう問題についていろいろ話し合いの最中でございます。したがいましてこれをどういうふうに実現するかということにつきましては、今後検討しなければいけませんと思います。現状におきましては、もちろん国民の主権を制限するものでございますから、契約によってやっていくというたてまえでございます。しかしこういう大きな内容をぜひとも強行せにゃならぬということになりますれば、これは法的な措置を別途に講じなければなりません。この辺のところはさらによく検討して、米側とも話し合ってまいりたいという問題でございますので、どうしても法的に必要であれば、これは私のほうだけではございません。各方面と法律関係を相談しましてやらなければいけないと思います。しかし内容内容でございまして、さように大きなかっこうのものをやるべきであるかどうか、これはもう少しよく煮詰めた上でないとできない問題ではないか、かように考えます。
  32. 楢崎弥之助

    楢崎委員 防衛庁長官のお答えがありませんが、それでは長官にお伺いしておきますけれども、防衛施設庁長官としては、いまお答えのとおりできるだけ制限緩和されるように努力する、そうであろうと思います。ところが最近沖繩問題と関連をして、総理大臣は日本の自衛隊の自衛力の増強並びに安保体制の強化ということを言われておる。防衛庁長官、一方においてはそういう佐藤内閣米軍協力するという姿勢の強化が国民に要求されております。そういう中にあって、監督の立場にある防衛庁長官としては、いまの施設庁長官が言っている、制限内容をできるだけ緩和するように努力するというその方向を、あなたは絶対に支持しますか。支持してやられますか。決意だけ聞いておきます。
  33. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま施設庁長官のお答えのとおりでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 同じ問題なので、ちょっと関連して……。資料がほしいのと、それから二、三点指摘を申し上げたい点があります。  これは十三日、きのうの神奈川新聞です。ここに、「横須賀など十二カ所」「県下淵野辺、厚木基地も」、こういう見出しで、初めてこれは神奈川新聞で明らかにした内容なんですが、上瀬谷の通信基地は、私の地元ですから何回もこの席で質問いたしております。  そこで、一つは、いま楢崎君から指摘がございましたように、防衛施設周辺整備法なる法律が上程されまして、私まる三日間かかりましてここで逐条審議をしたのであります。そのときに、防衛施設周辺整備法という法律は、基地をつくったときのことはかんべんしてくれ、維持管理から始まって、それ以後すべてについて住民に与える影響というものがいろいろ出てきた。それを何とか前向きで、私権の制限その他を含めて整理をしたい、こういう趣旨なんだということが、松野防衛庁長官と私の間で確認をされた。となりますと、上瀬谷の通信基地のAゾーンから始まりまして制限区域がありますけれども、これらについてもできる限り緩和していかなければならない。ところで、防衛庁長官の訓令という形でやられている。そこで横浜の施設局の久保局長たちが実情をよく知っておりまして、これについていろいろやりとりをいたしました結果、防衛庁のほうに訓令によって制限緩和をしていきたいということで申し入れ等も下部部局から上がってきているわけであります。一年くらいの間を見て、何とかひとつ公共施設的なものを中心に例外として認めながら、どうしても私権の制限が強過ぎてこれではあまりにも住民に気の毒だと思うようなものは逐次広げていく、そういう方向で努力をするということで進んできていたわけです。ところが、今回のこの神奈川県当局、特に渉外部——渉外部はこれは皆さんのほうと関係がございますが、それを見ますと、訓令は新しく出ておりませんが、ここで百八十九戸の瀬谷の制限地域における県営住宅の増築の問題が出まして、何しろ二間でおとなが七人もいるうちがたくさんある。これは実情どうにもならぬということを県も認め、知事が増築を認めて、県営住宅は増築ができるようななにがきまっている。そこでこの請願を県議会はこれを取り上げ採択した。そこで許可をするというところまでいっていた。年内十二月十五日までにきめて、十二月十五日をめどにして許可をする。そうすれば、年内一ぱいに業者もみな待ちかまえておって増築ができる、ここまで進んでおった。ところが、県渉外部が待ったをかけた。待ったをかけた中身というのは二つある。一つは何かというと、増築を一斉に始めることは、いま米軍があなた方のほうに十二カ所ふやしてくれということを言ってきている、こういう状態が一つある。したがって、米軍のほうの態度をかたくさしてしまうのではないかということが一つ。それからもう一つは、制限区域では地主に補償がある。ところが補償額が安いから、不法建築がどんどんいま建っているわけですね。したがって、今回この増築を認めれば、そういういま十二カ所をふやしてくれというような空気だから、これはまずいということでいけばいくほどまた不法建築が建ってしまうだろうということで待ったをかけたわけです。そうすると、私は、この際皆さんに申し上げたいのは、これだけ七人も二間にいて、この暮れに、お年玉的に何とか一間増築ができて、何とか気持ちのいい正月ができると思って百八十九戸の方々がみんな待っている。これがいまのこういう中央の情勢から待ったがかかる、これはそう簡単に見過ごせる状態じゃないと思う。  そこで、この新聞を見ると、日米合同委員会の下部機構である電波障害特別委員会の場で検討が進められておる。これは結果的には、これはベトナム戦争の影響を背景として、新規に電波障害規制区域が設定されることは避けがたい情勢のようになっているというふうに、いま皆さんがやっておる中身を、どういうふうに知ったか知りませんが、この新聞ではそう書いておる。そうすると、いまあなたがお答えになったように、そう簡単な中身ではない、米軍側の強い要求なるものの中身は。したがって、私は、この際、まあいわば泣きの涙でいるわけですから、何が始まるかわからないような情勢——神奈川の瀬谷の通信基地の情勢は、きのうやきょうのことじゃないずいぶん長いのですから、したがって、どういうことがあってどうなっておるかということについて、われわれ担当委員会ですから、あなた方に資料を出してもらわぬと、それを説得もできないし、話し合いもできない、不測の事態が起こるかもしれない、そういう現状だ。きのうも神奈川の県議会からも再三連絡があった。ところがそれをあなた方がさっぱり明らかにしないということでは——いつごろどういうことがどんなところから要求されてどうしろというのか、既存の上瀬谷の地域さえ、この中身からすると、規制強化の方針が出てきた。そうなると、昨年来の松野長官の言っている、緩和の方向で防衛施設周辺整備法を提案するにあたってそちらの方向で努力する、訓令を新たに出して、公益的なものから始めて徐々に建物制限その他は緩和していく、こういうことになっておるわけなんですが、それと逆行することになります。  したがって、私は、差しつかえないなら、いま首を振っておられたけれども、そんなたいへんなものではないというなら、なおのこと、あなた方はこの資料を出していただきたいのですが、いかがですか。
  35. 鐘江士郎

    鐘江説明員 上瀬谷通信施設の制限の内容につきましては、すでに昭和三十七年の日米合同委員会におきまして決定しておることは御承知のとおりでございます。上瀬谷通信施設の制限基準内容、これにつきまして発表することはやぶさかではございません。ただ、その周辺の住民が困っておるからどうするのだという具体的な御質問に対しましては、私どものほうといたしましても、できればこの第一ゾーン、第二ゾーン、第三ゾーン、第四ゾーンの土地を全部購入する、あるいはそこに住んでいらっしゃる方の移転補償金を払ってよそに行っていただくというようなことが一応常識として考えられるわけでございますが、それには膨大な予算が要るということで、現在私どもがこの問題を取り扱っている段階では、とりあえず第一ゾーンの地区で非常に困っているというふうな方の土地につきましては、逐次買収というような措置を講じております。と同時に、最近はあすこの第一ゾーンのところにゴルフ場を誘致いたしまして、それを誘致することによって、そのゴルフ場地区がいわゆる第一ゾーンに入りますので、そういう面で電波障害のあれの緩和をはかるというような措置も講じておるというのが現状の姿でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 鐘江さん、私いま質問しておるのはもう一つ大きな問題があるのですよ。県の渉外部が待ったをかけた中身というのは、いま中央でこういうふうに行なわれておる、あなたのほうで電波障害特別委員会で話し合いが行なわれておる、したがって、この百八十九戸の建築を認めるということは、それに対して許可がある、こういうことなんですね。そうなると、これは皆さん方と関係ないことではない。だから、どういうふうに進められておるのかという中身を知らせていただかなければ、県当局が担当しておるのじゃないのだから。そうでしょう。現状として、一体電波障害特別委員会の中に持ち込まれた向こうの言い分は何であって、しかもそれはどういうふうに進んでおるのかということをお知らせいただかなければ、現地に説明もつかなければ、各業者が、もう大工さんが手まであかして待っている。そこまで影響しておるのだから。実情はどうなのかということを、いまここであなたのほうでお答えいただけなければどうでもいいのですよ、時間の関係があって困るとおっしゃるなら、あなたのほうでこういう中身なのだということを——私どもは担当委員会なんだから、出していただかぬことには、話は前へ進まないでしょう。どっちになるにしたって、そこのところはどうなっているかということを基本的に聞いているわけです。
  37. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど申しましたように、上瀬谷通信施設の制限内容につきましては、第一ゾーン、第二ゾーン、第三ゾーン、第四ゾーンの内容につきまして資料提出いたします。
  38. 大出俊

    大出委員 いやいや、ここも日米合同委員会の下部機構である電波障害特別委員会の場で討議がいま進んでいるのでしょう。その中身との関連で待ったをかけたのかということです。
  39. 鐘江士郎

    鐘江説明員 八月に、電波障害に関する特別委員会におきまして日米双方の話し合いがありましたが、その席上で上瀬谷通信施設のいまお話しのありました内容につきまして、具体的に米側要求はございませんでした。それ以後も特別委員会は開かれておりません。
  40. 大出俊

    大出委員 そうすると、県当局の言っている第一の待ったをかけた中身ですが、これは県のほうが事実に反することを言っているということになるのですね。いまの点は確認していいのですね。上瀬谷に関しては、いまの電波障害特別委員会の中身には一切関係がない、別個である、そこのところはいいですか。
  41. 鐘江士郎

    鐘江説明員 電波障害に関する特別委員会では、上瀬谷通信施設の問題は議題にのぼっておりません。したがいまして、いまのお話の百八十九戸の建築制限の問題でございますが、おそらく想像いたしますのに、これはすでに御承知のとおり、第一ゾーン、第二ゾーンにつきましては不作為の契約を結んでおるわけでございまして、その第一ゾーン、第二ゾーンの地区にそういう契約を結んでおりながら、制限内容になっているところのそういった建物を建てること、これについてどんなものだろうかという段階で県当局が検討しておる段階ではないか、かように想像されます。
  42. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ、この上瀬谷通信基地を動かすなんという話が前二、三回私の耳に入ったことがあるのですけれども、この特別委員会その他の中で、上瀬谷通信施設についてほかの話は何もございませんでしたか。
  43. 鐘江士郎

    鐘江説明員 まだそういう問題まで実は触れておりません。八月の特別委員会で検討されましたことは、まずもって通信施設内容につきまして、電波監理局の技術の人たちが、米軍の案内でティピカルな施設を見にいく、そして施設の内容がどういうものであるかということをまず把握する必要があるのじゃないかということで、第一回目の特別委員会は終わっております。したがいまして、個々にどこそこの通信施設はどうあるべきかというような問題まで遺憾ながら触れておりません。
  44. 大出俊

    大出委員 これで終わりですが、横須賀なんという所、それから例の淵野辺、厚木ですね。これはいずれにせよ、戦後上瀬谷に、いにしえに通信基地ができた時代と違いまして、人口が密集をする、各種建造物が密集をする、おのおのの市には開発計画がある、市街地開発計画をおのおの持っている、こういう地域なんですね。おそらく先ほど楢崎委員から話が出ました十二カ所のほかのところだって、そうだと思う。  そうすると、そういうところに対して上瀬谷流の制限規制あるいは規制地域設定、こういうものが出てくるということになりますと、これは皆さんもお聞きになっていると思うのですが、上瀬谷にこの種のものができたときの反対運動というものも御存じだと思うのですが、今度はそれどころの比じゃないですね。そこらのところを皆さんは知らずに話し合ってはいないと思うのです。この新聞が取り上げている限りで言えば、ベトナム戦争の関係もあって、制限地域にされそうであるという印象の書き方になっておるのですけれども、ここらのところはあなた方担当しておる鐘江さんなり山上さんなりのお立場から見て、大筋、一体この十二カ所について現状はどういうことになりそうな雲行きですか。おかしいのだということになれば、これはかねや太鼓で騒がなければならぬことになりますからね。
  45. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど楢崎委員にお答えいたしました十二カ所の通信施設につきましては、そのうちの約半分くらいが遺憾ながら周辺が都市であるということで、この問題は周辺地区の開発発展とやはり競合するという面があるわけでございます。したがいまして、こういう施設につきましては、周辺の地元の開発、発展と競合するということでございますので、そういう面を極力緩和したいということで……(「緩和というのはまけてくれというのか」と呼ぶ者あり)制限を緩和する、たとえば制限内容を一〇〇のものを八〇にしてくれ、六〇にしてくれということで、今後特別委員会でわれわれ米側に折衝したい、かように考えております。
  46. 大出俊

    大出委員 増田長官、この緩和するということは、いま不規則発言がありましたが、こちらからまけてもらってやろうということなんで、そこで新聞に言っておるように、ベトナム戦争の影響もあって、相当米軍が強過ぎるくらい強いから、結局やられてしまうだろうということもあると思うのですが、まけてくれと言いながらやられてしまうということになりそうですか。長官どうですか、断固これは拒否する態度をおとりになりませんか。
  47. 山上信重

    ○山上政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、この問題につきましては、電波障害の防止という要望というものは、施設の特性からしてそういうものがあると考えられます。しかしながら、これを受ける地域側につきましては、これは住宅があるとか施設があるとかいう問題がございます。したがいまして、これをまけるとかどうとかいうことではございませんが、実情に合うようになるべくいたしたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  48. 大出俊

    大出委員 増田長官、まず答えてくださいよ。まけてもらうとかなんとかいうことを言うけれども、緩和してもらうということはそんなにきびしいことをしないで、この辺にしておいてくれということを言うのでしょう、平たく言えば。日本語というのはいろいろに使うから、長官のように英語がぼくはあまりたんのうではないけれども、緩和してもらうというのは実情に即するように減らしてくれというのだから、結果的にはまけてもらってやろうということになる、こう考えなければいかぬと思うのです。これは増田長官、断固これは認めないというふうに——結局これは防衛施設周辺整備法というものをつくったのですし、基地ができたときにはしかたがなかった、しかし維持管理を含めて、住民の私権の制限云々ということについてはもっと前向きで少しずつ減らしていくということを先般この委員会できめたばかりではないですか。法律を通したばかりではないですか。防衛庁長官、増田大臣、そういう法律をこの委員会は通したのですよ。それを今度は逆に強化されるということになったらたいへんなことになる、どうお考えですか、これは拒否するというふうに参りませんか。
  49. 増田甲子七

    増田国務大臣 施設庁長官の答弁のとおり、付近住民に迷惑をできるだけかけないように、これからも努力してまいりたいと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 増田さん、付近住民に迷惑をできるだけというのが気に食わない。どこまでができるだけなのかということになると、どうもずいぶん増田さんらしくない答弁をするものですね。増田長官が平素人にものを言っているときはきわめて明確で、そういう歯切れの悪いことを言ったことがない方なんだから、すぱっとどうですかな。とにかくそういうものは認めがたい、こういう態度で臨みます、そういきませんですか。もう一度答えてください。それでやめますから。増田さんともあろう人が、遅疑逡巡しちゃだめですよ。これはえらい騒ぎなんですから。
  51. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは一つの基地であることは御承知のとおりでございます。そこで、基地周辺整備法関係で迷惑をかけないようにするのが、基地周辺整備法の趣旨だと思っております。でございまするから、その法律にものっとり、それから私権の制限をするということになりますると、これは特別の法律が要るわけでございますことは、山上君の答えたとおりでございます。そこで、特別な法律が要るのに、特別な法律がない。でございまするから、契約でやっておるわけでございます。お互いにお願いしますというようなことで、そのお願いしますよという範囲をできるだけ少なくするように、しかも通信施設の効用もやはり全うされなくちゃいけませんから、効用が全うされつつ迷惑をかけないように努力をしていく、こういうことでございます。
  52. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、いまの大出君の質問もそうでしょうが、最後に一つだけでこの問題を打ち切ります。  あなた方、これを拒否するとは言わない、緩和するように努力するとおっしゃっている。しかし、そこには当然限度があろうと思います。そこで一点だけ、これは増田長官にも、それから新施設庁長官にも、お二方の御答弁をいただきたいのですが、国内法がないのですから、民事契約でいくと、ことによったら断わられるとできない。しかし、米軍要求は強い。そうすると、場合によっては、鐘江さんもおっしゃったように、これは地域権じゃなしに、土地収用法等の適用も考えて、収用してでもやらなければならないような場面が起こりはしないかと私は心配します。少なくともそういうことは絶対になさらぬですか。それだけ聞いておきます。
  53. 山上信重

    ○山上政府委員 私、就任いたしましてまだ数日でございますので、実は十分な勉強は行き届いておりませんので、間違っている点もあるかと思います。私の現状では、そういう土地収用というようなところは考えておりません。
  54. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは契約が拒否されたらしようがない、こういうことですね。米軍がどんな要求をしても、住民が契約を拒否すればできないんだ、それ以上のことはもうしようがないということで政府措置する、こういうことですね。
  55. 山上信重

    ○山上政府委員 これは先ほど来何べんも申し上げますとおり、そういう施設の特性を発揮するためにはこういうことが必要であるということは、これは十分わかるのでございます。しかしながら、実際の問題としてはそこに国民の施設がございます。したがいまして、こういう問題を処理するためには、地域の住民の方々の納得のいくような線を発見していくように私どもは努力してまいりたい、こういうふうに考えます。
  56. 楢崎弥之助

    楢崎委員 最近の米軍のいろいろなやり方は、ほんとうに沖繩を日本本土並みにするというような問題ではなしに、日本の本土が沖繩並みになるというような具体的な事実がずいぶんあがってきたのです。それをただいまから引き続いて、北富士の演習場等具体的に明らかにしてまいりたいと思いますので、淡谷委員に譲ります。
  57. 三池信

  58. 淡谷悠藏

    淡谷委員 先般、十月の二十日ですか、北富士の演習場で米軍が、演習地内で仕事をしておりました北富士のおかみさんたちにたいへんな暴行を働いたという事件がございましたが、私、現地でこれをいろいろ調査してまいりました。これはいま楢崎さんの言ったとおり、沖繩の伊江島で起こったような事件にさらに輪をかけたような悪質なものでございます。これは十月二十日ですから、もう長官に報告がないはずはないと思う。長官はどのような報告を受けておりますか、お答え願いたい。長官にそういう報告があったかなかったかまで、長官にお聞きしたい。これは重大な問題ですから、全然長官の耳に入れないでおるとすれば当局の怠慢と習わざるを得ない。報告を受けたのか受けないのか、はっきり長官——長官というのは増田防衛庁長官です。
  59. 増田甲子七

    増田国務大臣 淡谷さんにお答えいたします。  北富士においてある事件が起きたということの、御指摘のような報告は受けております。
  60. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どんな報告ですか。事件が起こったようなというような報告ですか。事件が起こったら、長官、もっとはっきり事実を確かめたらいいじゃないか。少なくとも国民の間に非常に大きなショックを与えておるような事件に対して、ようなというのは一体何です。どんな内容をお聞きになったのですか。
  61. 増田甲子七

    増田国務大臣 事件のようなと言ったんじゃない。淡谷さんが御指摘のような事件について報告を受けておると言ったんですから、ようなは上にかかるわけです。
  62. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はまだ内容に触れておりませんが、まず内容を詳しくお聞きしたい、報告の内容を。
  63. 山上信重

    ○山上政府委員 私の聞いておりますところでは、本年の十月二十日北富士演習場の地域内におきまして、付近の「母の会」なる関係の方々がこれまで小屋掛けをしてその中におられたわけですが、米軍の方々がそこに行って、この演習場を使用するという目的のために演習場内を清掃するというようなことで一部の品物を整理いたしまして、そうしてこれをわが吉田事務所に持ってまいる。またそこにおられた御婦人三名の方を、話し合いの上で演習場の入り口まで送り届ける。なおその際、当時そこにありましたカヤあるいは竹ざお等のものを一部焼いたというような事案が発生いたした、こういうふうに聞いております。
  64. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは吉田出張所からの報告だと思いますが、その婦人を話し合いの上で運び出したというのは違っております。これは強硬に拒んでおります。なお、その場合持ち出した品物の数がずいぶんたくさんあったようですが、この品物は一体どう処理されましたか。
  65. 鐘江士郎

    鐘江説明員 米軍が小屋並びに小屋の周辺から持ち去りました物品につきましては、翌日吉田防衛施設事務所に持ってまいりまして、保管をしてくれということでございますので、現在その防衛事務所内に保管しております。なお、この物品につきましては、「母の会」に文書なり、あるいは口頭でぜひ引き取っていただきたいということでお願いしておるというのが現状でございます。
  66. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これもやはり吉田事務所の報告かと思いますが、私、調べた場合とはだいぶ違ってますよ、話が。この品物の内容は、はっきりわかっておりますか。保管した以上は内容はわかるでしょう。詳細にその内容を御説明願います。
  67. 鐘江士郎

    鐘江説明員 米軍が吉田防衛施設事務所に保管方を依頼してまいった物品は、畳、夜具それから食器、食糧等七十六品目で百七十六点というふうに承知しています。
  68. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとで全部それを詳しく書いて出しておいていただきたい。これは私、非常にその扱い方が不穏当だと思います。たとえ、基地内で行なわれたことにせよ、刈っておいた大量のカヤに火をつけて燃やしたというのは放火じゃないですか。拒むものを勝手に、うちから畳、夜具、食糧までも持ち出して、飲料水をみんなぶちまけちゃって、まだ婦人がおる間に、屋根のカヤの鎖まで切って、火をつけようとしたじゃないですか。もし、これが犯罪——私は犯罪だと思いますが、犯罪の疑いがある場合には、持ち出したものは、これは重大な証拠品ですよ。しかも、これを一たん警察へ持って来ているのです。警察が断わっているのです。警察が断わっているものを出張所へ持って行って、一たんは断わっているでしょう。預からないからと言っているでしょう。何のつもりで預かったのです。事情を詳しく調べて預かったのかどうか、出張所の職員の言うことを聞きますというと、まだ一回も事件の現地へ行っていないというのですよ。少なくとも目の前で窃盗が行なわれ、放火が行なわれ、さらによりひどいことが行なわれた場合に、出張所の職員なり所長なりが、この事件を詳しく現地で調べないという無責任なことがありますか。これ、どう思われますか。
  69. 鐘江士郎

    鐘江説明員 事件の当日、十月二十日に演習場内で煙が上がっておるということを気づきまして、直ちに現地に職員を派遣したわけでございますが、演習場の入口に米兵が立っておりまして、場内への立ち入りを拒まれたわけでございます。したがいまして、当日、現場を見ることができなかったわけでございますが、翌十月二十一日に事務所長ほか二名が現場に行きまして、また現地の米軍部隊を訪ねまして事実の確認を行なったわけでございます。米軍は演習場の管理の必要性から、演習場内の整備を行なったわけでございますが、その際、カヤ及びその回りにある品物で価値があると判断された物品につきましては、一応吉田防衛施設事務所に保管方を依頼いたしまして、価値がないと判断されましたものにつきましては、焼却したということを言っておるわけでございます。したがいまして当日は、なるほど防衛施設事務所の職員が立ち入ることができなかったわけでございますが、翌日以降、現場に職員が行きまして事実を確認し、また先ほど申しましたように、保管を依頼された物品につきましては、現在保管しておる、かようなことでございます。
  70. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田防衛庁長官にひとつぜひお聞きしておきたいのですが、いまの答弁を聞いてみますと、施設庁というのは、その施設の提供についてさらに権限ないのですか。施設内で起こったことは何でも米軍の直接行動でこれを片づけてよろしい。一体米軍の演習場に対する施設庁の責任、広くは防衛庁の責任は一体どうなんです。絶えず米軍と国民とが直接に折衝して、事を運ばなければできない仕組みになっているのですか。少なくとも基地の中で犯罪の行なわれている場合に、これを調査に行った出張所の所長はじめ職員米軍によって立ち入りを禁止される、こんな乱暴な施設が一体あっていいのですか。防衛庁長官にお聞きします。
  71. 山上信重

    ○山上政府委員 ただいまの問題ですが、施設庁といたしましては、この管理につきましては、当時吉田防衛施設事務所から、このすわり込みをなすっている方々にこういう処置をしないようにということを再三要望いたしておるのでございますが、その実情が結果において反映しない。結局まだおるというような事実がございましたことと、それから米軍は、自分自身が施設内におきましては、それぞれ管理あるいは整備その他必要な措置をする権能を持っておりますので、そういう意味合いでおやりになったのだ、こういうように解釈しております。
  72. 淡谷悠藏

    淡谷委員 米軍がやっていい権能の内容は一体どうなんです。まさか権能があるからといって殺人はできないでしょうな。これはいかがです。
  73. 山上信重

    ○山上政府委員 そのとおりであります。
  74. 淡谷悠藏

    淡谷委員 傷害はどうです、これはできますか。
  75. 山上信重

    ○山上政府委員 不法に傷害を与えることはできないと思います。
  76. 淡谷悠藏

    淡谷委員 放火はどうです。
  77. 山上信重

    ○山上政府委員 施設処理上必要がある場合には、いろいろな行為をする権限がございます。放火と申しましても、いろいろ火をつける態様によって違うと思います。
  78. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在起こっている事件で、このカヤというのは無価値と見たのですか。少なくとも農民が生活をささえるためにこもを編み、炭俵を編み、冬囲いをするための相当な量のカヤですよ。米軍は無価値と見たかもしらぬが、地元の農民にとっては生活のささえです。これに火をつける。しかも拒むのに、部屋に人が入っているのに、その小屋に火をつけようというのは放火じゃありませんか。私は放火だと思う。防衛庁はどう考えるか。
  79. 財満功

    財満説明員 現地からの報告によりますと、小屋に延焼はいたさなかったようでございますし、また農民に絶対に危険を及ぼさなかったということでございまして、放火の罪に当たらないものと考えておるのでございます。
  80. 淡谷悠藏

    淡谷委員 じゃ強姦はどうですか、犯罪か犯罪じゃありませんか。
  81. 財満功

    財満説明員 私は、北富士演習場と強姦との関連の問題がよくわからないのでございますけれども、通常の形においては犯罪を構成すると思います。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一体答弁者はだれが答弁するのですか。私は増田防衛庁長官に答えてもらいたいのです。てんでんばらばらですよ。米軍が権限を持って施設内でさまざまな処置ができるというのですから、その権能の範囲を聞いている。まず殺人はできないでしょう、傷害はできないでしょう、放火はできないでしょう。したがって、権能として強姦ができるかという問題です。増田長官どう思われますか。責任を持って御答弁願いたい。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 地位に関する協定等がございまして、淡谷委員御承知のとおり行政協定でございます。そこで、米軍の行なった職務上でない犯罪は、これは日本司法権の管轄下にあることです。職務上行なった犯罪というのは米軍の軍法会議にかける、こういうことであります。それから職務上でない犯罪、すなわち一般刑法に関係する犯罪であって、しかも職務の上から行なわないという犯罪は、すべて日本の裁判権に属するわけでございまして、こちらもこの件が起きましたときに、普通の暴行になるかどうかということは法務当局にも聞いてみたわけでございます。でございますから、法務当局の所見等は、淡谷さんは練達たんのうの士ございますから——われわれは検察当局自身ではございませんから、ただ聞いてみました。その関係のことは検察当局等にお聞きを願いたい、こう感ずる次第でございます。
  84. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは練達たんのうじゃなくてもわかるでしょう。常識でしょう。米軍が基地内でできる権能の措置ですね、この中には一体強姦ということが入るか入らぬかという問題。そんな権能はないでしょう。これは常識じゃないですか。練達たんのうの士じゃなくてもわかるはずですがな。まして練達たんのうな増田防衛庁長官、これくらいの常識がわからないことはないでしょう。どうですか。強姦があったとしたら犯罪になりますか。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 淡谷さんは、普通の犯罪で、単純明瞭にわかるものを列挙されましたが、これはもちろん日本の法権のもとにおいて処理すべき犯罪だと思っております。婦女暴行等のごときは。あるいは殺人等もそうでございます。あるいは傷害等もそうでございます。しかしながら、米軍が職務上行なった、たとえばたまがそれていって傷害が起きたとか、こういうようなことは向こうの軍法会議にかかる問題でございます。  そこで、小屋を焼いたとか焼かぬとか、そういうようなことは、これが非常に境界の不明瞭な点でございまして、米軍の管理権のもとにある各種の行為というようなことは、犯罪を構成しない場合が多いのじゃないか。いま御指摘のような線は、われわれも検察当局に聞いてみましたが、犯罪を構成しない模様であるという答えでございます。
  86. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは増田長官、あなたは出張所のほうの報告を聞いて答えられておるからそうなる。幾ら米軍が基地内における権限があるといっても、ごく単純明瞭な犯罪は犯罪でしょう。これは殺人やっても、傷害やっても、強姦やっても罪にならぬという米軍の権能はないと私は思う。  それならば強姦未遂はどうです。ひとつお答え願いたい。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 管理権に関する範囲の不法的に見える行為と——社会から見てですよ。その範囲のことをお聞き願いたいです。もちろん明瞭に職務に関係なく、米兵が各種の普通刑法上の事件を起したという場合には、日本の法権のもとにおいてさばくのでございます。
  88. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実は私、ここにテープを用意してあります。これは当日、米軍からさまざまな暴行を受けた婦人の記録です。これは委員長の許可を得れば、ここで発表してもいいと思う。強姦とは言いませんが、強姦未遂の行為がある。こんなことさっぱり調べていないでしょう。これは明らかに基地犯罪ですよ。米軍が当日職務を執行したと申しておりますが、一体これは、英語に練達たんのうな増田長官にお伺いしますが、ごみ掃除だという話だったのです。しかし、おそらく米軍がごみ掃除と言わないでしょうから、英語で何と言ったと言ったら、私は英語の発音が非常にへたなんですけれども、クリーニング・マヌーバーと言っております。これは一体どういう意味になりますかな。増田長官からひとつ翻訳していただきたい。クリーニング・マヌーバーとはっきり言っている。これは吉田出張所の所長から聞いた話ですから間違いはない。ごみ掃除ごみ掃除と申しますから、それじゃ英語で何と言ってきたのかと言ったらクリーニンゲ・マヌーバー。どうかひとつ英語に練達たんのうな増田防衛庁長官から翻訳を願いたいと思います。
  89. 増田甲子七

    増田国務大臣 主語と目的語がなくて動詞があっても、ちょっと答えられない。(笑声)
  90. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ全然意味のないことを言ってやった行為ですか。ごみ掃除だごみ掃除だというふうに翻訳しているらしい、通訳しているらしい。しかし、原語は何と言ったのだと言ったら、吉田所長がクリーニング・マヌーバー、こう申しましたが、それで意味がとれたのでしょうな、あなたの部下は。長官は意味がとれないと言うのだが、吉田の所長はこれは意味がとれたと言っておるのですが、これはどうですか。
  91. 増田甲子七

    増田国務大臣 淡谷さんに伺いますが、ただクリーニング・マヌーバーと言っただけなんですか。
  92. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ええそうです。ごみ掃除という意味です。
  93. 増田甲子七

    増田国務大臣 米軍の用語として日本語にそういうふうになれば、それはわかりいいかもしれませんが、清掃演習、清掃訓練とも申すべきものだと思います。
  94. 淡谷悠藏

    淡谷委員 清掃訓練と称してジープを持ってきて乗りつけた者は、キャプテン何というのですか、お調べになったでしょう。
  95. 鐘江士郎

    鐘江説明員 ヒューズ大尉というふうに聞いております。
  96. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なるほどキャプテン・ヒューズと言っておりましたが、この人はいつベトナムから帰りましたか。
  97. 鐘江士郎

    鐘江説明員 その詳細は承知しておりません。
  98. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田防衛庁長官、この辺をよくお聞き取りを願いたいのですが、これはベトナムから帰って間もないキャプテンなんです。そして、その場におりました婦人たちが強く拒んだにもかかわらず、飲料水は全部ぶちまけてしまった。米は、その他は全部持ち出してしまっておる。そうして食べるものがなくなったので、それを聞いて食べものを持ってきた同じ仲間の婦人たちに、食べものを渡すことさえ拒んでおるのですよ。施設庁職員がとめられたと同じように、もっとひどく、食べものまで拒んでおる。食べものもなく飲むものもない場合にわれわれ死んでしまうじゃないかと抗議したら、戦争に勝つためには死んだってかまわぬ、キャプテン・ヒューズがこう言っているんですよ。これが少なくとも施設庁が提供した施設内における米軍の行動です。これが一体許された権能ですか。しかも、その後における行動が非常にひどい。すわり込んでいる婦人がいるにもかかわらず屋根に火をつけるというのをやっとの思いでこれを防いだのです。こういう事実を、少なくとも施設庁の出張所が詳細に報告していないとすれば、まことに無責任きわまることです。私はこの事実は明らかに基地犯罪だと思っておりますが、長官は一体どう思います。
  99. 山上信重

    ○山上政府委員 われわれの聞いておりまする報告ではただいままで施設部長が御報告したとおりでございます。いろいろさらにこれ以外のことがあるようでございましたら、さらに私どもも調査いたしたいと存じております。
  100. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、もう少し現地のさまざまな暴行を受けた人たちについても当然調査する義務があると私は思う。基地内に行なわれておる犯罪というものは、これは職務上とは申しませんけれども、職務をしながら起こした犯罪も、過去の例を見ますと、ずいぶんあるのですからね。終戦当時は、憲兵がパトロール中に人のうちに入って人妻を強姦したという話もあったでしょう。これは明らかに公務じゃない。同じような行動が米軍の必要なる基地内の行動だというふうに考えられたらとんでもない話です。基地内の犯罪は当然施設庁が一応調べなければならない。そうでしょう。したがって、この事件はもっと深刻にお考え願いたいと思う。  もう一つは、たびたび施設庁が、中にすわり込んでいる婦人に対して立ちのくことを要求したそうですか、どういう権限があるのです。現在あの演習地というのは自衛隊の演習地ですか、米軍の演習地ですか。
  101. 鐘江士郎

    鐘江説明員 北富士演習場は米軍に提供しておりますところの演習場でございまして、自衛隊が使用しておりますのは地位協定三条に基づく管理権によって自衛隊が使用しておるということでございます。
  102. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこに問題があるんですがね。自衛隊の演習場に使用しております米軍基地というのは一体全国にどれくらいありますか。
  103. 鐘江士郎

    鐘江説明員 自衛隊と駐留軍が共同使用しております施設は二十三施設でございます。
  104. 淡谷悠藏

    淡谷委員 パーセンテージはどれくらいありますか。
  105. 鐘江士郎

    鐘江説明員 ただいまお答えいたしましたのは、地位協定二条四項(a)に基ずく施設の数を申し上げたわけでございますが、全提供施設が百四十六でございますから、百四十六分の二十三ということになるかと思います。
  106. 淡谷悠藏

    淡谷委員 北富士の場合は三条と申しましたね。これは二条4の(a)でしょう、いま言った数字は。そうじゃないですか。それじゃ、その適用条項のいかんにかかわらず、米軍の使っております演習地内に自衛隊が演習地を持っておる数は一体どれくらいの。パーセンテージにのぼりますか。どの項を適用するにかかわらずです。
  107. 鐘江士郎

    鐘江説明員 ちょっといま御質問の内容がわからなかったのですが……。
  108. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまあなたはその数は二条の四項の(a)の適用だと言ったでしょう、いま言ったのは。そうじゃないんですか。
  109. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど二十三施設と申し上げましたのは、地位協定二条四項(a)に基ずく米軍の施設の自衛隊が共同使用しておる施設の数を申し上げたわけでございます。
  110. 淡谷悠藏

    淡谷委員 北富士はそうじゃないでしょう。三条の適用だとあなた言ったでしょう。そうすれば二条四項の(a)適用以外にも自衛隊が使っている演習地があるはずです。だからその条項の適用いかんにかかわらず、全部の米軍の基地の中で自衛隊も一緒にやっている基地はどれくらいのパーセンテージにのぼるかということです。
  111. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど申しました二十三の施設以外に、三条の管理権に基ずきまして自衛隊が使用しておる施設は十五、二十三のほかに十五ございます。
  112. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この第三条の適用ですが、第三条のどこを適用したのですか。項目がたくさんありますが、具体的に北富士の場合にどの項を適用したのですか。
  113. 鐘江士郎

    鐘江説明員 地位協定第三条第一項に基ずく使用でございます。
  114. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その一項のどの点ですか。
  115. 鐘江士郎

    鐘江説明員 一項の「合衆国は施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」であります。
  116. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここですか。それだけですか。増田防衛庁長官、このばく然たる二行が北富士の自衛隊の演習の根拠だそうであります。しかし防衛庁長官というたてまえから見て、歴代の長官、江崎長官あるいは藤枝長官、現地にどんなものを出しているか、長官一ぺん報告を受けたことがありますか。
  117. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田に防衛施設事務所があるということ、それからそれを監督する意味で横浜に防衛施設庁があるということ、そのことを存じておるわけでございます。
  118. 淡谷悠藏

    淡谷委員 少し具体的に申し上げますが、昭和三十五年八月九日、山梨県の南都留郡忍野村忍草の区長渡辺勇さんから江崎真澄防衛庁長官に対して、こういう要望書が出ております。「梨ケ原演習場は、私達地元農民が入会慣行を有している土地であり、また生きてゆく上に欠くことのできない土地であります。それ故に、私達は昭和三十三年末、米軍撤退以来特に該演習場の返還をのぞんでおりました。今日の場合もこの切実な私達の気持の現れであります。私達は、ここに、信頼する日本政府米軍より該演習場の返還に努力をしていただくことを強く要望するものであります。」これに対して江崎長官から、三十五年八月九日に回答書が出ております。「政府は、昭和三十五年八月九日付御要望の趣旨を諒とし、早急に最大の努力を払うと共に、貴区が従来有して来た入会慣行を十分尊重し、誠意を以って善処します。部落民各位には、平静のうちに事態を解決されるよう、切に要望いたします。」というのが江崎長官の回答書です。これはおわかりでしょう。  もう一つ、藤枝長官の回答書がある。これは山梨県知事の天野久氏に対して、昭和三十六年九月十七日に出されました「北富士演習場問題について」という書類であります。「標記の件については、左記により処理することとしたので、御了承の上格段の御協力をお願い致します。 一、政府は、北富士演習場の地元関係者が、旧来の慣習に基づき、北富士演習場入会地(梨ケ原、大和ガ原、その他入会地を総称する。)に立入り使用収益してきた慣習を確認するとともに、この慣習を将来にわたって尊重する。 二、政府は、北富士演習場の早期返還に引き続き最大の努力を払う。 三、政府は、すみやかに現行の林野雑産物補償に関する問題点を再検討しその適正化をはかる。なお、林野雑産物補償及び林業経営阻害補償に関する過去の未解決補償については早急に解決する。 四、政府は、北富士演習場の地元関係者に対する所要の民生安定措置については、他地域との均衡を失しないように実施するため、県と協議する。 五、政府は、基地問題等閣僚懇談会了解の趣旨に従い、現地関係団体が北富士演習場対策協議会に一体となることを期待して、今後の補償に関する問題は協議会を通じて処理する。」  さらに、こういう覚え書きが藤枝防衛庁長官から出されているのです。「政府は忍草区長に対する昭和三十五年八月九日付回答書の主旨に従い、次の事項を確認する。よって貴区は政府の意のあるところを諒とし、現在の事態を早急に収拾されるよう要望する。一、政府は貴区民が旧来の慣習に基づき、梨ケ原入会地に立入り使用収益してきた慣習を確認するとともに、この慣習を将来にわたつて尊重する。二、政府は北富士演習場の早期返還に引き続き最大の努力を払う。三、政府はすみやかに現行の林野雑産物補償に関する問題点を再検討し、その適正化をはかる。」以上が三十六年九月十二日の書類であります。こういうふうな歴代の長官の現地に対する約束が、増田防衛庁長官どれくらい促進されていますか。いままでこれに対して努力をなされたことがありますか。
  119. 増田甲子七

    増田国務大臣 従来の防衛庁長官の約束した線は、これをかたく守り、実施に移すように努力を継続中でございます。
  120. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらに「北富士演習場における現在の事態を収拾するため、防衛施設庁と北富士演習場関係権利者協議会との間に左のとおり諒解が成立したので、山梨県を立会人として本覚書を交換する。」というのが昭和四十年十月十三日の、これはもう現防衛庁長官が在任中のことだと思いますが、あるいはもっと前のことですかね。「一、政府は北富士演習場を米軍より返還せしめ、これを自衛隊の演習場として引続き使用すると共に米軍に対しては地位協定第二条四項bによりこれを使用せしめる所謂使用転換を可及的速やかに実施するため必要な措置を講ずる。二、地元住民が北富士演習場内に立入り使用収益してきた慣習については、」ここですよ、大事なのは。「使用転換後も従前同様、将来に亘ってこれを尊重する。」従前どおり、「三、政府は使用転換に際しては、所有権者等が有する権利および慣習に対する補償については『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱』(昭和三七・六・一九閣議決定)の趣旨ならびに当該地域の実情と特殊性を考慮して適正に補償する。四、使用転換を行なうについては、国は、地元代表者との間に使用協定を締結するものとする。五、本覚書発出後、自衛隊の木演習場の使用に関するすべての手続が完了するまでの間、自衛隊は、協議会の同意がなければ演習場を使用しない。本演習場を自衛隊の施設とするすべての作業の完了予定日は昭和四十一年三月三十一日とする。」とある。この書類の協定は一体どう扱われておるのですか。
  121. 財満功

    財満説明員 四十年十月十三日と申しますと、私記憶がございますが、当時地元の方と私ども二晩徹夜いたしましてそのことについて話し合いました。そしていま先生がお読みになりましたのは、地元の方の出された案であると思います。私どもとしては、ちょっとそれでは自衛隊のほうの動きが全然とまってしまう。具体的に申しますと、地元が承知しなければ演習はさせない、こういうことになっておるわけでございますので、その案はついに協定に至らずして廃案になったものと考えております。
  122. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この協定はできなかった。しかし従来どおり立ち入ってさまざまな仕事をする権利はこの協定のあるなしにかかわらず残っておるわけではないか。それを施設庁が立ち入って、小屋にすわっておる婦人たちに出ていけというのはどういう権限なんですか。どういう必要なんですか。
  123. 鐘江士郎

    鐘江説明員 いまお話のありました立ち入りの問題につきましては、従来、米軍が地元の各入り合い組合の人たちが採草のために立ち入っておる事実関係を尊重いたしまして、カヤ等の採草のたびに、いついっか立ち入ってよろしいという恩恵措置によりまして、米軍が採草のための立ち入りを許可しておったわけであります。
  124. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは米軍の恩恵ですか。自衛隊の演習も米軍の恩恵なんですか。これは関連するというのですか。恩恵じゃないでしょう。当然の地元の権利でしょう。そういうものの考え方でやっているから問題が起こるのですよ。恩恵じゃないでしょう。
  125. 鐘江士郎

    鐘江説明員 林野雑産物の補償の問題につきましては、ただいまお話のありましたこれは権利である、入り会い権である、いや入り会い権でないということで、現在まで地元の皆様とわれわれとの間で話し合いが続行されておりますが、いずれにいたしましても、国の立場といたしましては、国有地については入り会い権という物権はないということで解釈しております。したがいまして、先ほど申しましたとおり、地元の入り会い組合の皆様が入って、場内に立ち入って採草したいということの申し入れに対しまして、米軍はあくまでも三条の管理権の範囲内において恩恵的に立ち入りを認めるということになっております。
  126. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁長官米軍の恩恵だ、そう思っておりますか。しかも、入り会い権がないというのは、いま訴訟になっている相手側の国の見解でしょう。それがそのとおりいかないから訴訟になっているのでしょう。それはあなた方の一方的な解釈です。しかも米軍が管轄権を持っているからといって、日本の土地を使っているのでしょう。そして前からいろいろな関係で生活しておる農民のために、使わないときに提供するのはあたりまえじゃないですか。第一、米軍はこの演習場は使っていないでしょう。使っていますか。——議事進行で申し上げますが、あまりてんでんばらばらに答えて、言う人たちの答弁がみな食い違うようではいたずらに時間をとりますから、まず原則として増田防衛庁長官が答えてください。増田防衛庁長官のお答えできない点は、長官からさらに別な長官に御指名になって答えてもらいたい。
  127. 増田甲子七

    増田国務大臣 施設庁長官、施設部長、総務部長と事柄の大きいと小さいとはございますが、私は統一を欠いているとは思っておりません。同じことを答えております。  そこで、淡谷さんの御指摘のような入り会い権という私権が演習場といったような中に存在することは、私は法曹の一員として認めます。ただし、それは争いの対象になっているわけでございます。それから入り会い権がある程度ございまして、それを事実上の問題として尊重して——事実上の問題としてですよ、まだ私権の争いがありますから。そうして駐留軍がカヤを刈ってくれとか、草を刈ってくれということは認められておるわけでございます。しかしながら今度公のような立場、公法的な立場においてこの地位協定はあるわけでございまして、この地位協定というものは、私は一種の公法的な、行政法的な立場をとっておると思います。国内でいえば、条約に附帯するものでありまして、法律と同様に、それに近い効力がある。しかも公的な演習揚ということになってくるのでございまして、その演習場の管理権に基づいて各般の行為が必要と認められる限度においては行ない得る。その管理権に基づいて草を焼いた、こう思っております。しかしながら一面におきまして私権の問題はございますから、私の権利は争いとして存在しております。しかし防衛施設庁といたしましては、従来から私権は制限されておる、そういうことに対しましては相当の補償もしておるわけでございます。至るところ随意に、おれは入り会い権があるのであるから、従来草を刈っておるのであるから、演習のいかんにかかわらず草を刈れるというわけではないのでございまして、公権的な立場の管理権の制約を受けて私権的な立場のものが存在しておる。そして補償もされておる、こういうふうに法理論としては考えております。具体的に第二条の関係の適用があるか第三条の適用があるかというようなことは、詳細には防衛施設庁が知っておるわけでございますから、施設庁長官なりあるいは施設部長なり総務部長が答えておるわけでございます。
  128. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は訴訟上問題になっていることをこれ以上深く追及しようとは思いません。しかしいま長官の言われました自衛隊がこの演習場を使っている根拠はわずか二行なんです、これで見ると。第三条の一項の「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」、この条項だけなんですね。これは現在自衛隊が使っているということは、この条項しかないとすれば、一切の演習の上に起こったさまざまな損害なりいろいろなトラブルは、あげて米軍が解決をしなければならない責任がある、米軍が使わしているのですから。この点はどうです。これは全国にずいぶんたくさんある共同使用の実例なんです。北富士だけじゃない。演習によってかりに大きな損害が起こったり、あるいは人畜に障害を起こしたような場合には、その責任は米軍にある。
  129. 山上信重

    ○山上政府委員 三条によりまして自衛隊が使用を許されている施設区域内におきまして自衛隊が問題を起こしたというような場合におきましては、これはやはり自衛隊が責任を持ってやらなければならぬ、かように考えております。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷委員 自衛隊がその場合演習その他について米軍の了解をとる必要はありませんか。もしくは地元の了解をとる必要はありませんか。手続として、あるでしょう。
  131. 山上信重

    ○山上政府委員 三条に基づく使用の態様によりまするが、一般的に米側から三条によって不特定の期間使用を承認されている場合には、個々に承認は要らないと思います。ただ、いつからいつまでというような期間等は、米側が使用していない期間を使うわけでございますから、事前に米側と了解をとる必要はございます。これは実際問題としてあるわけでございます。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在の北富士における自衛隊は、どういう契約のもとに演習をやっておりますか。
  133. 鐘江士郎

    鐘江説明員 ちょっと先生の契約というのはどういう……。
  134. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまお答えがあったのですがね。米国に対して期限をつけてやることもあるし、個々の演習を許可されるということもあるというのですが、それが具体的には北富士ではどうなっているか。
  135. 鐘江士郎

    鐘江説明員 自衛隊が富士演習場を使用する際には、かりにその使用者が陸上自衛隊だといたしますと、陸上自衛隊は一応使用の内容、それから日数、そういったことを事前に横須賀の海軍司令部と打ち合わせしまして、そしていつ幾日からいつ幾日までこういう演習をやるということがきまりますと、演習通報なるものを地元山梨県を通じまして通報いたします。さらに内容につきましても、各関係の市町村に告示をしております。
  136. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一般的なことじゃなくて、現在北富士の自衛隊はどういう米軍との話し合いのもとに演習をやっているか、いつからいつまで使うということなのか、そういう点をもっと具体的にお答えを願いたい。
  137. 鐘江士郎

    鐘江説明員 個々の演習につきましては、さらにあそこに富士学校がございまして、富士学校が現地のキャンプ、米軍の施設のある富士キャンプでございますが、そこと具体的に話し合って実際の演習をやる、かようになっております。
  138. 淡谷悠藏

    淡谷委員 わからないのでしょう、結局。具体的にはわからないということになるでしょう。それは原則は立っているけれども、現在の北富士の自衛隊が何月何日から何月何日まで使用して、どういう場合に演習するのかということはまだつかんでいないでしょう。
  139. 鐘江士郎

    鐘江説明員 富士演習場におけるところの何月何日どういう演習を自衛隊がしたかということは詳細に把握しておりますが、現在はその資料、手持ちがございません。
  140. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田長官、これは十月二十日の事件に関係があるから言うのです。十月二十日にいわゆるクリーニング・マヌーバーと称して無理やり婦人の立ちのきを要求したりさまざまのことをしたのは、どこの演習に差しつかえがあってやったことなんですか。米軍はそのときに演習しておったのですか。
  141. 鐘江士郎

    鐘江説明員 実は、この清掃をする以前に、米軍自身の演習といたしまして、たしか十月二十五日から約——ちょっといま詳細なあれを持っておりませんが、いずれにいたしましても通信訓練を、米軍の演習訓練をやるという計画があったことは事実でございます。
  142. 淡谷悠藏

    淡谷委員 計画で、これは実行しましたか。
  143. 鐘江士郎

    鐘江説明員 当日気象状況が悪くなりまして、演習は具体的にはやれませんでした。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷委員 米軍は一体一年間に何日使用しているのです。
  145. 鐘江士郎

    鐘江説明員 最近のデータはございませんが、昭和四十一年の一月から十二月までの間に米軍が北富士演習場を使用したものは、五回でございます。東富士演習場につきましては六十六回、そういう実績がございます。
  146. 淡谷悠藏

    淡谷委員 米軍はほとんど使用してないでしょう。この使用の範囲も、ジャングルを歩くような演習をしてみたり、散歩を演習と称している程度でしょう。でなければ、地元民に多大に迷惑をこうむらせるクリーニング・マヌーバーだ。だから自衛隊も、これを返還さして自衛隊が使おうとしておるのじゃないですか。真相はそうなんでしょう。もう米軍は使っていないから、一日も早くこれを返さして自衛隊が使おうというのが、これはもともとの計画じゃないですか。したがって、十月二十日の段階では、実際自衛隊が困ってクリーニング・マヌーバーをやらしたのじゃないですか。自衛隊独自ではああいう行動はできないでしょう。米軍にはできても、これは日本人同士ではできる行為ではないですな。
  147. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど申しました演習の内容と申しますのは、通信演習、すなわち空から飛行機が来まして、そして演習場内で通信の部隊がおる、そういういわゆる通信訓練といいますか、そういう訓練を計画しておったようでございます。その際、小屋の周辺に赤い旗などが立っておると、操縦者が操縦を誤らないとも限らないということで、事前にそういうものを撤去するのがいいのではないかということで、清掃訓練の範囲内でああいう措置をとったというふうに聞いております。
  148. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私、あなたの答弁を聞いておりますと、むしろおかしいのですよ。清掃訓練という形でああいう行為がぬけぬけと認められておることが、これは第一おかしい。さっきの御答弁だと、価値のないものは焼いた。一体焼いたカヤは数量はどのくらいあります。
  149. 鐘江士郎

    鐘江説明員 焼く前の段階に二十束あったのが四束残っておるということは、十六束焼けたのではないかということであります。
  150. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それはどこの調べですか。一体そのカヤというのはどのくらいの値打ちがあったと思います。米軍の無価値と日本人の無価値とは違うのですよ。軍人の観念と平和な農民の観念は違いますよ。だから、そこに施設庁が入っていって、米軍のさまざまな要求の間に立っているのじゃないですか。それを施設を提供するだけの任務を持っておって、あとは何をやられようと知らぬ顔しているという施設庁の態度は、私はどうしても納得できない。私は、あくまでも日本人側に立って、施設地区における日本人は守ってやる義務が施設庁にあると思う。これは増田長官だな。施設庁長官の答弁ではしようがない。
  151. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどの答弁について、もう一ぺん明確にいたしたいと思いますが、私権としての入り会い権というものは争いの対象になっておるわけでございますけれども、防衛庁ないし防衛施設庁としては入り会いの慣行を認めておる、こういうことがございまして、入り会いの慣行を認めております。そこで、入り会い関係で、演習に差しつかえのないときには立ち入りまして、立木あるいは草、たいてい草でございましょうが、草を刈ることを認めておる、こういうわけでございます。そこで先般の焼かれたつまり演習場というものは米軍の基地でございまして、あくまで米軍の管理権のもとにあるわけでございます。でございますから、入り会いの慣行を認めてやるということは、施設部長ないし総務部長が言ったような一つの恩恵であるといっても、これは差しつかえないと思います。ただ、しかし、淡谷さんが指摘されておるように、われわれは北富士なりあるいは東富士なりを日本に返してもらう、そうして防衛庁の管理のもとに置いて、付近住民の利益を守ってやる、こういう立場で従来とも努力しております。これからも努力いたしまするし、また現地の山梨県知事田辺国男君、それから静岡県知事竹山祐太郎君等が大いに協力してくれております。また地元の町村長等も非常に協力してくれておって、感謝をしておりまするが、解決の線にはだんだんと進んでおるわけでございます。  そこで、この十六束焼いたというのは、大体目方にいたしまして六十貫だそうでございまして、六十貫の草を焼いたということはお金にしてどのくらいになるかということは、いまちょっとわかりかねますが、まず一万円以下ではないかと私は考えております。一万円まではいかないのではないか、その点はしかとわかりませんが、これからだんだんと計算はいたしますけれども、しかし、何しろ米軍の施設として使い得る状態になるようにというわけで焼いたというようなことは認めるわけでございます。
  152. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは金の問題じゃありませんが、あまりに施設庁調査がずさんなので申し上げておきますが、一体出張所からカヤを焼いた現地までは何キロ離れていますか。わからないでしょう。少なくとも六百貫のカヤが焼けて、それからのぼる煙が確認できるような距離じゃないんです。六百貫ですよ、焼かれたカヤは。草じゃない、カヤです。草の値段とカヤの値段は違うんです。六百貫とそんないささかのものと調査の点で食い違うなんということは、これは非常にあり得べからざることなんです。もっと地元の立場に立ってこれはやらなければならぬ。それはまたあとで告げる機会もあるでしょう。  そこで、まず長官、一体米軍がこれを返還して自衛隊が使う場合の事務的な手続はどうなるのです。まだ訴訟は継続中ですよ。
  153. 山上信重

    ○山上政府委員 これが日本に返還になりますれば、国有地につきましては国有財産の手続にまいりまするし、また民公有地につきましては、それぞれの相手方と話し合いをいたしまして、そして自衛隊に使用できるように協定をいたしまして、あるいは契約をいたしまして、そういう措置が済まないと自衛隊のものにはなり得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  154. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはしばしば国会でも論議にもなりましたが、ジョイントユースとか共同使用とかいう名前で米軍が接収した演習地に、そのままずるずるっと自衛隊がすわり込んでしまって、まあ私のことばですけれども、ネズミが掘った穴にヘビが入り込むようにそこにすわり込んでしまうという事態が起こりかねないことになる。この演習地なども、最初は村から買い上げて旧日本の軍隊が使っておった、この面積と、米軍がこれを接収した面積と、現在の残っておる面積と、自衛隊が使おうとしている面積との差を出してごらんなさい。
  155. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは調査の上お答え申し上げます。
  156. 淡谷悠藏

    淡谷委員 調査なんというものじゃないですよ。はっきり資料があるのですよ、地元のほうで出しているのが。いかに不勉強かこれでわかるのです。旧陸軍演習地は、「旧陸軍(第一師団経理部)は、保護組合経営の部分林約一、〇六〇haと」——これからお調べになるのはたいへんでしょうから、私が確実な資料に基づいて申し上げますが、「同組合所有地約六〇〇ha、民有地約二〇〇haを強制買収し」値段なんかも安いものです、その当時ですからね。ところがこれに対して「昭和二十年十月、富士北麓約一八、〇〇〇haは米進駐軍に占領され、」これは施設庁、私よりも知っていなければならないはずなんです、あなたのほうが提供しているのだから。そうして現在では「約一一、〇〇〇haが返還され」「北富士演習場を自衛隊が使用しはじめたのは昭和二十九年七月頃から」です。ですからこの数字をずっと出してくると、米軍がいかに旧陸軍の演習場以上の土地を接収したかが明瞭なんです。現在残っておるのは、旧演習地まで狭まってきているのです。これを、言っていいか悪いか知りませんが、防衛庁の幕僚陣では、旧陸軍の失地回復と言っている。失地回復的な気持ちで、働いてそこから生活の資を得ている農民に対して重圧をかけることは、私はこれはどうかと思う。  あらためてお聞きしますが、同じような事件が沖繩の伊江島でも起こっていますね。この内容をお聞きしたい。これは施設庁知らぬと言いますか。伊江島で起こっています。
  157. 山上信重

    ○山上政府委員 私まだ存じておりません。
  158. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これもどうも知らぬということはないでしょう。非常に似たものですよ。沖繩の本島のすぐそばにある伊江島という小さな島ですが、ここでやっぱり米軍が演習地をつくるために、この土地を使用するのを拒んだ地元の農民に対して、武器をつきつけて取っているのです。逮捕者も出しています。こういうことを見てきますと、さっき楢崎君が言いましたけれども、まさに北富士が沖繩に近くなってきているベトナムから帰ったヒューズというキャプテンが先に立って、問答無用で、すわり込んでいる諸君を撤去しようなんという直接行動は、はたして許されますか。これは米軍が返還するなら、一たん国有財産に返るなら返るでしょう。私有地については、さまざまな争いも起こるでしょう。しかも地元の承諾が要るでしょう。長官違いますか。地元が承諾しようがしまいが、これはやっぱり問答無用でしゃにむに押し入る気持ちは、日本の自衛隊にはないでしょうな。防衛庁長官、どうです。
  159. 山上信重

    ○山上政府委員 返還につきましては、自衛隊が使えるようにし、自衛隊の演習場にするということによって米軍にも使わせてくれということを、米側は意向として持っております。したがいまして、これの返還の段階におきましては、さまざまな問題があると思います。しかしながら、返還されまして、自衛隊が使用するという段階の手続につきましては、先ほど申し上げましたとおり、もちろん地元と話し合いをいたしまして、納得の上で使う、こういうことになっております。
  160. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それが当然ですがね。さっきの地元との協定が成立しなかったということは、明らかにいまのところ自衛隊だけじゃ使用できない形態にありますね。したがって、非常に米軍の演習の多い東富士は返還されますが、北富士は一こう返還の話が出てこない。まさかこれも米軍のかさの下に入って自衛隊が使おうという気持ちを永久に保とうとする意図じゃないでしょうな、防衛庁長官。どうも自衛隊が使うというと——地元にはいま開発計画もあるし、また観光開発もやるし、農耕開発もやると言っている。それじゃなかなかむずかしい折衝もあって使えないから、これはむしろ米軍が占領したままで自衛隊が使っておったほうがいいという考えはないでしょうな。あるべきはずもないと思う。これはどうです。
  161. 山上信重

    ○山上政府委員 北富士の返還の問題につきましては、先生御承知のとおり、東富士よりは非常に難航いたしております。これは自衛隊が演習場として使うということについて、地元側とまだまだ十分な御納得がいかない、こういう問題があるかと思います。これにはいろいろな問題があると思いますが、そういう意味合いで、いろいろ難航をいたしておるというふうに考えております。
  162. 淡谷悠藏

    淡谷委員 結論を急ぎますがね。防衛庁長官、私はくどく申し上げましたが、米軍の北富士における犯罪事実の徹底的な調査をもう一ぺんおやりください。あなた方の考えとはだいぶ違います。また、出張所長の報告ともだいぶ違います。この捜査についてはわれわれも協力を惜しまない。この席上でなければ、現地の録音なども親しくお耳に入れます。これははっきりお約束してもらいたい。  もう一つは、いま訴訟中なんですから、しかも相手が国なんですから、訴訟中におけるさまざまな出過ぎた行動は慎んでもらいたい。少なくともいままでの権利は尊重しなければならない、係争中なんですから。それを警察を使ったり、米軍を使ったり、施設庁が行ったりして、地元民のこの当然の権利を侵害するようなまねはやめてもらいたい。長官、はっきり聞いてください。あとで御答弁いただくのですから。こういう係争中にある土地に対する、権力をかさにきた干渉がましい行為は一切やめてもらいたい。特に、たとえ米軍が管轄する土地であっても、犯罪行為が全く公然と許されるような誤解——じゃない、迷信だけは一掃するように努力してもらいたい。そのために施設庁が中に入ってさまざまな世話をするでしょう。何か必要があれば、施設庁を通してやるのは当然の話です。百歩譲って考えたとしても、何らか法的な決定がある前に、実力をもってごみ掃除をするという観念はこれはあやまちですよ。直接行動によって、しかも武装した者が全く武器を持っていないような婦人たちに襲いかかってこれを連れ去ったり、あるいはカヤに火をつけて焼いたりする。場合によっては強姦もしかねないような行動も出ている。そういう直接行動は許されるものじゃない。まずこの三点について、増田長官のはっきりした御答弁を願いたい。
  163. 増田甲子七

    増田国務大臣 最初の、北富士につきましても東富士につきましても、われわれは米軍基地は日本に返してもらう。ただし、返してもらった暁におきましては米軍にも若干使用させる、こういうことで話し合いをしておりますけれども、日本に返った暁におきましては、山梨県の皆さまは、北富士を自衛隊に使わせるとはおっしゃっておりません。また係争中でもございます。しかしながら、ぜひとも山梨県民の皆さまの御協力、御同意を得まして、自衛隊で使うようにさしていただきたい。そして自衛隊が使うときのほうが付近民衆のしあわせ、利益等にも合致する、われわれは尊重してまいりたい、こう考えておる次第でございます。  それからその次に、米軍の基地のほうが都合がいいと自衛隊は考えているんじゃないかということはございません。でございますから、田辺山梨県知事とも、また地元の町村長とも、静岡県の竹山知事さんとも、鋭意交渉をいたしております。非常に前向きの姿勢でやってくれておるわけでございまして、米軍基地のほうが各種の私権を拘束する上において都合がいいなんていうことは考えておりません。  それから第三に、米軍基地の中における犯罪というようなことといえども、日本の法権が、立法、司法、行政の三権が及んでおるわけでございますから。ただ、及ばないのは、職務上行なった米軍軍人軍属の犯罪が米軍の軍法会議にかかるということだけでございます。職務上でない犯罪行為、軍人あるいは家族、軍属あるいは家族の犯罪行為等は、すべてわが国の法権のもとにございます。すなわちわが国でございます。北富士も東富士もわが国の中でございます。本土でございます。  それから、何かもう一つお聞きになったようでございますが、もう一ぺん御明示を願えればすぐお答えを申し上げます。  以上三点についてお答えをいたしました。
  164. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の質問はその三点ですがね。ただ、お答えの中で二点ほど疑念がありますので、これを確かめておきたいと思います。  米軍の職務上行なった犯罪と職務中に行なった犯罪とは、これは違いましょうな。職務執行上どうしてもやったといったような犯罪は、これは向こうがやるでしょうけれども、職務中に道くさ食ったような、たとえば今度のような犯罪は職務上の犯罪ではないでしょうね。この点一点確かめておきたい。これに対して、われわれ十分な協力は惜しみませんから、徹底的に調査をし直すということをお考え願いたい。  それからもう一つ気にかかりますのは、米軍がこれを返還したあと、土地は一たん国に返すでしょう。そして、やはり所管を防衛庁に変えるときは、あらためてこれはやらなければだめでしょう。そのまま自衛隊は、米軍に使うことが許可されたんだからといって、きまるまで居すわるつもりですか、北富士に。もしも米軍が返還した暁に、まだ山梨県の地元が、自衛隊の使用を賛成しないというような場合は——賛成してもしなくても、やはり従来の慣行によって居直りますか。これだけは確かめておきたい。私はやはりこの際はきれいに引いて、地元とあらためて折衝し直して使うのが筋だと思う。それでなければ、私の言ったネズミの穴にヘビが入り込んだようだという形容詞は、私は撤回したくない。これは原則からいえば、土地はそれぞれの所管に移して、地元の十分な納得を得た上であらためて使うなり使わないなり決定するのが正しいのではないか、この二点を確かめておきます。
  165. 山上信重

    ○山上政府委員 あとの問題について多少誤解があると思いますから、私から御説明申し上げます。  ただいまの返還と自衛隊の使用の問題でありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、返還になりますれば、もちろんその後においてそういう手続をしなければならぬと思いますが、ただいま申し上げましたように、米側も、これが自衛隊の使用になって、そして米軍もまた共同使用できるということを希望いたしまして、それを返還の前提という考えをお持ちになっております。しがたって、これは返還されることと自衛隊の使用ということとが同一時期にできるということでないと、米側はなかなか返還しない、こういうことになっておりますので、手続の問題と実際の問題と多少異なる、こう御承知願います。
  166. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁長官、だからぼくはやはり防衛庁長官にお答え願いたい。いまの話だとまるで沖繩方式でしょう。日本が隠したとは申しませんが、あそこに軍事基地をちゃんと持って東洋の平和が守れれば沖繩は返してやると——一体、自衛隊をあそこに入れれば沖繩は返してやるという話がありますか。使ってなかったら返すのが常識でしょう。米軍が使わない場合は地元に返還するのが常識ですよ。それを条件をつけて自衛隊を入れるならば返してやるなんて、一体これが許せますか。その点はどうしても長官にはっきりしてもらわなければいかぬ。返すにあたって、日本の内地のことに条件をつけるいわれはないです。
  167. 増田甲子七

    増田国務大臣 返る場合には、お説のように国有財産として返るのでしょうけれども、良識を豊富にお持ちの淡谷さん御存じのとおり、北富士は現在自衛隊が一番使っておるのですよ、演習場として。また東富士も使っております。でありますから、一ぺん白紙にしてそれから間を置いてということになると、世の中のことはどうもその辺がむずかしくなるのですよ。でございますから、むずかしくならないようにやはり良識でうまくやっていただきたい。国権の最高機関の構成員として、一ぺん白紙にしてそれから出直すのだということでは、——自衛隊はヘビではありません、これはハトであります。日本の平和と安全を守るハトがそういう穴に入ることは非常にけっこうなことだということで御協力願いたいと思います。
  168. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ハトは別に穴へ入りませんよ。ヘビだから入るのですよ。それに、どうもおかしいですよ、あなた。この地位協定の第三条を利用して、むしろ悪用して、米軍が使っていないところに米軍の威をかさに着て入っているのがいまの自衛隊でしょう、はっきり言って。その既成事実をつくっておいて、今度は従来使っていたから米軍が返還しても返すわけにいかぬ。これは全く居すわり強盗じゃないですか。武器を持った居すわり強盗です。だから地元のトラブルが起こるのです。なぜもっと虚心たんかいに、米軍が返還した場合はわれわれは一たん引きますと、堂々たる態度がとれないのですか。あくまでも米軍に便乗して居すわろうという魂胆です。これがもし増田長官の姿勢であり、佐藤内閣の姿勢であるならば、われわれはこの追及はやめるわけにいかぬ。どうでしょう。ハトならハトらしくしなさい。大砲並びに鉄砲を持ってどうしてもこれはわれわれが使っているのだから最後まで使うのだ、これならおよしなさい。これでは自衛隊じゃありません。いかがです。
  169. 増田甲子七

    増田国務大臣 その辺はむしろ地元の皆さまのほうがよくおわかりなので、やはりどこかで演習しないと、日本が侵略されないように実力部隊を持っていることは必要なんですから、それでこそ平和が確保できるのですから……。自衛隊はつくるけれども演習場は一つもやらぬぞということでは間に合いやしませんから、やはり間に合うように、一億国民の生命、身体、財産、平和、人格、自由、安全等を守り得る実力部隊がどこかで演習しなくちゃいけませんから、そこを私は淡谷さんの良識に訴えると申すわけでございます。
  170. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こういうことはあらためてやりましょうね。これから防衛問題をやったのではあとの人の迷惑だから。  しかし、法律的に行政手続的にあたりまえの道を歩きなさい。返還した米軍の演習地に自衛隊も要るから、法律上はどうでも、行政手続上はどうでも、これは国防の必要上しゃにむに要るのだということになりますと、昔の軍部ですよ。だんだん似てきたじゃないですか。やはりこれは、増田長官たる者は日本の法律を守らなければならない、行政手続を守らなければならない。それからいって、簡単に居すわって使うわけにいかぬでしょう、その点にしぼったら。これはあなたの防衛の信念上しゃにむに置くのだという信念はわかりますよ。信念はわかりますが、必ずしもそうじゃない。地元と十分話し合いをして地元の納得を得てというのならわかる。防衛上必要なんだから地元が何と言おうとあすこをねらって使うのだからこれは放さない、これはハトだと言っても、私はハトだかワシだかわからなくなってしまう。それはどうなんです。法律上もそれでいいのじゃないですか。
  171. 増田甲子七

    増田国務大臣 しゃにむにとかいうことはあなたのほうでおっしゃるので、私のほうは申しておりません。あくまで地元の皆さまの御理解と御協力を得まして、そうして現に使っておる頻度というものは、米軍よりは日本の自衛隊のほうがはるかに多いのですから、また、そういうようなふうに使われることに対して米軍に何しろ返してもらわなくちゃなりませんから……。ただこれが開拓地になってしまうというようなことになると、米軍のほうがなかなか返さぬかもしれないのです。それで、ある程度自衛隊も訓練の場所が必要である、こういうようなことで、向こうも納得して——山梨県の皆さまあるいは静岡県の皆さまとの御了解も大切でございますが、米軍が返すことがやっぱり大切な先決条件でございます。でございますから、その間の調和がとれて、それから法律的には、一ぺんは国有財産になって、そして同じ日か翌日かに自衛隊の所管というようなことになるでしょう、おっしゃるとおりでございまするが、あくまでしゃにむになんということはございません。地元の皆さまの好意的な積極的な御了解、御理解、御協力を得てそういうふうにいたしたい、こういうことでございます。
  172. 淡谷悠藏

    淡谷委員 増田長官、少しあなたの論理は自繩自縛じゃないですか。地元の御了解を得れば、初めから自衛隊でもいいはずでしょう。それが米軍に接収されたところに、地元の御了解がないままにいま入っているのでしょう、協定が全然まとまっていないのですから。これはやっぱり米軍の力を借りての行動ですよ。しかもその米軍の力を借りての行動を是認して、しゃにむにか穏やかか知りませんけれども、このまま居すわろうということは、私はどうしても許せない。ですから、あなたの答えがはっきり地元の御了解を得てという前提に立つならば、地元が了解しない場合は、これは撤退するでしょう。これは撤退せざるを得ないじゃないですか。した場合は、それはあなたのほうにとっては非常にいいでしょう。しなかった場合には、これは返還と同時に別な目的に使われてもしかたがないのじゃないですか。それともしゃにむにやりますか。これはさっきの楢崎さんの質問と最後は同じになりますが、地元が承認してもしなくても、賛成してもしなくても、やり抜こうというところに、しゃにむにという私の形容詞がついてくるのですが、これはどうですか。地元の了解を得て、どうしてもこれをやるという態度ですね。それは必ず将来起こりますから、くどいようですが、この一点を念を押しておきます。
  173. 増田甲子七

    増田国務大臣 あくまで、片や施設庁長官におきましては米軍と交渉し、片や地元と交渉しているわけでございまして、両者の完全な御了解を得まして、そうして好意ある御協力を得ましてやるわけでございます。しゃにむにではないのでございます。
  174. 淡谷悠藏

    淡谷委員 基地における事件についてはまだ長官からはっきりした御決意を聞きませんが、この事態の真相を徹底的に究明する点においては、御異存ないでしょうな。
  175. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどから私ども申しておるのは、管理権に基づく行為であろう、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、つまり犯罪ではないと私どもは考えておりますが、しかし、事態をもう一ぺん調べろという御指摘に対しましては、私はもう一ぺん調べてみたいと思います。
  176. 淡谷悠藏

    淡谷委員 初めから犯罪じゃないときめて調べてもしようがない、犯罪だか犯罪じゃないかわからないから調べるのでしょう。初めから犯罪じゃないという結論を出して調べましょうという人はいませんよ。あなたには実際わからないのでしょう。きょう私に聞いて初めてわかったのでしょう。初めからもっと白紙に返ってこれは調べてみるという答弁をしてください。犯罪じゃないが調べるというのは承服できません。
  177. 増田甲子七

    増田国務大臣 どうもことばのいろいろの使い方の争いになっているようでございますが、私どもいままで調べた範囲では、管理権に基づく行為というふうに考えておりますが、しかし慎重にお調べいたします。調べます。
  178. 淡谷悠藏

    淡谷委員 わかりました。  それでは終わります。
  179. 三池信

  180. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私も淡谷委員と一緒に北富士の十月二十日の事件調査のために、現地に出向いたわけです。若干本件に関する法的な関係を明確にしておきたいと思います。  私はいま大臣あるいは施設庁長官の話を聞いておりまして、あなた方は非常に重大な態度表明をされたと思うのです。日本の自衛隊は米軍との関係はどうなっておるんですか。米軍の管轄下にあるんですか。指揮系統のもとにあるんですか。それとも、対等の立場で協力関係にあるんですか。時によっては米軍の指揮下に入るんですか。管轄下に入るんですか。
  181. 増田甲子七

    増田国務大臣 従来たびたびお答えいたしておりまするが、それぞれの指揮系統のもとに協力し合う、こういうことでございます。
  182. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、日本の自衛隊に米軍基地を使用させる問題は、法的な関係は制限がついておる、私はいままでこのように了解しておりました。なぜならば、地位協定の三条によって米軍の基地を日本の航空会社に使わせるという問題も、三条の管理権の範囲内で使わせるということはおかしいから、あらためて二条四項(a)によって昨年十一月から板付だって使うようになったんです。さらに、当委員会で取り上げましたとおり、新田原のF104が板付に移駐する問題も、期間は三カ月であるが、三条ではぐあいが悪いから二条四項(a)によって合同委員会にかけて、共同使用の形でその使用の根拠をあなた方は明らかにされた。ところが、北富士に限ってどうして三条をあなた方は固執するのですか。米軍の管理権の範囲内で自衛隊に使わせるということは法理論としてはおかしいです。日本の自衛隊は米軍の指揮下にない。管轄下にもない。それが米軍の管理権の範囲内で自衛隊が使うということでは、自衛隊は独自の演習はできませんよ。米軍の目的に沿ってやられるんですよ。(伊能委員「それは違うよ。」と呼ぶ)違うかどうか、私はそれをいまからはっきりしていきたいんです。これはどうですか。それじゃ、なぜ新田原のF104を地位協定二条の四項にしたんですか。それは伊能さんわかりますか。あなたはそんなことを言うが、二条と三条とどうして区別するんですか。それじゃ、どうして区別したか言ってください。
  183. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先般新田原のF104のジェット機六機を板付に移す際になぜ二条四項(a)の措置をとったかという御質問についてまずお答えいたします。  この御質問につきましては、先般の内閣委員会でも御質問がありまして、それに対して私はこういうふうに答えたと記憶しております。すなわち、三条によってF104を移駐しますと、地元の皆さまは米軍の三条の管理権によってずるずるべったりに使用が続けられるんではないかという不安をお持ちになるだろう、したがいまして、この際、新田原基地の滑走路の補修の期間が約三カ月で完了するということならば、期間を約九十日ということで区切って、そしてこれを板付飛行場に移駐するということになれば、地元の皆さまも、九十日たてば、九十日以内に再びF104は新田原の基地に去るであろうということで御了解いただける、かような意味合いにおきまして、板付の移駐につきましては二条四項(a)の措置をとったわけでございます。  北富士演習場の使用につきまして、しからばなぜ二条四項(a)の措置をとらないかという御質問でございますが、これは現在米軍の使用頻度がだんだん落ちておりまして逆に自衛隊の使用の頻度が高くなっておるわけでございますが、そういう状況にかんがみまして、防衛庁といたしましては、この演習場を自衛隊の演習場に切りかえまして、米軍には必要に応じ随時使用させるという方式、すなわち、私どもは使用転換ということを言っておりますが、そういう二条四項(b)の形で施設及び区域を切りかえたい、かようなことで、東富士演習場につきましても同じような考え方で地元の皆さまとも詰めておりますし、米軍とも詰めておりますが、幸いにいたしまして、東富士演習場につきましては、地元の皆さまの御了解も大体得てきているという段階でございます。北富士のほうはどういうことかと申しますと、その使用転換につきまして山梨県を通じましてこの問題を地元の皆さまにお願いしておるわけでございまして、その点も近く実現を見るだろうということで、あえて二条四項(a)の措置をとらずに現在三条の管理権に基づいて使用しているという状況でございます。  なお、地元の皆さま方との話し合いということは、土地の使用とか、いろいろ基本の問題もございますが、すでに御承知だと思いますけれども、北富士演習場の使用転換、地元の御了解というものは、いままで私どもが地元の皆さまと話し合ってきたところでは、林野雑産物の補償の問題をまず片づけるということが基本になるのではないかということで、先般来山梨県を通じまして再三地元の関係者、特に権利者協議会ともよく話し合いを続けている次第でございます。
  184. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が質問したのに大臣、お答えいただきたいのです。米軍の管理権の範囲で自衛隊が使わせてもらうというのは、その場合の米軍と自衛隊の関係はどういう関係にあるのですか。その場合は、自衛隊は米軍の管理下に属するということですか。
  185. 増田甲子七

    増田国務大臣 管理権のもとにおいて使わせてもらっておるということにおいてはそういうことでございますが、行動等は一切自衛隊の独自の行動でございます。
  186. 楢崎弥之助

    楢崎委員 三条はこれこれこれのもとにすべての措置をとることができると書いてありますね。しかし、それは何でもかんでもいいということじゃございませんね。その内容は議事録に明確にされておりますね。自衛隊の使用は合意議事録の何項に該当するんですか。
  187. 鐘江士郎

    鐘江説明員 そのことにつきまして特に合意議事録はございません。
  188. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どの合意議事録がないんですか。三条の問題についてあるんじゃないですか。何を言ってるんですか。これは安保条約の審議のときに、この問題は非常にに重要だから合憲的な解釈ができておるんですよ。すべての措置と書いてあるが、何でもかんでも米軍はできるんじゃないんですよ。いまから条文を見て間に合いますか。だから、あなた方はいけないというのです。大臣もおっしゃっておりましたけれども、条約さえあれば何でも全般的には網をかぶせられるのだという、そうはいかないんですよ。条約は国と国との合意事項であって、その条約に基づいて国民の主権を縛るときには国内法によらなければいけないのです。だから、少なくとも国民の、あるいは住民の生命、財産に関係のあることについては法的な根拠というのは明確にしなければいけませんよ。あなた方は自衛隊に使わせるのを三条、三条と言う。三条はちゃんとこの合意議事録ができておって、米軍措置することができる内容をきめてありますよ。それ以外の問題は日本の国内法がちゃんと通る、こうなっておるのです。だから、当然あなた方は、合意議事録の何項に基づいてこれが行なわれるということは検討されておると思ったら、最初はないと答弁があった。いまからどこへ該当させるか検討するのですか。
  189. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほど私、答弁いたしましたのは、北富士演習場についての合意議事録があるのかという御質問ととり違えまして、ないと申し上げたわけでありますが、地位協定三条一項の件につきましては、合意議事録の第一号、「施設及び区域を構築し、運営し、維持し、利用し、占有し、警備し、及び管理する」これによることになっております。
  190. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうだろうと思うのです。当然これ以外にないじゃないですか。  そこで、大臣もそのような意見を出されましたが、私は念のためにこの際明確にしておきます。  この三条の問題は、当時の議事録によるとこうなっておりますよ、参議院で井上清一という方の質問に対して政府が答弁をされておるのです。たいへんりっぱな質問をされております。この中にこう書かれております。大臣のおっしゃるように、この新安保は、つまり協定に直すならば行政協定と地位協定の差は非常に出てきているのだ。米軍の施設区域は何も治外法権じゃないのだ。大臣がおっしゃったような点では、日本の国内法は厳然としてあるのだという観点からの質問です。  そこで、いま問題にしました三条の、米軍がすべての措置をとるとこれにはなっていますよ、しかし、何もかにもできないのだ。では一体米軍措置をとります場合、わが国の法令との関係はどうかという質問をされております。これに対して当時の外務省のアメリカ局長ですか、北米局長ですか、あるいは林法政局長官が答弁されております。いいですか、「いわゆる軍隊に対しては、これは当然にこの軍隊も日本にある間において、日本の法令を尊重すべきものであるということは、これは当然でございます。」そして、「他国にある以上は、その国の法令を尊重する義務は当然持つ、」何もかにもできないのです。これが政府の有権解釈なんです。だから管理権があれば何でもできるとあなたさっき淡谷委員の質問に対して答えられましたが、何もかにもできないのです。  そこで、もう少し法的な関係をお尋ねしておきますが、それでは、自衛隊のいまの使用の根拠は三条と中されております。しかし、自衛隊の使用の頻度が高いから二条四項(b)にしたいとおっしゃる。それは順序が逆じゃありませんか。つまり米軍の使用が少なくなり、なくなったときには、第一番に措置すべきは何か、それは二条四項の(b)じゃないのですよ。それはまず二条の三項をあなた方は考えなければいけないのです。三項はどう書いてあるかというと、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」これですよ。これが第一番にこなければいけないのです。条文からいっても、これは二条三項になっておるのですよ。その次四項にあなたが言った(a)と(b)が出てくる。だから三項を当然私は問題にすべきであろうと思います。そしてその後に、では自衛隊がどうするかという問題は、大臣がおっしゃったように、これから地元の人と相談をし、とこう順序はなるのです。それは自衛隊が使っておるから直接(b)項を考えるというのは、私は日本の政府としては言語道断だと思いますよ。順序としてはそうじゃないでしょうか。まず二条三項がくるのじゃないですか。
  191. 山上信重

    ○山上政府委員 合衆国軍隊が完全に要らないという場合にはおっしゃるようにそうなりますが、いまの場合には合衆国軍隊はこれは完全に要らないと言っておるのではないのであります。われわれのほうで、米軍がそれを使用する必要があるということを常に申しておるのでありますが、それに対してわれわれのほうは返還を要求しておる、返還してほしい、そういう前提でものが考えられておりますので、この場合二条四項によって一時提供するということでひとつ返還をさしてもらいたいということがいまの交渉として成り立っておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  192. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、私はこれは議論しません。とにかくあなた方の態度は米軍の立場に立つか、住民の立場に立つか、私はこの辺の問題だと思いますよ。私はそういう問題の進め方はたいへん残念に思います。  それから次に移りますが、自衛隊の使用の根拠は三条ですが、十月二十日の事件の米軍のとった措置はどういう法的な根拠があったのでしょうか。
  193. 鐘江士郎

    鐘江説明員 十月二十日の米軍のとりました措置につきましても、同様に地位協定三条の管理権に基づく行為、だと思います。
  194. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、合意議事録に直せば、合意議事録の第一項ということになりますね。
  195. 鐘江士郎

    鐘江説明員 そのとおりでございます。
  196. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは合意議事録の三条の一項からいうと、米軍の行為はこの中のどれに当たりますか。この合意議事録以外のことは米軍はできないのですからね。だから、この合意議事録のどこに当てはまりますか。一項のどの部分に当たるのですか。
  197. 鐘江士郎

    鐘江説明員 「施設及び区域を構築し、運営し、維持し、利用し、占有し、警備し、及び管理する」この項であります。
  198. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは一項の一番最後の「管理」という項に該当するのですか。
  199. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この中では「運営し、維持し、」「及び管理」という意味合いが強いと思います。
  200. 楢崎弥之助

    楢崎委員 運営、維持、管理の項ですね、そういうことですね。そうすると、大臣にお伺いをしますが、先ほど淡谷委員が指摘をされました米軍の行為は明確になっております。あなた方が調査をされないでも、明確に私どもは把握をいたしております。淡谷委員が指摘されたことは事実であります。もし、あのような米軍の直接的な強制措置は、このいまおっしゃった一項でできると大臣は解釈されますか。
  201. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもの受けた報告の範囲においては管理権の範囲内であると思っておりますが、しかし引き続いて調査することを淡谷さんにもお約束した次第でございます。
  202. 楢崎弥之助

    楢崎委員 調査される、けっこうです。しかし私は、日本の国内法においては、あの種の強制執行をするときには強制執行する機関がありますね。大臣、あなたはよく政治家増田とかということを言われます。それでけっこうです。米軍がもし排除するという目的があった際に直接行動をすることが、この合意議事録の一項でやったがいいのか、できると考えるのか、あるいは日本政府にその代行を頼むほうがいいのか、あなた方は法的に考えてどう思われますか。大臣、一番最終的な判断ですから……。
  203. 増田甲子七

    増田国務大臣 施設並びに区域の範囲内においては、管理、維持その他のためにあらゆる措置をなし得るという、そのあらゆる措置の中に私は入ると——日本に頼んできてそして掃除をさせたりいろいろするということ、日本の雇用員を雇うということはあり得るでしょうけれども、日本政府がそこへ行って何々をしなければならぬということはないと私は考えております。
  204. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは大臣、日本の場合だと刑法に触れるような行為でも、米軍はこの合意議事録の一項によってやれる、こう御解釈ですか。あなたは、あらゆる措置ができるといま強調されましたけれども、どうですか。
  205. 増田甲子七

    増田国務大臣 刑法というものは大体普遍的なものでございまして、世界各国、大体刑法というものは普遍の原理でございます。その刑法に触れるような行為はできないと思います。しかし職務上、刑法に触れるような行為をした場合にはアメリカの軍法会議でこれを処理する。職務外において刑法に触れるような行為をアメリカ軍がした場合には、日本の法権のもとにおいて、日本の検察庁、裁判所においてこれを処理する、こういうことでございます。
  206. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私もそうであろうと思います。そこで問題は非常にはっきりしてきたと思うのです。あのヒューズという人がとった措置が、まず職務上の問題であったか職務外の問題であったかということが一つ、やった内容が日本の刑法に触れる行為であったかどうかが一つ、そういうことになりますね。そこで、いまの大臣の御答弁によると、日本の刑法に触れるような行為であった場合には、ヒューズという人は米国の裁判に服することになりますね、軍法会議に服することになります。そこで問題は、調査をされるといいますが、その措置が刑法的な行為であったかどうかということの判断はどこがされるのですか。
  207. 増田甲子七

    増田国務大臣 まずアメリカ軍の施設並びに区域の中のことでございますから、一応アメリカ軍の軍法会議、これに付設されておる法務官等がきめるべき問題だと思います。それから日本側だって関心を払わざるを得ないわけでございまして、このカヤというものが財物であるかどうか、財物である場合にはおそらく器物毀棄、器物損壊というような犯罪に該当するかどうかというようなことは、日本でもある程度調査をして意見を持っていいと思っております。そのために再調査を私が淡谷さんに約束したわけでございます。
  208. 楢崎弥之助

    楢崎委員 起こった問題はまことに具体的であり、日本の国民としては非常に心外な事件であります。施設庁長官、首ひねらぬでいいじゃないですか。地元の人もたくさん来ておるのです。被害者も来ておられます。許されれば、ここでどういう被害を受けたか披瀝していただいてもいいんですよ。重大ですよ、問題は。そこで、再調査をされるところまでは約束されましたが、私は、それは単なる言いのがれじゃ困ると思うのです。具体的に、防衛庁として、防衛施設庁として正式に調査団を構成される。調査の結果が出たら、それから先はどういう手続を踏まれますか。当委員会淡谷質問に対するお答えですから、当委員会調査の結果を明確にされることは当然でありましょうが、それだけでは何にもなりませんからね。どうされますか、具体的に。
  209. 増田甲子七

    増田国務大臣 調査した結果は当委員会において申し上げます。
  210. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当委員会に明らかにされることは当然です。しかし、われわれは裁判権を持たないのですからね。それから先はどうされますか。たとえば、日米合同委員会に正式に持ち出して、そして米軍側に、これこれ、しかじかのことがあったということを明確にして、適当な、住民が納得し得るような措置をとってもらうように努力するならすると、これが具体的な措置ですよ。いいですか。私が問題を重要視するのは、日本の基地内であったら米軍はどういう犯罪でも犯していいのだということだったら、まさに日本の中のべトナムじゃないですか。日本の中の沖繩ではないですか、もしこういうことが見のがされるならば。そうなりますよ。だから、この問題は、私はきちんとけじめをつけていただきたいと思うのです。そういう観点からです、私が質問しているのは。
  211. 増田甲子七

    増田国務大臣 この問題は、再調査をするということはあくまで申し上げておるわけであります。  それから、楢崎さんが法律のことをわりに詳しくありながら、従来の例のことも眼中に入れられないのは困ると思います。何とかというサージャントがたまをためしに撃ってみたら、たま拾いに来た女の人が死んだという事件があります。これは日本の裁判所が裁判いたしておるわけであります。日本の法権のもとにあるのでございまして、米軍基地は沖繩ではないのであります。
  212. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうあってほしいと思います。だから、こんな質問をしているのです。だから、明確にしてくださいと言っているのですよ。沖繩ではないということを強調されるのはいいが、どうされるか、お答えください。調査した結果をどうするか。それでは、当委員会がこうしてくれといったら、あなたはそのとおりされますか。その調査結果を、私どもは聞きますよ。聞くが、問題は、それからどうされるかということが重要なんです。その調査結果に基づいて……。(「結果が出なければしようがない」と呼ぶ者あり)委員長、重ねて言いますが、わからぬということはないのですよ。はっきりさせますよ、必要なら。ただ、再調査を正式にするとおっしゃっておられるから、それではそれを待ちましょうと言っているだけの話で、内容は厳然としているのですよ。はっきりしているのですよ。もしそれが、あなたはっきりせぬのなら、首をひねる人は、あしたでも当内閣委員会から調査団として正式に行ったらいい。だから、問題ははっきりしているのですよ。しかし、あえて長官が再調査をすると言っているから、その結果は待ちますが、その先はどうされますかと聞いているのです。では、日本の刑法に触れるような案件が明確になったら、どうされますか。
  213. 増田甲子七

    増田国務大臣 調査結果をお待ち願いたいと思います。
  214. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、それは待ちますよ。待つということは言っておるのです。それで具体的に刑法に触れるような事案が明確になったらどうされます。それを聞いておるのです。もうそれはほとんど確定的です。われわれは確定だと思うけれども……。
  215. 増田甲子七

    増田国務大臣 仮定のことはお答えしにくいですが、ただワクとしては先ほど申したワクが考えられる。すなわち、日本人の所有にかかる財物であるかどうかということが、まず疑問だと思います。そこで、日本人の所有に属する財物であるという場合には器物毀棄、器物損壊というようなことになるでしょう。しかし、その場合でもまたワクとしては二つに分かれるのでございまして、職務上の器物毀棄をしたという場合には、アメリカの軍法会議にかかるわけでございます。職務外であった場合の、しかも日本人の財物であるというような場合には、日本の法権のもとにおいてこれを処理する、検察庁及び裁判所において処理する、こういうことです。
  216. 楢崎弥之助

    楢崎委員 念のために申し上げておきますが、現地は警察も、施設庁の出張所である施設部も、米軍にそのような権限はないという解釈を持っておると私は思います。その解釈があるから、米軍が取ってきた品物を日本の警察、施設部に預けようとしたけれども、受け取らなかったのです、われわれの調査によると。盗品だから……。いいですか。念のために申し上げておきます。  それでは、その再調査の結果を待って当委員会でもう一ぺんこの問題は明確にしたいと思います。
  217. 受田新吉

    受田委員 伊藤議員の発言の前に、先ほどの淡谷、楢崎両議員の質問に関連して、私、いささか疑義を感じている点を、一、二点お尋ねをしておきたい点があります。  日米安保条約の第六条に基づく合衆国軍隊の地位協定の第二条の適用でなくして、第三条の適用をもって北富士演習場事件の扱いをしておられるということも伺ってきておるわけでございまするが、私しばしば当委員会で発言をしているとおり、この地位協定の第二条の第二項には、いま楢崎議員も指摘されたが、「日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極」すなわち、「日本国内の施設及び区域の使用を許される。」というそのことの再検討をしなければならない、こういうことが書いてあるし、次に「前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに」云々とある。合意事項が書いてあるのでございますが、いままでこの第二条第二項の前記の取りきめの再検討をしたことがあるのかどうか。日本国政府申し出があればできるようになっておるのだが、これをちょっと伺っておきたい。——担当者がおられないのですか。施設庁長官が帰られたから答弁ができないという趣ですが、防衛庁長官、大体心得ておられると思うのです。非常に精通しておられる、歴代長官のぴか一でいらっしゃるだけに、ポイントはおわかりいただいておると思いますが……。
  218. 増田甲子七

    増田国務大臣 受田さんにお答えいたします。  この件につきましては、この第二条の第二項に基づきまして合同委員会においてしばしば再検討いたしております。そうして概論的に申し上げますと、おおむね米軍側から返される部分のほうが多いのでございます。新たに提供するという部分もございまするが、返される部分が相当ございまして、しょっちゅうこの取りきめを再検討いたしておるという機関がすなわち合同委員会でございます。
  219. 受田新吉

    受田委員 その返されておる事例、私ちょっとそれを伺っておきたいのですけれども……。
  220. 増田甲子七

    増田国務大臣 事例として、ついこのごろの火曜日の閣議において決定いたしましたのは、町田にあります平久保通信所でございまして、その面積は大体におきまして一千坪くらい返してもらいました。
  221. 受田新吉

    受田委員 北富士演習場の施設及び区域が返還対象になる性格のものであることを、先ほどの議論からもよく理解をさしてもらったと思うのでございまするが、これが実態調査の結果、われわれが大所高所から見て、国民の要請として当然これは米軍から日本国に返してもらうべきものであり、あるいはこれを自衛隊が使うべきものであるかどうかというような問題をひっくるめて、われわれの当委員会は、この事件の実態を把握するために、各党の意見調整をして早急に北富士演習場にお互いの調査団を派遣すべきではないか、かような見解を持つに至ったのであります。これは特に年末で忽忙の間ではありますけれども、当委員会で比較的十九日以後は閑散期を迎えるようでありまするから、当委員会調査団を現地に派遣するという提案委員長にさしていただきたいと思います。  それから、先ほど防衛庁長官からしばしば再調査の結果を待ってほしいという御答弁があったけれども、今回の事件の再調査はいつをめどに当委員会に報告をしていただき、この問題の解決に前進をはからすかということで、無期限に再調査結果を待つわけにはいきません。めどをどこに置いておられるか、このことをあわせ、一つは委員長においてのお計らい、一つは防衛庁長官の御答弁を要求して、関連でありまするから、私、これで質問を終わります。
  222. 増田甲子七

    増田国務大臣 大体におきまして三週間ぐらいを限度といたしまして調査いたし、報告申し上げます。
  223. 三池信

    三池委員長 ただいまの受田委員の御提案につきましては、後刻理事と協議いたしまして決定いたしたいと思いますから、御了承をお願いします。  伊藤惣助丸君。
  224. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今国会は別名沖繩国会ともいわれ、沖繩の返還をめぐりまして、核つきか核抜きかという基地の問題、さらには沖繩、小笠原を含む防衛体制について、るる総理から施政方針並びに日米共同体制の中において取り上げられております。私は、総理のそうした所信表明や代表質問での答弁について、国民が必ずしも納得できる答弁ではなかったというふうに考えております。私は、特に総理の答弁した、また総理の主張するところの自主防衛体制について、防衛担当大臣である長官に質問申し上げたいと思います。  初めに、総理は沖繩返還問題について、わが国の防衛に対する問題については自主防衛の気概が必要である、このように再三主張しております。長官はこの総理のことばを具体的にどう解釈しているか、見解を承りたいと思います。
  225. 増田甲子七

    増田国務大臣 総理の所信表明がございましたが、私は従前から、日本は祖国を一億国民が自分の手で守るという気概を持っていただきたい、そのためには防衛意識の徹底には相当の努力をいたしておるつもりでございます。そういう意味合いにおきまして総理は両院の本会議において所信表明をなされたものと思います。
  226. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、長官は、総理の言う国民が自主防衛の気概を持つことが必要であるという考えについては、同じでございますね。お伺いします。
  227. 増田甲子七

    増田国務大臣 同じでございます。
  228. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 自主防衛ということについてでございますが、その内容でありますけれども、それは政府の軍事力増強というものか、または精神力的なものか、国民がまたそれを両面で認めるというふうになるという意味なのか、お伺いします。
  229. 増田甲子七

    増田国務大臣 わが国の防衛のしかたは、伊藤さんの御承知のとおり、日米安保体制のもとにおいて、しかしながら日本もみずからの手で通常兵器による局地的侵略くらいは阻止するあるいは排除する、こういう力を持とうとするのが三次防でございます。その三次防につきまして、国民の皆さまが、警察のことや消防のことや防衛のことは憲法に直接書いてはございませんが、全国民の義務である、その義務を志願者制度によって果たしておる、こういうようなことを御理解願いたい、こういうことを強調されたものと思います。
  230. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ただいま長官から答弁がありましたが、どうも総理の強調する自主防衛の気概の中には、率直にいって核を持ち込むぐらいの、また核を持ち込むことを認めるぐらいのことを言っているのではないかと考えられるわけです。長官に、この総理のおことばについて見解を伺いたいと思います。具体的にちょっと説明してもらいたいと思います。
  231. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんの御質問のほうが少し具体性を欠いているのでありまして、すなわち本土の沖繩に分けて聞いていただかないとお答えをしにくいのでございまするが、分けたものとして御質問があったと仮定してお答えいたします。  すなわち、本土におきましては、核の三原則が、従来からもそうでございますし、将来も堅持されるわけでございます。それから沖繩におきましては、そこが問題でございまして、これからの検討課題である、こう考えております。
  232. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 どうも核の問題になりますと、予算委員会においてもいろいろいわれておりますが、返還のときに考える、現在は白紙である、総理がそうおっしゃっていますから進まないと思いますので、いま長官が申されました、いわゆる自主防衛というのは三次防であるということについて、なぜ三次防が自主防衛になるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  233. 増田甲子七

    増田国務大臣 三次防によって自衛力を漸次整備、充実してまいるというのが当面の防衛庁の最高指揮官である内閣総理大臣の考えでございまするし、また直接に隊務を統括いたしておりまする防衛庁長官、それから防衛庁の考えでございます。しかし、一面、国民全体の防衛義務を強調されましたのは、この三次防をやるにつきましても国民の進んでの御協力、御理解を欲する、すなわちこの前の国会でだいぶいわれましたコンセンサスを欲するという意味におきまして、総理大臣は強調されたものと思っております。
  234. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、自主防衛は三次防を整備すればそれが即自主防衛である、そのように理解してよろしゅうございますか。
  235. 増田甲子七

    増田国務大臣 日米安保体制のもとにおいて、ある程度の自主防衛能力をつけたいというのが、三次防の内容でございます。
  236. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは長官、大事なことでありますので、伺っておきますが、私が四月の予算分科会において、長官に、自主防衛とはどのような具体的な構想でいくのか、このように伺ったことがあります。これは議事録にも出ております。そうしますと、三次防をまず整備する、それから四次防、五次防と続く、そして自主防衛というものの体制をつくるんだというふうに長官は答弁されております。ということになりますと、いまの発言と食い違いがあるわけです。その点の長官の見解をお願いします。
  237. 増田甲子七

    増田国務大臣 四月に発言したことはそのとおりでございまして、総理は必ずしも四次防、五次防とおっしゃっておりません。その時点にならないとわからぬということを言っておりますが、私は国家の生命、生存というものは悠久であると思っております。そこで現実の問題といたしまして、防衛力は各国とも持っておるわけでございます。でございまするから、漸次整備、充実してまいりたい。そういう意味におきまして、四次防、五次防ということもあるでございましょうということを申し上げました。昭和四十六年以後においても日本国というものは存続し、発展するわけでございますから、これは正直に申したほうが私はいいと思います。  それからもう一つ、一面におきまして自主防衛というものは単独防衛ではないと私は考えております。そこで、中立国は別といたしまして、集団安全保障条約によって各国は自国を守るという傾向にございます。その集団安全保障条約というものの根拠は国連憲章第五十一条でございまして、国連憲章五十一条に基づいて、自由国の間で一番大きな集団安全保障条約は御存じの北大西洋安全保障条約でございます。それから共産圏における一番大きな集団安全保障条約はワルシャワ安全保障条約機構でございます。それから二国間あるいは三国間あるいは数国間の集団安全保障条約もございますが、あまた集団安全保障条約機構のあるうちに、日本は日米安保条約というもので日本の平和と安全を守っていこう、こういう意味合いでございまして、私がいつも強調いたしたいのは、昭和三十五、六年ごろにとかく世の中に間違って宣伝されました日米安保条約だけが世界に存在するただ一つの安保条約ではない、たくさん安保条約がございまして、そのうちの二国間安保条約が日米安保条約であるということを申し上げたいのでございます。
  238. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま四次防も五次防もあり得るというふうに聞いて、私もそうではないかと思います。しかし総理は、それでは自主防衛が三次防であるならば三次防を強化していくのか、こういうことについては、変更しない、このように言っております。その点の長官の見解を伺います。
  239. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩が返還されるときの態様によっては、そのときになればどうなるか、それは私はわかりませんが、いまのところ、当分の間三次防というものを変更するということはさらさら考えていないのでございます。
  240. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは防衛年鑑によりますと、現在でも日本の軍事力というのは世界第七位である。三次防を整備していくならば、世界第五位になる。さらに、いま長官の話を聞いていきますと、四次防、五次防が続けば、少なくとも世界第四位以上の強力な軍事力を持った自衛隊になる、こういうふうに考えられます。私がここで言いたいことは、日本の国は平和憲法があります。常に総理また長官等からも、平和憲法に即して、平和憲法のもとで自衛力を整備するのだという一つのことを聞いておりますが、どこまでいけばこれが自主防衛としての限界である、平和憲法のもとにあっての限度はこの程度なんだという一つの限界が示されない限り、国民は総理並びに防衛庁長官のおっしゃるいわゆる自主防衛についての限界がわからないと思うわけであります。その点について長官に、具体的な自主防衛の限界、また三次防、四次防、五次防といくけれども、その先はどのような考えがあるのか、お伺いしたいと思います。
  241. 増田甲子七

    増田国務大臣 本年度の防衛は三千八百九億円でございまして、総予算に対して七・七%であります。工業先進国のうちで日本は世界三番目とか言われておりまするが、総予算に比較いたしまして、これほど少ない防衛費を持っておる国はないのでございまして、防衛費が少ないということによって、国民の経済的繁栄が築かれておると私どもは考えております。そこで、将来どう考えるか、大体におきまして二兆、ベースアップを考えまして二兆五千億ないし六千億といたしまして、予算の規模もよくわかりませんが、大体において三十三兆円と見ております。そういたしますと、昭和四十六年末まではやはり八%を割るわけでございます。でございまするから、膨大ということを伊藤さんはおっしゃいますけれども、これは比較的の問題でございまして、私は、総予算に対する比較あるいは国民所得に対する比較は世界で最も少ない、こう考えております。本年度の予算というものは総生産から見ますと一%はないのでございます。〇・九七%くらいでございまして、総生産は四十兆九千五百億円でございますから、そこでこの総生産もいろいろ波はございましょうが、伸び過ぎましていま困っておるわけでございまして、どんどん伸びていくわけでございますが、その伸びていくあんばいから見まして、率はだんだん下がっていきはせぬか。私どもといたしましては、同じくらいな率で防衛のことも充実整備いたしたい、こう考えておる次第でございます。人によりましては、国民所得の二%くらいを基準にしたらどうかという方もございます。従来、防衛庁長官でそういう発言をされた方もございます。しかし、いまのところは一・一七%弱というところになっております。将来もおそらく国民所得が幾ら伸びましょうとも、一年一・二%以下であろうと、こう考えておる次第でございます。
  242. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま、私はひとつは自主防衛の限界ということを聞きました。それから四次防、五次防のあともまた続くのかということも聞きました。その点についての答弁をお願いします。  その前にもう一つ、いま長官答えられましたけれども、あくまでもいわゆる予算の上から見ますと、一・二%、もしくはこの間は一・三%と答弁なさいましたけれども、そのワク内で経済力の成長とともに防衛費も一・三%以内で押えていくというふうに答弁されたわけですけれども、これがもしか日本の経済界が逆になった場合、そのようにまた一・三%という一つのワクをもって押えたならば、防衛費も少なくなるのかという点もお伺いしておきます。
  243. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛の限界というものを、私はまず第一に核の三原則には縛られておると思っております。しかしながら、日米安保体制でございまして、自主防と言っても単独防ではない。そこで、自主防の線は通常兵器による極地的侵略に対処してこれを阻止し、これを排除する実力部隊、こういう範囲でございます。それから、将来この自主防衛の線をどんどん増加いたしましても、もし経済界のことが逆転して生産力が減ってきた場合にはどうなるかという御質問でございまするが、私は生産は伸び過ぎて困っておるわけでございまして、減ってくるということは、まずまずないと考えておる次第でございます。
  244. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまから言うならば、四次防、五次防くらいまでいくかもわかりません。しかし、世界の経済状態は常に流動的であります。そういう点から必ずしも長官が判断するように上がりっぱなしであるということは考えられないと思います。いま長官ちょっと申しましたけれども、確かに自主防衛というふうに総理も言っておりますが、厳密に言うならば、アメリカとの共同防衛である。このように私は思うわけです。自主防衛自主防衛なんて言っておりますけれども、これはことばのほんとうの意味からいっても、真の自主防衛ではない。アメリカとの共同防衛体制である。このように私には思えるわけです。そこで、その自主防衛体制づくりについてでありますが、その基本的な方針でございますが、新聞等の報道によりますと、国防会議ではいろいろ体制づくりに検討を加えている。また一部発表になった分もございます。その点についてある程度具体的な、また原案がございましたならば教えていただきたいと思います。
  245. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防会議事務局等においてば各般の検討をしております。私どもの考えておる線は、この前の国会においても明瞭にいたしましたが、防衛出動時における諸般の法令がまだ必要である。つまり有事における諸般の法令が必要であるというふうに思います。それから治安出動時における法令というものも、まだ具備されておりません。これは政令以下の段階でいい場合もありまするし、法律を要する問題もあると思います。そういうようなことについて、検討をいませっかく法制的にいたしておるわけでございまして、これが何か各省を動かすといったような意味合いにおける検討はしていないのでございます。ただ法制的の検討をいたしておるだけでございます。
  246. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その中で問題になっております非常時立法のことでございますけれども、有事の場合の非常時に対する処置等はどのような構想で練られておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  247. 増田甲子七

    増田国務大臣 この七十六条に——私どもは非常時ということばは使いたくないのです、どうもいやな印象が起きますから。防衛出動時立法とでもおっしゃっていただけば、あるいは有事ということばがありますから、有事立法でもけっこうでございますが、何か非常時と呼ばして、国民がだいぶ迷惑した時代もございまするから、非常時ということばを避けたいと思います。ただ事があったときに備えるという、有事に備える法令が必要である、こう考えております。さしあたって政令はずいぶん備えなくてはならぬ点がございます。それから有事には海上保安庁長官等は防衛庁長官が指揮監督するということになっておりますが、その細目の政令等はまだできておりません。こういうようなことを備えなくてはならぬと思っておりまするし、また営造物とか物件というものを収用取得するというようなこともありまするが、これは憲法二十九条との関連におきまして、法律事項でございまするから、法律を整備する必要がある、こう考えておる次第でございます。
  248. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは小笠原の問題について質問をしたいと思います。  小笠原は一年以内に返還されるかもしれないということを言われておりますが、たとえば、小笠原が返った場合の防衛体制についてどのようにするのか、また小笠原防衛について、陸上自衛隊もしくは海上自衛隊が駐もするのかしないのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  249. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはいませっかく外交のルートによって外務大臣とジョンソン大使との間で交渉中でございます。小笠原島が返る場合には本土並みということになっております。しかし、大統領と総理との共同声明を読んでみますと、日米安保体制のもとにおいてということになっております。日米安保体制のもとにおいて日本はでき得る限り多くの責任を段階的に負うこととなる、こういうことが書いてございまするが、来月すなわち一月に調査団を派遣いたします。外務省からも相当行きまするし、防衛庁からも参ります。また総務長官が所管の大臣でございますから、総理府からも相当参りまして、経済あるいは復興あるいは福祉のこと、あるいは帰還のことをきめましょうが、そのときに防衛庁からも参りまして、現在アメリカがどんなしかけで小笠原島を守っておるかというようなことも研究いたしまして、日米安保体制のもと、いわゆる共同防衛のもとにおいて日本の引き受けべき責任ということを考えておりますが、私の見ない頭ではあまり言えませんけれども、陸とか空とかいうようなものをあそこに駐とんさせるというようなことはちょっと考えられない状態である、こういうことだけは言えると思います。
  250. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ということは、海上自衛隊あたりが駐とんするかもしれないというふうに考えられるわけですね。その点御答弁願います。
  251. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあ大体においてそうじゃないかと思っております。しかもそれはきわめて若干のものでございまして、いま、情報によりますと、二百名くらいアメリカの海軍がおるそうでございまするが、これと一緒になってやるということになりますと、人数はその範囲できまってくるのじゃないか、こう考えております。
  252. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理なんかも答弁しておりますが、小笠原の防衛については、その島の領土、領海、領空というようなものを防衛するのだ、このように言われております。そうしますと、小笠原のあの火山列島であるとか、沖の鳥島であるとか、こういうところの島が、三十幾つございますが、その防衛するいわゆる海の限界というものはどの辺まで考えておりますか。またあったら教えていただきたいのです。
  253. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは総理がときどき明言されております。すなわち小笠原諸島それから南鳥島、沖の鳥島、それから何か私はよくわかりませんが、孀婦岩の南なんて書いてございますが、それらの諸島の領海、領空、領土を守る、これだけでございまして、これら諸地域ということで公海の地域までをさすような御質問がございましたけれども、これら諸地域とは、これらの諸島の領土、領海、領空を守るということでございます。
  254. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、領海ということは三海里まででございますね。三海里ということは非常に狭いわけです。そうしますと、本土と、これから沖繩返還になりますと沖繩、また小笠原という中にあって、もしもその間にあって紛争が起きた場合には安保体制によって守るというのでしょうけれども、自衛隊としてはどのような体制をとるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  255. 増田甲子七

    増田国務大臣 小笠原諸島の領土、領海、領空において紛争が起きたときには、これは守るのでございます。
  256. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それはわかりますが、小笠原と本土、返還されれば沖繩ですね、その間の公海上において、——いままで公海といっても非常に狭かったわけです。しかし、非常に狭い公海上の範囲においての紛争が起きた場合にはどうするかということです。
  257. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは奄美大鳥と鹿児島本土との間にも公の海があります。それから島根県と同じ島根県でございますが、隠岐島、その間も四十海里離れておるそうでございまして、その間にも公の海があるわけでございます。その間の紛争といえば、おそらく日本の護衛艦とかあるいは日本の汽船とかいうものが襲われた場合だと思いますが、その襲われた場合には、これは領土でございますから、その領土は力があればこれを守るということでございます。守るべき義務があると思っております。
  258. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 公海上であってもですか。
  259. 増田甲子七

    増田国務大臣 実際上の公海もそうでございますが、守る義務があります。しかし、実際守れるかどうかということは、これはまた別問題でございます。
  260. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、たとえばその間にあって紛争が起きた場合には、いままでは安保体制によれば、日本の領土については日本が守るけれども、公海については米軍がやるんだ、こういう考え方だったわけですね。いままではそうなんです。それがただいまの発言では、公海上であってもそういうときには日本が自衛力を行使する、こういうことですね。
  261. 増田甲子七

    増田国務大臣 軍艦は外国の領海の中でも——日本は護衛艦といったほうが正確ですが、海上自衛隊のちっちゃな船でも大きな船でも、外国の領海の中でも日本の領土であるというふうに解釈されております。それから日本の貨物船、客船等はタンカーにいたしましても外国の領海外の、すなわち公の海におる場合には日本の領土でございます。でございますから、これを守る義務がたとい遠い海でもあるわけでございます。日本の海上自衛隊はそれまでの力がない、だから守れない、こういうことでございます。
  262. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは非常に大事なところだと思うのですが、公海上において護衛艦が通るところは日本の領土とみなして対処する、守れないけれども、対処する、こういうことですね。
  263. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本の領土でございますから、日本の領土はこれを守るという義務が日本国にございますし、また、日米安保条約上、日本の領土が侵害された場合にはこれを守るということが期待されておるわけでございます。
  264. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その場合、たまたまアメリカの船がいたという場合には、これはお互いに対処するわけですか。そうしますと、要するに横須賀にどんどんアメリカの艦隊がいま入っております。日本の船も入っております。たまたま途中においてそういう問題が起きた、どこかわからない侵略者に対して、護衛艦が通っておる、いわゆる公海であってもそこはもう日本の領土内と見て対処する、そうした場合に、アメリカの軍艦もたまたまそばにいたという場合には、ともにやっつける、こういうことになるわけですか。
  265. 増田甲子七

    増田国務大臣 公の海における紛争、つまり日本の領土がやられたという場合、これは日本は力があれば守るのはあたりまえでございます。義務があると思っております。海上自衛隊なり、あるいは航空自衛隊なりが。そのときにアメリカの軍艦がそこにおったということがちょっとわからないのですが、アメリカの軍艦がそこにおって、日本に敵対行為をするということを仮定されたのでしょうか。そういうことはちょっと考えられませんが……。アメリカを助けるために……。
  266. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私が聞きたいのは……。
  267. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本の自衛隊は日本の施政権下におけるものを守りますから、そこで日本のタンカー、貨物船、漁船等はどこへ行きましても外国の領海へ入るまでは日本の領土でございますからこれは守ります。それからまた、アメリカも日本の施政権下にあるものを守ってくれますから守るのです。ただ、アメリカの軍艦がやられているのを日本が見ておるかどうかという場合には、ただ日本は見ておるということなんです。
  268. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ日本が一生懸命やっているというところにアメリカの船が応援したら、それはいいというわけですか。
  269. 増田甲子七

    増田国務大臣 私のお答えしたとおりでございまして、前に社会党の辻原さんが昭和三十五年に聞かれております。すなわち「日本の領海近くでアメリカ船が攻撃を受ける、アメリカが出動する。自衛隊はどうしますか、出動しますか、しませんか。」これに対して藤山国務大臣が、日本の領海の外でありますれば、アメリカ船が攻撃を受けた場合にむろん自衛隊は出動いたしません、こう答えております。
  270. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そういうことは私は知っていま聞いているわけです。一つは、なぜかといいますと、いまいろいろと聞いておったわけですが、いまの日本の安保体制というのは片務的なんです。それがアメリカと一緒に守ったり、公海上において、どんどんこれから出てくるけれども、そのときにたまたまアメリカとそういう艦隊が一緒になった場合に双務的になるのではないか。そうであってはいけないから、それではそういう体制でいくならば、一九七〇年には安保改定の時期を迎えているけれども、実際にはいまの時点においては自動延長か長期固定かわかりませんけれども、いずれにしてもそのままいこうという長期堅持であるということをいっているわけです。その中にあって、そういう体制または整理をしていくならば、当然安保も改定していかなければならないし、片務的なものを双務的にもしなければならないではないか、そういう意味のことを私はいま聞こうとしたわけであります。  大体はわかったわけでありますけれども、いずれにしてもそういう点のはっきりした見解を示さなければ、今後も国民は納得することはできないと思うわけです。  時間がきてしまったわけですけれども、次回にまた自主防衛の点、さらに試射場の問題等についていろいろ聞きたいと思いますが、次にしたいと思います。  これをもって私の質問を終わります。
  271. 三池信

    三池委員長 次回は、明十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後二時三十四分散会      ————◇—————