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1967-12-20 第57回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月二十日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 小沢 辰男君 理事 金子 一平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君      足立 篤郎君     大村 襄治君      河野 洋平君     笹山茂太郎君      砂田 重民君     永田 亮一君      西岡 武夫君     坊  秀男君      村山 達雄君     渡辺美智雄君      阿部 助哉君     只松 祐治君      広沢 賢一君     広瀬 秀吉君      堀  昌雄君     村山 喜一君      中嶋 英夫君     永末 英一君      広沢 直樹君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         大蔵省国際金融         局長      柏木 雄介君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       前川 憲一君         国民金融公庫総         裁       河野 通一君         参  考  人         (税制調査会会         長代理)    松隈 秀雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 十二月十八日  音楽舞踊演劇及び映画等入場税撤廃に関  する請願外一件(田代文久紹介)(第五三六号)  同(林百郎君紹介)(第五三七号)  公共事業費等の一律繰延べ緩和に関する請願  (井出一太郎紹介)(第六六〇号)  同(小川平二紹介)(第六六一号)  同(小沢貞孝紹介)(第六六二号)  同(中澤茂一紹介)(第六六三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第六六四号)  同(原茂紹介)(第六六五号)  同(平等文成紹介)(第六六六号)  同(増田甲子七君紹介)(第六六七号) 同月十九日  音楽舞踊演劇及び映画等入場税撤廃に関  する請願岡田利春紹介)(第八一四号)  同外二件(島本虎三紹介)(第八一五号)  同外三件(千葉佳男紹介)(第八一六号)  同(中嶋英夫紹介)(第八一七号)  同外三件(成田知巳紹介)(第八一八号)  同(野間千代三君紹介)(第八一九号)  同外二件(芳賀貢紹介)(第八二〇号)  同(平林剛紹介)(第八二一号)  同(古川喜一紹介)(第八二二号)  同外一件(山内広紹介)(第八二三号)  同外二件(米内山義一郎紹介)(第八二四号)  同(松本善明紹介)(第一一七六号)  中小企業に対する国民金融公庫融資制度改善  に関する請願枝村要作紹介)(第八九四号)  同(岡田利春紹介)(第八九五号)  同(中澤茂一紹介)(第八九六号)  同(林百郎君紹介)(第八九七号)  同(原茂紹介)(第八九八号)  同(堀昌雄紹介)(第八九九号)  同(米内山義一郎紹介)(第九〇〇号)  同(横山利秋紹介)(第九〇一号)  同(井岡大治紹介)(第九六七号)  同外四十九件(井手以誠君紹介)(第九六八号)  同(石川次夫紹介)(第九六九号)  同(石田宥全君紹介)(第九七〇号)  同(板川正吾紹介)(第九七一号)  同(江田三郎紹介)(第九七二号)  同(大柴滋夫紹介)(第九七三号)  同(大原亨紹介)(第九七四号)  同(加藤清二紹介)(第九七五号)  同(小松幹紹介)(第九七六号)  同(後藤俊男紹介)(第九七七号)  同外四十六件(佐々栄三郎紹介)(第九七八号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第九七九号)  同(阪上安太郎紹介)(第九八〇号)  同外四十九件(島口重次郎紹介)(第九八一号)  同(島本虎三紹介)(第九八二号)  同(成田知巳紹介)(第九八三号)  同(西風勲紹介)(第九八四号)  同(西宮弘紹介)(第九八五号)  同(野間千代三君紹介)(第九八六号)  同(田中武夫紹介)(第九八七号)  同(田原春次紹介)(第九八八号)  同(只松祐治紹介)(第九八九号)  同(千葉佳男紹介)(第九九〇号)  同(實川清之紹介)(第九九一号)  同(戸叶里子紹介)(第九九二号)  同(中嶋英夫紹介)(第九九三号)  同(長谷川正三紹介)(第九九四号)  同(浜田光人紹介)(第九九五号)  同(平林剛紹介)(第九九六号)  同(福岡義登紹介)(第九九七号)  同(古川喜一紹介)(第九九八号)  同(森義視紹介)(第九九九号)  同(森本靖紹介)(第一〇〇〇号)  同(横山利秋紹介)(第一〇〇一号)  同(柳田秀一紹介)(第一〇〇二号)  同(山口鶴男紹介)(第一〇〇三号)  同(山崎始男紹介)(第一〇〇四号)  同外三十六件(山中吾郎紹介)(第一〇〇五号)  同外五十一件(山本弥之助紹介)(第一〇〇六  号)  同(米田東吾紹介)(第一〇〇七号)  同外四十九件(依田圭五君紹介)(第一〇〇八号)  同(安宅常彦紹介)(第一一二四号)  同外一件(阿部哉君紹介)(第一一二五号)  同外四十九件(浅井美幸紹介)(第一一二六号)  同外九十七件(有島重武君紹介)(第一一二七号)  同外一件(伊賀定盛紹介)(第一一二八号)  同外六十二件(伊藤惣助丸君紹介)(第一一二九  号)  同(猪俣浩三紹介)(第一一三〇号)  同外四十九件(石田幸四郎紹介)(第一一三一  号)  同(石野久男紹介)(第一一三二号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一一三三号)  同外五十件(小川新一郎紹介)(第一一三四号)  同(小川三男紹介)(第一一三五号)  同外四十八件(大橋敏雄紹介)(第一一三六号)  同外五十二件(岡本富夫紹介)(第一一三七号)  同外五十件(沖本泰幸紹介)(第一一三八号)  同外五十件(唐橋東紹介)(第一一三九号)  同(木原津與志君紹介)(第一一四〇号)  同外四十九件(北側義一紹介)(第一一四一号)  同(黒田壽男紹介)(第一一四二号)  同外四十八件(小濱新次紹介)(第一一四三号)  同(兒玉末男紹介)(第一一四四号)  同(神門至馬夫君紹介)(第一一四五号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第一一四六号)  同外四十九件(佐野進紹介)(第一一四七号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第一一四八号)  同外一件(柴田健治紹介)(第一一四九号)  同外七十九件(下平正一紹介)(第一一五〇号)  同外百一件(鈴切康雄紹介)(第一一五一号)  同(田代文久紹介)(第一一五二号)  同外九十七件(田中昭二紹介)(第一一五三号)  同(畑和紹介)(第一一五四号)  同外四十七件(樋上新一紹介)(第一一五五号)  同(平等文成紹介)(第一一五六号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一一五七号)  同(広沢賢一紹介)(第一一五八号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第一一五九号)  同外四十九件(伏木和雄紹介)(第一一六〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第一一六一号)  同(堀昌雄紹介)(第一一六二号)  同外四十六件(正木良明紹介)(第一一六三号)  同外四十九件(松本忠助紹介)(第一一六四号)  同外一件(松本善明紹介)(第一一六五号)  同(三木喜夫紹介)(第一一六六号)  同(三宅正一紹介)(第一一六七号)  同(美濃政市紹介)(第一一六八号)  同外一件(武藤山治紹介)(第一一六九号)  同外一件(村山喜一紹介)(第一一七〇号)  同(安井吉典紹介)(第一一七一号)  同外四十九件(山田太郎紹介)(第一一七二号)  同外四件(横山利秋紹介)(第一一七三号)  同外四十六件(渡部一郎紹介)(第一一七四号)  売上税新設反対等に関する請願川上貫一君紹  介)(第九〇二号)  同(田代文久紹介)(第九〇三号)  同(谷口善太郎紹介)(第九〇四号)  同(林百郎君紹介)(第九〇五号)  同(松本善明紹介)(第九〇六号)  公共事業費等の一律繰延べ緩和に関する請願  (吉川久衛紹介)(第九〇七号)  同(下平正一紹介)(第一二七〇号)  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡是正に関する請願砂田重民紹介)(第一  〇五七号)  国民金融公庫傷病恩給等担保融資額是正に  関する請願砂田重民紹介)(第一〇五八号)  売上税新設反対及び所得百万円まで免税に関す  る請願川上貫一紹介)(第一一一九号)  同(田代文久紹介)(第一一二〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第一一二一号)  同(林百郎君紹介)(第一一二二号)  同(松本善明紹介)(第一一二三号)  同(中井徳次郎紹介)(第一一七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十九日  労働者自主共済活動規制反対に関する陳情  書  (第一七六号)  租税特別措置法の一部改正に関する陳情書  (第一七  七号)  福祉年金受給者に対する所得制限廃止に関する  陳情書  (第一七八号)  公共事業補助金の繰延べ解除に関する陳情書  (第  二〇四号)  船舶建造に対する利子補給制度継続に関する陳  情書  (第二一六号)  日本輸出入銀行の資金確保等に関する陳情書  (第二一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件  専売事業に関する件      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  当委員会所掌事項について調査を進めます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。
  3. 武藤山治

    武藤(山)委員 ちょっとその前に。実は理事会で申し込んだ税制調査会代表者もしくは代表者が事故ある場合はそれに次ぐ者、こういうことで、理事会は一応招請を決議しておったわけであります。しかるに、税調は、今日出席しないということはまことに遺憾であります。どういう理由で、どういう申し立てによって出席できないということになったか、委員長から明らかにしていただきたいと思います。
  4. 内田常雄

    内田委員長 武藤君にお答え申し上げますが、大蔵省を通じての税制調査会当局からの委員長への連絡によりますと、税制調査会はいま来年の税制調査について、ようやくその作業に入らんとしているところであって、税制調査会として委員会出席さしていただく機会は、ぜひこの作業がある程度固まった後にしていただきたいという、こういう希望でございましたので、そのことをお伝えをいたしておきます。
  5. 武藤山治

    武藤(山)委員 私も大蔵委員会に席を置くこと七年になりますが、いまだかつて、税調審議中だという理由出席を拒否されたのは今回が初めてです。その理由が那辺にあるかということがよく私には理解ができない。委員長自体権威が今回のできごとによって失墜されたと思いますが、委員長、いかが考えますか。
  6. 内田常雄

    内田委員長 武藤君の御意向でありますが、私もまことに遺憾と思います。  それよりも、私は委員長として常々考えておりますことは、そもそも国会というものは、これは税制に関することを主要な課題として、税に関する問題は国会固有の権限だと思うのでありますが、政府が、行政当局が税に関する調査会を設けて、しばしば世論を誤らしめるような議論を事前に発表しておることは、それこそが私は一大蔵委員会の問題というよりも、国会全体の権威国会全体の成立の経過理解せざるもはなはだしいことだと思いまして、常々苦々しく思っておるところでありますので、今後このことにつきましては、私も微力ながら国会議員の一員として、国会外における税制制度取り扱いというようなことにつきまして、政府の反省を求めるように進んでまいりたいと思いますので、ぜひ委員諸君の御理解をいただきたいと思います。(拍手)
  7. 堀昌雄

    堀委員 倉成政務次官にお伺いをいたしますが、実は前回の理事会で、本日の委員会税制調査会代表者またはそれにかわる者の出席要求いたしまして、理事会はこれを決定をいたしました。ところが、本日ここへ参ってみますと、何かまだ来年度の税制の検討中であるから出席はできない。われわれは何も来年度の税制だけを聞こう、こういうことではありません。現在税制調査会がすでにある以上、国会決定をして、理事会決定をして、答えられないものはここに来て答えられませんと答えればいいのです。その問題よりも、なぜ出席しないのか。これまで、私は約九年当委員会におりますけれども、理事会決定をして参考人招致委員長を含めて決定を見たものが、その参考人出席をしなかったという例はないのです。何か大蔵省がその出席を断わってきた。これは筋違いですよ。倉成さんどう考えますか。大蔵省にわれわれは税制調査会を出せと言ったんじゃないですよ。税制調査会参考人として招致することに国会決定しているのです。それを大体大蔵省審議中だから出られない、だれが言ったのか知りませんけれども、一体だれがそういうことを委員長のところに言ってきたのか、大蔵省が言ってきたというならだれなのか。同時に、大蔵省参考人招致について国会決定に介入できるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
  8. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  ただいま大蔵省が断わったとおっしゃっておりますけれども、どういう経過か私もちょっと事情よく承知しておりませんが、私の聞いておるところでは、税制調査会がここで御説明するといたしますと、やはり一番よくわかった方ということで、松隈さんあたりが適当じゃなかろうかということで、松隈さんにひとつ御出席方大蔵省から要請した。ところが、いまちょうどたまたま政府税調関係審議をやっておって、どうしても都合が悪いので、ひとつもうしばらく先の時間に延ばしていただけないかと、こういう松隈さんからのお話があったので、その旨をひとつ御了承を得たい、そういう経過であります。
  9. 内田常雄

    内田委員長 委員長から補足して堀君に申し上げますが、先般の理事会で、税制調査会のしかるべき委員代表を当委員会参考人として招致したいという意向表明がございまして、その日時並びに参考人をだれにするかということは委員長に御一任になられたわけです。そこで、私といたしましては、大蔵当局を通じて税制調査会意向を、内意を尋ねましたところが、いま倉成政務次官からのお話のような次第でございましたので、私としてはこの段階で、これは私の責任で、税制調査会の小委員長あるいは代表に対して出席方の正式の要求はしていない。したがって、当委員会の要請を税制調査会が断わってきたということでなしに、委員長段階で、私の判断で、そういう情勢をも含んで、この際、まことに遺憾ながら、しばらくその時期を先に延ばすよりしかたがなかろう、こういう私の判断をいたしたわけでありまして、そのことにつきましては、お気持ちはよくわかりますが、まずこの辺で、私がよく含んでおりますので、ぜひひとつ御了解をいただきたいと思います。
  10. 堀昌雄

    堀委員 実は、すでにこの前松隈試案なるものが新聞には出されております。いいですか。いま委員長がおっしゃったように、税法というのはこの大蔵委員会固有仕事であります。その固有仕事をやっておるところに参って——新聞にも何も出ていないというのなら、これは話は別です、税制調査会が内部だけで処理をしておって。ところが、それがすでに新聞に公表をされて、国民の前に明らかになっておるような事実について、それを所管する委員会がその問題についての、一応新聞に発表した以上は、公的な責任が私はあると思うのですから、その責任のある者がここに来てその問題について答えられないなどということを委員長がそのまま黙視されるということは、あなたのさっきの前段の、ともかく税制調査会というようなものの存在もおかしいとおっしゃっていることから見ても、まことに筋が通らない。だから、ああいうものを新聞に公表した以上は、それは大蔵委員会招致をすれば出てきて、少なくともその問題についてだけはやはり釈明をするなり何らかの弁明の余地があってしかるべきではないか。それでなければ、今後、大蔵委員会に来てものを言うまでは一切新聞に発表しないということを大蔵省が確認をするなら話は別です。大体ちょっと筋道が違うんじゃないか。いまのいろいろな取り扱いの経緯、その点についての委員長前段お話と後段のいまのお話とはやや食い違いがあるように思うが、私はひとつ委員長の明確な御答弁をいただきたい。
  11. 内田常雄

    内田委員長 堀君におことばを返すようで恐縮ですが、前段の私の所信表明は、かねて私が抱懐をいたしておるところでありまして、今回、税制調査会からしかるべき委員が当委員会参考人として出席するかしないかという問題よりも、さらに次元の高い立場から私は常々述べてきておるところであります。  しこうして、本日、税制調査会のしかるべき代表が出てこられないことについては、せっかくそういう非公式の先方の御希望もありましたので、かつは理事会において、その時期及び人物等委員長一任するということでございましたので、きょうのところは私の責任、私の判断によってしばらく先に延ばさしていただいた、こういうことでございますので、はなはだ不敏の委員長で恐縮でありますが、この辺で御了解をいただいて先に進ましていただきたいと思います。
  12. 武藤山治

    武藤(山)委員 本来なら、この取り扱いは、私は委員長不信任に該当するほど重大問題だと思うのです。われわれは委員長一任はいたしましたけれども、一応二十日というめどをきめて委員長一任しているわけですよ。そこを向こうの内諾あるいは内交渉によって、委員長判断で取り消したというけれども、いやしくもきょうの委員会が三時まで続くということになれば、その間に松隈さんなり東畑さんなりに、ここに来て、こういうわけでどうしても一時間なり二時間の時間がとれぬ、十分しかとれないために釈明に来たくらいなことをきょう措置してもらいたい。それでなければ、私は、委員長のとった措置は、ちょっと委員長に腰がなかったというか、あるいは国会のいままでの慣例というものを委員長が尊重しなかった、こういう委員長の責めを私たちはどうしても追及せざるを得ないという感じがするわけですよ。したがって、野党から国会軽視でけしからぬ、こういう強い要求があって、委員長としても取り扱い上どうしてもきょうじゅうに直接来て釈明してもらわないと、立場がないという強い要求税調にしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  13. 内田常雄

    内田委員長 御意向はまことによくわかりました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 内田常雄

    内田委員長 速記を始めて。  委員長から申し上げます。先般、理事会で当委員会税制調査会代表委員参考人として招致することについて、その時期等、委員長に御一任がありましたが本国会の会期も余すところありませんので、できる限り本日、税制調査会代表委員の方に、参考人として御出席を願うように、ただいまから私から取り計らいます。その結果につきましては、またあらためて委員会開会中に御報告申し上げることにいたします。  国の会計税制金融及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、順次これを許します。まず阿部哉君
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まず、一ころは何かアメリカがくしゃみをすれば、ヨーロッパはどうだとか、日本は肺炎になるとかいう話がありましたが、情勢は多少変わってきたにしても、日本経済はやはり貿易の問題、国際的なつながりというものが非常に密接で、経済が動いていると思いますが、その点はどうでございましょうか。
  16. 柏木雄介

    柏木政府委員 日本アメリカ関係が非常に密接であろうという御質問かと思いますけれども、それにつきましては、お説のとおり、日本の対米輸出入関係というものは、輸出輸入ともに最大の市場でございます。輸出の三割くらいがアメリカにいっております。それから資本収支関係でも御承知のように非常に大きな緊密なる関係にございます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先日も武藤委員からお話がありましたけれども、この大臣所信表明で、「もとより、円の価値は、わが国経済のゆるぎない力にささえられて」云々と非常に強気な表現をしております。ところがまた、きょうの新聞で見ますと、局長は自民党の政調会役員会に、いろいろと今日のきびしい海外環境について説明をされたようであります。大臣は、この正式の場でこれだけ強気に、「わが国経済のゆるぎない力」と言っておりますが、それは一体具体的にはどういうことを意味しておるのか、お伺いしたい。
  18. 柏木雄介

    柏木政府委員 この前、大臣がこの委員会で御説明いたしましたときに、いろいろおっしゃっておられましたが、一つは、日本輸出競争力日本国民経済のいわば生産性が高いこと、海外市場における競争力の非常に高いことを言っておられました。それからもう一つは、国際収支が悪くなるというようなとき、経済が過熱をするとき、そういうときには日本では適時適切な処置をとって、国際収支調整をうまくやっておる。その能力というか、その実績というものが非常に大事である。それがまた、日本の円の価値をささえる大きな要素であるということを言っておられました。私がきのう強調いたしました点も、外貨危機が来るということじゃなしに、外貨危機が来ないようにここで国際収支調整をやる必要がある、そのために、従来やったような、国際収支危機に際しても適切な措置をやらなければならないということを強調した次第でございます。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 国際競争力がどうのこうのと言うけれども、現実貿易収支国際収支は、日本の場合、あなたがここでおっしゃっておるように、赤字が五億九千万ドルをこえるんではないか、さらに、来年もいまのままでいけば六億程度の赤字になるのではないかというようなことで、競争力がいかに強いようなことを言いましても、現実赤字であるし、また赤字の見通しだとすれば、円の価値、また経済がゆるぎない力を持っているというふうなことにはならないんじゃないかと思いますが、どうですか。   〔委員長退席金子(一)委員長代理着席
  20. 柏木雄介

    柏木政府委員 輸出が期待したほど伸びていないという点につきましては、私どもは、輸出競争力の問題というよりは、一つ海外市況が思ったより悪いということもありますが、さらにそれに加えて、国内が非常に景気がいい、内需に物が回っている、内需に回したほうがもうかるというようなことから輸出が伸び悩んでおるということですが、いまの自由主義経済のもとにおいては、景気の循環というのはある程度やむを得ない、なるべくは景気の山と谷を少なくするように安定した成長をはからなければならないと思いますけれども、現実問題としては山があり谷もある。ですから、国際収支調整をその時点においてやれば、いま申し上げた一時的な輸出の停滞というものは必ず克服できる、さように考えます。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、今日、大臣のほうでは非常に強気なことをおっしゃっておる。あなたのほうでは、現実赤字貿易収支はうまくいかない。これはいかにこっちが強いといったところで、外国が買ってくれなきゃどうにもならない。現に、今日の国際経済の中では、ポンド危機金利高というような形の中で非常に困難な局面に当面しておるんではないか。そうすると、輸出はこれからもなかなか伸びにくいということは当然考えられるんじゃないですか、どうなんですか。
  22. 柏木雄介

    柏木政府委員 国際環境が悪いということ、海外経済の伸びが鈍化しておるということはお説のとおりであります。したがって、今後の輸出競争というのはいま考えているものよりももっときびしいものである、もちろんそう思いますが、しかし、それが日本の力から見て乗り越え得ないものかどうかということになりますと、先ほど申し上げました、一つは本来持っている輸出競争力の問題と、それから内需の抑制、国際収支の立て直しに必要なる施策をやれば、必ず輸出は伸びるというふうに確信いたしております。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、いまのポンド危機がもう一度やってくるというような危険性もある今日、ドルにもそれが波及してくるんではないかという不安をみんな持っておると思います。しかし、皆さんのほうでは、それならばいままでどおりの政策で大体いける、こういうことですか。それとも、ここで重大な転換とか検討を要するんだというお感じなのですか、どうですか。
  24. 柏木雄介

    柏木政府委員 その点がまさに問題でございまして、従来どおりの考え方ではなくて、海外におけるこういった情勢の変化を勘案して、ここで新たなる決意のもとに内外経済政策面での思い切った引き締め等の政策を持ち出す必要があるんではないか、さように考えます。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、いまのところ国内での引き締め政策というのがただ一つの行き方だ、こういうことですか。もう少しそこを具体的にお示しを願いたいのです。
  26. 柏木雄介

    柏木政府委員 輸出振興策について、税制上、金融上、その他予算上いろいろ措置がされております。そういう施策を強化して輸出を伸ばすのがいいのかという点につきましては、私は、やはり輸出振興の一番の必要なことは、輸出の伸びない原因が内需の旺盛にあるとすれば、内需の抑制をここで思い切ってやるということだろうと思います。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんは、国内の内需のほうを切り詰め、予算を切り詰めていけばあとは何とかなるというお考えですか。ここでも大臣は、「いかなる海外情勢の変化に直面しても、いささかも動揺するものではなく」という非常に強気な——海外がどうであろうと、ポンドがどう変化してこようと、ドルの切り下げがかりにあろうとどうしようと、日本経済日本の円は健全であるという自信をお持ちですか。
  28. 柏木雄介

    柏木政府委員 この前の委員会のときに、大臣は、たしか過去五年間か六年間の日本輸出の伸びがほかの先進国に比べていかにまさっておるかということを数字をもって御説明したかと思います。日本経済は、過去数年間の非常に大きな設備投資のおかげで生産性は非常に上がっておりますし、競争力の点では世界の中でも最も高いところだと私は思います。したがって、こういう不安なる国際環境ではありますが、日本としてりっぱに国際収支の改善ということができると確信いたしております。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたは確信しておられるようですが、国民のほうは非常に不安なんですよ。というのは、政府の出されるいろいろな新聞等で報道されるものも、何か私たちでも食い違いといいますか、そのときそのときに違ってきているように感ずるわけです。たとえば、この前の本会議での宮澤さんの答弁のときには、ポンドの切り下げで金買いが激しくなったが、私は、これは、金は利息を生まないからやがておさまるであろう、こう思っておったら案の定おさまりました、こうおっしゃっておる。ところが、その直後に、また、金との交換が激しくなってきた、ポンドは再び切り下げられるのではないかというような報道が海外から出てくるというようなことで、皆さんの考えは、いま国内の需要を切り詰めてさえいけば輸出ができるというけれども、それにはやはり海外の市況というものが問題になるのではないか、これが上向いてこないとやはりだめではないか。あなたもここにおっしゃっておるように、OECDですか、そこでの見通しも、ポンド切り下げ前の八・三%から七・一%に改定せざるを得なくなった、だんだん国際的な情勢は悪くなってきているというふうにここでおっしゃっておるわけです。幾ら日本競争力が強いとしても、海外の情勢というものが、一番最初あなたのおっしゃったように、安定し成長していかなければ、貿易というものはそう伸びるものではないのではないかと私は考えるのですが、それでもあなたは、海外情勢のいかんにかかわらずやはり伸びていくという前提に立っておられるわけですか。
  30. 柏木雄介

    柏木政府委員 私は、競争力の点から申しまして、世界経済貿易の伸びに比べて日本輸出入の伸びのほうが大きいと考えます。ただ、いま御指摘のような海外の景気の伸び悩みというか、貿易の伸展が八%台から七%台になれば、それは確かにそれだけ日本として輸出がしにくくなる、その辺を十分勘案して、日本輸出が前ほど伸びにくくなっておることを勘案して、日本国際収支をどういうふうに立て直すかを考えて、それに見合って国内成長を考えなければならない。輸出が伸びないというならば、輸出が減っておるのに輸入だけふやすということになれば、国際収支は必ず赤字になる。輸出が伸びないならば、やはりある程度輸入を押えなければならない。輸入を押えるのには、為替管理とか輸入管理で押えるのではなくて、輸入需要を押える。それには国内経済そのものの需要を押えていく以外に方法はないのじゃないか、かように考えております。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 時間がありませんから先へいきますが、いまあなたはあれですか、いまの情勢の中で、ついおとといでありますか、参議院では日銀の総裁もまた大臣も、ドルの切り下げはないだろう、こう答弁しておられるわけですが、このドルの切り下げはないという判断の基礎はどういうことでありますか。
  32. 柏木雄介

    柏木政府委員 これは予算委員会の席上、大蔵大臣と日銀総裁が申されたとおりだと思います。アメリカの生産力の大きいことは御承知のとおりでありまして、その生産力が要するにドルの背景にある。私はドルの切り下げということはないと思います。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 生産力が大きいけれども、国際収支赤字ではありませんか。今年は大体どれぐらいの赤字になる見通しですか。
  34. 柏木雄介

    柏木政府委員 まあ、国際収支赤字と申しましても、赤字の原因がどこにあるかということになります。アメリカ国際収支の構造が貿易収支の方面で大きな黒字を出す、経常勘定の黒字は非常に大きい。その反面、資本輸出をしている、海外に非常に多額の経済協力の物資を送っているというようなこと。それから、よく言われておりますベトナム関係。ですから、赤字のほうの要因としては資本勘定の赤字とそれからベトナム関係赤字だと思いますけれども、経済の強さというか、それにやはり何といっても経常勘定と貿易勘定の黒字だと思います。世界で年々三、四十億ドルの黒字を出している国はほかにございません。それだけの力を持っているものと思います。  それから、今年のアメリカ国際収支赤字はどれぐらいか。私どもが推算するよりも、アメリカ当局は二十数億ドルじゃないかというふうに言っております。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 貿易収支では黒字だ、だから強いのだ、こういうお話でありますが、資本輸出あるいはベトナム戦費というものを切り離して、こっちの貿易面で黒字だ、だから強いのだということには、これはならないのじゃないか。資本主義、私たち帝国主義的だ、こう言っては少し強過ぎるのかもしれませんが、帝国主義的な場合においては資本輸出はつきものであるし、また、じゃいまあなた方は、貿易は黒字なんだからベトナム戦争をやめればアメリカ経済は立ち直るのだと言うかもしらぬけれども、ベトナム戦争をやめられないじゃないですか。だから、やめられない今日、アメリカのドルは切り下げない、強いのだという根拠というものはない。それだと非常に片方の面しか、一面しか見ないということになりゃしないじゃないですか。ベトナム戦争をすぐやめるということはできますか。これを切り離して考えるということは私は現実を無視していると思いますが、どうですか。
  36. 柏木雄介

    柏木政府委員 ベトナム戦争をやめられるかどうか、これは私がお答えすべき問題じゃないと思いますけれども、現実問題として、ベトナムからくる赤字がある。それを前提として国際収支の立て直しができるかどうかという問題になりますと、これはやりようかと思います。アメリカとしても財政、金融政策面における調整措置をとるという問題もありましょうし、それから新聞等で報ぜられておりますのは、アメリカとして海外投資をこれから抑制するということも考えております。それから観光関係貿易収支の改善についてもいろいろ施策をする。アメリカとして本格的に国際収支の改善に乗り出せば、それはいろいろな手があると思います。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたの場合非常にアメリカについて楽観的でありますけれども、それにしても、毎年のように二十億ドルをこえるような赤字を出していく。現実アメリカの金準備はどんどん減ってきておる。それならば、なぜいま金準備がこうやって減るのですか。
  38. 柏木雄介

    柏木政府委員 金準備が減るのは、端的に申しますと、金に対するスペキュレーションが行なわれておる。これは世界の通貨当局がドルに対する不信を持って、ドルを金にかえているということではないと思います。金の流出のほとんど全部といっていいものが、ロンドンその他の市場における金のスペキュレーションの結果、金の輸出をしなければならない。(「なぜスペキュレーションが起こるかということだよ」と呼ぶ者あり)いまそこをお答えしようかと思っておったのですが、金のスペキュレーションは金が値上がりするであろうという期待からきている。これは先般、宮澤長官が本会議で言われましたけれども、金というのは利息を生まない。一つの金属である。それを高利の金で、高利と申しましても市中の金利でございますが、借りて、スペキュレートするというのは非常に高くつく。ポンドみたいなもののスペキュレーションと違いまして、金のスペキュレーションというのは非常に金がかかる、したがって長く続くものではない。けさの新聞を見ますと、ロンドン市場は一挙に平静に復したということでございますが、金のスペキュレーションというのは大体そういう性格を持っておると思います、それが今後再現しないとは申しませんけれども。金のスペキュレーションについて、アメリカの金の流出がかなりあることは事実でございますけれども、それだけをもって非常な不安、どうにもならない状況になると見るのは即断かと存じます。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもあなたの話は少し矛盾しておるんじゃないですか。一つはスペキュレーションが起こる、それは不信があるからだ、こう片一方でおっしゃっておられたけれども、きょうまあ少し安定したような新聞記事が出ておりますから、たいしたことはないであろうということが結論のようですが、この前、宮澤さんがおっしゃったときも同じようなことをおっしゃっておるわけですね。けれども、どだいアメリカの金準備は減る一方でしょう。それはスペキュレーションだ何だということはもちろんありましょうし、これからも減るという見通しだと私は思いますが、あなたはそうは思いませんか。
  40. 柏木雄介

    柏木政府委員 年々の金の生産というのは限度がございます。工業用の金の需要もふえてまいりますし、それから退蔵用の金もふえてきているわけです。一九六六年以来、すべての国う通貨当局の持っている金というものの総量を合わせましても、絶対額が減ってきている。おそらくことしも減ることになるだろうと思います。ですから、今後の国際流動性と申しますか、世界全体の外貨準備の構成を考えた場合に、金の占める割合というのはこれからだんだん減るんじゃないかと思います。金というものを重視する立場から、だんだんほかのものの形に変わっていくという可能性が十分あると思います。これは、先般リオデジャネイロのIMF総会で決議されました特別引き出し権という制度がございますが、こういうようなものが今後漸次発展していって、金というものに置きかわっていくという方向に向かって進んでまいるかと存じます。金だけでやっていこうということでなしに、国際協力のもとに国際通貨体制を維持していこうという方向に進んでまいると存じます。
  41. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日本政府は金に対して非常にこれを重視しないできたというふうな見地、あるいはまた、国際協力の点はあとでお伺いしますが、その前にさっきの続きの、アメリカの金はまだ減るんじゃないか——大体五八年を境にして減ってきた。その一つのあれは、一オンス三十五ドルということが実勢に合わないということが一番大きな原因じゃないですか。そうは思いませんか。
  42. 柏木雄介

    柏木政府委員 金が必ず減るかというお尋ねでございますが、私は、それはそうとは限らないと存じます。これは、金のスペキュレーションがやまれば、退蔵した金が再びロンドン市場に出回ってくるという可能性は十分あると思います。これは、過去においても、一九六一年でしたか六〇年でしたか、キューバの危機に際して、やはりロンドン市場におけるたいへんな金のスペキュレーションがあって、そして非常に多くの金が売られた。そこで金プールというものができたわけでありますが、その後金のスペキュレーションがおさまってくると、先ほど申し上げましたように、金は利息を生まないということから、金を手放して外貨に切りかえる人が出てくるということから、今度は逆に通貨当局が金を買わないと金の値段が下がる、逆に金価格を買いささえているという現象が出てまいる。でありますから、必ずアメリカの金準備が下がるというふうに断定し切れないのじゃないかと思います。
  43. 阿部助哉

    阿部(助)委員 非常にその辺独善的な考えじゃないかと思うのですが、いま一オンス三十五ドルという公定がありますけれども、実際は倍の七十ドルくらいするんじゃないか、こういわれておる。アメリカが金を集める経過をごらんになればわかるわけです。戦後、世界じゅうが物をなくしたという段階で、アメリカはある意味でいえば非常な不等価交換で金を集めた。二百四十億ドルもの金を集めた。しかし、今日は逆に不等価交換で金を取り上げられる情勢になってくるんじゃないですか、切り下げがなかなかできないとすれば。現在半分の価値しかないドルを持っていって価値のある金を取り上げるということになってくれば、アメリカの金準備が減るのは、これは当然であって、よほどアメリカが産金でもやって金を政府がふやすということならいざしらず、そうでない限りは減るというのが常識であって、減らない、さらにふえるかもわからないなんという見方は、いま成り立ちますか。
  44. 柏木雄介

    柏木政府委員 アメリカ国際収支赤字がずっと続くとすれば、やはり金準備というか、アメリカ外貨準備が減る方向にある、それは私は否定いたしません。しかし、必ず減るんだという御質問だとすれば、それはスペキュレーションによって出た金が戻ってくる可能性が十分ある。その面で金準備がふえるという可能性は十分ある。しかし、アメリカがずっと国際収支赤字を続けていくとすれば、それはやはりどこの国でも同じでございますが、外貨準備に圧力が加わってくるということは否定できない。そこでアメリカとして、これから国際収支の改善に非常に努力することにならざるを得ないのじゃないか、さように考えております。
  45. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうもあなたの話はあれしていますが、それならば、つい先般、日本の通産省で何か産金に助成しようとか、日本でも金の生産に少し力を入れなければいかぬというのは、どういう考えなんですか。やはり金というものは大事だということで何とか産金事業に助成しようという考えだろうと思いますが、これに対してあなたのほうは賛成なんですか、反対なんですか。
  46. 柏木雄介

    柏木政府委員 国内産金でありますが、現在十三、四トンくらい産出されております。十三、四トンというと、金額にしますと千四、五百万ドルであります。したがって、金を掘って国際収支をよくしようという観点からすれば、今日輸出が百億ドルになっておるときに、千四、五百万ドルの金をふやすためにいままでやっておる助成をふやすということはほとんど意味をなさないというふうに思います。しからば、外貨準備としての金をふやすという観点から産金の問題を取り上げようというのであれば、これはまた、ドルを金にかえればそれで金は手に入るのでありますから、何も無理をして国内における非常に高いコストの金を掘ってまであれしなければならぬ——しかし、実際問題として日本では産金助成をずっと続けているわけであります。実際にいま輸入を押え、国内価格を非常に高くしております。それは現実には金山の収入を確保するという観点から国内価格を高くしておる、間接に助成をしているわけですが、この制度をいま変えなければならぬ、そういうふうには考えておりません。それは続けたらいいと思いますけれども、それを、この際、金の問題がやかましいから産金助成をふやさなければいかぬというふうな考え方は出てこないかと存じます。
  47. 阿部助哉

    阿部(助)委員 では、ついでに、いま主要な資本主義国——アメリカはわかりますが、 フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、日本の金の保有高をちょっと教えてください。
  48. 柏木雄介

    柏木政府委員 ちょっと古い資料になりますが、本年九月末の数字で申し上げますと、その当時の金保有高は、アメリカが百三十億ドル、イギリスが十七億ドル、西独が四十二億ドル、フランスが五十二億ドル、イタリアが二十四億ドル、カナダが十億ドル、スウェーデンが二億ドル、日本が三億ドルであります。
  49. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日本は三億ドルというのは、これはまずどこにあるのですか。日本銀行の地下にあるのですか。
  50. 柏木雄介

    柏木政府委員 私は現物を見ておりませんけれども、一部は日本にありますし、一部は海外に置いてあります。
  51. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どの程度。
  52. 柏木雄介

    柏木政府委員 私は、ちょっと存じません。
  53. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この前、新聞の報道で、ほんとうかどうか知らぬが、アメリカに三億ドル近いものが保管されておるようなことが出ておるのですが、運賃もかかるのだろうけれども、なぜ日本の金は日本に保管していないのですか。いまあなたは非常に楽観的におっしゃるけれども、アメリカがいま金の防衛にあれだけ一生懸命になって、国際会議を開いたり、何かいろいろと手を打っておるのだけれども、日本の場合には、そういう点では全くノータッチというか、無関心というのか、私はもうすでに手おくれなんだ、こう思うのでありますが、それにしても、何も方策を持たないというふうにしか見られないのですが、日本は金の保有をふやそうという努力はしておるのですか。それとも、これからするのですか、しないのですか。
  54. 柏木雄介

    柏木政府委員 金はこれからはふやすようになるだろうと思います。いままで金が三億ドルしかないというのは、要するに外貨準備が二十億ドルしかない、二十億ドルの外貨の中で、金をふやすよりも、ふやさないほうが有利に使える、対日与信、信用の基礎になり、いろいろな効用があるという観点から金の保有が少なくなっておりますが、私どもとしては、今後の経済運営としては、やはり外貨準備というものをかなり積み増ししていく必要があるのじゃないか、成長政策との関係をうまく調整しながら外貨準備をふやしていく必要がある。外貨準備がふえたときに、そのふえた外貨準備をどういう形で持つか、金で持つか、ドルで持つか、何で持つか、それはそのときの時点において研究しなければならないと思いますが、そういう場合には、ある程度のものはやはり金を買うべきじゃないか、かように考えております。
  55. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それではもう一つお伺いしますが、この全部でなくともいいですが、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、日本という程度でいいですが、外貨準備の中に占める金の保有高をパーセンテージでお聞かせ願いたいのです。
  56. 柏木雄介

    柏木政府委員 先ほど申し上げました金の保有高に対応するパーセンテージでございますが、アメリカが九一%、イギリスが、これは六月末でありますが、六〇%、西独が六二%、フランスが八九%、イタリアが五二%、カナダが五一%、スウェーデンが二三%であります。日本は一九%であります。
  57. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日本がパーセンテージにおいても特別低いのは、一体どういうわけなんですか。
  58. 柏木雄介

    柏木政府委員 これは、先ほど御説明いたしましたように、外貨準備が少ない……。
  59. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、パーセンテージが低いじゃないですか。
  60. 柏木雄介

    柏木政府委員 外貨準備が少ないから、その中においてより多くのものをドルで持ったほうが有利であるし、必要だというふうに考えた次第でございます。
  61. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これはいま考えれば、アメリカがいろいろ金の流出を防ごうということで、もう西ドイツにはドルと金との交換をしないという約束ができたというような新聞報道も見ておるわけでありますが、日本の場合も、持っておるドルと金との交換はしないという約束はしていないのですか。
  62. 柏木雄介

    柏木政府委員 日本が持っておるドルと金に交換しないという約束はいたしておりません。
  63. 阿部助哉

    阿部(助)委員 時間が迫ってきましたので、あとでもう一ぺんお伺いしますけれども、先ほど、IMFの引き出し権、これは大臣も非常に大きな期待を寄せておるようなお話をされましたが、いま国際協力というものが、これは望ましいかもわからぬけれども、それほどうまくいっておるのですか。たとえば引き出し権の問題にしましても、これが発動するのは六九年だと思いますが、はたしてそれが金にもかわる第三の通貨としていくという見通しでおられるわけですか。
  64. 柏木雄介

    柏木政府委員 特別引き出し権の新設というか、これは、これからIMFの理事会において具体的に協定を準備して、それをまた各国がそれぞれの国会において協定を批准する手続をとる、これが全部できるのが早くて来年の春だろうというふうにいわれておりますし、私どももそう思いますが、これが一挙に金にかわるものになるかと言われれば、それはやはり漸進的にそうなるということであって、ある程度年月がたっていくうちに、すべての人々の間においても、そういうものが国際通貨として、全く金と変わらないものだというふうになる。それまでの間は、やはりいろんな意味において、国際協力によって引き出し権をもり立てていくということが必要かと存じます。
  65. 阿部助哉

    阿部(助)委員 どうも観念的、希望的意見だけでは、やはり経済は回っていかないので、希望意見だけでお話しになっても、なかなか国民の不安は解消しないと思うのですよ。今度のポンド危機の場合にも、皆さんがおっしゃるような国際協力という一面、これはやはり否定できないと私は思います。資本主義陣営の国際協力という面は、いままではわりと協調されてきたし、ある程度成果をあげてきたことは認めます。しかし、それにはやはり限界があるので、もしそれがほんとうにうまくいっておるならば、今度のポンド危機の時点において国際協力がもっとうまくできたであろう。しかし、その国際協力には限界があるから、ああいう事態になったのではないかという感じがするわけであります。いろいろな新聞や何かの批評もありますけれども、むしろ早く手を打てないということで、それに期待をしておることによってより大きな危機が爆発するというようなこともいわれておりますし、六九年に引き出し権が発動するという段階に、はたしてEEC諸国が拒否権発動をしないという保証も、これも一つもないわけであります。いろいろな見方からすれば、フランスは、むしろ六九年には、どうせ拒否権を発動してもいいし、六九年までにはポンドはさらに危機になるだろうし、場合によれば金とドルとの再評価をせざるを得ない段階に入るかもわからぬ。そうすれば、いまの段階ではそれを認めておいても、六九年までに、いよいよ発動する段階ではこれを拒否するということも考えておるというような説もあるわけでして、やはり資本主義社会の場合には、協調の一面も考えなければいかぬが、日本大蔵省としては競争という側面も考えないと、何か私たちの感じでは、アメリカのドル防衛というと、もう日本のことは忘れてしもうて、どうせドルと心中するというつもりなのかもわかりませんが、一緒になって、何か日本国民経済よりもむしろドルの立場で協力をし、考えるというような感じしか受けられないわけでして、国際競争という面も、もう少しいまの段階では重視する必要があるのではないかと思うのです。あなたの話を聞いていると、何か協調のいい面ばかりが出てくるようでして、そこに楽観論が出てくるのではないかと思うのですが、どうですか。
  66. 柏木雄介

    柏木政府委員 国際協力というのは、ただ新しい準備資産をつくるとか、あるいは相互に金を貸し合うというだけの問題じゃございませんで、各国とも自分の国際社会における責任を自覚して国際収支を健全に運営するように国内経済の規律を守るということが、最近の中心的な問題になっておるわけでございます。私どもも、日本国際収支が悪くなってくるときに、国際協力に安易に依存して金を借りてくるということじゃなしに、自分の力で自分の国際収支をよくしていく、これが最も必要だと思います。自分の力で自分の経済に規律を持って臨む、これが国際収支をよくする一つのゆえんであり、それがまた、日本の国益にもつながっていく。国際協力に安易にたよるというか、国際協力があるからいいじゃないか、そういう甘い考えでなくて、自分で自分の問題を片づけていくということが必要だと考えます。
  67. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろお伺いしましたけれども、円が強いという一番最初の問題に戻りますと、円が強いのは国際競争力があるんだ、だから、貿易収支はこれから国内の需要を押えていけば改善の道がある。その前提には、やはりいまのドルが安泰であるということが前提になっておると思うのですが、それはどうなんです。
  68. 柏木雄介

    柏木政府委員 ドルの切り下げはないと思っています。
  69. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでドルが安泰だという考え方、それと、ポンドの危機だとかいろんなものを考えると、その場合は国際協力で切り抜けていくという前提があって円が強いのだ、こういう見方になっておるのじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  70. 柏木雄介

    柏木政府委員 先ほど申し上げましたように、国際協力というのは、お互いに金を貸し合うだけの問題ではなくて、各国がそれぞれの国際社会における責任を果たしていく、それぞれの自分の経済の運営について規律を守るということが必要かと思います。アメリカにしても、長年赤字を続けておりますけれども、こういうふうな状態になってくれば、アメリカとしても規律を守って自分の力で自分の国際収支をよくするという努力をすべきだと思います。
  71. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、それは守るべきだと幾ら言ってみましたところで、イギリス経済現実にどうにもならなくなって切り下げをせざるを得なかったし、それの影響は、ポンドの場合にはそれほど大きくないにしても、相当に影響しておるわけですね。さらにこれが再切り下げということになれば、幾ら規律を守るなんて道徳論みたいなことを言ってみたって、経済にはやはり経済の法則があると思うのです。その法則を無視して、道徳論みたいなことを言ってみたって、その国の経済とか世界経済というものは回っていかないんじゃないですか。何かあなたの話を聞いていると、道徳論みたいな形で、非常に希望的な観測で行なわれておりますが、現実日本の場合にも、外貨はだんだん赤字になってきておりますし、それぐらいのお考えならば、ことしの赤字は場合によれば多少やむを得ないにしても、来年はもう赤字を出さない、黒字にするというような見通しが立たなければいかぬのだけれども、いまの段階ではやはり来年も赤字ではないだろうか。またことしも、こんなに大きな赤字を出すなんという前に処置すべきはずだったんじゃないですか。それが現実に五億九千万ドルを上回るだろう。もう年末です。そこで、そういうあれならば、あなたの楽観論やあなたの言い分をお伺いしておると、これだけ大きな赤字を出すなんということがおかしいんだ。なぜこんなことになったのだろうと私不思議でならないのですが、それはどうなんです。
  72. 柏木雄介

    柏木政府委員 先ほど申し上げましたように、自由主義経済のもとにおいては、景気の循環というのはいまのところやむを得ない。やはり山もあり谷もある。それを今年度の場合で申しますれば、設備投資在庫投資の伸びは、思ったよりも非常に大きい。その他の需要ファクターにしても、思ったよりも大きくなった。それが景気の過熱であり、国際収支赤字になってきている。そういうようにならないようにいろいろくふうしたにもかかわらずここまで来ている。そこで、思い切った施策によって国際収支の立て直しに入らなければならない、さように考えております。
  73. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それで、国内の引き締めをやるという場合に、まず一番われわれが心配するのは、労働者の賃金は押えなければいかぬとか、あるいは米価はスライド制をとらなければいかぬとか、食管の赤字をそれによって食いとめなければいかぬとか、あるいは社会保障を削らなければいかぬというような形にこれが入るのではないか。いろいろ皆さんは硬直化の宣伝などをしておりますけれども、一般大衆の家計はそれよりももっと硬直化しておるのですよ。それをさらに切り詰めようというところにいくことを私たちは一番心配をするわけです。資本家のいまのわがままを押えていくのではなしに、租税特別措置法のいろいろな問題を直していくのではなしに、逆に家計の硬直化しておる人たちの賃金をさらに押えていこうというような形にいくことを心配して聞いたわけですが、何か国際的には非常に楽観をしておって、国際的な面での具体的な対策というものは一つも皆さんからは聞き取れないで、もっぱら国内での切り詰めというところに入ってくる。そうすれば、いま申し上げましたように、結局は勤労者に耐乏生活をしいていくというようなところに入るのではないかという心配のほうをしておるわけです。私はいまいろいろお伺いしたけれども、やはり国際情勢に対する見通しが非常に甘いということ、もう一つは、景気の循環だというが、これは資本主義の世界ですから当然あるんです。われわれもそう思います。しかし、それにはある程度の法則性というのもあるので、それを無視して道徳論的なことをおっしゃってみても、それは私たちなかなか合点がいかないわけでして、そういう形での切り詰めをお考えになっておるのではないのですか。
  74. 柏木雄介

    柏木政府委員 国内の引き締めをどういう形でするか、それは私の所掌でございませんから申し上げる資格がございません。しかし、要するに国内の経済成長をある程度押えないと国際収支がもたない。したがって、引き締め政策をこの際遂行していただく必要があるということを言っているわけでございます。
  75. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろお伺いしましたが、どうも具体的な対策というものが私には聞き取れないし、いま皆さんがおっしゃっておるような、円の価値は、いかなる海外の情勢に直面してもいささかも動揺しないなどということにはどうもならないんじゃないか。これは何といってもやはり少し勇み足というか、こういうとき少し強気を言い過ぎたという感じがするのですが、その点はそう思いませんか。
  76. 柏木雄介

    柏木政府委員 そう思いません。
  77. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあそれで乗り切られればこれは幸いでありますが、私はどうもそういうふうには考えられません。  最後に、もう一つ簡単にお伺いしますが、問題が少しあれでありますが、政府は八月に三千億の繰り延べをいたしましたね。あの繰り延べについてお伺いしたいのですが、大体予算は一年、一年で、まあ単年度主義といいますかそういう形できめておるのは、何のためにきめておられるのです。次官にお伺いします。
  78. 倉成正

    倉成政府委員 予算単年度主義は、その年度にきめられた予算をその年度内にできるだけ執行する、そういう意味できめられております。
  79. 阿部助哉

    阿部(助)委員 できるだけという程度のことなんですか。もっと根本的な考え方があるんじゃないですか。私はそう考えるのですが、どうですか。やはり財政の民主化という点は、何といっても国の政治の中では一番大事なことなんで、財政の民主化という観点からこの単年度主義というものをどこでもとっておる、こう思うのですがどうですか。
  80. 倉成正

    倉成政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  81. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、いま臨時国会で補正予算を組んでおりますね。なぜ補正予算のときにこれだけは来年に回すというのを——まあ皆さんのお考えは、三月の末日に繰り越し明許でやれば、与党が多いんだから、それでちょろっとちょろまかして通ってしまえというお考えであるのですか。時間がないから私申し上げますけれども、本来ならば、補正で金を足すときも国会にかけるならば、当然来年に繰り越すものもこの臨時国会にかけて、それで国会審議をするというのが議会尊重であり、財政の民主化という精神に沿うものだ、こう思うのですがどうですか。
  82. 倉成正

    倉成政府委員 御承知のとおり、財政の執行につきましては、大蔵大臣が契約その他について権限を持っております。したがいまして、経済全体の運営とにらみ合わせてその執行をしていくわけでございますが、その大蔵大臣の権限に基づいて、経済が非常に過熱する傾向にありましたので繰り延べ措置をとったわけであります。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 この繰り延べはあくまで予算の繰り延べでございまして、景気が多少様子が変わってくるということになればこれを解除する、その方針をとってきたわけでありますから、現段階においてはひとつ経済の推移を見ていこう、そういう形で今度の補正について御審議をわずらわさなかったわけであります。しかし、御指摘のように、そう言っても、景気がすぐによくなる見込みないじゃないか、それじゃもうこれは来年度に繰り越して繰り越し明許になるのじゃないかと、こういう意味の御質問だと思いますけれども、その全体の推移を見きわめて——この補正の御審議段階においてはその見通しがまだ十分立っていないので、今回は補正については御審議をわずらわさなかった、こういうわけでございます。
  83. 阿部助哉

    阿部(助)委員 こういうお話を聞いておりますと、何かほんとに行き当たりばったりで、そういうような考えならば、年間予算を組むなんということ自体が無理なんじゃないですか。二カ月か三カ月ぐらい先の見通しが立たないならば、そういう予算を組んでいく以外にないんじゃないですか。何かもう皆さんの政府のほうでは、九月五日に閣議決定をしておるわけですよ。九月五日ですよ。それからいま十二月までくれば、ここで国会にかけるということが、財政の民主化という観点から当然のことだと私は思うのですが、九月五日にそれをきめておいて、まだそれがわからないなんということなら、全く計画性のない、行き当たりばったりだということになるが、それとも、一ぺん国会で通った予算というものはもうおれのものだということで、大蔵大臣大蔵省のわがままで、かってにやっていくんだということでお考えになっておるのか。その辺何か、財政法や何かの原則がだんだんくずされていくということに心配があるわけでして、その点はどうなんです。
  84. 倉成正

    倉成政府委員 非常に誤解があるようでございます。やはり経済の総需要の中に財政の占める割合が非常に強い、これは御承知のとおりでございます。したがって、景気が非常に過熱してくるという段階において、やはり当然財政もこれに適応していくという意味において、大蔵大臣が財政法の許す範囲において繰り延べをやっていくということは、これはやはり当然やるべき義務ではないかと私は思うわけであります。しかし、もちろん適当な機会に、ひとつその状況を国会に報告するなり、あるいはなるべく早い時期に国会の御審議をお願いするということは当然でございます。そういう意味で、今度の補正の時期においては、地方財政その他の関係もございますから、まだ確たる見通しがつかないので御審議をわずらわしてない、こういうことでございます。御了承願いたいと思います。
  85. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、私はこれを繰り延べることがいいとか悪いとかということじゃないのです。繰り延べるなら繰り延べるでいいから、やっぱり補正の段階でこれを予算に計上してやるべきで、できることならば繰り越し明許というような形でやるのは最後のぎりぎりで、——仕事が終わらなかったとかというごくわずかのものはやむを得ないけれども、繰り越し明許にするのはできるだけ最後のぎりぎりのものであって、九月の時点で三千億の繰り延べをやるというならば、そのできるだけのものは、この国会の今度の補正のときにそれも補正するのが財政法の精神にのっとっておるのではないか。やることについて反対とかどうということじゃなしに、やるならばやるで、やはりそこに、国会にかける、国会を尊重していく、財政法のそういう精神を生かしていこうという努力をすべきではないかと、こういうことだけなんです。
  86. 倉成正

    倉成政府委員 わかりました。御指摘の精神はよくわかります。御指摘のとおりだと思います。ただ現時点においては、御承知のとおり、三千億の中には財投あるいは地方財政その他ございまして、まだ御審議をわずらわす段階に至っていなかった、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  87. 内田常雄

    内田委員長 関連して広瀬君。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 柏木局長に三点ばかりお伺いしたいのです。  第一点は、ポンド切り下げという事態が、日本国際収支——五億九千万ドルあるいは六億ドルくらいの赤字が出るだろう、こういう予測がされておるわけでありますが、その中でどのくらい、日本国際収支赤字をふやすのに寄与したか、そういうものが数字的にわかっていたら、それをお示しをいただきたい。  それから、ポンド切り下げの当時に、イギリス経済の実勢あるいは国際収支の状況、貿易の状況、そういうようなものからいって、一四・三%というのは低過ぎたんじゃないかというのが当時の全般的な見方であったわけですが、その後イギリス経済は、ほんとにあれだけのことで完全な立ち直りを見せるのかどうか、もう一ぺん近い機会にポンド切り下げという事態がないだろうかということが、一つ不安として残ると思うのであります。最近の諸情勢などを見ましても、格段にその後貿易が急速に伸びてきたとか、タイムラグなどもあって、なかなかそう急速な徴候は出ないんだと申されるかもしれませんけれども、そういう生産が非常に旺盛になったとか、あるいは輸出が非常に促進されたとか、輸入がかなり抑制されたとか、そういうような具体的な指標というようなものがあらわれておりますか。そういうようなことを通じて、もう一ぺんポンド切り下げというような事態はないだろうか、まずこの二つの点をお伺いいたします。
  89. 柏木雄介

    柏木政府委員 ポンド切り下げが日本国際収支に数字的にどういうふうに影響したか、私ども、別にそういう試算をしておりません。ただ感じで申し上げますれば、本年度の赤字のうちで、ポンド切り下げによるものは数千万ドル台の金額ではないか、それほど大きなものではないのではないかと思います。これは要するに、スターリング地域の中でも、イギリスに追随した国はごくわずかでありますし、スターリング地域外では非常に少ない。今回のポンド切り下げというのは比較的狭い範囲でしか影響してないということが一つと、それからもう一つは、ポンドの過大評価を切ったということだけで、イギリスのポンド切り下げの結果、非常に過小評価されるところまで来ているという感じでないという意味で、それが日本輸出に非常に影響するということは少ないんじゃないか。そういうようなことから、国際収支への影響としてはそれほど大きな問題ではない、さように判断いたします。  それから、ポンドが一四・三%で立ち直るかどうかという問題でありますが、一四・三%というのは、ずっと昔からうわさされている一割五分ないし二割といううちの少ないほうできまったような感じがしますけれども、それだけで立ち直るという問題じゃないと思います。平価の切り下げというのは、一時的なる救済というか、一時的に圧力を緩和するだけの作用でございまして、イギリス経済が立ち直るかどうかという問題は、イギリスが今後の財政、金融政策の運用でうまくやれるかどうか、所得政策の運用がうまくいくかどうか、特に問題がありますのは、賃金の上昇、物価の上昇をうまく押え得るかどうかということでございまして、これについてはイギリス政府もいろいろな施策をやっておりますし、IMFから、私たちから見れば非常に強烈な要請を受けておりますので、イギリスとしてここで思い切った政策をとらなければならぬ。それからもう一つは、その間イギリスの立ち直っていく過程においては、国際協力というか、外国から大きな借款が与えられるし、IMFスタンドバイもあるということで、そっちの面の信用を立て直すように努力している次第であります。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これ一点だけで終わりますけれども、先ほどの外貨準備における金保有の比率でございますが、その中でいつも問題になるのは、フランスが大体九割近く金をもって外貨準備を保有している。日本の場合には一九%と、こういう非常に大きな差があるわけであります。しかもフランスだって、これはドゴールの一流の政策的な意図、まあ米英の国際通貨を通じての支配体制というものに対する民族的な反発ということも、これは政策的な配慮としてはあろうと思います。しかし、それにしても経済的な考え方、宮澤長官が答えられたように、金は利子を生みません。特に、日本のような貧弱な外貨準備しかないような国ではドルで持っていたほうが得だ、この理屈は当然わかるわけでありますけれども、九〇%近いものを持っている。日本は一九%、あまりにも違い過ぎる。純経済的な側面で、どうしてフランスはそういうような外貨準備を持ってやっていけるのか、どういう条件の差といいますか、前提の差というようなものがあってそういうような事態というのがあるのか、こういうような点について、局長の御見解を簡単にひとつ。
  91. 柏木雄介

    柏木政府委員 これはフランスに聞かないとわからないと思います。しかし、私は要するにフランス人がなぜ金をこう選好するのかということだろうと思います。これはドゴールが出てきてからの話ではなくて、非常に歴史的なものでございます。第一次大戦後におけるゴールドブロックの結成の問題等から、いわばフランスが金を買うというのは数十年の歴史を持っておるわけであります。これは国として金を持つのみでなく、フランス国民も金貨をため込むということ、ですから何というか一つのフランス人気質というかフランスにおける習性というか、私どもは金選好と申しますけれども、金選好が強いというのは、やはりフランスが第一次大戦以来三度も平価の切り下げをやっている、三度も極端なインフレーションを経験している。それから戦争を通じ何度も占領されているというようなことから、おのずからそういう習性というか金の選好というのが高まってくる。それが中央銀行の政策、政府の政策にも反映して、外貨準備をなるべく多く金で持とうというふうなことになっておるかと思います。
  92. 内田常雄

  93. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 三つ聞きたいのですが、国税庁長官が時間がないそうですから、まず国民金融公庫の問題からお聞きします。  国民金融公庫の問題について単刀直入にお話ししますが、この前の十月十八日の大蔵委員会で水田大蔵大臣とお約束しました。水田大蔵大臣の御答弁は、政府中小企業三機関について、利子が八分八厘で高い。これを開発銀行の年平均利子六分五厘程度、それから輸出入銀行の年平均利子大体四分五厘、これはいろいろ計算があると思いますが、そういう大企業向けに比べて不公平で、中小企業の近代化、物価対策という重要なときに、中小企業向けの利子の高いこと、これをどういうふうに条件をよくするかということについての私の質問に対して、それはやはりこれ以上いろいろと改善するのだったら、資本金の増額をしなければなりません。その点について来年度予算で考慮します、こういうふうにお答えになりました。これは澄田銀行局長もよく御存じだと思いますが、そのとおりですね。そうすると、来年度の予算にあたって政府中小企業三機関に対して、どの程度の考慮が行なわれたか、それをまずお聞きしたいと思います。
  94. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、若干数字を申し上げますと、ただいま中小三機関の金利が八分八厘ということでございましたが、これは基準金利八分二厘でありますので、八分八厘ではございません。それから開銀の平均金利六分五厘というふうにお話がございましたが、これは一応開銀のうちで基幹産業に当たるもの等につきまして六分五厘という特別金利がございますが、開銀の平均金利は八分二厘の基準金利のものと合わせますと、もう少し高い金利になっております。そういうふうな事実をまず申し上げます。  ただいま、この前の委員会におきまして大蔵大臣のお答え申し上げましたところを引かれてのお話でございます。予算の要求等もこれから検討をするわけでございますが、ただ、いまお話がありましたように、これ以上の金利の点につきましては、出資を伴わないとこれが改善できないというような趣旨の点につきましては、政府金融機関の金利自体は、それぞれ政策的目的に応じて、各種の金利の相互のバランスというものも考えまして決定をいたしております。そうしてそういう金利で貸し出すにつきましては、それぞれの金融機関の資金コスト等を見まして、必要な場合にはこれに対して補給をするというような方法によりまして、金利の差を補てんをするということもできるわけであります。現に農林漁業金融公庫あるいは住宅金融公庫その他、こういう方法が広くとられておるわけであります。また、国民金融公庫につきましても、恩給担保貸し付けその他の八分二厘以下の貸し付けの部分等もございますので、こういうような点につきましては、やはり一般会計からの補給というような方法によってこういう貸し付けを行なっておる、こういうわけであります。出資によって資金コストを低くして、これで低利の金融を行なうというような場合もないわけではございませんが、それだけではございません。したがいまして、明年度の予算につきましては、今後検討をする問題でございますが、ただいまの御質問の点につきましては、出資という点については、そういうふうに考えることができるということを申し上げておく次第でございます。
  95. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 ここに計算があるのですが、この問題をやっておると長くなってしまうから、基本的な問題は次の機会に譲りますが、日本開発銀行は資本金二千三百三十九億円で、貸し付け残高に占める割合は一九・八%、平均年利は澄田さんのおっしゃったとおり五分七厘ですね。貸し付けの年数が十八年。日本輸出入銀行は二千百二十八億円の資本金で、資本金の貸し付け残高に占める割合は二九・九%、それから平均年利は四分、それで貸し付け年数は十一年。ところが、いま国民金融公庫はもう全然お金が足りないのです。金融引き締めということをやりますが、そうすると、これはもう一方的に、道徳的なことを幾ら言っても中小企業、弱い面へ全部しわ寄せしてくるのです。毎日新聞その他の二、三日来の新聞をごらんになればわかりますが、年末金融でもって中小企業はひいひい言っている。一−三月はこれは中小企業危機になるだろう、危機が始まったのです。久しぶりに三月危機ということが聞こえている。こういう状況になっているのです。ところが、国民金融公庫は二百億円の資本金で、資本金の貸し付け残高に占める割合は五・八%、けた違い。しかも平均年金利は、国民金融公庫でいいますと、おっしゃるとおり八分二厘、それで平均貸し付け年数は何と一年三カ月ぐらい。つまり、お金が足りないからどんどん回転速度を早くして、それで何とかつじつまを合わさなければならぬということです。日本の付加価値額の四割は中小企業が占めている、輸出の中でも半分占めている。そういう中小企業に対して、中小企業金融公庫、国民金融公庫、みんなこういう状況である。これはとてもひどいというのは水田大蔵大臣が認めたのです。そこで、いろいろなやり方があると思いますが、来年度の予算で考慮しますと大蔵大臣が言ったからには、やはりいろいろなやり方があると思います。いま銀行局長が言われたとおり、出資金の方法もあるし、それから財政投融資からずっとワクを大きくするやり方もあります。そこで、無理なことは私のほうは言わないけれども、大臣の約束したことは、私は徹底的に国会でも追及するつもりです。  しかし現在のところ、こういう問題が起きているのは御存じのところです。これもこの前お話し申し上げましたが、環衛公庫ができまして、そしてその環衛公庫に対して、環衛公庫の適用を受けている営業とほとんど同じ食品衛生法でやっている業種、お魚屋さん——肉屋さんが環衛へ入ってお魚屋さんが入っていないのは不公平じゃないか、あたりまえの話。野菜、お酒屋さん——野菜というのは八百屋。お酒、それからお米、それから食品製造販売、生鮮食料品のいろいろなもの、まだ一ばいあるのです。環営法の適用を受けていない食品営業者というのは、環営法の適用を受けている営業者より多いのです。それでしかも一番切実なんです。しかも環営組合というのは、これはバー、キャバレーが入っている。旅館が入っている。旅館はまあ大衆のあれだけれども、バー、キャバレーが入っているのです。そこで重要なことが起きているのです。この環営法の適用と同じような、われわれもこういう待遇をやってもらいたい。特別の安い利子、特利、それから貸し付け年数を大きくし、いろいろな近代化の、食品衛生の近代化とか、これは物価安定にも通じますが、そういう問題についてワクを拡大してほしいという切実な、当然の、合理的な要求があるのです。  ところがもう一つ重要なことは、それを今度環営法のこの環衛公庫という——これは国民金融公庫が実際の仕事をしているのですが、そこでその方々からいろいろの問題が出ているのです。たとえば環衛公庫法を改正して、ほかの団体を入れろ、これは食品衛生協会のいろいろのあれを入れろという意見が厚生省から出ています。ところが、いろいろこの前説明しましたから簡単にしますが、ここに書いてあるのです。自民党の中野四郎さんが盛んに言っているのです。国民金融公庫法なんというのはけ飛ばしてとは言っていませんが、そういう意思表示をしているのです。それでバー、キャバレーにも対象を拡大していくのだ、それはワクを取っ払っちゃう、大衆に影響のないものは取っ払うんだということを言っている。これはわれわれに関係のない日本料飲社交連合新聞という新聞です。そういうことになりますとたいへんだということで、まじめな魚屋さん、それからお米屋さんその他の業界の方々が相談に来られました。  そこで聞きたいのですが、これは国民金融公庫でやらせるべきではないか、私はそう思います。なぜならば、食品流通について、零細企業のこういうことに長年めんどうを見てきたのは国民金融公庫なんです。その取り扱い件数は非常に大きい。国民金融公庫の総裁にお聞きしたいのですが、大体六割程度かもわかりませんね。それほどいままでやってきたのだから、国民金融公庫というれっきとした政府の機関がいままでやってきた歴史上のあれもあるから、そこでやるべきではないか。これはやはり物価対策からも、それからいま申しました趣旨からいっても、当然行なわれるべきだと思うのです。水田大蔵大臣が言われた、利子を安く全中小企業にずっと適用するというのは、これは本来行なわれるべきです。澄田さんがお書きになっているものでも、最近の日本経済はマネーフローの流れが変わって、今後は中小企業金融がいくようになる、安定成長というものはそういうことだということで書いてある。私はそのとおりだと思う、敬服をいたします。それであるならば、まず手始めに、国民金融公庫中小企業金融公庫の総裁がこの前言われた、切実な要求である資本金増額が、これは当然来年度の予算で行なわれるべきだ。第二番目に、せめていまの環衛並みにしてほしいというこの要求は、当然かなえなければいかぬと思いますが、それについて案がございますか、銀行局長にお願いいたします。
  96. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま仰せのとおり、環境衛生金融公庫ができまして、そして環衛関係の業種についての政府金融機関が設けられ、金融が行なわれる、こういうことになりまして、それと業態の点において類似のようなもの、そういう業種等について今回の予算の要求におきましてもいろいろな考え方が示されております。ただいま御指摘のような、環衛公庫にそういう類似業種についての金融をやるようにというような、そういう考え方もあります。また、生鮮食料品の流通という面からの考え方、その近代化というような考え方が農林省のほうからも出ております。また、通産関係のほうからも流通業の近代化というような考え方で要求も出ておる、こういうようなことで、いろいろな考え方があるわけでございます。当然この問題は、いま御指摘のように、物価面その他においても注目をされている問題でございますので、私どものほうも現在の中小企業金融制度というようなものとの関係を十分考慮いたしまして、今後考えてまいりたい、かように存じております。予算要求に関連しての御質問でございます。また、それぞれ具体的な要求を盛ってのお話でございますので、現在の段階でもってどういうふうな考え方でいくかということを申し上げますのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ申し上げられますことは、現在の中小企業金融の政策金融というものの仕組み、そういうものとの関係を十分考えていきたい、抽象的な言い方で恐縮でございますが、かように考えております。
  97. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 銀行局長のいろいろなつらい立場はわかります。私は、これは大きな問題だと思いますし、金融政策の筋を通すという重大な問題ですから、大蔵政務次官、ひとつこの問題について特にお答えを願いたいのです。というのは、こういう事実があるのです。中野四郎さんが中心になっていると思いますが、自民党の環衛議員連盟の方が集まりまして、どういうお話をしたかわかりませんが、私はいつも尊敬している内田委員長、それから小沢さん、この前政務次官で非常にりっぱな御答弁をなさった、金融の筋を通すというきちっとした答弁をなさった小沢さんがやはりこの議員連盟に入っているのです。そこで、一番心配なのは、正しい筋を通したことを避けて、社労委員会でこの前やったように、たたたっと環衛公庫法を二、三行書きかえますと、そうすると、これは今度国民金融公庫をじゃまにするという、環衛の中の一部の幹部の方のそういう方向へずっと引きずられていくのです。そうすると、この前私がお聞きしましたのは、この点についてはきちっと筋を通しますねということを念を押したときに、澄田さんも通しますとこう言ってたしか答えたですね。だから、いろいろな事情はあるにしても、大蔵政務次官は断固としてものを言えると思いますから、これは国民金融公庫で取り扱うべきであり、早々に作業しなければならぬということを言っていただきたいと思う。たとえば厚生省はいまいばっているでしょう。あの厚生省の環境衛生のほうは、つまり一千一百億のワクがある。その中で八百九十億くらいは環衛で、あとちょっぴり、その同じそれ以上の数のある食品衛生のほうに渡してやろうというようなことを言って盛んに宣伝して歩いて、そうして自分のほうへ運動をやっておるということなんです。これは不届きだと思うのです。そういう点について、大蔵政務次官は、きちっと金融大蔵省、そこできちっと近代化資金や何かのそういう取り扱い国民金融公庫にやらせる、これが至当ではないかということを言っていただきたいと思いますが、どうでしょう。
  98. 倉成正

    倉成政府委員 お答えします。  金融の効率化という面から、従来、現在ありますいろいろな公庫等が非常に業種がふくそうしている、こういう点は私ども感じておるわけであります。ただ、いま各省の要求がいろいろ出てきておりますので、これをどういうふうに調整するかというのはいま検討中でございますので、御指摘の点は十分心してやりたいと思っております。
  99. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この大蔵委員会としては当然なことで、内田委員長以下非常に合理的に考える委員会ですから、それはそのように心得ておやりになるということの意味は、私のほうではきちっと解釈して、大体そういうお約束だというように私はとりますが、どうですか。
  100. 倉成正

    倉成政府委員 お答えします。  あまり詰めてぎすぎす言われますと、やはりまだちょうど検討中の事項でありますから、こうするああすると言うわけにはまいりませんけれども、しかし、御指摘の御精神はよく理解できますので、その程度で御了承いただきたいと思います。
  101. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 了承はできないのです。だから、もっときちっとした返事をしていただきたい。時間がないからもう一回その問題を蒸し返しますが、まず手続の問題についてお聞きします。  国民金融公庫総裁は、一つは、いまの国民金融公庫は非常にたいへんな——新聞にも出ていますが、金詰まりでもって、貸したくてもなかなか金がない。だから、資本金を増額してほしいというお気持ち、前にもずいぶんあったと思うのですが、利子の安い、期間の長いものを貸したい、それについて大蔵省にいろいろ御要望なさったと思いますが、いまの現状について、それから御要望になった諸問題について——御要望なさらなければ、それはやはり総裁としてほんとうに国民のために尽くすということにならぬと思います。  それから第二番目に、この環衛の問題の食品を拡大して、国民金融公庫で取り扱うとすればどういう案があるか。民社党の御意見は、国民金融公庫法を改正するということで、改正要綱をきちっとつくっておられます。われわれも同じです。これは一党の利益とかそういうことを抜きにしてやらなければいかぬ。そうしますと、国民金融公庫法を改正するのがいいのか、または改正しなくても要綱でよいのか。ところが、その国民金融公庫から出しておる「貸出わくの要綱」というのが、私の手元にあるのですが、なかなかおずおずとものを申されておりまして、もう少しはっきりものを言っていただきたいという感じがしますが、この点についてどういうふうにやるか、抱負をお聞きしたいと思います。
  102. 河野通一

    河野説明員 まず第一に、現在来年度予算の問題として私どもが政府にお願いをいたしております概要についてごく簡単に申し上げます。  ただいま広沢委員から御指摘のとおり、いろいろ政府内部には御意見があるようでありますけれども、私どもといたしましては、ぜひ多額の政府出資をお願いしたい。百数十億の政府出資の増加を現在お願いをいたしております。ただ、この点は、広沢委員よくおわかりだと思いますが、誤解のないように申し上げますと、出資をお願いしておることは、融資の資源を充実するということのほかに、われわれが企業体としてりっぱに能率よく運営していくための基礎を築くという意味の、つまりわれわれの資金コストを下げるというための必要性の問題と二つあるわけです。むしろ資金量の問題としてのウエートは出資については私は少ないと考えております。大事なのは後者の問題である。この点は、広沢委員も誤解はございますまいと思いますけれども、念のために申し上げておきます。  それから、いまつけました資金全体を、いまのような情勢から見ますと、われわれのお客さんの資金需要というものは非常に強くなっております。これはもし必要がありましたら、最近の情勢についてまた詳しく御説明いたしますが、ごく抽象的に申し上げまして、この数カ月来特に必要な資金需要の度合いが強まってまいっております。少なくとも、年度内につきましては、私どもは何とかいまの態勢でなけなしの金を全部つぎ込んでも応じてまいりたいと思っておりますが、来年度以降につきましては、こういう情勢に対処するために相当大幅な資金量の投下を私どもはお願いいたしております。この数字もあるいは必要があればあとでまた申し上げますが、あまり時間をとってもいけませんので、相当多額の資金をお願いいたしております。そして、その一部として、さっき申し上げました政府出資をお願いしておるのも資金量の拡充のための一部になっておる、こういう次第でございます。したがいまして、政府はいまいろいろ御検討中でございましょうし、なかなか財政の状況も苦しいということはよく伺っておりますので、結論のほどは私はまだ伺っておりませんけれども、できるだけ私どもの御要望を申し上げておるところに近いところで、私どものお願いを聞いていただきたいということを常時お願いをし、またまた要望いたしておる次第であります。  それから第二点の環衛問題に関連いたしまして、いわゆる五業種ということがいわれておりますが、この問題については、私どもの考え方はいろいろな形ですでに申し上げておりますが、これらはすべていま広沢委員がおっしゃったとおり、私どもで当然やるべき仕事であるし、また私どもはこれに対して人さまに負けないだけの——はなはだ口幅ったいことを申し上げますけれども、人さまに負けないだけの能力を持っておるつもりです。しかも能率よくやる経験も持っております。したがいまして、これはぜひ私どもが私どもの本来の仕事の一環——何も新しい仕事じゃない、私どもの本来の仕事の一環として、ぜひこれは私どもで扱えるようにしていただきたいということを、これも政府にお願いをいたしております。  そのために、法律を改正する必要ありやなしやの問題をいまお話しになりましたが、これはまあ私は法律を直して悪いということは申しません。しかし私は、法律を直さなくてもこれはやれると考えております。やれるのみならず、私は先ほど申し上げましたが、これは本来私どものやる仕事なんですから、法律を直す必要は全然ないので、本来の仕事なんだ、本来の仕事をやるのに法律を直さなければできないようなそんなばかなことを私は申し上げているわけじゃない。ただ、先ほどもちょっとお話がありましたように、金利をある程度下げなければならぬ、これは当然のことだと思います。環衛についてある程度の低利を出しておると同じように、権衡上からいっても、ある程度金利を下げなければならぬ。そのためには法律は必要でありませんけれども、先ほど来申し上げておるように、私どもの資金コストの低下について、十分な配慮がさらにつけ加わって必要になってくるということだけは申し上げられます。  それから、私どもがいろいろ政府その他の方々に御要望いたしておりまする言い方がへっぴり腰だというお話でありますが、それは文章の書き方は、私ども非常に低姿勢で書いておるかもしれませんが、決してへっぴり腰ではありません。読んでいただければよくわかるはずなんで、低姿勢ではあるかもしれぬけれども、へっぴり腰ではありませんので、その点は……。
  103. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 失礼しました。それはあれでしょう。非常に静かな表現で切実な要求があらわれていますが、その中で食品団体の方々が心配をするのは、そうすると約束だけはするけれども、いざとなると財政硬直化だその他だということで実現されなければ、それはもうしょうがない。不満だけれども、それから将来が心細くて、環衛のほうにいばられてしまって困るけれども、何か環衛公庫法を直してしまおうという気持ちになるのですね。だから、やはりきちっとした約束をしなければならぬと思うのです。約束というか、来年度はこういうふうにして発足するんだ、不公平なことがないようにするのだ、一千一百億などというワクなどというのは言いふらしているだけで、ほんとうは大蔵省としてはこう考えているのだということをはっきりお聞きしたいのです。  そこで、やはり来年度にわたって、銀行局長としては、技術的に国民金融公庫法を改正して低利な融資をやるということがいいのか、それともいま総裁がおっしゃったとおりの形でやるのがいいのか、それについては財投のワクはどのくらいかというような問題について、なかなかむずかしいでしょうけれども、大体どういう方法が考えられるという仮定の問題としてもいいから、ひとつお聞きしたいと思います。
  104. 澄田智

    ○澄田政府委員 広沢委員御推察のとおり、現在の段階でどういうふうな形にするとか、そういう点について、はっきり具体的に申し上げるのは、これは予算要求に関連する事項でございますので、私の立場としては何とも申し上げかねるので、ぜひ差し控えさしていただきたい、かように存ずるわけでございます。  まあ、仮定のいろいろな考え方ということになりましても、やはりそれはお聞きになっておられるのも、そこからどういう意図かということを引き出したいというようなこういうお気持ちもあるのではないかと思いますし、どうも仮定もうまく申し上げにくいことでございます。  ただ環衛関係の、現在の環衛公庫で扱っております業種については、これは環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律というようなはっきりした一つの法律によって、その対象とされている業種というようなことでこれは一つ線が引きやすい、こういうことはあると思います。それ以外の業種につきましては、いろいろ御指摘のいわゆる食品五業種というようなものだけでなくて、またそれに類似をする、またそれに近いこういうような業種もありまして、この範囲もなかなか限定しにくい、かようなことがある。そして、これらはいずれも現在、ただいま河野総裁のほうからもそういう話がございましたが、国民金融公庫が対象として現にやっておることでもございます。そこでそういうようなことを考えまして、いろいろの要望もあるわけでございますし、それからまた、それぞれいろいろな立場からの要求でございますので、それをよく検討して、そして慎重に、いま私が申し上げましたような事情を十分考慮して対策を考えたい、こういうふうに考えております。
  105. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 時間がないし、もうそれ以上いまの時点ではなかなかたいへんだと思いますが、何とか来年度の予算にめどをつけなければ、これはさらに曲がった方向にいくおそれがあります。国民金融公庫がやはり十分に大衆の満足したような低利の長期の融資をやれない、やり得ない、行ない得ないことを、一日も早く来年度予算からこれは打破しないと、ますます曲がったいろいろのそういう問題が出てくると思う。環衛公庫の成立というのは、かえってむしろ国民金融公庫がそういうことができなかったという、それに対しての一つの警告であり、そういう意味では非常に促進役を果たしたのではないか、私はそういうふうに前向きに理解していますが、問題は、私が先ほど申し上げた点は、特に次の国会で社労委でもってさあっと通過するおそれがあるから、大蔵省としては、この前、水田大蔵大臣がきちっとお約束になった趣旨からいって、まず当面この問題について取り組んでいただきたい、このように思います。  あと一つは、大蔵省会計制度の問題ですが、大蔵政務次官にお願いします。どん詰まりへいきますと、国立療養所はいままで一般会計で見ていたわけです。国立療養所を一般会計で見ていたという理由は、年とって働けなくなったような結核患者とか、お金が払えないとか、精神病者、そういう人たちは国の税金でめんどう見る。あたりまえの話です、われわれ税金を払っているのはそのためだから。それを特別会計に移して、それで財政節約をはかろうという動きが非常に強くなって、厚生省のこれは所管ですが、これに対して参議院では、藤原道子さんはじめみんな相当質問したのです。そうしたら、障害は何かと言ったら、大蔵省にある。厚生省はどうにもしようがない。自分のほうでは一般会計で計上している。ところが、大蔵省は強引に厚生省を無視して特別会計に入れようとしている。わずかな金です。こういうむごいことで道理の合わないことをやるということは、これはどうしたことだろうということで、いま大騒ぎになっておりますが、大蔵政務次官としてはお聞きになっておりますか。
  106. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  ただいまの問題は、厚生省といま十分協議中の事柄でございます。厚生省は反対であるのに、大蔵省は強引にやらしておるというふうにおっしゃっておりますけれども、そういう状況じゃございません。厚生省と十分相談しながらこの問題は処理していきたい。問題は、おそらく療養所の場合の二割負担の問題、特別会計に移した場合に二割負担をどうするかという問題が焦点じゃなかろうかと思うわけです。そこは広沢委員御承知のとおり、療養所に入っておられる方々が非常に公費患者も多い、自費患者というのは全体の六%くらいだと思います。そういうわけでありますから、現在入っておられる方々に非常に大きな変動を与えるということはやはりいろいろ問題がございますので、そういう点を配慮しつつ厚生省と十分支障のない形で打ち合わしていこうというのが現在の状況でございますので、多少誤解があるようでございますから、その点は補足させていただきたい。  それからもう一つ、ついでに申し上げておきますと、療養所は昔は非常にへんぴなところということで特殊なものであったわけですけれども、現在の医学が非常に発達してきておりますから、そういうへんぴなところでなくてもよろしいということもございまして、できることなら特別会計に移管していったらどうか、こういう考え方でございます。
  107. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 もう一言です。事実を申し上げます。もう時間がないから具体的な問題でお話ししますが、東京とか横浜とか、こういうところにみな集めるといいますが、こっちのほうはどうかというと、こういう状態があるのです。横浜で入院拒否の事実がある。十月中旬、Aさんという人ですが、これは名前をあれしますが、国立浩風園に喀血しまして行ったんです。そうしたら入院を拒否されて、国立横浜療養所へ行って拒否されたのです。自動車で連れて歩かれているうちに死んでしまったという例があるのです。つまり、もう国立療養所は浮き足立っているのです。そうすると、たいへんな生命がこういう形で失われていくのです。ですから、やはり国立療養所、それから精神病、これは一般会計で取り扱うという形でことしはやって、二割引きの問題もやはり大蔵省で解決してやって、十分討議を尽くして、国会でも討議を尽くし、みんなが納得の上でこれはやはりその次の年に移しても、結核療養という制度は、これは日本人の平均寿命がお互いに二十年伸びたのは、やはり健康保険制度とこれのおかげなんですから、その点も十分考えていただいて、早急な結論を下されるようにひとつお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  108. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま非常に不幸な事例をあげられましたけれども、これは特別会計の移行の問題とすぐ結びつけられるのはいかがかと考えております。私は、ただいまの問題は、厚生省と十分御相談して、医師の確保の問題とかいろいろな問題がございますので、そういう問題を総合して、ひとつ十分厚生省と打ち合わせて解決の道を講じたい。しかし、早晩やはり何らかの形で解決しなければならない問題ではなかろうか。国立療養所というのは、沿革的にこういう形態をとってきたというようなことも広沢委員よく御承知のとおりでございますので、御質問の趣旨は十分体していきたいと思っております。
  109. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは最後に、早晩と言いましたが、その早晩が早急になると困るので、晩というのはおくれることですから、したがって十分討議して、早晩解決しなければならないことは事実ですから、それは来年度に回していただきたい、このように要望して終わります。
  110. 内田常雄

    内田委員長 先刻御協議いたしました税制調査会代表委員参考人として出席を求むることにつきましては、本日午後二時より同調査会松隈委員長出席されることになりましたので、御承知をいただきたく、右御報告いたします。  約一時間休憩をいたしまして、午後より再開いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議
  111. 内田常雄

    内田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  なお、税制に関する件について調査のため、税制調査会会代理松隈秀雄君に参考人として出席をいただいております。まず、松隈参考人から当面の税制調査会における審議状況、問題点その他についてお述べいただき、後刻質疑に入りたいと存じます。  松隈参考人には公私とも御多端のところを御出席をいただきまして、委員長から委員会代表してお礼を申し上げておきます。  松隈参考人
  112. 松隈秀雄

    松隈参考人 かねて大蔵委員会より出席を求められておりましたが、税制調査会におきましては、来年度税制改正の問題の作業を詰めております段階でございまして、なかなか適当な時間を持つことができなかったことをまずおわびを申し上げます。その上、税制調査会におきます審議はまだ具体的な形をとるに至っておりませんので、調査会代表して明確なお答えもできないと思いまして、出席の時期について御配慮をお願いしていた次第でもございます。しかし、現段階における審議状況を申し上げるよう特に求められている事情を承りまして、短時間で恐縮でありますが、差し繰り出席いたしましたことを御了承いただきたいと思います。  税制調査会審議経過でございまするが、昭和四十三年度の税制改正につきましては、さきに総会におきまして、臨時小委員会を設けてそこで審議をすることになりました。小委員会は昨日までで六回の審議を終わっております。  まず、所得税につきまして一番多く論議をされました。所得税が重過ぎるから軽減する必要がある。それについては、御承知のとおり、各種控除の引き上げによる方式と、税率、ことに所得三百万円以下程度の税率構造、別なことばで申し上げますと累進度の問題でありますが、それがあまりにも小刻みで急激に上進するからこれを緩和せい、この二つの点が問題になったのでありまするが、本年は、財政硬直化の関係からいたしまして、自然増収は約九千五百億円程度に見積もられるのであるけれども、減税財源に回す余地がきわめて少ない、場合によってはゼロというような話も大蔵省のほうから伺っておりますので、税率構造の改正は見送らざるを得ない。これは長期答申において税率構造もやはり見直す必要がある。そこに欠陥があればこそ少しのベースアップであっても直ちに税率が累進しまして、実質的な増税というような結果になる。もし低所得層に対しまする累進課税の段階がもう少し大刻みであれば、六%や七%のベースアップがありましても、それは限界に近いところにいる人には例外的に上の税率がかかるけれども、大多数の人は上の段階の税率の適用を受ける必要はない。こうなれば、よく近ごろは税制調査会、あるいはそれは政府であるかもしらぬが、何とかの一つ覚えみたいに毎年各種控除を引き上げているじゃないか、こんなことはやらぬで済むようにせい、こういう意見がございまして、それはまさにそのとおりでありますので、そういう方向に行くべきであるということを、四十三年度は無理とすれば、長期答申にはせめてその旨を明らかに書きたいということにいま考えられておるようでございます。  一方、各種控除の引き上げによります課税最低限の引き上げの問題でございますが、これは税制調査会といたしましても昨年の暮れの中間答申において、夫婦子三人の給与所得者の場合、これを一応標準世帯と呼んでおりますが、その場合において八十三万円程度には引き上げたい、こういう答申を出しております。現在の委員の任期は来年の七月まででありますので、中間答申に述べられたことが任期の終わるまでに実現しないようでは、何のための中間答申か、こういうことにもなりますので、現在約七十三万円でありますのを、十万円ほど引き上げまして八十三万円にする、こういう説が多かったのであります。たまたま国会のほうの御議論を伺いますと、四十四年度という見方もありますが、おそくも四十五年度までには、先ほど申し上げた標準世帯の場合に百万円にする、こういう御意見のようであり、政府もそれに大体において同調しておられる、こういうことを承っておりますので、そちらのほうから申しましても、一方において所得税の減税を一年ぐらい休んだら、こういう論があるにしましても、四十五年度に百万円に持っていくというのに、四十三年度に休んでおいて、そしてあとの二年でやるなんといっても、それはあまりにも問題をあとに繰り延べる、こういうことになるおそれがありますので、そちらの方面からいっても、課税最低限の十万円引き上げ程度はもう当然という結論になるであろう、こういう意見が多かったものでありますので、先般所得税の課税最低限の引き上げだけについては大体意見の一致を見たと思いましたので、小委員長試案といたしまして、課税最低限を十万円引き上げるという案を小委員会に提案いたしました。小委員会の中では、これではなお不十分であるという意見がありましたが、最小限度この程度は必要であるということで、大体その線は固まっておるように見受けております。  所得税について課税最低限を十万円程度上げました場合に、地方の住民税の課税最低限をそのままにしておいていいかということは直ちに問題になったわけでございます。国会においてもやはり住民税の課税最低限をある程度引き上げるという附帯決議がなされているように承っておるわけでございます。そこで、自治省のほうから、住民税の課税最低限、現在四十三万円でありますが、これをどの程度に引き上げるかということについて資料の提出を求めまして、各種控除を一万円程度引き上げるというような資料——それによりますと、四十三年度の減収額が三百十億円くらいございます。そのほかに四十二年度に国税の所得税において給与所得控除を拡大いたしました、そのはね返りが四十三年度に出ますので、それが三百十億円、合わせて六百二十億円ぐらいの財源が要るということになっております。御承知のとおり、国税の減税の場合にはさいふが一つでありますから、課税最低限を十万円引き上げることによって約一千億円の減税財源を要するのであります。それをどうするかということは、地方税のように三千数百の団体があり、その中には赤字財政の団体があるという場合に比較しますと、問題は、地方税は非常にむずかしい場面に到達するわけでございます。この住民税の課税最低限引き上げ及び給与所得控除改正のはね返りに当たるものをどうまかなうかという問題は、まだ最終的に詰めてございませんが、所得税の課税最低限引き上げと同様、もしくはそれ以上に住民税の課税最低限についてはこれを引き上げる必要があるという論はかなり強くなっておりますが、まだ所得税以外については小委員長試案をこれから出そうとしているわけでございますので、その辺最終的にどう固めますか、そこに問題があるということを申し上げます。  次に、いま申し上げましたように、国税の所得税の課税最低限の引き上げで約千億円要るのでありますが、大蔵省税制調査会での説明によりますと、来年は財源が非常に窮屈であるから、千億円所得税を減税するのであれば、他の方面に増収の余地のある税目をさがしてそれの増税によって、できれば千億円をカバーしてほしい、こういうような説明がございました。委員会委員の間には、所得税の減税千億円は最低の減税である、一方において理屈がついて間接税を増徴できるという見通しが立てば、それはそれで提案するけれども、所得税を減税するためにと申しますか、それに直結して間接税を上げるという考え方には賛成できない、こういうような意見がございます。そういうことで、間接税の増徴はなかなか議論が多いのであります。そういうことで、資料の検討だけをいまいたしておる段階でございます。それは新聞にも出ておりますとおり、たばこの価格の引き上げ、酒税の引き上げ、物品税の引き上げ、それらの資料を検討いたしておりますが、これについては意見がかなり分かれておりますので、これの取りまとめが今後の税制調査会委員会仕事だ、かように存じておる次第でございます。  簡単ではありますが、経過を以上申し上げます。
  113. 内田常雄

    内田委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。只松祐治君。
  114. 只松祐治

    ○只松委員 質疑に入る前に、さきほど来本委員会において、わが党、民社党、公明党等が申し上げた意見について若干申し上げたいと思います。  野党の一致した強い要請で松隈さんお見えになりましたけれども、こうやってお見えになれば来れるわけですけれども、そういう態度を表明するまでお見えにならなかった。これはやはり税調の基本的な態度に関連する問題ではないか。悪く言えば、大蔵省という強い権力機構の隠れみのに隠れて国会を軽視しておる。国会に出てこないで自分のほうできめてしまって、これを政府に出して法案化をしてしまう。すれば、ひとつ国会でかってに論議をしろ、こういう形で事前に国民代表者である国会の意見を聞こうともしない。こういうことはたいへんに不遜な態度であるし、遺憾なことだ。今後こういう態度で、何か税調だけでものごとをきめる、あるいは税調だけが最高の調査機関なり、またある意味では立法機関、こういうふうな錯覚さえも——そこまでお持ちになっているとは思いませんけれども、持たれて、国会には出てこない、こういうことであっては、これはたいへんなことになるだろうと思う。ひとつこういう点につきまして、会長代理としての松隈さんのお考えを開きたい。
  115. 松隈秀雄

    松隈参考人 先ほども申し上げましたように、四十三年度の税制改正はかつてない審議の困難を感じており、どこにはたして結論が落ちつくかわからないという状態でありますので、出てまいればある程度の御質問に対するお答えも申し上げねばならぬ、こういう負担を感じておりましたために、もう少し固まったところまで待っていただきたい、こういうふうに考えて時期が延びましたことをおわび申し上げます。国会を軽視するというような考えはございません。  なお、税調は独走するかのごとく見えますけれども、実はほとんどあらゆる方面から税制改正の陳情書が出ておりますので、その問題をさばいていくのにも相当の時間がかかるのでありまして、そういう納税者と申しますか、国民の要望にできるだけ忠実に沿おうという考えは各委員が持っております。その上なお、国会等で諸先生の御意見があればなおプラスであったかもしれませんが、先ほど申し上げましたような事情でおくれたことをお許しを願いたいと思う次第でございます。
  116. 只松祐治

    ○只松委員 それは言いわけといいますか、理由はいろいろあるだろうと思います。しかし、ここにも新聞所得税減税に対する松隈試案というようなものが——いまも試案という形で出しておるというお話がありましたが、そういうものが幾つか、あるいはその内容等について新聞やその他報道機関に報ぜられておるわけですね。一般のマスコミにはそれだけ大きく報ぜられておる。しかし、国民代表を送って審議する国会においてはそういうことは知らぬ。それできたんじゃものが言えない。こういうことであっては相ならぬ思う。うちの部長の堀君なんかが今朝来申しましたことは、じゃ以後、国会に法案を提出するなりはかる前に、いかなることがあってもそういう試案なりそういうもの一切外部に漏らさないか、それならば事前に来なくてもよろしい、 こういう話さえあったわけであります。私たちが外に出ておりましても、今度所得税は幾らになるのだろう、物品税はどうなるのだろう、こういうことを聞かれましても、それこそ、おおそれながら税調の内々の御意向を漏れ承る、あるいは松隈試案なるものは御拝聴をいたす、こういうこと以外に……。結局国会においてさだかに、直接こうやってきょうお見えになり、若干お伺いすれば、正確な意味において国民にお伝えすることができる。しかし、そうでなければ、きょうお見えにならなければ、おそらく二十二日もお見えにならないでしょうし、そうすると今年内はだめだ。来春も国会は自然休会に入っておりますから、結局法案が固まってしまって出てきたあとに国会で、さっき言いましたようにかってに審議をしろ、ことばはどうであれ、結果的にはそういうことになるわけです。そういうことで私たち野党が強い態度に出たわけです。  貴重な時間で、質問が、そういうことになるとできませんから私はこれ以上申し上げませんけれども、ぜひそういう態度を改めて、一般に発表するなりそういうことをするならば、前に、詳細に報告できない場合もあると思います、あるいは全体が報告できない、一部しか報告できないとか、いろいろあると思いますけれども、できるだけひとつ出てきていただいて、御説明なり報告をしていただきたい、こういうふうに思います。よろしゅうございますか、今後の問題として。
  117. 松隈秀雄

    松隈参考人 御希望を十分に伺いましたので、今後は大蔵委員会なりあるいは政府等からの御連絡によって善処いたしたいと思います。
  118. 只松祐治

    ○只松委員 そこで、まずお伺いいたしますが、いま所得税についての大要の御説明がありました。松隈試案なるものは八十三万三千二百二十五円、明年度課税最低限にする。これも私は言っておりますように、本来の人口統計による日本の国勢調査は、これは五人家族ではなくて、いま家族単位が小さくなっていて四人、しかしなかなか国税庁は改めようとしないわけですけれども、五人家族ということの試案でなっておるようでございます。これは政府当局はおそくとも四十五年という。おそくともということなのですが、私たちは四十四年度、明後年度というふうに解釈しておるわけですけれども、とにかく百万円を目標に課税最低限を引き上げる。こういうことから見るならば、四十五年までには何とか達しそうですが、四十四年にはなかなか達しない、ほど遠いものだと思います。あるいは御説明にもありましたように、累進度というのを加味しないことには、単に課税最低限のみの引き上げによって——これはきょうは時間がありませんし、論議する場所でありませんからいたしませんけれども、他の新規課税の問題あるいは物価の上昇、そういうものを見合いましたときには、実は決して減税ということには相ならないだろう。私たちはこのように考えるわけです。で、もっと大幅のものを私たちは要求する。その中身としての累進率を引き下げるということ。それから昨年度わが党が強く主張して大蔵大臣も答弁になりました一般的な減税だけではなくて、独身者を優先的に明年度は——いろいろな生活実態というものを見た場合に、いわゆる家族の構成単位としてのものだけではなくて、アパート生活なり、そういう者がずっと多くなってきているわけです。そういう中で独身者の課税最低限を大幅に引き上げる、こういう答弁なり約束があったわけです。こういうことについてはほとんど考慮がいまの話からは出てきませんが、払われておればあれですが、そういう点について、所得税についてもう少し突っ込んだお話をいただきたいと思います。
  119. 松隈秀雄

    松隈参考人 所得税の課税最低限を約十万円引き上げて、初年度において約千億円の減税をいたしますが、税制調査会大蔵省のほうの説明を求めた際に、物価値上がりの調整部分が計算できないかという委員からの要求がありました。大蔵省の説明によりますと、三百億から四百億くらいの間がそれに該当するのではないか、それ以上は幾分でも所得者に残るような減税である、こういうような説明を伺っておるわけでございます。  それから、ただいまお話がありました独身者について課税最低限を大幅に引き上げるべきである、こういう御意見は税制調査会においても相当重視いたしておりまして、各種控除の引き上げの場合に、基礎控除を一万円上げる、それから配偶者控除は二万円上げるというようなことをいたしましたが、今回給与所得控除を相当引き上げております。それで独身者で課税になるというのは、やはり独身者で事業を経営している者よりは、新高卒等でサラリーをもらっているという人に多いのでありまして、一方また、給与所得者が所得税の納税上、他の所得者よりは割り損している、こういう意見も相当強い関係もございまして、今度は給与所得に対する控除の引き上げを相当大幅にいたしておりますので、それがあわせて独身者の課税最低限を引き上げるという方面にも役立っておるかと、かように存ずる次第でございます。
  120. 只松祐治

    ○只松委員 それから、四十五年度を目標に百万円、四十四年度を目標に百万円、どっちを大体目標に今回の八十三万円というのをおきめになったのですか。
  121. 松隈秀雄

    松隈参考人 財源が十分でありますれば、できるだけ四十四年度に標準世帯について百万円ということが望ましいということは申し上げるまでもないのでありまするが、本年度の財源が非常に苦しいという中でも、先ほど申し上げましたように、十万円引き上げるということは、税制調査会委員が近い将来に八十三万円までに引き上げる、こういう答申をしておるので、この答申を実現せずに任期切れによって次の委員に引き継ぐということは責任を果たしておるかどうか疑問であるから、せめてまずそれが先である。そして将来、百万円を四十四年度に実施すべきか、四十五年度まで待たざるを得ないかということは、長期答申にそのことを書いて、七月に任期が終わる際に、次の委員に真剣に検討してもらおう、こういうことにならざるを得ない、こう見通しております。
  122. 只松祐治

    ○只松委員 住民税は先ほどのお話でアウトラインができたわけですが、具体的には附帯決議にありますように、十万円引き上げる、こういう線でございますか。
  123. 松隈秀雄

    松隈参考人 まだ住民税をはっきり十万円というふうには、それは所得税の課税最低限引き上げのように、はっきりきまっておりません。それは最後に、地方の住民税の課税最低限引き上げによる地方団体の減収についてどう扱うかという問題と関連しておりまして、国の場合においても、もちろん減税財源ということは問題でありますが、地方団体の場合には、それ以上地方団体の地方交付税の税率の三二%がいいか悪いかというような問題、それから地方団体において道路財源のために新税を設けるかどうかというような問題、そういうことともからみ合わせつつ、最終的な答申をまとめたい、こう思っておりますので、いまはっきりそこまではやるというふうには言いかねるわけであります。
  124. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんので、私も問題点だけ御質問いたしますから、そういう形でお答えをいただければけっこうです。目安を大体そういうところに置いて作業をお進めになっておるかどうか、そういうことをお聞きしたい。
  125. 松隈秀雄

    松隈参考人 それが望ましいということは、委員の大多数の意見でございます。最後に財源調整をどう書くかという、その書き方いかんによっては、またもとへ戻る可能性がないとは言えないというふうに御了解願いたいと思います。
  126. 只松祐治

    ○只松委員 所得税はなかなかそういうふうで、住民税もそれほど思い切って、税率はもちろん、課税最低限の引き上げもなさいませんが、一方明年度租税特別措置が、所得、法人関係で十二、登録税関係で五つ、あるいは物品税の期限到来等が十品目、本年度二千四百十九億円、地方税を合わせますと、約三千六百億ぐらいの祖税特別措置が行なわれておるわけですね。当然に私たちはこれを廃止すべきである、こういうことを常に要求してきております。財政硬直化とかいろいろなことを——私は時間がありませんから論議はいたしませんが、こういう過程においては当然にこういうものは私は廃止すべきだと思うのです。そういう点についてどうお考えになるか。ついでながら、そのときに社社会保険診療関係の問題、あるいは早場米予約減税、こういう問題についても触れられて、これは考慮するとか廃止したいという話があります。そういう面だけ廃止して、ほかのものは続行する、まさかそういうお考えはないと思いますが、ひとつ租税特別措置についての現在の状況をお聞かせいただきたい。
  127. 松隈秀雄

    松隈参考人 租税特別措置につきましては、税制調査会でかねてから基本線を打ち出しておりまして、租税特別措置は、その政策的効果が真に租税の軽減によって達せられるというものについてのみ認むべきである。したがって、経済政策的な効果の疑わしいものについては、期限の到来によって当然廃止の方向に向かうべきである。中には期限がこないにしても、再検討すべきであるという考え方をとっております。ことに、今回のように財源が不足しておる、こういうような場合には、一そうその線を強く貫くべきである。こういう意見が多いのであります。それでかなりな項目について洗いがえが行なわれると思うのであります。そういう場合に、税制調査会がかねてから非常に不合理ではないかといっているものが、いまだに実現を見ないで、それよりやや程度の低いものを提案しておるのでは順序を誤っておるのではないか、もうすでに答申してあって実行されないのは、それは政府責任か、あるいは国会責任か、それはわからないのですけれども、まずここで、現に存するもので程度があやしいというものを整理するならば、もう前々から当然的に廃止か廃止さるべきであるといっているものについてさらに意思表示をしたらよかろう、こういう委員の意見が多かったので、ただいまお話のありました医師の保険診療の特別な経費率のきめ方、あるいは早場米予約減税の問題が取り上げられました。これらにつきましては、即時廃止が望ましいのでありますが、医師の社会診療保険の経費の特別率の設定のごときものは無期限になっておりますから、無期限のものを一挙に切ることがむずかしいならは、一年なら一年という期限をつけることにして、その一年間に医師の社会診療保険の実態調査をして、適正な経費率を見出すというふうな措置をとってほしい、こういうようなことに答申がまとまると思うのであります。それならば、租税特別措置の洗いがえによって、いまどれくらいの減税財源と申しますか、そういうものが得られるかということは、せっかく詰めの最中でありまして、いますぐに的確に、このくらい減税によって財源が得られるということは申し上げかねる次第でございます。
  128. 只松祐治

    ○只松委員 そういう医師とか早場米とか、大衆に直接最も多く関係のある租税特別措置、こういう問題だけを取り上げて洗うのではなくて、むしろ私たちからいうと、大資本あるいは独占資本に関連のある、そういう面接国民に利害関係の薄い問題から先に租税特別措置は洗い直したり手をつけるべきであって、そういうことに対しては、ひとつもっと勇気を持っておやりいただきたいと思います。時間がありませんから討論はやめます。  次に、間接税についてお尋ねいたしますけれども、これは直接税がいいか間接税がいいか、論議が分かれてまいりますが、間接税は、取り方によっては、課税のしかたによってはきわめて逆進性の強い、こういうものになってまいります。今回、まあ本年度はあれですけれども、取引高税とか物品税、そういうものを新規設定したい、こういう意向もあるやに聞いております。あるいは、現在でもビールはすでに五〇%をこして、世界的には非常に高い酒税、それをさらに一〇%くらい引き上げるというふうな話、あるいはたばこにいたしましても、これは財政の問題であってもたばこは税制の問題ではない。ところが、税調においてたばこの引き上げというようなことが論議されておるやに聞いておりますけれども、こういうのは単に課税の問題だけではなくて、私はある意味では越権行為といいますか、場所の違った論議がそこで行なわれているのではないか、こういうふうにさえわれわれは思うわけでございます。そういう間接税の問題について、進捗状況その他お答えをいただきたい。
  129. 松隈秀雄

    松隈参考人 取引高税につきましては、四十三年度にこの問題を提案するという考えはございません。取引高税を設けることにつきましては、売り上げ税形式がいいのか、付加価値税形式がいいのか、それとも日本経済構造上そういうことが大企業と中小企業の格差を拡大するとか、いろいろな問題がありますので、これはやはり長期答申において今後も引き続いて検討をして、できれば早い機会に結論を得るようにすべきだ、こういうような書き方になるのではないかと思います。  それから間接税を議論する際に、たばこの値上げを税制調査会で問題にするのは筋違いではないかという御意見でございますが、これはまあ見方によるのでございますが、たとえば外国と日本の場合の租税負担を比較する場合に、外国ではたばこ消費税というものを設けておるから、それが税負担に入っておる。日本もたばこによりまして政府は小売り価格の五七%前後のものを政府の収入におめさておるのですが、これを除くというと税負担感が外国との比較において正確に出てこない。それから、直接税と間接税の比率、これも、国内でも問題でありますが、外国と比較する場合に、日本の場合にはたばこは税でないからといって落としてしまいますと、外国では、専売の国もありますけれども、消費税の制度をとっておる国がありますから、そこで間接税負担としてのってまいりますので、大蔵省国会に配られておる資料にもございますと思いますが、便宜、たばこ専売益金、たばこ消費税のようなものはもちろんですが、たばこ専売益金を間接税と見て比較をしておる、こういうような関係がございますので、酒の税を議論する場合には、同じような嗜好品であるたばこについても一応議論が出るわけであります。しかし、制度が片方は専売であるから、税制調査会税制としてでなくて、別個で希望意見といいますか、所見を述べる、こういうようなやり方をしておると、こういうわけでございます。
  130. 只松祐治

    ○只松委員 なかなか苦しい答弁のようですが、たばこの問題にしても計算上お使いになることは、これは当然だと思いますが、そこに答申するのが、そういうことがいいか悪いか、ここにやはり問題が出てくるだろうと思います。まあそれはそれといたしまして、巷間伝えられるように、大幅な引き上げというものを予測した答申案が出る、こういうことでございますか。
  131. 松隈秀雄

    松隈参考人 それは、来年度の減税として、所得税減税によって一億円程度の財源を要する。大蔵省側の希望としては、できるだけそれに近いものを他の税、それは広く専売までを含んででありまするが、税の増徴によって補てんしてもらいたい、こういう意向はございますけれども、税制調査会委員は、所得税を減税するために必要であるからそれと同額の間接税を増徴し、収支とんとんで実質減税ゼロというような案はわれわれとしては出したくない、こういうことでございます。それならば、間接税については全部この際見送り論者のみであるかといいますと、間接税についても理論的にくずれている、つまり調整を要するという面があるならば、それはそれで上げて、その結果が減税財源にかわったと見るか、あるいはそれだけその歳出が削られたと見るか、あるいは国債が減らされたと見るか、それはそれの見方自体、あくまでも所得税千億減税のために要るんだからそれでこれだけ間接税で上げたのだ、こういう見方はしたくない、こういう意見のほうが大多数でございます。  それで、それならばその調整的な意味からいって、間接税について何が考慮されるかといえば、まず従量税であります酒の税金が、消費者価格の変動によって負担率が下がっているから、意図せざる減税が行なわれているなら、それをもとへ戻すくらいはいいではないかという論が出るわけです。そうすると、先ほど来たばこは税ではないとおっしゃるけれども、見方によれば一種の間接税で、たばこの小売り価格が据え置きという、そちらについてもやはり見直してほしい、こういう意向を明らかにしつつ、酒の従量税からくる負担不均衡を直すべきである、こういう論が強いわけなんです。
  132. 只松祐治

    ○只松委員 初めのほうはなかなか出だしがよかったのですが、あとは何を言っているのかわからなくなった。だから、私は、そう論議の時間がありませんから、あなたが三、四十分しかおいでになれないということですから、巷間伝えられるように相当大悟な、たばこを含んだ間接税の引き上げというものを答申される予定ですかどうですか、このことを聞いておる。
  133. 松隈秀雄

    松隈参考人 委員の意見が各人によりまして分かれております。したがいまして、どの程度が小委員会の意見の最大公約数であろうかというのをいま私が検討中でございます。したがって、審議を進めるためには、小委員長試案のようなものを一応出さぬといつまでも抽象論をやっておりますから、小委員長試案は出しますけれども、所得税の場合のような小委員長試案という自信は持てないので、これはたたき台です。ですから、同じ試案といっても程度の差があって、仮案というほうが正しいかもしらぬ。そういうものを出さぬと、いつまでも同じで、ただ心の中で自分は二割くらい引き上げてもいいと思っている、自分は一割以上は賛成できないのだ、こういうままでは審議が進まないので、たたき台のようなものを近く出そうと思っておりますが、できるだけいままでの議論を集約したところで、私なりに最大公約数と思われるようなものをまとめたい、かように考えます。
  134. 只松祐治

    ○只松委員 その内容をちょっと言ってください。
  135. 松隈秀雄

    松隈参考人 やはりたばこについての価格引き上げ論が一番強い、順を言いますと。その次が酒だ、その次か物品税——物品税の場合もその期限が付してありまして、そして来年中に期限の到来するものはもとに戻す、これが一番強い。そのついでに三Cとか、あるいはそれとの関連でもっと奢侈的なものとかというものに及ぶかどうか、こうなりますと、そこには相当の反対論がございますので、どの案でたたき台にしてもらうかということをいま苦慮しているところであります。
  136. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんから、どうも不十分な答弁ですが、最後の一問をお伺いします。  そのほかに新規税の創設というものを何かお考えになっておるかどうかということが一つ。それから法人税は聞く時間がございませんが、利潤税を多少前から考慮されているし、わが党もそれを主張してまいっておるわけでありますが、その導入をどういうふうにお考えになっているか。あるいは、日本のように中小零細企業者の非常に多いところでは、もっと中小企業、零細企業に対する課税の引き下げ、大と中小との格差をつけるべきだ、こういうことを私たちは主張してきておりますが、そういう点について、今回何か考慮が払われておるかどうか、お伺いいたします。
  137. 松隈秀雄

    松隈参考人 法人税につきましては、利潤税構想について積極的に取り組むべきである、こういう中間報告が出ておりますが、これをどの形で取り入れるかということについては、広く世論を聞いてみる必要があるので、先般仮の案というものを出しまして、しかもその際審議すべき主要問題点というものもつけ加えて発表したばかりでございます。まだその世論の反響を十分伺っておりませんので、四十三年度に法人税の基本的な改正に手を触れることはできません。次の委員に引き継ぐために、長期答申を来年の夏にまとめますが、そのときに世論も聞いた上、どの程度具体化したものを書いて次に任命される委員に引き継ぐか、こういうことが目下の経過ではないかと思っております。  それから次に、新税として何か創設するものがあるかというお話でございますが、一応いま自治省のほうから提案されておりまするものとして、自動車取得税というものがございます。これは現在、法定外の普通税としまして徳島県と京都府との二カ所で行なわれているかと思うのでございますが、それを法定の目的税にしたら、こういう意見がございますが、そのよって来たるところは、最初は、道路目的財源が不足しておる、ことに市町村の道路については、指定市を除いては目的財源の配賦が全然ない。それでは、市町村の道路の改良普及ということがだんだんに重点になってきておるのに、あまりにも不公平であるからということで、ガソリン税の一部を回す、あるいは軽油引取税を回す、こういうことも考えられるのでありますが、国のほうもなかなか財源が回しにくい。それから府県にあるものを市町村に回すということもなかなか言うべくして行なわれない。そうすれば燃料課税についての増税をはかるかというのでありますが、これは税率が相当高い、こういうことと、来年度の道路整備新五ヵ年計画というものの内容もわからないから、まず税の引き上げから先にいくべきではない、こういうようなことで、その方面の意見は下火と申しますか、少し薄れてきておりますが、先ほど申し上げましたように、住民税の課税最低限引き上げともからみまして、やはり何らかの財源を地方団体においても考えないと、住民税の引き上げはどうしても避けられないだろう。その場合に、財源が全然なしでは困るからという意味で、最近はそちらのほうにもからめて自動車取得税を新しく府県段階で起こしたらどうかということで、自治省がこれも仮案という形で税制調査会に提案せられたのでありますが、自動車の課税をどうするかということは、物品税についても、三Cの課税を重くせよという意見が一方にあります。それを重くした上に、さらに自動車取得税というような問題を重複してやれるかというと、問題になる。それならば物品税のほうで自動車だけは抜いて、ほかの二つのCには課税して、自動車取得税は府県税として設けるかというような考え方もありますが、これらは立場立場によって意見が分かれておりますので、新税の創設ははたして小委員会でまとまり総会まで提出できるかどうか、いまのところ疑問を持っております。
  138. 只松祐治

    ○只松委員 これで私の質問を一応中断いたします。またあとでほかの問題を質問します。松隈さんに対する質問を終わりますけれども、ぜひ私たちが前国会において討論をしたことも十分御参考にしていただくとともに、特に直接税と間接税の関係において、直接税、所得税その他では若干減税をしたようなふりをして間接税においてこれを穴埋めしていく、こういうことになっては、税調は先ほど松隈さんがおっしゃったようにもの笑いの種になると思います。ぜひそういうことの絶対にないように、物価上昇その他に見合う実質的な減税を行なうよう、ひとつ国民の期待を裏切らない努力をされることを要望いたしまして、私の質問を中断いたします。
  139. 内田常雄

    内田委員長 次は永末英一君。
  140. 永末英一

    ○永末委員 松隈さんに伺いたいのですが、先ほどたばこの問題のときに、あなたは最初、希望意見を申し述べる立場で、あとからはたたき台とか仮案だとか言われたが、一体あなたの税調の小委員会というのは直接税や酒税等の間接税と同じ比重でたばこのことを審議されておるのですか。その辺ちょっと伺いたい。
  141. 松隈秀雄

    松隈参考人 ある意味では同じと申し上げてよろしいと思います。現にいままでの税制調査会の答申、それから現在の委員になってからの昨年の中間答申においても、たばこの価格というものはある時期に見直すべきである。それでないと、同じような嗜好品でありながら、酒のほうは場合によって増税し、減税する。たばこのほうは無関係か、たばこも上げるばかりが能じゃないというか必要に応じては下げてもいい。そういうときに酒とか物品税、揮発油税は議論できるけれども、たばこは議論できないというのでは税体系上、それから先ほど申し上げました外国との比較なんかの場合において不自然ではないか。ですから、直接とは言いませんけれども、言及するという形で、いままでもたばこの価格をある時期に見直す必要があるというようなことは答申してまいっております。
  142. 永末英一

    ○永末委員 税調というのは、ある場合にははなはだ便利な政府の隠れみのになるわけですね。しかし、税調が答申したことを政府は必ずしも一〇〇%行なっていない。こういうことですから、政府の都合のいいときは隠れみの、 つまり税調がやったからこうします、都合の悪いことは政府は独自で研究しておる。一番のいまの問題点は、いま直接税が非常に窮屈になってきたので間接税だ、こういう形でそこに光を当てられるときに、たばこというものが当然事項として、あなたのほうの所管事項として、ほかの間接税と並んだ比重であなたのほうで答申すべき内容が、政府として他の租税と同じような拘束——拘束にはいろいろございますけれども、そうであるのか。そうでなくて、言及すべきものだ、これをはずしたのでは間接税体系というものは税調として全貌を把握できないから言及すべきものだ、だからこれに言及するのだという、いまの御説明でも少し比重が違うのではないか。比重が違うにかかわらず、あなたのほうでたとえば二割程度のたばこの値上げは必要だと言ってしまうと、それは政府というものは便利なもので、税調がそう言ったから値上げします、こうなってくる。悪いのは税調だ、松隈さんだ、こういうことになっては松隈さんがお気の毒だと思います。もう一ぺんそこのところをお尋ねいたします。
  143. 松隈秀雄

    松隈参考人 税調は広い視野から間接税の課税物件を検討いたしております。現に税法で対象といたしております品目以外に新しい課税品目があれば、たとえば一時高級繊維品の課税をしたらどうかということを取り上げたのです。ですから、奢侈品あるいは嗜好品がどのくらいの税負担に当たるものを負担しているかという検討をいたしておる。そうすると、酒とたばこは各国ともに代表的な嗜好品と見、かつ各国ともに代表的な財政物資として見ておりますので、よその国との比較はもちろん、国内での比較の場合におきましてもやはりたばこが消費者価格に対してどのくらいの税負担をしておるかということと、酒が消費者価格に対してどのくらいの税負担になっているかということはある程度つり合いを見てもいいのではなかろうか。そのつり合いを見た結果は、たばこについて言及して酒のほうに言及しないという場合もあり得るのです。反対に、たばこはほうっておいても酒はやはり負担が軽いからそちらを直せという考え方もあると思うので、そういう意味で検討されておりまして、そして直接の税ではないから、これはいつも一番終わりのほうにつけ加えて答申する。昨年も実はたばこ価格については検討すべき時期に来ている、こういう答申は出した。ですから、税調の中にはたばこは上げてもしかたがないという委員の方が相当あったからそういう答申になったのですけれども、昨年は物価に及ぼす影響等で政府がお取り上げにならなかった。これは税調の答申があっても、取り上げない部分があっても実はやむを得ない。ことに直接の税目でないだけに、税調も言うことは言ってあるんだ、こういうふうにしてあきらめると言ってはことばが悪いのですけれども、見送っているというわけであります。
  144. 永末英一

    ○永末委員 来年度の経済見通しについて、経済企画庁長官はきわめてきびしいのだ。しかも、それにもかかわらず物価の値上がり基調というものは全然静まりそうにないのだ。そこで政府としてやり得ることは、公共料金等は来年度においては引き上げないことが望ましいということを国会で言っているわけですね。しかし、いまやたばこは税収、税制の点からのみ考えられて、いまのような公共料金値上げ、一般物価に対する影響というところは、この場所では忘れられておるような気がするわけです。あなたの御説明を伺っても、税制を考える場合に、一方においては財源、それからその税が持っておるところの他の税とのつり合い、たとえば間接税でございますと価格と税率との問題、私はそれでは足らぬのではないかと思う。やはりもう一つは、たばこというようなきわめて広範な大衆が支払わなくてはならないもの、その価格が上がるということは一般物価に対してどういう影響を及ぼすのか、さらにまた、日本国民大衆の生活水準からいって、この際たばこがたとえば二割も上がるなんていうことになってきたら、それは一体どういう現象を引き起こすだろうかという考慮が、もしあなたのほうが意見を述べられるなら当然その中に入ってくべきだと思いますが、そういう考慮はありますか。
  145. 松隈秀雄

    松隈参考人 たばこがただいま専売であります関係上、ある意味で公共料金的な色彩が強い。それからどちらかというと、消費が非常に普遍的であるだけに、物価に及ぼす影響が強いということは認めております。したがって、そういう点は物価問題とのかね合いにおいて慎重検討すべきだという議論も税制調査会でされておる、ただ、こういう問題が税制調査会で出るわけなんです。先ほど来からしきりに申し上げますように、酒とたばこは嗜好品であるとともに、財政物資として有力なにない手だ、こうなるので、両方を比較せざるを得ない立場になっております。  酒のほうは御承知のとおり原料米が上がった、労賃が上がったという場合に、業者が合理化によって負担し切れない場合には消費者に負担してもらっておる。酒は一年置きに価格が上げられているのですよ。ところが、専売のほうはどうでしょうか。葉たばこ代は、酒米が上がると同じような割合で上がっておりますよ。それから労賃もやはりベースアップがありますね。それは専売公社がある面では今度は能率をあげて吸収しておりますけれども、吸収し切れない部面があることは、専売益金が伸びない、横ばいである、場合によってはちょっと減っておる、こういうことでわかる。今度は酒をつくっているメーカーのほうは、われわれは民間企業であって利子税をかけられておる、そして自分たちも企業努力するけれども、物価、コスト商による部分をどうしても自分たちが消化し切れない場合には値上げによって消費者に負担してもらっている。たまたま専売公社は政府の企業であるから、葉たばこが上がろうと、原料代が上がろうと、そんなことはおかまいなしで、益金率の減で済ましておられるなら、私たちの税金も、会社の利益が減ったら酒税の税金を減らしてくれるか、そんなことはないじゃないか、こういう議論を片方からされるものですから、一応そこのつり合いをとらなくちゃいかぬ。こういう議論がされるわけです。  それじゃ今度は税率の比較になってくる。それは酒の平均税率は、いま消費者価格に対して、高いのは五割程度のものから、二割台のものもありますが、平均して三八%くらいになっております。たばこのほうは、もとは六五%くらいでありましたが、最近は五六、七%に落ちておる。したがって、もと六五%程度負担してもらっておったならばやはりそのくらいまで戻ってもらってもいいじゃないかという議論が一つあるのと、それから酒の場合は、皆さん方よく御承知だと思うのですが、日本の酒の税率はどちらかといえば世界でも高いほうです。ところがたばこの負担率は、いま言った六五だってフランスなんかに比べてはむしろ低いのです。それから言えば、なるほどおっしゃるとおりたばこの負担率は相当下がったといえどもなお酒よりも高いじゃないかとおっしゃるけれども、外国においてはたばこの負担率というものはもっと高い。その上さらにつけ加えれば、専売公社は法人税を納めない。事業をやっておるのですから、これまで加味すれば六〇前後のものは高いとは言えない。酒の業界を見てごらんなさい。ちゃんと酒税を平均毎年三八%を納めた上に、もうかれば法人税を払い、個人であれば所得税を払っている。専売公社もそれに当たるものを加味して納めなければならぬということになれば、専売のほうが高いか酒のほうが高いかというのは議論が相当分かれるわけです。  ですから、私はいま一がいにたばこがいかぬとか、酒をどうせいということは……。
  146. 内田常雄

    内田委員長 その辺で……。
  147. 永末英一

    ○永末委員 松隈さんも時間が来たようですが、私はあなたに希望しておきたいのです。専売公社の中身とか酒屋の中身とかあなたは考える必要はない。あなたがきめる税率というものが国民大衆にどういう影響を及ぼすか。しかもその税率が、いま非常におかしな形の経済になっておるその物価にどういう影響を及ぼすか、この二点ぐらいを考えてもらいたい。企業の中身なんかにあなたあまり深入りされますと、泥沼になって税調本来の方向感覚を失うのではないか。  そこでもう一ぺんお聞きしたいのは、そういろいろ議論がございましても、あなたは小委員会委員長として試案の中でたばこについて言及されますか。
  148. 松隈秀雄

    松隈参考人 前段の、税調は税だけ考えればいいと言われるけれども、大蔵大臣の諮問は、最近の財政、経済の実情に即した税制、こういうふうになっておりまして、ある程度こういうことで物価に響きやしないかとか、あるいは企業者としての負担感なんかについて、酒の業者と専売とはどうあるべきかというようなことにも触れつつ議論しないというと、もちはもち屋だからといって税だけで議論していればいいということではちょっと私はまだ議論がございます。しかし、御意見はよくわかりました。  それから、たばこについて試案を出すかどうかということ、非常にむずかしいのですが、二、三日うちにきめますが、いまの状態ならば、ごく軽い案で提案して意見を述べてみようかというくらいのところでございます。
  149. 内田常雄

    内田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  松隈参考人には御多用中のところ差し繰り御出席いただき、かつ長時間にわたって貴重な御意見をお述べいただきましたことまことにありがとうございました。委員長より代表して厚くお礼を申し上げます。      ————◇—————
  150. 内田常雄

    内田委員長 只松君の質疑に戻ります。只松祐治君。
  151. 只松祐治

    ○只松委員 私は、きょうは酒税の問題について詳細にひとつ論議をいたしたいと思っております。準備をしてまいったわけでございますが、先ほどからごらんのような状態で、きょうの予定時刻大体三時、これもすでにこしておる。しかし、これは与党の方々の出席が三十分以上にわたっておくれた原因によるわけでございまして、むしろ私たちの責任ではない。しかし、そういう関係で問題点だけ、ちょっと簡明にお尋ねをいたしたいと思います。本来ならば、いろいろな前提条件をお尋ねした上で本問題に入るわけでございますけれども、時間がございませんからそういう点は御了承をいただきたいと思います。  私が、きょうお尋ねしようとするのは、酒のおけ買いの問題についてであります。国税庁のほうにおいて現在の酒の製造石数、その中に占めるおけ買い、そういうものについて概況をお話ししていただきたいと思います。   〔委員長退席小沢(辰)委員長代理着席
  152. 泉美之松

    ○泉政府委員 清酒の製成数量とそれに対するおけ買いあるいはおけ売りの数量について申し上げますと、昭和四十一年度におきましては、製成数量が百十万千七百六十二キロリットルでありまして、それに対しまして、未納税移出数量は三十五万八百一キロリットルでありまして、その割合は三一・八%になっております。この数字は最近だんだんとおけ売り、おけ買いがふえてまいっているのでありまして、ちょうど五年前の三十六年度で申し上げますと、製成数量が七十六万九千二百二十三キロリットル、それに対しまして未納税移出数量は十万一千七百七十九キロリットルでございまして、製成数量に対する未納税移出数量の割合は一三・二%であったのであります。それではどうしてこういうふうなおけ買いあるいはおけ売り数量がふえてきたかということは、最近清酒の販売競争がだんだん激化いたしてまいりまして、御承知のように、清酒の基準販売価格も三十九年から自由価格に移した。そしてだんだんと企業間格差が出てまいってきておるというわけであります。そのために、自分の銘柄で売れない中小のメーカーはおけ売りをせざるを得ない。反面、自分の銘柄で売れていくというものは、だんだんとマスコミなんかを使いまして宣伝をいたしまして大々的に売り出していく、そういう双方の原因からおけ売りをしたいしまたおけ買いをしたい、こういうことで、そういった数量がだんだんとふえてまいっておるし、またその全製成数量に占める割合も高まってまいっておるのであります。
  153. 只松祐治

    ○只松委員 次に、十大銘柄というわけじゃありませんが、上位十社くらいの自家製造石数、それとおけ買い石数、その中に占める自家製造のパーセンテージ等、ありましたらお知らせいただきたいと思います。
  154. 泉美之松

    ○泉政府委員 お尋ねでございますが、各企業別にそういう数字を公表することはあまり適当でございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  155. 只松祐治

    ○只松委員 皆さん方が発表できないとしても、私はここに持っておるわけです。では、私のほうから申し上げましょうか。
  156. 泉美之松

    ○泉政府委員 数字は各個別に申し上げかねますけれども、お話しのように、最近売れ行きのいい相当大量につくられておる銘柄におきまして、おけ買いの数量が相当たくさんある。中には自分のところで製成した数量よりもおけ買いの数量のほうが多いといったような企業がありますことは、私どもも十分承知いたしております。
  157. 只松祐治

    ○只松委員 私が調べたところでは、上位十大銘柄、たとえば「月桂冠」という酒は自家の製造石数は二六・六九%、三割にも満たないわけです。あとは全部おけ買いである。いま言われましたように、おけ買いにもいろいろあるわけです。時間があれば私はそういうことをこまかく論議したいのですが、きょうは時間がないからしない。岡山の地方に見られますように、下請といいますか、多少系列化をいたしまして、そうして技術指導なりいろいろなことをやっていく。一般産業においてもそういう形はあります。そういうおけ買いと、いま長官がいみじくも言われましたように、中小企業の酒が売れない。北関東方面に見られるような状態、群馬、茨城とかこういうところに見られます。こういうところでは余った酒を大会社に売る。しかもそれは、ただ単に昔のようにおけ買いで買うのではなくて、その工場にレッテルだけ送って、そこでレッテルを張って売り出す、こういうことさえも行なわれておるし、国税庁のほうではそれを認められておるやに私は聞くわけです。それがあるかないか、いまから多少やりますけれども、よしんばないといたしましても、たとえば三割足らずの酒が自分であって、七割はほかのものの酒だというのに、「月桂冠」であるとか「白鷹」「白雪」であるとかいって売るというのは、公取にはあとで聞きますけれども、こういうことがはたしていいものか悪いものか、できるものかできないものか、酒税との関係がありますからたいへん重要な問題でありますけれども、そういう点についてどうですか。特に国税庁において、昔のようにほんとうにおけ買いしてミックスするのではなくて、現地において、そこにラベルを送ってラベルだけ張って、それを「月桂冠」なり「白鷹」なり「白雪」なり何なりといって売ることを認めている、こういうことがあるでしょう。
  158. 泉美之松

    ○泉政府委員 おけ買いをいたしますのは、先ほど申し上げましたような中小企業側の事情と、それからいわゆる大企業側の事情と両方から参っております。したがって、未納税移出あるいは未納税移入を認める場合におきましては、そういう事情を見て未納税移入あるいは未納税移出の承認をいたしておるわけでありますが、いまお話しのように、おけ買いということは、自分の製成したものと他から購入したものとをまぜる、あるいは他から購入したもの同士をまぜる、いろいろなやり方で酒をミックスするわけであります。御承知のように、清酒は、いろんな銘柄のものをミックスすればするほどそのお互いの欠点が消えまして長所が出てまいるというのでありまして、そういう点からいたしますと、できるだけ酒を多くミックスするほうが望ましいわけであります。したがって、私どものほうとしては未納税移入あるいは未納税移出を認めておるわけでありますが、その際に、全然そういう未納税移入をしないで、現地においてレッテルだけ張ってその銘柄として移出するというようなことは、認めておりません。
  159. 只松祐治

    ○只松委員 私は、ほんとうは商標の問題から、銘柄の問題から、ずっとそういう前提条件を討議して、一体銘柄とは何ぞや、そういうことから全部やって、それから最後にこういう問題に入る予定だったのです。そうすると、多少皆さんのほうでも国民のほうでもわかりやすいわけですが、その時間がありませんから、私はいきなりずばりとそういうポイント、問題点だけを聞いているわけです。  私が調べたところでは——どこと言えばあなたのほうからすぐしかるから言いませんけれども、昨年度から原酒を移送しなくてもレッテルを張ることを税務当局が認めている、こういうことがある。これはここでは発表しませんけれども、いよいよ必要となればぼくがそういうことをお教えしますよ、ぼくが質問する場合には、大体いつも調べてきてお尋ねをするわけですから。私が調べた範囲内においては、昨年度からそういうレッテル、ラベルだけを張ることを認めているのです。こういうことが明らかなんですが、ここであくまでないというなら、あるということだけ言い、それ以上は水かけ論議になりますし、ここで公に問題にすればあなたのほうの立場もあろうと思いますから、私はそれ以上言いませんけれども、あるわけです。現に、私が聞いてそういうことを認められた、こういうことです。  とにかく、ミックスしましても、二割から三割程度自分がやっていて、七割以上は他のものといったら、主体というものはなくなっているわけですね。赤インクに水を入れましても、一、二割であれば少し薄くなったということだけれども、七割も水を入れてしまったら赤インクの作用というものはなさない。だから、ものによると思うのですよ。下請やそういういろいろなもの、たとえば工作機械であるとかあるいは時計であるとか、そういうものの部分品を下請や何かから集めてどうするというのと違い、酒の場合は米とそれから水とこうじ米と温度、それが主体になって酒というものはつくられていくのです。そうすると、それがどこの地方からとれた米であるか、どこの水を使っておるか、こうじはどういうものであるか、こういうものが一致しないと、その銘柄というものは出てこないのですね。だから、そういうものに一切関係なく、ラベルをどんどん張って売り出していく、 こういうことがいいことかどうか。何も「月桂冠」にしなければ、あるいは何にしなければ売れないというものではないと思うのです。もっと私は、同じ酒を売るにしても、中小企業の酒倉を育成していく、あるいは国民がもしこんな酒になったらあしたからこの酒はまずいから飲まない、こういうものではないと思うのです。そんなに、こういうふうな過度の集中あるいは過度のおけ買いというものをしなくとも、またこういう状態にしなくとも、酒税というものはそんなに減っていかないと思うのです。そういうことを言い始めますとたいへん長くなりますけれども、こういうふうにおけ買いがどんどんさっきから言うように伸びていく、自家の酒が二、三割しかなくて、あとは他人の酒を買い付けてレッテルを張っている、こういうことをいいとお考えですか。あるいは今後ますますこういう傾向がつのっていく、増大していっておりますが、国税当局ではこういうものを奨励するといいますか、あるいは何らかの形でチェックしたい、こういうふうにお考えですか。
  160. 泉美之松

    ○泉政府委員 おけ売り、おけ買いに関しましてはいろいろ問題があるのでございますが、あまり申し上げますと、時間がなくなりますので、簡単に申し上げますと、確かにおけ買いの数量が多くなって自製酒の数量を越えていくということになりますと、消費者に対しましてもいろいろ問題の出てくるところであります。そこで、私どもといたしましては、そういうおけ買いをする場合、むやみやたらにどこからでも買うというのではなしに、特定のおけ買い先をきめまして、そこと特約を結びまして、そして、そのおけ売りをする業者が製造をする段階からいろいろ技術指導を加えまして、自分のところの酒はどういう酒である、したがっておけ買いと申しますかおけ売りをしてくれるほうの酒屋にはどういう酒をつくってもらい、そしてその両者を混合いたしまして——両者に限りませんが、そういったいろいろなものを混合して、どういう品質の酒にするか、そういったことを十分考えて、おけ売りをしてくれるほうの企業について技術指導まで十分行なっていく、これを私どものほうでは提携おけ売りあるいは提携おけ買いというふうに言っておるのであります。そういうことが望ましいということで、本年からも、この提携おけ売りで二年以上の契約ができておる、そうしてそのおけ売り数量が一定数量以上であるといったような場合には、それを奨励する意味で加配を加える、こういうような措置をとっておるのであります。清酒業界がだんだんと競争が激化してまいっております現状におきましては、私はおけ売りの数量あるいはおけ買いの数量が相当程度に達するということはやむを得ないことであり、したがって、その場合に消費者のほうから、いまお話しのように、自製酒の割合がいかにも少ないではないかということの非難を受けないように、品質の向上、維持ということに十分配慮してもらいたい、こういう気持ちを持っておるのであります。
  161. 只松祐治

    ○只松委員 この状態は、品質の向上や何かをはからないで、宣伝さえすれば売れるということで、現在酒造業者の大きなところは宣伝にこれつとめている、こういうところに一つの根本問題があるのです。通ぶって「大関」は辛口だからうまいなんて——大関は何割ですか、三割三分ですから、六割七分近くもとにかくほかの酒を飲んでいるわけですから、それを通ぶって「大関」の特級は辛口でうまいなんて言っても、それはどこかの甘口であるかもしれぬので、「大関」のレッテルだけを見て飲んでいるのですね。多少似た味にしていればまだいいわけですが、半分以上もほかの酒が入っていれば味が違ってくるわけです。しかも、あなたの言うように系列化してあればいいが、していないのがほとんどですからね。こういうことが公然と許されておるということは、いま多少問題になっているコーヒー牛乳が牛乳であるかどうかという、こういう問題よりももっと重要な問題だと私は思う。  そこで、私は公取のほうにお聞きをいたしますけれども、これは酒の価格は自由価格になっておるわけですが、しかし大体ほとんど価格は変わりません。ここにもほんとうにメスを入れると独禁法の問題が出てくるのじゃないかという気も私はするわけです。きょうはそういう問題に私は触れようとは思いませんが、いま一、二触れましたように、極端なのは自分のものが二六%、他人のものが七〇%以上、そしてこれがミックスされたとしますれば、これはもう他のものになっている。七割はほかのものですから……。あるいはミックスしないで、私が言っているように、おけ買いではなくてそのままラベルを送ってそこから発送することを認めている、こういうことになれば完全に他人の品物です。こういうことさえもしてこの銘柄をもってしておるということは、不当景品類及び不当表示防止法の第四条に明らかに該当する、こういうふうに私は思うわけでございます。私も若干お尋ねをいたしておりましたから、公正取引委員会においてお考えになっておることをお聞かせいただきたい。
  162. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいまのお尋ねは、おけ買いが不当景品類及び不当表示防止法の第四条に違反するかどうかというお尋ねであろうかと思われますので、その点についてお答え申し上げます。  第四条の一項一号に、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」という場合が禁止されている旨をうたっておるわけであります。おけ買いをいたします場合に、やはりそのブランドを持っておりますメーカーといたしましては、少なくともそのブランドについてそれを傷つけないような品質のものということで相当配慮しておるように考えられます。それからまた、清酒につきましては、その主要な成分につきましては税務当局で監督いたしておるものでもございますので、この条項に直ちに違反するというふうには言えないじゃないか、そういうふうに思います。
  163. 只松祐治

    ○只松委員 いま私がちょっとお話ししましたように——国税当局からそういう圧力なり何かお話があるだろうと私は思った。しかし、係官が来て私といろいろお話をしたときには、明らかにこれに抵触するじゃないですか、こういうお話もありました。まあ係官の話は別にいたしまして、とにかく七割がよその酒をミックスする、自分の酒は二、三割だということで、自分のものと宣伝してこれは一向差しつかえないわけですか。ものによりますね。しかし、清酒というようなのは、直接人体にそのことによって害を与えない、それから品質も、違うか違わないか、これは飲んでみなければわかりませんけれども、私はずっと全段階を、商標の問題から、産地の問題から、醸造の過程から全部論議して、それから入る、それでなければあなた方は逃げるから、そういうことで予定しておったのに、時間がないからいきなり本問題に入ってきておるわけですが、七割もよそのものがあるということ、その場合どうです。それからいま一つは、全然ラベルを売ることは許していないということですが、私が調べた範囲では、ラベルのみをそれに張らして売るということを許しておる。その場合はどうです。ないと言えばそれまで、あるということを仮定して、その場合は不当表示になるか。
  164. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 私もすべてのおけ買いについて味を吟味してみておるわけではございませんので、おけ買いのすべての場合が違反することがないと言い切ることはできないと思うわけでございますけれども、少なくとも相当マスコミに乗っているようなブランドにつきましては、そのブランドの信用ということについてメーカーとしては相当な配慮をしているのではないかという一般例を申し上げている次第でございます。  ラベルを持っていって張るという場合があるかないかという点は、私、自分ではその点は確認してないわけでございますけれども、そういう場合におきましても相手の酒がどういう酒かということを吟味なしにラベルを張らせるというようなことは、一般の相当名前の売れたブランドのメーカーとしてはないのではないかというふうに考えます。
  165. 只松祐治

    ○只松委員 あるかないかというよりも、あった場合にはどうかということを聞いておるわけです。
  166. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 ただいま御指摘のような事実があった場合に、ただいまの第四条の一項一号に該当するかどうかという問題でございますけれども、その場合に品質が著しく優良であると一般消費者に誤認させることになるとすると、これの違反になるわけでございます。したがって、どういう場合がそのおけ買いの酒よりも著しく優良であると誤認させることになるかということの判断でございますが、具体的事例に当たってみないと何とも申し上げかねるわけでございます。
  167. 只松祐治

    ○只松委員 具体的な際には調査するかどうか。お聞きしますけれども、たとえば「黄桜」なら「黄桜」という酒を飲む。ところが、「黄桜」でなければ、これが土地でつくられている「白露」という酒だったら飲まない。「黄桜」と思うから「黄桜」で飲むわけですね。ところが、実際上この「黄桜」として売られている酒が普通の地元の「白露」という酒だったということだったら、これは飲まないで、ほかの「白鷹」か何か飲むかしれませんね。それを結局「黄桜」だから、おれは「黄桜」が好きだということで「黄桜」を飲む。こうやって、明らかにその商品によって不当表示といいますか、品物の中が違うにかかわらず、品物だけの宣伝によってそれを飲まされている。現にあなたも、「月桂冠」がうまい酒だと思って飲んでいると、特級ものだと思って飲んでいると、「月桂冠」でなくて、ほんとうの「月桂冠」は三本か四本に一本しかない。あとはほかのものを飲む。たまたまいい酒なら、甘口ならいいけれども、これはところによっては、東北なり何なりで売られている「月桂冠」と岡山なり何なりで売られている「月桂冠」というものは、飲み比べたわけじゃないけれども、味の違う場合もあるだろう、これだけ違うのですから。だから、自分は「黄桜」という酒を飲もうと思っていたのが全然ほかのものだったら、これは飲まない。他のものを飲む。ところが、不当に表示して、それをあたかも他のものより優秀であるかのような宣伝をされたから、つい「黄桜」をふらふらっと飲むわけですね。そういうことはぼくは明らかにこれに当てはまると思うのです。  それから、そういう実態が私が調べた限りにはあるのです。ラベルだけ送ってする。あるということになれば調査をされますか。
  168. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 レッテルだけを送って、それでおけ買いとして扱うかどうかという問題は、これはむしろ税務当局の問題ではないかと思うのでございます。  それから、私どもといたしましては、やはり品質について著しく優良であると誤認させるような事実がございますれば、調査いたすことになると存じます。
  169. 只松祐治

    ○只松委員 だから、私が言っているようにあるわけですから、調査をなされますか、こう言っておる。きょうは時間がありませんから、具体的な例はちょいちょいとしかあげませんが、私があとでお教えしますよ。
  170. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 著しく優良であるという判断を何を基準にして申すかということでございますけれども、二級酒を一級酒だということで入れます場合には、やはりその辺に非常に明確な客観的な基準が出てくると思います。他の一級酒になるべき酒を他の銘柄の一級酒として売るという場合に、そこに著しく優良であるということが直ちに言えるかどうかという場合には、非常に疑問があるのじゃないかというふうに考えます。
  171. 只松祐治

    ○只松委員 時間がないわけですから、そういうこまかい論争をしようと思わないわけでありますけれども、二級を一級にするかどうか、地方のほうで二級のがこっちへ来ると一級になるかどうか、よほど飲み比べてみないとわからないし、あるいは値段もある酒によって——自由価格ですから、さっき言うように、「白露」という酒が六百円としても、何とかいう酒は一級酒が九百円。値段によってもこれは違うわけです。同じで安ければ、「黄桜」と思っている酒が「白露」とかなんとかという酒で同じものだというなら、地酒の安いやつを買う。そうではなくて、これはやはり「黄桜」とか「月桂冠」だとかなんとか思うから、高くても買っているわけですね。こういうものをあなたたちは全然奇異にも感じなければ不当表示とも思わない。一級と特級と違えば云々というような——私は国税庁の人たちがそういうことを言うだろうと思って考えてきたが、公取の人がそんなことを言うとは私は思っていなかった。そんなことは、詐欺という場合の要因には、あなたが言うような論理が展開されるのですよ。著しく異なった場合には物質が異なるから、そこに詐欺が成立する。しかし、商標登録の場合には詐欺とは違うのですよ。不公正な取引を取り締まっていくというのがあなたたちの任務であるわけです。さっき言うように、中小零細企業の酒屋はどんどん売れなくなってきている。埼玉あたりはわりと人口が増加しますから地酒でも売れているわけです。群馬や栃木の北関東あたりの人口が増加しないところは売れないわけです。そうではなくて、宣伝に押されてそこの有名銘柄といわれている、マスコミに乗った酒だけが買われていく。こういうことで、地方零細企業の酒倉というのはどんどん困っていくわけです。そこで、結局税金が取れないから、税務署の収入も減って、地方税務署もある意味では困っておる。だから、地方税務署の人たちは末端に行けば、とにかくそれでなくして、できるだけやはり地酒が売れるようにしてくれ、こう言うのですよ。国税庁全体のお役人としては、どこかで酒税が取れればいいわけですが、しかし、末端に働いている税務署員としては、幾らのワクを取ってこいと、大体ワクを示されますから、そういう意味では地方の税務署の人たちは地酒が売れたほうがいいわけです。こういうことは別問題ですけれども、そういう面から見ても、私はもっと中小企業者なんかを保護せよとまでは言わないけれども、こういうようにいたずらに圧迫していって、こういう酒が全国を全部支配していって、いまのままでいけばおそらく地酒というのはだんだんなくなってきて、こういう大メーカーの宣伝に乗ったものだけが日本の酒の市場を支配していく、こういうことになると思うのです。そういうものを阻止するのが公正取引委員会の任務だと私は思う。だから、いまみたいな三文法律家のような論議を私はしようと思っているのじゃない。そのくらいのことはぼくは知っていますよ。そうではなくて、中小零細企業の過当な競争を起こさせないで、中小零細企業の酒倉やそういうものを守っていく、独占を押えてこういう形のものを守る任務が最低あなたたちにはある。それをしないであなたみたいなことを言っておったのでは、どうにも解決つかないような問題、これはいま言うようにますます顕著な傾向になっている。だから、私の言うような実態があるわけですから、調査をなさいますか。
  172. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 お答えいたします。  内容の実体とそれの表示との間に問題があるかないかという御質問であるといたしますと、そこに全く問題がないと言うことはできないのじゃないかと思われるわけでございます。ただ、現在私どもが施行しております不当景品類及び不当表示防止法に違反するかどうかという点では、ただいまお伺いいたしました範囲内では、この法律に違反するとは私としては思い当たらないというふうに御答弁申し上げているわけでございます。
  173. 只松祐治

    ○只松委員 いや、調査するかしないか聞いている。そういう実態があるから、あれば調査するかと聞いている。
  174. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 具体的に御指摘いただければ調査をいたします。
  175. 只松祐治

    ○只松委員 いずれ、ここではあれでしょうから、さっき言いましたように銘柄の問題その他がありますから、私はいわゆる自家製とおけ買いの実態だけをここに公表しまして、その中身については別な機会にお教えして、ひとつ取り上げていただきたいと思う。  そのほか、私はこの酒税の問題について、特にこのおけ買いが酒税法六条一項、製造現場から出していく移出の問題、あるいは二項の問題、あるいはどうやってそれが検定されているか、四十一条の問題、それからこういうものには逆に非常に強い密造の禁止という事項があるから、そういう罰則、そういうものと照らし合わせてのおけ買いの問題、そういう問題を私は時間があればきょうは一時間以上予定しておりまして、全般的に論議した上でこのおけ買いの問題というものを提起しようと思ったわけです。単にそういうことを皆さん方がおっしゃるなら、逆に密造なり、あるいはそういうので移出するなり何なり、そういうこともものすごく厳重な規制が酒というものにはあるわけです。それで一方、このおけ買いの問題だけにはほとんど規制がないといいますか、自由につうつう行なわれておる。こういう実態というものを論議したいと思ったのですが、きょうは時間がありませんからこれでやめて、また機会があればあらためてやりたい。ただ、実態は追ってお教えしますから、ぜひ公取委は調査をやっていただきたい。よろしゅうございますか。
  176. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 はい。
  177. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 永末君。
  178. 永末英一

    ○永末委員 国税庁長官、ちょっと伺いたいのですが、いまのおけ買い、おけ売りの問題ですが、本年度はおけ売り価格は非常に相場が上がった。過般の委員会税制委員会でもそのことをただしたのでありますけれども、どうもその一つの原因が造石総量の決定関係がありはせぬか、そういう感じがしておりまして、似たような見解をあなたのほうも述べられたと思うのです。  そこで、ことしの造石総量でいって、来年はおけ売り価格は上がらぬという自信がございますか。それだけ答えていただきたい。
  179. 泉美之松

    ○泉政府委員 私どもといたしましては、本年の生産数量、これは希望加配がどの程度出てくるか、まだ明確でございませんけれども、あの程度のやり方で希望加配のアッパー・リミットを二二%にいたしております関係からいたしますと、ことしのようにおけ売り価格が騰貴するというような事態は起こらないもの、こう思っております。
  180. 永末英一

    ○永末委員 主税局長に伺います。  先ほど松隈税制調査会の小委員長は、片一方で所得税の減税をやれというようなことを審議をしておる。その引きかえに間接税の増徴というのはそれは聞こえませぬという態度だった、こういうお話がございました。しかも、その税制調査会というのは、たばこ価格については、どうもほかの税制に対する意見の発表と比べますと、ちょっと違ったニュアンスの感覚で対処しておられるように思いました。  そこで問題は、片一方で所得税の減税を幾らするかということが問題になっているが、その税制調査会がハムレットみたいに、あるべきか、あらざるべきかとうろうろしているように、あなたのほうは何か酒なりあるいはまた物品税なり、それからたばこなり、これをひとつ財政が苦しいので上げたいということで、あなたのほうの意見を出したのですか、それをひとつ伺いたい。
  181. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいまお尋ねでございましたが、御承知のとおり、税制調査会は総理府の諮問機関でございます。大蔵省は自治省とともにその世話役ということで審議にタッチをするということになっています。したがいまして、税制調査会要求される資料、あるいはそれに対するいろいろの意見の表明というようなことをやっております。一方、もちろん大蔵省の中でも所管がございまして、それぞれ、たとえば予算については主計局でございます。歳入については主税局のほうでございますが、大蔵省としての予算編成の立場から税制調査会に向かっていろいろな意見表明もございます。先ほど松隈委員長が言われましたが、大蔵省からは、財源がことしはない見通しだから、ぜひそれを所得税の減税に見合うくらいの増税をしてほしいという要望があると言われているのは、まさにそういう意味でございます。私どもとしては、しかし税制調査会審議決定を待って歳入官庁としての態度を決するのが当然でございます。必要な資料等提出して早く税制調査会の意見をまとめていただくようにお願いをしておる、これが実情でございます。
  182. 永末英一

    ○永末委員 そういたしますと、税制調査会のほうが発動して、間接税をひとつこれこれ億円ふやしたいと思うが、そういう場合には主税局としては、どの税金をどうやったらよろしいかということを税制調査会のほうからあなたのほうに相談があって、あなたのほうでは上げたくないけれどもいたし方がなかろうということで案をつくる、こういう手順ですか。
  183. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 なかなかその辺微妙なところでございまして、事務局と委員の間の意思の疎通というのは非常にこまやかになっております。そういうことで、委員からいろいろ、いわば懇談の形式で進んでおりますから、こういう税はどうだろうと言えば、私どもこうだと申しますし、しからばこういう資料があるかと言えば、ありますと言って出すし、そういう経過を経ておりますので、どっちが発動したというか、総合して出てきたようなところが多いように思います。
  184. 永末英一

    ○永末委員 共同正犯か従犯かという重大な切れ目でございますからね。  そこで、もう一つ伺いたいのは、間接税といえば、税制調査会のほうはたばこもやはり考えざるを得ない、こういう立場であったと思いますが、主税局長はたばこの価格に御関係ございませんね。
  185. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 主税局は租税、印紙収入に関する事務をつかさどっておりますので、直接たばこの専売益金についての所管事務はないわけでございます。もっとも、地方税に関する事務がございますから、たばこ消費税に関しては共管の事務を持っております。ただ、先ほど松隈委員長が言われましたように、租税政策という点から申しますと、専売益金というものを除いた租税政策というものは片手落ちになりますので、それを含んだ検討ももちろんいたしておりますが、権限としては、これは専売公社監理官の所掌ということになっております。
  186. 永末英一

    ○永末委員 どうも共同正犯がまたもう一人ふえそうですがね。この問題は、たばこというのは、従来税制調査会の意見では別個にいろいろ考えておられたと思うのです。ところが、現時点における政治問題としては、まさしく所得税減税と間接税増徴ということがもう打ち出されてきておるので、主税局は一体どの辺までコミットしているのかということをわれわれとしては知りたかったわけであります。  そこで、ひとつ専売公社の監理官に伺いますが、あなたのほうは、大蔵省の財政を考えるなら主計局でしょうが、何とかひとつ財政収入がほしい、専売益金を上げてくれろ、 こういうことがあったので、伝えられるような二割程度の価格の値上げということを考えられたのですか、あるいはまだ考えていないのか、その辺ひとつ伺いたい。
  187. 前川憲一

    ○前川説明員 お答えいたします。  先ほど松隈委員長お話にもございましたように、税制調査会といたしましては、やはり益金率の低下、あるいは、一種の消費税でございますから、ほかの物品税とのバランスというようなことをお考えになりまして、たばこの値段についてはここ二、三年来いつも審議もせられ、また答申にもそういうことがあるわけでございます。ことし、それじゃなぜそれが特に問題になったかと申しますと、やはり全体としての財政のあり方というふうな点と、それから従来からのそういういきさつ、そういうものが一緒になって出てきておる、かように考えます。
  188. 永末英一

    ○永末委員 なかなかその辺がふわっとしていまして、きちきちいかぬのがはなはだ残念でありますが、それでは専売公社は、わが国のたばこの価格というのは、一体よその国のたばこと比べて高いとお考えですか、低いとお考えですか。
  189. 前川憲一

    ○前川説明員 お答えいたします。  時間もございませんので、一々数字をここで読み上げることは差し控えまして、もしも必要ございましたら、表にきれいにいたしまして後刻永末委員に差し上げてもと思っておりますが、一応たばこの値段というものを円に換算いたしまして、日、米、英、西ドイツ、フランスのこれを、代表銘柄をとってみますと、まず日本でもハイライト以下の、大体大衆と申しますか、あるいは勤労者と申しますか、サラリーマン、そういう方がおのみになるのは平均して三十一円ぐらいです。これに対しまして、アメリカのウインストンをとってみますと六十三円、これはすべて十本当たりの単価でございます。それからイギリスでエンバシーというのをとりますと百三十六円、西ドイツのハーベーというのがございますが、これが八十二円、それからフランスのゴロワーズをとりますと五十八円、こういうことでございます。ただ、先ほど松隈委員長お話もございましたように、たばこの値段というものは、かなり税金部分を含んでおるといたしますと、これは普通の商品のように単純に比べられない。そこで、その背景になっております税率と申しますかあるいは納付金率と申しますか、そういうものをいまと同じ国の順序で申しますと、日本は大体六〇%内外、年によって違いますが。アメリカが五一%、イギリスが八〇%、西ドイツが五一%、フランスが七〇・九%、こういうことでございます。これは各国の税体系が異なるというような、あるいはもっと端的に言えば、直間の比率が違うといったような、いろいろなことからきておるのだと思います。  そこで、結論的に申しまして、国連の統計をとりまして、各国の一時間当たりの労働賃金、つまり一時間労働したときに、それにたばこ十本がどれぐらいの割合になるかということを端的に見てみますと、これは一々数字は時間の省略上申し上げられませんが、割合だけ申し上げますと、日本が、一時間当たりの労働賃金を分母といたしまして、分子に先ほど申しました三十一円というのを持ってきますと、一四・七六、ほぼ一四・八という数字でございます。アメリカ、これは非常に賃金が高いということや全体として直接税の比率が高いということもございまして、これは極端に低くて六・七でございます。今度はイギリスになりますとこれが非常に上がりまして、四四・六、西ドイツで二一・四、フランスで一九・五、こういったようなことでございますので、アメリカはちょっと比較になりませんけれども、まあまあいい線をいっているのではないか、こういうことでございます。  さて、今度は世上伝えられる値上げでございます。われわれはまだ腹はきめておりませんが、世上伝えられるというか、憶測されております。先ほど来二割という話が出ておりますが、二割が限度だという意味で、二割必ず上げる意味ではないと思いまして、ややそれより低いところをとって計算しておりますが、その三十一円という平均価格が大体三十三、四円になるのじゃなかろうか、こう思います。それでいまの数字を計算いたしますと、一六・二ということでございます。そこで、まあまあアメリカは別格といたしまして、英独仏、そういうところに比べれば、それほど特に高いということではないのではないか、かように考えております。
  190. 永末英一

    ○永末委員 一時間当たりの労働賃金と喫煙量を置いて計算して比率を出す。しかし人間というのは、八時間働けば、つまりそれかける八たばこをのむわけではないのであります。しかも、その一時間当たりの賃金というのは、われわれ日本労働者といまあげられた外国の労働者と比べますと、彼らのほうが高いことは周知の事実であります。言うならば、たばこを除いた購買力というものは、彼らのほうが分量としてもっとたくさんあるわけです。逆に言いますと、たばこに食われるべき経済量の痛さは、どうもこの数字からいきますと、わが国の労働者のほうが痛さが強いのではないか。だいぶ前の大蔵委員会で、水田大蔵大臣に、あなたは税痛ということを知っているかと聞いた。初め知らぬと言っておりましたが、最後には税痛、税の痛さということが庶民感覚としてあるんだということを御認識なさいました。税痛だけならいいのでありますが、たばこの痛さというものは煙痛といいますか、どういう名前で呼んだらいいかわかりませんが、いまあなたの御感覚では大体いい、こういう話ですが、たとえばわが国よりも高いイギリスのような特殊な国を除きまして、ようやくわれわれの国民総生産が凌駕したドイツやフランスの例に比べましても、そこの労働者のたばこに対する痛さ、それを支払うべき痛さと、わが国の場合の痛さというのは、どうも比率だけでは換算できないのではないかと私は判断いたしますが、いかがですか。
  191. 前川憲一

    ○前川説明員 おっしゃるような点ももちろん考えられると思いますが、わが国もだいぶん西欧水準に近づいてまいりまして、絶対額で申しますと、割り算をいたしました分子だけを、日本が三十一円とかアメリカが六十三円とか、ドイツの場合は八十二円というようなことを私いま申したわけでございますが、かりに時間の節約上ドイツだけをやってみますと、ドイツの国連統計によりますと、一時間当たりの賃金が三百八十四円でございます。また、わが国の分母に使いましたのは二百十円でございます。もっともこれは横に比べる統計上、国連の六五年ないし六六年くらいをとっておりますが、六七年の現在から比べれば、日本のほうが成長率がいまのところ高うございますから、二百十円と三百八十四円の差は若干縮まっておる、かように考えていいかと思います。そこで、その二百十円から三十一円を引いたものが、それぞれの消費性向その他いろいろな生活習慣、みな違うと思いますけれども、たばこ以外のものに向かう。ドイツの場合には三百八十四円から八十二円を引いたほぼ三百円というものがほかのものに向け得るというふうにいたしまして、それから一般的な消費者物価のレベルということからいえば、日本はもちろん毎年上がっておることは問題でございますけれども。全体的な感覚からして、サービス料金のほうが高うございますから、消費者物価の水準を比べることはむずかしいけれども、やや向こうのほうが高い。これは最近帰ってきた人の話なんかでもそういうことが指摘されまして、そこに非常な差があって、日本のほうがその煙痛がはなはだしく強い、かようには言えなはのではないかと思います。
  192. 永末英一

    ○永末委員 間接税には昔から逆進税ということがいわれる。それは、特に所得の少ない者に対して非常にひどい影響を及ぼすということは、天下周知の事実であります。いまの統計数字の比較におきましても、われわれが問題にすべきところは、日本は専売公社ですから政府機関であります。政府機関がいわば一方的に国民大衆に与えるたばこの価格の痛さというものは、よその者ではなかなかはかり切れない。私の会社であるならば別でありますけれども、これは一方的に押しつけられる価格だ。そうしますと、やはり大衆の立場に立って煙痛の測定というものをやってもらわなくてはならぬ問題だと思います。  そこで、専売公社はたばこの価格をきわめる場合に、そういう国民生活というところに重点を置いてきめていくのか、それとも国家財政の都合によってきめていくのか、これはどっちの立場をおとりですか。
  193. 前川憲一

    ○前川説明員 お答えいたします。  もちろん、専売でございますから財政の立場ということも考えなければなりません。しかしながら、おのずからそこに生活水準とか物価への影響とかさようなことも十分に考慮してやります。そうでなければ、やはりこれは商品として売るものでございますから、極端に高いものを売れといっても買うほうが買えない、そういうこともございますから、そこはやはり購買力とのバランスというものを考えてやっていかなければならぬ。一回の値上げの限度は二割くらいであろうというような説の出てくるのも、その辺のところを十分配慮した結果だ、こう思います。
  194. 永末英一

    ○永末委員 たばこは専売品ですから独占商品です。つまり代替性がない、こういう商品ですから。ほかに代替性があるものならば、その値段というものは高く上げるとお客は買わぬ、こういうことでありますけれども、ともかく専売公社以外のたばこは、つくったら密造になるわけでありますから、大衆にとっては選択性を非常に局限されておる。そのたばこの価格をきめるというのは非常に広範な考慮をしていただかなければならぬと私は思います。  そこで、政治家としての政務次官にひとつ伺いたいのでありますが、いまの政治の状態できておる、財政の必要に迫られてのたばこの価格の決定、こういったことできめられるとすると、私は重要問題だと思う。つまり、財政の硬直化というものは、われわれから端的に言えば、あなたのほうの自民党内閣の何でもかんでも引き受けて膨張せしめた積年の宿弊が財政硬直化になっておる。いま大衆商品であるたばこの価格の決定にあたって、いままでのような財政のための価格決定というような硬直化した態度をとるのをやめて、ここ一年の一番大きな政府の政策の中での経済政策の点に関する問題点は、国民の消費生活をいかにして安定せしめるかということだと思う。その場合に、たばこの価格が二割程度まで上がってくるということは、一斉にほかの価格に影響する口実を与えることになる。大臣がおれば伺いたいのですが、副大臣としてあなたのその点に関する、たばこの価格の問題についての御見解をひとつ伺っておきたい。
  195. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  財源を見つけるためにたばこを上げるという問題が出てきておると思うのですけれども、私どもは、やはり一定の行政水準を維持するためにどの程度の歳出を考えていくか、それに見合う財源をどうやって調達するかという角度からいろいろなことを検討しておるわけでありまして、もちろん財政だけの立場からたばこの値上げということは考えておりません。もっと広い視野からそういった問題を検討していきたいと思っております。
  196. 永末英一

    ○永末委員 総合的な御答弁よりも——現下の一番大きな問題は何か、私は国民生活の安定だと思うのです。したがって、あなたのほうの総理大臣も一局削減というようなことを言い出したわけで、専売公社はどこの局が減るか知りませんけれども、とにかく乱暴なように見えてもそこまでいかなければ、とうていいままでどおりの財政需要に見合った一つの財源配分をやろうという時代ではなくなったと思うのです。しかも独占商品でございますから、国民に対して対応策がないとするなら、それこそ大きな政治的配慮によって断を下されなければならぬ問題だと思う。専売公社においてもただ単に政府の一機関であって、これは財源調達機関だということではなくて、いまのような観点において広く大衆の嗜好調査もしておられるでしょう、あるいはまた、商品に出てきておるそれぞれの価格——たばこは違うのでありますが、それの流れというものを通じていまの国民生活がどうなっておるか、専売公社はよく御存じだと思います。したがって、その点は大衆の立場に立って、あまり妙な値上げをされぬように強く期待をして質問を終わります。
  197. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 次回は来たる二十二日金曜日、午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会