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1967-12-16 第57回国会 衆議院 商工委員会産業金融に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十二年十二月十二日(火曜 日)委員会において、設置することに決した。 十二月十三日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       天野 公義君    宇野 宗佑君       鴨田 宗一君    島村 一郎君       田中 武夫君    中村 重光君       塚本 三郎君    近江巳記夫君 十二月十三日  鴨田宗一君が委員長指名で、小委員長に選任  された。     ————————————— 昭和四十二年十二月十六日(土曜日)    午前十時三十三分開議  出席小委員    小委員長 鴨田 宗一君       天野 公義君    宇野 宗佑君       島村 一郎君    岡田 利春君       田中 武夫君    多賀谷真稔君       中村 重光君    永井勝次郎君       塚本 三郎君    近江巳記夫君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君  小委員外出席者         参  考  人         (住友金属鉱山         株式会社社長) 河上健次郎君         参  考  人         (三井串木野鉱         山株式会社社         長)      有田貞二郎君         参  考  人         (全日本金属鉱         山労働組合連合         会委員長)   原口 幸隆君         参  考  人         (全国金属資源         産業労働組合連         合会中央執行委         員長)     遠藤  亨君         参  考  人         (国学院大学教         授)      村野  孝君         参  考  人         (東京大学教         授)      渡辺 武男君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 十二月十六日  小委員田中武夫君及び中村重光君同日小委員辞  任につき、その補欠として永井勝次郎君及び岡  田利春君が委員長指名で小委員に選任され  た。 同日  小委員岡田利春君同日小委員辞任につき、その  補欠として多賀谷真稔君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員賀谷真稔君及び永井勝次郎君同日小委  員辞任につき、その補欠として中村重光君及び  田中武夫君が委員長指名で小委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産金等対策に関する件
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  産金等対策に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため参考人として住友金属鉱山株式会社社長河上健次郎君、三井串木野鉱山株式会社社長有田貞二郎君、全日本金属鉱山労働組合連合会委員長原口幸隆君、全国金属資源産業労働組合連合会中央執行委員長遠藤亨君、国学院大学教授村野孝君及び東京大学教授渡辺武男君の諸君が出席されております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。  なお、会議を進める順序といたしまして、参考人からそれぞれの立場から簡潔に十分程度の御意見をひとつ特にお願いを申し上げます。次に委員方々から質疑がありますから、それに対し忌憚のない御意見を承りたいと思います。  まず最初河上参考人お願いいたします。
  3. 河上健次郎

    河上参考人 住友金属鉱山河上でございます。業界金山実情につきまして御説明申し上げ、意見を申し上げる機会を与えていただきまして非常にしあわせと存じます。  最初に一言申し上げたいと思いますのは、わが金山というものは鉱業政策、なかんずく産金政策いかんによりまして実情が非常に波を打って現在まできておるということ、現在では残念ながらこれという産金政策がございませんために、金山全体がもうほとんど赤字でございまして、非常な苦境に立っておる。このままでは減産の一途をたどるという事情、それからそれでは一体金山を復興して、増産をして、金山の繁栄を来たすということの意味はどういう意味であるか。それから一体それが可能であるかどうか、一体日本資源があるのかどうかという問題、それからそれじゃ一体どうしてくれたらいいんだということにつきまして私の見解を申し上げたいと思います。  戦前は御承知のように、産金政策が非常に完備いたしておりました。非常に産金は盛況でございました。戦争中に金は要らないということで、金山は整理されまして、金の生産はストップいたしました。終戦後それではいけないということで、昭和二十五年に一応形の整いました戦後初めての産金政策ができ上がりました。それによりましてやっと金山は息を吹き返しまして、自来あるペースで生産が始まっております。ところが金の値段は、御承知のようにIMFの国際値段というものがきまっておりますし、ことに日本為替レートができまして以来、政府買い上げ価格というものは変わりません。したがいまして当時の政策のもとにおきましても、いよいよ呱々の声を上げましたものの、やっているうちに金山はどんどん疲弊いたしまして、赤字で非常に弱りました。そこでこれでは困るということで、さらに政策要望をいたしましたが、どうにもならない当時の情勢でございまして、それでは買い上げをある程度解除してやるから、ひとつ内需をフリーマーケットに売らぬかということになりまして、それじゃそういうことをお願いしようということになりましたのが昭和二十八年でございまして、三三%だけの買い上げでよろしい、四百五円の買上げは三三%だけにしてやろう、あとはひとつ適当な値段で売ってよろしいということになりまして、われわれは五百五十五円という建て値をきめまして、それで売りましてやっと小康をついたわけであります。そうしておりますがどんどんやはりコストは、諸物価の値上がりで上がります。その程度のものではとてもいかぬということになりまして、買い上げ程度を減らしてもらいまして、五%でごしんぼういただいてあと国内に売るということで、売り値も逐次上げてまいりまして、現状に至っておる。その間ますますやはりコスト上昇、これにたえかねて、どうしても探鉱に回す金がない、こういうことでタヌキ掘り——悪いことばで言うとタヌキ掘り、端的に申し上げますが、高品位を処理してどうにかやっていけるようなことをやる、探鉱はどんどんおろそかになってまいりますので、鉱量がますます減ってくる、コストはますます上がる、簡潔に申しますと、そういう悪循環を繰り返しましてやっております結果、赤字が累積いたしまして、金山はどんどん数が転落いたしまして、姿を消しまして、戦前の最盛時には百七十二くらいありましたものが、現在はわずかに四十二鉱山稼行しているばかりでございます。昭和二十五年当時の、終戦後第一回の金山政策ができまして、当時の鉱山数にいたしましても、八十ばかりございましたのが、現状承知のいま申し上げました四十くらいの鉱山になってしまっております。昭和二十五年当時労働者が七千七百おりましたのが、現在もう三千二百人、半減でございます。二十五年当時掘っておりました金は、一トンのうちに約八グラムの金がある鉱石を掘っておったわけであります。いま申し上げましたように探鉱に回す金がどんどんショートいたしましてどうしても不十分である。どうしても山がいたんでまいります。現在掘っております鉱石は六グラムそこそこというふうに、もうそれだけでも御想像いただけるように、金山の姿というものは非常に衰微をいたしております。この調子で参りますと四十二鉱山が、来年、再来年、ここ数年のうちにはある程度姿を消すことは、もう決定的な趨勢でございます。労働者も当然三千人が減る。粗鉱品位もこれ以下でありますととうてい問題になりません。そういうことでございます。どうしてもこの辺でひとつ何かしっかりしたつっかえ棒を金山政策に確立していただかないと、今後の金山はとてももう金山といえた義理でないようなおそまつな状態になってまいります。現状では鉱山会社、金を兼業にしておる会社も相当あるものでございますから、ほかの部門でもって栄養を補給いたしましてやりくり算段をしている。金山専業会社はもうどうにもならぬ。金山を兼業しているところでも、こういう状態はいつまでも続かない、こういうような状況でございます。  そこで、金は一体要るのか要らないのか、そんな貧弱なものなら、もう外国から入れたらいいじゃないか、こういう御意見も一部にはあろうかと思います。私ども考えるわけでございますが、金は普通の品物ではございません。これは国際決済の有力な手段でございます。これにつきましての見解はいろいろ各方面からあるわけでございますが、端的に申しまして、現在の世界の金融情勢国際金融情勢から判断いたしますと、ドルの相対的に非常に不安な状態、アメリカの金保有がすでに百数十億ドルというような程度にまで落ち込んでおる。ポンドの切り下げ以来、国際的な金融情勢における金の問題のたいへんなクローズアップしておる状況、まあ今後ますますそういう状態は流動的な状態が続くものと考えなければいかぬと思います。こういう状態日本が、金が要るから外国から不足分は買えばいいということだけでいいのでありましょうか。私どもはこれは非常に問題ではないかと思います。現在わが国の金の需要は十七、八トンございます。それに対して最近わずかに国内鉱山から六トン出るだけであります。かつては二十五、六トンも出したわが国金山、これが国内鉱からもう六トンに下がっておる。こういう状態を放置していいのかどうか。これは鉱業界全般立場から、絶対にこういうことではいかぬ、こういうふうに考えております。  また、金山経営しておる当事者の実情から判断いたしましても、せっかくわれわれは、これを探鉱する余地探鉱すれば出る可能性があると信じながらも、相当思い切った探鉱ができない、こういう状態を訴えて、こういうことを有識者が御存じであれば、何とかひとつ手をかそうじゃないかということにしてもらえるのじゃないか、こういう非常に強い期待を持っておるわけでございます。  そこで、私ども業界で相談いたしまして、業界の統一の見解といたしまして、実はこの六月に、もうとてもこれじゃいかぬ。現状、われわれの政府への輸納、マーケットに対する売り値、全部を平均いたしまして、業界全体で、手取りグラム当たり六百三十円台でございまして、それに対してコストは六百九十八円、七百円のコスト平均コストになっております。そのうちで、きわめて例外に、恵まれた鉱山もございまして、これは利益をあげておる。だから、その利益をあげている鉱山の、もうほんとう例外を除きますと、平均コストは七百円をはるかにオーバーしておる現状でございます。そういうことで、これではとてもたまらぬので、ひとつ赤字補てんという意味も込めて、端的にいってグラム当たりかなり補助金をもらおうじゃないかということでございました。しかし、その真意は、マイナスだからその分を埋めてくれ、こういう意味では決してございません。気持ちはそういうこともございますけれどもほんとう探鉱して有望な鉱床を見つけたい、これは鉱山をやっておるほんとうの真情でございまして、何とかいい鉱石を見つけたい。それには探鉱しなければならぬ。探鉱の金がないから、探鉱に回す金はひとつ頼みますということが、形を変えて、われわれは補助金ということをいっておるわけでございます。いろいろと有識者皆さんの御意見もまじえましてディスカスいたしましたが、それならやはり堂々とひとつ探鉱に回す金をもらいたい。われわれもなけなしの一部は出しますけれども、ひとつ国家で探鉱資金を出してもらいたい。それから、われわれがやる探鉱以外に、それを助ける探鉱、直接われわれがみずからやる探鉱に結びつくような程度探鉱までは、少なくともわれわれの負担のない方法でもってやってもらいたい。これが私ども真意であるということで、鉱業審議会でも、小委員会ができまして、いろいろと議論いたしまして、有識者の御意見も聞きながら、私どももいろいろ考えまして、幸いに通産省でも、この際やはりどうしてもやらにゃいくまいということに共鳴していただいております。具体的な方法もいろいろ考えておっていただきまして、やはり、ひとつ思い切った合理化、抜本的な金山対策——探鉱を強化する、そして有望な鉱床を見つけて、これによって増産をし、コストダウンをするということを、この際ひとつやろう。眠るポテンシャリティ、せっかくの宝庫が、このままでは永久に眠ってしまうので、どうしてもこの際抜本的な金山対策を立てようという御意見でございまして、全く私どもに共鳴していただきまして、いろいろ真剣にお考えのようでございます。私どもは、これをひとつ全面的に、諸先生方で、十分こういう方向につきまして、御協力をお願い申し上げ、御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。  それでは一体どこをどうやるかということは、いろいろ技術的な問題でございます。こういう点は、大企業であろうと、小企業であろうと、そういうことにとらわれないで、ほんとう意味で真にこれをやれば有効であるというふうな観点から、ひとつ十分に広く選考をして検討していただく、そういうものだと考えております。この点もあわせて要望いたしまして、端的に私ども業界実情要望を御説明申し上げる次第でございます。  御質問によりましてまたお答え申し上げます。
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ありがとうございました。  次に、有田参考人お願いを申し上げます。
  5. 有田貞二郎

    有田参考人 私は、鹿児島県にございます串木野鉱山有田でございます。  九州は北海道と並びまして最も大きな産金地帯でございますが、きびしい金鉱業事情の中で、各金山とも企業経営に腐心し苦慮をしておる次第でございます。本日は、この実情を、現場立場現場金山経営しております立場から、御説明を申し上げたいと思うわけでございます。  いまもお話しがありましたように、戦前金鉱業はなかなか花形でございまして、九州でも、戦前昭和十五年のころには、わが国年間産出量二十七トンのうち九・五トンもの産出がありまして、現在は約二トン足らずの産出でございますので、当時は現在の五倍近くの産出があったわけでございます。かつまた、現在わが国金山から出る金は約六トンでございます。日本全体でいま出ております金の五割以上も上回るような産出があったわけでございまして、このことは、現在におきましても九州にはそれだけのポテンシャルがあるというふうに思うわけでございます。しかしながら、昭和十八年に金山整備によりましてすべての金山は豊富な資源を持ったまま荒廃するに至ったわけでございます。戦後二十五年に、当局金山再建に関する方針が打ち出されまして、その際、金山に対します探鉱奨励金とかあるいは再開のための資金の融資あるいはまた鉱産税その他の面で金価格を適正化するというような方針が打ち出されたわけでございます。それに応じまして、九州金山も相次いで再開いたしまして、二十七、八年のころには二十鉱山に達したわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような金再建に対する助成制度はだんだんと立ち消えになりまして、そのために、金の価格一般物価より非常に低いということのために金山経営困難になりまして、現在ではわずかに七つの鉱山が稼行しておるだけで、探鉱中の二、三の鉱山を入れましても十鉱山程度の稼行をしておるというような状況でございます。そしてその稼行しております金山も非常に低廉で、しかも固定化されておる金価格のためにいろいろな合理化設備をやっておりますけれども経営はだんだんと悪化して壊滅の危機に直面しておるというような状況でございます。  昭和三十七、八年のころになりまして一つのそういった対策といたしまして、全国でも幾つかの鉱山が大企業から分離した山もありましたが、九州におきましても、鹿児島県におきまして串木野鉱山とかあるいは春日鉱山が大企業から分離をいたしたのでございます。そして今日まで、分離いたしましてから、大体三、四年くらいになるわけでございます。その三、四年の間に分離いたしまして独立しました第二会社賃金、給与というものは、だいぶ大企業格差がついてきております。月収にいたしまして、坑外賃金で私ども鉱山でも大体五千円から七千円程度の大企業との開きが出てきております。また期末手当等におきましても、大体六カ月の期末手当に対しまして一万八千円から二万円程度格差がすでに生じておるわけでございます。むろんこういったことは好ましいことでありませんで、私ども企業に携わる者も働く人の生活向上ということは非常に重要なことでもございますし、またその方向に向かって努力はしておるわけでございますが、結果はこういうことに至らざるを得ないというような状況でございます。そのほかに人員整理をいたしますとか、あるいは大量の配置転換をして社外に転換せしめる、あるいはまた直轄の従業員も請負化するというようなことをしておるわけでございます。昭和二十六年のときの人員と現在の人員とでは、大体六割程度までに合理化されて減っております。それからまた二十六年当時には従業員の八%程度請負夫でございましたが、現在では三〇%まで請負化されておるというような状況でございます。そういうようなことをいたしますとともに、また産金事業だけではなかなか収支が償いませんので、金銀の生産をするかたわら、合理化をした余力でもっていろいろな副業をやっておる。鉱山には電気機械土木建築というような技術がありますので、そういったことで建設業をやるとか、あるいはまたボーリング技術がありますので温泉ボーリングの仕事をやるとか、あるいはまた廃滓を利用いたしましていろいろな鋳物砂とかあるいはアスファルトの増量材とか、あるいはまた養鶏とか養魚、そんなようなことまでいたしまして副業収益増加をいたしまして経営の足しにしておるというような状況でございます。  そのように人員も六割程度——二十六年から今日までに九州の金は減っておりますけれども産出量のほうは二十六年当時が九州で約一トンでございました。現在では一・八トンから二トン程度ということで、人員は六割になって産出量は倍近くになっておるというふうに合理化を徹底しておるわけでございますけれども、すでにもう合理化は限度に達しておるわけで、これ以上はもうどうにもならないというような状況でございます。  そして、そうなりますと、やはり収支を償いますためには、採掘します鉱量品位を上げていかなければならない。先ほども話が出ましたような高品位鉱を抜きぐりをする。抜きぐりをいたしますと埋蔵鉱量は減ってまいります。そしてまたしたがって品位も下がってまいります。品位が下がってまいりますと採算は悪化してくるというようなことで探鉱もできなくなる、探鉱が不足して、鉱量が不足して抜きぐりをしなければならぬ。そういうような悪循環を繰り返しておるような状態でございます。鉱山維持発展にはどうしてもこの探鉱が必要でございますけれども物価なり工賃なりの上昇の基調の中で一定の低廉な金価格ということではどうしても探鉱をする余裕がなく、この状態では、先ほども話がありましたように、すべての金山衰微一途をたどらざるを得ないという状況でございます。しかしながら、この九州金資源は非常に豊富でございまして、現在稼行中の鉱山にもまだまだ探鉱余地は十分にございますし、それから四、五十の金山金山整備当時のまま休出しております。これらも十分なポテンシャルを持ちながら豊富な資源が放置されておる。それからまた、そういった金山地帯でございますので、未開発な有望な地域もたくさんございます。このことは、最近九州の各金山でこれらの古ぼけた資源を活用して、幾らかでも企業を安定させようということからいろいろと努力を積み重ねました結果、昨年は大口鉱山で非常な富鉱体を発見いたしました。あるいはまた、これは一昨年でございましたが、岩戸鉱山で大きな高品位鉱床を捕捉しております。また南薩方面火山灰のかぶっております地帯で、その火山灰の下部に、露頭はしておりませんけれども潜頭鉱床を最近確認いたしておりますし、また串木野鉱山では、隣の荒川鉱山と一緒になりまして、共同開発によりまして高品位鉱床を見ておるというような状態でございますので、政府当局が適切なる金山に対する助成策を講じていただけるならば、金山業を強化します余地は十分にあるわけでございまして、産金量増加もまた容易でございます。  このように業界といたしましてはいろいろな努力をいたしておりますし、また増産可能性企業強化可能性もあるわけでございますが、そういった業界努力と、それからそういった可能性に対しまして、当局助成が現在ではあまりにも貧困ではなかろうかと考える次第でございます。  戦前は、金山に対する探鉱助成は、昭和十四、五年のころで年間約四百万円支給されておりましたが、これは当時の産金量から換算いたしますと、大体グラム当たり十一銭程度助成になります。そして、これは当時の金価格三円八十五銭に対しましては約三%の助成ということになりますが、現在は新鉱床探査補助金年間六千万円支給されておりますけれども、これはグラム当たり十円に相当いたしまして、金価格に対しましては一・六%程度助成でございます。しかしながら、当時の三円八十五銭というものを当時の物価指数で現在に置きかえますと、現在の金の値段が六百三十七円であるならば、千五百円ぐらいでなければならないわけであります。したがって、千五百円に対しましては〇・六%程度助成ということになりますので、当時の四百万円というものは、現在の価格にそれ相当の補助率ということになりますと、年間約三億程度助成でなければならぬということに計算上なるわけであります。しかしながら、われわれ金山業者は、戦後二十年間非常に困難な経営環境の中で努力してまいりまして、その間いろいろと探鉱不足もございましたので、そういった点を補うということになりますと、三億の三倍程度、九億から十億程度助成があれば非常に好ましいと思うわけでございます。  なおまた、九州金属鉱業の主体をなすものは金鉱業でございますが、金鉱業壊滅ということになりますと、これは地域社会にとりましても非常に大きな問題でございまして、われわれはそのことにも留意いたしまして、極力企業の存続をはかっておるわけでございますが、そういった点にも御留意をいただきたいと思うわけでございます。  金山の窮状は、端的に申しまして、金の価格が低いということでございますので、われわれといたしましては価格を値上げしてもらうか、あるいはそれにかわるような助成措置が最も望ましいわけでございますけれども、これは他の産業なり他の金属鉱業とのバランスから、そういった助成措置もとれないしというようなことでございますならば、先ほどもありましたような、通産省で現在考えておられます積極的な探鉱助成ということをぜひ実施していただきたいと思うわけでございます。  この計画には、資金の面でまだ政府部内にも、あるいはまた業界の中にも問題は残されておるようでございますが、ぜひひとつ実現するようにお願いしたいものと思うわけでございます。  ただ、この場合に、この計画が完成いたしますまでは、やはり何らかの政府並びに関連の方々の御配慮をいただきたいと思うのでございます。  先ほどもお話がありましたように、金は国際決済の手段として非常に重要でありますし、また産業用の金も非常に不足しておりまして、その不足を海外から輸入するというようなこともなされておるわけでございますけれども、近年の情勢から、こういった金不足を海外からはたして十分まかない得るかどうか、輸入することができるかどうかというような点も懸念されるわけでございますが、しかし、この金の不足は、国内金山から増産によってまかなうというのが本筋ではなかろうかと思いますし、豊富な資源もございますので、どうぞひとつ金山よりの金増産により金不足を補うということが最も抜本的な対策かと考え、また現下の緊急事でもあるかと思うわけであります。その点ひとつ十分御留意いただきまして、金鉱業の振興に御助力御支援をいただきたいと思うわけであります。どうもありがとうございました。
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、原口参考人お願いいたします。
  7. 原口幸隆

    原口参考人 金鉱の原口です。  金の産業自体が非常に悪化しているという重要な問題と同時に、いわゆるゴールドウォーと称される最近の状態、きのうのロンドン市場における金取引が最高だったということが報ぜられておりますが、このゴールドウォーの中での日本産金対策という問題について取り上げていただいたことについて、国民の一人として感謝を申し上げ、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず第一に私が申し上げたいことは、金鉱山については、特に従来国の政策によって根本的に変化を来たされてきたという経緯、この経緯について、やはり国がかつてとった政策について、それとの連関において新しく金政策というものを考えていただきたいというのが第一番目に申し上げたいことであります。  先ほども話に出ましたけれども、約百七十ぐらいあった金鉱山が四十に減っている。しかし、それは金が出なくて減ったのではなしに、国の政策によって出なくなったのでありまして、そのことは眠っている鉱山がたくさんあるということを逆に裏づけをいたします。先ほども例が出ましたけれども、大口からは最近いい鉱体が見つかっておりますし、さらにいままでしめられた多くの鉱山の中で、北海道の轟鉱山とか岐阜の天生鉱山とか、例はたくさんありますけれども、さがせば、掘れば必ず出るというふうに思われている鉱山というものは全国に非常にあるわけであります。したがって、国の政策あるいは業界の結束等によってこの問題については解決できる具体的な条件というものがあるということについて、特にお考えおき願いたいというふうに思います。  私は労働組合の立場なので、その立場から若干触れていきたいのですが、大体銅、鉛、亜鉛の鉱山労働者に比べますと、金鉱山は系列に属しておるか、あるいは単独の中小鉱山が、現在稼行している場合でも中小鉱山が多いわけであります。したがって、労働条件の例が先ほど出されましたけれども、大筋からいきますと、約七〇%ぐらい格差がついております。この格差が縮まるかどうかということについては、いまの状態では縮まらないで、さらに低くなるという傾向を示しております。この金対策の中で、探鉱その他によって大々的に政府の援助によって救済措置がとられなければ、価格が固定をいたしておりますし、企業規模がきわめて小さい、合理化ができない、あるいは限界点に来ているというような問題から、労働条件の向上ということがほとんど望めない状態にあります。格差があるというだけの問題でなしに、金鉱山に働く労働者は、もうすでにあらわれております労働力不足、二、三年先を考えますと、金鉱山で働く労働者はいなくなるだろう、組合員自身の意思によってやめていくだろうというふうに予想せざるを得ません。また、金鉱山はほかの鉱山に比べまして高温多湿の労働環境の中にあります。温泉地帯との関係もあるかもしれませんけれども、高温多湿、非常に労働条件が悪い、労働環境が悪いということもありまして、特に金鉱山を中心とする中小鉱山等にはむしろ特別に労働条件を上げてあげないと集まらない。せっかく対策はできても人間が来ないようでは、これは金の対策の根本的な解決にはつながりません。請負がふえてきたというお話がございましたけれども、請負すら最近では雇うのは実際問題として非常に困難になってきております。むしろ本工よりも高い賃金を出さなければ請負は集まらないというような傾向になってきておるわけです。  金の問題が本日は中心でございますけれども、金の問題を解決するということは、他の鉱種を確保する外部的役割りを結果的に果たす、あるいはつながっていくというふうに考えられます。つまり、随伴鉱物として出てくる金という場合には、他の鉱種の発見、確保ということにもつながります。また、金がいわゆる脈状鉱帯にあるわけなので、塊状鉱体については相当進歩いたしておりますけれども、脈状鉱帯をさがしていくということは非常に困難性があります。したがって金をさがしていくということは、脈状鉱帯にある他の鉱種をさがすという結果にもつながっていくという点で、単なる金だけの問題では私はない。金を取り上げることによって、さらに他の鉱種にも大きく影響をするというふうに思います。  私の組合は国際鉱夫組合という国際鉱山の労働インターに入っているわけですが、ここでも先般の大会では、金価格の改定という問題を世界的な鉱山労働者立場で訴えております。また、ロンドン市場によって左右される価格に対する批判というようなものも出ておるわけなんですが、この価格の問題については、私の知る限りでは、ヨーロッパでは正式、非公式——非公式の場合も多いように聞いておりますけれども国内的に保護政策がいろんな形でとられているやに聞いております。日本の場合には一応忠実に守っていることが、逆に密輸天国ということで、金塊がどんどん入ってくるというようなことにもつながっているのではないかというふうに考えられるわけであります。  通産省がいま考えられている案については私も大筋は賛成をいたしたいと思うのですけれども先ほども触れましたような労働条件、労働環境というような問題についてしっかりした手を打たないと、単なる技術的な探鉱資金の導入ということだけでは、そういう労働条件も含めての総合的な対策というものが裏づけされていなければ、結果的に、本格的な産金対策にはならないということを申し上げて終わりたいと思います。
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に遠藤参考人お願いいたします。
  9. 遠藤亨

    遠藤参考人 資源労連の遠藤亨でございます。  まず最初に、今回の産金対策等小委員会を発足をさせていただきましたことにつきまして心より感謝をいたしたいと思います。私は労働組合の立場から、われわれの産業が将来より発展をして、希望の持てる産業にしなければならないということ、そのためには、雇用の安定なり、労働条件の姿というものが、より希望の持てる産業にできるような形になければならないと思っております。したがいましてそのような考え方のもとに数項目にわたりまして、われわれの金山に対する見解を申し上げ、御参考にしていただきたいと思うわけであります。  また、先ほど諸先生には、私ども要望事項の点につきましてもパンフで御配付をさしていただいておりますので、時間があれば御説明を申し上げさせていただきたいと思う次第であります。  ただいままで三者の方々からそれぞれの立場で金鉱山事情の御説明がありました。若干ダブる点もあるかもしれませんが、角度を変えた面で御説明をしておきたいと思います。  まず、金の特殊性とその基本的な性格というものにつきましては、いまさら私が申し上げるまでもなく、国際決済手段としての中心的地位であることは、申すまでもございません。このことは世界貿易の最終支払い手段としての金がその中心的地位を占めていることは、諸先生方承知のとおりでございまして、問題は、ますます成長する、また、させなければならない世界経済の流れの中で、その支払い手段としての金が不足をすることは、この面から見てもその発展を妨げられることになるのではないかということを、この金の特殊性と基本的性格というものに対する認識をしておるものでありまして、そういう考え方のもとになりますときに、今日技術革新によって金は工業用資材としての需要の増大はもちろんのことでありまするが、人間の金への愛着からくる美術工芸用の需要の増大、この両面への需要はますます多くなりまして、その代替品についても考えられますけれども、現在の需要量を下回ることはない。それは単に価格の問題ではなくて、技術革新の問題に結びついておるということも申し上げてもよろしいのではないかと思うわけであります。こういう分析を私どもがいたしましたときに、わが国における金の需要と供給の点につきましては、すでに三者の方々からもお話がありましたけれども、現在のわが国においては、現在の需要をまかない切れず、海外からの輸入にたよっておる現状にあるわけでありまして、需要の増大がありながら、国内供給が伸びず、かえってその生産が低下傾向にあるという現状にあるわけであります。こういうところに実際の国内供給の伸び悩みがあり、鉱山経営の、特に金山経営の行き詰まりの原因があるということを申し上げたいわけでありまして、金価格の問題は、三者の方からも出ましたように、政治的にも人為的にも考えてみますときに、そのような観点から見ますときに、一九三四年以降据え置かれているということを申し上げてもよろしいと思うわけでありますが、現にこの価格問題につきましては、三回にわたりまして自由金の販売価格の引き上げ等は行なわれましたけれども、さらに政府買い上げ等ありましたけれども、一方物価高等なり人件費等を見ますときに、これに数倍する値上がりを示しておる実情でございますので、この種内容につきましてもぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。それがためには、金鉱山自体としての積極的な合理化の問題等に対する対処はしてきておりまするけれども、これも限界に達しておる。すでに赤字経営におちいっているという、このために金鉱山の生命であるべき探鉱も行なえずに、これが埋蔵鉱量の減少につながり、さらに、品位の低下、産金量の減少も招来をしておるということでありまして、こういうことを考えますると、資源的にも労働力の面からも行き詰まっておるという悪循環を来たしている現状にあるわけであります。  こういう分析をわれわれはしながら、では、国内金資源についてはどうなのか、国内金資源は豊富であることは申すに及びませんし、未開発のまま残されているものが多くて、探鉱開発余地は十分にあるということを申し上げたいわけでありまして、現在は金鉱山経営の悪化によりまして、探鉱能力がないというにすぎない状態であります。したがいまして、適切なる施策さえあれば十分にその開発ができるということを申し上げたいわけであります。  本日の日本経済新聞等によりますると、「激化する金戦争」で買い問題はすでに連日の記録を示しておるというロンドンの事情が報じられております。ポンドの安値は更新が響いておるといわれておる、米国の金準備は最低になったといわれておる。こういう事情を考えまするときに、この国内金資源問題につきましては、先ほど河上さんからおっしゃっておりましたように、百七十鉱山金山があった全盛期から見るならば、今日四十鉱山にすぎない。さらにこの百三十鉱山においても探鉱をやってみることによって、まだ開発をする余地はたくさんある、こういう実情があるということを申し上げても言い過ぎではないと思うわけであります。  では、金の輸入についての問題点はどうなのか。供給源としての一方の柱である輸入に目を転じて見るならば、今日の世界動向からいたしましても非常に困難があり、各国でも種々の政策的な保護を加えて産金奨励を進めている事実を見ましても、今後ともわが国の需要を輸入のみにたよることは、国民経済上から見ても、不可能に近いといってもよろしいのではないかと思うわけであります。  このような五つの問題点をいままで指摘をさしていただきましたけれども、では、金の安定供給源としての金鉱山存立の必要性についてどう考えるか、ここが問題になってくるわけでありまして、やはり供給源として最も安定した、そして資源的に見て恵まれた国内資源に求めることが、やはり現状の段階では最も有利な方向であることは御理解いただけるところではないかと思うわけでありまして、国内金山開発こそが最もすぐれた金の不足に対する抜本的な対策ではないかと思考するものであります。したがって金山開発による他のメリットの問題を考えてみまするときに、たとえば金一トンを輸入した場合は、ただそれだけのことであります。これを国内鉱山より産出をするとするならば、それより他の効果、すなわち、雇用の問題もあります。僻地における地域経済社会の発展のこともあります。乗数効果によるところの国民経済の発展への寄与というその役割りを私は強調したいわけであります。  諸先生方、今回この小委員会の中で十分われわれの金属鉱山実情は御承知でありましょうけれども委員長をしていただいております鴨田先生の場合におきましては、埼玉県の秩父鉱山——秩父鉱山は埼玉県の秩父駅から四十三キロの山奥にある。中村先生のところにおける長崎県においては博多から船で五時間、すなわち、対州の山にある、あの僻地にある。こういう鉱山実情であります。(笑声)これは事実でありまして、お笑いごとではないのであります。事実そのような僻地に置かれておる金属鉱山実情を考えまするときに、鉱種としての金対策をどう樹立をするか、きわめて重要なことだと思うわけであります。  こういうことを考えまするときに、この安定成長のためには、貿易立国のみならず、開発立国を抜きにしては考えられないのではないかと強調したいわけでありまして、金鉱山鉱床の賦存状況からいたしましても、銅、鉛、亜鉛の鉱床を伴う場合が多くて、過去におきましても、岐阜県の神岡鉱山なりもしくは兵庫県の生野鉱山のごとく、わが国鉱山の歴史においても金、銀鉱山鉱山の先兵となって大鉱山になっている例が多いということも見のがしてはならないわけでありまして、このような観点から金鉱山対策についての対策をより強調いたしたいと思うわけであります。このことは世界的に急速に不足をしてきておる銀についても、金鉱山開発が銀の生産の確保につながっていることも見のがせない事実でありまして、一つのメリットであることを御理解いただきたいと思うわけであります。  こういうことを私どもは念願をしながら運動を展開いたしておるわけでありまして、皆さんのお手元に御配付をさしていただきましたパンフの中にもありますように、七つの問題点、産金業の採算維持のために金価格の引き上げまたは産出量に対する補助金制度の創設、さらに、金資源開発確保のため、金属鉱物探鉱促進事業団の調査対象に金鉱山を加えていただきたい。さらに、新鉱床探査補助金制度について、補助単価、補助率の引き上げ並びにその範囲の拡大をはかっていただきたい。坑道開発設備資金の長期低利の貸し付け金制度並びにその機関の創設をぜひ御考慮いただきたい。金鉱山に対する各種税制の緩和を御検討いただきたい。そうして、これらの助成対象鉱山をできる限り拡大をして、大企業偏重におちいらないような御配慮をぜひお願いいたしまして、これらの助成策の早期予算化と早期実現をお願いをいたしたい。  願わくは、現在の通産省原案そのものを、これは万全のものではありませんけれども、少なくとも通産原案はぜひ来年度予算編成においてはお認めいただきたい。産金問題につきましてはほんのわずかの通産原案の予算でありまするけれども、これさえも削られたらきわめてたいへんでありますので、金問題に対する予算の問題につきましては、来年度予算編成にぜひお組みいただきますようにお願いを申し上げまして、私の意見にかえさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  10. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、村野参考人お願い申し上げます。村野参考人
  11. 村野孝

    村野参考人 ただいま御紹介にあずかりました村野でございます。  私は、学問的な立場から、と申しましても、単なるアカデミズムではなしに、長い間外国貿易為替の専門銀行である東京銀行に職を奉じていた者といたしまして、学問的に、そして実務的な立場から、現在の国際金融情勢の現段階、その展望、そうしてその中におる金の位置というふうなものについて申し上げさしていただきます。長い間こういうものを専門的に研究し、調査をしている私たちにとって、こういう公の機会で意見を述べる機会を与えてくだすったことを感謝いたします。  現在の国際通貨金融情勢はきわめてあぶない状態になっているということは御承知のとおりでございますが、ただ、これをあぶない、あぶないと言いまして、あまり過大評価するのもいけないわけでありますが、いずれにしましても、かつてよりは格段の動揺、危機状況にあるというふうに申し上げて差しつかえないかと思います。  去る十一月十八日、ポンドが為替レート切り下げをせざるを得ないというふうな状況におちいったわけですが、われわれはポンドの為替レート、すなわち、平価切り下げと同時に——これは、先ほどから言われておりましたが、国際通貨としての条件を単にポンドが失っただけではない。国際通貨としての条件はこういうことでございます。一つは、国際的な商業通貨として、商品の流れ、サービスの受け払いを多く媒介するということ。それからもう一つは、国際的な価値保存手段になるということですね。先ほど金は国際決済の手段だと申しましたが、もう一つつけ加えなければならないわけで、国際的な価値保存手段でございますね。これが国際通貨としての必要十分条件でございますが、それがポンドの為替レート切り下げ、これは御承知のように四九年から二回目の為替レート切り下げになりますが、これによって先ほどのような意味でのポンドの地位は非常に落ちたということでございます。ところが、単にポンドの国際通貨としての価値が下がっただけではなくて、これが現在ドルの国際的な通貨としての価値を大きくゆさぶっているというのが現実なわけでございます。しかしポンドの為替切り下げによってドルは初めて動揺したのではないので、すでにドルの基盤というものは少しの外部的な衝撃に対しても非常に弱い状態になっていたということでございます。それはいうまでもなくアメリカの非常に長期にわたる国際収支赤字——アメリカの国際収支赤字が表面化したのは一九五八年でございますが、それ以来アメリカは多少の金額の相違はあっても、ずっと構造的にあるいはパターンとして国際収支赤字を続けておる。国際収支赤字というのは、いうまでもなくアメリカの対外流動負債の増加——流動負債の増加というのは、逆に見ますれば外国のアメリカに対する短期債権の増大、それによって、アメリカが世界唯一の国としてそういう約束をしている——これはアメリカの義務ではありません、したがってやめることはできますが、アメリカの外国に負った公の流動負債に対しては、アメリカは無条件に、無制限に金を兌換しなければならないという約束が守りにくくなっておるわけですね。つまり金はだんだん減ってしまう、対外流動負債はふえるわけでございますから、どうしてもアメリカの金とドルとの等価交換性が非常に問題になる。等価交換性というのは一オンス三十五ドル。一九三三年から三四年におけるアメリカの大恐慌中の例のドルの金価格切り下げによってでき上がった数字でございます。その前は一オンス二十ドル六十七セントであったものが、一オンス三十五ドルに、民主党のルーズベルト大統領のもとにきまったわけでございますが、その一オンス三十五ドルにおける等価性と等価交換性が非常に守りにくくなっているということでございます。つまり、ドルが世界で唯一の国際通貨としての必要十分条件を持っておるということは、金と等価交換性があるということでございます。限定されてはおりますが、公的、つまり日本政府が対米流動債権を持った場合には、これは金を請求できるわけでございます。こういうふうに部分的ではありますが、限定されてはおりますが、金とドルとの等価交換性があるということが、ほかの通貨とは全く違った、アメリカのドルに国際通貨としての条件を持たしているわけでございまして、これが非常に問題になってきているということでございます。したがって、ポンドもそうでございますが、ドルを中心とする現在のいわゆる国際通貨体制というものは、非常に動揺しているということでございます。つまり現在の国際通貨体制の動揺というものは、ドルの危機、ドルの金との等価交換性が非常に問題だということ、したがってもはや、ポンドの平価切り下げから生じた国際的な意味での通貨に対する信認は地に落ちている。そして現在単に信用をつないでいるものはもはや通貨ではなくて、かつての最強の通貨ドルでもなくて、全部金に向いているわけでございます。したがって通貨の疎外、特にドルの疎外、金選好というものが起こっているわけでございます。それが比喩的にゴールドウオーであるとかあるいはゴールドラッシュであるとか、そういうことばでいわれているわけでございます。逆にいいますと、金選好というものの内容はそういうふうに説明できるかと思います。  ところで、問題は、現在の国際通貨金融情勢は多くのいろいろな手が打たれておりますが、はたしてこれによって危機を阻止し、危機から回復できるものであるかどうか。これは実は非常に問題だと私は考えます。と申しますのは、これは世界の諸国の通貨当局がこの国際通貨制度の問題に対する認識は非常に甘かったのではないか。そして対策が非常に弱かったのではなかろうか。問題の危機性の認識が足らず、それに対する評価が非常に甘かった。したがって打つ手はすべて後手後手に回る。そして、ことし八月のロンドンの国際会議においてひとつ新しい通貨を出そうではないか。国際的な協力によって、一国に国籍のある通貨ではなく、集団的な国家の合意によって一つの新しい通貨をつくり出そうではないかという議案がまとまりまして、フランスも一応英米側に妥協する。そしてこれが九月のリオデジャネイロの国際通貨基金の総会において採択されたわけでございます。国際通貨基金にできるであろうところの、いわゆる特別引き出し権、スペシャル・ドローイング・ライトという形であらわれたわけでございます。この通貨は、つまり先ほども言われたように国際通貨としての金の相対的不足、これを補完する、ドル、ポンドの相対的な価値低下、それが疎外されたようなものを補うために、新しい、国籍のない通貨として動員されるはずであったわけでございます。ところが、これすら今度のポンドの平価切り下げを契機とする国際的な通貨金融の混乱状態の中では、その状態を救うためにはもはや手おくれである、あるいは力が足りないというふうにわれわれは評価せざるを得ないわけでございます。したがって、新年、四年ほどをかけてやったこの対策が実はやはりはるかに国際金融情勢の悪化という現実に追い越されております。これをわれわれは非常に懸念するわけであります。  ところで、あまり時間を長くかけることができませんので、金問題の中における日本立場を申し上げてみたいと思います。  御承知のように日本金保有高は世界の主要国と比較して、少ないとかなんとかいう状態ではないわけでございます。いま試みに一九五九年と一九六七年——ことしの金の保有高を比較してみたいと思います。一九五九年における世界の有力諸国のそれぞれの金保有高を見てみますと、アメリカが百九十五億八千七百万ドル、イギリスが二十五億一千四百万ドル、フランスが十九億三千万ドル、西ドイツが二十六億三千七百万ドル、イタリアですら十七億四千九百万ドル。日本はこの当時二億四千四百万ドル。けたが違うという比喩がございますが、まさにアメリカとは二けた、その他西欧の諸国——もはや現在では日本の国民所得は一千億ドル、西ドイツ、イギリスに比肩すべき国がこれだけの金準備しか持っていないということでございます。  それなら一九六七年に至る相当な時の経過の中に日本金保有はふえただろうかというふうに見ますと、その状態は次のような状態でございます。アメリカは百三十億七千七百万ドルという数字がございますが、これは私が使っております国際通貨基金の正式の報告でございまして、現在ではアメリカはこのポンド・ショックの一週間に約四億七千五百万ドルの金を喪失しております。したがって現在では百二十四億三千四百万ドルというのが公式の数字でございます。しかし、さらに減っているはずでございます。アメリカの減り方は非常にきわ立ったものであるということでございます。それは先ほど国際収支赤字、そしてドル不信認からドルと金との交換がアメリカに殺到してきているということでございますね。次にイギリス、十七億八百万ドル、フランス、五十三億二千四百万ドル。フランスはドゴール政権下に金の獲得に一切の力をあげたということで、現在では六十億ドルを超過しているはずでございます。  ちなみに申しますと、フランスの民間金の保有高も約六十億ドルあるはずでございます。それで民間保有と政府保有との金は全く別ものであるというふうにおっしゃいますが、これはそうではないわけです。先ほどから貨幣用金と財としての金が区別されておりますが、これはそうではないんで、もし貨幣用金価格が改定されるなら、貨幣用金のほうへ入ってくるわけですね。そういうわけで、貨幣用金と工芸あるいは工業用の金とは区別してはいけないものだと思います。両方刻印を打つことはできないわけで、双方的に流れるわけですね。こういうものとしてわれわれは金を理解しているわけであります。それからイタリアが二十四億百万ドル、こういうふうになっております。日本は三億三千万ドルへ微増ということでございます。したがって、この五九年、六七年の中における金保有の世界的な傾向は、アメリカのきわ立った金の減少、西欧諸国の、イタリアをも含めて金の保有の激増と、わが国の横ばい、非常な低調な増加だということになろうかと思います。ところで、これはもう少し詳しく申しますとよろしいのでございますが、つまりこれを簡単に日本の輸入金額というものに比較してみますと、アメリカの輸入金額が——これは運賃保険料込み、CIFでありますね。アメリカが二百八十一億三千五百万ドル、イギリスが百七十一億四千二百万ドル、フランスが百八億一千三百万ドル、西ドイツが百六十七億二千七百万ドル、イタリアは九千二百三十四万ドル、日本が百十三億四百万ドル、こういうふうな貿易量、輸入でございますね。輸入を全部金で買うわけではございません。外国為替準備その他で買うわけでございますが、金の保有高が日本が異常に少ないという事実はおおうべくもないというふうに考えるわけでございます。  ところで金は今後一体どうなるのか。現在では金価格が、アメリカを中心とする——日本は入っておりませんが、有力諸国がドルプールというものをつくりまして、ドルを供出してロンドンでプールをつくりまして、金の売り応じ、売り出動をやっております。しかしこの売り出動ではしょせん金の需要には応じられないというのが現状でございまして、金価格は一九六一年に例の一オンス四十一ドルになったことがございますが、現在それほど沸騰してはおりません。つまり金は売り出動によってかなり押えられておりますが、この超過需要が依然として続くならば、おそらく金プールでは対抗できないのではないか。また金の需要そのものがほかからの需要に応じられぬのではないかということが非常に心配されるわけであります。そうしますと、一体金はどうなるのか。まず、世界的な貨幣用金の集配機関としてのアメリカ、もはや集中はできないので、配分機関でございますが、これがまずアメリカの通貨制度を改革しなければならないような状況にならないだろうかどうか。御承知のようにアメリカは通貨準備法によりまして、中央銀行の通貨供給量の二五%を法定で準備していなければなりません。通貨供給量から二五%、四分の一を準備していなければなりませんから、現在では通貨供給量からすぐその二五%の金額が出ますが、約百億ドルと見てよろしいかと思います。つまりアメリカは、百億ドルを引きますと、外国に対して自由に金請求に応じられるものは二十数億しかないということでございますね。これに対してアメリカが金を兌換してやらなければならない対外ドル建て法的流動負債は約百三十億ドル、これを見ても現在アメリカの対外信用構造が非常に危機的な状況にあるということを御理解いただけると思います。この法定準備をはずして百二十数億を充てるとしても十分ではない。特にアメリカの通貨の状況がよくないときに、準備をはずしたら一体どういう悪い効果が出るか。おそらく比喩的には当たっているかどうか知りませんけれども、よろよろしてつえをついている人につえをとったらどういうことになるかということでございます。この点のあとは御判断におまかせするわけでございますが、私はこれは単なるショックぐらいでは済まないのではないかというふうに考えております。しかしこれは現在の当面の危機状況を免れるための一つの方法であろうかと思います。しかしやはり次のような政策をとらざるを得ないかもしれない。それは金兌換の一時的停止でございますね。現在の金をアメリカから引っ張り出さないようにするために、金価格上昇を押えるためにはいろいろな措置が講じられておりますが、まず金兌換の停止というようなものも、公然とではありませんがおそらく論じられているのでありましょうし、またロンドンにおける金の取引のディーラーの身分を制限する。ロンドンの金市場は、貨幣用金の市場でもあり、商品市場としての金の市場もまた非常にあいまいな市場でございますが、ここに買い手として入る人には制限がないわけでございますね。それを今度はその国から身分を証明してもらって、その国だけしか金のディーラーにはならないようにしようではないか、金のバイヤーにならないようにしようではないか、法人であれ個人であれ、そういうふうなことも言われております。これはしかし非常にむずかしいのではないかと思います。要するに、アメリカが金兌換の停止をするかもしれない。これは最悪の状態であります。そういうことがありましたら、われわれは国際通貨制度の崩壊的な危機を懸念するわけです。  それから先ほどから言われておるように、金価格の改定という問題も必ずしもなくはない。金価格の改定については、アメリカでは大統領の決裁事項ではございませんで、議決事項でございます。したがって、現在アメリカの下院においては金価格は改定しない、アメリカの下院は金価格の改定、一オンス三十五ドル、金ではかったドル価格の低下、逆にドルではかった金価格の引き上げはしないと言っておりますが、しかし情勢の動くところ、はたしてそれで対抗できるかどうか。アメリカに対する金アタックが阻止できるかどうか。緩和できるかどうか。できるとするなら、かかって一つはアメリカの国際収支を均衡させることだけだと思います。国際収支の文字どおりの均衡ができなくてもよろしいわけですが、国際収支の均衡の見通しさえつければいいと思うのです。しかしこういう状況がなかなか出るとは思えませんので、金価格の改定という問題もあり得ないことではないというふうに考えるわけでございます。  こうなりますと、国際通貨制度というのは、これはドルを中心とする国際物価体系あるいは国際金融体系、あるいはもっと抽象的に申しますなら国際価格体系というものが崩壊するわけでございまして、それはおそるべきものだと思います。われわれは何とか現在の状態を保ちたい。私は現在の国際通貨制度は矛盾に満ちたものだと思いますけれども、これでドラスティックな改革をするということははかり知られないコストをわれわれはかけなければならないので、復活したところで非常に大きなその傷口をふさぐことはできないわけでございまして、やはり合意のやり方によりまして当面の危機を何とか切り抜けるということでございます。やたらに、日本は金が心要だからといってゴールドラッシュに身を投ずるべきではない。そうしたら金を持っていない日本には、ドルしか持っていない日本に大きな損失がかかってくるということは言うまでもないことでございます。やはり日本は、何といいましても、もはやこうなりますと、残念なことでございますが、やはり諸国と、なかんずく対米協力をせざるを得ない。西ドイツのように金をたくさん持っていて協力したかったわけでございますが、まる腰で協力するのは非常にさびしいわけでございますけれども、もはやそうせざるを得ないと思います。そうして事態が好転した場合には、鎮静化した場合には堂々と金を買うというふうな方法、それから先ほどいろいろ皆さんがおっしゃったような産金対策というふうなものも当然すべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  日本としましては、金が非常に先ほどのように少ないのは何かというと、アメリカへの金融は、日本の金融ポジションはネット赤字でございますから、アメリカへ金を請求する柄ではないということが一つ。政治的なかね合いは除きましても、対米日本の短期の信用ポジションは赤字でございます。金ができないわけですね。しかし借金しても金をアメリカから買う方法はなかったかということをわれわれは考えておるわけでございます。  もう一つは、日本の高度成長が全部金を貯えないでドルを持っていた。ドルを使って成長のための輸入を買う、ドルをかえてすらわが国は成長につとめた。したがって、金がないということは日本経済の成長の中に具体化しているのではないかというふうに成長論者はおっしゃると思います。しかし現在の問題状況の中においてはそういうふうな意見は成り立たないわけでございます。国際金融情勢が安定した場合には私はそれを認める。つまり金がなくても金を将来獲得し得るような可能性、つまり日本の無比の高度成長がその中に金を失った対価としてあるのだ。しかし国際金融情勢の悪化の中でそれはもはや通用しない議論だ。日本は高度成長の中においてやはり金を保有するというかね合いの政策をとるべきではなかったろうか。つまり戦略的に一つ問題があったのではないか、あのドイツを見よというふうに思うわけでございます。  以上いろいろ申しましたが私のやや学問的な、そして実務的な意味からの金に対する問題、国際金融情勢、この中における金の問題の報告を終わります。ありがとうございました。
  12. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、渡辺参考人お願いいたします。
  13. 渡辺武男

    渡辺参考人 私はちょっと今までと立場が違いまして、いろいろな金属の鉱床の研究をしておる者でございます。いままでのお話では金の必要性とか日本探鉱が十分されてなかった、そういう問題が取り上げられておりますが、私は学問的な、自分の専門的な立場で、日本の金鉱床をさらに探鉱することによって、どのくらい将来性があるかというような問題について簡単に申し上げたいと思います。  いろいろな金属の鉱床がございますが、日本における金の鉱床はいままでわかっておりますもので、大部分が鉱脈型の鉱床でございまして、わりあい小さくて、板のような形をして地面の中に垂直に立っているというようなものが多いわけでございまして、最近秋田県の北のほうで非常にたくさんな量が発見された黒鉱鉱床といわれているようなものの存在状態はちょっと違っております。でありますから、水平にわりあい広い面積に横たわっておりますものですと、ボーリングを上から打つことによって比較的見つけやすいわけでございますが、金の鉱床の探査というのは黒鉱と同じような探査だけではできないというようなことがございます。鉱山の発見ということは、従来地表に出ておりますものを発見して、そして次第に深部へ進んでいくというのが常道でございますが、日本のように人口稠密かつ文明が進んだところでは、すでに大部分が、鉱床が地表に直接あらわれているものにつきましてはもう済んでおりまして、現在では地面の中に頭をひそめているいわゆる潜頭鉱床の探査というようなことが重要なことになっております。ところが学問の進歩、それから鉱床の研究をたくさんしておりますので、そういう研究の成果によりまして鉱床のあり方というようなものがある程度わかってまいりますと、従来考えているよりはより能率のいい探査とか、そういうことができるようになってまいりました。しかし従来簡単に、いわゆる鉱床探査に従事している山師とかといわれているような方々がやっておられた単純な方法ではできずに、相当の費用をかけて探査しなければならない、そういう状態になってまいりました。そういう意味で探査というものに相当高度の技術と費用を要するということがございます。先ほど来お話にも出ましたように、金の鉱床というものが地面の中に独立して存在しているのではなくて、多くの場合にはいろいろな鉱床と、他の鉱床と関連して出てくるわけでございますから、金の鉱床の探査ということは、やはり他の金属類の鉱床の探査ということと関連があるのでございます。  そこで、しかし問題をしぼりまして、きょうは金が問題になっておりますので、金鉱床を中心にお話を進めますと、幾つかの探査のやり方があるわけでございます。日本ではもう相当鉱床が調べ尽くされたと申しますけれども、実際は先ほど申し上げましたように、金の鉱床の地下深いところにあるものまでもさがすということになりますと、まだ十分な手だてが尽くされておらない。しかし鉱床というものは天然がつくったものでございますから、しかも現在できたものでなくて、過去数百万年とか千万年とかいう前にできたものでございますから、そういったものをさがすのはなかなかむずかしいことでございますが、いままで見つかった鉱床の近傍にはやはりそれなりに鉱床ができた理由があるわけでございますから、比較的そういう地域は探査する場合には重点を置いて探査すべきだということは、他の鉱床についても言えることで、金についてもそういうことが言えるのでございますから、鉱山のわかった金山地域鉱床をさらに精査するということによって新しい鉱床が出るという可能性があると私は信じております。そういう例は最近でも幾つか例が出ております。  それからもう一つは、先ほど申し上げました潜頭鉱床の探査でございますが、日本は国土が狭いといわれますが、その上に火山国でございまして、最近の若い地質時代に火山が非常に名地で噴出しておりまして、金鉱地帯にそういうことが起こっておりますので、火山の生成のもう一つ前の時代にできた金鉱床が火山の下にもぐっているというようなことが比較的多いわけでございます。ですからそれがございますので、そういう地域鉱床調査というのは上からただ見ただけではできないので、いろいろな新しい探査方法をやらなければならない。ある場合にはボーリング、ある場合には坑道まで掘ってやらなければならないということがございます。そういうことをすることによって新しい鉱床をさがす可能性があるわけでございますが、しかし、それを的確に、ただこうやればすぐ出るというようなことでなくて、そのものをずばりと当てる前に、そういうものが出る可能性がどういうところに近いかということの研究的な探査といったようなことをある程度あらかじめしなければ、実際に本物には当たらないのでございまして、北秋田で黒鉱が発見されたというのも、実はそういう経過を経ておりまして、何億かの費用をかけて何百億とか何千億とかいうような鉱床を見つけたというような例がございます。  そういうような例がございまして、先ほど来金鉱山では十分な探査費用をかけて探査ができないというお話がございましたけれども、しかし重要な鉱山では、鉱山側でも、できるだけ少ないお金で能率よく探鉱しようということにやはり努力はしておられまして、その一部の成果としては、鴻ノ舞というような金山の近傍に新しい金鉱が最近になって見つかったという例もあるのでございまして、全国的にそういったやり方で進めていけば潜頭鉱床の見つかる可能性はまだ日本に残されていると私は考えております。  それから、日本におきます金の鉱床というのは外国における南アの鉱床とかインドの大きな鉱床とか、そういうものに比べまして、比較的浅いところでなくなってしまうというような、そういった性質のものでございます。しかし、浅いところといいましても、従来考えておりました二、三百メートルとかそういうところではなくて、実は、よく探査してみれば、さらに五百メートルあるいは千メートル近くまでも続くし、潜頭鉱床がそういったところに出る可能性もあると考えられますので、やはり、探鉱の考え方というものを少し変えていく、そういうことによって新しい鉱床が出てくる可能性がある、そういうふうに考えられます。  しかし、それをしますにいたしましても、いずれにしましても基本的な、基礎的な調査とか研究とか、それからそれに基づいた探査というものを行なわなければ成功しないのでございまして、鉱業界のほうではそれだけの余裕がいままでなかった。そのために新しい鉱床を見つけるというようなことがおくれてしまったのではないか、そういうふうに私は考えます。これはひとり日本の鉱業界が、何かその方面に熱意がなかった、そういうわけではないようでございます。全世界的に金鉱業というものは日本と同じような立場にございまして、南アが、いま約七、八百トン年に出る鉱石の半分を出しておりますけれども、南アが続いておりますのは大きな理由がございまして、日本と違いまして、アフリカの大陸で何億年とか何十億年とかいうような前にできた古い金鉱が、しかも地下三千メートルまでも広い範囲に続いておる。特に新しい技術をしなくても、ただ下へ下へと進むことによって金鉱の産額を減らすことなくやっていくことができるという恵まれた状況にあり、しかもその金鉱の中に最近になりましてからウランが発見されたとか、そういうようなこともございまして、日本とは別な立場でようやく維持しているというような事情でございます。全世界的に金鉱業というものは探査がおくれておりますので、そういう点では日本が特に何か研究がおくれたというわけではない、別な問題があったと私は考えております。  それから最後に申し上げたいことは、鉱山の探査は一般的に申し上げますと、一ぺん鉱山をやめてしまいますと、その探査というものは非常にしにくくなる、しかも能率が悪くなる。金の鉱山がまだ閉鎖されないうちに深部の鉱床を探査することをしておけば、さらに鉱山の寿命は延びるというようなことがございまして、そういう意味日本ではまだ地質学的にあるいは鉱床学的に見まして探査すべきところもあり、また若干の少ない鉱山ではありますが、その周辺を探査すべきところが残っているので、今後十分その方面に力を入れれば発展の余地はある、そういうふうに私は考えております。  簡単でございますが、おもに趣旨だけを申し上げました。
  14. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で、各参考人からの一応の陳述は終わりました。     —————————————
  15. 鴨田宗一

    鴨田委員長 参考人並びに政府当局に対する質疑の申し出があります。これを許します。田中武夫君。
  16. 田中武夫

    田中(武)小委員 時間の関係もあるようでございますから、きわめて簡単に参考人方々やら政府委員に若干の質問をしたいと思います。  まず村野先生にお伺いいたしたいと思うのですが、今日のヨーロッパその他における金戦争、いわゆるゴールドラッシュといわれており、またアメリカでは三〇年来金の保有準備が減ったといわれておりますが、このような状況はポンドの為替レートの切り下げということによって起こってきた。したがって一時的な現象であって、しばらくすればおさまると思われますか。それとも、こんなにひどくはないけれども、たとえば十四日一日で国際プール協定は百トンという金の放出をした。こういうことは続かないとしても、こういったような状況は相当期間続くと思われますかどうか、この点をお伺いいたします。  もう一点は、先ほどの参考意見にもありましたが、私も金の価格の改定ということは必至だと思うのです。それはいろいろとアメリカはドル防衛ということで施策をやるだろうし抵抗もするだろうと思いますが、推定というのはむずかしいと思いますが、そういう金の価格の改定、この時期は案外早く来ると思われますか、そういう時期が予測できるようでございましたら、ひとつ言っていただきたいと思います。  それから原口参考人にはILOの理事として国際情勢をよく知っておられるので、先ほどもちょっとお話があったようでございますが、金がなければ買ったらいいじゃないか、四百五円で売ってくれるのだから買ったらいいじゃないかという意見があるようですが、そういうことが現実に行なわれるかどうか。これはしょっちゅうヨーロッパ等に行っておられる原口参考人に現地の事情から見てひとつ御意見を伺いたいと思います。
  17. 村野孝

    村野参考人 十分お答えできるかどうかわかりませんが、お答えさしていただきます。  こういう危機状況は、実は私はある程度予測していたつもりでございます。と申しますのは、昨年の十一月ごろシンポジウムをやって、ある人と見解を異にしたわけでございますが、イギリス帰りの人が、ポンドは切り下げをすべきではないし、切り下げの必要はないであろう。私は、切り下げをしたほうがいいので切り下げざるを得ないだろうというふうなつもりでおりましたので、多少時期の違いあるいはポンドの為替レートの切り下げ率の違いはございますけれども、まず来たるべきものが来たという感じでございます。しかしそのあとに続いたドル危機、国際通貨制度の動揺というものは、実は私の予想以外に大きくなっているわけでございまして、私は当初ポンドの為替レートの切り下げは非常に内輪な切り下げ過ぎる、少なくともこれは私どもの、普通使われる購買力平価説という立場に立ちまして、現在のその国の公定為替レートが適正であるかどうかを大ざっぱにはかる一つの方法がございますが、それによりますと大体二割五分ぐらいが割り高になっていたのではなかろうかというふうに考えます。もっと大きく割り高になっておるというふうに考えておる人がおりました。つまり一ポンドは二ドル八十セントには値しないのだ、イギリス人がアメリカヘ一ポンド持っていった場合には二ドル八十セントではなくて、もっともっと二割も三割も差し引いたものしか得られないのだというふうに思っていたわけでございます。ところが一四・三%という奇妙な為替レートの切り下げ、これはアメリカとの関係でかなり政治的な為替切り下げがあったわけだと私は思うわけでございますが、もう一つは、イギリスとしてほかの追随をそこで断ち切る。つまり為替レートの切り下げをある程度小幅にはしたけれども、それだけでは国際収支改善効果はそうないけれども、フランスなどの追随をここで押えたということではないか、そういう戦略があったのではないかというふうに考えられます。これでは私はポンドの安定は期しがたいのではないかというふうに想像しておりましたが、やはりそのとおりでございまして、私の評価以上の動揺をしておりますが、現在ポンドが悪いということはドルが悪くなる。この前の四九年のときは、ポンドが国際通貨としての価値を非常に落としたにもかかわらず、ドルはきわ立った国際通貨になったわけでございます。そうして国際通貨体系は非常に安定しまして、これがごく最近まで続いてきたわけでございます。脱落したのはフランスもそうでございますが、イギリスがその中からひとり脱落したということでございます。  ところで、ポンドの動揺は同時にドルに連鎖反応を起こす。ドル防衛は今度は逆にイギリスに負担をかける。と申しますのは、今度アメリカが公定歩合を引き上げるということになりますと、せっかくイギリスが危機的なレートを改めたにもかかわらず、アメリカへ短期資金が流出するおそれがある。したがって国際収支の均衡項目である短期資金が流出してしまうということでございますね。これは非常に問題になるわけであって、為替レート切り下げは資本収支の黒字を目的としたのに、それが達成されないということになるわけで、今度はもう一ぺんポンドが引き締め政策をやるとなるとアメリカへ影響するということで、現在では危機をお互いに及ぼし合うメカニズムができてしまっている。これは非常におそるべきことではないかということで、私はポンドの切り下げ後一応の鎮静があって第二回目の危機が来るのではないかというふうに想像しておりました。ところが今度は、御質問のように、この危機が鎮静化し安定化してくるならは、第二ラウンド——ことばは不謹慎で申しわけないのですが、第二ラウンドで大きな問題になるのかというふうに思っていたのですが、どうもその点がちょっと怪しくなった。ここでそのままいわゆるドルが崩壊し、金価格改定があるというようなことにはならないと思いますけれども、どうやら当面の危機鎮静化でも相当大きな手を打たないとだめではないかという気がいたします。しかし私は、ここでやはり危機はもう少しおさまるのではないか、そうしてポンドの為替レート切り下げ、その国際波及、特にドルへの波及は大きな後遺症となって残っているので、決して光風晴月ということにはならないと思います。したがって後遺症はいつ、どういう形で再発するかわからないという、非常に不気味な、またおそるべきものではないかと思う。よほど諸国が強い、次元の違う協力体制でもとらない限りだめなのではなかろうか。  それから、言うまでもないわけですが、アメリカの国際収支を何とか均衡化にもたらすこと、これしか手はないと思うのです。もちろんベトナム関係支出をやめたらアメリカの国際収支が均衡するかどうかということは、実はわからないわけでございます。ベトナムの関係支出がなくてもアメリカの国際収支は均衡するかどうかわからないところに問題の深さがあると思う。もちろんベトナム関係支出をぐっと減らせば確かに均衡状態には向かうでありましょうが、しかしフランスのかつての大蔵大臣ジスカールデスタンが言ったように、アメリカの国際収支は均衡するが、また不均衡になるおそれがあるだろうということでございますね。いずれにしても戦争直後、一九五五、六年まで続いたアメリカの異常な国際収支の黒字は続かない。その上に乗っかっていた強力無比のドルというものは今後あり得ないのではなかろうかというふうに考えるわけです。したがって危機状況は、これがすぐ私の言う第二ラウンドへの道かどうかわかりませんが、やはりかなりその地盤の動揺というものはおさまりにくいのではないか。私は非常にそれを懸念するわけです。  それから第二の問題。国際通貨制度の動揺の対策として金価格の改定、すなわち金ではかったドル価格の引き下げ、ドルではかった金価格上昇というのがあり得るかというと、私は理論的にはあり得るというふうに考えております。ただこれは一義的にあり得るという、いわば超時的に言ってしまうことはよくないわけでございまして、やはりその間のとられる国際協力の協力体制でございますね。こういうふうなものがどういうふうに展開するかということによってきまるわけでございまして、一義的にそして直線的に金価格改定への道であるというふうに言うのは、やはり単純過ぎ危険であると思います。やはり対策いかん。もし現在でもひびの入ってしまった国際協力、つまり私はフランスの国際協力からの脱落、むしろ非協力をさすわけでございますが、どうしてもヨーロッパ大陸諸国の通貨政策はきわめて保守的でありますし、みずからのいわばあまりいいことばではないのですが、国益を守ろうという気持ちが強いわけでございますから、やはりよその国に義なる関係を尽くすかどうか、人と人との関係では一人が身を滅ぼして他の人に尽くす道はあると思うのですが、国と国との間に義はないのではないかということを、かつてわれわれの尊敬する京都大学の大先生はおっしゃいましたけれども、私もその点はあぶないのじゃないか。したがって国際協力体制なるものは今後どうなるかわからない。国際協力体制の強弱いかんがこの問題の決定要因になるのではなかろうか。言うまでもなく、繰り返しますが、いずれにしましても、アメリカの国際収支の早急な均衡が必要だ、あるいは算術的な均衡ではなくて、やはり均衡の見通しをつけてほしいということでございます。  以上、お答えいたします。
  18. 原口幸隆

    原口参考人 私は学者じゃないので、私の感じしか申し上げられないのですが、ちょうどポンド切り下げのあった午後飛行機に乗って日本に帰るときに、たまたまそういうことにぶつかったのですが、国際会議の場では、イギリスの経済についての批判——限度というものはいずれくるというのは一応の常識として考えておりましたし、またイギリスの労働組合の苦悶もそこにあったわけなので、そういうことを承知の上で賃上げを押えるということを組合みずからが下部に説得しなければならないという深刻な状態に前からありました。さらに、数年前から換金運動、換金の動きというものは激しくヨーロッパでありまして、私たちの耳にも直接入りあるいは見ることもできました。ですから、そういうような状況からいきますと、いまの御質問に対しては私は買えないだろうというふうに思いますし、それからイギリスの官公労の労働者は実質的な賃下げに今度はなっていくわけですから、この傾向はヨーロッパ全体にも広がっていく可能性を持っておりますし、そういう意味では労使関係の不安というような問題もこの問題に連関をして相当続発してくるのじゃないかというふうにも考えられます。
  19. 田中武夫

    田中(武)小委員 次は、両角局長にお伺いいたします。  先ほど来の各参考人の御意見によって産金政策は急がねばならぬ、しかも強力に、こういうのが各参考人の御意見の結論だと私思うのです。そこで通産省としては十一地区か十二地区を重点的に探鉱する、こういう政策をあげておられるのですが、これは現在稼働しておるところを中心に考えられたのだろうと思うのです。しかし先ほど来訪も出ておりますし、あるいは戦時中の金山の整備令によって廃山したところにも、さがし方によってはまだたくさんあるのじゃないか、こういうように思うのですが、そのような点はどのように考えますか。私が言っておるのは、いまあなた——あなたというか通産省が考えておるのは現に稼働しておるところを中心に考えておる、しかし現に稼働していないところもやるべきじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  20. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおり金山対策につきましては、今後ともただいまの参考人各位の御意見を十分参照いたしまして対策を検討してまいりたいと思いますが、一応現段階におきましてわれわれが検討しております案におきましては、御指摘のとおり現在稼働しておる金山のうち有望なる鉱山、事業所単位で拾い上げまして、それに対する重点的な投資というもので金の生産をふやしてまいりたい、かような考え方をとっておるわけであります。新しく金山開発していくというような問題につきましては、なお長期的な観点に立ちまして慎重に検討をさせていただきたいと思います。
  21. 田中武夫

    田中(武)小委員 次に大蔵省の主計局次長さんですが、きょうはむしろ私はあなたに意見を聞くというよりか聞いてもらうためにこちらへ来てもらったわけなんです。きのうは産金地区の地方議会の代表者等と一緒に大蔵省に対して陳情といいますか要望したわけです。そのときにあなたは、米に次いで金を保護しておる、助成をしておるのだ、こういうような御意見がありました。しかしこれは国際価格が四百五円、日本ではそれが平均グラム六百六十円だ、だから保護しておるのだ、こういうようなことであって、政府が金に対して直接に——もちろん、鉱山全般に対していろいろな施策、補助金あるいは奨励金を出しておられますが、金に対してはあまり予算は出ていないと私は思う。ただグラム六百六十円で国際価格より高く価格を維持しておることが助成だ、補助だ、こういうふうに言われたのですが、その点については私は若干意見を持っております。  それからもう一つは、金の政策に対しての補助金の財源はどうか、こういうことですが、本年も金地金を十トン輸入するということで八トンほど輸入したと私は聞いておりますが、あとが買えるのか買えないのかわかりません。しかしかりに八トン輸入した段階でも、いわゆる輸入差益金といいますか、これが、二十億近いものが貴金属特別会計へ入ってきておる。私はそれを使ったらいいじゃないか、こういう意見を持っておるのですが、いまここでそのことについて議論なりあるいは結論的な御意見を聞くことも無理だと思いますが、もし主計局のほうで私のこういうような意見に対して何かございましたら、ひとつ言っていただきたいと思います。むしろあなたの意見を聞くより聞いてもらいたいというのがきょうは本音ですがね。
  22. 海堀洋平

    海堀政府委員 途中から参りまして、いまの御意見いろいろ伺いまして非常に参考になると思います。ただ、国際収支あるいは国際的な金の問題というふうなことは私の所管でもございませんし、国際金融局のほうで考えるべき問題で、私ももちろんそういう背景は考えなければいかぬと思いますが、ちょっと私の所管からははずれるような形でございます。いま、今後日本産金をどうしていくかということについて通産省から予算の要求が出ておりますが、現在、四十三年度予算の問題についてまだ政府の上層部で基本的な方向を論議しておる段階でございまして、どういうふうに扱うかということは、そういった大きな方針のもとでまたあらためて考えてみたいということでございまして、ここでまだどういうふうに考えているかということを申し上げることはできないわけでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)小委員 次に河上有田の両参考人に、これは経営者という立場から御意見を伺いたいのですが、現在日本の粗鉱品位は大体平均トン当たり六・一グラムくらいだといわれています。そこで掘れば掘るほど損がいく、赤字だ、こういう状態が続いておると思うのですが、これがペイするためには、品位が十グラムなくちゃいけないとか、あるいは私がことしの四月に予算委員会で、通産大臣に質問したときには、八グラムあればペイする、こういうことをいわれておったのですが、大体どのくらい平均品位のものがあればペイするのか。今度は逆に現在のような六・一程度のものでペイするためには、現在の六百六十円という指導価格をどういう程度にすればペイするのか。もちろん企業努力を最善にした上で、どのくらいになるかということをお伺いいたしたいと思います。
  24. 河上健次郎

    河上参考人 お答えいたします。何グラムあったらペイするかということは、規模によりまして、鉱山個別で決定される状況でございます。これは御承知のわけでございまして、これが日に七、八百トンも掘る山でございます場合と、それから四、五十トンの場合と全然違いますので、断定的に幾らということは申しかねます。ただ私ども、平均をとりましたコスト割れが現状で、すでに先ほど申し上げましたように、六十一円のコスト割れでございます。と申しますことは、ほんとうにそれ以外に十分な探鉱をやるべきものをやらないで、コスト割れが六十一円、つまり積極的に当然探鉱をやるといたしますと、これはざっくばらんに申し上げまして、われわれは補助金の確保でグラム当たり百六十円ほしいということを申し上げました。そういうわけでございますから、山によりまして、これは現在八グラムやってマイナスのところは十グラムくらい出さなきゃいかぬということになりましょうし、それから五グラムで赤字でやっておるところは、少なくとも六グラム半はほしいということでございますので、私ここでそういう資料があるかもしれませんが、あるでひとつ調べまして出しますが、私の申し上げたようなことが実情でございます。  それから一言、先ほど私が申し上げたいと思いましたことで、私がお手元に差し上げましたプリントで御承知いただけると思いまして、実は時間の関係で省きましたが、一言この機会にお許しをいただいてつけ加えさせていただきたいと思いますのは、先ほど参考人からお話がございましたように、金はいろんな鉱物と随伴するという事情がございます。それから非常にそういうコスト割れをやりくり算段しておりますのは、経営をいたしております鉱山では、ほかのほうから回しておるわけでございます。それでキープをしてなけなしの探鉱も幾らかはやってやりくり算段をしておる。それからあるいは金山だけの会社からは硅酸鉱を確保するため銅精錬所が買っておるというふうなことで、そういう持ちつ持たれつのかっこうでマイナスの状態を何とか助け合ってやりくりをしておるという実情でございます。そういう意味で、この金の政策はやはり重要鉱物の政策に非常に関連がある。そういうことでございますので、鉱業審議会でかねがね本答申をいたしましたうちで、たとえば海外鉱の資源開発の問題、これもいまは国際的に非常に問題でございまして、これなんかも非常に大きな問題でございます。そういう点もやはりこれは自然に関連いたしますことでございますので、本委員会でも、ひとつその辺もお取り上げ、御審議をいただけることができれば非常に幸いであります。金山の問題にほんとうに関連がございます。そういう意味で、ひとつお取り上げいただく機会がございましたら、非常にしあわせだということを、一言、ここに書いてございますが、先ほど御説明のうちに抜けておりましたので、つけ加えさしていただきたいと思います。
  25. 田中武夫

    田中(武)小委員 最後に渡辺参考人にちょっとお伺いいたしますが、先生の御意見を伺っておりますと、ともかく探せばある。今日まではいろいろの事情で、ことに金山赤字だ、あるいは下請に回しておるとか、あるいは小さなところがやっている、こういうふうなことで、十分な探鉱をしなかった。そのために、あまりいい鉱脈も出なかった。そこで新しい技術によって、探せばある。探せばあるけれども、投資するのと発見するのとのバランスの問題があると思うのですが、その辺のところは推定だけでは言えないと思うのですが、相当な投資をして探すならば、それに十分見合うだけのものはあると推定せられるわけでございますが、いかがですか。
  26. 渡辺武男

    渡辺参考人 私のような研究者の立場からは、いまの御質問はなかなかお答えすることがむずかしいと思います。しかし、先ほども申し上げましたとおり、いままでの鉱業の成り立ちを考えてみますと、鉄業は必ず掘れば鉱石がなくなるわけでございますから、減っていくわけでございます。それが今日まで連綿として続いてきましたのは、探鉱して、それによって新しい鉱量の獲得ということをやってきたわけでございます。それがやさしい場合とむずかしい場合がございますが、だんだんとやさしいところはなくなる、相当新しい技術とか考え方とか、そういうものを入れていかなければならない、そういう状況になっております。  そこで、日本がいまどういうことかといいますと、他の鉱種では実例がございまして、相当そういう新しい技術と考え方を入れることによって鉱石を獲得した実例が、黒鉱などであるわけでございます。金鉱につきましては、特に重点的にそのようなことをいままでやっておりませんので、この際類似のような努力をすれば、やはり私は若干可能性はあるというふうに思います。ただし、南アのような金鉱を見つけろ、そういうことをおっしゃっても、それは日本の地質のおい立ち上、そういうことはできませんけれども日本なりにいままでの金銀鉱二十七トン一年に掘っていたような状態、そこまではいかないにしても、それに近づくような方向に持っていくことはできるのではないだろうか、そういうふうに考えております。
  27. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、岡田利春君。
  28. 岡田利春

    岡田(利)小委員 金山は、私の認識ではわが国鉱山開発技術の温床である、そういう理解に実は私は立っているわけです。また戦前の鴻之舞、轟鉱山、また近く串木野鉱山等を見せていただいたわけですが、率直に申し上げまして、参考人から述べられた意見で、多少食い違いといいますか、ニュアンスの違いがあるのではないか。また河上参考人、及び有田参考人の場合には、いわばわが国の代表的な金山経営されておる、こういう立場でありますが、四十二鉱山の場合には、相当零細規模の金山もあるわけです。そういう面もある程度含めてお聞きいたしたいと思いますけれども河上参考人の場合には、いわゆる構造的な調査、新地域開発、さらにまた新鉱床探査補助金の強化、そういう点が、いわゆるこれからの金鉱山緊急合理化対策として望ましい、こういう意見が述べられたわけです。有田参考人の場合には、価格の値上げ、あるいはこれに見合う助成措置、及び河上参考人が述べられた意見があるわけです。この点が二人の参考人意見で違っておるわけです。また労働組合側の御意見を聞きますと、原口参考人の場合には直接この助成問題に触れていないというのは、国際通貨としての金に直接助成金を出すということは、これは国際環境上むずかしい、こういう理解に立って、この問題に触れなかったのではないか、こう私は実はお聞きして、理解をいたしたわけです。遠藤参考人の場合には、この助成措置については直接触れられておるわけです。こういう点の、四人の関係の参考人の食い違いがあるわけですが、端的にお聞きしまして、河上参考人の場合にはそういう直接的な助成措置、こういうものがなくても、新しく新地域開発、これによる金鉱山合理化、こういうものを進めていけば大体やっていけるという認識に立たれているのかどうか。あるいはまた、直接助成金の問題について意見を述べられた方々は、具体的にどういうことを一体考えられておるのか、こういう点について端的にお聞かせ願いたいと思うわけです。
  29. 河上健次郎

    河上参考人 私が申し上げましたのは、金山の抜本的な大きい柱といたしましては、こそくな手段ではいけない、これには根本的に地質構造調査から始まった、そういうほんとうの大きな柱を一本打ち立ててもらわないと、いままで何回もやりましたように、いろんな方法での小さな、きめのこまかいやり方だけではどうも浮かび上がらないということで、その面を強調したわけでございます。それではほかの点は要らぬかと申しますと、私は強調したい面を強調したわけでございまして、ほかに皆さんのおっしゃるきめのこまかい措置、たとえば閉山の鉱山を何とかいたす方法はあるまいかといったようなことでたいした費用が伴わないようなこと、これは何かやっていただきたいというふうなことは別途に協会のほうからも陳情を皆さんにお配りしているようなうちにもいろいろとございます。これは実はここで繰り返しませんだけの話でございまして、本年からの一つ大きな抜本的な方向をいま通産省でお考えの線は少なくともぜひやってもらいたい。これは先ほどそういう意味で最低これだけは絶対にやってもらいたい、こういう非常に強い願望を持っておりますことを申し上げます。  それから値上げの問題につきましての見解でございます。その値を上げたいということ、端的にいって値を上げたいというわれわれ業界の気持ちはございます。しかしいろいろ情勢を考えますと、現在の国内外の金の価格の違いを拡大するという方向で解決することは賢明な方法であるまいというふうに判断いたしますので、もっとほんとうのやり方でこいつをむしろ縮めていく方向に持っていけるくらい実力をつけたい、これが私どもの考え方でございます。
  30. 有田貞二郎

    有田参考人 私の考えもいまの河上参考人意見と大体同じでございます。いま言われましたように、現場におります経営者として端的に考えて、これはやはり値上げしてもらうほうがいいし、それから、できなければそれにかわるような助成策がほしい。それにかわるような助成策というのも、かねて業界要望しておりますグラム当たり百六十円の助成金とか、あるいは探鉱奨励金対象制限ワクの制限の緩和と補助率の引き上げとか、あるいはまた金属鉱物採鉱促進事業団の事業対象に金鉱の追加、鉱産税その他の免税というかねてからお願いしておるようなことをしていただきたいということでございまして、そしてそのような措置はいろいろな事情からやはりできないでありましょうから、そういう場合には、現在通産省が考えておられるような積極的な探鉱計画も将来の維持発展のためには好ましいことであるし、ぜひこれは実現してほしい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  31. 原口幸隆

    原口参考人 価格が安い、それで上げたい、上げない場合には何らかそこに補給金を出せという考え方は、私も必ずしも反対ではありません。賛成ですけれども、実際問題としてアメリカと日本との関係の政治、経済的結びつきからいって、そういうことが、腹をもってヨーロッパの各国がやっているようなことができるのかどうかというところに私は疑問を持っているのです。ですから、根本はやはり金鉱山の土台づくりというところに集中をしたほうがいいのではないかというのが私の考え方でございます。
  32. 遠藤亨

    遠藤参考人 結局原口さんの考え方と基本的に私は違ってはいないと思います。いま先生おっしゃいますように、結局助成金という先生のお話ですけれども、ぼくらの言っているのはたとえばグラム当たりの百六十円の補助金をという話は、私ども要望には額は書いておりませんけれども、こういう制度をまず基本的につくるべきではないか。それから、やはり現在ありますところの金属鉱物探鉱促進事業団の対象には金鉱山はなっていないわけです。ですから、こういう面もぜひ助成策によって築き上げていくべきではないか。さらに、金資源というものを、先ほど私申し上げましたけれども、実際に経営が悪化をしておることは事実でございますが、そういう場合には、やはり探鉱能力をどういう形で開拓をしていくかということになりますと、企業能力には限界がある、やはりそこに政府の保護政策というものが必要ではないだろうか、こういう点を力説させていただいたつもりであります。  さらに、先ほどの御質問にありましたように、新鉱床探査補助金にいたしましても、これは全部対象にされているわけではございませんので、そういう面で、現に先生串木野鉱山なり大口鉱山をごらんになっていただきまして、金事業の実情を御理解いただいたと思いますが、やっぱりそのためには補助単価なり補助率の引き上げというものを拡大してもらうべきではないだろうか。こういうところに内容的に持っていきたい。  要は、原口さんもおっしゃっておりましたように、現在の金鉱山経営悪循環をたどっておる。実際に四十鉱山ありますけれども、その中で実際の採算のとれておるのは一、二しかないというのが金山実情である、こういうことを御理解いただきまして、先ほどのような助成策という問題を強く打ち出させていただいたつもりであります。
  33. 岡田利春

    岡田(利)小委員 いま通産省が考えている、十一ないし十二の新地域開発をする、こういう方針が示されておるわけですが、現実の問題として、先ほどから述べられておるように、いまの金鉱山赤字である。昨年度六十一円、おそらく今年度は七十円を私は上回っているだろう、こう実は推測をしておるわけです。そういたしますと、たとえば通産省のいま考えておる計画を進める場合、昭和四十七年まで五カ年間で、わかりやすく言えばいまの六グラム、六トンを十グラム、十トンにする、金がその十倍出るのだ、こういう方向合理化していこう、この基本方針は、私は現在の地質学の状況から見て、相当権威のある、裏づけられたものである、こういう理解をしておりますから、そういう方向については、私はそうあらねばならない、こういう立場に立つわけです。ただしかし、それまで転換をする場合と、地域に対象になっていない鉱山は一体どうなるのか、そこに大きな問題があるわけです。そして、いま述べられたように、いわゆる新鉱床探査補助金というものは、概して言えば、おそらく八鉱山程度はいまの十一地域鉱山が対象になっている。残されたところは少ないわけです。全部にそういう探査補助金が対象になっているというものでは実はないわけです。そう考えてまいりますと、私はこの金緊急政策を進めていく場合のものごとの考え方、基本はそういう方向でいいけれども、では、対象にならないものとそれまでの過程を一体どうするのか、こういう点が一番問題ではないかと思うわけです。しかし、私は現在の金鉱床の成層条件といいますか、そういう面から判断して、金の場合に、ほかの鉱山と違って、普通、金山でいえば、俗にいうひ押し坑道といいますか、こういうひ押し坑道というのは、いまの金鉱山が抜き掘りをやって資金を確保するという傾向が非常に強い。まして、中小の場合には、そういう点が端的にあらわれている。とするならば、このひ押し坑道と称される坑道というのは、私はある意味で、一応推定される、一応確定されている鉱床の探査的な意味をこの坑道は持っているのではないか、こう私は私なりで考えるわけです。この点について、河上さんと渡辺さんから、こういう私の考え方に対して何か御意見を聞かしていただければ幸いだと思うわけです。
  34. 河上健次郎

    河上参考人 先生の御質問にぴたりとしたお答えはなかなか——私こまかい点存じませんので恐縮でございますが、この大きい筋道の積極的な施策、これだけでは待てない、タイミングの問題があって、待ちかねるということをわれわれも痛感いたしております。それで先ほど他の参考人からも御主張がありましたように、新鉱床探査補助金補助率の引き上げ、単価の引き上げ、これは非常に痛切な問題でございまして、これは金だけでございません。共通問題として積極的に声を大にして私ども強調しております。これは今日ダブって申しませんだけでございまして、その点は非常に業界として強く要望しておるということをお答え申し上げます。その点をとりあえずお答え申し上げまして、お答えになりましたかどうか恐縮でございますが、他の点につきましても、こまかい点につきましても同様でございます。その点だけお答え申し上げます。
  35. 渡辺武男

    渡辺参考人 私、ただいまの御質問に対しまして、二つ重点的にお聞きになったと思います。その一つは地域的な問題で、現在出ている方針が一番いいのかどうか、それが急に間に合うのかどうか、他はネグレクトしていいか、その問題が一つ。それからひ押し坑道的なものは、もう確定しているので、それをいまさら特に重点的にやる必要はないんじゃないだろうかというようなそういう御質問だと思うので、そういう点について若干私の個人的な考えを申し上げたいと思います。  私もいまは重点的に金鉱床の研究をやっておりませんけれども金山のたくさんございました時代に、北海道あるいは日本各地あるいは朝鮮半島等調べまして、そういうときの経験から申し上げますと、やはり現在稼行しておる鉱山は、こういう困難な状態にもかかわらず続けてこられたという理由がございまして、相当富鉱が多かったというために残ってきたのじゃないか。そういたしますと、その周辺というものにはそれに近いものが相当高い確率であり得るのではないかということで、選ばれたのだろうと私は考えております。しかし、それにつきましても、それ以外のところで、たとえば火山の地域でまだ未探査のところもございますので、そういう意味で将来やはりあわせてそういう未探査の地域を基礎的に日本で続けてやっていく必要がある、これはいま短期探鉱のことが出ておりますけれども日本の鉱業というものの将来を考えますと、これに関連いたしましてやはりいつでもそういう探査を続けていくという必要があるように私は考えております。  それからひ押し坑道の場合、これはなるほど鉱脈がわかっておりますから、それをいまさら探査を特にする必要がないように思いますけれども、たとえば硫化鉄の鉱床であるとかあるいは黒鉱の場合とかいいますと、見つかった鉱床全体が稼行価値を持ってくるというようなケースが多いのでございますが、金鉱の場合には鉱脈がたとえ見つかったとしても、その中に富鉱その他の部分が不均質に入っておりまして、探鉱をさらにきめこまかくやらねばならぬというような特別事情もございまして、そういう意味探鉱をも探鉱ということばの中に含めるならば、やはり特殊な金銀鉱床に対しては、品位が低いから肉眼ではなかなかきめ手がない、分析とかなんとかを精密にしていかなければなりませんので、そういう意味探鉱ということばをそういうところまで広めて考えていただく必要があるのではないかと私は考えております。
  36. 岡田利春

    岡田(利)小委員 いま渡辺先生のお話は、私の質問を逆にとられて言われたことが、私の考えに一致をした、実はそういうお答えだったと思うのです。私も金鉱床の場合には膨張、縮小あるいは消滅をしていくわけですから、そういう意味経営の安定をはかるためには、ひ押し坑道というのは、そういう品位とかあるいは成層条件だとか、いろいろ先んじてはっきり知っておく必要がある、これは言うならば鉱脈の消滅地帯まで先に一本坑道を切る、これがいわゆる探鉱的な意味を持つのではないか。しかしいまの新鉱床探査補助金制度というものは、そうではないわけですね。そういう意味で準探査坑道ではないか、そういうことを考えないと、坑道が近代化、合理化するまでの過程を、鉱山が乗り切っていくのはなかなかむずかしいのではないか。新地域をやるわけですし、五カ年かかるわけです。そういう点をやはり政策としてきちんと意見が聞きたかったという意味で実は私は申し上げたわけです。  そこで次の点でございますけれども鉱山の場合はどこでもそうですか、鉱区問題というものはなかなか解決困難なものです。炭鉱の場合でもそうですし、それ以外のメタルの場合でもそうだと思うのです。そういう意味でたとえば串木野地帯などは鉱区が錯綜し、今度の計画を見ても総合的に開発をする場合に、鉱区問題を解決しなければならない。ほかの場合でもずいぶんこういうケースがあると思うのですね。こういう鉱区の問題は、金鉱山の緊急合理化を進める場合に、業界としてスムーズにやっていけるという自信があるか。あるいはまたある程度鉱区調整をするための立法的な措置を必要とするか、こういう点についての見解を、河上参考人から承りたいのであります。
  37. 河上健次郎

    河上参考人 これは金問題にも限りませんで、銅につきましても、その他の鉱床につきましても一つの大きな問題でございます。全体の合理化推進のためにも、鉱区の調整というふうな問題をかねました協調体制、これはこの数年来とみに業界の空気が盛り上がってきました。随所にそういう実績もできつつございます。したがいまして今回のこういう新しい構想での政策に対応いたしました民間体制も、よほど考えなければいかぬというふうに私ども考えております。またそういう点の話し合いはわれわれ民間で十分にやっていくという気持ちでおります。
  38. 岡田利春

    岡田(利)小委員 唯一の政策である新鉱床探査補助金補助率は五〇%である。しかし単価がいつでも問題なんですが、実際問題としてはこの単価から見て坑道探査の補助金は五割補助されておりますかどうか、これは有田参考人から伺いたい。
  39. 有田貞二郎

    有田参考人 現在普通鉱山で切ります探鉱坑道は一メートル五十、二メートル程度の加背が多いのでありますが、その場合におきまして通常一万五千円から一万七、八千円までかかりますので、現在の六千円という補助金は半額にも満たない金額であるということになります。
  40. 岡田利春

    岡田(利)小委員 こういう点せっかくの制度が実情に合わない、なお赤字を続けるという点が問題だと思うのです。ですから緊急合理化対策をするのもいいけれども、いまの制度自体が合わないというところに、合ってないというところに大きな問題があるのではなかろうか、こういう点についても非常に端的に御意見を承ったわけですが、今後通産当局との間に、またこの問題について議論してみたいと思います。  もう一つの問題は、地下資源の共通問題として労務者確保の問題というものは、これから非常に困難になっていくと思う。特に若年労働力の確保というものはたいへんな問題だと思います。これは金山のみならず石炭あるいはそれ以外のメタルの鉱山でもそうだと思います。そういう意味で労働力の確保について、地下資源企業家及び労働組合、いずれもがある程度くふうをすべきではないか、私はこういう気持ちを持つわけです。共同的な行為、こういう積極的な姿勢も今日強く望まれる問題ではないか、私はこう実は考えるわけです。そういう意味でたとえば労務者確保について、いろいろな福利施設の関係もあるでしょうし、あるいはまた普通国家公務員よりも地下労働者の厚生年金というのは非常に低いという問題もあるでしょうし、魅力を持たせる、こういう面がいろいろあると思うのですね。こういう点各山単位でおそらく労使でも話し合いされておると思うのですけれども、こういう点について労使がもう少し大きな見地に立って意見の交換をし、何か一致点を見出す、こういうことが大事ではないかと思うのですが、金鉱山の場合には二つの組織がございますけれども、そういう点について、労使で積極的にそういう面の労働者、質のいい労働力の確保、こういう一点についてお互いに研究し合い、議論をし合い、方向を見つけ出すという前向きの姿勢が、この際政策を進める場合にも望ましいのではないか、こう思うのですが、こういう点について、河上参考人原口参考人、組合の遠藤参考人ですか、端的にお答え願いたいと思うのであります。
  41. 河上健次郎

    河上参考人 御指摘の点、非常に重要な問題でございます。これは日夜私どもも非常に重要な問題として持っておりまして、これは企業間ではしょっちゅう日常の問題として、また将来の姿として絶えず議論をし、実行に移せるものは実行に移しておる。しかし、なかなか根本的に解決できない問題が多々ございます。労使の非常に広い場面での一つのディスカッション、検討ということにつきましては、現在の場におきましては、鉱業審議会の中にも、端的にそういう表現ではございませんが、そういう点をディスカスする場面はございます。そういう議論も当然出ておるわけでございます。そういうことで、私どもといたしましても、真剣に取り組むべき問題だ、かように考えております。
  42. 原口幸隆

    原口参考人 金を掘っている労働者が一番労働条件が悪いという皮肉な現実になっておるのですが、私の考えとしては、金だけでなしに石こう、硫化、硫黄と、非常に悪い鉱種がまだあります。したがって、その鉱種ごとに、企業を越えて組合の一つの運動体、組織体というものをつくりまして、運動を重ねておるわけですが、遠藤さんとも産業上の問題について全く一致しているわけですから、横につなげて、御指摘のような前向きな意味で、労使の場というものを直接私は持つべきだと思うのです。そうして、どのように打開していくか。現在の労働条件、労働環境の悪い中で、組合員が蒸発しないで、しんぼうしながら働いていくということは、将来にこういう対策があって明るくなるのだぞという一つの具体的な希望というものを与えることが、私は何よりも大切なことではないかというふうに考えておりますし、御趣旨の点については、運動として伸ばしていきたいと思います。
  43. 遠藤亨

    遠藤参考人 御指摘のとおり、その考え方について全く賛成でありますが、私どもといたしましては、現実の事情をお話し申しますと、鉱山に一度働いてみようという意欲があって入ってみて、三カ月ないし六カ月たってみると、また他の職に転換をするという事実もあるわけであります。また、雇用問題の論議を私どもやってみました中におきましても、産業に対する魅力は那辺にあるのかというところにおける分析もしてみたつもりでありますけれども、そういうことを行なうためには産業政策がなければならない。産業政策に取り組むためには、労使は相携えて労使問題に取り組むべきだと認識をしております。それで、実は私どもといたしましては、金属鉱山労働者の特殊性と申しますか、その特殊性と相まって、先ほど先生の御指摘にありましたように、最近の若年労働者、さらに技術者の不足をしておる事実というものを見きわめますときに、やはり政府の手による雇用の定着化をはかるために、鉱山労働者の老齢年金制度、この種内容等にまで一歩前向きの対策が立てられないかどうか。さらに、現在あります最低賃金等の問題についても、もう一歩拡大する、こういう方向が考えられるところに、いわゆる労働力の問題等を解決をしていく要素にもなる。しかし、産業政策というものに取り組むためには、労使相携えてこの種内容に真剣に取り組まなければならないというところに、当面の問題としての基本があるのではないだろうか、こういうように考えております。
  44. 岡田利春

    岡田(利)小委員 最後に両角局長にお尋ねしますけれども、いま通産省が考えておる緊急合理化対策、これは将来五カ年計画でこの構造を近代化し、合理化していこう、こういう趣旨に貫かれておるわけです。しかし現実に金鉱山赤字であるということは認められておる。その移り変わりの対策をどうする。いま新鉱床探査補助金制度はありますけれども、それ以外には別にないわけですね。この移り変わりを一体どうする、対象にならない鉱山に対してどうするか、ここの問題ですね。これが一本抜けておって、総合的な政策になっていない。基本は私はりっぱだと思いますけれども、しかしそれまでの移り変わりと、残される対象にならない鉱山に対する対策、これは私がいま参考人から意見を聞いたように、金鉱脈の特殊性から判断をして、探査をそういう場合には先へ伸ばさせる。安定的な生産計画を達成させる。こういう点に政策を向けていかなければならないのではないか。対象にならない地区については、なおさら漸進的な探査構造が延長される、そういう経営の安定を求めておる。こういうものが一本つかないと、どうもこの政策は片足が踏み台からはずれておるのではないか、こういう気がするわけです。その点についての見解が一つと、もう一つは石炭鉱業審議会でも鉱業審議会でもそうなんですが、労働者の確保についてはきっと触れるわけです。あまり具体的にはいずれも触れていない。しかし、特に石炭よりも鉱山の場合は辺境な地にもありますし、そういうところに福利厚生施設関係を充実するとか、そういう点についてはどうも経営も苦しいから手を抜くというせいもあるけれども、鉱脈の確認状態から見ても、なかなか思うようにいかない面があるのじゃないかと思うのです。しかし地下労働力を確保するという立場に立てば、労働力の確保を除いて経営の安定、企業の安定、産業の安定はないわけですから、こういう面の積極的な諮問をするという姿勢がなければいかぬのではないか、こういう気がするわけです。そういう意見もあわせて具体的に聴取をする、こういう姿勢がないとこれからの鉱山政策というものは実際成り立たないと思うわけです。そういう点についての見解だけを最後に承っておきたい。
  45. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいまの段階では、まだ案の段階でございますので、確定的な御答弁を申し上げられないのでありますが、かりに現在われわれが検討しております案によりますならば、御指摘のとおり、全部の四十一ないし二の鉱山につきまして、資金を投入してまいるということにはなっておらないわけでございます。お話のございましたように、これら全部の山につきまして、何らかの是正措置、維持、育成対策が講ぜられることは理想かとも思いますけれども、現段階におきましては、とにかく最小限度の資金を最も重点的に投入をいたすということによりまして、最低の産金量だけは確保してまいりたいというところに当面の施策の重点を置かざるを得ない事情になっておることを御了解をいただきたいと思います。  なお新鉱床探査補助金等、従来の助成施策というものは、当然全部の山のそれぞれの計画につきまして、適当なものにはこれを投入するという方針は変わらないのでございます。  また、第二の労務対策につきましては、まことに御指摘のとおり、きわめて重要な問題であると考えます。私どものほうも本件につきましては労働省と十分協議をいたしまして、今後とも努力をいたしたいと考えます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)小委員 終わります。
  47. 鴨田宗一

    鴨田委員長 小委員の各位に申し上げたいのですけれども参考人方々にも長時間にわたりまして、実はこの委員会に御助力を願っております。そういう意味でこれから御質問せられる方、塚本君、永井君、多賀谷君、近江君と四人申し込みがありまするけれども、ひとつ前質問者にダブらないような質問で、重点的にしていただきたいということを委員長としてお願いをいたしまして、ひとつ塚本君の御質問をやっていただきたいと思います。塚本君。
  48. 塚本三郎

    塚本委員 委員長の御指示に従いまして簡単に要点だけ御質問申し上げておきたいと思います。  最初に、大蔵省お急ぎのようでございますから、私一緒に一括いたしまして全部一回で終わらせたいと思いますから、委員長御了承いただきたいと思います。  御承知のように、需要の増大に対して現物が少ないというところから決定的な品不足のような状態になっておること。そのことで実は価格というものは一般にはずいぶん上がってきておると思うのです。こんなところから、もう四六時中新聞におきましては密輸の問題が報道せられております。そうでなくても、海外旅行者のいわゆる密輸の問題等もずいぶん報道せられております。この際、それらにかかわらず、採算に合うべき状態にまで補助金は出していない。これは先ほどから各参考人の皆さま方から悲壮なほどの叫びが述べられたわけでございます。そういたしますると、国内需要という立場から考えたとき、補助金を出してそして採算に合うところまでもっていくのかあるいはまた外部から、外国から輸入をいたしまして、そしてそれを満たしていくのか。このどちらをとろうと大蔵省はしておいでになるのか。このことが第一の問題でございます。補助金を出すほうに重点を置くのか、外国から買い入れるほうに重点を置くのか、この大蔵省としての方針でございます。あるいは、いや決定的に必要なものだけは不足せずに与えてあるんだ、あとは言ってみるならば、装身具だとかあるいは万年筆だとかこういうようなもの等に対してはぜいたく品なんだから、国家経済の立場からいってそれは許されないんだというのが今日までの状態のようにも聞こえてくるわけでございます。そうであればあるほど、実は国際的な価格と比べて日本国内におきます価格がやみで上がってきてしまう、こういうところから不正な流入が激しくなってくると思うわけでございます。もし絶対必要なものだけ入れて、あと許さないという形に置きまするならば、このやみ価格をどう受けとめていくのか。この二つのことを大蔵省から承りたいと思います。  それから遠藤さんと鉱山局長とにお聞きしたいと思います。  先ほど原口さんのほうから、輸入はむずかしい、そういう御見解が述べられました。この点を同じ労働者立場にあります遠藤さんのほうからとそれから鉱山局長のほうから、実際にこれからの輸入はほんとうにむずかしいかどうか、この見解を第一にお伺いしたいと思います。  それからもう一つ、鉱山局長と遠藤さんにお尋ねいたしますが、四十一、二カ所あります今日の鉱山の中で、実際に通産省調査をいたしまして補助金の対象とせんといたしておりまする鉱山が九つばかりだと説明せられておりまするが、こんなことをしておりまするうちに、実際にはその三十幾つの鉱山さえも二、三年のうちに閉山してしまう、こんなことも先ほど述べられたようでございまするが、百七十が四十幾つになり、しかも通産省として希望をつないでおるのが九つだと、調査せられるならば、その九つだけに希望をつないでおられるのではないか、こんなことも察知せられるわけでありますが、実際に四十幾つ、赤字であっても細々と動いておるとするならば、これを絶やさないようにすることがまず第一ではなかろうか。これに対して具体的な方策はどのようにしたならばいいのか。こんな見解遠藤さんと鉱山局長とにお伺いしたいと思います。  それから最後にもう一つ、三井の有田さんにお伺いいたしますが、もうこの際は助成以外にはないんだ、そして戦前のそれと比べてみると、今日の価格にいたしますると三億という助成の金額が必要なんだ、しかしそれは現在あるところのものを息をつなぐだけで三億なんで、新しく将来に対する希望をつなごうとするならば、十億という助成の金が必要だということが述べられましたけれども、いままでにそういういわゆるきちっとした、助成に対する要請が行なわれてきたかどうか。ほんのかすかな声で、実は悲しい叫びだけに終わっておりはしなかったか。もし具体的に鉱山局、通産省に対して述べられてきたならば、そのことを要請せられてきましたいままでの経緯を御説明いただきたい。  以上の三点についてお伺いいたします。
  49. 海堀洋平

    海堀政府委員 ちょっと先生の御質問と私の仕事との関係が少し食い違っておりますので責任を持ったお答えをしかねるわけでございますが、いずれにいたしましても日本国際収支あるいは金に対していわゆる金保有という面からの考え方は、これは国際金融局の所掌でございます。私がどうこう言うことではないのでございます。それから国内工業、いわゆる金を使う産業、それをどのようにしてどうするか、したがってまた日本鉱山をどの程度に維持していくかというふうなことは、これは鉱山——通産省の所掌でございます。したがいまして私のほうはそういったそれぞれの所掌のところの考えについて予算上の措置が必要になった場合、それが妥当であるかどうかということを検討する立場にあるものですから、どうするんだと言われましても、ちょっと私の立場としては何とも申し上げかねるわけでございます。
  50. 塚本三郎

    塚本委員 それじゃ補助金の問題だけで十億という要請が出ておりますが、見解はどうですか。
  51. 海堀洋平

    海堀政府委員 補助金がどうかということでございますが、先ほど申し上げましたように、ことしの予算全体につきましてまだ大きな方向を上層部で検討している段階でございまして、個々の施策もそれぞれに応じてまた変わっていくのじゃなかろうかというふうに考えております。特に一般的に補助金につきましては非常にシビアな姿勢をとれという指示を受けて現在事務的な作業を行なっておりますので、それがどうであるかということをここで先に言われましても、ちょっと結論的には私からは申し上げられないのでございます。ただ私この前に、田中先生がきのうおまえはこう言ったではないかとおっしゃいましたが、要するにどなたも認めていらっしゃるようにいま一グラム四百円余りというのを現在六百六十円という価格で維持しているといいますか、そういう形で持っていっているということは、国際価格に比べて六〇%のともかく高さまでは保証されているという意味におきましては、ほんとうにほかの商品あるいは産業に比べて、国家の制度全体としては非常に厚い保護がとられていると考えられるのではなかろうかということをきのう田中先生には申し上げたわけでございますが、現在四十三年度予算の問題ではっきりとどうするかということはまだ検討の段階でございますので、何ともお答え申し上げかねるわけでございます。
  52. 塚本三郎

    塚本委員 それは私ども強く要請だけ申し上げておきます。といいまするのは、ほかの産業といいましても、ほかの産業に比べてですが、日本の場合は一次産業だけはもはや決定的に国際的にはマイナスを背負わされている。それが証拠に、農産物を例に出してみたらおわかりのとおりでございます。価格を維持させておるだけではございません。それはもうあらゆる方向からこれに対する助成策を行なっております。しかしそれにもかかわらずなお足りないという方向で、大蔵省は膨大な金をつぎ込んでおるはずであります。そう考えてみたら私は鉱山だけをこんな形にほうっておくことということ自身が、何か農民だけに特別国家的な保護を与えて鉱山のほうだけにそんな形にする。その点は一次産業はもう国家的に特別のそういう立場に立たされておる。にもかかわらず外国から輸入するよりもドルの立場から考えてやはり保護していかなければいけない。こういう立場であろうと思っております。そうであればあるほど、金の問題に対しても同じような立場をとっていくべきではないか。それを二次産業と同じような形をとっていくということは私は当たらないというふうに思いますので、きょうのこれを踏まえていただきまして、できるだけこの問題に大幅な協力をせられるよう要望だけ申し上げておきます。
  53. 遠藤亨

    遠藤参考人 まず最初の輸入問題については、特に今日の世界動向からいたしましても、非常にやはり困難ではないかと思われます。それはやはり各国におきましてもそれぞれ政策的な保護を加えておりまするし、産金奨励というものを進めておる事実が物語っておるわけでありまして、そういうことを考えますと今後やはりわれわれの考え方としてはわが国の需要を輸入のみにたよるのではなくて、国民経済上から見ましても不可能に近いといってもよろしいのではないかという認識をしておるわけであります。  さらに先生のお話にありましたいわゆる四十鉱山ほどの段階において現在十カ所前後の調査対象地域が指定をされておる。それと四十鉱山との関連はどうか。さらに百七十鉱山との関連はどういう見方をするか、こういうことだと思いますが、この点につきましては、昭和十六、七年ごろの実際は御承知のように百七十二をこえる金山があったわけでありまして、実際その当時のやはり国内鉱山から出た生産量が二十五トンないし二十七トンという状態でありました。現状は六トン前後である。六トン前後の需要はどうかといいますと、いま日本国内におきまして二十トン前後は需要があるわけでありますが、そういうことになりますと、やはり抜本的に国内の金政策、いわゆる国内金山開発というものが最もすぐれた方策の道ではないか、そのことが現在の金不足に対する抜本策を立てなければならない必要性に迫られておる、こういうふうに私は認識をしておるものでありまして、そのように御理解をいただきたいと思う次第であります。
  54. 両角良彦

    ○両角政府委員 御質問の第一点の金の輸入の問題でございますが、これは金管理特別会計を主管いたしておりまする大蔵省国際金融局の管轄でございますから、責任を持った御答弁はいたしかねるわけでございますが、通産省といたしましては、一般民需に充てられる金の不足につきまして従来大蔵省に対して特別会計からは放出を要請いたしております。四十二年度につきまして八トンの放出を要請しまして、すでに六トン放出が行なわれておるわけでございます。大体ことしは計画どおり放出されるものと考えております。なお明年度以降も大体現在の国内生産を前提といたしまして、毎年十トン程度の輸入は必要ではあるまいかというふうに考えております。その可能性は、むしろ大蔵省の国際金融局のほうの問題でございますので私は答弁いたしかねるのでございます。ただわれわれが承知しております範囲では、先ほど参考人の御意見にございましたように、過去に比べて困難になってきているという傾向にあるのではあるまいかと想像いたします。  第二の対象鉱山以外の金山をどうするのかという御質問は、まことに御説のとおりでございますが、私どもといたしましては全部の金山に対して資金の投入が行なわれることは最も理想的と考えまするが、当面必要な金額を重点的に投入いたしまして、現在の金生産を維持するということに全力をあげてまいりたい、こういう意味から重点的な選択も行なわざるを得ない案になっておるわけでございます。しかしながらすべての金山につきまして従来とも新鉱床探査補助金あるいは技術指導、経営指導等々を通じましてその維持育成をはかってきております。そのような姿勢はもちろん今後とも継続してまいる所存であります。
  55. 塚本三郎

    塚本委員 これはいままでの参考人の皆さん方の御要望に対して私はたいへん冷たい考え方だと思うのでございますね。といいますのは、九つでそれは確かに息をつなぐというだけであるということで、先ほど田中委員のほうからも述べられましたように輸入することによって大幅に大蔵省はもうかっている、という言い方は変でございますけれども、金が余ってそれが大蔵省にあるはずでございますので、それならばほんとうからいいますならばその金を全部国内開発に回しても、理くつからいってしかるべきではなかろうか、こんな考えさえも、私は理論上からいってもそうじゃないかと思いますね。ですからそれをわずか九カ所にとどめて死なないようにだけしていくという形は、これは将来にわたって必ずもっと大きなマイナスをもって報いられると言わざるを得ません。もちろん通産省にこんなことを責めることは酷だとは思いますけれども、もっと強い姿勢で大蔵省に向かっていただきたい。幸いこういう委員会ができましたから、おそらくこれは各党一致でそんな気持ちを今日盛り上げていっていただけるものと信じております。であるならば、もっと強い姿勢でこの幅を広げていくことが必要ではないかと思います。この点重ねて御意見を伺いたいと思います。
  56. 両角良彦

    ○両角政府委員 御趣旨は十分理解をいたした次第でございますけれども、実際問題といたしまして明年度の予算編成を練ります現状におきまして、この情勢におきましては、全部の金山に対する資金の十分なる導入ということを期待できかねます実情にございます。とにかくわれわれとしては金山の長期的な経営の安定策というものは別途これを推進いたすことにいたしまして、当面の施策の重点をとにかく現在の金生産維持を何とかはかっていくということにしぼって実現をはかりたいということでございます。御趣旨の点は今後とも十分生かした方向でわれわれは検討をいたしたいと考えております。
  57. 塚本三郎

    塚本委員 別途といいますと、それじゃ今年度は間に合わぬとしても来年度には何らかの形でその対象とならなかったものに対して具体策を出していただきまして、そして来年度の予算あたりには要請をなさるという心がまえがあるかどうか、この点だけをお聞きしておきます。
  58. 両角良彦

    ○両角政府委員 対象となりませんほかの金山につきましての来年度以降の施策の姿勢、内容、方向というものにつきましては、十分検討を加えまして対処いたしたいと考えております。
  59. 有田貞二郎

    有田参考人 いま私への質問は、十億程度助成が必要だが、これを従来要望したことがあるかという御質問でございます。  十億という数字をあげて要望したことはございませんけれども、しかし形を変えて、百六十円の値上げを中心とするいろいろの要望をかねてからしておりますことは御承知のとおりでございます。かりにあの百六十円の助成金が現在の金山産出量六トンに対してあるとすれば、それだけで九億六千万円ぐらいになるわけです。ですから、形を変えてそれと同じような要望をかねてから強くしておるということでございます。
  60. 塚本三郎

    塚本委員 局長、聞いておりましたですか。よろしゅうございますか。
  61. 両角良彦

    ○両角政府委員 はい。
  62. 鴨田宗一

    鴨田委員長 永井委員
  63. 永井勝次郎

    ○永井小委員 時間も経過しておりますから、一問だけお尋ねをいたします。  資源の面からは渡辺先生、それから企業技術開発の面から河上さん、それから経営の面から河上さんと原口さんにお答えを願いたいと思います。  私は、北海道の北見でありますから、住友さんの鴻之舞の地区であります。かつての繁栄した経営状態、山の状態からいまのうらさびれた状況を現実に見ていますから、その足取りに対しては非常な関心を持っておるところであります。  そこで、渡辺先生にお伺いしたいのでありますが、現在のところは貧鉱ばかりである、しかし調査すれば相当いいものが出るかもしれない、これは全く未確定なものであります。はっきりしていない。出るかもしれないが出ないかもしれない、こういうものであります。でありますから、われわれは、しかし、八グラムなら採算が合う、六グラムなら採算が合わない、こういうこともこれも絶対の条件ではない。やはりこれは人為的にいろいろくふうすればもっとこの条件を有利に縮めていく、赤字なら赤字を少なくしていく方法がある、こういう観点から私はお尋ねしたいのでありますが、資源の面から相当確実に、相当品位の高いものが発見できるような条件が学者の立場で良心的に期待できるのかどうか、これがお尋ねしたい点です。私は、発見されたら発見されたとき、そこから高品位鉱石と取り組むべきで現在は現実には貧鉱なんでありますから、貧鉱の材料でどう経営を成り立てるかということに真剣に取り組むことが必要である。プラスアルファを期待して夢のようなことをやってもだめだ、こういうふうに考えるわけです。  その面から見て、たとえば山から掘り出す、あるいは製錬をする、こういうような経営上の主として技術面においてもっと近代的な装備をして、そうして貧鉱でも相当に成り立てられるような、コストをもっと下げられるようなそういう技術面の開発面はないのかどうか、これをひとつお伺いをいたします。  それから、第三に、これは河上さんと原口さんでありますが、私は、石炭産業現状がいろいろわれわれに教えておると思うのです。いろいろな手を打ちました。だんだんやっていくけれども、投入した金が将来を明るくする方向に生かされてこない。そこで、いまだんだん模索しておるところは、全国一社にする、あるいは国家管理にせい、あるいは国有、国営でやれ、こういうようなところまできて、いろいろなていの提案がなされてきております。萩原さんなんかはもう全国一社だ、こんなところまできているのでありますが、私は、金は必要である。しかし、日本の与えられている条件は天賦の資源は貧鉱である。そうすると、その貧鉱をどういうふうに取り組んで、そうしてできるだけ国内資源を集約していくか、収穫していくか。そうして赤字を少なくしていく。そうしてこれを永続的に続けていく。そうして国の投資を少なくしていく。単に、国の投資といっても、一私企業に対する赤字補てんであるとかあるいは補助とかいう性質のものでなく、国家的に必要な、民族的に必要な金の資源を収穫するんだという目標から申しますならば、私は経営は、これはおれのところだから、こうこうこれだけ持っているからと、成り立たないのに、未確定な国の補助を期待して赤字で細々とやっていくというようなやり方は、私はまずいんではないか。だから、石炭産業の教えるように、全国が一社の組織のようにして、そうしてその近所にできる貧鉱はどこかそこに製錬所を置いて、そうしてそれを大量に処理する。非常に進んだ技術の製錬を生かして、そうして大量にそういう貧鉱を処理していく。そうして全体のプールの中で国の助成も少なくして、金自体として企業として成り立つようなやり方をもっと経営的に模索したらどうか、もっと追求したらどうか、科学的なあるいは合理的な経営という面からこれを追求したらどうか。そうしてその上に立って足りない分については国家的に別に考える。現状を固定して、現状の中でこれだけ補てんせい、これだけ赤字だ、こういうことは私は許せない、こういうふうな考えを持っているわけですが、金のこれからの開発について、資源の面から、技術開発の面から、経営の面から、この三点についてひとつお答えいただきたい。それから局長のほうからも……。
  64. 渡辺武男

    渡辺参考人 ただいま御質問ございました点につきまして簡単にお答えいたします。  資源というもの、ことに地下資源というものにつきましては、先ほどお話がございましたように、掘れば必ずなくなって貧鉱化していく、これは原則でございます。そういう原則があるところで新しく品位の高いものを見つけるということは従来非常に困難であった。さて、それが日本で実現し得るかということでございますが、私といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、金鉱床については、黒鉱その他で探鉱を積極的にやっているのに比べて、まだ十分な努力がしていない部分が残されているのではないか。ここにあるということを私は具体的には申すことはいまはできませんけれども、しかし、そういうことをしなければやはり新しい富鉱というものは出てこないのじゃないか。新しい富鉱のみを見つけるということは、鉱業の趨勢に反することでありますからなかなか困難でありますけれども日本としては特殊な地質の複雑な状況がありますので、近代的な技術を加えて新しい考え方によって少し根本的にやり直さなきゃいけないのじゃないか。それには、従来のように一鉱業会社がただ自分のところで周辺をやるというようなこそくなやり方だけでは不十分だろう。研究から始めて、少し息長いことをしなければいけない、そういうことを申し上げておきます。  それから、貧鉱を利用することの努力、これはもちろんでございます。しかし、先ほど来いろいろお話がございましたように、金の価格のいろいろの問題で、富鉱がタヌキ掘り的に掘られておりますと、せっかく生きるべき貧鉱までが実際は捨てられてしまうということになりますので、新しい富鉱を探すことによって多量の貧鉱が生きる面もあるということを考えますと、やはり積極的に探鉱を進めていくべきだというふうに考えております。
  65. 河上健次郎

    河上参考人 お尋ねの点が多岐にわたっておりますが、まず、座して、補助金を考えているような消極的な態度であるかといったようなおしかりの意味もあったかのように思いますが、とんでもないことでございまして、弁解するようでございますが、時間がございませんでしたので申し上げなかったわけでございます。採鉱段階におきましても、選鉱の段階におきましても、製錬の段階におきましても、それぞれの山、社におきましては、非常に血のにじむような努力をしております。現に各社の例をとりましても、選鉱の実収率があがらなかったのを、非常に苦心惨たんいたしまして選鉱の実収率もあがっておるという実績を出しておるのもございますし、おおむねそうだと思っております。これは一例でございます。それから、採鉱の技術にいたしましても、機械化のできるところは機械化をいたしておりますが、中小におきましてはおおむね機械化が徹底いたしません。そこで、機械化が徹底いたしませんうちにも、非常にこまかく気を使った管理の方法に目を詰めておりまして、細脈の掘り方等につきましても、日本くらいそういう点の芸のこまかい苦労をしておる鉱山はおそらくなかろうと思っております。特に他の鉱種と比べまして金山においてしかりでありますが、その点におきましては最も苦心をいたしておる点でございます。  それから、もう一点でございますが、たとえば石炭一社論といったような構想に近いものの可能性はどうかという御質問でございますが、私は、金属鉱山の場合にはこういう方法は簡単に実行することは不可能である、また、とるべき方法ではなかろう、かように考えております。ある程度までそれに近いような方法を考えるというふうな方向、たとえば、ジョイントの製錬所をつくるとかいうふうな点はございます。それから、先ほど申し上げましたように、共同いたしましてできるだけお互いの鉱区の調整をはかるとか、あるいはお互いの技術の交流をはかるとか、共同研究をするということは、現にやりつつございます。その辺のムードは非常に高まってまいりましたし、そういうふうなことは今後もっとやらなきゃいかぬというふうな気持ちで業界はおります。しかし、御承知のように、金属鉱物の性質が、同じ銅鉱にいたしましても——当面金でございますが、金鉱にいたしましても、山によりまして成分の違いは千姿万様でございます。これをただ量的に集めまして処理いたすということになりますと、かえって、たとえば選鉱の実収率に影響するとかいうふうなこともございまして、ただ量的に集めるということが必ずしもプラスでないという事情もございます。そういうふうなことで、技術的な処理の問題も、その石に適した技術的な処理というふうな個別の研究が非常に必要になってまいります。ただ問題は、そういうことをお互いに協力して技術交流をはかって相互の啓発をやるということは非常に必要でございまして、そういう点に重点を置いた協調体制に取り組んでいく、経営形態の一本化、一つにあわせてやるというふうなことは、金山の場合にはきわめて困難でありまして、実情に合わないというふうな感じがいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、中小の金山の場合におきましては、銅精錬、鉛精錬の溶剤として製錬所に売るというふうな大体のルートがございまして、そういう関連におきまする援助関係で赤字をつないでおるというふうな実情にありますことは、先ほど触れたようなことでございまして、そういう方面からの技術的ないろいろなアドバイスによりまして、山のほうでも始終技術的な合理化ということに気をつけておるというふうな実情にあることを申し添えておきたいと思います。
  66. 永井勝次郎

    ○永井小委員 原口さんにこれから答弁をいただくのに誤解かあっては困りますから申しますが、日本は、国土の資源調査のようなものはまだほとんど手がついておらないといってもいいくらいだと私は思います。こういうものは国が思い切って金を入れて資源調査をやるべきだ、金が必要になってきたからぱっと金に飛びつく、石油がとまるからというので石油に飛びつくというようなやり方ではなくて、恒常的にずっと資源調査をやるべきだ、思い切って金を入れるべきだ、こういう考えをわれわれは持っておるわけであります。そういう前提に立って、そういう金をつぎ込むことが一つの利益に結びついて、生かされてくるという方向でなければ、単にその現場における一私企業赤字補てんだけで問題が処理されてはいけないという前提に立って、企業の面でももっと貧鉱を処理する、そうして品位は低いけれども鉱量が多かったらもっと採算に合うような、そういう面もあるのではないか、あるいは機械設備、その装備の点においても、いまは採算がとれないからなかなかできないけれども、国がそういう金を出して装備の関係について思い切った援助をするということになれば、相当品位の低いものでも採算線に乗るようにできるのではないか、そういうような余地があるかないかということを追及するためにお尋ねしたのであります。決していけないというのではないのでありますから、そういう前提に立ってひとつお答えを願いたいと思います。
  67. 原口幸隆

    原口参考人 金の輸入の問題もありますが、大体鉱業審議会で答申が出ておるわけですが、その大づかみの流れとして、日本資源を中心に海外鉱石を考えているよりは、海外鉱石のほうに何か入手するための重点がかかっているような気がいたします。その辺に若干問題意識を私は持つものですが、そういう前提でいまの永井先生の御見解には全く同感でございまして、やはり地下資源というものは国土のもの、民族のものという考え方の上に立たなければいけない。そのためにはやはり国が、探鉱事業団が発足していま実施をしておりますけれども、これをさらに拡大をして、企業のための産業ではなしに、産業の中における企業という考え方に私はもっともっと各業者の方が頭を切りかえていただきたいというのが私の立場からの強い要望であります。ですから、一社だけのメリットを考えておりますと、産業全体にわたる共同の行動がなかなかとりにくい。しかも、この中小企業、中小規模の鉱山が相当あるためになかなか系列その他の関係もあってまとまりにくいという点もあるようですし、また、別の例を引きますと、確かに前よりは産業全体としては前進いたしておりますが、交錯輸送の問題についてもやめようじゃないかということをはっきり鉱業審議会ではすべての人を含めて確認したにもかかわらず、いまだに企業のワクを越えた交錯輸送というものが完全にやめられていない。あるいは鉱区の整理の問題製錬所の共同化の問題にしても、実質的にはたして共同化になっておるのかどうかという点になるとやはり疑問が出てまいります。しかし、方向としては前よりも前進しておるわけですし、やはりこういう世界的な自由化の中で、また、こういう波乱の多い中で中小企業にしかすぎない——日本の大手といえども中小企業にしかすぎない各企業が、いまのままの状態でいいとは私は思っておりません。このままの状態では必ず破局がくるのではないか、そういう展望の中で、各企業の人たちの、また、政府の強い行政指導というものがわれわれの立場からいえば強く望まれるわけです。
  68. 鴨田宗一

    鴨田委員長 多賀谷真稔君。
  69. 多賀谷真稔

    ○多賀谷小委員 一点だけ質問いたします。  われわれは政策をつくる場合にいろいろ配慮するわけですが、いまから質問いたします問題の財源問題あるいは補助金制度に対する政治的な問題等はわれわれ政治家がやりますから、これはお答えにならなくてもけっこうですが、要するに、他の金属鉱山と同じような補助体制にして、しかも金を特別に扱うとするならば、一体価格差補給金のような助成金一律でいくか、しからずんば先ほどからお話がありました産金に対する特別な構造坑道の掘さくであるとか、あるいはさらに手厚い新鉱床探査であるとか、こういう方向でいくか、これは両方コンバインすればなおけっこうでしょうけれども、要するに二者択一を迫る場合に、企業を離れて、一体産出量はどちらがよけい出るか、これは助成金の額にもよります。額にもよりますけれども、一体産出量はどちらがよけい出るか、これをお尋ねしたい。これは経営者、事業主のほうにお尋ねしたい。  渡辺先生の本日の口述によりますと、渡辺先生の理論でいくと、どうも従来の露頭鉱床よりも最近潜頭鉱床のほうになっておるし、さらに浅部じゃなくて深部に入っておる、こういうように口述されましたので、この点からいえば、これは、政府探鉱あるいは構造坑道採掘のほうに重点を置く、いま鉱山局が考えている方式のほうがいいようにも考えられるし、あるいは、よくわかりませんけれども、ある程度助成金を与えれば、いままで休山をしておった金鉱も再開をされるし、あるいは捨てておったようなものもさらに選鉱の対象になる、こういうふうにも考えられる。どうも政策を立案する場合にはっきりしないのです。その点、ひとつ企業立場を離れて、産出量はどちらが多くなるかというこれをお答え願いたいと思うのです。河上さんとそれから有田さんにお尋ねいたしたいと思います。
  70. 河上健次郎

    河上参考人 非常にむずかしい御質問でございまして、実は当惑しております。率直に申し上げまして、これは、かりに同じ金額と仮定した場合にどっちかということを言うしかお答えのしようがないだろうと思います。しかもそれが突拍子もない理想のことを言っても始まりませんので、いろいろな情勢をお聞きしまして、そうとてつもない補助金あるいはとてつもない探鉱資金が出ようはずもどうもなさそうだということを考え、まず現実の点を考えました場合に、しかも、いままでよりは脱皮して相当踏み込んでやっていただけるという程度のものを考えました場合には、当面の生産をキープいたしますためには、それはべたの補助金をつけてもらったほうがよろしいでしょうと思います。別の、観点を変えまして、しかしそういうことで、ある程度の長期の立場から考えた場合に、はたしてそれでいいのだろうか、有効であったろうかどうか、こういう点から考えますと、私はちょっと疑問のような気がいたします。むしろ、これはいろいろむずかしい問題でございますが、どうもやはり構造探査という、企業の手を離れたものに、ひとつ国としては重点をそそぐくらいな気持ちを持ってもらわなければ困る。これはわれわれやろうと思ったってやれないのですから。われわれの手の届かないところだったら、もう手近なやつをやっていくよりしょうがない、手近な、われわれの手の届くところ、あるいはほんとうの周辺をつっつく以外にないのですから、ほんとうにやれる可能性があるかどうかということで、可能性があるということになれば、またひとつ次の政府の呼び水を呼び出すという意味で、私は、そこに一歩踏み込むという意味のことを考えていただきたい。ただ当面の生産をキープするということにウエートを置いて考えますと、それはべたの補助金のほうがいいと思います。  そういう考え方ですので、御判断はよろしくお願いしたいと思います。これはほんとうの私見でございます。
  71. 有田貞二郎

    有田参考人 私も、非常にむずかしい問題で考えがちょっとまとまりませんが、いまの河上さんの御意見と大体同じでございます。
  72. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次は近江君にお願いします。
  73. 近江巳記夫

    ○近江小委員 だいぶ意見も出たようでありますが、先ほどもお話があったのですが、この前の委員会でも、商工委員会でございますが、ちょうど石油の問題がありまして、国内資源開発という問題について質問したわけでございますが、確かに通産省政策というもの、また国内資源開発というものについて、私は非常に手ぬるいように思うわけです。  鉱山局長に聞きますが、その後、国内資源開発に対して、いままでやっておった対策に加えて新たにどういうような対策を考えていらっしゃるのか、その点をお聞きしたいと思います。調査開発ですね。
  74. 両角良彦

    ○両角政府委員 御指摘のとおり、国内資源開発ということは通産省といたしましてもきわめて重要な任務と考えております。さような意味におきまして今後とも国内資源開発助成のためには金属鉱物につきましては金属鉱物探鉱事業団の業務の拡充、資金量の拡大あるいは貸し付け条件の改善等をはかりまして探鉱の促進につとめたいというふうに考えております。  また、石油等につきましても石油開発公団というものを通じまして国内探鉱資金量の投入によりまして推進をいたす姿勢をとっておる次第でございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この前も話が出たのですが、結局企業採算ですね。その点を非常に重視しておる。それはわかるのですが、国土の開発資源開発という点から、もっと調査、そうした点にさらに力を入れていかなければいけない、私はこのように思うわけです。この点に対する局長の考えですね。それから金山は促進事業団の調査対象の中には入ってないのと違いますか。その点ですね。それを入れるべきかどうか。さらに、いま金が問題になっておりますが、ほかにもまだまだ重要な鉱物があるはずです。したがって、通産省として特に重点的に今後対処していこうとせられる対象をここで聞きたいのです。
  76. 両角良彦

    ○両角政府委員 国内資源調査にもっと力を入れるべきであるという点につきましては全く同感でございまして、現在、当省といたしましても地質調査所の機能及び予算の充実をはかりまして基礎的な資源調査の資料を整備いたすことにつとめておりますし、また、金属鉱物探鉱事業団によりまして広域調査の規模を拡大するよう逐年その実現につとめてまいっておる次第でございます。さような意味におきまして、わが国国土資源、特に当省所管物資の資源調査ということにつきましては、今後とも御指摘の方向努力をいたしてまいる考えでございます。  次に、金が探鉱事業団の対象鉱種に入っていないという御指摘につきましては、現段階におきましてはさようでございます。しかし、ただいままでのお話にございましたように、金山対策が重要になりました今日、かかる意味から金再開発の緊急対策というものを現在検討しておる次第でございまして、ここにおきましては当然探鉱事業団の全面的な活用を考えてまいる構想を持っておるわけでございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江小委員 金以外の鉱区でいま通産省が特に重点的に思っていらっしゃるものは……。
  78. 両角良彦

    ○両角政府委員 金属鉱区の中で現在最も重点的な試さく対象は……。
  79. 近江巳記夫

    ○近江小委員 要するに探鉱促進事業団というのがあるでしょう。この中に金が入ってないわけですよ。今後金を入れるとして、それ以外の金属で通産省として、特にいま重点的に考えているのはあるかということです。
  80. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま具体的なことは即答をいたしかねますので、十分検討の上お答えいたします。
  81. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ほかに御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了することといたします。  参考人各位には、御多用中のところ、三時間二十分にわたり御出席をいただきまして、ほんとうにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会