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1967-12-19 第57回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十九日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 白浜 仁吉君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       篠田 弘作君    菅波  茂君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       中村 重光君    鈴切 康雄君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    宇佐美 勝君         工業技術院長  朝永 良夫君         建設省住宅局調         査官      三宅 俊治君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         住宅金融公庫総         裁       師岡健四郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     半田  剛君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     稗田  治君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     富樫 凱一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     鈴木 喜治君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書(  建設省所管住宅金融公庫)  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件  (日本住宅公団及び日本道路公団)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行ないます。  まず、建設省より概要説明を求めます。仮谷建設政務次官
  3. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 建設政務次官仮谷でございます。本日は、保利大臣が参議院の予算委員会へ出向いておりますものですから、その間私が出て参った次第でございます。よろしくお願いいたします。  建設省所管昭和四十年度歳入歳出決算につきまして、その概要をお説明申し上げます。  歳入につきましては、一般会計歳入予算額二十二億三千二百余万円に対し、収納済み歳入額は四十三億七千六百余万円となっており、道路整備特別会計は、歳入予算額三千三百六十八億四千七百余万円に対し、収納済み歳入額は三千四百四十九億七千四百余万円、また、治水特別会計治水勘定は、歳入予算額九百九十一億七千五百余万円に対し、収納済み歳入額は九百八十二億九千余万円、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定歳入予算額百六十三億八千八百余万円に対し、収納済み歳入額は、百五十一億二千八百余万円となっております。  次に、歳出でありますが、一般会計支出済み歳出額は四千八百九十九億二千百余万円、道路整備特別会計支出済み歳出額は三千四百十九億五百余万円、治水特別会計治水勘定支出済み歳出額は九百七十三億六千八百余万円、同特別会計の多目的ダム建設工事勘定支出済み歳出額は百四十億七千百余万円であります。  これらの各会計支出済み歳出額は、治水関係事業災害復旧関係事業道路整備事業都市計画事業住宅対策事業官庁営繕その他の事業実施するために支出したものであります。  次に、これらの事業執行の結果について、概要を御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、昭和四十年度初年度とする新五カ年計画初年度事業として、河川ダム砂防の各事業施行いたしました。  その結果、河川事業につきましては、直轄河川改修事業として、北海道を含め百十八河川改修工事実施し、また、補助事業におきましては、中小河川改修事業等八百八十七河川改修工事施行し、このうち十九河川を完成いたしております。  特定多目的ダム建設事業につきましては、直轄事業として、和賀川湯田ダムほか十六ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、このうち和賀川湯田ダムほか二ダムを完成いたしました。このほか、補助事業として三十五ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、九ダムを完成いたしました。  砂防事業につきましては、直轄事業として利根川ほか二十五河川について百八十一ヵ所の砂防工事実施し、うち八十三ヵ所を完成し、また、補助事業として二千六百五十七ヵ所の堰堤工流路工等実施し、うち千三百五十八ヵ所を完成いたしました。  このほか、海岸事業につきましては、直轄事業として十海岸実施し、うち海岸を完成し、また、補助事業として百四十九ヵ所を実施し、うち三十二ヵ所を完成いたしました。  次に、災害復旧関係事業につきましては、河川等災害復旧事業として、直轄関係では、三十八年発生災害は完了し、三十九年発生災害は九五%、四十年発生災害につきましては補正予算及び予備費を使用して、全体の四九%の復旧を完了いたしました。  また、地方公共団体施行する災害復旧事業につきましては、三十七年災は完了し、三十八年災は八七%、三十九年災は六八%、四十年発生災害につきましては補正予算及び予備費を使用して、全体の三〇%の復旧事業を完了いたしております。  次に、道路整備事業について御説明申し上げます。昭和四十年度は、昭和三十九年度改定いたしました新五カ年計画に基づく第二年度目の事業として一般国道等改良及び舗装等実施いたしましたが、その結果、改良において三千三十四キロメートル、舗装において四千七百九十七キロメートルを完成し、前年度に完成したものと合計いたしますと、改良において五千七百八十キロメートル、舗装において八千三百四キロメートルとなり、全体計画に対し、改良は約四三%、舗装では約二六%の進捗状況となっております。  また、五カ年計画の一環として、一般国道直轄維持管理を行なっておりますが、昭和四十年度は延長六千八百三十八キロメートルの指定区間について、その維持修繕実施いたしました。  以上のほか、有料道路事業実施している日本道路公団首都高速道路公団及び阪神高速道路公団うち首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対し、それぞれ国の出資を行ないました。  次に、都市計画事業について御説明申し上げます。  国営公園整備は全体計画の約三五%を完了し、都市公園及び墓園整備については全体計画の約二三%を完了いたしましたほか、下水道関係として五百九十四カ所の公共下水道等施設整備実施いたしました。  次に、住宅対策事業について御説明申し上げます。  公営住宅建設といたしましては、六万五千九百二十六戸の建設実施いたしました。  また、不良住宅地区改良事業としては、改良住宅四千三百八十九戸の建設を行なうとともに、不良住宅地区整備実施いたしました。  以上のほか、政府施策住宅として、住宅金融公庫及び日本住宅公団において、二十二万四千百八十二戸の住宅建設いたしております。  次に、官庁営繕について御説明申し上げます。  建設省に計上された営繕事業予算及び他省庁所管に計上された営繕事業予算支出委任等により、国立国際会館新営工事ほか四百九十一件の工事施行し、三百八十九件の工事を竣功いたしました。  以上が昭和四十年度における建設省所管決算概要であります。  次に、昭和四十年度決算検査に関する建設省所管事項概要について御説明申し上げます。  所管事業を遂行するための予算執行にあたっては、常に厳正な執行をはかるため内部監査等により万全を期してまいったのでありますが、決算検査におきまして相当数指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。  これら指摘を受けました事項に対する措置として、直轄関係施行不良工事につきましては、関係者に対し厳重に注意いたしましたが、今後は、工事施行にあたってさらに監督及び検査の強化につとめ、適正な予算執行をはかってまいりたいと考えております。  次に、地方公共団体施行する国庫補助事業につきましては、工事施行が不良なため工事効果を達成していないものまたは設計に対し工事出来高が不足しているものについては、手直しまたは補強を命じて事業の所期の目的を達するよう措置し、積算の過大については積算の適正を期する所存であります。  今後は、さらに事業執行方法について検討し、指導を強化するとともに、その責任体制を確立せしめることとし、このような事態の発生を未然に防止するよう指導を徹底する所存であります。  また、災害復旧事業費査定額の減額につきましては、被害の実情を十分に把握し、さらに厳格な査定に万全を期するよう努力いたしたいと考えております。  以上が、昭和四十年度における建設省所管決算概要及び決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 鍛冶良作

  5. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 昭和四十年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が四十三件、留意を要すると認められるものが一件でございます。  不当事項として掲げましたものについて説明いたします。  三二四号から三二六号までの三件は、直轄工事施行にあたりまして監督及び検査が当を得なかったため施行設計と相違していて、設計に比べて工事効果が低下していると認められるものでございます。  三二七号から三六五号までの三十九件は、公共事業施行にあたり工事施行が不良であったりまたは工事出来高が不足しているなど、国庫補助金の経理が当を得ないと認められるものでございます。  三六六号は、昭和四十年発生災害復旧工事査定を了したものに対し早期検査を行ないましたところ、査定工事費設計及び積算が過大となっており、これを修正減額させましたものでございます。  また、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものは、バイパス造成工事施行が全般的に長期化し、不経済となっている事例が見受けられますので、新規路線の採択、着工後の予算重点的使用などについて検討の要があると認められたものでございます。  なお、以上のほか三十九年度におきまして、補助工事施行及び災害復旧事業費査定に関するもの、道路と鉄道との立体交差化工事等実施に関するものにつきまして、改善の意見を表示しましたが、これに対する建設省処置状況につきましても掲記いたしております。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 鍛冶良作

  7. 師岡健四郎

    師岡説明員 住宅金融公庫昭和四十年度業務計画と実績につきまして御説明申し上げます。  住宅金融公庫は創立以来十七年を経過いたしまして、その間住宅資金貸し付け業務の種別、数量ともに飛躍的に増加してまいりまして、順調に事業進捗を見ておりますことは、ひとえに国会の皆さま方の御指導、御協力によるものでございましてこの機会に厚く御礼申し上げます。  昭和四十年度貸し付け計画は、当初一千百七億二千四百万円でございましたが、その後、二百五十億五千万円を追加いたしまして、住宅資金貸し付け一千百三十一億一千二百万円、宅地造成資金貸し付け二百二十六億六千二百万円、計一千三百五十七億七千四百万円に改定いたし、住宅十七万二千七百戸、宅地取得二千三百四十四万二千平方メートル、造成九百六十三万一千平方メートルの貸し付け契約を行なうことに定められたのでございます。  この計画に対する資金計画は、四十年度事業計画にかかる分七百七十八億三千八百八万円と前年度計画うち資金交付未済分三百八十八億九千九十九万円の合計額一千百六十七億二千九百七万円を貸し付け計画でございました。この原資は、政府出資金十五億円、資金運用部資金借り入れ金九百二十九億円、簡易生命保険及び郵便年金積み立て金借り入れ金二十億円、宅地債券発行による収入金二十五億円のほか、回収金等から百七十八億二千九百七万円をもって、これに充てることにいたしたのでございます。  この計画によりまして、貸し付け契約を締結いたした額は、住宅資金貸し付け一千百二十九億四千二百十九万円、宅地造成資金貸し付け二百三十二億五千二百四万円、計一千三百六十一億九千四百二十三万円、戸数等にいたしまして、住宅十七万一千五百戸、宅地取得二千三百八十七万一千平方メートル、造成九百六十二万平方メートルとなり、資金交付額は、前年度までの貸し付け契約分を含めまして、住宅資金貸し付け九百六十七億九千四百七十九万円、宅地造成資金貸し付け百九十六億三百四十八万円、計一千百六十三億九千八百二十七万円となりました。この資金交付額は、前年度に比べますと二百八十億八千八百九十二万円、率にいたしまして三一・八一%増となっております。また、年度間に回収した額は、三百六十四億三千三百八十四万円でありまして、前年度に比べますと七十四億七千六百七十四万円、率にいたしまして、二五・八二%増となっております。  この結果、年度貸し付け残高は、四千六百六十六億二千百八十三万円となりまして、前年度末に比較いたしますと、七百九十九億六千三十一万円の増加となったのでございます。  貸し付け金延滞状況につきましては、四十年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は六億二千二百七十万円でありまして、このうち一年以上延滞のものは四億七千百五万円でございました。  次に、住宅融資保険事業につきましては、四十年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額を五十七億円と予定し、この額の百分の八十に相当する四十五億六千万円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立したものは、十四億九千百七十万円でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額二百五十一億五万円に対し、二百五十億四千九百二十三万円となりました。また、支出済み額は、支出予算額二百四十八億六千七百八十二万円に対し、二百四十三億四千二百十四万円となり、収入が七億七百九万円多かったのでございます。  また、損益計算の結果につきましては、利益総額は、二百五十七億二千四十二万円でございましたが、損失総額が、二百五十六億九千八百六万円となりましたので、差し引き二千二百三十六万円の利益を生じました。この利益は、住宅融資保険特別勘定に属するものでございますから、同勘定積み立て金として積み立てましたので、国庫に納付すべき利益金は生じませんでした。  以上をもちまして、昭和四十年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので順次これを許します。丹羽久章君。
  10. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 昭和四十年度住宅金融公庫決算審査にあたりまして、公庫業務について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、住宅標準建設単価並びに土地標準単価についてお尋ねをいたしたいと思います。  住宅金融公庫個人住宅建設のために融資する額は、その建設費総額の七割五分となっておりますが、住宅の場合、これが甲、乙、丙と地区が区分されております。標準単価がきめられております。たとえば甲地区に例をとりますと、この区域は六大都市をはじめ、その周辺の主要都市をいうということになっておりますが、貸し付け額借り入れ面積の三十平方メートルから五十三平方メートルに対して、標準単価は次のとおりであります。私の調べたところによりますると、昭和三十九年には、一平米当たり一万六千四百円、昭和四十年には一万七千四百円、昭和四十一年には一万九千円、昭和四十二年には二万六百円という、単価がこう上がってはおりますが、実際の建設費との格差が大きいのであります。また土地購入につきましても、公庫はA、B、C、Dの四地区に区分いたしまして、百六十五平方メートルを限度として貸し付けをいたしております。その標準価格は、昭和三十九年には一平方メートルが三千二百五十円、昭和四十年には三千七百円、昭和四十一年には四千円、昭和四十二年には四千三百円、こういう単価になっておりますが、実質的にこの現在の土地価格との格差はますます大きくなってきております。従来公庫個人住宅建設のための資金貸し付けることを目的として出発したと私は思っておりますが、地価の非常な値上がりによって、土地を手に入れることが困難になった者への便宜をはかる、そして土地購入につきまして貸し付けを行なうようになったと考えるのでありますが、現実には土地の入手につきまして非常に困難になっておる状態であります。幸いに土地を持っている者のみが公庫建設資金を借りることができる、そういうような傾向が非常に多くなったように思っております。この問題の解決は、公庫だけに責任はないと思いますけれども標準建設費及び土地標準価格改定を、非常に近い額にまで増額できないのか。また、現在の利用度と今後の方針にどんなお考えを持っていらっしゃるか。もうすでにそれはよくおわかりのことだろうと思いますから、ひとつその方針を御説明いただきたい、こう思います。
  11. 師岡健四郎

    師岡説明員 お答え申し上げます。  公庫貸し付けば、住宅建設につきましては標準建設費というものを設けまして、これを基礎にして貸し付けを行ないます。それから土地貸し付けにつきましては、ただいまお話にありましたように、標準価格というものを設定して、これを基礎にして貸し付けを行なうことになっております。お話にありましたように、この標準建設費並びに土地標準価格というものは、大体実情に合わせるということが理想でございます。標準価格は、四十年度でいいますと大体甲地域では六%アップ、四十一年度には二・二%アップ、四十二年度には八・二%アップというように、年々改定を行なっております。しかし、これは大体におきまして物価の上昇に見合う分がようやく達成できておるのでありまして、実を申しますと、だんだんと住宅建設の質の向上ということがいわれてまいっております。だいぶ前にはこの程度のものでいいという御満足のいった方が、だんだんとそれでは足りないということになりますと、やはり建設単価が上がってまいる。この質の向上分がなかなか実は織り込めない状態でございます。  そういう次第で、実際の建設費とこの標準建設費が開きが出てまいっておるという実情でございます。私どもとしましては、ただいま申し上げましたように、年々この改定を行なう努力をしてまいっておるのでありまして、しかし、現在におきまして決して十分と申せませんので、来年度予算におきましても、この点をぜひとも改定してもらいたい、かように考えております。  土地のほうでありますが、これも建築費と同じように年々努力してまいっておりまして、ただいま丹羽先生お話にありましたように漸次上げてまいっております。四十年度にはかなり大幅に、一三・八%もアップしている、また四十一年度には八・一%アップ、四十二年度には七・五%アップ、これは不動産研究所資料等によりまして、やはり市街地の価格上昇率を見ましてその分を増加いたしておるわけであります。しかしながら、御承知のように土地価格昭和三十年度ごろから非常に急上昇を示しておる。その当時にそれにどんどん追いついていけばよかったのでありますが、やはり戸数の達成というようなこともからみまして、十分に土地価格を上げることができなかったわけでございます。その後にやはり年々とやってまいりましたが、予算でかなり努力したにもかかわらず、ただいま申しましたように地価上昇率が非常な急激なものがありまして追いつかない、格差が開いてまいった、こういう次第でございます。A地区で申しますと、四十二年度に平米四千三百円、坪当たり一万四千円というようなことになっておりますので、なかなかこれでは手に入らない。そこでA地区うちを建てたいけれども通勤等関係から、そこがいいけれどもB地区のほうのもう少し安いところに土地を求めるというようなことにもなってまいります。しかしこれは一つにはふところ勘定の面もありますから——ふところ勘定と申しますとあれですが、貸し付け金償還というような問題も出てまいりますので、A地区実情に合わせて五万円あるいは十万円という標準価格を設定しましても、五十坪で二百五十万とか五百万という土地価格になります。そういうことではこれはむしろ償還との関係貸し付け金の借り受けができない、こういうことになります。しかしいずれにしましても、勤労者が自分のうちを建てたいというその夢を実現するために、適当な土地に適正な価格土地が得られるということが大切なことであろうと思います。私どもとしましては、ただいま申しましたように、毎年努力をいたしておりますが、同時にこの問題は単に公庫標準価格を改訂すればそれで足りるということではございませんので、やはり私ども土地政策と申しますか、建設省のいま最も力を入れておられますところの宅地大量供給、適地に適正な価格土地が大量に供給される、そうしますれば大体それが取得できるような融資ができる。そういたしますれば、御満足が得られるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  12. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 金融公庫総裁からの御答弁で苦労しておっていただけるその気持ちはよくわかりますけれでも、私が申し上げましたように、全く実情に沿わない貸し出しをしていただいておる。そういう点から、非常に期待は持っておっても、やはり土地購入という問題はてんで問題にならないというような点がたくさん出てきております。だからひとつ一そう研究していただいて、そしてあなたのほうの予算をとっていただいて、標準価格に近い貸し出しをしてやっていただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。  それから次に、建設省についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、新任せられました仮谷政務次官がいらしゃいますけれども志村官房長にひとつお尋ねいたしたいと思います。  この問題は、住宅の五カ年計画により昭和四十五年度までに、御承知のとおり政府が唱えておる一世帯一住宅を目標に、責任ある建設省としては土地政策の抜本的な方針をつくり早急に実施に移さねばならぬと思うが、五カ年計画については民間の自力建設に依存する度合いが大きく、その土地取得は大きな問題であると思われますが、建設省土地購入に対する具体的な方針をお伺いをいたしたいと思います。
  13. 志村清一

    志村政府委員 住宅五カ年計画を完遂いたしますためには、先生のお話しのとおり、民間自力建設の予定戸数四百万戸を達成せねばならぬ。そのためには土地問題はきわめて重要であること御指摘のとおりであると思います。それらにつきましては、建設省におきましては、計画局を中心にいたしまして土地対策をいろいろ推進いたしておるわけでございますが、それらにつきましては、御承知のとおり、大量供給あるいは土地の高度利用、さらには民間宅地造成の助成というようなことにつきまして検討いたし、対策を練っている状況でございます。
  14. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 その御答弁ではちょっと私はもの足りない感じがいたすのですね。ということは、先ほどから言っておるように、土地の値上がりというものは非常なスピードで上がっておるわけですね。だから少なくとも五カ年計画の一世帯一住宅というこれにマッチする計画を立てていかなければならぬ。その責任建設省が持たれるとするならば、ほんとうに徹底した計画をひとつ立てていただかないと、非常に高価なものを買わなければならない。そうすると、先ほどの話と同じことです。予算とのマッチがうまくいかないということになりまして計画倒れになってしまうような懸念がありますから、四十五年というのは目前に迫っております。どうぞひとつそういう意味から、政府の目標であるところの住宅建設に対する土地確保ということについては、建設省自体が真剣な考え方をしていただきたい、これを希望いたしておきます。  私に与えられた時間が非常に短いので、スピード的にお尋ねをいたしたいと思いますが、さらに宅地造成資金貸し付け制度についてお尋ねをいたしたいと思います。  この制度は、昭和二十九年以来大都市及びその周辺地域または新住宅市街地開発事業施行地区など宅地難の地域を重点に宅地造成を行なう地方公共団体、地方住宅供給公社等公共的な機関またはこれに準ずる機関に資金貸し付け造成した宅地に集団的な住宅建設させようとするものであることは御存じのとおりだと思う。この制度の内容を検討いたしますと、現在の社会情勢から見てかなり改善すべき点があるのでありますが、具体的に申し上げますならば、貸し付け金の限度は土地取得及び造成費の八割以内となっております。公庫標準価格をこえる場合は標準価格、すなわち昭和四十年では取得面積に対して坪当たり二千四百円、造成面積に対して坪当たり千四百円で頭打ちになっております。この標準価格と実勢価格格差について問題があると私は思っております。また利率につきましても年七分五厘というのは、最近市中銀行等の貸し出し金利が七分である点からも利用者側にとっては魅力のないものになっておると私は思っております。償還年限が五年というのは、土地取得しようとするおりから、取得交渉から造成地完成までの年月が、長い場合には七、八年あるいは十年もかかるという場合があります。その間の資金の手当てと金利あるいは労務賃金、さらに物価の値上がり等を勘案いたしますと、公庫資金が国の資金であるだけに、またこれが住宅建設の国の施策に貢献する度合いが大きいゆえに、改善する措置が必要と思われるが、以上述べた諸点について、この制度の運営を今後どうお考えなのか、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 師岡健四郎

    師岡説明員 お答え申し上げます。  宅地造成資金貸し付けば、御承知のようにただいまお話しにもありましたが、二十九年度以来実施してまいったわけでございます。当時はだんだんと戦災復興が進みまして、焼けあとの土地もだんだんとなくなってまいったということで、新しい土地造成して需要にこたえなければならないということでこの制度を始めたのでありますが、その後だんだんと事態が進展してまいりますと、初めにおきましては大体鉄道の沿線とかそういう公共施設のあるところに宅地造成の候補地を探すことができまして、そういうわけで、しかも土地の値段も安かったということで、わりあい円滑に仕事が進められておったのでありますが、御承知のようにだんだんとそういう適地が少なくなった。そうしますとだんだん遠隔地に参る。しかも遠隔地が遠隔地なるがゆえに必ずしも安くない、相当高い値段になる。しかも遠隔地でございますから交通の施設とかその他いろいろの公共施設、関連施設を考えなければならぬ。宅地開発が大団地になるとともに当初においては考えられなかった広範なしかも困難な問題がだんだんと発生してまいっておるのでございます。そういう事態でありますが、公庫としましては、要すれば私ども資金を借り受けて事業実施しますのは、大体公共団体または地方供給公社でありますが、そこいらに金を貸して、そして宅地造成をやっていただくということになっておりますが、ただいま御指摘のありましたとおり、やはりまず第一に、山林原野等の宅地の素地を取得したり、これを造成してまいるということであります。そしてその素地の価格が年々だんだんと上がってまいりまして、公庫標準価格ではなかなか入手できない問題がございます。そこでそれに合わせようとすれば、勢い遠くのほうにいってしまう。遠くへいけば、また関連公共施設がむしろ近いところよりはよけいかかるというようなことで、ここいらははなはだ私ども資金貸し付けを行なっていく上におきまして、大いに矛盾を感ずる次第であります。しかし要すれば、やはり通勤の便も考えた適当なところに宅地造成が行なわれていくということが必要でございます。しかもそれができるだけ庶民の手のとどく分譲価格で譲渡されるということが必要であろうかと思います。このためには単に貸し付け単価を上げるということだけではいけないのでありまして、もちろんそれは、先ほど来申し上げておりますように、年々努力しておるのでありますが、やはり土地取得制度の簡素化といいますか、あるいはもっと徹底したやり方というようなことも検討してみなければなるまいと思っております。ともかくもそういうことも一緒に考えていただくものとしまして、貸し付け単価の是正、それからお話にありましたように金利がだんだんと低下してまいりまして、七分五厘の貸し付けでは魅力がないということでございますので、この点も何とか引き下げをやってまいりたい、かように考えております。償還年限もだんだんと大規模となるとともに、五年では足りないので、七、八年あるいは十年、その辺を見当にして償還年限の延長もはかってまいりたい、かように考えております。  以上簡単でございますが……。
  16. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 市中銀行が七分で貸してくれるという点から考えてみても、先ほど言ったように、利用者側ではあまり魅力がないものとなっている。それからいまお話しを聞いておりますると、償還年限も五年ではあまり適当でないから、もっとこれを長期の貸し付けにという考え方を持っているんだ、こうおっしゃいますから、私はもうそれ以上は別に申し上げることはありません。それじゃそういうような方針をもうすでに考えておられて、それを実施するようなお考えで進んでおるかどうかという点をひとつぜひさらにお尋ねいたしておきたいと思います。ここだけの場当り答弁でなくて、真剣に考えておって、もう実施する段階に現在なっておるから、そういう方向へ進む用意と手配がすでに進んでおるのか、四十三年ごろからそういうような方向で進むんだということが確定できるかどうか、この点をひとつお尋ねいたしたい。
  17. 師岡健四郎

    師岡説明員 先ほどから申し上げておりますように、単価の是正につきましては、予算において実現しました場合にこれは実施できるわけでございます。  それから利子の引き下げと償還年限の延長、これは公庫法で定められておりますので、そういうことが予算の折衝過程におきまして、趣旨が通りますればもちろん法律改正案を提出することに相なる次第でございます。
  18. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 もう一点お尋ねいたしたいと思いますが、宅地債券についてであります。この制度は宅地入手の方法として、土地代金の半額程度を宅地債券で引き受け、土地を優先的に入手するもので、この債券は現在、三年のもので利回りが年四分五厘、五年のもので年五分の二種類が発行されていることは、総裁は御承知だと思います。この債券の募集状況を見ますと、三十八年度の応募は、平均の倍率が六・七二倍、三十九年度が三・四倍、四十年度が一・一二倍、四十一年度が一・四九倍というふうに、応募率は年々低下しているのです。この原因は、先ほどから言っている都市周辺の用地確保に困難さがあって、応募者から見ると魅力がないということになっているように考えられるのでありますが、三年、五年先の時価を想定して債券を募集いたしますことは、むずかしい問題ではありましょうが、この制度を発展させ、希望者が計画的に土地を手に入れることができて、住宅建設できるよう方法を考えてやるのが本来の目的であると私は思うのです。これは総裁もそういうお考えだろうと思うが、それについてどういう方向へこれから持っていかれるか、簡単にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  19. 師岡健四郎

    師岡説明員 宅地債券制度の趣旨は、ただいま先生からお話しのとおりでございまして、やはり土地の値段が相当上がってくる。そうしますと、それを一ぺんに手に入れるということはなかなか困難であるから、やはりそれに必要な一定額を公庫から貸し付けますけれども、その差額の自己資金に相当します分は、何年か積み立てておく必要がある。それを宅地債券という形で貯蓄を行なっていく、こういうものでございます。年々低下してまいっておりましてはなはだ残念でありますが、この制度はそういう趣旨で、土地取得したい方たちの立場も考えて、非常にいい制度だろうというふうに思います。  しかし実際になりますと、ただいま御指摘のとおり、ここはそういう宅地債券を買った方に差し上げますという土地が、だんだんと少なくなってくる。そういうことで、だんだん遠隔地に行く。しかも宅地債券は一見矛盾したところがありまして、三年、五年でないと、なかなか一定額は積み立てられない。しかも三年、五年先の土地ということになりますから、現状で宅地債券を募集しますときは、まだ山林原野の状況——やはりしろうとの方は、そういうところを見ますと、ここがいまにりっぱなところになるとはなかなか、そういうビジョンを設定できませんから、やはりこれでは土地は高い、こういうようなこともある。また学校はどういうことになろう、交通はどういうことになろう、そういう不安もある。先ほど来申しておりますように、宅地開発はだんだんと大きくしまして、交通問題あるいは関連公共施設の整備、利便施設の整備というようなことも大いにやってまいるのでありまして、でき上がったときにはなかなかりっぱになるのでありますが、当初におきましてはなかなかそういうような感じが持てない。そういうこともありまして、やはり宅地債券の売れ行きが悪い。その他若干の問題がありますが、これは多少技術的な問題ですから省くことにいたします。  しかしまた宅地債券を募集するときの要領、やり方も、多少士族の商法的でして、まずい点もあります。地方供給公社等のパンフレットを見ますと、その辺の完成予想図等をもう少しりっぱにしまして、うそを書いては誇大広告になるからいけませんが、実際にいままでやった経験があるのですから、そのレベルのものをちゃんとこういうふうになるのですということを示してPRもする。募集もするということになれば、またその辺はかなり違うのではないか。現に群馬県等ではその辺を初めに油断しましてやりましたところが、非常に倍率が少なかった。そこでよくそのパンフレット等にその辺を示し、また集まった方に御説明して第二回の追加募集をやった。そうしましたら、前には一・何倍かだったのが四倍にもなってしまった。同じ団地でそういうことがあります。これだけで問題は尽きないと思いますが、要すれば、宅地造成が、根本的には適当なところに適当な価格造成される。それを買い受けるための宅地債券というもののPRが徹底していくというようなことが、この制度を生かし、伸ばしていくゆえんではなかろうか、かように考えまして、せっかく努力しておる次第でございます。
  20. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 総裁から、いい面も悪い面も率直な意見が述べられておりますので、これ以上お尋ねすることはありませんが、私から申し上げたいことは、金融公庫総裁責任というのは、住宅においてはたいへんな責任を持っていらっしゃいますので、どうか時宜に適した、そして是正すべき点は大いに是正してもらい、住宅が完全に建っていくように、あるいは土地を入手することが完全にできるように、ひとつ改正すべき点は大いに改正していただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を一応打ち切りたいと思います。      ————◇—————
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、参考人として日本住宅公団より、総裁林敬三君、理事半田剛君、理事稗田治君、理事尚明君。日本道路公団より、総裁富樫凱一君、理事鈴木喜治君の御出席を願っております。  参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。丹羽久章君。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 日本住宅公団総裁には御出席をいただきまして御苦労さんでございます。  それじゃただいまから、時間がありませんので、すぐ質問に入りたいと思います。  土地買収予定価格の評定についてでありますが、この問題は昭和四十年度決算報告において、会計検査院より改善意見を表示された点があると思います。その要点は、用地の買収に関して、売買実例に十分な調査と検討に欠けた点であります。たとえば、取引価格が事実と相違をしておる。売買実例において、類似性を欠いておる。その結果、正常価格との間に格差があると指摘されておる。このため、売買実例の徴取の鑑定評価等について、具体的な手続規定を整備し、職員の配置、土地等評価審議会の審議等に配慮が欠けているので、これが整備を行ない、会計検査院から、今後の業務の適正化につとめるようにという意見であります。  そこでお尋ねいたしますが、今日の用地取得の課題はかなりむずかしい問題が多く、住宅公団としても努力を払っておられるとは十分に考えるが、少なくとも検査院が指摘しているがごとき事項は、公団自体常に整備する必要があると思いますが、また、この改善の方法のみでも、はたして用地の買収が急激な地価の値上がりに対処する方針として、業務の円滑を期することができるかどうか、この点に対しても、私はいささか疑問点が多いのであります。たとえば用地の確保について、出先機関にある程度の権限を委任することが、よりすみやかな用地取得につながるものかどうか。また、本所において権限を一手に集中することが、弾力的な運用の面で有効かどうか、このような問題点を含めて、日本住宅公団は今後の体制をどのように措置をされたか、また、会計検査院の指摘するその点についてどのように理解して改善をしたのか、この点を伺いたいと思います。  また会計検査院においても、こうした問題に対して改善意見を出すこと、相当な根拠があり、また調査の結果だと思いますが、このような意見を出されたその見解を会計検査院からひとつ伺いたい。
  23. 林敬三

    ○林参考人 ただいま御質問をいただきました土地の買収の問題につきましては、先ほど金融公庫への御質問のときにもございましたように、年々深刻化してまいっておりまして、住宅公団は、年に御承知のように六万戸、明年になると七万戸を建設しなければならないという任務を持っておりますが、一番の問題なのは土地の買収でございます。土地が買えましたならば七、八割はもう仕事ができた、ほかの困難な問題もたくさんございますが——というぐらいに言われるのでございます。しかしながらお話のように、急激に地価上昇しております。そこでまとめて大ぜいの地主の土地を買うということになかなか困難がございます。またその評価というものについて、固定した価格がございませんで、非常に流動しており、売り手、買い手のそのときの状況によってたいへん違うというような問題もありまして、公益の大切な仕事をいたします公団の立場からいたしまして、特に買収というものはむずかしい点が年々加わってきております。  そこで四十年度会計検査につきましても、検査院からいろいろと疑問とされる点について御指摘がございました。私どももこの困難な、また変化する情勢に応じて、将来を見まして、最も遺憾のない方向に、虚心たんかいに、改善するものは改善して進まなければいけないという態度で、少しことばは過ぎるかもしれませんが、検査院と協力というか、一体というか、虚心これを受けて、いいものをつくり出すということで努力をいたし、回答を申し上げ、回答いたしましたものについては、逐次すみやかに実行に移すという態度でいたしております。  買収に入ります前に、まず第三者の土地鑑定機関の鑑定をとりまして、そして大体どのくらいの値段が妥当かということについて、こちらで近所の売買実例を調べましたものとあわせまして、まず大体このくらいの値段で交渉したらいいかという見当をつけるわけでございます。そしてそれを理事会に持ってきまして、候補地が数カ所ございますから、みんなでそれについての比較検討をして、その中で一番適正なもの、妥当なものをとって、そしてその次に交渉に入る。大ぜいの地主を今度相手にして、その価格の前後で交渉をいたしまして、大体まとまるという近くになってきましたときに、はじめて今度その価格が正しいかどうかということをもう一回振り返りますために、一者でなくて三者の評価をとりまして、民間の公正な鑑定機関で評価をとりまして、そしてその線の中に入りましたときに、具体的に売買契約に入っていく。第三者機関による二重の鑑定というものをとりまして、価格の適正というものを期するように方針を改めました。従来は大体近所の売買実例を出し、それが妥当である場合は、もうそれで買ったのでございますが、いろいろと流動しております価格についての問題が起きますので問題があるようなときは、いままでは一つ以上の鑑定機関の鑑定をとっていただくということでございましたが、今後は必ず三つの鑑定機関を通って買収に入る。交渉に入る前に一つは必ずとる、こういう態度に改めまして、価格の適正を期するということをいたしております。  また用地関係の職員が数が足りない、あるいは経験者が少ない、組織が不十分であるという点を反省いたしまして、この用地関係の職員の充足をはかる、また組織についても整備をはかる、こういうことをいたし、かつ研修をいたしまして、できるだけ——これが急激にベテランというものができませんし、また用地関係の職員になることをみんなつらがるのでありますが、一番大切な仕事だということで、これに重点を置いてその組織の充実をはかっております。  なお、規定その他の整備もいたします。また一括買収方式という、全体の三分の一ぐらいやむを得ずとります方式がございます。その場合は、代表者になります者の信用の調査あるいはそれと個々の地主との間に極力不平、不満、不公平ということの起きないような当方としてのできるだけの措置につきましての改善措置も講じて、再三反省と努力を加えながら進んでおります。できるだけ出先に権限を与えたい。そして、敏活なかつ具体的に即した方針をとりたいということで、創設以来参っておるのでありますが、実は支所ごとにアンバランスがだいぶ目立ってまいっておる。それから支所ごとでは全部について最善を尽くしていましても、中央で見ました場合に、ほかのところと比べていろいろと是正すべき点もございますので、肝心なものは中央へ二重でも三重でも持ってこいというような態度を実はとっております。しかし、いま御指摘のような心配も、もちろんあまり中央集権になりますと出てまいります。そこで交通も進んでまいりましたことですし、通信も非常に発達してまいりましたので、もう気楽に中央とは連絡をして、そして事務の渋滞がそのために起こることのないようにいたすということで、いま仕事に励んでおる次第でございます。
  24. 小熊孝次

    ○小熊会計検査説明員 お答えいたします。  ただいま問題になっております改善意見につきまして、その根拠ということでございますので、御説明申し上げます。  四十一年中におきまして、会計検査院といたしましては首都圏宅地開発本部ほか各支所にわたりまして述べ人員百六人日によりまして、百五の対象地域がございますが、そのうち四十八地区というものを検査いたしました。そうして、先ほど来お話がございましたように、用地の買収関係の仕事のやり方というものにつきまして検査いたしたわけでございます。その結果、先ほどお話がございましたように、売買実例の調査、検討、あるいは評定価格の問題、そういうような点、あるいはその後の事務の流れというようなものにつきまして、いろいろ検討いたしました。そうして、先ほどのお話がございましたような改善意見というものを出したわけでございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 総裁から微に入り細にわたって説明がありましたので、今後の方針までがはっきりいたしたようでありますが、どうぞ会計検査院から再びこのような指摘を受けないように、十分注意をしていただいて、そして住宅公団の使命というものは非常に大きな使命を持っておられますから、どうぞその意味においてもさらに一そう研究をしていただいて、指摘せられた面を十分改革していただきたいとお願いする次第であります。  さらに会計検査院は勇気を持って指摘せられました点については、私は非常に敬意を表するのでありますが、どうぞこういう住宅公団ばかりでなくても、いろいろ国の行なっていく上においてはそうした間違いというのは、故意ではなくても間違いが多い点がありますが、十分遠慮なくひとつ調査していただいて、それを指摘していただくことを願ってやみません。  以上申し述べまして、日本住宅公団についてのお尋ねを打ち切るごとにいたします。  次に道路公団についてお尋ねをいたしたいと思います。  きょうは道路公団の総裁には参考人として御出席いただきましてありがとうございました。非常に時間をきめられておりましてあとわずかよりありませんから、私の言うことをよく聞いていただいて、簡単明瞭にお答えをいただきたいと思います。  余裕金の運用についてでありまするが、余裕金の運用は昭和四十年の十月行政管理庁が住宅道路関係業務運営を調査した際、日本道路公団に対して建設省を通じてその改善を勧告いたしております。その要点になっておりますのは、日本道路公団の余裕金が他の道路関係の公団とは異なった運用をしていることでありまして、私が調査いたしましたところによりますと次のとおりであります。すなわち日本道路公団法第三十一条の規定で、業務上の余裕金は国債及び銀行預金または郵便貯金に限られております。阪神高速道路公団首都高速道路公団のごとく、建設大臣の指定する有価証券への運用ができないことは御承知のとおりであります。このことは、道路公団の全体の資金量七十億円のうちで常時必要とする資金は約三十億円であります。残りの四十億円は国債保有になっております。この資金を他の地方債、鉄道債、農林中央金庫債、商工中央金庫債等に回すことができるならば、金利の点でかなりの有利になると考られます。たとえば国債の金利は七年で六分五厘、農林中金及び公債あるいは商工中金債は五年で七分二厘、地下鉄債は七分三厘になっております。そもそも公社公団事業団等は全業採算制により機能的に活動すべき性格を持っておることから考えても、資金の有効活用砥必要なことであります。またこれら団体が企業的に活動できるためには、監督官庁すなわち建設省ですが、公団等が活動しやすいように配慮を、機構、法令等について至急に措置すべきが当然であると私は思っておりますが、この点公団総裁並びに建設省当局は現在どのような見解を持っていらっしゃいますか。双方にお尋ねいたしたいと思います。
  26. 富樫凱一

    ○富樫参考人 日本道路公団の余裕金の運用は、ただいま先生の仰せられたとおりでございます。行管からもこの運用について効率的な運用をはかるよう勧告もいただいております。公団といたしましては、お話しのとおりもう少し運用の範囲を広げますと有利になりますけれども建設省とも協議いたしまして、その方向で検討いたしておるところでございます。
  27. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 余裕金の運用につきましては、ただいま公団総裁からお話いたしておるように、私たちもできるだけ早い機会に公団法の改正その他によりまして有利な運用になるような形で考えていきたいと思っております。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ほんとうにそういうことを御相談になったのですか。
  29. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この点はいろいろ勧告がございまして、われわれ検討いたしております。実は公団法の改正をいつ出すか、そのときに必ずこれは一緒につけ加えて出したいというふうに考えております。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 総裁お尋ねいたしますが、そういうことをほんとうに相談せられたんですか、不便を感じておるという点について建設省と。こういう質問をしたからそういう答弁をしておけばいいというような考え方では困ると思うが、私は与党だからそういうことについては信じております。いいですか、よ。信じております信じておりますけれども、はたしてほんとうにやられたのかどうかという点を、もう一度聞き直しますよ。
  31. 富樫凱一

    ○富樫参考人 行管から勧告のありましたときに、その点につきまして建設省に相談いたしました。ただ道路公団沫を改正するその点だけではちょっと改正しがたいということもございまして、日本道路公団法の改正のときに考慮しようということになっております。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 時間がないからあまり追及したことは申し上げぬけれども、そういうように制限せられたものではなくて、ほんとうに運用の面でもっと広い範囲で使えるように、ひとつ建設省と十分な相談をしていただいて、そして改正すべき点は改正していただきたいとお願いいたします。  それから道路建設の状況についてもう一ぺんお尋ねいたしたいと思いますが、今月の十四日、中央高速道路の一部開通を見たのでありますが、中央高速道の建設状況についてひとつ御説明を願いたい。特に私の説明を願いたい問題は用地取得についてで、困難が多いと思うが実情はどうであったか。また東名道路についても同様の説明をいただきたいと思います。
  33. 富樫凱一

    ○富樫参考人 中央高速道路進捗状況について御説明申し上げます。今月の十五日、調布−八王子間十八・一キロを供用開始いたしました。八王子−富士吉田間につきましては、ことしの十二月下旬に舗装工事を発注しまして、四十三年度中に供用開始を予定いたしております。この区間につきまして用地の残件が少し残っておりますが、工事工程に支障がありませんし、進捗率は現在六九%になっております。  それから調布から高井戸までの区間でございますが、これは都市計画関係がございまして、路線発表がおくれましたけれども、現在杉並区におきまして中心測量を終わり用地折衝に入っております。工事は明年度発注する予定であります。この区間は用地の進捗率が二二%であります。全体を通じまして用地の進捗率は七二%になっておりまして、用地については完成まで特に問題はないと思っております。  それから東名高速道路進捗でありますが、第一次に共用開始する区間すなわち明年の五月に開通する区間は東京−厚木間三十五キロそれから富士−静岡間四十キロ、それから岡崎−小牧間五十三キロ、これを四十三年の五月に開通せしめる予定でございます。  残りの区間でございますが、これは二百十八キロございますけれども昭和四十四年の五月に完成させる予定であります。  ただいま工事進捗につきましては、土木工事がほとんど終わっておりまして、舗装工事実施しておる段階でございます。これは第一次供用区間でございますが、第二次区間につきましてはすでに土木工事の発注を終わりまして施工中であります。  全線についての四十二年十一月末の工事出来高は五二・四%となっております。用地につきましては、全線にわたって所要の用地を取得しておりまして一部残件がございますけれども、これは工事の施工には支障ございません。いずれも四十三年度早期に供用できる見込みであります。用地の進捗状況は、四十二年十一月末で九五・三%になっております。
  34. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 非常に好成績で工事が進んでおることは喜びにたえませんが、それではもう一点だけお尋ねいたしたいと思います。  買収用地の残地処分ですね。これは道路工事を進めていくために用地を買収する際必要な用地と一体になっている一部の土地を買ってあげなければならぬということがたまたまあると思います。この残地に対する状況を見ますと、名神高速道路その他を合わせて四十年度の不用地というようなのを見てまいりますと非常に多いのです。帳簿価額でいっても八億五千二百五十八万円というような数字があがっておりまして、私がずっと調査いたしまして、昭和四十二年の十二月十五日現在の残高が面積にしては十五万五千平方メートル、帳簿価額で六億六百八十七万円というような大きな未処分残地を資産としてかかえておりますね。残地の処分についてはその用途、処分するということには非常にむずかしいことはよくわかりますけれども工事のあと始末として早急な処分が必要だと私は思っております。今後、東名、中央各高速道路の完成がなったときに、これらの残地の処分価額というものもそのときは相当値上がりをいたしておりますが、これらの処分資金がさらに事業資金として使用されることが非常に望ましいのでありますけれども、誤りのない運用を私はひとつお願いしたいと思っております。処分の現状についてごく簡単に一言説明をしていただきたいと思います。
  35. 富樫凱一

    ○富樫参考人 現在残地として持っておりますものにつきましては、先ほど先生の言われたとおりでございます。道路公団の持っておる残地はかなりございますけれども昭和四十年度から財産整理の作業を始めておりまして、これまでに処分いたしたものは十八万四千五百平方メートルでございます。これは簿価が五億四千四百万円ほどでございましたが、これを七億八千万円で売却いたしました。現在持っております残地といたしましては、十五万五千平方メートルございまして、これの簿価が六億六百万円でございますが、この残地をできるだけ早く積極的に処分いたしたいと考えております。また今後東名、中央道でもこの残地が出てまいりますが、これにつきましても同じような方針で臨みたいと思っております。  処分の方法といたしましては、原則的に一般競争契約して処分いたしておりますが、特に公用あるいは公共事業等につきましては随意契約によっております。  価格の算定でございますが、これは第三者の精通者の評価額を中心といたしまして、売買実例、固定資産、相続税その他を参照して適正な額を評価いたしております。  このような方針で処分いたしてまいりたいと思いますが、処分する順位といたしましては買い戻しの特約のあるものを第一にして、それから公用または公共の利用に供するものを第二、旧土地の所有者を第三、一般競争契約を第四に考えております。  それから、先ほどお尋ねがございましたが、これを処分いたしますと、一般的に値上がりいたしておりますので、その売却の差益があります。これは収入予算に計上いたしまして、公団の道路建設の財源の一部にいたしまして活用いたしております。
  36. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 総裁から御答弁がありましたので、それを了といたしますけれども、先ほど申しましたように、この処分に対してはひとつ間違いのないようにしていただきたいということをお願いいたしまして、参考人に対する質問を私は終わりたいと思います。  どうも御苦労さまでした。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  38. 華山親義

    ○華山委員 経済企画庁の昭和四十年度の年次経済報告、いわゆる国の経済白書でございますけれども、この経済白書を見ますと、自己資本利益率を四十九の仕事について見ております。その中で、石炭産業はほとんど利益率がゼロ、これは私はわかるのでございますけれども、多くの事業は大体八ないし一四%というところに図表では集中している。ところが、建築工事は二五%の高率を示しております。ほかの事業に比べてまことに高い利益率だ。建築業、建築工事等については、特にいろいろ建設省が中心になって御研究中だと思いますが、次官にお尋ねいたしますが、建築工事、土木事業もこれに準ずるものだと思いますけれども、なぜこんなに高い利益率をあげるのか、その点について伺いたい。
  39. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいま建築業の自己資本利益率が非常に大きいという御指摘のようでありましたが、大体建築工事業者というのは、設備資金というのは比較的少なくて済むということ、資材購入等が非常に多いんですが、これは注文者からのいわゆる前払い金の調達ができるということ、元来自己資本の比較的少なくて済む営業である、産業であるというふうに私ども見ておるのでありまして、したがって、統計的に見ましても、建築工事者のたとえば下請になっておる電気とか家具あるいは大工、左官、こういうふうな業者の自己資本利益率も、建築業者に比しては決して劣ってはいない、そういうような状態でありまして、したがって、現状では、そういったことが、たとえば労務者の賃金とかあるいはそういうものの犠牲において利益率をあげておるといったようには私どもは考えておらないのでありまして、したがって、個々のケースにはまたいろいろな問題も一般的にはあるかと思うのでありますけれども、今後はそういった問題が特に下請業者やあるいは労務者等を犠牲にして利益率をあげておるといったようなことについては十分に留意をしていかなければならないのじゃないか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  40. 華山親義

    ○華山委員 この統計では建築工事だけが出ておりますが、土木事業につきましても、大体いま次官のおっしゃったようなことが考えられるわけでありますか。
  41. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 自己資本の利益率でありますが、大体建築事業は二六%ぐらいでありまして、これは電気、管とかの専門工事業では二九%、あるいは大工、左官二六%、その他の製造業は一五%といったようなそういうふうな率に相なっておるものですから、そういうふうなものと比較をいたしてみますと、私どもは、ことさらに利益率が大きいというふうには実は考えていないわけでございます。
  42. 華山親義

    ○華山委員 同じ予算の範囲内におきまして、特に財政の硬直といわれるときにおきまして、予算のつき方が少ない、そういう場合に、国費をもってより多く建築あるいは土木をやろうというならば、私は、この利益率というものにつきまして政府のほうに反省があっていいと思う。とにかくほかの事業はこんな高い利益率をあげているところはない。ずば抜けて高いんです。この点につきまして私は予算の効率の面からいって高いのじゃないか。その点において予算あるいは請負の単価、そういう面について甘い点がありはしないか。その点どうお考えになりますか。これでいいのか。これだけの利益率をあげさしておいていいのか。国の税金でもって仕事をするのに対してこれだけの利益率を建築業とか土木事業者に与えておいていいのか、伺いたい。
  43. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘を受けました昭和四十二年度年次経済報告によります自己資本利益率でございますが、先生の御指摘いたしましたのは大手の企業でございまして、建築業全体といたしますと、自己資本の利益率は、私どもの調べによりますと、建設業全体で二七・六%、それから、そのうち建築に関しましては二六・七%、土木が二一・一%でございます。これを他の産業と比較いたしますと、建設業が一般的に高い利益率を得ていることは否定できませんけれども建設業と比べまして匹敵するものといたしましては、やはり労働集約的な面で似通っております鉱業が二七・五%、それから、一般の製造業につきましては一五・二%でございまして、これらの数字を見ますると、建設業がやや高い利益率を得ていることは間違いございませんけれども、ほかの産業に比較して飛び離れて高い利益率をあげているというふうには私どもは思わない次第でございます。
  44. 華山親義

    ○華山委員 議論になりますけれども、あなたは、ここに出ているのを、大手産業で、大手のほうが高いんだということは、なおけしからんと思う。  それから、いまおっしゃいましたけれども、ほかの産業に比べて高くはないと言われますけれども、この表でごらんになりますと、大体集積しているところのものは八%から一四、五%の部分にびっしり詰まっているでしょう。ほかのものに比べて高くはないというふうなことは、私は、経済全体から見たならば、それはもう——大工が高いとか左官が高いとか、そういうところから見たらそうかもしれませんけれども、産業全体として、土木、建築業というものは高率の利益をおさめている。こういうところに建設省は反省があっていいのじゃないか。同じ国費を使うならばこういう点に反省をすべきではないかということを私は申し上げておる。弁解するようなことは私はやめてもらいたい。ますますおかしくなる。決してあなた方は建設業者の味方でもなんでもないはずなんだ。反省をしていただきたいと思いますが、どうですか。
  45. 川島博

    ○川島(博)政府委員 確かに全体として見ましても、建設業が他の産業よりかなり高いことは間違いございませんので、その点は適正率になるように指導を進めるべきだと思いますが、ひとつこれは私考えますのに、建設業が自己資本に対して非常に高い利益を占めておるということは、一つにはやはり建設業が自己資本の充実をもう少しやるべきじゃなかろうかという点についても今後業界の指導を進めるべきじゃないかというふうに考えております。
  46. 華山親義

    ○華山委員 そして、この経済白書によれば、明白に建築業ということを指摘しておりませんけれども、この場合に、この追及の目的事業の集中度と利益率がどうなっているかという関連を追及した、ところがそうでない結果があらわれている、そのことにつきまして競争が適正に行なわれていない、これが高率の原因であるというようなふうに見える。私は前からいろいろな、地方でございますけれども経験はしておりますけれども、確かに土木建築業における競争は適正でないと私は思っているんです。刑法第九十六条ノ三の二項には不正談合罪というものがございますね。これはその証拠を握ってやるというふうなことは非常に困難だと思いますけれども、われわれが身近に見聞し、建設業者から聞く話、私はこの不正談合罪に近いものがあるのじゃないのか、こういうふうな気持ちを強く持っている。建設省のほうでは、この不正談合罪にはならなくとも、公正な競争が建築業界に行なわれているというふうにお考えになりますか、この点をひとつお答えを願いたい。
  47. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいまのお答えを申し上げます前に、さきに建築業の自己資本に対する利益率の大きいことを反省する必要があるんじゃないかというお話がございましたが、もちろんわれわれは十分に留意をしてやらなければならぬと思っておりますが、建設業なるがゆえに、あるいは土木事業なるがゆえにことさらに特別な単価を持っているわけではございませんし、客観情勢から見ますと、業者からはこれではやれないという声がたくさんあがっていることも御承知のとおりでありまして、われわれはあくまでも適正な単価工事施行をいたしておるわけでございます。その点がやはりこの建築業の自己資本が少ないということ、これは一つの問題点でございます。こういう点から利益率が大きくなっているという現実もありますから、これは十分そういった点で指導もし努力もしていかなければならぬと思いますので御理解を願いたいと思います。  それから談合の問題いろいろございましたが、御承知のように発注の場合には精密な見積もりをいたしまして御承知のようなああいう予定価格をつくるわけでございます。したがって、ごく一部の特別な例外を除きますと、予定価格の範囲内において工事を請負をさせておりますことは御承知のとおりでございまして、指名制度の問題につきましても、談合によっていろいろ建築業者がとかくの不正がある、忌まわしいことがあるといったような問題等もいわれておりますけれども、私どもは指名そのものが悪いとは必ずしも考えておりません。現在の状態からいって、そこまでにいかなければできないわけでありますけれども、ただそこに忌まわしいおっしゃるような問題がかりにありとすれば、これは個々のケースとして十分注意をしていかなければならぬし、われわれも今後大いに反省をしなければならぬ問題もあると思います。そういった面については今後十分留意をしてまいりたいと存じております。
  48. 華山親義

    ○華山委員 私はこの問題につきまして非常にいろいろな話を身近な問題として聞いてまい勢ました。談合というのとそれからいまおっしゃいました指名というものはこれは別個の問題であります。指名者の中で行なわれる談合ですから、それは別個の問題。そういうふうな意味におきまして私はいまここで一つ一つの事例をあげて言うことは遠慮します。今後ひとつその点につきまして、厳重に建築業が公正な競争が行なわれるよう御指導を願いたい、このことを申し上げておきたいと思います。  それから次官は、先ほど劣悪なる労働条件によって業者が高い利益を上げているのではないということをおっしゃいました。しかしこれは同じ白書の中で、別な項でありますけれども建築業における労働条件はほかの産業に比べて劣悪であるということを指摘してある。読んでみてもいいですけれども指摘しているのです。そして労働条件を向上させることがきわめて大切であるといっている。私は出かせぎ等の問題についてしばしばこの点を指摘してきた。しかし労働省におきましてもまた建設省におきましても、いろいろなことをやっていただいたことは私は認めておりますし感謝もしておりますけれども、非常に劣悪なんですね。大体この経済白書を見ましても、土木建築等に従事するところの三〇%は日雇い労務者だといっている。日雇い労務者に対する保護というものはきわめて少ない。下請、下請というふうになってきている。そして最後の下請は人入れ稼業のような状態なんです。建築業界もそういうふうな非近代的な様相を直してまいらないと、建築業あるいは土木事業、一時は苦悩の道はあろうともりっぱな産業には発達しないのじゃないのか。私は利益率というものを別に低くしろ、政府の定める単価というものを低くしろということをあえて言う勇気がないのはこの面なんです。この本に書いてありますとおり建設労働者には団結力もない、労災の死亡者は三割が土木建築業で起きている、福利施設はほかのものに比べて著しく劣っている、こう書いてある。私は現在の土木建築業界を見ておりますと、たとえば政府の定める建築単価が低くなったって、そのしわは下請にいく、そのしわが日雇い労務者等の団結力のない弱い労働者にかぶさってくる。そこを私は心配しますのであえて言わないけれども、これだけの利潤を上げ利益率を上げるというものであるならば、私はまず第一にそういうふうな非近代的な労働事情というものを向上さしてもらいたい。労働者というものは団結力の強い者ばかりがよくなる、団結力の弱い者はいつまでも下積みになっている、こういうことじゃいけないと思うのです。しかしあの連中には自分から団結して自分の労働条件をよくする力がない、そういう面にこそ政府は手を伸ばすべきじゃないのか、この点につきまして、きょう労働省にもおいで願おうと思ったんでございますけれども、おいでになりませんからなにでございますが、労働省にも申しますから、ひとつ建設省は全力をあげてその方面に力を注いでいただきたい、こういうふうに考えます。まだまだ利潤率からいいましても私は労働者を手厚く扱う方向に金はあると思うのです。次官の御答弁を願いたい。
  49. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ちょっと誤解のないように申し添えますが、最初、利益率が高いのは労働者を犠牲にしてという意味ではないという意味で私、実は申し上げたので、いささか誤解があったかと思うのでありますが、確かに建築業にしてもあるいは建設業にしても御承知のとおり業自体がいわゆるピンからキリまであるわけでありまして、その内容においてはさまざまだと私どもは思っております。  ただ、しかし、一般論から申しますと、建設労務者の賃金というものは、製造業者と比較をしても決して安くはない。たとえば建設業が大体四万三、四千円ぐらいのところ、製造業は四万円そこそこでありますから、一般論でございますが、決して安くはない、そういうふうには思っておりますけれども、個々のケースでは、ただいま申し上げましたように、業者の断層が非常にあるのですから、そういう面においてはおっしゃる面が確かにあると思うのでありまして、こういった面は今後十分に考えなければならぬと思います。  なお、日雇いとか出稼ぎとかいった問題については、これは従来から非常に議論をされておる問題でありまして、この問題等は労働省とも十分に連絡をとりながら——現在も対策を立てておりますけれども、さらに前進をしなければならぬ、かように思っております。
  50. 華山親義

    ○華山委員 この経済白書では、いま次官がおっしゃた日雇い労務者の問題、出稼ぎ者とは書いてないけれども、季節労務者の問題、こういう点をあげております。政府でお出しになった経済白書のことでもございまするから、深く突っ込んでは書いてありませんけれども、この建設業の実態というものを真剣に研究して、そして近代的な産業にしていただきたいと私は思うのです。季節労務者や日雇い労務者が三割とか四割も働いておるというふうな状態というものは、最近の労働力の不足からいえばやむを得ないにいたしましても、それだから近代的な処遇でなくていいということはないわけです。  御承知だと思いますけれども、大企業を見ますと大体下請から下請、下請でしょう。最後の、末端の下請等はもう人入れ稼業なんです。こういうことは労働基準法違反なんです。仕事をしないで事業をやっているという形は労働基準法違反なんです。職安法違反なんですよ。そういうことを、平然と法律違反のことが建築業界あるいは土木業界には行なわれている。そこを私が指摘しているわけでございますから、一ぺんにはいかなくても、一時は土木、建築業界が困難におちいろうとも、勇断をもって近代的なものにしていただきたい。現在は、一番ひどかった波止場の労働者の問題は解決した。残っているのが土木、建築業における労働者の問題——労働省の所管でございましょうけれども建設省もそれに十分に協力して進んでやる意図をもってお願いしたいと思います。
  51. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、御趣旨に沿いまして、そういった面には積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  52. 華山親義

    ○華山委員 それから、この報告について少しずつ伺いますけれども土地単価は一律ではないが、いろいろなところで住宅をおつくりなさる、あるいは住宅金融公庫法の金を貸しなさる。その際に、政府は公務員住宅をおつくりになる。それから公団では一般の人々の住宅をつくっておられる。金融公庫はこれを基礎にして何分の一かは貸すということになっている。また、地方には公営住宅がある。その意味におきまして、私は前からいろいろなことで研究をしてみているのですけれども政府の協力が得られない。単価がみなどこでも違っているんじゃないですか。同じ予算単価でやっているのかどうか。単価が違うとするならば、なぜ違うのか、そういう点が明白にならない。言を左右にしてなかなか資料をお出しにならない。  建設政務次官にお願いいたしておきますが、建設省が中心になって、そうしてこれらのいろいろな機関の、政府、公団、公庫、公営企業、地方の補助、そういうところの単価を比較できるようなものをひとつ私に見せていただきたい。そうでなければ、私は議論できないのです。それは私がしばしば衆議院の調査室なりまた私なりがお願いいたしましても、積極的な御協力が得られない。一表にして出していただきたい。できますでしょうか。
  53. 三宅俊治

    ○三宅説明員 各種の住宅予算単価につきましては、これは調べられるわけでございますけれども、実際の実施単価につきましては地域、地区、地方ごとに非常に千差万別でございますので、その点実際の実施単価につきましては(華山委員予算単価でいいです」と呼ぶ)予算単価につきましては、調べられますので、調べまして御提出することは可能でございます。
  54. 華山親義

    ○華山委員 それでたとえばその際に、土地が違うのだとか何とかいうことになるとめんどうですから、東京なら東京に限って、それもたとえば中高層のアパートならアパートに限って、場所とそれから構造の関係と同じものにつきまして出していただきたい、このことをひとつお願いいたしております。  それに関連して申し上げるのでございますけれども、地方の補助につきましては、国の単価が低いために超過負担になるということを非常にやかましく地方では言いますけれども実情はどうなんですか。
  55. 三宅俊治

    ○三宅説明員 公営住宅を例にとってまいりますと、確かに国で定めました標準建設費をオーバーをして工事をしなければならないものが相当見受けられるわけでございます。たとえて申しますと、昭和四十二年度に例をとりますと、標準建設費に対しまして約三〇%超過負担をいたしておるわけでございます。これは一つの例でございますけれども、そういうふうなことで、事実標準建設費に対して、実際の工事実施単価というものが高い。そのために地方の公共企業体等が非常に難渋をいたしておることは事実でございます。私どもはこの単価の是正ということが非常に大きな課題になっておりますので努力をいたしております。
  56. 華山親義

    ○華山委員 そこで私はいま、ここで超過負担の問題について、会計検査院に意向を聞きました。そのときに例を引いたのでございますけれども、百戸を建てるという約束のもとに補助金をもらったけれども、もらった金では九十五戸しかできなかった。その際には会計検査院はどうするのだということを聞いたのでございますが、その際に、そういう実態につきまして、九十五戸しか建てられなかったならばしかたがありませんとこういった。追及はしない、追及といいますか、批難はしない。ただ、しかし、お互いに約束をしたことだから約束をしたものは事前に改めておいてもらいたい。改めないで九十五戸しか建てなかった場合には、改めなかったことについて批判せざるを得ない。批難じゃありませんよ。批判せざるを得ない、こう言っておるわけであります。これは自治省等でも初めて聞く議論だといってびっくりしたのでありますが、私のような実質的ないままでの関係のある者にとっても非常に耳新しい、全く新しい考え方といいますか、ことのわけです。  それで、たとえば東京都なら東京都から、あなたのほうからいただいた予算単価ではとても百戸はできません、これを九十五戸に直してもらいたいというふうな相談があった場合には、建設省はこれを九十五戸に直すことにやぶさかでございませんか。
  57. 三宅俊治

    ○三宅説明員 会計検査院でそのような話は私どもは伺っておらないわけでございます。現在の制度で、たとえば公営住宅建設事業でございますから、これは補助事業でございまして、建設大臣が定めた標準建設費というものが補助の基準になっておるわけでございます。全体として補助金をブールして、その補助金の濃度を濃くして戸数を減らしてやるということは認めておりません。
  58. 華山親義

    ○華山委員 あなたは聞いておらないと言うが、私はこの決算委員会で聞いたのですよ。  それで、会計検査院に伺いますが、そういうふうにして国からいただいたところの補助金では九十五戸しか建たないから、補助指令では百戸になっているけれども、九十五戸を建てることに改めてもらいたいということを建設省なら建設省に申し出た。ところが建設省は、いまおっしゃったように、それはいけない、やはり超過負担をしても百戸を建てるべきだというふうに言った。会計検査院は、その形式を踏まなかったことについては批難すると言うのですけれども、形式を踏まなかったということについての批難は、東京都にいくのか、建設省にいくのか、どっちなんですか。
  59. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 ただいま華山先生からお話のございました、超過負担が多いために補助の対象としました戸数が建てられなかったという事態につきまして、私のほうで、特にこの決算委員会で、戸数を減らして建てられても批難をする、形式的に落ち度があるだろうという答弁があったようでございますが、私実は申しわけございませんが、その決算委員会で本院のほうでお答えした内容を存じておりませんのですが、私の存じておる限りでは、補助の対象としました戸数は、超過負担の度が場合によっては高くなりましょうが、これはつくっていただくべきだと考えておりますし、私ども検査した範囲内におきましても、たとえばその年度に予定しまして、年度内には所定の戸数ができなくても、翌年度にわたりましておくれながらも所定のものを建てておるという状況を見ております。ただいまの御質問の、以前の決算委員会でございましょうが、答弁の趣旨が十分にわかりかねるのでありますが、御了解願いたいと思います。
  60. 華山親義

    ○華山委員 局長、おかしいですよ。いろいろな方が言いまして、私は事務総長にここに来てもらって聞いたのだ。そして事務総長と私の間では、どういうふうなことで私が聞くから、あなたはどういうふうに答えるのだということまできちんときめて、将来の重大問題だと思ってやったのだから、局長、そんなこと知らないなんておかしい、もう一ぺんよく勉強してきてください。
  61. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 帰ってもう一度よく調べた上で御報告申しげたいと思います。
  62. 華山親義

    ○華山委員 報告はしなくてもいいですよ。ちゃんと事務総長がここで明言したことなんですから。それで事務総長が言ったことは、形式は批難される、そういう補助金を受けるときの補助指令を改めないでやったことについては批難される。しかし、実質九十五戸の金しかこなかったものについて九十五戸しか建てられなかった場合には、これは実数的の批難はしない、こういうふうに会計検査院は言ったのです。あなたは首をいま横に振ったけれども、自治省は、役人は全部首を横に振るのだ。その点勉強してもらいたい。また知らないと言われるけれども、私にそう答弁されたことだから、会計検査院は徹底してもらいたい。ここで言ったことがうやむやになってしまっては困る。  それで、私はそのときに、形式を踏まなかったことについては批判をすると言うのだから、その批判というものは、施行しなかった、訂正を求めてもこれに応じなかった建設省にあるのか、地方庁にあるのかということをお聞きしたのでございますけれども会計検査院の局長が根本から知らないというのでは問題になりませんから、この点は私もう一ぺん総長に問い詰めますから、総長によろしくおっしゃってください。
  63. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 その形式手続につきましては、申請をなさないで、かってに補助の対象とした戸数を建てなかったとすれば地方団体が悪いと思います。  それから、いまのような考えでおりますので、そういうつけました予算に対しまして対象戸数を建てないという申請に対しては、これは私の推測でございますが、建設省側ではそのような申請をそのままでは採択なさらぬだろうという感じがいたします。何しろ前の委員会でそういう説明があったようでございますので、その点説明者の考えを十分に聞きまして、後刻御説明したいと思いますから、よろしくお願いいたします。
  64. 華山親義

    ○華山委員 土木事業につきましては、途中において設計変更ということで本省と地方が打ち合わせしながら設計変更しておるじゃないか。なぜ建設戸数についてだけ変更できないか、会計検査院にお願いしたい。
  65. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 土木事業におきまして設計変更の予算の増加とか減少があるわけでございますが、これは工事の内容に変更がございまして、それに対応する補助率に基づきます補助金の変更がございますれば、それは変更されるわけでございます。
  66. 華山親義

    ○華山委員 まあその点趣旨が徹底していないようですから、ひとつ御承知おき願いたいことは、たとえば東京で、百戸は少な過ぎますけれども、九十五戸しか建てなかった。超過負担がいやだから、超過負担の財源がないから建てなかった。そのときには会計検査院は実数は何も追及できないのですからね。その点だけは御承知おき願いたい。普通だったならば、批難事項として五戸分だけは返させられるのに、会計検査院は返させないと言っておるのですから。  その次に伺いますけれども、この中にバイパスについて、あまりたくさんの個所をやりますから不経済だというような会計検査院からの指摘があります。私は、この指摘はもっともだと思うのですけれども実情を見てみますと、バイパスというものは全部完了しなくても、一部でもできれば相当役に立っておると思うのですが、バイパスというものは全部完了しなければ役に立たないものですか。
  67. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの御質問のバイパスにつきましては、これは全国相当数多くやっておりますが、実は非常に千差万別でございまして、非常に長い区間のバイパスもございますし、ほんの小さな町をバイパスするようなものもございます。その中でやはり長い区間のバイパスということになれば、財政上のこともございますので、なかなかその全体の計画の中で特に必要なところだけを先にやりまして、それで供用開始するということはあり得るのでございます。
  68. 華山親義

    ○華山委員 私は、会計検査院のこの注意をそのままおかしいじゃないかというわけではもちろんございませんで、おっしゃるとおりだと思いますけれども、私は、バイパスというのは、途中までできても、三分の一できても相当役に立っておると思うのですよ。そういうことについて私は事情を聞きたいと思うのです。たとえば市街地に入るところまでできた、あとのほうはなかなかできない。しかしその市街地に入るまでできて、市街地に入ったならば古い道を通っていくということだって一そうして古い道をよくする、少しずつよくしていくということは不経済なようだけれども、緊急の現在において何とか少しでも交通を緩和しようという意味で、バイパスの一部でもやっていくというほうがいいような気持ちがいたしますので、そういうふうなことはどうなのですか。ちゃんと一つ一つ片っぱしから日本全国である程度やって、やってはほかに移るというほうがいいものかどうか、建設省はどういうふうにお考えですか。
  69. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは会計検査院の指摘にありますように、非常にバイパスが数が多くなって、それに伴っておのおのが早くできるような予算の裏づけがあればけっこうなことなのでしょうが、これが財政上の理由で、バイパスを着工してもなかなかできないということは予算の投資効率からいってもまずいんじゃないかという趣旨だと思います。私たちもそういうことを重々考えて、できるだけ予算の効率をよくしなければならないというつもりでおります。現在の道路の状況からいいますと、ことに国道が主体でございますが、全国至るところで一回改良が終わった道路でございましても、さらに再改良をしていかなければいけない、再改築をしていかなければいけないという交通の事情のところが非常に多いのでございます。その中で一つのバイパスの計画を立てますと、ルートをきめる測量から調査の段階から用地の買収、工事ということになりますと、これがものによりましては、用地の問題、ルートのきめ方の問題で、地元との意見もなかなか合わずに長引く例がございます。そういう点は交通の状況から、地元の今後のその周辺の道路網のあり方から、このところにバイパスをつけなきゃいかぬというような説得をするのでございますが、これがやはりある程度大きなバイパスになると時間がかかります。そういう意味でやはり早くから手をつけないと将来の交通の渋滞に間に合わないということで、そういう将来の渋滞の考えられますところについては、できるだけ早く計画線をきめ、さらに計画線をきめれば用地の取得までしないと、将来のバイパスの計画が、用地の買収が困難になるということがございまして、用地の買収を始めるような状況でございます。ただ予算の問題もございますので、限られた予算の中でできるだけその一部でも供用の開始ができるような形でいま建設用地の買収を促進してまいったわけでございます。今後ともそういう形で、できるだけ効率的なバイパスの供用開始というような形で予算を有効に使っていきたいというふうに考えております。
  70. 華山親義

    ○華山委員 簡単でよろしゅうございますから、会計検査院の報告の三二四を説明していただきたい。建設省から一体どういうふうな事情でどういうことがあったのか、お聞きいたしたい。
  71. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 三二四の直轄工事施行の不良なものにつきましては、北陸地建の擁壁の問題がございます。この擁壁の問題は、施行設計どおりできていないためにその強度が不足してくるということでございます。  次の三二五は、近畿地建で、天理第二改良工事でのり面保護工をやっております。この保護工の施行設計通りやれていないということでございまして、やはり設計どおりの強度ができていないということでございます。これについては、やはり施行監督、そういうことが原因だと思います。さっそく手直しをしております。  次にその補助金につきましては、これが非常に数が多くございますが、多く分けますと、やはり舗装に伴いまして、既定どおりの施行ができていない。たとえば舗装の下の砕石の厚さが十センチのものが八センチしかない。これも施行の不良、監督の不行き届きからきておると思います。そのほか擁壁関係がやはり設計どおりできていない。これは見てすぐわからない擁壁の根入れの問題が非常に多いように思います。これにつきましては、やはり信頼のできる業者にやらせることが根本でございますが、現場の十分な監督施行、管理、こういうものを強化して、こういうような事態をなくすようにしていきたいと思います。
  72. 華山親義

    ○華山委員 三二五は西松建設と随意契約をやっておりますが、これはどういうわけで随意契約なんですか。
  73. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この随意契約は、いまはっきりしたことを記憶ございませんので、さっそく調べて御報告申し上げます。
  74. 華山親義

    ○華山委員 私はこの報告の中で、随意契約による不正を指摘される工事というのが一番気にさわるのです。相手が西松建設でしょう。私、業界のことはよく知りませんけれども、この第一流会社が——あなたは業者を選ぶといまおっしゃいましたけれども、どうしてこういうことが起きるのですか。末端の地方の中小企業等におきましてはそういうことがあり得るのでございますけれども、私は西松建設が、ここに書いてあるからあえて名前を言うけれども、第一流会社がこんな不正工事をやるなどということは全く意外なんです。そういうことはあるのですか。どういうわけでこういう一流の会社がこんなことをしでかすのですか。そんな一流会社のする仕事に一つ一つ監督を厳重にするなんてあなた言われるけれども、そんなことをしていては役人は何人あったって足りないじゃないですか。
  75. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 御指摘のように、一流会社につきましては、やはりこういうことがないものとわれわれは思っておるのでございますが、現実にはこういう事態ができております。実は西松といい、一流会社といい、私たちの考えていますのは、会社そのものは信用があるかもしれませんが、やはり施行に来る会社の現場監督人というか、代理人——いわゆる代理人と称しておりますが、それのいい悪いということが非常に工事を左右するのではないかと思います。私は、今後こういう指名についての問題は、一つの一流会社、西松がいい、鹿島がいいということだけじゃなくて、そこに来る代理人、これがいいか悪いか、平たく言えばこういうものの勤務評定をやって、そういうような悪い代理人については今後かえてもらう、拒否するというような方向もとるべきではないかというように考えております。
  76. 華山親義

    ○華山委員 時間が長くなりまして恐縮ですが、私、代理人ということばを初めて聞きます。建設業界には本人でなく代理人が来て、自分の責任で入札する、そういうことがあるのですか、そしてそれが自分で仕事をするのですか。
  77. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 現場は、やはり契約者のほかに、その現場の最高責任者として請負会社が代理人を置くわけです。そういうことをいま代理人と言った次第でございます。
  78. 華山親義

    ○華山委員 私が指摘したいのはそこなんです。代理人という名前はいいのですけれども、これは要するに下請でしょう。自分は西松だ。たまには言っていいかもしらぬけれども、ほったらかしなんだ、下請にやらしていくのだ。そうしてこれが不正工事になるのですよ。そういうようなあり方が今日の日本の建設業界として私は悪いと言うのですよ。代理人を選定するなんてあなた言われるけれども、代理人を選ぶなんということは、あなたのほうの監督するのは西松なんでしょう。代理人を監督するのじゃないのですよ。そういうところに改めるべき点がたくさんあるのじゃないか。そういうふうな業界を、工事監督していくというふうなことでは、私はとてもたいへんだと思いますよ。ですから毎年毎年一流会社の不正工事というのは出てくるわけです。そういう点につきまして、私はとにかく建設業界の近代化を望んでやみません。  それから、時間もありませんが、住宅公団にお伺いいたします。住宅公団では、資金面が、いろいろな方面から調達なさるわけで、政府資金なりあるいは財政資金なりを国から受ける、そういう場合には計画というものがおありになって、その計画基礎というものは、一戸当たりのたとえば建坪は、建築費は幾らだという基準がおありになると思いますが、公団のほうにお答え願いたい。
  79. 林敬三

    ○林参考人 御承知のように日本住宅公団政府建設計画住宅政策の一翼をになっておりますわけでございまして、住宅計画法に定められました住宅建設五ヵ年計画がございます。いろいろその五ヵ年計画の中の、政府施策住宅、その中で政府資金その他民間の資金、それを活用いたしましてみずから住宅を建てて、これを賃貸する、あるいは分譲するという一翼をになっておるわけでございます。全体のその住宅政策の中では、パーセンテージはそんなに多くないのでありますが、まとめて一つの主体がやっているということにおいてはたいへん大きな役割りをいたしておるわけであります。  それで、その五ヵ年計画の中の住宅公団の計画というのがあるわけでございまして、昨年は五万三千戸、本年は六万一千戸、明年になりますと七万近くになっていくのではないかと存じますし、五ヵ年間に三十五万戸を建てる。そのほか調整戸数というのが四万戸ほどございますので、三十五万戸ないし三十九万戸建てるわけでございます。そこで毎年予算がございまして、事業計画を持って建設省に参りまして、大蔵省とも打ち合せいたします。大蔵省はまた財政面のほうから見まして、どのくらいの規模の数を住宅公団につくらせるかということをきめて、これを実行するわけでございます。  たいへん前置きが長くなりまして恐縮でありますが、そこで二戸当たりというもの、そのときにどのくらいの予算単価で、用地費はどのくらいの予算をとって、建設費はどのくらいで、前年度に比べて工事費はどのくらい増してやるとかいうようなことを建設省と大蔵省で相談いたしまして、政府の案としてきめまして、こちらが事業計画をそれに基づいて立てる。もちろん私のほうが実行いたしておりますので、実行いたしております側からは、これだけ増してもらえなければ土地を買えない、これだけ増してもらえなければ労務費が出ないというようなことを要求いたしまして、それらの合意によって毎年でき上がっているような形でございます。  四十二年度は、一応平均いたしますと、坪で申しますと大体一万四千三百円という平均単価でございます。坪一万四千三百円のところを買う。これでは遠いところと近いところと一たいへん高いところは十何万、安いところは千円ぐらいからありますが、一万四千三百円で土地を買う。それに造成費というものがありまして、これは荒れ即や何かを直しますから三千六百円ほどかけます。すなわち土地は坪当たり一万七千九百円ほどの予算で大体つくっているわけであります。これが四十二年度予算でして、四十三年はいまこちらが要求中でございますが、こういう安い単価ではどうしても遠くへ遠くへ行ってしまって、市民の足からいっても妥当でないということで、この一万四千三百円をもっと、少なくとも二千円ぐらい増してもらおうと思って要求いたしております。それから造成費のほうもやはり三千六百円では足りないので、五千円ぐらいに増してもらおうと思っておりますが、これはやはり大蔵省のふところぐあいのほう、それから全体から見ての政策として妥当かというようなことによってきまってまいると思います。
  80. 華山親義

    ○華山委員 住宅のほうはどうでございますか。土地でなく、おつくりの住宅のほう……。
  81. 林敬三

    ○林参考人 住宅のほうにつきましては、これはいまちょっと正確な資料を持っておりませんが、一応申しますと、坪当たり大体八万円から九万円ぐらい、これは大量建設をいたして規格化して、基準化してございますので、たいへん世間よりは安いのでありますが、鉄筋コンクリートのアパートを坪当たり八、九万というところでやっておるわけでございます。
  82. 華山親義

    ○華山委員 それで、そういうふうに規模とそれから単価でお役所でなくても縛られるわけですけれども、そういうふうに縛られている中で、予算融資条件に合ったような、初めの計画どおりのことができておられますか。
  83. 林敬三

    ○林参考人 非常に苦心さんたんをしておりますが、おおむね目的をかろうじて現在までは達しておるという状況でございます。戸数としては一応まずほとんど一〇〇%に近い消化をいたしておりますが、これから先のことはまことに心配が多いのでございます。
  84. 華山親義

    ○華山委員 私はそこがふしぎなんですよ。公団のほうはとにかく政府のきめた単価によって非常に苦心されても目的を達しておられる。地方の公営住宅については、地方が自分の金を持ち出ししなければ建てられない。なぜそういうふうな相違が出るのか、地方のほうが無能なのか、予算のつけ方が地方のほうには軽いのか、私はそこに問題があると思う。これから公営住宅をどんどん建てなければいけない。地方の財政は縛られていく。私は地方の財政が非常に圧迫されるか、地方財政のそういうふうな困難のために公営住宅がふえていかないか、どちらかの羽目になると思いますので、先ほどの会計検査とも関連して申し上げましたが、徹底的にひとつ、適正な単価でもってやれば地方では超過負担がなくてもできるのだという単価をひとつ今年度予算でつくっていただきたい。次官、ひとつその点御努力を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  85. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 ごもっともな御意見でございます。大臣も特に住宅問題では非常に積極的な考え方を持っておるようでございまして、そういう趣旨に沿って明年度はぜひ努力をいたしてみたいと思っております。御承知のとおりの財政硬直化の時期でもありますから、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、われわれは最善を尽くして所期の目的を果たすようにいたさなければならぬと思っております。
  86. 華山親義

    ○華山委員 お答えはなくてもいいのでありますが、御注意申し上げますけれども政府はややもすればかっこうだけふやす、金がこれに伴わない、この金の伴わない分を地方財政で負担する、こういうことがありますので、かけ声だけをよくして地方財政に迷惑がかからないように、これはひとつ御配慮願いたい。御承知のとおり道路とか河川とかいうものは超過負担という問題は起きないのですよ。住宅にだけそういう問題が起きてくるのですね。事の性質がそうなるわけですけれども、その点地方にひとつ非常な超過負担の起きないように、時節柄十分に御配慮を願いたいと思います。  それからもう時間がございませんから簡単に聞きますが、日本道路公団関係でございますけれども、この指摘事項の中に、何かくいに短いのがあったり規格に合わないのがあるといって指摘されているわけですけれども、これは非常に大きな問題だと思う。事柄が道路の橋の橋ぐいであってみたりそういうところのコンクリートの中に規格に合わない、計画に合わないものを埋められていたんじゃいつおかしくなるかわからぬわけですね。表面に出てこない。これは私はたいへん危険な問題だと思うのでございますが、この点につきましては、工業規格ということばがこの中に出ておりますけれども、工業規格ということは、これは通産省の方においで願っておりますのでお答え願いたいのでございますが、JISのことですか。
  87. 朝永良夫

    ○朝永説明員 いま御指摘お話につきましては、日本工業規格でJISと申しております。
  88. 華山親義

    ○華山委員 公団のほうでは、JISというふうなものでございますと安心してお買いになっているんじゃないですか。
  89. 富樫凱一

    ○富樫参考人 東名高速道路工事に使います鉄筋コンクリートのくい、これはJIS規格のほうに公団で特記仕様書をつけまして特別に注文をしてつくらせたものでございます。このくいの中に、昭和四十年度決算留意事項に御指摘になりました若干の不良のくいが検査員によって発見されたわけでございます。私どもはJISマークの入っておるくいでありますので信用して使ったわけでございますが、そういうことがありましたので、これは直ちに請負人の負担で補強いたしました。心配のない構造物にいたしたわけでございます。  なお、こういうことがございますので、今後は既製の鉄筋コンクリートくいについては抜き取り検査等を厳重にやりまして、ミスのないようにいたしたいと考えております。
  90. 華山親義

    ○華山委員 私、考えるのでございますけれども、JISマークがついていれば、これは公団のみならず、私はそのまま受け取っていいものじゃないかと思うのですよ。これがJISマークのものにそういうふうな欠点があったとすれば、私はむしろ公団の罪じゃない、そういうことを監督している工業技術院なり何なりの責任じゃないか。JISマークのものが安心して使えないなどということになったら、たいへんな量が入ってくるのですから、一々検査しておられない、私はそう思うのです。ことに今度の検査の場合は一部の破壊されたものだけがそうなっていたということでございますから、まだ検査されないところにたくさんあるのかもしれない、私はこれは非常にあぶないと思うのですが、いまお話しになったところのこのものはJISにはずれているのですか。
  91. 朝永良夫

    ○朝永説明員 いま問題になっておりますくいは遠心力鉄筋コンクリートくいでございますが、このJISはくいの強度とくいに使用する鉄筋の鉄筋比等について規定しておるものでございまして、問題となりましたくいは、鉄筋の実際の直径が八・三ミリございまして、このJISに該当しておるものでございます。JIS製品でございます。
  92. 華山親義

    ○華山委員 JIS製品なんですから、これはその工場ではJIS製品を出したのだ。それから公団のほうは、JIS製品だからそれを安心して買ったんだ。ところが会計検査院から、掘ってみたところがおかしいといって指摘された。何だかわれわれしろうとにはよくわからない。これはどういうことなんでしょうか、お伺いしたい。
  93. 小熊孝次

    ○小熊会計検査説明員 お答えいたします。  道路建設工事におきまして基礎ぐいの鉄筋コンクリートぐいを使用する場合におきまして、われわれが、その基礎ぐいを打ってその鉄筋を上の構造物とつけるために鉄筋をむき出しにした段階におきまして検査をいたしたわけであります。そうしてその設計と比較してみますと、その六千二百二十九本の中には日本工業規格のものと、それから公団で特殊規格として発注したものもございます。両方ございますが、それが設計仕様書に書かれまして、たとえば九ミリなければいかぬ、九ミリとは仕様書に規定されておるのに八ミリのものを使用しておる、こういうような状況である。あるいはそれ以外の問題といたしまして、組み立て筋——縦に通る筋のほかに組み立ての筋が必要でございますが、それが不足しておったり、あるいはやっておらなかったり、こういうような事情もございまして、そういうものが二千五百六十九本あった、こういうような状況でございます。こういう問題につきましては、安全度とかそういうものにも影響してまいりますし、今後そういう傾向的な問題がございますので留意を促した、こういうような経緯でございます。
  94. 華山親義

    ○華山委員 留意を促されたことは私もわかりますが、どうも割り切れない私、気持ちですね。会計検査院のお話を聞くと、将来の安全度にも影響があるというようなふうにおっしゃいますし、建設省のほうでは何も安全には関係ないのだとおっしゃる。ちょっとよくわからない。それでいま会計検査院のほうは、JIS規格によるものも注文したし、JIS規格によらないものも入っておると言われましたが、指摘を受けたのはどっちなんですか。
  95. 小熊孝次

    ○小熊会計検査説明員 指摘いたしました中には、本来JIS規格でやるべきものも一部入っておりますが、いずれかというと特殊規格のほうが相当多いわけでございます。
  96. 華山親義

    ○華山委員 特殊規格というのは、JISによらないところで公団のほうで設計に示されたものでございますね。そういたしますと、これはたいへんですね。私は、JIS規格というものについてそういう問題があったんじゃないかと思うのでございますけれども、そういうのに合致していないものがJIS規格以外のものにあったといたしますと、これは大きな問題だと思います。よくわかりました。会計検査院が御注意なすったのはごもっともだと思いますが、私はその点ではJIS規格のものにもおかしなものがあったというんですが、これはJISだけはひとつ気をつけていただきたいと思うんです。これはパイルだと思うんですけれども、あのパイルをJIS規格どおりにつくらないで、そうしてJIS規格と称して土木業者がこれを買ったところが、それがJIS規格に合っていなかったということではこれはもう公益に反しますからね。その点について工業技術院の御意見も伺って、ひとつ厳重に今後JIS指定工場の監督指導に当たっていただきたいし、特にそういうふうな一般大衆に危険を及ぼすような工場については特に指導を厳重にしていただきたい、こういうふうに思いますが、院長の御所見を伺っておきたい。
  97. 朝永良夫

    ○朝永説明員 問題となりましたくいはJISの合格品でございます。ただ、みずから定めました社内規格と異なった製品を納入しているということは、JISの表示制度のたてまえからいって好ましくございません。したがいまして、この当該業者に対しましてはJIS寸法に合わせた鉄筋の仕様をつくって、使用者の指示に従って十分な工程管理を行なうように注意を与えました。その後、これらの工場を含みます遠心力鉄筋コンクリートくいの表示許可工場を二十五の工場につきまして立ち入り検査を行なっておりまして、その結果では製品の品質、技術的な生産条件につきまして適正を欠くものは見当たっておりません。
  98. 華山親義

    ○華山委員 くどくなりますからこれ以上はやめますけれども、とにかくそういうふうなことでJIS工場として指定したわけでしょう、こういうものをつくりますということで。それ以外のものを出すというのは相当おかしいですね。ひとつ今後そういう工場を指定した際の製品の規格、そういうもの以外のものをひとつできるだけ他に出さないように、監督を厳重にしていただきたいと思います。
  99. 朝永良夫

    ○朝永説明員 御趣旨よくわかりましたけれども、ただ、いまのくいはJISで不合格の品が出ていたわけではございません。JISには適合のものを出しておったのでございます。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  101. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点は基本的な一般問題になりますので、大臣によく建設省のお考え方を伺っておきたいのでありますけれども、やむを得ませんので、しかるべき御答弁をきょうのところ願いたいと思います。  公共事業費が一般会計予算うちに占める比率が相当大きいものでございますのは御承知のとおりでありまして、昨年四十二年度のごときは約二〇%に相当いたしております。そしてその内容は道路住宅、治山治水、港湾、空港などほとんどが建設省予算ということになるわけでございます。ところで、最近の経済の諸情勢あるいは物価高のこういった事情から、来年度予算要求は相当長期計画予算要求の増が見込まるべきじゃないかと思っております。さっきも断片的に伺っておりましたら、やはり地価騰貴等によるものが見込まれ増をいたしておりますが、大体どのくらいの計画増をお見込みになるのですか。
  102. 志村清一

    志村政府委員 四十三年度予算要求といたしましては、閣内の申し合わせによりまして、前年度の二五%増の範囲内で予算要求をいたすということになっております。それで今回は建設省プロパーの予算要求の関係につきましては二五%増程度の要求をただいまいたしております。
  103. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財政硬直化は、これは大蔵省の宣伝というよりも、事実上相当憂慮をもって来年度経済の推移、あるいは日本の財政上で予算の財源を憂えておるというのが現状でございます。ところで前年の二割五分、その範囲内で予算要求の増額をするということがはたして実現の可能性ありという確信でおやりになっておるかどうか。ひとつ水増しの要求をしてみて、適当に押えられれば軒並みの押えだからやむを得ないということになるのか。特に公共事業費につきましては、下半期につきまして大蔵省は相当経費の支出を押えたはずであります。七%押えたのではないかと思いますが、そういうこともあれこれと考え合わせまして、一体それは確信を持って実現可能性ありという数字なのかどうか。その辺ひとつはっきりしておきましょう。
  104. 志村清一

    志村政府委員 予算要求を出しますのは、先生御承知のとおりことしの八月の末でございまして、当時におきましては私どもの長期計画等を行なうためには二五%増というようなところがぜひほしいというような感覚でございました。その後におきまする財政硬直化の問題等々は先生御指摘のとおりでございます。要求どおりの金額が予算として獲得されるとはただいまのところは考えておりません。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 財政硬直化が八月以後に表面化したというようなことはしろうとの話であります。もうすでに硬直化の原因、内包するあらゆる要素というものは存在しておったのでありますから、やはり公共事業の占める予算の比率も考え、事業の重要性も考え、社会開発の重要性もあれこれ考え合わせたときに、堅実な数字を打ち出して一歩も引かないというようにしなければならぬと思う。万事日本の大蔵省との折衝というのは、何か取引みたいな感じが外部にはせられてならない。これでいいのだろうか。腹の探り合い、取引、値切る、そんなふうなことはないはずであります。いずれもがある一点においては利害、考え方が一致しなければならぬ、こう思うんですね。  基礎的な基本論でありますから多くこれは融れません。融れませんけれども、やはり予算をめぐって、計画をめぐって、事業をめぐって、もっと確実に合理的にあってほしいと思う。私は、あなたのほうの建設省のたとえば住宅計画にしても道路五ヵ年計画にしても、あれの計画これの計画、毎年何か新規計画が出るような気がしてならない。五年計画というものは、一ぺん立てたら五年のその計画がずばっと実現して、すぐ次に第二次五ヵ年計画というなら話はわかる。手直し、手直しの五ヵ年計画はどこでも見ることですが、五年もたたぬうちに翌年に手直しする、あるいは見込み違いがある。出すほうも入るほうも見込み違いがあって、いろんな面でこういうじぐざぐをやっておるから予算の浪費が出るのですよ。そんなややこしいことだから会計検査院に指摘せられる問題が起きるのじゃないかと私は憶測するのですが、だれでもよろしいですが、建設省として答弁してもらいたい。政務次官どうですか。
  106. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 確かに先生御指摘のとおりです。ただ、予算に対しては大体編成時期に三〇%あるいは二〇%程度で予算要求をしようといったような含みで要求をしておったわけですが、その、ころからもちろん財政硬直化の問題は起こっておったことも当然のことだと思いますけれども、しかし最近はそういった面でいわゆる景気抑制型でいこうというきびしい大蔵省の考え方が出ておることは御承知のおりであります。この際二五%以内で確保できるかというと、ただいま官房長の申しましたとおりそれはなかなか困難だと思いますけれども、おっしゃったように道路五ヵ年計画もできて、来年度は二年度に入ってまいりますし、さらに住宅五ヵ年計画もちょうど来年度は中の年になります。さらに下水道五ヵ年計画の問題も考えておりますから、こういう立てた計画だけはぜひ実行できる程度の予算を獲得しなければならぬというのが私どもの考え方であります。一たん立てた計画はいわゆる朝令暮改でなしに、権威をもってこれを実現するという立て方でなければならぬ、そういう政治の姿勢でなければならぬということはお説のとおりであります。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは国民の求める声なんです。国民の声なんです。政府はそれは言えないのです。実は手直しをやりまして、たいへんまずうございましてと、もみ手で答弁しなければいかぬ。こう然と胸を張って何ら改むることがないということではいけませんよ、そんなことは。——それはそこらにしましょう。  そこで第二は、さっき華山君が質問しておりましたバイパスの造成工事の例の問題ですが、若干華山君と見解を異にしております。これは何でもないようでありますけれども検査院の指摘しましたこの事実は相当性格的に重要視しなければならぬ、こう思います。と申しますのは、私が聞いたところによりますと、全国でバイパスを二十八ヵ所調査したようですね。東北の盛岡とか、あるいは関東の新大宮とか、中部の由比とか岐阜あるいは近畿の加古川、広島、熊本、戸畑等二十八ヵ所も調査いたしておりますが、工事途中において次のまた新規計画に一歩足を入れる。あれも多少の食いさしをしながらまた次から次へとやる。これはやはり日本の政治の悪弊の一つです。それはだれかの話にあったごとく、一部でも竣工しておれば利用することもできるでありましょう。けれども道路というものは初めがあって終わりがあってきちんと完成しておれば利用する人も計画が立つ。途中でしっぱなしで次に移っていくということは、形としては何としても合理的でありません。そういうことをしておりましたら、たとえば三年計画が五年延びましたら、三年間に投じました資本というものはともかく寝るのです。資本が寝て、道路舗装したままでしばらく遊休しておるという状態になるのだから、会計検査院もこの点をぴしっと指摘したのはやはり適切な指摘だと思う。この事実が経済的なまた利用価値においてどれほど大きな損失になり、あるいは予算の効率化において数学的にどうなったかということは一応別にしまして、こういう予算の使い方というものについてはえりを正さねばなりません。おそらく建設省の独自の意図じゃなしに、そこいらの声が別の線を引っぱったのじゃないだろうか。実はこの間からこの委員会におきまして国鉄の総裁と何回も議論し合っておるのですが、山のこんなところまで国鉄を引いてどないしますか。四十万円の収益を得るために二千万円投じる、これでどないしますか。これは日本の政治の反面なんですよ。だからいみじくもこれが露呈しておるのじゃないか。なぜ一体そうさせたか。ここに私どもほんとうに着目しなければいかぬと思います。断固として私は既定計画はぴしゃと実施するという姿勢をはっきりと持っていかないと、あっちも食いさしこっちも食いさしなが、ここらに道路ができかけましたからということで、そこらでお祝いをやっておるかもしれませんが、そんな要らざることを繰り返しましたら日本は破産しますよ。ここに問題があると私は思うのです。だからこの点はこれを契機といたしまして、全国的にバイパスの造成工事につきましては峻厳な厳正な態度をもってこのような事態がないようにすることが私は建設省責任であると思うのです。国民の税金を使ってやる仕事ですからね。この会計検査院の指摘をいいかげんに考えてはいかぬと思うのです。これはひとつ大臣にかわってもう一ぺん次官答えてください。
  108. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 確かにこれはバイパスに限らず大きな国費を使用して行なう事業は先生のおっしゃるような考え方、姿勢で取り組まなければ当然でありまして、そういう面に足りなかったことのあることは大いに反省をしなければならぬと思います。特にバイパス事業は完成までには非常にお金が要り、非常に長い時期を費やさなければならぬのでありまして、したがって、路線の実情に応じては局部的に供用を開始して利用していくという計画を進めております。それと同時に、その後の実施にあたってもやはり用地買収は先行させて、そして工事の円滑化をはかり、計画どおり実施できるという形で進まなければならぬことは当然でありまして、今後十分留意をいたしてまいりたいと存じます。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 道路局長にいまの点伺いますが、やはりこの問題はこれを契機に全国的に再びこのような事態が起こらないような措置をとってしかるべきだと思うのですが、何か御措置をおとりになりましたか。
  110. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま政務次官からお話しいたしましたように、私も会計検査院の指摘につきましては十分謙虚な気持ちでこういうようなむだなことがないようにしていく所存でございます。ただ、現在のバイパス事業といいますと全国各方面に広がっておりますし、かつ現在の国道につきましては、実は非意に交通量がふえまして、これが市街地の周辺、その中で非常に交通の混雑を来たしております。それに伴いましてやはりどうしてもバイパスの必要な個所が非常にふえておることも事実だと思います。またバイパスを一つやりますと——いまも五ヵ年計画の六兆六千億の中で一体どれだけのバイパスができ、どれだけの交通の緩和ができるか、こういう全体の計画のもとに今後バイパスの新しい採択は検討していきたい、こういうふうに考えております。  いまのわれわれの計画といいますと、工事を始める前に調査費でいろいろルートの調査をするのでございますが、実際の事業費がつきますと、まず最初の一年は実施計画をつくるための期間にいたしたいと思います。これはやはり実施計画をつくるのと、そのほかの土地改良その他の関連事業との調整をよくやるということが必要かと思います。次の二年間で用地の買収を終わり、さらにそのあと二年で工事舗装まで完成させるということで——小さなバイパスは別でございますが、中規模以上になりますと、工事実施してから五年の中でこれを完成するように工事計画をつくっていきたいと思います。そういうことと全体の事業費を勘案いたしまして、用地は買ったけれども金がなくて工事ができないというようなことが起こらないように今後改善していく所存でございます。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、いまの建設省の置かれておる立場は、全国の道路整備計画というものを考えてみましても、国政の上で非常に重要なウエートを占めるものだと思いますので、こういう意味におきまして道路局の行政的責任は相当重いと思いますから、その辺は一そう自重せられんことを御要請申し上げておきます。  それから三番目には、建設省が何か都市開発の公団を新設したいらしいのですが、予算要求もしておるらしいのですが、また行政管理庁へも申し入れをやっておるようでございますが、一体これは閣議におきましても御承知のとおりに、行政機構の簡素化、それからまた公社公団は原則として新設をしないということに方針がきまって、基本的には行政改革につながるもので、国民が一致して要望しておるところなのであります。ところが、これによりますと、公団の一部を吸収して、そしてまた都市開発の公団をつくる、こういうことになさろうとしておるようでございますが、一体行政管理庁これを認めるという態度になっておるのかどうか、あるいは閣議でこれは可決する、了承するというような情勢にあるのかどうか、その辺につきましてもこれはよほど慎重にお考えにならなければいくまい、こう思うのですが、その点につきましてひとつ実情なり、お考え方、見通しを要点だけ簡単にお述べください。
  112. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 都市開発公団の設置の要求は昨年いたしたわけであります。これは急激な都市化による宅地需要の増大に対処するという考え方で、公的機関で大量の宅地造成をはかろう、これは住宅対策を進めていくために、大量の宅地造成ということがきわめて重要な問題でありまして、そういう観点から考えますと必要だと思いますし、そういう意味で昨年要求をいたしましたけれども、保留になって今日に至っておるわけであります。ところが御承知のとおりの一省一局削減という問題が起こりまして、いわゆるそういった面で行政機構の縮減が行なわれている現在の状態でありまして、必ずしもこれを積極的に進めていくことがどうかという問題は、現在の時点に立ってあらためて考え直さなければならない、かように私は思っております。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこういう険しい財政実情のおりからでありますから、できるだけ手がたく来年度予算は組んで、事業計画を立て、お進めになることを私はぜひおやり願いたい、こう思います。  宅地の需要が盛んであることは申すまでもありません。また過密都市をもっと疎開せなければならぬという実情にあることも申すまでもありません。ありませんけれども、公団をつくって宅地を供給するというのは、水を変じて食糧にするというように、そううまいプラスにはならぬのでございます。ことにへたな役人商売みたように、宅地の買い上げ買い上げがあちらこちらではやってまいりますと、財投の金を何ぼでも食っていくということになるのではないか、そしていたずらに百姓に何億円の資産をつくらすようなことになることも私ども一面懸念をしなければならぬと思いますので、いまの次官の大体のお気持ちが、省の意見としてそのような方向にありとするならば、私はしごくこれは国民のためしあわせと思います。それにかかわらず都民並びにすべての都会の住民は住むに家の乏しい現状でありますので、いろんな角度から同じ目的に向かって進まれんことを、これも御要望申し上げておきます。  それから四番目に伺いたいことは、予算制度の問題でございます。これも現状の財政の実情からいたしますると、たとえば人件費を幾らか削る、あるいは公務員の人数をどうする、公共事業費を削る、社会保障費をどうするといったような予算の削減とかいうことだけでは片がつかないほど本質的な問題が内蔵するのではないか、こう見ておるのであります。したがいましてこれはやはり財政の制度的な問題にまで触れていくという段階にきておるのではないだろうか。当委員会におきましても、しばしばこの点につきましては大蔵大臣等との質疑応答も重ねてまいっておりまして、大蔵大臣も、去る七月でありましたか、財政は制度的にいま基本的な調査を進めておる、こういうような答弁をいたしておりました。  結論として申し上げたいことは、いま御承知のとおりに、事業予算制度というものがアメリカとかあるいはフィリピンあたりで行なわれておるのでありますが、さらに進んで、計画予算といいますか、そういったことが提唱せられまして、ジョンソン大統領あたりのああいう教書を読んでみましても、そこらに触れて、あんな有名な経済の盛んな国におきましても、絶えず予算の制度については、少しでも国民の税金をむだにしないということに努力をしておることにわれわれは気がつくのであります。  そこでいまの予算の制度は、たとえば建設省予算関係について見ましても、住宅計画予算について見ましても、予算の使うところは明らかになっておりまするけれども、使った実績とか計画を過去二、三年にわたって一覧でわかるような、そういう情報の提供、資料の提供が国会になされないのでございます。国会で決算をやりまするときでも、いろんな資料をあっちからもこっちからも引っぱってこないというと住宅計画住宅予算住宅の実績というものが明らかになってこない、こういうことでは非常に不便でありまするので、過去を振り返って、予算執行のあとを検討し、批判するにいたしましても、予算制度自体を改めるということにやはり進んでもらわなければならぬ。特に建設省におきましては、公共事業が多いのでありまするから、企業的性格を持った、もっと合理性の——使うところをきめるというようないまの予算の仕組みではなしに、何のために使うかということを眼目といたしました予算の制度に切りかえていくということを逐次やってもらわねばならぬ。すでにこれは臨時行政調査会の答申にもありますし、また多くの人々も賛成しておりますし、大蔵省も積極的にこれに対して取り組む気がまえになっております際でございますから、建設省という公共事業の、言うなら総本山のような行政をやっておるところは、率先して物的にその予算報行の成果を把握し得るような、そうしてその資料、情報を国会に提供し得るような予算制度に切りかえてほしい、こう思うのであります。  事業予算制度の内容をくどくどここでは申しませんです。かなり明らかなことでございますから、専門家の皆さんもおいでになることでございますから、思い切って大蔵省のそういう気がまえ——大蔵省におきましては、事務官をこの間国連へ派遣しております。エカフェへ調査にやっております。そうしていろいろな資料を持って帰っております。フィリピンも現地に人を派遣して調査して帰っております。そうして財政審議会にかけます。そこまできておるのです。そこまできておるのですから、実施官庁の建設省は、進んでこれは提案するところまでいってもらわなければいくまいと思うのです。現行の予算制度をそういうふうに切りかえていく、ここで一歩踏み込んでもらいたいと思うのですが、これはだれでもよろしゅうございます、答弁してください。
  114. 志村清一

    志村政府委員 先生御指摘事業予算制度の問題等につきましては、御指摘のとおり、臨時行政調査会等でも中間報告がございます。あるいは大蔵でもいろいろ検討を重ねておるわけでございます。私どもといたしましても、予算制度の問題につきましては大蔵の主管ではございますが、相ともに検討を進めてまいりたいと存じております。  特に先ほど住宅につきまして御指摘がございましたが、公的住宅につきましては建設省関係だけでなく、ほかの住宅がいろいろあるわけでございます。そういった住宅建設状況を必ずしも建設省で把握してないというふうなことから、住宅建設計画法を御審議いただきまして、それに基づく住宅建設五ヵ年計画におきまして各般の住宅計画の統合ということをはかってまいっております。同時に、長期計画に基づきまして計画的に公共事業を進めていこうという立場にも立っておるわけでございまして、それらいろいろ現在の制度の中におきましても、私どもなりに検討を進めさせていただいておりますが、御指摘の点につきましては、さらに十分大蔵とも打ち合わせを進めてまいりたいと存じております。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは大蔵省と打ち合わせなさるのならば、これはひとつ建設省が当委員会で公約したとわれわれは受け取りたいのでありますけれども、ひとつ今年に間に合わなければ、やはり四十二年度末までに相当な結論を得るところまで打ち合わせになってはどうだろうか。そしてもちろんこれは会計制度をどう改めるかということにも関連してまいりますし、また物的に予算効果を測定するということをどういう方法でやるかということも、これもいろいろと問題があろうと思いますし、ないしは日本のこの予算制度というものの歴史的な背景ということも若干ございますので、そういう伝統のことも十分御調査にならぬといかぬと思いますけれども、どっちしましても、官庁会計というものは使いっぱなし、どの程度の効果があったかということは、あれこれあれこれといろいろなものをくるめて調べてみぬとわからぬ大福帳式で、そんなものは近代にないと思います。最近におきましては御承知のとおり電子計算機が発達しまして、全国の銀行では帳簿、そろばんがなくなったとまでいわれるくらいであります。あるいはわれわれが新幹線のキップをとろうといたしましたならば、たちどころにそのすべての駅の掌握しているものをすぐにつかめるというところまで、やはり技術的に科学は進歩して実用化しておる段階まできておるのです。そのときに、来年度五兆八千億円という一般会計、この膨大な国民の税金を使っていくような国の会計、財政が依然として大福帳である。それがやっぱり親方日の丸の思想に通ずるのです。親方日の丸になっておれば、やはり西ドイツの二の舞いになるおそれがあります。どうしても私は、そこにほんとうに目ざめるためには、あなた方実施官庁は専門家なんだから、われわれはしろうとなんだ。そればかりやっている専門家のほうで、われわれにむしろこういうような方法があるということを教えてくれるようにしないといかぬ。われわれしろうとが指摘して、まだ改まらない。まことに宿弊久しきにわたるという佐藤総理の名文句が出てくるのです。久しきにわたるその宿弊をほんとうに一掃するという一つの手段は、やはり予算制度の改革にある。予算制度の改革によって、ほんとうの私どもの税金が正しく使われるという出発ができる、こういうふうにどうしてもありたいと思いますから、ぜひこの点も、せっかくいまの御発言、私は信用いたしますから、できますれば今年度末、三月一ばいまでにしかるべき結論を出して、また適当な機会にぜひ検討の経過も御報告をいただくようにしたいと思います。これは御答弁要りませんです。  それから第五に伺いたいことは、ひとり建設省だけの問題ではございませんけれども、たまたまきょうは建設省決算でございまするし——人事院は見えていますね。決算でありますので、若干触れておきたいと思うのであります。  私ども日本の国の政治に携わっておりまするときに、ただいまの行政の機構と運営につきまして、きわめて大きな関心を持っております。行政の運営は、言うならば政治の実施であり、その業務の担当者の場ですから、そこでここは最もガラス張りの中において公正に行政が行なわれる。そして能率的に国民の希望する、国民の批判を間近かに受けながら行なっていく。同時に、私ども国民の立場からするならば、それぞれの職員、公務員に対しましては、最善の給与その他の保障もしていく。ここにほんとうに私はわれわれが望ましいところの運営があり得ると思うのです。  ところで最近いろいろな問題を私ども聞くのでありますが、例の私企業隔離の国家公務員法百三条の規定の適用の問題でございますが、特に建設省の所管は膨大な公共事業をかかえた官庁でありまするので、民間企業との利害関係はかなり密接であります。これは法務省とか文部省なんかに比較いたしましたら、雲泥の違いです。そこで国家公務員法の百三条二項の私企業隔離の規定の適用の問題を少し伺ってみたい、こう思うのです。  その前に、建設事業の合理化あるいは生産性の向上建設事業の振興ということは、一つの来年の大きな建設省の行政の目標になっておるように、予算要求なんか通覧いたしましてそうなっておりますが、こういう点から見まして、この職員が離職いたしまして、そして民間の企業に入る、席を置く、関係をつけるということは、でき得る限り厳正であっていただきたい。そうしなかったならば、やはり建設省の信用は次第に国民から去ります。そして建設省のこの膨大な予算執行実施官庁にいろいろな意味におきまして私は不安なものが生ずる可能性なしとしない、こうもさえ憂えるものであります。そこで最近の傾向といたしまして、百三条二項から見まして、建設省の職員であって民間の企業体、建設省と直接密接な関係にある企業に加わるという職員は、相当数あるのでしょうか。その辺はおわかりでありましょうか。わかったら述べてください。もしおわかりでないようでしたら、これは別の機会にしますけれども、どうでしょう。
  116. 志村清一

    志村政府委員 営利企業への就職でございますが、人事院で御承認をいただきました分を年度別に申し上げますと、昭和四十年度で十四件、四十一年度二十一件、本年度は十二月十九日現在で十二件でございます。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで法律の適用というものは、よほど御注意になりませんと、何人が申請してくるのか存じませんけれども、またこれは建設省の職員が退職せられまして、そして職を求めるという場合に、私どもは冷酷に、不公平に道をふさぐとかさえぎるということはすべきでないと思いますが、ただ公正であってもらいたい。公平であってもらいたい。そのために二十件や三十件というようなことでは、一体どうだろうか、こういうふうに実は思うのであります。これは人の上下、それぞれの階級がありますから、どの程度にどうという実態は私はよく存じません。  そこで、それならばひとつ規制する面から伺っていきます。人事院の職員局長に伺いますが、あなたのほうでは人事院規則によりまして、人事院規則の二十四年の一四−四ですか、「国の機関」、すなわち、この中には各省が入っております。離職後二年、それからその離職前五年間国の機関におった人、これが密接な企業に加わるというとき、その役員になるのか、職員になるのか、ならぬのか知りませんが、この承認するという基準、客観的に具体的にどういう基準を設けてこれを承認する、承認しないということをきめるのか、ここをひとつはっきりとしておいてもらいたい。法律の条文によりますと、「密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」ほかに文句は書いてないのです。また人事院規則自体といたしましても、この点は明確じゃありません。どういう基準があるのですか。
  118. 島四男雄

    ○島政府委員 いまの先生の御質問にお答えする前に、先ほど建設省の官房長がお答えになりました、年間どのくらい民間会社に就職しているかというお話がございましたので、若干つけ加えて申し上げますと、私どもでは、いわゆる課長相当以上の場合は、役員であろうと役員でない場合であろうと、全部承認を求めております。それから役員でない場合には、課長補佐以下、普通私ども行政職でいいますと三等級以下の職員については、各省におまかせしているわけでございます。この数が建設省の場合は、たしか去年の例で申しますと九十件ほどございます。したがって、そういう方々は、役員でない地位におつきになった。それは建設省審査して、それぞれ承認しているわけでございます。ちょっと先ほどの官房長のあれにつけ加えて申し上げた次第でございます。  ところで、ただいまの私どもが所管しております公務員法百三条二項の適用の問題でございますが、どういう基準でこれを承認しまたは不承認しているのかという問題でございます。これは一言で申しますと、法の精神に反するかどうかということでございますが、その職員がつこうとする営利企業の地位との間に職務上どういう関係があったか。具体的に申しますと、たとえば事業の免許等の許認可の関係あるいは補助金の交付、それから国税の更正決定、その他工事契約等の具体的な関係を見まして、はたして密接であるかどうかという角度から、これを審査しているわけでございます。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと伺っておきますが、役員とは一体何をいうのです。
  120. 島四男雄

    ○島政府委員 取締役、監査役あるいは業務執行する無限責任社員、理事、監事、それから支配人、その他これに準ずるものを私どもでは役員と考えております。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。商法上の会社のいわゆる役員に該当するらしい、もしくは定款にきめてある……。それなら顧問あるいは嘱託、相談役、これはどうです。
  122. 島四男雄

    ○島政府委員 私どもでは役員と考えておりません。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからもう一つ、名義のいかんを問わず事実上その金業に参加して行動して、そしてしかるべく金銭的報酬をもらう、こういうような場合に、これはやはり該当せずとしてあなたのほうでは対象外になるのですか。
  124. 島四男雄

    ○島政府委員 原則としては、役員に就職する場合とそうでない場合との基準は、若干異にしております。役員に就任する場合にかなり縛りをきつくしておりまするが、ただいまの御質問のたとえば顧問であるとか嘱託であるとかいう場合にも、就職先においてどのような仕事をするかということも判断して、私どもでは審査の対象にしております。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 けれども、いまのような場合は役員にあらず、しからば第一の条件には当てはまらぬ。あなたのほうの審査対象にならぬ。どんな仕事をしようとしまいにかかわらず、役員でない者はあなたのほうでかまう範囲外じゃないですか。
  126. 島四男雄

    ○島政府委員 ただいまの私のお答えがあるいは不十分だったかと思いますが、役員でない場合についても密接であるかないかは当然私ども審査の対象になるわけでございます。したがって、役員でないからといって無条件で就職できるわけではございません。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 だから、密接とかなんとかそういう抽象的な形容詞だけで判断することの誤りを私はおそれるのであります。商法、定款に規定してある名義以外は何でもいいというならいい。ただし、実質的に会社の重要なもしくは日常の業務に参加した者とかなんとか、社会通念によってもっと合理的にその基準を把握できるような表現があってしかるべきだと思うのです。密接というようなことは、この法律の条文にも何か似たようなことが書いてあるのです。第一この法律は「密接な関係」ということが書いてありますよ。「密接な関係」という、こういうようなことだけしておくということは誤りのもとです。それからまた顧問、相談役あるいは嘱託というような、こんなものは役員でない、そういうような常識をはずれたようなことでおやりになっておりましたら、これはざるです。要するにざるです。ざるで人間を規制するということは不能です。   〔委員長退席、四宮委員長代理着席〕 やはり人事院というのは一つしかないのです。国家公務員につきまして百三条二項の審査機関というのは、日本であなたのところ以外にないのです。裁判ならば、北海道にも九州にもあるのですが、あなたのところ以外ないのです。それほど重要な地位にあるのでありますから、もっと公正あるいは厳格に法律の精神を活用してもらわねばならぬと思うのです。私、言うところは、個人の人がいい職ができて、たくさんに給与もらって楽な仕事ができて、あなたらのほうは役員にあらずとしている、何かわけがわからぬ顧問とか嘱託とか何とかかんとかの名前で暮らしておられる、個人的にはまことにおしあわせ、けっこう、それでもいいですよ。けれども、この国家公務員法の規定というものは、やはり国民の立場から考えまして、行政の公正維持のための一つの規定であると思うのです。とかくわが国におきましては、行政の公正維持に対する法律が不備なんです。この点は臨時行政調査会も指摘しておるのです。公聴会とかその他の規定も不備であったことを強く叫んでおります。それほど日本におきましては、行政の公正ということについて法律的な規制が乏しい。そういうおりからあなたのほうは、この法律の唯一の執行の機関なんだ。この執行の機関が、いま私の三分や五分の問答によってもまことにあいまいもことして基準明らかならず、客観性が乏しい。われわれの社会常識から見てもはっきりしないという、そんな答弁じゃ満足できません。これは総裁と問答しなければしょうがないということになるのです。
  128. 島四男雄

    ○島政府委員 ただいまの御質問でございますが、もう少し具体的に申しますと、たとえば建設省の場合でございますと、各民間会社との間に工事契約の関係が非常に生じてまいると思います。そこで私どもとしては、その契約の高がどの程度の高になるかということを審査の対象にしておるわけでございますが、その場合も、直ちに役員に就職する場合は私のほうでは御遠慮願っておる次第でございます。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 じゃ、申し上げておきますが、やはりあなたのほうが独断的に審査標準をきめるべきじゃありませんです。これは、こういうことについて国民が訴える方法でもありましたならばもっと議論はわきますよ。しかし、議論があまりわかぬものだからそんないいかげんなことで御答弁になっておるのです。私はただ一念ほんとうに国民のために正しい公正な建設行政があってほしい、それがほんとうの正しい公務員みんなが望むところでもあるわけですから、そういう立場でお聞きするのです。この程度にしておきましょう。ひとつまたよく考えてください。何もあなたのほうを憎んでものを言っているのじゃないのですから、これできょうは終わります。  若干保留しておきますが、別の機会がありましたら、根本問題がたくさん残っておりまして、せっかく公団の皆さんにお待ちいただきまして、実は道路公団、住宅公団につきましても基本的にいろんな点を伺ってみたいと思ったのですが、やむを得ません。たいへん申しわけありません。ちょっとここからおわび申し上げておきます。
  130. 四宮久吉

    ○四宮委員長代理 それでは、本会議散会後再開することとして、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  131. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件について調査を行ないます。質疑を続行いたします。中村重光君。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 政府側に質問する前に委員会の運営のあり方について委員長の所信をひとつただしたいと思います。  鍛冶委員長は法律にもきわめて豊かであるし、国会の運営についても経験豊かであると高く実は評癒して、あなたの委員長就任を歓迎したわけです。ところが委員長に就任されるやその運営のあり方にずいぶん物議をかもした。私どもの質問の持ち時間というものが三十分程度と制限される。質問中にレポがどんどん飛んでくる。落ちついて質問もできない。そういう運営のあり方というものは好ましくないのじゃないか。もう少し時間を延ばす、あるいは週二日間というのじゃなくて三日間というような、十分決算審査ができるような運営のあり方であるべきだというので、ずいぶん委員長にそうした運営を要請をしてまいった。ところがなかなか委員長も、いろいろな関係から私ども委員のそうした要望というものをいれるということに至らなかった。ところが最近の運営のあり方を見ると、週三日じゃなくて、あるいは四日に、さらには一つの省でなくて幾つもの省の審査をやり、きわめて限られた審査しかできない、そういう状態でございます。これでは私どもは、ほんとうに慎重なきわめて適切な審査というものはできにくいと思う。調査室等にいろいろと資料を求めたり、その他連絡をしようといたしましても、調査室も不眠不休の状態であるようでございます。それでもなおかつ、委員のそうしたいろいろな要請にこたえ得ないという点もあるのではないか、私はこう思うのであります。委員長が、年内に審査を終了いたしまして、そこで四十三年度予算編成の参考にしたいという気持ちも働いておるのではないか。そうであるといたしますならば、そのことは私は了解できるのであります。また、好ましいことであると思うのであります。であるならば、委員長としては当初からそういう方針を持って、われわれの要請を受け入れた運営のあり方ということでおやりになることが筋ではなかったかと私は思うのです。現状の審査のあり方等に対して、私がただいま申し上げたことに対して委員長はどのようにお考えになりますか。ひとつあなたの所信を伺っておきたいと思います。
  133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 審査を慎重にやるべきであるということは、お説のとおりだと思います。  それから、いま言われたように、できるだけ本歴年度中に審査を終わって予算の参考にすべきものがあればしようということは、この間休会中の懇談会で大体きまったものだから、そうしたいし、またしようじゃないかということになりました。そこでこの臨時国会が始まりましてから、それに基づいてやれるだけのことをやろうということで、理事の皆さんと相談してやっておるのです。いまやっておることが無理でどうしてもいかぬというなら、それは延ばすほかないのですが、やり得るものならばやろうということでやっておりますので、明日もまた理事懇談会をやろうと思っておりますが、その上で足らぬようなら延ばすことにするし、またほかの方法でやるべきならやりますし、でき得るだけ本年中に上げられるものは上げたい、そういう希望は持っておりますけれども、どうあっても押し通さんならぬと私は考えてはおりません。そういうつもりでやっております。
  134. 中村重光

    ○中村(重)委員 私も、社会党の衆参両決算委員をもって構成されております決算部会の実は部長をいたしております。そういうことから、参議院の決算委員会の運営のあり方ということについても、そうした会合を持ちながらいろいろと承知をいたしております。また参議院も、この歴年度内に審査を終了したいという形で審査に当たっているということは承知いたしております。ですから、それは私、異論はないのです。休会中にそういうことをおきめになって、そういう方向で審査しているということはわかるのです。なぜにそういうことになったかというところに実は問題があるわけなんです。  委員長も、党内の関係からおそらく一月の委員長交代時期にはおかわりになるのかもしれません。ですからその委員長に、いま私からいろいろと所信をただすということもどんなものであろうかというふうにも思うのでございますけれども、御承知のとおりいまこの委員会には二人の委員が出ているにすぎない。こういう委員会のあり方に対しましても、委員自体も反省しなければなりません。だがしかし、それは決算委員会のあり方というもの、委員長の責めに帰するところも私はあるであろうと思う。まだ数省の審査が終わっておりません。明日もまた防衛庁、労働省と、二つの関係審査しなければならぬということであります。さらにまた、大臣が出なければその省の審査は完了しないのだということを理事会において確認をした経過もあるわけでありますから、委員長としては、その点においては、理事会で決定をしたとおりに、大臣が出席していない省はその審査を終わっていないのだという考え方の上に立っておられるとするならば、どういうようなことでその省の審査を終わらせようとお考えになっていらっしゃるのか、その点はどうですか。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 すべて御趣旨のように進めたいと思っておりますが、なかなか思うにまかせぬところがありますれば、皆さんと協議をして、どうするかの最後の決定は、協議の上で決定したいと思っております。
  136. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、私はいつも感じることですが、建設省関係審査をするということになりまして、昭和四十年度建設省所管決算概要説明というものがきょう配付され、きょう説明される。いつもこういうことが繰り返されてきた。だから、建設省関係だけを取り上げていろいろと批判するということは私は適当ではないと思います。委員長もこのことは気づいておられたのではないかと思うのです。こうした決算概要説明というのは、印刷はとうにできておるわけでありますから、数日前に委員に配付する、そして私ども審査の参考に資するという態度が政府には望ましいと思う。またそれが当然であると思う。この点に対しては、委員長はいままで御注意をされたことがあるのかどうか、またこういうあり方に対してはあなたはどのようにお考えになりますか。
  137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いままでの慣例に従ってやっておりましたので、特にいまおっしゃることの注意はいたしませんが、御説のとおりだと思います。いずれ皆さんと相談して、また何とか善処いたしましょう。
  138. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは質問に入りますが、会計検査院の検査報告を見ますと、建設省関係に対する不当事項あるいは留意事項指摘が見られるわけでございますが、この不当事項の中で、コンクリートの練りまぜが不十分であり、突き固めが不十分であったため、容易に破砕される状況であった、こういうことが指摘されてあるわけであります。その他の指摘事項も大体大同小異である。私は、こうしたずさんな工事が行なわれ、会計検査院が検査をして、おそらく工事の改善を命じたのではないか、そうだとすると、相当な費用というものが事業主体において支出されたのではないかと思うのです。あまりにも非常識なというのか、ずさんな工事で、監督がついて施行をしておったとするならばこういうことはあり得ないことだ。私も実はその経験を持っておりますから、単に報告書に書かれておることを読んで感じるというだけではなくて、コンクリートの練りまぜということはどういう形でなされておるかということを知っておる。その私の経験ということからいたしまして、こういうことはほんとうにやらせまいとするとやらせないで済むのでありまして、どうしてこういうずさんな施行というものがされておるか、毎年毎年同じような指摘があるわけであります。建設省としてもその点に対しては十分きびしく通達等もなされておるのでありましょうし、直接の監督指導もしておられるのではないかと思います。非常に重要な工事個所でございますから、これが容易に破砕されるということになってくると、その及ぼすところ非常に大きな影響があると思うのであります。これらの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるか。何か監督となれ合いでこういうことがなされたというようにお考えになっていらっしゃるか、あるいは要員不足ということでこういうことになったのだとお考えになっていらっしゃるか、会計検査院からの指摘を受けるまでもなく、これらの問題というのは日ごろあるのではないかということを絶えず注意をしていらっしゃったと思いますが、これが依然として改善されないという原因がどこにあるのかということについてお聞かせ願いたい。
  139. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま先生の御指摘になりました会計検査留意事項の中で、コンクリートがぽろぽろだとか、設計どおりの厚さがなかった、こういう問題、これは実に私も遺憾に存じます。毎年毎年こういう問題が常に、件数の多少はございますが、指摘されておるところでございます。実はこれにつきまして私もいろいろ、直轄事業につきましては、地建の局長会議道路部長会議その他県の土木部長会議とか道路課長会議では常にこういう点の改善を指摘してまいったのでございます。いま先生のおっしゃられましたように、何が原因だということになると、これは一にかかって施行する人の良心が不足しているというように考えるわけでございます。ただそれに対してわれわれのほうが十分工事施行に対して現場の監督員をたくさん置きまして検査をするということができますれば、あるいはそういうことを防げるかもしれません。また、こういうことは言いたくないのでございますが、あるいはたくさんあるケースの中には、業者と監督員がある程度しめし合わせてということもあるいは考えられるかもしれませんが、実はこういうようなものに対して私たちがとり得る手段といたしましては、今後請負業者の選定を十分注意してやる、そういうような不良な工事をやった者には二度と工事をさせないのだという形でやはり業界そのものが良心的に工事をするということを奨励していく、これがまず第一だと思います。  また、そのほかにも、工事施行につきましては、コンクリートの問題、アスファルトの舗装の問題、いろいろございますが、やはり工事施行の管理の中で何がポイントであるか、そのポイントについて十分監督していくということが大事ではないかというふうに考えております。今後こういうような事態についてはできるだけいろんな機会をとらえて監督の面、施行する業者の面の改善をはかっていきたいというふうに考えております。
  140. 中村重光

    ○中村(重)委員 この会計検査院の指摘というものは千分の一か万分の一か、そういうことであろうと思うのです。大半がこういうことではなかろうかと思うのです。指摘事項の対象になっているこうした工事それだけでなくて、あなたのほうでまだ手直し工事をされたことも多々あるのではないか、そういった工事というのはどうなんですか、請負業者、元請業者が直接やっておる工事に多く見受けられますか、あるいは下請工事に出されておるのに多く見受けられますか。事例はどうですか。
  141. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 それは直轄の場合、県の場合で多少様相は違うかと思いますが、実はなかなかその下請の問題が十分われわれではつかめないような状況でございます。これは直轄が非常に大きな工事をやります場合には、正式に工事の一部をこういうものに下請させたいという場合は、業者のほうの申し出によりまして承認することもございますが、いま問題になります下請というのは、ほとんどそういうような正式の承認をとらないでやられている下請に問題があろうかと思います。これにつきましては、道路工事についても、いろいろ土の運搬、砂、材料の運搬、そういうような個個に運搬に出せるようなもの、別の運搬業者に出されるというような性質のものと、明らかに工事の一部となっておるものを元請が下請に出すという場合があろうかと思います。前者のものについては、これは一つの工事の分業的な下請かと思います。これについてはそう大きな問題はないかと思いますが、本体の工事そのものになるようなものを元請の業者以外の下請に出すというような場合に、これはよくいわれますように、非常にピンはねをして下請へ出す、それをとった業者がやっぱり利益を得るために粗漏な工事をするというようなことが考えられますが、やはり業界自身のそういうような下請制度の根本的な改革の問題が必要ではないかと思います。これについては非常に私たち苦慮しておるのでございますが、一体どこまでが下請なのか、はっきりしない点がございます。これは大手の西松なら西松、鹿島なら鹿島に出しましても、鹿島の職員が全部仕事をしているわけではない。その中には、やはり鹿島が臨時で雇ってきたものもありましょうし、また、ほかの建設業者から借りてくる人夫もありましょうし、その中でいわゆる技術的な監督のできる者を借りてくるということになりますと、いわゆる切り投げというような形で、一立米幾らというようなことで下請がされる場合もあろうかと思います。その辺、私たち工事の現場におりましても、実態がつかめないような状況でございます。この点はやはり業者の一つの仕事をやる態勢の問題、また、請け負った業者のその工事に対する良心の問題が非常に多いかと思いますが、十分その点は今後検討を続けていきたいと思います。
  142. 中村重光

    ○中村(重)委員 建設省直轄工事をする請負業者、それの下請、それから道路公団あるいは建設公団等の請負をする業者、それの下請の業者、比較的に大きい業者がいるのですね。ところが公共事業で地方自治体が事業主体になりますような——災害もそうなんですが、そういう事業というのは、たいへんに事業費が小さいですから、それの元請、そして下請というのは、非常に零細な下請業者ですね。それから下請にまた下請というのがあるのですね。それからあとは何下請というのですか、そういう幾つもの下請がある。それから、おっしゃるとおりに、下請がどの範囲まで下請か、あなたは元請と下請の関係でおっしゃったのですが、下請も総括下請と部分下請というのがあるのです。それから、同じような種類の下請をやらせます場合、そういう場合も幾つもに分けて下請に出しているというようなことがあるわけですね。ですから、あなたのほうもそうなんですが、公団の場合の工事の請負をさせます場合も、そうした事業をどういう形で施行しておるか、そういうリストをおつくりになる必要があるのではないか。そうして、どういった場合が一番そうした粗漏な工事をしておるかということを、やはりつかんでおく必要がある。そして、常時そういうことを繰り返してくる業者に対しては、何かやっぱり規制的な措置を講ずるということでないと、なかなかこういうことは直らないと思うのですね。道路公団あるいは建設公団等においては、直接業務を担当する一つの企業的な公団ですから、特にこういう点に対する配慮が私は必要であろう、また十分その点に対しては注意を払っていらっしゃると思うのですが、あなたがお考えになられた点で、こういうことをこう是正をしているということで参考になるような御意見もあろうと思いますので、この際お聞かせ願いたいと思います。
  143. 富樫凱一

    ○富樫参考人 道路公団では原則として下請を認めておりませんが、特に必要な場合には公団の承認を得ることになっております。下請の場合は監督が業者の仕事ぶりを見ておりまして、終わりますと、その成績をつけるようになっております。その成績によりまして、次の指名の参考にいたしておりますが、そういうことであまり粗漏工事があったということはございません。
  144. 中村重光

    ○中村(重)委員 会計検査院にお尋ねをいたしますが、こうした検査をなさって、指摘事項としてお出しになっている。ところが指摘事項としてお出しになる前に、十分注意をして、特に指摘をしないというような取り扱いをしていらっしゃる場合も多々あるのだろうと思います。どういう施工の状態のときに、そういう粗漏な工事が多く見受けられるのか、いままでの検査の経験からお感じになった点があるのではなかろうかと思うのですが、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  145. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 いま御指摘の不良な工事あるいは粗漏な工事の事例についての原因等に関する探求になるかと存じますが、私どもが実地検査で見ておりまして感じますことは、いま先生のお話になりました下請、これはやはり下請が実際に施工しておる場合に、えてして施工の不良のものが多い、こういう実感を持っております。  それから工事うちでも、何といいますか、わりに付帯的と申しますか、本体の主要な部分でない、若干軽く考えるおそれがあるような部分、こういった部分にとかく不良な工事が多く見受けられている状況であります。  それからもう一つ、工事を施工してしまったあとにはちょっと外からは見えにくい、まあ基礎のような——基礎も相当な重要な構造物の基礎の場合にはこれは工事の本質的に重要な部分ですから、この面は私ども検査できにくい部分も多うございます。たとえば橋梁の橋脚の非常に深いところとか、工事の施工中でないと見えない部分とか、そういうところはしっかり監督もやられておるべきだと思います、確認はできませんが。ところがちょっとした、私どもが行ってちょっと掘って見れるといったような部分には、要するに外から見ては見えにくくなるといった部分に、やはり粗漏のものが出やすい、こういうふうに見受けております。大体その程度でございます。
  146. 中村重光

    ○中村(重)委員 もう少し突っ込んでお尋ねしたい点があるのでございますけれども、時間の関係もございますから先に進みます。  いま私どもに配られております砂防事業の拡充に関する陳情書とか、新治水事業五カ年計画について、これは建設省河川局から出ているのですが、これを読みましても、それからさきの集中豪雨とかあるいは九州、西日本地帯を襲いました水害、これはまあひとつの農作物に対する被害で、公共事業であるそうした河川道路等にはたいした被害は出てないのです。ところが豪雨による被害としては山地の崩壊ですね。それから土砂の流出というものが非常に多い。これはどういうところに原因があるのだろうかというと、やはり砂防事業を軽視しておったというところに最大の原因があるのではないかというふうに私は感ずるわけです。このように土砂の崩壊だとか、山がくずれるということになってまいりますと、多目的ダムが下流にありますと、それがだめになってしまう。そうすると治山、治水ということに重大な影響を及ぼしてくることになるわけです。その経験から新治水事業五ヵ年計画をお考えになったのだろうと思うのでありますが、砂防事業を強化していくということについて、具体的にどのような取り組みをしていこうとお考えになっていらっしゃるのか。豪雨による災害から得た経験という点から、お考え方をお聞かせ願いたい。
  147. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘のとおり最近の災害の実態を見てみますと、いわゆる山地崩壊あるいは土石流を伴った災害が非常にふえております。特に本年度におきましては西日本における佐賀県、長崎県、あるいは新潟等におきましても、いずれも土石流を伴った災害が起こりまして、そのために人家、人命に非常な損傷を与え、惨たんたる災害を起こしております。しかしながらその実態をよく見てみますと、砂防施設のできたところはこの災害は防除できております。昨年の実態等を見てみましても、関東地方の場合等で、日光あたりにかなりの雨量があったわけでありますが、日光直轄砂防事業等が進んでおるために、ほとんど災害がなかった。多少のあれはございましたけれども、思ったほどの災害はなかったということで、ともかく砂防事業実施しさえすれば相当の効果があるということが実証されておるわけであります。  そういう観点で現行の五ヵ年計画におきましては、全体一兆一千億のうち砂防事業というものが千七百八十億ばかり見ておるわけであります。それによりまして鋭意砂防を含めた治水事業を進めておるわけでございますが、最近の災害の実態にかんがみまして、砂防を特に強調する必要があるということでございまして、今度私どもで新しい五ヵ年計画を目下立案いたしておるわけでございます。その中におきましても特に緊急を要する土石流に対する対策、あるいは都市周辺における基盤整備的な砂防事業というものを重点といたしまして、事業の促進をはかるようにいたしておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、現行の五ヵ年計画に対して、少なくとも二倍以上の仕事をやっていきたいということで、新計画を策定中でございます。  なおその他直接五ヵ年計画とは関連ございませんが、最近の住宅造成その他の関係等もあるわけでございますが、根本的には非常に集中的な異常な豪雨ということで、急傾斜地の崩壊が非常にふえておるわけであります。急傾斜地に対しましては別途に急傾斜地崩壊対策事業というものを考えておりまして、今年度からすでに三十六ヵ所ばかりこの事業実施しております。明年度以降これを増強したいということで、でき得ればひとつ立法措置も別途に考えてみたいというぐあいに考えております。
  148. 中村重光

    ○中村(重)委員 新五ヵ年計画をいま策定をしている。その中では砂防事業関係を二倍見てみたい。砂防事業というものに重点を置いていくというお考え方は私も適当であると思う。ところが現行の四十年から四十四年までの五ヵ年計画、それの中にも一兆一千億の中で千七百億程度事業費が含まれているのだ。年度中に新たにまた新五ヵ年計画をお考えになる、それは現行の五ヵ年計画というのは、内容的に不十分であるという考え方から、新しい五ヵ年計画に切りかえていこうという考え方なのか、あるいはそうではなくて、現行の五ヵ年計画進捗率が非常に低いということ、それで四十四年度までに計画の達成は不可能であるという見通しの上に立って、またここで年度が終わらないうちに、新しい五ヵ年計画というものを策定していこうとしていらっしゃるのではないか。建設省関係のそうした五ヵ年計画といったようなことだけでなくて、各省のいろいろな計画というものが年度半ばにして切りかえられていくという慣習みたいになっていると思いますが、私どもは、この五ヵ年計画というものが計画のとおり進むかどうか、そのことがどのような成果をもたらすかというようなことに対して、重大な関心を持って見守っておりますし、またその計画に協力をしてまいっている。ところが、いろいろな制約を受けて計画の達成ができない。そこで、できないということになってまいりますと、いろいろと責任を追及されるような面もあるだろうから、そこで新しい五ヵ年計画あるいは八ヵ年計画という形に切りかえていく傾向なきにしもあらずで、私は、これはたいへんな問題であると思うのです。私ども決算委員会といたしましては、予算の効率的な運用という点を特に追及していくという立場の上に立ちまして、これらの点に対しては重大な関心を持っているのでありますが、この点についてのお考えをお聞かせ願いたい。
  149. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘の点でございますが、現行の五ヵ年計画進捗のほうは、大体当初の予定以上に進んでおります。当初の予定に対しては、むしろ二、三%上回った進捗を見ているわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、最近の災害の実態というものをよく観察いたしますと、これは気象学的にはいろいろ問題があるわけでございますが、異常な集中豪雨というものが最近の傾向としてあらわれております。これは現行の五ヵ年計画の立案は、実は昭和三十八年度に全国的な全体計画をつくったわけでございます。それからすでに四年経過をしておるわけでございます。昭和三十八年度につくりました全体計画に基づいて、昭和四十年度からその第一期計画ということで発足をいたしたわけでございます。したがいまして、現行の五ヵ年計画は、発足は四十年度でございますが、そのもととなる基礎的な全体計画というものは、昭和三十八年度時点で策定いたしたものでございます。現在までにすでに足かけ四、五年たっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、集中的な異常豪雨というような、気象学的に見て異常な現象が最近非常にあらわれている、予想し得ないような場所に予想し得ないような時間雨量のものすごいやつが降ってくる、そういう関係が出ておりますのと、もう一点は、最近都市の周辺等におきまして、宅地化あるいは都市化等の進展、あるいは農村におきましても、農業構造改善事業等が進展してまいりまして、同じ雨が降りましても、出てくる量というものが一度にどっとたくさん出てくる、そういうような傾向が最近顕著にあらわれております。こういった事情を当初予想すればいいじゃないかという御意見があると思いますが、四、五年前の状態としては、全くそういった事態は予想はしていなかったわけでございますけれども、予想以上のそういった現象があらわれている。そういう現象を踏まえまして、新しくまた全体計画をこの際やり直したらどうだ、それで、これがちょうどでき上がったのが今年度でございます。それで、その当時の全体計画は、私どもは全体で九兆六千億と踏んでおったわけでございますが、新しい観点から新しい事態に対処して、治水の万全を期するためには、とても九兆六千億では追いつかない。全体的に再積算いたしましたところ、昭和六十年度までに少なくとも二十三兆のものが必要であるというぐあいに、量的にもかなりふえてまいりました。質的には先ど申し上げたように、内容が相当変貌いたしておりますので、そういうものを踏まえまして、ひとつこの際新しい計画に踏み切りたいということで、その二十三兆の一環といたしまして四十三年度から新計画に踏み切りたいということで、質的には相当変貌を来たしているわけでございますので、せっかく三ヵ年の事業を鋭意進めてまいったわけでございますけれども、この際そういう観点から、ひとつ新しい計画に踏み切りたいというように考えておる次第でございます。
  150. 中村重光

    ○中村(重)委員 計画計画以上に進捗しておった。内容的な問題であるということでございますから、私はそれはそれでよろしいと思います。また砂防事業関係におきましても、二割程度だという御説明であったのでありますが、それが適当であるかどうかということも——いわゆる豪雨によるところの被害、山地の崩壊、土砂の流出、そういう経験を踏まえて、十分内容を見込んだ形、治山治水の重要な事業をひとつ推進するというようなことを強く要望いたしておきたいと思います。  それで、また御説明の中に出ました急傾斜地の崩壊の問題でございますが、これは単に御説明になりましたようなことでいいのかどうか。むしろ特別立法というものが必要になるのではないかという感じを私は持っておるのでございますが、その点はいかがでしょうか。
  151. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、お聞きとり願えなかたようでございますが、急傾斜地の問題につきましては、この五ヵ年とは別個に新しい立法を考えまして、その立法措置によっていま事業の推進と同時に、この規制措置というものを考えていきたいというぐあいに考えております。
  152. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから検査院の同じ指摘事項の中で、立体交差化のおくれについての指摘があるわけです。私は国鉄関係その他の警察関係審査の際にも触れたのでございますが、交通安全、事故防止という観点から、この立体交差化というのは強力に推進をしていかなければならないというように思う。ところが検査院の指摘の中に詳しく書かれておるのでありますが、いろいろな事情があるだろうと思うのでございますが、しかし何といっても交通安全、事故防止ということは人間の生命を守るという立場から非常に重要ではないか。いろいろな困難を排除して、これらの促進をはかっていくべきであると考えるのでございますが、どの程度これがおくれているのか。実は資料を見てみますと、内容的にだいぶ違うのでありますが、現状においてはどういうことなのか。それから今後どういうようなことで対処していこうとお考えになっていらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。
  153. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 鉄道との立体交差化につきましては、ただいま御指摘がございましたように、非常におくれているものがございます。これは会計検査院の御指摘にもございましたように、鉄道と道路との立体交差につきましては、鉄道は、日本国有鉄道と私鉄とがあるわけでございますが、日本国有鉄道との関係については、道路と鉄道との交差に関する建設省と日本国有鉄道との協定がございまして、これによって国鉄の費用の負担、道路側の費用の負担をきめておるのでございます。実はこういうような協定で費用の負担はきまっておりますが、実際に道路と鉄道との立体交差の問題になりますと、これは二、三年前は、特に鉄道が複線化の計画を持つか、電化の計画を持つか、これによって道路が立体になる場合のクリアランスがどうなるか、変わってくるわけでございます。こういうものはなかなか国鉄のほうではっきりした回答もないということで延び延びになった例もございます。また線形の問題でいろいろ——これは用地の問題もございまして、なかなか、鉄道とうちとで協定ができても用地の買収、地元との交渉でおくれておるものもございます。しかしただいま御指摘のように、やはり交通安全の問題からいいまして、また道路交通の渋滞からいいまして、できるだけ交通量の多いところについては早く立体化をすべしということで、鉄道との問題をスムーズに運ぶために地方にいろいろ立体交差についての協議会等も設けまして、問題があるものは全部中央にまで持ち込むというような形でできるだけ問題点を早く解決するように努力してまいった次第でございます。現状からいいますと、これは踏切道の改良促進法というのがございまして、これによって立体交差化すべき個所を指定するわけでございますが、現況を見ますと、四百二十九ヵ所が指定されております。そのうち完成しておるのは百八十ヵ所で、現在九十九ヵ所の工事実施中でございます。なお残りのものにつきましても、四十二年からの道路の五ヵ年計画でできるだけ早くこれを完成していきたいというふうに考えております。
  154. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、相互の連絡調整ということが不十分ではないかというふうにいつも感じてきたのです。いまいろいろそうした関係者との懇談会等を持っているのだ、そうだと思います。また当然そうなさらなければいけない。まあ局長段階、そうした首脳部の段階においては会議等で了解し合っても現実の歩みが非常におそいですね。ですからあなた方のほうでも、そうした協議会等で方針を決定する、それが計画のとおりに進んでおるかどうかということを絶えず精査していくということですね。そういう関心というものが私は絶えず持たれておらなければならない。いずれの事業といたしましても重要性の高いものばかりではございましょうけれども、私はなかんずくこの交通安全事故防止というものは現実の大きな社会問題、重点事項中、高度の重要性を持っているものであるというので、特別に何かそうした関心を絶えず払っていくということが必要であろうと思うのであります。このことに対しては強く要請をしておくにとどめます。次の検査報告の中ではこうした指摘というものがないように、私がいま手元にいただいております報告書でも、改善のあとが見受けられるということになっておりますから、そうしたことで鋭意努力をしておられるということは認められますけれども、なおかつ私はこの点に対しては重大な関心を持っていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  こうして私は質問をしながら自分の頭に浮かんでくることをお尋ねするのでありますが、道路なんかの工事というものが非常におくれている。中央の道路網というものは整備されてきた。ですけれども地域開発という点から、地方における国道、県道の整備、なかんずく離島振興という観点から強力に推進をしていかなければならないのじゃないか。ところが、私は長崎県でございますが、長崎県は何しろ四五%ぐらい離島です。その中で、大きい離島が五島であるとか壱岐、対馬ということになっております。その対馬に私どもが参りまして非常な不便を感じることは、上から下まで車で走れないのですね。航送船で車を乗っけて島を結ばなければならない。いつまでに完全に縦貫道路が完成されるのか。私が、そう長くはないだろう、二年ぐらいの後——そのとき、昨年話したのですから、四十三年には大体貫通するのではないかと思うと言ったところが、島の人たちは、どうせ離島住民のことなんかは念頭に置いてないのだ、まあ夢のような話として聞いておきますというような、皮肉というのか、これは非常なそうした不自由な状態、不便な状態に放置されていることからくる憤りというのか、信頼感というのを失って、役所の仕事はどうせそんなことだというようなことで、私に対してそういうことばを使っていたのかわからないのですけれども、私自身もどうしてこんなにその工事がおくれておるのだろうかということでふしぎに思っておるわけです。おわかりでしたらひとつお答えを願いたいと思います。
  155. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話の長崎県の対馬の道路でございますが、これは対馬を縦貫いたします道路で、厳原−上対島線というのがございます。この現状を見ますと、いま先生のおっしゃったように、まだまだ自動車の通れない区間がございます。この現状を通じて見ますと、大体九十五キロぐらいな全延長でございますが、そのうちいわゆる改良済みと称されておるのが約五十三キロで、五六%ぐらいでございまして、これは内地の主要地方道の平均整備率から見ますと、大体同じようなもの、五六%ぐらいかと思います。ただこれについては、そのほかの道路がないということで車の交通が不能だということは非常に島民に迷惑をかけておるかと思います。これにつきましては、離島振興事業といたしまして、道路を優先的に予算の配分をしております。たとえば四十二年度は四十一年度事業費を大体五割ぐらい増しまして、約一億九千七百万の事業費で改良をやっておるのでございます。ただ、この現状からいいますと、やはり四十キロぐらいがまだ未改良だというような状況から見ますと、四十キロやるには少なくとも約三十億ぐらいの金が要るのじゃないかということになるわけでございますが、これにつきましてはやはり内地の整備率との問題もございましょうけれども、できる限り離島については、これ以外の満足した道路が少ないということもありまして、こういう離島の幹線の道路については、できるだけ早く整備を進めていく方針で今後やっていきたいと思います。
  156. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまお尋をしていることについては私は時間をとりたくはないわけですが、おっしゃるとおり、同じ陸地でありながら道路がないために船を利用しなければならぬという実態です。これではどうにもならない。循環道路というのはそう簡単には私はできないと思うのですけれども、縦貫道路だけは一日も早くこれを完成するということで強力に推進される必要がある。私は、政治の一番大事なことはおくれた地域を開発していく、なかんずく離島僻地に対しては、所得水準を大体均衡させるという立場からも、特に意を用いていかれる必要があるのではないかというように思います。  まあ、お尋ねをしたことですから、いま工事費の問題についてはお答えがあったわけでございますけれども、そうした事業費だけでなくて、大体何年ぐらいに完成をするのかということをひとつはっきりお聞かせ願いたいということが一つ。  もう一つは、私は、都道府県道の国道編入に対する方針がはっきりしてないというように思うわけです。抽象的なことで申し上げましてもはっきりいたしませんから、私は具体的な事例をあげて御方針を伺ってみたい。具体的な事例をここで申し上げるとすれば、やはり自分の郷里の問題が一番わかりやすい。たとえば、長崎県選出の馬場さんが建設大臣当時、南高の道路というのは国道に編入される、そしてこれが循環することになった。ところが一方、西彼杵郡のほうにまいりますと、西彼杵郡の内海線というのが国道になっている。ところが外海線というのは国道ではない。したがって国道の循環という形になっていない。これが南高来郡の場合におきましては、産業振興という立場からやはり循環道路としてこれを国道にしなければならぬということでやった。それが主たる編入の目的であったと思う。であるならば、西彼杵郡の場合におきましても、外海から内海まで一貫した国道という形でこれを扱っていく。いわゆる外海道の国道編入ということも実現をしなければ産業振興に役立たないし、また同じ長崎県の場合におきましても、南高の場合と西彼杵郡の場合とで取り扱いが違ってくるということになってくる。そうするとその地域住民はやはり非常な不満と不信感を持ってくるということになるのではないか。したがいまして、私は具体的な事例として長崎県の事例を申し上げたのだけれども、全国的にもそういう例は多々あると思う。そこで都道府県道の国道編入についての考え方をこの際ひとつ明らかにしてもらいたい。
  157. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 国道の編入につきましては、これは全国的な一つの問題でございますので、私たち、いまの国道は国の幹線を形づくっておりますために非常に交通量もふえてまいります状況から、やはりもっと国道をふやすべきでないかということで、現在国道をふやすための試算をいろいろやっておるのでございます。実はいま御指摘になりました西彼杵郡の外海線につきましては、私も数回陳情を受けております。現在内海線は大体舗装もできまして、それに比べて外海線がまだ県道のままでいつ改良されるかわからないというような状況で、早く国道にして改良してくれという陳情を数回受けております。  では、こういうものを一体どういう基準で国道にするかという問題になるのでありますが、御承知のように日本は各場所にいろいろ半島がございます。半島に国道が通っておるものもございますが、まだ通っていないような半島もございまして、その辺はやはり全国的な考えで統一していかなければならぬと思いますが、現在の道路法のたてまえでいいますと、やはり県庁所在地とか重要な市、その他港湾とかそういうものを結ぶものが国道の基準になっておるわけでございます。こういうような現行の道路法の体系をそのまま生かしまして、どういう形で将来の国道網を考えていくか、これを現在検討している次第でございます。  さらに、すぐということではないのでございますが、二十年ぐらいの将来のビジョンを考えますと、やはり日本の国道網というのがいまの道路法の基準だけでいいのかどうか、そういうこともあわせていま検討しておる状況でございますし、住民の要望をよく聞いておりますので、現行の道路法のままでどの程度国道に採択できるか、現在検討中でございます。
  158. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は行政の一貫性という形で特にこの問題を取り上げたので、陳情が強いか弱いかその強弱の度合いによって処理すべきではない、だから基準というものは明確にされたらいい。そして将来のビジョンを示して、地域住民が自分のところの道路というのは大体いつごろ国道に編入されるのだということ、そうした確信を持つことが好ましい。基準というものがまだはっきりしていないというならば、すみやかにそういう基準をお立てになって、まあ事業費の関係がありますから一挙にそれができないといたしましても、やはりそれは明らかにしておくということが必要である。この点ひとつ政務次官のお考えをお聞かせ願いたい。
  159. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 先ほどから中村先生のお話のありました離島の道路の問題にしましても、地方の道路の改修にしましても、私どもも全く同感であります。私も実は地方の人間でして、いろいろと都市周辺ではまだまだそれは懸案の問題がたくさんありますけれども、それと地方とを比較いたしてみますと、やはり地方のものは相当に格差ができておるということはみずから認めておるのでありまして、そういう意味からいって行政は均衡をとらなければならぬということは当然だと思っております。国道昇格の問題もいろいろと陳情のあることも十分に承知をいたしております。私どもは一日も早くこういう基本線を決定して、なるべくすみやかな機会にこの基本方針を発表すべきだ、こういう考え方で努力していくつもりであります。
  160. 中村重光

    ○中村(重)委員 了解をいたしましたが、先ほど対馬の道路の問題を伺ったのですが、いつごろこれは貫通することになりますか。
  161. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この路線の、先ほどちょっと申し上げました交通不能区間が大体三キロ六百メーターぐらいございます。これにつきましては大体四十四年度末には車の交通が可能なようにしていきたいというふうに考えております。
  162. 中村重光

    ○中村(重)委員 まだ縦貫行政の一元化の問題等々お尋ねしたい点がございますが、時間の関係がございますので先に進みまして、時間がありましたらあとでお尋ねしたいと思います。  会計検査院から指摘されておる留意事項の中で国有財産のことに触れているのでありますが、国有財産法の第八条によりまして、「行政財産の用途を廃止した場合又は普通財産を取得した場合においては、各省各庁の長は、大蔵大臣にこれを引き継がなければならない。」ということになっておるようであります。ところが、「四十一年中、福島県ほか六都県を選び建設省所管の分について調査したところ、引継等の処置を要することが判明しているのに処置未済となっているものが二千余箇所三百十八万平方メートルあり、なかには、引継等の処置を要する状態となってから長期間放置されていたり、無断で使用されたりしているものが多数見受けられ、処置が適切を欠いていると認められたので、今後、処理の促進について配慮の要があると認められる。」こういうことになっているわけであります。この中にありますように、四十一年において福島県ほか六都県を選んで調査した結果の指摘でございますから、まだ相当の件数がそのままになっているのではないかと思うのでございますが、この内容についてひとつお答えを願いたいと思います。
  163. 志村清一

    志村政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、大蔵大臣へ当然引き継がれるべきものが引き継がれずにおかれる公共財産が相当ございますことはまことに遺憾に存じております。  引き継ぎがおくれております理由といたしましては、隣接地主との境界が未確定だというふうなことなどのために引き継ぎが未了となっているものが多かったようでございます。検査院から指摘を受けまして、昨年の十一月付をもちまして各都道府県知事にあてましてかような事務の処理の促進をはかるようにという通達を出すと同時に、都道府県と地元の財務局との間に互いに連絡を密にすることが必要かと考えまして、事務連絡協議会を設けることといたしておるわけでございます。その後も逐次この処理につきまして推進をいたしました結果、ただいまのところ、御指摘を受けました二千五十六ヵ所のうち大蔵省に引き継ぎを処理したものが約四五%、なお精査した結果、公共財産として存置すべきであるということで処理を要しないものといたしたものが約二二%。なお、残り四二%でございますが、そのうち年度中に処理できるものが約一七%。約四分の三は見通しがつきました段階でございます。
  164. 中村重光

    ○中村(重)委員 調査の対象というのか、国有財産法第八条によって不必要になった場合は大蔵省に引き継がなければならぬ、対象は道路河川海岸である、こういうことになっておるようであります。いまお答え願った点から考えてみまして、使用されているという場合には、おっしゃるとおり引き継ぐ必要がない。ところが大蔵省が引き継ぐことを好ましくないとする傾向もなきにしもあらずということを聞いている。完全にこれが修理されておるということになってまいりますと、これを引き継いでも大蔵省としては迷惑ではない。ところが、なるべくならば引き継ぎたくないということになってまいりますと、いろいろまた条件をむずかしくするきらいがなきにしもあらずということになってくるであろう。そこで、この国有財産法第八条というものが、実はこのとおりに実行されていないということであるといたしますならば、これは全く国の財産というものでございますだけに、大きな問題点であると思うのであります。  そこで大蔵省にお尋ねをいたしますが、この国有財産法第八条に基づいて不要になったものを大蔵省に引き継ぐべきであるということで、絶えず当該省との間に折衝し、積極的にこの第八条を生かすという方向で対処しておられるのであるかどうか。伝えられるところによりますと、大蔵省もあまり好んでいないということで、引き継ぎをむしろ大蔵省側から遅延さしておるというようなことも伺うのでありますが、その点に対する考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  165. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  実は大蔵省で引き継ぐのをきらっておるというわけではございませんが、引き継ぎと申しますのは、なかなか手続がめんどうでございまして、まず第一に、私ども引き継ぎます前に、すでに占用の許可が出ておる、あるいは占用の許可が出ないで不法占拠の状態になっておるというようなことで、これにある程度ケリをつけていただく必要があるじゃないかと思われる場合もあるわけでございます。それからもう一つは、隣の土地との境界がはっきりしない、これをはっきりさせるのに非常に時間がかかる。これは隣の地主さんといろいろ折衝が必要になるわけでございます。さらにそれに基づきまして、はっきりとした図面をつくらなければいかぬ。こういうようなことで、非常に手続がめんどうでございますので、どうしても多少時間がかかるという傾向にあるわけでございます。ただいま建設省からお話しのございましたように、最近この問題につきましては、私どもとしましても、これをできるだけ早くやらなければいかぬということで、実は基本的にこれを管理する管理法規をつくっていただきたいということで、関係省庁にお願いしておるわけでございます。  それから、具体的ないまたまっております事案につきましては、一般的に、引き継ぎをしますときに、どういう基準で——たとえば建設省では具体的的には都道府県でございますが、どの程度のことをやっていただくか、どの程度のことをやっていただきました場合に私どものほうに引き継ぐというような、引き継ぎの一般的な基準をはっきりさせるということで、実は建設省と数次にわたりまして御相談を申し上げております。  それからもう一つは、現地の関係でございますが、これが円滑にいきませんために相当時間がかかっておるような面も見受けられますので、各財務局あるいは財務部と都道府県との間でこの辺をスムーズに進めるように協議会のようなものをつくりまして促進をするようにいたしたい、こういうぐあいに考えております。
  166. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたがお答えのように、私どもが地方を回ります場合によく耳にするのですけれども、あの土地は、あの建物は国のです、ところが、どういう内容か知らぬけれども、どうもそのまま使わしてもらっておる。どうして国は不法占拠であるのがわかっていながらいつまでも解決しようとしないのか、何か特別な関係があってああいうことになっておるのだろうとかいろいろな声があるわけです。確かにいま大蔵省お答えのとおりに、不当占拠というようなものがあり、その他いろいろなケースがあるのだと思いますが、これらの解決に対して建設省は今日までどのような取り組みをしてこられたのか。また大蔵省からいまお答えになりましたような要請に対してはどういう取り組みをしてこられたのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  167. 志村清一

    志村政府委員 公共財産の管理の適正化はきわめて大事なことでございますので、私どもといたしましてもこの適正化をはかるための措置を講じたい、かように考えております。公共財産のうちで公共性の高い河川法なり道路法といったような特別の管理法の適用を受けるものについては、それぞれの管理法で措置ができるわけでございますが、また管理法の適用を受けられないものについても逐次市町村道等に編入するというような措置をとりまして、管理法の適用を受けしめるという方向で考えてまいりたいと思っております。それと同時に、法定外の公共財産につきましてはその現状と管理の実清の調査を進めまして、不法占用等によって不当に使われておるといったような場合には原状回復につとめるように指導することといたしております。
  168. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵省のほうでこれを引き継ぐという場合にいろいろと注文をつけられるということになるだろうと思う。大蔵省側からいいますとそれは当然だということになる。ところが建設省としては、これを大蔵省に引き継ぐにあたっては大蔵省が納得して引き継ぐまでにいろいろと費用がかかることになるということから、これが怠慢になる。むしろ意識的にこの引き継ぎを回避するというような形にならぬとも言えないのじゃないか。いろいろなケースがあるだろうと思う。しかしいずれにしても、国有財産がきわめて不明朗な状態に放置されないようにてきばきと処理されていかなければなぬということは当然であると私は思うのです。したがいまして、会計検査院からそうした指摘が再度繰り返されないような措置というものを早急にひとつお立てになる必要がある。  それから、私どもが聞くところによりますと、土地を占拠しておる。あるいは河川なんかでも、だれが埋め立てたのか知りませんけれども、土を捨てたり、何かいろいろなものを捨てて河川敷が移動してきておる。それがずいぶん前のことになりますと何かわけがわからなくなってしまう。そういうことで、現にそれを使用している人が初めそれをやった人ではなくて、次にその上に立っている建物を譲り渡したり何かして、わからないようになってしまう。だから不法占拠しているその人が不法占拠ということを知らないという事例等も多々あるのではないか。だからして、引き継ぐことを促進をするということ、そのことはきわめて重要でありますが、そうした不明確なものを明確にする調査というものがすみやかになされなければならないのではないか。私はそういうことが粗漏になっておるというようなことも多々あるのではないかと思いますが、その点に対してはどのようにお考えですか。  会計検査院からも留意事項としてありますのみで、実情がどうなんだというようなこと等も私は指摘があってしかるべきだと思うのであります。そうした実態というものがここで明記されていないということは、報告としては不十分であると思うのです。そう詳細には紙数の関係もありますから書けないでしょうけれども、単に引き継ぐべきものがそのままになっているんだという指摘ではなくて、ただいま質疑応答の中で明らかになりましたような点等も、やはりある程度は触れていくということが望ましいのではないかと思うのであります。それらの点に対して、それぞれお答えを願いたいと存じます。
  169. 志村清一

    志村政府委員 先ほど先生御指摘のように、国有財産の管理の万全を期するためには、やはりそれらの財産の実情を調査する必要があるという御指摘でございます。私どももさように考えまして、建設省といたしましても、認定外公共物につきましては、国有財産管理の実情を調査するために、本年度予算を五百五十万円ほどいただきまして、調査に取りかかっておるわけでございます。
  170. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 実ははなはだ申しわけないのでございますが、建設省所管の国有財産に関する留意事項は、実は本院の私の局でなくて、一局で所管いたしたものでございますから、ちょっと何とも返答を申し上げかねます。
  171. 中村重光

    ○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしますが、業務監査を受けられてそれによって勧告を受ける。それから勧告に対する各省庁の回答というものがなされておる。それが道路公団であるとか、あるいは住宅公団の関係のものが相当問題点としてあげられておりますが、監察実施概要という形でここに出されておるものの中に、「監察結果 改善を要すると認められる事項については、昭和四十一年十月十一日建設大臣に勧告をした。」勧告概要としては、「公団は、業務の能率的運営を図るため、責任体制を確立し、業績評価を通じて経営改善を行なう配慮が必要である。」こうあります。具体的な内容としては、たとえば事業予算制度を導入するとともに、組織とか人事の管理運用の適正化をはかるなどして経営管理体制を刷新せよという指摘があるのです。公団とか公社ができたということは、俗に言うお役所仕事から抜け出して道路公団等あるいは住宅公団等が進めてまいりますところの事業というものが、やはり企業意識という観点に立って積極的な推進というものがはかられなければならないのだ。そこにあったのだ。ところが人事の問題等に対して、いつも天下り人事であるとか、いろいろ批判もあるのでありますけれども、実際の業務運営というものが、ただお役所の延長にすぎないという傾向が非常に強いということであります。これでは公団、公社に対する国民の期待というものも完全に裏切られ、無視されてくるということになろうと思うのであります。この監察実施によるいわゆる勧告を受けられて、それらの回答をいたしておるようでありますけれども、私はこの回答の内容を見ましても、何だか非常にこう機械的な、回答のための回答というものがなされておるような感じがしてなりません。現実にこれの運営に当たっておられるところの公団の総裁の考え方はどうなのであるか。それから、この勧告に対して具体的にどういう方途を講じて、現在運営に当たっておられるのか、ひとつお答えを願いたいと存じます。
  172. 林敬三

    ○林参考人 住宅公団の林でございます。  ただいまの御質問の内容、まことにごもっともに存じます。公社、公団のあり方というものは、単なる官庁の事業ではない。むしろ特に設けられた趣旨は、仰せのとおりに、活発に弾力性をもって、経済事業体としても決して民間に劣らない、むしろそれよりすぐれた能率のよい経営をするというところにあると存じます。その見地に基づきまして、私ども微力でございますけれども、数年前職務分析委員会というものを住宅公団では設けまして、業務の配分、能率の向上責任の明確化、管理監督上の問題点などについて、どういう点を改善すべきかということについて、種々検討をいたしたのでございます。その結果、最近に至りまして、内部の部課、係の制度というようなものを実情に即して最も効率的に活用できるように改善、整備を加えました。また、これは二、三年前からでありますが、非常に苦心をいたしまして、いわゆる電子計算機その他の合理化をはかるための機械を入れまして、従来の古いやり方から新しくどんどんと事業量がふえてまいります、それをさばく、あるいは建築設計の計算というものをその機械にさせるというような機械化をはかりまして、経営の合理化にもつとめております。  なお、出先の第一線、特に用地の関係の体制が不十分でございました。先ほども質疑がありましたが、土の買収についていろいろな問題が出てまいります。そこで用地に対する部課の整備、あるいは出先の現場の組織の整備というものをはかりまして、またそれらの人の研修というものをなかなか活発にいたしまして、一そうの合理化あるいは能率化、あるいは弾力性のある運営というものを期しておる次第でございます。しかしみずから省みまして、なお不十分でございます。それからなかなか困難な点もございます。完全に理想に沿うような十分の内部のそういう点の改善というものに、まだ到達をいたしておりませんが、今後も一番大事なことは、こういう組織と動き方、人の配分、その人の内容というものを整えることだということを念頭に置きまして、つとめてまいりたいと存じております。
  173. 富樫凱一

    ○富樫参考人 日本道路公団におきましても、ただいま住宅公団の総裁が申されましたようにやっております。行管からいろいろ勧告を受けた問題につきましても、具体的に検討しておるわけでございますが、そのうちの一つの予算統制の問題につきましても、予算と実行がアンバランスのないように、また実行が常に把握されておるようにつとめておるわけでございます。このため公団には事務合理化推進室というのを設けまして、事務の合理化を検討させておるわけでございますが、特に今後、電子計算機等の十分な活用をはかりたいと思っております。また人員の点につきましても、役員が多いという御指摘も受けたわけでございますが、これらにつきましてはさっそく処置を講じまして、調査役等を減らす措置をいたしております。全般的に言いまして、一般の事業とは違いますけれども、やはり企業的な精神で運営をはからなければならぬと思いますので、改善を要するところはさらに改善いたしまして御期待に沿いたいと考えております。
  174. 中村重光

    ○中村(重)委員 行監の勧告にありますように、予算統制の問題に対しましても機関統制ということではなくて、事業予算統制をやれ。具体的には用地であるとか住宅であるとか、あるいは資材であるとか機械であるとか、そういうものがどうなっているのが、直ちにそれが把握できるように、そういうことが必要であろう、こういう指摘ですね。私は当然だと思うのです。国のように四月一日から三月三十一日までという期間、この収支だけを明らかにするということでは、事業の場合には私はそれであってはならない。これは、行管の勧告というのは当然過ぎるくらい当然であろうと思う。もちろん経理というものがずさんであってはなりませんから、最終的には総括的な形の経理を明らかにしていくということ、これはもう当然です。やはり事業の過程においてはそうした事業予算統制をやる、そうして直ちにそれを総裁もつかむことができるということ、そうなってまいりますと、勢い業績の評価というものができてくることになりますね。それが組織の問題に、あるいは人事の問題等に関連してくるという形に、私はなるのだろうと思います。また職員等に対しましても、現場で働く職員それからそういうものに対しては、やはりそうした成績がはね返ってくるわけですね。そこにさらにまた仕事に対して熱意を持って取り組むことになるのではないかというふうに私は感じるのです。役員等に対しては特別昇給という道もあるけれども、現場で、第一線で働くその職員に対してはないのだ。これは公団の場合、あなたのほうを私は言うのではございませんが、いろいろ公社、公団の中にそういうことを聞くのであります。だからして、ともかくお答えになりましたようなその公社、公団の意義、その持つ重要性というものをさらに認識されて、この行管の勧告を生かしていく、こういうことに対して格段の配慮を私は願いたいというように思うわけでございます。  それから国に対しても、公団に十分な自主性を与える。国の指示したところの計画に対して、公団の経営成果というものによって最高管理者の経営責任というものが追及されるように、大局的立場に立って監督に際しても十分配慮していくようにしなければならぬというような、この勧告があるわけです。いわゆる当事者能力というものを十分持たせる、そして生きた仕事をやらせる、いわゆる業績というものが上がっていくようなことでなければならないということの勧告があるわけでございますが、これらの勧告に対して建設省はどのようにお考えになっていらっしゃるか、またこの勧告を受けられたあとにどういう措置を講ぜられたのか、お答え願いたいと思います。
  175. 志村清一

    志村政府委員 御質問の御趣旨、そのとおりかと存じます。公団は、総裁からお答えございましたように、自主性を尊重いたしまして、事務の能率化、効率化をはかっていくということについては、建設省といたしましても十分指導いたしてまいりたいと存じます。
  176. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がございますので、これで終わりますが、ともかく公社、公団に対して痛烈な批判が行なわれている今日であります。こうしたきわめて常識的な勧告というものは、これを積極的に実施する、実施に移していくということに対して特段のひとつ取り組みをいただきたいと思うのであります。部局の削減等に対して、しかも業務を縮小するということに対しては、相当抵抗もあるようであります。この勧告というものは、国はこれら公社、公団をつくったその目的にこたえろということで、むしろ歓迎されるような勧告に私はなっておると思います。それに対する抵抗だとかあるいは難色を示されてこれをいつまでも制限するというような形であってはならない。またこういうことは、時々行なう仕事の上においてこれを生かしていくということに当然なるわけでございますが、十分成果をあげられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 鈴切康雄君。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間の制約もありますので、簡便に御質問申し上げますから、答弁のほうも実のある答弁をお願いしておきます。  近年のわが国の建設投資の伸長は著しいものがあります。これらの公共投資額の伸長増大はわが国の道路、港湾、公共住宅等の充実あるいは災害に対する国土保全等に資するものでありますが、それに伴い土地価格、特に市街地の土地価格はウナギ登りになっているために、これらの投資額のうち、用地取得費の占める比重は年々大きくなっているわけであります。たとえば道路投資では、この用地関係費のウエートは逐年に大きくなり、四十年度においては二〇%以上になろうとしているわけであります。このことは、公共投資額の名目的伸長と公共的施設の実質的充実整備の伸長とが相伴わなくなる危惧のあることを示すものであります。そこで政府土地価格の安定対策について、従来宅地制度審議会の答申も受けているが、しかしいまだ実効ある施策を実行するに至っていないわけであります。この問題に対して、各方面からの総合的施策を要すると思うのでありますが、具体的にどのような対策をもってやられておるか、まず政務次官にお伺いいたします。
  179. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 土地価格の問題は、これはもうずいぶん議会でも議論され、また政府のほうでもこの問題とは真剣に取り組んでまいっておるのでありますが、なかなか現在の都市開発の急激な伸展に追いついていけない、まだまだ不十分な点のあることは私どもも率直に認めなければならぬと思っております。そういう意味において、御承知のように土地収用法等も制定をされまして、それに基づくいわゆる公共用地の土地価格の確保、あるいはできる溶け政府の施策に基づく宅地用亀の造成といったもの等を考えて、あわせて住宅建設の伸展にも資さなければならぬといった問題でいろいろ努力をいたしておるのでありますが、さらに前進した具体的な問題等についてもいま検討を進めておるのでありますが、なお、こまかい問題につきましてはそれぞれ局長から答弁さすことにいたしたいと思います。
  180. 川島博

    ○川島(博)政府委員 物価対策を含めまして、宅地の問題が非常に重要な問題になっておりますことは、先生御指摘のとおりでございます。これに対しまして政府といたしましては、去る四十年の十一月に地価対策閣僚協議会で、地価対策の基本方針というものを閣議決定をいたしたわけでございます。  その内容は、大きく分けて申しますと、一つは宅地の大量かつ計画的な供給を進めるべきであるということでございます。御承知のように、何と申しましても、今日の地価問題は、宅地に対する需要と供給がはなはだアンバランスであるということが根本の原因でございますので、これに対しましては、法的機関あるいは民間の総力を上げまして、宅地を大量かつ計画的に造成するということが必要なわけでございます。このために、政府といたしましては、法的な機関といたしましては、日本住宅公団宅地造成、あるいは住宅金融公庫融資によりますところの地方公共団体あるいは地方住宅供給公社に対しまする宅地造成融資、あるいは民間の土地区画整理組合に対します政府資金の無利子融資、そのほか民間の宅地造成事業につきましては、住宅金融公庫によりますところの融資保険制度等々によりまして、宅地を少しでもたくさん、しかも、すみやかに供給するということに大きな力を入れている次第でございます。  第二番目は、都市特に大都市近郊の宅地開発を大規模かつ大量に行なうということとあわせまして、都市問題として考えますときに、既成市街地内の土地利用、それが現在東京都あたりでも平均一・六階といわれておりますが、この既成市街地の既存の宅地を高度利用するということを進めることもまた土地対策に対する第二の大きな柱になろうかと思います。これに対しましては、政府は、五十五国会以来、都市再開発法案を提案をいたしまして、現在継続審議ということになっておりますが、この都市再開発法案のすみやかな成立を願っておるわけでございます。  また、別に、現在政府は、都市開発資金制度を設けまして、たとえば、工場あと地等の公共用地転用のための買い上げ資金融資いたしておりますが、これらの制度もやはり既成市街地の高度利用に連なる大きな一つの政策の柱となっておるわけでございます。  それからもう一つ、政府は、都市計画法の全面改正法案を同じく五十五国会に提案いたしまして、現在継続審議になっておりますが、この法律が成立をいたしますと、従来の乱雑な都市近郊の土地利用が、市街化区域と市街化調整区域に分けまして、計画的な土地利用計画の合理化が実現をするわけでございます。これも広い意味におきましては、現在の近郊に対するスプロールを防止する有力な手段になりますので、これが成立いたしますと、また今後の土地対策には一つの大きな転機になるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  さらに、去る五十五国会で成立いたしました土地収用法の改正、これは従来公共用地の取得が裁決時の価格できまっておりましたものを、事業認定時の価格に固定するという、従来の公共用地取得制度といたしましては画期的な改善措置がとられたわけでございます。この法律は来年の一月一日から施行になるわけでございますが、これによりまして、従来の公共用地取得に伴います、いわゆるごね得と称されるようなことが一掃されまして、この公共用地取得の合理化がかなりはかられるのではなかろうかというふうに考えております。  また、もう一つ、地価対策に関しましての基本方針といたしましては、土地に関する税制の改正、これも相当大きなウエートを占める項目の一つではないかと私どもは考えておりますが、これらにつきましては、数年来いろいろ検討を加え、また若干の改善もなされたわけでございますが、税制に関してはまだまだ残された問題点が多いわけでございます。これにつきましては、御案内と思いますけれども政府の税制調査会の中に土地税制特別部会というものを設けまして、土地に関する税制専門に現在審議が行なわれておる次第でございます。この土地税制部会は、来年の六月までに思い切った改革案を御策定願うことになっておりますので、私どもは、ただいま、それの成果が一日も早く確立いたしますように願っておる次第でございます。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、あなたが言われたとおり、都市問題は非常に重要な問題であり、わが国においても深刻な問題を投げておるわけであります。公害、交通、住宅等の各種の難問題は相互に関連していることから、大都市の抜本的再開発の要請がなされているわけであります。政府はすでに公害防止事業団を発足さして、現在、都市開発公団の構想も四十三年度予算要求の中に関連して打ち出していると聞くのでありますが、いかなる内容のものか、明らかにされたい。  なお、公団等の整理統合が行なわれているときに、都市問題の深刻面とあわせ、本公団構想の見通しはどういうものであるか。また、東京については、機能分散の観点から、研究学園都市の建設に着手し、用地買収も本格化したが、移転施設の決定等、事業進捗状況についてお伺いいたします。
  182. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  都市開発公団の新設要求でございますが、実は、これは来年の予算で要求をいたしておる次第でございますが、この要求は、実は両三年来の問題でございまして、四十一年度予算、四十二年度予算、続いて四十三年度予算と、三年にわたって要求してまいった次第でございます。  この要求の内容でございますが、現在、日本住宅公団宅地部におきまして、宅地造成事業を公団直轄で相当実施をいたしておるわけでございますが、日本住宅公団は、本来、都市勤労者のために不燃耐火構造の中高層の住宅を供給するということをたてまえに発足をいたしました関係で、この宅地造成部門というのは後に公団の業務に加わったものでございます。したがいまして、これだけ全国的に公団が大規模に手を広げてまいりますと、住宅部門と、一方、宅地開発という二つの大きな仕事を同一の公団で実施するのはなかなか困難であるということから、公団の宅地部門を中核といたしまして、あわせて今後重要な問題となってまいります市街地の再開発、東京や大阪市内の再開発にも手を広げまして、この大都市近郊の新市街地の開発とあわせて、既成市街地内の都市再開発にも相当力を入れるべきじゃなかろうか。そのためには、現在日本住宅公団が片手間で——片手間と申しては語弊がございますけれども、やっておりますものを、やはり独立した機関として要求をし、これが新設をすれば、宅地の供給についてはさらに円滑を期せられるのではないか、こういう前提のもとに、来年度都市開発公団の新設を要求しておるわけでございます。  また、研究学園都市につきましても、そのねらいは、あまりにも産業や人口の集中し過ぎた都心部から大学やあるいは政府関係の研究機関をまとめて茨城県の筑波山ろくに移そうという構想で、現在住宅公団が宅地取得造成に入ったわけでございますが、これに移転すべき機関としては、去る九月であったと思いますが、大体政府関係機関として移転すべきもの三十六を内定をいたしてはおるわけでございます。  なお、都市開発公団の新設要求が、この際の財政硬直化あるいは行政機構の縮減とからんで今後どうするおつもりかというお尋ねでございますが、問題が重要でございますので、これは政務次官からお願いをいたしたいと思います。
  183. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 先ほど吉田議員からもお尋ねがありましたので、私からお答えいたしたのでありますが、ただいま局長から申し上げましたような趣旨でずっと要求をいたしてまいったわけでありまするけれども、一省一局削減といったような行政機構縮減の時期にもなってまいっておりますいまの時点で、これは真剣に再検討しなければならぬというふうに思っております。
  184. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 また建設省は、大都市の建設行政と交通行政の連絡強化のために運輸省との連絡協議会を開くことを申し合わせたと報じられておりますが、超高層ビルの建設のあり方について、いかなる検討をされているか。
  185. 三宅俊治

    ○三宅説明員 超高層ビルの建設につきましては、現在の制度では建築基準法上容積地区という制度に基づきまして、建物の容積をきめまして、その容積の範囲内でございまするならば、超高層ビルは建設されるという制度になっておるわけでございます。しかしながら、超高層ビルになりますと、その建物自体の全体的な床面積というものが比較的一般の高層建築物よりは大きくなる可能性が強くなるわけでございますので、その立地につきましては十分慎重に検討いたさなければならない、かように考えております。しかしながら、現在のところ具体的な問題としてきまっておりまする都市計画の線に沿って定められた容積の範囲内において建てられる超高層ビルにつきましては、これを規制する措置はございませんが、現在建築審議会の答申を得て建築基準法の改正等を検討いたしておりますので、その際に超高層建築物の立地制限とあわせ含めて十分に検討いたしたい、さように考えております。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次は住宅対策ですが、日本住宅公団の用地取得については、昭和四十年度会計検査報告において依然として、一つには売買実例のとう方が不適切である。第二には民間精通者の鑑定評価のとり方が不適切である。三番目には、売買実例の鑑定評価の時期のとり方に問題がある。また、今後公団はますます膨大な土地買収が必要であると思うのでありますが、その売買価格は他にも影響するし、また用地収得は困難を増す傾向にあるので、職員の配置等、改善を要すると、そのように言っております。すでに船橋団地あるいは清瀬団地とか花見川団地の公団の用地の収得については質疑が行なわれておりますが、これにかんがみて、公団としては用地の収得についてはいかなる改善策を具体化されているかということが一つと、また、建設省として当面の土地価格政策としても評価鑑定制度の強化等改善すべき点はないかという点をお伺いいたします。
  187. 林敬三

    ○林参考人 本日午前にもこのお尋ねがございました。また重ねてお尋ねをいただいて恐縮に存じますが、四十年度会計検査院の検査のときもこの問題が出まして、非常に土地というものの値上がりがほかのものに比して激しいときでございまして、そして、ことに大都市圏の周辺というものが異常な状態になってまいりますもんですから、そこにまたいろいろ暗躍する者もおりまして、ま正面から自治体と相談をしながら、各方面と調整しながら土地をまとめて買います公団として、この問題は苦心惨たんいたしてまいっている問題でございます。しかし、一歩一歩いいものに、いいものに、しっかりしたものに改善していかなければなりませんので、御質問の点につきましては、制度といたしましては、いままでは鑑定評価というものを公団みずからの手によって付近の近傍類似の売買実例の適切なものをとりまして、それから推定算出をいたしました地価をもちまして相手方と——もちろん売り値と買い値とございますが、そこで妥当な点を出しまして、買っておる場合が多くて、それで疑わしいときはいわゆる不動産鑑定士その他の第三者鑑定機関の鑑定をとるということで裏づけをしてまいったのでございますが、いろいろそのとり方もまたむずかしく、また調べに行った場合に答える人がほんとうを言ってくださるかどうかという点のむずかしさもありますし、また流動する価格の問題でありますので、鑑定につきましてむしろ従来の方針をさかさまにいたしまして、第三者鑑定機関の鑑定を主体にする、そしてそれに、しかしそれだけでは——やはりもっと安く買える場合もありますので、公団みずからの調査もあわせ行ないまして、それで鑑定価格を出して買う、それ以上だったら買わないというような方針にいたしております。そして大体第三者鑑定機関を初めは一ヵ所、それからいよいよ決心するときには三ヵ所にふやしていく。こういうようなことで、少なくとも三ヵ所の鑑定機関の判定をとって妥当な価格を出して誤りない方向へ進めることに改めました。  それから組織につきましては、用地関係が急にむずかしくなる、急激に困難を増しております。そこで用地の人間をやはりどうしてもここではふやしていかなければならないという点がございます。また用地の組織というものをふやしていかなければならないというので、第一線の用地係あるいは用地課というものを整備をいたしまして、また人数もできるだけの増加をはかりました。また、数がふえただけでもいけませんので研修も厳重にいたしまして、一そうの質の向上をはかるようにいたしております。  また、買収の形としては個々の地主との直接契約というものを主体といたしております。しかし、一ヵ所に二百人も百何十人もというところは非常に困難であります。また、一人一人で土地を売る割合が違いましたり、土地の値打ちが違ったりする場合がございますので、これを一括代理契約でやるということで、地主代表が出てきてそれとやります。あるいは一括代理契約ということで地主からの委任を受けた者が来ましてそれとやる場合もあります。しかしその場合が全体の中で三分の一くらいのケースになると思います。これはなるべく避けていぎたいと思いますが、やむを得ない場合はそういう形をとって、まとめて何十万坪という土地を買うわけでございますが、その場合にその代表になる人の信用の調査というものを一そう厳重に、人の信用の調査はむずかしいのでありますが、いたしまして、やはり信用を傷つけるおそれのあるような方を出してこられたときはかえていただくが、かえなければその売買契約はあきらめるというような形で今後厳重にいきたいと思います。そこで中間搾取があったとかいろいろな声がないように、個々の地主の代表者と契約したときは必ずその契約の内容を通知してやる。また代金を渡すときはそのつど必ず地主の立ち合いを求める。立ち合いがなければ代金は渡さない、こういうようなことにいたしまして、それをまた売買の一番初めに集まって納得してもらう。こういう方向で、せっかくの、また恐縮な会計検査院の検査がありました機会に一そう厳重なものにして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。土地が買えないで困るんで、もうほんとうに少しでもほしいんであります。しかし、やはり結局根底は、それよりも信用のほうが大切だという感じでもっていたしております。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 また住宅対策費ですが、各年度の繰り越し額を見てみますと、大体、毎年二割近いものが翌年度に繰り越されておりますが、四十年度においても三十九億円以上が繰り越されておるわけであります。このように多額の予算の未消化があることは、住宅の緊要度の高いことからしても改善を要することだと思うのですが、当局は、その原因、対策についてどのような見解を持っておられるか。またこの繰り越し額の発生原因についても、用地高騰による収得の困難さがあるが、政府の施策住宅につき、遊休国有地の利用可能性があるかどうか調査をしたことはあるか。調査したことがあれば、その説明をお願いしたいと思います。これは住宅公団並びに建設省のほうにお願いします。
  189. 三宅俊治

    ○三宅説明員 政府施策住宅の繰り越しがございますことにつきましては、先生お話しでございますけれども、これの原因につきまして、私ども事業主体に十分調査をいたしますと、相当部分が、やはり用地の取得難に基づくものが大部分であるようでございます。そこで私ども政府施策住宅の強力な建設推進をはかるためには、用地の先行取得ということに力点を置きまして、次年度以降、用地の取得が容易になるように極力つとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  御指摘の、国有地は政府施策住宅に十分使えるものがあるかどうかということにつきましては、私ども調査いたしたことはございますけれども、十二分に資料の収集、把握ができませんのでつまびらかではございませんが、なかなか——国有地の適当なところは、もうすでに転用済みあるいはもうすでに住宅として使われ済みであって、今後の問題といたしますと、なかなか適切なところが少ないのではないかというような感じがいたします。まだ十二分に調査し、御報告する段階にはなっておりません。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省としては、国有地の払い下げに対して長期的土地利用計画を考えての払い下げを行なっておるかどうか、大蔵省の基本的な方針についてお伺いします。
  191. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  国有財産のほうの処分にあたりましては、現下の土地事情にかんがみまして、国民経済の発展あるいは国家施策の円滑な遂行をはかるというような考え方で仕事を進めておるわけでございます。少し詳しく申し上げますと、公用あるいは公共的な用途への優先的な転用、活用をはかるというのが基本的な考え方でございますが、特に都市あるいはその周辺におきましては、そこの形状あるいは性質あるいは環境等、将来におきまして、国において必要があるかどうか、あるいは当該地域に関しまして開発整備に関する諸計画に基づく社会的な要請があるかどうか、そういう点あるいはその他の点を十分に総合勘案いたしまして、長期的な見通しのもとに、その財産をどういうぐあいに活用するのが一番いいか、最も有効であるかということを考えながら処分を進めてまいっておるような次第でございます。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 既成公営住宅の平家建てのビル化については、居住者との間に非常に円満を欠く面もあったといわれておりますが、その経過はどういうふうになったか、またその進捗状況についてお伺いいたします。
  193. 三宅俊治

    ○三宅説明員 市街地の中にございます木造の公営住宅等につきましては、私どもといたしましては、極力中層、高層の公営住宅に建てかえるように行政指導いたしておるわけでございますが、しかし、現在の公営住宅法のたてまえから見ますと、強制的に建てかえるということにはならないわけでございます。やはり入居者との間の話し合いによりまして、これを進める以外に方法はございません。具体的に申しますと、工事中の入居先の問題、あるいはその後に新しく改築されました場合の家賃の問題等々ございまして、事業主体といたしますと、建てかえには非常に難渋を来たしておるのが実情でございます。しかし、私どもといたしますと、市街地の都市の高度利用という点から、ぜひ強力な行政指導のもとに円満解決の上で建てかえがなされることを現在望んでおるわけでございます。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、住宅金融公庫融資額は、実際の建築単価また敷地単価及び融資対象規模において実情に全く即していないと思われるわけでありますが、持ち家制度の施策の支柱として、四十三年度予算においてどのように改善をし、そして実情に即させるかということが、まことに重要な問題だと思われるわけでありますが、その点についてお伺いいたします。
  195. 三宅俊治

    ○三宅説明員 住宅金融公庫建設単価の問題でございますが、住宅金融公庫建設単価が非常に低いために、実際に貸し付けを受ける場合に、きめられた貸し付けの割合よりか非常に少なくなった額しか借りられないということにつきましては御指摘のとおりでございます。私ども逐年この単価の是正に努力をいたしてまいっておりますが、なかなか建設費、用地費の上昇等に追いつかないのが実情でございます。明年度予算につきまして例を申し上げますと、平均をいたしまして、工事費で二四%程度、それから用地費では積み上げ計算でございますが、平均いたしまして二一七%の予算要求をいたしております。実現はなかなか困難でございますけれども、極力この単価の是正に努力をいたしてまいりたい、かように考えております。      ————◇—————
  196. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、雇用促進事業団調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人出頭の日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参考人各位には、お忙しいところ長時間調査に御協力をいただきましてありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせいたすこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時九分散会