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1967-12-14 第57回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月四日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 久保 三郎君    理事 野間千代三君 理事 河村  勝君       阿部 喜元君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    大竹 太郎君       金丸  信君    木部 佳昭君       徳安 實藏君    中川 一郎君       原 健三郎君    福家 俊一君       堀川 恭平君    水野  清君       山村治郎君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       下平 正一君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       山下 榮二君    石田幸四郎君       松本 忠助君     ――――――――――――― 昭和四十二年十二月十四日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 木部 佳昭君    理事 砂田 重民君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 久保 三郎君    理事 野間千代三君 理事 河村  勝君       阿部 喜元君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    大竹 太郎君       徳安 實藏君    中川 一郎君       福家 俊一君    水野  清君       山村治郎君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       下平 正一君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      宮脇 幸彦君         法務省刑事局公         安課長     豊島英次郎君         法務省刑事局参         事官      吉田 淳一君         労働省労政局労         働法規課長   大塚 達一君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 十二月四日  委員金丸信辞任につき、その補欠として砂田  重民君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員石田幸四郎辞任につき、その補欠として  沖本泰幸君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員沖本泰幸辞任につき、その補欠として山  田太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山田太郎辞任につき、その補欠として沖  本泰幸君が議長指名委員に選任された。 同日  理事進藤一馬君及び細田吉藏君十一月二十八日  委員辞任につき、その補欠として木部佳昭君及  び砂田重民君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月十二日  東京都品川区の小、中学校の飛行機による騒音  防止に関する請願宇都宮徳馬紹介)(第四  八号)  同(大柴滋夫紹介)(第二三二号)  同(加藤勘十君紹介)(第二三三号)  対馬航路改善に関する請願塚田徹紹介)(  第八〇号)  同外一件(西岡武夫紹介)(第八一号)  同(木原津與志君紹介)(第二三四号)  同(白浜仁吉君)(第二三五号)  南九州沿岸海域航路標識新設等に関する請願  (池田清志紹介)(第二三一号)  東京都の港湾河川しゆんせつ整備に関する請願  (四宮久吉紹介)(第二三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月九日  小型船舶操縦士の免許に関する陳情書  (第八七号)  鉄道軌道等における公共負担改善に関する陳情  書(第八八号)  海上交通法早期制定に関する陳情書  (第八九号)  国鉄市街地高架化に関する陳情書  (第九〇号)  四国、瀬戸内ルート拡張指定等に関する陳情  書  (第九一号)  関西線電化並び城東貨物線客扱運行促進に関  する陳情書(第九  二号)  農道の踏切改善に関する陳情書  (第九三号)  宇都宮運転所電車業務機関廃止反対に関する陳  情書(第九四  号)  昭和四十三年度奥羽本線複線化電化工事予算確  保に関する陳情書  (  第九五号)  山陽新幹線の建設促進に関する陳情書  (第九六号)  東北新幹線の早期実現に関する陳情書外一件  (第九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄財政及  び合理化に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 内藤良平

    内藤委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  理事進藤一馬君及び細田吉藏君が委員辞任されましたので、理事二名が欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤良平

    内藤委員長 御異議なしと認めます。よって、理事木部佳昭君及び砂田重民君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 内藤良平

    内藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため、  一、陸運に関する事項  一、海運に関する事項  一、航空に関する事項  一、日本国有鉄道経営に関する事項  一、港湾に関する事項  一、海上保安に関する事項  一、観光に関する事項  一、気象に関する事項について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤良平

    内藤委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決定いたしました。  なお、議長に提出する国政調査承認要求書の作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、御了承を願います。      ————◇—————
  6. 内藤良平

    内藤委員長 この際、運輸大臣及び政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。中曽根運輸大臣
  7. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回運輸大臣を拝命いたしました中曽根康弘でございます。  現下日本情勢を見ますと、運輸行政の非常に重大なることを痛感いたしまして、全精力を傾けまして、御期待に沿うように努力いたしたいと存じます。  私の運輸行政に対する考え方といたしましては、まず第一に、運輸省サービス官庁として、国民皆さま方に対するサービスを専一にするという心がけでまいりたいと思います。このことは運輸省当局のみならず、麾下にありまする陸、海、空の諸企業体に対しても、その精神をもって行なうように指示し、また実現してまいりたいと思っております。  第二に、運輸省は、日本経済成長の大事な部面を担当しておりまして、経済動脈中枢部を握っておるわけでございます。したがいまして、今後の日本経済成長考えますと、その隘路である輸送関係を打開するということが非常に重大な使命でありまして、その点につきましても大いに努力してまいりたいと思います。  なおまた、最近やかましい都市計画問題国土計画問題等につきましても、建設省やほかの諸官庁とも連絡を密にいたしまして、運輸行政がおくれをとらないように、むしろ先行的条件として、運輸的志向をもってそれらの諸計画を実現するように努力してまいりたいと思います。  また、当面の問題でありまする物価の問題につきましては、輸送賃というものは物価大宗を占めるものでありまして、その点に留意いたしまして、物価引き下げにも協力してまいりたいと思います。  なお、先般来運輸省下部機構において一部不祥事件新聞に散見いたしましたが、これは一面において官紀の弛緩によるところと同時に、また、その接触しておりまする業界が、わりあいに近代性合理性に欠けているところからも来ているところでもありまして、その部分につきましては鋭意改善につとめまして、官紀を振粛し、合理化近代化を徹底いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。  何ぶん御教導のほどをお願い申し上げます。(拍手
  8. 内藤良平

  9. 金子岩三

    金子政府委員 このたび運輸政務次官に就任いたしました金子岩三でございます。どうか皆さん方の御協力と御鞭撻をお願い申し上げます。  ごあいさつにかえます。(拍手)      ————◇—————
  10. 内藤良平

    内藤委員長 次に、日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野間千代三君。
  11. 野間千代三

    野間委員 ただいま大臣のほうから、就任されての運輸行政に対する御見解が披露されまして、たいへんわれわれも期待をしておる中曽根大臣から、運輸行政に対する考え方が、非常に端的ですが、いわばわれわれが希望する方向でのごあいさつでございました。実は、実力者大臣としてわれわれも期待をしているところでございますので、いま御表明になった方針に基づいて、ぜひ現下の、たとえば都市の交通なり、あるいは航空の問題でもたとえば成田空港であるとか、あるいは港湾でも集約あるいは合理化であるとか、あるいはコンテナ輸送であるとか、そのように全般的に多くの問題がひそんでおると思いますので、ぜひひとつ、もはや——これはちょっと語弊があるかもしれませんが、官界出身大臣の容易になすべき時期ではなくなったという事態にまでわれわれは考えるわけであります。ぜひ中曽根大臣の乾坤一てきの御努力をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  それで、たくさん問題がありますが、とりあえず最近の国鉄の問題について、二、三大臣の御見解を承っておきたいというふうに考えます。  御存じのように、国鉄はいま財政危機というふうになっておるわけですね。すでに一兆五千五百億円もの負債をかかえ、一日五億数千万円の元利償還をしているというような状況にありまして、しかも通勤輸送なりあるいは大臣の言われる国の経済動脈中の動脈ともいうべき国鉄の健全な再建というのはいわば焦眉の急にあると言わなければならぬと思うのです。  そこで、最近言われておる問題として、一つ定期運賃値上げというのがだいぶ問題になっております。これは先般の予算委員会での国鉄総裁の御答弁では、元気を出してやるんだというふうな、たいへん強い御意思の表明があったのでありますが、総裁としては、これは経営を預かる立場でそういう言い方になるかもしれません。しかしながら行政を預かる大臣としては、定期運賃値上げは必ずしも国鉄財政の問題だけとしてとらえるべきでない、いまも言われましたように、物価の問題、政治の問題としてとらえるべきである、したがってそう一がいに運賃値上げしていいというふうにはなかなか言いかねるという意味の御発言があったというふうに私ども承っております。ただ問題は、おそらく総裁も好んで運賃値上げをしたいということではないと思うのです。やはり国鉄財政の急場をしのぐ一つの方法としてそう考えているというふうに思うのですが、この経過を見てまいりますと、実はいま問題の第三次長期計画策定するときに、第一次、第二次の五カ年計画では、大臣も言われた国鉄輸送経済の発展に先行していくということでは、すでに手おくれである。したがって、先行するだけの力を国鉄輸送力につけなければならぬという考え方で、第三次七カ年計画策定をされたと思います。  その策定をするときに、そういうことで考えていけば、もはや国鉄だけの問題ではなくて、政府そのもの建設計画なりあるいは資金の調達に責任を負うべきだという考え方に立つべきだということで、三十九年の十一月に日本国有鉄道基本問題懇談会というのが閣内にできました。各省庁の次官中心にして、脇村東京大学教授議長になり、各経済関係次官が参加をしまして懇談会成立をいたしました。この懇談会成立をして十一月の二十七日に答申が出ております。この答申基本となっている考え方は、これは国鉄重要性、それと国鉄輸送力日本経済に先行して強化をすべきだ、そのためには二兆九千七百二十億という膨大な資金投資をしなければならぬが、その工事資金については政府責任を負わなければならぬということが大前提としてうたわれております。この資金政府責任を持って調達すべきだ、あるいは政府みずからが出資をすべきだという考え方基本になって、なおかつそれ以外に、たとえば利子の補給であるとか、あるいは市町村納付金の減免であるとか、その他の問題がたくさんありますが、あるいは運賃適正化だとかいうふうにも書かれておりますが、前提としては政府責任を負うというふうになっておるわけですね。そういう考え方で出発をしたのでありますけれども、行なわれました政策は、四十一年三月の運賃大幅値上げということだけであったのは御承知のとおりであります。  この四十二年の予算をつくりますときに、運輸大臣大蔵大臣の間でたいへん大きな折衝がありました。その折衝がありましたときに、当時国鉄では九百億円の政府出資を求めておりましたが、それが最終的には妥結をいたしませんで、最後に国鉄運輸省と大蔵省との間に予算のとりきめをいたしました。最終的な一つ結論として、当時の記録を見ますと、こういうふうになっております。二月二十八日に国鉄運輸省並びに大蔵大臣との関係の中で、新たに財政投融資二百億円、特別債百三十億円、合計三百三十億円を九百億円の要求に対して追加をする。よって工事規模の総額は三千七百八十億円とするが、ただし、要求のあった政府出資公共負担の是正については四十三年度予算までに必ず検討する、こうなっておるわけですね。  これを受けて、一方、自由民主党の政調会国鉄基本問題調査会という機関があるようでありますが、そこで「国鉄財政再建について」というのを、ことしの九月八日にあらためて国鉄内容を検討して結論を出しております。この結論で見ても、工事規模確保したりあるいは通勤対策確保をするために、政府出資をすべきであるという考え方が明らかに出されております。主たる項目は、政府出資財政投融資確保利子負担の軽減と市町村納付金廃止、ここまでうたわれております。  これは新しい大臣なのでちょっと経過を申し上げたのでありますが、そうなっております。私は、大臣の言われる運賃値上げについては物価問題として慎重に取り扱っていただくという考え方で、なおかつ、政府出資について大きな努力をしていただかなければならぬのではないかというふうに考えます。いま予算の編成時期でたいへん微妙な時期ですから、そう断定的なことはなかなか言いにくいと思いますが、運輸大臣国鉄財政に対する考え基本としてどうお考えかということについてひとつ伺いたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 野間委員のお考え方に私は全く同感であります。国鉄はいま第三次輸送力増強計画を実施中でございまして、通勤輸送あるいは幹線輸送あるいは保安施設強化等につきまして全力を傾倒しておるわけであります。特に通勤輸送赤字大宗をなしておりまして、その点の打開について国鉄総裁も非常な努力を傾注されておるわけであります。この点につきましては私は非常に敬意を表しております。  そこで、この赤字克服という問題の処理でありますが、自民党の内部の政調会の御決定もあり、また国政全般も見まして、通勤定期というような問題はある程度食管会計赤字的要素が私はあると思う。つまり社会政策的要素が非常にあるのであって、必ずしも経済ベースだけでは考えられない要素がある、そういう考慮も持ちまして、できるだけ値上げを回避するように財政当局とも実は交渉する腹がまえでおるのであります。政府としてはいま補正予算を通すのに懸命でありまして、まだ来年度予算については話し合いをしておりません。話し合いを始める段階になりましたら、自分はそういう考えを申し述べるつもりでおります。しかし全般的に見まして、今度の国鉄要求は非常に合理的な要素を持っておりまして、第三次輸送力増強計画は断じてやり抜かなければなりませんし、それを実現するためには国鉄の要望の線というものは相当考えてやらなければならぬものであろうと思います。特にいま御指摘の政府出資三百九十五億の問題それから地方団体に対する納付金、来年は百八十二億、これを全廃するということ、これらの点は非常に大事なポイントであると思いまして、お説のとおり努力する決心であります。
  13. 野間千代三

    野間委員 お答えとして、基本的な考え方としてたいへんけっこうだと思います。ぜひそういうことで一そうの御努力をいただきたいというふうに思いますが、実はわれわれ社会党としても、運賃値上げ問題以外の国鉄要求については、多少政府出資の問題では金額の点で十分ではないというふうにも考えますが、基本的には賛意を表したいと思います。できれば政府出資の額をもう少しいま問題の通勤輸送とか幹線輸送増強のためには必要じゃないかというふうに思いますので、ぜひそういう方面に重点を置いて、ひとつ一そうの御努力をいただきたいというふうに思います。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま納付金の問題を申し上げましたが、私、数字を間違えまして、百二十八億円のところを百八十二億円と申し上げました。訂正いたします。
  15. 野間千代三

    野間委員 それでは時間がありませんので、財政問題についてはまた別の機会を見て大臣の御見解を承ることにして一応終わります。  次に、最近、この二、三日、国鉄合理化問題ということで労使に多少の見解の相違があるということで新聞紙上に多少にぎわっておる関係がありますので、これは国鉄総裁運輸大臣に二、三承っておきたいのであります。  いま年末の時期で、国鉄運行が支障があるというのは、まあ国民から見ても必ずしも好ましいところではないというふうにも思うわけであります。ただおそらく、だれしも、労使双方とも好んでやるのではないでしょうから、それにはそれぞれ事情があるだろうと思います。いまの国鉄合理化の問題ですが、全般的に——これは個々をとらえてみればたくさんあります。一応全般的にとらえてまいりますと、先ほど申しました第三次七カ年長期計画が始まるまで、そうしてそれが進行してくる過程までのうちに、大体部内的な合理化は一応済んでまいったんじゃないかというふうに考えられます。われわれも運輸行政にあずかる者として、多少国鉄合理化内容等について検討してまいっておりますが、大体そういう傾向にあるんじゃないか。たくさん申し上げる点がありますが、たとえば一番根幹になっておるといいますか、一番運行関係のある電気という方面をとってまいりますと、電力需給力増強あるいは通信の自動化無線化あるいは信号の自動化、そういう方面電気関係の主たる合理化内容になると思いますが、そういう方面での国鉄合理化内容を見ると、業務量のほうは、たとえば電力需給力については二四五%になっておる。三十年から三十九年までの間にそのくらいに進んでおる。総体的に大体二倍くらいの勢い自動化が行なわれ、業務の増が行なわれているというふうに見て差しつかえないというふうに見えます。ところが人員のほうは、業務量なり合理化なりが二倍に進んでおるけれども、実員のほうは三十年当時から見ると三十九年では約一割以上が削減をされている。数字をあげると、二千二百六十人の削減が行なわれておるというのが実態であります。したがって、業務量は二倍になって人員は一割減ったのですから、その割合を見ると、相当大きな合理化が行なわれておるというふうに見なければならないと思います。そういうふうに合理化がたくさん行なわれておりますから、もはや部内での合理化の限界にはきているのじゃないか。したがって、今度行なわれようとしている合理化の大きな根幹は、国鉄がいま行なっている業務を民間に委託をするということが中心になって、どうも今回の合理化が行なわれようとしているのではないか。ここにただ単に組合側が、合理化して人員が減るからということだけでなくて、国鉄の安全という問題からきて、国民国鉄を預かるという責任感からもきて、当局の反省あるいは交渉を進めていきたいという考え方が根底にあるのではないかというふうに思います。それは総裁、どうですか。
  16. 石田禮助

    石田説明員 お答え申し上げます。  国鉄業務量というものは、終戦後えらい勢いでふえておる。昭和二十五年をもとにすると、最近までに倍以上にふえている。それにもかかわらず、国鉄職員というものの数はふえておらぬ。全くこれは合理化によってまかなったわけです。しかし、それではそれでいいかというと、そうはいかない。つまり世の中の情勢というものは刻々として、着々変化している。進化している。つまりそこにおいて、単にこれは国鉄ばかりではない。すべての企業は、もうその日その日、よほど頭を鋭くして、その変化に応じたような合理化をやっていかなければ生きていく道はないのです。国鉄またしかり。最近における状態を見ると、三十二年から四十一年までの間に、国鉄はその合理化の線に沿うて五万七千六百人の合理化をやってきた。これはつまり、人間をふやさないで、配置転換によってまかなっておる。ところがこの社会情勢変化というものは、えらい勢いで進んでおる。ことに最近において著しい。いま、野間さんも御承知だと思うのですが、職員の作業時間なんというものも、近く週に二時間短縮せねばならぬ。これに対して国鉄というものは、現在の業務量を扱っていくだけで、どうしても二時間短縮するために二万人の人間をふやしていかなければならぬ。それから、さらに国鉄は第三次計画でもって輸送力をふやす。したがって、輸送量というものはふえる。それを取り扱っていくのに、三万人の人間が要る。合計五万人の人間が要る。あたりまえなら、これは五万人の人間をふやしてやればいいんです。ところが、なかなかそうはいかぬ。これはわれわれから見て、できるだけ合理化につとめるということにせねばいかぬ。そうしてふやさないで、現在の職員の数をもってまかなっていくというところにわれわれの決心をせねばならぬということで、さもないと国鉄独立採算制というものが維持できぬ。ということは、御承知だと思いますが、現在における国鉄の収支の状態を見るというと、人件費というものが輸送収入の六割一分から六割二分を占めている。それで国鉄のいまの収入状態を見ると、終戦後道路の発達輸送状況発達によりまして、終戦前までに国鉄が占めておった輸送上における独占性というものに大きなひびがいっている。このひびがますます大きくなるということで、収入増はなかなか思うにまかせぬ。これに反して物価の騰貴による人件費の増というものは、えらい勢いでふえていく。この四、五年における人件費の増なんというものは、毎年一割以上だ。この調子でいった日には、六割二分が六割三分になり六割四分になり六割五分になるということで、独立採算制というものは維持できぬ。どうしてもこれは合理化によってまかなっていかねばならぬ。  それでは合理化の余地があるかと言えば、大いにあるわけです。つまり、いま輸送の安全ということを非常に強調されましたが、これは何も組合ばかりでなくとも、国鉄責任者として輸送の安全ということはどこまでも徹底的にやっていかなければならぬ。つまり、輸送の安全あって初めて輸送力あり。安全のない輸送力なんというものは、これはナンセンスです。そういう意味においてわれわれは、この国鉄輸送の安全というものを犠牲にして合理化をやろうなんという、そういうばかな考えは持っていない。だからして、今後合理化をやるにしても、あなたの言うような安全というものについては、ほんとうにまじめにやります。ということで今日まできたんだが、私はこれは決して無理な合理化をやらぬ。だれが見てもこれはもっとも千万だというような合理化をやる。  御質問によりましては具体的な問題はこれから申し上げますが、大体そういう精神でやっておりますので、その点はどうぞ御安心願いたいと思います。
  17. 野間千代三

    野間委員 石田総裁の骨組みある精神はよくわかっておる。就任の当時からそれはよくわかっているのです。その精神のとおりにいっていただきたいといま思っておるわけですが、ただ問題は、ぼくもそれは安全なくして輸送はないのであります。ただ現在の状況を見ると、いま行なわれていることは、どうも安全について危惧がある。それは総裁は自分でやっているんだから、いや全然心配ないというようにいばっていられるが、はたから見ておって、あるいは運輸行政に携わる者として心配することがありますということを申し上げている。  それで、たとえば部外に——いま総裁が言われるように、まだ部内でもあるいは多少の合理化の余地があるでしょう、あるかもしれませんね。あるいは機械の進歩であるとか、時代の進歩によって合理化の機会があるでしょう。ただ、いま行なわれている問題を見ると、相当部外委託というところに合理化を求めているという傾向が見受けられるというふうに考えられるのです。いま総裁がいきまかれるからちょっと申しますが、それでは部外の委託をした相手方に安全輸送に対する能力が十分にあるのかということになると、多少問題がありはしないか。たとえばことしの四月二十六日の新小岩、東神奈川における架線の事故、このために運休が十本出ておるわけであります。おくれが三十四本その他十九本で、六十三本の事故があった。同じ四月に、東北線の浦和の構内で同じく架線の事故があった。このためにウヤ(運休)が六十八本あった、おくれが百十八本あった。こういうことで、一架線をとってみてもそういうふうに問題がある。したがって、しかもいま電気関係で見てみますと、合理化の中にこの架線の修理あるいは保守、そういう方面を外注におろそうという考えがあるというふうに伺っておりますけれども、これは私は多少問題があるんじゃないかというふうに思うのですよ。それからたとえばこの合理化の項目を見ると、踏切警報機の修理、保守、検査、こういう方面まで外注におろしていったらどうか、それから信号継電器を四十三年の一月から四十四年の四月までのうちに全部、電修場の廃止をはじめとして、信号関係合理化をしていくというふうに言われております。架線の事故で思い起こすことは、桜木町の事故であります。信号機の事故で思い起こすのは、広島の事故あるいは三河島の事故です。こういう経験を私どもは持っておりますから、そういう重要な点についての合理化は、あるいは外注というものは、これは私は安全という考え方に立った場合に必ずしも合理化である——人員は確かに総裁の言うように減るかもしれぬが、実際の合理化にならぬじゃないかという危惧を持つということなんですね。これは別段論争する気持はありません。また別の機会を見て総裁——こういうこまかい問題まで総裁の心労をわずらわすことはありませんから、ただ内容としてそういうものがあるとすれば、これは人員を生み出そうという御苦労はわかるけれども、もう少し慎重におかまえをいただいたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思うわけですね。  それからもう一つ。最近いわれておるようにDL、ELの機関士を二人乗務から一人乗務にしよう、助士を廃止しようという考えがあるというふうにも伺っておるのです。この辺は大臣聞いておいていただきたいのですが、たとえば九月三十日に東海道線の刈谷の先で衝突がありました。これは機関車に対して第二西尾踏切というところから貨物自動車がバックして入ってきたために衝突をした。これではお気の毒に機関士が殉職をされました。このときに、すぐそのあとを九〇五五という列車が通過をするということになっておったわけですね。この際に助士が発煙筒をたいて、自分もけがをしておったのだけれども応急措置をとって、この九〇五五列車による第二の重大事故というものは避けることができた。こういうことを見ると、一がいに、乗務員二人乗務を一人乗務に直して人員を生み出していくということがいいかどうかという点についても、相当考慮をする必要があるのではないかというふうに思うのですね。  そこで、実は割り当ての時間がたいへん少ないので結論を急ぎますが、つまり内容はそういうことです。それでいま新聞に出ているいろいろな電車関係の問題は、労使関係から出てきている。しかも労使関係の背景にある問題は、いま言いましたような合理化の問題外注を中心にした合理化の問題であるというふうに見受けられますので、これはぜひ労使の間で、私どもはその合理化について多少の危惧はありますけれども、相互の信頼の上に十分な打ち合わせをしていただいて、そうして国民の足が、しかも年末のこういう時期にそういう事態が起こらないように善処方をぜひ、総裁としては責任者として、かつ職員側の要求なり考え方なりも十分にしんしゃくをしながら、そういう事態が避けられていくようにひとつ御努力いただきたいというふうに思います。これはいかがでしょう。
  18. 石田禮助

    石田説明員 御注意はごもっともの点が非常に多い。これはひとつ今後とも謙虚な気持ちをもちまして検討して善処したいと思います。  第一に部外委託の問題でありまするが、これは時にどうも適当ならざるものに部外委託をしてしくじるということなきにしもあらず、これはひとつよほど慎重にやる。ことに架線のごとき専門的の仕事につきまして、特にしかり。この点については当局者としては十分注意しております。ただ野間さんに申し上げるなら、かりにこれを自分でやったところで、はたしてそういう事故がないかといえば、必ずしもしからず。やっぱりあるのである。こういうことで、ひとつこの点はまず部外委託をしたがゆえにすべてこういう事故が起こったんだということにお考えにならぬで、程度の問題だ、そういうことにひとつ御了解願いたい。  それから運転士の問題でありまするが、これは輸送の安全というものにかかわる重大問題この点については私どもとしては非常に慎重にやっております。だがしかし組合のほうからいくと、たとえば電車やなんかの運転にしましても、二人でやっておったのを一人にすると、そこに安全というものにひっかかる問題があるのじゃないか。これは私は人情だと思う。ところが二人のものを一人にするのがいいかどうかということは、これは感情だとか理屈の問題でなくて、私は事実の問題だと思う。現に東京の近所の電車のごときは、あれは昔は二人運転だった。ところが、いかにもこれは不合理だ、二人にするとどうも他力本願式になって、かえっていかぬ、話やら何かしてかえっていかぬということで、これは組合の非常な反対があったにかかわらず一人にした。きわめて良好なんだな、結果は。それから最近においては、最も輸送安全というものに対して、私はどっちかというと、神経過敏なのは東海道新幹線だ。これなんかにつきましても、たとえば「こだま」のほうは運転士とそれから機械の人と二人でやっておるんですが、もう一つのほうは、運転士、助士、それから機関士と三人でやっておったのを、これをひとつ運転二人にしようということで折衝を相当に長くやった。国鉄としてもこれは慎重にやらなければいかぬということで、組合のほうと折衝して、ようやくこれは三人を二人にするというようなことで、こういう問題を決定するについては、ほんとうに謙虚な気持ちでもって組合のほうの意見も聞き、そして善処しておるのでありますからして、今後、これがつまりやっておることは、たとえばいまのような煙を出してぽっぽやっておったスチームのものは最も不経済なものだ。最も不効率なやつを、これを経済計算の点からいっても、電気機関車あるいはディーゼル車に直していくことにしなければならぬということで極力やっておりますので、ここにまた運転士の問題が起こってくる。今度の合理化なんかというものは、やはりこういうものが大きな問題になるんですね。これにつきましても、これはひとつほんとうに謙虚な気持ちで慎重にやります。どうぞその点はわれわれを御信頼くださるようにお願いしたいと思います。  とにかく今度の合理化なんという問題は、決して無理はしない。たとえば保線なんという仕事、あの人海戦術式のあれで、声なんか出してやる。ああいう人間をこれから集めるということはなかなかむずかしいですよ。そこで人力にかわる機械力をもってする。これをもって七、八千人の人間をセーブするとかなんとか、これは組合のほうに対しても、よくわれわれのほうの調べた結果を話しまして、十分了解を得たところで初めて実行する。それで、今度の問題なんかにつきましても、これは何もいまやぶから棒式に組合に出して、こういうことをやるぞというようなことをやったわけじゃなく、もうことしの初めごろからやっておる。ただ、しかし、合理化を実現するのは十月の一日までやらにゃならぬ。それにはやはり来年早々からやらなければならぬということで、最後の決心を組合のほうに促したということで、非常に神経をいら立たせてこういうことになったんだと思いますが、これは組合のほうとして、私、冷静に考えてくれれば、別に何もそういう立つことはないんじゃないかということで、いま慎重に交渉しておりますので、これは私は円満に解決つくと思います。まああなた方も労組のほうに対しては関係なきにしもあらず、大いにひとつ陰から接触していただきたいと思います。
  19. 野間千代三

    野間委員 時間がありませんからこれで終わりますが、総裁、一言だけ申します。いま総裁が途中で言われたことには、多少問題がありますよ。国鉄職員の技術と、それから民間の人の技術と、あるいは技術の点については同じ部分があるかもしれません。私は、それは長年経験してきたんですから違うと思うけれども、それはただ単に技術の点では比べてみた場合に同じだということが言えるかもしれませんけれども、しかし国鉄職員の違うところは、国鉄運行ですね、電車の運行なり列車の運行なり、それをすべて承知をしながらやっておる。それからもう一つは、国鉄人としての責任感がやはり全身にみなぎっておる。そういう国鉄のすべてを知りながら一部分の技術をやっているというところに、違いがあるんですよ。ですから、いまの総裁の話を聞いていると、民間で全部やっても国鉄は動いていくというふうな感じを受けますけれども、それはまあ少し極端な私の観測ですけれども、そうじゃないと思いますね。これはひとつお考えをいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、国鉄輸送基本になるところ、たとえば列車でいえば走る装置であるとか、あるいは電流が通じている架線であるとか——保線のじゃりを打ったりするところは、それは別ですよ。国鉄基本になるところは、これはやはり国鉄人がちゃんとやるべきだということが考えられるべきじゃないかと思うんです。  それで、最後に、総裁労使間の問題については慎重に——まあ一月にということもあるでしょうけれども、別に一月にしなければどうこうならないということじゃないのですね。運輸大臣のほうでも十分に財政についてお考えをいただくようですから、そう急がないで、労使双方で十分に話し合いしながら、逐次意見のまとまったものから実施をするなら実施をしていくというふうにしていただきたいと思いますね。  それから、大臣、最後に、実はそういう関係で、いまの問答でおわかりでしょうが、労使間で多少の紛争があって、新聞報道されておりますが、ぜひ大臣のほうでも、監督をされる、しかも大臣のいわゆる国民サービスをする考え方で担当される大臣とされて、国鉄労使双方が十分に慎重に話し合いを進めながら——まあ組合のほうでも、聞き及ぶところによると、いま総裁の言うようなところで、まとめるものはまとめていきたい、これがまとまっていくんならば、この分は折れてもいい、ただしこの分については少し時間をかしてもらいたい、話し合いの時間をかけてもらいたいというふうに、分けて話を進めたいという基本でおるようですから、大臣としてもひとつ労使双方話し合いが円満に進んでいくような御指導をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、国鉄の運営につきましては、石田総裁を全幅的に信頼いたしましておまかせしているわけであります。  なお、労使の問題につきましては、どうぞ国鉄内部の問題として労使間でよくお話を願いまして、むずかしいところを次第にほどいていくようにして、そこでお客さんに迷惑をかけないようにすみやかに事態を収拾していただきたいと思います。組合の皆さんも、この年末、一番お客さんが殺到しているときに、ああいうことをおやりになることははなはだつらいことであって、私らも気持ちはわかりますけれども、やはり運輸省としては、国民の皆さんに対するサービスを第一にするという主義を持っておりますので、早期に話し合いをうまくまとめて、いまの混乱を解消していただくようにお願いいたしたいと思います。
  21. 野間千代三

    野間委員 終わります。      ————◇—————
  22. 内藤良平

    内藤委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  23. 板川正吾

    板川委員 去る十一月十日当委員会で取り上げました、福島交通の織田社長の会社解散を前提とする事業全面休止問題、これは十一月十二日に実際に半日行なわれたのでありますが、私は、これは交通運輸業者として、公益性を忘却した、許すことのできない、いわば反社会的な行為であろうと思うのであります。織田社長の社会的責任を追及するという立場から、私は若干質問をいたしたいと思います。  質問に入ります前に、大臣もかわったことでありますし、事実関係について申し上げてみたいと思うのであります。  私は、内藤委員長を団長とする衆議院の福島交通現地調査団の一員として、現地調査に参加した一人であります。しかもまた、問題の十二日の前日から現地に先行しておりまして、第一組合の加盟しておる私鉄総連の顧問議員という立場からも、組合の重要な会議に参加しております。   〔委員長退席、福井委員長代理着席〕 また、面識ある木村福島県知事やあるいは福島検察庁の担当検事、県警本部の責任者とも意見を交換いたしております。したがって、事件の渦中にいた者として、事実関係をよく承知しておる一人だと思うのでございます。そうした立場から、事実をまず粉飾なく述べさしていただいて、その上で関係者に質問をいたしたいと思います。  事実関係を日時順に申し上げてみます。  十一月八日、福島交通織田社長は、朝日新聞の記者を招きまして、会社を解散する、十二日より電車、バスの全面的休止をする、こういう言明をしました。十一月九日にそれが朝日新聞紙上に報道され、また織田社長は福島テレビにも同様の趣旨でテレビを通じて言明しました。また、仙台陸運局にも同様の趣旨を通告をいたしました。九日の午後に東北電力福島営業所に文書で、十二日以降電車運転用の変電所をとめるという通知をいたしました。それから十一月十日には地元紙の新聞を通じまして社告を出しまして、十二日以降全従業員を解雇する解雇通知を掲載しました。さらに、当委員会で本問題を取り上げてこのことが報道されましたのに対して、新聞記者に織田社長は、許可なく運休をするのは刑罰覚悟の上であるということを言明しております。また陸運局長から運休をとりやめるように、運行確保するようにという警告が出されたと伝えられております。  次に、運輸大臣——これは前運輸大臣大橋さんですが、十日の午後記者会見で、組合の自主運行期待すると言明いたしました。次は、組合側も、国会での審議の過程において、組合従業員として自主運行確保するということは合法的であるという法制局見解が当委員会において示され、運輸大臣の自主運行期待するという言明が新聞に報道され、そういった背景を基礎といたしまして、労働組合も十二日以降は自主運行をして県民の足を確保するという声明を十日に出したのであります。  翌十一月十一日午後二時、裁判所より、お手元に差し上げてあります資料1にありますように仮処分が出されました。これは福島交通織田大蔵社長に対して、列車あるいはバスの運行を妨害するなという趣旨の仮処分であります。これは三時ごろ福島交通社長に手渡されたようであります。そのころ織田社長は知事と会見をしまして、知事より運休を取りやめるように要請しましたが、織田社長はこれを拒否してもの別れしたというのであります。その後、織田社長は新聞記者会見で、断固として刑罰を覚悟してやるということを強調し、大橋運輸大臣は法律を知らぬばか者である、大臣は組合の自主運行期待すると言っておるが、では燃料も従業員の給料も運輸大臣が全部払うのだな、そういうような自主運行業務管理といわれる性質のものをいまの財界が認めるはずはない、これは憲法違反である、こういうようなことを織田社長は新聞記者会見で言明いたしております。さらに、午後九時半ころ福島交通稲田調査役という者が社長の命令だとしまして、各営業所長に、資料2にありますような趣旨、これは会社は十二日以降基本方針どおり休止する方針だ、しかし組合が車を運行するという場合には、仮処分が出たのであるから妨害はするな、燃料は確保するな、運行して集めてきた金はちょうだいしておけ、持ってこないときは違法行為としてその後摘発をする、こういう趣旨のことを稲田調査役を通じて現場の所長に伝えておるのであります。  ここでわれわれ関係者は——ここで関係者というのは新聞記者を中心とした関係者ですが、会社側が仮処分によって組合の自主運行を妨害するなという指示をしたこと、組合側は自主運行して県民の足を確保すると言明したこと、国会における合法性が保証されたこと、大臣の自主運行期待の言明があったこと、こういう条件の中で、十二日以降全面休止は回避されたというニュースが一般に伝わったのであります。しかしその中でも、問題の燃料を確保するということだけは解決をされておらなかったのであります。福島交通バスの燃料は、織田大蔵氏が社長をしておりまする太陽商事という会社から納入をされております。織田社長はすでに太陽商事に、十二日以降の燃料を納入しないように指示をしておりまして、会社の燃料スタンドには十二日からの燃料はありません。しかし境目でありますから多少残っておったところもありますが、十二日以降の燃料の確保は保証されていなかったのであります。  そこで、組合側は市内のガソリン店に掛け売りで売れるかということを交渉しましたところが、商工会議所では協議して、商業道徳に反する、紛争の渦中に巻き込まれたくないという理由から掛け売りはしないと決議しました。ただし現金で買いに来るならしかたがありません、あるだけ売ります。燃料確保には木村知事も心配してくれましたが、結論的には解決しません。ごらんになればわかりますが、この仮処分は太陽商事に、福島交通に燃料を納入せよということまでうたってないのであります。会社はまた、組合が自主運行をするのを妨害するなという指示はしましたが、積極的に燃料も確保して運行するようにという内容の指示はしていなかったのであります。自主運行が可能かいなかということは、燃料を合法的に確保できるかいなかということにかかっておりました。そこで十一月十一日午後十時から十一時過ぎにかけまして、私と弁護士三人が福島検察庁及び県警本部を訪問して、バスの収入金の中から燃料代を一般の価格で購入したら、この場合も、織田社長がやる不法行為によるものであっても生産管理として違法性を問われるかどうかという質問をしましたところ、検察庁の安田次席検事は、今回の問題では司法部内において統一見解はまだできていないから確答はできない、しかしすでにその質問は最高裁の判例が示すように、先生方も百も承知ではないでしょうかという趣旨のことを言っておりますが、これは最高裁の判例にありまするように、業務管理として違法であるということを言外に強調したことになると思うのであります。また私が、運輸大臣、法制局の見解について向こうに言ったところ、安田検事は、運輸大臣が何を言おうと、法制局の見解がどうであろうと、この問題は私の良心が法の命ずるところによって判断し行動します、業務管理となれば当然捜査が行なわれるでしょうという言外に示唆をしました。またその際、織田大蔵社長の行為はさしたる問題はない、生産管理は資本主義のプリンシプルに触れる問題であるから重要だという見解もあったようであります。県警本部では鈴木警備課長というのが主として答弁をしましたが、これは、営業所長の指示に従って燃料を買うならばよいけれども、営業所長が指示もしないのに収入金の中から燃料を買えば、それは違法となるでしょう、そうなれば、これまた私どもも捜査を開始することになるでしょう、こういうことを言明いたしました。以上、検察庁と県警の見解は、すでに弁護士には前日より大体わかっておったようでありますが、私を立ち会い人として正式に質問し——正式といいましょうか、立ち会い人として答弁を求めて、これに以上のような答弁があったわけであります。  そこで、そういう状況に基づきまして組合側としては、織田社長の自主運行を妨害するなという指示は、組合が自主運行をするのを妨害するなという指示であって、自主運行を強調しておる点に問題があるということを感じました。次に二として、法制局、運輸大臣見解がどうあろうとも、検察、県警当局は独自の判断をしていく。これは当然のことでありますが、そういう本件について独自な見解を持つということを強調されておったし、したがって業務管理として刑事責任を追及されるおそれがある。三として、そうなれば、それを機会に無法者の織田社長は、かねて計画どおり大量の首切りをする。違法者の首切りをすればいいということで、首切りをすれば退職金を払わなくて済みます。いま福島交通で一番負債として問題なのは退職金であります。何とか違法な行為にこじつけて首を切り、そして退職金を払わないで済むという方法を考えたのではないか。しかもそれが救済されるためには長期の裁判となりましょう。現在の法律では、いかに相手方が違法行為であろうとも、正当防衛や緊急避難以外では自力による救済は認められておりません。だからそうなれば、組合側業務管理、違法、こういうことになる可能性が強いのであります。結果的に、そうなれば組合が切りくずしをされ、組織の崩壊を招くだろう、こういうような見解に立ちまして、組合側は資料3にありますように、織田社長の巧妙な網にかからないように手続をとることにしたのであります。これは資料3「指令」という中にありますが、ここでは、まず各職場で、所長に対しまして、十二日以降の勤務者は平常どおり勤務していいかどうか、それから所定の業務に従事してよいかどうか尋ねなさい。したがってその場合に、所定の業務に平常どおり就業していいということであれば、燃料、乗車券、納金、キー、車両検査証、そういったものを会社の責任において充足してくれるかどうか、こういう質問をしなさい。そして、それに応ずる、よろしいということであれば、確認をして、協定した場合に文書でとっておきなさい、こういうような指示をしたのであります。これは組合側としてはやむを得ない行為だと思うのであります。これに従って小野町営業所の所長は、全面的に組合の要求をこのとおりのみまして、確認の協定をいたしましたために、当日はその営業所は全部運行を続けております。欠便、欠行がなかったのであります。しかしその他の営業所、二十三くらいあるそうでありますが、そこでは所長が、燃料だけは会社から指示がされないから用意はできない、あるいは一たん全部オーケーという調印をしながら、あとになって燃料だけは取り消し、こういうようなことがありましたために、そういう確認協定ができなかったところでは、第一組合が全面的に就業することは危険なりということで就業をしなかったのでありますが、そのことは十一月十二日の午前五時四十分ごろ、組合が新聞記者を集め、資料4にありまするような声明を発したのであります。そうしてその後は、十二日の午前九時十五分ごろ、織田社長がテレビを通じて、平常どおり就業するようにという指示をしたようであります。このときに織田社長は、組合が自主運行するものと思っていたということを平然と言っております。しかし十三日の記者会見でも、織田社長は記者の質問に答えて、自主運行は憲法違反であるということをまた強調いたしておるのでありまして、組合が自主運行すると思ったからそれを期待しておったのだ、自主運行しなかったためにやめた、運休になったことは、あたかも組合の責任かのごとく言っておるのはまことにけしからぬと思うのでありますが、そういう声明をいたしております。  最後に、この事実問題の最後ですが、当日、平常業務に復帰するのが十二時ごろになりました。なぜおくれたかということで、一部運輸省等の中では、これは組合側がストライキをやったのじゃないか、九時にテレビで社長の放送等があれば、すぐ九時半ごろは自動車、電車は動いてもいいじゃないか、こういうようなことで、組合側のサボによって半日運休が行なわれたかのごとく言う方がありましたが、これは間違いであります。織田社長から本社を通じ、職場長を通じて組合に話がある、組合員が全部テレビを見ているわけじゃありません。常にペテンにかかるから、なかなか信用いたしません。そうしてこの指示のとおりに、燃料も全部所長側で用意をいたします、こういう約束をとったところは動き始めました。しかしそういう約束をしないところは、その交渉でおくれたのでありまして、所長が全面的に平常業務に復するのだという指示を全員にし、燃料も確保するのだということを言えば、すぐ動いたわけでありまして、十二時までおくれたのは、したがって組合側責任ではない、こういうふうに私は考えます。  以上が私の知り得た背後の事実でありまして、決して粉飾をしたつもりはありません。ただし時間に若干の誤差がある感じがいたしますが、以上が事実関係であります。この事実関係に従って私は質問をいたしたいと思います。  まず労働省に……。簡単に答えてください。時間がありません。この福島交通の業務停止は労働法上の争議行為かどうか、この一点だけ答えてください。
  24. 大塚達一

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  福島交通のただいま御質問の、十一月十二日の運転休止事件につきましては、今回の同社の問題が組合員の解雇問題に端を発しておりますから、労働問題の要素が全くないということは言えないと思います。ただ、しかし私どもが把握しておる情報によりますと、いろいろ事情がございまして、労使関係以外の問題に重点があったように思われますので、労働関係の当事者である使用者が、労働関係に関する自己の主張を貫徹することを目的として労働組合の争議行為に対抗して行なう行為というふうに定義されております。いわゆるロックアウトというものに該当しないのではないかという考えを持っております。ただ、以上はわれわれの把握しております限られた情報で判断しておりますので、結局は具体的には、争議行為であるかどうかは労働委員会なり裁判所なりが判断することになるものと考えます。
  25. 板川正吾

    板川委員 手続的には労働者の争議行為は認める。紛争があったことも事実です。しかしロックアウト——事業休止はロックアウトでしょう。ロックアウトならば、会社は十五日以降ロックアウトの予告をしておったのです。ロックアウトするなら、予告通り十五日以降やればよかったのです。それが先制攻撃的にやれるかどうかは法律上問題がありますが、それを十二日からやるというのは、いわゆる労調法上認められたロックアウトではない。したがって、手続的には私は争議の問題ではないと思う、会社が先制的にロックアウトできないのですから。それはそうでしょう。一言……。
  26. 大塚達一

    ○大塚説明員 ただいまお答え申し上げましたとおり、当日、十二日の争議行為というのは、たとえば、前後において、十五日からロックアウトをするという予告を十一月四日にしておりまして、それを当日、十二日に繰り上げるような労働関係上の特別の事情があったとも考えられませんし、またその他、たとえば地労委の会長も現状を争議行為ではないと判断されておりますような事実もございます。その他種々の事情から判断いたしまして、これは労働関係上のいわゆるロックアウトと称するものではないのではないかというように考えられると思います。
  27. 板川正吾

    板川委員 運輸省に伺いますが、この十二日の欠便、要するに電車、バスがどのようにとまって、その営業がどうであったか。それから当日同社の収入が、前後の同じ日曜日の収入に比較してどのくらいに当たっておるか。その間の調査ができておりますか。
  28. 原山亮三

    ○原山政府委員 十二日の始発から二時ごろまでの間の運行状況につきましての詳細な資料は、まだできておりません。
  29. 板川正吾

    板川委員 それは調べなくてはだめですよ。一カ月もたっておるじゃないですか。新聞の報道によりますと、電車が三百八十本休止をし、バスが千五百本休止をされた、こういう報道があります。そしてその影響力は、約十八万人の足がとまった、こういうふうに報道されておりますが、大体そういうふうに見ていいのかな。
  30. 原山亮三

    ○原山政府委員 福島交通の一日の平均の輸送人員は大体二十二万七千人くらいでございますので、ただいま先生の仰せのような影響があったと考えられます。
  31. 板川正吾

    板川委員 運輸省に伺いますが、今度の事件の主役である福島交通織田社長の真意、ねらいというのはどこにあったのかということを、どう考えておるか。一体なぜああいう反社会的な非常識な行動をとったのか、これをどう考えておるのか、ひとつ運輸省見解を伺いたいと思うのです。これは大臣もひとつ聞いていただきたいのですが、国鉄問題はある意味では輸送力増強の悩み、要するに前向きの悩みなんです。ところが地方交通というのは、いまや石炭に続く斜陽的な事情で、いわばうしろ向きの悩みなんです。その先行的なあらわれが、福島交通の今度の事件にあらわれておるのじゃないかというふうに私は考える。  大臣も地方交通に関係があるようですからひとつ御理解をいただきたいと思うのですが、私が推察するのに、織田社長の今回とった態度はいかなる理由かということを考えてみた場合に、こうじゃないかと思います。第一は、地方交通の経営が昔のようなうまみがなくなってきた。第二に、福島交通の資産は時価四十億から六十億あるといわれております。現在資本金が十七億と思いますが、少なくともその二倍からの資産がある。だから解散しても損はない。財産として、会社の負債勘定は、金融機関からの約十三億、それから従業員の退職金六億か七億ということになっておると思います。解散するとすれば、そういうことになるでしょう。だからその退職金を違法行為で首にして払わないということを考えるのは、彼らしい考えであります。それに運賃値上げをおくらした運輸行政に対するうっぷん、これをこの際暴露して、そうして運輸行政に対するそういううっぷんを晴らしながら、実は競合線の新免の許可を阻止しよう、こういうねらいがあったと思います。本心としては、事業を継続しろというならば新免を許可するな、組合も従業員六百名整理をするという方針に協力しろ、そうでなければ解散してもいいのだ、解散したほうがもうかるのだ、こういうような考え方で違法行為をあえて承知で、免許取り消しがあってもあえて承知で、ああいう非常識な行動に出たのではないか、こう思うのでありますが、運輸当局はいかなる見解を持っておりますか。
  32. 原山亮三

    ○原山政府委員 本人から聞いた話では、前大臣のときに本人が前大臣のところに来ての話では、労使の紛争が非常に激しくなってきて、それで会社の経営を続けるのがいやになった。それから、経営上非常に利益も上がらない。したがって先生の仰せのうまみがないというふうなことで、いやけがさしたというような本人の話でございました。
  33. 板川正吾

    板川委員 それでは運輸省と法務省に伺いますが、今度の織田大蔵社長の行為は、いわば無許可の運休であり、法令に違反することは間違いありません。しかも未遂でなくて、既遂であります。すでに一カ月を経ております。運輸大臣はこの織田大蔵の違法行為に対して、いかなる処分をしようと考えておるのか。どのような処分を考えておるのか。法務省は本件を今後どういうふうに扱う方針なのか。捜査をしたか、あるいはこれからするのか。そういう点について運輸大臣と法務省の見解を伺っておきたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 福島交通の事件は非常な遺憾な事件でありまして、福島県下においてお客さんの足を奪ったということや社会的不安を与えたということにつきましては、運輸省としても非常な遺憾な事態であると考えております。この問題につきましては地方鉄道法あるいは労働関係法、いろいろな法規の面からもいましさいに検討しておりますが、もし法規違反のことがあれば厳重に処置するつもりであります。ただし、運輸省といたしましては、労使の労働争議関係に介入する意図は毛頭ございません。しかしながら、福島県下の乗客の足を奪わないように、全線にわたって安全に運転が常時確保されるように常に配慮していきたいと思っております。
  35. 吉田淳一

    ○吉田説明員 今回のお尋ねの件につきまして、たとえば先生の言われますようにそれが事業の休止に当たる、しかもそれが運輸大臣の許可もなくそういう行為をしたということに当たるならば、もとより道路運送法上の違反が成立するということになると思います。検察当局といたしましては、いかなる事件でも同様でございますが、そこに不正があり、犯罪があるというふうに認められました以上は、検察の立場においてその不正を摘発してそれを取り締まるという職責を持っておるわけでございます。そういう捜査の端緒あるいはそれだけの資料を得た場合には、検察としては当然そういう職責をもって、その職責に沿って行動するものと考えております。
  36. 板川正吾

    板川委員 今度の場合は明らかに無許可で休止をした、法令違反であることは間違いないと思います。そうでないという理屈は、私はどなたもないと思う。あるんだったら、ここで言ってもらいたい。今度の織田大蔵社長が半日休止をしたことが法令違反でないというなら、ひとつはっきりしてもらいたいと思いますが、いかがですか。運輸省でも法制局でも、これが法令違反でないというのなら——法令違反でないという場合は、労働者のストライキでやられた場合は法令違反じゃありません。この点どう考えておりますか。
  37. 吉田淳一

    ○吉田説明員 事柄が犯罪の成否に関する問題でございます。具体的な事件につきまして犯罪が成立するかどうかということを公式の席上で申し上げるためには、客観的な事実その他を十分に調査した上で、間違いのないところで最終的に判断なり見解を申し上げるということが、事柄として妥当だと思うわけでございます。したがいまして、本件が事業の休止に当たるのかどうかということを、直ちにこの席上で申し上げるわけにはまいらないというふうに考えるのでございます。ただ、誤解のないように申し上げておきたいのでございますが、犯罪事件に当たるかどうかということは、当該所轄している検察当局あるいは警察当局において十分検討しておるはずでございます。そういう角度で、その証拠に基づいて、職責を持つ当局が判断すべき事柄であるというふうに思います。
  38. 板川正吾

    板川委員 運輸省に伺いますが、では十二日の千八百本ばかり休止をしたことは、許可をして休止をしたのですか。手続をして許可して休止したのですか。
  39. 原山亮三

    ○原山政府委員 とまったことについての手続は別にございません。ただ、今回の十二日の問題につきましては、陸運局に九日の日に稲田調査役というのが参りまして、そして十二日以降バス、電車をとめるという口頭でもっての連絡がございました。それからもう一つ、福島民友新聞に十一月十日付でもって社告を掲載しております。それまでははっきりいたしておりますが、十一日の夜から十二日の朝までの間の事実関係がまだ明白でございませんので、直ちに許可なくして休止したかどうかということは断定しかねる、こういうふうに思っております。
  40. 板川正吾

    板川委員 だからぼくは少し長々と事実関係も言ってあるのです、お互いに誤解がないように。勘違いしているから……。十二日からだって、一月前ですよ。当時なぜあなた調査をしないのですか。とにかく千八百本ばかり休止をした。本数の多少の差はあるかもしれません。しかし半日間休止をしたことは、運輸省が道路運送法、地方鉄道法に基づいて許可をして休止をしたのじゃないでしょう。そうなれば、前後の事情からいったって、明らかにこれは織田大蔵社長の違法行為じゃないですか。これに対する罰則は、御承知のように事業停止、免許の取り消しがあるでしょう。しかし、免許を取り消しても、解散するほうがもうかると言っているのだから、これはだめですな。しかし道路運送法の場合には、百二十九条の五万円の罰金というのがある。この五万円の罰金もとらないのですか。とれないのですか、法務省も運輸省も。  それからもう一つ。地方鉄道法では三十九条で、十円以上千円までの過料があります。過料というのは手続的なあやまちをおかしたためのあやまち料であって、いわば違法で休止した場合の処罰の該当の罰則ではありません。地方鉄道法では、法令もしくは法令に基づきてなす命令または免許、許可もしくは認可に付したる条件に違反し、その他公益を害する行為をなしたるときは、主務大臣は取締役を解任することができる。これしか地方鉄道法ではこの場合の罰則というのがないのです。罰則というのはこれしかないのです。そして道路運送法では免許の取り消しがありますし、五万円の罰金がある。一体こういう罰則の中で、今度の場合に何を運輸省としてはとろうとするのですか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運行休止を許可したことはありません。しかも、輸送上の相当の混乱を招いた事実はあります。したがいまして、当局としては交通事業の公的責任を重視し、何らかの適切な処置をとりたいと考えていますが、福島交通の社長はなかなか深謀遠慮の人でありまして、よく慎重に考えてやる必要があると思っておるのであります。
  42. 板川正吾

    板川委員 法務省、どうしますか。五万円の罰金、とるか。
  43. 吉田淳一

    ○吉田説明員 誤解のないように申し上げておきますが、私は決して道路運送法違反が成立しないなどということを申し上げておるわけではございません。ただ、事柄が犯罪の成否に関する具体的な事件についてでございますので、そういうものについてそこに違反があるかどうかということを申し上げるためには、当該職責を有する検察当局において、必要があれば十分調査して、そしてその上でその責任において判断すべき事柄であるというふうに申し上げておるのでございまして、御了承願いたいと思います。
  44. 板川正吾

    板川委員 法務省、私が行ったときには安田次席検事も、それから県警の責任者も、組合側業務管理ならば捜査を開始するということを言うのです。ところがこの業務管理の捜査というのは、膨大な人にわたりますからなかなかたいへんでしょう。人手もたいへんでしょう。今度の場合にはその業務管理をしなかったのです。だから、組合が違法行為をやったら、業務管理、これは取り締まりをする、捜査を開始すると言っておきながら、どうして織田社長が違法行為をやった場合には捜査を開始しないのですか。どうして五万円の罰金もとれないのですか。どうもこれは私はおかしいと思う。
  45. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 先ほど来先生から本件のいきさつについてこまかく御説明があったわけでありますけれども、そのような事実関係がありますれば、これは無許可の業務停止という事実関係になりますので、それは道路運送法上の違反として受理し得るケースであるというふうに考えるわけでございます。ただ、吉田参事官が申し上げましたように、犯罪の捜査の過程を通じまして証拠上その事実を確定しなければならぬという問題があるということを付随的に申し上げておるわけでありまして、もちろん先生のおっしゃるような事実関係のもとに犯罪が成立することは間違いないというふうに考えておるわけでございます。
  46. 板川正吾

    板川委員 大臣も、新任早々ですが、大臣の明快なる決断、行動力というものをわれわれは期待いたしたいと思います。とにかく織田社長の今度の違法行為に対しまして、断固たる処置をとってもらいたいと思います。この織田社長が前大臣のところに会いにきた。そうしたら、新聞記事を見たら、その前までは、役員解任まで考慮して断固処分すると言っておった大橋さんが、とたんにぐにゃぐにゃとなって、そして織田社長と握手して、にやにや笑って別れてしまった。あの違法行為を認めておったような態度が新聞に出ておったのですが、少なくとも前法務総裁であったり、法律に明るい大橋さんとしては、まことに首尾一貫しない行動だったと私ども感じておりました。いずれにしましても、事件はもう一月前に終わったのですから、こういう事実に基づいて、ひとつ関係者を呼んで調査をし、十分な資料の上において明快に責任を追及してもらいたいと思います。それから検察庁も、組合側のときには十分やるとばかり言わないで、とにかく織田社長に対して社会的責任を追及することが、私は決して検察当局の行き過ぎではないと思うのです。もしあれをこのままにして、検察庁も運輸省も何もしないということであれば、福島県民は、知能的暴力団がまかり通っておるということを感ずる。それをそのままにしておいたら、検察の権威というのは信頼できなくなると思います。ぜひ検討しておいてもらいたい。時間がないから次に移りますが……。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 板川委員のお説はよく了承しておりますが、最初に申し上げましたように、運輸省といたしましては労使問題には介入しない、それからもう一つは、法的違反に対しては、これは適切なる処置をとる。しかし、運輸省行政当局として一番考えておりますことは、福島県下のお客さんの足を奪わないようにという配慮なのであります。この年末年始にかけまして、万一でもそういう足を奪うような事態が起きると、非常な迷惑を県民に及ぼすわけでありますから、そういう辺をよく見きわめて、いろいろな処置は考えられなければならないと考えておるのであります。その点はぜひ御了承願いたいと思います。
  48. 板川正吾

    板川委員 時間がないからはしょります。  これは法務省とそれから法制局にできれば伺いたいと思いますが、今度の織田社長の行為は、いわゆる商法四百八十六条の取締役の特別背任罪、これに該当しないかということであります。簡単に申し上げますと、今回の織田社長の行為は、少なくとも地方鉄道法、道路運送法を無視した不法行為であり、すでに運送契約を結んでおる定期券所持者に対しては、債務不履行の行為であります。このことは民法七百九条で、「故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」とあります。また民法四百十五条には、「債務者カ其債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキハ債権者ハ其損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキ亦同シ」とありますが、この条文から推しまして、不法行為によって損害を受けた一般の乗客、当日乗りたくても乗れなかったために損害を受けた乗客は、賠償を要求することができるだろうし、輸送契約を結んでおる定期券所持者に対しては、その他の交通機関等を利用したということによってその損害賠償を請求できる、こういうふうに私ども考えますが、その点をどう考えますか。
  49. 真田秀夫

    ○真田説明員 お答え申し上げます。  ただいま板川委員の御指摘になりました商法四百八十六条、いわゆる特別背任罪という規定でございますが、この規定には、取締役が、「自己若ハ第三者ヲ利シ又ハ会社ヲ害センコトヲ図リテ其ノ任務ニ背キ会社ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ七年以下ノ懲役又ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス」とございますが、これに該当すれば、もちろん特別背任罪になるわけでございまして、それは申し上げるまでもないわけでございます。問題は、当該具体的な事案がこれに該当し、しかもほかに犯罪の成立を阻却する事由がないかどうかということでございまして、もっぱら事実関係に基づくことに相なりますので、私どものほうで、当該具体的事件が犯罪になるとかならぬとかいうことを申し上げるべき立場でございませんから、御容赦願いたいと存じます。
  50. 板川正吾

    板川委員 いま商法四百八十六条の前提として聞いたのですが、民法の規定によって、当日損害を受けたお客さん、それからすでに契約を結んでおる定期券の所持者、これが乗れなかったために損害を受けた場合には、その損害を会社に請求できる、こういうふうに考えていいですか。運輸省、答弁してください。
  51. 原山亮三

    ○原山政府委員 運送約款におきましては一日単位になっておりまして、一日以上休めば払い戻す、そういうようになっております。今回の福島交通の場合は半日程度でありますので、それがどういうふうになりますかわかりませんけれども、会社側のほうでは定期の客に対しましては、申し出があれば払い戻しする、こういうふうに広告を出しておると聞いております。
  52. 板川正吾

    板川委員 運送約款は、違法行為によって損害を与えた場合のことは言っていないのです。それは事故があったとか、その鉄道の責めに帰さない事故の場合であって、今度のような場合、違法行為によって電車、バスをとめて、一日に満たないから払い戻さなくたっていい、そんなことは書いてありません。問題をすり変えてはいけない。会社がこの半日分の延長を認め、六十分の一日分の延長を認めるということは、会社自身がみずから自分の非を認めたことになると思うのです。それともう一つは、なるほど六十日に一日の割合いの延長でよろしいと言った人はかまいません。お互いの契約ですから。しかし一日タクシーに乗り、あるいは他の代行機関で行ったために損害を受けた、こういう人は会社に請求できるじゃないですか、民法の規定によって。これは法務省、どうです。
  53. 宮脇幸彦

    ○宮脇説明員 私がお答え申し上げます。準備が十分できておりませんので、先生の御質問の線に沿って、それを前提にして申し上げます。  ただいま御指摘の債務不履行の点でございますが、確かに運送約款は、平常事態を予想しておるものと思われますので、違法行為であれば運送契約上の債務不履行になると思います。なお運送契約を結んでおらない者、すなわち定期券を購入しておらない者につきましては、二つの点で問題があると思います。一つは権利侵害になるかどうか。それと損害がありました場合に、それと因果関係を持つかどうかという二点でございます。それで、私、事実関係を十分把握しておりませんけれども、ちょっとその因果関係の点で非常に問題があり、どちらかといえば消極の結論になるのではないかというふうに考えております。
  54. 板川正吾

    板川委員 とにかくもう少し検討してみてください。私は、その民法の規定からできるんじゃないかという見解をとっておりますから、検討してください。  それで、商法の二百六十六条の一項には、取締役の会社に対する責任という事項があります。それは「左ノ場合ニ於テハ其ノ行為ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ」会社がこうむった損害について弁済または賠償の責めに任ずる。その五として「法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シタルトキ」とありますが、これは、たとえばこの条文は、織田社長が法令または定款に反して違法行為を行なった。その損害を受けた一般の大衆は会社に対して損害の賠償を請求できる。会社はそれを認めて六十分の一日を延長したということは、当然六十分の一を定期券者に対して収入を免除したことになりますから、会社としてはそれだけ損害を受けたわけであります。したがって、福島交通株式会社としては、代表取締役の織田社長に対して、会社の損害を受けた金額を請求することができる。これが商法二百六十六条の一項の規定であると私は思います。そうしますと、ここで商法四百八十六条の取締役の特別背任罪の規定に私はひっかかるんじゃないか。こう考えておることは、先ほども言いましたように、背任罪の規定には、任務に違反した行為があること、定款または法令に違反した行為であること、財産上の損害があったこと、故意があったことというような背任罪の構成要件がありますが、織田大蔵が法令に違反して会社に迷惑をかけた。損害をかけた。しかもその行為は、罰則覚悟でやると言明しておった。そして会社に損害を与えることを承知でやった。それじゃ会社免許の取り消しでもあったらどうするか。免許取り消しでもあれば、それは会社を解散したほうが得だというようなこともあります。もう一つは、織田社長が考えておったのは、いまの福島交通の経営ではどうもうまみがなくなった。うまみがなくなったというのは、福島交通はトンネル会社——福島交通に入る燃料、タイヤ、部品、そういったものは織田大蔵氏が社長をしております太陽商事という会社から一手に買い受けております。トンネル会社です。このトンネル会社のもうけも少なくなった。こういうように考えて、そしていわば首切りを組合に承認させるとか、そういうようなねらいもあったんじゃないかと思うのであります。いれずにしても、何とか福島交通の経営をよくしてトンネル会社でもうけるといううまみがなくなったために、今度の措置をとったんじゃないかと思うのです。そうした要件を考えますと、これは私のしろうと考えですが、取締役としての任にそむいた行為になるんじゃないかという感じがいたします。これは、特別背任罪の認定には非常に微妙な点があるようでありますから、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。  時間ですから、もう一つだけ。  もう一つは、商法二百六十五条に取締役の自己取引の禁止という規定がありますが、この福島交通社長の織田大蔵氏は、織田大蔵氏が社長をしております太陽商事、ここをトンネル会社として燃料その他を全部入れております。そうしてこの織田大蔵氏の一代記を書いたという「オール読物」の四十二年十二月号の「勝てば官軍」という記事の中には——これは名前が違っていますからそのとおりかどうかわかりません——会社には普通よりもやや安い程度に入れて、第二会社、トンネル会社でうんともうけておる、こういう記事があります。これはだれが見ましても、名前と若干のフィクションはあるようでありますが、大体この「オール読物」における「勝てば官軍」というのは、織田社長の一代記を書いたということは間違いないようであります。現地の人に聞きましても、ほとんど違っておりません。この中に、昭和三十三年に太陽商事をつくったと書いてあります。トンネル会社をつくって、ここでもうけておるんだというのであります。それで、いま資料を調べてみましたならば、たとえば福島交通と同じ地方の会津乗合、常盤交通、こういうのと比較しますると、燃料代が、全体の中のパーセンテージですが、収入の中における燃料費の割合ですが、福島交通は総収入に対して一二・九%かかっておりますが、常盤交通は七・八四%、会津乗合が八・一八%であります。これを金額にいたしますると、福島交通のキロ当たり収入、バスが九十五円でありますから、大体燃料費が一キロ当たり四円見当高いのであります。会津乗合、常盤交通よりも燃料費が一キロ当たり四円見当高い。これは年間三千万の走行キロを持っておりますから、一億二千万は高い燃料費がかかっておる、こういうことが数字的に推察をされます。そういうこと等を考えますると、トンネル会社をつくってもうけておって、そして親会社のほうでは常に赤字にしておく。そうすれば、運賃値上げも申請しやすいし、労働者の給料も押えることができる。常に本家のほうのバス事業は赤字にしておいて、トンネル会社でもうけるんだ、こういうことをこの「勝てば官軍」の中で織田社長と目される人は言っております。これは、この今度の事件の以前に書かれた本ですから、今度の事件には関係ないのですが、そう言っております。福島交通の人件費を見ますると、これは全体の収入に対して四九・一五%、常盤交通が四八・〇三%、会津乗合が四八・〇四%ですから、人件費はそう違わないのですね。しかし燃料費だけ高い。それから、同じく修繕費も高い。修繕費も三円から四円高い。こういうふうに考えますと、この「オール読物」の記事がぴたり当てはまるのです。だから、私は、これはフィクションじゃなくて事実に近いと言う人がありますが、全く事実じゃないかと思います。しかし名前も違いますし、その本人の署名が入っているわけじゃありませんから、これは参考文献としていただきたいと思うのであります。そこで、この太陽商事の重役と福島交通の重役を会社の謄本で見ますると、四千人近いこの福島交通という会社は、取締役はたった四人であります。大蔵社長とむすこと、そのほか二人です。これは過半数は、親子で組めばもう絶対に取れるのであります。
  55. 福井勇

    福井委員長代理 板川君に申し上げますが、他の質疑者が非常に待っておりますので、結論を急いでください。
  56. 板川正吾

    板川委員 これで終わります。  太陽商事のこの小さなトンネル会社、伝票だけ整理をしておるというトンネル会社の重役は全部で八人、監査役が二人、その中で女性が四人おります。十人のうち四人おります。「勝てば官軍」の中で、二号さん、三号さんを会社の給料で雇っておく、こういうようなことも言っておりますが、あるいはこのトンネル会社の中にそういう方がいるかどうかわかりませんが、とにかくそういうような乱脈な経営をしておって、そうして福島交通のほうは常に赤字にしておいて、運賃値上げをし、労働者の首切りをし、賃上げをさせない。しかし、トンネル会社ではうんともうける。こういうような乱脈な経営をしておるものは、私は取締役としての忠実の義務、全株主に対する忠実義務に反しまして、私は特別背任罪の構成要件を十分満たしているんじゃないかという感じがいたします。これまた、この背任罪の問題は非常に微妙で重要でありますから、私はこうした文献なり、資料を中心にいたしまして、ひとつ検察当局運輸省がこの社会的な犯罪者、知能的な暴力、こういうものに対して社会的な懲罰をすることが、私は政治の姿勢も正すことになるんじゃないか、こう思います。  時間がなくなりましたからこれ以上申し上げませんが、ぜひひとつこの問題について断固たる姿勢をとっていただきたいということを要請いたしまして、質問を終わります。
  57. 福井勇

    福井委員長代理 小川三男君。
  58. 小川三男

    小川(三)委員 時間がありませんので、簡単に御質問申し上げますので、簡明にお答え願いたいと思います。  これは運輸大臣に伺います。  いまLPガスの問題が検察当局の手にありますけれども、最初に問題になった大阪の冷房タクシーの問題、これはどういう理由か検察庁は一応素通りしておるけれども、問題は、近畿行政監察局は八月三日に大阪陸運局長に対して改善の所見を表示しております。この中でクーラーの問題に触れまして、業者の申請をうのみにし、クーラー購入費などを高く計算している。したがって、冷房料金二割増しは高過ぎる。原価計算の中で、陸運局はクーラー購入費などを市価より高く評価して認可している。クーラー本体の購入費は、業者は一台十二万五千円と申請し、陸運局は九万五千円と査定している。しかし行監の調査では、実際は平均七万二千七百二十円であった。こういう改善命令を出しているわけです。これに対して自動車局はどんな対策を講じられたのか。かりにこの金額から見ましても、十二万五千円という業者の申請と九万五千円との差では一台につき三万円の差がある。これが約一万四千台の車両に取りつけられている。したがって、四億以上の差がある。これは行監がでたらめな資料に基づいてやったとは考えられない。したがって、陸運局、自動車局としてどういう対策を講じられているか。これが一つ。それを最初に伺います。これは自動車局のほうから……。
  59. 原山亮三

    ○原山政府委員 冷房料金の問題につきましては、確かに御指摘のとおり、行政管理庁のほうから大阪陸運局長あてに勧告がございました。それを受けまして、大阪陸運局長のほうが、九月七日に近畿行政監察局長あてに回答を出しました。その回答を出すにつきましては、行政管理庁のほうと事前に十分打ち合わせてきて、そういうふうなことでけっこうだということでもって回答を出しました。それでもって行政管理庁のほうも了承した、こういうことになっております。先生御指摘のほうのクーラーの代金の問題でございますが、これにつきましては近畿管区行政監察局のほうは、最も需要の多い時期の価格でもって算定した数字運賃なんかの基礎にする場合におきましては、大体平均値をとりまして、平均価格をもって原価とするのが通常でございまして、今回大阪陸運局がそういう問題について原価査定をした場合には、需要の盛んな時期あるいは閑散な時期、その辺の平均値をとって計算した、こういうふうに聞いております。
  60. 小川三男

    小川(三)委員 この問題大阪の冷房タクシー事件は、いわば今度のLPG問題の検察当局が捜査を始める発端になっている問題なのです。しかもあなたはこの前の委員会——大阪の業者は十月一日からは当然運賃値上げになるものであるという指示を出しているのですよ。それに対してあなたはここで、十月一日からは値上げは絶対にいたしませんと答えた。また、答えたそのとおりである。しかし大阪の冷房タクシーの問題については、検察当局は素通りしても、あなたのほうでは少なくともこれを素通りすることは許されないと思う。もっと内容に深く立ち入って十分な調査をやるべきだ。そのことを私はあなたに進言しておきたい。もし必要があるならば、私のほうから資料を提示してもよい。  それから、あとは運輸大臣に伺いますが、自動車行政の中に、日本乗合自動車協会、それから全国乗用自動車連合会、いわゆるいまのガスの問題に触れている団体です。それから日本トラック協会、この三団体。トラック協会の会長は天坊裕彦君である。バス協会の会長は伊能繁次郎君。しかもこの団体の主要な役員を占めているのは、ほとんど運輸省関係者です。かつて運輸省におった高級官僚といっていい人たちです。この経常の経営費を見ますと、これは年間四千万か五千万といったような会費を集めて運営をやっているわけです。ところが実際には、すべて臨時会費として徴収しておる。この間、四十一年の三月までに集めた、ちょうどガスの問題もあったとき集めた金額の中には、明らかに業者に向かっての請求書の中に政治資金と書いてあります。リコピーにとってありますから、必要があれば提示します。しかも、領収書も政治資金として取り上げているわけです。これを全国の業者から取り上げている。したがって、膨大な金をあげているわけです。経常の経費については三千万か四千万、大きいところでも五千万くらいの金でやっておる。大会を開いても、すべて臨時会費です。したがって自動車局にこの指導上、監督上の問題に触れると、あなたのほうでは、経常の経費しか私のほうでは掌握することができません、臨時会費というものは私のほうでは一切手に触れることができません、こう答えているわけです。この問題は、経常の経費はこれはあなたのほうから出した、私のほうでも集めた資料ですが、こんなものは何でもないんです。いわば経常に運営されているものなんです。いやしくも全乗連が業者に向かって請求書を出している。これは政治資金である。三月、年度末までに払ってもらいたい。払った業者に対して、明確に政治資金として金幾ら領収いたしました、こういって領収書を出した。堂々として政治資金を集めて、これを使っている。しかもここで私が問題にするのは、これほど業者の人たちがこの運輸、特に自動車行政の中に深入りするのかというと、寝屋川にある大阪陸運事務所には、あの室の中にすでに業者の団体の事務所がある。そうして、職員を派遣して、あの中で資料の作成をやっている。あなたのほうは十分これを見なければならない。なぜそういうことになったのかといえば、陸運局、それから陸運事務所関係で、十月現在で総職員が二千八百五十名ですよ。扱っている車両は、八月現在ですが一千四十八万という数字、ですから、おそらく十二月現在では一千五十万台になるのでしょう。一千五十万台になるような膨大な車両の上昇率に対して、ここ十年間全然人をふやしてやっていない。現場に対してやっていないのですよ。ですから現場の仕事は、下級の職員は自動車の書類の中に埋もれている状態ですよ。したがって、業者団体の応援を求めなければできない、そういうことです。算術計算でいえば、一人当たり三千七百五十両を扱っている、こういう計算になるわけです。一人当たり三千七百五十両なんという膨大な車両を、これは保険の問題もある、登録の問題もあるそのほか運送法による自動車教習所の問題、そういうような、自動車行政に関する仕事は山のようにふえているわけです。ところが、人員は全然ふやしていない。ここに業者の介入しなければならない問題が、末端にはたくさんある。それと、明確に政治資金として金を集めている。ですから、一般的には行政があって政治がないと言われているけれども、事自動車行政に関しては、私は、全く行政がなくて悪政だけがあると言わざるを得ないと思うのです。  運輸大臣に伺いたいのは、いまのこの団体に対して十分な監査、監督がもし不可能である——自動車局長は、自動車局ではもう経常の経費以外のものには私たちには触れられない、こう言っておるわけです。そういうような団体であるなら、堂々と政治資金を集めて活動しているような団体であるなら、これはもはや政治資金規正法によって政治団体としてやるべきである。正常なる業者の団体とは認めがたい。したがって、運輸大臣、これは各社団法人の認可は、運輸大臣の認可である。したがって、これは七十一条の設立許可の取り消しということができるはずです。十分あなたは知っている。これを一たん解散命令を出してしまう。そうして、業界の再編成をやらなければ、こういうような問題については、おそらくいつまでほうっておいてもこれはきれいにすることはできないと思うのです。  そこで、運輸大臣は、いまの業界、業者団体を解散して、新たにこの業界の総意を結集した団体に改編する意思がおありかどうか、その点を伺います。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国民は憲法で、平穏公然と陳情し、請願する自由を持っておりまして、この自由を侵すということは、われわれはできないと思います。ただし、業者団体等が政治的プレッシャーをかけるために金を集め、それが不法不当に使われるというようなことは、これは絶対避けなければならぬことであると思います。したがって、プレッシャーグループと、そういう腐敗を伴う行為との関係は非常に微妙でありまして、憲法上どの限界まで規制できるか、これは法的にも検討を要する問題であるだろうと思います。  今回のタクシー関係の事件は非常に遺憾な不祥事件でございまして、こういう事件が再び起きないように、法的にも行政指導の面からもいろいろ検討してみたいと思います。
  62. 小川三男

    小川(三)委員 少なくともバス、トラックの問題は別として、全乗連の問題については、これは解散をやるだけの措置ができると思うのですが、どうですか。この設立許可の取り消しには条件があるわけですが、明らかに逸脱してます。金を集めてあれだけのことをしでかしているんだ。冷房の問題にしてもしかり。きょうは時間がありませんから、あとで資料を出します。  それから、少なくとも業者に向かって、請求書を出して政治資金を集めたりしているような行為を許しておくということはあり得ないと思う。したがって、全乗連に対してだけでも解散する御意思がおありかどうか。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げました趣旨に沿って、よく検討してみます。
  64. 小川三男

    小川(三)委員 この冷房の問題について、少なくともいま冷房の購入された価格、この価格は明らかに政治運動費として徴集しているのですから、その点について、自動車局長、現地へ人を派遣してやってもらいたい。  それと、各陸運事務所のいまの人員で自動車交通行政ができるかどうか。あなた自動車局長は、いまの人員でいまのこの台数を掌握してこの運営ができるのかどうか。それから人を増員する意思がないのか。少なくとも業者団体が陸運事務所の中へ部屋をとって、そこへ職員を派遣して書類をどんどん作成して、判だけ押せばいいような、そういうようなことはあり得ないと思うが、その点伺っておきたい。
  65. 原山亮三

    ○原山政府委員 自動車関係人員の問題でございますが、先生、全然人員がふえてないというお話でございますけれども、車両検査なり登録関係の事務につきましては、毎年わずかでございますけれども、全国で百名程度の人員はふえておるのでございます。こういう現場の業務につきましては、御指摘のとおり車がどんどんふえてまいりますので、それに比例して人をふやさないことには、なかなか業務がまかない切れないということで、来年度予算につきましても、車権特別会計並びにダンプ規制法の新しい業務の問題につきましては、その人員確保について極力努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  66. 小川三男

    小川(三)委員 それから、業者が申請するでしょう。そうすると、まず、地元の業者の同意書を添付してくれということを陸運事務所は言っているわけです。一体、他の既存の業者の同意書というものをどうして添付しなければならないのか、何かそういう法的な根拠があるのかどうかを伺っておきたい。
  67. 原山亮三

    ○原山政府委員 先生御指摘の場合がどういうふうな場合か存じませんけれども、業者の同意書をつけるという法律上の規定はございません。
  68. 小川三男

    小川(三)委員 それは原山さん、あなたが現場へ行って、陸運事務所へ行ってよく調査されたらすぐわかる。同意書を添付しなければ、陸運事務所は最初は受け付けませんよ。しかし、業者が一人ふえることに対して既存業者は反対しているのですから、これは添付できません。ですから何年も何年もかかる。私の記憶に間違いないならば、中曽根運輸大臣が、十年ぐらい前になるのじゃないかと思いますが、だれかがトラックを出願した、そうするとなかなか認可にならない、そこで何人かの議員の同意を得て、これは議員立法で自由業にしてしまったほうがいいということで、議員立法で出そうとした。これは新聞の記憶ですが、そういうような記憶があるのです。そのように、いまの既存の三団体が業界を完全に掌握しているのですよ。したがって、自動車行政については全く業界に握られてしまっている。これを正さなければ、とてもいまのような状態から脱却することはできないですよ。その点を私は強く付言して、私の質問を終わります。
  69. 福井勇

    福井委員長代理 松本忠助君。
  70. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣にお尋ね申し上げたい。  去る十一月十日の当運輸委員会におきまして、陸運汚職につきまして私が質問いたしましたときに、大橋前大臣はこのように答えられております。「この汚職の問題は、まことに遺憾千万と言うほかはないわけでございまして、これにつきましては、まず関係公務員の心がまえというものを促す必要があると存じまして、とりあえず通達を出した次第でございます。さらに思いをいたしますならば、執務の順序なり方法なり、そういう面において絶対に汚職を排除するような、そういうふうなやり方があるとすれば、これはぜひそうすべきであると思うのでございまして、目下その点についても検討をいたしておる次第でございます。」こう言われたわけであります。しかしながら、依然として汚職はあとからあとから続いておりまして、一片の大臣の通達がいかに力がないかを証明しておるのではないかと私は思うのです。ところが新大臣は、就任早々十二月二日に、綱記粛正に関する大臣通達を出されております。一片の通達で綱紀粛正ができるとお考えなのかどうか、運輸省の汚職についてどう対処されるのか、そのお考え運輸大臣から承りたいと思います。
  71. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運輸省の末端機構におきます不祥事件は、まことに遺憾であります。私も就任以来綱紀を粛正することにまず第一に腐心いたしておりまして、とりあえずは、重なるようなことではありますが、さらに自覚を促すために強い通達を出しまして、また先般、地方の局部長を集めまして安全運転に関する指示をいたしましたときにも、強くこのことに戒心するように指示しておきました。そのほか陸運局、海運局等におきまして相当数の配置転換をやりまして、大体業者と接触する係長あるいは補佐という部面の人々で二年以上勤務している者は配置転換せい、そういうことで海運局関係で八十八名、陸運関係で百五名、計百九十三名の配置転換をいま実施中であります。こういうふうなことによって刺激を与えながら自覚を促す、そういうことも心がけておるのであります。  なおまた、先般、陸海空の全面にわたりまして安全総点検を指示いたしましたが、これも一種の大演習みたいなもので、一生懸命張り切ってやるように大いに叱咤激励しておるわけであります。私も真夜中に地下鉄を見たりいろいろしておりますのも、本省も一生懸命やっているということを見せる意味でやっておるのであります。実際問題として、その衝に当たる人間の心が引き締まらなければだめなわけでありまして、心をそういうふうに動かす方法は、いまのところわれわれが陣頭に立ってやる以外にないと思いまして努力しておるわけであります。
  72. 松本忠助

    松本(忠)委員 新大臣は通達の中で、かつてなかった異例のことをいわれております。いわく、定められた出勤時間の励行、特に管理監督の立場にある者は率先することと述べられております。このことは、裏返すならば、管理監督の立場にある者はいままで定時に出勤していなかったということを証明するのじゃなかろうかと私は思う。またいわく、業者の供応は固辞すること、また自分でゴルフ、マージャンをする場合でも、休日、勤務時間外以外はやめることといわれております。このことも、裏返してみるならば、業者の供応で、業者と一緒にウイークデーに、しかも勤務時間中にゴルフ、マージャンをやっていたという事実があるからこそ、ここまで具体的にはっきりいわれたのではないかと私は思う。   〔福井委員長代理退席、大久保委員長代理着席〕 こういうことはいままで再三再四世間のうわさにのぼっていたことでございますが、どうやらこれが事実であったということを大臣みずからが裏書きをしてくれたことと思う。これらのことが、先ほども申し上げましたように一片の通達で改まると思うのかどうか。前大臣がやって実効があがらなかったことを新大臣もやられているようでありますが、効果があがると思っているのかどうか、この点について大臣の決意を重ねてお伺いいたしたいわけであります。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 数学の定理でも「逆は必ずしも真ならず」というのがありまして、おっしゃるとおりではないのです。念のためにさらに厳重に通達しているという趣旨でもあります。運輸省のごく一部の者が出した不祥事件で、運輸省全般がそういうふうに思われるのは心外でありまして、大部分の運輸省職員たちは一生懸命国家のために働いておるのであります。その点はぜひ御認識願いたいと思います。  それから通達その他の点でありますが、きのうも私、鹿児島の業者とたまたま会いましたら、今度はびしびしやっているので、陸運事務所長がかわったか何かで、みんなで招待をしたいといったら、絶対固辞して、桑原桑原だといって招待にも応じない、そういうことを言っておりました。そういう点からも、皆さんの御警告は大いにきいているのではないかと思います。
  74. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣は、部下のやられることに対しては全面的に責任を負われる、今後はそういう汚職は再び起こさない、こういうふうな御決意であると私は解釈いたします。  そこで重ねてお伺いしたい点は、十一月十日の当運輸委員会におきまして、私は質問の中で、大阪のタクシー業界の冷房料金問題から、またLPガスの件についても言及いたしました。そのおりに前大臣は、こう言われております。その席に中曽根大臣はいらっしゃらないので、ちょっと申し上げておきたい。「私の聞いております範囲では、そういうことはないようでございます。」このように前大臣は答えられました。しかるに、半月もたたない十一月の二十四日に、当日私が名をあげたところの多島太郎、多田清の両氏は国会議員に対する贈賄申し込容疑で逮捕せられた。そして他の業者三名とともに収容せられ、引き続き取り調べ中である。また、十二月の九日には拘置の再延長がなされている。いろいろと今日ではうわさが飛んでおります。たとえばタクシー会社がもうからないなんというのはうそだ。LPガスでうんともうかっているのだ。だから一億も政治献金をするのだ。一億出しても、百倍ももうかるなら出すわけだね。これは事実私がこの間タクシーの中で聞いた、しかもやりとりをした話であります。また、こういう話も聞きました。大阪の業者だけがこんなに熱心で、東京の業者が何にもしてないなんて信じられないわねえ。東京でもきっと一億も一億二千万も出しているに違いない。タクシーがこんなにもうかるのに、値上げなんかいうのはおかしいわね。これはある主婦の方のお話であります。私はこういう町のうわさは信じたくないけれども、どうやらこの事実は肯定せざるを得ないと私は思うのです。前代議士も逮捕せられて、また現職の代議士も事情聴取が行なわれております。こうなると、運輸大臣といたしましても無関心ではいられないと思うのであります。何となれば、これらの疑惑のある業者を指導、監督すべき立場にあるのが大臣、あなた御自身であります。したがいまして、大臣はこういう業者に対してどのような指導、監督をなされるお考えなのか。具体的にお示しを願いたいと思う。
  75. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほども運輸関係の業者団体に関する御注意がありましたが、あの御注意のときにはよく私も拝聴いたしました。いままでこの辺の監督が多少ルーズであったような気もいたします。よく、首脳部を呼びまして厳重に私からも注意するつもりでおります。
  76. 松本忠助

    松本(忠)委員 次に問題を改めまして、最近都内のタクシー会社に増車を認可したという事実があります。この点は間違いございませんかどうか。私から重ねて運輸大臣にお伺いします。
  77. 原山亮三

    ○原山政府委員 都内のタクシーにつきましては、最近過去の法令違反等のない会社に対しまして一両ずつ増車をした、こういうふうに聞いております。
  78. 松本忠助

    松本(忠)委員 その内容をもう少し具体的に御説明願いたい。
  79. 原山亮三

    ○原山政府委員 都内の現在走っておりまするタクシーの実車率、全体の走行キロの中で人を乗せている区間でございますが、この実車率が非常によくなった。したがいまして、実車率がよくなるということは、車が相当不足しておるという面も考えられますので、個人タクシーはもちろん、毎回申し上げておりますように既存の方針どおり進めていく。一方既存の法人についても、条件つきで一両ずつ認可する。しかも認可に際しましては、過去において法令違反等のない会社、しかも期間を一年に限りまして、その一年間に法令違反をやった場合においてはそれをまた減車する、こういうふうなきつい条件のもとに認可した、こういうふうに聞いております。
  80. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではお伺いしますが、何月何日付で何社に何両、期間はいつからいつまで、この点をもう少しはっきり答えてください。
  81. 原山亮三

    ○原山政府委員 ちょっとその具体的な数字は現在持ち合わせておりませんので、後刻御提出いたします。
  82. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではこの点はけっこうです。  そのことにつきまして、水野東陸局長の説明によりますと、タクシーの増車は個人タクシーでまかなうことになっているが、年末年始の需給状況は六五%程度はね上がることも予想される。そこで、輸送力増強という必要性が生じたわけで、運転者不足も考慮に入れて各社一両当て増車を認可したという発言がございますが、この点は事実でございますか。
  83. 原山亮三

    ○原山政府委員 ただいま私が申しましたような内容のことでございますので、東陸局長もそういうふうな発言をしたのではないかと考えております。
  84. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではお伺いいたします。水野局長の説明によりますと、自動車の利用者の立場を考えて、そうした利用者の立場を考えたところの行政である。このように言われております。局長もそうでございますか。
  85. 原山亮三

    ○原山政府委員 先ほど申しましたように、実車率が非常に上がっているということは、やはり車が少し足らないというふうな見方ができますので、今回の増車はそういう利用者の面を考えたものと考えます。
  86. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではお聞きしますが、利用者の立場を考えてということになれば、利用者は評判のいいところの個人タクシーをふやしてくれと言っている。私も個人タクシーのほうが安全だし丁寧だし、いいと思うのであります。局長はどちらが評判がいいか、この点をはっきりお答えをいただきたい。
  87. 原山亮三

    ○原山政府委員 先ほど申しましたように、個人タクシーの増車につきましては、免許につきましては既存方針どおり、これは国会でたびたび申し上げましたように、来年の三月末までには三千件を夏から処理する。これは既存方針どおりやるわけでございます。それになおかつ車が不足している部分について、特に事故等の少ない会社について、運転者不足も考慮して一台ずつ増車した、こういうことでございます。
  88. 松本忠助

    松本(忠)委員 私が局長にお尋ねしているのは、利用者の立場を考えてということならば、利用者に評判のいい個人タクシーをふやしてくれと言っているのですよ。私は何もいまの局長のお答えのようなことを要求しているわけじゃない。一体、個人タクシーと法人タクシーはどっちが評判がいいのか、これを聞いておるわけです。
  89. 原山亮三

    ○原山政府委員 個人タクシーが最近評判がいいことについては、毎回申し上げております。したがいまして最近運輸規則等を改正いたしまして、タクシーのサービス改善方策の第一番目に個人タクシーの育成助長ということを入れております。そうして東京におきましては未処理の個人タクシーの免許事案について毎月免許を進めておりまして、毎月大体四百件くらいずつの免許をいたしておりますので、先生御指摘のように、法人だけをやって個人は全然やってないということではございませんので、個人のほうを多くふやしておるわけでございます。
  90. 松本忠助

    松本(忠)委員 評判の悪い法人タクシーを今回は一社一両増車を認めているわけです。しかも評判のいい個人タクシーの認可をおくらせているのはどういうわけか。一社一両、しかも一年間の期間だという。ところがその一年間ということに対して水野局長は、年末年始の輸送力増強のためということも言われておる。普通われわれが常識で考えるのは、年末といえば十二月の二十日ごろから、年始といえば一月二十日ごろまでだと思う。年末年始の輸送力が六五%程度はね上がることが考えられるから一社一両の増車を、いろいろの条件はあるだろうけれども、適格なものには増車を認めた。ところがいまの局長のお答えでは、期限が一年間という。これはどうも水野局長のお話と原山自動車局長のお話に食い違いがあるように思いますが、どうでしょう。
  91. 原山亮三

    ○原山政府委員 水野東陸局長が年末年始のことを申し上げましたのは、実車率は確かに上がっておりますので、その上がっているものをふやす必要がある、その時点としては年末年始の需要が相当大きな時点を選んだ、こういうように理解しておるわけでございます。  それから個人タクシーを押えておるというわけではございませんので、個人タクシーのほうはもう総力をあげて未処理の事案の解消について努力いたしております。その点だけはひとつ御理解願いたいと思います。
  92. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、この個人タクシーの認可を一生懸命努力されている点は認めます。認めますけれども、この個人タクシーの審査を担当する者と法人タクシーの審査を担当する者は同じなのか別なのか、この点を伺ってみたいわけです。一方は三年越しも書類を積んでおってやっと審査を始めるこの個人タクシー、ところが一方法人タクシーのほうは、十一月三十日までに申請を締め切って、すぐ認可の運びになった。どうしてそのように——法人タクシーに対しては、申請も十一月三十日で締め切るとほとんど日を置かずして認可になる。一方の個人タクシーは三年間も積んでおく。一体どういうわけなんだ。個人タクシーの審査を担当する者と法人タクシーは審査を担当する者は、一体同じなのか別なのか、その辺のところをひとつはっきり伺いたい。
  93. 大久保武雄

    ○大久保委員長代理 ちょっと松本君に伺いますが、大臣予算委員会で一時といっていますが、大臣はよろしゅうございますか。
  94. 松本忠助

    松本(忠)委員 けっこうであります。
  95. 原山亮三

    ○原山政府委員 個人タクシーの審査につきまして非常におくれておったので、現在総力をあげて解消に努力しているわけでございます。それでことしの春未処理事案が四千四百件ございまして、それを三千件年度内に処理する、これは現在の東陸の旅客第二課の職員がほんとうに総力をあげてやっております。その点だけはひとつ御理解を願いたいのでございます。  それで法人タクシーの面は、これは新免じゃございませんで、既存の事業者ということで、既存の事業者の内容については常時把握しているわけでございますので、その点について過去に大事故等を起こさない会社について、運転手不足の折でもあるから一両をふやした、こういうことでございます。
  96. 松本忠助

    松本(忠)委員 とにかく個人タクシーの免許について御努力されていることは、先ほど申し上げたとおりわかっております。一生懸命やっていることはわかっています。ほんとうに私はいままでの取り返しをしようと思って東陸の自動車二課の人がやっていることもわかっております。一方、いま申し上げたように、法人タクシーのほうは、増車ではありますけれども、内容はわかっているからというけれども、私はどうもこの辺が一社一両に限って、しかも一年間に限るといいますけれども、今度は最終年限来年の十一月でございますか、十一月の末でございますか、そこにくれば継続してこれを許可する用意もあるということも聞いている。これでは期限つきの認可どころか、一両の完全増車——この点どうでございますか。
  97. 原山亮三

    ○原山政府委員 期限を付しまして、その間において法令違反をやったものについては、その一両を取り消す、こういうふうに東陸局長のほうで考えてやっております。
  98. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうもすっきりしない点があります。私は、いろいろまずい会社、乗車拒否をする会社、そういう会社に対してはもっと徹底的に取り締まるべきである、この一両のみに対して認可を取り消すというようなことでなくて、全般的にそういう問題をもっとはっきりさせたらどうでしょうか。
  99. 原山亮三

    ○原山政府委員 タクシーのサービスが非常に悪い、評判が悪いということでございますので、今回サービス改善方策の一つとして、処分の強化ということを入れました。従来、乗車違反に対する処罰は大体二十二社でございましたけれども、それを五倍ないし十倍の処罰をする、こういうふうに考えておりますので、処分の点については決して従来のようななまぬるい形ではやらないつもりでございます。
  100. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうも法人タクシーの会社ばかり陸運局は擁護しているように思えてしかたがないわけであります。そうでないことを私は望むわけであります。あくまでもわれわれ需要者にとってみれば、あのサービスのいいところの個人タクシーをもっともっとふやして、サービスの悪い法人タクシーは厳密に取り締まるべきじゃないか。しかも今回の汚職の問題等は、いわゆる四大会社といわれるところが大きくその影響力を持っている、糸を引いているというふうにしか考えられないわけです。大阪におけるタクシーの四大会社、また東京におけるところのいわゆる四大会社、こういうものが常にいろいろの点から、陸運局にまさかそういうことはないと私は思うのでありますけれども、どうも大臣通達にあったようなマージャンとかゴルフとか、ウイークデーに、しかも勤務時間中にやっているんではなかろうかと思われる節がどうも考えられる。そういう点について、原山局長としても直接監督の立場にあるわけでありますから、十分監督を願いたいと思う。  それで、運転手不足ということについて考慮に入れるという話がありました。もうこういうことを聞くこと自体もしろうとくさいと思われます。しかし、あらためて私がお伺いしたいのは、法人タクシーは車両一台について何人の運転手を必要とされるのか、この点をひとつお伺いしておきます。
  101. 原山亮三

    ○原山政府委員 従来の考えでは二・四人でございます。
  102. 松本忠助

    松本(忠)委員 私もそのように承知しております。二・四人の運転手がいなければならないその法人の会社が、実際上に二・四人もの人間、台数かける二・四の運転手を保有しているかどうか、この点について実態の調査をされたことがあるかどうか、この点をお伺いします。
  103. 原山亮三

    ○原山政府委員 従来東京陸運局のほうで、そういうふうな実態は調査いたしております。したがいまして、今回の増車につきましてそういう人員確保できない場合におきましては増車はしない、こういうことでございます。
  104. 松本忠助

    松本(忠)委員 間違いありませんか。
  105. 原山亮三

    ○原山政府委員 はい。
  106. 松本忠助

    松本(忠)委員 現在の都内の法人タクシーについて運転手不足ということは、もうだれが見ても知っている事実であります。局長はどう思っているか知らないが、現状は一両当たり二・四人なんという数字を持っておりません。しかし、その中で何とかやり繰りをしているということ、それは明らかにいわゆる日雇い運転者を頼んで、そうして運転をしているにすぎない。その日雇い運転者の、使っていいかどうかという問題この点について私は重ねてお伺いしておきたい。この前の質問のときも、使わないのを本筋とすると言われたことを記憶しております。
  107. 原山亮三

    ○原山政府委員 日雇い運転手の問題は、今回の運輸規則改正でもって、全面的に禁止するように改正いたしました。
  108. 松本忠助

    松本(忠)委員 全面的禁止、日雇い運転手は使わないということですか——けっこうであります。それでは現在の実態を私は、書類でけっこうでございますから、都内の法人の会社の運転手が実際何人いるのか、認可台数が何台、そしてかける二・四が実際上確保されているものかどうか、これを文書でけっこうでございますから御提出願いたい。同時にこの点については、現在個人タクシーの認可申請に、陸運当局で非常にきびしくいろいろの書類で取り締まっておられます。私もそういう点から逆に要求願いたいことは、その個人の名前、運転手さんの個人の名前あるいは勤務年数あるいは居住地、そういうものにつきまして列記したもので出していただきたいと思います。この点をひとつお願いしておきます。
  109. 原山亮三

    ○原山政府委員 どういうふうなことでございましょうか、個々の名簿でございますか。
  110. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうです。運転手の名簿を出さなければ台数かける二・四人で、これだけおりますといえばそれで済むわけです。私はそれを出していただいて……。
  111. 原山亮三

    ○原山政府委員 名簿はちょっとごかんべん願いたいと思います。   〔「名簿は無理だな」と呼び、その他発言する者あり〕
  112. 大久保武雄

    ○大久保委員長代理 不規則発言はやめてください。
  113. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、書類でけっこうでありますから、十分に時間をかけてもけっこうだから、年内に出していただきたい。陸運局で現在個人タクシーの認可申請をするについてのあの過酷な書類、あの審査ぶりからして、私はそれくらいを要求しても当然だと思う。この点ひとつお願いいたしたい。局長、引き受けてくれますか。
  114. 原山亮三

    ○原山政府委員 ちょっと名簿の問題についてはごかんべん賜わりたいと思います。できるだけわかりやすい資料を出したいと思います。
  115. 松本忠助

    松本(忠)委員 それじゃ局長、どういうことによってそれを確認できますか、確認の方法がありますか。
  116. 原山亮三

    ○原山政府委員 現在ハイヤー、タクシーの認可車両数でございますが、二万五千八百十八両でございます。それに対して必要運転者数は五万九千七百四十二人、それから在籍運転者数は五万一千七百三十三名ということで、タクシー、ハイヤー両方でございますけれども、タクシーの関係だけで言いますと千三百四十一人の不足でございます。
  117. 松本忠助

    松本(忠)委員 千三百四十一人不足しているということでございますか——このように明らかに不足しているにもかかわらず、各社一両ずつ増車をするというのはどういうわけですか。
  118. 原山亮三

    ○原山政府委員 人員確保できておらないような会社については、その増車をしないということでございます。
  119. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、どうしてもやはり必要になってくるのですよ。実際上われわれがその会社に乗り込んでその運転手がいるかいないかを確認する方法として、やはり名簿を出してもらわなければわからない。ただそういう数字を羅列されて、そして千三百四十一人の不足でございます。また乗車拒否とかいろいろ問題があった会社には許可はしておりません、増車はさせておりません、こう言われて言いのがれをされるだけにすぎない。私はこの点について何とか陸運当局としても、もう少しわれわれ利用者の立場を考えて指導するということも当然でございますし、また運転手さんの質の向上をはかっていくということも当然だから、そういう点についてもっと適切な手を打っていただきたい。私は重ねて要望しておきます。  きょうは時間もございませんので、そのほかに個人タクシーの問題についても用意をしておりますけれども次回に譲りまして、私きょうはこれで終了させていただきます。
  120. 大久保武雄

    ○大久保委員長代理 福井勇君。
  121. 福井勇

    福井委員 了承を得ましたので、ほんのわずかな時間、一分間ばかり、自動車局長に依頼しておきます。  私のきょう予定して質問したいと思いましたことは、自動車の交通事故の防止の問題でありますが、理事会における私のちょっと手落ちから、この次に質問いたしますが、その内容は自動車の事故防止について、これは運輸省自動車局だけでできるなどとは毛頭思っておりませんが、自動車の構造上からくる安全対策、科学技術的に交通事故防止をどういうふうにしたらいいか。そうして、たとえば運輸省の技術研究所なら技術研究所において、いままでどういうふうにその研究と対策をやっておるか。その実際を示してもらいたいということで、この次にその関係官を呼んで質問することといたします。もちろん構造上の問題になってきますると、これは通産省にも関連がありまするから、私どものほうでも通産省から出てもらう人の人選はしたいと思っております。そういう用意をしていただきたい、これが私のきょうの希望であります。
  122. 大久保武雄

    ○大久保委員長代理 次回は来たる二十日水曜日、午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会