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1967-10-16 第56回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月十六日(月曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員異動  九月一日     辞任          久保 勘一君  十月十三日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     春日 正一君  十月十六日     辞任         補欠選任      野々山一三君     稲葉 誠一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浅井  亨君     理 事                 田村 賢作君                 久保  等君                 山田 徹一君     委 員                 梶原 茂嘉君                 木島 義夫君                 斎藤  昇君                 佐田 一郎君                 中山 福藏君                 稲葉 誠一君                 大森 創造君                 亀田 得治君                 西村 関一君                 春日 正一君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        国 務 大 臣  藤枝 泉介君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        警察庁刑事局長  内海  倫君        警察庁警備課長  三井  脩君        法務省刑事局長  川井 英良君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        労働省労働基準        局監督課長    藤繩 正勝君        労働省職業安定        局業務指導課長  保科 真一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (大阪港における全港湾労組分会長刺殺事件に  関する件)     —————————————
  2. 浅井亨

    委員長浅井亨君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月十三日、野坂参三君が委員辞任され、その補欠として春日正一君が委員に選任されました。  また、本日、野々山一三君が委員辞任され、その補欠として稲葉誠一君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 浅井亨

    委員長浅井亨君) 検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 私は、本年の九月十五日ストライキ中に大阪の全港湾関西地方本部所属関光分会分会長脇田智男君が関光汽船株式会社車両部門下請しておりました原田組の者に殺害されたその事件につきまして、関係当局にただしたいと思います。  最初に、警察当局より、この事件経過、現在の取り扱いの状況、これを概略御説明を願います。
  5. 三井脩

    説明員三井脩君) ただいまの大阪におきます関光汽船分会脇田分会長刺殺事件概要について御説明申し上げます。  この事件は、大阪市港区にございます関光汽船株式会社、これの陸上トラック輸送部門を担当いたしております原田組が、八月の初めから同じくこの会社におきまして荷役部門を担当しております全港湾労働組合関光汽船分会に対しまして、輸送部門荷役部門を統合して別会社設立しようという申し入れをしたことに端を発しておるわけでございます。この原田組申し入れに対しまして、組合側ではこれを拒否しておりました。原田組は連日のようにこの組合側に対しまして、個々に組合を脱退することを呼びかけるなど、執拗にこの別会社設立を誘いかけておったわけでございますが、この間九月十四日には会社から下請の解約を原田組が申し渡されました。これを不満といたしまして、関光分会作業員寄り場原田組員が押しかけて、組合員にいやがらせをするという事案が発生いたしました。このような経緯がございまして、翌九月十五日に原田組組長指図を受けたと思われる組員三名が午前十時五十分ごろ関光汽船作業員寄り場におきまして脇田分会長に対して登山用ナイフでこれを突き刺し殺害したものでございます。大阪府警察におきましては、この事件につきまして組員三名を現場におきまして現行犯逮捕をいたしました。また、指図をしたと見られる組長に対しても、十八日殺人罪通常逮捕をいたしました。その後の捜査によりまして、事件発生の前日であります九月十四日の事案につきましても、暴力行為等処罰に関する法律違反ということで、九月二十日に原田組組員七名、それから二十九日に原田組関係者一名、計八名を通常逮捕をいたしております。これらの組員につきましては、いずれも大阪地方検察庁身柄送付をいたしました。なお、このほかに身柄拘束で取り調べをし送検いたしました者は、殺人容疑で一名、暴力行為容疑で六名、計七名でございます。強制捜査によって逮捕いたしました者は合計十四名、任意で身柄拘束で取り調べいたしました者七名というような状況になっております。  事案概要は以上でございます。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 詳細は追ってさらに具体的にお聞きするわけですが、起訴の状態はどうなっておりますか。
  7. 川井英良

    説明員川井英良君) 十月の六日に原田組長以下四名に対して殺人罪公判請求をいたしておりますのが一件ございます。それから、殺人事件が起きました前日の九月十四日の暴力行為事件につきましては、三名について同様十月の六日に公判請求をいたしております。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 検察関係法務当局に対して後ほど詳細質問をするわけですが、その前に運輸省関係ですね、これはこの事件をお調べになりまして、運輸省所管法規、これにも反しておるということで、それぞれ調査の結果処分等もなされたはずでありますが、その内容を一応御説明いただきたいと思います。
  9. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 港湾局といたしましては、港湾運送事業法に基づきます監査をいたしたわけでございます。つまり、関光汽船株式会社に対します監査を実施いたしました。その後その監査の結果判明いたしました違反事実は、次のとおりでございます。つまり、関光汽船沿岸荷役免許を持っておりますが、船内免許は持っておりません。つまり、免許を受けずして船内荷役事業を営んでおったと、こういうことでございます。これが一つ違反でございます。その他、こまかい問題でございますけれども、上屋の保管料金認可を受けずに料金を受け取っておったということ。それからもう一つ、これは施設、労務者の数につきまして、事業の変更の際に手続をしなければならないということになっておりますが、この手続を怠っていた。この三つ港湾運送事業関係違反事実でございます。  したがいまして、現地の近畿海運局長はこの点につきまして各方面の意見を聴取いたしまして、つまり、関光汽船はもとより、その従業員その他の意見も聞きまして、港湾運送事業法に基づきます処分をいたしております。十月の八日から十月の十七日まで十日間の営業停止をいたしております。  以上が違反の事実とそれに対する処分でございます。  トラック関係自動車局長から。
  10. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 関光汽船株式会社トラック関係の経営の状況でございますが、この会社の主たる事業はもちろん港湾運送なり海上運送業務でございますが、貨物自動車運送事業につきましては、昭和三十六年から事業範囲といたしまして関光汽船株式会社が取り扱います安治川沿岸に発着する貨物につきまして一般区域貨物運送事業限定免許を持っておりまして、車両数は十三両の認可車両でございます。この会社につきまして九月の十八日と十九日の二日間監査を実施いたしました結果、道路運送法違反事実を非常に多く発見いたしまして、去る十月十四日付でもちまして、道路運送法四十三条の規定に基づきまして免許を取り消すという処分大阪陸運局長において行なっております。  以上でございます。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 道路運送法違反の事実について、港湾局長説明した程度でけっこうですが、どういう事項とどういう事項ということを明らかにしてほしいと思います。
  12. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 違反の事実のおもなものでございますが、道路運送法上「自動車運送事業者は、その名義を他人に自動車運送事業のため利用させてはならない。」という三十六条に規定がございますが、この名義貸し行為がございまして、関光汽船会社原田組のほうに名義を貸しておったという事実が、一番大きな名義貸し違反という事実がございます。それ以外にも、この免許は、先ほど申し上げましたように、安治川沿岸に発着する関光汽船会社が取り扱う荷物ということに限定された業務範囲でございますが、その業務範囲を逸脱して限定外運送というものを相当やっておるというふうなこと。それから免許の際の事業区域というのがございますが、その区域外運送をやっておるというような根本的な違反が非常に多いということで免許を取り消したわけでございます。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 その三つだけですか。もっとあるのじゃないですか。
  14. 原山亮三

    説明員原山亮三君) それ以外にも、認可を受けずに車庫を移転するとか営業所を移転するとかいうようなことがございます。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 いまおっしゃったので全部ですか。だから、そのほかいろいろあるというのじゃなしに、項目だけでけっこうですから、きちっと説明してください。
  16. 原山亮三

    説明員原山亮三君) ただいま申し上げましたようなのが違反事実でございます。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 自動車局長にちょっとお尋ねしますが、道路運送法三十六条に違反する行為、これは罰則対象になっておりますね、どういうふうになっておりますか。
  18. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 道路運送法三十六条でもって名義貸しをしてはならないという規定がございまして、四十三条に「免許取消等」という規定がございまして、この法律その他命令に違反した場合において輸送施設使用停止または免許を取り消すことができるという規定に基づきましてその免許を取り消したのでございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 罰則がどうなっておるかということを聞いておるのです。
  20. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 罰則関係では、百二十八条の二に、四十三条の違反の場合におきましては「六月以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、」、こういう規定がございます。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 そうじゃないでしょう。三十六条に違反行為があったんだから、罰則は百二十八条を適用することになるでしょう。
  22. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 御指摘のとおり、三十六条違反につきましては、百二十八条の規定に基づいて「一年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金」という規定でございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 警察なり検察庁は、本件について道路運送法の百二十八条、これを会社に対して適用するという考えがあるんですか、ないんですか。両方からお答え願いたいと思います。
  24. 三井脩

    説明員三井脩君) 御指摘の点につきましては、警察としても当然この罰則違反するものとして捜査を進めております。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 検察庁はどうですか。
  26. 川井英良

    説明員川井英良君) 地検から私どものほうに対する報告には、まだその辺のところは報告が来ておりませんけれども、いずれ警察のほうでこの事件関係してこの条文を問題にすることがあれば、地検のほうにも送致があって、その際にこの条文解釈並びに適用についても慎重に考慮していきたい、こういうふうに思っております。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 きょうは相当時間をかけて、こういう不幸な事件をさらに繰り返すことのないように、いろんな角度からじっくり聞きたいと思っております。法務大臣なり公安委員長にもお忙しいところを来ていただきましたのは、最高責任者に対する質問は最終的に行なう程度でございますが、やはり十分問題を認識してもらいたいと実は思っているのです。  ところで、ただいまの問題にいたしましても、結局強行法規違反行為が長い間放置されていたわけなんです。そのことが最初の始まりなんです。だから、事件が起きても、なおかつ、このような明確な違反事実ですね、これは法を運用する運輸省解釈ではっきりしているわけなんです。そのようにはっきりしているものについて、き然とした検察当局態度が固まっておらぬということは、私ははなはだ残念だ。この点、最終的に問題にいたしますが。そこで、会社の三十六条の違反にうらはらの関係になるわけですが、原田組は、道路運送法の第四条、これに違反して仕事をやっていた、こう理解していいんですか、局長
  28. 原山亮三

    説明員原山亮三君) そのとおりだと思います。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、原田組についても道路運送法百二十八条の罰則というものが適用対象になりますな。これは解釈上当然ですが、念を押すだけです。
  30. 原山亮三

    説明員原山亮三君) そのように考えております。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 港湾局長に確かめますが、海上運送事業法でも名義貸しは禁止しておりますね。
  32. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 私の所管港湾運送事業法関係だけでございますが、いまの御質問海上運送でございますが、ちょっと海上運送事業でございますと……。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 港湾です。港湾のほうでも名義貸しは禁止しておるでしょう。
  34. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 名義貸しというふうには実はなっておりませんが、全部免許をとってやることになっておりますので、したがって、免許のないものがやりますと、無免許でそういう事業を営む、こういうことになろうかと思います。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 そうじゃないでしょう。港湾運送事業法の十四条に道路運送法の三十六条と同じような規定があるでしょう。
  36. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 御指摘のとおり、十四条には名義利用禁止規定がございます。今回の事件は、原田組港湾荷役をやらしたということではございませんので、さように先ほどお答えいたしたわけでございます。十四条に名義貸しはいかぬということはございます。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 今回は何も港湾運送事業法の十四条に該当するということを私が言っておるのじゃないのです。つまり、その十四条に違反するような要求暴力団である原田組要求していた、これが問題なんです。そうでしょう。いろいろな要求であっても、合法的な要求であれば、若干事情はよろしくなる。要求そのものが、強行法規で禁止しておる、そういうことを要求しておるところに問題があるわけなんです。労働組合がそんなことを拒否するのは、これはあたりまえなんです。だから、つまり原田組要求が通っていたとしたら、港湾運送事業法十四条並びに同法の第四条ですね、免許規定、一方会社はその十四条、原田組のほうは第四条、この違反になるわけでしょう。これは自動車の場合も一緒ですわね。
  38. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 原田組要求内容と申しますか、それは私つまびらかに存じておりませんか、おっしゃるとおりだとすれば、そのようなことになると思います。つまり、もし原田組内容が、新しい会社設立、合法的にやろうということであればいいのでございますが、おっしゃるとおりに、そのままの形で無免許名義貸してくれというような要求をしたということであれば、そのようなことになります。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大体前段のなにはこの程度にして、本論に入っていきましょう。  それで、まず警察関係のほうに聞きますが、原田組関光汽船車両部門を一手に引き受ける、こういうふうな状態になった経過ですね、これをどういうふうにつかんでおるか説明してもらいたい。私の聞くのは、スムーズにそのようなことができたのではないはずだ、どういうふうにそこを理解しておるか説明願いたい。
  40. 三井脩

    説明員三井脩君) 原田組につきましては、私たちの警察捜査におきましては、会社下請ということになっております。その下請に至った経過についての御質問でございますが、その詳細はわかっておりません。ただ、一方これが会社側から言わせると、社長が言っておりますように、会社従業員であるというような言い方もしておるわけでございますが、当面もっぱらこの殺人事件暴力行為について捜査をいたしておりますので、その過程では下請と、こういうことになっております。その経過につきましては、ただいま申しましたように、どういう経過下請ということになったのか、詳細把握いたしておりません。
  41. 亀田得治

    亀田得治君 刑事事件調べというものは、やはりその程度のことはお調べになっているものだと思ってお聞きしたわけですが、あとの事件にやはり関係があるわけなんです。それで聞くんです。  この原田組組長原田勝明、これは会社に入りましたのが三十九年六月です。これはある荷主の要請で、会社の内航営業所長をしておりました安原清さん、この人が入社させた、入るときは。それで、入った当初は普通に働いておりましたが、しばらくするとだんだん本性をあらわして、こわれて捨ててあった会社の車を整備して、そうして会社陸上運送を部分的に請け負う、こういうふうな仕事を始め出したわけなんです。簡単に言いますと、そういうことになります。で、その当時は車両部門には正規労働組合員も働いておったわけですが、だから重なるわけですね、原田組組長なりその一味と。そこで、この原田組諸君は、車両部門で働いておる関光汽船労働者に対していろんな脅迫をやる、ときには暴力をふるう、こういうことで退職させた者もあります。また、その車両部門をやめて港湾部門のほうに、沿岸部門のほうに移るということになった人もあるわけなんです。一人移ると、また組の者を一人入れる、こういうふうにして全部それまでの通常労働者を追い出したわけです。脅迫暴力、そういうふうにしてこの会社との間では正規請負契約と、車両部門についてそういうものを獲得したわけなんですね。だから、詳細にお調べになれば、この段階においてもたくさんの暴行脅迫というものがあるのです。私はわれわれなりにこの事件を非常に重視しておるものですから、いろいろ調べたものを持っているのですけれども、これは全部法律専門家諸君関係者から聞き取ったものです。これは警察調書ではありませんが、弁護士の調書です。それを見ますと、そういうことがたくさんあるのです。だから、もっとこの事件を深く掘り下げてほしいと思うのですね。最初会社労働組合なんかよりもそういうものがあったほうがどうもいいような態度で処していたようです。これが間違いの私はもとだと思います。しかも、一番われわれけしからぬと思っているのは、原田勝明という人を会社最初入れた安原清ですね、この人はどうも原田組の何か相談役か顧問役か、そういうふうなかっこうになっておるやに聞くのです。一体そういうことは、どうも先ほどのお答えからすると知らぬようですが、どうなんです、警察のほうは。
  42. 三井脩

    説明員三井脩君) そのような点はうわさとしては存じておりますが、調べの結果として把握するまでに至っておりません。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、そういうことはうわさとして聞いておれば、当然もっと突込んで調べてほしいと思うのですがね。なかなか、労働組合側事件を起こしたとかいう、そんななまやさしいものではないですよ。もっと突っ込んだそれは調べができないでしょうか。しかも、刑事事案としても、暴行脅迫がそれにつきまとっているのですから、調べなければならぬ義務があるでしょう。どうなんです。
  44. 三井脩

    説明員三井脩君) 現在の殺人暴力事件捜査過程で、さらにその点につきましても捜査を深めてまいりたいと思います。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 そういうふうに要請しておきます。  それから、今年に入り、原田組が、車両部門だけでなしに、沿岸部のほうも含めて全部仕事を乗っ取ろうと、こういう計画を立てたのです。これが直接の原因です、今度の事件は。このことは、先ほどの警察報告の中にもちょっと触れておりました。この点についての経過ですね、どういうふうに推移したか、もう少し詳しく説明願いたい。
  46. 三井脩

    説明員三井脩君) 大体先ほど申し上げたとおりでございますが、この原田組関光汽船株式会社陸上トラック輸送部門を担当いたしておりまして、組員十八名おりますが、八月初旬ごろからこの会社の他の従業員で組織しております全港湾関西地本沿岸関光分会、これは港湾荷役作業員でございまして、二十二名と聞いておりますが、これに対しまして、荷役作業部門を含めて別会社をつくろうという申し入れをいたしたわけでございます。この申し入れに至る経過につきましては、先ほどお話のように、このほうが経済的な利益もある、あるいはまた実際の作業部門といたしましては荷役トラック輸送部門とが一貫した密接な関係にあるというようなところから、そのように考えるに至ったようでございますが、こういう経過の中で組合側に対して連日執拗にこれに賛成するように働きかけをしたというように聞いております。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 この原田組が、全港湾沿岸部作業をやっておる諸君一緒になって車両沿岸も自分らで一手に引き受けてやろう、こういう申し込みをしたのはことしの六月なんです。初めは口頭です。ところが、全港湾関光分会では、全くそんな申し込みは迷惑なことである、そんな暴行脅迫をやるような諸君一緒仕事がやれるかというので返事をしなかったんですが、七月二十九日に原田組から文書で申し込んできたわけです。これはどういう文書になっておるか読んでもらいたいと思います。
  48. 三井脩

    説明員三井脩君) 文書申し入れをしたということは聞いておりますが、文書内容についてはただいま承知いたしておりません。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 それは調べてください、すぐわかることなんです。やはり事件の実態を警察のほうでも私つかんでもらいたいから聞いているんです。いいですな、調べてください。
  50. 三井脩

    説明員三井脩君) 直ちに調査いたします。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、文書で申し込むと同時に、八月十日までに返事をしろ、こういう申し込み原田組がやってきたわけです。そこで組合では相談をして、八月十日朝分会長から原田組に対して、そんなことはできませんという回答をはっきりしたわけなんです。そういう回答が出るまでに、拒否回答を出すまでに、いろんな暴行脅迫が行なわれておるんです。そんなことも調べていないんですな。あの申し込みをのまないとただではおかぬぞとか、こういう計画は妻子をいなかに帰してからだを張ってでもやりとげるんだとか、いろんな脅迫暴行をやっておるんです。それにもかかわらず、拒否をしたわけなんです。したがって、その後は非常に物騒な状態になるということは当然予見できることでしょう。八月十日にその脅迫づきの申し込み拒否したということは、これは知っておるんでしょう、警察は。どうでしょう。
  52. 三井脩

    説明員三井脩君) 初め口頭申し入れがあって、口頭でははっきりしないので文書申し入れをしてくれと、こう組合が答え、これに対して原田組文書申し入れをした。これに対しまして組合側拒否の返答をしたというように聞いておりますが、その期日が八月十日であったかどうかにつきましては、いまここに資料を持ち合わせておりません。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 どうも手元に資料が足らぬようですので困りますね。で、八月十一日に分会諸君は、事態がこういうふうに険悪化するので、仕事をやめて全港湾関西地本の事務所に全員集まっているんです。十日に拒否をしたその翌日は、これは危険を避けて集まっているんです。そうして、その場所で、会社組合との間で団体交渉が行なわれて、その際組合会社要求したことは二つあるんです。その第一は、会社組合との間で文書で約束をしてほしいと、それは何かというと、原田組諸君労働組合の人に脅迫行為などをしない、もしそんなことをすれば会社をやめてもらう、こういうことを両者の間で申し合わせをしてくれということを労働組合会社要求しております。それからもう一つは、この沿岸部門をほかの者に請負をさせる、そういうようなことは会社は今後だれに対してもしない。こういう二つを要求しているんです。この二つで、あとのほうは会社組合の間で文書で約束しておる。これはいずれももっともな申し入れですわね。したがって、会社のほうもそれを頭から断わることはできないで、何とかしようということで、そうして原田組との間で何とかなりそうだというふうなことを労働組合に言うたものですから、労働組合諸君がまた職場に復帰した、こういうことがあったわけなんです。こういう事実を知っていますか。その後の紛糾というのは、結局会社労働組合のその要求を何とかしようと言いながらしないものですから、いつまでもこう紛糾が続くわけなんです。そういう要求が八月十一日行なわれたことを御存じですか。これは本件の土台なんです。どうですか、警察
  54. 三井脩

    説明員三井脩君) 八月十一日の件につきましては資料を持ち合わせておりませんが、八月十七日に会社の会長、組合三役、原田組組長の三者会談を持って話し合いをしたということは聞いております。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 そういうふうなことを部分的に警察が聞いておる、聞いておるでは、私はこの事件に対する取り組みがはなはだ不十分だと思うのです。それは、八月十七日ころの三者会談といま言われるのは、十一日の約束を会社としては何とかしようということを組合側返事した、それをなかなかその後会社が履行しない、それで組合としては絶えずそのことを要求しており、それで会社のほうが当面を糊塗するために三者会談というものをこれは計画したのです。組合のほうは会社とだけその日話すつもりで行ったところが、原田組も来ておった。はなはだ不満なんだが、何かそこでいわゆる手打ち式のようなかっこうのことをやらされて、はなはだ不満なんです。しかも、そういうことがあった後、さらに原田組から脅迫されているんですね。引き続いてですよ、その場から帰るとき。だから、そんなものは解決でも何でもないです。そういうふうな途中にいろいろはさまっていることがあるのですが、私は肝心なところだけを一つお聞きしているのでして、会社がそういうかっこうでいつまでもきちんとしたけじめをつけないので、八月二十二日にさらに組合会社団体交渉をやって、組合から会社に十一日に何とかしようと言ったその約束の履行を迫ったわけですね、これは知っているでしょう。ところが、そのときに会社は、根本的解決をはかるには原田組と手を切る以外にない、こういう意味のことを言っておるのです。だから、これから察すると、会社原田組の性格というものを見抜いてしまったものだから、こういうふうにだんだん考えがなったかもしれませんが、そういうふうに一応答えておるわけです。そうなりますとね、会社原田組に対して、もう一切下請をやめてくれ、職場から出ていってくれというふうなことを非公式にもう当時言っておるかもしれませんね。こちらはわかりませんよ、何を原田組会社で言うているのか。いずれにしても情勢が非常にきびしくなっていっているわけです、そういうことが背景にあって。そのために、組合は八月二十二日に、港警察に対して文書でもって、組合員の警備をきちんとやってもらいたい。これは全港湾の関西地本の亀崎書記長外代表者の方が行って直接口頭でも要請をしているわけなんです。このことは知っておりますか。
  56. 三井脩

    説明員三井脩君) 二十二日に所轄港警察署に対して組合から警備要請がございました。その点承知しております。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういう文書になっておりますか。
  58. 三井脩

    説明員三井脩君) この警備要請がございました八月二十二日は、口頭で警備要請がございました。これにつきましては、原田組からいやがらせがあるので、組合員について警固等をしてもらいたいという内容でございます。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 文書は出ておりませんか、出ているでしょう。
  60. 三井脩

    説明員三井脩君) 失礼いたしました。文書は出ております。これにつきましては、組合員二十二名につきまして警備をしてもらいたいという内容でございます。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 その文書の写し、ちょっと参考に資料として出してください。
  62. 三井脩

    説明員三井脩君) 提出いたします。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 それから、そのときに、組合員の住所、氏名、これは全部警察に渡したはずですね。
  64. 三井脩

    説明員三井脩君) そのとおりでございます。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 で、警察はどういうふうに警備をやりましたか、具体的にお話を願いたい。
  66. 三井脩

    説明員三井脩君) 八月二十二日に、ただいまお話しのように、当署に来署いたしまして、口頭で警備要請があり、夕刻文書をもってその内容について提出されました。警察におきましては、直ちに本人及び組合員の住所等につきまして、所轄港署を含めまして関係の七署に手配をいたしまして、重点警ら等を実施して警戒を強化したわけでございます。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 その七署に手配をして警戒を強化したということの内容はどういうことなんです。どういう時間に、どういう人数の人を、どういうふうにこう回したとか、具体的に説明してください。
  68. 三井脩

    説明員三井脩君) 関係警察署の、本人の住所を所轄しております所轄の派出所員をいたしまして、その勤務時間中にその居宅及びその周辺を重点的に警らをするというやり方でございます。たとえば脇田分会長につきましては、午前十時から十一時の間に重点警らを実施し、また午後も十五時から十六時の間に実施をするというような状況でありますし、九月十四日に至りましては、早朝——夜中でございますが、零時から三時までの間に一回、七時から八時までの間に一回、十時から十一時までの間に一回、十九時から二十時までの間に一回、二十三時から零時までの間に一回というように実施をいたしております。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 組合としては、会社がいつまでたっても約束を実行しないので、九月十一日に最後の団体交渉をしておるのです。そうしたら、会社のそのときの言い分は、この問題は第三者に一任したから自分ではどうにもならぬと、こう逃げるような無責任な態度に出られたので、当日の夕刻から再びこれはストライキになったわけですね。だから、その当時にはそういう状態ですから、相当原田組としては、会社から手を切られるかもしらぬというふうな心配をするというのは、これは当然の筋だと思うのですね。したがって、そのころから非常に脅迫等が一そう激しくなっているのです。こういうことは警察のほうはわかっていたわけでしょうか。
  70. 三井脩

    説明員三井脩君) その点につきましては、八月の二十二日に口頭要請があり、夕刻文書による要請書が提出されました際にも、そのいやがらせの内容につきまして、警察側でどの程度の警戒警備を実施するかという必要から申しましても、内容をさらに詳細に承りたいと、承った上でさらにそれを供述調書として作成をいたしたい、これによりまして、その脅迫、いやがらせの内容によりましては、これを刑事事件として捜査をし、場合によって逮捕をするということで、事案の続発、もっと激しい事案の発生を防遏するという措置がとり得るという点をお話し申しましたけれども、警察調書を提出する、あるいは調書として作成するという点につきましては、応じがたい、なおその必要が生じた場合には、そのときに調書作成等には応じますということでございました。したがいまして、ただいま申しましたような居宅付近に対する重点警らという方法でそれでは実施をいたしますと申しましたところ、組合の代表の方も、その方法でけっこうですというような了解を当時は得ておったわけでございます。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 まあその相手が何するかわからぬ、そういう暴力的な組ですからね、調書を取らないで問題が円満に解決つけばそれが一番いいというのが普通のしろうとの考えです。だからいますぐ調書をとられたくないというふうな気持ちも私はわかると思うのです。しかし、警察がそういう普通の一般の人の人情というものをそういう立場でやっぱり善意にこれは解釈してやって、警察自体としてはもっときびしく考えていなければ私はいかぬと思う。したがって、この問題はそういうふうに裏の交渉ということがからんでいる問題ですから、私は警備の担当者というものは逐次そういうことを知っていなければならぬと思うのですね、私が指摘する程度のことは。こういうことは、それは組合側に聞いてもわかるし、会社側に聞いてもおわかりになるはずなんです。つかんでおりましたか、そういう情報を。
  72. 三井脩

    説明員三井脩君) いやがらせのことについては聞いておりましたが、その程度につきまして、殺人事件にまで発展するというような点については、その逼迫感というような点について十分警察において察知できなかったような状況でございます。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 私はいやがらせの部分を言うのじゃなしに、その原田組を結局会社から切り離してしまわなければこの問題はうまく解決つかぬのじゃないかという意見が相当出ているわけですね、八月から九月にかけて。団体交渉の席上においても、八月二十二日には会社側がそういうような意見を言ったこともある。しかしなかなかそのとおりやれぬものですから、第三者に一任したというようなことを九月十一日には言う。そういう動きというものをつかんでいたかということを聞いているのです。
  74. 三井脩

    説明員三井脩君) 先ほど申しました八月十七日の話し合いがありまして、八月二十一日には、組合会社側に対しまして、ただいまお話しのように五項目の協定締結の申し入れをいたしております。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 八月二十二日でしょう。
  76. 三井脩

    説明員三井脩君) 私たちは二十一日と聞いておりますが、この五項目の中にいまお話しのような点がございまして、これを申し上げますと、一つは、肉体的にも精神的にも絶対に組合への迫害が加えられないよう会社側において措置すること、第二は、原田組による組合に対するいかなる申し入れも一切会社を通じて行なわせること、それから、会社組合に与えた精神的打撃に対して金一封を補償すること、第四は、原田組組合に対し脅迫を加えた場合は下請としての地位を剥奪すること、第五は、支援労組員に対して脅迫的な態度があった場合も会社はわび状を入れることというような五項目の協定締結を八月二十一日に申し入れをしたと、こう承知をいたしております。これに対しまして、会社側は何ら回答を行なわなかった。一方原田組による執拗ないやがらせが続いた。こういうような状況の中で、先ほど申しましたように、二十二日に至りまして、組合から警察署に代表が参りまして、警備措置を要請し、夕刻に至りましてこれを文書として提出した、こういうような事情でございます。また会社が、この問題につきまして、第三者である報国海運の社長を仲介に立てて解決をはかりたいということを明らかにしておりましたが、そのためにストは一たん中止されましたけれども、社長が病気入院する、また仲介に立つと言った報国海運の社長が出張をするというような事情の中で、具体的に措置、対策がとられないうちにこの状態が推移しておったというところで、九月十一日から組合が無期限ストに入る、こういうような推移をたどっておると承知をいたしております。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 それで、九月十一日以降は特に原田組脅迫行為が激しくなるわけですが、まあ時間もありませんから具体的なことは省略していきますが、原田組諸君警察官がいないときを見計らってはいやがらせにやってくるわけなんです。組合員が集まっておる場所がありますね。会社のすぐ横に組合員が集まる場所があるのです。ここが会社、ここが寄り場、ここに集まっておる。ここにやってくるのです。それで組合のほうでいろいろ調べると、ずっとこれからこっちの東のほうになるんでしょうが、弁天埠頭の加藤汽船の二階か屋上で組員がこっちのほうを望遠鏡で絶えず見ておるわけなんですよ。見張っておるわけです。そうして警察官のおらぬときにやってくる。それは向こう側としては当然その程度のことは考えることですね。警察はそういうことはわかっていたのですか、どうなんでしょう。
  78. 三井脩

    説明員三井脩君) ただいまの加藤汽船の二階からこの現場が見えるという点については承知いたしておりましたが、双眼鏡等で見ておったという点につきましては承知いたしておりません。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 双眼鏡でなく見張っておるというようなことは承知しているのですか。双眼鏡に力を入れられました、いまのお答えは。どうなんです。
  80. 三井脩

    説明員三井脩君) ここから見ようと思えば見れるような距離にあるということは承知いたしておりましたが、具体的にそこから見ておったかどうかについては承知いたしておりません。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、警察のおらぬときには来る、そういうことが重なっておれば、当然その程度のことは、それは警察のほうが専門なんですからね、考えなきゃならぬことじゃないですか。私はそう思いますがね。それで、組合員のほうでちょっと調べたら、こういう事実がわかったということなんです。  それで、ひとつ事件の核心のほうへ移っていきますが、事件が起きたのが九月十五日の午前ですが、前日の九月十四日ですね、これが非常に重大なんです、本件では。この日はどういう警備をされました、まずそれから聞きましょう。私のお聞きするのは、この寄り場に対する警備ですね。
  82. 三井脩

    説明員三井脩君) 先ほど申しましたように、寄り場以外の点については徒歩及びパトカーによる重点警らをいたしました。十四日の日、この現場につきましては、警備係及び所轄の派出所員をして重点的に警らをさせたわけでございます。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 それは、時間的に何名、どういうふうにしたということは、そこでわかってはおらぬのですか。
  84. 三井脩

    説明員三井脩君) 人数は具体的につかんでおらないわけでございます。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 それなら私から申し上げますが、あなたのほうで調べてみてください、そういうことであったかどうか。  午前九時ごろに警察官が三名現場に警らに来られた。ところが、十時ごろになると、二人帰りまして、一人だけここへ残ったわけです、一人だけ。ところが、その一人の人も午後一時過ぎにはここから引き揚げて、からっぽになっているわけなんです、からっぽに。そのあと午後二時ごろに原田組の者が一これ室員手、全員二台のトラックと一台の乗用車でここへやってきたわけです。そうして代表の者がこの寄り場の中へ入って、ある者はこういう食卓机なんかの上へでんと腰をおろして、そうしてありとあらゆる悪口雑言、脅迫をやっているわけなんです。この中には関西地本の亀崎書記長、脇田分会長などもおりまして、いろんなことを言うておりまして、たとえば、「脇やん、おまんさえやめたらよいんや」「これから何するかわからぬぞ」「覚えとけ、どうしてくれるんや」「尾っぽを巻いて逃げるなよ」「きょうは帰るが、あすは許さぬ」、この調書の中にいろんなことを——これは聞いた人によっていろいろ違うでしょうが、書かれておるのを私が拾ってみたわけですが、さんざんここで組合の代表者にそういうことを言うておるんです。そうして若い者が持ってきたものは、木刀、ハンマー、金づち、こん棒、これは全部中へ持って入ったのではないようです、車の中にそういうものを置いてあったのもあるようですが、そういうことなんです。そうして寄り場の中のいすなどをけったり、そうしてこれが帰ったあとへ——帰ったあとというのは、つまりそういう状態になったものだから、組合員の井上という人が一一〇番に電話したわけです、近所の電話借りて。そうしたら、みんなが引き揚げたあとへパトカー二台やってきた。いつもこんなことを繰り返している、いつも。しかし、この十四日といえば、非常に情勢が客観的にだれが見ても険悪になっているんですよ。それに現場には、組合役員をはじめ、ねらわれておる諸君がたくさんおるのに、朝の九時ごろに三名来て、十時ごろ二人帰って一人だけになった。それがまた一時ごろ帰る。一方はちゃんと見張りをつけておるものですからね、そのあとへやってくる。で、さんざっぱら脅迫をやって帰る。これはあとから警察官お聞きになったようですが、どういうふうにこれ聞いていますか。あとから聞いて、いろいろお調べになったようです。どういうふうに聞いていますか。まあこの事件は起訴もされておるわけでしょうから、相当具体的に十四日の部分はお調べになっていると思うんですが、どうなんです。
  86. 三井脩

    説明員三井脩君) いまお話しのように、十四日は午後二時十七分に一一〇番で井上と名のる男の人から電話がございまして、労働関係のことでこじれてけんかになっておる、場所は安治川の関光汽船だという急訴がきたのでございます。警察官五名が現場にパトカーによって急行いたしましたが、午後二時二十三分から二十八分までの間に到着いたしましたところ、現場にはすでに原田組組員はおりませんでしたので、労働組合分会員から事情を聴取いたしました。その結果、原田組組員十八名ぐらいが乗用車一台とトラック三合に分乗して寄り場にやってきて、そのうち組長原田勝明ら四、五名が内部に入って、ちょうどおりました脇田分会長やそのほかの分会員数十名の方に対して、ただいまお話しのように、なぜ原田組関光汽船をやめなければならないのか、張本人は脇田、おまえではないか、ただでは済まさぬという意味のことを言って引き揚げたということが判明いたしました。この事犯につきまして、所轄警察署長及び課長が現場を検分するとともに、原田組の事務所に行きまして、組長に対して、不法行為については警察としては断固たる措置をとるという旨を厳重に警告をいたしました。十四日の当日の状況は以上のとおりでございます。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 まあそういうことがあって、署長が原田組に警告したと言われますが、それは時間なり、場所はどういうところですか。
  88. 三井脩

    説明員三井脩君) 現場にかけつけました警察官五名が署に帰って復命をしましたので、それを受けて警察署長が直ちに原田組の事務所に出向いて、組長に対して厳重警告したというように承知いたしております。
  89. 亀田得治

    亀田得治君 それは時間はいつごろですか、十四日の何時ごろですか。
  90. 三井脩

    説明員三井脩君) 何時かという点については、ちょっと資料を持ち合わしておりませんが、少なくとも夕刻であったかというように承知いたしております。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 行ったのは、署長とどういう方ですか。
  92. 三井脩

    説明員三井脩君) この港警察署の警備課長でございます。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 そして、そういう警告を与えて、相手の原田組組長は何と答えたのですか。
  94. 三井脩

    説明員三井脩君) 警告を与えるとともに、明日についても、あすは組合の大会があるというようなこともありましたし、これについて手出し等をしないように厳重に警告をいたしましたが、原田組組長はその点十分承知をしておったということでございました。
  95. 亀田得治

    亀田得治君 いや、十分承知をしておると答えたのですか、承知をしておるように署長が思ったというのですか、どっちなんですか。
  96. 三井脩

    説明員三井脩君) 原田組組長がそのように答えたということであります。手出しをする等の考えは全くない、こういうふうに答えたということであります。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 それから次にこの井上という組合員が一一〇番で急を告げた、この件ですが、あれは一一〇番かけると必ずしも港警察にかかるわけじゃないようですね、私もよくそこを知りませんが。ところがそれについて港警察の警備の諸君が、ほかの署のパトカーが来たりして、港署としてはいい恥をかかされた、こういうことをずいぶん文句を言うたそうですね。これは組合諸君が非常におこっておるのですよ。われわれにしたって、普通何かあったら一一〇番にかけたらいいのだというふうに思っておりますが、相手がどこが出てきたのか、こっちはそこはよくわかりませんよ。ほんとうに相手のそういうあぶない状態にあるのを守らなければならないというふうな気持ちが港署の関係者の中にあるのであれば、そんな文句は私は出てこないだろうと思うのですよ。それを現場で井上という組合員にも言う、さらに労働組合の事務所にまでそういう電話をしてきたようですね、港署が。それは人間にはメンツとかなんとかいうことも場合によっては考えなくちゃならないこともありますが、これはそういう場合じゃないでしょう。そういうことをあなたは聞いていませんか。
  98. 三井脩

    説明員三井脩君) 組合側の方からそのような事実があったということは聞いておりますが、私たちのほうでははっきりしたところがわかっておりません。ただ、警察に対する通報を一一〇番でやるというのは、最も能率的な方法でありまして、これが直ちに所轄警察署に通報される仕組みになっていますから、所轄警察署のほうではそれに基づいて敏速に行動すべきものであります。したがってそういう一一〇番を通じて通報があったということでメンツ云々というようなことを言うことは、きわめて不謹慎であるというように考えます。
  99. 亀田得治

    亀田得治君 これはひとつ調べてくださいよ。こんなことを関係者が聞いて非常におこっておるのです。そういう姿勢だからこんなことが起こるのだ。見ようによっては捜査に協力しておるわけでしょう。そういうふうに感謝してもらわなければならないのでしょう。それが現場で言うだけじゃなしに、念を押して電話までかけて文句を言うというような、そういう指導じゃだめです。それでは調べてください、それははっきりしてもらいましょう。  十四日の問題はこの程度にしておきまして、十五日、この警備状況はどうでした、朝から……。
  100. 三井脩

    説明員三井脩君) 当日は午前中全港湾労働組合の定期大会が開かれるというような状況でありましたので、その寄り場付近には組合員はいない、こういうような状況でありました。しかし、大会終了後、分会員が寄り場に帰ってくるということもありまして、そこで原田組との間に問題が起こるかもしれないので、警備の重点を午後に置くというようなことも一応判断されましたが、しかし、万一の場合を考慮するということで、午前八時十五分から部隊を編成いたしました。制服部隊員七名でございますが、これを一個分隊で編成をして、現場を所轄する弁天町の派出所、これは現場から約五百メートル、自転車に乗って二分くらいの距離でございますが、これにこの制服隊員を配置をして、重点的に周辺を警らするという任務を与えました。私服の視察員につきましては、四名は配置をいたしましたが、一名は他に急の用務がありましたので引き揚げましたから、終始おりましたのは三名でございます。このほかに、パトカーに二名を乗せまして、現場付近に配置をするということで視察、警戒に当たったわけでございます。  このパトカーの乗員は、この寄り場付近の見える位置ということで、場所は若干ずつ移転しております。五十メートルくらいの位置において見張りをする、続いて三十メートルくらいの位置に、一応犯行発生特には、この犯行現場から二十メートルの位置において警戒に当っておりました。私服員につきましては、パトカーとは少し離れまして寄り場の入口方向が見える位置に三名が配置についておったわけでございます。ただ、現実にこの犯行が発生いたしましたときには、この三名は、たまたま会社事務所に訪問者があって、これが出たというような状況を現認いたしまして、これがどういうことであるのか、事情聴取のために会社事務所にたまたま入ったそのときに発生した。こういうような状況でございます。
  101. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、犯行が発生したときには、パトカーがここに一つある、ここが現場ですね。ここにまあ制服の警官が二人、それで私服の人がこの中に入っている。ここからはこの辺があまりよく見えるところじゃありません、私、現場もみんな見てきたのですが。だからそれは野放しのような状態なんです。  そこへいくちょっと前に一つお聞きしますが、当日、原田組自動車が見回りにきた、様子をうかがいにきた。変だなあと思い警察のパトカーがそのあとをつけた。そういう事実があったことは報告きていますか。
  102. 三井脩

    説明員三井脩君) 当日午前八時三十分ごろ視察員が、先ほどの固定配置の私服の視察員でございますが、これが寄り場の内部の状況を見るため、一たん寄り場の中に入りました。中には労組分会員が七、八名いるだけでございましたので、再び路上に戻りまして、外部からその周辺の視察を続けたわけでございます。この間に午前九時五分ごろになりまして、原田組自動車が一台、寄り場の西のほうの道路を南から進行してくるのを現認いたしました。この車は北進を続けて、寄り場の北約三十メートルのところにある関光汽船の事務所前まで来て、そこでUターンして停車した。中から原田組長がおりてきて、この会社の事務所に入るのを確認をいたしました。そこで、この事務所前で見張りを続けておりましたが、この原田組長は数分で会社事務所を出て帰っていったということでございます。  第二回目は、九時五十分ごろ、また原田組自動車一台が同じようなコース関光汽船事務所に来て、組員二、三名がこの事務所に入りましたが、約十分ぐらいで、十時にはこれを出て引き揚げております。さらに午前十時十分ごろ、パトカーを寄り場の南のほう二十一メートルの地点に前進、移動させまして、視察員もパトカーに一緒に乗って、車内から状況を見ておりましたところ、十時三十七分ごろ、原田組自動車一台が前回と同じようなコースで、寄り場西側の道路を北に向かって進んできて、寄り場の北側の角を右に向かって右折東進するというのを認めました。したがって、パトカーにおりました視察員等がこれを出て、その行く先を見ましたところ、寄り場の東約七十メートル先の十字路を右折して南のほうに立ち去ったというのを確認いたしております。  それから、視察員は寄り場の西側の道路、一番最初に配置した場所でございますが、これに戻りまして見ておりましたところ、関光汽船の事務所から労働組合の方が出てくるのを認めたので、事情を聞くために会社事務所に入って、会社の職員と話をし始めたということであります。たまたまその時間、ちょうど十時五十二分ごろでありますが、寄り場のほうから叫び声がしたので、パトカーの乗務員が真っ先にかけつけ、分会員がかけつけたと、こういう状況でございました。
  103. 亀田得治

    亀田得治君 この犯行のある前に、原田組自動車が三回来ておることをいま報告されましたが、最初の一回、二回は、南のほうからこの道をこう来て、会社の前でとまって、そして中に入ったというのですね。中に入ってどんな話をしたんでしょうか。つかんでおりますか、そのことを。
  104. 三井脩

    説明員三井脩君) 会社職員と話をしたということは聞いておりますが、その内容については格別のことはなかったというように承知いたしております。
  105. 亀田得治

    亀田得治君 結局、様子を見にきているわけなんですよ。この段階にくると、首にしたからけしからぬぞとか、そういうことじゃなしに。それで三回目は、こう来て、こう回ってこう行ったというのですね。これで大体この辺の状況を全部見ていっているわけです。これが行ってから事件が起きたのは何分です。ほんのわずかでしょう。
  106. 三井脩

    説明員三井脩君) わずか数分ということであります。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 だから三回目の、これがずっとこう通っていったということは、最初の一回と二回で会社の中の様子がわかる。こっちのほうは、大体何ですわね、外からすっと通ればおよその状況はわかるわけですから、そういうことは、警備の担当者というものは、動きを見ていて、警戒心を起こさぬのですかね。私は結果論で言うんじゃないんですよ。ずっと連日いろいろな問題があって、そして当日はすっとしたかっこうできているというような場合に、警察としては、それはあなた、もう少し勘を働かすのが私は当然だと思うのですがね。それが全然警察官はここで見えないでしょう。私服の方はこっちに入っているでしょう。そして今度実際に犯行をやった自動車はこう来たわけでしょう。今度は最短距離ですっと来て、ここにとまって、ここに入って、ここに組合長おらぬ、すぐ出てきて、ここで鉄板の上に休んでいたのをぱっとけって、がっと一時にいったわけでしょう。そういう暴力団のやる殺害行為というのは早いわけでしょう。私はこういう事態になれば、常時見えるところにきちっとおらなければいかぬし、それから第一、原田組諸君の拠点というものはわかっているのですから、その拠点そのものにこちらの見張りをつけなければいかぬわけでしょう。すでに脅迫行為等がたくさんあるわけですから、前日あったわけですから、犯罪容疑に——それは名目は何とでもつきますよ、予防ということでもいいし。原田組の拠点をどうして押えないのか。そこから出たら一緒について歩けば一番確実なんでしょう。何回来たって何回でもやったらいいわけですよ。それを現にずっと見張っていった、様子を見ておったのを知っておってそのままにしておるということは、私は全くその点は手抜かりだと思うのですよ。どう思いますか、局長どうです。
  108. 内海倫

    説明員(内海倫君) まあ警備の問題でございますから、私から所管外の問題としてお答えするのは適当ではないと思いますが、殺人事件を引き起こした事案でございますから、私どもも重大な関心を持ってこの問題を検討いたしておりますけれども、殺人事件が結果的に起こっておるという事態を前提として見ました場合、私どもが警察という立場から願わしいことは、万全の体制をいつの場合においてもとっていくということでございますから、そういう点においては、私どももこの警備措置においてこれが完全なものであった、あるいはまた、きわめて卓越した警備措置であったというふうに申し上げることはできないと思いますが、先ほどから警備課長がるる申し上げておりましたように、殺人事件にまで至るというふうな状況を推定いたしておらなかったというふうな点を前提といたしますと、まずこの現状あるいはその時点におきましては、一応とるべき措置はとっておったのではなかろうかとも考えるわけでございます。
  109. 亀田得治

    亀田得治君 まあ警察というものはいつもそういうふうにお答えに大体なる。これは型がきまっておる。きまっておるので、そうじゃなしに、やはり十分検討されまして、単なる結果論じゃなしに、科学的にやはり検討して、この点の手抜かりがあるならあると、そういうふうにやっていきませんと、これは進歩しませんよ。ぼくらだれの責任をどう追及しようというのじゃない。事態を明らかにしなければ、こういうことで殺された人が浮かばれませんよ。ごまかされちゃいかぬですよ。そしてまた、警備のほうだってそうですよ。これで万全だと言われたのじゃ努力しませんよ。また、こんなことで万全であるということになれば、それは一挙に警察に対する不信というものが出るだけですよ。人間のやることだから手落ちもある、この点はまずかったとかいうことなら私はわかると思う。どうもいまの局長の答弁では納得いかぬですがね。そんなことで突っぱられて、それは答弁は一応突っぱられたということになりましても、損をするのはこれは一般大衆、役所だけではない、そういうことになればですよ。結論的にはこれは公安委員長、どうですか。いろいろこまかいことをだいぶさっきから事実関係を聞いていただいたわけですが、これらを総合判断して……。
  110. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 今回の事件で、とにかく一人のとうとい犠牲が出て、脇田分会長がなくなられたということにつきましては、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  先ほど来警備課長が申し上げましたように、いろいろな情勢判断のもとで作業現場の警戒、あるいは組合員の自宅の重点警ら等をとっておったわけでございます。しかしながら、殺人事件が起こるであろうというような、そういう予測をするだけに足る情報が収集されておらないで、結果的にこうした痛ましい事件が起こったということは、情勢判断の上で十分でなかった、率直に私も反省をいたしておるわけでございます。  また、その瞬間における警備体制、もちろん警察といたしましては、十分やっておったことであろうと思いますけれども、たまたま私服の視察員が会社の中に入って見えなかったというような点もございまして、これらにつきましても、私どもはこの警備の方法と申しましょうか、技術と申しますか、そういうものにおきましては、さらに検討を重ねて万全を期したいと考えておる次第でございます。
  111. 亀田得治

    亀田得治君 これは殺人とまでは予想しなかったかもしれませんが、傷害くらいは予想しなければ、そんな甘い警察では、われわれちょっと安心できませんな。それは結果が殺人であるが、殺人、そこまではお考えにならなかったと、こうおっしゃるが、私は傷害でも同じことだと思うのですよ。傷害が起こるかもしれないというくらいのことは当然考えらるべき事案なんです。前後の事情をずっと追ってくると、殺人だって私は考えられる問題だと思う、現にそう言うておるのですから。脇田をやっつけてしまおうということは、いろいろな言い方はありますが、何回も言うてきているわけですから、それを単なるおどかしだと、軽く済ますということは私は手抜かりだと思う。少なくとも傷害くらいは当然これは予想しなければならない事案ですよ。傷害が進めば、結果的には殺人になる場合もあるわけでして、第一、三人私服が来ていて、三人ともこんなところに入っているというのはおかしいじゃないですか。重要な段階において、ほんとうに会社に何か事情等を聞く、これも必要ですよ。それはしかし一人でいいですよ。一人で間違ってはいかぬというなら二人、少なくも一人はここにいなければだめですよ。どうしても話にならないですね。三人もぞろぞろ……。だからこういうところに私は真剣さが足らぬと思う。それが一一〇番に電話したからというて文句を言うようなことになると私は思う。だから絶対こういうことは了承できませんよ。  そこで、ここで脇田君がここに寝ていて、疲れて横になっておったのを足でけって起こして、起こしざまに突き刺したわけですね。それから本人がそうなると、組合、その辺におる人が全部わっとなる。ある人は抱きつく、それを振り放されるといったようなことで、本人がこちらのほうに来たわけですね、逃げるようにして。ここでまた倒されて、二人の者が馬乗りになってこう突き刺すわけですね。合計十二カ所やられておるわけです。ところが、ここの処置がわれわれ非常にはなはだもう一つふに落ちないのです。組合の人がわっとなって、ここのパトカーを呼ぶ、ここに警察官がおることは知っておるから。これがなかなか出てこぬというのです。何かボンネットを上げたり下げたり、何もいま自動車を発車させるわけじゃないのですから、走ってきたらいいのだから、すぐ来なければいかぬわけでしょう。第一、呼ばれてからなんということじゃおかしいですよ。こんな中におるというのじゃ、何かあったらすぐ飛んでくるという態勢がないのですよ。それが一つ。しかも、来て六メートルくらい離れていたというふうにこの証言では言っておるのですが、この辺に立って、ピストルをかまえて撃つぞ撃つぞと、こう言うておる、やめろ、撃つぞと、そういうやり方ってあるのですかね。現に馬乗りになってやられておるでしょう。やめろ、撃つぞ——そうじゃなしに、もっと近寄ってやるやり方があるわけでしょう。警察官、そのために武装しておるのだから、撃つなんて言わなくたって、一発、空に向けて撃ってもいいだろうしね。そうしてこの辺で、この諸君が、非常に警察官てたよりないものじゃと言う。大体態度が前へ出る姿勢じゃなしに、むしろ逆にあとずさりするようなかっこうのかまえで撃つぞ撃つぞ、やめなさい、やめろというようなことを言うておる。この間に二、三回やられておる。この点は府警に行って、われわれも非常に文句を言ったら、いや、それは事実と違う。もう完全にやられてしまってから警察官が着いたのだと、こう言いますけれども、それは事実を糊塗していますよ。それは現にここでやめろというのを聞いた人がたくさんおるわけです。そんなこと、あんな純真な組合の人がつくりごとを言うものじゃないですよ。やっておるからこそやめろと言うのでしょう。だから言うてみれば、結局、武装警官の前でとどめを刺されておるということなんですよ。それは医学的に見れば、もっと早く致命傷がいかれておるのか、それはわれわれはわかりませんよ。それはしかし遺族の人というのは、万が一最後の一突きでやられたかもしれぬ、こう思っておるかもしれませんよ。それが武装警察官の前でやられた。それはもちろん、警察官も自分の生命を守るということは考えなければなりません。しかし、この場合は経済的な問題がからんできておるやつでして、何も暴力団が警察官を目当てに飛び出してくるという事案じゃないですよ、本質的に。もちろんその場の空気で突発的に変なことをやるというのもおるかもしれませんが、それはそういう例外的なことを考えたら、警察官何もできませんよ。それは私はもっと勇敢に接近して、そうして処置してもらわなければ困ると思うのですよ。どうですか、ここの点、来るのがおそい、来てからの態度、こんなことでいいのですか。皆さん報告を受けておるのだろうと思うのですが、どうですか。
  112. 三井脩

    説明員三井脩君) 先ほど申しました十時五十二分ごろ、寄り場のほうから叫び声がいたしましたので、パトカー乗務員がパトカーを捨てて、直ちに寄り場の方向に走ってまいりました。ボンネットをいじっておったというのはその前の段階で、パトカーを約三十メートル離れた位置にその前に置いておりましたが、その後に二十一メートルのところに移動したわけです。その三十メートルの段階ではボンネットをさわったことがあるということでございます。叫び声を聞いて、直ちにかけつけましたところ、寄り場出入り口のほうから血のついたナイフを手にして道路上に飛び出してきた被疑者、これは原田でございましたが、これを発見して、これは被害者が倒れている位置から十六・七メートルの地点でございますが、直ちに拳銃を取り出して、ナイフを捨てろと言って手錠をかけた。手錠をかけたのは十時五十五分、こういうことでございます。また、もう一名のパトカー乗務員は、同じくこの寄り場の西出入り口に急行したところ、被害者は頭を東のほうに向けて血まみれになってあおむけになって倒れておった。その位置から三・五メートル離れたところに被疑者二名が立っておった。そのうち一名は血のついたナイフを持っておったので、直ちに拳銃を取り出して、ナイフを捨てろと言って、これを現行犯で逮捕したと、こういうことでございまして、警察官がかけつけたときに、その面前でなお刺したというようなことはないと、私たちは考えておるわけでございます。  この点につきましては、捜査過程におきましても、その辺の事情は一そう明らかになってくると思いますが、ただいままでの段階におきましては、それを否定するような状況調べの中でも出てきておらないという状況でございます。
  113. 亀田得治

    亀田得治君 そういう点についての、この組合側調べというものは十分できているんでしょうか、どうなんです。
  114. 三井脩

    説明員三井脩君) 現場におられた方、組合員、それから一般人も若干おられたようですが、全部で七十名ぐらいの方について、その辺を中心に調べを行なっております。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 それはおかしいですね、そんなに違うということは。だからこれはどこかの場所で明らかにしなければおさまらぬですよ。まるで被害者のほうに言いがかりをつけているような言い方ですわね、警察は。この武装した警官は車の中にいたんですか、どこにいたんでしょう、出発点は。
  116. 三井脩

    説明員三井脩君) 声が聞こえたときは車の中におりました。
  117. 亀田得治

    亀田得治君 第一そういうことがおかしいじゃないですか。こっちは会社の中に入っておる、こっちは車の中にのほほんとしておる。そういう状態原田組がずっと見て、そうして直後にさっと来ておる。さあいまこっちはぼんやりしておるからいまじゃ、ということを言わんばかりの態度じゃないですか。そういうことじゃ全くそれは困りますよ、警察の警備なんていうたって、こうなると。それから犯行直後に、この脇田君が救急車で——パトカーで運んだのですか、救急車がおそくて。その直後にこの原田組諸君がここへやってきて、そうして、この組合の責任者に対して脅迫をしたことは知っていますか、どうです。
  118. 三井脩

    説明員三井脩君) 犯行の後、原田組員がここにかけつけた。これに対しまして、分会のほうでも、多数集まりました。現場では原田組員もおどかしを言い、また、分会員のほうでもシャベルを振りあげるというようなこともありましたので、現場の警察官が中に入って、これを制止して、現場はおさめたと、こういうふうに聞いております。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 事件のあと何分して原田組来ましたか。
  120. 三井脩

    説明員三井脩君) 十一時十分ごろと聞いておりますので、十五、六分か二十分後であったということになります。
  121. 亀田得治

    亀田得治君 ここへ来て一人の者は、この脇田君が倒れておるのを、この何というか、確かめに、のぞきに行っているんです。だからそんな時間かかっていないんです。やったと、さっと来よる、さっと。そういうふうに私聞いておりますよ。だから全く計画的なんだ。そうして亀崎書記長なり幹部の方に、おまえもやったろうかというふうなやり方でおどしておるわけです。組合員が激高して多少のことを言うのは、それはあたりまえなんですよ。ところがそういう状況警察が見ていても何にもとめない。そうして労働組合員諸君に黙っておれ、黙ってというような調子で制止しているんですよ。だからこういうところにね、暴力団と労働組合というものを、どう一体警察は考えておるのか。暴力団には弱いんですよ、端的に言うて。そういうことがはっきりあらわれておるわけですね。やんちゃしようというのは向こうがしておるのですが、それをとめないでね。そうしておどされているほうをとめている。そういうことをここでやっておるわけなんです。さっきのあなたの報告だと、何か両方とも対等のようなかっこうで報告をしておりますが、そんなものじゃないでしょうが。殺害されたほうが憤慨しておこるのはあたりまえですよ。どうなんですか。第一そこの時間がもっと早いでしょう、来たのが。
  122. 三井脩

    説明員三井脩君) 原田組員が大ぜいで現場にかけつけた時間はちょっとはっきりいたしませんが、この被害者を病院に収容した時間が十一時五分ですので、原田組員がこの倒れておる被害者を見たといたしますと、おそくても十一時五分ということになりますので、犯行後十分ぐらいに現場に来たということになろうかと思いますが、この状況はただいまお話しのように、両方が興奮してにらみ合うというような状況でありましたので、現場にかけつけました警察官及び視察員が共同してこれを制止をしたと、その制止をして解散させた時間が十一時十五分ごろと、こういうことになっております。
  123. 亀田得治

    亀田得治君 だからそういう警察報告はずいぶん事実に反しています。しかし現実はもう一つしかないんですから、これはもう何としてでももっと明らかにしなければならぬと思っております。それは自分らの都合のいいようにその時間関係でも書いている。そんなばかなことはないですよ。なぜ私たちがこれをやかましく言うかというと、これは原田組全員の共謀じゃないか、全員の。なぜ即座に全員の逮捕をしないのかという声が地元ではもうほうはいと上がっておったわけなんです。この一つの行動見たってそうなんでしょう。見張りが来る、やる、あと、ぞろっとみながやってきて確かめ、また脅迫していく。そんなものをあなた、殺害した者だけ、命令した組長だけ、それだけが殺人の共同正犯だと、そんなものじゃないでしょう、それは実際。そのことをやかましくわれわれが言うたものですから、それでやむを得ず十四日の問題は脅迫として、暴力行為として、つけ足しのように扱っただけですよ、経過から見たら。だから、そういう意味でね、これは考え方をもっと整理してね、きちんとやってもらわなきゃいかぬです。私たち必要以上に人を処罰するとかなんとか、そういうことは考えませんがね、それは全員がぐるになって、一つになってやっていることは明確なんだから、十四日の事情といい、この日の当日の前後の事情といい、そんなものを全員逮捕するのに何でそんなにちゅうちょするんです、警察は。そういうことを今度切り離すために、あとから組員がざあっとやって来たのはだいぶ時間があったというような報告。そんなことはね、それはあとからすぐ来たのが、脇田君がまだ倒れているのを、これをのぞきこんでいる人がおるんだから、それで憤慨しているんだから、また、あいつらは死体を現認までしていったという。私もこの事情をつぶさに聞きましてね、非常に憤慨しているんです。だから、事実は事実として明らかにし、責任の所在というものはもっと明確にしてやりませんとね、関係者も納得しませんよ、これは。公安委員長お急ぎのようですが、事件が起きてから原田組のほうをずっと警察は監視されたようですね。どうですか、事件が起きてから。
  124. 三井脩

    説明員三井脩君) 制服部隊を出すとともに、視察について強化をして続行いたしました。
  125. 亀田得治

    亀田得治君 事件が起きてから首謀者を逮捕してしまう、それから残りの者の出入りをちゃんと監視して、そうして持ち物なども調べているようですが、それはおかしいと思うんですね。なぜ事前にそれがやれないのか。私は今回の事件というものはね、労働者の人権ということをほんとうに真剣に考えてもらっておれば、食いとめ得る時点というものは幾らでも私はあったと思うんです、結果論じゃなしに。ほんとうにそう思うんです。それは、第一は十四日ですね。十四日の段階で、警察も後ほど取り上げた暴力行為、これはもう明らかな違法行為ですわね。その夕方には署長が原田組に注意に行ってるというんですから、これはやはり異様な状況を感じておるから行っておるんですよ、おそらく。現在は責任のがれのためにみんな殺人までは起こるとは考えられなかったと言うけど、それは傷害ぐらいは考えておったに違いないんですよ。それは考えておりましたと言えば、警備なり配置の手抜かりということになるものだから、そこまでは考えなかったというような言い方をしますけれどもね。そうじゃない、やはり考えておるから言うていってるんですよ。考えないものが何で行くものですか。ほんとにそうならね、十四日の事件というものは、これはもう証人がたくさんおるんですから、それを理由にして全員逮捕くらいできるでしょう、事件を防ぐためには。逮捕の理由はそれだけじゃない。私が最初に聞きました道路運送法違反ですね、これはもうしろうとでもわかるはっきりした違反なんですね。それは事業法だと言われるかもしれないが、事業法であろうと何であろうと、懲役刑までついておる規定違反してやっているわけでしょう。だから、ほんとうにこういう事態において何とか隔離しないと困るということを真剣に考えておればできるのですよ、十四日の段階で。そういうふうに思いませんか。私は、今後ともそういうふうにやってもらわなければ困ると思うからお尋ねするのですが、どうなんでしょう。
  126. 三井脩

    説明員三井脩君) 事前に脅迫暴力行為等によって捜査をして逮捕するということによって、その後の重大事案の発生を防止できればたいへんよかったと思うわけでありますが、そういう点について一そう検討しなければならないと思います。  また、事業法の点につきましては、事業内容が特に複雑なこの種の現場等につきましては、主管の官庁の御協力を得まして、事業違反につきましても捜査を進めてまいりたい、こう考えております。将来の問題といたしましても、この辺について一そう緻密な視察及び捜査につとめていきたいと考えます。
  127. 亀田得治

    亀田得治君 事業違反のことを、そういうていさいのいいことを言われますけれども、十九日の日、私たちが大阪の本部長に会って、長い間事業違反をやっていたのになぜ放置しておいたのか、罰則がありますかなあという、こういう返事なんです、そのとき。私はそのときは条文も確かめていなかったが、そんなことが罰則がなかったらたいへんじゃないですか。そうでしょう。だれでも免許なしにどんどん、いま問題になっておる車を走らしていいというような、そんなことがあり得るわけがないでしょう。だから、そういう大体警察は認識です、事業法に対する。刑法犯だけが大事なんじゃないのですよ、それは社会の変化によって事業法のほうがもっと重要な場合もある。本件なんかの場合明らかにそうでしょう。その面で、あれはもっと早くやり得る段階はたくさんあるわけです。この問題の中に入っているわけですから、八月から警察は知ってるわけです、それにタッチして。そうして、その点の検討をやっておれば、これは首謀者だけでいいわけでしょう、その場合。ところが、私から言われて問題にしておるだけで、十九日の本部長に聞いたときには、頭から、罰則ありますかねえという話です。これは、こういう感覚じゃ困ったものだなあと、私はほんとうにそう思いましたよ、そのとき。しかも、事件が起きてからまだそんなことを言っている。そらまあ、たくさんの法律ですから、一々全部知ってるわけではない。少なくとも事件が起きたら、それに関するものは、やはり責任者というものは調べなければならぬのじゃないですか。起きても調べない。そういうところにもう根本的な手抜かりがあった、この事件に対する。そういう手抜かりから、当日の配置にしても、また現場における行動にしても、すべてが後手後手です。  そこで、公安委員長お急ぎのようですが、公安委員長に対して春日君……。
  128. 浅井亨

    委員長浅井亨君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  129. 浅井亨

    委員長浅井亨君) 速記始めて。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 きょうはいろいろまだあるのですが、ただこの事件の実体、真相というものをほんとうに知ってもらって、これは幾つかの問題点を公安委員長としても感じていただいておると思うのです。それに対するやはり改善というものを真剣に考えてほしいと思うのです。これだけ要望しておきます、お立ちになる前に。  そこで、法務大臣にお聞きいたします。この暴力団の取り締まりですね、これを大いに警察検察がやっておるのだというふうによく新聞に書かれるわけですけれども、この事件経過というものを見て、本気にこの暴力団の取り締まりに取り組んでおると私は考えられぬと思うのですが、法務大臣のひとつ感想を聞いておきたいのです。一般論じゃないですよ。この事件についてこうずっとこのような経過をたどってきておるわけですが、はたしてこういう手ぬるいことでいいのかどうか。そういうことで一般の人は私は了承するとは思わない。治安のひとつ最高責任者としての法務大臣の考え方をこの事件に即して意見をおっしゃってください。
  131. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 本件の経過、ことに御質問内容についてつぶさに承っておりまして感ずることは、殺人の動機、原因というものが非常に大事なものでありますが、本件の特色は、おのれの横車、おのれの会社の利益を思う主張、そういう主張に反するのはけしからぬということで殺人を行なっておる。さらに暴力関係につきましては、おのれの主張、おのれの横車が通らないから相手に対して暴行脅迫、いやがらせをやるという行動がどうも一貫しておる。最初からのお説を聞いておりますというと、どうもその話をいかに判断をしてみてもこの点が一貫しておるということが本件の特徴であろうと思うのです。殺人の悪質とは何を言うか、暴力行為の悪質とは何を言うかということでありますが、これは単なる暴力団が人を殺し、人をおどし、いやがらせをやったという事件じゃない。おのれの利害の主張に関連をして横車を押すための手段、方法としてかくのごとき殺人が行なわれ、暴力行為が行なわれておる。これは刑法に規定をしております殺人罪暴行脅迫罪と、これらのものの中では代表的な悪質のものであると私は判断をいたします。この事件は御承知のとおりに、先ほども私のほうの局長から御報告を申し上げましたように、四名については殺人罪について、それから三名については暴行についてすでに去る六日に起訴をいたして、まだ第一回公判には入っておりませんが、公判廷を通じて、国家の公益を代表いたします検事はこれに対して重大な発言をする義務を持っておるわけでありますから、かかる悪質な暴行、悪質な殺人、これに対しましては、被害者の霊それから遺族の感情というものにこたえる意味からも、世の中の秩序を今後守っていきます上からも、厳重な態度で、厳格な態度でその処断の方向に向かって力を尽くしていきたい、こう考えます。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 刑事局長からでもけっこうですが、道路運送法違反の点ですね。この点は私は見のがしちゃいかぬと思うのです、本件では。ただ間違ってそういうことがあったということじゃないわけでしてね、非常に悪質ですよ、その面でも。だから、その点が一つ。それからもう一つは、四名の殺人、あとは暴力行為、こうなっておるのですけれどもね、これは私はもっと再検討あってしかるべきだ、事案をもっと洗い直してほしいと思うのです。理由はもう先ほど私と警察との問答の中で申し上げましたから、どういう意味で申し上げておるかよくおわかりだと思います。その二つの点についてどういうふうにお考えか御答弁願いたいと思います。
  133. 川井英良

    説明員川井英良君) 本件につきましてはすでに公訴も提起しておりますので、大阪地検のほうにおいて情状ないしは動機を立証するためにかなりな資料を持っているようでございます。私どもの手元にもその大綱につきましては報告が参っております。そこで将来公判に出るような具体的な詳細につきまして申し上げるのはごかんべんをいただきたいと、こういうふうに思うわけですが、最後に御質問になりました二点でございますが、道路運送法の点につきましては、先ほど十九日に警察の幹部にお会いになったというようなお話でございましたけれども、私どもの報告によりますというと、その前日である十八日に、大阪陸運局が本件の実態調査に着手をしたということが検察庁のほうに連絡があった模様でございますので、おそらく担当の陸運局の係官が具体的な事情を調査して、そのつど報告が参っているのではなかろうか、かように考えております。  それから殺人、暴力行為の点についてもう一回捜査全般にわたっての検討をしてはどうかというふうな御趣旨でございましたけれども、これらの点も含めまして、ごく最近連絡があったところによりますというと、地検においては本件についてさらに捜査中であって、若干の追起訴を考えておるというふうなことも報告が参っておりますので、もうしばらく、本日の詳細な御質問の趣旨を私から地検のほうへあらためて伝えまして、それに基づいて今後の地検捜査の進展を見守ってまいりたいと、かように考えております。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 ぜひそういうふうにしてください。速記録を送ってもらって、一般の人がどういうふうに見ておるかということもやはり参考にしてもらって最終的にやってもらいませんと、何か本件の取り扱いでも非常にこう暴力団に対してゆるい。最終に扱う検察庁においても何かこう小さくしぼって処理している。そんなことじゃもう承知しませんからね。それはまあ検討しましても法律的にどうも無理があるとかいうことになれば別です。しかし、検討は当然これはすべき事案です、全員を対象にして。そういうふうに要求しておきます。  あと春日君も御質問あるようですから、ほかの問題にちょっと移りますが、港湾暴力ですね、前々から問題になり、現在でもこれがきれいになっておりません。その一つの大きな理由は、港湾労働法が昨年から施行されましたけれども、依然として手配師のようなものを使って業者が直接雇用をやるということがもう公然と行なわれておるのですよ。職安を通じて雇い入れる、どうもそちらが足らぬ場合にだけ足らぬ分を雇ってもいいとこうなっておるのですが、その辺のことは適当にやって、そしてもう公然と手配師などを使ってやっておる、こういうふうに私たち聞いておるのですがね。どうでしょうか。労働省の方、その辺の実情を明らかにしてほしい。それとともに、そういう点をどういうふうに処置したらいいのか考え方を述べてほしいと思います。
  135. 保科真一

    説明員(保科真一君) ただいま先生から御指摘の点でございますが、現在先生おっしゃいますように、港湾労働法十六条のただし書きによりまして、安定所に日雇港湾労働者の求人を申し込みまして適格な求職者がない場合には、十六条ただし書きによりまして、直接使用が認められております。現在の状況でございますが、一日平均いたしまして、就労しております港湾日雇労働者の数は約八千ぐらいでございます。そのうち、直接使用によりますものが約二千ぐらい、四分の一ぐらいは直接使用になっております。この直接使用の問題につきましては、現在総理府に設置されております港湾調整審議会におきまして、この直接使用を真に例外的なものにするということで御検討いただくというふうに言っておりますが、それと並行いたしまして、この直接使用を真に例外的なものになるように努力してまいりたいと思います。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 だから、港湾労働法の制定のときにも問題になったわけですが、そういう例外を十六条で設けるということが、やはり手配師を残す原因になっておるんですよ。残ってしまいますと、役所がそれほど末端まで監視の目が行き届くわけではありませんから、実際上はそのほうが手っとり早いですからね、使われておるわけなんです。ところが、そういうことに対して、警察でも検察庁でもいまだかつて手をつけたことは私は聞かない。見て見ぬふりをしているようなかっこうなんです。港湾労働法十六条違反ということで何か捜査対象になったようなことあるんですか。一つもないでしょう。警察検察庁どこからでもいいですが、お答えください。
  137. 保科真一

    説明員(保科真一君) 現在安定所におきまして、港湾関係事業所の査察をやっておりますが、査察の第一の重点は、この十六条違反のやみ雇用の査察ということを重点にしております。現在のところまで安定所で査察いたしまして、十六条違反というのをかなり摘発しております。
  138. 亀田得治

    亀田得治君 摘発して処罰しましたか。どうしているのです。
  139. 保科真一

    説明員(保科真一君) 処罰した例はございません。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣、この港湾労働法十六条違反の場合には、罰則は六カ月以下の懲役、三万円以下の罰金という罰則なんです。これは事業法としては軽いほうじゃないですよ。これはやはり港湾から暴力を一掃するという、そういう社会的な背景があればこそこういう強いものがついていると思うのですよ。労働省のほうのお話ですと、行政面では相当調べてあげておるのもあるようですね。その中の特に悪質と思われるものは私は積極的に警察検察庁も取り上げるべきだと思うがどうなんですか。あなたのほうの姿勢が弱かったら労働省だって持ってきませんよ。考え方を明らかにしてください。
  141. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) これも厳格に取り締まることが、いまお説のごとく重大な意味を持つものと思います。従来の実際について刑事局長からちょっと先にお答え申し上げます。
  142. 川井英良

    説明員川井英良君) この港湾労働法はできたばかりの法律で、約二年間の実績でございますが、きょうはそこまで調べてまいりませんでしたので、労働省当局のほうでもって摘発をした事実があるといえば、おそらく検察庁に送られているケースもあるのじゃないかと思いますので、しばらく時間をかしていただいて、調べてまた適当な機会に御報告申し上げたいと、こう思います。
  143. 亀田得治

    亀田得治君 それでは、大臣から方針を聞かせてください。
  144. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 今後の方針、——今日までの分については御報告を申し上げることにいたしますが、今後の方針については取り締まりに重要な意味があるものとよくわかりましたので、今後は十分厳格な態度でこれを取り扱っていきたい、摘発のありました案件につきましては厳格に取り扱っていく、こういう方針でまいりたいと思います。
  145. 亀田得治

    亀田得治君 一応この程度にいたしたいと思いますが、ただ、本日お答えになるほうで十分明確にできなかった点もありまするし、できますれば、私はこれは非常な不祥な事件だと思いますので、地元の警察署長、本部長よりもむしろ警察署長、この人が直接の接触をしていたわけでしょうから、そういう方に一度出てもらいたい。従来なかなかそういうことを警察当局もきらいまして、そういう方を呼んできてあまり詰めてくれるなとかいうようなことをおっしゃる。その気持ちはわかるのですが、何も人をいじめるとかいじめぬとか、そんなことじゃないのです。やはり間接ですと、事実がどうしても明らかにならない。代表的に署長、それから当時現場におりました被害者関係の代表者、これは数名、そういう方々に一度来てもらいまして、食い違っておる問題点などをもっと明らかにしてほしい。明らかになった事実に基づいてひとつもう一度こういうことでいいのかどうか審議をさせてほしいと思っておりますので、本日のところは一応これで終わります。
  146. 春日正一

    春日正一君 いまの関光汽船殺人事件ですね、これは非常に重大な問題だと思うのですよ。どこかでさっとやられたということではなくて、事前にそういう危険のあることがわかって、労働組合としては異例なことだと思うのですが、警察に保護を依頼するというようなこと、それまでやられておって、いま亀田委員がるる究明されたように、警察の目の前で殺されるというような事件が起こるということになると、これはもう一体どこにどうして身を守ったらいいかということが大事な問題になってくる。そういう重大な問題だと思います。私いま亀田委員質問を聞いておって、やはり警察のほうの警備に重大な手落ちがあったのじゃないかという印象、これはぬぐい切れないものがあるわけです。そこまでやられておって、しかも、原田組という一つの組織的な暴力団が、いろいろ殺人予告までしておるというのに、それに対して十分な準備をしていなかったということになると、これは明らかに警察のほうがその処分として重大な手落ちがあった。その点どうなんですか。手落ちがなかったと言うのですか、あったと思うというふうに言うのですか。
  147. 三井脩

    説明員三井脩君) 当時の状況のもとにおいて、でき得る限りの情勢判断もし努力もいたしたつもりでございますが、結果としてあのような不祥事を惹起したということについては、十分反省をしなければならないと考えております。現在まだ事件捜査中でございますので、捜査の中で、はたしてどの点に欠点があったかというような点については、はっきりしていくものと考えているわけでございます。これらの点につきまして、十分将来反省を加え、検討を加えてまいりたいと考えております。
  148. 春日正一

    春日正一君 それではいまの問題は、さっき亀田委員から具体的に、こういう状況でなぜこれをやらなかったかというような点を出されたので、私もそれをいま繰り返しませんけれども、それでは、こういう暴力事件というか、不祥事件というか、これは殺人に限らず、傷害にしても、脅迫にしても、これは決して許されることじゃないので、特に労働関係においてそれをやるということは、これは毎日の生活の上で労働者脅迫をされるということになるわけですから、そういうことを根絶する、将来こういうことが起こらぬようにする、その保障というものはあなた方どういうふうに考えていますか。
  149. 三井脩

    説明員三井脩君) まず情勢判断を的確にやるわけであります。そのためにはいろいろな方々から御協力をいただくということについて一そう積極的に施策を推進してまいりたいと思います。情勢判断さえ的確であれば、警察処置は、あとは訓練によって能力を向上してまいるというふうに考えております。
  150. 春日正一

    春日正一君 それではもう一つお聞きしますけれども、情勢判断を的確にするということですけれども、これはもちろん全体として不断にそれは見ていなければ、事が起こってその場で情勢判断を急にやるということじゃ間に合わないし、現実に今度の問題なんかでも、原田組を組織暴力対象にしていなかったので調べていなかったというようなことが言われておる。そしてそれが警備が甘かったということの一つの言いわけになっているわけですね。そうすると、現在港湾運送事業における暴力的な組織というか、そういう関係、これについてはあなた方はどのくらい把握し、どういう方針で臨んでいるのか、そこのところをひとつ聞かしてほしいのですが。
  151. 内海倫

    説明員(内海倫君) 暴力団に関しましては私どもの所管いたしておるところでございますので、お答えを申し上げたいと思います。  私どもは暴力団というものにつきましては、ひとり港湾に限らず、すべての分野におきまして暴力団の組織の解明ということにはかなり長い年月をかけましてその解明に努力をし、また解明されたものにつきましては、少しでもそれらにおいて不法な行為が予見される場合にはこれを予防する措置もとり、また、そういう行為が行なわれた場合には、あらゆる方法をもってこれの取り締まりを厳に行なっておるところでございます。港湾だけについて申しましても、大阪港におきます港湾暴力組織として大阪府警察が把握しておりますものは、一応私ども報告を聞いておる限りにおきまして、十七団体、人員にして約五百名、こういうふうなものを報告を聞いております。しかしこれはひとり大阪だけでなく。名古屋、横浜あるいは下関等、主要な港湾ごとに的確にとらえるように努力をいたしております。しかしながら、今回の原田組事件において明らかになりましたように、私どもは、原田組というものを、在来これが組織的な暴力形態をとっておらないというふうなこと、あるいは、一応これら自身が、ここに、大阪に進出してまいりまして以来、いわゆる一般的に言う暴力団的な行動というものがございませんでしたので、暴力団という把握をしておらなかったのでありますが、おそらく全国的に、港湾のみならず、一般的に見まして、この原田組の例に見るような暴力的集団というふうなものが決して少なくない、かように考えております。そういう意味では、ひとり組織暴力だけでなく、およそ集団をもって何らかの形における不法な行為を行なうものについては、さらに徹底した解明、追及をしていきたい、かように考えております。  なお、この機会に私どもの決意を申し上げるならば、私ども刑事局といたしましては、暴力団に対する対策、暴力団に対する警察の対決というものは最も重要な施策といたしまして、全力をあげてこれに当たる決意をいたしております。そのような意味合いで、現在も仕事を進めておるところでございます。港湾におきましても、私は今後さらに、主要港湾を持つところのみならず、たとえ小さな港湾でございましても、暴力のものにつきましては徹底した措置をとっていけるように努力をしていきたいと考えております。
  152. 春日正一

    春日正一君 そのいまの大阪での十七団体、五百名ですか、そういう、暴力団というあなた方の把握しておる範疇の中に、たとえばまあ港湾関係には昔から非常にそういう、何といいますか、事業の経営の中で、経営者が、何々組に入っておるとかどうとか、そのもとに、現場監督だとか何だかんだというような形で、企業それ自体が一つ暴力支配の組織になっているというようなものもあるし、またそれを期待するというような形になっているというようなものもたくさんあると思うのですが、そういうものまで全部含めて言っているのですか。そうでなくて、いま新聞なんかに出てくる何々組と、その配下の何々組というようなものだけが十七団体、五百名というふうに言われておるのですか。そこのところ、どうです。
  153. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私どもで一応暴力団何団体あるいは構成員何名ということを言っております場合は、一応先ほど申しましたように、解明をいたします暴力団、これは暴力団というものが法律上定められた定義があるわけではございませんし、また、その他、一般的にこれが暴力団であるというふうに的確に定められたものがあるわけではございませんが、私どもはその組織の性格、たとえばそれが上部のそういう暴力的な組織と系列にあるか、あるいは横といろいろ、俗に言う兄弟的な関係を持っておるか、あるいはその組織の構成員の行動がおよそすべて反社会的な行動をその内容とし、しかも暴力行為を営むことによってその組織及び個人の生計を維持していくと、こういうふうないろいろな要素を総合いたしまして、一応組織暴力、通称暴力団、こういうふうに数え上げておるわけでございます。ただいま申しました十七団体、五百名というものは、そういうものに該当するものを言っておるわけであります。
  154. 春日正一

    春日正一君 そうしますと、まあ港湾関係だけに限って言いますとね、結局一つの何々会社という形でやっておる。しかも、その中に暴力団的な要素というものが非常に強いし、労働慣行なり、いろいろな場合にそういうものが出てくるというようなものは、あなた方の取り締まりの手から漏れておるということになるわけですね、そこまでは把握し切れないと……。
  155. 内海倫

    説明員(内海倫君) たとえば神戸におきます山口組が主体になりましてつくっておりました神戸港における港湾荷役会社、これなどは一面から見ますと、港湾荷役業務にする企業としての会社でございますが、他面において暴力組織の資金源となる一環をなしておるものでございますから、これは当然暴力組織が行なっておる企業というふうにとらえて、一応徹底した壊滅措置をとったわけでございますが、そういう意味で暴力組織が企業を行なっておるという場合もございます。こういったものは、もちろん私どもの言う組織暴力としてとらえております。しかしながら、たとえば通常の企業でありながら、そのものが暴力行為をいろいろな機会に行なうというふうな場合におきましては、個々の行為、個々の活動というものによって、当然これは不法なものとして見ていかなければなりませんが、それをもって私どもが言う組織暴力というふうに直ちに見るかどうかということは、他のいろいろな諸材料とあわせて判定をしておる。しかし、暴力団が暴力をやれば取り締まり、そうでない者が暴力をやれば取り締まらないというふうなことでは決してございませんで、その点については、全く同様に私どもは処置をいたしております。
  156. 春日正一

    春日正一君 先ほどの質問にもあったけれども、今度の事件は直接暴力団と労働組合との関連という形で出ておりますけれども、その取り締まりが、先ほどの質問でもいろいろ亀田さん言われたように、警察としては非常になまぬるいといいますか、そういうものになっている。これはこの事件に限らず、労働争議の場合に、しばしば会社暴力団なるものを雇って争議団を攻撃するというような事件があるわけですが、たとえば三井三池の久保さんという人が殺されたりした事件が起こっておりますし、最近でも三光自動車委員長が殺された事件、いまだに犯人が出てこないようなことになっている。足立の司自動車の争議に、これは私も何回も視察に行きましたけれども、あそこの委員長は三回にわたって暴力団に暴行されているのです。聞いてみると、暴力団が従業員みたいな形になって職場に入ってきている。そうして組合にいろいろな脅迫をしたり、暴行を働く。警察は見ている。へいの外から支援の人たちが行って、負けるな、がんばれというようにしていると、警察のほうが逆に、あの連中はドスを持っているから、あなた方はあまり近寄るなと、ドスを持っていると言うんなら、現行犯で検挙したらいいじゃないですか。それを、ドスを持っているからあなた方は近寄りなさんなと、こういう形ですね。さっきの質問で、殺したあとに、組合員がいさかいがあった。そうしたら、それを中に入って両方平等でとめたということを質問しておったけれども、それよりも、あれはもっと、ドスを持っているからあぶない、あなた方あまり近寄るなと言って、支援している近所の労働組合員を遠ざけたりしながら、しかも、そういう事案が起こったら、急速に検挙もされないし、何回でもそれが繰り返されている。こういうものをあげれば、きりがないほどあるのですよ。だから、そういうことですね、一体、労働争議において、会社暴力団を雇い入れて争議をぶちこわさせるというようなこと、これは見のがされていいのか、この点、法務大臣の法的見解もお聞きしたいですが、労働争議において、片方の側が暴力団員を雇って暴行を働かせるということが許されていいかどうか、その点はどうなんですか。
  157. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 申し上げるまでもなく、さような考え方、さような行動は誤りであると存じます。そこで、いま局長からも詳細なお話がありましたように、暴力団として組織暴力という指定はされていなくとも、ときに応じて暴力を働く暴力団というものはずいぶん多数に及んでおる。ことに港湾関係等にはそれが相当な数であるということはよくわかる。正業を持っているとは言いながら、同時に暴力をふるう団体であるということがすぐわかる、こういうものは厳重に徹底的に処理をしていく必要があろうかと存じます。  そこで申し上げたいことは、先ほども御説明をいたしましたように、全港湾の労組事件においては、去る六日に一応の七名について起訴はいたしておりますけれども、まだそれで検察当局捜査が済んでいるのではないので、はっきり申し上げますと、現に捜査は継続中であるということでもございますので、本日のこの詳細をきわめた重要な御質問を、ひとつ速記録のでき上がりますのを待ちまして、これを現地に送付すると同時に、とりあえず本日の情勢を口頭をもって現地に直ちに申し送りたい。速記録を追って送るという意味を明瞭にいたしまして、捜査に十全を尽くして、最終まで捜査をやっていきたい、こう考えます。
  158. 春日正一

    春日正一君 それはよくわかりますがね、私のお聞きしたいのは、つまり、こういう今度の例は今度の例として、先ほど私が言ったように、司自動車の場合、その他いろいろ労働争議に、会社側暴力団を臨時雇いなり何なりというような形で雇い入れて、労働争議に対抗するということが、法律上これはおかまいなしということになるのかどうかと、こういうことなんです。
  159. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 暴力団も国民でございますから、暴力団を、単に暴力団のメンバーを雇い入れたというだけで法律上これを取り締まる道はなかろうと思います。当然のことです。ただし、暴力団であるということを知って暴力団の団員を雇い入れて、これによって暴力をふるわす場合においては、これは雇い入れた会社当局に法律上の責任を生ずること当然でございます。こういう点も放任をしておかないで、そういう事実があります場合においては、これをひとつ詳細に捜査をいたしまして、厳格な態度で処置をすべきものであると存じます。
  160. 春日正一

    春日正一君 結局、あれですね、まあ雇い入れて暴力をふるって被害が起きた、そのあとは処罰される。今度の場合でも、殺されてしまってから引っぱられるということになりますと、それじゃ、その前の安全というものはどうなりますか。それはあなたのほうからはっきり聞きたいんですがね。事案が起こっちゃった、そして、それは逮捕してしかるべく処置はする。しかし、その前に、いろいろそういう経過がある中で、十分な予防の措置がとられていない、あるいは、とりようもない。先ほど言ったように、暴力団がこれだけあるという把握はしているけれども、それからこぼれるものはうんとある。そして日常にいろいろこまかい脅迫なりピンはねがやられておったり、不当なことがやられておる。そういうものから労働者が自分の安全を守る、あるいは権利を守る、そういう保障というものがないわけでしょう、いまの証明でいけば起こったらやってやるということであって。そこらはどうなんですか。
  161. 三井脩

    説明員三井脩君) 先ほど来お答えしておりますように、起こらないように万全の努力をいたしたい。これにつきましては、事前に各種の資料、御協力を得まして、事案発生の可能性あるいは蓋然性について判断を誤らないようにいたしたい。また、その判断の上に立って、現場の措置が適確にいって落ち等がないように、警察も反省、検討を加えて、特に根絶を期したい、こういうことでございます。
  162. 春日正一

    春日正一君 それで警察として、そういうふうに、警察はそういう仕事をしているからそれでいいのだということになりますと、この前の港湾労働法制定のときにも、この精神は、一つにはやはりこのピンはねですね、そういうようなことをなくする、そういうことで労働者の利益を保護するということでやられたのですけれども、やはりそういうことはできないだろうというわが党の谷口議員の質問に対して、労働大臣は、警察的にいろいろそれを取り締まる、しかし同時に労働基準行政を強化して、その面から取り締まって労働者の利益を守っていくということを言明しておられるのですね。そうすると、今度のような場合、基準局として一体どういう手を打ってきたのか、これが第一点。それからまた、こういう事態に際して、基準局としてどういう手が打ち得るのか、違法に対して。その点、説明してほしいのですがね。
  163. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 港湾労働の実態につきましては、他の産業に比べまして、ただいまお話があったように、労働条件その他につきまして問題がございますので、私どもといたしましても、監督の重点業種として従来からやってまいっております。たとえば監督の頻度をとりましても、全産業では大体九・八%、一割程度の監督の実施率にとどまっておりますけれども、港湾につきましては一九五・六%、これは昨年の数字でございますが、かなり濃密に、ひんぱんに監督を行なっております。今度のこの関光汽船につきましても、最近ずっと毎月監督を行なっておるというような状態でございます。ただ問題は、基準法の中でも労働災害に関する問題が非常に多うございます。また焦眉の急でもございますので、私どもとしては、主として災害防止の点に重点を置いて監督してまいったというきらいがございます。その他の点、労働時間、休日等の一般労働条件についても、もう少し深い監督をしなければならないのじゃないかというような点を反省をいたしておるわけでございます。で、このたびの問題につきましても、関光汽船につきましては、すでに監督をやっておりまして、労働者の名簿あるいは賃金台帳等につきましても、ある程度確認はしてきておりますが、いまお話しのようなこともございますので、将来とももう少し突っ込んだ監督をさらに続けていかなければならないというように考えております。
  164. 春日正一

    春日正一君 そうすると、結局、労働省、特に監督局のやれることはまあ労働災害の防止とか、あるいは労働条件、労働時間、賃金、そういうようなことについての監督ということだけであって、今度のような形、あるいは港湾に非常に多い形の暴力的な組織によって労働者が不当に圧迫されて、実際上ピンはねをやられておるとかなんとかいうものについての監督、そっちの面からの、つまり、事件が起こってから警察が出るという、事前に労働行政としてそのものを防いでいくというような機能としては、一体何ができるのかということですね。
  165. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 御指摘のような問題につきましては、労働基準監督行政の面だけでは十分な成果が得られないということもございますので、実は今般この事件を契機といたしまして、総理府を中心に、警察あるいは運輸省、私どもの部内でも、職安行政も私どもにございますので、相寄りまして会議を続けました結果、当面それぞれの重要港等におきまして連絡協議会を設置するというようなことをきめまして、この十月五日には、事務次官の了解のもとに通達も出しておるわけでございまして、積極的に知恵を出し合って、現地の実情に即した解決策を進めなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  166. 春日正一

    春日正一君 だから何ができるのかと言って私は聞いておるんです。つまり、対策をあなた方がおやりになるのはけっこうだけれども、つまり、その中身ですね、労働行政の面として。こういうふうな経過ですね。たとえば自動車部門でもって原田組が入ってきて、次々に全港湾組合員をほうり出して、原田組として入れかえていくというようなことを現にやられておるのですね。こういうような問題について、労働行政として何ができるのかということを聞いておるわけですよ。いかがでしょう、できなければできないで警察のほうで……。
  167. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 労働行政でやり得る範囲ということになりますれば、まあこういった事態、よく起こりがちな、職業安定法で禁止しておりますところの労務供給というようなことが実際行なわれておるかどうかという点は、職業安定部門と連絡を密にして調査を進めなければなりませんし、また、形の上では賃金台帳あるいは労働者名簿等のほうですっきりしておりましても、そういった労務供給が実際に行なわれて、また、それに基づいて中間搾取が行なわれるおそれがあるんじゃないかというような点につきましては、それぞれ法に基づきます権限の範囲内で突っ込んだ調査をしていかなければならぬと思います。この問題は御指摘のように、非常に根の深い問題でございますから、労働省だけではやり得ない問題がたくさんあるわけでございます。警察あるいは運輸省等とも十分協力していかなければならぬ、特にそれぞれの港の実態に即した解決策も考えなければならぬということで、このたび協議機関を設置して、知恵を出し合って対処していこうという体制になっておるわけでございます。
  168. 春日正一

    春日正一君 今度のような場合には、ほとんど労働省としては事前に手の打ちようがないということになるわけですね。たとえば、こういうことにしろ、会社に雇われて、一人いなくなったから一人入れたということでやっておるわけですから、そうすると、結局、あなた方のほうでは口の出しようも手の出しようもないと、こういうことになるでしょう。
  169. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 先ほど法務大臣からもお答えございましたように、単に雇い入れあるいは解雇という点につきましては、かりに暴力団員だからどうということには、そのままでは相ならぬと思います。これは職業安定業者の組合でございますが、やはりそういうものにまで規制を加えるということはできないと思いますけれども、しかし、いま申し上げましたように、その間に法の禁止しておりますような違法行為がないかどうかという点についてさらに目を光らすという点については、私どもはやり得る余地がある、また、やらなければならぬというふうに考えております。
  170. 春日正一

    春日正一君 そうすると、結局、最後は警察ということになるわけですが、また前に戻りますけれども、ああいった自動車の部門から一人一人をいやがらせたりおどかしたりしてほうり出して入れかえていくという段階では、警察としては手の出しようがないということになるのですか。
  171. 三井脩

    説明員三井脩君) かりに脅迫、強要等の事実がございましたら、もちろん刑事事件として措置できると思います。
  172. 春日正一

    春日正一君 ずっと労働組合の発表した経過を見ますと、ずいぶん脅迫、そういうものをやられておる。しかし、それは結局、本人から警察に願い出なければ、警察としてはわからない、あるいは問題にし得ないということになるんじゃないですか。私は見ておって、こんなにひどいことがなぜいままで、あそこまで急迫するまで組合が黙っておったものだという気がいたしますけれども、これも警察にお伺いいたしますけれども、何月何日にだれからということが届け出られなければ、警察としては手の出しようがないということになるわけですか。
  173. 三井脩

    説明員三井脩君) 届け出がなくても、警察におきましてそういう事情を知り得るということもございますが、何といいましても、これは被害者のある事件でございますから、脅迫をされた当該被害者、この人の供述、あるいはその前におきます届け出、あるいは警察に対する通報、こういった点がきめ手になることは間違いないところでございます。
  174. 春日正一

    春日正一君 そうすると、結局、一般的に、ほかのいま言ったような事件が行なわれても、まあ、よほどの場合でないと見過ごされてしまう。暴力をふるって大きなけがをさしたとか殺したしかいう事件にならぬと、おどかされておっかないから逃げたというような段階ではあまり問題にならぬという結果になるのじゃないですか。
  175. 三井脩

    説明員三井脩君) そういう趣旨ではございませんで、それを脅迫として警察による捜査が適当であるという程度脅迫と認識されるかどうかということは、やはりまず被害者側が脅迫を受けておるけれども脅迫警察に言うほどのことはないと、こういうような申告なり警察に対する申し立てでありますと、警察としてはなかなかやりにくいということでございます。
  176. 春日正一

    春日正一君 それはちょっとおかしいですよ。とにかく被害者としては脅迫として警察に言うほどでない、たいしたことでないというような——職場をほうり出されるということは労働者にとってはたいしたことでしょう。しかし、やっぱりそれを言っていってはまたあとのたたりがおそろしい。大体暴力団がのさばるというのはそれでしょう。みんながいささかでもそういう不当な脅迫を受けたら警察に申告して問題にしてもらうということになれば、もっと根の深いところにまで届くかもしらぬけれども、大体が世間全体として、その程度のがまんできる程度のことでなくても、言っていってもあとのたたりがおそろしいというようなものがあって、相当な被害——たとえば職場に、そこにいられなくなって帰らされたとかいうことは相当な被害だと思います、労働者の立場になれば。それがあってもまあ言わずにおるというような状態ですね。そういうようなものが、結局、いまあなたは、自分で警察に届けるほどのことはないと思われる程度の、被害が軽いから言ってこないというように受け取っておられるけれども、それは実態の認識が違うのじゃないですか。それが、言って何とかしなければならなくても、言っていって、もし報復されたら、かえってもっと大きな被害を受けるのじゃないか、それより、泣き寝入りしたほうがというようなケースが相当多い。そうすると、そういうようなケースのものはほとんど見過ごされて泣き寝入りという形にされてしまうであろう。また、現に今度のような殺されるような事件というのはたまさか起きるのだけれども、日常ふだん起こっている事件というのは、そういうあなたの言うところの程度のものが至るところに起こっておる。それを全体寄せてみると非常に大きな被害を受けておる。それを警察として取り締まり得るのかどうか、なくなし得るのかどうか、そこの問題ですね。
  177. 三井脩

    説明員三井脩君) もちろん、警察といたしましては、そういう点にこそ問題があるということで捜査の重点をそこに置き、そういう暴力の一掃ということに努力をいたしておるわけでございますが、具体的な捜査のやり方ということになってまいりますと、関係者の供述なり協力というものが、先ほど申しましたように、きめ手になるということについては、これは当然のことであります。したがいまして、こういうような問題については、警察に事情を申し述べたらあとがこわいということのないように、そういうような点につきましても、警察において十分手を尽くしていきたいという努力をいたしておるわけでございます。
  178. 春日正一

    春日正一君 じゃ結論に入りますけれどもね、結局、警察としては努力はする、するけれども、先ほどのように、いろいろ手落ちといいますか、そういうものがあってこういう事件も起こるし、それから、そのほかに、私がさっき言ったように、直接警察に訴えて出る、そういうことをしなければ、ほとんど目こぼしにされてしまう、それは日本国じゅう、そういう事件をあんた方につかめと言ったって、これはなかなかつかめないのが実情だと思いますよ。もしつかむというようなことになれば、あらゆる職場に警察官がついてなきゃならぬことになってしまうんだから、だから、そういうことになると、実際上、毎日の労働者の生活の中で受けるそういう暴力団の介入とか支配というようなものは、警察の力だけじゃなくならぬ、なくしようがないということになるんじゃないですか。それは警察が引き受ける、だから、あと一年でも待ってくれ、全部そういうものはなくしてみせると言うんなら、これは話がわかるんですけれどもね。それはあなた方の立場としては努力をしますと言うでしょう。最善を尽くしますと言うでしょう。また、努力を尽くすかもしれない。しかし、尽くしたと言っても、いま言ったような殺人事件が現に起こってしまう。そうして、その経過を見れば非常に大きな手落ち、そういうものが出てきておる。まして、そうでないところというようなものは、努力をしましたからと言ったって、それが基本的にどんな小さな事件一つも起こらぬということでなくても、日本国じゅう、基本的に港湾での暴力的な支配とかあるいは中間搾取とかいうようなものがほんとうにきれいになくなってしまうというようなことは、警察だけの力でできるのかどうか、できると言い切れるかという問題ですね。
  179. 内海倫

    説明員(内海倫君) お説のように、暴力行為を日本から全部警察だけの力でなくしてしまうということは、私どもの努力目標ではございますけれども、現実の場合には、やはりなかなかその徹底を期するということは、実現するということは容易なことでございません。したがって、私どもが特に暴力というものに対して望んでおるものは、国民一般の陰に陽なる協力でございます。そこで、私ども、これは一般論でございますけれども、特に組織暴力というものについての壊滅対策としましては、先ほどもお話がありましたように、被害にかかっておる人がなかなか、あとのことをおそれて被害の事実を警察側に言うことを好まない、これは私は人情のおもむくところであろうと思います。警察としましては、そういうふうな場合におきまして、絶えずそういうものの動向を見ておりまして、たとえ、そういう面における証拠化できるような供述を得られなくても、他のやはり組織暴力というふうな、何といいますか、常時そういう暴力行為を行なおうとするようなものは、何らかの形における、特に特別法関係違反、たとえば税法における脱税とか、あるいは風俗営業取締法の違反とか、その他いろいろ特別法の違反というものがあるような場合、これらをもってまず取り締まりを実施し、そして、これらを捕捉することによってさらに被害を受けた人が安心して供述してもらえるような条件を設定するというふうなことによって、在来非常にむずかしい組織暴力の対策を進めてきておるわけであります。そういう点からも、何よりも望ましいことは、国民の皆さん方の陰に陽なる御協力というものが、暴力を排除していく上にぜひとも必要でございます。
  180. 春日正一

    春日正一君 まあ関光汽船分会のこの事件については、私どもやはり徹底的に警察なり会社なり関係者なりに問題を追及して、今後こういうことのないようにという立場から、私ども、いろいろ質問を準備したのですけれども、亀田委員が非常に詳細に質問されたし、さらに引き続いて質問されると言うんで、私はそこは飛ばして、こういうことが今後ほかで発生しない保障がどこにあるのか、現に起こっているいろいろな、ここまでいかぬけれども、これに類するような問題をどうなくするのかという立場で質問したのですけれども、しかし、労働省のほうの考え方で、結局、労働省だけではどうにもならぬと言う、それから警察としてもそれは鋭意やると言っても、警察という性格から見て、労働問題を根本的に警察が解決するという性質のものでもないし、だから、そこに手の届かぬものが出てくるということになりますと、やはりこれはもっとこの問題を根本的に解決する、こういうことの起こらないように解決するというのには、もっと根本的にこの法律そのものをどうするかということまで考えなけりゃならぬ。そこで、ぼくは基準局に言うのですが、局長に来てもらいたいと言ったんですよ。これは一番大問題なんだ。ところが、基準局に関係ありませんという形で局長が出てこない。関係あるのだと言ったら、あなたが出てきた。あなたに言っても、これはちょっと問題が大きいから無理だと思うのですけれども、しかし、こういう事件関係して、たとえば港湾労働法そのものは二年前にきめたんだけれども、まだ不備なところがある、これをこう直したらいいということが問題になっているのですか、いないのですか。その点、あなた方わからぬですか。
  181. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 労働省の内部では、港湾労働法は職業安定局の所管になっておりますので、私のほうで具体的に、いまどの条文が問題になっているかということをお答えできないわけでございますけれども、しかし、港湾労働法が施行されてだいぶ日にちがたちまして、実情から見ていろいろ問題も出ておりますので、将来これをどうするかという点については、省内で十分検討を加えていかなければならないというふうに考えます。
  182. 春日正一

    春日正一君 職安の方、来ておられますね。  あなたのほうでは、特に今度のような問題に関連して、港湾労働法そのものを、こういう事態を根絶する、あるいは、まだ依然として続いておるピンはねとか、そういう暴力事件になって人を殺すと警察問題になるが、ならぬ以前の問題ですね、そういう暴力事件みたいなものが起こらないようにしていく、そういうために港湾労働法を何とか変えなければならぬというふうな意見があるのですか。また、変えなければならぬというふうに、どうしても変えようとするのか。これが直らぬことには、警察だけに頼んだってどうにもならぬ。
  183. 保科真一

    説明員(保科真一君) 港湾労働法は昨年の七月から施行されまして、一年有余の施行経過でございます。施行いたしまして、法律上問題点があることはよく承知しておりますけれども、当面この港湾労働法をいかに運用いたしまして港から暴力をなくすかということで運用をやっておるわけでございます。そういうふうに、港湾調整審議会が設けられまして、港湾労働の根本問題につきましては、熱心に随時御審議されております。そういう経過でございますから、港湾労働法をこれから厳正にさらに運用するという方針のもとでやっておりまして、なお、法律上改正しなければならない点がもしあるならば、その上でということを考えております。当面は厳正に運用してまいるという方針でいきたいということで考えております。
  184. 春日正一

    春日正一君 それでは問題にならぬですね。とにかく、先ほど来言っているように、荷役会社とかなんとかといっても、これは伝統的にそういう暴力的な労務組織というものがずっとあって、それが何々組が株式会社に変わってきたとかいう形でずっとやられて、そういうものが根強く残っているわけですが、大量に人を集めてきてやっておったのが、港湾労働法で職安を通じてやれということになったのは、一面から見ればこれは進歩なんだけれども、同時に、そういう暴力的な、いまの原田組みたいな形のものがある、そこへ職安から人を提供してやるのは、ある面からいえば、職安がそういうひどい仕組みの中へ人を送り込んでいるという責任をしょい込んでしまうというような欠陥が残っているんですね。だから、そういうものをほんとうになくそうとすれば、まさに伝統的な暴力的なそういう労務管理というものがやられてきた、ここのところに近代的な労使関係を確立していこうというわけなんだから、当然そこにふさわしいここでの改革というものが考えられなければならぬし、そういう意味で、私ども、港湾労務管理を労働組合にやらせる、そして労働者と雇い主の間に第三者の介入する余地をなくすることによって、そういうものが基本的には一掃されていくのだ。そこらを直さなければ、職安は人をやっていますと、職安を通じて行ったにしても、行った先がそういう仕組みになっているということになるわけですね。だから、こういう問題が今後も起こるし、現在でもいろいろそういう問題に近い問題が起こっている。だから、私は、関光分会の問題では、警察の責任というものは非常に重大だし、徹底的に追及されなければならぬと思うけれども、しかし、それでは警察がこの問題での責任を明らかにする、この種の事態が起こることをとめることについて、警察だけに全部責任を持たせてやれ、根絶せよということを要求したって、先ほど来の答弁を見てもわかるように、必ずやりますというふうには言い切れない、そういう性質のものだと思う。だから、そういう意味ではやはり警察は、もちろんそういう暴力事犯に対して、そういう暴力団というものがどういうものだということはあなた方が一番よくわかっているはずなんだから、それが長期にわたって脅迫をやっておるという事態になれば、事前にどう防ぐかということは当然考えられなければならぬし、そうして、また、そういう事態に先手を打ってどうするかということも、先ほど亀田委員が言ったように、やるチャンスというものは幾つもあった、それをやらなかったということは重大な手落ちです、糾弾されなければならぬ。だけれども、それだけにたよるわけにもいかない。一般的に考えれば、その点をやはりこの労働行政の面からもなくしていくという考えがなければ、警察にまかせるということになれば、やっぱり起こった事件のあとを追うということにならざるを得ない。現実に結果がそうなっておる。事件が起こったあとで問題になっておる。そういう意味で、あなたにここで言っても無理かもしれませんけれども、やはりそういう点で労働省としても——私ども、そこが抜けているから、この法律ができるときにも反対した、だから問題は根本的に解決されないということで反対した。だけれども、この一年のいままでの実績の中で今度のような事件が起こってみて、やはりそこにメスを入れなければだめなんだということがわかってきた。だから、当然大臣でもだれにでもそういう問題を提起して、これを変えるということのために努力してほしいと思いますが、その点どうですか。
  185. 保科真一

    説明員(保科真一君) 港湾労働法で確かに問題の点は、十六条ただし書きの運用が一番大きな問題でございます。十六条ただし書きによりまして、直接使用が少し広きにわたって許されておるのではないかという点でございます。これにつきましては、今後真に例外的に運用するという方針でやっております。この十六条ただし書きで直接使用を認められております点でさらに問題なのは、やみ雇用の問題でございます。このやみ雇用の中には、そういう手配師的なものを通じて行く場合もなきにしもあらずであります。そのやみ雇用の絶滅ということに安定所も全力をあげて現在やっておるわけであります。そういう行政措置によりまして、そういう手配師を通じて行く者がないように、だんだん全国の港湾日雇い労働者が安定所に登録されて、安定所の紹介で就労するようにというふうな努力をさらに続けてまいりたいと思います。
  186. 春日正一

    春日正一君 これで終わりますが、ただ最後に一言、結局、あなた方のほうは、いまの安定法をもう少しきちょうめんにやっていけば、こういうような事態の、直接雇用ではないけれども、その土台となるような条件をなくし得るというふうに考えてやっておる、それ以上のことは考えてやっていないということなのか、どうなのか、それだけ確かめて私質問を終わります。
  187. 保科真一

    説明員(保科真一君) 当面、港湾労働法、職業安定法、労働基準法の運用を厳正にいたしまして、港湾におけるそういうような近代化の基盤をつくり上げまして運用してまいりたいという考えでございます。
  188. 亀田得治

    亀田得治君 局長にまとめてちょっと聞きますが、あなたの考えを率直におっしゃてください。  第一は、少なくとも本件においては傷害というものは予見すべきであったではないか、これが第一点。もう理由言いませんから、簡単にあなたの考えをおっしゃってください。  それから第二点は、九月十五日の段階では、当然常時見えるところで警備すべきではないか。常時ですよ、間をおいちゃいかないという意味です。  それから第三点は、十四日の段階で現行法を活用して——これは事業法の罰則も含めてですよ——逮捕できるではないか、そのほうが適切ではないかということ。  それから第四は、十五日の殺人現場における武装警官の行動がきわめて敏速を欠き適切でない。  結論的にこういう四つぐらいのことを私感ずるのですが、あなたのひとつ長い間の警察官としての考え方でどう感ぜられるか。で、同じことについて、法務大臣の考え方もちょっとお聞かせ願いたいと思います。一つ一つ区切って言うてくださいな。
  189. 内海倫

    説明員(内海倫君) 第一点の傷害の予見でございますが、この原田組関光分会に対する八月十一日以降ですか、の言動等を総合しますと、彼らが十五日の日においては傷害というふうな事件を起こすであろうという予見は私もあるべきであろうと考えます。  それから九月十五日に常時見得るところで警備すべきではなかったか。これもはなはだ結果から論じて相すまないと思いますけれども、こういう結果を見て、いまさらに思うことは、より安全な警備措置というものを絶えず考えておるべきである、そういう観点からは、亀田先生の御意見と同様でございまして、より完全な、何といいますか、全貌を見得るように位置すべきであったと考えます。  それから九月十四日において、いろいろな諸法を活用して逮捕できるものではなかったのか。これはやはり先生十分御存じのように、警察捜査とか逮捕とかいうものは、その具体的な事柄と、それから具体的なその時、そして、その時と事柄とを包む諸条件というものによっていろいろ判断さるべきもので、私がいまこの席で、逮捕すべきであったかなかったかということを、いわば報告だけをたよりにしておる私どもとして、いま断定的な判断を私に下せと言われても無理でございますが、しかし、今日亀田先生のいろいろ述べられておるような点を、ずっとさらに私どもも大阪府警察について調べてみて、あるいは私どもも、この時点において逮捕ができたのではないかという判断を下し得る場合もあろうと思います。ただ、私、こういう警察一線における仕事の現実については、ここで意見を申し上げることを差し控えたいと思います。  それから現場における警察官の態度、行動の問題ですが、こういうふうな事態に臨んだ警察官は、冷静沈着、しかも事態を即刻好転させるために、勇気を持って全力をふるうべきものと、また、ふるうことが一つの重大な任務である。私ども、大阪府警察本部長からの報告に接しておる限りにおいては、その警察官もできるだけのことをしたのだと、こういうふうに聞いておりますが、この点につきましては、先ほど言いましたように、警察官のあり方というものは常に冷静沈着、そうして勇気を持ってものごとを行なうということが必要であるということを申し上げておきたいと思います。
  190. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと大臣お答えになる前に……。  第三番目の逮捕の件は、私の言うのは原田組組長、責任者一人です。これは道路運送事業違反の責任者でもあるし、その全員の意味じゃございませんので、そういう意味で、ひとつ法務大臣の専門的な御意見を……。
  191. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 最後にお尋ねの四点ともに、まことに微妙な点をついておられる御質問と思います。これ、私申し上げにくいのでありますが、現場の状況警察関係と違って、もう一つ私がつまびらかにしておらぬ。そういうところから傷害の見通しが立ったでなかろうか、常時警備の必要があったとかなかったとか、十四日の検挙はやれたはずだとか、殺人の現場を見ておった警官がどういう処置をとればよかったかというようなこと、この四点に関しては、どうもここでこうすべきであったと論じますことは、私、判断がいたしにくい、まことにこの点は御質問にお答えできないことは申しわけないのでありますが、ただ一つ申し上げたいと思う点は、本日の御質疑は非常に詳細にわたっておる。最近こういう詳細な御質問に私は接しませんので、この速記録のでき上がるのを待って、現地にさっそくこれを重要資料として送りたい。そうして、まだ捜査は済んだわけではございません。一応この六日に、殺人四名、暴力三名について、七名の起訴はいたしましたけれども、まだ非公式ではありますけれども、これは非公式のものでどんどん呼んで調べておる最中でございます。とりあえず——速記録は数日を要すると思いますので、この本日の概要をひとつ電話で現場に知らせまして、速記録のでき上がるのを待って、これを、まず現場を調べております検察官にみずから読ませたい。そういう措置を講じて、まことに遺憾なできごとを償っていきたい、こういう考えでございます。率直に四点についてお答えしにくいという、たいへんむずかしいことでございますが、申しわけございません。
  192. 浅井亨

    委員長浅井亨君) ほかに発言もなければ、本件の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会