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1967-10-24 第56回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月二十四日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員の異動  十月十三日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     中村 英男君  十月十六日     辞任         補欠選任      中村 英男君     鶴園 哲夫君  十月十八日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     沢田 一精君  十月十九日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     田村 賢作君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 和田 鶴一君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 櫻井 志郎君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 八木 一郎君                 山崎  斉君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局参        事官       加賀山国雄君        農林省農地局長  和田 正明君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        食糧庁長官    大口 駿一君        食糧庁業務第二        部長       荒勝  巖君        気象庁次長    紅村 文雄君        気象庁予報部主        任予報官     加藤 茂数君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (食肉流通対策に関する件)  (農林水産関係災害対策に関する件)  (西日本干ばつ対策等に関する件)  (でん粉対策に関する件)  (農業の総合資金制度に関する件) ○理事の辞任及び補欠互選の件     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査として食肉流通対策に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 中村波男

    中村波男君 まず最初食肉流通対策、特に豚肉の問題について質問を若干いたしたいと思うのであります。四十一年の三月から畜産事業団が買いささえに出動いたしましたものの、一向に豚肉低迷から抜け切らず、買い入れ数量は実に八十八万頭、約四万トンに達したと聞いておるのでありますが、皮肉なことには買い入れを中止した七月十五日の三日過ぎの十八日から東京食肉市場卸売り価格一キロ当たり三百七十円と、前日より三十二円も高くなるという急上昇ぶりを示しまして、それ以後は連日上がり続けて、二十四日は東京市場開設以来の四百三十七円という高値を記録したのであります。この異常な値上がりを冷やしますために、当然の措置として農林省は、七月三十一日から事業団保管豚肉放出を始められたのでありまするけれども、一向に市況価格は冷やされずに強含みを続けまして、最近かなり市況は冷やされたようでありまするけれども、ふしぎなことには末端の消費者価格は下がらずに、かえって精肉上昇する気配さえあるのでありまして、またハムやソーセージ等加工品値上げが行なわれているのが実情であります。このような事態に対しまして、私は幾つかの疑問を持っておりますので、ただいまから問題点指摘いたしまして、大臣並びに政府関係者の皆さんに所信をただしてみたいと、こう考えるのであります。  第一は、おそらく政府は、畜産事業団買い入れを指示する際の見通しとしては、長期にこのように買い入れるということを予期しておらなかったのではないかと思われるのであります。すなわち、そういう予想を持たなかったために、買っても買っても生産者価格が回復をしないというのでろうばいをいたしたことは隠せない事実であろうと思うのでありますが、昨春、豚肉産地で大幅に値下がりをいたしました際にとったその見通しなり態度が私は誤っておったのではないかというふうに考えるのであります。すなわち、値が下がればやがては飼養頭数の伸びが鈍りまして、その結果、価格が反発してくるいわゆるピッグサイクルサイクル的観測に立ちまして、その結果、時間を待てばいわゆる市況は回復する、こういう安易な見通しみごと失敗をしたのではないかというふうに私は見ておるのであります。しかしながら実際には、飼養頭数かなりの増加が続きまして、その裏づけとして飼養技術の向上あるいは多頭飼育が相当進んだところもあり、産地がある程度安値にたえられる力を持つようになったために、従来に見られるような生産の減退を来たさなかったことが生産地価格を相当長期にわたって低迷をさせた原因ではないかというふうに私は考えるのでありますが、この間の事情について、まず最初大臣からお答えをいただきたいと、こう思うのであります。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 豚につきましては、ただいまお話のごとく、そういう経過を経てまいりましたが、御存じのように、下限価格になりましたならば、価格安定のためにこれを買い入れるというたてまえで畜産振興事業団をして買い入れしめる。お話のように、一時はかなりのストックを持つようになりましたけれども、ただいま畜産振興事業団政府、それから地方の組合等、緊密な連絡をいたしておりますので、そういう状況を勘案しながら生産者も対処いたしてまいっておりましたので、御存じのように、そういういま申しましたような、また御指摘になりましたような経路を経てまいったものでありますから、それにまた、ちょうど需要期にも向かってまいりましたので、逆に今度は高騰してまいった、そこで事業団はストックいたしているものを、御承知のように、放出をいたしまして、現在では、御存じのように、大体四百円前後というところに落ちついておるわけであります。私どもといたしましては、全く数字的に、計画的に私どもがこれをうまく指導したとは決して思っておりません。確かに一ころは買っても買ってもどんどん買い入れ量がふえておりましたので、もちろんその状況については、ある程度いろいろ連絡をとりながらも苦慮いたしておりまして、幸いに、いま申し上げましたように、需要期にも向かい生産も安定してまいりまして、御存じのように、現在の安定した価格で作用しておる。こういうことで、まずはこの辺でちょうどいいところではないかと、こういうふうに判断しておるわけであります。
  5. 中村波男

    中村波男君 いま大臣お答えを聞いておりますと、まずはこの程度でいいのではないかと、このことは、生産者側に立ってこの事態を見ますならばそういう評価もできると思うんでありますが、私が特にここで指摘をし、政府所信を聞きたいと思いますのは、こういう事態が長く続きましたあとに来るものをいまから考えて対策を立てなければならないのではないかというふうに思うわけであります。したがって、今日の事態牛肉にいたしましてもいわゆるカズノコ並みである。豚肉も一応卸価格は冷えましたけれども消費者価格というのは上がる気配を濃厚に見せておる。したがって、長期生産消費安定対策を考えます場合には、消費の伸びないところに生産の安定はつくられ得ないのでありまして、こういう点でさらに私は質問をいたしたいと思うんでありますが、そこで、今日の事態を招きました経過の中でいわゆる事業団保管肉放出かなりおくれて機動性を欠いたということが今日の消費面における混乱を来たした大きな原因ではなかったかというふうに思うのであります。おそらく見通しとしては、農林省は一年四カ月にわたります事業団買い入れに頭を痛めておられて、いまのところ偽らざる気持ちとしてはほっとしておられるのではないか、こういうふうに思うのでありまして、この気持ちもわからぬことはありませんけれども、したがって、これ以上このことを責めてもせんないことだとは思いますが、しかしながら、今回の高騰はやがて産地生産意欲を高めまして、いわゆるピッグサイクルを繰り返す結果を私はおそれますゆえに、あえてお尋ねをいたすものであります。  自由経済をたてまえとする政府政策の中にありますピッグサイクルは、事前に対策を誤らなければ、自由経済のたてまえの中にありましても、ある程度避けて通れる。混乱最小限度に食いとめることができるのではないかと思うのであります。すなわち、あのような事態にありまして、最も必要な行政措置は、何としても産地安値消費者価格に結びつく流通機構改革を忘れていたのではないか、また学校給食等について養豚団体等が強く要請をいたしたのでありますが、それらを中心にして消費拡大措置があったと思うのでありまするけれども、それらに積極的な手を打たなかった、また生産者に対しましては、より一そう経営の近代化によるコスト引き下げを指導すべきであったと思うのでありますが、ただただ事業団買い入れにすべてをまかせる、むしろ当時では、農林省生産調整をはからなければならぬというような考え方のあったことも、私は否定できないというふうに思うのであります。したがって、重ねて苦言を呈しますならば、全く見通しを誤って今日までの措置が十分でなかった、こういうことがはっきり言えるのではないかというふうに思うのであります。言いかえますならば、食肉消費需要が、私の調べたところによると、前年度に比べて本年度は三〇%以上伸びるであろうということが言われておるのでありまして、このように着実に消費需要が伸びてきております現在において、消費者価格最小限度に押えるということが、すなわち持続的な生産増による一そうのコスト切り下げをはかるということは一体でなければならないのではないかというふうに思うのであります。このような私の見解に対しまして、農林大臣見解を異にされるのかどうか——ただ見解だけでなしに、こうだとするならば、具体的にいま私が指摘をいたしましたような問題について、今後どのように対策を立て、対処されようとしておるのか、具体的にひとつお答えをいただきたい、こう思うわけであります。
  6. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 結果から見まして、いろいろ御批判はあることでございましょうが、大体私ども例年御存じのように、上期はやや生産が多くて、下期は需要が非常に多いわけであります。それが非常に早く出てまいったものですから、先ほど来お話のように、畜産振興事業団買い入れ額が非常に多かったということでありますが、下期に及んで需要が活発になり、当初二千トンを放出いたしましたころを境にいたしまして逐次消費も伸び、価格も安定してくるという状態でありました。したがって、これから先のことにつきましては、いまお話のありましたように、われわれはやはり流通機構整備にはさらに一段の力を入れまして、そして需要供給関係は、いま申しましたように、例年価格もあることでありますから、そういうことを十分参考にして、生産消費とマッチするように指導してまいりたいと、このように考えているわけであります。御存じのように、食肉業につきましては環衛公庫等金融措置も講ぜられるようになってまいりましたし、私どもとしてはお話のように、消費者対策の面から考えましても流通機構には一段の力を加えてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
  7. 中村波男

    中村波男君 私がお聞きしたいのはもう少し具体的に、たとえて言うなら、流通改善についても、昨年来政府としていろいろ政策を打ち出し、その対策を具体的にされているのであります。たとえて申しますならば、家畜取引公正化食肉中央市場設置による食肉取引適正化食肉規格取引適正化食肉流通施設近代化等々を取り上げられているのでありますが、それらは残念ながらかけ声に終わりまして、全くとは言いませんけれども前進をみておらないのではないかというふうに思うのであります。いま私が何度も指摘いたしましたように、ピッグサイクルについては、これは豚肉だけには限らないのでありまして、牛肉、ブロイラー、鶏卵等に対しましても大体二年周期というような状態を繰り返しているのでありまして、したがって、まず当面といたしましては、この食肉消費者価格をもう少し押える対策というのに重点を置かないと生産に結びつかないのではないかというふうに思うのであります。そういう点で特に流通合理化ということが重大な当面する政府のとらなければならない措置ではないかと思うのでありますが、したがって、あとから具体的に例をあげてお伺いいたす考えでありますが、具体的にどのような流通合理化のために政府は手を打ち、対策を立てているのか。残念ながら私はあまり前進をみておらないように考えておりまするがゆえに、あえて重ねてお尋ねをいたすわけであります。
  8. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 食肉流通につきましては御存じのように、農家から家畜商または生産者団体の手で生体のまま消費地出荷をされまして、これを購入した食肉業者は、それを屠殺場処理いたしまして、解体して枝肉にしてこれを小売り店におろすわけであります。小売り店枝肉精肉にして販売するのがただいま通常でありますが、肉畜の肉といたしましての適正な評価枝肉によって可能なわけでありますから、生体取引には価格形成正常化をはかる観点から私どもは問題があると存じますとともに、この生体輸送は事故もありますし、それから目減り等の点で合理的ではないと存じておるわけであります。そういうわけでありますから、産地屠殺場をなるべく設けさせるように助成をいたしまして、そうしてそこから輸送までの施設を総合的に備えた食肉流通施設設置を進めておるわけであります。枝肉部分肉出荷の促進をはかるためにそのようなことをいたすようにいたしておるわけであります。それから消費地につきましては、たとえば大消費地におきましては中央卸売市場整備を進めると同時に、需給の実勢を反映した公正な価格形成をはかるようにいたすとともに、処理保管を共同化して、そして施設経費等の節減などによりまして小売り価格適正化をはかるために食肉共同処理施設設置を進めておるわけであります。また、そのほか設備近代化のための資金融通等によりまして、先ほど申し上げましたような資金融通等によりまして小売り業近代化につとめ、消費者の便利に供するようにいたしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  9. 中村波男

    中村波男君 トンと下がらぬは豚肉という、(笑声)これはしゃれとして笑って聞きのがすことのできない消費者にとって深刻な問題であると思うのであります。したがって、豚肉、特に事業団放出肉流通について若干質問をいたしたいと思うのでありますが、さいぜんも申し上げましたように、ようやく卸売り価格は下げられてきておりますけれども市場価格は、小売り価格は一向に下がる気配がないのであります。このことが今日、消費行政に対する消費者の大きな不信につながっておりますし、またふしぎに思うのも当然であろうというふうに思うのであります。そこで、九月二日の新聞によりますと、農林省小売り値の上がっている原因究明のための実態調査を始めたという報道がなされておったのでありますが、おそらく相当、実態調査は進んでおるのではないか、したがって、この機会にその実態調査実態を明らかにしていただきたい、こう思うわけでありますが、いかがですか。
  10. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 御承知のように、豚肉卸売り価格が七月から上がってまいったわけでございます。このために事業団保管する豚肉の売り渡しをいたしました結果、最近はやや落ちつきを取り戻しておる状態にあるわけでございます。で、却売り価格が上がりますと必然的に小売り価格も上がってくるというふうな形になるわけでございますが、卸売り価格が安定をするにつれまして小売り価格も安定をしてまいるというふうに実は考えておるわけでございます。九月に調査をいたしましたというのは小売り調査ではございませんで、今後の生産を規制いたしますことで雌豚生産がどのようになっておるか、実態がどうであるかということを調査するために行なったもので、現在私のほうの局においてなお調査を続行いたしておるわけでございます。
  11. 中村波男

    中村波男君 いま局長お話でありますと新聞の記事が間違っておったようにも聞えるのでありますが、それはそれといたしまして、局長卸売り価格が下がれば消費者価格も下がるのだ、こういう見解を明らかにされましたが、しかし実態はそのようになっておらないことをお認めになりますかどうですか。
  12. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 御承知のように、小売り価格につきましては私のほうで定期的に調査をいたしておるわけでございますが、その調査の結果によりますと、最近は上昇がとまりまして安定的になっておるわけでございます。今後卸売り価格の動向によりまして小売り価格上昇というふうなことはないというふうに実は考えておるわけでございます。
  13. 中村波男

    中村波男君 その見解に対して私は賛成できぬといいますか、実態と相当違っておるように思いますので、さらに突っ込んだ質問をいたしたいと思うのであります。  今日の食肉小売り価格が適正であると考えているのかどうかということについてはさらに具体的にお答えをいただきたいと思っておりますが、流通機構の立ちおくれておる日本の今日の状態の中におきまして、必然的に生産者価格に対して小売り価格が大きく上回ることはやむを得ないであろうとは考えまするけれども、したがって、さっきも御指摘をいたしましたように、流通機構改革を早急に行ないましてこの段階整備しなければ根本的な解決にはならないというふうに思うのであります。したがって、今日の生産者価格卸売り価格消費者価格関係というのはまことに不合理であり、よその国の統計等から比べればあまりにも開きが大き過ぎるのではないかというふうに思うのであります。そういう立場農林省食肉流通統計等によって少し検討をしてみたのでありますが、四十一年度においては——年間のこれは平均一キロ当たり価格でありますが、四十年において卸売りでは三百七十二円、小売りでは七百五十円、四十一年におきましては卸売りでは三百二十三円、小売りでは七百三十円、これは上物の平均価格でありますが、これで見る限りにおいては、卸売り価格昭和四十年よりも四十一年は五十円程度下がっておるけれども小売り価格は二十円程度しか下がっておらない、四十二年はもちろん年間統計がまだ出ないのでありまするから放出一カ月前の六月の例に見ますと卸は三百二十六円、小売りは七百四十円、八月では卸は四百二十三円、小売りは八百六十円、十月十五日現在の卸売り価格平均を私は資料としてとれなかったのでありますが、小売りは九百三十円、こうなっておるのであります。したがって、以上の数字をもとに単純比較をいたしまして議論をすることは正確を欠くと思いまするけれども、ここではっきり言えますことは、卸売り価格が大きく下がったときでも小売り価格はそれに比例して引き下げが行なわれない、卸売り価格が上がったときには直ちに反騰する、こういう傾向がはっきり統計の上に出ておるように見受けられるであります。  そこでお尋ねしたいのは、一橋大学の馬場啓之助教授のこれは所説でありますが、今日の日本流通機構の中にありましても、いわゆる小売り適正価格というのは卸売り価格の二倍というのが適正である、こういうふうにおっしゃっておるのでありますが、農林省としては、そういう立場小売り適正価格というのはどのようないわゆる倍率でと申しますか、比率でと申しまするか、それは別といたしまして、どうあるべきだ、こういうように考えておられるのかどうか、こういう点をひとつ明らかにしていただきますと同時に、今後のこれらに対する対策というものをさらに積極的に行なう意思があるのかどうか、こういう点ついてもあわせて質問をいたします。
  14. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) お話のように、卸売り価格小売り価格関係でございますが、これはそのときの条令によって必ずしも一律ではないわけでございます。たとえば卸売り市場を見ましても、出荷が少ないのに価格が比較的安い場合がある、あるいは出荷が多いのに必ずしも価格が下がらない場合があるというふうな形で、そのときそのときの需給条件によってかなり価格の相違がございます。したがいまして、数量価格関係は、長期的に見ますとバランスをするという傾向はございますけれども、短期的に見ますとかなり変動があるわけであります。卸と小売りとの関係につきましても、必ずしも卸売り価格がそのまま小売り価格に反映するという形にはならない条件が存在している場合がかなりあるわけであります。そういうふうな関係から、一律に卸売り価格小売り価格との関係がどうであるかということについて申し上げることはなかなかむずかしい問題を含んでおるというふうに思うわけであります。現実的に一年ぐらいの期間をとってみますと、必ずしも卸売り価格小売り価格というものはバランスはいたしておりませんけれども、おおむねの傾向としましては、卸売り価格倍程度小売り価格になるというのが普通の形態であろうというふうに考えておるわけであります。もちろんこれは現在の流通機構というものを前提にして成り立つ価格でございます。先ほど大臣からお答えがございましたように、現実の流通機構が全く合理的であるというふうにも考えられないわけでございます。今後合理化を進めていかなければならぬ点もかなりあるわけでございます。そういうふうな合理化を進めながら小売り価格を下げていくということを考えるべきであろうというふうに考えておるわけでございますが、何といたしましても、小売り段階合理化というのは一朝一夕にそう簡単にやるということはなかなかむずかしい点があるわけでございまして、これはできるだけ指導いたしまして、できるだけ合理的な方向へ誘導するというふうなことを考えるべきであるわけでございます。そのために、先ほど申し上げましたように、一つは卸売り市場をできるだけ整備するということと、それから小売り段階枝肉から精肉にいたします段階を共同化いたしまして、共同処理するということによってコストダウンをはかっていくということ、それからまた消費者の教育ということも大事だと思うわけでございます。そういう意味で、小売り品質基準というものを作成いたしまして、これによりまして小売り業者を指導いたしますと同時に、消費者にも十分啓蒙指導をいたしまして、小売り価格が合理的に形成されるということにつとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 中村波男

    中村波男君 残念ながら局長の答弁を聞いていますと、全くうしろ向きで、今日の機構の中では卸売り価格小売り価格に反映するということはなかなかむずかしいというお話でありますが、端的に言いますが、生産者価格に対して消費者価格は農産物の場合二倍半、三倍になっておる。肉の例をとりますならば、いま指摘いたしましたように、卸売り価格に対して小売り価格は二倍以上だ、こういう姿でいいのか悪いのか。こういう姿がいけないということになるならば、それを除去するための具体的な対策なり、いまおっしゃいますように、消費者の啓蒙指導というような手が打たれなければならぬと思うのでありますが、質問をすれば、あるいは答弁では、そういうことにつとめる、つとめるとおっしゃいますけれども、具体的にはほとんど手をこまねいて待っておるというのが実態ではないかというふうに思うのであります。  いま、局長から、品質基準といいますか、規格等を示して指導するというような意味の発言がありましたが、今春の二月二十三日の日経新聞によりますと、現行のような売り方は、品質と値段の両面にとんでもないからくりをつくり出しかねないので、農林省においては、食肉協議会の現行品質基準に基づきまして小売り店用の品質規格の改定を行なって、三月ごろから実施する云々という、こういう記事を見まして、私も意を強うしたのでありますが、この問題について、そういう基準がつくられて、具体的にいわゆる指導または監視が行なわれておるかどうか、この点はいかがですか。
  16. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) ただいま御質問食肉小売り店に対する品質規格の問題でございますが、これは食肉流通量が増大いたしまして、販売方法の改善だとか、販売形態の合理化をはかりまして、消費者食肉購入の便に資するために、農林省が指導いたしまして、御承知のように、社団法人日本食肉協議会というものがございますが、ここにおきまして関係者集まりまして、本年三月に食肉小売り品質基準というのを定めたわけでございます。これは御承知のように、現在、小売り店で売っております肉が、たとえば上、中、並みというような形に分かれておりますけれども、その店によっていろいろまちまちであります。したがいまして、小売り価格の形成の上からも必ずしも合理的ではないというふうなことから、それぞれの段階を区別いたしまして、その区別に応じましてどういうものが上であり、中であるかというふうな規格を明確にいたしたわけでございます。で、もちろんこれを法律によって強制するわけにはまいりませんけれども、全国の食肉業者の連合会におきましてもこれを採用するというふうな方針をきめまして、現在各地域におきまして講習会を実施いたしておるわけでございます。これによりまして小売り業者にこの品質規格を普及いたしまして、それによって販売されるように指導いたしておるわけでございますが、一方消費者に対しましては、これがまたよくわかるような形にしなければならないわけでございますから、一般消費者向けの解説書だとか、品質基準の原色掲示表というようなものを作製いたしまして、これを消費者にも配付いたしまして、消費者にも十分理解ができるようにいたしますと同時に、小売り店舗には必ず基準品を店頭掲示をして価格を明示するというふうな形にさせたいということで、現在せっかく努力をいたしておるところでございます。
  17. 中村波男

    中村波男君 ただいま局長から、品質基準を設けられまして、今後積極的にこれを取り上げて推進するというのでありますから、一そうひとつ強力に具体的にこの点を推進していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  率直に言って、今日の小売り店食肉の規格というのはでたらめに尽きると極言できるのではないかというふうに思うのであります。しかし私も食肉は種類、性別、年齢さらに脂肪の多い少ない等によって肉質が大きく違うのでありますから、これの規格統一というのは相当むずかしいものがあることはよくわかります。しかしこのままでよろしいということにはならないのでありまするから、消費者を守る立場でさらにひとつ大臣を先頭にいたしまして積極的に進めていただきたいということを希望いたしておく次第であります。  次に、私が畜産事業団保管肉放出経過を見ましてはなはだ残念に思いますのは、いわゆる三カ月以上たってようやく市況が冷えた、もう少し早く冷やすことがなぜできなかったのかというこの点であります。それを私なりに経過をたどってみますと、大体最初に、七月でありますが、放出をいたしますときに、農林省はおっかなびっくり的な態度で、またもう一つは安易な考え方があったのではないかと思うのでありますが、もう少し待てば高くなるんじゃないか、こういう見方の上に立ちまして、小出しに放出をしてきたということが第一のひとつ手おくれを来たした大きな原因ではなかったかというふうに思うのであります。そこで、第二は、放出豚肉が秋から冬にかけましてもっと高値になる、こういう思惑で食肉加工卸売り業者等が相当数量を買い占めまして再保管をしておるというような、こういう実態があるように思うのであります。それらの点について率直に明らかにいたしていただくと同時に、今後こういう放出のあり方であっては、せっかくの畜産事業団保管肉というのが消費流通の上に役立たないのでありまするから、そういう意味においてもこの間の事情をひとつ明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  18. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) ただいまの御質問の点でございますが、豚肉卸売り価格上昇を始めましたのは、おおむね六月の中旬ごろからぼつぼつ上昇を始めたわけであります。で、七月に入りましてかなり上昇してまいったわけでございますが、一方で関西地区におきましては非常に価格が安かったということで、七月の中旬まで関西地区においてはなお買い入れを続けておったという状態があるわけでございます。関東地区は、一方で価格かなり上昇してきて買い入れを中止しておったという状態があるわけであります。で、七月の下旬から非常に高くなってまいったわけでございますが、御承知のように、事業団放出は法律に基づきまして、豚肉卸売り価格が上限をこえ、またはこえるおそれがある場合に放出するということになっておるわけであります。したがいまして、安定価格の幅の中に入っておる限りにおきましては放出をいたさないというのが原則であるわけでございます。  ちょうど御承知のように七月になりまして二千トンの放出をいたしたわけでございます。これは価格調整ということではなくて、むしろ消費の促進という意味で出したわけでございます。結局、二千トンというものに対しての需要がふえまして、追加をいたしましてさらに二千トン出しまして、四千トンというものを七月に出したわけでございます。これによりまして相当価格安定効果はあるというふうに考えておったわけでございまして、これは単にわれわれの畜産局なり事業団側だけでなくて、民間においてもそういうふうな考えをいたしておったわけでございます。業界全体が非常に高騰する事態というふうにはだれも判断をいたしておらなかったわけでございます。七月の下旬、末になりまして、しかしなお価格が騰貴を続けておるというふうな事態もございましたので、上限価格をこえるという事態も生じてまいりましたので、七月の三十一日から事業団放出を開始をいたしたわけでございます。で、もちろん著しくその当時は上がるという状態ではございませんので、したがいまして、必要に応じて必要な量を出すということで続けてまいったわけでございますが、出しましたけれども、必ずしも価格が冷えないということもございまして、逐次大量な放出に踏み切ったわけでございますけれども、しかし八月におきましては相当な量を出したにもかかわらず価格かなり高水準に推移をいたしたわけでございます。  で、九月、十月と逐次下がってまいりまして、現在四百円台、関西地方におきましては上限価格の辺にまいっておるというふうな状態で安定してまいってきておるわけでございますが、事業団放出かなりの量であったにもかかわらず価格が下がらなかったという点につきましてはいろいろ反省をいたしておるわけでございますが、一つには現在の流通機構というものが生体取引、なまの肉の枝肉の取引というのが中心になっております。それが流通の基本になっているわけでございます。  ところが、事業団放出いたします肉は冷蔵の部分肉でございます。これは処理につきましてかなり技術上の問題があるわけで、だれでもこれを簡単に処理するというわけにはまいらないわけでございます。そういうふうな点から必ずしもなまの、生体枝肉と完全に代替するという程度には至ってない。もちろん同じ肉でございますので代替関係がないというわけではございません。価格の上に相当な影響力を持っておりますけれども生体と、なまの枝肉と完全に代替するというふうな関係は必ずしも十分ではない点があるように思われるわけでございます。したがいまして、事業団放出の量いかんよりはむしろ生体枝肉出荷の量が市場の価格を支配するという形がやはり顕著に出ておるわけでございます。しかし、この買い入れ放出するにつれて買い入れが行なわれているわけでございますが、そこでその買い入れについて一部の者が買い入れたために、したがってその価格に影響があるのではないかというふうな御意見もあったわけでございます。  この点につきましては加工業者なり卸売り業者なり小売り業者の買参人がどの程度事業団の肉を買っておるかという調査をいたしておるわけでございますが、この調査を見ましても買参人がまんべんなく買っておりまして、一部の者が非常にたくさん買いまして買い占めをしておるというふうな事実はどうもないのではないかというふうに推定をいたしておるわけでございます。加工業者等が買っておりますものもかなりの量に達するわけでございますけれども、一方で加工業者というのはハム、ソーセージ等の加工メーカーでありますと同時にまた食肉の販売業者でもあるという、こういうふうな関係もあるのでございます。したがって、そのある特定のところが買い占めをして需給の上に非常に大きな影響を与えておる、したがってまた価格の上に大きな影響を与えておるというふうなことはほとんどないというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、現在の市場を中心にいたしました売り渡し方法が妥当なのではないかというふうに実は考えておるわけであります。
  19. 中村波男

    中村波男君 局長の御答弁によると、いまの放出のあり方というものは妥当である、こういうふうにおっしゃるのでありますが、小売店側の東京都食品事業協同組合あるいはいわゆる加工業者、卸業者の思惑買い等もありまして、これが小売店に出回らない、そのためにいわゆる消費者団体に、あるいは小売り団体に直接放出をしてもらいたい、こういう要望が強く農林省にも出されておると私は聞くのでありますが、市場外放出ということを考える必要があるのじゃないか、あのように急に豚肉が高騰した、それを冷やすという、そういうたてまえに放出肉を役立たせようとするならば、そういう放出の方法も今後検討をさるべき重大な事項ではないか、こういうふうに考えるのであります。  もう一つは、中央市場におけるせり方法に問題があるのじゃないか、もちろん何万ケースという放出肉をせるのでありますから、簡単にはいかないと思いますが、聞くところによると、大体一口十ケースなり二十ケース単位にしてせられているようでは、小売店は手が出ないと思うのであります。したがって、そういう点をやはり実態に合わせますためには、消費者団体なりあるいは小売り団体に放出をするということが考えられていいのではないか、こういうふうに考えるのであります。  さらに政府は生鮮食料品のコールドチェーン化ということに力を入れまして、昨年度からでありますか、相当な予算を計上して検討に入っているわけでありますが、そういうたてまえから言いまして、保管肉が、いわゆる冷凍肉が小売り店消費者になじんでおらない、ここに問題があるというふうに思うのであります。したがって、そういう点をもう少し積極的に消費行政として農林省は取り上げるという、いわゆるコールドチェーン化と消費行政というものをどうマッチさせるかという点についての対策というものが欠けておるのじゃないか、このように考えますわけでありまして、この点についてお答えをいただきたいと思うわけであります。
  20. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  21. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。
  22. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 売り方につきまして、市場にせりで売るのが原則でございまして、それが適当でない場合に、その他の方法によることができるということになっております。せり売りで合理的な価格形成ができる限りにおきましては、これが市場売りが中心になるというふうに実は考えておるわけであります。  それから第二点の消費者なりあるいは小売り業者に売ったらどうかという点でございますが、これはいまの売り方に関連するわけでございますので、市場売りが必ずしも妥当でないという場合には直接売りということも考えられるわけでございますが、現在のところは、先ほど申し上げましたような形で市場売りをやっておるわけでございます。  で、冷凍部分肉というのは確かに市場に流通を従来いたしておりませんので、したがって扱いが非常にむずかしいのでございます。そういうこともございまして、事業団保管を開始いたしましてから数次において小売り業者に販売をいたしまして、冷凍部分肉につきましてなれるような指導をいたしてきたわけでございます。したがいまして、現在のところ小売り業者におきましては相当部分がなれてまいっておると思いますけれども、しかしこういうものを販売をしないというふうな小売り業者もありまして、なれていない者ももちろんあり、消費者の団体等につきましては、これになれるということはこれは相当なやはり、しかも技術を要しますので、なかなかむずかしいのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  23. 中村波男

    中村波男君 いろいろ流通面について御質問したいことがたくさんありますが、時間が限られておりますのでまた別な機会に譲りまして、次にお尋ねいたしたいのは、事業団買い入れをいたします肉を加工業者にカットすることをさせまして、そうして政府の、事業団の指定いたしております冷蔵倉庫に貯蔵をいたしますが、その加工業者が加工し冷蔵倉庫に納めます過程において、いかなる監督といいますか、監視というか、そういう措置がとられておるのかどうか、その点一つお伺いします。
  24. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 事業団が市場を通じて買い入れましたブタの枝肉につきましては、これを指定いたしました処理業者に処理をさせまして、これを部分肉に分解いたしまして、それを所定の冷蔵庫に納めさせるというふうな処置をとっておるわけでございます。処理業者につきましては一定の基準をつくりまして、その基準に該当する者を指定いたしておりまして、これはむろん処理業者としてはわが国におります処理業者の中の上位のクラスの者になるというふうに思っております。ここで処理されましたものが、一定の数量買い入れました数量から出る肉というものはきまっておりますので、その肉が部分肉に分解されまして幾らになるということはわかっておりますので、それが冷蔵庫に入れられまして、冷蔵庫に入れます際に、それが十分冷却されておるかどうかという温度を調べまして冷蔵庫に納めるというふうな措置をやらせまして、冷蔵庫からそれを事業団に報告させるということにいたしておるわけでございます。
  25. 中村波男

    中村波男君 いわゆる指定加工業者、全国で百十五店というふうに聞いておるのでありますが、今日それを指定いたします場合にはいろいろな調査が行なわれて、信用度の高いものであることは間違いないと存じますが、いろいろ各地から私のほうに情報としてもたらされます中に、いわゆる加工業者がカットする、そうして冷蔵庫に納めます過程において、政府の、事業団買い入れ肉はいわゆる上肉でありますが、その上肉と加工業者自体の持っておる中肉なり並み肉とすりかえて保管をしておる、こういうことが、いろいろな方面からうわさとして私は聞くのでありますが、もちろんこれはうわさでありまするから、この場で取り上げるべきかどうかも迷ったのでありまするけれども、しかしながら火のないところから煙は立たないのでありまして、私の知る範囲では、これらについていわゆる監督をし、監視をするようなそういう仕組みにはなっておらない。全くまかせっきりである。したがって、冷凍をしたものをあとからこれは中肉である、これは並み肉であるというようないわゆる検査をし、そういう、いわゆる何と申しますか、ごまかしたのを押えるということはまず困難だというふうに思うのでありまして、こういう点についての監督、指導、監視というものをする必要をお感じにならないのかどうか。これは重大な問題でありますし、いわゆるコレラ菌事件ですか、ああいう問題を引き起こした例もあるのでありまするから、これらの点について畜産局としてどう考えておられるのか、その点をお聞きしておきたいと思うわけであります。
  26. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) すでにもう買い入れは終わっておりまするので、現実にはそういう問題は出ないわけでございますが、一応成型方法だとか、重量だとかということから一つは判断がつくわけでございます。しかし病菌等の事件もございまして、それ以来非常に厳重にいたしまして、事業団買い入れますブタ肉につきまして、それぞれの部位に検印を押しまして、事業団が買ったということを明らかにいたしまして、それが出るような形で処理をさしておりますので、おそらく間違いはないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。お話のような話も、ときどきは聞くこともございますので、そういうことが絶対あってはならぬということで、私たちのほうとしましても十分指導、監督をいたしておるつもりでございます。
  27. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんので、最後に大臣お尋ねをして、畜産関係質問を終わりたいと思うのでありますが、最初にくどく指摘をし、質問をいたしましたように、今日の事態、いわゆる予想いたしました以上に生産者市場における価格が戻りまして、したがって生産地では生産意欲が相当高まっておるというふうに思うわけであります。それからもう一つ、私は、養豚の実態というのが、数年前のように一頭、二頭、全く副業的に飼っておる養豚家というものは淘汰をされまして、いわゆる多頭飼育がどんどん進み、ある程度価格が下がりましてもそれにたえられる、合理化が反面進んできておりますから、したがって従来の例で言いますならば、ああいう事態が出るならば生産ががたっと落ちるのでありますが、そのわりに落ちておらないのではないかというふうに思うのであります。したがって、この勢いでさらに生産意欲が高まり、生産がふえますならば、また一年、二年あとに大暴落を来たすという事態が起きると思うのであります。したがって、消費は順調に伸びておりますが、外国と比べますならば、まだまだ消費は伸びていいのでありまするから、消費行政と同時に生産体制というものをどこで、いわゆるマッチさせるか、これが今後の養豚に対する基本的な政策でなければならぬと私は思うし、それを早急に確立をいたしませんと、また再び同じことを繰り返す結果になるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。これらの点について、いわゆる需給見通し、さらにそれに備える農林省としての具体的な対策をお示しいただきまして、質問を終わりたいと思うわけであります。
  28. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お説のように、最近の多頭飼育傾向から見まして、これをやはりある程度指導いたしませんと、お話のような心配もあるかと思いますが、そこで私どものほうでは、需給状況を常に情報を流しまして、生産者もそういうことに見合いながら生産を続けてもらえるように指導しておるわけであります。ただしかし、先ほど来熱心にお話のありましたように、われわれとしてはできるだけ生産費を、流通機構の改善等、合理化を促進させることによって、安定した価格で供給のできるように、流通機構にうんと力を入れることはもちろんでありますが、いま申しましたように、需給関係についての情報を十分に流して、その度合いを見て生産をしてもらえるように指導いたしておるわけであります。     —————————————
  29. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、農林水産関係災害対策に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言を願います。
  30. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣にお伺いいたしますが、近年にない豊作と言われておりますことしも、その反面、また一面にはまことに災害の多い年と言わなければならないような本年であるとも思えるのであります。二月の新潟地方の豪雪から始まりまして、三月の豆台風並みの春の嵐による九州の豪雨、五月、六月の東北、関東を中心とする干ばつ、降ひょう、降霜、集中豪雨、七月の西日本の集中豪雨、八月の新潟、山形を中心とした羽越豪雨の問題、九月の青森、岩手県の集中豪雨、そして六月ごろから始まっている西日本の大干ばつ、二月以降、こう考えてみますと、まことに天災による被害が報道されておりますが、しかもこういう天災は毎年繰り返されているのであります。言うならば、いやなことばですが、天災国日本と言われるような情けない表現も出てくるわけでありますが、こうしたわが国の国政の中において、風水害がたとえ天災によるものがあったとしても、人的にもあるいはまた物的にも被害が少なくできるんじゃなかろうか、こういうものに対する行政が、天災によるものより人災によるものが多いんじゃないか、こういうふうにも言われておりますが、こういう対策についてまず大臣の基本的な考え方からお伺いしたいと思います。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お話のように、本年はたいへん各地で被害がございまして、しかもただいま御指摘のように、羽越地方は雨が多過ぎての災害であり、九州、四国のほうは干害による災害、私どもといたしましても心を痛めておる次第でありますが、雨の災害のことにつきましては、復旧につきましてできるだけのことを政府措置いたしました。同時にまたそういうことの結果を反省いたしまして、治山治水、水管理等について、今回のようなことを参考にいたしまして、将来こういう災害を未然に防止できるような処置についても考究をいたしておる次第であります。  また、九州、四国等における災害、干害につきましても、私もまた近く現地に出張いたしましてつぶさに見せていただくことにいたしておりますが、やはり水管理が常時非常に必要であるといいこと、それからまた畑かん等につきましても、やはり当初、たとえば樹園地の造成計画などをおやりになるにつけても、そういう問題について十分考究した上で対処していくことが絶対に必要である、かんがい、畑かん等が十分にうまくいっております地域においては、かりに今回のような干ばつがありましても、その災害はきわめて僅少にとどまることができたのではないかと思うわけでありまして、そういうような点について、今回の事例を参考にいたしまして、政府は万全の措置を講じてまいりたい、こういうことで検討をいたしておる最中であります。
  32. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま大臣お話しありました治山治水——今回の問題について治山治水の立場の上からもやってまいりたいというお話でありますが、私が申し上げましたように、毎年のようにこういう天災による風水害等もあるわけです。したがいまして、そのたんび、たんびにそれを参考にして、それを参考にしてと言っていかれたのではならないのじゃないか。したがいまして、そこにもっと、より積極的な基本政策というものを、治山に対してはこう、治水に対してはこうだと、はっきりしたものを私は示していただきたいと思うのですが、この点どういうふうにお考えになっていますか。
  33. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま、たとえば九州、四国におきます干害等につきましても、いまお話し申し上げましたように、御存じのごとく、九州、四国、中国は大体例年でありますというと台風の通過基地で、いわゆる台風常襲地帯とも言われておるような地域であります。本年もやはり二十二号台風というもの、ある程度ああいうものが例年来ることを予想いたしまして、大体においてそういう降雨量等をも計算の上に営農をいたしておられたと思うのでありますが、それが全然それてしまったというようなことは、やはり気象の異常な変化ではないかと思うのでありますが、そういうような場合に対処して、たとえば樹園地においては干害についてどういうふうな設備がいざというときに必要であるか、ただいまお話しのように、災害につきましていろいろお話がありましたけれども、やはりわが国で古来、たとえばため池を持っておる、あるいは樹園地等についても、そのため池というようなものが、夏季にくるある程度の大雨によるところの貯水を利用することが、もう長い閲歴史的に、伝統的に、習慣的に行なわれてきておる。それが全くはずれたというふうなことが、今回においてはいろいろな事例で示されておるわけであります。したがって、私どもといたしましては、やはりいま申し上げましたように、そういうふうに台風常襲地帯と言われる地域も今回のようなことがあるのでありますから、そういうようなことについて将来をおもんぱかって万全の措置を講ずるようにいたしたい、そういうことで、たとえば救農土木というようなことで、いま、ため池のかさ上げ等について鋭意やっておる地方もありますが、こういう機会にそういうことを根本的に調査をし直して、どういう事態にでも対処できるようにやっていくべきではないかということで調査をいたしておると、こういうわけでございます。
  34. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かに、いま大臣のおっしゃったように、堰堤をつくって助かったというところもずいぶんありますが、いずれにいたしましても今年度の激甚地に指定された個所は大体何カ所で、それでどんなふうな処置をされたかどうか、また、いまそれがどうなっているか、この点について詳細にお伺いしたいと思います。
  35. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 事務当局から御報告いたします。
  36. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 本年の災害で激甚指定をいたしましたのは、羽越の災害並びに今回の西日本の干害の災害、それから七月の水害の災害、この三災害でございます。
  37. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その地域に対してどういう処置をしたか、そしていまはどうなっているか、これを尋ねたはずです。
  38. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大体いま御報告いたしました地域の災害は非常に大きな災害でありますので、政府は天災融資法を発動して、同時にそれに伴う激甚の指定をいたしております。それから地方の県当局の報告等、所によって少し違いますが、それを基準にいたしまして自農資金のワクを決定いたすということをいたして、そのほかいろいろいたしたわけでありますが、地域について違いますので、私がいま申し上げましたのは……、それで、それぞれの地域についてのお尋ねだと思いますので、災害、干害は別でありますから、その御要望でありますならば事務当局から詳細に御報告をいたさせます。
  39. 和田正明

    説明員和田正明君) 農地局所管関係についてまず申し上げますと、羽越の水害及び長崎の七月の豪雨によりましてそれぞれ農地でございまするとかあるいはかんがい施設等が相当被害を受けまして、それぞれ地元市町村の準備の段階に応じまして、今回まで数回に分かれてそれぞれの県に災害復旧のための査定を行なっておりますが、場所によって、たとえば新潟のように被害のひどいところ等につきまして、なお一部災害査定が終わりませんところがございますが、これも鋭意地元の準備を進めまして査定を終了したい、予備費その他の支出をいたしまして、施設の復旧をいたしたいというふうに思っております。  それから中、四国から九州にかけましての最近の干ばつでございますが、なお干ばつが進行をいたしておる事情等もございますが、従来から干ばつのために応急対策として井戸を掘りましたりあるいは水路の掘さく等をいたしました事業に対して助成をいたしておるわけでございます。今回の西日本の干ばつにつきましても同様の措置をとりますために十一月、十二月にかけまして現地で査定をいたしまして、当該工事に要しました経費について国から補助をするということで、これも予備費等の支出について査定の終了次第、対応いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  40. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 市町村あるいは県当局からの報告を待って査定をすると言われておりますが、非常に現地の者は一日一日の生活が、これはことばの上にあらわせないほど窮迫な事態に追いやられているわけであります。したがいましてそういう観点から考えた上でも、いま調査中、また査定をしてからということですが、なぜもっと早くできないのか、その点について報告がないからできないのだと言われるような行き方は、私はいけないのじゃないかと思うのですが、この点どうなのでしょう。
  41. 和田正明

    説明員和田正明君) 報告がないからできないというふうに申し上げたのではないのでございまして、災害復旧をいたしますためには、現場でそれぞれの地方の実情に応じて復旧の計画をつくらなければなりません。たとえば新潟の水害等の場合には、河川が本来どこへいってしまったかわからないとか、道路も崩壊をしてしまったとかいう実情がございますから、それらの河川改修等との関連の中でこうした個所をどう直すかとか、水路をどこへ新らしくつけるかというような問題もございますので、こういう特殊な部分がなお査定がおくれてはおりますが、その他のものについては、ほぼ終了しているということは先ほども申し上げたとおりでございます。  なお、災害復旧は緊急を要しますものについては、災害を受けました現場が確認できるような証拠の写真その他をあらかじめとっておきますれば、査定完了前にも現地で着工することを認めておりますので、場所によってはすでに工事をいたしているところもあるわけでございます。
  42. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いずれにしろおっしゃられたような行き方が、はたして現地にそのとおりになっているかどうかということは疑問であります。要するに人間生活をしなければなりませんのですから、そういう観点の上からこの問題についてはお考えを願って、さらに一段対策を考えていただきたい、こう思うわけであります。  それからまた、別にお伺いいたしますが、天災融資法に適用されない、先ほども私が申し上げました本年における降るひょうだとか降霜だとかあるいは突風等によって被害を受けて、その被害によって打撃を受けて、農家が非常に苦しんでいる、そういう局部的な被害、これに対して一昨年は約一千億の被害がわが国にあったというふうに私は記憶をしているわけでありますが、こういう被害の問題については大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。この際お伺いしておきたいと思います。
  43. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 特定の場所の御指摘によってお話があれば、そのようにお答えいたしますが、いまお話のような、たとえば降ひょう等につきましても天災融資法等を発動し得る範囲の被害でありますならば、そういうあらゆる措置を講じておるわけであります。したがっていま私に対するお尋ねの中で、一般論としてお尋ねのようでありますが、それぞれの被害に対して政府といたしましてはできるだけのことをいたしていままでも助成、援助をいたしてきておるわけであります。
  44. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ところが、そういう局部的なものは見過ごされていることが非常に多いわけです。それでごく局部的なものですから、御存じのように降ひょうなんかの場合でも一つの通路といいますか、その通路だけがいためつけられて、ばっといっちゃうわけなんです。そこでそれの通路にあったものが非常に大きな被害を受けておりますが、天災融資法にも適用されていなくて負債のあるところにまたその災害を受けていって泣き悩んでいる者が相当ある。その額が一昨年一年間で約一千億ぐらいあるんではないかというふうなことを私は記憶しておるわけであります。昨年もやはり埼玉、群馬方面にこういう点なんかにつきましてもそういうことが言えるんじゃなかろうかと、こう思うわけであります。したがいまして、天災融資法以外に受けた災害というものに対してどういうふうな手を大きく打ってあげなきゃならないかという、その時点その時点で考え合わしていくと言うけれども、それが実際は融資を受けていない実情であるんだということを私は申し上げているわけなんですから、この点についてもう一回くどいようでありますが、そういう事態が起きたところは特別に調査をし、特別に処置をしてあげるというような考え方をしていただきたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。
  45. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 災害のありました地域につきましては、それぞれ市町村あるいは県からいろいろ報告があるわけでありますから、それについては政府としてはできるだけのことをいたしておるつもりでありますが、特定のところについてこの災害についてはどういう処置をとったかというお尋ねでありますならばお答えができますわけであります。政府としてはそういう災害について放置いたしておるようなことは少なくとも農林関係においてはそういうことはないはずであります。しかし、いまお話のように小さな災害についてももちろん思いやりを持って対処すべきであるという点につきましては、農林省は地方に各機関もございますし、また地方、県とも緊密な連絡をいたしておりますからして、御報告があればそういうことについては全面的にできるだけのことを対処いたしますが、御存じのように、ただいまのところいわゆる天災融資法というようなものには一つの制限がございますので、そういう制限範囲内においてはそれ相当のことをやり得ることになっておりますので、私どもといたしましては農業災害についてはできるだけのことをいままではやってきておるつもりであります。
  46. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それではお尋ねしますけれども、昨年度天災融資法に適用されていなかったという地域は何カ所ぐらいあったか、当局のほうから御報告願いたいと思います。
  47. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 天災融資法の発動は御承知のとおり、相当広い地域にわたる災害で被害額も大きいものということにいたしておるわけでございます。したがいまして、それは国がめんどうを見るという災害でございますが、最近におきましては県あるいは市町村等において利子補給あるいは低利融資という形で相当の災害の救済をいたしております。私どもことしこの夏ごろでございますか、ひょう害の問題がございまして、実はひょう害の被害調査をいたしましたところ、天災融資法のワクにはまるということで天災融資法の発動をいたしたわけでございますが、それがもしも天災融資法で私どもが考えております大体のワクまで被害がいきません場合のことを考えまして、今後の措置といたしましては、ひょう害その他広範囲にわたっておらないけれども、局部的に相当な深い被害を及ぼします場合は天災融資法の発動を場合によってやろうというふうに政府部内できめたわけでございます。それにいたしましてもやはりある程度のワクがございますから、そのワクにしかしはまらないものにつきましては、私どもいままでも県と相談して、できるだけ——県で利子補給するといたしましてもそれほど大きな金額ではございませんから——県でめんどう見てもらうように話をいたしておりますが、この天災融資法の発動につきましてひょう害その他特殊の災害について私どもがワクをゆるめましたことに対応して、それにも及ばないで、しかも相当農家に被害が局部的にでもありますような場合は、県単位で同じような制度を発動するようにということをいま私ども内部で検討いたしておるわけでございます。
  48. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ぜひそれを早く進めていくべきだと思います。昨年の千葉県あたりの問題もだいぶんこういうことで泣かされている実情を私は知っておりますので、この点は特に将来の問題としてお考え願っておきたいと思うんであります。  次に、先ほど大臣のほうからもお話がありましてちょっと触れられたようでありますが、大体私はこういうふうに考えるんですが、自然を愛する政策というものが大体おざなりにされているんじゃないか。いま新しい政策とか、新しい行政、新事業等というものを優先的に考えていくようで、そうしていろんな災害にあっていろその地域における対策、言うならば災害予防関係法規等を見ていきましてもいろいろございますが、国土総合開発法だとか、河川法だとか、砂防法だとか、森林法だとか、急傾斜地帯農業振興臨時措置法だとか、いろいろこの災害予防関係法規等でございますが、自然破壊の規則等といいますか、そういう法律があるにかかわらず、この砂防法の法律がどう生かされているのか、どう活用されているのか、これによって災害の対策の大きな行き方を示していけるとも思うんですが、こういう点につきまして大臣の考え方はどういうふうにお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。
  49. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私、羽越災害の災害地をよく見てまいりましたけれども、専門家の話によりましても、集中的に一カ所にああいう大きな雨が来た場合には、全くいままでのような考え方ではとうていこれは対処することができないだろう。  そこで、私どもの所管でもあり建設省と共管の場合も多くございますが、やはりわが国においては治山治水ということについて一段と力を入れなければならない。そういうことでこのたびのようなああいう特殊な降雨量の場合についてはなかなかその予防について困難もあるようでありますけれども、そういう面について林野の行政も並行してやはり治山治水はぜひ必要である、より一そう力を入れなければならない、こういうふうに考えるわけであります。  昨今、たとえばミカンの景気がいいということでミカンを盛んに植えると、そういう場合に、まあ私は、先般岡山県の一日内閣というのに行きまして、地方の畑地かんがいの状況を見てまいったんでありますが、かりにあの地方でかなりの干害があったといたしましても、あれだけの常時設備をいたしておるところではおそらく被害は少なくて済んだのではないかと思われるほど完備いたしておった、また地元の農村の人々も非常に誇らしげに感謝をまじえてわれわれに説明いたしておりました。適地適作と申しますけれども、営農いたしてまいる人たち自身も、だまっておっても一年に周期的に雨を持ってきてくれるのだというような安直な考えではなくて、やはりいついかなることがあってもそれに対応できるような施策をふだん心がけてやるべきではないか、そういったようなことで、私どもとしては水管理につきましてはこういう機会に全力をあげて政府としては国土保全の意味もあり、農業保護のためにもそういうことにより一段と力を入れていかなければならないのではないか、このように考えておるわけであります。
  50. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 干ばつの話はまた別といたしましても、この災害予防関係の事業をかりにやっておりまして、そのやっている中途において災害が随所に起きているわけですが、進捗がおそい関係というひとつのものもあると思いますが、新潟の場合なんかもその一つじゃなかろうかと思うのです。いずれにいたしましても、この法律の適用をより積極的に、四年間で計画したものは二年間でやっていくように、二年間でやっていくものは一年間でやっていくような対策の上に立った予算措置等の考え方を、来年度の予算についてでも、もうすでにきめられていられるようですけれども、こういう点についても私は考えていかなければならないのではないか、こういうところに重点を置いて、災害がきてから直すのではなくて、災害がくる前にこの法律の進め方というものがあるとすればそこに重点を置いていくような行き方をしなければならないのではないか、こう思うのですが、この点についてお考えを伺っておきたいと思います。
  51. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農業関係は、災害防止も含めてわれわれとしては山間地の農業振興、森林政策の推進等について水管理と並行して考えられる大事なことでありますので、そういう点につきましてはもちろん来年度予算においてもできるだけひとつ努力してその予算獲得のできるように努力をしてまいるつもりでございます。
  52. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 西村建設相が、ことしも農業用貯水池の建設を進めていくと言い、来年度は貯水池を百カ所くらいつくりたい、こういうふうに言っておられますが、農林省は今年度、来年度の農業用貯水池について建設省とどんなふうな相談をなさっているか、またことしと来年度についての概要を参考に承っておきたいと思います。
  53. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 建設大臣の言われる貯水池というのはどういう性格のものであるか実はまだ承っておりませんので詳細はわかりませんが、今般たとえば新潟県で決壊をいたしました川の上流のほうに建設省は大きなダムをつくりまして、これをもってこの川の治水に資するということであります。その支川のほうに農林省は、一部は治水であり、一部はかんがい用水のためにいまダムの建設中であります。そういうことで、建設、農林両省はもちろん治水と利水を考慮しながら打ち合わせてやっておるわけでありますが、いま申し上げましたように、私は農業水利から考えましても、災害予防の見地に立ちましても、こういう施設はなるべく全国的に早くやるべきであるということでございますので、たぶん建設省ではそういうような趣旨でできるだけの努力をしようというのが百という数字に表へ出てきたのじゃないかと思うのでありますが、それは建設省はまだそのようなことを正式に役所として言っておらないのでありますから、いま申し上げましたように、政府部内において治水、利水両方協力いたしながら災害防止と農業用水拡大のために努力をいたしていくことはもちろんであります。
  54. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その問題はなおよくお話し合いをしていかれることを望んでおりますが、災害を受けましたところの地域で、構造改善事業に指定されて適用されたその地域が災害を受けているという、構造改善事業の今後はどういうふうな処置をとっていかれるのか。引き続いておやりになるのか、あるいはどういうふうに考えていられるのか。またそれが新潟、山形、青森、東北関係の地域の構造改善事業に指定されているところ何カ所くらいがそういうふうな被害にあって、どういうふうな処置をとっておられるか伺っておきたいと思います。
  55. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまの御質問でございますが、構造改善事業が災害を受けた場合の対処のしかたでございますが、大きく申し上げますと二つに分けて考えられるわけであります。現在構造改善事業によりまして事業実施中のものでございますと、当年災でございますと事業年度内手戻り工事、それで対処いたすわけでございます。それからもう一つ、事業が完了している場合でございますけれども、その場合は一般の災害復旧の対象になりますので、それによって対応いたします。  ただ、いまの最後の御質問の、山形並びに新潟においてはどのくらいの被害を受けて——というお尋ねでございますが、それに対しましてはっきりしたお答えは申し上げられませんが、過去そういうふうな経緯をもちまして対処いたしてまいっております。また事業が三カ年の事業になっておりますが、場合によりましては三カ年で終了しないという場合は、さらに一年間事業の年度を延ばそう、そういうふうなこともいたしております。まあそういうようなところでございます。
  56. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 事業計画を出されておりますけれども、一体初年度の予算は大体順調にきているが、二年度あたりは予算が順調にきていないというところへもってきて災害を受けているというようなことで二重に大きな精神的な負担を感じている地域があるわけであります。いまお話のことだけでなくて、もう少しそういうところに対してはこうするのだというだけの説明を願いたいと思います。
  57. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまのお尋ねでございますが、実際にそういうところがあるかどうかということはただいま明らかにいたしておりません。それで、年度によって事業を実施しておりますけれども、二年度は非常に事業費が少ない、そういうところにもし災害が起きた場合と、そういうようなお話であろうかと思いますが、対処のしかたといたしましては、やはりただいま申し上げましたように、災害を受けたものに対しましては、当年災は手戻り工事でやります。事業完了のものについては一般の災害復旧でやる、そういうことでありまして、ただ二年度の事業費が少ないということは、これは構造改善事業の全体の計画の内容の問題でございまして、災害とは直接には関係がなかろうかと考えておる次第でございます。
  58. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 新潟のあの水害に対しまして、自作農資金の貸し付けの限度額を百万円に引き上げて、再災害を受けた農家にも資金の融通をされるように希望するわけですが、その点についてどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  59. 和田正明

    説明員和田正明君) 新潟の本年の水害の場合には、農家によりましては昨年とさらに新潟地震と三回にわたって被害を受けました農家もあるわけであります。それらの実情も考えまして、二、三日中に県知事も上京されますので、その際にいろいろお打ち合わせをして具体的にきめたいと思っておりますが、三度も被害を受けました農家につきましては、十分実情に即して対処をいたしたいと、こういうふうに思っております。
  60. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 負債をした金を返そうにも返せない、そういう実情のところは、何も新潟の水害のところばかりじゃなくて、北海道の場合でも三年間連続の冷害を受けているという、そういう人たちにあたたかい処置といいますか、いま局長お話ですと善処していきたいと、こうおっしゃられるわけですが、こういう被災を受けた人たちの大体農家一戸当たり平均負債といいますか、それはどれくらいになっておりましょうか。
  61. 和田正明

    説明員和田正明君) 新潟の場合の自創資金の借り入れの状況の数字で申し上げますると、昨年の水害までで新潟地震と昨年の水害と両方の被害を受けました農家には七十万円まで自創資金の貸し付けをすることにして措置をいたしたわけでございますが、両災害を足しまして現在二千五百戸ほどの人が自創資金の借り入れを受けておりますが、いままでの借り入れの状況でございますと、大体三十万円ぐらいまでのところがほとんどでございまして、五十万から七十万の間のものは全体の二%弱ぐらいの数字だと思います。
  62. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この業務方法書の規定は、現在大体通算限度が七十万円ですか。
  63. 和田正明

    説明員和田正明君) 一般的には五十万円までが限度でございますが、昨年新潟の場合には、新潟地震と水害と両方の被害を受けた人に限って七十万円まで借り入れができるようにしたわけであります。
  64. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどのお話は借りる金額が少ない農家が多いということなんですか。
  65. 和田正明

    説明員和田正明君) そうです。
  66. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは返済することが困難であるからできないのじゃないでしょうか。そういう過去の積み重ねの負債があるために許されないという問題は別なんでしょうか。
  67. 和田正明

    説明員和田正明君) いま申し上げましたのは、現在新潟で自作農資金の借り入れをしております約二千五百戸の農家についての残高の数字を申し上げたのでございますが、農家もなかなか借金をするということについては、心理的にもちゅうちょをいたしたりいたしまして、できるだけ最小限度にとどめたいということは本人側も十分努力をしておりますので、そういう数字になるのではないかと思う次第でございますが、先ほども申し上げましたように、実情から考えて、三回も続けて被害を受けました農家は非常に気の毒な実情にあろうと思いますので、そういう農家につきましては、実際に農家が希望するならば実情に即した借り入れができるように考えたいというふうに思っております。
  68. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話はわかりました。借りたいということは、確かに借りると返さなければならないという負担を感じるから最小限度にしたいという考え方もこれもあります。もう一つは、自作農資金の借り入れをするのに容易でないから、ついめんどうくさいというのと、また時期的におくれるというような考え方もある。また、ある場合には、百万円までこれを移行してもらいたいというふうな考え方もあります。この点についてどうなんでしょうか。
  69. 和田正明

    説明員和田正明君) 借り入れの限度額は、二回災害を受けました農家については昨年七十万円にいたしたわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、その上にさらに今回の災害を三重に受けました農家については、現地は百万円というような希望を持っております。そういう点につきましては先ほど申しましたように、近日中に知事も上京されますので、実情に即して具体的に決定をしたいというふうに思っております。
  70. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間が、大臣の御都合があるようでございますので、問題を別にいたしましてお伺いしておきたいと思うのです。  昨年までの北海道の冷害というものは、三カ年間冷害が続きまして、本年度は北海道も大豊作であるというふうに言われておりますが、しかしながら、冷害のつめあとといいますか、これは山間地の荒廃した農地や北限の水田地帯はその非情な姿の形をまだ残しております。農家はその冷害を受けたその借金を背負って、そうして苦しんでいるという、いまのことばで言えば後遺症といいますか、そういうふうな農民がほとんどでございます。冷害対策について、応急対策と恒久対策が要望されているということをわれわれはしょっちゅう言っておるわけですが、本年度の豊作を土台にして、恒久的な対策をどうすべきであるか、北海道における農林省並びに農林大臣の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
  71. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お話のように北海道はだいぶん冷害が続きまして、そのために農家がかなりの負債を負っております。そこでこの旧債の整理につきましては政府と北海道知事とが話し合いをいたしまして、その処理策についてはいろいろ考究いたした次第でありますが、そのことは別といたしまして、御承知のように、北海道は特に寒い土地でありますので、北海道における営農につきましては、従来から、たとえば水稲でも耐冷性の品種の育成をはかる、また、客土、温水ため池それから水路の整備等、寒冷地に適当した土地改良それから寒冷地でも優にやっていかれる酪農振興等を通じまして、寒冷地の気象条件に適応した営農方式の確立にいままでも努力いたしておるわけでありますが、そのようにして濃密な普及指導等を通じまして冷害に対する抵抗力のある農業を確立いたしてまいるために努力をいたしてまいるわけであります。今後はさらにいままでの冷害の経験を検討いたしました上に、寒冷地に適応した試験研究、それから営農方式の確立に関する指導等を強化いたしますとともに一そう適切な施策の推進をはかってまいりたいと思っておるわけであります。  なおまた、北海道農業において重要な部門を占めております畑作農業につきましては、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法に基づいて、長期低利の営農改善資金の融通措置を講じてまいるほか、その振興をはかるための調査を四十一年度から二カ年の予定で行なっておりまして、目下その結論のまとめをいたしておるというところでございます。
  72. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 寒冷地特別立法をお考えになられるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  73. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御指摘のようなことについて地元の皆さん方からも御要望が出ておりますが、それらの点につきましてはいま検討をいたしておる最中でございます。
  74. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 検討をなるべく早くしていただいて、東北を含めた北海道等の寒冷地の特別立法は当然次から次に新しい暫定的な法律をつくられるというよりも、基本的な考え方から進んだ基本法という法律をつくられたほうがいいのじゃなかろうか、こう思うわけでございますので、どうかその点につきましては一日も早く検討を早く進めていただきたい、このように要望をいたしておきたいと思います。  時間がございませんので、いろいろこまかいことも伺いたのでありますが、大体四十三年度の農林予算の概算要求がきまるようでございますが、寒地農業の拡充のためにどのような具体策を盛り込んでいかれますか。先ほどの大臣からのお話と照らし合わせまして若干はわかりましたけれども、北限の水田地帯の対策はどのようにその中で指導されようとしておりますか、この点を伺っておきまして、私の大臣に対します質問を終わりたいと思います。
  75. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 当方の予算要求の希望はそれぞれいろいろございますが、財政当局との話し合いもまだ終わっておりませんし、さらにこれからでありますので、結論的に間違ったことを申し上げるようなことになっては相済まないわけでありますが、私どもといたしましては、もう御存じのように重点的に考えるべきことは何であるかということについてはいろいろ心持ちを定めておるわけでありますし、そういう点について全力をあげるつもりでありますし、ことに一言、北海道につきましては私は政治の面でもっともっと力を入れる必要があるし、力を入れるに足りる非常に将来性のある地域ではないかと判断いたしておるわけであります。これはひとり農林政策だけではありませんで、北海道というものについてさらに検討をして、この開発に力を入れるべき価値のある問題であると思っておるわけでございます。そういう点につきましてはさらに努力を傾倒してまいりたいと思っております。
  76. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 北限の水田地帯に対する考え方ですね、これはどういうふうな御方針か、その点について。
  77. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、ああいう寒冷地、特に周期的に非常に寒冷のまいります地域について、水田というものについては、人によっては非常に疑問を持っておる者もあるわけでありますが、しかしながら稲に対する日本全体の政策から見まして、やはり農村の人たちが稲に愛着を持つ気持ちというものはわかるわけであります。そこで先ほど申し上げましたように耐冷性の品種改良等、あるいは温水ため池その他のことに力を入れまして、できる限り水稲については、地域にたえ得るような水稲を奨励してまいるということについては変わりはないわけであります。さらにまた、それに付属して、北海道独特の畜産、酪農等に力を入れてまいりたい、こう思っております。
  78. 野知浩之

    委員長野知浩之君) これにて暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  79. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから委員会を再開いたします。  西日本干ばつ対策等に関する件を議題といたします。  まず、農林省当局の説明を聴取いたします。檜垣官房長。
  80. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 本年七月以降の西日本の干ばつの概況と、農林省としましてただいままでとりました措置について御説明を申し上げます。  まず第一に、干ばつの概況でございますが、九州、四国、中国等西日本の各地は、七月中旬以降、天候が多照寡雨に経過し、このため、特に九州及び瀬戸内沿岸において農林産物に著しい干ばつ被害が発生し、農林生産者に深刻な打撃を与えているのであります。  被害調査は、干ばつの進行過程では技術的にむずかしいのでございますが、本年は異例の措置としまして、農林省統計調査部が中心となって九月二十五日現在で、十二県について中間調査をいたしました結果では、総被害面積は四十二万五千ヘクタールに及んでおりまして、試算されます被害金額は約五百二十三億円に達する見込みであります。さらに果樹等の枯死及び落葉等による樹体被害は約百六十九億円と見込まれますほか、シイタケのほた木並びに苗畑及び造林地にも相当の被害が発生をしております。  次に、各県からの報告によりますと、応急対策事業として水路の掘さく、井戸の掘さく、瀬がえ、揚水機等の設置等が実施され、金額にして約八十一億円に達しております。これによりまして救済されましたものは、県報告によりますと約十六万一千ヘクタールとなっております。  農林省といたしましては、この干ばつに対処いたしますため、中央及び関係地方農政局にそれぞれ災害対策本部を設置いたしまして対策の万全を期しており、特に九月には、両政務次官を長とする現地調査団を編成して現地に派遣し、被害の現況及び応急対策諸施策の推進指導に当たらせた次第であります。  次に措置の概要でございます。  まず、資金関係につきまして申し上げますと、米麦及び夏秋蚕繭に対する共済金または保険金の仮渡しの実施について指導通達を出しまして、十一月中に仮渡しのできるよう努力いたしております。  天災融資法の発動までの間のつなぎ資金の貸し付け及び既貸し付け金の償還猶予等の条件の緩和について関係各金融機関に対し依頼通達を出しました。  次に、天災融資法の適用政令並びに激甚法第八条の指定政令を十月二十三日に公布をいたしました。その概要は次のとおりでございます。  融資総額は百十億円。特別被害県は、農業関係では兵庫、岡山、広島、山口、香川、愛媛、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の各県。林業関係では、愛媛、熊本、宮崎、鹿児島の各県でございます。貸し付け限度額は二十万円、激甚災害法の適用県にありましては二十五万円。果樹栽培者等につきましては五十万円、これも激甚災害法適用県にありましては六十万円。重複被害の場合は五万円が借りかえ資金として加算されます。償還期限は被害程度によりまして三年ないし六年、激甚災適用県にありましては四年ないし七年。貸し付け金利は、特別被害者年三分、開拓者五分五厘、その他六分五厘となっております。  自作農維持資金につきましては、県への追加割り当てをすみやかに行なうとともに、市町村、農業委員会等の協力を得て手続の進捗をはかり、十一月下旬を目途として被災農民に渡るよう努力することといたしております。この場合に、被災者への貸し出しにあたりましては、人的担保で足りることといたしまして、また保証人の資格も同一市町村内居住者に特定しない取り扱いを考慮することといたしております。  次に、干害応急対策でありますが、干害応急対策事業につきましては、今回の干害の規模、被害程度等にかんがみ、従来実施いたしてまいりました対策を参考として措置を講ずることとしております。なお、樹園地につきましては、実質的に稲作と均衡がとれるよう措置することといたしております。  次に、燃料費、電力費、車の借り上げ費等農業用水の応急確保のために要した経費につきましては、市町村が産業振興上助成した分について特例的に市町村の実態に応じて特別交付税で措置することといたしております。  次に、災害復旧事業でございますが、今回の干ばつによりまして亀裂の入ったため池、水路、水田等を一定基準によりまして災害復旧事業として採択し、早急に補修を行ない、あわせて地元に就労の機会を与えるようにしたいと考えております。  次に、救農対策でございますが、ただいま申し上げました災害復旧事業の実施。できるだけ土地改良事業、林道事業、漁港整備事業等の公共事業を被災地域において被災農民に就労の機会を与えるように実施することとあわせ、被災農民の所得を確保するため、地方公共団体が道路、ため池のしゅんせつ等、一般公共事業の対象とならない小規模の事業を地方公共団体が起債等により行なうことができる措置を講ずる考えであります。  次に、恒久対策。干ばつ恒久対策としては、ダムの建設等大規模な水資源の開発を一そう促進するとともに、ため池等の小規模な水源整備事業についても、その重点的、効果的な推進について検討することといたしております。  食糧対策でございますが、予約米の出荷できなくなった者に対しましては、予約概算金の国への納期までの加算利子につきましては、被害の程度によって減免措置を講ずることとしております。また、生産者が予約概算金返納ができなくなったものに対しましては、指定集荷業者が代位弁済することといたしております。  また、等外米及び規格米の政府買い入れの道を農林省告示で開いております。  例年完全保有農家であった者で、災害のため保有米穀に著しく不足を生じた者につきましては、一部保有農家に対する配給に準じて一般配給を行なうこととしております。また、災害が大きく、かつ、広範囲で一般配給だけでは再生産に支障があると認められる農家に対しましては、一般配給のほかに一カ月一人当たり五キログラムの加配を行なうこととします。  次に、種苗、飼料対策でございますが、被災農家の次年度用種もみ、種イモのあっせんにつきましては、被害状況、必要種もみ数量等を調査の上、善処する一方、必要があれば他の災害の例に準じて助成措置を講ずることといたして考えております。  果樹及び桑の改植用苗木については、被害の実態等を十分に把握の上、必要に応じ共同育苗の経費について助成の措置を講ずることを検討いたしたいと思っております。  酪農地帯の飼料対策といたしましては、政府所有の輸入ふすまの売り渡し、ビートパルプの購入のあっせん等について努力をいたすつもりでおります。  その他、マツクイムシ等につきましては、森林病害虫防除法に基づく駆除措置の万全を期することとし、発生量に応じて補助金保留額の重点配分等の措置を講ずることを考えております。  応急対策事業費その他県別の被害状況等は、別途資料で提出をいたしておりますので、ごらんいただきたいと思います。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  81. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件について御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  82. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 まだたくさんの質問者があるようでございますので、すわったまま質問をいたしますが、どうぞお答えになる側もすわったままお答えをしていただいてけっこうでございますので、さようにお願いを申し上げたいと思います。  ある新聞の記事を見ますと、西日本の干害は人災であるという見出しで、六月に防げたはずである、今後もひんぱんにくるであろうという補足の見出しがついております。これは人災か天災かという問答をここでしょうとは思いませんが、異常気象による干害は天災である、これはもう間違いがございません。ところが、それに対する備えがなかった、そのことが人災であるということであろうと思うのでございます。  私は、干害がより深刻になりまする過程において、農林省へ陳情に参りました。たいへん深刻ですよと、そしていろいろな例をあげてお話しを申し上げたのでございますが、そのときにはまだこれだけになるとも農林省でもお考えにならなかったかと存じますが、水田には水が必要であり、また水があることが当然であって、水で育てる植物である。ところが、山に果樹を植栽したようなものは、水の考えなしにやっておるのだから、干害を受けてもそれをここまでしりを持ってこられても困るというようなお考えがあったのではないかというように考えられるのであります。  それをちょうど裏書きいたしまするように、ただいまどなたかの質問に対しまして、農林大臣はこういうことを言っておられます。ミカンの景気がよいというお話しで、話は岡山県に飛びましたが、岡山県に行ってみたところ、常時設備をしておるところは干害は起こらない。安直な考え方でおっては困りますと、水利については一段の努力をすべきであると思いますといういま表現があったのであります。これを考えてみますと、符節を合わすように果樹に対して干害が起こったということは、水もないところへ植栽したのではないかと、それで干害が起こったというそのしりを農林省へ持ってきてどうするかこうするか、国民の税金ではこれに対処することがなかなか困難である、——そこまでは言われぬが、そういう考えがあるのではないかというふうに私は思うのであります。  で、この新聞に出ておりまする人災であるということは、こういうところからこの長期予報というものが始まっておるわけでございまして、御承知であろうと思いますが、異常災害はたいへん大きな被害をもたらすものでございまして、これを未然に防ぐ目安としては、長期予報というものがたよりになるわけでございます。そうでなければ、普通の農家にいたしましても、あるいは農林省にいたしましても、天候の予測というようなものはなかなかできがたい。長期予報をたよりにすることが必要でございます。  そうしてこの長期予報というのはいつからできたかというと、明治の末期、大正の初めに東北地方で冷害がひんぱんに起こりますので、長期予報によるその予報に従って冷害対策を講ずるべきであるということでこれが実施に移され、しかもその予報によって非常にその災害が軽度で済んだという事例があるのでございます。今回は前もって陳情をいたしましても、そういうようなものの考え方、あるいはこれは必ずしも役所の責任でもございません。これは農民自体も考えなければならぬことであり、あるいは政治家もあるいは役所におきましても当然行政の立場からも考えなければならぬと思うのでございますが、こういう長期予報ですでに今後も起こるであろうということが報じられておりますが、それに対しまする農林省のお考え方は一体どういうことなんでしょうか。
  83. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) お話しのように、自然の気象条件に支配される農業生産の指導をいたし、またそれに必要な対策を講ずる行政といたしましては、長期予報というものに基づいて必要な手段を尽くすことが当然のことでございます。農林省といたしましても、官房の技術審議官を主担任者といたしまして常時気象庁の長期予報についての情報を伺い、またそれの説明を聞きまして必要な指導、通達等はいたしてまいっておるのでございます。本年の春作の開始に先立ちまして、本年の——四十二年度の気象の特徴は非常に異常な気象になる可能性が強いということで、一部においては集中豪雨があり、一部においては水不足が起こるであろうという長期の予報でございましたので、その旨を地方農政局を通じて各県にも通達をいたし、私どもとしてもある程度心組みをいたしておったのでございます。そういうことでございますが、——気象庁の方、見えておられますかどうか——長期予報の問題は技術的にもなお問題が残っておるようでございますが、現段階における技術的判断としての長期予報は、われわれが農業生産の行政指導の立場にある者として、これを足がかりにして措置を講じていくということについては御指摘のように今後なお一そう努力をし、遺憾なきを期してまいるべきであるというふうに考えておるのでございます。
  84. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これはまあ単にそういうおざなりの答弁だけで済ますわけにはいけぬ大きな問題が私は根っこにあると思うのです。これは少なくともそういう事態に立っては応急な、つまり水槽なりあるいは水を確保し得る体制をとらすべきではなかったかと思うのですよ。それはそういう通達を出し、警戒に当たらせたということはよくわかるのでそのとおりであろうと思うのですが、これはかえすがえすも私は残念なことだと思う。これはもうやはり天災ではあるが人災でもあるというふうに言えると思うのでありますが、この点をしっかりお考えおきを願わないとたいへんな将来問題が重ねて起こるわけでございます。この予報をもとに適切な対策を立てる、それしかないのです、この問題は。つまり、日が照るだとか雨が降るだとか言ってみても、やはり万全でないというても科学の力によってそういうことを発見しようとして努力し、それによって適切な予報をしておるわけでございます。それがだれにも直接感じないで農家も看過したということは農家にも罪があると思いますすけれども、やはりそれだけまでやるならばもっと徹底した水資源の確保を促す必要があったのではないか、こう思います。しかしそれはまあ過去のことでございますが、そういうことがなお今後も起こり得るんだと。しかも、その記事によりますとひんぱんにくるであろうということでございまするし、西日本の干ばつは現在も続いております。済んだのではございません。そういう観点から応急の水利対策というものをどのようにするかということが問題でございます。私はそういうことを十分にお願いを申し上げ、先ほども申し上げましたように、ミカンが景気がいいからどこにでも植えたじゃないか、それで水がなかったということを言うてくるのは少し場違いではないかという考え方ですが、それはあの一本とかあの二本とかいうものは私はそういう場所に植えた人もあろうかと思う。しかし、それにはちゃんとそれぞれの助成なりあるいは低利資金なり、それぞれの関係技術者の指導によって最近は樹園地を持っておるわけでございまするので、頭からかってに植えたんだからというような印象なり、心の底にそういう考え方があるということはまことに残念だと思うのですが、そういうことは農林省はどうですか。そう思っておられませんか。
  85. 久保勘一

    説明員(久保勘一君) 実はただいまの先生の御質問の要点につきましては、私先般九州に視察に参りました際に実は現地で痛切に感じたことがございます。それは特に樹園地の場合でございますが、かなり県なり国なりが奨励をいたしまして開墾をしてミカンを植えております。実際に現地に行ってみますと、病害虫防除用の用水と申しますか、そういうものは小規模ながらある程度整備されておりますけれども、かん水用と申しますか、かんがい用の水については従来全く顧みられていないという実情ではないかと見たわけであります。こういう点について、やはり今後いろいろ果樹その他の樹園地を造成してまいりまする場合に、どうしてもやはりかん水用の水について根本的に基本的に考えていく、指導していくという体制をとっていかなければいかぬ、こういうように思います。  それからもう一つ水田の場合ですが、もう少し為政者と申しますか、県なり市町村なりあるいは国なりが事前に農民を指導し、あるいは団体を指導しておけばこんなにならなくて済んだんじゃないかと思うような、安易な簡単にできる水利の問題が行なわれていない。そういう現実にも遭遇いたしております。もちろん、これは農家自身の自主的な努力もさることでございますけれども、やはり当局にある私どもといたしましては、そういう点については今後十分反省をいたしまして努力していかなければならない、さように感じたわけでございます。
  86. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この問題はもうこの程度にいたしますが、とにかく小規模のやはりため池あるいは水槽等を、地域に応じまして二十ヘクタール以上でなければぐあいが悪いというような考え方はどうかと思いますので、もっと小規模なため池をつくらせるように指導すべきものではないか。地域が山ろくに広がり、農業が山へ上がるということばがございますが、だんだんと山地を利用するという趨勢に今後向かってくる。そうすると、平地で考えておるような水資源の確保ということは非常に困難であろうかと思いますので、そういう小規模にはやらないというような考え方でなく、そういう小規模なものこそ私は今年の干害の特徴であったと思うのですが、そういうものを将来考えてもらいたい、こういうふうに思うのでございますが、その点はどうですか。
  87. 和田正明

    説明員和田正明君) まず水田について申し上げますと、私ども調査では全国に約二十七万七千ほどのため池がございまして、それによって大体水田の一六、七%ぐらいがかんがい用水をそのため池から受けておるわけでございます。今回災害、干ばつが起こりました九州等々は、県で申しますれば、概してため池のそう多いところではないのでございますが、やはり従来からの気象条件が、台風等がしばしば参りますこと等の関係がございまして、一年間の水田の所用量をためるというため池ではなくて、たとえば、しろかきのときに大部分の水を落としてしまいまして、それからあとの必要量はその後の気象条件にたよるというような、そういう感じのため池が実は多いわけでございます。今後の実情を考えますと、ただそういう天水にだけたよりましたようなため池をそのままかさ上げをしたということだけでは、やはり抜本的な対策にはならないと思いますので、私どもとしては、従来から実施をいたしてまいりました各種の水資源開発の総合調査等をさらに拡充をいたしまして、水の総合開発の見地から、あるいはダムをつくりますとか、塘池をつくりますとか、そういうことで相当年限にわたって渇水時においてもたえ得るような基本的な施設をつくらなければならないというふうに考えておりますが、それとあわせまして、現在ありますため池につきましても、たとえば幾つものため池を水路でつなぎまするとか、あるいは付近にあります渓流等の水をそのため池にくみ上げまするとか、何かそういう基本的なことを将来にわたって考えていかなければいけないのではないかというふうに考えております。そこで現在、来年度以降におきまして、過去において少なくとも二回以上かんがい応急対策事業を実施することを要しました市町村につきましては、お話のように一部採択基準等につきましても検討を加えまして、抜本的な水資源対策を考えたいということで、現在よりより関係当局とも打ち合わせをいたしておる事情にあるわけでございます。
  88. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 事務的なことになりますが、かんがい応急対策事業の助成要綱、それから査定基準というものをつくられると思いますが、そういうものはいつごろの見通しでおいでになりますか。
  89. 和田正明

    説明員和田正明君) 助成要綱と査定基準は今月末までに確定をいたしまして、十一月、十二月にわたって現地査定を済ませたいという段取りで現在努力をいたしております。
  90. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 その後降雨——先ほど申し上げましたように降雨といっても若干あったところもありますし、なかったところもありますが、個所別に申し上げることを省略いたしますが、まだ干害は続いておるという考え方でございます。したがいまして、応急対策事業は現在も実施しつつあるわけでございます。ところが、この基本要綱等と助成要綱の骨子というようなものを見ますと、樹園地等につきましては四十二年四月一日から同年十一月三十日までだというように書いてございますが、これは応急事業を現在やっておるという段階であり、なお干害が続いておるという段階なんですが、これらの考え方についてはどのような考え方でおられますか。
  91. 和田正明

    説明員和田正明君) 御承知のように、過去において実施をいたしました干ばつの応急対策事業は、九月三十日までの時点で整理をいたしたわけでございます。本年はただいまお話もございましたような事情もございますので、まず水田等につきましては、おそ場の地帯でも十月二十日ごろにはもう水を落として不要になりますので、一応水田については十月二十日までの事業を取り上げていく。樹園地については一応の目安を十一月末というふうにおきましたけれども、あるいはそれ以前に降るかもしれませんし、あるいはまた逆にそれ以後になってもまだ降らないかもしれないというような事情もございますので、一応の目安を十一月末においたと、こういう事情にあるわけでございます。
  92. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それではいま前段申し上げましたように、いわゆる長期予報等も出ておって、今後もひんぱんにくるであろうといい、現実にまた降らないかもわからぬということはわれわれも聞いている。しかし、降らないかもしれないということもあり得る。ですからこれは現在施工中の、あるいは今後応急対策としてやらなければならぬと考えてやっております事業も、十一月三十日以後といえどもやはり助成の対象といいますか、救済の対象として考えるべきであると思うが、その点はどうですか。
  93. 和田正明

    説明員和田正明君) 先ほども申し上げましたように、十一月末というのは樹園地に関しまする応急対策の一応の締め切りのめどという程度でございますので、なおその後においても被害が進行をし、また、特殊な応急対策を実施しなければいけない。相当多数実施しなければいけないというような事情がございますれば、その実情に即して対処をいたしたいというふうに考えております。
  94. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体わかりました。これは夏かん等はまだ実のついたまま越年をするわけです。それからまた他のかんきつ以外の果樹でも、いわゆる木の樹勢の補完という意味からも水が必要であるということを十分お考えの上、十一月三十日以後といえどもその救済の考え方というものを捨てるべきではないというふうに考えておりますので、ただいまのお答えでけっこうだと思いますが、どうぞそういうふうにお考えを願いたいと思います。  それから樹園地と田畑というものに対しますいろいろな区別があるわけですね。この区別はもともと樹園地をつくるということに対して当初から生まれが違うのだ。だから田や畑と違った制度でこれをみていくのだというお考えだと思いますが、そうでございますか。
  95. 和田正明

    説明員和田正明君) 御承知のように、土地改良事業を地元の申請で処理をいたしてまいります場合、それぞれの事業規模に応じまして国営、県営、団体営等、それぞれ補助率が違っておりますが、それらの補助率を一応検討いたします場合には、農民負担の反当の賦掛かり負担能力というようなことを前提にしていろいろ作業をしているわけでございます。これはいいか悪いか、それぞれのお立場で御議論もあろうかと思いますが、現在団体営の畑地かんがいに対します補助率は、一般の畑の場合が四五%、樹園地の場合は三分の一ということで制度化をされております。それで基本的にふだん実施をいたします団体営の畑地かんがいがそういうふうに補助率が違いますわけでございますが、今回実施をいたしますかんがいの応急対策も、本質的にはある程度その施設がことしだけ役に立ったということではなくて、将来にわたっても利用されることを期待いたします意味で、団体営のかんがい排水事業というふうに観念をして補助率をきめているわけでございます。その関係でただいま申しましたように、一般の畑と樹園地との間の本来の土地改良事業の補助率が違いますので、その違いの比率でかんがい応急対策の場合にも樹園地は一〇%下がっておるということになっております。これはいいか悪いかいろいろ議論はあろうかと思いますが、やはり団体営の土地改良事業ということで業種別にいろいろな補助率を仕組み、一つの体系ができ上がっておりますので、それとのバランス上一定の差額が出てまいるわけでございます。その点につきましては、先般の閣議で——その前に従来ともかんがい応急対策を国が助成をいたしますると、その残りの七〇%に対して自治省が平衡交付金で地方財源を見ておったわけでございます。特に今回は一般畑と樹園地との補助率の差の一〇%分は自治省が平衡交付金で地方公共団体のめんどうを見まして、そのところの農家負担のバランスを合わせるというふうに政府としては方針をきめたわけであります。
  96. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私はこれは議論になりますから、いまここでどうしようというわけにはまいりませんが、樹園地といえども畑の範疇の中に入るものであろうというふうに思うのであります。樹園地というものが特別の、水田でもない、畑でもないということは、いまとしては考えられぬと思うのでありまして、基本的に将来畑と同様の助成をすべきものである、樹園地だからその率が低いということは基本的ないまの御説明では承服できにくいのでありますが、将来御検討をお願い申し上げたい。  ただ、特別平衡交付金で残余の分は見ていこう、こういうことでございます。これはまことにありがたいことでございますが、特別平衡交付金——普通の平衡交付金というもののあり方から考えてみると、どうも私は何やら足らぬときには平衡交付金に入れてあるという言い方が常に行なわれたような気がするのであります。平衡交付金に入れたものそのものずばりがそれに適用されるかどうか、いろいろな例を私は知っておりますが、入れておってもこれは足書きはつけないというのか、足書きをつけるということは地方の長官、知事の、いわゆる行政の責任者の施行する内容にまで指示を与える、そういうことを避けるという意味か、平衡交付金ですね、どれだけあるのだという詳細な通知、通達、あるいはそれの使い道の追跡調査、そういうものはやっておられますか。あわせて平衡交付金のことを、これもついでに聞きますが、今回、県並びに市町村がその事業に対しまして何がしかの助成を行なっておる場合には、全部平衡交付金で見てやろう、こういうことになりますか、それもあわせてお答えを願いたいと思います。
  97. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 地方交付税の地方公共団体に対する交付のしかたには、御案内のように普通交付税、特別交付税があるわけでございまして、普通交付税の場合には基準財政需要額というものを算定いたしまして、それに対する地方公共団体独自の歳入というものを計算したその差額について交付される。そうしてそれには一定の基準があって算定されるというやり方でございまして、これには何らの内訳が付されないことは御案内のとおりでございます。特別交付税につきましては、特別な支出あるいは負担というものに対する配慮から配分されるものでございまして、これには私が自治省から説明を聞きました範囲では、特別交付税の算定の基礎を明らかにして交付をするということに相なっておりますが、その点については、それが事実上どういう関係になっておるかというようなことは、実は私どもも必ずしも明らかでございませんが、考え方としてはそういう性格の交付のしかたをするということになっておるわけでございます。
  98. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 いま助成が出ましたからついでに聞きますが、田畑にかかるものの中で共同施行というものにはいわゆる足切りと称するものがあって、普通の団体営等では受益者負担というものは常に出しておるが、これは出していないから、一定額のものを控除して残余のものに対して見ていこうという考え方があるんじゃないか。足切りというものはどういうところから出てきたのか、語源を探ろうとは思いませんが、とにかくどうしてそういう差別をされるのであろうか、これが不思議でありまするし、なおかつ機械費も樹園地における機械費は二五%、田畑によりましては機械費につきましては三〇%と、五%これが違うわけでございます。これにそういう足切りとは別な問題でございましょうが、一方機械費というものに、共同でやりまする施行には額が少なくしてあるという理由は一体どういうことか、そうして足切りというものがあるが、それは将来、同様に控除しないで見てやろうという御意思はないか、またそうしてもらいたい、こう思うのですがいかがでしょう。
  99. 和田正明

    説明員和田正明君) まず足切りの問題でございますが、御承知のように畑にしろ田にしろ、あるいは樹園地にしろ、すでに一般の土地改良事業で土地改良施設を持っております地域では、当然にその施設の管理維持をいたしますための経費が組合費として賦課されておるわけであります。ところが、土地改良事業を実施しておらず、したがって、維持管理すべき施設のないような場所では、そういう農家の平常ベースでの維持管理費の負担がないことになります。それで、ことしの春もすでに通牒を出したのでございますが、やはり現実の問題としては、土地改良区等がございますれば、かんがい応急対策も、土地改良区の地区内の全体の総合的な水利用という立場で、土地改良区の仕事あるいは市町村の仕事として実施をされるわけでございますが、そういうもののない場所ではどうしてもそういう組織立った団体がありませんから共同施行というような形をとらざるを得ない。個人に対して助成をするということは、国の補助事業としてはなじみませんので、せいぜい実施をするとしても共同施行という範囲のものに限るわけでございます。やはり災害対策といたしましても行政上のバランスはとらなければいけませんので、ふだんから維持管理費を負担をしておりますものと、負担をしておらない農家との間の均衡をとります意味で、大体維持管理費の平年ベース見合いのものを、維持管理費を負担しないでいる農家については足切りをする、こういうことでございます。そういうことで両方のバランスをとりたいということでございますので、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、やはり国の対策としてのバランス、均衡という面からこれをやめるということについては現在は考えておらないのでございます。  それから共同施行の場合につきましては、やはり土地改良区とかあるいは市町村とかいうようなはっきりとした組織の事業でもございませんし、したがって受益面積等も少ないとかというようなことで、負担能力等考えて補助率が低くなっておりますが、その場合にも樹園地とその他の場合に、補助率の差がございますのは、先ほど申しました土地改良事業本来のバランス論でございます。その差につきましては、先ほど来申し上げておりますように、特別交付税で穴埋めをしていくという形を本年はとることにしておるわけでございます。
  100. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それでは次に、こういうことがあるのかどうかわかりませんが、先般調査をした中に、何かそういうことがあるのではないかと心配をいたします。それは前年度の被害地における査定基準等を見ますと、かつて過去において助成をした個所は、今回の干害には助成をしない、そこから除くのであるというようなことがもっぱら言われておるのでありますが、私はそういうことはないと思いますが、今回の干ばつの実情は、従来ケースのなかったような大干害で、しかも深刻なものでございます。飲料水の例を引きますと、一升六円で買うております。樹園地で、タコつぼと称しまして、これは将来こういう干ばつが樹園地に起こりましたときには、当然指導の方法として考えなければならぬことでございますが、かわき切った果樹の木の根元に散水をするのでなくて、それではすぐかわいちまう。かわき切っているところへまるでほこり押えみたいなことで、僅少な水を散布をいたしますることは効果がございません。掘っておいて、その穴の中に入れて、若干上にふたをするという、そういうことをやった樹園地は助かっておるのでございます。そういうようなことで、これはいままでに例がないのでございますが、そういう査定基準というものの中に従来やった施設があって、その施設が使えるところはいざ知らず、そうでないところは新しいケースとして現実に干害をこうむっておる。ですから、単にやったところへ再びその助成はしないのだという考え方はよもやなかろうと思いますが、そういうことについてはどうお考えになりますか。
  101. 和田正明

    説明員和田正明君) 若干ざっくばらんなことを申し上げて恐縮でございますが、過去において干害応急対策を実施いたしまして補助金を交付をいたしましたところが、ごく一部に不心得な者がおりまして、せっかく補助金で施設をしましたものが、どこかへいってしまって、もはや次回の干ばつのときには、また新しくやらなければいかんというような、そういう維持管理のよろしくない地帯があったわけでございます。そういうことを防ぎます意味で、一度出したところには先ほども申しましたように、これは単なる応急対策というよりは、将来にわたって恒久的に使える施設に助成をしていくという考え方を持っておるものでございますから、それをその場限りでどっかへ処置をしてしまったというようなことがあってはいけないので、二度目にはやらぬぞというのを一応のたてまえにしておるわけでございます。今回のは、お話のように、相当干ばつの事情もひどいようでございますので、従来の施設を利用していて、かつ足りないというので、追加して井戸を掘ったとか、そういうような実情がございますれば、その部分についても補助対象に加えたいということで、現在実情を把握をいたしまして、そういう方向で検討いたしておる、そういう段階でございます。
  102. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは、時間がございませんので、詳しく説明をすることができませんが、今回のところはなかなかそういう一律の問題ではございません。また井戸を掘ったのを、どっかへ持っていってと言うけれども、それはポンプのことか何かを想定されておるんじゃなかろうかと思います。どうも農業者が何か悪いことをするもののようにお考えになってものを考えるということは、何か残酷なような気がしますが、井戸や何かは持っていけませんので、どうぞひとつ、かつてやったからもうそこに井戸を掘ったってだめだというようなことのないように、ことに応急施設の水槽、井戸等はなかなか急にできないから、土砂は四方からくるけれども、くいを打って、竹や何かでやって、その中で水を取った例が多いので、恒久的に維持されるような形の井戸というものは、もう干害が相当深刻になって後に工事をするやつですから、私はそういうことも十分に腹に入れて査定基準をおつくりになるように要望をいたしておきます。  次にエスロンパイプですが、いわゆるビニールパイプというのか、エスロンパイプというのかわかりませんが、この器具、機械、これの厚みに基準があるわけでございます。たしか二分でございますか、肉の厚みというものが助成をする基準になっておる。ところが、われわれの地方あるいは九州地方でももう買い尽くして、ないということで、遠く仙台まで買いに行ったという業者がおるわけでございますが、火急な場合に、厚みを統一してやるという、しかも大きなビューゲルポンプを据えて、何インチもあるようなホースで給水をするというような、あるいは水揚げをするというようなほどの水がないのですよね。これは机にちゃんと向かっている人の頭の想像では、よほど明敏な方がおそろいでございますので、おわかりになるとは思いますが、われわれ想像以外の努力をいたしておりますので、エスロンパイプの分が薄いからやらないとかなんとかということは私は意外に感ずるのですが、私の知っているわずか一万人に足りない町で新しくエスロンパイプを買った距離は八十万メートルだと言われております。そうすると、愛媛県の宇和島から京都に行くくらいの長い距離なんですよね。従来水のあるところに据えてあったというものは、水がなくなったからそれを使うわけにいかない。新しく買ったわけですね。そういうものを全部の農家、九州も四国も中国の樹園地の人たちも皆購入をしたということで、少なくなった、しかも価格も上がったということなんですが、このエスロンパイプの厚みに対する助成の問題、補助の問題ですか、そういうのはどうお考えになりますか。
  103. 和田正明

    説明員和田正明君) およそ干ばつであれ、あるいは台風であれ、各種の災害が起こりました場合に、どこまでを国でめんどうを見、あるいはどの部分は地方公共団体において処理をしていただくかというようなことは、なかなか一がいには申しかねまして、そこらの境目等はいろいろ問題はあろうかと思います。ただ農林省として干害応急対策に助成をいたします場合には、その場限りのことではなくて、やはりその助成の効果がその後の干ばつという異常の際にもある程度役に立つような、そういうものに助成をしていきたいという基本的な考え方でございます。パイプの厚みを何ミリにするとかいうことは、今後若干、先ほど申し上げましたような査定基準あるいは助成要綱をつくります場合に、十分御意見のあるところも検討はいたしますが、本質的に多分に消耗品的なもので耐久性のないものまでも国として直接助成をするかどうかということは、国の助成になじむかどうかということについて基本的に問題があるわけでございます。  そこで、もし国から、というのは農林省から直接干害応急対策として助成ができない場合も、市町村が地域の産業振興という立場で助成をいたしましたような消耗品的なものにつきましては、それに対して実態に応じて今回は特例的に特別交付税で措置をしていこうということを閣議でも御決定になりましたので、できるだけ幅を広げて干害応急対策の中での助成については考えますが、基本的にやはり消耗品的なものにつきましては今回は特別交付税で措置をする、そういう考え方になろうかと思います。
  104. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 西日本で一番たくさん経費が要っておりますのは、水が自分の地域になくて、相当遠隔の地からドラムかんあるいはタンクあるいはビニロンの大きなふろしきのようなものをトラックのうしろに取りつけてその中に水をくむ、ふろ屋の余り水といいますか、ふろ屋から出てくる流し水等までそれにくみ込むようにつけて、市街地まで出かけていって水をもらってきたということでございますが、それに対して運搬費が一番たくさん要っているのですよ。何に要ったかというと、運搬費に一番たくさん要っておるわけですか、それはやはり交付税で見るのか。タンクの種類もいろいろあるのですよ。木製のものもあれば金でつくったものもある、それからドラムかんを買うてここに入れて走ったものもある、こういうことなんですか、それはみんな同様に——それが貧弱な市町村等によりますと若干の手当を出して、補助金を出してやろうとしてもやれなかったこともあろうと思うのですが、やっていなければ特別交付税の対象にはならないというようになるように思いますが、それは二つ問題があるわけですが、いずれのタンクあるいはガソリン代、そういうものは特別交付税で見てやろうというのでありましょう。それから消粍品だから自分はガソリン屋で何百ガロン買うておるけれども証明の方法がないから、市町村、県が支出した金に対して特別交付税を出そうというのか、あるいはそういう制度がなくても現実にやってやろうというのか、その点どうなんですか。
  105. 和田正明

    説明員和田正明君) 先ほども申しましたように、燃料費、電力料、その他運搬等に要しました経費は農林省が干害応急対策として直接助成対象にいたしますことはいろいろな意味で適当でないと思いますので、干害応急対策の助成要綱の中には加えませんが、特別交付税で措置をするということで政府としての方針がきまっておるわけでございます。その場合に、自治省の考えは、当該市町村の産業振興上助成した分については特別交付税で見る、こういう趣旨でございますが、助成したという順序がどっちであるのか私はよくわかりませんが、特別交付税がくることを見越して助成をしておけばそれでよろしいのではないかというふうに思います。
  106. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それはそうだが、最初は鼻もひっかけぬほどの干害のように思っておった時代もあるので、それが最初からこういう大事になってあれだけ使うということならやったでしょう。ところが、やろうにも小さい村で、ことに村々の人口も三百か五百かのような合併もできないような村でそういうことが行なわれた場合にはその恩典にあずかる機会がないということなんだが、何とか方法はありませんか、そういう画一的なことでなくて。
  107. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) ただいま農地局長お答え申し上げたことと同じことなんでございますが、先般干害関係閣僚会議で決定をいたし、さらに閣議で了解を得ました線におきましては、国の補助金によって助成される対象以外のもので地方公共団体が燃料費でありますとか電力費でありますとかあるいは車の借り上げ料でありますとかそういう農業用水の応急確保のために要した経費について市町村と公共団体が産業振興上助成した分については特例的に、というのは本年度については特に市町村の実態に応じて特別交付税で措置をするということがきめられたわけでございます。したがいまして、市町村なりあるいは県を含むわけでございますが、地方公共団体がみずから事業を実施したただいまのような諸経費並びに農業団体、あるいは農家に対して助成をしました分については、これは特別交付税で措置するということに相なっておりますので、大体御指摘の問題はこの考え方で処理できるのではないかというふうに思っております。
  108. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 まだありますが、私の許された時間がまいりまして、また別なものをもう一つお伺いしたいと思いますので、もうあとは総括的に要望だけしておきますが、後年にまで影響する山の問題、特に杉がたいへんいたんでおります。それからシイタケは御承知のようにかわき切ったものですからようはえません。養蚕の蚕さんは、ついこの間私は現地を見てまいりましたが、もう桑の中に水分がない、養分がございませんので、まるでぱさぱさした桑を食っているから小さい蚕さんでおそらく繭も小さいだろう。それからクリなんかもずいぶん落果をいたしております。いろいろもろもろの問題があって家畜には、サイロには積み込んでいきます飼料——えさがございません。そういうものはふすまで、きょう御報告になりました乾燥ふすまで間に合わすということでございまするが、もろもろの問題について親切に対策を講じていただきまするよう要望いたしまして、もうあと一つでありますがそれを申し上げます。  これは経済局長さんにお願いを申し上げますが、家畜共済ですね、家畜共済の一部改正といいますが、一部改正でなくて全面、改正されたのは全部もとから——もとのが残っていることはあまりないと思います。全部改正されたというに価するようなものであったと思う。その当時、当然診療、治療の点数の改正を要望いたしましたけれどもこれができなかった。それがまだ今日に至りましてもやるような体制にならないようでありますが、私の調査が間違っておるかもわかりませんし、また、これから申し上げまする対象は比較の度合いが違うのかもしれませんし、御指摘をいただきたいと思いますが、家畜共済について技術上の報酬といたしまして三十年から四十年までの十年間にアップいたしました率は一六・五%であるというふうに私は思うのでございます。それから、これを医療費という、先般健保の改正でずいぶん国会が混乱をいたしました。臨時国会を開いてこれらの問題を討議したという経過すらございますが、これらのアップ率は三十年から四十年、同じく十年間に四一・八%のアップをいたしております。また、ベースアップはもう私が申し上げるまでもございませんが、三十五年から四十年の間に六八・七%のアップをいたしておるわけでございます。私は家畜共済というものに対処いたしまする技術者あるいは組合、そういうものが非常に弱いという関係もあってではなかろうかと思うのですが、いまだにこれが改正されぬことは少し怠慢ではなかろうかと思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  109. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 最近の時点におきまして、診療点数について相当の改善をいたしております。多少内容を申し上げますれば、診療点数は、御承知のように直接費の部分と間接費の部分とがあるわけでございますが、直接費の部分につきましては、三十七年度に往診点数を二割ほど上げまして、また三十八年度には総合的に七%の引き上げを行なってまいりました。それから間接費部分につきましては、三十七年度に一二・五%、四十年度に一四・二%の引き上げをいただきまして、私ども当局、怠慢ではないかというお話がございましたが、私も必ずしも十分というふうには思いませんけれども、経済事情の変化に応じてそれぞれ相当に努力をいたしてきておるわけでございます。  ただ、先生から御指摘がございましたように、家畜共済につきましては、先般の国会で、農業災害補償法の改正が行なわれて、今年の四月一日から、いわばいままで一頭一頭の牛馬を引き受けておりましたのが、農家が飼養しておる牛馬については包括的に引き受けをいたすことになりまして、農業共済は実は稲につきましては三十八年の制度改正によってほぼ軌道に乗って、農業共済に関する不平不満というものは相当除かれたと思います。家畜共済につきましても、ただいま四月からの経過でございますけれども、制度改正の切りかえは大体順調に進んでおるというふうに思います。  そこで私も、診療点数の改正については、役所として行動をすべき時期が近づいておるというふうな判断をいたしておりますけれども、今年度は四月一日から制度改正ということもございましたので、さしあたり点数表付表の薬価基準の全面改定をいま準備をいたしております。これは準備の進みぐあいにもよりまするけれども、間違いなく来年において薬価基準の改定ができると思います。そこで、本年度から始まりました新しい制度改正の推移を見て、また薬価基準改定等も行なって、来年になりまして診療点数の改定の作業をいたすつもりでおります。これは点数の改定は、実は農家負担の問題にからむばかりではありませんで、財政措置、予算措置も必要であります。国庫負担にも響くわけでありますから、作業としても相当大作業であります上に、そういう農家負担と財政負担と両面がございますので、そうすぐ簡単にやるというわけにはまいらないのでございますが、来年度においてこの作業を進めて、四十四年度の予算にそれをぜひ織り込むつもりで保険課を督励いたしておる次第であります。
  110. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは私の計算とは違うのですが、直接費、間接費といいましても、やはり料率が基礎になって、それから割り出されておるわけでございますので、すでに公務員等のベースアップが私の計算だけでも、四十一年、四十二年は計算に入れておりませんが、それが一四・八%になるのであります。その上に三十年から四十年までが、先ほども申し上げましたように、六八・七%のアップをいたしております。これは人事院で聞いたのだから間違いがないと思いますが、そうすると相当のアップをしておるのに、やはり地域の獣医師なりあるいは診療を担当いたしておりまする共済組合でもたいへんな負担がかぶさってくると思うのです。これは陳情にも弱い団体、そういうものだからあと回しにするという考え方は私はよくないと思う。これはやはり実情に応じたように見てやらないと、そうして足りなければ農家からもらいなさいというのは、ほんとうに不親切ですよ。そういうものであってはならぬと思うのです。  それならば制度というものに問題があるわけでございますから、私はそういう言い方で突っ放しておくことは非常に悪いことである。やはり制度というものがある限りには制度というものを生かして、そしてなるべく農家の負担というものを少なくしてやるということが適切なのではないか、こういうふうに考えるのですが、来年度やっていくということでなしに、もう団体ではこういうふうにしてもらいたいという意見がある。ことに医療関係では手術料が八〇%中医協あたりで答申になったそうでございます。いま厚生省では作業をしているというのですが、しかしこれは私は腑に落ちないと思いますので、少なくとも本年からかかられて、そしてすみやかにこれは改正をしてやらなければいけないと思います。  なお、この問題で一番問題になりますのは、産業動物を対象とする獣医師がもういなくなった。世の中がもう変わってきているのですよね。いままでなかったニューカッスル、豚丹毒というようなものはどこの国にもどこの県にも、ないところはもういまはありませんよ。そうして一頭ずつ飼うといっておった副業的な畜産というものが企業的な畜産に変わって、そしてこれは家畜伝染病が出たりしたら、私が申し上げるまでもないが、干ばつが起きたら田が残っていますから、水田ならまた来年つくることができますが、家畜の伝染病というのは全部屠殺をしてしまって殺処分にする、殺してしまうのであります。もうどうにもこうにももとからなくなってしまう。このくらい大きな経済を左右するものは私はないと思う。選択的拡大だというので、われわれもその罪を着なければならぬかと思いますが、畜産だ畜産だ、果樹だ果樹だと言ってあおり立てて火をおこしたが、一向にあとの始末をやらないというようなことは、私はたいへんなことになると思うのですよ。そこで、そういう考え方の上に立ってすみやかにこれは解決すべきものである、こう思います。  薬価基準につきましてはあとでお伺いしようと思ったが、来年度改定をするとおっしやいますからそれもまことにけっこうだと思います。これは質問を省略いたしますが、点数のほうの技術部門の、人によってやる、たとえば往診だってそうでしょう、あるいはいろいろな手術なりいろいろのことがあります。これについてはもう申し上げませんが、そういうことは、ベースアップをし、これと同じような医者がすでにその点数がアップをされているのでありますから、すみやかにこれはやってやらぬと、議論の問題じゃなくて、こういうところで私は質問をしたり何なりすべき問題ではないと思ったのですけれども、しかしまあ関係者がどういう熱意を持っておいでになるか、少なくとも速記に残しておいて今後検討をいたしたい、こう存じましてお伺いをしたわけでございますが、私は十分腹いりがいたしません。さりとてそれならここで解決してくれというわけにはまいらぬと存じますので、これにはまだ今度の新しい制度についても意見があるのです。新しい制度が着々とわれわれが考えたほうに良好に推移しているとあなたお考えのようですが、そうではない面があると思います。それは私はここでは申し上げません。いずれまた申し上げる機会があるかと思いますが、ぜひともこの問題は少なくとも薬価基準と同時にひとつかかっていただけますように研究していただけませんか。これは改定をして、そしてこれだけ違うのですから、かりにあなたの言う数字をとりましても二十数%で、三〇%には足らないと思います。ところが、医療保険等のアップ率を見ますとたいへんな違いなんです。それだからこそ農村に獣医師がおらなくなって逃げてしまう。畜産局長おいでになっておられると思いますが、農村に獣医師がいつかないという理由について、また今後どういうふうにされたら農村に獣医師が、あの畜産というものが行なわれている場にに獣医師が足らないということは一体どういうふうにお考えになりますか。
  111. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) お話のように、農村に獣医が新しく進出していくということが非常に少ないようでございます。その理由は、一つは、畜産経営が多頭化をしてまいりまして、事業的な経営になってまいりました。そういたしますと、飼育しておるものは、診療費の非常にかかるような重症の家畜につきましては、むしろ淘汰をするというふうな傾向が一つは生じておるように思われます。それからもう一つは、畜産が大幅に伸びておるとは言いましても、診療需要の比較的少ない豚だとか鶏というものが伸びておるというふうな点が考えられるわけでございます。それから、一方では獣医に対する会社だとかそういったところからの需要が非常に強くなった、比較的好条件で迎えられるというふうな傾向があるわけでございます。そういうふうな点から、比較的農村に入りにくくなったのではなかろうかというふうな感じを持っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、畜産が発展をするにつきまして、家畜衛生というものがきわめて重要であることについては間違いがないわけでございまして、適正な衛生診療が確保されるということはぜひ必要であるというふうに思われます。そういうふうな点から、畜産局といたしましては、特に家畜伝染病予防法によります事業等における獣医師手当に対しましては、できるだけ増額をするという方向で努力してまいっておるわけでございますが、今後も努力いたしたいと思います。それからまた、都道府県の事業として実施しております家畜伝染病予防事業、こういうものについても積極的に獣医の協力をしていただくということで、広範に獣医の活動をやっていきたいというふうに考えておりますことと、特に本年度からは農村の獣医師を中心といたしました豚コレラとか、ニューカッスルの自衛防疫体制というものをしいたわけでございます。こういうふうなことを通じまして、衛生行政にも直接関与していただくというような措置を通じまして、ひとつ農村の獣医師の積極的な活用、地位の向上、所得の増大ということをはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 わかったようなわからぬような……。あっちこっちおさすりになった程度でほんとに遺憾だが、これは局長さん、もうお答えは要りません。時間がよその人に食い込んで恐縮に思っておるから、はしょって要望いたしますが、これはいろいろ農村に少ない原因をあげられて、一番肝心なところをよけて通られたようだが、それけっこうですよ。もうそれはその程度で、御難儀のところもあろうかと思いますので、それでけっこうですが、少なくとも農村に獣医師がいなくなって地方は困ってるんだということを正直に認めなけりゃいけませんぞ、これは。そうでないという議論ならば、私はもう少し追及をせなきゃならぬですが、それはどうですか。
  113. 岡田覚夫

    説明員岡田覚夫君) 獣医師が減っておるということは私も率直に認めておるわけでございます。
  114. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それならばなおさらのこと、現実に畜産を奨励し、畜産が大ぜいになってくるところにおらないわけですから、なるべくいつかれるように、そういうところは共済あたりが、大多数を対象として共済というものを結んでおるわけですから、それらが生きていけるような点数を改正してやるということが必要なのではないか、こう私は思うんですよ。これはどうぞひとつ経済局長さん、どうせやらんならぬことでして、早過ぎたということはありませんぞ。こういうことは気がついたらすぐにやるということでなければ、やはり善政とは言えないのでありますので、ぜひともそういうことをお願い申し上げたい。これで私の質問を終わります。
  115. 達田龍彦

    達田龍彦君 私いま政府のほうからの、西日本の干ばつについての農林省災害対策本部の報告を見たわけであります。私も九州各県を見て回ったのでありますが、予想以上に災害の実情というのは甚大でございまして、また、しかも深刻であるわけです。そこで、私はひとつ、いま堀本先生のほうからも具体的な問題についていろいろ御質問があり、重複を避けたいと思いますけれども、基本的な問題としてお尋ねをしておきたいと思います。  それは、従来までの災害制度——災害のための法制度というのは、台風や風水害を中心にして災害制度というものがつくられておるように理解をいたしておるのです。今回みたいに異常な干ばつに備えて、この災害制度が適切であるかどうかということになると、たいへん私は欠点と弱点と盲点を今回の法体系の中ではさらけ出しておるのではないか、こういう気がいたしてならないのです。  たとえば、いま堀本先生のほうから御指摘がありましたように、米一つを取り上げてみましても、単に水を水田に引くだけでは、できた米の質がよろしくないという状態のあることを私は回ってみて見てとりました。大体丸くなければならぬのが、細くて長いという米の形になっておる、品質も非常に悪い、こういうことを農家で言われておるのです。また、ミカンの樹体の被害についても、非常にいたんでおりますから、回復までには三年、四年かかるであろうということが言われておる。それから豚あるいは牛にいたしましても、体の回復を保つためには、これまた数カ年かかるであろう、いま長崎県あたり回ってまいりますと、非常に豚あるいは牛がやせておる、それは水がないためであります。  そういう意味で、長期にわたってこの被害というものが影響を及ぼすという性質を持っておるのです。いままでの災害対策というのは、台風にいたしましても、一気に瞬間的に襲ってまいりまして、それを総体として押えて災害対策をやる、補助体制をしく、応急、恒久対策を立てる、こういう性質のものであったわけでありますけれども、そういう意味では干害というのは、長期にわたって、しかも非常にその被害の質と程度というものがはかりにくい、測定しにくい状態の中に出てまいるのであります。そういう意味では、私は本質的に異質のものがこの干害という中から出ておるのではないかと思うのでありまして、そういう意味で、従来の災害制度あるいは災害法体系の中では、やはりそういう意味での欠点があるのではないか、したがって、干害に備えるための制度の抜本的な方策体制というものをこの際考えていくべきではなかろうか、あとで具体的な、たとえば、応急対策事業助成要綱とか基準というものが出てまいると思いますけれども、そういう中からも、先ほど来の御論議にもあるように、問題点が出てまいるわけでありますけれども、それは根本的にそういうところに原因があると私は思うのであります。そういう点に対しての農林省の御見解を政務次官のほうからお伺いをしておきたいと思います。
  116. 久保勘一

    説明員(久保勘一君) 御指摘のように、現在の災害制度の中におきまして、今回の干害に対処いたしました場合に、いろいろ具体的な問題において、多少やはり不備のあるような点も、私どもも現地を回りまして、またいろいろ関係者の意見を聞きまして、指摘を受けているわけであります。今後、こういう点につきましては、十分検討をいたしてまいりたいと存ずるわけであります。
  117. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 政務次官のお答えで十分過ぎると思いますが、若干事務的に申し上げますと、現在の災害制度というのは干害を考えないというわけではございませんが、御案内のように災害の中には、いわゆる人間に対する問題、それから、土地、施設その他の基盤的なものに対する災害の対策、それから作物被害に対する対策、こういうものがございまして、人間の生命、身体に対する問題がまず喫緊の問題として制度化されております。また、施設関係が御案内のように各種の制度として確立されておる。干害はそういう意味では施設の災害を伴いませんで収穫被害という形で出ておりますので、したがって、現在の災害の制度すべてが、干害の場合に発動しないという点が他の災害と違う点でございます。あといろいろ問題がございますが、干害の場合におきまして災害という一つの一時的な問題と言いますか、当面する問題に対する助成の問題と、永続的にいわば一種の経営的な努力、あるいは生産活動としての努力というものと区分しにくい問題が残っておるという点は今後、政務次官のおっしゃったように検討すべき問題ではなかろうかと思っております。
  118. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは、私は議会側としてもこれらの問題について今回の実際の経験の上に立って制度そのものについても、将来検討をしてみたいと考えておるわけであります。そこで、実施要綱、政府災害対策本部から出されているこの内容に従って、時間の関係もありますから、堀本先生の御質問と重複しない形で若干質問をしておきたいと考えております。  この干害で、何と言っても一番重要なことは、幾ら金を政府が出すか、補助をどういう程度にやっていくか、これが一番重要でありますけれども、私が各県あるいは市町村を回ったところでは、非常に大きな政府に対する陳情要望が出てまいっております。大体出ている内容というのは共通をいたしておるのであります。そこで、今度政府において干害の応急対策助成要綱、あるいは事業の査定基準というものがつくられるわけでありますから、十分その中に私は配慮してつくってもらいたいと思うのでありますけれども、その一つに自作農維持資金ですね、これに対する要望がきわめて強いのであります。その要望の内容は、自作農維持資金のワクの拡大をしてほしい、それから償還猶予措置をとってほしい、あるいは保証を相互保証の方式にやってほしいとか、いろいろ出ておるのでありますけれども、今回の自作農維持資金に対する政府措置は、十一月下旬を目途に農民にわたるように努力をすると、そうして貸し出しについては人的担保によって足りると、保証人の資格も同一市町村居住者に特定しない取り扱いを考慮すると、若干緩和されておりますけれども、まだ市町村やあるいは農業団体、農民の要望からすると非常にほど遠いのでありまして、これらの制度に対して、いま各市町村からあるいは農業団体から出ている要望というのは、いま私が申し上げたような要望でございますので、ひとつもう少しこれらの問題についての御配意ができないものであろうかどうか、その点についてお答えをいただきたいのであります。
  119. 和田正明

    説明員和田正明君) 災害応急対策の助成要網あるいは査定基準というのは、農業土木的な手法で井戸等を掘りました場合の査定基準助成要綱でございます。自作農維持資金は全然別個の問題でございますが、ただいま自作農維持資金についていろいろお話のございましたうちの貸し付けワクを上げてほしいということにつきましては、過去におきまして、午前中も宮崎さんの御質問お答えをいたしましたように、一応制度の原則は一戸五十万でございますが、連年災害を受けたりいたしました場合にその借り入れの実情に応じてワクを広げたことはしておるわけでございます。たとえば昨年の新潟で、その前に新潟地震を受け、さらに昨年の水害を受けた人については七十万円までよろしいというような措置をしたわけでございます。ところで今回は、そういうワクを広げてほしいという抽象的な要望はございますが、いかなる理由で幾らまで上げたらよろしいのかということについて、まだ県庁から全く資料が私どもの手元に届いておりません。現在県側に事務的に催促はいたしておりますが、それらの資料が出てまいりました上で実情に即して検討はいたしたいと思いますが、何分にも財政資金の貸し付けということでございますので、相当多数の人が五十万円では借り入れ切れないというような事情がございますことがやはり必要であろうと思いますので、特定の限られた小人数の場合にはそういう御要望にはこたえ切れないというような問題もあろうかと思いますが、十分県庁から具体的な資料を取り寄せました上で検討いたしたいと思っております。
  120. 達田龍彦

    達田龍彦君 次は、先ほども若干触れられましたけれども燃料費ですね、これがその補助の対象にならないということで、産業振興上の助成した分ということで、きわめて抽象的で、どういうのが該当するのか、私も判断がつきかねているわけです。しかもそれは地方交付税の中で見ていきたい、こういうわけでありますけれども、先ほども指摘がありましたように、九州の今回の干害の実情を見てまいりますと、ほとんど運搬費であります。長崎県の場合集計を私が県庁にさせましたところが、九月の末現在で運搬費だけで一億二千万円かかっているだろうと、こう言われております。激甚災害地指定等の場合についても、県下の被害が一億以上あればほか数県にまたがる場合について検討するという対象になっているようでありますから、今回の場合については、一つの水の運搬費だけでもそれに該当する額が県で消費されている、こういう実情にあるのであります。それを単に消費財的なもの、あるいは国の対象としてどうかと思われるという、そういうことだけで補助の対象にこの災害の問題をしないということは、私はこの実情にそぐわないのではないか、今回の場合の措置は。ですから、将来の立て方は別にいたしましても、今回はそういう意味で干害における被害というものは、この燃料費というのは被害の中における額としては非常に大きいわけでありますから、この点ぜひ私は実情を考慮して特別の助成措置を今回はとるべきではないかと、こう思いますが、その点重ねて御回答をいただきたいのであります。
  121. 和田正明

    説明員和田正明君) いろいろ御意見がありましたわけでございますが、燃料費が非常に多額にのぼったことは私も十分承知はいたしておりますが、先ほど私申し上げた趣旨は、農林省の、将来にわたってもある程度効果を発揮するような、一種の土地改良事業として観念をした場合には、やはり消粍品的なものは農林省の補助対象としてはなじまないということを申し上げたわけであります。それにかえて特別交付税で措置をするということでございますから、国の財政として対応するということには変わりはないわけです。それで市町村が、あるいは県が、その事業に対して補助金と申しますか、そういうものを個人なり、そういう運搬をいたしました団体なりに支出をしたら、その支出をしたものに見合って、自治省のほうで特別交付税で財源補てんをしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  122. 達田龍彦

    達田龍彦君 その場合に特別交付税というのはそれに特定して特別交付税をお出しになる考えですか、その点どうですか。
  123. 和田正明

    説明員和田正明君) 市町村が産業助成上助成した分についてということでございますから、補助を市町村がいたしますれば、それに対応して特例措置として本年については特別交付税で見る、こういうわけであります。だから、出しました実績がまず必要だということになるわけであります。
  124. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうすると、この産業振興上の助成した分というのは一体どういう内容を意味するのですか。
  125. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) この産業振興上助成したという文言が入りましたのは、特別交付税といえども、どんな支出に対しても交付できるということにはなっておりませんので、制度上、地方行政の立場から産業振興上やむなく支出せざるを得なかったという条件が必要なので、こういう文言を使っておるのでございます。特別の意味はございません。
  126. 達田龍彦

    達田龍彦君 そうしますと、たとえば果樹園が非常に弱ったと、そこでもって水のあるところから、何キロも離れたところから運搬車でもって水を運んでそこに散布をした、その費用を見てくれといった場合に、これだってやはり産業振興上の助成策だという理解に立っていいんですか。そういう理解ですか、具体的には。
  127. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) たとえば裏返しにいいますと、およそ水を運んだものについては何でも、助成をしてやるという言い方にかえて、市町村が産業助成上必要な事業であるということで、助成の必要ありと判断いたしたものが、これは特別交付税の対象になるという言い方をしておるわけであります。
  128. 達田龍彦

    達田龍彦君 非常に不満足ですけれども、そういうきめ方でやられるということを一応承知をいたしておきます。  次に救農対策ですけれども、救農土木事業を起こすべきであるということを私は前回の委員会でも申し上げまして、官房長のほうからいろいろ問題もあるけれども、慎重に配慮もし、対処していきたいと、こういう御回答があったのであります。各市町村を回ってまいりまして、とにかく何か生活の保障になるような仕事をさせてほしいという要望はきわめて強いのであります。これは農家のみならず市町村の中にも農協の中にも強いのであります。ところが、適当なものが今日まだなされてないために、わが長崎県等の場合については関西、関東方面に職を求めて出かせぎをするという状態が出てまいっております。県のほうといろいろ私は相談をして、できるだけ自分の土地で生活ができるように、そしてそれがこの干害の復旧のために役立つようにするべきであるということを言っておりますけれども、なかなかうまくいっていないという実情が多いので、また一つは、これがほとんどやられておるというのは起債でやられておるわけでありますから、これをできれば補助で、国の補助によってやるべきではないかと、こう私は考えるのであります。その点に対する政府のお考えをただしておきたいと思うのです。
  129. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 前回私からお答えをいたしておりますので、便宜私がお答えをします。  私ども政府内部でも、救農的な事業の実施については、内閣の災害対策本部の幹事会等でいろいろ議論をいたしたのでございます。で農林省としましては、ここに書いてありますように土地改良事業その他の公共事業を、被災地域で、できるだけ被災農民に就労の機会を与えるように実施をするということ。さらに今回の干害の特殊事情としてため池、水路、水田等のひび割れを、災害復旧事業として一定の基準以上のものについては取り上げていく。これもまた、救農的な性格を持たせて実施をしたい。あと残る問題は、一般公共事業の対象とならないような事業を一体どうするかという問題が議論をされたのでありますが、多少、表現は悪いかもしれませんが、中央政府と現場、しかも広範に広がっております災害地域との間には、ある意味で物理的にも行政的にも距離が多うございますので、これを中央の直接助成——補助金の形をとった直接助成の形をとりますことは、ある意味で中央政府の助成基準というような規矩準縄に縛られて実情に合わなくなるというようなこともございますし、また事業実施の責任は、小規模なものについては地方公共団体に負ってもらうことのほうが適当であるというような判断をいたしまして、今後のやり方としましては、各県ごと、各市町村ごとに要就労人口というものがどのくらいになるかということを見ました上で、各地方公共団体がそれに相応する小規模事業をかなり自由に採択できるというような方途を講じまして就労機会をつくっていくというふうにしたい、それに対応する方法として、その事業については当面農民負担ということを考えることは矛盾をするわけでございますので、全額地方団体の起債を認めるという方向で対処するということでございます。
  130. 達田龍彦

    達田龍彦君 これはその起債、まあ起債でもけっこうだというところもありますけれども、地方財政が非常に困っておるところ等では、起債ではどうしてもだめだ、あるいは農家の経済の実情からいって補助でなければ完全にできない、対策を講じなければならぬと考えておりながらもできないという実情が市町村あるいは農家にあるわけでありますから、そういう点、ひとつさらに一歩進んで、ぜひ救農土木事業については国の補助で、これは補助率を高めるか高めないかという問題じゃなくて、幾らかでも補助をする、こういう形をひとつ御努力をいただきたいと思うんです。  それからもう一つ、この救農土木事業で、現地を回りましてよく言われることは何かというと、請負業者の方が大半の金を使ってしまって、そうしてその農家の手に渡らない工事、事業というのがあると、こういうのであります。これはたとえば規模の大きいため池あるいはダムその他の土木工事をやる場合において、請負業者にこれを請け負わせてやるためにそういう弊害が出てくるのではないかと私は思うのでありますけれども、こういう点が過去の実績としてあるようでありますから、この点についても、もし実施される場合に当たっては十分建設省等とあるいは県ともいろいろ御指導御連絡をいただいてそういうことが起こらないように、農民の手に金が入るような方途というものをぜひ御配慮をいただいておきたいと考えておるわけであります。  それからこの恒久対策の中に出てまいっておりますけれども、小規模な水源整備事業というようなことが言われておるのであります。特に九州、四国の場合がそうでありますけれども、急斜地における水田、畑作でございますからこの大きなダム等の建設はなかなか困難であります、河川その他の関係もありまして。したがって、きわめて零細なため池がたくさんつくられておるのであります。で、ため池の果たす役割りというのは急斜地においては、しかも狭い土地の中では非常に役割りが大きいのでありますけれども、これがなかなか国の工事、事業の対象にならないという欠陥も持っておるのであります。今回の干害の実情を見てまいりまして、この水源の確保ということを十分に今日までやっておる地帯は大豊作であるように、問題はこの水源の確保が、元来大豊作にならなければならないこの日照りを干害という被害に持っていった大きな私は原因だろうと思うのであります。そういう意味でもぜひこの今回の恒久対策の中では小規模な水源整備事業の中に雰細なため池等の整備、補修、新設、こういうことを含めて考えていく必要があるのではないかと考えるのでありますけれども、この点に対する農林省の御見解を承っておきたいと思うのであります。
  131. 和田正明

    説明員和田正明君) 現在、ため池によるかんがいの施設に対しましては、受益面積二十ヘクタール以上のものにつきましては団体営のかんがい排水事業として助成をいたしておりますほかに、二十ヘクタール未満のものにつきましては、非補助土地改良事業で三分五厘の長期低利の融資制度があるわけであります。従来とも熱心な地帯ではそれらを利用して干ばつ等の事情に対応いたしますためにいろいろなかんがい施設事業を実施してまいったわけでございますが、先ほども堀本委員の御質問の際お答えをいたしましたように、今回干ばつを受けました地帯のため池は、ただいまもお話がございましたように、非常に小そうございまして、一年間の水田栽培のための所要量を最初から満たしていないような実情で、しかも川等も入っておりませず、全く天水にたよってためておるという実情でございます。そこで、将来とも雨が降れば水がたまるというようなことでは、このため池をただかさ上げいたしましても新しくつくってもだめでございまして、ふだんの地表水をどこかにためて、それをポンプで入れるとかあるいは小さな渓流をせきとめましてその水をふだんから入れていくとか、そういう基本的な対策を講ずるべきだろうと思います。そういうことも含めまして来年度以後抜本的なそういう小規模な水源整備事業を実施してまいりたいということで現在事業計画あるいは採択基準等につきまして関係者の間で検討をいたしておるという段階でございます。
  132. 達田龍彦

    達田龍彦君 時間もまいりましたので最後に質問しておきますけれども、この農協ですね、農協で農家に対する貸し出しのいろいろな救済資金に対して利子補給を実は農協独自でやってるところがあるのです。長崎県の場合もそうであります。それで、私は農協から資料をもらったのでありますけれども、長崎県の場合については、これは農協の県の連合会でございますけれども、ここでおのおの分担をきめまして、農協だけで今回のおのおのの災害の救済資金に対して、現在のところ第一次分として、長崎県の場合は三千六百万円の利子補給をやるということを農協できめたようであります。じゃ一体今回の干害によってあなたらの手数料その他の収入減はどのくらいになるのだということを調べましたところが、大まかに見て、三千万円から三千五百万円だと、こう言っているのであります。まだ拡大するでありましょう。そういう状況であるのでありますけれども、農協の経営それ自体もその意味では非常に苦しくなっておると、こういうのでありますけれども、こういう場合に対して、何かその助成する措置、救済措置等はないのかどうか、検討されているのかどうか、どうですか。
  133. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 的確にお答えすることがむずかしい問題ですが、おそらく農協関係資金を出して利子補給するというのは、天災融資とか自作農資金とかつなぎ融資であろうと思います。これは私ども、つなぎ融資の資金量は中金を通じて十分県連に流す、できるだけ県なりあるいは農協なりで利子補給をしてもらいたいというような趣旨のことを絶えず言っておるわけでございます。それで、私ども自作農資金もそうですが、天災融資もできるだけ早く金を貸すように努力いたしますから、したがってつなぎ融資の期間も短くなって農協の利子補給の金も予定よりも少なくなるというようにやりたいと思います。また、共済金の仮払いも相当早く出すつもりでおります。それで資金量が足らないということでありますれば、中金を通じて資金のめんどうを見ますけれども、いまおっしゃったようなケースでつなぎ融資で農協が利子補給をしたというものについては、政府でそれを見るということは、なかなかむずかしい問題であろうと思います。
  134. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、もう一点最後にお尋ねをしておきますが、これも農業の災害だけではなくて、これが漁業面に与えている影響もあるということを漁業者から聞くのであります。その場合に、この災害対策の中で考えていかれるのかどうか、私も非常に疑問のあるところでございますけれども、一つは長崎県の大村湾の赤潮が、今年も異常に発生をいたしております。これはおそらく雨が降らなかったために起こった現象だろうということを漁民の皆さんが言っている。そのために被害が出てきた。それから西日本各地のあぐり漁業は、ことしは例年にないきわめて異常な不振であります。これもおそらく気象条件、とりわけ干ばつによってとれなかったのではないか。これもひとつ農業だけではなくて、漁業のほうも考えたらどうだ、こういう御意見があるようでありますけれども、こういう問題に対して、私は、もしこれが立証され、そうしてその原因がはっきりしたとするならば、これは考え方として区別すべきではないのではないかと思うのでありますけれども、これらに対する農林省見解を承っておきたいと思うのであります。
  135. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 漁業につきまして災実による減収がございました場合には、先ごろ発足をいたしました漁業共済制度の共済措置というのがあるわけでございます。なお、漁業につきましても、天災による被害がございました場合には天災融資法の適用対象になるのでございますが、赤潮が今回の干ばつと同一天災現象の中に含めて考えられるかどうか、この点はこの席で私もはっきり申し上げるだけのデータを持っておらないのでございます。また、関係県からそういう形での被害報告等も出ておりませんので、検討さしていただきたいと思います。
  136. 達田龍彦

    達田龍彦君 あぐりはどうですか。
  137. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) あぐりの操業実態につきましては私もよく承知しないのでございますが、どうもこれは天災融資の対象の問題ではなく、漁業共済の問題ではなかろうかというふうに考えられます。
  138. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私もすわったままで質問さしていただきます。  政務次官にお尋ねをしたいと思いますが、午前中の私の質問大臣がいろいろ御答弁なさったのでございますが、その中に整備の行き届いたところは大体免れていたというような御答弁もありましたし、今回の干害はある程度まで人災であるとも言えると私も言いましたんですが、こういう点から考えまして、農政の上からいまお二人の——堀本委員達田委員お話がありました。ため池の整備計画、この問題が特にお二人の中に取り上げられておりました。これは私のお伺いしたいところでありましたので、重複してもお伺いしたいんでありますが、大体ダムにいたしましても、九州全体で多目的のダムが十一水源で十三カ所しかない、それから利根川では七つもこうしたものがあるんであります。地域的に非常にずさんな計画があるんじゃなかろうか、こういう点から考えまして、今後の計画にどのような計画を立てられているのか政務次官のほうからお願いしたいと思います。
  139. 久保勘一

    説明員(久保勘一君) 水資源の問題につきましては、御了承のとおり、それぞれ関係の省庁がございまして、単に農林省だけの問題ではございませんので、政府といたしましては、やはり関係のある省庁と連絡をとりまして、総合的に水資源開発につきましては、従来も調査、研究をいたしているところでございます。
  140. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ところが事実は、なされていない結果が今回の様相を見て明らかだと思うんです。いま申し上げましたように、九州全体で大体十三カ所、利根川だけでも七カ所あるという、そういう面から考えましても、もっと今回の情けない事態から考え方を新たにして抜本的に日本国土全体の上からお考え願いたいということをつけ加えて希望しておきたいと思います。  次に、気象庁の方が見えたようでございますので、ちょっとお伺いしたいと思います。報道等によりますと、六月二十日ごろの閣議で早川労働大臣が、学者の説によると、日本は今後十年間乾期に当たると言われている。場当たり的な渇水対策ではだめだ、長期対策を確立する必要がある、こう提案しているように私は見受けたのですが、気象庁は、今後の長期予報をどのようにお考えになっているか、それをお伺いしたいと思います。
  141. 加藤茂数

    説明員(加藤茂数君) 今後の見込みは、十月二十日に出ました寒候期予報によりますと、相変らず西日本は雨が少なくて一月までは雨量があまり望めないという結果になっております。以上でございます。
  142. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、今回の干ばつも当然この時分からわかっていたわけだと思うのですが、これに対する積極的な呼びかけといいますか、対策といいますか、それが非常に欠けているのじゃなかろうかと、こう思うわけなんですが、この点どうでしょう。
  143. 加藤茂数

    説明員(加藤茂数君) 先ほど堀本先生が御質問になりましたときに農林省からお答えがございましたように、春先に水不足の注意を農林省のほうに与えております。以後たびたび、今夏は干ばつの様相があるということを報道いたしまして、先ほど仰せられました六月二十日の日にも、朝日新聞で四段抜きで、ことしは干ばつだという大きい記事を出して警告しております。あと長期予報が出ますたびに、今夏は西日本は特に雨が少ないという予報を出しまして警戒いたしました。以上でございます。
  144. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 鉄砲豪雨といいますか、集中豪雨といいますか、この問題に関しても、測候所等の連絡網といいますか、一般の市民に速報していく行き方について何となく不足のような点があるのですが、いまの測候所等に対する連絡といいますか、測候をする機関といいますか、その実態をお知らせ願いたいと思います。
  145. 加藤茂数

    説明員(加藤茂数君) 気象庁では、気象警報が出ますと、気象通知電報というようなのがございまして、一般に電報でお知らせしております。同じような形式で閣議了解による通知電報というようなのがございまして、これは電電公社を通じて市町村の末端まで届くことになっております。そのほか電話では、専用電話あるいは一斉電話によって直ちに関係の官公庁、会社へ知らせることになっております。またNHKでは、警報を受けた場合には法律でもって直ちに放送しなければならないという条項がございますので、すぐ放送することになっております。ほかに新聞、ラジオ、テレビなど民間のものに対してはつとめて協力を求めて周知につとめるということになっております。以上の伝達方法によって現在は通知をしているわけでございます。
  146. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 漁業に携っておる人たちがそういう暴風雨という突発的なもの以外で、大体わかっていて通知が届かなかったというところで災害を受けておるという問題が今日まであったわけですが、海上気象等についてはどのようにやっていかれようとしているのか、今後の対策等もひとつあわせて伺っておきたいと思います。
  147. 加藤茂数

    説明員(加藤茂数君) 海上の警戒に対しては気象庁船舶放送——JMCというのがございまして、ふだんは一日に四回、きょうのように台風がございますと一日に八回の放送をしております。そのほかAMG放送というのがございますし、NHKでは漁業気象放送が一日に三回出ております。また日本短波放送からも一日五回出ております。そのほかに、地方ごとに地方船舶気象放送というのがございまして、警戒に当たっております。以上の警戒方法をとっております。
  148. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 飛行機観測というのはできないように伺っていますけれども、それはどうなんですか。
  149. 紅村文雄

    説明員(紅村文雄君) お答えいたします。  飛行機観測につきましては、気象庁としましては検討してみました結果、非常に巨額の経費を要しますこと、それからまあ一つの危険を伴う点が多々にあるというような観点から、気象庁みずからで飛行機観測を行なうという考えは持っておりません。現在、米軍によって飛行機観測の結果の資料が提供されておりますが、それを利用してなお今後もいきたいというように考えております。
  150. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 当てにしないと言って、米軍のほうからは受けているというわけですね。将来は飛行機観測というものは当てにしないと言うけれども、現在では米軍の飛行機のほうから受けているというのはちょっと矛盾のように感ずるのですが、この点どうなんですか。
  151. 紅村文雄

    説明員(紅村文雄君) 現在、米軍の提供する資料を私どものほうで利用しておりますことは先ほど申し上げたとおりでございますが、もし将来、米軍が何らかの事情によりまして飛行機観測を中止した、あるいはその資料が得られなくなったという場合におきましては、そのときの事情によりまして防衛庁等関係当局と御相談申し上げて、その最適と思われる手段を講じたいと考えております。
  152. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は必要じゃないかと思うのですが、それが将来考えていないという……。
  153. 紅村文雄

    説明員(紅村文雄君) 気象庁みずからでやるということは考えていないと申したつもりでございます。
  154. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは気象庁だけじゃなくて、総合的な立場の上から一番自分たちがこうあるべきだということは主張して、災害の起きないような行き方を考えることを最も選ぶべきじゃなかろうかと、こう私は思うわけですが、その点についてひとつ善処していただくか、考え方を改めていかれるか、その点もう一つ念を押しておきたいと思うのですが……。
  155. 紅村文雄

    説明員(紅村文雄君) いま御指摘のとおり、今後私どもとしてもさらに——確かに先生おっしゃいましたとおりに、飛行機観測の資料というものはあればいいにきまっているわけですから、ひとつ最も適する方法を考えていきたいというふうに思っております。
  156. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、時間がございませんので次に移っていきたいと思いますが、干ばつの関係閣僚会議がありまして、大体それが決定されたという項目の中で、貸しつけワクについて、先ほども達田委員のほうからお話がありましたけれど、その中で一つもうちょっと触れてみたい点は、これを読んでみますと、「貸付枠については、被災地の実情に応じ、慎重に検討する。なお、干ばつの被災者については、物的担保を徴することなく、人的担保(保証人)のみで足りることとし、また、保証人の資格も同一市町村内居住者に特定しない取扱いを考慮している。」、こういうふうに拝見しているのですが、この保証人は要するに同一市町村に居住していなくてもいいことになっておるが、それでも保証人がないという場合、これはどういうふうに考えていってもらえるのかどうか、この点お伺いいたしたいと思います。
  157. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 干ばつ関係、まあ災害関係で融資といたしましては、天災融資と自作農維持資金とがあるわけですが、天災融資につきましては国、県、市町村でそれぞれ持ち合って、お金を借りた農家がかりに万一払えない場合がありましても損失補償をする制度ができておるわけでございます。したがって、天災融資につきましては、もともと物的保証ということをいわないで、人的保証。で、人的保証がどうしても得られないような場合がかりにあるといたしますれば、市町村が窓口になって損失補償をするわけでございますから、市町村の責任で貸すということになるわけで、担保の問題で金が借りられないという事態はまずないであろうと思います。それから自作農維持資金につきましては、物的保証がまあ金を貸す立場からいいますならば望ましいことはもとよりでございますけれども、災害のこの際でございますから、物的保証はとらないで人的保証でやろうということでやりましたわけで、実は昨年も新潟で相当の水害がありまして、自作農維持資金で大きな問題がございましたが、いろいろそれぞれの農家がくふうをしまして人的保証を見つけてきて、まずまず無事におさまったというふうに私ども承知いたしております。したがいまして、今回の閣議決定で同一市町村に所在しなくてもよいということにいたしまして、現実に即応するようなことをきめましたので、その後も、まあ今後も私ども災害地の実情については耳を傾けるつもりでございますけれども、まずまずはこれでやっていけるのじゃないかというふうに思っております。
  158. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお話がありましたけれども、保証人のない人がかなりあるわけでございますね、私の調べたところでは。いま時間がありませんので、地域のどこにどれだけあって、どうなったというみんな資料を持っておりますけれども、そこまでこまかくいきませんけれども、どうかいまのお話の精神をそのまま生かしていって十分に手のとどくようにしていただきたいと思います。  それから先ほど堀本委員のほうからお話がありました産業振興に対する助成でございますが、お話の中で、地方公共団体が産業振興をする場合には、その助成をしていくようなお話がありましたが、これは金額はどうなっておるのですか。五万円以上とか、あるいは五万円以下の小規模のものに対しては助成しないとか、そういったようなあれはありますか。
  159. 和田正明

    説明員和田正明君) 御承知のように、台風等による災害の場合にも国が助成をいたしますものが一事業費十万円以上のものでございまして、それ以下は市町村の起債で処理をしておるわけでございます。干ばつにつきましても、同様のバランスから考えて五万円以上の事業費を要したものについて国が助成対象にいたすという考えでおるわけでございますが、燃料費その他の消耗品費については別に一カ所の事業費という観念はないと思いますので、産業助成上、市町村が助成したらそれに並行して国費が出るということでございます。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 小規模事業といいますと、五万円の事業というのが当てはまるかどうかわかりませんが、五万円以下の場合でもやはりそれは集計されて申請していいものなんですか、どうなんですか。
  161. 和田正明

    説明員和田正明君) いま申し上げましたような、農林省が助成対象にする井戸を掘りましたとか、水路をつくりましたとかいう事業費については五万円以上が助成対象であり、五万円以下が市町村の処理の問題になる、消耗品費についてはそういう一カ所五万円とかなんとかという観念ではないので、おそらくその村として使いました燃料費ということであろうかと思います。
  162. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 また、話は違いますが、このやはり関係閣僚会議の中で話が出ましたのですが、果樹については実質的に稲作と均衡がとれるように取り計らうというふうになっておりますが、過日、均衡がとれなくて農薬で自殺をなさったという記事等も見ておりますし、また今回の災害の水の責任者と言うんですか、水資源の配水の責任者、その人も今回の干ばつによってなくなっている人がある。これらの点から考えまして、どんなふうな果樹については稲作と実質的に均衡していくような施策を持っておられますか、最後にそれをお伺いしてやめたいと思います。
  163. 和田正明

    説明員和田正明君) 先ほども申し上げましたように、水田、一般畑と樹園地とでは補助率に一〇%の差がございます。その一〇%分を特別交付税で自治省を通してお世話をする、そういうことでございます。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いずれにいたしましても、今回の干ばつに対しましては早急に手を打たなければ何にもならないことだと思いますので、きめてからでなくて、きめている間に救助対策というものはしていかなければならないということを重ねて希望をいたしながら私の質問を終わりたいと思います。
  165. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件について質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  166. 野知浩之

    委員長野知浩之君) でん粉対策に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  167. 中村波男

    中村波男君 主としてコーンスターチの問題について端的に、時間もありませんから質問を進めてまいりたいと思うのでありますが、国民の食生活が改善されるに従いまして、高たん白、高カロリーをとる結果によって良質なでん粉食品の消費が増大することは明らかでありまして、したがって、でん粉がブドウ糖のみならずいろいろな食品として新しい分野に使われ出しまして、毎年でん粉の需要が著しく伸びていると思うのでありますが、したがって、まず最初お尋ねいたしたいのは、政府のでん粉に対する長期需給見通し、またそれに対する対策を伺って次の質問に入っていきたい、こう思うわけであります。
  168. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) でん粉の需給の問題でございまするが、従来でん粉は主として国内産のカンショ、バレイショからつくられるでん粉をもっておおむね需要をまかなってまいったのでございまするが、最近カンショ並びにバレイショの生産が逐次減少をいたしていることもありまして、最近においてはカンショ並びにバレイショのでん粉だけでは国内のでん粉の需要を全部まかなえないという時代になっておることは御承知のとおりでございます。  そこで、最近の数年間におきましてはカンショ、バレイショのでん粉のほかに小麦でん粉並びにコーンスターチ、あるいは若干の外国から輸入するでん粉をもってようやくでん粉の需要をまかなっておるというのが現状でございます。現在、でん粉そのものの需要はおおむね百二十万トンをちょっとこすくらいの需要量がございまして、この需要は年々大体年率で五%前後の増加を続けてきておるのでございます。ちなみに、本でん粉年度、すなわちことしの十月から明年の九月までのでん粉年度をとってみますると、今年はカンショの生産が昨年に比べまして著しく減少いたしております。バレイショは昨年に比較をいたしますると生産量は増加をいたしておりまするが、いずれにしましても、カンショ、バレイショからできまするでん粉が昨年よりは相当数量減産をいたしておりまするので、本年は昨年に比較をいたしますると、さらにいま申しましたコーンスターチ並びに輸入でん粉に依存する割合が若干ふえざるを得ないというかっこうになっておるわけでありまするが、私どもの考え方といたしましては、やはりでん粉の不足分を補うコーンスターチ並びに輸入でん粉で補いまする場合に、国内のイモ作農家あるいはでん粉産業に急激なる打撃を与えることを避けるという観点から不足部分についてこれを補うというたてまえで需給を考えてまいりたいということを基本的に考えてやってまいりたいと思っている次第であります。
  169. 中村波男

    中村波男君 したがって、長期需給計画というようなものは、省議としてなりあるいは食糧庁としてなり、そういうものがまだ今日の段階ではお示しいただくようなものはないというふうに理解してよいかどうか。  それからもう一つは、当面する問題といたしまして、昭和四十二年のでん粉年度における需給計画というものを、もう四十二年度に入ったのでありますから立てられてしかるべきであり、立っておるというふうに思うのでありますが、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  170. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 四十二でん粉年度にすでに入っておりまするので、私ども現時点においてつかみ得る数字で需給見通しを立てておりまするのを以下御説明をいたしまするが、ただカンショにつきましてはまだ最終的に収穫をはっきりつかんでおりませんので、現時点においてつかんでおる数字を基礎に申し上げたいと思います。  四十二でん粉年度における総でん粉需要量を一応百二十六万トンというふうに押えております。その中で、供給といたしましてはカンショでん粉約四十五万トン、バレイショでん粉二十万トン、小麦でん粉八万四千トン、それからコーンスターチとして四十万トン、それ以外の残りがたしか十二万六千トンになろうかと思いまするが、この数字は輸入でん粉等でまかなうことになろうかというふうに思っております。  以上が大体四十二でん粉年度の現在のところつかんでおりまする供給の見通しに基づいた需給計画でございます。
  171. 中村波男

    中村波男君 時間がありませんから、さらに詳しくお聞きしたいところもありまするが、次に移りたいと思います。  そこで、コーンスターチの生産は、でん粉の供給不足を反映いたしまして、三十一年度は一万トン足らずであったのでありますが、年々増加をして、ここ数年は飛躍的に伸びまして、四十一年においては三十三万トン、カンショでん粉の生産量に迫らむとしておるようであります。なぜかくも生産が伸びるのかと言えば、第一には、価格がまず安いということ、二は、年間一定価格で販売ができるということ、したがって、長期販売計画ができます等々の理由によって、国内産でん粉の既存消費分野にコーンスターチが拡大しており、フル操業を行なうことによって一段生産合理化が進められていくと聞くのでありますが、これらの業界の動きに対しまして、政府は国内産でん粉との関連においてどう対処されておるのか。また、あわせて、コーンスターチ工場等の生産能力、また建設あるいはすでに建設が終わって操業を始めようとしておるというような飛躍的な動きが感じられるのでありますが、それらの状況もあわせてお聞きをいたしておきたいと思うわけであります。
  172. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) でん粉の需要が毎年非常に堅調に増大をいたしておるにかかわらず、国内産のイモでん粉の供給量が逐次減少傾向になっておりますることから、最近、ただいま御指摘になりましたように、コーンスターチの生産が相当急速度に増大をしておる状況にあるわけであります。で政府といたしましては、コーンスターチの原料でありますトウモロコシがすでに輸入が自由化になっておりまする関係上、このことと、コーンスターチによる国内のでん粉産業、ひいてはイモ作農家に不測の悪影響が及ぶことのないようにということから、四十年の四月からいわゆる関税割り当て制度というものが設けられておるのでありまして、一定の数量を政令で定めまして、その数量の範囲内において輸入されるトウモロコシに対しましては一〇%の関税、その数量をこえて輸入をされるトウモロコシにつきましては二五%の関税という関税割り当て制度が実施をされておるのでありまして、この制度のねらいは、いま申しましたようなイモでん粉に対する影響の緩和ということでございまするが、この制度を運用いたしますにあたりましても、国内産でん粉との需給の調和をはかって、国内産でん粉の生産状況でありまするとか、あるいは国内のでん粉の市況等を勘案いたしまして、一次税率の割り当ての対象になる数量を決定をする等によってこの制度の運用をはかっておるのでございます。  また、最近やっておりますることといたしましては、国内産のでん粉の大宗を占めまするカンショでん粉の主たる用途でありまする水あめに対しましてコーンスターチメーカーから特別な価格でコーンスターチを販売させ、これによって国内のカーショでん粉が不足ぎみになっておりまするのを補てんすると同時に、価格関係におきましても、でん粉の価格が不当に水あめ産業によって低く押えられないような措置を講ずる、いわゆる計画的な調整販売というものを講ずることによりまして、国内のカンショでん粉の需給並びに価格の安定をはかるということをやってまいっておるのでございます。  今後やはりでん粉需給をまかないます上での国内産のイモでん粉の供給余力というものがあるいは現在以上にさらに低下をするということが考えられるわけでありまするが、またそれと同時にコーンスターチの生産量もふえてまいるということが予想されるわけでありますけれども、基本的にはコーンスターチの生産というものを、あくまで国内産のでん粉の不足を補うというためにこれを利用するという基本的な考え方を貫いて、今後ともやってまいりたいというふうに考えております。
  173. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、長官の御答弁によれば、このように理解をしてよろしいのではないかと思うのでありますが、関税暫定措置が昨年議員立法であったのを、期限が切れましたので、政府提案として一年間延長されておると思うわけでありますが、したがって来年の三月二十一日でその法律自体は失効になるわけでありますから、続いて現行法どおりのものを期間延長という形で提案をされる、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。
  174. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 現在実施をされております関税割り当て制度の運用によって私どもは国内産のでん粉並びにイモ作農家に深刻な影響を与えないようにという当初の目的は、制度の運用によっておおむね達せられておるというふうに考えておるわけでありまするが、しかしもしこの制度がなければやはり相当の影響が及ぶであろうということも考えられまするので、明年以降の問題につきましては、現在の関税割り当て制度についていろいろ各方面から御意見も出ておるわけでありますが、全くかような制度なしに行くということはちょっと考えられないのでありますので、おおむね方向としては本年同様な制度が明年も必要になるのではないかというふうに、現時点では考えております。
  175. 中村波男

    中村波男君 長官のお立場として、それ以上確認するということもどうかと思いますので、私は私なりに理解をいたしまして、次へ移りたいと思うのでありますが、この機会に、立法の趣旨といいますか、これについて確認をいたしておきたいと思うのであります。  私が調べてみましたのによりますと、議員提案で提案をされました趣旨説明によりますと、最近のコーンスターチの生産が急速に伸びたので、国内のイモの生産者及びでん粉加工業者を保護するため、とあるのでありますが、政府が一カ年延長されましたのもそういう趣旨、理由に基づいておるのではないかと思うのでありますが、今日におきましてもこういう基本的な考え方でこの法を必要とし、運用されようとしておるのかどうか、こういう点であります。
  176. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 政府が提案をいたしまして、関税割り当て制度をさらに一年間延長いたしました趣旨もまさにただいま仰せられたとおりでありまして、今後でん粉の需給の安定をはかっていくためにコーンスターチ産業についてもろもろの施策を講じます場合におきましても、基本といたしますところは、国内のでん粉でまかなえない数量だけが輸入原料並びに輸入でん粉に依存するということによりまして、国内のイモ作農家に深刻な影響が及ばないようにということをねらいとして今後の需給の運用に当たってまいりたいと考えております。
  177. 中村波男

    中村波男君 そこで、この法案の趣旨からくる運用について私は若干の疑問を持っておるのでありますが、それはあとにいたしまして、政府はいわゆる国内産でん粉の価格を維持いたしますために、いわゆる第一次関税、第二次関税という関税措置によりまして第一次関税分で操作をされておるのでありますが、その基本的な考え方についてお聞きをいたしたいと思うのであります。  割り当て量の決定要素といたしまして、コーンスターチの固有の使途を目安に最初十八万トンというのをきめられたというふうに聞いておるのでありますが、そうだといたしますれば、でん粉の絶対量が不足をいたしておる、その不足量も年々増大をいたしておる、そういう時点に立ちますと、需給安定というところに重点が置かれなければほんとうの国内産でん粉をいわゆる保護し、そのことがイモ作農民を保護するという効果があがらないのではないかと思うのでありますが、基本的なこれを運用される考え方を、あらためてお聞きするまでもないことでありまするけれども、聞いておきたいと思うわけであります。
  178. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 国内のイモ作農家並びにでん粉加工業の安定をはかりまするために、現在農産物価格安定法による制度が一次的にあるわけでありまして、この制度で一応最低の価格というものは、でん粉を通じてイモ作農家のイモの価格も保証されておる制度があることは御案内のとおりでありますが、さらにコーンスターチの輸入量といいますか、生産量が無制限になりますれば、国内産のでん粉の需要確保ということに支障があり、ひいてはそれがでん粉加工業並びに国内のイモ作農家に不測の影響が及ぶわけでありまするので、私どもとしましてはあくまでコーンスターチの生産は国内産のイモでん粉の不足分を補うという程度にとどめるということを基本として従来もやってまいりましたし、また今後もそのような考え方でやってまいるべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  179. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、法律に一応うたってありますでん粉業者を保護するというウェートと申しますか、運用における重点というのは全く薄いのだ、こういうふうに理解していいわけですね。
  180. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) ちょっとお尋ねの意味がよくわからなかったのでございますが、私どもは国内産のでん粉の加工業というものを保護し、そのことが国内のイモ作農家の保護に通ずるという趣旨で、さような考え方で需給を運用してまいるというふうに考えておる次第でございます。
  181. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、私は一つの疑問を持つのでありますが、国内のでん粉業者を保護するということになるならば、でん粉業者はいわゆる八社だけではないのでありまして、したがって八社に最初から今日まで一貫して割り当てをしておることは、でん粉業者を保護するという名において八社の企業を政策的に助成する結果が出ておるのではないか、こういう皮相な見方も出るのでありますが、その点はどうですか。
  182. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 先ほどの私のことばが若干足らなかったかもしれませんが、国内産のイモを原料とするでん粉業者を保護することによって、ひいては国内産のイモ作農家の保護に通ずる施策を講じておりますということを申し上げておるのでございまして、私ども、やはり国内産のイモを原料とするでん粉を加工しておる者が壊滅をすれば、そのことはイモ作農家それ自体が全然自己の農産物を売る道がなくなるわけでありますので、イモを従来原料としてでん粉を加工しておられた加工業というものを保護するたてまえでやっておるというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。
  183. 中村波男

    中村波男君 そのことは私もよくわかるのでありまして、もちろんそういう立場で、そういう基本的な態度で食糧庁がでん粉行政をしていらっしゃることについて疑いを持つものではありませんが、最初質問したのは、関税暫定措置が議員立法で行なわれました提案理由の中に、生産者及びでん粉加工業者を保護するというようなことばがありますから、この暫定措置法を運用される内容として一応お聞きしたのでありまして、その点ひとつ誤解のないように御回答をいただきたいと思うのでありす。
  184. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 先ほど私が申し上げましたイモでん粉加工業者は非常に零細なものでございまして、国内に約千百あるそうでございますが、これの保護をはかっておるというふうに考えておるわけであります。  それからただいまのコーンスターチの関税割り当て制度の運用にあたっての考え方についての御質問かと思いますが、私どもといたしましては、一次税率の適用を受ける数量割の当てを現在やっておるわけでありますが、この割り当てを受け得る申請者の資格というものを、「トウモロコシを使用してコーンスターチを製造するものであって、販売実績、設備等から見て、イモでん粉と著しく競合する用途以外の用途に製品の大部分を使用または販売すると認められるもの」ということを一つのめどといたしまして割り当てを実施いたしておるのであります。と申しますのは、コーンスターチというのは本来、先生も十分御案内だと思いますが、いわゆる食用でん粉以外にダンボールでありますとか、いろいろな用途があるわけでありまして、それらの用途のほかに当然物の性質上カンショでん粉と特に競合する、たとえば水あめ原料にもできるし、また現に使われておるわけであります。私どもの関税割り当て制度の実施をいたしますにあたってのめどといたしましては、国内産のイモでん粉の需要の確保という見地から国内産のイモでん粉を主として原料として使っている従来のメーカーに対しまして、でん粉水あめ業者等に対しましては国内産のカンショでん粉の不足分を補うという意味もかねまして、コーンスターチの一部を特別な価格で抱き合わせのような形で販売することによって、価格の調整並びに需給の調整をやってまいっておるわけであります。もしいま申しましたような基準をはずしてだれでも自由に割り当てをするということになりますと、結果的には国内のカンショでん粉そのものの需要に支障を来たすということから、従来このような運用をして今日まで至っておるわけでありまして、結果的にそのことが従来八社に限定をされておるという結果になっておるわけでありますが、そのことは、いま申しましたような基準に該当いたしておりますような業者が、結果においてそういう数に限定をされておったということにほかならないと御理解をいただきたいと思います。
  185. 中村波男

    中村波男君 よくわかりました。したがって長官の御答弁から申せば、いわゆる第一次関税のトウモロコシの割り当て基準がかくかくこのようにあって、それに該当するのが八社である。しかしそれは割り当てを指定された時点には八社であったかもしれませんけれども、その後それに匹敵するような工場があった場合、特に販売の用途にでん粉を供することを中心にした会社があるような場合には今後でも割り当てるんだ、こういうように理解していいのかどうか。ただ問題は八社のみに固定をする、こういうことでは私は片手落ちであり、いろいろうわさが出るようなことが、食糧庁みずからがおやりになっているというふうに批判が出てきますので、この機会でありますからお尋ねをしておきたいと思います。
  186. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) コーンスターチの一次関税の割り当ては、先ほど申し上げましたように、資格基準に該当する者だけに割り当てをするという方針でやってまいった結果が八社になっているということは申し上げたとおりでありまして、従来ともそれ以外の者からの申請の提出は実はなかったのでございますが、今回本年度の下半期の割り当てにあたりまして、従来の八社以外の者からの申請が出ております。そこでその申請の審査を現在いたしておるわけでありますが、この審査にあたりましては、先ほど申しましたような資格に適合するかどうかということを頭に置いて審査をいたすわけでございまして、ただいま先生が御指摘のありましたように初めから八社ときめておるわけではありませんので、資格が適合すればそれは除外するという趣旨ではないわけでございますが、現時点で申請書を出されておる者の設備その他を現在審査いたしておる段階でございますが、現在のところは資格に適合する者がどうもないのではないかということをいま考えておりますが、しかしそれはあくまで資格に照らして適合するかしないかという審査の結果でございまして、初めから会社の数を限定してやっておるという趣旨ではないということだけは御理解いただきたいと思います。
  187. 中村波男

    中村波男君 次は、国内産でん粉の優先使用の方針に基づきまして、いわゆる第一次関税のコーンスターチと国内産でん粉の抱き合わせ販売によって価格維持をはかっておられる。これは私は一定の役割りを果たしておるというふうに評価をいたすのでありますが、したがって具体的に食糧庁としてどのような行政指導を行なっておられ、その実績をあわせてこの機会にお聞かせをいただきたい。
  188. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) お答えいたします。  抱き合わせ調整販売の件は、実は四十一イモ年度、昨年度から初めて始めたようなわけでございまして、その前からいわゆるコーンスターチは輸入されておりましたが、それは主として先ほど長官が説明いたしましたように、いわゆるイモ水あめもしくはブドウ糖以外の用途、いわゆるのりだとか、建材用に回すべくコーンスターチを回しておりました。ところが、昨年からいわゆる多少国内産のイモでん粉が需給が逼迫してまいりまして、水あめ屋さん、あるいはブドウ糖屋のほうも需要が強く出てきた。そのほかに国内産のイモのほうは逆に需給の逼迫に従いまして割り高になってまいりまして、その割り高な結果、需給が逼迫するとともに割り高になってきましたのを、政府としまして四十一年産から抱き合わせ調整販売——俗っぽいことばでございますが、調整販売ということで高い国内産のイモでん粉と、まあ安い、一〇%の関税で入ってきましたコーンスターチのうちある部分をいわゆる特価販売とわれわれは称しておりまするが、大体原価に近い数字で抱き合わせしまして、ブドウ糖あるいは水あめ業者に引き渡してきた、こういうかっこうでございまして、値段はそのとき、そのときの輸入価格によりまして、多少違っておりますが、特価販売いたしました分が四十一年のいわゆるイモ年度で、上半期分で約二万トン、下期で約六万五千トン、計八万五千トンのコーンスターチを国内産イモでん粉の抱き合わせ販売用の調整分として特価販売をした、こういういきさつになっております。
  189. 中村波男

    中村波男君 私はその抱き合わせの趣旨は適切な方法だと思いますが、問題は抱き合わせ率があまりにも低いのじゃないかということに対して一つの疑問を持っておりますので、さらにお聞きをしておきたいと思うのであります。  食糧庁から御提出をいただきました資料によって計算をして見たのでありますが、昭和四十一年度における一次関税分として、この八社に四十九万六千トン、二次関税分として七万六百五トン、合計五十六万六千六百五トンが割り当てられまして、その製品は三十七万一千三百四十四トンつくられておる。その中で、いま部長の御説明のありましたように、特価販売製品は八万五千トン、したがって資料に一次、二次の製品量が載っておりませんから私の推定でありますが、この割合は六対四、むしろ四を二か三、割っておると思うのでありますが、三七%だけが抱き合わせに供せられておる。国内価格を冷やすためにこれだけでどれだけ作用をしておるか、私はほんとうに今後国内産でん粉の増産をはかっていくというためには、基本的には生産コストを下げるということも忘れてならぬ重大な政策でありますが、それにはやはり年月がかかるのでありますから、好むと好まざるとにかかわらず、何らかの方法をとらない限り、国内産でん粉のいわゆる存立というものはあぶないものがあるというふうに思うのであります。そういう立場からこれを考えてまいります場合に、三十七、八%の抱き合わせ率というのはどういう観点からこういう指示を行政的にされておるのか、具体的にひとつ理論的に御説明を願いたいと思うわけです。
  190. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) 先ほどから長官が御説明いたしましたように、われわれは毎イモ年度ごとに、その当該年度のでん粉の需給計画を立てまして、そして不足分をコーンスターチ——いわゆる国内産でできますカンショ、バレイショ、あるいは小麦粉でん粉と、こういったものを抜きまして、残りの不足分をコーンスターチあるいは直接外国からでん粉の輸入をはかる。そうしまして不足分を充当といいますか、満たしていく、こういういき方をしておるような次第でございます。その結果、四十一年産に具体的にとりますと、数量的にはここにあります、先ほど四十一年産のところで長官が御説明いたしましたが、約百二十万トンほどの総需要量に対しまして、国内のイモでん粉が比較的少なかったので、いわゆるコーンスターチ約三十七万トンばかり、それから輸入でん粉で約四万数千トンを、ポーランドあるいはタイ国からタピオカを入れましてまかなったようなかっこうになります。これ以上のものをかりにコーンスターチでまかなうということになりますれば、国内における需給は緩和どころか、オーバーぎみになりまして、非常に市場を圧迫いたしますので、われわれの指導方針といたしております必要量の範囲内にとどめるということで、逆算論的ではございますが、結果的に三十七万トン前後のコーンスターチの生産量がきまったような次第でございます。これは国内産の全イモのイモでん粉の需給販売のための調整をしているんではございませんで、いわゆる農安法に基づきまして調整販売を食糧庁が、農林大臣が指示することになっておりまして、それで全販もしくは全でん連という業者団体がある一定分を調整保管しまして、そして計画的販売を実行いたしておるのでありますが、そのときの時価の時点において、いわゆる国内産でん粉の特価が高過ぎて、水あめあるいはブドウ糖の加工産業のほうの採算に合わない数量が出てまいりますので、安いコーンスターチを特価販売で出しまして、そしてある部分だけを調整抱き会わせまして荷さばきというんですか、それぞれの水あめ、ブドウ糖業者に行き渡るようにしてきたのでありまして、全でん粉、国内産でん粉についての調整販売は、昨年まで、四十一年産のイモ年度においては実施いたしていないわけでございます。
  191. 中村波男

    中村波男君 私の質問のしかたがまずかったかもしれませんが、部長、私がしからば反論をさしていただきますが、足らないから三十七万トン調整用として操作をしているんだとおっしゃいますが、トウモロコシは自由関税でしょう。したがって、二五%のトウモロコシは幾らでも買えるわけです。しかし最近は、その二五%のトウモロコシでコーンスターチをつくりましても、国内でん粉と十分競合できるという状態にあるわけでしょう。したがって、そのまま放置いたしますならば、好むと好まざるとにかかわらず、国内産でん粉は売れ残ると申しまするか、用途によっては相当量は出るかもしれませんけれども政府が再び買い上げなければならぬ事態が起こるという、そういうことは私が申し上げますまでもなく、食糧庁も重大な関心と警戒をしていらっしゃると思うのであります。していらっしゃらなければおかしいのであります。  そこで、国内産でん粉のコストが高いから、これを抱き合わせ販売調整することによって、いわゆる国内産でん粉を処理するという、いわゆる経済的、政治的使命というものが一〇%の関税という、いわゆる暫定措置法によって、自由貿易のたてまえから言えば変則でありますが、こういう法律が認められ、また政府もそういう立場で延長をされたのではないかと思うのであります。したがって私は、国内産のでん粉を保護する、そういう立場になりますならば、トウモロコシがいわゆる輸入価格が下がりぎみというような前提に立ちましても、この辺で真険に考えなければならない段階ではないか。そのために最初お尋ねをしましたように、この関税暫定措置を続けるというのでありますならば、この趣旨を十分具体的な行政措置として適用をすることが重大な段階ではないか、こういう立場で御質問を申し上げておるのであります。したがって、私の聞きたいのは、そういう立場で四割をくだるような抱き合わせ量というのは不当に低過ぎるのじゃないか、こういうようにお尋ねをしておるのでありまして、不当に低過ぎないのだという、もう少し具体的に、理論的に、客観的に御説明をしていただくならば、私も納得がいくでありましょうけれども、いまの説明ではどうも納得がいきません。
  192. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ではお答えいたします。  私の申し上げましたのは、四十一年産のいわゆる国内産のイモでん粉の供給に対応しまして、その結果として、先ほど申し上げましたように、三十七万一千トンのコーンスターチを輸入したような次第でございますが、いわゆる去年の、四十一年産の実績に関する限り、われわれがやってまいりましたこの抱き合わせ調整販売ということによりまして、結果論といたしまして、国産のイモでん粉の生産農家も、それからでん粉の価格も、政府のきめました最低生産者価格以上の価格で取り引きされまして、十分にこの数量の、約八万五千トンばかりのコーンスターチを特につくったことによりまして、その目的は達し得たのじゃないか。不当に安くはならないし、また、不当に高くもならない。いわゆる水あめもしくはブドウ糖の引き取り側からしましても、大体見合いの生産価格ということで、大体四十一年産についてはこれで十分に行ない得たのではないかと思っております。  しかし、このでん粉につきましては、その年度、年度によりまして、あるいは四半期別に、非常に景気、不況の関係がございますが、四十二イモ年度につきましては、私たちのいまの推定では、まだ十分確固たる国内産のイモ——いまちょうど出回りのはしりに入りまして、まだ十分確固たる国産のイモでん粉の価格のこの一年間見通しについて、十分判断を、まだ見通しを得ていないのでありますが、私たちの現在の推定では、去年の八万五千トンよりも相当上回る数量がある程度やはり必要なのではなかろうかというふうに思いまして、先ほど申し上げましたように、昨年はコーンスターチ三十七万トンでございましたが、二としは四十万トンの設備能力一ぱいのところまでコーンスターチをただいまの段階では入れることにいたしまして、昨年よりより以上多くの調整販売分を、いわゆる特価販売分を提供させまして、国産イモでん粉の販路の確保に資したい、こういうふうに思っているような次第でございます。ただ、そのときどきの価格変動が多少ございますので、値段をどの辺に置いたらいいのかということにつきましては、私は現在の時点ではまだちょっと判断し得ないようなかっこうでございます。
  193. 中村波男

    中村波男君 なるほど、昨年のでん粉の結果を見れば、政府買い上げはゼロだという、また市況が幸い上向きましてでん粉の問題については全くうまくいったと、こう言えると思うのでありますが、いまの部長の御説明によりますと、いわゆる一次関税分については市況等の関係、国内産でん粉と外国産でん粉の競合の関係等々を見て、適宜パーセントを上げたり下げたり、いわゆる抱き合わせ分、こういう操作をしていくんだと、こういう御説明ですか。
  194. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) おおむねこのでん粉の需要先であります水あめあるいはブドウ糖から逆算いたしました採算見合い価格というものを想定いたしておるのでありますが、ところが水あめもブドウ糖も相当相場の変動が激しいものでございまして、たまたま四十一イモ年度につきましては、水あめもブドウ糖も砂糖の相場が悪かったにもかかわりませず需要が非常に伸びまして、非常に堅調な姿勢で比較的安定的な価格水準で動きましたものですから、われわれのほうも逆に言えばコーンスターチによる操作も比較的しやすかった。ただ従来のわれわれの経験的ないきさつからいたしますと、ブドウ糖も水あめも相場商品で価格変動も相当激しいので、先ほど申し上げましたように、このブドウ糖と水あめの逆算しました採算価格、いわゆるでん粉の値段をどこの水準に置いたらこの需要者が引き取れる価格であるかということにつきましては、いまから直ちに、今年はこの辺の値段というふうに政府のほうできめてかかるわけにもいきませんので、その辺を勘案の上、コーンスターチは適宜数量と特別価格を出して抱き合わせて調節をはかっておるというようなかっこうでございます。
  195. 中村波男

    中村波男君 いわゆる抱き合わせでコーンスターチを出します価格はどういう基準できめておるんですか。
  196. 荒勝巖

    説明員荒勝巖君) ちょっといま具体的に持ちあわせておりませんが、特別価格で出しますコーンスターチの価格は、いわゆる一〇%の関税を付与しまして、トウモロコシの輸入価格も相当価格変動がございまして、先生も先ほど御指摘のとおり、このコーンスターチの値段を法律で、議員提案でなされました前後のときはトン当たり七十五ドル前後にしておりましたものが、現在ではトン六十ドルを割って、ものによっては五十五ドルという声さえ聞こえるように、非常に安い値段でどんどん入ってきておりますので、その抱き合わせ特価販売をやりますときに、大体われわれのほうの原価計算をいたしまして、推定原価計算でございますが、大体まあ利益のない範囲内で——損をしない範囲内でということで、いわゆる原価ということを基礎となる考え方としまして、大体コーンスターチ業者から提供さしておる。こういうかっこうでございまして、昨年も三回ほど実施いたしましたが、値段はそのときのトウモロコシの輸入価格によって多少変動しておる、こういうかっこうになっております。
  197. 中村波男

    中村波男君 私の計算が誤りであれば別でありますが、関税二五%と一五%を考えます場合に、いわゆる八社については一五%のトウモロコシを受けるのでありますから、関税分一五%のみを計算いたしましても十億三千九百万円くらになるように思うのであります。単位が違っているかもしれませんが、ちょっといまやってみたのでありますが、それだけのいわゆる特典を与えている。これは大局的に見て国内の供給が需要に追いつきませんからやむを得ずそういう措置をとるのでありますが、企業の自由という立場でこれをとらえますならばコーンスターチ工場というのは何も八社には限らないのでありまして、したがって抱き合わせという、いわゆる行政操作によって国内産でん粉を保護する、こういうところに私はこの一〇%関税というものが設けられたのであり、それの輸入をそういう大きな立場で調整をなされておるというふうに考えておったのでありますが、不足分がたとえて言うならば三十七万トンあるから三十七万トン一〇%で輸入して八社につくらせるのだ、一部は調整用に使うのだ、こういうことではどうしても私は大企業に対するあまりにも大きな特典を与え過ぎておるのではないか。その結果として八社の業績というのはまことにうらやましいものがあるというふうにも聞くのでありますが、こういう点を考えまして今後のでん粉の見通しを想定いたします場合に、このようなやり方でよろしいとは私は考えないのであります。こういう点について長官はどういうふうに考えておられるのか。このような方針で今後も続けるというお考えであるのか。明らかにひとつしていただきたいと思うわけであります。
  198. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 私どもが考えておりまするコーンスターチ産業というか、コーンスターチの生産のめどは先ほど申し上げましたように国内産のでん粉の不足量をまかなう範囲にとどめたいということで関税割り当て制度をとっているわけであります。本来、トウモロコシはえさ用として無税で輸入しておりますけれども、このコーンスターチの生産の原料になりますトウモロコシにつきましてはでん粉の需給上国内産のでん粉の足りない分、本年で申しますれば先ほど申し上げましたように四十万トンということであります。この数量にとどめるということで、したがってこの数量を第一次税率の対象として割り当てをしている。したがって生産がその範囲にとどまるというふうに仕組んでおるつもりでございます。ただ最近のコーン——トウモロコシの国際価格の下落に伴いまして、先ほど先生が御指摘になりましたように二五%の関税を払ってもなをかつ国内産の高い水準のでん粉の価格に十分競争ができる価格のものが生じておることの結果、不足分を補うための一次税率にさらに加えまして二次税率を支払った上で生産されるなまコーンスターチというものが最近出現をしておることは私ども承知いたしておるわけでございまするが、私どもあくまでコーンスターチの生産量というものは国内産でん粉の不足分以上にこれが増加いたしますると、結果的には国内のでん粉の需要確保という点から支障をきたし、ひいては価格に影響を及ぼし、原料イモ生産農家に影響が及ぶということを考えておりまするので、あくまで基本としては不足分を補う数量にとどめたいということで実は考えておるのでございます。  ところが、最近の国内のカンショでん粉の価格水準というものが他方砂糖の価格水準からある程度規制を受けまする水あめ、ブドウ糖産業というものが採算上受け取り得ない数値になりまする場合においてはこれをやや下げるということもねらい、かつまた水あめ、ブドウ糖の全需要をカンショでん粉でまかない得ない不足分がございまするので、この不足分を価格を特別な価格で抱き合わせることによりまして需給の安定をはかると同時に、価格の安定をはかってまいりたいということで従来やってまいったのでございまして、この価格並びに数量はそのときのでん粉の市況によって動きまするので、私どものほうとしては弾力的に運用して今日に至っておるということは先ほど部長から御説明申し上げたとおりでございます。  したがいまして、私どもコーンスターチの生産に対しまする基本的な考え方は、いま申したような考え方で今年度もやってまいるつもりでございまするが、ただ今後の問題といたしましては、トウモロコシの国際市況に伴って非常に国際価格が下がっておりまする関係で、二次税率を適用してもなおかつ十分競争できるというものが生じておるという価格関係等を頭に置きまするとともに、それから明年以降さらに国内のイモでん粉生産量がさらに減退いたしまするということになりますると、国内のでん粉総需要量の半分以下と申しますか、半分以上が輸入原料を主体とするものになるという事態も予測されまするので、やはりこのコーンスターチの関税割り当て制度の運用を含めまして、今後のでん粉の需給の確保なり、でん粉問題というものは真剣に基本的な検討を進めるべき段階であるというふうには考えておりまする。しかし、その場合といえども、やはり国内のイモ作農家並びにイモでん粉加工業の保護というものを主眼に考えてまいるといういままでの考え方は、その場合といえども踏襲をしてまいりたいというふうに考えております。
  199. 中村波男

    中村波男君 私が質問をした特価販売でん粉に対する割合について残念ながら私の理解できるような答弁をいただけなかったのでありまするし、また、その他いろいろな面で御質問を考えておったんでありますが、すでに時間がたいへん経過をいたしましたので、もう一点だけ御質問をして次の機会に譲りたいと思います。  国内産イモ類でん粉の需給価格安定に関する要請というので、農業協同組合・経済連合同会議の名で陳情書をわれわれいただいておるのでありますが、聞くところによると、消費者団体といいますか、需要者団体からも同趣旨の陳情が出ておるようでありますが、この陳情の要旨の中に、リンク用として輸入されるでん粉、トウモロコシについては税を課さないこと、需給上必要な数量を越えて輸入されるトウモロコシについては国内産でん粉価格に及ぼす影響に対処するため現行二次関税率を五〇%以上とすること、この二つの問題については党としてまだ結論が出ておるわけではありませんから、もちろん私はこうあるべきだというような立場質問をいたしておるのではございません。しかし、実際これを受けて立たれる政府、食糧庁としては、自由関税、自由貿易の立場、あるいはガットの関係等において重大なこれは問題であろうというふうに思うのであります。したがって、関税暫定措置も近く具体的に関税率審議会等にはかられて検討されるという時期的な点から考えまして、食糧庁としてこの問題についてどのようなお考えをお持ちになっておるのかどうか、この点だけお聞きして本日は質問を終わりたいと思うわけであります。
  200. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) ただいま申されたような趣旨の陳情は私どもも聞いております。また、それ以外の方面からも現在の関税割り当て制度の内容についていろいろな御意見を伺っておるのでございます。明年以降関税割り当て制度を延長するかどうかという先ほどの御質問に対しまして、このような制度がなければならないと思っておりますということは申し上げたのでございますけれども、内容は今後慎重に検討いたしたいと思っております。ただ、五〇%の関税にいたすという問題につきましては、私は単に国内のイモ作農家の保護ということだけで判断をするわけにはいかない、別個の、ガットその他の問題等に対する配慮も加えてまいらなければならぬと思いまするので、現時点で、まだ検討の段階であまり先ばしったことを申し上げることもいかがかと思いますが、この五〇%にするという問題は非常にむずかしいような気がいたしております。いずれにいたしましても全部を含めまして目下慎重に検討いたしておる段階でございます。
  201. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件についての質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  202. 野知浩之

    委員長野知浩之君) この際、理事の辞任及び補欠互選についておはかりいたします。  山崎斉君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれよりその補欠互選を行ないます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、和田鶴一君を理事に指名いたします。     —————————————
  205. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、農業の総合資金制度に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言を願います。
  206. 八木一郎

    ○八木一郎君 私はきょうは総合資金制度について質問を試みる予定を持っておりましたけれども、差し迫った時間の関係政府側の都合で、本問題に関連の深い、いわば前提ともなると私が思える問題点だけを取り上げて、簡潔に政府として農林省当局に対し、また、あわせて経済企画庁、行政管理庁にも関連して了承をとりつけておきたいと思う点を、以下三点質問いたしてみたいと思うのであります。  その一つ、土地改良十年計画について、その二つ、農林の土地利用計画は都市計画に先行すベきだという点について、その三つ、愛知用水公団の統合問題について、以上の三点を簡単に順次質問してまいります。  一、土地改良十年計画。政府農林省はいま構造政策の基方本針として次期対策をも考慮し、長期にわたり拡大して続けて伸ばしていくというような考え方から作業を、また努力を続けております。倉石農相は、まず日本農業を国政の中でどのように位置づけるかということを明らかにしておる。この間いただいたプリントによりますと、基盤整備には惜しみなく公共資本を投入していきたい、こういう考え方を打ち出しておるのであります。まあこのあたりはさすがになかなかの政治感覚で、りっぱなものだと私も敬服いたしておりまするが、土地改良計画や基盤整備計画などの具体的な実施の時期とかその方法について内容を見てみますというと、建設省の道路計画あるいは都市再開発構想、また運輸省の港湾など、この公共資金の投入が中心となっておる計画は次々と新たに五カ年計画というようなものを打ち出しておるのに比べてみますというと、農林省の土地改良、基盤整備計画というものはいかにもちゃちできめがこまか過ぎて、土地改良十カ年計画はあっても計画は計画、実施は実施と別個に進められておるような感さえするのでありますが、一体十カ年計画の進度は、まだ始めたばかりでありますが、どのようになっておるのか、これから先どのような見通しの上に進めようとしておるかを承りたいと思うのであります。
  207. 和田正明

    説明員和田正明君) 御承知のように、昨年の三月でございましたか、土地改良十カ年計画を閣議決定をし、また、国会にも御了承をいただいたのでございますが、その計画によりますと、昭和四十年を初年度といたしまして十年間に、補助事業で二兆三千億、それから融資事業で三千億の事業を実施いたしまして、そのうち前期五年、つまり四十年から四十四年までに一兆一千五百億の事業を進めてまいるという考え方に立っておるわけでございます。で、今年はちょうど三年目になるわけでございますが、そのいま申しました前期五カ年の一兆一千五百億の事業量に対応いたしまして年次計画では明年度までに七五%を終了させたいという考え方で進んでおりましたことは御承知のとおりでございます。その進度と現在の予算の編成のかみ合いの問題につきましては、その後の物価上昇等もございますので、名目的な数字とそれからそういう物価上昇部分とを相殺いたしました実質的な数字とでいろいろと計算も困難な点もございますが、少なくとも四十二年までの予算編成におきましては、名目の面でも実質的な面でも当初の予定よりはやや上回る程度の順調な予算になっておりまするが、明年度につきましても、従来の伸び等を勘案いたしましてこの計画が当初の計画よりは少しづつ先へいくような方向で努力をいたしたいというふうに考えております。
  208. 八木一郎

    ○八木一郎君 倉石農相が夢にまで描いておるという強い表現で田園都市構想とやらを言っております。これはおっしゃるとおり、まず何よりもまっ先に農村の生活環境、社会環境を整備することに力を入れたい、それには農村の道路をよくすることだ、道路から始めなければだめだ、こういう主張でありまして結構なことでありますが、その道路は、日本では開発道路や産業道路は微々たるものです。実際の道路計画の実行状況を見ておりまするというと、激増する交通量を追いかけて人口集中の都市と都市を結ぶものになってしまっておって、いわば世の移りかわりのあとを追いかけておるという仕事にもう終始してしまっておるといっても過言ではないほどであります。遺憾ながらこれが現状であると思うのであります。  農相が言っておられるように、国土計画あるいは土地利用計画というものを本気で考えて、農林省が一種の領土宣言という——農相はだいぶ勇ましいことばを使っておりますが、領土宣言までもして、この農村の国土計画を着実に推進することができて、そして道路網を敷く以前に農地が広域にわたって集団的にかつ強力に確保され、そこに道路計画があれば、これはまあ本格的な田園都市構想に合ったものでありますけれども、現実はなかなかそうはまいらない事情があると思うのです。現行の農地法のもとで管理されている農地でさえも、農村部落を通過する道路予定線というものが伝わってまいりまするというと、その沿道は農地の転用が潜在的に行なわれて、いわゆる仮登記済みの耕地になってしまっておる。そこへ都市、工場誘致あるいは宅地化にあてられて、農業地帯の土地改良計画推進にさえも非常に大きな支障になっているという場合が少なくないのであります。このままの状態でいま伝えられておる新政策として酪農地帯のミルクロード——乳を運ぶ道をつくっていきたいというこの話、これは私は、しっかりやってもらわないと、せっかくの構想が現実は裏切られたものになってしまいはせぬかということを心配しておるのであります。農林省は土地管理の主務省でありますから、何かひとつ徹底したことをやってみよう、こういうお考えがあるのではないかと倉石農相の発言のニュアンスから感じるのでありますけれども、農地法改正とも関連をして、農相の言ういわゆる領土宣言でもやって、国が資金を投入してつくったあの美田を、無計画に宅地化しあるいは工業化し、公害という深刻な問題まで騒ぎ立てておるという、いかにもばかばかしいことをこの辺で土地を管理する責任担当官庁として何かお考えがあるのではないかというようにも思えますので、国土利用の計画化を具体的に取り上げて、農地をやたらにつぶさないような、そういうことを制度的に考慮しておることが検討の中にないのかどうか。  土地改良事業を短期間で完了できるような措置がとられておる——まあたとえばです、私も直接土地改良の責任者として担当して経験しておるのですけれども、愛知用水方式で、国営、県営、団体営事業の一貫施行によりまして思い切って工期を短縮していくという、こういう一つの行き方の中においてすらも、いま私が申し上げておるようなことがあるのでありますから、一般のこのお述べになったような程度の土地改良計画に沿って事をやっておったのでは、これはいつの日に適切な措置ができて、明るく農村の土地利用計画が進むかということには期待が持てないと思うのでありますが、現在の土地改良十カ年計画ではたしか国営が特別会計で八年、一般が十二年、県営は六、七年、団体営は三、四年ではないかと思いますが、これでは今日の農業の諸情勢に適合をしない、計画と完成までの間に世の中は一変して、地域の農業事情は大きく変化してしまう。せっかく政府農林省が金をかけて育て上げたよい農地を大量につぶしてしまうという欠陥が出てくるのではないか、これでは国としても私は大きなマイナスではないか、こう思うのですが、政府農林省は、土地改良の、特急といいますか、超特急といいますか、集中的に資金を投入して、いわゆる愛知用水方式を取り上げて実行し、受益者の負担は工事が完了後に農業収益の中から年賦支払いで返還する、そうして思い切った生産体制、経営体制、価格対策、こういう農業基盤を大型農業の近代化にふさわしいものに仕上げていくという、そういう熱意を持って、このような基盤の農地を総合的に勘案をして、そこへいま——まあ次の機会に質問を続けたいと思いますけれども、そこに総合融資制度というあのお考えを取り入れていくと、私は生きてくると思うのであります。  一農家に一千万円ぐらいぽんと貸してやる道を開いてやって、そして若い希望に燃えておる自立経営農家の手引きに、これを、まず先立つものを与えて引っぱっていく。これは大仕事だと思いますけれども政府農林省は、この基盤整備と土地利用計画、そして都会に引きずられていくような、仕事のあとを追うようなことを何とか清算して、都市計画に先行して農林省の土地利用計画が行くように——、いまのままだと、都市計画が先行しておりますから、農林省のほうがあとをついておりますから、農林の土地利用計画がゼロに近いような現状をやむなくされておるわけであります。これを打破する、まあ倉石農相がせっかく力をいたそうとしているようでありますので、抜本的なこういった土地利用計画を立てて進めてみようというお考えを勇断に実行しようとする備えを、そしてこれを農林省のいわゆる国政の中核的な課題として、これは農林省の仕事だけじゃない、中核的な仕事としての位置づけをして進んでいくということを、私はこれを国民的な立場から強く要請いたしたいのでありまするが、こういったような問題について政府の考えはどうか。この点は、副大臣もいらっしゃるから、ひとつ政務次官からも伺いたいと思いますが、経済企画庁当局からも、担当官がおられたら、どんなお考えを持っておるかを承りたいと、こう思うのであります。  繰り返しますが、行政担当者、土地の大部分を管理しておる行政担当は農林省になっておるのでありますけれども、その土地の利用計画の、広い意味の政治の中核的な扱いになる中心がどうもきちっとピントが合ってこないような行政が行なわれているところに、農林省が被害者のような立場に追い込まれて、各行政担当関係庁が分担をしておって、土地利用計画が、その地に住まいをしておる国民の立場から見まするというと、どうもその点がもの足りないと、こういう点から私のいま御質問申し上げているような点についてお考えをお漏らしいただきたい、このように思うのであります。
  209. 和田正明

    説明員和田正明君) ただいま、土地利用区分のあり方とか、あるいは土地改良事業の施行のしかた、また、それと関連しての総合融資の制度等について、たいへん示唆に富む御意見を拝聴いたしたのでございますが、まず土地利用区分の問題につきましては、八木委員も御承知のように、従来から農地法で、農用地をできるだけ守っていくというたてまえで転用の許可制度というものがございまして、また、それを実際に許可いたしてまいりまする場合にも、万やむを得ない場合にも、生産力の劣った土地からつぶしていくというようなことで、できるだけチェックをいたしてまいりましたのでありますが、何分にも、最近の非常な発展、激動をいたします経済事情の中で、農地法だけではカバーし切れない面が多々ございまして、いろいろ混乱が起こっておることは残念に思っております。  そこで実は先般、都市計画の立場からも、やはり散漫に無計画に都市計画が進みますことは好ましくないというような事情もございまして、建設省のほうで、現行の都市計画法を全面改正することの提案がございまして、農林省もその案の作成に参画をし、前回の特別国会に法案として提出をいたしたのでございますが、一応その考え方では、現在の都市計画区域というのが市町村単位に散漫に指定をされておりまして、その計画区域の中には日本の農地の約六〇%ぐらいが含まれております。でこれが、最近の町村合併等によりまして町村の区域が大きくなりましたことと、現行の都市計画法が市町村単位に区域を指定いたします関係で、そういうことになっておるのでございますが、ごく近い将来、あるいは中期的な見通しに立ちましても、すぐに市街化もしそうもないようなところが都市計画区域に指定になっておるということは、ある意味では、将来の市街化への期待による農地価格の値上がり、あるいは、いずれは農地でなくなるのだということに伴いましての農家側の意欲の喪失等、多くの弊害を伴うわけでございますので、先般提案をいたしました法案では、都市計画区域を二つに分けまして、五年ないし十年程度の中期見通しに立って計画的に市街化をいたすべきところと、同じ市町村にはございますがむしろ市街化を抑制すべき区域という、二つの区域に区分をいたしまして、市街化区域とそれから調整区域というふうに分けてものごとを処理をしていく。その場合に、調整区域につきましては、従来の農地法による農地の転用の許可のみでなく、都市計画法の面からも土地の形質変更はすべて許可を要するということにいたしまして、両面からチェックをしながら、都市計画側でも散漫な市街化を防ぎ、また私ども立場でも散漫に農地を、どまん中へ虫食い的に住宅や工場ができていくのを防ぐというふうな考え方で、今後両省で打ち合わせながらそういう散漫な都市化を防いでいこうという考え方の法案を提出をしておるわけでございます。で、もちろん全国のすべての市町村が都市計画法の指定を受けるわけではございませんので、今後この法案が成立をいたしてまいりますと、すくなくとも十万以上の人口をかかえております都市の周辺につきましては、市街化をごく近い将来に予定される区域と、むしろ市街化を今後抑制していく区域というのが明確に区分されていくと思いますので、農業側の立場からも、集団的な農地確保という面では現在よりははるかに発展をした形で対応していけるというふうに考えております。  なお、あわせて、先般発表いたしました構造計画に関する基本方針の考え方では、都市計画区域等で申します調整区域、それからもちろんそういう都市計画とは関係のない純農村地帯とがあるわけでございますので、それらの地帯を通しまして農業一途に進んでいくような地域というものを設定をしたいというようなことを前提にして現在検討をいたしておるのでございますが、私の立場で申し上げますれば、何にも増して関係市町村の理事者、あるいは議会の議員、あるいは関係諸団体等を含めまして地元の気持ちが一致して集団的に農地を今後農業上に使っていき、またそこでの農業を振興していくという考え方が意識統一されることが大事でございますので、そういう考え方によりまして、農業側からの土地利用というものを画然としていき、また、地元の意識を十分統一していけるような方向で現在内部で検討をいたしておるわけでございます。  そこで土地改良の仕事のあり方につきまして、末端団体までも一貫施行して、事業効果が発生をした上で農家負担をとっていくようにしたらどうかという点につきましては、たいへん御示唆に富む意見だというふうに考えておるのでございますが、現在は国営の特別会計で実施をいたしますものについては、工事完了までの間は国で全額立て替えて仕事をいたしまして、あとから工事が完了後に地元負担の償還をしてもらう。それから県営、団体営等につきましては、地元負担分を長期低利の公庫融資で、いわゆる補助残融資でお世話をするというような形をとっておるわけでございますが、それを末端団体まで一本でやる、いわゆる愛知用水公団方式というものについても今後十分検討をいたしてみたいと考えております。
  210. 八木一郎

    ○八木一郎君 きょうはほんとうに押し迫った最後の時間ですから機会を改めますが、続いて、三の愛知用水公団の統合問題、いま質疑応答の中に問題にしてまいったことに非常に大きく影響を持つ問題だと思いますので、三つに分けてお尋ねしてみたいと思うのです。  政府は行政改革の一環として本月のあれは六日ですか、臨時行政改革閣僚協議会において愛知用水公団と水資源開発公団との統合をきめ、統合に伴う経過措置として、木曽川水系における今後の事業の実施方式については、別途政府、与党で検討する、こういう決定を見たのでありますが、これは統合の時期と方法についてはなお検討が必要である。そしてかつて衆参両院において愛知用水公団法の成立に際して附帯決議をいたしましたあの趣旨、すなわち木曽川下流における既得水利権が愛知用水事業のため悪影響を受けることのないよう十分なる対策を講ずるとともに、木曽川の河床低下に基づく既存用水の改修工事についても万全を期すること、というたてまえから、現に農林省が実施中の国営水利事業を愛知用水公団の手で一手にやってしまうのだ、こういうふうにこのただし書きの閣僚協議会の経過措置をも読めるのでもありますが、これは私も長いこと関係してきております関連事業でもありますので、ひそかに思うのに、東海地域のように水利慣行が何百年も以前の古くから発達したところでは、水をめぐる問題がほかの地域に比べて非常に複雑であります。  したがって、その水利関係の仕事は単一の事業主体が行なうことならば、まあ現地の実態に即して一番適切な措置がとられて進めるであろうとこう思っておるので、特に木曽川の総合水利事業については、御承知のとおり、農業用水を別途に供給いたしますという、まあ水利権を保障するような形において、旧来の大きな農業水利権をぶった切って、これを上水道、工業用水にふり向けようとする、こういう計画になっておるのであります。また、農民にとっては農業水利権に非常にこだわりを持っておるのであります。だから農業については手厚く行き届いたことをしてやるという、自他ともにそういう必要を認め、また、その期待の中に結ばれて今日あるのであります。  それには土地改良の国営、県営、団体営を一つにまとめてやるいわゆる愛知用水方式というものによって一貫施行、共同施設に対する資金の一括調達、また上水道、工業用水などの関連専門施設に対する自治体を通じていまやっております特殊資金の供給というようなきめのこまかな、地元の実態に即した仕事のやり方、それでこの仕事がやれるように制度的にもかっこうがついてきたというようなのが私は現在の実情である、このように思っておるわけであります。でありますから、いわゆる愛知用水方式というこの方式が一番適切であって、政府農林省としてもこの考え方が適当とお考えであろうと思うので、これはもうあらためてお尋ねするまでもなく、さればこそ農林省の仕事を公団方式によって、複雑な、水利権のやかましいあの地方で始めていこうという考えに立っておられるのだと、こういう認識でおりますが、この私の認識は間違いではないかどうか、念のため御返事を受けておきたいと思うのであります。
  211. 和田正明

    説明員和田正明君) 去る六日の関係閣僚協議会の終了後、倉石大臣から私ども事務当局が伺いました限りにおきましては、愛知用水公団を水資源公団に統合するという原則だけはさまって、ただ統合にあたってどのような、具体的な経過、時期等については今後政府、与党の間で十分詰めていきたいというふうに伺っております。  私どもといたしましては、現在、愛知用水公団は豊川用水の事業の完成を急いでおりまして、明年の農業用水の必要な時期までには通水ができますように工事の完了をいたさなければならないという大事な最後の詰めの仕事をかかえておりますし、また、愛知用水の事業につきましては、従来いろいろないきさつのためにもきめておりました負担金の問題もようやく話がまとまりかけてまいりましたので、それを軌道に乗せていかなければならない仕事もございます。その他いろいろな多くの仕事をかかえてもおりますので、それから地元の御要望としては、やはり木曽川の上流の兼山で愛知用水が水を取ったこととからみまして、犬山で取ります濃尾用水あるいは馬飼で取ります宮田用水でありますか、それらの用水に支障がないようにということで、木曽用水の仕事も愛知用水事業を実施させたことと関連させて解決すべきものとお考えになっておられますし、また、いまお話がございましたような末端までの一貫施行、あるいは関連いたします工業用水、上水道に対する資金供給制度等によってでき上がります上工水がほかのやり方をやります場合よりもコストが安くなるという事情も含めて、ぜひ愛知用水公団でやってほしいという御意見をお持ちのこともよく承知をいたしておるわけでございまして、私どもとしてそういう地元の御要望、あるいは前段申し上げましたような合併に伴いますいろんな混乱を避けてスムーズにものごとを運んでいきたいというのが事務当局の希望でございますが、六日の閣僚協議会での御決定のとおり、今後地元の御要望等を十分参酌して与党の組織として一応のお考え等をおきめいただくことになるかと思いますので、与党の御決定に当たって、私どもとしては事務当局の立場ではでき得る限り統合という原則に進むにしても、事業に支障がなく、また、職員の身分等にも安定した保障が行なわれるようなスムーズな合併ができますようなことを与党の組織としておきめいただくことを期待いたしておるわけでございます。
  212. 八木一郎

    ○八木一郎君 地元におきましても、ことしの干ばつを受けまして現実に農業用水の水不足に対処してこんぱいの極に達し、混乱の一歩手前というような水問題が起きておるのであります。それから上工水、——上水道、工業用水、この供給確保のための早急な措置についても何とかしなきゃならぬということで困っておるという問題に当面しておるので、こういう地元の熱望をいれて、ただいまの御答弁にもありましたように、政府農林省としては、このような地元の意向を尊重して、木曽川の総合水利事業などを愛知用水方式で着工するという、こういうお考えを土台にして事を運んでおる、この計画が進んでおるが、さて今月になって基本的なことが新聞をにぎわしてきたので、現地としてはこの水の問題に関して非常な不安といいますか、心配の度を深めておるのでありまして、もうすでにこの必要を認めて、農林省としてはおそらく大蔵省に対して四十三年度の要求予算にも織り込み、査定待ちの事態にいまは置かれておる、こういうことだろうと思うのであります。  で、これが決定の及ぼす地元の深刻な影響の一端は、この間、倉石農林大臣が現地において、第一濃尾用水の竣工式に出向かれて国会の関係地域代議士先生の非常な要請をお聞きとりになっておると思いますけれども、愛知用水の取り入れ口の水を引こうというときに、いまお話の答弁がありましたように、兼山取り入れ口で引かれたら、その下に取り入れ口を持っておる二つの受益地域、八万の受益者は一体どうなるのだということでむしろ旗騒動になりかけたのですが、そういう騒ぎがあったときに、岐阜の地域と愛知の地域と三重県の地域と、第一段で知多半島を目ざす愛知用水をまず持ってくるが、続いてその始末は心配かけない、こういって、先ほど私が言ったように、水利権をぶった切って、こういう上工水に回しておるわけですね。あとから片づけるからということで、それを信頼してやれということになった。ワンマン吉田茂さんが現地までわざわざ行かれて、私はなくなった吉田さんの写真を、朝日新聞で、現地で大きく出ておるのを見たけれども、そのくらいの問題になって、ようやくおさまっておるわけです。  こういう経緯というものは、これは民主政治の世の中ですから、だれが消すわけにもいかないのです。みんながそういう事実を確認して、それならばということで始まって第一が済んだから、第二、第三の総合的な利用計画は、もうスタートを待っておるわけです。もう待ち番がきておるわけです。こういう事態になっておって、そう簡単なものでないといういきさつ、これは短時間には説明できませんけれども、非常に深刻ないきさつがあるということを、この機会に関係の行政管理庁、また水資源担当の経済企画庁の担当官にも、よくひとつお聞き届けを願いたい、こういうふうに思うのであります。  また、愛知用水公団事業で、本年度完成を見ることになっております豊川用水は、これは昭和二十四年に農林省によって着工され、もう二十年もたっておるわけですが、それを中途の昭和三十六年に愛知用水公団に引き継がれてから、わずか六年という短期間で工事は完了し、来年から全面通水が可能となる、こういうことになっておりますが、来年一ぱいぐらいは、二十年にわたる長期の事業の仕上げですから、その残務整理にかかるということは当然でありまするし、問題の建設負担金の賦課というたいせつな業務も残っておりますし、農民と負担の関係では、昨日もこの受益農民の意思を代表して調印をするというような、非常に迫った段階で、一体本元はどうなるのだという心配をしておる。受益農民も、そういう立場から施設管理が、スムーズにせっかくでき上がったものがスタートできるようにということを熱望しておる現状でありますので、ここで統合を急いで、結果として竹に木をつぐようなことになってしまって、二十年も生みの親、育ての親としてやってきたこの手を離れて、人がかわり、組織が変動をしてこられるというふうに一挙になってしまうというと、これはいたずらに混乱を引き起こすことはどうも避けられないのではないかという不安がございます。こういうことは得策じゃないと思いますので、農林省では実情をよく承知しておられるはずであろうと思いますので、この愛知用水の終わりのほうの、西のほうの愛知用水は、いま御答弁になったように、農民負担金の問題が調整する段階で、ようやく何とか目鼻がつこうという解決のきざしが見えておる際であるし、東のほうの愛知用水、いわゆる豊川用水では、いま申し上げたような実情にありまするし、これを軌道に乗らないような結果にしてしまってはたいへんだという心配が、私は東、西と申しましたけれども、愛知県だけではなくて、木曽水系、岐阜、三重の地区には一そう深刻なものがあるということをこの際申し上げて、政府農林省ではそんなことにならないような十分の配慮と用意をして、この取り扱いに当たってもらいたい、こういうふうに思っております。  時間もございませんので、御答弁を一緒にいただく意味で続いて申し上げたいと思いますが、大体いま私が申し述べてまいりましたように、愛知用水公団としては、豊川用水事業の残務整理や建設負担金の賦課、愛知用水の農民負担金の処理、新規事業着工など、当面している問題をこのままスムーズにずっと持っていこうというのには、政府、与党の協議、検討に待つというただし書きについて早い機会に決着をつけて、そうして既成事実の上にスムーズな運びをつけるということが私は当面緊急なことである、こういうふうに思います。与党の立場から、私も党内の与党の一人として、そういう立場から本日、与党の態度をきめて、こういう発言を求めにきたわけではありません。その現状といきさつ、そして憂うべき事態にならないようにという老婆心から発言の機会をいただいてこうして申し上げておるのでありますけれども、統合については性急な、統合のための統合ということにならないように留意すべきであるということを深く御認識いただきたい。むしろ旗を立てて木曽三川の大騒ぎが起きて、吉田ワンマン先生が現地まで行くというような事態のことはだいぶ前の話ですけれども、思い起こしますと、役所のなわ張り争いで水げんかになってしまって、それが現地でとんだ迷惑をかけるということがないように配慮を願いたいということを繰り返し申し上げておきたいと思います。  われわれは愛知用水公団法成立の際のいきさつをいま振り返れば、衆議院においても、参議院においても附帯決議の形で国会がこの決議に至った、そうして地元の愛知用水取り入れ口問題が済んでおる、議会側としてもそういう認識をもう一ぺん新たにして対処しなければならない、当然立法予算に関連を持つ問題でございますので、そのように思っておるわけでございます。政府農林省に、また経済企画庁に、また行政管理庁の関係当局の皆さんにこの実情をとくと御認識をいただいて善処を期待いたしたいのでありますが、なお、一、二点申し上げておきたいことがありますので続いて申し上げたいと思います。  この公団は、最初世界的な水準で外資を導入して、世界の土木技術の水準でということで始まったことですから、振り返ってみれば、今日の公団は、技術的に見ても、多くの専門家の手がそろって、各専門家がチームワークで一体になって働いております。もう過去十年余になる実績水準というものは相当私は高く評価していいと思うのです。この資金の面も技術の面もワンセットになっておるという、こういう優秀な組織体をことさら分散させるというようなことはもったいない話だという一語に尽きると思いますので、何とかして一括してこれを活用する、統合のしかたは、基本方針はきまっておりますし、原則はできておりますし、統合のしかたは急がずに、無理押しをせずに、地元の問題は地元で解決していけ、こういう現在の仕組みをくずさないようにいくべきである、こういうふうに思いをいたしております。  また、愛知用水公団の職員ですが、現在ではいわゆる出向職員はすでに復帰をして本省なり、府県なり、地方に帰っていて、いま働いておられる職員は直接採用のものが大部分を占めておるようであります。これらの職員も十年余にわたってこの愛知用水事業、豊川用水事業という世紀の大事業に献身してきた人たちばかりでありますから、政府においても統合問題の処理の過程でこれらの前途有為の人たちの処遇について遺憾のないようにやってもらわないと、土木の優秀な技術者の団結をくずしていくようなことになってはもったいない話だということから、私は老婆心ながら、これらの有為な前途のある人たちの処遇については、政府は御如才なく用意と親切、そうしてまた誠意をもって、その点はどっちにいっても心配させない、心配は無用だ、大丈夫だ、こういう保障を与えていただくだけの用意が少なくもなければならぬと、こう思っておるのですが、この点についても一言御答弁をちょうだいいたして、きょうの質問はこれだけで終わることにいたします。
  213. 和田正明

    説明員和田正明君) 愛知用水公団の問題に関しましては、常日ごろ地元にお住いになり、また、地元の皆様との接触の機会の多い八木先生がおっしゃるような事情がありますことにつきましては、私どももかねがね承知をいたしておるわけでございます。そこで、先ほども申し上げましたように、六日の関係閣僚協議会での御決定の御趣旨もございますので、事務当局といたしましては、合併という原則はきまりましたわけでございますが、ただいまお話のございました職員の今後の身分安定等の問題も含めまして、両公団の合併がスムーズに進むように、事務的にはそれがぜひとも必要だと思っております。さらに差し迫りました明年度の予算編成までに政府、与党の御方針のおきめをいただきませんと、私どもとしては予算編成の事務的作業にも支障がございますので、ただいまのような事情をふまえて、早急に政府、与党で、スムーズな合併が進みますようなそういう具体的処置をおきめいただくように期待をいたしております。
  214. 今泉一郎

    説明員(今泉一郎君) 私、経済企画庁の水資源局長の今泉であります。どうかひとつ今後ともよろしくお願いを申し上げておきます。  きょうこちらにお呼びをいただいたのは、経済企画庁が今度愛知用水公団を統合いたしまする水資源開発公団、そのほうの監督官庁ということになっております関係もありましてお呼ばれしたのではないかと思いますが、私どもも八木先生がるるただいまお話になりました愛知用水公団の存廃問題、あるいは公団統合後の事業のあり方についての地元の方々の御希望というものについては、いろいろ陳情書等によりまして承知しておったつもりではございまするが、ただいま先生のお話によりまして一そうその認識を深めさしていただいたわけでございます。  何せ十年以上の歳月にわたってりっぱな業績を残され、大きな事業をなし遂げてこられました愛知用水公団、また、それを支援してこられた地元の方々も多数おられることでございまするから、これが合併ということはたいへんな事業であろう、私どもの役所といたしましては、また、関係各省におきましては、水資源公団が設立されて以来の大きな事件ではなかろうかと、かように思っております。しかして、ただいま農林省の農地局長さんからお話がございましたように、何とかしてこの統合を円満に、しかして円滑に進めまして、地元の方々、なかんずく農民各位の方々の御期待にもできるだけ沿うようにしたいというふうな気持ちにおきましては、経済企画庁といたしましても——経済企画庁と申しますのはやや僭越かもしれませんが、担当いたしまする職責にありまする私といたしましては、この面まことに心からの念願でございます。それがために、いま先生から、るる御指摘のあった点も十分考慮いたしまして、できる限り相つとめたいと思います。つきましては、これは関係各省こぞってそれぞれこの統合のために果たすべき責務仕事があり、また、それぞれの意見があろうかと思います。私どもがお互いに知恵を用いまして、ただいま申し上げたような統合が円滑に、円満にいくように相つとめたいと、かように考えておりますので、今後ともよろしく御指導、御支援のほどお願い申し上げたいと思うのであります。
  215. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会