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1967-08-01 第56回国会 参議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年八月一日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員氏名     委員長         豊田 雅孝君     理 事         石原幹市郎君     理 事         八田 一朗君     理 事         稲葉 誠一君     理 事         北村  暢君                 源田  実君                 柴田  栄君                 田中 茂穂君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 米田 正文君                 伊藤 顕道君                 瀬谷 英行君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君     —————————————    委員異動  七月二十七日    辞任          補欠選任     船田  譲君      廣瀬 久忠君     米田 正文君      玉置 和郎君  七月二十八日    辞任          補欠選任     山本茂一郎君      中上川アキ君  七月二十九日    辞任          補欠選任     中上川アキ君      山本茂一郎君  七月三十一日    辞任          補欠選任     玉置 和郎君      川野 三暁君     瀬谷 英行君      中村 英男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 北村  暢君     委 員                 川野 三暁君                 源田  実君                 柴田  栄君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 前川  旦君                 多田 省吾君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府総務副長        官        上村千一郎君        総理府人事局長  増子 正宏君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        大蔵省主計局総        務課長      佐藤 吉男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員給与に関する件)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、内田芳郎君、宮崎正雄君、中村喜四郎君及び玉置和郎君が辞任され、その補欠として田中茂穂君、森八三一君、三木與吉郎君及び米田正文君がそれぞれ選任されました。二十七日、船田譲君及び米田正文君が辞任され、その補欠として廣瀬久忠君及び玉置和郎君がそれぞれ選任されました。三十一日、玉置和郎君及び瀬谷英行君が辞任され、その補欠として川野三暁君及び中村英男君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 調査承認要求に関する件につきましておはかりいたします。  今国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行なうこととし、これら二件の要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査らち国家公務員給与に関する件を議題といたします。  関係当局からの御出席は、佐藤人事院総裁尾崎人事院給与局長、以上の方々でございます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この人事院勧告の時期がいよいよ緊迫してまいりました。そこで、そのことでまずお伺いいたしますが、国会会期は御存じのように十日までですが、大体、例年の例で八月中旬となっておりますけれども、せっかく国会開会中でもあるし、何とか国会会期中には勧告できないものか。まあ一両日何とかくめんすれば、非常に精励方々のお集まりの人事院のことであるので、何とか会期中には勧告できないものか、そういう時期についてまずお伺いいたします。
  7. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) たいへんごもっともな御質疑だと思います。ただ、御承知のように、私ども作業勧告調査が山積して、その間の較差を発見しましてからが本番の作業に入るわけでございますので、これが少し早く出ておりますれば、もう大体十日までに何とかなりそうだと見当がつきますけれども、これは例年十分急いでやらせつつも、どうしても八月に入ってしまうというのが例年実情でございます。ことしもまだ出ておらないという状況でございますから、これが出てからでございませんと、本格的なスケジュールが立たないというわけです。したがって、見通しも申し上げられないというのが率直なお答えになるかと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで国会会期中にと言っても、そんならそういたしますとは言いかねると思うわけです。ひとつ、せっかく国会会期中でもあるし、一段とさらに努力を重ねられて、ひとつ会期中に勧告ができるよう一そうの御精励をお願いしたいと思います。強く要望を申し上げておきたいと思うのです。  次にお伺いしたいのは、大体、人事院勧告官民給与較差とか、あるいは消費者物価高騰、あるいは生計費高騰、これに見合う勧告がなされてしかるべきだと思います。これは言うまでもなく、人事院の性格からいって国家公務員の利益を守る唯一の機関でもありますので、そういう立場に立って、こういう三要件に見合うところのいわゆる勧告がなされてしかるべきだと思うんです。ことしこそ、ひとつこの点が十分達成せられるであろうと私ども強く期待申し上げておるわけです。この点はいかがですか。
  9. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは従来しばしば申し上げておりましたように、私どもの基本的な根拠は、やはり官民較差に置いておるわけでございます。さらに生計費物価等ももちろん調べておるわけでございますけれども、それらは主として初任給決定、あるいは配分の問題ということのささえにそれを使っておるわけです。これを官民較差物価生計費というものを平たく基準にとってまいりますと、たとえば民間給与はずいぶん上がったけれども物価上がりはそれほどでもなかった。それじゃ物価に合わせて下げるかということにもなりますし、やっぱり民間給与に合わせるのが一番必要じゃないかというような気持ちを持っております。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特にことしの春闘で、民間の組合では四千五百円から約六千円、定期昇給を含めて平均二二・一%ぐらい上がっておるわけですね。それから公労協についての平均を見ますると、約四千五百十円ばかし、定昇を含めると一一・六%、こういうふうに、いずれも昨年を大きく上回る大幅な賃上げが実現されておるわけですね。そこで、公務員の場合も相当大幅な賃上げが期待されているわけであります。この点についてはいかがお考えですか。
  11. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ただいまおあげになりましたデータももちろんわれわれの参考にはいたして、常に注目してまいっておりますし、最近たびたび出てまいります新聞の予測記事などにも、そういうことが引用されておるわけであります。確かに問題としては、民間の場合は、著しい上がりを示しているということは、それらのデータによってつかめます。ただ、私ども立場は、いまの人事院責任を持っての私どもの個別の事業所調査ということと、もう一つ公務員給与をつかまえて、この水準を突き合わせるわけでございますから、公務員給与のほうも昨年の四月からどのくらい上がっておるかという問題もそこに入ってまいりますし、かたがた正確な較差というものは、いままさに集計を終わらんとしておりますし、民間調査の結果に待つほかはないということでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の勧告内容を見直してみますと、公労協春闘で一昨年を上回る賃上げを取っておるわけであります。そういう点から見て、水準においては一昨年の七・二%を下回った六・九%であった。これらは諸手当を含めて六・九%、それから体系では、いわゆる上厚下薄で逆戻りしておったと思う。さらに諸手当でわずかに若干の改善が見られておるわけであります。そういうきわめて放漫な内容であったと思うわけです。そこで、ことしはひとつこういうような批判の出ないように、こういう点を十分配慮された勧告がなされてしかるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  13. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 去年の較差の六・九というおことばがありましたが、その数字自身は、これもこの場で申し上げたと思うのですが、これをちょっと上回るのではないかという気持ちをもって、去年あたりは人事院ではもっと大幅にいくような予想がされておりました。これが調査をあけてみました結果はこういうことになって、これはこれで別に計算の間違いがあったわけじゃない。それだけ前年度の春闘の積み残し、その他の手当がさいてきだというふうに申し上げるしかございませんが、その配分の問題としては、いま御指摘がありましたけれども民間動向をわれわれはみな調べておりますが、民間動向をかなり重く勘案いたしまして、そういう結果になるということでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでいつも問題になるのは、民間給与調査について、人事院で行なう民間給与調査は、昨年は企業規模は百人以上、事業所規模は五十人以上、こういうことについて調査をしておるわけですが、特に事業所規模の五十人以上というのは、官民給与較差にとっては、相当これは小規模に失するのではなかろうか、こういう質疑がいつも出るわけです。ことしは、この点については改善がなされておるかどうか。いつも問題になる点が解決されないまま今日にきておるわけです。もうそろそろ、特にこの事業所規模の五十人以上については改善されてしかるべきだと思いますが、ことしの場合はどうであるか。
  15. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 結論を申しますと、ことしは従来どおりでやっております。ただ、これも考え方はいろいろございますけれども前回——何年前になりますか、例の企業規模五十人を百人に上げたことがございます。そのとき御説明したと思いますけれども、やはり民間従業員の過半数をこれでカバーし得るということが一つのめどになっております。したがいまして、その大勢は著しく変わってきたという実証がつかめればまたこれは考えなきゃなりません。いまのところは従来の行き方で準備を進めておるということでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 公務員民間のそれに比較いたしますと、総じて男子のほうが多いわけです。それと学歴も民間に比較して一般に高いわけです。しかも、男子は多く高学歴者が多いということから見れば、公務員は当然に民間のそれよりも賃金が高くなければならない、こういう議論は当然出てくるわけです。この点どうも合点がいかぬわけです。この点はいかがです。
  17. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは当然の御疑問だと思いますけれども、そこはまたわれわれは当然考えておることでございまして、民間における男女構成別というものをそのままうのみにはしておりませんで、やはり公務員の場合の構成にこれは合わせて、ウエートをかけて計算をしておりますということでございますから、その辺の御心配は全然なくてよろしいと思います。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、物価上昇についてですが、最近の物価上昇は相当積み重ねられてきておって、このことは結局公務員生活に直接響くわけです。こういう観点から見て、人事院はこの物価上昇については当然これを配慮されておると思うわけです。どうもその取り上げ方がまだまだ足りないんではなかろうか、こういうことが繰り返されてきておると思うのです。ことしの場合は一体どうなのか。
  19. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ことしは物価上昇傾向というものはさほど顕著ではないんでありまして、大体四%、あるいは去年が四・四%に対して、東京の場合、ことしは三%ということで、去年よりも東京で申しますというと下回った数字が出ております。大した変化はないというふうに考えます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここ数年来見ますると、名目賃金は毎年平均一〇%前後上昇しておるわけですが、三十五年から四十年までに六四・八%の上昇となっておるわけです。これは名目賃金はそうでありますけれども、毎年の消費者物価上昇で、実質賃金上昇はこの間二一・九%の程度にとどまっておるわけです。結局、物価に追いつけぬ賃金であって、公務員生活はますます圧迫されておるというのが現状ではなかろうかと思うのです。こういうことが非常に深刻になっておる現在、このことは当然に人事院の重大な関心事一つでなければならぬと思う。もしこの点に配慮がなされておるんならば、今回の場合はこのことは当然ある程度反映してこなきゃならぬと思うのですが、この点の配慮は一体どうなっているのか。
  21. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはやはりたびたび申し上げましたように、物価、それから生計費要素は、私どもとしては基本的には民間賃金の中に織り込まれて、たとえば春闘のスローガンを見ましたところで、やはり物価上昇というようなことをうたって賃上げを要望されて、その結果得られた民間賃金というものに合わせておけば、その中にはいま申しました、その他の要素は当然織り込まれているだろうという立場に立っております。ただ、これも先ほど触れましたように、そうかといってやはり生計費あるいは物価上がりというものはわれわれのほうとしても調べて、そしてすべての公務員の場合について安心ができるかという目でこれを調べておるわけです。去年の場合は、先ほども触れましたように、全体の上がりが非常に低かったものでありますから、やはり多年凍結しておりました扶養手当というようなものを思い切ってこれは上げねばいくまいというような踏み切りの材料に使った、また使うことはございます。正面からは、これはもう民間賃金に織り込まれておるというたてまえできておるわけであります。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ことしの消費者物価は昨年の同期、四月に比べて三・二%程度上昇で、大体横ばいの状態であろうかと思うのです。しかしながら、今後、消費者米価をはじめとする、いろいろと公共料金の値上げを予想される以上、あるいはまた医療保険料などの上昇が予定されておる、こういう事態をあわせ考えると、これは物価上昇は必至であるということが言えると思うのです。現在は横ばいでありますけれども、いま申し上げたような物価上昇で当然物価が相当上昇される。試みに日本物価上昇ヨーロッパの国々と比べてみますると、これは三十五年から四十年までの五カ年間ですね、イタリアが二七・一%、フランスが二〇・三%、イギリスは一八・九%、ドイツが一四・八%、日本の場合は三五・二%で、断然、群を抜いて物価上昇しておる、こういう事態にあるわけですね。こういうことをあわせ考えると、この際物価上昇に見合う賃金上昇でなければ、給与改善ということにはならぬと思うのです。この点はいかがでしょう。
  23. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 現在のところは昨年との比較においては物価横ばいといいますか、むしろ下がりぎみにある、しかしながら、いまおことばにありましたように、今後米も上がるであろう、何が上がるだろうという一つ見通しがそこにあるじゃないかということはごもっともなお考えだと思います。できれば私どもも先の先まで見越して、どういうことにも一応たえ得るような給与をというような気持ちももちろんいたしますけれども、しかし、今日の段階ではやはり公務員給与民間を追っかけるという、非常にいわば謙虚なたてまえをとっておりますわけであります。したがって、民間給与においても先々のことを織り込んでないということになれば、私どもは率直にその織り込んでない形の四月調査実態の形に合わせざるを得ない。そのかわりに、よけいな見通しが入っておれば、これは実施期日を値切られても、あるいはこれは文句を言えないかもわかりませんが、私はさきに言ったように、過去の四月現在を押えて、これに追いつかしてくださいという立場に立っておりますから、実施期日を切り下げされてはこれはたいへんなことになる。そういう問題にも私は結びつけ、給与勧告の時期についての完全実施をお願いしたいということは、またそこにあるわけでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一昨年の勧告による俸給表改善では、中位等級以下の職員給与改善に重点を置いた、こういうことであったわけです。そとで昨年の場合はどうか——中位等級以下への配慮は、わずかないわゆる昇給間差額の是正にとどまっておって、十分な配慮がなされていなかったわけです。そこで、ことしこそこの点について十分な配慮がなされてしかるべきだと思うのですが、その点については人事院としてはどういうふうな配慮がなされておるか。
  25. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも私ども留意をしておるところでございまして、特に私どもの見ておりますところでは、終戦後大量に採用されました方々は、大体六等級の辺のところに大群をなして押し寄せております。そして五等級のほうへほとんど抜けられない形になっておるという事態がわれわれとしても非常に注意を引くわけでございます。それらの措置としては、いまおことばにありましたような措置とあわせて、たとえば級別定数というようなものを——これは勧告のあとでの作業でありますが——きめますときにも、できるだけの留意をしながらその間の調整をはかっていくという立場をとってきておるわけであります。これまた給与法の基本精神で、やはり職務と責任というようなことをうたい文句に原則として法律が立てておりますものですから、それを打ち破ってあまり自由なこともできないしという、そのワクの中で苦慮をしながらやっておるわけでございます。今回の勧告に臨みましても、その辺はやはり十分注意をして臨まなきゃならぬという決意を持っておるわけであります。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 物価上昇で一番影響を受けるのは、言うまでもなく、中位等級以下の職員であろうかと思うんですね。そこでお伺いするわけですが、一昨年、昨年のごとく改善率が少ないときには、これら職員の優遇をまずもって配慮されてしかるべきだと当然に考えられるわけです。一昨年、昨年の倍加率を見ますると、上位等級について一昨年より昨年はよくなっておるわけです。これに反して、特に五等級以下は下がっておるわけですね。一昨年に比して、いわゆる上薄下厚の線が昨年はくずれておるわけです。本年はひとつ、この点について十分配慮がなされてしかるべきだと思う。その点についての配慮はいかがですか。
  27. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 従来非常に露骨な上薄下厚勧告をしたことがございます。これもやはり私どもの一存ばかりでやったことでもございませんので、やっぱり民間大勢がそういうことになっておるということとも見合いながらやっておるわけでございます。先ほども触れましたように、やはり民間大勢というものとにらみ合わせながら、一方また公務員生活実態ということも頭に置きながら、その辺の勘案をしていかにやならないというふうに考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以上お伺いしてきたこととともに、さらに配慮がなされなければならぬのは生活費の問題だと思うんです。この公務員給与決定要件として生計費が最も重視されておることは公務員法にも明確に出ておるわけです。しかしながら、実際にはその点の配慮がまだまだ足りないのではなかろうか。特に先進国のそれに比べて生計費取り入れ方が非常に足りないという感を深くするわけですが、この点について、ことしはどういうような配慮がなされておるか、その点お伺いします。
  29. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 生計費、それから生活保護基準というようなものなどもわれわれとして関心を払うべき要素としてあるわけでございます。先ほど触れましたように、較差の問題としては、生計費民間給与織り込み済みという立場をとっておりますけれども、しかし、御承知のように、勧告を発表いたします際には、生計費調査の結果、物価調査の結果も発表しておるわけであります。そうして、それぞれの配分によっても、生計費との関係をにらみ合わせながらやっているというのが実情でございますし、その態度は今後も続けていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これもいつも指摘申し上げて、いろいろとその点の配慮をお願いしておるわけですが、先進国の多くの場合、大体生計費日本の場合は、現行、男子十八歳を基準にしておりますけれども先進国では大体夫婦二人の生計費基準にしている国が多いわけですね。まあ英国は例外でしょう。これは夫婦と子供一人、計三名の生計費基準にしておることとあわせ考えると、日本の場合は特にそういう点が如実に響いて、なかなか若い世代では結婚できない。うっかり結婚すると、一人の生計費基準にしておるから生活できない。そこで共かせぎを余儀なくされる、こういう事態に追い詰められておるわけです。先進国の多くの場合の二人の生計費基準人事院がもしこれを取り入れれば給与改善されてくると思う。公務員の皆さんが、いわゆるヨーロッパ並み賃金というのは、この点にも多くの根拠があろうかと思うんですね。これはことしからすぐというわけにはいかぬでしょうけれども、当然ヨーロッパ並み賃金ということは決して過大な要求じゃないと思うんですね。いまも申し上げたように、これは人道上の問題につながると思うのです。適齢期の人も、しかもりっぱないわゆる配偶者の候補を得ても、うっかり結婚をしたらたいへんなことになる、こういう人道上の問題が横たわっているわけです。これを解決するには、何とかヨーロッパ並みのいわゆる夫婦二人の生計費基準に取り入れる給与体系、こういうところをもうそろそろ検討され、結論を得てももういいのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。この点はいかがですか。
  31. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) まことにこれもごもっともなことで、私自身も数年前特に西ドイツに参って、公務員給与その他を克明に調べてきたのであります。確かにもうわがほうで差し上げている給与の二倍ないし三倍ぐらいお取りになっている。非常にうらやましいのです。ただし、それは公務員だけが優遇されているかというと、そうではないので、一般のやはり民間賃金水準がそれだけ高い、公務員のほうはまだ民間に追いつかないということを当事者が言っているかっこうでありまして、要するに、一般民間賃金水準がそこまでいっているということであるようです。日本の場合におきましても同様でありまして、やはり一般賃金水準というものがヨーロッパ並みになって、そうして公務員も一緒にともどもそういうふうになるようにありたいということを私は念願いたします。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院の毎年高校卒の初任給、これについて見ますと、標準生計費を算定して、これに合わせて俸給をきめておるわけです。まあ、そういうことで物価を一応考慮しているということを言われているわけです。けれども、これは他の俸給については考慮されていないのではないか、こういう疑問が当然出てくる、この点についてはどうですか。
  33. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おっしゃいますとおりに、初任給については相当これを重視して、これも私どもことばでありますが、初任給決定のささえに使っていると申し上げていままでいるわけです。要するに、初任給初任給民間と比べますけれども、さらに独身男子の標準生計費というものから見て、これではいささかどうであろうかというときに、そのささえに使うということが従来ございました。これは初任給は特に私どもとして重大な関心を持っているわけでありまして、申すまでもございませんが、私ども立場から申しましても、私ども公務員の採用試験の主たる責任官庁になっております。優秀な人材を公務員に導入したいという責任ある立場におります観点から申しましても、やはり民間初任給——もちろん大会社の初任給には及びもつきませんけれども、しかし、普通の平均した水準民間初任給だけはぜひ確保しませんと、民間のえり残しの人たちだけが公務員になってしまう、こういうことでは国民の将来が憂えられるという思い詰めた気持ちで臨んでいるわけであります。初任給は非常に重く見ております。したがって、標準生計費の面も、そこに大きく働かしているということは申し上げられますけれども、その後の給与のきめ方については、やはり基本原則は、先ほど触れましたような民間との対応ということに重点を置きながら、まあ、かたわら標準生計費をにらんでいる。その証拠には、いつも勧告のあとに発表いたします公式の人事院の資料にも、何人世帯の標準生計費、その何も私どもにとっては有利な必ずしも材料にならない。組合の諸君から、これで暮らせるか、人事院みずから発表しているこの資料によって暮らせるかという追及を受ける。はなはだわれわれとしては、ばか正直なやり方だと思うのでありますが、それは堂々とやはり公表する、そうして皆さんの御批判を仰ぐ材料にしているということでございまして、全然無視しているわけではございません。しかし、その取り入れ方は、初任給の場合とその他の場合とは違います、こういうことを申し上げられると思います。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に諸手当について、二、三お伺いいたしますが、まず順序として扶養手当についてお伺いいたします。  昭和二十三年以来、これは据え置きになっておったわけですが、人事院は昨年初めて勧告を行なって、従来六百円のものを千円に。しかし、民間に比べると、民間は千三百円くらいで、まだ下回っておるのですね。そこで、さらにお伺いしたいのは、配偶者以外の扶養家族に対しても改善される意図はないものか、扶養手当について大体総裁としては本年どのような配慮がなされたのか、こういう点についてお伺いしたい。
  35. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 扶養手当は、本来これはくぎづけにして、漸次むしろ本俸の問題として吸収していくべきで、扶養手当そのものとしてこれをふくらましていくことは給与理論として逆行するものであるという大きな基本問題がありまして、人事院としてはそれを鉄則として通してまいったわけでございますが、昨年は、先ほど申しましたような事情から、一種の生活防衛的な措置として踏み切らざるを得ないだろうということでまあ配偶者の分だけを上げました。その基準は、平均で千何百円になりましたけれども、並み数の千円というほどのよい数字がありましたので、まあ千円ということで手当てをいたしました。その他の子供のほうは、これは公務員の場合も民間の場合と大体合っております。これは手の施しようがないということで、配偶者だけでとどめたわけであります。ことしさらにそれ以上ということは考えておりません。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 通勤手当についてもこの際お伺いしておきたいと思いますが、金額支給については一昨年千百円を千六百円に、二分の一限度内支給について一昨年二千百円を三千二百円に、なお自転車ないしバイクについて若干上げておる、こういうことでございますけれども、依然として金額実費支給となっていないわけです。この通勤費の性格上、これは当然金額実費支給にするのがたてまえでなければならぬと思う。そうでないと筋が通らぬと思うのですね。この点については、本年はどのような配慮がなされておるか、この点お伺いしたい。
  37. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 昨年は、御承知のように、国鉄その他相当大幅な運賃の値上げがございまして、これはもうわれわれとしても当然座視するわけにはいきませんから、民間要素も調べました。その結果出ましたものに公務員の場合も合わせたわけで、ことしはそこまでの顕著な事実は認められませんので、別段調査もいたしませんでした。全額支給ということは、われわれも立場からいうと望ましいことだと思います。これはもう民間調査の結果で申しますというと、まだまだそこまでは行っておりませんし、これはまあ将来の問題として残すほかはあるまいという気持ちでございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 住宅手当ですが、これは人事院調査によっても、住宅手当については支給事業所の割合は漸増しておる、そういう報告がなされており、しかも手当額も増額されておる。ところが、人事院の場合一向に勧告が行なわれていないわけですね。ことしはどうなんです。この住宅手当の新設にもう踏み切るべき時期に来ておると思うのですが、あれもこれもみんな将来の問題、将来の問題では、なかなか前向きに改善されないと思うのです。ことしこそひとつ住宅手当ぐらい踏み切るべき時期に来ておるんではなかろうかと思う。これも将来の問題ですか。
  39. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 住宅手当は、最近、ここ数年来、給与問題の中の一つの大きな焦点になっております。また、住宅手当に対する要望の御趣旨も、相当われわれとして理解できるわけです。したがいまして、給与問題として、御承知のように、ここ数年来続けて民間調査をやっておるわけでございます。その結果によって、だんだんこのパーセンテージの増高の趨勢が見られるわけで、仰せのように去年が三七%というようなところまで行っております。もう少し——ことしの結果はまだわかりませんけれども、見て、やはりこれが大多数の民間の事業体でやってるということになりませんと、ちょっと官側が率先してこれをやるということも、大体給与の問題についての基本的な考え方から申しましても、いろいろまた考慮すべきだと思います。民間の趨勢だけは十分しつこいくらいにこれを注視してまいっておる。今年どう出ますか、それによってまたいろいろ勘案すべきところがあろうと思います。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、春闘の積み残しについてですが、人事院はかねがねから、積み残しについては、これはいわゆる異常な事例であって、これを付加することは異例の措置と、従来そういう態度であったわけです。しかし、毎年同じ事実が現実に発生しておるわけです。そうだとすると、これは決して異例な事実ではないわけです。したがって、この調査時期の変更についても、変更する必要はあるということを人事院自体認めておるわけなんですか。一昨年来こういうふうに答弁してきたわけですけれども、今年の場合ですね、この春闘の積み残し分についてはどのように考えられてこれを実現されるおつもりですか、その構想についてどういう配慮がなされておるか。
  41. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いわゆる春闘の行なわれるタイミングの問題としては、私どもとしては十分また言いたいところがあるんであります。おやりになるほうの側のしりばっかり追っかけていかんならぬものかどうかという問題が一つありますが、それはさておきまして、現実にそういう事態があります以上は、それを少しでもその年に拾っておきませんと、来年もしこれが大きく持ち越されて出てくる——一年おくれの形で出てくるということもございますから、大所高所から勘案して、われわれは四月調査でありますが、その四月調査に付帯した調査として、御承知のように、ここ数年来付帯的なその面をとらえる目的のための調査をやってきておる。そして、一昨年あたりからそのいわゆる積み残しと言われる状況は非常に異常な形であらわれてきたということで、いわゆる積み残しの処置もあわせてお願いしてまいったわけであります。今年おそらく、これも常識問題でありますけれども、途中に地方選挙とかいろいろ入って世間的にも春闘が非常におくれたといううわさもあります。あるいは、そんなにおくれていないんだという説も中にはございます。とにかくこれも異常な事態ではあるので、それがやはり先ほど申しました付帯的な調査数字としておそらく出るに違いない。それは去年、一昨年に匹敵するような異常な様相を呈しておれば、やはりこれは今回考えなければならぬ、そういう気持ちで結果を待ち望んでおるわけです。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございましてあまり深追いできないわけですが、最後に実施の時期について一言お伺いしておきたいと思うんです。  大体公務員の諸君は四月実施を要求しておるわけですが、五月実施の勧告人事院はとっておる。これは民間にしろ、公労協にしろ、まあ長い間四月に実施されてきておるわけです。それで、公務員公平の原則にも反するわけですね。人事院自体も、四月に民間給与調査したらすでにかくかくの差があったと人事院自体が発表しておるわけです。四月にすでにかくかくの差があったということであるならば、当然これは、むずかしいことを言わないでも、常識的に考えても、四月にすでに差があったと人事院がおっしゃっておるんだから、そうだとすれば四月にさかのぼってしかるべきだと思うんですね。人事院も、いわゆる公務員共闘の要求に対して、四月実施を理解するけれども、当面五月実施に重点を置くんだ。どうもわからぬ議論だと思うんですね。公務員の諸君の四月実施を理解する——理解するとおっしゃっておる。しかしあとが言えない。しかしがつくわけですね。しかしながら当面五月実施に重点を置く、これがどうも意味が理解できないわけです。こういうわけで、四月実施を理解するというならば、当然四月にさかのぼって実施すべき旨の勧告がなされてしかるべきだと思うのです。先ほども言ったように、公労協はたしか三十二年から仲裁裁定は四月実施になっております。民間も相当長い間四月実施です。公務員だけは五月実施というのはどうもおかしい、筋が通らぬ。しかも、人事院自体が、四月に比較したらかくかくの差があったと言われておる。どの点から見ても、四月に当然さかのぼって勧告なされてしかるべきだと思うのです。これは毎回この問題が取り上げられるわけですけれども、いつも納得のいく答弁が得られないままになっておるわけです。何とかこれをひとつ筋の通るようにするには四月にさかのぼって勧告を出す以外にないと思うのですが、それとも人事院には動かすべからざる何か重要な根拠でもあるわけですか、この点理解しがたいので毎回に重ねてお伺いしたいと思います。
  43. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御承知のように、以前はなるべくすみやかにというようなことで実施期日を明示していなかった段階が相当長く続いて、その後五月ということでさらにまたずっと数年、今日まで続いているわけです。その間、最近になりまして、五月というのはどうもおかしいじゃないか、四月が当然じゃないかというような意味のおっしゃるような議論が出てまいりまして、私どももつらつら考えてみると、なるほど四月説というのは決してそれはばかにした考え方ではない、むしろそのほうがあるいは一つの議論かもしれないというような謙虚な考え方で、ですから、ここでたびたび同じような御質問が出ておりますけれども、確かに両論立ちますというようなところまで申し上げてきております。しかし、両論立つところまでは当然わかりますけれども、ではことしからそうするかというような話になりますと、かりにいままでずっと完全に政府が五月に実施してくださっておったならば、五月だって、それはおかしいじゃないかという話が出たら、それはもう一カ月くらいさかのぼっていかずばなるまいと憤然として言うことはできるかもしれませんけれども、まだまだわれわれとしては五月にとにかくさかのぼっていただきたいということも一生懸命精一ぱい汗水ほんとうにたらしてやっている段階においてその問題を考えますと、これはもうちょっと時期を待ったほうがいい——これは私どもほんとうの個人的な考え方でございますけれども、そういう気持ちを持って、とにかく五月実施で完全にやっていただくのが当面の最大の努力を要することではなかろうかという気がまえでおりますけれども、まだこれは両論ありますということで、ことしはということでございます。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、人事院としては四月実施するのは適当だと思うけれども、前々から——前は、できるだけ早く、すみやかにという表現であったわけです。その後五月実施になったので、それはどうもあまり理論的には正しいとは思わぬけれども、五月になってきている、いまこれをすぐ四月にするのもどうもやりにくいと、そういうようなことで理解してよろしいのか、そういうことであろうかと思うのです。  さて、この論議をここで繰り返しても、幾ら時間をかけてやっても、それではことしからこれは四月にいたしますという結論も出にくいと思うので、そこで、いま総裁の言われたように、五月一日にさかのぼって、そこに最重点を置いて取り組みたい、そういう意味の御答弁があったわけです。そこで、過去七回も政府によって人事院の実施の時期が踏みにじられてきておるわけです。そこで、人事院としては公務員の利益を守る立場にあるわけですから、完全実施は当然、せめて実施の時期を含めて完全実施、そういうふうに政府が受けとめるようどのような努力をされてきたのか、また今後どういう議論をしようとするのか。結局、政府に対してこの点を追及すると、勧告は尊重いたします、実施の時期は財源の都合で云々ということを繰り返してきておるわけですね。ところが、勧告を尊重するということであるならば、当然実施の時期が含まれなければならぬわけですね。勧告内容は尊重するのだが、実施の時期を切り離している。実施の時期を含めて一切勧告内容について、われわれはさように理解しておる。だから、勧告の時期をずらせば、それだけ内容は低下するわけです。これは当然の議論となろうかと思うのです。いま政府がおるわけじゃないですから、当局がおるわけじゃないですから、そういう論議をここで繰り返しても意味がないが、人事院としては公務員の利益を守る立場にある役所であるので、ただ勧告しっぱなしということじゃなくて、その勧告が実施の時期を含めて完全に実施されるようにやはり最後の最後まで見届けて、そういう法規上の義務があるとかないということを離れて、人事院立場は性格上公務員の利益を守らなければならぬということであるならば、当然これに向かって、完全実施に向かって勧告後も相当努力されてしかるべきだと思う。この点についてどのようなお考えを持っておられるか。
  45. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ちょっと、先ほど四月説、五月説について、私は四月説が理論的に正しいので、五月説が実は理論的には間違っておると思うけれども——というふうにおとりいただいたと思いますけれども、これはちょっと私はそこまで申しておらないので、両説ある。五月説が間違っておる——これは何ぶん私どもの大先輩ある浅井清氏以来二代の総裁のもとにおいてずっと五月を堅持してきておったんですから、これはやはりそれ相当の根拠はあったに違いないと思いますから、一がいに私ふぜいが五月説誤りだなんということはここで申し上げられませんから、両論あるというところまででひとつお聞き取りを願いたい。  それで、その辺はともかくとして、実施期日が、従来ことしで八回目になります。少なくとも過去七回は大幅に切り下げられてきておるということは、私ども立場としては、いまおことばにありました、たとえば公労委の仲裁裁定との比較を見ても、とてもそれはたまらぬアンバランスだと思います。したがって、従来微力ではありますけれどもこの完全実施についてあらゆる努力をしてきたわけなんです。今回の場合は、もう一々何月何日だれに会ってというようなことは申し上げる必要はないと思いますけれども、実はもう去年の暮れから盛んにその努力を続けておるわけです。ことしこそはもう何とかやっていただかないと勧告制度のあれにもかかわるというような意気込みでおります。なおまた、これは最終的には国会の議を経るわけでございます。国会の側のお力もこの際に心からのお願いをしておく次第でございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に一つ要望を申し上げておきたいと思うのですが、繰り返し申し上げてまいりましたように、同じ国家公務員である公企体については三十二年四月一日から四月完全実施で仲裁裁定が文字どおり尊重されてきておる。この人事院勧告に関しては、長い間無視されてきている。さっぱり実施時期については守られてきていない。これはまさに公務員公平の原則にも反するし、同じ内閣の姿勢としてこういう差別をつくるべきではないと思う。これは政府に言うことですが、だからといって、やはり人事院には、先ほども申し上げたように、公務員の利益を守る唯一の機関であるということをしっかりひとつかみしめていただいて、今後勧告がなされた暁は、文字どおりこれが完全実施されるよう各面ひとつ最高度の努力をしていただきたいということを強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 北村暢

    北村暢君 私は、伊藤委員の質問で大体尽くされておりますから、しかも時間がございませんので、ごく簡潔にお伺いいたしますが、まず給与体系の是正の問題ですが、先ほど初任給は労働力不足のおりから民間も非常に高くなっておる。それから、上級職は昨年、一昨年あたり相当改善されて高くなっている。先ほども質問がございましたが、そういう関係で、いわゆる中級職員の中だるみの現象が非常に強く起こっているんじゃないかと思うんですが、今度の勧告の中で、との中だるみの問題をどのような方法で、またどの程度改善をしようとしているのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  48. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) もちろん、お察しのとおり、ここで具体的なところまで案ができておるわけでもございませんし、そこまでは申し上げることは不可能でございますが、しかし、先ほど伊藤委員のお尋ねにもございましたように、問題意識としては相当大きくこれを考えておるということが第一点であります。ただ、その解消と申しますか調整については、やはり給与法上の限界がある。とにかく大ぜいの人がそこへたまっているというのはやはり一種の異常な形でございます。したがいまして、ほんとうを言いますと、給与法の鉄則にはちょっと乗らない、そのままでは乗らない事態ではないか。ただしかし、給与法が厳然としてあります以上は、それはくずすわけにいかないというところに私どもの深い悩みがあるわけです。したがいまして、これも先ほど触れましたように、やはりたまっておる人の辺のところの俸給について考慮をするというようなこと、あるいは号俸の延伸ということもございましょう。これは従来やってきたところではございますけれども、そういう方法は、これはやはり一つの方法であることはいなめないということと、これも先ほど触れましたように、やはり級別定数計算の問題として、これを相当実情に合わしたものにしていかざるを得ないだろう、いまのところではそういう考えを持って臨んでおるわけであります。
  49. 北村暢

    北村暢君 この問題、昇給間差額は、俸給表を見ましても、いまたまるようなところは、どうも間差額も低くなっているという問題ですから、これらの問題は。それから号俸の足延べをする問題、こういう問題等について、やはりもう少し具体的に改善をするということについても方法が考えられていいんじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。
  50. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは釈迦に説法で、幼稚なことを申し上げて恐縮だと思いますけれども、やはりはっきりつかめます前の段階におきましては、ここらを考えたいと思ってやったところで、思ったとおりの間差が出なければ、またこれがほかのところへしわ寄せがいくというような、そういう配分の問題を考慮しながらやらなければなりませんものですから、大体の方向としては、ただいま申しましたようなことを念頭に強く置きながら、いまここ数日中に出るわけで、具体案はそこでつくるという考えでございます。
  51. 北村暢

    北村暢君 まだ勧告出ない段階ですが、この問題はやはり勧告に大きく織り込んでいただきたいということをひとつ要望しておきます。それから行政職口の俸給表ですが、これは行(二)を撤廃してもらいたいという要望が非常に強く出ている。これはもう実際問題として、私ども国会の中でも、この行(二)適用の職員がおるわけです。実際は話を聞いてみると、もう四十以上になって、子供さん持って学校へやらなければならない。その中でとてもいまの俸給では食っていけない、やっていけないというのが率直なあれですよね。四十五、六で三万円程度もらっていて、とてもやっていけないというのが実態ですよ。これはひとつ今度の勧告で行(二)の問題は廃止すべきだということの強い要求が出ているわけですけれどもね、一体これは将来ともどういうふうに対処するのですか、大きな問題だと思うんですがね。
  52. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは大きな問題であることは御指摘をまつまでもないことで、先ほど申しました、生計費その他との関連で一ぺん考えなければならぬグループもこの辺のグループであるという認識をわれわれ持って臨んでおるわけであります。したがいまして、毎年の改善の経過を御報告申し上げればすぐ御理解いただけると思いますけれども、この行(二)関係の人たちに対してどれだけわれわれが力を注いできたか、御理解いただけると思う。したがいまして、今度逆に行(一)一本にした場合に、はたしていままでの優位が保てるかどうかという問題さえ、ちらほら、研究していきますと、出てくるというふうにわれわれは思っておる。もちろん、しかし、行(二)のほうの手当ては今後はやめろというようなことを申しておるわけではございませんけれども、行(一)、行(二)の統合ということよりも、いかにして行(二)の方の給与の実体を上げていくか、やっぱり実質のほうで考えて差し上げたほうが結果において得じゃないかという気持ちを従来も持っておりましたし、今日でも、まあ率直に言えば、ますますその気持ちを強くしているというわけでございます。
  53. 北村暢

    北村暢君 努力をされてきた——上がる率等も上がっていることは知っておりますけれども、実際問題として、先ほど伊藤委員も触れられましたように、民間給与実態調査というよりも生計費を重く見なければいかぬじゃないかというのは、この行(二)の人は、実際問題として、生計費の点からいけばもっと大きく見てもらわなければならないのではないか、こういうことですわね。したがって、いまの総裁のおっしゃる点、今度にしても、一般の上げ率よりははるかに上げなければ、これはもう実際問題として生活そのものに困っておる、そういう実態ですから、その点は一体どの程度の差をつけて上げるつもりなんですか。これは、このもとはわからなくても、差をつけて上げるくらいのことはわかると思うんですがね。勧告は出ていなくても、その大もとはわからないにしても、どのくらい差をつけて改善しようとしているのか、この点はもうわかっているんじゃないかと思うんですがね。どうなんですか。
  54. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それはとても、いまこの際具体的なことを申し上げるのは、これはちょっと私どもとして心がまえができておりませんから無理でございますが、しかし、大体の考え方の基本は、いま申し上げたような基本でおりますし、しかも、これはまた勧告になれば、ここで盛んにいろいろ御批判があるわけです。その御批判をも常に頭に置きながらこれは作業するんですから、まあ、そのときにひとつ思う存分おしかりなりおほめなり——おほめということはないと思いますけれども——御批判をお願いしたいと思います。
  55. 北村暢

    北村暢君 次に、時間がもうございませんから総裁はけっこうです。給与局長に。  ごくこまかい問題になりますけれども、交代制勤務者の手当について今度はどんな検討をされますか。まとめてお伺いしますが、それから常直手当に対しては、宿日直等の関係とも関連をして均衡をどのように考えられるか。それから、宿日直制度というものを廃止すべきだという要求が出ているんですが、やむを得ず残す場合については、これは現在の手当では全く実態に沿わないので、これは三倍くらいに上げなければならないという要求が出ておるわけですが、これについてどのように対処せられるか。三点についてお尋ねいたします。
  56. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 交代制の問題は、ここ二、三年来私ども大いにやはり注目をして、制度の基本あるいは実態から調査をしております。今度の勧告に間に合いますかどうか、その辺のところは、やはり基本的な勤務体制の問題にも触れますので、簡単にはここで申し上げられませんけれども、これは相当重要視して検討を続けておりますということを申し上げておきます。  それから、宿日直は、これも私どもの理想は、やっぱり宿日直をさせないで済むような事態というものが望ましいという立場で来ております。ことに学校の先生の関係では、文部大臣あたりにも、私個人的によくそういう所見を申し上げておったのですけれども、今度だんだんそれの目鼻がつくようになりそうで喜んでおりますけれども一般公務員についても、行く行くはそういうふうに上げたいものだというふうに思っておりますが、現在、依然として宿日直制度の実態が続いております以上は、やはりその手当が適正かどうかということを調べなければならぬ。三十九年に民間調査をいたしたと思うんですが、それ以来やっておりませんので、ことしこの辺の調査をやりまして、これが多少でも上がっておれば、もちろんそれに応じた手当てをいたしますし、いまおことばにもありました常直制度も、それに関連のあることでございますから、宿日直が上がれば常直制度のほうも据え置きというわけにはいくまいという気持ちでおります。
  57. 北村暢

    北村暢君 それでは、実施の時期についてはもう何回も詳しく質問が行なわれましたが、これを勧告の主文の中に明記すべきである、このように思いますが、昨年同様に主文の中に明記するかしないか、これをひとつお答え願いたい。
  58. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはあたりまえのことでございまして、昨年までずっと明記してまいりました。ことしも明記をしてまいりたい。当然のことと考えております。
  59. 北村暢

    北村暢君 次に、今度の勧告には直接関係ないのですが、寒冷地手当の問題についてお伺いいたしますが、寒冷地手当に関する法律の抜本改正というものを考えておるのかどうなのか、また、考えているとすれば、その方針をちょっと説明していただきたい。
  60. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これもここ二、三年来の大懸案でございまして、申すまでもなく、内閣委員会の再検討についての附帯決議もいただいておるわけです。鋭意検討を続けておるわけでございます。  それからもう一つは、各地域別の偏差と申しますか、各地方からそれぞれ非常に強い御要望がございまして、根本問題は、そういう地域関係の問題と二つになっておるものでありますから、まだ残念ながら結論を得る段階には至っておりませんけれども、これは決してないがしろにしていいものとは思っておりません。この勧告の仕事が済みましたら、またそのほうの作業にさっそく取りかかろうという心組みでおります。
  61. 北村暢

    北村暢君 その改正の考え方の中に、定率部分を定額化するということが検討されているということを聞いたのでありますが、定額化の方向にいくのかどうなのか、定額化するとすれば、その理由は一体何なのか、この点をお伺いしたい。
  62. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは別に深入りしておるわけではございませんけれども、私どもの内部の検討の一つの問題点として、非常にたくさんの俸給をもらっておられる、たとえば北海道の某役所の長官というような人は、この定率でおもらいになる寒冷地手当というものは相当な額になるのではないかというところから実は話が起こっておる、そういうところが発端になって大いに問題意識を持っておるということまで申し上げておきたいのであります。
  63. 北村暢

    北村暢君 それから、上のほうの人の話がいま出ましたが、低額所得者の場合の底上げというようなことについて、定額化を検討する場合に底上げという問題が考えられるのじゃないか、このように思われるのですが、こういう点は考慮の中に入っておるのかどうなのか、この点御説明いただきたい。
  64. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) まだその点をめぐっての問題は煮詰まっておりませんので、いまここでそういうつもりがあるとかないとかは申し上げかねますけれども、しかし、そういう問題点もあるというおことばはただいま承りましたから、それも含めてやはり検討したいと思います。
  65. 北村暢

    北村暢君 それから、今度の改正にあたって級地区分の改正はやるのかやらぬのか、また、やるとすればどの程度の範囲でやられるのか。
  66. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いや、これが一番困ったことなんでして、片一方お上げいたしますと、お隣のほうからすぐ平均化運動が起こりまして、ほんとうに尽くるところを知らない連鎖反応を起こすという問題で、われわれも苦慮しておるところであります。ここで率直に申しますけれども、これはずっと沿革的に少しよ過ぎるところがあります。それを思い切って下げれば、わりあいに作業がしやすいのですけれども、それが、既得権みたいなものを下げるということも、なかなか踏み切りがつきませんし、その辺をめぐって実は非常に苦慮しておるということでありまして、検討はしております。
  67. 北村暢

    北村暢君 それから、定額支給分のいわゆる旧石炭手当の問題ですが、これについては額の改定が三十九年に行なわれましたけれども、その当時の石炭の価格が三十七年の価格を基準にしてやっておるというので、全然、現在の実態に合わなくなってきているということで、この定額部分の引き上げというものを強く要請されておりますが、これについてやる意思があるのかないのか。また、支給時期が八月三十一日ということに従来なっておりますが、一体、この支給期日がこういうふうになっておりますけれども、この引上げをかりにするとすれば、どのような方向で、いつごろ、どの程度やるか、この点についてひとつ御説明を願いたい。
  68. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その関係で一番具体的な案をお持ちになったのは、たしか北海道の六者何とかいう、各方面の方がみんな連合しての御要望だったと思います。非常に具体的な御意見であるので、われわれとしても相当尊重してこれを研究しておりますけれども、ただ、石炭の価格の問題その他にわたる額については、これもさっきの定率の問題じゃございませんけれども、だいぶん、給与のベースアップによって、その定率をかけた額そのものがよくなっておることは事実なものですから、その点等のかね合いの問題、それから、石炭の価格というものを一体安定したものとしてとらえていいかどうかという問題もありますので、その辺なども考慮に入れながら広く検討さしておる段階でございます。
  69. 北村暢

    北村暢君 広く検討されるのはいいんですが、ことし上がるのですか、上がらないのですか。
  70. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いつもその時期を問い詰められておるわけでございますけれども、まだいまのような根本問題それから地域問題などがありまして、はっきりいつという段階まではまいっておりません。したがいまして、もうしばらくお待ちを願いたいということでございます。
  71. 北村暢

    北村暢君 三十九年上げてからですからね、もう上がっていることははっきりしちゃっているのですから、上げることを前提に検討しておるのか。検討した結果、上げなくてもいいということになるのか、上げざるを得ないんじゃないですか、どうです、その点。
  72. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもはその値切ることを前提として、値切る立場でものは見ておりませんので、公正な結果というものをあくまでも考えながら問題を追求しているわけでございます。そういう角度からいってどういう結論が出るかということを検討している、こういうことでございます。
  73. 北村暢

    北村暢君 それから薪炭手当ですが、いま薪炭手当については、いわゆる三公社五現業の公労委のほうで相当調査をやっているようでございますが、したがって人事院としても、寒冷地手当の問題と関連して薪炭手当の問題をどのように考えておられるか、ひとつ御答弁願いたい。
  74. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは公社現業関係のことももちろんわれわれ見ておりますし、それから薪炭といいますけれども、いまどき薪炭というものを使っておられるのかどうかという、これはきわめて素朴な問題でございますけれども、そういうようなことまで立ち返って考えなければならぬだろう、これは私の心組みでございますけれども、おそらく事務当局のほうでも、そういう気持ちで問題に臨んでいると思います。これはやはり検討していきたいと思います。
  75. 北村暢

    北村暢君 いまの検討していきたいということですが、人事院は何でも先にやるということはしないで、あとにあとにと、人のまねだけやっていくというような傾向があるようでございますが、ひとつ人事院というりっぱな給与調査機関を持っているのですから、私は、公労委なんかがやるよりは、人事院のほうが手足を持っているのですから、また能力も持っているわけですから、公労委関係が薪炭手当できてから、のこのこと人事院が、薪炭手当どうなっているか検討するなんということでは、ちょっとかっこう悪いんじゃないかと思うのですね。ですから、そういう動きがすでにあるのですから、人事院としてはやはり正しいものは正しいものとして、結論を早く私は出すべきだと思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  76. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 早くいたしますことは当然われわれの望むところでございますけれども、いま御指摘になりました問題点だけ拾ってみましても、これはやはり相当に問題があるということになるわけなのでございまして、急ぎつつ、やはり慎重に、いまおことばがございましたけれども、われわれ、はで好みではございませんで、やはりじみなほうの好みでございます。手がたくやって、しかしまた早くという気持ちで臨んでおります。
  77. 北村暢

    北村暢君 もう人事院はよろしゅうございます。
  78. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  79. 豊田雅孝

    ○議員長(豊田雅孝君) 速記再開。
  80. 北村暢

    北村暢君 財源問題についてちょっとお伺いしますが、大臣がおられませんから、事務ベースの答弁しかできないことは承知してお伺いいたしますが、昨年の勧告実施の際における俸給表改定、諸手当等による五月実施を前提として、四十一年度内に勧告では二百二十六億円の予算が必要だということは勧告に出ているわけなんですが、昨年度の地方公務員全体入れて、九月実施した場合における四十一年度の必要財源というのはどのくらいだったですか。
  81. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 昨年の数字、これはいろいろな計算がございますけれども、申し上げますと、九月実施で地方公務員まで入れて八百七十三億、それから五月実施ということになりますと千三百六十四億、そういうことになります。
  82. 北村暢

    北村暢君 いまの、地方公務員全部入れてですね。
  83. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) ええ。
  84. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、今年度は人事院勧告、昨年より上回って出ることはもう間違いないと思うのですけれども、大体大蔵省としてはすでに——勧告が出てから検討するのは、これは当然のことなんですけれども、昨年の例から見て、これ以上の給与財源が必要になっておるということは、これはもうあらかじめ予測はできますわね、昨年の程度よりも若干上回るということ、これはまあ公労協なり、民間賃上げがそうなっておりますから。そういう点で、概数の点について、大蔵省として一体この公務員給与について検討されておるのかどうなのかね。
  85. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お話でございますけれども、まだ勧告が出ておりませんので、勧告が出てから、その勧告内容を拝見しまして、どのくらいかということを計算したいと思っておりまして、まだ、どのくらいたぶん出るだろうから、どのくらい要るだろうという計算はいたしておりません。
  86. 北村暢

    北村暢君 きのうあたりの——まあこれ、以前からも総理大臣の答弁を聞いていますというと、税の自然増収があっても、必ずしもこれを給与改定、米価、健保その他のものに充てるというふうには考えておらない、公債の減額もやらなければならない、こういうようなことで、何かしら聞いているというと、もうすでに予防線を張っておるのじゃないかというふうに受け取れるのですけれどもね。前の特別国会の予算委員会でも、この自然増収の問題はもう質疑が相当行なわれているわけです。で、当初の予算編成時における自然増収の見込みが七千三百五十億見込んでいるわけですね。それをさらにわが党の木村さんの説によるというと、最低にしても三千億、見方によっては四、五千億の自然増収、したがって、もう当初の七千三百億入れるというと、一兆円以上の自然増収が出てくるのじゃないかということのようですね。  で、自然増収の問題について、すでに経済白書等も出た段階でありますから、例年であれば、八月ともなればもう予算編成の準備段階に入る。したがって、自然増収等の見込み等についても、もうそろそろ出てきていいのじゃないかと思うのです。大蔵大臣は九月決算を見てということを盛んに言っておりますけれども、九月決算を見るまでもなく、自然増収というのは相当見込まれるのではないか、このように思うのですが、これは主計局のものではないので、理財局長来ておりますか。
  87. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 主税局総務課長が来ております。
  88. 北村暢

    北村暢君 それじゃ税収の問題について、自然増収の面について、どの程度大蔵省で検討されているのか、この点ひとつお伺いしたい。
  89. 佐藤吉男

    説明員佐藤吉男君) お答え申し上げます。  税収につきましては、毎月の租税の収納実績がどういうふうになっているかということをもとに、状況等を判断しているわけであります。現在のところは六月まで、四月、五月、六月と三カ月実績がわかっております。六月までの累計で申しますと、昨年は年度合計に対しまして二一・六%ということであったのが、本年は二三・六%ということで、二%いいわけであります。しかし、これは若干今年の特殊事情がありまして、と申しますのは、四月三十日が休日であったために、本来ならば前年に入るべき酒税が、本年に二百数十億流れ込んだ、こういう事情がございまして、それを調整いたしますと、実質ベースでは昨年の二一・六に対して、二%多い二三・六%、こういう結果になっております。  したがいまして、その内容、各税目にわたって検討してみますと、法人税が一番好調でございます。法人税は昨年の四月、五月、六月の実績に対しまして、ことしの四月、五月、六月では三〇%いいわけであります。予算で見込んでおりますのは十数%でありますので、その三〇と十数%との差だけ予定以上に伸びている、こういう状況でございます。しかしながら、年度の全体といたしましては、まだ二〇%程度の実績しかわかっていない、こういうことでございまして、私どもとしては、例年でございますが、歳入を、税収を見ますときには、非常に慎重に見ておる次第でございまして、法人の九月決算の状況が判明いたしますと、大体財源がきまるわけでございます。と申しますのは、従来税収の見通しをやりますと、一番狂うのが法人税でございます。しかし、景気の上昇、下降両時期において、過去にしばしば私たちあやまちをおかしたという傾向がございます。以上のようなことで、現在のところではまだ年度の自然増収が幾ばくであるかという判断をする材料がそろってない、こういうことであります。
  90. 北村暢

    北村暢君 判断できる材料を持っておらないということになれば、幾らくらいかということを聞いても、これはわからないわけですけれども、しかし、もう経済白書すでに発表になりましたし、この経済白書に基づいて来年度予算の編成等も、大筋からいけば取り組むわけでしょう。例年ですと、八月にはそろそろ予算編成に取りかかるわけですから、したがって、その経済の見通しその他がわからないでも私はいかれるのではないか。したがって、最近の大蔵大臣等の来年度予算編成についての予測記事が新聞等にも出ておりますが、相当景気刺激を押えるような予算にしなければならないというようなことがもうすでに出ているわけです。したがって、もう年末までかけて、本年度の経済というものが、趨勢からいけば大体わかってきているのですから、いまの、六月末までの三カ月の、全体の二〇%くらいしかわかっていないので予測がつかぬとおっしゃるけれども、私どもは、経済の実勢からいくというと、これは相当程度自然増収というものは見込まれるのではないかというふうに思います。  したがって、これは勧告が行なわれ、しかも次の臨時国会になるか、通常国会になるか、わかりませんが、給与法の改正が出てきた場合、相当の自然増収というものがそのころはもうすでにわかる。したがって、その場合、最低三千億、見方によっては四千億、五千億の自然増収というものが、当初の予定よりも上回って自然増収が出てくるということになれば、これはもう従来財源等の問題について、給与改定については、財源の問題もあって上げられないと、完全実施ができないというようなことは、私はなくなってくるのではないかというふうに思うのです。赤字公債に振り向けても、八千億の公債発行を減額しても、確かに私どもも減額することは経済政策としては望ましい、これは否定するものじゃないですけれども、八千億の公債発行に対して、一兆円以上の自然増収が出てくるということになれば、私は、財源がなくて完全実施ができない。しかも、昨年の例を見ても、五月実施で千三百六十四億、ことし若干上がりますから、千五百億程度というものにかりになったとしても、完全実施が不可能とは私ども思わない。そういう点についてどうも政府は、予防線を張っているように思われるのですが、さいふのひもを握っている大蔵当局としては、ことしはそういう財源問題の理由で完全実施を押えるということは、私はあり得ないのではないか、こういうふうに思うのです。  大蔵大臣も、四月実施というのは、予算のたてまえからいけば、年度中間にこういう膨大なものが出るのは困るので、四月から当初予算に組むということは望ましいと言っている。一回五月実施を思い切ってやれば、これは次の年からそういうことを考えざるを得なくなるので、私は、思い切ってことしあたり完全実施のいい時期じゃないか、このように思うのですが、財政当局としての大蔵省として、公務員給与完全実施の問題についてどのような態度で臨まれるのか、この点をひとつお伺いいたしたい。
  91. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) どういう態度で臨むかということでございますが、これはだぶん先生も予算委員会で大蔵大臣に御質問になりましたようなことですが、もう少しこまかく申しますと、自然増収も、先ほど主税局のほうから説明がありましたように、まだはっきりいたしておりません。それから国債の問題も、先般、七百億減少になりました。それから米価の関係でも、これはどうも政府の買い入れの数量がどうなるか、まだはっきりしておりませんから、はっきりしませんけれども、千億に近い赤字、一四・四%上げてもそのくらい出るんじゃないかと思っております。それから例年ですと災害の関係が非常に多く出てまいります。そのほか新しい要因も出てくると思いますので、そういうのをみんな合わせましたところでどうするかということを判断せざるを得ないので、まことに申しわけないのですが、いまの段階でどうするかということをお答えできない状況です。
  92. 北村暢

    北村暢君 事務当局で、とても公務員給与を、九月実施を八月にするとか五月にするとかということを簡単に答えられないということは、私もわかります。わかりますが、米価問題、健康保険の問題、災害の問題、いろいろありますよ。いろいろありますが、私は、今年度は、先ほど申したように、膨大な自然増収というものが見込まれると思っている。したがって、三千億、五千億の自然増収が見込まれるということになれば、財源的には私は非常に余裕があるのじゃないか。来年度どうなるかということについては、大きな問題もあるでしょう。自然増収をそれだから全部使っていいということにはならないかとも思いますけれども、ただ、ものの考え方として、私は、一回はやはり五月完全実施というものを政府としてやらなければならないだろうと思うのですよ。そのときに、いつも問題になるのは、障害になるのは財源問題で、給与担当大臣なり労働大臣は完全実施を主張するが、大蔵大臣のところでだめになる。これはもう例年の例ですよ。  かつて、税収の非常にあったときも実施されなかったのですけれども、しかし、一回はこれはやはり五月実施という実績をつくらなければ、私は、先ほど伊藤委員が質問しているように、もう公務員の公平の原則からいっても、これは放置できない問題です。その絶対のチャンスは、ことし私はチャンスであると思っているのですがね。それを先鞭をつければ、五月実施になったものが、次の年財源がないからと言って、とてもまた九月に戻るなんということは、これはあり得ないことなんですよね。あり得ない。したがって、一回はやはり私は踏み切らなければならない問題だと思っているのですよ。それはやはりことしのようなときに思い切ってやはり踏み切る、そういう財政当局の姿勢というものが私は必要じゃないか。  したがって、初めからいろいろな理屈をつけて、なるべく値切ろうという態度じゃなしに、一度は公務員の要望に沿ってやるという財政当局の態度というものが私は必要だと思うのです。しかも、それはことしは財源的に言って非常にチャンスじゃないか、このように思うので、ひとつ大蔵大臣——まあ政務次官見えましたようですが、これは大きな政治問題ですから、事務当局に答えろと言っても無理だということは十分承知いたしますが、事務当局としても、私は、いま私の申したような腹がまえでひとつ臨んでもらうというのと、大臣があちこち責められて、やりたくってもできないがというのと、事務当局からもうやらせないように、やらせないようにというのとじゃだいぶ違っちゃうから、それは事務当局から積極的にひとつ、完全実施というものをいつか踏み切らなければならないのですから、ことしはひとつ踏み切るというような事務当局の腹がまえというものを持っていただきたい、このように思いますので、大臣の御答弁でなければ、ちょっと責任上答弁できないことであるけれども、そういう腹がまえをひとつ持っていただきたいということで、いま態度はどうかと、こういうふうに質問しておるので、この点について非常にむずかしいので、責任問題であるかと思いますけれども、私は非常に強く要望しておきたい。ひとついま私の申し上げましたことについて所信を承っておきたいと思います。
  93. 上村千一郎

    政府委員上村千一郎君) 実は人事院勧告完全実施の問題でございますが、昨年も八月十二日かと思いますが、人事院勧告が出たわけであります。私ども給与の担当省といたしまして、何とかこの人事院勧告というものを、当然制度上から言いましても尊重すべき立場にございますので、これがいま御意見のように努力を昨年もいたしたわけであります。先生も御案内のように、いろいろな事情によって九月実施ということに相なったと思います。本年も、もう近いうちに人事院勧告が行なわれるであろう。例年によりますればそうなるわけであります。昨年も御案内のように官房長官、総務長官、それから労働大臣、大蔵大臣、それから自治大臣、従来はこの五人委員会でございましたが、昨年に限って経済企画庁長官がお入りなりまして六人委員会を構成いたしました。そうしていろいろと討議を始めたわけであります。本年もきっとそのようなかっこうに相なっていくかと思いますが、総理府といたしましては、とにかくひとつ御要望のような線に沿って努力をいたしたい、こういう心がまえでおります。
  94. 北村暢

    北村暢君 私言っているのは、大蔵省の事務当局のあなたのところが一番大事なんですよ。総務長官が何言ったって、かに言ったって、大蔵省はなかなか権限を持っておりますから、金ないと言えばそれっきりになっちゃうのだから、ことし金ないとは言わせないので、ひとつ大蔵事務当局の答弁を聞いているのです、事務当局の。
  95. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) どうもたっての御質問でございますけれども、その点先生よく御承知のように、私どもから、いまの段階でどうのこうのと申せないことでございますので、答弁にならぬかもしれませんが、先生のお話をよく拝聴しておくということで御了承願いたいと思います。
  96. 北村暢

    北村暢君 よく拝聴しておくということですが、ひとつぜひ私は要望しておきたいのは、事務当局から完全実施ができないということが出るというと、もう全く、それを政治的に踏み越えてやることができるかというと、まず非常にむずかしいですわね。ですから、事務当局がどの程度積極的に取り組むか組まないかによって、これは全部とは言いませんけれども、相当部分私は影響するというふうに見ている。特に、従来の大蔵省の持っている予算編成に対する権限からいって、非常に強いものがあるということを私は十分知っているわけなんです。したがって、要望は十分聞いておくということですから、ひとつ主計局長はじめ上司とも相談されて、ことしは財源がないとか何とかで消極的な点が出たら、これはえらいことになるということで、あらかじめ事務当局としての態度を決定する場合においても十分ひとつ考慮してもらいたい。このことだけ強く要望して、私の質問は終わっておきたいと思います。
  97. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは、本日はこれをもって散会をいたします。    午後零時二十一分散会