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1967-10-05 第56回国会 参議院 石炭対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月五日(木曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————    委員異動  十月四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     片山 武夫君  十月五日     辞任         補欠選任      大河原一次君     村田 秀三君      大矢  正君     吉田忠三郎君      宮崎 正義君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  壽君     理 事                 二木 謙吾君                 小野  明君     委 員                 井川 伊平君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 近藤 信一君                 村田 秀三君                 吉田忠三郎君                 北條 雋八君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   菅野和太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        通商産業政務次        官        栗原 祐幸君        通商産業省石炭        局長       中川理一郎君        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君        通商産業省鉱山        保安局石炭課長  佐伯 博蔵君        労働省安全衛生        局長       大野雄二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (三井三池鉱業所三川鉱火災事故に関する件)     —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。昨日向井長年君が委員辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。本日宮崎正義君、大河原一次君、大矢正君が委員辞任され、その補欠として北條雋八君村田秀三君、吉田忠三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  九月二十八日に発生しました三井三池鉱業所三川鉱火災事故に関する件につきまして、政府側から説明を聴取いたします。  この際、菅野通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。菅野通産大臣
  4. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) このたび三池炭鉱におきまして、坑内火災発生し、死亡者七名を含む多数の罹災者を生じましたことは、まことに遺憾に存じます。政府としては、人命尊重の見地に立って、従来から鉱山保安確保について監督指導強化拡充につとめてきたところでありまするが、今回の災害につきましては、十分に原因究明を行ない、今後再びかかる災害発生することのないよう、強力に保安行政を推進してまいりたいと存じます。  災害概要につきましては、鉱山保安局長から、詳細に御説明申し上げることにいたします。
  5. 鈴木壽

  6. 西家正起

    説明員西家正起君) では、災害概要につきまして、御説明させていただきます。お手元に、簡単でございますが、プリントをあらかじめ配付してございますが、プリントに従いまして御説明を申し上げたいと思います。  三池炭鉱三川鉱坑内火災につきまして、鉱山名三池炭鉱三川鉱でございます。甲種炭鉱でございます。これはガス炭じん等の多い炭鉱でございます。所在地は福岡県の大牟田市、鉱業権者三井鉱山株式会社社長倉田興人発生年月日昭和四十二年九月二十八日午前五時四十五分ごろでございます。発生個所は、うしろのほうに簡単な図面がついておりますが、三川鉱坑内の三百五十メートル坑道ゼロ片材料線奥部というところで発生をしております。罹災者死亡七名、それから入院者につきましては、十月二日現在三十九名、きょう現在では若干ふえまして、たしか四十八名というふうに聞いております。病院に通っておる通院者は百十四名、これも、したがいまして現在では若干異同があるかと思います。  操業の概況でございますが、三池炭鉱三川坑、宮ノ浦坑四山坑の三坑口を稼行しておりまして、鉱山労働者の数は約一万一千二百名で、月産四十三万トンを出炭いたしております。今回災害発生いたしました三川鉱三池炭鉱主力生産坑口でございまして、鉱山労働者の数は約四千五百名で、月産十四万八千トンを出炭いたしております。  災害概況でございますが、災害前日、すなわち九月二十七日の三番方といたしまして、三川鉱坑内には五百六十一名が入坑をいたしておりまして、採炭、掘進、仕繰りその他の坑内作業に従事をいたしておりましたが、翌二十八日の朝五時四十五分。ころに、運搬係でございます鉱山労働者が三百五十メートル坑道のゼロ片材料線入り口付近坑道に煙が流動しているのを発見いたしまして、坑外にその旨を報告をいたしました。この報告を受けました坑外におりました係長は、電話にて坑内の各所に異変発生を告げまして、全員昇坑するように指示をすると同時に、炭鉱幹部報告をいたしました。炭鉱幹部救護隊の招集、入坑措置をとったのでございますが、前記七名が死亡いたしましたほか、百五十三名が一酸化炭素中毒にかかり、うち二日現在では三十九名、現在四十八名の者が入院し、百十四名の者が通院加療中でございます。  災害発生後、鉱山救護隊員によりまして、ゼロ片材料線坑道風上側及び風下側において、とりあえず仮密閉処置をいたしますとともに、罹災者収容完了後、同坑道火災現場に対して鉱山救護隊員による直接消火——水による直接消火を行なったのでございますが、そのうちに火勢を押えることができなくなりまして、消火作業員危険性が増加する状況となりましたために、直接消火作業を断念いたしまして、同坑道風上側及び風下側密閉による間接消火をすることに決定をいたしました。三十日の二時二十分より密閉作業に着手、風下側は同日午後六時、ころ、風上側は十月一日の四時三十分に作業を完了いたしました。なお、当密閉の中でございますが、消火立ち入り検査ができるように、パイプで将来入れるような措置を施してございます。災害原因につきましては、自然発火により坑内火災に発展をいたしました疑いが濃厚でございますが、目下関係書類等あるいは関係者よりの事情聴取等によりまして鋭意調査中でございます。  災害後とりました措置といたしまして、災害発生の報を受けました福岡鉱山保安監督局長は直ちに鉱務監督官七名を現地に急派をいたしまして、罹災者救出指揮に当たらせる一方、一酸化炭素中毒者発生に備えまして、高圧酸素室現地に急送する措置関係機関に要請しておりまして、その後みずから現地に急行して指揮に当たっております。また本省からも鉱山保安局石炭課長現地に派遣いたしまして、災害原因究明に当たらせたわけでございます。  その次の図面が、ございますが、はなはだ簡略でございまして、小さいもので恐縮なんでございますが、この図面によりましてちょっと補足させていただきますと、この図面三川坑坑内略図でございまして、右の上のほうから二本実線がございますが、これが三川坑の入口で、ございまして坑口でございます。これから斜坑斜めの道で下がっております。約二千メートル下がりましたところに斜坑坑底が、ございまして、その坑底から左のほうにずっと三百五十メートル坑道という坑道が伸びております。この三百五十メートル坑道と申しますのは、大体海底下三百五十メートルという意味でそういう名称をつけておりますが、その三百五十メートルのほうにいきます途中に矢印が二つ分かれているところがございますので、この下のほうに分かれております矢印をたどりましてゼロ片材料坑道という坑道が通じておりまして、これが通気の分流になっているわけでございます。災害発生いたしましたのは、その坑道のちょっと右のほうに丸で囲んで斜線がございますが、その部分で起こったものと推定されておるわけでございます。三百五十メートル坑道から入りました通気はずっと左のほう、さらにはまん中の下のほうに四角い長方形の形のが三カ所ございます。これが採炭切り羽でございまして、こういった採炭切り羽空気が通りまして、点線の経路を経まして、右のほうの入ったところに空気が抜ける、こういうことになっております。で、ゼロ片材料坑道発生いたしました火災の煙がそれぞれ左のほうに回りまして、逃げおくれました七名の方が死亡した。その他の大ぜいの方が一酸化炭素中毒にかかった、こういうような状況でございます。  簡単でございますが、概況説明を終わらせていただきます。
  7. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまの説明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小野明

    小野明君 保安局長お尋ねをいたしたいと思いますが、その前に大臣お話の中で、まあ三十八年に三池が大災害を起こしたのでありますが、その後大臣としては、保安監督強化につとめてまいったというお話があったと思う。これがそのおことばのとおりに三池炭鉱において保安監督強化されておったかどうか、その点をひとつ大臣に御説明をいただきたいと思うのであります。
  9. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 政府三池災害以降、次のような対策を講じて炭鉱災害絶滅を期してきたところであります。  第一に、保安法規面において保安統括者制度保安監督員補佐員制度の創設と保安管理機構整備炭じん爆発防止のための規制強化及び退避訓練実施等を主たる内容とする改正を行なったのであります。  第二に、監督指導面では鉱務監督官の増員、指導課新設等機構面拡充及び一般巡回検査回数増加統合検査追跡検査の充実による監督強化をはかるとともに、鉱山における予防保安体制強化するため、各鉱山に毎年度の保安に関する総合計画を作成させて鉱山指導を行なっているのであります。  第三に、保安施設機器整備を促進するため、各種自動警報機保安専用機器について中小炭鉱補助金を交付するとともに、坑内保安施設整備のため無利子の保安融資制度実施し、また坑道掘進の促進をはかる補助金を交付しているのであります。  第四に、保安技術対策拡充し、技術基準の作成、ガス突出自然発火等災害防止技術開発普及をはかるほか、補助金を交付して炭鉱保安専用機器開発を促進しているのであります。  第五に、保安教育強化徹底をはかり、特に四十二年度から北海道、常磐、九州の三地域に鉱山保安センターを設置して救護隊訓練各種保安教育の強力な実施を期することとして、政府はその建設費について補助を行なうこととしております。  これらの保安対策については、政府としては鉱山保安協議会において学識経験者労働鉱業権者代表の審議を願い、その意見を十分尊重してこれを実施してきているのであります。鉱山保安を確保するためには人命尊重基本理念に徹して、まず各鉱山において労使相携えて自主保安体制を確立することが不可欠の前提であります。政府としては自主保安体制を強力に推進するため、今後とも監督指導体制を一そう充実するとともに、十分な助成措置を講じて災害絶滅を期してまいりたいと存じているのでありまして、大体以上のような方法をとって、その災害防止強化をはかっているのであります。
  10. 小野明

    小野明君 今回の三川の事故はきわめて遺憾であった、こういう御趣旨の表明があったと思いますが、大臣とされましては、今回の事故について、どういった原因でこういった大災害を起こした、さらにこれに対してはどういうふうな措置をすべきであるというようにお考えであるか、伺っておきたいと思うのであります。
  11. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) それにつきましては、いま原因究明事務当局に命じており、まあその原因がはっきりいたしまして、それによってそれが対策をはかるようにしたいと、こう存じております。
  12. 小野明

    小野明君 石炭局長お尋ねをしたいと思いますが、この冒頭二ページに月産云々と、こういうふうに書いてありますけれども、三十八年から今年度に至る出炭の量ですね、これには能率が書いてありませんが、その能率の上昇もあわせて御説明をいただきたいと思うんです。
  13. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) ただいま私手元に持っております三井鉱山生産数量でございますが、四十年と四十一年と四十二年しかいま持っておりませんので、あとまた御質問の数字についてはお答えしたいと思いますが、とりあえずいま手元に持っております数字で申し上げます。三井鉱山全体で申し上げてもどうかと思いますので、三池炭鉱ということでよろしゆうございましょうか。
  14. 小野明

    小野明君 はい。
  15. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 四十年の三池炭鉱実績は五百六万一千トン、能率は五十・九トンであります。それから四十一年度の生産実績は五百四十八万四千トン、能率は五十四・五トンでございます。四十二年度へ入りまして、九月が一部推定を加えておりますが、四月から八月までの実績に基づきまして、上期の数字として申し上げますと、生産量で二百四十六万八千トン、能率で五十一・二トン、四十一年度の実績能率よりはだいぶ下がっております。それから生産量はいま二百四十六万八千トンと申しましたが、おおむね四十一年度の実績よりも下回っております。
  16. 小野明

    小野明君 三十八年と三十九年は手元に資料はないわけですか。
  17. 中川理一郎

    説明員中川理一郎君) 三十八年がございませんが、いま三十九年度がございましたので、ちょっと申し上げます。  生産実績が四百三十七万七千トン、能率が四十七・六トンでございます。
  18. 小野明

    小野明君 大体原因は、今度は保安局長お尋ねをしたいと思いますが、原因自然発火であろうと、断定ではありませんけれども、推定が強いと、こういう御説明があっておったのでありますが、その自然発火説を裏づけるものとしてどういった事実があるのかですね、それをひとつ説明をいただきたいと思います。
  19. 西家正起

    説明員西家正起君) 当初火災が起こりまして、煙が出ましたときには、途中に電気のスイッチのある個所がございまして、あるいは電気から発火したのではないかという疑いがあったのでございますが、その後中に入りましたところ、電気設備は何とも変化がございませんで、さらにその奥のほうに火源があったわけでございますが、現在考えておりますのは、その間には電気その他発火物がないわけでございます。ただ燃えるものといたしましては、石炭と若干の木のワクがあるだけでございまして、したがいまして、石炭自然発火をしたのではないかという疑いが非常に濃いわけでございます。
  20. 小野明

    小野明君 あなたのこの災害報告というのはきわめて平板に書かれておりまして、これでは事故がなぜ起こったかというような疑問さえ感じさせられるわけですよ。それで、そういった点がきわめて不十分といいますか、そういった気持ちを持たざるを得んのですが、現地鉱山監督局ではかなり突っ込んだ原因究明というものが行なわれておるのではないか、こう考えるわけです。で、その点をひとつわかっておれば、あなたが把握しておられるならば、初め述べられたような親切な説明ではなくて、再度ひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  21. 西家正起

    説明員西家正起君) 現地監督局長以下現地へ参りまして、坑内にも入りまして、火災の現在燃えております場所を大体縮めていってまいったわけでございまして、その範囲は、先ほど申しましたゼロ片材料坑道、これは現在材料には使っていないのでございまして、もっぱら通気のみに使っておる坑道でございますが、はなはだ図面が簡略で申しわけないのでございますが、ゼロ片材料坑道と一番右の三百五十メートル坑道と交わったところがございますが、この位置からずっとゼロ片材料坑道に沿いまして左のほうに参りまして、またこの左のほうで三百五十メートル坑道とゼロ片材料坑道との間につながっている線がございます。ここは十分に入れるわけでございますが、この交わっているところから四十三メートル右のほうのところまで入れるわけでございまして、この二カ所の間が燃えておることは事実でございます。それでこの間にはこの材料坑道まん中辺から左のほうは岩石が出ておりまして、そのまん中から右のほう、三百五十メートル坑道と交わるところまでは石炭の中に沿層坑道として掘られておるわけであります。この坑道は従来はこの下のほうに採掘あとがあるのでありますが、その採掘をいたします場合の材料坑道に使った坑道でございますが、これは先ほど申し上げましたように、現在は通気だけにしか使っていないわけでございます。それで、したがいましてもう一カ所、ちょっとこの図面は確かに簡略でございますが、このゼロ片材料坑道と若干クロスをいたしまして、次の第二図をひとつごらんになっていただきたいのでありますが、このクロスをいたしましてチョウのような形をしておりますしるしがございますが、これが過去において密閉をいたしておりました場所でございますが、この一番右の縦の線になっておりますが、これが昔二十一卸と申しまして、下のほうの採炭個所採掘いたしましたときに使った坑道であります。それでその旧坑と斜めに一カ所交わっているところがありますが、この交わっているところで一応旧坑とゼロ片材料坑道とはつながっているわけでございます。ただ密閉をいたしておりまして、現在は完全に分離されておりますけれども、そういうような状況になっておるわけでございます。したがいまして、この間で火源があるといたしますと、燃えるものは石炭木ワクしかないわけでございまして、したがって、この坑道に面しておる石炭自然発火したのか、あるいは若干旧坑道につながっております旧坑のあとからの自然発火であるか、その辺はまだわからないのでございますが、どうもこのクロスしたところの辺の石炭自然発火したのではないか、こういうふうに現地では見ておる次第でございます。
  22. 小野明

    小野明君 その自然発火については防止をするように保安上いろいろきめられておると思うのですね。たとえばビニールやボタあるいは岩粉を散布をする、あるいは不用な坑道密閉するということでこの措置がきめられておると思うんですね。この場所のゼロ片材料坑道の点検というものが常時行なわれておったか、あるいはいま申し上げたような自然発火防止するような措置が行なわれておったかどうか、この点はどのように見ておられますか。
  23. 西家正起

    説明員西家正起君) 自然発火のおそれが多い場合には、ただいま先生のおっしゃいましたように、いろんな処置をすることになっておるわけでございます。この個所は実は先ほど申しました縦に通っております線の下のほうの採炭個所で過去において自然発火をしたことがございます。したがいまして、そういう意味で先ほど図面説明申し上げましたような密閉個所があるわけでございまして、この密閉個所につきましては、大体毎日一回見回りまして、その中のガスの状態、温度等を測定することになっておるわけでございまして、毎日巡視する必要があるかと存じております。
  24. 小野明

    小野明君 私がお尋ねしておりますのは、このゼロ片材料坑道を点検しておったかどうか、その事実をお尋ねしておるわけです。
  25. 西家正起

    説明員西家正起君) 申しわけございません。このゼロ片坑道を通りまして——この密閉個所調査をするにはゼロ片坑道を通らないことには行けないことになっておりますが、このゼロ片坑道の巡視につきましては、大体毎日やっておりまして、その災害発生いたしました前日も午前十時にこの密閉個所の観測をいたしております。
  26. 小野明

    小野明君 あなた、そのことを事実そうだとお考えになっておるんですか。実際回っておるだろう、こういうふうにお考えになっておるのですか。
  27. 西家正起

    説明員西家正起君) 現地の調べでは、そこで観測した数値が自然発火を記入いたします帳簿に記入されておるわけでございます。したがいまして、私たちは、ただ自然発火といたしますと、徴候がかなり前から出るのが普通でございます。したがいまして、前日の十時に回っておりました場合には、あるいは徴候がわかったのではないかというふうなことで非常に疑問は持っておる次第でございます。
  28. 小野明

    小野明君 だから帳簿だけで回った、こういうふうに断定するのは誤りである、これははっきりしておりますね。それからあなたがおっしゃるように、自然発火の場合は事前の徴候が必ずあるわけですね。実際に回っておれば、少なくとも保安に従事する方だったら、そういった事実が報告されておらなきゃならぬ、こういう事実について、あなたは帳簿だけではなくて実際どうであったか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  29. 西家正起

    説明員西家正起君) 実際に回ったかどうかにつきましては、現在各方面からの供述調書その他等で明らかにしたいと考えております。なお、自然発火徴候その他につきましては非常にむずかしい問題がございまして、普通はだいぶ前からわかることが多いのでございますが、たまたまここは人気坑道で毎分千立米の風が通っております。したがいまして、あるいは表面が非常に冷やされておりまして、発見がむずかしかったんじゃないかということも一応考えられますけれども、その辺を含めまして、全般的に実際に回ったかどうか、これを調査をいたしたい、かように考えております。現在調査をいたしておる最中でございます。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 私あとお尋ねしますが、一つだけ関連してお伺いしておくのですが、目下調査中であるとおっしゃるからそれでけっこうです、結論をこの次の委員会でお聞かせ願いたいわけですが、いままで、いかなる炭鉱の大きな爆発、小さい災害が出ても、明確に原因が明らかになったことはないわけですよ。抽象的な結論しか出ない。特に今度の三池のいま小野委員お尋ねしている災害密閉してしまったんでしょう。一カ月して中の火が消えてしまうか、あるいは二カ月燃えているかわかりませんよ。私その坑道がどういう坑道だかわかりませんけれども、鉄管もあったかもしれませんよ、ケーブルもあったかもしれませんよ。しかし、いまボンボンと中でくすぶっておるわけですから、おそらく五十度や八十度の熱ではないと思う。何百度の熱でくすぶっておるわけですよ、何ヵ月か。いまでさえわからないのにどういうふうにして局長わかりますか、現在でさえわからないのだから。両方密閉して炭がまの中に入れたようなことになっているのだから絶対わからないのですよ。いつもあいまいもことして結論を出さない、ついにああでもないこうでもないといって、ただの一回でも結論を出したことがありますか。特に小野さんの質疑応答やっているのを静かに聞いておれば、自然発火云々という、こういうことばですがね、確かに三池の今度の災害が起きたところは三池炭の中でもカロリーが高い。しかし、日本であすこより千カロリーも二千カロリーも高い長崎の高島炭鉱、あるいは北海道夕張炭鉱、それから赤平炭鉱、こういうところで自然発火が起きても、ずっと前からわかりますよ。突然自然発火——ガソリンをまいてマッチでボンと火をつけるようなことでない、温度が上がってくるか、においがしてくるか、火がチョロチョロして燃え出すか、絶対わかる、あなた何と抗弁しても。三池保安職員の人を呼んできても、ちょっと差しさわりがあるから言わぬかもしれませんけれども、ほかの住友でも北炭でも、炭鉱会社保安職員を呼んで聞いてみなさい。自然発火はいきなりボンと起きてくるかどうか、はっきり三日も四日も前からわかります。あなたのところの職員が一週間前あたり行ったというじゃありませんか。これは自然発火が危険だと思ったら密閉させればよろしい、密閉させぬところをみれば安心感があったのかどうか、とにかくおかしい。ですから、国会でやっつけるとかやっつけないとかでなく、もう少しすなおに私はものを言ってもらいたい。そんな子供だましのような、ここの委員会だけ終わればいいというようなことでは、この次また災害が起きます。もう少し、経営者はいいとか、保安局の監督が足らなかったとか、これはあとで倉田さんを呼んでもらってお話をしようと思っておりますが、もう少しまじめに、自然発火というものはどういう条件のときにどう起きるかということは、あなた方の保安局でも大学を出てから二十年、三十年のベテランの監督官もいるはずです。わからないという小野さんとの一問一答はおかしい。あと小野さんが終わってからお尋ねしますが、もう少し真相に触れた親切な答弁をしてください。
  31. 西家正起

    説明員西家正起君) 最初に申し上げましたように、確かに自然発火だといたしました場合に、事前にわかることが普通だとわれわれも考えております。で、先生の御質問になりました実際に回ったかどうかにつきましては、これはいろいろな観測値の究明とか、その他いろいろな点で捜査をする必要がございますので、その点はその点で別途追及いたしまして調査をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  32. 小野明

    小野明君 そうなりますと、なかなかこれはむずかしいのですが、では、このゼロ片材料坑道を、これは保安上見て、いまこれは通気のみに使用されておるわけですね。そうすると、大体この坑道を残しておくことが必要であるかどうか、もちろん自然発火を防ぐためにはここを密閉しておくべきではないか、聞きますと、この坑道はすでにもう終掘で使っていないということでもありますし、その点の保安上の見解はどうなるわけですか。
  33. 西家正起

    説明員西家正起君) 実はちょっとこの図面に抜けておるのでございますが、三百五十メートルの人気が約四千ございます。そのほかに、この途中で宮ノ浦坑の百八十メーターから約二千の人気が入ってきておるわけであります。合わせますと六千ということになるのでございますが、六千を通しますと、現在の三百五十メートルの坑道では風速が規則できめられた風速よりも、若干制限速度よりも多くなるわけであります。したがいまして、風を一部千立米を従来からございました坑道を通しまして分流いたしまして通しておる。これが現状でございますが、これが若干三百五十メートル坑道の速度が速くなりましても、監督局長の特別許可という制度もございますし、あるいはこの坑道密閉しておいてもよかったんじゃないかという感じはあとになって結果的にはいたしておる次第でございます。
  34. 小野明

    小野明君 それはむしろこの通気だけに使われるために、もちろん三百五十メートル坑道はいつも回るけれども、ここのところはむしろ保安職員も回らなかった、こういう疑いが出ないんですか。回らなかったんではないか、点検がルーズになっておるんではないかということにはならぬですか。
  35. 西家正起

    説明員西家正起君) 三百五十メートル坑道は電車坑道でございまして、電車がひんぱんに通っておるような坑道でございますが、このゼロ片坑道はやはり旧坑につながる密閉個所のある個所でございますので、これはやはり毎日一回は回るべき個所であると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 小野明

    小野明君 回るべき個所ではあるが、これは先ほどからの継続になるのだが、いま阿部先生からもいろいろ説明があったんだが、回っていないんではないかという疑いはあなたお持ちになりませんか。
  37. 西家正起

    説明員西家正起君) そういう疑問は持っております。が、なおよく調査をさしていただきまして、この点ははっきりしたいと考えております。
  38. 小野明

    小野明君 もう一つ。いま考えると、このゼロ片材料坑道密閉すべきであった、こういう御見解ですか。
  39. 西家正起

    説明員西家正起君) 事前の段階におきましては、やはり通気の分流をいたしませんと主要坑道の風速が速くなります。したがいまして結果的に考えますと、あるいはそういうことのほうがよかったということもございますが、事前の段階におきましては、やはり全部三百五十メートルを通しますと、保安規則で定められました制限速度をオーバーいたしますので、やはり初めから密閉すべきであったというふうにはなかなか言えないのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 小野明

    小野明君 それでは、災害発生後にいろんな指示が出され、救護隊等も出て行っておるのでありますが、この辺でいろいろな指示に手違い、あるいは安全教育が不足しておりますために間違った指示、こういったものがあったやに聞いておるわけです。その点はあなたのほうとしては、何も報告には出ておりませんが、どういった事実を調査をしておられるのか、ひとつ率直に述べていただきたいと思うのです。先ほどみたいに自然発火の問題でいろいろこちらから質問が出まして、初めて少しずつほんとうのことを言うというようなことではなくて、これは現地の新聞にも出ておるわけですから、その点をひとつ述べていただきたいと思うのです。
  41. 西家正起

    説明員西家正起君) その点につきましては、警報の装置といたしましては、坑内に電話線が二本通っておりまして、伝達の装置といたしましては十分であったのじゃないかと思いますが、なお係員が具体的にどういう指示を中におるものにしたのかということにつきましては、これはもう厳重にこれから各方面の供述調書をとりまして調べたい、こういうふうに考えております。ただ鉱山救護隊の活動がその後に行なわれておりますが、鉱山救護隊は九月二十八日の午前七時五分に招集されておりまして、これは三川鉱のほかの救護隊もございますが、全部そろいましたのが、一番早いのが七時半に入坑をいたしております。そして災害個所の探検とか罹災者の救出に従事しておりまして、九時五分から二十分までの間に上層の二十六卸というところで生存をしておりました二名を救出したわけでございます。それから残りの下名につきましては、煙がありましたために奥部に進入することが非常に困難であったために救出がおくれまして、救出をしたときにはすでに死亡しておったという状況でございます。鉱山救護隊といえどもなかなか——鉱山救護隊をまた殺すことが非常に心配でございまして、この際は非常に活動が純かったような印象でございますけれども、やむを得なかったのではないかというような感じはいたしておりますが、ただ五時四十五分に災害発生いたしまして、救護隊の招集が七時五分であったということにつきましては、まあこういう場合については少しこれは招集がおそかったのじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。なお各人にどういう退避命令がいったのかということにつきましては、厳重に供述調書等で取り調べまして全貌を明らかにいたしたい、こういうふうに考えております。
  42. 小野明

    小野明君 どういう退避命令が出たかというような点についてはまだ調査をしていないわけですか。
  43. 西家正起

    説明員西家正起君) 現地では、災害の救出と密閉等の監督がございまして、大ぜいの方から供述調書をとる作業がおくれたかと思いますが、現在鋭意そっちのほうの調書をとっておるような状況でございます。したがいまして、現在までのところ、まだ私のほうでは把握していない状況でございます。
  44. 小野明

    小野明君 これはあなたのほうとしてはどういった指示がなされ、その指示がどういうふうにおくれた、どういう誤りがあったと、こういうような点をあなたはきちっと、私は責任者ですから掌握しておるものと思った。しかし、救護隊がおくれたとか、これは決定的な事実なんですが、そのことだけしかおっしゃらぬわけですね。ところが、現地のほうではこう言っておるわけです。現場の係員はただ上がれ、こういった指示だけであって、そうして火災場所、退避経路、マスクの着用なども指示をしておらぬ、いなかったのだ、だから退避連絡もおくれておる、係員のもつと的確な指示があれば犠牲者は出なかったはずだ、こう言っているわけです。これは自然発火の予防措置と同時に、こういった点も大きく私は犠牲者を出したいわば保安教育の不徹底、保安サボといったものがこういう結果を呼んでしまったと、こういうふうにしか思えないわけです。これは現地の人のことばですよ、いま申し上げておるのは。しかも、宮ノ浦の連絡坑道で三時間以上も退避させられておった。その間にガスを吸った、上司からの命令がないからという理由だったが、人事を使えば十分間で昇坑できたはずだ、こういう現地の被災者のなまなましい声があるわけです。こういう災害発生から退避までの非常なふなれといいますか、誤った指示、こういったものが犠牲を拡大していった、こういうふうにしか私は考えられぬのですが、その辺は現地に何人か行かれておるのですが、報告はあっておりませんか。
  45. 西家正起

    説明員西家正起君) 具体的にだれがどこからという、退避をしろといった内容は、こまかい実際に言った内容につきましては供述調書をとりまして明らかにしたいと思いますが、現地から来ております連絡では、一応二十六卸の上層に働いておられる方々は、これは三百五十メーター坑道あるいは四百五十メーター坑道の入気坑を通じて指導して三川坑のほうに上がらした。それから奥の本暦三十六卸におられた方、あるいは上層の三十六卸におられた方は宮ノ浦坑に通ずる入気坑を通りまして表へ避難をさせた。こういう一応の概略の報告は参っておりますが、実際に末端の係員が各労働者にどういう指示をしたかということについて、先ほどまだはっきりしたことを調べていないと申し上げましたので、大体の連絡系統はそういうことで、ございます。  それから上層の三十六層で確かに三時間ばかり中で退避しておったということは、現地から報告を聞いております。ただ上層の三十六層のところは入気になりますので、そこは比較的安全なところであったというふうに現地から報告は聞いております。
  46. 小野明

    小野明君 最初にあなたが言った問題の二十六卸坑道ですね、あなたのところに来ている報告はそういう報告ですか。これはこの二十六卸坑道の避難のしかたに一番問題があった、こういうように現地の人は言っているわけです。これはですね、この卸の付近の四百五十メーター坑道におった人が四十七人、それでこれがまだ二人この内部に残っておったということがわかって、この二十六卸から採炭現場に行く四目抜きの坑道通気門をあけて、そうしてこの現場の煙を薄くして救出をしたと、これまではいい。このあとですね、会社の坑内係員がこの開いた通気門を閉じてくるように指示をした。これを締めに戻った五人のうち阿部次郎、吉田安之の二人が死亡している。これはですね、この通気門についても、避難するためには締める必要はないのだと、こういう判断をしておるわけです。ですからこういった誤った指示によって犠牲者が出ている、こういうことが私が聞いております現地の人の声なんです。だから非常に的確な指導というものがなされていない、この点に非常に問題があるのではないかと、これは一つの例ですけれどもね。そういうことで現地からのそういった個々具体の問題が、あなたのところにはさらに詳しく報告が来ているはずですが、いかがですか。
  47. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまの点につきましては、実は現地でも私もそういうお話を聞きまして、これにつきましては徹底的に調べると、こういうことで監督局に指示をしてまいっておりますので、ただいまのところまだその報告が参っておりませんような次第でございます。
  48. 小野明

    小野明君 徹底的に調べるといっても、災害発生時に行って、いろいろな人から聞くことが一番的確なんじゃないですかね。いまからやるなんて言ったって、これはとてもこの当時から離れていますから、的確な当時の現状把握ということはできないわけですよ。そういった問題について、あなたはきょうの委員会に出る前に、どこどこに誤りがあった、ここにミスがあったというような点については結論を出しておられぬわけですか。  続いて申し上げますが、この指示だけでも、現場の係員ですか、このマスクの問題一つ取り上げても、マスクのあるところまでやはり五分から七分かかるというのですね。で、マスクは全部ない、自分だけ使うのにも気がひけた、こういうマスクの配置等にも問題があるし、先ほど申し上げたように、ただ上がれと言うだけで、どこからどうやって上がれと、こういうような指示がなかった。あるいは数十名、数百名の人が三時間もじっとおらされる、まるでしろうとが指導しているような指示ばかりしかやっていないわけです。そういう事実がいろいろあるのですが、あなたのほうで、ここに問題があったというふうに的確にこうとらえておられるのではないのですか。その辺をひとつ話してください。
  49. 西家正起

    説明員西家正起君) 災害の大体の概要につきましては、報告は来ておりまして、その後もわれわれ大体毎日夜を徹しまして福岡との連絡をいたしておるわけでございます。ところが、実際にはやっぱり罹災された方も相当な数に上りまして、それぞれの職場ごとに分けまして、各人から広くお話を聞きまして、その結果どういうことになっておるかということの全貌を明らかにしたいということでございまして、一酸化マスク、COマスクにつきましても、各人からどのくらいの位置にCOマスクがあったかということは、個別に一人づつにつきましてはまだ現在では把握していないのでございます。ただCOマスクが少なくとも遠くにあるよりは、自分の手元に各人が持っておったほうがはるかによかったというようなことは現在考えておる次第でございます。したがいまして、こまかい全貌につきましては、はなはだ申しわけないのでございますが、監督官が全部の人間の供述書をとる関係がございまして、逐次断片的には入っておりますけれども、全貌をつかむまでには現在至っていないような次第でございます。
  50. 小野明

    小野明君 そうしますと、マスクの配置には確かに問題があった、こういうふうにおっしゃるわけですね。それと、マスクの性能についてはどうですか。
  51. 西家正起

    説明員西家正起君) 現在三池炭鉱で使っておりますマスクは、SR10型というマスクでございまして、これは通産省の技術試験所で検定をいたしまして使わしておるものでございます。これの性能は一%のcoガスを通した場合に、普通はCOがCO2になるわけでございますが、六十分たちますと、〇・一%のCOガスが通っていく、こういうような試験検定をいたしておるもので、ございまして、短時間の間につきましては、かなり有効なものであるとは思っておりますが、ただ、どうも個人が持ち歩きました場合に、中の薬品が衝撃で砕けまして働きを失なうという可能性がございますので、これは定置式にしておるわけでございまして、今後持ち歩きのできるようなSR10E型というマスクを通産省から補助金を出しましてメーカーにつくらせまして、各炭鉱でも実際に使わしてみて、いいということがわかりましたので、ことしの二月ごろから市販をいたしておるわけでございます。これも従来のものよりも性能がよいようでございますから、逐次取りかえるような方向に行政指導をいたしまして、今日まで来ておるようなわけでございます。なお、今後は個人携行ということになりますと、絶対にいままでのマスクじゃだめでございますので、改良型を持たせる必要がございますので、これを至急メーカーが小さいのでございますけれども、生産能力を増強させるようなことも一応は当たっておるわけでございます。なおまた個人携行ということになりますと、規則改正ということが、ございますので、保安協議会等にもはかりまして、今後も前向きに処置をしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  52. 小野明

    小野明君 このマスクで三十分以上は無理だということがはっきりしておると思いますが、その点は今度のことで、たとえばくわえて走っていく、こういうことではとても一時間などと言われたものじゃないということになっておるんですが、こういう性能問題を最後に聞きたいと思うんですが、どうです。
  53. 西家正起

    説明員西家正起君) 検定では六十分程度はもつということになっておりますが、吸っている場合、非常に温度が熱くなるわけでございます。それは改良型につきましてもそういう傾向があるのでございますが、口元が非常に熱くなる傾向がございまして、大体いまのところ短時間でということに限って使っておったようなわけでございます。今度の改良型につきましても、熱くなる点につきましてはあまり改良はされないので、さらにもっと熱くならぬような改良型もあるいは考えなくちゃならぬかと考えておるわけでございます。今度の改良型につきましては、一応九十分というような検定をいたしておりまして、改良型につきましては、大体諸外国のソビエトあるいはドイツというようなものと同じような性能になるかと思います。現在使っておりますのは、そういう意味では若干性能は確かに落ちておったわけでございます。
  54. 小野明

    小野明君 最後に、今度のこの事故自然発火ではないかという疑いがある。自然発火が出てくるいろいろな点検がされていなかったからこういうことになるのだという問題、あるいは災害発生から、少なくともあなたが認められたのは救護隊の出動が二時間近くもおくれている、あるいは一時間半ですか、五時四十五分から七時ですから一時間十五分おくれておるという事実、あるいはいろいろ係員の指示が、この問題も報告はあがっていると思うのですが、私どもが現地でお聞きをし、現地の新聞報道を見る限りにおいては、とんちんかんな指示、誘導ばかりやっておるわけですね。こういった面から見て、あなたは保安の責任者として、この三井鉱山という会社が常に保安訓練をしておるかどうか、保安状況が良好な会社であるかどうか、その辺についてはあなた自身としての判断をお持ちであろうと思うのです。その点は、特にまた三十八年にあれだけの大災害が起こった会社でもある。しかも最初にお尋ねをしたように、能率からいっても、ほかの会社には見られぬくらいの災害以後能率が上昇しておる。こういうところから見て、やはり保安が忘れ去られておったのではないか、こういう感じを私は深くするのですが、あなたの御見解をお聞きをしたいと思うのです。
  55. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまの退避訓練の件でございますが、私ども調査いたしましたところによりますと、二月と五月と八月にそれぞれ職場ごとに退避訓練を会社は実施いたしております。したがいまして、規則では六カ月に一ぺんやることになっておりますが、大体その程度の訓練はいたしております。問題は先生のおっしゃいましたように、実際に身にしみた、各人の身に伝わるような訓練が行なわれたかどうか、こういう点につきまして鋭意徹底的に追及をいたして調べたい、こういうふうに考えている次第でございます。  なお、三池炭鉱全体の保安の問題でございますが、三十八年に大きな事故を起こしまして以来、逐次三池といたしましては少しずつ保安成績はよくはなっておるわけでございますが、ただ現在でも全国大手、中小平均をいたしましたものと比べますと、それよりは悪いような状態になっておりまして、私の考えといたしましては、三池炭鉱保安状況は必ずしもまだよくないというふうに考えておる次第でございます。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 保安局長、就任されてから間もないわけですから、いかに勉強されてもそうその北海道から九州の全部の炭鉱を把握されるということはこれは困難ですが、しかし当面の責任者ですから、あなたに対してはたいへん気の毒なんですが、二つ三つお尋ねするのと、私の意見も申し上げたいわけです。  これは保安局長御承知のとおり炭鉱ばかりでない、あらゆる場合にこれは使うことばですが、部隊長が悪ければ部隊が全滅する、こういうことばがございますね。したがって、いままで小野委員とあなたの答弁で明らかになったのだが、事故が起きて周章ろうばいしてなすところを知らなかったのではないか。小野委員ことばの中にもございましたが、完全に保安訓練をして、もしこういう事故があったらここへ逃げなさい、こういう事故があったらこういうところへ逃げなさい、たいていどの山でも現場係員あるいは現場の責任者を中心としてちゃんと一人一人が、坑内に入るとばらばらになるわけですから、集団のときもありましょうが、ばらばらになるわけで、徹底的に訓練をしておくわけですよ。そうしますと、ドーンと起きたガス爆発とか、あるいは炭じん爆発だったらやむを得ないとしても、この種の災害ですと、みな外へ出れますよ。私の言うのは結果論かもしれませんけれども、出れますよ。あなたもそういう点は理解していただけると思うのです。いまマスクの論争が出ましたけれども、いま確かに二十五分か三十分くらいしか持たぬでしょう。しかし、煙ですと、いま坑内に入る人はタオルを持っていますよ。その災害の起きた現場に水があったかどうか知らぬけれども、水でタオルを浸してほおかぶりしただけでも、五分や十分煙ですと大部分だいじょうぶですよ。特に最初は一酸化炭素が入っておらぬから、だんだん燃えるに従ってやはり完全燃焼がなされないものだから一酸化炭素が充満してくる。ですから、COが入ってこない前の煙だったら、四つんばいになっても逃げれますよ。これは完全に訓練をしておったら逃げれたのじゃないかというぼくは気がするのですよ。ぼくの言うことが誤っておったら、阿部さん違いますよとこう言って指摘していただきたいのですよ。ぼくは完全に訓練をしておったら逃げれたと思いますよ。いまより六年か七年前になりますが、大辻炭鉱——九州にいまでもありますが、スイッチ座に火がついて燃えた。所長以下さあたいへんだというので坑内に入った。最高責任者の所長も課長も全部入ったから責任者がおらない。扇風機はがたがた回っておったから風がどんどん入るので、燃焼が広がってきて、所長以下十七人も全滅したことがある。それと一緒で、今度も扇風機とめたかどうかわかりませんけれども、これはやはりその処置について、結果論だからあまり言いたくございませんけれども、小野さんとあなたの質問と答弁を聞いておると、周章ろうばいして助かる人までまことに気の毒だが蒸し殺しというか、もう蒸し殺しですが、そういうことになったのじゃないか、私はこう思うのです。もし、私にあやまちがあったら指摘していただきたいのだが、そういう点が第一点にお伺いしたい。  それから扇風機はとめたのですか、とめなかったのですか。六千立方の風が入った、こうおっしゃるのですがね。
  57. 西家正起

    説明員西家正起君) 先生のおっしゃいましたような指示が適切であれば助かったかどうかという点につきましては、実は私の正直なところでは、現在の報告その他から見まして、まだ判定が非常にむずかしいということでございます。  それから待避訓練につきましても、実際には火の起こる場所がどこで起こるかということもございまして、起こる場所によりまして逃げる道が変わったりすることにもなるわけでございまして、その辺の訓練はよほどよく平素からやって、人気、排気の関係等もよく労働者に周知をさせましてやらなければいかなかったのじゃないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから扇風機の件でございますが、災害発生後七人の方、二人の方は上に上がられまして死亡されたのですが、あと五人の方の遺体の発見にかなり時間が手間どりましたので、そういう関係で扇風機はとめていないで通気は中に送ったままでございます。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 坑内火災でも風がなきゃとまるわけですからね。そこで扇風機をとめたからといって、いきなりそこがぴしゃりと——風は六千立方もあるのですから、COが自動的に流れても、扇風機をとめれば風がそこでとまるから煙は流動しませんよ。それは五分か十分かかるでしょう、完全静止するまで。あなたのこの図面には三川坑図面しかない。しかし、三川と宮ノ浦と貫通して風を通して両方交互にうまく使っているのですから、こういうところに問題がある。  それからもう一つ、三十八年の災害のときに三川で大爆発をやっておる。片方の宮ノ浦のほうでは、大爆発が起きた以後何時間も全部坑内を逃げぬで仕事しておる。さいぜん、あなたのことばじり取るようでぐあい悪いけれども、三菱とか住友より悪いでしょうと、こうおっしゃったが、ろくすっぽ保安の保の字もやっていない。それで極端な話になりますが、全九州の中小炭鉱、こういうのを含めた平均の負傷者、犠牲者、あるいは重軽傷者、その率よりも三池炭鉱のほうが多いのですよ。これは私よりあなたのほうが正確なはずだ。三池炭鉱は東洋一であって、東洋一であるから日本一、こういうりっぱな炭鉱が中小を含めたところよりも犠牲者が多くて、重傷者、軽傷者が多く出るなんということは、私どもの常識では考えられない。あなたはまあおなりになったばかりですから、数字を御検討なさったことないかもしれませんが、そういうことが相次いで、前のときでも、それからいままで過去三、四年間のいま申し上げました負傷者の率、今度の災害、こんなのを見て、私どもは大臣なんかにものを言うのはばからしい、こう思うのですけれども、黙っておればますますけしからぬことになるから言わざるを得ない。歴代の大臣災害が起きたときの劈頭の言われる原稿を読んでみなさい。自後はかかることをやりませんと、何回ぼくらは聞いたか。しかし、実際問題が起きておる。ですから、これはさいぜんも関連質問で申し上げましたが、もう少しすなおな気持ちで保安を守っていかなければならぬというような気持ちになれぬものかどうか。いま調査中だなんて、これは局長、永久にわかりませんよ。いまわからぬぐらいですと、灼熱地獄で密閉したところは何もなくなって、すっかりもうこれが鉄であったか、ゴムであったか、石炭であったかわからなくなって、がたがたになっておる、それをあなたどうして調べますか。それから保安日誌、あるいはあなたのところの法律の定めに従って三井のほうでも規定がございましょう。その規定の帳簿なんか簡単なもので、何時何分どこを巡察して、湿度が何で空気がいつから流れて、見ようと思ったら簡単ですよ。そんなものは一時間もかからぬで一週間分ぐらい見れるのですから。そういうことなんで、ぼくはそういう点をすなおにあなたにお尋ねしたい。  それからこれは労働省にお尋ねしますが、こういう災害が起きて、いま炭鉱は人が足らぬ足らぬといって、炭鉱労働者の平均年齢が四十二歳、四十三歳になって何ですから、盛んに若い青年労働者を炭鉱へなどとおっしゃっておるが、たとえば三菱の崎戸炭鉱が今度なくなる。したがって、崎戸炭鉱の従業員は、人が足らぬのだからそっちこっちへ行って働いてくれぬか、こういうことをやっておったとたん、まあ三池爆発でああまたかと、永久に炭鉱に行きません。こういうような状態ですね。ですから、これは労働省として労働者を守る立場にあるのだが、こういう事故が次から次に起きて一体どうなさるおつもりなんですか。全労働者のとにかく安全とか保安とか、衛生についてはあなたのほうで守っていなさる。ところが、坑内保安については通商産業省の鉱山保安局でやる。ですから、労働省としてどうお考えになっておるか、この保安法がいいものか悪いものか、法を改正しなければならぬものか、法を大体守っておらぬために起きるものか、そういうところを労働省にお尋ねしたい。労働省のこの種の係の局はどこの局ですか。
  59. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) この八月に安全衛生を専門につかさどる局といたしまして安全衛生局ができまして、私が局長になりました。で、私着任しましてから、三つ大きい災害がございますが、いずれも鉱山保安法を適用されている災害でございます。全くの白紙状態で議論をいたしますれば、私はこういった問題も労働省が所管すべき筋だと私は考えております、個人的に。しかしながら、現在におきましては通産省で所管され、鉱山保安法規がありまして、制度といたしましても、あるいは人員といたしましても、一般の安全衛生に関する体制より濃密な体制がしかれております。私のほうといたしましても、一般産業の安全衛生については努力いたしておりますが、それについて十分胸を張って誇れるような現況には達しておりません。したがいまして、現段階におきまして、鉱山保安を私どものほうに持ってくればより安全になるという確信は現段階においては持っておりません。かすに時日をもってすれば、あるいはそういうことも申し上げられるかもしれませんが、人命の問題はかすに時日は私は許されない、こういうふうに考えます。  それから最初に御指摘のありました人手不足の問題と災害の関係でございますが、この点は私は非常に深刻な問題になるのではないかと考えております。いままで安全はペイするというようなことを私どもも説いてまいりましたが、ペイするとかしないの問題ではなくて、産業そのものの存立にかかっていく、人の集まり方あるいは散り方というものが産業災害というものとの函数関係に将来は立つであろうということは私ども予想しておるのでございます。したがいまして、現在の鉱山保安法規に定められているところに従いまして、通産当局とも十分話し合いまして、私どものなし得る限りにおいてできるだけの御協力をしていきたいと考えております。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたがそうおっしゃっても、保安法によれば通産大臣には早川労働大臣が、保安局長には基準局長がもの申すことができるだけであって、法律がいつ改正になったかわかりませんけれども、あなたは責任も権限もないでしょう、省を代表して云々と、それは基準局長がやることでしょう。
  61. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) その点は改正になっておりまして、私のほうが所管いたしております。
  62. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次にもう一つ労働省にお尋ねしますが、世界各国のこの種の法律は、世界各国といったってそんなに百も百二十もあげてもらう必要ないのですが、たとえばイギリスとかフランス、ドイツ、イギリスは国営ですから別でしょう。ドイツとかベルギー、オランダあるいはアメリカ等はやはり——日本は二十四年にできてから十三、四回法律改正になっている。ところが世界各国はどうなんですか。省の名前は違っても、やはり保安法というような鉱山関係に関する部分は労働省的な省にあるのですか、ないのですか。
  63. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 私その点十分は研究しておりませんが、私の知っております限りでは通産系統がやっておるようです。労働省が所管しておるところは私は存じません。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま労働省から、これは大臣の御答弁でない、局長さんの御答弁ですから、自後局長さんから次官あるいは大臣に進言してその方向に持っていっていただきたいのだが、通産省としてどうなんですか。保安法を通産省のもとに置いて、通産省に保安監督官があるのだが、こういう事故が次から次へ起きて、皆さん方もいやでしょう、毎回毎回委員会で言われるのは。私どもも毎回毎回とにかくこういうことを申し上げるのはいやですよ。しかしながら現地の状態を考えると、もう十倍も二十倍も申し上げたい。そうするとこのままでいいのかどうなのか。事故が起きたたびに、さいぜんの菅野通産大臣お話のように、自後改めます、こういうことなんだが、それを聞いて、委員会が終わったらあと何もやらないというのが実態でしょう。こういうことで通産当局としてはこのままでいいのかどうか。
  65. 栗原祐幸

    説明員(栗原祐幸君) 先ほど来阿部先生、小野先生の話を聞いておりまして、非常に私どもも考えさせられるわけで、ございまして、私自体といたしましても、非常に深刻なこれは問題として受け取っているわけです。ただ従来から内閣の見解あるいは通産省の見解として申し上げるところは、いわゆる生産と保安というのが一体である、いわゆる人命尊重ということが基本でございまするし、また現在の場合、生産を上げるというためには保安というものが確立されていなければ、先ほど先生おっしゃったとおり、労働者も集まりません。大事故が起こりますと、それによって労働者の方々の人権が侵害される、あるいは家族の方々がお困りになるのみならず、会社としてもこれはたいへんな損でございます。そういう意味合いからいたしますと、保安と生産というものは一体でございまして、生産本位で独走できるものではないと思うのです。そういう意味合いにおきましては、いろいろの考え方がございますが、従来どおり通産省が生産と保安というものを一体化して、先生方の御注意あるいは皆さん方関係の方々の御支援をいただきまして、労使協調して保安に協力していただく、そういう線でやっていただくのが現実的な考えではなかろうかと、かように考えている次第でございます。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ通産政務次官、抽象的なことではなしに、災害は皆無が最も望ましいし、皆無にしなければならぬが、坑外で働いていて指を骨折したとか、足にハンマーを落したというけがもある。しかし、いまのような状態ではこれはどうにもならぬですよ。ぼくなどは気が短かいから、炭鉱全部おやめになったらどうですか、そうでなかったら災害なくなりませんよと、こういうことを言いたいのだが、もう少し具体的に、一体どうしたら減るか。確かに戦争中、戦争以後今日までなくなった人の数は減っております。しかし当時は五十万人もおったんですからね。いまは五万人ですからね。けがしたり、あるいはなくなった人は少ないけれども、率からいくといまのほうがはるかに多いですよ。こんなばかな話はないですよね。確かに千名のものが五百名になったけれども、しかし五十万のときの千名と五万名のときの五百人じゃ、それはたいへん極端な例になるけれども、何名の犠牲者が出たかということはいまのほうが率ははるかに多い。こういうことであっては、どうもこれは総理大臣のいつも生産と保安とは車の両輪である、生産第一主義は絶対やりませんということは、現実に生産が上がればけが人がふえていくわけですね。さいぜん申し上げましたとおり、これは統計が示しておるんですから、内閣統計局の。それからもう一つ、これは現地に行ってきた課長さんの御答弁でもけっこうですがね、あそこに第一組合と第二組合とありますね。しかし、いま次官の御答弁の中にあったように、これはみんな協力して保安を守らなければならぬ。この事故が起きたときに、第一組合長とか第二組合長から、あるいは保安監督員から保安監督補助員というのがおるはずです。そういうのが全部災害が起きてたいへんだということで、組合幹部に招集をかけて、第一組合長、これは協力頼むぞ、第二組合長、これはこうだから頼むということで鉱業権者なり保安統括者——所長が中村さんですね、その人がそういうところで組合幹部を集めて対策を立てられたんですかどうですか、協力せいと。賃金闘争では、けんかはけんかだが、これは天下の一大事だから第一組合もない、第二組合もないということで、中村文平さんが委員長になって第一組合長が副委員長だということでやられたんですか。ただお前さんはお前さん、私は私でやったんですか。そのあたりどうなんですか。ただ保安を守るという美しいことばだけではこれは承知できませんよ。
  67. 西家正起

    説明員西家正起君) その点につきましては、先ほどもだいぶしかられてまいったんですが、災害発生密閉をする前の段階に至るまで保安委員会というものは開かれなかったようでございます。私どもといたしましては、当初直接消火をいたしておったんでございますが、現地の久良知局長、それから石炭課長も現地の中まで参りまして、直接消化が非常にむずかいという状況になりましたので、これを密閉したということでございます。で、その間鉱業権者保安委員会等は招集したことはなかったというふうに聞いております。そのほか、中の保安点検につきましては、これはかなり罹災者の救出、それから密閉監督というような点もあったかと思うのでございますが、その間にほかの救護隊員以外の方々は中に入っていなかったように聞いておるわけでございます。ごく最近の状況につきましては、まだわからないのでございますが、私ども労働者の方々とよくいろんなことを相談して保安整備をやるように、こういうふうに申し伝えて帰ってきたような次第でございます。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はその密閉をどうこうと言うと、また話が別になって——密閉のことについても意見があるのだがね。たとえば従業員がなくなっておるのでしょう。私はその新聞の記事だとか、人の話を聞いてものを言いたくない。しかしそういうことで、密閉するまで話をしなかったということになると、事故が起きてから何十時間も話をしなかったということになる。朝日新聞にこう書いてありましたよ。朝五時四十五分ですか、事故が起きた、ところが会社のおえら方——会社のどなたにお会いになったかわからぬが、三時間ぐらい経過した九時半ごろ、いや、たいしたことはないのだ、犠牲者はあまり出ておらぬ、こう言ったといって、天下の大新聞朝日が書いておる。しかし、そんなこと朝日新聞の記事を持ってきてあなたを追及しようと思わぬが、そういう事故が起きたら、組合に保安に協力してもらえなかったら、組合に保安監督員、監督補助員もおられるわけですから、坑内に入るということは、組合長でも入れない、救護隊でなければ——救命具をしょって入るわけですから、訓練しておるわけですから、組合長もこの坑内に入れることはできないのだから、そういう組合の責任者、第一組合であろうが第二組合であろうが、責任者を呼んで、七時でも八時でも何で相談をしないか。事故が起きて組合に迷惑がかかっているのだから、それくらいのことをやらなければ——どんな山でもやっておりますよ。それをやってもらわなければいけない。現地に行った課長さんもおるでしょう。説明してください。
  69. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま先生のおっしゃったとおりだと私思います。なお、現地に参りました課長がここに参っておりますので、その点報告させたいと思います。
  70. 佐伯博蔵

    説明員(佐伯博蔵君) 私事故を見てすぐに現地に参りまして、状況聴取等いたし、先ほど西家局長が申しましたように、実際の時間は二十九日だったと思いますが、夜中の二時ごろ坑内の直接消火をしておるところにも参りました。先ほど阿部先生がおっしゃられました件につきまして、私は行きまして、会社の幹部とも会いました。それから三池労組、俗称旧労と言っておられる方の幹部ともお会いいたしましたけれども、会社のほうで各組合にどのような協力要請をしたかとか、そういうことは私はそのときは聞いてまいりませんでした。と申しますのは、私は行きまして現場を見、会社の幹部から意見を聞き、それから組合の方からも御意見を聞き、検察庁、警察署等もお互いに連絡をし合ってやっているということでございました。各組合のほうにどのようにお話をしたかということを聞いてまいりませんでしたが、これはこれからでも十分調べられます。当然九州のほうでは調べておると思いますので、調べてからにしたいと思いますが、私が行ったときにはそういうことは調べてまいりませんでした次第でございます。
  71. 阿部竹松

    阿部竹松君 保安監督官の立場としたら、それは労働省のほうのお仕事かもしれませんけれども、そういうところにやっぱり事故の根源があるというふうに心配するわけです。将来の問題ですが、したがって、特に今後一体どういうことになるのか。局長あなたのほうの許可がなければ、そこは再開できないことになっているんでしょう。密閉した個所は何カ所くらいかはわからないけれども、それは永久に密閉しておくものか、さいぜん小野先生から質問もあったけれども、そんな使わない鉱山はなぜ早く密閉しておかなかったか、それは使っておったわけでしょう。したがって、またあけるのですか、あけないのですか。それとも何ヵ月後かにあけるのですか。あるいは何年後にあけるということもありましょう。それから永久にここはあけてはいかぬということもありましょう。それからその付近の現場の再開については、あなたのほうで許可がなければ、いかに三井鉱山といえども、かってに仕事ができないはずです。それはどういうことになるのですか。
  72. 西家正起

    説明員西家正起君) 密閉いたしました場所は、おそらく将来は使えなくなるのではないか。ただし、消火をいたしまして温度が下がりましたときには、先ほど申しましたマンホールの中の現地調査は一応やりたい。先生の先ほどおっしゃいましたように、確かに燃えてしまいますので、どのくらいの証拠をつかめるか、これははなはだ疑問ではございますが、今後の調査には使いたいと思っておりますが、おそらくその坑道作業その他にはもう使えないというふうになると考えております。  それから作業全体の再開の問題でございますが、先生のおっしゃったとおり、私どもの監督局で十分調査いたしまして、安心だという事態に至るまで許可をいたさないつもりでございます。
  73. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから五百七十何名ですか、そのうち入院患者と通院患者と区分けしておるわけですが、労働省の扱いはどういうふうになっておりますか。
  74. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 受診患者の総計は四百九十何名で、入院患者四十八名でございます。通院のほうは正確な数字はつかめておりませんが、ほぼこれくらいのものではないかと思っております。
  75. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは三十九名じゃないですか。
  76. 西家正起

    説明員西家正起君) これは先ほど御説明を申し上げましたように、二日現在では三十九名でございますが、現在四十八名というふうに御説明申し上げております。
  77. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、これからまたふえるという可能性もありますね。
  78. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 可能性は必ずしもないとは断言できないと思います。  ついでに蛇足かもしれませんが、五百六十一名のうち汚染地帯にいなかった方もおられるわけでございます。坑底の付近は大体七、八十名というふうに想定されておりますから、これは一酸化炭素を吸っていない、吸っている可能性がたいへん少ないという方々でも、現地へ参りまして、病院のほうにいま一酸化炭素法の関係で省令で予定されているような様式を示しまして、それによって健康診断をしてもらうように話ができております。念のためもう一度やってもらう、こういう形で、しかも通院の関係でどういうぐあいになされるのか私どもよくわかりませんが、一応三川坑に入っておった人には全部やってもらうことになっております。
  79. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長も御承知のとおり四年前——足かけ五年になりますが、あの事故の問題は、ことしの春の国会でようやく解決したけれども、まだまだ中身が完全に解決しておらぬ。今後もああいうことがないように十分に手を打っていただきたいということを特に要望しておきます。  そこで、途中まで話しをすると、調査調査中という御答弁ですから、これ以上お尋ねしても益がないことですから、私これで質問やめますが、ただ、さいぜん申し上げましたとおり、事故が次から次へと出ている。それに加えて、小さい事故はあまりここで取り上げませんね。腕を折ったとか足を折ったとかという事故、ほとんどあまり小さい事故は取り上げない。しかし、統計をとってみたら、私はびっくりした。これは決して私の誇大な発言ではなくて、さいぜん申し上げたとおり、三井三池の負傷者の率が九州全炭鉱の率よりも高い。これは大体統計が示していることですからね。こういうことですから、大災害を取り上げることはもちろんなことですけれども、まことに御苦労な話ですけれども、保安局長にお願いしたいことは、あなたは就任早々でまことに申しわけないんだが、ひとつ徹底的に全炭鉱をやっていただきたい。あんまり事故が起きるものですから、組合のほうでも炭鉱の経営者を信用しませんね。あまりあなたのところの監督官のほうも信用しませんね。あなたのほうの監督官が回って来るというときには、組合のほうではもうわかるということですね。なぜかというと、ことばは悪いんですけれども、あまりいままでやっていなかったのに急にやり出したり、いままで散水をやらなかったのに急にやり出す、これは監督官、そう考える組合のほうが悪いかもしれない。疑心暗鬼で経営者のほうを信用しない。監督官のほうを信用しない。これは組合のほうが悪いかもしれない。しかし、そういうようになぜ素朴な組合員がそういう態度をとるのかということは、あまり犠牲者が出るからですよ。そうでなければ炭鉱労働者なんというものは単純ですから、あまりそんなことは言いませんよ。ですから、そういうようなことのないように、もうこれ以上言いませんから、全炭鉱をひとつ、災害が起きてから幾らここであなたに何と言ってもだめですから、災害が起きないうちに厳重にひとつやっていただきたいことと、これの三池の再開については、会社のほうはあなたのほうに頼みに来るかもしれませんよ。それはそっちこっちに、経済的に困るから局長さんひとつ頼むというようなことで、あなたのほうに頼みに来るかもわかりませんよ。しかし、き然としてひとつやっていただきたい。それだけひとつお願いしておきます。それだけです。
  80. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいま先生のおっしゃったとおりにいたしたいと思います。
  81. 片山武夫

    片山武夫君 先ほどからいろいろ政府委員の御答弁がありました。この前の三十八年の三井の大災害、あのときにも、大臣は直截に再びこういつたような事故は起こさないということを言われておった。今回また冒頭に、再びこのような災害は起こさないように努力する、これはもう通りことばになってしまって、事故はやっぱりこういうふうに起きておるわけです。私はそれについては、安易な気持ちで、再び……というようなことばは私は使ってもらいたくないわけです。また使うには使うだけの十分な措置が講じられなければならないと思うのです。こうした事故について、先ほどいろいろ保安についての対策等が述べられておりますが、これは述べられただけでなくて、実際に私はやっていただく熱意が必要ではないかとこう思うのです。で、今度の事故原因がまだわからない、こういうことですから、いろいろお伺いしてもお答えになれない事項が多いのじゃないかと思いますが、この原因がわからないと言いながら、いろいろ御答弁の中で自然発火ではないか、こういう断定が下されておるようなおことばなんですけれども、自然発火だとするならば、坑内の巡視をよくすることによってこれは防止できたのじゃないかと思うのですけれども、どうもその辺がまだあいまいな点があるわけなんで、もう少しこの点をひとつ御説明を願いたいと思うのですが。
  82. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまのお答えをいたしますが、災害発生いたしました、火災発生いたしました個所は現実的に範囲はわかっておるわけでございます。その中の坑道に面した石炭であるか、昔自然発火を起こしました続いている旧坑からの燃え移りがあるいは来たのか、この点につきましては現在まだわからないのでございますが、おそらく坑道クロスをいたしました部分の自然発火ではないかと、こういうように現在大体考えておるわけでございます。確かに普通の場合、あるいは従来の経験から申しますと、自然にこの個所を回っておりますと、においが出ましたり、あるいは一酸化炭素が出ましたり、炭壁に汗をかく、水が出る、こういったような徴候がございまして、大体わかるのが普通で、ございます。ただ、先ほどちょっと申し上げましたことと同じでございますが、これは人気坑道でございましたので、空気が非常に早くこの表面を通っておるということで、学問的学理的には非常にわかりにくい場合もあったのではないかと、こういうことを申し上げたのでございますけれども、一般的にはおそらくもし回っておれば徴候があったのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございまして、回られた方をひとつ徹底的によく調べまして、そのときの周囲の状況、あるいははかられたガス状況等、いろいろな見地から調査をいたしまして、この点を確定をいたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  83. 片山武夫

    片山武夫君 いまの自然発火徴候の問題なんですが、これは毎日点検をやっておったということだとすれば、これはもう明らかにだれかがそこを点検していれば発見できたはずですよね。それが全然わからなかったというところに問題があろうかと思うのです。だから、自然発火でないのだというならばこれはまた別だと思いますけれども、大体自然発火状況判断がかたいということになると、これはそこを実際に点検したか、しなかったかということが非常に大きな問題になってくると思うのですね。
  84. 西家正起

    説明員西家正起君) 確かに先生おっしゃるとおりでございます。ただ、逆に今度それが絶対に二十時間前にいかなる場合でもわかったであろうかということの確定も非常にむずかしい段階ではございますが、ただ先生おっしゃいましたように点検をしたかしないかということが明らかになった場合に、点検しないということになりますと、これは非常に大きな問題であると考えております。
  85. 片山武夫

    片山武夫君 この前の大災害あと保安に対するいわゆる労使の関係はどういうことになっておったでしょうか。結局この保安委員会、あるいは労使の協議する機会が多々あったと思うのですけれども、そういったような状況について組合側から相当要求も出ていただろうし、それについて具体的にどのように会社側が処理してきたかというようなこと、具体的に何か姿勢がありますか。
  86. 西家正起

    説明員西家正起君) 三池災害保安法規も改正いたしまして、保安監督員の補佐員というのを新しく制度として入れたわけでございます。この補佐員の一人には必ず組合からの推薦者を入れる、こういうことになっております。それから保安委員会でございますが、保安委員会も組合の代表者、これは旧労、新労ともに——略称を使いましてはなはだ申しわけないのでございますが、両方の組合から委員会委員として出席をいたしております。その後の保安委員会の開催状況でございますが、昭和四十一年には年間十三回開催いたしております。それから四十二年は現在までに、八月までに八回開催をいたしておりまして、大体討議された内容は保安の成績とか、あるいは保安監督局からの通達事項をどういうふうに実現するか、あるいは炭鉱内におきます災害事例の検討、あるいはその他の管内のいろいろな保安の問題等につきまして、討議をされておる報告がわれわれのほうにまいっております。まあ、もっと身についた実際の問題の運営が行なわれたかどうかにつきましては、まだつまびらかではございません。以上のような状態でございます。
  87. 片山武夫

    片山武夫君 私は、できればこの中で協議されたいろいろな事項を知りたいわけなんですけれども、これは働く者として保安を完全にしてもらうことは、これはもう切実な願いであろうし、まあそれに対するいろいろな会社側に対する注文ですね、そういうものもあろうかと思いますが、そういうものはどのように処理されているか、それをちょっと何かおわかりの点があったら、具体的な例をあげてお知らせ願いたいのですが。
  88. 西家正起

    説明員西家正起君) 保安委員会は、炭鉱の中で実はやっておられるので、ございますので、どういう具体的な提案でどういうことがあったかということを、大体項目だけの報告は来ておるのでございますが、とかくどこどこが悪いからどうしろとか、そういった内容につきましては、現在わかっていないわけでございます。
  89. 片山武夫

    片山武夫君 これはあの原因がまだわからないから、まあその責任の所在もはっきりしないのではなかろうかと思うのですけれども、要するにいまの自然発火だということになると、これは点検の問題が一番大きな責任問題になりましょうし、まあ従来から行なわれてきた保安に対するですね、これは労使ともに私はもっと積極的な態度で取り組んでいかねばならぬじゃないか、特にあそこでは数百名の人たちが大きな犠牲を払ったところですし、今度のいろいろ御報告を聞いてみても、何かその事故を軽く見た傾向がありやしないか。そのために救護隊がおくれたり、体制の立て直しにそごを来たしたり、そういういろいろな手落ちがあったように報告の中では受け取れるわけなんですけれども、ほんのちょっとした事故が大きな事故に発展することは、これはしばしばあるわけで、それに対する心がまえというか、日ごろの保安に対する心がまえというものに何か不十分な点があるのではないかと思うのですが、その点、この大災害のあった以後、従来に比して積極的な保安体制というものが、確立されたのかどうか、私はちょっと疑わしいように思うのです。だからそういう点が非常に大きな問題であろうと思いますし、それから先ほどちょっと触れましたように、原因がはっきりしない、はっきりしないうちは言われないんだと、こういうようなことだろうと思うのですが、この原因の判明する時期がどのくらいになるのか、これも問題の一つだと思いますけれども、特に密閉してしまって、相当温度が上がってしまったというようなことになれば、原因もなかなかつかみにくい。こういうことがあるわけなんですが、それでどのようにお考えになっているか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  90. 西家正起

    説明員西家正起君) 原因、火のついたのは自然発火であろうということは、現在の段階においては九分どおりそういうふうに思っておるわけでございますが、どこから火が出たかということにつきましては、密閉個所消火を待ちまして、冷えてから中に入りますと、ある程度発火地点がわかるのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、どこから火が出たかということで最終的に確認をさしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  それからこの前の大災害あとにつきましては、まあ通産省としては、かなり思い切った法律改正あるいは予算措置等も講じてまいりまして、鋭意やってきたような次第なんでございますが、またこういう事故が起きまして、はなはだ申しわけないと考えておる次第でございます。
  91. 片山武夫

    片山武夫君 これはまあ原因がいまいった自然発火、九分九厘そうではないか、こういうことが言われておるのですが、ただその場所がどこかということですね、これがはっきりしないと、この原因はやはりっかみにくいわけなんだけれども、この自然発火ということになれば、私はやはり点検の不十分ということが問題になるわけだし、そこが点検できるところなのか、できなかったところなのかという説明につきましては、このところは点検のできるところなんですね。だとすれば、これは原因なりあるいはその責任なりというものは、はっきりしてくると思うのだけれども、これはあと追及する余地はないんじゃないですか、九分九厘。ということになるんじゃないですか。
  92. 西家正起

    説明員西家正起君) 点検を毎日やる個所になっておったんでございますが、もし点検をしていなければこれは大きなミスかと思いますが、ただ点検をしておれば一〇〇%自然発火防止し得たかどうかということにつきましては、やや学問的には非常にむずかしい点がございまして、疑問が残るところでございます。
  93. 片山武夫

    片山武夫君 これはできるだけ早く原因を突きとめて、再びこういうことが起こらないようにしてもらいたいわけなんですが、問題はいままでのいろいろな御報告なり御答弁なり聞いていると、やはりこの発火の問題を軽く私は見過ぎたきらいが非常に多くあるんじゃないか。これは特にああいう大災害を起こしたあとなので、その気持ちのゆるみということはこれは十分に警戒しなければならないし、いわゆる保安体制の確立というんですか、こういうものも非常に重要な問題だと思いますし、特に組合側からいろいろ会社側に注文も出ているかと思うのです。そういうことが十分に行なわれる必要もあろうかと私は思います。まあそういうことを特に監督局としては気をつけて、ひとつ今後事故がないようにお願いをしたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 井川伊平

    ○井川伊平君 保安局長にお伺いしますが、私は全くのしろうとですから、とんでもないことを質問しているかもしれませんので、お許しを願いたいと思いますが、大体今回の災害原因はわからぬとしても、想定される原因というものは何と何と何というふうに想定され、そのどれかということであるのか、想定外のものも含んでおるのかということが第一われわれしろうとには疑問なんです。  その次に、一緒に質問しますが、想定されるものが電気装備についてであったというときには、どういうような点検なり保安工事が必要であったのか、それから自然発火とすれば、自然発火の種類もありましょうが、それにはどういうような点検なり保安なりをやらねばならぬのであり、指示しておったのであるかということ、これはおのずからきまってきますね。問題を想定して原因はこれであったと、あれであったという想定をすれば、その一つ一つになすべきことがなされておったかどうかということがはっきりせにゃならぬと思いますが、そういう点につきましては、しろうとの私にはわかりませんので、御説明願いたいと思います。
  95. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいままでの状況では、自然発火以外の原因が非常に考えられにくいわけでございます。したがいまして、おそらく自然発火であるというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、なお確定をいたしまするのは、どこからどういうふうに火がついたかということを確認することだけが残っておりまして、私は自然発火だというふうに考えておるわけでございます。それで自然発火に対する対策でございますが、これは普通でございますと、やはり早々には二、三日前、あるいはそれ以前から徴候があるわけでございまして、たとえばにおいがしますとか、炭壁に水が出ますとか、いろいろな徴候がございまして、係の者は毎日回っておりますれば、大体徴候を発見できるというのが普通でございます。この前の三十八年に当炭鉱で起こりました自然発火の場合にも、事前に徴候で見つけておりまして、したがいまして、すぐ措置をいたしましたので、罹災者は出していないのでございますが、普通の場合だと、点検をいたしますならば発見できるのが普通でございます。まあこれも炭の性質によりまして、各炭鉱ごとにいろんな炭の性質がございまして、北海道の場合なんかは、非常に着火するまでに時間が早いというような炭鉱もございますけれども、大体三池の場合にはそう表に着火が急激にあらわれるというような傾向も従来なかったようでございまして、大体は点検でわかるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、防止するのには点検を強化する必要があろうかと思います。ただ、もし二十時間ぐらい前に回りまして発見できないような傾向の炭が自然発火いたしましたといたしますならば、これは点検の回数をさらに一作業に一回するなり、回数をふやす必要があるんじゃないか。それから全然使わないところであれば完全な密閉をいたしまして、中のガスを測定いたしまして、中の燃焼状況はどうであるかと、そういったことも調べることになるかと思うのでございます。以上のようなことでございます。
  96. 井川伊平

    ○井川伊平君 大体いまのお答えをちょうだいいたしますと、一応は自然発火と認められる。しかし、それ以外の答えは今後の研究で出るかもしれぬが、現在では自然発火という答えが出ておるんだと、そういうふうに聞こえますが、そういうような理解をもちまして、それならばこうすればいい、ああすればいいという対策についてのあなた方の御意見は聞いたが、事実この炭鉱ではどうしておったかということをあなたはおっしゃらないですね。現実にはどうしておったかということを調べなければいかぬでしょう。自然発火というところまで大体見通しがつけば、その自然発火を押える点検はどうしておったかということを具体的にきっちり調べなければならぬ。それがおくれるというようなことではいけませんね。それを承りましょう。
  97. 西家正起

    説明員西家正起君) どうも説明が足りなくて申しわけなかったように思いますが、この日の監督官の調べましたところによりますと、自然発火が起こったと思われますのが二十八日の朝の五時四十五分でございますが、その前日の午前十時ころにそこを観測員が回りまして、また別の密閉個所がその近くにございますので、その坑道を通って密閉個所ガスの測定を行なった記録が調査簿に記入されておるわけでございます。したがいまして、一応はまあそういうことで書類の上からは回ったというふうに判定をされるわけでございますが、先ほどまあ先生方の御指摘もございましたように、実際に回ったかどうかということにつきましては、今後徹底的にこれを調査をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  98. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうしますと、二十八日の午前五時幾らかに原因発生いたしまして、前日の午前十時といいますと、約十九時間たっていますね。かりに、この災害発生するときはちょうどその次にそこを点検する時間だったとしても、十九時間たっていますね、そうでしょう。そうすると、十九時間ぐらいは吹っ飛ばしておいてもいいということですか。しろうとですから、おっしゃってください。もっと短い時間区切って点検せなければならぬということになっておるのか、十九時間ぐらい吹っ飛ばしてもかまわないのだというあなた方のほうの御指示であるのか、その点に関しまして、そこを承りましょう。
  99. 西家正起

    説明員西家正起君) 坑内にはいろんな個所がございまして、たとえば鉱山労働者が非常に多く働いておる個所とか、あるいはこういう自然発火のおそれのあるところとか、いろいろございまして、これは第一次的に鉱業権者が、この場所は各作業時間ごとに毎方一回回らなくちゃならぬ、この場所は一日一回でいいとか、あるいはこの場所は一日一回でなく、定期的にたとえば一週間に一回とか、三月に一回とか、こういう三段階に分けておりまして、第一義的に鉱業権者はそれを分けまして、そういう回数に従いまして係員が巡視をいたす義務が法律にきめられているわけでございます。この個所は大体一日に一回回ればいいというようなふうに判定をされておった場所でございまして、私どもも大体そういうふうにいままで考えておった場所でございます。
  100. 井川伊平

    ○井川伊平君 そうしますと、まあ一日に一回でいいのが十九時間ですから、一日のまだ範囲内ですから、いまこの計画どおりに回っておったというのでありますが、炭質や何かの関係ははっきり御当局が知っておるわけでございますから、そうだとすれば、一日に一回ではいけないということがいまはっきりしたわけですね。十九時間日にこういう事故発生したのだということになりますと、いままでのあなた方の御見解及び会社側のそういう計画というものは間違っておったということにはなりますか。いかがですか。
  101. 西家正起

    説明員西家正起君) 確実に前日の十時に回っておりましたといたしまして、徴候が発見できなかったといたしました場合には、この場合には一日に一回回っておったのではだめであったということに相なるかと思います。しかし事前には、従来のこの辺の近くの炭の性質等から申しまして、まあ前日の十時に回っておればわかったじゃないかという見解が非常に強いのでございますが、その点非常にいま議論の中心になっておりまして、まずその巡視をした方の調査、その他各方面の御意見も聞きまして、その点は今後の対策といたしたいというふうに考えております。
  102. 井川伊平

    ○井川伊平君 いまのお話によりますと、結局前日の午前十時に回っていたか回っていなかったか、回っておったとすれば、いままできめられた点検の方法においてはそのとおりやっておったのだから、法律上の過失はないのだ、こういうことですね。そういう場所だとすれば、一日に一回であるということを決定したことが大きな間違いであったと反省せねばならない。この炭鉱だけでなく、そういうふうな考えだとすれば、ほかの炭鉱に今後同じようなことが発生するかもしれない、これは当局としてもこういう炭質の条件のところは一日一回でいいという、それは少し何といいますか、安易な考えであったのだということについての御反省の意思があるかどうか、この点一点。  それから前日の午前十時に回らなかったということだとすれば、これはまたとんでもないことになりますね、別の関係が生じてくる。この回ったか回らぬかということはいままでの間に調べられたのじゃないかと思いますが、この点において怠慢じゃないですか。この二点をお伺いします。
  103. 西家正起

    説明員西家正起君) 第一点の一日に何回回るべきであるかということにつきましては、私どもはまだいまのところ一日一回でいい場所であったというように実は考えておる次第でございますが、しかし、これはもし一日一回で発見できないという結果がはっきりいたしました場合には、これは確かに技術的に未熟であったわけでございまして、反省しなくちゃいかぬかと考えます。しかし、まあきめましたのは鉱業権者がまず第一義的にきめまして、われわれもそれでいいというように考えておってやった次第でございます。  それから回りましたかどうかという点につきましては、これは最初申し上げましたように、いろいろな密閉作業危険性等に監督官がつきっきりで、ございまして、非常に監督官も疲労したような点も、ございまして、若干取り調べはおくれておるようでございますが、至急にこれは現地報告を聞きまして、早急に調べたいと考えておる次第でございます。大体ずっと福岡監督局とは、現地監督局と本省とはもう夜を徹して連絡しておるような次第でございますが、残念ながらまだ報告がきていないような次第で、申しわけないと思います。
  104. 井川伊平

    ○井川伊平君 さっきからのお答えを総合して考えれば、自然発火である、前日の午前十時に点検したということであるが、そうだとすれば、そのときに発見されたはずである、だから一日一回の点検で十分だといまも思っておると、そうすれば答えは出ているじゃありませんか。言いかえれば、前日の午前十時の点検はうそだと、こういうことになりましょう。前日の午前十時の点検がうそかほんとうか、お答えのとおりなら、これはどうこう言う筋は出てこない、出てきませんね。うそだということになればはっきりすると私は思うが、その点についてはどういう人を何人ぐらい調べておるんですか。なお、だれだれを調べればもっとはっきりするという、そういう点をお聞かせ願いたい。今後調べると言ったってもう答えが出ておるじゃありませんか。自然発火である、一日一回調べればいいと、そして前の日十時に調べたらこんな失敗はなかったのだ、そうすれば調べなかったという結論が出るでしょう。調べなかったということについては、だれが行くことになっておったのか、それはだれが監督しておったのか、どういうふうに点検の結果が記帳されたのか、簡単に調べがついてるんじゃないですか。いままでの間に調べがつかないのはおかしいと思うんですが、いかがですか。
  105. 西家正起

    説明員西家正起君) ただいまの点の中で、十時にかりに回っておりましても、発見できなかったというケースがあるのではないかという点が一つまだ残っておるわけでございます。われわれは確かに一日一回で——そういうことは、可能性は少ないとは思いますけれども、理論的にはそういうこともあり得るのでございまして、その点につきまして、一つ疑問がまだ確定できない要素があるわけでございます。十時に回っておりましても……。
  106. 井川伊平

    ○井川伊平君 さっきと違うじゃありませんか。
  107. 西家正起

    説明員西家正起君) いや、ふだんは十時に回っておりますと発見されるのが普通でございますけれども、理論的に申しまして、十時に回っておりまして、十時に発見できなかったケースは全然皆無かということになりますと、その点は非常にこれはむずかしい問題で、ございまして、まあ確定ができない点がございます。したがいまして、その十時に回ったか、あるいは回って発見できなかったのか、回わらなかったのかという点につきましては、やはりその人は、現在本人はおそらく調査では回ったということを言っておると思うんですが、今後各方面、それから実際に監督をされました人の調査等、十分に調査の内容等を調べまして、確定をいたしたいと思います。
  108. 井川伊平

    ○井川伊平君 私はしろうとですから、あまりくどく言いたくないんですが、その十時に回ったということが、それはほんとうだとあなたは思うのか思わないのか、ほんとうでないという疑いの念が——先ほどのお答えでは、回っておればこういう結果が出ないはずだと、それはいまでもそう思っておるとおっしゃるのだから、そうすると、回らなかったのだということに大体の結論が出ましょう。そうすると、回らなかったという——これはそういうところがありはせぬかというので調べなければいかぬわけですが、どの範囲で調べればそういうことが確定するんですか。言いかえれば、回る役割りの人があるらしいんですね、私は知りませんけれども、その人が回っているだろうという、それはその人に聞いたら回っていると言うだろうと思うんですが、その人以外にどういうことを調べるんですか。調べる種はないんですか。種がないならあとはわからぬということもあるけれども、種があるなら、やはり種を調べればいいじゃありませんか。いかがですか。
  109. 西家正起

    説明員西家正起君) まさに、確かに先生おっしゃるとおりでございます。ただ、その本人がどういう密閉個所調査をどういうふうにやったかといったようなことをこまかく根掘り葉掘り聞いておりますと、その状況がさらにはっきりしてくるのじゃないか、これは警察とも一緒でございまして、警察との合同捜査等もやっておりまして、この点はぜひとも明らかにしたい。私の大まかな推理としてはある程度頭にはございますけれども、何ぶん捜査に関しまして、確実な裏づけをもってはっきりいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  110. 井川伊平

    ○井川伊平君 しつこくてすみませんが、もう一点だけ。これはのちにそういう災害が出たら困るという観点から聞きますので、言いわけじゃありませんが、そういう意味でお答え願いたい。あなたの先ほど来の答えからいえば、回っておればそういうことはないはずだ、だから回っていなかったと思う、こういうのがあなたの大体の話の筋のようだが、しかし回っておったとしても、そういうことは起きるかもしれぬという一つのそういう心配はあるといういまのお答えなんですね。そうであるとすれば、いまも一日に一回でいいと思っているところのほかの炭鉱でこういうことが発生するかもしれぬから、そういう点は炭質も、層もわかっているのだし、条件もわかっているんですから、科学的に絶対にあり得ないことだというぐらいのことは科学的の研究でできるんじゃありませんか。それはそこでそういうことがたまたま起きたかもしれぬというぐらいのことでは済まされない。ああいう条件のところではそういうことがあるから一日に一回じゃだめなんだという結論が出てこなければ注意ができないじゃありませんか。その点において少しおおようでいらっしゃると思うが、いかがですか。
  111. 西家正起

    説明員西家正起君) 確かに説明がはなはだ少なくて申しわけないと思っております。大体先生のおっしゃるとおりかと存じます。
  112. 井川伊平

    ○井川伊平君 注意してください。これ以上はいいです。
  113. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) じゃ、私から一言申し上げたいと思います。  ただいままでいろいろ今回の災害に関しての質疑応答も行なわれたわけでありますが、この機会に、今後の問題についてひとつ私要望を申し上げておきたいと思います。これから申し上げることは、ひとり通産省だけでもこれはできないことでありますが、しかし、責任をもってひとつ通産省が中心になってやってもらいたい、こういうことを含めてお聞き取りをいただきたいと思います。  保安対策のことでございますけれども、これは言うまでもなく、今後万全を期してやっていかなければならぬ、ほんとうに実効のあがるような保安対策であってほしいということ、これが第一でございます。  第二は、今回の罹災者並びに家族に対し十分な措置が講じられるようにしてもらいたい。  次にCO患者に対する対策については、これは万全を期していただきたいということをとりあえず要望いたしたいと思います。  先ほど申しましたように、あなた方だけでやれるというわけでもございませんから、しかし、あなた方が中心になって、いま申し上げたことにつきましては最大の努力をしていただきたい、こういうことでございますから、通産政務次官お見えでございますが、これに対しまして何か……。
  114. 栗原祐幸

    説明員(栗原祐幸君) ただいま委員長からのおことばもございましたし、本日の委員会における各先生方の御意見というものは私どもほんとうに腹にしみていろいろ感じたわけでございます。誠心誠意保安対策考えるし、罹災者その他の方々に対する対策につきましても、誠心誠意これを善処いたしていきたい、かように思います。  なお、本日は大臣がこの席にお見えになっておりませんが、私から皆さま方並びに委員長の御所見を申し伝えまして、善処方を要望する所存でございます。
  115. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に御発言もなければ、本件については本日はこの程度といたしたいと存じます。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 鈴木壽

    鈴木壽君 速記を起こして。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会      —————・—————