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1967-11-02 第56回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月二日(木曜日)    午前十一時十七分開会     —————————————    委員の異動  九月二日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     廣瀬 久忠君  十月四日     辞任         補欠選任      大橋 和孝君     杉山善太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 井川 伊平君                 近藤英一郎君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 重政 庸徳君                 宮崎 正雄君                 大矢  正君                 近藤 信一君                 矢追 秀彦君    国務大臣        通商産業大臣   菅野和太郎君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君    説明員        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        林野庁長官    片山 正英君        通商産業省企業        局参事官     橋本 徳男君        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君        建設省河川局砂        防部長      木村 正昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告産業貿易及び経済計画等に関する調査継続調  査)  (米国における輸入制限に関する件)  (日本万国博覧会に関する件)  (渡良瀬川の鉱毒問題に関する件)  (北海道開発に関する件)  (原子力開発に関する件)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  去る九月二日松平勇雄君が辞任され、その補欠として廣瀬久忠君が選任されました。十月四日大橋和孝君が辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました委員派遣につきまして、派遣されました委員方々から御報告を承ることにいたします。  それでは便宜第一班、北海道に派遣されました委員の方から御報告をお願いいたします。
  4. 大矢正

    大矢正君 第一班の北海道班について御報告いたします。  派遣委員は、鹿島委員長竹田委員と私の三名でありますが、井川理事現地で参加されました。  派遣期日は、十月十六日から二十日までの五日間であります。  視察個所及び訪問先日程に従いまして申し上げますと、札幌通商産業局協同組合札幌繊維卸センター北海道電力江別火力発電所札幌綜合鉄工団地協同組合札幌トーヨーゴム手稲工場富士製鉄室蘭製鉄所室蘭港、王子製紙苫小牧工場及び苫小牧港であります。  以下、調査概要について申し上げます。  御承知のとおり、北海道は現在のところ、総人口消費購買力工業出荷額銀行貸し出し残高などの主要な経済指標を見ましても、全国に占める割合はいずれも三−五%でありまして、その地域の広さに比べ、きわめて低い地位にあります。その上、道経済はその伸び率においても低位にありますが、その原因を考えてみますと、第一次産業を主とする産業構造に問題があると思われます。すなわち農林水産漁業を主軸とした産業構造が、他の地域重化学工業化に追いつけないでいるということであります。しかも、成長性の高い第二次産業中小零細企業が圧倒的に多いのであります。  しかしながら、北海道は豊かな資源、広大な用地、豊富な水等開発への条件は他の地域よりすぐれたものを持っております。今回私ども視察しました道央地区は新産業都市にも指定されており、受け入れ体制整備も急速に進んでおりまして、すでに三十余の企業の進出が決定しております。これを見ましても、将来への飛躍の土台は十分であることが立証されるのであります。  いま北海道では目標年次昭和四十五年度とする第二期総合開発計画の実現に、官民あげて力を注いでおります。その内容は、人口を五日八十五万人とし、道内生産所得も一兆四千億円程度に増大させ、昭和三十五年度を基準としたものに比較し、二、三倍程度経済規模としようとするものであります。  札幌中心とする道央産業都市は、この計画拠点一つでありまして、道開発の当初から、政治、産業経済、文化の中心的役割りを果たしてきた地区であります。この地区開発計画は、室蘭苫小牧等臨海部における工業振興開発と、札幌管理中枢機能高度化とをあわせ促進して、地区全体が調和のとれた発展をするように産業立地条件都市施設整備することとしております。工業開発目標としては、工業出荷額昭和三十八年の実績二千八百三十七億円に対して、四十五年六千二百四十七億円、五十年八千三百四十億円を見込んでおります。  これに対し、四十年の実績は三千四百四十八億円で、目標の四十五年に対する達成率は一八.〇%で全国の新産都市全体のそれが一五・九%であるのに比べ、若干高くなっております。  次に、今回の視察を通じて私どもの特に印象に残りました問題について申し上げます。  その第一は、北海道の物価高についてであります。北海道の物価は、いわゆる内地に比べ、一般に高いといわれております。これは一般的には北海道地理的、自然的な条件から生ずるものと、ある程度是認されているのでありますが、セメントや自動車の価格が異常に高いのは、単に地理的条件とのみ言えない原因があるようであります。この点、流通機構なり、供給側体制なりを検討する必要があるのではないかと思われたのであります。  第二の問題は、中小企業対策についてであります。道経済におきます中小企業の問題につきまして、私ども視察しました二つの中小企業団地での関係者の話を総合してみますと、異口同音に資金難特に運転資金不足を訴えておりました。北海道地理、気候からして、設備資金運転資金を多く要するのでありますが、その点に留意するところが少ないのではないか。団地造成に加えて、資金手当てとか官公需確保、大企業への系列化等も含め、総合的施策必要性を痛感したのであります。  第三点は、地元産業育成についてであります。この問題につきましては、王子製紙関係者から特に要望されましたが、それは道開発重化学工業化を急ぐあまり、ともすれば紙・パルプ食品工業といった北海道に育ち、北海道発展に大きく貢献してきた資源立地型産業に対して配慮が欠けていないかという批判であります。これは政府道当局が行なっている大企業誘致に対する反省にも連なっております。私どもも、道開発基本的方向として重化学工業と大企業積極的誘致は必要だと考えておりますが、それと同時に、地元産業に対する育成強化をはかることが必要ではないかと考えたわけであります。  その他、特に北海道という地域特性から、草と木をつくることが必要でありますので、その一策として北海道の河川敷、湿地帯などの国公有空間地にも木を植えて、資源確保につとめるべきことを痛感いたしました。  最後に、視察個所実態等につきまして簡単に触れてみたいと思います。  協同組合札幌繊維卸センターは、昭和三十八年五月に設立されたもので、総床面積一万二千平方メートルの鉄筋コンクリートづくりの建て屋に二十五企業繊維卸業者が入店しております。  札幌綜合鉄工団地協同組合は、北海道における機械金属需要道内で間に合わせるため、昭和三十七年度助成団地の指定を得て設立されたもので、現在五十九万九千平方メートルの工場用地に四十八企業が入っております。鉄工団地については、大口需要本社発注内地に注文され、北海道支社長工場長権限発注は少量で、利益率も低く、これが伸び悩みの原因となっているということであります。  次に、王子製紙苫小牧工場は、おもに新聞用紙生産し、わが国新聞用紙の三〇%を供給しております。製紙業の一番の関心事である森林資源についてみますと、同社道内で所有する森林は約七万ヘクタール、蓄積量は六百四十万立方メートルで、道内各地から工場へ集合する木材は年間百三十万立方メートルにも達するとのことであります。ここで注目すべき点は、従来唯一のパルプ資源と考えられてきた針葉樹のほかに、広葉樹によるパルプを誕生させたことであり、劣悪なパルプ条件を克服した技術の優秀さであります。現在原料の多くはシベリア等からの輸入に依存しているとのことでありますが、国内原木利用にも積極的に乗り出しており、みずから社有林開発植林しているとのことであります。この意味からも、空間地への植林が痛感されております。  北海道電力江別火力発電所は、同社発電所の中では最大規模のもので、発電出力三十七万五千キロワットで、石炭専焼であります。なお、道の電力需要は、需要密度が最低という立地条件にありますが、道開発の進展に伴い、最近ようやく安定化し、今後十年間は少なくとも七%の比率で年々伸びていくものと予想されております。このため、水力では金山、火力では奈井江一期、釧路などを建設中で、さらに幾つかの建設計画を持っているとのことであります。これらの中で注目すべきことは苫小牧重油火力建設計画があることで、北海道においても今後は重油へ依存しなければならなくなったことは、エネルギー政策上からも大きな問題であります。  富士製鉄室蘭製鉄所は、北海道開発道内原料利用を目的として明治四十二年に創設されたものであります。同工場関係者から特に要望されました点は、北海道機械工業自動車工業のごとき鉄鋼需要産業を促進してもらいたいということでありました。  札幌トーヨーゴム手稲工場は、昭和三十七年に設立された新しい会社で、主としてゴムぐつをつくっておりますが、夏と冬との需要格差が大きいため、合成皮革ぐつパトラ生産などを順次増加させていきたいとのことであります。ただ、ここでも、若年労働力不足に悩まされ、今後の問題としては、合理化等を通じていかにその不足を補うか、また、需要季節変動をいかに調整するかという点にあるとのことであります。  室蘭港、苫小牧港について申し上げますと、室蘭港は明治五年の開港という古い歴史を持つ天然の良港で、四十一年の取り扱い貨物童は二千二十五万トンであります。三十九年より引き続き室蘭港外北防波堤建設を進めており、五十年度取り扱い貨物重三千万トンを目標としているとのことであります。  一方、苫小牧港は、昭和二十六年度より全額国費による直轄事業として着工したという比較的新しい港で、四十一年の取り扱い貨物量はわずかに四百二万トンとまだ少なく、北海道では第四位の港であります。ただ、背後に苫小牧臨海工業地帯を控えており、今後の大きな発展が期待されております。  以上簡単ではございますが、報告を終わります。
  5. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 続いて第二班、三重県、奈良県、和歌山県及び大阪府に派遣されました委員方々から報告をお願いいたします。
  6. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 第二班南紀班について申し上げます。  派遣委員阿部理事津島委員椿委員と私であります。  期日は十月十六日から十九日までの四日間であります。日程順視察先を申し上げますと、中部電力尾鷲三田火力発電所東邦石油尾鷲工場電源開発尾鷲第一、池原七色の各水力発電所東亜燃料和歌山工場和歌山三葛紀三井寺地区メリヤス工業住友金属和歌山製鉄所関西電力堺発電所であります。  次に派遣先における調査概要について申し上げます。今回の調査は、近畿南部地区電力及び石油精製のいわゆるエネルギー産業実情和歌山地区製鉄中小繊維工業視察したのであります。  まず、電力について申し上げます。  尾鷲、堺港の重油専焼火力熊野川水系北山川の三水力発電所は、それぞれの会社の性格や電力需要特性に応じて開発されたものであります。すなわち、中部電力尾鷲三田火力は、現在のところ出力七十五万キロワットでありますが、最終目標としては最大出力百七十五万キロワットに置いているのであります。これは中部地区工業開発に伴う電力需要をまかなうための一つ拠点になっているのであります。また、ここで発生する電力電発池原発電所揚水用電力にもなっているのであります。電発開発した北山川水系水力発電所は、季節的な豪雨や台風による治水効果も含め最大限に水力利用するためつくられたものであります。池原発電所最大出力三十五万キロワット、現在では、わが国最大揚水式発電所で、その下流にある最大出力八万二千キロワットの七色発電所は、池原揚水発電のための下部調整池の役割も果たしているのであります。しかもこれらの北山川水系発生電力は、中部電力及び関西電力へ卸売りされているのでありまして、以上の点を考え合わせますと、この南紀地区はいわば水火力の組み合わせによる合理的な開発方式一つの典型ともいえるのではないかと思われたのであります。関西電力堺火力は、堺・泉北地区臨海工業地帯電力需要をまかなうため建設されたものでありますが、いまのところは最大出力百二十五万キロワット、最終的には二百万キロワットの規模になるとのことでした。  次に石油精製について申し上げます。  今回の視察いたしました石油精製設備は、尾鷲東邦石油と下津の東亜燃料でありますが、この両者は全くその機能を異にするものでありまして、東亜燃料が一般の石油精製会社としての機能を持ち、航空機用揮発油を製造するほか潤滑油を含む各種の石油製品生産しているのに対しまして、東邦石油尾鷲三田火力といわゆる重油コンビナートを形成し、この火力発電所へパイプにより重油と軽油、LPGを供給する特殊の使命を持つ工場で、東邦石油ではこれら燃料精製造設備だけを稼動しているのであります。この会社尾鷲工場一つだけで、また中部電力出光興産、三菱商事の共同出資によるものであるのも、この辺の事情によるものと思われます。  今回火力発電及び石油精製工場視察して最も印象の深かった点は、第一に、いづれも公害対策について気を使っていることであります。たとえば、尾鷲三田火力では煙の拡散効果を高めるための四脚型集合煙突を採用するとともに、冷却用海水による魚貝類への影響を実証するために発電所内黒ダイアコヤ貝等を飼育しております。またばい煙による森林等への影響についても、地元山林所有者に依頼して調査しているとのことでしたが、その結果はまだ出ていませんでした。堺港発電所でも同じく排出有毒ガス拡散効果を高めるため煙突の高さを百五十及び百八十メートルの高さにするとともに、スモッグ警報が発令された時には硫黄分〇・一%しかないミナス石油使用に切りかえられるようにしているとのことでした。東邦石油では廃水処理はほとんど完ぺきに近いものでありましたが、臭気については完全に除去できないのでかなり苦慮しているようでありました。  エネルギー問題で印象の深い第二の点は、各火力発電所とも大型化し、その燃料石油に依存している比率がますます高くなっているが、スエズ問題のような事態も考えられるので、原油の安定供給のため供給源の分散や、民族資本による海外油田開発を考えるべきであり、電力についても水力開発を再認識するとともに、特に原子力発電に力を入れ、その研究開発の促進を急速にはかるべきでないかという感じを受けてまいったのであります。なお、これと関連して電発がいわゆる特殊法人整理統合の対象にされたことにつきましても、電発に課せられた国家的要請とその実績及び今後の使命から見て、その存続の必要性電発側から強く主張されておりました。  最後住友金属和歌山工場和歌山三葛紀三井寺地区にあるヤマヨメリヤス株式会社について申し上げます。住友金属和歌山工場は高炉四基、粗鋼生産量年産五百五十万トンの鉄鋼一貫工場であります。わが国鉄鋼業は世界で粗鋼生産量第三位輸出量第二位にありますが、最近の米国輸入制限の動きのように主要製鉄国において保護主義的傾向が高まっているので、今後はいろいろとむずかしい問題があります。これを打開するために政府の一段の努力はむろんのことでありますが、業界としても、国際競争力を強化するために、企業規模の拡大、新技術開発をより一そうつとめる必要があるのではないかとの意見が聞かれました。ヤマヨメリヤス株式会社設立昭和二十六年資本金千八百万円、編み立て機二百八十八台、従業員八十八名で、メリヤスはだ着生地ジャージ生地生産している会社であります。ここでは、いずれの中小企業とも同じように労働不足が深刻で、特に高級技術者不足し、また編み機が高級化するに対し技術が伴わず、頭を痛めている様子でした。  なお、和歌山メリヤス業界関係者から次のような陳情がありましたので、紹介しておきます。  一、設備近代化資金貸し付けワクを一件三百   万円から一千万円ぐらいまで引き上げるこ   と。  二、労働力不足打開のため、職業訓練所制度を   拡充すること。  三、特別償却の機種の増加、耐用年数の短縮、   手続の簡素化等優遇措置を講ずること。  四、メリヤス構造改善事業を早期実施するこ   と。  五、特恵関税に対し、慎重なる配慮をするこ   と。  六、中小企業地区環境整備、特に道路、排水   等根本的な対策を講ずること。の六項目でありました。  以上報告を終わります。
  7. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまの報告に対し御質疑がございませんか。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 両先生の報告に対する質問ではございませんけれども、後段の近藤理事報告の中にございました点について、この際、大臣に二点ほど質問いたします。  と申しますことは、報告最後のほうにございました中小企業対策大臣通産大臣としてばかりでなく、大臣のお住まいが近畿なものですから、中小企業実態については多くを語る必要がないと思いますが、御報告の中にもございましたとおり、中小企業近代化高度化合理化ということで、中小企業金融公庫とかあるいは国民金融公庫あるいは商工中金、この三つのそれぞれ機関から金銭的に融資してめんどうを見ておられますが、近代化をするにいたしましても、合理化高度化するにいたしましても、三百万円という融資ワクがあって、なかなか新しい機械を買うことができない。したがって、メリヤスを製造するにいたしましても、その他の中企業がそれぞれの原反を製造するにしても、三百万円のワク内の融資ではとうてい不可能だ、一機七百万円、八百万円という機械を据えつけなければならぬのであるから、このワクをはずして、一千万円程度何とか国のほうでめんどうを見ていただけぬのだろうかという強い要請がございました。したがって、やがて明年度分予算編成期にもなってございまするし、この際、近藤理事派遣報告とあわせまして、大臣の御心境あるいは明年度予算に対する心がまえを承っておきたい、これがまず第一点。
  9. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいま御質問がありました中小企業資金ワクが三百万円では少ないということは、これは前からも委員会でもお話のあったことでありますが、御承知のとおり、近代化高度化をきめたときから見ますと、機械類がだんだん大型になっておりますからして、したがって、三百万円ではその必要な機械が購入できないという実情は、これは私たちもよく承っております。したがいまして、何とかしてこのワクを拡大したいということについて、われわれのほうもこの点については極力、予算の面においてこのワクを拡大することには、目下いろいろと大蔵省ともこれから交渉する段階になっておる次第でございます。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 中小企業庁長官来ておられますか。——お見えになっておらなければ、あとで具体的な問題は大臣が途中で中座されるそうですから、中小企業庁長官に承ります。  とにかく、いま申し上げたような実態は、大臣も十分御承知なはずですから、ひとつ格段の御配慮を願いたいということが第一点。  次に、これは直接通産省あるいは中小企業庁関係ございませんけれども現地のそれぞれの中小企業では、大手企業とかその他の産業のほうにほとんど若い青壮年諸公が労務者として取られてしまって、ただいま近藤理事報告の中にございましたようなメリヤス工場とかその他の工場にはなかなか入ってこない。しかし、盛んに努力しておるのだが、やはり一カ月に二万円から二万二千円しか払うことができないし、厚生施設もない。将来性もなかなか見通しが暗い。こういうことで中高年層を雇わなければならぬ。まあこういうことのようです。  そこで問題になってくる、大臣にお伺いしたいことは、これは労働大臣の管轄ですが、職業訓練所ですね、職業訓練所自動車の修理工とかあるいは木工とか、いろいろなものはあるけれども、この種の産業に、中高年層訓練を受けて採用してもらうような訓練制度になっておらぬ。したがって、これを何とかしてくれぬか、こういうような、とにかく強い要請があるわけです。訓練所の中に、訓練課程に、中小企業のこの種の産業に従事できるような中高年層訓練施設をつくってほしい、科目を取り入れてほしい、まあこういう強い要望があるのです。結論といたしましては、労働省大臣はじめ出席を求めておりますから、そこでお尋ねしますが、通産省として、あなたのほうで合理化近代化あるいは高度化ということで盛んにやっておられるわけですから、責任なしと言えぬと思うのです。ですから、こういう点について当然労働省大臣は話し合ってもらわなければならぬのだけれども通産省としても、おれのほうは、やめていった人だから再就職、その他高年者の人は知らぬということには相ならないと思いますが、この点について第二点としてお伺いしておきたいと思います。
  11. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 労働問題、まあ中小企業労働問題ですが、私はまあ労働問題全体としてこの際再検討すべき時期がきておると思うのでありまして、ことに中小企業には労力不足という問題、これはどうしても自然と大企業のほうが待遇もいいし、まあ将来性もあるというようなことで、若い人が大企業にいく。したがって、中小企業では必要とする若年労働者が少ないというようなことになってきたので、そこでただいま中小企業一つのこれが悩みになっておることはお話しのとおりであります。  そこで、いままで労働者の問題は、これは労働省がやるということできたのでありますけれども、こういうような時代になってくると、いままでは労力が余っておるというような立場から労働対策というものがあったと思いますが、労力不足してくるということになってくると、これは産業の伸展の上に非常な影響を及ぼすので、そこで産業行政——通産行政労働行政というものは、もう離るべからざる関係になってきたと私は思うのです。そういう意味で、私としては、労働という問題と産業という問題と、密接に考えてこれから施策をやらなければならぬというような時期にきたと思うのでありまして、そういう意味で、今後労働大臣ともよくそういう点について話し合っていきたい。私は、かつて労働体制を根本的に検討する時期になってきておるのじゃないかということを労働大臣には申し上げておるのであります。そういうことで、労働大臣にもこの労働問題を、いままではどっちかというと消極的な立場で、失業対策というようなことで考えられておったと思いますが、むしろこの際、やはり大いに積極的に労働問題を考えてもらうような時期にきておるのじゃないかということで、今後こういう問題につきましては労働省ともよく連絡して善処したいと、こう考えております。
  12. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 以上をもって派遣委員報告は終了いたしました。     —————————————
  13. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 次に、米国における輸入制限、渡良瀬川の鉱毒問題、日本万国博覧会並びに中小企業関係の職業訓練北海道開発及び原子力開発の諸件に関し、順次調査を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  14. 大矢正

    大矢正君 私は、まず通産大臣に、最近非常に日米間において問題になっておりまする、アメリカにおける保護貿易立法制定にからむ対米交渉と、それからわが国の態度等について通産大臣の所見を承りたいと思うのであります。  私は手元に、最近の国内における新聞等によるアメリカの保護貿易立法の動き、それからまた、新聞以外に最近の輸入制限全体についての動向等についての資料を持っておるわけでありまするが、今回のアメリカのこの一連の輸入抑制措置というものは、従来のように特定の業種が議会に圧力をかける、そうして議会は行政府に圧力をかけるという形ではなくて、あらゆる業種が連合をして、しかも議会内においてはかなりの賛成議員を得て輸入制限に積極的に取り組んでいるという、全く異なった新しい憂うべき事態といいましょうか、わが国のように三割以上を輸出入の面においてアメリカに依存している経済にとりまして、特に最近は外貨がかなり減少を見ている、また経済発展規模に比較をして蓄積の少ない日本の外貨の現状等から判断をして、わが国経済にとりましても非常に大きな今後問題になるであろうこの問題について、通産大臣も、新聞等により知るところによりますると、積極的に努力はされておられるようでありまするが、しかし、どうも私どもが今日まで知り得ている範囲の情報においては、具体的にはあまり効果をあげていないように思われるのであります。数量的にまた金額的にも大きいのは、やはり鉄鋼であるとか、あるいは繊維というようなものでありまするが、しかし内容的にはこれだけではなくて、その他雑貨類を含めますると非常に大幅な範囲の広い業種にわたるわけでありまして、これらのものが、しかもどの程度の規制を受けるかということは、もちろん将来の問題にあるといたしましても、重大な問題であります。なるほど日米関係は、単に貿易だけではなくて、いろいろな問題がありまするけれども、しかし第二次大戦が終わって世界が新しい経済に突入する基本的な考え方としては、開放経済ということがうたわれ、それが戦争を抑止し、そしてまた全世界の諸国民の生活水準を引き上げる最良の道であるという立場から生まれた開放体制というものが、アメリカ自身の手によってくずされ、またもや各国がそれぞれの保護貿易立法措置を講じ、まことに狭い範囲における経済発展を考える以外にないという状態は、非常に遺憾なことであります。したがって、わが国産業に与える影響ももちろんでありまするが、開放体制というものがいかに重大であるかということとからみ合わして考えまする際に、わが国一国の問題ではなくて、アメリカにこの際強く迫って、全世界的な立場においてアメリカのセクト的なものの考え方をこの際排除させるために立ち上がらなければいかぬのじゃないかというふうに考えるのでありまするが、大臣が最近までとってこられたこの種の輸入制限のアメリカの動きに対しての今日までの経緯とそれから見通し、これをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) このアメリカの最近とろうとしておる保護貿易政策主義についての日本の今日までとってきた経緯を簡単に申し上げますと、大矢委員がいま御心配になっておられるように、われわれも同じようにこの問題は日本の産業にとっては重大な影響を与えますので、したがいまして、この問題については関心を持っておるのでありまして、九月に開かれました日米貿易経済合同委員会におきましても、主としてこの問題が論議されたのでありまして、向こうの商務長官と私との個別会談におきましても、主としてこの問題に時間をかけていろいろと論議をいたしたのであります。大体の趣旨としては、いまお話しのとおり、開放経済のプリンシプルに反するじゃないかということで、私どもは議論を進めてまいったのでありますが、しかしアメリカ政府としては、あくまで、もう三十年来とっておる自由貿易主義を堅持するということをしばしば向こうは言明しておりますし、たとえばロス大使などは、本会議におきましては、時計の針を逆戻りさせることは絶対いたしませんということを言明しておるのであります。ただ問題は、アメリカの国会議員が上院、下院ともにこういう保護主義的な法案を議員から提出しておるので、したがって政府としては、この問題については非常な関心を持ち、国会の動きについてはわれわれいつもこれを見守っておりますということであったので、したがいまして、われわれといたしましては、そういう主義をとるのであれば、この法案に対しては政府は断固としてひとつやってもらいたいということをお願いいたしたのであります。ところが、その後やはりアメリカの国会においては、そういう貿易を制限する議員立法があっちこち上院、下院ともに出てまいりましたので、したがいまして、先月の十七日にワシントン大使館を通じまして、米国の国務省に対して再度同じような趣旨を述べて、アメリカ国会内の動きを阻止してもらいたいということをお願いしたのでありますが、この問題につきましては、同時に、EEC、英国、南米もやはりそういう抗議をアメリカへ申し込んでおります。が、しかし、その後の最近ここ一週間は大体この問題が国会内においても論議されていないので、ややあるいは緩和されたのではないかということが考えられるのでありますが、しかし、私は楽観をいたしておりません。そこで、幸いきのうはアメリカの商務長官が韓国の帰りに日本へ立ち寄るということで、実はアメリカを出発する前から日本で会いたいということを私から申し入れまして、そこで、羽田の滞在時間が二時間あるから、その間に会おうということで、きのう幸い約一時間ほどにわたってこの問題について懇談をしたのであります。やはりアメリカ政府としては、依然としてその自由貿易主義を堅持しておる、できるだけこの法案が国会を通過しないように、成立しないように努力するということであったのであります。そこで、私も万事ひとつアメリカ政府の御尽力にお願いするということで、きのうも別れたのでありますが、しかし、今度近く総理もアメリカへ行きますので、その際にもやはり総理からこの輸入制限法案の成立を阻止するように、ひとつ強く、要望してもらうという考えをいたしております。そういうことで、アメリカ政府としては、確固たる方針で自由貿易主義をとるということを内外に言明しておりまするし、また議員の提案したような法案が通過すれば、それがアメリカの経済にいかに影響を与えるかということにつきましては、これは政府自身もそのことは憂慮いたしておりまするし、あるいはまたアメリカにおいても、学界その他の意見も大体自由貿易主義を堅持すべきだというような、そういう世論も相当ありますので、したがいまして、ここしばらくアメリカの経緯を見たい、こう考えておるのであります。アメリカ政府のせっかくの御努力に対してわれわれは期待しておる、こういういまの状態であります。
  16. 大矢正

    大矢正君 私の手元にはアメリカの上院財政委員会の公聴会の速記録なるものの抜粋がきておりますから、具体的にこれを読めば、なるほど大臣の言われるとおりでございます。アメリカの行政当局としては、あくまでも日本の言う主張を貫いていこうとする、開放体制に逆行するような保護貿易措置はとるべきでないという態度の表明がなされておりますから、その点はよくわかります。しかし、先ほども申し上げましたとおり、その範囲の広さというものと、それから運動の根強さ、さらに議会及び行政府に対する圧力のかけ方というものは、従来と非常に大きく異なっておる、また強烈なものがあるように私ども聞き及んでおるのであります。したがって、アメリカの行政当事者との間の話し合いがいかに進展したとしても、独自の立法権限を持つアメリカの議会がこれを認めないという状態では、われわれの意向は伝わらないわけであります。そこで、大臣とここでいろいろ議論をしていてもしようがない話でありまするが、いま大臣も言われたのでありまするが、佐藤総理は訪米をされるそうであります。私は訪米されることはあまり賛成いたしませんが、行くことをとめるわけにはいきませんから、行かれることは確定的なものだと思います。その前提で考えるとすれば、総理が一体どこまで決意を持ってこのアメリカの保護貿易という問題を打ち破るために戦うかということが問題だと思うのです。さっきも言ったとおり、単に日本一国の経済上の問題だけではなくて、世界の大勢があの強大な国のアメリカの政策によって大きく後退もし転換もするというこの事実を、やはりもっと踏まえて考えていかないといかぬのじゃないかと思うのであります。  そこで、私は本日の委員会で提案したいと思っておることが二点あるわけであります。それは、当委員会において佐藤総理に対し、この問題は非常に重大な問題である、総理がアメリカで話し合われるベトナム和平の問題やあるいは沖繩返還の問題も重要であるが、同時に、この問題も大きく考えてまことに重大であるので、当委員会において、あとから私は委員長とも御相談いたしたいと思うのでありますが、やはり強力な決議をして、総理に強くこのことを委員会として申し入れると同時に、どうも最近は外務省のお役人さんは腰が弱くて、アメリカさんの言うことをそのままうのみにして日本に持ってこられるような傾向があるように思うので、私はこの際、外務省に対しても当委員会として、こういうような今日の世界の情勢と逆行するような、かつてはケネディ・ラウンドを妥結させて新しい世界の発展の分野を開こうとしているやさきに、それを推進したアメリカ自身がみずからこれを破るなどということは、まことに重大な問題であって、単に日本一国の問題ではないので、私は、当委員会で強力な決議をすべきだと、こう思っております。しかし、これはまあ大臣と直接関係のないわれわれ委員会において判断をすることでありまするが、私はそういう一つの提案を持っております。  そこで、実際に総理が行かれるそうでありまするけれども、どの程度の考え方を総理に持たせて行ってもらう考えでいるのか、その点が問題なんです。  そこで、私はこう思うのであります。もう、事ここまでまいりますれば、単に外交ルートやその他の手段だけでこの問題を押えようとかかっても、そんな甘いものではないのではないかという感じがする。したがってこの際、やはりいかにして報復をするかという報復措置を明らかにする以外にないのではないか。報復措置というのはいろいろあるでありましょうけれども、私は、やはり一つには、考え方として鉄鋼がまず重大な問題として浮き上がってまいりますし、繊維があります。鉄鋼にいたしましても繊維にいたしましても、その原料となる鉄鉱石なり石炭あるいは綿花なり、こういうものは非常に大量の部分をアメリカの輸入に依存いたしておるわけでありますから、鉄鋼それ自身はなるほど原料炭の買い付け、あるいは鉄鉱石、鉄くずの問題では、なかなか他にそれを求めるということは困難な部面があったといたしましても、日本の国内それ自身においては、若干の損失は覚悟の上ででも、私はアメリカと対抗してやるという報復措置を、この際、鉄鋼、繊維、それからその他の雑貨に対してもそうでありまするが、三つに分けて、具体的に報復措置を、まずその対象となる業種において考える。さらにその上に、総括的なこの報復措置をすみやかに明らかにし、それを佐藤総理に伝えて、もしあくまでもこの措置が、保護貿易という逆行措置がとられるような結果になるとすれば、そこまで行くぞということをこの際明確にする以外にないんじゃないかと私は思うのであります。  もっといろいろ申し上げたい点がございまするが、そういう具体的な考え方について通産大臣としてどうお考えになるか、この際お答えいただきたい。
  17. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) まず第一の、委員会で決議するというお話がありましたが、これは私はけっこうだと思っておるんです。やはり委員会においてそういうようなアメリカのやり方について不満であるというような、従来どおりの自由貿易主義でやれというようなひとつ決議をしてもらうことは、私はけっこうだと、こう考えております。  第二の報復の問題ですが、いや私のほうではいよいよとなれば何とかしてこれに対して報復というか、対抗策を考えなきゃならぬので、そこで、報復ということばは使っておりませんが、先般の抗議の中にも、この対抗措置を考えなきゃならぬというようなことは言っておりますし、また、私は日米合同委員会においても、そういうようなことは発言しておるのでありまして、抽象的なことばで言っておりますが、どういう報復をするとかせぬとかいう具体的なことは、私はまだ早い、かえって手の裏を見られて、こちらがかえって裏をかかれるようなことになりはしないかということで、また、実際これが成立するかしないかというのがまだわからないのでありますからして、いよいよ成立するという見通しがつけば、これについてはわれわれとしても考えざるを得ないということを、私自身が決意いたしております。したがいまして、このことは総理にもはっきり申し上げて、いよいよとなれば日本としてもとるべき措置をとらなきゃならぬということを言っておりますし、また、外国もみなそういう考え方をしておるように見受けるのであります。でありますからして、まあこちらは腹をきめておく必要がありますが、具体的にどうするこうするということは、いま発表すべき時期ではない、こう考えております。したがって、総理ももちろんこの問題については触れると思いますが、もちろんいま大矢委員が言われたような理由を総理も述べられて、世界のために、またアメリカのためにこれは必ずとるべきではないということを、やはり総理もそれを強調して言われるようになると、こう考えておるのでありまして、そこでまあ私は、きのうの商務長官との会談におきまして、向こうの行政府がいま非常に固い決意を持っておりますから、一応これに期待をかけて、そして今後のアメリカ各界の動きをわれわれは一応見守っていくべきではないかという考えをいたしております。まあいよいよ成立するという立場になれば、これは日本としては日本の産業にとっては大きな問題でありますから、これは私から言えば総動員してひとつこれの対策をまあ講じなければならぬということになると思うのですが、まあそのときはまた皆さん方の御協力を特にお願い申し上げたい、こう存ずる次第でございます。
  18. 大矢正

    大矢正君 あなた報復措置ということばをきらわれておられるけれども、報復措置ということばは何も新しいことばではなくて、これは法律上もそういうことばが現に使われているわけで、何も遠慮する必要性はないわけです。報復ということばはどうもきつ過ぎるとか相手を刺戟するとかということにはならないのであって、その点は法律上もそういう用語があるんだから、ですから私は当然のことばであって、あまり気にする必要性がないということが一つ。それからいまおっしゃっておられるようだが、いまの段階ではどうも私が大臣の心境を察するところ、あまり刺激をしないほうがいいんじゃないか、まあやんわりといまのうち話をしておいて、やがてどうも成立しそうだという段階においては、具体的にそのときに報復措置を考えればいいんじゃないかというようなふうに承れるわけでありますが、しかし、それじゃ私はもうおそいのじゃないか。現に繊維にはどういう制限の法律、鉄鋼にはどういうもの、雑貨類にはどういうものという具体的にもう出てしまっているわけでしょう、ここに全部あるわけだから、一つ一つ法律の名前まで出ているわけだから、さすれば、わが国もやはりそれに対抗するものを業種別にやはりこの際出して、それで出ないものは全体としてどう報復するかというようなものをこの際明確にしてアメリカに迫らなかったら、正しい外交ルートで単に行政府同士だけが話し合いの中で何とかうまくいくだろうという問題ではないわけでしょう。行政府だけで問題が解決できるならば、これはもうアメリカの政府も日本の政府と大体同じことを言っているんだから、これはもう問題がないはずなんです。しかし、行政府だけでは問題が解決しないところに今日の保護貿易立法をしようとする側の異常な強い力が見られるわけなんだから、私はあなたが言うように、時期を待って、法律が成立をしそうになったらそのときに報復措置を考えればいいのではないかというような、そういう手ぬるいことではなしに、はっきりと私はやるべきだ。それから、なぜそういうことを強調するかと言えば、あなたは諸外国も大体そういう方向だとおっしゃるが、日本の国はさっきも言ったとおり三割以上はアメリカに輸出入において依存をしているという、そういう非常に特殊な関係にある。このこと自身私は賛成ではないが、現にそれが存在をしているんだからしかたがない。その存在をしている事実の上に立って言えば、日本の経済というものに非常に大きな影響がくるのであって、他国が手ぬるい状態でいるからそれじゃ日本もそれでいいんではないかという考え方にはならぬのだから、この際、明確に具体的に報復措置を明示して対抗すべきではないか。私は採決で負けてでもこの委員会にそういう動議を提出しますよ、大臣がそういう考えならですね。アメリカの保護貿易に対する一連の立法については、直ちに行政府は報復措置を講ずべきであると、報復措置を明示すべきであるということを、私はこの委員会に動議を出してでも、この際皆さんの協力を得て、もっと強い態度でアメリカにやっぱり臨んでいかなきゃならぬと思うんですが、もう一回大臣の考え方を聞かしていただきたいと思います。
  19. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 国会でもしや成立いたしましても、アメリカでは大統領の拒否権がございます。そこで、きのうも商務長官には、もし成立した場合に行政府としてはいかなる措置をとるかという私は質問をしたのです。それで商務長官としては、それは大統領の政治的決断によるところであって、自分としてはそういうことについて言及するわけにはいかない、こういう返事であったのであります。結局私たちが訴えるところは、やはり大統領の拒否権です。これを訴えなきゃならぬ、こう思うのでありますからして、したがってこの際、かえって報復という具体的な問題を提案するよりも、やはり向こうの行政府にまかせて、行政府のやはりかたい決意をそのまま持ってもらって、そして行政府としての最後のとるべき措置をとってもらうということが一番賢明なやり方じゃないかと、こう私は考えております。
  20. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  21. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  22. 大矢正

    大矢正君 通産大臣、引き続いて万博問題についてお尋ねをいたしますが、これはこまかい問題ではなしに、私は先般のモントリオール万博に参加をしてみまして、いろいろ感ずるところがありますので、この際、ひとつ大臣の御所信を承りたいと思うのであります。それは、ここまでまいりまして、いまさら万博をやめたほうがいいとかどうかという、そんな問題ではなしに、万博をいかに効果あるものにするかということ。それは御存じのとおりモントリオール万博が五千万人という史上最大の人を集められたということには、当然のことながら、それだけの条件整備というものがあったわけです。なるほどホテルの問題とかあるいは交通とかいろいろ問題はあります。ありましたが、しかしあれだけの成果を上げ得たということは、われわれが真剣になって日本の万博を考えないと、あれだけの好評、そうして成果をあげた万博のあとで開かれる日本の万博というものが、あまりにみじめな結果に終わったということになると、日本のいわゆる国の名誉をむしろ傷つげることになって、多額の金をかけて、しかも日本の恥をさらしたということになりかねないわけで、その点が心配なものですから、私は特にこの機会に、自分も行ってきた一員として、私の感ずることを申し上げてみたいと思うのでありますが、私はモントリオールを拝見して非常にいいなと思ったのは、各国の、各国のというよりは、その前の、テーマそれ自身も非常によかったと思いますけれども、そのテーマに基づく各国のまた努力、それから創意、そうしてくふうというものも、これまたよかったと思うのであります。しかしその中でも、特に私はあれだけの人を集め得たという、成功裏に終わったという理由の一つは、非常に恵まれた自然条件のもとであの博覧会が開かれたというところにあるのではないかという感じがするのです。それは、あれだけ広大な公園が全く万博の中にあるかのごとく、まことに自然条件に恵まれ、しかもすぐ川があり、その川も全く川であるか海であるかというような、まことに条件のいいところ、大臣も見てこられたと思うのです。このような自然条件に比べてみると、前に私は見たことがありますけれども、大阪の万国博覧会の会場となる千里丘陵というものは、どうも必ずしもあのイメージとはそぐわない面が非常に多い。まずこの点が第一。だから私は、もし欲をいえば、大臣に申しわけないのですけれども、万博は大阪をやめて、富士山のふもとあたりでやったら、まことにいい成果を得るのではないかという感じすらするわけです。しかし、すでに建設が始まっている今日、それを変えることは不可能であろうということは、私自身も感じておりますけれども、やはりそれだけに、モントリオールとは異なった意味において、外国から来る人、日本の国内の人々に対して、すばらしい未来に対しての希望を今度はどう与えるかということは、非常にむずかしいことなんですね。そういう意味では、私はもう非常にそれに必要な金もかかることであろうし、それからそれだけの努力も必要であろうかと思うのですが、はたしてそういうものが、まあ大臣は自分は地元だからそれは何とかやりますよと、こうおっしゃるが、しかし、ああいうものがほんとうにできるかどうかということは、私は非常に自信がないわけです。率直に言ってあまりに向こうがよ過ぎたために。それからもうひとつは、どうも最近の動向を見ていると、政府のベースにおいてはなるほど国家的な行事の一つとして万国博覧会をとらえて、オリンピック並み、あるいはオリンピック以上の国際色豊かな博覧会をということで腰を入れておられることは、これはわかるのでありますけれども、しかし、国が、あるいは地方の自治体だけが幾ら努力をしてみましても、あれはでき上がるものではなくて、むしろやはり民間の努力に負うところが非常に大きいということは申すまでもないところなんです。ところがどうも最近の財界を中心にした動向を見ていると、関西の財界はどうも通産大臣の顔を立てているのかしらぬが、一生懸命やっておられるようだが、しかし東のほうの財界は必ずしもどうも積極的じゃないように私はあらゆる機会に聞かされるのですがね。こういうことでは、やはりその成果というものが危ぶまれることになるわけで、この二つの点について私は大臣のお答えを聞いておきたい。聞いておきたいというよりは、私自身の意見を率直に述べて、別に悪口を言っているのじゃなくて、率直に述べて、大臣にもっとひとつこの際努力をしてもらわなければいかぬと思うので申し上げたわけです。
  23. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 大矢委員が日本の万国博覧会についていろいろ御心配になっておられる点は、われわれといたしましては非常に感謝にたえない次第であります。要は、日本の万博をして成功せしめたいという国民の声もあり、また特にわれわれ国会に席を有する者としては、成功せしめなきゃならぬし、成功せしめるべきお互いに責任が私はあると思う。そこでモントリオールの成功したゆえんは、これは私から言うと、やはりカナダ人が、全部国民が今度の博覧会を成功せしめたいという熱望を持っておったというところにあったと思うのです。われらの博覧会という気持ちを持っておった。そこに博覧会が成功したのではないかという私は考えをしておりますので、そこで私も日本の博覧会につきましては、一億国民がこの博覧会に参加し、一億国民の教育道場にしたいということを一つの標語にして、私はあちこちの講演会にそういうようなことで各地で訴えておるのであります。その点におきましてまだ日本全体の盛り上がりがないというお話でありますが、私はもう最近日本全国の盛り上がりが起こってきたということは、たとえばこの万国博覧会の標語を集めたときに、第一等は「世界の知恵で未来を築くエキスポ70」というのだが、みないなかの人です。だからして、いなかまでやはり日本の万国博覧会は行き及んでおるかということを私は気づいたのでありました。でありますから、相当万博のことについては行き渡ってきたのではないかと思います。  それからもう一つ、実は私自身がそういう気持ちを持っておるのですが、いまカナダでやっておるので、そこでカナダの博覧会が済めば大々的にひとつ宣伝したいという考えを持っております。よそがまだ店を開いておるときに、あまりにこっちで店開く、店開くということ自体が、日本人のこういう気質を持っておるものだから、あまりそう宣伝しないほうがいいという気持ち、もうカナダ博覧会済みましたから、これからひとつ大々的に日本国内はもちろん世界的に宣伝、PRをすべきだということを協会のほうにも申し入れております。でありますからして、これから私は盛り上がってくるのではないかと、御承知のとおり、オリンピックの競技会におきましても、やはりまぎわになって日本全体の空気が盛り上がってきたと同じように、まあこれからの努力によって盛り上がってきて、日本人の万国博覧会ということの考えでひとつみんなに協力してもらうようにしたいと、こう考えております。  それからカナダの博覧会か成功した一つは、やはり隣に世界一の金持ちのアメリカがあったということで、入場者の半分は大体アメリカ人というように聞いておるのでありますが、そこでそういう点についての地の利を占めておったということも言えますし、お話のとおり、川のふちにあって、見るからに自然の公園を利用しておるということは、日本に比べたらそれはずっとすぐれた状況を持っております。が、しかし、昭和三十三年に開かれたブラッセルの博覧会は、何も川のはたで開かれたわけではないので、日本と同じようなやはり平地で開かれたのであります。でありますからして、それはもう環境の条件は、これはもちろんモントリオールには日本は劣っておりますけれども、内容的には、全国、世界の人を引きつけるような内容的なつくり方さえすれば、私は五千万以上の人を引きつけることができるのではないかという考えをしております。  それからカナダの博覧会が成功したのは、やはり五十二カ国の各国が参加したということでありまして、私はせめて七十以上の参加国を得たいということで、私自身もあちこち参加方の依頼にも参りましたし、また、ほかの大臣も海外へ行くときにはみなそれぞれ参加方をお願いしたのであります。たとえばカナダの博覧会では御承知のとおり中南米が参加しておりませんが、今度は中南米のほうも参加方をわれわれはお願いしておりますが、大体参加してくれるような空気であります。でありますからして、私は参加国がカナダ以上になるということについては悲観的な考えを持っておりません。そういうことで参加国もカナダ以上にしようし、それから入場者もひとつアメリカ人、外国人をというわけにはいきませんが、日本人はできるだけこの博覧会には参加してもらいたいということで、そういう意味で私たちとしてはカナダ以上のものにするということで考えておりまするし、また、協会の人もカナダ以上のものにしなければならぬということで、ことに石坂会長などはそういう意気込みでやっておりますからして、私は必ず成功するものであるということを期待しておる次第であります。
  24. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの質問の続きになりますけれども、いま参加国が非常にカナダのときよりもたくさんの参加国にしたいと大臣言っておられますけれども、この間大臣も各国をお回りになって、その反応ですね、特にヨーロッパ諸国がどう考えておるか、その点をお願いしたいと思います。
  25. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 私が参ったのは、英国、フランス、ベルギーでありまして、それから北欧三国——スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、それから東欧の共産国、ブルガニア、ルーマニア、ユーゴスラビア、これだけ私は行ったのでありますが、すでにそのうち英国は、私が行った日に公式に参加ということを決議しまして、閣議決定になったということを報告を受けたのでありますが、しかし、それまでにすでに日本博覧会の委員長を任命しておりまして、準備しておりまして、近くその委員長が日本へ来ることになっております。それからフランスも参りまして、各国ともにカナダ以上のパビリオンをつくってほしいということをお願いしたのであります。北欧も三国ともに参加することについては総理はじめ皆各大臣とも参加する気持ちだ、ただ問題は金ということ、これは北欧三国がそういうことを言っておりました。が、しかし、その三国ともに、皆さん、矢追委員も御承知のとおり、北欧の五カ国が共同してカナダではスカンジナビア・パビリオンを設けております。そこで、私は、三国へはひとつみんな共同してやってほしいことをお願いしたこと。東欧の三国のうちでブルガリアは、すでに私が行く前に参加を決定しております。ルーマニアとユーゴスラビアはこれはこの三国がまた私が見るところ、やはり競争意識を持っておりますから、ブルガリアが参加すればおれの国も参加しなければならぬということで、各国大臣あるいは商工会議所の会頭などに会いましても、皆ひとつ参加はするつもりだということを言っておったのであります。大体私が勧誘したところは、大体みんな参加してくれるという私は感触を持っております。
  26. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ただ問題は、やはりモントリオールから時間か短いことと、もう一つ、来年アメリカのテキサスのサンアントニオで世界博をやります。やはりこういったことも影響があるのじゃないかと思います。特に来年のこのアメリカの世界博に対して、いろいろ各国とも参加をするようですけれども、三十カ国くらいといわれておりますけれども、それに対し、それが万国博に影響があるということはないですか。
  27. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) このカナダの博覧会のあとで日本の博覧会が三年後にあるということは、この点はやはり問題になっております。そこで、御承知のとおり万国博覧会の条約によりまして、最近、もう六年経過しなければ博覧会は開かぬということを決議したのであります。でありますからして、その点において、いまはカナダでやっておるからまだ予算はきめられぬということを聞かされたのであります。が、しかし、カナダ博覧会が済んだら、参加の決議を閣議決定したい、こういうことでありますので、この三年後の、カナダの博覧会の三年後に開かれますということ自体については問題があることは事実であります。しかし、私たちがよそに参加をお願いするにしましても、もし日本の博覧会に参加しなければその次の六年間待たなければならぬ、そうすると九年間そこに空白ができる、だからして、せっかくあなたの国が万国博覧会に九年間も参加できないということは、あなたのような国にとっては不利じゃないかというようなことで、ひとつ日本にも参加してほしいというようなことをお願いしておるのでありまして、そんなことで、大体参加してくれるという見通しを持っております。で、アメリカの博覧会は、これはアメリカは、いわゆる万国博覧会ではないのであります。この間のニューヨークの博覧会も、これは万国博の条約によってやった博覧会ではありません。そういう博覧会はアメリカのあちこちでやっておりますから、日本にはそう影響はないと、こう私は考えております。
  28. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 さっき大矢委員からも御質問のあった会場の、モントリオールのセント・ローレンス川の中にあるりっぱな会場というお話でありまして、それにはたして日本が対抗できるかどうか。大臣先ほどブラッセルの話もありまして、ブラッセルは陸地だから、これはやはりブラッセルは向こうの独特の森林の中にモニュメントがありましたし、やはり向こうのほうが景色は相当上回るのじゃないかと思います。それに対して日本の万国博は、はたして何をもって会場を整備するか。いろいろ人工湖の問題等を考えておられるようでありますけれども、それに対する水の問題、いろんな問題があると思います。やはり日本でなければならないといいますか、非常に日本的なものを出しながら特に日本のあらゆる力を集中してやるという、そういうものがはたしてできるかどうか私は心配するわけです。この間のモントリオールの日本館を見ましても、いろいろいいものを並べてありましたけれども、日本というものを出すくふうというのが私は足りないのじゃないか。各国のを見まして感じましたことは、やはり各国ともその歴史と伝統、文化というものを非常にうまく表現をしておったように思うわけです。日本館というものは何か日本というものに対する、日本というものを的確に特に外人にわからせるようなくふうが足りなかったのじゃないか。最近の海外の日本に対する研究というものは非常に進んでまいりまして、むしろ日本人よりも日本を知っておる人もふえてきておりますから、やはりそういった点では相当くふうもしなければならない。ただモントリオールがりっぱだから、ただ人工湖をつくってたくさん水を入れてやればいいというのじゃなしに、日本というものをわからせる、また日本の力を総合したものをつくる、こういう点に非常に留意してもらいたいと思うし、そういう点についての大臣の構想をお聞きしたい。
  29. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) いま矢追委員が心配されることは私も同じような考えをモントリオールについても抱いております。日本の博覧会におきましても政府館がやはり日本というものを世界に紹介するという意味で、いまいろいろと苦心をいたしております。これは矢追委員の御希望に沿い得るように政府館もつくりたいということで特別の委員もつくりまして、そしていま各階層あるいは若い人の意見も用いるというようなことで、各方面の人を委員にお願いして政府館をつくるべく、いまいろいろと考案しておる最中であります。でありますからして、お話のとおり日本というものを世界にこの際知らす絶好のチャンスでありますからして、万国博覧会に入場した人が、これによって日本というものを私は十分理解してもらえるようにしたい、こういうように考えておる次第であります。
  30. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間がないようなんで、こまかい問題たくさんあるんですが省略をいたしまして、一点だけこれは具体的な問題についてお聞きしたいと思います。  この十月の十三日に運輸省から北大阪急行電鉄株式会社、これの申請に対して万国博鉄道に免許を出した、こうなっておりますが、この北大阪急行電鉄株式会社というものはどういう会社であるか、これを説明していただきたいと思います。
  31. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 北大阪電鉄株式会社につきましては、これは阪急の子会社でございまして、ただそれが非常に公共的な性格が強いということと、それからもう一つ地域開発という点、将来における地域開発を考えまして、それでその所要資金につきまして民間、それから地元の大阪府、それからそれ以外の関係企業、それからその他融資等につきましては、政府のほうとしましても、たとえば開銀資金等によりましての融資もこれから検討していこうというようなことでございます。会社の形態といたしましては民間会社ではございますが、その性格から見まして、そういうふうな考え方をとっていきたいというふうに考えております。
  32. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まあ電車を、鉄道をつくるのはいいのですけれども、大阪には地下鉄もありますし、なぜその地下鉄は考えられなかったか。また阪急の子会社と聞きましたが、それに金を出すわけでありますけれども、特に問題は、上新田から会場までの約四キロの施設を撤去すると、こうなっておりますけれども、住民のほうからは残してもらいたいという希望もかなりあるというように聞いておりますけれども、その点はどうですか。
  33. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 上新田から会場につきましては、あと地利用等の関係はございますが、いずれにいたしましても、当分の間その間の採算は不可能でございます。あと地をどういう形に、最も効果的な形において利用するといたしましても十年ないし二十年程度の採算は不可能でございますので、これはむしろ撤去したほうが資金の効果的な活用になるというような考え方で撤去したいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 採算がとれないから撤去するというが、やはりこれは住宅街を横切っておるわけでありますし、また、今後あの辺は発展すると思いますので、撤去ということをきめられたのはどういう理由、理由よりも、どこの機関できめられたか。阪急のいわゆる考えで、あと、もうからないからやめるというふうにされたのか。万博のほうとしてそういうふうにされたのか、どっちですか。
  35. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) その点につきましては、阪急ということではなしに、関係各省、運輸省も交えまして、これが将来どういうふうな形において運営されようとも、少なくとも十年から十五年の間は採算が不可能であるということが運輸省等におきましても算出されましたので、これを存続することは無理であろうというふうな結論に達したわけでございます。
  36. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そういうふうに、せっかく敷いて、かなりのお金を出すわけです。四十億近くのお金を出してやるわけですから、あとこわしてしまうのはもったいないし、その点であと地利用のほうからも計画を立てる点の、計画というか、作業というか、考えが非常に私はこの万博について劣っている、おくれていると、特にあと地利用についても、まだきまっておりませんし、こういう電鉄のこと一つを取り上げましても、特にこの電鉄の問題では大阪府議会でも問題になっておりますのは、非常に知事が独走したと、これは附帯決議が出ておりますけれども、こういうことで非常にみんなからひんしゅくを買っておる。また、今後の運営についても非常に民間企業の独善に陥らないように、というのは、かなり補助金、お金を出すわけでありますから、そういう点が附帯決議でも出ておりますけれども、特に知事がこの問題に対して非常に暴走した、議会側の意見をあまり尊重しなかった。この点について大臣はどのように考えておられますか。
  37. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 大阪府会の決議文を私まだ見ておりませんからわかりませんが、知事が独走したわけじゃないのです、これは。これは運輸省や通産省みんな相談して、あそこの電鉄は会場が終わったら撤去するということにしたわけでございます。それから大阪の市が地下鉄を持っておるから、実は大阪市に会場まで地下鉄を延ばしてもらいたいということを初めから私どもではやかましくお願いしたのでございますが、やはり市域という関係がございまして、市としてはあれは榎阪までしか地下鉄を延ばすわけにいかない。そうすると、それはもう市外になるので、それは府の管轄になる、こういうことで、市がどうしてもやると言いませんので、そこで大阪府に話をして、大阪府の将来の千里の住宅ということも考えまして、大阪府としても支出してしかるべきじゃないかということをこちらも進めたわけでございます。そういうことで、みんなと相談の上でそういうことにきまった次第であります。でありますからして、知事が独走したわけでは決してないと思います。
  38. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた、その他下鉄を引けなかった問題ですが、結局大阪というのは府と市が非常に仲が悪いわけです。これは有名でありまして、いまなおそれが続いているわけです。こういう万博なら万博というのは、日本的な行事でもあるし、また、国際的な事業でもあるわけですから、こういうことを機会に、市と府が仲よくできるような体制をつくっていかなければならぬと私は思うわけですけれども、そのほか市と府のいわゆるいがみ合いというのは、あと地利用の問題にも出てきております。大阪府の経済局長さんあたりとこの間話し合ったが、はっきりと市のことを私の前でも悪口を言うわけです。そういうことで、非常にそういう点がいままでも大阪市と府というものは、この万博のみならず、いままでも問題としてきておる。これに対して、この地下鉄一つの問題にしても、そういう問題が出てきておる。何も市のほうから地下鉄を持ってきたって私はかまわない、何らかの形でできると思う。また国も一般の大衆も望んでいるならば、むしろそれをすべきであるし、せっかくお金をかけたのを、あとでこわしてしまうということがないように、その市と府の仲の悪い点に対して、やはり万博というものをやる上において、特に私は政府あたりがしっかり行政指導をする必要があると思うのです。この問題に関連して、市と府の問題を、大臣はどう考えているか、大阪ですから、よくおわかりだと思います。
  39. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 矢追委員の言われることは、私は何十年も前から私自身が体験していることであります。府市併存すること自体が不合理だという考えを持っておって、私は府市一元化ということは十何年前から唱えておる。なかなか実現しがたいのであります。したがいまして、今度の万博をやることについても、そういう点について、いろいろの不便を私自身も感じたのでありますが、しかし、これは結局大阪府あるいは市の問題でありまして、やはり大阪府民、市民というものが、一元化というものをほんとうに欲するというようなことにならなければ実現できないので、いかに私がやかましく言うたところで、それはだめなのでありますから、そういう点において、ひとつ矢追委員のそういう点の御協力を特にお願いしておきたい、こう思う次第でございます。     —————————————
  40. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 私は経済企画庁長官と通産大臣に対しまして、実は前国会前長官のときに、渡良瀬川鉱毒問題について御質問申し上げたのでありまして、その後あまり進展しておりませんし、それから水質審議会で水質の基準をきめる段階にありながらなかなかまだきまらないという点があるのですが、それについてお尋ねいたしたいと思います。  御承知のように、三十四年に水質保全法ができて、しかももう九年間になるわけです。九年間それで調査をずっと進めてきたのですが、昨年の九月に私が質問いたしまして、そのときには前長官——藤山長官は、年内に何とかする、水域の指定と水質基準をきめたいと、こういう発言はあったわけでありますが、その後水質審議会は、聞くところによると一回ぐらい開かれたのでありますが、まだ正式には決定の段階にいってないようであります。ところがその地元の農民は、やはり七千二百町歩の耕作農民がおって、しかも二万人からの人が、早く水質審議会で水質をきめてもらって、われわれは満足ではないけれども、水質審議会の中の第六部会で、しかも渡良瀬川の調査をやる一番の専門の部会できめた線だけは決定してもらって、対策やってもらいたいと、こういうことなんですが、それがまだできておりません。  そこで私は、まず第一に、経企長官にお尋ねいたしたいと思いますが、水質審議会はいつお開きになって、第六部会で〇・〇六PPMという線を出しておりますが、その決定をいつやられるか、これについてまず第一点、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま近藤委員が御発言になりましたような趣旨のことは、前長官から引き継ぎを受けております。それで非常に申しわけないことと実際思いますが、なかなか関係各省の間で、これならば実行できるという具体策というものがまとまりませんで、この渡良瀬川そのものの水質基準をきめるということは、これはきめてきめられない問題ではございませんけれども、それを有効にその基準内で維持していくという具体策がきまらない限りは、水質をきめても実効がございませんので、できるだけ各省の協力を得て、実行できるような形で事をきめていきたい、こういうことで事務当局はいろいろ努力をしてまいったようでございます。しかし、まことに申しわけないことでありますけれども、今日まで実行し得る具体案というものに到達していない。ただ、きわめて最近、もうこれ以上事を放置することはいかぬというようなことから、以前よりはだいぶん各省の間の協調機運が高まってまいりまして、そう遠くない時期に水質審議会が最終的な決定をすることができるかもしれない。ぜひそういうふうにしたいと思っております。いかにも関係者の間のいろいろな立場、考え方というものがうまくそろいませんで、御指摘のような遅延になっておりますことは申しわけないことだと思っております。
  42. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そこでお尋ねしたいのは、いま長官は、前長官から申し継ぎを受けて、経済企画庁が調整機関でありますから、各省との連絡調整をやりながらいま進めておる、こういう御答弁がありましたけれども、われわれが調べたところでは、経済企画庁はあまり動いていないということなんですよ。そして経済企画庁が、じゃ、各省の局長連中を集めて、正式に具体的な話し合いを持ったということを私は聞いていない。課長連中の段階で行き詰まってしまって、そしていままでほうっておいたような感じがするんです。その点はどうですかということ。  それから、大体十年一昔というけれども、九年間も調査しておって、しかも長い間農民が苦しんできて、大体目鼻が——〇・〇六PPMというと、農民が要求し、群馬県側が要求する点から見ると、五〇%程度の要望はいれられぬけれども政府が一歩前進してやろうというなら、それでもひとつやってもらおうじゃないかという機運になっているわけです。この間も、実は地元の農民が千人ばかり集まって、そして来年度予算の中でどうにか手を打ってもらわなければしかたがないじゃないか、もうこれできまりをつけてもらいたい、ということで上京するという話もあったのだけれども、私も知事も飛んでいって、そいつはちょっと待ってくれ、経済企画庁が中に入って、〇・〇六PPMをきめるという段階で関係各省と調整をやっているのだから待てということで、待たせているのですけれども、その点長官は、局長からどういう報告を受けているかしらぬけれども、私の調べたところでは、関係各省ともそう調整を進めていないように思うんですが、その点はどうでしょう。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) どうも事情を聞いておりますと、近藤委員の言われるように、しばらく調整の話というものが動かないでおったということは事実のようであります。それは、お互いに話し合いをしてみよう、関係各省が、といったような雰囲気になってこない。非常に相談をするにしても、相談に皆が乗ろうというような雰囲気になかったということが過去にあったようであります。調整をしようにも、どうも話の糸口が見つからないといったような調子のようでございましたが、ごく最近になって、そういうことでは結局地元の人たちに迷惑をかけるばかりで、これはやはり行政が、非常に何と申しますか、これは一つの渋滞でございますから、そういうことは何とかして解決をしなければいけないというふうに私自身が考えております。必要があれば、閣僚のレベルででも——とにかく事務当局にもう一ぺん話し合いを始めるようにということを御相談して、そういうことに各省入ってもらわないと、国民に御迷惑をかける、こういう気持ちで、私としてはただいまおります。
  44. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 ちょっとお伺いしておきたいと思いますが、第六部会でもきめられましたですね、大体各省が。私はあとで通産大臣に申し上げたいのですが、結局古河鉱業だけを責めるというわけじゃないのです。最初は、やはりもう数十年来、八十年来の問題でありますけれども、最近の情勢は多少変わってきております。変わってきておりましたが、最初通産省は、古河の足尾銅山から流れて出る鉱毒というものを、いわゆる加害者的な立場から考えると三五%だと、こういっている。ところが、七年間ずっとだんだん調査してまいりました結果は、第六部会で、各省が全部認めた点はこれは逆になったですね。鉱山側の責任が六四・五、そうして自然から出るのが三五・五だと、こう逆になっているのですね。それで保安局長にぼくはいろいろ尋ねたのですが、保安局長が言うには、足尾銅山は古いのだ、だから旧鉱業規則時代に認めておって許可しておる問題もあるし、水質保全法ができてからも、できるだけのことはやらしておったのだから、なかなかそれ以上の、古河だけに責任を負わせるわけにいかないと、こう言うのです。そういう点で、なかなかきめられない面があるようですが、第六部会がきめたときの条件ではないけれども通産省がA案とB案というものを出したのですね、山元対策で。A案は、幸いこれは経済企画庁も中へ入って調整されて、通産省も了解されて、そうして加害者である古河鉱業が呼ばれて、五千二百万ばかりの八項目にわたる対策を着々といま手をつけてくれていることはこれは事実であります。ところがB案は、結局一番大きなのはB案は四億数千万かかるというのですが、これはいまだにどこの省が、だれが担当してこのB案を実施するかというところまで話が詰まっていないようであります。ところがB案までやらないと、渡良瀬部会できめられた〇・〇六までにいわゆる下がらないわけです。その間の、要するに五千二百万というのはA案ですが、これはすでに会社側が手をつけて実施してくれているわけです。そうすると、〇・〇八までがそうです。ところが、プラスB案をやらないと——四億数千万の工事をやらなければ、結局〇・〇六までに下がらない。それをどこがやるかということは、まだ全然話がつかないようであります。私は鉱山側の関係ばかりを責めるのではなくて、やはり戦争中の乱掘という問題もありましょうし、それから旧鉱業法時代に認可したという問題もあるのでありましょうから、この前も三木通産大臣質問したのですが、何とか国が、いまの佐藤内閣が非常に強く叫んでおる公の公害という点から考えて、国がもう少し手をつけてくれないかということを訴えているのですが、この点については、なお経済企画庁のほうでA案とB案の具体的な裏づけがないならば、水質審議会できめるのかきめないのか、これをまず一点先にお答えいただきたい。要するにA案とB案が出て、これを第六部会が認められたのですが、A案はすでに手をつけられたが、B案は具体的にだれが金を出してどういうような工事をやるかという見通しがつかなければ、水質審議会を開いてそうして決定しないのかするのか、その点まず第一に長官に伺いたい。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 水質基準を設定するということは、たとえ話で申せば法律をつくるようなものでございますから、それで守り得るようなやはり法律をつくるということをひとつ考えないといけないと思います。非常に甘くするというわけじゃありませんけれども、それを守れるような条件を片一方でつくって——各省の協力が必要であります、会社の協力も必要でありますが、その上でできるならば水質基準というものをきめたい。しかし、全然その見込みがないということであれば、またむしろ逆にその基準のほうを設定しておいてそこへ追い込むというやり方もあるかと思いますが、できるならばそれが守られるような条件ができたところで基準を設定するのが、行政としては穏やかなやり方であろうと、こう思っております。
  46. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 ただ、あの水質保全法の中に、経済企画庁の長官は、水質基準をきめられて実施をはかる面からいくと、勧告をする権限を持っておるわけですね、第十条で。そうすると、水質審議会で長い間七年も八年も調査してきて、そして大体各省の意見が一致したのです。〇・〇六ということが専門部会できめられて水質審議会できまれば勧告するわけですよ。だから、やっぱりきめるということが前提であります。もちろん裏づけが必要でありましょう。そこで、通産大臣に伺いたいのだが、さっき申し上げたA案とB案を通産省が出してきたわけです。それが基準として第六部会で認める段階に至ったわけです。ところが、正式な審議会にまだはかっていない。そこで、そのB案のやり手がない。やり手がないということは、それじゃ下流の農民がいわゆる耕作の被害を受けてもそのままでいいかどうか。それは政治の正しいあり方であるかどうか。そういう点でさっき申し上げた、前にさかのぼって旧鉱業法時代に認可されたもの、それから戦争中の乱掘もある、こういう点を考慮して、そして通産省がもっと本腰を入れて古河だけに責任を負わせないで、その点についてB案に接近するような案をまた予算化して、そしてやる意思があるかどうか。
  47. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) これはやはり公害でありますから、したがいまして、その解決については、もちろん企業者も責任がありますし、鉱山側にも責任があります。したがって、また国としてもこれに対して善処しなければならぬ。B案の内容については詳しく知りませんが、まあ公害という点から見て、国としてもやはりそれ相当の応分の協力というか、その救済方について努力すべきものであるというふうに考えております。
  48. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 そうすると、大臣の答弁は、救済する方法を考えるということは、B案をやる意思があるのですか。
  49. 西家正起

    説明員(西家正起君) B案につきまして、実は大臣にまだ報告をしておりませんが、大体のことは話をしております。内容についてはあまりこまかく御説明しておりません。B案につきましては、先生御指摘のように、確かに水質基準が決定いたしましたならば、その方向で実施していくべきじゃないか、あるいはB案にかわるべき同じ成果のある案がほかにあれば、それを勘案いたしましてやるべきものじゃないかというように考えておる次第でございますが、確かに先生御指摘のように、鉱山だけにやらせるかどうかということにつきましては非常にむずかしい問題がございまして、目下鋭意検討中でございます。まだはっきりしたことが、どこでやらせるかということにつきましては、なかなかはっきりした御答弁ができませんが、鋭意努力中でございますので……。
  50. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 通産大臣、ここは大事なところなんです。A案とB案と両方やらなければ〇・〇六PPMにならない。A案は、すでに会社側が通産省の鉱山保安法に従って話がついて、もうすでに着工してやってくれておる、八項目は。ところが、B案はちょっと額が大きいのですが、これが一緒に合わさらないと、いま経済企画庁長官の言うように、具体的にそれがきまらなければ、水質審議会の決定まで持っていくにはちょっとむずかしいような話なんですが、そこが大事なところなんです。だから、通産省も、古河のいわゆる事業もかわいいし、また鉱業生産の面からいっても必要であろうと思う。そうかといって大きな負担をかけるということも、これはまあいろいろな問題も、経済情勢もあると思うのですが、通産省が、いま局長が言われるように、まだこまかい報告はしていないらしいのですが、B案というものをよく検討されて、そうしてこれを通産省が力を入れてやろうということになれば、おそらく宮澤長官も水質審議会を開いて、すぐ水質審議会できめてくれると思う。そこが大事なところなんです。そこはどうですか。
  51. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 大体通産省としては、企業者側に対しての責任は企業者に負わすという立場をとっておるので、いまのお話を承ると、大体A案というのは、古河鉱業が負担してやっておるそうで、そうすると、B案というものは、鉱山外の責任に帰すべきものになるのではないかと思うのですが、その点については、これは鉱山にも多少、一部責任があるそうでありますが、これについては治山治水というようなこともやはりあわせ考えなきゃならぬからして、したがって、関係各省とよく相談してこれは決定されるべきものではないか。通産省だけというわけにはいかぬ。その点については、今後ひとつ各省と連絡してやるように私のほうから督促したいと、こう考えております。
  52. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 ちょっとことばを返すようですが、大臣、ちょっと誤解されておるようです。B案というやつは会社外じゃないのですよ。会社外にいわゆる三五%自然から出るという鉱毒があるのです。六五%のうちなんです。そのうちの要するにA案というやつをやると〇・〇一下がって、あとの〇・〇二は、結局B案というやつをやらなければ〇・〇六にならない。B案というやつは、切幹沈澱池及び導水トンネルを新設して天狗沢とか、有越という一番大きい、こまかい砂が分離されているところがあるのですが、それを中才処理場へ持っていって処理すれば〇・〇六までになると、こういうのです。これは会社側の関係なんです。だけれども会社側に言わせれば、六五%の中にもまだ自然の害がある、会社が借りているところには国有地もあるし、露頭もある、いろいろ持っておるのですが、これをどうしても通産省がもっと力を入れて、いま大臣が言われるようにほうっておくわけにいかないのだ、だから、これは経済企画庁とも相談してB案に相当するものを何らかの形で国がやるということになれば、これはすぐ水質審議会を宮澤長官が開いてくれてきめてくれると思う。その点もう一回伺っておきたいと思います。
  53. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) B案のことについては、私も詳細なことは知らないのでありますが、いま、先ほどA案は鉱山が責任を負うべきものだというお話がありましたから、そうすると、鉱山側がA案だけやったらそれで済んだことだと、こう私は即断したのですが、いまお話を承ると、A案は鉱山側が責任があるそうでありますからして、したがいまして、その点については、やはりわれわれとしては鉱山側が責任を持って、B案の解決は各省がやっぱり連絡しなければなりませんからして、経済企画庁とよく連携を保って、十年もほうってあるそうでありますからして、これはひとつ早急に解決するように私どもから促進したいと、こう考えております。
  54. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それじゃ宮澤長官、お聞きのとおりなんです、いま通産大臣の答弁は。大体もう九年間になるのです。水質保全の調査対象の河川は、水質基準がきまって水域の指定が終わっておる。大体のめどはいつごろまでに、要するに水質審議会を開いてきめられるかどうか、そこの見通しについて承りたい。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いま通産大臣が非常にはっきり基本的な方針をお示しになりましたので、今後調整をしていく立場としては話がこれで展開をするのではなかろうかと実は思っております。それで具体案に入りまして、まだいろんな問題が多少あるかと思いますが、基本的にはこれでひとつ考えようということになれると思いますので、最後の締めくくりの水質審議会ということになりますと、年度内くらいにはできるのではないだろうかと、これからのこの事務の詰め方の実は問題でございますけれども通産大臣がそういうお考えをいま申されましたので、そう期待していいのじゃないかと思います。
  56. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 いま宮澤長官の答弁では、ちょっと藤山長官と同じように、年度内にはという御答弁があったのですが、そうすると、予算編成は年度内に大体の政府側では原案ができると思うのですが、それに間に合うようにひとつお力添えをいただきたいと思うのです。  それから通産大臣に再度お願いしておきますが、いま答弁されました、通産省側も力を入れてやるのだと、B案にかわるべきものをやるのだという御答弁がありましたけれども、それはそういうふうに確認してよろしゅうございますね。いかがでしょう。
  57. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) なおこのB案の詳細のことは局長からもよく聞きまして、それでひとつ、もう長い間の懸案なのだそうでありますからして、この際これを解決するように前向きに私としては進んでいきたい、こう思います。
  58. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それでは、大臣は何かお忙しいようですから保安局長にちょっとお伺いいたします。A案の会社側がいまやっておる工事の進捗状況、A案の工事が八項目かありまして、その工事の進捗状況を、実は群馬県の地元県議会が先月の二十六日に現地視察をやったところが、その内容がどうもあまり進んでいない、年度内にやれるという見通しになっているのだけれどもあまり進んでいないということがあるのだそうですが、この点について、いままで工事をやっておられた状況の報告をひとついただきたい。
  59. 西家正起

    説明員(西家正起君) 八項目の進捗状況につきまして御報告をさせていただきます。  指示項目の第一項目でございますが、「簀子橋たい積場の滲透水の完全浄水処理」につきましては、目下計画に従いましてかなり工事が進んでおりますが、完成は年度内の見込みでございます。  それから第二の指示事項でございますが、「原たい積場の法面の被覆」でございますが、これは堆積場ののり面の総面積がかなり広いものでございまして、現在八二・七%完了しておりますが、今年度じゅうには八八%まで持っていく、これにつきましては四十三年度に全面被覆できる見込みでございます。  それから第三の指示事項の「原たい積場のスライム回収場からの廃水の河川放流防止」でございますが、これは廃水のプールを大きくいたしまして全量選鉱場に持っていくことにつきまして工事が完了いたしております。  第四の指示事項は「製練所場内の排水路の整備および浄水処理施設への導水」でございますが、これも今年の九月に完了いたしております。  指示事項第五の「製錬所の水砕ガラミ沈澱池の改善、ガラミの流出防止」につきましては、これにつきましては九月末で完了をいたしております。  指示事項第六番目は「深沢たい積場に山腹水路を設置することおよびたい積場内の雨裂の修復」でございますが、この点につきましてはまだ終わっておりませんが、大体十一月末に完成をする予定でございます。  指示事項の第七番目の「天狗沢たい積場内のズリの一部の除去」でございますが、これにつきましては、現在予定どおり進んでおりますが、大体完成が年度内というふうに予定をいたしております。  最後の第八の指示事項の「有越たい積場外の第四かん止堤の閉塞」でございますが、これも本年度中に完成をいたす予定でございまして、八項目のうちすでに終わっておりますのが三項目、近く終わりますのが一項目、年度内に完成いたしますのが三項目、四十三年度にかかりますのが一項目でございまして、大体当初の計画どおり進んでおるものとわれわれは考える次第でございます。
  60. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それじゃ、宮澤長官もお忙しいようですから最後にお願いしたいのですが、進めていただきたいと思いますのは、通産大臣のさっき御答弁がございましたから、長官も年度内に大体きめる方針で進まれるようですが、これはぜひ一つやっていただきたいと思います。これをもって、とにかく八十年来の渡良瀬川の鉱毒問題はある程度前進して解決の見通しがついていくわけです。下流対策は別として、やはり一番大事なのは山元対策ですから、山元対策が進めば自然やっぱり下流対策もそれと並行してやってくれる段階になりつつありますから、いずれにしても、水質審議会で早く基準をきめてもらう、これをひとつ強く要望しておきます。  それからまた来年まて——藤山長官も年度内と言って、また宮澤長官も年度内ということですが、近く内閣改造といううわさもあるけれども、実力大臣の宮澤さんも菅野さんも残ると思いますけれども大臣の任期中にはひとつ見通しがつくようにお願いしておきます。強く要望しておきます。
  61. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) こういうことは、ほんとうにこんなに長引いておくれまして非常に申しわけないと思っております。今日の御質疑で、はからずもこれから調整が急いで進められそうに思いますので、できるだけ早く結論の出るように最善の努力をいたします。
  62. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 林野庁長官にひとつ伺いたいのですが、長官に伺いたいのは、三川のダムがあることは御承知だと思います。これは砂防関係であります。あれから鉱業地域のほうに国有林もあって、相当やっぱり豪雨があり、土砂が出て荒廃している地域がたくさんあると思います。それから一番大きな天狗沢とか有越沢、これはある程度まで処置をすれば、相当水の流出を押えることができるわけです。そこで、国有地の面について、植林をやっておられることを聞いておりますけれども、あの荒廃地、国有林荒廃地を植林を進めてもらうという点については、どういう計画を持っておられるか、その点伺いたいと思います。
  63. 片山正英

    説明員(片山正英君) 渡良瀬川の足尾地区につきましては、これは古い話でございますが、明治三十九年から実施しておるわけでございます。最近におきましては、昭和二十二年に林政統一——御存じのように林政統一と申しますか、御料林、国有林が合体されたのが二十二年でございます。それ以降やはりこの渡良瀬川の足尾地区につきましては、治山事業を実施しておりまして、大体総額十三億になると思います。それから最近におきまする治山五カ年計画というのを、四十年度を初年度としてやっておりますが、その五カ年計画以降におきましても、ことしで三年目でございますが、約四億六千万程度の工事をやっております。その内容といたしましては、主として保安林の改良、水源林の造林あるいは最近におきましてはヘリコプターによりまする実まき——種を実際にまくわけでございますが、そういうものを通して緑化事業ということをやっておるわけでございます。ただ一点、いわゆる鉱滓の部分でございますね、これに対する治山事業というのは、私のほうといたしましては、直接の問題としまして鉱山保安法、あるいは私のほうと足尾鉱業所との契約がございます。これは鉱業所の中でやっていただく、鉱津に関する問題については、こういうふうに取りきめておりますので、会社にやってもらう以上にない、ただ、その上部につきまして、私どもで積極的に検討してやっていきたい、こういうふうに思っております。
  64. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 要するに、会社に貸してある国有地がありますね。そこに堆積場、鉱津がある。その上部からやっぱり流れ出るものも相当あるようです。これを押えることはやっぱりやってもらわなくちゃならない。それにはもちろん林野庁がやる砂防もあるでしょうし、あるいは植林もある。これはやっぱり継続的にいま実施中であるのか、あるいは来年度から新しく増加を予算的に計上されてやるつもりがあるのか、その点はどうですか。
  65. 片山正英

    説明員(片山正英君) 先ほどもお話し申し上げましたように、治山五カ年計画におきます最近の三カ年におきましても、約四億八千万円やっております。で、来年以降は新しく再検討いたしまして、もう少し拡充した中で予算を要求してまいりたいと思っております。
  66. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 その四億八千万というのは、足尾の地域ですか。
  67. 片山正英

    説明員(片山正英君) これは、われわれで言う足尾地区と称する地域でございます。
  68. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 建設省からちょっと一言聞いておきたいのは、神戸ダムの問題がありましたね。神戸ダムの建設で、われわれのほうで、この前も質問したんですが、ダムができる点について非常に関心を持っておるわけですね。それで、まだなかなか着工がおくれて来年になるらしいというんですが、この実施はこれは水資源公団であるけれども、鉱再の防止施設をダムをつくる場合にやっておられないかということを私のほうで質問をしておったわけです。これに対して、そのとき、この前は古賀河川局長が来られて、そして、では事業の実施方針の中に織り込むように十分検討してみましょう、こういう答弁だと私は記憶しておるんですが、ところが、その後、建設省は水資源公団に対して、実施方針には全然織り込んでないと、こう言う。ただ簡単に、事業施行にあたってはこれが対策について特に留意を要するというだけの文書での通達に終わっているらしい。この点については、神戸ダムの建設と関連して、鉱毒の防護施設というやつはどうなっているか、その点ひとつわかったら答弁願いたい。
  69. 木村正昭

    説明員(木村正昭君) 神戸ダムの問題でございますが、実は実施方針の指示を昨年の九月十四日にやっております。と同時に、河川局長名で水資源公団の総裁あてに、水質の保全について特に留意するようにということを指示してございます。それに伴いまして、いま現在、水資源公団で群馬県のほうと調査について打ち合わせをしておりまして、この点は県と公団とで十分な打ち合わせの上で調べるというふうに進んでおります。
  70. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 その点はわかるんですが、ただ、施行にあたってはこれが対策について特に留意するようにというだけでは弱いと思う。やっぱりその事業の実施方針の中に入れて、鉱毒の対策をやれということでないと、なかなか水資源開発公団はやらぬだろうと思う。その点はどこまで話がいっているのか。  それからもう一つは、三川合流のダム、砂防ダム、あれから、今度神戸ダムができて、貯水の区域があるんですが、それがそういった地域まで貯水するのですが、それと三川合流の間の問題で、地元で問題が大きくなって、この問題について将来相当危険じゃないか、これを何とか足尾本川でやっぱり砂防ダムは考えてくれなければ、われわれは立ち入り調査させないというようなことでいまストップされておるということを私は聞いておる。そういうことを聞いておるかどうか。  それから実施方針にどうして入れられなかったのか。実施方針に入れなくも、そうした文書での通達で十分留意するということで鉱毒対策をやることになっているのだからやれるのだ、こういうお考えなのかどうか、その点はどうでしょう。
  71. 木村正昭

    説明員(木村正昭君) 初めの一点でございますが、これは現在、先ほど申しましたように、公団と県で調査しておりますので、その調査結果によって、どういうことをやればいいかということを出したいということでございます。  それから第二点の足尾堰堤から、下流神戸ダムのバックウォーター付近までの本川の問題だと思いますけれども、これにつきましては、実は現在持っております五カ年計画には本川は入っておりません。ただ支川から非常に大量に土砂が出てまいりますので、支川については、ことしも約二億三千万ばかりの工事をやっております。  なお、新しく建設省といたしましては治水五カ年計画の改定ということをいまやっておりますので、その中には、すぐ上流の源五郎というところでございますが、本川でございますが、そこにも堰堤の計画はいたしております。したがいまして、新しく五カ年計画が改定になれば、先生のおっしゃる神戸ダムのバックから足尾堰堤までの間に、本川に全体として約四本くらいの堰堤計画というものは持っております。
  72. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 最後経済企画庁の水資源局長にお尋ねいたしますが、いずれにしても、先ほど宮澤長官も通産大臣もはっきりお答えがあったのであります。そして経済企画庁の中で、やっぱり水資源局長中心に連絡調整をやると思う、その点はいまの答弁でおわかりのとおりでありますが、林野庁もあるいは建設省も相当土砂の流出には協力してくれているわけです。そういう点から考えて、通産大臣はきょうはっきり答弁されたのですが、十分連絡をとりまして、そして年内に水質審議会を開いていただく。そしてある程度までAとB案が実行できるような段階まで追い込んでもらってきめていただきたいと思いますが、その点についてのお考えはどうですか。
  73. 今泉一郎

    説明員(今泉一郎君) 先ほど私のほうの長官からのお話もございましたように、長い間きまらなかったということについては、いろいろ事情もありましょうが、まことに遺憾なことでございまして、私といたしましても、最近先任者から引き継ぎましても、非常に困ったことだという考えを持っておりました。幸いに先生の御質問もありまして、通産省方々も前向きでできるだけ早くというお話もございまするから、もちろん調整役でありまする私どもといたしましては、長官の御指示のもとに最善を尽くさなければいかぬ、かよう考えております。できるだけ早く善処いたしたい、かよう心得ておる次第でございます。
  74. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは暫時休憩をいたします。    午後一時二十七分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会
  75. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 委員会を再開いたします。
  76. 大矢正

    大矢正君 先般、私ども委員会として北海道視察いたしました機会にも、またその以降におきましても、北海道におきまして問題となりましたのは、これは企画庁に関連をすることでありまするが、経済審議会の地域部会におきまして、二十年後の地域に対するあり方、あるいはまた政策的な課題等々なされる中で、この北海道にとりましては非常に重大な問題が提起をされました。それは御存じのとおり、従来五百万を若干こえる北海道の道民がおりまするが、これがこの地域部会の考え方によりますると、もちろんいろいろ例がありまするし、計量経済学とかいう非常にむずかしい方式による算定の結果でありまするが、人口が百万人以上減少して四百万人にまで、北海道が二十年後人口の激減を見るということが、道民にとりまして非常に重大な問題になったわけであります。これはまあ私が申すまでもなく大臣はお聞き及んでおられることと思うのでありまするが、この点について、まずどうお考えになっておられるか、どう判断をされておられるか。もちろんこれは審議会の一つの部会においてなされた報告でありまするから、それが直ちに政策その他となってあらわれるとは存じませんけれども、しかし、北海道の五百万の人口が百万人も二十年後には減少しなければならぬという要素が北海道の中にあるのかどうか、それからそういうような百万人減らすような政策を現に行なうことが正しいのかどうか、こういう面について、ひとつお答えいただきたいと思います。
  77. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 実は、私先般北海道に参りました際に、新聞記者の諸君から、経済企画庁の地域部会ですか、かくかくのいま大矢先生の御説明のようなことが出ておるが、どう思うかという質問がございました。私は全然そういうことは知らずに北海道に行ったわけであります。まあ私も、その説は企画庁としてという、地域開発に関する考え方を省としてお出しになったものでもなかろうという考えをいたしておったわけで、まあ私はそうたいした問題にはしなかったわけであります。と申しますのは、私どもは、御承知のとおりに北海道開発を八カ年計画を立てて、いま後期の段階に入っておるわけです。さらにまた二十年後の北海道のビジョンというものを、私も事務当局に命じまして、いろいろ構想を発表している段階でございます。また政治的にも、自民党の政策の上から申し上げましても、後進地域開発、未開発地域開発は、これは政策としても大きく取り上げていかなければならないということを私も考えております。したがって今後の北海道開発には、一次産業、二次産業はもとよりでございますが、さらに重工業地帯拠点開発を行なって、そして北海道全体の開発を行ない、それがまた日本の国全体の経済開発に寄与するということまでやらなければならぬ、こういう構想でいろいろいま施策を現に実現しつつあります。また、八カ年計画も順調に数字の上から申しますと伸びておるという段階でございます。そういうときでもありますので、人口が百万も減っていくという考え方は私にはわからぬ、どこから出てきたのか。また、そういう考えは持っていない、私は。少なくとも二十年後には、さらに百万ぐらいふやして、六百万ぐらいの人口にしていくべきだという考え方を持っておりまして、その考え方でいまいろいろだ予算要求も、あるいは施策も実現しようと考えておるわけでございますので、私はそういう考え方はどこから出たのかわかりませんけれども、私は地域部会の考え方には賛成はいたしておりません。一そう北海道が積極的に開発されて、人口がもっとふえて、そして住みよい北海道をつくるのだという私は目標のもとに開発をやっております。地域部会の考え方には私は必ずしも賛成できない立場を明らかにしておきます。
  78. 大矢正

    大矢正君 長官が言われたとおり、開発庁は、二十年後の想定として人口をむしろ六百五十万までふやさなければいかぬ、ふやす必要性があるのだというような考え方で北海道開発を進めておられると思うのです。ところが、いま大臣みずからも言われたとおり、四百万ということになると、そこに二百五十万というものすごい差があるわけですね。片や開発庁、片や経済企画庁ということで、双方まあ同じ一つ政府の中にありましても省庁が違うことによってこれだけべらぼうな相違があるということは、これは重大な問題なんですよ。私ども北海道に住んでいる者としては、いまでさえ、もう若年労働力がどんどん本州に流出をして、現実に中小企業では若年労働力——炭鉱地帯なんか特にそうですけれども若年労働力をいかにして確保するかという問題が一番の問題なんです。それはかりに百万減っても、四十以上の人ばかりみな連れていってくれるなら、これはある意味においてはいいかも——いいと言ってはおかしいかもしれぬが、それでも問題はあるにしても、弊害は少ないかもしれないが、おおむね私たちの考えるところによれば、百万人減るといえば、それは大部分が若い労働力であろうし、それから農村、漁村というような地帯であろうと思うのであります。そうしますと、これは北海道開発にとりましては重大な問題で、何のために北海道開発するのか、人間を少なくする開発なんということは考えられないのですがね。  そこで経済企画庁の方にお尋ねいたしますが、あれは、一体どういう根拠のもとにああいう試算が成り立ってきたのか、これをこの際ちょっとお尋ねをしておきたい。まあ大臣急いでおられるから、私も端的に質問いたしますが、ひとつあなたのほうも端的にお答えいただきたいと思うし、大臣開発庁の長官がおられるところでこの際御答弁をいただいたほうがいいのじゃないかと思うので、あなたのほうではおそらくこの審議会の中に直接に参加はしないにしても、間接的に参加をしてその間の経緯等はよく存じておられることと思うので、お答えをいただきたい。
  79. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) お答えいたします。  わが国経済社会の中で地域の動向がどういうふうに今後なっていくか、およそ二十年後の姿がどういうふうになっていくだろうかということにつきまして、経済審議会の地域部会が約二年にわたって検討した結果、報告書をまとめたわけでございます。その際に地域の問題をいろいろ議論するにいたしましても、従来、ともすれば形成的なことだけにとどまりまして、計量的に数字の上で議論をすることがなかなか困難でございました。そこで地域部会の発足にあたりまして、これを、最近の計量経済学的な手法でございますが、モデルというものによって解明していこうという努力をいたしてまいったわけでございます。モデルといいますのは、いわば経済現象を一つの方程式にあらわす、たくさんの経済現象をたくさんの方程式にあらわす、この場合ですと五十七本の連立方程式体系をつくりまして、それを電子計算機で解いて、地域の動向がどうなるかということを見きわめようということなんでございますが、ただ、この方式をとるにあたりましても、地域ごとの統計的なデータが非常に完備しておりませんと、十分なことが出ません。ところが、このモデルをつくりました場合にも、なかなか十分なモテル——モデルといいますか、資料が整いませんで、昭和三十七年までの約八年間のデータをもとにしてモデルをつくり上げたわけでございます。そうしてそれに新しいいろいろな政策を行なった場合にどのような形になっていくかということをモデルに求めてその答えとして出していったわけでございますが、いま申し上げましたように、当然データがかなり古く制約がございまするので、一つ地域開発のやり方として、どういうふうな政策をとるとどういうふうな結果が出るかというような意味で、このモデルというものはかなり、何といいますか、数量的にそれを的確にあらわす結果としておもしろいといいますか、興味深い情報を提供してはおりますが、全体として今後の地域がどういうふうになるべきであるか、総体としてどうなるかということを確定的に示すものとして取り上げるには十分でないということで、この部会の報告の参考資料にとどめたわけでございます。ですから、部会の報告には、基本的な地域開発の考え方は述べてございますが、数量的にどの地域がどうなるというようなことは示しておりません。ただ、せっかくモデルを開発し、おそらくこれは世界的にも非常に新しい方法として画期的な手段として開発されたものでございますから、そういったものが、具体的にどういうふうな政策的なものを与えた場合に、どのような結果を示すかということを、モデルの一つの試算として資料に付して、部会として報告するのがやはり親切だろうということで、部会の報告の中に、参考としてその結果が四つばかり試算として示されておるわけです。ですから、与えます条件いかんによっては、かなりいろいろな結果が出ておりまして、北海道人口の場合も、四百万という数字も出ますが、五百万程度という数字も出ております。また、ほかの条件を入れれば、ほかの違った数字が出てまいるわけであります。ただ、そのうちいろいろな参考になるだろうと思われるような四つのデータといいますか、試算結果を報告書の参考に掲げる、こういうような次第でございます。ねらいはそういうことでございます。ただ新聞紙上にかなりそれが取り上げられて書かれましたので、いろいろ誤解が生じているかと思いますけれども、あくまで報告の参考として開発された手段であって、モデルの効果を示すものとして示したにすぎないものであります。
  80. 大矢正

    大矢正君 私もこの地域部会の報告を全文読ましていただいたのです。もちろんこの中に、あなたおっしゃるように、北海道人口四百万になるとは書いていない。書いていないが、言われたとおりにやはりその資料として数字が出ていることは、いまあなた言ったとおり間違いないわけです。そこで今日のこういう事態の中で、ああいうものを資料として発表するということは、いかに北海道民に不安と動揺を与えるかということです。それでなくても、若年労働力その他をとどめるのに苦労しなければならぬわけですね。にもかかわらず、それはああいうものを発表されるということは、まことにおかしな話で、楽しみにそろばんはじいて、それでやっているのならこれは別ですが、しかし、ああいう発表というものが与える政治的な影響というものは、まことに重大なものがあるわけですよ。あなたは簡単に、あれは単なる一つのモデルをつくって、モデルに当てはめて数字をはじいてみたらああなった——それならそれでその限界にとどめて、対外的にもそういうものを発表すべきではないんじゃないか。あるいは発表したのじゃないかもしれぬが、そういうものを知らしめてそうして一般の報道機関に堂々とやるようなことであっては、私はおかしいと思う。それであなたとこれ長くやっていると大臣に答弁してもらえぬから、あなたに質問じゃなくてそのことを強く申しておくと同時に、大臣にもう一度念のために聞きますが、ああいうものは、開発庁自身として取り入れる意思もないし、現在そういう考え方は一切ない、同時に、国の方針としてもそういうものはないということを、ひとつこの際お答えいただきたい、そうでないと北海道の道民は動揺しますから。
  81. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) これは大矢先生が答弁しろとおっしゃったから、私は答弁するというわけではありませんが、北海道開発庁というのは十年二十年たちますが、政府がつくった、設けたというゆえんのものを、あの未開発北海道を国の力によって開発しよう、もちろん道民や道庁の協力がなければいけない。そういう趣旨で十カ年の開発をやっておる。さらに計画を立てて、着々もっと住みよい、人の集まる北海道、そうして地下資源開発して、北海道経済のみならず、わが国経済全体にひとつ大きな寄与をいたす、こういう構想を持ってやっているわけです。いま地域部会のデータ、そういう参考の程度でと局長が言いますが、そういうものが出た、これはいろいろなことを政府として考えたり、あるいは研究したりしておることは当然でございましょう。やはりそういうものに私どもは左右されるということはございません。一そう積極的に北海道開発をやるんだ、こういう姿勢であることを重ねて申し上げておきます。
  82. 大矢正

    大矢正君 次に、公益事業局長にお尋ねをいたしたいと思いますが、これは原子力発電に関する問題でありますが、同じく北海道に、かなり将来のことになりまするけれども原子力発電所を設置をするというような話がかなり広範に流れております。私自身北電とも話し合ってみましたが、どうもその計画があるのかないのかつまびらかにしない。しかし、新聞その他においては、すでに浜益村というところが原子力発電所の設置場所だというようなことで、現に地域が、設置場所がきまったということまで報道されているわけです。そこで、まあ科学の進歩や発達、そしてそれに相応したものを北海道で設置をするという問題は、基本的には私は考えられることかと思います。が、しかし、同時にまた、出てきます問題は、北海道の中自体において、原子力発電というものが遠からずまかり通るということになってくると、北海道の非常に重要な産業である石炭産業との間の競合関係というものが、その中から発生してくるわけですね。まあ私は繰り返して申し上げまするが、科学の進歩を、それをとめるんだという意味ではありませんけれども、やはり国全体の開発なり、産業政策なんというものと関連をして考えなければならぬ部面もあるのではないかというふうに思うのでありまするが、北海道における原子力発電所の建設問題、それは現実にはどうなっておるのか。  それから、石炭との関係という問題は具体的にはどう考えておられるのか、その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  83. 井上亮

    説明員(井上亮君) お答えを申し上げます。  ただいま大矢先生から二点について御質問があったわけでございまするが、まず第一点の、北海道における原子力発電計画は現在どうなっているのかということでございますが、端的に申し上げまして、ただいま北海道電力株式会社におきましては、具体的にどの地点にどの程度の大きさの、容量の原子力発電をやるかというような具体計画を持ち合わしておりません、北海道電力としては。ただ、北電といたしましては、具体的な計画は全然持ち合わせておりませんけれども、遠い将来の一つの考え方といたしまして、やはりこれは、私の想像では十年以後の問題になりはせぬかというふうに思いますけれども、そういった長期の展望の中では原子力発電をやらざるを得ないだろうというふうに考えてはおると思います。なお、この点につきまして、私ども若干大矢先生の御質問に関連いたしまして、問題——何といいますか、現地で私のこの答弁に対して疑問を感じられる向きもあるかと思いますので、申し上げておきますが、ただ、北電では、ただいま申しましたように、計画はございませんけれども、長期展望としての計画はあると思います。政府といたしましては、先生も御承知のように、昭和三十八年以降、全国に今日まで二十カ地点ほど適地の立地調査をいたしております。本年度の予定といたしまして、北海道にもどこか適当な地点、一カ地点を調査いたしたいというようなことで、ただいま道庁とも御連絡をとりまして、北海道——これはまあ道庁に委託しておりますので、道が調査の地点を一応きめることになろうと思いますけれども、そういった調査をいま計画しておる。その地点につきましては、まだ私ども正確にどの地点ということを聞いておりませんけれども、有力な情報としましては、留萌の周辺地点をいま有力な候補地点として考えておるというような状況でございます。ただ、この調査と北電の計画とは当分の間直結いたさないと思います。といいますのは、北電自身、当面具体的な計画を持ち合わせておりません。しかし、将来の展望としてそういう研究を一応始めるというふうに御理解いただきたいと思います。  次に、第二点の石炭との競合問題でございますが、これは、私ども通産省といたしまして率直にお答えいたしますと、将来北海道におきましても、見通しといたしましては、いつの日か、私は原子力発電が実施される時期があろうと思います。しかし、原子力発電が産炭地である北海道で行なわれましても、そのことによって北海道の石炭の需給に心配をかけ、あるいは迷惑をかける、そのために石炭産業の将来性について問題が起こるということのないように私ども配慮してまいりたい。つまり、石炭の五千万トン体制なら五千万トン体制ということに需給の面から迷惑を及ぼさないというような考え方で原子力問題を取り組んでまいりたい。私は、その両者は矛盾するように見えますけれども、これはタイミングといいますか、時点、開発の時点によりましてそれは調和されていくというふうに考えておりますので、石炭産業にとって、将来、北海道原子力発電が行なわれる時期がありましても、心配はないと私は考えております。
  84. 大矢正

    大矢正君 最後に、これは要望でありますけれども、私が申し上げましたとおり、地点はすでに浜益村というように新聞等が報じております。したがって、北海道におる者は、もう浜益に近い将来できるのだということと、それからまた、どこでどういうふうにきまったかは別としても、四十七年度ごろから実際に操業に入れる、稼働に入れるというような、これまた新聞その他が内容を報じているわけですね。したがって、もう四十七年というと、そう遠い将来でもない。あなたが言われるように、これから十年後などというようなものじゃない。したがって、そういうことが一つ一つ、やはり特に一般炭、電力に振り向けなければならないような石炭しか掘っていないような地帯においては動揺を来たしているわけです。したがって、やはりそういうような現実の情勢があるのですから、十分ひとつ配慮をして、正しい情勢というものを伝えるように努力をしてもらいたい、こう思うわけです。これは要望でありますから御答弁要りません。  以上で終わります。
  85. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは暫時休憩をいたします。    午後二時二十二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕