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1967-11-17 第56回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年十一月十七日(金曜日) 午前十時二十六分開会
—————————————
委員
の
異動
十月四日
辞任
補欠選任
田村
賢作
君
堀本
宜実君 十一月十三日
辞任
補欠選任
森 八三一君
佐藤
隆君
小柳
牧衞
君
和田
鶴一
君
伊藤
五郎
君
近藤英一郎
君
堀本
宜実君
田村
賢作
君
白井
勇君
藤田
正明
君 十一月十六日
辞任
補欠選任
藤田
正明
君
堀本
宜実君
大森
久司
君
白井
勇君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
伊藤
顕道
君 理 事
青田源太郎
君
武内
五郎
君 委 員
近藤英一郎
君
佐藤
隆君
白井
勇君
田村
賢作
君
堀本
宜実君 山内
一郎
君
和田
鶴一
君 中村
波男
君 小平 芳平君 国務大臣 建 設 大 臣 西村 英一君
事務局側
常任委員会専門
員
宮出
秀雄君
説明員
総理府総務副長
官
上村千一郎
君
厚生省社会局施
設課長 飯原 久弥君
農林政務次官
久保 勘一君
農林大臣官房参
事官
太田
康二
君
農林省農地局参
事官
佐々木四郎
君
林野庁指導部長
木村
晴吉
君
気象庁予報部主
任予報官
加藤
繁数
君
建設省河川局長
坂野
重信
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
災害対策樹立
に関する
調査
(
災害対策
基本問題に関する件) (
干ばつ
及び
集中豪雨
による
災害対策
に関する 件)
—————————————
伊藤顕道
1
○
委員長
(
伊藤顕道
君) ただいまから
災害対策特別委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について
報告
いたします。 去る十月四日、
田村賢作
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
堀本
宜実君が選任され、今月十三日森八三一君、
小柳牧衞
君、
伊藤五郎
君、
堀本
宜実君、
白井勇
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
佐藤隆
君、
和田鶴一
君、
近藤英一郎
君、
田村賢作
君、
藤田正明
君が選任され、また昨十六日、
藤田正明
君及び
大森久司
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
堀本
宜実君及び
白井勇
君が選任されました。
—————————————
伊藤顕道
2
○
委員長
(
伊藤顕道
君) 次に、本日の
理事会
の結果について御
報告
いたします。 本日の議事につきましては、
災害対策
の基本的な問題及び
干ばつ
、
集中豪雨
による
災害対策
について
関係政府当局
から
説明
を聴取した後、両件について
質疑
を行なうことになりましたので、御了承願います。
—————————————
伊藤顕道
3
○
委員長
(
伊藤顕道
君)
災害対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。 本年の
災害等
にかんがみ、
政府
としてその
対策
を将来に向かってどのように対処していくか等、基本的な
災害対策
について
総理府
から
説明
を聴取した後、本問題の
補足説明
と
干ばつ
及び
集中豪雨対策
について
建設省
及び
農林省
から
説明
を聴取いたします。 まず、
総理府
から
お願い
いたします。
上村総理府総務
副
長官
。
上村千一郎
4
○
説明員
(
上村千一郎
君)
政府
は、かねがね
防災
に関する
各種
の
計画
を策定し、
各省
ともそれぞれの立場から
防災対策
に当たっているわけでございまして、毎年の
災害
の経験にかんがみ、さらに強力な
防災対策
の
樹立
をはかることは、当然の責務であると考えております。で、本年の主要な
災害
としましては、七月の
集中豪雨
、八月の
集中豪雨
をはじめ、長期にわたる
干害等
があったのでございまするが、これらの
災害
による
被害
が重大であったことにかんがみ、
政府
といたしましては、
各種
の
対策
について
検討
をいたしておる次第でございます。 まず急
傾斜地
の
崩壊防止
のために法令上の
措置
を講ずることといたしまして、急
傾斜地崩壊
の危険を生ずる行為を規制し、あわせて
宅地造成等規制法
の適切な運用を行ない、これらに万全の
措置
をとりたいと考えております。また、国土の保全のため、
現行治山治水
五カ年
計画
を改定することといたしまして、
昭和
四十三
年度
を初
年度
とする新規の五カ年
計画
を
検討
いたしております。その中で特に
都市河川
の
改修促進
を含めた
中小河川対策
を重点といたして
検討
を進めておる次第でございます。 次いで、
干ばつ対策
でございますが、本年の
干ばつ
の
状況
にかんがみまして、将来の
対策
といたしましては、
ダム
の
建設等
大
規模
な
水資源
の
開発
を一そう
促進
するとともに、
ため池等
の小
規模
なこの
水源整備事業
についても、その
重点的効果
を
推進
いたすべく努力をいたしておる次第でございます。 その他諸般の
事業
につきまして、
関係各省
と
十分連絡
の上、
災害対策
の万全を期する所存でございます。
伊藤顕道
5
○
委員長
(
伊藤顕道
君) 次に、
太田農林省官房参事官
。
太田康二
6
○
説明員
(
太田康二
君) お手もとにお配りしてございます資料に基づきまして、本年七月以降の
干ばつ
につきましての
被害
の
概況
並びに
対策
の
概要
につきまして御
説明
を申し上げたいと思います。
先生方
御
承知
のとおり、本年は田植え時、いわゆる四月から六月に
干ばつ
があったのでございますが、これにつきましては、六月下旬の
降雨
によりましてほぼ解消を見たのでございますが、
九州
、
四国
、
中国等
の
西日本
の各地におきましては、七月中旬以降天候が
多照寡雨
に経過いたしまして、このために特に
九州
と
瀬戸内沿岸
におきまして
農水産物
に著しい
干ばつ被害
が
発生
いたしたのでございます。御
承知
のとおり、
被害
の
調査
というのは、
干ばつ
の
進行過程
では非常に技術的にむずかしいのでございますが、御
承知
のとおり、
天災融資法
を発動し、
自作農維持資金
の
特別ワク
を
設定
いたすためには、やはり
統計調査部
の
被害統計
がまとまらなければ、
関係方面
との折衝もできませんので、異例の
措置
といたしまして、九月二十五日現在を押えまして、
統計調査部
が中心となりまして、十二の県につきまして
中間調査
をいたしたのでございます。その結果によりますと、そこにも出ておりますように、
被害面積
が四十二万五千ヘクタール、一応試算をいたしました
被害金額
は、約五百三十三億円ということになっておるのでございます。 さらに
果樹等
の枯死及び
落葉等
による
樹体損傷
、これを推定いたしますと、約百六十九億円、その他シイタケ及びほだ木並びに
苗畑
さらに
造林地等
にも、相当の
被害
が
発生
しておりまして、これは
県報告
によりますと、約三十三億六千八百万円ということに相なっております。 なお、十月以降
降雨
があったのでありますが、
中四国
の
農政局
と
九州農政局
におきましては、
関係
県とそれぞれ協議した結果、一応十一月五日をもちまして
干ばつ
は終息したのではないかというふうに判断をいたしておるのでございます。 第二点に、各県からの
報告
によりますと、いわゆる
干ばつ
の
応急対策事業
として
実施
した
事業
がそこに書いてございますが、
水路
の掘
さく
が約八百二十二万メートル、
井戸
の掘
さく
が約二万一千二百カ所、
揚水機等
の
設置
が約十七万二千台、これらに要しました
事業費
として約百七億円ということが
報告
されておるのでございます。 で、
農林省
といたしましては、かねて中央及び
関係地方農政局
にそれぞれ
災害対策本部
を
設置
して、
対策
の万全を期したのでございますが、特に九月には、両
政務次官
を長とする
現地調査団
を編成いたしまして、これを
現地
に派遣いたしまして、
被害
の現況及び
応急対策事業
の
推進指導
に当たらせたのでございますが、さらに十月の二十九日及び三十日の両日には、
農林大臣
も
干ばつ地
の
現地視察
を行なったのでございます。 次に、とりました
措置
の
概要
でございまして、第一が
資金関係
でございます。
融資
と
共済金
の
仮渡し
の問題でございますが、まず
共済金
の
関係
で申し上げますと、
米麦
及び
夏秋蚕繭
に関する
共済金
あるいは
保険金
の
仮渡し
の
実施
につきましては、九月二十日付で
農林経済局長名
をもちまして
通達
をいたしまして、十一月中に
仮渡し
ができるよう、
指導
をいたしておるのでございまして、すでに福岡、長崎、熊本、
大分等
におきましては、
仮渡し
の
実施
を見ておるのでございまして、その他の県におきましても、大体早ければ今月の中旬、おそくとも来月の中旬までには
仮渡し
ができるという情報を得ております。 それから第二に、
天災融資法
が発動されるまでの
つなぎ資金
の
貸し付け
と、
既貸し付け金
の
償還猶予等
の
条件
の
緩和
の
措置
につきましては、九月二十五日付をもちまして
経済局長名
で
関係金融機関
に依頼の
通達
をいたしております。 第三に、
天災融資法
の
適用政令
と、この
天災
を
激甚法
の
対象
にするという
指定政令
を、それぞれ三百三十一号、三百三十二号として、十月二十三日に公布をいたしたのでございます。その
内容
を簡単に申し上げますと、
融資総額
が百十億、いわゆる三分
資金
の
適用
のある県としての
特別被害県
は、
農業関係
でそこに書いてございます十三県、
林業関係
が四県ということに相なっておりまして、右の十三県はいずれも
激甚災害法
の
適用
県になっておるのでございます。 こういったことによりまして、御
承知
のとおり、
貸し付け限度額
は
通常
は二十万円ということでございますが、
激甚災害法
の
適用
県につきましては二十五万、
果樹栽培等
の特殊な
農業経営
の方につきましては五十万、
激甚災害法
の
適用
県につきましては六十万、さらに
重複被害
の方には五万円の
加算
が行なわれておるのでございます。
償還期限
につきましても、
被害程度
により、
通常
の場合は三年ないし六年ということでございますが、
激甚災害法
の
適用
県につきましては、それぞれ一年を延長して四年ないし七年ということにいたしております。 金利は御
承知
のとおり
特別被害者
は年三分、
開拓者
が五分五厘、その他が六分五厘ということでございまして、この
金融措置
に伴う
取り扱い
につきまして遺憾のないよう、
関係県知事
に十月三十日付で
事務次官名
の
依命通達
をいたしております。 それから
開拓農家
の方で
天災融資法
による
経営資金
の
貸し付け
を受けることが困難と認められる
農家
の方に対しましては、
開拓者資金融通特別会計
の中に
災害対策資金
が一億円計上されておりますので、この
対策資金
によりまして
貸し付け
を行なう
条件
につきましては、そこに書いてある
条件
でございます。 それから次に、
自作農維持資金
でございますが、
自作農維持資金
につきましては、
天災融資法
の発動を待ちまして、新たに
貸し付けワク
の
設定
をいたしたのでございますが、その
金額
といたしましては四十七億五千万ということでございまして、各
県別
の
貸し付け適格者認定目標額
の
設定
及び早急にこれが
農家
の手に渡るようにということで、十一月八日付をもちまして
事務次官名
をもちまして
関係農政局
に
通達
をいたしております。また貸し出しにあたっての
条件
の
緩和
の問題でございますが、
保証人
、いわゆる
人的担保
だけで足りるということに今回いたしまして、さらに
保証人
の資格も同一
市町村内居住者
に特定しないという
取り扱い
にしたからさよう
処置
をしてもらいたいという意味の
通達
を、十一月八日付で
農林漁業金融公庫
の
総裁あて
に
通達
をいたしておるのでございます。 以上が
融資
並びに
共済
の
関係
の
措置
でございます。 次に、
干害応急対策
でございます。
干害応急対策事業
につきましては、今回の
干害
の
規模
、
被害程度
が非常に
激甚
であったということにかんがみまして、従来
実施
した
処置
を
参考
として次の
骨子
を
内容
とした
要綱等
を定めて、十一月八日付、
関係
の
農政局
、
県等
に
通達
をいたしたのでございます。 まず
助成
の
対象期間
でございますが、先ほど申し上げましたように、四月から今年は
干ばつ
がございまして、一応
水田
及び畑につきましては四月一日から十月二十日まで、それから
樹園地
につきましては四月一日から一応十一月三十日までということで当初
要綱
で定めたのでございますが、先ほど申し上げましたように、一応十一月五日で終息したと判断されますので、
樹園地
につきましては、
要綱
の一部を改正いたしまして、一応四月一日から十一月五日までというふうにいたしております。 それから
補助対象
の
規模
でございますが、
団地ごと
に
工事費
または
機械費
が五万円以上のものということにいたしております。 それから
補助
の
対象
は、そこに書いてございますように、
水路
の掘
さく
、
井戸
の掘
さく
、
動力線
の架設、
送水管
の
設置
及びその他
用水確保
のための
工事
並びに
揚水機
、
付属部品
を含むわけでございますが、それと
原動機等
の購入、当然借り入れも含むわけでございます。そこで、こういったもので特に注に書いてございますように、今後の
干害
に備えて引き続き利用できるものということにいたしております。それから
共同施行
の場合は十アール
当たり
千二百円、これは
水田
、畑でございます。
樹園地
の場合は千五百円をこえる部分について
補助
をするということで、これは従来の例に準じまして、いわゆる
足切り
をいたしておるのでございます。 それから
補助率
はそこに書いてございますように、
一般
の場合と
激甚
の場合に分けてございますが、当然今回の
干ばつ
は
激甚
の
対象
になるということで、
県別
に違うわけでございますが、
事業費
の
査定額
が一億円をこえる県で
実施
いたしました
工事費
並びに
機械費
につきましては、
激甚
の
適用
になるということでございます。 それから
樹園地
につきましては、これを見ていただきますとおわかりになりますように、
稲作
なり畑作に比べますと
補助率
が低くなっております。そこで
農家負担
が実質的に
稲作
と均衡がとれるように
措置
するということでございます。
激甚県
におきまして
地方公共団体
が五〇%の
負担
をする場合に国は四〇%の
補助
をいたすわけでございますが、差額につきましては
特別交付税
で
措置
するということにいたしたのでございます。 第二に、この
委員会
でも問題になりました、
燃料費
、
電力費
、車の
借り上げ等
、
農業用水
の
応急確保
のために要した
経費
、さらに五万円以下の
事業費
もあるわけでございますが、こういったものにつきまして、
市町村
が
産業振興
上
助成
した分につきましては、特例的に
市町村
の
実態
に応じて
特別交付税
で
措置
するということにいたしたのでございます。 それから第三に、
干害応急対策
として、
飲用水
の
施設事業
を
実施
した
開拓者
ないしその
農業協同組合
に対しましては、
予備費等
の
予算措置
によりまして、従来
実施
した
対策
を
参考
として
措置
するということにいたしております。 第三が、
災害復旧事業
でございまして、今回の
干ばつ
により亀裂の入った
ため池
、
水路
、
水田等
を、御
承知
のとおり
農地農業用施設
につきましては、
国庫補助
の
暫定措置法
がございまして、その
基準
に該当いたすものにつきましては、
災害復旧事業
としてこれを採択いたしまして、早急に補修を行ない、あわせて地元に
就労
の
機会
を与える
災害復旧対策
としての
事業
を
実施
するということにいたしたのでございます。 それから第四に、
救農対策
でございますが、ただいま御
説明
申し上げました
災害復旧事業
を
実施
することはもちろんでございますが、さらに
農林省
で所管している
事業
のみならず
建設省等
にも
お願い
をいたしまして、
予算措置
の講ぜられております
公共事業
をできる限り
被災地域
において
被災農民
に
就労
の
機会
を与えるよう
実施
する。さらに、あわせて
被災農民
の方々の所得を確保するため、
地方公共団体
が道路とか
ため池
の
改修等
、従来の
一般公共事業
の
対象
とならないよう小
規模
の
事業
を
地方公共団体
が
起債等
によって行なうことができるよう、いわゆる
起債
の
措置
を現在自治省に
お願い
をいたしておるのでございます。 それから第五に、
恒久対策
でございますが、
恒久対策
といたしましては、先ほど
総務
副
長官
のお話にございましたように、
ダム
の
建設等
の大
規模
な
水資源
の
開発
を一そう
促進
する。さらに今回の
干ばつ
で非常にその効用が認識されました
ため池等
につきましては、従来の
基準
に必ずしもこだわらないで、小
規模
な
水源整備事業
というものにつきましても、今後その
重点的効果
的な
推進
をはかっていく。このための制度についての
検討
を進めておる
段階
でございます。 第六に、
食糧対策
でございますが、これは従来とも
実施
いたしておるのでございます。 第一に、
予約米
の出荷のできなくなった方に対しましては、
予約概算金
の国への納期までの
加算利子
については、
被害
の
程度
によって
減免措置
を講ずる。さらに
生産者
で
予約概算金
が返納できなくなった方に対しましては、
指定集荷業者
が代位弁済するということにいたしておるのでございます。 第二に、
等外米
と
規格外米
の
政府買い入れ
の道を開いたのでございます。これは
羽越災害
の場合、そういう御
要望
が非常に強うございまして、九月二十一日付で、そこに書いてございますような告示を出しまして、主食に供するものにつきましては、
等外米
でも
規格外米
でも、
政府買い入れ
の道を開くということにいたしたのでございます。 第三に、
例年完全保有農家
であった者で、
災害
のため
保有米穀
に著しい不足を生じた者については、一部
保有農家
に対する
配給
に準じまして
一般配給
を行ないまして、また
災害
が大きく、広範囲で、
一般配給
だけでは再
生産
に支障があると認められた者につきましては、
一般配給
のほかに、一カ月一人
当たり
五キログラムの加配を行なうということにいたしたのでございます。 第七に、種苗とえさの
対策
でございますが、
被災農家
の次
年度用
の
種もみ
あるいは
種イモ
の
あっせん
につきましては、
被害
の
状況
、必要な
種もみ
の
数量等
を
調査
いたしておるのでございますが、こういったことによって一応対処すると、同時に、御
承知
のとおり
種子対策
につきましては従来一定の
基準
に該当いたしますれば
助成等
の
措置
も講じておりますので、他の
災害
の例に準じまして
助成措置
を講ずるということで、目下その
事業量
の確認につとめておる
段階
でございます。 それから
果樹
と桑の
改植用
の苗木の問題でございますが、これまた苗の、従来と同様に
被害
の
実態等
を
十分把握
の上、従来
共同育苗
の
経費
について
助成
した例もございますので、これらを勘案して
措置
するということにいたしております。 それから第三に、
酪農地帯
の
飼料対策
でございますが、すでに広島、山口、
大分
、
鹿児島等
から
政府
所有ふすまの売り渡しの
要望
がございますので、これを
実施
いたしますとともに、
ビートパルプ等
の
あっせん
につとめておるのでございます。 それから第八に、その他の
対策
といたしまして、今回の
干ばつ
に伴いまして
マツクイムシ等
の
発生
が非常に見られたのでございますが、これにつきましては、
森林病害虫防除法
によります駆除の万全を期するとともに、
発生量
に応じまして、まだ
補助金
の
保留額
がございますから、これを重点的に
被害県
に配分いたしまして、今後の蔓延を防止いたしたい、かように考えておるのでございます。 以上が、今回の七月以降の
干ばつ
につきましての
被害
の
概況
並びに
対策
の
概要
でございます。
伊藤顕道
7
○
委員長
(
伊藤顕道
君) 次に、
坂野建設省河川局長
。
坂野重信
8
○
説明員
(
坂野重信
君) このたび新しく十一月の十一日付で
河川局長
に任命されましたので、どうぞよろしく
お願い
いたします。 本年
発生
いたしました
建設省所管
の
公共土木施設
の
被害
は
直轄災害
で百十四億、
補助災害
で九百三十億、合計いたしまして千四十四億に達しておりまして、そのうち
直轄災害
につきましては、現在までに
調査
を完了してすでに
予備費
を四十二億九千万ばかり支出いたしまして、本年末におきましては、おおむね五〇%の
復旧
をはかることにいたしております。
補助災害
のほうにつきましては、緊急の
復旧
を必要とする個所につきまして
緊急査定
を行ないまして、これらに対しましてすでに
予備費
を支出しまして、
復旧工事
を
実施
中でございます。現在本
査定
を
実施
中でございまして、本
年度
末におおむね三〇%の
進捗
をはかる予定でございます。なお、特に急
傾斜地
の問題が非常に重要でございまして、本
年度
から新しく二億円をもちまして急
傾斜地
の
崩壊対策事業
を
実施
中でございます。また土石流に対する
被害対策
につきましては、
緊急砂防
といたしまして約十億円をもって
工事
中でございます。急
傾斜地
の
崩壊対策
につきましては、いま申し上げましたように、今
年度
に引き続きまして、
明年度
以降できるだけ急
傾斜地
の
崩壊対策事業
を格段に
推進
いたしますとともに、新しく、
立法措置
を講じまして、警戒、
避難体制
の確立あるいは
建築物
の
規制等
につきまして適切な
対策
を講ずるように、いま
検討
中でございます。 それから抜本的な
対策
といたしまして、最近の
災害
の実情を見てみまするというと、局地的な
集中豪雨
が非常に大きくなっている、あるいは
人口集中
によります
都市周辺
の
被害
の激増、あるいは
農村地帯
における
農業構造改善
の
進捗等
によりまして、
災害
が非常に大きくなってまいりました。また一方におきまして、今
年度
のような関東、東北あるいは後半における
西日本
の
水需要
の逼迫、
干ばつ等
にかんがみまして、新しく現在、
現行
の
治水
五カ年
計画
を改定いたしまして、新
治水
五カ年
計画
というものを策定いたしたいということで進めているわけでございます。
現行
の
治水
五カ年
計画
は、全体の
治水投資
が一兆一千億でございますが、新五カ年
計画
は二兆四千億ということで
実施
いたしたい。この新五カ年
計画
の考えといたしましては、新しく情勢の
変化等
に伴いまして全体
計画
を再
検討
いたしまして、
昭和
六十
年度
までにはでき得れば二十三兆の総
事業費
をもって
対策
を講じたい。その
一環
といたしまして、第一
年度
として四十三
年度
以降からこの新五カ年
計画
をスタートいたしたいと考えておるわけでございます。 その他、
干ばつ
の
対策
といたしましては、この新五カ年
計画
の中にすべて含まれるわけでございますが、
治水ダム
の
促進
あるいは
河川総合開発
の
一環
としての
ダム
の
促進
ということによりまして、できるだけ将来の
干ばつ
がないような
対策
を抜本的に講じていきたいと考えております。
伊藤顕道
9
○
委員長
(
伊藤顕道
君) 以上で
説明
を終わります。 これより以上の
説明
に対する
質疑
を行ないます。御
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
武内五郎
10
○
武内五郎
君
災害対策
につきまして本日
総理府災害対策本部
の
災害対策
に関する基本的な
対策
の方向を承ったのでありますが、この問題は私はまことに重大な
課題
でありまして、私は
質問
に入る前に、特に
委員長
に今後の
取り扱い
について、さらに突き進んだ
検討
を進めるようにお取り計らい願いたいと存ずる次第であります。それをまず
お願い
申し上げておきます。 それから本日は非常に時間が切り詰められておりますので、本日承った
基本対策
についての突き進んだ
検討
に入ることが、ほとんど困難な状態であります。そういうような
関係
で、私はいろいろな問題がありますが、先般の八月二十八日
災害
に関して、
前回
私が
質問
いたしました問題に触れつつ、一、二点の
課題
を取り上げて進んでいきたいと思います。なおこれもほんの
骨子
だけでありまして、
質問
の要旨もきわめて簡単にいたしまするので、お答えのほうも、ひとつ要領よくしかも親切に
お願い
したいと思うのであります。私が
前回
特に取り上げました問題は
災害予防
について、
災害防止
の問題の核心を特に
砂防施設
を完備すべきだという点を申し上げ、
建設大臣
から力強い御答弁をいただき、本日の
総理府
の
説明
の中にも、特に
傾斜地
問題を冒頭に取り上げておる点については、私は問題がそこまで進んできておるということを認識するとともに、さらに問題の大事さがやはりわかってきたと考え、感謝にたえないものであります。 私は、実は、本
委員会
から派遣されまして、同僚
委員
の諸君とともに新潟、山形等の
災害
地を視察したのでありまするが、その後私自身が新潟県内の
災害
地を数日にわたって走り歩いて、特に、私は非常に強く胸を打たれましたことは、本日は新議員として紹介されましたが、
佐藤
芳男君のなくなった個所等を見まするときに、おのずから身の引き締まり、合掌せざるを得ないのであります。私は、これは、村杉という、北蒲原の笹神村の村杉という小さい部落でありますが、そこへ入る前に、安田町から入っていったのでありまするが、当然都部田部落を通っていかなければならない、この都部田部落というのは、
佐藤
芳男君が土砂に埋もれたところからわずか一キロ半ばかり離れたところであります。ここは全く地獄という状態、地獄の様相はこんなものであるかと考えるほどのおそろしい状態なのであります。土砂が一面、数千町歩、数百町歩にわたる耕地でありますが、一面土砂で、数トン以上の岩石がその上に、全く足の踏み場の余地のないほど岩石が流れ出している。その岩石も角度を持った岩石ではなくて、ほとんど摩擦をした、まるみを帯びた摩擦した岩石——私どもが知らなければならぬのは、これは今回山から流れ出した岩石ではなくて、何回か重ね重ねて、もまれもまれて角度が取られて流れ出してきている岩石であることを私たちは知らなければならぬ。私はそこに、この摩滅した岩石を見て、特に砂防の重大性を感じざるを得ない。この都部田部落に流れ出した土砂と岩石というものは、今回ではなくて、何回か前に繰り返されているに違いない。しからば、なぜ今日まで、そういう大きな
災害
をもたらしたような状態になっておるのを、今日まで放置していたかということに私は問題があると思う。私は、そういうものの見方をするとしますると、全く私は、同僚
佐藤
君が地下で全く泣いているだろうと感ぜざるを得ない。どうかひとつ、その点で、きょうは
建設大臣
が見えておりますが、
災害
の
基本対策
というものはここに置かなければならぬじゃないか、治山と
治水
、
防災
を中心とした治山
治水
、そして
災害対策
の
計画
というものが立てられなければならない。私は、これを忘れて、これを無視したりして
災害対策
の基本がないと考える。幸い今日、
傾斜地
対策
というものが取り上げられていることを非常に感謝せざるを得ないのであります。ところが、今日までこれは法的にもほとんど全く軽視されている。予算の
措置
においてもほとんど軽視されてきたことは、これは否定できない。日本の
災害
に対する
対策
をいろいろ歴史上考えてみても、あの近代的な
災害
、特に河川
対策
の基本というものを明治の初年、オランダの技術者を招聘して砂防を中心として進められてきたことは事実である。その前においてもたとえば、徳川時代は、これは全く私の小学校時代からの教科書で河村瑞軒の名前を知っております。河村瑞軒は、
治水
は治山だとこう言っておる。水を治めることは山を治めなければできないのだということを、彼は喝破しておる。事実、徳川の初めごろにおいては、山を守ることに専念しておったことは事実のようであります。私どもはいささかの農業政策を調べてみてもそれが出ておる。ところが中間においてだんだんそれが忘れられてきた。明治の初年になってしばしば大洪水が繰り返され、オランダの技師の建言に従って治山
対策
をとるに至った。また最近になってきて治山
対策
というものは忘れられた。このようなふうに私ども今回は
災害
の
現地
を見て感じている。こういう状態でありますので、私は先回特に治山
対策
、砂防
対策
というものを重視することを要請したわけなんです。
建設大臣
からも、さっそく私自身にほんとうに力強く感じるほどの誠意ある御答弁があった。それでさらに私はお伺いしたいことは、これは今度は要点でありますが、具体的に砂防
対策
上、特に
災害
地を中心とした砂防
対策
がどう進められていくか、崩壊した
傾斜地
に対する
復旧
対策
をどういうふうに今度は進めていくのか、もう少し具体的に御
説明
願いたい、これが一つ。 それから、新潟県から山形県、福島県、今回の
災害
地の大部分というのは
傾斜地
である山嶽地帯、ほとんどその大部分というものは禿頭病にかかった頭のごとくにはげている禿赭地帯が至るところにできている。私はこれは今日まで山林
対策
、完全に山林
対策
というものが無視されてきておる大きな病根、病がそこに出てきたと思う。なるほど大きな豪雨であったに違いない。大きな豪雨であったかもしれないけれども、あれほどたくさんの禿赭地帯がつくられておる。土砂が
生産
されて流下しておることの現象というものは、今日まで山林
対策
、砂防
対策
というものが、完全に無視されておった。その点で、私はここに大きな問題が出てくる。完全にこれはそういう
対策
の軽視の結果として出てきたところに責任がある。これらに対する
対策
は、いまどういうふうにするのか、またどういうふうに感じているのかお伺いしたい。 まずそこからお伺いしていきたいと思う。
西村英一
11
○国務大臣(西村英一君) いま
武内
委員
から
治水
の重要性につきまして、こもごもいろいろお話も承り、また今回の羽越水害につきまして新潟県、山形県で
被害
者を出しましたこと、まことに残念しごくに思っておる次第でございます。 そこで、先生の言われることは、このように
災害
がひどく起こったのじゃ、どうも
治水
対策
について抜かりがあるのじゃないかということが第一点でございまするが、今回の
災害
を見まして、また、新潟のみならずあるいは呉だとか、あるいは神戸だとか、長崎あたりに起こった
災害
を私は見まして、現在の砂防
工事
等も重要であるが、現在の
治水
五カ年
計画
のやはりワク内では、どうもこれに対処することができないと考えまして、
建設省
といたしましても、
現行
の
計画
を改定したいということを考えておるものでございます。したがいまして、これは今後の問題になりますけれども、もう少しやはりこの従来も怠っておったわけではございませんが、さらにここで考え直さなければならないのじゃないかということを思っております。 それから最近の
災害
の事情を見まして、いま先生からお話がございましたように、この山が崩壊して、土石流の流出というものが非常に大きい
規模
であります。したがいまして、このためには農地をつぶし、またはその下に人家があれば
被害
を受けるのでございます。非常に土石流の流出ということは顕著なように見受けられます。もう一つ最近の
災害
で急
傾斜地
の崩壊による
被害
が非常に大きいように見受けられるのでございます。犠牲者も七、八割はこの急
傾斜地
の崩壊、こういうようなことにあるように見受けられるのでございます。 どうも
集中豪雨
に非常に弱い、また
集中豪雨
が非常に最近はひんぴんとある。一体どうして
集中豪雨
がこんなにたびたびあるのだろうか。また
集中豪雨
というものが、何と申しますか、周期性があるんじゃないだろうかというようなことも、私たちとしてはいろいろ科学的に、技術的に進めておる次第でございますが、なかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、ぜひともこの土石流の急
傾斜地
の
対策
というものは講じなければならぬと思っております。新潟県の
災害
について今度一体どうしたのだというお尋ねでございまするが、新潟県は非常にこういうような現象が多いので、まず今
年度
とりあえず緊急の砂防
事業
といたしまして、
事業費
約三億円ぐらいを投下しまして、緊急に二十四カ所の砂防
工事
をやっておる最中でございます。引き続きまして、今後の
対策
は
緊急砂防
事業
として取り上げるものと、
一般
砂防
事業
で取り上げるものと、
計画
的にやっていきたいと思っております。たいへんに
被害
個所が多いのでございまして、これは山形、新潟にかけてたいへん多いのでございまするが、急速にこれらの
事業
をやっていきたいと考えておる次第でございます。五カ年
計画
の改定ができますれば、さらに
規模
を大きくいたしましてやりたいと、かように考えておる次第でございます。
武内五郎
12
○
武内五郎
君 いま
建設大臣
から新五カ年
計画
に織り込む砂防
対策
のお話がありました。これはいままでの砂防
対策
について体系がくずされ、私はむしろ
対策
をおくらせておったのではないかと考えられる点がある。それは今日まで、砂防
対策
というものは、予算上においても全く零細、ほとんどこれは軽視されておると言っても過言ではないほど零細なものである。したがって、直轄
工事
等の
推進
というものは、私はむしろ困難であったのではないか、できないようなものであったのじゃないか。そこに私は砂防
対策
体系というものができてなかったと考える。したがって
災害
が起きた、勢い
緊急砂防
工事
というものを組み立てていかざるを得ない、それより砂防
対策
の
推進
ができなかったという
実態
があるんじゃないか。私が新五カ年
計画
の
検討
にあたって、大臣に特に
お願い
したいことは、そういう体系の中で砂防が扱われてきておるのなら、これをやっぱり
検討
して、そういう体系を直すことが大切じゃないか。砂防
対策
というものはむしろ地方にまいりますと、
災害
待ちである、
災害
がこなければ砂防
対策
の
推進
ができなかったというのが
実態
じゃないか。その点はひとつ改めていただくように、構想を改めていただくように
お願い
したい。 今度の
災害
で禿赭地帯が造成された地域というものはほとんど国有林。私はやはりこれはもう重大な当局の責任であると考える。御
承知
のとおり、私はこの前指摘いたしました、われわれが水を張ったふろに入る、そのふろが水があふれて流れ出すのは、これは当然。土砂、岩石が川の中に落ちてまいりまするときに、どうしてもこれは洪水になってはんらんせざるを得なくなることは避けがたい事実だと思う。その原因というものは、山林
対策
というものがなっていない。禿赭地が造成されて、できる。土砂が造成、
生産
されて、増加している、こういう
実態
ではないか。そういうふうなことについてどういうふうに考えているか、
災害
についてどう考えているか、今後どういうふうに
対策
を講ずるか。
木村晴吉
13
○
説明員
(木村
晴吉
君) ただいま御指摘のように、特に新潟県内におきましては地質的に、ぼい山地帯が非常に多いのでございまして、禿赭地の
発生
状況
も、ほかの地域に比べて比較的多いことも
十分把握
いたしておりまして、これが
対策
といたしましては、ぼい山特殊造林
事業
の
推進
を、従来から積極的に
推進
いたしておるのでございますが、何ぶん特殊な
集中豪雨
によりまして、傾斜禿赭地が非常に多くなっておるというのが、現在の姿でございます。やはりこれの
対策
といたしましては、砂防と同様、治山
事業
を積極的に進める、またその投資効果を十分に発揮し得るように、現在具体的な治山
計画
の
樹立
のために
調査
も進めておりますし、また
恒久対策
といたしましては、先ほど大臣も触れられましたように、
治水
とあわせまして治山新五カ年
計画
を
樹立
いたしまして、四十三年から
実施
いたしたい構想を持っておる次第でございます。
西村英一
14
○国務大臣(西村英一君) いま農林事務当局からお話がございましたとおりでございまして、やはり
農林省
の
関係
は、植林のほうの
関係
で農林砂防
事業
をやりますし、私のほうも
建設省
のほうの
関係
も、やはりやらなければならぬと思っておるのでございまして、いずれにいたしましても
政府
といたしましては、従来から河川に対する砂防は、
農林省
にせよ
建設省
にせよ、おろそかにしておったわけではございません。ございませんが、やはり今回
被害
がありますように、なかなか個所が多いのと、それに対処し得る
資金
の問題になるのでございますから、これは今回の例にかんがみまして、今後もさらに両方とも河川の上を治めるということに十分に力を尽くさなければならぬと、かように思っておる次第でございます。
武内五郎
15
○
武内五郎
君 いま大臣は、問題の私の
質問
の要点の把握がちょっとできなかった。私の言うたことはこうなんです。今日までとられてまいりました砂防
対策
の体系というものは、地方では
災害
待ちだ、
災害
が起きることによって、初めて砂防
工事
が
実施
されてきたんだというのが大部分である。したがって、これは砂防
対策
体系というものがそういうふうにできておるのじゃないか。それを直す考え方がないか。 それから、したがっていま大臣が言われた、何ぶんにも金がかかりますのでと、こう言う。今回のこの
災害
で、新潟県の受けました
被害
額というものは、一千七百億——もっと計算しますと、二千億に達するのではないかと言われている大きな
災害
だ。ところが、これはこの前も申し上げたように、新潟県の北蒲原郡に黒川村——この
災害
の中心、そこに、蔵王川という小さい渓流がある。この蔵王川に、八月二十八日から一カ月ほど前に、ようやく一つの砂防堰堤ができた。その堰堤があったからこそ、その下流の部落が流失しないで助かっている。土砂の流れはあったけれども、そのために助かっている、下流の部落が。もし、そこに堰堤がなかったら、その部落が全部流れて、都部田部落のようになってしまうのは避けがたい。都部田部落では、十一戸の開拓部落であったのに、一軒も家はない。完全に土砂につぶされてしまった、あるいは、岩石に打ちこわされてしまった、一軒も家はない、こういうような
災害
なんです。だから、その小さい砂防堰堤というものは、どういうくらいにかかってできたか知らんが、二、三百万はかかってはいまい。かりに三百万かかったとして、三百万の堰堤で何千万円あるいは何億の
被害
を防止することができたとするなら、これは、もう安いことこの上もない。一文惜しみの百文損ということばがあるが、このくらい、私は考えるべき問題ではないかと思うのですが、大臣はもう少し、その辺をどういうふうに考えておられるか。
西村英一
16
○国務大臣(西村英一君) とにかく、その砂防が
災害
待ちではないかと、こういうようなお話でございまするが、決して、そういうことではございません。これはもう砂防は予防のために、予防砂防でございます。ただ、それは非常に個所が多いのだというようなことで
災害
を起こしておるのでございまするから、私たちとしましては、現在のような
集中豪雨
に対してきわめて弱い
状況
ではいかない。かような意味で今度の
治水
計画
の改定をやり、砂防につきましてさらに重視していきたいと、かように申しておるのでございまして、いずれにいたしましても、これは私たちの河川
事業
といたしましては、最も砂防は重視いたしておるのでありまして、事故を待ってからというような考えは毛頭ないのでありまして、あくまで砂防は
治水
計画
の第一義的なものだと、かように考えて、今後強力に進めたいと、かように思う次第でございます。
武内五郎
17
○
武内五郎
君 どうかひとつ、そういうふうな構想で進めていただきたいと思います。 それで、実はこの前私神戸の
災害
を視察して
質問
して、宿題としてひとつ残しておいた問題があります。それは市原の
傾斜地
の崩壊、あれはあそこは国立公園。この
復旧
と、それからその
災害
を起こした原因というのは、上にゴルフ場がある。ゴルフ場から急激に水が落ちてきてあの痛ましい
災害
を起こした。その
対策
を一体どういうふうにやっておられるか、その処理をどういうふうにやるかということをこの前
質問
しておいたのですが、明確な答弁がなかったもので、この
傾斜地
に対するゴルフ場から流れ出してきた土砂の崩壊を防止する施設がなくて流れ落ちた。あの
災害
にどういうふうに対処するか、それを宿題にしておったのですが、厚生省来ておりますか、どういうふうに考えておりますか。
飯原久弥
18
○
説明員
(飯原久弥君) ただいま先生の御
質疑
にございました神戸の件につきましては、私、社会局の施設課長でございますので、ただいま直接所管の局のほうを呼んでおりますので、そちらのほうからお答えをいたしたいと思います。
西村英一
19
○国務大臣(西村英一君) いまのお話ですが、
関係
者がいないから確めたいと
説明員
も申しております。私の聞いたところでは、これは私も確認しなければいけませんが、あのゴルフ場は経営者がいろいろなことにかんがみまして廃止をするというようなことを聞いておりますが、確認は私もいたしておりませんから、担当者が来るまでお待ちを願います。
武内五郎
20
○
武内五郎
君 それは、じゃこの次の
委員会
でひとつお伺いしたい。 時間もあまりありませんので、砂防
関係
はひとつこういうことですから、ぜひ大臣並びに
災害対策本部
としても十分御
検討
願っていただきたい。 次に私は農地の
復旧
、これは簡単にしておきたいと思う。ほかの
質問
者もありますので、その時間に食い込んでは申しわけありません。 実は私、この前もその問題を心配いたしまして、お考えを伺っておったのでありますが、実はそれも非常に
農林省
のほうから力強いお答えをいただいた。どういうふうに伺っておったかというと、
査定
が未完了であっても、
復旧工事
は積極的に進める考えでありますという、これも私、非常に力強く承って安心しておったところが、二、三日前に新潟県の県当局の話では、まだ三〇%も進んでいないと、これでは私は来年の植えつけがもう心配にならざるを得ない。今度の八月二十八日の
災害
の個所というものは去年七月十七日の
災害
を受けた個所。そのときに農地の
復旧
は、じんぜんとしてはかどらなかった。勢い苗は一尺以上にもなるので、半分以下にちょん切ってようやく植えつけたのです。まあとにかく植えつけて、できる米で今年の口しのぎをやっていこうという考え方で植えつけた。ようやく植えつけてみたら、あのとおり八月二十八日の
災害
だ。御
承知
のとおり新潟県はもう雪です。やはり今度の
災害
地の大部分というものは豪雪地帯、山間、山寄りの豪雪地帯です。もうそろそろ雪が降る、来月になってくると、雪に包まれてしまう。これでは私は
復旧工事
も困難になってくることはあたりまえです。来年の植えつけもおぼつかない状態になると思う。私は、それを心配して、何とか方法をとって来年の五月の植えつけに間に合わせるような形にしていただきたいということを
お願い
しておったわけです。そのときに、いや、
査定
のいかんにかかわらず
工事
は進めていく考えだと、こう言ったから、大いに安心しておったら、一向進んでいない。これはひとつどういうふうになっているか、伺いたい。その点をひとつ
お願い
します。
久保勘一
21
○
説明員
(久保勘一君) 御指摘の今年八月下旬の羽越水害は、新潟、山形、福島県をはじめといたしまして、七県にまたがる非常な甚大な
災害
でございまして、これらの地域は、御指摘のようにいずれも積雪地帯でございまして、
工事
期間の短い
関係
もございまして早期に
査定
を終わり、早期に
工事
に着工するたてまえのもとに努力をいたしております。特にこの
査定
につきましては、数少ない技術者でございまするけれども、隣接県の応援等も求めまして、
農政局
が中心になりまして努力をいたしております。御指摘のように、新潟県におきましては、三一・二%という
査定
の
状況
でございましたが、これもその後の努力によりまして、十一月二十二日の
報告
では五〇・四%になっております。さらに、年内にはすべてが完了するという予定でございます。なお、山形県でございますが、この県も先般七二・五%
程度
の
進捗
でございましたが、十一月二十五日にはこの県は完了を見る予定でございます。その他の五県につきましては、現在すでに完了いたしております。 なお、この
復旧
の
工事
でございますが、御指摘のように積雪地帯でございますし、来春の作付に間に合わせなければなりませんので、極力
工事
を急いでおるわけでございまして、特に緊急を要するものにつきましては、
査定
前の着工を認めてそれぞれ
対策
を講じております。なお、
査定
が済みましたものにつきまして、現在のところ二二%
程度
着工いたしておるように
報告
を受けておるわけでございます。しかし、まだ数多くのものが残っておりますので、明春の作付に間に合いますよう極力努力を傾けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
武内五郎
22
○
武内五郎
君 ひとつぜひそういうふうに進めていただきたいのですが、そこで実情について十分考慮に入れて
計画
を進めていただきたいことは、まずあの地域は豪雪地帯であるという
条件
を無視することはできない。 第二は、そういう地帯の農村では出かせぎ者がたくさんおる、もう村に働き手がなくなる、これからもういないです。そうすると労働力の供給ということは不可能なんです。労働力の需要を満たすことはできない
状況
なんです、そういう悪
条件
。したがってこれも最近伺った話なんですが、そういう地域における農地の
復旧工事
というものは、もうどの請負師も必ず損する。したがってもうみなしり込みし、できるだけ逃げようとする、何かそこにやはり単価の問題があるのじゃないかとも考えられる。そういう点を私はここでこうせい、ああせいとは言わない、十分
検討
する資料として申し上げているので、
検討
していただくように
お願い
したい。これできようは
質問
を打ち切ります。
小平芳平
23
○小平芳平君
災害
のつど、個人
災害
の問題について、
政府
はどう対処をするかという点についていろいろ論議されてきたわけでありますが、この前の
委員会
のとき、私はその点については
総理府
に対しての御
質問
はしなかったわけでありますが、大体県やあるいは市で見舞金を出した場合どうするかというようなことをお尋ねして終わったわけでありますが、これは新潟、山形地方の
災害
にしましても、結局
農家
の方が多い。その
農家
の方がお金を借りても、実際利息も払えないような現状にあるわけですが、それで個人
災害
に対してどのようにお考えか、これについてまずお伺いしたい。
上村千一郎
24
○
説明員
(
上村千一郎
君) 小平先生、個人
災害
の問題につきましては、先回も御指摘があったわけでございますし、また参議院並びに衆議院の
災害対策特別委員会
におきましても、個人
災害
に対して、どう
政府
は対処するかということにつきましては御指摘があり、重要な問題としまして、その後も取っ組んでいるわけでございます。その経過につきまして御
報告
申し上げておきたいと思います。 実は、
災害
によりまして被災された個人に対する援護
措置
の必要性につきましては、しばしば当
委員会
におきましても御指摘をされたとおりでございます。私ども
災害対策本部
といたしましてもその重要性を認識いたしまして、
関係各省
連絡の上、何回も協議をいたした次第でございまするが、しかし結論といたしまして、現在のところの大体の結論といたしましては、現在の私有財産制度のもとでは、
災害
による個人の損害は、各人の自主的な回復に待つのがたてまえであると言わざるを得ないのでありまして、
政府
といたしましては側面的に、個人の自立更生に資するために、たとえば
災害
救助法による応急救助とか、低所得者に対する生活再建のための世帯更生
資金
及び母子福祉
資金
の
貸し付け
、生活困窮者に対する生活保護、住宅金融公庫による被災住宅に対する
災害
復興
融資
、被災者用の公営住宅の建設、租税の減免等の
措置
を講ずることといたしてまいったわけでございます。で、これらの援護
措置
についても、
災害
の実情に応ずるように、さらに適切な改善をはかることといたしまして、今後とも十分
検討
を加えてまいる方針でございます。 最近これら各般の
措置
のうち、改善を加えたおもなものを御
報告
申し上げますというと、第一点といたしましては、
災害
救助法による救助の費用限度額を、再度にわたりまして相当
程度
引き上げた。第二点といたしましては、住宅金融公庫による
災害
復興の住宅の
建設等
にかかる
貸し付け
金の限度額を引き上げた。第三点としましては、中小企業信用保険法による
災害
関係
補償につき、保険の限度額を相当限度引き上げたというのが、
政府
といたしまして最近とりました
措置
でございます。 しかしながら、個人
災害
というものにつきましては、非常に重要度というものが高まって、これに対する
対策
につきまする重要度は、ますます認識をされておりまするし、各諸先生の御意見も強くあるわけであります。衆参にわたりましてその意見が強いということでございまするので、何らか
政府
としましても、いまのような基本的な結論には一応達してはおりまするが、何らかひとつ前向きに
検討
いたしたい、こういうわけでございます。
小平芳平
25
○小平芳平君
貸し付け
金のほうは、これは限度額を引き上げてくださっても、結局返さなければならないお金ですから、これは実際問題、
災害
地の一軒々々の
状況
をお聞きになれば、これは十分おわかりのように、いろいろな形で住宅金融公庫なりあるいは自創
資金
とか、その他農協
関係
の金融にいたしましても、借りることは確かに借りる道は開かれていても、実際
農家
で五十万、百万という借金をしましても、いつ払えるか見通しもないような状態、現にそういう状態の上に、また
災害
を受けて、そしてまた借りる道は開かれていると言われても、これはどうしようもないわけですね。まあ前向きに
検討
なさるという御答弁でありまするが、これは去年の十月の
委員会
におきまして、当時の森
総務
長官
が非常にその点については、個人
災害
については、はっきり結論を出していく、与党においても、政調会においてもこの問題は取り上げて
検討
しておるし、来たる
通常
国会には、もうその成果を出そうという段取りになっておるというような発言もしておられますが、この点は立ち消えになったわけでしょうか。
上村千一郎
26
○
説明員
(
上村千一郎
君) 実は小平先生おっしゃるとおりでありまして、私も当時、森
総務
長官
の御就任当時副
長官
をいたしておりまして、このいきさつを
承知
しております。その答弁は、昨年の十月に静岡県下その他を襲いました、また山梨県下を襲いました
集中豪雨
の際の
被害
に対しまして、当
委員会
で森
総務
長官
答弁をされたかと思います。それで実は私どもといたしましては、いま小平先生がおっしゃるとおり、非常にこれは重要な問題である。何となれば個人のたとえば減税
措置
、あるいは
融資
の問題その他いろいろなことをはかっても、それに十分な援護
措置
というものはできない、立ち上がりも実際上できぬような実情にあるのだから、何らかひとつ個人
災害
というところで大きくひとつ前向きな
措置
を講じなければならぬのではなかろうかというわけで、再三にわたりまして、
関係各省
と協議をしました。そうしたところが、個人
災害
の場合には、非常に
災害
の
被害
の態様というものが複雑でございますし、また、どの
程度
補助
をしていくか、またどういう態様で
補助
をするのかという問題につきまして、
各省
の意見が非常に多種多様に出てくる。従来、個人
災害
につきまして、
補助
の形態で
参考
になりますのは、農地
関係
の場合が一つございます。それで、私実は当
委員会
でございましたか、あるいは衆議院の
災害対策
委員会
かと思いましたが、
先生方
の御
質問
に対しまして、そういう一つの
対象
を固定しまして、そしてひとつ
検討
を進めていくというような方法もあるであろうということを答弁申し上げたことがございます。それで、そういう問題につきましても大きく取り組んでおるわけでございますが、現在の状態としましては、先ほど申し上げましたように、この
程度
で実は結論が出ておる、そうして非常に
先生方
の御
要望
に対しまして申しわけございませんが、決して今後の
検討
を打ち切っておるわけではございませんけれども、非常にむずかしい問題でございまして、
各省
の意見がはっきりまとまるという状態に至っていないということを、御
報告
を申し上げるわけでございます。
小平芳平
27
○小平芳平君
各省
の意見がまとまっていないというのですか。それはちょっとふに落ちないのですけれども、いま御答弁なさっている御趣旨は、よくわかるわけでありますが、要するに大きな問題であると、またこれは非常に複雑な問題であると、またいろいろ制度上の問題もむずかしいというような点はよくわかりますが、それを
各省
の意見がまとまらないからということになりますと、じゃ具体的にある省ではこういう個人
災害
はこういうふうに見てあげるというのに対して、別の省ではそれは反対だと、そういうところへ金を出すべきじゃないというような論議なんでしょうか。
上村千一郎
28
○
説明員
(
上村千一郎
君) ことばが不足しておるかと思いますが、実はたとえば大蔵当局の点等も考えますれば、どの範囲でやるかということにつきましては、非常に財源
措置
としても大きな問題になってまいりますし、またいろいろな
災害
の形態によりまして、先生も御案内のように、現在
各省
の縦割りの
予算措置
が結局なされておるわけです。ですから、総合調整と申しましても、
総理府
の
災害対策本部
に予算がついておるわけではございませんのです。こういうようないろいろな問題もございますから、
各省
の方々の御意見というものも相当出てまいりますし、もちろんそれに対しましては、従来とっておりました
政府
の個人
災害
に対する考え方は、私有財産制度のもとにおいて、
災害
による個人の損害は、個人の自主的な回復に待つのがたてまえであって、それに対して
政府
は側面的に個人の自立更生に資するために各
措置
をとっているというようなことで、ずっとなっております。この大きな壁をどういうふうに打開していくかという問題につきまして、実はなかなか適切な意見がまだまとまっていないというのが実情であるわけであります。
小平芳平
29
○小平芳平君 それで、実際の現状はこれはよく御
承知
とも思いますので、そうした
災害
のたびに、もうそれは道路も橋も堤防ももちろん大事でありますが、とにかくそこに住んでいる人たちが生活ができなくなってしまったんじゃ、これもう人間が住めなくなって、住む人がなくなったんじゃ何にもならないのであって、この点ひとつ十分、先ほどの御答弁でもおっしゃっておられましたので、ただ金を借りる道が開かれているというだけでなくて、いかにして生活を建設していくかという点で御
検討
願いたいと、このように思う次第です。厚生省としては、どのようにお考えか。厚生省としては、
災害
救助法に対するいろいろな活動といい、また仮設住宅といい、こういう問題は厚生省の
関係
はほんとうにぎりぎりの線しか出していないわけですね。これはこの前の
委員会
でもほかの
委員
の方から指摘されましたので、重ねて私は申し上げませんけれども、実際問題厚生省はぎりぎりのもうほんとうの応急
措置
をとっていらっしゃるだけだ。そこでもって見るに見かねて全壊した家庭に対しては何万円、十万円というような見舞金を差し上げていくと。地方にはそういう例さえ出てきているわけですが、厚生省としてはどういうふうにお考えですか。
飯原久弥
30
○
説明員
(飯原久弥君) ただいまの御
質問
に対しましてお答えいたしますが、先ほど
総務
副
長官
からのお話もございましたように、先生の御指摘のございました
災害
救助法に基づきます大体十六種類くらいの応急救助の種目、種類がございますが、これにつきましては、逐次改定をしてまいっておるわけでございます。それとそれから先生御案内のように、低所得になった方々には世帯更生
資金
制度というものがございますので、この世帯更生
資金
の、たとえば自力更生
資金
でございますとか、そういった自力更生を促す
資金
を
適用
するということで補完をいたしまして、進めてまいっておるわけでございます。現在の
災害
救助法の中に応急救助の中の何らかの別の救助ということでございますと、御案内のように、
災害
救助法の任組み自体が、一定
規模
以上の
災害
について
適用
になるわけでございますから、そういたしますと、救助法の
適用
の場合と比べますと、ますます開きが多くなってくるというふうな行政上の、技術上の問題もございまして、きわめて至難なことでございます。そういう点から私どもといたしましては、蒸し返しますが、
災害
救助法の
基準
の改定なりあるいは世帯更正
資金
の改定ということで
検討
してまいっておるわけでございます。
小平芳平
31
○小平芳平君 時間的にきょう午前中にということでありますので、繰り返して申し上げませんが、いまの厚生省の施設課長さんの御答弁からしましても、結局世帯更生
資金
等で、というふうにおっしゃるわけですが、これは私は再三申し上げているように、借りるだけではもうどうにもならないという現状ですね。その上に立って、ひとつ今後御
検討
願いたいと申し上げておるわけですが、たとえば新潟県の荒川町という例ですが、再度
災害
及び山津波という、そういう特殊
災害
を受けて、個人の
被害
があまりにも悲惨であるというところから、町では一世帯平均十万円の生活
資金
を見てあげたというようなことも報道されているわけです。そういうときに
災害
ですからいろんな状態もそのところによって違いますけれども、こうした去年
災害
を受け、ことしも受け、来年また受ける、そういうような——来年はまだですけれども、そうして去年ことしというように連続
災害
を受けたと、しかも去年全滅して、またことしも全滅したというようなところに対する特別のそうした考え、特別な方策というものを、これを
検討
していただきたい。これはもちろんきょう出席していらっしゃる
政府
委員
の方も、また大臣の方も御同感だと思います。 で、次に、もう一つそうした被災地の方の生活を守っていくために、救農土木
事業
というものを起こしていただいたらどうか。これも地方からもそうした御
要望
があり、
前回
の
委員会
のときに私が申し上げたのに対して、
農林省
当局の方は起こしますということでありましたが、起こすことは起こしたけれども、もう打ち切りになっちゃったというふうに聞いておりますが、これはいかがでしょうか。
久保勘一
32
○
説明員
(久保勘一君) 救農土木に対しまする
現地
の
要望
は非常に高いのでございまして、その点に対応いたしまして、
政府
といたしましては、従来配分いたしております
公共事業
について、できる限り被災地に優先するように、なおまた
工事
をいたします場合は、
被災農家
の方々に
就労
の
機会
を優先して確保するようにというような
指導
をいたしているのでございます。 さらに救農土木の特別な
事業
といたしましては、県
市町村
の
要望
のありますものにつきましては、
起債
をもちましてその
工事
ができるように
措置
をいたしている次第でございます。
小平芳平
33
○小平芳平君 ですから考え方は、そうした考え方でたいへんけっこうだと思いますが、この新潟県の場合は、それじゃどのように
実施
されたのでしょうか。
太田康二
34
○
説明員
(
太田康二
君) 新潟県の
羽越災害
の場合に、確かに救農土木の
要望
があったのでございますが、ただいま
政務次官
のお答えになりましたのは、今回の
干ばつ地
帯につきまして救農土木
事業
を起こしまして、
起債
によって
措置
をするということをいたしたのでございまして、羽越水害の場合には、御
承知
のとおり農地の
災害
復旧
、農業用施設の
災害復旧事業
が行なわれるわけでございまして、まさにこれは地元で行なわれる
事業
でございますので、この
災害復旧事業
に従事していただきまして、できるだけ
就労
の
機会
を
現地
で得ていただくということが、一番適切な
措置
ではないかというふうに考えまして、この
災害復旧事業
に従事していただくということによって
就労
の
機会
を得ていただく。そこで、先ほど
武内
先生の御
質問
にもあったわけでございますが、多少他の県に比べますと、新潟県の場合には
査定
がおくれているというような事情もございましたが、先ほど
政務次官
の御
説明
にもございましたように、本年中には全部
査定
も完了して着工もいたすわけでございますので、くどいようでございますが、
災害復旧事業
に
就労
していただく、これによって対処してまいりたいと、かように考えているのでございます。
小平芳平
35
○小平芳平君 私は問題を分けまして、新潟県の場合は、
災害復旧事業
に今後とも吸収して、そうして収入の道が絶えないようにしていかれる。しかし、大きな建設会社などが入って行ないますと、これはもう実際問題
農家
の、そうしたどっちかというと、そうした土木
事業
には、しろうとの方々はそういう建設会社が使ってくれないんじゃないですか。そういうようなことがあったとしても、だいじょうぶですか。
佐々木四郎
36
○
説明員
(
佐々木四郎
君) お答えいたします。
災害復旧事業
は、
一般
的に
工事
の
規模
がそう大きくないのでございまして、大土建業者等が入ってきてやるような大
規模
工事
というのは少ないわけでございます。御
承知
のように、農地の土砂の堆積あるいは流出を直すとか、あるいは中小
規模
の
水路
とか、井ぜきを直すというような比較的
工事
規模
が小さいものでございますから、
一般
的に
災害
復旧工事
は、地元のその地域地域の業者等がその地方の農業に従事する人たちを使いながら
工事
を進めていくことになっております。
災害復旧事業
で地域の人々の
就労
の
機会
を与えまして、賃金収入の道はそういうことでもって解決できるというように考えております。
小平芳平
37
○小平芳平君 それは小さい
事業
もあるし、大きい
事業
もあるわけですよ。それは農地の、いま御
説明
のような
事業
は、確かに大きな土建業者が請け負うような
事業
ではないと思いますので、こういう点はひとつ具体的に各地方からの
要望
が出てくると思いますので、ひとつ十分認めていただいて、とにかく収入の道が絶えないような、そういういま御答弁がありましたから、そういうように私自身も
承知
してまいりたいと思いますが、収入の道が絶えない、そういうことを考慮していただきたい、こう思うわけです。 それから
九州
、中国方面のこの
干ばつ
についての具体的な
対策
は、これはいかがですか。
太田康二
38
○
説明員
(
太田康二
君) その点につきましては、先ほど私が「
昭和
四十二年七月以降の
干ばつ
について」という資料に基づきまして御
説明
申し上げたのでございますが「
措置
の
概要
」の第四といたしまして、
救農対策
事業
を今回起こそうということでございまして、御
承知
のとおり、一つには、今回の
干ばつ
によりまして亀裂の入った
ため池
、
水路
、
水田等
は一定
基準
によりまして
災害復旧事業
として採択することにいたしておりまして、まず第一次的には、この
事業
にも
就労
する
機会
があるのではないか。それから先ほど
政務次官
もお答えになられたわけでございますが、土地改良
事業
とか林道
事業
、漁港整備
事業
等の
農林省
の所管している
公共事業
等ございますし、
建設省等
の道路の
公共事業
もあるわけでございますが、これらをできる限り
被災地域
において、
被災農民
に
就労
の
機会
を与えるように
実施
していただくということも一つでございます。それ以外に、あわせて
被災農家
の方々の現金収入の道を確保するというために、
地方公共団体
が、道路とか農道なりが中心になると思いますが、農道の新設、改修、あるいは
ため池
の
改修等
、従来
公共事業
の
対象
にならなかったような小
規模
な
事業
につきまして、
地方公共団体
の
起債
を認めまして、これによって
就労
の
機会
を得ていただくということを現在考えておるのでございます。
小平芳平
39
○小平芳平君 それで、特にこちらの
西日本
の場合はこうした
干害
という、
干ばつ
という
災害
で、老朽
ため池
をしっかりしておけばよかったんじゃなかろうかとか、いろいろそういう点は実情をよく御
承知
でもあると思いますので、一々申し上げませんが、こういう
水資源
の問題について、またもう一つは大きく
水資源
の確保という点から、そうした
公共事業
も起こされる必要があろうと。そういう点で、いまお尋ねした点は、
農家
の収入という点からお尋ねしてきたわけですが、この点については
西日本
の場合も十分配慮していかれる。その点で具体的には地方といろいろ御連絡の上でおやりになると思いますから、ぜひこれも羽越の場合と同じように、
農家
の現金収入がなるべく確保できるようにという点から申し上げたわけであります。 それで、次に
ダム
について、
建設省
ですか、
ダム
を多目的
ダム
としてつくります場合、これが実際
農家
が期待したような結果を発揮できているかどうか、こういう点についてはいかがでしょうか。
西村英一
40
○国務大臣(西村英一君) たいへんできております。五月でしたか、ことし第一回の
干ばつ
が関東地方にあった。そこで矢木沢の
ダム
がありましたので、この
ダム
が威力を発揮した、そのために植えつけができた。ことに千葉県のごときは、あれだけ雨が降らないと、潮が押し寄せまして絶対にできないのです。それで矢木沢の放流を
農林省
関係
の官庁と打ち合わしてやったわけであります。栗橋の水位があのくらい下がりまして、矢木沢の放流をやりましたら、ほんとうにもう雨が降ったと同じぐらいな量になりまして、ようやく千葉
県等
の植えつけができた次第であります。たいへんな威力を発揮したのです。私はしかしながら、ああいうような大きな
ダム
はそうどこもここもできるわけじゃありません。
九州
におきましても、筑後川の総合
開発
をやっております。やっておりますが、筑後川の総合
開発
で使われる水というのはやはり限られております。しかし、
九州
地方で申しますると、あのような
干害
というのは、七十年ぶりだとか八十年ぶりだと言っておりまするが、こういうようなこともあり得るのでございまするから、いま言われておるように日本に水がないんじゃない、水はあるけれども、それを利用する方法は、やはりいまの社会生活には追いついていかぬのじゃないかというようなことがありますので、
建設省
といたしましては、ことしから初めて新規の
事業
として実は多目的にあらざる
治水ダム
をやったんです、十カ所。これは実は正直に申しますと、大蔵省が初めての
事業
ですから抵抗したのです、なかなか。しかし降った水はためておかなければしょうがないじゃないかということで十カ所やった。これは
武内
さんにも申し上げますが、実は新潟県の河川もおくれておりますので、この十カ所の
治水ダム
——多目的じゃございません、単目的です、ただ水をためる。それがやはり予防にもなるわけですが、それを三カ所新潟県に割り当てたんです。十カ所だけそういうようなことをしたのですが、来年はさらに相当な個所、
建設省
としては大蔵当局に要求したいと思う次等でございます。また
農林省
も、いろいろだめ池を新規につくる、あるいはいままでの
ため池
を大きくしようとか、ことに
果樹
あたりにつきましては、今後利水の問題をうまくやらないと、こういうことがあると、非常にたいへんな
農家
は
被害
を受けると思いますので、小平さんが言いましたように、今後は、
治水
をかねて利水ということに、相当に意を用いなければならぬと思っておる次第でございまして、一生懸命
政府
としてはやるつもりをいたしております。
小平芳平
41
○小平芳平君 大臣のおっしゃるのと、私も全然別な意見を持っているわけじゃないのですが、結局矢木沢
ダム
のようなああした大建設をしまして何の効果もないなんていう、そんなばかなことがあるわけがないのであって、ただ私がずっといま申し上げてきたことは、
農家
の
生産
、
農家
の生活ということを主体に考えた場合に、多目的
ダム
なるがゆえにこの目的が相反するような面が起きやしないか、それは十分大建設をやれば、
ダム
建設をやって、それが何の効果もないというようなことは毛頭考えておるわけじゃないわけですが、こういう点は
治水
、利水、また利水の中でもいろいろな面がある。こういう点について御
検討
願いたいと思います。また
西日本
の場合は、そうした今回の
干ばつ
について、はたしてこの
程度
の
干ばつ
の
被害
をもっともっと少なく食いとめるためにどういう方法があるかという、特に日本は
建設大臣
がおっしゃるように水がないわけじゃないわけですから、それはどういう建設をしていけばどういう
被害
を食いとめることができるか、こういう点を御
検討
願うことが大事だという趣旨から申し上げたわけです。大臣そういうふうにおやりになるということでありますので、次にまいります。 次に、今度全然問題違いますが、最後に気象庁の方から……。結局気象庁で発表なさった中にでしょうが、
干ばつ
はことしも
西日本
干ばつ
があったが、来年もまたそうなりそうだというような見通しなんでしょうか。
加藤繁数
42
○
説明員
(加藤
繁数
君) 実は、気候の予想ということになりますと、一年先ではっきりしたことは申し上げられないのですけれども、たとえばその一つの資料としまして、太陽の黒点の変化との
関係
をちょっと申し上げたいと思います。御
承知
のように太陽の黒点の数は、大体十一年ぐらいの周期でもって変動しております。短い年には間隔が七、八年に縮むこともございますし、長い年には十五、六年に延びるようなこともございます。それでその黒点数の少ない年を極小年と言っております。また多い年を極大年と申しております。そういう極小のときとか極大のときとかになりますと、太陽からくるエネルギーが多くなったり少なくなったりして変動がございますから、地球上の気候、天候も不順になってくるわけでございます。 大正以来の変動を調べてみますと、極小年の、少ない年には、たとえば一九一三年、二三年、三四年、四四年、五四年、六四年、大体十年くらいで近ごろははっきり変化してきたわけであります。それから多いほうの年は一九一八年、二八年、三七年、四七年、五七年、それからことしの六七年でございます。こういう年には、多かれ少なかれ
災害
が起きるような異常天候が出ているわけでございます。少ない年のほうでございますと、一九一三年、二三年、三四年のほうは著しいほうで、どういうわけかよくわかりませんけれども、この極小年のときには
干ばつ
と冷害とが同時に起こっている傾向がございますし、それから多い年のうちでは二八年、三七年、五七年、ことしの六七年、この四年が顕著でございますが、このときには
干ばつ
だけが起こっております。そういうことがございますし、それからもっと長い目で申し上げますと、実はこの黒点数の観測というものは、一七〇〇年からことしまでございまして、二百七十年の長い間世界で観測を続けているのでございます。そうしますと、こまかいいま申し上げましたような周期の変動はございますけれども、その黒点数の多いときと少ないときとの幅の変化がまた多いときと少ないときとがあるわけなんです。それは長い年月の間の変化でございます。このうちで一番いままでで振幅の大きくなったのが一九五七年、十年前のときでございますが、一番大きくなりまして、これは
昭和
三十二年でございますが、そのときに北陸の豪雨がありましたし、それから三十八年から四十一年まで三カ年間続いて北海道の大凶作、冷害が起こったわけでございます。それから第二の
災害
が安永七年に実は起こっておりまして、その振幅の最大のときの、小さい周期の下になったところですね、小
さく
なったとき、それが天明四年でありまして、天明の大飢饉になったわけでございます。それから第三番目に大きかったのは
昭和
二十二年でございまして、このときは冷害が起こっているわけでございます。こういうように見ますと、太陽黒点と気候との間には非常に密接な
関係
があって、しかも周期的に変化してきますから、一見非常に簡単に異常気象が出るということが予想できる、あるいは次の年の天候が予想できそうにも見えますけれども、実は大陽のエネルギーが地球へ入ってきてどういうように作用して、どういう因果
関係
で気候変動が起こっているかということが、全くわかってないのでございます。ですから、安心して使うことはできない。 それからもう一つは、太陽活動の周期が、最初に申し上げましたように、変動がかなり大きゅうございます。そうして、現実に、先ほど言いました十年周期がはっきりしていると申しましたけれども、ここ数年変動がだいぶ狂ってきて、おそらくこのあと十年のときには、これと同じような変化が出るかどうかは疑わしくなってまいりましたから、来年の天候がどうなるかということも、それまではっきりできないわけでございます。ただ極大、極小のその年に起こるということでなくて、その起こるようなときには前後一、二年の間どうせエネルギーがたくさんくるとか少なくくるとか変動がございますから、一年起こると二年続くというようなことは非常に起こりやすいと、そういうことでございます。
小平芳平
43
○小平芳平君 そういう点は、過去のいろんなデータからいま御
説明
をいただきましたが、またいろんな実際の研究も必要だろうと思いますが、そういう研究をしていただいて、また、そういう現状にあることを前提にした政治というものも必要だと思うわけですが、最後にもう一つ。これは人工
降雨
ということをだいぶ期待を持つような報道なり、そういうことがあったんですが、この点についてはいかがでしょうか。
加藤繁数
44
○
説明員
(加藤
繁数
君) 人口
降雨
の研究は、各国盛んにやっておりまして、アメリカでは人工
降雨
会社までできているくらいなのでございます。わが国では、日本人工
降雨
研究協会というのがございまして、科学技術庁、気象庁、大学、それから電力会社、水道局なんかが集まりまして協力してその研究をやっておりますし、また実験もやっておるわけでございます。 で、ざっと人工
降雨
のお話をいたしますと、人工
降雨
といいますのは、雲のある水滴とか氷の小さい粒のあるところへ沃化銀とか、沃化鉛とか、ドライアイスとか、水をまいてその水滴の成長を早くさせるとか、あるいはその落下速度を大きくするというようなことによって、その効果を出そうというものでございます。いま申し上げましたその沃化銀とか沃化鉛、ドライアイスをまいて、有効なときは雲の中の水滴の温度が零下十度くらい、——零度よりも下がっているところにまいてやりますと、そこへ雪ができるわけなんです。そうしてその雪の成長を大きくするような作用を起こさせまして落下させる、そうして落下してくる途中に雨になるという方法でございます。水をまくときには、これは零度よりも高いかあるいは零度近くの比較的温度の高い雲の中へまいてやるわけなんでございます。でないと効果が出ないわけでございます。したがって晴れた日とか雲の非常に薄いような空模様のときに、そういう種まきをやっても雨が降らないのでございます。人工
降雨
を成功させるということになりますと、気象
条件
が非常にそろったとき、どちらかといえば、もう雨が降るような
条件
に非常に近づいておるけれども、雨が降り出さないといったときにショックを与えて、刺激を与えて降らせるといった
程度
のものでございます。それでその種まきをするのにも、適当な雲の状態を調べまして、適当な高さのところへまいてやるとか、そうしてまくときもどの種類のものを使ったら効果があるとかいうことを調べてまくとか、それからその量もあまり多くまき過ぎますと、小さな粒がたくさんできまして落ちてこないですから多くてもいけない、また少なくてもその効果がないというように非常にむずかしいものでございます。そういうことを適当な時期に適当な量だけ雲の中へ種まきするということをしないと、成功しないという非常にむずかしいものでございます。実際にやってみて、その効果があるかどうかということ、これはもうはっきり効果は出ておりまして、何%かは余分に降るわけでございますけれども、
干ばつ
で天気がいいのに雨を降らせるとか、そういったことはまずいまのところでは不可能と申していいと思います。 以上でございます。
伊藤顕道
45
○
委員長
(
伊藤顕道
君) 本基本問題に対する
質疑
は、本日はこの
程度
といたしますが、本
委員会
における未解決の
課題
については、今後も本
委員会
において
検討
を進める必要があり、
政府
においても向後引き続き積極的に取り組んで、これが早期解決に最善の努力をいたすよう希望いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十分散会