○
杉山善太郎君 私は去る三月十八日でありましたけれども、第五十五回の特別国会の参議院本
会議におきまして、いみじくも社会党を代表いたしまして、佐藤総理の施政方針演説に対して質問をいたしたわけでありますが、その中で、
災害問題に関して若干の質問をいたした経過があるわけであります。で、要するに質問の要旨というものは、およそ日本国は
災害国である。しかも天災と人災は紙一重じゃないか。もし佐藤総理が誠実をもって人間尊重、社会開発を国策として、大自然の暴威により、しかも、毎年のごとく日本全土につめあとを残す各種の
災害に対処するため、大自然の暴威による
激甚災害を
最小限度に食いとめるための防災
対策に万遺憾なきを期すると同時に、すでに自然の暴威によって破壊され、あまつさえ、
人命に
被害を与えたなまなましい過去の傷あとに対し、たとえば日本全土を襲った
昭和四十一年台風二十四号及び二十六号による死傷者、
家屋崩壊等による
被害をはじめ、
新潟県
加治川はんらん等により収穫皆無におちいった新発田市及び豊栄町周辺における
被災農民及び
罹災者の救済と、公共施設の
改良復旧の強化促進について、今後における具体的な方策、方途に関し、総理の御所見を伺いたい、こういう意味の質問をいたしておるわけでございます。その際総理はこういうふうに答えておるわけであります。「この日本のような特殊
地域、
災害の多い
地域において、その政治をする者としては、当然予防的
措置をすべきだ、一たん起きた
災害、各
災害をこうむった
被災者を守り、その生活を保障すること、それらについての、あたたかい処置もとるが、同時にまた、予防的な施設も当然すべきだ、かような御指摘だったと思います。今日私どもが
災害問題に取り組んでおりますのも、そういう立場でございますので、これまた、今後の予算審議にあたりまして、これらの点についての御意見を聞かしていただきたい」、さらに担当大臣である
西村建設大臣、あなたはこういうようにお答えになっておるわけであります。「防災並びに
災害復旧等のことについてお尋ねがございましたが、治水事業につきましては、さきに
政府といたしましては、
昭和四十年度から四十四年度までの治水五カ年計画をもって、それを計画的にただいま進めておるところでございます。最近における
災害の特徴は、従来は大
河川の沿線に起こったのですが、近ごろは
中小河川の沿線に非常に起こる傾向があります。しかも、
中小河川の流域にはやはり産業等もいろいろ集まっておりますので、今後は
中小河川の
対策に身を入れたいと、かように考えておるのであります。
災害が起こりまして、その
復旧につきましては、もちろんこれは、
災害復旧のみならず、関連事業もやりまして改良してやるわけでございます。昨年起こりました二十四号台風の静岡県の
災害、あるいは山梨県の
災害等につきましては、ただいま鋭意
復旧作業をやっております。」「
加治川の
前線豪雨による
災害ですが、非常に
農地を荒らした
災害でございまするが、今回はやはりこの
加治川水系全般につきまして考えまして、
上流に治水ダムをつくりたい、また下流には
中小河川としての改良をやりたい、かように考えておる次第でございます。」これが三月の十八日の時点における本
会議における担当大臣の
西村建設大臣のお答えであったわけであります。約半年の日月が流れておる。こういう今日で一度あったことが二度起きてしまっておる。こういうことではなはだ遺憾だと思います。時間がないが、三十分でありますので、はしょって質問を進行していきますが、そこで私がお伺いしたいのは、
政府は八月三十日
災害関係
連絡会議をお開きになっておりますね。したがいまして当面の
対策について協議されて
西村大臣を団長として十人の
政府調査団が
新潟、
山形の
被災地に
派遣をしておられる。要するに、
政府調査団は百聞は一見にしかずで、目で、耳であるいははだで、
現地の人々の悲痛な
実情や悲痛な訴えというものを十二分にはだに感じていらっしゃる、現に感じていらっしゃる、こう思っておるわけでありまするが、ただ問題は、
現地の切実な要望や意見を、あるいは訴えというものを、一体今後国政の場でどのように消化していくか、聞きっぱなしでは、これは問題にならぬわけであります。言いっぱなしでも問題にならないわけでありますから、問題は
現地に行かれて、百聞は一見にしかずだと、皆さんが建設大臣をつまり
調査団長として非常に悲痛な、あるいは怒りをこめた、あるいは切実な訴えをお聞きになったと思いますが、要はそれらの要望、意見というものを国政の場で具体的にどう消化していくか、予算上支出上いろいろありましょうけれども、やはりとうとい
人命、ことに
新潟の場合あるいは
山形におけるところの今度の
災害の特徴と申しますか、
特色というものは、同僚
武内五郎委員あるいは同僚先輩
委員が言っておられまするように、確かにこれは
激甚災害の対象
地域ということについて、その
激甚災害の程度からいって
指定地域に
指定されることは、時間の問題でありましょうけれども、ただ特徴的に相当の多くの個人の生命財産というものがやはり失われておるのだ、そういう関連からいきますというと、どうしても国政の場でそれらの陳情というものをやはり消化してもらうことが必要じゃないか、かように考えておるわけであります。したがいまして
現地の要望の最たるものは、すでに先ほど総務副長官がこれこれによって
災害対策本部というものについては足がけ手がけて、やはり機能を発揮するような体制へ十分整備されているのだ、このことは、たとえそれだけのことであっても、民政安定上非常に
現地の
被災者に対しては大きな人心の安定になろうかと思うわけであります。で実は、これは時間がありませんので、項目としていま申し上げたようなこと、
現地の切実な要望、訴えというものを国政の場で具体的に消化をしていただかなければ何にもならないという形で、確かにたとえば各関係府県の知事さん方が、県民の福祉のためにその先頭に立って大がかりな陳情を、きょうは参議院の特別
委員会、あるいは明日は衆議院、あるいは
関係各省にやはりおやりになるという、そういう中にもあろうと思いますけれども、とにかく
被災地域全域をすみやかに
激甚災害法の
適用対象
地域にしてもらいたい、そういう要望があったと思います。現にいまなまなましい陳情もあると思いますので、諸般の
事務的手続というようなものはいろいろあろうと思いますけれども、拙速的に早くこれはやってもらいたいということを特に申し上げるわけであります。
次には、御承知のように
新潟の場合は、やはり三十九年の六月十六日の時点における地震、一年、中を置いて昨年七・一七
災害、またことしと、要するに再々
災害被災農民に対しては、
自作農維持資金貸し付けのワクなどは大幅に拡大をしてもらう必要があるのだ、もしそれが技術的なテクニックでできないとするならば、必要な法改正もやっていただく、法改正の場は好むと好まざるとによらずやはり臨時国会などというものも開いてもらって、これこれは技術的にできるけれども、これこれは法改正を必要とするのだということであるならば、民生安定、これらの苦悩の中で、やはり政治の場ではどうしても臨時国会を開いてもらう、できないことがあれば。臨時国会を開いてもらう場合には、
天災融資法の
限度額を倍額に
引き上げてもらいたいということも、これは
現地の人たちの要望でありますし、またそうしなければ、問題はやはり実態は変わらないのじゃないか、こう考えるわけであります。
次に、いま申し上げたような
連年災害でありますから、もう合法的な、いわゆる生きるために必要な、あるいは営農をするに必要な金というものはもう満ぱい、フルに借りてしまっておると思うわけであります。したがって結局もうこれ以上貸さないのだということは、民生安定というどころか、実は生きるにも生きられない、座して死を待つよりほかに道がないということになっておるのではなかろうかと思いますので、すでに
貸し付けた資金の元利をたな上げにして、さらに各種
貸し付け金を
限度額まで
融資をしてもらう。これはもちろん、いろいろ
災害県の
被災農民なりその他更生資金にいたしましても、そういう実態というものが現実に存在をしているわけでありますから、そういう点について最大限お考えをいただかなければならぬのじゃないか。またそういう陳情、そういう要望、切実な訴えが出先出先の町村長さんからあったはずでありまするから、そういう点についても、その陳情というものを十分政治の場で消化をしていただく努力を最大限にやっていただかなければ困るのだ。
最後には、臨時国会は、どうしてもいま申し上げた点でやはり行政の場で技術的にできる限界と、やはり法改正をしなければできない限界というものがおのずからあり得ることは、私どももそれは了承しております。したがいまして臨時国会をしょせん召集してもらって、必要な
災害予算であるとか、ないしは必要な法改正をやるとか、
激甚災害法の
適用対象
地域における個人の生命財産を補償するためには、しかも民生安定のためには、どうしても特別立法というものを制定してもらう必要があるのだというふうに考えておるわけであります。これはやはり御承知のごとく二カ月前に、九州であるとかあるいは中国であるとか、近畿
地方で
集中豪雨によって三百数十名の
人命が失われておるというようなことであります。その失われておる中身は、要するに何にいたしましても、個人の生命、財産あるいは
家屋の
流失、半壊あるいは床上浸水そういうものがありまするので、現在の
激甚災害法の中にあばら骨が一本抜けておるのだ、つまりそういう精密な技術的な点検によって、これはいわゆる
激甚災害法の
適用対象
地域の
指定になっておるけれども、そこにおける生産の源であるところの人が、生命あるいは財産が失われておる、路頭に迷っている人に対するやはり個人の生命財産に対する補償というものについて、特別立法——それはある側面を意地悪くとらえれば、そういう問題は何も社会保障で一応ささえていけばいいというへ理屈もつくが、今日の一体日本における社会保障の実態というものは、こういう
災害時に対して、生命や財産や
家屋を失った人を救えるだけに値する実態はないじゃありませんか。そうだとすれば、当然この機会には、やはりどうしても法改正、特別立法をやって、そうしてあたたかい援護をして、民生安定をしていくことが必要な時点に来ておるんじゃないかということを私は強く申し上げるわけであります。重ねて申し上げまするが、大体これは各種の
災害が
発生した場合につきましては、いろいろ陳情、要望というものがありまして、それなりに拙速的に相当に配慮もし、それなりに前進はしておりまするけれども、抜本的なやはり
対策というものが、今日欠けておるんじゃないかというふうに考えますので、佐藤総理はきょうは台湾かどこかへ旅立っておられるようでありまするけれども、実は総務長官もさることながら、やはり佐藤総理も実はこういうところへ来ていただいて、いろいろ政務多端のおりからでありまするから、視察できないにいたしましても、そういうことが望ましい。いまはやはり臨時国会を召集していただく必要があるのだということを、強く私は訴えるわけであります。時間がありますれば、一つ一つの問題に対して往復やりたいのでありますけれども、私の限られた時間を守るという、また守らなければならない義務があると思いますので、それぞれ
政府の関係の当事者から、それなりにひとつ簡明直截な見解なり、所信をお聞かせいただきたい。特にきょうは内閣総理大臣の官
房参事官も来ておられますので、これはほんとうに重大なことでありますので、ひとつそのことも切実な要望もさることながら、まあ過般の施政方針演説に対する、
災害問題に対する総理の御答弁というものは、記録に残っているのでありまして、それが政治の実際の現象面の中で生きてこなかった、生かされなかったならば、本
会議のあの質問に対する答弁というものは、いいかげんなものだ、それは歴史の上にも、実際の上にもいい結果を及ぼさないのでありますから、どうかひとつ、御答弁は内閣官
房参事官からあるなしは別といたしまして、強くそういうことを要望しておきます。主として
調査団長であった建設大臣が主軸になって努力していただきたいということを要望申し上げて、ひとつ
西村建設大臣から
政府を代表するような風格の中で、見解あるいは所信を表明していただきたい、こう思うわけであります。