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1967-11-17 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十七日(金曜日)    午前十時十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 黒木 利克君                 中村喜四郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 高橋文五郎君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    国務大臣        郵 政 大 臣  小林 武治君        通商産業大臣   菅野和太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君        中小企業庁長官  乙竹 虔三君        郵政省電波監理        局長       石川 忠夫君        郵政省経理局長  上原 一郎君        郵政省郵務局長  曾山 克已君        郵政省貯金局長  鶴岡  寛君        郵政省人事局長  山本  博君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君        会計検査院事務        総局第四局長   鈴木 治久君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社計画局長    井上 俊雄君        日本電信電話公        社施設局長    北原 安定君        日本電信電話公        社建設局長    大谷 昌次君        日本電信電話公        社経理局長    中山 公平君        日本電信電話公        社資材局長    三宅 正男君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      佐久  洋君        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君        日本開発銀行理        事        吉田 雄三君        日本開発銀行理        事        松永  勇君        日本輸出入銀行        副総裁      藤澤徳三郎君        日本輸出入銀行        理事       石丸 忠富君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、午前通商産業省中小企業金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行、午後、郵政省及び日本電信電話公社決算について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  当委員会に提出されております通商産業省中小企業金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院の様査報告についても、説明を省略し、文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 黒木利克

    黒木利克君 昨日通商産業省から昭和四十年度通商産業省所管経費決算概要説明というものが配付になりましたが、この七ページを読んでみますというと、中小企業対策費予算現額が百三十九億一千三百万円、その支出済み額は百億九千百万円でありますと書いてあります。百三十九億と百億の差が三十八億余りになるんでありますけれども、一体こういう多額差額というものがあるのに、何の説明も書いてありませんが、非常に私は不親切ではないかと思うのであります。われわれも来年度予算編成にお役に立つようにというので、四十年度決算審議を早くやりたいということで、こういう説明も省略をしてもらっているんでありますけれども、私は時間がありませんから、みずから調査をしたことで質問申し上げますから、間違いがありましたら御指摘をまず願いたいと思います。  ここに「大蔵省主計局編昭和四十年度決算説明」というのがございますが、これによりますというと、これは一四一ページでありますが、この多額差額、これは設備近代化資金高度化資金不用額、しかも、事業計画変更した事業協同組合等があったためだと、こう簡単に書いてありますが、実に予算現額の三六%強というものが不用額になっている。その説明もないということは、これは大きな私は問題ではないかと思うのであります。なぜ問題かということを、私の所感をまず申し上げまして、それから質問に入りたいと思いますが、通産省でお出しになった昭和四十二年度の「倒産企業追跡調査」を読んでみますというと、四十一年の五月から十二月まで八カ月間の倒産企業調査がございます。調査した対象が二千三百九十八社、そのうち従業員が一人ないし九人の倒産企業が八百八十三社。十人ないし二十九人の従業員を擁しておる企業倒産が八百三十四社、これだけでもすでにもう七二%になるのであります。いかにこういう弱小中小企業倒産が多いかということがわかるんでありますが、それから、これも通産省調査でありますが、倒産企業追跡調査——フォローアップ調査というのがございます。これは倒産企業規模別調査がなされておりますけれども、これを見ますというと、従業員が百人以下の倒産企業の特徴が書いてある。それによると、倒産原因が、高利金融による破綻、これが二割以上にのぼっております。百名以上の従業員を雇っておる企業では、そういうような高利金融による破綻というようなものはほとんどない。それに三百人以上の従業員を雇っておる倒産企業調査によると、再建見通しの不能というのは一つもありません。ゼロであります。ところが、三百人以下の従業員を雇っておる企業倒産企業の再建不能の見込みというのが実に三制ございます。百人以下の従業員を雇っておる倒産企業は、こういう再建不能の見込みというものは非常に多いのであります。したがって、私は中小企業対策というのは、比較的小規模の企業に対する金融の充実というのが非常に大きなウエートを占めなくちゃならぬと考えるのでありますが、ところがもう一つ調査、これは中小企業民間金融機関預金高とか貸し付け金調査でありますが、こういう民間、市中の金融機関というものがだんだん貸し付け金が大口化しつつある。つまり融資対象が大企業に偏在しつつあるという状況があります。そうなると、通産省中小企業対策の柱として、この近代化資金なり高度化資金というものがますますこれは重要になってくるのでありますが、これにいま申しましたように、非常に多額の三割六分というような不用額が出ておるということ、しかも、これが決算報告にも説明がないということは、私はいかにも残念だと思うのであります。しかも私がことさらなぜ強調するかというと、かつて大蔵省稲葉秀三とか川野重任さんですか、学識経験者に委嘱をして、この中小企業設備近代化資金貸し付け状況調査をやってもらったことがあります。これによると、東洋レーヨンとか鐘紡等下請企業、こういう優秀企業というものは低利資金なんかたいして必要でない。こういうところに貸し付けをしておって、最も必要とする、しかも倒産が非常に多いこういう弱小企業は何らその対象になっていないという報告がありまして、私もこれもいろいろ身をもって体験もし、聞いておりますから残念に思っておったんでありますが、しかし、これは過去のことでありますけれども、四十年度においても、依然としてこういう運用がなされておるのではないかという疑いが実は持たれるのであります。こういうことを考えますと、中小企業対策というものが、特に弱小企業に対しては所期の目的を達していないんではないか。せっかく高度化資金あるいは近代化資金という制度が設けられておるにかかわらず、どうもその運用に問題があるんではないかという懸念をするのであります。特にこれからの中小企業を取り巻く環境は、通産省がたびたび発表しておりますように、労働力不足、賃金上昇あるいは資本取引自由化あるいは発展途上国追い上げ、あるいは特恵関税問題というようなことからますますきびしくなる、深刻になるんでありますが、これに対して、早く近代化高度化というものを急がなくちゃならぬ、こういうときに、こういうような高度化資金近代化資金運用状況では、私は非常に懸念するところであります。ところが九月六日でありましたか、中小企業庁長官が更迭になって新しい長官就任をされました。私は長官の言動を注意して見守っておったのでありますが、非常にいい覚悟のほどを新聞に発表なさっておる。日経新聞を見ますというと、就任の弁というものが出ておるのでありますが、従来決算委員会では役人の萎縮するようなことばかり指摘をいたしまして、これも綱紀粛正になるかもしれませんが、ひとつ大いに激励する必要もあるのじゃないかという意味で私はいいことはほめたいと思うのであります。新長官の言で私は非常に共鳴もし敬服をしたのでありますが、それは新聞発表によりますと、中小企業対策というものは思い切った手を打つ必要がある、それからいろいろいままで行なわれておる中小企業対策をもう一度洗い直してみる必要がある、こう言っておるのであります。もう一度洗い直してみるというのは私非常に感心だと思うのであります。従来役人は、私もやっておりましたけれども、前任者の先輩の方針を踏襲して大過なくやりたいというのが一応きまり文句でありますから、いままでのやり方を洗い直してみる必要がある、しかも思い切った手を打つ必要があるという意気込みを示されたことは、私は大いにほめてしかるべきだと思うのであります。私のようなまだ未熟な者でも、この決算書を読んだだけでこういう高度化資金あるいは近代化資金運用について大きな問題があるということがわかった。あなたは専門家として洗い直してみるとおっしゃっておるのでありますが、一体この高度化資金近代化資金不用額がなぜ出たか、ひとつその背景を洗い直した結果を御報告いただきたいし、また、そのほか従来の中小企業対策についていろいろ問題があったと思いますが、一体どういう問題が特にあなたとしては意識されたのか、そういうことについて、まずお伺いをしてみたいと思うのであります。
  6. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 九月に就任いたしました乙竹でございます。  ただいま御指摘になりました問題実は私就任前から非常に悩んでおった問題でございます。就任後もそれと真剣に取っ組んでおるのでございます。結論的にはまだ具体的なものをつかんではおりません。ただこういう方向について努力をしなければならないという意味のきょうは気持ちを申し上げたいと思います。  まず、先生指摘のように、倒産が非常にふえてきております。これは史上空前だといわれておるのでございまするが、これはどうも単なる金融引き締めだけによる倒産ではないと思います。倒産の直接の契機になりますのは引き締めだろうと思いますけれども、その前に、むしろ倒産したその不幸な中小企業が体質的に参ってしまったその参った理由は、放漫経営とかいろいろいわれておりますけれども、やはり企業の存立しております経済諸条件に非常に大きな変化がいま起きつつある。その変化を受けとめることが、消化することができなかったということが、結局大きな原因ではなかろうかと思います。これはそれの理由は申すまでもなく労務の状況でございます。それからまた中小企業商品マーケットが大きく変わりつつございます。繊維につきましても、家庭用品につきましても、非常に大きく変わりつつある。したがいまして、従来のようなマーケット対象にし、従来のような商品をそのままつくっておった企業が、消費の構造変化の波に耐えられなくなってきたというのが、第二の大きな理由であると思います。  第三といたしまして、すでに後進国追い上げが出てきておるわけでございます。こういうふうな根本的な原因倒産の続出ということがあるだろう。したがいまして、これに対しますわれわれ責任者の立場といたしましては、さしあたり倒産を防止いたしますために、中小企業金融についてさしあたりの十分な手、たとえば年末金融対策でございまするとか、無担保無保証の制度でございますとか、こういうさしあたりの手を十分とることが必要でございまするが、根本的に中小企業対策を、この経済変動に即応したような対策にする必要があるということであろうと思います。もちろん中小企業庁の従来の対策は、基本法のお示しのとおり、これを守っておりまして、基本法によりますならば、中小企業高度化近代化をはかる、それから不利の補正をはかるということがポイントになっておるわけでありまして、従来の諸施策もその線にのっとりました高度化近代化方向、不利の補正方向二つ方向を目ざしてきめこまかな施策が行なわれてきたのでございまするけれども、中小企業を取り巻く環境が、先刻申し上げましたような、また先生指摘になりましたような、根本的に非常に大きく変わってきた、また緊迫感が出てきたということでございまするので、われわれといたしましては、この際中小企業の従来の施策、これをもう一ぺん勉強し直すという必要がどうもあるのではなかろうかと思います。何か新聞紙上では少し激しいことばもあったようでございますが、われわれは従来の施策を否定しようということでは決してございません。いま申し上げましたように、従来の施策基本法の線に沿っております。ただ、現在の企業の置かれております非常に差し迫った状況構造変動、これに対しましてどういうふうに従来の施策を活用していくべきか、補強していくべきか、ないしは、さらに勉強の結果は新しい施策をとっていく必要があるかもしれません。その辺のところを腰を据えて実は勉強をいたしたい、こういう気持ちを持っております。これは大臣からの指示もございまするし、中小企業政策審議会という機構がすでにございまするので、この審議会の場にこの問題を上程いたしまして、そしてお知恵を拝借し、私たち勉強を進めてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  7. 黒木利克

    黒木利克君 あなたの説明は、第十九回中小企業団体全国大会のあなたの演説の一部でありまして、私も十分これは勉強したつもりでありますが、洗い直しのいま途中であるというから早急に結論を求めるのは無理かとも思いますが、 これはお互いに洗い直して再検討をするという時期だと思いますけれども、先ほど質問いたしました近代化資金高度化資金不用額が三十八億も出ておる原因をあなたがどう見ておるか、単に大蔵省主計局の言うように、事業計画変更に基づくというようなことでは、事業計画変更年度途中に行なわれると立たないのか、こういうのは刻々国際情勢経済情勢は変わるのでありますから、その辺は運用で何とかならぬものかという気もするのでありますが、この三十八億の巨額にのぼる不用額が一体どういうわけで出たのか、運用上にどういう反省をなさっておるのか、これから一体どうなさるおつもりなのか、伺いたい。
  8. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 四十年度中小企業対策費、その中で特に高度化資金近代化資金につきまして、非常に大きな、御指摘のような不用額が出たわけでございまするが、私たち勉強によりますと、二つ大きくいって原因があると思います。その一つは、中小企業を取り巻く経済環境が四十年は非常に悪かったということでございまして、設備投資意欲が減退をいたしまして、計画の中止または縮小が続出いたしました。あるいは、すでに計画があった企業経営が悪化した、このような面が一つあったと思います。  それから第二は、制度自体に問題がやはりあったのではないか。と申しますのは、この高度化資金なり近代化資金、特に高度化資金におきましては、相当多額の金が要るわけでございますけれども、経営者と申しますか、受益者と申しますか、この負担割合が御承知のとおり相当高額でございます。したがいまして、実質金利も相当高いということでございます。この辺は制度を改める必要がある、もう少し豊富に国の金を、しかも、低利高度化資金として供給する必要があるという反省がわれわれになされまして、その結果、中小企業振興事業団制度というものをお認めいただきまして、本年度から発足いたしまして、政府プラス府県負担割合を増加いたしまして、そうして実質金利を低減いたしますとともに、豊富な資金を供給するという体制をとったわけでございます。
  9. 黒木利克

    黒木利克君 明年度予算編成財政硬直化ということでなかなか各省困っているわけでありますが、来年度のこういうような予算というものを、このような不用額を出して、これはあまり希望が持てないように思うのでありますが、一体来年の予算でこういう問題をどう解決しようとしておられるのか、どういう要求をなさっておるのか、あるいは大蔵省がこういう不用額について追及してきたに違いないのでありますが、具体的にどういう改善の方策を来年度予算で考えておられるのか、お尋ねをしたい。
  10. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 不用額が出たことに対します反省は、ただいま申し上げましたとおりでございまして、それによりまして中小企業振興事業団にこの高度化資金特別会計を改組発展いたしたわけでございます。御承知のように、いろいろ比率がございますけれども、一般のものにつきましては、従来国が二五、府県が二五、経営者と申しますか、受益者が五〇という比率でございましたものを、事業団のほうで四〇、府県で二五、したがいまして受益者は三五持てばよろしい、こういう制度に変えたわけであります。特に重点を置いております繊維構造改善事業におきましては、事業団負担割合を六〇、府県を一〇、したがいまして受益者は三〇だけ出せばよろしいというふうに制度を改正いたしました。これによりまして受益者負担は非常に軽減されると思います。  さらに、実質的にもう一つ大きなことは、この国、府県受益者負担割合のほかに、従来は資金量関係等もこれあり、単価査定というものをいたしたわけでございまして、実質的に国プラス府県負担割合は五割ではなくして平均三分の一くらいになっておったということがわかっておったわけであります。こういう単価査定というものを廃止いたしまして、必要な金は全額対象としてこれを考えるというふうにしたわけでございます。そのように受益者負担を実質的に軽減いたしまするとともに、さらに、この高度化をすべき対象業種につきましては、先刻先生指摘のように、業界には非常に大きな緊迫感がみなぎっております。繊維におきましても、これは全国産地別で織布の構造改善計画は着々と進んでおるというふうに私たち聞いております。本年度約百億の事業量に対しまして、業界側の要請は数倍にのぼったということでございます。したがいまして、来年度繊維改善計画に対しましては二倍半、本年度事業量の二倍半、すなわち、五カ年で達成をいたしますので、総事業量の五分の一の要求をいたしておりまするが、これは初年度八%でございましたので、来年度は五分の一ということになりますと、ちょうど二倍半ということになります。資金量において二倍半ということになりまするが、この要求予算額の中に盛り込んで要求をいたしておりまするけれども、私は、先刻御説明申し上げました受益者負担が減っておるということと、それから受益者側におきます非常な強い緊迫感自主的努力の盛り上がりということをもちまして、本年度よりもはるかに大きな要求を来年度はしておりまするが、この消化はもちろん十分順調に行なわれるというふうに信じております。
  11. 黒木利克

    黒木利克君 この不用額反省の結果が振興事業団の構想になったことはまことにけっこうです。私も大いに期待をいたしておるわけなんですが、しかし、先ほど申しましたように、倒産企業には弱小企業というものが非常に多い。かつて育成会社が、どうもやはり弱小企業を相手にしないというような現実もありましたが、この振興事業団が特にこういう弱小企業についての考慮をはらってもらいたいと思うのでありますが、何か特別に考慮をはらっておられるかどうか。弱小企業の取り扱いを振興事業団はどうするお考えか、その辺の長官としてのお気持ちを伺いたいと思います。
  12. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 実は、事業団まだ発足まぎわでございまして、若干テンポがおくれておるという、実はおしかりを受けておるのでございまするが、事業団は御承知のように、その母体が二つございまして、一つは、高度化資金特別会計でございまするし、もう一つは、中小企業指導センターでございます。で、従来は高度化資金を供給する部分と、それから指導業務と、これがばらばらであった——これは少しことばが強過ぎるかもしれませんが、ともかく有機的な連絡が若干欠ける面が多かったのでありまするが、この中小企業指導業務一緒に今度事業団の中に入れまして、したがいまして、高度化——高度化と申しますと、これはもう申すまでもなく新しい方向に対して中小企業が、ときによれば方向転換しなければならないということ、一つ企業だけでやっておったのが数企業がまとまりますとか、従来ある製法を採用しておったのが、今度は別の製法に変えますとか、ないしは思い切って巨額な投資をいたしますとか、あるいは製品転換をはかって恒久化をいたしますとか、そういうふうな企業としてのやり方が従来と相当変わってくるということになるわけでございまするので、この場合は絶対指導、助長が必要であるというふうに考えるわけでございまするが、その辺を考えまして、事業団の中に指導センター一緒に織り込みまして、かつ、これを強化いたしまして、高度化資金供給の前には必ず指導を行なうというふうな努力をいたしております。
  13. 黒木利克

    黒木利克君 この振興事業団の改良を早く促進していただきたいことと、先ほど申しましたような弱小企業についても特に考慮をはらっていただきたいのであります。いみじくも長官がおっしゃったように、私も中小企業行政の末端を見ておりますと、団体にしても、あるいはいろいろな系統が混在をいたしておりまして、そういう点やはり少し再編成なさる、もう少し合理化なさる必要があるのではないかと思いまするから、高度化資金の問題と、こういう指導センターの問題との連携もさらに進めていただきたいと思うのであります。  次に質問をいたしたいのは、これは通産大臣にもお気持ちを伺ってみたいと思うのでありますが、中小企業対策には二つの考え方があるわけですね。先ほど申されたように、中小企業近代化していく、こういう国際環境に対してもちゃんとそれに即応していくように近代化高度化していくという面、それからもう一つの面——考え方は、私がいままで申しましたような弱小企業倒産を防止するというような、いわば社会保障的側面といいますか、この二つの面があると思うのです。その面の関連というか、これはお互い矛盾する面があるわけですね。国際的ないま言ったような環境に即応するためには、相当なこれは体質の改善をはからなければいかぬ、これはもう弱小企業じゃどうにもならぬという面がある。いろいろ二つの考えには矛盾があるわけなんでありますが、それをうまく関連づけ、調整をして、中小企業を所期の目的どおりに国家の繁栄に寄与せしめたいというのがねらいであるべきなんですが、一体大臣はそういう関連をどうお考えになっているのか、どうなさるおつもりなのか。私はどちらかというと、弱小中小企業の味方をしているほうなんでありますが、そういう面がともすれば怠りがちになるのであります。私は新長官に大いに期待をしておるのでありますが、この新聞発表を見ますと、経済合理性をとったとか、経済合理性を貫きたいという線が、意識して強く出ております。これは農林行政でも、従来の広川保護農政から河野安上がり農政に変わるときに、経済合理性ということをあまりにも主張されて、農民残酷物語というものを、われわれ社会福祉の専門の立場からは指摘できると思うのでありますが、どうもそういうようなことを、中小企業でも、弱小企業に対して残酷物語になるような心配もあるものですから、あえて質問をするわけですが、長官がこの経済合理性に沿ったと言われておりますが、こういう弱小企業倒産防止というような社会保障的側面について、どう一体考えておられるのか、お伺いしたい。これは大臣長官、両方にお伺いしたいと思います。
  14. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 先ほどの答弁の中にも触れましたけれども、基本法によりますると、不利の補正とそれから近代化、合理化が一応並列的に書いてございます。先生指摘のように、ちょっと見ますと、これは若干二律背反のような面もなきにしもあらずだと思うのでございまするけれども、基本法は結局中小企業の振興をはかるということで、二つのねらいを結んでおります。なお、現在の中小企業施策でございまするが、これはあらためて申すまでもなく、片一方のほうの中小企業の構造の近代化、合理化、これにつきましては、まあ高度化の推進でございますとか、技術の向上でございますとか、設備近代化でございまするとか、こういうふうな一連の施策がずっとございまして、それともう一つのほうの施策、いわゆる不利の補正のほうになりますと、下請取引の適正が一番典型的なもので、これによりまして下請代金支払遅延等防止の法律もございます。それから百貨店法によりまして、商業分野におきまして、百貨店が過度に中小企業の分野を侵さないようにというふうな立法もございます。さらに、これは少し他の分野になりますが、消費生活協同組合法の中にも、員外規制のことがあるというようなことで、まあ不利の補正のいろいろなメカニズムがあるわけでございますが、私が新聞紙上等で経済合理性を強く申したというふうに伝えられておりまするが、これはいわゆる弱肉強食、自由競争によって弱い者が滅びていくのは当然だというふうなことを意図したのでは毛頭——全然そうではございませんで、私が考えまするのは、この不利の補正ということ、これは先生いま社会保障とおっしゃいましたが、確かに社会保障的側面もございまするが、社会保障的側面を持ちながら終局的には不利を補正することによりまして、経済力を備えた企業に育て上げていくということをねらっているのだと思います。この下請代金支払遅延等防止法によりましても、大企業中小企業を力によって圧迫する、これが中小企業者側にとりましては、独力ではこれに対して公正な値段を通すことができない。したがって、国がここに関与いたしまして、手形の支払い期限等々でいろいろそういう国が外的な力を加えて中小業者に肩を入れてやって、そして中小業者が大企業につぶされないようにする、こういうやり方をとっておるわけでありますけれども、結局のねらいは、これはその中小業者を保護することによりまして、中小業者における公正な利益の確保によりまする資本の蓄積、さらに、これが再投資の確保ということを可能にして、そして中小業者が経済メカニズムの中におきます一つの何と申しますか、りっぱな歯車として機能を果たし得るようにということをねらって、この法律が外部から国の力で補強をしたものだというふうに考えるわけでございます。これはほうっておきますと、結局、たとえば親企業下請企業がある、この下請企業がほうっておきますと親企業につぶされてしまうというわけでございますが、この下請企業に国が関与して、これを補強することによりまして、その下請企業が終局的には経済メカニズムの中において合理的な地位を占める、それは結局国民経済の発展につながる、こういうふうに私は基本法は命じているというふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、簡単に申せば、中小業者にてこを入れることが、結局国民経済全部の合理化に役立つのだと、個々の中小業者の一本立ちにも結局役立ち、また一本立ちをさせていかなければ終的局にその中小業者の幸福はないのだというふうに考えておるわけでございます。
  15. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 黒木議員のお尋ねは、主として弱小中小企業に対してどういう対策かということが主眼点ではないかと思うのでございます。そこで、中小企業がどうして弱小であるかという問題、これをまずわれわれきわめなければならぬと思います。中小企業弱小であるというのは、それはその前に前提として中小企業が存在しなければならぬという初めの前提において、そこで中小企業がなぜ弱小であるかという問題、その弱小であるという一つ原因は資本力の問題、もう一つの問題は技術の問題、それから経営力の問題、この三つにあると思います。この三つに欠けておるところがあるからして、したがって、弱小になるということが考えられる。そこで中小企業というのは、あくまで日本の企業としては重要な存在でありますからして、これをどうしても育成また発展させなければならないということであるからして、この中小企業弱小にならざるを得ないというその原因をわれわれはきわめ、そしてそれを政府として指導し、あるいはそれを政府として助成するということで中小企業の私は対策が存在しなければならぬ、こう考えております。  そこで問題は、資本力の問題、これはいままでのような時代でありますると、小資本でも私は中小企業としての存在ができたと思いますけれども、いまでは小資本ではなかなか存在のできぬような時代に変わってきていると私は思います。これは、ことに先ほどからも黒木委員からお話がありましたとおり、たとえば今日の当面の問題としては、特恵の問題、あるいは資本の自由化の問題、そういうような問題からしてだんだんと企業が世界的な企業となりつつありますからして、したがって、そういうような経済の大転換に沿うように中小企業を育て上げなきゃならぬ。それにはいままでのような小資本ではやっていけないのじゃないかということが第一にまあわれわれ気づくわけです。そこで、その点においてどうすればそれじゃ中小企業がより多くの資本を持つようになるのか、もちろん、それに対しては政府ができるだけの資金を貸すということも一つの方法です。あるいはまた、その資本がもう少し有効に働く意味において、あるいはいろいろ税金も安くしてあげるというようなこと、あるいは利子も安くしてあげるというようなこと、そういうことも必要なことでありまして、そういうことを今日まで私はやってきたと思います。しかし、私はもうそれでは追っつかないようになってきたと思います。というのは、技術の点においてだんだん新しい技術が発明されるし、したがって、その新しい技術は大体装置が大きいです。したがって、その装置が大きいということは、規模が大きいということは、それだけ大資本を要するということであります。でありますからして、中小企業が単独の資本だけではとうていやっていけないということ、それだけの装置を持つことができないということが考えられる。そうしてまた中小企業がいままでは一地方だけの存在であったかもしれませんが、それがだんだんとこういうように交通が発達しなにしてきますると、もう大きな資本がいなかにもだんだんと進出してくるというようなこと、そういうような経営の面からも考えなきゃならぬということで、今度設けました中小企業の振興対策として考えられておる問題は、中小企業が協業するという問題、共同行為をするという問題、こういうことを私は考えてあげなきゃならぬのじゃないかということで、たとえば、あるいは団地の問題工業団地、商業団地をつくるという、そうすればおのずからそれによって購入する資材のコストも安くなるとか、あるいは販売上有利になるとかというようなことで、そういうことも考えてあげる必要があるというので、それに対しては団地をつくって、そうして高度化資金運用してもらうというようなこと、そういうことで、中小企業がいままで個人企業でやっていこうとするところに無理がある。だからして、あるいは同業者が寄って共同行為をするとか、いわゆるボランタリーチェーン、ボランタリーでお互いが共同行為をとって、そして共同行為をするとかというようなやり方、あるいは、たとえば商店であれば、お互いが自分のところに倉庫を持っておったのをやめて共同で倉庫を設けて、そうしてまあそういうような費用を安くするとかいうようなやり方、そういうことでひとつ中小企業を生かしていきたいというような考え方で、今度の中小企業振興事業団というものを設けたわけであります。でありますからして、まあわれわれいとたしましては、いま申し上げましたとおり、中小企業弱小であるという原因をきわめていく、その弱小を補なってあげるということ、これが私は弱小中小企業に対する根本対策でなきゃならぬということでありますが、しかし、もう一つ私はそれより前に考えてもらいたいことは、中小企業者みずからがどうして自分が弱小であるかということについて自覚を持ち、それでどうすれば一体自分の企業弱小でないようにするかというひとつくふうをやはりしてもらわなければいかぬ。で、政府にたよって安い金を貸してもらったらいいとかというようなことを言っておったら、結局その企業は負けますからして、まずどうすればみずからを強くすることができるかということを自覚してもらって、それでいろいろ自分でくふうして案を立ててもらって、それに対して政府ができるだけの、資金を必要とする場合には資金を出すとか、あるいは機械を購入するのに金がないということであれば政府が機械を購入してそれを貸与するとかいうような、いろいろな対策を考えていかなけりゃならぬ、こう考えておる次第でございまして、したがいまして、いままでの中小企業対策は、私から言うと、中小企業を温存するという対策であったと思う。これからはそうではいかぬということ、これだけ時代が変わってきておりますから、したがって、新しい時代に生きられるように中小企業指導するということ、これが私は基本でなけりゃならぬと思う。それで、新しい時代に生きられるようにするにはどうするかという問題は、いま申し上げた何が弱いかということをひとつきわめてもらって、これについては業者みずからもひとつ研究してもらうし、政府もできるだけそれに対して御協力して、そしてその両々相まって中小企業をひとつ生かしてあげたい、生きてもらいたいというのが、私は中小企業弱小企業に対する根本対策、ねらいでなけりゃならぬというように考えておるのでありまして、これについては、しかし、非常に困難であります。ことに日本人の特性としまして、みなお山の大将になりたいという気持ちを持っておりますから、協業するということ自体は非常な困難でありますけれども、私はこれはひとつできるだけ説得して、そうしなけりゃ生きていけないんだということでやっていく必要があると思います。それについては、やはり私はりっぱな指導者が要ると思います。だれかがやっぱり指導してあげなけりゃいかぬ。そこで、私は、りっぱな指導者を養成するということ、これは今度の中小企業対策の中にもそういう指導者の養成ということの予算をとっておるのでありまして、やはりりっぱな指導者があるところは、たとえば団地でもうまくいっております。で、そういうりっぱな指導者を養成して、そういうりっぱな指導者によって各業者が指導されて新しい生き方を見出していくということで、ひとつ何とかして弱小中小企業に生きてもらうようにしたいと、こう考えておる次第でございます。
  16. 黒木利克

    黒木利克君 時間がありませんから私の意見はこれ以上申し上げませんが、振興事業団はそういう意味でおつくりになったと思いますから、これをひとつすみやかにつくっていただく、大臣なり長官がいま御答弁になったような方向で大いに努力をしていただきたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、先ほども出ましたが、発展途上国対策、特に特恵関税制度の問題が急にクローズアップされてまいりました。ヨーロッパの先進国がその中心であったようなんでありますが、最近ではアメリカも賛成の立場に回ったようであります。で、明年二月には国連の貿易開発会議も開かれるようでありますが、わが国も賛成せざるを得ないような様子になったといわれておりますが、その辺の見通しと、それから、この特恵関税制度で非常に打撃を受ける中小企業本多いと思いますが、一体どんなことをいま考えておられるのか、その対策。  それから、ついでに年末対策についてお伺いしておきたいのでありますが、昨年末は非常に年末の倒産が御承知のように多かったのであります。これは金融引き締め下合理化対策が期待されますのに、どうも融資の決定等がおくれて効果が減殺されたという事実がございますが、本年度は、この過去の反省に基づいて大蔵省等ともすでに調整も進んだと思いますけれども、昨年の教訓を生かされて一体どういうように年末に処せられるつもりか、最後の御質問としてお伺いしたいと思います。
  17. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 特恵の問題は私からお答えしますが、年末資金の問題は中小企業庁長官からお答えします。  特恵の問題につきましては、従来日本は否定的な立場をとってまいったのであります。先般の日米合同委員会におきましても、特恵の問題については、現段階においては日本は消極的な立場をとりますということを私も発言をいたしたのであります。ところが最近アメリカが——いままで日本より強く特恵問題について否定的な消極的な立場をとっておったアメリカが、ことしの四月にジョンソン大統領がある場所で少し肯定的な演説をしたものですからして、したがって、その問題をわれわれとらえまして日米合同委員会でアメリカにいろいろ意見を求めたのであります。そこで結局そのときも、私は合同委員会でも申したのでありますが、現段階においては日本は消極的の立場でありますけれども、しかし特恵ということが世界の大勢であるとすれば、あくまで平等の原則によって、この特恵問題を先進国はこれをお互いがひとつ協調して取り扱うべきじゃないかということを言ったんです。それには条件があるということ、たとえばその条件は、先進国がみな共同一致の態度を持つということ、あるいはこれは暫定的の問題であるとか、あるいは英国が豪州と特別の関税をつけておるが、ああいうものは廃止してもらうとかというような、こういう条件のもとにおいて、ひとつこの特恵の問題は、われわれ前進的に前向きに考えてみてもよろしいということを言ったのであります。したがって、アメリカ側も私の言った条件については、そう全く同意だから、したがってこの特恵の問題については、日米がひとつ協議していこうじゃないかということで、さっそくアメリカにおいても、ワシントンにおいても特恵の問題については協議を開いたのであります。近くまたいよいよ特恵の問題がありますので、したがって、これはやはりアメリカと協議をして臨みたい、こう考えております。  そこで、御承知のとおり、いわゆる開発途上国はみな特恵を要求しております。でありますからして、これをもう私は否定はできないような大勢になってきたと思います。日本ばかりがこれを否定をしますると、日本が世界から袋だたきにあいますからして、これは日本の産業発展のために決してとるべき策ではないと思いますので、そこで特恵というものが将来これをやらなければならぬという前提のもとにおいて、しからば、日本の産業にどういう影響をするかということを、いま通産省側で各品目について調査しております。したがって、特恵については前向きでいこうという一応の方針をきめましたが、まだ政府としては決定したわけではありません。特恵を承認するということはまだ政府としてはきまっておりませんが、通産省としては、それだけの用意をしなければならぬということで、各品目についていま調査をしております。したがって、特恵というものが先進国でみなやるということであれば、日本もそれに応じてやらざるを得ないし、しかしながら、特恵によって最も損害を、打撃を受けるのは日本です、アメリカや西独と違いますから。日本は中小企業の国でありまするし、ことに日本の中小企業の産物は地域的な産物でありますからして、したがって打撃を受ける。しかも、一地域においての打撃を受けることが大きいのでありますからして、したがって、この特恵の問題については、日本としてはよほど慎重に扱わなければならぬのでありますからして、われわれといたしましては、この特恵をやらなければならない態勢については順応するけれども、それでは具体的にしからば日本としてはどういう対策をとるべきかということは、いませっかく調査をしておりますから、それによって最後の態度をきめたい、こう考えておる次第であります。
  18. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 年末の金融対策につきましてお答え申し上げます。  先刻大蔵省と話がつきまして、年末の金融対策として、財政資金として六百九十五億を政府三機関に投入をいたす、これによりまして貸し付け規模で千六十億の増加になります。ちなみに、年末になりますると、年末の中小企業の年越し資金として例年追加されるわけでございまするが、本年は特に金融引き締めの影響が次第に出てくるであろうということを特に心配をいたしまして、いま申し上げましたような数字を計上したわけでございます。と申しますのは、昨年は、財政投融資につきまして四百四十五億を追加投入いたしまして、その結果、貸し付け規模で八百五十五億の増大でございます。これはいわゆる環衛公庫分を除いてございますから、本年度に照合する数字でございますが、照合いたしてみますると、貸し付け規模で、本年度は昨年度に対しまして二四%のアップ、財政投融資の投入額だけで申しますと五六%のアップということで、現在考えられ得る事態に対しましては、悪影響が生じないように努力をしたつもりでございます。なお、これは政府金融機関に対する政府の財政投融資でございまするが、一般の市中の年末の中小企業の貸し出し目標額でございまするが、これは一兆九百億ということの目標額できまりました。これは昨年度に対しまして一五%アップの数字でございます。ただ、この年末の金融機関に対します貸し出し目標額は、あくまでも目標額でございまして、昨年度も目標額をきめましたものの、実績は目標額をだいぶ下回ったということがございます。私たち中小企業行政に携わる者といたしましては、この一兆九百億の目標額はどうしましても達成してもらわなければならぬと非常に心配しながら見守っておる、また必要な努力をしなければならないというふうに考えております。
  19. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 黒木委員から非常に全般的にわたっての質問がありましたので、できるだけ重複を避けてお伺いしたいと思います。  先ほどお話しの中にもありましたように、四十年度の通産、大蔵合同の各省所管の中小企業対策の会計は百七十八億となっております。このうち通産省所管の支出額は百億余であって、その内容は、都道府県を通じて設備近代化補助とか、あるいはまた企業の集団化とか、あるいはまた協業化貸し付けのための経費となっておるのでありますが、これをこの一、二年の企業倒産状況を見てみますときに、非常に好況であっても不況であっても、そのような倒産が減らないわけであります。これにつきましても、先ほど来その原因についていろいろ指摘され、これについてのいろいろお考えは発表されたのでありますけれども、こういうようにして製造業だとか商業について特に倒産の率が高いわけでありますけれども、通産省は、この中小企業に対しての過去のてこ入ればいろいろな、いまの発表されたように、こういう考えでやってきたというような話でありますけれども、実際においてこのてこ入れが効果をあげてないということになるわけでありまして、そのてこ入れのもっと具体的なようなことをひとつ聞かしていただきたい。どういうふうなことをやってどういう効果があがったと、あるいはまた、どういうふうなやり方が足らなかったからこうなったとか、もっと具体的なものを示していただきたいと思います。また今後の指導は、いま振興事業団をこしらえて云々というような話もありましたけれども、この問題についてはあとからもう少し詳しいことを御説明を願いたいと思いますが、特に私は予算の執行の面で、先ほど不用額指摘されましたけれども、これをもう少し積極的に、どういうふうにするか、来年度予算についての考え方をも加えてひとつ御説明を伺っておきたい。
  20. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 先生指摘のように、倒産が非常にこれはふえてきております。特に本年九月、十月、九月が六百三十五件、十月になりますと七百九十件というふうなことで、七月、八月だけで五千件余の倒産が出ておるわけであります。非常にこの点について私たちも心配をしておるわけでございまするが、これにつきましては、先ほども申し上げましたが、さしあたり対策としては、この倒産のきっかけになるような金融引き締め倒産しそうな企業にしわが寄るのを防止するという対策、これは非常に必要なことであると思います。したがいまして、これに対します対策といたしましては、年末金融につきまして所要な措置を講じたわけでございまするが、それ以外にも、実は不払いが出そうだというような情報がわれわれの耳に入りますと、個別的にわかりました限りにおきましては、銀行等にいろいろ要請をしたり、とにかくつぶすことは避けるといういま最善の努力をしているわけでございます。ただそういう銀行が取引を停止する、手形を割らないというようなことでは根本的なこれは対策にはなりませんので、病根が深いところにある。先ほども申し上げましたように、放漫経営であるとか、売り掛け金の回収不能であるとか、いろいろございますけれども、むしろやはり病根はいまの経済条件が変わってきたというところにあると思います。したがいまして通産省といたしましては、先ほど大臣説明いたしましたように、企業体質の強化をやはり根本的にしかも急速にやる必要があるということで、特にこの数年来高度化資金特別会計を活用して、さらに本年度からは中小企業振興事業団でこれを拡大強化いたしまして、協業、共同化を大いに進めるという施策、これはもう非常にいま強くやっております。  それから経営面のやはり指導は何といっても必要でございまするので、商工会議所、それから商工会等を通じまして経営指導の強化、これを特にやろう、特に来年度はこの経営指導員が非常に中小企業者に喜ばれておるのではございまするけれども、人が得られない、と申しますか、経営指導員の給与が実は比較的低いものでございますので、いい人が得られない。これの給与のベースアップないし手当の増給というふうなこと、少し回りくどいようでございまするけれども、この辺からやはりいい人を採りまして、そして個別に零細の中小企業者の指導をやっていくということは、大いに来年度強化してやってまいりたいと思います。  それから技術の向上が非常にこれ大事であると思います。したがいまして、府県の公設試験研究機関、これを拡充強化いたしますとともに、業界の何といっても自主的努力が大事でございまするから、業界で話のまとまったところに対しましては、政府も片棒かつぐということで、印刷とか玩具の業界は共同の研究所を設けようという話がまとまったものでございますから、これに対しましては、半額の政府補助を来年度計上しようというふうなことで、技術向上につきましては、そのほかにいろいろ技術補助金も増額する等、特に重視をいたしております。  それから設備近代化でございまするが、これにつきましては、中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、商工中金等の金融を大幅に増大するというようなことを考えておるわけでございます。このような根本的なやはり体質改善対策が非常に必要である。それによりまして、まあさしあたり倒産を極力一時的に防止しておきながら急速に体質の改善と申しますか、病根の摘除と申しますか、これをはかっておるわけでございます。先生指摘の、どういう施策がどういうふうに数字的に成果があがったか答えよというお話でございまするが、実はこれは非常に中小企業者の数も多いことでございまするし、まあたとえば経営指導あたりが非常に喜ばれておるというふうな報告は上がっておりまするけれども、技術改善の結果それがどの程度量的にその産業の振興に役立ったかというふうなところは遺憾ながら数字としてはっかまえておりません。
  21. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 私は、ここで一番中小企業庁長官にお願いをし、聞きたいと思うことは、もうこの二、三年来だんだんと倒産件数がふえておる。それはいま原因を先ほど大臣からも言われまして、もちろんそういうことも原因をなしておるし、あるいはそれに対してのいろいろ手当てをされてきておることは、私は十分認めます。また同時に、そういうふうなことに対して、お答えの中にありましたように、非常にいろいろな配慮が行なわれておる、こう思うわけでありますが、事実問題としてそうした件数が、もしそういうふうな配慮が行なわれておるとすれば、何らかの効果があらわれてこなければならない。ところが一向に、開闢以来の中小企業倒産だということは、広くいわれておるのにもかかわらず、これが実際の成績としてはあらわれてきていない。それにはいまお話しの中にありました、きびしい流動化もありましょうし、いろいろな問題がありまして、それに対処できないという、そういう大まかなことは私も理解できるし、当然それについての手当ても行なわれる。また中小企業の側からも、これについての真剣な配慮もされておるが、なお到達できないという困難な問題があることでありますから、そういう観点から申しますと、私はやはりことばを悪くしていえば、先ほどちょっと大臣のおことばの中にもありましたように、中小企業庁はもっとやるべきでないか、あるいはまた、この経営の弱体化が原因だからして、もっと自分のほうでそれをしなければならぬじゃないかということも半面にあると思うのですが、私はやはりいま、そういうことの議論の中ではなくして、一般に大きな倒産がある。倒産は、弱いものはこれは自由競争の経済の中でやむを得ないということに割り切ってしまうならこれは別問題でありますけれども、そうでないとするならば、私は、中小企業を育成される意味で、その監督官庁としては、大まかにはこう考えておるけれども、筋はわかっておるが、あまりにそのこまかしいことは多種にわたっておるからわからぬという踏まえ方自身が私は非常に不満なわけであります。実際において非常に倒産ばしておるわけでありますから、それを中小企業の少々はなくなってもいいという考えではないということは、大臣説明しておられるわけで、やはり中小企業というものを立てていかなければ、日本のいまの経済というものはささえられていかない、こういう観点からいうならば、やはりこの問題に対しては、大まかな数字あるいはまた、お考えについては、私もそれでたいへんけっこうだと思うわけでありますが、実際問題においてはそうでない。そこのところは私はもう少し具体的に解明して、今後どういうふうにしていくのか、いままでどうだったかということを踏まえて、今後どうしていくのかということをはっきり出していただかないと、当面の倒産というものはいつまでたっても続くのじゃないか、こういうことになるわけであります。その点はどうでございましょうか、ひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  22. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 最近倒産者の多いことは、われわれも非常に遺憾に思っておりますが、しかし、その倒産しかけたのをあるいは商工中金や何かで融資して、倒産を助かったのも相当あるのです。これは私が直接まあ聞いたり関係したりするのであるので、だからその助かった場合は数字が出てきていないことをわれわれも非常に遺憾に思うのですが、そういう数字を出して、そこで、それでも倒産者が出ておるということは、私からいうと、もう少し前に早くやはり相談してもらったらよかったのじゃないか、にっちもさっちもいかぬようになった後に、手を上げるということでなくして、それより前に相談してもらって、どうしたらいいかということを、あるいは商工会議所なり、あるいは府県にも相談所がありますから、そこで相談してもらって、そうしてそれならこういう方法はどうかということで、ひとつ相談してもらえば、あるいは倒産の中にも倒産せずに済んだものもあるのではないか、こう思うのです。そういう点において私はこれからの指導をしてあげることが親切じゃないか、こう思うのであります。そういう点については、今後ひとつ各会議所なりあるいは商工会なり、あるいは府県にもそういうように指令をして、できるだけひとつ……。それから業者自身が相談に来ないのです。というのは秘密、いろいろやりくり算段をしておりますから、世間に知れることをおそれて、そこで業者自身が早く相談に来れば助かるものも、どうもこうもできなくなったときに今度は助けてくれという。そういうことで、私はかつて商工会議所におったことがありますから、よくそういう事例も私体験しておるのでありますが、もっとなぜ早く相談に来ないかというと、自分が困っているということが世間に知れることをおそれる。やはりおそれているということで結局手を上げなければならぬという例が多いと思いますので、業者も、私はやはりこの際は、困ったときには困ったでひとつ金融機関に相談するなり、商工相談所に行って相談するなりして、どうしたらいいか、自分の知恵ばかりでなくて、人の知恵を借りて生かすということが必要じゃないかと思います。また同時に、同業者に相談して、同業者の力を得てやるということをやってもらったら、そうすれば倒産者の数も減ったのではないかと考える次第でございます。そういうことで、お互いに倒産を防ぐようにやっていただきたい、こう考える次第でございます。
  23. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 大臣が申しましたように、まず倒産に追い込まれている企業としてはできるだけ早目に相談をされれば、これはいろいろ手はある。もっともそれで必ず救えるかどうか、これはわかりませんけれども、保証制度も相当充実しておりまするし、それから政府金融機関も相当拡充しておりまするし、なるべく早く相談があれば。それから先ほどちょっと触れましたけれども、直接に行政機関が親銀行と相談するということも可能である。もっとも銀行のほうはちょっととめておいてくれというだけじゃいけませんので、その場合には、それ相応の改善策を政府がバックアップしてとらせるからという一札は取らなければなりませんが、そういうことは十二分にやる必要があるし、相当やり得るのじゃないかと思いますが、そのほかに、一般論ではありまするけれども、私たち勉強し、そこから何らかのものをつかみたいと現在思っておりますのは、倒産が非常にふえてきた。それが必ずしも、金融引き締めは契機ではあるけれども直接原因ではない。しかも、業種によって相当、先生も御指摘のように片寄っております。建設業とか商業とか、この辺にぐっと片寄った倒産が多いと思います。したがいまして、業種別にも私たち倒産原因というものを究明する必要があるのじゃないか。単なる放漫経営とか、売り掛け金回収とか、上側に着たおべべの下に原因がひそんでいると思います。したがって、業種別に倒産が多い業種につきましては、おそらくこれを究明すれば、構造的と申しますか、共通的と申しますか、おそらく世の中の移り変わりによる原因がつかまえ出せるのではないか。ないしは共通的な病根がつかまえられれば、業種別に共通的な対策ももうちょっと生きたものが立てられるのじゃないかというふうな方向をねらっております。したがって、そういう方向は先ほども申し上げましたが、政策審議会勉強ができて、相当準備ができれば政策審議会にも、またお知恵を拝借したいというふうにも思っております。
  24. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大臣並びに長官からの御答弁の中にも非常に私ありがたく思う点がいろいろ多いわけでありますが、特に私もう一つ原因の中で、やはり金融の問題あるいは利息とかあるいはまた税金の問題も触れられたわけでありますが、私はこういうふうにして倒産が多い現況に見て、何か特別にそういう面で、特に予算のほうからこれを考えて、そうしてまあ当然融資をしたり、あるいはまた何かするのには、その経営体の強化ということはもちろん必要で、あぶないところには金は貸さないのは原則かもしれませんけれども、そこらのところに何か新しいアイデアを生かした融資方法とか、あるいはまたそういう何か税金の面とかあるいは利息の面とかいうことで、特別なことをいまやってもらわないと、いろいろやられておることはお聞きしておるわけですが、なお一そうの何かのてこ入れをしてもらわないと、ここのところでとまらないんじゃないか。そのてこ入れの上に立って、いわゆる大臣のおっしゃったように、中小企業、零細企業といえども一つ経済の歯車の中で一つの地位を確保していくような状態をつくってやる、それをつくることの目的は非常にりっぱなものでありますけれども、りっぱな目的だけで、もっと下のほうで、何と申しますか、あたたかい思い切ったてこ入れがないと、私は、倒産というものは、結局結論的に言えば、弱いものは倒れていくという原則になってしまうのではないかと、こういうふうに思うのでありますが、そういうふうなところでは、年末の金融を控え、あるいはまた全般的なそういう問題を控えて、何か特別に予算的にも考えながら、これに対して何かしてもらうことは必要じゃないかと思うのでありますが、いままでもやられておると思うのでありますけれども、なお一そうこの現段階の倒産が多いという観点から、私は何か御意見を伺っておきたいと思うわけであります。
  25. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 本年度予算におきまして特別の倒産防止の具体的な項目は載せておらないわけでありますけれども、年末の財政投融資の追加千六十億という非常にこれは大幅な追加をいたしましたのは、先生指摘のようなところを配慮いたしまして、政府金融機関においてできるだけここの食いとめをいたしたいというつもりもございまして計上いたしたようなわけであります。それ以外に、ただ倒産防止はまあ関連倒産防止は、これはすでに法律もございますし、これは制度として一応とめることはできるんでございますけれども、いわゆる一般倒産につきまして、一律的画一的なやり方というものには、私たち勉強でございますが、今後勉強いたしますけれども、なかなかうまい知恵もない現在できますることは、そういうふうな政府関係金融機関を活用すること、それから特に私たち倒産の具体的例をいろいろ当たってみますと、親企業か銀行か、どちらかが——この親企業というのは商社を含めてでございますが——協力してじゃひとつもう一段ふんばらせてみましょうかということになりますと倒産が避られる。しかし非常に病気が重くてそれで避けたもののまた病気が深くなってどうにもならなくなったという例もございますけれども、相当部分はもう一ふんばりということで、立ち直れる例も相当あるのでありますから、大臣の申しましたように、できるだけ早く私たち情報をキャッチいたしまして、親企業なり取引商社なり、ないしは銀行なりと連絡をとりまして、具体的な例として倒産防止に努力してまいりたいと思います。
  26. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 お説のとおり非常に私もむずかしいと思っておるわけであります。むずかしいだけにこの倒産の数が減らないと思うのでありますが、そういうことに議論が終始するだけではなくて、具体的な、現に中小企業庁のほうでこういう指導をしていったから減ってきたというふうなことにならないと、これはもう倒産するほうはほんとうにひどいことなんですから、私はいろいろむずかしい、あるいはまた、いまのずっと質疑の過程からいって、当然なかなか言うからといって急にできるとは考えられませんけれども、それだけに重い状態でありますので、この問題については、ひとつまあ経済の常識からいえばおかしいし思うようなてこ入れをしなければ、この防止は回復できないものだ、こういうふうに私はしろうとながらの考えでは思うけれども、そう考えざるを得ないところにきているわけです。ということになれば、私はどこにお願いするかといえば通産大臣にお願いして、抜本的な——抜本的じゃない、ちょっとルールを失したような点があっても、そうした方面のてこ入れを先にしてもらって、それからいまおっしゃっているような軌道に乗せるような方式に持っていかないと、月々の倒産の件数が何百件とあってなかなか減らないということが、私は大問題だというふうに考えるわけでありまして、そうした防止をもうやってもらわなければ、一般の産業では相当大きく伸びつつある現段階においては、私は中小企業がこれだけ倒産をしておるという状態を続けさしては、国としても非常に問題であろうし、こういう状態にあったのでは、私はやっぱり何といいますか、二重構造というか、大きな格差が起きて、将来必ずこれが経済の中の大きな問題点になってくるし、これがために大きな変動も考えられるし、あるいはまた、日本の将来ということで考えれば、非常にまずいものが出てくるのではないかという感じを持ちますので、この問題に対して特に、何と申しますか、思い切った、ちょっとけたがはずれたような施策をここで盛り込んでいただきたいということを私は考えておるわけであります。  それからもう一つお伺いしたいのは、まあ事業団もできて非常にいい構想であります。これでやられていくのは、指導方面の中小企業者のセンターといいますか、そういう中でこうしたものに取り組んでいただくということは非常にありがたいことだと思いますが、私いまこの共同体あるいは資本力をつちかう意味中小企業を新しく発展させるということは、特に私は必要な面だと思います。けれども、地方へ回って見てみますと、特に私が見ましたのは、京都で企業体、特に西陣の企業からあの丹波のほうに至る企業体をずっと見てみましても、いろいろ協業化が考えられておるようであります。これは私はやはりしろうと的に受けたので、企業庁のほうでお考えになっている点で、これはこうじゃないんだこうだという点があれば教えていただければたいへんけっこうだと思います。あれを見てみますと、何か前の農業の改善事業と同じように、また考えるのは、その人たちの受け取っておるのは、非常にお金がたくさんかかって、またそれが負担になってくるんじゃないか、あるいはまた、ある優秀な企業の中であれば、比較的優秀な、レベルの高い、資本力の大きいというか、大きくやっておられる方が協業される場合は非常にいいと、もう一つ下の段のものが協業しようと思っても、そこには入れてもらえないと、下のほうではてんで負担ばっかり大きくなってくるという悩みがあるようであります。こういうような協業とかあるいはまた共同化というような問題についての企業庁としての指導をしておられる立場から、いままでどうであったか、今後はどういうふうになるか、見通しとか、あるいはやられ方、もっと具体的なそういうことについてちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 協業化、共同化は、これは手段でございまして、目的ではないと思います。それから近代化資金の供給もこれは手段であって目的ではないと思います。先生指摘のように、この手段と目的とをよほど私たち真剣に努力して指導をいたしませんと、手段と目的とを取り違えておられるというような中小業者がおられると、その結果は、近代化資金を投入したところが物ができ過ぎて、いわゆる豊作貧乏になるというふうなこと、協業化をやってみたけれども収益が上がらずして、そしてむしろ償却に追いまくられるというふうなこと、実は、これ率直に申し上げまして、いろいろいままで成功しなかった例があったと思います。したがいまして、これは大臣が特に強くわれわれに指示をしておるのでございますけれども、問題は、やはり自主的努力を基本にして、そしてその上に政府が援助をするというかっこうでないといけない。自主的努力と申しますのは、つまりやられる方は、これは商人といいますか、経済人でございますから、自主的にそろばんをおとりになって、そして協業化をしたほうが得である。近代化をしたほうが得であるというそろばんがはっきりでき上がって、で、それに政府が援助をしていくということを、まあ明確にしないといかぬということを、大臣特にわれわれに強く指示をしておるわけでございますけれども、まああたりまえのことでございまするが、私たちは、いままでの各地で行なわれました中小企業施策を見ますると、こういう点われわれの努力がやはり至らなかったという点があるのではないかと、率直にまあ反省をしておるわけでございます。で、いままではまあ日本経済、日本の中にだけ閉じこもっておった経済でございまするので、まあいよいよ苦しくなれば中小企業のカルテルを結んで温存するというふうなことも可能であったのでございまするけれども、これからは、申すまでもなくいわゆる開放体制の中へ入りまするので、国内だけの防衛措置ではどうにもならぬという時期でございまするので、非常にきびしくこの辺のところの収益力と申しますか、これは考えて、そしてわれわれも指導いたしますとともに、業界一緒に手を組んでやっていかなければいけないというふうに考えております。その点、事業団をつくりまして、先ほども御説明いたしましたが、融資体制と指導体制を一本にいたしたという意図も、実はそこにあるわけでございます。
  28. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまのお話を聞いておりましても、結局問題点は、大体もう十分ぼくも納得できるわけでありますが、特に、まあいまお話にもありましたように、自由化の問題、あるいはまた特恵国の供与の問題なんかがございますので、特にしわ寄せが中小企業にくるという現実のきびしい情勢であるために、私は、中小企業の、いま大臣がおっしゃったように、もっと経済的な立場から、自分でやらなけりゃ、そうこちらばっかりにたよられておっても、もっともっといろいろやることが非常にきびしいいまの情勢だということがわかるわけでありますが、私は、こう実際にそういう周囲、中小企業の多いところを回って見ておりますと、それはまあ地元のほうが多いわけでありますから、あるいはまた部分だけがそうなっているのかもわかりませんが、非常にそうした、いま私が申したような条件で、そこらの人たちがほんとに立ち直れるかどうかということを見てみますと、私は非常に暗いんでありますね、その状態は。ですからそれについての特別な方法というものを、いまお考えになっている範囲内でやってもらっておったんじゃ、やっぱりその状態に置かれるという感じを私は持たざるを得ぬのでございますけれども、じゃその問題に焦点をしぼって、ある程度いま長官が、また大臣あたりが考えておっていただく線を推し進めれば、短期間の間に、いまのそういう倒産の状態はある程度明るいところに持っていけるという見通しをお持ちであるかどうか。ある程度そういう見通しを立てていただいておるような政策を、ここでひとつ何とか考えていただけないかということが、この私の質問の目的なんですがね。そういうものをひとつクローズアップして、何かひとつお考えを聞いておきたいと思います。
  29. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) いま大橋委員の御心配になっておる点は、私も同じようにその点を心配しているのであります。中小企業の問題については、私の考えを申し上げれば、日本の中小企業を、これを健全化する、というと語弊があるかもしれませんが、もっと安定的なものにすれば、私は日本の産業はもっと伸展すると思うのです。ここが私は日本の産業の悩みだと思っておるのであります。がしかし、中小企業については、いままでのずっと長い伝統がありますし、世の中は非常に変わっておるし、そこにこの中小企業の解決の問題が困難なのであります。この世の中が変わっているということがなければ、私は従来の中小企業のあり方で、そのままでもけっこう生きていけると、こう思うのでありますが、世の中の変わり方のほうがひどいので、したがって、それに対していままでの中小企業というものがそれについていけないということに悩みがあり、それがために倒産せざるを得ないという問題があると思うのであります。でありまするからして、先ほど申しましたとおり、中小企業者自体が、世の中がいかに変わりつつあるかということについてのひとつ理解を持ってもらいたいということ、そうでないと、いかにわれわれのほうでこういうふうにやりなさいということをおすすめしても、なかなか納得いただけないと私は思うのであります。そういう点において非常に悩みがあり、また、政府やり方については不徹底があると思うのであります。そういう点で、先ほど申し上げましたとおり、いまも大橋委員のお話のとおり、中小企業がいろいろのところでうまくいっていない、これはやはりりっぱな指導者を得ていないということが原因で、そのりっぱな指導者がひとつ自分を粉にして、各中小企業を説得していくというような、そういう篤志家を実は求めているし、そういう人が出ることを望んでいるのであります。でありますからして、たとえば今度の中小企業振興事業団をつくる場合に、理事長を設けたときにも、私は中小企業の悩みの経験のある人、中小企業に同情のある人を理事長に選ばなければならぬということを初めから考えまして、官僚の天下りとかなんとか、いろいろ批判がいままであったのでありますが、この自分自身の体験を持っていないとほんとうの同情がわきません。  〔委員長退席、理事竹田現照君着席〕 だからして、そういう人を理事長に選びたいということで、幸い適任者がありましたので、むりやりにお願いして、本人の生活からすれば不利なんでありますけれども、私はむりやりにお願いして、ひとつほんとうに中小企業のために一生をささげてくださるという方をお願いしたのであります。でありますからして、これは中小企業振興事業団の理事長にしてもそうすが、私は、ほかの理事についてもそういうことをみんな言って理事になってもらっております。理事になったらのんきに暮らせるとか、そんな甘い考え方で中小企業事業団の理事になってもらっては困る。ほんとうに中小企業を何とかして生かすという気持ちでやってもらわなければならないということでお願いしているのであります。そういうようなことで、ひとつ中小企業振興事業団を中心にして、りっぱな指導者を各地に得て、そうしてやっていくということが、回り道をするようであるが、結局私はそれが結果としていい結果を生むのではないか、こう考えておりますから、そこで、目先でこうするああするということになってくると、いま言ったとおり資金の面を何とか考えるとか、あるいは税金を安くするとかというような、目先の問題、当面の問題としてはそういう問題がありますけれども、やはり私は長期的に中小企業を何とか生かしてあげたいという意味で、そういう回りくどいようなことであるが、結局それによっていい成績を上げたい、こういうつもりでやっております。
  30. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 もう時間がありませんから一つだけお聞きします。やはり日本の大企業が世界的に優位になったという中には、いままで何年間かとられてきましたいわゆる企業の融資だとか、あるいはいろいろの施策がありましたね、これがどちらかといえば、これは言い方が過ぎるかもしれません、また見方がどうこうと言われる非難があるかもしれませんが、私はそれと同時に、うんと国からてこ入れされたから、大企業があれだけ伸びたと思うんです。ところが、それには大企業はある程度経済力もあるわけだからやりゃすかったわけでありますが、中小企業というものはそういうものがない。非常に企業力の弱体なものがある、これを補正しなければならぬということを言うておられるけれども、実際それは行なわれていないのだ、実際は私はもっとそういうところに、ああいう大企業に打ち込んだようなエネルギーを中小企業に三年間なら三年間打ち込むということになれば、もっといいのではないか、そういう場合に私は思い切った方策をもう少ししてほしいということなんですが、そういうことをぼくはやってもらわなければいけないのじゃないかという気持ちを持っているので、特にこれは大臣、あるいは長官あたりはそういう具体的な方法を考えて、中小企業に対しては少々ワクはずれの、あるいはまた理屈のつかぬようなこともして、どんとひとってこ入れをするということが私は必要だと思いますので、どうかそこのところを配慮していただきたい。これを要望しまして私の質問を終わります。
  31. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私は通産省のほうと、科学技術庁のほうにお尋ねをしたいわけであります。その骨子は、経済産業の基盤であるエネルギーの需要が非常に増大した。特にその中でも電力需要というものが急激に上昇している。いま通産省の総合エネルギーに関する発表を見ましても、昭和六十年度には外国から輸入するエネルギーが八九%に達するのだ。国産エネルギーがどんどん少なくなって、しかも水力開発というのが奥地までやっていけない。火力発電も、これは石炭発電ではなく重油発電に変わっていかなければならない。その重油の輸入が非常にむずかしい条件が将来起きるであろう。いまの通産省説明によれば、昭和六十年度に六億キロリットル、石油に換算すると。六億キロリットルといいますとドラムかんに直しますと三十億本のそれだけの石油量が必要だ。こういう計算になるかと思います。そうして考えますと、私は、エネルギーの政策の転換がここにやってきたのじゃなかろうか。将来の安定的なエネルギーの供給をどう確保していくか、この時点で真剣に考えなければならない問題に逢着してきた。エネルギー政策の転換は、じゃ何によるか。水力発電がある程度制約されている、火力発電、重油の発電が制限されることを予想した場合に、何によるか、結局は原子力発電という課題がそこに横たわってくるのじゃないかと思う。アメリカの今年度の発電の発注量を考えてみると、七二%が原子力発電にたよっている、こういう状況に変わりつつあることを私たちは発見するわけです。こういうエネルギー政策の転換期にあたって、いまの安定供給、将来にわたるエネルギーの安定供給をどう確保していくかということについて、まず通産省のほうでお答えいただきたいと思うのです。   〔理事竹田現照君退席、委員長着席〕
  32. 井上亮

    説明員井上亮君) ただいま中村先生から今後のエネルギーの動向につきまして、特に電力の今後の需要の増大に対しまして、電力の需要と、また電力設備そのものを拡大していかなければならない、その場合に、従来水力並びに石炭火力というようなものがかつては相当のウエートを占めておりましたが、現在では重油火力のウエートが相当な比重を占めておる。さらに将来をながめますと、重油火力の使用量は飛躍的に増大していくのじゃないか。そういうような現状に対し、今後の電力政策をどう進めるかというような基本的な御質問だと思うわけでございますが、まさに先生が御指摘になりましたとおりの現状でありまして、私どもとしましては、そういった情勢に対処いたしまして、やはり基本的な考え方といたしましては、何と申しましても今後電力需要の増大に対して、電力設備をそれに合わして増強していく、その供給体制の基礎は、低廉な電力を豊富に確保する、需要にマッチするように確保するということだと思います。しかも安定的に確保する、低廉にして安定的、この二つの要件が必要である、まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、そのためには、私どもの考え方といたしましては、まず低廉の点からいいますと、今日の情勢では重油の新鋭火力は逐年大型化してきております。今日では、一基で五十万キロ程度の重油火力が普通な状態になってきておりまして、今後安い電力ということになりますと、そういった重油火力に相当大きなウエートがかかると思います。しかしその半面、これは先生も御承知のように、電力の需要にはいろいろございますので、やはりベースロードをまかなうものとしては火力でいきますけれども、しかし、何といいましてもピーク調整の問題がありますので、ピーク調整用としては、今後ともにやはり水力によりまして調整するということが電力経済上最も大事なことだと思いますので、したがいまして、やはり火力と水力との併用というような形が依然として将来の姿であろう。しかしここで問題になりますのは、先生も御指摘がありましたように、今後の重油の消費量がそういう姿でいきますと非常に大きく、御指摘のとおりでございます。そこで、できるだけ私どもも重油火力は低廉ではありますけれども、やはり何と申しましても相当な外貨が年々かさんでくるというような問題、あるいはこれは石油政策として多角化政策、供給の安定対策は、別途通産省としても立ててはおりますけれども、もしこれにかわる、より有利な低廉にして安定的、しかも外貨節約にもなるというようなものがあれば、やはりそれを積極的に取り入れていくという努力が今後の大きな使命だと考えます。言うまでもなく、そういう要望にこたえますものは、やはり原子力発電だと私は考えます。本年の二月に通産省に設置されましたエネルギー調査会におきましては、やはりそういった観点から今後重油火力もふえてまいりますけれども、昭和五十年以降におきましては原子力発電のウエートを飛躍的に増大さすべきである、そういうことによりまして低廉な電力を確保いたしますと同時に、外貨節約の面をやはり政策的にあらわすためにも、原子力発電につきましては昭和五十年までに大体六十万キロくらいの開発をする、しかしそれ以降につきましては、やはり何と申しますか、原子力のウエートを主体的に置く必要があるのじゃなかろうかというような構想が出されておるわけでございまして、ただいま私どもも、具体的な電力各社の将来の設備計画につきましては、このエネルギー調査会の答申の線に沿いまして指導しているのが現状でございます。
  33. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまの説明でわかります。ただ問題は、私は低廉なエネルギー源が火力、その火力の原動力が重油である、これもよくわかります。将来タンカー等も四、五十万トンのタンカーができるであろうことも想像できるわけでございますが、その輸入先等の問題あるいはその貯油量の問題、おそらく想像される現在の一年間の年間貯油量が一億キロリットル、ドラムかんにすると五億本、戦前のおそらく二十倍、戦前の一年間の油の消費量が今日二十日間くらいだと思います。しかも精油が日本全国で二十日分くらいしか貯油できない。原油が同様。そうしてみると、六億キロリットルというこういう将来のエネルギー源に重油ということを考えることは、なかなかこれは貯油の関係、輸入の関係あるいはそのタンクの関係等々を考えると、むずかしい問題が相当横たわっているんではなかろうか。同時に水力発電というのは水資源の豊富な日本としては、当然開発しなくちゃならないけれども、しかもそれは奥地に行って、開発費用というのは多額になってくる。また、ダム等のために地元民と摩擦が起こる。こういう大勢の中で、エネルギー源の確保というものは、原子力にある程度のウエートをかけていかなくちゃならないと思う。当然その方面の体制をいまから整えなければならないことを痛感するわけです。そこで、現在のそういうエネルギー政策の転換として原子力委員会やその他の審議会のほうから出ている現在の原子力発電計画がどのようになっているか。将来の計画がいま六百万キロワットとお聞きしましたが、どことどこに大体構想を進めているか。それをちょっとお伺いしたいと思う。
  34. 井上亮

    説明員井上亮君) 御指摘のように原子力発電につきましては、ただいま着々将来の開発体制を進めているわけでございますが、まず、最初にマクロ的な数字を申し上げますと、昭和四十五年度までに、私どもといたしましては、原子力発電設備といたしましては百二十三万キロワット程度の設備を完成いたしたい。それからさらに昭和五十年ぐらいまでには六百万キロワット程度の出力のある発電所を建設いたしたい。率直に申しまして、私ども具体的に計画を持っておりますのはこの昭和五十年度まででございまして、昭和五十年から六十年度にかけましては、これはエネルギー調査会のほうの検討でもうたっておりますけれども、一応昭和五十年から六十年までの発電設備の容量といたしましては、三千万キロないし四千万キロ程度の発電設備が必要であろう。これがまあ将来の水力、火力というものを合わせて、やはりわが国における発電設備の好ましいあり方であるというような答申をいただいておるわけでございます。具体的には大体五十年度程度までを考えております。五十年度までのおもな電力会社といたしましては、御承知のように現在東京電力が福島に一基建設中でございます。それからさらに関西電力が福井県の敦賀の美浜地区で一基ただいま建設中でございます。なお、原子力発電会社は同じく敦賀で一基建設中、それからさらに御承知のように東海村にはすでに既設の発電所が完成いたして稼動しておるというのが現在の現状でございまして、これもただいま申しました関西電力の美浜地区とか福島地区につきましては、さらに増設を同地点で考えておる。そのほかまだ北海道と北陸とそれから四国につきましては、昭和五十年度までの運開ということはちょっとむずかしいかと思いますが、他の電力会社におきましては、おおむね五十年度までの運開を目標にそれぞれいま具体計画を練っておるわけでございます。まだ地点その他につきましては、ただいまも申しました東京電力、関西電力以外におきましては具体化しておりませんが、それぞれ真剣に立地の調査あるいは発電の計画につきまして具体的計画作成に取り組んでおるというのが現状でございます。
  35. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そうしますと、考え方はわかりましたけれでも、原子力発電の基本となるそのウラン資源の確保については、どういう考え方をいま進めているわけですか。これは日本の国内のウラン資源というものはごくりょうりょうたるものであって、これは外国にあくまで火力発電の場合と同じようにたよらざるを得ない現実だけれども、そのウラン資源の確保についてのいまの政策をお尋ねします。
  36. 井上亮

    説明員井上亮君) ただいま申しましたように、今後の原子力発電のテンポは相当急ピッチで進んでまいると思います。したがいまして、先生が御指摘になりましたような核燃料の確保ということが同時に大事な問題でございまして、私どもとしては、やはりこれが将来の電力の安定供給、あるいは継続的な安定的な操業の最も大きな問題であるというふうに考えまして、ただいま申しましたように、昭和五十年までに大体六百万キロワット程度——これは具体計画によりますと六百三十万キロワット程度の計画になるかと思いますけれども、六百万キロワット程度の発電所が昭和五十年までに完成されるということを一応前提に置きまして、それに必要な核燃料、これは現在稼働しておりますのはわずかでございますが、将来の問題でございますので、まず核燃料といたしましてはイエローケーキの段階で確保しておこうということで、先般電力会社共同でカナダからイエローケーキを昭和五十三年までに一万五千トンを買う長期の契約を締結したわけであります。イエローケーキ一万五千トンといいますのは約六百万キロワット程度の発電所が使います核燃料の大体六割程度、これによってまかない得る数量でございます。これをいまカナダと長期契約によりまして一応確保したというのが今日の現状でございます。
  37. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 トン当たりどのくらいですか、長期の見通しで。
  38. 井上亮

    説明員井上亮君) 値段は一応国際水準価格ということにいたしております。  なお、このイエローケーキだけでは核燃料として使えませんので、実際にはこれはアメリカのAECの政府設備でこれを成型加工していただきまして、それを輸入して使うということになろうと思います。いずれにしましても、原鉱を確保いたしませんと、将来の値上がり等のために不測の損害を招くおそれもありますので、そういった対策を講じている次第であります。
  39. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ウラン鉱の確保の問題、核燃料の確保の問題はわかりましたわけでありますが、問題は、発電所等を各地に施設される場合に、どこでも多くの反対があるわけです。こういう問題について私は非常に危惧の念を持つわけですが、政府の考え方も原子力政策の問題についてはばらばらの面がある、学者もまたばらばら、政治家もまたばらばらである、地元もまたばらばらであって、この原子力政策が、どうしてもこうなっていかなくちゃならない運命であるのにもかかわらず、日本のこの原子力発電あるいは再処理工場等々の問題については多くの問題をかかえているわけです。  私は先般外地を見て回りまして、実際に再処理工場あるいは発電所等を見せていただきました。特に水資源が豊富でありながら、火力発電のエネルギー源が豊富でありながら、なおかつ原子力発電に向かっているスエーデンのストックホルム郊外のアウゲスター、これはファルスター市というニュータウンの中にあるところですが、このアウゲスターの家庭電熱までも全部原子力発電でやっているということで、国内に六カ所の将来にわたる原子力発電計画を持っていま着々進めているといったようなことで、まわりの人が全然それに対して不安を持っていない、むしろこちらに来てくれということで誘致している。廃液の流れているところで子供たちが水泳ぎをやったり、魚釣りをやっている、こういう現実。あるいはベルギーが、OECDの各国に原子力関係の再処理工場をユーロケミクでつくって、再処理工場がどんどんと活動を続けている。その近辺には、千メートルも離れていないところに学校もあり住宅もあって、イタリーやルクセンブルク、ベルギーが競争して自分のところにこのユーロケミクの再処理工場を呼んだという、こういう現実もこの目で見てきたわけですが、なぜ私は外国で反対がないのか、こういうことをやるのになぜ反対がないのか、これを確かめたかったのです。しかし反対の声というものを聞けない。私たち政府がやることだからわれわれに決して間違ったことはやらないだろう、住民に聞いてみてそういう答弁が返ってくる。政府がやることだから私たちに不都合なことはやってくれるはずはないと言う。この考え方は、私どもはあらゆる政治の上で反省しなければならない問題だと考えるわけです。原子力に関しても、危険なことは同じですよ、危険なことは同じであるが、なおかつ政府が、事業家が、あるいは学者が、徹底的にそれをきわめ尽くして、国民が納得するような政策を具体的に打ち出しているということ。英国に行きましてもフランスに行きましても、あるいはイタリー等に行きましても、国会では原子力に関する専一家の話、学者の話を、月に一回ずつは必ず聞いて、原子力に対する国会議員としての教養を保ち、そして国民に理解させるという、こういう動きをやっている。それがすべての原子力発電に対して各地の摩擦もなくスムーズに行なわれていることを私は考えますときに、いま国がとろうとする、将来昭和五十年にわたって六百万キロワット、将来は三千万キロワットのどうしても核燃料というものを主体としたエネルギーを確保しなくちゃならぬ、発電をしなくちゃならぬということを考えていくときに、東海の原子力研究所のところに付設されようとする再処理工場の問題や、あるいは関西電力その他等々の電力会社がつくろうとするところに、各地に必ず反対の動きがあるということ、これは政府がもう少し考えを変えていかなくちゃならぬじゃないか。エネルギー政策を進めていくためには、あらためてそのやり方というものを、ものの考え方というものを、スタンドポイントをぴしゃっとしてかからなくちゃならぬじゃないか。そこで私は、通産大臣及び原子力局長にお伺いするわけですが、こういう観点に立ってまず第一に、国民に原子力の必要性というものを十分理解させる、PRして理解させていくための方策はどのようにとろうとしているか、この点についてお伺いしたい。特に原子力局長に私がお伺いしたいのは、政治家がいろいろな点でイデオロギー的に反対し、賛成するというのはこれは無理ないとしても、学者が相互に分かれて、これは絶対にだめなんだ、これは絶対心配なんだ、こう言うことは私はあり得るはずはないと思うのです。学者の皆さん方にどうして中正な意見でもって、原子力の必要性、原子力の現実というものを理解してもらって、それをどうやって国民の中にどう根をおろしていくかということの方策を、当然立てなければならぬと思うのですが、こういうことに対してどういう考え方を持っているか、お伺いしたいのです。
  40. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 原子力の問題について、私も各国の原子力の研究所をみな視察しておるのでありますが、各国に行きますと、国民にひとつも原子力に対しての恐怖心がない、まことにうらやましいと思っておるわけです。日本人が原子力に対して恐怖心を持っておることは、これはやはり日本は原爆の被害を受けたということが私は大きな原因だと思うのでございます。そこで、あのおそろしい原爆の被害ということがわれわれの頭の中に残っておりますから、原子力といえば即あの被害ということで、そういう点からいろいろな人が原子力発電所に対しても反対の声をあげたり何かしておると思うのです。したがいまして、原子力というものがそうこわいものじゃないということ、もちろんこれはこわい場面もありますけれども、今日各国とも町のまん中に原子力発電所をつくっている現状なんでありますから、したがって、そういうような損害を来たさないということを国民一般に教え込むということが必要だと思います。そういう点、まあ小学校時代からの教科書あたりにも、原子力の必要性、原子力はこわくないのだというふうな教育をする必要が私はあると思うのです。今日学者の間にはおそらく原子力発電所に対してそういう時代おくれの考え方を持っている人は大体ないと私は思っております。しかし、一般大衆は、ここに原子力発電所を設けてもらっては困るということで反対運動を起こしておることは日本においては事実であります。また、それに乗じていろいろな人が反対運動のリーダーとなってやっておることも事実なんですが、しかし、これは国民一般が原子力に関する知識さえつくとなれば、おのずからこういう問題は解消すると考えておりますが、しかし政府といたしましては、原子力はそういうものではないということ、原子力発電所はそういうような損害を及ぼすものでないということを、やはり政府自身としては国民に普及するように努力しなければならぬということが私はやはり先決問題だと思っております。でありますからして、今日はたとえば中部電力が三重県に発電所を設けることについて反対運動がありましたけれども、片一方では、静岡県ではこちらに持ってきてくれという運動を起こしておるのであります。でありますから、そういう点についてわれわれは極力啓豪運動を政府としてやらなければならぬというふうに考えております。そういう点についてひとつ皆さん方も御協力していただいて、決して原子力発電所はこわいものでないというような、ひとつ地元地元で皆さん方も啓蒙運動に御協力くだされば非常に幸いだと、こう存ずる次第であります。
  41. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大臣の考え方は、それはわかるのですが、しかし、これはいままで各大臣からもどの政治家からも聞いているわけなんです、PRしなければならぬ、国民に理解させなければならぬ。しかし現実に理解させる方法をどうとっていくかということを私は思うのです。たとえば外国の場合でも、あらゆることを想定しつつ、この原子力発電所も普通の化学工場と変わりのないものだという姿が国民の頭の中にしみ通るまでにいろいろの学問的な立場から説明するばかりでなく、現実的に生物的な試験、水の試験、魚の試験あらゆるデータを積み重ねて、煙突から出て空気を汚染することについてもデータを示しつつ、なるほどそれでは心配ないのだという、こういうふうに具体的にやっていかなければ、いくらこのパンフレットでもって、心配ありませんよと政治家が言っても——単に原子力ばかりじゃありません、日本のいまの政治というものは政治家の言うことと政府の言うことについて裏を勘ぐってみるのが日本国民の習性になっております。ましてや被爆国の国民的な感情からすれば、一応疑ってみる必要があります。疑って解けるものがあったときにはじめて理解が進められるものですから、具体的にそういうことを一つ一つ積み重ねていかなければだめなわけです。たとえば東海の場合においても放射線の研究所あるいは流すであろう将来の汚水の——当然流さなければできないわけですから、海域の汚染の調査もしなくちゃならないし、あるいは魚に及ぼす影響というものも臨海実験所をつくり——科学技術庁でこれは計画を持っておりますが、科学技術庁だけではだめなんで、通産省も農林省も一体となって総合的な予算づけによって一本の原子力政策というものができてこなければ住民は納得しないわけです。そういう政策を現実的に生み出すことが必要なんですが、大臣いかがですか。
  42. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) お話のとおり原子力がそれほどおそるべきものでないということを国民に普及するがためには、これは政府はあらゆる方面から説得しなきゃならぬと思います。通産省もやるし農林省もそういうことについての実験をいろいろやりますし、科学技術庁はもちろんおもにそういう点については皆さんに研究してもらっているということでありますし、また外国のデータを持ってきて国民にそれを教えるということが必要だと思うのでありまして、とにかく原爆という大きなわれわれは印象を持っておりますので、そこで、この原子力に対するいろいろのおそれ、恐怖心というものを国民から全部なくするということについては、これは努力しなければならぬ。外国ではそういう原爆の体験を持っておりませんから、したがって政府がもうだいじょうぶだといえば、それでもう安心して、みな納得するのでありますが、日本では一応やはり原爆というもの、そういうおそろしいわれわれ体験を持っておりますから、したがって、やはり一応疑っていくということであって、これは私はできるだけ各方面からひとつ力を尽くして、こういう啓豪運動をやるべきだと、こう考えております。具体的に東海村などをひとつ見学してもらったらいいと思うのです。特にこれから関西電力あるいは東京電力が発電所をつくりますから、そういうものをひとつ具体的にやってもらいさえすれば、私はだんだん国民が理解していくと思います。なお、私らの体験を言うと、古いことになりますが、私たちが子供のときは電気というものはなかった。エレキというものはこわいものだということで教えられた。電球のほやにさわることさえもわれわれはあぶない、そういう印象を受けてきた。今日では電気をこわいというふうに考える人はないのでありますが、当時の人はこわいというのです。したがって変電所などを設けることに反対したところもあります。それと私は同じ状態だと思うのです。やはり電気に関する知識は昔の人は持っていなかったために、したがって電気をおそれた。いわゆるエレキをおそれたりなんかしておったと思うのです。私が五十年前に海外留学しておったときに、どの家庭でも停電があると、すぐ自分でみなその修理をする。私は非常に感心した。われわれではとてもできやしない。一人ではできやしない。そんなものはさわってはいかぬという感じを持っておったのですが、それだけ外国人のほうが電気に関する知識水準というものがわれわれより上であるということを私は当時知ったのでありますが、それと同じ状態だと思うのです。これはひとつやはり年月をかしてもらって、やはり啓蒙運動をひとつやるということよりほかに私は道がないと、こう考えております。
  43. 村田浩

    説明員(村田浩君) ただいまの中村先生の御質問の第一点は、国民一般に対する原子力知識の普及啓発、こういった点に対して国は何をしておるか、特に原子力局の立場でどういうことをやっておるかという点でございましたが、不特定多数の国民の方々に直接私どものほうから具体的に働きかけて一々の方に知識をおわかりいただくような措置をとるということはなかなかたいへんなことであります。具体的に私どもといたしましては、原子力の産業数百社が集まって構成されております日本原子力産業会議と協力いたしまして、このような組織活動を通じて一般の方々に対する普及活動を行なう方向でやってまいっております。具体的には先生も御承知のとおり、東海村の原子力発電所あるいは原子力研究所の近くに普及センターというようなものが最近設けられておりますが、こういったところに対しましても、たとえば内部の展示品といったものについての国の援助あるいは原研以前の公社等から施設を借り上げるというようなことで、原子力産業会議で行ないます原子力知識の普及活動に対しまして、いろいろな形での協力をいたしてやっております。  それから、国民に原子力の正しい知識をいかに理解していただくかという点につきましては、私どもの経験からしても非常に大切だと思うのは、やはり若い人、青少年が非常に理解の力もありますので、青少年に対してまず重点を置くことが必要じゃなかろうか、そういう趣旨におきまして、文部省と御相談いたしまして、私ども原子力のほうから予算を取りまして、毎年全国を幾つかのブロックに分けまして、その地域におきます中学校、高等学校の理科系統の先生方を集めまして、そうして原子力知識の普及のための講習をやっています。これは私どもが主催してやっておりまして、すでに今日まで五、六年にわたってやってきております。急にその効果は出ないと思いますけれども、しかし、学校の先生方が原子力の知識を御理解を願い、その線で青少年に教育をしていかれるということの効果は、漸次あらわれてまいるものと思っております。それから第二に、最近、先生お話のとおり、各地に原子力施設を建設するというような計画が出ますと、すぐ問題になりますのは、その地方における地方自治体がその話に対してどういうふうに対処するかということでございますが、遺憾ながら先生指摘のとおり、これまでそういった地方自治体でも、必ずしも十分な原子力知識を持った方がおいでにならない。そのために話がごたごたすることがございます。そこで、実はこれはことしからの試みではございますが、同じく私どものほうが主催いたしまして、地方の自治体から適当な方を東京に集めていただきまして、そうして数日にわたる研修を行なう、このことを自治省と御相談して、自治省の御後援のもとに、ことしから実施いたしております。来年以降も引き続き実施することによりまして、地方自治体における職員の原子力知識の向上が期せられるようにいたしたい、こういうふうに具体的にやっております。  それから第二の御質問の点は、わが国の学者の中に、原子力の問題についていろいろいま御意見が分かれているような面がある、こういった点がなぜ一本にならないか、というような御趣旨であったかと思います。御承知のとおり、わが国における原子力施設、発電所でございましょうと、あるいはまた再処理のような施設でございましょと、燃料の加工事業でございましょうと、いずれも原子力委員会に置かれました専門家でもって構成される厳正公正な安全羅査を受けて、安全性が確認されではじめて建設が許可されることになる。その場合に、安全審査は、施設が置かれる場所との関係、つまり環境条件との関係につきましても当然十分審査をいたしまして、科学的な結論を得て答申をいたすことになっております。そういったようなことに関係しておられる学者の方々は、原子力委員会関係におきましても数十名になっておりますが、もちろん、この原子力委員会に関係しておられない学者の方々も多数おられます。結局、こういう学者の方々が、実際にその学問的な知識から判断して、原子力の安全性を問題にされるときには、その根拠となる科学的な数値、あるいは研究の結果というものが必要なわけでございますが、そういった点で私どもとしましては、これも文部省ともよく御相談をしてやっておるわけでございますけれども、こういう大学、そういうところにおける研究、さらに国立の試験研究機関における研究等におきまして、安全性に関連いたしましても、できるだけ多数の学者が、あるいは研究者がそういった仕事に参画できるようにやってまいりたいということで、措置をいたしておるわけでございます。最近経験しました私どもの具体的な例を申しますと、このほどようやく原子力船の母港がむつ市にきまりましたが、この青森県のむつ市の方々が一番この問題に対して不安をお持ちになっているのです。その御不安が、そんなふうに心配することはないのだということになりました理由の中に、現実に東海村のいろいろな原子力施設をごらんになり、いかに完備された安全施設があるかということをごらんになり、さらに周辺の市町村あるいは県当局の方々ともお話しになって、そうして地元がどのように原子力施設を受け入れておられるかということを知って、このことが非常に青森県の方々の理解を深める上に影響があったというふうに見られるわけでございます。したがって、私どもの努力はまだ小さいものでございますが、漸次これが拡大し、浸透していくということを考えて進めておるわけでございます。
  44. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 科学技術庁の努力は認めるのです。しかし、まだ足りなかったのです。もう少し積極的に国民にPRをする方法を考えて、それも通産大臣にもお願いしたいのですが、これは科学技術庁だけにまかせる問題じゃなくて、これは将来の日本のエネルギー革命からいえば、どうしても原子力というものを国民のものとして取り上げなければならない。だとすれば、通産行政の中でも科学技術庁との研究面、あるいはPR面を、もっと国民に定着するものとしての持っていき方をするために、各省がいまのようにばらばらな体制でない中で国民に理解してもらう方策をとっていくことを、特に私は要望するわけです。そこで原子力局長にさらに私はお尋ねしたいわけでありますが、先ほどのように、いま原子力発電所というものは各地につくられている。東海には原子力発電所ができて、すでに稼働している。高レベルの廃液の処分の問題等が、当然これは考えられなければならない、再処理工場という問題が浮かんできておるわけです。こういうものの再処理工場が、地元で東海を中心とする県議会や、あるいは地元市議会、市町村議会等で反対等が猛烈である。しかし外国へ行ってみて、再処理工場を見てきた代表者は、何で私たちが反対したかわからなくなった。これでわかった。こういうふうなことに結果的にはなってきているわけですけれども、しかし、それは見てくる人はわずかな人なんです。向こうへ行って買収されたかのごとくに考えられる。最も反対であった人も、行ってみて理解したわけです。そこで、東海に再処理工場がもしできなかったような事態になったらばどうするか。これをひとつまずお伺いしたいのです、その次の問題はあとにしますから。
  45. 村田浩

    説明員(村田浩君) まだ正式に政府として東海に再処理工場を建設するという決定はなされておりませんが、それは安全審査という一つの手続を経てから行なわれるということで、なされておりません。しかし、お話ございましたように、この事業を担当します動力炉・核燃料開発事業団では、東海の前の原子燃料公社の敷地内にわが国最初の再処理工場をつくるというプログラムで今日まで進んできております。また、私どももその線で早急に計画を実現させたいと思っておりますことは中村先生よく御承知のとおりでございます。そこで、これができないことになったらというお話でございますが、実は私どもできなくなるというように考えておられないわけでありまして、すべての対策、政策というものをできるように持っていきたいということで、目下せっかく努力しておるわけでございます。今後の原子力発電所の建設計画並びにそれから排出されてまいります使用済み燃料、これがどのようになっていくかということは、もう十分検討いたしておるわけでございますので、そういったものを国内で再処理していくということは、核燃料の有効利用という面から見ましても、ぜひともやらなければならないことでございますから、ぜひ周辺の方々、その他関係者の御理解を得て、既定の方針で再処理工場が予定の時期にできていくようにいたしたい、こういうように考えております。にもかかわらず、どうしてもまたそれができなかったという場合はどうかという点でございますが、それを私が申し上げるのは、いまの時期においてどうかと思いますけれども、たとえばといたしましては、海外で再処理をやっている施設もございまして、そういった海外における再処理施設に、場合によっては頼まなければならないかもしれない。しかし、私どもはそういうふうになるという考え方では現在ございませんで、ぜひ既定の計画で国内でやっていくようにしたい、こういうように考えております。
  46. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私ができなかった場合はどうするかという皮肉な質問をしておるのですが、皮肉ではないのです。私はあそこ以外にないと思います。しかも膨大な設計をして、あそこに適する設計をしているんですよ、もう。で、早くつくらなくちゃならない。地元も受け入れ態勢はできておる。もうしかし、隠した姿において、まだきまらないんだ、まだきまらないんだというのじゃなく、ここにきめざるを得ないのだという絶対的な条件をもって、あの地元の人を理解させる方策に持っていかなければならない。全力投球しなさいということを私は言っているわけです。おそらく反対をしておった人たちも、漁業の人たちにしても、あるいは政治家にいたしましても、行って見てきて、なるほど反対するものではないと、安全性が確保されておると、こういう点にいまなりつつあるわけです。ただ問題は、安全性という問題を越えて、東海に発電所があり、原子力研究所があり、もろもろの機関があって、原子力の関係の機関が非常に稠密になり過ぎておるのだと、稠密であるがゆえに、もっと過疎なところへ持っていくべきだという論が、いま大きく渦巻いておるわけです。この機関の稠密ということについてはどういうお考えを持っていますか。
  47. 村田浩

    説明員(村田浩君) 衆議院の科学技術特別委員会におきましても、この再処理施設計画についてのいろいろ御討議がございましたが、その際にも、原子力施設の適正な配置が必要じゃないか、こういう御意見がございました。適正な配置ということはどういうことかと申しますと、この中にはいろいろございましょうが、ただいまお話がございました、稠密といいますか過密といいますか、そういう考え方もあり得ると思います。そこで、この過密というのが具体的に何をさすかということでありますが、私どもはこのように考えております。つまり原子力施設を置きますときに、現在法律及びそれに基づく基準によりまして、周辺に、そこから、どういうことであれ漏れますところの放射能の水準につきましては、きびしい制限がございます。わが国の基準によりますと、年間において五百ミリレム以上の放射能が周辺の人に当たることがあってはいけない、こういう規定になっております。東海にはいろいろ原子力研究所の研究炉あるいは原電の第一号原子炉等ございますが、そういったところから、かりに少量の放射能が漏れましたときに、それらが周辺の人たちに対してどのくらいの放射能を浴びせることになるおそれがあるか、その点を厳重に規制をやっておりまして、そういうすべてが規制されたにかかわらず、たとえば施設が非常にたくさんになりましたために、一つ一つの施設はごく少量の放射能しか漏れなくても、数が多いために、総合すると、ただいま私が申しました基準にございますレベルを越えるおそれがあるというような場合は、これは確かに過密と申さなければならないと思います。しかしながら、ただいまの東海村の状況を見ますと、現在ありますあらゆる施設を総合し、さらにただいま計画中の再処理工場から漏れるかもしれない放射能の量というものを計算に入れましても、ただいま申し上げました基準というものから見て、まだまだ数分の一以下としか考えられないわけです。どんなに考えてもその程度しか考えられない——悪条件のもとに考えた場合のことであります。そういった点からしまして、東海村に再処理工場を建設いたしましても、これは私が申し上げたような意味での過密あるいは稠密ということにはならない、科学的に考えておるわけです。
  48. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がなくなったものですから、一つだけお尋ねします。  その前に資料をいただきたいと思うのですが、使用済み燃料の再処理及びこの廃棄物の処理の安全性等について国民に理解してもらう、私たちがよく納得できるような、そういう役所でできておる資料があろうと思いますから、後刻そういう資料をいただきたいと思うのでございます。  最後の質問は、臨海実験場というものを計画しておるようですが、これの規模及び将来の研究内容というものを、いま私が一番最初に、大臣に、あるいは局長に質問したというその趣旨から考えていって、どういう内容にこれを持っていくのかお聞きしたいのです。
  49. 村田浩

    説明員(村田浩君) この海洋における放射性廃棄物の処分、これがどのような影響を将来にわたりまして海洋並びに海産生物に及ぼすかという点を科学的に十分チェックしておかなければいけないわけでありますが、ただいま考えております放射線医学総合研究所の付属機関である臨海実験場は、いろんな点から考えまして那珂湊市の郊外といいますか、海岸に接触したところで約五千平米くらいの土地を手当てしましてそこに設けたい、こう考えまして、予算的には本年度すでに二千五百万円持っておりまして、来年度はさらに約九千万円を要求いたしておりますが、合わせまして一億一千万円余りをかけましてこの臨海実験場を明年度中に完成いたしたい、こう思っております。その中のおもなる施設は、大型あるいは中型の水槽でございます。大きな水槽は直径八メートルくらいの水槽でございますが、小さいものは一メートルくらいの水槽を二十くらいつくりまして、この中にその付近の海の水を入れ、付近の海産生物を飼いまして、そしてことさらに将来海洋に廃棄されることになりますアイソトープを大量に入れまして、実際に放出されるよりもずっと濃いものを入れましてそれが海産生物——魚とかその他のもの——にどういうふうに移っていくのかいかないのか、そういった点を実証的に確かめてまいりたい、こういう施設を考えておるわけであります。これまでも実はこのような実験研究は大学等に委託いたしまして、たとえば東京大学の檜山教授のところ、あるいは近畿大の西脇教授のところとかに委託研究の形でやってきていただいておりますが、これはまあ実験室内において水槽を使ったような形でやっておりますが、今回はいわゆる実規模といいますか、現実の条件に合わした形で大規模にやっていくことによって、ほんとうの意味での具体的な結果を確かめてまいるようにという趣旨でございます。この臨海実験場の計画は、私どもはただいま今年度から五カ年計画で進めております海洋における放射性廃棄物の処分に関する総合研究の一環であります。他の項目と合わせ六項目にわたる総額約五億円近い予算をもって行なおうという大規模の実験研究の有力なる一つをになうものと考えております。
  50. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がないですから、要望だけ大臣のほうにひとつお願いします。  いまお話のように、臨海実験場の問題、原子力発電のもろもろの問題、こういう研究を国民に納得させるための施設というものは、先ほど私が申しましたように、各省が十分協力体制を整えてもらいたい。特に原子力関係で外地等を見てまいりましても、たとえばタマネギの芽を出させないように、ジャガイモの芽を出させないようにコバルトを当てる研究であるとか、あるいはこれから生まれるであろう臨海実験場にしましても、魚の冷凍のためにコバルトを使うということ、こういうものまで当然研究課題にしていかなくちゃいけない。外国では食肉、魚、こういうものにまで研究が進められておる。したがって、総合的な立場からこういう研究主体を進めていただきたいということを、予算の際にも科学技術庁のほうにひとつ強力にバックアップしていただきたいと思う。以上で終わります。
  51. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは午後一時四十五分まで休憩いたします。   午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会
  52. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  郵政省及び日本電電公社の決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。当委員会に提出されております郵政省及び電電公社の決算概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。  なお、会計検査院の検査報告についても、説明を省略し、文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  55. 竹田現照

    ○竹田現照君 最初に郵政省にお尋ねをしておきますが、国会でいろいろと御質問をして御答弁をいただいているわけですが、どうも郵政省は国会の答弁だけで、実際の執行面では、そのことがあまりまじめに実行に移されていないということを私は指摘をせざるを得ませんけれども、とりわけ最近の郵政の労使関係等も反映をしているのかどうかわかりませんが、私ども野党の議員の質問にあまりまじめにこれを国会で答弁をしたようにそれを実現をする、そういう方向で進んでおらないということをたいへん私は残念に思うのでありますが、そういうことであれば、私どもの質問もそれなりに考え直して質問をやっていかなければならぬことになると思うのですが、五月の十五日、決算委員会の際も、郵政博物館の問題等を含めて小林郵政大臣から御答弁をいただきまして、そういう怠慢のないようにするというお答えでありましたけれども、その後、実際やってみますと、そのことは必ずしも改善をされていない。したがって、再びこの点について、郵政省側の国会の答弁をまじめに実行に移すという誠意をもってお答えになっておるのかどうか、もう一度重ねてお伺いいたしておきます。
  56. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 誠意をもって答弁いたしておるつもりでありますし、その実行も御趣旨に沿いたいと、かように考えております。
  57. 竹田現照

    ○竹田現照君 大臣から、重ねてそういう御答弁をいただいておきます。  たくさんありますが、時間の制約もありますので、重点的にお尋ねをしてまいりますが、まず、最初にまた十二月が近くなりまして、恒例の郵政労使の紛争が始まりそうであります。またまた年賀郵便等をめぐりまして、国民の皆さんにいろいろと不安を抱かせるような事態が、十分に想像されるのでありますが、ことしはいわゆる年末闘争について、年賀の混乱というようなことを回避をするために、郵政省当局としては、どんな対策をもっていま当たっておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  58. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは、私から基本的なことを申し上げますれば、それぞれの要望事項も出ておる。したがって、これを誠意をもって交渉に当たる、こういうことが基本的な態度でございます。
  59. 竹田現照

    ○竹田現照君 ところで、少なくとも郵政の労使問題というものは公共性をたぶんに有している、ほとんど公共性でありますが、最近、この省の管理者の中には、労使問題を重点に考えるあまり、省側がみずからの目的とするところが達せられない場合には、年賀はがきが元旦に配達をされなくてもこれはやむを得ないのだ、徹底的に労使との対決を進めるのだ、そういうことを昨年以来から言明をしておる郵政局長もおりますけれども、あるいは人事部長もおりますけれども、そういう基本線でこの問題に臨んでいらっしゃるのですか。
  60. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 年賀はがきは元旦に配達さるべきである、またさようになるようにわれわれも対処する、こういうことでいまのような投げやりのことは申しておりません。
  61. 竹田現照

    ○竹田現照君 実際に、人事部長訓示なりあるいは郵政局長の話の中で、そういうことが現実に出ている。そうなってまいりますと、いまの大臣のお答えと下部の行政の第一線に立っている方々との間の意思というものは、必ずしもすっきりしたものにはなっておらないのだ。私も、少なくとも行政の任にある責任者がいまお話をしたようなことを軽々に発言をするということは、これはゆゆしいことだと思うのです。しかし、これから予想されるような問題でも、たとえば、札幌のような場合、去年もいろいろと紛争がありましたが、組合側の譲歩で、昨年は十二月の二十六日ですか、問題が解決をしておりますが、あれは、わが方は徹底的にやるつもりだったのだが、組合が引いたからやむを得ないのだ。これなどちょっと話があべこべのようなんであります。現に、そういうようなかっこうで指導をしている管理者、大臣の真意と、私は必ずしも違う。こういうことについて省の対策として何らかの措置をとっていただかなければ、これはやはり問題が将来に残ると私は思います。こういう点について大臣どうお考えですか、実際にこういう事態があるわけですから。
  62. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは結果的にであれ、物理的にそういう事態が発生するということは、必ずしも絶対ないとは申せませんが、私どもも、そういうことのないようにするためにいろいろの措置をすべきであると、かように考えております。
  63. 竹田現照

    ○竹田現照君 私もそう思います。結果的に労使紛争が混乱をして、そういう事態が起こるということはあり得ることであります。しかし、頭からいま言ったような形で年末対策というようなものが組み立てられているとすれば、これはもう全然話のほかであります。厳重にこういうことについては、省として、そういうことには明確な方針というものを指示をしておく必要があると私は思いますが、そういうことをなさる御意思ありますか。
  64. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは、もう当然なことであります、お話の様子からすれば。
  65. 竹田現照

    ○竹田現照君 わかりました。これは昨年もそういうことでありますし、ことしも現になされようとされつつありますから、具体的な事実の起き得ないように、厳重な措置をとっていただきたいと思います。  それと、これは昨年の郵便法審議の際にも、私と当時の郵政大臣の郡さんともいろいろと問答があったのでありますが、郵便料金の値上げが国会を通った暁には、郵政省は挙省一致、国民の負託にこたえるように事業の運行をはかっていく。このことについては、労使ともにそういうことについて賛意を得ているのだというお話がありました。ところが、最近の現場の状態を見ますと、当時のこととはいささか趣を異にしている。これはもう労使問題でなく、使用者自体の中にも、たいへん時代錯誤もはなはだしいということなんですが、いま私が、お聞きしたと同じようなこと、思想がどういうふうに出ているのかしりませんが、上司の命令というものは、法令に違反するということがはっきりするまでは、それに反した者には行政処分をする。こういうことをいろんな場所で言うものですから、労使慣行というよりも、管理者の中にすら、下意上達なんていうことが行なわれなくなりつつある、あるいはまた同じ逓信委員会で、私は当時の官房長にもお聞きをいたしましたが、部内を退職されたいわゆる先輩の経験者の皆さん等が、いらっしゃって、いろいろな御意見を聞くということは、郵政省としても歓迎をすることです。そういうことも当然やっていかなければいけないというお答えをいただいたのであります。ところが、最近そういうような人の訪問すら、はなはだ迷惑顔をするために、そういう先輩の方々も、郵政局のえらい人のところには、顔を出すということをだんだん遠慮をするように、やめることにしましたということを私は聞くのであります。これはたいへんなことだと思うのですが、大臣、そこまでお知りにならぬと思いますけれども、こうまで、このいまの事業運営について下部の郵政局長あるいは出先の部長等々に、こういうちょっと昔軍人勅諭か何かに書いてあったようなものの思想で、業務運行の責任ある立場を貫き通せというようなことを指示されているのですか。この点についても、はっきりひとつお答えをいただきたいと思います。
  66. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) いまの先輩云々のことは私はよく存じませんが、労使関係というのは、お互いに節度を持つべきもので、相互の問題であって、上司といえども節度を持って適正な指示をするということは当然でありまして、その間に無理を言うとか、あるいは道理に違うことを指示するということはあるべきでない、これは当然のことであります。
  67. 竹田現照

    ○竹田現照君 人事局長、いま私がお尋ねをしているようなことはお知りにならぬかと思いますが、よもや郵政省は、そういう時代錯誤の管理者教育というものをなさっておるとは思いませんけれども、そういうようなことを実際に私は知っているわけです。当面の人事なり、そういうものを担当されておる責任者として、そういうようなことを何か指導されたことがあるのですか。ないとすれば、現実にこういうことが起きていることについて、どう改善されようとなさっているのですか。
  68. 山本博

    説明員山本博君) ただいま御指摘になりましたような先輩云々の話につきましては、私も詳細のことを存じておりません。なお現地によく照会をいたしまして調べてみます。  それから業務運行の問題につきましては、管理者に対しましては、国民に対して管理者が持っている責任、こういうものは十分に果たすようにということについては、十分かねがね指導いたしておりますが、それは下意上達という面をふさぐというようなこととは全く関係がございません。管理者としてのあるべき責任というものを果たせということは当然のことでございますので、これは指導いたします。下意上達をふさぐ、あるいは従業員の意見を十分聞くというようなことについて、これを閉ざすようなことはいまだかつていたしてもおりませんし、むしろそういうことはよく意見を吸い上げるようにということの指導のほうは十分いたしております。
  69. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、本省の指導と地方の出先との行ない方というのはまるきり違う、こういう違い自体というものを、私がいま質問をして明らかなんですが、調査をして善処するというのでなく、そういう事態が起きていることについていかなる措置をとっていただけますか。何らかの措置をとっていただけますか。
  70. 山本博

    説明員山本博君) 労使問題は、ただいま大臣が申し上げましたように、これは相互関係でございますので、たとえば先ほど例にあげられました年末年始の業務運行の問題にいたしましても、私たちは国民に対する責任として、管理者は年末年始の業務運行をぜひとも円滑にいくようにということは十分指導をいたしておりますが、これはそれぞれの地方の労使の状況によりまして、こういう方向というものが円滑にいくときと、それから多少渋滞をするときといろいろございます。結果としましては、うまくいく年もあれば、多少国民に迷惑をかける年もあるということが結果として出てまいります。しかし、その過程におきまして、それぞれの地方の労使の関係におきまして、全国一律にいくというわけにまいりません。多少でこぼこがございます。いまおっしゃったような事例というものを私はいま全部つまびらかにいたしておりませんが、おっしゃったような事例があるかどうか、なおよく調査をいたしまして、本省の方針と違うという点がはっきりいたしましたときには、それを是正するように措置いたします。
  71. 竹田現照

    ○竹田現照君 いろいろと郵政省と私どもとのやりとりの中では、いつもそういうようなことで、皆さんのほうの善意を信頼をして大体おさめてきておりますが、冒頭お尋ねをしたように、これはもう私どもとあなた方との間のやりとりの場だけで、実際はそういうような形において行なわれておらない。それゆえに冒頭私がお尋ねをしたようなことを言わざるを得ないわけでありますが、まだ具体的に——これは労使の問題ばかり私は言っているのではないのです、いわゆる管理者と言われる人々、末端の局長や課長まで含めて、北海道なんというのはびくびくものですよ。労働組合のあるほうはまだ元気ですけれども、経営者のほうなんかびくびくものなんです。こういうようなことでは、私は事業の運行というものはできないと思って、心配しますから言うのです。同じ国会議員でも、われわれのように野党の出身で、しかも組織の出身の議員となんかちょっと話が通ずるなんという傾向だなんというと、これはまたどこかに飛ばされますからね、おそろしくてものを言えないというのがいまの実情ですよ。多少オーバーのような言い方をしていますけれども現実なんです。全逓のストライキが違法だ、反対だと言えば、全部課長になったり、主事にしたり主任にしたり、林野庁が二、三年前やったようなことをやっている。ああいうような人事をいま行なっているということになると、もう二、三年もして、ストライキは反対だ、反対だという者がたくさんいたら、どこまで課長にしてどこまで役付にするのか、郵政省はどのくらい定数をふやすのか、いまにパンクしてしまうのではないかと思います。そういうことが、いま現実に行なわれていて、たいへんなごやかならざる空気が北海道をおおっておりますから、あえて私は心配いたしますので申し上げておくわけです。早急に対処をしていただきたい、こう思います。  それで、今度は具体的な問題についてお尋ねをいたします。きのうも黒柳委員の御質問で、年賀はがきのことについて郵務局長からの御答弁がありましたが、たいへんことしは売れ行きが不振のようであります。特に募金つきのはがきが不振だ。たしか小林郵政大臣だったと私記憶するのでありますが、間違っておりましたら、お許しをいただきたいと思いますが、この募金つきはむしろ廃止をしたいというような考え方を発表された方がいらっしゃると思うのでありますが、とにかく赤い羽根の問題以来、募金というものについて、たいへん国民全体が大きな不信を持っているこの時期、そういうものと一脈相通ずるのが、ことしの募金つきはがきの売れ行き不振なんということにも通じているのではないかと、こう思いますが、この募金つきの年賀はがきの売り出しというようなものを廃止をされるというような考え方は現実問題としておありなのかどうか、これを最初にお聞きいたします。
  72. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 私は一般的に申して、郵便局員にふだん募金などの迷惑というか、そういうわずらいをかけたくない。したがって一般的に申せば、募金つきのはがきなどの発売はやめたい、こういうふうに考えております。ただ、年賀郵便だけは一つの例外として、一種の国民的行事みたいなものになっているのではないかと、かように考えておりますので、年賀郵便に募金つきのものをやめるというような考えは、いまは持っておりません。
  73. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、ことしは募金つきと、つきでないのとの比率がまるっきり違ってまいりましたけれども、ことしの結果を見なければわかりませんけれども、これは漸次減らしていくという方針なんですか、募金つきを。
  74. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これはやっぱり発売の関係がありますから、国民の需要に対する一つの観測をしなければならぬ、こういうことになりますので、売れ残りがあまり出そうだというようなことがあれば減らさざるを得ない、こういうふうに思うのでありますが、われわれのほうから故意にこれを減らしていこうと、こういう考えは持っておりません。
  75. 竹田現照

    ○竹田現照君 今度郵政省告示で、募金委員会との関係を抜きにして郵政省だけで募金の金の配分をやられるそうでありますが、一般の国民は一円のついていないものがあれば、それを買うことをむしろ欲している。それが十億なら十億に限定をされているから結局売れ残ってしまう。一つの慣習のように、お年玉のはがきでなければかっこうがつかないという一つの習慣になっています。結果的には国民は募金つきというものを国民の意思というよりは強制された形で買わされているというのが現実ではないかと思うのですね。もし政府の機関が、そういうようなことをやるのであれば、専売であるところのたばこにも募金をつければいいだろうし、あるいは年末年始の国鉄の乗車券につけてもいいだろうし、いま大臣がおっしゃったように郵政の職員だけにこういう仕事をさせているということはあまり感心しないと言われるのであれば、結果的に、いま強制されているような形になっている募金つきはがきの発行というのはむしろ再検討されてしかるべき時期ではないか、そう私は思うのです。いかがですか。
  76. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これらの、たとえば来年明治百年とかあるいは万国博覧会とかいろいろな問題でやっぱり募金つきのものを出してもらいたい、こういうのがそれぞれの向きからございますが、かようなことはできるだけ私はお断りしたいと、こういうふうに思っております。ただ、年賀はがきだけはせめてこれはお年玉と、こういうことで長い間の一つの慣習でもあるし、国民がある程度期待されていると、こういうことであるからして、このほうはひとつ継続をさせたいと、こういうふうに思っております。ただ、いま、たとえば寄付金のつかないものにまでお年玉を差し上げている、賞品を差し上げていると、こういうことについては私はいかがかと、こういうことで、できたら来年度等は寄付金のついたものをさような賞品の対象にしたい、こういうようなことも考えております。また郵便局といたしましては、とにかく相当な御苦労をかけてこれを発売しておると、しかしせっかく局員の労苦の結果集めた寄付金に郵便局ないし郵政省が全然タッチをしないと、こういうことは非常にこれは張り合いの悪いことでもありまするし、われわれの力でもあのくらいの金の適正な分配はできるだろうと、こういうことでわれわれはこれらのことを中央募金会におまかせすることはやめたい、そして郵政省が郵政局なり郵便局の意見等を集めて、そしてこれの配分もしたら局員においてももっといまより張り合いが出てくるだろう、こういうような考え方もあってまあ、集めたものは集めたところで世間の期待に沿うような配分をしたらどうか、こういうことで来年度あたりからは、そういう方向にぜひもっていきたい、こういうふうに郵政省では意見をきめておるところであります。
  77. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、通常郵便物の中に占める年賀郵便の比率というものは、かなりウエートが高くなっていますが、四十年度決算ですから、四十年度決算書を見ておりますが、四十一年度等は四十年に比べてどれくらいふえて、その比率というものはどういうことになっているのか。さらにまた今年度はどれくらいふえて、そのことに対して、どういう手だてをし、それが郵便事業の収支面に全体の中でどれくらいのウエートを占めているのか、おわかりになればひとつお示し願いたい。
  78. 曾山克已

    説明員(曾山克已君) 昨年度におきます通常郵便物総体の中で、年賀郵便の占める比率を先に申し上げます。昨年度、総体郵便物は九十八億でございました。その中で年賀郵便の占めます数が十五億四千万でございました。ことしはいかがかと申しますと、いま年度途中でございますので、全体の物数は予測つきませんが、私どもとしましては、百三億は郵便物が出るだろうと思っております。その中で占めます年賀郵便物は十六億四千万というぐあいに踏んでおります。なお、したがってこれからおわかりになりますように、収支の面におきまして、ことしの例で申し上げますと、千七百十五億の予定収入をいたしておりますが、年賀郵便物十六億四千万に七円をかけましたもの、つまり約百十数億はその中に示めるということになるかと思われます。
  79. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、四十年度に比べて四十一年度というのはあまり大幅な増というものが、年賀に関する限りでは、一般の通常郵便物に比べては少なくなるのですね。決算書に書いてあるのは四十年度は七十五億九千五百十四万七千、そのうち年賀はがきは十五億一千六百万、いまの郵務局長のお答えですと、九十八億、約二十三億ふえていますね。それで年賀が十五億四千万ということになると、三千四百万しかふえておらないということになりますが、ことしは、それが十六億四千万というと一億ふえるということになりますが、去年は、歴年ずっとしばらくの間見ると一番減っておりますね。これ間違いありませんか。
  80. 曾山克已

    説明員(曾山克已君) 御存じのように、昨年は料金値上げをいたしまして、従来四円と五円のはがきでありましたものを七円と八円ということで年末発行いたしたわけでございます。したがって、先生指摘のように、昨年の年賀郵便物の分がわりあいに例年に比べますと少のうございます。
  81. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、郵便料金値上げ後の郵政経理というものは、いまの郵務局長のお答えのようにかなりのウエートを持っている、この年賀郵便の、これは全く見込み違いでしょう、三千四百万ということになると、例年一億くらいずつふえていっていますから。これはどういうふうにはね返ってきましたか、去年の料金の値上げで。だいぶ見込み違いを生じたんじゃないですか。
  82. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) まず、四十一年度の郵便料金値上げとの関係でございますけれども、総体で千五百二十七億を予定いたしております。そうして総体で二十八億ふえておりますから、千五百五十六億ということが郵便業務収入になっております。  それから先ほど来、年賀郵便ということで議論されておりますけれども、ただいま郵務局長が申し上げたのは、年賀時に出される通常郵便物も含めての物数でございます。実は年賀郵便ということで、四十一年度は十億六千万枚ということで予定いたしております。が、それ以上に発行したものもありますけれども、そのほかの通常郵便物数おも年賀時に差し出される年賀ということで積算しておりますので、先生がおっしゃったような数字の違いというのがあるものと思います。
  83. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは、ちょっといまの御答弁おかしいじゃないですか。十億六千万しか予定をしておらなかった。去年はたしか十三億出したんじゃないですか、年賀はがき。
  84. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) そのとおりでございます。
  85. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、いまの御説明とどういうことになりますか、十億六千万しか予定してないのに、現実に郵政省が発行したのは十三億ですからね。郵務局長のお答えは十五億四千万、私製はがきその他を見ますと二億四千万ほどふえております。十億六千万という数字はどこから出てきたのですか。
  86. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 十億六千万というのは、予算の数字でございます。したがって、予定収入千五百十七億という場合には、年賀は十億六千万ということで実は予定を立てておるわけです。それに対して発行したのが十三億と限定しますれば、その差額分は増収分になってまいります。
  87. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、去年私が逓信委員会で郵便法改正のときにいろいろとお尋ねをしたときのお答えとは、だいぶ郵政省は料金値上げのいろいろと私どもに説明をしてきたこととはだいぶ違っておったのですね、収入見込みが。結論として。
  88. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 郵便料金の値上げの際は二八、八%の増収率ということで、その総額が二百八十六億ということで説明をしたかと存じます。したがって、その分を含んで千七百十五億でございますので、その増収分は予算に予定したものよりよけいに発行した分、あるいは物数の増というものでございますので、必ずしもそのときの説明と違ったというふうには私承知いたしません。
  89. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは四十一年度なんですから、また来年に入って四十一年度のときにやりますから、そのときには……。いまはたいへん歯切れの悪いお答えになっているわけですから、だからあまり歯切れの悪い答弁をされると、そのときにお困りですから、ちょっとじっくりつじつまの合うように答弁してください。
  90. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) はい。
  91. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、そのときもお聞きいたしましたが、五年間郵便料金を上げなくてもいいということだったのです、去年ね。  それで、年賀はがき等に関連してお聞きをいたしますが、これにしぼってお聞きをいたしますが、はがきの推定原価というのは、六円九十一銭だということの御説明がありました、去年。その後の物価の上昇、人件費の増、こういうものを考えて、現行のはがきの推定原価というのは幾らになっておりますか。
  92. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 実は、原価計算がただいま出ておりますのは、四十年度まででございまして、目下四十一年度については計算中でございますので、正確な数字を申し上げられないことを残念に思います。
  93. 竹田現照

    ○竹田現照君 四十年度は幾らですか。いまのお答えはちょっとインチキだな。
  94. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 四十年度の第二種の単位原価は六円二十一銭でございます。
  95. 竹田現照

    ○竹田現照君 上原さん、あなたそういうお答えをしていますがね。四十一年度は計算中だと——去年、当時の浅野経理局長は、私の質問に答えて、「四十一年度の推定原価は六円九十一銭であります」、かりにこれが「七円になったといたします」と云々というお答えがあったのですよ。去年の逓信委員会で、私に答えた四十一年度の推定原価というのはインチキだったのですか。
  96. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) インチキということはございませんで、実は三十九年度から推定いたしまして、そしてまあこの上昇率とか物数の構成割り合いとかいうことで推定した原価でございます。したがって、そういった数字が出たのだと思いますけれども、四十年度について精密な原価計算をやったところが六円二十一銭だということで、四十一年度はこれより高くなろうかと思いますが、そのときの推定原価との間にどういうふうな違いがあるかは、違いはあると思いますけれども、それはどれだけ違うかということは、いま申し上げることはできないのでございます。
  97. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは郵便法審議のときには、去年私の質問は五月十二日ですよ。四十一年度はね。去年ですが、そのときに四十一年度の推定原価が六円九十一銭と御説明ができて、いま十二月にならんとして、予算編成をされるという段階で、私はその後の人件費、物件費等の増から比べて、現在の推定原価は幾らだということをお尋ねをしておって、できないというのはおかしいじゃないですか。
  98. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 現在の正式な原価計算による単位原価はお答えできませんというふうに申し上げました。で、じゃ推定ではわかるだろうということでございますけれども、四十一年度の推定原価というものは、実は率直のところいま持ち合わせございません。それはすぐ推定いたしますけれども、先ほど私の申し上げたのは、四十一年度の正式の原価計算はいま計算中でございますということでございますので、御了承願いたいと思います。
  99. 竹田現照

    ○竹田現照君 大臣、去年の郵便法のときにここでちょっと中断したのです。それで半月も逓信委員会は開かれなかったのですけれども、ぼくは別に意地悪い質問しているのではないのですが、どうもわからないのです、それは私の言うのは、この郵便料金の値上げのときに審議した推定原価六円九十一銭、それが七円に値上げするということになると、わずかに一枚につき九銭ですね。それがことしの仲裁裁定、その他これからも想定されるであろう賃金の上昇、こういうようなことを考えたときに、五年間郵便料金は値上げしなくてもいいのかという質問をしたのです、去年。このことは大幅な変更を来たすのではないかということを私は心配するから。郵政省は、郵便法を改正するときだけ適当なことを言って、またその後何とかかんとか理屈を並べている。また郵便を上げるということのそしりを免れるために、そういうことの言われないように。現に去年九銭しか利ざやがないのに、五年間はそのままできるのかということが心配でしたから、去年聞いたのです。ところが一種、二種というものは黒字だと、去年私が心配したのは、三種の赤字が、料金値上げをしても、ますます赤字になるというきっかいな料金値上げの案というものは、ちょっと国民には了承できない値上げ案だということを、私は指摘しているのです。それを黒字になるべき一種、二種にだけしぼってあれでありますけれども、それがほんのわずかしかないのに……。それでは去年五年間値上げをしなくてもいいということは、われわれはそのまま信用していいのですか。
  100. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 私は、その当時の事情はよく存じません。実は私は郵便料収入というものは非常に心配しているのでございまして、昨年私は就任以来郵便の収入状況というものには、もっと従業員全体がひとつ自信を持つべきであるということを私強く指示してまいっておりますが、その後の情勢を見ますると、やはり予定収入に比べて非常に少ない、こういうのがいままでの事実でございます。今後一年間計算しなければまだわかりませんが、どうも私の心配がそのとおり出てきておりまして、むしろ現在予定収入に比べて毎月赤字である。こういう状況でありまして、私はただいまの要するに、郵便料金値上げによる収入減、あるいは利用減、こういうものに対する見通しが間違っておったんじゃないか、こういうことを考えておるのでございまして、収入の確保というものについては、いろいろな点を考えていかなければならないと思っております。この状況は、まだこの年度全体を通じて見なければわかりませんが、われわれの予定したものにはとうてい及ばない。こういうことでありますので、五年というようなことを当時としては、一種のそういうお約束か、努力目標か、これは私はいまわかりませんが、実際はなかなかその間はだいじょうぶですと言うほどの自信が持てないような収入状況である。こういうことだけいま申し上げておきます。
  101. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは経理局長去年ですね、値上げの際の御説明で、計算上五年間千九百四十四億円不足額が出てくる、したがって、郵便料の値上げというものはぜひ必要である、こういう説明であった。いまの大臣のお答えでは、もうそれが千九百四十円億円で充足することには、だいぶんほど遠いという状態で、毎月赤字ということになってくると、そうすると、これは原価計算だとか何とかではない、そういう推定ですからね。これから五年間に限って、一年間済んでしまっておりますから、どれくらいの不足を来しますか。
  102. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) どれくらいの不足を来たすかということで、正確な数字で申し上げられません。実はまだその資料を持ち合わせておりませんが、検討したいと存じます。
  103. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは事業の経営者ですからね。料金を上げて一年後の収入が、いま大臣お答えになったように、まるきり見込みが違ってきたということになれば、千九百四十四億円の赤字というものは、いまこのままの状態で進むならば、これが千億くらいしか充足できないとか、千五百億しか充足できないということは、これは普通の中小企業の店だって、そのくらいの計算はしておりますよ。それを全然計算をしない、検討していますといったのでは、これは事業の経営者としてはちょっとおかしいのじゃないですか。郵便料金の値上げというものは、近い将来、電話料金に引き続いて出てくるのじゃないかということを私は心配するのですから聞いているのです。お答えできないですか。
  104. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) ただいまの数字につきましては、でき得る限り資料を集めて推定の見込みを立てたいと存じますが、郵便料金値上げということになりますと、いろいろと検討すべき要素がございますので、その面も勘案いたしまして、推定に当たりたいと思っております。
  105. 竹田現照

    ○竹田現照君 曾山郵務局長、去年は、長田当時の郵務局長のお答えですと、去年の審議のときには郵務局長も人事局長をしておって、上原さんはいらっしゃらなかったので、われわれとのやりとりは御存じないでしょうけれども、私とのやりとりは御同席になっておられた郵務局長は、これはどういうふうにお考えですか、私のいまの質問について。
  106. 曾山克已

    説明員(曾山克已君) 当時の料金値上げ案によりまして、もう何年間持たせるかということにつきましては、確かに先生おっしゃいましたように、当初三年ということで計算いたしましたものを若干変更いたしまして、数字等もいじりましたあと、さらに五年間を努力目標にしようということであったことも、私も当時所管でございませんでしたが、委員会の席上で承っておりました。ただ先ほど大臣がおっしゃいましたように、昨年料金値上げいたしましたあと、今年の収入予定を千七百十五億と申し上げましたが、これを各月に割り振りまして、収入予定を立てておりますものが、率直に申して、そのとおり伸びておらないという姿であることは事実でございます。もっとも十月には、それが回復いたしまして、私ども、十一月、十二月と月を追って後半になるに従って回復してまいり、千七百十五億は、当然私どもとしましてもそれだけの見込みを立てましたことでもありますし、従業員とともに目標の達成に努め、またそれを実現することを信じております。来年は現在予算要求の最中でございますので、私どもとしましては、一応千八百十五億という郵便収入の目標を見込んでおるわけでございますが、これにつきましてもこの算出の根拠は少し多過ぎはしないかということを言う方もあります。私どもとしましては、一応この算出に当たりましても過去の計数値と、それから先ほど先生指摘になりました昨年の料金値上げ当時のいろいろ計数等を勘案いたしまして立てた数字でありまして、決して無理な数字と思っておりません。さようにいたしますと、少なくとも来年度の私ども郵便収支はバランスがとれるというぐあいに考えておりますし、来年度まで見ますと三年でございますので、それじゃ四年後以降どうかということにつきましては、先ほど経理局長申しますように、十分私どもいろいろな要素を勘案いたしまして、たとえばこれにつきましては、先生承知のように、局舎の建設計画を立てるにつきまして、どのように考えていくかというような問題などが一つの要素になるわけでございます。そういった問題等も勘案いたしますならば、私どもとしては、当初五カ年の目標を立てた以上は、やはりそれに沿って努力をしていかなければならぬというぐあいに考えておる次第でございます。
  107. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは一月早々に四十一年度決算審議を行ないますから、私たちは。ですから、いま経理局長、郵務局長いろいろお答えになっていましたけれども、推定も何もできていないというのでは、特に私としても遺憾なんですが、大臣のお答え、収入見込みが違っているということになれば現在の特別会計のたてまえに対する政府の考え方からいけば、当然に料金値上げというものは出さざるを得ない時期が近い将来出てくるということだけははっきりしているわけです。しかし、去年の七月の国会で通ったときに、この料金を上げればこれこれ、いま郵務局長のお話があった局舎の建設あるいは郵便配達その他についての国民に対するお約束が、このお約束があるのです。皆さんこれが果せないということになれば、もうすでに初年度に狂ってきているわけです。ですからそういう収支の見込みについて臨時国会には出てくるでしょう、四十一年度決算報告が、ですから、一月早々に審査に間に合うようにひとつ郵政省、その点についての資料を出していただきたい。その後また二月ぐらいあとに、この問題についていろいろとお聞きをいたしますから、出せますか。
  108. 上原一郎

    説明員(上原一郎君) 資料を作成いたしまして出すことにいたします。
  109. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはあまり糊塗しないで、素直な形で出してくださいね。また、五年という約束したのをインチキしたじゃないかということをたたかれることを恐れて。赤字なら赤字でしょうがない、狂ってきたのですから、その上に立って、そういうことになってきたら局舎の建設、国民にお約束したこうこうこういう郵便の施設についての実行が不可能になってくるというお答えも含めて出してください。それでひとつ、あとの時間がありませんから、二、三しぼって……。  局舎の建設の問題について、これもやはり郵便法のときに、いまの郵務局長、当時の人事局長としてのお答えであります。局長の任用、特定局舎の建設というものは必ずしもうらはらのものではない。特に特定局長の任用というものは、地域社会を中心として運用していくのが原則である、そういうお答えでありました。会議録を読めば一番いいのでありますが、時間がありませんから読み上げません。しかし、最近の局長任用というものは、この原則を大きく変更してきているのじゃないか。これは地域によって違うかもしれませんが、私の選挙区の北海道なんかに見てみますと、これは冒頭お尋ねしたこの労働問題を最重点に考えて、極端にいえば、このごろ郵政省には労務問題あって業務なしと言ったほうが適切ではないかと思いますが、地域社会中心というのは、その局長というものは、くされ縁があって労働問題が片づけられない、そういうような考え方があって、こういう任用をしているのかと思いますが、かなり大幅な広域人事をやっております、特定局長の人事を。そうすると、これは人事局長の所管なんですけれども、去年の五月にお答えになりました任用の原則、これは原則だから、例外もあるという御答弁で逃げられますけれども、おそらく原則はそのまま貫いて、例外はほんとうに例外である。ところが、私は例外でない。最近の人事のあり方を見てみますと、省の方針というものは変わったのですか、局長の任用。
  110. 山本博

    説明員山本博君) 従来立ててございます原則から変更したいというふうに考えておりません。そのようなこともいたしておりません。
  111. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、これはむろん人事というものはすでに発令になってしまっておりますから、私が一々説明する必要ありませんけれども、私がいま指摘をしたかなりの広域人事というものは、この原則をはずれていますよ。地域社会を中心にして任用をするというその原則であれば、その土地に何の縁もゆかりも、何にもない、それがぼこぼこ、この広域人事がやられているということは、私は、この例外の乱用だと思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。具体的には、いずれ、この委員会でなく、直接お話しします。
  112. 山本博

    説明員山本博君) 具体的な例をお聞きいたしてから御返事をいたしたいと思いますが……。
  113. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは、今度、局長の任用と局舎の関連というものは、これはうらはらなんですけれども、ことしの五月の十五日に、私は都市の、とりわけ、普通、特定郵便局の建設というようなものは、地価高騰、その他も考えて、もう局長になるべき者が自主建設をするというようなことは限界にきている、あるいはきつつある、したがって、これは、無集配特定局なんというものは国では建てないんだというような原則というものはまかり通らぬだろう。それはまあ小林郵政大臣も、どの程度までの都市を判断をされてお答えになったかわかりませんけれども、漸次そういうようなことも考えられるので、無集配局といえども国費でもって建てなければならないような状態になってきている、あるいは普通局の分室等もつくるというような方法というものも考えなければならないというお答えがありました。ところが、そういう大臣のお答えにもかかわらず、実際は、この私費建設というものが、局長任用のまず第一の条件というものになっている。おまえは局を建てれるか、自分で建てれるかどうかということが、局長に任用をする際の一番先に聞かれる状況になっています。これはちょっと話が違うんじゃないかと思うのですが、いかがですか、こういうことは。これはどこの所管かな……。
  114. 曾山克已

    説明員(曾山克已君) 郵務局長がお答えします。  御指摘のように、大都会等で自費で建設することがほとんど不可能のような場所もございます。たとえば東京の都内の中心地減等におきましては、地価が高くて、したがって、本人が、特に、平家等でこれを準備するというようなことなどは、これは不可能でございます。そういった場合には、私ども、地域社会の事情とどうしてもマッチしないという場合には国費で建ててもかまわないという例外を認めております。ところが、一般的には特定局長——別に任用とは、絶対にこれを私的な条件づけはしておりませんが、一般的には局長にまず局舎をさがしてもらう。それは必ずしも自費建設でなくてもけっこうでございます。あるいは借り入れでもけっこうでございますし、責任をもって局長にさがしてもらうということは従来ともやっておるわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、従来の方針が何か変わったというような点もございませんし、また、私どもとしましては、さようなことは考えておらぬ次第でございます。
  115. 竹田現照

    ○竹田現照君 ここでやりとりをやりますと、そういう紋切り型のお答えなんですよ。しかし、実際はそうではない。私も具体的な例を知っていますが、これも都市です、昔からの市です。この中でまずそういう条件——いま郵務局長のお答えというものは、事実上局長たらんとする者は、おまえ局舎をどこかに建てろ、さがしてこようと何しようとどうでもいいから、おまえは局舎を提供しろということに通ずるのですよ、実際は、何とおっしゃいましても。だから、いろいろと無理をする。無理ができないんで、互助会からも金を借りて、局舎を建てた。そうすると、おまえは金を使うことがなくなったのだから、共かせぎの奥さんをやめさせたらどうかと、こういうことまで起こっている、いまは。実際問題ですよ、これは。そうなってくると、私は局長任用と特定局舎、これはそんなことばかりではなくって、ちょっとこれは人権問題にも関係をする問題ですよ。こういうことが、皆さんの意図とは別に下部の管理者が行なっているという、こういう事実は私は許されないと思うのですね。ですから、私、こういうことを聞いているのです。こういうことについて、私は具体的な措置をしていただくように、これは時間がありませんから要求をしておきます、直ちに調査をしてですね。  それから、国有局舎の維持管理ですけれども、これは府県等もありましょうけれども、道路の改良、拡幅、こういうようなことに伴って家屋の移転等が行なわれます。ところが、私この間北海道の函館の近辺の厚沢部町に参りまして鶉という郵便局を尋ねて参りました。そうしましたら、拡幅工事で北海道開発局は五月の何日でしたかな——に郵政局に対してそのことの公文書を出しているけれども、ナシのつぶてで返事がない。電話その他で催促をしましたら、四十二年度予算措置がないので四十三年度に移転をすると、こう言っている。ところがですよ、拡幅工事は進んで郵便局を除く全部の民家は移転完了です。郵便局だけは——これは国有ですよ。小さな特定局ですけれども、集配局。これは昔、当時の村かどこかで建てて寄付してもらったものですがね。拡幅工事のおかげで土に埋められちゃったのです、玄関が。ですから、そこを上げで仮設の階段をつくって出入りしている。北海道は——あたたかいところなら別ですけれども、もう雪が降ってふぶいているのです。雪が積もって除雪をやると、あの郵便局は雪に埋まってしまう。出入り口がなくなってしまう。こういうような状態というものが、役所の中では、公文書で出されているにもかかわらず、措置していない。こういう事態が具体的にあるのに、予算がないからといって——雪が降ってしまって、ことしのような大雪になりますと、この下に郵便局ありと書いておかなくちゃならない、雪の上に。こういうような状態というものまで々放置をして、この郵便局舎の建設というものはたいへん窮屈なんです。去年は料金が値上げになると云々というお約束があったのですけれども、この小さないなかの特定局なるがゆえにこういう状態を放置してもいいのですか。これはいかがですか。
  116. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これはもう申されるとおり、よろしくない。至急措置すべきものと、かように考えます。どういう都合をいたしましても放置すべきでないというふうに考えます。
  117. 竹田現照

    ○竹田現照君 じゃ大臣にお答えいただきましたから、ほんとうにもうこれは誇張じゃないので、困っているのだ。一つだけ残っている、かっこうが悪いですよ、町の中に郵便局だけが。郵政局というのは何をやっているのだと、こうなりますから……。大臣、そういうことですから、もう函館のほうはふぶいていますから、直ちに措置していただきます。  それからこれはもう最後ですけれども、貯金局長おいでですね。これはこの間、東京のどまん中から注文を受けたのですけれども、やりとりが長くできませんから、直ちにお答えができませんでしょうけれども、二、三注文をしておきますから、検討をして、いずれあとでお答えをいただきたいと思います。  まず最初は、郵便貯金、たいへん順調に伸びていますが、一面通帳の無余白引き揚げに伴って、しばらくの間預入者に通帳がありません。しかし、これは無余白中でも預入ができるというのは昔からあるのです。ところが、払い戻しが受けられないのですな、その間。だから、親が死のうが何が死のうが、これはまあ金を借りてでも、その間措置すればいいというのは、これは昔時代の考え方であって、これは私はこの間電電記念日のときに東京会館である方から強く注文をされました。こういうようなことはいまの新しい時代における郵政省というのは考えるべきじゃないか。通帳がなくても預金はできるのですからね。金を預けるほうはいいけれども払うのはいけないと、こういう理屈は成り立たない。これはやはり預金者に対するサービスという面からも考えて、早急に検討を加えて、何らかの措置をしていただきたい。  それから預金と払い戻しのことですが、特に出かせぎなんかの多いところでは——たとえば北海道から東京あるいは京阪神に出かせぎの方がたくさん来ている、東北なんかから。従来勢い郵便貯金は、東京や出かせぎ先で貯金をしていきます。帰ると、地元の郵便局でおろします。ところが、預金の目標設定というものがありまして、郵便局はいい顔をしておろしてくれないというのです。それは皆さんのほうの預金の目標設定そのものについて、いろいろ意見があるでしょうけれども、これはそういう特殊事情というものを考慮に入れていないのですよ、郵政省は。ですから、そういう出かせぎの多いようなところというものは、第一出かせぎをしなければならないわけなんだから、預金がふえるというよりは、必然的に払い戻しが多いということは常識としてわかる。ところが、それがいい顔をしてくれない。特に出かせぎの多い仙台の郵政局なんかは、いろいろ文書連絡等もあるそうでありますが、これは私はやはり現業の第一線について、郵便貯金等の問題について苦労している郵便局の皆さんの誠意にこたえる道ではないんじゃないか、こういう特殊な事情というものは、そういう郵便貯金の目標設定等について十分配慮がされてしかるべきだ。これは同じ部内のある特定局長さんが退職をして、これは北海道だけれども、本州のほうに移った。退職金をそっくり積んで、ほんとうはそんなに郵便貯金は積めないことになっているのだが、ところが、移転先で郵便貯金をおろそうとしたらおろしてくれなかった。前任地まで行っておろしてきたという話がある。これはうそじゃない。これはこういう矛盾からくる一つのおかしなことなんですね。こういうことも、これはお客様精神に徹すればといって、一生懸命郵政局はやっているわけですから、これはせっかく郵便局に貯金した、おろしに行ったらあまりいい顔をしない、積んだ郵便局へ行ってくれとか、大きな郵便局へ行ってくれとか、そういうようなことを言われたのでは、これは郵便貯金の性格から言っておかしくなる。こういう問題についてすみやかな善処を私はしていただくよう要望いたしておきますが、簡単なお答えでよろしいがいかがですか、この二点。
  118. 鶴岡寛

    説明員(鶴岡寛君) 無余白通帳引き揚げの問題でありますが、これは実は通帳を郵便局へ差し出してしまうというやり方と。もう一つは、ただいまお話のように通帳を手元に置いたまま新規通帳をもらうという二つの方法があるわけであります。あとのほうの通帳を手元に置きましたまま新規通帳の交付を受けます場合には、これは預入を取り扱っておりますが、また払い戻しもできるたてまえとなっておるわけであります。問題の郵便局におきましては、何かの手違いでそのようなことに相なったかと存じますが、具体的に後刻、お伺いいたしまして措置をとりたいと思っておりす。  それから第二点の出かせぎ先等で預金いたしました場合、これを自分の出身地へ戻って払い戻しを受けるという問題でございますが、これは法規のたてまえからは、よその郵便局におきましても、預入しました以外の郵便局におきましても、同じ月内は十万円までは払い出しを認めておるわけであります。これは十万円に制限しましたゆえんは、御案内のように預金通帳が盗難などにあいましたときに被害をなるべく少さくするためという趣旨であるわけでございます。ただいま先生から御指摘のように、そういうことで十万円までは払い出しができるということを局側が承知しておりながら、目標達成等の見地から、これをしぶるというようなことも聞いて、そういう事実も間々あるようであります。そういう点につきましては、十分に再三通達あるいは打ち合わせ会等におきまして厳重な注意をやっておりますが、今後とも一そうそのような方針で臨んでいきたい、さように考えております。
  119. 竹田現照

    ○竹田現照君 後段は、原則はわかっているんですよ、みんな。ですけれども、目標ということがどうしても頭にあるから、わかりつつ、一線の窓口は仕事がとれない。それはさっき言ったような土地柄ですから、ですからそういう点はあれですが。  それから最初のお答えは、当然無余白で通帳を残しておく場合のことはわかっております、通帳があるんだから。引き揚げた場合のことです。引き揚げた場合というのは払い戻しできないでしょう、いま。何か領収書があるだけで、あとは小さな紙っぺらで預金だけできることは昭和の初めからきまっているんです。その通帳のないときでも、預入はできるんだが——いまのように窓口て機械化されていれば残高がちゃんと証明できるわけですから、局の窓口で。昔のように残高を示さないなら別ですけれども。そういうようなことを預金者の便をはかるような措置を考えてしかるべきだろうというのが私の意見です。
  120. 小野明

    ○小野明君 総裁お見えですか——総裁にお尋ねをいたしたいと思います。これは何度も陳情があっておると思いますし、総裁のほうも御承知であろうと思うのでありますが、最初に北九州市の電話料金の問題であります。この北九州市と申しますのは、市の合併の特例に関する法律の適用を受けて合併をいたしております。これに対しましては、必要な財政上あるいはその他の措置を講じなければならぬ、こういう規定になっておるのでありますけれども、この北九州市における電話の同一加入区域実現の現況はどうなっておりますか
  121. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) いまのこれは町村合併法にもいろいろ規定がありまするが、実際の国からの財政措置というものはほとんどまだしてもらっておりません。しかし、それにもかかわらず行政区域が変更になれば加入区域も当然われわれとしてはこれを統一すべきである、こういうふうに考えておりまして、全国でも相当程度の統一を行なっております。ただ、北九州地区につきましては、何といたしましても地域が広いし、従来五局でもってやっておったあの広い地域を一つにするということで、こういうことで、経費がちょっと概算でも十数億かかる、これを実施する場合には年額四億円も減収になる、こういうような事情もありまして、もうだいぶ延び延びになってまいっておりますが、私はこれをこのまま放資すべからずぜひひとつ、近くこの統一については公社でもって着手すべし、こういうことを指示いたしておりますので、近くそういうふうになる、かように考えております。
  122. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。いま現在全国で市町村の数が三千三百ございますが、その中で同一市町村内に二つ以上の電話取り扱い局が存在する市町村の数が約千二百ございます。この千二百の市町村内にございます電話取り扱い局で、しかも自動改式を要するものが約二千九百局ございます。ところで、公社といたしまして、この市町村合併に伴いまして、従来六キロ以内の地域は合併するということで進んでまいりまして、それから六キロ以上の局に対しましては、これを即時、市外の即時通話にするということで進んでまいりました。しかし、何ぶん多額の経費を必要とするということと、それからそれ自身の投資に伴ういろいろな収益が得られないということのほかに、なお減収になるということで、なかなかこれが着手できないでまいりました。現在、公社といたしまして、昭和四十三年度の概算要求を郵政大臣の手元に出しておりますが、その中では、この北九州の合併の経費を含めまして、ちょうど第四次五カ年計画の来年が初年度になりますので、その中で約三百数十億の合併に要する建設勘定としての経費を要求いたしております。その中で、私は、北九州は一番の、最先順位になるというふうに考えております。しかし、何ぶんにも公社も現在経営基盤の上で同時に来年度に料金の修正をお願いいたしておりますので、現在のところこの料金修正を含めました四十三年度予算の中でこの北九州の問題を考えていきたいと、こういうふうに思っております。
  123. 小野明

    ○小野明君 たいへんありがたいお話でありますけれども、大臣にお尋ねをいたしますが、いま総裁のお話でございますと、来年度の概算要求をなされておる。しかしながら、この概算要求の基礎になりますものは、いま御説明にもありましたように、料金の二二%アップと、こういうことが大体この前提になっておるやに考えておるわけであります。しかしながら、こういった公共料金の値上げを抑制しなければならぬと、こういった世論の動向から、それがそのまま実現をするとも考えられないわけでありますが、この値上げ幅にもかなりな移動があると思うのでありますが、大臣のお話によりますと、その二二%というのももちろん不確定要素なんでありますから、そのことのいかんにかかわらず北九州市の同一加入区域実現の問題は御説明のとおりと、このように受け取ってよろしゅうございますか。
  124. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは、今後予算の折衝でいろいろの変化があろうと思いますが、北九州の問題は、これらとは関係なしに、ひとつぜひやってもらいたいと、かように考えております。
  125. 小野明

    ○小野明君 それでは、これは総裁にはおわかりでないかもしれませんが、かなり北九州市には周辺地域というのがございます。そこで、距離全国基準で六キロといいますか、これを改めないと、この北九州市のかなりの部分の自動化ということばできないわけです。  そこで、いまから申し上げます区域は、この自動化に入るのかどうかですね。同一加入区域に入るのかどうか。それは、この六キロを改定する場合の基準というものは、はっきりしたものをまだお持ちでないと思いますから、こういった局が入るかどうかということをお尋ねをしておきたいと思うのであります。それは、門司区におきます恒見局、それから小倉区におきます曽根局、それから小倉区の石原局、それから同じく小倉区の西谷局、こういったところが同一加入区域に入るものかどうか、お尋ねをいたします。
  126. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 局長からお答えいたさせます。
  127. 井上俊雄

    説明員井上俊雄君) お答え申し上げます。  四十三年度予算概算の中には、いま先生からお尋ねの恒見局、それから西谷局、石原局、これは入れてございます。なお曽根もすでに自動局でございますから、これも同じく統合するような方向で、予算の概算に繰り入れてございます。
  128. 小野明

    ○小野明君 それでは公社が四十二年九月に「第四次五カ年計画と料金修正について」、こういう大綱だと思うのでありますが、これをお出しになっておられるのであります。以下時間もあまりありませんので、この内容の二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。まず電話事業支出の増大という項がございまして、経営が悪化してまいったという理由の中であります。この中に過去十年間に新技術の開発・実用化というものを積極的に推進をした結果、創設費につきましては約四千億円節減した、こういうような説明があるわけであります。正確には「四千億円にのぼると推算される。」、こういう表現でありますが、この内容について御説明をいただきたいと思います。
  129. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。ただいま先生指摘のとおり、私ども日進月歩の技術を活用いたしまして、事業の合理化に努力いたしておるわけでございます。そこで試算を、第一次五カ年計画当時に実施いたしておりました技術を、そのまま第二次、第三次の五カ年計画に適用した場合、どの程度の創設費の節減がはかられ得たかという試算をいたしましたところ、ただいま先生指摘のように約四千億円の節減をはかり得たものと試算をされたわけでございます。そのおもな技術でございますが、それは同軸ケーブル方式、あるいはマイクロウェーブ方式でございまして、伝送路の多重化によります節減でございます。そのほかにケーブルを、細くする、あるいはプラスチックケーブルを採用する、あるいは市外にクロスバー交換機を導入するというような諸技術を導入いたすことによりまして、ただいま申し上げましたように約四千億円に及ぶ創設費の節減がはかり得たものと試算しているわけであります。
  130. 小野明

    ○小野明君 そういたしますと、この電話の一加入当たりの創設経費というのは、第一次計画の段階では二十八万円であったと思うのであります。第二次では三十三万円、第三次では三十五万円、今回の計画によりますと三十七万円というわけであります。第一次計画から見ますと約九万円のアップなんであります。このようにコストが増大しております原因について、ただいま四千億円の節減ということはお聞きしたのでありますが、それでは一個当たりの電話創設費については、一こうに節減になっておらぬ、この三十五万円から三十七万円、こういうふうにだんだんかえって経費がたくさんかかっている、この点についていかがでございますか。
  131. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。先生御案内のとおり電話の特徴といたしまして、加入者がふえてまいりますと、それに伴いまして経費が増高する。たとえば一万以下の電話局でございますとダイヤル四数字で大体やれるわけでございます。それがふえてまいりますと、局番というのが一数字で、さらにふえてまいりますと二数字、東京のように百万をこすような都会での加入数になりますと三数字を頭につけまして、その後四つの数を回わす、計七数字の局にしなければならないというように、加入者がふえてまいりますと諸経費がどうしてもかさむ性質がございます。これはその加入分だけ相互に接続できるように設備をしていかなければならない。これが一つの特徴だと申し上げられると思います。それからだんだん時代の要請でサービスの改善が望まれてまいります。磁石の局が自動になる。このために投資額がふえてまいります。あるいはいままで待時でやっておりましたすなわち待ち合わせでやっておりました市外通話が、即時でかかるようにする。そのためにケーブルを太くしなければならない。このようにいたしまして、サービスの改善に伴いまして投資額がふえてまいるわけでございます。こうした電話の本質のほかに、最近の傾向といたしまして道路の整備拡充なども行なわれまして、これに伴う私どもの設備の移転あるいは将来掘り返しができないというようなことから、ある程度先を見た設備を下に設備しなければならない。こういうような他動的要素も加わりまして、年々一加入者をふやすために要する建設投資額、これを創設費と呼んでおりますが、創設費は年々増高する傾向にあるのでございます。もちろん私どもといたしましてはこれをできるだけ押えるために、先ほど先生指摘のような四千億にのぼる新技術の採用による創設費の逓減とか、あるいはいろんな意味努力はいたしておるのでございますが、年々増高する傾向にありまして、第四次の五カ年計画を遂行していく上には、投資総額をそれによって増設される加入数で割りますと、大体三十七万見当かかるという数字が出ておるわけであります。これにつきまして諸外国の情勢も分析してみますと、どこの国もサービスの改善に伴って、電話施設はこうした創設負担金のようなものは増高しておるのでございます。
  132. 小野明

    ○小野明君 そうしますとですね、この電話の加入の数は、昭和二十八年当時と比較いたしますと四倍以上になっておるのでありますけれども、これは加入者がふえればふえるほどますますこの創設費というものはふえてくる、このようにおっしゃるわけですね。
  133. 北原安定

    説明員(北原安定君) 御指摘のとおりどうしてもふえる傾向にございまして、ただ加入者がふえたのと同じ比率で創設費がふえないように大いに創意くふうをいたしまして、その創設費の逓減をはかるよう努力をいたしておるわけでございますが、全体としては増高いたしております。
  134. 小野明

    ○小野明君 この四十一年度までの総投資額というのは大体二兆三千五百億円と、このようにまあ出ておると思うのですが、この半分はですね機材の購入に充てられておる、こういうことになっておると思うのでありますが五〇%ですね、この点はいかがですか。
  135. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) どうも私いまちょっと資料を持っておりませんので、過去二十八年以来の資材の購入総額ちょっと資料を持っておりませんが、大体お話のとおり建設投資額の約半額近いものが資材の購入費になっておるわけです。
  136. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、第一次計画からかなりの長年月というものが経過をしてまいっておるのであります。で、この間この業者におきます大量生産、まあ四倍という数字になっておりますし、この技術革新とこういった問題からですね、一加入当たりの経費について機材費の単価の引き下げ、こういう結果をもたらさなかった理由というものは、どういうことにありますか。
  137. 三宅正男

    説明員(三宅正男君) いまお話しの資材の購入の単価の問題でございますが、私ども物を買います場合に、単価の引き下げ、できるだけ価格を下げるという面についていろいろな努力をいたしております。メーカーの工場の製造実態の調査等も行ないまして、技術の進歩に伴って物が安くなっていくといったような面、あるいは材料価格が下がったために物が安くなる。こういったような面についての調査も常にやっております。また、そのほかたくさん物を買いますれば、お話しのとおり物が安くなる道理でございますので、そういった点につきましても、私ども部内で発注量増減方式と申しておりますが、発注量がふえていけば価格を下げる。こういうような方法もとりまして、相当科学的に安くしてまいっておるつもりでございます。これは私、ちょうど手元に持っております資料では、昭和三十五年からの資料しかちょっと手元にございませんが、昭和三十五年度当時の価格で現在物を買っておりましたといたしますと、三十五年から、本年度は四十二年度でございますから、今年度の推定分を入れまして約八百五十億程度は価格的に総額として下げ得る。こういうふうに考えております。
  138. 小野明

    ○小野明君 この機材の購入なり工事の入札なりでありますけれども、これは会計法によりますと競争入札ということがたてまえになっておることはまあ御承知のとおりであります。ところでこの電電公社の場合は随契あるいは指名入札ということが非常に多く行なわれておる。これはまあ工事の施設の特徴、そういったものからかなりそういった必要もあるかなという気はするわけでありますけれども、そういった面でですね、この一つの弊害を除いていく、あるいは価格を引き下げていく、こういうふうな努力は行なわれておらないものかどうか、あるいはこの随契、指名入札というものが非常に多い。この点についてどのような御見解を持っておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  139. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 電電公社といたしまして、大きく工事関係を分けますと、まず建物の問題がございます。  それから第二は、たとえば線路とか機械とか伝送路線とかいう、そういう設備関係の契約工事というものがございます。  第三が資材の問題、大きく分けますとこの三種類に分けられます。まずその建築関係につきましては、これは公社といたしましていろいろ設計上特殊なものがございますけれども、大体は一般の建築とそれほど違っておりませんので、大きないわゆる大手建築業者あるいはまた、その他の業者に全般的に頼んでやっておる。ですから電電だけの特殊なものは、大体ないというふうにお考えになっていただいてもけっこうであります。  それから、第二の建設関係でございますが、これは大きく分けまして線路、土木それから機械あるいは電送無線こういうふうに分けられます。それからまた、同じ線路といいましてもたとえば大都市の中で穴を掘って、そしてやるというような、非常に大規模なもの、あるいは最近はシールド工法といいまして、地下十メーターくらいのところに鉄のダクトをつくりましてやるというようなそういうようなものから、あるいは農村方面にまいりまして、電柱を五本とか十本建てるというような簡易なもの、いろいろ種類がございます。  それから機械は、昔はいわゆるステップ・バイ・ステップと申します方式を使っておりましたが、最近はクロスバー方式というものを使うようになりまして、非常に何といいますか、技術の変化が最も激しいところであります。それから電送無線につきましては、マイクロあるいは同軸方式等がございまして、これらについては、これは大体日本が三十年かかりまして、外国技術とは別なものをつくりあげたというような経緯がございます。したがって、この設備関係というものは、このダムやあるいは発電所ができるというような場合には、これは一カ所に非常に大きな投資をし、あるいは設備をするというわけでありますけれども、電電のこの建設といいますのは、いわゆる部分品を一ぱい集めてまいりまして、それをつなぎあわせていくというようなものでありまして、非常にその工事自体も特殊なものであり、しかもそれが全国的に網の目のようにつながっておって、そこを電流が流れるというようなものであります。私たちも過去において、特に終戦後設備が悪くて、東京から札幌までの間に印刷電信機が全然働かないというような、非常に苦い経験がありましたので、品質の確保というものを非常にやかましく言っております。それからもう一つは、技術革新が非常に激しい、そういう非常に特殊なものであるというのが、この特徴でございます。  それから資材につきましては、これは先ほど資材局長が御説明いたしましたが、工事の単金というものは上がっておりますけれども、個々の資材の価格というものに対しましては、われわれは厳重な原価計算方式をとっておりまして、原価計算によって価格の引き下げを極力やっておるわけでありまして、昭和三十五年から四十二年までの間を累算いたしまして、この間いろいろ人件費が上がったり、あるいは消費者物価が上がっておるわけでありますけれども、電電といたしまして、それをそういう上がりを全然無視いたしまして八百五十億円の節約をはかっておる、こういうわけでございます。そういうふうに非常に特殊なものでありますが、建築関係につきましては、これは何もあまり特殊じゃございませんので、一般の建築業者にお願いしている。それから設備関係につきましては、先ほど申し上げましたように、まあ網の目のようにつながっておる非常に特殊なものでありますので、ある特定の設備の大きさなり、あるいはまた、その種類によりまして工事業者の資格を審査いたしまして一級、二級、三級、四級、あるいはまた線路、電送無線あるいは機械というふうに区分けいたしまして、その間資格のある人に対しまして指名競争入札をするということでやってまいりました。  それから、資材につきましては、これは逓信省以来でありますけれども、この資材の市販性がほとんどないということ、それから品質の確保をどうしてもしなければならないということ、それから納期というものを非常にやかましくしなければならないというために、随意契約方法と、しかし厳重な原価計算方式をとるということによって進めている次第であります。
  140. 小野明

    ○小野明君 そういたしますと、事業の特殊性から随契なり、指名入札が多くなることはやむを得ないのだと、こうおっしゃるわけですね。そこで特殊的なものであるだけに、よけいに独占事業である、あるいは独占の請負である、こういう関係から高コストになるのではないか、なっていくのではないか、こういった疑いを持たれないように御努力をいただきたいと思うのでありますが、そういった点で何かごくふうがございますか。
  141. 大谷昌次

    説明員(大谷昌次君) お答えいたします。先ほど総裁の御説明にもありました設備の担当でございます。ただいまのお話のように、限られた技術者しかいませんので、特定の会社を厳重な資格審査をいたしまして、工事の規模、それから相手の資金経営状況、技術能力に応じまして、ランクをきめておるわけでございます。二十八年第一次計画が始まりまして、その間ずっと工事をやってまいったのでございますが、コストの引き下げにつきましては、特殊な工事でございますので、私ども先ほど来のいろいろな機械自体の改善もございますが、特に工法の改善に力を入れまして、コストを引き下げてきたということが一点と、さらに大きく申しまして、労働力に依存する部分が非常に多いわけでございますが、工事の機械化ということを重点に置きまして、努力してまいったのであります。まあ概略に申し上げまして、一五%ぐらいずつのいわゆる生産性の向上ということをやってまいったわけであります。
  142. 小野明

    ○小野明君 検査院のほうからも指摘があっておるようでありますけれども、契約変更というものがかなり行なわれている。たとえば二千七百万円で見積りますと、それが途中で契約変更になって、設計変更ですか、四千万円になった。こういったことの御指摘があるようでありますけれども、こういった点では、業者も、資材にいたしましても、工事関係にいたしましても、かなり数が限られるようでありますから、途中で業者をやはり再度変えていくと、こういった方法もとられてはいかがだろうか、こうまあ考えるわけであります。いずれにいたしましても、四十年度決算でみますと、工事費で三千五百六十三億、資材費でこれは二千五億だったと思いますが、非常に大きな工事額でありますだけに、その辺のごくふうが何かおありになるのではないかということでお尋ねをしてみたわけであります。いかがですか。
  143. 大谷昌次

    説明員(大谷昌次君) ただいま御指摘の工事に関しまする設計変更でございますが、これは二つございまして、最初の一つは、工事を契約いたす場合に、いろいろ設計いたしまして、積算契約するわけでございます。しかし、国民の要望に応じまして工事を急がれる場合が非常に多いわけであります。そのような場合には、最初設計の進みました、あるいは積算の進みました、事務処理の終ったものから、工事を急ぐ観点に立ちまして、まず最初契約をいたしまして、その際は、あとに続きます工程につきまして、あらかじめ今後このようにいたすということで業者に指示しまして競争入札にするわけであります。したがって、これはそういった進行を急ぐ国民的要望に立って、工事の進行を急ぐという場合でございます。  第二の場合は、たとえば大都市等でいろいろ工事をやってまいります途中におきまして、地下埋設物、あるいは地形の、地質の度合、軟弱であるとか、あるいは岩が出たとか、地質の関係、それからまあいなかにまいりましても、道路管理者等のいろいろな要請、道路復旧に対する要請、あるいは付近の住民のいろいろのクレームがございまして、必ずしも最初考えたような設計ではまいらないというものが出てまいるわけでございまして、この点につきましては、やむを得ず設計変更をいたすわけでありますが、大多数は設計変更と申しましても、契約に追加というような形で出ておりまして、これは一貫した工事になりますので、途中で業者をかえるというわけにはまいりませんし、そのようなことではかえって煩瑣であると考えておるわけでございます。
  144. 小野明

    ○小野明君 そういう御答弁になりますと、私のほうも少し申し上げなければならぬと思うのですが、いろいろ単価を引き下げるためにごくふうがあってしかるべきではないか、随契あるいは指名入札、これでやむを得ないのだ、こういうことでなくて、やはり一般競争入札にできるものはしていく、あるいはそうした方向への努力というものがなされてしかるべきではないか、このように私は申し上げておりますのは、いまこれは総裁も御承知でありましようし、郵政大臣も御承知でありましょうが、四十年度末におきます公社の関係の団体調査表というのがございますが、総裁がおっしゃいましたように、建築工事関係は確かにあまり公社との関係はございません。しかし、建設工事の関係になりますと、ここに十二、三社あげられておりますが、社長、専務、取締役、あるいはほとんどの役員の方が電電公社の退職者であるわけです。同時にまた、いわゆる随契なり指名入札になっておるこれらの会社を見てみますと、たいがい検査院なり監事のほうから指摘を受けているところが多い。積算過大、あるいは値段が高い、出来高不足あるいは過大支払い、ほとんど建設工事関係の請負業者を見てみますと、こういう指摘を受けたところがほとんどであります。  それから、同時に資材の関係を見てみますと、ここのほうも、公社を退職なさった方が全部ですね。十社くらいありますが、これの指摘はまだ私は見ておりませんが、建設工事なり資材というのは、いままで公社がなさってきた資金の大半がこの中に投ぜられておる。しかも、指名あるいは随契である。その役員が、退職者である公社の役員であった、こういうことになりますと、やはりそこに疑惑というものが起こってくるわけですね。私はあるとは申しませんけれども、こういった疑惑を除くためにはやはり随契なり指名入札というものをだんだんなくしていくくふうがあってしかるべきではなかろうか、こう申し上げているわけなんです。総裁にお尋ねいたします。
  145. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいま御質問がございましたが、全般的な方向といたしましては、指名競争入札をだんだん指名でなくて広げていく。あるいはまた従来随意契約——随意契約といいましても、公社の場合は厳重な原価計算を伴っておりますが、それをたとえば市販性のあるものについては、逐次、これを指名競争入札にするという方向は、私は必要であると考えます。しかし、先ほども申し上げましたように、たとえば建設工事等におきまして、全国の何千個所というところを、現在でもいじっているわけでありますし、また、それが最近のようにいわゆるダイヤル即時になりましてダイヤルで全国どこまでもつながっていくというような状態でありますので、もしもそこに質的に欠陥がありますと、それが直ちに全般のネットワークに悪い影響を与える。ですから、いわゆる購入単価を下げるということ、それから品質をいいものにすること、この二つを絶対に必要とするのでございますので、先ほど来申し上げましたように、たとえば建設工事といいましても、線路、機械、あるいは電送無線があり、それからまた線路といっても非常に大規模なものもあれば、いなかで電柱を十本立てるというような、非常に種類がありますので、これを一様に、同じように扱うというわけにはいかない。どうしても契約をしてもらう人に対しまして、資格の審査というものが必要になってまいります。先ほど御指摘のありましたように、全般の方向としてはその方向にいきたいと思いますけれども、その点は十分、何といいますか、慎重に実情を把握しながら進めていきたい、こういうふうに考えております。
  146. 小野明

    ○小野明君 それではそういった方向で御努力をいただきたいと思います。  次に、二二%アップのもう一つの点をお尋ねしたいのですが、これは減価償却費であります。これになりますと、事業収入に対する割合というのが二八%をこえると思うのであります。それで、非常に減価償却費が決算財務表を見ましても高率になっておるのでありますが、この点で償却費の過大のために値上げをせざるを得ない、こういうことになるのではないかということをお尋ねをしてみたいと思うのです。
  147. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答え申し上げます。御質問、いろいろな点を含んでいるわけでございますが、減価償却費が過大であるということで、値上げの理由一つできたのじゃないかという点でございますが、この点につきましては、公社の料金修正をお願いをいたしております理由といたしましては、損益の収支において赤字が増大をしてまいるということと、建設資金、債務償還等を含みましての資金が不足をしてまいるということの両方を理由といたしておりますので、必ずしも減価償却費が大きくなってまいる、増大してまいるということが理由となっておるものではないと承知をいたしておりますが、なお減価償却費の問題でございますが、これは償却率で見てまいりますと、四十年度決算におきます償却率は一〇・二一%、それからこれを同年度におきます日銀統計による全産業の減価償却率の一二・〇三%あるいは公益事業であります民営鉄道の一〇・二八%、あるいは国際電電株式会社を含みますところの通信業五社の一四・四五%等に比較をいたしますと、最近急速に技術革新が行なわれ、また大規模な設備投資計画が実施されておりまして、それに伴って陳腐化だとか、あるいは不適応化が起こっております。そのために早期除却ということが行なわれておる電電公社の減価償却率としましては、これが大きなものであるということは決して言えないと私どもは考えておりまして、むしろやや低きに失するのではないかと考えております。これを償却率の基礎をなします、基礎の大きなものをなします耐用年数をとってみますと、有形固定資産の約八〇%弱を占めます電信電話の機械及び線路の施設で四十年度決算の耐用年数は総合平均いたしまして十六・三三年ということになっておりまして、これを昭和三十九年度から四十一年度まで主要な品目である二十品目につきまして削除の実態調査をいたしました結果と比べてみますと、耐用年数の六〇%で削除がなされておる。経年率六〇%。こういう数字が出てまいっておりまして、資本の実質的維持、それから期間計算の適正化と、こういうことをはかりますためには、こういった個々の資産の削除の実態と、それから将来における設備更新の動向と、あるいは税法、類似産業の減価償却の実態との均衡、こういったものを考慮の上、耐用年数の短縮をはかる必要があるのではないかと、私どもはそのように考えております。
  148. 小野明

    ○小野明君 まあおたくのほうの算式があがっておりますけれども、私は事業収入に対する償却比率、これで申し上げて二八%ということを申し上げたのであります。それで償却不足あるいは過大償却と、これでまあいろいろ見方が分かれておりまして、一体どちらがほんとうなのかという点にわれわれも迷わされるわけであります。それで、いまおっしゃるように耐用年数を見てみますと、電信電話施設で十六・三三年ですね。それから建物、工作物船舶で四十一・七七年と、こういうふうにまあなっておるのでありますが、これは昭和四十年度でございますね。今度のいわゆる第四次計画の中ではさらにこれが短縮をされておるのではございませんか。その範囲を四十年度を中心にいたしまして何回か短縮をされてきておると思うんでありますが、それをひとつ御説明いただきたいと思います。
  149. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答えを申し上げます。先ほど申し上げましたような次第で、先生指摘のごとく四十一年度から耐用年数につきまして改訂をいたしてまいっております。昭和四十一年度には耐用年数の改正のための調査をいたしまして、その調査結果が明確になりました。主として機械関係を中心にした十七品目につきまして郵政大臣の御認可を受けまして、耐用年数の短縮をいたしました。それで四十一年度といたしましては電信電話の線路及び機械の施設の総合耐用年数としては十四・八三年、こういうことに相なっております。さらに昭和四十三年度予算概計におきましては、残りました線路関係を中心といたしました二十品目、これにつきまして調査が完了いたしましたので、こういった物品の耐用年数の短縮をお願いいたしておりまして、これがお認めいただけます際には耐用年数、総合耐用年数は十三・三二年と、こういうことに相なるのでございます。
  150. 小野明

    ○小野明君 時間もありませんので、最後に、二二%アップということは、まだ未確定だと、そのように私も考えておりますし、公共料金抑制の必要からいろんな公社事業の問題を再検討の上、この大幅な値上げが実現しないでも済むように郵政大臣並びに総裁の御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  151. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 瓜生君、黒柳君が質問をやめましたので、若干時間がありますからゆっくりやってください。
  152. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は郵政大臣と電波局長にカラーテレビ、通信衛星の問題について二、三お聞きしたいと思うのです。  まず、小林郵政大臣にお伺いしますが、最近、NHKでカラーテレビのいわゆる料金を特別に取ろうとしておる話があるわけですが、たしかいま白黒のテレビは月額三百三十円だと思いますけれども、それにいわゆる受信付加料百五十円徴収したいというようなことを大臣、一体御存じかどうか。そういう動きがあることをお知りになっているかいないか、お聞きしたいと思います。
  153. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 知っております。
  154. 瓜生清

    ○瓜生清君 そういうあれが正式に出てきました場合に、郵政大臣としてどういうようなお考えをお持ちになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  155. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) NHKの料金というものは、いままでの法律の規定上、NHKがきめる、そうして国会の承認を受ける、こういうことになっておりまして、実は正直申すと、この問題、あまり郵政省が口を出すとかえってしかられるようなことがしばしばあるのでありますが、私の感想を申せと、こういうことであるならば申し上げますが、私個人の考えとしては、カラーテレビというものは相当な経費を要します、白黒に比べて。設備費においても、番組み製作費においも要します。したがって、その費用をいまの白黒の料金から取るということになると、カラーの負担を白黒にさしておる、すなわち、白黒の犠牲においてカラーの人がカラーを楽しんでいる、こういうことが言えるのであります。したがいまして、私は筋からいえば、余分にお金がかかるならば、やはり、ある程度、金のかかる施設の享受者がある程度負担するのが一つ負担を公平にするというか、そういうことからして適当じゃないか、こういうふうに私は考えておりますが、趣旨の上においてカラーのために付加料金を取るということは、必ずしも私は悪いことではないと、こういうふうに思います。ただこれをカラーに負担をかけるということになれば、いままで白黒でもって負担しておったものがカラーのほうに転嫁されて移る、そういうことになれば、一方から言えばそれだけ白黒の料金を減らすべきじゃないか、こういうまた議論も当然出てくるのでございまして、こういう問題は、そういうようなかかり合いの問題になってくるであろう、こういうふうに私は考えております。
  156. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、大臣、もっと具体的にお聞きしますと、結局カラーテレビというものはこれからどんどん普及していく。それの相当の経費がかかるから、白黒に比べてある程度のプラスアルファの付加料金を取るということは、これは大臣の感想として、やむを得ないだろう。そのかわり白黒のテレビの視聴料というのですか、そういうものは値下げしたい。相互関連においてカラーテレビ並びに白黒のテレビの料金というものを、何といいますか、改定するといいますか、御意思がある、郵政大臣としてあるように受け取られるのですが、そういうふうに考えてもよろしゅうございますか。お答え願いたいと思います。
  157. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは私がいま申したように、郵政省がきめる問題ではありません。放送協会が、NHKがきめて、ただ郵政省を経由して国会に出す、こういう問題でありますから、あくまでもイニシアティブは放送協会にある。ただ、それに対して中間的にいかなる批判を加えるか、こういう問題になってくるのでありまして、われわれがこれを取れとか、取るべからずとか、こういう筋合いにない、こういうことでございます。
  158. 瓜生清

    ○瓜生清君 筋論としては確かにいま大臣がおっしゃるとおりだと私も思うのです。ただ問題は、NHKに対しては相当政府資金等もカラーテレビの開発その他で出ておるのじゃないかと思うのですが、順序としては確かにNHKが料金をきめて、値上げするならするということを郵政省を通じて国会にはかる。だけれども、そのプロセスにおいて相当私はやはり郵政省の、何といいますか、ものの判断といいますか、そういうものが大きく影響するというふうにまあ常識的にそう思われるわけです。そこで、そういう観点から考えますと、確かにいまの段階ではカラーテレビというのは、一種の、白黒のテレビに比べますと、ことばの表現は悪いのですけれども、少しぜいたく品だ。そういう印象がなきにしもあらずですけれども、おそらく、私こういう問題についてはあまり詳しくありませんが、いま六、七十万台くらいカラーテレビが出ておると思うのです。しかし、ここ数年の間に相当やはりカラーテレビというものが家庭の茶の間に入っていくと考えられる、そういう予測がつけられるわけです。そういう場合に、いま何といいますか、値上がりの料金そのものが固定化される危険性というものがあるのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、大臣はどのようにそういうものについて御判断なされておるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) NHKの料金というものはどういうものかというと、これはNHKは一種の公共経営体、したがって要るだけ収入をあげればいいというのが原則なんです。すなわちNHKの適当なる経費を支弁するだけの収入があればいい。配当の必要もなければ、税金の必要もない。したがって、経費をまず見て、それに見合う収入があればよいというのがNHKの料金の性格でございます。したがいまして、これはきめ方はどういうふうにでもきめられます。たとえば付加料なんか取らぬでもいいじゃないか、いまの料金だけでいいじゃないか、こういうこともいわれておるのでありまして、これは要するにどういうふうに必要な経費を料金として徴収するか、こういうことだけの問題であるのでございまして、たとえばいま百五十円にきめても、カラーのテレビがうんと普及してくればもうそんなに取る必要がないという問題が必ず起きてくるのでありまして、さような意味で私は必ずしもこれが固定化のもとになるというふうには考えておりません。
  160. 瓜生清

    ○瓜生清君 じゃ、そのように大臣ことばを信用することにいたしまして、次の問題、時間がありませんから移りますが、電波局長はいらっしゃいますか——大臣もうけっこうですから、私……。  いわゆる郵政省所管の通信衛星ですね、それから放送衛星、こういうものに対する開発研究の体制が一元化できておるのかどうか、どうもいろいろなところでこういう問題を取り扱っておって、各個ばらばらの、何といいますか、事業計画を進めておるように考えるのですが、その点はいかがです。
  161. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 宇宙開発全般の問題といたしましては、御承知のとおり科学技術庁が中心となりまして各省庁でやっております衛星その他を取りまとめておるわけでございますが、お話の通信、放送実験衛星につきましては郵政省が中心になりまして、郵政省それから電電公社、NHK、国際電電が協議会をつくりまして、みなで協議しつつ実は計画を立てておるところでございます。
  162. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで局長、具体的なことをお伺いしたいと思うのですが、たしか昭和四十五年に現在の国際商業通信衛星機構というのですか、インテルサットの暫定協定が本協定になるというふうに聞いているのですが、それまでに日本として通信衛星を打ち上げる可能性があるのかないのか、そういう点ひとつ承りたいと思います。いわゆる計画について少し詳しくお話願いたいと思います。
  163. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) ただいまお話のありましたように、インテルサットの協定はただいま暫定協定でございまして、お話にありますとおり、四十五年の一月に今度改めまして本協定にするということが予定されておるわけでございまして、郵政省といたしましてもできる限りこの四十五年の一月の本協定までに何とか通信、放送実験衛星を打ち上げまして、その打ち上げた力を世界に示すことによっていろいろな周波数の割り当てその他について有利な地歩を占めたい、かように考えて計画をすでにしてまいっておるところでございますが、現在具体的な計画といたしましては、ただいまの、四十五年の一月に間に合わすということになりますと、四十四年中に打ち上げなければならないということでございますが、残念なことに四十四年中にはどうにも衛星ができ上がるというところまでまいりませんで、四十五年の末までに何とか通信放送、実験衛星をつくり上げて、そうして四十六年度の当初に打ち上げたいというふうに考えているわけでございます。その前に通信、放送実験衛星のほかに、電離層観測衛星、一種の科学衛星だと思いますが、そういった衛星を打ち上げるというようなこと、また四十五年の一月くらいになるとそうした計画が相当具体化してまいりますので、実際には打ち上げるところまでいかなくても、本協定に改定の際の国際会議におきましても、相当程度日本の宇宙開発計画における実力というものが国際的に認められることによりまして有利な地歩が占められるのではなかろうか、かように考える次第でございます。
  164. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこでもう一つお伺いしたいのは、いわゆる通信衛星とか、放送衛星の開発研究ですね。郵政省でおやりになっていると思いますが、四十年度決算とは直接関係ございませんが、明年度昭和四十三年度予算の中で一体どの程度こういうふうな、何と言うんですか、開発研究に対する予算要求しておられるのか、差しつかえなければ発表してもらいたい。
  165. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 四十三年度予算として私どもが大蔵省要求しておるところは、五十二億五千六百万円でございます。この中身は実験用の通信衛星のプロトタイプ、地上でいろいろな実験をするための衛星でございますが、形その他は全然打ち上げるものと同じでございますが、地上で実験するためのいわゆるプロトタイプというものをつくる。それから電離層観測衛星についてもやはり同じプロトタイプをつくりたい、それから衛星の動作の試験装置をつくりたい、それから測定器具類、あるいは環境試験設備等合わせてただいま申し上げましたような五十二億五千六百万円を要求しておるところでございます。
  166. 瓜生清

    ○瓜生清君 それじゃ次に移りますが、局長、打ち上げロケットですね、これの開発の状況はいまどうなっておるんですか。どうも私どもそういう科学に弱いほうなんですが、科学技術庁その他いろいろな所管庁がありまして、必ずしも提携がうまくいっていないというようなことを耳にするんですが、そういう点についてお伺いしたいと思うんです。
  167. 石川忠夫

    説明員石川忠夫君) 御承知のとおり、ロケットの開発は科学技術庁が中心になってやっているわけでございます。私どもといたしましては、先生ただいまお話のありましたようないろいろな雑音が入りまして、実は従来心配しておったところでございますが、いままでのところ科学技術庁と打ち合わせております結果は、四十六年には必ず私どもが計画いたしておりますこの通信放送実験衛星を打ち上げ得るロケットを開発できる、こういう計画でやっている次第でございます。
  168. 瓜生清

    ○瓜生清君 これで私はやめますけれども、どうもわれわれはしろうとでよくわからないんですけれども、そういういわゆるあすを築く科学といいますか、そういった問題について各省庁の、何といいますかなわ張り争い、これは産業公害対策でも何でもそういうことが付随して起こってきますけれども、特にこういう、何といいますか、新らしい未知の世界といいますか、そういうものの開発についてひとつそういったおのおのの既存の分野を守るというような、そういうしみったれた考え方じゃなしに、ひとつ大局的な見地からそういう問題と取り組んでいただきたいという声が学界その他にもありますし、それからまた事業界にもございますし、その点ひとつ十分留意をして行政に当ってもらいたいということを強く要望申し上げまして私の質問を終わります。
  169. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それではこれにて各省庁別の審査は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時十三分散会      —————・—————