○国務
大臣(
菅野和太郎君)
黒木議員のお尋ねは、主として
弱小中小企業に対してどういう
対策かということが主眼点ではないかと思うのでございます。そこで、
中小企業がどうして
弱小であるかという問題、これをまずわれわれきわめなければならぬと思います。
中小企業が
弱小であるというのは、それはその前に前提として
中小企業が存在しなければならぬという初めの前提において、そこで
中小企業がなぜ
弱小であるかという問題、その
弱小であるという
一つの
原因は資本力の問題、もう
一つの問題は技術の問題、それから
経営力の問題、この三つにあると思います。この三つに欠けておるところがあるからして、したがって、
弱小になるということが考えられる。そこで
中小企業というのは、あくまで日本の
企業としては重要な存在でありますからして、これをどうしても育成また発展させなければならないということであるからして、この
中小企業が
弱小にならざるを得ないというその
原因をわれわれはきわめ、そしてそれを
政府として
指導し、あるいはそれを
政府として助成するということで
中小企業の私は
対策が存在しなければならぬ、こう考えております。
そこで問題は、資本力の問題、これはいままでのような時代でありますると、小資本でも私は
中小企業としての存在ができたと思いますけれども、いまでは小資本ではなかなか存在のできぬような時代に変わってきていると私は思います。これは、ことに先ほどからも
黒木委員からお話がありましたとおり、たとえば今日の当面の問題としては、特恵の問題、あるいは資本の
自由化の問題、そういうような問題からしてだんだんと
企業が世界的な
企業となりつつありますからして、したがって、そういうような
経済の大転換に沿うように
中小企業を育て上げなきゃならぬ。それにはいままでのような小資本ではやっていけないのじゃないかということが第一にまあわれわれ気づくわけです。そこで、その点においてどうすればそれじゃ
中小企業がより多くの資本を持つようになるのか、もちろん、それに対しては
政府ができるだけの
資金を貸すということも
一つの方法です。あるいはまた、その資本がもう少し有効に働く
意味において、あるいはいろいろ税金も安くしてあげるというようなこと、あるいは利子も安くしてあげるというようなこと、そういうことも必要なことでありまして、そういうことを今日まで私はやってきたと思います。しかし、私はもうそれでは追っつかないようになってきたと思います。というのは、技術の点においてだんだん新しい技術が発明されるし、したがって、その新しい技術は大体装置が大きいです。したがって、その装置が大きいということは、規模が大きいということは、それだけ大資本を要するということであります。でありますからして、
中小企業が単独の資本だけではとうていやっていけないということ、それだけの装置を持つことができないということが考えられる。そうしてまた
中小企業がいままでは一地方だけの存在であったかもしれませんが、それがだんだんとこういうように交通が発達しなにしてきますると、もう大きな資本がいなかにもだんだんと進出してくるというようなこと、そういうような
経営の面からも考えなきゃならぬということで、今度設けました
中小企業の振興
対策として考えられておる問題は、
中小企業が協業するという問題、共同行為をするという問題、こういうことを私は考えてあげなきゃならぬのじゃないかということで、たとえば、あるいは団地の問題工業団地、商業団地をつくるという、そうすればおのずからそれによって購入する資材のコストも安くなるとか、あるいは販売上有利になるとかというようなことで、そういうことも考えてあげる必要があるというので、それに対しては団地をつくって、そうして
高度化資金を
運用してもらうというようなこと、そういうことで、
中小企業がいままで個人
企業でやっていこうとするところに無理がある。だからして、あるいは同業者が寄って共同行為をするとか、いわゆるボランタリーチェーン、ボランタリーでお互いが共同行為をとって、そして共同行為をするとかというような
やり方、あるいは、たとえば商店であれば、お互いが自分のところに倉庫を持っておったのをやめて共同で倉庫を設けて、そうしてまあそういうような費用を安くするとかいうような
やり方、そういうことでひとつ
中小企業を生かしていきたいというような考え方で、今度の
中小企業振興事業団というものを設けたわけであります。でありますからして、まあわれわれいとたしましては、いま申し上げましたとおり、
中小企業が
弱小であるという
原因をきわめていく、その
弱小を補なってあげるということ、これが私は
弱小中小企業に対する根本
対策でなきゃならぬということでありますが、しかし、もう
一つ私はそれより前に考えてもらいたいことは、
中小企業者みずからがどうして自分が
弱小であるかということについて自覚を持ち、それでどうすれば一体自分の
企業を
弱小でないようにするかというひとつくふうをやはりしてもらわなければいかぬ。で、
政府にたよって安い金を貸してもらったらいいとかというようなことを言っておったら、結局その
企業は負けますからして、まずどうすればみずからを強くすることができるかということを自覚してもらって、それでいろいろ自分でくふうして案を立ててもらって、それに対して
政府ができるだけの、
資金を必要とする場合には
資金を出すとか、あるいは機械を購入するのに金がないということであれば
政府が機械を購入してそれを貸与するとかいうような、いろいろな
対策を考えていかなけりゃならぬ、こう考えておる次第でございまして、したがいまして、いままでの
中小企業の
対策は、私から言うと、
中小企業を温存するという
対策であったと思う。これからはそうではいかぬということ、これだけ時代が変わってきておりますから、したがって、新しい時代に生きられるように
中小企業を
指導するということ、これが私は基本でなけりゃならぬと思う。それで、新しい時代に生きられるようにするにはどうするかという問題は、いま申し上げた何が弱いかということをひとつきわめてもらって、これについては業者みずからもひとつ研究してもらうし、
政府もできるだけそれに対して御協力して、そしてその両々相まって
中小企業をひとつ生かしてあげたい、生きてもらいたいというのが、私は
中小企業の
弱小企業に対する根本
対策、ねらいでなけりゃならぬというように考えておるのでありまして、これについては、しかし、非常に困難であります。ことに日本人の特性としまして、みなお山の大将になりたいという
気持ちを持っておりますから、協業するということ自体は非常な困難でありますけれども、私はこれはひとつできるだけ説得して、そうしなけりゃ生きていけないんだということでやっていく必要があると思います。それについては、やはり私はりっぱな
指導者が要ると思います。だれかがやっぱり
指導してあげなけりゃいかぬ。そこで、私は、りっぱな
指導者を養成するということ、これは今度の
中小企業対策の中にもそういう
指導者の養成ということの
予算をとっておるのでありまして、やはりりっぱな
指導者があるところは、たとえば団地でもうまくいっております。で、そういうりっぱな
指導者を養成して、そういうりっぱな
指導者によって各業者が
指導されて新しい生き方を見出していくということで、ひとつ何とかして
弱小中小企業に生きてもらうようにしたいと、こう考えておる次第でございます。