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1967-11-15 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十五日(水曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      春日 正一君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 黒木 利克君                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 木内 四郎君                 佐田 一郎君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 瓜生  清君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農林経済        局企業課長    佐々木富二君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        食糧庁長官    大口 駿一君        会計検査院事務        総局第四局長   鈴木 治久君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君    参考人        農林漁業金融公        庫副総裁     佐竹  浩君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林省及び農林漁業金融公庫決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  当委員会に提出されております農林省及び農林漁業金融公庫決算の概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても説明を省略し、後日文書をもって提出願うこととし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 柴谷要

    柴谷要君 私は、農林省、特に食糧庁長官お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、最近北海道通運業者連絡会会長及び九州通運業連絡会会長名をもって上申書農林大臣あてに提出されております。その上申書趣旨というのは、昭和四十三年度政府所有食糧及び農産物等運送請負人決定につき、会計法第二十九条の三第一項の手続を、遅滞なく実施せられたい、こういう趣旨上申書が出されております。一体、この趣意書を見ますると、四十二年の十一月二十日ごろまでに回答がなければ、この四十三年度の問題に対しての解決にならぬので法廷争いをする、こういうようなことが付記されているように私は見ているのであります。どうしてこのような問題を政府を相手どって通運業者が行なおうとしておるのか。これらの問題について、ひとつ詳しく食糧庁のほうから御説明をまずいただきたいと思うのであります。
  6. 大口駿一

    説明員大口駿一君) ただいま御指摘になりました上申書は、昭和四十二年九月二十七日付をもちまして、主として北海道並び九州通運業者のそれぞれの会社の名前で農林大臣あて上申書が提出されているわけでございますが、この上申書骨子は、昭和四十三年度において政府食糧及び農産物運送請負人決定について、会計法第二十九条の三第一項の所定手続、すなわち、競争入札方法決定する手続遅滞なく実施せられたいということが骨子になっているわけでございます。そこで、その上申書の中に、このような上申を出した理由としてあげられておりますることは、現在の食糧運送についての契約は、会計法規定によって競争入札でやることが適切妥当である、という法律論を述べられているのであります。そこで末尾に、来年の四月からの手続をとるためには、おそくとも昭和四十二年十一月二十日ごろまでに実施準備への着手がなされなければならない。したがって、この期日までにこの上申書に関する措置をとらないときには、同項所定手続をとられる御意思なきものとして対処させていただくということが書いてあるわけでございまして、法廷その他ということは、実はこの上申書には書いてないわけでございます。そこで私ども、この上申書大臣に提出されます際に、私が代表の方にお目にかかって書類を受け取ったわけでございまするが、私どもといたしましては、たびたび国会の各委員会で、現在の政府食糧運送について採用いたしておりまする方式が、会計法規に照らしてみて適法であるという解釈を申し述べているわけであります。と申しますのは、会計法に基づく予算決算会計令におきまして、会計法第二十九条の三で予定をいたしておりまする指名競争入札もしくは随意契約によることができる場合ということが、予算決算会計令に列挙されておるわけでありまするが、この中に、運送または保管を行なうときには、随意契約によることができるという規定がございまするので、予算決算会計令の九十九条に規定がありまするので、法律的な根拠としては、この根拠に従って随意契約による一年間元請契約というものを締結いたしておるという解釈機会あるごとに申し述べておるわけでありまするが、この考え方、解釈は、それぞれの、たとえば内閣法制局でありまするとか、いろいろな法律解釈責任官庁とも従来から打ち合わせをした上でとっておる解釈でございまするが、今回たまたま法律的な理由を付して上申書が出されました機会に、再度このような解釈をそれぞれの向きに確認をいたしまして、現在法律的な解釈部分につきましては、すでにいつでも回答ができる準備を整えておるわけでございます。御案内のように、ただいま大臣が外遊中でありまするので、帰国早々に御指示を仰いだ上で、しかるべき方法で先方に当方の意のあるところを伝える措置は講ずるつもりでございまするが、現在の段階はそういうことでございます。  それから、このような上申書が出された背景について詳しくという御趣旨でございまするが、おそらく現在の通運事業の免許を受けておりまする、いわゆる通俗的に新免業者ということばが使われておるようでありまするが、この新免業者相当数整備をされておる地域は、北海道並び九州地区がほかの地域に比較をして整備が進んでおるというふうに聞き及んでおるわけでありまするが、この地域業者といたしましては、やはり政府食糧輸送に何らかの形で関与したい、あるいは分担をしたいという日ごろからの希望が相当強くあるのでありまして、そのような希望背景として、まずこのような法律的な問題をあげて私ども見解をただすという措置に出られたものというふうに私ども理解をいたしております。
  7. 柴谷要

    柴谷要君 長官のただいまの御答弁では、ただ上申書趣旨だけ述べられておりまするが、実はその底意というものは「米、麦元請輸送随意契約)の行政訴訟に際して」という問題があるわけです。その内容は、「私達は日本通運政府食糧請輸送契約会計法違反であることについて行政訴訟手続きをとるべく目下準備を進めておりますが、それに先立って一応農林大臣に別紙の上申書を本日提出致しました。」、こういうことになっております。でありますから、その趣旨というのは、昭和四十二年十一月二十日ごろまでに実施準備への着手がなされなければ、行政訴訟に持ち込む、こういうことは明らかなんです。その内容としていわんとするところは、「昭和二十四年に全国通運株式会社を創立して、日通の米、麦元請契約独占打破を期し、われわれもこれに参加出来る体制を整え、以来十数年当局に対し独占随意契約の開放を陳情して来ました」ところが、依然として日通との随意独占契約が続いて今日に至っていることはがまんができない、北海道九州業者が相寄って権利を貫くために、この際この訴訟という挙に出るわけであります、と、こういう内容になっておるわけです。そうしますると、趣旨というのは、政府管掌の米麦が日通の手によって一手にまかされておる。これに対して、新免業者とまあ一がいに言いますが、全国通運の傘下の輸送業者が、何とか政府の物をわれわれの手に少しでもいいからまかせてもらえないか、こういうことで今日まで努力をしてきたけれども政府はがんとして日通独占でやらしておる。これはまことにけしからぬと、こういうことで訴訟に持ち込んでいるのじゃないかというふうにわれわれは想像するわけです。こういうことは、これだけでは単に業者同士争いというだけにわれわれは見るわけでありますが、これを一歩掘り下げてみますると、いろいろの意見があると思うのです。私はそれをやはり国民の前に明らかにしたいと思いますことは、今日食糧会計を見まするというと、非常な赤字だという。その中で多少でも赤字解消の一助になるものは何かといえば、まあ輸送賃でも少しでも安くすることによっていけるのじゃないか、まあこんなような感じがするわけですが、やはり新免業者は、現在の日通独占体制をしていくよりも、競争入札によってやらせることによって、かなり輸送料が低下いたします、全面的な赤字解消とは言いませんが、赤字の補てんのためには、この輸送体制を変えることが必要だということを力説をされておる。これにはわれわれも耳をかさざるを得ないと思うのです。そういう点を取り上げてみますると、この新免業者のいわんとすることも、まあまんざらでもなさそうだというふうな感じが私はするわけです。別に新免業者肩持ちでもなければ、日通肩持ちでもありません。ただ、両者の言い分をこう聞いてみて、はたして国としていずれの道を選ぶのが利益かということを考えてみると、これはほうっておくわけにはいかない。  そこで、これは新免業者言い分ですから、はたして当たっているかどうかわかりませんが、まあ私ども考えにほぼ近いものだと思われるのは、「政府日通との随意契約も私達として疑いをもたざるを得ません、」と、こういう項目があるわけです。なぜ独占日通にやらしておるか。これには、まあこれに見合うところの運送業者がいないと、こういうことなら別でありますけれども、戦後独占禁止法によって複数制輸送業者ができて、そうして各駅とも二店、三店の輸送業者というものは確立をしているのです。だから、あえて日通だけでなくも私は輸送はできるものと思います。ところが、それを日通だけに独占をさしておるというところに、この疑わしい問題があるのじゃないか、こういう疑惑が出てくる。それを一つ指摘をしております。それからまた、一つには、「一般消費者疑惑を深めています。」と、この項目がある。だから、これは堀り下げてみまするというと、なぜ日通だけにやらしているのか。やはり競争入札をやらせて、安いほうに請け負わしたほうがいいのじゃないかというのは、これは国民の偽らざる感情だと思う。ところが、十数年来新免業者が主張してきたことが一顧もされないで、日通独占をされているということは、これはやはり一般消費者としてもある程度納得めいかない問題ではないか、まあこう思うわけです。ところがもう一つ、「運送保管が一業者によって独占されているということが果して妥当であるかどうかについて国会公聴会を開き、広く一般消費者代表並びに知識人の声を聴く方法などとられて然る可きではないかと思います。しかし、それさえ行われていません。」と、今度は国会指摘しているわけです。私は、こういう問題はまあ今日まで関心がなかったので実はあまり触れなかったのですけれども、確かに問題を堀り下げてきまするというと、国会としても、今日の食糧会計の問題から考えてみて、輸送体系ということを考えてみた場合に、これは一社独占よりもむしろこれに対抗できるような業者がいるならば、競争入札をさしてやることがやはり正しいのではないか。それが、今日とってきたのは日通一社だけでありますから、これを変えるという形については、やはり多数の意見を聞くということで公聴会等を開いてこの問題を処理することも国会としては必要じゃないか。そのとおりまあ業者団体指摘をしているのです。なるほどこれはそうだと、こういうふうに私は考える。  こういうふうな点を指摘をしてまいりますというと、今日までとってまいりました政府日通との関係には何か深い因果関係があってこのようなことをやってきたのか。それとも、それには日通にやらせなければならない特殊な事情があるのか。日通以外には、請負をできるような業者はいないのか。こういう点について、食糧庁としてはどのようなお考えをお持ちになっておられるか、ひとつ私どもの納得のいくような説明をお願いをしたいと思います。
  8. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 現在の運送契約を締結をしております理由並びに食管中間経費節減という見地から見た場合に、これをどう考えるかという点についてのお尋ねでありますので、順を追って御説明をさせていただきたいと思います。  まず第一に、相手が日本通運であるかどうかは別といたしまして、現在の食糧庁政府所有米麦輸送について、随意契約を採用しておるという法律的な根拠につきましては、先ほどの答弁で申し述べたので省略をいたします。  次に、まず随意契約形式をとっておりまする実質的な理由について申し述べたいと思います。現在のいわゆる運送賃内容といたしましては、通運料金、あるいは鉄道のいわゆる汽車賃等に分かれると思いまするが、いろいろな通運料金、たとえば荷役料でありまするとかいろいろな料金は、運輸省のいわゆる通運事業法に基づいた料金認可制度、大部分のものについて認可制度がとられております。そこで、この認可制度をとっておられる趣旨がどういうものであるかということをここで詳しく申し述べることは、必ずしも議論の本質に直接触れない問題でありまするので、一応省略いたしまするが、この通運料金というものは、この料金よりも上の料金を払ってもいけないし下の料金を払ってもいけないというふうな解触を運輸当局はとられておるようであります。もちろん、一般の個人と運送会社との契約をいたしまする場合には、ある程度競争することによって、この通運料金よりもサービスする形の運送が行なわれるかもしれないと思いまするが、食糧庁は、政府所有貨物運送するという立場、荷主という立場ではございまするが、また別に農林省の外局としての政府機関という立場を持っておるわけであります。したがいまして、政府機関でありまする食糧庁が、運輸省の方針として、上もいけなければ下もいけないという料金が大部分を占めておりまする運送賃について、これを競争入札等によって、この料金よりもさらに割り引きをした料金ということを念頭に遣いた競争ということを予定することが、なかなかむずかしいという実態的な理由一つございます。  それからもう一つは、米を全国的に需給操作いたします場合に、生産地帯から消費地帯に米を輸送するということをやっておるわけでありまするし、また同一県内においても、県内生産地帯から、消費地帯に米を運送するという輸送をやっておるわけでありますが、私どもは、後ほど御説明いたしまする中間経費節減という見地から、極力運送についてこれを節減するという見地から、いろいろな方法を採用いたしております。たとえば電子計算機を採用いたしまして、いかにすれば最も安上がり運送結びつきができるかというような、いわゆるLP計算というものを、米については相当前から採用いたしておるのでありますが、このような配慮からこの米は鉄道で運ぶのが一番いいか、あるいは船舶によるのがいいのか、あるいはトラックによるのがいいかどうかということまで、実は食糧事務所運送方法決定した上で運送指令を出しておるのが実態でございます。したがいまして運送業者が、もしかりに二社三社が競争してやりまする場合に、どの運送方法でやるかということをおそらく裁量しながら競争する場合が予想されるわけでありますが、このような運送方法決定は、いま申しましたような方法で、食糧庁ですでに決定をした上で運送指令を出しておりまするので、この範囲における競争余地というのはほとんどないのではないかというふうに考えられます。そこで、いま申しました二つの点が主たる理由でありまするが、二つ理由食糧庁運送指令をいたしまする相手方に対しましては、随意契約でやることが適当であろうという判断を下しておるわけであります。以上がまず随意契約によっておる法律的な根拠並びに実質的な理由であります。  次に、今日まで日本通運契約相手方としてやっておりまする理由について申し述べたいと思いまするが、食糧輸送は、御案内のように、北は北海道から南は鹿児島まで、ほとんど全国にわたっての輸送実施しなければならぬ立場にあるわけでありまして、しかも、最近では非常に需給事情が緩和いたしておりますが、需給逼迫の時代には非常に緊急な輸送が必要であり、かつまた、国民の大事な食糧輸送であるからあやまちがあってはいけないという見地から、運送実施する相手方といたしましては、全国的な輸送を落ち度なく信用をもって運び得る業者ということが、従来日本通運相手方として選定をしてまいった一番大きな理由ではなかろうかと思います。現在の事態においてもその事情は変わっておらないわけでありまするので、ただいま御指摘になりましたような新免業者が逐次その実力を充実をしてまいっておりまするとはいえ、まだ全国的な規模においてどこからどこまでという輸送を全部漏れなく引き受けることのできる実力のある機関というのは、残念ながら日本通運しかないのではないかというふうな見解を持っておるわけであります。しかしながら、食糧輸送におきましても、全国的な規模で運ぶ輸送と、必ずしもそうではない部分輸送がございます。そこで私ども今後の問題といたしましては、各方面からのいろいろな御意見も十分に念頭に置きつつ、全国的な規模でない近距離かつ地方的な輸送について、新免業者の参加と申しまするか、活用の余地があるかないかというような問題については、今後も私どもは事務的には研究をしてまいりたいというつもりでございます。と申しまするのは、やはり先ほど申しましたような理由で、日本通運契約相手方として十数年やっておるわけでありまするが、通運事業法通運事業の性格は、先ほど申し述べたとおりでありまするが、しかし、運送賃のすべての金額が全部認可料金というわけではございません。したがいまして、一社に独占をさしておるということが、私どもはあくまでこれが一番結果において安上がり方法であるというふうには思っておりまするけれども、とかくやはり独占というものに伴う弊害ということがあってはならないという見地から、私どもはそういう問題についても今後の問題として検討してまいるにはやぶさかではないというふうに考えておるのでございます。  次に、中間経費の中に占める運賃の節減の問題についてお触れになりましたので、一言これについて申し述べたいと思いますが、現在の食管特別会計の状態からいたしまして、中間経費をつとめて節減をしなきゃならぬ要請というものは、従来も非常にございましたし、私どもも常にそれについて心がけてまいったつもりでございます。事、運送について申し述べまするならば、先ほど申しましたように、全国四十六県を結びつける輸送をやるわけでありまするから、いろいろ輸送の結びつけ方の巧拙によって、運送賃節減がはかられるべき部分がはかられないという結果になることがあり得るのでありまするので、電子計算機の導入によりまして、どういう結びつけ方をすれば最も効率的な輸送ができるかということを、米についてまず先に実施をし、麦についても最近すでに実施に入っております。このようにして運送の計画を立てまする場合には、どのようなことが一番経費節減になるかという見地からの配慮を加えておるのでございます。それから最近の輸送技術の発達に伴いまして、旧態依然たる輸送ではなくて、新しい輸送技術なり輸送形態、たとえば大型のトラックを使うとか、いろいろなことをやったほうが、経費が逆に安くあがるということもあり得ますので、これは運送方法についても、私どもは絶えず新しい角度から検討して、できるだけむだな輸送のないようにという配慮を加えております。それから米や麦を運送いたしまする場合に、御承知のように俵とか麻袋とかいう包装によって運送をいたしておるわけでございまするが、諸外国ですでに実用の段階になっておりまするばらでの輸送ということが、はたして経費節減見地からいって将来拡充すべきものかどうかという実験も、すでにやっておるわけでありまして、まあいろいろ申し述べれば非常に時間がかかりますが、私どもはやはり国民全体の税金から、一般会計からの繰り入れを受けて、食糧管理特別会計を運営いたしておりまする責任者として、中間経費節減、なかんずく運送費節減については、私はいま申し述べましたような例にもございますような見地から、いろいろな配慮を実は加えておるつもりでございますので、この機会に御理解をいただきたいと思います。
  9. 柴谷要

    柴谷要君 私は、先ほど申し上げましたように、別に日通肩持ちでもなければ新免肩持ちでもないということを申し上げておったのですが、これが衆議院で問題になり、未解決のままで済んでいるような新聞記事が出たわけです。たとえばですね、社会党が日通労組圧力あるいは総評の圧力によってこれの追及ができなかったというようなこと、それから日通の何か圧力国会では追及ができなかったというような問題がたまたま私の目に入りましたので、私はこれは重大な問題だ、日通が今日まで十何年かにわたって輸送を完遂してきたその実態については、私は鉄道人ですからよく知っておる。また、新免業者が要望している心理もわからないではない。だからそういうものを聞きながらこの質問をするということは、国民が、やはり国会追及をしなかった、こういうことについては何か日通と連携をとったり、あるいは圧力に屈して国会がこの問題を取り上げていないと、こういう誤解を受けてはならないので、いずれの場にも立たざる中立公正な意見を述べたいと、こういう気持ちできようは質問するわけです。そういう点からですね、国民疑惑を持たれないように、明確にまあいままでの御答弁は確かに率直にお答えいただいたので、私は非常によかったと思うのですが、まあこれからもお尋ねする項目についてもですね、ひとつぜひ率直にお答え願いたい。  実を申しますと、確かに随意契約日通と、一社と行なっておりますけれども、それならば日通トラックで産地から必要なところまで全部日通の手によって送られているかというとそうでない。御承知のとおり、地方の小運送業者に下請をさせて、そしてそれを鉄道に持ってきて、鉄道を利用し輸送をしたり、あるいは船舶を利用して目的地に送る。そうしてまた、その先から、これはまあ大きな支店を持っておりまする日通でありまするなら、日通の自家用車で目的の倉庫に納める、こういうような形になる。あるいは下請をさせておる。こういう姿を見てまいりますると、日通だけと契約をしていくことは、日通自体の力で全部処理をしているように思っているけれども、実はそうでない。輸送形態考えてみますると、下請も使っておれば国鉄も利用する。そうしてまた自分のところの運送も使っておる。こういうような形でありますので、だから考えようによっては、この新免業者を納得させる方法がとられることができるんじゃないかというふうに私は思うのです。なぜこれを訴訟にまで持ち込ませるようなことを、農林省上申書が出ておるのに本腰を入れて訴訟などに持ち込ませないような対策をなぜ考えないか。まあ私は実はいろいろなことをお尋ねをしてと思っておったんですが、それは、そういうことを尋ねてまいりますると、何か新聞記事に踊らされて日通攻撃になるような感じがしますので、ことに、私はあえて日通を攻撃する気もありませんから申し上げませんけれども、そういうもっと政府自体が、国民が疑問に思う、何といいますか、疑惑を持つような形、それから新免業者が納得のいくような方法、こういう方法がとれないか。私はですね、やり方によってはとれるんじゃないかと思う。これは食糧庁の方とも話し合ったことがあるのですが、これは新免業者が、何も一挙に私は日通と同格に——今日の状態の中で日通と同格に競争入札で堂々と争って、そうして自分が輸送体制をかちとろうと、こんな強気じゃないと思う。今日の技術からいえば、日通の力は七であれば、新免業者の力は三というくらいの程度の力であると思う。でありまするから、全国的に関連を持っておりまする日通輸送体制というものをそう軽々しく見るわけではない。確かに政府がお考えになっておりまするように、日通輸送体制というものは確立をしておる。だからこれにまかせるのは安心だというお気持ちはわかる。そうかといって新免業者がいま唱えておりますように、われわれにまかせても決して政府の米麦の問題については迷惑をかけることはないのだ、自信を持ってできるのだと、こう言い切っておる。そういうものを一顧もしないで、このわれわれのことを考えてくれない政府に対しては、ひとつ挑戦をしなければならぬということで、こういう上申書にもなり、この上申書回答いかんによっては訴訟に持ち込むと、こういうことになっておる。でありますから、私は長官答弁いかんによっては、もうこまかいことを知っておりまするから、申し上げてもいいんですけれども、そういう議論はやめにして、政府日通との関係政府新免との関係、こういうものの中にうまい解決方法を見出すことができないのかどうか、こういう点も重ねてお尋ねするわけなんです。何も国民疑惑を持たせるようなこともなく、米麦の輸送ですから、輸送だけの問題ですから、何とかこのうまい解決方法がないか、これはあるはずなんだ。これを私は一挙に解決しろとは言いませんが、一歩前進した姿を打ち出してやることによって、新免業者もある程度納得をするでしょう。数年の後にはわれわれも何とか仲間入りができるんじゃないかという期待を持っていけるんじゃないか、そういう前段の手段というものが考えられないか、こういうことを私は申し上げたいと思う。これについては長官、何かお考えがあったのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 現在、食糧庁日本通運との元請契約でやらしておりまするが、日通全国すべての地域に完全に支店、営業所網を完備してるわけではございませんので、その部分については現実に下請業者を使っておる部分もございまするし、また農協系統では、運輸農協連等の系統の業者と提携をしてやっておる部分もあるわけでございます。その点は御指摘のとおりでございます。私どもは、先ほど来、現在までの日通との契約をやっておりまする趣旨については申し述べたわけでありまするが、これが、もし食糧庁が単なる民間の会社でありました場合には、一番手間のかからない、一番安全な方法で、そのまま踏襲して差しつかえないかと思いまするが、先ほど来申し上げておりまするように、私ども政府機関でありまするので、やはり政府機関という立場で、より公正な判断というものをそこに加えた上でやっていくべき立場にあるということは、御指摘を受けるまでもなく、私どもは自覚をしておるつもりであります。そのような見地から、私は新免業者の取り扱いにつきましても、実は、ここ一両年酒米の輸送については、できるだけ新免業者の活躍の余地を与えるような内面指導を実はやってまいって、逐次その実績があらわれておるわけでありまするが、政府所有の米麦につきましても、今後下請等の活用も一つ方法だと思いまするが、そのような形で、日本通運全国通運、あるいは全国通運傘下の業者との間に円滑な提携関係が生まれるものであれば、私どもはそのような方向で指導してまいるにやぶさかでない気持ちを持っております。したがいまして、私どもは全般論としては、先ほど申しましたように、これを法律的に争われましても、なかなか法律的な解釈については、私どもは従来からとっておりまする解釈が正しいというふうに確信をいたしておるわけでありまするが、その実施の細目につきましては、先ほど申しましたような立場で、今後の問題については対処してまいりたいという気持ちを持っておりまするので、この機会に申し上げておきたいと思います。
  11. 柴谷要

    柴谷要君 北海道九州業者といっても、数にして七十社なんですね。九州北海道両者を合わせると。七十社が今回の上申書の提出者になっている。こういうふうな数多い社が実は十数年間にわたって、ぜひやらしてくれということを主張してきたけれども、どうしてももうがまんがし切れないから、農林大臣上申をし、これでよいお答えがなければ、行政訴訟もしますということで、確かに訴訟をすれば相当時間がかかり、いろいろの問題が派生をしてくるでありましょう。その間においては、いろいろの記事が出たり何かして、傷をつけなくてもいい人たちまでも傷をつけさせられるような問題が私は出てくると思う。たとえば、日通の内部事情がどうだこうだとか、あるいは新免がどうだこうだとかというようなことで、名ざしでもっていろいろこう出てくる。あるいはときによっては、日通の元職員であるOB諸君を集めて、座談会等を開いて、いろいろ日通の何といいますか、欠点等を指摘をした記事等も出ると思う。そうなると、国民の主食である米麦を輸送する一つ会社の問題をめぐって訴訟ざたが起き、そうして国民疑惑を持たせ、そうして新聞記事をにぎわし、それがいいことであれば、私は好んでそれをとめようとは思いませんけれども、どうもこのままほうっておきますと、問題はこじれて、非常に国民に要らざる疑惑を持たせる。そこで何らかの解決方法はないかということを特に長官お尋ねをしたわけですが、ただいまの答弁の中で、特に合理的に下請等の問題を積極的に考えてみよう、これらは前向きの姿勢ですね、前向きの解決策だと思う。いま新免日通と対抗してやれるという地域もあるでありましょうけれども、しかし、日通にたよらなければ仕事のできないというのも相当あるわけです。力関係でいえば七対三ぐらいの力関係ですから、これは新免業者といえども、そううぬぼれていないと思う。同じ通運業者である限りは、お互いに提携し合っていきたいという気持ちはあると思う。だから、それを政府自体が解決をしてやるという以外に方法はない。それには今回の上申書の提出の機会をにがすことなく、解決の方向に導いてやる、これが一番いいのではないか、私はそう思う。その方向が、いま長官が言われたように、下請等をまず第一に優先的に考えて、そうして新免業者の要望をそこにまず第一に受け入れさせる体制ができたときには、またその地域の問題は一段と飛躍をさして何らかの措置をとる、こういうふうな形でいくことによって、日通も納得するでありましょうし、新免業者も納得するでありましょうし、その輸送体系というものが確立していくのでありますから、国民疑惑はなくなってくる。こういうふうに私は考えられますので、できることならば、その道を具体的にひとつ進めていただいて、この上申書を提出されたときをひとつ十分に勘案をされて、九州北海道新免業者を納得させることは、即全国通運業者一つ解決の道であるということで、納得を早めさせる方法だと思いますので、ひとつこの点に重点を置いてもらいたい、こう思うわけなんです。実は、たとえば輸送賃であるとか、あるいは袋代であるとか、いろいろ項目に分かれて、六項目、七項目の問題があります。その支払いの面についても、私は資料を提出してもらっておりますので、十分検討しておりますが、しかし、それについて高いとか安いとかというようなことは申し上げません。また、いま言いませんけれども、一番問題は、やはり新免業者が、日通独占ではいかぬ、われわれの力がもう出てきたのだから、われわれにも何らかの方法考えてほしいというのが目的でありますから、その目的を達するような方向に、多少でも前進した姿を農林省がお考えいただければ、私はこれは円満に解決をすると思う。そういう点で、重ねてくどいようでありますけれども、一体どういうふうな方法でこれからこの北海道九州の諸君とひざを交えて話合って、訴訟に持ち込まないように解決をする、こういうような御意思であられるかどうか、ひとつこれは重ねてお尋ねをしておきたいと思う。
  12. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 先ほどの上申書には、回答の期限という意味での期限ではないのでありまするが、一応十一月二十日という日限が述べられておりますけれども、私としましては、上申書が出されたあとも、一、二回会っておりまするが、やはりこの問題を円満に解決をする手だてはできるだけ講じてまいりたいと思っております。  将来の方向としましては、先ほど申し上げましたのでここで繰り返しませんが、やはり私どもが将来のこの問題に対処する心がまえとしては、先ほど申しましたような心がまえでやってまいりたいと思います。日通並びにこの上申書を出しました業者双方にも十分話し合いをいたしまして、事態が円満に解決ができるような方途があれば、できるだけの努力を続けてまいりたいというふうに考えておりますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  13. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して。この最近の状況の中で、日通農林省食糧庁は非常に関係が深い。これに対して全国通運というのは、日通の仕事に対し、あるいは食糧庁に対して、自分たちも仕事をしたい。これに対して、最近財政硬直化の親玉である国鉄が全国通運に対して四億か五億出資している、とにかく金がないないといっているところの国鉄が出資をする。全国通運の元締めをやっているのが国鉄の前の総裁の加賀山さん、何か日通全国通運が対立をして、そして国鉄と食糧庁農林省がこうやっているというふうな印象もなきにしもあらず。しかし、われわれがここで聞かんとすることは、要するに、いま食管会計というものは非常に赤字がふえている。そうするというと、米価の問題もこれはもちろん大きなファクターだから、これは別にするわけにはいきませんけれども、これに伴う米麦の輸送費というものがどういうふうになっているかということについて、これは何も日通を疑うとかどこを疑うということでなくて、もっと合理的にできないものかどうか。そしてこういうものについて独占ということを考えた場合に、やはり政府機関として全国民食糧を確保するという意味、そういう意味がずっと過去にさかのぼってみれば、緊急輸送という問題があるということで、輸送の一番完備した日通でやるということもよくわかる。しかし、現実においてそういうような形が出てきているところへ、いま言ったような柴谷君の話が出てきているわけです。したがって、私はここで端的に思うのは、いま電子計算機その他によって、輸送費というものについて、かなり随意契約という面においても遺漏のないようにいろいろと選考して、検討してやっているというふうに言われておりますが、この点について、端的に言って、われわれ第三者としては、こういう米麦の輸送というのは最大なる貨物だと思うのですが、そういうふうなことを考えていったときに、食糧庁としては、やはりことしは特に豊作で輸送量もまたふえるというふうなことで、端的に言って独占がいいのか、独占といっても他が弱小で、こういう重大な食糧だから、まあ完備したところにやらせるということはわかるけれども、いまの時点に立って、やはり一つ競争相手というものが出てきた場合に、独占ではなくて、やはりそこに競争という中において——過当競争ではいけませんが、競争という中において勉強させる、そういうことになれば、非常に量が多いので、かなり食管等の中においても、これがいい影響をもたらすのではないかというふうなことも考えられますが、これは食糧庁長官というよりも、農林大臣おりませんので、農林政務次官に所見をちょっと聞きたいと思う。国民が、われわれが受ける印象は、先ほど言ったように、日本通運農林省、片や国鉄と全国通運、そこにそれぞれに、食糧庁なり農林省から、あるいは国鉄から日通あるいは全国通運に、それぞれ重要ポストに入っている。こういうことで、けんかばかりされては困るので、そういう点で独占的にやるのがいいのかどうなのか、その点について、特にことしはまた米の買い付け量というものが非常にふえている。いままでの未曽有の豊作だといわれているわけですが、しかも米は上がる一方だ。そういう中において、極力経費節減といいますか、そういう面でむだを省いて問題を好転させなければいかぬというふうにも考えておられると思うが、その点についてひとつ政府当局としての考え方を大乗的な見地からお伺いしたい。
  14. 久保勘一

    説明員(久保勘一君) 政府食糧輸送の問題につきまして、先ほど来長官よりいろいろ御説明を申し上げておるのでございますが、ただいま岡委員より、この問題について競争的なものを導入することが必要ではないかという御指摘がございました。一般論といたしましては、やはりこの種のものといえども競争によりまして合理的に、なるべく低廉に輸送が行なわれてまいりますることがいいことは当然でございますが、事柄の性質上、今日の段階におきましては、やはり日通全国的な組織、機構、機材、能力というものをどうしても高く考えまして、これと随契をもちまして食糧輸送をはかっていくということが、現実の問題としては妥当な道であると考えておるのであります。しかしながら、先ほど来るる御指摘もございますように、特に米価につきましては国民の重大なまた関心もございますしいたしますので、特に輸送問題等についても、多数の国民がやはり注目をいたしておる問題でございます。したがいまして、政府といたしましては、日通との一括契約にはいたしておりますけれども、しかしその中におきましても、できる限り合理化される面は合理化し、低廉に運べる部面はなるべく低廉に運べるように指導を、また監督をいたしておるわけでございます。しかしながら、下請の問題等につきましても、やはり御指摘のありますような競争の原理を多少取り入れていくという趣旨から考えましても、また全通運の方々のいろいろな事業上の御要請の点を考慮いたしましても、やはり今後下請として活用される部面があれば、やはりこれらの方々の御協力を受けるということも必要であると考えます。したがいまして、先ほど長官よりお話を申し上げておりますように、この問題については、日通と全通運の間におきまして、十分に話し合いをいたしまして、なるべく全通運の方々の御要望もかなえられ、かつ、食糧輸送ができる限り合理的に低廉に取り運んでいかれるような形に政府としては今後指導してまいりたい、かように存ずるわけであります。
  15. 岡三郎

    ○岡三郎君 いま久保政務次官が言われたことについて、私は端的に言って、一般の原則はやはり独占よりも競争したほうがいいのではないか。これは世の一般の原則ですね。ただこれが過当にわたるというと、これは業者が無理をするということで、結局うまくないという点もいまかなり世上には出ております。しかし第三者といいますか、国民全体から見るというと、この多量な物資が、やはりかなり米価のほうにもしわ寄せしてきているのではないかという印象があるわけですね。そういうふうな点について、食糧庁長官のいままでの答弁を聞いておってかなり言わんとしているところの真意が了解できるわけです。了解できるけれども、ただ、世上において日通農林省との関係は全く切っても切れぬ仲である。これに対して全国通運のほうとしては、国鉄のバックでこれに切りかえていると、こういうふうな形の中でものをとらまえていくと、具体的に輸送費というものの節減というものが、現状よりもなお可能であるのではないかという印象がここで生まれてくるわけです。ただ、それをいま随意契約によって、いや、それはかなり随意契約であっても農林省のほうとしては厳密に計算をしてやっているんだ、こういう点についても説明があったんで、そうであろうというふうに考えるわけですが、実態として、いま食糧庁日通に払っている米麦の輸送費はどのくらいになるんですか。
  16. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 四十二会計年度の予算で……
  17. 岡三郎

    ○岡三郎君 ここのところ二、三年ずっと言ってみてくれないかな。
  18. 大口駿一

    説明員大口駿一君) まず四十二年から逐次うしろへ戻って申し上げます。  四十二年度が百三十三億。ただしこの中には通り抜けに鉄道にいきます金が六十五億ございまするので、その残りが運送業者ということになるわけでございます。その前の年の四十一年度百二十六億、鉄道納金六十七億。その前の四十年百十三億、鉄道納金が五十二億。
  19. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでいいでしょう。関連で申しわけないが、四十三年度の予測はどのくらいになりますか。
  20. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 実は四十三年度予算編成の細目の問題は、まだ現在作業中でありまするので、ここで金額をあげて幾らということを申し述べるのはちょっと御容赦いただきたいと思いまするが、先ほど来御指摘がありますように、本年産米の豊作によりまして、政府の買い入れ数量が前年に比して非常にふえる見込みでありますので、その意味で運送必要量というものが数量的に非常にふえるということは、国内産米については言えると思います。しかし、先ほど申しました金額は国内産米及び国内の麦、輸入食糧全部の合計でございまするので、この金額が国内産米の買い入れ数量の比率でふくれ上がるということにはならないかと思いますが、正確な数字は目下作業中でありまするので、ちょっと手元に持っておりませんので……。
  21. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの数字を見ると、四十年が百十三億。四十一年が百二十六億。四十二年が百三十億三。かなりふえておりますね。この傾向値でいくというと、ことしは百四十億をこすんじゃないか。百四十億になるか百五十億になるか、これはいま言ったように輸入食糧との関係もあると思いますが、そういうふうな点で次第にふえていく輸送費についても、一そうこういう問題について食糧庁として検討していくことは当然だと思うんですが、食管会計自体から見て、これからさらに赤字がふえ、あるいは政府のほうのこれに対する支出もふえ、また明年には明年として、また毎年、毎年米価の上昇というものが見込まれる、こういうふうなことになってくると、繰り返しますが、かなり合理化というか、合理的に経費を省くことができる面は省かにゃいかぬ、こういうことをやはり国民希望していると思うんですが、そういう点で、いま政務次官が言ったように、ひとつ全体的にうまくやるように、やはりこの問題については基本的にもう一ぺん考え直して、私たち自体も日通というものが輸送の中においてはたいへんな設備を持ち、輸送の大黒柱であるということは十分承知しているわけだ。ですからなんでもかんでも競争がいいというふうには考えません。しかし、全体から見て原則的にものを判断すれば、やはり、こういうふうな各種の業者も利用して、できるだけコストを下げていくような方向で努力をしていくのが、農林当局としては当然なことであろうというふうに考えます。この点についてひとつやはり善処してもらいたい、こういうふうに思います。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 いま岡先生から御質問がありましたように、全くそのとおりだと思うのです。私は、長官に最後の質問になるのですが、時間がありませんので、私が先ほど申し上げましたように、この上申書を提出した機会に、チャンスをとらえてこの問題を一挙に解決してほしい、こういう要望をしたのです。要望したのは、それは全通運の業者とそれから日通業者との間に全国的にトラブルが発生するというようなことになると、輸送の上においてもまずいことが起きると思うのです。たとえば日通が下請をさせようとして新免業者に委託しても、新免業者はこれをける。けられると、しかたがないから日通が白ナンバーを使う、これは事実なんです。これは事実、私どもは現場を知っておる。この白ナンバーのトラックを白トラといっているが、この白トラを使って輸送する。この白トラというのは非常に安く使える。だから日通がそのさやを取ることができるわけです。こういうことが起きるから、だから私はこういう機会に特に農林省にお願いをしておきたいのは、できることならば、日通と全通運と国鉄と、それから船舶関係輸送業者を網羅した何かの機関を、機関といっても正式の機関でなくてもよろしいのですから、あなた方が意見を聞く、輸送が一体どうしたら一番スムーズにいって、しかも問題を起こさないで、他社を傷つけないで円満にいける方法はないか、こういうようなことを研究をさせる機関というか、相談をかける場所をつくられたら一番いいんじゃないか。岡先生が先ほど言われましたが、全通運はつい最近増資の完了が終わって、八億になりましたけれども、これに国鉄も出資しております。そうかといって、全通運だけに国鉄は出資したのじゃなくて、日通発足当時には、国鉄が膨大な資金を出して日通をつくったのは、これは皆さん御承知のとおりです。国鉄なくして日通は生まれていないので、これは今日の日通があれだけになったのも、いわば国鉄の影響で日通が今日の大をなしているわけです。で、職場といえば全部国鉄の場所を使っている。機械も国鉄のを使って、そうして輸送をしては運賃を取っているのだから、もうからないはずはないわけです。ですから、日通といえども因果関係考えれば、国鉄とは親兄弟同様なんだ、切っても切れない。そうかと言って、全通運の今度生まれてきたのも、これもまた出資などをしているから、国鉄との関係は切れない。こういうような関係にある。ですから私は、やはり、そういう事情にあるだけに、この問題を複雑にするのではなくて、問題が問題だけに、農林省は、この際、訴訟問題にまで持ち込もうということを言っておるのですから、それから会計検査院からも、この問題については二、三項目指摘をされておりますことですから、この決算委員会お尋ねをするわけなんです。これはおたくのほうに出ておりませんか、上申書以外に「米麦元請輸送行政訴訟に際して」というものがあるはずなんです。だから十一月二十日までに色よい返事がなければ訴訟に持ち込みます、こういうことで、いまもう準備ができちゃっているのです。だからそういうことをさせないような手だてがひとつ必要ではないか。それには、私が先ほど申し上げたように、長官に何らかの方法考えてほしいということを申し上げたのはそこにあるわけです。そのことに対して、長官は前向きの姿勢でまあ検討してみたいということで、下請等の問題が出されましたから、そういう問題を腹蔵なく新免業者と話されたならば、私はよい結果が出てきそうな感じがする。しかも決算委員会でこういう問題を取り上げられて議論をした結果なったのではなくて、農林省自体がみずから進んでこの問題を解決をするという意欲を示したから解決ができたのだという姿勢をぜひとってもらいたい。そのことが国民が今日持っておりまする疑惑を解きほぐしてもらえるものと私は思いますので、どうかひとつそういう点を御勘案いただいて、ぜひ円満に処理してもらうように最後に要望して……。これは前向きの姿勢で検討していただくということでございますから、要望を重ねてして、私の質問を終わらしていただきます。
  23. 温水三郎

    ○温水三郎君 私は主として麦の問題について質問を行ないたいと思うのでありますが、その前にわが国の食糧の自給率はどうなっておるか。これはえさを含む食糧の自給率についてお尋ねをいたします。  国政に影響するところの政治上の課題は、食糧の自給の問題であろうと思うのでありますが、世界各国を見ましても、この食糧の自給については非常な苦心と経費をかけておるようであります。わが国の食糧は、米については本年の豊作によって一〇〇%程度の自給率になったかと思うのでありますけれども、しかし、これはやはり気象条件その他の影響もあって、必ずしもこれをもってわが国の米の生産が将来絶対安心であるという段階ではないように思うのです。さらにえさのごときにおいては相当に自給率は低いと思うのです。であるから、えさを含めた広範な意味における人間と、それから間接的に人間が食うところの食糧の自給率についてお尋ねしたい。官房長。
  24. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 最近のわが国の食糧需給の事情を見ますと、農業生産自身も、世界各国の中では日本の生産の伸びは高いほうでございます。ところが需要の伸びが、また経済の成長による所得の増大に伴って非常に高い伸びを示しておるということでございます。その間に結局食糧の自給率が落ちる、輸入が増大をするという傾向を生んでおることは御指摘のとおりでございます。昭和四十年の食糧の自給率は、農業白書でも御報告を申し上げましたとおり八二%ということに相なっておりまして、かつて八七%程度の自給率を持った時期から次第に自給率が落ちておるという形になっておるのでございます。特に御指摘のように米につきましては相当高い自給率を持っておるのでございますが、家畜のえさにいたします濃厚飼料の輸入量が急増をしておるのでございます。これが食糧の増大、自給率の低下に大きな影響を及ぼしておることも事実でございます。そういう形は、実は先進諸国おおむね同じような傾向であるのでございますが、日本は特にえさの輸入量の増大が著しいということが特徴的な事実でございます。このことは、日本の畜産の基盤というものが十分に開発整備されておらない、結局草資源というものによって立つ牛あるいは羊というようなものの生産が伸びませんで、豚あるいは鶏というような濃厚飼料依存の畜産がやや片寄った形で伸長して食糧事情に対応しておるということから生じたものでございます。私ども農林省といたしましても、濃厚飼料の生産につきましては、これも限られた耕地の上でやることではございますが、できる限り合理的な生産の伸長につとめたいと思うのでございますけれども、えさ問題の本質的な解決は、やはり草資源、粗飼料の生産の増大ということを考えなければならないということで、土地改良長期計画の上で草地の開発造成という点を計画化いたして、その計画に沿って施策を進めておるのでございますが、同時にまた、耕地の裏作利用ということが現在非常におくれておるといいますか、放棄されたかっこうに相なっておりますので、裏作の利用についてもこれを政策的に進めていくという方法をとっておる次第でございます。で、現段階におきましては、まだ理想的といいますか、それらの施策が十分の成果を生んでおるというわけには言い切れないのでございますが、今後の農政の重要課題として取り組んでまいりたい。そういうことによって、米麦の生産の伸長とあわせ、日本の食糧の自給率をできる限り高い水準に維持していくことが農政の課題であり、また日本経済のための重要な課題であろうというふうに考えておる次第でございます。
  25. 温水三郎

    ○温水三郎君 米の自給率は非常に上がったんですね。ということは、私の考え方と一致しておりますが、その原因についてどう考えられるか官房長にお尋ねをしたいのでありますが、その意味は、米の場合においては価格政策によるところが非常に大きいのではないかと思うのですが、もっと構造政策に力を入れる必要があるように私は思う。農民は何も米を高くすることを望んでいるのではなくて、農業所得を増大することを望んでおるのであるからして、価格政策に影響するところが大きいのであって、その他の面については非常に不足しているということになれば、これは私は農政の問題だと思うのですが、その辺に対する農林省の御見解はどうであるか、お伺いしたい。
  26. 檜垣徳太郎

    説明員檜垣徳太郎君) 米の自給率がわが国の食糧全体の中で非常に高い位置を占めておるということの原因、さらに米の生産について価格政策のみならず構造の問題を考えていくべきではないかという御質問でございますが、確かに御指摘のように、米につきましては、御案内のように食糧管理制度のもとで価格としてもきわめて安定的であり、かつ経済事情の変化を年々織り込んだ価格というものが実現されるという意味で、価格政策としてはほぼ完全な形のものであろうかと思うのでございます。このことが米の生産を維持し、あるいは増大させていく一つの要因であることは間違いがないと思います。ただ、自給率ということで考えますと、やはり米はわが国の風土に最も適した作物でありまして、反当生産量から見ましても、世界的に非常に高いものであるということも言えるわけであります。と同時に、米につきましては生産を伸長いたしますと同時に、消費自身もそれほど大きな伸びはないのでございます。そういう関係からも自給率が高いというふうに言えるのではないかと思うのでございますが、私ども農業政策を進めていきます上で、価格政策を軽視をするわけにはまいらないと思うのでございますが、御指摘のように、農家の所得を増大させていくという観点から申しますならば、単に価格政策のみでそれを実現することは至って困難であろうかと思うのでございます。でございますので、先般農林省といたしましても、世間に公表をいたしましたように、農業構造政策の基本的な方向を明らかにいたしまして、今後米作につきましても経営の規模拡大ということを目標にいたしました各種の施策を進めてまいりたいというふうに思っておるのでございまして、価格政策というものは、構造政策と並んで、これを補完する制度と両々相まって農業の生産の増大、農家所得の増大ということに目標を置いて進めてまいりたいというふうに思う次第でございます。
  27. 温水三郎

    ○温水三郎君 今日の農村の実情は、非常に私は心配にたえない。このままでいくならば、わが国の農業というものは必ず行き詰まる日がまいると思うのでありますが、これに関しては広範なる農業政策を展開しなければならぬことは申すまでもありません。ただし、私はそれらの問題の中で、やはり重要な問題は農業基盤の整備と、それから水の確保とそれから農道の問題であろうかと思うのでありますが、その中の水の問題についてお尋ねしたいのでありますが、四十年度以降、各種の水の問題、用水池をはじめあるいは用水路の問題、そういったようなものに対して投ぜられた費用はいかほどになるのかお聞きしたい。
  28. 和田正明

    説明員(和田正明君) 御承知のように昭和四十年度を初年度にいたしまして、土地改良長期計画というものを策定をいたしておるわけでございますが、直接水に関係をいたします事業としては、その計画で昭和四十九年度を目標に十カ年間で約七千億円の投資をいたす計画になっております。そこで、平均をいたしますと一年約七百億ということになるわけでございますが、別に年次別の計画はつくってございませんが、三年目を迎えました今年までの水関係の投資の実績は計画に対しまして約二八%。数字を具体的に申し上げますと、四十年が五百二十六億円、四十一年が六百三十四億円、四十二年が七百七十二億円でございます。現在も私どもの心づもりでは、毎年この程度の率が今後続きますならば、ほぼ当初計画どうりのかんがい排水施設の整備ができるというふうに考えております。
  29. 温水三郎

    ○温水三郎君 なかなかこの問題に農林省として努力されておることはもちろん認めるのでありますけれども、私は、必ずしも水の確保について十分なる国費が投入されて、これをもって水の問題は解決するというような段階には、十カ年計画をもってしてもならないように思うわけでございますが、農地局長のほうでお考えになった水の問題を、大体農民が希望するものを満足せしめるという計算というか、そういう見当から見て、投入された国費で満足であるのか、あるいはどうもそういう希望的な、一つの理想とまでいかぬでも、農民が満足するという段階に対してはなかなか及ばないのか、その辺のところを伺いたいのであります。
  30. 和田正明

    説明員(和田正明君) 三十八年ごろに県市町村を通しまして、水関係をいたします——用水及び排水を含めまして——どの程度の事業量を必要とするかという調査をいたしまして、その調査に基づいて、先ほどもちょっと触れました土地改良長期計画を策定をいたしたわけでございます。その計画では、用水及び排水の関係で現在工事にすでに手をつけております受益面積百三十一万ヘクタールにつきまして、計画年度内にほぼ工事を完了をいたしますほかに、新たに百四十四万ヘクタールを圃場整備の事業の進捗度合いと対応しながら着工いたしているということで、先ほども触れましたように、事業費で約七千億円の十カ年計画を立てましたわけでございます。少なくとも現在までのところは、先ほども触れましたように、事業費で四十年五百二十六億、四十一年六百三十四億、四十二年七百七十二億というように、ほとんど計画の事業量のテンポに合わせた予算計上が可能となっておりますが、今後もこのテンポで進めるべく努力をいたしたいと思っているわけでございます。  農民の側から十分満足かどうかということは、どうも客観的に判断する基準が非常にむずかしゅうございますので何とも言いかねますので、現在私ども考えております基本計画との進捗度合いの比率は、いま申し上げたような一応計画どおりの方向で進められているというふうに申し上げるしかないのであります。
  31. 温水三郎

    ○温水三郎君 私の質問したい点は、いま雨が降れば洪水になる、これは建設省の関係でありましょうけれども、ちょっと干天が続くと干ばつになる、こういうようなことは、今日の経済の成長発展した日本において——大国とは思わないけれども、少なくとも現代国家において、どうもこういうことでは私は農業政策が十分であるとは思えない。ことに水の問題について十分国が力を入れているとは思えないわけであります。わが国の農業の困難なる問題点は、耕地が狭いということと、それから山岳重畳たるものであって、基盤整備がむずかしいということがわが国農業の困難なる一つの原因であるということでありますが、しかし、有利な点は何かというと、私はあると思う。それは水が多いということ、その水の多いわが国において、ちょっと日が照ると干ばつの被害が増加する。それから最近においては、用水障害が非常に起こっておる。これは極端な例でありましょうし、またパーセントにすれば一%にもならないかと思うのでありますけれども、経済が成長して木造建築が鉄筋コンクリートの建築になる、あるいはまた道路が舗装される、このようなことはまことにけっこうなことでありますが、かくして砂利の採取が盛んに行なわれる。それが河床を低下させる原因になっている。今日砂利を取ることを禁止されている河川がたくさんありますけれども、禁止したぐらいではなかなか取り締まりができない。そこで河床が年々低下する。私の知っている河川の河川がかりの水田等においては、もはやこれ以上河床が低下すればもうお手上げだというようなところも、これはパーセントは非常に少ないかもわかりませんが、あるのであります。こういうようなことに対して、災害復旧程度の、元に戻す程度の用水施設というようなことでは、私はとうていわが国の利点であるところの水の問題に対して熱意を持ってやっているとは思えないのであります。スペインのごときは地下水をくみ上げて森林にまでかん水をしておる。また申すまでもなく、フーバーダムにおけるかん水のごときは、これも森林にまでかん水をしておる。何もそこまでの規模は必要としないかもしれませんが、せっかくある水を十分にかん水に活用できる体制をなぜとれないか。私はこの点に対して非常に疑問をかねてから持っておるのでありますが、この点、これらの考え方に対して農地局長は、まあ計画どおりやればそれで十分だとお考えになっているのか、あるいはそれでは足りないんだ、もっともっと十分なる用水施設をしなければならないんだというふうにお考えになっているのか。これはもう財政当局関係もありましょうから、きわめて素朴な質問でありますが、その辺のところを伺いたいわけであります。
  32. 和田正明

    説明員(和田正明君) 水の問題は、御承知のように最近経済全体が非常に発展をしてまいりましたことと、国民生活の向上に伴います消費量が非常にふえましたこと、つまり工業用水とか、あるいは都市用水等の需要が非常に増大をしてまいりました。一方農業関係も最近の技術の発展なり圃場整備その他の事業を進めますにつれて、あるいは新たに農地の造成をいたしますに対応いたしまして、農業用水の確保も必要になっております。それらの観点で、旧来からの古い慣行の水利権だけに依存をいたしましたのでは、全体としての水需要に対応できないのは当然でございますので、最近は農林省独自でも、建設省その他ともまた十分連絡をとりまして、多目的な水の総合開発ということを実施をいたすよう努力をいたしておるわけでございますが、現在そういう形で農林省が直接予算を組み実施をいたしておりますような地区は、約十一全国にございまして、単なる農業用水ばかりではなしに、工業用水あるいは都市用水も含めた総合的な水開発事業というものをある程度は実施いたしておるわけでございます。しかし、今後ともこういうような立場に立ちまして、それぞれの地域におきます総合的な水開発というのは進めていかなければならないというふうに思っております。  それから用水障害の問題にお触れになりましたわけでありますが、砂利の採取等の事情もありましょうし、あるいは河川改修等によりまして、水の流れを洪水予防のためにショート・カットしたために水の流れが非常に速くなったという、いろいろな事情から、一部の河川で河床が低下いたしまして、従来の農業用水の施設では十分間に合わない地帯も出てまいっております。それらの地区につきましては、単なる災害復旧という考え方ではなくて、先ほど申しました全体の農業用の用水及び排水を完備をするという立場から、一般的な土地改良事業として積極的に採択をしてまいるという考え方で現在おるわけであります。  なお、先ほど現在の進捗状況で満足しているかどうかというふうなお尋ねがございましたので、土地改良長期計画との進度について申し上げたわけでありますが、七千億円という水関係に要します土地改良事業の事業費計画は、全部を一挙にはなかなかやれない事情がありますので、そのうちの継続中の事業あるいは新規の地区とか農業経営の近代化という見地での圃場整備の事業を進めますものとの関連において、とりあえず早急に着工しなければならないものは長期計画の中に組み入れたわけであります。水の問題全体から考えますならば、なお多くの事業を実施しなければならない地区もあるわけであります。そういう意味では、現在考えております長期計画を、できるだけテンポを早めて実施をいたし、さらにその次の計画を立てまして、一そう全体としての水の問題を解決する方向へ努力いたさなければならないと考えておりますし、また、今後ともそういった方向で努力いたしまして、農家の消費する水の確保の対策に全力をあげてまいりたいというふうに思っております。
  33. 温水三郎

    ○温水三郎君 具体的な例を一つ申し上げてお考えをお聞きしたいのですけれども、せっかくの用水障害を改善をしてやった、これも農民がかなりの負担をして。しかるに耐用年数をもちろんまたないで、社会の変化というのか、それによって再び用水障害を起こして、これを改善しなければならない。こういうことを繰り返していくと、これは全額国庫でやるならばけっこうでございますが、そうでなくて農民の負担がだんだんと増大していく、もうこれ以上河床低下して用水施設に金がかかればお手上げだという段階のところも、ごくまれではあってもあるのであります。そういうようなことでは困るので、もっと長期的な展望に立って、金がかかっても、もっと効率的な、かなりの変化があっても対応できるような用水施設をやるというひとつの考え方の転期が必要ではないかと思うわけであります。今日の河川にあまりにたより過ぎるということでなしに、水をつくっていって、用水は用水で確保するという構想にまで、飛躍的な考え方を持って対処しなければならない事態になっているのではないかと思いますが、そういう点に対するお考えはどうであるか、まずその点をお伺いいたします。
  34. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいま御指摘のございましたような具体的な土地の事情、必ずしも承知をいたしておりませんので十分検討いたしまして、地元にあまり御迷惑のかからないように対応いたしてまいりたい。基本的には現在日本の水田の約七割は河川から水をとっておるわけでございます。それで単なる小さなため池等でございますと、本年の九州の干ばつの例にも見られますように、そのため池の上空から降りました雨だけがそのため池にたまるということでは水対策としては基本的ではないと考えますので、今後とも河川にダムとか頭首口というものを設置をいたしまして、そこから水を引くというのが基本的には必要だろうと思うのでございます。具体的な場所が、いま御指摘の場合のは、必ずしもよくわかりませんが、最近はたとえば河川の方々の口から井ぜきを、取り入れ口をつくりまして、それぞれの土地改良区や部落ごとに水を取っておるというような川につきましては、むしろその取り入れ口を全部やめてしまいまして、上流にダムなりあるいは井ぜきをつくりまして、そこから長い水路を引いて全体の水を一個所から取る合口というような事業も実施をいたしております。いまお話しのような事案につきましては、やはり現地を調査してみなければわかりませんが、むしろ上流にダムなり井ぜきなりをつくりまして、途中の何個所からも水を取るというような形をやめれば、今後の長期計画にも対応できるというように思いますので、河川局等ともよく打ち合わせをいたしまして抜本的な対策を講ずる方向で処理をいたしたいというふうに思います。
  35. 温水三郎

    ○温水三郎君 水路の問題についていま一つ質問をいたしますけれども農林省が、困難になったあるいは災害を受けた用水とか、もしくは新しい角度における用水の施設を、努力してつくっておられる点は十分認めますけれども、私がかねてから疑問に思っている点は、既存の水路への補助、この水路に対してはどうも等閑に付されているような感じがあるのであります。今日いろいろな面において農家の負担が増大しておりますが、水路を修繕する、水路を守るということが農家の負担の中のかなり大きな部分を占めておるところがあるのであります。私の知っているところでは延々四キロにわたる水路を毎年修理しなければならない。その修理については、いろいろな施策が講ぜられていることは承知しておりますが、これを見守るだけでもなかなかたいへんな事業であるので、農林省としては、新しい角度からする用水の問題と、それから障害を起こした、あるいは災害復旧的な用水の問題に対する取り組みと同様に、そういうもっと積極的に既存の水路に対して前向きの角度からこれに取り組んでいって、そして理想を言うならば、水が苦労なしにたんぼにかけられるというような政策を立てる必要があると思うのですが、この点に関しては農地局長はどうお考えになりますか。
  36. 和田正明

    説明員(和田正明君) 日本のいわゆる農業用水の多くは、徳川時代にできましたものが大部分でございますが、それがその後おっしゃいますように老朽化をいたしまして途中で漏水をするとか、その他そういう支障は当然長い年月を経てまいりましたので、各所にあるわけであります。そこで、いままで申し上げました土地改良長期計画での事業計画なりその他私ども考えておりますことは、単に新しく水を開発して水を引くということばかりではなしに、そういう従来からございます水路につきましても、場所によってはそれを捨てて新しく堀り直しますとか、あるいは現在まで使われております水路の幅を拡げるとか、あるいは従来素堀りであったものにコンクリート等で補強をして漏水を防ぐとか、そういう施設の古くなりましたものに対しましても十分これを新しい施設に切りかえて、維持管理の経費の負担が軽減されるように対応をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  37. 温水三郎

    ○温水三郎君 それからこれは質問じゃありませんが、畑地に対するかんがいのごときは、わが国においては非常に幼稚であるように私は思う。あらゆるところで畑地に対するかんがい施設が整備されているというようなところはごくわずかの開拓パイロット事業とかそういうところにしか見受けられない。こういうような状況では、私は日本の畑作というものについてはどうも希望が持てない感じがするわけであります。私は実は具体的例をあげて問題点を指摘したかったのでありますが、時間がありませんから、さわり程度にいたしておきますが、どうかひとつ農林省としては勇を鼓してわが国の唯一の農業の利点である水の問題を解決するように、大胆にひとつ予算の獲得をして徹底的にやってもらいたいと思うわけであります。  なお、誤解を避けるために一言言っておきますが、生産者米価は私は高過ぎると言っているのではない。ただ、かような基盤的な問題が整備されるならば、必ずしも米価を毎年上げなくても農業所得は増大するのではないかという点を指摘しておるわけであります。  質問を終わります。
  38. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 午前中の審査はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  39. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員の異動について報告をいたします。本日、春日正一君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。     —————————————
  40. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き、昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  農林省の部の決算について審査を行ないます。これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  41. 大森創造

    ○大森創造君 私はいわゆる開拓農地として農民が売り渡しを受けた農地が営々辛苦して、そしてもとの原野であるとか耕作不能の土地がだんだん改良されて、一般の耕作ができるという土地は、一方から見ますというと、これは工場用地としても適当であるし、それから宅地としても適当であるので、全国的に見るというと、相当開拓地というものが町や村の農業委員会や、それから行政機関を通じて、地方の有力者によって適当に処分されているようなケースを見受けるのでございますが、これは注意せにゃいかぬと思います。そこで私がきょう取り上げる問題は、全国幾つもこういう問題があるようでございます。テストケースとしてひとつこの問題を私は提示をして、農林省の監督を厳重にしていただきたいということをお願いしたいと思うのでございます。  そこで、この問題は農林省を通じて千葉県のほうから資料をいただきました「木更津市貝淵の開拓地について」ということでいままでの経過をずっと書いたものをちょうだいいたしました。これを拝見しますというと、いろんな矛盾点がございます。何としても納得できないところがございますので、私なりにことしの二月からでございますから相当長期間、木更津市の市役所や県庁やそれから担当農政局やその他の方面にずっと当たって確認しましたところ、この件の農林省をわずらわして私の手元に取り上げられましたこの資料について言えば、手続そのものについては確かに合法的にスムーズにいっているようでございますが、その実質を見ますると、まことに不当な点があるし、おかしな手続がある。結果的に見るというと、善良な開拓農民の農地を取り上げて、そして何といいますかな、これは。日東交通株式会社というものの取締役社長中村庸一郎のものになって、車庫及び自動車整備工場並びに女子職員寮として転用することになっているような手続が踏まれております。この点について、直接の関係はないかもわかりませんが、農林省として幾らかお調べになったことがありましたら、まずお伺いをいたしたいと思います。
  42. 和田正明

    説明員(和田正明君) 戦後農地改革と並行をいたしまして、御承知のように、もうなくなりましたが、自作農創設特別措置法の規定によりまして、開墾適地の未墾地について、政府による買収をいたしたわけでございますが、ただいま御指摘の木更津の案件等、一区画が十町歩未満のものにつきましては、全面的に地元の市町村農業委員会及び県知事に権限委任をいたしまして処理をしてまいりましたので、この木更津の件については、農林省としては買収より売り渡しの経過については直接はタッチをいたしておらないのでございますが、大森委員から資料の御要求がありましたことと関連して、県庁から受けました報告によりますれば次のような事情になっております。  この土地は昭和二十三年の七月二日付で当時の自作農創設特別措置法第三十条の規定によりまして一町二反二畝二十八歩の木更津市貝淵字北浜田にございます二筆の池沼——沼でございますが、それの買収をいたしまして、地元農家がそこに若干水田をつくって増反をするという計画でございました。で、そのあと昭和二十六年の二月一日付で同様旧自作農創設特別措置法四十一条の規定によりまして六人の地元の農家に、それぞれ人によって増反でございますので、面積の差はございますが、売り渡しをいたしたわけであります。ところが、その後、昭和二十九年の十一月になりまして、それらの売り渡しをいたしました土地の一部が水深三メートルほどでたんぼにすることが不可能であるという理由で、売り渡し計画の取り消し申請が地元の木更津農業委員会から県庁に提出をされまして、県庁も調査をいたしました結果、近傍にその水深三メートルの土地を埋め立てるに必要な土の量がないという判定に基づき、当該売り渡し計画の取り消しをいたしたのでございます。ところが、県庁のほうが若干そこのところのあとの詰めにあたりまして、二十九年の十二月八日付で、売り渡し計画の取り消しに伴いまして、当然に対個人の関係でも売り渡しの登記等を訂正をいたしておくべきところがある、その点について若干詰めが足りない。現在もなお売り渡しをされました当時の六人の名義になっておりますることは、私どもも調査の結果判明をいたしまして、県庁の事務の不手ぎわだというふうに考えられる点でございます。その後、すでに売り渡しをいたしまして、いまの水深が深いという理由で取り消しをいたしました部分とは別な部分について、農地法の規定に従いまして、第七十二条第一項二号の規定に基づきまして、県知事が開墾農用地としての利用が、当初の売り渡し目的どおりに実施されているかどうかについて調査をいたしましたところ、一部について売り渡しの相手方と全く違う人が耕作をしておるということで、売り渡しの目的が十分達成されていない部分があると認めて、その部分につきまして昭和三十四年の一月二十九日に買い戻しの手続をいたしております。  その後、その最初に売り渡しを取り消しをいたしました場所と、買い戻しをいたしました場所と二つともが、一応法律規定によって国有財産であり、農林省の自作農創設特別会計の管理財産になっておるわけでございますが、その土地につきまして日東交通株式会社の取締役社長中村庸一郎氏から同会社の車庫と自動車の整備工場並びに女子職員寮に転用いたしますために国有地を貸し付けてほしいという申し出がございまして、当時県庁はその申し出に関連して地元の関係者等の同意を取りつけたということの説明を加えて関東農政局に申請がございましたので、三十九年五月二十五日にとりあえず国有財産を当該日東交通に貸し付けをいたしまして現在に至っております。  こういう用途外の貸し付けに開拓地を使用いたします場合には、一応当該の事業目的にはたして使うかどうかということを現実に確認をいたしますために、一たん貸し付けをいたしまして、そして貸し付けの事業目的に使用されていることを確認をしてから農地法八十条の規定による払い下げ処分をいたすことを通例といたしておりますので、先ほど申し上げました昭和三十九年に貸し付けをいたしまして、その後日東交通から国有財産の払い下げの申請が提出をいたされておりますが、まだ払い下げすることは最終的には確定をいたしておらない、そういう事情になっておるようでございます。
  43. 大森創造

    ○大森創造君 大体の経過はそうでございますし、私のほうでもその資料はちょうだいしておりますが、その手続の間が非常に作為に満ちております。関東農政局とか農林省のほうに提出された書類は、確かに合法的で違法性はないものと思いますが、その裏を見ますと穴だらけなんであります。これは初めから仕組んだ芝居であろうと私は思っておるんです。まず最終的な決定は、国有財産の使用外目的、その払い下げの最終決定農林省いたさないようでございますが、これは非常に注意を要する事項だろうと思います。  まず申し上げますというと、この売り渡し計画取り消し確認が昭和二十九年の十二月八日になされましたけれども、水深が約三メートルで開田不能と認められることを理由として買収売り渡し計画取り消し確認申請が提出されたということになっております、県の書類では。水深が約三メートルなんという事実はございません。これはりっぱに営農可能であって、私はここに写真を持ってきておりますが、まあ多少水深があったことは事実でございますけれども、善良なる農民はここでもって非常に熱心に農業を営んでいた場所でございます。水深三メートルなどはない、せいぜいあって一メートル足らずだそうであります。これは理由をつけたんだと思います。そこで、この書類のあとのほうを見まするというと、「なお、木更津市農業委員会からの上記取消確認申請書には、この土地の売渡しの相手方の売渡取消承諾書が添付されていた。」ということでございますが、これはこうして一生懸命働いている農民でございますから、これを売り渡しを受けたその農地の、その売り渡しの農地の売り渡し計画取り消し確認なるものを、それについて売り渡しを受けた相手方の売り渡し取り消し承諾書というものが添付されているように、県の報告ではなっておりますが、これは本人たちはいずれも知らない。同意書というもの、売り渡し取り消しに対する承諾書を添付したということに県の書類ではなっておりますが、この耕作人たちは全然同意書、承諾書というものは知らないし、判こを押した覚えがないということを言うております。そういうことになりますというとどういうことに相なりますか。  それからもう一つ、今度は正式に売り渡し取り消しということになりましたのが昭和三十六年の十月二十七日でございます。この時点が非常にあとで問題になりますけれども、普通は五年以内に成功検査ということをすることになっているのでしょう。この点はひとつ事務的な問題ですからお尋ねいたします。
  44. 和田正明

    説明員(和田正明君) 第一段の御質問の、水深が三メーターないとかということにつきましては、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、全く市町村の農業委員会と県知事との権限で処理されましたので、私どもも現地を確認等いたしておりませんので、何ともその事情は私どもには明らかでございません。ただ、県の報告によりまして、また、ただいま御指摘のございました、本人たちの売り渡し取り消し同意書なるものは、法律上売り渡し行為そのものを基本的に取り消してやり直しをいたします場合に、法律上の必要条件の書類ではございませんで、それがもしお話のように本人たちの知らざる実印が押されているという事実がたとえありましても、また、そういうことがあるかどうかは、農林省の調査をいたす権限外でございますので、何とも申し上げかねますが、そういうことがございましても、もともとそのことのゆえには売り渡し計画の取り消しという行為自体が、法律的に瑕疵あるものということには相ならないのではないかというように考えておる次第でございます。  それから、成功検査は、売り渡しを受けましてから数年間は、当時のことでございますから、いまのように機械等もございませんで、本人たちの手労働で逐次耕地にいたしておりますという関係もございましたので、売り渡し後八年の間に売り渡しの目的どおり開墾して農業作業に使っておるかどうかということを、成功検査するたてまえになっておるわけでございます。
  45. 大森創造

    ○大森創造君 その前段のほうでございますが、それはおっしゃるとおりでしょう。売り渡し取り消し承諾書というものが、必要書類ではないかもわかりません、形式的に。そこが問題なんですわ。おのずから化けの皮が出るといいますか、こういうものをつけるのですね。偽造のものをつけるのです。これは必ずしも必要な書類でないものを、作為的にやる場合にはこういう書類があらわれるのですね。そこで、いまお話しのようにそれは事実だと思います。この市の農業委員会というものと県というものが、何か作為的にやっているのですよ。あとからだんだんそれは判明いたしますけれども、ずっとでっち上げなんです。でっち上げの一つがここなんです。売り渡し取り消し承諾書というよけいなものを添付したことです。こういうことを、しばしば作為をする人はやるものですが、そこで、いずれにせよ承諾書というものは架空のものでございます。これはひとつ申し上げておきます。今後県なり、それから町の農業委員会のほうに、権威のある農林省としてお調べになる場合には、ひとつ予備的な知識としてそのことを頭に置いていただきたいと思うのですが、これはまるきり架空の承諾書なんでございます。要らざる書類をわざわざつくったわけでございます。  それから、ずっといま成功検査云々のことが言われましたけれども、売り渡しを受けてから十年以上経過しているのでございますけれども、これはどうなんですかね。十年以上ずっと耕作していた。そこで昭和二十九年当時、この土地については県の報告に見ますると、水深が三メートル以上あって云々ということなので、それが昭和三十六年ごろに二十九年当時と同じ理由でもって、水が深いから不適当だから売り渡し取り消しをしようということでその指令を出したのが三十六年の十月二十七日ということでございますが、この辺に何か矛盾はありませんか。
  46. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほどもちょっと申し上げましたのですが、旧自作農創設特別措置法によります売り渡しは、まず売り渡し計画というものを立てまして、それに基づいて個人個人に売り渡しをするという順序を踏んだわけでございます。それで作為があったかどうかということについて御指摘がございましたけれども法律の形式的には、先ほど申しましたように、二十九年の十二月八日付で、本来の売り渡し行為の前提でございます売り渡し計画なるものを取り消しをいたしまして、それに引き続いてそれぞれの個人に対して、売り渡しの取り消しの手続を進めるべきところを、どうも県庁側が何らかの錯誤があったのかと思いますが、お話のように三十六年の十月まで、個人個人への売り渡しの行為の最終的な取り消しをしないでいて、あとで書類をいろいろ整備しているときに、そこのところのミスに気がついて、あわてて三十六年になって取り消しをしたというような事情になっているという見当でございまして、どうもここらのところは、県庁も地元の農業委員会も、法律に基づきます行政手続を、きちんとやるべきところをやりおおせていなかったという点は、確かに遺憾な事実であったというふうに私も思います。  なお、水深云々の件につきましては、私どもも現地を見たわけではございませんが、県庁の報告あるいは地元の木更津市の市長等の連絡によりまして、何か逐次じんかい等をそのところへ持ってきて埋めておりまして、だんだんとその水の深さが浅くなっていったのだというような事情はあったようでございます。
  47. 大森創造

    ○大森創造君 そこでですね、もう一つは、おかしなところがだんだん出てきますけれども、たとえばその成功検査というものを、昭和三十一年の二月二十八日にやりました。そこでその成功検査というものを、「農地法第七十一条の規定に基づく検査を実施したところ、次の土地は売渡しの相手方以外の者が耕作していたので、検査員は検査不合格と判定した。」と、こうなっておりますけれども、この内容はこうなんです。確かに買い受け人と耕作者の名前が異動しておりますけれども、この資料の初めのほうをごらんくださればおわかりのように、買い受け人が、いままで御説明いただきましたように、この売り渡し取り消しということになりましたので、あとの半分の土地が残っていたので、残ったその半分の土地をみんなでその土地の均衡——平衡を期するために、それぞれみんなで区分けをして、そうして耕作していたのが事実であります。全然よその人が耕作していたわけではございません。そうしてその区画割りをして耕作をしていたというのは、その区画割りの指示をしたのは、木更津市の農業委員会なんでございます、こういうことにしなさいと。半分の土地は売り渡しの取り消しということになりましたけれども、今度はそれが残った土地についてはこうしなさいということで、まあ、農業委員会のほうでわざわざ指示をして区画割りをして、それに基づいて六人の方が入れ違いで、所有者と耕作者と互い違いに耕作していたということでございます。だからこの耕作人と開拓人というのは、みんなこの名前を見ますというと同人なんです。一人は離農した人がございますけれども、この指示をしたのが、いま申し上げたとおり木更津市の農業委員会であるということです。他人の耕作者は全然いないのです。最初売り渡しを受けた人同士の間で、農業委員会の指示によって耕作をしていた事実をつかまえて、そうしてそのことを成功検査の結果不適当だということに、不合格の判定をして、この土地を召し上げるということであります。この事情は何とも私は納得できない。そこで、結局昭和三十四年の三月十五日に、いよいよ買い戻しということになったのでございますけれども、一方買収対価は、東京農地事務局の支払い済み明細書によれば、昭和三十四年三月十一日付をもって千葉銀行木更津支店払いの小切手が発行されて、同月十二日ないし十三日、名あて人に到達されたとされている。この間に、肝心の農民のほうには全然調査はいたしておりません。強引に買い戻しを進め、それから前の土地については、水深三メートル云々ということでもってここが売り渡し取り消しの手続を進めるということをずっとやってきて、結局日東交通株式会社の車庫及び自動車整備工場並びに女子職員寮として転用するという手続が合法的にとられております。  そこで私が非常に憤慨にたえないのは、そういうそれぞれ売り渡しの取り消しが確定した昭和三十六年の十月二十七日、これよりもずっとあとになってから、この農地について木更津市で県立工業高等学校を建てるのだからということで、県の農地課の係長や補佐が来て、そうしていろいろ耕作者に説得をしているわけです。これは非常に奇怪千万だと思うのです、日付の上から見て。いかがでしょう。
  48. 和田正明

    説明員(和田正明君) 前段の成功検査の買い戻しの件につきましては、私も県庁から届きました地区割りの図面を見たのでございますが、これは大森委員おっしゃいますように、水深が深いという理由で売り渡しの取り消しをいたしました分の売り渡しを受けました農家が、耕作しました土地が少なくなるか、減るか、なくなるかいたしますために、関係の農家がお互いに譲り合いまして、売り渡し計画に基づく売り渡し通知書の地番とはやや違う分をお互いに譲り合って耕作をしておったような形になっております。これはやはり関係農家の間のお互いの助け合う気持ちとしては、農家の心情当然のことだという気もいたしますので、そういう意味においては、買い戻し自体は、法律形式的には別に違法ではございませんけれども、やはりそこらの点については、もう少し実情をしんしゃくした思いやりが地元にあってしかるべきではなかったかというふうに、私も印象を受けたのでございます。  なお、そのことに関連いたしまして、地元の農業委員会に問い合わせをいたしましたところ、ただいま大森委員は農業委員会の指示でそういうことをしたというふうにお話がございましたが、農業委員会自体はそういう指示はしたことがないというので、その点については、どうも今日まで指示をしたという事実については認めない立場を農業委員会としてはとっておりますが、いずれにいたしましても、法律形式的には間違いではないにしろ、もう少し実情をしんしゃくした措置がとられるべきものであるという点については、私も大森委員と同じ見解でございます。  それからもう一つの問題として、工業高校の敷地のことについて、お話がございましたが、私もよく当時の事情は存じないわけでございますが、木更津の市長、木更津の農業委員会及び県庁等からいろいろと聞き合わせましたところを総合をいたしますと、当時県立の工業高校を木更津市に設置をいたします話と、それから日東交通がバスの駐車場あるいは整備工場等を建設する考え方と、二つのものが同じ木更津市内に土地を取得をするという事情がございまして、それらの関係で、工業高校を誘致をいたしますためには、一方の日東交通の場所をこの問題の場所に限定をしておかないとほかの場所の取得が困難である、というようないろいろな事情がからんでおったというふうに判断できるような事情にあるようでございます。そういう意味で、このいま問題になっております土地を日東交通の用地として処理することについて、地元関係者への話し合いをいろいろしたいきさつはあったようでございますが、詳細は必ずしも把握はできておりません。
  49. 大森創造

    ○大森創造君 あの昭和三十六年の十月二十七日に売り渡し取り消しの指令書が出ている。それから一年たってから木更津市の市長や議長やその他の関係者が、ひとつ工業高等学校をつくるのだから土地を提供してくれろという話があった。それから問題は、この土地の買い戻しが決定、売り渡し取り消し指令書の交付ということでございますが、これが木更津市の農業委員会の要請によって木更津市市役所において、売り渡し取り消し指令書名あて人に対し、昭和三十七年十月五日県職員から云々と、直接昭和三十六年十月二十七日付の売り渡し取り消し指令書を交付したというところがございますが、ここがどうしてもわからぬわけです。そのときに、市役所に耕作人たちが呼ばれて、市長の応接室で話し合いをしたことは事実でございますが、そのときにおいでになった人は、そのときの市長の浜名儀三さん、この人は現在県会議員になっております。それから当時の県会議員の斎藤真三郎という人、この人は現在は日東交通の営業所長をやっておりますね。その当時は関係がなかった人です。内容的には関係があっても、表面上は関係のなかった人です。それから学校誘致の期成同盟会長の北見さんという方、この人は現在の市長です。それから県の農地課の係長の渡辺さんという人、それから市の農業委員会の係員が立ち会っておるわけです。そこでその交換覚え書きがかわされておるわけです。ちょっと読んでみまするというと、「下記土地の転用借受について次のとおり協議が成立したので覚書二通作成各自署名捺印して保存するものとする。」そして土地の表示がありまして、その次協議事項としてこう書いてある、「上記土地の埋立造成費として一金二百三十万円也を転用借受申込をし将来払下申請をする日東交通株式会社より土地埋立造成者に支払うこと、支払期日及支払条件については覚書交換期日に一金三十万円也を支払こと、残金二百万円については十月二十日に支払をすること上記土地の管理及処分については土地埋立造成者は一切の異議を申立てないこと昭和三十七年十月五日」ということでございますけれども、ここでふしぎなことに、この覚え書きというものは日東交通株式会社転用借り受け申し込み者としてがっちりした判はありますが、あとは全部いんちきなんです、この判は。きょうは安田さんという人がお見えになっておりますが、「土地埋立造成者安田清一郎」という人の判こを見ますと、名前はないのです。上のほうに、ワクばかりの判こになっている。御本人がそこへ来ておりまするけれども、これは私はそういう判こは覚えがないし、ついた覚えがないというのです。そういうものは手にした覚えがないのでしょうけれども、いかがでしょう。いかなる合法的なプロセスを追って関東農地局や県や市の農業委員会のほうでややこしい手続をやりましても、こういうことが全部を証明するだろうと思うのです。この事件全体の証明をすることになるだろうと思うのです。さっきあの売り渡し取り消し確認書の中に承諾書がインチキだということを私申し上げましたが、この覚え書きというものは、決定的な要因になっております。これは社会党の県会議員の三松要という人が、ことしの三月あたりに千葉県会で友納知事と本会議でもってこの点をただしましたところが、知事はいま私が読み上げましたこの覚え書きを示して、こういう覚え書きがあるからもう県は関知しない、がっちり所有権も何も日東交通のほうに移ってしまったのだと、こういうふうな答弁をしております。そういう社会党の県会議員の三松氏の発言と、知事の応酬によって初めてこういう覚え書きがあるということもわかったわけです。そこで、今度は安田清一郎さん、きょう参っておりますが、中村達男、佐久間隆、伊藤博八、横峯正雄という人、これは全部当たって私ども聞いてみたのですが、そうしたら全然知らないのですね、こういう覚え書きは。そうすると、これはちょっと、きょうはここにおいでになっておりますが、一番最初に書いてある安田清一郎という人の判こはこれは偽造ですよ。これはまるいものしかない。中に何にも書いてない。それから中村達男という人と、佐久間隆という人と、横峯正雄という人は、これは土地を買い受けた権利者ではないわけです。どういうわけか知らないけれども、それぞれせがれさんの名前が書いてある。むすこさんの名前が書いてあるわけです。どうしてそういう作意をするのですか。権利者じゃないのです。むすこさんの名前が書かれていて、そうしてこの覚え書きがあるから、もういまさら四の五の言っても始まらないということで、県議会で知事との答弁の材料にされておるのがこの覚え書きなんです、これは。  それから問題の三十七年の十月五日という日は、いま申し上げましたように売り渡しの取り消しの指令書を市役所において——この場所は市長の応接室でございますが、先ほど申し上げましたような方々が工業高等学校をつくるのであるから御協力願いたいということでもって相談があったのであって、肝心のこの覚え書きの転用借り受け申し込み者であるところの日東交通株式会社の人は一人もお見えになっていないわけです。そこで、これは三松県会議員の発言によって私どもはやっとわかったのでございますが、この書類はどこにあったかといえば、中村さんという方、そのむすこさんの名前になっておりますが、中村さんという方のところにこれがあって、ほかの五人のところには全然ないわけです、この書類が。むすこさんの名前、一人一人に当たってみたら、全部私の判ことは違いますと、こう言っておるわけです。ほんとうの判こは日東交通株式会社の判こだけがこれは本物なんです。ですから、私も耕作開拓農民の人もわからないのですよ。県の手続や、関東農政局やあるいは農業委員会手続というものはどういうことかわからない。ただ、はっきりわかることは、何だか知らないけれども工業高等学校をつくるのだ、そのことについてわれわれは協力してほしいと言われたから、ひとつ協力いたしましょうという態度でやってきた。農地は惜しい。ただ、半分はこの水深三メートルあるということで現に耕作しているのですよ。営営辛苦して耕作りっぱにできるのですよ、この農地は。だけれども、工業高等学校でひとつ協力してくれろということで、いろんな会議を持たれて、そうしてみんな呼び出されていろんなことを言われたので、ついに承諾いたしましょうということになった。ところが実際はそこで開拓農民の人は市役所に行っているのですよ、だめ押しに。工業高等学校はいつできますか、それをいったらば念書が幾つも入っておる。工業高等学校はできます、そのために農地を使いますというのが、これは二枚ぐらいありましたね。念書、「貴殿が多年に亘り市内貝淵字北浜田五六二の七一田」これこれ、こうあって、「工高誘致運動のため貢献するところ誠に大であり感謝に堪へませんよって10月20日に感謝の意を表するため金50万円也を調達支払申すべくここに申入いたします」こういうものがあって、木更津市長濱名儀三、木更津工高誘致期成同盟会長北見日吉。それで安田清一郎さん初め、五人の人にこういう念書を入れております。そこでさらに不安に思って行ったところが、こういう念書が入っているわけだ。「貝淵地先に昭和42年3月末日まで」というと、ことしの三月末日まで。だからどうしても私はおかしいと思うのです。ことしの三月三十一日までに「県立木更津工業高等学校(仮称)の誘致についての見通しがつかなかったときは改めて協議致します。昭和39年3月30日」木更津市長職務代理者木更津市助役云々と、木更津工業高等学校誘致期成同盟会長北見云々。そこで立ち会い人までちゃんと書いてあるわけですね。ところが現実はどうかとなると、高等学校は全然別なものができているわけです。そこで現状はといえば日東交通株式会社の当時取締役社長であった中村庸一郎さん、この人は衆議院議員、この人が一万坪の池を持っていた。この池をどういう名目かわかりませんけれども、私は断言してもいいようなものだが、ここでは断言しませんが、市が高等学校をつくるという名目でもってこの池を全部埋め立てした。その隣りにあった場所が問題の開拓地でございますから、この開拓地を今度はやっぱり高等学校をつくるのだから、日東交通のこっちの池のほうも、中村さん所有の一万坪の池までも埋め立てをして高等学校をつくるのだと、ついてはあなたのほうの開拓地というのは工業高等学校をつくるのだから、ひとつ提供してくれということでもってこれをやった。現実はそうでない。高等学校ははるかに離れたところへできちゃって、現状は全部池も埋め立てられて、その開拓地というものは日東交通の車庫及び自動車整備工場並びに女子職員寮、これは市長が改選になってから矢つぎばやにできつつあるわけです。安田清一郎さん初め、何ともわけがわからぬので市役所に行ってみるというと取り合わない。どういうことなんであろうか、一体いま御説明いただきましたけれども、工業高等学校誘致の問題と、それから日東交通という会社の開拓地の利用の問題についてどういう内情があったのでしょうか、これは農林省の皆さん方はつぶさにはお知りにならないと思いますけれども、何か電話でもかけていま御説明くださいましたことをもう一回ひとつわかりやすくおっしゃっていただけませんか、どうもおかしいと思うのです。
  50. 和田正明

    説明員(和田正明君) 最初に念書の関係のほうから私どもの承知をしておる範囲のことを申し上げますと、昭和三十七年の十月五日に木更津市長の濱名さんという方と、日東交通の木更津営業所長代理池田さんという人、それから専務取締役の斎藤さんという方と、工業高校誘致期成同盟会長の北見さん、市会議員の工業高校誘致対策特別委員長栗原さん、木更津市農業委員会の事務局長の茂田、書記の浅井、それから地元の代表として区長の鎌田さん、その他地元の有力者というように地元ではいっておりますが、五名の方たちのほかに埋め立て造成をされました安田さんは御本人、中村、佐久間、伊藤、横峯の四人は兼業の漁業者でございまして、ノリのほうが当時忙しかったというので、息子さんが代理に会合に出てまいりましていろいろお話し合いをした結果、覚え書きは三通つくりまして、一通は日東交通が、一通は高校誘致期成同盟が、一通は埋め立て者の代表がということで、また埋め立て者分については現在の木更津市長であり当時の高校誘致期成同盟会長の北見さんからの報告によれば、埋め立て者分は安田さんが関係者の判を集められたということでございます。で、私のほうでは県を通してまいりました念書には、期成同盟の保管分のコピーがございますが、その分は安田さんの判こもちゃんと、マルだけではございませんで、中まで名前の書いてあるもののリコピーが手元に来ておるわけでございます。それからもう一通分の日東交通の持っておるものもそういうもののようでございます。ただ、いずれにいたしましても私どもはこれが偽造であるかないかというような判断は私どもの調査の権限外でございますが、木更津の現市長の北見さんはいま申し上げましたようなことは現実に事実であり、当時日東交通の関係者も立ち会っておってその土地を日東交通が利用することについて関係者も話し合いをしていたことは事実であるからそのことは間違いない事実であるということを市長は繰り返し申しておるのでございます。  それからその開拓地と高校誘致との関係というものは、いままで関係者から私等が書類あるいは電話で問い合わせをいたしましたこと等を総合をして判断をいたしますと、大体こういうことのようでございます。つまり当時日東交通が木更津市内に整備工場等をつくりたいということでやはり一万三千坪かの土地を計画をしておりました。で、県立高校を誘致したいということでその高校の敷地として必要なのもほぼ同面積の一万三千坪でありました。そこで両方ともを一度に取得するということは、そういうことをするのはなかなか土地の事情全体が許さないので、片方の日東交通のほうをだめだといってしまうわけにもいかないし、かといって、そのほうの話がつかないと工業高校の敷地もなかなか市内では手に入れにくいというような事情があるので、工業高校をぜひ市内に誘致するについては、日東交通のほうの関係をまず片づけておかないと、土地問題全体の融通がつきにくいということで、そこで日東交通が一万三千坪を必要だというのを、いろいろ話し合って、会社のほうからは、たしか三千坪くらいの面積でございましたか、を二千坪程度に交通会社のほうの必要敷地の圧縮をしてもらって、そういうことで市内で工業高校の敷地を獲得できる余地を残したい、そういう趣旨でまず日東交通のほうのことを片づけるということで、高校誘致期成同盟の会長さんやあるいは高校誘致対策特別委員会委員長さん等がこの問題の間に入られて、当時の耕作者売り渡しの相手方との間の日東交通との話し合いを取りまとめることに尽力をされた。そこで大森委員のお話でございますと、当事者は高校誘致のために土地提供をしいられたというふうに言っておるというふうにお話しでございましたが、私どもが、よくはわかりませんが、関係者から聞いたところを総合いたしますと、この開拓地の具体的な場所はいま申し上げましたような経過で高校誘致のために土地利用全体を考えるために、ここは日東交通の場所にし、ほかの場所に工業高校を誘致する場所を確保したい、そういう趣旨であったので、そこへ直接工業高校を誘致する場所ではなかったのだというふうに関係者の報告は一応取りまとめをすることができるわけであります。ただ、その後、国の方針として御承知のように工業専門学校というのを設置をすることになりまして、全国各地に何カ所かできたわけでございますが、木更津の国立の工業専門学校ができましたので、県立高校の問題は、その後そういう文部省の方針の変更に伴いまして一応立ち消えになって、現在できておる国立の工業専門学校が当時いろいろいきさつがあった場所とは別な場所にすでに設立され開校されておる、そういう事情にあるようでございます。ただ、私どものほうも、以上いろいろと申し上げましたような経過等については承知をしたわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、普通一たん売り渡しをいたしましたものを取り消しをするような場合には、売り渡しを受けた本人からの申し出があって初めて処理するたてまえでございますが、本件は農業委員会が発議をして、そういうことを、つまり売り渡しの取り消しをしておるというようにもとれる部分もございますし、いろいろ法律手続上は間違いはなかったと思いますが、たとえば買い戻しにつきましても、実際には関係農家が譲り合って耕作をしておったのを法律形式的に売り渡しの間そういう人が耕作をしておるというようなことで、買い戻しをいたしますと、行政の運用面では私ども見ましても必ずしも適切な処理ではなかったということは事実であり、今後とも千葉県庁に対しては、こういうことがないように厳重に注意をしなければいけない事案であろうかというふうに思っております。ただ、本件を解決をいたしますためには、現在県の農林省関係の五件の方々を含めてものことを円満に——ここまできましたことをもう一度あとに戻すということもなかなかできにくいことでございますので、関係者の間での事後処理についていろいろ奔走しているようでございますので、そういうことにつきましても十分指導をいたしまして、とにかくものごとが最終的に円満な解決をみますように指導をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  51. 大森創造

    ○大森創造君 よくわかりますが、確かにあなたがおっしゃるように、少しおかしいのです。これは、農民のほうは日東交通なんということは全然聞かないのですよ、きょうは土地の埋め立て造成者の代表として全体の取り持ちをしたと言われておる安田清一郎さんがそこにお見えになっておりますが、あとで私聞こうと思いますが、おそらくこの覚え書きなどというものについて、判を押していやしませんよ、ここにお見えですから、おそらく押していませんよ。それから、むすこさんが出てきて、そして判こを押したなどという事実は、この委員会が終わったら聞いてみますが、おそらくこれは一方的な言明ではなかろうかと私は思いますよ。これは、私は一人一人に当たってみたのですから、市長さんのほうのお答え、国会でこれが取り上げられるということになればただいまお答えのようなことで電話連絡するでしょうけれども、これはそうではないですね、そこで、これは印鑑も偽造であるし、なぜ偽造のものを使う必要があったのであろうか、これ、私の手もとにあるが、これを持っていたのは安田さんでないですよ、代表の。中村達男という、中村さんという権利者のむすこさんの名前になっている、権利者の中村さんという人が、ことしの三月あたりに社会党の県会議員の三松という人が知事に質問をしたので、知事がこういう覚え書きをかわしているからすでにまあこれが処理済みだというようなお話があったので、三松県会議員が調査をしたところ、たまたま代表の安田清一郎さんでなくて中村さんという人のところからこれが出てきた。ほかの三人、四人かの方は全然こういう書類に覚えがないという、そして印も全然使ったことのない判こである。これは本人がそういっているのですからね。これだけむすこさんがみなそろって出てくるでしょうかな。これは明らかに代表の安田さんの印ではないですね。こういうところがおかしい。  それからもう一つわからないのは、工業高等学校は四十二年の三月末日までにつくる、できないときには追って協議いたしますということなんでございますけれども、日東交通なんということは、ずっと最初から最後まで、中村さん、いまの安田さんはじめ関係者には知らされていなかったようですよ、事実として。  そこで、そういう押し問答をしてもしかたございませんけれども、ダイレクトの関係じゃございませんから。私はこういう町や村の有力者というものが、農業委員会というものをパスするときには、いまの情勢でございますから、開拓地は、やれ工場誘致にするのだとか何にするのだというて、安易に農業委員会というやつにぐいぐい左右される危険性が非常にあると思うのです。この点は私は全国的にそういうケースが相当多いと思うのです。今後農林省のほうから監督のあれを強めてもらわにゃいかぬと思うのです。この点についてはひとつ電話でなくて——私のほうでも一たん発言したからには、私の言うことについては責任を持たなければいかぬから、何かのからくりができていますから、これはどこまでも筋道を立てて私のほうも調査いたしますから、農林省のほうでも調査をして、妥当な決定をしていただきたいと思うのです。御報告いただきたいと思うのです。それはお約束できますね。
  52. 和田正明

    説明員(和田正明君) まず前段のほうでございますが、旧自作農創設特別措置法は御承知のように昭和二十六年後廃止になっておりますので、従来のように強制的に未墾地の買収をするとかということは最近は行なわれておりませんし、大部分の土地につきましては、すでに売り渡し後の八年間の成功検査を必要とする期間も経過をしておりまして、その後は旧来の開拓地等におきまする売り漏れとか、あるいは若干の地区の造成とかいう、きわめて限られたケースだけがこういう形で処理されておるわけでございます。したがいまして、一般的にすでに成功検査を済ませました開拓農地につきましては、開拓地としての扱いではなく、農地法四条または五条の規定によります一般の農地転用の問題として処理をいたしてまいることになっておりますし、また本年九月には事務次官通達で、農地の他用と転用については厳重に処置するように指示をしたばかりでございます。一般的に今後、県知事の権限でございます部分も六千坪ございますが、——二ヘクタール以下のものでは県知事の権限になっておりますので、県知事にも今後農地の他用と転用については、厳重に取り扱うように指示をいたしたばかりでございますが、今後とも単に農業委員会だけが取り扱うケースというものはないわけでございます。一そう厳重に処理をしてまいるようにいたしたいと考えております。  それから後段の、もう一度調査をして報告をせよという点につきましては、なお私のほうも疑問の点については十分調査をいたして御報告をいたしたいと思いますが、ただ関係者が——実は私ともも残念ながら二百三十万という日東交通から出ました金と、それから木更津市及び高校誘致期成同盟から出ました五十万円という現金を受け取っておりますので、その意味におきまして受け取っておらないということでありますと、また法律的にもいろいろ疑問の余地がありますが、関係者がすでに明らかにそのお金を受け取っております関係もございましたので、最終的な処理として法律的にどうこうということよりは、現実的に円満に解決する具体的な妥協点をめっけていくことのほうが適当だと思います。そこらにつきましては県の農林部長も現在せっかくあっせんの労をとっておるようでございますが、なお一そう督励いたしまして早期に納得できる解決ができるようにしたいというふうに考えております。
  53. 大森創造

    ○大森創造君 その三百二十万円という金は私は受け取っていないと思うのです、そのうちの一部分しか。その問題の三十七年の十月五日の日に市長応接室において三十万円ずつもらったということは聞いておりますけれども、あとの金については受け取っていないのではなかろうか、受け取ったとしてもこれは解決していないのではなかろうかと思うのです。それからその金の内容についていえば日東交通から受け取ったというふうにみんな解釈していないのですね、農民が。日東交通というのは前面にあらわれてきませんから。説明は工業高等学校ということで終始一貫しているし、書類上も工業高等学校は一音半句出ておりませんし、まして日東交通というものは全然表面には、書類上も出てこないし、口頭の上でも農民たちには全然知らされていないわけです。まして金というものが日東交通から支払われたものということは関係農民にはわからないし、それから覚え書きというものを交換したということでございますが、三通、出ておらないわけです。その筆頭の代表の安田清一郎さんはきょうお見えになっていますが、この人もこの会に出ていない。ずっとことしまで工業高等学校ができると、しかし、できたのを見ると修理工場ができた、女子寮が建築中であるということで、驚いて市役所に行ってみたところが、まだことしでも高等学校を建てるというのを表面上言っているのが事実のようですよ。  そこで最後にお聞きするけれども、登記謄本はどうなっておるかというと、これをここに登記謄本持っていますが、依然として安田清一郎氏はじめ関係農民の登記謄本になっている、これはどういうわけなんです。登記謄本というのは第三者に対抗するところの、他人名義の土地を売ったり買ったりするということになるのでおかしなことになると思うのです。これは登記謄本が売り渡し人であった安田溝一郎さんはじめ五、六人の名義になっているということはどういうことなんでしょう。
  54. 和田正明

    説明員(和田正明君) まず前段のほうの、金を受け取ったか受け取らなかったかというようなことは、どうも政策判断なり思想の問題でもございませんので、実態はもう一度私のほうもよく調査をしてみますが、ただ木更津市長からの報告によれば、斎藤という専務が内金の分をその場で渡して、それはたしか安田さんに直接渡したのを見たというような感じのことを言っておりますが、なお事実関係でございますから調査をいたします。それから残りのことをも私どもはすでに支払いが終わったというふうに報告を受けておりますが、その点もよく調査をいたしてみます。  それから後段の、登記の問題は、先ほどもちょっと申し上げましたが、本来売り渡しの取り消しという手続をいたしました限りにおいては、当事者の同意を得まして国有に登記の書きかえをしておくべき性質のものなのでございますが、そこのところを国有財産の管理を権限的に法律で委任をされております千葉県当局が、今日まで手続を怠っておったために、なお売り渡し名義人でございました五人の方々の土地になっておるわけでございます。ただ私のほうでは売り渡し計画の取り消しの報告がまいりましたので、実質的には私どもは国有財産というふうに観念をしておりますが、登記のほうはやはり県庁の事務手続の怠慢だと私は思いますから、今後もこういうことがないように十分指導しなければならないというふうに思っております。それで当然早急に事務手続をとらせまして、国有名義に登記の書きかえをしたいと思います。なおそういう問題もございますので、払い下げの申請が日東交通から出ておりますが、私どもとしてはなお国有財産としての貸し付けは従来の手続上も、いまお話のように印鑑が偽造であった等々のお話もございましたが、私どものほうはそういうところまでの調査までは行き届きませんで、また調査の権限もございませんので、いろいろ県庁の報告によれば事情やむを得ないものとして、日東交通の貸し付けはいたしておりますが、それを登記簿その他の問題の整理ができませんうちは売り渡し等はできませんから、そういうことで現在私どもとしては実質的には国有の財産であると観念して管理をしておるわけでございます。
  55. 大森創造

    ○大森創造君 委員長、一言だけ。  それでは登記謄本は現実に安田さん以下の名義に現在なっておる、そうすると県庁のほうの手続の怠慢であるということでありますけれども、安田さんはじめ関係の開拓農家の方は納得しないのです。いままでの経過から見て絶対に同意していないわけです。自分たちが知らない間にずっとやられてきた。今度は実質的に内容的に国有財産ということであるけれども、いままでの経緯から見て納得しませんから、これは同意しない場合はどういうことになりますか。
  56. 和田正明

    説明員(和田正明君) 登記簿を、実質的に売り渡しを取り消しをいたしましたから、実質的には国有であり、私どもは国有の財産として現在管理を続けておるわけでございますが、第三者への対抗要件としての登記簿は五人の名義になってそのままになっておりますが、登記簿を国に改めますためには、当然五人の人の同意書がないと登記手続ができない。その同意の手続をいたします過程で従来からのいきさつなり、双方における誤解なり、いろいろなわだかまりなりを十分話し合いをして、そこらのところの話しを円満に解決をして、そうして登記を国有に移すための同意書を取りつける、そういう形での経過の中で、先ほど申しましたような農林部長のあっせん、その他で円満に解決をはかっていきたいというふうに思っております。
  57. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと和田さんに聞きますが、いま大森君の問題ですね、私も聞いておりまして、結局農林省に世話になって開拓農地をもらっていた諸君がごまかされて、そうして日東交通に土地をとられてしまった、結論はそういうことですね。ちょっと私は問題があると思うのです。若干の補償金のようなものを受け取っておるようにいま聞きましたけれども、しかし、それは学校にするとか、そういうことが前提であって、それは押しつけられて受け取っておるわけで、そんなものを正規に受け取ったというふうな解釈農林省がするということは、ぼくは農民に対して親切じゃないと思うのです。だからそういうふうにずっとほぐしていきますと、形式的には売り渡しの取り消しというものが一応合法的であるようにも農地局長言うておられますけれども、やはりそこまでさかのぼって検討してもらいたいと思うのです。ほんとうに学校用地にするなり、日東が使うというなら、これはもう平たく四条なり、五条の手続で現在の開拓者に協力を求めるべきものであって、それをお前のやっていることはけしからんと言うて無権利者にしてしまって弱い立場に追い込んで、そうしてわずかの補償金で追っ払ってしまう。これは私は聞いておってもちょっと義憤を感じますがね。だからまだ日東に対して払い下げを慎重にやっておられるということでありますから、まあ形式論はあまり言いません。だれが見ても客観的にやはり農民としてきちんとした扱いを農林省から受けたというようなふうにひとつ検討してほしいと思うのですが、これは要求しておきます。よろしいですね。  それでは次、黒柳君。
  58. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣がおみえになりませんで、政務次官に御答弁を願うようになると思うのですが、簡単に二、三の点について質問したいと思います。  食管制度の運用改善についてまず質問したいと思います。  倉石農林大臣が去る十一月の二日の閣議で新米穀年度の国内産米の需給事情について報告があったと、こう伺っていますが、そのときの大臣の発言の要旨をお知らせ願いたいと思います。
  59. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 十一月の二日の閣議で、昭和四十二年産米の第二回の予想収穫量が報告になったわけでありまして、その際の農林大臣の発言の要旨は、まず収穫量が千四百三十一万二千トンになるということ、これに対して日ごろの農民各位の御努力に対して敬意を表するとともに、災害に苦しむ農民に対してお見舞いを申し上げるという趣旨がまず第一点。  それから第二点は、最近の需給事情について若干触れまして、本年の米の大豊作を反映をして、本年産米の政府買い入れ数量は九百万トンの大台を突破することがほぼ確実であるということから、非常に米の需給が緩和しておるという点が第二点。その結果来年十月末、すなわち四十三米穀年度末の古米の持ち越し量が二百万トン前後になる見込みである。すなわち現在の配給数量の約三カ月分に相当するという点が第二点でございます。  第三点は、食糧管理制度の運営の改善については今後集荷配給の両面にわたって引き続き検討を続ける。その中で端境期における需給事情等からして、過去において、昭和三十七年に時期別格差の整理の問題についてすでに方針が決定されておるが、その後、端境期の需給事情が一時的に苦しくなったことに伴って時期別格差の整理の方針も中断をしておるけれども、昨今の需給事情にかんがみて、再び従来の方針に沿って四十三年産米からその整理に着手することが適当と考えるので、事務当局に具体案の作成を指示したという点が第三点でございます。  以上が大体当日の談話の要旨でございます。
  60. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまのその発言の要旨の中で、第三点の食糧管理制度の運営の改善については、今日各方面からその緊要性を叫ばれており、農林大臣としては以上に申し述べた顕著なる需給事情の変化をも十分に念頭に置いて、集荷配給の両方面にわたり引き続き検討を続けるが、当面の処置として時期別格差の整理の問題を取り上げたいと考えている。こういうふうにお述べになっておりますが、時期別格差整理、この問題を取り上げると、これは早場米地域の農民に対しては、非常に重要な問題だと思うわけですが、これについての、現在またさらに事務当局に具体案の作成を指示したところである、こういうふうなことで結んでありますけれども、これについての御構想はどのようになっているか御説明願いたいと思います。
  61. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 時期別格差の制度というのは、米の需給が非常に苦しかった当時、いわゆる早場米奨励金という制度で発足をし、現在に至っておるわけでございます。すなわち九月三十日あるいは十月の幾日というふうに時期を限りまして、その時期に政府買い入れになりました米については、石当たりについて幾らという加算をして今日に至っておるのでございます。もちろん米の需給が非常に苦しかった当時、この早場米奨励金という制度によって農家が早期に政府に米を売り渡すということによりまして、政府が端境期の需給操作を容易ならしめたということは確かにあったのであります。しかし、最近におきましては、むしろ端境期の需給は著しく緩和いたしておりまするし、また逐次政府の買い入れという理由以外の理由で早生種の米の生産というものが非常に普及をいたしておりまして、昭和三十七年においてこの時期別格差を将来どのように扱うかということで、時期別格差研究会という研究会の研究にゆだねるという方針が決定され、その研究会の報告に基づきまして、翌三十八年産米において、当時存在をいたしておりました時期別格差を各期ごとに二百円ずつ削減をしてまいったのであります。その後三十九年、四十年、四十一年、四十二年と比較的端境期の操作が再び若干旧に復するかのごとき状態でありましたので、この時期別格差研究会の結論に基づいての実施は見送られて今日にきておるのでありまするが、本年の十月末、すなわち昭和四十二米穀年度末におきましては、昨年産米の政府買い入れ数量が八百万トンをこしましたということもありまして、大体古米で約六十五万トンぐらいの持ち越し、これが来年の端境期になりまするとそれがさらにふえまして、先ほどの大臣の談話にありましたように、二百万トンをこえる古米の持ち越しになるということになろうかと思います。したがいまして、このような事情からいたしますると、時期別格差制度の当初ねらっておりました早期供出をできるだけ奨励をするというねらいは、今後続ける必要がないという事態になっているということは一方において言い得るかと思います。しかしながら、この時期別格差制度のために、主として単作地帯の米の生産者の手取り価格というものは、この時期別格差制度の存在の上に当たっているという実態も、これはあるわけであります。したがいまして時期別格差研究会の当時研究されました内容も、この制度の縮減をはかる場合に、段階的にこれを縮減をはかるべきであるという内容になっておりましたのも、そのような配慮に基づいたものと思います。しかしながら、他面この時期別格差制度がありまするために、農家が非常に一時期に集中をして米の売り渡しをする必要が起きることのために、あるいは高い労賃を払って高労働に依存するとか、あるいは乾燥調整に必ずしも十分でない面が見られるとかいうマイナスの面も見受けられるのであります。また需給の緩和に伴いまして、政府の買い入れました米を今後長期にわたって保管をするという一般的な傾向があります際には、やはり農家が政府に売り渡す前に十分なる乾燥調整をした上で売っていただくということがこれまた必要なことでありまするし、また買い入れるほうの私ども食糧庁の検査の面から見ましても、一時期に非常に多量な米が殺到するということから、検査業務に若干支障を生じていることもこれまた事実であります。また今後の農家の経営の改善という見地からいたしますると、農家労働の年間を通じての著しいピークをなくして、できるだけ労働力を年間を通じて配分をするという問題も農家の経営改善にとって非常に重要なことであります。それらを彼此勘案いたしますると、やはりここら辺で過去に立てました方針に従って、再び四十三年産米から着手をすべきではなかろうかということに相なったのでございまするが、ただ具体的にどうするかという問題は、四十三年産米の米価を決定いたしますまでに決定するつもりでございますので、いまここで来年はどうするということは、まだ部内でも検討の結果、大臣の御指示を仰いでおらない段階でございますので、ただその方針だけが示されたというふうに御理解いただきたいと思います。
  62. 黒柳明

    ○黒柳明君 過去においても検討したこともありますし、また事務当局としてもまあ二日から指示を大臣から受けたとしても、まだ日にちがございませんから、まだ着手したものやら、これからするところかはっきりしないと思うのですけれども、まあいま言いましたように、現在は九月末で六百円ですか、百五十キロ当たり。十月十一日四百円、十月二十日で二百円と、こういう二百円ずつの格差がついているわけですが、こういうふうな格差というものをあるいはつけて、さらに四百円、二百円、百円にするとか、あるいはこれを全然取ってしまうか、全部全面的に解消するのか、早場米の奨励金というものをあるいはこれを段階的な金額というものをさらに減少するのか、そこらあたりがこれからの検討かと思うのですけれども、いまの時点においては、全部いま功罪いろいろ半ばしているような長官報告を受けまして、けれども結論としては、やっぱり奨励金の全面的打ち切りとなるか、あるいは減少となるか、その辺はわかりませんが、ともかく検討する、こういうふうなことで間違いないと思うのですけれども、その点事務的レベルでこれから検討を続けていくにせよ、全面的にはずすということになりますと、いまおっしゃったように早場米地帯の農民に相当なショックも与えるのではなかろうか、こう思いますし、この点来年度の米価の決定待ちということなんですけれども、一応いまのところは、御構想というものも全然持ち合わせないで、これから作業に着手する、このようなことなんでございましょうかしら。ちょっと曲りくどいような言い方になりましたけれども、全然ですからその構想というものは、丸っきり未定であるのか、あるいは現在このようにするのがいいのではないのか、あるいはこうしたいと思っていらっしゃるような意見でもあったらお知らせ願いたいと思います。
  63. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 三十七年に設けられました時期別格差研究会の論議におきましても、この制度の将来の姿としてどのようにするかということについては、いろいろ意見がございます。たとえば米の自由時代においてもいわゆる早場米と申しますか、一番早い米は味つけ米としての成果もあったので、そういうふうな経済的な意味の部分は残すべきである、いろいろ御議論が当時からはあったわけであります。われわれが今後検討をいたす場合にも、当然そのような御意見を頭に置きつつやるわけでありますが、ただ最近の見通しで先ほど大体来年の末の端境期の手持ち状況等を申し上げておりますが、しかし政府米の買い入れが進むに従って、ますますそれがはっきりいたしてまいるわけであります。いまのところはっきりいたしておりますのは、明年産米についての時期別格差は、今年と同様ではないということは、これははっきりいたしておりますが、一挙にやるか、漸進的にやるか、その他の問題につきこれはやはりいろいろ注目もありますので、もう少し時期が迫りました上で、その当時の実態をよく見極めた上で決定をするということがよろしいかと思います。ここにいろいろこういう考え方も、ああいう考え方もあると御紹介することは、幾らでもできますけれども、やはり先ほど先生が御指摘になりましたように、この問題はやはり北陸地方を中心とした単作地帯の農民にとっては、非常に関心の高い問題でありますので、あまり軽々にいろいろなことを申し上げるのもいかがかと思います。その時期までの構想の具体的な内容については、まだ未熟の段階で深くお答えすることは、いささか差し控えたいと思います。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただいまのお話で、ともかく来年度の早場米の奨励金は、ことしと同じでない、これだけははっきりしている、こういう点で私も了解したいと思いますし、相当これは早場米地帯の、先ほど私が言いました、また長官も繰り返しおっしゃっておりますように、これは重大関心事なものですから、ひとつくれぐれも検討の段階において公平なる処置をしていただきたいと思います。  それから、この農林大臣報告は閣議で了解したものか、あるいは報告としての了解事項なのか、その点はいかがなんでしょうか。
  65. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 作柄の報告に際して発表された談話でございまするので、談話の内容そのものが閣議決定とか、閣議了解とかいうような性格のものではないと思うのでございますが、ただ文書としては、閣議で配付されたという文書でございます。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 閣議で配付された文書であるから一応了解されている、このようなことで解釈してよろしいんじゃないかと思うのですが、よろしいでしょうか。
  67. 大口駿一

    説明員大口駿一君) 御異議が一人もなかったというふうに聞いております。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、一応閣議で了解されて、来年の早場米に対する奨励金の制度は変わってくる、こういうふうなことだと思います。  それからこれに若干関連するのですけれども、稲作改善対策の補助金ですね、四十二年の一月に五十億を特別事業費の補助金として都道府県を通じて市町村に交付しているわけです。キロ当たり六十六銭ですか、一俵当たり四十円。ところが、いまこの各都道府県に対する補助金というものが非常に額が少なくて、零細補助金で使い道に困っているというようなことで、私苦情を聞いている面、それからまだ使われていないで、要するにプールされている面がある。まだ使われていない、実質的な効果を発揮していない面がある、金銭があると、このように伺っているのですが、この五十億がいままでにどういう事業に使われたか、またどのくらい残っているか、そこらについて御説明願いたいと思います。
  69. 森本修

    説明員(森本修君) 四十一年度にやりましたいわゆる稲作改善対策特別事業の実施状況でございますが、最近の時点でわかっておりますのは、ことしの十月十日現在の状況でございますが、それを申し上げますと、全体で政府から出しましたのは五十億でございますが、政府で出しましたものに、地元でつけ加えまして事業をしておるというふうなこともございまして、事業費の総計といたしましては約六十一億ということになっております。つまり十一億ばかりは地元でつけ足して事業をしておる。その内訳を申し上げますと、稲作の機械化促進事業ということで各種の、主として大型機械を購入をして共同で利用するというふうなことに使われておりますのが約六億、それから用排水管理合理化対策あるいは土壌改良対策といったような形で使われておりますのが約十三億、それから小型の機具などを購入しておるというのが約十七億、それから講習会あるいは研究会等に使っておりますものが約三億、それから生活改善のための事業に使っておりますのが約二千五百万円、そのほか、こういうあらかじめきめておりまた事業以外のそれぞれ地方の特殊な事情によりまして稲作改善のために特別に承認を得て使ったというふうなものは約十億で、あと資金の形として造成をして、いまだ取りくずしていないというのが約十一億、そういう内訳になっております。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 これはもう御存じのように、この特別事業費を出すときには、自民党の政調会長の水田さんが農民団体と打ち合わせしまして、いま言いましたように、キロ当たり六十六銭、一俵当たり四十円を供出農家に渡す、こういう趣旨であったわけですが、それが変わりまして特別事業費の補助金と、こうなったわけですね。ともかく各都道府県に渡された。ところが、私先ほど申しましたように、これが各都道府県にいったときには零細補助金で、額が少ないわけです。東京都の場合なんかは四十七万一千円、非常にわずかな額です。それを今度は区別に見ますと、これはそちらでもおわかりだと思うのですが、東京都は四十七万一千円、これは十数カ所の地区に分かれておりますが、葛飾区七千九百二十五円、足立区一万九千二百六十三円云々と、こうなっている。葛飾区の七千九百二十五円の使い道を聞きましたら、農協の青少年五十名が千葉県立農事試験場へ見学に行った、こういう費用に使った。ところが、七千九百二十五円では足らないので、区から補助金として出してもらった、結局、区から何ぼかの補助金がこれにまたつけ足された、そして、この金が使われた。こういうことです。足立区の一万九千二百六十三円、これも技師を呼んで、講習会、普及員を呼んでその技術の普及状況の指導を受けた、四回にわたって。そのときの茶菓子代としてこれを使った、こういうことです。二月、三月四回にわたって。要するに、こういうように一番初めは供米農家に対して一俵四十円出すという目的が、四十一年の秋ですから四十二年一月の選挙の前ですが、どうしてこういうことになったのか、急速補助金になった、そういう使い道が、ところが、使い道にみな困って非常に苦慮して、その結果まだ十一億もの金がストックされている、こういうことです。ところが、実質的には、各地方農政局長あての事務次官からの通達を見ますと、「この補助金交付については、四十一年産米生産者価格決定の際の経緯にもかんがみ稲作改善を強力に推進すること。」こう書いてある。稲作改善を強力に推進するためこの補助金を使え、こういうような次官通達も出ているわけですけれども、稲作改善を強力に推進するような額ではないわけですね。これは東京都のみならず各都道府県、これを見ましても、非常にわずかな補助金であり、しかも、いま言いましたような使い道に使ったはいいけれども、都道府県で、また自分の金をプラスしてこの補助金を使わなければならない。しかも、この現実は稲作改善を強力に推進しろ、このような通達が来ている。ここは非常に矛盾を感じている。しかも、稲作改善資金の造成に使うべき十一億の金がまだ使われないままである、このような非常に矛盾した補助金制度ではないか、こういう声が非常に高いわけですが、この点いかがでしょうか。
  71. 森本修

    説明員(森本修君) この五十億の配分が四十一年産米の予約数量に応じて配分するということになっておりますので、東京都の例をあげられましたけれども、相当、米の生産量がある、したがって、また予約数量が相当にのぼるというような県におきましては、ある程度まとまった金額がいっておりまして、そういう関係からいきますと、米がかなり大きなウェートを占めている県においては、相当米の生産性の向上なりあるいは生産の増強ということには役立っているものと思っているわけです。ただ、御指摘のような一番極端な例が東京都でございますが、私どものほうも、東京都の状況を若干調査したわけでございますが、何といいましても今回のこの特別事業に取り上げましたのは、ある程度従来やっておりました米の助成といったようなものに対しまして、やや補完的といいますか、もう少しきめのこまかい面で米の生産に役立つようなものを取り上げていこうというふうなことでもございましたので、金額的にはあるいは小さいといったようなこともございますけれども、いままで政府から助成を受けられなかったような中小の機械でありますとかあるいはそういった講習なり見学なりといったような面におきまして、きめのこまかい使い方がなし得たというふうな面もあるのではないかと思っております。そういう面では、金額的にだけ評価ができない、やはりそういった使い道において、農家が小回りのきくようなものについても助成がなされたというふうな意味では、金額だけでは評価できない点があるのではないかというふうに考えております。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かにいま東京都の例を引けば、供出米の数量によって額がきまるわけですから、少ないわけですけれども、神奈川の場合を見ましても非常に少ないのです。供出米の多いところの都道府県は当然多い額がくるのですけれども、さらにそれが各都道府県で市町村別にこれ交付されるわけです。そうすると、市町村別になるので非常に額が小さくなっちゃうのですね。県で、府でまとまったときには大きそうですけれども、神奈川の場合でも、平塚の一千七百万が最高、あとはもう厚木の九十七万、あとはもう十万ぐらいのものです。二宮なんというのは三千百六十七円、鎌倉市は七千四百七十円、葉山町五千三百三十九円、これはいまも言いましたように供出米の数量によっての配分ですから、ともかく都道府県の数字が多くまとまっても、これが市町村にいきますと、非常に小さい額になって使い道に困る。だから使われないで、いまいったストップされている金が十一億もあるわけなんです。これは一部には、昨年の自民党の政調会長決定であり、選挙目当てであった、こういうような声が非常に高いわけで、そして、農民はだまされたのだ、羊頭狗肉とはこのことであるというような、こういうような悪評のある補助金のやり方のわけです。今回の場合も、すでに決定されて、各都道府県から市町村に分けられているわけですけれども、二度とこのような悪評のある補助金のしかたというか、半ば農民をだましたような、こういうやり方をしないでいただきたい、こういう声が非常に高いし、私もそのように思いますが、ひとつ今後十一億の造成費、これは早く使ったほうがいいと思います。そういうことを含めてひとつ農民の不評を買うようなことをやらないようにしていただきたいと同時に、また少しでも市町村で使い道はないことないですけれども、あまりにも零細補助金だという悪評ですから、それに対しても十二分に、変わった補助金になった、そこらあたりの理解というものをさせませんとうまくない、こう思うわけですが、ひとつ政務次官、その点くれぐれもお願いしたいと思いますけれども、ひとことだけ最後に……。
  73. 久保勘一

    説明員(久保勘一君) 御指摘の稲作改善対策事業費の問題につきましては、先ほど来局長より御説明申し上げておりますとおりでございまして、この問題につきましては、従来もいろいろと議論がなされていることを、私どもは承知いたしております。また、ただいまもいろいろと御意見がございましたが、私どもといたしましては、当初これを出しました趣旨でございまする稲作改善の対策上効果をおさめておる、かように現段階においても判断をいたしておるわけでございます。と申しますことは、先ほど御説明にも申し上げましたように、零細ではございますけれども、それぞれ地方におきまして、機械の購入とか、あるいは排水管理、農道その他もろもろの事業に大なり小なり稗益をいたしておるわけでございます。しかしながら、この問題は当時このことが実施されまする経緯にもございますとおり、四十一年限りの特別の措置として実施をいたしたわけでございまして、将来このような問題につきましては十分慎重に検討しなければならぬと考えておる次第でございます。
  74. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。
  76. 瓜生清

    ○瓜生清君 穀物取引所のことについて二、三お伺いしたいのです。  商品取引所法に基づいて穀物取引所というのがいまあるのですが、これに対して農林省としての行政指導の範囲というのは一体どこまでであるのか、そういう点について御説明願いたいと思います。
  77. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 取引所は本来から言いますと会員の組織でございますし、経済社会といいますか、資本主義社会の経済の運行に従って出てきた制度でございますから、ある程度自主的といいますか、自主的な規制が現に行なわれておるわけでございます。しかし、私ども行政の立場として見ますと、単なる会員同士の売買じゃございませんで、仲買い人に対して生産業者あるいは加工業者、取り扱い業者ばかりでなしに、物によりましては相当大衆参加が現実において行なわれておるわけでございますから、取引所自体は一つの自主的な規制を行なっておるものではございますけれども、大衆が参加しておるということに関連をいたしまして、取引所の運用が誤まって大衆に不測の被害を加えることがないように相当程度私ども行政庁としていわば突っ込んだ指導といいますか、ある意味でまたやかましい指導といいますか、そういうものをやるべきだと思いますし、また現に相当の行政的な規制を加えておるのが現状でございます。
  78. 瓜生清

    ○瓜生清君 大和田さんね、特に穀物取引の中でアズキというのが非常に何といいますか、投機的な色彩が濃い売買がなされているわけです。現物取引もあれば清算、取引もあるわけですけれども、そういう投機的なものに対して、かりに取引所法違反というような業者が出てきた場合、どういう、何というのですか、措置がとられるのか、お伺いしたいと思うのです。
  79. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども取引所に対する検査を行なっておりまして、そこで、法令違反の事件がございますれば、まあうっかりして知らないでやったという場合もなきにしもあらずでございますから、戒告あるいは訓告程度の処分をいたす場合もございますが、売買停止あるいは場合によりましては営業をやめさせるというところまでいく場合もないことはないと思います。
  80. 瓜生清

    ○瓜生清君 これは局長でも、企業課長でもいいですけれども昭和三十六年に起こった事件ですが、宮沢侍良という方が岡藤商事という会社に対して八百五十万円のアズキのいわゆる現物取引の申し入れをして金を払い込んだけれども、それが詐欺にひっかかって、いろいろ農林省に対して苦情を申し出ておるという事件を御存じなのかどうか、お伺いしたいのであります。
  81. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 私まだ直接には聞いておりませんけれども、いま担当の者の話によりますと、担当の者のところへは一応報告がございまして、示談で解決をしたというふうな報告がまいっておるということでございます。
  82. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は直接本人から聞いたのですけれども、示談で解決ができずに、いま裁判ざたになっているはずなんです。ここに資料もございますけれども……。  そこで、こういうふうな一種の商品取引所に加盟しておる業者がそういう不正行為をした場合に、いま局長の話だと、営業停止だとか、いろいろな制裁条項があるように聞いておりますが、実際はそういうことがなされていないという事実を私は知っているわけです。で、そういうような場合に、いわゆるいまの大衆参加という商品取引について、何かこう農林省自体が業者の味方をして、むしろ大衆のそういった利益というものを擁護しないというような、そういう風潮があるやにまあうわさされておるわけですけれども、現にここに農林省の——昭和四十二年の六月一日ですから、約五カ月ほど前に、この宮沢侍良さんに対して経済局の企業課長から、昭和四十年の三月に、この事件について立ち入り検査を行なった結果、昭和四十年六月に農林大臣から厳重戒告の処分がなされたという公文書が出ているわけです。ところが、事実関係を調べますと、そういうことがないわけで、その間の事情がわかっておりましたら、ちょっと教えてほしいのです。
  83. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) いまお尋ねの件につきましては、確かに岡藤商事大阪本社に対する立ち入り検査を実施いたしました。その結果、それに基づいて処分をしておるということでございますが、いまお尋ねのありました宮沢さんにかかる事件は、東京支店の営業所にかかるものであるということで、その処分とは直接関係がないということでございます。
  84. 瓜生清

    ○瓜生清君 確かに御指摘のように東京支店に関係しておる事件なんですけれども、たしかアズキならアズキを現物で相場を張る場合に、金を払い込めばそれに対する預かり証なりあるいは倉荷証券というものを出されるのでございましょうか、そういうものも一切出していない、こういうようなことを私は資料に基づいて確認をしておるのですけれども。そういった歴然たる取引所法違反というような事実が明確になっておるにもかかわらず、なぜ当局として行政指導の面か、あるいはほかの面かは別として、岡藤商事に対す何らかの処分というものを、どういうわけでなされていないのか、お伺いしたいと思います。
  85. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私具体的な事件について、詳細存じておりませんから、多少、直接お答えいたしかねて恐縮でございますが、先ほど紛議の起こる際に、農林省業者立場に立って、委託者について欠けるところがありはしないかという御指摘がありましたけれども、私どもが聞いておりますことは、むしろその逆で、三十九年くらいまで、実は穀物関係の紛議が非常に多かったのでありますけれども、三十九年以降、これではいかぬということで、相当厳重なる私ども取り締まりをいたしまして、ことしに入りましてからの紛議件数は、大体前年に比べて四分の一くらいに落ちております。それで、先ほども行政庁が一体取引所にどの程度まで入り込むかということを申し上げたわけですが、事紛議に対しては、私ども相当踏み込んで、むしろあるいは行政庁として行き過ぎになるのではないかというふうにときどき思う程度に踏み込んで、相当たくさんの人が役所にも来ておりますし、役所に来たものにつきましては、取引所に詳細つないで、そのあともチェックもいたしておりまして、私は大体の話としては、役所は業者立場に立って問題をうやむやにしているということはうまくないというふうに考えております。いま御指摘の具体的な件は、私どもが承知しておりますことは、岡藤と委託者でもって紛議の話し合いをやっておって、もう少し模様を見てくれという話がございました。しばらく事情を見ておるという状態でございます。したがいまして、私ども見まして、まさに御指摘のように法令違反の事実がございますれば、それはしかるべき措置をとるつもりでございます。
  86. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は決算委員会で、局長、特定の業者の擁護とか、そういう立場ではなくして、いま質問しているんですが、具体的にひとつお伺いしますが、ここに農林省の経済局の企業課長からの文書があるんですけれども、あなたのほうで、こういう公文書を出される場合には必ず課長なり何なりの印鑑は押されるのですか、押されないのですか、その点を課長からひとつお伺いしたいと思います。
  87. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 企業課長につきましては公印がございません。公印を持っておりますのは局長、それから官房の各課長でございまして、ほかの課長は公印を持っておりません。
  88. 瓜生清

    ○瓜生清君 これは企業課長の文書ですが、これを見ますと、いま局長がお答えになりましたのとちょっと様子が違うのです。といいますことは、取引所における紛争の調停に鈴木四郎さんといいますか、理事長が、その方が中に入ったけれども、それが不調になったので、結局裁判にまかせられたほうがいいんじゃないか、そして、違反についてはさっき言いましたように大臣から戒告の通告がいっておる、こういう企業課長発の文書なんですよ。ところが、実際私が事件を知ったのは数日前なんですけれども、本人に会って聞きますと、そういうことはないというわけです。結局いま言いました事業会社に対して八百五十万円の金でアズキの現物相場を張ったと、倉荷証券も出さないと、ただ金の受け取りだけだとか、そして農林省の経済局企業課にいろいろ何回も内容証明で手紙を出したけれどもはっきりした措置というものもとられていない、これじゃ何といいますか、アズキ相場にしろ、その他の商品取引にしろ、さっき局長がおっしゃったように、これはまあ一部の業者もいろいろ裏で、何といいますか、価格の操作をしておりますけれども、株式市場の不振によってアズキ等については一般の大衆投資家も乗り出しておる。そういうものに対する保護というものが全然ないじゃないか、むしろ商品取引所の、何といいますか、幹部連中の陳情なりあるいは裏面におけるいろいろな行動によって、農林省がそれらのグループに対しては、何といいますか、表面上行政指導を強力にやるといいながら、罪のない大衆というものに対する配慮というものがなされていないと、こういう不満があるわけなんです。私はこういう問題については、実を言いますと、しろうとでしてよくわからないのですけれども、そういった声が非常に強いわけです。具体的にこういう事例が存在をしておる。これは実際農林省からお出しになった書類ですけれども、私の要望したいのは、言うならば詐斯行為に等しいようなことをやっておる穀物関係の商事会社に対してもっともっときつい行政措置というものがとられてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、局長いかがです。
  89. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) いまきわめて具体的な問題で御指摘を受けたわけで、私も具体的なその事例について十分調査をしてまた何らかの方法でお答えをいたしたいと思いますけれども、私ども相当きつく取引所あるいは業者に当たっておりますことは、四十一年におきましても戒告等の処分が十件、委託業務の停止が四件ということで、まあ商売にとりましては、委託業務停止を何日かやられることは相当きついわけですけれども、明瞭に法令違反で、しかも大衆に迷惑をかけているものに対しては、私どもはそのようにやっておるわけです。それで紛議の件数でございますが、これは先ほど申し上げましたようにことしになって昨年の同期の四分の一程度に減っていましたが、全体としてここ四、五年数百件くらい紛議があったわけです。大小とりまぜてあったわけです。それで、これは東京穀物その他穀物関係がおもでございますが、そこで紛議のいわば調停といいますか、話し合いがついたものが約七〇%、ごく少数のものが訴訟になっておるわけでございますが、私どもこれは裁判ともまた違い、別にそう権威のある判例というものもないわけでございますから、東京穀物取引所その他の各取引所で行ないました紛議の調停の事例も集めまして、それを各取引所に配って、それぞれ研究をしてもらいまして、大体紛議の種になりました金目で申し上げると六、七割ぐらいのところは仲買い人が出しているので、私どももそうでございますが、取引所のほうも相当仲買い人に強く当たっている場合が普通でございまして、一般に大衆といいますか、大衆参加者といいますか、そういうところから全然その役所なりあるいは取引所なり業者立場に立って、はなはだけしからぬというふうには私ども考えておりませんので、たまたま御指摘の事例について私どもの調査あるいは処置が不十分でありますれば、私ども具体的に取り上げて処置をいたすつもりでございます。
  90. 瓜生清

    ○瓜生清君 私はきのう企業課長にお目にかかりまして、こういう何といいますか、企業の名前をあげてどうこうという話をしなかったのですが、きょう唐突としてこういうことを御質問したのは、資料がですね、裏づけがなかったものですから、企業課長に申し上げなくてまあきょうを迎えたわけですけれども、こういうような具体的な案件が出ましたからですね、これ以上質問しましても、なかなかお答えしにくいでしょうから、きょうはこれでやめますから、こういうことにつきましてはですね、ひとつ農林省としてですね、御協議をなさって、次の何かチャンスがありましたら、私またこの問題についてですね、いろいろお聞きしたいと思いますから、それまでに御準備を願いたいと思います。きょうはこれでやめます。  そこで、委員長、穀物取引所のですね、存在価値といいますか、そういうものについて、局長は一体どう考えておるのか、それを承りたいと思います。
  91. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私は先ほど申し上げましたように資本主義社会で商品取引が盛んな時代では、取引所という制度をかりにつぶしたとしても、特定の商品について裏取引で相当商売を行なわれるというふうに思います。それでまあ私のほうから申し上げるのはいかがかと思いますけれども、商品取引所法の改正を先般の国会でお願いをいたしましたときに、具体的にたとえばアズキについて上場する必要があるかとかその意思いかんということでずいぶん御質問がありましたけれども、私はまあアズキが一番代表的なものですけれども、それが取引所の上場品目となりました経過を考えますと、やっぱり仲間同士の取引がそれが取引所に結集したという形でございます。したがいまして、かりにアズキを上場品目からはずしましても、やはり仲間の取引があって、それに大衆がいろいろな形で参加して、しかも、いわばアウトローの世界で法律の規制が全然ないという状態で、やはりけが人が出ると思います。したがって、あまり投機がいわば過当投機になって、大衆が迷惑するということは困りますけれども、私は大衆が迷惑しないように、できるだけ取引所もまた行政庁も規制を加えながら、取引所の存立を認めていくということが、むしろそういうけがをかえって少なくするのではないかというふうに思います。  まあ話は逆になりましたけれども、取引所によってとにかく商品についての値段が公にきまって、それが公に公表されて、それに基づいてたとえばアズキでいいますれば、相当多数の農民は取引所の相場を見ながら植えつける。農協の九割くらいは取引所の相場を見ながらいわば売りに出すという形で、最も投機商品といわれておるアズキにおいても、相当関係者がこれに参画といいますか、これによって利便を受ける。生産者あるいは業者、加工業者等、これによって、利便を受けておるわけであります。まあ公正な価格をそこで決定されて、それが公表されて、生産なりあるいは加工なり取引の指標になりますと、あわせて関係業者がこれによって、いわば取引上の不測な損害を防ぐということで、私は経済的に意味があるといっていいと思う。ただ、私どもがおそれておりますことは、アズキが過去において何回か繰り返されましたように、あまり過当投機になって、全然相場についてまあ知識のない家庭の主婦が、へそくりを持ち出してそこで大損をするというような事態は、できるだけやはり避けなければならないというふうに考えるわけでございます。
  92. 瓜生清

    ○瓜生清君 私もうこれでやめますが、大和田さんは、共和製糖事件以来のお相手ですから、いやな質問をしませんけれども、さっき申し上げました事件については、ひとつ十分調査をしてもらって、そして、はっきりした結論を出していただきたいと思います。  それからいまの取引所のいわゆる行政指導に対しては、まあ言うならば、詐斯やペテン師みたいなやつがたくさんおるわけですよね、業者の中には。こういうようなものが利益を得るために、いわゆる大衆の投資家というものをえじきにするというような、そういうことについては、ひとつきつい指導というものをしていただきたい。そのことを要望しまして、きょうは委員長、これで終わります。
  93. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本日の審査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会      —————・—————