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1967-11-14 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十四日(火曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 黒木 利克君                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 黒柳  明君     委 員                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 山本茂一郎君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 瓜生  清君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    事務局側        常任委員会専門  佐藤 忠雄君        員    説明員        建設政務次官   渋谷 直蔵君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省河川局水        政課長      上妻 尚志君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君        会計検査院事務        総局第三局長   増山 辰夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君    参考人        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        半田  剛君        日本住宅公団理        事        稗田  治君        日本住宅公団理        事        尚   明君        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君        日本道路公団理        事        鈴木 喜治君        首都高速道路公        団理事長     林  修三君        首都高速道路公        団理事      桃井 直造君        首都高速道路公        団理事      有田  毅君        首都高速道路公        団理事      有江 義晴君        阪神高速道路公        団副理事長    樺山 俊夫君        阪神高速道路公        団理事      小西 是夫君        阪神高速道路公        団理事      木村 行蔵君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省住宅金融公庫日本住宅公団日本道路公団首都高速道路公団及び阪神高速道路公団決算について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  当委員会に提出されております建設省住宅金融公庫日本住宅公団日本道路公団首都高速道路公団及び阪神高速道路公団決算の概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 大森創造

    大森創造君 島根県の江川昭和四十年七月の梅雨前線による豪雨の際に、災害状況について、建設省では現地についてごらんになったことがございますか。
  6. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 建設省におきましては、災害の発生後数日にいたしまして、災害査定関係もございまして、現地を詳細にわたって見ております。
  7. 大森創造

    大森創造君 いつごらんになりましたか。
  8. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 災害査定は、昭和四十年の八月の二十四日から同じく九月の八日までいたしております。この間に現地を見ております。
  9. 大森創造

    大森創造君 そこで、いまのような期間現地査定したということを河川局長おっしゃいますけれども査定を始めて一時保留したということを聞いております。九月の初めまでやって、あと保留をして、四十一年の一月中旬から解除したということでございますが、これは事実でございましょうか。
  10. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 事実でございます。
  11. 大森創造

    大森創造君 どういう理由で、一時、査定を開始したものを今度は四カ月間保留をいたしましたか。
  12. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 災害原因が、中国電力浮戸による災害であるのか、あるいは異常な自然現象による災害であるのかということを一時検討するために保留したわけでございます。建設省といたしましては、一応異常な自然現象であるというぐあいに考えておりましたけれども中国電力において一応そういった災害原因となるようなことがなかったかどうかということを確かめるために、そういった保留期間を設けたわけでございます。
  13. 大森創造

    大森創造君 浮戸というのは、建設省皆さん方には説明を要しませんけれども、いわゆる浜原ダムがあって、ゲートが十二あって、そのゲートが万一の場合に、危険におかされた場合に、そいつを修理するために、一時もしくは相当長時間にわたって浮戸によって代用するという作用をなすのがいわゆる浮戸でございますから、その浮戸による災害であるということは、これは建設省認めになったのでございましょうね。
  14. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 災害内容は、橋梁が八橋ばかりダム下流損傷を受けたわけでございますが、その内容を見てみますと、必ずしも全部が全部浮戸の流れた影響とは考えませんが、中にはそういう影響もあったものであるということも推定されております。しかし、全部が全部ということははっきりいたしておりません。
  15. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、いまの御答弁によると、浮戸が流れたことによる災害も現にあるということはお認めになっているわけですね、建設省は。
  16. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりでございます。
  17. 大森創造

    大森創造君 それでは、この昭和四十年の七月二十三日の災害の際に、浮戸が流れたことによって、日本海に注ぐ下流一帯橋梁などが損壊をした、破損をしたということについて、自然災害のところもございましょう。しかし、浮戸による災害といいますか、それによる損壊という部分もあると思いますけれども、そこの区分けは現在ではできませんかな。
  18. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 現在では困難でございます。
  19. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、浮戸流失したことによって生ずる損壊損傷損害、そういうものは現にあったのでございますから、それとプラス自然災害による橋の流失損壊というもの、これを合計したものについては、私のほうなり委員会のほうに資料としてお出し願うことはできましょうね。もう一回申し上げます。この七月二十三日のときに、浮戸が流れた、そして下流のほうにがかった橋がそのことによって損壊破損をするということ、しかしただいまの河川局長お話によるというと、そういう浮戸による破損損壊ばかりでなくて、その他のまあ増水によるところの破損損壊もあるであろうということでございますが、それを合計したもの、いわゆる橋梁損害に相当するところの、そういう金額の合計とか、そういう調査はおできになりますね、いまからでも。
  20. 坂野重信

    説明員坂野重信君) それはできます。参考のために申し上げますと、災害査定額が約二億九千万となっております。先ほど申し上げたように、災害の額は、国が査定したものは二億九千万余りでございます。その原因が、先ほど申し上げたように、その中に浮戸流失のものも含まれておるというぐあいに申し上げておるわけであります。
  21. 大森創造

    大森創造君 そうしますというと、浮戸流失によって起こり得る災害損壊というものは、橋梁ですね、その浮戸そのもの流失による損害、破壊の程度、金額というようなものは、いまとなっては算定することは不可能であるけれども、しかし、それと自然災害的な要素のものを合計したものの金額とか、そういうものを報告はできるということですね。それと同時に、川本町はじめ浮戸流失したということを誤認をしてダムそのものが流れてしまったということについて非常態勢をとったということの有形無形のいろいろな損失というものがあるだろうと思います。そういうものの測定は、厳密ではなくても、ある程度建設省のほうで捕捉できますね。
  22. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 直接の公共施設問題等につきましては、算定はできるわけでございますが、そういった無形の精神的な損害金額で算定するということは不可能であると思っております。
  23. 大森創造

    大森創造君 そこで別な角度からお尋ねしますけれども、このダム昭和二十八年にできた。そしてそのいわゆる浮戸というものは、先ほど御説明申し上げたとおり、十二ゲートがあって、そのゲートが一部分でも破損をしたり流失した場合には、一時でもあるいは長期的でも、そのゲート代用をなす付属物件であるというふうに私は解釈をしているのでございますけれども、その浮戸ができたのが昭和三十三年である。そこで、設置者であるところの、管理者であるところの中国電力側説明によると、このダム計画洪水量というものは九千七百トンである。そこで最大安全度はどのぐらいかというと、一万二千トンまで耐えることができるということを中国電力側が言うておりますのにかかわらず、この問題の昭和四十年の七月二十三日の洪水時のときに、浮戸が流されたときのその時点の水の量は五千七百トンということであります。五千七百トンのときに、すでにその時点において浮戸流失したということです。このことは建設省のほうでもお調べになったでしょうね。私の申し上げたことはおわかりでしょう。
  24. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 浮戸流失いたしましたのは、二十三日の午前八時過ぎであったと推定されておりまして、そのときの推定の流量が五千七百立方メートル・毎秒というふうに聞いております。一万二千トンの問題については、私はいまのところはっきり存知しておりません。
  25. 大森創造

    大森創造君 そこで、九千七百トンが計画洪水量であって、一万二千トンというのが最大安全度であるということは、別途ここにたくさん資料を用意しておりますから、あとごらんになればわかりますが、中国電力側の公式の説明であります。地元市町村長を集めて、こういうことを責任ある立場の人が説明されている数字であります。それはともかくとして、そこでお伺いしたいのは、浮戸というものはどういうふうに建設省解釈をしておりますか。どういうものでございますか。
  26. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 浮戸は、ダムゲートその他の修繕をする場合に、そういった場合に使いまして、あらかじめダム上流側係留していたものでございます。浮戸効用からいって、ダム修理用のそういったために予備的に準備しているもの、こういうように解釈いたしております。
  27. 大森創造

    大森創造君 そこで、その浮戸というものは、設置をする場合に、建設省のほうの許可認可を要するものであるというふうに私どもは思っておりますが、それは事実でしょう。
  28. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 当該江川のこの区間は準用河川でございます。したがいまして、浮戸設置につきましては、工作物の新築、改築あるいは除却、そういった問題につきまして地方行政庁許可を必要とした旧河川法第十七条、及び河川敷地占用するものは、地方行政庁許可を受けなければならないとした旧河川法第十八条があるわけでございますが、前者につきましては、浮戸設置は、旧河川法の第十七条各号のいずれにも該当しないものと解されております。したがいまして、浮戸設置につきましては、旧河川法のもとでは監督官庁の許認可手続を要しなかったものと解釈しております。
  29. 大森創造

    大森創造君 そこで、私の見解と違うのでございますが、浮戸というものは、さっき説明されましたような効用をなすものであるというふうに解釈いたしますことは、私は河川局長のほうと同感でございますけれども、いままでの建設省のほうの、行政庁公式見解としては、浮戸ダム本体一体をなす工作物なりというふうに、私は、私のいままで集めました資料によって、建設省見解がここにあるというふうに断定をいたします。ダム本体一体をなす工作物であるということ。そこでお伺いしますけれどもダム本体についての認可は要するのでしょう、これは、建設省
  30. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ダム本体については認可は必要でございます。
  31. 大森創造

    大森創造君 そこで、浮戸については認可を要しないという見解でございますか。
  32. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりでございます。
  33. 大森創造

    大森創造君 これは、私とあなたのほうの解釈の違いであって、これは絶対に旧河川法によっても、電気事業法、これは通産省の方もおいでだと思いますけれども、どうしても建設省及び通産省認可を得なければならないものである。ダムはもちろんでございますが、ダム本体一体をなすところの重要な工作物でございますから、ただいま河川局長お話にありましたように、単なる付属物件ではなくして、ゲートの一時または長期代用をなす重要な物件でございますから、私は、旧河川法によっても、あるいは電気事業法によっても、当然これは通産省建設省設置についての認可を要する物体であるというふうに解釈いたしますけれども、いかがなものでございましょうか。
  34. 井上亮

    説明員井上亮君) ダム本体につきましては、電気事業法によりまして、認可を必要とすることは、建設省と同じでございますが、浮戸につきましては、これは修理の際の一つ施設物件であるというふうに解釈いたしておりまして、現行の電気事業法では、これを認可の対象に指定していないというのが実情でございます。
  35. 大森創造

    大森創造君 それはそれなりに承っておきますけれども、私は設置認可を要するものというふうに解釈いたします。これは皆さん御承知のとおり、現在あの地元の町村と、それから中国電力側裁判をやっておりますから、いずれ明らかになるだろうと思いますが、私はこういう重要な物件というものは、通産省建設省認可を要するものというふうに解釈をいたします。  それからもう一つ建設省のほうにお伺いしますけれども、それならば、現実浮戸なるものは長さが十六メートルあって、幅が九メートルあって、それから厚さが三メートルある巨大な鋼鉄でございますから、これが流れた場合にはえらい破損を起こします。これは江川流水面現実占用しておりますから、その当時の二級河川でございますから、当時の河川管理者である県の流水面占用許可をとるのが必要だと思いますが、その点はいかがでございましょうか、建設省
  36. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 先ほど申しましたように、旧法河川敷の占用につきましては、旧法の十八条があるわけでございますが、十八条につきましては、先ほど申し上げたように、準用河川区域でございまして、しかも準用河川区域につきましては、私権の存在を認めておりまして、当該敷地中国電力の私有地でございますので、旧河川法の十八条は適用されないものと解釈しております。したがいまして、占用手続は必要はないというぐあいに解釈するわけでございます。
  37. 大森創造

    大森創造君 そうすると、浮戸現実に占有しておりますので、流水面占用許可は、河川管理者である県の認可許可も必要ないということなんですね。
  38. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりでございます。
  39. 大森創造

    大森創造君 次にお伺いしますけれども浮戸が流れたことは事実、浮戸が流れたことによってその下流橋梁やその他に相当な破損損害を与えたことも、皆さん方認めになっていらっしゃる。そこで問題は、浮戸流失原因というものを調査したことが建設省ございますか。
  40. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ございます。
  41. 大森創造

    大森創造君 それでお伺いしますが、いつどういう方法で調査したか、その結論はどういうことになりましたか。
  42. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 浮戸係留の問題につきましては、京都大学防災研究所、それから建設省土木研究所調査いたしました。防災研究所は、報告は四十年の十月に報告書が出ております。それから土木研究所のほうは、別途に浮戸係留しておりますチェーン等強度等につきまして調査をいたしております。その他、建設省といたしましては、県当局実情を聞いたり、その後実地につきまして視察、調査等いたしまして、総合的な判断を下したわけでございます。
  43. 大森創造

    大森創造君 私はこの間現実島根県へ行って、江川下流一帯を実際に見て、それからワイヤロープつけ根がいかにちゃちであるかということを見てまいりました。そこで私の感じは、きょうはこまかいところについてやりとりはいたしません。すでに法廷闘争になって第一回の結審が近く出ることになっておりますから、いずれ明らかになると思いますが、私は、どうしてもこれは中国電力側の人災であろうという私の推論です。推論というよりも、ほとんど私は確定的なんじゃないかと思います。それをくつがえして自然災害であるという結論は、私は考えられません、現地へ行ってみて。  そこで申し上げますというと、これはすでに皆さん方調べだと思いますが、この係留されていた浮戸係留すべく用いていたワイヤロープ、このワイヤロープ強度は相当強度なものでございますけれども、問題はそのつけ根です。その現場に行って見てまいりました。これは裁判でもずいぶん問題になって、実地検証などをいたしましたけれども、これなら切れるのは当然ですが、一万二千トンでなくても、あるいは九千七百トンでなくても——九千七百トンに至らない増水でも、水がゆれますから、ダムの付近で。で、現実に七月二十三日の早朝にこの浮戸が流されたということでございますが、それより約一月前に、ちょっとした洪水がありまして、そのときもゆれるのです。これは写真を一度ごらんになったらわかりますが、これは赤字でもわかりますよ。こういうようなものがこうゆれてくると、こういうちゃちなとめ金があって、つけ根金具があって、そこのところがもうコンクリートのところに一時すれるようになっておりますから、完全にこれはもう溶接部分がちゃちでございますから、すぐばたっと切れる。これは現場に行って見たら一目りょう然ですよ。石原藤次郎教授は、石原安雄教授は「最近の河川災害に関する2・3の問題点」なる冊子を出しました。私も克明に調査いたしましたけれども、あなた方がおっしゃるような自然災害であるという断定は、この調査報告によってもなされておりません。私はあれは現実に見てみたところが、しろうとでもわかりますよ。相当ちゃちな金具ならば、すぐに切れるであろう。で、裁判所でも実地検証をして、これはもうよほど作為的でなければ、この金具が切れてしまうということはわかるわけです。その鉄板を溶接して用いたもので、その溶接部分が切れて飛んでいるわけです。ここが一番大事だと思うのです。いかに権威のある京都大学防災研究所石原博士であろうと、その場に居合わせていなかったのだけれども、あすこをこう見てみるというと、すぐわかるわけです。しかも一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二のゲートがあって、その十二のゲート部分浮戸がつながれていて、そうしてその十二ゲートのところの両方に擦過傷ができております。そこで中国電力側が言うように、木材が当日流れてきてぶつかってきずができたのだと言いますければも、ああいう頑強なダムコンクリートの側壁に、擁壁にああいうつめあとが、絶対にほかのものでは大体きずができないということを、私はもう私のからだで感じてまいりました。それから、その他、補助ロープがございますが、補助ロープの用い方が、コンクリートによって擦過傷を受けるような状態で使用されていたことは事実です。先ほど申し上げたとおり、決してワイヤロープ強度不足のためではないのであります。そのために切れたのではない。いわば設計と施工と管理のミスなんですね、私が現場を見た限りでは。  そこで問題は、京都大学防災研究所石原藤次郎氏の「最近の河川に関する2・3の問題点」だろうと思うのです。これでしょう、きめ手は。建設省や県や中国電力側が言っているのは、この点でしょう、要約するというと。自然災害であるというふうに断定をする理論的な根拠はこれしかないと思うのですが、いかがでしょう。石原さんの報告書でしょう、自然災害というふうに断定した根拠は。その他の派生的な理由は問いませんが、とにかく石原博士のいわゆるその学術調査報告というものを基礎にして、自然災害である、浮戸流失は、異常なる水理現象によってもたらされたものであるという理論的な根拠は、この報告書のみによるのでしょう。そうだと思いますが、いかがですか。
  44. 坂野重信

    説明員坂野重信君) お説のとおり、京都大学防災研究所報告書は十分尊重しております。日本で非常に権威のある先生が調査されたのでありますので、私どもは十分尊重しております。が、しかし、その当時の状態からいいましても、異常な出水でございましたし、それふらまた、先ほど言いましたように、土木研究所資料等によりましても、係留における強度等については欠陥がなかったというように考えております。いろいろあれやこれや総合的に判断いたしまして、私どもとしては、係留の問題についてあるいは管理について、欠陥なりあるいは瑕疵があったということは認めがたいのであります。
  45. 大森創造

    大森創造君 何で河川局長現場に行ったこともないのに、そういう過失がなかった、瑕疵があったなどとは認めがたいというような断定的なことをおっしゃいますか。それはいま私が申し上げたとおり、その石原藤次郎氏のつくった「最近の河川災害に関する2・3の問題点」なるものを唯一の根拠にして、こうであろうという推論ではありませんか。
  46. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 推論ではなくて、技術的な判断でございます。私自身も災害後、はっきり日にちは覚えておりませんが、現地を見ています。
  47. 大森創造

    大森創造君 そこで現地を見てみて、災害についてはあなたは権威かもしれないけれども現実における、この場所における災害というものは、やはりそれだけの理由があるということでございまして、私は幾ら石原さんが学術的な報告を出そうが出すまいが、やがて裁判結審になるというと、絶対に私は自然災害という結論は出てこないと思う。出てきたらたいへんなことになると思います。  そこで問題は、石原報告というものは要約するとどういうふうなことを言うておりますか。県もそうですよ、それから建設省も、その他中国電力のほうも、石原報告というものをこれをよりどころにして、そして自然災害というふうにきめつけているようでございますけれども、いわゆる石原報告というものの内容を私もずっとつぶさに拝見いたしておりますが、どういうことを言っておりますか。要約して二、三行で言ってください。主たる部分はどういうところにありますか。
  48. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 報告書は、要約いたしますと、浮戸流失はもちろん論点の主要部分になっておりまして、浮戸流失は、従来死水域と考えられた個所に生じておる水理や振動等の種々の要素——種々の要素ということばを使ってあります。種々の要素がたまたま重なり合って生じたまれな現象と考えられる、特に係留について欠陥があったとは考えられないという趣旨と、私ども解釈しております。
  49. 大森創造

    大森創造君 私の読み方はこういうふうに読んでおります。その石原報告の読み方というものは、私は十二ゲートから、係留の方法やそれからとめ金というものなどがちゃちであるので、こいつがちぎれてそして流されたというふうに解釈しておる。したがって、十二ゲートからずっと出ていったそのためのきずあとで両方に残っておる。一番から十一番までのゲートの中にはきずあとが全然ありませんから、ああいうきずあとができるのは、絶対に巨大なる綱鉄製の物件があの場所を強力な圧力によって通過した以外に考えられません。しかも、そういう擁壁のきずあとというものは、いつできたかということを御存じですか。十二ゲートにおける両壁のきずあとつめあと、いま行ってみたらありますけれども、そういうものはいつできたと思いますか。中国電力側は、木材が流れてぶつかってきずができたということを言いますが、そんなことは私は寡聞にして聞いたことはない。実際にああいうがんじょうなコンクリートのところに材木が幾ら流れたってきずはできませんよ。幾ら国会であばれても大理石にきずあとができませんからね。われわれの経験に徴して明らかであります。そういうものは絶対できるものではない。私はああいうゲートのきずあとというのは、巨大な綱鉄製の物件といったら浮戸しかない。その擦過傷はいつできたかということをあなたは聞いておりますか、お調べになりましたか。
  50. 坂野重信

    説明員坂野重信君) いつできたかということは聞いておりません。
  51. 大森創造

    大森創造君 これは私のほうがこの問題についてはよく調べておりますから……。あなたのほうは河川行政全体については私より数等上でございましょうが、この問題については、私はじっくり見てまいりましたが、これは同日できたということを中国電力側が言っております。裁判の検証によって同日できたというのですよ、きずあとは。これは中国電力側の証言です。それから石原博士の言っていることはこういうことです。異常な水理現象ということは言っておりますけれども、十一ゲートから流れて、そして潜水してずっと下に流れるとすれば、これは異常な水理現象であるということであって、常識的には現場に行っておわかりのとおり、十二ゲート近くに係留されておりますから、十二ゲートから流されるのは当然であり、そのきずあとが残っているということを私は言いたい。しかも目撃者がたくさんいるわけです。目撃者がいる、証人がいる。そのときに石原報告のささえになるところは何かというと、なぜ十二ゲートから流れなかったかという石原報告のささえになっているのはどの点かといえば、これは御存じですか。
  52. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ゲートの開度でございます。十二ゲートが、報告によりますと、二・二メートルしか開かれてなかった。それ以外のゲートは五・五メートルあいておった。したがって、厚さ三メートルのゲートでございますから二・二メートルの開度しかなかったところを、どうも三メートルの厚さのある浮戸が流れたということは、これはちょっと考えられない。そのほかのゲートについて、まあ十一ゲートで流れたという場合も想定されております。まあそれについては、流水の吸い込み作用といいますか、そういうものによって吸い込まれて、そしてそのゲートをオーバーフローして下流にそれが水平に浮いて流れていったというふうに想定されております。
  53. 大森創造

    大森創造君 そこであなたのおっしゃること、並びに石原藤次郎氏の言っている報告の基礎をなすものは何かというと、現場浜原ダム管理事務所と申しますか、そこの中国電力側管理事務所の証言というものを根拠にして、権威のある京大の防災研究所石原さんの報告が出ているし、それから中国電力のいわゆる管理事務所の中の操作記録、そういうものを通産省建設省や県のほうに報告しておりますから、そういうものをもとにしてあなた方は私にお答えになっているし、そこのことをもとにして推論されていることに違いはないのです。権威のある——繰り返しますが、石原博士報告というのも、いわゆる中国電力現場管理事務所の操作記録というものを基礎にしていろんな報告がなされていることには間違いないのです。これはお答え要しませんけれども、念のためにひとつあなたのほうのお答えをいただきたいと思います。そうでしょう。
  54. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そのとおりであると思います。
  55. 大森創造

    大森創造君 ところが、その操作記録というものが、これがでたらめなんです。よく調べてみると、でたらめであるということがはっきりしている。これは日付も場所も全部はっきりしているんでございまするけれども石原報告のもとをなす十一ゲートが、ほかのゲートから潜水してずっと異常水理現象によって、浮戸が流れたということであるけれども、これは異常なる水理現象ということしか言っておりません。常識的には十二ゲートから流れるのが当然であるというふうに私は思うのでございますが、なぜ十二ゲートから流れなかったかという根拠は、石原博士現場におられなかったからわからなかったので、いわゆるいま申し上げましたように、中国電力現場管理事務所の操作記録によっているのであります。その操作記録がでたらめなんであります。そうするというと、石原報告というものは、それは世間に有名な、日本では河川災害については日本一といわれます石原さんの報告も、これはとんでもない結論になると思うのです。また、石原報告というものは絶対に十二ゲートからは流失しておりませんという断定はいたしておりません、私が拝見したところでは。だから建設省や県や中国電力側が、十二ゲートから流れなかった、十一ゲートもしくはその他のゲートから流れたのであるというふうな根拠はないわけです。石原報告だって、絶対に十二ゲートから流れたんではないとは言うておりません。ただ十二ゲートから流れたのではないであろうという推論根拠は何かと言えば、いわゆるいま言いましたように、中国電力側現場管理事務所の操作記録です。その操作記録によるというと、こう書いてあるわけです。あなたがいまおっしゃられたように、二メートルしか開度——二メートル開いている、高さが二メートルであって、そのことが操作記録に書いてございますから、絶対に浮戸はここから流れないということを言うているのでございますが、これは事実とは違うようでございます。これは裁判を一方やっておりますから、日にちは忘れましたが、加藤さんという島根の地裁の判事でございますが、この人がそのときの中国電力浜原ダム管理主任である竹部又吉という人に現場で質問をしております。そうすると、こういう質問があるんです。竹部所長に聞くけれども一体十二ゲートというもの、向こうから洪水のときにいろんな物体が流れてきますから、そのときには開閉いたしますか。——開閉いたすことがあります。十二ゲートも開閉しますか。——開閉します。開閉した場合に一々記録にとどめますかと言うと、記録にとどめないこともあります。瞬間的に開く場合もあります。瞬間的にというのは、時間的にどのくらいでありますかと言うと、あの重い大きなゲートでございますから、数分間を要するときもあります。全開するときもあります。そのことは記録にとどめないこともございますと言うのです。そこでさらに言えば、これは裁判実地検証において数人の目撃者がいるわけです。たまたまそのときには、十二ゲートが全開していたということを言う証人が多数おります。目撃者もいるわけです。そこで、こんなことはこの席で言いたくありませんけれども、そういう正直な証言をされては困るということで若干工作が行なわれたらしいのです。これこそ黒い霧ですよ。そこで、十二ゲート現実に開くこともあるし、操作記録にとどめておかない場合もあるということを、現実に竹部又吉というそのときの管理責任者が、加藤という判事に答えているわけです。あれやらこれやら、それに証人がたくさんいるということになれば、十二ゲートが、いまお答えのように、開度二メートルであるるから、巨大なる浮戸という物体はそこから出ていかないというあなたのお答えは、石原博士推論と同じように、中国電力側の操作記録、形式的な記録に基づいてのお答えであり、また、石原博士報告にすぎないと私は思うわけです。これはやがて裁判によって明らかになるでしょう。何かあなた方のお答えは作為があるのではなかろうか。それはよくわかりますけれども、しかし事実はそうですよ。何かあったらお答えいただきます。
  56. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 特にございません。
  57. 大森創造

    大森創造君 そうしますというと、これは非常に問題になります。さっき申し上げました竹部又吉という浜原ダム管理責任者、同時に、松江地裁の加藤裁判官、この問答はことしの三月二十六日でございまして、記録がとってございますから、これはごらんいただきたいと思いますが、そうしますというと、私が申し上げましたように、石原報告というものも、それから県の態度も、それからいまの建設省の態度というものも、一貫して自然災害であるというふうに規定しているゆえんのものは、ここにあります。しかし、このことがくつがえった場合には、明らかに人工災害というふうに断定せざるを得ないと思うのです。  そこで次にお尋ねしますけれども、この中国電力側の言う異常な水理現象というものの根拠は、私が考えるところ、根拠がない議論だと思うのです。そこで具体的な当日の異常な水理現象というものを解明しておりません、石原報告も。したがって、不法に設けられた、私は不法と——この点はさっき問答いたしましたけれども、あなたのほうは浮戸というものは、設置認可を要しない、旧河川法によって、あるいは電気事業法によっても設置認可許可は必要としないということでございますけれども、私は認可を要するという解釈でございますから、私なりに言えば、これは不法に設置されて、そして常識を越えた不完全な係留原因でものすごい損失を与えたのだ、こういうふうに私なりに推論いたします。推論以上の確信を持っております。それらもう一つ大きなミスは、この中国電力の内部規定、管理規定、そういうものによって地元のほうに連絡をすべきであるところ、連絡を怠ったということについて、これほど大きな危険がある。昭和二十八年にこのダムができた。しかし中国電力側説明によるというと、九千七百トンまでの洪水に耐えられる、そういう設計になっている、最大安全度は一万二千トンであるというけれども現実には五千七百トンの洪水によって浮戸流失して、それに対して地元下流橋梁を幾多破損をしている。それからたいへんな損害を与えているということです。そこで通報の義務を怠ったと思うのですが、法律的に解釈をして。中国電力側は、地元の町村に対してこれほど大きな被害を与えるような結果をもたらすことならば、中国電力自体相当通報の義務を履行してよいと思うのでありますが、そういうことをやったでしょうか。
  58. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 浮戸流失の事故の発生いたす前後の状態報告によりますというと、通信が二十三日の四時ごろまではやっておった。浜原から明塚発電所を通じて、下流の市町村あるいは警察等において四時までやっておりましたが、異常な降雨出水のために、その有線の施設が事故を起こし、あるいは浸水等のために、四時以降通信がとだえておりました。その後八時に流失して、その後一時間を経過して別のルートでもって通信を復活いたしまして、九時からその通信が再開したようであります。その当時の災害が非常なまあ非常事態でございまして、その点において、まあ通信のとだえたということは事実でございますけれども、その当時の災害の状況等から見てやむを得なかったんではないかというふうに考えております。なお、現在、建設省といたしましては、それにもかかわらず、ともかくこういった通報、通知等がとだえるということがないように、明塚発電所あるいは関係市町村との間に無線の電話を設ける等、十分な施設を現在では設置しております。
  59. 大森創造

    大森創造君 通報の義務というのは、新河川法にがっちりうたってございますが、旧河川法にはなくて、やっぱり内部の管理規則といいますか、管理事務所で守るべきそういうものがあって、そういう規則というものは、当然当局、それぞれの所管のお役所の認可を得ていると思いますので、守る義務があると思うのでございますが、事実は、その点については、中国電力自体が地元の市町村に謝罪しているわけですね。明塚発電所のほうではてんやわんやで、発電所自体が浸水のためにもう動転して、通報の義務履行ができなかった。その後いろいろ調べてみますというと、電派障害で通報できなかったということを言っておるけれども、それはうそらしい。電信電話局に聞きましたところ、その証明によると、電派障害は午前十時までなかったということです。そこで電話以外の努力もないんですね、ほとんど。この間、私が行ったときにもそうでございますが、電話一つ引くのに十万円ぐらいしかかからぬのです。約一キロ下流のところに公衆電話がございますけれども、その公衆電話をあそこまでひっぱってくるのに十万円ぐらいでできるものをやっていないんですね。そこで昭和三十五年に、この地元の市町村は、一致して下流に対する電話施設を要望したにもかかわらず、中国電力側は、そんな危険はないから、災害については安全だから、万全を期しているからと言って、その電話設置の要望をすら拒絶しているわけです。どうも私はおかしいと思うのです。  そこで、その点もこの委員会でやりとりをしてもなんでございますが、その点だけあなたのほうには直接関係がないが、私のほうから申し上げておきます。この災害あとで、こういうことをやっているわけですよ。二回にわたって下流の市町村に、具体的に申しますというと、見舞い金の名目で、江津市に六百万円、桜江町に三千五百万円、邑智町に三千万円、中国電力が払っているわけです。これがどういう名目で払ったのかということですよ。中電の過失責任である、これは私のまあ推論というよりも確信です。そこで、いま申し上げたように、江津市に六百万円、桜江町に三千五百万円、邑智町に三千万円の見舞い金を払ったということ、合計七千百万円の見舞い金ですね。これは少し気前がよ過ぎると思うのですが、私は中国電力側は、そして建設省も——いいですか、あなた方も、それから島根県当局も、腹の中ではちゃんとわかっているんじゃなかろうかと思うのです、人工災害であるということを。ああいう浮戸が流されたのは、わずか五千七百トンの洪水によって流されたということは、いままで申し上げたような係留場の非常にちゃちなとめ金によってそれが切れたということや、それから十二ゲートをうっかり、記録には残さなかったが開いておったので、そこからぶつかりながら流失した事実や、それから通報の義務を怠ったということや、そういうことが全部腹の中でわかっていて、相すまぬから二回にわたって、これはいま申し上げましたように、少ない金額ではありませんよ。七千百万円の見舞い金を出すというほど心の中で相すまないと思っていると思うのです。その事実は建設省も県も中国電力もよくわかっている。しかし、それにもかかわらず、どうにもならない事情が皆さん方のほうにはおありなんだ。そこで地元のほうは早く橋をつくってもらいたい。そこで災害復旧という、国庫負担によるところの災害復旧ということにして、国のほうでは巨額の金を支出したので、これを国会の委員会で、しかしこの場所は決算委員会ですからね。本来ならば人工過夫ということならば、中国電力に対して国のほうは当然求償の権利が生まれてくるし、中国電力地元に対しても、それから県に対しても、それから国のほうに対しても補償をしなければならぬということになりますので、これはたいへんなことになる。同時に、地元のほうでは一日も早く流失した、損壊した橋梁や、それから河川のいろいろな災害や、道路や、そんなものをとにかく人工災害であろうが自然災害でもかまわないから、解釈はいずれにせよ、一日も早く復旧したいということで、公共土木災害復旧事業国庫負担法の適用によって、昭和四十二年の八月で復旧完了をめどにしてやったと、こういうことだと私は思うのです、ずばりと結論を言えば。しかし、今後どうこの問題を解決するかということは、今後の問題でございますけれども、私はいま言いましたように、七千百万円の補償を支払った理由はいろいろあるが、これはちょっといかに中国電力が特定の重役のワンマン経営によるにせよ、会社の定款にない事柄にばく大な支出がかってにできるわけではございません。国家財政から大きな融資を受ける電力会社が、行政監督と税制上の制約があるにもかかわらず、正当な支出として七千百万円支払ったということは、言いかえれば、重役は、監督官庁である大蔵省や通産省に対してはもちろん、株主に対しても浮戸流失の責任を言外に認めたからだと私は考えるわけです。そこで、いかがでしょう。私がいままで申し上げましたことに対して、お答えがあったらお答えいただきたいと思いますけれども、私は委員長にお願いをいたします。現場に行って私は三日間つぶさに上流下流からずっと係留されたとめ金のところの擦過部分やきずあとや、いろいろなものを見てまいりましたし、それからきょう建設当局と質疑応答をした関係でも、どうもいかに世間的には有名な石原藤沢郎博士の報告であろうとも、私は真髄を得ていないと思う。しかも、当決算委員会としては、人工災害であれば中国電力のほうでは国に対して、県に対して、地元に対して、いろいろな措置をしなければならぬというならば、事ができてしまって数年たったという現在、これは決算の重大問題でございます。そこで、地元のほうでも建設省のほうでも県のほうでも、いわば事なかれ主義でもって、災害復旧はどういう形でやってもいいから、できればいいというふうな気持ちでおりますけれども、私は、決算委員としてはそのままで看過はできない気持ちにあります。それは当然だと思います。そこで、事実を調べるために委員長並びに理事の皆さんにお願いをいたしますけれども、これは、これこそまさしく決算の問題であろうと思うのです。今後の処理はどうあろうとも、これこそまさしく昭和四十年度の決算審査の対象であろうと思うので、これは委員会としてひとつ調査をしてほしいと思うのです。これは、これこそまさしく決算審査の対象とになる問題だと思うのです。それはお願いしたいと思うし、同時に、建設省のほうにも、あらためて私がきょう申し上げたことは事実でございますから、石原博士のいわゆる権威のある報告書というようなものが、基礎がぐらついているのですから、石原博士報告の基礎が、これは中国電力側の操作記録というものに準拠して、十二ゲートでなくて、その他のゲートからいったのだ。異常水理現象、その異常水理現象によって、天下の石原博士にすらどうしても断定できないような、それこそ異常水理現象なんですから、その異常水理現象によって十二ゲートを通らなかったということは言うていたいのであります。十二ゲートから通ったという推論にしたいのだけれども、そのときには、いわゆる中国電力側のその操作記録というものがじゃまになって、石原博士は十二ゲート以外のところから流失したに違いない。そのことは非常に石原博士であってもふしぎな、奇妙な水理現象であるというばく然たる報告でありますから、これは私は建設省としても、あらためてもう一回調査をする必要があると思うのです。本決算委員会としても、このことを要望したいと思います。しかし同時に、会計検査院の方に申し上げますが、国の会計検査というものは、会計検査員の方はどういう調査をいつされましたか。そうしてどういう感じを持っておられますか。
  60. 増山辰夫

    説明員(増山辰夫君) いまの浜原ダムに関します災害につきましては、原因等につきましては、非常に技術的に詳しい点がございますので、私のところまで——まだ四十年の事態につきましては、ただいまいろいろ検討審議しておりますので、技術的な点について非常にむずかしい点がございますが、結論は出ておりません。非常に何といいますか、むずかしいと感じておる次第でございます。
  61. 大森創造

    大森創造君 私はこの会計検査というものは、単に予算が流れていって、国庫補助が市町村に交付されたということであることを検査するだけではいかぬと思うのです。きょうの委員会で問答しましたように、人工災害自然災害かということで、これはいろいろ政治的な立場もございましょうが、私は桜江町とか、その他二、三の町村がすでに三千万円とか三千五百万円、合計七千百万円の二回にわたる見舞い金、これも先ほど申し上げたように、相すまなかった、これは人工災害というものを暗黙のうちに認めている。そうして建設省皆さん方も、腹の中では知っているが、いまとなっては国庫補助を出してしまった。災害復旧ということに決定をして、そうして予算を使って、地元の人は喜んでいるということでありますけれども現実にこれは私は、これは関係皆さん方に申し上げたいと思うのだけれども、川本町のほうは全町あげて、政党政派を越えて——大体自民党の人が多いのですが、全国町村どこでもごたぶんに漏れず。きょうも川本町から多数の議員の方が——島根県の川本町に私も行ってきましたけれども、えらいところです。自動車で出雲飛行場から二時間半かかるわけですが、そういうようなところから何回も請願においでになっておりますから、絶対に一人や二人ではないですよ。これだけの運動があるということは、実にけなげだと思うのです。決算委員会に協力をしてくれてることだと思うのです。会計検査院に非常に協力していると思うのです。私は二十年前、村の村長をやりましたけれども、こういう村長はおりませんよ。大体日本人んというものは、そのまま金を受け取って、黙ってしまうのが普通ですよ。三千万円と三千五百万円、それから国の費用で災害復旧でもって橋をつくってくれる、四の五の騒ぐな——いかにリーダーシップが強力であろうと、そういうことはできません。私は三日間あそこの町にいて打たれた。これは自民党も公明党も共産党もないですよ。これはどうしても真実を究明してほしい、最小限度。そうして中国電力が十万円の電話機も引かない、こういう態度に非常に憤激をしている。われわれは、片方の町は三千万円もらった、こっちは三千五百万もらった。一番被害を受けておる川本町が、何億かの補償をもらうべきものが一銭ももらわない。逆に運動費を出してこの真実をあくまで国会に、それから建設省に、それから中国電力や全体にわからせるために、われわれは国の税金によって災害復旧の予算を取りたくないという地元の結束のしかたというものは——それは中には多少利害関係はございましょうが、こういうものは全国の町村にないと思う。そういうものがある以上、皆さん方がいかに石原博士報告根拠にして自然災害だという、そういう名分を掲げても、私は絶対に——私は早ければ早いほうがいいと思う。一方、裁判が行なわれておる。私は戒能通孝さんと現地で会いましたけれども裁判は一〇〇%自信を持っております。そうするとえらいことになりますから、私は、こいつはどうしても人工災害であって、中国電力のミスによって、通報義務を怠ったことによって、それからもろもろの過失によってこういう災害がもたらされたという結論建設省は出すべきだと思う。しかし出される前に、本委員会とそれから建設省のほうで、それから会計検査院のほうでも、その実態を明らかにして、態度をきめたほうがいいだろうと思うのです。びぼう策では追っつかないと思うのです。そのことを私は確認してまいりました。それは当時のそういう状況からすれば、県も建設省も、これは善意でもってそうして一日も早く道路を復旧してやろう、河川の改修もしてやろう、それから橋梁も直してやろう、そのことが地元のためになるという配慮はよくわかります。これはよくわかるのです。しかし、どうしても川本町やその他の人が、これは真実を真実として、国家予算というものでなくて、どこかにけじめをつけるべきであるということで立ち上がっておりますので、もう四十年の七月二十三日かでございましたから、今年は四十二年でもう二年以上戦っておるわけであります。戦っておるというか、真実を究明するために何億かの金を、被害が一番多かったのですよ、川本町。そういう金をもらわないで運動費を出しながらもう数十時間の列車に乗ってここに来ておるのですから、こういうものをつぶしてはいかぬと思う。つぶすのじゃなくて、事実は事実として解明をして、そうして国として、中国電力として受け持つべきパートはどこか、建設省として県として受け持つべきパートはどこにあるかという責任を明確にして当たるのが、私は正しい政治のあり方じゃないかと思うのです。いろいろな考え方はございますけれども、このことをつぶしたのでは、国の政治の明朗な運営はできないと思うのです。ここで会計検査院にお願いをいたしますけれども、すでに私の問答で明らかなように、建設省自体が、災害査定ということで、昭和四十年の九月に現地に行ったのだけれども、四カ月間保留しておるわけであります。それから会計検査院のほうのただいまの御答弁でも、どうも少しおかしいなといったようなニュアンスが見えますので、この問題こそ、正しい調査をして、そうして軌道にのぼせてそうしてやったほうがいいと思うのです。会計検査院並びに建設省、それからもう一つは、恐縮でございますけれども亀田委員長のほうで、委員長理事のほうでお取り上げを願って、そうしてこれの適当な解決をすることを望んで私はこの問題についての質問を終わりたいと思います。
  62. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 答弁よろしいですか。
  63. 大森創造

    大森創造君 けっこうです。
  64. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行について。  いま大森君のほうからるる質疑があって、浜原ダム災害については、当面するところ、建設省見解とかなり対立というか相違しているわけです。そこで、いま大森委員のほうから、この問題について、本委員会として現地調査の上に立ってこの問題を適切に処理してほしい、こういう要望があったわけです。したがって、この問題についていま言われたことは、委員長・理事に一任するというふうな話があったわけですけれども、この問題の処理を含めて一応これを区切って進行したほうがいいと思います。
  65. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を起こして。
  67. 大森創造

    大森創造君 それでは、浜原ダムの問題を終わって、住宅公団のほうをお伺いいたします。   〔委員長退席、理事岡三郎君着席〕  七月五日の花見川団地の用地買収の質疑について、住宅公団より八月十八日に文書での答弁があったのでございますけれども、納得のいかないところがございますので、これについて再度質疑を申し上げます。  まず、公団が地主手取り額を決定した事実があるのではないかとの私の質問に対しての答弁として、公団が個々の地主の手取り額を決定した事実はありません、売買契約前に一部売り渡しを拒否している地主などに対しては、地元代表の要請により公団職員が説得に当たったことはありますけれども、公団職員が関与したということはありません、ということでございますけれども、地主の——花見川の場合ですよ、地主の総代表の川口幹氏と天戸地区の取り扱い業者である秋山千作氏に実情をただしますというと、全くこの答弁と違うのであります。秋山さんの取り扱った土地については、公団と再三にわたり価格決定の事前協議をした上で、各地区ごとで公団の指示のもとに価格の発表会を行なって、また、地主より価格増額の要請があるつど公団と協議して、その指示を受けた価格でもって決定して、公団より要求された個人別支払い明細書を作成して公団に提出し、   〔理事岡三郎君退席、委員長着席〕 しかして、契約の運びになったのであって、すべてにわたって公団が決定しているのであります。こういうふうに言っているわけです。私が思うには、取り扱い業者は地主側の下働きではなくて、これは総裁がお答えになっておりますが、実情は、実際は公団の下働きをしておるようです、現在の運営は。特に問題となるのは、四十一年の十二月十五日に売買契約した——私はきょうは抽象論は申し上げませんがね、具体的なことを申し上げますから——八千代台の取りつけ道路の用地買収でありますけれども、これについては、取り扱い業者である秋山氏は、公団の指示どおりの価格でもって六名の地主の売り渡し承認をとって、この支払い明細書を四十一年の十二月五日に作成して、公団東京支所に提出したものでございます。で、価格は立地条件により高低はございますけれども、坪一万円から一万三千五百円で、総坪数が二千百六十三坪で、総額が二千六百五十二万八千五百円でございました。秋山氏がこの支払い明細書を提出した十日後、すなわち、十二月十五日に、公団東京支所の細井課長は地主代表の川口幹氏宅を訪れて、売買契約価格を実際より相当水増しした坪当たり二万二百五十円、総額四千三百八十万七百五十円の契約書を川口氏に提示して捺印を要請いたしました。この一千七百二十二万円余りも水増しされた契約書に納得がいかない地主代表の川口氏に、細井課長は、これは各地のどの用地買収にも、かかる手段であって、調整金とか、手数料とか、用地買収に必要な諸経費を捻出しておるので迷惑は絶対に行かぬ、心配されることはないと強引に納得せしめて契約書に捺印せしめたものであります。これはたいへんな問題であると思います。詐欺行為ではなかろうかと思うんです。背任行為ではなかろうかと思うんです。この水増し金の千七百二十二万円の使途を明確に説明していただきたいと思います。何回も質問をしておりますから、きょうは具体的な実際の例を申し上げて御質問いたします。
  68. 稗田治

    参考人(稗田治君) お尋ねの八千代台の取りつけ道路の契約でございますが、第十次の契約にあたっての分でございまして、総額四千三百五十九万八千二百五十円でございます。この実際の配分その他につきましては、最終的なことについては、公団としては了知していないわけでございます。各地主の申し出の要求額は、いま御質問にございましたように、一万円ないし一万三千五百円でございますけれども、したがいまして、それに近い金額で妥結したいということで、公団側は当初からいろいろと努力したのでございますが、地元側のほうでは第九次までの不足分がある、赤字の補てんをしなければならぬ、大体それが千八百万円ほどある、こういうことで、もしそれを了承しなければ、道路用地等の売却はしないということを主張されたわけでございます。なお、この地元側の主張のうちには、ほかに測量費とか、あるいは立木の補償金等がございますが、その全体の合計額が、先ほど大森委員のおっしゃった額にぴったり当てはまるかどうかは別といたしまして、結局そういうような額を公団側として了承しなければ絶対売らないということだったわけでございます。したがって、公団としますと、団地形成上必要不可欠な土地でございますので、なおこれを認めましても、公団といたしましては、御承知のように穴あきでは仕事ができないわけでございまして、全体を平均いたしますと、坪当たり一万一千四百二十七円という単価になるわけでございまして、この一万一千四百二十七円という価格は、近傍類地価格あるいは鑑定評価等の資料によりましても妥当性は失っていない、かように考えて契約いたしたわけでございます。したがいまして、またその委任状によって代金受領の権限を持っておる川口幹さんにそのお金を支払いをいたしましたので、いろいろその事前の話は聞いておりますけれども、その後それがどういうように配分されたか、分配されたかというようなことにつきましては、公団としては存知していないわけでございまして、また、その差額の配分をどういうようにしなさいというようなことを指示した事実もございません。
  69. 大森創造

    大森創造君 時間がありませんから、まだまだあるのでございますが、部分的にお尋ねをしてきょうは終わりたいと思います。  地主代表というのは名目だけの形式であって、実際は不動産業者が個々の地主の受け取り額を記載した明細書を三部公団に提出して、公団はそのうち二部を手元に置いて、一部を業者に返して、地主の手取り額をはっきりチェックしているのではないかという私の質問に対して、公団は、地主代表川口氏は地区売却委員長等よりおくれて就任されたが、実質的にも形式的にも正当な代理人であって、個人別の明細書は地区代表が総代表川口氏にあてて作成したものであって、公団は川口氏の要請もあったので、これを川口氏に取り次いだものであり、あくまで取り次ぐ以上の意味ではないと答弁してございます。これは速記を見て私は言うているんでございますが、これも事実と違っております。地区代表や取り扱い業者にただすというと、明細書は公団の要請により作成して公団に提出したものであり、公団は支払いに際して一部を川口氏に手交したものであって、川口氏にあてて提出したものはだれもおらない、公団はこれを川口氏に取り次いだだけではなくて、この明細書の記載どおりに支払へと指示したものである、公団は、この花見川団地では地主代表という名目なり形式をつくって、これに川口氏の就任を求め、単に同氏をクッションにして巧妙に利用したのではないかと私は思うのですが、これについてはいかがですか。
  70. 稗田治

    参考人(稗田治君) 前にもお答えしたことがあるかと思いますけれども、御承知のように花島、天戸、柏井という三地区にまとまっておりまして、当時公団に用地買収方を希望してまいったのは、それぞれの地区が、公団の団地の誘致を地主たちが考えて、そこにもちろんいまおっしゃったような業者の方が手伝いとして入っておったと思いますが、それぞれの三地区から申し出があったわけでございます。それで公団といたしましては、非常な適地である、うまく全体がまとまるのであれば非常にかっこうな土地である、かように考えて調査に乗り出したわけでございます。結局この中に、後ほど地主の総代表になっていただいた川口さんという方がおられるわけでございますが、川口さんの所有しておる土地の面積というのはかなりな比重を占めておるわけでございます。それが要所要所にございますので、川口さんという方にうまく入っていただきませんと、この土地全体がまとまりにくいということで、それぞれの三地区の代表者からも川口さんを口説いたけれども、なかなかお引き受けにならない、したがって、公団も少しその点を川口さんに申し上げてくれないかということでございましたので、公団とすれば、もしうまくまとまれば非常な適地であるということで、後ほどになってから川口さんを地主代表にお願いするように公団としても側面からそういった発言をいたしたわけでございます。したがいまして川口さんが総代表になられた時期というのは、地元で誘致運動が起こってからかなりたっておりますので、それまでの経過等につきましては、あまり全体について御存じがなかったと、さようなことで、たとえば川口さんが代金受領の代表者でございますから、公団とすれば川口さんあてに代金を支払いすればそれで事は済むのでございますけれども、途中からなったということのために、川口さんが若干不安感を持っておられますので、いままでの交渉経緯等もございますので、それぞれの地区の請求書等を目を通して取り次いだと、こういうことでございます。公団あてということはあり得ないことでございます。と申しますのは、公団の支払いは地主代表の川口さん一本で、すでに済んだ金のことでございますので、その内訳をどう配分するかということにつきまして、それぞれの地区のいままでの話し合いは大体こうなっておったということをお取り次ぎした、こういう経過でございます。
  71. 大森創造

    大森創造君 この調整金ということがしばしば出てまいりますけれども、調整金というものは公団側が示したものというふうに私は考えております。第一明和の取り扱い分の三千万円、船越の取り扱い分の一千万円ときめたのは、公団の東京支所の青井課長ではないかという質問を私は前回いたしましたけれども、現在でもそういうふうに思っております。公団には、調整金という公団の費目はない、地元業者側の俗称費目であって、一応公団側と地元側とで合意した地区取りまとめの総価格では、全地主の土地がまとめられなくなったやむを得ない場合において、この両当事者間で土地買収代金の増額を合意したとき、その増額分を先方では調整金と称することであって、この土地買収価格の増額については、交渉の一方として公団職員が出ているが、その内訳を指示しているわけではなく、秋山という業者が関係した地区と、彼がどういう保証をしているかは別として、他の地区と同様、面積による土地代金の買収増額がなされているであろうと答弁しております。私の手元にある公団東京支所が四十一年二月十二日付で作成した柏井団地——これは花見川団地の別称でございますけれども、この総括表を見るというと、柏井地区、これは船越氏が取り扱った地区でございますけれども、これには調整金として一千万円、花島地区、これは問題の第一明和が取り扱った地区でございますけれども、これには三千二十二万一千七十円の調整金が計上されております。秋山氏の取り扱った天戸地区には一円も調整金は計上されておりません。また、調整金は公団の答弁どおり公団の費目にないのは当然でございますけれども、公団がきめた一括買収価格は、坪当たり一万一千三百円で、これで総額を算出して地主代表に売買契約がされておりますけれども、これは形式であって、実際は公団が取り扱い業者を指示して個々の地主の売却価格を決定しているのであります、私の調査では。この個々の地主の売却額と公団の買収額との差額より生じたものを調整金とかあるいは手数料とか補償金とかいう名目で公団がこの使途を決定しているのではないかと私はいま考えておりますけれども、これについてどう思いますか。
  72. 稗田治

    参考人(稗田治君) ただいまのお尋ねの調整金という名称につきましては、いま御指摘の中にもございましたように全く俗称でございまして、公団側の支出から考えますると、これは土地代金の増額であるということに相なるわけでございます。用地を買収いたします場合に、大体この地区はまとまったというふうな話がありまして、どのくらいでまとまるのだろうというようなことを聞くわけでございますが、たとえば六千円でまとまるというようなことで、あとの二割等がなかなかまとまらないというようなことで、どうしても坪六千円ではむずかしいというようなことが出てくるわけでございます。その場合に、公団はいろいろ試算しておりますが、そういった増額分は、大体話し合って、大体土地価格からいってもその程度はこちらも許容し得るというようなことになった場合に、公団の出します増額分に相手方が調整金というような名前を使っているわけでございます。秋山さんの場合にも、そういうような単価の増額要求はあったわけでございますが、秋山さんのほうの書類は、それを土地代金のほうに入れたということだけで、ここには出てきていないわけでございます。
  73. 大森創造

    大森創造君 私の持ち時間が終了したということでございますけれども、私はいままで何回か公団の土地買収問題について質疑いたしましたけれども、どうしても納得がいかないので、きょうは相当分厚なものを用意したわけでございます。あと一時間くらいはかかりますけれども、約束の時間がきましたから一応きょうはこれで終了いたします。何かあとに機会がありましたら質疑を続行いたしたいと思います。私の質問を終わります。
  74. 岡三郎

    ○岡三郎君 建設大臣が来たので建設大臣に伺いたいと思いまするが、いま大森君が質問した花見川団地の問題について、少し、今後どういうふうに発展するかというふうな問題を考えつつお聞きしたいと思いますが、今朝の読売新聞に「公団、業者へ裏金か」ということで「一千万円の行方追及」ということから、千葉の県警捜査二課が千葉中央署とこの花島地区の買収取りまとめをした第一明和に対して手入れをした。その中で、具体的に言って、一千四百万円余りが業者の手に渡ったまま使途不明となっている、こういうふうな記事の中から、今後この使途不明金というものが一体どうなっていくのかということを中心にいま捜査が進められているというふうに書いてありますが、この記事の中において、いままで公団が調整金というものはないと言っておりましたが、事実上この「柏井団地総括」という押収された書類の中に、調整金という欄があった。こういう点については住宅公団は知らぬわけではないと思うのだ。関東支所なり東京支所が、具体的に業者を使って買収さしている場合において、買収をスムーズに行なうという名目の中においていわゆる調整金というものがあったということをここに明確に指摘されているわけなんです。それを形だけ、形式の上だけ、そういうものはございませんといままでしばしば御答弁しておりますが、実際問題として、あなた方が形の上としてはそういうものはありません、こう言っているものが、あなた方が使った業者のいわゆる総括という書類の中に、はっきり書いてある。そうしてその中に約一千四百万円余の使途不明金がある、こう出ているわけです。つまりあなた方が知って知らぬふりをしている、その調整金、差額の金、こういうものが一体どう使われているかがわからないわけです、この質問の中においての答弁を聞いておっても。ですから端的に言って、調整金と言うのがいやならばいやでもけっこうです。一体そういう弾力をもって使う金というものが幾らこの花見川団地においてはあったのか詳細お答え願いたいと思います。調整金がいやならばいやでけっこうです。つまり買収をスムーズに行なうという名目のもとに、自由かってにいろいろな名目で使わたれた金がどれくらいあったわけですか、これはお調べになっていると思うのでお伺いしたい。
  75. 林敬三

    参考人(林敬三君) 先ほど大森委員からも御質問があり、いままた岡君から御質問のある調整金の問題でございますが、これは前回ないしは前々回も申し上げておりますように、公団としては調整金という費目はございませんし、調整金として払ったものはないのでございます。全部土地代金として地主総代表に払った、こういうことになっております。それが今度は地区代表の手に渡りまして、そして地区代表と総代表と相談をして、地主にどれだけ、また、その間の手数料はどれだけ、それからいろいろ取りまとめた実費がどれだけ、あるいはそこにいろいろな土地柄によってのニュアンスがございますので、いろいろそこのところは彼らの間の配分というところには変化があると思いますし、そして全額、総額を出してみたところが、どうしても初めに公団が主張したような単価では全体を買い切れないという場合に、いろいろ理由のありますものについての増加額を要求してまいった。公団もいろいろの評価をいたしまして、その範囲であります場合はそれを認めてまた追加をするというようなことがあるわけでございます。そこで、その最後に追加をしたそれを、地区によっては調整金と言い、地区によっては売買代金の中に入れてしまって調整金ゼロ、こういうようなふうにして、あとの配分の具体的な措置というものをいたしておると存ずるのでありますが、公団といたしましては、これは全部地主総代表にこれを土地の代金といたしまして払いましたわけでございます。あとそれの内容が、明確に金銭どれだけがいろいろなアンバランス是正その他に使われておるかというようなことについては、公団は全然関知しないわけでございます。ただいろいろと大ぜいの、二百人に近い地主の中にはむずかしい方もおりますし、がんこな方もおりますし、がんばられる方もおります。そういうようなときに公団の職員が、ほかの地主の方からの委嘱を受けましたりいろいろな場合、こちらも土地を早くまとめたいという気もございますし、それらの中に説得に入っていく。実例はこういうことです。あるいは……
  76. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと議事進行。  いままで住宅公団の答弁を聞いていると、同じようなことをくだくだ何べんでも言って、端的に質問に答えていないと思う。そういうことは全部承知しております、いままでの御答弁の内容は。いままでと従来と少しも変わっていない、あなたの答弁は。私が言っているのは、調整金という名前がついておるものもあるけれども、いま言っているのは一千四百八十六万余円というふうな調整金と称せられるものが、使途不明になっているということが新聞にも載せられているわけです。いいですか。そういうふうな金が一体どのくらい花見川団地にはあったのかということを聞いているわけです。私の言っているのは、いわゆる一万一千四百千七円に坪数かけたやつです。これを公団として払っている。いいですか。ところが地主のほうはそれに基づいていろいろとでこぼこがあるでしょう、土地の価格に。しかし地主の方のもらった金、川口さんという総代表が預かっている金、川口幹さんに払った金、それから地主にずっとおりていっているわけでしょう。それを全部川口幹さんのほうでずうっと調べていったら、地主の総代表が調べていったらば、どうしてもここに書いてあるように一千四百八十六万余円、これが出てこないというわけです。こんなばかなことはないでしょう。公団が総代表に払った金、それを地区代表に払う。その中に業者が入っている。いいですか。全部払っていったら、その明細書が全部川口さんのところにくるべきなのに、一千四百八十六万余円という領収書が全然ないのです、この問題は。そこで、一体調整金というものはどういうふうに使われているのかという問題にいまなってきているのです。だから調整金と称するものがうんとあって、これが払われているということはわかりましたよ。しかし、使途不明金がここにあるということ、だから、わからない金が一千四百幾らあるとするならば、調整金はもっと多かったか、大体その調整金というものの総額はどのくらいあったかということを聞いている、端的に。そんなことを知らなければあなた済まされませんよ。
  77. 稗田治

    参考人(稗田治君) お尋ねの件につきましては、先ほど申し上げましたように、公団としましては代表者に払っておるのでございますから、これから先の向こう側の経理上のことにつきまして、すでにこちらは土地を取得しまして、いま工事にかかっております。ちゃんと土地はこちらは取得しております。ですから代金の向こう側のサイドのことにつきまして、公団がそこまで介入するということも不可能なわけでございます。
  78. 岡三郎

    ○岡三郎君 それならば公団が介入しておるかしていないか、事実を指摘します。いいですか。第一明和が取り扱った地主に笠川ゆりさんという人がおります、第一明和が取り扱った地主の中に。この人が土地の売却代金を、二千六万五千円ですかを受け取った際に、第一明和の渡辺という社員が笠川ゆりさんに、あなたの土地代金は一千七百五十六万五千円だからといって、二百五十万円を取り上げた事実がある。いいですか。これを笠川ゆりさんより聞いて立腹した同じ地主の笠川敏夫という人が、この人は身内だそうですが、やはり地主の一人でありますが、この笠川敏夫氏が弁護士を帯同して公団東京支所に抗議した際、公団はこの二百五十万円を直ちに第一明和に指示して返済さすことを約束するとともに、この件の口どめ料として五十万円を土地代金という名前で支払っているのですよ。笠川敏夫氏より土地代金として領収書を受領しております。公団の東京支所は笠川敏夫さんに約したとおり、第一明和に指示して二百五十万円を笠川ゆりさんに返済させた。また笠川敏夫さんに支払った口どめ料の五十万円を、笠川敏夫氏が発行した土地代金として受領した領収書を第一明和に回して、第一明和取り扱いの調整金のうちより公団に返済させたものであると、こういうふうに調べとしてはなっております。四十一年八月三十一日、昨年の八月三十一日付で第一明和が作成して公団東京支所長あてに提出した調整金その他の諸費用を記載した明細書に、笠川ゆり二百五十万円、笠川敏夫五十万円と、はっきり記載されている。この事実をどう考えます。
  79. 稗田治

    参考人(稗田治君) 笠川ゆりさんの点につきましては、笠川ゆりさんが来所されましたときに、担当者は、同人に対しまして、地主代表に支払った後の代金の分配につきましては公団は関与していない、当事者間で解決してほしいということを言ったのであります。なお、第一明和の事務所の所在地をそのとき笠川ゆりさんに教えたわけでございます。なお、非常に暑いときでございましたので、せっかく御遠方からおいでになられたというので、担当者が好意をもちまして第一明和のほうに、笠川ゆりさんから二百五十万円を第一明和のほうに取られたと言ってきている、こういうことを公団に持ち込まれてははなはだ迷惑するから、よく当事者間で話し合ったらどうですかということを電話で連絡したわけでございます。したがいまして、当事者間のことでございますので、こちらが二百五十万円は返還するようにという特に指示をしたという事実は、われわれの調査ではございません。なお、公団が口どめ料といたしまして五十万円を支払ったという事実はもちろんございません。
  80. 岡三郎

    ○岡三郎君 ここに笠川敏夫氏が日本住宅公団東京支所から五十万円もらったという領収書の写しがあります。そこでこの笠川敏夫さんという人が、地主総代表の川口幹さんに対してこういうことを言っている。「私は姉と共々明和に返還を要求したことがございますがその後二五〇万円は返還され私は口止料又は解決金として五〇万円を受取ってありますこれがたまたま調整金として書類に計上されて居りましたが当時の請求の時点から考へて全く無関係のものであると思って居ります以上の様でございますので、何分ともによろしく御願ひ致します。」これは川口幹さんに対して出した書簡です。こういうところから見ると、第一明和というものと東京支所というものとは非常に密着している。具体的に指示をしています。これは、この前大森さんの質問の中から、たまたま今朝の読売新聞の詳細な記事、こういうものから、具体的にこういう文書というものを調査の中から私自体も受け取ったわけですが、この中においては、きょうは時間がありませんので、この問題のみに触れられませんが、たいへんな問題があると私は思う。それはどういうことかというと、総代表に金を払っているから公団はあとは知らぬと、こう言っておりますが、公団の末端の東京支所なり関東支所というものが、具体的にその金銭に対する支払いの指示をしているのですよ。介入どころではないのであります。個々の具体的な事例がありますから、これはなお後刻やらなければならぬと思いますが、具体的に公団は金を払って、中央のほうはそれで済んでいるでしょうけれども、その金が総代表にいって、その総代表に渡した金について、どこに幾らやれ、どこに幾らやれということについての指示を公団がやっている。これは事実がございます。このことについて、先ほど大森君が言ったように、そのことを言っているわけなんです。これは具体的に青井課長さんという名前が出てまいりましたが、これから質問をしていくというと、さらに細井課長さんとか、あるいはその他の人々の名前がここに出てくるわけですが、具体的に、あなた方が総代表に払った金が末端に行っていないのですね、行っていないのです。このからくりはどうなっているかというと、業者と公団の末端が一緒になって、そして業者を使って個々の地主と売買契約を結ばせる、一方でこれはどんどん先行するわけですね、売買契約を先行させる。そうしてあと平均の坪一万一千、これに手数料が四百幾らですか、大森さんのほうの調査は三百円になっておりますが、業者に対する手数料を含めて単価を出している。ところがその総括した金が川口さんのところに行っているけれども、事実上の支払いというものは、業者を通して、さきに個々に契約したものに基づいてそれが行なわれている。ですから、そこで差額が残るわけです。その差額をどういうふうに使ってやっているのかということがいまここに問題になっているわけです。しかも、それを調整金と称してみんなそれぞれ業者には手数料が行っているわけです。ところがその調整金と称するものが、あるいはそのほかのいろいろな名目をつけて出していろらしいのですが、その金の中において、行くえ不明の金がある。これが問題なんです。その金が全部、調整金という名前であろうと何であろうと、地主に行っていればわれわれは文句は言わない。契約方式に問題点があるとしても、やり方がおかしいということになるわけですけれども、その調整金というものがあるということをいろいろとみんな知っているわけでしょうけれども、その調整金について、出し方を公団が指示しているのです。というのは、第一明和のほうでは、幾ら川口さんのところに調整金があるかということを知っているから、第一明和のほうから川口幹さんのところへ金をもらいに行く。川口さんは、ここに書いているように、いままで出した調整金の明細書がなければ出せない、こう言っているわけですね。ところが、それにかかわらず、今度は公団側のほうから電話を通じ、あるいは人を通じて、川口幹さんのほうへ金を出してほしい、迷惑をかけないから出してほしいということを言っているわけです。これは時間がないからいま総括的に申し上げましたが、そういうふうな金で、まことに疑惑というものがここにたまっている。公団の東京支所計画部の土地第二課の石渡係長は、本年一月十七日、地主である斉藤勤さん宅をたずねて云々と、これにも契約を結んでおりますけれども、無理にかなり公団が立ち入ってやっているわけです。これはあなた方の前の説明でいくと、何か問題が起きたときに買収に対する応援の形でやっているのだという説明がちょっと答弁にありましたが、その程度ではないのですね、具体的に指摘されているところでは。だからこの点について、きょうはせっかく建設大臣もここに来ておるので言いませんが、一切のそういうふうな手紙とか領収書とかいうものがありますから、これは次回に十分この問題について検討したいと思うのです。どうも時間に追われて……。それはまあひとつそういうふうに締めくくって、花見川団地の問題は次回またやるということにします。  もう一つお伺いしたいことは、これもやっぱり住宅公団の用地取得の問題ですが、横浜に左近山団地あるいは片倉団地を経営せられておろうと思うのですが、この左近山団地及び片倉団地の場所とその規模についてひとつ簡単に御説明願いたい。短く。
  81. 稗田治

    参考人(稗田治君) 左近山の団地について申しますと、横浜市保土ケ谷区川島町外でございますが、面積は三十万三千百八十二・八四平方メートル、それから地主数が八十九名でございます。で、買収の単価は平方メートル当たり四千五百三十四・四八円、総額で十三億七千四百七十七万五千二十円ということになります。建設戸数は四十一年度……
  82. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはけっこうです、それは聞いておりませんから。片倉町。
  83. 稗田治

    参考人(稗田治君) 左近山第二もございますが、左近山第二は、同じく場所は保土ケ谷区市沢町外でございまして、面積は二十万六千百五十七平方メートルでございます。地主の数が五十九名でございます。買収の単価は平方メートル当たり四千五百三十二円でございまして、総額は九億三千四百三十万三千五百二十四円でございます。  片倉町の位置は横浜市神奈川区片倉町でございまして、面積は六万八千三平方メートルでございます。地主数は三十八名、買収単価は平方メートル当たり一万二千九百四十円、総額は八億七千九百九十五万八千八百二十円でございます。
  84. 岡三郎

    ○岡三郎君 この団地の総契約代理人はどなたですか。
  85. 稗田治

    参考人(稗田治君) 契約代理人は五城産業株式会社になっております。
  86. 岡三郎

    ○岡三郎君 この五城産業株式会社は、花見川団地で問題となっている第一明和の取締役総務部長であった大作惣一氏という人が後に社長になっておりますね。それは御存じですか。
  87. 稗田治

    参考人(稗田治君) 取締役であったかどうかは存じませんけれども、左近山第一の取りまとめに入っておりましたときは明和の総務部長だったというように聞いております。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 この明和が後に第一明和になっております。それで、この五城産業というのは資本金が百万円、設立時期が四十年六月の十八日、大作さんという人の自宅になっておりますが、私が聞きたいのは、林総裁、この前私も質疑をいたしましたが、契約代理人というのはたいへんな仕事ですね。信用がなくては困りますね。この設立して日も浅く、不動産会社としての実績もほとんどないこの五城産業、どうしてこの五城産業に公団は三十一億九千万円という巨額の売買契約をしたのですか、そういう相手を選んだのですか。これを御説明願いたい。
  89. 林敬三

    参考人(林敬三君) この土地につきましては三十八年に一番初めに申し込みがありました。一たん中断しておりまして、四十一年になってこれが再燃してきたという土地がらでございます。それからそれを一番こうまとめて話を持ってきたのは、五城産業のいまの大作氏でございます。しかし初めは、大体地元の地主の人というものを公団はだいぶ相手にいたしております。また、大作氏もそこのまわりの地主にだんだんなってきた、こういうような経過がございます。そうしておりますうちに、次第に推移してまいりましたところが、全部の地主というものが全体大作氏を代理人にしてくれ、こういう意向にまとまってまいりましたので、それで公団はこの人を一括代理人として、それと取引をしたわけでございます。そこで、やはりこの前も申し上げましたように、この契約代理人になるというには信用がなければいけないと思います。いわゆる問題になるというようなことではいけないということはもとよりでございまして、公団の職員はこの人といろいろと面接もいたしました。また、地主代表から地元のこの人に対する信用というものも聞きまして、その結果、事務処理の公正を確保できるとまあ判断をして、取引を行ない、この場所において進めたわけでございます。ちなみに、この人は五城産業というのをつくりまして、そしていわゆる宅地建物取引業法の免許というものを得てやっておるわけでございます。また御承知のように、この取引業法によりますと、いわゆる禁治産者はいけない、破産者はいけないとか、あるいは過去においてこれこれの禁錮以上の刑とか、いろいろ法律上の違反のことがあったり、あるいは免許をこの事業に関して取り消されてどうであったとか、しかしまあ、ある程度、たとえば二年を経過しない者はいけないというような、いろいろなずっとこまかい条文がございますが、いわゆるその法人ならば法人の代表者、あるいはその重役になる者にそれがあったらいけない。また個人である場合は、個人がそういうことであってはいけないというような、いろいろ規則があって、それに基づいて認可をされておる人であるということをまあ一番信用いたしまして、そしてこの人との取引をいたした次第でございます。
  90. 岡三郎

    ○岡三郎君 いま総裁の言っていることについて、これから一つずつただしていきたいと思いますが、この五城産業というものの内容については、形式的に不動産業者の資格認定とかそういう問題だけでやるわけですか。内容の信用というものについては、いま言ったような形だけで審査するわけですか。——まあ、その点はいいです。私の言わんとしているのは、この五城産業の会社そのものをもうちょっと具体的に御調査ありたいと私は思うのです。それだけでは不十分ですね。これはきょうはちょっといまは時間がありませんので触れませんが、この次に触れますが、もう少し端的に御調査になりたいと思うのです。それで、いま地元の地主が五城産業がいいというふうに言っておったと、こういうふうに御答弁があったと思うのですが、これは全く反対で、地元のほうは公団と直接に話をしたいと思っておったわけです。ところがこの五城産業の大作氏に対して、公団の宇田課長さんという人が、これは関東支所ですか、この人が地元の人々に対して、ちょうど地元の二俣川農協で買収交渉が催された、その説明会の席上で、公団関東支所としては買収は五城産業に一任してあるので五城産業を信用して買収交渉を進めてほしいと地主たちに要請しております。これを言った人は宇田という課長さんですね。これは林総裁の言っておることと全然逆ですが、これはどうですか。
  91. 稗田治

    参考人(稗田治君) 左近山の用地買収につきましては、当初関東支所のほうにおきましていろいろ地主代表側とやろうというので何回か折衝を重ねてきておったわけであります。その間に五城産業のほうがだんだんと地主を切りくずしていった。したがいまして、大半が五城産業に全部委託するというように地主側がそうなってきて、そういう事態になってからこちらが説明会を開いたと、こういう事態でございます。
  92. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは答弁になっておりませんよ。私が言っておるのは二俣川の農協において、公団が買収交渉を進めているときに、公団関東支所の宇田課長さんが、買収は五城産業に一任してあるので、五城産業を信用して買収交渉を進められたいと、こういうことを言っておる。これは地元から出てきておると、こう言われるが、逆ですね。そこで、ここで私が聞きたいのは、これが事実とすれば、大作氏に買収を一任したということの事実が公団にあるのか。これは調べてみればわかると思うのですが、いま答弁ができなければけっこうです。私のほうではっきり言っておきますが、宇田課長が二俣川農協で買収交渉を進めるときに、地元としては、公団と直接話し合いを進めたいという意見があった。ところが公団側のほうから五城産業のほうにこの買収の仕事はまかしてあるから 五城産業を信用して進めてもらいたいということを課長が言っておる。そこで地主のほうは泣く泣くこちらのほうへ話を持っていかざるを得なくなる、ということになると、五城産業と公団というものは一体どういう関係になっておるかという問題がここに出てくる。五城産業に公団は土地の買収を一任しておったのですか、どうですか。この点簡単に。
  93. 稗田治

    参考人(稗田治君) 四十年の一月のころから地元の地主さんといろいろ話をしておったわけでございます。そこで、いまお尋ねの二俣川の農協での説明会というのは、そのときにはほとんど地元側は五城産業に頼むというようなことになっておって、そういう事態において説明会を開いたわけでございます。宇田課長が五城産業に一任してあるというようなことは申してございません。
  94. 岡三郎

    ○岡三郎君 その農協の場所において聞いておる人があったらどうするのですか。これは証人、参考人として出てもらわなければいけないと思うのですが……。
  95. 稗田治

    参考人(稗田治君) 公団としまして関東支所につきまして調査したところによれば、宇田課長はさようなことは申しておりません。ただ公団の建設団地でございますので、穴あきは困る、そういうことは事実と思います。
  96. 岡三郎

    ○岡三郎君 穴あきは困るというだけで宇田課長さんは話されておるのですか。それは私のほうでいまここでこれ以上水かけ論になってもいけませんから、これはやはり具体的にもう少し事実をもって言わなければならぬと思うのですが、とにかくこの公団の買収方式というものについて、私は何を言おうとしておるか、これはおわかりのことと思うのですがね。いままで平城団地についてもいろいろ言われてきた。先ほどの花見川団地にしてもそうです。問題は中間にブローカーが入っていろいろと暗躍し、いろいろと公団の仕事のお手伝いをしているのでしょう。しかし、実態としてそこにあらわれてきている事実というものは、これは地元のほうとしては非常にふんまんにたえない問題がここにあらわれてきていることからこういうことが出てきている。これはわれわれが問題を指摘するのじゃなくて、地元からそれぞれそういう問題についてこういうことが行なわれているということから指摘されて質問になってきているということなんです。そういう場合にも、先ほど言いましたように、五城産業というものがどういう会社であるのか、その社長の大作惣一というのはどういう人物であるのか。この調査について、いま林総裁に十分調査するようにということを言っておきましたが、これは後刻また追って……。きょうは時間がありませんのでやりませんが、これは第一明和の問題ともからんで、どういう人間をブローカーに使って公団は土地買収をやっているのかということについて非常な疑問を持つのです。その点は第一明和の総務部長であった大作氏が五城産業を興したということになると、花見川と左近山団地というのは、場所は違ってもやり方は同じですね、大体の方向というものは。ですから、そういう点についてわれわれのほうとしては宇田課長が二俣川農協において五城産業を買収の責任者としてやっていくからそういうふうにしてもらいたいということについて、これははっきり言っているわけです。あなたのほうは、それは聞いてない、ただ、穴あきは困るという程度でそんなところに私は行ってるはずはないと思う。この点は後刻なお公団側のほうも調査をして、この問題について明快な答えをしてもらいたいというふうに考えます。われわれのほうの調査でいうと、どうもこの第一明和にしても五城産業にしても、にわかにつくられた不動産業者で、そうしてこれはあらかじめ公団がどこの土地に公団住宅を建設するかというふうな点についてもなかなか機密をキャッチしているのじゃないかというような印象が強い、これは一つの想定ですが、それでないというと……。公団が行く前に土地を全部買わしておいて、それを一括購入する。これは平城団地の場合ともよく似ているのです。あの場合にもずいぶん指摘しておいたとおりです。ここに至れば、林総裁、私は住宅公団の土地の買収の方法というものをもう一ぺん総ざらいして検討し直してもらわなければならぬという問題にぶつかるのじゃないかと思うのです。公団としては、いま土地を買収する公団員が少ないというので、そういうふうないわゆる間接的な買収方法というものにずっときていると思うのですが、やはり幾多の事例をずっと見てみるというと、中間ブローカーというものが入ることによって、まことに不明朗な事態というものがここにかもし出されておるのではないか。すでに花見川団地の問題は捜査を受けている。そういうふうな事例というものをもう一ぺんよく検討して、そうして住宅公団の土地の買収というものについての新しい方式というものを考えてもらわなければいかぬ。きょうは建設大臣が来ていて、もう時間があと少ししかないので、これのみに触れてはおられませんので、以上指摘して具体的にこの次にひとつ明快な御答弁をもう一ぺんもらいたいというふうに考えます。先ほど言いました花見川の場合についての領収書の写しはここにありますから……。
  97. 林敬三

    説明員(林敬三君) いろいろと御発言ありましたが、虚心に承りまして、業務についての一そうの刷新向上をしてまいりたいと存じます。ただ、なおいろいろ調べて、またもう一回いろいろと御連絡をするようにというお話、これもとくと調べまして御連絡申し上げます。ただ、これについて、いままでの御発言について私どもの知る限りで申し上げますと、口どめ料を公団で払ったということは絶対にないと思います。また、あり得ないことだと思うのです。まあ受け取りはあると言われますのですが、そういう費目もないし、そういうものを出し得るはずもないし、むしろ具体的にはもう地主代表に渡ったお金の中の配分、これはまた非常にデリケートでむずかしいので、公団は関与しないということで、いろいろ文句を言ってこられる方がありましても、関与しないということで、お帰ししているというのが実情と存ずるのであります。  それからまた先ほど川口幹氏が、明細書のないものは払えないといったのに、公団では払へといったというような御発言がありましたが、私ども調べているところでは、むしろ川口さんには、そういうものはお払いになったらあとあといけませんよということを、こちらの課長は注意をした、連絡をしたことはあると、しかし払へと言ったことはないというのが事実であると私ども存じておるのでございます。  それから二俣川のことについて、宇田課長のことについてのお話がございましたが、いわゆる五城産業というものに、ほとんどこれを一本にするということに地主のほうがまとまってきた。そういう場合の席上の会合で、やはり穴あきは困ると、一本になって全部が売ってもらえる、こっちも買うということでないと、あと穴があいてそこで粘られたら団地が建たなくなるから困ると、こういう意味の宇田君は発言をしたことと思うのでございます。  それから中間ブローカーの点、いろいろと千差万別でございまして、また、地主のほうがそれの下働きに使われましたり、あるいは地主が代表にしてくれと、一括代位契約の代理にしてくれと、こうまとまって言ってこられるというような場合も、いろいろあるわけであります。で、その間において、一番あやまちなきを期していこうと思うのでございますが、それは何ぶんいろいろな方がありまして、非常なもう敏捷な、利にさとい方もありますし、それで大体の見当をつけて、向きをつけて、先にどんどんと自由に動いて土地を買っていくというような、いろいろな人があります。その間をまとめて適地をさがして、こちはもう公明正大に町村長にも話し、府県にも話す、農協にも話す、全部に話をして出ていきますので、企図がわかってしまう、こういうような事業で、そういう人たちといろいろと関連しながら仕事をしていくのでございます。しかし公団のやりますこと、もとより信用がなければいけませんし、いろいろとそれがたとえもう総代表に渡ってからのことでありましても、トラブルがあるということはまことに遺憾なことでございます。これはよく検討いたしまして、なお新しい方式というものも打ち立てていきたいということを、いま苦心惨たん監督官庁とも相談をいたしておる段階でございます。
  98. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がありませんので、いまの総裁の言ったことについても反論があるのですが、一応ひとつ十分検討するということで了として、この問題については後刻に譲ります。問題は、やはり具体的に花見川団地の問題を中心にして、いま司直の問題に移っているわけです。具体的にだからこういうものの発展とも勘案して、この問題は今後ともにこれは続けられるというふうに考えて、一応終わります。  どうも建設大臣がわざわざ来てくれておるので、住宅公団ばかりやっているわけにいきませんが、端的にいって、質問の順序をかえて、この前、私は建設大臣においでを願って、超高層ビルの問題についてお伺いしたいというふうに考えております。ただ、この問題は、東京都と東京海上側において争われていた建蔽率の問題、こういう問題から建築基準法の改正という問題がいま俎上にのぼり、一方においては美観論争というものがいま提起されている。私は、その中で建蔽率の問題と違反建築という問題——これも大きな問題で、最近においては違反建築についての追及という問題から、東京都におきましては、練馬区役所内部の建築Gメンが汚職を起こしているというような問題が起きている。私はそういう点で、住宅を建てる場合に、一般大衆、庶民の悩みは、非常に土地の値が上がってきている。したがって、いま建蔽率などといわれても、とても少々の金で土地を買った場合に、建蔽率を守っていたら家が建たないじゃないか、こういう現実の悩みの中から違反というものが続発しているとも思われるのです。だから、建蔽率という問題についてたまたま東京海上の問題が出され、東京都としてはあれまで合わせてやるものではないと言っておりましたが、事実は東京都においては双方合わせて建蔽率というものを見るというふうなことになった、そういうことになってしまったというふうにも受け取っておりますが、端的にお伺いしますが、建蔽率というものについてもう一ぺんこれを再検討する、こういう意思がございますか。違反建築をなくすためには、建蔽率の問題について具体的にメスをふるわなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  99. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 建蔽率の問題につきましては、土地の所有者は非常に重大な影響を受けるのであります。建築基準法が改正せられましたのが、昭和三十六年でございます。いままでいろいろな問題があるようでございますので、建築基準法をこの際再検討したいと、かように考えておる次第でございます。  なお、東京海上の問題につきましては、これをどうするかということと、建蔽率とは直接関係ございません。一般的な建蔽率については再検討したい、かように考えております。
  100. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで、特に最近東京のグリーンベルト地帯において違反が非常に多い。これは建蔽率自体が無理だという、こういう指摘がありますが、これは緊急に実態に合うように、しかも一たんきめたら建築基準違反が起こらないようなひとつ具体的に善処してもらわなければいかぬと思うのです。グリーンベルト地帯、いわゆる練馬地区を通っても、あれは過去の遺物になっておるような形が見受けられますが、この点どう考えますか。
  101. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 現在はあの地区は一割ということになっておりますが、いろいろ新聞紙上等で拝見いたしましても、私はやはりいま幾らにしたらとはここで断言はできませんが、やはり再考の必要があるのじゃないか、かように考えておりますから、今回これを建築基準法の改正のおりには考えたい、かように思います。
  102. 岡三郎

    ○岡三郎君 その建築基準法は、必ず次期国会に出しますね。
  103. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 提案するつもりでございます。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 その間に大臣やめちゃあ困るから、それははっきり受け継いでおいて、もらわなければ困る。  そこで、私は、いま東京海上の問題をめぐって美観論争があり、建築学者その他に言わせると、東京週辺、特に宮城週辺の美観はかたなしじゃないか、いまさら何が美観論争だという論もあります。しかし、これは国として重要な問題で、国会とそれから宮城、あるいは東京駅とか、あるいは大阪とか、京都とか、それぞれ美観地区の問題について建築基準法にうたってあるわけですが、東京海上の場合においては、本来ならば、地方自治のたてまえに沿って東京都が建築審議会の議を経て建設省に対して伺いを立てる、これからいえば許可せざるを得ないというふうになるわけですが、新聞紙上に見られるところによると、大臣は、宮城周辺は東京都の問題であると同時に国の問題である、こういうことで新しい立法措置を考えたいというふうに言われておるように印象づけられる記事があるわけでありますが、この点について大臣の考え方をひとつ述べてもらいたい。
  105. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) いまの建築基準法でも、やはり全体を考えて美観地区を指定するとか、あるいは高さの問題でも高度制限というようなことをし得るような法律の精神にはなっておるわけでございます。ただし、それを各地方公共団体の長にまかせまして条例でやることになっておるわけでございます。したがいまして、そこの公共団体の長が必要なしと認めれば、いまの法律では条例がつくられないためにそれはできないわけでございます。またこれを建設大臣が、いまの法律のたてまえでは、しいるわけにはまいりません。条例をつくれと、監督はできますが、しいるわけにはいかないと思います。それはその地方公共団体のなすことでございまして、また地方公共団体の長がつくりたいと思いましても、そこの議会の制約等によってできない場合もございます。したが
  106. 竹内藤男

    説明員(竹内藤男君) 霞ケ関三丁目のビルにつきましては、昭和三十九年に特定街区として認めまして告示いたしております。
  107. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはどなたの大臣のときですか。——まあいいでしょう。その点について、やはりいまの建築物、土地の問題全体からいうて、私は非常に手おくれでないかというふうな感じがするわけです。特にこの土地価格の上昇に対する政府の施策はほとんどなっておらぬ。ようやく最近、土地に対する税制の問題等から、何とかしなきゃならぬということにまた戻ってきました。しかし、所得倍増のいわゆる経済成長に伴って地価がばかばか上がっていく。そういうことからいまの社会開発などといってもなかなか手がつかぬ。そういうふうな問題も含めて、土地と建物、こういう問題について、政府が規制するばかりが能でないとしても、やはり最近言われているように、はっきりと国民が納得するような方法というものをとって、そうして土地対策なり建物に対する対策なり、こういうものをしっかりやっていってもらいたいというふうに考えるわけです。私は超高層ビルについてあながち反対するものではないとしても、ただ無計画ににょきにょきといろんなものが建てられて、東京のどまん中には一階、二階というところもまだある。そういうふうな不自然な不調和の形のままでそういうものがどんどんつくられるということに対しては、私自体としては異議がある。そういう点で宮城の前だからというのでなくして、やっぱり総体的にそういうものについて大綱というものを立てて、そうして積極的に指導してもらいたいと思います。特に最近においては、容積の問題だから、これは交通難とは関係ないと言うが、やたら高いものが建てられれば、いままで容積が余っているところもみんなぎっしりぎっしり全部つくられてしまえば、交通難は、そこの場所は別としても、総体的に高層建築が並ぶということになれば、容積一ぱいに全部建てるという形になると思う。そうなれば必然的にそこにラッシュが付随してくる。宮城の前だけ見れば横のものを縦にするんだから関係ないと言ったって、全部が全部下町のほう、東京駅の向こう側、八重洲口のほうもどんどんと三十何階がみんなぎりぎりに建ってくるということになれば、どうしてもいままで容積の余裕のあったところも全部一ぱい建てるんじゃないかという心配がある。そういうふうな点で、宮城前広場というだけではなくて、やっぱり市街地の構成という問題から考えて、最近においては、オフィスだけがにょきにょき建つという現状ですから、中心の問題は別にしても、少し都市周辺からはずれた地区については、やっぱりアパート群というものをかなり備えた土地の開発を考えてもらわなければいかぬのじゃないかというふうな気持ちもするわけです。きょうは時間がありませんのですが、とにかく宮城前の東京海上ビルが一つの刺激になってまいったわけですが、おくればせでもひとつ明確な対処のしかた、地方自治法との関係もあると思いますが、この点については政府自体がひとつ指導的な立場においてプランを立てて、そういう内容を社会なり国民に対して問うてもらいたいというふうなことを言っておきます。  それから、きょうは時間がないから飛び歩きみたいになってくると思います。
  108. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 一時に大臣退席します。
  109. 岡三郎

    ○岡三郎君 それじゃあもう大臣のほうは、いまの点についてもう少し具体的に申し上げておきたいと思っておりましたが、時間がありませんので以上ではしょって終わりますが……。
  110. 亀田得治

    委員長亀田得治君) あなた、大臣に関連ですか。
  111. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ええ。
  112. 岡三郎

    ○岡三郎君 じゃあそれではあとに回しましょう。
  113. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大臣のいる間にお尋ねしたいのですけれども、岡委員のほうから住宅公団の用地買収方式について新方式を考えたらというようなことですが、その新方式の一つは、私は筑波研究学園都市の用地買収がそのいい例ではないかと思う。知事、町村長、地主すべての人が話し合いをして調整金等々の裏の問題につきましても、補償額全体の構成の中でよりよく代替地対策等も立ったという全くひな形的なものだと思う。六百四十万坪のうちすでに七〇%近く終わって、今年ないしは今年度中には全部完了するわけです。教育大学あるいは政府機関等の移転計画等を、大臣が一番の推進役になって閣議においてもそれを進めておるわけです。ただ問題は、それだけの政府機関の移転が決定され、大学の移転が進められようとしても離れ小島です。大臣はこの前の決算委員会の際にも、十分離れ小島でない文化センター的な研究学園都市的なニュータウンをつくり出したい、そのためには道路が必要だ、高速道路をぜひつくるべきであるという私の質問に対して、これは当然つくらなくちゃならぬという御返答をいただいたわけですが、先般の高速道路の発表を見ると、学園都市に通ずる高速道路は含まれていないが、これはどうなっておるかお伺いしたいのです。
  114. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 端的に申しますと、常磐高速道路は調査がまだ完了していない。したがいまして約束は果たし得ないので、審議会は今回が一回きりではございません。次になるべく早い機会にもう一回やらなければならぬと思っております。したがいまして、それまでに調査ができますれば、実際はやる気でございますが、調査が完了していないということでございます。
  115. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 国際空港の三里塚の問題も、あすこも高速道路がもうすでに決定の段階です。これは調査が早急にやられたはずです。学園都市の場合早急写るべきだという要求が、地元から強く出てきておるわけです。やっておかなくちゃならぬ問題ですから、したがって私は調査ができ次第ということでなく、調査をすみやかに進めて具体的にこれを実現してもらいたい。以上要望します。
  116. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 御要望に沿いたいと思って、ただいま馬力をかけておるところでございます。ぜひ常磐高速道の実現を見たい、そうしてせっかく御協力を賜りました地元の方々に対して報いたいと、かように思っておる次第であります。  なお、岡さんの申しましたさいぜんの霞ケ関ビルの許可のときは、だれの大臣だったかということですが、いま調べましたところが、小山大臣の時代であったということを申し添えておきます。
  117. 岡三郎

    ○岡三郎君 きょう時間がありませんので、これは念のために問いただしておきます。これは道路公団の問題ですが、羽田空港近くのハイウェーのコンクリートに穴があいた問題、阪神道路公団のほうで五千万円の使い込みです。この問題について陥没事放を起こした、あるいはこういうふうな金銭上の汚職を起こした、こういう問題について、道路公団としては建設省と連絡をとって、会計事務の総点検を主席監察官に建設省としてはやらしておる。あるいはまた道路局長を中心として橋梁の総点検を始めた、そういうふうに言われておるわけですが、私は契約というものに非常に問題点があるのじゃないかと思うのです。これは建設省においても、道路公団においても、その他各土木工事においてもそうですが、単価の積算といいますか、その一つは、大手業者がまず入札する、あるいは契約をする、そういった場合に下請を使ってやりますね。そのときに六、七%から一五%くらい取り上げてしまってピンはねするというのですか、ピンはねということばが悪ければ、それを取って下へ回す工事の請負システムですよ。その単価の積算の方法と工事の請負いのしかた、こういう問題についてかなり粗漏工事というものがこれに派生してくるのではないか。いいですか。これは東名高速道路においても、アメリカの業者が入札して、まあこれはいろんな原因、ファクターがあって、とうとうこれはほうり出されてしまったわけですけれども、中央道なんかの問題点を聞いてみても、大体その七%から一五%ぐらい取られた単価で工事の請負をしているから、中小の業者というものはほとんど利益が出てこない、苦しい。そこで、その材料を落としたり、あるいは手抜きをするというふうなことが、必要悪というふうな形で行なわれてきておるということを聞くわけです。これは私は、道路公団のこの問題についても、京浜の高速道にしても、穴があくなんということは考えてもみなかった、でしょう。そうするというと、これは根本的にさかのぼって、いまの請負のしかたそのものにあるんじゃないかというようなことを考えざるを得ないのです。これはどうですか、林理事長
  118. 林修三

    参考人(林修三君) いま、私のほうの首都高速道路芝浦付近で道路に欠損を生じまして、事故を起こしまして、一般に迷惑をかけましたことを非常に遺憾に、申しわけないと思っておるわけでございます。この事故につきましては、さっそく当公団の中でも、技術的にこれを検討するための委員会をつくりまして、建設省土木研究所長をはじめといたしまして、部外の学識経験者を集めて、実は原因調査をやっていただいております。まだ実は中間的な点しか出ておりません。また委員会としても中間報告も慎重にやっていただいております。いままでわれわれのほうで調べたところでは、やはりコンクリートの質に問題があったということでございます。これについては、物理的な試験をいたしまして、欠損を生じました付近のコンクリートが非常に強度が弱かったということがわかっております。この強度の弱さが何によって生じたかということを、いま技術の学識経験者に御依頼して調査してもらっているわけであります。原因といたしましては、あるいはコンクリートの品質に問題があったか、あるいは施工のやり方に問題があったかという、おおよそに分ければ二つの問題になると思いますが、その点の調査をやっていただいております。まだ的確な結論は出ておりません。  そこで、こういう事故は今後起こしてはならないことでございます。われわれのほうも設計、監督について今後十分注意をしてやっていくつもりでございますが、ただいま岡委員の御指摘のございました契約方法でございますが、契約方法につきましては、私のほうは、現在もそうでございますが、この当時においても、幾つかの工区に分けまして、業者を大体一つの工区につきまして八社程度指名をいたしまして、その指名競争で実は入札をいたしております。で、その指名する業者の選定は、私のほうの公団の中に、副理事長委員長といたしまして、部内の理事、部長クラスで構成いたしました指名委員会をつくり、そこで大体その工区ごとに、あるいは工事の性質に応じて、適当と認められる業者を選定いたしまして、それを指名して、その競争によってやっておるわけでございます。で、この事故を起こしました工区は、PCコンクリートの実は工事でございまして、これを請け負いましたのは、当時の田島工業という会社でございます。PCコンクリートの専門業者であったわけでございます。これは工事の請負をしたのが三十六年の夏でございまして、三十七年、約一年数カ月で工事を完成をしたわけでございます。その後、実はこの会社は四十年になって倒産をいたしまして、いまは実はございません。そういう会社を指名したことについての御批判はあろうかと思いますが、当時といたしましては、実はまだそういうような経営上の問題も公団側ではわからなかったわけでございます。業界としては大体中くらいの地位であるということであったわけでありまして、当時といたしましては、指名したことについてはそれほどのミスはなかった、かように考えられているわけでございます。  工事のやり方でございますが、いま下請業者云々のお話がございましたが、私のほうの工事に関する限りでございますが、全然下請に一部出しておらないとは申しませんが、工事の性質が橋梁とトンネル、いわゆる構造物でございます。したがって、大体やはりそれを受けた業者がみずから施工していくのが原則でございます。もちろん一括下請なんかは禁止いたしておりますし、部分的に土工工事あるいは橋のけたを上に上げるとか、そういう部分的なものはあるいは別の会社に委託しているものはあるようでありますが、大部分これはわれわれのほうは請負った業者がやっております。その点は、十分監督上も注意してやっているつもりでございます。
  119. 岡三郎

    ○岡三郎君 建設省のほうでは、大臣がいないけれども、請負方法というものを、時間がありませんから簡単にしますが、大手業者が請負って下請に落とす場合に、大体私たちが聞いているところによるというと、良心的な業者が六・七%、大体一割五分ぐらい取ってしまう。ひどいのになると二割。これはたとえば十億の工事をやっていく場合に一億なり二億なりというものが途中から取られてしまう。それで下請に回される。下請のほうは苦しいから、そこからまた利益を生み出すわけですから、もうそれで言えば利益はほとんどないはずです。それをまた下請が利益を出すために、あちこちやる。そうしてやはりどうしても材質を落とすとか、あるいは手抜きをする。これは会計検査院調査によっても、東名高速道路でポタシュニックという会社が請け負った検査のやつが出ておりますが、大体橋脚パイルですか、千百四十六本が不良で、九ミリの普通丸鋼を八ミリに落としている。結局、下請のほうからいえば、もう何だかんだたたかれても、仕事がなければ倒れてしまう。そういうことで、かなり無理して請負というものが行なわれてきているのじゃないか。そういうふうなことの指摘があるのですが、その総工事費のいま言ったような額を請負業者が取ってしまう。そういうことは御存じですか、建設省
  120. 志村清一

    説明員(志村清一君) 元請から下請に出された場合、どの程度の中間搾取と申しますか、そういうものがあるかという点につきましては、非常にむずかしい問題でございますので、私どもも把握はいたしておりません。先生御指摘のように、現在の建設業法等におきましては、下請の関係につきまして必ずしも規定が十分でございません。場合によりまして、重層下請というような問題も出てまいりまして、下の下請業者とその下の下請業者があるというようなこと等がございます。そういった下請業者に対します措置につきましては、これはさらに十分考える必要があるだろうということでございまして、これらを含めまして、現行の下請関係の改善をはかりたいということで、現在、中央建設業審議会で建設業法の改正が審議されている状況でございます。こういった審議の結論をまちまして、業法の改正等についても十分検討を加えたい、かように考えている次第でございます。
  121. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの答弁で特に遺憾なのは、そういうことを知らない——知らない官房長というのは、これは役に立ちませんな、端的に言って。まあここで知っていると言うと、たいへんなことになるから言わないだけだろうと思うのです。この点はもっと端的に、やはり大手が利潤をあげて、肝心かなめの使われている者があごを出しているという、この現状というものを見たときに、日本の工事そのものが粗漏工事が行なわれてくるということは、これはもう目に見える問題です。だから、そういう点で、ずいぶん綬慢な検討をしていられるというふうに承ったのですが、端的に言って、やはりしっかりした工事をする場合においては、仕事仕事によってやはりABCに分けてもけっこうですから、直接的にその仕事がピンはねされない形でいくような形をとらないと、もう下のほうは、さなきだに苦しい。そうしてピンはねをされて、しかも手形ですからね。これでは日本の工事そのものが具体的に粗漏工事が生まれてくるのは私はあたりまえだと思う。この点について、時間がありませんので、なお検討するということですから、私は積算の問題にも問題があると思うんですが、いま何とかかんとかいって仕事をやっているのは、仕事をやっていく過程の中で設計変更ということがくっついてこないと息がつけない、こう業者が言っております。ですから、苦しいから設計変更という形でそこへプラスアルファをつけてもらう、こういうことで何とかしのいでいっているというのが、かなり事例が多い。設計変更ということによって金をふやしてもらうということ以外に、工事を続けていく以外にできない。これは、大手のほうは、わかっていてもきつい仕事をさせるわけですからね。そういう点でいま倒産が中小企業の中においても土木関係が多い。こういうふうな点について私は、国全体の建設事業というものを考えたときに、いまのやはり契約、請負の形自体に一番問題があるんじゃないか。こういうふうな点についてひとつ十分検討せられて、ほんとうにしっかりした工事ができるようなことをお願いしたい。  もう一つ、阪神のほうの五千万円の点については、これはあきれてものが言えんですが、これは阪神高速道路のほうとして直ちにこういうふうな事例に目がさめて、至急に手を打ってきたということについてはわかります。しかし、現場というものはまことにいいかげんなものだという印象を国民に与えたことは残念です。そういう点で、飼い犬に手をかまれたようなことを住野さんという部長さんが言ってますね。しかし、信用することはいいけれども、判こも何もみんな使いっぱなしに使わしておいて、小切手も切らすことを一任しておいて、あとでそれについて不明のいたすところでは私は相すまんと思う。これについて、時間がありませんが、ひとつ責任者から、今後どうするか、こういう点について所信を伺って終わりたいと思います。
  122. 樺山俊夫

    参考人(樺山俊夫君) 公団が発足いたしまして五年半になります。栗本理事長は発足以来最重点事項といたしまして、綱紀の粛正を非常に強く言ってこられましたにもかかわりませず、今回このような事件が起こりまして、私どもといたしましても全く残念でございまして、おわびのしようもございません。事件の原因等につきましては、ただいま抑せになりましたようなことでございまして、きわめて初歩的な誤りをしておるという一言に尽きると思うのでございます。したがいまして、私どもといたしましては事件直後、内容の把握をさっそくいたしまして、なおかつ今後の事故防止に備えまして臨時の委員会をつくりまして、今回の原因の究明、あるいは今後のこの種事件の予防措置、あるいはまた会計事務全体につきましての不法防止につきまして、せっかく現在検討中でございます。なお、現場の神戸建設部あるいは本社の関係者につきましても、去る十一日に理事長の懲戒処分を、全体で私、副理事長以下二十二名のそれぞれ責任に応じまして懲戒処分を発令いたしました。  それから今後の対策でございますが、先ほど申しましたように、対策委員会でせっかく検討中でございますけれども、現在までに考えております点を四点ほど申し上げますと、まず第一に会計事務の取り扱いにつきましては、国の資金前渡関係の仕事に準拠いたしまして、それぞれ規定を一応整備してございます。それらの規定を再点検いたしまして、もう少しこまかにその要領を規定する必要があるんではないかという意味におきまする再点検をいたしたいと思います。  それから今回の事件は、先ほどお話ございましたように、一係員に仕事をまかせっ切りであったというのが、端的に申しまして原因でございまして、私ども考えまするのに、従来係員に対しましては、年次計画によりまして会計事務の研修をいたしてきておりましたけれども、それを管理いたします管理者、あるいは監督者に対しまして、今後強力に研修をしておく必要があるのではないかという意味におきまして、監督者、管理者並びに事務の取り扱い者に対しまして、研修を強化していきたいということが第二点でございます。  第三点は、資金前渡事務についての問題でございまして、資金前渡事務の範囲が、それぞれ限度がございまして、たとえば工事費につきましては、一件一千万円以下というふうな範囲がきまってございます。これらの問題につきまして、今後従来どおりに建設部にこのような多額の支出、あるいは契約をさせることがいいかどうかという点につきましても、かなり疑問があるように思いますので、これらの点につきましては、相当程度本社に引き上げまして、本社でみずから支出事務を行なうという方向で検討いたしております。  なお四点といたしましては、業務運営上の問題といたしまして、現場の会計事務の取り扱いにつきましては、従来監査機関がございまして、年次計画によりまして監査をいたしております。また先ほど申しましたように、事務取り扱い者に対しましては研修を行なってきておるのでございますが、これだけでは必ずしも十分でないのではないかという気持ちがいたしますが、今後は年次計画によりまする定期監査以外に随時に監査を行ないまして、かかる事故の事前防止を行ないたい。とりあえずこの四点につきまして具体策を早急に練りまして実施に移したい、かように考えている次第でございます。
  123. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は関連で一言だけお尋ねするわけですが、それは具体的な例として白金のかつての迎賓館、いまの自然公園のところから省線の五反田駅に向かって最近開通したこの高速道路下です。この下に自動車がつまり置き捨てになっている。これが砂ぼこりをかぶって全く見るもむざんな何といいますか非常な状態になっている、インドネシアの大使館の前の通りをずっと。一体あれは自動車の駐車場として公団は利用するのか、それともかってに使わせておくのか、今後それを取り除かせてきちっとした整理をするのか、これをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  124. 林修三

    参考人(林修三君) いま御指摘のありました部面の高速道路下の部面は、実はこれは都道でございます。これを建設をいたしますときは、実はこの平面道路の拡張、あるいは舗装等の工事は都から委託を受けまして、私のほうが並行して施工いたしました。しかし完成したあとは、実はこれは一般の都道でございますので、実は都が管理をいたすことになっております。まあしかしああいうことで、都としても、あるいは警察としても、これはあそこは確かに道路でございますから、道路においての駐車ということは一般的にはこれは禁止されているわけでございます。そういうものについての管理をまあ十分やっていただくことが必要だろうと思っております。それからまたこれは私のほうといたしましても、実はあの高架下に乱雑にいろんなものが置かれるのは非常に困る、道路である以上はあれは道路として実は使っていただきたいということをまず第一にわれわれは考えております。しかし、ああいうふうに高架下に足がございまして、道路として使用がなかなか困難な点もございます。そうなりますと、実はこれを駐車場にしたほうがいいのではないかという問題がございますが、しかし路上の駐車となりますと、やはりこれはいろいろの法規的な関係がございます。都あるいは警察当局との御相談を経なくちゃいけません。むしろあれを都道の区域から除外して、あるいは駐車場なら駐車場としてわれわれのほうの公団に管理を委託してもらう、これも一つの行き方と、かように思っておるわけでございまして、現状においては、実はこれは都の管理に属しておるわけでございます。
  125. 柴谷要

    ○柴谷要君 行って見てもらえばわかるのですがね。道路なんというものじゃないのです。てんで歩けないのです。それで橋脚と橋脚との間がちょうど自動車が二台並ぶようになっていまして、しかも橋脚を擁護するために少し高目にずっとはっておりますからね。道路は両側であって高架下は全然道路として価値のない、そういうところなんだから、とにかく公団側があれを建設した以上は、その下の責任も都から受け継いでそれでしかるべく管理するのが私は妥当だと思うのです。たぶん都の道路だと、こう答弁されると思ったけれども、行ってごらんになればわかるのですがね、ひどいものなんです。  それから、ついでですから一つ申し上げておきますが、あそこの工事をやられたのは第一建設部ですね、第一建設部のほうにぼくは連絡をしたのです。そうしたら部長からも話があったのですが、実は隧道がある、あの隧道に非常な水漏りがするわけなんです。自動車など乗ってきた場合に、もう天気になって雨もやんだと思っても、あの隧道にかかるとぴしゃぴしゃ水が落ちるわけです。こういうことではどうも工事に手抜かりがあるのじゃないかと思って、実は第一建設部のほうに私のほうから電話をした。そうするとさっそく調査をいたしますということで調査をした。そうすると、接続部分にゴムが入るんです、そのゴムを押える何かが密着しておらないため漏水しておるので、これは必ず早急のうちに直しますという答弁があったのです。これは第一建設部長からあった。ところがいまだ直っておらない。雨がやんで、一般のほうは降っておらないのに、あの隧道に差しかかると水が漏る。こういう工事が行なわれているということも、理事長として御承知の上でできるだけすみやかにひとつ手を入れてもらいたい。これが先ほど岡先生が申し上げたような工事にならなければ幸いだと私は思う。そういう点をひとつ注意を申し上げて、今後の処置をお願いして私は終わります。
  126. 林修三

    参考人(林修三君) ただいま先生の御指摘になりましたことは、私も実はよく存じております。よく存じておりまして、前々から何とかしなければいけないと思っておる駐車状況でございます。それから、同じような問題はあそこだけでなくて、最近開通いたしました渋谷と六本木の間、これはまだ舗装工事をやっておりますので、現在はあまりまだ目立っておりませんけれども、舗装ができて都に管理を委託すれば同じような問題になるだろうと、実は想像いたしております。それから、ずっと古く開通いたしました芝浦付近のいわゆる一号線のところも、実は同じような状況になっております。これは抜本的に考えなければいけないとわれわれも考えておりまして、公団といたしましては、あそこを駐車場として、都あるいは警察としても道路として使用することをあきらめていただいて、駐車場として使うならばそういうふうにしてやっていただきたい。そうすれば、われわれのほうが管理を委託を受ければそのように考えたいと実は考えて都方面とも話しておるところでございます。もうしばらく実はお待ちを願いたいと思います。  それからただいまの白金の隧道の御指摘の点、さっそく処置させるようにしたいと思います。おそらく、道路のところのジョイントのゴムに欠陥があるのじゃないかと思いますので、さっそく調査いたしたいと思います。
  127. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは午後二時十五分まで休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      —————・—————    午後二時三十三分開会
  128. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  建設省の部の決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  129. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、千葉県の浦安地区の埋め立ての件について質問したいと思いますが、これ現在埋め立て終わったところ、また埋め立てしつつあるところ、また埋め立ての免許がまだ出てないところ、A、B、Cと三地区になっていることは御存じのとおりです。二百六十万坪ですね。正確に言いますと二百五十九万ちょっとですが、大体二百六十万坪。膨大な土地です。これについて、私の調べた範囲に幾多疑問点がありますので、それについて質問したいと思いますが、まずこの浦安地区の埋め立ての免許申請から今日までの経過の概要を説明していただきたいと思います。
  130. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 御質問の認可の経緯でございますが、A、B地区につきましては昭和三十八年五月三十日に認可申請が出ております。それに対しまして知事の認可昭和三十九年の一月二十九日でございます。それに基づきまして知事が免許——同じ千葉県知事でございます知事の免許が三十九年の一月二十九日になっております。そして、そのA、B地区につきましては現在工事中でございます。それから、それ以外にC地区というのがございますが、C地区につきましては免許申請が昭和三十八年の五月三十日付で出されておりまして、認可申請のほうは三十八年十一月の二十日に出されておりまして、現在これにつきましては審査中でございます。以上でございます。
  131. 黒柳明

    ○黒柳明君 昭和三十八年二月二十日「公有水面埋立免許申請書」というものが出ているわけです。その申請書の中には「埋立の場所およびその面積」場所はいま言いましたように東葛飾郡浦安町、このあたり一帯ですが、その二項目目、「公有水面の埋立面積」こうなっています。その埋め立ての面積の内訳が「公共用地」「住宅用地」「その他用地」と、こうなっておるわけです。この公共用地がこの申請書を見ますと七十八万五千八百九十平方米、すなわち二十三万七千七百三十一坪です。住宅用地が五十五万七千八百四十七平方米、十六万八千七百四十九坪。まずこの公共用地、住宅用地のこの二点について私質問したいと思うのですが、まず初めに、公共用地です。三十八年二月二十日の申請書「公有水面埋立面積」その分の公共用地はいま言いましたように、約二十三万七千坪なんです。ところがその後いま局長からお話ありました三十九年一月二十九日、この申請に対しての許可が出ております。その許可を見ますと、第五項目、埋め立て地のうち、公共の用に供する道路敷四十八万五千四百三十八平方米、護岸敷五万四千六百九十三平方米、公園用地十三万八千五百六十四平方米、これを足しますと、合計六十七万八千六百九十五平方米、こうなるわけなんです。先ほど公共用地は七十八万五千八百九十平方米と言いました、申請書では。ところが認可では六十七万八千六百九十五万平方米、ですから、その差額は十万七千百九十五平方米、申請と許可に食い違いがあるわけですね、公共用地分として。住宅用地分はこれから申したいと思いますが、申請と免許がこの時点におきまして大体三万坪の公共用地としての申請と免許した分が少なくなっている。この差額はどうして出てきたか。まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  132. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 千葉県知事が免許申請をいたしました公共用地の七十八万五千八百九十平方米と免許権者であります千葉県知事が免許した公共用地の六十七万八千六百九十五平方米と面積が違っているじゃないかという御質問でございますが、これは建設大臣に対して認可申請がなされました際に、公共用地の中に鉄道用地が含まれておりまして、この用地は鉄道に払い下げることになりますので、その際に除外するように申し入れて訂正させたわけでございますが、この訂正の際に、たまたま認可申請に添付された免許申請書も同時に訂正すべきところ、その訂正が落ちておったわけでございます。これはそういう関係で疑惑を生じたのだと思います。実際は認可申請書を訂正させた上、認可し、それから千葉県知事は認可どおり免許したものでございますので、実質的にはその差額をプラス、マイナスいたしますと符号いたしますので、この点御了承願いたいと思います。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、おっしゃりたいことは、変更の申請が出ていたんでしょうか、出ていなかったんでしょうか。
  134. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 先ほど申しましたように変更ではございませんで、当初の認可申請の書類が出てきたときに、事務的にこれを審査している段階でそういう漏れがあったわけでございます。変更につきましては、なおその他の問題にもございますので、最近また別途に変更認可申請が、これは四十二年九月七日でございますが、現在本省に出ております。その当時は変更認可申請ではなく、当初の認可申請の段階でそういう事務的な問題があったわけでございます。
  135. 黒柳明

    ○黒柳明君 事務的な問題があったということは、要するに事務的なミスがあった、要するに十万平方米というもの、三万坪というものが事務的なミスのためにこれが落っこっていた、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  136. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 水政課長がきておりますので、詳細について説明させます。
  137. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) お答え申し上げます。申請の手続でございますけれども、まず埋め立て免許を受けようという者が埋め立て免許権者、これはつまり県知事でございますが、県知事に免許申請書を提出いたします。そうしますと、規模が大きいとかあるいは指定河川の近所の埋め立てとか、そういうものにつきましては、建設大臣あるいは運輸大臣の認可を受けなくてはならないという規定がございまして、大臣のほうに認可申請があがってまいります。それでこれは面積が非常に大きいのでございますし、江戸川の付近であるというようなことで建設大臣のほうに認可申請があがってまいりまして、その認可申請書には当然免許申請書が添付されるわけでございます。それでその認可申請書を建設省のほうでいろいろ内容を審査いたしましたところ、いま河川局長が御答弁申し上げましたように鉄道用地があったので、それを除外いたしました。それは当然鉄道に払い下げるべきものでございますので、県知事のほうにこれは申請書を訂正し直せ、こういうふうに申し入れたわけでございます。そういたしますと、認可申請書だけは訂正して申請してまいりました。その際にいろいろ事務的なミスでございますけれども、その添付資料の免許申請書も、当然その数字だけば変えなければならない、これが漏れておったわけでございます。それで手続といたしましては、訂正させた申請書に基づきまして認可いたしまして、その認可のどおりに千葉県知事は免許した、これがいままでの手続でございます。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから結局この申請と免許、認可も伴っている部分があるわけですが、その鉄道敷地として十万平米、要するに三万坪というものが、いろいろと手続上のミスによって、事務的なミスによって今日この食い違いが生じておる、こういうふうに解釈していいと思いますが、この問題であれすると時間がたちますから……。  第二点は、住宅用地の問題なんです。これもまた先ほどの三十八年二月二十日の申請書では、住宅用地五十五万七千八百四十七平方米、十六万八千七百四十九坪となっております。ところが、現在のこの埋め立て状況、これは地図です、建設省資料ですし、千葉県の開発工事事務所からの現状です。この黄色い部分が、これが住宅地ですね。これを合わせますと合計八十五万二百五十八坪、こうなっておるわけです。この申請した十六万八千七百四十九坪と、現在の八十五万坪と非常に大きな開きがあるんですね。この大きな開きは、これはどこから出てくるか、ここの点なんですが、いかがでしょう。
  139. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 当初認可いたしました際に、その内容でございますけれども、公有水面埋め立て面積が、総坪数が三百九十七万平米でございます。その中に公共用地と住宅用地とその他用地というのがございまして、それで公共用地はただいま黒柳委員が申されたとおりでございます七十八万平米、住宅用地は五十五万平米、その他用地といたしまして二百六十三万平米という数字があったわけでございます。このその他用地というのは何かということでございますけれども認可をする際に特に使途がはっきりしていない、たとえばこれは軽工業団地にも使えるじゃないか、あるいは倉庫用地にも使えるかもしれない、こういう具体的な計画がきまっていないものにつきまして、その他用地ということで認可したわけでございます。ところが、それから工事を実施いたしまして、だいぶ期間がたつと同時にこの計画が具体的にきまってまいりましたので、ただいま県のほうでは、この当初の認可申請を変更する認可申請——変更認可申請というものを建設大臣のほうに出しております。で、ただいまこれは建設省の中で内容を審査中ということでございます。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 これはすでにもう御存じのように、住宅用地として、もう工事事務所のほうは現実に住宅用地として、こういう八十五万坪にも余る広大な用地を、ここの部分のA地区は完成しました。B地区は現在進行中です。そうすると、申請の十六万坪と相当な開きがある。しかも変更申請は出ているけれども認可はされていないわけですね。にもかかわらずこんなに住宅用地に転用している。その他用地というのは二百六十万坪ありました、申請時においては、ところが変更申請が出なければ住宅用地として埋め立てるわけにはいかないわけです。ところが、現在進んでいる工事というものはあくまでも、くどいようですが申請の十六万坪に対して八十五万坪もの住宅用地としての工事が終わり、さらに進行中である。しかもその変更申請は、いま出ているとおっしゃいましたね。まだ認可を受けていない。ここに大きなずさんさがある。ここに私はこの次から理論を発展していきたいと思うのですが、大きなここに疑惑が生ずる。申請は現在全部出ているんですか。
  141. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 出ております。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 認可はまだですね。
  143. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) はい。
  144. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、認可されていないわけですよね。しかしながら、現状はもう住宅用地としてA地区は完全に埋め立てを終わりました。B地区も住宅用地として目下どんどん埋め立てられている最中です。こういうようなことは、これはなぜ起こるか。これに対して、はっきりしたこれは建設省の大きなミスである、なぜこういうミスが起こるか、いま考えられる点というものを、ひとつお述べ願いたいと思うんですけれども、こういうようなミスが起こった、先ほどの事務的なミス、今度は現実に住宅用地というものに五倍ぐらい転用されておる、しかも変更申請、現在は出ている——私まだ見てませんけれども——認可はされていない。にもかかわらず住宅用地にみんな転用されて、やがて住宅用地として使われようとしている。ところが建設大臣の申請、そして認可は、住宅用地としてはわずかの十六万坪なんです、認可しているのは。八十五万坪じゃない。工事は八十五万坪を目ざして行なわれ、また行なわれつつある。これは先ほどの事務手続みたいなミスでは済まされない問題なんですね。もうこれは現実の状況なんです。これに対していま当局として、どういうことがあったからこういうことが起こっているのかと、考えられる点を述べていただきたいと思うんですが。
  145. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 変更の認可申請の手続がおくれたことは、まことに遺憾に存じます。これは埋め立て免許権者が千葉県知事でございますが、千葉県知事から上がってくるのがおくれたということでございまして、私たちももう少し指導がよければ、もっと早く具体的に計画がきまった際に提出された、そういうふうに思っております。
  146. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあそれも確かに一つ理由にはたるかと思うのですけれども、千葉県知事から建設大臣に対する——千葉県知事が免許をして、その免許したものが大臣の認可、その過程において一年も一年半も差があるということは、これはちょっと考えられないわけですよ。千葉が月にでもあるなら……、隣りですからね、千葉県というのは。これは明らかにどういうことかというと、まあ建設省のほうとしては、千葉県にまかしっぱなしだと、認可与えたならもう千葉県にすべてまかせっ切りだと、こういうことが、大きなこういう現状を生んだ一つ原因です。これは建設省の大きな怠慢。さらに私はそのこと——まあお役所仕事ですから、そんなことは毎回あることなんです。もっと私が言いたいことは、この浦安の二百六十万坪の埋め立てはどういう時点から始まったか。まあこれはだんだん論を発展していきますけれどもね、要するに、ここは三井不動産、オリエンタルランド、それから京成、そしてもう一つはどこでしたっけね、朝日土地ですね、これは要するにその道のベテラン、つわものですよ。こういうもので、幾多当委員会のみならず、国会において審議されて、国民にそのでたらめぶりを暴露されている業者が四人集まりまして、そうしてディズニーランドの何倍もの遊園地にこれをしよう、こういう計画から始まった。そして浦安においては、ディズニーランドのあのカラー写真を各所において見せまして、当然スタッフのメンバーを中心にして、このようにディズニーランドが非常にりっぱな遊園地である、あんたたちのこの土地を埋め立てて、私たちの手で、この数倍ものりっぱな遊園地をつくる、ですから埋め立てなさいと、こういう時点で始まっているのです。ところが現実はディズニーランドどころか、申請許可された十六万坪の住宅用地が、その約五倍にもふくれ上がって、住宅用地だらけになった。まあこれから、あとで言いますけれども、これはすでにもうほとんどこの四社の売買契約もなされて、埋め立てされてないところまで含んで売買契約なされている。要するに千葉県方式ですよ。埋め立て前において埋め立て権利も、そして埋め立て後の譲渡の契約も、全部もう業者が県と、そして浦安町と話をしましてね、そうして埋め立てから譲渡まで一貫して、もう自分たちのものにしちゃっている。前に若松町団地では同じことを指摘しました。大臣は遺憾であると、こう答弁しましたけれども、また同じ土地がこういう千葉県方式で行なわれている。要するに、ディズニーランドどころか、そういうことで浦安町民をごまかして、そうしてここを住宅用地にどんどんしてるんですよ。当然、住宅用地のほうが高いですから、将来高騰すること、もう明らかです。そうして最後に残ったのがこのC地区。いまこのC地区に対して建設省では埋め立て許可をストップしております。認可を、免許を、目的が不明である、この決算委員会において、国会において、どんどん言われるから、ディズニーランドつくるものやら、住宅地にするものやら、もしここでまた認可したならば、また住宅用地に転用されたならばまたおこられる。そんな目途不明確なものに対して、このC地区は埋め立てストップ、認可はストップとこうなっているはずです。なぜここが住宅用地になったかというと、建設省の怠慢、県にまかせっぱなしのそういう怠慢と同時に、県は要するに千葉方式でそういうまあ千葉県のある大ものの政治家にも牛耳られた、県知事あたりが振り回された。そうしていま言ったこの四社が結託しまして、ここをどんどんとにかく十六万坪の住宅用地、あとはみんなディズニーランドにするんだ、遊園地にするんだと言いながら、実際は住宅用地になっちゃった。こういう現状であることが、私の調査の結果はっきりしました。またここでオリエンタルランドとか三井不動産あるいは朝日土地の問題に入ると、これは深く入ってきますので、きょうは個々の会社についてはやりません、もっと総括的なことをやりますけれども、そういう現状で、十六万坪の住宅用地としての申請、そして免許から、現状は八十五万坪もの住宅用地としてA地区は終わり、B地区は現在進行中です、それが工事事務所からはっきり出ている。これはあまりにも建設省の怠慢、——怠慢といっても、これ以上過ぐるものはなし、こう私は思うんです。どうでしょう。
  147. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 千葉県内の埋め立ての内情、あるいは当初計画しておった計画はどういう階段でどの程度変更されたか、その辺はつまびらかでございませんが、申請の変更の手続がおくれたことは確かでございまして、今後こういうことが起きないように、使用目的を変更するような場合には、できるだけひとつ事前に埋め立ての免許にあたりましては、今後使用目的以外に使用する場合とか、あるいは埋め立て地に関する権利を設定し、あるいは譲渡するような場合には、免許権者の許可を要する旨の条件を付しまして、埋め立て地が適正に使用されるように、河川局長名で、公有水面の埋め立ての適正化について、ということで、昭和四十年の九月一日に通牒を各都県に出しております。今後できるだけそういった使用目的に合致するような行政的な指導をやっていきたい、かように考えております。この点につきましては、確かに千葉県自体の変更の申請がおくれて出てきた、それから、それに対して建設省のほうでももう少し早目に変更手続を出すべきであるというぐあいに指導すべきであったと考えております。千葉県内のいろいろな行政的なといいますか、計画の変更等の詳細については、私どもは残念ながら関知いたしておりません。
  148. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの二点について、私、意見についてまたおことばを返したいんですが、一つ、千葉県のことについては私たち関知しませんと言っても、これはこの前の委員会で、きょうは大臣がいらっしゃらないので残念ですが、地方自治団体に対しては指導監督権は建設大臣にあるわけです。ですから、先ほど言ったように、関知してないじゃ済まされないわけです。指導監督していかなければならぬ。認可を与えたならば、あとは千葉県のものじゃないわけですよ。申請変更が来れば、これはまた大臣が認可を与えるんですから、そういう意味から、私たちは関知していませんじゃなくて、私たちは関知しなければならなかったのだけれども、残念ながらそこは大きなミスであった、こういうふうになると思うし、現状というものを、千葉県が全部やっている、それだからいいというわけにはいきませんよ、建設大臣はこれを認可をしているんですからね。  それから、もう一つは、千葉県から上がってくるのがおそかった、おそかったと言いますけれども、先ほど言ったように、いま現在認可申請が出ていると言いました、私はチェックしていません、全部出ていることを信じますけれども、出ていなかったんだ、が、出ていることを信じます。それが認可されてないでしょう、免許もまだされていないでしょう、その前にこれが埋め立てられてしまったんですよ、住宅用地として。この件についてはどうしますか。まだ申請中ですよ、免許も許可も出ていない、変更に対して。ところが現状は住宅用地としてもう埋め立てられちゃっている、あるいは進行形である。これに対してどのような処置をするか。
  149. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) その他用地といたしまして当初二百六十三万平米の認可をしておるわけでございます。このその他用地が、先ほど申し上げましたけれども、倉庫だとか、あるいは軽工業団地だとか、その使用目的は必ずしもその時点においては明確でなかった。これが一年、二年たちますと、具体的になりまして、それで先ほど申し上げました、はっきり日にちを申し上げますと、四十二年の九月七日付で変更の認可申請が出ております。その中にはその他用地を全部具体的に、これはきまれば住宅用地なり、あるいは公共用地なりにはっきり具体的にすべきであるというようなことで、そのその他用地となっていたものが住宅用地のほうに入ってきている、そういうのが実情でございます。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 また先ほどと同じことですよ。それは申請が九月七日で、その他用地から住宅用地にどのくらい変更申請が出ていますか。
  151. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 具体的に申し上げますと……。
  152. 黒柳明

    ○黒柳明君 合計でけっこうです。
  153. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 当初の認可の住宅用地が五十五万平米でございます。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど言ったやつですね、九月七日にその他用地から住宅用地に変更申請が出ている分だけ合計して。
  155. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 二百十万平米が住宅用地でございまして、それで準工業用地といたしまして九十二万平米、こういうふうになっております。
  156. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて住宅用地が五十五万平方米、要するに十六万坪でしょう。その他用地が七十九万坪あったわけです、二百六十三万平方米。これがその他から住宅用地に変更申請が九月に出たというのでしょう。だからそれがどれだけ出たか、そういうことなんです。
  157. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 変更後の住宅用地の面積でありますね。二百十二万平米であります。
  158. 黒柳明

    ○黒柳明君 変更申請が出た分はそうするとどのくらいですか。
  159. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) ですから、変更申請がつまり五十五万で認可してあるやつ、それが今度変更申請されて、その五十五万が二百十二万になっているということです。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、その他用地というものは……。
  161. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) それはゼロになっております。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 ゼロということはない、若干残こるね。
  163. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) つまり準工業用地といたしまして九十二万。
  164. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体わかりました。そうすると、いまおっしゃったこと、私もう一回繰り返しますと、住宅用地に十六万坪。ところが現在は八十五万坪住宅用地になっておる。ところがその他用地が七十九万坪あった。この七十九万坪のほとんどが九月現在で住宅用地変更申請が出ておる、そういうことですね。
  165. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) さようでございます。
  166. 黒柳明

    ○黒柳明君 ところが全然これは免許も許可も出ていない、こういうことですね。
  167. 上妻尚志

    説明員(上妻尚志君) 申請は出ておりますけれども、正式な認可はまだいたしておりません。
  168. 黒柳明

    ○黒柳明君 建設大臣いらっしゃいました。始まってもうちょっとたったんですが、この前の千葉方式と同じことなんです。免許権者が、埋め立て業者が四社ありまして、その人が埋め立てる費用から、そして造成されまして、それから譲渡されるまで、一切千葉県と契約を結んじゃっているわけですよ、ですから、またこういうことがこの前も若松団地で建設大臣はうまくないとおっしゃったが、同じことがここにまた二百六十万平米の土地で起こっている。しかも認可を受けないうちに、どんどん住宅用地に変更しちゃっている。それがいま課長さん御答弁になったことなんです。これまた繰り返しますと、時間がまた針を逆に戻さなければならないものですから、繰り返すわけにはいきません、大臣の頭としては、この前大臣が遺憾であった、あれと同じようなケース、同じケースそっくり、ただあの問題は四万坪、これは二百六十万平米という膨大な土地です。しかもあのときは一社、これは四社です、そして一流の大会社が四社。そして私に言わせれば、千葉県がだまされておる、国がだまされておる、こういうケースなんです。それが、いま言っていることは、住宅用地申請が十六万坪、認可が十六万坪、ところが、申請が出ている最中、どんどん十六万坪の住宅申請認可が、八十五万坪の現在埋め立てやっているし、やりつつあるのです。その申請がいま出ている。まだ免許がおりていないんですよ、認可もされていない。もうこれは要するにこの四社としてはこんなことあたりまえのことですよ、こんなことをやることは。それに対して、建設省のほうとしては、あくまでもこういうことを知らなかったということ、千葉県のことはいさい知りませんと局長さんおっしゃいましたが、許可は大臣がやるわけですね。ですから、認可された後、あとは千葉県のやることでおれは知らないというわけにはいかないんですよ。その点一番初め言ったことは事務上のミス。これは現実に大きな四不当業者が集まって、そうしてぐるになって遊園地をつくるなんていうことを目的にして浦安町民をだまして、しかも住宅用地をどんどんつくって地価の高騰を見通している。これから現実にその数字、値段をあげていきますけれども、こういうことがいままで終わったことなんです。要するに、この住宅申請が行なわれている最中に、もう認可も終わらない、免許が終わらないうちに埋め立てちゃっている。おわかりでしょうか、いままで。これについてひとつここで大臣のこれについての処置を一言御答弁願いたいと思います。おわかりになりませんでしょうか。
  169. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 大体の意味はわかりまするけれども、もう少し私としては詳細に事務当局から聞いてみたいと思っております。非常に、あなたのいまおっしゃることでありますれば、まだ許可もしていないのにやるなんていう、こういうようなことがみだりに行なわれるということは、行政上たいへんなことでございますので、私も事務当局から十分説明は聞いておりませんから、聞いて、今後直し得るものがあれば十分対処したいと、かように考えるのでございます。
  170. 黒柳明

    ○黒柳明君 事務当局の方も知らないのです。千葉県に行かなければわからないわけですよ。千葉県の人が出張しているからわからぬというのが現状なんです。私のほうは全部知っているわけなんです。ですから、その点要するに、大臣いらっしゃる前に、先ほどから御答弁があったんですけれども、千葉県のことは私としては関知しないところだ、これはうまくないと言ったのです、大臣が認可をしているのだから。ですから、考え方が、申しわけないことだが、課長さんあたりの考え方うまくないですよ。これが、うちの大臣が責任を持って許可認可したんだから、当然うちの責任だし、また建設省の代理として千葉県が免許を与えるわけですね、地方団体が。そういう過程というものは、何かこちらの責任というものを回避しようとするのか、あるいは千葉県がやっているのだから、認可を与えたのだから、千葉県がやるのがあたりまえなのだという、そういう態度か。その点を、大臣はそういうことないと思いますけれども、大きなここにミスがある。これは事務当局から聞くよりも私に聞いたほうがわかりいいのです。事務当局は全然知らない。千葉県に行きませんとわからない。いま申しましたように、くどいようですけれども、申請三十八年二月二十日として、このときには十六万坪の住宅用地、その他用地が七十九万坪、ところが、現在行なわれているこの工事事務所から出た、建設省から出た資料です、十六万坪の認可を与えた。ですけれでも、現在は八十五万坪にふくれ上がっている。なぜ八十五万坪にふくれ上がっているか。九月にその他用地の七十九万坪の、住宅用地じゃないですよ、その他用地七十九万坪の変更申請が出ている、当然免許も許可も得ていない。だけれども現実としてもうA地区は埋め立てが終わりました。B地区は目下進行中です。こういうことなんです。ですから、事務当局に聞くとか聞かないという問題じゃないのです。十六万坪の住宅用地が八十五万坪にふくれ上がったというその原因は何にあるか。それは建設省の怠慢もありますけれども、私の指摘したいのは、四社、オリエンタルランド、三井不動産、京成、朝日、この四社がディズニーランドをつくるといって、私に言わせれば地元をだまして、映画か何か見せて、そうしてディズニーランドどころか、どんどん工事が始まったら高い住宅用地にしちゃって、これからの高騰を見越している、こういうこと。これから契約書なんかもどんどん言っていきます。そういうことなんですね。ですから、事務当局から聞くとか聞かないとか、これが、私の言っている発言がうそかうそじゃないか、現実にこれは数字で出ているわけですよ。こういうふうに申請書認可も工事事務者としてこの数字をプラス、マイナスすればその数字が出てくる、これは現実の証拠なんです。ですから、これは認可許可もしないうちに、こういうことが行なわれるということは、これは先ほどの公共用地は事務の不行き届きということで、ミスでいいけれども、これは大きな、大臣としてどろを塗らされたことになるんですよ。おれの認可しないうちに何をやるんだ、千葉県に乗り込んで行って、その裏の裏にいる黒幕みたいの者を引っ張り出して、そんなことおまえらやっては困るじゃないかと、こういうふうに本当に言ってもらいませんと。私はこのうちにも、先ほど言った四者のほうの詳しいデータも集め終わりました。それについて個々にやっていきます。そうすると、その人たちも浮かび上がってきますけれども、時間がありませんので、総括的なものを、このあとに契約書なんか見せますけれども、そういうことをいつまでもやっている。また、いまやっている十一カ所全部そうです。千葉方式というもの、これはうまくないでしょう。この前も大臣は確かにお覚えになっていると思うのですが、いま埋め立てから譲渡まで一貫して、まだ埋め立てもきまっていない、認可もきまっていないのに、もう譲渡の契約もきめて契約書を結んでいた。それに対して大臣は遺憾だとおっしゃいますけれども、この問題は遺憾どころじゃなくて、ひとつ大臣永遠にやっていらっしゃるか、あるいはおやめになるか——在職中にぜひとも大なたをふるっていただかなければならぬ、こう思うのです。これは失礼ですけれども、事務当局に聞くよりも、私にお尋ねになったほうがわかりいいと思うのですが、どうでしょうか。もうちょっと明確な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  171. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) さいぜんも申しましたように、一応建設大臣が関与することであれば、やはり事務当局にちゃんと聞かぬといかぬのですから、これは、建設大臣だけ判を押して、事務当局は何にも知らぬということはちょっと困まります。  それともう一つ、おそらく建設大臣の権限を千葉県がやったと言うけれども、委任事項なんでございましょうから……。
  172. 黒柳明

    ○黒柳明君 変更申請が全然出ていない。何にもない。申請と認可だけしかない、書類は。
  173. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) ですから、まるっきり秩序が——手続きが欠けているものについては、これはもう遺憾だというよりしようがないんです。したがいまして、事情を知らなければなりませんが。しこうして、今後防ぎ得るものにつきましては、ひとつ私としてはできるだけのことはしたい。
  174. 黒柳明

    ○黒柳明君 この事情をもう少し調べると、認可を与えていない、免許を与えていないのにやっている。それに対してきびしく取り締まりますか、撤回するぐらいな。
  175. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 承知しました。
  176. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、これはだんだんおもしろくなるのですが、これは全部海にしろと、もう一回土を出せ、このぐらいのことをやりませんと、これはへいちゃらなんです。時の大臣、総理がだれであろうと、おれたちはおれたちで、千葉方式だと、こうやっているのです。これはほんとうにいまの大臣のおことばをぜひ在職中に実現していただいて、一回おれの認可なしに埋め立てたら、みんな土を出せ、もう一回太平洋の海に直せと、このくらい勇断があってこそ、さすがに日本の大臣として、政治家として気骨のある人がいたわいと、こうなってやはり日本の国威というものが、ぐっと外国から見直される。こういうふうに……。冗談めいて申しわけありませんけれども。時間がないので、またあと進みたいと思いますけれども、さらにそれを裏づける具体的な問題です。大臣お聞きになっていただきたいと思いますが、ここに公有水面じゃなくて、ここの申請書に出ていますように、私有地の盛り土、要するに私有地に土を盛って、そして埋めたところがあるんです。ここに浦安町の水面下の私有地があるんです。ここを県の力で埋め立ててもらって、そして浦安町として県に買ってもらう、こういう話が出てくる。この水面下の私有地、浦安町の私有地、これは建設省報告ですと、坪五千円だと言うんです。それを裏付けるものがもう一つあります。ここに千葉県と浦安町との覚え書きですけれども、千葉県は浦安に対して当該事業によって造成した土地を浦安に譲渡するというんです。それで、譲渡する部分は町有地の三分の一に相当する面積とするというのです。これは別に数字的な問題じゃございませんけれども、要するに水面下ですから、浦安町じゃ埋め立てできない、県が埋め立ててくれ、そうしたときに、埋め立てが終わったならば、いまの水面下の浦安町の面積の三分の一、造成後の面積の土地をもらう、こういう覚え書きがもうできています。それで、建設省お話によりますと、浦安町の坪単価は五千円だというわけです。ですから、五千円で三分の一の土地をもらうわけですからね。そうすると、埋め立ての造成後の坪単価は五かける三で、一万五千円になる、こういうことです。建設省のほうからお話があった点なんです。これは頭に入れておいていただきたいと思うのです。ところが、ここで、先ほどから何回も申しますように、浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定書、千葉県と——千葉県はまあ建設省の代理ですね——と、株式会社オリエンタルランド、朝日土地興業株式会社、京成電鉄株式会社及び三井不動産株式会社、要するにこの四者と千葉県とのこれは協定書です。この協定書によりますと、この四者が百十五万坪を譲渡することになっているのです。これはどこかわからない、まだ。まだ造成されていないうちにこういうことをやっているのですね。どこをあれはもらうかわからない。ところが、この価格が幾らかといいますと、ここに出ています百七十二億五千万。百七十二億五千万を百十五万坪で割ると幾らになる、一万五千円です。要するにこの覚え書きをつくったのはいつですか、四十一年一月二十五日の時点においてですよ。すでに造成後の坪単価を一万五千円であるときめちゃっている。ということは、いまの建設省お話によっても、水面下の浦安町の土地、五千円である。そして造成後の土地を三分の一だけもらう。二十二万一千坪なんです。もらうのは七万五千坪なんです。そうすると、五千円で三分の一ですから、土地価格としては五千円かける三で、一万五千円、合うわけですよ、建設省お話と。だから、造成もされていない、認可もされていない、そういう土地に対して、すでに県とこの四者と、終わった後においては、坪一万五千円でもらおう、こういう話がもう行なわれちゃっている。これもこの前とすっかり同じです。こういう不届きな、どこかで何かがどんどん行なわれている。建設省はこれを知らない。許可は大臣だ。大臣がめくら判だと言われても、これはしかたがない。それじゃ大臣の権限は千葉県に届かない、こういうことにもなって、ばかみたのは浦安の町民なんだ。遊園地どころか、おかしいじゃないか、いつまでたったって何もできないじゃないか、住宅地ができているじゃないかと、こういうようなことです。どうでしょう、まずここの……。まだもっとこれを裏書きするものはあるのですけれどもね。もうすでにできているのです、これ。
  177. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) はなはだ申しわけないのですが、実はこの浦安における埋め立ての問題がいろいろうわさされておるので、かつまた、鳥類の保護もしなければならぬというので、ある議員の方からも、あすこを埋め立てちゃ困るというようなことがあったわけであります。ところが、埋め立ては、御案内のとおり公有水面の埋め立てでございますから、ある面積は大臣にきますけれども、ある小規模の埋め立ては知事でやる場合があるのであります。しかし、それのいかんにかかわらず、もう無秩序にどんどんやられておるということで、私は、一回建設省のほうにその調査を命じたのであります。しかし、まだはっきりした調査報告を実は聞いていない。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 していない。
  179. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 調査は私はしたと思いますが……。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、してないからわからない。はっきりしてますよ、大臣。
  181. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) したかどうか知りませんが、私は調査を命じて……。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、課長さんは何も知らないのですよ。局長は来たばかりで知らないのですよ。このほかにいらっしゃる方が……。
  183. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) まあいずれにいたしましても、非常にそういうことが部分的に行なわれて、そしてまた業者とのいろいろなことをやっておる。建設省がどういうことを考えようと、事実は事実で進行しておるというから、調査を運輸省とともにするようにということを私は命じましたが、その結果をまだ私は詳細に聞いておらないのでございまして、はなはだ申しわけがないと思っております。いずれこれは進めたいと、こう思っております。
  184. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ちょっと先ほど、先生何か誤解されているかもしれませんので、訂正をしたいと思いますが、関知しないということは……。
  185. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは言い過ぎかもわかりませんけれども
  186. 坂野重信

    説明員坂野重信君) どういうふうな計画が変更になったか、その辺の詳しい内部事情がわからぬと申し上げたので、全般的にこの東京湾の開発なり埋め立てがどう進んでおるかということは、建設省でもこれは河川局だけでなく計画局もいろんな関連がございます。また建設省だけでなくて、あるいは経済企画庁の東京湾の総合開発の一環としても関連がございますので、そういう関係でいろいろ調査を進めておるわけでございます。この点につきましては、確かに事務手続がおくれたということは、これは事務当局のミスでございまして、県当局に早くそういう変更のある場合には手続を出せということをやっておったと思いますけれども、たまたまおくれたことについては確かに事務的に非常にスローであったということが言えるわけでございます。ただ内容についてどういうぐあいに進行しておるかということは全然知らないというわけではございませんので、この問題については先ほど水政課長が申し上げたとおりでございます。先ほど大臣が言われましたように、公有水面については建設大臣は権限がございますけれども、私有地並びに小規模の問題については直接的には大臣には責任がないわけでございますけれども、行政指導としてやはりこういった大きな埋め立てがある以上は全体的な観点から建設大臣として行政手続をしていくということで大臣もおっしゃったと思います。
  187. 黒柳明

    ○黒柳明君 またそういう発言しますと、理論は戻っちゃうのですけれども、ほんとうに関知していなかったというならば、大臣、いま局長おっしゃったでしょう。どんどん住宅用地として埋められてきたし、埋められつつある土地に対して、そんなことほうっておいて、申請出てないのに、その申請出る前からどんどん埋められているのです、許可は一月二十九日ですから。それをなぜ建設省は、一日や二日、一カ月ならともかく、一年でしょう。それに対して関知していないとは言えません。私はそこで一歩譲りましたけれども、普通は、とんでもないじゃないか、こう言うところです。なぜ目の前にしておいて、住宅用地としてどんどん埋め立てられておるのに、関知しておるならやらないのか、撤回しないのか、こういうわけです、免許していないのだから。くどいようですけれども、そういうような点が一点です。そしていま言った私有地に対してそりゃ大臣権限ありませんよ。しかしいまお話をお聞きになっておわかりでしょう。その浦安町の水面下の土地を千葉県で埋め立ててもらうわけです。そして埋め立ててもらうかわりに、その手数料のかわりに、造成後の三分の一、その面積の二十一万坪の三分の一をもらう、こういうことですから、この浦安町の土地については関係ないけれども、この関係は当然この造成計画の一環として関知しなければならない問題なんです。これは要するに一万五千円でこの四業者がすでに契約を結んでいるのが百十万坪、約半分ですね、半分の土地をもらうということがもうここでできちゃっている。まだどこともわからないのです。A地区、B地区、C地区。B地区は進行中、C地区は認可がとれません。ともかく認可がストップしています、というようなことを含めて、ともかくどこともわからない、まだ認可もされていない、そういうところを含んで半分の百十万坪というものをこの四業社でもらう。しかも、坪単価一万五千円である、こういうようなものなんですね。  その次なんです。ところがここにもう一つ、先ほどの四社のうちの一社である三井不動産が浦安町の土地売買に関する契約書をすでに結んでおります。これもまた不届きなんです。これはいつかというと四十一年十二月二十四日、その売買契約にはどういうことになっているかといいますと、浦安町はいまの七万五千坪もらうわけでしょう。そこのうちの三万坪を買う、三井不動産が。しかも四十一年十二月二十四日の時点において一万八千円で買うというのです。先ほどの四十一年一月二十五日は一万五千円ですよ、一年後には一万八千円、これと同じように各社ともこの四社が。漁民は補償金として土地をもらっているのです、その土地をいまどんどん買っています。あるいは二万で、二万五千円で買っているのです。三井不動産は浦安町の三万坪を買う約束ですよ、造成後一万八千円で。ところが各社とも、三井不動産だけじゃなくて、三井不動産は浦安の三万坪を一万八千円、オリエンタルも京成も朝日土地も、漁民に、土地が造成されたならば、お金のかわりに造成後の土地をやるとなっている、その造成もされていないのに、認可もまだC地区はされていないのに、それに対してどんどんいま買いを始めている。しかもそれが十二月二十四日一万八千円——それが二万円である、二万五千円であるということはどういうことを意味するかというと、四十一年一月二十五日のこの四社の一万五千円はべらぼうに安いということじゃないですか。これからどんどん土地も上がっていくわけです。そういうことにこれはなるわけです。四社で、千葉県で坪単価一万五千円で、認可も与えられていない、造成のされていないそういうところを一万五千円で二年前契約を結んだということは、この一年後の三井不動産——土地によっていろいろなところがある。ここはそんなところじゃないのです、御承知のように浦安ですから全然変わりありません。まして変わりないどころか、どこをもらうとは書いてないわけですよ。これもこれもただ坪数だけきまっている、値段だけきまっている、そういうばかなことをやって、そしてこの一万五千円の額はべらぼうに安い、一年後一万八千円、いまになると各個の漁民に対して造成後には漁業補償金のかわりにもらう土地を二万、二万五千円で売れということは、この一万八千円の契約が安過ぎる、なぜこんなばかなことをやったか、これは業者にだまされているんじゃないか、ぐるになって千葉県がこの土地造成をやるということは、建設大臣、まだそれに関しては関知するとかしないとか、事務上の手続とか、申請いまきていますということでは済まされないのですね、どうでしょうか。
  188. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 単価の問題が議論になっているわけでございますが、まあ公有水面埋立法に関する建設省の立場としては、その単価の問題がどうだこうだというのは、直接的には関連がないと私は思うわけでございます。確かに一万五千円といいますと、周辺の土地に比べますと、おそらく安いのではないかと思うわけでございます。しかし、公有水面の目的がいろいろあるわけでございます。公共用地、住宅用地その他あるわけでございまして、もともと海面であって、全然使えなかったところは確かに単価はゼロだと私は思うわけでございます。それが安い単価で県がいろいろその間に努力して、県のいわば営業努力といいますか、そういうことで、周辺の既成の土地に比較して一万五千円と安い単価で造成ができたと思うわけでございまして、これは全国的にどこの公有水面の埋め立て、あるいは土地造成、そういった面につきましても確かに既成の土地よりも安いというのはこれは常識じゃないかと思うわけでございます。
  189. 黒柳明

    ○黒柳明君 既成の土地よりも安いとか高いとか言っているんじゃなくて、私のいま大臣に対してどうでしょうと聞いたところは、一万五千円のものを一万八千円で、すでに三井不動産は、一年位では、あとになって高く買う約束をしているわけです。さらに今日になってみると、漁民個々に対してさらにもっと高い値段で買おう、だから単価については大臣は知りませんと言っても、国の土地じゃないですか、私有地のことそれはさておいて、公有水面の埋め立て地が百何十万坪あるのですよ、全部じゃないが。それに対しては国の土地じゃないですか、普通ならば造成して、そして競売して、そして落とす、こうなるわけでしょう。単価のことまで知りません、単価のことまで知らないといって済まされる問題じゃないのですね。そういうふうな安く売られようとしているわけですよ。これに対しては当然責任を持たなければならないのじゃないですか、造成後に入札させるのじゃないですか、本来の行き方ならば。だからいまの局長の答弁はちょっと的はずれである、大臣、そうお考えになりませんか、私の言ったのは、くどいようですが、一万五千円から一万八千円、だからこの協約を結んだ。この四社にだまされているんですよ、いかがでしょうか。もうあまりくどく言っても……。
  190. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 建設大臣がとがめられるべきことは、その手続もやらんで云々ということ。それから手続を踏んで、結局法規に基づいて知事がやった、そのあとの処理をどうするかということまでは、それは全体を見て善悪の判断はできますが、それまではということなんであろうと思いますので、またそれがとがめられることだったらほかの面からとがめられるということはありますけれども、私も事情をよくいまのあれでもわかりませんけれども、直接値段のことについての云々の善悪がよく私にはわからぬわけで、さいぜんあなたがおっしゃいましたように、手続をすべきものをせぬ、できるものができていないのに云々というようなことでございますから、あまり答弁がはっきりできるかどうかと、こう思ってちゅうちょしているわけでありますが、あくまでも正規の方法によってやらないものは十分とがめなきゃならない、それ以上、その土地が幾らで売れたとか売れないとか、どういうようなことであったかということについては、もう少し事情をよく知らないと、私はちょっと判断ができないのでございます。
  191. 黒柳明

    ○黒柳明君 これしかないんですよ、みんなこれで私もやっているんですから。いま言った三井不動産と浦安町との契約、これに書いてあるんです。これみんな正規のものですよ。ちゃんと出ていますから、みんな正規のものですから。それからこちらは先ほど言った四社のあれで千葉県の知事ですね、全部正規のもの。これは何も私がでっち上げたものでも何でもない。そういう関係で、何か大臣がおっしゃっていることは、自分がそれじゃこれに対して深く研究しなきゃわかんない、わかんないというようなこと、そのためにこうやって質疑応答をしているんですから、私は何も自分ででっち上げたものでも何でもない、ちゃんとそのためにこういうものを持ってきています。みんなこれは正規のものですよ。うそでも何でもない、みんな課長さんなんかよく知っていますから、ですから、こういうものを持って、あと値段の点については私と言われても、結局私の言いたいことは、先ほどから何回も言っているように、値段は知らない、高く売ったって、低く売ったってと言っても、こういうことをして、公有水面の埋め立てがなされているわけじゃないですか。それは大臣が認可したんじゃないですか。認可したから、こういう事態が発生しているわけですよ。ですから、こういう事態にまでもよくやはり指導監督というものをしなきゃなんないんです、国の財産じゃないですか。高い埋め立て料を払うんですよ、この四社に対して、埋め立て業者に対して。それを埋め立て料と、——これはこの前の若松団地と同じですよ、埋め立て料は百七十億、それで百七十億で今度国から買う。これは先ほどから言うように、一貫したシステムなんですね。ですから、これ以上、大臣、もしお調べになるとか、何とか言う問題はないわけなんですけれどもね。ここで私もここに出ている数字だけをあげて、大臣に、こういう事情になっていると、これはとてもじゃない、大損だ。それをまた各社、個人個人になりますと、またさらに問題が発展をしていく。いろんな人物がそこに出てくるわけですが、もう時間がありません。きょうはもう一時間でこうなりますけれどもね。大臣、いかがでしょう。いま言った、私は個々にということ、どうなろうということ、事務上の手続云々、認可したからこういう問題が発生をして、公有水面というものは安く売られようとしている、高い造成金を払って。こういうことですが、いかがでしょう。大臣、ちょっとこれ以上……。そうすると、もっと説明すると言ってもしょうがないのですけれどもね、おわかりにならないでしょうか、私のいままで言ったこと。
  192. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) どうもわかりにくいのですがね。公有水面を目的どおりに使われておると……。
  193. 黒柳明

    ○黒柳明君 おらぬのだ。
  194. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) おらないのは困るわけですよ。
  195. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、それは一番初めに言ったじゃないですか。まだまだもうろくする年じゃないですよ。困っちゃうな。
  196. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) したがいまして、それが公有水面が埋め立てとしての目的を……。
  197. 黒柳明

    ○黒柳明君 目的外に使われているんじゃないですか。
  198. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) それですから、私は正規のことが行なわれていなければ……。
  199. 黒柳明

    ○黒柳明君 それが高い埋め立て料を払って、そして安く業者に売られようとしているんじゃないですか。国の国損じゃないですか、そうなったら。
  200. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 目的どおりに、公有水面の認可の目的にかなっていないのだ、そういうことにつきましては建設大臣としては十分に行政上の監督をしなければならないのは当然でございます。ただ私、値段のことがきたものだから、値段の判断ということになったものだから、ちょっと答弁ができなかった、そういうことです。あくまでも正規の手続によって公有水面は公有水面として認可する目的があるわけですから、それに沿わないというようなことになれば、建設大臣としては十分これは……。
  201. 黒柳明

    ○黒柳明君 この問題は、大臣も関係当局も建設省の方もあまりお知りにならないらしいですけれども、よく調べてください。それで先ほど大臣おっしゃったように、しかるべき手を打つ、きびしい態度で臨む、こういうふうに私判断しましたけれども、やっていただきたい。私はさらに今後また個々の会社に対していろんな資料を集めてみます。その時点になると、相当の変なくさいものが出てきますから、ひとつ大臣の在職中にぜひともそれをやっていきたいと思いますので、この問題、大臣も徹底的に調べまして、すぐ埋め立て認可を得てないところなんか埋め立てをやめさせて、そうして、いままで言った土地が安い金で売られようとしている、国損です。契約を結んじゃったその契約を撤回するような、断固たる措置をとっていただきたい。最後に、こう希望して私、終わります。
  202. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと大臣に、これは質疑の経過からお伺いしますけれども認可も受げないで広大な面積についての仕事をやっていることは明確なようです。これはもう事務当局もそう答えているのですから、それであれば、とりあえず直ちに現在やっている仕事をストップさせる、ストップさせておいてひとつ検討してもらうということが、これは当然な処置じゃないかと思うのですがね。明らかに大臣の認可の趣旨からはずれているということは明確になっているのに、研究じゃ何じゃというのはおかしい。研究は若干慎重にやってもらわなければならぬが、現在進行していることをストップする、これは当然なことですね。普通個人間のきわめて不当なることが争いになる場合、これは裁判所でもちゃんとかりにそれをストップする、仮処分の制度というものがあるわけですね。それはあたりまえのことなんです。だから、そのことを大臣のほうで、私は関係法規がどうなっているか、そこまではわかりませんが、そういう権限は大臣にはあると思うのですが、そういうことはできないのですか。できたらそれをして、それからよく研究してほしい、その点どうなんでしょう。
  203. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 認可を受けるべきところを認可を受けずにやっている。また認可の目的が、認可目的外にやっているということになれば、当然建設大臣としては適当な処置をとらなければならないと思うのであります。しかし、私は研究するというのは、調査をするように、いろいろ浦安で行なわれていることを調査をするようにということを事務当局にもずいぶん前に私は実は言ったのですが、それがまだ私は聞いてないのですから……。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなにかかりませんよ、調査をするのに。
  205. 亀田得治

    委員長亀田得治君) きょうの質疑応答で、その認可以上のことをやっているということは事務当局も認めているのです。これははっきりしているでしょう。
  206. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ちょっと……。
  207. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっとじゃない。はっきりしているでしょう、質疑応答の経過から。時間があまりないから簡単に、くちばしを出さぬでもいいのですけれども、あまりにも不当なことがこのままやられているということはちょっとおかしいのですよ。
  208. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 全然認可がないという——先ほどの議論に出ております認可がないというわけじゃございませんので、全体の面積は合っているわけでございまして、その中で公共用地、住宅用地という中身の手続がおくれておったというわけでございますので、その他の用地というのが住宅用地に回ってないという、だから、全然……。
  209. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 河川局長、よろしい。その説明はわかっているんだよ。内訳が違ってくれば当然これはきちんと認可を得なきゃいかぬわけでしょう。そのことを言うておるのです。こちらは、そんなことはわかっていますよ。全体の認可を受けておれば、内訳が違ってくるとか多少目的が違ってきてもいいと。そうしたら、もう事業は実際やらして、もうやってしまったら、あとからしかたがないと、私生児を認知するような形で役所がやっていると、そういう姿勢にしか響きませんよ。こんなことはよくないですよ、それは。だから直ちに大臣としてきちっとやっぱり処置してもらわなければね。一日たてば一日進んでいくんでしょう、そういう不正な状態が。ちょっと答えてください。
  210. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 最初に申しましたように、その手続上の欠点があるとかという、その定められたことをちゃんとしていないというようなもの、たとえば認可するところに認可をとらずに着手した、目的外にまたやっているというところでありますれば、建設大臣としては適当な処置をとろうと思います。
  211. 春日正一

    ○春日正一君 午前中同僚委員のほうから、浜原ダム浮戸流失問題について具体的にいろいろ事実関係について質問があって、非常にこれは大きな問題を含んでいるということで、建設省としても、それから会計検査院としても、あるいはこの委員会としても実地調査して見る必要があるし、そうしてほしいというような意見が出されましたけれども、私もその点では、やはり調査をしてほしいということを委員長、理事のほうにもお願いしておきます。  それで、重複するところは避けますけれども、第一番に大臣にお聞きしたいんですけれどもダムをめぐっていろいろ被害が起こって問題になっておりますけれども、特にいま問題になっている浜原ダム浮戸流失事件という問題では、現実に大きな被害が起きている。公共建造物も相当やられておりますし、同時に住民の被害というものが非常に大きいんですね。こういう場合、当然政府として、その原因、責任の所在を明らかにして、きちんと補償すべきものは補償し、住民の生業が成り立っていくというような措置はとらなければならぬ、そういう道理だと思うのですけれども、その点、政府の考え方はどうですか。
  212. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 河川局長説明させます。
  213. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 浜原ダム浮戸流失による災害につきましては、浮戸設置管理に不備があったとは認めておりませんし、また梅雨前線による異常な天然現象によって生じました不測の事故である。したがって、これは天災であると私どもは考えております。したがいまして、国としては被災した下流橋梁について公共土木施設災害として採択いたしまして、その復旧費を出したわけでございます。
  214. 春日正一

    ○春日正一君 自然災害で、会社のほうに手落ちはなかったとあなたのほうは言っているんですけれども、どういう調査に基づいてそういう断定をくだされたのか、その点説明してほしい。
  215. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 災害が発生いたしましてから、一応現地査定に行ったわけでございます。査定のために現地に参りました結果、あるいは若干人災的な原因があるのではないかということをよく調査するために若干の期間を置いたわけでございます。その後建設省当局といたしましても、県あるいは中国電力等にいろいろな事情を聴取いたしまして、あるいは中国電力の記録を見たり、それから現地について調査をしたり、それから特に京都大学防災研究所報告が出てまいりましたので、それを十分尊重し、また浮戸係留につきましては、土木研究所に依頼いたしまして、その強度等について検証いたした結果、総合的な観点から、今回の事故は天災であるというぐあいに判断いたしたわけでございます。
  216. 春日正一

    ○春日正一君 それでいまあなたは中国電力県当局、それから防災研究所ですか、こういうようなものの資料、それを材料にして判断したと言われているのですけれども現地の被害者、目撃者でもあるし現実の被害者であるこの人たちの意見というものをお聞きになったのですか、調査において。その点どうですか。
  217. 坂野重信

    説明員坂野重信君) その点は、ちょっと私この席ではっきりお答えできません。
  218. 春日正一

    ○春日正一君 そこが問題ですよ。県当局中国電力といえば、まあ裁判になれば加害者の立場でしょう。そういう加害者の意見だけ聞いて、被害者の意見を聞かない調査というようなものは初めから片手落ちで、これは信用できるものではない。だから、あなた方が調査して、自然災害と認定しましたというけれども、午前中の質疑でも明らかなように、あの浮戸が十二番のゲートから流れたのか、十一番から流れたのかということについて、あの防災研究所資料を私ここに持っているけれども、はっきりしたことは書いてない。むしろ質疑での起こってくる疑問は、その日本一の権威のある博士が研究しても、どうして十一番から流れたかわからぬ、何か異常があったのだろうというような妙なことを言わなければならぬ。ということは、十二番から流れたというのは、学問的にずっと通るのだけれども、それを中国電力側が十一番から流れたということを主張しているから、それを前提にして合理づけようとすれば、日本一の博士でも理屈が立たなくなる。むしろそこのところをあの論議の中では非常に私は感ずる。そういうものを、しかもあの人だってそれが必ず十一番から落ちたとかどうとかという断定は下していない、わからぬと言っている。何かあったに違いないという、非常になぞみたいなことを言っている。そういうものを材料にして、非常にたくさんな流域の住民の利害関係に関する問題を、国の政府ともあろうものが一方的に自然災害だというふうにきめるということは、これは不当じゃないですか。
  219. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げたような方法でやったわけでございまして、あれ以上の技術的な判断をする資料はこれ以外にはないと確信いたして、そういった資料に基づきまして総合的に判断いたしまして、その結果災害の採択をいたしたわけでございます。
  220. 春日正一

    ○春日正一君 大臣お聞きになって、まあ河川局長はいま言ったような資料判断しました。流域の被害者の住民、これは目撃者もおるという、現実に被害を受けてもおるという、そういう場合の調査というものは、単に県庁からの報告を聞いた、あるいは中国電力——加害者と言われている人たちですね。この人の意見を聞いた。そういうことだけで、自然災害だと断定してしまって、しかも、それは確信しているのだというようなことになれば、道理も何も通らぬじゃないですか。大臣としてどう考えますか。
  221. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私はこの場合はよく知りませんけれども、おそらくやはり公正な人も入れてやったのじゃないかと思うのです。加害者から一々聞いてみても、こういうわけにはまいらないと思います。しかし、あくまでもその原因調べる以上は、ただ役所だけではない、公平な第三者の意見を聞いてやって、そういう判断が出たのだろうと、この場合考えているわけです。
  222. 春日正一

    ○春日正一君 だから私、どうやって調べましたかと言ったら、それ以上言えないでしょう、局長は。だから結局非常に片手落ちな材料調べによって自然災害だという断定を早急に下しておる。この点では私、参考までに言っておきますけれども、こうなっているのですね、国鉄のほうはもっと慎重ですよ。私はさっき休憩時間に国鉄の総裁室に、総務課に電話をかけてこの問題の扱いを聞いてみました。こういう返答ですよ。ことしの九月八日に中電に米子管理局ですか、あそこから千六百万円の損害補償の要求を出した。もしこれが整わないならば、国鉄としては、外部の学者の意見を聞いて、中国電力の過失であるとする判断がつけば、訴訟を起こすだろう。目下訴訟の準備中だと言っている。同じ役所、政府の役所でも、国鉄では被害を受けた当事者です。だから住民と同じ立場にある。その同じ立場にある役所では、明らかに中電に過失がある。だから損害賠償してくれと言って、いま折衝を始めている。もし聞かなければ、裁判を起こしてもやるというように言っているのですね。こういう問題を、ただ、県庁から聞きました、中電から聞きましたというようなことだけで、建設省として、これは自然災害だと、そうして査定に行った人の行動の中では、地元の人たちは、むしろ建設省のほうから県庁に対して、これは自然災害にしたほうがいい、しておけというような助言といいますか、そういう指導をしておるというふうに言われているのですけれども、初めからそういう一つの、そこに持っていこうとする意図があってやったのではないですか。
  223. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そういうことはないと思います。
  224. 春日正一

    ○春日正一君 ないと思いますと言っても、現実を見れば、明らかに片手落ちな調べをやって、早急な結論を出しているということだけは争えないでしょう。先ほど大森委員がいろいろ質問した。具体的な問題については何ら解明されていないわけでしょう。納得すべきものがない。だからあなた方、もしほんとうにこの委員会を納得させようとするならば、こういう調査をやって、こういう資料に基づいて、こういう調査をやったと、そうしてこういう結論を出したのだと、かなりみなにわかるようなはっきりした報告書といいますか、そういうあなた方の結論を出した経過の説明書を出してもらう必要があると思う。どうですか、出していただけますか。
  225. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 私どもは、午前中からいろいろ御答弁いたしましたように、まあでき得る限りの範囲内で信用性があると思われるデータ、それからいろいろな資料、それに基づきまして、なお土木研究所におけるそういった強度試験、そういうものを経て、かなりの期間を置きました。災害発生いたしましたのが七月二十三日でございます。それが年明けて翌年に至りまして、ようやく十分検討いたしました結果、災害に採択ということに踏み切ったわけでございまして、そういった点につきましては、間違いのない天災であると私どもは考えておるわけでございます。
  226. 春日正一

    ○春日正一君 だから、資料を出してくれるのかくれないのか、それを聞いているのです。そこをはっきり言ってください。それだけ確信がおありなら委員会にはっきり資料を出して、国鉄がどう言おうと、建設省としてはこういう見解だ、どこへ出ても恥ずかしくない、あなた証明する責任があると思うのですよ、役所の責任として。それを出すのか出さないのかということを聞いているのです。
  227. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 出すか出さないか、はっきりしてください。
  228. 坂野重信

    説明員坂野重信君) まあ、私の申し上げた程度で、それ以上のあれは出ないかもしれませんが、資料は整えて提出しても差しつかえありません。
  229. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 春日君、いいですか、大臣に対しては。河川局長あとからまた引き継いでやってもらうから……。それじゃ一問だけ、大森君。
  230. 大森創造

    大森創造君 聞き捨てになりませんから一分間だけ。河川局長並びに建設大臣、あなた方の言っておることは間違いです。私は、これは記録に残りますから……。春日委員の質問に対して、いまお答えになっておる京大の防災研究所報告、それから中国電力のいわゆる現場管理所の報告、そういうものは一切私は間違いだと思っております。だから、そういう資料を幾ら出したって、こちらへ出したって、私は信用いたしません。そこで、現場へ行って見ればわかるということは、私は午前中に、委員長はじめ皆さん会計検査院に言ったことは、ここに殺人犯がいて死体がある。私は現場に行って手に取って見た。殺人犯がいて、死体があって、ここに凶器がある。これを見ないで、あなたは、中国電力調査と県の調査とそれから京大の防災研究所調査というものをつじつま合わしたってとてもだめですよ。現場を見たら赤子でもわかる。だから、いま春日さんの言うように、同じ役所である国鉄のほうが、中国電力の人災であるということで正規の訴訟を起こそうとしている。これはこういうことになりますよ。これは皆さん方は、河川局長中国電力もそれから建設省も——大臣は、ダムの名前もよくわからないからしかたがないけれども関係者は全部わかっておるのですよ、人災ということを。引っ込みがつかない。いま二年前のことだから、地元のほうは一日も早く河川も改修してほしい、それから橋ができればいいのだという安易な気持ちに便乗してやっておる。しかし、筋道はどこまでもこれこそ決算委員会の問題である。これは決算委員会の問題であるから、四十年度の。現場に行って見たら一目瞭然だ、これは春日委員のおっしゃるように。これは私の発言は大きな声を出しましてまず記録にとどめておきます。それから河川局長の答弁も記録にありますから、どっちが正しいか、私は確信を持っておる。やがて法廷闘争も始まるでしょう。そうなった場合にたいへんだから、前もって書類を集めて天災だということにしておる、みんなで。その壁をぶち破るのが、参議院の決算委員会だと私は思っております。これは、大臣よく聞いておいてください。いかに書類を集めてもだめだ、真実が勝つから。そういう無責任なことを言ってもだめですよ。わかるのだから、だれが見ても。
  231. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大臣、答弁ありますか。
  232. 大森創造

    大森創造君 大臣はわからないですよ。
  233. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 答弁要らないようでございまするけれども、私はもう事実をあまりよく知りませんけれども、私のほうで、役所といたしまして、そう故意に何も当然被害者に対してやるべきものを故意にこじつけているというような気持ちは、私はないのでありまして、いまいろいろ裁判にもなっておるそうでございますけれども建設省は故意にということはない、それだけは御了承願いたいと思います。
  234. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは大橋君、大臣に対する質問だけまとめてお願いいたします。
  235. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大臣、忙しいそうでありますから、じゃ大臣に一つ二つお尋ねしたいことだけ伺って、またあと建設省のほうには、いろいろ詳しい話を聞こうと思っております。  大臣にお伺いしたいのは、午前中も問題になっておりましたが、土地なんかを取得する住宅公団あたりでも非常に苦労しておるようであります。こういうことに対して、私は建設省に対してほんとうに土地の価格を、価格政策と申しますか、あるいはまた土地の価格の評価委員会というものもあるわけでありますので、そういうものをもう少し何か考え直して、土地の売買をするのに、もっと非常ないろいろな黒い霧があるとかあるいはまたそれをするために相当いろいろな何と申しますか、住宅公団のほうでも、いろいろな調整金とか何とかというものを出さなければ手に入らないというような状態でなくて、これを改良する策をもっと建設省のほうではしっかりと指導してもらうということができないのかどうか。この問題について、一体建設大臣としては、土地取得の問題に対してあるいはまた価格鑑定をする場合の委員会の、あの問題についても、どういうふうにしてそれを指導していかれようとするのか、御所信を聞かしていただきたい。もっと土地を取得するのにスムーズにする方法をやはり建設大臣としては示すべきではないかという、その点をひとつ。
  236. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) まるきり逆でございまして、いままでは公団でもわりあい比較的土地もいろいろな問題がありまして、御批判を願っておりまするけれども、まあどうやらこうやら取得できたんでございまするが、最近は公団自身が非常に悲鳴をあげていまして、それは土地の値段、あるいは土地が非常に少なくなったというようなことで非常に困っておるのが現在の実情でございます。したがいまして、これに対する取得の方法等につきましても、これは何とか新しい手を用いなければ、今後はその用地の取得は予定どおりには絶対にできないということを公団からたびたび訴えられておるのでございます。値段のことも、いま御指摘のように、これはわれわれとしては幾らでも高い値段で買うということはできませんから、やはり土地の標準価格を公示をするというようないろいろな方法をただいま検討しておる最中でございますが、いまこういう方法をやるんだと言って、ここに明示する案は持っておりませんけれども、いろいろいま苦心をしておる最中でございます。
  237. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それから、それと引き続いてでありますけれども、この住宅の政策を見てみますと、四十年度には三百七十七億円ほどで、これは三十五年度に比べて三・二倍になっております。同時にまた、建っている戸数を見ますと、七万戸くらい建っているが、これは一・二倍ぐらいにしか戸数は建っていない。一戸の建物を建てるのが非常に高くついておるのは、当然用地も高くなっておるでありましょうし、あるいは労務の費用も高くなっておるから当然なようでございますが、また、最近万博が行なわれることになって、関西方面ではまたすごくこういうふうなものは高くなっている。これは物価にもはね上がってくるでありましょうし、また、民間の住宅建設にも非常に大きく響いているわけであります。また、土地の取得に対しても響いているわけでありますが、こういうことに対して、やはり建設省としては何かある政策を考えて何かのことをしないと、まあ行き当たりばったり、上がりっぱなしでおっては、これは非常に住宅政策としては大きな問題が残るのではないか、将来にも大きな禍根を残すのではないかと思うのですが、こういう点についてさしあたりこの万博対策としても、あるいはまた、このような一連の問題についても先ほどの問題と同じように、私は中央のほうで何とか政策的にこれを打ち出さなければいかぬと思うのですが、この点についてはどうでしょう。
  238. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 大阪で行なわれまする万博につきましては、もうずいぶん前からその労務者確保の点につきましていろいろな手を打っておるのでございます。現に、労働省におきましても、臨時的にあそこにやはり労働基準局の詰め所みたいなものもやっておりまするし、大阪府のほうでもやっております。私のほうといたしましても、結局いろいろな手を打ちまして、労務確保をいたそうとしておるのでございまするが、やはり何と申しましても、工事が集中すればそういう傾向になります。したがいまして、建設省としては一番先に考えておることは、工事が平均に出ることが第一番でございます。したがいまして、ことしも早目に全部の工事を出す。おそらく四十四年に全部工事が押しかけてくることが一番労賃をあげることであるから、平均的に早目に工事を出すということを考えておるのでございます。その他特殊の労務者につきましては、建設省といたしましては労働省——労働大臣にお願いしまして、その要請もやらなければならぬということ、それからまた、建設業者に対しましてもやはり、いままでやっておりませんでしたのですが、工事の全貌を明らかにするなど、あらかじめ全部に知ってもらい、どの業者ということじゃなく、こういう工事はこういう時期にこう出るから、それに対してどの業者が取るかわからぬけれども、あらかじめプリパレーションをしてもらいたいという手を打っているのでございます。しかし、何と申しましても、非常に工事が立て込むのでございますので、はなはだ心配はいたしておりまするが、できるだけ対策はしたいと、かように考えておる次第でございます。
  239. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 時間も迫ってお帰りになる時間になるわけですが、私はこの万博の問題について特にそうした非常に工賃が高くなり、あるいはまた、そうしたことで、建設の問題に対して大きなマイナスになると同時に、このオリンピックのあとで東京周辺には高速道路が建設されて、後には非常にまあ交通の問題に対しては寄与をしたわけだろうと思うのでございますが、私は、この万博に対しましても、関西方面でそうした非常にいろんな方面での受ける打撃はあるわけでありますが、あとに残るものがやはり将来その周辺で大いに、万博が済んでも平和産業に対して非常に利便になるような配慮が行なわれなきゃならないと、こういうふに考えるわけでありますが、そういう観点からも、私は建設の方面に特に配慮をしてもらうのが建設省ではなかろうかと考えます。もう一点、ここで一番大きく建設大臣に考えておいてもらいたいことは、この万博のために砂とか石がたくさん要る。したがいまして、その近くである京都府下におきましては、山砂利の採取で非常に公害をこうむっておるということがこの間出て、いろいろ調査団が派遣されておることはご存じのとおりだと思うのでありますが、これはなかなかそうした大きな特別の事業が時間を区切って行なわれている場合には、やはりそれが看過されていくということが往々にして荷なわれているということで、地元の心配は大きいものがあると思うのであります。こういうもののチェックは十分しておいてもらわなければ、周囲のものが非常に犠牲になってその事業が行なわれるということではいけない。どうしても山砂利に対する採取というものはやはりよくこれは考えてもらわなければならない。話を聞けば、まあこれは輸入もするとか、あるいはまた遠方からの山砂利を取り入れるのだという話は聞いておりますけれども、特にあの周辺がそういう状態で、もう丹波の方面の山砂利の採取もいま始めているということを聞いております。至るところ万博のために大阪周辺はこの山砂利採取あるいはそういうような砂利採取ということによる公害というものが非常に大きく起こりつつある現状で、どうかひとつこの点は配慮していただきたい、これが万博に対する私の考えであります。同時にこれについての大臣の所信を承っておきたい。  もう一点ついでに私が聞いておきたいのは、最近の住宅政策で政府で考えられるところの単価ですね、一戸建ての単価の問題が非常に実際のいま家を建てる坪単価とは大きな隔たりがあるということは、私は今後いろいろな事業を行なう上において大きな悪い点が起こってくる原因をなしておると思うのでありますが、こういうものに対してももう少し正確な単価でもって計算をするように立て直しをひとつしてもらう必要があるんではないかと思うのでございますが、その点と二点をひとつお伺いをしておきたい。
  240. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 砂利問題でございまするが、私建設大臣になりましてから、砂利問題は一番全国的な問題でございますので——例の交通事故の問題から発生しまして。しかし、正直なところなかなかきめ手がないんでございます。東京近郊でございますると砂利センターをつくってそこに一定の期間持っていき、これはトラックのみならず鉄道輸送もいいし、重量もので相当これがトラックをたくさん使っております。いまあなたが御指摘になりましたのはさしあたり大阪の問題でございまして、先般京都の問題でいろいろ住民から非常な激しい不満を受けました。しかし、あそこでどうしても取らなければならぬ、取るなら取ってもらいたくないというんじゃないんです。取るならば道を広くするとか、あるいはあとを十分片づけてくれと、十分な施策をやって後にやってくれということでございますから、私はさっそく調査団を派遣いたしたのでございます。あるいは今後も各地で起こるかと思われまするが、取らしていただかなければならぬところもありますから、そういうところにつきましては、相当なこちらが施策をして住民が困らないようにしていきたいということを申し上げておきたいと思います。  住宅の問題については御指摘のとおり、年々歳歳やはり実際の問題と合いませんので、大蔵省と折衝をいたしております。来年の予算の折衝になりましてからも、これはできるだけ実際に近づけたいというのがまあいま私の言える精一ぱいのことでございます。以上でございます。
  241. 春日正一

    ○春日正一君 それで、自然災害であったかなかったかという問題について、午前中も大森委員のほうから出水量が計画高水量九千七百七十に対して五千七百ぐらいというようなところでこの事故が起こっている問題とか、あるいは浮戸のワイヤーロープをつなぐ根つけ金具が非常に脆弱な、しろうとが考えたってこわれるようなものですね、五ミリというと、これだけの太さないでしょう。厚さないでしょう、五ミリというと。そんなもので、大きな浮戸をつないで置いて、それで激流ががあっと来たら折れるぐらいのこと、私も機械屋を幾らかやったから見当つきますけれども、あたりまえなことです。そういうような欠陥があったという問題、その他についていろいろ出されて、あんたそれに対して、私ども聞いておったんでは、満足すべき回答されなかったんですけれども、私どもは時間の都合があるんで、どうしてもはっきりさしておきたいという問題二つ、三つだけ聞きたいと思います。  それで、ダムの操作規程というようなものがあるんですけれどもね。あれは記録なしの操作というものをこの規程の中で認めておるんですか。
  242. 坂野重信

    説明員坂野重信君) ちょっと内容はつまびらかでございませんが、午前中に申し上げたように、この操作規程なり、あるいはいろんな保守の問題こういう問題につきましては、これは重要河川の区域でございましたので、旧法ではその河川管理者許可を必要としないという段階でございましたので、そういうものがあるべきであったか、なかったかというような問題については、一応あらかじめ了知するということはできなかったわけでございます。
  243. 春日正一

    ○春日正一君 そこが一番問題ですね。とにかく十二番から出たというのを見た人もあるというのです。しかし、記録には二メーターしかあけてないんだから、三メーターの箱が出るはずがないということで強弁しているんですけれども、そこで記録にない操作をやったという証言が出てきておるんですね。その記録をもとにしてですよ、それだけで判断すれば十二番ゲートから出たはずがないという結論になるわけだけれども、しかも記録にない操作が認められてやられておるということになれば十二番から出ないんだと、絶対出てないんだという証明はつかぬわけです。そうしてあなた方がその記録に基づいて、これは自然災害だとかなんだとかということを判断されたら、それはその判断の基礎自体が間違っている。現に公判の記録の中には、当時の堰堤主任が記録されないものであけているということを言ってるんですね。そういうものを記録なしであけたり締めたりしておいて、まあ一定の時間に記録し、それがたまさか二メーターだったということだけを根拠にして、これほどの大災害を与えた問題を自然災害だと片づけるということはあまり無責任だし、役所がほんとうに責任を持つ立場なら、そこまで追及して、実際に記録にないものの中でどれだけあけたのかということを明らかにしなければいけない。そこで、あなたが言った、いろいろ調べて確信を持って自然災害だと言った根拠がくずれるじゃないですか。その点、記録にない点も十分調べた上でそれをやられたんですか。
  244. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 十二ゲートが二メートル、それからその他のゲートが五・五メートルというのは、現存する記録によって私どもは見ておるものでございますが、そういう観点から言うと、午前中から問題になっております十二ゲートは二メートルしかないので、十二ゲートから浮戸が流れたということは想像できない。これは石原報告書にもそういうことがうたっておるわけでございます。
  245. 春日正一

    ○春日正一君 だから問題はですね、記録のない操作ということを認めてないという立場ですね、それは。記録のない操作はあり得ないという立場ですね、あなたの立場は。そこをはっきりさしたいんですよ。記録のない操作があり得ないということになれば、裁判所の法廷で記録のない操作をやりましたということで、中電の間違い、これははっきりしてくる、立証される。記録のない操作があり得るということになれば、あなた方の結論が間違っているということになる。どっちにしてもそういうことになる。そこをはっきりしてもらいたい。
  246. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 操作したものはすべて記録に残しておるはずでございます。
  247. 春日正一

    ○春日正一君 念を押しておきますけれども、大事な問題だから。そうすると、操作したものは必ず記録に残さなければならぬ。記録のない操作をやったということは、これは違法なことをやったんだということになりますね。これははっきり私はだめを押しておきますけれども
  248. 坂野重信

    説明員坂野重信君) それは、浜原堰堤操作規程というものがございまして、その中にすべて記録するようにうたっております。
  249. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つの点は、浮戸、ああいうあぶないものを設置した責任がどこにあるかという問題です。先ほどの午前中の質疑では、認許可の必要がないというようなことを言われたんですけれども、あれもう一度はっきりさしてほしいのですが。
  250. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 午前中に申し上げましたように、旧法では、十七条に工作物設置の規定がございます。その中には、いろんな条件が入っておりまして、読み上げるのは省略いたします。どの各号を見てみましても、それが、工作物の新設等の条件に該当しない工作物を含んでおりますので、そういう観点から、工作物の新築の許可は要しないものであったというぐあいに判断いたしております。
  251. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると結局あれですね。そこらへごみをかき寄せるための舟を置いとくということと違って、鉄の相当大きなああいう箱、ダムの鉄門にでもぶつかればこわすような、そういうものをあそこに係留しておく、しかも、それがダムに直接結びつけられているのですね、あそこのところは。そういうようなものでも、とにかくダム本体以外のものは何をつくってもまかわぬ、会社側の責任でどういうことをしようと、建設省としてはちっとも知らぬということなんですか。
  252. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 規定上、先ほど申し上げたように規定に該当いたしませんので、許可は必要なかったというぐあいに申し上げる以外はございません。
  253. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、結局この問題では、会社に全責任があったということですね。その点どうですか。
  254. 坂野重信

    説明員坂野重信君) そういう意味におきましてはおっしゃるとおりでございます。
  255. 春日正一

    ○春日正一君 会社に責任があるということでいいけれども、これから先の問題として、とにかく普通の個人の私有地でも、近所隣に迷惑をかけるとか、あるいはがけの上に変なものをつくって、下に被害を及ぼしそうだというときには、いろいろそれは規制もされるし、それから被害を与えれば賠償もしなければならぬ。そういうことになって、ダムというようなまかり間違えば大被害を及ぼすような、そういうところで、だれが見ても、小舟一そう置いといたという問題は、ともかくとして、そういう構造物にほとんど近いもの、物体のようなものを据えつけるということが、規定上されてないから御自由だというようなことで、今後も見のがしていくということは、大きな問題になると思うのですが、その点監督官庁として、やはりそういうものがあるということがわかって、危険があるとすれば、当然注意すべきではないか、そういうことをやっておいでになったのですか。
  256. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 午前中から申し上げている議論は、旧法時代のことを申し上げているわけでございます。新法におきましては、浮戸設置については、河水区域内における工作物の新築として二十六条の許可を要するものと解釈いたしております。同条においては、旧河川法十七条のごとく許可を要する工作物を限定しないで総括的に規定することになっておりますので、今後におきましては許可を要するというぐあいに解釈しております。  なお、午前中に申し上げたかもしれませんが、現在浮戸流失原因はいろいろ云々されているわけでございますが、いずれにしても、浮戸が流れるということはよろしくないことでございますので、浮戸をできるだけ陸上に揚げるようにいま全国で五つばかり例がございますが、四つにつきましては、すでに陸上のほうに移転さしておりまして、あと阿賀野川に一カ所、滝ダムというのがございますが、それにつきましては現在陸上で格納するように工事中でございます。
  257. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 春日君、時間が来ましたのでまとめてください。
  258. 春日正一

    ○春日正一君 もう二つだけ聞いてすぐまとめます。  それでもう一つの問題は、この通報の問題ですね。これはこの前の佐久間ダムの水害のときにも、通報の有線がだめになって通報できなかったということで、あのときの建設大臣瀬戸山大臣は、この通報の問題については万全を期するために無線でやるというようなことを言っておりましたけれども、今度のこの事件を見ても、本来当然通報すべき義務を負わされているのに、通報の義務を怠っているということは、これは非常にはっきりしているのですね。八時半に川本駅長から川本町長に、何か流れてきて鉄橋か何かこわれた、ダムが決壊したらしいというような情報があって、川本町長のほうから中電の営業所のほうに聞いて、さらにそこから明塚発電所長に聞いて初めて浮戸流失というのがわかり、しかもそれを県に報告したのも川本町長から報告しているということになると、当事者として報告の義務を怠っている、通報の義務を怠っている、これは設備の問題云々という問題ではなくて、明らかにこういう連絡がとれるようになっていた。ところが、これが怠られているというような点を見れば、この問題でやはり非常に多くの手落ちがあったということだけは認めざるを得ないのじゃないですか。
  259. 亀田得治

    委員長亀田得治君) もう一つ、ついでにやってください。
  260. 春日正一

    ○春日正一君 それからもう一つ、そういうことで被害が起こっているわけですけれども、まああなた方は自然災害だということで災害復旧事業というふうにして、公共事業、そういうものは国の補助その他で復旧できるのだけれども、それではこの下流の住民の被害ですね、これをどう補償したらいいのか——これは大事な問題ですよ。私は一度にみんな言ってしまうけれども。とにかくダムをつくったということ自体自然条件を変更するのだから、それによって起こってくる災害ということの中には自然災害というふうに言い切れないものがいかなる場合でもたくさん起こっているし、そうして放水その他の問題で災害があれば必ず新潟の飯豊ダムでも、今度でも問題になっているし、去年のあの二瀬の放水、晴天洪水というようなもの、ああいうような事件も起こっている。そういうふうにしてダムをつくった。そういうことで新しい災害条件というものをつくり出すわけですから、それに十分な手当てがされなければこれは当然起こる。だから、そういう人為的な施設と関連してこれは起こっているのだから、その証拠には地元の人たちに言わせれば、二十年の災害のときにはもっとたくさん水が出たけれどもダムがなかったころには、もっと被害が少なかったということを言っておる。そういうところを見れば、明らかにこれは人為的な災害ということになってくるわけなんですけれども、こういう場合にあなた方は自然災害ということで、公共事業は復旧するけれども下流の住民の被害をちっとも補償しようとしない、そういうことでいいのか。そういうことだから、だからダムをつくるときにはうまいことを言い、さっきの黒柳君の質問じゃないけれども、非常によくなるというようなうまいことを言い、そしてつくってしまえばあとはああでもない、こうでもないと言いのがれをして、そうして下流の住民の被害、災害というものを顧みようとしない。そういう態度がずっと続けられてきておることで見てもはっきりその態度が出ておる。だから最近では政府に対する不信感——ダムをつくるといえば必ずダム建設反対運動というようなものが起こってくる。そういう意味では、あなた方が建設省の役人として、このダムを住民の納得、協力を得てつくっていこうということになれば、十分住民の声も聞き、そういう場合の被害というものに対しても補償する配慮もして、将来にとって安全だと、役に立つだけじゃなくして、万一被害が起こった場合には、こうするのだということをはっきりしなければならぬ。ところが、いままでの質疑の経過から出てきておるところは、自然災害だ、そう言っている。そこで委員が聞いておる、その委員に十分納得できるような、こういうころなんだから自然災害疑いなしなんだというような説明一つもない。そういう状態自然災害自然災害ということで押しつけるということは、これはまあ公共事業の復旧を早めるという効果はあるし、そういう配慮もあったかと思うのだけれども、しかし結局、そのことによって住民の被害というものは、政府が自然災害認めたのだと、だから中電としては責任なしという形で住民の被害に対しては何の補償もない、そういう結果を招いておる。だから当然公共事業の復旧というようなものは必要なんだから、とりあえず国で手当をするとしても、やはり河川法の中にも適用除外ということは、明らかに設計の不備、工事施行の粗漏に起因して生じたもの、はなはだしく維持管理の義務を怠ったことに起因して生じたもの、これは国庫補助の適用除外になっておる。こうしていままでずっと質疑されてきた問題点を見れば、明らかにこの適用除外に該当する疑いというものはきわめて濃厚です。そういうものをそういう形で自然災害にしてしまい、国庫で公共事業だけやるというような形で、結果においてはこの中国電力をかばってしまうということになるわけですね。だから、そういう点では政府がダムをつくって、当然それに伴う各種の被害、不測の被害が起こるかもしれない、そういうものに対しても十分に被害者に対して補償をする、そういう方針、態度を確立して、法的にもそれをはっきり確定していくということをする必要があると思う。その点、渋谷次官にお聞きしますけれども、いま私の言ったように、とにかくダムをつくりました、被害が起こりましたと、それは公共事業は直すけれども、流域の住民の被害についてはおかまいなしだというようなことが続けば、あなた方がやろうとしておるダムの計画というようなものもことごとく住民の抵抗にあって渋滞するようなことになる。そうしてまた政府全体の立場から言えば、自然災害であろうと何であろうと、被害を取り上げて国民を救済するということは当然の責任なんだから、そういう立場から見て、今度の浮戸の問題なんというようなものには、午前中から大森委員も指摘し、私もいま言ったように、明らかに適用除外の条件になるような疑うべきところが非常に多い。現に同じ政府の国鉄では、そういう立場から補償要求というようなものを出して折衝しておるという事実を考えれば、やはり建設省としても、この問題を再検討して、あやまちは改むるにはばかりないと思うのですよ。再検討して責任の所在を明らかにして、そして住民を納得させるというような態度をとって、国民がなるほどそれなら安心できるというような措置をとらなければ政府としての仕事もやりにくいだろうし、政府としての責任もつとまらぬと思う。だから、その点で政府のこの問題に対する考え方ですね、そして、特に住民の被害に対してどうするか、ほうりっぱなしでいいのかどうか、このぎりぎり決着のところでひとつ政府としての考え方を聞かしてほしいと思います。
  261. 澁谷直藏

    説明員(渋谷直蔵君) 今朝来からの質異を拝聴いたしておったのでございますが、自然災害であるか、いわゆる人災であるかという問題、なかなかデリケートな問題だと思います。建設省といたしましては、今朝来答弁申し上げておりますように、いろいろな調査その他の状況から判断して、これは自然災害であるという見解をもって対処してまいったことは御承知のとおりでございます。ただし、これは人間の判定でございますから、絶対にこれが正しいというわけにはまいらぬと思うのでございます。けさからの大森委員からのいろいろな質疑等も拝聴いたしておりまして、建設省といたしましても、今後とも私どもの判定に誤りがないかどうか、ひとつ十分慎重に検討をいたしたいと考えております。
  262. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 だいぶ時間も辿ってまいりまして、私ちょっといろいろお伺いしたり質疑したいことがありましたけれども、うんとはしょりまして要点だけをお伺いしたいと思います。  けさからダムお話で非常に持ち切りだったんでありますけれども、私は、京都の和知ダムについて大体中間報告で出されている点は十分了承いたしております。が、しかし、今度の和知ダムの中間報告を見てみますと、新しい設計をして、いままで五十トンぐらいをとびらに対して使っておったのを、三十七トンぐらいで済むような、まあ技術的設計が進んだと、それでそれだけのものをすれば一つゲートをつくるのに二百五十万円ぐらい安く済んでいるのだと、こういうようなことであって、しかもそのでき上がったゲートが、ことに三本のささえでもってつくられているのが、一つ一つは検査をしたけれども、三つ重ねては、ジョイントのところは検査されていなかった。そのために非常に弱かったから、間もなくわずかな力でもってつぶれてしまったということを知らされたわけであります。こういうことを地元のものが考えて、私もしろうとでありますけれども、しろうとの立場でこういうことを見ますと、実に進歩の過程で、あの報告を見ると、どこにもミスがないように書いてあります。が、しかし、そういうことでうなづけるものではないわけでありまして、なかなかわれわれしろうととしては心の中に納得できないものが残っておるのであります。もしそういう新しく技術革新を取り入れて、いままでのゲートであれば最高は九十トンぐらいまで使っているはずであります。もう少なくとも五十トンぐらいの鉄量を一ゲートに使うのがあたりまえだと言われておる。それを三十七トンに減らしたわけでありますから、それほど思い切った技術革新を入れるならば、もっと綿密な検査がなさるべきではなかろうかという不満と同時に、これはダム建設に対しての非常に不信感となってはね返ってきていると思うわけであります。あの辺の土地の住民はダムをつくるのに対しては非常に積極的に協力をしておったと思います。そうしたところに、ああいうふうな非常な被害をこうむった。被害は一人死んだということで、たくさんの人のいる大きな下のほうには被害が少なかった。渇水期であったせいもあるわけでありますが、しかし、とうとい生命を一つ失っているわけでありますから、そういう観点からいって、私はその地元に与えた影響というものは非常に大きい。こういう関係をひとつ建設省のほうでは監督官庁の立場から一体どういうふうに受けとめて、今後どういうふうにされるか。また、その中間報告を見てみますと、こういうようなゲートをやっているのが、ダムとしては二百ぐらいもあるのだ、こういうような式のものを使っているのがまだ五十もほかにあるのだという報告を聞けば、こういうものに対しては一体どういうようにチェックされているのか。あるいは今後そういうものがないということが自信をもって言える状態になっているのかどうかということを、早く国民に伝えなければ、国民の不安というものをよけい増すばかりではないかと思うのであります。そういう点についてその責任者がほんとうに責任をとっているのかどうかということを疑うほど、私はそのやり方が慎重であり、あるいはまた非常にテンポのおそいということを不満に思うものでありますが、そういう観点についてお聞かせ願いたいと思います。
  263. 坂野重信

    説明員坂野重信君) 和知ダムの問題につきましては、当局としては事の重大性にかんがみまして、非常に厳粛に反省しているわけでございます。御承知のように、この和知ダムは高さに比較しまして洪水量が大きく、テンターゲートも、先ほどおっしゃいましたように、非常に脚柱の長さが長い、新しい設計に基づいて、従来よりも本数を一本ふやしまして、脚柱の本数を三本ということにいたしまして、外から働く外力をできるだけひとつ小さくしようという、いわば技術革新的な考慮が払われておったわけであります。従来の設計方法にありましては、脚柱一本一本単独に設計いたしまして、全体としてはその経験に基づく補強方法がとられており、問題はなかったわけでございますが、和知ダムの場合には、脚柱に働く何と言いますか、まっすぐではなくて、曲げに力がかかるわけであります。そういった影響を少なくするためにゲートの主げた、ゲートにくっついているけたがあるわけでございますが、その主げたと脚柱との配置について考慮するというような新しい方式をとられているわけでございますが、振り返ってみますと、実際的な経験を加味した総合的な配慮をもう少しやるべきだというぐあいに反省されているわけでございます。和知ダムの耐度につきましては、全体として一体となるような構造をさらに基本的に十分検討する。そうして予想外の条件のもとに起こるような力に対しては十分安全性があるように今後さらに理論的にあるいは実験的に両方の面からひとつ十分検討しようということでございまして、すでに十月二十六日にはダム設置者の関西電力に対してもその旨を指示しております。  それから今後どうするかという問題でございますが、全般的な問題としてその内容を申し上げますと、技術委員会の答申に基づきまして、ゲートの主げた、アーム等の使用部材のたわみあるいはバックリングに対するゲート構造の全体としての構成、あるいは二次応力等に関する規定を新しく、——ダム構造令というものがございますが、これは河川法に基づきましてダム構造令を政令によって設けるわけでございます。まだでき上がっておりませんが、現在鋭意準備中でございまして、その中に、そういった構造令の内容に、そういった規定を新しく織り込んでいこうというぐあいにいたしまして、またダム検査規則というものを制定してダムの安全確保に万全を期する考えでございます。
  264. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 あとからわかったという話でありますけれども、あのアームの状態なんかは、たとえば地震でもあったらもうすぐゆがみが、自然のゆがみがきてしまう。何にもなくてもその力の働きによって自然のゆがみが出てくるというようなことが発表されておったはずでございますが、こういうようなことに対して私は非常に許可、監督をする省が通産省にもあり、また建設省にもあるわけでありますが、ぼくらの受け取り方は通産省はむしろ事業の推進のためにこういうようなことに対しては非常に冷淡ではなかろうかというぐらいに私が気を回すほど非常に責任をとっていないように思うわけであります。私はもうむしろここで問題に考えるのは、こうしたことを真剣にやるのに両省にまたがっていることがかえって非常に間違いである。少なくともこういう電力のダムを建設する場合には、もう少し監督官庁一つにしぼって、そこがもっと徹底的な検査をしなければ私はこういうものが未然に防げないのじゃないか。次に、もう先ほどの議論にもありましたように、あのような大きな決壊が十二ゲートから出たのか、十一ゲートから出たのかわからぬような議論をしているようなことを考えてみれば、このやはり水の力というものは非常に想像以上に大きいものだと私は思うわけでありますが、しかし、そういったところにいどんでいくところの設備をするからには、もっと私は監督官庁としては自信を持ち、そしてまた、絶対に間違いのないという観点に立ってこれをやらなければいけない。特に両省がこれに関係しながら、こういうふうなことが起こって、あとからその調査委員会を開いてみたり、委員会をつくってみたって、これは非常に一般の国民の不信感というものは大きなマイナスであると私は思うわけでありまして、私はそこらの官庁のいまやっていることがいかに怠慢であるかということを物語るものだと思う。ことに今度の場合は、ここの場合は、新しい技術を入れて、それは前からほかにもやられておったから、ここだけが新しくなったわけでありませんけれども、そういう新しい技術でもってそういうことが考えられるのは、しかも一方では、二百五十万も安上がりになるというときに、この金だけに目をつけてこういうことが起こったということは、私は非常に大きな責任問題だと思うわけであります。これは一体両省ともどういうふうに責任を感じておられるのか。これからこうします、ああしますじゃなくて、こういった起こった事態に対しても私は正当に責任を持つべきじゃないかと思うのですが、どうですか。通産省の考え方を……。
  265. 井上亮

    説明員井上亮君) ただいま大橋先生から御指摘のありました点につきまして、いずれにしましても和知ダムが万全のつもりで関西電力が建設に当たったと思いますけれども、それにもかかわらず、結果的にはやはりこういった事故を起こしたわけでございますので、私ども監督官庁といたしましても、この点につきましては深く反省をいたしておる次第でございます。また同時に、私どもとしましても、こういう事故を再び起こさないようなやはり措置を今後検討していくことが私どもの責務だと考えておりまして、さしあたり私どもといたしましては、先生も御承知の和知ダム系の事故の原因につきましての技術調査委員会の中間報告もございます。この中でもいろいろ今後の改善策につきましていろいろな示唆が述べられております。私どもといたしましては、当面、現地の監督機関であります大阪通産局長から関西電力の社長あてに、残りました、和知ダムの残存しております三本のゲートにつきましても、この破壊された事実にかんがみまして、早急に十分な補強工事をするようにというような指示をいたして、現在関西電力はそれに基づきまして、それに十分ないま対処を行なっておるというのが現状でございます。その他、なお単に和知ダムだけでなしに、今後の問題もありますので、私どもゲートの設計とか、あるいは操作とかいうような点につきまして、さらに今後再びこういう事故を起こさないような研究を十分に積みまして、早急にいろいろ設計方式だとか、計算だとかいうような点にまで検討を加えまして、こういうようなことのないような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、こういう事故を起こしましたことにつきまして、監督官庁として深く反省している次第でございます。
  266. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 時間でございますから、これを大臣に聞いておきたかったのですが、急いで大臣に聞かなかったのですが、こうした監督官庁の二つに分かれておるということが、私は非常に——これはわれわれ知らない者の側の考え方かもしれませんが、非常に監督の不徹底を期するものではないかと思う。特にダムの建設をする場合には、やはり川をせきとめてそしてああしたものをつくる。大きな構造上の変化であるからして、力の問題も大きい問題である。こうしたことに対しては、少なくとも建設省が全責任を持って、そうして一つの窓口で、こういうことの絶対にないということを規制していくのが私は筋じゃないかと、しろうと考えで考えるわけですが、そういう観点もどうかひとつ、建設省内あるいはまた通産省のほうに対してもよく協議の上、何かひとつ抜本的に監督を、監督責任を一つにして、今後そういうことの絶対に起こらぬということのもっと徹底したものをもって、これに臨まれることが必要だと思う。ことにそういう意味において、そういうことがあったら、今後はダムをつくられる周囲の者が大いに迷惑ですわ。そういうものをつくってもらわなくたっていいのですからね。そういうものが大きくなってきて、反対運動の一つのあれにもなるし、何か、たとえば雨が降ればすぐ起こるのじゃないかという心配に襲われておったんでは、やはり国民に及ぼす影響が非常に大きいものがある。こういうふうに思うのです。そういう観点から、そういうことを私は慎重に考えてもらいたいと思うのですが、その点について、次官どうですか。
  267. 澁谷直藏

    説明員(渋谷直蔵君) 大橋委員の御指摘は全くごもっともだと思うわけでございます。所管の問題は、いろいろな事情がございまして、これを一本化するかどうかということは早急に結論が出にくいと思いますが、しかしいま建設省といたしましては、いずれにしても監督官庁として重大な責任を持っているわけでございますから、所管が両省にまたがっているからといったような言いのがれはこれは許されないわけであります。不幸にして今回和知ダムの事故が発生したわけでございますが、これを契機といたしまして、先ほど河川局長からもお答えいたしましたように、この経験を生かして、今後このような事故が絶対に発生しないように万全の対策を講ずる考えでございます。
  268. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ちょっと、通産局のほうからも来ておられますので一言通産局の方に話しておきたいと思うのですが、関西配電がいろいろなことをやられることに対して、私ども、いままで比較的国民的な立場から協力的な状態でやってきている。で、ことにこのごろ宮津の火力発電もいま問題になっているのですが、これは通産省のこの審議の中で一ぺん詳しく所信を通産大臣にも聞きたいと思っておりますが、そこなんかでも、私は関西配電が冷淡だと思うのですね。関西配電が、あの火力発電なんかでもこしらえようとしているわけなんです。われわれも参議院で、ことに地元の議員として実地調査に参りまして、そうしていろいろ関西配電の説明を聞いて、なるほどあの宮津湾というのも非常にいい湾だと。一万トン級、あのころの軍艦の三万何千トンははいらなかったけれども、二万トン近いものははいれるようなりっぱな港である。重油にしたって、いろいろなものを運ぶのに都合がいい場所である。やはりあすこに関電も発電所を考えるのも地理的にはいいのだというふうに思った。関電の説明を聞くと、公害は全然ない。それがあった場合には十分な補償をしますということだから、そういうものを十分取りつけたならば、それをやってもよかろうというわれわれは判断を下して、われわれは帰ったわけです。ところが関電は、そういうことのPRに対しては、非常に木で鼻をくくったような官僚的なものの言い方では、地元の人たちは不安で、反対運動を起こしてくる。いまではハチの巣をつついたような状態になっている。そうなっては、われわれはもう一回実地調査をして、そんなことでは関電はけしからぬということで、今度は反対をしなければならぬことになってくるわけです。そんなことで、私は関電自身のやり方自身に非常に問題があると思うのです。こういうことは、やっぱり総元締めであるところの通産省は、もっと関電に対して親切な指導をして、ほんとうにあるべき姿で、国民がいろいろな面で不安を持って反対をすることに対しては、もっといろいろいいところを見せたり、あるいは納得のいくような説明をして、ここらの人に納得してもらわなかったら、ものごとは運ばないと思うわけです。それを故意に——故意とは言わなくても、非常にそうした説明に力を入れないで、非常なトラブルを起こさしていくというやり方に対しては、私は非常に不満に思っているわけであります。そういうことに対して、私は関電に対しても申し上げようと思うが、また通産大臣に対しても、いろいろないきさつをこまかく聞こうと思うのですが、その機会に関電の水力発電の問題を一緒に、私はもっとそうしたことに対しては積極的に、そうして国民に対して親切な態度でやらなければ、また今度の和知ダムにしても、私はそうしたことの、根本的に関電そのものに、非常に安上がりのものでいこう、あるいはまた国民の迷惑というものを第二に考えて自分のほうの都合を主体に考えているためにこういう事故も起こりやすい。そういうふうな目で見るのがあの辺の市民の、府民のとり方だと私は思います。そういう観点から、そういう立場に立ってひとつ通産省に対して、そういうものに対して監督指導をもっと徹底してほんとうにもっと民主的な運びをもって円満に事を進めていくという、そういうことに対してわれわれ協力していくという立場がもっととられるべきだと思うのですが、そういう観点から、ひとつ。
  269. 井上亮

    説明員井上亮君) ただいま先生がおっしゃいましたように電力業者が発電所を設置いたします際に、これはまあ一般の火力であれ、あるいは原子力発電にせよ、相当地元との関係は密接な関係がございます。したがいまして、電力会社が特に地元の方々の御協力を得るために十分に納得のいく説明もし、御了解をいただく。そのために先生おっしゃいますように親切な態度と言いますか、あるいはいかばお願いする。その地点でいろいろな事業をしていくという関係に立ちますので、親切にすることはもちろんですけれども、謙虚な立場で十分の納得のいくような説明もするということが私は特に必要だと思います。新宮津の発電所につきまして、これは火力発電の予定になっておりますけれども、これはいま先生も御承知のように、周辺の漁民との関係でまだ話し合いが十分つかないというような問題もございますし、いろいろまあ地元との調整がまだ完全についていない。ついていないだけに、私はただいま先生がおっしゃいましたように、関電みずからほんとうに謙虚な立場で十分科学的にも地元民に対しまして協力要請をするという、やはり姿勢が先生のおっしゃいますように必要だ、こういうふうに考えております。私はこの新宮津について、この席をかりまして、私見を述べさしていただきますれば、私は地元住民との間で話し合いがつかないはずはないと、これは私ども客観的に見ておりまして。と申しますのは、いま問題になっておりますこの関西電力の取水口とかあるいは排水とかいうような問題のために漁民との間に話し合いがついておりませんけれども、これも関西電力が科学的に地元に対しましてPRを行なえばやはり理解していただける性質のものではないか、最終的には。やはりそのためには先生の御指摘のありましたように、やはり地元に対して協力を得るのだという姿勢が大事だと思います。そういう意味で、私は今後とも新宮津につきましては、関西電力の問題のみならず関係の電力会社に対して、十分先生の意を体して指導してまいりたいと思っております。
  270. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ちょっとその所見が出ましたから、私は詳しいことはあとでやろうと思っておりました。時間がないからやめておきますが、特に科学的なほんとうのデータをもって、そしていままでほかでやられていい成績が出ているところがあるわけですから、私の知っておるところでは。そういうところなんかへ何か反対する人を連れていってもらうとか、もっと積極的な方法をしたら、これは説き伏せられると思うのです。それを木で鼻をくくったような、どこも悪くない、何があるかと言っておれば、これはよけい疑うわけです。私はそういう態度は間違っておると思う。私はそういう事情も知りながら、そういう立場でやってきたのに、あなたのほうでそういうことで住民が反対すれば、反対するのはあたりまえだということになってまいりますので、私はそういう線も出しながら、また反対のほうに回らなければならないということになる。だから、そういうところまでやり方がまずいということは非常な問題だと思う。だからほんとうから言えば、そういう真摯な気持でほんとうに科学的にけっこうやっています。これがもし悪ければ、ここまで進みますということで話をすればわかると思う。火力発電ができるということ、あるいはいろいろな問題のことについては、われわれは意見はいろいろありますけれども、そういう点で特に指導をして、関西電力はどちらかといえば、一人で競争相手がないし、おれがやるのに何が悪いという態度に出られるからできるものもできない、事故も繰り返される、そういうことに結論が持っていかれますので、この和知ダムから考えてももっと私は真摯な気持でいろいろなところに対して電力会社がそういうふうな方向に進まれることを特に希望して、今後の指導は十分にしてもらいたい、こういうふうに思います。
  271. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後四時五十五分散会      —————・—————