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1967-10-27 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月二十七日(金曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      稲浦 鹿藏君     岡本  悟君      岩間 正男君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 黒柳  明君     委 員                 岡本  悟君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 佐田 一郎君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 二宮 文造君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵政務次官   米田 正文君        大蔵省主計局司        計課長      北田 栄作君        大蔵省主計局主        計官       丸山 英人君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省海運局参        事官       野村 一彦君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省自動車局        業務部長     蜂須賀国雄君        運輸省航空局長  沢  雄次君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省住宅局調        査官       三宅 俊治君        会計検査院事務        総局第三局長   増山 辰夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        今村 義夫君        日本国有鉄道理        事        仁杉  巌君        日本国有鉄道理        事        井上 邦之君        日本国有鉄道理        事        長瀬 恒雄君    参考人        船舶整備公団理        事長       林   坦君        船舶整備公団理        事        竹中  薫君        日本鉄道建設公        団理事      田中 倫治君        日本鉄道建設公        団理事      壷井 宗一君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  当委員会提出されております運輸省及び日本国有鉄道決算の概要につきましては、口頭説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出を願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 特に運輸省自動車局長さんにお伺いをいたしたいのでありますが、本年八月二十一日に、行政管理庁から運輸省に対して勧告が行なわれました。その勧告内容は、一つには、一般乗用旅客自動車運送事業免許及び認可について。第二には、山間割り増し制度について。その二つの問題に対する勧告がなされております。  第一の問題は、個人タクシー申請がなされてきておりますけれども、相当の件数が未処理になっておる。これは運輸省としてはすみやかに処理をしなければいけない、こういう勧告内容であったように記憶をいたしております。  第二には、山間割り増しについては、本制度の創設当時と比較をして、今日では情勢が異なっておるから再検討をすべきではないか、こういうような勧告行政管理庁から行なわれたように聞き及んでおります。これに対する運輸省見解をまず最初に承っておきたい。
  7. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 行政管理庁からの勧告は、先ほどの仰せのとおり、八月に個人タクシー申請処理促進の問題と、山間割り増しが現状にそぐわないという問題の二点につきまして勧告がございました。  第一点の、個人タクシー処理促進の問題につきましては、すでにこの前の通常国会のときから国会のほうでもたびたび御指摘を受けておりまして、国会でも申し上げたことでございますが、特に東京個人タクシーの未処理件数が多いという問題でございまして、御承知のとおり、三十九年のオリンピックの際に、オリンピック対策ということで個人タクシー申請が非常に多うございまして、その当時の需要に即応する免許はすでにそのときに行なわれたのでございますけれども、なおかつ、相当未処理件数がございまして、それが押せ押せになりまして現在に至っておるというふうなことで、本年の五月末現在で四千四百件の未処理がございます。それで運輸省としましては、東京陸運局のほうに、こういう処理促進について計画を立てて、これをできるだけ早くなくすようにということを指示いたしまして、その指示に基づきまして、東京陸運局のほうにおきまして、いろいろ現在の陣容等考えて、極力未処理の四千四百件を処理する態勢をしき、その計画を立てまして、大体本年度内、来年の三月末までの間におきまして三千件を処理し得るというようなことで、その線に沿って現在処理を進めておるわけでございまして、すでに指示いたしました後におきましても、二回にわたりまして三百五十件ずつぐらい、おおむね七百二十件の処理を済ましております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、年度末までにはその三千件を処理し得る見込みでございます。  それから山間割り増しの問題でございますが、これはずっと前からこういう制度がございまして、山間等におきましてコストが高いという面で一部割り増しをするということでございますが、この際におきまして、割り増しを認める場合には、従来から道路管理者証明をする、道路管理者証明に基づいてその割り増しを認めるというふうにやってまいったのでございますが、最近のように道路事情というものが、道路改良等がひんぱんに行なわれるというふうなことで、道路管理者の側におきましても、原簿の整理が間に合わないというふうなことで、管理者側からも、そういう証明書を出すことについてなかなかむずかしい面もあるというふうな話でもございますので、そういう点については、従来からずっとそういう制度があったのでございますけれども、管理者側のほうでもそういうふうな話でございますので、根本的にそういう制度について考え直すというふうにしたいと考えております。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 ただいまの御説明によりますと、個人タクシーの問題については、四千件余に達している問題を、今年じゅうに三千件処理をしたい、こういうことなんですが、実はこの問題は非常に長い期間放任されておった。そのために、四谷の陸運局の前には、個人タクシー免許せいというふうなことで、すわり込みが行なわれたり、たいへんな圧力が加わったことは事実なんです。そのような結果に対して、しかも、行政管理庁から勧告をされなければ免許申請の問題が運輸省として処理ができないというようなことでは、あまりにもだらしのないやり方ではないか、こう考えているわけであります。特にいままで個人タクシー免許をもらった者の中で、とにかく他に転業をしたり、あるいはやめたり、そうする人が多いわけです。その際、そういうものがどういう形をとっているかというと、自分権利を、つまり代行者指定をして、代行者運行をさせまして、最終的には代行者にこの権利を売り渡す、こういう形をとっているケースが多いわけです。こういう問題も発生しているのだが、そのおくれた理由と、それから個人タクシーの中にこういう問題が起きているということについて、陸運局あるいは運輸省はどのように見ているか、この点をひとつ詳しく説明を聞かしてもらいたいと思います。
  9. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 個人タクシーの未処理の問題につきまして、四千四百件、そのうち大部分が三十九年申請のものでございます。確かに三十九年の申請を現在まで置いておったということについては、あまりにもその処理がおそいということは御指摘のとおりでございまして、ただ、行政管理庁のほうから勧告がことしの八月にございましたが、その勧告を受けたからこういうふうな計画を立てたというふうなことではございません。すでに勧告前に、通常国会の際に答弁もしばしば申し上げましたように、その際にすでにそういう計画を立てておりまして、陸運局のほうにも指示して、その態勢を整えた後にそういうふうな勧告が出たわけでございまして、その点だけは、勧告を受けて初めて腰をあげたというふうなことではございません。  それから個人タクシー免許を受けた者が、その権利を譲り渡すという問題でございますが、この問題でそういろいろと非難を受けるような問題が発生しているということについては、特に東京陸運局の問題であろうと思いますけれども、そういうふうな問題は現在まで聞いておりません。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 個人タクシー権利譲渡の問題その他について非難が出ているということを申し上げているのではない。あなた方のほうでそういう実態を掌握しているかどうかということを聞いているのです。実は、これは四十一年の実績ですけれども、タクシー人身事故の内訳を見ると、個人タクシー事故件数は二百十二件、死者はゼロ、負傷者が二百四十四人、法人のほうで例をとりますと、事故件数が七千四百六十八件、死者は六十七人、負傷者が九千七百二十人、これは千台当たりに対して、個人のほうは四一・三、それから法人のほうは千台当たり三四八・四、こういうふうに非常に事故件数法人のほうが高い。個人が非常に少ないという実績から考えてみても、個人タクシーの業績というものは非常によろしい、こういう結論が事故の面からも出ると思う。それだけに一般利用者のほうからも個人タクシーが愛されてくる。というのは、最初、この個人タクシー免許をされた当時は、厳選厳選を重ねて非常に優良な運転手諸君個人タクシー免許を得たことは事実なんです。ところが、だんだん台数をふやすに従って、最初ほど厳格に優秀な運転手諸君をそろえるということはむずかしくなってきた。最近は非常に年齢的にも、たとえば四十歳というものを三十八歳−六歳あるいは三十五歳くらいまでダウンをしておる。それからまあ事故件数などにおいても、人身事故があってはだめだ、あるいは物件事故の三万円以上のものがあってはいかぬというような、縛っておいたものがゆるやかになってきておる。こういうようなことで、多少の緩和がされてくるというと、この件数がはたして守られるかどうかということも考えられるわけですが、その点、いま審査をしておる中で、自信を持ってこのような実績が、過去においても、現在、将来においても持ちこたえられるような人選の上で個人タクシー免許ができるかどうか、そういう点について、局長として自信を持って外政をやられるお考えであるか、その点をひとつ聞かせてもらいたい。
  11. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 個人タクシー法人タクシー事故比率でございますが、確かに御指摘のとおり個人タクシーのほうが事故比率は低うございます。したがいまして、現在、東京陸運局管内におきますタクシーの業者につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、個人タクシーのほうに重点を置きまして、個人タクシー審査促進いたしまして個人タクシーをふやす。特に臨時物価対策閣僚協議会でも、個人タクシー育成助長ということについては了解事項でございますので、そういう面を極力推進してまいりたいと考えております。  それで、個人タクシーをふやせば、そういうふうな優秀な現在の事故の少ないという点について、これはふえるのじゃなかろうかという問題でございますけれども、個人タクシーの資格につきましては、先ほど来から申し上げましたように、事故歴の問題は相当重点を入れて審査いたしまするし、それから年齢の問題でちょっと御指摘がございましたけれども、やはり四十歳以上という年齢は現在もやっておりまして、ただ、特に運転歴におきまして、優秀な、表彰等を受けて、この人はほかの人に比べてずっとそういう事故防止の点において優秀である場合におきましては、三十九歳の場合もたまにはございますけれども、原則的には四十以上ということでやっておりますので、最近、特にそういうふうな問題でもって条件を著しく緩和したというふうなことはございませんので、従来のとおり、個人タクシー免許を受けた方々は、事故の問題については優秀な成績をあげられるものと期待いたしております。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 そうなりますと、いままでの非常に優秀な運転手諸君を選択をして個人タクシー免許をおろしておったそのワクを緩和をしないでこれからも免許をおろそうということになると、相当むずかしくなってくるのじゃないか。そういうことになりますと、現在、四千何百件かの申請がなされておりますけれども、その中に該当者がはたして——まあ三千名処理したいと言っておりますけれども、おるかどうか非常に疑問じゃないかと思う。その点は審査に当たっておる直接の人からも聞いてみたんですが、多少の緩和策考えないというと容易ではない、こういうことを言っておられるということを聞いておるわけですが、はたして局長は、緩和をしないで個人タクシー免許ができるかどうか、その点もう一ぺん、自信のほどがあるならば、お答えをいただきたい。
  13. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 東京陸運局個人タクシー免許合格率と申しますか、そういうふうな点は、過去の実績におきましては、おおむね五〇%でございまして、将来もしもそういうふうな率でいくとしますると、五月末未処理の四千件ほどのうち、合格率は半分と仮定した場合においては、二千件というふうな数字でございまして、先生指摘のように、それほどむずかしい合格線というわけではないのではないかと考えております。     —————————————
  14. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員異動について報告いたします。  本日、稲浦鹿藏君が委員を辞任され、その補欠として岡本悟君が選任されました。     —————————————
  15. 柴谷要

    柴谷要君 まあ自信がおありのようですから、緩和をしなくても、りっぱな運転手が選考できて、個人タクシーが年内に、局長の言によると、三千件以上が処理をされるということで、その点は了解をいたします。  そこで、私が先ほど一応申し上げておいたんですが、実は自動車個人タクシー免許をもらった、そうして営業をやっておったけれども、からだが不幸にして悪くなった、この人が代務者陸運局申請をして、代務者指定した。ところが、からだの調子が悪いので、実は自分はやめて、りっぱな代務者を認定してもらっているんですから、その代務者権利を譲りたい、こういうことでその代務者つまり権利を譲っておる。この譲るために一体相場がどのくらいの値段がついておるかというと、百五十万を下らない価格で売買されておる。これは私は事実を握っておる。こういうふうに考えてくると、個人タクシー免許をとっても、つまり他に転職をするとか、あるいはいなかに戻るとか、あるいは病気だとかいうようなことで、個人タクシーがまず代務者指定を受ける、そうするというと、代務者がその運行ができるわけです。そうして二、三カ月たつというと、この代務者にその権利譲渡できるように申請をする、これが通って売買をされていく、こういう結果になってくる。そうするというと、個人タクシー免許をとると、大体権利が百五十万ぐらいのものがついてしまう、こういう形のものが今日生まれておるわけですが、この点は運輸省としてはどうお考えになっておりますか。
  16. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 個人タクシーの場合でも、譲渡譲与ということは法律上も認められておりますし、その譲渡譲与の際に、そういう御指摘のような金が動くかどうかということについては、役所のほうとしては全然わからないことでございまして、法人の場合におきましても、そういうことがいわれておりますけれども、われわれとしては、そういう際の金のことについてはつかむあれもございませんし、ちょっとそういう点については私のほうとしてはわかりません。
  17. 柴谷要

    柴谷要君 それは、局長、そんなことを言ったって、そんなことで自動車行政ができますか。それはね、あなた事実やっているんでしょう、許可をやっているんでしょう、代行者指定して運行をやらしている。そうすると、二、三カ月して申請をして、譲渡を受けてやっている人がたくさんいるわけですよ。その権利幾らぐらいで売られているかということは、あなたのほうで掌握していないということは、幾ら何でも私は承知できない。これはうっかりすると、百五十万が百八十万あるいは二百万にならぬとも限らぬ。そうすると、でかい権利になる。そういうことが自由にできるようになってきたという、この経緯が一体どこから生まれているんですか。これは価格局長知らぬとおっしゃるのだから、深くは追及しませんよ。事実あなたは知らぬというんならば、私は後日事実をもって何件かの問題を、下は一番安いので百三十万から百五十万、百五十万を二、三件知っております。そういうふうに売買されておる。だから、そういう事実をお知らせしてもよろしいですが、まあ局長価格を知らぬというんだから、この席ではとにかくそういう値段で取引されておるということだけを申し上げておきます。しかも、その中に個人タクシー協会担当者が中へ介在をしてあっせんしておるという事実も承知しておる。これは親切でやっておられると思うから悪いとは思いませんよ、悪いとは思わない。思いませんが、価格つり上げ等になってくる傾向にあるから、これらの点についてはひとつ運輸省は、価格がわからぬというならば後日調べて、ひとつこれらの問題については対処をしてもらいたいというふうに考えます。  時間がありませんから次へ進みますけれども、最近新聞紙上をにぎわしておりますのは、何といってもタクシー乗車拒否の問題です。このタクシー乗車拒否は一体どうして起きているのか。タクシーは客を乗せることによって営業が成り立っておるわけです。ところが、お客さんが乗せてくれといっているのに、これを拒否して乗せないというのは一体どういうわけか。実は二十四日の夜、大臣が羽田空港あるいは新宿から銀座東京八重洲口協会幹部と、自動車局長おつきになったと思うんですが、一緒に歩かれた。ところが、乗車拒否には一つもあわなかった、こういうんです。あわないのはあたりまえですよ。自動車協会幹部連中が行く場所がわかっているのに、それに所属する運転手乗車拒否なんかするはずがありませんよ。そういう視察は意味がないと思う。大臣が行ったって一件も見られなかった。また局長御自身もおつきになっていて、なかったという。ところが、私どもが少し雨でも降るような日、あるいは夜間、東京駅でも、あるいは銀座でも新宿でも池袋でも行ってごらんなさい。これは特に弱い者なんかは乗れませんよ、タクシーに。たいへんな乗車拒否が行なわれておる。こういう問題を、今日の段階においてなぜ運輸省は適切な手を打ってこれらの問題を直せないか。これは営業するほうはお客さんが乗れば営業になるんですから、それを拒否するというのはおかしいじゃないですか。ここが問題なんです。そこを自動車局長としてはどう考えられておるか。特に、日雇い運転手廃止をするんだ、こう言っておられるのだけれども、この問題もはたして廃止ができるかどうか。私はかけ声ばかりではこれは決してできないと思う。現在の自動車協会なるものが反省をし、もっと考え直してこない限り、絶対できないと思う。口先だけではこれはできる問題ではありません。この問題について、ひとつ自動車局長乗車拒否の問題と、それから日雇い運転手廃止をする、絶対使用させない、こういう問題が責任を持って矯正できるかどうか、この点についての見解をひとつ明らかにしてもらいたい。
  18. 原山亮三

    説明員原山亮三君) タクシーサービスの問題につきまして、特に東京をはじめ大都市のタクシーサービスが悪いということについては、かねてから御指摘を受けているところでございまして、われわれとしましても、この問題につきまして、タクシーサービス改善方策につきましても、総合的にこの夏から検討してまいりまして、それをこの前大臣が現地御視察の同じ日に発表いたしたわけでございますが、その乗車拒否対策についての一つとして、先ほど先生指摘の、まあ日雇い運転手禁止の問題も含めておるわけでございまして、サービス改善方策としましては、まず先ほど来から話の出ております個人タクシー育成という問題をはじめといたしまして、日雇い運転手禁止につきましては、従来はもう日雇い認可両数に対しては使ってはいけないというふうに運輸規則上なっておったのでございますけれども、例外的に日雇いを、まあ病気で休んだような人のかわりに使うというようなことについて認められておったわけでございますので、そういうふうな抜け道があったので、今回運輸規則を改正いたしまして、一切日雇いは使ってはいけない、こういうふうな改正をいたしたわけでございます。それ以外にも、最高乗務距離をきめております東京なり大阪なりの大都会につきましては、運行記録計、いわゆるタコグラフでございます。そういうふうなものを法律義務づげるというふうなこともやります。それからタクシー運転手につきましては乗務手帳を出す。それから業者につきましては、乗務員の台帳を法律上整備さすというふうなこと等、それぞれ総合的にサービス改善方策というものを打ち立てましてやってまいりたいと考えておるわけでございます。日雇い運転手禁止の問題が厳重に守られるかどうかというふうなことでございますが、われわれとしましては、今度の運輸省令の改正によりまして、一切日雇い運転手を使ってはいけないというふうにいたしたわけでございまして、この実施の万全を期してまいりたいと考えております。
  19. 柴谷要

    柴谷要君 ことばで言えばね、それは局長の言われるとおりです。ところがですね、これは自動車協会かほんとうにやる気がなければだめなんです。名目的にやる気でしたら、確かに日雇いはやめます、使いませんと、こう言いますよ。言うけれどもですね、その方法としてどういう方法をとるかというと、臨時雇用という形でね、いいですか、半年でも一年でも本採用しないで使うのです。それは日雇いと同じなんです。一日幾らという日当でですね。それで、半年でも一年でも臨時雇用というような形でもってこう雇うのです。ただ日雇いでないというだけなんです。続けて来てくださいと言うだけで、臨時で置くのです。いつまでたっても本採用しない。それでも日雇いは使っていませんという口実は立つのですよ。いいですか。ですから、これはほんとうに本腰を入れて、たとえばこの五千人からいる日雇い運転手諸君を、各法人自分のところで五十名でも百名でも採用する。一、二カ月の期間経過がたったらば本採用をびしっとする。こういう約束を取りつけなければ、日雇い運転手を使わぬなんといったって、名目だけは臨時職員ですという形をつくって、半年でも一年でも本採用しないで使えるのです。これは日雇いの変型なんです。だから、私は非常にむずかしいというのはそこにある。だから、協会がほんとうに日雇いは使いませんと言っているならば、この欠員の状態を埋めるために、どうしてもいま私が申し上げたように、二カ月とか三カ月の期間経過を経たならば必ず本採用する、こういう腹がまえをもって対処していかなければ、日雇いの問題は解決しない、こう思うのです。これは局長いかがです、この点は。
  20. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 先生が御指摘のような抜け道は考えられまするので、運輸規則でそういう点を、抜け道のないようにまあいたしたつもりでございます。したがいまして、先生のおっしゃったような臨時的なものでございますと、賃金の支払い形態が、毎日であるとかというようなことでございますので、規則の中に、十四日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者については、これを日雇いとみなすというようなことで、そういうものはいけないということでございます。あるいはまた、二カ月以内の期間を定めて使用される者、これもいけない。そういうふうなことで、先生の御指摘のような抜け道のないように法律上措置いたしまして、一切の日雇い禁止してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  21. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと局長にお聞きしますが、その改正された運輸省の規則に会社が違反した場合に、どういう行政処分等があるのですか。
  22. 原山亮三

    説明員原山亮三君) こういう法律、法令等に違反した場合におきましては、もちろん最高の場合においては免許取り消しがありまするし、それから営業停止、それから六カ月以内の車両の使用停止等が行政処分として法律上ございますが、いままでそういう乗車拒否等の場合におきますそういう処分が少し手ぬるいのじゃないかというふうなことも考えられましたので、今後そういうふうな問題につきましては、従来の処分よりも五倍ないし十倍に上げてまいりたい。従来は大体日数と車両をかけまして、二十日車程度の処分が多うございましたけれども、そういうふうな程度ではなかなか処分の効果があがらないのじゃないかというふうにも考えられまするので、そういうふうなものを五倍ないし十倍、しかも、累犯的なことになった場合におきましては、特別監査を実施いたしまして、悪質なものは営業停止とか免許の取り消しをやるというふうなことで考えてまいりたいと思います。
  23. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 局長、いまの御説明は、乗車拒否に対する行政処分ですか。あるいは日雇いを雇ったということに対する処分ですか。何か両方一緒になったような御説明ですが、両方に通ずる御説明ですか。
  24. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 法律その他法令違反につきましては、一括して免許取り消し等という規定がございまして、最高免許取り消し、それから営業停止、それから六カ月以内の車両の使用停止等ございまして、乗車拒否の場合も、日雇いの場合も、それぞれ法令違反ということでもってそれぞれの情状に応じて措置するということでございます。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 それは省令改正を行なってそうしてやろうということなんですが、この省令改正の実施が、二カ月から一年二カ月という猶予期間があるわけですね。早いものは二ヵ月、おそいものは一年二カ月後に実施をさせる、こういうふうに猶予期間があるわけです。非常に長いゆったりした期間を持たしてあるのですが、その間国民の声にこたえることができるのですか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。一年二カ月といわずに、もっと早める考え方はないのですか。
  26. 原山亮三

    説明員原山亮三君) この省令は東京だけでございません、全国の問題でございます。東京の場合におきましては、こういうふうに乗車拒否等の問題が非常に問題になっておりますけれども、いなかの場合におきましては、そういう問題はあまりございませんし、したがいまして、全国一斉にやるという問題と、それから東京の場合なんかは、こういうふうな処分の強化等につきましては、すぐやり得ることでございますので、そういうふうに現実にやってまいれると思います。  それからタコグラフの整備につきましては、これはこの前の国会でも御指摘がございましたダンプカー対策でもって、大型貨物自動車にそういうタコグラフなり速度表示装置の義務づけをやったわけでございますが、その関係でタコグラフの生産等の関係がございますし、それから乗務員証なりあるいは台帳の整備等につきましては、やはり一定の期間を設ける必要があるということで、それぞれの条項ごとに期間を変えてまいりたいし、すぐやり得るような体制の陸運局におきましては、現実問題として行政指導で強力にいたしてまいりたいということになろうかと思います。
  27. 柴谷要

    柴谷要君 一年二カ月の猶予期間というのは、タコグラフ等について生産をさせる態勢をつくらせるということで猶予期間を持ったようですが、タコグラフは前々から叫ばれておって、これの生産能力は、前のどなたでしたか、陸運局長さんか、がアメリカへ行って帰られたときに、非常にタコグラフの性能のいいのが大量にある、こういうものを日本に持ち込んで早く取りつけたいんだということを国会で言われたことがあるんですが、そんなに生産期間をかけなくても私はできるんじゃないか。どうせやるからには短期間に整備をして、これらの問題に対処をしていってもらいたい、これは要望になりますがぜひそうしてもらいたい。  それから乗車拒否の問題はもっと深刻に取り扱ってもらいませんと、弱い者が非常な苦しみを受ける、この事実をひとつしみじみと考えてもらいたいと思う。大臣にたいへん御苦労願って夜間御視察などなさったら、大臣が御視察のときには一台も乗車拒否がなかった。乗車拒否ないはずです、協会幹部運輸省幹部が一緒なんですから。そのとき乗車拒否するような運転手は、もうそれこそどうかしているんです。これはないのが当然なんです。実は気をつけておったんですが、木島モーニングショーに大臣御出席になりましたね。そのときに、木島氏からも抜き打ちにおやりになったらどうか、大臣覆面でひとつやられたらどうだ、こういうことを言われたら、大いにこれからやってみましょう、こういう御答弁がございましたが、あれには私も共鳴をしたわけなんです。ですが、大臣の顔はどうも運転手の諸君はもう知っておりますから、よほど変装でもしない限りは、ごまかしがきかぬと思う。だから、大臣がごらんにならなくてもいいから、われわれが日常経験をしておることを申し上げますから、それをひとつ十分参考にして対策をお立てになっていただいてけっこうだと思います。その点申し上げたいと思うんですが、この間御視察になったあなたの感想をひとつお聞かせいただければ幸いだと思います。
  28. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 先夜視察いたしましたことにつきましては、すでに新聞でも御承知のとおりでありますが、当夜は、さして目立った乗車拒否は見つけることができなかった次第でございます。しかし、新聞の一部によりますと、私が帰ったあとで相当露骨な乗車拒否があったというようなことも出ておりました。抜き打ち検査もどうだというお話でございましたので、できればそういうことをやってみたいということを申し上げたのでございますが、しかし、これは私が出かけませんでも、お説のとおりたくさん御経験の方がいらっしゃいますので、その方々から親しく実情を伺わしていただければ、それでも十分だとも存じます。今後よく考えてみたいと思います。  なお、当夜の感想といたしましては、今日タクシーの利用というものが、ほとんど大衆の公共の交通機関になっておるということをしみじみ痛感いたしました。これに対する公共的機関としての使命を果たさせることは、これはぜひやらなければならぬことであります。そのために、従来からの行政の体制が、タクシーについては必ずしも十分でなかったような点がありはしないか、この点は十分反省して時勢の要求に応じた行政指導をすべきであるということを感じますと同時に、この乗車拒否の一事を見ましても、この行政は役所だけがいかに力を入れましてもなかなか目的を達することは困難でございます。業者の指導によりその協力を得て、すみやかにりっぱな庶民が安心して乗れるタクシーを実現するようにいたさなければならぬ、こういう感じを受けた次第でございます。
  29. 柴谷要

    柴谷要君 時間がありませんので、はしょって申し上げたいと思いますが、最近の運輸行政は、これはまことに言いにくいことでございますけれども、大阪のできごと、それからつい最近東京陸運局に発生した問題、これは非常に国民の強い批判を受けている問題だと思う。これは多くを私申し上げませんが、これらの問題について運輸大臣は今後どう対処していくのか、これをひとつはっきりお答えを願って、次の問題もう一問だけ質問して終わりたいと思うのです。この点を自動車局長担当者として一言、それから運輸大臣としての御見解をぜひ承っておきたいと思います。
  30. 原山亮三

    説明員原山亮三君) このたび東京自動車第二部の貨物二課の係員が一昨日収賄の容疑で逮捕されました。現在取り調べ中でございますので、その内容は詳しくはわかりませんけれども、小型の貨物運送事業の免許に関しての収賄の容疑と伺っております。こういうふうなことにつきまして許認可を扱う者につきましては、十分平素から注意する必要がありますし、われわれといたしましても、平素からそういう点について注意をいたしたのでございますけれども、まことにこういうふうなことが起こりまして遺憾に存じている次第でございます。今後こういうことのないように極力指導を強化してまいりたいと思っております。
  31. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 大阪の問題等振り返ってみまするにつけましても、特にタクシーに対する行政が現状では至って不十分な点が多いということを痛感いたし、この点について反省をいたしておるところでございます。要するにタクシーというものは、最近において急速に庶民の利用が高まり、その結果庶民として欠くべからざる公共の交通機関ということになってまいったのでございますから、今後の行政はこの実情を基礎として、これに適合するようにいたさなければならぬし、そのためには、運輸省全体の機構といたしまして十分新たな事態に即応した勉強をいたす必要があるということを感じておるのでございます。そういう意味で関係者一同お互いに戒め合っているような次第でございます。  なお、職員の綱紀の粛正につきましては、従来から機会あるごとに注意を喚起していたところでありますが、このたび東京陸運局におきまして再びこのような不祥事件が発生いたしましたことは、まことに遺憾に存じております。事件の詳細は、目下本人について取り調べが行なわれておりまする段階でございまして、不明でありますが、私といたしましては、以後このような事態を絶対起こさないよう職員の猛省を促したいと存じまして、すみやかに厳重な通達を行ないたいと思っております。
  32. 柴谷要

    柴谷要君 運輸省の汚名挽回のために大いに努力していただきたいということを要望して、私はその点は終わりたいと思いますが、きょうは決算委員会の場でございますので、昭和四十年度決算の概要について、ちょっと二問だけ質問しておきたい。  運輸省自動車事故対策を強化するための支出として、昭和四十年度決算概要を見まするというと、千八百九十六万一千円しか使っていない。一体これだけの大きな事故が発生しておるような実態の中で、千八百万円くらいしか金を使っておらないで事故対策などといえるか、これが一つ。それからもう一つは、自動車の検査登録特別会計から十七億三千四百三十万五千円の支出がなされている。この金はいわゆる自動車の検査あるいは登録その他の問題に必要な経費であろうと思うのですが、一体現在自動車登録検査その他の人員が運輸省として非常に不足しておると思うのです。そのために自動車所有者に不便を与えたり、まあ完全な検査機能ができなかったり、いろいろな問題が発生しておると思う。こういうところにお使いになる金は、もう惜しみなく使えとは言いませんけれども、重点的にお使いになったらどうか。このくらいの予算では、全くたいしたことができないと私は考えるのですが、これに対する運輸省見解を聞いておきたいと思います。
  33. 原山亮三

    説明員原山亮三君) ただいま御指摘事故対策、千八百万というお話でございましたけれども、われわれのほうの仕事の、先ほどの千八百万以外に特別会計の分が非常に多うございまして、いま御指摘の分は、一般会計の部分で事故対策費としてそれだけの数字があがっておるというようなことでございまして、事故対策費として、一般会計、特別会計合わせて御理解を願いたいと思うのでございます。  それから特別会計の人員なり施設の問題でございますが、われわれとしましては、現在本年度の予算要求の際にも、最重点的に特別会計の人員なり機構と、それから施設の整備を要求いたしたわけでございまして、人員の要求につきましても、百名をオーバーするというふうなことで、それでも十分とは申せませんけれども、われわれのほうの最近の人員の増加という問題に関係しましては、それだけの人員というものは相当数の確保ができたのではなかろうかというふうに思っておりますし、そういうふうな確保した人員につきましては、それを有効的に使う必要がございますので、特に車両の伸びの多い大都会に対しまして、重点的にそういう人員を配置して検査の充実に資したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  34. 柴谷要

    柴谷要君 いまの御答弁で運輸省自動車局の質問を終わって、時間がありませんから、航空局に要望しておきたいと思うのですが、航空局長さん御出席でございますね。  私あと時間がないので、特に先輩の皆さんから特別に許していただいて第一陣を承っておりますので、正確に時間を守りたいと思います。  実は本日、航空局長さんに御質問申し上げたいと思うことは、羽田空港の今日の実態、これは、私は日本航空のパイロットをしている友人がおりまして、しかも住まいが御近所なものですから、ときおりこのパイロットからいろいろ事情を聞いておるのですが、羽田はすでに飽和状態になっており、ちょっと油断をすれば大事故発生のもとになるのだ、だからわれわれは四六時中緊張そのものです。だから何とか羽田空港を拡張してもらうか、国際新空港を早くつくってもらわんとわれわれは毎日毎日が寿命が縮む思いだ、こういうことを実は言っているわけです。そういう実態に今日羽田空港があるのかどうか。ごく簡潔にひとつ御答弁願いたい。  それから新国際空港がいま三里塚につくられようとしておりますが、三里塚ばかりでなしに、どこに国際空港をつくろうと、国民の犠牲なくして国際空港のような広いものができるとは思わない。ただし、その国民の犠牲をしいるのに、そのしい方が、つまり国というものが十分責任を負って、その犠牲を最小限に食いとめて、その目的を達する空港をつくるかつくらぬかというところに問題がある。いま、成田の空港の問題は時間がありませんから質問を避けますけれども、羽田の実態から想像して、早く新国際空港をつくらなければならぬという点だけは私どもも考えているわけです。その点について、羽田の実態と、それから新国際空港をその危険を取り除くためにどの程度早めにつくらなければならぬかという見通しをひとつきょうは御答弁いただいて、あとの問題は、時間が来ておりますから次回に譲りたいと思いますので、この点だけひとつ御答弁を願いたい、こう思います。
  35. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 羽田の処理能力でございますが、飛行場の処理能力には、滑走路の離着陸回数の能力と、それからお客さんを積みましたり、貨物をあげたりする場所、スポットと申しておりますが、スポットの能力、それからその他の安全施設の問題があると思います。羽田につきましては、現在の三本の滑走路で、離着陸回数といたしましては十七万五千回まで処理する能力がございますが、四十一年度で十一万回、本年度は約十二万回強というところでございまして、この離着陸能力から見ると、羽田はまだ能力が残されておるわけでございます。ただ、これが四十五年度になりますと十七万五千回になりますので、新空港をどうしても四十六年の四月から供用開始をしなければならない、こういう状態でございます。  それから羽田のスポットの能力は現在飽和点に達しておることは、先生の御指摘のとおりでございます。現在三十一のスポットがございます。これは夜間込み合う時間等ごらんいただきますと、これは飽和状態に達しております。このためにも羽田のスポットの拡張、それから航行の安全の面からBランという横風用の滑走路がございます。これの拡張をぜひ早急に着手したいということで、ただいま財政当局と交渉をいたしております。  それから新国際空港は、羽田のこのような状態から、いかにいたしましても、四十六年四月に四千メートル滑走路の供用開始をいたさなければ、これは日本としてゆゆしい事態になるわけでございます。その点、先生の御指摘のように、この新国際空港をつくりますことによって犠牲を受けられる方に対しましては、大臣もたびたび申しておられるわけでございますが、全国民的な負担でこの犠牲を除くようにいたしたいということで、政府一丸となりまして、関係各省でとり得るあらゆる施策をとるようにただいま進めておるわけでございます。
  36. 柴谷要

    柴谷要君 これで終わります。
  37. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は、きょうは通勤、通学輸送と、これに関連して国鉄の定期運賃の値上げ問題、それとあわせて通勤対策上から見た都市の超高層ビルの問題、大体この二点に集約してお尋ねしたいと思うのです。  最近財政の硬直化ということが大きな問題になっておりますが、国鉄の財政の硬直化はたいへんなものだというふうにわれわれは了承しております。現在の国鉄の借入金は大体一兆三千億といわれておる。そうして利子だけで一日三億円、こういわれておるわけですが、一方においては、輸送の混雑という問題から、新しく輸送の強化ということをやらなくてはならぬ、こういうふうなことで、多額なる費用がここにかかるわけですが、そういうことで国鉄当局自体が政府に対して、とにかくいまの状況からいうと、運賃収入から見てますます国鉄の財政の硬直化という問題はひどくなる、こういうふうなことで、政府に対して出資なり、あるいは低利の財政投融資、こういう問題を要請しておるわけですが、これに対して、聞くところによると、なかなか大蔵省はうんと言わない。運輸大臣もかなり当面の問題の重要な点として折衝してきておるが、昨年度も、これは国鉄の独立採算という名前のもとにこれが拒否されておる。こういうふうなことから考えてみて、国鉄自体としてこれを切り抜けるために、運賃収入の大きな部分として定期代の値上げということをいっておる。ところが、定期代の値上げについては、これは会社負担なり官庁の負担ということで直接個人の負担にならぬという論が出回っておりますが、しかし、現実に公務員等は打ち切り旅費でこれがまかなわれておるし、特に通学ということになれば、これは直接的に父兄負担ということにこれが転嫁される、こういうふうなことを考えるというと、最近における米価の値上がりを中心とした物価の上昇は非常なものがある。これは戦後最大と言っても過言ではないと思う。これに追い打ち的にこの通勤、通学に対するところの定期運賃の値上げということになれば、これはすぐにはね返ってバスあるいは私鉄その他の全部これが値上げということになるんではないかという心配がある。そうなるというと物価の上昇にますます拍車をかけていくということになるわけでありまして、そういう点で、時間が制約されておりますので、端的に言って、国鉄として、また運輸大臣として、この定期代の値上げについてどうお考えになっているのか、ひとつこれを御答弁願いたいと思う。
  38. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。  国鉄は、現在の通勤輸送における交通地獄というものは、これは万難を排してひとつ解決しなければいかぬ。でありまするが、これはいかにもお金がかかる。特に現在における通勤、通学輸送の問題は、主として東京、大阪の両都市の近郊に発しておる。それだけ非常に金がかかる。その一番大きな問題は土地の問題、これを一体どうして解決していくかということなんです。問題は資金の問題。でありまするが、国鉄はいままで通勤、通学問題につきましては、公共企業体として発足以来非常に大きな割引をやってきた。昭和二十四年から四十二年までにおける、いわゆる公共負担というものは合計して一兆二百億になっておるのでありますが、そのうちの約七割というものは通勤、通学に関する割引料の問題、それも五割を超過して約七千億に達しておる、五割を超過した分だけで。それでこの通勤、通学の輸送の問題を解決するについて、私はこれは原則からいえば利用者負担にしていくのがほんとうだと思う。それを今日まで国鉄というものは、昭和二十四年以来忍びに忍んで通勤、通学に対して非常な大きな割引を継続してやってきた。しかし、いまやとき来たれり、もうそういうことは継続することはできない。少なくともこの費用の一部分というものは、これはやはり利用者負担に持っていくのがほんとうだということで、すでに第三次計画を実行するにつきまして、四十年度から少なくとも通勤、通学者に対しては、ひとつ割引料を是正しようということで四十年度に運賃値上げをしたのでありますが、そのときに勤労者に対しては割引料の是正をした。今回やろうとするのは第二回目である。つまり割引料の是正をするということはすでに既定のことで、第一段階を過ぎ第二段階についた、今度は四十四年において第三段階をやって、通勤の割引をするのはそれを五割にしようということで、今度の通勤割引料の是正をしたのであります。この点につきましては、どうして通学のほうをやらないかということなんでありますが、通勤のほうは、その大部分というものは雇い主の負担であります。中にはそれは本人が一〇〇%負担しなければならないものもありますが、しかし、その数においてはそうたいしたものではない。大部分は雇い主負担である。かかるがゆえに、物価政策の上からいきましても、本人の自己負担というものはわりあいに少ない。それだからまずここをひとつやろうということである。通学者に関しましては、これは一〇〇%通学者自身の問題であります。これは割引料が現在平均して八割七分でありますが、これはやはり通勤着並みにやるということは、負担者の立場に立って考えみると、これは同情しなければならないということで、これはひとつこの前の通勤着の割引料を是正したとき以来やっておりませんが、今度初めてやる。それも通勤者の場合においては三回にやるというやつを、今度は四回、五回に分けて徐々にやる、そしてあとに五〇%にしたいということで通学者に対しては遠慮したわけであります。私はこれは当然戻るべきところへ戻ったことだと思います。たまたまこれは物価問題というものと接触しているのでありますが、どうもそんなことをやっていたのでは、いつまでたっても国鉄というものはにっちもさっちもいかない。大体国鉄のいままでの昭和二十四年以来の経過を見ますと、国鉄の運賃というものは、しょっちゅう物価問題でもってそのしりを国鉄運賃に安くたたきにたたきつけられている。それがつまり自己収入というものが非常に減って、その結果輸送力の増強というものができない。今日における通勤、通学の交通地獄にいたしましても、路線における輸送力不足にいたしましても、その自己資金の少なさということが一つの原因になっている。これはやはりこの際、今日まで忍んできたんだ、ひとつもうやってもいいんじゃないかということでやった次第であります。国鉄のいまの状態から言えばやむを得ないと思います。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸大臣の答弁は、じゃ、あとにいたしますが、いまの総裁の答弁でわかる点もあるけれども、いまの混雑の状況でお客さんを乗せて、それでもとへ戻すんだと、五〇%まですると。会社負担だと。しかし、会社負担ばかりじゃないですよ。だから、そういう点で、内容的にいうとどういうふうにお考えになっているんですか、運賃の値上げの内容。いま言ったように三回か、四回か、五回かというふうなことを言われておりますが、その中身についてちょっと説明を願いたいと思います。総裁で無理ならば別の——総裁ばかに演説が長いから、持ち時間が制限されているからちょっと困るんです。あんたの演説会じゃないんだから——内容的に言ってください。
  40. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) いまの内容という意味はどういう意味なんですか、もう少し詳しく具体的に。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 どういうふうに率を計画的に上げていくのかという、国鉄のいまの考え方を聞きたい。つまり割引率を減らしていくわけでしょう。それをどういうふうな減らしていき方を考えているのかということを、中身を聞いている。
  42. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 通勤の問題につきましては、通勤、通学とも大体三割五分の値上げになると、こういうことであります。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまのはあんまりこうざっぱくな答弁だから、もうちょっと内容をひとつはっきりしてもらいたい。
  44. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 中身につきましては、大体実収三百億程度のものを見込むつもりでいま検討中でございまして、それを通勤、通学にどう割り振るか、また、その中身をどうするかということについては、目下検討中でございまして、決定的なものにはまだなっておりません。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 決定的なものを聞いてるんじゃないんだ。いま構想を総裁が言ったから、大体現在においてはこう考えておると、その現在の考え方を聞いているわけなんです。それはまた、それによって率が変わってくるかもわからぬけれども。
  46. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 大体通勤、通学の割引の是正によりまして、合計して三百億の収入増を見込んでおるのであります。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 だからそれを、大体、そうするというと、三割五分の増収というと、最終的に計画がどうであるか知らないけれども、通勤のほうも通学のほうも——通勤のほうは割引率五〇%どまりまで持っていくと言われておりますがね、通学はどうするのですか。それを年次別にどう考えているか。それが確定しているとは言わないけれども、それを聞いているわけです。
  48. 石田禮助

    説明貴(石田禮助君) 通勤のほうは、さっき申したように今度第二回目の割引是正をやって、さらに四十四年度に第三回をやって五〇%まで持っていく。そうしてそれによってことし得られる通勤の割引是正による増収というものは二百七十億、それで通学のほうは大体ことしは三十億の増収、それでことし——四十三年度にやりまして、そのあと三回か、四回にして五割まで持っていく、こういうことであります。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、定期の値上げによって総トータルでどのくらいの金の増収はかるつもりですか。
  50. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) ただいま申したように、通勤、通学の定期の割引率の是正によりまして、合計して三百億であります。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、運賃の定期の値上げという問題と、これは国鉄の財政との関連が出てくるわけですが、国鉄は運輸省を通して、いま大蔵省に対して出資というものを求めていると思うのですが、それは幾らですか。
  52. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 三百九十五億であります。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 その点については、これは運輸大臣に聞きますが、大蔵省との関連で、いま三百九十五億と言われましたが、われわれが関知しているところでは、大体九百億ぐらいひとつしてもらいたい——これは出資だけじゃないんですよ、全体的にいってそういうふうな話があったわけですがね。運輸大臣のほうとしては、直接的に大蔵省に対して、そういうふうな国鉄の財政の硬直化に対する政府の、これは独立採算といっても国鉄の責任ではなくして、いまの過密都市の状況からくる都市の、大都市問題としての通勤、通学の問題でありますから、これは国がある程度負担してやらなければならぬのじゃないかと、こういうふうにいわれておりますが、運輸大臣として大蔵省に折衝しているのはどのくらいの額ですか。
  54. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 運輸省といたしましては、本問題につきましては、国鉄において予算書を編成いたしまして、来年度の予算を大蔵省に要求をいたしております。これを要求どおり認めまして、そのまま大蔵省へ取り次いでおるわけでございますが、その内容といたしましては、出資令は三百九十五億、そのほかに膨大なる負債を国鉄は負うておるのでございますが、今年度以降の負債に対する利子補給をあわせて要求いたしておりまして、その金額が六十五億、そのほかに国鉄として割引率の引き下げによる三百億の増収を見込んでおるわけでございます。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 大蔵省来ていますか。大蔵省に伺いますが、国鉄の借り入れ金一兆三千億、一日の利息三億。第三次長期計画でいろいろな建設をするわけですが、通勤対策として五千八百億と言われているわけですが、こういうふうな緊急なる事業に対して、何ともならぬというので、これはわれわれも昨年以来この問題について、大蔵省に対しても運輸大臣に対しても、国鉄の現在の財政状況から見て、大蔵省はある程度国民に対して負担をかけるということの前に、やはり出資なり利子補給なり、その他の方向でこれをカバーすべきであるというふうに言っておったのですが、なかなかこの問題が進展しないように見受けられるのですが、その国鉄に対する補助とか出資という問題について、大蔵省はどう考えていますか。
  56. 米田正文

    説明員(米田正文君) 国鉄の全体の経営につき、財政計画等については、来年度の予算要求を中心にしていま折衝いたしておる段階でございます。いまのお話は、大蔵省の考え方に対する御質問だと存じます。その点を申し上げますと、大蔵省は来年度予算を考えてまいりますには、全体の財政という点から考えてまいらなければならない。で、新聞等で盛んに報道されておりますように、財政の硬直化というものは、いまの大問題でございまして、そういう点から、全体について個々にひとつ解決をはからなければならぬと思っております。国鉄についても、硬直化がかなりひどいと私どもは見ております。そこで考え方の基本ですが、やはり基本は、国鉄は独立採算制という原則から考えていくべきであると、こういうのが考え方の基本でございます。しかし一〇〇%そうかというと、そこは問題はあります。ありますが、考え方としては、国鉄自体の収支というものをバランスがとれるようにしていきたい、そうしないと、これが一般財政の中に入ってくるとたいへんなことになる、財政全体がくずれてしまうおそれもあるというような心配もいたしております。そこで、やはり原則は国鉄の独立採算というものを原則にいたしていきたい、こう考えております。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 その論議はもう過去の論議でね、現在の論議じゃないですよ。それはいままで放置して、国鉄が無為無策でやってきたということではなくして、国鉄のほうとしては、財政の硬直化というものは、もうかなり前からいわれてきている問題なんです。それに対して、あまりにも国鉄に対する一つの財政的な処理の方法として、やはり国がいまの条件、情況の中から、これにてこを入れなければ、実際問題として、事故対策とかそういう問題を言っても、独立採算というワクだけでは無理じゃないか、こういうふうに指摘されてきておるわけです。私はおかしいと思うんですよ。外貨の獲得とかいろんなことを言って、船のほうには利子を補給している。いいですか。これがまあ立ち直って、大体いま配当を始めている。これは運輸省関係として、もちろん外貨の獲得という問題があったればこそ利子の補給という問題がなされてきたと思う。こういうことについては早急に金を出す。ところが、それ以上に現状において財政の硬省化がひどい国鉄という問題について、何でも独立採算でやるということになれば、全部それが国民にしわ寄せされてしまうわけです。だから、定期代の値上げとか運賃の値上げという問題の元凶は大蔵省だというふうにわれわれは指摘したい。独立採算ということでやっていけるならばそれでやってもらいたい。われわれもそう思う。ところが、現状における大都市問題をかかえて、国鉄が独立でそろばんをはじけるいま状況にあるのかないのか。そろばんをはじける状況にないですよ。それだから、苦しいから定期代の値上げもする、通学の値上げもするということになれば、これがすぐはね返って他の輸送機関に全部影響してくる。こうなるというと、一体政府の物価対策というものは何なのか。大蔵省何を考えているのか。ほかのほうで幾ら言ったって、総合的に言って、物価対策上から見て、そう軽々に値上げというものをやられてしまったのではこれはたまらない。こういうふうに国民が考えている現状において、大蔵省は独立採算だから利用者負担だというそのことばだけで、あとはほとんどめんどうを見ない。これでは現在における物価対策についても、通勤通学対策についても、大蔵省は全然もう手をこまねいて何にもやっていないということに私はなると思う。それで、利子補給について、いま運輸大臣が言いましたが、利子補給について造船のほうの関係と考えて、どういうふうに考えているか、大蔵省御答弁願いたい。
  58. 米田正文

    説明員(米田正文君) いま個々の問題については、大蔵省と国鉄、運輸省との間に折衝中でございますから、まだ結論を申し上げるわけにもまいりませんが、いずれにいたしましても、国鉄経営の全体についての考え方、将来の方針、そういうものを、やはり基本線のレールを敷いて、その上でひとつ処置をしていきたいというので折衝いたしておりますから、漸次具体化し、明確化してまいりますから、その時点でまたお答えをいたします。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの答弁では満足できませんね。  総裁に伺いますが、率はわからぬが、国鉄のほうから利子補給なり出資という問題があれば、定期運賃の値上げの問題について、たとえば先ほど言われた出資三百九十五億、利子補給六十五億なり、こういう問題が出てくれば、一体どういうふうにお考えになりますか。定期運賃の値上げ、いわゆる大蔵省の国鉄に対する財政の援助あるいは出資、こういう問題との関連でちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  60. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私は通勤通学の割り引きの是正の問題は、大蔵省が国鉄に対して利子補給その他出資の問題、するしないにかかわらず、これは原則としてやはりやらなければならぬ問題だと言って、これを要するに、利用者負担ということなんです。ただ、あんまりこれを一ぺんにやるということは、これは非常に気の毒なんですからして、通勤通学の割り引き率是正によって三百億という限度にとどめる。そのほかの必要額に対しては一つ利子の補給、第二に出資の問題ということを大蔵省にお願いしている次第であります。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 よくわかりました。そうするというと、もう何がなんでも定期運賃の値上げをすると、それによって三百億の増収をすると、その点は変えないわけですか。
  62. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 仰せのとおりであります。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸大臣にお伺いしますが、そうするというと、まあ利用者にこれを転嫁するのはあたりまえだと、一体、物価との関連をどう考えているんです。これ以上やってくれば、必ず次にまた運賃の値上げがきますね。私は、いまの国鉄の財政上から見て、第三次長期計画計画どおり財政が間に合うというふうにも私は思われない。そうするというと、定期運賃の値上げをやった、また間に合わない、次は国鉄運賃のまた改正、貨物の改正というふうにくるということは大体予測されるんですが、その点どうですか。これは運輸大臣
  64. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 国鉄のほうで定期の値上げについて三百億円を目途とし、おおむね三割五分の値上げをしたいという要望を持っておられることは、いま総裁からお話がありましたように、そのとおりだと思います。ただ政府といたしましては、今日定期運賃の割り引き率の引き下げということを考えましても、これのやはり物価政策というたてまえから検討する必要もありまするので、今後十分に検討した上で政府全体として結論を出すべき問題である、かように考えておるわけでございます。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 本年度はいつから定期運賃の値上げを考えているわけですか、国鉄総裁。
  66. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 四十三年度からであります。来年四月からです。
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 四十三年度幾らの増収をはかるつもりですか。
  68. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これはただいま申し上げましたように、四十三年度だけで、合計で三百億円であります。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 四十四年度は大体どういう想定をされておりますか。
  70. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 四十四年度につきましては、大体通勤のほうは是正するつもりであり、また通学のほうも是正するつもりであります。その額についてはまだはっきりしておりませんが、いずれにしましても、通勤については第一回をすでにやり、第二回を四十三年度にやり、第三回を四十四年度にやって、通勤は五割までもっていく。通学のほうに関しましては、第一回を今回やりまするが、第二回の時期につきましてはまだ決定しておりません。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 いずれにしても、第二回の通学の定期の値上げはやるわけですね。
  72. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) そういうつもりでおります。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは最後に運輸大臣に申し上げますが、これはやはり総合的に私は物価対策としてこの問題をとらまえてもらわぬと、やはり困るということを先ほど申し上げましたが、特に通学の問題については、通勤はもちろんのことでありますが、先ほど総裁も言っているように、これは全額父兄負担になっている、そういうふうなことで、これは通勤通学ともにやはり非常に国民にしわ寄せするという感じが強くなると思って、物価対策上ゆゆしい問題だというふうに考えて、私はきょう質問しているのです。この点については、できる限り、いまの国鉄の借金の内容を見ていても、非常に短期債が多い。つまり十五年、二十年という長期の資金はごく少ない。鉄道のような長期の工事ですね。長期の計画に基づく工事とするならば、これは五年や七年の融資では非常にもう財政上回らなくなるのはあたりまえだと思う。そういう面で現在国鉄の大体借り入れ金の内わけを見るというと、平均で年七分をこえているというふうに言われている。そうするというと、やはり出資したものが、投資したものが返ってこないうちにまた新しい工事に入るということになるならば、これはもう借金で火の車になるということはもう目に見えてわかっていると思う。こういうふうなことを考えていく場合に、国鉄のほうのやはり破産ということは避けなきゃならぬし、もう現状においてはぎりぎりの時点にきているのではないかということを考え、それが直ちに大蔵省の言うように、利用者負担だとか独立採算とか、とぼけたことばかり言って、結局大都市問題に目をつぶっている、こういうふうな問題について、大蔵省としてもやはり抜本的な姿勢をとって対処してもらいたいと思うのですが、運輸大臣の答弁をお願いしたいと思います。
  74. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 運輸省といたしましては、先ほども申し上げましたるごとく、本問題につきましては、物価政策全体の一環として、政府全体としての立場から結論を出すべき問題と、かように考えて慎重に検討をいたしておる次第でございます。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一ぺん。先ほど私が言いましたように、大蔵省のほうはことばを濁して言いませんが、聞くところによるというと、運輸省としては造船の利子補給をさらに続けたい、こう言っておられるようですが、私は造船の利子の補給という問題については、やはりいろいろと外国との競合という問題があるので、一がいにここでは断定できないとしても、しかし、現在の船会社の回復状況から見て、やはり重点は国鉄の利子補給というふうな問題にかなり精力的にやってもらわにゃ困るというふうに考えるわけですが、少なくても国鉄の収入の中から、一日利息三億円と言われるわけなんですが、これはほんとうですか、総裁。
  76. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) そのとおりであります。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 そのとおり……。そうするというと、これを見ても、この利子の六十五億というのも、これはたいした金じゃないと思うのだ。これはどういう根拠で六十五億と出しているのですか。
  78. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) その点につきましては、大蔵省のほうも非常に御理解くださいまして、利子の補給をやろう。つまり、国鉄のような仕事を七分以上の金をもってやるということは、これはもう無理なんだということで、大蔵省といたしましては、過去における債務についてはこれを問わず、将来これからの債務につきましては、六分五厘以上のものにつきましては六分五厘とその差をひとつ補給をしようと、こういうのですが、すでに道路公団あたりに対しては六分の資金を回しておるのでありますからして、国鉄に対しても六分ベースでひとつやってくれろ、こういうことで、その計算におきまして六十五億というものが出たわけであります。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは、いま言いましたことについて、造船利子補給の問題との関連で、私はやはり国鉄の利子補給というものをやって——しかし考え方によれば、これをやっても通勤定期を上げるのだということだから、少し私は熱意を失いましたがね。大体もう国鉄というのは、今度は君子豹変して、国民にしわ寄せするのもやむを得ぬ、こういう考え方だから、今後私は国鉄に対して考え方を変えにゃいかぬと思っているのですが、これは運輸大臣、どうですか。利子補給の点について、当然あれは利子補給をやって、これはやらぬなんてばかな話はない。
  80. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 予算要求としてどらちもただいま大蔵省に提出いたしてございますが、運輸省といたしましては、どちらも必要なものである、こういう考えでどこまでも要求を続けたいと考えております。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 大蔵省に聞きますが、その点はどうです。造船利子補給はいま幾ら出していますか。船会社にはずいぶん出して、どうもそこら辺がくさいな。(笑声)
  82. 米田正文

    説明員(米田正文君) 外航船舶建造融資利子補給としては今年度は八十八億六千万円出しております。
  83. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというとそれだけ出しておるわけだから、国鉄に対する利子補給というものをどう考えますか。
  84. 米田正文

    説明員(米田正文君) 先ほどお話し申し上げましたように、いま折衝中でございますから、いまここで答えを明らかにすることはできませんが、この利子補給については、国鉄全体の赤字問題の一環でございますから、それらのうちで大蔵省は何もかにも切ろうという趣旨で言っておるわけではなくて、やはり国鉄が今後再建して収支のバランスがとれるようなことを基本に考えていこうというのでございますから、さしあたりのいろいろな方途はございましょうから、利子補給等についてもよく今後折衝をしていきたい、こう考えております。
  85. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうときにはやはり前向きの姿勢とかなんとかいうことばが出ないと、また昔のような腰だめでやろう、こういうふうに受け取れるのです。大体熱意がないね。民間の会社に対してはどかどかっと利子補給をするが、国の輸送力をになっておるものには——これはそのうちにもう利息だけで赤字になる、赤字がふえてこれがまた結局運賃値上げにひっかかってくる、 いまからはっきり言っておきます。そういうふうな面で、先ほど運輸大臣が言ったように、これは物価対策全体として十分検討することにして、一応この定期運賃の値上げの問題についてはこれで終わりますが、あとはあととしてやります。
  86. 柴谷要

    柴谷要君 関連。これは運輸省と大蔵省のほうに質問したいのですけれども、日本国有鉄道という名のコオペレーションが固定資産税を多く取られているというのは一体どういうわけですか。これは私どもの考え方とするならば、まず大蔵省あたりに考えを新たにしてもらいたいと思うのは、国鉄がこのような赤字で苦しんでおるときには固定資産税は取らない、しかし、経営が順調にいって利益が出た、こういうときには多少固定資産税は取ってもいい、こういうふうにわれわれは常識的に考えるのだけれども、一体固定資産税は今後どう処理していくつもりであるか、運輸大臣並びに大蔵当局から見解を聞いておきたい。これはまた大蔵委員会でもやりますけれどもね。
  87. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 国鉄に対します固定資産税は、営業用のもの以外のものに対してかかっておるのでございまして、これにつきましては、法のたてまえ上やむを得ないということであります。問題は市町村納付金でございまして、事業用の資産に対しましては固定資産税をかけないというのを原則にいたしておるのでございまして、ただこれに対しまして別途市町村納付金というものを納めるということに特別法によりまして定められておるのでございまして、この制度の当初の趣旨というものが現状の状況では相当変わってきておりまして、現在の姿におきましては、国鉄が市町村納付金を負担するということにつきましては、何とかこれを免除していただきたい、こういうことで現在自治省のほうと折衝を重ねておる次第でございます。
  88. 柴谷要

    柴谷要君 私の言うのは、大ざっぱに言ったのですが、固定資産税と市町村納付金ですよ、これは合わせると大体百二十何億かになるだろう、国鉄が納めているのは。そういうものを国有鉄道に課するのが妥当かどうかということなんです。だから今日まで納めていたことは百も承知なんです。国鉄が取られておる。だからそういうものは筋の上からいっても取るべきではないのじゃないか。で、そういう金は、いわゆる国庫納付金、いわゆる国から支給する金によって補って、そして国鉄には取らぬ、こういう方針が打ち出せないものかどうか、こういうことをまあ私は質問するわけなんです。これは一番筋が立つのですよ、利子補給などよりも筋が立つ、このほうが筋が立つことなんです。しかも日本国有鉄道なんです。だからそういうところから税金を取るのじゃなくて、そういうものは廃止をしてやる、こういう考え方に運輸省も大蔵省も立たぬかどうか、これを立てるべきだ、立たぬなら立たぬでいいんですよ、これは何回でも大蔵委員会でもやりますからいいですけれども、しかし利子補給とこれと比べた場合には、どちらが筋か立つかといえば、私は固定資産税と地方納付金は廃止したほうがまだ筋が立つと思う、だからそれを申し上げている、その点大蔵省の見解をひとつ聞かせてもらいたい。
  89. 米田正文

    説明員(米田正文君) 国鉄が非常に赤字だから、こういう市町村への納付金はこの際廃止したらどうかという御意見ですが、この納付金は御承知のように固定資産税の税率を半額にしてあるので、すでに減額率で納付してあるわけですが、確かにお説のように国鉄だけの面からいえば廃止をするという考え方も出ると思います。また一面、地方公共団体のほうの財政面からいいますと、また、これをすぐ廃止されると非常に困るという意見もあるものですから、いま大蔵省としてもいろいろ検討しております。そして国鉄もいまお説のようにこれを廃止してもらいたいという御希望もあるようです。で、国鉄としてもそういう希望もありますが、また一面、地方財政のほうも問題でありますから、これは自治省——きょうは自治省おられぬようですが、自治省との問題が出てまいりますから、これらと折衝をいたし、検討もいたしたいと思います。
  90. 岡三郎

    ○岡三郎君 この問題については、財政の硬直化の問題やいろいろな問題で、赤字線の廃止の問題等出ておりますが、この問題はあとに譲るといたしまして、輸送上より見た最近における超高層ビルの問題についてちょっとお伺いしたいと思うのです。  これは建設省と運輸省、国鉄にお伺いいたします。いま国会のわきに霞ケ関ビル、三井ビルが建ちつつありまして、非常に不調和な建築物だと私は見ておるわけですが、しかし端的に言って、いま美観論争というふうな形でこの問題をいろいろと指摘されておりますが、一体足の問題はどうなっているのかということについて論議が少しも出ておらぬように見受けられます。これはいろいろと都市の改造問題、都市開発のビジョンという問題がわが党あるいは自民党等からもいろいろといわれておりますが、これはまあ各党派全体として、やはり人口が集中しているところの都市における市街地改造の問題は、これは焦眉の急である、こういわれておりますが、これに対して足の問題を考えておらぬというと、またこの問題が大問題を起こすのではないか、こういうふうなことを考えているわけです。こういうことについて磯崎副総裁が「文藝春秋」にやはりいろいろと言われておりまするが、実際問題として霞ケ関ビル、三井ビルにしても完成した暁は、あの中へ入る人が一万人ないし一万五千人といわれているわけです。いまの状況でいうと地下鉄も精一ぱい、都心のラッシュは言うに及ばずということになるというと、これが一転して丸の内の高層ビル、東京海上のビル問題がいま出てきている、あれ一つにとどまらず、もろもろの計画があるようです。こういう点についてまず先に建設省に伺いますが、丸の内かいわいにおける超高層ビルの建設についてどうなっているのか、計画がどういうふうにいまなっているのか。最近においては帝国ホテルが、国有地の関連ということも言われておりますが、ある程度低めて十七階ぐらいにするというような話も聞いておりますが、一体丸の内周辺における超高層ビルの建設の計画というものはどうなっているのか、この点をまず聞きたいと思います。
  91. 竹内藤男

    説明員(竹内藤男君) 御承知のように東京の環状六号線と荒川放水路の内側につきましては、現在容積地区制がしかれております。これは敷地と建物の容積を規制する制度でございまして、それに基づきまして丸の内地区においてもそれぞれ七種から十種、つまり敷地に対して七倍から十倍ぐらいの建物の容積にし得るというような地区制がしかれております。容積地区制がしかれますと、高さの制限は取っ払われるわけでございますが、建物の容積を敷地との関係で押えておりますので、将来これが超高層のような高い建物が出ましても、容積自体は容積制限によって押えられるわけでございます。具体的に丸の内地区でどうなっているかということでございますが、御承知のように丸の内地区は大部分は従来の絶対高さの制限で三十一メートルに、その上にペントハウス等のものが乗っかっておりますけれども、そういうような形ででき上がっておりますが、一部、最近できましたビルにおきまして六十メーターあるいは五十メーターというようなビルができてきております。なお具体的に問題になっておりますのは、東京駅の近くにございます東京海上のビルの問題あるいは帝国ホテルの問題というようなことが出ておりますけれども、私どもの段階でまだ最終的にそれをきめたわけではございません。そういうような状況でございます。
  92. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がありませんのではしょりますがね。最近これがしばしば問題になって、美観の問題も重要ですが、足の問題について先ほど言ったように論議されてない。これは続々と新しい計画があるように報道されています。これはまだ建設省のほうへ直接そういう計画提出されておらないかもわかりませんが、そういう状況が喧伝されている。そこで、いま言われているのは、あるいは建築構造上の問題、こういうことで東京都から建設省のほうへこれが出されている。まあもう一つは建築基準法の中にある美観条項ですか、というものがある。しかし、いま端的に言って、東京海上ビルを建てるか建てないかという問題になってきている。私は、こういう問題について副総裁あるいは運輸大臣は、いままで輸送人員の増加というものについていろいろと検討されてきていると思いますが、いまの都心の状況というものは、昼間人口と夜間人口というものは非常な差が出てきております。ほとんどその差が開く一方です。それは土地が高いからやむにやまれずどうしても郊外へ郊外へと住宅が伸びてくる。勢いそれを都心に運ばざるを得ない。ただオフィスを続々つくって都心に住宅というものを考えない政策というものがあり得るものかどうか、これはでたらめだというふうに私は考えているわけです。少くとも西欧諸国、アメリカにおいてもどこに行っても、かなりショッピングの問題とオフィスの問題、そういうふうな問題と住宅の問題かね合わせて相当検討されている。これは日本の場合においては都心の場合は地価が高いということにもよるかしらぬけれども、人間だけ集めて夜はみなそれぞれのねぐらへ帰る、こういう状況がますますこういうふうな超高層ビルの建設によって促進されているということになるならば、一体これはどうなるのだということを考えているわけです。その点、副総裁、当面のしわ寄せがくるところですから、国鉄の立場でひとつ意見を開陳してもらいたい。
  93. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの岡先生の御質問でございますが、いま建設省のほうからおっしゃいましたように、具体的なお話はまだないようなんで、私どもとしてはまだ研究の段階にすぎませんので、多少仮定が入るかと存じますが、たとえば東京海上ビルの場合に、お話を承ってみますと、今度あれが超高層になっても、容積は前と同じなんだというお話でございまして、それならば前の九階建てビル、大体四千人くらいだと思います。これならばいままでやっておったことでございますが、しかし、たえとば先ほど先生のおっしゃったそこの三井ビルなどを見ますと、あれなんか完全に私どものほうから見ますと、一つ新しくできたような気がするわけでございます。あれで約一万五千人といわれておりますが、あすこのビルに入るオフィスの人は、結局私のほうから申しますれば、大体山手線の付近にオフィスを持っていた人たちが、やはり便利だからこっちへくるということになると思います。したがって、そうでなくとも大体いまの東京の千代田区、港区、中央区、この三区の昼夜間人口の差は約百二十万といわれておりますが、結局そういうことになりますと、その三区以外の、オフィスの人がこの三区に集まってくるということになるわけでございますから、したがっていままで私どものほうで推定いたしておりますような、大体年率六%前後で通勤客が伸びていくということにさらにプラスになるというふうに考えるわけでございます。一口に一万五千と申しましても、私どもの中央線で運ぶにいたしましても、一電車二千人といたしましても七本分でございます。これは非常に膨大な数でございますし、地下鉄などから話を聞きますと、あすこは六両編成でございます。したがって幾ら詰め込んだって千人ちょっとしか乗れないと思います。そういたしますと一万五千がもちろん全部地下鉄に乗らないでバスその他があるにいたしましても、非常な地下鉄としては大きなロードじゃないかと思いますし、私のほうといたしましても新橋からここまで歩いて通われるにしましても、やはり相当部分が新橋までは国電に乗ってくるということになりますと、いままでの混雑にさらに輪をかけてひどくなるというふうに考えますので、極端に申しますと、たとえば海上ビルのところにアパートをつくってくれたら一番いいのだという話をいたしますが、何かそういうふうにいたしませんと、ちょうど住宅をおつくりになるときに足の問題がしょっちゅう問題になると同じように、やはり都心の高層ビルにつきましては、私どもの小さい目から見ますと、もう美観以前の問題が実はあるのではないかということを考えておりまして、いろいろうわさに聞きますと、将来もし東京海上のあそこに高層ビルができると、おそらくずらっと気象台のところまで超高層ビルが並ぶのだという話を承っておりますが、もしそういうことになりますと、せっかく地下鉄の東西線ができまして、中央線と直通運転をいたしておりますが、ほとんど焼石に水の通勤緩和になってしまうということになるから、やはり超高層ビルをおつくりになってオフィスがふえるならば、やはりそこに勤める、働く人の足の問題をお考えになっていただきたいというふうに考えるわけでございます。具体的になっておらないようで、あまり確定的なことを申し上げられませんが、われわれの感じといたしましては、やはりこの通勤輸送のことを考えていただきたい。やっぱり一口に一万五千、七本と申しましても、それがやはり八時半から九時半の間にかたまるわけでございますので、その意味でほとんど輸送力の限界にきているいまの状況に、さらにプラスになるということは、たいへん私どもとしては物理的能力をこすのではないかというような心配さえいたしております。
  94. 岡三郎

    ○岡三郎君 私も磯崎副総裁の意見と同じで、そういう点に対して建築と輸送というものがばらばらに進められるというと、現在でも住宅対策、これは重要な問題ですが、大きな団地がどんどんできる、そうするというと、それが全部一カ所の駅に集中してどんどんと運ばれる。千葉、神奈川、埼玉と、目に余るものがあると思うのです。しかし、何といってもやはりオフィスが東京にあるということになれば、いや応なしに地価が高いからいなかへ行く、そしてみんなが一定時間に全部東京になだれ込んでくる。これでは輸送関係のほうは悲鳴をあげるのはあたりまえだと思う。そういう点で私は運輸大臣にこれはお願いしたいのですが、積極的にそういうふうなやはり人口集中という問題と通勤輸送という問題、こういう問題をやはり考えて、輸送上の問題としてこういう問題は明確に取り上げてもらいたいと思うのですが、この点いかがですか。時間がないので、ひとつ簡単に。
  95. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) ごもっともだと存じますので、運輸省といたしましても、今後さような方面に十分注意するようにいたします。
  96. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで建設省に伺いますが、美観条項とか、建築構造上の問題とか、いろいろな問題がありますが、いま言われているように輸送関係の問題を抜きにしてこの問題を考えてもらっては困る、これはもう美観問題よりももっと大きい問題だと私は思っているわけです。それで、当然都市改造として、いまの東京のようなばらばらな住宅政策からいえば、どんどん都市改造をやってもらわなければ困る。それはたとえばいま一・四階から一・六階と、平均にならせばこういうふうにいわれておりますが、これを六階なら六階にするというような考え方があるとするならば、当然下は店にしてその上を住宅にせなければ、これはもうはけきれないわけですからね。六階建てのビルだけ全部そろえたってたいへんなことになるのです。ということになれば、やはり都市改造というものと住宅政策というものは密接不可分の関係で、輸送上これは欠くことのできない問題だと思うわけです。そういうようなところに超高層ビルということになってしまうと、これはもうめちゃくちゃだというふうに考えるわけです。そういう点で私は超高層ビルというものに対して、きょうはほんとうは建設大臣に来てもらって、この間建設大臣は閣議でこの問題について話をどれだけ進められているのか聞きたいと思ったのですが、私の意見としては、やはり超高層ビルの問題は、建築学界だけの問題ではない。輸送上大きな問題である。これが一つの刺激になってやはりどんどんと三十階、二十階、二十五階というものが出てくるならば、これはもう輸送の限界を通り越して処理できなくなると思うわけです。幾ら国鉄がなけなしの借金で金かけたって間に合わない。それだけでなくして、通勤者そのものがあふれてしまうという現象になる。昭和四十六年まで第三次計画でやるとしてももう限界、もう悪くなるのを何とかして少しでもとめようとするだけで、焼け石に水の状態になっていると思うのです。そういう点で、一つの企業者が何か高いものをつくってPRに使うとか、宣伝に使うとか、一つの企業の一つの利益になるということで、でかいものをつくる。建築構造上についてはいろいろなことを言われているけれども、これは差しつかえないと言っている。しかし、足の問題については一切触れておらぬということになるならば、こういう問題については建設省はやはり運輸省と相談して、超高層ビルについてもやはり立法化して制限すべきだと私は思っている。独立法を出して、やはりこの時点で制限すべきであると私は考えている。つまり少なくとも建物を建てる場合については、そのビルの高層化については、住宅を伴わないビルの高層化というものはこれはもう困る、いまのところは。そういうふうなことを私は強く指摘しておきたいと思うのですが、この超高層ビルについて建設省として、これにブレーキかける考えございませんか。
  97. 竹内藤男

    説明員(竹内藤男君) 通勤との間で問題になりますのは、実は高さの問題よりもむしろ容積の問題と用途の問題だと思います。現在東京都の、先ほど申し上げた地域におきましては、容積の制限と用途の制限ということをいたしておりますが、おっしゃいますように、都心に事務所がうんと入ってくるということは、通勤輸送を増しますし、また、住宅はどうしても郊外に出ていかざるを得ないということにもなりますので、私どもといたしましては、何もかもいろいろな施設が都心に集まって存在するということは、東京の都市構造の上から言ってもよくないのじゃないかということで、一つは事務所の分散と申しますか、副都心計画というものをただいま進めております。さらに東京の都心部の中にございます各種の流通施設を外側に出すというような流通センターの構想も進めております。そういうようなことによりまして都市構造を多心化していくということが一つ必要じゃないかと思います。超高層が問題になりますのは、まあ美観とかその他そういうような観点から問題になるのだと思います。したがいまして、特定の地域以外につきましては、現在のように容積制限で、高さは制限しないというような方向で大都市については考えてまいりたい。こういうふうに考えております。
  98. 岡三郎

    ○岡三郎君 その考え方は、いまの国鉄の副総裁の言っている意見と違ってきますよ。容積制限と言ったって実際上言ってずっと高い建物が林立して、そこに全部オフィスが入るということになれば、人員が一個所に集まってくるということになるわけです。そう考えませんか。だからあなた方のような考え方だから、国鉄はしわ寄せされて輸送が混乱してしまうということになるわけですよ。ただ容積制限しているのだからいいのだ、しかし全部そういうものがどんどん建ってくれば、それが全部オフィスということになってくると、そこへ一時的に一定時間に全部輸送人員が入ってくるじゃありませんか。これはどう考えているのですか。
  99. 竹内藤男

    説明員(竹内藤男君) 私が申し上げておりますのは、事務所の容積が問題であって、同じ容積であれば、高くても低くても容積は同じでございますので、高さというよりはむしろ容積が問題だということを言っているわけです。したがいまして、事務所がどんどん都心にできることがいいということを申し上げているわけではございません。それについては用途と容積でやはり押さえるべきである、さらに都市の多心的な構想に転換していくべきである、こういうように申し上げているわけです。
  100. 岡三郎

    ○岡三郎君 考え方はわかりました。その容積で押えるということ、それはオフィスの問題になってくるわけですが、しかし、実際としてそこに大きなものが、一ぺんにうんと入るということになれば、一時期に人が集中するということになりませんか。
  101. 竹内藤男

    説明員(竹内藤男君) どういう趣旨かわかりませんけれども、一つの建物で大きなものができるということが問題でなくて、その地域において、大きな容積の建物で埋まってしまうということが問題じゃないかと思うのです。したがいまして、そのほうは、やはり容積制限なりあるいは分散をはかっていくなりという形で制限、押えていくべきではないか、こういうように申し上げているわけです。
  102. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がないので、いまのようなことをはっきり言ってもらえばいいんですよ。要するに私たちが言うのは、通勤上より見て混雑する混乱するということをおそれているわけで、その問題を抜きにして私たちは考えていないわけです。美観の問題は、また別の方向で論じられると思うけれども、とにかく一つの問題でなくて、私のいま聞いているところでは、かなり多くのビルが集中してくる、あそこに。そうするというと、一定時間にそこのオフィスに人間が非常に集約されてくるということを心配するわけだ。だから事務所の問題としてこれを制限するというならばわかりますが、そうするというと、超高層について、上のほうについて押える押えないということについていろいろと論争しましたが、最終的にとにかく足の問題を抜きにした建築というものは、もういまや都市問題としては考えられないというふうに思うわけです。この点についてはこれは十分しわ寄せがいかぬように御検討いただきたいと思う。これはやがてまた建設省のときに建設大臣に伺いますが、建設大臣の意見がはっきりしないわけですよね、いまのところまだ。ただ、問題があるという話が出ておるだけだと思います。われわれのほうとしては建設大臣に対して、通勤の問題を抜きにした都市の改造というものはもうごめんこうむる、こういうようなことで、ひとつ大臣にこの問題については明確に言っておいてもらいたい。官房長からひとつこれは取り次いでもらいたいと思うが、どうですか。ひとつ官房長の態度を聞いておきたいと思います。
  103. 志村清一

    説明員(志村清一君) 岡先生の御趣旨十分大臣にお伝え申し上げます。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸大臣に、最終的にやはり同じ問題になりますが、やはりこれは国鉄自体の問題としては、将来の都市の改造という問題と連関して、これは一つのシンボルだと私は思っておる。そういう点で輸送問題と都心における都市改造という問題は、密接不可分の立場から、運輸大臣として、建設大臣とそういう点について十分検討してもらいたいということをお願いしたいと思うのです。これは要望です。
  105. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) この問題御趣旨はよくわかりましたので、建設大臣と十分話し合ってみたいと思います。
  106. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 午前中の審査はこの程度にとどめ、午後一時二十分から再開いたします。   午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  107. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 まず、大臣にお伺いしたいと思うのです。午前中も、柴谷委員のほうからはなはだ言いにくいことではあるけれどもという前置きをされて、最近の運輸省の問題につきましてお話がありました。私も懸命に仕事をなすっておるその運輸省の方々には、たいへん残念なことだろうと思うのですが、ちょっと見渡して見ましても、あまりにも事件が多過ぎると思います。たとえば七月には、たしか広島の陸運局の関係で暴力団の運営するタクシーに有罪が確定したあとで、増車を割り当ててあったということが発覚して、県警本部のほうから、きわめてきびしい注意が陸運局にあったというふうなことが知らされております。さらに、それに引き続いて、冷房の割り増し料金の問題で、大阪の陸運局関係の事件がいま捜査中です。さらに今度は、これも最近の新聞の報道ですが、東京陸運局で、トラックの運送業者の事業免許申請にあたっての事件が報道されております、これは陸のほうでありますが。さらに、関東海運局のほうでも、港湾運送事業の免許をめぐって、やはり監理課の舟艇係長ですかが、逮捕されて取り調べを受けております。最近二、三カ月の新聞の報道をかいつまんで調べてみても、あまりにも事件が目立っているのではないかと思うわけです。で、私ども日ごろ、これは確かに安全の確保という意味からではありましょうけれども、運輸行政が、たとえば国鉄にしても、私鉄にしても、道路運送にしても、通運事業にしてもあるいは海運、倉庫、航空、造船、これらすべて事業法の規定がありまして、運輸省の許認可を必要とする事業になっております。そういうところが、かえって今度は免許がきびし過ぎる、きびし過ぎるということが、逆に既存の業者の擁護になったり、あるいはきびし過ぎるということが、かえって政治勢力がそこに介在をするような原因になったりするわけでありますが、最近のこういう事件を振り返ってみられまして、大臣が、今後それをどう是正されていこうとするか、まず、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  109. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) まず、公務員の綱紀の問題でございますが、これにつきましては、実情は御指摘のとおりでございますので、運輸省といたしましては、この際管下の公務員の綱紀の粛正につきまして、厳重に留意を促す措置をとることにいたしました。また、事業免許に関連をして、とかくおもしろからざる事態が伴いやすいであろうという御指摘でございますが、運輸省といたしましては、これらの免許等につきましては、常に一定の基準に照らして処理をする、その基準は、公にされておるものでございまして、へんぱな処置のないように常時監督を厳重にいたしておる次第でございます。なお、政治勢力その他不当な勢力によって処分が影響を受けるおそれがないかという点でございますが、この点につきましても、運輸省といたしましては、そのようなことのないように十分留意をいたしておるつもりでございます。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ、今後の姿勢についてお話をされたと思うのです。従来そういうことがあったということを、そのことばの裏に——事務の処理上何かそこにそういうものが食い込むすきがあったのではないかということについては、具体的にお話がなかったのですけれども、しかしまあ暗黙のうちに、そういうことを今後も反省をされるということでありますが、今度は特に、今回のこういう事件を振り返ってみて、運輸省のいわゆる許認可の事務が既存の業者を守る、あるいはより強いものを擁護すると、業者の。そういうふうなことに偏しているのではないかというのが、これが個人タクシー免許をめぐりましても非常にやかましく言われました。こういう点をどのように打開されていこうとするか。いまのお話では、手続として必要な書類があるものについては、公平に見ていくという従来の原則を繰り返されただけですが、しかし、実情はそうでなかったということが明確にされたようです。その点について、その食い違いを、特にこういう問題が起こったあとですから、どのように規制されていこうとするか、この点についてお伺いしたい。
  111. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 個人タクシー免許の事務が長らく停滞しておったということは事実でございます。この点につきまして、今年春の通常国会におきまして、御指摘がございました。いろいろの調査をいたしましたところ、三十九年に東京オリンピックが催されました年に、一時多数の申請が殺到をいたしたのでございます。当時ある程度は処理をいたしたのでございますが、あまりにも件数が多く、人員が手不足のためにその後しばらく事務が非常に渋滞しておったという事実があったのでございます。そこで、私といたしましては、国会終了後、直ちにその事実が明らかになりましたので、これが対策といたしまして、現在の不足な人員ではありますが、しかし、これを動員することによりましてできるだけすみやかに処理をするということにいたしまして、八月以降、毎月数百件ずつ必ず月々に処理をしていく。これによって三十九年以来たまっておりまする約三千件を年度一ぱい、すなわち、来年三月末までに全部処理しょう。三十九年以後にたまりました事件が約千件ほどございます。これをその後引き続き処理いたしまして、来年じゅうには、現在手持ちのすべての案件処理して、適切なものは免許し、しからざるものは却下するというけじめをつける方針を立て、現に実施中でございます。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただいまは大臣から、個人タクシー免許については、事務の処理を進められて、いわゆる世の中でいわれる既存の業者をバックアップしているのではないという姿勢をはっきりされたと思うのですが、その他道路運送事業、貨物の運送、トラック運送とか、それからまた海運の航路事業とか、そういうものについても、やはり既存の業者をあまりにも擁護し過ぎるというふうな、あるいは強いものを擁護し過ぎるというふうな批判もないわけではないわけです。これらについても同様に、さらに姿勢を正して検討されていくと、こういう姿勢と了解してよろしいでしょうか。
  113. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 特定の業者を擁護するというようなことは、交通機関の免許行政においてあるべき事柄ではないのでございまして、常に公衆の利便というものを頭に置く。ただし、関係業者の過当競争によってつぶれるというようなことでは、かえって目的に逆行するおそれもございますから、需給の調整ということに留意しながら公平に、そしてあくまでも公衆の利便というものを前面に打ち出して処理していく、これがただいまの考えでございます。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 公衆の利便を考えて過当競争と需給関係を考慮しながら公平に処置をしていくという御答弁のように伺いました。そのように理解さしていただきます。  次に、私四国に住んでおりますが、最近、いわゆる自動車航送、フェリー事業といわれているそうでございますが、その業者が——業者といいますか、その利用者が非常に多くなってまいりました。したがって、その問題につきまして、若干理解しにくい点もありますので、お伺いをしたいと思うのですが、一応たてまえとして、このフェリー事業、これが特に免許があるいは認可を必要とするように、最近になったように伺っております。したがって、この問題について、フェリー事業に対する法律の制定の経緯について、ちょっと概略かいつまんでお話をいただきたいと思います、年次別に。
  115. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) このフェリーの関係のみならず、貨物運送事業、旅客運送事業につきましては、海上運送法という法律があるわけでございます。これは、昭和二十四年にできた法律でございますが、フェリーというものがだんだん多くなってまいりましたので、昭和四十年の六月に、この海上運送法が改正になりまして、このフェリー——貨物自動車を乗せる航路事業で旅客を十人以上乗せるものにつきましては、これは、許可制となったのであります。それまでは届け出——貨物だけをするもの、あるいは不定期事業、そういうものは届け出で足りたということになっておったわけでありますが、その四十年以降許可制になったということでございます。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 お伺いしますと、海上運送法が四十年の六月に改正になって、その上いわゆるフェリー事業は免許を必要とすると、こうなったとお伺いしたわけですが。そこで、海上運送法で一般旅客定期航路事業、こういうふうな認可を受けて、そして従来ずっとやってきた人が、今度は、自動車航送でフェリー事業の件で認可を受けるときには、これは、受けるものは従来の業績もあるのですから、同じような一般定期航路事業者がすべて対等な権利と義務で法律で守られるということが至当だと思うのですが、この場合どうでしょうか。ということは、車種の限定がなされるということは、同様にやってきていて、一社にはトラックに限るというふうな車種の限定がされるということになっておるようでございますが、この辺は、ちょっと矛盾じゃないかという感じがするわけです。
  117. 野村一彦

    説明員(野村一彦君) その件につきましてお答えいたしますと、一般旅客定期航路事業の免許、これは海上運送法ができました当時からやっているわけでございまして、いわゆるばら積みの旅客を積んで運ぶことができますし、それには貨物を積んで運ぶこともできるわけでございます。自動車航送事業というものがだんだんと普及いたしまして、それに車両を積むということになりますと、事業計画というものがございまして、免許を受けたいわゆる一般旅客定期航路の事業者の持っております事業計画の変更、これはあるいは使用する船舶を変える、いわゆるカー・フェリーに変えるとか、あるいは搭載する旅客の定員を変えるとか、あるいは搭載する貨物の種類を変えるという場合には、事業計画の変更ということで、これは認可制になっております。したがいまして、免許を持っている事業者が、その事業計画内容を変える場合には、認可ということで、そのつど認可を申し出る。そうして事業を審査して、適当であればそれを認可する、こういうことになっております。それからいままで貨物を運んでおりました事業でございますが、先ほど局長から申し上げましたように、貨物の事業が四十年に許可制になりまして、これは十二人と十三人で旅客船か貨物船かということを区切っておりますので、たとえばトラック等を乗せて運ぶという場合には、運転手等を含めて十二人以下の定員で運ぶ場合には、いかなる車両を運んでも一般的には貨物事業でございます。しかし、運転手等を含めて十三人以上の人間を乗せて運ぶ場合には、それは旅客定期航路事業としての免許を今度は新たにとらなくてはならない、こういうことでございます。それで従来、いわゆる俗に言います貨物フェリーをやっておった方が、旅客フェリーになる場合には、新たに免許をとる必要がある。その免許は、運輸審議会にはかって、大臣が運輸審議会の答申を尊重して結論を出す、こういうことになっております。  それから条件のことについてお話がございましたが、その条件につきましては、たとえばトラックとかバスとかあるいは乗用車というものについて、そこの輸送需要、その後の輸送実績、そういうものの需給の見通しを調査いたしまして、そうしてもし需給上過当競争になるようなことがあれば、その車両の種類ごとに条件をつけて制限をするということも場合によってはございます。そういう実情でございます。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 後段におっしゃったことは、たしか海上運送法の第二十三条の五の、条件を付することができるという内容の御説明だろうと思うのですが、もう一つ、くどいようですがお伺いしたいのです。この二十三条の五に条件を付することができると、こうなっております。これは、どういう点を考慮して条件を付すると、このように考えてよろしいですか。
  119. 野村一彦

    説明員(野村一彦君) 条件を付します場合には、いま申し上げましたように、もし無条件に免許を与える、あるいは既存業者について事業計画の変更を認めるということになりますと、通常の状態において予想される需要を著しく上回って供給力のほうがふえる。したがって、そこに非常に過当競争が行なわれるというようなことの場合に、その搭載する旅客とか、あるいは貨物の種類等について、これをある程度制限をするというようなことについて条件を付するというふうに考えております。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合に、業者が数社ありました場合、これはどういうふうに考えたらよろしいですか。過去にそういうフェリー事業をやっていた、ところが、法で自動車航送はこういうふうにきめられた、こうなりますと、いろいろ自分は、まあそれぞれ条件のいい、いわば無条件の仕事をしたいわけです。で、申請を出すわけです。それを受けたものに対して、運輸省としてそれを認可を与え、免許を与える場合に、やはりその企業の立場も考えてやられると思うのですが、これはどうなりますか。
  121. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 免許を与える場合に、数社が、複数の企業が、そこの同じ航路にいるという場合に、どのようにわれわれが考えておるかと申しますと、われわれの一番心配をいたしますのは、輸送力の供給過剰のために非常に過当競争が起こる。まあ、企業間における、言うなれば、非常に血みどろな競争が起こる場合もあり得る。そういう場合に、お互いに無理をする。そのために、やがては安全性の問題までいくということがわれわれの一番心配する点でございますし、また、免許をする以上は、その事業が成り立っていくように考えていく必要があると思います。そのために、まあ免許をやった以上は、いろいろの義務を課しております。これは当然公共事業でもございますし、一たん免許を与えた事業が、すぐ過当競争のためにうまくいかない、つぶれていくというようなことではいけないということで、われわれとしては需要と供給とが見合うような輸送の供給力を用意していく、これが一番大事なことではないかということで考えるわけであります。ところが、複数の社がある場合に、どうしてもそこに先発企業と後発企業とがあるわけでございます。それで、先発企業というのは、やはり何といいますか、草分けの努力と申しますか、そういう苦労があるわけでございますので、そういう開発利益といいますか、そういうものは結果的にはどうしてもあると思われるのであります。それで、先発企業がある場合に、後発企業が同じ事業をやりたいということで申請を持ってきました場合、われわれは供給力として需給のバランスがどうなるかということをまず考えるわけであります。そこで、供給力が足りないということであれば、これは利用者の利便ということは当然考えるべき事柄でありまして、そういうことも十分考えまして、これは認めるということになるかと思うのであります。そういうようないろいろな、既存業者だけを擁護するということでなしに、免許行政ということにつきましては、やはり免許した以上はその企業がやっていけるようにしていく責任があるという観点が一つと、需給のバランスあるいは過剰投資の防止、過当競争の防止あるいは利用者の利便、こういうふうな観点をいろいろな点から考えまして免許をいたす、こういう考え方をいたしております。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 その先発、後発の問題ですが、運輸省では、先発企業と認める時期はいつを押えておりますか。たとえば自動車航送の、かつては貨物船として届け出をして、それでできた時代もあったそうです。その時代からずっとやってきている。だけれども、それは先発企業としての優先権が認められない。こういう実情がここにあるとすれば、先発企業とは、一体どの時点で認めるのか。開発利益といえば、その届け出によって、ずっと従来やってきた人も開発利益はあるわけです。あそこに自動車航送が、あの線で、あの時点では、自動車航送ができるぞということが、相当期間の間に一般に流布されておりますから、その面での開発利益はあるのですが、実情としては、それが守られていない。こうなりますがね、その点どうでしょうか。
  123. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) いま先生のおっしゃるケースというのは宇高の航路における……。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は一般的に申し上げました。
  125. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) たとえば宇高のケースじゃなしに申しますと、旅客定期というものと貨物定期というものとの二つがあるわけでございます。それで、従来届け出でやっておりましたのは貨物定期でございます。われわれの考え方といたしましては、旅客というものは、人命を扱う関係上、特に厳重な審査をするという考えをとっております。そのために、旅客のほうは免許になっており、貨物のほうが従来届け出になっておったわけでございます。それで、その先発企業、どの時点で先発と認めるかということでございますが、これはいま先発、後発と申しましたのは、旅客定期事業として先発であったか後発であったかということを、私が申し上げたんでございまして、貨物定期というものを、ずっと前からやっておられるとすれば、それは貨物定期としての先発企業でございます。それで、新しい分野に、貨物定期の分野から旅客定期の分野に新しく入ってこようとされる場合には、それは、旅客定期の分野から見れば、後発企業だと言うことができるのじゃないか、こういうことでございます。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 具体例であとからお伺いしたいと思いますが、先ほどの、条件を付することができるという意味は、いわゆる過当競争の防止、それから先発企業の擁護——擁護といいますか、その経営を成り立たっていけるように、やはり免許事業であるから、見守ってやらなければならないという行政的な立場、それから需給のバランス、もちろん公共の利益というものを加味しながら条件を付していく、こういうことですが、それはわからないわけはないのです。ですが、じゃ、一たんそうやって、先発、後発と、こういう形ができますね。そうすると、先発企業のほうはぐんぐんぐんぐん設備をふやして、そうしてその需給のバランスということが一つの条件のあれになっているのに、供給力がどんどんどんどんふえていく。こうなりますと、後発企業は食い込む余地がないわけですね。やはり需給のバランスというものを考えて条件というものを付するのであれば、先発企業に対してもある程度のやはり義務的なもの、条件も付さなければならないと思うのですが、この点の考え方はどうでしょうか。たとえば先発企業に対して船腹をふやすのについて、これは同じ関係業者の理解を得たかとかいうふうなサゼスチョンがあってもしかるべきじゃないか。こう思うわけですがね。言いたいことは、先発企業であるがゆえに守られる。そうすると、格差がついたままそれがしかもぐんぐんぐんぐん離れたようなかっこうになって、とうとう後発企業はそれに太刀打ちができなくなる、こういうことが出来すれば、かえって、片手落ちな行政になるのじゃないかという心配がありますが、この点はどうでしょうか。
  127. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 陸上運送の場合に、いわゆるトラック屋と——まあ貨物屋ですね、貨物屋と旅客屋とありますように、海上の場合におきましても、従来自分の業務の範囲を主として貨物運送に置いてきた業者と、旅客運送に重点を置いてやってきた業者とがある。それで、これはその業界においてはおのずから一つの何というか、業務分野としてお互いに認め合うということが通常の常識になっておるわけであります。それで新たに、たとえば貨物をやっていた業者が旅客のところに入るということになる場合に、いろいろ業界としては、これは大問題なんでございまして、その場合にいろいろトラブルが起こる可能性があるわけでございます。特に、こういうような新しい輸送形態であるところのフェリーというものが出てまいりましたために、この旅客と貨物という分野の境い目の出入りが出てきた。それで、いろいろの業者間のトラブルというものがよく見られるようになっておるわけでございます。われわれはできるだけ業者間において円満に話し合って、そうして非常に秩序ある輸送ができるということが一番望ましいわけでございます。したがって、そういう新しい分野に入ろうとする場合は、ひとつお互いに話し合ってトラブルの起こらぬようにやっていただけませんかと、こういうことをよく言うわけでございます。それで、そういう話し合いで片がつかぬ場合に、いろいろ申請書が出てきて、それをどうするかというときに、いろいろわれわれ頭を悩ますわけでございます。それで、いま先生のおっしゃいましたように、先発企業というものをそういうふうに擁護していくならば、どんどんそれが大きくなって、ハンディがどんどんついていってしまうということでございますが、そういうことになりますと、これはまたあまり離れていけば、たとえば一番極端な場合には、独占というかっこうになるわけでございますが、そういうような場合は、また一つそういう独占の弊というような観点から考える必要が出てくるわけでございます。で、大体そういう先発企業についても条件をつける必要はないという御趣旨でございますけれども、必要があれば、つける必要が何らかの理由によって出てくれば、これは、また考える必要があるかもしれませんが、何か弊害が出るにしてもですね、そういうふうに考えておるわけです。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、一般的な問題として、なるべく地元のことですから、具体的な例を出したくなくて、遠回しな言い方をしていたのですが、話がうまくいきませんので、具体例に切りかえます。おっしゃるとおり、守野−高松間のフェリー事業であります。私、先般どうしても利用する必要がありまして使おうとしましたが、乗れません、乗用車です。三時間待たなければ乗れないということで、すぐ横にまた別の会社がありますから、そこで交渉しました。ところが、うちはトラックしか乗せられませんということです。それは、完全に積載の能力があいておりまして、ごらんのようですけれども、乗れませんと、どうしても必要なんだから乗せてくれと、問題があれば海運局でお断わりをすると、強硬に交渉したのですが、あなたの立場があるだけに乗せられませんと、こういうことなんです。あなたが議員なるがゆえに乗せられません。実は、ここで乗せますと、宇野へ着くまでにちゃんと向こうの見張り人が来まして、そうして、そこで始末書を取られることになっております。その会社にですよ、始末書を出せと、強要される。したがって、私どもはとうてい太刀打ちができませんので乗せられませんというので、押し問答したのですが、遂に不可能。とうとうその自動車を捨てまして、鉄道連絡に切りかえて出てきたわけです。そういう事件がありまして、ちょっとそのときに、私もあまりに——これだけお客さんが待っている、しかも乗用車が非常に多いわけです。で、宇高国道フェリーに乗せる場合は、乗用車もトラックも何も条件はないわけです。とにかく先着順といいますか、顔のきく人はやっぱり入っていくようなケースもありますけれども、非常にたまっているわけですね。それが乗せない。一方に船腹が余っている。それで私、若干そこで事情も聞きましたし、後々いろいろ調べてみました。そうすると、こういうふうな実情になっております。数字が間違っているかもしれません、非常にざっとした調べですから。数字に間違いがありましたらあとで訂正もさしていただきますけれども、昭和三十四年には、四国フェリーという会社、これが二百三十五トンの船、木造船だそうでございます。木造船でトラック、自動車の運搬をやっておった。同じく日通フェリーが百二十トンの船でやっておった。両者とも木造船ということです。それから、三十六年になりまして宇高国道フェリー株式会社というのが旅客フェリーの免許をとった。申請はしたんですが、ここだけが免許認可になったそうです。他の四国フェリーも申請はしたんですけれども却下になった。これには、またいろいろな事情があったようですが、それは割愛します。で、宇高国道フェリーが五百九十四トンの船で就航をした。そのときに四国フェリーは二百三十五トン。それから日通フェリーは百二十トン。それからずっと割愛をしまして、三十九年の三社の船腹の状況は、国道フェリーが二千九百十四トン、それから四国フェリーが千九十トン、日通フェリーが六百九十三トン。で、四国、日通両社が旅、客フェリーの免許申請を、この三十九年に出したそうです。おっしゃるとおり昭和四十年の六月に海上運送法が改正になりまして、この二社は従来の事業遂行ができなくなりました。この期間には免許はありませんでした。そして四十一年の八月になりまして、申請のありました二社に旅客フェリーの免許があった。ただし、船腹が過剰だという理由によってトラックのみが許された。そのときの三社の船腹状況は、国道フェリーが三千八百トン、それから四国フェリーは千四百七十九、日通フェリーが千二十八トン、こういうふうな船腹の状況でありました。そして今日どうかといいますと、宇高国道フェリーは四千七百トン、四国フェリーは千四百七十九トン、日通フェリーは千二十八トン。で、乗用車の需要は非常に多いわけです。申し上げましたように、私が三時間待ったのは、別に土曜日でもありませんでした。日曜日でもありませんでした。もちろん真夜中ではありません。ちょうどたまたまピークになった時間だそうです、聞いてみますと。そういう状態がしょっちゅうあるわけです。ですがなぜ乗せられないか。これはもう供給力が過剰だから。乗用車についてはそんなに伸びがないから。トラックはよろしい、伸び率が大きいから。トラックは認めましょう、乗用車は認めない、こういうことで、二社は現在限定されたまま輸送しているわけですが、利用者にはたいへんな不便をかけております。現に私も被害者の一人です。で、乗用車については伸び率がないとは言っても、先ほど申し上げたように宇高の場合に、船に乗せる場合は、トラックも乗用車も差別はないわけです。にもかかわらず乗用車だけはあまり伸びがないからといってそれをはずすということが、これはちょっと免許の場合にことさらにこじつけた条件のようではないですか。現に運輸審議会の記録も私取り寄せまして調べてみたのですが、そうなっております。トラックのほうは伸び率が大きいからよろしい。ところが乗用車のほうは宇高フェリーだけで十分だからこれはいけない、こういう免許の理由になっているようですね。だけれども、利用者、乗るほうから言わすと、繰り返すようですが、トラックが何台いたから、乗用車が何台いたからということは一向関係ないわけです。車が何台か乗るわけですから。この辺はそろそろもう是正をする時期ではないか。特に公共の利便というものがうたわれている以上は、それを考えた以上は、ここで再度検討していかなければならない時代ではないかと、こう思うわけですが、この点はどうでしょうか。
  129. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 宇高のこの輸送状況、三十七年以来のふえ方につきまして、手元に資料を持っておりますが、三十七年から八年、それから八年から九年、この間非常にまあふえ方が激しゅうございます。三十八年六四%増、それから三十九年に五二%の伸び、というふうに非常に急激な伸びを示しておりますが、三十九年から四十年にかけては二一%の伸びというだいぶ伸び率が下がっております。それから四十年から四十一年には二四%アップ。これも六四%から五二%、この伸び率、それから見るとだいぶ落ちてきておるということが言えるのではないかと思います。そしてこの車両台数の中で、その内わけを見ますと、これは四十二年度の統計でございますが、トラックが全体の四〇・五%、三輪車、四輪車が三一%ですから、大体貨物、トラック、三、四輪車、いわゆる貨物を運ぶ車がほとんど七〇%以上を占めておる、そういう状態でございます。いわゆる乗用車は全体のうちで二一・一%という占有率でございます。そうして、最近の伸び方でございますが、トラックについて見ますと、四十年が二十四万八千台が四十一年には三十万八千台というふうに伸びておりますが、乗用車について見ますと、四十年の十二万九千台が四十一年に十二万八千五百四十六台、大体横ばいのような形になっております。また、一方、この乗車効率というものを見てみますと、宇高フェリーのほうは四八%、四十年の九月から三月までは四八%の乗車効率——百積めるものが四十八。平均しますと、いろいろピークや何かもあると思いますけれども、平均いたしまして四八という乗車効率になっております。それから四十一年の九月から四十二年の三月までの間では半分以上をちょっとこしまして五二%というふうになっております。一方、いまあげられました四国フェリーについて見ますと、これはなるほどいま宇高フェリーに比べては乗車効率が悪うございまして、四十年九月から四十一年三月までの間は三四%、それから、その後四十一年九月以降は三六%というふうに若干乗車効率が上がっております。で、たまたま先生が利用なさろうとしたときに非常に御迷惑をおかけいたしたようでございますが、この運送事業というものは非常にピークという、そういう時間帯がございまして、そういうときに非常に御迷惑をかけるのですが、こういうふうに平均をいたしてみますと、まあ宇高フェリーでも五〇%前後という乗車効率なのであります。それでピークに合わせて施設を用意するということにすれば、これは利用者の方に一番迷惑のかからないことですが、こうなりますとまた事業者のほうの経済性が下がるという関係もございます。要するに需給のバランスがいまの実情でバランスしておるのかどうかという判断の問題になるかと思います。先生たまたまピークの時間に当たられたのでありまして、そこのところだけの感触からいきますと、需給のバランスがとれていないというお感じをお持ちになったかもしれません。しかし、全体の伸びを見ますとこういうふうなかっこうになりますが、これでいいかどうかというのはやはり一応検討する必要があると思います。せっかく先生の御注意もございましたので、そういう点から検討を、需給のバランスがとれておるかどうか、いまのバランスでいいのかどうかということを今後検討してみたいと思います。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと私聞き漏らしましたが、四十二年度推定輸送量というのは、全車種を含めていわゆるこれはどういうふうな換算をするのか知りませんが、何万台と推定で押えておるのですか。出ておりませんか。  それから採算の、いわゆる乗車効率ですか、それの採算のベースというのは一体何%くらい考えておりますか。先ほどは宇高の場合は四八%から五二%、一方、四国フェリーの場合は三四からあと若干好転して三六%、こういうふうなお話ですが……。
  131. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 車種によりましてもいろいろ違いますし、その事業そのものの、まあ事業の形態と申しますか、そういうものによっても違いますが、大体まあ四割ぐらいを見当にすべきではないかというふうに考えております。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、四国フェリーの場合は採算を割っておるのですね。それから国道フェリーの場合は繁忙期、繁忙期でないにしても採算ベースをはるかに、一〇%もこえておるわけです。この点がいわばちょっと是正をしていただかなければならぬ問題ではないか、こう思います。  それから局長はそのピーク時にたまたま私がぶつかったという話ですけれども、私はしょっちゅうこの国道フェリーは利用するのです。非常に便利がいいのです。いまたしか二十六分おきぐらいに出ております。真夜中であっても。旅客として利用するわけですが、相当にたまっておりますよ。これは私がぶつかったのは、乗せてくれなかったのはそのときですが、乗客としてそれはすごいなとこう思うことがしばしばあります。これはひとつ、さっき午前中も大臣が覆面で査察されたらどうかという話がありましたが、ほんとうに現状を海運局としてもつかんでいただく必要があるんではないかと、こう思います。で、いわばその採算いわゆるその乗車効率、需給の比率、そういうものをポイントにおいてこの点は是正をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、私よくわかりませんことは、海上運送法に業者間で協定を結ぶ、こういうことがあるのですがね。これは同じような力のものが協定を結ぶのはいいのですが、大きいものと小さいものとが協定を結ぶ。大きい小さいにかかわらず今度は発言力のあるものとそれから弱いものとが協定を結ぶ。これがずっとついて回るらしいのですね。この点についてはどうでしょう。私ちょっと矛盾のような気がするわけですけれども。というのは、これもやはり調べていきますと、これが四国フェリーの関係でほんとうにこんなに、いわば何といいますか、関係当局に対して自分の事業の実情をよく開陳できない。いくじのない会社だなと思って私もあきれたのですけれども、この四国フェリーが土庄と宇野と、それから土庄と高松。岡山の宇野に小豆島の土庄、ここに路線を持ってるわけです。これが小豆島急行フェリーというのと協定を結んでいるわけです。これが非常に一生懸命に仕事はしているのですけれども、協定の比率の割合が非常にまずいというので、いまあっぷあっぷいってる。さらに今度は小会社ですけれども、たしか岡山・小豆島フェリーですか、そういう会社をつくりまして、これがまた土庄と岡山との航路を持ってるわけです。それがまた南備海運という会社と競合の路線になりまして、ここでもまた協定が結ばれているのですが、就航する航海数とそれから協定との間に非常に割りを食っているような実情が出てきているわけです。まあいくじのない会社だといってしまえばそれまでですけれども、しかし、いろいろ聞いてみますと、どうも発言をしても認めてもらえない。お心やすい政治家の方もあまり知っておりませんし、どうしてもこういうふうに割りを食ってしまうのですと、いわば弱き者の嘆きを申し述べておりましたけれども、この協定ということが、最初の協定がずっとついて回ってしまうのかどうか。これもまた海運局あたりが中に入って、そしてその是正を示唆してあげるということも必要ではないかと思うのですが、こういう意思がおありになりますかどうか。
  133. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) この海運関係には外航船舶については運賃同盟というような昔から百年の歴史を持ってるそういう協定行為ができるものもございますし、それから国内の海運につきましても、規定によりまして協定行為ができることになっております。いうなれば一種のカルテルの行為のようなものでございます。運賃協定ないしは配船協定、いろいろやり方がございます。いまやはり海運業という特殊性に基づいてこういうふうに実施されておるわけでありますが、輸送力というものは蓄積を許しませんのでほんとうに競争し出すとたいへんな競争になります。そういう意味からお互いにそれを手をつないでやっていくということでこういう協定行為を許されておるわけでございますが、これには協定には成り立ちからみていろいろなものがあるようでございます。新しい航路をつくるときに、その辺でやっていた幾つかの業者が集まってやると、しかし、自分がいままでやっていたこの航路は残しておいてもらいたいというような場合において、自分が一方ではその会社の中に合併のような形で入っておりながら、一方では既存の航路を一つか二つ自分で残すというような場合もありますし、その場合の協定のしかたもございますし、隣の航路と協定をする場合等もございます。で、弱いものと強いものと協定した場合に、しまいまでそれがどうにもならぬというようなことがあるのじゃないか。あるいはそういうこともあり得ると思います。で、われわれとしても、先生の御注意のとおり非常に著しく不合理あるいは不当というようなことがわかりますれば、やはり監督の責任上これは少し考え直したらどうかというアドバイスは、これはできるものと思います。その点は今後十分考慮していきたいと思っております。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間がないという通知を受けましたので、はしょらざるを得ないわけですが、ずっとお話を承っておりまして、実情の中から、さらにこの問題を検討していただく、そういうふうな御答弁のように伺っておきます。  ここで大臣に特にお願いしたいわけです。私、全然利害関係がないわけですが、特にこの問題を、私の意思で、この委員会で問題にしましたのは、ここに政治家としてはお互いに反省をしなければならない問題があるのではないかと思うのです。といいますのは、別にそれが影響しているとは決して私申しません。しかし、宇高国道フェリーの場合は、この四国フェリーと競合しております。四国フェリーが窮地におちいっております。宇高国道フェリーの実力者は、もとの運輸政務次官の経験のある方です。それから小豆島航路、高松−土庄−宇野、この航路で四国フェリーが競合しております小豆島急行フェリーという会社も、これも見ると、元運輸政務次官の肩書きを持っている方が社長をしております。さらに今度は四国フェリーの同系統の会社であります岡山・小谷島フェリーという会社と競合をしております南備海運、この会社には、顧問として、これまた運輸政務次官の肩書きをかつて持っていらした方が顧問として名を連ねていらっしゃるはずです。現職の衆議院議員です。そこに何らの関係があった、こう私は断言しません。しませんが、全然関係のないこの会社が、すべての場合において、三本の路線において窮地におちいっている。そうして、何もなかったでしょうけれども、そういう肩書きを持っている会社が、より以上に優位に立っている。これは地元では何かあったのじゃないかなというふうな取りざたをしている向きもあります。私、耳にはさんだことはあります。あったとは申しませんが、そういう事情を勘案された上、政治の姿勢、免許行政の姿勢を、大臣に勇断を持って是正をしていただきたい。こうお願いしたいわけです。答弁をお願いします。
  135. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 御指摘の、三つの既存業者に関連した航路について、いま具体的な免許申請も何ら出ておりませんし、また出たということも聞いておりません。もしそういう関連の航路について、何らか申請が出ました場合には、私どもは顧問がだれであろうと、社長がだれであろうと、一般の原則に従って処理するだけでございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは私、非常にいま心配しながら、念のために申し上げるわけですが、私があんまり話を掘り下げて聞きますので、四国フェリーが警戒をいたしまして、どうか問題にしないでいただきたい、されると、かえって私どものほうが窮地になるかもわからないというふうなことで、再三私のところへ念を押してまいりました。で、私もそういうことがありますので、注意をしながらお話をした。お願いをしたわけですけれども、どうかひとつこの会社の立場、あえて問題にしたくないという裏には、やはり何か弱小業者として負い目があるのじゃないかという心配も私はするわけです。ですから、この点は特に理解を持ってこの問題の解決に当たっていただきたいと思うのです。これは念のために、要望のようになりますが、重ねてお願いしておきます。
  137. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私は運輸行政の中でタクシー問題、それから国鉄の運賃等の問題について尋ねたいと思ったんですが、すでに柴谷、岡両委員のほうからお尋ねがあったので、触れられなかった問題だけに限ってお尋ねをしたいと思います。  先ほど自動車局長の答弁を聞いており、大臣の答弁を聞いておりまして、タクシーの問題ですが、乗車拒否の問題や、あるいは綱紀の粛正等をやって十全を期したい、そういう御答弁でしたけれども、東京陸運局管内の一都七県の状況を見ましても、タクシー、ハイヤーの業者が千四百に及び、その車両台数が五万三千台に及んでいるわけです。これを管轄する陸運局自動車二課のほうではその人員が二十四名、そのうちで、先ほど大臣が言明されたように、個人タクシーの許認可についての審査をいま一生懸命やっているのだ、そのためにさかれている人員が八人、残るのはもう十六人、この十六人が五万三千台に近い走っている車、そうして千四百に及ぶ会社、こういうところの事業監査をやったり、安全監理の監査をやったり、あるいは乗車拒否の調べをするということはとうてい人数的にいって、物理的に不可能ではなかろうか。現に陸運局長は、私どもはハイヤー、タクシー等の会社は三年に一回ぐらいしか監査できないのだ、こういう状況です。あれだけ乗車拒否しているのを監督官十六人の陸運局自動車二課の人で調査できるはずがない。そうしてみると、私どもは大臣の言明なり、局長がこうやっていきたいということをお話になりましたけれども、なかなかもって遠いような感じがするのですが、何か抜本的な対策が考えられないですか。一つの例とするならば、いまの二十四人の人員を増加するということは、いまの定員の上からなかなかむずかしいわけですから、しかしなお、政治的考慮を払って運輸省の中からこれを回して——たとえば、個人タクシーの許可の問題は二、三年にわたっておくれている、そのためにいろいろな情実が生まれる、あるいは事件が発生する、こういう現実を考えまして、人員を回して整理するとか、あるいは厳罰主義で臨むというけれども、現に厳罰主義をもって実際に掴むことはできない。だとすれば、私は、大臣みずから、局長みずからが、業界の人がもっと真剣になってとっかかって自粛態勢を整えるような方途を講ずべきではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、大臣のお考えはいかがですか。
  138. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) あまりにも自動車の数が多くて、したがって、なすべき仕事の量が人員に比べまして多過ぎてこなしきれないということは、御指摘のように事実でございます。したがいまして、現在の体制で役所側だけの努力だけで問題が片づくということは不可能でございます。どうしてもこれについては業者の協力というものが当然なければならぬと思うわけでございます。こうした体制を立てるべく今後努力いたしたいと存じます。
  139. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 自動車が非常にふえていくことは、これからも累増的だと思うのです。終戦のとき日本全国で自動車台数が十六万台、今日において千七百万台、免許所有者が、終戦当時は十二、三万であったのが、現在では二千万になっている。こういう状況で、しかもタクシー業の許認可が非常に多い。交通が繁雑になっている。これは私は単にこの委員会での大臣の決意表明だけでなくて、みずから飛び込んでいって、ひとつこの問題解決のために大臣の誠意を披瀝してもらって事態解決をはかってもらいたいと思うのです。  次に、先ほど柴谷委員の触れられた問題で、空港の問題でございますが、羽田が狭くなってどうしても四十六年には新国際空港を発足させなければならない。しかし、現実問題としては国際空港の問題は非常に困難な問題が横たわっておると思うのです。用地買収等の問題が現に大きく横たわっていて、大臣をはじめ公団の総裁等が非常な苦慮をしているわけですが、私はこの空港の問題につきまして大臣の所信をお伺いしたいわけでございますが、この空港の用地買収等の問題についてはもう少し考え方を改めていく必要があるんではなかろうか。成田の用地買収の問題ですが、金による買収というものは決して住民を幸福にさせないわけです。先ほど航空局長は全国民の犠牲においてこの問題を解決したいと言うが、その犠牲においてというのは、用地買収の費用を多くするということにいまの公団の考え方はいっているのではないか。公団では十アール当たり百万円、百二十万円と言い、地元側は三百万円、二百万円と要求している。しかし、私はこの金による買収では決して地元はなかなか納得できないと思っておるのです。同時に、この金による買収ということは、百万円あるいは百五十万円とつり上げていくことによって他の公共事業に大きな影響があるはずです。私はもっとこの点について考える必要があるんではなかろうか。同時に、もう少し地元の協力態勢を整える必要があるんではなかろうか。全国家的な要請で国際空港が生れるのだということについてはだれもがこれを理解できるが、しかし、自分たちの土地を提供するということ、これが問題で反対があるわけです。現在は条件付賛成派と絶対反対派があって、これがはち巻きをして、子供までかり出して反対の先頭に立ってやらせておるわけです。しかも、この反対の人たちの何が反対か、どうすれば解決するのだというパイプがないのです。知事さんにしましても、町村長さんにしましても、何としてもやらなければいかぬといって、条件的に進めようというだけであって、反対派の意向を十二分に納得させるだけのパイプがいま切れているのではなかろうか。私はこういうことを考える。私どもこういうふうなことを申し上げたのは、非常に抽象的でございますけれども、私はそこらに問題があろうと考えるからであります。私は現に自分の例を申し上げてはたいへん恐縮でございますが、筑波研究学園都市の際でも関係六カ町村あげてまっこうから反対して、毎日毎日バスの反対陳情がございました。住宅公団、県が説明に行っても、常に竹やりで追い回され、まきだっぽで追い回され、事態収拾ができなかった。しかし、金でない解決、しかも国際空港と全く条件が同じ事態であって十アール当たり三十四、五万円で全部解決した。県道沿いであろうが、奥深いところであろうが、全部一様に解決した。六百五十万坪がすっかり解決して軌道に乗った。鹿島開発の——後刻鹿島鉄道のことについてお聞きしたいのですが、鹿島臨海工業地帯のことについては国をあげての問題です。用地買収面積千百万坪、すでに八百九十万坪が用地買収を完了した。その用地買収の値段幾らかと言いますと、一番いい畑で反当十七万円、安い畑で十四万円、たんぼが最高のもので二十三万円、こういうところです。山林は反当十万という、なぜそうできたか、千百万坪という土地には、住家もあり、住宅地もあり、畑も熟田地もあるはずです。そこを一括買収して、そこに新たに工場をつくり港をつくるという大きな問題があって、当然反対があったはずです。それが知事や、あるいは市町村長、県議会等々、国会の人たちが一体となって、ここにこういう団地をつくることによって、ここに港をつくることによって未来はこうなるんだと、こうやっていきたいと、しかも土地はそうであるけれども、あなた方にはね返る将来の生活の保障が横たえられているんだと、よりよくしようじゃないかと、こういう話し合いをして、終局的には四カ町村が全部すべての地主、すべての農家が四割ずつ土地を提供して千百万坪という土地ができたんです。値段も、先ほど私が申し上げましたような価格、五カ年間は値段ストップ、それから家を移転したりなんかする補償はスライド式でやりましたわけです。千百万坪の用地買収費が平均でいきますと坪当たり六百円です。そしてその人たちがあくまで農業をやれるような態勢を整えてやらなくちゃならない、代替地の買収は完全にしてやりました。農業補償のために、代替地をやるために、土地改良をやるために、砂地帯に砂を掘り起こしてビニールを敷いて、そしてそれをりっぱなたんぼにしてやりました。ビニールハウスもつけてやりました。これに投下される資本が十億——国の金ではありません。会社による、民間企業による先行投資の金です。そしてりっぱに将来を築き上げる用地対策というのを立ててやったからこそ千百万坪の用地の買収が進められて、しかも出す買収価格というものは、先ほど申したように、いろいろの補償を含めましても坪当たり千円程度でおさまっているんです。町村の協力態勢というのが私は一番現実の問題だと思うんです。そこで、成田空港の場合、パイプが切れてるんだと、全学連の皆さんとか総評の皆さん方がただ行って騒ぐあの姿の中にはにじみ出てきません。この問題は解決できません。しかし、お役所的な考え方で強制収用でやっていくということではこれは絶対にできないはずです。血の雨を降らせながらそこに空港をつくる、そうではなく、もっとお役人の皆さん方、中に飛び込んで事情を聞いてみてください。大臣みずからも警察官に守られて何回か行っておるようですが、そういうことでない姿で飛び込んでいってください。私自身も何回か説明に行って竹やりで突つかれたり、火のついたまきだっぽで追い回されたんです。しかし、現実にわかっていただいたときには問題が起きなかったわけです。金で解決したんじゃないんです。だから、思い切ってやるんならば、農地買収に反対する人たちに思い切って完全な代替地をつくってやりなさい。それは十億かかっても二十億かかってもいいじゃないですか。百万円とか百二十万円という金を出すよりは、完全な代替地をつくってやってりっぱな近代農業がやれるような家をつくってやりなさい、それだって金がかからないわけです。鹿島の例を言えば、とにかく千六百戸の人たちが満足してやっている姿ができたはずです。その態勢が整わなければ、私は、成田新国際空港というものは四十六年までに目的どおりに完成することができなかろうと、かように考えるわけでございます。一時反対の人たちの騒いでおった霞ケ浦の国際空港をつくるときには、大臣のもとにのぼり旗を立てて反対陳情した。私は国家的見地に立って見て霞ケ浦の皆さんに、いま誘致することがあなた方のためにいいのだ、国家的要請にこうなんだ——結局しかられましたけれども、成田にきまったときに霞ケ浦周辺の皆さん方は、「中村さんなぜもう少し霞ケ浦にがんばってくれなかったのだ。向こうに行ってしまった」と言った。これは反対の親方ですよ。この現実を私はじっと考えて、金だけで解決ではないのだ。そしてもっと説得的な、積極的な立場に立って——しかも土地を手放すときに、若い人は大体理解できますよ。しかし、おとっつあん、おっかさんにはなかなかそこまでいかないのです。いい家をつくって若い人を住まわせてやれば、お年寄りたちも一緒に行きますよ。このくらいの施策をこの際思い切って打つべきだと思うわけです。  私の空港問題についての発言は非常に抽象的な発言でございますけれども、大臣のひとつしっかりしたお考えをお聞かせいただいて、私たちも協力態勢を——これは野党、与党を問わず協力態勢を整えて解決しなければならぬ問題だと思うものですから所信をお伺いしたいと思います。
  140. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) きわめて教訓に満ちたお話を承わりまして、大いに啓発されたような心がいたす次第であります。  私ども、ただいまの成田の空港の問題につきましては、お察しのとおり非常に苦慮いたしておるのでございますが、ただいまのお話のような点で、いままでわれわれの考えの足りなかった点もあるのじゃないかというふうに考えまするので、今後ただいまのお話を十分深くそしゃくいたしまして、新たなる態勢をもって何とかこの大事業の遂行に努力をいたしたいと思っております。
  141. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 どうぞその点は、ひとつ大臣考え方を公団の皆さん方、そして千葉の町村の皆さん方にもお伝えいただいて、具体的にひとつ前進をおはかりいただきたいと思うのでございます。  次に、先ほど委員の言われた国鉄の通勤、通学の定期券の値上げの問題でございますが、私はいまの都市スプロール化現象から見ていけば、今後もますます大きなこういう問題が、交通ラッシュが生まれてくることが予想される。それに対処して国鉄が思い切って対策を立てなくちゃならない。国鉄の計画をずっと見ますと、ラッシュアワーを解決するために国鉄が投下する資本、それを一人当たりに換算してみますと、大体四十万円かかる。七分の利子と先ほど申しましたが、そうすると一年間に二万八千円の利子がかかるわけです。定期券は、学生、通勤者おしなべて大体月千二百円の平均のあれです。そうして一年間の定期券からあがる収入が一万四千四百円ですから、利息の半分にもならないはずです。しかも今後四十五、六年ごろまでには三千二、三百万都市に人口が集中される。そうしてみると、百六、七十万の今後定期の利用者がふえてくる。五百万から五百二十万にふえてくる。どうしてもこれは交通対策を立てなければならぬ。いままでは第一次計画も、第二次計画も車両中心主義であったけれども、今度はもう車両中心主義では間に合わない。少なくとも路線中心主義、線路をつくって複複線か三複線にされるような態勢を整えなければ解決できないはずです。だとすれば、受益者負担という立場から、国鉄の値上げやむを得ず、こういう考え方を私は基本的に持っておるわけです。しかし、先ほどの岡委員のお話のように、いまの物価の値上がりの状況等々から見れば、政治的判断も当然これは顧慮しなければならないはずだと思うわけです。そこで、これらの問題を、少し立場をかえて大臣にお尋ねしたと思うのです。いまのそれだけの交通ラッシュに、混雑率は二倍半どころじゃない、三倍だと思う。押し合いへし合いしてどうにもならない。三倍、三倍半になっておる。これの解決をするにはどうすればいいんだ。問題点は、一つは、時差出勤の問題です。時差出勤というと、だれでも言い古したことだけれども、もう少し掘り下げて考えていく必要がある。先ほど副総裁からも、七時半から九時半までぎしぎしと三倍半の混雑率だ、夕方四時から六時まで三倍の混雑率だと申したけれども、十時から四時ごろまではひまでひまでしようがない。その走らざる車両が品川、大井の二階建ての倉庫の中に入って稼働してないわけです。こういうことを考えてくると、私はもう少し時差出勤の問題に政府が真剣に取っ組んでいただいて、車両増強、路線増強もさることながら、一面においては時差出勤の問題についても、真剣に取っ組む必要があるんではなかろうかと思いますが、それをひとつまずお尋ねをしておきたい。
  142. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 最近の都市の人口集中の実情から考えまして、ラッシュアワーの混雑というものは、これはいかに線路をふやし、車両をふやしましても、とうてい解決することはできない問題ではなかろうかと思うのでございます。もちろん線路がふえ、輸送力が増強されまするならば、ラッシュアワーの時間帯は短くなるでございましょう。しかし、すべての官庁が同じとき、同じ時間に始まる、一斉に各地方からお客が殺到するということになりますると、線路の増強ということ、また車両の増強ということは、ラッシュアワーの時間を短くするということになるだけで、ラッシュアワーを解消するということはできないと思うのであります。したがって、線路の増強を進め、輸送力の増強を進めると同時に、根本的に時差出勤を、この混雑を解消しようといたしますならば、どうしても、御指摘のごとく、時差出勤ということによって、一時に集まる人を時間的に薄めるという措置をやらなければならない。この点はもう申すまでもないことでございますので、今後運輸省といたしましても、各交通機関と協力いたしまして、もう少しこの時差出勤という問題に対して、より以上掘り下げて努力をいたしたいと思います。
  143. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いままでもやっているはずなんですが、ひとつ文部省あたりとも、あるいはその他の省ともしっかりこれは打ち合わせをして、やれないことはないと思うのです。私は自分の例を申し上げて恐縮ですが、私は自動車教習所を自分でやっておるわけです。一年間に三カ月か四カ月か非常に忙しいのです。あとは一日に二時間、三時間ぐらいしか車は稼働しないのです。しかも車は、忙しいときに合わせて車も全部用意しておかなくちゃならぬ、それに合わせて指導員も用意しておかなくちゃならない。そこで、労賃その他もろもろ、経営上の問題もありますが、指導員に時差出勤をお願いし、割り当てております。学生の皆さん方にも予約制度をして、絶えず稼働できるようにして動かしています。これは一つの例ですが、小さな例ですが、しかし私は、学校、会社、工場、もろもろのことを考えてみれば、応急手段としては、できないはずはないと思いますから、さらにこれを具体的に御検討をいただきたいと思うわけです。  次に、開発利益の吸い上げ、これを鉄道等の建設に回すように、財政的な法の取り扱いを考えたらどうかということです。鉄道ができ、それによって団地ができる、開発の利益が得られる、土地が値上がりする、等々のことを考えていきますと、これらの問題につきましても、税制の問題で、ここらあたりでこの問題を検討する時期にきているのではなかろうかと思いますが、これをひとつお伺いしておきます。
  144. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) この問題につきましても、当然考えるべき事柄でございまして、いろいろ検討はいたしておりますが、残念ながら、まだ具体的結論は得ておりません。今後も検討を続けたいと思います。
  145. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ひとつ政府部内で、これは大橋大臣にだけお願いしても無理なことですから、ひとつしっかり御検討いただきたいと思うのでございますが、それと同じように、もう一つ私は提案をしたいのでございますが、政府の財源も限りあるし、財政投融資のワクにも限りあるわけです。したがって、一気に先行投資をやって鉄道あるいは道路をつくっていくということもなかなかできないはずです。しかし、先行投資はどうしてもいまのうちに、ラッシュ緩和のために次から次へ手を打つのではなく、先に手を打つ対策をとらなくちゃならん。それにはやはり財源なわけです。  財源の問題で、私は先般、ここにいる温水先生とともに外国を回ってまいりましたが、スウェーデンで非常な示唆を受けたわけです。これは開発資金の捻出のためです。企業者が年度の利益の中から最高四〇%まで、税金のかわりに国に預託します。五年間据え置きます。そうして利子はつけられません。もし会社が、その企業者が赤字の場合は、預託した中から会社運営の中に戻しを受ける。税を納めるかわりに四割、三割という金を、国に自分の金から預託しておいて、やがては自分のふところへ戻ってくる。この資金のずっと集積が、あのスウェーデンの岩盤の開発をし、湖水の開発をし、社会保障の一つの姿になっている。これは国会で法できめられて、そういう措置をしているわけです。私は、いまの日本の先行投資の一つの例として、一つの型として考えてもよろしいのじゃないかと思うのです。  先ほど私が申し上げました鹿島臨海工業地帯の場合には、政府の将来にわたる投下資本は千二百億でございます。民間の先行投資は一兆円でございます。一兆円。すでに二十社が進出しております。その金が農業の近代化に、新しい道路をつくるために、港をつくるために活用されているわけです。しかも会社は、そこに進出して、用地を確保するために何のむづかしさもありません。公的機関から用地を譲り渡されます。坪千円であったものが、すっかり整地されてでき上がって、そこに工場が移る形になって、七千円から六千円で譲り渡される。現にやみ価格では坪二万円から三万円するのです。そういうことを考えれば、先行投資を考えて、企業の中から自然に出せる金の問題というものを考える必要があるのじゃなかろうかと思いますが、これもやはりひとつ政府部内においても御検討いただけますか、いかがでありましょうか。
  146. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 検討いたしたいと存じます。
  147. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 それからもう一つは、自動車の混雑の問題で、交通安全の問題が非常にやかましくなっているわけですが、自家用自動車東京都内に入ってくるのを、何か法でなく規制する方法は考えたことおありかどうか、ひとつお尋ねしたいわけですけれども、私どもがよその例を見ましても、かりにサンフランシスコあたりでは、一番の自動車の国です。あそこで四十二車線走っています。しかし、これでもどうしてももうできなくなった。鉄道を湾岸沿いに敷こうとしてすでに着手しております。いまの状況では四十二車線を百二十車線までふやさなければ人員輸送ができない。ところが、鉄道で輸送すればこれは簡単にできる。思い切って鉄道を拡充をしよう、そうして市内に入ってくるものを規制しようという考え方、これはどこでもそうです。私ども、東京都内のいまのラッシュ状況を考え、一面においては鉄道や地下鉄の料金の収入の面から考えるならば、ある程度都内に入ってくることを規制する措置を考えていいんじゃないか。当然それはパーキングの問題も考慮の中に入れつつ具体化されなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  148. 原山亮三

    説明員原山亮三君) 道路交通の混雑の問題でございますが、御指摘のとおり幾ら道路を広げても、車の両数がそれ以上にふえます関係上、非常な混雑を呈するということは諸外国の都市でも見られることでございます。したがいまして、そういうふうな道路交通を少しでも緩和する意味におきまして、交通の規制という問題で、まあ東京におきましても、先生御承知のとおり、大型自動車につきましては、一定の時間内、東京都内に入ってこれないというふうな措置を講じているわけでございます。そういう面とあわせて、高速鉄道網の整備と両々相まってその解決をはからなければならぬものであろうと考えております。
  149. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 なお、それと関連する問題でございますが、いま政府においても、各党においても、都市の過密化対策、過疎対策のためにいろいろ政策が検討されているわけでございますが、いままで各地に衛生都市をつくり、工場団地をつくり、あるいは学園都市をつくり、それぞれの新しい町づくり、ニュータウンを構成しているわけですが、私は、東京とそういう都市を結ぶ超高速の通勤列車を考える必要があるのではなかろうか、こう考えるわけですが、先般、国鉄のほうではそういう問題について何か御検討をなさっているようですが、具体的に案ができておりますかどうか、まずお尋ねしたいのです。
  150. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) お答え申し上げます。  ただいまの通勤高速鉄道の問題でございますが、私どものほうから申しますと、いまのような状況で東京がどんどん大きくなっていくと、先ほど先生のおっしゃったように、そのあと追いをして輸送力をふやしていたのではこれは切りがないというふうに思いまして、いまやっております計画でも、大体首都圏で二千三百万くらいの人口までしか輸送できないという見通しがついております。しかし、もっともっとこれがふえるならば、先ほどのお話のように、あらかじめやはり根本的に都市を分散する、そうしてその都市から東京に簡単に通勤できるようにするというふうにしない限り都市の過密化に対する対策はないのではないかというふうなことで、これはごく私どもの研究の試案でございますけれども、大体東京都から百キロくらいのところに人口が六、七十万ないし百万くらいの都市をつくって、そうして大体一時間以内で通勤のできるようにするという通勤高速鉄道を大体東京に向けて五本つくることによって東京の過密化を防ぐ。しかし、ビジネスはどうしても東京に来なければならないならば、その列車に乗って楽につとめに出る、また、つとめから帰ることができる、こういう趣旨の案を、これはまだほんのビジョンでございますけれども、一応ラフな絵をかいていま検討しているところでございます。まだ資金の手当てその他については全然考えておりませんけれども、一応そういう場合には、さっきもお話のように、資金の獲得などにつきましてもいままでと全然違った角度で考えなければならない、こういうふうに思っております。
  151. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 話は飛びましたけれども、副総裁、こういうことを、私、奇抜な提案をするのですが、いかがでしょう。  都市のラッシュを解消し、複々線化し、三複線化し、道路をよくすれば都市にどんどん集中してくる、集中すればまた狭くなる、どうにも処置ができないいまの現象、これを解消する一つの手段として国鉄側に考えてみてもらったらばどうかというのですが、先ほど通勤の話が出ましたが、通勤通学のこういう東京都内に入ってくるものは、これは上がってもしかたないですが、都内からいなかに行くような、そういうニュータウンに行くのを思い切って安い運賃で通わせるような、こういう特別な考え方はありませんか。思い切って、これは新しい転換だからやってみたらどうですか。
  152. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いまのお話のような運賃を、いま全国一律の運賃制度になっておりますけれども、これをいつまで、国鉄の現状で一律運賃制度が維持できるかということが一つの問題であろうと思います。その際に、やはり一般運賃につきましても、また通勤等の問題につきましても、いわゆるコスト主義でいくのか、あるいはそうでなしにあくまでも平等と申しますか、全国一律的な運賃という考え方でいくのか、ここら辺が非常に議論の分かれるところと思いますけれども、ただいまおっしゃられたようなことは、私どもといたしましても十分検討さしていただく余地のある問題だと、こういうふうに考えております。
  153. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 さらに、国鉄の輸送増強計画と並行して私鉄関係も輸送増強をしなくちゃならないわけで、先般来のある新聞を見ますと、東武や西武等の大手私鉄十四社と運輸省とが話し合いをして、そうして整備の五カ年計画を立案中だと、その整備計画には約四千六百億必要だと、しかし、その四千六百億の中には、通勤と通学の緩和のために約三千億、さらにまあ踏切あるいは高架化や、自動停止装置、こういった直接的に営業に関係ないものに投入しなくてはならない資金が非常にばく大なので、こういう面について国とそして私鉄側と協力して新しい新鉄道建設公団というようなものをつくって、つくったものを私鉄側に譲渡して年賦償還させようという案が出ておるやに聞いておりますが、大臣等のほうにおいてそれは検討されておりますか。国鉄側で検討されておりますか。私鉄関係の問題とからみ合わせてお聞きしたい。
  154. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) まだそこまで検討をいたしておりません。
  155. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 検討していませんか。私は検討する必要があろうかと思います。国鉄の輸送計画に七千億、七千八百億どうしても必要だと同じように、私鉄の関係においても輸送力増強というものは当然やっていかなくてはならない。私企業である私鉄が公共性と経済性とを両立させつつ、なおかつ、国の要請や、あるいは諸般の要請に応じて踏切の問題も、あるいは高架化の問題も、その他等々の問題も処置しなくちゃならない時点に来ておるはずです。しかし、私鉄側だけではこれはできないはずと思います。したがって、何らかの財政措置を講じて、これに対する助成を考えていくべき時期ではなかろうか、それがどこでやるかは別です。新しい公団をつくるよりも、私どもはいまの国鉄の建設公団、こういうものが、これをからみ合わせて解決するのが妥当と思うわけでございますけれども、もし御検討なっておらないとすれば、ひとつ十分、国鉄だけでなく、国鉄だけではラッシュ緩和にはなりません。交通の整備計画にはなりません。私鉄の問題についても十分御勘案をいただきたいと思います。
  156. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 私鉄につきましても、今日、都市交通の要請に応じまして、特に通勤対策を重点として新しい施設をしなければならぬ状況に相なっておるのでございます。これはもう御指摘のとおり、私鉄の財政には余る仕事でございまして、何らかの補助、助成の方法を講じなければならぬわけでございますが、現在のところでは、運輸省といたしましては地下鉄について補助制度を採用いたしております次第でございますが、今後、これで不十分な面につきまして、さらに一そう研究をいたしたいと存じます。
  157. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がないのではしょってやります。  先ほど、私が例をあげました鹿島臨海工業地帯の問題ですが、鹿島臨海工業地帯に連なる鹿島線の操業開始ができるのはいつごろですか。当局にお尋ねしたい。
  158. 田中倫治

    参考人(田中倫治君) 鹿島線につきましては、水戸と佐原の間をつなぐ約七十キロの線路でございまして、この沿線開発、特にただいま造成中の鹿島港の開業と申しますか、事業開始に合わせるという使命で鹿島線が着工になったわけでございます。鹿島港の操業は、いまのところでは、昭和四十四年度には一部操業開始ということのようでございます。しかし、私どものいま建設中の鹿島線につきましては、この鹿島港からの製品は、レールに乗るものは鹿島から佐原に向けて出すのが得策であろうという見地から、これに重点を置きまして建設しておるわけでございますが、技術的に見まして、目下の状況では、四十五年度一ぱいには、何とか完成できるというめどでございます。ただし、これにはもちろん予算のこともございますが、地元の、用地買収ということが非常に大きな前提になりますので、関係個所の御理解を得まして用地問題を解決の上、おそくとも四十五年度には開業して鹿島港から出てまいりまする製品を佐原を経由して運ぶ、こういうことに相なっております。
  159. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 大体四十三年——来年にはすでに一万トンの船、四十四年には六万トンから七万トンの船、四十五年には十万トンをこえる船が入るので、工事がどんどん進められて、このスピードは変わらないと思います。四十五年度にはほとんど港完成の段階になろうかと思います。四十五年にピッチを合わせていくというけれども、私どもがいま建設公団の予算等を検討してみますと、四十年に二億の予算があったんですけれども、それが使われたのが九千万、四十一年が四億の予算が八千百万、四十二年が五億でいまだ使われてない、こういう状況で、もうすでに四十二年。とすると、四十五年の操業まではたして持っていくことができるかどうか。いまあなたがおっしゃったように、用地買収の問題が一番問題だと、地元の協力を求めたい。地元の協力というのは、あなたが御存じのように、県の開発公社に公団側では委託して用地買収を進められておるはずです。しかし、地元から陳情があり、要請があってつくるんだから、地元の熱意によってこれを進めていくんだと、この考えではなかなか問題が解決できないと思います。鹿島のように、先ほどの千百万坪の用地買収は、おのずから農民たちに生きてくる土地でございます。ところが、この鉄道というものは、山の中を、畑の中を、屋敷の中を一直線に通るわけで、直ちにそれが生きてくることは想定できないはずです。同時に県の考え方のような、坪六百円、八百円という考え方では用地買収はできない。しかし、ここで、私は問題点だというのは、今後の用地買収の問題点だというのは、私は建設公団の考えいかんだと思う。いままで建設省や運輸省がとったように、金を出して買えばよろしいのだということで高い金で買ってしまったというのでは、私は千百万坪用地買収のあの農民の姿もくずれてしまうのではないか。とすれば、そこに鉄道ができることによって還元される措置が当然考えられつつ、用地買収で公団みずからが開発公社と手を握って具体的に進めていかないと、四十五年には操業に至らない、こういう考え方をするのですが、いかがですか。
  160. 田中倫治

    参考人(田中倫治君) 先生のおっしゃったように、用地問題ということが一番大きな問題になると思いまして、いままで工事といたしましては、先ほど指摘のように、予算が使われていないというのは事実でございます。しかし、私どもは用地に直接関係のない工期を制する大きな橋梁、たとえば北浦とか、これはすでに着工しております。それから、近く利根川の橋梁にも十一月初旬には着工するという段取りであるのでございます。その他北利根、与田浦、これにつきましては目下設計中でございまして、工期を制すると思われる個所については着々進めておりますので、あと問題は用地問題にからんだ地上の設備でございます。したがいまして、先ほど先生のおっしゃったように、私どもも、県の開発公社で進めている鹿島地区の全体の用地買収ということもございますので、県あるいは県開発公社とよく相談いたしまして、地元の方々の意図をよく察しまして、用地買収にも努力していきたいと思います。現在のところ、大野、大洋村はすでに八〇%の用地が確保できておりますし、また佐原市におきましては、ことし中に用地買収のめどがつくというふうなことで、ただいま問題になっているのは潮来の一部、あるいは鹿島の町でございますが、この地区につきましては、先ほど申しましたように、県並びに県開発公社、われわれの用地担当、こういう者が力を合わせまして、誠意をもって解決する。それによって先ほど申しましたように、四十五年度までの開業をぜひ完成させたい、こういう所存でございます。
  161. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 私、皆さん方のやっている熱意はわかるのです。わかるが、しかし、いまの四十五年のペースに合わせていくということについては、なかなか困難があって、いま用地買収ととのって、こことここは進んでいるというけれども、全体の二八%しか進んでいないはずで、これから八四%はむずかしい土地にかかっていくはずです。  そこで、私はいまの成田の場合と同じように、鹿島の場合と同じように、鉄道を敷く場合によく問題が起きるのは、もう農道がなくなる、あるいは自動車道路がなくなる、踏切は困る、こういうようなことが往々どこでもあとで問題になる。私は、こういう点は地元へ還元されて、地元は利益を得られるという立場で、たとえば地下トンネルをつくって自動車交通路が初めから十分できるように、あるいは高架線をつくってやると、こういうふうな措置をして、その沿線に持っている土地が生きていくような態勢で進めてもらいたいと思うのです。そうすれば、私は運輸省が予算で考えるような用地買収費は必要なくて、むしろ付帯的な事業に思い切ってやることこそ、国の宝がそこにふえていくのではないかと思うのですが、そういうふうで進めていただきたいと思うのですが、どうですか。  もう一つ、いままで予算が五億、二億あるいは一億というふうに出されておりますが、総工費が百億をこえるわけです。四十五年度までのテンポに合わせるためのこの予算獲得が完全に見通しがつくかどうか。  この二つの点をまずお伺いしておきたい。
  162. 田中倫治

    参考人(田中倫治君) 前段の用地買収に関するいろいろの御示唆につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも、その線に沿ってやっておりますし、またこれからもやりたいと思っております。  それから鹿島と佐原を結ぶ地区は、実は全線の距離にいたしまして全体が七十キロでございますが、鹿島と佐原の間は十六キロ−約十七キロでございます。予算が約五十億、約半分でございます。この予算の見通しにつきましては、私どもはこういう年度別に予算がほしいという計画は立っておりますけれども、これはできるかできないかは運輸省あるいは大蔵省の関係でございますので、少なくとも私どもは、お金がきた場合、十分これに処するようないろいろの準備をするということはいたしたいと思いますので、予算獲得については、公団としても何とも申し上げられませんので、その辺御了承願いたいと思います。
  163. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がまいりましたから、大臣に、最後に要望を申し上げておきたいのですが、いまの鹿島鉄道の問題につきましては、私が冒頭に申し上げましたように、千百万坪の工場団地、二十万トンの船の入る港、一兆二、三千億の投下資本、そして現在人口が五万くらいのものが、十年足らずでおそらく現在の進出状況から見れば五十万になるのではなかろうかと思う。どうしてもこの鉄道というものは早急にやっていかなくちゃならない問題でございますから、特段の御配慮をお願いして私の質問を終わります。
  164. 大橋和孝

    大橋和孝君 国鉄と鉄道公団にお聞きをしたいと思います。  私が、ちょっとお尋ねしたいのは、琵琶湖の西側に新設されるところの湖西線についてでありますが、いま現在この問題に対してはどの程度に進捗をしておるか、現在の状態でどんなふうになっておるか、あるいはまたその線路の決定についてどういうふうになっておるか、あるいはまたその見込みはどうか、そういう点について一ぺん現状を御報告願いたい。
  165. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 湖西線は、国鉄の第三次長期計画と関連いたします大都市交通線でございまして、昭和四十六年度完成を目途に現在日本鉄道建設公団におきまして鋭意工事の促進につとめておる次第でございます。現在、北部並びに南端の部分につきましてすでに工事に着工いたしております。中間部分の江若鉄道と並行いたします線区につきましては、これから設計並びに調査が行なわれる、こういう段階でございます。
  166. 大橋和孝

    大橋和孝君 江若鉄道と並行する部面においては、江若鉄道そのものを買収してやるのか——何か別にということになっていることは十分話は聞いているのですが、実際には、どういうふうな交渉過程の、一つの何と申しますか、技術的にそういうことが言われておるのかわからないのですが、別に線を設けるのだというようなこともいって、ときどきその会社側に対しても、そんな発言もあったというようなことも聞くわけでありますが、実際問題としては、その方面ではどういうふうな将来方向でやっておられるのですか。
  167. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 公団が、新線を建設する際におきまして、そこに関係の地方鉄道がある場合におきましては、地方鉄道を買収するか、あるいはまた別線を建設するかということにつきましては、従来ケース・バイ・ケースによって処理されてきておるのでございますが、基本的には、その地域の交通事情、地方鉄道の経営事情等を考慮いたしますとともに、建設費、工期等有利な方法によるというのがたてまえでございますが、湖西線の場合につきましては、種々検討の結果、現在のところでは、江若鉄道を買収したほうが有利ではないかということでございまして、現在公団と江若鉄道とが折衝を重ねておる状況でございます。
  168. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうすると、大体、江若鉄道のいま走っているのを買収して、その線を通してやろうというお考え、そういうふうに解釈していいわけだと思うのですが、そうですか。  それからまた、南端と北端を着工しているというのはどれくらいの進行状態になっているのか。それからまた、あとはどれくらいの見込みかというようなことをちょっと聞きたいと思います。
  169. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 江若鉄道の線をそのまま使って新線をつくるという計画ではございませんで、江若鉄道の現在の線路を見ますると、勾配はたいしてございませんけれども、カーブが非常に多いということで、相当線形といたしましては改良しなければならない。したがいまして、江若鉄道を買収する際におきましても、新線として使いますのは部分的でございまして、相当の区間を使うにいたしましても、完全な別の形の線路に相なると考えるのでございます。  それから、北の部分と最南端の部分でございますが、これにつきましては、現在認可をいたしました線区については、設計、調査を相当進めております。また、トンネル部分と工事期間の長くかかるものにつきまして、現在すでに工事を進めておる状況でございます。
  170. 大橋和孝

    大橋和孝君 そういうふうにして、トンネル部分というか、日にちのかかる部分が着手されておるわけでありますが、そういう関係で、最近地元あたりの新聞の情報を聞いてみますと、非常に早く江若線の買収の問題を片づけたいとか、あるいはまた、その路線の設定につきましても、早く進めたいというような意向があるように出ているわけでありますが、また、話に聞けば、四十六年完成であれば、もうしばらくそれがおくれてもかまわぬのだという意見もあるようであります。いろんな話を聞いておるわけでありますが、いろんな情勢から考えてみますと、いまの江若鉄道というのは五十年からの歴史を持っておる。同時にまた、その周辺の人、今津から大津に至る間の沿線の住民の人たちが、その路線に対しても、非常に歴史もあり、それからまた、いままでの湖西部面の交通の中心をなしてきたわけでありますから、非常な熱情を持ってその江若鉄道なんかにも勤務をしておる。しかも、その鉄道の輸送に当たる部門の人が、三百五十四名か何ぼというほど相当たくさんの人が従事されておる。こういうのは、やはり国民の足を守る意味でかなり郷土的な非常な熱情を込めてここに行なわれてきておるわけでありますが、こういうのを、いま国鉄があそこに新線を引かれるというので買収をするということで、その問題についていろいろ心配をされているわけです。これは、私ども外から見ておりまして、こういう問題は、できるだけ早く話を進めてそしてやらないと、まだ少し時間があるんだからということで、途中で中だるみなんかするということは、私はいろんな問題がここに起こってくる心配があるのではないかと思うわけで、特に江若鉄道側にしてみれば、買収をされるということになって、これがある程度の期間を経るならば、これに対していろいろな応急の処置をしなければ交通の安全は期し得ない、あるいはまた、いろいろ従事している人たちにも浮き足立ったような状態では、いろんな事故のもとになるとか、いろんなことも考えられるわけでありまして、私は、こういうような問題に対しては、鉄道の側においても、運輸省の側においても、もう少し積極的な態度でもって、こういうふうな問題の解決をしなければならないのだと思うわけであります。特に私は、国鉄がここに新線を敷くために、江若鉄道というものがもう競合する立場から、成り立っていかないというような状態でこれを買収するというのならば、私は、国鉄の側は相当十分な配慮をして、少なくともそこにつとめておるところの従業員に対して、ことに、いままでの間、相当精神を打ち込んでこの鉄道に献身的に努力をしてきた個々の従業員に対しては、相当手厚い処遇をするような方向で考えなければならないと私は思う。ところが、いろいろ地元の新聞あたりで見てみると、あるいはまた、近所の人たちの様子を聞いて見るのに、国鉄は国鉄でいろいろ合理化をしておる。五万人もの人が余ってくるわけだから、こういう新設をしたところには、国鉄の中の合理化のための配転にこれを使って、そして、こういうたとえば江若鉄道あたりからやるのには、買収するならば、同時に国鉄のほうに移籍するくらいのことが十分配慮される必要があるし、いままでもいろいろな例では、そういうふうなことが多かったと思うわけであります。だからして、そういう観点から、当然私どもは江若鉄道の従業員に対しては、国鉄が全部これを引き受けて当分やっていくのだ。こういう線を出すのが、私は当然じゃないかと考えておるのですが、何かいままでの話では、これを受け入れることはしない。新聞の発表では、磯崎副総裁はもうそれは一切考えておらぬというような言明もしたということでありますが、これはもってのほかだと思うのですが、そういうことではなくして、全面的に受け入れるという姿勢の中でも、それに対して応じられないような希望者があるならば、それはいろいろ手厚く処遇をしてほかに回すなり、あるいは何かするということが、話し合いの場であっても、私はしかるべきだと思うけれども、しかし、少なくとも受け入れ態勢というものだけは、国鉄が考えるという線でなかったならば、私はあまりにもひどい状態ではないかと思うのでありますが、そういう観点について、ひとつおのおののお考えを伺っておきたいと思います。
  171. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 江若鉄道並行部分についての公団としてのスケジュールは、建設の度合いから見まして、四十六年度末までにこれを完成するという目途のもとにやっておりますので、建設のための所要期間が約三年でございます。したがいまして、当該部分の着工時期は四十三年度末までにおそくとも着工をするというのが、われわれの見ておりますテンポでございますが、それにいたしましても、公団といたしましては、十分なる期間をとりまして、着実にやっていただきたいということで、われわれとしましては、これから積極的に買収交渉をもっと具体的に進めていただきたいというふうに念願をしているのでございますが、現在の模様から見まして、来年の秋口から冬ぐらい、年末ぐらいまでの間には少なくとも買収交渉のめどをつけていただく、こういうスケジュールを持っているのでございまして、予算もそのようなぐあいに考えているものでございます。したがいまして、その間におきまして、江若鉄道側の要求しておりますいろいろの点につきましても、逐次具体的に解決をはかっていくように、われわれとしましては、指導いたす考えでございますが、この江若との買収交渉の要点の第一は、物件の買収という点でございますが、江若鉄道は、当初におきましては、鉄道廃止に伴う一切の補償というようなことも言っておりました。その後の交渉によりまして、担当両者間の歩み寄りを見ているのでございますが、いまだ金額につきまして、相当の懸隔を持っておりまして、さらに今後両者間におきまして、解決の方向で継続折衝を行なわせている次第でございます。  また、江若鉄道の関心事の第二点は、従業員の問題でございます。御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、現在の従業員が、そのまま国鉄へ移管されるということにつきましては、従業員の方々はそういう強い念願を持っておられることは承知いたしておりますけれども、まだ若干の時間的な問題もございまして、その点が会社側自体もまだはっきりとした腹をきめておらないのでございまして、われわれとしては、公団が現在の交渉の当事者でございますので、公団と江若鉄道との直接交渉におきまして、そういった話も内々進めるということを慫慂しているわけでございます。必要な時期になりますれば、行政当局でございますわれわれも、これらの問題につきましてしかるべき態度で円滑な解決を見るように努力をいたしたいと考えております。
  172. 大橋和孝

    大橋和孝君 非常に局長のほうから含みのある御返事をいただいておるので、私これをあまりとことん追及するような気持ちはないわけでありますが、私は、時期的にまだだいぶ、いま話を聞くと来年一ぱいぐらいできめたらいいという話でありますが、あれは、四十六年の四月ぐらいが完成じゃないのですか。そこのところをよく知らないので教えてください。
  173. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 完成は四十六年度でございます。四十六年度末で差しつかえないわけでございます。
  174. 大橋和孝

    大橋和孝君 四十七年度の四月でいいわけですか。
  175. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) さようでございます。
  176. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうなると、多少時間は余裕があるということは私もわかるわけでありますが、先ほど私初めに申したように、こういうふうな江若鉄道そのものが買収されるということになれば、そういう傾向であるということは大体確実なわけであるように思いますが、そういうことになれば、いま申したように、非常に江若鉄道そのものも浮き足立つでありましょうし、また、従業員に対してもいろいろそういうふうなトラブルがあるわけでありますが、心配があるわけでありますが、そういう観点で、私はこういうものをできるだけ長く置かないほうがいいのじゃないか、ある程度従業員の人たちも安心して、この点はこういうふうに身分が転換されるというふうになるし、また、買収の話もほぼこういう条件で完了するというようなふうに、早く結論を見つけてもらったほうが、私はいろいろな面で安全ではないかというふうに考えます。特にそういうことからくる、たとえば人員もふやさない、あるいはまた設備を改良しなければならぬ点が出ても、ついそれがうっちゃられている。あるいはまたいろいろなゆるみがあったり、いろいろなことでもってこれが事故の発生原因になったりしては、私はたいへんじゃないかと思います。そういう関係は、そういうことは、十分監督しておられるから、私はないことといま自分では理解しておりますが、そういう関係もあり、また従業員の人たちから考えても、そういうふうなある程度の条件が明確になって安心していまの業務についていけるという状態のほうが私は望ましいのじゃないかと思いますので、私は、その監督に当たっておられるところの鉄監局長のほうからも、あるいはまた公団あるいはまた鉄道のほうからも、そうした気持ちでもっとこの交渉を前向きにして、そしていま行政的な含みのある返事をもらったわけでありますが、その線に沿うて、やはりこの従業員が希望しておるものを十分に生かすような意味において、私はこの交渉を早く進めていただきたい。それには、いま話を聞くと、会社側もまだ煮え詰まっておらぬのだという話ですが、私はそれはもってのほかだと思うわけです。できるだけこれを早く煮詰めて、そしてよりその従業員の人たちも満足のいくような状態でこれを早くやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。そういう観点から申して、私は、特に国鉄に対しての移籍の問題なんかの時期がいつごろにそれができるか、あるいはまた職場の範囲内をどういうふうにするか、あるいはまた職種の制限なんかあるかないかとか、あるいはまた年齢なんかも制限を言われて、若い二十代の人だったら国鉄には移籍するけれども、年寄りに対してはいけないとか、いろいろそういうふうな賃金の条件なんかもあるわけでありますから、そういうことを心配して話を聞くわけでありますが、こういうことをひっくるめて、もう少し、先ほどから言ったように、これを早く進めるという意味で、ひとつこれをいつごろまでにやろうかというふうなことを、大体監督の面からも、来年一ぱいというようなことを言わないで、もっと早目にするような具体的な方法はお考えであればひとつ聞かせてもらいたい。
  177. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) こういった交渉を早目に行なうということにつきましては、われわれも当然考えておることでありまして、それにつれまして、公団と江若とが従来よりもまして今後積極的に前向きで解決の方途を見出してもらうというふうに希望しておる状況であります。おっしゃるまでもなく、せっぱ詰まるまでこれをほうっておくというような態度は、われわれはとっておりません。できるだけ早く会社自体でまず態度を、考え方というものを固めていただきまして、それをもとに各関係方面に打衝をしていただく、こういう際には、行政当局としても、この円滑なる買収が望ましいと存じますので、その方面につきましても重大なる関心を持って指導し、また、仲介の労もとってまいりたいと考えておる次第でございます。来年一ぱいというせっぱ詰まったときまでほうっておくということでなしに、その間に会社自体もいろいろと準備が要るわけでございますので、そういった準備期間ということも含めまして、早目早目に処置をとるというふうに指導したいと考えております。
  178. 大橋和孝

    大橋和孝君 それで、早くそれを進めてもらいたいと思うわけでありますが、私は、ここでひとつ特に問題点になるのは、いまの従業員をどうするかということが問題だと思います。先ほどもちょっと触れましたように、国鉄のほうへ移籍をするのにはどういうふうにするとか、その間の条件なんかもいろいろあるだろうと思うのですが、こういう点も、きょう、私は先ほどからの御答弁を聞いていると、いろいろ含みを持っておっしゃっているわけだから、そこのところを解決をして、いまどうこうということは言わないでいいと思いますが、しかし、そういうことを完全に含めて実行できるためには、ぼくは、もう少しこの江若鉄道の会社の中に、何とかこういうものに対する専門的な、社内の従業員を的に、またそうした意見を反映して、そして国鉄なりあるいはまた公団なりに交渉することのできるような専門的な委員会でも設けて、そうしてもう少し従業員に対しても、安心ができるような意見聴取ができるだろうし、また会社の中もまとめていけるだろうし、何かそういうものを対象として、この話がごちゃごちゃと非常に暗礁に乗り上げずに、いい方向にどんどん進むような具体的な方法を考えてもらったらどうかと思いますので、そういったことに対しても、私はやはり十分な指導をして、そうして江若鉄道の会社の中にもそうした責任のある、また非常にやってスムーズにいくような組織もこしらえたり、あるいはまたそういうふうな専門委員会とか、あるいは社長とか重役とかいうものが入って、そういうものをこしらえるというような形で、こうした問題がただ金を出して鉄道を買収して、しかもそれで従業員は知っちゃいないということが起こっちゃいけない。とにかく犬やネコではありませんから、あっちへもらってもらったり、こっちへ行けという形ではいかぬのであります。特にこれを見ますと、地理的に見ましても、今津とかあるいは琵琶湖の西側に点在しているところの、そこに住んでおる人たちに、この従業員が非常に多いわけでありますので、それを東京へ連れてくるとか、あるいはまた大阪へ連れていくとかいうことにしたんでは、これはなかなか、先ほど議論がありましたように、非常に交通ラッシュの問題もあり、非常にいろいろな問題が起こってくるわけですから、やはりあそこら辺の鉄道が新設されたら、そこに吸収していくということが、私は、ほんとうにあの辺のいなかの状態を踏んまえたならば、当然必要な状態が起こってくると考えるので、そういうことが具体的に、いま含みのある答弁で、私も十分それを具現してもらいたいという意味で、いまここでいろいろこまかしいところを微に入り細にわたる議論はいたしませんけれども、時間が迫っておりますので議論はいたしませんが、その議論をすれば、たくさんいろいろな条件があるし、それに対して当局、鉄道の考え方あるいはまた公団の考え方あるいはまた運輸省考え方を相当聞いて話をしなければならぬのでありますが、それは後刻に譲るにしましても、そういう観点で、私はもっと会社側に対しても、そうした委員会とか何とかいうものも設置さして、そしてそれでどんどん推し進めていけるような形も指導してもらったらいかがかと思うんですが、そういう点については、考え方はどうですか。
  179. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 江若鉄道は京阪電鉄の系列でございます。この問題は、子会社である江若一社だけではなかなかむずかしい問題だと考えております。われわれといたしましても、親会社である京阪のほうにも話をいたしまして、京阪系列全体の問題といたしまして、本腰を入れて、この問題にタッチをするようにということで勧奨しておるわけでございまして、京阪並びに江若自体も現在はそのような気持ちで具体的な対策に取り組みつつあると信じております。
  180. 大橋和孝

    大橋和孝君 時間がありませんので、では、私いまこれでだいぶ局長のほうからも含みのあるあれをいただきましたけれども、私は、ここで湖西鉄道ができるので、一番問題点は、やはりこの従業員を国鉄に移籍できるか、できないかということが問題点だと思います。これはいまの時点では、私は、先ほど申し上げましたように、いろいろ含みのある答弁だと解釈して、そうしていまのこの追及は避けておりますけれども、私は、ここで大臣は、特にこの問題に対していまの従業員を移籍さすことについては十分な配慮をして、そうして少なくとも先ほど申したようなぐあいで、ここにおる人たちが犠牲になって、これが行なわれるようなことが絶対ないということ、そういうことだけは十分配慮をしていただきたい。  もう一つ、国鉄副総裁も来ておられますから、副総裁の考え方もここで聞いておきたいわけですが、いま申したように、あなたは新聞記者にこういう言明をしておるわけです。もう国鉄は、その従業員を引き受けることはできませんというようなことを言っておられるわけですが、これはもってのほかだとぼくは思うんです。もしそういう態度を続けられるならば、私はこれからもっともっといろいろなデータを出して、いろいろ考え方をたださなければならぬと思いますが、まあ私はいまそれを、先ほどから申しましたような形でこれから配慮してもらえるという前提で、この問題をいまこまかしいことを言わない、時間がありませんから言わないわけで、そういうことも含めて、私は国鉄の副総裁のほうでも、また大臣のほうでも御承知をいただいて、この問題はそういうふうなことでなくて、非常にだれが見ても、従業員に対しても、あるいは第三者が見ても非常にごもっともだというような処置ができるというふうな一つの所信を一点聞いておきたいと思います。
  181. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 国鉄の事情が許せば、従業員を引き継ぐということはまことに望ましいことでございますが、国鉄の最近の実情からいって、このことはなかなか容易でない事柄だと思いますが、運輸省といたしましては、できるだけ事態の円滑な解決をはかりたいと思いますので、これらの従業員の再就職につきましては、関係方面に広くあっせん依頼をつとめる所存でございます。
  182. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほどから鉄道監督局長がいろいろ御答弁申し上げたのでございますが、私どもといたしましては、御承知のとおりあの湖西線ができました暁には、有料でございます。したがって、利子並びに減価償却費は貸し付け料として国鉄から公団側にお払いする種類の鉄道で、いわゆる開発路線でなしにバイパス路線でございますので、そういう非常に高い鉄道でございます。しかも、あれができたからと申しまして、すぐあの部分が利子の払えるほどの経済性を発揮するものでもございませんし、まあ大体やはり北陸地方がもっと開発され、京阪神との間の交通がもっとどんどんふえるということでない限り、やはり最小限十年ぐらいはペイしない鉄道だ。しかも御承知のようにあれは複線の電化鉄道でございますので、非常に設備費そのものも高いし、それらの高い設備費の利子と減価償却費を全都国鉄が負担するという鉄道でございますので、私どもといたしましては、建設公団に対しましてはとにかく極力安くしてくれ、とても安くしないと、いま申しましたとおり、急にそれだけの負担がかかってまいりますけれども、とても貸し付け料を払うわけにいかないし、ましてそれを私どものほうへ譲渡するといわれましても買うだけの金がないということで、いま非常に私どものほうといたしましては、ルートの選定その他にいたしましても、とにかく安くしてもらいたい、これは国鉄の営業上非常に大切なことでございますので、強くそれを要望しております。そういう、建設公団と私どもの話し合いの過程でも、江若鉄道の問題が出てまいりました。私どもといたしましては、あくまでもどのルートが一番安いのか、しかも建設費も安いし、また運営費も安いという角度からこの問題は考えてほしいということを非常に執拗に建設公団に迫っておるわけでございます。ただいま先生のおっしゃった問題につきましては、現在建設公団と江若鉄道側が折衝中でございますので、私自身がいまここでそれをどうするこうするという答弁は申し上げ得る立場ではございませんけれども、ただ私どもといたしましては、午前中からいろいろお話も出ましたとおり、全く現在の国鉄の経営そのものに非常に悩んでおる最中でございまして、たとえ五十人でも百人でも人がふえるということは国鉄経営上、大体一人百万円の人件費がかかります、すでに人件費が本年度におきましては総収入の六二%といって、日本の企業では残念ながらあまりよくない部類に転落しておりますし、ほとんど収入も伸びていない。この実情で、はたしてそういう多数の人をプラスアルファで採用していけるかどうかという問題などは、やはり私どものほうの経営問題としても考えさしていただかなきゃならぬ。先生のおっしゃるお気持ちは私もよくわかりますし、また江若鉄道の従業員諸君が——実はけさも参りました——非常に不安な気持ちを持っていることもわかりますけれども、一方私どもといたしましては、やはり国鉄運営の責任を負わされておりまして、できるだけ能率的な手を打たなきゃいけない。このままでは破局に陥りかかっている状態でございますので、これを何とかしなきゃいかぬという角度から、やはりこの問題も考えさしていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。したがって、いまこの場で具体的にどうこうを申し上げるわけにまいりませんけれども、考え方としては、やはりあくまでも今後の問題を国鉄経営全般の問題の一環として私どもとしては考えざるを得ないというふうにまあ申し上げざるを得ないと、こういうふうに思っております。
  183. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員長からもそれじゃお願いしておきますが、質問者の大橋君としてはもっと突っ込んでいろいろお聞きしたい気持ちもおありのようですが、時間の関係もありまして次に移りますが、先ほども鉄監局長等が相当お含みのある御発言等をなさっておったようであります。まあ、それらも含めてですね、おのおの自分の立場もおありでしょうが、相手の立場も考えてよく検討されんことをひとつお願いしておきます。
  184. 須藤五郎

    須藤五郎君 去る八月八日午前一時四十五分、新宿駅構内で青梅線氷川駅から神奈川県の浜川崎駅へ石灰石を輸送する貨物車十八両と、浜川崎から立川へ行く米軍ジェット機用燃料車十八両が衝突して火災を起こした、こういう事件が起こりました。その事故につきまして八月九日の参議院の決算委員会におきまして、運輸省の鉄道監督局長増川遼三さんは「過密ダイヤをかかえております大都市並びにその周辺の輸送につきましては、今後これにつきまして十分なる配慮をいたしたいと思います。当然、危険物の輸送につきましては、都心経由というようなものは極力これを押えるようにいたしたい。そのためには、まあ旅客輸送と競合をいたしますのを、極力旅客線と貨物線との分離ということも考えなきゃなりません」と、こういうふうにお答えになっていらっしゃいますし、また八月十五日、衆議院の運輸委員会におきまして、石田総裁も、ことばは違いますけれども、これと同趣旨の答弁をしていらっしゃるわけですね。  そこで、お伺いしたいのですが、その後国鉄は輸送運行に関しまして、運転の安全設備などにつきまして、一体どのような検討をし、また実行に移されたか、具体的にひとつお答えを願いたいと思います。
  185. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まず、先ほどおっしゃった鉄監局長の御答弁並びに総裁の答弁の中で、根本的な問題はやはり東京をバイパスする貨物線をつくることが何といっても第一でございます。これは御承知のとおり現在鉄道建設公団におきまして武蔵野南緯あるいは武蔵野西線というふうに東京を通らないで貨物が行けるようないま線路を選定し、現在工事中でございます。まあこれができませんと本質的な解決はできないというわけでございます。と申しますことは、現在山手線並びに中央線には貨物線が並んで走っておるのでございまして、これをやめてしまっては、これはもう東京に入ってくる物資の輸送は全部とまってしまうわけでございます。したがって、根本的にはいま申しました東京バイパスの大環状線ができるまでは、それは先ほどの御答弁の問題の完全解決には至らないわけでございます。これを前提として御答弁申し上げますが、したがいまして、現在東京都内で貨物線は山手線、中央線あるいは東北線、常盤線全部貨物線は東京都内に入っておるわけでございます。これを全部やめるということは、これはもういまも申しましたとおり不可能でございます。したがって、現在は旅客線と貨物線の分離、これは大体できております。さっき申しました中央線を除きましては朝晩のラッシュ等には貨物列車を入れない、深夜あるいはデイタイムの列車の回数の少ないときにこれを入れるというふうな方策によって東京の外郭環状線のできるのを現在待っているわけでございます。その後われわれといたしましては、あの事故にかんがみまして、何と申しましてもあの事故はいろいろ現在刑事事件として継続中でございますので、断定的なことは申し上げるのをはばかりますが、いわゆるATSと申しますか、自動列車停止装置でございますが、この自動列車停止装置というものは、これは機械的に列車がとまるようになっておりますが、それは最後にはやはり人の判断をある程度必要とするという操作になっております。それをまずああいう重要ポイント——と申しますのは、あの事故がありましたのは、新宿の駅の構内の貨物線から下り線に出るところのポイントを渡るときの事故でございます。したがって、ポイントの前で自動的に列車が停止すれば、それでいいわけでございますが、その自動列車停止装置、ATS、そのものも最後には人力で判断する場合があるわけでございます。それをもう一度チェックできるような制度にするというわけで、現在東京付近におきましていわゆるATSのチェックポイントをもう少しふやすということ、これがああいう列車接触あるいは衝突等を防ぐ根本的な一番大きなものだ。現在その工事を鋭意やっておりまして、大体東京付近だけで百数十カ所チェックポイントをふやすということで、現在工事をいたしております。しかし、根本的に東京都内をガソリン通っちゃいけないということは、これは絶対できないことです。これは極力朝夕のラッシュ等を避けて現在でもやっているわけでございます。
  186. 須藤五郎

    須藤五郎君 いま伺うと、山手線というのですか、環状線というのですか、それができるまでは今日の状態を変えることはできないということです。そうすると、それができてどういう結果が起こるか、これはできてみないとはっきりした判断はつきませんが、それまで今日の危険な状態が続くというのでは、これはもう東京都民はたまったものではないと思うのですね。東京都を通すことがいかぬ、それから過密状態を解消しなければいかぬ、こういうことを言いながら、それができるまではどうにもしようがないのだと言って放置されるのではたまったものではないと思いますが、それ以上に今日より条件が悪くなってきているということなんですね、問題は。この間よりも、あの新宿の問題が起こったときよりも、いまは条件がだんだん悪くなっているし、何か悪くなりつつなっていく方向にいっておるということなんですね。これでは対策をしているということには私は何らならぬと思うのですよ。タンク輸送一つ例にとってみますると、横田基地に入ります青梅線ですね、この輸送量は、これは私ほうぼう駅へ行って調べてきましたよ。拝島駅では三十六年−三十九年度までは一日三十両から三十五両くらい、ほとんど変わらぬ数でずっと入ったのです。ところが、四十年度になりますと、これがやや増加してまいりました。四十両をこえてきたわけですね。ところが、四十一年度になりますと、これが非常に急にふえてきたのですね。それで四十一年四月には七百六両入っています。四十二年の四月になると、千三百八十三、ずっと急増してきているのです。そうして四十二年の四月に千三百八十三両であったものが五月になりますと、千四百五十七両、こういうふうに増大しております。七月にはなお一列車、これに十両ふえるのです。それから十一月になりますと、またさらに十両ふえる、こういうふうに毎月毎月これがだんだんふえてきているのですね。ふえてくるということは、危険度が多くなるということなんですね。だから、今日の危険度でもいかんけれども、せめてこれで食いとめるということ、こういうものはふやさぬという方針を立てるかなんかしなければ、こういうふうにどんどんどんどんと危険がふえていくというのじゃ、たまったものじゃないのです。これで善後措置したといえるんですか。どうなんですか。それで来春になりますと、計画を聞きますと一日に百二十両から百四十両、月に三千六百から四千二百両、こういうふうにふえるというわけです。その山手線の外郭環状線ができるというのは何年のことなんですか。
  187. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在日本の国の中で動いておりますガソリン類は先生御承知のとおりほとんどタンクローリーでございます。そして鉄道輸送は日本全体のガソリン輸送量の中の一割でございます。あとは全部タンクローリーでやっておるわけでございます。しかも最近の自動車の増加その他によりまして鉄道はわずか一割のシェアでございますが、その数量も逐年ふえております、これはもちろん民需を含めてでございます。現在私のほうは全体で一万三千両のタンク車を持っております。すなわち十両に一台はタンク車でございます。その中で米軍のタンク車が二百六十両でございます。すなわち一万三千両のうち二百六十両が米軍のタンク車でございます。現在、いまの基地のお話でございますが、基地には毎日、一日の計画輸送としては七十両の輸送をいたしておりますので、それが三十日ということになりますとそれの三十倍ということになります。しかし、全般としていわゆる二百六十両の進駐軍のガソリン輸送もさることながら、そのほか一万三千両の日本全体のガソリンの移動、これが非常に大きな問題なんでございます。これはもちろん東京の市内を通っているわけでございます。ですから、これらにつきまして根本的な対策と申しますのは……。
  188. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 簡潔に。
  189. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) はい。  これらにつきまして、何と申しますか抜本的に解決するにはバイパスをつくる以外にない。まさか鉄道でガソリンを一切輸送するわけにいかないということもできませんから、それでバイパスをつくる、その工事中でございますが、早くて四十六年度、これが用地買収その他で非常に難渋しております。大体キロ当たり二十億ではできないくらいの大工事でございますが、これを建設公団がやっておるわけでございます。
  190. 須藤五郎

    須藤五郎君 私がいま読み上げたのは、東鉄管理局管内のことしかきょうは私は問題にしていないのです。しかし、全国的に私がいま言ったようなこういう傾向があらわれているんです。それで拝島という駅はこれは横田基地の専門の駅なんですね。ここへ入ったものは全部横田基地に入るんです。その拝島駅に入るタンク車がこんなにどんどん増加して、ことしの一月には千七十九両、二月が千七十両、三月が千四百三十両、四月が千三百八十三両、五月が千四百五十七両、こういうふうにずっと入ってきておるんですね。これはやっぱりベトナム戦争の激化によってこういう状態が起こってきているんです。そしてこれが今後もずっとどんどんえらい勢いでふえていこうとしているわけです。これが東京都民の生活を非常に脅かしていると思うんです。だからこういう問題に対して、あなたたちは抜本的に何も処置しないでほったらかして、そしてもっともっとふえる傾向を助長しておいて、そうして善後措置をとったということはいえないんじゃないですか。何ら危険が去っていません、東京都民は。そうでしょう。こういうことに対して私は数カ所の駅もたずねました、駅長にも会いました、そして聞いた。どういう善後措置がされているかといったら何もされておりません。新宿の駅の構内でぶっかったのは、あれは石灰石の車とタンク車がぶつかったんでしょう。その石灰石の車というのは非常にブレーキのかかりにくい車なんですね。その車が依然として使われているんです。何もそういうことをしていない。それから新宿駅構内のカーブですか、駅の構内のカーブというのは千分の三・五でしょう。これが規則でしょう。ところが、新宿の駅構内のあの勾配は、これはそれ以上なんです。西立川でかつて火災が起こったことがある。石灰石を積んだ車がぶつかって、それで石油があふれて町が火事になって商店街が焼けた。あのときと同じような条件じゃないですか。あれは五月でしょう、約三年前です。それから何にも改善しないから同じような状態がずっと起こる。それで新宿でああいう問題になったとき、変えますといっておいて何も変えてないです。そして危険率がどんどん大きくなっている。これが今日の状態じゃないですか。それであなたたち責任ある立場でのほほんとしておれぬでしょう、東京都民は非常な不安な状態に置かれておる。どうですか、それでいいのですか。
  191. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃいました両数は、あの事故以来南武線経由が二十両、それから山手線経由が五十両、この両数は変わっておりません。あの事故以来ふやしておりませんです。ただ、ふやしてくれという要請はございますが、それはまだ要請は受けて、正式にそれが事務に乗っておりません。いま一日平均七十両でございます。  それから、おことばでございますが、いま日本全体の需要が、どんどんガソリン量がふえていくというときに、国鉄輸送だけがガソリンをふやすわけにいかぬというわけには、これはまいらないと思うのでありまして、やはりガソリン輸送というものは、これは九割がタンクローリーで現在町の中を走っておるわけでございます。私どもといたしましては、結局走っているタンクローリーとタンク車と比較いたしますれば、厚さそのものはタンク車のほうがよっぽど厚い。結局過般のようなミスが起こらないように、信号関係を厳重にすることが何といっても一番の対策だと私は考えておりまして、ガソリン類を輸送すること自体が危険だというのでは、国鉄はガソリン類を輸送してはいかぬということになるのでありまして、これはあくまでも商売として輸送させていただきます。しかし、それがああいった事故が起きないように、まず保安装置を厳重にするということが、私は輸送機関としての一番大きな対策の一つだと、こういうふうに考えております。
  192. 須藤五郎

    須藤五郎君 いや私はね、あの事件以来ずっと数がふえてきておる。そして今後もふえてきつつあるのだ、そういうことはいかぬじゃないか。何でアメリカのガソリン輸送を、ああいう危険な輸送を断わらないのですか。それがふえてくるということはおかしいじゃないですか。それで、私はいま話が出ましたから言うのですが、米軍が増車要請をしてきているんでしょう、いま。米軍の要請の内容は一体どういう要請の内容なんですか。それから国鉄は米軍の要請に対してどのように輸送計画をとろうとしておるのですか。その点伺いたい。
  193. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ふえておりますのは、いま申しますとおり米軍のガソリン、あるいは灯油もふえておりますが、一般の民需用ガソリンもふえておるわけでございます。ですから、米軍のものだけ運ばないということはできないわけでございますが、私どもといたしましては、営業収入をあげなければならないわけでございますから、同じ条件で違った荷主から申し込みがあれば、これは貨車を配するのは私どもの営業のたてまえでございます。米軍であるがゆえに輸送しないということはできないのであります。  それから、ただ先生がおっしゃったように、過般のような事故の直後ふやしたじゃないかというお話でございますが、そういう事実はございません。先生ごらんの、現場でお聞きになった数字は月別に相当ふえております。しかし八月以降は七十車という数字でやっております。ただ、いま非公式でございますが、いろいろ米軍からの輸送要請がございます。本来ならば、当然それは一般の普通の民需用のガソリンでございましたら、私ども喜んでお引き受けするわけでございます。しかし過般のような事故がございますので、非常に慎重に現在米軍の要請を検討中でございます。
  194. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は出発点の浜安善、それから拝島、二カ所見てきましたよ。出発点も終着駅もいま拡張工事やっているでしょう。これは米軍の要請にこたえて輸送を増強するために、こういう拡張工事をやったのと違うのですか。簡単に答えてください。
  195. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在の設備、そのものが非常に狭隘でございますので、現在東京付近では大体おもな貨物駅は全部手をつけて拡張いたしております。
  196. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、話をちょっと戻しますが、西立川駅の勾配は三・五でなくちゃならぬのが、千分の五なんですね。新宿の勾配も急なんですね。千分の三・五以上なんでしょう。こういうのを少しでも直しましたか。
  197. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 千分の三・五は、構内では許しております。新宿の、例の山手線の下を通るところのことをおっしゃっておると思いますが、これはそのとおりでございます。西立川と立川の間、これは構内でなしに線路上でございます。本線上でございますが、これは中央本線は千分の二十五まで許しております。
  198. 須藤五郎

    須藤五郎君 もっとずっと質問したいのだが、時間が切迫してくるので質問できないのですが、もう十分間ですね。  さっきこういう危険を防ぐためにはATS、自動ストップが、自動的に列車をとめる装置があると、こういうことですね。そうしてこの前の八月九日の当委員会におきましては、林武次さんが、当局の指示どおりATSを実行しておったら、事故が起こらなかったという意味のことを答弁をしておられますね。ATSがそんなにりっぱなものであるならば、何でそれを完全に実施させないのか、何でATSで自動的に危険なときにはストップする、そういうものを実施させないのですか。その押しボタンに手動式ストップですね、なぜ切りかえないのですか。そういうことは必要ないんですか。
  199. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この点御答弁が非常に長くなりますから、簡単に申し上げますけれども、ATSと申しますのは、まだ世界各国いずれの国におきましても開発途上のものでございます。ただ、私どもといたしましては、昭和三十六年以降、非常に急速に全国の車と線路につけるということで、点制御の、あるポイントで制御する、ある一点で制御するATSをつくったわけでございます。それが最近改良されまして、現在私鉄でこれからつけるのは大体それとスピードとまざったいわゆるスピード・チェックできるATSにいま変わりつつあるのであります。ですから、こういう新しい機械は、それをつくってとにかく全国に普及してしまう、その次に、また改良段階に持っていくということでございますので、ただいま先生のおっしゃるとおり、私どもは、現在やっているATSが決して完全無欠とは申し上げませんが、しかしもっともっとスピード的に相関的な関係をもってとめられる、ある一定以上のときはとまってしまう。しかしある一定以下なら、そのまま行けるというふうな新しいATSを現在私鉄が開発中で、私鉄がぼつぼつつけ始めております。私どもももしそれが成功いたしまして、また、現在われわれ膨大な研究費をもって研究所でいろいろ研究しておりまして、もしそのものができれば、現在のものをそういうスピード・チェックのできる、もう少し点制御でないATSに変えていくということができます。しかし一応いままで多かった、たとえば居眠りによる事故とか、あるいは信号無視による事故ということは非常に減ったことは事実です。それだけの効果はあったと思っております。
  200. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは、実際に運転に携っている人から私は聞いたのですが、ほんとうにATSそのものを使っておったら、国鉄のこの過密ダイヤというものはたちまち混乱してしまって電車が動かなくなる。そういうことを聞きました。だから、運転士さんは赤信号に気がついておっても、赤信号に気づきながら、それを無視して車を走らせるのだ、それが現状だ。それでやっと、そういう過密ダイヤが実際に行なわれておるのだ。われわれがほんとうに順法闘争というものを——いわゆる順法闘争というのは、ATS、いわゆるシグナルをちゃんと実行して運転するということなんですが、それをやったら、とてもいまの過密ダイヤはこなし切れないのだ、こういうことを言っておりました。それは、国鉄自身だってはっきり認めておるのじゃないですか。この前柴谷さんもそういう意見をここで述べられました。そういうことは皆さんも御存じの上なんでしょう。そういうことを運転士さんにやらしておきながら、ATSがあるからだいじょうぶだ、ATSさえちゃんと守っておったら、ああいう事故は起こらなかったのだといって、そうして運転士諸君にこの責任をなすりつける。そういうことをする前に、こういう過密ダイヤ自体を、それをやめなければいけないのじゃないですか。ATSというのは、ほんとうは安全の目的のために国鉄が採用したものではない。非常に皮肉な言い方ですけれども、これは手段に過ぎない。いわゆる過密ダイヤを組むのが目的で、過密ダイヤを組むためには、こういうことをしないと国民に対してもぐあいが悪いし、すべての点にぐあいが悪いから、要するに、過密ダイヤを組みますが、これがあれば安全だということを言いわけにして、そうしてこの過密ダイヤを組む。そうして実際運転する運転士さんは、それを実際にはやらないで、赤信号でも承知で運転して、この過密ダイヤをこなしているのが現状じゃないですか。
  201. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先生のおことばでございますけれども、赤信号を無視して運転しておるということは、それは何かの間違いだと思います。これは、あくまでも赤信号の中で絶対停止の赤信号はこれはおかしてはならない信号です。もし、そういうものがあれば、これは大きな事故になるもとになります。ただ、ATSというのは、確認のボタンを押す際に、必ずブレーキをとるということによって、速度を落として入るということでございます。もちろん信号機の下まで入るわけではございません。ATSの鳴るのは、信号機からずっと手前でございます。何かその辺誤解がおありになるかと思いますが、信号機とATSの場所はずっと離れております。三百メートルぐらい離れております。ですから、ATSのベルが鳴って、確認ボタンを押してブレーキをとった。それによって徐行して行って、赤信号の場合ならこれは絶対とまります。とまらざるを得ません。その赤信号を無視するようではたいへんなことになります。ですから、赤信号を無視して運転士が運転しなければいけないということは、これは全くの間違いでございます。絶対信号の赤信号は絶対進入できません。これははっきりしております。  それからもう一つ、ただいまのおことばでございますが、なるほどそういう御見解もあるかと思います。しかし私どももやはり大事なお客さんと荷物を扱って仕事をさせていただいておりますので、やはり少しでも事故の少ないようにと思いまして全力をあげてATSをつくったわけでございます。先生のように過密ダイヤにするためにATSをつくったのだという御見解は、御見解として承りますけれども、私どもはまじめな気持ちでもって、ほんとうに何とか旅客、貨物の輸送の安全を期したいという意図からやったわけでございます。この点たいへん残念ながら、私どもの考え方と違っております。
  202. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 時間がまいりましたので須藤君もう一問にして……。
  203. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ時間がないからもっと聞きたいけれども、最後に聞きますが、信号機と信号機の距離は一体どういうものなんですか。信号機というのは列車の先とおしまいに二つ信号機がダブってはいけないはずでしょう。そうなんでしょう。しかしそういうところはないでしょうか。この東京都内の中央線なんかに、そういう場所はありませんか。私の調べたところによりますと、中野、出発信号と第六閉塞信号ですね、この間が百五十一メートル、それから高円寺の第二場内信号と出発信号の間が百七十三メートル。そうすると、貨物列車でいうとずいぶん長い列車があるでしょう、これ以上の列車があるんじゃないですか、二つの信号機にわたるというようなことが起こるんじゃないですか。その場合、赤信号の問題はどういうふうに説明したらいいんですか。
  204. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大体普通の線区でございますと、これは線路の容量によって違いますけれども、一キロに一カ所あるいは五百メートルに一カ所、これは設置基準がはっきりこの線区では何メートルというふうにきまっております。しかし先生の御心配の問題、これは先生いま急行線か緩行線か、どちらをごらんになったか存じませんが、緩行線には貨物列車は走りません、御承知のとおり。緩行線は十両編成でございますので、二十メートルで約二百メートル、延長は二百メートルでございます。いかなる場合にも、二つの閉塞区間はあけるという、私どもツー・セクション・クリアと申しますが、必ず前の列車の次と次の閉塞区間はあいている。これが国鉄といわず私鉄といわず運転方式の原則でございます。ですから、必ず二つの区間があいている。これを破った場合には、追突の危険がございますので、たとえ信号機と信号機の距離が短くても、常にツー・セクション・クリアということは全部機械的に、これこそ完全無欠にできているわけでございます。この点は、国鉄といわず私鉄といわず、これは運転の大原則でございます。
  205. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ではもう一問にして、まとめて一度に質問してください。
  206. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあそういうふうにあなたはおっしゃいますけれども、実際に乗務員の話を聞くと相当話が違うんです。乗務員はそのためにずいぶん苦労して列車を運転しているんです。いま国鉄がああいう過密ダイヤの中で事故は比較的少なく保たれているということは、これは乗務員の神経をすり減らすことによって、それが補われておる、こういって差しつかえない。それほど国鉄の乗務員は苦労してやっておる。ところが、あなたたちはその国鉄労働者の苦労を知らないわけです。知っていない。あなたはそういうふうに説明なさいますが、ここに一つ過密ダイヤの例があるんですが、米軍タンク車の中央線中野、三鷹、武蔵境の間のヘッドですね、これは中央線のラッシュ時でさえ二分間隔でしょう。ところが、米軍タンク車の場合は一分三十秒という間隔なんです。これは私ちゃんと実例を調べたんです。たとえますと三鷹です。05A電車、これが十五時五十六分に出るんです。そのあとへ米軍のタンク車がやってくる。それは十五時五十七分三十秒、そうすると十五時五十六分と十五時五十七分三十秒ですから一分三十秒、この列車の間は一分三十秒しかないんです。この一分三十秒間隔で三鷹から立川までタンク車が走ってくるわけです。これで過密ダイヤを検討するとか危険がないとか、そんなことは私は言えた義理じゃないと思うんですがね。あなたたちそんなのんきなことを考えているから、いつ何時新宿以上の大災害が起こらないとも限らないんです。そうして米軍のタンク車がどんどんふえていく、月に五万トン、六万トンという油が横田基地へ運ばれていく、そうしてそれがベトナム戦の激化に伴ってますますこれが上昇していく現状なんです。そういうことを、金もうけだからしかたがない、私たちは金をもうけなければならないが、国鉄の金もうけによって国民全体が、東京都民が大きな危険にさらされるということはどういうことですか、そういうことが許されますか。大橋さん、あなた運輸大臣として、こういう状態が今日あるということを、このままほっといていいんでしょうか、どういうふうにお考えになりますか。ただもうけたらいいということでいいんですか、どうですか。
  207. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 鉄道輸送につきましては、危険を避けるために鉄道当局としても常に万全の注意をいたしておるわけであり、またそのために多額の投資をして信号その他の安全施設をいたしておるわけでございます。ただ人が操縦をいたしまするので、たまたま先般の新宿のような事故に遭遇いたしましたことは、まことに申しわけない次第でございます。当局といたしましては、かような実例を教訓として、以後再びかような危険な事故を起こさないように万全の注意をいたしながら、今後適法に業務を行なうようにいたしたいと存じます。
  208. 片山武夫

    ○片山武夫君 大臣にお伺いします。  今度の国鉄の経理、いろいろ決算上に出ておりますが、三十九年度から四十年度にかけて急激に赤字がふえております。さらに四十一年、四十二年赤字が累積しておるわけでありますが、四十年度決算の際に、この原因は収入の増加率の減少とそれから経費の増加率の激増というか、そういうものによって赤字が非常にふえてきたというふうに言われておるのですけれども、その中で収入の増加率がなぜ減ったか、いわゆる予想以上に減ったということだろうと思う。なぜ減ったか、その原因についていろいろ分析されておると思うのです。これは三十九年度からこの赤字が出てきたわけでありますが、その三十九年度のこの原因の分析と四十年度における分析、これをひとつ項目的に一、二年度別にあげていただきたいと思います。
  209. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 最近における輸送構造の変革に伴う運賃収入の伸び悩みということを言われておると思います。他方では、人件費を主体とする大幅な経費増及びこの第三次長期計画の遂行に伴う外部借り入れ金に対する利子負担の急増等によるものと考えられるのでございますが、これらの詳細につきましては、国鉄のほうから御説明さしていただきたいと思います。
  210. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 年度ごとに簡単に申し上げます。  まず貨物のほうから申し上げますと、貨物は実は昭和三十八年度が最高でございます。それから昭和三十八年度以後一進一退をたどりまして、昨年四十一年度は三十八年度に対しまして相当減ってきている。これは主として私のほうの貨物のいわゆる荷主に対するサービスがよくない。端的に申しますと、すなわち非常に時間がかかる、それから発着の時間が非常に不明確であるというような、トラックと比べて非常に鉄道輸送の近代化がおくれているということが一つ。もう一つ、何と申しましても、石炭の減産でございます。石炭は大体一トンの石炭が国鉄で二トン半くらいの輸送になっている。それは北海道から出て港へ参りまして京浜に上がって、京浜からまた奥地へ行くということで、大体一トンの石炭が二トン半に輸送されている。したがいまして、三十八年以後、御承知のとおり出炭が落ちてまいりました。これが非常に大きく響きました。貨物につきましては、大体こういう情勢で、ただことしは少し上向きになっております。これは主として景気を反映したものだというように考えます。したがいまして、石炭の非常な大きな減送を何とかほかの物資でカバーして、大体横ばいから少し下がっている。これが原因でございます。  旅客のほうでございますが、ほそぼそではございますが、一応上昇カーブをたどっております。しかし非常に上昇率がやはり三十九年度くらいから落ちてまいりました。新幹線で非常にお客がふえたにもかかわらず、新幹線と定期のお客ばかりがふえまして、一般のいわゆる在来線の客は横ばいからせいぜい二%くらいしかふえておりません。昭和四十一年度には初めて前年度から輸送量が落ちたということでございます。ことしは多少昨年よりよろしゅうございますが、それのやはり大きな原因は何と申しましても非常に道路が急速によくなった。それから車の生産量が急激にふえたという、この原因によりまして、主として土曜日、日曜日におけるレジャーのお客、百キロ前後のレジャー客の減というものが大きいと考えております。したがいまして、足の長さから見ますと、中長距離はまだそれほど影響を受けておりません。やはり百キロ前後の近距離客に対する影響が非常に大きい。ごく概略的に御説明申し上げました。
  211. 片山武夫

    ○片山武夫君 大体予想した状態だと思うんですけれども、こういったように原因が明確になっていながら、さらに四十一年度、四十二年度、赤字がこう累積している。こういうものについての改善策といいますか、そういうものは、もちろん収入の増加をはかること、サービスの改善とか、あるいはまた、そういったいろいろの面があると思うんですけれども、一番の問題は、これは道路の整備の問題と、自動車輸送ですか、これと鉄道の競合の問題が一番私は大きな原因になっていると思うんです。外国の例を見ても、やはり自動車産業が発展するに従って鉄道がやはりそれに押されていく、こういう傾向があるわけです。いま、この狭い日本で、一体どちらに重点を置いていかねばならぬのかという根本問題が一つ横たわっていると思うのですが、その点運輸大臣、どのようにお考えになっておりますか。
  212. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) 道路の改良が行なわれ、また自動車の増産が行なわれて、自動車交通が大量に増加したというのは、これは趨勢として当然認めざるを得ない事柄だと思います。したがいまして、鉄道といたしましては、こういう事柄を前提として営業をやっていかなきゃならぬわけなんでございます。そのためには、絶えず鉄道自体のサービスの改良、また運転時間の短縮というようなこともはかりますと同時に、経営自体を合理化いたしまして、できるだけ収支のバランスをよくしていくということを心がける必要があろうかと思います。
  213. 片山武夫

    ○片山武夫君 そこで、改善の一つの方法として合理化の問題が大きくクローズアップされておるのですが、合理化の重点は、一体どこに置かれておりますか。
  214. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これが、いまの御質問の中では一番私どもの重大な問題でございますが、ごく三つぐらいに分けて御答弁申しますと、一つは、これは人件費の増加が一つ大きな問題でございます。毎年、現在のベースアップによりまして大体三百億以上の人件費の増加がございます。それに対しまして収入増加は、運賃値上げをいたしませんと、大体まあ四百億ぐらいというのが最近の実情でございます。したがいまして、収入増加は全部人件費で食ってしまうということが一つの点でございます。  それからその次は、いわゆる最近の非常に国鉄に対する投資がおくれましたために、非常に急ピッチで現在投資をいたしております。しかし、投資いたしましても、大体一般の投資で十年、それから通勤輸送では二十年以上たちませんと利子も払えないような投資であります、いわゆる懐妊期間の長い投資になりますので、たとえばこの五年間で約一兆円以上の投資をいたしましても、それがすぐ利益になって戻ってこない。その投資が全部といいますか、ほとんど大部分が自己資金でなくて利子のついた金である。そのために利払いが非常にふえてきている。しかも短期の——短期と申してはいけませんが、七年ぐらいの非常に短い期間の金を借りておりますので、設備が稼動する前にもう元本の償還が始まる、こういう悪循環が徐々に始まっております。それが第二の点でございます。それから資本費の増加が非常に急激にふえたということ、これは大臣がおっしゃるとおりでございます。  三番目は、いまやっている通勤輸送の問題でございます。いままでは——先ほど須藤先生からもしかられましたが、車を入れて、とにかく現在の設備をもってやっていた。ところが現在、先ほどお話のとおり飽和点に達しまして、現在全部新しい線路をつくっておるわけでございます。これが大体平均、キロ当たり二十億なり三十億かかります。この投資が、できますれば非常に大きな赤字になってまいります。大体二十年以上しませんと利益があがりません。これが三番目でございます。  それから四番目は、けさの新聞に出ておりますが、いわゆる地方のローカル線の問題でございます。もちろん地方の赤字線の中には、いろいろの種類がございまして、国鉄は歯を食いしばっても経営しなければならない路線が当然ございます。幾ら赤でもどうしてもやらなければならない線がございます。しかし、すでに鉄道の使命が終わったと見られる線路もございます。たとえば沿線人口がどんどん減ってしまう、生産もほとんどない。したがって、私どものほうから申しますと、定期も定期外の一般客も貨物も全部輸送がどんどん減っていっている。こういういわゆる盲腸線的なローカル線が約六千キロございます。これらを今後どうするかという問題、これから三百億以上の赤字が出ておりますが、これをどうするかという問題、大体対策としましては、この四つの点にしぼって、どうこれから考えるかという問題だというふうに考えております。
  215. 片山武夫

    ○片山武夫君 いま指摘された中で一番問題は、人件費の問題だと思う。これは収入増といわゆる支払い増とイコールぐらいな状態になっておる。あとは全然ゼロになっておるのですけれども、それと関連していままでの国鉄の経営そのものが、結局前のいわゆる安い資本で施設した、そういったようなものを、タコの足でないけれども、共食いをやっておる。そういう状況でなかなか、その安いいわゆる施設費、それが一つの大きな土台になって、いまの料金でも何とかいままでやってきた。それがこの耐用年数の問題いろいろ問題があると思いますけれども、これは二十年償還、二十年でやっと赤と黒ですか、利益が何とか生み出せるようになる、二十年間という耐用年数ですね、この問題が一つの問題点になろうかと思うのですけれども、これはさておきまして、問題は、ちょうど四十一年にこの問題解決のために一部料金の改定をした。さらに先ほど総裁のお話で、通勤パスの値上げをしたい、来年、再来年度にかけて五〇%程度上げたい、こういうことを言われた。その理由の中に、私は一つ重大なことを言われておると思うのですが、通勤定期ですね。これは一部会社で負担しているから、これは上げても生活にはそう影響はないのだ、そういう分析だった。それからいま一つ学生の通学定期なんですが、これは父兄負担だ、こういうことを言われておるのですが、これは国鉄へ入る金額はどっから出ようと同じだと私は思う。そういう分析のもとにいわゆる通勤パスですか、これを値上げをしてもいいという対象にするのは、ちょっと何か私は理由が、いわゆる根拠が浅いのではないかと思うのですが、これは企業が負担するか本人が負担するか、企業で負担すればそれだけ私はベースのほうに、賃金のほうに多少影響してくると思う。そういう因果関係のある問題をとらえて、通勤パスは引き上げてもいいのだ、こういうことにはこれはならないと思いますし、いま一つ重要なことは、赤字路線、黒字路線、これはあると思います。大体通勤者の多い区間ですね、これは黒字路線だと思う。したがって、そういうところは黒字で、いわゆるコマーシャルベースでいけばいいわけだ。赤字路線を背負っているために、そちらのほうにしわ寄せをして、そして平均化していく、こういうことが考えられているわけだけれども、それは少し私は酷ではないか、通勤パスにだけしわを寄せるということは、一つ大きな問題ではなかろうかと思うのですけれども、これはひとつ御見解を伺いたい。
  216. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在私のほうでは、実はいわゆる総裁けさ公共負担ということをたしか申し上げたと思いますが、戦争前からの国鉄が完全に陸上交通を独占していた時代のいろいろな公共的な負担が残っているわけです。いま御指摘の通勤通学定期もまさにその一つでございまして、たとえば八割引とか九割引とかいう、いわゆる割引の概念をこえたような非常な大きな割引をしているという点を、今度多少修正さしていただきたいということで、これが決してそれだけで終われりというふうには考えませんが、そういう完全独占を前提としていた時代のいろいろな運賃上の措置はある程度緩和していただきたいというところでこの通勤定期等の問題が出たのでございまして、この点もちろんだれが負担しようと、国鉄側から見れば同じでございますが、あまりにも負担が大きいということ。それから、おっしゃいましたとおり、この付近で現在たとえば山手線は営業係数六〇と、非常に営業係数がよろしいのでございます。しかし、これは主として山手線が持っている特殊性で、定期外の旅客が非常に多い。定期の客は朝夕で済みますが、定期外のデータイムの非常にお客が多いために非常に能率がいい。それを一緒にひっくるめまして計算して黒になっておりますが、これからの通勤輸送にはいままでの古い設備が使えない。使えないと申しますか、それだけでは足りないということで、いま東京に入る五本の放射線全部複々線あるいは三複線にするわけであります。それに非常に金がかかりまして、大体これからふえる通勤者一人当たり四十万円くらいの投資をしなければならない、一人当たりです。そうすると、それに払う利子だけで約二万七、八千円、三万円近い利子になります。お客様からいただく運賃が現行でもって大体一人月千円でございます。年間一万二千円でございます。したがって、利子の半分にも満たない運賃でこれから輸送する。これはいかにも、もし企業としてやるならば、企業自体としてはやれないことじゃないかというようなことで、もちろんまるまる経費が出るような値上げはとてもできませんから、せめて非常に割引の高い通勤通学定期を今回とりあえず上げさせていただきたい、こういう趣旨でございます。
  217. 片山武夫

    ○片山武夫君 ただいまの説明でちょっとやはり理解しにくい点があるのですが、結局、通勤者は、いま確かに、特に東京近辺あるいは大阪近辺、これはもうすし詰めで押し込まれておる。これは荷物同然、あるいは荷物以上の苦しい思いをしている。非常に効率が高いわけです。そうでしょう。だから、これは確かに将来の問題として、これを緩和するために新線路を敷設しなければならぬということはわかりますけれども、しかし、現状において、私はいわゆる収益改善の方面から見て、あれほどすし詰めにしているのだから、もっと安くてもいいのじゃないか、こういう理屈も私は成り立つと思うのです。改善もしないうちに上げてしまって、もっとたてば楽になるのだ、改善できるのだ、こういうことでは、やはり乗客は納得しないと思いますし、やはりいまの通勤パスの料金といいますか、そういうことから見ても、私はそう安過ぎるというほどのものではないと思います。また利用率からいっても、通勤というから、これは毎日になると思うのですけれども、それ以外のいわゆる定期がありますわね。そういったようなものも相当割引になっているし、そういうことから見て、この通勤パスが必ずしも安過ぎるんだ、これを上げてもいいんだという理屈にはならない。むしろもっと安くしてもいいんじゃないかという理屈さえ成り立つんじゃないかと思うのですが、この辺もうちょっと。御説明では理解できかねるんですけれどもね。
  218. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 通勤定期、通学定期の安いか安くないかということ、これは戦前との比較等いろいろございますが、時間もございませんので省略いたしますが、学生定期で申しますと、大体戦前の百五十倍でございます、同じ距離、同じ区間で。ですから、一般の物価その他から見ますと、戦前に比べれば百五十倍というのは決して高い率ではないというふうにも考えますし、通勤定期でさえ二百そこそこでございます。したがいまして、ことに戦前は通勤定期というのがございませんで、いわゆる工員定期と申しまして、当時職工さんに属する人たちだけにそういう定期を出しておりました。そして一般の人は、普通定期と申しますほとんど割引のないものでサラリーマンは通っていた。それが現在は六割七分くらいの高率割引をしている。もちろん御指摘のとおり、非常に込んでおりますが、帰りの反対方向はがらがらである。それからホームの幅にいたしましても、通路にいたしましても、一番ピークのときに合わせた幅員なりを持たなくちゃならぬということで、非常に通勤輸送は波動がひどいものですから、非常にコスト的に高くなる。ことに最近は車もふえましたので、車を昼間寝かしておく場所がない。車一両つくるのに大体三千万円くらいでできますが、車庫その他を土地を買ってつくりますと、一車置くのに三千五百万円ぐらいかかる。車の費用よりも車庫の費用が高くつく、こういう実情でございます。
  219. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して。時間がありませんが、いまの副総裁の答弁でも政府の答弁でも、一つの部分をとらえて、これが戦前と比べて、ほかの物価と比べて、ずいぶん安いとか、公共の問題からずっときたと、こう言われるけれども、いまの経済で、全体は総体的にきめられた中においての生活が営なまれているわけです。だから、あなたの論でいくと、政府の論でいくと、高くなったやつはそのままにしておいて、安いやつは上げていいんだという論になると、これはもうてきめんに、ふところはきまっているのです。だから、いまの物価体系全体を見る場合に、高くなり過ぎたやつはおろすと、土地のやつは——土地はいいですが、低いものは上げろというような相関関係におけるところの論議ならいいのですけれども、高いものはそっちのけにして、低いものだけを上へ上げるというこの平行運動だとなると、ぼくはたまらないんですね。私は確かに不公平はあると思うのですよ。もう片方のほうはどんどん公共料金でないものは上げていってしまう。便乗値上げというものもある。ところが、国民経済は全体の上に成り立っているわけですからね。そうするというと、てきめんに運賃等が、いま言ったように会社負担とかいろんなことを言っているけれども、通勤、通学の定期でも上げれば、ある意味では、通勤費の国からくれるあるいは会社からくれるやつは、ある程度ぽっぽに入れて、出すときには、自分の金で出さなければならないというひとつ金のやりくりというものが個人経済ではなされていると思うのです。そういう面では、私はいつも不満に思うのですがね。土地とかそういうものはべらぼうに上げて、片方は据え置いている。こういう矛盾の中で、土地なら、土地というものに対してもっと集約した税金を取って、そして公共的に押えられているところは、それによって物価が成り立っているのですから、そこへ金を出して、バランスをとるということをやってもらわなければ、こんないびつな、びっこな物価政策は、それに伴っていまいったような一つ一つの重要な問題が、低過ぎるから是正されなければならぬ。公共という名で押えられてきたから、ある程度是正されなければならぬという論は、私は無理なんじゃないか、国民経済からいって。この点どうですかね。——運輸大臣じゃなくて、磯崎さんにちょっと聞いている。個々に切り離した論議だけでは非常に危険性がある。ただ、それは独立採算という名前の中で、国鉄が押し込められておるから、苦しまぎれにそこに問題の突破口を開かなければならない。大体独立採算自体というものがいまなかなかでき得る状態ではない。国自体の人口の片寄りというものがもう想像以上ですから、そういう点のことを受けて、何か一カ所だけノーマルにものを考えていこうということ自体、総体的にいびつになった問題を再検討するということでなくては、解決がつかぬのじゃないのかな。この点どうですか。
  220. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) どうもたいへんむずかしい御質問で、少し私の答弁では御不満かと思いますけれども、確かにおっしゃるような面はあると思います。たとえば私ども工事をいたします際には、土地を相当やはり高く買わなければならない。その高くなった土地の上に通勤電車を走らせる、こういうことをやる。すなわち買うものは全部上がった時価で買うというようなことで、ですから、やはり自分で金を出す場合とお金をもらう場合とをとかくバランスがとりたくなる。ですから、せめて土地代があれだけ上がると、したがって、それを基礎にしてつくった通勤輸送設備を利用する運賃というものは、もう少し高くしてもいいのじゃないか、こういう狭い視野からしか申し上げられませんが、いまの御質問に完全な御答弁にならないと思いますが、やはり物価全体から見れ、ば御指摘のような点が確かにあると思います。
  221. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは大橋運輸大臣、どう思います。
  222. 大橋武夫

    ○国務大臣大橋武夫君) ただいま国鉄副総裁が言われたように、どうも国鉄のいまの経理のしかたといたしましては、一応ああいう結論が出るのもよくわかると思います。
  223. 片山武夫

    ○片山武夫君 時間がないようなので、切り詰めてお聞きしますけれども、いわゆるこの国鉄そのものが、やはり政策的に政府自身が国庫で行なわなければならない分野、あるいはまた、あくまでも国鉄は独立採算でやらねばならぬのか、こういう一つの問題点があると思いますし、先ほど申し上げましたように、これは道路整備、いわゆる道路計画と申しますか、それと自動車の発達、それからこの国鉄、これは競合する問題であって、一体日本として重点をどこに置くのかということによって、これは方向がずいぶん変わってくるのじゃないかと思う。そういう重大な問題を含んでおりますし、現実の問題としては、どうも弱い者いじめで、通勤パスはどうも値上げせねばならぬ、こういうところに非常にしわ寄せがきてしまう。これは非常に私不公平だと思いますし、そういう点、ひとつ根本的な問題として、ここで質問なり、御意見を聞かしていただきたい。  いま一つ問題になるのは、国鉄にいろいろな傍系事業があります。この傍系事業にあまりサービスし過ぎて、もらうものをもらわないで遠慮しているから、それでずいぶん穴があくのじゃないか、こういう点があるかと思うのですが、その点は一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  224. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まあ私のほうの傍系事業と申しますと、たとえば日本交通公社というのがございます。たとえば交通公社に払われておる手数料率などを見ますと、実は飛行機会社あるいはバス会社等の率に比べて、非常にうちのほうが低いというような実績になっております。もちろんこれは数量の問題、金額全体の問題との相関もございますが、ほかの交通業者あるいは旅館業者等の払っておるものに比較いたしますと、非常に少ないということを言われております。  それから、たとえば駅その他で売っております弘済会にいたしましても、使用料は、やはり用地使用料等、構内営業料と申しておりますが、これはある一部分を一般の社会福祉事業に使っております。まあこの問題はある程度問題になり得ると思います。数億のものを一般社会福祉事業に使っているということはございますが、これを除きますれば——そういうことをすることが、多少もう行き過ぎだということが言われるかもしれませんが、この点は別問題といたしますれば、一般の、たとえば私鉄等におきます構内営業料と比較いたしましても、決してそう安くない。で、ほとんど一年に一ぺんずつ上げておりますし、ことに最近広告料などを常非に上げまして、広告業者から非常に私鉄より高いといった文句を言われておりますけれども、できるだけ御指摘のような面につきましては、私どももこまかい点まで目を配りまして、そういった無理のないようにしなければいけないというふうに思っております。
  225. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 他に御発言もなければ、本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十八分散会      —————・—————