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1967-10-23 第56回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月二十三日(月曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  八月二十九日   委員佐藤芳男君は逝去された。  九月一日     補欠選任        佐田 一郎君  十月二十一日     辞任         補欠選任      瓜生  清君     片山 武夫君  十月二十三日     辞任         補欠選任      戸田 菊雄君     大橋 和孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 佐田 一郎君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 二宮 文造君                 片山 武夫君                 石本  茂君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君     —————————————        会計検査院長   山崎  高君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        人 事 課 長  植木 正張君        委 員 部 長  佐藤 吉弘君        管 理 部 長  二見 次夫君        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  内田 喜一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  中川  衞君    国立国会図書館側        館     長  河野 義克君        副  館  長  岡部 史郎君        総 務 部 長  斉藤  毅君    説明員        宮内庁次長    瓜生 順良君        宮内庁皇室経済        主管       並木 四郎君        宮内庁長官官房        主計課長     道正 信彦君        宮内庁臨時皇居        造営部長     高尾 亮一君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        北海道開発庁主        幹        海原 公輝君        法務大臣官房経        理部長      辻 辰三郎君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省矯正局長  勝尾 鐐三君        法務省刑事局刑        事課長      石原 一彦君        法務省訟務局次        長        上田 明信君        大蔵省国有財産        局長       大村 筆雄君        大蔵省国有財産        局鑑定審議官   三島 和夫君        大蔵省主計局司        計課長      北田 栄作君        建設大臣官房会        計課長      高橋 弘篤君        建設省営繕局長  小場 晴夫君        会計検査院事務        総局次長     佐藤 三郎君        会計検査院事務        総長官房会計課        長        田代 忠博君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君        最高裁判所事務        総長       岸  盛一君        最高裁判所事務        総局事務次長   吉田  豊君        最高裁判所事務        総局経理局長   岩野  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十年度一般会計歳入歳出決算昭和四十  年度特別会計歳入歳出決算昭和四十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和四十年度政府  関係機関決算書(第五十四回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  九月一日、佐田一郎君が委員に選任されました。十月二十一日瓜生清君が委員辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。また、本日、戸田菊雄君が委員辞任され、その補欠として大橋和孝君が選任されました。     —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、午前国会最高裁判所及び法務省決算について、午後は会計検査院宮内庁及び北海道開発庁決算について審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  当委員会に提出されております国会最高裁判所及び法務省決算概要につきましては、口頭による説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  6. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 大森創造

    大森創造君 法務省関係につきましてお尋ねいたしますけれども、それはいわゆる巣鴨プリズン——巣鴨東京拘置所移転の問題にからむ問題でございますけれども、もちろん巣鴨拘置所を現在のままでいいということは私認めるわけではございません。どこかに移転せにゃならぬというふうには考えております。しかし、この移転にからむ問題で少し疑惑の点が私はございますので、その点についてお尋ねいたしたいと思います。  いわゆる等価交換方式というもので巣鴨刑務所移転するというお考えのようでございますけれども、新都市開発センターという民間の会社を通じて、そして巣鴨拘置所を売却すると、新都市開発センターなるものに売却をする、そのかわり見返りとして、いわゆる青梅友田地区の場所を、仮称多摩刑務所としてそういう施設をつくって、新都市開発センターがさらに旭川だとか、岡山だとか、浦和だとかという刑務所を新設もしくは修理をして、そして国のほうに引き渡すということが等価交換方式というふうに了解しております。  そこで、私のお尋ねしたいと思うのは、そういう等価交換方式、いま私がやや御説明申し上げましたけれども、そういう構想でございますね。これは間違いございませんね。
  8. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) ただいま大森先生がおっしゃられました内容交換を考えております。
  9. 大森創造

    大森創造君 そこで、きょうは時間もありませんから要点だけをお伺いします。  その一つは、法務省のほうからちょうだいいたしました「東京拘置所移転についての概要」と、それから「契約書」。その契約書は、国と新都市開発センターとの間の、いわゆる国有財産の売り払い及び購入契約書なるものの写しを私のほうでちょうだいしておりますけれども、これに基づいて二、三お尋ねいたしたいと思います。  その一つは、まあ甲というのは法務大臣官房経理部長営繕課長田村秀策さん、それから乙というのは契約担当官関東財務局長山本靖さんということですから、甲乙を、私の場合には国と申します、国です。で、相手方の株式会社都市開発センターというものをこれが丙ということになります。甲乙が国で、それから丙のほうが新都市開発センターということにして話を進めますけれども、その場合に、この第二条によりますと、売り払い及び購入する物件は、次のとおりとして、すなわち、国のほうから新都市開発センターのほうに売り払いする物件は、東京都豊島区東池袋三丁目三二七七番地の一として、いわゆる巣鴨拘置所土地、立木、建物工作物一式ということになっております。これはこの書類の上で申し上げているのでありますから間違いありません。  そこで、今度は甲が、すなわち国が新都市開発センターから購入する物件として、青梅市の大字友田字大芝原千二百四十番地ほかとして土地建物工作物一式ということに相なっていて、その売り払い物件の金は四十六億七千三百余万円であって、購入物件は四十五億二千八百余万円ということになっております。  ここでお伺いしたいのは、巣鴨拘置所は国のものですから、これを新都市開発センターに払い下げ、売り払いする、これはわかります。で、そのかわり今度は、国のほうは新都市開発センターから買うべきもの、購入すべき物件は、いま申し上げたとおり、青梅市の友田地区施設をつくって、それを国のほうへ渡す、土地建物施設一切を。そこで、この青梅友田地区土地というもの、まだ施設はできておりませんから、その土地はだれの名義でございますか。
  10. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 青梅友田部落刑務所移転予定地所有名義でございますが、この土地の大部分は、現在、新都市開発センター所有になっております。
  11. 大森創造

    大森創造君 新都市開発センター名義になっておりますか、おらないでしょう。
  12. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) この予定地につきましては、昨年の十二月に、この予定地の大部分所有者でございます西武鉄道株式会社から新都市開発センター所有権移転を受けておるわけでございますが、その土地の一部——約七分一と了解いたしておりますが、一部につきしまては、農地法の適用を受けます農地であります関係で、この農地部分につきましては、所有名義は旧地主所有者名義になっておると理解いたしておりますけれども、この農地所有者も、かつて、この土地西武鉄道株式会社昭和三十六年に売り払っておられるわけでございます。ただ、農地法の規定の関係で、知事の転用許可が得られるまでの間は、転用許可を得ることを条件として所有権移転に応ずる、こういう約束のもとに、すでに農地離作補償料その他を含めまして、土地代金は全部西武鉄道昭和三十六年に支払っておるようでございますけれども農地法の制約がある関係で、所有名義が旧地主に残っておるという関係に相なっております。
  13. 大森創造

    大森創造君 法務大臣にひとつ。あなたに対する御質問は、きょうはできないかと思いますので、御随意に……。  そこで、いまの御答弁でございますが、この問題の土地は、新都市開発センター名義にはなっておらないはずですがね、事実なっておりますか。
  14. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) この旧農地部分についてのお話でございますか、全部についてのお話でございますか。
  15. 大森創造

    大森創造君 旧農地の点ではございません。全部の農地の点でございます。西武鉄道名義でしょう。
  16. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) この旧農地部分も含めまして、昨年の十二月七日に、新都市開発センター西武鉄道から所有権移転契約を了しております。現在、登記面のほうにおきまして全般的にどうなっておるか、しかと承知いたしておりません。
  17. 大森創造

    大森創造君 私の調査では、あなたの御答弁は事実と違うと思うのです。あなたが御答弁になっている根拠になる文書を私は持っております。売買契約書、これでしょうおそらく。これは「西武鉄道株式会社(以下甲という)」これと「株式会社都市開発センター(以下乙という)との間で土地売買につき左記条項に基づく契約を締結する。」ということでございますから、この売買契約書というものが根拠になっていまのお答えがあるのだろうと私は思います。そうですね。
  18. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) さようでございます。
  19. 大森創造

    大森創造君 ところが、この売買契約書は、こう書いてあります。以下の文を読んでみますと、第一条、甲は、すなわち西武鉄道株式会社ですね。甲はその所有する——所有するというのは、西武鉄道株式会社所有する、現在ですね、現に「所有する青梅大字友田所在、別添図示の土地合計六万七千四百八拾六坪」「を乙に」、すなわち新都市開発センターに「売渡すことを約し、乙は」、すなわち新都市開発センターは「これを買受けることを約した」というだけですよ。約しただけですよ。ですから所有権移転はございません。  で、第二条は、「本売買物件は実測により売買するものであるが本物件内に公道、国有地及び」云々という文章があって、第四条をごらんになればおわかりのとおり、「本売買代金の授受その他契約の詳細については別途取り決めるものとする。」、そして昭和四十一年の十二月七日という日付になっております。  そこで、その付随文書です。この売買契約書効力を発生するためには付随文書が必要でございますが、これにはこういうふうに書いてございます。「土地売買に関する附随覚書」「西武鉄道株式会社(以下甲という)と」「新都市開発センター(以下乙という)との間の昭和四十一年十二月七日付」、いま読み上、げた売買契約書です。「大字友田土地売買契約」「に関連して甲、乙間で左記条項に基く覚書交換する。」とございます。その第一条にこう書いてございます。「原契約により甲が」すなわち西武鉄道が、「乙に」、都市開発センターのほうに「売渡す土地刑務所を設置することに関して地元了解が得られた場合に原契約効力を発することを甲、乙は確認する。」と書いておりますから、これは両方の覚え書き契約書によって、現地のほうで、地元のほうで刑務所をつくるのである、そのことを了解します、という了解がない以上は、原契約はこれは効力を発することができないはずですから、あなたのお答えのように、現在問題の青梅市の友田地区のこの土地は、私の解釈では、西武鉄道株式会社所有にかかるものであるというふうに断定いたしますが、違いますか。
  20. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) ただいま御指摘の昭和四十一年十二月七日付西武鉄道株式会社と新都市開発センター間におきます売買契約によりまして、この予定地は、所有権は新都市開発センターに移ったものと、こう了解いたしております。
  21. 大森創造

    大森創造君 それはあなたが、法務省側がかってに了解いたすと思うだけの話であって、内容はそうでないでしょう。これはどなたに見せたって、新都市開発センターのほうに所有権は移っておりませんよ、これは。所有権が新都市開発センターのほうに西武鉄道株式会社から移っているとすれば、売買契約書内容になります。内容は、いま私が読み上、げたとおり、説明したとおりで、現地のほうが刑務所をつくることを了承しない以上は所有権は移らない。売買契約効力を発生しないと明らかに覚え書きに書いてありますから、これは違うのじゃありませんか。
  22. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 私どもは、この十二月七日付売買契約書の一条によりまして売買契約が成立した、その売買契約の成立によりまして所有権移転が行なわれたものと理解いたしております。
  23. 大森創造

    大森創造君 それは甘いですよ。そんな法務省では、これはひっかかっちゃいますよ。そんな売買ないでしょう。だってあなたが言われるように、新都市開発センター所有権を国のほうで買い受けるということはけっこうですが、新都市開発センターのものでないのですよ、これは。私がいま申し上げたとおり西武鉄道のものなんですよ。西武鉄道売買契約書というものを新都市開発センターとの間にかわしたというだけですよ。西武鉄道株式会社が自分の持ち地の青梅市の大字友田の六万七千四百八十六坪、いわゆる刑務所に要する地積ですね、これを乙、すなわち新都市開発センターに「売渡することを約し、」ですよ、約束するという意味ですよ、「約し、」新都市開発センターは「これを買受けることを約した」と、「約した」というだけのことですよ。そこで、この契約書効力が、効力を発するためには、同日に締結した付随覚え書きというものが必要な条件なわけです。この付随覚え書きを読みますというと、第一条に書いてあります「原契約」、すなわち、この契約書西武鉄道と新都市開発センターとの間の契約書というものは、——いいですか、よく聞いてくださいよ、「原契約により甲が」、西武鉄道が、「乙に」、新都市開発センターに「売渡す土地刑務所を設置することに関して地元の」、青梅市の「了解が得られた場合に原契約」、この契約のほうは「効力を発することを甲、乙は確認する。」ことになっておるのでありますから、これは違うのでありませんか。
  24. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) ただいま仰せ覚え書きというものにつきましての内容をつまびらかにいたしませんけれども、本来の売買契約書、先ほど来申し上げております昭和四十一年十二月七日付の両者の売買契約書によりまして、この約するという点は、これによって契約が成立したと、したがって、所有権移転効果を発生したと、私どもは考えておる次第でございます。
  25. 大森創造

    大森創造君 これは、あなたそうおっしゃいますけれども、おかしいですよ。これは第一条が無効であるというのですよ。地元刑務所をつくることについて了解しなければ、原契約効力を発揮いたしませんと、同日につくった覚え書きに書いてあるのですよ。それをこの売買契約書によって、その第一条によって、これは所有権が新都市開発センターに移っているというふうに解釈することは、あなたのほうは詭弁だろうと思うのだな。民間の場合も、そういう契約はいたしませんよ。ですから事実をごらんください、事実を。この土地は、問題の土地は、現在新都市開発センター所有のものであるかどうか、このことはすぐ電話をかければわかりますから。これは西武鉄道所有にかかるものですよ。西武鉄道名義のものですよ。お認めください、そのことは。
  26. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、このさきに十二月七日付西武鉄道と新都市開発センター間の売買契約書がございますので、これによって所有権移転は済んでいると、これは先ほど来お示しの覚え書きにつきましては、おそらくこれは開発センター西武の間の内部の約束であろうかと思いますけれども、私どもとしては、それについては関知していない次第でございます。
  27. 大森創造

    大森創造君 あのね、いかぬですよ、あなたそんな答弁は。いいですか、売買契約書と同等の、同じ日付で書いてあるのですよ。この問題の土地は、西武鉄道株式会社所有にかかる土地であるけれども、その所有土地を新都市開発センターに売り渡しますけれども、この第一条は、地元刑務所を設置するということについてお互いに了解しなければ無効であると書いてあるのですよ、これは。  それからもう一つ、私が申し上げることは、それならば、この土地は新都市開発センター所有であるか、名義であるか、それとも私が言うごとく西武鉄道株式会社名義土地であるか、調べたらすぐわかりますよ。これは西武鉄道株式会社名義ですよ。これは口頭で、私は西武鉄道株式会社から土地を私のほうに移しましてからということを信用して、その新都市開発センター法務省のほうは契約したにひとしいですよ。根拠はないのですよ。
  28. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 申すまでもないことでございますが、この売買契約は、一つ諾成契約でございまして、当事者間の契約によりまして、当事者間におきましてはもちろんこの売買効果が発生するものでございます。それと登記名義とはまたおのずから別個の問題でございまして、先ほど来仰せのとおり、現在もなおこの土地登記名義西武鉄道株式会社になっておることと思いますけれども、先ほど来申し上げております十二月七日の契約によりまして、所有権は新都市開発センターに移った、かように理解している次第でございます。
  29. 大森創造

    大森創造君 これはね、幾らこのことの押し問答しても始まりませんからね。現在はこの土地は、依然として西武鉄道株式会社所有であると、名義も、登記の面も私は西武鉄道株式会社所有の物であるというふうに私のほうは調査済みでございます。そこで、この契約書のみを根拠にしてあなたのほうでは言っておるんですけれども、そんな甘い法務省はありますか。何回も言っておるように、これの効力が発生するためには、覚え書きでこれはがっちりワクがはめられているんですよ。法務省口頭で言おうと、こういう売買契約書というものが実行できない、効力を発生しないという内容がわかっていながら、この決算委員会の場で私に対する答弁を、そのような強弁をなさいますか、これは調べてみたらわかりますよ。
  30. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 強弁と言われるとたいへん恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、売買契約によって移転を生ずるというのが確定した解釈であろうと考えているわけでございますので、私どもは、すでに所有権移転しておる、かように理解しております。
  31. 大森創造

    大森創造君 約束すると言うんですよ。西武は新都市に売るという、新都市が買うという約束をする契約書ですよ。その実行ができていないんですよ、この覚え書きによって。同日につくった覚え書きにはっきり書いてあるんです。あなたがそうおっしゃるなら事実を調べていただきたいと同時に、委員長にお願いしますが、これでは質疑になりませんわ、そういうことをこの場でおっしゃられていたのでは。事実を確定してからにしたいと思うんです。おかしいでしょう、西武が新都市開発センターに売ることを約束するという契約書ですよ。それが無効であると、地元了解しない以上は。同日につくった覚え書きに明らかに書いてあるんですよ。それでありますから、事実をお調べくださいと言うんですよ。事実はどうなっておりますか。口頭でただ西武から新都市センターに移るものというふうな予測ではありませんか。
  32. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 経理部長、同じ質問がだいぶ重ねられておりますが、付属文書というものは、法務省のほうでは御存じであったのかなかったのか、その辺はどうなんですか。
  33. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 私どもといたしましては関知いたしておりません。
  34. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 私、お聞きしたのは、そういう付属文書を見ておらぬわけですか、どうですか。
  35. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 見ておりません。
  36. 大森創造

    大森創造君 これは同日の日付で、同じ日付でちゃんと書いてあるんですよ。いいですか、明らかに書いてあるんだ、覚え書きに。「原契約により甲が乙に売り渡す土地刑務所を設置することに関して地元了解が得られた場合に原契約効力を発することを甲、乙は確認する。」と書いてあるのでございます。それからもう一つは、現状がそれならばどうなっているかということをすぐその場でお調べいただきたいということです。現状、すぐわかることですよ。
  37. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、この十二月七日付契約書は、大森先生仰せのように、売買の予約というふうには私どもは解していないのでございまして、この約したということは、ここで売買契約が成立したと理解しておるわけでございます。  それから、先ほど来申し上げておりますように、この登記簿上の名義は、なお西武鉄道株式会社に残っておるんじゃないかと考えておるわけでございます。
  38. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 法律問題、解釈の問題にもなるわけだが、ちょっとその点の解釈は一応保留しておいて論旨を進めてもらうようにできませんか。——それは確かに問題です、こうみんなが聞いておっても所有権が移っておるかどうか。しかし、何回やっても進まぬから、一応それは研究課題として保留しておいて進めていただきたい。
  39. 大森創造

    大森創造君 ではそういたしますがね。第二条にこう書いてあるわけです。これ一言申し上げておきます。「原契約に基く売買代金の支払い方法、売買物件の引渡し等契約の詳細については前条により原契約効力を発した時に甲、乙間で更めて取り決めるものとする。」、こういうふうに書いてございますから、これは絶対に所有権並びに登記面名義西武鉄道に依然としてございます。私は、委員長のおっしゃるとおり、あとで調べるということになりますが、明らかな事実でございますから、明らかな事実をあなたのほうではこの場でそういうふうに答弁されておりますが、事実は厳として存在するんですから、これははっきり登記面も、名義上も西武鉄道所有の物でございますので、この点についてはあとで吟味することといたしまして、次に進めますが、私はおかしいと思うんです。国が新都市開発センターに移っていない土地についてこういう国有財産売り払い及び購入契約書なるものを取りかわすこと自体おかしいと思います。それについて、いかがですか。
  40. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) これはおことばを返すようで恐縮でございますが、私どもは、この予定地は新都市開発センター——一部の農地のほうはさておきましても、大部分開発センターに移っているという前提で契約をいたしているわけでございますけれども、これは理屈の問題になるわけでございますけれども、かりに仮定論といたしまして、かりに所有権を新都市開発センターが持っていないといたしましても、新都市開発センターがこの所有権を獲得することがきわめて蓋然性が強い、可能性がきわめて強いということでございますならば、これは他人の物の売買をしてはいけないということはないわけでございまして、この場合には他人の物を対象とする売買契約ということは理論上当然あるわけでございます。これは民法の五百六十条にもさような場合の規定もあるわけでございまして、そこが一つ契約の問題として、かりに他人の物であったといたしましても、契約上は問題がないと考えている次第でございます。
  41. 大森創造

    大森創造君 大体語るに落ちたような説明がありましたね。かりに他人の名義でありましてもという、そこの部分が真実なんですね。私は民法上どうかわかりませんけれども、いやしくも国が土地売買契約をする場合に、将来自分の土地になるかもしれないという予想のもとに売買契約するばかはないですね。私は、あなた、やりませんよ。私があなたの土地を買うとした場合に、名義上も、所有権もがっちり明らかにあなたのものでなければ私は買いませんね。将来時間の推移とともにわかりますよ。いまのあなたの御説明のように、六万七千坪の刑務所予定地のうちの一万九千坪がまだ農民の名義になっているんですからね。新都市開発センターに移っていないんでしょう。残余の土地の大部分というものは西武鉄道株式会社所有なんですね。その土地を買いませんよ。国庫債務負担行為を起こして買いませんね。常識上考えられません。まして法務省ですよ。法務省が将来西武鉄道株式会社から新都市開発センターに移るかもしれない、移る可能性があるというような予測をしたようなこの土地を、碓定しない土地売買契約するばかはないですね。これはどういうふうにお考えですか、常識上そういうことはやりませんよ、普通の世間では。
  42. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 私が先ほど申し上げましたのは、かりにということで申し上げたわけでございまして、私どもは、この農地部分以外のところは新都市開発センター所有に属しているという前提で契約をいたしているわけでございます。農地部分につきましては、先ほど申しましたような他人の物の売買という形になるかもしれませんけれども、これにつきましては、従来の経緯にかんがみまして、知事の農地法に基づく転出許可が得られることを条件にして所有権を移すしいう元の地主西武との間の契約がございますので、これは将来所有権を獲得する可能性はきわめて強い、間違いないという前提のもとに契約をいたした次第でございます。
  43. 大森創造

    大森創造君 あなたのほうのその立場はそういうことだろうと思うのですよ。そうでなければいかぬと思うけれども、事実はどうかというと、きょうはうしろに青梅市の市会議員全員傍聴に来ています。事実ですよ。だから、この土地西武鉄道株式会社所有であるということもちゃんとわかっている。現地は、自民党も公明党も社会党も無所属も民社党も、超党派的に反対運動をずっと継続的にやっているわけです。それはなぜかというと、西武青梅友田地区土地を買った場合にちゃんとこの覚え書きができている。その覚え書きの第一条にこうなっている。「友田地区自治会会長久下米吉他十九名(以下甲と総称す)と西武鉄道株式会社(以下乙と云う)との間に青梅大字友田所在土地約四拾町歩の土地売買に関し左記条項に基く覚書交換する」とあるのですが、その第一条に「甲は」、友田のほうですね、「甲はその所有者の委任を受けて共同で管理している青梅市大字友田地区山林約四拾町歩の土地を乙が観光開発の目的で買収を完了するため、甲は責任を以ってこれを斡旋し、乙に協力するものとする」と書いてあります。この契約昭和三十六年の七月十八日でございます。西武現地友田地区の四十町歩の土地を買うときの覚え書きでは、明らかに観光目的ということになっているわけです。そこで数年過ぎて、四十年の一月かに刑務所にするんだからという話をしたんで、地元のほうはおこってしまって、ばかにするのもいいかげんにしろと、仕組んだ芝居じゃなかろうかということで、これはきょう皆さんお見えです。約束が違いますよ。明らかにこれは覚え書き違反ですよ。そこで、昨年の十二月にこういう現地西武鉄道株式会社との間に取りかわした契約は無効である、目的が違うんですから。観光開発というものと刑務所というのは違いますからね。これはおそろしゅう違いますから、これは観光開発と刑務所というものは。ばかにするのもいいかげんにしろということです。きょうは皆さんお見えです。そこで、きめてしまったんですよ。現地では長年親しんだ山林である、祖先伝来の土地であるけれども西武が観光開発だということだから、地元の発展のために、非常に愛惜きわまりない山林であるけれども、ひとつ西武のほうに渡す、観光開発だから。そういう記念碑が建ててある。だから、いまもってこの刑務所予定地の中心部の一万数千坪というものは、農地転用許可が、青梅市の農業委員会が認可しません。宅地に転用しないわけです。当然です。近ごろは無効訴訟を起こそうという動きすらあるんです。そしてその土地西武にすら移っていない。一万数千坪、ちょうど刑務所予定地の中心部ですよ。これが農地転用許可というものは与えないのです、これは青梅市の農業委員会で。事実そうですよ。全部来ていますから、きょうはあなたのうしろに。そうすると知事の認可どころではありませんよ。そこで、あとの五万坪か四万数千坪の土地というものが、西武鉄道には移っているけれども、新都市開発センターのほうにはこれは移りませんよ。いまのままでは絶対に移りませんよ。というのは、約束違反なんですから。そして先ほどから押し問答しているように、新都市開発センター西武鉄道株式会社との契約書の中には、地元了解が得られない以上は所有権は移りませんからね、新都市開発センターに。そういう架空の実行できないような契約書をもとにして国のほうが、法務省のほうが新都市開発センター契約をしたということは、私は非常に奇怪に思うんです。これはどういたしますか。
  44. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 本件の土地につきまして、元の地主さんから西武鉄道昭和三十六年に買い受けますに際しまして、これは観光施設をつくるために買うのだという覚え書きと申しますか、代表の方と西武の間とでそういう覚え書きがかわされているということは、私どもも十分承知いたしている次第でございます。ただこの場合に、個々の所有者——地主さんと西武鉄道との間の買収契約は、それぞれ別個の所有権移転売買契約がございまして、それと別個にこの代表者と西武との間に、先ほどお示しのような観光地にするという覚え書きがある、かように理解をいたしているわけでございます。ところで、こういうことを知っておったわけでございますけれども、私どもと新都市開発センター契約するに際しましては、この問題につきましては、開発センター西武鉄道との間におきまして、地元の方々のこの場所に刑務所をつくるということにつきまして十分御理解を得られる、しかも御理解を得られる見通しがきわめて強いということをセンターと西武がそれぞれ確約をいたしまして、私どものほうも、大体当時の状況といたしましては、刑務所の設置について地元の御理解も得られるという見通しがあったわけであります。そのような前提のもとに、あくまでも地元の方々の御理解を得る点は、やはり新都市開発センターの責任においてどこまでもやるということを確約をさせまして、しかもその見込みも強かったわけであります。かようなことを前提にいたしまして、国と新都市開発センターとの契約ができたわけであります。
  45. 大森創造

    大森創造君 あなたの答弁には非常に矛盾があると思います。押し問答はやめますが、あとで事実が明らかになるから責任ある答弁をしてください、私はいやですから。この場だけの言いのがれは絶対にいけません。決算委員会でどういう答弁をするかということは、昨年の共和製糖のときにも問題になったのです。事実はやがて三十分もすると判明するのです。  そこで私はお伺いいたしますが、国庫債務負担行為を起こしたのは昭和四十年でしょう、五十七億三千万円。こういう事実は、いつ国庫債務負担行為を起こして、その金額は幾ら予算をつけたのですか。
  46. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) この国庫債務負担行為は、昭和四十一年度の予算に計上されておりまして、先ほど来議題になっておりますこの計画のもとで国会の御審議を受け御承認を得ているものであります。
  47. 大森創造

    大森創造君 いまの問題はしばらくおいて次に移ります。  それではお伺いいたしますが、東京拘置所、この東京拘置所の渡し財産は、契約によりますと四十六億七千三百余万円で新都市開発センターのほうに渡すことになっておりますが、そこで私は疑問に思うのは、この評価ですね、新都市開発センターのほうに渡す土地の評価というものが、これは二十七万数千円、こういうことになっておりますね、これは間違いでございませんか。
  48. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 土地の本件交換に際しましての費用も含めまして、国有財産の建築交換その他におきます評価につきましては、大蔵省の御所管になっているわけでございますので、私よりも大蔵のほうからお答えいただきたいと思います。
  49. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 本件につきましては、法務省より私どものほうの関東財務局に評価の御依頼を受けまして評価いたしたのでありますが、巣鴨刑務所あと地の評価と申しますか、それをさら地といたしまして正常な取引価格という前提で評価いたしまして、平米八万三千六百九十円、坪当たり二十七万六千百七十七円という評価になっております。
  50. 大森創造

    大森創造君 そこで、大蔵省のほうからちょうだいいたしましたこの「旧東京拘置所敷地評価内容」なる文書を拝見いたしますというと、こういうふうに書いてございます。1、2、3、4、5の五番目に、「評価内容」として、「相続税課税標準価格からみた評価格」、「固定資産税課税標準価格からみた評価格」として、それぞれ坪当たり三十三万六千六百二円、三十四万八千八百九十九円、こうございますけれども、この数字には間違いございませんか。
  51. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 財務局等で評価いたししす場合に、それぞれ課税標準価格から時価を導き出します。あるいは近傍の売買地価格から導き出す。あるいは民間精通者の御意見を伺って、それを基礎として算出いたします。そういう評価を算出いたします基礎といたしまして、ただいま先生のおっしゃいました数字、相続税の課税標準価格あるいは固定資産税の課税標準価格を基礎にして導き出した時価の算定額がそのような数字でございます。
  52. 大森創造

    大森創造君 そこで、それではお伺いしますが、相続税課税標準価格というものと固定資産税課税標準価格というものは、一体どこの土地の価格なんですか、これは。
  53. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 相続税でございますと、これは税務署がそれぞれの所管の土地、地域ごしにいわゆる相続税の課税標準価格というものを想定いたします。それから固定資産税でございますと、都のほうでそういう課税標準価格というものを想定いたします。その当巣鴨刑務所のあと地における想定されました課税、そういう課税標準価格を基礎としておるわけでございます。
  54. 大森創造

    大森創造君 私は、国有地というものには相続税課税標準価格とか固定資産税課税標準価格などというものはないと思うのです。その場合、どうして算定しますか。
  55. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) それより、この巣鴨拘置所あと地、これは約六万平米の土地でございますが、ちょうど四方道路にめぐらされました長方形の区画された土地でございますが、それぞれのところにつきまして相続税の課税標準価格あるいは固定資産税の課税標準価格が設定されております。そういうものを基礎にいたした次第でございます。
  56. 大森創造

    大森創造君 設定されているんですか、これは現実に国有地について。
  57. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) いわゆる路線価というものが、その道路に面したところの土地につきまして設定されておりますので、それを基礎にして算出しておる次第でございます。
  58. 大森創造

    大森創造君 専門家の皆さんのほうでそういう解釈をされて、そして調査されたんですからよもや間違いないと思いますけれども、ちょっと私疑問に思うんです。  それはともかくとして次に移ります。  私が現地に行って調べてみましたところ、池袋駅からしばらく離れて、問題の巣鴨拘置所よりも離れている場所なんです、駅からは。そこで拘置所より東寄りの春日通りというところで調べてみたんです。実際に当たってみるというと、先月、九月十日に、名前は日谷利江という人が道路公団に売ったわけです。その売り価格が坪六十六万円なんですよ、この間。そこで新都市開発センター法務省、国との間の契約は十二月の十七日ということでございますから、その時点で価格を訂正したと思ってもちょっと私は疑問なんですね。それで、あなたのほうの最終的な評価額は、いま国有財産局長が言われましたように、二十七万六千円ということでございますが、実際の売買価格をこの間行って当たってみましたならば、やや拘置所よりも池袋駅から離れたところでもっと条件の悪そうなところが現に六十六万円しているわけです。それから不動産業者二、三に当たりました。うそを言うはずはないと思うのですが、大体常識的に五十万は下らないと言っているのですよ。少し安過ぎやしませんか。
  59. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) ただいま御質問ございました道路公団に売り渡されました土地が、先生お調べになったところが坪六十六万円もしたというお話でございます。この当該場所、私ただいま存じませんのですけれども、たまたま昨年の春でございますから、本件の土地の評価をいたす前でございますが、春に首都高速道路公団——ただいまあそこに高速道路五号線の工事をやっておりますが、首都高速道路公団におきまして、あの近傍におきまして土地の買収をやっております。その買収した事例につきまして調査したものがございますが、高いもので七十万円前後、安いもので二十万円程度でございます。高いものと申しますのは、やはりその土地の立地条件が大通りに面しておる、あるいは池袋駅に比較的近い、安い二十万円程度でございますと、池袋よりか離れて大通りにも面していない、本件の巣鴨拘置所とほぼ近い、あるいは類似した土地の金額である、まあそういうところでございまして、特に池袋の繁華街を控えてこれから発展しようという地区でございますので、大通りに面するとかあるいは土地の品格とか、その他によりまして相当大きな価格の差がそれぞれあり得るということをひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
  60. 大森創造

    大森創造君 私は、民間の精通者の鑑定ということもとってあるし、六人の人の評価鑑定を集めておりますけれども、どうも私はまだまだ疑念があるわけです。業者がでたらめは言わないと思うのですよ、私が聞いた業者は一人や二人じゃないのですから。これが五十万を下らないと言っているし、普通の人間の感覚からすると、私は安いと思うのです。まあもっともらしい理由があるんでしょうけれども、どうもいま思い出しますのは高槻の山の問答があったときに、高槻の山の場合には、政府のほうであとで発表したところによると、文書による発表を拝見しますと、十億という評価をした、高槻の山林の場合。昨年に問題になった高槻の山は十億という評価を政府がしました、結局は。そこで検察庁のほうは十五億というふうな評価をしておるわけでございますけれども、あの当時私が林野庁と問答したときに、三千五百万円と言ったのですからね。話は違いますが、どうもおかしいと思うので、どうですかな、国有財産局長、もう一回やり直して評価し直してみたら、これ。それは国会で、委員会質疑応答しますというと、確かにこれこれこれこれという説明を、専門家的な知識を披露されますけれども、どうも私は安いと思うのですよ。やり直してみたらいかがでしょう。
  61. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 本件につきましては、ここ数年来国有財産につきましては、当委員会をはじめといたしまして、その他いろいろと御指摘、御批判も賜わっておるわけでございますので、十分慎重に念を入れて評価をしたわけでございまして、評価内容自体あるいは近傍の類地との比較その他十分やったつもりでございますので、さらにまた評価をあらためてするという必要はないんじゃないかというふうに私は考えております。
  62. 大森創造

    大森創造君 それではそいつはしばらくおいて、次に青梅市の友田地区に移りますけれども、これも大蔵省からちょうだいした資料によりますと、「多摩刑務所(仮称)敷地評価内容」として、所在が東京青梅市大字上長渕字友田、地目が宅地ということになっておりますけれども現状は宅地はざいませんが、これは農地だとか山林とかというものを宅地扱いにして、見込みの評価なんでございますか。
  63. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 法務省とそれから新都市開発センターとの間で、ただいまの新刑務所の予定につきましては、宅地造成として国に渡すということになっておりますものですから、宅地造成した後の価格の評価としてございます。
  64. 大森創造

    大森創造君 そいつは了解いたします。  それではその次お伺いいたしますがね、事項別として先ほど巣鴨の場合にも申し上げましたように、「相続税課税標準価格からみた評価格」、「固定資産税課税標準価格からみた評価格として、代替庁舎敷地、いわゆる刑務所の庁舎敷地として七千二百七十四円、それから七千二百八十六円、こういう数字が書いてございますが、これはどこの土地の評価なんでございますか。
  65. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) ただいま御質問ございましたその相続税課税標準価格からみた評価格とか、固定資産税課税標準価格からみた評価格につきまして、それぞれ当該土地について、先ほど申し上げましたような同じようなやり方で算定した数字でございます。
  66. 大森創造

    大森創造君 それがどうも私はおかしいんですよ。これは現地に行ってまいりまして、市役所の方や、市会議員の方や、税務署の方、青梅税務署の資産一課一係、そういうところへずっと当たってみたんですがね、そうすると市役所のほうで——これは偽造文書でございませんので、ほんとうの土地評価価格証明書というものを青梅市長石川要三さんの名前で出してくれたんですがね、これを見ますと、ちょうどいま言われました中心部のところの評価額がそれぞれあるわけです。そこでこれを拝見しますと、あまりに事実と違うんです。一つ申し上げますと、友田字大芝原というところで、地番——念のために控えていただきたいと思いますが、地番が一二四〇の一八、地目は原野になっております。そして四千七百六十平方メートルであって、評価額が五万二千八百円でございますから、坪が三十六円ということになるんですよ、これは。坪三十六円。そしてもう一つ、これは友田の字大日向というところで、地番が一一九八の六、地目が畑であって、二百十四平方メートルで、評価額が七千四百五十円でございますから、坪当たり百十五円ということになっております。所有者は久下格太郎という人です。全部こういう調子でございますよ。松崎藤吉さんという人の土地は、坪当たり四十六円ということになっておりまして、それが普通のあれですよ、固定資産税の課税標準価格ということに市役所のほうでは解釈しておりますが、あまりに隔たりがあるので、びっくりしているんですが、これはどこから飛び出した数字なんでしょうか。
  67. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、本地は宅地としての評価ということをたてまえとしておりますものですから、近傍の宅地につきましての課税標準価格を求めまして、それを基礎にいたしまして時価推定をしておる、そういうことでございます。宅地でございます。
  68. 大森創造

    大森創造君 これはしかしいいですか、四十六円、坪。それから三十六円、三十六円、百十四円、百十五円、こういうのがこれは昭和四十二年の十月十二日ですね。いまから何日も過去ではございませんよ、ついこの間の青梅市長の石川要三さんの評価額なんですよ、これは。これはインチキではないのですよ、文書を私はここへ持っておりますから。これは市会議員の方々の協力で集めた数字なんです。公文書ですよ。これと比較してみた場合に、幾ら宅地として見込みの評価でも、少しこれは隔たりがあり過ぎると思うのです。七千二百七十四円、七千二百八十六円、それから宿舎の敷地は一万五百五十四円、一万五百七十一円、片方私の調べたところでは、四十六円、三十六円、百十五円。わからないですよ、私はどうしても。  そこで、もう一つお伺いしますが、売買実例価格から見た評価格というのは、どういう実例をとりましたか。
  69. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 本件調査の鑑定審議官より、売買実例の数字を申し上げます。
  70. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) 売買実例について申し上げます。売買実例につきましては、大字友田一の八について、五十三坪の売買実例をとりました。で、売買価格は坪当たり一万一千円でございます。そのほかになおもう一件とりまして、これらを勘案いたしまして採用いたしております。
  71. 大森創造

    大森創造君 これはひとついまのお答えのところを、名前と場所をあとで別途出していただけませんか。私がこの間現地におもむいて——きょうも市会議員の方が全部お見えでございますが、売買の実例はないのですよ、最近。しかし、私のほうでも誤っているかもわかりませんが、念のためにいまのお答えのところを、ひとつ文書にしてお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 承知いたしました。
  73. 亀田得治

    委員長亀田得治君) お答えになったのは二つですか、二つですね、二件……。
  74. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) 実例では一件だけ申し上げました。もう一件は、数字は申し上げませんでしたけれども……。
  75. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 一緒に出してください。
  76. 三島和夫

    説明員(三島和夫君) はい。
  77. 大森創造

    大森創造君 私の調査によるというと、いま申し上げたとおり、青梅市の友田の一一九八の六の地籍、ここのところが坪当たり百十五円というその役場の評価でございまして、それの倍数、青梅市の場合は地区によって違いますが、二十一倍をするというと相続税課税標準価格からみた評価格ということになるそうなんで、二十一倍しますと、二千四百十五円という数字が出てまいります。それを、おたくのほうの資料によるというと、一万五百七十一円というふうになっている。ずっとこう調べてみますと、こういうことなんです。山林の原野の場合は、近傍宅地の一・七倍をして伐採費坪当たり八十円と、根引き、すなわち抜根の費用百三十円坪当たり、地ならし費五十円坪当たり、合計二百六十円を引いたものが、青梅市の場合は相続税課税標準価格からみた評価格になるそうなんですが、あまりに違うのです。これは私はどうも人の悪い話をしますというと、作文じゃなかろうかと思うのです、これは。これはひとつ押し問答しても始まりませんから、あとでよく御説明をいただきたいと思います。  時間がありませんから、だんだん集約いたしますが、私は新都市開発センターというものを相手にして法務省が、国が、そうして等価交換方式というものをやって、そして渡し財産は巣鴨拘置所のあと地である。そうして今度はその見返りとして青梅友田地区に建設すべき刑務所と、岡山、浦和、旭川と、その施設を新都市開発センターがつくってやる、さらに東京拘置所を小菅の刑務所に移しますから、小菅の刑務所青梅のいわゆる多摩刑務所のほうに移すということになると、その修築もしなければならぬ、そういういわゆる等価交換方式をやるということに私は非常にもやもやしたものを感じます。というのは、いやしくも法務省刑務所をつくるということであるからには、相手の新都市開発センターというものはしっかりした会社でなければならぬと思いますし、公的な仕事をやってもらうというたてまえのようです、この契約書を見ても、巣鴨のあと地について。ところが、この計画書を拝見しますと、地上三十六階のビルディングを建てるということですね。三十六階というと日本一ですね、これは。三十六階の高層ビルディングを建てて地下三階で、そこで一階、二階、三階のところに駐車場やバスターミナルをつくって公共性を持たせるというふうにうたってございます。それから都の高速道路のほうは、都市計画を変更してインターチェンジをつくるということになりますけれども、私は、公共駐車場にしても有料駐車場だろうと思いますが、よほど私は新都市開発センターというものは公共性を持った機関でなければならぬと思いますし、公共的なものがなければならぬと思うんですが、そういう点についての自信はおありなのですかな。
  78. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 本件をなぜ新都市開発センター交換の相手方にしたかということにつきてましは、たいへん長い、また慎重に検討いたした経過がございます。あまり詳しく申し上げるのも何かと存じますが、結局私どものほうで全国的に見まして、移転等価交換方式による刑務所移転をいたします場合には、これは交換の相手方が県であるとか、市であるとか、地方公共団体であることが望ましいことは申すまでもないところでございます。で、本件の東京拘置所につきまして、これを首都圏整備の必要から立ちのくようにということが昭和三十三年二月の閣議了解で行なわれたわけでございまして、法務省といたしましては、その閣議了解から、どうしても東京拘置所をどこかに引っ越さなければならぬという問題が起きたわけでございます。で、その場合に、通例のとおりでございますと、東京都が交換の相手方になって、この仕事をやっていただくと、これはたいへん好都合で望ましいわけでございます。また、そういう線で従来の法務省当局は、東京都あるいは首都圏整備委員会といろいろな困難な交渉を続けてきた次第でございます。しかしながら、東京都におきましては、東京都の財政上これは困難であるという最終的な東京都の態度が決定いたしましたので、この点は東京都とは事が運ばないということになったわけでございます。たまたま東京都がこういう態度をきめました後に、先ほどお話の新都市開発センターから——池袋の副都心の整備計画を行なう事業を目的とした新都市開発センターのほうから、池袋の開発をやるのと、それと同様に刑務所移転の問題を引き受けるというようなことが、東京都を通じて法務省のほうに提示されてまいったわけでございます。その点におきまして、私ども十分な検討をいたしたわけでございますが、しかも東京都及び首都圏整備委員会その他の意見を徴しまして、この新都市開発センターを相手に交換をしていいかどうかということを検討いたしたわけでございますが、関係者がそれぞれ、この新都再開発センターは、本来池袋の開発を目的として、一個あるいは数個の民間会一がこれをやるというのじゃなしに、事柄の公共性あるいは事柄の膨大性と申しますか、膨大性にかんがみまして、実業界の一流メンバーが、一社とか数社に偏せずに各実業界の方々、第一線の方々が集まって一つの会社をつくって、そうして池袋の開発をやろうということでございまして、もちろん池袋の土地につきましては、都市計画上いろいろな公共的な制約がございます。この制約をも、全部この新都市開発センターが制約を果たして、公共事業をやっていくということが関係者のほうで確認されましたので、こういうことであれば、資金的にも信用が十分ある、この交換事業の相手方として東京都にかわってやれるだけの能力があるというふうに私ども認定をいたしまして、これを交換の相手方にした次第でございます。
  79. 大森創造

    大森創造君 バスターミナルだとか駐車場だとかいう公共性のあるものをつくるということでも、計画を拝見いたしますというと、大体一大ビルディングの面積のうちで七%くらいしか公共性が出ていないのですね。あとの九三%というものは、大体貸し事務所とか名店街だとか劇場だとか、そういう収益事業ということになっておりますね。総予算が四百五十億前後と聞いておりますけれども、予算的にも大体九三%は収益事業でしょう。それでもいいでしょう。
  80. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) この新都市開発センターの計画でございますが、先ほど来お話のように、ここで三十六階の高層ビルをつくるということになっております。その場合に、地下二階地上三階、この五階層については、都市計画法に基づく都市計画の公共性のある事業をやること、これは一つの公共的な制約を受けてこの事業をやるわけでございます。それから中層部分でございますが——いまの三階までを低層と申しますと、中層部分につきましては、開発センターにおきましては、児童教育に関する事業、たとえば修学旅行会館であるとか、児童会館であるとか体育館とか、こういうものをつくるという計画をいたしておりますし、また文化的事業、ここを一つの各種の展示会場であるとか集会場にするとか、平和記念館にするとかいうように、中層部分については教育的あるいは文化的な事業を行なう予定になっております。一番上の高層部分につきましては、先ほど来お話の貸し事務所であるとか流通センターであるとか業務施設を行ない、あるいはホテルというような計画になっておるわけでございまして、これを面積的に見てまいりますと、いわゆる公共的面積は全面積の三五%、非公共面積は六五%と、大体かような割合になるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  81. 大森創造

    大森創造君 その点は私のほうの調査をさらに深めてみますけれども、少しわからぬところがございます。四百五十億のうちで、開発銀行が百三十億の融資を決定した、それから百億が長期信用銀行が融資と、こういうことは郵政省のほうの申請書類に出ておりますが、事実そういうふうな大体見込みなんですか、決定なんですか、その融資の問題は。
  82. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) ただいまの融資の関係その他につきましては、私どものほうは正式にセンターのほうからは聞いておりません。口頭で大体いろいろなお話は聞いておりますけれども、正式なお話としては聞いていないわけでございます。
  83. 大森創造

    大森創造君 この問題は、最初に法務省側のほうが西武のほうに、何とかひとつ刑務所移転するのにあなたのほうの土地を提供してもらったらどうだろうということを、早いこと法務省のほうから西武のほうに伺いを立てたのじゃありませんか。それが事実じゃありませんか。
  84. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 先ほども申し上げました三十三年の閣議了解がありましてからは、法務省といたしましては、この東京拘置所移転敷地をいろいろ首都圏整備委員会等を通じまして、物色方をお願いいたした次第でございます。そういうことで、東京都、首都圏整備委員会を通じまして、私どものほうに候補地の提示が七つか八つあったと思うわけでございますが、そのつど私どものほうは、その環境であるとか距離関係あるいは将来刑務所ができます場合の施設に適応するような条件を持っておるかどうかというような点、いろいろ検討いたしたわけでございますが、それが提示されましたものにつきましては、いずれも適当でないということで、候補地として採択するには至らなかったわけでございます。その後は、先ほど来申し上げましたように、私どものほうは西武——西武といいますか、新都市開発センターから、都を通じて本件の交換の問題の話を伺ったわけでございまして、先ほど先生のおっしゃいました西武から云々という点でございますが、これは本件が対象となりまする前の、都を通じて示された候補地の中にも西武土地があったかとも思いますけれども、これはいろいろ先ほど申した七つ八つの候補地の中の問題であろうと考えるわけでございます。
  85. 大森創造

    大森創造君 時間がございませんから集約いたしますけれども、冒頭に私が問題提起いたしました国と新都市開発センターとの売買契約というものは、私は実現の見通しが非常に暗いと思うのです。先ほどるる説明申し上げましたように、新都市開発センターにあなたのほうは所有権名義も移っているように、登記上は西武はわからないけれども云々という説明がありましたが、事実は西武鉄道株式会社所有でございますからね、これは現在。さらに西武にも移っていない土地が一万数千坪あるのですからね。そういうものを相手にして国がいやしくも契約をするということは、これは非常に支障のある契約をしたことになると思うのです。私は、そういう契約の実行はむずかしいと思うのです。これはあとで調べればわかります。あなたはその速記録を見ればわかりますけれども、新都市開発センターのほうと契約をすることは民法上違法性がないし、現に新都市開発センター所有であるというふうな説明をされました。しかし、私はそうでないということを断言しますので、その点は、非常な支障のある契約というものはいかがなものであろうかということ、これは一つ最後に申し上げておきますし、それから融資の問題やいろいろございます。この都市計画の変更の問題なんかについても、新都市開発センターでなくて、法務省自体が当たって二カ月くらいのうちにぽんとおりているという事実もございますし、これは二十六日の大蔵省の問題にあらためてお伺いいたしたいと思います。  そこで最後に一つ申し上げますが、どうしても青梅刑務所をつくるというならば、順序が違うと思うのです。私は、順序は、まず西武とそれから地元のほうで山林の四十町歩の売買があったときに六百円くらいで買って——幾らで買ってもよろしいのでございますけれども、観光目的ということで買って——ここをちゃんと整備して地元の人を納得させて、それから今度は新都市開発センター西武のほうから所有権なりを名義上、登記上移して、その新都市開発センター刑務所のある法務省のほうが——刑務所ですからね、相手か刑務所ですか——刑務所を設置するときの契約を結ばれるのが順序だと思うのです。それは地元の人がおこるのは当然だと思うのです。西武のほうから新都市開発センターのほうに所有権も移っていないものを、所有権が移っているとして、そして今度はその新都市開発センターと国のほうが契約をしてしまって、大蔵省が認可して、昭和四十年に国庫債務負担行為というもので五十七億三千万円という巨額の債務負担行為というものを許可をして、認可をしている。そして昭和四十一年から予算もついている。地元の方が全然これは無視されておりますよ。おこるのは当然ですわ。順序が逆だと思うのです。そこで、法務大臣でも政務次官でも行ってよく事情をお話しになったらどうですか。お話をされても、委員会の場はこれで済みますけれども、なかなか納得しませんよ、こういうからくりは。西武は観光目的で買ったというのに、いつの間にか刑務所というものにすりかえられているのだ。そして政府と新都市開発センターというものが、所有権も移っていないのにかかわらず、国のほうとこの新都市開発センター契約ができているという、そういう一連のことを見ますと、地元民のほうが承服しないのは当然だと思う。私は先ほど申し上げましたように、超党派的に反対運動が出ていますし、売買契約無効についての訴訟まで起こそうという運動が現在あるのですから、私はお先まっ暗だと思う。刑務所移転に私は反対するものではありませんが、なぜこういう手続の問題について、われわれが見ても不自然のようなことをやったのか。これは非常な疑問が残ります。答弁の必要があれば答弁いただきますけれども、まだまだ疑問が残りますから、私は二十六日の委員会の大蔵省のときにさらにこの問題について詳しく質問いたしたいと思います。本日はこれで終わります。
  86. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連。簡単に大蔵省の国有財産局長に伺いますがね。評価のしかたをいろいろといま言われておるわけですが、評価を変える必要はない、あなたがそう断定しましたが、いろいろいわれている場合に、納得するためにそういうものについてもう一ぺん検討してみたらどうか、こういう質問があったと思う。この問題は道路公団やあるいは住宅公団その他が土地を買う場合においても、いつも評価の問題が問題になるわけです。それで土地はほしがれば幾らでも値が上がるというふうにいわれておりますが、しかし、国有地の場合、あるいはその他国が買う、そういったような場合については、特に客観性というものが指摘されるわけです。ところが、先ほど大森君から言われたように、高槻の土地なんかの評価をめぐってかなりラフというよりもでたらめだという印象が強いわけですね。自後だいぶ改まってきているというふうに考えるわけですが、この問題について、巣鴨拘置所、この場合の評価のしかたですね、もう一ぺん出してもらいたいと思う、詳しく。どうしてこういう計算ができたのかね、それを詳しく出してきてもらいたいと思う。私は国有財産を売却する場合に、土地鑑定士とかいろんなものを使って評価するということをやっておりますが、評価をする場合に、やはり都合のいい評価人だけでは私は困ると思う。そういう感じがするわけです。ですから土地評価について、国有財産局として、特に内部にそういう小委員会みたいなものがございますか。評価というものはそのつどそのつどやっておるのかどうか、一つの方式があると思うのですが、いままでの評価のしかたについては、かなりわれわれは不信感情を持っておるわけです。特にこの新都市開発センターの社長が中村建城さんという人、この人は大蔵省出身の人ですね。そうすると、どうも先輩、後輩という関係で問題が考えられるのですが、これは憶測になってはいかぬと思いますけれども、しかし、周辺の人が安いと言っている。これは確かにいま言われたようにまわりの人がみんな言っているらしいのです。それに対してやはりこうだ、こういうわけでこういうふうな計算になるのだということを、やはり国民に納得させないというと、毎日新聞の「黒い霧と新聞」の中においても、そういう点がすでにキャンペーンされているわけです。そうすると、この記事を読んだ国民は、またぞろ大蔵省なり政府は、法務省を含んで何かやっていると。あれよあれよの刑務所移転と、その新聞記事そのものを全部これは正しいとは言っておりませんけれども、これは与える印象というものに対して、国有財産局、大蔵省としては明快に国民に対して解明する私は責任があるというふうに考えるわけです。そういう点で、先ほど言われた点について、評価は変える必要はないんだ、それも一つの見識かはわからぬけれども、それならば、それなりにもう少し明確にこの内容を、この次の二十六日という話でございますけれども、それまでに明確にひとつ出してもらいたい。それをお願いします。
  87. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) ただいま岡先生の御注文の資料、次の委員会までに提出いたします。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 その評価に対する大蔵省の見解をひとつ出してもらいたい。どういうふうに評価したら公正なものが得られるのか。いままでのやり方で、それで完全なのかどうか。私はどうも場合によって非常に便法主義がとられているような気がする。それは確固たる数字がないから、いまここで一々指摘はしませんけれども、そのときそのときの力関係によって、かなり内容的にこれが差異が出てくるんではないかというふうな気がしてならない。それは、ある場合によってはそういうふうな公のものが建つことによって土地の値がどんどん値上がりしている、こういうことがいわれているわけです。また、ある部面においては、社会が見る目よりも極端に下回った値段において評価されている。売買されている。こういうふうな問題があるので私は言っているわけです。大蔵省として、ひとつ評価のしかたというものを、どうしたら適正にできるのか、それを、見解もあわせてひとつ出してもらいたい。
  89. 亀田得治

    委員長亀田得治君) いいですな。
  90. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 承知いたしました。
  91. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それで経理部長……。
  92. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 先ほどの大森先生の、地元関係で非常に容易ならぬというお話でございまして、私ども心痛いたしておる次第でございます。しかしながら法務省といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、この契約を締結いたしますにつきましては、地元の方々にも農地所有者も大体こう御内諾を得たというような見通しまでついてきて、大体うまくいくという、もう一応の見通しがついた段階で私ども契約をいたした次第でございますが、契約締結後、地元の方々のほうでまた反対論が、再燃といいますか、だんだん強くなってきたということで、たいへん私ども遺憾に存じておる次第でございます。私どもといたしましては、本来この建築交換方式の場合に、新しい刑務所をつくるというのは、地元の御反対の説得を含めまして相手方、本件の場合には開発センターの責任に属することでございますので、開発センターを通じ、それぞれ地元の方の御理解を得るように強く指示いたしてまいったわけでございます。のみならず、法務省におきましても、本件の場合は通常の交換の場合と違いまして、通常の交換の場合は都道府県あるいは市というような自治体が当事者になってくる関係で、この地元の御理解を得る点が非常にスムーズにいくわけでございますけれども、本件の場合には新都市開発センターであるという特殊な事情がございますので、本来の立場からいけば、これはセンターの責任に属することではございますけれども法務省といたしましても、昭和四十年六月以来数次にわたりまして、おりに触れ青梅市のほうに係の者が出向きまして、市議会の方々、市当局の方々、それから地元関係者の皆さま方にるる事情を説明し、御理解御協力を得るようにしてきた次第でございます。何ぶん法務省といたしましても、この一連の刑務所移転問題はたいへん大きな事業でございます。かような関係もございますので、今後とも地元の方々の御理解を得て、ぜひここへ刑務所をつくらしていただきたいと考えておるわけでございます。
  93. 大森創造

    大森創造君 一つ最後に……。私はあなたの気持ちもわかりますけれどもね、いかぬですよ。西武鉄道が観光開発という契約書をもって地元から六百円平均で四十町歩の土地を買ったのですからね。それが昭和三十六年でしょう。ところが、それからあと四十年になってから、今度は新都市開発センター法務省というものが、そいつを今度はすりかえて刑務所ということにしておるから、地元がおこるのは当然ですよ、これは。そして、いいですか、あとで速記を見ますけれども、明らかにあなたのほうではこう言ったのだからね。新都市開発センター法務省契約は、この土地が新都市開発センター所有のものであるというようなことを言うたのですよ、あなたのほうは。そうでないですよ、これは。いままでの論議でも明らかなように西武鉄道株式会社が大体七、八割押えてありますけれども、中心部はいまもって農民の所有なんですからね。所有権登記面もこれは西武鉄道株式会社ということになっておるのですからね。そういうものですから新都市開発センター所有ではないのですよ。それを相手に、今度は国が契約をしたという事実を、そうではございませんという強弁をするということは私おかしいと思うのですよ。これはお調べいただきますよ。そういう答弁で通るならば、これは何をか言わんやです。これはひとつ撤回されませんか。おかしいと思うのです。ですから私は、明らかに見込みならいいですよ、見込みなら。いまから努力をして、それで地元の農民を説得して、西武のほうに渡して、西武のほうを説得して——西武のほうは地元のほうに観光開発というようなことを言うておりますけれども——刊務所ということで納得をさせて、今度は明らかに新都市開発センターに持ってくるならいいですよ。そういう手続が何らなされてなくて、国と新都市開発センターのほうの契約のみが先行しておるという事実が私は納得できない。どこかに非常な無理があるような感じがするのです。
  94. 亀田得治

    委員長亀田得治君) また同じ問題に戻りましたが、答弁しますか。
  95. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 先ほど来申したとおりでございます、私どもの見解は。
  96. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それじゃ国有財産局長のほうね、大蔵省が次に二十六日ですから、当日の朝じゃなしに二十五日までにひとつ先ほど岡君から要求された資料、これをひとつお願いしておきます。  で、きょうの委員会で、あなたのほうから若干の説明ありましたが、とにかく書類にして全部の委員の方がわかるようなものをひとつつくっていただきたい。特にこの売買実例価格ですね。あそこは件数幾つとったのか知りませんが、青梅のほうも二件出してもらうわけでしてね、巣鴨のほうも五つなら五つとっているのなら、それを具体的に、地番なり所有者名義等も明らかにしたものをひとつ出してほしいと思います。あそこは何件ですか、ちょっと……。
  97. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 四件でございます。
  98. 亀田得治

    委員長亀田得治君) じゃ四件とも全部出してください。いいですな。
  99. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 承知いたしました。
  100. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは暫時休憩いたしまして、午後一時十分から再開いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  101. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き昭和四十年度決算外二件を議題といたします。  法務省決算について審査を行ないます。
  102. 大橋和孝

    大橋和孝君 法務省関係について一、二ひとつお伺いしたいと思う次第であります。  昭和三十九年度の刑務所の職員の状態を見てみますと、一万六千六百五人、それから昭和四十年では一万六千六百九人、それから四十一年には一万六千七百六十二人でありますが、一方において収容されておるところの現員は、三十九年では六万二千五百九十二人、四十年では六万三千二百三十三人、四十一年度では六万三千百四十五人というふうになっておるのであります。これで計算してみますと、一人当たり刑務職員は三・七人くらいに当たっておるわけでありますが、実際収容所の処遇に当たるところの職員というのは実際上はもっと数が少なくて、約一万人くらいの人で当たっておるようであります。こういうようなことになりますと、六・三人に一人という職員が当てられることになっておるわけでありますが、仕事の性質から見てみますと、かなり過重になっておるのではないかと思われるわけであります。これに対して増員をしなければならぬと思うわけでありますが、こういうものについての計画についてひとつお知らせしておいていただきたいと思うわけであります。
  103. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のとおり刑務所の職員のうちで収容所の処遇を担当しておりますいわゆる保安職員の数というのは、いずれも各年度ごと一万人切れておるわけであります。したがいまして一人当たりの負担率というものを計算いたしますれば、六・三人から六・四人の間でございます。この現在の人員で収容所の処遇を実施していくということになりますと、職員が週に一回の休暇をとることが困難な状況でございます。全国的に見ますと、おおむね月のうち三回、週のうち一回は休暇がとれぬ。したがいまして月のうち週一日が休暇がとれない。その内容を見ますと、御承知のように夜勤をやりました翌朝は非番になるわけでございますが、当日出廷あるいは護送といった、他からの受け身の形で処理しなければならない仕事が入ってくるわけでございます。そのために結局非番居残りをしてそれらの事務をしなければならない、こういう状況に相なっております。したがいまして私のほうといたしましては、せめて一般公務員並みに週に一回の休日を確保してやりたい。さらに超過勤務の実情がかなり過重な状況に相なっておりますので、休日を確保してやると同時に、超過勤務をできるだけ少なくしてやりたいということで、約三年間にわたりまして、全国の各刑務所の勤務の実態を一つ一つ配置について調べまして、さらにそれらの配置について、本省といたしまして、この配置は省略する余地がないか、あるいはこの勤務を合理化する余地はないか、といった点につきまして検討をいたしまして、配置個所を減らせるところは減らす、また人ではなしに、他の機械をもって代用できるものは代用していくという計算をいたしまして、現在の刑務所の運営をしていくについて、われわれとして最小限度必要な人員がどれだけになるかということを計算をいたしまして、その線に沿いまして予算の増員の要求を本年度から始めているというのが実情でございます。
  104. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、この夏ちょっと機会がありまして、山科とか和歌山そのほかに二カ所ほどを視察する機会があって、所々データを得たわけでありますが、その点から考えてみましても、最近の法的な考えといたしましても、やはり教育刑主義が非常にとられているようでありますが、特にまたこの社会の保安の状態から、いろいろ説明を聞いてみたり中を見せてもらいますと、非常に悪質というか、そういうふうな囚人もおるわけでありまして、やはりこういうようなものを、行刑保安職員がほんとうに安心して働けるような状態であるかどうかということを考えると、まだまだ非常に不十分だと考えられるわけです。特に私は、この中でやっておられるそうしたいまの刑の執行に対しての考え方が十分に行なわれるような、いわゆる教育という面を相当やれるような職員の配当ができておるかどうか、こういうことについて非常に私は疑点を感じたわけでありますが、どういうふうにそれを把握されて、それをどういうふうな構想でこれからしようと思われるのか、これらはすぐ次の予算の編成にも影響することでありましょうから、こういう決算で論議される事柄が即予算を編成する上に反映をして、そしていい結果をもたらしていかなければならないという観点から、そういう点の構想を伺っているわけでありますので、そういうことを含めて、私はきょうは大臣にこの構想をよく聞いて今後どういうふうに対処するかということを明確にしていただきたいと思っておったわけでありますが、大臣は都合が悪くておられぬようでありますが、そういうことを含めて、十分反映できるような構想をひとつ聞かせていただきたい。
  105. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のとおり、現在刑務所の収容者の処遇の根本をなすものは懲罰応報という考えではなしに、収容者に適切な職を与え、あるいは教育を施して、釈放の暁に再犯に走らないような技術的な面あるいは精神的な面の矯正をやっていくというのが重点になっているわけでございます。したがいまして、現在は作業として職業訓練を充実していく、そのためには作業の面における必要な機械その他の設備を拡充をしていく、さらに、作業の指導をいたしますいわゆる作業技官の質をよくしていく、いわゆる専門的な技術を技官に十分教えて、それを収容者に反映をしていくという、これが当面の問題でございます。なお、そのほかに、各刑務所現状を見ておりますと、作業のほかにいろいろな通信教育といったようなことを施しているわけでございますが、その通信教育等を施す時間というのが、作業時間が終わりました夜間に、収容者に職員が教えるというのが実情でございます。それがまた職員の面から見ますと、作業終了後五時半に帰宅できるのが、帰宅しないで夜間残って収容者のめんどうを見ているといった形になっているわけでございます。したがいまして私のほうといたしましては、作業の面における機械設備の充実、作業技官の専門的な資格あるいは技術を充実させるための必要な予算の獲得、さらに作業技官の数の不足、いわゆる専門的の資格を持った作業技官が不足をいたしておりますので、その面の充実を相はかっていく。  それからなお、職員と収容者の間の関係でございますが、その点につきましては、基本的な考え方でございますが、明治四十一年に制定公布されました監獄法というものがすでに古くなっておりますので、新しい観点から監獄法の改正をやって、職員と収容者との間の関係を新しい感覚で規律をしていく、さらに矯正の目的を監獄法の中にはっきりと、社会復帰更生ということもうたって、その線に沿った処遇を法律的にも明確にしていきたいと、当面の措置とそれから将来にわたる措置と、二方面から現在検討を重ねているところでございます。
  106. 大橋和孝

    大橋和孝君 そのようないまの御答弁にもありましたように、改定に対してはよほど抜本的に考えてもらわないと、これはいままでもいろいろそういう議論は行なわれたと思うのでありますが、いつも答弁に終わってしまって、実際に反映はしていない。少なくともこうした問題は、刑に服しておる者がほんとうに再起できるような機能をそこで発揮しなければならぬ大きな使命がありますので、私は実際に見た状態から考えて、こうした問題については相当積極的な方法をしてもらわなければいけないことではないかと、心深く痛感したのでありまして、いまの考え方も空文に終わらずに、実際予算の面にも、あるいは将来の展望にも明確にそれが反映をしていくように事をはかられたい。というのは、決算でこういうことを問題にするのは、予算にそれを反映するのが一番大きな問題であり、そうされなかったならば、これが改善されないという観点から、特にその点を力説をしておきたいと思うわけであります。  身分保障、待遇の面で少し尋ねてみたいと思うのでありますが、刑務所の職員の中で、保安職員は一週間五十一時間になっておりますが、調べてみますと、少年院その他では四十四時間という実働時間になっておるわけでありますが、どのような様子で働いているのか、先ほどちょっと話にお触れになったようでありますが、もっと特殊な職業であるという観点から考えたならば、この点にはかなり思い切った処置をしなければならぬと思うのですが、その点についてはいかがでありましょうか。
  107. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のように刑務所の保安職員の勤務時間は週五十一時間でございます。その五十一時間という時間で毎日の職員の勤務を完全に行なうということになりますと、御承知のように刑務所では二十四時間収容者を扱っているわけでございます。したがいまして、二十四時間収容者と職員が絶えず接触をしてその更生保護という面に働きかけなくちゃならぬわけでございますが、その二十四時間を現在の数で一週間勤務を回転させていくということになりますと、大体一日二時間ばかりがどうしても超過勤務ということにならざるを得ない計算に相なるわけでございます。したがいまして、私の理解するところでは、超過勤務というのはむしろ例外的な勤務状況であろうと思うのでございますが、現在の刑務所の職員にとっては、超過勤務が常態に相なっておるというのが実情でございます。したがいましてこれも変則的な形であろうと思いますので、五十一時間で一週間が勤務し通せるようなやはり職員の数を確保していかなければならない、そういった観点からも必要な増員の数を計算しておるような次第でございます。
  108. 大橋和孝

    大橋和孝君 またこの刑務所や少年院の職員に対しまして、行政職の(一)表、(二)表、それから公安職員に対しては公安職の(一)表、それから医療職の(一)表、(二)表、(三)表が適用されておるようです。特にこの仕事が過重でありながら看守のほうは公安職の(一)表の六級をこえる級には待遇が閉鎖されておるように聞いたのでありますが、これを改定されるような御意向はあるんでしょうか。
  109. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のとおり看守が看守であるという身分でおる限りにおきましては、二十年勤務いたしましても、三十年勤務いたしましても、七等級という格づけに現在の等級表が相なっておるわけでございます。もちろん看守、看守部長、副看守長、看守長、このように昇進の道は開かれておりますが、これは試験制度でございまして、いわゆる試験を受けて合格をすればその上に進んでいくという道が開かれておりますが、それはそれといたしまして、看守という身分でおる限りにおきましては、一生六等級どまりということに相なっておるわけでございます。そこで、これを解決していく道といたしましては、俸給表そのものに検討を加えるということも根本的には必要かと思うのでございますが、この問題は非常に基本的にむずかしい問題がございますので、それは検討を続けるといたしまして、当面の解決策といたしましては、四十一年度から看守の中でも特に重要な職務に従事をしておる者、たとえば工場担当の責任者、あるいは舎房担当の責任者といった重要な職務に従事しておる者につきましては公安(一)の六等級に昇進できるように関係省庁の協議がととのいまして、現在全国の看守のうち八百十名を主任看守という呼称で六等級に格づけしております。したがいまして私といたしましては、当面はこの主任看守の数を増大していくということに全力を注ぎたい、このように考えております。
  110. 大橋和孝

    大橋和孝君 わりあいこの等級を変えることは困難だという話は私も聞きましたが、しかし、やはり根本的にこうした人たちの重要性を考えて、ことにこの教育の面に携わっておる人も含めてでありますが、等級変更も含めてよほど身分保障を十分にしなければ、私はこの問題はなかなかたいへんな問題だと思います。われわれ刑務所の外にあっては想像できないようないろいろなむずかしい問題があるわけでありまして、私どもはこれをつぶさに見て、つくづくそういうことを感じたわけでありますが、こういう人こそやはり十分にねぎらわれるところの保障がなければ、私は打ち込んだ教育もできなければ業務が果たせないと思います。特にこの点については十分の配慮をしていただいて、当面そうしていただくのもけっこうでありますが、根本的な改正を私は考慮し、予算に反映をさせながらこうしたことに遺憾なきを期していただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一点は、今度は方向を変えまして、法務省のほうの、ことに登記関係の問題であります。私、手近にそういう問題を京都で手がけましたので、一言だけ質問しておきたいと思います。非常に登記の謄本をもらいますのに時間がかかって、実は私の知っている例は、それが間に合わないために金融措置がとれなくて破産をした人がある。根本を尋ねてみますと、そうした手続が十分にスムーズに行なわれていないというのが、一つの原因であったということを私は見たわけでありますが、そういう点で、私、この登記関係を調べてみました。そうしたら、やはり非常に手不足であって、そして機械化もされていない。まあこのごろ謄写機ぐらいはできているようでありますが、いろんなものをひっくり返して相当手間がかかっておる。私は、六大市であるからして京都あたりはもう少しいいものだと考えておったのでありますが、あにはからんや、それを見てみますと、まだまだ改良の余地がたくさんあるのではないかと考えております。いままでに、ちょっと調べてみますと、小さな機械も一整備され、あるいはまた登記所そのもののあり方も改良されておるようではありますけれども、なおいろいろと考えてみると、もっと急速にこれに対しても配慮すべきではないかと思うのでありますが、いままでの経過措置と、それから今後の見通しについて、ひとつ聞いておきたいと思います。
  111. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 登記所の事務処理体制につきましていろいろ御質問がございましたのですが、確かに仰せのように、現在経済活動が非常に活発になっておりますようなこととか、あるいは公共事業が大幅に行なわれておるというふうな事情から、事件が非常に激増いたしております。それに対処いたしますために、私どもといたしましては、増員の措置あるいは施設の改善あるいは事務の機械化、能率化あるいは制度の合理化というふうなこと、いろいろ考えまして、推進いたしておる次第でございます。いろいろ財政事情もございまして、一挙に私どもの希望いたしておりますような状況には、なかなかほど遠いような感じがいたすのでございますけれども、過去におきましても毎年増員と営繕を最重点にいたしまして登記所の改善をはかってまいったのでございます。今後の問題といたしましても、増員につきましてもさらに抜本的な措置を講じていただきたいという趣旨から、来年度におきましても相当の増員措置をお願いいたしておる次第でございます。さらに施設につきましても同様でございます。  また、先ほどお尋ねの登記簿の謄本でございますが、これは可能な限り機械化いたしまして、できるだけすみやかに申請人の希望にこたえたいということを考えまして、終戦直後のいろいろの窮屈な状況下につくられました登記簿の改善をまずやりまして、それによって機械に乗るような登記簿にいたしたいということで、たとえば登記簿と台帳の一元化とか、さらに粗悪用紙の改善とか、さらにまた、せっかく登記簿に記入いたしましても、きたない字で記入されるのでは機械化いたしますにつきましても非常に支障が生じますので、これを全部タイプライターにしていこうとか、あるいはでき上がった登記簿を性能のいい複写機によってすみやかに複写できるようにする機械の措置とか、そういったことを次々とやってまいっておるわけであります。過去におきましてもかなり機械化のほうも進んでおりますけれども、何と申しましても仕事が仕事でございますので、一から十まで全部機械化というわけにもまいりません。さりとて、可能な限りいろいろのくふうをこらしまして、登記所向きの機械を考案したり、いろいろなことをやって現在までまいったわけでございます。御説の登記簿の謄本につきましても、現在ある機械が必ずしも性能のいいものというわけにはまいらないのでありまして、今後ともいろいろ開発されてまいります機械を十分検討いたしまして、できるだけ多くの機械を導入して、申請人の要望にこたえたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、機械化の状況でございますが、過去数年間にわたりまして整備いたしてまいりました状況について簡単に申し上げますと、先ほどの謄本をつくりますための複写機でございますが、現在登記所が全国で千五百ございます。これは法務局の出張所というふうなものでございますが、そういうものを加えまして、支局、本局合わせて約千八百ぐらいございます。それに対しましてまだ機械化が十分進んでおりません。複写機が現在までに合計いたしまして約千八百台入っております。それからさらに性能のいい複写機OM複写機というのが三十八台、登記専用のタイプライターが六百十五、実地測量車が二十台、あるいは原動機つきの自転車、これは実地調査用でございますが、これが三百九十六台、さらに供託関係の計算を簡易化いたしますためにICTという統計の会計機がございます。これを二台購入いたしておるのでございます。来年度におきましても、複写機約三百台、OM複写機六十台、あるいは専用のタイプライター四百台というふうに、いろいろの機械化をいたしたいと考えまして要求をいたしておる次第でございます。
  112. 大橋和孝

    大橋和孝君 これは私ちょっと見まして感じたことなんでありますが、やはりそうした複写機なんかもいいと思いますが、いまの段階では、もうひとつ進めた機械化ということを考うべきではないかと思います。そういう点から考えまして基本的な問題であるし、非常にここを経由しなければ確立しないところの大事な機能を持っているところでありますので、これらの機械化は抜本的なものを考えなければならぬのではないかというふうに考えます。この点につきましては、私くどくは申しませんが、特にもう少し進んだ観点からこういうものを整備してもらうように配慮していただきたい、こういうふうに意見を述べておきます。  それからもう一つは、ばらばらの質問になるかもわかりませんが、もうひとつ聞いておきたいのは、裁判官、あるいはまた検事、あるいはまたそういう方になられる司法修習生、そういう方々にいま二万なんぼ給与を出しているわけですが、それは一体どういうところに積算の基礎があって、どういうふうにしてお金が積算されたか、いつごろからそういうふうにされておるかということをちょっと詳しく……。
  113. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) ただいまの御質問の点でございますが、私、所掌じゃございませんけれども、一応理解いたしておるところを御説明させていただきたいと思います。  司法修習生は、現行憲法の発布とともに裁判所法も施行されておるわけでございますが、現在の裁判所法のもとにおきましての従前の司法官試補というものが司法修習生ということになったわけであります。御承知のように判事、検事、弁護士になる者は、原則としてこの司法修習生の修習を終えた者からなるということになっておるわけでございます。裁判所法によりますと、この司法修習生については、国庫から一定の金額を支給するということになっておりまして、実際にはまあ報酬、俸給ということになるわけでございます。これがどういう基磯でこの金額が現在積み上げられておりますかという点につきましては、最高裁当局が財政当局と折衝してこの案がきまってきておるわけでございますが、結局これは常識的に申しまして大学を卒業いたしまして採用された一般公務員、一般社会への採用された者の給与、これらの点を相互考覈してこの給与がきまってきておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  114. 大橋和孝

    大橋和孝君 その詳しいところはよくおわかりにならないでありましょうけれども、大学を卒業して、特に私考えますのは、それまでの勉強の課程においても相当苦しいところを勉強してこられた。そうして、そういう最高的な権威ある職につかれる方、こういう方を遇する道に対しては、大学を出て、ただ最高裁と財務当局との折衝によってできたのはできたでありましょうけれども、何かそこらのところに考えのあれはあったかなかったか、そういうようなことの報告は何かにないわけでございますか。
  115. 辻辰三郎

    説明員辻辰三郎君) 修習生から判検事に採用されました場合の裁判官、検察官の給与につきましては、それぞれ一般の国家公務員と違った特別の法律で報酬または俸給がきまっておるわけでございます。その際には判検事の職務の特殊性、その他十分検討されまして、これが反映されて一般国家公務員と違った形の報酬または俸給体系ができておるわけでございます。これの初任の、つまり、判事補であるとか副検事の俸給との結びつきとの関係におきまして、この司法修習生の給与も検討されておるということは事実でございます。この点につきましては、十分ただいま御指摘の司法試験に合格をしてきた者というような点も評価はされておると存ずるのでございますけれども、やはり、一般国家公務員との関係もまた検討されておる。諸般の事情からこういうような金額がきまってきておるというふうに理解をいたしておるわけであります。
  116. 大橋和孝

    大橋和孝君 じゃ一言だけ私の感じを述べておきたいと思いますが、やはりそうした観点で、司法試験を通られて非常に条件は考えられておると言われておりますけれども、私はこういうような方々に対しては、現在の社会情勢、この物価の高い情勢から考えて、やはり公務員の給与を上げるという観点からも、やはり私はもう少しこういう特殊な方々に対する待遇というものは十分配慮さるべきものだと思うわけであります。まあおたくのほうは所管じゃないようでありますから、より以上はくどくは申しませんけれども、特にそういうことに対しては配慮願いたいということを、この際申し述べておきたいと思います。  これで終わります。
  117. 竹田現照

    ○竹田現照君 私から二、三質問をいたしておきます。いま大橋さんからも若干質問かありましたけれども刑務所勤務刑務官の充足の状況というものが、いま全国的にどうなっておりますか。
  118. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御承知のように刑務官の採用につきましては、人事院の試験によって、その合格者の中から志望者を採用しているわけでございます。最近の状況を見ておりますと、昭和三十八年、九年当時かなり志望者が多かったのでございますが、たとえばその当時はおおむね志望者の数も四倍近くの応募率であったのでございますが、ところが四十年以降になりましてからは、募集人員に対する応募人員が四倍を下回るようになって、現在なお減少の傾向にあるというのが実情でございます。ごく最近の応募率は二・六倍といったような状況でございます。
  119. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは志望者の率が最近減ってきた。減ってきたのは、これは全国的に地域によって違うと思いますけれども、地域によっては自衛官の応募と同じで、たいへん多いところも、またさっぱり応募者がないところ、こういうのが平均してそう言われていると思うのでありますけれども、減ってきたという原因は、それじゃ一体どこにあると法務省としては掌握されているのか、私が私の北海道のほうの刑務官の志望の状況を聞きますと、それほど応募者が減っているというようなことも聞かない。むしろ応募者はかなりあるように私は聞いているわけですけれども、それは別として、全体的に減ってきている、この一、二年。来年あたりは半分になるかもしれない、いまの説明によると。この原因は一体どこにあるのですか。
  120. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のとおり地域によって差がございまして、九州あるいは東北方面がさほど減っていないのでございます。そこで、なぜ志望者が減ってきたのであろうかという原因はいろいろ考えられるのでございますが、まず私たちが非常に懸念いたしておりますのは、やはり刑務官の仕事と申しますか、勤務に対する魅力が、最近の若い人たちにはない。一つは勤務が非常に密度の濃い、言うなれば質的にも量的にも過重勤務である。これがやはり最近の若い志望者としては好まないということがどうしても言えるのではないかと思います。と申しますのは、刑務官になりましてから、一年あるいは二年という間に、せっかく採用されながら退職する者の数が、一般公務員のそれに比較してやはり率が多いということとあわせて考えますと、刑務官の勤務に対する魅力がやはり少なくなってきているということを指摘せざるを得ないのではないかと思います。
  121. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで問題なんですが、いま法務省自体がお認めになっているように、刑務官の勤務状況がたいへん悪い、むしろ過重であることが、一般公務員に比べて退職者が多い。こういうことは、刑務行政をやっていく面で各刑務所に収容されている受刑者に対するいろいろな問題、看守というのですか、そういうような問題が非常に手薄になっている。その結果いろいろな問題が派生している。こういうことなんですけれども、これは、まあ受刑者というのは少なければ少ないほどいいわけですけれども、しかし、現実はそうでない。刑務所はほととんど満ぱい、しかも、いまお話があったように過重だ。週休もほとんど満足にとれていない。こういうことがいま御答弁があったような結果を招来しているわけですけれども、これについて法務省は一体どういう対策をとろうとなさっているのか、受刑者がいるということだけは厳然たる事実なんですから、大蔵省へ予算折衝をされようとされまいと、その事実は事実なんですから、どうでも説明がきくと思うのですけれども、それについて充足をされておらないということは、これは社会問題から考えて非常に大きな問題であるというふうに思います。私が聞くところによると、刑務官の不足が、ところによっては事務職員で補われているところすらあると聞いているのですけれども、これはちょっと服務上あるいはいろいろな問題からしてもかなり問題があると思うのですけれども、事実はそういうようなことがあるのですか。
  122. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 刑務所につきましては、看守でない事務官が看守の仕事をしているというところはないと承知いたしております。ただ、少年鑑別所あるいは少年院といった、やはり一種の私のほうの矯正施設でございますが、ここは規模が小さいという制約もございまして、いわゆる事務官が鑑別所の教官あるいは少年院の教官の仕事を手伝わざるを得ないという実情はございます。
  123. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、先ほど私がお尋ねをしたこの刑務官の絶対数の不足に伴って、刑務所の看守監督というものが不十分であるという現実はもう現実なんですから、これについてどう対処されておられるのか、されようとしているのか、具体的にひとつ御説明いただきたい。
  124. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 一つは職員の質的な向上をはかると申しますか、言うなればできるだけ少数精鋭主義でまかなっていく対策を講じていきたい。そのためには、やはり職員の研修と申しますか訓練、これを一週間とか二週間といった形式的な研修ではなしに、やはり現在できるならば警察等が行なっております一年近くのみっちりした研修で質的な効果をあげていきたいということを一方において考えております。他方におきましては、刑務所の職員の配置の問題がございますが、これは多分にやはり建物の構造等によって制約があるわけでございます。したがいまして、予算で申し上げますならば営繕関係の予算をできるだけ獲得して、職員が勤務しやすいように、またできるだけ少数の人員の配置で勤務ができるようにという対策を一方において講じていく。それからなお一方におきましては、現在の刑務所の勤務それ自体について、なおわれわれのほうで合理化する余地がないかどうかといった点も検討して、できるだけもしむだがあるならばそのむだは省略をしていく、こういった点の現在対策を講じているわけでございますが、根本的には、現状におきましては、やはり絶対数がどうしても足らないというのが、私どもの現在の結論でございますので、二年あるいは三年計画で、せめて七、八百人あるいは千人といった増員をぜひ実現していきたい、こういう方向でいろいろ努力をしているところでございます。
  125. 竹田現照

    ○竹田現照君 二年、三年で八百人、千人の増員を努力されることはけっこうですけれども、刑務官の性格上、研修あるいは訓練を充実をして質的な向上をはかるとおっしゃっておりますけれども、この巡回とか何とかいうものは、研修を幾らしてみたってきめられた回数は時間によって回らなくちゃならぬわけですね。ところが、いまの絶対数の不足であるという結論の御答弁ですけれども、その結果いろいろと刑務所の看守上、たとえば受刑者が首をつって死んだとか、そういうことも防止することができないとか、あるいは刑務所によっては千人ぐらいのうち暴力団専門の刑務所に近いものがありますね、ところによっては三百人も四百人も入ってくる。中には暴力団の幹部がそのうちの二割ぐらい占めているという刑務所もあるのですね。ところが、そういうところに対して、中に入っている者と外との連絡が、どういうルートでやられておるか知りませんけれども、なかなか緊密である。たばこの投げ入れなんていうのはまだいいほうで、私が聞いたところによると、たばこが一箱ぐらい入っている。これはおそらくへいを乗り越えて内部の者との連絡があって、しかるべきところに隠している、そういういうなことも聞いているわけですけれども、そういうような防止策、特にいま暴力団やその他の問題について重点的な対策を司法当局がとっておられるとするならば、刑務所に入れても、しゃばのほうとあまり変わりのないような連絡がとられる、あるいは出ていっても同じだ、こういうことでは、何のために行刑措置の中で更生をはかろうとしているのかさっぱりわからぬ。そういうような具体的な事実の上に立って刑務官不足がもたらすさまざまな事象、こういうものについて、法務省は一体どういうふうに掌握されているんですか。そして、それについてどう対処されているんですか。これは現実に起きている問題ですから、三年後に千名ふえたからというものじゃないのですね。いま現に刑務所の看守、監督といいますか、そういうものに当たっている人が弱っていることですよ。これはどうなっていますか。
  126. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘の中にたばこの問題がございましたが、御承知のように刑務所におけるいろいろな反則がございますが、その中の約八割近くが実はたばこの反則でございます。したがいまして、看守の立場に立ってみれば、やはり反則であるからにはこれの予防、また行なわれた場合にはその摘発というようなことは、つとめとしてかかってくるわけでございます。その面に使う看守の精神的な苦労は、これはかなり大きいものであろうと思います。そこで、このたばこの問題に関連いたしましては、たばこという問題を無条件に押えつけていくというのがいいのか、あるいは諸外国の例にも見られますように、ある程度の対策を講じて、むしろたばこについてこれを許可するということが考えられるのではないだろうか。そういうことによって、反則自身の数を少なくしていくということも考えられるんじゃないかということで、その問題は目下検討いたしております。なおそのほか、刑務所において各種の事故が起きますが、その原因をいろいろ調査してみますと、いろいろな原因がございますが、一つは反則を犯すような収容者については、やはり精神的な欠陥と申しますか、通常人と違ったアンバランスの者が少なくないようでございます。といたしますと、刑務所側としては、そういう収容者の性格とか心理状況とかいうものを、いままで以上に専門的に鑑別をいたしまして、それに応じた処遇を平素からやっておる。これは専門の心理技官なり医官のほうの勉強の分野に入りますが、そういう面からこれを防止していくことも考えられるのではないか。ただ自殺の問題、あるいは職員と収容者、あるいは収容者と収容者同士のいわゆるけんか、傷害という事故がございますが、この面については、やはりある程度の人的な配置をその面には厚くしていくということが、どうしても必要になろうと思います。そういたしますと、現在の限られた人員の中でのやり繰りという問題になりますので、そのやり繰りをするとすれば、やはり結局事務系統のほうから振り向けていくということを考えざるを得ないわけでございます。そのためには、やはり刑務所の事務も簡素化していく、あるいは機械を導入していくとかいうことで、事務のほうの職員をできるだけ浮かして、そうして厚くあるべきところにその職員を配置していくという、この面を現在検討をしているところでございます。
  127. 竹田現照

    ○竹田現照君 最近暴力団等からの刑務官に対するおどしあるいは誘惑ですね、こういうものがかなりあるように聞いています。これは地域によって違うようですが、そういうものを含めて受刑者と刑務官といいますか、そういう者との関係の中で誘惑あるいはおどし、こんなものを含めて年間刑務官で懲戒処分になる者は、どれくらいおるのですか。
  128. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のように、現在全国の刑務所の収容所の収容者の中で、いわゆる暴力団その他の派閥関係者という者の率は大体一七、八%じゃないかと、私記憶いたしております。その暴力団が職員に働きかける事故というのが、大体二年ぐらい前までかなり目についたのでございますが、幸いに、ここ一年ぐらいの間、暴力団側から職員に対していろいろな誘いをかけるという事故は、ほとんどなくなっております。しかし、なくなっているからといって、そのおそれがないかと申しますと、私はむしろそのおそれについては、まだまだ警戒を厳重にする必要がある。ただ非常にここ二、三年来暴力団に対する風当たりが強まったので、向こう側もいまのところちょっとうかがっておる、こういう状況、だと見るほうが正しいのではないかと思っております。したがいまして、ここ一年間ぐらいの間には、暴力団関係との収賄等で行政処分を受けた者はないと思っております。いろいろな行政処分を受けておりますのは、やはり逃走だとかあるいは自殺だとか、そういった面に関する監督責任、そういったものの行政事件は、いわゆる事故の数に大体同じぐらいの行政責任は問われておるというのが、ここ一年ぐらいの実情でございます。
  129. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、金をもらったとか、いろいろなことで便宜供与をして中との連絡をするとかいうようなことをやって懲戒処分を受けた者というのは、ここ一年間ぐらいはない、こういうふうに理解していいのですか。
  130. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) これは四十年度の統計でございますが、収賄、不正領得というのは、四十年の懲戒としては六件あるのでございますが、私四十二年あるいは四十一年の後半ごろからは、統計的な数字ではないかもしれませんが、私の仕事としてはないように記憶いたしております。四十年度には六件ございました。
  131. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、先ほどから質問をしましたが、いまの御答弁の中に、いわゆる自殺あるいはその他の事故に対する行政処分を刑務官は受けるわけですね。これは冒頭から私が質問しているように、実際問題として刑務官の人員不足、これは局長お認めになっていらっしゃるとおり。ところが、その人員不足から巡回回数の不足なんというものが当然出てくるでしょう。あるいは刑務所内の看守も十分行き届かない、こういう問題も当然に起こり得ることです。そのことが、結果的に所内における自殺あるいはその他のけんか、そういう問題について管理監督が不十分であるというゆえをもって、刑務官が懲戒処分を受けるということになれば、これは往復びんたで、ちょっと刑務官にとっては非常に酷ではないか。そのことが、最初私がお尋ねをしたことに対するお答えのように、非常に勤務に対する魅力がない、過重だ。そのことがこの一、二年退職者が多くなっていると、こういうことに私は結びつくのでないか。だから、根本的な問題を解決しないで、現在いる刑務官に対する刑務所内の事故に伴う懲戒処分というようなことは、私はちょっと本末転倒のような気がしますね。全部が全部そうだとは言いませんけれども、根本的な問題を私は解決をしなければいけないのじゃないか、そう思うのです。したがって、勤務が過重になってまいりますと、どうしても精神的にも荒くなる、荒くなるから受刑者との間にいざこざが起きる。それがことしも、大阪の刑務所で二、三にわたって受刑者に対して暴行したとか、結極は死なせてしまったとかいうような新聞報道がもたらされる結果というものを招くのじゃないか、そう思うのですけれども、本末転倒でなく、本質的な問題を私は解決をしないと、刑務官の勤務状況というものは根本的に解決をしない、そう思うのです。ですからもう少しその点について、法務省が確固たる方針をとっていただく、このことが必要だし、そのことがとられないと、暴力団がいまちょっとおとなしくなっているとおっしゃっていましたけれども、ちょっと聞いてみますと、幾ら刑務所に入れてもやはり出て行くと組をやめない、入っていても一歩刑務所を出れば、再び活動をする。私の札幌なんか、ことしの暮れになりますと、暴力団の有力者がずいぶん出てくるそうですね。七十人からおるそうですね、札幌刑務所というのはいま幹部が。これが暮れにかけて一斉に出るのだ。だもんですから、非常に暴力団活動が再び活発化するのじゃないかと、いろいろ新聞で報ぜられている。報ぜられているということは、市民にとってはたいへん何といいますか脅迫というか、ちょっとあまり気持ちのいいものじゃないです。こういうようなことを具体的に解決をするためにも、やはり根本の問題を解決をする積極的な姿勢というものを、法務省に私は求めたいと思うのです。この点についてもう少し、大臣お見えになると一番いいのですけれども、お見えになりませんから、確固たるひとつお答えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  132. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 刑務所における事故と職員の行政責任の問題でございます。私は根本的には、職員が尽くすべきものを尽くしてその上で起きた事故というものについては、行政責任を問うべきではない、このように考えておるわけでございます。自殺等の場合に行政責任が問われる実例といいますのは、当該見回りの巡視の看守が見回りを怠ったということで、もし通常どおりに見回りをしていたならば発見できたのを、その見回りを怠ったというために、行政責任を問われるという例はないと思います。むしろその自殺に使ういろいろな道具類があったといたしますと、その道具類を当該収容者が自分の房の中に持ち込んでいたとしますと、その持ち込みを発見できなかったというようなところからの責任を問われるというような場合はあろうかと思っております。それから巡回の回数なり時間の問題でございますが、これはいま先生から御指摘がございましたが、これは収容者に対する処遇の根本的な考え方につながる問題であろうかと思うのでございます。事故防止事故防止ということばかりに神経を集中いたしますと、これは二十四時間じゅうテレビで見ていなくちゃならぬということになろうかと思うのでございますが、そういう監視のしかたというのが、収容者の処遇としては私は適切ではないのではないかと思うのでございます。ある程度収容者には、やはり心理的にも自由を与えていくというようなことも考えなくちゃならぬ。それからいまの自殺の問題でございますが、これは外国の例でございますが、日本では収容者が自分の房で便所に入って、その便所に入っているときまで便所の中で何か事故を起こさないかといって監視していなくちゃならぬような感覚があるわけでございます。ところが、外国の例では便所の中に入った場合は、その便所の中での行動というのは、当該本人が全責任を負うべきであって、そこまで職員がのぞいて見るべきじゃない、こういう考え方が徹底しているわけでございます。その辺が、行政責任と事故との問題を考える際には、基本的に申し上げますならば、収容者の処遇の考え方をどう持っていくか。そうなりますと、やはりきびしくしなければならない収容者にはきびしく、それからゆるやかにしていい収容者にはゆるやかにという、そこに科学性と具体性を盛り込んだ行政、処遇のあり方というものをやはり確立していく必要があると私は考えます。  それからなお暴力団のお話が出ましたが、これにつきましては、私の関係では刑期がきたら出所させざるを得ない。出所してからの問題がむしろ大きな問題でございます。そういたしますと、われわれといたしましては、在所中から釈放後の行動につきまして、保護の機関との連絡を緊密にして、あるいは警察関係との関係を緊密にしていくというふうに、関係機関との緊密な連携を確立していくということが必要なのではないか、このように考えるわけでございます。
  133. 竹田現照

    ○竹田現照君 大臣がお見えになりましたから、最後に大臣からちょっとお答えをいただいておいたほうがいいと思うのです。お見えにならぬものですから、局長にお尋ねしていたのです。端的に、私がお聞きしておりましたのは、刑務官が現在の刑務所の受刑者の数その他からいって決定的に不足である、これはいま局長お認めになったわけです。しかし、その決定的な不足が刑務官の勤務に魅力がない、あるいは過重なものだということで、この一、二年非常に退職者が一般公務員に比べて多くなっている。しかもまた、充足状況の場合、志望者もこの一、二年かなり減っている。そういうようなことから、いわゆる刑務所の監視監督というようなことが、かなり不十分なものになっているということを私は思うし、刑務官の月に四日の週休が、所によっては一回あるいは半分しかとれないというようなことがざらだそうですね。そうなってくると、どうしても体力的にもおのずから限界があると思いますから、いろいろな不祥事が起きてくる原因になってくるのじゃないか。そのためにいろいろな事故が起きた。起きたから刑務官が行政処分なんということじゃ、本末転倒である。ですから、この刑務官の充足——いまちょっと暴力団の問題にも触れましたが、充足等について、法務当局がもう少し確固たる方針を持って、将来受刑者がこれだけふえるなんというのじゃなく、現在もいるわけですから、だから、いることについて対処するわけですから、これにいま一番対処するところから話があったわけですが、これについてやはり大臣は確固たる方針で、不足だという見通し、だんだん充足されるよりも、むしろ不足をしていくという見通しにいまあるとすれば、抜本的な対策を立てるための方針というものを、ひとつお聞かせをいただきたいと思いますし、いま御答弁があってお聞きになったと思いますが、暴力団等は刑務所を出てくると、依然として一たん出れば再び逆戻り、そういうようなことになれば何にもならぬ。つかまえて刑務所に入れておく間だけはおとなしい。出てくればまた活動を始める。こういうことになれば、この暴力団についての徹底的の対策というものはいつまでたってもだめだ。そうすると、アフターケアの問題等も含めて、抜本的なひとつやはりこれに対する対策を立てる必要があるんじゃないか。まあ大要すれば、大体その二つのようなことについて先ほどからお伺いをしておったわけです。大臣としての御見解、これに対するお考えをお聞きしておきたいと思います。
  134. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) やむを得ない事情で出席をおくれて来ておわび申し上げます。  さて、ただいまお話のありました第一点の刑務官の待遇改善をめぐる問題でございますが、この問題については、たいへんじみな苦しい役所の生活をいたしております刑務官に対して、たいへん御理解のあるおしかりとおことばをいただきまして、たいへん恐縮でございます。これにおことばのとおりに、根本問題は待遇ということもございますが、もっと根本的な当面の問題は、やっぱり人員の不足という点にあろうかと存じます。人員が不足いたしておりますので、うまくいかない、勤務過重になる、こういうことになってまいりますので、待遇の中でも特に人員という点を基本的な問題として今後取り上げていきたい。おことばのような根本的の解決は、大蔵省と折衝いたしまして人員をふやすということ以外に、根本問題はどのようにいたしましてもないのでございます。昨年も私が就任早々でございましたが、非常な苦心を重ねたわけでございますが、本年は昨年に劣らざる努力をいたしまして、しっかりひとつ大蔵省にかけ合いまして、御期待に沿えるような人員確保をしたい、そういう決意でございます。  それから待遇の問題につきましても、これについては、どうしても給与そのものの上から待遇改善をいたさなければなりませんが、待遇改善と申しましても、この刑務所の職員に限り他の職員とよほど離れた給与をいただくようにということの意味の待遇改善は、なかなか理想としてはそうでありましても、その実現が困難であろうかと存じます。そういうことでありますので、せめてこの勤務が過重になっている、人員不足の結果勤務が過重になっているわけでございますから、この勤務過重の分に対しては、全面的にひとつ超過勤務手当を出せますような方針をぜひとっていきたい。最近は全国各地の刑務所を見て回りましたが、腹を割ってひざをつき合わせて刑務所職員の皆さんと懇談してみますと、これが一番出ておりまして、これに力を入れまして御期待に沿うように努力していきたいと存じます。  それから第二の、先生おことばの暴力団の問題でございますが、これは赤裸々に、ありのままに申し上げますと、暴力団の処遇ということについては、特別処遇に苦心を重ねて分散収容をしてみたらどうかと、いろいろその努力をしているわけでございますが、なかなか思うような効果刑務所限りであげるということは困難でございます。この問題は、しかしながら私は法務大臣でありますると同時に政府の国務大臣でもあるわけでございますから、全体としてやはりアフターケアの問題は考えていくべきものと考えて刑務所で最善を尽くして、これの人格の陶冶をいたしますばかりでなく、出ました後の処遇に対しましても、また単なる保護的な立場でなしに十分にひとつ実態に即するように考えまして、アフターケアの問題につきましては、制度全体としての考え方からひとつこれを考えていきたい。暴力団の特殊な事情こいうものを念頭に置きましてこの考えを講ずる必要があろうと考えるわけでございます。いまはこの釈放されました者の保護の制度といたしましては、民間の保護司の方の手によって非常に御苦心されているわけでございますけれども、これはどうも単純なる保護司の保護観察などということでは目的を達することはできないのではなかろうか、こう考えるわけでございます。根本的な対策について具体的な方策で努力してまいりたいと考える次第でございます。
  135. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと、いま次の質問者がすぐ来ますが、法務大臣にちょっとさっきの問題に関連してお尋ねしますが、一つは、受刑者の処遇ですね。受刑者の保護ではない、処遇のしかたですね、先ほど矯正局長からたばこを吸わす問題ですね。とにかく監獄の中でたばこを吸うというのが八割あるということです。本来、まあ、たばこが非常に好きだという人から見たら、なんでこんな好きなものを取り上げるのであろうかという不満もあるだろうと思いますね。これは外国の例なども矯正局長言われましたのですが、私はこれは積極的に検討すべき問題だと実は思っているのです。ただ、いじめるだけが能じゃないという立場を、現在の行刑はとっておるはずですから、だから大臣のそれに対する考え方をもっとはっきりさせてもらって、それがいいということなら、やはり踏み切ったらいいと思います。それは無制限にやるのじゃない、いろいろ段階もあるでしょうから。ただいつまでも研究というのは、これは相当話題になってから長過ぎると思うのですね。大臣の、その考え方等をひとつはっきりしてほしいのと、それからもう一つは、これは多少距離があるかもしれませんが、しかし諸外国の刑務所等では実行しておるところもあるわけですが、妻帯者を土曜から日曜にかけて家に帰すという問題ですね。なかなかもちろん逃亡のおそれがあるとか、そういう場合にはそんなことはできませんが、しかしある程度社会的な地位等があれば、逃亡したってすぐわかるわけで、そんなことはなかなかできない。いろいろな点考えますと、こういう面も私は相当検討して、悪かったらまた元へ戻したらいいんですから、もっと積極的に考えてみるべきじゃないだろうか。どうも日本の行刑は、ことばの上では昔のような懲罰主義じゃない、教育的にやっているのだと言いますけれども、全体の空気がどうもそうはなっていない。やはり観念的に懲罰的なものが底を流れておる。だから、どうしても職場全体が暗くなるというふうなことに、私は大いに関係があると思うのです。そういう意味で、妻帯者について、特定な人については一定の方法で、日曜日あたり家庭に帰すといったような問題も検討されておると思うのですがね。この二つについてちょっと大臣の見解をお聞きしてみたいと思います。
  136. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ただいまの委員長からお述べをいただいた御意見でございますが、結論を先に申し上げますと、積極的に実現したいという姿勢で、全面的ではございませんが、一定のものにつきましては、これを実現したいという姿勢で、目下準備会において検討中でございます。この準備会は私の意見で設置を命じたものでございますが、去る六月に参議院における委員会の熱心な御発言を動機といたしまして、即日監獄法改正準備会を発足せしめまして、その日につくったのであります。これの中でいろいろなことを検討しております。その検討の項目の中に重要な項目として、ただいまお話をいただきましたたばこの問題、もう一つは一定の日を限りまた一定の条件にはまる成績のよい者については、これを家庭に帰す、そういう問題につきまして目下検討をいたしておりますわけでございます。第一、この日本の、そういうことを私が言うのもおかしいのでありますが、日本の刑政のやり方を見ておりますというと、まあ、教育刑でなければならぬとか何とかいろいろ理想の理屈は言うのでありますが、第一刑務所に関する法律が監獄法という、いまだにちょんまげ時代の名前がそのまま残っておるというのが実態でございます。そういうことでございますので、まず監獄法を、少なくとも刑務所に関する法律だということを実体を持たしますように、監獄ということばをひとつ改正の第一、法律のタイトルから改正をして、これをひとつ切りかえよう、こういう考えで根本的な検討を加える必要があるということであります。  ただ一口申し上げておきますのは、この大事な二点を含め検討をいたしておりますが、その途中で一つ起こってまいりましたことは、刑法改正と衝突する問題が出てまいりますと、刑法改正は五年六年時間のかかる問題でありまして、そこで、刑法によって、ものごとがきまりましたときに、その刑法改正の成立に従いまして、その線に沿って改めるべき点があるとすれば、第二次刑務所法の改正を行なうべきものである。とりあえず重要な問題につきましては、急ぎ刑法改正に先立って現行監獄法の改正をとりあえず行なおう。刑法改正によって影響するところがあれば、その影響に従って二次的にさらに改正を行なう、こういう方針も途中で取りきめまして、目下検討しているわけでございます。いつまでたっても実現しないように見えるという御質問に対しましては、積極的な姿勢で、現在これに検討を加えつつあるということを御承知いただきまして、大体の方針がきまりましたらなるべく早くこれを公表いたす考え方でございます。予算段階におきまして、これを公表いたしまして、世の批評をいただきまして、さらに反省すべき点は反省いたしまして、立案の上で国会に提出いたしたいと思います。
  137. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣も御多忙かと思いますので、端的にお伺いしたいと思いますが、大臣のまれに見る正直なまじめな態度が省内に反映しまして、私もいろいろ聞くところによりますと、非を改めるにはばからない、そういうりっぱな文字どおり法守りの行政、法務省としてりっぱな法務省になりつつあると、私は感じている点が幾多ございます。と同時にじょうずの手から水の漏れるというたとえどおり、まだ一、二改めていただかなければならないのじゃないか、こういう点があるので、その点を指摘してみたいと思います。  それは刑務所内において養豚事業をやっておる。国家公務員である所長さんはじめ刑務所員が職員会をつくりまして、しかも行政財産である国有の土地建物を利用して、生産事業である養豚事業をやっておる。こういうようなこと、これについて私が調べたところ、所長さんに聞いたところ、非常にうまくない点が幾多ございます。この点についてお尋ねをしたいと思いますが、過日、大臣が小菅を視察なされた、こう伺っておりますが、そのとき小菅で養豚事業をやっているわけです。その点はごらんになっていただいたでしょうか、いかがでしょうか。
  138. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 拝見してまいりました。
  139. 黒柳明

    ○黒柳明君 見てまいりましたか。運動場の片隅、これはどの程度拝見なさいましたか。非常にくさくてたいへんなところがあるわけですが、その点についてあまり詳しいことは御存じないでしょうから、局長さんのほうから御説明願いたいと思うのですが、どのくらいの程度のところで、どのくらいの豚数あるいは年間総収入はどのくらいあるのか、あるいは養豚事業をやっておるこの会の性質、それらについて説明をお願いしたいと思います。
  140. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のとおり、矯正施設の中で職員会を結成いたしまして、その職員会の運営に必要な金の捻出と申しますか、その有力な捻出の仕事として養豚をやっているということは、長い間の歴史的な事実でございます。職員会、全国の職員会をおおむね見てみますと、その職員会の目的とするところ、これは職員の親睦共助ということで、具体的には食堂、洗濯、理髪、文化事業、それに養豚というのがその事業の内容になっております。  で、この職員会の性格でございますが、これは人格のない社団ということに相なっております。  で、規模等でございますが、養豚をやっているところの職員会、これは刑務所関係では七十三庁、少年院関係では四十庁、鑑別所にはございません。  それから養豚の事業の売り上げ高でございますが、これは、私のほうで国有財産の使用を許可するにあたりまして、当該職員会の数等を参酌いたしまして、大きいところで、事業の売り上げ高、年間、おおむね五百万円で押えまして、それ以下、職員の数とにらみ合わせまして、まあこれくらいの規模ならばよろしいだろう、こういう考え方をとっております。年間五百万円の売り上げをするために、どれだけの豚が必要かということを逆算いたしますと、大体、やはり三百頭から三百五十頭養っていないと年間五百万円の売り上げはできない、このようににらんでおります。年間五百万円の売り上げ高があって、それに飼料費、あるいは、その他諸雑費が職員会として要るわけでございますが、五百万円の売り上げによって得る利益というのは、おおむね二百万から二百五十万円くらいではなかろうか、これは大きいところでそのようなところではないかと思います。小菅が、大体、そのうち最も大きな施設——あそこにおおむね職員、家族二千四、五百名いるのではないかと思いますが、——小菅が最も大きいところであると、このように承知いたしております。
  141. 黒柳明

    ○黒柳明君 概略、私もそのように認識しているのですが……。  で、それについて、まず第一に、国有地を使用しているわけです。これは、国有地の使用許可というものはなくて、無断に使用して来た歴史がずっとあって、たとえば小菅にしますと、四十二年、ことしの五月十八日からはじめて——現矯正局長がこういう無断使用はうまくない、ですから、貸借契約を結んで、払うべきだと、こういうことを指示された。はじめて五月から払い出したと、こういうことなんです。これはこの前、局長に聞いた。ところが、実際に調べてみますと、小菅刑務所国有地使用許可。昭和四十二年五月十八日。面積。土地、六十七・二平方米。建物、六十七・二平方米。これはちょっと、土地——養豚事業に使っている土地建物と、同じであるのはおかしい。また六十七平方米——二十坪強ですか、大臣、御視察なされて、こんなばかな土地じゃなかったはずですが……。実際にはどうであるかというと、ここに見取り図がございます。これは、養舎が三十三平方米が二つ二つ、四つです。四十五平方米が一つ。三十四平方米が一つ。三十五平方米が一つ。計七豚舎ある。それで二百四十六平方米の建物がある。しかも、使用している土地は、私は、まあこの倍ぐらいあるんじゃないかと、こう思います。  ですから、確かに現矯正局長国有地を無断で使うことはまかりならぬ、賃貸契約を結んで、しかるべく費用を払え。ここまではいいのです。ところが、その内容たるや、非常にずさんである。しかも、全国、こういうことであることは、これは間違いない。これは所長の弁ですけれども、小菅がこうであるならば、これは全国間違いないと思います。ですから、一歩前進には違いないですけれども、全然これでは国有地無断使用と同じ。しかも、年間一万二千円の使用料、こういうわけなんです。ですから、これは一歩前進ではあるけれども、ただ単に指示をしただけで、その結果というものを見ていない。そこに大きな欠点がある。ですから、いま現在、刑務所始まって以来からこういう養豚事業をやっているのじゃないか。だれに聞いても、大臣、知らない。いつの時点から始まったかわからない。それほど歴史古く、コケのはえたようなこういうものが、しかも無料で国有地を使っている。またあとでこれ出てきますけれども、その無料で使っていた国有地に対して、その生産事業に対して中央は取り締まることはできないということなんですよ。これはべらぼうなことと思います、国有地を使っているのですから、無断借用ですから。まあいまこの点だけを指摘しておきたいと思いますけれどもね。局長、これに対してどうお思いになるでしょう。
  142. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 国有地の使用につきましていろいろ御批判が数年来ございましたので、本年四月以降全国の施設に通牒を出しまして、国有財産の正式の使用認可届を出しまして、それを審査した上で——書面審査でございますが、成規の手続によって認可したのは、ただいま黒柳先生からお話のあったとおりでございます。  そこで、あとの始末をどうするかということにつきまして、私も考えなかったわけではないのでございまして、ちょうど夏の国会が終わりましてから、矯正のほうといたしましては、全国の施設を巡閲監査に毎年課長クラスを出しているわけでございます。その際、この国有財産の使用の幾多の実情についても見てくるようにという指示をしているわけでございまして、この在京付近の巡閲がまだ行なわれていないのでございますが、この十一月ごろに在京の巡閲をやる予定にいたしております。小菅の問題につきましては、実は一昨日小菅の所長を呼びまして、こういう話も、注意も受けているので、直ちに実情に合った訂正書を出すようにと申し渡したところでございます。  どうしていままでこういう手続をとっていなかったのかという問題になりますと、たいへん弁解がましくて恐縮なのでございますが、当初この職員会というものがつくられて豚を飼うようになったときに、まあいろいろな事情もあったかと思いますが、一つは収容者のやはり動物たん白質をできるだけ確保してやりたいというような面もあって、豚の飼養を始めた。そうして、その豚の飼養に収容者を人夫として使った。これはへいの中での仕事でございますので、外部の一般人を使うことができないので、おそらく収容者を人夫ということで使用することになったのだと思いますが、その際にやはりこういう養豚、養畜についての訓練もやるのだというようなことで、そういうことになれば別にそういう手続などは要らないのじゃないかという感覚が当該の施設の幹部にあって、手続の面が十分になされていなかったのではないかと、このようにこれは私推測いたしておりますが、事がやはり国有財産を国の機関でない職員会が使用する問題でありますので、やはり成規の手続にのせるのが妥当であるということで、本年四月以降そういう手続をとったような次第でございます。実情と合わない点につきましては、巡閲監査の際に十分その点を調査させまして、実情に合うようにすみやかにとりあえず訂正をさせたいと、このように考えております。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、こういう実情を——とったところは、これはもう数カ所あるのですか。
  144. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) とりあえず在京をとってみたわけでございます。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは結局小菅のほうに局長のほうから指示があって、それでとりあえずこの数日中におやりになったと、こういうことだと思います。ともかく全国的にこういうことはなされていなかった、これはもうはっきりしています。  それからいま局長さんおっしゃいました囚人の作業訓練の一環、また囚人のたん白補給のためだと、こう推測するというのはあまりにも善意な解釈です。というのは、始まった時点においてはそうじゃなかったかと思うとおっしゃったが、始まった時点はだれも知らない、いつ始まったか雲かかすみか消えてなくなってしまう。ですから、だれも知らないものに対してあまりにも善意な解釈であると思う。これは、私も局長さんと話したときに、ここで話して失礼ですけれども、決してそういうお話はしていなかったわけです。それはそれとして、結局たん白の補給じゃない、作業訓練の一環じゃない、あくまでも職員会が私的な、まあこれから、あとから出て来ますけれども、飲み食い、交際費、あるいは自分たちのレクリエーション、そういう金がない、ないんじゃない、中央としては豚があるからやらないんだ、そういう持ちつ持たれつの関係、矛盾した関係ですけれども、要するにそういう考えで、これは決して囚人のためではない、また職業訓練の一環でもない、あくまでも職員会の私的な目的で使われ、始められ、それがいままで継続してきた、それを国有地を無料で使っていた。こういうことであることは私はっきりここで認めていただきたいと思うのですけれども、くどいようですが。
  146. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) この国有地の認可手続がとられていなかったというのは事実でございます。したがいまして、認可手続をとってなかったということは、国有財産法に基づく計算をした使用料を払っていなかった、このように推定して間違いないと、このように私は思うのでございます。
  147. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう一点、収容者のたん白補給でも作業訓練の一環でもない、あくまで職員会、私的なものにこれを使っていた。
  148. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) その点私とりあえず二、三の庁の実情を聞いてみたのでございますが、一〇〇%そうでなかったとは言い切れません。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 何%くらいですか。
  150. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) やはり収容者に対して養豚等の必要な手引き書、あるいは教科書を買い与えて教えているところもございます。むしろそういう指導をしている庁のほうが私は多いのではないか、こういうように思います。
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなこと言うとおかしくなってきますよ。突っ込んでそれじゃ、だれが監督指導していますか、専門家はあそこにいない、しろうとの集まりで監督指導はだれがしていますか、職業訓練の一環としてだれが責任を持っていますか、その人はどこから給料もらっていますか。
  152. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 養豚事業の刑務所における所管というのは用度課がほとんどだと思います。用度のほうの関係の所管に属しておりますので、そのほうの知識のある職員が事実上タッチしていると、このように理解しております。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは所長に聞きましたです。局長さん。あまりいじめてもらいたくないという前の打ち合わせがありますからこれ以上言いませんが、要するにしろうとの集まりで、豚コレラがはやったときには万歳だ、そういうしろうとの集まりで職業訓練の一環ということはこれは決してあり得ない、小管の所長さんは言っているのです。こういうことであくまでもこれは職員会の全面的私的のことである、こういうことを私は断定します。所長さんも一%か二%はそうだ、こうおっしゃりたいが、私はそれは全面的に否定したいのですね、また否定しています所長さん自体、担当者自体は。  それからもう一つ、結局この国有財産を無償で使っている、これは大きな不法です、しかもこの囚人に作業させているわけですね、大臣もあそこごらんになった。私も行きました。ところがひどいんです。これは、確かに悪いことをやったんです。それは、法でさばかれて、そんなのほほんと作業やること自体、私は妥当じゃないと思いますが、あのくささ、あのきたなさ、しかも囚人を使うのに所長はこう言っています。四十一年四月、七十五人、これは月間ですよ。四十一年五月、七十五人、六月、七十五人、七月、百三十六人、八月、百四十七人、倍になっている、どうしてこれは倍になっているのか。これに対して、囚人に一応払われる、これは国庫にいくわけです。その費用も、六月の一万七千二百五十円から、七月に三万一千二百八十円、これおかしいじゃないか。豚の数は同じです。作業量は同じです。なぜ倍になったか。いままではおっことしていた。はっきり、これは所長さんが、このこと自体根底的に悪いという頭がないんです。あたりまえなんだと、神武以来やっていることをいまさら何悪いのだ、こういう頭がありますから、何を言っても悪いという考えじゃない。ただ一ぺんも私はやましいことをやっていません。この養豚の収入で個人的に着服はしておりません。ここだけを言うのです。悪い、いいという判断だけなんです。これは非常に困ったものです。その根底にある——またこれから徐々にやっていきます——こういう囚人の数をごまかす、はっきり落としていたということはごまかして、国庫に入れるべき金を、まあ微々たるものかわかりませんよ。ですけれども、これをやっていたということは、これは時間があれば全国全部調べればいいのですけれども、残念ながら、はっきり——要するに小菅は良心的なほうだと、これでも倍にしたぐらいは良心的だと、この問題はまだあとに出てきますけれども、こういうようなことをやっている。しかも中央にいる人は、囚人に対しての作業料はちゃんと支払われています、ちゃんと国庫に納入されています、囚人を使うことは作業訓練の一環であります、しかも妥当な賃金が払われています、何が悪いんだ、こう言いたげな答弁です、話ですけれども、とんでもない話です。はっきり、所長、担当事務に当たっている最高責任者が、作業訓練の一環でもない、われわれの——これは四回繰り返して申しわけない——作業の訓練の一環じゃない、私たちの職員会のために私的にやっている、しかも囚人に対する数、あるいは国庫に納める金、これもこういうふうにおっことしていたのを倍にふやしたと、こういうのです。どうですか、局長さん。
  154. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) この国有財産の認可手続を……。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや囚人の労務者……。
  156. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) とらせる際に、私のほうから、そういうことがあると疑っていたわけではございませんが……。
  157. 黒柳明

    ○黒柳明君 疑いがあったということですね。
  158. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 人夫賃等についても必ず正確に計算をして手続を間違いのないようにということは注意いたしております。その結果がこうなったのか、その辺については私ここでどちらとも申し上げかねるのでございますが、ただ、いまの御質問の中にもございましたが、豚の事業をやるにつきまして、私として最近注意いたしておりますのは、清潔にこの事業をやらないと、いわゆる脳炎の蚊の発生の問題、あるいはハエの発生の問題などがございまして、いかにへいの中とはいえ、付近の住民の方々に迷惑がかかるおそれが最近非常に多くなってきておりますので、この養豚を続けるにいたしましても、環境衛生の完備と申しますか、豚の排泄物の浄化槽の設置、そういうものについて、職員会のほうとして必要な経費で万全を期するようにという指導をいたしてはおったのでございます。
  159. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局こういう事実は考えられるし、これはあったと、これは決していいことじゃない、まずいことであると、こういうふうに認めていただきといってはあれですけれども、認めざるを得ないんじゃないですか。会計検査院じゃこれわからないのです。出てこない。もっと大ざっぱな収支しか出てこないんですよ。
  160. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 会計検査院のほうのお立場は、やはり国有財産の使用関係の面についての検査に終わらざるを得ないということで、中身のほうにはタッチしてもらえなかったのかと思います。そういう空気がやはりあった、われわれのほうにもあったのではないかといま反省をいたしております。したがいまして、御指摘の点があったということについては、私もその実情、調べたわけではございませんので……。
  161. 黒柳明

    ○黒柳明君 見てごらんなさい、これは所長から出ていますよ。
  162. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) その数字は承知いたしております。
  163. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、この原因はわかりますか。聞いてみましたか。
  164. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) この点につきましては、所長を呼びまして、どうしてふえるようになったのか、ひとつ明らかにしてもらいたいということは、所長に申してございます。最近、庁舎の整備だとかいろいろなことで少し職員会のほうが金をかけているのじゃないかと思いますが、その場合に、あるいは人夫の使用量がふえているということを、想像でございますがされるのではないかと思っております。
  165. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと話がわからないですね。これは七十五人からずっと百三十人、百四十人、一ぺんに倍になっておるわけですよね。ですから、どうしてこれはこうなったのだと言ったのだ、私は。豚がふえたのか、作業量がふえたのか、ほかの事情があるのかと言ったら、いや、六月までは人夫をおっことして報告していました——イコールごまかしていました。ごまかすということばは私は使いたくないけれども、こういう可能性が考えられるし、またこれは事実であるということは、これは私が無理にでっち上げた書類じゃない。所長から出してもらった書類です。聞いたわけですから、そうでしょう。それに対して局長は、ここで何かわからないようなのらくらしては、これは困っちゃうのですけれどもね。
  166. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) お示しの数字は、私のほうで取り寄せてみましたら、そのとおりでございます。四月、五月、六月、七十五人、七月、百三十人……。
  167. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはおかしいと思って所長に聞かなかったのですか。
  168. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 所長に聞きましたら、やはり手が要ったので、というので、じゃその詳しい状況を……。
  169. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、前はおっことしていた。
  170. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) そういううわさは聞いてはおりましたことはございますが、その真偽のほどにつきましては、私、責任があったとかなかったとか、いずれともちょっと申し上げかねますので、その点は調べた上でまたひとつお答えいたしたいと思います。
  171. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、この場で私、所長に電話させます。その返事を持って来させます。どうしてこう落としたのか。いいですか、大臣。こういうふうにあれしたんでは困っちゃう。話が違います。それは率直に認めざるを得ない。私としては、これはやめさせたいのだ。局長ははっきり言ったのですよ。だけれども、私だってそんな、全刑務所にいままで続けてきて、それによって相当の福祉厚生施設に潤いがあったものを、なくなってしまったら、予算づけが何にもない。みんな不平不満だらけだ。あっても上に厚く下に薄いから不平だろうけれども、急になくなったらたいへんだから、何とかしてなくす方向にだけは持っていかないでくれと、私、何回も言われました。それは当然だと。大衆福祉の立場から、そんなことはあたりまえだと。ただし、改めるべきは改めなさい。当然それはそうですね。こういうことでは、それじゃ約束が違うじゃないですか、話し合いが。そういうふうにのらりくらり言うのだったら、すぐそれじゃ小菅の所長にだれか電話してください。これがおっこったのはどういうわけか。そういうふうになったら、まだこのあとにもう一つ出てくる。うまくない。作業の人手が要ったとか何とか、そういうものじゃない、私の言っている日本語は。この前は作業人数を落としていた。ごまかしていた。それで倍にしたのです。こういうことなんです。作業人数が要ったからふやしたのじゃないというのです。所長はなぜそういうことをずけずけ言うかというと、所長さんには悪いという観念がない。養豚事業をやっているのは、予算づけがないから、やるのはあたりまえじゃないか。だったら国家で予算を出してくれればいい。予算づけしていないじゃないかということから、こういうことをずばずば言うのです。くどいようですけれども、それに対してもう一回はっきり言ってください、もうちょっとはっきりした答弁を。それは、責任はないでしょう。局長さんには責任があるとは、私、言っていない。こういう事実は起こり得るだろうという推測はできるとおっしゃった。それに対して、これは事実をこの目の前に出している。それが事実であったら、ほんとうに遺憾だと、私だったらこういう答弁しますね。
  172. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ただいまお話をいただきました点は、まことに遺憾な態度であったと思っております。おそらくは先生仰せのとおりに、記載をしなかった、そうして数がふえましたのは正確に記載をするに至ったからであるというふうに私は推測をしてあやまちがないものと存じまして、この点は申しわけないと思っております。  それからついでながら申し上げますが、この職員会の経営しております事業そのものは、おことばのとおり悪いことでない、適当なことだと考えられるのでありますが、この適当な事業を経営するに当たりましても、まず第一に、先ほどからお話の出ております規模の問題は、職員会のためにする目的がきまっているわけでございますから、この目的を越えて相当以上の規模で金もうけをすべきものではない、規模に限界がなければならぬということが第一。  行ないます以上は、おことばのごとく清潔をきわめるべきものでなければならない。私が参りましたときにはわりあいに清潔に、私が行くと思ったものか清潔にしておりましたが、これは清潔にしようと努力すればできるのでございます、ぜひそうしていきたい。  それから人夫を使います場合においても、人夫を使う場合は数のごまかしはいけない、人夫の単価に対しましても、十分相当額の単価を受くべきものであって、単価を不自然に、不合理に切り下げるべきではない、こういうふうに考えるのでございます。  また、先ほどからおことばの出ております土地の使用につきましても、土地の坪数をわざと縮小していたり、使用単価を低くしていたりすべきものではない。実際使用をいたしております土地の坪数について、適当なる額の使用料を支払うべきものであると存じます。  なお、おしかりがあることと私は覚悟をきめているのでございますが、豚を飼養いたしますには、囚人諸君の残飯の払い下げを受けるわけでございますが、その払い下げの価格に至りましても、あらためてこれは申すまでもないことでありますが、あやまちなきを期していく。そういうような手続が、いやしくも法務省の所管で行なわれておりますメモ一枚に至るまで、公私の区別をやかましく私が申し聞かせている状況のもとにおいてこれをやっておるのでございますから、これらの事柄はまことにお恥ずかしい次第でありまして、今後先ほどから申し上げましたような諸点につきましては十分に心をいたしまして、あやまちなきを期してまいろうと考えております。
  173. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣にそう言われますと、私も全面的にこれをなくせと、こう言いたくなくなるわけですけれども、調べた結果もう一、二点お聞きを願いたいと思うのですが、これは確かに職員会であり、これは任意団体です。しかしながらこの経理に不明朗なものがある、こうなりますと、これは任意であるけれども、あくまでも大臣指揮監督のもとの国家公務員です、言うなれば。警察署長が警察の一隅で鶏を飼って卵をつくって外部に売っている。こういうばかなことがあったらこれは常識で考えられないし、やる人もいない。ところがこれが刑務所という何となく俗人ばなれしたところで、あるいはあまりにも歴史が古くて公然の秘密になっているから、これが神経が麻痺しているところに、この前の郵政省のパス問題みたいに、大臣に答弁いただいたように、悪いと思ってやっていることは、これは局部的で人数が少ないからいいのです。ところが悪いと思わないでやっていることは範囲が広いし期間が長いし、これは大きな国損を招く場合がございます。と同じようにこの決算、これは小菅刑務所決算四十一年——四十年までの決算というものは何もなかった、養豚事業五百万。職員会全部で千三百万ですよ、大体。しかし、これは四十一年度税務署ごまかしだとはっきり言うのですよ、税務署ごまかし用につくったものだ、ごまかしの内容をあとで言います。ただこれをつくっただけでも小菅は良心的だ、小菅ですらも四十年以前は何もつくっていない、どんぶり勘定——ただし四十一年度だけは税務署がうるさいのでつくった。ほかの刑務所ではどこもつくっていないでしょう、こういうふうに言うのです、どうでしょう。この職員会等で養豚事業含めての収支決算というものが全然わからないのじゃないでしょうか、局長
  174. 勝尾鐐三

    説明員(勝尾鐐三君) 御指摘のように、職員会の経理の帳簿の整理の問題でございますが、まずほとんどといってもいいくらいに、大福帳式と申しますか、あるいはメモ式と申しますか、収入、支出をただ羅列をしていて、そうして年度末になってことしは赤字が幾らで済むという程度のことを総会に報告してそれで終わっていたというのが事実であろうと思います。したがいまして、私といたしましては、事は役所のあれではございませんが、やはり矯正の職員が構成員になっている会でございますので、帳簿の記載につきまして法規その他を勉強させまして、内容がわかるようなしかたをするように今後指導していく所存でございます。
  175. 黒柳明

    ○黒柳明君 職員全体の確かに福祉厚生のために豚を飼うことの必要だということの反面、不満が渦巻いている理由はここにある。何に使われているかわからない、どういう目的であの豚を飼っているんだろう。聞くところによると福祉だというけれども、毎晩幹部はどんちゃん騒ぎをしているじゃないか。収支決済どうなっているんだ。この規則には第十五条、本会——これは職員会ですね、各部の収支は、少なくとも年一回理事会に報告し、会員に公示するという会則までここにある。ところが会員に公示するなんということは決済、はっきりしてない。つくってないのだから公示したことは一回もない。こういうようなことですね。しかも所長の説明によりますと養豚事業、これは収入が六百六十万、四十一年の一月から十二月です。初めてつくった決算、四十一年一月から十二月、収入六百六十万、支出が二百五十万となっている。差し引き四百万の収入がある。ところがこの支出の二百五十万の中には、養豚の経費がないんですと、これは教員のレクリェーション代、そういうものがここに入っているんです。七十万もレクリェーション代だけで入っています。なぜかならば、あまり純益が多いとなると、税務署から税金を取られます。だから支出のほう、これは養豚でかかった支出なんというのはこんなにかからない。先ほど言ったように、税務署の対策用の決算ですとはっきりおっしゃる。こんなところはこちらは聞きもしないのにおっしゃっていただける。こういうようなことですね。そして一番最後は、収入一千三百三十万、支出一千三百四十万何がし、差し引き十五万の赤字になっている。うまく合わせたものです。赤字だから税金を払わない。こういうことですね。こういうたとえ国家の収入、支出は関係ない職員会であっても、先ほどから言いますように国家公務員、こういうことから作業能率、意欲が減退する原因をつくっているわけです。また、こういうところからどんな不満が起こり、表面上に刑務所内で幾多の事件が起こる可能性は十二分にあるんじゃないですか。こんな収支、しかも七十五カ所、この刑務所でたとえ一千万にしたって相当ばく大なものです。それがどこにどうやったかわからない。だれが使っているかわからない。しかもわずか良心のかけらがある小菅の所長でも、ここはこうでごまかしているんですということを堂々と言う。これはおそろしいことだと思うんです、まあ先ほど法務大臣おほめしましたけれど、私はこれは全面的法務大臣の責任。矯正局長はですね、一片の通達を出してやしませんよ。局長さんちょっとこちらを見てくださいよ。だいじょうぶなんだ。この前局長さん来たとき通達をすると言ったが、出してやしないじゃないですか。作業課長が来る。局長が来る。言っていることはね、土地に対して賃貸契約を結びました、払わすようにいたしました。全然でたらめだ。そういうことを言うから私も調べた結果、あまり食い違いがあるから変な発言をせざるを得ないんですよ。事実をもっともっと教えざるを得ないんですよ。そうでしょう。そういうこの不明瞭な収支があるということはですね、これはそういう所長が、悪いことを悪いと感じない所長が全国の所長であるということ、これだけにそうした麻痺した考えを持っているか、同じようなことを持っていたらこれはおそろしいですよ。これは先ほどから社会党の先生から指摘されたようなことにも結びつくんじゃないですか。これはまだまだうんとあるんですが、私の持ち時間は少なくなっている。もう一点聞きたいことがある。民事局長さん聞きたいことあるんですが、これは全面的にやめると、少なくとも国営にする、国営にした事実もある、現に函館と網走はやっている。長野でもやっていた。小菅でもやっていた、巣鴨でも国営でやっていた。なぜ国営をやめたか、みんな国営、そんなきたない作業をやる人がない。豚がやせてしまう。だから国営をやめた。民営でやる、職員会でやれば自分のことだから一生懸命やる。囚人も使わざるを得ない、こういうことです。ですから抜本的にこれは国有地の賃貸契約者と結んだとか、あるいは残飯が高いとか安いとかいう問題ではなくて、これは所長の思想自体がおそろしいんです。ですからそれを改めるためには、三億か五億、その範囲の予算があればいいです。それを何としてでも予算を取ることですね。そしてこの養豚事業をやめさせることです。できるならば国営くらいにすることです。そういう方向に早急にしませんと、これはいかなる事態が……私のところにものすごい苦情が来ている。またこれ発言しますと、相当苦情が殺到するでしょう。そういう人は私はもっと押し掛けてくる。そういう立場に立たざるを得ないですよ。これをこのままに放任して、通達を出したってだめだ。所長を呼んだってちょっと言っただけだ。そういういまの態度が変わらなければ、これはこれだけの問題ではなくて、すべてに派生していくんじゃないか。こういうことから、ぜひここで思い切った法務大臣あるいは矯正局長としての意思表示をしていただきたい。しなければまたこれをどんどん続けますよ。
  176. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) 経営の主体を人格なき社団法人である現在の職員会にいたしますか、あるいはこれを思い切って国営の態度をとっていくかという問題は、おことばのように検討に値する問題であると存じます。  もう一つ重要な事柄について、私決意を申し上げたいと思います。およそ現在の経営のやり方でやるといたしましても、いやしくも職員会には職員会の規則がある。会則があるということでございます。この会則に基づいて、この経理を、収支を公表いたしますことはもちろん、いやしくもこの会計帳簿というものは、厳格にして緻密な具体的な収支を載せる。会計帳簿をつくらなければならんことは、もうお答えを申し上げるまでもなく当然のことでございますので、それをしも不十分であるということになりますならば、いまだに大福帳をつくっているというようなことになりますならば、深く反省すべき点であると存じます。これは私の責任において本日直ちにこの処置を講じてまいりたいと存じますが、全国にわたりまして帳簿を厳格にすること、これを会則どおり公表しなければならんこと、当然のことでございますから、このことはひとつ実行せしめてまいりたいと存じます。  その実施をいたしました上で、なおかつどうしてもこの点があやまちを起こしやすい事情であります場合には、あるいはこれをやめるとか、あるいはこれは特に国営の態度をとるとかというような方法によって、これを経営のやり方を反省をしなければならんと考えますので、一応現状の経営を行なわしめてあやまちなきようにそれぞれひとつ具体的な指示をいたしまして、私の責任において全国をりっぱに経理をせしめ、あやまちなきを期していきたい。こう考える次第であります。
  177. 黒柳明

    ○黒柳明君 私もその大臣のおことばを全面的に信用して、あとの問題をこれでやめたいと思います。民事局長さんに一つだけお伺いしたい。
  178. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと関連して。  大臣ちょっとお聞きしておきますが、先ほど質問の中で、労賃の支払いですね、これが正確でない点があるようですね。そうするとそれは何十年前にさかのぼってそれを訂正せいということも、これは必要もなかろうと思いますが、そこまでは。しかし、ある程度その点を検討してもらわなければ、やはり筋が通らぬように思うのですがね。だからその検討をやはり大臣としては命じてほしいと思うことが一つ。  それからもう一つは、御質問聞いておって、これは全く問題があるように思いますのは、大臣のお答え並びに矯正局長お答えですと、経理面等がきちんとすれば、これを一応正常化していく、こういうふうなお答えのようですね、第一段としては。しかし、どうもね、経理が正常化しましても、受刑者の皆さんから見れば、ともかく刑務所の職員の人たちが自分たちを働かして、そうして利益を上げてうまいことをしておる、こういう、やっぱり感じを与えることは私はいなめないと思うのですね。また、利益がないものだったら、そんなことする必要ないのですから。いずれにしても、その受刑者の人を働かして何かをやっておる。そこだけが、特に目につくと思うのですね。だからそういう点、はなはだ私は、教育刑をどんどん実質的なものにしていくんだという立場から見てもまずいと思うのですよ。だから、経理さえ明確になりゃいいじゃないかという、その基本考えを、やっぱり黒柳君からおっしゃるように、根本的に検討してもらわなきゃいかぬように思いますがな。その二つ、ちょっと大臣の考えを、ここで明らかにしておいてください。
  179. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) ただいまのおことばの問題でございますが、私の見解を申し上げますと、まず、経理を明らかにする。それから、先ほど申し上げましたような諸般の点については行き過ぎのないようにするということを実現をいたしますと同時に、この経理が明瞭になります場合においては、かかる性質の収入の使い方でございますが、それを上に厚く下に薄いような、頭数の少ない上に厚く、頭数の多い下に薄いような金の使い方は、経理が明白になりますと、できないものだと私は考えるのでございます。そこで、あくまでも経理を明白にいたしますと同時に、賃金をやたらに切り下げて使ったり、頭数をごまかすようなことのないように、正確なる経営を行なわしめていきます場合において、その収入は、上にも下にも平等にいくようにいたしますならば、使い道に注意をしてまいりますならば、あるいは現在お許しをいただいておりますような人格なき社団である職員会の経営ということで、あるいはやっていきやすいのではなかろうか、こういうふうにも考えるのでございます。経理を明確にすると同時に、この使い道に特に注意をする。やはり経理が中心のものではなかろうかと、実は先ほどから考えておるのであります。で、その点については、私もすでに就任をいたしまして数カ月を経過いたしますのに、今日まで、その具体的な事柄に気がつかなかったということは、まことに私自身も大きな手落ちであると考えますので、十分にひとつ心しまして、あやまちなきを期して、全国に指令を出したい、こうただいま考えておる次第でございます。
  180. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 賃金はどうですか、つけ落とした賃金は。
  181. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) つけ落とした賃金につきましては、何年前にさかのぼるかということになりますか、私は、いま思いますのに、昭和四十二年の、この会計は三——四月か、職員会の……。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 一月から十二月までです。会計の年度になってない。
  183. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) そうですか。それでとりあえず正確迅速に行ないますために、昭和四十二年一月一日以後、一月以降の分につきまして、厳格にとりあえずつくらしてみます。それを実行してみたいと思います。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 民事局長に一点お伺いしたいと思うのですが、港区の青山南町四−七五−九ですか、これは元水路敷で、建設省の所管であった、これが東京都の管理に委託されたわけですが、これは帳簿上の管理のたしか手落ちだと思うのですが、これが萬興業という、こういう会社に不法に占拠された。要するに、登記所の公図の上にも、四十年まではこれが沫消されていたわけです。ところが、これに驚いた東京都が、四十年七月あらためてこの地番を起こして登記を完了したわけです。ところが、この九十五の九というところを見ると、当然抹消すべき九十五の四と五が抹消されていない、いま現在。これは当然大きな手続上の、登記手続上のミスであると同時に、いま現在も抹消されていないということは、これは、非常に問題であると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  185. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 御質問土地は、青山南町五丁目の九十五番の一と九十五番の二の、二つの土地に現在またがっている部分でございます。この土地が、なぜいま御指摘のような状況に置かれたかということがまず問題でございます。昭和三十五年に、法務局が税務署から土地台帳の引き継ぎを受けたのでございますけれども、それよりずっと前であります大正十二年に、現在の九十五番の一と九十五番の二に該当する土地の合筆が行なわれております。その当時から、すでに二つの土地の間に、南北にわたりまして朱線を施した細長い部分があったのであります。これは、本来国有地について、そういう表示がなされるものでありますが、にもかかわらず、現在の九十五番の一と、九十五番の二の土地が合筆されまして、一つ土地になった経緯がございます。その辺のところは、大正十二年のことでございますので、私どもとしては、的確に把握ができません。しかし、その後、さらに昭和二年にこれが分筆されまして、また、九十五の一と、九十五の二分かれたのでございます。当時その朱線を施した部分を、点々で消されているのが現在明らかに認められるわけであります。本来それが国有地であったといたしまするならば、現在の九十五番の一と、九十五番の二を合筆できない筋会いでございます。それが合筆されて、さらに分筆されている。こういう経緯になっておるのでございます。しかも、その朱線を施しました中間部分に、さらに一本線が入っているというのが現状でございます。そこで、私ども過去を振り返っていろいろ考えてみますると、先ほど申し上げましたように、国有地をはさんで土地を合筆したけれども、さらに、それを何らかの理由によって分筆された、分筆されたそのときに、その中心部分の線が引かれたのではあるまいか、こう考えざるを得ないわけです。特段の資料もございませんわけで、図面だけを見まして、過去の合筆、分筆の経緯をたどりました場合に、そのように考えられるのでございます。ところが、その後、昭和三十七年の五月七日に、萬興業から、さらに分筆の申請が出まして、九十五番の一の土地を、九十五番の一と五と六と七に分割いたしました。さらに九十五番の二の土地を、九十五番の二と三と四に分割の申請があったのであります。登記所は、その当時中央部分の朱線の、沫消された部分は、これは朱線がないものとして処理したのでございます。ちょうどかつて朱線の引いてありましたところの南の端のところに、九十五番の四と五という土地ができ上がったわけでございます。ところが、その後、昭和四十年になりまして、東京都から地図訂正の申し入れがございました。かつて朱線を引いてございました中間の部分は、これは水路敷として国有地である、こういう申し出でございます。法務局側も実地調査をいたしまして、いろいろ資料調査をいたしまして、申請のとおりであるということから、これを国有地と認めまして、その部分に張り紙をいたしまして、これを無番地として国有地に直したわけでございます。数日後に、さらに東京都のほうから表示の登記の嘱託がございまして、それを受けまして、その朱線の部分を九十五番の九と地番を打ちまして、表示の登記を起こした、こういう経緯になっております。   〔委員長退席、理事竹田現照君着席〕  そこでかつて萬興業が、昭和三十七年に分筆の申請をいたしましたときに、九十五の四と五、図面上区画して申請がございました部分は、現在から見ますと、昭和四十年の地図訂正によりまして国有地として張り紙をして修正したところの南の端にそのままはまり込んでおるのでございます。したがいまして、結果的にながめますと、これは、結局、萬興業が国有地であるべき土地に分筆の申請をしたということでございます。逆に申しますならば、九十五番の一、あるいは九十五番の二に含まれていない土地についての分筆の申請であった、こういうふうに言わざるを得ないというふうに考えるのであります。私どももいろいろ資料をできるだけ調べて見たのでございますが、朱線を施してございました部分は、かつて水路敷であったことは間違いないように考えられます。したがいまして、昭和四十年に登記所がとりました措置も、その当時の措置としては、これは国有地でなかったのでございますけれども、それを新たに地図訂正によりまして国有地とした措置、さらにさかのぼって昭和三十七年に萬興業の申請によりまして分筆をいたしました措置、それ自体は決して間違っていないと思うのでございますが、結果的に、国有地に私有地としての分筆部分があるという結果になっておるのでございます。そこで、これは表示の登記の問題でございます。登記所のほうで職権で調べまして、萬興業の持っております九十五番の一あるいは九十五番の二の中に含まれていないものであるということでございますので、この部分は、職権で抹消することが可能であろう、かように考えております。つい数日前、法務局のほうとも十分打ち合わせをいたしまして、そのような措置をとるように指示いたしてございます。   〔理事竹田現照君退席、委員長着席〕  ごく近い時点におきまして、職権で抹消される手続がとられるであろうと考えます。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 先日、局長さんとお話したとき、抹消するというので、とったと思ったのですが、まだ、抹消されてないわけです。正規に職権ですぐ抹消してもらいたい、こういうことです。当然、これは明らかに登記手続のいかなることがあろうとも、その過程がどうであろうとも、ミスであったことは、これは間違いない、すぐこれは抹消する。ところが、もう一つ、萬興業の不法占拠に対して、建設省から法務省に訴訟が起こされているわけです。もう一件、これは個人の資格でこの不動産侵奪罪の容疑で告発されておる、この二点があるわけですね。この二点に対して全然はかどってないわけです。書類は受理されておりますけれども、これをこういう断定が下されたわけですから、ですから、早急にこの事件処理に対して進行促進方をあわせてお願いしたいと、こう思うのですが。
  187. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 訴訟の関係につきましては、訟務局の次長がいま出席されておりますので、そちらから答弁があろうかと思います。さらに不動産侵奪の問題につきましては、これは刑事局の所管になりますので、刑事局長のほうに私から御主張を伝えておきます。
  188. 上田明信

    説明員(上田明信君) 本件の元国有地であった土地につきまして、建設省から訴訟を起こしていただきたいという依頼がございました。本件は登記とは別にいたしまして、聞くところによりますと、相手方のほうでは、この土地に対しまして時効取得をした、こういうふうな主張をやっておるやに聞いております。そこで、私のほうといたしましては、裁判にたよるように、かりに時効というものが完成した可能性があるなら、その時効を破るための措置、考え方、つまり普通これは時効中断かあるいは相手方に自主占有がなかった、こういうふうな点について立証の必要が出てくるであろうというふうに想定いたしまして、目下その証拠を集めておるわけでございます。大体今月中にはその証拠が集まって、これで裁判所に訴え出て納得していただける、勝訴の判決がいただけるという見込みがつけば、今月中に訴訟提起したい、こういうふうに考えております。
  189. 石原一彦

    説明員(石原一彦君) いま、お話を承ったばかりでございまして、事実関係を了承いたしませんが、犯罪が成立するといたしますれば、刑法二百三十五条の二のいわゆる不動産侵奪罪ではなかろうかと思います。しかし、御承知のように、不動産侵奪罪は昭和三十五年にできましたものでございますので、いわゆる侵奪の行為がいつごろであるか。それからその他の事情につきましては、詳細事情を調査してからでなければ、明確にお答えはできかねますので、民事局あるいは訟務局とも御相談いたしまして、私のほうで、必要があれば検討を続けたい、かように考えております。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、こちらのほうは、民事のほうはもう一年くらいたっている。それからいまのほうは、建設省の事情聴取はされて、あとそのままほっといてあるのです。ですから、これははっきり結論はついているのですから、それに対してひとつ事情聴取だけじゃなくて、もっと促進方をお願いしたい、こういうことなんです。大臣、これもまたこういう問題が青山の片すみにころがっておりますから、ひとつ早急に解決する方向に向かって片をつけていただきたいと思います。
  191. 田中伊三次

    ○国務大臣(田中伊三次君) まず、前段の問題でございますが、土地が現実に存在しないのでございます。しかるに、登記が存在するということでございますから、これは局長の申しましたように、できるだけすみやかに誠意をもって、職権をもって抹消いたします。  それから、あとの問題については、何ぶん訴訟問題でございます。しかし、訴訟当事者としては、おことばのように訴訟促進の努力はできるわけでございますから、訴訟当事者として促進につとめてまいりたいと思います。
  192. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 法務省の審査は終了いたしました。
  193. 亀田得治

    委員長亀田得治君) この際、おはかりいたします。  当委員会に提出されております会計検査院宮内庁及び北海道開発庁決算概要につきましては、口頭により説明を省略し、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう時間もおそいですし、皆さまお疲れだと思いますので、簡単にお伺いしたいと思いますが、新宮殿の造営の問題です。  まず、第一点は、昭和三十九年、四十年、四十一年、要するに見積りの価格は上がっているわけです。その理由もここにつけてありますですね。宮殿新営所要諸経費の当初計画に対する増加額及びその増加した理由。増加額は昭和三十九年の予算決定の際には八十八億円を見込んだが、四十年九月には、実施設計図の作成がおおむね完了したので、これに基づく再計算により当初計画を改定し、百十八億五千万円とした。さらに昭和四十一年秋に至り、詳細設計が進捗し、仕上げの材料と施工方法とがほとんど決定し、現寸図もおおむね完成したため、これに基づきあらためて所要経費の再計算を行ない、総額約百三十一億円となったと、こういうわけですね。三回予定が変わりました。八十八億円から百三十一億円に値上げしているわけです。これが一点。  それからもう一つ、今度は、いただきました資料の工事契約の一覧表、これを見ますと、宮殿第一回建築工事と、ずっとありまして、二十回に分けて契約しているわけです。この契約の一回ごとの工事の進行を見ますと、非常に過程において変更が多いわけです。第一回建築工事、一回変更しております。第二回建築工事、これも二回変更。第五回の建築工事、昭和四十年の三月から昭和四十一年の三月、この一年間に至っては五回も変更している。しかも、変更するたびに二千万だ、六百万だ、四百万だとぐんぐんぐんぐん材料費が上がっていく。これはしかも基礎工事のときにこの変更が多い、こういう事実が一つ。なぜこういうことが起こるか、そのもとは、要するに着工したときに設計から見積もりがきちっとできてなかった。そうして始めたから、こういう途中において増額、増額、増額、変更、変更、変更、こういうことが起こったんじゃないか、起こったんだと、こう私は推測し、また断定し、業者もそう言っている。設計やっちゃあ、見積もっちゃあ工事をやる。設計やっちゃあ、見積もっちゃあ工事をやる。どうしてこんなずさんな新宮殿を建設する。それこそ国民感情としてもりっぱなものをつくらなきゃならない。こういう宮殿を増築するにあたって設計もできてない、見積もりもできてない。それでなぜスタートしなきゃならなかったのか、この辺の事情をまずお伺いしたいと思います。
  197. 瓜生順良

    説明員瓜生順良君) 最初八十八億の予定で着工いたしたのが、その後これが百三十一億にも、四十億ばかり、四十何億ふえたというような点でございますが、これは最初この工事にかかります際にも、基本設計はできておったわけであります。基本設計は、実はこれはごく概略なもので、どこの部分をどうするという実施設計というものができておらない。その概略の基本設計に基づきまして、その見積もりをつくったのでございます。その見積もりというのは、実施設計がまだありませんから、ある程度腰だめ的なところがあるわけであります。しかし、まあ大体いろいろ専門の人の知識でその見積もりをつくってもらったわけでありますが、ところが、いろいろ工事を進めてまいりますと、それに伴うて実施設計も次々とできてまいります。実施設計をやっている途中において、最初の基本設計の際に大まかに考えておった点も、これはやはりこういうふうに改めたほうがいい。せっかく国民の期待に沿うような宮殿をつくろうというんだから、ここはこういうふうに改めたほうがいいという構想が出た場合には、なるべくそれを採用したほうがいいというわけで、最初の基本設計の際、大まかに考えていたことも、さらに一部改善をするというので変えた点もあります。そうなりますと、そういう点で、最初の点よりは経費がふえてきているような点が出てまいります。で、普通の工事でありますと、まあ最初に基本設計をし、それからある程度見積もりもずっと立てまして、一括してこの工事の請負に出すという場合が多いんですけれども、宮殿の場合につきましては、まず実施設計ができた段階でまあ国民の要望もできるだけ早く宮殿ができたほうがいいだろうというわけで、国会でも、そういうお話がございましたので、とにかくまずスタートをしたというようなことで、普通の工事の場合とはスタートのしかたから見ると、ちょっと違ったスタートのしかたをして、その大まかなワクは実施をしながら、毎年国会のほうで予算を御承認をいただいて仕事をしている、そういうようなことで進んでまいりましたものですから、これを見積もりが全然なかったわけじゃありませんが、見積もりの、最初に見積もった大まかな点が不正確であった点があったわけでありまして、その不正確であった点につきましては、事務当局としては不明であった点は、ここで深くおわびをせざるを得ないと思います。そういう点は、決して私たちはこれでよかったとは思っておりません。しかし、せっかくつくる以上は、ここはこう改善したほうがいいという点はやはり改善したほうがよかろうというので進めていった結果、こういうことになったのでありまして、たとえば、おもな例をちょっと申しますと、屋根の工事のことで申しますが、最初は銅がわらの厚さは〇・六ミリというくらいの材質計算であったわけです。ところが、強度試験の結果〇・六ミリでは不十分である、結局〇・八ミリに厚さをふやす、厚くする、そうすれば、それだけの経費が増すわけであります。それからかわらの高さでありますが、高さも最初は十センチメーターと考えたのが、十二センチメーターとふえた。そうなりますと、これもまたふえてまいりました。そういうようなことで、この経費がふえてきた部分があります。  それから最初は、柱とか、はりの部分は、鉄筋コンクリートの上にウルシ類に属する染料を塗っていこうというような計画でありましたが、これは実除に試験をしてみますと、そういう染料ですと不完全だ、ひびが入ったり何かするのであります。やはりこれはいけないというので、そういうところは前面に銅板を張る、それがいいという結論になりました。ただ張る場合に、銅板の分だけ高くなってまいります。そういうような面がございました。  それから、何か木工費、木のほうの工事の関係で、壁に張ります木の関係ですが、最初は十二ミリメーターある練り材とかということで考えたのが、それではいけないので、厚さ六十ミリメーターのランバーコーア材——専門家でないとちょっとわかりにくいのですが、それでないと狂いがくる、狂いがきていけないということで、それも変更いたしました。そういうようなことで、いろいろございますが、だんだんふえてまいりましたというようなことでございます。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに基本設計をつくって、たとえば私の家をつくる場合でも、大体百万というもので、あるいはここはこうしようという実施設計までいかないと、見積もりができないわけです。だから、これは当然、基本設計を業者、あなたまかせというわけにいかない。これは大きな一つのずさんな工事なんです。隣に建設省の方がいらっしゃいますけれども、常識では考えられないというようなことを漏らされたこともあるのですけれども、要するに、こういう方法で建設工事を行なうということを、これは殿様仕事であるということをいっている人もある。  それからさらに、そのしわ寄せが、業者から聞いたのですが、最終段階で二十回目の契約で三十五億残った、その部分で二十億の手直しをせざるを得なくなった、こういうわけです。ですから、宮内庁のほうとしてはグッドからベータヘ、ベストにいったつもりでしょうが、最終段階で業者だって、ぜひつくらしていただきたいという国民感情とともに商売ですから、最後の段階になって三十五億の設計、それに対して大幅に設計を変更して質を落とした、こういっているわけです。こんなことは当然、御存じだと思いますけれども…。  それから、あなたおっしゃいました壁を薄いのを厚くした、柱をりっぱにした、私はその点も指摘をしたいけれども、さっき言った基礎工事、これは基礎工事の段階で十七回も変更している、二カ月ごとに。なぜ二カ月ごとに変更して、増額、増額、たとえばこれをあげてみましょうか。第五回建築工事、昭和四十年三月一日から四十年十一月三十日、三億四千八百五十万九千円、それから四十一年三月三十一日まで延びました。一年になったわけですね。一番初め三億四千万から始まって、第一回変更四十年四月、これは基礎部分の追加と書いてあります。正面玄関、食堂二千中百万、さらに第二回、四十年八月、六百三十万、これは断熱材の追加、第三回目、四十年十一月四百五十万、これは天井部分のはり部のコンクリートの補強、四回変更、四十一年二月、二百九十万アンカーボルトの追加、第五回四十一年三月、二百八十万云々、こういうことはどうして起こるかというと、専門家に言わせると、もう部分部分で見積もりをつくっているから、さあ何月からこうやるのだ、見積もりの中に入ってない。やってみると、ここのアンカーボルトが足りない。アンカーボルト、アンカーボルト、アンカーボルトとみな出てくる。アンカーボルトとは何かといったら、上と下とをとめるボルトらしいのですね。こんなのが追加になって出るはずないのです、実施設計まできちっとやっていれば。これが実施設計をやらない、見積もりを雑にして、設計やっちゃ見積もって工事をやる。設計やっちゃ見積もって工事をやる。こういう殿様仕事だから、見通しがない仕事だから、こういう変更、変更、変更、変更になったのであって、必ずしも薄いかわらを厚くしたんだ。柱をよくしたから、その増額ということは言えないのです。どうですか。この点あまりはっきりおわかりじゃないかと思うのですけれどもね、こういうこと。
  199. 高尾亮一

    説明員(高尾亮一君) ただいま御指摘がありました設計変更でございますが、先ほどお話がありましたとおり、ほとんど全部が構造に関するものでございます。構造に関する問題がこういうふうに変更になりましたのは、大体原因が二つございまして、一つは宮殿の構造が非常に特殊なものであったということでございます。基本設計による構造が非常に特殊なものであった。たとえば簡単にいいますと、普通のビルでは柱が六メートルでございます、基準的には。宮殿は大体基準的には七・八メートルでございますから、約八メートル、そうすると、まあ二メートルの、構造は……、普通の六メートルならば非常に経験がビルなんかでありますが、八メートルの柱間という経験はほとんどない。ことに部分的には柱間の柱を基本設計の要求で抜いておりますので、三倍の柱間を持たせなければならん。もちろん私のほうでも構造計算を十分にした上で発注をいたしておりますけれども、実際鉄骨を組んでみまして、さらに再検討いたしますと、構造的に弱いところが出てくる。もちろんそれで家は建ちます。建ちますけれども、将来の長い年月を考えますと、必ずしも万全といえない。それでは補強しょうということで、実施設計以降に、実施に入っての再検討の結果でございますが、主として特殊な構造を採用したというところから起こっておるわけであります。  それから第二の問題は、地盤の問題でありますが、これは非常に精密にボーリングをいたしまして、あそこは武蔵野の台地でございましたが、比較的東京としては地盤のいいところでございます。しかし部分的に、現在大食堂が建っておりますところは、ボーリングのときにあらわれなかった脆弱な地盤がごく部分的に出てまいりました。まあそういうところが、いま一例を大食堂のところであげましたがぽっん、ぽっんと出てまいりました。これがやはりわれわれのほうでも、実施と同時に載荷試験をやり、いろいろな試験をやりながら進めましたが、もちろん先ほど申しましたように家は建つんでございます、そのままだって。さしあたって支障はないんでございますが、念を入れて補強をしたい。そういうことから設計変更をいたしまして、われわれとしては万全を期して将来不同沈下、その他のことがないように、現在確信を持っておりますが、そういう変更をいたしました。これは見通しが悪いといえば悪いのでございまして、まことに申しわけございませんが、さしあたって普通のビルならば、私が普通のビルを建てるとしますならば、そのまま建てるんでございますが、長い年月をもっていきたい宮殿でございますので、俗なることばでいえば、念を入れたということでございまして、ほとんど全部が構造問題にかかっておりますのでございます。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうもおそくなって済みません。けれども、特殊な構造であればあるなりに、特殊な設計、特殊な見積もりの立て方ができるわけでしょう。そういうわけで変更になっているのじゃない。あるいは部分的に地盤に関係ありますけれども、それで変更になったのじゃない。業者に言わせると、あまりに部分的に見積もって設計した工事だから、こういうふうにどんどん増加になるのだと思う。ですから、一番初めに言ったように、その大きな原因はどこにあるか、一番初めの実施設計からほんとうの見積もりやらないから、ほんとうに変更があり得ることもある、地盤の場合あるいは特殊な工事ですから。しかし、あまりにもこれが多いわけですよ。変更、変更、これが変更が多いということは、地盤の関係でも、あるいは特殊な設計でもないわけです、業者に言わせれば、一番初めの出だしから実施設計の見通しができなかった、これが大きな原因です。同時に、こういうふうに変更、変更というようなことで部分的に見積もりをやっているから、今度業者が集まって幾らになるか、これだけだ、ここでどんどんまた変更が出てくる。こういうふうにおっしゃっている。それはもう責任者としては万全を期している、そのことは当然だと思いますけれども、いまおっしゃいましたようなそういう地盤とか特殊とかいうのは、これはこの変更のほんのわずかの部分であって、根本的にはそんなものじゃない。あまりにもずさんな工事の進め方、あまりにも着工するときがいいかげんな出だし、そうして国民の方が早くといったって、私も国民ですけれども、こういうずさんなやり方で、あるいは経費が四十億もの三年間で国民負担を行なうような工事であるならば、決して早いことは私は望まない。こういう国民の感情のほうが強く出てくると思うのですよ。こういうふうに私思うのです。専門的なことをひとつ建設省の局長さんいらっしゃいますからお聞きしたいと思うのですけれども
  201. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 時間の都合もございますので、できるだけ簡潔に、まあ省かないで、中味を充実させて簡潔にひとつお答えを願います。
  202. 小場晴夫

    説明員(小場晴夫君) 新宮殿の建設につきまして直接関係しておりませんので、具体的な点については申し上げられないと思いますのですが、一般官庁営繕を所掌しておりますので、その場合におきますいま先生からお話ございましたような点について、どう考えているかというようなことで申し上げたいと思います。  普通の一般の官庁営繕をやっております際に、基本方針といたしておりますことは、まず設計を確定して、請負契約に付して、厳正にすみやかに工事を進める、こういうことが基本方針としてわれわれとってまいっておるわけでございます。設計変更を行ないますということは、設計を確定するという基本的なことと一応矛盾いたします。あるいは行ないますことが、非常に事務処理が煩雑になるというようなことから極力避けるようにということで、これも事務処理の方針として指示しているわけでございます。しかしながら、実際の工事になりますと、特に地盤に関する基礎関係のこと、あるいは設計の方針がやはり途中において変わるというようなこと、あるいはその後におきまして、技術的に検討してみたら、こうやったほうがいいじゃないかというようなこと、これは人間として当然起こってくるかと思いますが、まあそういった場合、直そうというようなことで設計変更というようなことが非常に起きているわけでございます。この際われわれの方針としましては、必ず契約は公開する、厳正に行なうという意味で、必ず契約は公開されなければならない。いわゆるもぐりで工事をやる、もぐりで設計変更をやるということは避けなければならない。それから先ほど申し上げましたように、設計変更を行ないますことは事務処理が非常に煩雑になりますので、なるべく回数をまとめましてやるというようなこと、これも心がけることかと思います。三番目には、もちろん随契になりますので、それの金額、契約公開をいたします金額の適正に対する努力ということをやっているわけでございますが、これが普通一般の官庁営繕についてわれわれとっておる方針でございます。しかしながら、特別の場合として考えられますのでございますが、急ぐ工事の場合あるいは在来の建物がございまして、それの補修工事というような場合、それから技術的に非常に新しい問題を含んでおる工事、こういうような場合につきましては、まず設計方針が非常に大まかにきめられて、先ほど新宮殿の場合にお話ございましたように、基本設計というようなことで急いで出すというようなことから、設計方針が大きく途中で変更するというようなこともあり得るかと思います。  それから、設計を確定いたします度合いが細部までいきわたっておらない、こういうようなこと、これが先ほど先生が御指摘になりました非常に細部な問題になるかと思いますが、こういうようなことがあった。それから、現場に当ってみまして、補修がある場合があるかと思いますですが、不確定なファクターが非常にあるというようなことがありまして、設計変更が非常に前の一般的な場合よりも起きてくるのじゃないかと、こういうぐあいに思っております。新宮殿の場合も、先ほどお話がございましたように、基本設計というようなことで工事を発注されたとするならば、非常に起きるものではないだろうかと、こう拝察するわけでございますが、非常に逆説的な言い方にもなりますかと思いますのですが、契約はこまかい金額にかかわらず、必ず公開しておられるようでございまして、その意味におきましては、工事を厳正に施行されておるんではないかというぐあいには拝察はいたしますですが、変更の件数が非常に多いということにつきましては、当初申し上げましたように、これが事務煩雑であるというようなこととつながってまいりますので、こういう点については、もう少し——これは非常に実態を知らないで、こういうところで発言いたしまして、恐縮には思いますが、回数を少なくするというようなことに対しますくふうというものが、もう少しあるんじゃないだろうかというような感じがいたします。この実態をよくつかみませんので、よくわかりませんですが、以上このような考え方です。
  203. 黒柳明

    ○黒柳明君 基本的には、私の思っていたとおりなんです。非常に何回も申しわけないですけれども、ずさんな工事であり、ずさんなスタートであり、いいかげんということはもう一歩いいますと、これは大手五社のジョイントベンチャーです。当然競争入札をしなきゃならない性質のものです。それを競争入札しないで随契にした、ここらあたりにも百三十億を使わなきゃならないという、また、確かにこれは私はここに不正な使い方はないと思いますよ。しかしながら、そういう疑惑を起こす原因をつくっちゃうんです。せっかく良心的にやっているつもりが、一生懸命いいものを、いいものをといってがんばっているつもりですけれども、一番初めのスタートが競争入札させていない。大手五社の間に、一万円の間組事件も起こる可能性がある、こういうことで大手五社からぽんぽんととっちゃって、共同企業体をつくって、そこにまかせておる。そうして、私に言わせれば、業者の言いなりになって増額、増額、変更、変更、こういうような殿様仕事をやらざるを得なかった、そうすると、そのスタートの随契自体、そこに何か百三十億を使わなきゃならなかったか、その黒い霧みたいなものが、疑惑を起こさざるを得ないような方向に向かっていっちゃう。これは、そういう私の推察です。そういうことはないと思いますけれども、そこに初めの随契をなぜ競争させてスタートしないか。  それから、一番最後になりますけれども、このアフターケアの問題です。このアフターケアをどうするか、終わった場合には共同体はもう解散しちゃう、解散する。そうすると、だれがこのアフターケアのめんどうを見るか。ここに幾多資料がありますけれども、念のためにお伺いしたいんですけれどもね。
  204. 瓜生順良

    説明員瓜生順良君) 二つの点だと思います。一つは、随意契約によったことです。競争入札によらなかった点でありますが、これが、この一般の競争入札に付することが適当でない場合には、随意契約をするという条文がある。それによったわけですが、その宮殿は、天皇陛下が国の象徴とされて、国民あるいは外国の賓客を迎えて全国民のために公の行事をなさる場所であって、まあいわば日本国の象徴的な表座敷のようなことになるわけでございまして、したがって、これをつくる場合には、日本の宮殿の伝統というものが基礎にもちろんあります。その伝統を基礎にして、いま昭和の時代につくるのでありますから、昭和のときの建築の技術力の最もすぐれた力でこれができる、だれに見せてもはずかしくない、間違いがないようなものでありたい、それが、国民の期待でもあろうというふうに考えられた。その際に普通競争入札でやりまして、どこかの一社だけの力でおやりになるというような場合、これは必ずしも——それぞれ会社の特徴があるものですから、それでいいのかどうか疑問の点もあり、なお、東宮御所の場合に、過当競争の結果、物議をかもしたりしたような場合がございましたので、やはりこれは建設省のほうでいろいろ調査なんか見まして、建築業界の中ではすぐれていると言われている五社が力を合わしてやってもらうのがいいのじゃなかろうか。ほんとうをいえば、全国民の力でできるということでありたいので、もっとたくさんの業者の協力でやるという場合も考えられたのでありますが、あまり多いと共同の関係がうまくいかない場合もありますので、五社という最もすぐれている——これは六番目からちょっと落ちますので、五社の協力で、それぞれの持っている、すぐれている力を出し合って、昭和の現代における最もすぐれた技術力でやっていただくということがいいんじゃないかというように考えまして、それで五社のほうから、そういう願い書を出してもらったわけですが、共同企業体をつくり、それでやっていただくということにしたのであります。したがって、随意契約でありまするが、そこで契約一覧表もお見せいたしましたが、それぞれ何とか契約は進んでいる。最初から八十八億ということで契約して、こういう実施設計からどんどんやっている。その場合、金額の関係については、普通の入札の場合でも、官庁で予定価格というものをつくりまして、それを持っていて、それ以上の場合は、さらにまた何度も入札してもらう。それで、宮内庁でも、入札の場合によく聞いておりますが、予定価格以下の業者が一つもないときが相当ありまして、それが全部上回っている場合がある。予定価格というものは相当厳格につくるわけであります。この業者の共同企業体との契約の場合においても、その予定価格をこちらでつくる。業者にかってにやらせるわけでない。行政官庁側でつくります。業者のほうは業者のほうで見積りを出す。それを合わして相談するんですが、業者のほうの見積りが高い場合、予定価格に近づけるためにいろいろ折衝するのでありまして、競争入札する場合と比較して特段に高くなるということはなくて、おおむね同じようなところへ落ち着けるわけでございます。したがって……。
  205. 黒柳明

    ○黒柳明君 アフターケアはどうですか。
  206. 瓜生順良

    説明員瓜生順良君) その点はおわかりだと思いますので、アフターケアを申し上げますが、アフターケアの関係は、共同企業体がなくなりますと、あとの関係はそれに参加していただいた五社が当たるわけです。その五社につきまして、この工事の部分はどの方、この部分はこの会社というように、五つの区域を分けまして、たとえば大食堂のあたりのアフターケアは鹿島建設だったと思いますが、それに正殿のところは竹中さんですか、そういうふうに分けまして、そこでやっていただくというような約束にしているわけであります。
  207. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただ、これは五社間の契約ですけれどもね。こう書いてありますよ。共同体は、造営工事の契約履行が完了したのちは解散する、これはいいですね。それから責任において連帯責任を負うと書いてある。二十一条に「共同企業体が解散した後においても、造営工事についてかし担保責任が生じたときは、構成員は連帯してその責に任ずるものとする。」、全部で要するに責任を持つ、こういうふうになっている。いまのお話ですと、部分部分にこう各五社が分かれて責任を持つと、うことですね。
  208. 瓜生順良

    説明員瓜生順良君) その点を御説明いたしますが、個々の担保責任の連帯の部分は一年間の保証期間の関係でありまして、その関係はそうでありますが、それから先の部分になりますと、いま申しましたようにやってもらうというような話になっておりまして、その契約はさらに後刻できる前にやろうと……。
  209. 黒柳明

    ○黒柳明君 あとで結ぶ、各業者ごとに宮内庁で。
  210. 瓜生順良

    説明員瓜生順良君) さようでございます。
  211. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは宮内庁関係、これで終了いたします。  他に御発言もなければ、本日の審査は、この中度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会      —————・—————