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芳賀委員 いや、そうじゃないのですよ。どだい
農林省はことしの
生産費
調査というのはやってないのですよ。
昭和四十一
年度の
イモ類とか、米とか、麦とかの
生産費
調査はすでに公表になっておるが、当
年度の
生産費
調査なんというのは、いままで
農林省がやったこともないし、そんなものはできるはずがないのですよ。どうしてあえてことしの
生産費というものをここに計上しておるかということに問題があるわけです。この点は昨年も議論して、
食糧庁長官にただした点でありますが、判明したその当
年度の
生産費算定の
内容というものは、
農林省の統計
調査部が行なっておるいわゆる経済
調査ですね。これば今年の場合には、
昭和四十一年の
カンショ、
バレイショの
生産費
調査というもの、これはすでに公表されておるわけですが、これを基礎にして、これを
昭和四十二年の
生産費に置きかえる、こういうやり方をやっておるのですよ。どういうふうにやっておるということを去年聞きましたところが、前
年度政府が公表した
生産費の項目のうち、物財費に関係する部分については、今
年度に合わせるためのいわゆる物価修正を行なうというのです。いいですか。ですから昨
年度の物財費を経済変動等に基づいて当然物価修正をやるということは、これは各
農産物価格決定の場合に行なっておる点であります。米価の場合にもそれをやっている。もう一つ、
生産費というものは、反収が幾らであるかということが重要な要素になるわけであります。まさか前
年度の反収を採用するわけにはいきませんので、反収については、今
年度のいわゆる実収反収を適用する。昨年の場合においては、
カンショは第二回の予想収穫高の反収、
バレイショについては
最終の実収高の判明した実収平均反収というものを収量に置きかえておるわけです。元来
農林省の反収というのは、これは実収平均反収ではなくて、わずか千数百戸の
調査農家の平均反収というものを使っておるので、不当に
生産費が安くなるということになるわけです。実収よりも大体三割くらい
調査農家の反収が上ですから、
生産費が安くなる、そういう仕組みなわけです。私が
検討したところによると、ことしの
生産費の
計算は、まず昨
年度の物財費に対して物価修正を行なっていないという点が一点です。行なっておれば、これは午後に当局から
説明してもらいたいと思います。それから実収反収というものをどういうふうにとったかということが不明であります。
カンショの場合には、第二回の予想収穫高が出ておるが、
バレイショの場合には、七日にきめる時点では、従来実行してまいりました実収高の
決定を待って、それをこの
農林大臣の
勘案事項の、いわゆる需給事情に適用するということができないわけですからして、必然的に八月十五日現在の予想収穫高に依存する以外には、
農林省としての数字がないわけであります。ですから、そういうでたらめの基礎の上に立って行なっているという点です。
もう一つ
生産費
決定上重要なことは、それではこの
イモ作農家の自家労賃をどういうように評価するかという点であります。従来
委員会においてはたびたび指摘しておりまして、農業の日雇い労賃というものは、他産業の平均労賃の二分の一程度の賃金にしかなっておらぬ。ことしも全国の平均は、大体一日八時間当たり八百五十円程度であります。したがって一時間にして百円、この不当に安い農業のニコヨン労賃というものを、あえて
農林省は
生産費
計算に使っているわけです。ですから、ことしの
イモ類の
価格算定の場合においても、
生産費の場合において、これはおそらく——おそらくではなくて、必ず農業日雇い労賃の一時間百円何がし、一日八百円程度の不当な自家労賃というものを
計算の中に入れたからして、
カンショについては、こういう大凶作であっても、一貫目当たり三十三円二十三銭にしかならぬ。
バレイショについては、わずか二十二円七銭にしかならぬというような、こういう
生産費というものをここへ持ち出して、そして正常な
価格決定を妨げるというようなやり方というものは、これは農政のあり方ではないと思うのですよ。
賃金問題については、
農林大臣は権威の人であるということは私たちも知っておりますが、それは単に労働者に対する労働政策とか、賃金政策の権威者であるというよりも、一朝
農林大臣としての任を帯びた場合には、農業におけるいわゆる
生産農家の所得の問題、自家労賃の
問題等については、当然労働者の賃金に対応したいわゆる自家労賃のあり方というものを、あなたこそ打ち出す適格の人であるというふうにわれわれは考えているわけです。それが、依然として一時間百円程度のニコヨン労賃で農民はいいというようなやり方は、これは一体どこからそういう
方針というものが出ているわけですか。これは毎年議論しているところですよ。したがって最近においては、ようやく加工原料乳についても、保証
価格は、ことしから原料乳の主要
生産地域における都市の他産業の均衡労賃ということにこれは実現したわけです。ひとり
イモでん粉だけが、依然として二分の一の日雇い労賃に押しつけられるということは、これが日本の食糧の自給度を低下させる最大の要因であると思うのですよ。
食糧庁長官はえらそうな顔をして、いかにも適正なことしの
イモ類や
でん粉の値段をきめたようなことを言っても、何もやっていないじゃないですか。
時間がないから
農林大臣にはこの程度にしておきますが、そういう重要な問題について、あなたはこれを全部
部下まかせにして、
内容を
検討しておらぬじゃないですか。いまからでもおそくはないと思うのですよ。七日の
決定というものをすみやかに取り消して、正しい算定の上に立った、確信の持てる、全国の農民が納得のできる
価格というものを、
農林大臣の責任において
決定して、すみやかに告示してもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。