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1967-08-01 第56回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年八月一日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 森田重次郎君    理事 東海林 稔君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    田中 正巳君       湊  徹郎君    粟山  秀君       赤路 友藏君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島口重次郎君    芳賀  貢君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    斎藤  実君       中野  明君  出席政府委員         農林省畜産局長 岡田 覚夫君  委員外出席者         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   福島 量一君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 八月一日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として兒玉  末男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(鶏のニューカッ  スル病問題及び食肉問題)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田委員 ニューカッスル病の件についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、具体的な問題に入る前に、現在までの発生状況、その後の状況というか、数字的にわかっておる範囲内をひとつ御説明を願いたいと思います。
  4. 岡田覚夫

    岡田政府委員 七月末現在で一月からの総計をいたしますと、千六百七十六戸でございまして、百四十万三千二百十八羽ということになっております。五月まで大体月平均二十五万羽程度発生があったわけでございますが、六月から急速に減少してまいりまして、六月が約六万四千羽、七月が約五万九千羽ということで、逐次減少いたしておりますが、なお終息には至っておりません。数県にわたりまして散発的な発生を見ておる状況でございますが、おおむね導入いたしましたひなから発生しておるというふうな状況もございますので、県当局におきまして十分現地調査その他をいたしまして、防遏のための努力をいたしておるわけでございますが、今後いまの状態から判断いたしますと、五月以前のような大発生を見ることはなかろうというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  5. 柴田健治

    柴田委員 いままでの被害数字発生状況等数字を御説明願ったのですが、原因究明という立場で畜産局は責任があるわけですから、原因究明をせられたその結論というものをまず聞かせていただきたいと思うのです。
  6. 岡田覚夫

    岡田政府委員 原因究明はそれぞれいたしておりますが、当初発生いたしました原因については、なかなか的確な追跡ができないわけであります。昨年からニューカッスルの型が変わりましたことは、先般も申し上げたわけでございますが、どういう経路をたどりましてそういうふうな新しいタイプの病気発生したかということにつきましては、必ずしも的確な原因がわかりませんけれども、外国から入ります鶏肉というものが一つ原因ではなかろうかというふうな推定も成り立つわけでございます。そういうことにかんがみまして、鶏肉輸入につきましては検疫を厳重に強化するということで、先般通達をいたしたわけでございまして、外国から入ります肉につきましては、十分な検疫をいたしまして、国内に病菌が侵入するのを阻止したいというふうに考えておるわけでございますが、何にいたしましても、このように国内発生をいたしますと、各地に病原菌が残っておるというふうなことが考えられるわけでございます。今後の発生も全く心配がないということではないわけでございますから、したがいまして、国内におきましても、十分その対策を立ててまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  7. 柴田健治

    柴田委員 局長答弁を聞くと、原因究明がまだはっきりつかめてないようなお答えなんですが、農民のほうからいろいろ声を聞くと、防疫体制を十分したように農林省のほうはお考えになっておるようでありますけれども、防疫体制そのものが十分でない、同時にまた、科学的に原因究明をしておるその陣容等から見て、農民を理解させるだけの究明をしてない、いつ出てくるのか、どこから入ってくるのか、戦々恐々という、そういう気持ち農民は持っておるわけです。早くこの究明を急いで、早く終息をみる、同時に、日本国内ではもう再発生をしないような適切な処置を講ずるのが農林省任務だ、義務だ、こうわれわれは解釈いたしておるのですが、原因究明が十分できないというのは、予算が少ないのか、人員が少ないのか、どこに欠陥があるのか。やはり病気発生すると、人間だろうと家畜だろうと、原因究明することが、とにかく被害最小限度に食いとめる一つの手段にもなる、やはり初期の対策というものが必要だ、こういうことも考えられますので、今年ほど発生したことは珍しいとわれわれは考えておるのですが、原因究明ができないというほんとう原因は、ひとつ腹を割って御答弁願いたいのです。われわれも、とにかく早くこの原因究明をしていただいて、農民が持っておる不信感心配というか、恐怖感というものを早く排除していかなければならぬ、こう考えるのですが、いかがですか。
  8. 岡田覚夫

    岡田政府委員 流行いたしました後の経路というものにつきましては、これはかなり明確にすることができるわけでございます。しかし、当初発生をいたしましたものにつきまして、どのような原因発生したかということにつきましては、追跡をいたしましても、なかなかはっきりいたさないというふうな点がございまして、これは予算だとか人員の問題でなくて、要するに、感染経路というものの根源を必ずしも十分把握できないという壁にぶつかるわけでございます。そういう意味で、発生原因につきまして明確でないところがあるわけでございます。したがいまして、今後におきましては、ただいまお話がございましたように、ニューカッスルというものはもう絶滅をするという方向で、万全の努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 柴田健治

    柴田委員 被害該当県が数県だというのですが、特にその中で被害が一番大きい県はどこですか。
  10. 岡田覚夫

    岡田政府委員 一月からの発生羽数の多いところを見てみますと、大体神奈川県の二十万羽、それから埼玉県の十五万羽、千葉県の十二万羽、群馬県の十二万羽ということで、十万羽以上を数えますと、大体関東に集中をいたしておるわけでございます。
  11. 柴田健治

    柴田委員 このニューカッスルは、歴史的に見ると、大体関東地区が発祥の地のように考えられるのですよ。やはり外国から入ってくる肉畜検疫というものが十分でないんじゃないか。そうした外国から入ってくる輸入製品検疫対策というものがおざなりになっておるのじゃないか。豚でもああいう問題を起こしたわけですが、特に養鶏のこのニューカッスルについては、外国から入ってきたという声を聞くのですが、私は、あくまでも外国から入ってきておるのではないか、感染経路というものはそこじゃないか、こう思うのですが、局長はどうですか。
  12. 岡田覚夫

    岡田政府委員 検疫につきましては、かなりやっておったわけでございますが、たとえば輸入ひな等につきましては、十四日間検疫をいたしておりまして、これによりまして、ひなから入ったというふうなことはないというふうに考えておるわけでございます。肉につきましては、御承知のように、検疫という点につきましてはなかなか生きている動物のようにいかない点はございます。したがいまして、最近の情勢にもかんがみまして、今後も外国から入ってくるというおそれがなきにしもあらずということも考えられますので、輸入検疫につきましては、徹底した検疫措置をとりたいということで、先般輸入検疫強化につきましての通達を出したところでございまして、今後はさらに検疫を強化いたしまして、外国から侵入することのないようにいたしたいというふうに考えております。
  13. 柴田健治

    柴田委員 日本の役所は、通達文書を出しさえすればすぐ何でもできるような感覚を持っておられるようで、通産文書を出したらそれで万全な処置がとれたというような、そういう軽い、ソフト的な気持ちでは、この問題は解決しないのではないか、こういう気がするわけで、十二分に万全の処置を講じて、今後こういう事態発生しないように、絶滅という方向で御努力を願いたいと思うのであります。  次に、この前にも私御質問申し上げたのですが、被害を受けた農家のその後の状況農民の苦しみというものをわれわれがまのあたり見ると、また、聞くと、非常に苦しんでおられる。その苦しんでおるほんとう問題点はどこかというと、やはり構造改善であるとか近代化だとかいうことで、いろいろな融資を受け、利子の高い金を借りて、また自己資金をそれにプラスをして、粒々辛苦、五百羽を千羽にし、千羽を二千羽にして、これからはやや自営の道に希望が持てた、また見通しが立った、こういう気持ちでやりかけたところ、この被害をこうむった、こういうことで、受けた精神的なショック、財政的なショック、そうした物心両面ショックから、農民気持ちというものは非常に消沈しておる。これの再建をどうしてやるか、また、希望を与えるためにはどう処置をしてやったらいいのか、こういうことで、農民のほうは、ぜひいままでの借り入れ金に対する償還年限を延長してもらいたい、それから、これからの借り入れ金についての利子は別としても、いままでの借り入れ金に対する利息を免除してもらいたい、こういう融資に対する償還年限の延長と利子の免除、この二つを強く要望しておるのが第一点であります。それから、半ば生活の基盤というものを失ってしまうわけですから、ある程度生活見通しが立つまでの生活費を含めた今後の資金融資ワクというものを拡大してもらいたい、こういう考えが第二点として出ておるわけでありますが、この点について農林省はどういうお考えを持っておるか。
  14. 岡田覚夫

    岡田政府委員 融資措置の問題につきましては、先般もお話がございまして、それぞれの関係金融機関協力方を依頼いたしたのは申し上げたとおりでございますが、その方針に従いまして、県にも十分連絡をとりまして、あっせんをいたすようにということを依頼をいたしておるわけでございます。  近代化資金につきましては、それぞれの県におきまして努力をいたしまして、関係県におきまして償還期限の延長なりそういったことについて努力をいたしておるところでございます。  今後の資金につきましても、十分近代化資金あるいは公庫資金等によりまして、これの措置をいたすことにいたしておるわけでございます。
  15. 柴田健治

    柴田委員 農林省のほうが各該当県に対していろいろ御指示をされておることはよく理解できるのですが、その御指示をされたとおりに各県が足並みをそろえていないことはどういうわけですか。どこに欠陥があるのですか。ばらばらな処置がされておるわけですが、その点について御見解を……。
  16. 岡田覚夫

    岡田政府委員 一応被害に対する対策といたしましては、個別的に具体的なケースにつきまして措置をするということになってまいりますので、一律に幾らというわけにはなかなかまいらぬではないかというふうに考えておるわけであります。そういう点から、県によりまして、また個々のケースによりまして、具体的な措置が変わってきておるというふうに理解いたしておるわけでございます。
  17. 柴田健治

    柴田委員 ところが、風のたよりで、農民はじっとしておってもいろいろ情報をつかんでくるわけです。Aの県はこういう処置をした、Bの県はこういう処置をした、ところが、おれのところの県は何もしてくれないじゃないか、こんなばらばらな指導体制というものがあるのか、こういう意見が出てくるわけですよ。だから、やはりこういうケースの場合はこうあるべきだ、こういうケースの場合はこう指導すべきであるとか、こう処置すべきであるとか、何か基準を示されたほうがいいんじゃないかという気がするのですが、基準を示されたことがありますか。
  18. 岡田覚夫

    岡田政府委員 先ほど申し上げましたように、いまケースごとに違うということもございまして、特に私のほうからそれぞれの県に対しまして、どの程度にするようにというふうな指導をいたしたことは、具体的な中身を示したことはございません。一般的な考え方として、今後被害農業者に対して協力をするようにというふうなことで県も指導いたしておるわけでございます。
  19. 柴田健治

    柴田委員 どうも農林省のほうは、いつも通達文書で何でもかんでも解決するようにお考えですが、これはわれわれがふしぎに思うのですよ。文書だけ出せば末端ではうのみにそれをのんでくれて、全部処置してくれると思ったら大きな間違いだと思うのですよ。国の法律地方公共団体が持っておるいろいろな規則や法律よりか優先権があることは間違いございませんけれども、やはり地方自治体にはその地方自治体特殊性があるし、それぞれの任務役割りを持っているわけですから、それをある程度指導していくというためには、具体的な指示をしてやらないと、ただ一片の文書だけ流したのでは、やはり末端地方公共団体も困るんじゃないか。ただ文書で適切な処置をしろ、被害農家に対する善処をよろしく頼む程度では、これは実がならないと私は思うのです。やはり指導する場合は具体的な事項を示して、それぞれのケースは、こういうケースが出た場合にはこうしたほうが望ましい、また財政的にそれぞれの金融機関との関係を緊密にとって、こういう融資については金利をまけるようにとか、償還年限を延長するようにとか、こういうことで具体的に指示をしてもらわないと、県は垣根越しでよその県をながめ、あすこはあの程度だったな、おれのところは財政もないし、なかなかむずかしいから、この辺でひとつごまかしていく——ごまかすと言ったら穏当でないのですけれども、やや逃げの一手を考えている。やはりこういう当たりさわりのないようなやり方をする、こういう考え方で、農林省のほうで強い指示があったであろう、こう聞くと、あまりないのです。適切な処置をしなさいという程度で、そう具体的なことは示してないのです。こういう答弁なんですね。それではつかみどころがないのです。ただ、地方公共団体、県なら県に行ってこうしろ、ああしろというような干渉もできないわけでありますから、そこには筋道を通して話し合いを続けていかなければならないし、やはり被害農家を救済する、また再建をさしていく、生産意欲を与えていく、そういう考え方農林省のほうも取り組んでもらいたい。また、解決してない、発生をしておる地域もございますので、もっと具体的に指示を流してもらいたい、こう思います。その点についての御見解をあらためて伺いたい。
  20. 岡田覚夫

    岡田政府委員 十分検討さしていただきたいと思っております。
  21. 柴田健治

    柴田委員 この前にも私申し上げたのですが、防疫費ですが、防疫費は法によっていろいろ基準はきめられております。家畜伝染病予防法でちゃんと第何条の何と書いてありますが、その基準どおり各都道府県には出ておるのですか。
  22. 岡田覚夫

    岡田政府委員 基準どおりに出しております。
  23. 柴田健治

    柴田委員 間違いございませんな。
  24. 岡田覚夫

    岡田政府委員 ええ。
  25. 柴田健治

    柴田委員 数字のことは、まあここでの論争はちょっと遠慮さしていただきますが、ただ、防疫費の中で一番地方公共団体が困り、また市町村農協が困ったことは、ワクチンが足りなかったということです。この前は、万全の対策をとってそういう不便を与えないし、迷惑をかけないし、十二分な手配をいたしますということを御答弁いただいたんですよ。ところが、末端ではワクチンが足らないという現象が出てきたのは、どこに原因があるのか、ひとつあらためて御見解を伺っておきたいと思います。
  26. 岡田覚夫

    岡田政府委員 御承知のように、ワクチンにつきましては、有効期間が一年ということになっておるわけでございます。したがいまして、毎年防疫計画を立てまして必要なワクチンを製造させまして、なお相当量のストックを用意させるということにいたしておるわけでございます。たまたま本年は異常発生いたしましたこともございまして、そういう支給不足を生ずるという事態がございましたので、緊急輸入をいたすというふうな措置をとったわけでございます。したがいまして、ある時期におきましては若干不足するという事態が出たわけでございますが、ただ、使用いたします場合に、ニューカッスル発生したということで、非常に各地において需要が急激にふえておる。しかも、非常に心配をいたしまして、使用等につきましても、必要規定量以上のものを使用するというふうな事態も一方に出てまいっておるわけであります。そういうふうな点から不足というものが出てまいったというふうに考えておるわけでございます。緊急輸入をいたしまして、その結果としまして、相当量国内に入ってまいっておりますので、はなはだしい不足という事態は解消をいたしてまいっておるわけでございますが、今後につきましては、今年の経験にもかんがみまして、十分な準備をいたすということにいたしておるわけでございまして、なお、生ワクチン等につきましても、現在検討いたしておりまして、今秋から使用が可能なような状態にいたすことにいたしております。したがいまして、今後におきましては、今年の経験にかんがみまして、十二分なワクチン用意をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  27. 柴田健治

    柴田委員 局長さんのその御答弁を聞くと、急激な発生によって多少の手落ちがあるというような非をお認めになったようでありますけれども、末端の現場では、発生地域はもちろん、移動禁止区域を拡大して、その移動禁止区域の中に何羽おろうとも全部予防接種をやらなければならぬ、そういうことで移動禁止区域をきめておきながら——その区域をきめることは法によってきめるわけですから、法によってきめた区域は、どこの地域をほうっておいても優先的にワクチンの供給をしなければならぬ義務がある。それを十分してなかったということはどういうわけだろうかという気がするのですがね。その点についての見解はどうですか。
  28. 岡田覚夫

    岡田政府委員 県に対しましては、一応予算上できめられたワクを示しまして、その入手はいたしておるわけであります。蔓延防止のためのワクチン注射というものについて、不足をしておるという事態はない。それ以外のものにつきましては、これは県があっせんいたしておりまして、この面につきましては、まあおおむね充足をしておるというふうに考えておるわけであります。ただ、先ほど申し上げましたように、発生をしないところにおきましても、従来予防注射接種をしてなかったということから、急激に注射をするというふうな潜在需要が非常に出てまいっておるわけでございまして、そういう点から、量的には必ずしも不足ではないという事態がございましても、流通問題の点から必ずしも一つの個所に十分に行かなかったという場合も、現実にはあったのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、需給がバランスをいたしておりましても、急激に需要各地で出てまいるということになりますと、ややそこに問題が出てまいるということが懸念されるわけであります。したがいまして、今後におきましては、そういうふうな経験にかんがみまして、十二分な用意をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  29. 柴田健治

    柴田委員 今年度の農林省ワクチン予算額から押えた数量は、何百万羽分を用意したのですか。
  30. 岡田覚夫

    岡田政府委員 当初予算において一応計上いたしましたものは一千万羽分でございます。もちろん、これは必要に応じまして予備費によって増加をすることは可能になるわけでございます。
  31. 柴田健治

    柴田委員 その一千万羽分の金額は幾らですか。
  32. 岡田覚夫

    岡田政府委員 六千万円でございます。
  33. 柴田健治

    柴田委員 大体一羽六円程度になるという単価ですが、六円で十分まかなえたという確信が持てますか。
  34. 岡田覚夫

    岡田政府委員 六円で県には行っております。
  35. 柴田健治

    柴田委員 これは局長、実際問題として、あてがいぶちのような数字なんで、末端では、農林省の御意見を聞いて、十分万全の処置を講じた、ワクチン用意をした、それから十分な処置をしろ、こういう御指示をせられて、地方公共団体は県も市町村も、また農協を通じて、農業団体を通じて、十分やってくれるものだ、こういう信頼感の上に立って取り組んだ。取り組んでみたところが、予算ワクがないので、一羽六円の範囲内で補助を出す、要するに二分の一ということで出されるのですけれども、一羽六円の補助では、手持ちの自己負担のほうがものすごいですね。   〔委員長退席森田委員長代理着席実質法律に示した基準どおり補助率になってないということが言えるわけですね。それであてがい払いになっておる。六円出した。その六円は基準どおり出されたように農林省の帳簿のほうはそうなっても、実質現実の姿としては、それはもう自己負担のほうが多いということが言えるわけですよ。これをわれわれは十分考えて、予備費でふやしていかなければならぬのではないか、予備費を出すお考えがあるかどうかということなんですが、その見解を聞いておきたいと思います。
  36. 岡田覚夫

    岡田政府委員 発生地につきましては、御承知のように、県が法律規定に基づきまして蔓延防止措置を講じておるわけであります。それ以外の地区につきましては、これはもちろん自衛防疫ということになるわけであります。県の蔓延防止のための必要なものにつきましては、これは必要に応じて予備費を支出するというふうに考えておるわけでございます。
  37. 柴田健治

    柴田委員 県が蔓延防止という施策を区域内は当然とらざるを得ないのですね。農林省がどうお考えになろうとも、当然やった地域についてはみなもらえるものだという、こういう解釈。ところが、ワクがないからこれだと、こういう考え方農林省のほうが立っておるのだから、十分補助がこない、こういう泣き言を言っておる県もあるのですね。その点が、かってにやったところは知らぬ、こっちが認めたところだけだ、こう言うのなら、これはもう防疫の全体の対策という面から見て不合理だと私は思うのですが、その点はどうですか。
  38. 岡田覚夫

    岡田政府委員 発生地につきましては、御承知のように、防疫員がみずからやるということになっておるわけです。これは県が購入いたしまして、県の家畜保健衛生所の職員を通じまして蔓延防止注射をするということになっておるわけであります。これにつきましては、当初予算におきましては、先ほど申し上げましたような一応のワクをとっておるわけでございますけれども、必要に応じましては、これは予備費の支出をするということにいたしておるわけであります。自衛防疫に対しましては、従来までは助成の方途というものはなかったわけでございますが、本年度から自衛防疫を強化するために、予約購入いたします場合に助成措置をとるということにいたしておるわけでございます。
  39. 柴田健治

    柴田委員 県が購入をしてやる場合と、県のほうが手が回らぬ、金も十分ない、市町村が立てかえてやっておけ、農業協同組合かどこか立てかえてやっておけ——こういう応急の場合ですから、あれやこれやということで、多少の手違いがあって、窓口が広がっておることは事実である。そういうところは最後に集約をして精算をしてやる、そういう考え方もまた一面考えてもいいのじゃないか、私はこう思うのです。県は計画どおりに購入した。農林省のほうは一千万羽用意しておる。実際やっておるのは一千万羽分どころじゃないですよ。  それからまた、農林省のほうは、一回とか二回とかやったらいいだろう、こういうお考えかもしれませんけれども、あれは何回したら大体基準なんですか。
  40. 岡田覚夫

    岡田政府委員 ひなの間に二回でございます。成鶏になって一回、三回ということになっております。
  41. 柴田健治

    柴田委員 農林省のほうは、ひなの時代に二回、成鶏になって一回という基準をとっておられますけれども、二回や三回で十分ではないという第一線の防疫員考え方があるわけですよ。どうしてもその地域においては一年間に三回ではだめだ、四回も五回もやらなければだめだ、こういう指示をしておる地域もあるわけです。そういうところはどうする。基準よりよけいやったところは知らない、こうおっしゃるのですか。
  42. 岡田覚夫

    岡田政府委員 私のほうで指導いたしておりますのは、従来の実験例からいたしまして、三回ということにいたしておるわけでございます。したがいまして、それ以上の問題は自衛防疫ということで処置をお願いしなければならないのではないかというふうに考えております。
  43. 柴田健治

    柴田委員 農林省のほうがどこで研究をされてどういう基準を出されたのか、科学的な根拠というのは私はよくわからぬのですが、やはり日本国内からそういう病菌体を全部撲滅するという姿勢で取り組むとするならば、従前の基準が三回であったにしろ二回であったにしろ、その薬の性能をよくすることも一方では考えて研究してもらわなければなりませんけれども、従前の何年も前からきめた基準をそのまま——いまの何回でも発生してくる菌というものは非常にたちが悪くなってくると思うのです。人間でもそうなんですが、いろいろ薬を飲み過ぎても、初めはきくけれども、しまいにはもうきかないということになる可能性もあるわけですね。そういうことを考えた場合には、従前の何年前かの基準がそのまま現実に合うとはわれわれは考えられない。もっと進歩してもいいのじゃないか、この点、農林省のお考えを聞いておきたいのですが、依然としていままでの基準どおりで今後も取り組んでいかれるかどうか。
  44. 岡田覚夫

    岡田政府委員 先生のお話のようなことも全くないというふうには考えておりません。そういう点におきましては、基準というものを今後検討すべき問題だというふうには思いますけれども、一方におきまして、現実には過剰使用というふうな現象もあるわけでございます。現実に大流行いたしますと、できるだけ安全にやりたいということで、できるだけたくさん使っておるというふうな過剰使用ということもあるというふうに聞いておるわけでございます。そういうふうな点から考えまして、現在のところ、私たちの試験研究なり実験の結果は三回ということになっておるわけでございますけれども、なお今後これは検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  45. 柴田健治

    柴田委員 そういうことは、将来、研究機関を持っておられる農林省ですから、大いに研究して、改善すべき点は改善していただきたい、こう思うのです。  過剰治療という、過剰ということばが出たのですが、これは当然過剰であってしかるべきだと私は思うのです。過剰であるべきだ。こういう防疫対策は、過剰が悪いとは言えない、私はいいことだと思う。過剰治療というものは、したからといって、それは自衛防疫でかってにやりなさいというのではなくて、農民の心理からいうと、法の指示で焼却を命ぜられたり殺処分をやらせられて、一羽を三百円以内の補償金をもらうということは、いまのひなの代金でもなかなか三百円では手に入らないという品種もあるわけでして、一羽がいまのところは大体千三百円から千五百円するといわれておるわけですから、そういう法の指示で殺してしまったら、補償金では何ぼも手取りにならない。それよりも、まず過剰治療で早く助けたいものは助けていきたい、こういう気もありますから、過剰治療があながち悪いとは言えない。法の命令で殺処分したものは、その法の改正でもしてせめて六百円くらいに、倍額くらいに改正をするというのならまたいざ知らずと思うのですが、その点、過剰についてのがれてもらっては困る、こう思うのですが、その点について今後ひとつ御検討を願いたいと思うのです。  それからなお、補償金の改定というものはぜひやらなければならぬと思うのですが、この点について前進させるというお気持ちで法の改正をせられるお気持ちがあるのかないのか、これを聞きたいのですが、いかがですか。
  46. 岡田覚夫

    岡田政府委員 補償金の問題でございますが、これはしばしば少ないではないかというふうなお話がございます。考え方といたしましては、健康なときの鶏の価格を補償するということではなくて、病気になって法令殺をいたしますときの評価をいたしまして、その価格を補償するというふうな考え方になっておるわけでございます。その補償価格が具体的には個々のケースによって非常に違ってまいるというふうに思われますので、三分の一ということにいたしておるわけでございます。   〔森田委員長代理退席、委員長着席〕 また、限度を三百円ということに押えておるわけでございますが、現実に各県から出てまいりましたものを見ますと、最高の三百円に達しておりますものはきわめて少ないというふうに存じておるわけでございまして、なおこの点につきましては検討をいたす必要があろうかと思いますけれども、現実に各県から出ておりますものは、ただいま申し上げましたような実情でございまして、三百円で一応充足をしておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
  47. 柴田健治

    柴田委員 どうも地上で月のほうにおられる人と話をしておるようで、ぴんとこないのですよ。下から上がってくるものが三百円以内だからもう十分だというふうなお気持ちで言われておるとは私は考えないのですが、予算がないし、法がそういうことになっておるのだから、ぎりぎり一ぱいで押えてやっておるのだ。要するに、農民のほうからいうと、どちらかというと一つの災難だ、災難だから、半ばあきらめという一つ気持ちを持って泣き寝入りをする、そういう気持ちであろうと思うのですよ。この法は実情に合っていない、もう思い切って改正する時期が来た、こういう考え方を私は持っておるのですが、農林当局はこの法がいつまでもいいとお考えになっておるのかどうか、その点を聞かしていただきたい。
  48. 岡田覚夫

    岡田政府委員 私のほうは、一応月別に鶏の価格が幾らであるかというのをいろいろな種類について出しまして、それの三分の一の価格が幾らであるかという計算をいたしておるわけであります。その結果を見ますと、大体三百円で足りるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、なお、これは鶏の価格の推移というものもございますので、そういうふうな点から十分検討はしてまいりたいというふうに思っております。
  49. 柴田健治

    柴田委員 十分な価格だというのですが、参考のために聞かしていただきたいのですが、国内産のひな外国産のひなひなのいまの価格は大体平均どのくらいな価格、また、成鶏で国内、国外両方のいまの市場の価格はどの程度に見られておりますか。種鶏と卵用もあわせて……。
  50. 岡田覚夫

    岡田政府委員 国内びなは六十円ないし七十円、それから外国ひなは二百十円程度というふうに見ております。
  51. 柴田健治

    柴田委員 成鶏は……。
  52. 岡田覚夫

    岡田政府委員 成鶏につきましては七百円ないし九百円でございます。
  53. 柴田健治

    柴田委員 それは国内が……。
  54. 岡田覚夫

    岡田政府委員 さようでございます。これにつきましては、ひなから、要するに統計に基づきました育成費というものを加えまして価格を算定いたしておるわけでございます。
  55. 柴田健治

    柴田委員 大体そのひなが卵を産むまでの間、一羽についてどれだけの育成費がかかるのか、知っておられたら聞かしていただきたい。
  56. 岡田覚夫

    岡田政府委員 いま具体的な資料を持ち合わせておりませんので、明確にはお答えをいたしがたいわけでございますが、一応計算をいたしました結果からいたしますと、七百円ないし九百円、こういうことに承知をいたしておるわけでございます。
  57. 柴田健治

    柴田委員 もう少し、局長さん、いずれまたどこか御視察をせられる機会がございましたら、現場で養鶏家にお会い願って、実態をひとつ知っておいていただきたいと思うのです。ここで論争する必要はないと思いますから、今後早い機会に、養鶏家の実態、ほんとうにどれだけの苦しみとばく大な資金を投資してやっておるか、ひなから成鶏に至るまでの飼育管理の実態、また育成費の実態というものをもっとつかんでもらいたいと思うのですね。ぜひひとつ、参考のために、これを要望しておきたいと思うのです。  それからなお、防疫員の経費なんですが、これについては十分予算を出されたのですか。
  58. 岡田覚夫

    岡田政府委員 防疫員の経費につきましては、  一〇〇%補助するということになっております。必要なものにつきましては補助をいたしておるわけでございます。これで必ずしも十分であるというふうには考えておらないわけでございますけれども、できるだけの補助をいたしておるつもりでございます。
  59. 柴田健治

    柴田委員 今年度の発生以後今日まで関係府県に配分したその経費の総額は幾らですか、ワクチン代は別で。
  60. 岡田覚夫

    岡田政府委員 四十二年度につきましては、まだ割り当てをいたしておらないわけでございます。今後割り当てをするということになりますが、十分ことしの状況を見まして配分をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  61. 柴田健治

    柴田委員 十分出したというようなお気持ちであるけれども、末端のほうはまだ来てないから、県でとまっておるのか、どこでとまっておるのか、われわれが知るところでなかったのですが、まだ配分していないということになれば、十分したともせぬともまだ言えないわけですね、これからするわけですから。十分するだけの予算がなければできぬ。局長がどんなに気ばったところで、どんなにあなたがやろうと思っても、予算がなければできないわけですが、そういう薬剤以外の経費というのは予算額幾らあるのですか。
  62. 岡田覚夫

    岡田政府委員 それでは申し上げますが、家畜伝染病予防法補助金としては六億四千八百万円ということでございます。旅費の補助金といたしましては七千六百万円、それから薬剤費の補助としまして四千七百万円……。(「ニューカッスルだけ」と呼ぶ者あり)いや、これは全部でございます。
  63. 柴田健治

    柴田委員 ニューカッスルだけは幾らですか。
  64. 岡田覚夫

    岡田政府委員 ニューカッスルだけはちょっと具体的に……。配分をいたします場合に、どういうふうに県別に配分をするかということでございまして、ニューカッスルだけの防疫という形では予算の計上はいたしておらぬわけでございます。
  65. 柴田健治

    柴田委員 私はニューカッスルのやつを聞いておるのですから、ごっちゃに御説明を願わぬように明確にしておいていただきたいのです。
  66. 岡田覚夫

    岡田政府委員 それでは四十一年度の割合を申し上げますと、大体ニューカッスルが全体の中の一二%を占めておるわけでございます。本年度におきましては、実態に応じましてそれぞれの病気別の配分をしなければならないわけでございますが、それは先ほど申し上げましたように、現在のところまだ割り当てを完了いたしておらぬわけでございますから、今後割り当てをいたすことになるわけでございますし、同時にまた、その割り当てで不足をいたしますような場合には、予備費から必要なものについては支出をするということにいたしておるわけでございまして、四十一年度におきましても当初予算のほかに二億一千万の予備費の支出をいたしておるわけでございます。
  67. 柴田健治

    柴田委員 四十一年度はどれだけの処分をせられた数字があるのですか。
  68. 岡田覚夫

    岡田政府委員 四十一年度におきましては、ニューカッスルに対する斃殺手当ては、約一千五百万というものを支出いたしております。
  69. 柴田健治

    柴田委員 いや、羽数を言うておるのですよ。四十一年度のニューカッスル発生数。
  70. 岡田覚夫

    岡田政府委員 それでは申し上げます。四十四万六千羽でございます。
  71. 柴田健治

    柴田委員 四十一年度が約四十五万羽として、予算額の一二%をニューカッスルのほうに使っておられる、こういうことなんですが、今年はどちらかというと異常発生なんです。三倍以上。まだまだこれから出る地域もあるんじゃないかという心配がされておるわけです。いつ終息になるかわかりませんけれども、相当の経費がかかっておることは間違いないと思うのです。昨年も予備費を二億一千万も出したということを言われたのですが、ことしは予備費を相当出さないと手当てができないんじゃないか、こういうわれわれのほうの解釈なんですが、担当である局長のほうは、思い切って予備費を出して十分なる配分をして、地方には迷惑をかけないようにやる——全部の県はよく知りませんけれども、ある県においては県なり国の手落ちがあった、私は一応そういう見方もしておるのです。それは要するに感染経路を早く確認しない。発生をしても、五日も一週間も研究所に送って研究、調査しておる間に、どんどん蔓延した、そういう防疫体制の取り組み方が手おくれであったということも言えると思うのです。そういう地域もあったことは間違いない。全部とは言わないけれども、そういう地域があったことによって、予想外の蔓延をみたとも言えると思うのでございますから、やはり国や県の責任において十分なる経費を見なければならぬ。特に国においては、法の精神に従って地方のそうした団体に迷惑をかけないように、また防疫に携わった職員に対しては十分にしてやる、こういうお考えを持って配分をやってもらいたいと思うのですが、そのお考えはいかがですか。
  72. 岡田覚夫

    岡田政府委員 そういうふうな考え方処置をしたいと思っております。
  73. 柴田健治

    柴田委員 最後にお願いしておきたいのですが、いろいろ申し上げた点については、今後も尾を引く問題でもありますし、ひとつ手落ちのないように、また末端からいろいろな不満を込めた意見が出ないように、喜んでもらえるように——災害が発生して喜ぶ者はないのですけれども、その処置について感謝の気持ちが出るように、農林省はよくやってくれた、こういう意見が出るように、すべての面において処置をしてもらいたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 柴田君のニューカッスルの質問に関連いたしまして、二、三御質問を申し上げますが、ワクチンの製造並びにこれらの取り扱い等はどのようなことになっておるのか、お答え願いたいと思います。
  75. 岡田覚夫

    岡田政府委員 現在ワクチン・メーカーは日本では四カ所ございます。ABCDで合計いたしまして、月産四千五百万羽の注射をいたします能力を持っておるわけでございます。年間約四億八千万羽分の能力を持っております。もちろん、これは最近ふやしたものも入っておるわけでございますけれども、そういうふうな能力を持っております。毎年需給計画を立てまして、そして需給計画に応じまして必要量の生産をし、かつ、一定量のリザーブを持っておるというふうな形で生産を行なわしておるわけでございまして、それに基づきまして、それぞれの販売のルートを通じまして販売をするという形になっておるわけでございます。
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 この四社のワクチン製造の会社は、もちろん営利会社であろうと思いますが、その場合に、ニューカッスル病気幾ら発生するかわからない、またどこまで需要があるのかわからない、そういう状態のもとで製造販売をしておる業者は、いわゆる利潤を確保して会社を経営していく上において不安を生ずるのじゃなかろうか。そのために、製造を手控えするというような傾向が出るので、異常発生をしたときにワクチンが足らなくなって、混乱を来たしておるのじゃなかろうかと思うのですが、その辺はどのようにお考えになっておりますか。
  77. 岡田覚夫

    岡田政府委員 要するに、年間のニューカッスル発生状況を予測をいたしまして、それに基づいて製造をいたすということにいたしておりますから、ぴしゃりと予測どおりにいくということは、なかなか期待できないわけであります。多少の誤差というものは出てまいる。従来の予定どおりつくりましたけれども、ほとんど発生がなくて使用されなかったというケースもあろうかと思います。今年度におきましては、予測をいたしておりましたものよりもやや多かったということで、不足がございました。したがいまして、その不足分につきましては、これは急遽製造能力を上げるという措置をとったわけでございますが、一方におきまして、輸入をいたしまして、不足分を外国から補うということにいたしたわけでございます。計画より多い場合には輸入ということによって処置ができるわけでございますけれども、若干そこに輸入に至ります時間的な経過等もございますので、やや、即日適切な措置ができるというわけにはなかなかまいらぬ点があるわけでございます。したがいまして、できるだけ当初の予測が現実に合うように、いろいろな点から十分検討して、適切な予測を立てて、それに基づく製造計画を立てさせるということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  78. 神田大作

    ○神田(大)委員 先ほど言ったように、ワクチンを製造しても使用できないというような場合は、これらの補償について農林省はどのような処置をするか、あるいはまたそれが会社自体の損失になっていくのか、お尋ねを申します。
  79. 岡田覚夫

    岡田政府委員 この点につきましては、業界に協力を要請して、そういうふうな指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、そのために政府が特に補償するという措置はいたしておりません。
  80. 神田大作

    ○神田(大)委員 異常発生しましても、これに対応できるための製造元のワクチン製造の根本的な対策を立てない限り、いま柴田君も言われたとおり、異常発生をした、それワクチンをもらいたいといっても、なかなか間に合わないために、被害が拡大していくわけです。われわれといたしましても、現地におりまして、三カ月前に申し込みをしてやっていくというような仕組みだそうでありますけれども、農家の方というのは、発生するか発生しないかわからないものに対しまして、なかなかそういうきちょうめんな計画的なことはできない。隣村に発生したらそれ予防注射だというようなやり方をやっておるところが多いようでございますから、このような事態に対処するために、ワクチンの製造並びにそれらの配給組織につきまして、もっと適切な機関を整備してやる必要があるのではなかろうか。たとえば、行政官庁である役場を通じて品物を扱わせるというようなことよりも、むしろ農協農業協同組合連合会、全販、県連、単協というようなりっぱな組織があるのでありますから、これらにワクチンの現物の配給等を扱わせ、それらの多少の損失とかあるいはまた保管というようなものに対しまして責任を持たせるというようにすれば、もっとスムーズにいくのじゃなかろうかと思うのですが、いまのワクチンの配給機構というものはどのような筋道でやっておるのか、お尋ね申し上げます。
  81. 岡田覚夫

    岡田政府委員 現在はメーカーから、販売店でございますね、薬屋さんを通じて販売するということにいたしております。もちろん、これは薬事法の規制を受けますので、薬剤師が扱うということが義務づけられておりますから、だれでも簡単に扱えるという性質のものでないことは御承知のとおりでございます。そこで、そういうふうな配給の問題もあろうかと思いますけれども、本来、ニューカッスルというのは、最近の傾向からしまして、発生する可能性が非常にあるわけであります。少なくとも鶏を飼おうという場合には、当然予防注射をすべき性質のものではなかろうかというふうに考えておるわけであります。すべてのものが注射をするということになれば、ニューカッスルというのは当然予防できますし、絶滅できるということになるわけでございますから、そちらの方向に持っていく必要があろうというふうに考えておるわけであります。  そういうことで、先生おっしゃいましたように、農家としては、病気発生したら注射をするけれども、病気発生をしなければ注射をしないという事態が、根本的にニューカッスルを異常に流行させる原因であるわけです。そういうことを防止するために、予約制というものをとりまして、それで予約をしてメーカーで一定の量を製造いたしますれば、需給というものは完全にバランスをしてきて問題がないということになるわけです。そこで、どうしてそういう予約制をとらせるかということになるわけでございます。したがいまして、今年度から予約をやります場合に、国がそれに助成をして予約というものの習慣をつけさせたいというふうに考えて、そのために八千万羽分につきまして助成措置を講ずることにいたしておるわけでございまして、これが徹底をいたしますれば、御心配のような点はなくなるのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  82. 神田大作

    ○神田(大)委員 八千万羽の予算をとっておるというが、ことしの発生見込みは一体それで間に合う計算ですか。
  83. 岡田覚夫

    岡田政府委員 もちろん、この八千万羽分だけでこと足りるというものではないと思うわけでございますけれども、一応県がやりますものその他のものを差し引きまして、八千万羽分やれば、おおむね目的を達するのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  84. 神田大作

    ○神田(大)委員 数字的には局長はそういうふうな見解を持っておるだろうと思いますが、われわれは、いまの予算範囲内では、予約制をとって全部の養鶏家が完全にニューカッスル病を撲滅するまでには至らぬと私は考えている。今日、中途はんぱなそのようなやり方よりも、たいした金額ではないのでありますから、思い切って徹底的な予約制をしくために、関係機関の緊密な連携のもとにこれを実施するならば、私は、今年のような大量発生の混乱は避けられる、こう考えている。いま一つは、国が責任を持ってワクチンを製造させる。もし発生しなかった場合の損失補償というようなものに対して責任を持って考慮をして、ワクチンが足らぬというようなことのないような予算措置を講ずることによって、ワクチンが足らぬというような非常事態にならなくても済むのではなかろうかと思うのでありますが、このことについて御答弁を願います。
  85. 岡田覚夫

    岡田政府委員 先ほど申し上げましたような予約を徹底するという方法によって、私は、この蔓延の防止、発生の予防をするということが可能であるというふうに考えております。予約を通じまして十分なワクチンの供給が可能になるというふうに考えておりますので、その点では、先生のお考え方とやや違った別の考え方でございます。目的は同じでございますけれども、方法論としましてそういう方法論で徹底的にやってみたいというふうに考えておるわけでございます。
  86. 神田大作

    ○神田(大)委員 最近は、ニューカッスル病が、いまの神奈川、千葉、群馬、埼玉というような関東の周辺から、今度は栃木、福島というように新しい産地へと伝播しつつあります。これら新しい産地におきましては、そういういままでの経験もないことからして、新産地には非常に手薄になっておるので、これらの新しい養鶏団地等に対しまして適切な処置をとって、これが蔓延を防ぐように、私は特にお願いしたい。とにかく養鶏団地に入りますと、全財産をなげうって養鶏家はやっているわけでありますから、それで全滅すると、全部がおしまいになってしまう、こういうような状態でありますので、適切な、しかも迅速な処置をとられることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  87. 本名武

    本名委員長 東海林稔君。
  88. 東海林稔

    ○東海林委員 私は、最近の豚肉の需給状態、それから中国からの牛肉の輸入問題について御質問したいのですが、いまのニューカッスルの問題につきまして、関連して一問だけお尋ねします。  先ほど柴田委員の、殺処分を命ぜられた鶏に対する手当金は法律によって三分の一、一羽三百円以内、こういうことになっておるのが実情に合わないじゃないかという質問に対して、局長からは、それは健康な鶏の価格ではなしに、病気になった鶏の価格だ、こういう趣旨の答弁があったのですが、私は、これは非常に不可解に感じます。ニューカッスルにかかった鶏は、これが内臓を捨てて肉だけは売れるというような状態であれば、そこに価値があり、価格があると思うのですが、御承知のように、殺処分を命じなければならぬようなニューカッスルにかかった鶏は、これはもう埋めてしまうか、焼いてしまうか、こういうことになっているのです。したがって、それには価値がないし、価格がないと考えるわけですが、にもかかわらず、これは病気になった鶏の値段の三分の一、したがって、三百円以下でも実情はいいのだという答弁は、どうしても私は納得できないのです。たとえば牛のような場合は、内臓だけは処理する、肉なり皮はある程度これは利用できる、こういう場合には、病畜の価格ということがあり得ると思うのです。しかし、鶏の場合にはそういう考え方は成り立たないと思うのです。したがって、病気になった鶏の価格の三分の一という考え方は、どうしても私は法律解釈としておかしいと思うのですが、その点どうですか。
  89. 岡田覚夫

    岡田政府委員 御質問の点は、全く価値がなくなればゼロということになるわけです。そこで、要するに死ぬる前でございますから、まだ現実には生きているわけです。その価値をどう評価するかということになるわけでございますから、仮定の議論になるわけでございます。したがいまして、その評価によりましては、もちろんゼロのものもありましょうし、あるいはそうでないという場合もあり得るかもしれません。そこで、一応そういう点につきましては明確に幾らということができないものですから、したがって、仮定として三分の一の支払いをするということになっておるわけでございまして、実際問題としてゼロであるとすれば、むしろ三分の一の支払いというのは、きわめて有利な支払いであるとも言えないことはないと思うのでございます。その点は非常に不明確でございますので、推定といたしまして三分の一ということにいたしておるというふうに理解しておるわけでございます。
  90. 東海林稔

    ○東海林委員 大体県から出てくるのは高くて三百円だ。大ざっぱに聞きますと、種鶏は大体三百円、それから産卵鶏は二百円くらいになっておるようです。それでいきますと、病気になった種鶏が九百円の値打ちがあり、それからニューカッスルになった普通の産卵鶏は六百円だ、こういう計算になるわけだけれども、利用価値の全然ないものに価値を認めて価格をきめる、そういう考え方はおかしいですよ。鶏の場合は、やはり健全な鶏ということでしか考えられないのじゃないでしょうか。病気になって焼いたり埋めなければならぬものに九百円の値打ちがあり、六百円の値打ちがあるという法律解釈というものは、それは成り立たないですよ。牛のような場合、内臓だけは捨てても肉や皮はあとで利用できる、こういう場合は、あなたの言うような説明もあるいは理屈としてあり得るかと思うけれども、鶏の場合はそういう理屈は全然あり得ないと思うのですが、ニューカッスルになった鶏が九百円したり六百円したりするわけないですよ。したがって、もしそういう解釈であるとすれば、健全な鶏の八〇%か九〇%という取り扱いをしているというなら一応私はわかるのだけれども、病気になった鶏の値段の三分の一だというような解釈は、これは全く観念論で、まことにおかしいことだ。したがって、健全な鶏の八割ということで考えておるとかなんとかいうなら一応の説明としてわかります。意見はあります。私は意見はありますが、一応の説明はわかるが、病禽の三分の一というような言い方は、これはまことに観念的なへ理屈で、理屈にならないと思うのです。そういう法律解釈は完全に間違っていると思いますが、それは何とかもう少し考え直して別な答弁をしてもらわないと困ると思うのです。
  91. 岡田覚夫

    岡田政府委員 ニューカッスルにかかりまして殺処分いたします場合には、とにかく病気がなおって生きておるという場合もあり得るわけですが、ただし、ニューカッスルになっております場合には、これは全部殺処分するということになるわけでございますから、したがって、その評価をどうするかというのは、これははなはだむずかしいと思うのです。そこで、お話のように、何割がいいのかという議論になってまいりますと、これは何割が妥当であるということはなかなか言えないのではないかというふうなことで考えまして、おそらくはその当時の情勢、殺す場合の状態としては、交換価値はゼロという場合が起きると思うわけでございますけれども、しかし、そうでない場合もあるというふうないろいろな点を考慮しまして、三分の一ということでまあ仮定をいたしまして、三分の一を支払い基準にいたしておる、こういうことでございます。
  92. 東海林稔

    ○東海林委員 三分の一を議論しているんじゃないですよ。何の三分の一かということを議論しているのです。三分の一は法律にも書いてあるから、そんなことは議論していない。何の三分の一か、あなたのような解釈でいくと、価値がないんだから一文も出さぬでもいいという議論になるのですよ。結論としてはそうなんでしょう。大体ニューカッスルになったのは焼くか埋めるというんですよ。ゼロでしょう。むしろそのために費用がかかる。マイナスの要因になるでしょう。したがって、あなたのような法律解釈でいくと、出さなくていい、病禽の三分の一なんだから、値打ちがないんだから、出さなくていいという解釈になるのです。そういう解釈は根本的に間違いなんだから、考え直して、いますぐ結論を出さなくてもいいから、間違っておるということをはっきり認めてもらわなければ困る。三分の一を議論しているんじゃありませんよ。
  93. 岡田覚夫

    岡田政府委員 ちょっと私の表現が適当でないところがあったように思うのですけれども、要するに、病気になる前の状態の三分の一、それをそのときの評価といたしておるということでございます。
  94. 東海林稔

    ○東海林委員 すると、病気になる前の鶏ですから、健康な鶏、そういうことなら話はわかるのですけれども、さっきの答弁はそうではなしに、健全な鶏の値段でなしに、病禽の三分の一というから、それが問題になる。そこが間違っておったということがはっきりすれば、わかりました。病気になる前の鶏ですね。——わかりました。そこを間違わぬでくださいよ。そうでないと出さないでいいということになりますよ。それじゃその問題はそれでわかりました。  今度は豚肉の需給の問題ですが、この前の特別国会の際に、従来豚肉の価格が非常に安くて、畜産事業団の買い上げが非常にたまっておる。そこで、豚肉に対する需要喚起を含めて、さしあたって二千トンの放出をする、こういうような報告を受けたわけですが、新聞記事によりますと、今度は非常に豚肉の価格が堅調を続けておって、畜産物価格安定法による安定上位価格を越すような状態になったので、放出をする、こういうような記事が出ておるわけでございます。最近のその実情なり今後の放出その他に関する方針等について、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  95. 岡田覚夫

    岡田政府委員 先般御説明申し上げましたときは、当時はまだ屠殺頭数も非常に多く、事業団の買い上げも非常に多いときであったわけであります。そういう状態が六月中旬ごろまで続いたわけでございます。したがいまして、買い入れ頭数が非常にふえて、保管の期間も非常に長くなってまいるというふうなこともございまして、六月十三日に事業団手持ちの豚肉の放出を決定いたしたわけでございます。決定をいたしますと同時に、豚の枝肉の価格が逐次高くなってまいったわけでございます。六月中旬ごろからかなり高くなりまして、七月に入りまして上限価格をこえるというふうな事態が出てまいったわけでございます。屠殺の状況はどうかと申し上げますと、六月、七月に至りましても依然として屠殺頭数は高水準を維持しております。六月につきましては対前年同月屠殺頭数比が一二五%、それから七月におきましても対前年同月比一一四%というふうな、かなりな水準を保っているわけでございます。生産はこのようにふえておりますけれども、消費はどうかと申し上げますと、消費につきましては、御承知のように、病菌豚の事件がございまして、三、四、五月と消費はやや減退しておったように思われるわけでございますが、五月の中旬ごろから回復をしてまいったわけでございます。  このような事態におきまして、生産と消費のバランスをとりますためには、消費の拡大が最大の問題ではないかというふうに考えて、六月の十五日から主要都市におきまして豚肉祭り等の消費拡大運動を展開いたしたわけでございます。ちょうど六月、七月、八月というのは、御承知のように豚肉の需要の最盛期でございます。もう一つは、非常につゆどきも暑さが続きましたために、需要がさらにふえたというふうに考えるわけでございますが、豚肉祭り等の需要拡大運動が効を奏した結果というふうにも考えられるわけでございますが、消費が異常に増大をいたしました。そういうふうな結果に基づきまして、屠殺頭数は、先ほど申し上げましたように対前年比一二五%なり一一四%ということで、かなりの高水準でございますけれども、消費の拡大が一そう高い水準に推移をいたしたということもございまして、価格が騰貴をするという結果になったものと判断をいたしておるわけでございます。  そこで、先般、二千トンの放出を六月十三日に決定をいたしたわけでございますが、たまたま先ほど申し上げましたような価格の騰貴もございまして、需要が著しく増大をいたしました結果、現実には四千七百四十トンの売り払いをいたしたわけでございます。  それで、その後の推移を見ておったわけでございますが、七月に入りましてかなり上限価格に近くなり、七月中旬以降は上限価格をこえるという事態も生じましたので、これは畜産物価格安定法に基づきまして、本来の事業団の管理いたします豚肉を放出するというふうな条件に該当することとなったわけでございます。したがいまして、直ちに売却の手配をいたしまして、昨三十一日から現実に市場に放出を開始いたしたわけでございまして、昨日大宮では九百二十ケース、それから東京におきましては百ケースの売買が成立をいたしたわけでございまして、現在のような価格がなお続くということになれば、さらに逐次価格の状況を見ながら放出をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  96. 東海林稔

    ○東海林委員 この前報告の二千トンが、いまの話では四千七百トンくらい出た、こういうことですが、これは法律関係からいうと、長期にわたる貯蔵で腐敗するおそれがあるとかなんとかいう、そういう条項に基づいての放出というふうに理解していいのですか。法律的な関係でどういう立場での放出かということをはっきりしてもらいたい。
  97. 岡田覚夫

    岡田政府委員 お話しのような条項に基づいて放出いたしたわけでございます。
  98. 東海林稔

    ○東海林委員 現在上位価格をこえるような形で放出する、これは法律上当然なんですが、ただ、最近新聞を見ておりますと、全体的には堅調ですが、しかし、それの中でも、一時的に見ますと、非常に価格の上下がはなはだしいように思うのですね。こういうのはどこに理由があるのか。これは非常に好ましくないように思うのですが、どういうようなふうにこれを理解し、またどういうふうな対策考えておるか、そこをひとつお聞きしたいと思います。
  99. 岡田覚夫

    岡田政府委員 価格の上下が七月の上旬ごろにかなり激しかったわけでございます。このときの事情を見ますと、市場の出荷頭数というものがかなり日によって相違をしておる。出荷者側の事情に基づくものが多分に多いというふうに判断しておるわけです。その原因が何であるかということはなかなか明確には把握をできないわけでございますが、生産者側の田植えその他の事情も手伝っておるのではなかろうかというふうに考えております。最近はやや落ちつきまして、かなり高水準にはございますけれども、一ころのような極端な変動はなくなっておりますので、今後は比較的安定的に推移をしてまいるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  100. 東海林稔

    ○東海林委員 大体わかったのですが、要するに、価格の安定を期するためには、価格安定法によっての発動もあれですが、何といいましても、やはり計画的出荷ということが非常に大事だと思います。いまの御答弁によりますと、そういう点が不十分な結果、短期的には非常に動いておるというふうに理解されるわけですが、こういうある程度値段が上向きだというようなときこそ、計画出荷の指導がわりかた徹底し得る時期じゃないか、こう思いますので、こういう機会にぜひそういう点に十分ひとつ指導の徹底を期していただきたい、これを要望しておきます。  それからもう一つ、中国からの牛肉の輸入をいま禁止しておるという問題ですが、これは主として病気関係について懸念される点があるからというふうにわれわれは聞いておったわけですが、最近そういう点農林省でも相当調査が進んだことと思いますし、一面、各方面からこの輸入禁止を解除してくれというような請願なり陳情が国会にもだいぶ出ておりますので、農林省でこの点に関する調査の結果なり今後のこれに対する考え方をひとつはっきりしていただきたい、こう思います。
  101. 岡田覚夫

    岡田政府委員 中国からの食肉の輸入の問題でございますが、この点につきましては、中国かちの食肉の輸入は禁止をいたしております。いわゆる禁止地域というものに指定をいたしておるわけでございますが、従来から中国から食肉の輸入をいたしたいという要望があったわけでございまして、この点につきまして、中国とは正式な国交が開かれておりません。そういう関係から、民間団体から二回にわたりまして現地の調査をいたしたのでございます。  問題は口蹄疫の問題でございますが、従来中国大陸は口蹄疫の発生地として知られておったわけでございますが、中共の治下に入りましてかなり徹底した防渇をいたしまして、最近においては口蹄疫がなくなったというふうにいわれておるわけでございます。そこで、現地調査のために、二回にわたりまして獣医関係の権威が調査いたしたわけでございますが、その結果によりますと、中国大陸については予想以上に衛生状態は良好である、ただし、獣医学の水準についてはまだ必ずしも十分ではないけれども、具体的な衛生についてはかなり良好であるというふうな結論が出されておるわけでございます。ただ、現在中共は口蹄疫の撲滅宣言というものを発しておりませんということと、もう一つは、御承知のように、国際獣医事務局という国際機関がございまして、この国際機関を通じまして各国は伝染病についての情報を世界に知らせるというふうなことになっておるわけでございますけれども、中共については、残念ながら国際獣医事務局に加盟いたしておりません関係から、オフィシャルな伝染病の情報というものが入ってこないわけでございます。それからもう一つは、調査をいたしました結果、おそらく口蹄疫はなくなっておるであろうという推定はつくけれども、しかし、口蹄疫がなくなっておるという明確な証拠は把握参れておらないという点があるわけでございます。そこで、実は調査団もいろいろ中共に質問いたしておるわけでございますけれども、従来どういうふうな種類の口蹄疫が流行しておったのか、それに対するワクチンはどういうものを使っておったのかというふうなことについて、明確な資料の提供を受けておらぬわけでございます。御承知のように、口蹄疫というのは、非常に多くの種類がございまして、単純でないわけです。ワクチン等も、ある口蹄疫には有効であるけれども、他の口蹄疫には有効でないということで、非常に種類が多いわけです。そこで、どういう口蹄疫であるかということを把握しておく必要がもちろんあるわけでございますけれども、それについての明確な資料の提供を受けておらない。したがいまして、またそれに対するワクチネーションがどういう形で行なわれておるかということも必ずしも明確でないという点がございまして、二回の調査の結果をもとにしまして、十数名の学者に集まっていただきまして検討をいたしたわけでございます。  その検討の結果問題にされましたものは、一九六二年までは中共に口蹄疫の発生が確認されており、また、中共はいまだに本病撲滅誓言を行なっていない。このことは、本病の性質からもっともなことではなかろうか。口蹄疫の血清学的検査は行なわれていないことから、その見地からする中国全土の清浄化の確認は現在不可能ではないか。口蹄疫予防のために、なま毒予防液の予防注射を実施しているが、このウィルスの型については不明であり、場合によってはわが国の畜産への危険性がある。予防注射を実施していることは、いまだに口蹄疫の発生の可能性を意味するのではないか。こういうふうな点が問題にされたわけでございます。  その結果、いろいろな議論があったわけでございますが、結論としまして、中共治下の中国地域家畜衛生状況は、想像以上に改善されていると判断されるが、なお不明の点があるので、これらの点について明確にした後に食肉の輸入禁止解除について検討されることが望ましい、こういう結論が出たわけでございます。したがいまして、この席におきまして調査をする必要があるとされましたものにつきましては、一つは、過去における口蹄疫の発生状況と実害、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的経過、口蹄疫ワクチンの種類、製造方法、使用目的、口蹄疫の診断方法、その他最近における不明疾病の発生の有無とその状況というものについて調査をする必要がある、こういう結論になったわけでございます。  ただ、正式の国交が開かれておらない関係から、直接に国と国との間でこの話を取り上げるわけにまいらないという事情にあるわけでございますので、LT貿易の調査団が参ります際にも、この点につきまして連絡をお願いいたしたわけでございますけれども、それについて明確な回答が得られていないということで、その後接触する機会がないままに現在に至っておるというのが実情でございます。
  102. 東海林稔

    ○東海林委員 大体の状況はわかりましたが、伝染病がわが国に入ることはどうしても防がなければならぬという点、しかも学問的に非常にむずかしい問題でございますから、私もここで結論的な意見を申し上げることはできないわけでございますが、いずれにしましても、不明な点というのはだんだんと煮詰まってきているように思うわけでございますから、今後ともあらゆる機会を通じてそれらの点を明確にした上で、輸入するかしないかということについての方針を決定していただきたい。さしあたって国交が回復していないという点はわかりますが、民間貿易あるいはLT貿易等の機会を通じて、さらに不明な点を明確にするために努力を続けていただきたいということをいまの段階では要望しまして、一応私の質問を終わります。
  103. 本名武

    本名委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会