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岡田政府委員 中国からの食肉の
輸入の問題でございますが、この点につきましては、中国かちの食肉の
輸入は禁止をいたしております。いわゆる禁止
地域というものに指定をいたしておるわけでございますが、従来から中国から食肉の
輸入をいたしたいという要望があったわけでございまして、この点につきまして、中国とは正式な国交が開かれておりません。そういう
関係から、民間団体から二回にわたりまして現地の
調査をいたしたのでございます。
問題は口蹄疫の問題でございますが、従来中国大陸は口蹄疫の
発生地として知られておったわけでございますが、中共の治下に入りましてかなり徹底した防渇をいたしまして、最近においては口蹄疫がなくなったというふうにいわれておるわけでございます。そこで、現地
調査のために、二回にわたりまして獣医
関係の権威が
調査いたしたわけでございますが、その結果によりますと、中国大陸については予想以上に衛生
状態は良好である、ただし、獣医学の水準についてはまだ必ずしも十分ではないけれども、具体的な衛生についてはかなり良好であるというふうな結論が出されておるわけでございます。ただ、現在中共は口蹄疫の撲滅宣言というものを発しておりませんということと、もう
一つは、御
承知のように、国際獣医事務局という国際機関がございまして、この国際機関を通じまして各国は伝染病についての情報を世界に知らせるというふうなことになっておるわけでございますけれども、中共については、残念ながら国際獣医事務局に加盟いたしておりません
関係から、オフィシャルな伝染病の情報というものが入ってこないわけでございます。それからもう
一つは、
調査をいたしました結果、おそらく口蹄疫はなくなっておるであろうという推定はつくけれども、しかし、口蹄疫がなくなっておるという明確な証拠は把握参れておらないという点があるわけでございます。そこで、実は
調査団もいろいろ中共に質問いたしておるわけでございますけれども、従来どういうふうな種類の口蹄疫が流行しておったのか、それに対する
ワクチンはどういうものを使っておったのかというふうなことについて、明確な資料の提供を受けておらぬわけでございます。御
承知のように、口蹄疫というのは、非常に多くの種類がございまして、単純でないわけです。
ワクチン等も、ある口蹄疫には有効であるけれども、他の口蹄疫には有効でないということで、非常に種類が多いわけです。そこで、どういう口蹄疫であるかということを把握しておく必要がもちろんあるわけでございますけれども、それについての明確な資料の提供を受けておらない。したがいまして、またそれに対する
ワクチネーションがどういう形で行なわれておるかということも必ずしも明確でないという点がございまして、二回の
調査の結果をもとにしまして、十数名の学者に集まっていただきまして検討をいたしたわけでございます。
その検討の結果問題にされましたものは、一九六二年までは中共に口蹄疫の
発生が確認されており、また、中共はいまだに本病撲滅誓言を行なっていない。このことは、本病の性質からもっともなことではなかろうか。口蹄疫の血清学的検査は行なわれていないことから、その見地からする中国全土の清浄化の確認は現在不可能ではないか。口蹄疫予防のために、なま毒予防液の
予防注射を実施しているが、このウィルスの型については不明であり、場合によってはわが国の畜産への危険性がある。
予防注射を実施していることは、いまだに口蹄疫の
発生の可能性を意味するのではないか。こういうふうな点が問題にされたわけでございます。
その結果、いろいろな議論があったわけでございますが、結論としまして、中共治下の中国
地域の
家畜衛生
状況は、想像以上に改善されていると判断されるが、なお不明の点があるので、これらの点について明確にした後に食肉の
輸入禁止解除について検討されることが望ましい、こういう結論が出たわけでございます。したがいまして、この席におきまして
調査をする必要があるとされましたものにつきましては、
一つは、過去における口蹄疫の
発生状況と実害、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的経過、口蹄疫
ワクチンの種類、製造方法、
使用目的、口蹄疫の診断方法、その他最近における不明疾病の
発生の有無とその
状況というものについて
調査をする必要がある、こういう結論になったわけでございます。
ただ、正式の国交が開かれておらない
関係から、直接に国と国との間でこの話を取り上げるわけにまいらないという事情にあるわけでございますので、LT貿易の
調査団が参ります際にも、この点につきまして連絡をお願いいたしたわけでございますけれども、それについて明確な回答が得られていないということで、その後接触する機会がないままに現在に至っておるというのが実情でございます。