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1967-11-29 第56回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月二十九日(水曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君    理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    上村千一郎君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       稻村 隆一君    木原  実君       武部  文君    楢崎弥之助君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大垣         国 務 大 臣 木村 武雄君         国 務 大 臣 田中 龍夫君         国 務 大 臣 増田甲子七君  委員外出席者         内閣官房長官 亀岡 高夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         防衛政務次官  三原 朝雄君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         外務省北米局外         務参事官    大河原良雄君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         運輸省自動車局         業務部長    蜂須賀国雄君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 十一月十日  委員橋口隆君及び米内山義一郎辞任につき、  その補欠として廣瀬正雄君及び兒玉末男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員廣瀬正雄君及び兒玉末男辞任につき、そ  の補欠として橋口隆君及び米内山義一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十一日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  松本忠助君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員吉田之久君辞任につき、その補欠として山  下榮二君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員山下榮二君及び松本忠助辞任につき、そ  の補欠として吉田之久君及び伊藤惣助丸君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員井村重雄君、高橋清一郎君及び細田吉藏君  辞任につき、その補欠として金子一平君、上村  千一郎君及び浦野幸男君が議長指名委員に  選任された。 同日  理事細田吉藏君同月二十八日委員辞任につき、  その補欠として浦野幸男君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  行政機構並びにその運営に関する件  国の防衛に関する件  公務員給与に関する件      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  昨二十八日、理事細田吉藏君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長浦野幸男君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、新たに就任されました総理府総務長官及び行政管理庁長官から発言を求められております。これを許します。総理府総務長官田中龍夫君。
  5. 田中龍夫

    田中国務大臣 今回、総理府総務長官就任いたしました田中でございます。  当委員会に対しましては、またいろいろとお世話に相なる次第でございます。  就任にあたりまして一言ごあいさつにかえさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手
  6. 關谷勝利

  7. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 このたび行政管理庁長官を仰せつかりました。これから何かと皆さまお世話になることでありますので、よろしくお願いを申し上げます。  ここにやってまいりますと、古巣に戻ってきたような気がいたします。あるいは非常にわがままな点が出るかもしれませんが、そういう点は親しさに免じてお許しくださいますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  8. 關谷勝利

    關谷委員長 行政機構並びにその運営に関する件、国の防衛に関する件及び公務員給与に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますのでこれを許します。伊能繁次郎君。
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま木村行政管理庁長官からごあいさつがありましたが、当委員会としては、従来国の行政管理方針運営等については、党派を越えて御援助をしてまいりましたが、ことに新たに御就任になった木村行政管理庁長官におかれては、今回の佐藤内閣の基本的な方針三つのうちの一つ行政簡素化行政合理化であるという点について、先般来ときに視野の広い経綸を披瀝せられており、またきょうの朝日新聞等においても、長官の情熱に燃えた気魄の一端も漏らされておりますので、今後行政管理の基本的な方針について、本委員会において御披瀝がいただければたいへんありがたいと思います。
  10. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 皆さま御存じのとおり、私は行政についてはずぶのしろうとでありまするが、現在の行政を見ておりますると、形式があまりにも多くなりまして、全く硬直状態になっておる。そうなりますと、せっかく能力のある行政官吏も、その能力を十二分に発揮することができない。御本人のためにもお気の毒であり、国家のためにも非常に損失だと考えておりますので、何としても行政簡素化いたしまして、国民のものにして、そうして中で働いておりまする公務員の人人にも、十二分にその能力を発揮してもらえるような簡素化した行政組織にしてみたい、そして能率のあがるようなものにしなければならない、こういうふうに考えて、この問題とは真剣に取り組んでみたいと存じておりますので、いろいろ御指導いただくようお願いを申し上げます。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員 前内閣の引き継ぎとして、今後の行政簡素化の突破口ともいうべき各省庁一局削減という問題も当面取り上げられておるようでありますが、私どもは、この各省一律一局削減ということが必ずしも行政簡素化実情に合うかどうかという問題は今後に残された問題だと思います。問題は、各省庁に通ずる複雑な行政機構実態にはっきりメスを入れて、各省間にわたる権限の分散あるいは重複というような問題についても、これにほんとうメスを入れて簡素化することが行政合理化簡素化であり、またいま大臣が指摘をせられたような、行政をしてほんとう国民のためになる行政を行なうゆえんであると思いますので、単に一局削減ということだけ、あるいは木村官房長官の、三カ年にわたって五%を逐次減少せしめていくという問題、さらに公団、公社あるいは各省庁にわたる委員会審議会整理等、こういった問題をできるだけ早く整理をせられて、政府方針を本委員会明示をしていただきたいと存じますが、これらの点に対する長官のお考えを承りたい。
  12. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 一省一庁一局廃止という問題、それから三年間に五%の人員の整理をやるということ、公団、いろいろな委員会の中でも能率のあげていないようなものは廃止するというような問題は、前の長官のときに決定されたものでありまして、私にとりましては判決が下ったものを執行するだけなのでありますが、その執行だけは早目にぜひやってみたいと考えております。いま伊能委員のおっしゃったように、必ずしも局の廃止がそのまま能率をあげるものにはならないかもしれませんけれども、そこは庁内、省内におきまして創意くふうされまして、少ない局で能率のあがるような効率的なことを、人間の最高の知恵をしぼってやってもらいたい、こういうように考えております。ともあれこの問題はいつまでも俎上にあげておかない、早く解決したい、こう考えております。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員 大臣、まだ全体の仕事についての十分な事情聴取も行なわれておらないようでございますから、行政管理庁の現在掲げておられる基本的な方針の解明、その他これらをいかにして実施をするかという段取り等については、いずれまた本委員会においてお尋ねをするとして、本日は、行政管理庁主管事項である行政監察の基本的な考え方について、監察局長からお伺いいたしたいと思います。
  14. 諸永直

    ○諸永説明員 行政監察運営のやり方といたしましては、国民の福祉の立場に立ちまして、いままで国民生活に密着したテーマあるいは政府の施策のうち重点的な問題にテーマをしぼりまして管区地方局調査力を動員いたしまして、中央において各省庁とも十分慎重にお打ち合わせをしながらその結論を出していったわけであります。今後もそのような運営方針でもってやっていきたい、こういうように考えております。
  15. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいまのお話を伺うと、私ども全くそうなくてはならぬ、かように考えますが、どうも末端の行政監察実態はそうではないように思われる節が随所に現にあらわれておる。私、いまの行政監察局長の基本的な方針についてさらに伺いたいのですが、しからば各年度年度重点的な問題あるいは政府の基本的な方針に密着した問題を監察をするというのですが、各年度においてそういう方針を各管区行政監察局明示をしておられるのかどうか、その辺の点も詳細に伺いたい。
  16. 諸永直

    ○諸永説明員 行政監察局では毎年度行政監察通常方針につきまして年間の重点事項をきめまして、重点の施行すべき分野につきまして長官の決裁を受けまして管区及び地方局長にそれぞれ示達をいたしております。
  17. 伊能繁次郎

    伊能委員 それでは、あるいは機密であるか、公にできるかは存じませんが、本年度行政監察の基本的な取り上げ事項あるいは方針等について具体的にお伺いしたい。
  18. 諸永直

    ○諸永説明員 本年度監察業務運営方針といたしましては、大体例年、運営方針でございますのでそう変わりませんけれども、本年度は一応中央計画監察と、それから地方監察、それから行政相談業務、この三つにつきまして運営方針を出しておりますが、本年度中央計画監察重点事項といたしましては、第一に国民生活に密着をした問題、それから行政改革推進に資するもの、それから既往の監察効果推進するための推進監察、その他そのときどきに起こる重要な問題、そういうものを重点的に取り上げていくということをきめております。  地方監察につきましては、地方監察そのものがその地域地域実情に即して、しかもその監察効果地域的にあがるもの、つまり中央に上げなければなかなか問題が解決しないというものではなくて、なるべく地域地域でその監察効果があがるというようなテーマを取り上げて、中央計画監察の余暇に自主的に管区局長及び地方局長がやっていく、こういうような方針でおります。
  19. 伊能繁次郎

    伊能委員 たいへん抽象的なお話ばかり伺ってたいへん残念ですが、それでは具体的な事例に基づいてお伺いをしてみたいと思います。  いまお話し国民生活に密接に直結した問題等を取り上げる、また過去の行政監察の一そうの効果をあげるような方向に進めるというような問題、あるいは行政相談問題等については、一般論としてはまことにごもっともでありますが、本年の春以来たまたま大阪大阪陸運局冷房関係の問題が問題になった当時、奈良において、その前々から奈良交通——幾多ある会社のただ一つ会社の山間割り増し問題の摘発がありました。あるいは学校協力金というような問題を取り上げて奈良行政監審局監察をされたようでありまするが、私は、その動機等についてははなはだ不純なものがあるので、ここでは申し上げずにいずれ別の機会に行政監審局長に申し上げようと思いますが、その動機の問題は別として、ああいう行政監察取り上げ方について、政府部内で事前に、ああいう国民に直結した問題をどういうように方針をきめられるのか、行政管理庁内における行政監察局だけできめられるのか。さいぜんの基本的な方針において、監察局長政府部内において十分緊密な連絡をとっておるというお話がありましたが、それらの問題について行政監察の、具体的な一社を調べる場合にどういう基本的な態度を指示しておられるのかということを伺いたい。
  20. 諸永直

    ○諸永説明員 奈良通学バス等に対する協力金の問題につきましては、たまたま奈良地方局が若干の市町村行政相談巡回相談に参りました際に、市町村及び地元民から苦情申し出があったのが端緒でございます。その苦情申し出の状況から考えまして、これはそのときに回りました市町村ばかりの問題ではなくして、おそらく奈良県の全般的な問題ではなかろうかということで地方監察奈良地方局が始めたわけでございます。その場合に——これはまた奈良ばかりではないかもしれません。あるいは全国的な問題かもしれません。その場合に、この奈良地方局は十市町村、三私立学校協力金についてその内容調査したわけでございますが、問題が奈良県の陸運事務所の御見解だけでは十分その意を尽くしませんので、調査結果を取りまとめまして上級官庁でございます近畿管区行政監察局にその調査結果をあげております。したがいまして、奈良地方局としましては奈良県の陸運事務所には所見を全然申し述べませんで、近畿行政監察局にその問題をあげたわけでございます。近畿行政監察局としましては、これも問題が非常に一般的な問題でございます。単に奈良交通だけの問題でもないと考えましたので、大阪陸運局に、はたしてこの協力金なるものが道路運送法上のいわゆる運賃とみなすべきかどうか、つまり認可権を持っておる運賃というものに該当するかどうか、その他二、三の点につきましてただいま大阪陸運局に照会中でございます。まだ行監としては何ら行監結論なり意見なりを陸運系統のお役所に申し上げていないような状態でございます。
  21. 伊能繁次郎

    伊能委員 たいへんもっともな御答弁をいただくのですが、実情は全く違って、これだけの新聞に、すでに奈良地方行政監察局並び近畿監察局意見一つ一つ出ているわけです。これは新聞が約半年にわたって個人局長あるいは近畿管区局長意見としても新聞へ出ておる。のみならず、いま局長お話のような形であれば、事務的に全部上へあげたとおっしゃるが、その前に、当然やるべきことだから私は賛成ですが、奈良地方監察局から奈良陸運事務所監察もやっておる。その結果も公表し、のみならず監察官が現地を調査する際に必ず新聞記者を伴うかあるいは連絡するか、常に新聞記者が行って、それが十分熟していない調査であるうちにすべてを発表する。こういう事態は、私は行政監察実態としてはなはだ芳しからざるものだ。こういうようなことがおそらく他の地域、たとえば岡山の山間割り増し問題がありますが、そういうような問題の際にも行なわれておる。こういう点について、行政監察運営あるいは方針実態局長お話しになったようなこととは全く違っておるという点をどうお考えになっておられるか。抽象的なお話でなく、的に伺いたい。
  22. 諸永直

    ○諸永説明員 ただいまの奈良の問題にしましても、あるいは岡山の問題にいたしましても、私たちのいままでの行政監察を実際に実施しています経験からいたしましても、なお中央の指導の立場からいたしましても、監察並びに調査実施の際に、新聞記者諸君を帯同して行くというようなことは絶対ありません。また、まだ結論が出ないうちにいわゆる公表と申しますか新聞発表というようなことはいたしておりません。この奈良協力金の問題は、新聞でも私は承知しておりますけれども、おそらくこれは新聞記者諸君の独自の取材活動によられたものであろうと思います。私のほうとしましては、地方局長なりあるいは管区局長がまだ意見を固めていない際に、いわゆる公式の発表をするというようなことはいたしておりません。
  23. 伊能繁次郎

    伊能委員 あなたはそう答弁せざるを得ないでしょう。しかしここに機密の数字まで新聞にあがっておる。こういう事態を私ども新聞を通して見るときに、とかくいろいろな誤解がある。私どもも、もちろん協力費が適当なものであるとは考えておらない。したがってわが党においても、また政府においても、離島に対する補助あるいは僻地における補助というものを現に行政措置しておる。公共事業であるから、命ぜられたバス運行は当然やらなければいけない。しかし僻地における学校統合等によって、新たに路線を選定してここにバスを動かしてくれ、こういうような事態については、公共事業であっても、それを動かすか動かさないか、申請するかしないかの自由はバス業者が持っておるわけです。と同時に、採算がどうしても合わないという場合には、学校当局あるいは市町村が自分で運行をしてください、私どもとしてはとてもそこでは採算が合いません、こういうことを学校当局に交渉する自由も道路運送法上許されておる。しかしそれでは学校自身ではとてもできないから、協力費を出すから何とか運行をしてくれということで無理に頼まれてやるという際には、御承知のように、学校以外には通勤のお客さんも少ないというような場合においては、ほかに道がなければ、通学児童の保護あるいは通学の円満な運営を期するためにやらざるを得ない場合もあるわけです。そういうような実態について御調査になったならば、政府部内においてすみやかに連絡をして、これを運輸省は一体どう考えるか、経済企画庁運賃をきめるほうではどう考えておるか、また、すでに一部には予算的な措置をとっておる大蔵省等政府部内ではどう考えておるかというような問題について、行政管理庁がすみやかに適切な措置をとることが監察の本旨でなければならない。ところが半年以上もすっぽかして、そうして近畿局長陸運局長にどうしたとか、それで新聞がこのとおり半年にわたって十何回か出しておるのをほったらかしておくというのが現在の行政監察実態であるならば、私は、はなはださびしい行政監察である、かように考えますが、これらの問題についてお考えのほどを伺いたい。
  24. 諸永直

    ○諸永説明員 調査期間が長引きまして、その間に新聞取材活動が非常に盛んでございましたので、先生の言われるようなわれわれの反省すべき点があろうと思いますけれども、この協力金の問題に関連いたしまする認可権大阪陸運局長にあるものでございますから、第一義的には、まず大阪陸運局長の御見解を御照会いたしておりまして、まだ回答をいただいておりません。したがいまして、われわれ中央といたしましては、その御回答をいただきましたらすぐ近畿から中央のほうにあげていただきまして、また大阪陸運局も当然運輸省にその問題をおあげになると思いますので、その際すみやかに、今後いざこざが起こらないように実情に即した解決方策を両方で考え合っていきたい、かように存じております。
  25. 伊能繁次郎

    伊能委員 調査ができないとおっしゃるが、調査は夏にとっくにできておる、全部済んでおる。この新聞内容あとでごらんを願ってもわかる。調査は夏に全部できておる。そのあと地方監察局長がこういう声明をしたとか、管区陸運局長がこういう声明をしたとか、あるいは奈良陸運事務所長がこういう声明をした、大阪陸運局自動車部長が何ら違法ではないと声明をしたとか、そういうようないきさつは全部新聞に出ておる。調査ができていないなんという事態ではない。したがって、ああいうような事態で紛糾を起こすときには直ちに本省が取り上げて、政府部内でこの問題をいかに処理するか、運輸省は、悪いなら悪い、どうすべきかということを明らかにしなければいかぬし、しかも、奈良監察局長近畿局長は、協力金裏運賃で違法であるという声明をしておる、こういうようなことが行政監察実態であれば、さいぜん申し上げたようにはなはださびしい事態である。皆さんが半年も一年もほったらかしておくところに、私はどうも行政監察にはなはだ感服しないところがあると思うのですが、重ねて御意見を伺います。
  26. 諸永直

    ○諸永説明員 奈良行政監察局長から管区行政監察局長調査結果をあげましたのは、十一月の九日でございます。調査期間は確かに夏だったと思いますけれども調査結果を取りまとめましてあげましたのは十一月の九日でございます。したがいまして、まだ中央のほうに問題を持ち込むという事態にはなっていないわけでございます。
  27. 伊能繁次郎

    伊能委員 どうも言いわけばかり言っておるので、はなはだ誠意のない行政監察局長の御答弁でまことに遺憾でございますが、私は角度を変えて、運輸省自動車局業務部長が見えておられますが、この種の問題について運輸省はどういう見解をとっておられるかお伺いいたします。
  28. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 この問題につきましては陸運局のほうから事情を聞いておりますが、現在聞いた範囲内におきましては、関係地方公共団体成規手続を経まして教育費として支出しているわけでございまして、その限りにおきましては、道路運送法に何ら抵触はしないと考えております。  なお経緯等は、ただいまお話がございましたけれども、当初学校が統合いたしまして始める場合には、この路線運行の形態が非常に特殊でございますし、また客のほうも全部定期の学生でございますので採算がとれないわけでございます。そういう場合に、ただいま先生お話がございましたように、業界のほうでも現在の諸般の情勢を考えまして消極的になるということもやむを得ないと思っておりますし、その際におきまして、市町村がみずからスクールバス等をやるよりも民営のバスにやってもらったほうがはるかに有利であるという見解に立ちまして、成規手続を経て出す場合には、これまたやむを得ないと考えております。現在におきましても、公営のバス事業あるいはスクールバス等におきましては一般会計から支出されておりまして、この場合におきましても、市町村が直営すればおそらく一般会計から助成するものと考えております。
  29. 伊能繁次郎

    伊能委員 私どもは、こういう金をとることが望ましいとは毛頭考えておらないわけです。でき得べくんば僻地の不採算路線——奈良交通のこときは奈良市を中心に運行しておる。したがって採算路線と不採算路線とを統合して、道路運送法に基づいた適正な利潤がどうやらあげられるような、赤字を出しておっては、銀行も金を貸さなければ、株主も増資その他の措置に応ずるわけはありません。したがって最小限度採算のとれるような運営をしなければ、経営者としては株主にも済まぬし、公共事業としての使命も発揮することができない。そういう観点から、運賃というものは、さいぜん監察局長も言われたように、全体として見るべきものである、これはよくわかります。わかりますが、一部の僻地運営を無理に引き受けることによって会社の財政を不当に不採算ならしめるということは、これは経営者としては望ましいことではない。かような事態が現在各地に行なわれておる。ところが、これだけの事件を起こしながら、奈良交通以外の会社についてお調べにならぬ。奈良監察局長はこの点がはなはだ私どもには遺憾です。なぜ同県内の他社の実情をお調べにならなかったか。それらの事情監察局御存じないでしょう。私は全部知っておる、なぜそういうことをしたか。しかし、こんなことはかような神聖な国会の席上では言うべき筋ではない。個人の感情でそういうことをやるということは役人として非常に不謹慎だと思いますが、私はあえてこの問題をここで取り上げようとは思いません。ただ、こういうような事態について監察局としては——全国的にある程度あります。奈良なんかは山の僻地が多いものですから比較的多いようです。全国的に問題があるということをあなた自身も指摘をせられた。その際に中央として直ちにこの問題をなぜ取り上げないか。現に十月二十三日の読売新聞には「辺地の共通問題安易な運輸行政追及 ウラ運賃を全国監査」かように、行政管理庁が出したか出さぬか知らぬが、行政管理庁と書いて新聞に出ておる。十月二十三日にすでにこういうようなことが出ておるのに、行政管理庁は全国的な問題として何らこれをお取り上げにならぬ。近畿管区局長に一応やらしておる、陸運局からの答弁を待っておる、そういうようななまぬるい行政で、私は行政監察実態が適正が期せられるとは思いません。  経済企画庁出ておられますか。——ちょっとお伺いしますが、いまお話しのような状況ですが、私はこれらの問題について、運賃の面でも、政府部内で運輸省経済企画庁等でいろいろ御検討しておられると思いますが、運賃というものは総合的に配慮せられなければならぬ。人に対して運賃が違ったり、地域に対して運賃が違うということは、運賃の上からいけば邪道です。したがって、こういう問題は広く適正に処理されなければならぬと思うのですが、現実の事態は、さいぜん私が指摘しましたように、離島等では収益がどうしても合わないから補助する、また僻地についても補助する、最近は政府の部内においても、こういう僻地学校通学について市町村に負担をかけたり、あるいは通学者の父兄に負担を課するということはいけないから、これらの問題についてはある程度の補助をしなければならぬというような政府考え方もあるやに伺っておりまするが、運賃等については、かつては山間についてはどういう運賃を設定するとか、僻地についてはどういう運賃を設定するとかというようなことで、運賃設定の基準というものが少なくとも十年くらい前まではあった。ところが最近は経済企画庁運賃算定の基準は、その会社が赤字になっておるか黒字になっておるかというところを重点に一これは極端な話になるかもしれませんが、率直に申し上げて、赤字であるか黒字であるかということによって運賃を上げるか上げないかというようなことをきめられる傾向が非常に濃厚になった。私は本内閣委員会の席上において歴代の経済企画庁長官にこの問題について質問をいたしました。現在の宮澤経企庁長官が前々回に長官であられた当時、ただ一人、当時の運賃は適正であるという声明を出されて、私は大いに論戦を展開しましたが、そのほかの方方は、現状ではいかぬから何らか適正な運賃の基準を求めなければいけないという結論、高橋経済企画庁長官、藤山経済企画庁長官、迫水経済企画庁長官等、いずれも適正な運賃の基準を求めて、それによって運賃を設定するのが妥当である、そうして単に赤字であるとか黒字であるということでなく、経営者が誠意を尽くして努力をすれば黒字になるような基準を設定したい、なまけておる経営者がいまのような情勢において赤字を出すということはやむを得ない、したがって基準運賃の設定も考慮したいということで数年を経過してきましたが、最近その方向に政府部内で進んでおられるということを私どもは聞いて非常に意を強うしておるのですが、これらの実態にかんがみて、経済企画庁としては今後運賃を設定する、あるいは政府部内において運輸省と協議をして運賃をきめる場合にどういうお考えであるかということもこの機会に承っておきたいと思います。
  30. 八塚陽介

    ○八塚説明員 いまお話がございましたように、バス料金等はいわゆる公共料金ということで現在の物価水準の中できわめて物価水準に対する影響力の大きいものでございますから、私どもも関係省とは十分に連絡をとって、私どもの役所の立場なりでいろいろ御相談に応じていくというふうにいたさなければならないと思っております。ただ、ただいま先生お話しになりました基準というものに着目して最近どういうふうに私どものほうでやっておるかということにつきましては、きわめて個人的なことではなはだ申しわけございませんが、着任間もないのでございまして、よく詰めておりません。いずれよく勉強いたしたいと思います。
  31. 伊能繁次郎

    伊能委員 御新任早々で、私はあなたに詳しくお尋ねをしようとは思いませんが、政府が基準運賃の設定をしようということを声明されてからかなり年限がたつわけです。この点は私は歴代長官非常に遺憾で、さいぜん宮澤長官が適正な運賃であるということをここで声明せられたと、そう言ったのですが、これは速記録を見ていただけばわかりますが、宮澤長官も最近においては、運賃というものは非常に僻地バス事業の経営、大都市におけるバス事業の経営、中間等における地方都市のバス事業の経営等、いろいろな形態があるが、それらのうちから集約をして、地域によって若干の運賃の格差はありますが、それぞれ適正な基準の運賃を設定して、それによって広く公共事業としての使命を達成せしむべきだという方向になったことは、これはもう決して最近のことではないわけであります。したがって、それらの問題についてかくのごとき実情市町村に負担をせしめたりあるいは一部では通学者の父兄に負担をせしめたりというような事実も考えられますので、かくのごときは運賃の上からいけば全く邪道です。そういうことであってはならない。運賃というものは原則として受益者が負担をし、足らざるは政府が、僻地、離島その他においては行政的な措置をとるのが妥当だ、私はかように考えておりますので、そういう問題について今後も十分適正な行政をして、かような事態の起こらないように願いたい。  私は、行政監察局長に特に申し上げたいのは、かくのごとき問題を半年も八カ月もすっぽかして、長官局長の問題だとかなんとか言いながら、各地に起こっておる、しかも近畿監察局の問題であれば近畿全般にわたってこの種の事態がどういうようにあるかという実態の把握をすべきなのに、単にこれだけをとらえてやっておるというような監察監察ではない。感情的監察ですよ。せめて奈良県全体のバス会社でも調べられて、そうしてそれが適正であるかどうかということを調べられるならよくわかります。一奈良交通だけを調べてそれだけによって上司に申達をする、はなはだ不見識な監察だと思いませんか、御答弁を願います。
  32. 諸永直

    ○諸永説明員 私もその事情はつまびらかにしておりませんが、ただ協力金の問題は、これは全国一斉に調査をしなくても、大体奈良交通なら奈良交通の事案が、これは十二、三あがっておりますから、その事案を踏んまえて、これが大体全国共通の問題であるとすれば、その事案で解決をはかっていけばこれは全国に当てはまる結論が出ようかと思っております。したがいまして、行政管理庁としましては、一応大阪陸運局からの回答を上にあげていただきまして、それをもとに運輸省あるいは経済企画庁とわれわれも御連絡を申し上げながら、今後問題が起きないような解決方策を共同で考えるということにいたしますれば、何も今後全国的に調査をする必要はないじゃないか、かように考えております。
  33. 伊能繁次郎

    伊能委員 これ以上質問をしても、局長何も知らないでとほけた答弁ばかりしておるので意味がありませんから、せめて奈良県全体を御調査するという誠意すらないのか、その点をお伺いします。
  34. 諸永直

    ○諸永説明員 奈良のほうとも十分今後打ち合わしまして、そのほかの地域でも調査をしたほうがより適正な資料ができ、またより適正な結論が出せるか、そういう点を調査の上善処いたしたいと思います。
  35. 伊能繁次郎

    伊能委員 これ以上質問をいたしません。ただ私が特にかような失礼な言辞を弄して申し上げたゆえんは、本調査の裏が非常に不明朗なものである、感情的なものである。人の名前はやめまして、たった一点、局長に念のために御参考に申し上げておきますが、かような事態の起こったのは、全国のバス会社それぞれ経営が苦しいもんですから無料パスを逐次削減をしておる。その無料パス削減の影響がここへきたんだ。個人的な名前は本人にかわいそうですから、あえて避けます。そういう事態で一社だけを監察をした。かくのごとき監察監察でないということを申し上げておきます。  これで質問を終わります。     —————————————
  36. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、新たに政務次官に就任せられました三原防衛政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。防衛政務次官三原朝雄君。
  37. 三原朝雄

    ○三原説明員 私は三原でございます。一言ごあいさつをさせていただきます。  昨日防衛政務次官を拝命いたしました。誠心誠意職責に当たりたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。(拍手
  38. 關谷勝利

    關谷委員長 質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  39. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、この際、先般訪米をされまして、佐藤総理がジョンソン大統領との間に結んでこられました共同声明、それから、引き続いて帰ってこられましての記者会見、それらを素材としつつ、沖繩、小笠原の防衛問題、あわせて福岡県の板付、雁ノ巣の最近の基地状態についてお伺いをしたいと思います。  まず、この日米共同コミュニケ以来、防衛問題というのは非常に重大になりまして、今度の改造にあたりましても、大ものを据えるということで論議をされておりましたが、増田長官重量感をもって留任をされました。おめでとうございます。三原政務次官は同じ福岡県の出身でございまして、同じくおめでとうございます。  そこで、私は、以上申し上げました沖繩、小笠原島の本格的な論議は、四日から始まります臨時国会でなされると思いますので、その臨時国会に備える意味でも、なるたけ討議あるいは論議はきょうは省略をしまして、問題の整理あるいは提起、そしてでき得べくんば政府側と認識が一致する点はさせていきたい、そういう立場から以下質問をしたいと思います。  そこで、まず今度の日米共同コミュニケでありますが、このコミュニケの日本語の翻訳は、これは外務省でなさったのだと思いますけれども、たいしたことでないところは非常に重々しくこれを訳し、重大なところはたいへん軽やかに訳されておりますね。この日本語翻訳は正確に国民に伝えていない。私はその例を一、二あげたいと思うのです。おもにこのコミニュケの中の十項目中七項目目の沖繩の問題に関するところでございますが、佐藤さんが両三年に返還の時期について合意すべきことを強調されました。そこで、その次に、「大統領は、これら諸島の本土復帰に対する日本国民の要望は、十分認識している」、こういう翻訳であります。そしてその次に、この小笠原、沖縄島の「軍事施設が、日本および極東の自由諸国の安全を保障するため重要な役割りを果していることを認めた。」日本語としては認識する、認めるという字が入っております。次も認めた。これは、私は、最初のほうのアメリカの大統領が十分認識した、この認識という翻訳は間違いであると思います。「フリ・アンダースタンド」となっておる。フリ・アンダースタンドというのは、よくわかりました、その程度です。認識、認めるなんという日本語を持ってきてはいけないのです。それをいかにも認め、よくわかりました、といったような翻訳になっている。ところが、次の沖縄の役割りの重要性については、これをやっぱり認めたと書いてある。これは「レコグナイズ」です。認知するということです。それを何と言いますか、日本語のごろで、いかにも大統領はよく認めたかのごとき日本語の印象をここに持ってきておる。そして、片一方の沖縄のほうについては軽やかに、ええ認めましたという程度になっておる。これは私は正確な訳ではないかと思うのです。  さらに、その上、「安全を保障するため重要な役割を果している」、これは、コミュニケの原文では「バイタル・ロール」になっておりますね。長官も英語はお強いそうですか、バイタル・ロールということはどういうことですか。インポータントと違いますよ。バイタルというのは、生き生きとして、そして、言うならば、生命線と申しますか、もう非常に肝要なと申しますか、日本の命に関係する、そういった意味ですよ。それをここでは、なんです、「重要な役割りを果している」、そういうインポータントぐらいな取り扱いしかしてないですよ。これは日米共同コミュニケの真実を日本国民に伝える態度ではないと私は思う。外務省の方、来ておられますか。これは外務省が責任を持って翻訳したのでしょう。
  40. 關谷勝利

    關谷委員長 外務省ば来ていませんから……。
  41. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 呼んでいるんですよ。時間かかりますか。
  42. 關谷勝利

    關谷委員長 いま連絡してますから……。
  43. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、外務省が来るまでこれは保留しておきますが、増田長官はどう思われますか、こういう翻訳のしかたについて。英語にお強いそうですから……。
  44. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これはひとつ外務省にお願いいたしたいと思っております。私も私見はないわけではございませんが、一応お許しを願いたいと思います。外務省もいずれ来ると思います。
  45. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官は、しばしば答弁の中で英語を、調子の悪いときは使われますが、いま私は、あなただったらどう訳されますかということを聞いておるんですよ。ございませんか、原文が。ありましょう。あなただったらどう訳されます。
  46. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 結局は、外務省の翻訳が正確であるということで、その前提として、楢崎君がどうしても増田の私見を問うという意味でしたならば、政府全体の立場でなくて答えろというのなら答えてもよろしいのですが、いかがでしょうか。
  47. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうぞ。
  48. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 この「フリ・アンダースタンド」というのは、私は十分に理解しておるという字で、認識よりは強いと思います。少し弱過ぎた。何かそういうことを聞いたなということが認識なのです。認識論じゃございませんけれども…。やはり理解しておるということは、了解という字が昔あったので、「領」という字を書いたこともあります。「諒」という字を書いたこともあります。また「了」という字を書いたこともあります。私は、完全に理解しておるということで、これこそ非常に日本語で強調してしかるべきである。それを「十分認識している」では、おれは十分わかったよというだけではどうも……。心の底からわかったということがアンダースタンドなんですよ。これは楢崎さんも、文科等を卒業されましてお詳しいわけですけれども、私は、アンダースタンドのほうが強い、こう思っております。でございますから、これは佐藤さんはもっと強調してよろしいと思います。要するに、十分認識というのは十分なる理解を持ったことだ。腹の底からわかったのですから、これは大統領としてはよくアンダースタンドということばを使ったと感心しています。(楢崎委員「それはいいです。その次のレコグナイズ、バイタル・ロールは……」と呼ぶ)その次に認めたという字は、レコグナイズという字がありますが、アンダースタンドよりは軽い字のような感じがあると思います。バイタル・ロールというのは、重要なる——生命的云々ということを言えば言えますけれども、日本語には、やはり日本人にわかるように訳さなければいけませんから、重要なるということは、重要ということはたいへん重要なんですから……。
  49. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは外務省が来てからやりますけれども、バイタルというのは、あなた辞書を引いてごらんなさい。ベリ・インポータントになっているのですよ。インポータントだけじゃないのですよ。それからレコグナイズも、アンダースタンドよりレコグナイズのほうが軽いなんということはあなたのドグマです。レコグナイズとアンダースタンドとどっちが重いか、これは常識じゃありませんか。これはあなたにはやめますが、そんなごまかし方をしておられたのでは困る。  そこで、このコミュニケですが、私はこれは防衛長官として非常に関心の深いところであろうと思うのです。そこで、これは幸い認識が一致すればよろしいのですが、そういう意味で私はこれをまとめてみたいと思うのです。まずこの共同コミュニケは、一番最初にちょっと何か前文があって、まず第一番に出てくるのは中共からの脅威ですね。これに合意をされた。これは三項です。第二番目に、米国のいまやっているベトナムの侵略戦争、それから北爆、これに支持を与えておる。これが第四項です。三番目に安保条約の堅持をうたわれております。これが第五項目です。次は米国の東南アジアにおける政策全般の協力をお誓いになっておられます。これは第六項目であります。そしておまけに財政金融面についての協力もお約束をされております。つまりドル防衛であります。これが第八項目であります。そして日本国民あるいは沖繩の国民が最も関心を持っておりました沖縄の問題が第七項目目にやっと出てまいります。出てきたのは出てきましたが、いまも問題にしましたようにその軍事基地としての役目の重要さを確認させられただけであります。そして返還の時期のめどについては何らないわけであります。次に小笠原です。小笠原も、これは返還のめどが、やや強く出ております。しかしこれについてはおまけがついておって、この地域防衛の責任の多くを徐々に引き受ける、こういう義務を負って帰ってこられました。大体共同コミュニケ十項目はそういうことですね。それは長官、確認されますね。
  50. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 共同コミュニケが十項目あるということは確認いたします。
  51. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう御答弁じゃ困るのですよ、私が長々といま言ったのに。内容はそういうことでしょう。私が言ったことで間違ったところがありますか。こういう点はお互いに認識して問題を進めなくちゃならぬと思うのですよ。どうでしょう。
  52. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 楢崎さんの御質問の中には種々貴重な御意見を包含いたしております。その御意見に対して私が同感するという意味で、そうですねと言われても、そうですというふうにはお答えしにくい面もあるのです。
  53. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は意見は交えておりませんよ。この共同コミュニケの内容のエッセンスだけいまあげてみたんです。間違ったところがあったら間違っていると言ってください。私の意見が入っているといまあなたはおっしゃったが、どういう意見が入っておりますか。私はどういう意見を言っておりますか。中身だけを言っているんですよ。全部読んでみてもいいですが、時間がかかるから問題の個所だけを要約してピックアップしていま言ったのです。違ったところがありますか。
  54. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは外務大臣が答えたほうがほんとうはよろしいのですが、第四項の北爆を支持したということをあなたはおっしゃいますけれども佐藤総理大臣は紛争の正当なる解決、公正なる解決を求めるという米国の立場に対する支持を表明した、早く解決したいのだというその米国の立場を支持しておるわけであります。
  55. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 北爆の停止にはハノイのそれに対する対応が必要である。対応がない限りは北爆をやっているのは支持する、こういうことでしょう。そうではありませんか。これは国会で何回も答弁されておるところですよ、佐藤総理自身が。
  56. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これも三木さんからお答えしたほうがいいと思いますけれども、それは見解を表明したのであって、支持を表明したのは、早く解決いたしたいということのアメリカの態度を支持した、こういうことでございます。支持は、北爆を支持したということではないのでございます。
  57. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは議論はやめておきましょう。  それで、私はこう思いました。佐藤総理はジョンソンになりかわって日本国民一つのクイズを出したと思うのです。なぞなぞを出しておる。沖繩を早く返還させるためにはどうしたらいいかというなぞを国民に投げかけられました。国民の中には防衛長官も入っております。そこで、私どもはいまここであなたと一緒に、その佐藤総理の米国にかわってのなぞについて、与えられたヒントから考え方を出してみたいと思うのです。これは私どもも責任があります。なぜならば、佐藤さんは共同コミュニケをつくって帰られて記者会見の中でどう言われておるかというと、もし日本の安全についての国民的な合意が進めば三年も待つ必要はないのだ、早く返ってくるのだ、こう記者会見でおっしゃっております。それではその安全保障に対する国民的合意とは何か、これがクイズであります。あなたも責任者として考えなければいけない。私ども国民の代表として考えます。答えは明確に出ていないのです。ただヒントが与えられております。だから私はそのヒントをここで整理してみたいのです。そのヒントの大なるものが私は日米共同コミュニケの中にある、こう思うわけです。そこで私は、これは私がつくって言うんじゃないですよ。佐藤総理、佐藤内閣の周辺が言っていらっしゃることをいま羅列してみます。たくさんありますよ。そのうちの代表的なものは、これは私はヒントであろうと思うのです。そういう材料を与えながら、それでは国民は答えを出しなさいと佐藤さんは国民に向かって言っているのです。国民よ、防衛に対する考え方をもう少し前進させなさいと言っているのです。そうすれば沖縄は返ってくると言っておるのです。そこで私はこのヒントをここで私なりに整理してみました。まずそのヒントでございますが、これは私はずばり国民的合意とは何か。あなたがわかっていらっしゃれば、あとで聞きますが、国民に与えられた沖縄返還を早めるためのヒント、これはアメリカ並びに佐藤内閣国民に与えておるヒントです。それは先ほど申しましたように共同コミュニケの中にあります。  まず第一番に、中国の核の脅威というものは重視しなければなりませんよ、これが一つのヒントであります。二番目に、日本国憲法が拘束しておるのは日本国民だけですよ、外国には、これは拘束できませんよ、そしてソ連や中国が核を持っておるということをここで強調されております。三番目に、そこで日本は、米国の核のかさのもとにおいてわが国の安全を保障しなければなりませんよ、それから、安保はこれはずっと堅持しなければなりませんよ、それから、現在の沖繩の基地は非常に重要でありますよ、バイタル・ロールと出てくるのです。次に、日本としては現在米国が行なっているアジア全般の政策、なかんずくあのベトナム侵略戦争あるいは北爆についても支持をしなければなりませんよ、そして、日本とアメリカはパートナーであります、こういうヒントを与えられておるのですね。これは私がつくっているのじゃないですよ。そしてその中から、こういうヒントを与えながら、片一方では、自分の意を含めてやじを飛ばさせる。これを世の中ではサクラと称する。そのサクラの一人がいまアメリカに行っている下田大使ですよ。こういうサクラにちょっとやじを飛ばさせて、そして国民の目をそっちに向ける、こういう操作をいまやっておると私は思うのですね。  そこで、いまから私が、以上のヒントから私なりに、国民の一人として、こういうヒントならこうじゃなかろうかという点を述べてみたいので、以下あなたとその点でひとつお話をしてみたいと思うのです。  そこで、以上のようなヒントからいくならば、日米安保条約の現在の適用の状態、あるいは現在の日本の防衛力ではこれはだめだ、沖繩は返ってこないのだ、たいへんむずかしいのだというような考えを起こさざるを得ませんね、このヒントからいきますと。この点はどうでしょう。もう少し安保に対する国民的合意が進めば、沖縄は三年待たずに返ってくるのだ、いまのままではむずかしいのだということでしょう。いまのままとはどういうことかというと、いろいろあると思いますが、安保の現在の適用の状態、米軍の日本国内における基地の状態、それから、日本の自前の防衛力の状態、こういうことではだめですよ、こう思わざるを得ませんが、どうでしょう。
  58. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 楢崎委員が非常な勉強をされまして、それから、総理が各般のヒントを与えた、そのヒントを分析すれば七項目になる。私もここにノートしてありますが、それからPRの関係で何か使っておるというようなお話がございましたが、私は、総理の帰国後の記者等に対する御発言というものは、国民が自分が日本の国を、もちろん日本の防衛は日本だけでは達成できないのでございまして、日米安保体制のもとでございまするが、しかし、やはり自主防衛の線も相当強く意識して、わが国の存立、平和、安全等は日本の国で守るのだという心持ちに徹底していただきたいという意味の、よい意味のPRをされたと私は考えております。いわば精神的方面を強調されたわけでございまして、現在の状況ではだめだというようなことを別段おっしゃっていないと私は考えております。精神的方面をもっぱら強調されて心がまえを示されただけだと考えておる次第でございます。
  59. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 初めからお断わりしておりますように、佐藤さんは国民的な合意の内容は言ってないのですよ。あなたは、それについて、推測するにそれば精神的なものだといまおっしゃいました。現状のままではだめだということも佐藤さんは言ってないのです。しかし、そう思わざるを得ないような考え方を出しておられますね。   〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕 私はそれを言っているのです。そうすると、国民の側としては、現状ではだめだ、いまのままではだめだ、それは精神的な問題だけではなくて、具体的な内容の問題を含む、こう解せざるを得ませんが、重ねて——あなたはきょう時間がないそうですから、的確に、ひとつ短く答えてください。
  60. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 総理大臣は、もっぱら大統領に強調したのは、両三年のうちに返還のめどを得たい、その時期について合意に到達すべきであるということを強調し、大統領はこれを十分に理解した、そのことに私ども重点を置いて考えております。  そこで、具体的なことはこれから後に日米協議委員会等で種々相談をする。でございますから、その段階でわれわれも関知した範囲のことは楢崎さんにお答えできると思います。これからが協議でございまして、その日米協議委員会というものは、三木外務大臣とジョンソン駐日全権大使との間の協議委員会である、こう考えております。それにもし必要ならば専門委員会を付置してもよろしい、つまり、東京に存在する沖繩返還に関する日米協議委員会というものが、二人の合議制の委員会が設けられる。とりあえずは小笠原のことについても発足しておるようでございます。それから引き続いて沖縄の返還についてめどをつけるわけでございまして、その際に、沖縄の現在する軍事的基地は重要であるということを認識しつつ、しかもわれわれの希望するところは、百万の沖縄県民の施政権が、同じ日本人であるのであるからして、日本に速急に返ってくる。でございますから、軍事基地なり、あるいはわが国の自衛の及ぶ範囲なりのことは、万事万端これからの検討課題でございます。
  61. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 検討課題であることは十分承知しておりますよ。ただ、私は私なりに、あるいは国民の代表たる国会全体が、防衛庁も一緒ですが、佐藤さんが投げかけられたその問いに対して答える必要がありますよ。考えを出さなくちゃいけない。政府が出せば別ですよ。現在の段階で、こういう材料を与えられて、国民としてはこう思わざるを得ません。では私がいま言ったことは、そういうことは考えてないとあなたは言い切れますか。あなたは防衛長官として、私がいま申し上げたこと、つまり日本の防衛に関して、現状のままではだめだ、その中身は現行の安保条約の適用の状態、それから日本の自前の防衛力、これを何らか前進させなければ沖繩の返還は具体化しないし、早まりもしない、こういうふうに国民の側としては与えられた材料から考えざるを得ませんが、私の考えは間違いですか。
  62. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 現在は、沖繩にある軍事基地は全部沖縄の米軍基地でございます。そこで、日本に施政権が返った場合には、何らかの変改が行なわれるわけでございます。でございまするから、楢崎さんが、現状の関係だけではだめだとおっしゃることと、何らかの変改を要するということと、ことばは同じでございますが、内容は相当径庭があるんじゃないか。しかしながら、いずれにいたしましても、具体的のことはこれからの検討課題でございまして、いまいろいろ仮設の問題をつくりつつも解決していく。仮設の問題ですから答えられませんとは申しません。仮説の各般の問題を想定しつつ検討していく段階である、こう考えておる次第でございます。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あの佐藤総理の呼びかけは、防衛問題を国民全部が堂々と論議するんだというふうに私どもはとりました。とするならば、政府はそのような、何といいますか、そのことを隠すと申しますか、自分の思っておることを堂々と国民に披瀝しないような態度では、防衛論議は政府の思っておるとおりにはならぬですよ。あなた、自信があったら、総理が言い出しておるんだから、防衛という問題、特に沖繩あるいは小笠原の返還について起ってくるであろう具体的な防衛の問題について、もう少しあなたの考えを、防衛長官として披瀝していいんじゃありませんか。そうしないと、国民とともにこの防衛問題を考えるというようなことになりませんよ。何も材料を与えないのなら、そうじゃないでしょうか。   〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これから万事始まる問題でございまして、いまここで私の具体的見解を披瀝せよとおっしゃっても、ちょっと披瀝しにくい。これから勉強するということでございます。さしあたり言えることは、沖繩が返還された場合に、経済的、福祉的その他の関係において、本土との一体化を妨げるようなことがないように格差を是正しておくように、そのために沖縄の高等弁務官の下に諮問委員会をつくる、これはもっぱら経済、福祉のことをやるわけでございます。しかしながら、その目的は、返還の際の格差がないように、摩擦がないようにというわけでございます。それから、日本側の外務大臣とジョンソン大使との日米協議委員会に対しても何らかの情報を提供する。これは沖縄の高等弁務官に課されたる問題でございます。それからもう一つ、日本の総理府にある南方連絡事務所は、そういう目的に向かって、現在の機構はちょっと小さ過ぎるから、これを拡大して備える、こういうことだけでございまして、あと防衛のことは、だんだんと具体化するに従っていろいろなことを検討するわけでございまして、いま言い得ることは、昔は一道三府四十三県と言いましたが、いまは四十六都道府県と言っております。それが四十七都道府県になるわけでございますから、四十七都道府県の防衛、すなわち、沖繩の防衛は日本の防衛として考えなくてはならない。そのことは全国民皆さまに御認識と御協力を願いたい。ということは、返還の際には、また返還を求めるにあたっては、そういうお考えを願いたい、これが心の用意ではないかと考えております。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでは議論しません。しかし、現状のままではだめだということの裏返しは、そういうことを佐藤総理は言っていらっしゃるんじゃないんですか。安全保障については国民的な合意をもう少し国民はやる必要がある、こういうことをおっしゃっておるのは、単に精神的なものだけですか。たとえば、自衛隊は違憲であると社会党は考える。社会党の影響下の千三百万の国民考えておるけれども、そういうことはけしからぬと、ただそういうことだけですか。そうですか。あなた、確信を持ってそれを言えますか。言えればいいですよ。そうしたら防衛庁は何もすることないじゃないですか、精神面のPRだけしておけばいいので。そうですか。
  66. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 楢崎委員は、総理がせんだって記者会見その他を通じて国民に訴えたときのことばと、それから防衛庁がこれからなすべき問題と、国民の心がまえと、どうもごちゃごちゃさしてお考えじゃないかと私は思うのです。まず第一に、あの総理の発言というものは、私は精神面を、自分の国は自分で守るんだというような防衛意識はしっかり持ってもらいたいということを強調した、その線が強いと考えておりますから、あらためて明確にしておきます。  それから、少なくとも言い得ることは、沖繩県というものになった場合に、つまり四十七都道府県になった場合に、日本は沖縄県の防衛考えないなんということは言っていないのでございまして、沖縄県の防衛考えるということは、少なくとも今日の段階で言えます。  それから、その次に申せることは、現在の米軍の基地の関係の重要性、それから日本の自衛隊がどの範囲国民の総意を代表して沖繩県を防衛する立場に立つかというような、個々の具体問題は、これからだんだんあなた方と相談をいたし、私自身も研究いたし、外務大臣とも相談いたし、総理の御意向も伺い、国民的の合意を得てこれから発足する問題でございまして、二年あるいは両三年というこの範囲のことをいま答えろといっても無理でございまして、いまお答えいたしかねるわけでございます。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 混乱しておるのは私じゃないですよ。あなたなんですよ。私は、国民の一人としてこう考えます、佐藤総理の投げかけられた問いに対して。防衛長官も、私どもよりも特に役目柄それについては考えなくてはいけませんから、あなたはどう思いますかと、こう言っておるだけのことです。何も混乱しておらぬです。そこであなたは、現在では、佐藤総理が言っておる安全保障に対する国民的合意とは、防衛長官としては精神面を強調されたものと思う、そう理解していいですな。多くを言わぬでおってくださいね、時間がありませんから。
  68. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 先般の総理の新聞記者会見を通じての国民に対する呼びかけはそうであると思っております。
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは議論になりますからもう申しません。しかし、私どもは、先ほど私が申し上げたいろいろな諸材料、ヒント、これらを総合すれば、現状ではだめだ、安保の適用の状態も、日本の自衛隊の自衛力の状態も、現状ではだめだ、もう少し進めなくてはいけない、そうしなければ沖繩は早く返ってこないんだと言われておると、私はこう理解をいたします。そうして、それと同時に、沖縄の基地の重要性、これはあなたもせんだっての委員会で木原委員の質問に答えられて、沖縄の現在の基地の機能が低下しては困る、これも一つのヒントです。しかも、米国の核のかさの下に日本は生きる。そうして、沖縄の基地は、米国の核のかさの骨の重要な一部をなしておりますよ。そうすると、あなたの言ったことも含めて、それらの諸材料を総合するならば、沖縄の現在の基地はそのままだ、そのままの状態で返還を考えざるを得ない、こう答えが出てくると私は思います。また、おそらく国民の大部分もそう思うんじゃないでしょうか。結局、突き詰めれば、日本のいわゆる自主防衛力、これを増強するということ、並びに安保の適用の状態考え直す必要があると、こういうふうに問題が進んでくるのではなかろうか。そうして、その自主防衛のときには、あなたもいま強調されましたように、第一番は防衛に対する国民への精神面のPRです。つまりその防衛思想の普及を徹底させる。これは、軍国主義的な思想の教育、これの復活になります。これをこれからどんどんやられると思うのです。そして次には——いま言っているのは自主防衛力の増強なんですよ。次には、具体的には三次防の修正強化という問題が起こってくるでありましょう。予算面では防衛費の増大ということが当然それに出てきましょう。そして三番目には、私が申し上げたように、安保の適用の問題これは主として交換公文による事前協議の問題にかかってこようと思います。こういう三つの要素について真剣に取り組まなくては、この沖縄の問題はだめだというふうに、あなたは考えてないとしても、佐藤総理以下政府考えておる、こう私は思わざるを得ない。間違いでしょうか。そういうふうに論理的になるではないか。そうはなりませんよとあなたがおっしゃれれば、たいへんけっこうですよ。どっちか、それをひとつ、長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  70. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 現在のままではだめだということにならないと、まず私はお答えいたします。これが検討課題であるということをあくまでも申し上げます。  それから、防衛思想の普及をいたしたり、自国はなるべく自主的に自国民で守れというようなことを、皆さまがあるいは私ども国民にPRするということは、すなわち軍国主義であるということはないのでございまして、私は軍国主義というのは、もう心の底から大きらいでございます。そこのところに楢崎さんちょっと飛躍があるのじゃございませんか。  それから、三次防の強化になるかどうかということば、これは検討してみないとわからぬのでございます。これがここ二、三年の検討課題でございます。  それから、事前協議になるかどうかということは、日本並みの、つまり横田あるいは厚木並みの、あるいは横須賀並みの基地として返ってきた場合には事前協議になるのでございまするが、そこが問題でございまして、いま並みでしたならば、この前、木原さんにもお答えいたしましたが、これがまた日本の行政府の方針と衝突することになりまして、非常に問題になりまするが、幾つも幾つも範僻というものをつくって、それに対する回答をしていく、こういうことがこれから政府にとって特に勉強しなくてはならない課題である、こう考えております。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はきょうは議論はよします。  それで、これはあなたが、これから検討の課題と言ってすべて答えないのだからしようがありませんが、私は、いままで佐藤内閣がコミュニケ以来出されている態度、その前も含んで、からすれば、こんなことはないのです。今度の訪米というものは沖繩返還のための交渉じゃないのですよ。これは日本とアジアの安全保障会議なんです。  さらに、あなたに一点だけお伺いしておきますが、せんだってのこの当委員会で、木原委員の質問に対して、あなたは、沖繩の基地の機能も低下さしたくない、沖繩の国民が本土に復帰したいという要求もある、そこをどう調和させるかが問題だとあなたは答弁されておりますね。いまもそう思っていらっしゃると思うのです。それは間違いです。この問題に調和なんという問題はないですよ。もう一ぺん言いますと、この沖繩の復帰の問題は、いいですか、これは権利の回復の問題であり、あるいは平和を求める問題ですね。こういう権利回復の要求あるいは平和を求める要求、それと軍事的な要請が対立しておるのです。この間に調整、調和なんてないですよ。もしこれがある一点で話し合いができるとするならば、それは調和じゃないのです。力関係なんです。力の均衡がそこにできたというだけの話です。そういうなまやさしい問題じゃないのです。これは人間的要求と軍事的な要求の対立であり、この二つは次元が違いますよ。この次元の違う二つの問題の中に、あなたがおっしゃるような調和なんという問題はあり得ない。どちらかの要求が勝つか負けるかです。そういう点で私は、佐藤総理の今度の訪米のあの交渉の態度というものはたいへん残念です。結局、どうですか、十五日の第二次の会談が終わって、ジョンソンは喜びのあまり、すぐ即席の記者会見をやって、ことのほかごきげんであった。そうでしょう、これだけ佐藤さんが何もかもアメリカの言うとおり言ってくれば、ことのほかごきげんになりますよ。さらにジョンソンはこう言っておりますよ。佐藤総理とまことに心の触れ合う交渉であった。私どもとしては、ジョンソンの心と触れ合うよりも、日本の国民、あるいは特に沖繩の国民の心と触れ合うような交渉をしてもらいたかった。これは私の結論です。きょうは議論をしません。私の考えを言っておきます。  そこで私は、以下具体的な問題に若干入ってみたいと思います。  外務省来ておられると思いますけれども、これは念のために聞いておきます。基地の自由使用ということがよくいわれております。基地の自由使用ということは事前協議というものがなくなるということになるわけですが、どうでしょうか。
  72. 高島益郎

    ○高島説明員 現在基地の自由使用についての制限は、安保条約によりまして事前協議の制約がかかっておるわけでございます。したがいまして、事前協議がない状況は先生のおっしゃるとおり自由使用ということであろうと思います。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 たいへん明快で、そのような答弁でひとつ進めてもらいたいです。  そこで、自由使用というときには、そういう問題が具体化すれば安保の事前協議というものがいわゆる廃止の方向に進む、そのとおりだと思うのですね。そこで私は、この沖繩返還の問題は、政府のいまのペースで進めば、最終的な第一点はこの事前協議の問題にかかってくる、このように理解をいたしております。  そこで私は、以下具体的にお伺いをしたいのですが、外務省のほうにお伺いをいたします。そして長官に、その間お考えをお聞きしたいと思いますが、沖繩、小笠原は米国の管轄下に現在あるわけですね。そこで現在の沖繩、小笠原に関係のある他国の相互援助条約なり、あるいは集団防御条約なり、この関係についてお伺いをしたいわけです。  第一番目に米韓相互防衛条約です。これは小笠原、沖縄を適用範囲に含んでおりますね。
  74. 高島益郎

    ○高島説明員 当然米韓条約にその防衛地域として含んでおります。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に米華相互防衛条約、この中の適用範囲に小笠原、沖縄は含んでおりますか。
  76. 高島益郎

    ○高島説明員 これも同様に米国の管理下にある地域として入っております。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 米比相互防衛条約はどうですか。
  78. 高島益郎

    ○高島説明員 同様でございます
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 米比相互防衛条約の第五条、これは米韓、米華と違うんです。第五条の一番最後に、「同国の管轄下にある属領諸島又は太平洋地域における同国の軍隊、公船若しくは航空機に対する武力攻撃を含むものとみなされる。」とあります。この項は、日本本土の米軍は含まれますか。
  80. 高島益郎

    ○高島説明員 先生の御指摘のとおり、米比条約の第五条には、米華条約とは若干違いまして、太平洋地域にある同国の管轄下にある島のほかに「太平洋地域における同国の軍隊、公船若しくは航空機に対する武力攻撃を含むものとみなされる。」というふうに書いてございます。この米比条約につきましては、われわれ日本国は当事国でありませんので、日本が有権的に解釈する立場にはございません。ただし、私ども、この米比条約の交渉過程におきましての米国の解釈というものにつきまして知らされている範囲におきましては、太平洋におきます同国の軍隊、公船もしくは航空機というものにつきましては、日本本土における米国の軍隊、公船もしくは航空機を含むものと解釈しておるというふうに了解しております。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのとおりであると思います。  SEATOはどうでしょうか、沖縄、小笠原について。
  82. 高島益郎

    ○高島説明員 当然条約区域に入ります。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、ANZUSはどうですか。
  84. 高島益郎

    ○高島説明員 ANZUS条約は、ただいま御説明いたしました米比と同趣旨の規定でございます。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、米比とANZUSについては、日本本土の米軍も適用の中に含まれる、さらにこれは、地域だけでなくて、軍艦とか公船とか飛行機も含まれる、そうですね。  そこで、質問を進めまして小笠原の問題に移りたいと思います。  小笠原の現在の米軍の施設状態はどうなっておりますか、簡単にひとつ……。
  86. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 直接調査に行っておりませんので、正確にはわかりませんけれども、いろんな資料からの推測程度でお許し願いたいと思いますけれども、父島に海軍の施設と天候測量所がございます。それから硫黄島に陸軍の人工衛星追跡ステーションがあるといわれております。そのほかに、海軍の沿岸警備隊、ロランのステ−ションがある。それから空軍の基地部隊がある。これが硫黄島でございます。硫黄島には合計して約百人、父島には合計して約三十人程度の要員がいる、この程度の情報を得ております。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、外務省にちょっとお伺いしますが、新聞の報ずるところによると、きょうも三木外務大臣あるいは条約局長、北米局長等来られないわけです。それは三時からジョンソン米大使との会議に備えていま話し合いをやっているからだということですが、小笠原の返還方式は、奄美の返還方式に準ずるという報道がなされております。大体外務省の方向はそういう方向ですね。
  88. 高島益郎

    ○高島説明員 平和条約第三条によって、日本が米国に対して施政権をまかせている地域につきまして、現に奄美大圏にその返還の例もございますので、今回の小笠原の返還につきましても同様の方式で差しつかえなかろうとわれわれのほうとしては考えております。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、奄美の返還の場合には、協定本文の中に、行政協定が適用されるということが書かれておりますね。安保はもちろんですが……。さらに、交換公文が取りかわされている。そこで、この奄美の場合の交換公文と安保条約との関係はどうなっておりますか。
  90. 高島益郎

    ○高島説明員 先生御承知のとおり、奄美大島の返還の当時におきましては、新しい安保条約ではございません、昔の古い安保条約でございます。したがいまして、いわゆる基地の自由使用という状態に置かれていたわけでございます。したがいまして、この交換公文の解釈につきましても、そういう前提で解釈されますので、この当時の交渉経緯からわれわれが解釈いたしておりますところによりますと、当時米軍といたしましては、一カ所ないし二カ所の新しい施設区域の設置の構想を持っておりまして、たまたまこの返還に伴いまして、その新しい設置を取りやめた経緯がございます。したがって、もし将来その新基地の設置が必要であるという場合には、その米国の要求を特別に考慮してもらいたいというふうなことが前提になりまして、この交換公文が書かれた次第でございます。したがいまして、御心配のようないわゆる事前協議というふうな問題は、当時は全然問題になっておらないわけであります。現在の解釈もそのとおりでございます。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、この交換公文はあっても、安保が現在は優先して全部適用される、そういうことでございますか。
  92. 高島益郎

    ○高島説明員 その後新しい安保条約が締結いたされまして、その新しい安保条約のもとでこの交換公文も解釈いたしております。したがって、依然として現在奄美大島につきましては新しい安保条約が当然適用されまして、この交換公文によって、米国側から新しい基地の設置が必要だというふうな要求があった場合には、その要求を考慮するという趣旨でございます。
  93. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私その辺を聞いておるのですよ。この交換公文の中身は、少なくとも安保の適用外じゃありませんか。事前協議の適用外じゃありませんか。
  94. 高島益郎

    ○高島説明員 交換公文は、すべて条約の本文と一体として解釈いたしております。したがいまして、この交換公文につきましても、そのような例外は考えられません。安保条約と当然同じワクのもとで解釈いたしております。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、普通ならば、事前協議の要件に該当するものであれば事前協議をしなくちゃなりませんが、奄美のこの問題については、もうすでに承諾は与えられておるから事前協議の必要はない、こういうことになるのですか。
  96. 高島益郎

    ○高島説明員 そうではございませんで、ここでわれわれが考えておりますのは、事前協議の対象となるような事件でなくて、基地の増設についての米国の要求というものを当時考慮すると約束したというだけでございます。したがって、事前協議の対象となるような装備の重大な変更とか、あるいはその他対象となっておるようなものについての問題は、ここでは全然考慮の対象外でございます。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。  そこで、奄美方式をとると言っていらっしゃるのですが、小笠原の場合に、当然現在の米軍の基地、施設が問題になってこようと思うのですね。そこで、やはり協定と、奄美方式のとおり、交換公文とでそれらを処理される方向であるのかどうか。
  98. 高島益郎

    ○高島説明員 これはこの前の佐藤・ジョンソン共同コミュニケの中に書いてございますとおり、小笠原諸島の返還につきましては、日米安保条約に基づいて小笠原の米軍の基地が保持されております。したがいまして、われわれといたしましては、このような交換公文によります特別な措置ということを考えておりません。一般的に日米安保条約のもとにおける米軍の施設を承認するということを考えております。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、交換公文は別に考えていないのですね。
  100. 高島益郎

    ○高島説明員 これは交渉でございますので、これから米国の側からどのような提案がなされるか存じません。現在、日本のほうといたしましては、そのような交換公文の取りかわしは必要でないというふうに考えております。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、先ほどの各国の防衛条約にちょっと戻らせていただきますが、米比とANZUSの場合の第五条、どちらもそうですか、この一番最後の「太平洋地域」における当事国の軍隊、公船、航空機、これは「太平洋地域」というのは、領海も公海も全部含めて解釈されるわけですか。
  102. 高島益郎

    ○高島説明員 これは主としては、私どもの解釈では、太平洋の公海部分におきます米国の軍隊、公船、航空機ということになろうかと思います。しかし、これは先ほども申しましたように、われわれが解釈すべきことではございません。米軍あるいは米国の解釈によりますと、公海部分以外の米国の軍隊、公船、航空機も含むというふうに解釈されているそうでございます。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、小笠原問題にもう一ぺん返りますが、コミュニケでは、先ほど冒頭申しましたように、この地域防衛の責任の多くを徐々に引き受ける、こうなっております。そこで問題は、やはりこの地域であろうと思うのですね。つまり防衛区域と申しますか、この地域という問題については、いま外務省としてはどのような地域考えられておりますか。
  104. 大河原良雄

    ○大河原説明員 今後この問題は交渉の過程においてきめらるべき問題である、こういうふうに考えております。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日本としては、じゃ、どのような地域考えられますか。
  106. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど申し上げましたように、交渉の過程において考えられるべき問題である、こういうふうに申し上げたいと思います。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、日本としてはどういう態度で臨まれますか。
  108. 大河原良雄

    ○大河原説明員 交渉の問題でございますので、ただいまの段階では控えさしていただきたいと思います。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だめですよ、あなた。何を言っているのですか、やわらかく聞けば。あなた、これは重大問題ですよ。日本側の考え方というものがあってしかるべきじゃありませんか、この段階で。通常国会には出すと言っているのですよ、外務大臣は。外務大臣でなくちゃ答えられぬというわけですか。あなたでは答えられないというのですか。
  110. 大河原良雄

    ○大河原説明員 外務大臣はジョンソン大使ときょう午後会見することになっておりますけれども、それをきっかけといたしまして小笠原、沖縄問題の交渉が始まるわけでございますので、その前に私から申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、小笠原諸島並びにその領海、これは当然この地域に入りますね。
  112. 高島益郎

    ○高島説明員 それは当然だろうと思います。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、もし交渉の過程で、というふうにたいへんこだわっておられますが、当然入るものは諸島と領海である。じゃ、交渉の過程で何かこれにプラスアルファがつくであろうか、これです、問題は。いまの答弁、そのとおりです。そこで、防衛担当でございます増田長官はどのようにこれを考えておられますか。あなたは防衛長官として、どのように考えておられますか。
  114. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま新聞等に出ておりまする南鳥島がどうなるかということにつきましては、まだ交渉の過程でございまして、いわゆる小笠原諸島、硫黄島諸島というようなことは、私は言えると思います。あとのことば、これからの交渉でございます。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本土と小笠原諸島はどのくらい離れておりますか。
  116. 大河原良雄

    ○大河原説明員 約七百マイルというふうに承知いたしております。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、小笠原が返還になれば、定期船も通うし、飛行機も飛んでいくでありましょう。公海の上です。しかし、本土と小笠原諸島は非常に近接をしております。そこで、防衛担当長官としては、外務省が御答弁になったように、島自体と領海というものは、それの防衛を担当するのは当然でしょうが、本土と小笠原諸島との間の公海の問題が、私は交渉の場合に一つの問題点になるであろう一これは常識としてそう思います。長官どうでしょう。
  118. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 小笠原諸国が近く返還されますが、その場合に防衛をするのは当然でございます。  それから、公海の問題と申しまするけれども、たとえば奄美大島の中にも六つも島がございまして、その間に公海もあるわけでございますが、奄美大島の一番南は与論島でございまして、沖縄諸島から十キロしか離れていないわけでございます。その間にも公海がございますから、それと同様な扱いを受けるものと考えております。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 同様というと、説明してください。
  120. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いまさしあたって小笠原が返還された場合に、漸次、この共同声明にございますとおり、日本の防衛がとりかわるということが書いてございます。それで島に所在する自衛隊ということがまず考えられます。しかしながら、これもどうやったらいいかということは、まだ検討中でございます。それから島を往復する航空機なり船舶は、日本の領土でございますから、事があるときには、それを保護するのは当然である。しかし、さしあたって防衛措置を講ずるかどうかというと、まだまだ防衛措置を一々の船舶に、すなわち、わが国の領土であるからといって、これを護衛するということまでは考えておらないと言ったほうが正直なところでございます。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと声が小そうございましたが、小笠原に通う定期船なり、あるいは飛行機等は保護する義務があろうと思うが、具体的にどうするかということは、いま考えていない、こういうことでございますね。——ということは、私は、船が通る公海というものの防衛をどうするかということが問題だと思うのです。当然これは検討の問題になろうと思いますよ。防衛問題というのは、すべて仮定の問題に対処するというのは重大ですが、そこで、私は仮定をしまして、もし本土と小笠原の間の公海等が防衛区域になった場合には、安保条約との関係はどうなるであろうか、これをひとつ外務省にお伺いをしたい。
  122. 高島益郎

    ○高島説明員 先生の御質問の意味がよくわかりませんでしたので……。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大きな声で言ったはずですが、本土と小笠原との間の公海が、まあどういう広さであるか区域は別としまして、交渉の結果防衛区域になった場合、その防衛区域になった公海と安保条約との関係はどうなるのか、これをお聞きしたい。
  124. 高島益郎

    ○高島説明員 現在の安保条約の解釈といたしまして、公海におきます武力攻撃があった場合にどうするかという問題は、これは極東の範囲とも関係いたしまして、日米両国間の協議の対象になろうかと思います。いまの先生の御質問は、今後小笠原と日本本土との間の公海部分がいわゆる条約地域というふうになった場合にどうするかということですが、これはまだ今後交渉の対象になる問題であろうかと思いますが、現在そういう仮定の問題に対しまして条約上どうなるということをお答えいたすわけにいかないと思います。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まだそこまでは検討していないということですね。
  126. 高島益郎

    ○高島説明員 そのとおりでございます。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 しかし、もうきょうから交渉に入るわけですね。(「いま入っているのだ」と呼ぶ者あり)具体的にはジョンソン大使と三時から入る。いまおっしゃっておるように、もう準備に入っておるのですよ。だからそのくらいの検討は、あなたしておかなければいけないじゃないですか。防衛長官は、これは防衛問題として、当然本土と小笠原との間の公海は問題になろうといまうなずかれておるのですから、そうじゃないでしょうか。全然検討されていませんか。
  128. 高島益郎

    ○高島説明員 私申し上げましたのは、私どもといたしまして、この席でこれから交渉が始まる問題につきましてはっきりした立場を表明することは差し控えさしていただきたいということでございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ぐあいが悪いと、すぐそういうふうに交渉中とかなんとか言って逃げられるわけですが、これは私の解釈ですと、おそらく安保の四条で協議事項になる。そこで、私はこれをどうして問題にするかというと、先ほどお尋ねをしました米比、ANZUSとの関係が出てくるのです。小笠原と本土との公海が防衛区域になれば、日米安保条約と米比、ANZUSとがからみ合ってくるのですよ。増田長官、これは重大なんですよ。そこで、沖縄はまだいつ返るかわかりませんが、小笠原は返るということになっておるから、小笠原に問題をしぼると、小笠原が返還になれば、先ほど申しましたあの五つの関連防衛条約の適用から小笠原ははずされることになりますね。そうですね。はずされるが、しかし、米比とANZUSの第五条によって、本土と小笠原の間の公海が防衛区域になれば、五つの条約から適用ははずされても、実際問題としてははずれないことになるじゃありませんか。からみ合うじゃありませんか。日米安保条約、米比相互防衛条約、ANZUSとはまさにからみ合うのです。適用除外になっても結果は同じです。そう私どもは理解せざるを得ません。どうでしょう。
  130. 高島益郎

    ○高島説明員 小笠原の返還につきましての佐藤・ジョンソン・コミュニケの了解では、日本本土並みになるということでございます。したがいまして、小笠原と日本本土との間の公海部分につきましての法律関係は、日本周辺の一般の公海部分における法律関係と何ら異なるところはございません。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう簡単な問題じゃありませんよ。そこで私は心配するのです。小笠原が返還されることによって、日米安保条約が具体的に米比なりANZUSとからみ合ってくる。これは一種のNEATOなりSEATOへの日本の具体的な参加を意味する。条約的にはそうなりますよ。小笠原が返還されることによって具体的にはそういった危険が始まるということであります。だから、その辺の詰めは、米比あるいはANZUSというものは他国のやつだから知らぬというわけにいきませんよ。これは小笠原返還あるいはやがて来るであろう沖縄返還問題でも同様の問題が起こりますが、アメリカ、フィリピンあるいはANZUSのアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、これらとの交渉も私は当然出てこようと思いますよ。それはどう思いますか。
  132. 高島益郎

    ○高島説明員 小笠原返還に伴っての防衛問題に関しますいろいろな諸法律関係につきましては、当然先生が御指摘のような米比、ANZUS条約との関係は十分に考慮、検討いたします。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、時間が経過をいたしましたが、小笠原の防衛構想については、長官はいまから考えるとおっしゃっておりますけれども、何九新聞の報ずるところによると、これはあなたの発言のように新聞に出ておりました。たとえばナイキハーキュリーズあるいはホークの射撃場にしたらいい、いままでのナイキあるいはホークの射撃場の混乱の状態から考えて、これはいいところが返ってくるというような意味の新聞報道が出ておりました。そういうこともあなたは考慮の中に入れておられますか。
  134. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 各種の検討はいたしておりますが、具体的な計画はないのでございます。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、あとで木原委員あるいは大出委員等の質問がありますから、私はこの問題はちょっとにしたいと思うのですが、本土との一体化というものはこれから推進されるわけですね。これは先ほどあなたからるる説明があった。そこで、本土との一体化推進の中における防衛問題の一体化については、どのようにあなたは進めていかれるつもりですか。たとえば、来年ですか、木村官房長官の言によると、調査団を派遣される、その中に防衛庁関係も入れるとか、あるいは諮問委員会の中に入れるとか、これは一例です。その本土との一体化推進の中における防衛の一体化について、あなたはどういう構想、進め方を考えておられますか。
  136. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 まず第一に、東京にございます日米協議委員会、これは三木外務大臣とジョンソン駐日全権大使との二人が協議委員会を構成するわけでございますが、しょっちゅう三木外務大臣と私との間においては緊密なる連絡提携を持ってまいりたいと思います。それから、協議委員会自身に専門委員会をつくるかもしれないという話がございますが、交渉の過程において専門委員会ができましたならば、その専門委員会等には防衛庁関係の者も専門的立場において参画をいたしたい、こう考えております。  それから、沖縄に高等弁務官の諮問委員会として設けられるものは、これは主として沖縄が本土復帰になった場合の摩擦を防ぐための経済、福祉の関係を研究するわけでございます。でございますから、あまり防衛はないと思いますが、しかし、日本側から一人、琉球側から一人、アメリカ側から一人出るということになっておりますが、その一人に対して私どもが密接なる連絡をとってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではちょっと具体的に聞いてみたいと思いますが、第二次防の五年間に防衛庁から沖縄に派遣をされました員数を年度別に説明してくれませんか。
  138. 中井亮一

    ○中井説明員 三十七年度が五十九名、三十八年度が七十八名、三十九年度が六百五十一名、四十年度が八百四十三名、四十一年度が千二百六十九名でございます。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だんだん年を追うて多くなっていっております。そしてその目的は、現在までの政府の説明によると見学です。観光を兼ねて戦跡を見にいく、そうおっしゃった。目的はそういうことで、いままではそれだけの人間が行っておるわけですね。そうですね、長官——うなずかれましたからそうだと思います。それで、こういう具体的な段階になってこれから本土との防衛問題の一体化が進められる中で、これから派遣される自衛隊の方々の目的、任務は、返還が確定するまでは変わらぬのですか。依然として観光、見学という目的で行かれるのですか。
  140. 中井亮一

    ○中井説明員 ただいまのところ計画しておりますのは、従来どおりの考え方で沖縄に研修等に派遣をする予定で計画を立てております。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 研修の内容をちょっと言ってください。私は質問したことあるのですよ。前の答弁のときには、戦跡を見にいくとか、そう説明したのだから、あるいは観光も兼ねておるかもしれません、こういう軽やかな答弁だった。研修とは初めて聞きましたが、研修の内容をひとつ聞きたい。
  142. 中井亮一

    ○中井説明員 防衛庁内部で沖縄現地研修ということばで——ただいま楢崎委員がお述べになられましたが、幹部学校等の学生が従来在沖縄米軍の軍事施設を見学し、あるいは装備等の見学をするというようなことや、それから戦史の勉強の役にも立つということで沖縄の各地を視察するというようなこと、ただいま観光旅行と言われましたが、そういう面の視察にいくことを沖縄現地研修ということばで呼んでおりますので、私研修ということばを使ったわけでございます。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは長官にお伺いしたいのは、これから先そういった研修の方々の目的はいままでと違ったものになるのじゃなかろうかと思うわけですが、どのようにお考えでしょうか。
  144. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 だんだん両三年内にめどがつきまして、日本に復帰する、施政権の返還が行なわれるという場合には、日本が日米安保体制のもとではございますが、言い得ることは、沖縄県の防衛を担当するということでございますから、そこで、そういう見地から将来調査にいくことはあり得ます。がしかし、従来どおりの研修も続行するわけでございます。
  145. 藤尾正行

    ○藤尾委員 関連して。非常に重大なことでありますから、私はこの際一言だけお伺いをしたいと思いますが、ただいままでの楢崎委員の質問の中に、いまの沖縄の研修の中に観光という部面があるということを言っておられます。少なくとも防衛庁が行政府として公的にお出しになる研修の中に、観光という要素が一体入っておるのですか、入ってないのですか、これははっきりしておいていただきたい。誤解を招くと非常に大きな問題になります。
  146. 中井亮一

    ○中井説明員 私の答弁のまずさでございますが、研修というのは、先ほども申し上げましたように、将来の自衛官が成長する、りっぱになるための、従来机の上で習ったことが現実に戦史でどういうふうに行なわれておるかということを視察するわけでございまして、観光ということではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  147. 藤尾正行

    ○藤尾委員 了承。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 沖縄に自衛隊が行く問題を派兵問題としてわれわれが取り上げたときには、いや観光みたいなものですよと答弁したんですよ。そのように軽やなもので派兵とは違いますというために、そういうことを言った。——いいですよ。私のおもな目的はそうじゃないのです。質問の目的は、これからはもう少し目的が変わったものになりはせぬかということを聞いたのです。それは変わってくるであろうとおっしゃっておるから、それでよろしゅうございます。  そこで、一点だけ聞いておきますが、沖縄の防衛の問題について、きのうの東京新聞の朝刊に大体の原案構想、二案できたということが載っておりますが、そういう原案というものが防衛庁なりにほぼあの程度はまとまったんでしょうか。
  149. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 防衛庁としましては、新聞に報ぜられましたような具体的な計画を持っているわけではございません。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここにこれだけ「『南西師団』を編成」これは新聞社の方が捏造されたわけじゃないと思いますが、こういう原案がいま考えられておるのでしょう。全然ないですか。
  151. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 沖縄につきましても、小笠原につきましても、いろいろ調査をしまして検討する問題がたくさんございます。お示しのような案を現在持っているわけではございません。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これほど具体的に出ておるのですよ。私はこの次文書を持ってきます。  時間がありませんから、先に進みます。  そうしますと、長官、三次防の修正は当然考えられると思いますがね、沖縄の返還が具体的になれば。そこで、三次防の修正というものは、いかなる時期に具体的な日程にのぼるのでしょうか。
  153. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 すべてまだ調査検討中でございまして、しかも両三年以内に返還の時期を明示してもらいたいということを総理大臣が言い、大統領がこれに対して完全に理解した、了解したと言った。この線でございまして、われわれがこれからの作業として検討調査をしなければならぬことでございまして、何ら具体的化したものはございませんから、こうなれば三次防を修正せんならぬという段階まではまいっていないのでございます。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三次防の修正ということは当然しなければならぬじゃないですか。現在の三次防は、本土の防衛のための三次防ですから、これに新しくプラスアルファが加わる、防衛しなければならぬところが。そうすると、当然これはかさ上げしなければならぬことは常識じゃありませんか。そうでしょう。どうですか。そのくらいのこともあなたは見通しありませんか。
  155. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 お説のように、四十六都道府県の防衛のための三次防でございます。その日程に加わったという場合のことは、常識的に考えればプラスアルファということになりますけれども、しかし、その具体的なことにつきましては、両三年以内に結論を得たい、こういうことでこれから検討に着手するという問題でございまするから、常識的には楢崎さんもおっしゃるとおりですけれども、いまの三次防の中には入っていないということだけは言えます。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はあと防衛施設庁関係が残っておりますが、防衛長官の時間がないそうですから、ほかに同僚議員の質問がありますので、−本庁長官が終わったあと、ひとつ施設庁長官に質問を継続させてもらいます。  それで、いまの点は確認しておきますが、結局沖縄の防衛問題は、三次防で考えられていなかった問題で、プラスアルファということはいま御答弁になったわけですね。それだけ確認しておきます。
  157. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 常識的には楢崎さんのおっしゃったとおりでございますが、返還の条件等にもよるわけでございまして、まだしかとはそこまで言いかねるわけでございまして、せっかく検討中である、しかし、常識的には三次防プラスアルファという線も考えられるということを申したわけでございます。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは長官が帰られましてから、施設庁長官あとで引き続いて御質問申し上げます。
  159. 關谷勝利

    關谷委員長 大出俊君。
  160. 大出俊

    ○大出委員 冒頭に聞いておきたいのですが、何か長官の時間の関係が一時までというふうなことのようですけれども、何とかなりませんか。
  161. 關谷勝利

    關谷委員長 三十分延ばすそうです。
  162. 大出俊

    ○大出委員 では時間の関係がありますから、最初に当面の問題を一つだけ先に承ります。  十四日の日だと思いましたが、全駐労の皆さんの要求に基づく退職手当の問題をめぐりまして、マッキー司令官にお会いになっているはずだと思いますが、これは私前にこの席で御質問申し上げまして、早川労働大臣どもアメリカに行ったときに先方の労働次官に会ってきた経緯もあり、この席で御開陳をいただきましたが、そのときに、長官からも最善の努力をするという答弁をいただいております。したがって、例の整理退職等をめぐる二割アップのような形のものが、言うならば組合案ではなくて政府案という形で扱われているように思います。また、神奈川県知事の津田さんが十三日にウイルキンソン参謀長に会っておられますけれども、その経過等から見ましても、前向きで努力をされるという言い方になっているわけであります。したがって、そこらのところをどういうふうに進行しているのか、直接お会いになっている長官から、まず承りたいのであります。
  163. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 御質問のとおり、私は、施設庁長官とともに駐日米軍司令官に会見をいたしました。会見時間は数時間でございます。きわめて熱心にこちらの要望を要求したわけでございます。相手も非常に理解のある態度で臨んでくれておりまして、いま作業中でございます。詳細のことは施設庁長官から御答弁申し上げます。
  164. 小幡久男

    ○小幡説明員 ただいま大臣からお答えがありましたように、十四日に会談があったわけでございます。その席上で一応きまりましたのは、先ほど大出委員からもお話がございました退職手当につきまして、整理退職の率を定年退職と同じにするという政府提案を含めまして、退職制度全般について検討するというのが一つでございます。  第二は、その検討の方法といたしまして、日米間でしかるべき適当な委員会を設けまして、できるだけ早く討議に移るという原則が了解されまして、その後大臣から、委員会の構成なり、いつごろまでにその結論を出すかというふうな細目については、私と参謀長とできめろという御指示がありましたものですから、日ならずして参謀長と会見しまして、委員会につきましては、日本側は防衛施設庁の次長を議長とし、また米側は参謀副長を議長としまして、その他の関係官は必要に応じて構成するという構成になっております。それから、委員会の検討の結論はおそくとも来年の三月までに出すということで了解を得まして、組合側にもその意思を伝達いたしましたところ、幸い組合のほうも日米間の話し合いを了とされまして、二十四日からのストライキを延期してもらったというような経緯でございます。
  165. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、先ほどのストライキの延期に関しまして、三月に結論を出す、そこまで延期という意味にとっていいのですか。
  166. 小幡久男

    ○小幡説明員 そうはっきりとは組合側は意思表示をされていませんが、成り行きを監視するということで延期になっております。
  167. 大出俊

    ○大出委員 長官に承りたいのですが、そうすると、マッキー司令官の答えた中身あるいは話し合った中身というのは、相当誠意のあるもの、またその意味では実現の可能性のあるもの、こう受け取ってよろしいですね。
  168. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 そう受け取ってくだすってけっこうでございます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 たいへん御努力を願っておりますが、これは長年の懸案でございますから、ぜひひとつ今後とも前向きで解決をはかっていただくように、どんどん減ってきている最近の事情もございますので、特に強くお願い申し上げておきたいと思うわけでございます。  ところで、先ほどの楢崎委員とのやりとりの中で一つ不納得な点があるので、冒頭に申し上げておきますが、共同声明の中身——英語の話がさっき出ましたが、長官は、本会議で、私に、事もあろうにコンベンショナル・ウェポンというものを持ち出しまして、学のあるところを御披露くだすったわけですが、先ほどの答弁で私がどうしてもひっかかるのは、バイタル・ロールという字句なんですが、これは、先ほどあなたは何もたいしたことはないような言い方をされましたが、これは増田長官の全く個人的、私的な解釈というのでは困るのでありまして、ワシントンポストなどで扱っております記事の中に、この字句を非常に重視をいたしまして、単なるインポータントでなく、バイタル・ロールということばを使っているということが非常に大きく取り上げられた。したがって、完全支持という形、重要性についても単なる重要性ではないという認識で、非常に高くアメリカの有力紙が評価をしているわけでございます。だから、そのことをとりまして、あなた方もごらんになっていると思うのですが、エコノミストの今月二十八日号、たまたまきのうの日付の号でございますが、このエコノミストの「展望」の「高度化する、安保体制」というところに、バイタル・ロールということばを引用して書いています。ここで明らかに言っているのは、「発表された共同声明によれば『首相と大統領は、これら諸島(沖縄・小笠原)にある米国の軍事施設が、日本および極東の自由諸国の安全を保障するための重要な役割を果たしていることを認め』」とある。ところで、この「重要な役割を果たしていることを認め」、これだけでも重要なことなんだけれども、さらに、言うなれば、英文で書かれた原案を見ると、バイタル・ロールと表現をされている。これは日本語の通常の解釈での「重要な」、いわくインポータントでありますが、それよりはるかに強い意味を持つものとの理解ということになっているわけです。そうなると、先ほど長打が小手先の——小手先ではなくて口先かもしれませんが、答弁をされたような気がするのですが、どうもそういう言いっぱなしはまことに迷惑です。防衛の担当責任者である長官でございますから、国際的な受け取り方がそうである限りは、やはりそれを一つの受け取り方として明確にお認めを賜わっておかぬと、将来の問題でありますから困る。先ほど長官が自分で答えたのですから、重ねて御答弁いただきたい。
  170. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま外務省が来ておりますが、外務省が来るまでのつなぎの手で答えろという楢崎さんの御要望がたってございましたからお答えしたわけでございまして、バイタルという字はインポータントより強いということは私は感じておりますが、しかし、日本語にすればやはり重要という字になるのではないかと思います。
  171. 大出俊

    ○大出委員 先ほどは重要だと感じていないという答弁だったのでありますが、豹変されましたね。重要だ、つまり、単なるインポータントではない、もっときわめて強調されていることばであるという点が、私はバイタルというほうが強いと思っております。こういう御発言ですから、そう理解をしていただいておかなければ困るのです。念を押しておきたいわけであります。私は外務省に質問したのではございませんので、いまの点が明確になればいいのであります。英語のほうの権威者である長官のことでございますから、特に念のためにそう御指摘を申し上げた次第でございます。  ところで、ワシントンポスト紙などは、完全支持という、そこまでの表現をして、しかも、このバイタルロールとあるところあたりも高く評価をしながら、日米会談をたたえておるわけであります。  そこで、私は、この際、旧来の答弁の経過もありますので承っておきたいのでありますが、現在、たしか防衛庁から十一カ国くらいに武官を駐在させておると思うのでありますが、ベトナム、韓国というところには、どのくらいの期間、どういう方が行っておられますか。
  172. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ベトナムには昨年の五月から、韓国にはことしの十月から防衛駐在官が行っております。
  173. 大出俊

    ○大出委員 この韓国に行かれた方は、陸士五十四期の方で相当知られた方が行っておられるように思いますけれども長官のほうで御存じないというのはどうもおかしな話でありますが、これはあなたのほうの所管ですから、長官のほうで御存じでしょう。
  174. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 韓国に行っておりますのは一等陸佐塚本でございます。これは陸士五十四期の出身でございます。
  175. 大出俊

    ○大出委員 そこで、防衛庁に伺いますが、極東という字句の解釈問題もありますけれども、これはあとで外務省に承りますが、日本を中心といたします極東の安全保障という点について先ほど来質問がありましたように、今回の日米会談の結果として、非常に強く日本の防衛責任というものがクローズアップされてきており、しかも、それが国際情勢全体とからんでおる、特に極東情勢とからんでおるというふうに受け取らなければならぬ表現が随所にございます。したがって、日本の防衛の責任を負われる防衛庁の責任者という立場で、今日のベトナムの情勢、韓国の三十八度線の情勢、金門、馬祖をめぐる台湾海峡の情勢、こういうふうなものについてどういう現状認識に立っておられるのか、この点をまずもって長官から承っておきたいわけであります。
  176. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは総理の施政方針演説にはいつもございますとおり、いまだ極東並びにアジアにおいては各種の緊張状態がある、また、ベトナム紛争等は遺憾にたえない、こういうことを言われておりますが、私はそれと同感であるということをもってお答えといたします。
  177. 大出俊

    ○大出委員 この駐在官まで置いておられる防衛庁の立場からいたしまして、このベトナムの情勢というふうなものにつきましてどういう判断、どういう認識を持っておられるのかという点は、日本の防衛と関係がないわけではない。だから、人の派遣までしておられるわけですから、現地の情勢が現地なりに入ってくるはずでありましょうし、また、アメリカとの関係で各種の外交折衝もいままであったわけでありますが、防衛庁という立場でそれをどうとらえておるかという点を、関連があるので、そう簡単なことでもなしに御披瀝をいただきたい、こう思っているわけです。——もうちょっと言いましょう。昨年の末にラスク国務長官が日本に来られたことがあります。政府との間のいろいろな話し合いが続きまして、その直後の新聞の取り扱い方というのは、来年の秋にベトナム戦争というのは終局の方向に向かう、こういう意味の記事がだいぶたくさん載っていたわけであります。時間がないので、こまかく取り上げるのはやめておいて、一括して申し上げます。ところが、年を越えて一月の段階で、例の佐藤総理の滋賀県の大津における大津談話が出てきたわけであります。この時期が例のこのジョンソン会談と関連があるのでありますけれども、この時期になりましてから、沖縄の施政権の問題は、分離返還ではなくて一括返還で進めたい、こういうわけであります。二月になったら、下田外務次官が、単なる日本国民の非願では沖縄の返還はできない、極東における安全保障というもの、その中における日本の責任というものをより明確にしなければ沖縄返還はできない、こういう談話が世上をにぎわせました。これはさらに尾を引いて、六月の例のアメリカ大使になって赴任をされるときの記者会見で、沖縄の県民の皆さんが戦後いままで苦労されている、したがって、沖縄の施政権の返還は何とかしなければならないけれども、それには日本国民が沖縄の基地の自由使用というものについて支持をすべきである、こういうことを記者会見で言われてアメリカに行ったわけであります。しかも、その間にはライシャワー前大使の一月のフォーリン・アフェアーズ等に載りました三条件と俗にいわれておるものが、沖縄の返還について出てきておる。さらに八月の段階では、USニューズ・アンド・ワールド・レポートの中に三年ないし五年で沖縄の返還というのが載った。こういう状態か続いたわけであります。これは長官御存じのとおり。したがって、本年当初の時点にあたっての総理の言い分からすれば、本年の秋、こういう時期を目途として、南ベトナムの選挙も終わる、ベトナム戦争は終局の方向に行きそうなお話であった。その間、私どもが何回かいろいろな質問を重ねましたけれども、非常に好転をしているという答弁だった。無関係ではない。そうすると、今日の時点で、一体そのあたりを防衛責任者としての長官はどう判断をしているかという点ぐらいは、国民にもっとPRをしなければならぬ立場なんですから、口を織して語らないということは、私は責任の負えない筋合いだと思うのですが、いかがですか。
  178. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもは、これは極東の周辺というわけで、極東自身ではございませんが、防衛長官としては関心を持たないわけではございません。中近東ほど遠いわけではございませんし、やはり相当の関心を持たなければならぬことでございまして、まずもって言えることは、ベトナム紛争は遺憾である、できるだけ早く平和裏に終局を見たいということで、政府をあげて、総理、外務大臣等は努力をされております。そこで、こちらはベトナムの戦局の推移等を見たり、あるいは戦略戦術的関係から研究したりすることはございますが、政治家増田という立場に立った場合に、あるいは防衛長官といたしましても、ああいう紛争はできるだけ早く終局するということを庶幾いたしておるということだけでございます。
  179. 大出俊

    ○大出委員 念のために承りますが、韓国の三十八度線のほうはどういうふうにお考えになっておりますか。総理は七月五日のこの席で、長官もおられるときに、朴さんの就任式にお出になって帰ったときに、私の質問に答えて、ここから二十五マイルばかり向こうに行くと敵がいるのですということを言った、たいへんにむずかしい状態だというような話を総理がここでしておりましたが、あらためて武官までお置きになっておるのですけれども、どういうふうに判断されておりますか。これもそんな遠いところではない。
  180. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私の見ておるところでは、小さい衝突は少し数がふえたようでございますが、まずおおむね従来どおりの休戦状態、和平の状態が続いておる、こういうふうに感じております。
  181. 大出俊

    ○大出委員 東シナ海、台湾海峡のほうはどうですか。
  182. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 おそらく金門、馬祖のことだと思いますが、金門、馬祖等におきましては、最近は砲撃等も交換するということはほとんどないようでございます。
  183. 大出俊

    ○大出委員 沖縄と一口に言いますが、石垣島は台湾のすぐ隣ですからね。そうでしょう。そうなると、東シナ海ですよ。時間がないから順序立てた質問でなくて、ポイントだけを申し上げているのですけれども、沖縄の問題を論ずるにあたって、二年以内あるいは二年ぐらいで、日本国民が協力をしてくれれば三年待たぬでもめどがつくということを総理は記者会見で言われている。そうなると、やはり沖縄が返ってくるということを前提としての防衛という問題もからんだやりとりにならざるを得ない。そうなると、いま私が例をあげた東シナ海だって考慮のうちに入れなければならなくなる。なぜならば、台湾のすぐ隣に島がある。そうなると、沖縄問題を論ずれば、そこまでものを言わなければならない、こういう状態だと実は私は思っているわけです。そこで、ひとつ長官に、前の発言なり答弁なり、ものに書いておられるものなりをとらえて申し上げたいのですけれども、沖縄の核兵器、これはメースBが東海岸、西海岸に二基ずつということに一応なっておりますが、その辺の認識のほどはどうお考えになっておりますか。
  184. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 こまかにはわかっておりませんけれども、メースBがある。このメースBは有翼核兵器でございまして、その飛行距離は半径二千キロであるということであります。それからなおF105D等がございまして、これに核を積もうと思えば積み得るという状態でございます。その他、ポラリスはグアム島にございまして、まだ寄港したことはないようでございますが、たとえば兵たんあるいは修理等のために寄港しようと思えばし得るという状態である。これだけのことをお答え申し上げます。
  185. 大出俊

    ○大出委員 増田さん、あなたが話しておられる記事によりますと、この沖縄の基地の価値判断ということについての御発言なんですが、これによりますと、これは有翼ミサイル、メースBのことに触れておられるのですけれども、いまのところ、沖縄のメースBが二千キロを飛ぶ核弾頭をつけている。その核弾頭が相当あるようだ。相当あるというより積極的です。核弾頭をつけ得る短距離弾道弾のカバーするところは大体二千キロ、そういうものが存在することによって、結果的に日本が守られている、長官はこういう認識を持っておられるわけですね。これは間違いございませんか。こう述べておられます。字句に書いてあるのです。
  186. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 記事等にどういうふうに載っているか、私は拝見したならばまた正確にお答え申し上げますが、メースB等もございまして、戦争の抑止力になっておる。極東並びに日本を含む安全と平和の維持に貢献しておると私は考えるわけでございます。
  187. 大出俊

    ○大出委員 その防衛責任者の考え方からすると、この木原質問等にお答えになっているこの席における長官答弁は、先ほどもちょっと出ましたが、安保の六条を認めたという上に立って、ここで言っておりますのは、沖縄の基地の米三軍の機能なりきき目なりを没却はできない、価値の低下をさせることはできない、こう考えておるという答弁をされたんです。そうしますと、沖縄の基地について長官考えておられる一番評価している価値というのは、先ほど例にあげましたメースB、これが抑止力になって、これが日本の安全を確保している。となりますと、それらを含めて沖縄の機能の低下、これがあってはならないという考え方を前提にする、こういう考えに結びついていくわけでありますが、そこらのところ、真意のほどをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  188. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これは、私は総理・ジョンソン共同声明の前に申し上げておることであります。そこで、沖縄に存在する米軍基地並びに米軍の存在というものが極東並びに日本の平和、独立、安全に貢献しておることは積極的に認めておるわけでございます。そこで、沖縄が返還される場合に、その関係と調和をとりつつ、立法、司法、行政の三権が日本に返ってくることが最も望ましい。でございまするから、相当の調査、検討を要する、こういうことを木原さんにもお答えいたしておるわけで、大出さんにもそのとおりでございます。
  189. 大出俊

    ○大出委員 そこで、先ほど、防衛庁が考えておる沖縄復帰後の沖縄防衛という問題です。これは先ほど東京新聞の南西師団をつくるなどという記事を引用して質問がありましたが、そういうものは一切ないというお話でございました。ところが、これは前置きをしておきますが、今回の組閣にあたって、この防衛長官の地位というものを総理が非常に重視をされている。新聞の報ずるところによると、自衛隊の士気を高める人、そして国民にPRできる人、それから外交感覚に富む人、こういうようなことが新聞に載っておりましたときに、この増田さんの名前があまり載っていないので、これは妙なことになった、この三条件に当てはまる方のはずなんだがと思っておったのでありますが、たまたま増田さんがまたあと継続しておやりになる、こういうわけでありますが、そこで、国民にPRというふうなことは、やはりできる限り国民の合意を——いずれになるにしても合意をということが一つうしろにあると思うのです。どうもあまり、表に出かかってしまっているものを、皆さん方のほうであれだけ大きな記事があっても、そんなものは何もない、こういう言い方というのは私はいかがなものかと思うのです。  そこで、それならば、案がなければなくてもいいから、私は考え方を聞きたい。新聞を見ると、復帰後の沖縄の防衛について原則が幾つか載っている。一つは、「本土と同様、沖縄でも、非核兵器による局地戦以下の侵略に対しては、自衛隊がその防衛にあたるのが当然で」あるというのが一つ。二番目に、「同時に極東の安全と平和のために果たす沖縄の役割りをも重視し、日米安保体制のもと、万全の共同防衛態勢をとる」この二点が復帰後の沖縄防衛考える原則である。いままでの過程の中で、こういうふうに報じている記事がある。これはわかり切ったことだからお認めになりますね。
  190. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は、この新聞記事等はいわば寝耳に水でございまして、あるいは検討している部面もあるかもしれませんが、私は存じないことでございます。  ただ、将来、日本は一道一都二府四十三県、すなわち四十七都道府県になるわけでございまするから、その沖縄県の防衛のことも四十六都道府県と同様に考えなくてはいけない、漫然としておってはいけない、やはり防衛責任がある、沖縄一百万の同胞を守る責任がある、こう考えておる次第でございます。
  191. 大出俊

    ○大出委員 ずばりお答えにならぬようでありますが、まあそういう基本的な考え方は、いまの時点で考えればある意味ではあたりまえの原則です。これはうなづいておられるからそうだと思います。  そこで具体的な中身がある。その中身によりますと——これは皆さんの考え方です。「現在の自衛隊は、海上輸送能力が貧弱で、有事の際、海路、本土から〃援軍〃を送ることは困難なので、前もって普通科(歩兵)一ないし二個連隊を中心とする一個旅団程度の部隊を置く。」これが一つですね。いま陸上自衛隊は九千または七千人の単位の師団しかない、旅団の呼称はないはずです。防衛庁の考え方として、この新聞がいままでの間に沖縄問題に触れて取り扱っている記事です。考え方を言ってください、そういう考えはありますか。
  192. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 これから何もかも勉強しなくてはならぬ問題でございまして、ただ大出さんに申し上げ得ることは、日本の重要な構成部分が日本の施政権のもとに返ってくるのであるから、わが国の重要なる一部として防衛申し上げなくてはならない、これだけでございまして、あとどうするか、こうするか、自衛隊をどれだけふやすかというようなことは、これから私自身が部下を指揮監督いたしまして検討させる、こういうことでございます。
  193. 大出俊

    ○大出委員 防衛局長にちょっと承りたいと思いますが、この中の二番目に、——これは東京新聞の記事じゃないですよ。「少数部隊で、直接侵略する相手の第一線部隊を一気に制圧する必要があるので、R30型ロケットなどの近代装備を重点配備する。」という考え方になっておりますね。それから「有事の際、自衛隊法百三条による民間航空機の使用などによって、本土から応援部隊を派遣する場面があるとしても、その輸送能力からみて、重火器、弾薬は、事前に沖縄に保管することが望ましい。」あなたはこれだけ新聞に載っておっても何にもないと言う。長官は、検討していることもあると思うけれども私は知らないと、こう言うのですがね。この段階で新聞がいろいろ扱うようになっているのに——これは考え方を聞いている。防衛庁の考え方としてとらえている。そこらぐらいのところはやはり言うてもらわなければ論議になりませんよ。いかがですか。
  194. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、防衛庁としましてはこれから調査、検討すべき問題をたくさんかかえておりますけれども、お尋ねの沖縄防衛に関する二方式案とかいうふうな、そういう案は防衛庁としてはまだ持っていないのが事実でございます。そのことをお答え申し上げたわけでございます。
  195. 大出俊

    ○大出委員 これは捏造といったって、こんなことをなかなかそんなにあなた書けるもんじゃないですよ。私どもだってしろうとではあるけれども、きのうやきょうやっているんじゃないのだから。きわめて具体的に、「航空自衛隊」「沖縄での領空侵犯に、新田原」——これは宮崎県ですよ、「新田原の第五航空団から緊急発進(スクランブル)することは効果的でないので、F104J二個飛行隊(三十六機)を配備し、航空団を新設する。」さらに「数か所のレーダー・サイトを保有する。」それから対空ミサイルの問題から、ずっとありますね。そういう前提のことが新聞にちらちら出ているが、その上におたくの案と称するものまで出てくるという経過があるわけですね。そうすると、あなたはしきりに、そんなものは検討もしていないというけれども、それはそういうふうに受け取れないですよ、世の中というものは。だから、やはり検討しているものなら検討している、こういう点が重点だというようなことは、やはり表に出してもらわなければ困りますよ。私はいま自衛隊法の百三条を取り出しましたが、これだって当初はおたくのほうは一生懸命、そんなものはない、ずっと詰めていったところが、いや二十項目ばかり検討しています。しかも、その直後に長官は、もっと早急に検討しろと言って督促をしたと新聞発表されている。だから、そういうことでは困る。やはりあなたのほうで考えている重点なら重点、基本的に検討しようという項目なら項目、その辺のところはやはり表へ出していただかなければ困りますよ。もう一ぺん答弁してください。
  196. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 何度も同じことをお答え申し上げて恐縮でございますけれども防衛庁としてのレベルでの案はございません。ただ、いろいろお尋ねがございますけれども防衛庁の職員がいろいろたくさんおります。そして頭の中で、私自身もそれ以外の者も、いろいろ沖縄が返った場合にはどうだとか小笠原が返った場合にはどうだとか、これは任務として考えているということはいろいろ各人ございましょう。ある自衛官なら自衛官が、返った場合にはこういうことが想像されるとか、こういうことが推測されるとかいうようなことをいろいろ頭の中で研究しているということはあろうと思います。また、それはあってしかるべきだと思いますけれども、私が申し上げているのは、防衛庁の組織的なレベルで具体的な案を持ち寄って、そしてこれが第一案だとかこれが第二案だとかこれが第三案だとかいうふうな案をつくって、これを相談をして、これをまず第一案にしようとかいうふうなところまでまだいっていない。そればこれからの問題である。外交交渉によっていろいろな条件なり、返り方がいろいろありましょう。それによってずいぶん違ってもまいります。そういうことをこれから防衛庁としては真剣に検討しなければいけないし、私自身も勉強しなければいけないと思っておりますけれども、現在のところは、正直に申し上げて、そういうふうにお示しするような案は出ていない、こういうことでございます。
  197. 關谷勝利

    關谷委員長 大出委員、木原委員がちょっと大臣にお尋ねしたいということがありますので……。
  198. 大出俊

    ○大出委員 途中だから、いまの点だけ確認しておきたい。  そうすると、このいまの防衛局長答弁からすると、沖縄の施政権の返還後ということを頭に置いて、おのおのの責任ある分野、分野でそれなりに峯案、それなりに検討、こういうものがずっと続いている。一案にしようとか二案にしようとか、そこはわかりませんけれども、続いている。そうすると、それらの中身の中にこういうふうないろいろなものが検討の素材として入ってきている。しかし、それが最終的に一案だとか二案だ、そういうまとまったものはないと言うのですね。いいですな、大臣。そういうふうに、受け取れますがいいですね、いまの答弁は。
  199. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 両三年内に沖縄は返還のめどがつく、こういうわけでございまして、その返還の態様等についても日米協議委員会でこれからせっかく検討するわけでございます。でございまして、さしあたりは小笠原島のことを、本日外務大臣とジョンソン大使とがやる、こういうわけでございまして、まだどんな形で返ってくるかわかりもしないのに——行政、司法、立法の三権が返ることば、これは明瞭でございます。施政権が返るというのですから。ただあとの沖縄の果たしておる極東並びに日本の平和と安全の保持に貢献しておるそのことも考えずに、こちらでいろいろなことをしたところで意味はないわけでございます。ただし、勉強はいたしまするか、まだ、私は沖縄のことについていろいろ万一の場合を考慮せよというような下命はいたしておりません。でございまするから、防衛局長が言うのは、作業はだれかしていることは、これはかってである、ということは、つまり職務上そういうことをするかもしれませんが、前提が違うごとにぐるりぐるりと変わるのです。でございますから、沖縄県一県の防衛ということをこちらは考えます。しかしながら、極東並びに日本の平和と安全の維持ということを考えて存在しておるのが、沖縄にございます四万五千の米陸海空軍であろうと思います。でございまするから、軽々に、いまこういう案を出したら向こうはこうだというようなことまではすぐいかない。私は小笠原島のことは至急検討せよということを命令いたしました。まだ沖縄はまるきり命令しておりませんのに新聞に出ておるということは、非常に私としては不本意でございまして、こんなことは責任が負えませんし、また、こういうことをもし新聞に出すような者があるならば厳重に処罰すべきものである、こう考えております。
  200. 大出俊

    ○大出委員 それは、いまちょっと気になることをあなたはおっしゃるのだが、こういうことを新聞に出すような男は処罰するなんて、何にもないものを、処罰する対象がないじゃないですか。何かあるから出てくるから、あなたの口の中からそういう者を処罰する、こう言うのであって、そうでしょう、ひた隠しに隠すからつまり問題がおかしくなるので、あれだけ出ているものを、そんなものを出す者があるなら処罰するなんて言い出したらおさまりがつかぬのじゃないですか。ほんとうに何もないものなら、何も出てくるものがないのだから、処罰する対象がないのだから。あなたのほうの討議で検討しているからそういうことになる。そこのところをすっきりさせておいてくださいよ。そんなものを出した者を処罰するなんて言い出したらめんどうだ。
  201. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大出さんにお答えするのは、私は小笠原島のことは防衛をすみやかに検討せよということを下命いたしました。沖縄諸島に対してはまだいたしておりません。でございまするにもかかわらず、いろいろな書類があって、いろいろな書類が出るというようなことがあるならば、これは官紀紊乱であります、ということを申し上げているわけであります。
  202. 大出俊

    ○大出委員 いろいろな書類があって、それが表へ出ては困る、にもかかわらず出すというようなことがあれば、それは官紀紊乱だ。そうすると、いろいろの書類があるということだけは明らかになったということになる。  そこでひとつ長官のいるところで承っておきたいのですが、極東の範囲についてひとつどなたかお答えをいただきたい。岸さんが総理のときに答えているはずですがね、現在どうお考えになっておりますか。
  203. 高島益郎

    ○高島説明員 先生の御質問の意味は、このコミュニケにございます範囲でございますか。
  204. 大出俊

    ○大出委員 そうです。
  205. 高島益郎

    ○高島説明員 このコミュニケの解釈につきましては、実はほかの人から御答弁がありましたが、私といたしましてははっきりした解釈をする立場にございませんので、ごかんべんいただきたいと思います。ただし、日米安保条約の極東の範囲につきましては、当時の国会の答弁におきまして、政府のほうから統一解釈というふうなものが出ております。もし御希望でございますならば出させていただきたいと思います。
  206. 大出俊

    ○大出委員 私が質問している趣旨は、時間がないから簡単に言ったのですが、さっき申しましたように、岸さんの時代に、極東の範囲はフィリピン以西であるとかなんとかいっぱい出ているわけですね。これは専門家ですから御存じのとおり。ただ問題は、今度の極東の安全保障を保持する云々という中身を見ておりますと、どうもだんだん極東の範囲というものが広げられていく感じがする。だからいまおことばにあるように、共同コミュニケにある極東の範囲でございましょうかというお話が出てくる。つまり旧来の統一見解、解釈があるものと違ったニュアンスが受け取れる。だからあなたの言ったのは、旧来あるものはあるのだけれども、共同コミュニケに言う極東の範囲ということになると私らはお答えできないと、こうなる。それは旧来の極東の範囲と違うものを考えておられるからなんだ。だから実は私はいまのような質問をしている。さっきの楢崎君の質問にもからむから。しかしあなたは、あなた自身としては答えられない。じゃ、おそらく外務省できょうから小笠原の問題を始めるのでしょうから、小笠原の問題は、これだって極東の範囲にからむ。そうすると、何かしらあなたのほうでやはりそれなりの対応すべき案なり考え方なりまとめていないはずはない。あなたが答えられないとすれば、どういうようにすれば外務省は答えられるのですか。大臣がいいならいいと言ってくれればいい。じゃ増田さん答えてください。−時間か非常にないわけですから、いかんともしがたいわけですけれども、私は一言申し上げておきますが、極東の範囲というものが広がれば広がるだけ、国際紛争に関連をする部分がふえるということだけは間違いない。広がれば広がるだけこれは当然なんです。だから私どもは極東の範囲というものはなるべく拡大解釈をさせたくない、こういう気持ちがある。ところが今回の共同コミュニケから受ける感じは、またここで広がっていきそうな感じになってくる。そこに今回の共同コミュニケで言う極東の範囲となると私からは答えられない、こういう実は御発言が出てくるわけであります。したがって、時間がありませんからあらためてやりますけれども、外務大臣がおられるときに聞き直しますが、いずれにいたしましても、いまのこの共同コミュニケが与える非常に大きな影響というものを考えるときに、先ほど楢崎君からも話が出ましたけれども、私どもはどうしても三次防に手を加えざるを得ないという前提、それからもう一つは安保条約にいうところの事前協議ないしは交換公文、こういうふうなものに対する変更の方向、非常にこれを強く受けるわけでありまして、長官が、有翼ミサイルというのは安全に役立っているのでたいへん大きな価値を持っている、この価値、機能を低下させたくないとまでお答えになっておるところを見ると、ますますもってそのにおいが強くなる。そうしていただきたくないという考え方を実は私どもは持っているわけですから、その点だけ申し上げておきます。  亀岡さんにひとつ……。政府関係機関の給与の問題に関しまして、短時間に結論をひとつお出しをいただきたい、こう思うわけでありますが、政府関係機関といま言っておりますのは、大体三十九くらいあるんじゃないかと思うのですが、そういうことでよろしゅうございますか。
  207. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 政府関係機関三十九というものの根拠を私承知いたしておりませんが、もうちょっと多いような感じを持っております。六十八くらいあるんじゃないかと思いますが、大蔵省から…。
  208. 大出俊

    ○大出委員 一昨年、私これは中に入っていろいろまとめ役という意味でお手伝いをした経験があるのでありますが、毎年いつの間にかふえちゃった勘定になるのでありますが、この時点でどなたか、政府関係機関といわれておりますもの、対象になるものは幾つくらいあるのか、念のためにひとつ正確にお答えをいただきたいのです。
  209. 津吉伊定

    ○津吉説明員 お答えいたします。  われわれが関与させていただいております政府関係機関と申しますのは、法令上主務大臣の認可及びその際に大蔵大臣の協議を受けまするものが五十四法人でございます。それから予算上われわれが関与させていただいておりますものは十四でございます。合わせまして六十八でございます。したがいまして、先生のおっしゃる政府関係機関の定義そのものが非常に問題といいますか、むずかしいのでございますけれども、われわれいま申し上げました数字の法人につきまして関与させていただいております。
  210. 大出俊

    ○大出委員 ところで、きのうの閣議でございましたかね、公務員給与給与法改正等をめぐりまして御決定が一つ出ているはずでありますが、あわせて政府関係機関に関する給与についての一応の線をやはりお出しになったように承るのですが、パーセンテージにしてどのくらい見ておられますか。これは内規ともからむことですが……。
  211. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 大体人事院勧告の線において勧告されました七・七%は含ましてあるわけでございます。
  212. 大出俊

    ○大出委員 念のために承りたいのですが、この政府関係機関の職員の方々というのは、組合を結成されますとこれは団交権、ストライキ権があるはずでございますが、それでいいわけですね。
  213. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 そうです。
  214. 大出俊

    ○大出委員 となるとここで七・七、これは一つのめどだと思うのです。つまり使用者としての政府あるいは監督者としての政府、いずれにいたしましても組合が団体交渉権を当事者との間で持っている、協約締結権がある、ストライキ権がある、こうなりますとこれから先はもちろんこれは純然たる労使関係ですね。そうすると、一方で予算のワクをどういうふうにとってみても、それで団体交渉権を縛るわけにいかない。このたてまえははっきりさせておいていただきたいと思うわけであります。そうでないと当事者能力が全くなくなってしまうわけでありますから、そこらのことをいかがにお考えでありますか。
  215. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 大出委員御承知のように、それぞれの政府関係機関が設置されますについての各関係法律の中で、政府が予算の編成にあたっていろいろの権限を持っておる場合、また予算上いろいろ制約を加えておる場合とあるわけであります。一方においてそういう当事者側と申しますか理事者側に制約が加えられている反面、労働三法によって労働基本権が完全に与えられておる、そういう何と申しますか相矛盾したと申しますか、そういう面が確かにあるわけでございます。この問題は基本的な問題として今後私どもとしてもぜひ検討していかなければならない線でございますが、現行法上そういう制約の中においてやっていかなければならないという現状の中で、いかに円満に労使間で話し合いがつき得るようにするかということに、当面私どもとしては努力してまいったつもりでございます。
  216. 大出俊

    ○大出委員 普通ならこれはまことに不満足きわまることで終わってしまうのですけれども、せっかく御努力をいただいている亀岡副官房長官ですから、そういう言い方でなしに私はものを言っているのですから……。したがって昨年の例からいっても、二月の段階になってもまだいろいろやっておった時期がございました。したがって今後とも、いま私が申し上げた筋はお認めになっておるわけでありますから、その筋に従っていろいろ問題が出てくると思いますけれども、やはりあわせて当事者能力をこの政府関係機関の理事者の諸君に持たせるように、ひとつ格段の御努力をいただかなければならぬ、こう思うのです。  そこで承りたいのですが、人事院の尾崎さんお見えになっておりますけれども、その関連でこの政府関係機関の初任給、ここらあたりはどういうふうなことになりそうでありますか、これはあるいは大蔵省の津吉さんが一番よく御存じなのかもしれませんが、大体どの辺のところに押えておりますか。大学あるいは短大、高卒者の初任給は、人事院は今回何がしかの手直しをしておったわけでありますが、そこのところはいかがですか。
  217. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 公務員の初任給につきましては、先般の勧告にございますように、民間の関係を調査しましたものと均衡をとりますように、かつ標準生計費等の関係もございまして、改定の勧告を出しておるわけでございます。
  218. 津吉伊定

    ○津吉説明員 先生すでに御承知かと思いますが、人事院勧告に基づきます国家公務員の初任給に対しまして、これもすでに御承知のように、年金制度の水準が違います。それから団体の性格からいたしまして、日の丸的永久性といいますか、そういう性格的な違いがございます。それからもう一つは、創設後、日本国政府のごとき長い歴史を持つものはないわけであります。その歴史のもとにおきまして、福祉施設等もいささか不十分であるという面があろう、こういうことで、おおむね一二ないし一五%という程度の割り増しといいますか、増分が考えられるのがめどでございます。
  219. 大出俊

    ○大出委員 まあ政府のほう、公務員のほうは日の丸的永久性がある、また福祉施設等についても優遇されているが、つまり政府関係機関の方々のほうは優遇されていない、だからできるだけひとつよく見ていこう、こういう御趣旨だと思います。そう受け取ってよいわけですね。——いずれにしても初任給が一つのやりとりをする場合の基礎になってまいりますから、そこもやはり団体交渉というものが行なわれる性格の労使関係だというところを、先ほど私申し上げましたようにひとつ押えておいていただきたい、こう考えるわけでございます。そういたしませんと、この辺のところを見るようにしたんだからというので、また団交権を制約をするという形になっても困る。  そこでひとつ次に移りますが、内示、これは幾つかおやりになりましたですか。
  220. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 昨日の段階で、夜おそくまでかかって終了いたしておるはずでございます。
  221. 大出俊

    ○大出委員 そうすると関係機関のほとんどにはもう大体のところ、ここで質問するとなかなかこれは給与課長答えにくいと思うけれども、大体のところわかったということにはなっているわけでございますか。
  222. 津吉伊定

    ○津吉説明員 ただいま亀岡副長官からお答えがありましたように、昨日終了いたしておるはずでございますという点は、先生おっしゃいますように大体ではございませんで、全部完了いたしております。これはてまえみそのようでございますけれども、相当努力をいたしまして、お互いにくたびれたところでございます。
  223. 大出俊

    ○大出委員 きわめて率直な実は御答弁なものですから……。たいへん御努力いただきましてありがとうございました。  さてそこで、旧来の例からいたしまして、そういった形の内示と言っていいんですかね、というふうなものが行なわれる。さてそこから検討を始めて各理事者が回答する、こういう段取りになると思うのですね。したがって、回答がおくれますと、ここでまた実は昨年のような例で年を越してしまうというようなことになりますと、公務員に比べて優遇されていないとすればなおのこと、この臨時国会で給与法はおおむねまあケリがつく筋合いが慣例でございますから、そうすると大体その段階で渡るものは渡ることになる。ところが優遇されていないほうが年を越してしまったなんということになると、せっかくくたびれたという御発言が出るほどに御苦労なさった結果としては、親の心子知らずというのがどこかに出てくるということになる、そういうことになるわけでありますので、ひとつどうせ内示のしついでに、いつごろまでにひとつ回答を出してやりなさいというところまで、これはやむを得ざる筋でこうなっているわけでありますから、御配慮いただいてもおかしくない筋合いだろう、こう思っておるのですが、そこらのところは、できれば来月の四日、五日くらいまでにみんな出そろったというかっこうにしてもらえば、どうやら国家公務員給与のほうと一応の時期的なめどがついていく、こう思うのでありますけれども、いかがでありますか。
  224. 亀岡高夫

    ○亀岡説明員 政府からいつ幾日まで回答を出せということは、これは労使間の自主的な交渉の問題に関与することにもなりますので、いつ幾日までというようなことは、これは気持ちではあっても、表面上政府としては言い得ない立場でございますので、そこらのお気持ちは十分承知しながら、できるだけ早く回答を出すようにということで労働省、大蔵省のほうからも各理事者側のほうにわれわれの意思を伝えてあるわけでございます。
  225. 大出俊

    ○大出委員 労使関係をながめてみておりますと、組合側としては、大体五日ぐらいまでに出そろってしまわなければ年内支給は困難になっていく、解決は困難になっていく、こういう見方をしている、こう見ておると受け取るわけでありますが、いまの答弁はそこらをおわかりの上で、何とかそういうふうなかっこうにおさまっていくようにという前向きの答弁であります。ここから先、だめ詰めみたいなことはいたしませんけれども、せっかく津吉さんはじめ、特に亀岡さんには御努力いただいた結果ですから、何とかひとつそういうかっこうで進めていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ、人事院の尾崎さんのほうと関連があるのでありますけれども政府機関の中で都市手当、まあいまで言う暫定手当でございますが、これがついているところが幾つかあるように思いますが、幾つぐらいございますか。
  226. 津吉伊定

    ○津吉説明員 ただいま御指摘の暫定手当制度を持っておりません法人というのが大半でございまして、御指摘になりました暫定手当制度を持っております法人は、最初に申しました数字のうち六法人でございます。
  227. 大出俊

    ○大出委員 そこで尾崎さんのほうとからむのですけれども、どうも都市手当の問題は、これは規則できめるかっこうになっているわけです。これとの繰り入れの形が始まるわけですね。だから、暫定手当というものが、〇、一、二というやつの底上げがありますからね、都市手当に変わるにあたって……。そこで、片方三、四のところが当面問題にもなってくる。その三、四のところ、つまり甲、乙と関連をして、そういうところが何となくもやもやとしている感じですね。どうも大蔵省の皆さんのほうからも、そう黙っておるだけじゃなくていろいろなことをおっしゃるそうでございますし、したがってそういう点からすると質問しにくいのだけれども、何となく耳に入ったのからすると、それらがあるのでなかなか計算がしにくいということを大蔵省当局の皆さんが言っておられる面があったわけでありますが、そこらのめど、ケリはつきましたですか。
  228. 津吉伊定

    ○津吉説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、私は組合の方々ともお会いをいたしましたときに、実はできるだけ早くいわゆる内示、これはわれわれ協議を受けまする際の給与の積算基準のおおむねの根拠でございますが、これを御相談するという時期が、昨年と違いまして、すでに御承知の都市手当という関係で非常にまあ遅滞する要因にこそなれ、これを促進するという方向には少なくとも働かない。まあしかしながらわれわれは、昨日閣議決定がございましたが、給与法案の閣議決定とともに、補正予算案の閣議決定とともに、そういう給与基準についての御相談も早急に直ちに始めましょうということで、その点は計算をいたして御相談を了したわけでございます。
  229. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、まだこれからこまかい、つまり都市手当そのものは人事院に規則制定権がありますから、そこらと関連をしていく、しかしおおむねのところは見当がついているということですか。
  230. 津吉伊定

    ○津吉説明員 これも重々申し上げまして釈迦に説法でございますけれども、暫定手当制度を持っておりませんところの関係機関におきましては、それこそ先生おっしゃいますように団体交渉の問題でございますが、あらためて地域給制度をとろうかというところがありますかどうですか、これは交渉面でございます。現状から申し上げますと、ただいまのような暫定手当制度採用の法人の数字でございますので、そこらの配分はおおむね大体の傾向といたしましてはお察しのところかと存じます。
  231. 大出俊

    ○大出委員 都市手当問題の質問をいたしますとなかなかめんどうになりまして、どうもお答えをいただきにくい面が出てくるのじゃないかと思います。というのは、いろいろな既得権もありましょうし、勧告のたてまえもありましょうし、なかなか微妙なことになるだろうと思っておりますから、もう少しこれは予算当局あるいは担当の人事院の皆さん方のほうで御相談をいただいて、いずれ法案あるいは規則の形で私どもの目に触れると思いますので、その機会に譲りたいと思いますが、いずれにせよ、そこらの面からいっても、どうも優遇されてないと考えなければならぬ数々の問題もあるわけでございまして、したがって何とか皆さんにひとつこの際そういうふうなことも含めて、たいへんおくたびれのところを恐縮なんだけれども、なお一そうの御協力を賜わりまして早期にひとつ、特に優遇されてないわけでありますので、ストライキなどを打たしてまた世の中を——これは道路公団なんかというのはストライキをやっていただいたほうがいいくらいで、みんな料金を取られる高速道路を無料で走ってしまいますからいいのですけれども、どうもそういう無責任なことを言うわけにもいかない。したがって何とかこの際そういうことのないように陰ながらの御配慮をさらにいただいて、わけはお互いわかり切っているわけですから、まとめていただくという方向でお進めいただきたい。私どものほうも努力をいたします。その点お願いいたします。
  232. 津吉伊定

    ○津吉説明員 ちょっと先ほど副長官が御答弁になりました、できるだけ早く妥結をはかられるように、それに資したいというふうな事務処理をわれわれがやっていることはもちろんでございます。具体的に申し上げれば、きのうの給与算定基準の相談におきましても、主務大臣及び理事者側に対しまして、先ほどお話しになりましたように、いつ幾日までということは、これは労使交渉における交渉に介入するということになりますので、精神訓話といいますか、要するに遅滞させて何の意味があるか、できるだけ早く妥結をはかられたいということは具体的に申し上げております。
  233. 大出俊

    ○大出委員 介入はしないが、言うだけはちゃんと言っておいた、こういうことですね。——わかりました。ひとつそういうことで促進をお願いを申し上げたい次第であります。  たいへん長くなりましたけれども、ありがとうございました。
  234. 關谷勝利

    關谷委員長 木原実君。
  235. 木原実

    ○木原(実)委員 長官がお帰りになりまして、大きな問題は次回に譲ることになりましたが、一つだけ。  教育局長の所管だと思いますけれども、実は先回の委員会でもちょっとお尋ねをいたしました千葉県船橋市にある習志野の空挺団に関する問題ですが、これはこの前御答弁をいただいて、九月の二十六日に迫撃砲が誤って投下をされた。迫撃砲が空から降ってきた。ところが、つい四、五日前に今度は人間が降ってきた、こういう事態が相次いでいるわけなんです。この前も、演習の内容を変えるんだ、こういうことがあったのですが、全く同じようなケースで今度は人間が降ってきたというので、たいへん周辺は戦々恐々としているわけなんですが、何かそのことをお聞きでございますか。
  236. 中井亮一

    ○中井説明員 前回九月の二十六日の物量投下の際に誤って民家の屋根に物を落としまして、たいへん御迷惑をおかけいたしました。その先生からの御質問に対しまして、四点ほどあげまして対策を申し上げて、それに従って慎重に今後の訓練をするようにいたしたいというふうに御答弁申し上げたわけでございまして、そのとおりに訓練をしていたわけでございますが、去る十一月の二十一日の昼過ぎに、たまたま風が降下の途中で変わりましたので、二人ほどの隊員が演習場の外に降下してしまった。そのために民家の屋根と看板をこわしたという事故が起こりました。これに対しましては、さっそくその当事者並びに関係の市当局、自治会等にもおわびに参りまして御了解を得たわけでございますが、気象の急変ということを十分考慮に入れながら従来から訓練はしているわけでございますけれども、しかしやはり今回のように急に風の向きや風の力が強くなるというようなことのために若干外に落下したということで、今後そういう点も十分に考慮をして、風が変わっても訓練場内に落下ができるようなふうに、一回におりる人員についての配慮をさらにいたしたいというふうに現在検討を続けているわけでございます。
  237. 木原実

    ○木原(実)委員 せんだって長官も何か現地を視察をされたそうですか、もう無理なんですね。この周辺はいわゆる住宅公団の団地それから住宅地それから新しい工業団地、そういうものがもうあの演習場を取り囲みまして、演習場自体が島になっているわけなんですよ。しかも今度は、この間人間が降ってきた近くに小学校の建設がこれから進められる、こういうことになっております。私の選挙区ですからよくわかるのですが、大体無理なんですね。そこで地元の市会等も満場一致で、何とかあの演習場をひとつどこかにかわってもらえないだろうか、こういう決議をいたしている始末なんです。現地の空挺団のところには、市長名ないしは議会の議長名でそういう趣旨の申し入れ等もしているように聞いているわけなんです。  そこで、政務次官もいらしゃいますけれども、大体御承知のように東京近郊のたいへん急激に住宅化していきつつある中で演習場を持つということが、いろいろなほかの行政面その他のことと関連して、そもそも無理なんじゃないですか。だからわれわれは、いろいろな役割りがあるでしょうから、部隊が駐屯すること自体は、すぐかわれというような要求は出しませんけれども、演習場を置いて、しかも空挺団で空からいろんなものが入ってくる——私の調べたところによりますと、最近十回くらい似たような事故が相次いでおるわけですね。そのたびに新しく移住をしてくる住宅あるいは工場は、今度何が降ってくるんだという状態になっておるわけです。ですからいろんな措置も急いでしてもらわなければならないわけですけれども、基本的には、都市の過密地帯の中の演習場を適当に移すということについて何か新しく考えるという、そういうことは考えられないでしょうか。
  238. 中井亮一

    ○中井説明員 当然将来の問題としては考えなければならないとは存じますけれども、目下のところ適当な演習地もございませんので、何とか使用できるように、面積に合ったような訓練をできる限りいまのところやらせていただくということで、ぜひお願いしたいと思っておるわけでございます。
  239. 木原実

    ○木原(実)委員 これは先行きまだなかなか問題が出てくると思う。その近くに刑務所がありましたのはごく最近移転をしたわけですね。刑務所と自衛隊を一緒にするわけではないのですけれども、とにかくそういう羽目になっておるわけです。例の一局削減で教育局を廃止をされるということになるのですが、教育局が廃止をされるくらいなら、ひとつ最後の局長の御努力で、ともあれだれが見てももう狭くなって不合理なところに演習場があって、しかもその演習の中身というのが空から物を落とす、人を落とすということなんだから、これはやはり適当なところにかわるべきだという案を出して、これは教育局として一つの功績を残すことになると思うのですが、いかがなものでしょうか。これはおやめになる人にはなむけのあれなんですが、大体軍備を拡大して名を残したという人はあまりない。北京に参りますと、御案内かもしれませんがあそこに万寿山という山があります。その前には非常に風光明媚な昆明湖というのがありますね。聞くところによりますと、これは清末に西太后か何か軍備に使う金をごまかしてそういう池を掘り山を築いた、しかし百年たちまして軍備の問題はあとかたもなくなったけれども、昆明湖と山は市民のいこいの場としてたいへん生きておる、こういう話を聞くわけです。習志野は歴史のある戦前からの演習場ですが、もう狭くなりましてどうにもならないから、せめて防衛庁の一つの施策の中からこれを市民のいこいの場として残す、こういうことになれば、自衛隊も国民的合意を促進することになるのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、ともかくこれはよけいなことですけれども、どうかひとつ前向きの検討をするようにという何かを残していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  240. 中井亮一

    ○中井説明員 都市開発の関係で、自衛隊が使っております射場、演習場等につきましては全面的に検討するということで現在取り組みつつあるところなんでございますが、そういうことを考えておりますけれども、いまお話がありましたように、そう簡単にもできないことだものでございますから、さしあたりのところを私御答弁さしていただいておるわけでございます。
  241. 木原実

    ○木原(実)委員 ありがとうございました。それじゃこれで終わりますけれども、これはいずれ地元の関係が出まして、先へ尾を引く問題だと思うのです。いまお話を承りますと、たとえば都市近郊にある射爆場だとか、演習場だとか、そういうものは再検討してしかるべき措置をするような考え方が進んでおるということでございます。
  242. 中井亮一

    ○中井説明員 ただいま私が申し上げましたとおりでございます。
  243. 木原実

    ○木原(実)委員 それじゃ、都市近郊の中の問題もすでに何回も起こしておりますから、その中にぜひ習志野の問題も含めてもらいたい。これは要望を申し上げておきまして、終わりたいと思います。
  244. 關谷勝利

  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほどの約束によりまして、防衛施設庁関係の御質問を申し上げたいと思います。福岡県の粕屋郡と福岡市にまたがります雁ノ巣基地の問題であります。  まず第一番に、雁ノ巣は、御承知のとおり昭和十一年でございますか、陸軍に接収されて、私も九大におりますときに、学徒動員でその基地づくりに動員をされたわけですが、戦後引き続いて米軍に接収された。そして、昭和三十年ごろから雁ノ巣の補助飛行場は、ほとんど使用されなくなりました。そこで私は、もう三、四年前になると思いますが、この雁ノ巣の返還方について当内閣委員会で問題を取り上げました。そのときの政府答弁は、善処をしてみるという意味の答弁をいただいたわけです。ところが、最近この雁ノ巣の飛行場についての地元の方々の返還連動が起こって、実は問題がここに新しく出てまいったわけであります。それは、雁ノ巣の補助飛行場が、いつの間にか滑走路、格納庫等が取り払われて、通信施設ができ上がりつつあるという事実であります。  そこで、この雁ノ巣の飛行場の接収の目的、使用の態様が変更になったわけでありますが、そういった目的なり使用態様の変更、形質の変更、このようなときには、当然日米合同委員会にその議が持ち出され、地元の所有者の方々にも、あるいは関係方面にも、当然協議があってしかるべきであると思いますが、そういう手続が踏まれたのかどうか、まずその点をお尋ねいたします。
  246. 小幡久男

    ○小幡説明員 雁ノ巣の現在の施設は、昭和三十五年の地位協定の発効によりまして三つに分かれておったわけでありますが、キャンプ博多、それから補助飛行場、西戸航空管制通信、これを統合いたしまして雁ノ巣の空軍施設として提供するという合意が三十六年、日米合同委員会で合意された次第であります。これに従いまして、この空軍施設の中で空軍の施設する通信施設がつくられたということでありまして、通信施設をつくることは事前に連絡を受けておりますが、施設としては空軍施設として提供されるということでカバーされておるというのが現状でございます。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日本政府としては、この通信施設に変える、そういう相談を受けられましたか。日米合同委員会の協議で施設委員会の議題になりましたか。
  248. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この通信施設の関係のことでございますが、昨年施設委員会を通じまして、周辺に通信施設をつくる関係上、周辺の電波障害規制地区を設定してもらいたいという要求は出ております。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま最後のところがわかりませんでしたが、昨年通信施設をつくるについて電波障害規制区域をつくってくれという話があったというお話ですか。大きな声で区切りよく言ってください。
  250. 鐘江士郎

    鐘江説明員 そのとおりでございます。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昨年の何月何日でございますか。
  252. 鐘江士郎

    鐘江説明員 昭和四十一年八月でございます。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、あなた方が通信施設にするから電波障害規制地帯を設けてもらいたいという通知を受けたのは昨年八月かもしれないが、通信施設をつくるという御相談はなかったのですか。
  254. 鐘江士郎

    鐘江説明員 正式の協議はございません。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、通信施設はいつできたんですか。
  256. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この通信施設がいつ完成し、いつから開始されたかということは、把握しておりません。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 現在通信施設があることは御存じですか。
  258. 鐘江士郎

    鐘江説明員 存じております。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつそれを知られましたか。
  260. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先生も地元でいらっしゃるのでよくおわかりだと思いますが、あそこの雁ノ巣空軍施設の西寄りには、すでに以前より西戸崎通信施設がございます。これが一つございますが、さらにもとの補助飛行場寄りの地区に一つの通信施設があるわけでございます。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がお伺いしておるのは、いうところの雁ノ巣の補助飛行場に通信施設ができたことを、あなたは知っておると言われました、いつ知られましたかと聞いておるのです。
  262. 鐘江士郎

    鐘江説明員 局の報告によりますと、四十一年の二月ころに当該通信施設がほぼ完了したことを知っております。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私も福岡の施設局の報告をいまここに持っておるのですが、これはたまたまその提供施設の管理業務に関連をして担当官が雁ノ巣に行ったらば、建物が二戸建っておった、通信塔が二個建っておった、こういう報告ですよ。間違いありませんね。
  264. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この通信施設が完成した日につきましては、遺憾ながら確認しておりませんけれども、この通信施設ができるであろうというようなことは、四十年の中ごろからそういう話が米側へらのいろいろな要求によりまして想像されておったことは事実でございます。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは確認をしておきますが、日米合同委員会で雁ノ巣補助飛行場の態様を変えて通信施設にするということは、正式に合同委員会の協議にはならなかった。いっそのように通信施設に変わったかわからない。たまたま四十年二月に担当官が雁ノ巣に行ってみたら、すでに建っておった。そこで思い返してみるに、四十年の五月二十八日、あるいは四十年の六月二十一日、あるいは四十年の七月二十二日、一連の補助滑走路内にある建物の撤去、あるいはいままで西日本空輸なり福岡県警本部と共同使用しておったものが拒否をされるという事実、そういった一也の事情から思い返してみるならば、あるいはそのころから通信施設をつくる動きがあったんではなかろうか、こういうことですね。私がいま申し上げたこと、確認されますね。
  266. 鐘江士郎

    鐘江説明員 さようでございます。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、あなたは空軍施設として包括提供しておるから、何に変えようと一々協議したり連絡したりする必要はないとおっしゃいましたね。そのとおりですか。
  268. 鐘江士郎

    鐘江説明員 施設の内容に重大な変更がなされないということでございますので、あえて本件につきましては日米双方の事前協議の対象になるとは考えておりません。
  269. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 重大な変更でないということは、どこで判断されましたか。あなたは知らないと言っているんでしょう。そういう変更があることは知らないと答弁なさいました。重大な変更でないと、どこで判断されましたか。
  270. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この雁ノ巣空軍施設の中には、先ほど長官お話し申し上げたとおり、官舎もあれば通信施設も包含されておるわけでございまして、その雁ノ巣の空軍施設の中に通信施設がさらに設けられたということにつきましては、施設の使用の重要なる変更だということは考えておりません。
  271. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたはごまかしちゃいけませんよ。通信施設の現在まである地域は、あなた三カ所とおっしゃいました。雁ノ巣の補助飛行場は補助飛行場として、厳然としてあったんです。いいですか。そしてこの飛行場の施設その他を全部取りこわしたんですよ。いいですか。おたくの資料によると、局から出た資料によると、昭和四十年十一月に補助滑走路及び主滑走路の撤去作業が開始された。その前にもう建物は撤去しておるのです。そしてこれが滑走路を全部撤収する。そしてそこに新しく通信施設ができる。いままであった通信施設の場合は、電波緩衝地帯を設けるなんという話はなかった。今度はその申し入れがあっておる。あっておるほどの通信施設である。これがどうして重要な変更でないですか。どうして重要な変更でないですか。重要な変更でないと思われますか。形質の変更ということばがありますね、あなた方が使う。形質の変更に当たりませんか。
  272. 鐘江士郎

    鐘江説明員 雁ノ巣空軍施設そのものの一部の形質変更にはなりますが、その通信施設を設けることは、提供施設及び区域の重大なる使用目的の変更だとは考えておりません。
  273. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 電波の緩衝地帯はあとで聞きますが、そういうものを設けなくちゃならぬほどの重要な通信施設ができるのは、重大なる使用目的の変更だとは思わないというようなあなたの答弁というものは、それは通りますか。これはしばらくおきます。  そこで、形質の変更であることは認められました。形質を変更する際に、土地所有者なり関係方面に連絡する必要はないですか。
  274. 鐘江士郎

    鐘江説明員 私どもが土地所有者と契約を締結して土地等を借り受けまして、それを米軍に提供しておりますが、その契約書の内容によりますと、かりに提供中に土地等の形質変更を行なった場合には、返還時にそれを原状回復して、補償金で払うか、あるいは工事してもとどおりに直すか、そういうことになっておりますので、あえて一々所有者等の同意を得るということは必要ないと思っております。
  275. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたは重大なことをいま申されましたですね。いいですか。形質の変更について、返還時に原状回復するものであれば、たいした問題じゃないとおっしゃいました。原状に回復し得るかどうか、それを判断するのは土地の所有者ですよ。だから、返してもらうときに原状に復し得ないような施設ができる際には、所有者はそれに対して拒否をする場合だってありますよ。だから、形質の変更について連絡をし、協議をする責任が、私はあると思います。あなた方はいま契約書というものを出されましたが、契約書には、あなたが言っていることだけじゃないですよ。いいですか。契約書の九条を読んでごらんなさい。雁ノ巣の所有者と結んでおられる契約書の九条です。「本契約期間中駐留軍が当該賃貸物件の全部又は一部を除却し、若しくは増築、改築、その他その形質の変更及び立木等の伐採をする場合においては、あらかじめ甲に通知する。」甲とは所有者です。あなた方は、こういう契約書は一片の形式で、内容は問題にならない、板付の土地の使用関係だって、そういう主張をした。いままたあなたはそういう態度でおる。この契約書というものを全然無視するのですか。
  276. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先ほどは私は一般のことを申し上げましたのですが、本件につきましては、当該通信施設が新たにできましたところは、国有地上の問題でございまして、民有地には関係はございません。
  277. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 民有地に関係がないということは、どこで調べられましたか。アメリカと協議をして確かめられましたか。
  278. 鐘江士郎

    鐘江説明員 福岡防衛施設局からの報告によって知ったわけでございます。
  279. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは現在二つ建っているやつがそうですか。その意味ですか。これからどのように拡大されるかわからない。あなたは確信を持って言えますか。国有地以外にはそういうものはつくらないということを、あなたは米軍と約束しているんですか。
  280. 鐘江士郎

    鐘江説明員 現在建っているところの敷地は、国有財産でございます。
  281. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、民有地にかかるときには通知をするという意味ですか。
  282. 鐘江士郎

    鐘江説明員 民有地にかりにかかる場合でも、その工事の内容が非常に軽微であるという場合には、あるいはその場所か——御承知のとおり、あそこら辺は非常に国有地、民有地が入り込んでおりますから、ある場所が的確にここは民有地である、あるいはここは国有地であるということがはっきりしてない場合もございまして、したがいまして、そういう場合には一応調査いたしまして、大きな形質の変更であるといった場合には、当該所有者にあらかじめ通知するということにいたしたいと思いますが、現在は、そういう計画は米軍当局から聞いておりません。
  283. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 さっきからの御答弁によると、通信施設がどんどんつくられるのは、あなたたちは知らないのですよ。知ろうともしないのですよ。これからどんどん拡大されるでしょうが、それもあなた方は知る意欲もないし、どこであなた方はそれを把握するのですか。いま民有地にかかる——これはあげ足を取っているんじゃない。あなた方のいままでの答弁でそう思うのですよ。いつそれを把握するのですか。念のために言っておきますが、私の問題にしているブラディーの補助飛行場、これはFACの五〇〇六です。これの面積は約百四十六万平方メートル、そのうち国有地が百四十五万平方メートル、公有地が八千九百八十八平方メートル、これは福岡県の所有、民有地が八千五百九十平方メートル、これは西日本新聞社と国際興業株式会社所有、合わせて百四十六万平方メートル、そして、この地図を見られればわかりますとおり、あなたがおっしゃっているとおり、入り乱れております。どうして把握しますか。これから一生懸命把握しますか、アメリカと協議をして。民有地にかかるようであったら、知らしてください、民有地はここでございますと、そうやりますか。
  284. 鐘江士郎

    鐘江説明員 現在建っておりますところの通信施設につきましては、事前に米側から何らの通告がなかったわけでございますが、また今後いろいろな周辺に及ぼす影響等も考えまして、今後建設する際には事前に連絡してもらいたいという申し入れはやっておりますので、そういう具体的な米側からの事前の通知がございましたらば、具体的に現地で調査してみたい、かように考えるわけでございます。
  285. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは確認しておきますが、現在は二個建っているという確認を局の担当官はしておられます。だから、それ以上米軍が施設を拡大するときには、米軍から、拡大する前に連絡がある。そして、それが民有地にかかる際には所有者に通知をし、相談をする、こういうことですね。——よろしゅうございます。  では次に移りますが、電波緩衝地帯を設けるという意思表示が米軍からあったのは、昨年八月。何日ですか、八月の。
  286. 鐘江士郎

    鐘江説明員 昭和四十一年の八月四日の日米合同委員会の席上で提案されたものでございます。
  287. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その事実は、福岡防衛施設局に連絡なさいましたか。
  288. 鐘江士郎

    鐘江説明員 正式にはまだ福岡防衛施設局には通知しておりません。
  289. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜ、そういう申し入れがあったというのを地元の施設局に連絡なさらないのですか。
  290. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この電波障害に関する問題は、相当問題でございますので、ことしの一月に電波障害に関する特別委員会なるものを合同委員会の下部機構として設置いたしまして、そこの席上におきまして日米双方協議検討する、そういうたてまえでおります。したがいまして、日米間の提案の問題につきまして、まだ日米間の協議の爼上に遺憾ながらのぼっていないわけでございますが、それを詰めました上で局に通知をするということでもおそくはないのじゃないかということで、現在まだ正式におろしておりません。  なお、特別委員会のメンバーといたしましては、私ども防衛施設庁を初めとしまして、大蔵省、農林省、建設省、郵政省等の各省の課長クラスの人たちが、この委員になっております。
  291. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 電波緩衝地帯の問題は、まだ具体化していないから知らせなかった。そうだと思います、局長は何も指示が来ていないと言っておりますから。  そこで、いま電波緩衝地帯を日本国で設置しているのはどこですか。
  292. 鐘江士郎

    鐘江説明員 現在設置しております通信施設は、神奈川県の上瀬谷通信施設でございます。
  293. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうでしょう。通信施設は多い中で、電波障害制限地域——緩衝地帯と私は言いますが、緩衝地帯を設置しているのは、日本国でただ一つ、横浜の上瀬谷の通信施設。そうですね。そうすると、いま雁ノ巣周辺に対して緩衝地帯を設けようというのは、もしそれができれば、日本で二番目の緩衝地帯ができることになりますね。
  294. 鐘江士郎

    鐘江説明員 そのとおりでございます。
  295. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、この上瀬谷の電波緩衝地帯のケースというものは、重要な参考になるわけであります。そこで私は、この上瀬谷に以たような緩衝地帯が雁ノ巣周辺に設けられるであろうという想定のもとに、念のためにお伺いをしておきますが、この緩衝地帯を設ける法的な根拠をひとつ明らかにしてもらいたい。
  296. 鐘江士郎

    鐘江説明員 先生すでに御承知のとおり、地位協定第三条二項の後段には、「日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。」という規定がございますが、この規定に基づきまして、日本政府は合理的な措置をとる必要がある、かように考えております。
  297. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私もそのとおりであろうと思います。条約上の根拠は、地位協定三条二項の後段であろうと思います。しかし、それは日本国を縛る条約であって、直接私権にそのままこれが拡大されることはできません。そこでここに書いてあるとおり「合理的な措置を関係法令の範囲内」と明記してあります関係法令とは、この上瀬谷の場合どういう関係法令の範囲内でやられたのでしょうか。
  298. 鐘江士郎

    鐘江説明員 当時この上瀬谷通信施設におきますところの電波障害制限措置につきましては、電波法を改正するか、あるいは電波法の特例法を改正するかということで郵政省とも関係各省あわせまして相当検討したわけでございますが、いろいろ技術的な点で問題点があるということで、やむを得ず閣議決定によりまして、行政措置によってこの問題を処理するということになったわけでございます。
  299. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 上瀬谷のこの緩衝地帯を設置したのはいつですか。
  300. 鐘江士郎

    鐘江説明員 昭和三十七年の一月二十五日の日米合同委員会におきまして、制限区域の地帯、それから地帯別の制限基準、こういったものが合意されたわけでございます。
  301. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、あなた方はこの条約を無視しておりますね。関係法令がないのに、行政措置でそういうことができますか、私権の侵害を。しかもあとで明らかにしたいと思うが、この緩衝地帯の制限は、ひどいものですよ。電気器具も置けない。一番ひどいところは、自動車も汽車も通れない。そういう重大な私権の侵害を、制限を行政措置でやるなんというのは、憲法違反ですよ、あなた。どうするつもりですか。
  302. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この措置につきましては、今後いろいろ御説明いたしますが、内容実態といたしましては、関係土地等の権利者の自由意思によって民事契約を締結して処置する、かようになっております。
  303. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、契約を拒否すればできないわけですか。
  304. 鐘江士郎

    鐘江説明員 土地等の関係者が契約を拒否すれば、その部分ができないということになります。
  305. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それははっきりしておきたいと思います。関係法令がないから、行政措置による。その場合は、私は法的な根拠は当然民事契約になってこようと思います。そこで契約を拒否すれば緩衝地帯は設けられない、こういうことになりますね。これはひとつはっきりしておきたいと思います。そうですね。  そこで、この緩衝地帯は、このためにわざわざ日米合同委員会のもとに、電波の障害制限を検討するための小委員会を設けられるというお話です。今後検討されましょうが、これはタイムリミットというものがあるのですか。米軍からの要請はいつごろまで……。
  306. 鐘江士郎

    鐘江説明員 米側といたしましては、なるべく早くという要求がございますが、われわれ日本側といたしましては、この問題は慎重に扱いたいということで、今後とも協議を重ねていきたいと思います。したがいまして、タイムリミットはございません。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、今後その小委員会にゆだねられるわけですけれども、上瀬谷の場合、施設の周辺から緩衝地帯の一番末端までは、およそまるくなっておるのだと思いますが、何キロありますか。施設の中心からじゃないですよ、施設の周囲から、どのくらいの距離までが一番弱いところか。上瀬谷の場合は四段階に分かれておりますが……。
  308. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この地帯は第一、第二、第三、第四地帯に分かれておりますが、第四地帯すなわち一番弱いところの地帯か、まあ凹凸がございますのではっきりしたことは申し上げられませんが、約一・五キロ程度ではないかと思います。
  309. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、それを雁ノ巣に当てはめると、福岡市の東部の海岸方面はほとんど引っかかる可能性が出てきますね。これは私は、地元の方々はもちろんのこと、福岡市全体の都市計画なりあるいは工場誘致なり、そういったものと関連をする重大な問題になろうと思います。そこで、地元からの要請が出ておる。地元がこれを拒否すればそれは御破算になるという話ですから、おそらく地元の方、あるいは福岡市長はじめ反対をなさると思いますけれども、ひとつこれは慎重にやっていただきたい。  そこで、それと関連をして最後に、私も三、四年前に取り上げましたけれども、雁ノ巣の返還しいう問題は、もう先行き全く見通しないということになりますか。
  310. 鐘江士郎

    鐘江説明員 雁ノ巣の空軍施設の一部返還につきましては、地元の方からの要望もございますが私どもといたしましては、その可能性は非常に薄いということを、先般の陳情の皆さまに申し上げた次第でございます。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは一部の共同使用と申しますか、そういったものはどうでしょう。可能性ありやなしや。またそういう問題について、あなた方、話を切り出すという用意があるかどうか。
  312. 鐘江士郎

    鐘江説明員 これも、先生がいま申されましたことにつきましても、先般の陳情の皆さまが、返還ができなければ、せめてスポーツ関係の施設というような関係で共同使用の形にでもできぬだろうかという御要望がございました。そこで私どもといたしましては、今後先ほど申し上げました特別委員会の席上で、そういう日本側の案といたしまして提案してみたいと思います。ただ、このスポーツ関係の施設といいましてもいろいろございまして、やはり電波障害になるような施設をつくるということならば、これは非常に可能性は少ないではないかというようなことも、先般の陳情の皆さまに申し上げた次第でございます。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 念のために……。現在までありました通信施設地区は、ゴルフ場ができておりますね。だから、そういう現状も含めて、何らかの使用というものを切り出す、そういうことでございますね。−本件に対して、あなた方は、施設庁として知らない、通知を受けていないというような話ばかりですが、現地にそういう意味の調査団か何か派遣される用意がありますか。
  314. 鐘江士郎

    鐘江説明員 これまた先ほど来申し上げておりますとおり、日米の特別委員会がございまして、その特別委員会でまず詰める、その後に現地に調査に行くという段階になろうかと思います。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは最後に、一点だけ板付基地の問題を聞いておきます。最近ベトナム戦争に実戦に参加している実戦機が、非常に発着が多くなりました。その状態もテレビあるいは写真にとられておる。たとえばファントム、それからC130、そういう板付の最近の使用の状態について、あなた方把握しておられますか。
  316. 鐘江士郎

    鐘江説明員 板付の飛行場は福岡防衛施設局の近くにございますので、大体のところは把握しておるわけでございますが、一々きょうはどういう飛行機が何機来たというような確認までは、残念ながらやっておりません。ただ、先生も御承知のとおり、施設局といたしましては、周辺整備法によりまして、農業障害に関する補償あるいは防音関係の補助金といったような事案がございますので、これは米軍機の離発着回数、こういったものを基本にいたしまして補償金等を算出しているわけでございまして、そういう関連におきまして、米軍に過去半年の間にどれだけの軍用機が離発着したのか、あるいは民間機がどれだけ離発着したのかというデータをもらいたいということで、そういうデータに基づきまして、軍用機がたとえば月間九百回あるいは千回というようなデータをとっておるというのが現状でございます。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最近の実戦機の発着は、非常に多くなっておる。そして物資の積みおろしが盛んに行なわれておる。兵員の移動もある。それらの物資は、一体どこから来るのですか。かつて博多港の中央埠頭を米軍が専用使用したいという、それらの問題もからんで、いま福岡市では非常に問題になっておる。さらに先ほど来防衛長官に質問しましたように、沖縄と日本本土の一本化というものが進められる。そういう意味では沖縄の基地と地理的に近い板付の一体化ということは、私どもとしては非常に問題点として考えざるを得ないわけです。それを実証するかのような最近の実戦機の出入りであります。  そこで時間が長くなりましたから、福岡施設局でもよろしゅうございますから、最近の実戦機の発着の資料を取り寄せてもらいたい。そしてそれらの輸送物資等のC130等によって積みおろしされる物資が、どのような経路で板付に出入りしておるのか、その辺の問題も一緒にひとつ資料として御提出をいただきたい。委員長においてお取り計らいを願います。後日でよろしゅうございます。
  318. 鐘江士郎

    鐘江説明員 本件につきましては、どの範囲で資料を提出するかということを検討いたしまして、提出いたすということにいたしたいと思います。
  319. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは後日その資料がまいりまして、またその問題は検討したいと思います。
  320. 關谷勝利

    關谷委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散会