運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-11-07 第56回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月七日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 細田 吉藏君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君       桂木 鉄夫君    塩谷 一夫君       木原  実君    武部  文君       浜田 光人君    山本弥之助君      米内山義一郎君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 栗山 廉平君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         自治省財政局公         営企業第一課長 近藤 隆之君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件  国の防衛に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  先般、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査のため、委員北海道並び島根県、鳥取県に派遣いたしました。  この際、派遣委員からの報告を求めます。桂木鉄夫君。
  3. 桂木鉄夫

    桂木委員 第一班の国政調査の結果を御報告申し上げます。  第一班は、桂木鉄夫、稻村隆一、武部文山本弥之助鈴切康雄の五委員で構成し、九月二十五日より二十九日までの五日間の日程北海道に参り、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査をおもな目的とし、稚内において、北海海運局稚内支局稚内海上保安部、陸上自衛隊稚内分とん地を視察し、旭川において、旭川営林局北海道管区行政監察局旭川行政監察局旭川労働基準監督署北海道開発局旭川開発建設部及び人事院北海道事務局の長と一堂に会して実情聴取及び懇談を行ない、札幌において人事院北海道事務局、千歳において航空自衛隊第二航空団等をそれぞれ視察し、またサントリー千歳工場の見学をしてまいりました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上、委員長手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それによって御承知いただくこととし、この際省略いたします。  なお、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらんいただきたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 關谷勝利

    關谷委員長 次に、山内広君。
  5. 山内広

    山内委員 第二班の国政調査の結果を御報告申し上げます。  第二班は、内海英男山内広米内山義一郎の三委員で構成し、十月一日より五日までの五日間の日程島根鳥取両県に参り、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査をおもな目的として、航空自衛隊輸送航空団美保基地)、陸上自衛隊米子駐とん地、行政管理庁島根行政監察局建設省中国地方建設局松江国道工事事務所食糧庁島根食糧事務所農林省鳥取種畜牧場林野庁倉吉営林署農林省中海干拓事務所等をそれぞれ視察いたしましたほか、鳥取県赤碕町において実施しております農業構造改善事業をも視察してまいりました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上、委員長手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それによって御承知をいただくこととし、この際省略をいたします。  なお、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらんいただきたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  6. 關谷勝利

    關谷委員長 おはかりいたします。  派遣委員調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――
  8. 關谷勝利

    關谷委員長 国の防衛に関する件及び公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
  9. 武部文

    武部委員 人事院に対しまして、私は寒冷地船の問題について若干の質問をいたしたいと思います。  寒冷地給改正については、かねてからいろいろ意見があったところでありますが、八月一日に参議院の内閣委員会において北村委員から質問がなされまして、人事院総裁のほうからこれに対する答弁がされております。人事院給与についてはきょうは触れませんが、勧告作業についてでありますが、先般の勧告が行なわれまして、その後さっそく作業に取りかかるというような答弁がされておったわけでありますけれども、現在寒冷地手当の問題についてどの程度作業が進んでおるか、その点を最初に承りたい。
  10. 佐藤達夫

    佐藤説明員 数年前に手当関係勧告を申し上げまして、その後しばらく間がたっておるわけでございますが、むろんその間、給与局において鋭意検討を続けてまいっておるわけでございます。ただし、いま御引用になりましたように、私ども毎年一回給与勧告の大作業を持ちますものでございますから、その問だけはこれはやむを得ず中断して、それが済み次第また引き続き検討する、これが実態でございます。ただ、今回の勧告については、まだ御推察のようなあと始末の問題が若干ございますので、率直に申しまして寒冷地手当のほうへ専念するという態勢にはなっておりませんけれども、むろん人手もそれにはちゃんとおるわけでございますので、鋭意検討を続けておる、こういうことでございます。
  11. 武部文

    武部委員 それでは具体的な問題についてちょっと触れますが、級地区分の変更についてはどの程度考えておられますか。
  12. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これが実は現実的には一番たいへんなことでございまして、御承知のように一つの指定の地域をいじりますと、この連鎖反応が周辺に及ぶというような関係がございまして、私どもとしては非常に慎重な態度でこれに臨んでおるわけであります。先ほど申しましたように、数年前、地域区分勧告を申し上げました際は、実はその際としては自信を持って御勧告申し上げたわけであります。いろいろまた各地方の要望もその後集まっております。私どもも何も過去の勧告にこだわる気持ちは持っておりませんから、虚心たんかいにそれらの御要望も聞きがならデータと突き合わせておるということでございます。しかしながら、なかなか各地域広くわたっておる問題でございます。一たんきめます以上は、一応どころか絶対的に御納得をいただかなければならぬ筋のものだと私思いますので、その点やはり慎重にならざるを得ない。これはやはり御了解いただけるのじゃないかと思います。
  13. 武部文

    武部委員 次に、石炭手当の問題であります。  石炭価格が安定していないことはもう御承知のとおりであります。それで、三十七年の石炭価格基準にしていまの金額を出しておられると思いますが、現在そういう状態で妥当だというふうに思っておられるか、その点を伺いたい。
  14. 佐藤達夫

    佐藤説明員 詳しいことは局長からお答えさせますけれども、いまのおことばにちょっとありましたように、安定していないのではないかというようなところが私としては一つ問題点ではないかと思っております。  あと局長からお答えいたします。
  15. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 御指摘のように、石炭価格には若干の変動がございます。それにさらに現地のほうからは運搬費等につきまして相当の値上がりがあるという話も聞いておりますし、私どもとしてもそういう関係の調べはしておるわけでございます。しかしながら、他面におきまして、給与水準が上がりますとともに、いわゆる定率的な面におきまして毎年相当な引き上げがあるわけでございまして、平均的にはこういう関係につきましてはカバーされているのではないかというふうに考えているわけでございますけれども、その辺の関係につきましては、さらに現在検討しているところでございます。
  16. 武部文

    武部委員 先ほど内閣委員会の視察の報告がありましたが、私も一緒に北海道に参りまして、北海道の各官署の代表の方あるいは従業員代表の方からこの問題について非常に強い要請を受けたのであります。いろいろデータ等ももらい、また説明を聞いてみますと、私ども北海道に住んだことのない者でも全くその点については同感したような点がたくさんあったわけであります。百分の八十五を百分の百にしてくれ、こういう強い要請もございました。それから、先ほど答弁がございましたように、運搬賃の問題について、特にアパートに住んでおる者は、上までの持ち運びにトン大体八百円から千円かかる、そういうことが非常に家庭の負担になっておる、こういうような点も非常に詳しく陳情があったところでありまして、そういう点を考えると、百分の百なり、あるいは運搬賃の要求なりというようなことについても、もっともな点がわれわれとしてもあると思います。同時に、いまの北海道の様子から、いろいろ説明がありましたが、特にストーブは昔は一軒に一つあればよかったけれども、いまは各部屋に一つずつなければだめだ。それから、小さな例ですけれども、子供にスキーを買ってやるのにも、一人に一台ずつ。これは学校の正課になってしまっておる。こういうような点も、これはとても私ども内地におる者には想像できないことでありますが、そういうような非常に詳しい説明がありまして、早急に石炭手当の増額及び寒冷地給改正について、ぜひひとつ国会のほうでこれを取り上げていただきたい、こういう要請があったわけであります。  いまお聞きいたしますと、いろいろやっておるけれどもまだそういう段階にならない、こういうことでありますが、公務員給与の問題は、来月上旬から閉会されるといわれる臨時国会で、給与法改正は法案が提出されるわけでありますから、いずれにしても決着がそのころにはつく。したがって、寒冷地給の問題については、時期的に見て大体いつごろ作業が済んで勧告という段階になるのか、ひとつ大体の見通しを総裁のほうからこの際明らかにしていただきたいと思います。
  17. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもいたずらに引き延ばしをしておるわけでもございませんし、また、いたずらになまけておるわけでもございませんので、誠心誠意、数年にわたる宿題として取り組んでおるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたような問題もいろいろかかえておりますので、一刀両断に結論に達する段階にはまだなっておりませんけれども、できるだけ急いでということをここでお答えさせていただきます。
  18. 武部文

    武部委員 もう一点、都市手当の問題について。都市手当暫定的なものですが、まずその点……。
  19. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども勧告には、暫定とも恒久的とも何とも書いておりません。そのあるがままの姿を勧告申し上げておる、こういうわけでございます。
  20. 武部文

    武部委員 伝えるところによると、政府部内では三年間の暫定だということをいっておるのでありますが、これについてはどう思われますか。
  21. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これはいま政府案を作成せられておる途中の段階でございますし、私どももいまの三年とかというようなお話は、これは新聞の報道を通じて知っておるだけのことでございまして、まともにそれをとやかく申し上げるのにはまだ時期が早いだろうというふうに考えております。
  22. 武部文

    武部委員 そうしますと、都市手当は、皆さんのほうから見れば、勧告には暫定とかことしきりとかいうようなことは全然書いてない、したがって、いまの場合、皆さんのほうとしては暫定とも何ともそういう考え方を持っていない、したがって本年度勧告としてそういうことを出したのだ、来年はどうなるかわからぬ、こういうふうに理解するわけですが……。
  23. 佐藤達夫

    佐藤説明員 来年はどうなるかわからぬというようなことをおっしゃられると、これはちょっとそのまま黙っておるわけにもまいりませんので、私ども勧告の趣旨は、かって御説明申し上げたと思いますけれども、基本的には給与法二条六号というものがあって、いわば新しい形の地域給国会並びに内閣勧告せよと書いてある、その要請に応じて、まずわれわれの作業を始めました。かつ、地域差というものがあるかどうかというところを調べてみますと、官民給与地域差というものが、大都会のありますような場所においては、二二・何%という大きな開きがある。これは現実にそのままほってはおけない問題だということと、それからもう一つは、今日暫定手当制度がまだ残っておりますけれども暫定手当制度は、御承知のように、固定額できまっておりますために、ベースアップのたびごとにだんだんパーセンテージからいうと下がっていく一方である。いわば下がる一方のエスカレーター一般公務員諸君はいま乗っているのだ。片や、いま申しましたように、大きな都会地には、官民格差が一三・何%もあるということでございますから、ぜひこの機会に適当なパーセンテージにこの制度を切りかえまして、すなわち、甲地においては六%、乙地においては三%というところにして、そして下りのエスカレーターからそれに乗りかえていただくというのが骨子でございます。したがいまして、官民の顕著なる格差というものがあります以上は、これは必要な事柄である、その一念から勧告を申し上げておるというわけでございます。
  24. 武部文

    武部委員 そうすると、いま政府のほうでいっておる三年間の暫定措置というようなことは人事院の本意ではないと、このように理解してよろしゅうございますね。
  25. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは政府筋から私はいままで一ぺんも伺ったことはございません。先ほども申しましたように、新聞記事承知しておる程度でございますから、これはいまどうこうと批判申し上げる段階ではない、こういうことでございます。
  26. 武部文

    武部委員 終わります。
  27. 關谷勝利

  28. 大出俊

    大出委員 総裁にいろいろ質問申し上げたいことがあるのですが、今度の勧告閣議決定によりまして御存じのような結果になったのであります。いずれにしても勧告を手がけられた当の責任ある立場で、今回もたいへんな御努力を続けておられましたことに敬意を表する次第であります。  ところで八月実施とこういうことに三年ぶりといいますか、四年ぶりですか、なったわけでありますけれども、世の中の公務員皆さんはまことに不満足だということで、相当な犠牲を覚悟でいろいろ組合の面からの運動をやっておられたわけですが、だれにとりましても、ことに教職にある方などは、ひとしくそういうことをやりたくないという心情であろうと思うのでありますけれども、しかもなおかつやらざるを得なかったという事実につきましては、私もわかる気がするわけであります。そういう意味で今回の結果について、私は、実は非常に不満足なものを感じておるわけでありますが、そのあたり総裁の御心境のほどをひとつ承っておきたいわけであります。
  29. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように、私ども勧告は五月実施ということで内閣にも、またこちらの国会にもそれを申し上げておるわけでありますからして、八月実施まことにけっこうでございます。それで十分でございますというわけにはまいりませんのでございますけれども、しかし、つらつら考えますと、これは率直に申しまして、とにかく何年ぶりかで一月進めていただいたということは、これはやはりわれわれの立場としては率直に、その理解に対しては評価をしなければいけませんし、またその御努力に対してはやはり敬意を表する、これは当然そうだろうと思います。しかし、先ほど申しましたような本来の勧告は五月ということになっております。これからまた国会の御審議もあることでございます。最後の御裁断は、これは国会におまかせいたします。よろしくお願いいたします。こういう結論になるわけです。
  30. 大出俊

    大出委員 その点は、総裁つらつらお考えになってということでありますが、つらつら考えるまでもなく、一生懸命やった結果ですから、公務員皆さんでも、一カ月前進したことはそれなりに評価をしているわけであります。しかし、現状、過去を振り返ってみて、八月実施で満足できる筋合いではない、これもまた私は事実だと思います。何としてもやはり長年の懸案、五月実施というものをできるだけ早く実現をさせなければならないし、また、そうしなければ、公務員皆さんが、ほんとうの意味で公務に一生懸命におなりになるという心境に、なかなかなり切れぬという面があると思うわけであります。  なぜこういうことを申し上げるかといいますと、かつて九月実施になったとき、今日八月になったときなどを考えてみますと、このまま、また八月実施で何年もほうり出されておくんだということになりますと、これは私は重大な問題だと思っております。したがって、それでは困る。いまの政府の政策からいきますと、またこの秋に、物価の秋だといわれるぐらい物価が上がっているわけでありますから、せっかくの人事院勧告なるものも、物価の上昇で立ちどころに消えていくという結果になりかねない。そう見なければならぬと思う。そうすると、またまた来年人事院勧告を手がけなければならぬことは、目に見えているような気がする。そのために、公営企業一つをとってみても、毎年毎年ベース改定をやるものですから、そういった環境の変化に左右されまして、毎年毎年電車・バス料金の値上げはどうしてもできませんから、企業経営自体が苦しくなる、そういった側面さえ実は持っておるわけであります。そういうことになると、どうしてもこれは八月になったからいいわということにはならぬわけでありまして、そこに私は、八月になったから、じゃあ、みんなで相談をしてこういうことをやろうときめていたことを、やめるという段階になるというとやめ切れない。どうしても、やはり明確な意思表示を、完全実施に向かってしておかなければならぬという気になる。これが私は現状だと思いますね。そういう意味で、ひとつ今回前進をいただいたことは、冒頭に申し上げましたように、たいへん御努力をいただきまして敬意を表するわけでありますけれども、どうかひとつ早急に、完全実施に向かっていくように、なお一そうの御努力をいただかなければならぬというふうに思っております。念のためにそれは冒頭に申し上げたわけであります。  ところで、この今日の制度改正という意味でのいろいろな議論が、特に最近表へ出てきておるわけであります。たとえば、いわば基本問題調査会ですか、高橋構想というのですか、何か人事院の影が薄くなってしまうような中身などが実は見られるわけであります。この辺、また一面では、与党の皆さん試案だというようなことを新聞に書いたりした面もありますが、その辺の真偽のほどはわかりませんけれども、どうもあの高橋試案などというふうなものは、人事院自体制度という問題とからんで、何か人事院のほかにもう一つ人事院ができてしまったような感じがするわけでありまして、そこら辺のところを、まず総裁立場でどうお考えになりますか。
  31. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これもいまおことばにありましたように、高橋試案といわれるものは、やはりおそらく個人的な研究の成果の御発表の段階ではないかと私は思います。新聞などでは――ずいぶん気にしてよく私は読んだつもりでありますけれども、また多少字句の違いなども新聞紙によってございますので、これをまともに受けて、ここでとやかく申し上げるのは、また軽率だろうと思いますけれども、要点は、いまのおことばにもちょっと触れられましたように、やはり人事院制度というもの、それから人事院勧告制度というものの大きな意味とその使命というものだけは、絶対に尊重していただきたい、これに尽きるわけであります。
  32. 大出俊

    大出委員 次に、宮澤構想と称するものがありますね。賃金を少しとめておこうという中身があります。この宮澤構想に対しまして、労働省側から一種の反論が出ていますね。これは私はむしろ反論が出るのは当然だと思っておりますが、そこらのところはどういうふうにお考えになりますか。
  33. 佐藤達夫

    佐藤説明員 このほうは、実は私どもとして、ますますどうも内容を的確につかみがたいところがあります。たとえば宮澤長官のおことばとして、これは決して賃金抑制をはかるものではないというおことばもあります。どうも、まだわからぬというのが率直な感想でございます。
  34. 大出俊

    大出委員 確かに各省で、一体真意はどこにあるか、はかりかねているという面がありましたが、つまりコストインフレ論という形のものを、宮澤さんが前に経済企画庁長官であったときにお出しになった。その流れでずっといきますと、やはり賃金抑制、あるいはある時期を画するにしてもストップ、そういう色彩が非常に強い。これは間違いないですね。つまりコストインフレ論からいくと、前に企画庁長官をおやりになったころには、つまり今日のインフレ一つの原動力をなすものの大きなファクターとして、年々勧告が出て公務員賃金が上がっていく。それが逆な意味民間賃金に波及していく。コスト・プッシュ・インフレーションの形が強くなる。こういう理屈で押えるべきだと言ったわけですから、そうすると、いまあの問題をめぐって、労働省あたりから反論が出たときに、賃金ストップではないのだということを宮澤さんは言っておりますけれども宮澤さんの前からの持論からすると、明らかに賃金ストップがものの考えの中心に置かれておる、こう見なければならぬですね。そこらのところをどういうふうにながめておられますか。
  35. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いままで申し上げましたように、宮澤構想といわれ、高橋構想といわれるものについて、とことんのところまではわからぬと申し上げるのが、一番率直だろうと思うのですけれども、そういう私的段階における構想をお取り上げになるならば、ひとつ佐藤構想というものをそこに一つ加えていただきたいということを申し上げたことがあるのです。実は佐藤構想のほうが、登録の順位からいうと一番古いわけであります。しかも単純明快ではありませんかということで、目下大いに力を入れてやっております。  大体、当初の予算でものごとを考えようという点においては実は共通だろうと思います。思いますが、それから先はだいぶ違ってくるので、たびたびここで申し上げたと思いますけれども、私ども考え方から申しますと、従来の勧告のあり方は、大体いままでどおりとして、しかし、遺憾ながら八月の勧告で、そのための財源を捻出されるのに非常にお困りになっておるということであるならば、その財源の準備を当初の予算で少しでもやっておいていただけば、どたんばになって全額の調達に御苦心なさる手はあるまいということが骨子でありまして、いつも申し上げますように、公労委の仲裁裁定年度開始後になされながら、なぜ補正予算もなしに四月にさかのぼって完全に実施されておるかということは、当初の予算の組み方に何かかぎがあるだろう。それと同じようなことをしていただけないものでしょうかということが根本でございまして、私どもは、当初の予算について少しでもゆとりある、含みを持ったものとして組み込んでおいていただいて、あと足らざるところを補正なり何なりでやるということにしていただくのが、当面完全実施に一番手近な、あるいは完全実施そのものを実現させる方法ではないか、それが私どものかねて主張申し上げているところでございますし、他の構想を批判申し上げるよりも、私のただいま申しましたようなことをぜひ実現させていただきたい、こういうことを申し上げるわけであります。
  36. 大出俊

    大出委員 そこで、一つ問題がありますのは、所得政策あるいは所得政策論といわれるようなものがあります。たとえば、二月に藤枝さんが自治大臣におなりになって、藤枝構想というものを発表されましたが、このときに新聞が取り上げました分析、解説の中身というのは、これは一種の所得政策論に結びつくのではないかというものの見方ですね。たとえば英国なんかの例にありますように、ホイットレー委員会なんかものをいっている例がありますけれども、国民総生産というものを一つ片方に置いて、企業の平均的な生産性の向上をながめて、それから飛び抜けて生産性が上がっている企業の場合は、賃金引き上げに結びつけないで、それをコストとかみ合わせてものを下げるというほうに持っていけ、したがって、平均的なところまでのベースアップでとめるというものの考え方かある。数年前に――もう数年ではない、十年くらい前になりますか、私も当時英国に行っていろいろ話を聞いたりしたことがありますけれども、何かしらそういうところに結びついていくものの考え方というものは、私は、ある意味では人事院勧告の真の数字とは違ったものになっていく、こう思っているんです。したがって、そこのところ、藤枝構想というのはだいぶそういった所得政策に近いものの考え方になっている、こう私は考えている。宮澤さんの言っていることもある意味ではそういう面が入っている。したがって、そこらのところと、現在の公務員法という一つ制度のワクの中に置かれている人事院勧告のあり方と対比した場合に、一体法的にどういうことになるかという点を承っておきたい。
  37. 佐藤達夫

    佐藤説明員 所得政策というようなことになってまいりますと、結局われわれの職責とはだいぶ違った分野のことではないかということに尽きるだろうと思います。私どもはとにかく中立機関とされておるわけで、そのことが一番基本的な性格になっておるわけであります。中立機関ということになりますと、勢いこれは技術的な働きの面に重点があるので、ポリシーをここで策定するということは、およそ中立機関からいうと縁の遠い作業であろうと思いますし、政策を私どもがやった日には、これはたいへんな論議の中心になりまして、しかも独立性を持ったものがかってに政策をつくって、それをひっぱり回すということになったら、統治機構としても相当私は問題だろうと思います。したがいまして、これはわれわれの手に余る分野の問題である。片や、いま法律的とおっしゃいましたからつけ加えますけれども、現在の国家公務員法の御承知の二十八条には情勢適応の原則ということをうたっている。周囲の客観情勢に応じて適正な給与制度をとれという、むしろ追従的な精神を法律自身がうたっておるわけであります。この法律のたてまえは、私は、先ほど申しましたような人事院の基本的な性格からいって当然のたてまえだ、こういうふうに思います。したがいまして、いまおことばのような大それたことをわが方でやるということはちょっと法を逸脱したことではあるまいか、そういう気持ちを持っています。
  38. 大出俊

    大出委員 非常に重要な御発言だと思うのであります。というのは、客観的にながめる方々が、人事院勧告というものを、別な角度から相反する意見として、両方とも同じことを言っているのですけれども、日経連なんかからすると、もっと政策的に人事院勧告というものは考えるべきだということになるのですね。何でもかんでも官民比較だの、あるいは十八歳独身男子の生計費なんというものを中心にして初任給その他をきめていくというようなやり方、マーケットバスケット方式なんというもの、こういうふうなものをとってやっていくと、どうも賃金を上げるべきではないと政策的に考えられる時期に、人事院勧告が出されるために賃金上昇を招いてしまう。だから、人事院勧告というのはけしからぬのだというものの考え方、つまり政策的に押えろということですね。私ども一の側からすると、逆に、総裁、これは重要な問題なんだけれども、いま総裁がおっしゃったように、まさに中立機関として、独立の立場で、他の何らの政治的拘束もなしに勧告を行なっているんだということになるのですけれども、どうも中だるみ、中位等級というようなものを出してきて、調査諸表なんか並べてやり合うようにして、わけのわからない資料ばかり出してきますが、役に立つものはほとんど何もない。なぜそうなったという資料はいまだかつてあったことはない。いっか私がここで調査諸表を一日貸しなさい、三百人くらい給与の専門家を集めて調べてみると言ったら、総裁おおこりになったけれども、あまり資料として出てないから私は言う。そういうわからない点があるために、これは悪意を持っているわけではないけれども、逆に政策的にどうも低い勧告になっているんじゃないかというものの見方がわれわれの側にはある。つまり、まん中に政策というものが中心になって置かれている。それを向こう側は押えろと言う。こちら側は政策に押えられてはだめなんだと言う。実際物価が上がっているんだし、公務員の生活実態に即して、幾ら高くなっても、出てくる勧告が数字的に正しければ、高い勧告でも出す、これが正しいのだ、こう言っておるのです。したがって、そういう意味でこういう高橋試案とかここにございますけれども、いろいろ出てくると、何となく人事院を取り巻く環境は変化してきている、何となくどうも人事院がしきりに牽制されているという結果になる。一つ間違えば人事院制度というものをどこかへやってしまうぞということになりかねない。したがって私は、念のために、そういうものには一切左右されないという人事院、実はここらあたりがほしいわけです。政策に左右されない人事院のあり方、法律的にもそうでなければならぬ、こう思っておる。
  39. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それはおっしゃるとおりであろうと思います。これは当然なことで、私どものかねがね考えておるところと全く一致しております。その中だるみとそういうところの関係はどういうことになるか、これはちょっとはなはだ唐突で、中だるみは中だるみとしてこれは別に給与表として御説明申し上げます。それとは一緒になさらぬでいただきたい、こういうことであります。
  40. 大出俊

    大出委員 一緒になさらぬでいただきたいと言ったって、中だるみの六等級なり七等級あるいは五等級なりというのは職員分布が一番多いのです。そこのところにちょっと手を加えればたいへんな予算が要ることは常識なんです。そうすると、なかなかそういうところに手をつけない。しかも頭打ちになってしまう。そうすると、皆さんは法律をたてにとって、職階制給与をとって上がっていけば片づくというが、そう簡単にファンクションのオーガニゼーションをつくっているだけではだめです。縦のオーガニゼーションだけのところもあるから課長の数だってきまっておる。電電公社が横割りで昔いったから小さい課長がたくさんできて上がっていった。そういうケースもある。電電公社と郵政省を比べたら電電公社のほうが高い。なぜかというとそういう格づけをした。これだって政策です。そうすると、役付にならぬでも、逆な意味給与を上げなければ困るということになる。そうすると級別定数の問題とからんでくる。頭を各等級の一号か二号延ばしても片づかない。そういう問題もある。だから総裁、簡単に言われるけれども、一緒にするわけではないが、結果的に見ればそれも政策なんです。だから、そういう俸給体系も含めて政策に左右されては困ると私は言いたい。六等級、七等級くらいの人に、何人家族ですか、いまあなたがもらっている給料でやっていけますか、と言ったら、もう五千円くらい何とかほしいと言う。この人たちの要求は最小限の要求です。つまりそれだけ生活の実態に合わせて足りないのです。そうすると、現実に公務員の生活実態を調査をすれば、足りないということは明確になる。だから、上げなければならぬという理屈が純粋に出てくるはずだ。ところが、政策的に体系というものを考えていこうとすると、たるんだまま――多少はかっこうつかないから手直しはされておりますけれども、ある程度でお茶を濁されてしまうということになる。そこのところが一番子供がふえて生活が苦しいのです。そこが他に比較して低いということについては了解ができない。私はやっぱり政策給与体系だと思っておる。だから、そこのところは、何もからます。からまさぬにかかわらず、そういうふうに考えなければならぬ。これは総裁だってわかっているはずだ。
  41. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いや、先ほどは遠慮して実は申し上げませんでしたけれども、ほんとうは、いまのおことばの中だるみというのは、どういう定義のもとにおっしゃっておるのかわかりませんけれども、今度の勧告では、実はその点を相当是正したということを自慢にしておりまして、中ぶくらみの勧告であるということさえ、ある場所で申し上げたわけであります。したがいまして、この辺の従来の御要望も十分承知しておりますし、十分意を用いて、むしろ従来の考え方よりも中ぶくらみと思われるくらいに措置をいたしましたつもりであります。  それから、ことに世帯を形成する年代の人々、これに対しましても御承知のとおり八・何%という非常に高額な賃上げをやっておりまして、われわれの努力は御推察いただけると思います。  級別定数の問題はあとの問題で、これはまたこれでわれわれ大いに勉強しなければならぬと思います。
  42. 大出俊

    大出委員 防衛庁長官の時間のほどを承っておきたいのですが、何時くらいまでよろしゅうございますか。実は私は、きょうホークなんという問題は、森田さんもなくなりましたから担当の委員会が全くそのままにしておいて、長官の言うように、十二日の総理の出発までにきめてしまうというようなことになっておりますから、したがって、どうしてもやはりきょうは御質問申し上げておかなければならぬと思っているのですが、また浜田さんのほうからも、先般の基地問題等についての質問がございますので、最大限ひとつ時間をおとりいただきたいと思うのです。ハイランド氏の交代その他もおありのように聞いておりますが、何時までよろしゅうございますか。最大限言ってください。
  43. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いつもでしたら何時間でも、大出さんあるいは浜田さん、木原さんの御質問もあるようでございますから、三先生の御質問にお答えいたしたいのですが、きょうは十二時でございまして、四十分間でございますから四十分の間ひとつたっぷり御質問を願いたいと思います。
  44. 大出俊

    大出委員 ホーク問題をじっくり質問をしようということできのう御連絡をしたものだから、逆に時間がなくなったという感じがして残念なんですけれども、そこのところは、貴重な防衛庁長官の時間ですから、総裁のほうはひとつそういう意味で少しお待ちいただきたいと思います。
  45. 關谷勝利

    關谷委員長 浜田光人君。
  46. 浜田光人

    ○浜田委員 さっきも大臣が言われるように、わずか四十分しかないのに、わが党は三名も質問しなければならぬと思いますので、大臣には具体的な質問をしますから、ひとつ具体的な答弁をしていただきたいと思います。  去る六月三十日に大臣にいろいろ質問いたしまして答弁をいただいておりますが、当時防衛庁の答弁は、まだまだそう簡単に、駐留軍が弾薬を揚げていますぐ輸送する段階にはないと思うんだと、こういう答弁をされましたが、先月の二十七日から、すでに米軍は本国から輸送船をもって広の黄幡地区に弾薬を揚げて、市街地を通って、一日百五十台の弾薬を輸送しておる大型トラックにマル火というこういう大きなマークをつけて、市街地をどんどん輸送しておりますが、当時の大臣の答弁とはだいぶ食い違いますが、そういう点どのように、日本政府はアメリカと折衝されて今日の輸送再開を許したのか、そういう点について所信をお伺いしたいわけであります。
  47. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 浜田さんにお答え申し上げます。  川上-広間におきまして、広の市街地が連権いたしておって非常に危険であるということは、ついこのごろ私は空中から拝見いたしましてお説のとおりでございます。そこで、どうしてもバイパスを急がなければならぬわけでございまして、本年中に調査設計を完了いたしまして、四十四年の中ごろまでには完了いたします。そういたしますと、人家の連権のところは御迷惑をかけずに輸送できる、こう考える次第でございます。今回の輸送船は、御承知のとおり十月下旬に入りまして、危険なく川上の弾薬庫に輸送がトラックで完了いたしたわけでございます。
  48. 浜田光人

    ○浜田委員 当時大臣が答弁されておるのは、議事録によりますと、浜田さんがそう心配されぬでも、道路にはたよらぬでも輸送は鉄道によって貨車輸送するのだ。したがって、三十六両で二十トンで運んでも、大体七百二十トンくらいは一日に輸送できると思うので、まずまずそれでやりたい、こういう答弁なんです。ところが、今日では、貨車輸送は一両もやっておらないのですよ。全部市街地を通った輸送なのです。なぜこういう状態になっているのかお聞きしたい。
  49. 小幡久男

    ○小幡説明員 当時大臣からもお答え申しましたとおり、貨車輸送を主として考えておったことは事実でございます。大臣も申しましたとおり、もし貨車輸送が不可能で道路による場合はということは申しておりますが、当時は貨車輸送を中心に考えておったことは事実でございます。いろいろ折衝の過程におきまして、貨車輸送の限度は、これもお答えしましたように、日量二百四十トンという程度であります。ところが、米軍の輸送は日量八百トンというふうな要請を持っておりまして、当時から貨車輸送だけによりますことはむずかしいということは議論になっておりましたが、いろいろ詰めてみますと、どうしても貨車輸送だけではいかない。のみならず、貨車輸送のためには、広の引き込み線等につきまして、ある程度の新しい工事をしなければいかぬというような問題が起こってまいりまして、私ども、米軍、国鉄の間に話がつかなかった。そのうちに配船の期間が予定より繰り上がってまいりまして、時間的にも相当無理になりましたので、私のほうから、地元のほうにはその事情を申し上げまして、御理解、御協力を得まして、今回の輸送を完了したような次第でございます。御了承願います。
  50. 浜田光人

    ○浜田委員 当時ずっと私が指摘しておる。ざっくばらんに申しまして、現状は私が指摘しておったとおりになっておると思うのですよ。皆さんは、盛んに、そういう御心配は要らないと思いますというような答弁をしておられる。そこで、実際貨車輸送ができないというのはどういう、原因があるのですか、それがまず第一番。いまの御説明によりますと、少し荷揚げが早くなったので、それはできないのだと言われる。そうすると、今日すでに貨車輸送を前提として輸送すべく、そういう修理とか将来やるように作業にかかっておるのかどうか、そういう点について。
  51. 鐘江士郎

    鐘江説明員 鉄道輸送につきましては、先国会におきまして、大臣も、米側と強くこの問題を交渉するというお答えをいたしておりますが、事実私どもといたしましても、日米合同委員会の席上、あるいは施設特別委員会の席上、あるいは直接座間に参りまして、在日米軍司令部と陸軍司令部と、この問題について数回にわたり協議してまいったわけでございますが、なぜ今日まで鉄道輸送ができなかったかと申しますと、これは国鉄を通じましても再三私どもが協議しておることでございますが、問題は、ただいま長官が申し上げましたとおり、一日二百四十トンの弾薬を輸送するためには、現在、先生も御承知のとおり、広の施設区域に入っております側線、これをもう少し奥のほうに引き込まなければ輸送能力として十分でないという点が一点。それから、現在ございますところの施設及び区域内にあるところの側線、すなわち広の弾薬庫にいたしましても、川上の弾薬庫の中にいたしましても、側線が相当老朽化しておるわけでございます。これの補修をしなければならない。この補修の点並びに側線を延長する点につきまして、経費が相当かかる模様でございます。その点につきまして、国鉄と米軍との話し合いが今日までまだつかないわけでございます。そういう点について、遺憾ながら国鉄輸送ということが実現できなかったわけでございます。
  52. 浜田光人

    ○浜田委員 説明を聞いていると、あなたたちは現状をきちっと把握しておらぬ。施設内の整備は当然ドルでアメリカ軍が金を出してやるべきなんでしょう。いまの安保条約、地位協定からして、日本政府が金を出してやるべきじゃないんでしょう。したがって八本松の弾薬庫を修理するのにどれだけ金が要るか知らぬが、日本政府が金を出すんじゃなくして、向こうさんがやらなければならないのです。当然それはアメリカに強く要求すべきなんです。そうしてこそ国民の安全が確保できるのでしょう。それを向こうが金を出すのを渋るから、あるいは相当金がかかるからというのでそれはやらさずして、あるいは米軍側から言えばやらずして、そして危険を伴うところの――これから話しますが、長官はこの間呉に行かれたんだが、残念なことにこの重要なところは見られずして、むろん時間がなかったんでしょうが、海上自衛隊のほうだけ見て帰られたですね。非常に時間のない強行日程、一日で行って一日で東京に帰らなければならないから無理だと思ったけれども、こういう点は一番重要な点だと思うのです。なぜちょっとでも時間をさいてその実情を見て、そして生きた資料で軍に強く当たらなかったんだろうかと残念に思うわけですが、そういうように貨車輸送はアメリカから金を出すことを渋らして、そしてわずか五・五メートルくらいの幅の橋を、百台も百五十台もどんどん、二分か三分間隔――五分間隔では八百トンを輸送できぬからといって、三分間隔でトラックを通らしておるのですよ。小学校、中学校、保育所、みんな子供がその五・五メートルの橋を通って学校に通う。通うところはそこしかないのです。それをアメリカから金を出させるのを遠慮して、そしてそういう危険なところをどんどんトラック輸送さす。あなたたちはどっちを向いて政治や行政をやっているのですか。だから、いまたまたまアメリカの本国から来るのが早く来て――これも問題がありますよ。あなたたちは大体おそくとも十一月の初旬には入ることは通告を受けているはずなんだから、いまさらそんなことを言ったって知らぬはずはないのです。だからかりに十日か一週間早くなっても、どんどんそういう作業が進んでおるんなら、私は納得いく。ところがアメリカ軍は全然手をつけておらぬじゃないですか。したがって、これからもそういう方向で輸送するかどうかということは疑問です。おそらくやるんだろう。私が当時指摘したように、一番短時間で一番輸送力のある――当時は一たん緩急あるときはなどという表現をいたしましたが、今日ではそれを現実にやっている。だからほんとうにそういう国民の安全を守ってやろうというなら、なぜアメリカに金を出させて、そういう施設内の整備をやらせないのか。やらして、作業がまだここまでしかいっておらぬから使えないんだというなら話はわかる。全然手をつけておらぬじゃないですか。二億要るか三億要るか知らぬけれども、そういうことをやらさないから、あんなに遠く離れて――何も考えなければ無人島を使えばいい、そういうところは安く使える、いとも簡単に使える、そういう安易な考え方を日本政府が米軍に持たすからいかぬのだ。だから必要なものはアメリカに金を出させて整備せい、そして国民の安全を守ってやる、こういう方向でやりなさいよ。だから、それの作業が進んでおるのかどうかというのです。進んでおらぬのでしょう。それを答えてください。
  53. 小幡久男

    ○小幡説明員 先ほど施設部長がお答えしましたとおり、現在では作業は進んでおりませんが、将来の問題といたしまして、今度の輸送の経験から見ましても、米軍のほうは鉄道輸送もやはり必要であるという認識は持っておると思います。なおわれわれとしましても、鉄道輸送を併用してやるように、米軍側に強く要請をしたいと思っております。
  54. 浜田光人

    ○浜田委員 三十日の質問のときには、やはりあなたはそういうことばかり言っているのです。当時すでに八百トンということもあったわけですよ。かりにあなたたちが主張したように、貨車輸送一本でいくのだ、こう言われるけれども、いろいろ技術的に見て二百四十トンしか運べないのだ、こういうのです。ところが増田国務大臣は「一列車で貨車を平たん地で運び得るとするならば、三十六両で二十トンというのが常識となっております。すなわち七百二十トンまで、単線でございましても運べるわけでございます」こういう答弁をしているのです。そうすると、いま言われたように、将来こうします。次の輸送からこうします。こう言うが、そうすると、いま八百トンですから、七百二十トンから八百トンを達成すれば、いまのような無理な迂回した狭い道路なんか通らずに、貨車輸送一本でいけ、こういう強い輸送方法を政府は米軍にとらす意思があるかどうか、また実現可能な見通しを持っておられるのかどうか。
  55. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 鉄道輸送したほうが安全だと思うことはいまもって考えは同じでございます。そこで極力折衝中でございます。ただ鉄道の関係におきましてはバイパス、待避線ができませんものでございまするから、今回は間に合いませんでしたが、この次からは鉄道輸送と、バイパスができるまでの間は現在の道路輸送と併用いたしたい。それから道路輸送につきましては、御指摘のとおり極力注意してまいりたい、こういう考えで、あくまで前向きの姿勢で長官あるいは部長等に交渉さしておる段階でございます。
  56. 浜田光人

    ○浜田委員 もう時間があと二、三分しかありませんが、増田長官のほうへ……。あなたの答弁でこうなっているのですよ。実際バイパスをつけるまでは道路輸送はしない、こういう答弁になっているのです。六月三十日は、ずっとやってみますと……。そうして最後の締めくくりは、「しかしながら、どうしても道路にたよらなければならぬという場合には、あなたが県会議員当時苦労してつくられました県道もあるわけでございまして、その県道を利用さしていただくことになります」こうなっておるのですね。ところが実際にはいまどんどん道路を使用さしているのですね。そうしていま説明なさったが、これからはといっても、一年も二年も先じゃないのですよ。いま入っているのは五千三百トンでしょう。引き続いてまた入るのでしょう。三万から五万トンくらいの貯蔵能力を持っておる弾火薬庫ですから、それに満ぱいするためには、大体これからも五千トンクラスでありますと十隻くらいは入るわけですよ。そうすると半月か一カ月後に入ったら、またいま答弁しておられることと同じようなことをやられると思うのです。そのときには安保条約あるいは地位協定によって、そういう公の道路を通ることは権限を与えておるからしかたがありません、おそらくそういう説明をなさるだろうと思う。そこでさっき第一番に長官は、バイパスを四十四年の夏ごろ、こう言われましたが、夏ごろまでには全部納めるものは納める、道路は使うものは使ってしまうことになるかもわかりません。しかもまた出すときには危険ですから必要なんですよ。必要なんだが、これだけ児童や生徒が学校に通って、五・五メートルの――見なさい、大型トラックが通ったら欄干にもたれても子供はせい一ぱいですよ。  おそらくそれには応急の児童通路くらいはっけなければ、事故を起こしたらたいへんでしょう。それは根本的な解決策ではなくして、根本的な解決策はやはりバイパスでしょうが、そのバイパスを二カ年間の予算でつくろうというのでは、危険な状態を二カ年間も続けることになるのですが、こういうときに、政府が三億か五億の金で、安保条約、地位協定に基づいて米軍にそれだけの権限を与えているのでしかたがないというのだったら、政府は一カ年間くらいの短期間でこういうものはすばっとやって、住民の安全を守ってやろう、こういうことがなぜできないのか。佐藤総理だってこの実情を知ったら、増田大臣、それは早くやってやれ、そういう危険なことはいけない、おそらくこう言われると思うのですが、そういう点はどうお考えになっておりますか。
  57. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 先ほど大事をとって、四十三年度並びに四十四年度の半ばごろまでにはバイパスを完成いたします。完成すれば、バイパスを通ればいいのですから、もう鉄道輸送は要らないということは、浜田委員承知のとおり。ではございまするが、浜田さんのお説はごもっともでございますから、できるだけ早く繰り上げまして、まず設計その他の関係は、自主設計の関係は四十二年度をもって終了いたし、四十三年度一カ年間を目途として完成するように部下を督励いたしますことを、この際お誓い申します。
  58. 浜田光人

    ○浜田委員 時間がありませんから、大臣最後に。あとこまかいことは施設庁長官以下に質問しますが、そういうように、実は私たちもこんなに早くああいう迂回をした道路を使って、危険な状態で輸送するとは思わなかった。ところが、実際やっておる。さっき言うた五・五メートルの橋なんか、そこしか通る方法がないのです。米軍の輸送する方法はないのです。そこは自治体等でもたまらないから、当面とにかく応急道路でも、児童の通学通路をつけておこう、こう言う。こういうことは、自治体がやる仕事じゃございませんよ。当然安保条約、地位協定によって政府が提供しているのですから、政府がやるべきなんで、当然これらは最終的には政府の責任でやられますね。そういう点の答弁を……
  59. 小幡久男

    ○小幡説明員 常盤橋の歩道橋の問題につきましては、呉市からの要求もございます。また呉市長はそれをつくりたいということを現地で発言されておると聞いておりますが、浜田委員承知のとおりに、バイパスとの関連もございますので、本格的な工事ということは、(浜田委員「応急でいい」と呼ぶ)応急のほうでしたら、われわれも市と協力して、何らかの御援助ができないものかという点を検討いたしたいと思います。
  60. 浜田光人

    ○浜田委員 それじゃ、時間が二十分ということになっておりますから、かわります。
  61. 關谷勝利

    關谷委員長 木原実君。
  62. 木原実

    ○木原(実)委員 時間がたいへん制約をされておりますが、長官に少しお伺いをいたしたいと思います。来春エンタープライズを含む原子力艦隊の日本寄港が許される、こういうことの閣議決定があったそうですけれども、この点について日本の防衛当局としても所感が何かあるか、お考えをひとつお伺いしたいと思います。
  63. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 閣議決定でございますから、私も国務大臣として参画いたしております。それから防衛問題に間接には関係があるわけでございます。  そこでお答え申し上げますが、主管は外務大臣でございます。外務大臣が原子力委員長の科学技術庁長官と打ち合わせをいたしまして、そうして弊害なしとの結論に到達いたしましたから、入港を許可する方針であるということが閣議決定になりました。エンタープライズ、原子力航空母艦が入港するのは明春の予定でございます。
  64. 木原実

    ○木原(実)委員 日本の防衛計画にとりまして、いま申しましたような原子力艦隊の寄港が、何らかの影響を与えるというふうにお考えですか。
  65. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 わが国はもとより日米安保体制のもとに防衛計画を立てておりまするが、今回の原子力母艦の入港につきましては、直接わが国の防衛計画とは何ら関係ないのでございます。
  66. 木原実

    ○木原(実)委員 そうしますと、アメリカの原子力艦隊の寄港の目的はどういうふうにお考えでございますか。
  67. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 それは補給ではないかと思います。
  68. 木原実

    ○木原(実)委員 便宜供与ということだと思うのですが、それとは別個に原子力艦隊が入ってくるわけですけれども防衛上何らか得るところがあるとお考えですか。
  69. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ただいま申し上げましたわが国防衛計画とは直接関係がない、これだけの答弁でお許しを願いたいと思います。
  70. 木原実

    ○木原(実)委員 エンタープライズをはじめ、寄港が予定される原子力艦隊は、現にベトナム戦争に就役をしておる船が入ってくる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  71. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 就役をしておったかもしれませんが、わが国に入港する原子力母艦は補給のために入港するわけでございまして、その間、途中にやっぱり寄港いたしまして、直接わが国から出動したり、あるいはわが国へ入港する、こういうふうに考えていないのでございます。
  72. 木原実

    ○木原(実)委員 長官の御答弁ですけれども、それにもかかわらず第七艦隊所属の船がベトナム水域その他で戦闘に従事しているということは、これはあり得ることですね。その船が何らかの形で補給のために入ってくる、こういうわけですから、戦闘をしておる船が海を伝わって入ってくるわけですから、これは戦闘をしておる船が入ってくるということは認めざるを得ないのじゃないでしょうかね。
  73. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いま聞いておる範囲では、第七艦隊にエンタープライズは配属されていないということでございます。
  74. 木原実

    ○木原(実)委員 それは私のほうの不勉強でした。しかし、このエンタープライズ自体がベトナム水域に就役をしておる、ベトナム戦争に参加をしておるということは、これは明らかでございますね。
  75. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 かつて参加した事実はございます。
  76. 木原実

    ○木原(実)委員 そうすると、日本に入ってくるエンタープライズは、これから先戦争はしないで入ってくるということでございますか。
  77. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 とにかくほかへ寄港いたしたりしてまいるわけでございまして、わが国を基地とするわけではございませんということを、この際明確にいたしておきます。というのは、補給と休養の関係でエンタープライズ航空母艦が入港するわけでございます。
  78. 木原実

    ○木原(実)委員 これはおことばですけれども、きわめて明らかなことじゃないでしょうか。補給に来る、まさか遊んでいるわけではないわけですし、いろいろな防衛目的もおそらく持っているに違いないでしょう。しかしながら現にあれだけの戦争が行なわれていて、そのためにエンタープライズを含めて原子力艦隊が多数就役をしておる。われわれもそれが直接に戦闘をしておるかどうかということの確認は、これはなかなかむずかしい点だろうと思うのですけれども、しかしこれは容易に推定のつくことじゃないでしょうか。ですから、私がお尋ねしたいことは、ともあれどういう経路であれ現に戦闘に従事しておる船が入ってくる、こういうことを日本として、日本の防衛当局としてお認めになるのかどうかという点だけを伺っておるわけなんです。
  79. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 直接でないということだけを明瞭にいたしておきます。  それから、かつてはベトナムの紛争に従事したかもしれませんが、現在はアメリカの西海岸におるらしゅうございまするが、第七鑑隊所属ではないという、その範囲しかわかっていないのでございます。
  80. 大出俊

    大出委員 いまの点で関連質問いたしますが、十月六日の内閣委員会で外務省の東郷北米局長に、いまと同じ質問をいたしました。北米局長答弁によると、議事録がございますが、アメリカの艦船が、特に軍艦が日本の港に寄港して、また出ていく、これを一々どこから来てどこへ行くかということを監視する立場にない、したがってその意味では明確にいたしがたいが、しかしベトナムから日本に入ってくる、それからまた日本からベトナムに出ていくというケースもあり得ますという答弁をいたしております。そこで、私が藤崎条約局長に、あり得るとするならばいま長官は日本を基地として出ていくのじゃないという言い方をされましたが、その点の質問を私がしたところが、日本からベトナム海域にエンタープライズが出ていく、そういうケースがあり得る、あり得るが、しかし、旧来からの国会における討論の先例によれば、航空母艦であるからベトナム海域に行くまで、これは戦闘行動に参加するわけじゃない、しかし、行った先で航空母艦に搭載されている百機の飛行機が爆撃その他に飛び立った、これは明らかに戦闘行動なんです。ただしかし、その出発した地点はどこかと言えば、エンタープライズの甲板でございます。したがって、作戦行動はエンタープライズの甲板から出たことになるという解釈でございますと言ったので、新聞記者の皆さんまで笑いだして、三歳の子供さんでもわかることを、こうなったわけですが、いまの答弁と明確に食い違う。向こうから来ることもある、行くこともある――これが関連の一点。  もう一点承りますが、いままで三回、エンタープライズはベトナム海域で戦闘に参加しております。現地の記者からの記事もたくさん出ておる。三カ月間引き続いてベトナム水域におった前例もあります。現在、アメリカの西海岸におりますけれども、空母フォレスタルが炎上したということで、早まるという情報が入っておる。この時期に、年内寄港という問題が出てきて、私は木村官房長官に質問いたしましたが、年内とあのときには言い切った。ハイランド中将、前第七艦隊司令官、彼が沖繩で談話を発表いたしました。エンタープライズは第七艦隊から抜けました。したがって、再び第七艦隊に編入されたときに寄港という問題が出てくる、こう言っておる。その時期はいつごろかと言ったら、来年の早々であろう、早々ということはいつごろだと言ったら、二月ごろだ、二月以降と解釈していいかと言ったら、以降という点については断定できない、こう答えている。したがって、ベトナムの作戦行動から帰ってきたエンタープライズは第七艦隊から抜けて、参加するときには編入されていくわけです。旧来からずっとそうだ。百二十五隻五十万トンといわれる第七艦隊は年じゅう抜けたり入ったりしている。アメリカの海岸へ行って休養するときは抜けていく。そんなことは常識ですよ。長官、明確に答弁してください、食い違いますから。
  81. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大出さんにお答えいたします。  私は、東郷君とは答弁は食い違っていないと思います。そこで、補給と休養のために来ることに対しましては、別段交換公文による合意ではなくて、ただ向こうから相談してきたから、事実上の相談でございますから、事実上の許諾を与えただけでございます。  それから艦隊に入る関係、出る関係のことはよく私はわかりませんが、大出君は非常によく御存じのようでございまして、前にはベトナム紛争に参加したことはある、現在はサンフランシスコあたりにいる、これだけの知識しかないわけでございまして、そこで、明春来るということもあなたの御存じのとおりでございまして、一月よりも少しおくれるのではないかという範囲のことしか存じないわけでございます。あと、詳細なことはひとつ外務省のほうにお聞き願えると――主務大臣が外務大臣でございますから、よろしくお願いいたします。
  82. 大出俊

    大出委員 実は、私の申し上げたのは、外務省の答弁と食い違ったことをここで議事録に残すわけにいかない。所管は外務省ですから、したがって外交文書のやりとりを進めてきて承認になっているわけでありますから、明確に外務省にお尋ねした。そうすると、外務省の責任ある北米局長が、ベトナムの水域から来ることもある、日本からベトナム水域に出ていくこともあり得ると答えた。それを、所管の違う大臣からそういうことはないと答弁されると困る。したがって、いまの答弁で食い違わないとおっしゃるのだから、十月六日の外務省答弁をお認めになるということですね。それさえはっきりしておけばいい。そう一々変えられたんでは困る。
  83. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 まだ読んでおりませんけれども大出さんのおっしゃった線ならば私の所見と同じでございます。
  84. 木原実

    ○木原(実)委員 たいへん心配しなければならぬことがずいぶんあるような感じがいたします。第一、日本の防衛当局の責任者である長官が、これだけの船の出入りについてあまり知識をお持ちでないということもおかしなことである。長官は、口を開けば、日本の防衛は日米安保条約というものとのタイアップの中で成り立っているのだ、こう言っているのですね。そうなってまいりますと、これだけのも一のが入ってくるということについて、いまのような御答弁では、日本の防衛ということについて非常に心配があるような感じがするわけです。もう少しこの問題をはっきりなさったらいかがでしょうか。私どもは、エンタープライズが入ってくるということについていろいろ心配があるわけなんです。したがってお尋ねもしたいわけですけれども、もう一度お伺いしますけれども、現にベトナム水域で戦闘等に従事をする船が入ってくる、これはもう明らかでございますね。あるいはまた、もう一つお伺いしますけれども一、それでは、戦闘に従事した船が、何らかの迂回航路をたどったとしても、日本に入ってくる場合はあり得るわけですね。
  85. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 そういうことはあり得ると思います。  そこで、防衛庁長官があまり知らないのはおかしいではないかというお話でございますが、交換公文には、在日米軍の配備の変更、重要なる装備の変更については事前協議をする、そのときには、私は、外務大臣と並んで、主務大臣といたしまして関知していなければならぬ、知識を周到に持っていなければならぬと思っておりますが、いま、交換公文に基づく事前協議としての合意を求めてきているわけではございませんので、事実上入ってくるからお願いしますよ、よろしいでしょうというような、つまり、原子力推進でございますから、そういうようなことでございますから、国務大臣としては知っておりまするが、防衛庁といたしましては、間接に知っている程度でよろしいのではないかと考えておる次第でございます。
  86. 木原実

    ○木原(実)委員 少し角度を変えますけれども、アメリカの原子力艦隊が日本に入港する、そのことを日本政府は認めた、こういうことで、現にアメリカとの戦争の相手国である北ベトナムその他から日本が敵視をされるということは計算をされておりますか。予測をされておりますか。
  87. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 今度の原子力艦船の寄港そのものは安保体制に基づく当然の措置だとわれわれは考えておりまして、北ベトナムその他の国々とわが国との関係が、これによって特段の消長を来たすべきではないというふうに考えます。
  88. 木原実

    ○木原(実)委員 私は長官に、特に防衛を担当する政治家としての長官にお伺いしたいわけなんです。これは、手続論からいえば、安保があるのだからその手続に基づいて入ってくるのだ、こういうことなんです。しかしながら、つい海の先であれだけの戦争が行なわれている。しかも、やはり一方の当事国ですね、そこの船が入ってくるわけですから、日本としてはこれは相当の覚悟がなければならぬと思う。特に防衛庁は、その点についての御見解はいかがですか。
  89. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 直接ベトナム紛争に関係しない立場において入ってくるわけでございます。あと、ところどころ飛び石があるかもしれませんし、あるいは第一艦隊に所属がえになるかもしれません。いま、おそらく太平洋艦隊といえば、第一艦隊と第七艦隊でございますから、第一艦隊所属でございましょう。そういうようなときに日本に入ってくるという場合には、原子力推進による船という意味におきましては、ノーテラス型の原子力推進の潜水艦と同じでございます。でございますから、それが放射能を出さないように、放射能なんかの処理は十分してあるかどうかというようなことを外務省において科学技術庁とともに検討いたしまして、よろしいと言えば、私は、直接北ベトナムと関係、つまりベトナム紛争と関係ないわけでございますから、よろしいと思っております。
  90. 木原実

    ○木原(実)委員 どうも奥歯にもののはさまったようなことなのですが、これはきょうここでは安全性の問題その他を私は問題にしていないわけなんで――それじゃ何ですか、日本にアメリカの船が入ってくる、そういう場合に、この船は戦争をいたしませんという証明書を持って来るわけですか。
  91. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 極東の周辺というふうにベトナムは考えられておるわけでございまして、したがって、安保条約と関係ございません。そこで、いまの場合は海軍でございます。したがって、海軍の配備の重要なる変更ということがあれば、事前協議の対象になって交換公文の対象になりまするし、それぞれ主務大臣が二人も三人もできまして、外務大臣と防衛庁長官が主務大臣になって合意をするかどうかを決定する。いまのエンタープライズの関係を演繹されまして非常に大きな場合を想像されても答弁しにくいのでありまして、もし在日海軍の重要なる配備の変更ということになれば、あるいは装備の変更ということになれば、われわれは合議にあずかる、事前協議の対象になる。そうして慎重に考えまして、それが原子力駆動であろうとなかろうと、われわれがイエスノーを言うべきである、こう考えております。
  92. 木原実

    ○木原(実)委員 この配備の変更ということは向こうから通知があるわけですか、その場合には。こちらから事前協議の対象にするという場合には……。
  93. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大体の標準が海軍の場合はございまして、一タスクフォース、一機動部隊以上の配備の変更があった場合には事前協議の対象になる、こういうわけでございます。
  94. 木原実

    ○木原(実)委員 なかなかふに落ちない面があるわけですけれども、いずれにしましても、そうしますと、長官のお考えでは、現に戦闘行為に従事していた等の船が入ってくる、それが明らかである場合には、日本は事前協議の中で断わることができる、こういうことですか。
  95. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 日本から極東の安全を防備するために在日米軍の基地として、港でも基地でございますから、そういうようなことが行なわれる場合には、事前協議の対象になりまするが、そうでない場合、つまり間接の場合は、寄港することは、薪炭の補給をするとか、あるいは休養する目的というものは、日本を基地として極東の平和と安全を守るための作戦行動ではございませんから、事前協議の対象にならないと考えております。
  96. 木原実

    ○木原(実)委員 時間がないようでだいぶせっつかれているのですが、佳境に入ったところなので、これは困りましたですね。私はずばりお聞きしたいわけですけれども、いろいろ日米間の取りきめの問題、手続上の問題はあると思うのです。しかしながら、長官御存じのように、たいへん激しい戦争が同じこの一衣帯水のところで行なわれている。しかも一方、当時国の戦闘艦隊が入ってくるわけですから、そのことによって、日本の防衛当局として何らかの覚悟がなくてはならぬと思うのですけれども、その覚悟を聞きたいと思うのです。手続のことは別の機会にもっとやりたいと思います。防衛上の一つの転機をもたらすようなたいへん大きな問題が含まれているのじゃないか、私はその点が心配ですが、これはぜひひとつ大臣に伺っておきたいと思うわけです。
  97. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 あくまで私のお答えしたいのは、日本から直接極東並びにその周辺の平和と安全を保持するために作戦行動をとる、こういう場合には事前協議の対象になりますし、間接である場合には、たとえばカリフォルニアに行ってからベトナムへ出動するとか、あるいは沖繩へ寄ってからベトナムへ出動するというような場合には、対象にならないと考えておる次第でございます。
  98. 木原実

    ○木原(実)委員 時間が過ぎましたので、最後に一つ伺っておきたいと思います。  まだたいへん疑問が残っておりますので、次の機会に幾つかお伺いをしたいと思いますけれども、私ども心配いたしますのは、たとえばベトナム戦争がエスカレートしていく、そういう中で原子力潜水艦が入ってくる、新しくまた戦闘艦隊も入ってくる、こういうような場合には、たとえば北ベトナム側が追跡攻撃をかけてくる、そして日本の港湾あるいは日本の領海内において追跡攻撃を受ける、こういったような場合には、日本の防衛当局としてはそれに対して応戦をする、反撃を加えていく、こういうことはあり得ることなんですか。
  99. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 木原さんはいろいろな場合を想定してお聞きになりますけれども、無限大にいろいろな事態を考えるということは私どもはいたしませんのでございまして、すなわち、一タスクフォース以上のものを日本に配置するというような場合には、それが作戦行動をとるといなとにかかわらず配備の変更でございますから、交換公文に基づいて事前協議の対象になります。イエスかノーかをわれわれが言い得ることであります。
  100. 木原実

    ○木原(実)委員 それじゃ長官に対する御質問はこれでやめます。私の一番聞きたかったようなことについては残念ながら答弁を回避されました。おそらく内閣改造後も一防衛を担当されると思いますから、新たにじっくりと、一国の運命に関することですからお伺いしたいと思います。
  101. 大出俊

    大出委員 長官が十月二十七日に、地対空ミサイル、ホークにつきまして、ホーク国産化のメーカー選定を、首相訪米、これは十一月十二日でありますが、までに行なうということを表明されれた。ところで、この長官の表明は、つまり、十一月十二日首相訪米までにホークの国産化のメーカーの選定をやるということ、このことは変わっておりませんな。おやりになりますな。
  102. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 今度ナイキミサイル並びにホーク全体につきましての国産は、三次防の一環として国会においても御同意を得たわけでございます。そこで、できれば国会を通過いたしました六月ごろからコントラクターをきめべきであると考えておりますが、アメリカの政府の開発いたしましたナイキとホークでございまして、日本の国において国産化する場合にもアメリカ政府の開発研究に要した費用をある程度払ってくれという交渉が長引きまして、普通の、たとえば公共事業なんかはもうかかっておるわけでございます。そこで、予算も、予算の決議を皆さまからいただいた直後にやるべきでございまするが、いわゆる研究開発費の関係で時間が食いましたが、できるだけ早く年度内に予算を執行する意味におきましてもメーカー、契約者をきめたい、こう考えておる次第でございます。そこで、めどは、いまの大出さんのおっしゃったことを必ずしも明確にいたしておりませんが、でき得る限り早く予算の執行は行政府としてやるべきである、こう考えておる次第でございます。
  103. 大出俊

    大出委員 研究開発費二十七億、これはおおむねアメリカとの間に話し合いがつきましたね。そういたしますと、長官が十月二十七日におっしゃっているように、首相訪米というところをめどにメーカーの選定をやる、こう理解していいですか。
  104. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 大体けっこうでございます。
  105. 大出俊

    大出委員 そこで、二つだけ質問をいたします。  一つは、大蔵省の海堀次長お見えになっておられますが、森田装備局長さんが、たいへん御不幸なことでございますけれどもおなくなりになりましたですね。先月の七日の日でございますが、ここで一つだけ、これは長官のおるところではっきりしておきたいのは、深夜まで海堀さんとおなくなりになりました森田さんがいろいろ話し合いをされておるようでありますが、一つは、二十七億円なる、いま長官がおっしゃっている研究開発費、これについての米軍との話し合いが続いておって、おおむねそのめどがついて、海堀さんのほうに連絡をして了承を求めたようでありますね。ところが、海堀さんのほうでなかなかいろいろ難色を示される面がおありになったようですが、だいぶこれはむずかしい、私もいろいろ調べたり聞いたりいたしましたが、いろんなことが出てまいりました。そこで、大詰めになりましてから、海堀さんの言われたことを森田さんが頭に入れて三輪次官に報告をされていますね。ところが、三輪さんが簡単にこれを了解しないということで、日にちで申しますと、六日の午後六時から九時までアメリカ側と森田さんが折衝されて、そのあと三時間大蔵省の海堀さんと故森田装備局長さんが話し合われて、午前零時から三十分間三輪防衛次官に経過報告がなされて、さらに深夜二時までそこにおいでになる海堀次長と電話で話し合いが行なわれた。これがおなくなりになる前日のおおむねの行動になるわけです。そこで、遺書が発表されておりますが、その中身からいたしますと、疲労の結果、錯乱状態で、逆の結論に合意してしまいました、私の不明をおわびします。こういう発表をされておるわけであります。錯乱の結果、逆の結論に合意してしまいましたということ、つまり、これは三輪さんに報告された、三輪さんがなかなかうんと言わない、さらに電話で午前二時まで海堀さんと打ち合わせをされた、こういう経緯があるのでありますが、参議院の決算委員会で大森さんの質問のときに、海堀さんがおいでにならなかった。かわりの主計官の方がこうであろうというお答えをされております。そこで、御本人からこの間の経緯を、長官もおいでになりますので、簡単にひとつ所管の委員会でございますから――おなくなりになった森田さんもたいへんお気の毒だと私ども思っておりますけれども、あれはどういうことになったのじゃということで、ずいぶんほうぼうから私どもも聞かれますから、したがって、やはりこれはお話しになった本人が明確になさらないと困る、こう思います。これはメーカーの選定とからみますから……。
  106. 海堀洋平

    海堀説明員 いま先生の仰せられましたこと、いろいろと数字とか時間をあげられましたのですが、その点だいぶ事実と違う点がございます。そのあたりは本質に関係のない問題でございますので、あるいはその点訂正をしないで過ぎることもあろうかと思いますが、事実と違う点がありました。  それから、もう一点お断わりしておきたいのは、米国との協定、それからさらにこれが予算化せられている面もあれば、今後の予算の審議にまたなければならない面もありますので、政府として現段階で申し上げられない点は、したがって具体的な数字その他については、予算をもって審議をいただくということですから、そういう点をまずお断わりしておきたいと思います。  午後の九時ごろでございましたか、装備局長以下二、三人の方が見えまして、そこでおもに検討いたしました事項は、現在御存じのとおり第三次防衛計画というものがきまっておりまして、その中においてこのナイキ、ホークの予算というものが一応きまっております。きまっておりますというよりか、予定されております。しかし、今後生産に入っていくといたしますと、はたして予定された金額内で、ホークは国産でございますが、そういたしますと、予定された金額内でものごとが進むという保証がはっきりとあるかと言われますと、それは今後具体的に生産にかかって原価計算なりしてみるとどうなるかわからぬ。そうなると、この協定をつくって、まず一番はっきりするのは、ナイキの地上器材を相手から購入するわけです。それらの金額を全体として見まして、一体三次防に予定される金額内におさまるかどうか、それが予算を預かるものとして、将来の国民負担を考えるものとして当然考えなければならぬことであります。したがって、全体として金額がこれでやっていけるだろうかという点の検討、したがって、もしまだ相手との交渉の余地がありせば、それを少しでも引き下げていく余地がないかどうかという点を表、裏から検討したのが大体十一時過ぎまでかかった。それでいろいろ検討した結果、多少まあまあ――これは将来のことでわかりませんが、まあ何とかやっていけるのじゃなかろうかという見当をその段階で数字をいろいろ入れてみましてつけて、まあまあかなということで、しかし、非常に重要な問題でもございますし、夜中の十一時ごろでございますので、主計局長には一応電話を申し上げましたが、あすあさでいい、あすあさ主計局長及び大臣に報告しよう、こういうことで森田さんにお引き取り願ったということがその夜の折衝でございます。  それから帰りまして電話をいたしましたのは、RアンドD、いま研究開発費といっておりますものの支払いの方法につきまして、一定の、前々からこういうふうな形でないと妥当ではないのじゃないかという支払い方法について、ある話し合いを防衛庁側としてあったわけでございますが、名分そうなっておるものという前提で話を聞いていたわけですが、自分の防衛の係のほうに電話をしてみますと、その前提の多少違う点があるようですというものですから、それでまだ防衛庁に装備局長さんいらっしゃるというものですから、その点を……。(大出委員「条件をつけたんでしょう」と呼ぶ)それはRアンドDの払い方自身を前々から話し合っていた線で少し違う点があるから、その点をはっきりさしてもう一度……。
  107. 大出俊

    大出委員 答弁をちょっと待ってください。委員長、これでおしまいです。結末をつけますから。  長官、これから実はほんとうは、きのう御連絡申し上げてあるように、ホーク問題で少し詰めた話を申し上げたいのですが、時間がありませんから……。東芝だあるいは三菱だ、こういうことなんですが、両方にやらせるなどといううわさまでいま飛んでいるのです。あなたいま十二日までにおきめになると言っておられますけれども関係があるから質問しているのですが、まん中の点質問しておる時間がないので、長官に最終的に聞いておきたいのですが、あとでまた、かつてのロッキード、グラマンではありませんが、世の中にたいへんな尾を引いては困る。そういう意味で、確たる確信のもとにメーカー選定をおやりになる相当な確信をお持ちですか。そこのところを……。
  108. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いままだ検討中でございますが、結論が出ました場合には確信を持ってこれを施行いたします。
  109. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、再度あらためて質問いたします。  予算の編成の最中おいでいただきましたので長い時間はとりません。いまの最後の電話でお話しになっているところ、二十七億の問題、ここのところの食い違いは何の食い違いだというところをはっきりさしておいていただきたい。
  110. 海堀洋平

    海堀説明員 はたしてこの席で申し上げていいのかどうかわからないのですが、要するに支払いのしかたの問題でございます。これは協定の内容に触れるものですから、いま防衛庁側が申し上げない限り、ちょっと私の口から申し上げられませんが、要するに、開発費を支払う支払いのしかたにつきまして、それも前々こういうふうにやろうじゃないかという話し合いをしていた点に大部分乗っていたわけですが、少しだけ違う点があった。その点について、これはやはりまずいではないかということを申し上げました。そうしますと、森田さんは、じゃ大蔵省であなたがほかの点を全部なにしていただければ、あすその点をもう一度交渉しましょうということで話は終わっているわけであります。
  111. 大出俊

    大出委員 別な点から聞きましょう。このミサイルの研究開発費なるものはどこに支払うのですか。
  112. 海堀洋平

    海堀説明員 最終的には、たとえばナイキの地上器材は米国政府から直接買う。したがって、それは米国政府にそのまま支払う。それから国産する分は、私の承知しているところでは、一応国産品を買うときに、それに付帯いたしまして日本政府がその業者に払い、業者から米国の政府に支払うという形になるわけです。
  113. 大出俊

    大出委員 そうすると、その業者は一体どこになるんですか。
  114. 海堀洋平

    海堀説明員 それは予算執行をいたします場合、各省大臣が決定することでございまして、大蔵省の関知したところではございません。
  115. 大出俊

    大出委員 そうしますと、二十七億のうちの器材その他の米国に払う分は幾らですか。
  116. 海堀洋平

    海堀説明員 それは予算をもって決定する事項でございまして、現在ここで幾らということを申し上げることはできないと思います。
  117. 大出俊

    大出委員 そうすると、その支払い方の中身も言えないということですか。
  118. 海堀洋平

    海堀説明員 簡単なことでございますが、中身もやはり協定になにすることでございますし、予算をもってはっきりさせたいと存じます。予算というものは閣議で決定されるものでございまして、私たちがこう思っておりましても、閣議全体の、大蔵大臣と防衛庁長官で予算をきめるのではなくて、閣議できめる事項でございますから、予算をもってお答えするようにいたしたいと思います。
  119. 大出俊

    大出委員 大臣がいなくなったところで、どうもここから先少し政治的な話になりますから、事務当局の皆さん質問してもしかたがないと思うわけです。いまの点はあらためて伺いますが、中身が非常に重要な問題で、中身を出していただければみんなわかってしまうと私は思っておりますが、あなたのほうでお出しになれますか。念のために伺いますが、支払いの方法について防衛庁から出せますか。
  120. 佐々木達夫

    ○佐々木説明員 ただいま成立しておりますのは四十二年度予算でございまして、防衛力整備五カ年計画は一応閣議決定をしておりますが、その実際の支出名義は、先生方御存じのように、来年度以降の予算の問題になってきます。したがいまして、先ほど財務当局から御答弁がありましたように、予算の審議の過程を通じまして明らかになるというふうに考えております。
  121. 大出俊

    大出委員 これは、おなくなりになりました前の森田装備局長さんの件につきましていろいろな方面からいろいろな話が入ってまいりますが、このあたりにいろいろ関連があると考えなければならぬ点が多いわけでありまして、したがって、実はこの委員会の席上で明らかにしたいと思っておるわけなんですけれども、いまのお話とあわせまして、大臣もおりませんから、またあと理事会等で御相談をしていただいて、時間を設けて大臣のおるときに重ねて質問することにいたしまして、それまで保留いたします。
  122. 關谷勝利

    關谷委員長 木原実君。
  123. 木原実

    ○木原(実)委員 それでは続きまして、しばらく防衛庁当局の方にお伺いをいたしたいと思います。  実は、先般、千葉県の習志野自衛隊が模擬爆弾を誤って投下したという事件がございました。先月でございましたか、長官も現地を視察されたというふうに承っておりますけれども、その後の措置はどういうふうになったか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  124. 中井亮一

    ○中井説明員 お尋ねの件は、九月二十六日に第一空挺団で不慮の誤投下をした件と心得ますが、この事故の原因が、地上の誘導員と飛行機から落とすほうのパイロット、それから降下長というものとの間の連絡が悪かったといいますか、パイロットと降下長がだいじょうぶだと思って落としたところが、だいじょうぶではなかったというのが原因でございます。そういうことでございますので、被害者の方々のところには、関係者一同直ちに何回か謝罪にも参りまして御了解を得、また、屋根の破損個所の修理もさせていただきまして御了解を得たわけでございますが、それに関連をいたしまして、地元の方々からいろいろと御注文といいますか、御要望が出てございますので、それらをあわせて検討をいたしまして、次のような措置を講じさせていただきました。  一つは、演習場の区域が上空からはっきりわかるような標識を設けて間違いのないように、誤りのないようにするということであります。  それから二つ目は、従来、八千代町の側、すなわち東側のほうから飛行機が入るようにやっておりましたけれども、人家の関係もありますので、西側の反対側のほうから飛行機を進入させるというふうな措置にいたしました。  それから第三には、演習場の中に空港その他を考えて物が落ちるように、人も演習場の中におりるように考慮して指示はしていただいたわけでございますけれども、今回のような誤りというのも出てまいりますので、飛行機が演習場の上空に入ってから初めて人も物も降下をするというふうにして、今回のような誤りのないように指示をいたしました。  それから四番目には、先ほどのパイロットと降下長が降下をするのについて若干誤りがあって未熟でございますので、これらのパイロット、降下長の総員について再教育をして、誤りのないように教育訓練を強化させていただく、こういう措置で今後やらせていただきたいというふうに考えております。
  125. 木原実

    ○木原(実)委員 その点は了解をいたしましたけれども、事故がかなり多いですね。そこで、それに関連をして伺いたいのですけれども、事故というも一のはいろいろあるわけです。たとえば、隊員の人身上に関する事故あるいはまた施設の破壊、破損、そういうことに関連をする事故、いろいろの事故のケースがあると思うのです。この数字をあげることはここでは申しませんけれども自衛隊の事故の趨勢ですね、そういうものが何かはっきりしておるのですか。たとえば全国の各部隊の中で起こっておる事故、そういうものを何か統計的に取りまとめておる、こういうことをやっておられるのですか。
  126. 麻生茂

    ○麻生説明員 ただいま御質問自衛隊内におきます。特に人事上のことについてのお話だと思いますが、規律違反事故の状況につきましては、それぞれ事故が発生いたしました場合においては即刻中央に報告させるようにしております。そしてそれに基づきまして毎年統計をとっておるわけでありますが、概略な点というお話がございましたので、規律違反の最近における趨勢について申し上げます。  昭和三十八年から申し上げますと、発生率は千人に対しまして、陸、海、空合わせまして一七・九、昭和三十九年が一六・八、それから昭和四十年が一五、それから昨年の昭和四十一年が一五というような情勢でありまして、事故の比率としては若干減少し、横ばい状況にあるというのが現状でございます。
  127. 木原実

    ○木原(実)委員 これは人命の損傷というような面についての事故ですね。
  128. 麻生茂

    ○麻生説明員 ただいま申しましたのは規律違反全体についてでございます。
  129. 木原実

    ○木原(実)委員 時間がないのであまりお伺いできないのですけれども、訓練上の事故があった場合、あるいは飛行機が墜落をする、こういったような場合についてはかなり詳しい追跡調査をやってやはり対策はお立てになっていらっしゃるのでしょうね。
  130. 中井亮一

    ○中井説明員 航空機事故につきましては特に厳重な事故調査委員会を設けまして、あらゆる角度からその事故の原因を調査して、それに応じた対策を逐次立てて実施に移しつつあるということでございます。
  131. 木原実

    ○木原(実)委員 だいぶざわついてまいりましたのでやめますけれども、習志野自衛隊に起こった事故に関連してですが、あの辺も人口がたいへん稠密になりまして、住宅あるいは工場等の進出が相次いでおるわけです。八千代市の市議会は、あの事故のあと満場一致で、あの訓練場所を移してほしい、こういう要望決議をしておるような始末なんです。確かに、私ども現地を見まして、あそこで飛行機から物を落とすということ自体がたいへん無理になっている。たいへん地価も上がっていることですから、訓練内容を変更するということだけではなくて、あの辺はひとつ住宅地なら住宅地に提供して、さらに何か移転をするというお考えはございませんか。
  132. 中井亮一

    ○中井説明員 私の立場としましては、ほかにいい場所が目下のところございませんし、できる限りただいま申し上げましたような措置によって訓練を続けさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  133. 木原実

    ○木原(実)委員 これで終わりますけれども、部隊の中で起こっておるいろいろなケースの事故があると思うのです。これをひとつ何か資料として――たとえば人間のからだに関する、人命の損傷に関する事故件数とか、あるいは陸、海、空それぞれのいろいろなケースの事故があると思うのです。それをひとつ御提出願えませんでしょうか、これをひとつ要望しておきます。  それから東京周辺の人口稠密のところに自衛隊の駐とん地があるわけですが、その中でいろいろな訓練が行なわれております。訓練内容等についてはどこか一つ総合の何か訓練場のようなものを考えて、駐とんされるのはいろいろなことがあって駐とんされているのでしょうけれども、何か訓練内容を変えるだけではなくて、そういう自衛隊の訓練場、敷地、そういうものを何か合理的に配分をするようなことも考えていただきたい、このことをひとつ御要望申し上げておきたいと思います。
  134. 浜田光人

    ○浜田委員 さっきのに関連してですが、私たちがバイパスなり危険なところについて言っているのは、基本的にはあそこに施設を日本政府が提供しておるところに問題が起きると思う。したがって、施設の問題については政府が責任を持って合同委員会等でいろいろ討議しておかなければならぬ。かつて十カ年間も使わないようなところをいまだに提供させておったものだから、ああいう事態が発生しておる。そこで、なぜそういう基地を提供しておって危険な状態が起きるかという一面についても質問してみたいのですが、過去三カ年間に該当地区で日本政府が地位協定に基づいて提供したその目的以外にあの地域を使っておりはしないか。たとえば、私の調べた範囲では、この三カ年の間に試射に十一回も使っておる。少なくとも日本政府はそういう試射等はおのずから試射をする個所を提供しておるはずです。弾薬を揚げたり、そういうところで弾薬の試射をやったりすることは、厳密にいえば私は地位協定の違反だと思うのです。それを一歩下がっても、少なくともそういうことをさすから、ことに住民としては危険を感ずる。そういう点を事実日本政府は認めておるのか、認めておるとするならば、どういう対策を立てておられるのか。
  135. 鐘江士郎

    鐘江説明員 ただいま先生の御質問の件につきましては、確かに昭和四十年、四十一年――四十二年も数回、米軍が秋付の弾薬庫に格納しておりますところの小銃弾、これの試射を、先生御承知のあそこの広の弾薬庫の横穴を利用いたしまして、そういう性能試験をやっておったということは事実でございます。ただこの問題は、いままであそこの広の弾薬庫には弾薬は集積されておらなかったわけでありまして、そこの横穴で試射をやるのだから危険性はないということでおったわけですが、今後ここの広の弾薬庫を中継地といたしまして川上に弾薬を持っていくということになりますと、危険性からいいましてもこういうことはまことに思わしくないことでございますので、米側に対してこういう試射は今後やめてもらいたいということを申し入れたい、かように思っております。
  136. 浜田光人

    ○浜田委員 この地位協定の三条の三項には、ただいまのようなことは該当するのかどうか。時間がないから読んであげてもいいですよ。「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」こういう項目なんだが、この作業に入るかどうか。
  137. 鐘江士郎

    鐘江説明員 この条約上の文理解釈は、主管が外務省でございますが、私ども承知しております範囲では、ここの作業というのは、外務省の見解によりますと、建設工事をいうものというふうに承知いたしております。
  138. 浜田光人

    ○浜田委員 ではそれはまた外務省を呼んで、それから防衛庁のほうへお聞きすることにしますが、ただ、いまからそうする、こういう答弁ですが、ぜひこれは実行させないと、危険でないからというが、危険だから赤旗を立てたり、耕作者にのけとか、漁民は近寄ってはいかぬとか、こういう指示をされるのだから、危険と思うからやるのだから危険じゃないなんて、それはナンセンスなんです。それは強く米軍に要求しなければならない。とかくどうもあなたたちは、国民を代表して米軍と折衝しなければならぬ立場だけれども、たいへん言いにくいけれども、逆に窓口となって米軍側のことを日本に理解さすような、まさかそんなことがあってはいかぬけれども、そのように何というかじれったいのだ、施設庁が直接窓口でやられるのに。だからもう少し勇気を持って是は是、非は非、やらすべきことは、さきの施設が身なんというものは当然米軍の金をもって整備したければならぬ。もうちゃんときまっておる。それをやらせて国民の安全を守るべきなんです。強くやらせなければならぬと思う。  関連しますが、あの地区がかつて大蔵財産から農林省に所管がえになって、そして開拓財産にかわる。開拓財産になってそれに使用料を払って、基地提供の区域内に入れる、こういうことなどというものは、日本政府から見たときに実に私は一貫性がないし、ばらばらだと思うのです。これは少なくとも基地提供をする場合に、ほんとうなら個人財産のところをやってはいかぬ、開拓財産はもうすでに個人財産になるのだから。ほんとうに必要であるならば管財財産で持つべきですよ。それを農林省に所管がえしてみてそこを提供したり、でたらめだと思うのです。それは開拓財産であって個人財産になる。そこを耕作しておる。事故が起きたらどうするのです。自分の耕地だからそれを耕作する権利を持っている。こういうことは行政から見ても一貫性がない。だから早くあそこを全面解除しなければならぬ、こういうことになるのです。ところが実際皆さんはどういう交渉をしておられるのか。開放の問題についていままでの経緯なりあるいは結果について御説明いただければと思います。
  139. 小幡久男

    ○小幡説明員 広弾薬庫の解除につきましては、前国会、この委員会の席上でも大臣なり私からお答えいたしたとおり、一部返還につきましては非常にむずかしいが、正式な折衝をいたしますというお約束をいたしておるわけであります。それに従いましてその後約束どおり米側と折衝を続けてまいりました。最近の一番新しい状況では、米側も相当の理解を示しまして、地元の要請でございますが、その一部返還をする地区に国立の試験所を建てたいという御希望がございます。その図面も米側はほしいと申しまして、現在その図面を米側に渡しまして、米側はその図面に基づきまして保安距離との関係検討しておりまして、その検討ができ次第現地に座間の参謀長がおもむきまして現地で前向きにいろいろ検討したい、こういうふうに申しておりますので、この状況は現在県知事並びに市長にも内報として伝えております。
  140. 浜田光人

    ○浜田委員 これでやめます。ただ、保安距離保安距離と言っているが、実際いま弾薬を運んでいるのは市街地の中を運んでいるのですよ。かってなことばかり言うのだ。格納庫じゃない、こう言っている。陸揚げするだけ、そして陸揚げしてはほかの弾薬庫に運ぶ。そんな保安距離というものは、ばく大に、十二万坪もとらなければいかぬ、こんな筋の通らないことはないですよ。アメリカ軍は日本の法律は順守する、こう言っているんだから、日本の法律に基づいてどのくらい保安距離をとればいいか、どういう地勢の中でやればいいかということは、日本政府はよくわかっている。もっともそういうことは日本政府が金を出さなければいかぬかもわからぬが、私は金のかからないように、しかも軍の一方的な保安距離、この前大臣が答弁したように、広いほどいいかもわからないけれども、それは向こうさんの立場であって、少しでも開放させて、そこを利用しなければならない日本の国から考えたときに、保安距離は実際運んでいるその距離をとればいい。だから向こうの言い分の保安距離でなくて、日本政府が日本の法律に基づいて、これが妥当な距離だということを米軍側に理解させて、実行さすように強く要望して終わります。
  141. 關谷勝利

  142. 大出俊

    大出委員 閣議で人事院勧告八月実施をきめたときに、決定内容の中で公営企業問題に触れていますか。
  143. 近藤隆之

    ○近藤説明員 直接には触れておらないと思います。
  144. 大出俊

    大出委員 そうすると、四十二年十月二十八日に自治省財務局公営企業第一課長という形で各都道府県の総務部長、それから都指定都市公営企業管理者殿といういわゆる内簡が出されておりますね。この根拠はどこにあるのですか。
  145. 近藤隆之

    ○近藤説明員 御案内のように、従来の取り扱いといたしまして、国家公務員給与改定がございますと、地方公務員、まあその中に広い意味で公営企業の職員がいるわけですが、地方公営企業職員の給与改定が常に問題になっております。それからまた公営企業職員の給与決定の要素の中には、国家公務員給与というものも一つ入っておるわけでございまして、それが変動するということになりますので、ある意味では公営企業職員の給与決定の前提条件の一つが狂ってきた、だからこの際公営企業職員についてどうするかという問題が起きてくるわけでございます。そこで、そういった場合にわれわれとしてはこのように考えておる、つまり大体従来の考えを再度確認したような形でございますけれども、こういった考え方を示すという意味で内簡を出したわけでございます。
  146. 大出俊

    大出委員 そうすると、旧来の考え方と変わらない、こういうことでいいですか。いまちょっとそういう発言があった。
  147. 近藤隆之

    ○近藤説明員 旧来と申しますのは、昨年公営企業法の改正がございまして、あのときの改正の趣旨等につきましては通牒を出しております。しかし現実の企業職員の給与が必ずしも企業によりましては現行法のとおりになっておらないというようなところもございますので、それをもう一度、法律の予定しておる企業職員の給与というのはこういうものであるということをはっきりさせたいという意味でございます。
  148. 大出俊

    大出委員 ところでこの地方公営企業関係職員は、団体交渉権がありますね。
  149. 近藤隆之

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。
  150. 大出俊

    大出委員 そうすると、給与決定の内容については当事者間の対等な立場における団体交渉によってきめる、こういうたてまえになりますか。
  151. 近藤隆之

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。
  152. 大出俊

    大出委員 そうすると、たとえば、この内簡の第三項にございますが、勤勉手当。ここに列記してある一つでございますが、「勤勉手当については、職員の勤務成績に応じて差等を設けて支給すること等」云々とありますね。これは中央の公労協の例からいきますと、ここにも同様に勤勉手当の制度がありますが、これは団体交渉で、どこの組合をながめてみても、九組合全部そうでありますけれども、そんなに職員として、これはたいへんよく働いた、これはたいへんに働かないという勤務評定の制度がない。したがって団体交渉では、普通一般の年間の諸手当、期末手当、あるいは年末、あるいは三月というようなときですね、それと同じように、勤勉手当も他の手当と同じように、等差を設けないで支給するということで団交できまる。現実に協約が結ばれております。そうなると、そういうところまで自治省がこう考えているからこうしろと言うのだとすると、団交権というのはどこかへいってしまうわけですからね、私は、多少これは行き過ぎのきらいがあると考えるのですが、そこらのところどうお考えになりますか。
  153. 近藤隆之

    ○近藤説明員 企業職員の給与のあり方といたしましては、やはり勤勉手当というのはその勤勉度に応じて差等を設けるべきだろうと思います。具体的にどういうふうなやり方をやるかということは、これは団体交渉できめるわけですが、団体交渉は両者の話し合いによってきまるわけでございますから、やはり管理者という立場に立つ方にとりましては、勤勉手当というのはそういうような性格のものにしたい、するべきであるというような考え方を持っております。
  154. 大出俊

    大出委員 したい、するべきであるということは、やれということじゃないですね。そうすると公営企業管理者に対しましてそうしたい、自治省はそう思っている、こういうわけですね。
  155. 近藤隆之

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。自治省にはそういった強制権というものはもちろんございませんで、具体的にどういうような給与をするか、どういう手当を設けるか、どういうように支給するか、すべて法律上のたてまえでは団体交渉によってきまるということになっております。
  156. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、この文章全体をながめてみて、たとえば第五項であります。「給与改定に際し慎重を期せられたいこと。」こうありますね。「改定後の国家公務員給与水準を上廻っているような企業にあっては、給与改定に際し慎重を期せられたいこと。」これも旧来、口を開けばという言い方はいいかどうかわかりませんが、自治省の皆さんはそう言ってきておるのですね。しかも今度は、ここには「慎重を期せられたい」こういう言い方ですね。これもしたがって、自治省はこう思っているということを旧来やってきた筋に従って一応出しておいたというふうに受け取りたいのですが、いかがですかそこのところ。
  157. 近藤隆之

    ○近藤説明員 地方公務員についても国家公務員給与水準を著しく上回る団体があるということで、閣議決定のたしか附則にも一般職の分についてついておると思いますが、企業職員の中には国家公務員の水準等を相当上回るものがございます。そういった場合には、結局その給与というのはどこから払われるかということになりますれば料金でございますので、地方公営企業の料金というのは、できるだけ合理的、能率的な経営を行なって、安くすれば安くするほどいいわけでございますので、当然管理者の立場といたしましては、そういった場合に、もし国家公務員より相当給与が上回っているような場合に、この際給与改定を行なうという場合には慎重に扱っていかなければならないと思います。もしそれが団体交渉の結果給与改定が行なわれたといたしましても、われわれのほうとしては制裁の措置はございません。
  158. 大出俊

    大出委員 行なわれたとしても制裁の措置はございません、とこう言うわけですね。そこまではっきり言い切っておられるなら、その筋はわかります。ただ、ひとつここでいまの答弁について申し上げておきたいことがあるのですが、公営企業である限りは公益性という面を相当やはり重視しなければならない、こういう性格だと思うのですね。学問的に間接的な社会資本なんといわれるのは、そこに理由があるわけですからね。  そういたしますと、合理化とこう言われるのですけれども、公益性を全く無視した合理化ということになるとすると、公営企業の意味がなくなるというわけですね。経済性という問題がもう一面ありますけれども。したがって、言い過ぎると、労使間のトラブルが起こるだけでなしに、公益性の相当な低下という問題に結びついてくる。そこのところは、それこそ慎重に自治省としても扱っていただかなければならぬと思うわけですが、そこらのところ、どうお考えになりますか。
  159. 近藤隆之

    ○近藤説明員 公営企業が地方公共団体が経営いたします企業でございます以上、当然そこに公共性があるからこそやっておるわけでございます。ただ、われわれのほうが問題にしておりますのは、公営企業職員であるから民営よりも給与が高くなければならない、そういったことはないだろうと思うのです。現実にはそういったところが相当ございます。そこを問題にしておるわけであります。
  160. 大出俊

    大出委員 そこまで言うと、これは大臣に承らねばいかぬ問題になる。一つの政策論争になります。それを反論してみても、政策の問題につながってきますからね。したがって、いま出されているこの内簡の中身を事務的に私聞いているわけなんで、これ、一つ間違うと、この内簡が一つのよりどころになったトラブルが起こる。これでは困る。団体交渉権があるのですし、しかもこの中身給与の決定なんですから、一番重要な団体交渉の項目ですから。  したがって、もう一ぺん総括的に承りたいのですが、強制権はない、したがって自治省の一つの見解を各自治体に、あるいは企業の関係部長あてに、連絡をしておいたという文書だ、こう受け取っていいですな。
  161. 近藤隆之

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。ただ、再建団体につきましては、法律に定めるところによる自治省の若干の措置というものがあり得る場合がございますが、再建団体以外の通常の企業の場合にはそのとおりでございます。
  162. 大出俊

    大出委員 横浜の交通企業というのは再建団体なんですが、実はそこまで質問してないので、してないところまで答えられると逆に困るので、その点は質問しておりませんから。これは旧来から大臣とさんざん委員会でも、あるいは直接、話し合ってきておりますので、それはそれなりの措置をこれから相互努力で自治体の首長もあるいは公営企業――交通あるいは水道なりの理事者のほうも、あるいはまた私どもも、自治省も、ともに英知をしぼってひとつ相談をしようじゃないか、こうなっておりますから、これはそういう扱い方にしていただきたいと思います。  念を押すようでありますけれども、つまり旧来考えておったことを、昨年の公営企業法改正を足場にして考えておったあるいは出しておったものを、この際給与の国家公務員、地方公務員についての基本的な変動があるから、したがってもう一ぺん連絡をしておいた、こういう文書というふうに受け取っていいですね。
  163. 近藤隆之

    ○近藤説明員 先生の御質問の範囲内ではそのとおりでございますが、後段のところに再建団体の取り扱いについても若干触れております。その部分は、再建団体というのが本年度初めて現実に再建に入った関係がございますので、これも法律には書いてあることではございますが、念のためつけ加えてあるということでございます。
  164. 大出俊

    大出委員 これは、こういうことをつけ加えるから逆に問題が複雑になる。たとえば、再建計画を提出をして自治大臣の認可を受けているところは何カ所ありますか。
  165. 近藤隆之

    ○近藤説明員 百六十三企業でございます。
  166. 大出俊

    大出委員 そこで問題になりそうなところというのは、再建計画の中身に何が含まれておるかということとからむわけですよ。そうすると、給与改定財源というものを含めてお認めになっていますか。何カ所ぐらいありますか。
  167. 近藤隆之

    ○近藤説明員 給与改定というのは予測つきませんので、ことしについては含めて計上しているところはないと思います。
  168. 大出俊

    大出委員 そうでしょう。ことしについては含めて計上したところがないとすれば、つまり給与改定をやろうとすれば、再建計画の変更に結びつかざるを得ない形になる。ということは、自治体の議会で議決をしてきているというのが筋なんですね。そうすると、議決もなしにいかなる自治体であっても、かってに、町長だのあるいは市長だのが、再建計画を提出はできない筋合いですね。そうなりますと、議決を経ているものの中に給与財源が含まれていない。いないとすれば、当然再建計画の変更という問題と結びついてくる、こうなるわけですよ。それはあたりまえのことです。そうでしょう。だから、そこのところを何かここでこういうふうに「断固たる措置を講ずる予定である」なんということを入れると、どうも内簡というのは決定権あるいは強制権がないはずなところに、自治大臣の認可権というものを一つたてにとって「断固」、こうなると少しことばが過ぎやせぬかという気がする。
  169. 近藤隆之

    ○近藤説明員 ちょっと誤解があったと思いますが、再建計画というのは毎年度の赤字解消額というものを義務づけておるだけでございますので、企業でございますので、企業が上昇期にあります場合には、当然自然増等がございます。そういう自然増等も一切収入面で見込まず、支出のほうも、したがいまして不確定要素をはずすという形で組まれておりますので、通常の企業の場合には自然増でもって給与改定がまかなえる、再建計画の変更は要らないというところが相当あろうかと思います。企業によっては、いまそういうような上昇期にない企業もございまして、そういったところが場合によっては再建計画の変更の問題になるかと思います。
  170. 大出俊

    大出委員 そうなると話はまた別の問題になる。たとえば増収がある、自然増がある。ある自治体の場合に、交付税なら交付税をもらう、交付金をもらう。その場合に国税三税が伸びておりますね。所得税なりあるいは法人税なりあるいは酒税なりが伸びておる。そうすると、はね返り分は当初予算の計上額よりもふえる。たとえば十五億だと思ったのが二十億からきたという場合があり得る。これだってそういう意味では増収ですね。そうでしょう。そうなると、そういうものは、再建計画を出しているところは、たとえば返済期間を短縮するとかなんというようなことに回せ、給与改定をしてはいけない、こういう趣旨ですか。
  171. 近藤隆之

    ○近藤説明員 いえ、別に給与改定をしてはいけないという趣旨ではございません。給与をどのようにきめるかということは、法律に定めておる企業職員の給与のあり方というものに照らして、この際給与改定が必要かどうかということを検討して、必要な場合には上げる。またそれによってもまだ剰余があるという場合には当然再建期間の短縮をやってほしいというようなことになろうかと思います。
  172. 大出俊

    大出委員 そうすると、ここで言っている意味はどういうことになるのですか。「給与改定を実施することによつて生ずる財産再建計画の変更の承認にあたってとくにその給与改定が上記の趣旨に即するものであるかどうかについて慎重に検討するものであること。」ここまではわかりますがね。「法の定める財政再建計画変更の手続きを経ないで給与改定を実施し、又は実施しようとする企業」これはたとえばどういうことになりますか。
  173. 近藤隆之

    ○近藤説明員 再建計画の変更の手続を経ないで予算だけを直してしまうというような場合が考えられます。
  174. 大出俊

    大出委員 それはいけないというのですか。
  175. 近藤隆之

    ○近藤説明員 いけないという意味でございます。法律も、そういうようなことをした場合には自治省のほうとして措置がとれる、そういう仕組みになっております。
  176. 大出俊

    大出委員 つまり、そうなると、あなたのほうは給与改定をしてはいけないと言っているわけじゃないですね。そうでしょう。自治省の承認を得ろということですか。
  177. 近藤隆之

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。
  178. 大出俊

    大出委員 それならそうすなおに書けばいいので、こういうふうに持っていって、「法の定めるところにより、断固たる措置を講ずる予定である」というような大だんびらを振り上げた、だから少し行き過ぎじゃないか。こう書かなくたってわかるじゃないですか。そうでしょう。財政が上回って上昇期になってこの企業はうまくいきそうだ、おれのところはだいぶ当初予算より財源がふえた、だから給与改定をやりたいというようなところがあるとすれば、再建計画を一方出しているから自治省の承認を得なさい、得なければいけませんよと言っておけばいいでしょう。「断固たる措置を」なんと言わなくてもいいんじゃないですか。
  179. 近藤隆之

    ○近藤説明員 字句の点はございますが、おっしゃるような趣旨でございます。
  180. 大出俊

    大出委員 つまり内簡、こういうものが出ると、そこらの職員団体なりあるいは労働組合なりが、けしからぬ、とんでもないということになる。それはこういう書き方をするものだから。「断固たる措置を」なんと言われると、しょっぱなから給与を上げちゃいけないととれるでしょう。だからそうではなしに、そこらあたりは十分御配慮いただいた出し方をしないと、そのことをもって自治省との間でまた問題が起こったり、自治体との間にもめごとが起こる。だからそこらのところは、近代社会ですから、あまり大だんびらを振り上げるような形にしないでやっていただきたいと思います。そこのところはいいですね。――じゃいいようですから……。
  181. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会      ――――◇―――――