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1967-11-09 第56回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月九日(木曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 田村  元君 理事 金丸 徳重君    理事 中井徳次郎君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    加藤 六月君       木部 佳昭君    徳安 實藏君      橋本登美三郎君    井手 以誠君       大柴 滋夫君    八百板 正君       山花 秀雄君    樋上 新一君       田代 文久君    古内 広雄君  委員外出席者         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省電波管理         局長      石川 忠夫君         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 九月十一日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として安宅  常彦君が議長指名委員に選任された。 十一月九日  理事中井徳次郎君同日理事辞任につき、その補  欠として金丸徳重君が理事に当選した。     ――――――――――――― 八月十八日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波管理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についておはかりいたします。  本日、理事中井徳次郎君から理事辞任したい旨申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事中井徳次郎辞任に伴い理事が一名欠員となりましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。それでは、金丸徳重君を理事指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 松澤雄藏

    松澤委員長 この際、おはかりいたします。  当委員会におきましては、今閉会中、逓信行政等実情調査のため、各地に委員派遣を行なったのでありますが、その報告書委員長の手元に提出されております。  これを参考のため会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――
  7. 松澤雄藏

    松澤委員長 逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田代文久君。
  8. 田代文久

    田代委員 三点だけ質問したいのですが、第一は、UHF親局免許問題。これは郵政大臣に直接的に質問したいのですけれども、きょうは病気で欠席されておるということでございますし、大臣の代行の田澤次官がおられますし、当局もおられますので、わかるだけの質問をさせていただきたい、このように思います。  まずお聞きしたいのですが、この新免許あるいは免許更新につきましていろいろの好ましくないうわさが飛んでいる。それについて、いろいろ金が動いたとか動かないとか、こういうようなこともあります。ですから、やはり前国会から黒い霧の問題なんかで国民が非常に注目しているというような状況の中で、こういう点は非常にはっきりさせる必要がありますのでお伺いしたいのですが、あの認可をされた認可条件あるいは認可基準というものは、大体どういう条件なり基準でそれをされたのか、それから認可事情ですね。そういう点についてまず当局から事情を御説明願いたいと思います。
  9. 田澤吉郎

    田澤説明員 お答え申し上げます。  田代委員承知のように、放送法電波法が前の国会で成立を見なかったその後のことでございますが、本来ならば、このUHF免許を与えるのは、やはり放送法なり電波法が成立した後にこれを認可していくのがほんとうなのでございます。ところが、全国的に地域を見ますと、緊急度の高い、どうしてもやっていかなければならないという地域が非常に多いわけでございます。どうしても放送法なり電波法が早急にできない場合は、その地域に対してだけ今回はUHF認可を与えていこうというのが今回の免許のねらいでございます。  あと、詳細にわたりましては局長から説明いたさせますが、本質的な考え方としてはそういう点にございますので御了解を願いたいと思うのであります。
  10. 石川忠夫

    石川説明員 このたびのUHF免許基本方針につきましては、ただいま政務次官から御説明がありましたが、このたびのチャンネルプラン修正によってUHFを開放し、それに基づいて新たな局の免許をしたわけでございますが、このもとになっておりますチャンネルプラン修正についての考え方というのは、第一には、これはいずれの地域におきましても二つの民放テレビジョンが見えるようにすることということで、それを全部一時にやるわけにいきませんので、適当な地域を選んでやったということが一つ、それから近畿の問題を解決しようということ、それからもう一つは、名古屋とか福岡というような基幹地区にもう一波追加をしようということ、それからこのUの開放するにつきましてはUとVとの混在を認めていこうということでチャンネルプランをつくったわけでございます。このたび開放いたしましたのは、従来中継局用として十八チャンネルを開放してございますが、それに十二チャンネルを加えまして三十チャンネルを開放したわけでございます。
  11. 田代文久

    田代委員 そうしますと、認可された親局名前と、それから、いままだ認可はしていないけれども、年次計画で次にどういうところを認可するという計画があると思うのですが、そういう局の名前数字、それから年次計画別、将来の計画、こういうものをひとつ御説明願いたいと思います。
  12. 石川忠夫

    石川説明員 このたび決定いたしましたのは、札幌に民放一局、新潟民放一局、長野に民放一局、静岡民放一局、富山に民放一局、金沢に民放一局、名古屋民放一局、岐阜に民放一局、津に民放、京都に民放、岡山に民放、高松にNHK民放福岡民放、徳島はNHKだけ、それから佐賀に民放NHK、長崎に民放、熊本に民放、鹿児島に民放ということにチャンネルプラン修正しております。それから、神戸を落としましたが、神戸民放がございます。  以上、民放につきましては十八地区、それからNHKにつきましては三地区でございます。
  13. 田澤吉郎

    田澤説明員 ただいま局長から答弁させましたように、民放は十八地区NHKが三地区でございます。  今後のUHF免許方針の問題でございますが、これは御承知のとおり民放を一県一社地区として、残されたものは今後は十五地区あるわけでございます。それから、広域圏放送の行なわれている地域県域放送局のない地域に対するチャンネルの割り当てというものが今後の問題になってくるわけでございまして、これらにつきましては、やはり先ほど申し上げましたように、放送法の制定あるいは改正後に法の秩序のもとで行なうのが至当じゃなかろうかと考えておるような次第であります。そこで、ただいま次期通常国会電波法あるいは放送法改正案を提出いたすべく努力を払っているような状態でございます。  それですから、今後UHFテレビの問題は、法改正の問題の推移はどうなるだろうかということと、あるいはまた、国民要望放送界情勢等を十分勘案してこの問題をきめてまいらなければならないという考えでおります。十分慎重にしてまいりたいと考えておりますので、御了解願いたいと思います。
  14. 田代文久

    田代委員 次に、たとえば明年新しくこういうところを認可するというような計画はあるんじゃないですか。全然ないですか。
  15. 石川忠夫

    石川説明員 いまのところ、はっきりした、どこの地区をどうするということはございません。
  16. 田代文久

    田代委員 特に私は最初に申し上げたのですが、この認可問題を中心として、いろいろの、トラブルでなくても、それに類するような出願の競争というようなもの、その間に何か不正めいたもの、好ましくないような動きがあった、こういうことがあるので、特にどういう人たち出願されたか、これは認可された局だけでなくて、全国的にこの問題は非常に多数出願届けがあったものだと思うのですが、その出願者名簿、これを示してもらいたいと思うのです。
  17. 石川忠夫

    石川説明員 提出いたします。
  18. 田代文久

    田代委員 出願者数は大体どのくらいありましたか。
  19. 石川忠夫

    石川説明員 いま正確な数字を記憶しておりませんが、たしか二百社近いものが当初申請しておったように記憶しております。
  20. 田代文久

    田代委員 そうすると、相当たくさん出願者のあれがあるわけですね。そのうちで免許されたのがいま報告があったくらいほんのわずかだ、こういうことですね。そうしますと、この中に、うわさによりますと、元の郵政大臣田中角榮議員なんかが新潟関係出願なり設立にあたって名を連ねておられるのじゃないかというあれがありますが、田中議員はこれに関係されておりますか。
  21. 石川忠夫

    石川説明員 申請者に名を連ねておりません。
  22. 田代文久

    田代委員 小林郵政大臣はどうですか。
  23. 石川忠夫

    石川説明員 ございません。
  24. 田代文久

    田代委員 全然ないですね。
  25. 石川忠夫

    石川説明員 ございません。
  26. 田代文久

    田代委員 非常に心配するのですけれども、小林さんが静岡認可問題について、大臣になられる以前に申請者なりその代表者というようなことになっておられるというようなことを聞いておりますが、そういうことは全然ございませんね。
  27. 石川忠夫

    石川説明員 昔のことにつきましては、よく調べてみます。
  28. 田代文久

    田代委員 また、こういううわさも一部あるのですね。どうせ小林さんも大臣をやめるのじゃないか、やめたならば、あとから静岡あたりであたらしく設立された局の会長とか、そういう最高幹部の座におさまるのじゃないか、こういううわさですね。そういうことがあれば、これは現職大臣自分の手でこれを認可しておいて、そうしてそれが終わった場合にその会社最高幹部にすわっていくというようなことは、これは実際に正しくないと思うのです。ですから、そういう点がもしあるとするならば、これは黒い霧を吹っ飛ばすというようなことが現在の政局の一つの中心的な課題になっておりますけれども、こういう問題はますます疑惑を深めるのではないか。だから、Uの免許について、政府当局なりあるいは政治家は非常に潔白でなくちゃならないと思うのです。それで、もしかれにそういうことがあるとすれば、現在絶対許してはならないのではないかと考えます。ですから、小林郵政大臣が全然無関係であるということを答弁されましても、実際大臣をやめて、あとからひょっと見たらいつの間にかまたそこの会社最高幹部になっていたというようなことになっておったのでは何にもならないのですよ、事前にそういう工作をされておるわけですから。それを非常に憂えるわけですが、田澤政務次官、これは小林さんがおられないのは非常に残念ですけれども、そういうことはあり得ない、もしそういうことになれば、これは政治そのものを非常に汚す、だから、政府当局としても、現職大臣の手によって許可する、あとからこれが何かの会社にすべっていくというようなことは、これは理念としても考えられないし、そういうことはあり得ないという保証なり、断言ができますか。
  29. 田澤吉郎

    田澤説明員 本来ならば大臣が出席して御答弁申し上げるところでございますが、私からかわってお答え申し上げたいと思うのであります。  実は大臣は、このUHF認可の問題に関しましては、私に対しましても、非常に重大な問題であり、多年来やっていなかったことを今回やるのであるから、いろいろ疑惑を持たれる問題でもあるので慎重を期さなければならない、そこで、君は民放との関係があるかないかということを私に言ったことがあるわけです。私は全然関係ない、それならば参加してもいいな、民放との関係のある態度でこのUHFの問題を扱ってはほんとうに誤解を招かれることがあるので、十分その点は慎重にやってほしいということを大臣から言われたものでございますので、そういう点を考えますときに、静岡との関係は、大臣はいま田代委員がおっしゃるようなうわさのようなものじゃ決してないと私は思います。あくまでも大臣は、正規の仕事として、最も公平にこの問題を扱ってUHFの波を一般化したいという気持ちで今回この免許の問題に取り組んだものと思います。決して田代委員がおっしゃるようなことではないということをお答え申し上げてよろしいと思いますので、御了承願います。
  30. 田代文久

    田代委員 非常にけっこうなあれですが、そうしますと、小林郵政大臣は、将来にわたってそういうことはあり得ない、そういうことはしてはならないというはっきりした観点に立っておられるというふうに理解してよろしいわけですね。したがって、そういう放送関係幹部なり会社の役員というようなものにはならないというふうに理解していいわけですね。いいですね。  実は田澤さん、ちょっとこれはあれですけれども、来年あたり青森親局許可になるのではないか。そういう場合に、田澤さんも相当これに動いておるのではないかといううわさもある。私は同僚議員として、そういうことは考えられぬがなというふうに思うけれども、もしそういうことがあると非常に遺憾なことですから、そういう点も田澤政務次官自身が全然無関係であるし、潔白であるし、またそういうことはやるべきではないという観点を堅持されるということをはっきり断言できますか。
  31. 田澤吉郎

    田澤説明員 青森民放が、かりにもチャンネルプラン変更がありまして許可が与えられることがありましても、私はその点には関係しないということを今回言明いたします。
  32. 田代文久

    田代委員 大体そういう点が、いま申しましたような一これは各個人ではなくて、こういう利害に関係する、利権に関係する問題で、現在あるいはまた将来にわたっていささかでも国民疑惑を受けるようなことが起こりますと、これは私たち自身の、議員自身責任でありますし、そういう点も念のため質問をしたわけですが、なおこの問題につきましては、郵政大臣自身が欠席されておりますので、ほかの同僚議員からもこの許可認可の過程その他事情なんかについていろいろ質問があると思いますが、一応私はこのくらいでこの点についての質問は打ち切りたいと思いますけれども、さっき言いました出願出願者名簿、これをひとつはっきり出していただきたいと思うのです。  それから次に、新しい免許との関係自民党のほうから番組規制というような問題についての申し入れ政府にあったというふうに新聞に書いてあったように思うのですが、そういう事実はありますか。
  33. 石川忠夫

    石川説明員 自民党のほうから教育教養番組を五〇%にするようにということのほか、二、三点についての御要望がございました。
  34. 田代文久

    田代委員 自民党のほうからの番組についての申し入れ、それは教育教養関係あと二、三点とおっしゃいましたが、教育教養関係を五〇%とにかくとれというようなあれがあったと新聞に出ておりますが、それを現在政府としてはどういうふうな受け取り方をされているか。そのほかに、たとえば全国的な番組審議会を設置したいというような、こういう方針もあったのですね。それから人事問題については、たとえば官僚が天下り的に会社に行くというようなことは好ましくない、こういう点は私は正しいと思うのですね。とにかく、全国的な番組審議会の設置というような重大な意見が出されているわけですが、こういう問題についての自民党からの申し入れに対して、政府はどういうふうな受け取り方をされているか、御答弁願いたいと思います。
  35. 石川忠夫

    石川説明員 ただいまお話のありましたような番組審議会をつくるには、御承知のとおり法を改正いたしませんとできないことは申すまでもございません。ただ、あそこに述べられているような番組審議会というものは非常にいろいろ問題を含んでおりまして、今後検討を進めなければならぬ問題でございますので、今後の放送法改正にあたって検討をしてまいろう、こういうふうな所存でございます。
  36. 田代文久

    田代委員 一応そういう問題は将来詳しくお尋ねしたいと思うのです。  次に、現在いろいろ意見が出ておるのですが、私たちも非常に感ずるわけなんですけれども、ラジオテレビあるいはその他マスコミに対してだんだん窮屈に一露骨なことばで申しますと、非常に反動化しつつあるのじゃないか、統制の気配、においがするのじゃないか、こういうようなあれが出て、私たち自身もそれを感ずるわけです。  特に最近吉田首相国葬になったときにとられたマスコミ処置ですね。あの日は私なんかもラジオテレビを十分楽しみたいというふうに考えておりましたけれども、とにかく、スイッチを入れればどこもここも吉田一色ですね、朝から晩まで。ところが、御承知のように、国葬自体がこれは佐藤首相の一存によってきめられたので、何ら法的な根拠はない。とにかくそれは憲法にも違反しているというような一国葬などというものは、申し上げるまでもなく、一億の全国民が一致してほんとうに死者の霊を弔う、いたむという性格のものでなくちゃならぬですね。ところが、実際においてはそうではない、吉田という人がそういう人じゃない。だから、これは現在もその問題については非常にあと味の悪い問題を残しておるわけですね。これは御承知のとおりと思うのです。ところが、三十一日、一日じゅうあの吉田国葬でやられたラジオテレビマスコミ事情、あれについて、政府がそういうふうになったことについての干渉といいますか、あるいは指示といいますか、とにかく政府のそういう意向というものが出ているということで、一部の新聞なんかも書きましたが、事実そういう処置がとられたわけですか、あの日の放送について。これはそういう処置が全然とられずに、NHKにしましても、あるいは民放のほうにしましても、自発的にあのような状態になったのか、全然タッチしてないのか、その点のお答えを願いたいと思います。
  37. 田澤吉郎

    田澤説明員 政府といたしましては、一般的に、十月二十四日に総理府から半日休むようにというようなこと、あるいは黙祷をささげましょうというようなこと、あるいは歌舞音曲を慎んだらどうですかということの御協力をお願い申し上げたいということを申し上げただけでございまして、また郵政省としましても、民放あるいはNHKに、これに関してこうしなければならないという指示なり何なりを与えたことは全然ないわけでございます。単に総理府からそういうようなお願いがあったという程度でございますので、その点を御了承願いたいと思います。
  38. 田代文久

    田代委員 歌舞音曲を慎むという非常に幅の広いあれですけれども、政府がその歌舞音曲を慎むようにということを言う、しかも十一月一日には新しいの免許をする、あるいはまた方針決定をするという直前にそういうことを言うということは、これはNHKにしましても、その他民放にしましても、それはただぼやっと何となしに言ったというものでなくて、政府自身がそういうことをあの事態において言うということが、それを受けるNHKなり民放では非常にきびしいものとしてこれは受け取ると思うのですね。そういうことを承知の上でされたのじゃないかということ一事由歌舞音曲ということを非常にえんきょくに言われておりますけれども、その内容としては、国葬の行事にマスコミは協力せよ、協力してもらいたい――せよでなくて、協力してもらいたい、それから番組で自粛してほしいというようなことが要望された。つまり、歌舞音曲を慎むという内容はそういう内容だということがいわれておりますが、そういうことはないのですか。
  39. 田澤吉郎

    田澤説明員 先ほど申し上げましたように、あくまでも自主的にやっていただきたいというお願いだけでございます。強制したことはありません。
  40. 田代文久

    田代委員 強制したことはないとおっしゃっても、さっき言いましたとおり、政府の監督機関なり、その任免権を持っている政府自身が、しかも十一月一日という時点を控えての段階で言うということは、とにかくこれは相対でぼやっと雑談したというものではない。これはもう常識から見ても明らかなんです。したがって、この問題の本質というのは、単に吉田一色で塗りつぶしたということだけではなくて、その中に非常に深いものがある。いわゆる現在の憲法あるいは放送法で保障しておる表現の自由なり言論の自由なり、そういうものに対する統制がこういう機会にこういう形で出てくるということに対する危険ですね、それを私たちは非常に気にするわけです。おそらく既定事実になって進行するということが非常に私たちにとってはこわいわけですよ。したがって政府としては、そういう懸念のあるようなものがいささかでも感じられるならば、むしろ積極的にそれを押える、慎むという態度に出るべきではなかろうか。ところが、事実においてはそれは反対になっておる。私が調査したあれによりますと、こういう問題につきましては、全国民が関心を持ち、自分たち責任においてほんとう民主主義を守ろう、民主主義を広げようという立場に立っておるわけなんです。したがって、こういう放送関係労働組合なんかが、突如として出てきた番組変更に対して、それはあまりにひどい、あまりにめちゃめちゃだ、なぜああいうことをやらなければならないかという意見会社側に述べられた。ところがそれに対して、自発的にやったのかどうかということになると、自発的にやったわけではない。政府がそういうふうに言われたのでやったのだというようなことを回答したというのですが、そういうことに対する責任なり発言の行き過ぎなりを感じられませんか。
  41. 田澤吉郎

    田澤説明員 先ほど来、吉田元総理の国葬に関する政府並びに郵政省考え方を申し上げたわけでございますが、決してNHKに対しても民放に対しても自主性というものを乱すようなことはいたしておりませんので、御了解願いたいと思います。
  42. 田代文久

    田代委員 政府立場としては、答弁はそういうことにならざるを得ないと思いますね。しかし、事実は私はそういうふうに判断するわけにいかないのです。というのは、この問題についてある新聞などは、やはり非常にショックを受けたという表現をしておるわけです。また、事実それはそうだろうと思うのです。政府の権力の介入というようなことが吉田国葬という問題にひっかけられてくることになれば、これはまたいつか来た道に進みつつあるのではないかという危惧を感じる。特に言論機関というものは敏感に反映することは当然なことだと思うのです。これはNHK当局がおられれば質問したいのですけれども、きょうは参考人としても呼んでおりませんからあれですが、もし政府のそういう圧力的なものがないとするならば一私たちは何も機械的に、それはやるな、吉田さんが死んだということを言うな、吉田という人間はこういう人物だった、こういう政治家であったということを全然言うなとかなんとかいうことを言っておるわけじゃないので、それはやられてもかまいませんけれども、それには節度があるし、限度があるし、また国民の中で非常にそういう批判が出ている段階の中では、私はやはり慎重に対処しなければならぬだろうと思うのですよ。ところが、実際においてはそのようにはなっておらないというところに非常に問題があるし、私は、今後こういう点につきましてははっきりしてもらわなければ困ると考えるわけです。  いまの答弁では、とにかくそういう圧力を加えたことは全然ないとかなんとか言われますけれども、たとえば増田防衛庁長官が十月十一日に、NHK放送番組あるいはTBSの放送に不穏なものがあったというようなことを閣議で発言したというのですね。そして、郵政当局に対してそれの調査を要求したというようなことがあった。これは事実でしょう。どうですか。
  43. 田澤吉郎

    田澤説明員 ただいまの閣議の問題は新聞で見ている程度でございまして、あとはわかりませんので、御了承願いたいと思います。
  44. 田代文久

    田代委員 次官ですから、まあ閣議の中にはおらなかったということで、どうもこれは押せないわけですけれども、しかし、新聞にあのように明確にしていますからこれは間違いないでしょう。そして事実、郵政当局がそれを調査して、小林さんがそういう偏向があるような気がするとかなんとかいう発言をされたというふうに新聞に出ておりましたが、こういうことがやはり次々に起こりつつあるのですね。増田防衛庁長官は何でそういうことを言うのか。圧倒的な国民立場からいうならば、国葬の問題にしましてもあのような処置がとられたことは好ましくない、そういう国民の声をむしろ逆に私たちマスコミで反映してもらいたい。むしろそういう国民の声こそが非常にとうといのであって、これは民主主義のために真剣に考えている意思表示である。ところがそういう面は全然抹殺されている、一言も言わないというようなことがされながら、そういうことが一方的に出る。しかも、防衛庁長官が不穏当なものであるとかなんとかいうようなことを閣議で言う。そしてそういう方向づけをするということは、言論あるいは表現の自由に対して、やはり戦前のそういう統制、しかもそれは反動化の方向へ向くような統制を圧力的に出しておるということを言わざるを得ない。一般の主権在民の国民というものはそういう点では非常に不安を感じつつあるというのが実態なわけです。ですからこういうことは注意してもらわなければならないと思いますが、注意だけでは足らないと思うのです。  というのは、すでに例の紀元節復活の問題のときに、ことしの三月二十八日に参議院で小林郵政大臣があの問題について社会党の光村議員の質問に対して、「介入した事実もないし、また介入する意図もない。それから多少誤解を受けるようなことがあったかと思うが、誤解を受けることのないように気をつけたい、」ということで、非常にりっぱな答弁をしているのです。ところが、三月にそういうことを答弁しているにかかわらず、その後における事態の進行というやつは逆なことが出ている。ことばというやつは言いっぱなしで、その場ごかしの答弁をしたにすぎない。もしそれがほんとうに生きるならば、増田防衛庁長官がそんなことを言ったり、あるいは国葬儀に対するそういうことというやつは事実起こり得ないと思うのです。ですから私はいま当局にお尋ねするのですけれども、今後も以上のようなそういう国葬にあたってとられた処置とか、あるいはまた増田防衛庁長官が発言したとかというようなああいう事件、ああいう事実を是認しあるいは肯定し、また、こういうことは今後もあり得るかどうか、ああいうことに対しては今後絶対にやらないという方針なのかどうか、そういう点をお答え願いたいと思うのです。
  45. 田澤吉郎

    田澤説明員 田代委員の御指摘のようなことが、戦後初めての国葬の形でございますので、あってはいかぬということから非常に慎重にやったものでございますので、ただいま御指摘のようなことは私はないと思います。また今後も民放その他に圧迫を加えるなどというがごときことはしてはならないものであると思いますので、御了解願いたいと思います。
  46. 田代文久

    田代委員 時間がかかりますので打ち切りたいと思うのですが、これは慎重な態度国葬問題、ラジオテレビマスコミに対して対処されたという発言でありますけれども、それは事実に反するわけです。反すると思います。事実そうじゃないのですから。しかしそれは、そういうあれになりますと水かけ論みたいになりますからしませんけれども、日本の圧倒的な国民はこれをどのように判断しているか。決してあなたたちがいま言ったふうに判断しておらないということをはっきり申し上げます。  次に、これで終わりますが、これと関係するのですけれども、内外情勢調査会というやつがありますね。内外情勢調査会というこの社団法人がとっている行動について質問いたしたいのです。政府当局がそういう統制的な好ましくないような方向をとりつつあるということと関連して、社団法人である内外情勢調査会というこの法人の活動についてお尋ねしたいのですが、当局はこの調査会なるものがマスコミあるいはテレビラジオに対して、番組編成などに対して干渉がましい、あるいは労働組合とか革新政党、特に共産党、また共産党の機関紙の「赤旗」の編集というものに対して圧力を加えるようなそういう活動をやっているかどうか知っておられますか。
  47. 石川忠夫

    石川説明員 承知いたしておりません。
  48. 田代文久

    田代委員 全然御存じないですか。
  49. 石川忠夫

    石川説明員 承知いたしておりません。
  50. 田代文久

    田代委員 そうすると申し上げますが、この内外情勢調査会というものに対して政府は事業委託していますね。これに大体委託費をどれくらい出していますか。
  51. 石川忠夫

    石川説明員 郵政に関係のない法人でございますので、承知いたしておりません。
  52. 田代文久

    田代委員 郵政に関係ないといいましても、たとえば、私が調べたのはこういうことがありますよ。総額六億二千五百十四万円ですか、これだけの予算を組んで、そのうちで内外情勢調査会が五千四百四十五万二千円の援助を受けている。ほかにNHKなど十団体に、いろいろ情報をとる問題でしょうね、これを委託しているということになっておるのですが、郵政関係に直接関係ないといいましても、マスコミ、そういうところの情報に関係があると思うのですが、全然これは御存じないですか。
  53. 石川忠夫

    石川説明員 承知いたしておりません。
  54. 田代文久

    田代委員 そうしますと「内外情勢解説」というやつは見ておられるわけですね。
  55. 石川忠夫

    石川説明員 見ておりません。
  56. 田代文久

    田代委員 見ておられない一それは全然おかしいですね。たとえばごく最近、四十二年の十月  一日付のものに、日共のテレビラジオ対策――テレビラジオですよ。そういう放送関係に対するあれですよ。そういう対策についてのあれがちゃんと書いてあるわけです。ですから、これはテレビとかラジオとかそういう放送マスコミ関係し、それを指導監督しておる郵政当局が全然知らないというのは怠慢じゃないですか全然こういうものは見ておられませんか。
  57. 石川忠夫

    石川説明員 見ておりません。
  58. 田代文久

    田代委員 聞いておられない一次官、どうですか。
  59. 田澤吉郎

    田澤説明員 見ていません。
  60. 田代文久

    田代委員 困ると思うんです。これは私たちは実におかしいと思うんですよ。国際情勢のあれについては議員のところにどんどん情報がきております。これは御存じでしょう。あなたたちも見ておるでしょう。全議員にきておりますよ。同じ内外情勢調査会から出ておる国内のものについてはなぜ政府はやらぬのですか。しかもそいつはテレビラジオの対策、そういうことを書いておるものを見せずに、へにもならぬようなものはどんどん見せるけれども、肝心かなめのほんとうの政策に関係するような重要問題についてはこれをほおかぶりするか、秘密にして隠してしまう。しかも、郵政当局自身がこれに対して全然知らない、そういうことが許されますか。明らかにこれは怠慢ですよ。しかも、その中にこういうことがありますから、これははっきりして、注意してください、こういうことを言っておるのです。前書きというのですから、これは調査会自身が自分の判断によってこういう意見政府に出しておるのです。  ちょっと読み上げますけれども、「問題の放送関係で党組織があるといわれるのは、NHKの総細胞をはじめ中部日本放送、西日本放送ラジオ関西、東京放送、熊本放送新潟放送などで、労組執行部に党員が進出しているといわれるものには名古屋放送(NBN)、中部日本放送、大阪毎日放送などである。そして、日共党員および同調者の労組執行部の進出状況は、マスコミ共闘では十八名中十名近く、民放連では二十五名中十名をそれぞれ占めている。」これは共産党のことを言っておりますけれども、これは社会党だってそうです。社会党員がこれらの労働組合あるいは執行部におるのは当然です。あまりにも当然です。しかし、それをひっかけてこれについてどういうふうに論じておるかといいますと、「これらの労組は「政府・独占資本」のマスコミ対策強化に対して一般市民を結集、その力をもって、いわゆる「民主的番組み」はこれを継続させ、革新勢力に不利と感じたものは放送を中止させ、あるいは放送内容を故意にゆがめるなど番組みの企画、編成、放送にまで介入し、「反政府・反権力」闘争に発展させようとしている。  しかも、この意図が、最近のベトナム問題の報道、あるいは建国記念日の法制化にみられるように、前者においてはアメリカ軍の残虐性をことさら強調し、後者については、直ちに戦争につながるものとして、対談、解説、討論などを行なうことによって、反米、反政府思想を扶植させ、自然に一般視聴者を共日の影響下におく作用をはたすものとみられる」、こういうような結論を下しておるのですね。これは全くふざけていると思うのですよ。労働組合放送を中止させるというようなことがありますか。また、いっそういうことをやりましたか。しかも、そういう放送番組に介入したとかなんとか、事実もないのにこういう結論を出して、そうして政府に具申しておるのですよ。こういうことがどんどんやられる。しかも、われわれ国民の税金でもってしたその財政の一部からこれにとにかく金が出ているのですよ。われわれの中から出ているのです。労働者の中からもたくさん出ているのです。そういう機関がこういうことをやることが許されるかどうか。そういう勤労者から集めた金で、そうして自分の事業をやりながら、しかもこういう一面的な判断によって、しかも、これは裏からいいますと、なぜもう少し弾圧政策を思想的にもびしびしやらぬのか、こういう事実があるじゃないかということを言わぬばかりの内容をこれは持っております。こういうことがどんどん進行するところに非常に日本の危険があると思うのです。私たちの現在の一切の政治の基礎というものは過ぐる戦争の反省の上に立っておるわけです。あのような戦争をまたと再び起こしてはならない。その基礎には、われわれの民主主義、全く根本的に破壊された民主主義が守られ、言論、集会、結社の自由、表現の自由というものが保障される中でこそ、ほんとうの平和と国民の生活の安定なりそういうものがあるという反省に立っておるのですよ。そういう反省-私は、過去にそういうあやまちがあったんだから、したがってこういうことに対して、もしそういうあらわれがあるならば、敏感にこれを食いとめて、ほんとうの意味でわれわれはこの民主主義を守る、死をもって守るという立場に立たなければ、これは非常に危険ですよ。とにかく、現在アメリカがどんどんベトナムでああいう不当きわまる残虐な侵略戦争を続けているという中で、特に極東の大勢がそういう方向へ引きずられつつあるし、また、現在の政府はこれに協力するという姿勢を示している中でこういうことが思想的にどんどんやられるということは、私は非常に不安なんですよ。  ですから私はお尋ねしますが、こういう社団法人に対して政府の資金を出しておるわけですが、政府は、こういう情報ないし主観的な結論をもって政府に政策を示唆するというような意図のもとになにしている機関に対して委託費なんか出すべきではない。有害である。したがって私は、この内外情勢調査会に対して委託費なんかを出すべきでないと思いますし、また、こういう問題をおくめんもなくわれわれ議員にはこれをくれないというようなことで機密にやっている。これは全くスパイ行動ですよ。そういうことをやっているこの事実に対して、私は、政府自身がこの内外情勢調査会長を呼んではっきり検討してもらいたいと思うのです。そういう事実があるのかないか。これは事実ははっきりあります。そうして、私はそういう委託費を出すべきではないということを言ってもらいたいと思うのです。私は一方的になるようですけれども、次官なり当局はつんぼさじきで全然知らないということなのでこれは話になりませんけれども、これは私は、はっきりこういう問題についても、ラジオとかテレビに直接関係していますから、つんぼさじきに置かれて、とにかくめでたしめでたし、けっこうだというようなことにならないようにしていただいて、そういう処置をとってもらいたいと思うのですが、こういう事実があることに対して、調べて、こういうことをやっているとなった場合に、政府はこの社団法人に対してそういう処置をとる腹がおありかどうか、御答弁願いたいと思います。
  61. 田澤吉郎

    田澤説明員 ただいま田代委員から社団法人の内外情勢調査会というものの内容についていろいろお話を承ったのでありますが、社団法人のこの内外情勢調査会は、単に郵政省だけでこれを管理するというわけのものでもございません。わが省に関係のないことなのでございますので、もちろん、ただいまお話のあったことは十分大臣にもお話し申し上げますが、一応そういう点だけは御了解願いたい。また、その内容に関してのいろいろなお話がありましたが、そういうことを中心にして、そういう考え方郵政省民放なりNHKに強く、いままでの放送自主性とか、あるいは言論の自由という問題を侵すようなことは決していたしませんから、御了解願いたいと思います。
  62. 田代文久

    田代委員 これで終わりますが、これは郵政省に直接関係ないというようなことでお逃げになるということは、これは許されませんよ。あなたはとにかく国家の次官なんだから、郵政省の単に一つのセクションをやっていればいいというものではありませんよ。これは全責任がありますよ。そのことをはっきりしておいて、質問を終わります。
  63. 松澤雄藏

    松澤委員長 次回は、来たる十一月十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十八分散会      ――――◇―――――