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1967-11-22 第56回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月二十二日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 稻葉  修君 理事 細田 吉藏君    理事 渡辺 栄一君 理事 永井勝次郎君    理事 山本弥之助君       熊谷 義雄君    塩谷 一夫君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       世耕 政隆君    中川 一郎君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       渡辺  肇君    井手 以誠君       稻村 隆一君    佐野 憲治君       華山 親義君    細谷 治嘉君       渡辺 芳男君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君    小川新一郎君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 坊  秀男君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  委員外出席者         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局長 川島 広守君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      緒方 雅彦君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         科学技術庁国立         防災科学技術セ         ンター所長   寺田 一彦君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省理財局次         長       堀込 聰夫君         大蔵省銀行局特         別金融課長   小宮  保君         国税庁直税部所         得税課長    植松 守雄君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局金融課長   松本 作衛君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         水産庁漁政部協         同組合課長   関根 秋男君         水産庁漁港部建         設課長     矢野 照重君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      竹村  豊君         中小企業庁計画         部長      井土 武久君         運輸省観光局計         画課長     高野  晟君         気象庁長官   柴田 淑次君         気象庁予報部予         報課主任予報官 加藤 茂数君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省住宅局住         宅総務課長   角田 正経君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         国民金融公庫副         総裁      吉田 信邦君         農林漁業金融公         庫副総裁    佐竹  浩君         中小企業金融公         庫理事     新井 真一君         日本開発銀行理         事       吉田 雄三君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事)   大木  光君     ————————————— 十一月二十二日  委員木村武雄君、倉成正君、中村黄太君、保利  茂君、小松幹君及び村山喜一君辞任につき、その  補欠として塩谷一夫君、三ツ林弥太郎君、世耕  政隆君、湊徹郎君、渡辺芳男君及び華山親義君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  台風第三十四号による災害対策      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、委員長から申し上げますが、去る十一日の委員会において、石田委員からお申し出のありました新潟、山形豪雨災害による被災者の集団移転問題に関して小委員会を設置せられたいとの御要望につきましては、本日の理事会において協議いたしました結果、現在本委員会に設置せられております災害対策の基本問題に関する小委員会におきまして、集団移転問題につきましてもあわせて御検討をお願いすることに協議決定いたしましたので、さよう御承知を願っておきたいと存じます。  なお、本問題に関して、小委員会において参考人から意見を聴取する必要があります場合には、参考人の人選、招致の日時及びその手続等に関しまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 田原春次

    田原委員長 それでは、本日は、台風第三十四号による災害対策について調査を進めてまいります。  まず、被害概況等につきまして政府当局から説明を聴取いたします。上村総理府総務長官
  5. 上村千一郎

    上村説明員 十月二十八日愛知県の南部に上陸して、中部、関東地方を襲った台風第三十四号の被害状況について簡単に御説明申し上げます。  初めに気象概況について申し上げます。  台風第三十四号は、十月十六日マリアナ諸島近海に発生し、次第に発達して、十三日には、中心気圧九百五十ミリバールの強い台風となり、二十七日には紀伊半島近海に達し、二十八日には愛知南部に上陸しましたが、この後勢力は急速に衰え、分裂して、宮城県を経て北海道の根室地方に抜けたのであります。  この台風の影響による雨量は、九州地方では三十から五十ミリの慈雨でありましたが、近畿から関東地方にかけては局地的な集中豪雨となり、和歌山串本では四百ミリをこえたほか、新庄で二百七十ミリ、名古屋付近で百二十ミリ、東京でも百ミリに達したのであります。  次に、被害概況につき申し上げます。  以上の局地的豪雨による被害概況について申し上げますと、まず、人的被害につきましては、三重県下においてがけくずれ等のため、死者、行くえ不明二十三名の被害を含め、全国的に死者、行くえ不明四十七名、負傷者四十二名を数えております。建物被害は全、半壊三百七十八棟、床上浸水は二千五百八十八棟、床下浸水約三万一千棟にのぼっております。  次に、公共土木等施設関係につきましては、現在判明しております被害額は、公共土木施設約五十五億円、農作物関係約四十六億円、農地等約十九億円となっております。  交通関係被害につきましては、国鉄関係紀勢線等十三線区四十八区間、私鉄関係名古屋鉄道など十二社十九線区が一時不通となりましたが、いずれも二十九日中にすべて開通いたしました。  これら災害に対し、和歌山新宮市ほか三町に災害救助法を適用し、同法に基づく応援救助を実施し、また警察消防等機関においては、救助等に全力をあげて従事したのであります。  このほか、被害状況早期査定をはじめ、各省庁においてそれぞれ所定の対策を講じまして、災害対策の万全を期しておる次第でございます。
  6. 田原春次

    田原委員長 これにて説明は終了いたしました。     —————————————
  7. 田原春次

    田原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正示啓次郎君。
  8. 正示啓次郎

    ○正示委員 まず最初に、委員長並びに理事委員の皆さまに、私の郷里台風第三十四号によって非常な被害を受けましたので、本日特にこの委員会において時間をお与えいただき、その災害状態並びにこれに対する政府対策等につきましてこれから明らかにしてまいりたいと思いますが、これに御協力をしていただきますことに厚く御礼を申し上げておきます。  さて、ただいまわが盟友上村長官からの御説明のように、今回のこの台風三十四号は非常に時期はずれの、しかもとらえにくい台風であったのでありまして、簡単な報告でございましたが、これは非常に特異な台風であったということに世間一般の評価もなっておると思います。  そこで、被害を受けました、いま私が特に新宮ということをメンションしたのでありますが、この新宮三重県の二十三人の死者に次いで多くの死者を出しております。紀南におきまして十人の死者を出しておるということは、私ども台風襲地帯和歌山県といたしましても非常に異例なことであります。ショッキングであります。  そこで、私はまず第一に、気象庁それから自衛隊方々にお願いし、お伺いしたいと思いますが、この台風三十四号についての気象情報、これは私は相当ミスリーディングであったと思うのであります。三十四号は大体本土に接近するかどうか、むしろ接近しないんではないかという印象の予報が強かったように思います。それからもう一つ、御承知のように、私の郷里紀南串本潮岬というところがございまして、ここには気象庁の重要なる出先機関があるのであります。また自衛隊関係を申しますと、私の住んでおります御坊近くに施設部隊を誘致いたしまして、現在駐とんしております。さらに串本大島、これは有名な民謡で「ここは串本、向かいは大島」といわれる離島であります。この大島には自衛隊航空部隊レーダー基地があります。こういうふうに考えますると、災害対策基本法、これに基づく防災基本計画、こういうものを私は今回しばらくぶりでよく読んでみましたが、台風という自然災害に対してわれわれ日本国民は一体となってこれに対処し、できるだけ被害を小さくし、人的犠牲を少なくするということが、この災害対策基本法及び防災基本計画を貫く理念であるということは、皆さん承知であろうと思う。それには気象の問題は気象庁にまかすということではないはずである。自衛隊レーダー基地も、レーダーによって航空気象についての観測をしておられるのであります。これは申し上げるまでもありません。また気象庁中央で総合せられた予報のみが唯一の情報であってはいけないのじゃないか、私はこういう感じがいたすのであります。せっかく潮岬出先気象庁の重要な施設があるならば、紀南住民はそこの観測というものをできるだけ早く自分たちに知らしてもらいたかったという気持ちを持つのは、私は自然ではないかと思うのであります。まして十人に及ぶ死者を出したこの地域の遺族の方々、近傍、隣人の方々、その人たちは、お国がこれだけの施設を持っておるのに、台風が夜の十一時半ごろ、夜半に近いころでございますが、来るときに、どうしてわれわれにもう少し早く知らしてもらえなかったのかという気持ちを持つことは、私は非常に自然な人情であろうと存じます。  そこで私は気象庁に伺いたいのでありますが、今回の三十四号台風は、あなたのほうではどうキャッチされたか、さらに私の郷里串本あたりで、潮岬等ではどういうふうにこれを把握しておったか、もう少し早く情報を流してやることができなかったのか、この点をまず気象庁に伺うと同時に、あとから自衛隊に、あなたのほうは非常に大事な規律があることはわかる、しかし施設部隊災害復旧で出動してくれると、地方民ほんとうに喜んでおるのです。ありがたい、自衛隊というものはほんとう災害復旧国民とこん然一体の実をあげておる、こう思っておるのであります。それじゃもうちょっと進んで、レーダー基地でどういう情報をとったのであるかという点も、一般人は知りたいという気持ちを持つのですが、この点について自衛隊の基本的な方針はどうなっておるか、この二つをまずお伺いいたしたいと思います。
  9. 柴田淑次

    柴田説明員 最初の御質問潮岬測候所資料をどういうように利用しておるかという御質問であろうかと思いますが、これは潮岬は御承知のように測候所がございまして、あそこで毎時間速報をやっております。毎時観測レーダー観測後約十分くらいで東京気象庁の中へ電報で入ってまいります。気象庁といたしましては、その潮岬資料を含めまして、全般的の資料天気図にかいて台風予報なんかをするのでございます。  もう一つ潮岬では、御承知のように、風船を上げて高層観測をやっております。この高層観測資料も、やはり観測が終わりますと東京気象庁のほうへ入ってまいりまして、この資料に基づきまして台風その他の予報を平生やっているのでございます。それで潮岬資料は、あそこは突端で非常に重要な観測点でございますので、気象庁といたしましても、そこの観測資料は重要視していることはもちろんでございます。したがいまして、その資料は十分に平生も活用しているのでございます。それからこの三十四号のときにも通信線の故障その他の事故はございませんで、平常どおり潮岬観測資料高層観測とも気象庁のほうへ入っておったはずでございます。  それから情報の伝達のほうでございますが、これは潮岬和歌山県に属しておりまして、潮岬を含めた和歌山県の警報注意報和歌山地方気象台で発表するということになっておりまして、和歌山気象台では警報注意報はずいぶん出しておりますが、一々その時間は申し上げませんが、これは二つルートがありまして、潮岬地方、すなわち串本地方に参りますルートといたしましては……
  10. 正示啓次郎

    ○正示委員 ちょっと。答え方を私が聞いたように、要するにあなた方は中央へ持ってきてまた和歌山へ流しておるけれども、もっと手取り早く串本観測をすぐその地方の人にある程度漏らしてやることができなかったかという点がポイントです。東京へ持ってきて、大阪へ持ってきて、また和歌山へ持ってきて、そんなことをしているものだから台風のほうが先走ってしまうのじゃないかという点がポイントなんだから。
  11. 柴田淑次

    柴田説明員 お答えいたします。  潮岬測候所観測データを、潮岬測候所から和歌山串本あるいは新宮の町にすぐに通知するということは、平生はやっておりません。
  12. 正示啓次郎

    ○正示委員 平生はやらぬでも、台風のときはどうする。
  13. 柴田淑次

    柴田説明員 台風のときも、電話で問い合わせがありましたら答えております。その程度でございます。
  14. 宍戸基男

    宍戸説明員 防衛庁関係を申し上げますと、防衛庁には、御承知のように、航空自衛隊航空管制レーダーサイトがございます。レーダーサイトはもちろん航空管制目的でございまして、直接台風情報をとるのが目的ではございませんけれども、物理的、機能的にはとれますので、台風接近時には航空管制をやると同時に、台風情報もとっております。とりまして、それを気象庁のほうに通報いたしております。今度の三十四号台風のときも、串本レーダーサイトでとっておりまして、それを気象庁のほうに通報しております。  お尋ねのレーダーサイトでとった情報を直接地元に流してはどうか、こういう御趣旨かと思いますけれども、これはこういう理由で流しておりません。といいますのは、われわれのほうは専門気象官がいるわけではございません。航空管制のほうの専門家でございます。レーダーに映りますと情報はとりますけれども、それは全体の台風情報の一部でございまして、それによって台風の進路とか強度とかを直接判定する機能は持っておりませんので、気象庁のほうに通報して、気象庁のほうで総合的に判断されて、警報なり予報なりをお出しになる。そういうふうに法律的にも気象業務法で、気象庁以外の人が警報を出すとかいうふうなことは禁ぜられておりますので、われわれのほうではそういうことはいたしておりません。
  15. 正示啓次郎

    ○正示委員 わかりました。法律のたてまえあるいは普通はというたてまえ、私は役人を長くしておりますし、よく知っております。しかし、私の郷里の大先輩で浜口さんという人がいる。この人は津波が来たときに、ちょうど秋の取り入れのときに、実った稲を焼いて住民を避難させたのです。あなた方は普通のときはとか法律上はどうですとか、それはよろしいでしょう。しかし、台風三十四号では十人の人が死んでおるのだ。そういうときにはある程度串本潮岬測候所でもけっこうでしょう。そこからの情報で、それが東京へ来て、全体で総合されてやるとかあるいは大阪管区気象台で総合されているとか、普通のときはいいでしょう。しかし三十四号台風なんかについては、どうもあぶないということを知らしてやるぐらいはどうですか。皆さん防災基本計画というのをお読みになっておりますか。官民一体、漏らすところなく、自然災害、敵に対処しようというこういう基本計画ですよ。自衛隊、おれのほうはそんなことはなわ張りの外だなんというセクショナリズムは、この防災基本計画では許されていないのだ。全部総力をあげて台風なら台風に取り組みましょうというのが災害対策基本法精神です。だからそういうことをやってくれたら、もっともっと自衛隊もみんなから好かれる、野党の人たちからも愛される自衛隊になるだろう、こういうことです。気象庁もそうだろうと思うのだ。  そこで今度の三十四号台風一つ教訓を与えたと思います。普通はこうだということと、非常災害の場合とは違うはずであります。それはあとで大騒ぎをして、もしはずれたら、台風は逃げた、よけいなことを知らせなければよかったという人もあるでしょう。しかし非常災害を未然に防げたら、それはやはり大きな力ではないか。のみならず、防災基本計画は、国の出先機関あるいは地方公共団体出先が、常にそういう問題について備えある連絡、協調の体制をとろうというのが防災基本計画精神であろうと思うのです。本来ならば自分のほうの職権ではない。しかし災害を防ぐという見地からいうならば、そういう本来のたてまえを越えて、お互いに緊密に連絡をとり合いましょうというのがこの防災基本計画であろうと私は読んでおるのであります。この立案には私も参画をいたしましたから、多少心得ております。警察消防が本来やることであるけれども、そのときになったら、自衛隊出先もそれから気象観測出先機関も一緒に入って、情報をとる。少しでも早くそれに対する備えをして、人的犠牲あるいは経済的な損失、被害を少なくしようというこの災害対策基本法理念防災基本計画精神をどうかひとつ、いま私が申し上げた趣旨で御理解をいただきたい。そして台風発生のときの国民心理状態を、専門家であられる皆さんはようくおわかりでしょう。これから何時間の後にどういう被害があるかということに全国民の神経が集中する。その瞬間においては、ふだんのなわ張りをひとつ取り払おうじゃないか。もっとお互い自分たちのところの情報は、これは専門的なものではないけれども、御参考までに、また気象庁のほうは、本来はこれは中央へ行って総合されて正式に発表されるものであるけれども、いま局地で得た情報はこういうものだからと注意をしたら、それに過ぎたるものはないではないか、注意をするにしかずではないかというふうな考え方で、台風というものに対処していかないと、あとの悲しみは何層倍かに多くなって、せっかく国の機関があるのにという地方民の心というものは残っていくではないか、これも災害の残す一つの遺物ではないかと私は思うのであります。その点について簡単に長官のお考えを聞いて、もうあなた方はお帰りをいただこうと私は思います。
  16. 柴田淑次

    柴田説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、今度の三十四号台風教訓にいたしまして、台風時に際しましての従来の不備は改めたいと思っております。  ちょっと二分ばかり、先ほど私が申し上げたことにつきましての訂正をさしていただきたいと思いますが、私、ちょっと先生のさっきのお話を誤解しておりましたので……。  潮岬観測は、通常は潮岬新宮には通報しておりませんけれども、台風の場合には、潮岬台風情報というものを出します。これは観測じゃございません。台風がどうなるか、いまどういうところにいるかというような台風に対する情報でございます。これは、今回の三十四号では、情報第一号から情報第四号まで潮岬測候所で出しまして、潮岬地方にこれを流しておりました。だから、そういうようなことは、台風の非常時の場合には、台風に関する情報は各気象官署で流せるようになっております。現在流しておったということをつけ加えさしていただきます。
  17. 宍戸基男

    宍戸説明員 先生の御趣旨は十分了解いたしました。ただ情報の点で申し上げますと、われわれのほうのサイト専門家でございませんので、不十分な情報でございますので、気象庁のほうにお願いして、気象庁長官のおっしゃったようなことで情報を流していただくのがいいのではないかという感じがいたします。そうでありませんと、そういう能力のないものがむやみに早まったりおそまったりして地元に流して、かえって混乱を招くということも十分考えられるという感じがいたします。  それから、災害対策基本法趣旨はわれわれも十分わかっておるつもりでございまして、御指摘の三十四号台風のときには、御承知串本サイトがございまして、これは二百名程度の小部隊でございますけれども、要請を待たないで、直ちに五十名近くの隊員が出まして、道路啓開を四カ所ばかり直ちにやっております。そういうことで、基本法精神は十分生かしておるつもりでございますし、今後もそういうことでやっていきたいと思っております。
  18. 正示啓次郎

    ○正示委員 お二人、どうもごくろうさんでしたが、最後にひとつ気象庁長官潮岬情報、実はそのおひざ元大島というところがやられて、これはあとで触れますけれども、地元災害救助法の発動がなかったのですよ。さっき言ったように大島離島ですから、非常に悲惨な状態なんです。それが潮岬ひざ元であり、自衛隊航空レーダー基地なんですよ。それだけに、さっきちょっと長官は、電話をかけてきたら答えてやるんだ、こう言われたけれども、それはふだんの公務員のやることであって、災害なんかのときはもう少し積極的に地方役場へ知らせるとか、ことに自衛隊さんとの間の連絡をしっかりやって、肝心の大島が非常にやられているのですから一そういうこと、よくわかるのですよ。役人の健全なる常識でお答えになっていることはよくわかるんだが、あんなに大島がやられておる。もし潮岬測候所とおたくとが連絡をとって、そして島民にもよく知らしてくれたら、あとでどんなに喜んだかということを私は申し上げておるわけなんです。遠く離れたところにあって起こった問題ではなくて、肝心のひざ元においてあったということだけを申し添えて、それであと災害救助法の問題に入らなければなりませんから、お答えがあるならけっこうですが、自衛隊の人も、そういうことなんです。だから、あなたのほうですぐ直接出さなくても、串本レーダーがあるのだから、そこから出た自衛隊観測はこうだったということがあのときにわかったらどんなに喜んだか、こういう気持ち質問をしたことを申し添えておきます。
  19. 柴田淑次

    柴田説明員 大島のことをちょっとおっしゃいましたので、そのことについて一言お答えいたします。  大島に対しましては、台風三十四号のときには、暴風雨警報和歌山地方気象台で発表するわけなんですが、それが県警、串本警察署を通じて大島の駐在所に参っております。その時間もわかっております。
  20. 正示啓次郎

    ○正示委員 何時に行っていますか。
  21. 柴田淑次

    柴田説明員 二十七日の十六時五十一分に大島の駐在所に行っております。これは確認いたしました。
  22. 正示啓次郎

    ○正示委員 台風が襲来するという情報ですね。
  23. 柴田淑次

    柴田説明員 暴風雨警報ですから、台風が来るから暴風が吹く、大雨が降るという警報が十六時五十一分に出ておるということでございます。
  24. 正示啓次郎

    ○正示委員 ありがとうございました。  それじゃ、自治大臣が非常にお忙しいところを時間をさいてわざわざおいでくださったので、自治大臣に対する質問を先に申し上げます。  実は藤枝自治大臣にお願いしたいのは、今回の三十四号台風で、いま議論をいたしておりました和歌山串本大島、もとの大島村、これは町村合併の国の基本方針に従って町村合併をしたのであります。串本町の一部にいま入っておりますが、その大島に相当の被害が出ておるわけです。私は台風直後に大島に渡りました。そこで感じたことは、まず災害救助法が発令されなかったということなんです。これはあとで厚生大臣が見えますから、本来の災害救助問題は厚生大臣と質疑応答をいたしますが、非常に悲しいことは、もし大島が町村合併をしていなかったら、当然災害救助法を発令されたであろうという気持ちを一番先に元大島村の村長から言われて、私ぎくっとしたのです。われわれも国の施策、広域行政、町村合併、これは法律をもって促進したんだ、そういうことの結果、災害救助法の恩典に浴しなかったと言われたときに、われわれ国政に携わる者としては、非常なショックを受けたのは当然のことだと思うのであります。  そこで、私はこの問題については手おくれになりましたので、坊厚生大臣と、あとで申し上げますように、災害救助法が発令されなかったけれども、なったと同じような実質的な措置を町及び県当局において講じてもらって、それに対して地方交付税の特別交付金、特別交付税で手当てをしてください、柴田事務次官と打ち合わせの上で厚生大臣に行政指導していただく、また自治大臣のほうへ厚生大臣からもそういうふうに努力をしていただくという約束を取りつけておりますので、どうかこの機会に、その点についてはまずひとつ特に言明をしていただきたいと思います。これが第一点。  第二に、あとでだんだんと申し上げますが、今回の三十四号台風被害について、いわゆる激甚災の指定、これをやってほしいという要望が非常に強い。さらにまた農林省関係で天災融資法を発動してほしいという要求も非常に強い。私も当然そうしてやりたいと思いますけれども、これは悲しいかな、いわゆる冷厳なる数字でいつも——私も大蔵省でやってきたのでありますから、何ともいたし方ないことだと思いますので、万一そういうふうなことになった場合も、今回のこの三十四号台風は非常に集中的に局部を襲っているのであります。いわゆる傷は深くえぐられておるのであります。たとえばいま大臣がお見えの前に議論がありましたように、新宮、勝浦で十人の人が死んでおる。そういうふうに被害が非常に深い、傷が深い。それだけにそういう地方公共団体なりそこに住む人たちに対しては、特別手厚い応急措置も必要であるし、復旧施設も必要であると思うので、市長はきょう見えておるようでございますけれども、財政的に非常に心配しておる。和歌山県知事も非常に心配しております。だから、こういうところが普通の激甚法なりあるいは天災融資法なりの適用をされない場合には、それにかえてあたたかい財政金融上の措置を講じていただく必要があると思います。その財源のさいふのひもを握っておられる自治大臣に特にいまのような特殊な事情をぜひ御理解をいただきたいということが第二点でございます。  それから、こまかい点についてはあとから申し上げますが、私はこの機会にこの三十四号台風に関連をした問題を一つ申し上げてみたい。ちょうど私は三十四号台風地方被害状況を見て回っておったのです。そうしますと、罹災者の人たちは、羽田の全学連のことを言うのです。私どもは地方台風三十四号あるいは七月の集中豪雨被害を受けました、東京では一体何が起こっているんでしょう、全学連台風が吹いているじゃないか、こう言うのであります。皆さん、私はもっともだと思いましたよ。そこで、私は、国家公安委員長としての藤枝大臣にこの際関連をして伺いますが、あの全学連台風台風の目でとらえることはできないのでしょうか。羽田の飛行場へ来て吹き荒れるまでは警察官は手出しができないのでございましょうか。これは災害対策基本法にも防災基本計画にもございませんけれども、国民の安寧、あの羽田地域における中小企業者の経済的損害、これは台風と何ら違うところはないのです。一体あの羽田の中小企業者の被害をだれが補償してやるのです。災害対策基本法でいけますか。災害救助法でいけますか。これは大問題ですよ。これから安保の年に向かって、こういう台風はいまこそ、気象庁長官予報を待つまでもなく、われわれ政治家がこれを予報しなければならない。そうでしょう。委員長、そうですね。国民の安寧と幸福を守る政治家の責任であると思う。しからば何ゆえに今回の場合においてもあれを駒場というところにおいて台風の目を把握できなかったか。これは私は自治大臣の国家公安委員長としての重大なお仕事であろうと存じますので、この機会に伺っておきたいのであります。  最後に、いまや火災季節であります。国の至るところに火災が起こって、けさのニュースでもたいへんな火災による損失が報ぜられております。自治大臣は消防庁の所管大臣でもあられます。災害は忘れたころにやって来るといわれますが、実は日本の災害被害は、夏に台風を迎え、秋にさらに台風に襲われる。夏はひでり、秋は台風、そして冬場に向かうと火災、ほんとう災害を忘れるひまもないのが日本国民だと思うのです。そうかと思うと、公害、全学連台風、もう至るところに災害はきびすを接して日本国民一億の上にのしかかってきておる。その重大な火災シーズンにあたりましての消防庁を所管される自治大臣の心がまえはどうであるか。この十五分という非常に限られた時間でございますから一応お答えをいただきまして、あるいは私が再質問するかもしれません。どうか一応のお答えをいただきます。
  25. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 三十四号台風で被災されました方々はたいへんお気の毒なことで、お見舞い申し上げるわけでございます。特におあげになりました大島地区が町村合併をしたために災害救助法の発動も法規上できない、あるいは激甚災害の指定もないというようなことにつきましての実情は、十分われわれもわかるわけでございます。したがいまして、これら災害対策のための地方団体の財政的な援助につきましては、十分実情に即してやってまいりたいと思う次第でございまして、三十四号台風を含めまして災害対策のための地方債のワクの拡張等につきましては、目下大蔵当局と折衝をいたして地方債計画の変更をいたすつもりでございます。また特別交付税につきましても、正示さんの御承知のとおり、いろいろなルールはございまするけれども、その中におきまして、これら市あるいは県当局の災害対策の財政措置についての援助につきましては、十分な処置をいたす所存でございます。  それから、羽田事件のことをおあげになりまして、特に東大教養学部の面でとらえられなかったかということ、私どもも、十月八日の事件にかんがみまして、例の兇器準備集合罪等を適用いたしまして、あるいは中央大学、明大等においてもしそういうことがあれば事前の検挙もいたす所存で臨んでおったわけでございます。それを察知いたしまして、急遽東大の駒場へ転進をいたしたわけでございます。あの地域は御承知のとおり実はそういう事前の逮捕をいたすというようなことにつきましては非常に場所が広く、逃げ出すところも多く、しかも石ころや何かも非常に多い。その上たまたま駒場祭でありまして、反代々木系の全学連約二千のほかに一般の学生が千名程度はおりまして、結局そういう手入れをするというようなことになりますと、おそらくこれら千名もその渦中に巻き込まれるというようなこと等を勘案いたしまして、ついに、駒場において把握するということは非常に危険も伴うし、その他いろいろな事情からいたしまして、あそこではやらない、それでは一体どこでやるか、あるいは渋谷の駅、品川の駅あるいは蒲田の駅というようなことも考えましたけれども、そういうところにおきましては非常に乗降客も多いのでございまして、市民に対する影響と申しますか、御迷惑をかけるのが非常に多いというようないろんな条件を考えまして、あの大鳥居駅付近におきまして把握するということになりまして、その近くの民家の方々には非常な御迷惑をかけたことは残念でございますけれども、しかし当時の状況といたしましては、あの地点において把握する以外になかったということは御理解をいただきたいと思う次第でございます。今後の問題といたしましては、常にそういうことを考え、兇器準備集合罪等も適用をいたしまして、できるだけ事前において把握をするということにつとめてまいりたいと考えております。  それから、火災の問題でございますが、特に昨年は火災による死傷者が一千名をこすというような史上空前のことに相なりまして、その後もそういう点におきましてなかなか減少をいたさないことば非常に残念でございます。したがいまして、市町村の消防力強化につきましては、今後とも団員の確保、職員の確保あるいは機材の整備等につきまして努力をしてまいりたいと思います。ことに最近の傾向でありまする高層ビルあるいは地下街というようなもの、さらには危険物による火災というものが頻発いたしておりまして、たとえば石油コンビナート地帯における火災予防の方法、こうしたものについては重点を置いて今後これに対処をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  26. 正示啓次郎

    ○正示委員 詳しくはまたあとで事務的に申し上げますが、私は、今度の三十四号台風被害に関連をしまして、初めてしばらくぶりにその後の防災に関する法令上の措置あるいは予算上の考えというふうなことを少し振り返ってみたわけでございますが、どうも私は非常に疑問というか、解明の余地があると思うのは、一億国民一つ被害を受けたら、これは同じように救助されなければいけない、同じように保護されなければいけないという大前提があると思うのです。ところが災害救助法では、これだけの災害が起こらないと災害救助法を発動しないという。これは大体財政当局がしぼったわけです。しかしこれは、財政当局のしばりという問題と現実の救助なり保護なりという問題は別であって、非常に悪いたとえでありますけれども、一緒に一ぱい飲もうや、あとの払いはどうするかということは別に定めよう、別にきめよう、こういうものだろうと思うのです。災害が起こって、みんなが毛布にくるまり、たき出しを受け、あるいはバラックを建ててもらわなければならぬということは、一億国民天が下、これは差別があってはいけない。そういうことが災害に対する国家なり地方公共団体の基本的な態度でなければならぬということが第一点。そういう態度に従って発動された法令に基づく——あるいは法令がない場合があるわけであります。ある程度のものは法令上の保護が規定されないものがあるわけであります。これは事実上予算をもって措置してやるよりしようがないわけでございますけれども、そういうツケ勘定の、町村につけるか、個人につけるか、府県につけるか、国につけるかは別問題である。こういうふうに災害に対する基本的な考え方がなければならぬということが、私は今回痛切に感じられた。先ほどの合併後の町村あるいは離島、あるいは山村——山村なんかも、御承知のように、大いに合併を奨励しておるわけであります。ところが、合併をすると、あんなところをうっかりひっかぶると、地すべりが起こる、集中豪雨で山くずれが起こり、私どもの地方財政は成り立たぬという配慮があっては、町村合併そのものがくずれる。あるいは府県合併という問題がさらに新しく起こりつつあります。和歌山県は風光明媚で非常によいところなんでございますけれども、台風襲地帯であり、地震が多い。そういうものを大阪府が合併したら、一体大阪府の財政はどうなるんだろうというようなことで、この明治以来すでに陳腐化した府県の境界撤廃ができないということになるならば、手段であるべき財政が国民の幸福という目的を阻害することになる。本来の私どもの政治の目標は、今日のように経済的に非常に進んだ日本においては、もう明治以来非常に陳腐化した道府県の境界などは撤廃すべきだというところにきておると思うのですが、そういうことがいまのつけ勘定の関係からできないということは非常に困る。  そこで私が自治大臣にひとつお願いをしておき、また将来大蔵省においても十分考えてほしいと思うことは、こういうツケ勘定のことは心配しなさんな、とにかく一定の災害が起こったら一定の措置をしてやりなさい、これは万人共通、一人の例外もなくやってやりなさい、そしてその最後のしめくくりは財政調整という措置があるのだ、こういうことがもっともっと徹底しなければいけないと思います。これが徹底しないために、地方防災計画さえもできていなかった。国家の防災基本計画も、上村副長官を前にして言っては悪いけれども、まだまだ水も漏らさぬという体制ではない。あるいは府県によっては府県の防災計画が立っていない。いわんや町村に至っては、まだまだ立っておるところはきわめてまれであるというふうな事態になっておるのでございましょうけれども、たとえば災害救助法が発動された場合に、毛布の備蓄があるか、浸水したら畳表の備蓄があるか、ないのでございます。これを一々市町村当局を責めることは酷だと思うのであります。そういうものを心配しなさんな、必ず最後には財政の状況に応じて、国、府県、市町村、そういうものを通じて公平な扱いがあるんだという保証がまだ私は足りないように思います。ですから、こういう問題は将来の立法論でございますけれども、今回の三十四号台風について私は痛切にそれを感じあとで申し上げる激甚地指定、天災融資の発動等の問題を考慮に入れますと、ますますそういう感を強くするのであります。ですから、こういう点についての国と地方と末端を通じたる財政、金融あるいは助成のあらゆる問題についての水も漏らさぬようなきめこまかな最後の救いをやっていただく大臣は、実は自治大臣だと私は思うのでございます。これはたいへんむずかしいことを申し上げるようでございますが、そんな感じが非常にしみじみと、いたしました今回の災害でございます。  大臣の時間が参りましたから、最後に、そういう点について今後さらに総理府なり大蔵省なり関係各省と御相談していただいて、きめこまかな財政、経済、金融の裏づけをやっていただかないと、これから起こってくるあらゆる災害に対処する地方公共団体の手が鈍る。うっかりやったらあとで財政的に大きな穴があく、金融のめんどうは見てもらえないというふうな渋りが出ては、罹災者こそ浮かばれない、お正月も迎えられないということになりますので、その点は心配するな、必ずその状況に応じた手は打たれるのだということを確保しなければ、この災害対策特別委員会の使命も達せられないと私は思いますので、どうか藤枝自治大臣にその点について最後にお答えをいただきまして、お帰りいただきたいと思います。
  27. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 災害対策に関する各諸法令あるいは取り扱いの前例と申しますか、災害救助法の発動であるとか、激甚災害の指定であるとか、天災融資法の発動でありますとか、その他いろいろございます。これらが、現状においては、正示さんの言われるツケをどこへ持っていくかということを一応きめておるものとは考えます。しかし基本的には、いまおあげになりましたように、災害を受けた方についてはそれは平等な取り扱いがされなければならないということは、御指摘のとおりだと思います。したがいまして、現在のツケのつけ方等も、これは検討をしなければならないと思います。また、地方団体がそういうことにおいて被災者のためにやりました仕事につきましては、私どもは十分その実情に即して財政的な裏づけをやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  28. 正示啓次郎

    ○正示委員 どうもありがとうございました。どうぞ大臣、お帰りください。  続いて、災害救助法の問題に入らしていただきます。十一時半に坊厚生大臣が来てくれるはずになっておりますが、間違いありませんか。  先ほど来申し上げたように、今回三十四号台風が襲いました紀南の地で、先ほど上村副長官から御報告がありましたように、東牟婁郡あるいは新宮市は災害救助法をいち早く発動いたしまして、財政の非常に困難な新宮市その他でございますが、それぞれ手一ぱいの援護措置、救助措置を講じたわけでございます。ところが、潮岬気象観測所を持ち、航空自衛隊の航空気象観測レーダー基地である大島災害救助法の適用を受けてない。私は新宮市をはじめ東牟婁郡の町村を回りまして、もうこれでいいのだと思っておったら、突然大島から、この悲惨な大島を見捨てるのかということで、びっくりして飛んでいったわけでございます。これは御承知のように、先ほども言った離島でございます。そこでやっと開通した船から上がったら、元の村長が出迎えて、先ほど自治大臣に言ったように、正示さん、私どもはあなた方が言うように町村合併したおかげでひどい目にあった、これで大島が合併になっていなかったら災害救助法も発動してもらったのに、こう言うのであります。私もそのときは単純にそのことばを聞いて、ああそうかな、それは非常に困ったことだ、国の政策というものもこういうところで矛盾が出てくるのかなという感じでありましたが、あとでだんだんわかったところによると、大島というところは川がないのです。今度の災害で死人の多かった新宮なりあるいは勝浦では、川がございますから浸水家屋が多い、そこで救助法を発動するのも簡単なんですが、大島には川がない、水がない。大島の水の問題というものは、これは重要問題でございまして、この離島の給水施設をどうするか、実は頭の痛いところでございますが、これは別の問題といたしまして、ここで私は今村局長と一問一答をやって、これは災害対策特別委員方々にも、全国的な問題ですから、お聞きをいただいておきたいと思うのですが、この救助法発令の条件が、災害救助法施行令第一条の第一項に四号までございます。一号は、町村の中のいわゆる災害程度がその人口に対してどういう割合であるかということを定めておる。これは基準でありましょう。私はこの基準の厚生省の相談に応じたことがあるので覚えております。非常に酷なことをあのときは申し上げましたが、いまになってみると、これはもっと甘くしておけばよかったと実は思っておるのでございますが、それはまあ余談でございます。第二は、府県単位の同じく基準であります。ところが、厚生省がなかなか頭のよいところを出しておるのが第三号。ここでは基準だけではなくて、うまいことここにエスケープ・クローズが入っておる。すなわち第三号の中ほどから「又は」という字がありまして、「又は当該災害が隔絶した地域に発生したものである等災害にかかった者の救護を著しく困難とする特別の事情がある場合であって、多数の世帯の住家が滅失したこと。」非常にうまくここで厚生省の頭のいいところを出しておる。これは大蔵省をうまくやっつけた。ところがその締めくくりがついてない。こういう場合にはそれでは財政上の措置はどうするかというやつが抜けちゃっておる。一、二の基準による場合ばかりの財政措置を書いておるが、いまのエスケープ・クローズによる、特別の事情により災害救助法を発動したときの、特別のいわゆる財政措置のことは書いてない。どこまでも基準でいくということになっておるのは、厚生省は頭がよかったけれども、その点においてちょっと徹底してなかったんだなということを実は私は感じた。しかし、いずれにいたしましても、この条項は、離島であるとか、先ほど申し上げたような山村振興、指定山村、山奥で道一本しかない、集中豪雨を食らったら道も流れてしまった、ヘリコプターで救援物資を送ってやるよりほかしようがないというふうな山間僻地、そういうところは私はこの条項で救えると思うのです。ところが厚生省にはさっきの、これに対応する財政上の特別措置がないものだから、最後の「多数の世帯の住家が滅失したこと。」というやつをまた持ってきて、そういう離島であっても僻地山村であっても、やはり何戸か滅失していないとだめだということをいう。あなた、いま山の中に家がありますか。どんどん山村を離れて町へ行っている状況でしょう。そのときに、何戸以上やられなければ、隔絶したところだといってもそこは災害救助法を発動してやらないといったら、それこそもの笑いです。だから隔絶した地域ならば、たとい一軒の家でもそれを救うために、道路をほじくり返してブルドーザーで直して、そこへ物を運んでやらなければいかぬのですよ。ヘリコプターで救援物資を落としてやらなければいかぬのですよ。離島だってそうですよ。航路が欠航する。そうするとその天候の回復に非常に時日がかかって、これは船では持っていけないというなら、空中輸送でも何でもしてやらなければならない。そういうときにこそこの「隔絶した地域に発生したものである等災害にかかった者の救護を著しく困難とする」、この条項で、人一人といえどもほっておいてはいけない。いやそういう一人や二人の人間はほっておくのですと、幾ら何でもあなたは答弁できないと思う。私はあとで厚生大臣に言いますよ。厚生大臣から言明をいただきますがね。だから、こういう条項がある以上は、人が一人であろうが二人であろうが、あるいは極端みことを言えば、ネコの子一匹しか住んでなくて、人はその晩からたまたまいなくても、これは救助しなければいけませんよ。それを町村の責任に押しつけることは無理ではないか。しからば災害救助法を発動して、その場合にその経費が非常に多額に上ったならば、町村の基準財政状況に照らして国が補助をしてやるというのが筋だと思うのです。それを、あなた方は罹災戸数が何戸だとか、床上浸水がどうだとか言われるが、川のないところに床上浸水がありますか。いまのように山村から離村する、こういう新しい人口移動の現象にこれは応じた規定ですか。そうでないでしょう。山村はもう打ち捨てられて人はみんな町へ、町へと行っておる。それに対して山村をどうするかということは大問題です。山村振興法の考えはそうですね。そういうものでも、山の中に住んでおる者は集中豪雨でやられたら、自衛隊にもおいでいただいてやってもらう。自衛隊の人はもう帰りましたけれども、そうしてブルドーザーで道をつけたりヘリコプターで物を運んで、人一人でも救わなければならない。その救助の経費というものはばく大なものである。とうてい町村の負担なんかでできるものではない。一県の負担でもできるものではありませんから、そのときはその救助に要した費用を、基準財政収入、基準財政力に応じてやはり国でめんどうを見てやるということでないと、町村の手は鈍りますよ。山の中の罹災者を救うためにばく大な経費を使っても、国はひとつもめんどうを見てくれないじゃないですかというと、どうするのです。これは新しく立法をするか、考え直さないといけませんよ。いまや、人は山村から町へ町へと移動する。新しい中学卒業生で村へ残るのはいないのだから。それがまたイギリス経済と日本経済の違いであるのだが、きょうは災害対策特別委員会だから経済問題は入りませんがね。だとすれば、災害救助法について新しく見直すことが必要だと思うのだが、今村社会局長はどういうお考えでありますか。
  29. 今村譲

    ○今村説明員 お答え申し上げます。実はおっしゃるようにジレンマがございます。ということは、一人でもそういう災害があったら発動せよというのは、これは正論だと思います。ただ、これは実は先生法律制定のときにお世話になったわけでございますけれども、災害救助法で五割から最高九割までの国庫補助をつけるというようなものは、個人の生命、身体、財産のいわゆる保護ということのほかに、ある程度社会的に相当数の被害者があって、社会不安とか動揺とかいうふうなものに限るというようなことで、いまおっしゃいましたように災害救助法の政令の一号、二号、三号、四号というふうなものがつけてあるわけでございます。したがって、ほんとうをいえば、これは一人であっても発動せよという議論は正論だと思いますけれども、この制度としてはやはり一定規模以上でなければならない。それ以外は地方自治法によるいわゆる八条でありますか、ちょっと条文を忘れましたが、市町村の固有事務ということで当然して、それに対する国庫負担あるいは国庫補助あるいは財政援助というようなものは、交付税交付金その他災害対策基本法に基づく補助規定というふうなもの、これは厚生省だけではどうにもなりませんけれども、そういう二段がまえになっておるということをひとつ御了承いただきたいと思うのでございます。  それから第二点は、一つはさっき政令の第一条の三号で厚生省はうまいこと穴をあけたけれども、それに補助の規定はないじゃないかということでございますが、三号でも四号でも、とにかくこれにひっかかって、知事が発動しましたら、災害救助法に基づく補助規定は、五割から最高九割までというのは動いてまいります。災害救助法適用市町村ということで動きます。  それから三号の、いま先生がおっしゃいました旧大島村の被害状況でございますけれども、これは実は県にも詳細打ち合わせをやりましたが、串本町全体で全壊が九世帯、半壊二十世帯、床上浸水二十一というようなことです。そのうちで旧大島村でも、規模が、戸数からいいますと全壊七世帯、半壊が十五世帯、これは政令の定めによりまして換算いたしましても十五世帯というくらいなことで、かりに旧大島村が独立の村であったとしても、現在の基準では、いい、悪いは別にしまして、現行基準では三十世帯というのが十五世帯くらいということで、県としても非常に首をひなりましたが、どうにもならぬということでございます。  それからもう一つは、交通途絶、山の中で隔絶しておるというような問題であります。これは私の記憶では、三十八年に島根県で一月に三メートルの大雪が降っているというときに三十八戸全壊いたしまして、非常に山の中でございますが、救助法を発動した例があります。しかし、先ほどお話しになりましたように、二十八日の台風で、二十九日には、県の事務当局の話ではいわゆる巡航船といいますか、船が通って交通が平常に返った、こういうことでございますので、交通隔絶してというかっこうではこれも動かせないのではないかということで、県の民生部ともいろいろ相談いたしましたが、災害救助法のいまの規定では、どうしてもあすこは適用されない。串本町をひっくるめてでありますけれども、大島だけではある程度の、人口千五百七十ということについて七世帯ほど全壊がありますが、これだけをとってみても基準にならないし、串本と合併して考えましても基準にならないというので、いろいろ打ち合わせしましたが、結局県のほうから、知事は災害救助法の発動を厚生省には申請できかねるということでございます。この点ひとつ御了承いただきたいと思います。ただ、基準がきつ過ぎるとか甘過ぎるというふうな問題につきましては、これは政令の改正ということになりますが、これは災害基本法との関連も含めまして今後いろいろ検討しなければならない、こういうふうに思う次第でございます。
  30. 正示啓次郎

    ○正示委員 私は、あまり時間をかけてここで今村君と議論することができないのを残念に思いますが、これは一回別途にやりたいと思います。  ただいま厚生大臣が非常にお忙しいのにわざわざ来ていただいたから、厚生大臣にもう一回だけ伺います。  社会の情勢は動いておる、その流動する社会情勢に対応しての災害救助法なりあるいは災害対策基本法なりのあり方が非常に変わってきたのではないかという議論を今村君は受けとめてくれていない。われわれはこの災害救助法を立案したころに、いまのように山村を捨てて、あるいは離島を捨てて人は町へ町へと非常な人口移動があるということは予想できなかった。そうでしょう、この点は。そこで、その人口に対して、戸数に対して何戸以上滅失とか半壊だとか、あるいは床上浸水だとかという規定をしたのですよ。これはあなたと私と前から同じ考えだ。しかし、その後に社会は動き出した。日本の世界に誇る経済の非常な発展というものは、地方の農山漁村からたいへんな人口が都会へ都会へと流出してきて、日本経済は、ポンドのささえにきゅうきゅうとしておるイギリス経済と本質的に違うような非常なバイタリティを持っておるのでしょう。日本の財政もそれによって非常な恩恵を受けておるわけですよ。それを財政硬直化だといっておりますが、坊先生の社会保障に対する根本的施策、あるいは食管制度に対する根本的施策をやれば、財政硬直化なんか吹っ飛んでしまいますよ。そうしてほんとうにとうとい人命、ほんとうに貴重なる生産財の再生産を促す人命を尊重するという、こういう施策をもっと弾力的に適時適切に、動く社会の情勢に対応して講じていくということが、私は日本の政治でなければならぬと思うのです。それをいつまでたっても、そういう人口の大移動がないようなときの情勢を考えて、戸数が何割以上滅失したらというようなことばかりいっておるから、かえって財政が硬直化してしまうのですよ。だから、われわれがここで考えなければならぬことは、先ほど私が言ったように、山村がやられた、通信が途絶した、どれだけ被害があるか、人がおるかネコの子一匹しかおらぬかわからない。しかし、とうとい人命があるということならば捨てておけない。ヘリコプターで食糧を運んであげましょう、大きな岩で道が途絶しておるならブルドーザーを持っていって道を切り開いてやりましょう、そうすると、そのために経費がこんなにかかりましたとま村が出してきたら、その町村の基準財政収入に対して、その災害救助の費用がこんなに膨大になりましたといったら、その町村を見てやらなければならぬじゃないですか。戸数なんかでいっておったら、だれもしやしませんよ。町村長は、あの山の中にそんな金をかけたら、戸数が少ないんだから、そのときは捨てておけと言うのですか、今村君、あなたは。捨てておけとは言えないでしょう。山の中にだってちゃんと救助の手を差しのべてやってください、ヘリコプターでも何でも飛ばしてやってください、ブルドーザーでも動かしてやってください、これが人命尊重の佐藤内閣における坊厚生大臣の間違いない政策だと思うのです。また、この災害対策特別委員会の一貫した考えだと思うんだ。そういうときに捨てておけということはだれも言えない。そこで、やりなさい、やったらあとのツケはどうするかという問題だ、さっき自治大臣と議論したのは。その金が非常に膨大で、普通の地方公共団体の財政力からいえばとてもとてもたえ切れないような場合は、それこそ、あなた五割、九割と言ったじゃないですか。その五割、九割の基準でいいですよ。しかしながら、それはただ単に戸数とかなんかだけでやったのではだめではないか、人口比だけではだめではないか。この人命尊重の時代だから、一人の人命を救うために、このごろは、煙突から落ちた学校の生徒、プールでおぼれかけた学校の生徒、坑道の中へ閉じ込められた人夫さんを救い出すために、幾ら金をかけてもいいからやれというのが政府の政策でしょう。しかしその金は、あとでツケをどこに持っていくかということは書いてない。一号、二号についてはツケの持っていくところはちゃんとある。隔絶した地域の場合のツケの持っていくところは書いてないじゃないか。それだよ、私の言っているのは。さっきの五割、九割でいくのです。ところが隔絶した場合のやつは基準財政収入に対して響きませんよ。いまの大島にもしやったとしたらどうです。基準財政収入からいったら基準に乗りませんよ。だから持っていきようがないじゃないか。山の中の四、五軒しか家のないところが集中豪雨でやられた、ヘリコプターで運んでやろう、ブルドーザーで道をつけてやろう、その金は膨大である。しかしながら、全体の町の戸数に対する罹災戸数の割合からいったら、そんなものは災害救助法は発動できないというので、全部地元の町村が背負い込まなければならぬということを考えているのですか。これがすなわち、動く社会に対する災害救助法の動かざる姿であると私は言っているのです。そうでしょう。委員皆さんおわかりでしょう。それに対する答えを願いたい。
  31. 今村譲

    ○今村説明員 ですから、先ほど申し上げましたように、一号、二号、三号、四号それぞれについて基準がきつ過ぎる、もっと下げろというふうな問題は、これは立法論としてはいろいろあると思います。これは今後とも検討いたします。ただ問題は、三号であれ四号であれ、災害救助法発動ということになりましたならば、それは五割、九割といういまの制度で国かめんどう——めんどうといいますか、負担をするという制度にはなっておりまして、一号、二号と三号とは別に差別はございません。ただ問題は百万円以下は、これは運用でありますけれども、百万円以下くらいのものは地方自治体がみる。そもそも地方自治体があります以上、地方自治法によりまして、罹災民の救助あるいは防災というようなものをやりなさい。これは固有事務であります。災害救助法は特別法でありますから、発動以前に地方として出すべきものは出さなければならぬ。これは義務でございます。その部分はあります。その部分で災害救助法の発動がかからないという程度のものにつきましては、これは私から申し上げるのはおかしいのでありますけれども、交付税交付金とかいうふうにツケを持っていく方法は別個につくってある。こういうふうに私は理解いたしておりますので、この点ひとつ……。
  32. 正示啓次郎

    ○正示委員 あまり長く膠着状態になりますから、私はここで坊厚生大臣にひとつ伺います。ずっと初めから話を聞いていただいたら、厚生大臣は非常にあたたかい答えをしてくれるのにしやすいと思いますが、いま冷たい外から入ってこられて、この災害罹災者に対するあたたかい思いやりで対処しようという空気にまだなじんでおられないのは非常に残念でありますけれども、しかし今村君と私の言うことは幾ら議論しても——彼はいま大蔵省の立場ですよ。私は罹災者の立場なんです。昔は私は大蔵省の立場でありましたが、しかし、いま私は罹災者の立場なんです。そこで、山村僻地といえども、人一人でもほうっておけないから、そういうときにブルドーザーを出したりあるいはヘリコプターを出したりして、町村がうんと金を使ったらどうしてやるのだということに対する答えが一つもない。だから、これは新しくひとつ考えましょう。しかしながら、この際私は坊厚生大臣に最後にお答えをしておいていただきたいことは、実は順序が逆になったのですが、藤枝自治大臣は、先ほど私の質問を聞いてくださいまして、これは特別交付税なり別途の方法で十分考えますと言って帰ってくださったのですが、私はいまさら災害救助法をどうだこうだと言っておるのではないのです。しかし、およそ人命尊重というたてまえのもとに、今度の災害局地的に、しかも非常に局所に対して深くえぐったような被害を与えておるわけです。その一つ新宮死者九人、勝浦の死者一人、太地、古座というふうに東牟婁にずっとあったのです。坊厚生大臣は和歌山県の人ですから、何郡と言えばすぐぴんとこられるから私は申し上げるのですが、串本大島にもその災害はあったわけです。そして、先ほど来議論をいたしましたのは、「潮岬に灯台あれど、何とかのやみ路は照らさない」と、うたの文句にあったが、実はあそこに測候所あれど、台風三十四号の襲来を知らせなかった。気象庁長官はちゃんと知らせましたと言っておるのですけれども、新宮の人はだれも知らなかったのですよ。それで、ぐうぐう寝ていてばっさりとやられて、九人が一ぺんに死んじゃった。それからまた、大島レーダー基地あれども、台風三十四号が来るということはだれも知らなかった。自衛隊自身もびっくりしておる。そこへどっとばかりに、元の大島村、いまの串本大島がやられたわけです。そこで、私はそういう隔絶した地域だから、局所的に深くえぐられた今回の大島災害救助法を発動してもよかったと思うのですが、しかし、いまは言いません。厚生省はあとになって冷静に数字を検討すると、あそこには川がございませんから、床上浸水などの戸数がないので、やっぱり基準に合わぬと冷静に言われた。それはわかるんですよ。それじゃ融絶した地域ということでやったらどうか、こういう問題を持ち出して、これは全国的な研究問題であるから、先ほど申し上げたように、新しい人口移動の問題とからめてこれから研究しよう、こういうことでいま厚生大臣がおいでくださったわけなんです。  私、厚生大臣にお願いしたいのは、さっきも申し上げましたように、人一人おれども、そこが災害にやられたというときには、ほってはおけない、あそこは何人以上人がいないから災害救助をしたいというようなことはできないのでございます。町村長としては、府県知事としては、みんな一視同仁、たとえ人数は少なくとも、その地域に集中豪雨があった、非常に激しい台風が襲来したといえば、これは救助してやらなければいかぬ。災実救助法に定められたと同じような救助をしてや氏なければいかぬのです。だから、そういうふうにあとのツケのことを心配して、財政勘定、財政の負担のことを心配して手がにぶる町村長に対しても、やってやりなさいよ、人命尊重は一視同仁、天が下、どこにも国のあったかい政治の手からはずれる人があってはいけないんだという御指導をまず願いたい。いまの大島人たちに対しても、府県知事なり町村長なりに対して、どうかそういう行政指導をしていただきたい。これが災害救助法の施行の責任者である厚生大臣の重大なる使命ではないかと私は考えるのであります。そして、そういう指導をされた厚生大臣としては、国のあらゆる機関に対して、直接的には自治大臣でございましょうが、そうした行政指導に基づく末端地方公共団体のそういう措置に伴う負担については、ひとつ財政調整の衝に当たる自治大臣においてしかるべく考えてやってくれ、これは国務大臣として同じ閣内に列せられる厚生大臣と自治大臣の間で、当然そういうお話し合いがあってしかるべきだと私は考えるのでございます。そういうことにつきまして、厚生大臣のあたたかいお答えをいただきたいと思います。
  33. 坊秀男

    ○坊国務大臣 朝からいろいろと要件がございすしておくれましたことを、まずおわび申し上げます。  それで、先ほど来の正示委員の全部の御意見、いうものをお聞きしていないために、私の頭が冷たいのではなかろうか、こういう正示委員の御推測でございますが、こんなことを申し上げていいかどうか、この席では適当ではございませんけれども、私も和歌山県選出の議員でございまして、自分の選出の郷里災害に侵されておるというようなことにつきまして、どうも委員会で申し上げるのは適当でないと私は思いますが、委員長、お許しください。私も郷里災害について冷たい気持ちなどというものは持っておりませんことを、まず申し上げておきます。  ところで、正示委員が先ほど、御自分の立場、また今村局長の立場等についてもお触れになりましたが、私は気持ちの上におきましてはいま申し上げましたとおりで、和歌山県選出といたしまして、郷里災害に対してはほんとうに深く同情もいたし、何とかしたいと、かように思っております。しかし、私にも立場というものがございまして、今日私がここへお呼びいただきましたのは、和歌山県選出の議員としてお呼びいただいたのではない、厚生大臣としてお呼びいただいたのだと、かように私は思っております。さような立場においてお答えを申し上げなければならないと思います。  そこで、災害救助法なのでございますが、これを適用する、発動するということは、これは中央で判断するよりも、それぞれ地方長官——府県知事の判断ということにおまかせしてあるのでございます。いまの大島災害等につきましては、これは三号災害というふうなことで、一応事前に地方長官から厚生大臣に対して協議がある、こういうことになっておるわけでございますが、この点につきましては、現地の和歌山県から事前にさような協議もなかったというようなことでございますので、私のほうから進んで和歌山県に対しまして、この大島に対して災害救助法を発動しなさいということは申し上げることではない。一番現地のことについてよくお調べになっておる県知事が私のほうへ協議をなさるということによって私のほうで態度をきめる、こういうことであろうと私は思います。  そういうようなことでございまして、いま旧大島村に対しまして災害救助法を発動しなかった。正示委員もこのことについては、とやかくは言わない、こういう非常に、何といいますか、理論的なお話なのでございますが、私どもそのとおりだと思いまして、非常に敬意を表しておるのでございます。そこで、しかしながらこういうような事態が起こってきた。しかも経済が、社会が非常に流動しておるじゃないか、その流動しておる実態に即して何とかすべきであるというのは、私は正示委員の非常に含蓄のあるりっぱな政治論だと思いまして、その点につきましては敬意を表します。けれども、いまこういったような事態におきまして、いろいろなことについて常に政治的配慮をもってやっていくというようなことでは、これは私はどうも厚生大臣の立場として——議員の立場といたしましては、私は非常にこれは何とかしたいと思っておりますが、厚生大臣といたしましては、そういうふうにやるためには、やはり現在の事態に即応したような、この流動する社会、経済の実情に即したような、これは政治論として、立法をしていかなければ、そう行政当局が自由自在にこれを解釈していくというようなこと、さりとて、それじゃ、しゃくし定木でいったらいいかということは、これは、しゃくし定木は幾ら行政であろうとも私はよろしくないと思いますけれども、県から協議がないといったような場合に、これを何とか災害救助法を考えるといったようなことは少し行き過ぎじゃないか、かようなことを考えます。  そこで、私はいま正示委員の御質問に対して結論的に申し上げますならば、こういったような流動的な社会、経済の上に災害をどう処理していくかということは、これは早急にいまの制度というものを国会にも御相談申し上げて、そしてこれの改善をはかっていくということが急務だと私は考えております。そこで、現在厚生大臣として申し上げ得ることは、今度の問題につきましては、厚生省限りの問題といたしましては、世帯更生資金といったようなものもございます。それからまた生活保護といったような問題もございます。そういうようなことをできる限り、私といたしましてはこれを広く、深く適用していくように考えるということは、あえて私が和歌山県人であるがゆえにやったんだというふうには、今日御出席の委員皆さんもそういう御非難はなかろうかと私は思うのでございます。でき得る限り被害者に対しまして、そういったような厚生省限りのことは私はやってまいりたい。  それからもう一つは、先ほど藤枝自治大臣が見えたそうでございますが、国務大臣といたしまして、藤枝国務大臣だけではなくて、あるいは農林関係もございましょう、あるいはその他の関係もあると思いますが、そういったような関係各省に私は積極的に働きかけまして、私どもの所管ではございませんけれども、ひとつでき得る限りの手だてというものを考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 田原春次

    田原委員長 正示君に御注意申し上げますが、理事会の申し合わせ時間をもう一時間超過しております。ほかの省の責任者も来ておりますから、質問をどんどん進めてください。
  35. 正示啓次郎

    ○正示委員 厚生大臣、気持ちはわかりました。そこでもうこれは委員皆さんに御迷惑ですからあんまりしつこく言いませんが、実は大島人たちには和歌山県がさっそく災害救助法と同じような措置をもうすでに講じておるわけであります。これは厚生大臣もいま言われたように、まつ正面から救助法の施行ということはいまさらもう問題にできませんが、そういうわけでございますから、いま最後におっしゃられたように、そういうあとづけ、財政的裏づけ、こういう点についてぜひ災害救助法の施行の責任者である厚生大臣として御努力をいただくことを私は要望を申し上げまして、次の質問に移ります。どうぞ厚生大臣お帰りください。  それでは委員長から御注意もございましたので私は論を進めまして、建設省、農林省、通産省、大蔵省、その他の関係に入っていきたいと思います。  まず第一に激甚地指定あるいは天災融資法の関係、これについて主務省から今回の三十四号台風はどういう状況になっておるかを御説明していただきたいと思います。激甚地指定は総理府ですか。
  36. 上村千一郎

    上村説明員 正示先生のいろいろな御論旨の基本につきましては、私もきわめて同感でございます。そして現在の災害対策につきまして総理府は総合調整をいたしておりますが、この被害を受けられておるのが、局地的にいたしましても非常に激甚である、最近の被害状況はほとんどそういうような状態になっております。けれども、激甚地指定という場合におきましては、御案内のように、基準が定められておりますので、基準に大体のっとりまして、これを指定していく、こういう立場に立つのであります。しかしながら現実に災害に対しまして処理をいたしておる政府の方針は、たとえ激甚地指定でなくても、現行法の運用のあとう限りの意味において、あるいは閣議決定の処理におきまして、その内容が見合うようにということでとっておりますのが実情でございます。  それで、今度の台風第三十四号の激甚地指定の問題でございますが、ただいまのところの被害の数額によりますと、激甚地指定の基準には達していない、こういうような実情になっております。
  37. 太田康二

    ○太田説明員 今回の台風三十四号による被害は、先ほども御説明があったわけでございますが、従来天災融資法を発動いたしました天災に比べまして、農作物並びに水産物の被害は比較的軽微でございまして、むしろ施設関係、ビニールハウスあるいは水産の養殖施設、漁船等の被害が中心であったのでございます。農作物の被害につきましては、御承知のとおり、すでに水陸とも収穫が終わっていた関係で、主として野菜と果樹の被害であったようでございます。それから水産物の被害につきましては、ノリ、カキ、真珠等でございますが、このうち特にノリの減収被害ということにつきましては、再植えつけが可能なところもあるようでございますので、年間を通ずる被害としては軽微に終わるのではないかということも考えられるのでございます。  以上申し上げたような被害の実情でございますので、率直に申し上げまして、天災融資法の発動は、従来の例に照らしまして、きわめて困難ではないかというふうに思っておりますが、なお被害等の実情も調査して、慎重に検討いたしたいと思っております。
  38. 正示啓次郎

    ○正示委員 最後に、私はいまお答えのような激甚地あるいは天災融資の基準という問題も、先ほど言ったように、社会経済は動いているのですから、再検討しなければいかぬと思いますが、この際どうしても基準からいって適用ができないという場合には、これにかわる施策をやってやらにゃいかぬと思うのであります。私はかつて第二室戸台風のときに、当時の池田総理大臣に、この前の伊勢湾台風と同じことをやってくださいと、おうちまで行って私は談判したことがあります。当時田中角榮さんが政調会長、いまの大蔵大臣の水田さんが大蔵大臣でありました。私はこの三巨頭を前に、いかに和歌山県のような貧弱なところが第二室戸台風で深くえぐられているか、伊勢湾台風と同じ処置をやってやらにゃいかぬということを言ったことがあります。そうして最後には大体伊勢湾台風と同じような措置をしていただいたのであります。おかげでこのごろは、台風が来ましても、昔のように非常な被害があちらこちらに起こるということがなくなったのであります。すなわち、災害に対していわゆる原形復旧などというような古い形式、理念にとらわれて、一文惜しみをするから百を失うと私は思うのであります。こういうときには、どうしても災害をよい天の教えとして、再び同じ災害を繰り返さないような公共施設に対する復旧措置を講ずるということが必要であります。しかし、それをやらせるかやらせないかは、これは建設省を含めて、やはり財政的裏づけをしてやらなければ、地方の貧乏団体ではできないのであります。私は災害直後の新宮の木ノ川というところを見てまいりましたが、累々たる岩石の山で、川が変じて岩石の山であります。昭和二十八年の大災害のときに、私の生まれたふるさとも同じ状態でありました。そうすると、心なき者は、こういう村は捨てて早く北海道に行ったほうが安上がりだと言ったので、私はその人間をなぐり飛ばしてやったのであります。何を言うか、先祖代々の墓を持っている罹災者にとってみたら、たとえこのたんぼを復旧するために自分の家が破産しても、もう一回先祖に対してこのたんぼを復旧したいという人情がわからないのか、反当幾ら上がるという経済計算だけで災害地の民が救えるかと、私は声を高くしてそれを言って、とうとう昭和二十八年の被災地はりっぱに今日立ち直っているのです。私は今回の紀南地方の被災の状況を見まして、また心なき者が、そろばん勘定で、こんなところにブルドーザーを出しては、こんなところにヘリコプターを飛ばしてはと、そういうエコノミカル・アニマルが被災地の災害査定に当たることは反対であります。災害地の査定は、あたたかい心を持ち、罹災者の立場に立って、災害査定をやってやらなければいけません。そうして、そういうことの裏づけを、表向き激甚地指定でできないとするならば、あるいは天災融資法の発動ができないとするならば、これを別の方途で実質的に補ってやるというあたたかい行政の思いやりが私は必要だと思うのであります。きょうは関係の各機関方々においでをいただいておりますが、特に私は建設省の河川局にこの際一言申し上げておきたい。  昭和四十三年度からの河川改修新五カ年計画をいま立案中でございます。これに対して大蔵省はさっそく財政硬直化を理由に抵抗しておりますが、国滅びて何の財政ぞや。国土が滅失して、財政ばかり健全で、一体国は成り立つのでありましょうか。これは委員先生方のほうが賢明であります。国が成り立ち、国民が幸福になって初めて財政の健全化、経済の発展ということも意義があるのでございましょう。財政、経済はどこまでも手段であり、国民の幸福、国家の繁栄、国土の美しくさらにさらに成長していく姿こそ、私はわれわれ国民の期する目標でなければならぬと思うのであります。  そこで、きょうは、河川局の局長においでいただいておりますが、局長はまだおかわりになったばかりで恐縮ですけれども、一言お答えをいただきたいと思うのは、名もなき川があばれておる。これはもうこの委員会でおそらくたびたび発言があったと思う。河川改修計画では、有名な川はみんなピックアップされます。ところが、今度あばれた川は、新宮でいうと、熊野川ならどなたでも知っておる。ところがあそこに市田川という川があるということを河川局長は御存じないだろうと思う。木ノ川という川があると言ったら、ああそうか、紀ノ川というのは大阪府との間かという。そんなことではない。あれは紀州の紀ノ川で、これは木ノ川という小さな川ですけれども、これが先ほど言ったように累々たる岩石の山であります。それから白浜町に来ると、庄川、これも小さな名もなき川でありますが、非常にあばれておる。七月の集中豪雨であばれておる。こういう川があばれたときに、やはりこの川を徹底的に直してもらわなければいかぬのです。それで、いままでの建設省の河川改修のやり方を見ておりますと、傷ついたところをこう薬ばりしておる。そうでしょう。ところが川の改修というものは、川の口からどんどん広げていって、奥まできちっと直してもらわないと、これは川の改修にならぬ。それをするのはたいへんな金でしてねと、建設省のお役人は言っておる。しかし、それをやる機会じゃありませんか。こういう機会に、災害査定についても国土の保全ということを一番の眼目に置いて、幸か不幸か災害があったんだから、この名もなき川をひとつ根本的に改修して、再び災害が起こらないようにするという絶好の機会であると私は思う。無二の機会であると思う。それについての河川局長のお答えあとからいただきたいと思います。  そこで、私は重ねてお伺いいたします。  農林省あるいは農林公庫もお見えでございますが、私が伺いたいのは、農林公庫の——実は私もそこに奉職したこともありますが、非常に災害にあたっての融資のやり方がばらばらです。たえば漁業関係だと、漁船にも、あるいはハマチの養殖施設、網を張ってその中でハマチを飼っておく養殖施設、そういうものに対して災害復旧の融資をしております。ところが陸上の、先ほどちょっと報告がありましたが、農業構造改善施設としてせっかく助成をし、融資をしたビニールハウスあるいは畜舎、農舎、そういうものに対して融資が行なわれていない。これは非常に私は遺憾であります。この点についてどうするか、この際改めたらどうか。改めるべきだと私は思う。  それから中小企業についても同じであります。たとえば開発銀行で、今度災害を受けました勝浦、ここにはりっぱなホテル、旅館が、融資を受けて万博に備えてできておるわけでございます。白浜もそうでございます。万博の外客来たれとばかり待ち受けておった。そうした観光施設がひどくやられておるわけでございます。そうした被害を受けたすでに融資をしたような施設に対する開発銀行の方針はどうであるのか。あるいは開銀に融資を受けてないとしても、中小企業金融公庫なりあるいは国民金融公庫なりから融資を受けておるようなものが、あるいは受けてないような零細な企業が、今回たくさんやられております。私は年末を控えて、各中小企業に対して——商工中金の方もおいでをいただいたと思いますが、そういう方々が年末融資に頭をかかえてくださっておることは感謝をいたしますけれども、しかし正月も迎えられないような罹災者を最優先していただかなければならぬことは当然でございます。ですから、各関係機関におかれましては、中小企業庁と緊密な連絡のもとに、ぜひ正月が迎えられるように、災害の傷あとをなおす融資をしていただきたいと思うが、関係機関の用意はどうなっているかを伺いたいと思うのであります。  もう一つ、先ほど申し上げたように、罹災地ではさっそく畳表あるいは畳のしんが払底で、たいへんな値上がりをしておるといっております。物価問題、しかも罹災地の物価問題であります。昔でございましたら、物資の統制がございましたから、そういうところへは通産省が責任を持って畳表や畳のしんや、あるいは屋根がわら、窓ガラス、小修理に必要な機材をあっせんいたしますといったのでございます。いまはそういう物資統制はございませんけれども、罹災地に対してそういうこまかい配慮をしてやるのは私は当然のことだと思う。そこで中小企業庁の担当官がお見えであったら、あるいは住宅局からも来てくださっておるようですが、そういう罹災地への資材の手当、値上がりはないから心配するな、資材がなくても一時的のことだ、やがて大阪からも東京からもどんどん資材を送るから、そう買いあさって高いものを買いなさんなというあたたかい指導が私は必要だと思うのであります。  こういう問題を、私は何もかも一緒に八百屋の店先みたいに並べてしまいましたが、一応これに対するお答えをいただいて、お答え漏れがあったら再質問をさしていただきたいと思います。
  39. 田原春次

    田原委員長 それでは各省の答弁担当者、それから各金融公庫と、順次答弁してもらいます。
  40. 坂野重信

    ○坂野説明員 建設省の新しくこの十一月十一日に任命された河川局長でございます。どうぞよろしく。  お答えいたします。先生の御指摘の問題でございますが、御承知のように、今回の災害復旧につきましては、和歌山県下で河川等の施設被害が二百三十二カ所ばかりございました。これにつきまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づいてすでに現地査定を終わっております。その結果が二百二十九カ所で三億ばかりになっております。これらの復旧は、緊急事業につきましては三カ年、全体につきましては四カ年で実施することにしておるわけでございます。  御指摘の河川等につきましては、私は実はまだ現地は拝見しておりませんが、聞きますところによりますと、非常に小さな河川でございまして、まず第一にやはりその河川の上流の水源を治めるということだと思います。特に木ノ川につきましては、今年度緊急砂防といたしまして千七百万ばかり投入いたしまして、緊急に砂防事業、堰堤工事をする予定でございます。なお、下流の改修等につきましては、目下のところ中小河川の改修等で実施するわけにまいりませんので、これは制度上の問題でございます。したがいまして、復旧にあたりましてできるだけ原形復旧でなくして、改良復旧のような考え方でひとつ改良的に進めてまいりたいと思っております。  なお、中小河川をそういった補助事業として根本的な改修をしますためには、やはり制度上二級河川でなければできないわけでございます。おそらくその河川は普通河川であると思いますが、普通河川につきましては災害復旧事業として採択できておりますので、そういった意味でできるだけ改良的のことを考えていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。  その他、全国の一般の中小河川の改修につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、建設当局といたしましては、治水の新五カ年計画というものを目下策定いたしておりまして、大蔵当局といま事務的に折衝いたしております。これが通りますと、抜本的な中小河川の対策というものを重点的に考えておりますので、そういう面で、ひとつ大いにやっていきたいというぐあいに考えております。
  41. 太田康二

    ○太田説明員 ただいま先生のお尋ねの、今回の被害によりまして、被害者が必要としております畜舎とか、温室とか、水産施設とか漁船等につきましては、御承知のとおり、この施設の改良、造成または取得に必要な資金につきまして、農林漁業金融公庫で一定の条件に該当するものに対しましては、主務大臣指定施設資金あるいは助成資金として融通する道を講じております。そういう制度がありましても、残高がなければ問題でございますが、残高等も調べまして、なお残高もあるようでございますので、これによって対処できるというふうに考えております。  それから農業施設関係につきましては、これまた御承知のとおり農業近代化資金がございまして、これで施設関係の融資をいたしておりまして、和歌山県等につきましてはなお融資残高もあるようでございますので、これで対処できるというふうに考えております。
  42. 正示啓次郎

    ○正示委員 ビニールハウスはどうなるか。それから、残高というけれども、残高なんというのはふやせば幾らでもふえるのだ。それをちょっと言うてください。
  43. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 いまの正示委員の御指摘のビニールハウスでございますが、これは先ほど太田参事官からお答えいたしましたような主務大臣の指定施設というふうに融資対象の中に入っております。
  44. 正示啓次郎

    ○正示委員 融資残高はあるからと言うが、その融資残高の範囲にこだわらずに、必要なものを融資するとちょっと言ってください。
  45. 太田康二

    ○太田説明員 従来とも公庫は一応年度当初にワクをつくって、それぞれのワクの資金を融通いたしておるわけでございますが、必要でございますれば年度末の調整ということも可能でございますので、これでも対処できるというふうに考えております。
  46. 竹村豊

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  畳の値上がりの件でございますが、実は昨日私、大阪通産局へ電話連絡して調べたわけでございます。災害あと一部の建築材料につきまして値上がりするのは間々ある例でございますが、昨日調査いたしましたところによりますと、畳の価格は全国平均で大体二千円くらいしているわけであります。確かに先生の御指摘のように、災害あとで畳が値上がりしたことは事実でございますが、原因を調べてみますと、数量というよりもむしろ輸送面でネックがございまして畳が値上がりしたようでございますが、現在輸送面の問題も徐徐に解消するにつれまして、全国平均二千円程度にほぼ落ちついているのではないかというふうに大阪通産局では申しております。この調査は近畿畳床工業組合ないし大阪畳材料商協同組合に直接連絡いたしまして調べた結果でございます。
  47. 吉田信邦

    吉田(信)説明員 お答えいたします。  今回の三十四号台風被害は相当激甚であるということで、私どものほうでは、田辺に南紀を預っております支店がございます。それから報告がございましたので、直ちに災害貸し付けを行なうように措置いたしました。私どものほうでは、災害がありました場合に、その災害地域を指定しますれば、直ちに普通の貸し付けよりも簡易な方途でお貸しするというような準備ができております。したがいまして、今回の場合も迅速に措置できると思っております。一応支店からの報告によると、百五十件、四千万円程度の貸し付けになりはしないかと言っておりますが、私どものほうとしましては、金額は必要があれば幾らでも他に優先して出すようにいたしております。     —————————————
  48. 田原春次

    田原委員長 この際参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日のこの問題調査のため、本日商工組合中央金庫理事大木光君を参考人として意見聴取をしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。     —————————————
  50. 田原春次

    田原委員長 大木理事
  51. 大木光

    ○大木参考人 商工中金理事の大木でございます。お答えいたします。  商工中金といたしましては、災害が発生いたしました場合には、別ワクをもって簡易迅速に処理するようにあらかじめ同支店に連絡いたしておりまして、支店長にもしかるべき権限を与えまして、迅速にできるような処置をいたしております。今回の三十四号台風につきましても、和歌山支店長が直ちに各地区に参りまして、また地方庁とも連絡いたしまして、たしか今月二十四日に勝浦町へ金融相談に行く予定にいたしております。したがいまして、既存取引等につきましては期限の延長とか償還条件の緩和その他はもちろんのこと、新しい取引先につきましても、先ほど申しましたように、積極的にかつ簡易迅速に別ワクをもって必要な資金はすべて融資する、こういう態度で臨んでおりますから、どうぞ御安心いただきたいと思います。
  52. 新井真一

    ○新井説明員 私のほうも先般支店長会議がございまして、三十四号台風関係のことを流しておりますが、なお本日も非常に迫力のあるお話を承りました。できるだけ優先的にやるように努力いたしたいと思います。
  53. 吉田雄三

    吉田(雄)説明員 開銀の吉田でございます。私のほうの災害発生の場合の融資の扱い方といたしましては、貸し付け先につきまして実情に応じまして元利金の弁済猶予とか、あるいは災害復旧のための貸し出しを行なうということをやっております。三十四号台風の場合に関しましては、私のほうの大阪支店が実情調査をいたしまして、大体四件、四千万円ぐらいの金額が急を要するというような見通しでございますが、いまだ申し出がございません。申し出がございましたら、私のほうとしては十分実情を検討の上、前向きで考えさせていただきます。
  54. 井土武久

    ○井土説明員 災害に伴います中小企業関係の融資につきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫におきまして、条件を緩和いたしました融資を迅速に行なうように手配いたしております。今回の災害につきましても、緩和した条件で迅速に融資をいたしたいと考えております。
  55. 正示啓次郎

    ○正示委員 委員長、ありがとうございました。皆さま、ありがとうございました。
  56. 田原春次

  57. 世耕政隆

    世耕委員 関連して質問をさせていただきます。私は簡単に要点だけを申し上げます。あるいはもう重複あるいは一部分重複するところがあるかもしれませんが、お許しのほどをいただきます。  今度の三十四号台風被害は、和歌山県と東海地区のほうがおもにやられたようでございます。ただいま正示委員がいろいろ詳しく質問をされておられましたが、私の生まれた新宮が一番たいへんな被害でございます。ところがこれは和歌山県だけの問題ではなくて、全国の災害についていろいろな問題があると思うので、私はそういう点を拾い上げて御質問申し上げたいと思います。  今度の台風は、被害地域はわりあい狭かったのでありますが、先ほどおっしゃられておりましたように、傷あとがたいへん深い被害でございます。その程度、奥行きは、普通のいわゆる激甚災害に該当するものよりもさらに深いものがあるのではないかと思うのでございます。  そこで、この被災者に関しまして、その税金を免除するということ、こういうことをしていろいろ保護していただきたいと思うのでございますが、その点いかがでございましょうか、お尋ねいたします。
  58. 植松守雄

    ○植松説明員 災害被害者に対する税金の減免でございますが、これにつきましては、法律の規定が整備されております。それで、その概要を申し上げますと、まず、先ほども話がございましたように、たとえば農産物であるとかあるいは漁業の網等、つまり生産資材あるいはたなおろし資産というようなものが災害にあった場合、この場合には、所得の計算上、当然にそれは損金になるわけでございます。それだけ所得税が減額されるわけであります。それから、そういう生産物でないようなもの、つまり家財とか、あるいは建物等に災害があった場合には、これにつきましては災害減免法という法律が出ております。それによって一定の基準で税金の減免をはかります。それからさらに、所得税法に雑損控除というのがございまして、これもやはり一定の所得金額の一割をこえるという基準があるのでございますが、それに該当する場合には、やはり所得金額から控除されるということでございます。しかもその場合に、災害が非常に大きい場合には翌年にも繰り越しができるということになっております。  そこで、つまり、それが農産物等の生産物である場合と、あるいは家財その他建物であるとか、そのすべてを通じて所得控除が行なわれております。それで税の減免が行なわれるということになっておるわけでございます。
  59. 世耕政隆

    世耕委員 今度の災害は、これは和歌山県では鉄砲水とよく言っております。短時間のうちにものすごい、いままで、かつてない雨量が集中的にやってまいりまして、とにかく山から水が鉄砲のように流れ出した、こういうことで、深い、ひどい災害は無数にあるのでございますが、反面十万円以下の災害、個人災害というようなのは無数に多いわけでございます。こういう点に関しましては、免税の点はいかがでございましょうか。
  60. 植松守雄

    ○植松説明員 先ほど申しましたように、基準がございまして、それで災害減免——先ほどの雑損控除でございますと、所得金額の一割をこえなければならないというような形になっておるわけでございます。それに該当するかしないかということによってきまると思います。
  61. 世耕政隆

    世耕委員 何といいますか、罹災者の中にはちょうど限界すれすれのところがずいぶんあるのじゃないかと思うのでございますが、この点はどうでございましょう。どういうふうに処置なさいますか。
  62. 植松守雄

    ○植松説明員 それにつきましては、該当が非常に多い場合には対策本部等がございまして、それで一定の被害の割合等についての証明といいますか、証明を出していただき、ある程度外形的な基準でもって処理しておるというのが実情でございます。
  63. 世耕政隆

    世耕委員 ぜひ、なるたけ寛大な御処置で税金の免除を切にお願い申し上げる次第でございます。  さらに、もう一つお聞きしたいのは、罹災地の中で、いままであちらは漁民とか農民の方が多いのでございますが、農林漁業金融公庫のほうから、すでに借り入れをしている方があります。この場合、資金の据え置き期限あるいは償還期限の延長ということをぜひお願いしたいと思うのですが、この点についてはお考えはいかがでございましょう。
  64. 太田康二

    ○太田説明員 災害のつど、実は金融機関に依頼をいたしまして、いま先生のお尋ねの既往の貸し付け金につきまして、被害を受けた農林漁業者の方が借り入れている公庫資金あるいは近代化資金等につきまして、償還の猶予をしていただくというようなことの依頼をいたしております。これにつきましては、もちろんケース・バイ・ケースで金融機関がそれぞれ適当に処理をいたしておる、こういうふうに指導をいたしておるのでございます。
  65. 世耕政隆

    世耕委員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。  さらに、これはやはりあるいは重複するかもしれませんが、私はずっと罹災地を見て歩きました。新宮、それから東牟婁郡全体、この中でも那智勝浦町、それから太地町、それに本宮町、熊野川町、古座町、こういったところが一番ひどいところなんでございますが、ここのいろいろな河川の堤防あるいは橋の破損、こういったところが無数にあるのでございます。ここに写真がございますが、お回ししてよろしゅうございますか。現地の写真でございます。
  66. 田原春次

    田原委員長 はい。   〔世耕委員説明員に写真を示す〕
  67. 世耕政隆

    世耕委員 どうぞごらんいただきたい。  見ておりますと、上流のほうがもちろん水が大量に出てきた場所になるわけなんでございますが、上流の河川の橋は材木でできております。これがこわれて流されてまいります。その川の水の流れと一緒に流れてきた材木の橋が、今度は下のコンクリートの橋に当たって、これが全部こわれている、こういった状況でございます。この場合に、いままで材木でできていたような橋をこの次直すときには、ぜひともコンクリートでつくりたいというような方向が当然浮かんでくると思います。  それからさらにもう一つは、今度の新宮の木ノ川筋の災害でございますが、これは昭和二十九年にやはり台風が紀伊半島を襲いまして、そのときに河川がこわれたわけでございます。それで下流のほうは直したのでございますが、そのさらに上流のほうがまだ当時のままに残されていたようなふうに土地では言っております。ここが一番こわれる元凶になって、この堤防が決壊して、下のほうへずっと影響して、河川が一帯にこわれてしまった、こういうようなことでございます。そこでやはり私どもいろいろな河川とか、橋梁の工事を見ておりますと、近代的な建築技術あるいは土木技術から見ますと、どうも日本の地方のそういった工事は非常にまだ未熟な点が多いのじゃないか。私どもしろうと目にもそういうふうに判断できるわけでございますが、いままでの橋梁、河川の堤防、こういったものをもっとさらに改良して、原形よりもさらにもっと深く掘るとか、幅を広げるとか、あるいは橋を以前よりもじょうぶなものをこしらえる、こういったことがどうしても必要じゃないかと思うのでございますが、こういった改良工事に関しまして、建設省の中ではいかがでございましょう、御意見をいただきたいと思います。
  68. 坂井秀正

    ○坂井説明員 ただいまの最初のお話の橋梁の問題でございますが、橋梁につきましても、現在の負担法におきましては、いろいろな若干の制約はございますけれども、現在の木橋が非常に不適当だという場合には、災害だけでこれを永久橋にかけかえる工事を採択しております。河川の護岸等におきましても、その個所について二度とこわれないような方法を、現地で災害の原因を探求しながら、これを査定をいたしております。それで不十分な場合には、別途の関連事業費というものをつけまして、そうして改良を行なっております。
  69. 世耕政隆

    世耕委員 ただいまのあれは、資金はどういったところから出るわけでございますか。
  70. 坂井秀正

    ○坂井説明員 先ほどの永久橋につきましては、これは災害単独でいたします。それから護岸その他につきましては、災害でやれる場合もございますし、それから別途災害関連事業という改良工事をそれに一緒につけまして、そうして工事をやるわけでございます。
  71. 世耕政隆

    世耕委員 この場合、和歌山県あるいは東海地区の今度の三十四号台風の被災の場合は、対象になるのですか。
  72. 坂井秀正

    ○坂井説明員 どういう場合でも、災害自体の様相でなしに、その被災の状況によって、これを採択することになっております。
  73. 世耕政隆

    世耕委員 ぜひお願いしたいと思います。  もう時間がございませんので簡単にはしょらせていただきますが、さらにもう一度私は確かめたいのでございます。この被害者に対して、中小企業金融公庫あるいは商工中金、国民金融公庫、この機関では大幅に金融措置をしていただけるのかどうか、もう一度簡単でけっこうですから御返事をいただきたい。
  74. 井土武久

    ○井土説明員 国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫につきましては、融資条件を緩和し、簡易な方法で特別の融資をいたすことにいたしております。
  75. 世耕政隆

    世耕委員 ぜひお願いいたします。  さらにもうあと簡単に申し上げたいのでございますが、和歌山県の場合は、漁業と農産物、これはいろいろな特殊なものがございますが、やはり国民の食生活は、ただでさえ日本の食糧自給は非常に乏しいわけでございますが、その中でいろいろな角度から新しい近代化された農作物あるいは水産物、特にカキとかノリ、真珠、ハマチ、これは和歌山県に限らず、三重県、そのほかの地域でもそうでございますが、こういったものを栽培しております。こういうものが非常に今回の災害でやられたわけでございます。漁船が破損されたのもそうでございます。あるいは、先ほど申されましたようなビニールハウスの施設、これもやはり和歌山県はこういうあたたかいところで太陽が非常に豊かである。こういうところでビニールハウスを用いますと、いろいろなものが四季を通じて多くできるわけでございますが、こういう点に関しまして、これが全部、ほとんどやられてしまいました。あるいは農業近代化の事業も今度の災害でめちゃくちゃにやられてしまいました。この点につきまして天災融資法の発動、これをぜひ重ねてお願いしたいと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  76. 太田康二

    ○太田説明員 実は先ほど正示先生の御質問に対してお答えをいたしたのでございますが、今回の台風三十四号による被害は、農作物並びに水産物の被害はわりあいに僅少でございまして、いま先生がおっしゃいましたように、漁船とか養殖施設とかの施設被害が大きかったようでございます。実は、天災融資法は御承知のとおり「天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定する」ということになっておりまして、一応発動の要件として、被害額というものが相当多額になりませんと、従来一定の基準を設けまして発動をいたしておるのでございまして、今回の被害は、かなりの額になっておるのでございますが、水産物等につきましては、ノリ等におきましてさらに再植えつけも可能である。したがって、年間を通じまして考えた場合に、被害がある程度軽微にとどまるのではないかというようなこともございまして、今回の天災融資法の発動ということは、率直に申し上げまして、ただいまの状況では困難ではないかというふうに考えておるのでございますが、なお被害等の実情も調査いたしまして、慎重に検討いたしたいと思っております。
  77. 世耕政隆

    世耕委員 天災融資法の発動は、被害の総額ということにこだわりますといろいろ問題が出てくると思うのですが、やはり養殖業者、こういうものはみんな特定の技術を持っておりますし、さらにはいろいろな特別な施設というものが必要であります。さらに研究用具、普通の漁業とちょっと違う点が多々ありますので、これはやはり天災融資法を発動していかないとなかなか立ち直る機会が与えられないのじゃないか、このように考えておりますので、ぜひともこの天災融資法を寛大な御処置でお願いしたいと思う次第でございます。  さらに、もし万が一この天災融資法がいろいろなあれで不可能だといたしますと、それにかわり得るいろいろな次善の方策があると思うのですが、お聞かせいただきたいと思う次第であります。
  78. 太田康二

    ○太田説明員 先生のおっしゃいました漁船あるいは水産養殖施設でございますが、これらの改良、それから造成あるいは取得に必要な資金は、農林漁業金融公庫の中に一定の条件に該当いたします方々には、主務大臣指定施設資金というのがございます。あるいは漁船資金というのがございまして、これによりまして貸し付けが実行できるというふうに考えております。
  79. 世耕政隆

    世耕委員 ぜひそれをお願いしたいと思う次第でございます。  さらに、これでもう大体終わっていくわけでございますが、厚生省関係一つございます。新宮の上水道施設がございますが、上水道の給水槽がございます。そこから、雨がうんと降りますと水が少しずつ漏れて、それが回りの地盤をぬらしていく。そして今度の場合は、山と山の上に水槽がございまして、その回りに盛り土をして土地の造成を行ないました。この山の山はだと造成して盛り上げた土との間に水がしみ込んで、これがずれて、せきをつくっていたコンクリートと土砂が一ぺんに下のほうへくずれて、ものすごい勢いで人家をこわしてしまった、そして死傷者が出た、こういうことでございます。この場合に、いわゆる上水道とその周辺を取り巻く土地、こういう責任の所管は一体どこになるのでございますか、教えていただきたいと思います。
  80. 大橋文雄

    ○大橋説明員 ただいま先生から御指摘いただきました新宮市の給水槽と申しますか、私のほうでは配水池と申しておりますが、それの擁壁が崩壊いたしまして、付近に死傷者を出しておるというような非常に重大な事故があったということを聞いております。この種の配水池をつくります場合には、普通一般論で申しますと、その辺一帯が配水用地である、そういうことがあってはならないということがたてまえになっておるわけでございますけれども、今回の場合は瞬間的に、時間当たり百八ミリの非常な集中豪雨というようなことで、ほんとの災害であるというふうに解釈されるわけでございますが、もう少し実態を調査いたしませんと、私のほうはそういうことにつきましてちょっといまの段階において責任の限界ということについて意見を申し上げることができないという状態であります。
  81. 世耕政隆

    世耕委員 今回はこの上水道のいわゆる配水槽の周辺の土砂がくずれて、下の宅地造成を行なったところ、民間の宅地造成をして家屋を建てたところがほとんど全部やられてしまったり、死傷者が出たということなんでございますが、この民間の土地造成はほうぼうで行なわれておりますが、たいへん粗雑なものが多いです。それからその土地に隣接しない場所でも、造成地の工事が粗雑なために、何メートルか、かなり遠方の土地でも土砂くずれで非常に迷惑する、間接的な被害を受けるわけでございますが、これに対しては今後いろいろ問題のあるところでございますが、建設省あるいは厚生省、その他のほうではどんなお考えをお持ちでございましょうか。
  82. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  宅地造成の事業を行ないます場合、現在の法律でございますと、県が指定をいたしました地域につきましては、造成事業を一定の規模以上行ないますものは、知事の認可を受け、工事の内容その他を一応チェックするというふうなことになっております。それからもう一つはがけ地でございますが、がけ地をいろいろ切り取りますと、いま先生のおっしゃったような事故が出ますので、そういうふうなところにつきましては、規制をかけまして、一定の擁壁をつくりましたり、そういうふうなことをして危害を防止するようにいたしておりますが、実は具体的な場所につきましては、それらは全部知事あるいは市町村長が指定するようになっておりまして、その地域の指定その他がどういうふうになっておりますか、いまつまびらかにいたしておりませんが、そういうふうな危険がありますところは、法律の適用その他を促進するような措置をとっていきたいと思います。
  83. 世耕政隆

    世耕委員 いまのことは、やはりもう少し強力な規制措置ができなければ、なかなかうまい解決策がつかないのじゃないか、このように考えるので、この上ともいろいろお取り計らいのほどをお願いしたいと思う次第でございます。  さらにもう一つ、かなり個人の住宅が破損されたり半壊したり全壊したりしておりますが、住宅金融公庫の改良資金の特別貸し制度というのがあるそうでございますけれども、これは早急に融資をしていただけるのでしょうか。罹災者に対して金利をもっと安くすることができるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  84. 角田正経

    ○角田説明員 破損いたしました場合には、改良融資を行ないますし、全壊その他の場合でございますと新築融資をすぐに行なうようにしております。  先生の御指摘でございますが、金利のほうになりますと法律に書いてございまして、五分五厘というのを規定してございますので、その点は、いまこれを下げるというふうなことはできないわけでございます。
  85. 世耕政隆

    世耕委員 もう簡単に済まさせていただきます。  災害復旧事業債のワクを拡大していただきたいと思います。さらに、特別交付税の配分には十分な配慮を行なうことをぜひお約束していただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  86. 山本成美

    山本説明員 最初地方債の問題でございますけれども、これはワクの拡大と申し上げるよりも、ただいまのところ、公共土木事業についてはほとんど一〇〇%近い一ほとんどもう一〇〇%だと思っていただいてけっこうだと思うのですが、そういう充当率で起債の措置をしているわけであります。農地等につきましては、若干率は違いますけれども、これに近いような措置をしている。それから、単独事業につきましても、ほぼ同じようなやり方でやっておりまして、起債の措置としてはほとんど目一ぱいまでいっておると思います。ただ、中には、充当率が若干低いと思われるようなものも出てまいるかと思います。これは、ルールの上で充当率を上げることによって結果的にワクがふえるということはあり得ると思いますけれども、単純に規模拡大ということにはちょっとならぬのじゃないかというような感じがいたします。  それから、特別交付税の問題でございますが、これは機会あるたびに申し上げておりますけれども、きょう大臣も出席いたしまして申し上げたとおりでございます。ルールで、災害が起これば最低限この辺まで必ず出してもらえるという率は、役場でよく承知をしているようなことでございますし、さらに、それでも足りないかどうかという問題になりますと、これは年度末の問題になりますので、極端に言えば、地方財政のどんぶり勘定で、最後に交付税で締めくくるというような考え方がございまして、その際の問題になるわけでございます。
  87. 世耕政隆

    世耕委員 もう一つお尋ねいたします。  今回のこの土砂によりまして、果樹、特にかんきつ類、これは和歌山県だけではなくて、ほかの県でも同じだと思いますが、果樹が倒れたり、落果したり、いろいろな破損がございました。私は、この前の災害対策特別委員会で、この果樹に対する苗木の植えつけの補償、こういったことをいろいろ質問してお願いしたりしたことがあるのでございますが、このかんきつの場合は、特に輸出産業にも関連いたしまして、わが国にとって非常な成長産業の一つでございまして、輸出が年々歳歳どんどんふえております。この点から、この果樹に対して何か樹体回復に対する措置、こういつたこともぜひお取り計らいをいただいて、融資あるいは補償といったものを取りつけられるかどうか、できればぜひともそれをお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  88. 太田康二

    ○太田説明員 果樹の対策でございますが、御承知のとおり、農林漁業金融公庫に果樹植栽育成資金という資金がございます。これは新しく植えかえるというような場合には、これによる金融措置というものが一つあるかと思います。それから、実は豪雪等で果樹がやられたという場合に、果樹の共同育苗に対する助成をいたしております。先生承知のとおり、今回干ばつで西日本でかなり果樹がいためられておりますし、実は干ばつにつきましても、豪雪で講じたと同じような措置を講じたいということで、目下そういったことの事業が実際に行なわれるかどうか、被害の実情並びにその実施の状況を取りまとめ中でございます。それによりまして、もし相当の額になりますれば、私のほうとしては、当然財政当局に折衝いたしまして、予備費等によりまして助成の道を講じてまいりたいというふうに考えております。したがいまして、三十四号台風の場合も、はたしてそういった事業がかなり行なわれるかどうかということも調べまして、検討をいたしたいと思います。
  89. 世耕政隆

    世耕委員 ぜひお願いしたいと思います。  もう一つ和歌山県は観光地区でございまして、今回の災害でも、観光施設、観光旅館あるいはその他のサービス業の被害がかなり甚大でございました。こういったサービス業に関しましてのいろいろな補助とか援護策とかいうのは、農業とか水産業とかと同じように、和歌山県の場合、あるいはほかの名古屋地区のほう、あるいは渥美半島のほう、こういうほうでも同じような事情があると思うのでございますが、同じような程度に金融その他の措置で優遇していただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  90. 田原春次

    田原委員長 運輸省はおりますか。——それではあとにしましょう。
  91. 世耕政隆

    世耕委員 それではそれは後ほどでけっこうですが、ぜひその点もお考えをいただきたいと思う次第でございます。  次に、これは私が特に感ずるわけなんでございますが、九州、四国、和歌山県、ここらは、ここ十年間の統計を私はずっと見ておるのでございますが、ほとんど毎年といっていいほど台風被害、雨の被害あるいは干ばつの被害というものがございます。特に今回の場合は台風、雨でございますが、この毎年きまりきって天然の災害が来るところに対しては、やはり起こってから一々やるというような措置をするのはたいへんぐあいが悪いのであります。それで、いろいろなこの災害に対する財政措置を見ていますと、毎年かなり多額の資金が政府から出ております。これを逆に今度は、こういったいわゆる台風の通り場所の地区に対して、もっと予防的に土木あるいは河川工事あるいは公共事業その他もっと確固としたものにして厳重な予防をしていけば、毎年災害に支出されるいろいろな費用は逆に節減されていくのではないか。あるいは財政硬直化といわれている現在におきまして、たいへんなロスではないかと思うのでございます。そういう点で、こういった台風の通り場所、年間を通じて災害が起こってくるところに対しては、今後特別なお考え、特別な見通しといったことはお考えになられるのかどうか、現在具体的にどういうふうにお考えになっておられるか、これを承りたいと思うわけでございます。
  92. 上田伯雄

    ○上田説明員 お答えいたします。  こういうような九州とか四国、あるいは問題になっておりますこの地方災害がしばしば通るような地域について、今後特段に何らかのという御質問の問題でございます。ただこの委員会でもしばしば問題になるわけでございますが、確かにそういうところを通るとともに、東北のほうへ来ましたり、新潟で雨が降ったり、なかなかこれは一がいにこことあそこというようなわけにはまいらぬじゃないかというのが一つの見方でございます。それと、何といいましても、こことあそこということ以上に、総額を大きくしませんことにはとても話にならないわけでございまして、いまや、河川局長が申しておりましたように、治山治水の五カ年計画も来年度を初年度として飛躍的に伸びる、そういうような大がかりな国土保全の事業を行ないまして、それを現場現場ではどこに重点を置き、どこにアクセントを置くかということは、それらの予算の計画の実行の面で具体的な問題として考えていく、こういうような方向で考えておるわけでございます。
  93. 世耕政隆

    世耕委員 できるだけ具体的に、早急にこういつたきまり切った県にはいろいろな予防的な措置をしていただく、あるいは財政的な措置をあらかじめしておいていただく、こういうことをよくお考えいただきたいと思います。そうでないと、われわれは毎年毎年同じことでこの委員会で重複した質問を何度もしなければならないと思うわけでございます。重ねてお願いいたします。  最後に私は、気象庁と、さらに科学技術庁の方がおられましたならば、簡単にお聞きしたいと思うのでございます。  気象のことでございますが、気象と科学技術というものは非常に関係の深いものでございますが、もっとさらに遠距離のところまで気象の目を働かせる、あるいは時間的に現在よりももっとさらに早く気象の流れをキャッチする、こういった研究、あるいは現在行なわれて将来見通しが立ちそうな研究の成果ですね、こういうものをあとでお聞かせいただきたいと思う次第でございます。それから気象庁のいろいろなキャッチとそれから外国とのいろいろな情報交換ですね、そのときそのときの。さらにこれをわが国の国内に足元からどんどん流していくというような方法、これを今後どういうふうな技術あるいは操作によりましておやりになる考えがあるのか、それが一つ。  それからもう一つ科学技術庁のほうでございますが、日本列島というのは特殊な形を持っておりまして、気象学的にも非常にむずかしいところだろうと思います。複雑怪奇なところでございますが、災害が毎年起こってくるのは天災だからあたりまえだというふうにあきらめるのは、私は早過ぎるのじゃないかと思うわけでございます。そこで、たとえば日本に襲来してくる台風の進路を人工的に変えるとか、あるいは多量の雨をもっと少なく済ませるようにする、こういった特に物理科学とか科学技術のほうに関連した研究が現在行なわれているのかどうか、将来これをどういうふうに発展させていくのか、もしお考えがございましたら、これをやや詳しく御説明をいただきたいと思うわけでございます。宇宙ロケットもけっこうです。ときどき落っこって、あまり成果があがらないのでございますが。それから宇宙船もけっこうでございます。ビッグサイエンスも非常にけっこうでございますが、やはりこういった国民の日常生活に密着した仕事、こういうものをもっと、この進んだ科学の段階でございますから、いろいろ方法があると思います。人工的に天災をあらかじめ避けるような研究、これがなされているかどうか、これをぜひお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  94. 柴田淑次

    柴田説明員 気象庁関係のことを先にお答えいたします。  遠距離まで把握する、あるいはもっと時間的に早く情報をつかむということに対しましては、従来気象庁といたしまして最大の努力を払っていたのでございます。ところが、最近いろいろな科学技術が進歩をいたしまして、一つ気象衛星というものが飛んでおりますので、これからの映像を受信すれば非常に遠距離まで広範囲の情報がキャッチできますし、それからまた海上にはブイ・ロボットと申しまして、ロボットのブイを海上に置くというような計画が世界的にいま進められておる段階でございますので、それが完成しますと、海上の広範囲のデータが収集できるわけでございます。また、気象庁でも現在計画し、着工しております気象ロケットによりますと、ずっと高いところ、地上六十キロくらいまでのところの大気の状態が判明するというようなことで、遠距離あるいは時間的に早くということについては絶えず努力している次第でございます。時間的に早くと申しますと、何ぶんにも通信網に関係いたします。通信線の整備は、先生の御承知のように、来年度で大体日本国内の音単回線をテレタイプ回線にする、音単をテレタイプ化するという事業は一応終了いたしますので、そうなりますと、全国的に資料の収集というものは現在よりもずっと早くなるというような現状でございます。  それから諸外国との情報の交換でございますが、これは国際的の問題でございまして、現在、国連の下部機構に世界気象機関というのがあるのは御承知のとおりでありますが、この世界気象機関におきまして世界的の情報交換をどうしたらいいかという具体的の結論が出まして、先日の世界総会でこれはこうするんだというようなぐあいになっております。東京はアジアの情報交換の中心であるということに決定いたしました。したがいまして、東京におりますと、世界的の資料が非常に短時間に収集される、それが完成するのは、現在大体四、五年先のことでございます。  そういう状況でございまして、気象庁といたしましても、先生の御指摘の点については従来から努力しておりましたし、今後ますます努力したいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  95. 緒方雅彦

    ○緒方説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、災害というものはもう必ず気象というものが非常に大きな要素を持ってからんでおるわけでございます。したがいまして、災害を防ぐということにつきましては、もちろんその事前の段階の気象というものをよく把握しておらないといけないわけでございます。それと同時に、先生の御指摘のとおり、気象を何らかの形でコントロールすると申しますか、人工的に制御すると申しますか、そういうことができますと、防災という見地から非常に防災の科学技術が進み、したがって、対策も容易になるというようなことは御指摘のとおりでございます。そこで私のほうでは科学技術庁に防災科学技術センターという研究所がございます。そこで明年度から気象調節の問題を取り上げまして、総合的な研究をいたすということで現在予算を要求しておりますが、現在、防災センターの所長が見えておりますので、詳しい点につきましては所長から御説明申し上げたいと思います。
  96. 寺田一彦

    ○寺田説明員 私は国立防災科学技術センターの所長でございます。  いま緒方課長からお話がございました気象の調節の問題でございますが、その前に先ほど先生のお話の、いろいろの気象の状況を実際問題でどういうふうにしたらいいかというお話がございましたので、それに関連いたしまして、若干の点を付言させていただきたいと思います。  実はこの三十四号台風にいたしましても、例の集中豪雨によって非常にたくさんの被害が出たということでございますが、この集中豪雨の問題、そういった雨の問題は非常に日本といたしましても宿命的な問題でございます。また、全く雨と同じでございますが、裏日本のほうは豪雪で毎年悩んでおるという状態であります。そういうような問題をどういうふうに解決をするかということは、結局はこの気象の基礎になるところのいわゆる気象物理といいますか、そういうものの解明がなされなければならないということです。戦後間もなくでございますが、アメリカでは、ゼネラル・エレクトリック・カンパニーのラングミヤという科学者がこの問題を検討いたしまして、いわゆる氷晶核——氷の核でございますが、これを成長させる実験をいたしまして、これが人工降雨というものの基礎になりました。これがもとになりまして、世界の気象学会あるいは気象学者——気象庁でもおやりになりましたのですが、そういうものを広範囲に実験をして人工降雨ということで、一つ気象変化の問題が可能になってきた。日本でもこの方法をやりまして、これは雨をむしろふやすことでございますが、ちょうど戦後の干ばつに近いときにあたりまして、電力会社その他が応援をいたしまして九州その他全部の地区でこれを実験いたしまして、また科学技術庁も近ごろはこれに対してバックアップをいたしまして、かなりりっぱな成果を得てきたわけでございます。この気象の変換の問題は、気象学の基礎的な問題を解明していかなければならぬということにあるわけでございます。  それで、いまの台風の進路の問題ということになりますと、これは実はひとつ飛躍する形になるのでございますが、アメリカでもこの問題は非常に関心を持っておりまして、アメリカはマイアミに、台風に相当するハリケ−ン・センターがございまして、そこでは台風の中に飛行機を飛ばして、そこにドライ・アイスとか沃化銀とかまくことにいたしまして、この台風の発達をある程度制御する、あるいはそれによって方向転換を可能にできるかどうか、そういう研究をやっております。しかし、これにいたしましても実は気象学者の間にも非常に異論がございます。賛成論もございますし、反対論もございます。このハリケーンに比べまして、台風は、御承知と思いますが、マリアナ群島とかカロリン群島とか、ああいうところに発生いたしまして、台風のほうがハリケーンよりもさらに強力なものでございます。それでその台風自身をある程度コントロールするという意味は、むしろ発生地域のほうでやるほうがよろしいわけでございますが、結局の問題は、台風のエネルギーというものは海からの水蒸気の補給ということが非常に大きな問題になります。日本は御承知のように日本の回りに黒潮が流れております。これが台風に対するエネルギー補給源になっております。そういう意味で、そのエネルギーを補給された台風というものが、いつもこの日本に襲ってくる。しかしながら、この三十四号の台風のときでもわかりますとおりに、台風はどこでも一様に雨が降るわけではありませんで、豪雨的なものがぼこぼこ降るわけであります。これは台風の中に一種の雷雲というのが非常にたくさんあるわけであります。この雷雲というのは、いわゆる低いところから高いところまで雲が上がっておる。そういうところにいろいろなエネルギーを補給するわけであります。そういうところのエネルギーをある程度セーブする方法を人工降雨の方法でやるというのが、いわゆる気象制御の方法であります。これは単に日本だけではございませんで、ほかの国でも全く同じ方法をやっております。それから雷雲に関連いたしましては、ひょうがときどき降ります。このひょうに対しても同じような方法をやっております。これはソ連では非常に活発にやっておりまして、かなり実用化してきた、こういうような状態でございます。  そんな意味で、結局われわれのほうといたしましても、この問題は決して短い期間ではできませんけれども、将来相当長い期間にわたりましてこの研究を進めていけば、あるいは日本に対する台風による災害をある程度軽減できるのではないかということが考えられるわけでありまして、逐次これをやっていきたいと思っております。
  97. 世耕政隆

    世耕委員 たいへんおもしろいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。やはりこのほうの研究をぜひ強力に進めていっていただきたいと思う次第でございます。  最後に、これは正示委員もおっしゃっておられましたが、私と同県でございまして、協力していろいろ今度の災害に当たっていくわけでございますが、先ほども申しておられましたが、激甚地災害の指定にもしならなければ、それに近いような格段のお取り計らいを建設省、大蔵省をはじめ、あらゆる機関にぜひお願いしたいと思う次第でございます。  これをもちまして、終わらせていただきます。
  98. 田原春次

    田原委員長 本日は、これにて散会いたします。