○佐々木
説明員 御
質問の趣旨が現状と
対策というふうに分けて御
説明申し上げてよろしいかと思います。具体的な
対策につきましては、
科学技術庁は御
承知のように実際の活動分野については所管ではございませんけれ
ども、その辺につきましては工業技術院から御出席いただいておりますのでバトンタッチさせていただくことにいたします。
具体的にわが国における現状でございますが、先生の仰せのごとくに
降水量の多い国でございますので、淡水化技術の
研究開発が始められた歴史が十数年、わずかでございます。あまり進んでおらなかったということは事実でございますけれ
ども、幸いに製塩技術に関連しましてかなりすぐれた成果というものが今日まで基盤としてでき上がっておる。それから船舶の問題にからみまして、船舶造水装置というものの開発の
研究もかなり進んでおりまして、こういったところを基盤にいたしまして最近とみにこういった
方面の成果がだんだんにあらわれつつあるというのが現状でございます。それにつきましては、関連しておりますのは通産省の東京工業試験所あるいは
日本専売公社の
研究機関、それから若干の企業がこれに積極的に
研究を進めておられるというのが
実情でございまして、またその淡水化の技術もいろいろあるのでございますが、おおむね広く各
方面が分担をして
研究を進め、あるいは技術の開発に努力しておられるというのが現状でございます。
それで、実用段階との関連でございますが、すでに実用段階に入っているものとしましては、これは一番期待されておりますのがいわゆる蒸留法、なかんずく多段式フラッシュ蒸留法という方式でございます。ただいま先生が仰せになりました長崎県の池島では、ことしの四月に造水容量二千六百五十トン・パー・デーというものが火力発電との組み合わせででき上がりまして、現在これが運転中でございます。約二千六百五十トンという日量を生産しております。また、昨年の十二月にサウジアラビアのクウェート中立地帯におけるアラビア石油向けに八段フラッシュの多段式フラッシュ蒸留装置、これは一日に二千三百トンという造水容量のものが
日本から輸出されまして、さらにまた現在クウェート
政府から注文が出ておりまして、これは一日九千百トンのものを四基、合わせて三万六千トン、これはかなりの造水容量になりますが、こういったものの製作を
日本でやっておるという現状でございます。また中規模のものにつきましては、この蒸留法とはやや趣を異にしますが、電解透析法を用いましたもの、これがアメリカのサウスダコタ州のウェブスターに米国塩水局の実証工場が建設されましたが、これは一日千トンの能力を持ち、
日本の企業が注文を受けましてつくってやった。
〔
池田(清)
委員長代理退席、
委員長着席〕
そうして現にこの町の飲料水として供給しておるといったようなところにまで進出いたしておりまして、将来
日本の技術輸出という面にも大いに希望が持たれる技術として、だんだんに固まりつつある現状でございます。
ただ、ここにはやはり今日なお問題がございまして、それはいまも先生の仰せのように、脱塩水の原価の問題で、いまの段階ではまだトン当たりにしましてかなり高くつく。これも規模が大きくなればなるほど当然安くなるのですが、おおむね一日千トンの場合に一トン当たり九十円から百六十円かかる。これが十万トン
程度の規模になりますと、これも試算でございますが、四十五円から七十五円くらいまでに下げることができる、四、五十円のところでございます。四、五十円ということになりますと、これは一般の水道料金は全国平均しますと三十三円でありますが、それでも、水道用水として五十円以上のものは、岡山県の興除村で七十五円、長崎県の長与村が七十五円、これは非常に極端な例でございますが、こういうところから考えますと、やはり計算の上では五十円というのがいまの試算の段階でございますが、これは技術の進歩ということがございまして、なおこの辺のところに開発の余地がある。水価を下げるということは、要するに規模を広げるということ、それからエネルギー費を安くするということ。そこで原子力発電だとかあるいは火力発電の際のエネルギーの有効利用という形で
一つの開発の余地があるわけでございまして、ここら辺が今後の実用化への
一つの突破口と考えられる。その点につきましては、総理府の付属機関でございます資源
調査会が約三年ばかり検討いたしまして、ことこまかに今後の技術上の行き先というものにつきまして、
昭和四十二年七月二十五日付で
報告書を出しました。海水淡水化の技術開発に関する
報告というところでそういった進むべき方向というものを述べております。技術面の問題はともかくといたしまして、なおこれにつきましては、やはり関連する
方面、
政府機関のいろいろな
関係する分野で横の連絡をとりながら推進方に努力し、かつ、その技術面の開発
研究という分野について、積極的に行政上、財政上の
助成措置を講じてほしいというようなことを述べております。こういう
報告を受けまして、
科学技術庁といたしましても、
関係方面にいろいろこの辺の
数字も加えて
説明をいたして、
実施面への努力というふうなことを訴えております。これにつきましては工業技術院のほうで来年度大型プロジェクトの
研究費を要求していらっしゃるということも仄聞いたしております。この辺は間違いがあるといけませんので、こまかいことは技術院がお見えになっておるので、必要があれば御
質問いただいたらと思います。