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1967-10-06 第56回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十月六日(金曜日)    午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 永井勝次郎君       安倍晋太郎君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    倉成  正君       佐藤 文生君    白浜 仁吉君       高橋 英吉君    西岡 武夫君       橋口  隆君    廣瀬 正雄君       保利  茂君    毛利 松平君       八木 徹雄君    阿部 助哉君       井手 以誠君    稻村 隆一君       工藤 良平君    小松  幹君       中澤 茂一君    細谷 治嘉君       村山 喜一君    山本弥之助君       渡辺 芳男君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君    小川新一郎君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    森 宏太郎君         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      緒方 雅彦君         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         大蔵省主税局税         制第三課長   横井 正美君         国税庁直税部所         得税課長    植松 守雄君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局参         事官      加賀山國雄君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林省園芸局長 八塚 陽介君         食糧庁業務第一         部長      馬場 二葉君         林野庁長官   片山 正英君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         工業技術院総務         部長      有馬 駿二君         中小企業庁計画         部金融課長   斎藤 英雄君         気象庁長官   柴田 淑次君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         農林漁業金融公         庫総裁     大澤  融君     ――――――――――――― 九月二十九日  委員水野清辞任につき、その補欠として藤本  孝雄君が議長指名委員に選任された。 十月五日  委員井出一太郎君及び三ツ林弥太郎辞任につ  き、その補欠として鹿野彦吉君及び高橋英吉君  が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員内海英男君、塩谷一夫君、砂田重民君、世  耕政隆君、湊徹郎君、山下元利君、渡辺肇君、  石田宥全君石橋政嗣君川村継義君、華山親  義君及び渡辺芳男辞任につき、その補欠とし  て、毛利松平君、阿部喜元君、西岡武夫君、安  倍晋太郎君、八木徹雄君、廣瀬正雄君、橋口隆  君、小松幹君、中澤茂一君、村山喜一君、工藤  良平君及び細谷治嘉君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策  新潟山形地方集中豪雨による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十二年七月以降の干ばつによる災害対策、及び、新潟山形地方集中豪雨による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  まず、昭和四十二年七月以降の干ばつによる被害状況調査のため、先般当委員会より現地に派遣されました委員から報告を聴取することといたします。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 御報告を申し上げます。  昭和四十二年七月以降の干ばつによる被害状況調査のため、去る九月二十一日から六日間、熊本県、大分県、愛媛県及び香川県の四県に派遣されました派遣委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の天野光晴君、日本社会党の私、永井勝次郎民主社会党稲富稜人君、公明党の鈴切康雄君の四名で、ほかに地元選出議員の方々の御参加を得て、現地実情をつぶさに調査してまいったのであります。  本日は委員会運営の都合で、詳細にわたる御報告を申し上げる時間がありませんので、本報告書をこの会議録末尾参照として掲載していただくよう、あらかじめお願いを申し上げます。  私ども調査団調査を通じて感じてまいりました二、三の点について申し上げたいと存じます。  本年は、五月以降、関東を中心に全国的に干ばつに見舞われ、西日本もその例外ではなかったのでありますが、さらに七月以降、九州全域並びに四国中国地方の一部において干天が続き、成熟期から収穫期でありますだけに、水稲をはじめ、果樹蔬菜類等にきわめて激甚なる被害発生しておるのであります。  九月二十五日現在の各県の報告によると、農作物被害額は、九州全県で五百億円をこえ、愛媛県一県で百三十億円にのぼり、その後もほとんど降雨を見ていない状況でありますから、被害額は大幅に増加しているのであります。またこれに要した応急対策費の額も、九州全県で十九億円、愛媛県で十三億円と報告されております。同地方の今次干ばつは、明治二十七年以来七十三年ぶりといわれる激甚なものでありますので、その対策につきましては、従来の前例にとらわれることなく、現実に即した、思い切った措置をとる必要を痛感してまいったのであります。  以下、現地で感じてまいりました問題点について、政府に対する要望をかねて申し上げたいと存じます。  まず応急対策といたしましては、第一に、今次干ばつが従来助成対象になっていない樹園地、畑地などに多く、その被害の態様はまことに激甚なものがありますので、これらに対しましても水田同様の助成措置を講ずる必要があります。  第二に、今次災害が、かんがい施設の施工しがたい地域に集中的に見られ、しかも被災者が零細な農業者である実情にかんがみ、共同施工に対する補助を、市町村土地改良区など、団体営と同様に措置する必要があると思うのであります。なお揚水機に関して、動力噴霧機に問題があるやに聞いてまいったのでありますが、現地実情に即して、これも高率助成対象とするよう、御配慮を願っておきたいと存じます。  第三に、いわゆる足切り措置につきましても、今次災害実態に照らして廃止すべきであると考えるのであります。  第四に、これは先日の閣議でも話題になったやに聞いておるのでありますが、今次の干害が小ため池に依存している地域被害が激甚でありますので、ため池に関する国庫助成採択基準を引き下げるとともに、被災農業者現金収入の道を講ずるため、救農土木事業として、これらため池の補修、しゅんせつあるいはかさ上げの卒業を早急に実施することが必要であると思うのであります。  第五に、今次干ばつはきわめて長期にわたり、被災農家は採算を度外視してあとうる限りの経費を投入し、応急対策に専念している実情にありますので、揚水機等の運転に要した電力料燃料費について国庫助成の道を開く必要があるとともに、水の輸送にばく大な経費を要している実情にかんがみ、水の輸送費についても助成措置を講ずべきであると痛感いたしてまいったのであります。  第六に、マツクイムシによる被害が顕著であり、その駆除対策として被害木駆除に要する一立方当たり経費が七百五十円であるとの報告を受けたのでありますが、これは早急にその実をあげるため、少なくとも一日千二、三百円くらいに引き上げることが必要であると考えられるのであります。  第七に、金融措置につきましても自作農維持資金並びに開拓者資金災害ワクを拡大し、限度一ぱい借り入れている者につきましては特別の配慮が必要でありますとともに、各種営農資金償還延期措置を講ずべきであると思うのであります。  恒久対策といたしましては、申すまでもなく今次災害水利施設のないところにきわめて激甚であり、いろいろな意味で大きな教訓を残したことになるのでありますから、災いを転じて福となすため、この際抜本的な水利対策の確立が早急に望まれるのでありまして、本年度からでもさっそく水資源開発調査実施するとともに、かんがい排水専業畑かんがい事業老朽ため池補強等について特段の配慮をすべきであると思うのであります。  以上、きわめて簡単に、調査の結果感じてまいりました点を申し述べたのでありますが、何とぞ政府におかれては、今次干害が七十数年ぶりという異例な激甚災であることを認識されて、前例にとらわれず、特段の措置をとられるよう重ねて御要望申し上げる次第であります。  終わりに、私ども調査に御協力いただきました県市町村をはじめ関係団体各位に深甚なる謝恩を表しまして、御報告といたします。(拍手)
  4. 田原春次

    田原委員長 これにて派遣委員の御報告は終わりました。派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま報告されました派遣委員から、内容の詳細について、委員長の手元にその調査報告書が提出されておりますので、これを会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  6. 田原春次

    田原委員長 次に、昭和四十二年七月以降の干ばつによる被害概要及びその対策実施状況につきまして、政府当局から説明を聴取いたします。檜垣農林省官房長
  7. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 昭和四十二年七月以降の干ばつ概要と、ただいままでとってまいりました措置について御説明、御報告を申し上げます。   〔「大臣は、どうした、一人はいなくてはだめ   だ、それまで待て」と呼ぶ者あり〕
  8. 田原春次

    田原委員長 ただいま私のほうに出しました話によりますと、農林大臣総理大臣に呼ばれているそうでありまして、三時までには必ず来るということでございましたので、大臣への質問をのけまして、他の関係者局長からの答弁を先にしたいと思っております。御了承を得たいと思います。   〔「了承」と呼ぶ者あり〕
  9. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 それでは始めさしていただきます。  干ばつの概況でございますが、ことしは春以来全国的な干ばつがあったのでございますが、森の干ばつは七月上旬の降雨及び各種応急対策によりまして、ほぼ解消するに至ったのでございますが、七月中旬以降西日本の各地は激甚な干ばつに見舞われておるのであります。  この干ばつの時期が、ちょうど水陸稲につきましては乳熟期前後の段階でございましたし、カンショもまた肥大充実期であり、またミカンも玉伸びの最も大きい時期でありましたために、きわめて深刻な打撃を農家に与えておる状況でございます。  十月二日現在の県報告によりますれば、被害発生総面積は約四十一万一千ヘクタール、そのうち水田が三十二万五千、畑が八万九千、樹園地が九万七千ヘクタールということでございます。農作物被害金額は、同じく県の報告によりますれば約九百三十六億円ということでございまして、内訳は水稲が約三百二十六億、カンショが六十九億、果樹が三百九十四億、野菜が八十七億ということになっておるのでございます。  被害状況を申し上げますと、植え付け後の揚水不足が約三十五万ヘクタール、植え付け揚水不足枯死寸前になっているものが約六万ヘクタール、植え付け遅延等が二千二百ヘクタールということに相なっております。  各県におきましては、応急対策事業として水路の堀さく約五百三十三万メートル、井戸の掘さく約一万五百カ所、瀬がえ約四千八百カ所、揚水機等の設置約十一万六千八百台等、金額にしまして五十八億円余ということが報告をされております。これらによりまして、すでに救済されたもの、効果を及ぼしたものが、県報告によりますれば約九万三千ヘクタールということに相なっております。  農林省といたしまして、この干ばつに対しましてとりました現在までの措置概要を申し上げますと、さきに五月以降の干ばつ発生に備えまして、省内に災害対策本部を設けたのでございますが、今回の干ばつに対しましても災害対策本部をそのまま継続設置いたしまして、対処することにいたしたのであります。なお中国四国農政局及び九州農政局におきましても対策本部を設置しまして、対策の万全を期しておる次第でございます。  次に干ばつ被害の増大に伴いまして、政務次官を長とします現地調査団を編成し、九月の十五日から二十二日にわたって現地に派遣し、被害実態調査及び応急対策工事実施についての指導に当たらせたのであります。  次に、すでに講じました施策、対策について申し上げますと、米麦及び夏秋蚕繭に関する共済金または保険金の仮渡しの実施について、関係県を通じて、指導をいたしております。  次に干ばつによる米の品質の低下に備えまして、重ねて羽越災害の際に告示いたしました等外米及び規格外米政府買い入れ措置を行なうことといたしております。  次に天災融資法発動までの間のつなぎ資金貸し付け及び既貸し付け金償還猶余などの貸し付け条件の緩和について、関係金融機関に対して依頼いたしております。  なお予約米を出荷できなくなった農家につきましては、予約概算金の国への納期までの加算利子については、被害程度によって減免措置を講ずる。生産者予約概算金返納ができなくなったものについては、指定集荷業者代位弁済をし、これに対する利子補給措置を講じたいというふうに考えております。  本年の干ばつ応急対策工事等につきましては、現在その報告を受け実態調査中でございますが、それぞれ必要な助成措置を講じてまいりたいということにいたしております。  それから天災融資法発動につきましては、従来の措置からいえば異例でございますが、長期にわたる干害でございますので、被害中間統計調査を指示をいたしまして、現在その数字を集計中でございますが、その数字のまとまり次第、天災融資法発動並びに同法の特別被害地域指定手続を進めるよう準備をいたしております。  自作農維持資金特別災害ワクの設定につきましても、天災融資法発動を待って手続を進めるよう準備をいたしております。  以上のとおりでございます。
  10. 田原春次

    田原委員長 これにて政府当局説明は終わりました。  大臣が出席されまするまで暫時休憩し、この間理事会を開きたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後二時十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十八分開議
  11. 田原春次

    田原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  大臣に対する質問は、後刻大臣出席の後ということにして、この際、気象庁科学技術庁等に対する質問を進めます。高橋英吉君。
  12. 高橋英吉

    高橋(英)委員 おそらく倉石農林大臣でもお答えができないような根本的な重大問題ですから、ひとつ気象庁長官にお答え願いたいと思いますが、過去十カ年を見ても、三十三年、三十五年、三十六年、三十七年、三十九年、四十年、四十一年、続いてことしと干ばつ発生しておるのでありますが、特に三十三年、三十六年、三十九年そしてことしと、三年周期に大干ばつ発生しておるわけです。そういうわけですが、こういう別家は気象学上どう見ておられるか。また、ことしの干ばつは、過去の干ばつと比較してどの程度のものであるのか。私のほうでは愛媛県の南伊代地方という、南伊予地方ですが、これは七十年来の大干ばつというのですが、その辺のところからひとつお聞きしておきたいと思います。
  13. 柴田淑次

    柴田説明員 お答えいたします。  この干ばつ周期の点でございますが、実は明治二十六年に大干ばつがあったということは皆さん御承知のとおりでございますが、それから約七十五年たちまして、本年また大干ばつがありました。その間に何回干ばつがありましたかと申しますと、小干ばつと大干ばつとそれから激甚干ばつというように分けまして、小干ばつまで含めますと十九回ございました。   〔田原委員長退席池田(青)委員長代理着席〕 四年に一回ということでございます。そのうちで干ばつが非常に大きかったものは十一回で、平均しまして七年に一回。激甚なる干ばつと申しますか、非常に被害の大きかったものが三回ございまして、これが今回を含めまして二十五年に一回というような勘定になるのでございます。  今回の干ばつ特徴といたしましては、従来の干ばつというのは、大体七月、八月にございまして、九月になりますと雨が降りますので、大体九月で干ばつは解消していたというのが干ばつの大ざっばなあり方でございますが、今年の干ばつは、九月になりましても解消しない、降雨がないというので、そういう点が本年の干ばつ一つの大きな特徴ではないかと思うのでございます。  それからなお、先ほどの御質問内容にも関連いたしますが、降水量経年変化と申しますか、年ごと降水量変化というのも参考になる事項でございまして、たとえば九州熊本の九月の降水量をとってみましても、降水量は近年減少しつつあります。また、日本全国年平均降水量を考えてみましても、これは一九五五年ぐらいをピーク――頂上にしまして、だんだん下がりつつあります。したがいまして、そういう全体的の傾向でございますので、近年は降水量が全国的にも減っているというような状態でございます。
  14. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そうしますと、将来やはり干ばつ干害というふうなものは起こり得る可能性は、学理上、気象学上推定されるわけですか。どうですか。
  15. 柴田淑次

    柴田説明員 おっしゃるとおりでございまして、将来こういった干ばつは何年か後には起こり得るというように考えるのが当然であろうと思います。
  16. 高橋英吉

    高橋(英)委員 そういう重大問題だと、これは地球全体の問題、宇宙全体の問題になるかもしれないので、日本人だけの問題じゃないかもしれない。この間東南アジアへずっと回ってみますと、水ばかりの国から帰ってきて、郷土の大干ばつというので驚いたわけですが、そういう問題については何か内閣とかそのほか根本的な対策を講ずるようなそれぞれの役割りのところへ警告とか御注意とかなさっておられますか。
  17. 柴田淑次

    柴田説明員 大体日本干ばつにしぼってお話し申し上げますと、日本干ばつは、御承知のように、七、八月、九月という時期でございまして、この時期の雨の期待はもっぱら、実際に申しますと台風なんでございまして、だから台風が来なければ雨が期待できない。もちろん雷雨がございまして、雷に伴う雨がございますが、これは非常に狭い範囲に降る雨でございますので、広い地域干ばつを解消するというようなことにはなってまいりません。したがいまして、台風が来るか来ないかということによりまして、大きな干ばつ発生するかしないかということになるのでございまして、今年は御承知のように特に西日本に接近する台風はございませんでした。したがいまして、西日本は七月の中旬以降雨が降らなかったということでございます。  こういうような見通しを立てるということでございますが、この見通しを立てる場合のポイントになりますのは、やはり台風が来るか来ないか、来てもどの地方へ来るかということの見通しでございまして、これはいま非常にむずかしいのでございます。台風一つや二つぐらい日本付近に接近するであろうということまでは言えますけれども日本のどの地方に接近するとか、あるいはどれくらいの雨を降らすとかいうことを前もって予想するということがいま非常にむずかしいのでございます。しかし、干ばつ、大干ばつということになりますと、何か気象的に見まして異常な天気図状態になっているというようなことも考えられます。実は、気象庁におきましては、六月の初め、梅雨の候から本年の夏についての大体の予想を立てておりまして、本年の夏は猛暑である、つまり非常に暑いということと、それから特に西日本のほうは降雨量が少ないであろうということの大体の予想を立てまして、実は報道機関その他の関係方面にはこれを御通知申し上げたのでございます。これはほんの一例でございますが、朝日新聞の六月二十一日の新聞でございますけれども、六月二十日と申しますと長期予報を出すときでございまして、そのときに、本夏は猛暑干害であるというような大きな四段抜きぐらいの見出しで新聞にも報道されております。これはほんの一例でございますが、気象庁といたしましては、そういったことが予想できますればできるだけその関係方面にこれを即時通知するというたてまえをとってやってまいっております。
  18. 高橋英吉

    高橋(英)委員 いまのお話を伺いますと、結局台風が来なければ干ばつが起こるおそれがあり、しかもその傾向が顕著になってきておる。したがって、将来干ばつが繰り返されるおそれがあるというふうにとってもいいと思うのですが、そういう見通しに対して、台風が来ない場合の干ばつに備えて、別な方法、人間の力、政府の力、国民の力ででき得るようなことならばどういうふうな対策をとるべきであるかとか、これは気象庁のほうのお役割りじゃないかもしれませんけれども台風ばかりにたよらずに、何かほかの水対策を講じなければいかぬのじゃないかというような御警告なんか発せられたことがありますか。
  19. 柴田淑次

    柴田説明員 実は気象庁といたしましては、これは大気でございますので、空気状態を大幅にたとえば九州全体の空気状態を変えてしまうというようなことは、現在の科学技術ではとてもできません。したがいまして、私のほうの分野といたしましては、ただできるだけ正確に将来の干ばつあるいは降水量というものを予報するということでございます。  なお、先生のお話に関連がございますので、ちょっと申し上げておきたいと思いますが、現在は人工降雨ということばがありまして、人工降雨をやっているというようなことでございますが、この人工降雨につきましてもまだいろいろな議論がございまして、もう十年以上もこの人工降雨に対しての実験なり研究なりをやっておりますけれども、やはりあらゆる場合において雨を降らせるということは、とうてい不可能であるということはもうはっきりしているのでございます。したがいまして、雨が降りそうな雲がある場合に、そこへ種をまいてやれば若干の雨は降るであろう。しかし、その降水量が、こういった大干ばつを解消する降水量であるかどうかということについては大きな疑問がございますけれども、ともかく人工降雨ということも、あまりそればかりにたよるということはできませんけれども一つ方法かもしれません。しかし今回の干ばつには、とても人工降雨では間に合わないというように私は考えております。
  20. 高橋英吉

    高橋(英)委員 それでは、結局台風が来ない場合に、将来に考え得られるところの干ばつに対してどういう対策をやるかというようなことはわれわれの責任ですから、長官にお聞きするのはちょっと違っておったかもしれませんが、こういうことは言えますか。今後も干ばつになりやすい気象状態でもあるし、それからまた大干ばつ発生するおそれがあると推定されておるというふうな結論とおとりしてもよろしいのでございますか。
  21. 柴田淑次

    柴田説明員 先ほど申しましたように、現在降水量の総量がだんだん減少していくという現象から考えますと、ことしではございませんけれども、また来年以降にこういうような大干ばつ発生しないというように断定することはとうていできないと存じますので、やはり何年かあとにはまたこういうような大干ばつが起こるであろうというように考えるほうが妥当であろうと思います。
  22. 池田清志

    池田(清)委員長代理 倉成正君。
  23. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま気象庁お話にありましたように、今後も干ばつが非常に予想されるということであります。現在の西日本一帯の干ばつ状況は、御案内のように都市あるいは町村の飲料水にも事欠くというような事情になっておりまして、やはりわれわれはこの際、抜本的な対策を今日から講じておかなければならないと思うわけであります。たとえば生活水準が非常に向上したり、あるいは人口が増加したり、あるいは工業用水の需要が増加するということで、神奈川県で例をとりましても、おそらく神奈川県内の全部の水源を開発しても、昭和五十年には一日百万トン不足するということにも予想されております。東京都についても、やはり、現在の東京都の上水道の消費量は一日五百万トンでありますが、昭和六十年で人口増加並びに水の消費量の増加を考えますと、二千四百七十万トンというふうに予想されるわけです。そういたしますと、いかに水源を開発しましても、大体いま予想されるのは二千二百万トンが限度ではなかろうかということでありますので、ここに水の絶対量が不足するという問題が出てくるわけであります。  そこで私は、海水の淡水化の問題をもっと積極的に政府が取り上ぐべきではないかということを申し上げたいのであります。この点については、御案内のように、すでにアメリカにおいてはかなり実際的に、実用的にこの計画が進んでおります。またイスラエル、イタリアあるいは最近はクウェート、こういうところにおいて具体的な、相当大幅な海水の淡水化の計画が進められていることは御承知のとおりであります。  私の郷里の長崎県の池島というところで最近やっておりますのは、八千キロワットの発電をいたしまして、一日に二千六百五十トンの水をつくっております。この単価は、大体電力の価格をキロ当たり二円五十銭と計算いたしますと、水の単価がトン百円という計算であります。しかし現在九電その他が売っております電力はもっと高いわけでありますから、かりに電力の料金をキロ当たり四円五十銭と計算いたしますと、この八千キロの発電による造水単価はゼロ、ただで水ができるということで、すでに小規模でありますけれども、実際に海水から淡水化をして、この二千六百五十トンのうち三百トンを、非常に水不足をしている、一日に一時間給水という高島という島に送っておるのが現況であります。したがって、このプラントについてはすでにクウェートにプラント輸出が計画されておるということを聞いておるのでありますが、そういうような非常に具体的な、実際やられておる計画があるにかかわらず、政府としては、周囲が海に恵まれた日本で、海水の淡水化という問題について若干研究がおくれているのではなかろうかということを痛感するわけです。これはもちろん通産省あるいは科学技術庁においていろいろ御計画があるやに聞いておりますけれども、どうもこの計画がマンマンデーで、そして非常に控え目、控え目な計画をされておる。これはもちろん予算の裏づけをする大蔵省にも難点があることでございましょうし、政治の衝に当たる総理大臣以下の水に関する姿勢の問題にも関連するかと思うのでありますけれども、海水の淡水化という問題についてさらに積極的に取り組んでいく意思がありやいなや。また、現在具体的な計画があるとすれば、それをもっと早く――こういった干ばつは毎年々々繰り返してこういう大騒ぎをするのはばかげた話でありますから、ひとつこういうばかげたことをやめて、幾らでも資源があるわけですから、少なくとも一九六七年ではアメリカでは海水の淡水化と一般の水道とのコストがクロスするということがいわれておるわけであります。これから先、水の単価というものは遠くに水源を求める関係上高くなるわけですから、この点をひとつ、政府の代表としてどなたがおいでになっていますか、お伺いをいたしたいと思います。
  24. 佐々木即

    ○佐々木説明員 御質問の趣旨が現状と対策というふうに分けて御説明申し上げてよろしいかと思います。具体的な対策につきましては、科学技術庁は御承知のように実際の活動分野については所管ではございませんけれども、その辺につきましては工業技術院から御出席いただいておりますのでバトンタッチさせていただくことにいたします。  具体的にわが国における現状でございますが、先生の仰せのごとくに降水量の多い国でございますので、淡水化技術の研究開発が始められた歴史が十数年、わずかでございます。あまり進んでおらなかったということは事実でございますけれども、幸いに製塩技術に関連しましてかなりすぐれた成果というものが今日まで基盤としてでき上がっておる。それから船舶の問題にからみまして、船舶造水装置というものの開発の研究もかなり進んでおりまして、こういったところを基盤にいたしまして最近とみにこういった方面の成果がだんだんにあらわれつつあるというのが現状でございます。それにつきましては、関連しておりますのは通産省の東京工業試験所あるいは日本専売公社の研究機関、それから若干の企業がこれに積極的に研究を進めておられるというのが実情でございまして、またその淡水化の技術もいろいろあるのでございますが、おおむね広く各方面が分担をして研究を進め、あるいは技術の開発に努力しておられるというのが現状でございます。  それで、実用段階との関連でございますが、すでに実用段階に入っているものとしましては、これは一番期待されておりますのがいわゆる蒸留法、なかんずく多段式フラッシュ蒸留法という方式でございます。ただいま先生が仰せになりました長崎県の池島では、ことしの四月に造水容量二千六百五十トン・パー・デーというものが火力発電との組み合わせででき上がりまして、現在これが運転中でございます。約二千六百五十トンという日量を生産しております。また、昨年の十二月にサウジアラビアのクウェート中立地帯におけるアラビア石油向けに八段フラッシュの多段式フラッシュ蒸留装置、これは一日に二千三百トンという造水容量のものが日本から輸出されまして、さらにまた現在クウェート政府から注文が出ておりまして、これは一日九千百トンのものを四基、合わせて三万六千トン、これはかなりの造水容量になりますが、こういったものの製作を日本でやっておるという現状でございます。また中規模のものにつきましては、この蒸留法とはやや趣を異にしますが、電解透析法を用いましたもの、これがアメリカのサウスダコタ州のウェブスターに米国塩水局の実証工場が建設されましたが、これは一日千トンの能力を持ち、日本の企業が注文を受けましてつくってやった。   〔池田(清)委員長代理退席、委員長着席〕 そうして現にこの町の飲料水として供給しておるといったようなところにまで進出いたしておりまして、将来日本の技術輸出という面にも大いに希望が持たれる技術として、だんだんに固まりつつある現状でございます。  ただ、ここにはやはり今日なお問題がございまして、それはいまも先生の仰せのように、脱塩水の原価の問題で、いまの段階ではまだトン当たりにしましてかなり高くつく。これも規模が大きくなればなるほど当然安くなるのですが、おおむね一日千トンの場合に一トン当たり九十円から百六十円かかる。これが十万トン程度の規模になりますと、これも試算でございますが、四十五円から七十五円くらいまでに下げることができる、四、五十円のところでございます。四、五十円ということになりますと、これは一般の水道料金は全国平均しますと三十三円でありますが、それでも、水道用水として五十円以上のものは、岡山県の興除村で七十五円、長崎県の長与村が七十五円、これは非常に極端な例でございますが、こういうところから考えますと、やはり計算の上では五十円というのがいまの試算の段階でございますが、これは技術の進歩ということがございまして、なおこの辺のところに開発の余地がある。水価を下げるということは、要するに規模を広げるということ、それからエネルギー費を安くするということ。そこで原子力発電だとかあるいは火力発電の際のエネルギーの有効利用という形で一つの開発の余地があるわけでございまして、ここら辺が今後の実用化への一つの突破口と考えられる。その点につきましては、総理府の付属機関でございます資源調査会が約三年ばかり検討いたしまして、ことこまかに今後の技術上の行き先というものにつきまして、昭和四十二年七月二十五日付で報告書を出しました。海水淡水化の技術開発に関する報告というところでそういった進むべき方向というものを述べております。技術面の問題はともかくといたしまして、なおこれにつきましては、やはり関連する方面政府機関のいろいろな関係する分野で横の連絡をとりながら推進方に努力し、かつ、その技術面の開発研究という分野について、積極的に行政上、財政上の助成措置を講じてほしいというようなことを述べております。こういう報告を受けまして、科学技術庁といたしましても、関係方面にいろいろこの辺の数字も加えて説明をいたして、実施面への努力というふうなことを訴えております。これにつきましては工業技術院のほうで来年度大型プロジェクトの研究費を要求していらっしゃるということも仄聞いたしております。この辺は間違いがあるといけませんので、こまかいことは技術院がお見えになっておるので、必要があれば御質問いただいたらと思います。
  25. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま御答弁がありましたけれども、わが国の水道料金は毎年大体一〇%ずつぐらい上がっているわけです。それから、ただいまのお話はやはり電力を売電するというような前提のもとでのお話と思うのですが、現に池島でやっておりますのは低品位炭を使っている。現在石炭対策といたしまして、非常に石炭の需要が不足しております。どうしても供給が過剰になるというような問題で、低品位炭をどう活用するかという問題が一つある。それから大都市ではじんかい処理に非常に困難しているのですが、このじんかいの焼却熱を利用するというような問題を考えてまいりますと、一方において水道料金は上がっていく、しかし、このほうの海水淡水化の問題は、規模の増大のみならず、そういう低品位炭を利用したりじんかいを利用したりすることになればかなりコストが下がってくるということが考えられますので、私は事務的な御答弁としてはいまの答弁でけっこうですけれども、本気でこれをやろうとすれば、もっと大規模にもっと迅速にやることができるのではなかろうかと思うわけですが、一体金がないからやれないのか、あるいはそういう技術的な問題で隘路があるのか。もちろん私も、こういった海水を淡水化したあとでつくった水が味がないから海水を若干これに入れる味つけの問題とか、いろいろな問題があることも承知いたしております。しかし、そういった問題は一体どこにその隘路があるのかということを率直にお聞かせいただきたいと思います。
  26. 有馬駿二

    ○有馬説明員 ただいま科学技術庁からもお答え申し上げたことですが、いまの先生の御質問に関しまして若干お答え申し上げておきたいと思います。  私どもでは、都市その他におけるところの水不足というものを解決いたしますためには、どうしても海水の淡水化が必要であるということで、約十年前から東京工業試験所におきまして淡水化の研究を進めてまいりまして、実験室段階におきましてはおおむね見通しがついてまいりましたので、明年度からいわゆる大型工業技術開発といたしまして、約七年間かかりまして約九十五億円を投入いたしまして一日十万トンのプラントをつくり上げるという計画をいたしているわけでございます。ただいま先生からお話がございましたところのアメリカの事情も――アメリカにおきましては、過去十年間ほどに約四百億円ほど投入いたしまして、現在のところは一日三千トン級のものを運転いたしております。このコストは大体トン当たり百円ないし百十円ぐらいかかっているのでございますが、現在カリフォルニアにおきまして着手いたしておりますところの研究は、一日十九万トンのプラントを三基つくるという計画をいたしております。このコストがトン当たり約二十円とかいわれております。ただこの二十円の場合におきましては、金利が三分五厘でございますとか、また電力料が九十八銭であるというふうに、日本ではとても考えられないような非常に低いもので考えております。もし私どもにそのような条件が与えられますならば、この将来考えられますところの研究が完成いたしますならば、日産五十万トンぐらいのプラントでもってこの二十円よりははるかに安くできることは見通しがついております。なおその場合には、それからとれてまいります塩によりまして、ほとんど日本の塩の消費量を全部まかなうことができるぐらいでありますので、これによるプラスもかなり大きいかと考えております。  先ほど先生からお話しの低品位炭またはじんあいというような問題でございますが、この海水の淡水化につきましては、五十万トン級のものを考えます場合には、少なくとも五十万キロワットの火力発電所に大体くっつけてまいることになるわけでございます。現在の火力発電は、御承知のように六十万キロワットのものが最大のものでございます。この場合の最高の性能を持っておりますところのこれらの発電所の発電原価が大体二円三十銭ということになっております。  この淡水化の方法といたしましては、発電所の蒸気が七百度くらいになっておりますが、これが発電をいたしまして、百三十度くらいまで下がってまいりましたところの蒸気を抽出いたしまして、約十度くらい下げて、約百二十五度くらいまで下げていく、その間の熱量を使いまして水を淡水化するわけでございます。したがいまして、微粉炭、あるいはじんあいというものも、発電の方式としてそれを利用できますならば、その間の蒸気というものを使うことは淡水化におきましても十分可能なわけでございますが、現在の技術におきましては、微粉炭あるいはじんあいを用いまして、そういう大きな発電をするという技術はまだ開発されておりません。したがいまして、比較的小規模なものにならざるを得ないということになってまいるかと思います。もちろん、これは原子力発電につなぐことも可能でございまして、発電の方式は問わないわけでございます。しかしながら、微粉炭あるいはじんあいを熱源として使います場合には、どうしても現在のところでは非常に小さい発電にならざるを得ないということになってまいりますと、原価面におきましてある程度高いものにならざるを得ないということになるかと思います。現在のところでは、大体日産五十万トン内外のものを最終目標といたしまして、一トン三十円内外というものを目標に与えております。大体昭和五十年ぐらいにはそういうものができ上がるように目下のところ検討を進め、来年度からまずその研究開発に着手をしてまいりたい、こういうことでただいま予算要求をいたしておるわけでございます。
  27. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御説明で大体わかりましたけれども、池島の例をとりますと、副産物である食塩であるとかカリ塩等は計算に入れてないわけです。ですから、私は、この七年計画でトン三十円というのもけっこうですけれども、もっとこれを早めることはできないだろうかということを特に考えておるわけです。金があればできますか。その点はどうです。
  28. 有馬駿二

    ○有馬説明員 ここには実は東京工業試験所の専門家でございますところの三部長の石坂部長が参っておりますから、詳しい点は御説明申し上げますが、実験などにも相当時間をかけないと――これは、技術的に非常にむずかしい点は、エネルギーを最も有効に使っていくというところにございまして、その実験はやはりプラントをつくって実際にテストしてみませんと、どのくらい有効に使えるかということがはっきりつかめないわけでございます。そのために約一年間の運転期間を設けておりまして、当初明年度からは六千トン・パー・デイのテストプラントをまずつくりまして、大体四十五、六年くらいから十万トンのパー・デイの機械にかかっていく、こういうような計画になっております。その点でこれを、いまもちょっと先生のお話を伺いながら、もっと短縮できないかということも開き出したのですが、なかなか急激にこれを短縮することば困難であるというような話でございます。もし専門的なことでございましたらば、石坂部長からお答え申し上げます。
  29. 倉成正

    ○倉成委員 要りません。これはほかの議題でございますから、もうこれ以上は申し上げませんけれども、すでに外国では実用化しておる。そしてかなりやっているわけです。ですからわが国の研究が非常におくれますと、これはやはりパテントを外国から輸入しなければならぬとかいういろいろな問題と関連するので、どうも技術者の諸君は気持ちが非常に小さくなっておりますので、これはできないとかいろいろ言っておりますけれども、これだけの海水で脱ぐということを考えるならば、私のしろうと考えではできないことはないと思うのです。ですからその点は、ここで専門的なお答えを聞くよりも、ひとつ十分本委員会での質疑を参考にされまして、もっと早められないものか、金があればできるかどうかという問題について、もう少し前向きで御検討いただきたいということで、一応海水の淡水化の問題は終わります。
  30. 田原春次

  31. 稲富稜人

    稲富委員 技術庁から見えておりますので、これはこの前の関東干害でも私は委員会質問いたしましたけれども、そのときは十分なる答弁が得られませんでしたのでお尋ねいたしたいと思うのでありますが、今回のような干害にあたりまして一番問題になるのは、人工降雨の問題でございます。この人工降雨に対しては今日技術庁でどの程度の計画が進んでおるのか、あるいは人工降雨というものが可能であるのかどうであるか、こういうことをいま検討されておる段階だろうと思うのでありますが、現在すでに今回の干ばつに対しましてもそれを実施したというような地方もあるのでございますので、現在のこれが進んでいる状態等を御説明願いたいと思います。
  32. 柴田淑次

    柴田説明員 先ほども人工降雨に関するお話をちょっと申し上げましたのでございますけれども人工降雨研究というのはずいぶん前からやられておるのでございまして、もう十何年前からやられておったのでございます。特に電力関係におきまして電力会社のほうで水が必要だということで、電力会社関係で主として実験なんかがやられたのでございます。  その結果でございますけれども、それは先ほどちょっと申し上げましたように、いつでも任意のときに雨を降らすというようなわけにはまいりません。たとえば、秋晴れの、一点の雲もないような澄み切った日がございます。そこで、きょうすぐに雨を降らせというようなことで人工降雨の仕事をやってみましても、これはとても雨が降ってくるものではございません。それで先ほども申しましたように、雨が降りそうな雲がある場合に、そこへ種をまきますと若干の雨が降るというのが現在の人工降雨の大体のところの結論かと思います。したがいまして、大干ばつということになりますと、その効果はあまりすぐ期待できないのじゃないかと私は思います。
  33. 稲富稜人

    稲富委員 この前人工降雨の問題であなたにお尋ねしたのですよ。この前どうもあなたで要領を得なかったものだから、きょうは科学技術庁が見えておりますので、私は科学技術庁としてどういうようなこれに対する検討をされておるかということをもっと具体的に聞きたいと思っておったのでありますが、大臣がもう見えましたので次の質問に譲りたいと思いますが、一言だけ、ひとつこれに対して可能であるか不可能であるか、こういう点だけの結論だけ承ればけっこうであります。
  34. 高橋正春

    高橋説明員 一言で申し上げますと、人工降雨の効果の判定につきましては非常に慎重な議論がございます。ただ私どもはすでに六年間検討いたしておりますので、いわゆる基礎的な実験段階から脱しまして、これからは実用化のための検討の段階に入る。来年度は私のほうの防災科学技術センターに気象変換の研究室をつくりまして、研究をさらに実用化の段階で進めるつもりでございます。
  35. 田原春次

    田原委員長 農林大臣が見えましたので、農林大臣に対する質問を続けます。  先ほど理事会の申し合わせによりまして、質疑は答弁も含め各人三十分以内ということにしてありまするので、厳重にこれを守っていただきます。倉成君。
  36. 倉成正

    ○倉成委員 今年の西日本を襲いました干害は七十年来の干害といわれておりまして、全く現在の状況現地につぶさに見ますと、いわば飢饉の状態にあるということであります。干害ということばを通り越したほんとうに飢餓の状態、水田はもちろんでありますけれども、山が枯れたり竹やぶが枯れたり、あるいは十数年育て上げたミカンの木が枯れたりということであります。また飲料水にも事欠くというのが今日の西日本九州四国あるいは山口の実情である。この干ばつに対する対策として私は一番大切なことは、民心をいかにして安定させるか、そのために政府として迅速適切なる施策を、従来の例にとらわれず、とることが大切であると思うのであります。そういう観点から農林大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、ひとつ具体的に簡潔に力強い御答弁をお願い申し上げたいと思います。限られた時間でありますから、抽象的な御答弁は要りません。したがって、私も端的にお尋ねをいたしますので、そういう意味でお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、この干ばつに対してどうしても現地の被災農民が必要なのは生活資金だ。そして今後の営農の設計を立てていこうということになってまいりますので、天災融資法発動、また激甚地の指定、これにあわせて自作農維持資金の割り当てということが必要なことは御承知のとおり。政府においてもこれをひとつやろう、大体十月六日ごろの統計調査部の資料に基づいて、やろうという御方針に聞いておりますけれども、一体いつ発動されるのか、いつどれだけの額の自作農資金を割り当てされるのかということをお伺いしたいと思います。これとあわせて、従来はかりに自作農資金が割り当てになりましても、非常に手続きがおそい。末端の農家に渡るのが何ヵ月もかかるということでございまして、私も今度現地でつぶさにいろいろな実情を調べてみました。そうすると、なかなか借りにくいような条件で現地の農民にはいろいろな指導がされておるという実態をつかんだわけであります。これはこまかいことはここで申し上げませんので、私の要望としては少なくとも政府が資金の割り当てをしたら一カ月以内に農民の手に渡るように、また限度一ぱい借りている農民に対してはひとつそのワクを越えて貸し付けをするように、あまり保証人だ、担保だという非常に過酷な条件をやかましく言わないように、こういう点をひとつ御要望申し上げたいのですが、農林大臣から御答弁いただきたい。
  37. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 このたびの干害につきましては、先ほどお話しのような非常な事態でございますので、なるべく早く統計の調査を進めるようにいたしておるのでありますが、十月七日をもって集計をいたしまして、いまお話しのように天災融資法激甚災法等を発動いたす予定で諸般の準備を進めております。  なお、それが決定いたしますと、直ちに自創資金のワクを設定いたすことになります。しかし、それでは急の間に合いませんところに対しては、つなぎ資金は御承知のように現にすでに出しておるわけであります。そういうことでなるべく早くいまの天災融資法激甚災法、それからいまの自創資金のワクを決定してすみやかに処置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  38. 倉成正

    ○倉成委員 大臣、最初お断わりしたように、なるべく早くとか、あるいはできるだけということじゃなくて、いつ大体やるのか、どれだけのワクを大体出すのか、こういうことをやはりはっきりしていただくということが私は大事じゃなかろうかと思うのですが、その点は御検討になっておりませんか。干害はどんどん毎日毎日深刻になっていくわけです。これ以上よくなることは絶対ない。十日、十五日たつと農林省の統計よりもはるかに悪くなる。ですからこれがやはり人心を安定させるゆえんのものだという意味でお尋ねしておるので、大臣以外の官房長や何かにお尋ねするのならいまの御答弁でけっこうですけれども、少なくとも農民が親と頼んでいる農林大臣がお答えになるのですから、もう少し具体的にひとつ大臣の決意をお伺いしたい。
  39. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、統計の調査がまとまるのが七日でございますから、その調査に基づいて天災融資法発動、こういうことがありますが、それではなかなか待てないという方もあるでしょうから、当然天災融資法発動し、激甚地の指定もいたすわけでありますから、それを前提にして、つなぎ融資をどんどんやっておる、こういうことでございます。したがって、これはもう十分御存じのように、天災融資法発動と同時にそのワクで自作農維持資金のワクをすみやかに決定をいたしたい。(倉成委員「いつまでにやられますか」と呼ぶ)ですから、天災融資法発動することによって、自創資金のワクを設定いたすわけでありますから、なるべく早くいたしたいと思いますが……(「二十日ごろできるのか、十五日か」と呼ぶ者あり)大体十月二十日までにはいたしたいと思っております。
  40. 倉成正

    ○倉成委員 わかりました。そういう御答弁をお伺いしたいのです。  そこで、従来限度一ぱい借りていたのは当然ワクは拡大されると思いますが、その点御答弁漏れのようですが、いかがでしょう。それから、いろいろな担保なんかやかましく言わないという点……。
  41. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 だいぶ大ざっぱな議論になりますけれども、私のほうは、今回の被害については特段の措置を講じなければならぬということで、政府部内でも努力をいたしておるわけであります。したがって、緊急の救農土木的なものもやりたい。これもなかなか財政当局では、いろいろ法律、規則等にも制約があるわけでありますけれども、現在財政当局とよく相談をいたしまして、たとえばため池の修理であるとかそういうようなことも緊急に発動してやることに努力をいたしておるわけであります。したがって、いまお話しのような点につきましても、私どもの立場で、思い切ってできるだけやることに最善の努力をいたしたいと思っております。
  42. 倉成正

    ○倉成委員 大臣が力強い御答弁ですから、これ以上申し上げません。しかし、私は、現地をつぶさに見て、現在のようなやり方では、なかなか末端の農民にうまく金が渡るのが十分でないと判断いたしまして、こまかい具体的な資料を持ってきておりますけれども、しかしこれはあえてここで申し上げませんので、とくと頭に入れて、資金がひとつ早く農民の手にいくように御配慮いただきたい。  そこで、いま救農事業についてのお話がありましたが、私は二つ大臣に御要望申し上げたいと思う。一つは、やはり当座の生活資金等を縛るために、積極的な市町村長では、すでにいろいろな仕事をやらせよう――これはもう小規模の三十万、五十万という仕事をずっと部落ごとに、道路を補修するとか、何とか町村でやらせる、こういう指導をしておられる町村があるわけです。それと同時に、やはり干害対策として老朽ため池を補修するとか、いろいろかんがい排水事業を推進するとかいうことでありますけれども、なかなか被害地とその実施の就労との問題が一致しないとか、いろいろな問題もあろうかと思うわけであります。しかし、いずれにしても、そういう小規模の救農事業をどんどんやらせる、それの裏づけをしてやるということが一点と、もう一つは、老朽ため池や何かの補修をするにしても、従来の採択基準、従来の補助率、これは大体五割前後、これに若干上乗せしてもせいぜい六割程度のもの。これでは、なかなかほんとうの救農土木にはならない。なぜかなら、災害地は非常に財政的に力がなくなっておりますから、これに地元負担をせよといっても、できないわけであります。ですから、こういう小規模の事業をやらせるなら、これに裏づけに交付税をやるとか、あるいは起債を見てやるとか、あるいは元利について利子補給をするとか、あるいはこういうため池等の補修をもしやるなら、思い切って補助率を高める。具体的には三分の二ないし九割ぐらいの補助でやるとか、そういう対策がなければ、口で言うだけで実効は一つもあがらないわけです。ですから従来の干ばつであるとか、従来の災害であればそれでよかったかもしれませんけれども、現在一日一日深刻になっている被災民の立場に立ちますと、これはもうたいへんなことなんです。ですから、そういう点で大臣は十分各局長からも実情を聞いておられると思いますが、そういう実情を前提にして、どういうお考えで救農土木下業をおやりになろうとしておるか、その決意のほどをお伺いしたいと思います。
  43. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先般、今回の干ばつにつきまして、これはできるだけのことを政府として援助すべきであるということで、ひとり農林省だけの仕事ではございませんので、総理府総務長官を中心にいたしまして、関係大臣を網羅いたしまして、そこであらゆる対策を講ずる機構をつくったわけであります。そういうところでいまのようなお話につきまして、とりあえず予備費をもって支出する、あるいは自治省の特交等についても考慮をいたして、ただいま倉成さんのお話のように、市町村長がその地方に即応した道路工事とかいろいろなものをやることによって応急に現金収入を与えることもやりましょうといったようなことを、ただいま事務当局を幹事役として鋭意勉強さしておるところでありますから、ただいまお話しのような御趣旨を十分そこにいれまして、万全の策を講じてまいりたい、こう思っております。
  44. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま大臣から前向きの御答弁がありましたが、ほんとうは、実際の地元の町村長なり被災民として考えますと、具体的に、こういう事業についてはこれだけの補助率でこうしてやります。採択基準は、たとえば受益面積が二十ヘクタール以上といってもなかなかむずかしい。提防の高さが五メーター以上、三万立方メーターなんといっても、なかなか老朽ため池は当てはまらない。したがって、よほど採択基準を下げなければいかぬとか、そういう具体的な問題が聞きたいのです。これは抽象的にはもう何回も言われておるけれども、なかなか末端の人たちはそういうことじゃ満足しません。したがって、この点は、あすもあることですから、さらに具体的にお伺いしたいと思いますけれども、ぜひそういう点を詰めていただきたい。農林大臣がそこまで詰められなければ、だれも詰める人がいないわけです。その点農地局長、もし何か詰めておることがあったらひとつ補足して答弁してください。
  45. 和田正明

    ○和田説明員 現在各県から救農土木と申しますか、要するに労賃収入としてそれぞれどの程度の収入が農民に落ちる必要があるかという数字について把握につとめておりますが、その数字が出てまいりました上で、先ほど来大臣がお答えになっておりますような方向で最終的な詰めをいたしたいと思います。  一応考えておりますことといたしましては、一つには、従来の土地改良事業はもちろんでございますが、関係各省での各種の公共事業への就労の機会をなるべくやりくりをして与えますこととか、それから非常に異常な干ばつでございますので、水田等にも干割れを生じております。あるいはまたため池にも相当数に干割れを生じたものがあるようでございます。これをこのまま放置をして水をためますと漏水等もございますし、また水田等では明年の作付にも問題があると思います。これらは災害復旧事業として考えなければいけないのではないかということを考えておりますので、その場合には当然地元の雇用力ということもそこへ期待ができる。そういうことで、まだできません小さなものにつきましては、先ほどお話がございましたように平衡交付金等の裏づけについて自治省とも十分話し合いをいたしたい。いろいろ考えられます方法を、県の具体的な賃金収入として得る必要があると考えられる数字を早急に集計いたしました上で、それぞれの県の必要量に対応して措置をいたしたい。
  46. 倉成正

    ○倉成委員 補助率のアップはどうですか。
  47. 和田正明

    ○和田説明員 ただいま申しました干割れの生じましたため池、水田等の災害復旧として処理をいたすとすれば、国の補助率は六五%ということになります。農地は五割でございます。
  48. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの程度では地元負担がなかなかいかないわけですよ。ですからさらに補助率を上げる御意思はないか。幸い災害復旧で干割れ等を取り上げるということは非常に前進だと思いますけれども、やはりほかのいろいろなため池の補修その他をやる場合に、採択基準を引き下げて補助率をもう少し上げてやる、こういうお考えはないかどうか、ひとつお伺いしたい。
  49. 和田正明

    ○和田説明員 農業用施設あるいは農地の災害復旧につきましては、御承知のように、補助率を上げます場合には激甚災等の法律があるわけでございますが、その基準等から考えましても、今回の西日本干ばつで干割れをいたしましたため池等を災害復旧で取り上げるといたしましても、ちょっと補助率まで上げるということはいかがかと思っております。ただ従来は、そういうため池等を災害復旧で取り上げるというようなことを考えておりませんでしたので、取り上げるということで御了承いただきたいと思います。
  50. 倉成正

    ○倉成委員 大臣、お聞きのとおりですけれども、地元の負担能力が実はないわけですね。そこで従来の考え方でいくというわけにはなかなかいかないわけです。この点局長は、事務的な御答弁はいまのとおりだと思いますけれども、ぜひひとつ前向きでもう少し検討していただきたいと思います。
  51. 天野光晴

    天野(光)委員 関連。各県とも救農土木事業という陳情が出ていると思いますが、その一番問題になるのは、もう全然作物はとれない、そして離農もやむを得ないのじゃないかという状態にある。これを来年の作付まで持ちこたえさすためには、どうしても、いろいろな融資の道もありますが、実際問題として働いて取らせるくふうをしなければいけない。ところが救農土木をやるといっても、いまの農地局長の答弁では、干割れしたようなため池とか水田等をやらせるということですが、これから調査をしてやるのではとても間に合いません。そこでその規格以下のため池も救農土木の一つ対象としてやるのだというふうにただいま聞いたのですが、いままでの三万トンあるいは堤塘の高さ五メーターというような基準を全然度外視して、どんな小さなため池までも救農土木としてやるような意思があるのかどうか、そこのところをちょっとお聞きしておきたい。
  52. 和田正明

    ○和田説明員 災害復旧という考え方で干割れをいたしましたため池を取り上げるというふうに考えておるわけでございますが、その場合には工事費で、従来御承知のように災害復旧は一件十万円以上ということでありますから、ためる水が何万トンとか堤高とかいうこととは関係なしに、それは災害復旧として処理をしたい。それは県から個所数等もすでに受け取っておりますので、復旧の工事の方法等につきましては、早急に現地に専門家を出しまして、救農的な趣旨で間に合うように考えたいと思います。ただ千割れ等をいたしておりませんため池等についてまで災害復旧という感覚で取り上げることはなかなかむずかしいと思います。
  53. 天野光晴

    天野(光)委員 そこで大臣に答弁をお願いしたいのですが、私たち現地調査した結果、救農土木事業というものを特段に考えてやっても差しつかえない段階の干害であるという認識を得て帰ってきております。そういう点で、要するに今度の場合は干ばつですから、貯水池が拡充強化されることが非常に望ましい。いままでの状態でいくと、いわゆる補助をやるものと、補助をやらないが低利の金を融資するということと二通りあるのですが、農家は金を借りようとはしません。そういう点で、今度の場合ひとつ独自の、災害地に対する被災者の救農土木という専門的な立場から、復旧工事ではなくて、いままであった小さなため池の工事をやることが救農土木になるのだという考え方で、小さなため池を、この段階において底をさらってかさ上げするなり、いろいろな形で一挙両得というようなかっこうのものに持っていく必要があると思うのですが、その点についての考え方はどうでしょう。
  54. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 たまたまため池が出ましたから、ため池について救農土木的な考え方で、また将来も利益になることだから、これはこうやろうということでありますが、そのほかにも、自治省も先ほど申しました中に入って相談をいたしておるわけでありますから、もう現に地方市町村長ではそれぞれ市町村の立てかえでいろいろな仕事をやらしているところがございます。したがって、政府といたしましては、これは農林大臣が申し上げるのはどうかと思いますけれども、救農的な事業をいろいろの面でその地方地方に合うようにいたしまして、とりあえずは予備費の支出もいたしてそういうものをやってまいる、そしていまお話しのようなものにちょうど合うように、現金収入を得られるように取り運んでまいりたい、こう思っておるわけであります。  ため池は、もう申すまでもなく、今回の干ばつ地域でもため池が非常に完備しておったところは非常に助かったという例もあるようでありまして、これは恒久策としても、農林省はこの際全国のため池をあらためて調査をいたしまして、継続的にそういう事業をやってまいるつもりでありますが、とりあえずは、いま申しましたように、できるだけ現金収入を得られるような方法政府においてはとってまいりたい、こう思っております。
  55. 天野光晴

    天野(光)委員 いま一言だけ。  その話、わからないわけではありませんけれども、先ほど倉成委員からの質問のように、現在現地では負担金を納められる状態のものではない。それから救農土木をやるという話は簡単ですが、現在の段階において救農土木でやる仕事は私はほとんどないと思うのです。これは具体的に並べて申し上げても差しつかえないのですが、道路工事をやるにしたって、建設省関係の予算はきまっておる。先ほど知事からの陳情によりますと、いわゆる景気過熱によって公共事業の八%を切り捨てたものを、その地域は切り捨てないようにしてほしいというような陳情もあるような状態であり、現在の災害をこうむった地域で新たなる救農土木を起こそうとしても、そう簡単に起きるものではないという状態を私は見てきました。そういう点で、私たち調査に行った視察団の一行も、これはもうこの際この災害をこうむった、この干害をこうむったこの地域の農民に金をくれる仕事というものは、農民が喜んで集まってきてやる仕事はこれきりないのだというのが、ため池一点にしぼられたわけであります。特にこのため池は、農林省の規格でもって、農地局が先ほど言ったような一定の限度を示してある。それ以下のため池を持っておる地域災害にあったというのが今度の実態であります。それと、そういう点で全部がいまの災害復旧に合うというものではありませんから、災害復旧のため池に該当するものは、おそらくそのうちの二割かそんなものであろうと私は思います。残る八割のため池をどうするかということに今後の問題も残るから、この際大きな政治力で、こんな大干ばつはいままで百年近くもなかったわけですから、この機会に英断をもって被災地に対する農民の救済土木事業をやるという意味で、それをどうしてもやるという決意をもって政府を動かしてもらうように農林大臣からひとつやってもらうように希望いたして、終わります。
  56. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま大臣のお答えにありましたように、ひとつ救農事業あるいは救農土木事業現地実情にできるだけ合わせて、そして具体的に町村長がやった事業についてはできるだけあとのめんどうを見てやる、こういうふうにお願いしたいと思います。  そこで、応急対策について御質問申し上げたいと思います。  現在、御案内のように、干ばつがまだ続いておりますので、農民は一生懸命になって、昼夜兼行で水のあるところは何とかくふうをして水を確保したい、特にかんきつの場合におきましては永年作物でありますから、これを枯らさないようにということで、ほんとうに涙ぐましい努力をしております。しかしこれは水がそうやって若干でも得ることができるところはまだいいところで、もうすでにどうしようもなくて、あきらめておるところもかなりあるわけです。そういう状況の中で応急対策をやっておるわけでありますから、これはもう大臣よく御承知のように、そろばんに合わないわけです。たとえばこれだけ多くの金を使っていろいろな対策をやって、そしてこれが水田として収穫があっても、あるいはミカンがかりに若干なりましても、これはなかなかそろばんに合わないわけです。ですから、普通の工業製品であれば、そういうことはやめてむしろ手をこまねいておったほうが得かもしれません。しかし、農業というのは、御承知のとおり、そういうものではない。天地の恵みを大切にする農民の気持ちとしては、何とかして農作物をつくりたいという一念において応急対策事業を一生懸命やっているわけです。たとえばミカンにいたしましても、ここに持ってきておるように、ピンポン玉のようなミカン、いまかりに雨が降ったってこれは大きくならないわけです。かりにいま雨が来ればこういうふうに裂果してしまうというふうに、実際はどうしようもない。けれども、来年以降のことを考えて、木を何とか助けたいとしているわけです。  そこでお伺いしたいのは、いま干ばつが続いておるので、従来九月三十日まで水田を対象にして大体考えられておったのですが、果樹その他についてはどうしても干ばつが一段落するまでやはり応急対策を続けていくということが必要である。現にやっておるのですから、その期限を延ばす。干ばつが続く期間応急対策についてめんどうを見るという点が一点。  それから果樹園については、従来四十年、四十一年の例をとりますと、水田や畑から比べると非常に虐待されております。これは大蔵省的な感覚ではいろいろ理由があるかもしれませんが、十年、二十年という、大学を出てやっとこれから大いに働こうという子供を殺したりあるいは病気にしたりということですから、これを何とかして助けようということで死にもの狂いにやっている状況ですから、これを畑あるいは水田と区別する理由は何もないと思うわけです。ですから、果樹についても水田と同じ補助率で同じ対策を講じていただきたいというのが第二点。  それから第三点は、地域によって非常に実情が違いまして、たとえば井戸を掘りましてこれからパイプで持ってくることができれば一番いいのですけれども、水源が非常に遠いということになると、持ってくるわけにはいかないから、トラックにタンクをつけて、タンクに水をくんで、どんどん運ぶ、あるいはトラックの上にビニールを張って水を運ぶ、あるいはドラムかんで水を運ぶ、あるいはバキューム車を使って水を運ぶということで、大臣、あとでお月にかけますけれども、個々の実情で非常に態様が違うわけです。ところが、従来の補助基準でいたしますと、たとえばタンクなんかはなかなか補助の対象にならないとか、いろいろ実態に合わないわけです。ですから、これをひとつぜひ応急対策として補助の対象にしてほしいということ、この点をひとつお伺いしたいと思います。  時間の関係上、さらに申し上げておきますと、ばく大なガソリン代、電力代がいまかかっております。これは、私は当初、燃料代、電力代というのはなかなかつかみにくいから、ひとつできれば県や市町村がめんどうを見て、交付税等で考えたらどうかという考えを実は持っておりました。しかし最近資料を集めてみますと、正確なところはわかりませんが、各県で億単位のガソリン代、電力代を使っておるということになりますと、交付税や何かといっても、実際問題としてむずかしいということになりますので、やはり政府として燃料代あるいは電力代についてめんどうを見る。これは一度三十三年に若干めんどうを見た例があるようでありますが、やはり思い切って燃料代、電力代についても助成をすることが必要じゃないかということを考えておるのですが、これらの点について、大臣から明確にお答えをいただきたいと思います。
  57. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先のほうの事務的なことを先に事務当局からお答えいたします。
  58. 和田正明

    ○和田説明員 第一点の干ばつ応急対策をいたしまする期限につきましては、御意見のように現在なお進行中の実情にございますので、その実情に合わせて処理をいたすようにいたしたい。  それから第二点に、樹園地の補助率のお話があったわけでございますが、干ばつ応急対策は、数年前から本質的にはかんがい排水事業であって、恒久的にも効果があるということをたてまえにして補助をするという考え方に立っておるわけであります。現在一般の干ばつという事態が起こります前にいろいろ予測をして、土地改良事業を実施いたしておるのですが、その段階での水田と樹園地との補助率が御承知のように基本的に違っておるわけであります。その考え方からまいりますると、かんがいの応急対策ということではございますが、やはり本来のかんがい排水事業の一環として応急対策を考えることをたてまえにいたしておりますので、やはり基本的に一番補助率も差がございますので、干ばつ応急対策として処置いたします場合にも補助率が違うことはごかんべんをいただきたいというふうに考えております。  それから最後に、自動車のガソリン代あるいは電力費等の消耗費につきましては、ただいま申しましたような干ばつ応急対策が本来のかんがい対策というふうに考えておりますので、消耗品については補助をするということは、現在は無理であろうというふうに考えておりますから、処置をする考えはございません。
  59. 倉成正

    ○倉成委員 大臣の御答弁をいただく前に局長から事務的な御答弁がありました。応急対策についてはひとつ九月を過ぎても十月についてはやろう、そのほかのお答えは全部私の質問に対してノーのお答えです。これはほんとうに現地実情を全然知らない人が答えるお答えだと思うのです。事務官僚としてはやむを得ないかもしれませんが、全くこれは私は今日の干ばつに対する対策としてはなっていないと思うのです。どうしても果樹についてはやはりぜいたく物だというような考え方があるわけで、その思想がやはりこういうことに尾を引いておると思うのが、畑作を何も果樹と区別する必要はないと私は思うわけです。特に山の木が枯れる、竹やぶはほとんど全滅という、これは七十年来の全く前例のない干ばつですから、去年やおととしの例がこの前例にはならないと思うのです。  それからさっき申しましたように、タンクをつくってやるとか、いろんなくふうをして涙ぐましい昼夜兼行でやっているのに、応急対策恒久対策につながるからこれでやるんだというような霞が関の農林省の机の上の答弁では、現地実態には合わない。大臣からはもっと実態に合ったお答えがあるものと確信するわけです。  それからガソリン代、電力代については、私も局長のように、確かにこれは消耗費的なものでありますから、したがって、額が少なければ、これは県なりあるいは町村なりが見るのが至当だというふうに今日まで考えてきたのですけれども、非常な額にのぼっておる。そろばんから考えると、合わないことをやっておる。だから何てばかなことを農民はやっているかといえばそれまでですけれども、元来農業というものは、先ほど申しましたように、天地の恵みに感謝して、そうして作物を育てるという精神でやるのですから、一生懸命やって、何十年来の財産をなくさないようにとやっているのですから、これにやはり過去の例もあることであるし、あたたかい配慮をいただきたい。そうして、政府がある程度のことをやれば、それで元気を出す。一番大事なことは、やはり政府も一生懸命になって考えているのだ。政府が多少の補助をしたところで、現在の干ばつにはそうたいしたことはないでしょう。しかしやはりそういう姿勢が問題だから、私はあえて申し上げておるのでありますから、ひとつ大臣からはもう少し実のある御答弁をいただきたいと思います。
  60. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど私が申し上げました、総理府総務長官を責任者にいたしまして関係閣僚の協議会を持ち、それからその下に事務当局の幹事会をつくって、今回の干ばつ対策に万全を期してまいろうということで、いろいろな案を出し合っておるわけであります。しかし政府という形は、やはりほかの面の、たとえばやりました行為について会計検査院のおしかりを受けるようなことを初めからいたすわけにはいきませんので、したがって、やはり特別交付税というふうなものが念頭に出てくるわけであります。したがって、いまお話しのように、今回の災害は、ただ普通のいままで経験をいたしたものとは非常な格段の相違でありますので、そういう点につきまして、私どもは先ほど申しました政府部内の協議会において、十分にひとつ、いまお話しのような御趣旨を体して相談をいたしてみたいと思っております。
  61. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御答弁では、ちょっと私も引き下がるわけにいかないわけです。大臣、リンゴの木がずっとばたばたと枯れていくような状況であったら、おそらく大臣はそういう御答弁はなさらなかったろうと思うのです。何十年と育てたミカンの木が枯れつつあるという状況ですから、これはとにかくもう従来の考え方――会計検査院だ何だというお話がありましたけれども、それは事務的な御答弁です。未曾有の、明治以来初めての干ばつということで、何とかやろうと一生懸命やっているのですから、これは何かの対策をひとつ早急に出していただきたいと思います。交付税でもけっこうです。しかし交付税ならちゃんと交付税で見るということを、閣議なら閣議で、ガソリン代等についてはやるということにしないと、これがわずかの額なら、先ほど申しましたように申しませんけれども、億の単位に各県でなっておるというわけですから、なかなか実情は思うようにいかないというから、あえて申し上げておる。  それから果樹については、いろいろな他の水田や畑と区別することには絶対反対です。ぜひひとつ数日のうちに結論を出していただいて、そういった果樹についてはどうやるのだということを具体的に、ひとつこの次のこういう席ではお答えをいただきたいと思うわけであります。  そこで、時間もございませんので、最後にひとつお尋ねしておきますが、果樹についてはどうも個人がいろいろ災害対策をやることが非常に多いわけです。ですから、これはちょっと対象には困るということですけれども、やはりどうしてもそれはミカンもリンゴと同様に、対策としては、その持ち主が一生懸命やって、いろいろくふうして水を運んだり、あらゆる知恵をしぼってやっているわけですから、それを全然助成対象からはずすということは非常におかしいと思うのです。ですから、そういった点を少し幅広く、やはりこういうのが救えるように、ひとつ、これはいま御答弁を求めませんけれども、お願いしたいと思うのです。  それから、共済金の支払いについて、これは農林省が非常に積極的に水稲共済金の仮払いをやるということでやられているのは非常にけっこうですが、これも収穫皆無と七割以上とかいうのを全部一緒にやりますと調査がなかなか行き届かないというので、できれば、収穫皆無については仮払いは早くやる、それから、ほかのものに、いては調査のでき次第やるというふうに二段に分けてやっていただいたほうが迅速にいけると思いますけれども、この点はいかがですか。
  62. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまのお話は、収穫皆無はもちろんでありますが、収穫皆無にひとしいようなものも、やはり皆無に準じて取り扱うということで考えております。
  63. 倉成正

    ○倉成委員 あと一点。これでおしまいにします。果樹についてが特に中心ですが、果樹以外にも当てはまると思いますので、国税庁の方がおいでになっていれば所得税の問題についてお伺いしたい。  国税庁にお尋ねしますが、所得税の減免ということはやると言うけれども、これは抽象的な文句で、私はこういうことでは、実際的には何の役にも立たないと思うのです。そこで具体的に二点。一つは、いろいろな申告の延期とかあるいは納期の延期をやるのかどうかということ。それから果樹等について標準経費を認めておりますけれども、この標準経費のほかに災害対策に要した経費をプラスして、そしてこれをことしの所得あるいは来年の所得から、赤字が出た分をずっと控除していく御意図がありやいなや、ぜひやっていただきたいという三点を、ひとつ国税庁を代表してお答えいただきたい。
  64. 植松守雄

    ○植松説明員 いまのお尋ねの点でございますが、さしあたっての所得税の問題は、十一月に三期分の納税の期限が参ります。それから特別農業所得者と申しまして、特別の果樹農業の方などは、十一月に初めて所得税を一期分として納めるという方がございます。この期限が差し迫っております。これにつきましては税法上いろいろ手続があるのでございますが、極力簡単なものにして、これは猶予という問題よりも、税がかからないような形になるんだと思います。そこでその手続をたとえば農協等を通じて簡単なものにして処理をしたい、こういうふうに考えております。  それから第二点のお尋ねの特別経費の問題でございますが、これはもちろん税法上経費として算入されるわけでございます。そこでこれを標準の中に織り込んで考えるか、あるいは特別経費という形で控除するかという問題は、非常に技術的な問題でございまして、いずれにしてもそれはいずれかの形で控除されるということでございます。
  65. 倉成正

    ○倉成委員 それでは、同僚議長の御質問が残っておりますから、私はこれで終わりますけれども、しかしただいままでの大臣の御答弁では、前向きではありますけれども、具体的に詰まってない問題がたくさんございますので、ひとつなるべくすみやかにこの問題は結論を出していただかないと満足するわけにはまいりません。したがって、この具体的な対策について、やはり質問を留保いたしておきます。
  66. 田原春次

  67. 高橋英吉

    高橋(英)委員 倉成君の質問大臣の答弁を聞いておりましたが、さすがは野人大臣、党人出身大臣だとも感心したり、もう少し歯切れのいいところ、党人らしい、野人らしいところをひとつ見せてもらいたかったとも思いますが、大体私この間衆議院を代表して、東南アジアへずっと行ってまいったのですが、インドが昨年と一昨年と大飢饉で、餓死者がちまたに倒れるとか山野に倒れているという話を聞いて、行って見ましたところが、全然そういうことはない。餓死者は一人も出なかった。これは政府の非常対策的な対策が当を得まして、ことしは大豊作というようなことで、餓死者を一人も出さないというか、インド飢饉というものがそういう結果になっております。結局政治力の問題に帰すると思うのですが、先ほどから聞いていますと、会計検査院の問題だとか、いろいろこまかいお話もあるようでありますけれども、非常時に対しては非常時対策が非常に必要と思いますから、もし法律がこれを許さなければ法律を変えればいい。省令がこれを許さなければ省令はこれを変えればいいわけでございますし、われわれが法律をつくり、それからまた命令もそれぞれその要路の者がつくるということになっておるわけでありますから、人間でできることなのであります。決して人間でできないことではないのでありますから、この際こういうふうな未曾有の火干ばつ――ことに先ほど気象庁長官から聞きますと、干ばつ傾向は将来ますます顕著になるというふうなことで、これは恒久対策のときにまたお尋ねいたしまするが、そういうふうなことでございますので、どうしてもこれは非常対策的なこと、インドの飢餓を救済したような、そういう非常時的な対策をとってもらわなければならない。法令の末節に拘泥したことでは、この問題は解決しないと思うということを前提として、ひとつ対策に対してぜひ理想的なものをやってもらいたいという考えのもとに質問いたしたいと思います。  今回の干害で特に痛切に感じましたことは、法令を変えなければいかぬのかもしれませんけれども、法令を変えなくともできるとも開いているのですが、倉成君が申しました果樹園その他、われわれの関係しております地方からいいますと、シイタケなんかの問題もございまするが、そういうものを水田の補助、稲作の補助同様の高率補助にしてもらわなければならない。どうしてもそういう非常手段をとってもらわなければならないということを思うのですが、この点についてどうですか。
  68. 和田正明

    ○和田説明員 先ほど倉成委員の御質問にもお答えしたのでございますけれども樹園地の場合と水田の場合と、現在かんがいの施設を応急対策ということでなしに、平常に土地改良事業でやります場合にも、補助率に差があるわけでございます。そこで応急対策といえども、やはり今後の干ばつにもある程度備えた準備ということで、補助金を出します関係もございますので、基本的な補助率の差がございますことを前提にして考えますと、やはり災害対策といえども、行政上のバランスをとらなければいけませんので、従来の例でもそこに差がついております。今回につきましても、非常に異常な災害であるという事情はるるお話もございましたし、私どももよくわかるのでありますが、そういう点で合わせることは困難であろうというふうにお答えを申し上げておきます。
  69. 高橋英吉

    高橋(英)委員 これは先ほど前提に申し上げた非常時対策とはほど遠い、縁の遠い御答弁で驚き入った次第ですが、応急なんという、そういうなまぬるいことばではないのではありませんか。西日本干害新潟県なんかの大水害には非常時対策といわなければならない。それは非常に局部的ではありますよ。インドの飢饉のような全国的なものではない。要するに今度は農作物についても、全国的にいえば大腰作なんですから、国力はひとつ増進しているということになる。金は余ってくることになるわけですから、局部的に非常時的なものがここにできておるならば、その余った金を持っていって全部補助してやるというふうにして、助けてやるというふうな気持ちになってもらわなければ、応急でとか、そういうものを前提としてとするならば何かというふうなことでは、これは絶対に間尺にも合いません。要するに非常時対策ということを前提として考えてもらわなければならないでしょうが、困難だとかなんだとかいうようなこと、大臣局長や何かが困難だとかなんとか、従来の慣例とか法令とかで困難だとかなんとかいうことでなしに、農民が喜ぶように、安心をするように、従来の例はいろいろあるでしょうけれども、考えてみようというようなことくらい、ひとつ思い切って言ってくだすったらどうでしょうか。
  70. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 事務を扱っております役所は、やはり法律に従い、それぞれできるだけのことは――限界があるわけですが、お説のように、ただいまのこの災害というものは、いままでに何十年ぶりという大災害でありますので、先ほど申し上げましたように、政府一つの組織をつくりまして、そこでいまお話しのような問題についてどうすべきであるかということも、その組織ができましたその日の午後から、各省の者を集めてやっておるわけであります。したがって、さっき私は、所管外でありますが、一言口にいたしました。一番やりやすい方法としては、自治省が取り扱うということについてわりあいに伸縮性があるのではないかというようなことで、そういうことをすべて話し合いを持ち出しまして、その中で可能な限りのことを今回はやるべきである、こういうことで、いま鋭意努力をしておる最中でありますから、いま高橋先生のお話しのようなことも体しまして、相談をいたしたいと思っております。
  71. 高橋英吉

    高橋(英)委員 非常に満足したような答弁ですが、これは絶対に具体化していただかなければなりません。さすがやはり大臣だけあって、大所高所からの御答弁で感心いたしましたが、どうぞひとつその意気で、われらの倉石農林大臣の快腕を発揮していただきたいと思うのです。  そういう意味におきまして、今度水の関係で要しました費用、これは一言に言ったら、全部国で出してくれ、ありとあらゆる費用を全部国で出してくれというふうなことを私は要望したいのでございます。すなわち、私が東南アジアから使命を果たして帰ってまいりまして、すぐに干害の郷土に帰って見たのですが、ほんとうに水と人との血みどろの戦いです。これは干害とかなんとかいうふうなことで従来の統計とか、それから自分の郷土でもいろいろ聞きましたけれども、今度のようなたいへんな血みどろの戦いはない。ほんとうに必死の戦いだと思います。水と人との戦い、これをまのあたりに見まして、ほんとうに胸迫まるものがあったわけでございます。たとえば、一例、二例をあげますと、こうです。倉成君の先ほどの話は、非常に小規模のようでありますが、私のほうは御承知のように愛媛県――四国は山国でございますから、耕して天に至るところばかりございます。そういうようなところでございます上、私のほうの郷土は、南伊予という地方ですが、この地方は、東伊予の西条まで百何十キロありましょうか、二百キロありましょうか、あの一番南の果てから東のほうの香川県寄りの西条、その人絹工場から水をもらっておる事実、給水してもらっておるような事実です。いわんや三十キロ、四十キロも、水のあるところへドラムかんとか、もしくはビニールでこしらえたもっこ、ありとあらゆる給水に適しますところの器具を持って、そして水を取りにいく。それからエスロンパイプというのを、今度初めて聞いたのですが、これらをもうたいへんな山の上まで下から登せて、少しでも、一本の果実でも、木でも枯らさせてはいけないという涙ぐましいところの奮闘ですが、このパイプなんかも、聞いてみますと、単位農協だけで三十万メートルから、吉田というふうなところでは六十万メートルのパイプを買いに行って、これを使っておるのでございます。しかもそれがもう品不足になったものですから、だんだん和歌山県のほうから買い、滋賀県のほうから買い、それでも間に合わぬものですから、とうとう小田原から買うというようなことになっております。現在自衛隊なんかの援助によって水を供給してもらっておりますけれども、これも何か船のバランスが何だから何万トン以上は給水できないというふうな欠点もあったりして、なかなか思うようにいかない。私どもは帰ってから言ったのです。われわれは雨を降らす力はないけれども、国から金を出させる力は諸君のおかげで持っているから、必ず金を取ってくるから、諸君はありとあらゆる努力をして、一本の木でも枯らしてはならないというふうに言っておったのですが、場合によると、自衛隊の艦隊なんかを総動員して水を干害地へ持ってこなければならないということにも考えている。ほんとうにもう血みどろの戦いですが、こういうふうなことでございますから、今度は常例を破って、そうしてこの給水関係で要った費用は、ピンからキリまで国のほうでもって持ってやるというふうにひとつ善政をしいてもらいたいと思いますが、農林大臣いかがですか。
  72. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話しのようなことは、私ども地方民を代表している国会議員としては全く同感でありまして、そういうことを考えられるのは議員として当然だと思いますし、私どもも御同感でありますが、高橋さんも御存じのように、いまのような消耗費について政府の補助対象にするというふうなことは、いままで制定されております範囲においては不可能でございます。そこでそういうふうな個々別々にそういう問題のめんどうを見てあげるというよりも、やはり何かの形でこれが補てんされるような方策を考えてあげることがいいではないかということで、政府におきましても、法律規則の範囲内においてできるだけのことはいたさなければならない。先ほど応急対策恒久対策のことも考えてと局長が申し上げましたけれども、これは私ども果樹の生産地から選ばれている議員でありますが、先般一日内閣で和歌山県に出張いたしましたついでに畑かんの状況を視察してまいりました。ことしは干害被害は和歌山県では受けておりませんけれども、かりにあそこが干害であっても、あの地域は万全であったろうと私は思います。ああいう施設というものを、やはり新たに開墾して果樹園をつくり出す人たちという者は、いつでも周期的に台風が雨を持ってきてくれるのだというふうに安直な考えで畑地の造成をいたしていくということは、これから県や農協やわれわれ政府も協力いたしまして、まずそういうことについて、樹園地を構成いたしてまいる前段において、やはり干害のことを十分考慮に入れてやっていかなければならぬではないか。先般両政務次官を責任者にいたしまして、被害地の各地を調査いたしてまいりましたその報告書を私が読んでみまして、いま私が申し上げましたようなことを感ずる点もあるわけであります。したがって、ため池等も、もちろんこれは昔の農業技術ながら、やはり今日になってみますと、昔の人はかなり頭がよくて、ああいうものを至るところにやっておった。しかるに最近の状況においては、ややそういうことに手抜かりがあったのではないかというふうな感じも受けますので、したがって、農林省は、この際、災いを転じて福となすという意味で、応急対策とあわせて恒久的なことを考えてまいりたい、こう思っておるわけでございますので、応急のごめんどうを見るということについても、政府部内で一番やりよい方法をひとつ選択して、それでできるだけの被害地の御期待に沿うように努力をしたい、こういう考えでやっておるわけであります。
  73. 高橋英吉

    高橋(英)委員 一応納得いたすような御答弁で感謝いたしますが、(発言する者あり)私が申し上げますのは、具体的な対策をどうのこうのというわけじゃないわけなんで、具体的にどういう形をとろうとへ、この救済すべき農村の人々、この人々を救う、農村を振興してやる目的を達成する方法を講じてもらいたい。これは佐藤内閣のことであるし、名農林大臣のことであるから、必ず私は名案が出ると思うのでございまして、私が弱そうなことを言ったというのでみんなはやしたてておりますけれども、私はほんとうに大政治家であればあるほど、方法はどういう方法をとっても、その目的さえ達成すればいいと思うので、とにかく人間の知恵、人類の知恵というものは偉大なものだから、お互いに研究すればどういうふうな知恵も出て、そして干害地の救済目的を達成することができると私は信じます。  たとえば、いまちょうど恒久的な問題の話も出ましたので申し上げたいと思いますが、応急か恒久か、その中間みたいなものの一つとして、私のほうの郷土の、神戸牛と称するものを生産するところの瀬戸町というところに数百頭の牛がおって、その飼料がイモづるといいますか、イモの茎なんですが、このイモが全滅してしまった。イモどころですが、このイモが全滅したがために、今度飼料がないと五万トンの稲わらを買わなければならないということにもなっておるのでございますが、こういうふうなことで、神戸牛を食う人も来年はどうかというふうに私も心配しております。そういうふうな関係で、至るところにいろいろな関係ができてくる。恒久的な問題というふうなことになりますと、これは大臣はおられなかったから、あとからよくひとつお聞きになっていただきたいと思うのですが、気象庁の長官に先ほど干ばつの将来の見通しについてお尋ねしたところが、だんだん台風関係干ばつ可能性が顕著になってくるおそれがある。水の関係がだんだん少なくなってくるというのは統計上はっきりしてきておるようであって、通例の干ばつはむろんのこと、大干ばつもまた予想されないことはないというふうなお話があったわけでございます。これはたいへんなことで、一歩誤れば、日本が砂漠みたいなものになってしまうのじゃないかというふうな心配も私はいたしております。これは日本だけの現象じゃなしに、地球上の大問題になりますが、少なくとも、日本だけでも台風をたよってばかりおってはいけないというので、さっきから海水の淡水化やそのほかいろいろな議論も出たようでございますが、とりあえず、たとえば私ども郷土にいたしますと、肱川という大きな川があるのですが、これを利用しますならば、相当広い範囲の地域にかんがい用水として利用することができる。その外、私のほうの川だけあげましても、渡川、岩松川、僧都川というふうな川がございますが、高知県とまたがっておりますが、こういうものを利用すれば、必ず恒久対策になると思うのです。これは農林省や建設省もよくこの川の性質は御存じですから、いずれここに陳情はいたしますけれども、こういうふうに、そういう川の活用とかため池とか小さなダムとか深井戸対策とか、こういうものは私が申し上げなくともよくおわかりと思いますが、とにかく大臣、たいへんなことです。干ばつは必ず起こる、大干ばつは従来よりも起こるという気象庁長官のはっきりした御判定ですから、ゆゆしきことですから、どうしても台風にたよらずに、恒久的対策、根本的対策、これを講じなければならぬと思います。大臣、そういう気象上のことについて従来お聞きですか、どうですか。またお聞きでないとすれば、ひとつこれを聞いてぜひ根本的解決に邁進していただきたいし、お聞きであれば、根本的対策に対してどういうお考えであるか、お聞きしたいと思います。
  74. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 本年の長期予報によりますと、何と申しますか非常に男性的な、あるときは非常な豪雨をもたらし、あるときは干ばつをもたらすという長期予報、ことしの春の東北の干ばつのときに気象庁から警告を受けておりますので、農林省におきましては地方の農政局長会議を開きまして、それぞれの地方に応じてそういうような長期予報を前提とした対策を各自講じていけということを命じてあるわけでありまして、それぞれ努力をいたしておりますが、農林省では愛媛県の南部のほうに水管理についての大規模な調査をすでに開始いたしておるような次第でございますから、いま高橋さんのお話しのようなことに対応すべく、それぞれ調査研究を進めておるわけであります。
  75. 高橋英吉

    高橋(英)委員 大臣のいまの気象上の御答弁はことしの見通しだけのようで、短期見通しのようでございましたが、これは長期見通しとしてそういう傾向である、日本が砂漠になるかもしれぬというおそれを抱くほどの御答弁で、われわれも非常に心配しているわけです。したがって、そういうばかげたことはおそらくありますまいが、どうして心先ほど大臣が言われたように台風に、たより過ぎるのでありまから、従来甘い考えにおり過ぎたのではないかというふうなこと、対策をお互いに怠っておったのではないかというふうなことも、これは実際今日は妥当なお話だと思われるのでございまして、そういう意味においてもぜひひとつ恒久的なもの、たとえば大臣がいま言われました愛媛県南部の河川の問題ということになりますと、これは肱川という川の問題でしょうが、これは三市五郡にわたって影響をもたらすところの川でございますから、これはぜひひとつ早急に解決していただきたいと思います。  それからいま非常時対策というふうな意味におきまして、もう従来の例なんかに拘泥せずにやってもらいたい。いろいろなもののうちで、これはほかの方も言われましょうが、これは大臣でなくても、どっちでもいいのですが、とにかく私のほうは要望しておきます。共同施行専業というのがあって、これらは市町村事業よりも、補助率が低いそうですか、これも直してもらわなければならない。それから償還金の延期とか利子の引き下げとか、税の減免、所得税の問題について先ほど御答弁になったようでございまするが、そういうふうな単に所得税の問題を今度はどうするとかこうするとかいうことでなしに、こういうときですから、非常時対策としてとにかく大なたをふるってもらいたいというふうな意味、それから零細農対策というふうな問題もあるようでございまして、五万円以上は補助する、五万円以下は補助しないとか、それから機械と何とかは合わせたものを五万円ではいけないので、別々で五万円に達しなければいけない、いろいろ何かこまかいものがあるようですけれども、これは平常時の区別としては一応いろいろな予算の関係上やむを得なかった場合もあるかもしれませんけれども、これはぜひそういうことがないように、非常時対策として前例を破ってこういう問題に対して善処してもらいたい。  それからこういう問題もあるようですね。とにかく専門家じゃないので、ちょっと私が話を聞いたところによると、補助率の基準要綱といいますか、要綱というものと、それから施行基準というふうなものとの間に非常な差があるそうでございまして、要綱によると同じにやらなければいかぬというふうなことが、いつの間にか施行基準みたいなものによってその率が減っておるというふうなことで、これはまあ農民をだましたり、国会をだましたりしてしたようなことになりはしまいかと、私は専門家ですから詐欺罪が構成するのではないかということを警告したくらいなものですが、こういうことば、要綱ではっきり平等にやるようなことをうたってやるのでしたら、これは平等にやってもらいたい。これは何も区別する理論的根拠がないというふうなことでございますので、非常時対策のときにこういうふうな従来の欠点を指摘されるような問題については、ぜひひとつ御善処を願いたいというふうに思うのですが、これは答弁いただけますか、大臣でなくてもいいですが。
  76. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話しの中には、やはりたとえば共同で数人の者が工事をいたすようなものの補助率が、若干市町村のと違うというふうなことについての御指摘、その他あると思いますが、要は今回の非常的な災害につきましては、政府としても普通の災害のような考え方ではなくて、できるだけのことをひとつやらなければいけないということで、ただいま作業を進めておるわけでございますから、そういう場合に御趣旨のようなことも私のほうから申しまして、できるだけ努力をいたしたいと思っております。
  77. 高橋英吉

    高橋(英)委員 まだたくさんあるのですが、時間が来たようですけれども、大尉の名答弁のほうが長くて、私の質問は簡単でしたので、もう十分ぐらいもらうわけにはいかないでしょうか。
  78. 田原春次

    田原委員長 もう時間です。まだあと十人ありますから……。  工藤良平君。
  79. 工藤良平

    工藤委員 私は最初に、先ほど各県の代表の方から被害状況について御説明がありましたが、ちょうど四日のなまなましい被害大臣にぜひ見ていただきたいと思います。  これは水稲関係でありますが、すでに出穂前に枯死したものと、これは九月二十日以降に雨が降らないために、相当充実をしておりましたものが、こうしてほとんど枯死の状態被害が非常に大きく拡大をしておるという事例であります。  それから果樹の問題について、これは後ほどいろいろ意見を聞きたいと思いますけれども、こういう三つの種類があるわけであります。  これは傾斜地に栽植してありますかんきつでありますが、すでにこれは十五年ないし二十年の成木がこのように枯死している状態であります。  それから若干の揚水を行ないながら、散水をしてまいりました。これはおくての温州みかんでありますけれども、これが玉伸びが非常におくれておりまして、ほとんどこれはだめの状態であります。ただ成木だけはどうにか取りとめるという状態であります。  それからもう一つは、これはわせ温州で、すでに収穫期に入っているわけでありますけれども、これが非常に長い干害のために全体が水分が枯渇をしております。それが急激に――実は一週間前に約十ミリばかりの雨が降りまして、それがこういうように水分のアンバランスが出まして結局玉割れが生じた。こういうような特殊な条件が三つばかり出ているわけでありまして、この状態をぜひひとつ大臣としても御理解をいただきまして、これからの答弁をお願いいたしたいと思います。  まず最初にお伺いいたしたいのは、先ほどからそれぞれ御質問がありましたが、私はこの政府応急対策政府の取り組む姿勢の問題について、大臣のお考え方を伺いたいと思います。  先ほどから事務的には法律の範囲内でしかできない、こういうことの発言がありました。私も、法治国でありますから、その点については了解ができるのでありますけれども、それはあくまでも事務的な方であればそれで了解ができます。しかし大臣がいる以上は、少なくともこのワクをどのように越えてこの被災農民を救ってやるか、これらの農業を救ってやるかということを大臣自身が真剣に考え、それを閣議に反映をして、具体的な政策として反映をすることが、私は当面の大臣の任務ではないか、こういうように考えるわけでありますが、この点に対してまず大臣の考え方を冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
  80. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 法律の範囲内でことを運ぶと申しますのは、これは事務当局だけでなくて、政府は全部そうでなければならないと思います。ただしかし、そういう中でも、ただいまのような特殊な災害につきましては、そういう法律を逸脱することは不可能でありますけれども、また立法府の皆さんが自分できめてある法律を政府に犯せということをおっしゃるわけではありますまい。私どもと全く同じ立場でございます。そこで私どもは、それにもかかわらず行政としていまできるだけのことをしてこの難場を切り抜けることにつとめなければならない、こういうことのためにどのようなことをすることが一番いいことであるかということを、それぞれ各機関を集めて先ほど申しましたように検討をいたしております。とりあえずは、先ほども申しましたように、天災融資法激甚災害、それからそれが発動いたします前に応急につなぎ融資はすでにどんどん出しております。それからまた自創のワクも天災融資法が確定いたしましたならばそれに伴ってなるべくすみやかに決定をして措置を講じたい、そのほかに応急的なことで現金収入を得ていただくために何か方法はないかということについて、いま知恵をしぼっておる最中である、こういうわけでございます。
  81. 工藤良平

    工藤委員 私は法律を守るなということを言っているわけじゃないわけであります。そのある法律の運用のしかたによってさらに拡大実施ができるという範囲があろうと思うわけでありまして、その点を大臣の判断でもって拡大をしていくことがほんとうの政治だ、そういうことを大臣の姿勢としてぜひひとつここで御答弁をいただきたいわけであります。それは将来にわたって、このような大干害が起こったということを私ども自身が教訓として次の対策を立てなければならないわけでありまして、その点に対する大臣の御答弁をひとつもう一回いただきたい。
  82. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 将来の恒久対策のことになりますと、先ほど農地局長もお答え申し上げましたように、やはり果樹樹園地において灯かんということは非常に大事なことであります。したがって、先ほども例に申しましたように、私の長野県でもずいぶんやっておりますけれども、やはり樹園地をつくってまいりますときには、まず第一にそういうことを考えて樹園の計画をいたしてまいるわけであります。この間和歌山県の実情を見せていただきまして、地元の人も非常に喜んでおりますし、あそこにかりに干害があったとしても、おそらく私は今回のような被害はなかっただろうと想定いたしております。したがって、そういうようなことに特段の力を入れて地方当局とも相談をいたしてやってまいることがまず第一に必要ではないか。同時にまた昔からありますあるいは新しくやりましたため池等について、これは十分整備をしなければならない。大分県は御承知のようにたいへんにため池について地元が検討しておられます。ああいうところはかなり助かっておるところがあるのでありますからして、私どもはそういうことをよい参考にいたしまして、これから樹園地をつくっていかれる方々にもそういう立場で農業団体と協力して指導をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  83. 工藤良平

    工藤委員 具体的な二、三の問題について御質問をいたしたいと思います。  先ほどからいろいろと御質問がありましたが、特に緊急な問題として、各地におきまして非常に用水の施設を設備をいたしました。これにつきましてはすでに助成の計画等もあるわけでありまして、これらの問題につきましては、先ほどの御質問のとおりに、できるだけその対象を広げていただく、こういうことで御努力をいただきたいと考えるわけであります。たとえば、私ども地域におきましても、津久見市、臼杵市等におきましては、すでにビニールパイプを十九万メートルあるいは十五万メートル、こういった非常にばく大なパイプを要しまして、大分から岡山あるいは近畿方面までも買い出しに行く。それでもなおかつ入手できないというようなかっこうで、みすみすこの果樹を枯死させなければならないという実態があるわけで、私は、全体的に先ほどの御質問に対する大臣の答弁につきましては積極的に進めていただきますと同時に、このような必要物資につきましても、非常に高騰するという状態が出てきているわけであります。この問題については、農林省としてもぜひひとつ指導をお願いいたしたいと思いますが、その点に対する御回答をいただきたいと思います。
  84. 和田正明

    ○和田説明員 いまお話のビニールなりあるいはポンプなりにつきまして、最近若干メーカー等の実情も調べてみたわけでございますが、非常に異常な干ばつでございまして、需要が多くなったために、大手メーカー等には大体在庫の手持ちがないような現状でございまして、値上げをしないような指導というふうにおっしゃられましても、いま在庫がないという実情なので、なかなか困難だというふうには考えております。
  85. 工藤良平

    工藤委員 水稲の問題についてお伺いをいたしますが、水稲につきましては一応共済の制度もございまして、この共済の適用がずいぶん出てくると思いますが、この共済金の仮払いの問題について早急な事務手続が必要だと思いますが、この点に対する指導状態についてお伺いをいたしたいと思います。
  86. 大和田啓気

    ○大和田説明員 水稲共済金につきましては、すでに私ども、県庁及び共済の連合会を指導いたしまして事務を進めておるわけでございます。また、私どもも、農林省から人を出しまして各県の指導に当たっておる状態で、県によりまして多少事務の進捗状況が違いますが、早いところは大体十月末、おそくとも十一月中には共済金の仮渡し金ができるだろうというふうに私ども考えております。  なお、私どもも御同様に、できるだけ早く共済金の仮渡しをいたすために今後もなお指導をいたしたいというふうに考えております。
  87. 工藤良平

    工藤委員 水稲の場合には、非常に弱いものでありますけれども共済という制度がございます。ただ、果樹その他の問題については、この共済という制度がございませんために、個人のわずかな備蓄されたもので生活なり、あるいは、もちろん営農資金等も借り入れをいたしますけれども、やらなければならないという実態があるわけで、この果樹に対する共済の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。
  88. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども実は先般の通常国会におきまして、果樹保険の実施につきまして相当広範囲に実験実施をいたす法案の成立をお願いをいたして、四十三年度からこれを実施に移すために現在せっかく努力中でございます。  内容等につきましては、詳しくは申し上げませんが、ミカン、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ等六つの樹種につきまして、大体成園面積の一判程度を全国的に試験実施をするように現在県当局と話し合いを進めておる段階でございます。
  89. 工藤良平

    工藤委員 果樹の場合には四十三年度から、そういうような状況でございますが、今年の特徴として、さっきお見せをいたしましたように、収量そのものが非常に少ないということが一つと、それから、でき上がった品物がこういうように裂果が出ておりますから、ジュース程度にしかならないということで、私どもも一昨日見てきましたけれども、これを全部摘果をいたしまして、最小限ジュースにでもというささやかな気持ちからすでに出荷をしているわけであります。一体幾らいくだろうということで農協あたりに開いてみましても、キロ十五円いけばいいだろう、こういうことを言っているわけであります。そのまま捨ててしまうよりもましだろうという考え方で、果樹農家というものが非常に深刻な状態に陥っている。したがって、この果樹の問題につきましては、先ほどから再三指摘がありますように、補助の対象等にもならないということから、この問題についてはぜひひとつ大臣、何とかして対策を講ずるように、大臣の考え方、決意をお伺いいたしたいと思います。
  90. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 個人災について国がめんどうを見るということは、御承知のように、できないことになっておりますので、私どもといたしましては、地域全般についていろいろな形で災害の別象が起きておるわけでありますから、そういうことに対してはできるだけのことをやらなければいけない。こういうことで、しかも、その中で一番やりやすい方法は、さっきも一つの例を申し上げましたが、特交等を考慮することによって、自治体がそれぞれそういう形で、財源はかりに国から出るといたしましても、取り扱いについては自治体がやっていただくということは非常に効果のあがることでありますし、そういうことでできるだけのめんどうを見てあげることは必要だということで研究をしているわけであります。
  91. 工藤良平

    工藤委員 実は被害状況についてでございますが、各県ともそれぞれ、いま、国の報告によりましても七百億という非常に膨大な数字が出ているわけでありますが、この各県の報告をどのように評価をするか。農林省としては、この報告をどのような取り扱いをなさるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  92. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 統計の担当部局から参っておりませんので私からお答えをいたしますが、各都道府県からの被害報告がまいっておりまして、その集計につきましては、先ほど私から御報告を申し上げた数字になっておるわけでございます。それに対しまして、私どもの内部の機構としての統計調査部が九月二十五日現在で調査をいたしたものが目下集計されつつあります。その集計をされております中身は、直ちに県の報告と対比すべきものと必ずしも性格的に言えないものであります。たとえば、樹体の衰弱被害というものを入れて県ではごらんになっておる。私どものほうでは、そこまではこの段階では無理であるということもございます。その他作目によって中間集計としては多少困難な問題もございますので、それらの問題は省略をされておるということでございますが、いずれにいたしましても、農林省調査によりましても、今回の災害が農林産物のいわゆる作物被害としてはおよそ経験をしたことのない大きな災害であるというふうに私どもも認識をいたし、評価をいたしております。
  93. 工藤良平

    工藤委員 そうしますと、各県から報告されたものを統計調査事務所から報告したものでチェックをするということも、必ずしもそういうことではないということになりますか。
  94. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 従来の災害被害調査におきましても、府県のいわゆる見込み調査といいますか、そういうものはある程度ども災害対策を進めてまいります際のめどといいますか、足がかりとしてこれは利用さしていただいておる。そういうことから、私どもは、災害の規模、質というようなものを判断をさせていただいておるわけです。ただ制度としての天災融資法発動でございますとか、あるいは激甚災指定というようなことに相なりますと、各県ごとの数字の合計がその発動の条件になりますと同時に、県別のたとえば資金の配分の基礎等にも和なりますので、災害査定といいますか、そういう同じ尺度ではかる必要があるという意味で統計調査部の数字を使うことが妥当であるというふうに政府内で扱っておるわけであります。
  95. 工藤良平

    工藤委員 そういう査定の基準になりますから、私は非常に重要視をいたしまして統計調査事務所の数字でチェックをするのかということを実はお開きをいたしておるわけでございます。この統計調査事務所の数字というものは、一般に被害農家からいたしますと、非常にかけ離れた感じを受けるわけであります。この点が調査を進める段階におきましても農民から非常に反発を受けるような事態が出てくるわけなんで、したがって、やはり予想収量というものを基準に置きながら、本年度はたとえば平年作に対しまして一三〇%できるというような状況が出ておる、それに対して被害が幾らあったという数字が出てくるとすれば、私は実勢に合うのではないかと思うのでありますが、その点について統計調査事務所のチェックをする数字というものはどういうことになるのか、平年収量を持ってきて当てはめて本年度の被害は三〇%というのか。そうしますと、予想収量からいたしますと若干といいますか、相当の食い違いが出てくるのではないかと思うのですが、その点に対して考え方をお聞きしたいと思います。
  96. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 残念ながら私も統一調査の細部にわたる調査の要領等を心得ておりませんので、十分なお答えはいたしかねるのでございますが、考え方といたしましては、被害統計というものを出します際には、これは当然通常の条件でありせば収穫されるであろう数量に対して現実の数量が幾らであるかということで判定する以外には、尺度はないと思うのでございます。そういう意味で農林省の統一調査にあらわれます被害数字というものは、これは平年反収を基礎にした被害額として出てくる、農家の場合、あるいは府県の実態等で災害がなかりせば幾らの収穫が予想された、それに対して現実が幾らというような場合には、その間には若干の誤差が出ることは私はあり得ることだと思います。
  97. 工藤良平

    工藤委員 たいへん不満であります。時間がありませんから、私はこの調査の問題について、先ほど特に果樹の共済ができる――こういうようなことから、調査について私は最後に農林省の考え方をお伺いしたいと思うのですが、特に果樹の場合には収量そのものが減収するということと、さっき御答弁かありましたように、樹体が非常に弱っている、こういうことから評価はむずかしくなるわけであります。したがって、この際、被害調査のデータというものを農林省が徹底的に本年度やる必要があるのではないか、こういうことについて考え方を持っておられるかどうか、特に果樹保険というものが出てくるという段階においては、若干追跡調査になりましょうとも、徹底的に調査をして資料を整えておく、こういうことがやはり果樹共済を進めていくためには非常に必要ではないだろうかと考えるのでありますが、この点に対する考え方と、早急に調査対策を立てまして、やはり統計調査事務所なりあるいは地方庁に委譲するとするならば、それに対する予算措置というものを講ずる必要があるのではないかと思いますが、その点について考え方をお伺いしたいと思います。
  98. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 御質問のうちで、樹体の被害に対する被害の認定はきわめてむずかしい問題でございまして、従来は植栽本数のうちの被害程度別に本数を数えましたものに基づいて標準的な被害額を集計をして出すというようなことをやっていたようでございます。こういうむずかしい被害の認定につきましては、今後ともいろいろな経験もし、あるいはある意味では試行錯誤的なこともやらざるを得ないかと思いますが、次第に綿密な被害の測定方法というものを発見するように努力すべきだと思います。  なお被害数量の把握の方法をより合理的にする方法といたしましては、農林省に設置されております統計審議会等に専門家もおられますので、それらの御意見も聴取して進めてまいりたいと思います。  農林省の行政の基礎にいたします被害調査は、統計調査みずからやらせるつもりでございますので、目下のところ府県に委託調査をさせるという気持ちはございませんが、府県の機能等に協力を求めるというような場合もございましょうと思いますので、その点は正確な被害数字等をつかむための手段としては、私ども配慮をしてまいりたいというふうに思います。
  99. 工藤良平

    工藤委員 次に生活の問題について一つだけ大臣の考え方をお伺いいたしたいと思います。  いろいろな制度で救済をしてまいりましても、来年の収穫期に取りつくまでは非常にたいへんであります。中には全然保有米もないという農家が出てきているわけであります。この保有米対策、さらに予約をいたしました予約金の問題等につきましてはすでに措置がとられると思いますけれども、保有米がなくなった農家に対して食管法七条でいう貸し付けというものの対象にすることができないのかどうか、その点についてひとつ考え方を明らかにいたしていただきたいと同時に、特に救農土木事業あるいは生活保護の適用等につきましても私は真剣に農林省として考えて、この生活の問題につきましても対策を講じていただきたい。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  100. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 後段のほうの社会保障関係のことでありますが、そういうことにつきましては、救農土木等についてとりあえず現金収入を与えるという方法等、先ほど申しました協議会で十分にいま検討中でございますので、できるだけのことをやれるように政府部内で相談をいたしたいと思います。  それから前段の保有米のことにつきましては事務当局からお答えいたさせます。
  101. 馬場二葉

    ○馬場説明員 例年完全保有農家で、今度の災害のために非常に生産が減りまして、飯米も保有米もないという農家に対しては、一部保有農家に準じて原則として配給の措置をとっておるわけでございます。非常に災害が大きく、しかも広範にわたりまして、飯米代金が支払えないという農家が現実に相当多数あるというような場合は、非常に調査を綿密にやりまして、その代金について県のほうから詳細な資料を付して、たとえば延納売却というような申請がございますれば、具体的に県のほうと連絡をして調べた上で、飯米代金を払えない農家の数等を調べました上でいろいろ善処いたしたい、こういうふうに考えております。
  102. 工藤良平

    工藤委員 時間があと五分だそうでありますから、最後に大臣にお聞きをいたしたいと思います。  これは恒久対策についてでございますが、先ほどすでにため池の問題につきましては御答弁がございましたが、ぜひこのため池につきましてはその対象基準を拡げていただいて措置をしていただく、これについても重ねてお願いをいたしておきたいと思います。ただ今回のこの被害実態を見ますと、主として水源地域といわれる山中部が、水稲地帯等を見ましても、被害を非常に大きく受けているわけであります。畑作地帯はもちろんのことでございます。したがって、今後の治水あるいは利水の問題についても、私は、ダムの建設なり、あるいはこれは総合的な水資源の開発の問題で、農林省として相当積極的にこの水資源の開発について取り組んでいかなければ、工業用水あるいは上水道等の関係等もありまして、重大な問題が出てくるのではないだろうか、こういうことを心配をするわけであります。したがって、今回の場合に緊急に発電用のダムなり、もちろん多目的ダムについては申すまでもないと思いますけれども、そういうところについて農林省としてどのような手が打たれたのか、どういうような措置が行なわれたのか、あるいは今後全体的に水利権の問題等をめぐりまして、この水源地域の開発をあわせた利水計画というものを早急に打ち立てる必要があるのではないか。特にその中における農業用水の問題について農林省はどのような姿勢で取り組もうとするのか、この点を最後にお聞きをいたしたいと思います。
  103. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどもちょっと愛媛県のことについて利水の調査研究をやっておるという御報告をいたしましたが、今回の干ばつ災害各地の状況はそれぞれ若干ずつ相違はありますがお話のようにこれから樹園地を構成してまいるというようないろいろな地方の御計画等もやはり農林省と県または農業団体等と緊密な連絡をいたしまして、そういうことについて万全の策を講ずるように、水管理についてはこれを機会にさらに努力を続けてまいりたいと思っております。
  104. 小松幹

    小松委員 関連でございますから、一、二点お尋ねいたします。  ただいまの最後の問題でございますが、水資源の確保というのは農業では重大な問題だと思うのです。日本の政治の中で、工業用水の確保あるいは上水道等の確保というのが、すべて河川、中小河川あるいは大河川、そういうものに、求められてまいっております。ところが日本の農業も中小河川の水を利用するか、天水をためたため池にたよるか、この二つで来たわけなのですが、干害ともなれば地の底を掘って地下水をくみ上げる。最近は海の水から取る。水を取る方向としては三つか四つしかないと思う。そのうちため池と河川の水資源によって農業は成り立っておると思うのですが、その中小河川の水が上水道に取られ、工業用水に取られてまいりますと、政治全体から見たときに、一体水資源をどのように分けるか、分け合いの問題になるが、農業は水を利用しなければ、畑作であろうが、ミカンであろうが、水田であろうが、水が一番重要と思うのです。その重要な水の分け合いの面で、中小河川を工業用水あるいは上水で取られ、農業もこれを取る、こうした場合には、勢い枯渇をするということも考えられる。いうならば政治全体としてこの中小河川の水の分け合いをどうするかという問題があると思うのであります。工業用水は海の水から取ってくれ、あるいは山野のほうの、山岳地まではいかないでも、山野地帯、あるいは国東半島のかんがい、ミカンの地帯あたりはため池を全部利用するのだとか、あるいは筑後川の水を早く国東半島に引くんだとか、こういう一つの方向性というものを農林省は持たないと、私は水に追い回される農林省になり、水不足をかこつ農民になってしまうと思うのです。この点、今度の干害をしおに、農林省は抜本的に水の資源の確保の方向というものの方向性をきめなければいけないと思うのです。特に今度の干害地は天水をためたため池がほとんど全滅に近くなっておる。それはため池などにたよるから悪いんだというた場合に、一体農業用水をどこから引いてくれるのかといえば、引く中小河川もないじゃないか、勢いため池にたよらざるを得ないという日本農業であるならば、今後の水資源の確保はため池の抜本的な水資源確保という方向にある程度向かわねばならぬ。それから中小河川の水の配分を農林省として積極的に分け入ってきめてもらう必要があると思うのです。いままで農林省は農業改良事業にはたいへん力を入れていただいた。最近では農業構造改葬とかあるいは機械化の問題には力を入れていただいてはおりますけれども、真剣に水資源の確保というものをどのように考えていたか、この問題です。いま大臣は水資源の確保は愛媛県の南のほうに水を引くんだというような局部的な問題を取り上げておりますけれども、それが全日本の農業にどのような位置を占めておるのか、その点をお聞きしたいわけです。水資源確保に対する農林省のお考えでございます。それをお伺いします。
  105. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 工業もそうでございましょうけれども、農業も、お説のように、水の管理が土地改良等と並行して一番大事な問題でございます。したがって、先ほどは愛媛県の例を申し上げましたけれども、私どもは、御承知のように、各地に農業用あるいは多目的のダムを築造してまいりまして、それぞれの地域の水管理については努力をしておるわけであります。私は最近に新潟地方災害地も、地元の要望によって山形その他行ってみる予定にしておりますが、たとえばあの辺でも加治川という川が決壊をいたしました、そのために治水の目的で建設省は一つのダムをつくります、わがほうはそれと並行いたしまして農業用水を目的としたダムをその支川のほうにつくる。そういう場合にはやはりこの水を対象にしておる。耕作面積の所要の水のトン数はどのくらいになるかということについて建設省と技術的な打ち合わせをいたしまして、ダムの容量等について分け合うことにしておるわけであります。そういったような水の管理につきましては、全国的にやはりそれぞれ地元の御要望等をもいままでは参酌もしており、農林省自身も率先してそういうことをいたしておるわけでありますが、今回の干ばつ地帯は、これはもうすでに御承知のようにいままであまりそういう経験をお持ちにならなかったところへ古今まれに見るといわれる何十年ぶりかの大干害でございましたので、やはり地元の方も抜かっておったでありましょうし、油断もあったことだろうと思います。そういうことをやはり考えてみますと、全国的に水管理についてはさらに一段の力を入れなければなりませんので、私どもといたしましては、周期的に来る台風の雨等を当てにいたしておるわけにいきませんからして、それぞれ今回のことを機会に調査をいたしまして、水管理についてはどういうような事態があっても万全を期せるようにひとつ努力をいたしたい。愛媛県のことは前々からやっておりましたので 一例を申し上げただけでありますが、水管理については一そうの努力を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  106. 小松幹

    小松委員 水資源の確保は、私は農林省としてまだ太鼓のたたきようが少ないと思うのです。いままではほかのことに追われておるといえばそれまででございますが、やはりこういう干害時を契機に、一体どのような水資源の確保をするかというのを、農林省のワクをもっと越えて、政治全体の分野までこの水資源の確保というものを考えない限り、日本の農業はいつも、からうす拍子になって、ミカンは植えたが、干害でやられた、こういうような形になってからうす拍子がひどくなると思うのです。やはりミカンであろうが何であろうが、水田であろうが、いかなる災害が来ようとも、水には事欠かないという日本の農業を確立するというぐらいな方向性を強くこの際お持ちにならないと私はできないと思う。先ほどから臨時的な干害対策等をお聞きしておりますと、大臣自身も、どうも会計検査院からしかられるからそのワク内でやるのだというような、まことにお役目のがれみたようなことをおっしゃっておりますが、こういう考えでは、私は日本の農民というものはいつも天を仰いで嘆息する以外にないと思うのです。やはりワクがあるならば、会計検査院からしかられるならば、農林省のワクを越えるような施策なりあるいは法律案を出してきて、そうして積極的にワクを拡大する。法律をつくるのは、あなた方が起案者でありますから、その起案者になるべきでありましょう。そうしなければ、この問題の解決はできない。ため池の問題にしても何百立方メートル、そして高さがどのくらい以下のため池は補助対象にしないのだ、それが法律できまっておるのだといえばもはやそれまででございます。それならば今度全滅した中小ため池を美田たらしめるためのため池にするにはどうすればいいか。補助対象のワクをぐっと下げる一つの臨時措置法をこしらえて、こういうようなワクを踏み越えるような対策を考えない限りは、既往の観念と既往の法律のワクで縛られておったのでは、これは何もできない。同時に今度の中小ため池がほとんど枯渇して全滅しているということから考えてみましても、来年が必ず調子がいいとは受け合えないと思うのです。先ほどの気象庁の意見や、ちまたでもよく言われておるように、この干害はことしだけで終わらない。来年も再来年も続く干害だといわれておるわけであります。九州方面は十年前は台風常襲地帯といって台風常襲地帯法案をやいのやいのと言ってつくった、ところが台風はだんだん東のほうに移ってまいりまして、逆に法律をつくったら、こっちのほうに台風が移って、九州干害地帯になって、もうこれで何年目か、私が国会に出てから三度目の大干害を受けております。そうしてそのたびに干害視察に行って救農土木だ救農土木だと言うけれども、最後はやはり林道か何かでお茶を濁して、ついにほんとうのため池対策というのをしていない。だから私は救農土木という形、あるいは臨時的な措置法という形をもう一つ乗り越えて、臨時立法、三カ年計画でもよろしい、私は五カ年計画と言いたいけれども、三年計画ぐらいで、ほんとうはこれをなし遂げて、中小ため池を完ぺきにつくり上げるだけの計画をお持ちになっていただきたいと思うのです。そうでなければ、私はこれは救えないと思うのです。来年も再来年も干ばつにかかる……。
  107. 田原春次

    田原委員長 小松君、関連程度にしてください。
  108. 小松幹

    小松委員 そういうことで中小ため池の抜本的な三年計画をお立てになる用意があるか、ほかのところはみな、治水事業五カ年計画とか、中小河川改修三年計画というのを出しておるが、ため池改修三年計画というものをお考えになる意図があるかないか、そうでなければ、私はこの日本の山野方面干害は救えないと思うのですが、この点についてお考えがあるかないか、お聞かせ願いたいと思うわけであります。
  109. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いままで干害常襲地帯といわれておりますような地方につきましては、農林省においても、県営、団体営その他に補助を出し、そしていわゆる常襲的にまいる干害についてそれぞれの措置を講じてまいっております。ことしの東北地方においても御存じのように大体において地元の人々が喜んでくれるような措置ができたわけであります。したがって、今回のようなことをよい参考にいたしまして、さらに全国的にそういうことについてもう一度見直して、ひとつ今回のような心配の再びないように、最善の努力を水管理に対していたしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  110. 小松幹

    小松委員 ただいまの農林大臣の意見であれば、これを早急に具体化していくようにお願いしたいと思います。
  111. 田原春次

  112. 稲富稜人

    稲富委員 私は、元来農業災害に対しまして、いろいろありますが、特に干害は天災にあらずして人災だ、こういうような感を日ごろ持っておるのであります。今回、特に干害災害地を回りますと、やはり備えのあるところは干害をこうむらない、これに対する備えが不十分であったところが干害被害を受けているということは、明らかに干害は人災だ、こう言っても過言じゃないと私は思うのであります。ところが日本は元来水に対して恵まれているので、これを非常に等閑に付しておったということがあると思うのであります。これが今回の干害に対して非常に教えられるところがあった。おそらくこれは一般の国民ばかりじゃなくて、政府においてもまたそうであったんじゃないかと思うのであります。その点から、たとえば天災融資法ができました当時から、はたして政府干害がこれほど大きなものとして農村を襲うということを予期していただろうか、おそらく予期なさってなかったんじゃないかとさえ思われる。なぜならば、天災融資法の第一条を見ましても、「この法律は、暴風雨、豪雨、地震、暴風浪、高潮、降雪、降霜、低温又は降ひょう等の天災によって損失を受けた農林漁業者及び農林漁業者の組織する団体」、こう書いてある。干害地は入ってないのです。おそらく天災融資法を適用するとするならば、「降ひょう等の天災」の「等の中に干害も入っているんだという御解釈であろうと思うのでありますが、これほど大きな干害、すなわち、昔からわが国を襲った農業飢饉というものは、干害から来ているものが多いわけであります。干害というものがこれほど大きな被害を農業に与えるということがありながらも、あまりに等閑に付しておったんじゃなかろうかと私は思う。それで、私はいままでのことは知りませんが、この機会にこの干害に対する教えによって、われわれはこれに対する対策をここでまじめに考えなければいかんじゃないか。それがためには現在の被害をこうむった羅災農民に対するまず応急対策をどうするかということが一つ。さらに再びこういうような干害をこうむらせないような恒久対策をこの機会にひとつどう律するかという二つの立場から、私たちはこの干害対策に対して、再びこのようなことのないように考えなければいけないと思うのであります。それで、私はまずその点から緊急対策恒久対策と、さらに恒久対策に行くまでの中間の対策として三段階に分けて、これに対する対策を承りたいと思うのでございます。  まず、今回の災害で非常に大きかったということは、水田もおのずからでありますが、ことに樹園地帯においては非常に被害をこうむったのが多いのです。それで、先刻からこの応急対策に対しまするいろいろな御質問に対する大臣の御答弁を聞いておりますと、今度の災害に対しましては、水に対して、あるいは井戸を掘るとか、あるいはこれに対する水管を引くとかいろいろな費用が要っております。あるところに行きますと、山の上では水一升が五円以上かかった、こう言っております。これは労力費をのけた費用です。これほどばく大な犠牲を払っておる。こういうような罹災農民の方に対して政府があたたかい手を伸ばしてやるということも、緊急対策として当然やらなくちゃいけない問題であると私は思うのであります。ただ、こういう問題に対しては、先刻から承っておりますと、これはひとつ自治省において、自治体において何とかやることが非常にいいのじゃないかというような大臣の御答弁であったようでありますが、こういう問題に対しては、単に自治省にまかすのではなくて、農民のみずからの生活を守り、農民のみずからの振興をはからなければいけない農林省みずからがこれに取り組んで、こういう問題に対する対策をやらなくちゃならないと私は思うのであります。その点において、先刻の倉成君の質問に対しまして大臣が、特段の処置を講じようと思っておるのだとおっしゃった。私はその特段の処置というものに対して非常に期待を持っておりました。ところが先刻からの答弁を聞いておりますと、その特段の処置というものが、何か自治省に対してひとつ積極的にやってもらったらいいのじゃないかというようなこと、従来あまりやったことがないから今度新しくやるわけにいかない、これは私はあえて農民に対する特段の処置じゃないと思うのです。先刻大臣の言われた今回のこの干害に対して特段の処置をとるという、被害農民のこの窮状を考えての大臣の気持ちというものはどこにあるかということをまず承りたいと思います。
  113. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府がやろうといたしておりますことは、先ほど来しばしば申しましたように、応急の救農土木的なことをやることによって、とりあえず現金収入をあげていただくようにしよう、それには予備費等のことについても財政当局と十分相談をいたしております。そのほか、先ほどいろいろな消耗品や資材のお話もありましたけれども、私どもとしてはそういうことについて法的にめんどうを見るということがなかなかできませんので、そういうことについては、自治省も農林省も建設省もみんな出て一つの協議会をつくっておるわけでありますから、財源はどこから出ようとも、まずやりやすい方法で手っとり早くめんどうを見てあげることが一番いいではないか、そういうようなことで鋭意検討、相談をいたしております。こういう経過を申し上げたわけであります。まかせっぱなしということではありませんで、政府として、そういう協議会で方向づけをして、できるだけのことをやっていきたい、こういうわけであります。
  114. 稲富稜人

    稲富委員 先刻承っておりますと、激甚地の指定の問題とか、あるいは天災融資法の適用とか、こういう問題については政府としても大体もう腹がきまっておるようでありますので、この点は私は政府の善処方を要望するのみでございます。  さらに、従来ありました農業共済に対する概算払いの問題であるとか、こういう問題は当然おとりになると思うのでありますが、ここに問題が先刻から起こっておりますのは、今回の災害に対しましては井戸を掘ったとか水路をつくったとかあるいは送水管を設置したとか、こういう経費が非常に農民の負担になっているという事実でございます。さらにまた、水揚げ機械を買ったとかボーリングの機械を買ったとか、こういうものも非常に費用がかかっております。これはおそらく農民も予期しなかった干害である。さっき言いましたように、政府もこれほどの干害が襲うてくるだろうということはおそらく今日まで予期したことばないと私は思うのであります。それがため、天災融資法を制定する場合にも干害というものをその文句の中に入れなかったと私は思うのであります。そういうようなことがありますので、こういう費用に対する助成措置をやることが必要ではないか。それで、これに対して農林大臣はいま、自治省その他と話して何かの方法で出るようにしたらいいじゃないかとおっしゃった。もちろん金は何かの形で出ていいと思いますけれども、しかし自治省、建設省、すべてのそういう協議をまとめる上においては、農林省がまず陣頭に立って、農林省がこれに対する助成対策をやるのだということをまずきめて、自治省なり建設省その他の機関にもはからなければ、農林省がただよそにおんぶするのだという気持ちではこれの実現方は困難じゃないかと私は思う。それで現在法的にはこれがいろいろ問題があるとしても、農林大臣は率先してこういう問題に対して何とか助成措置をやるべきではないか。出すほうはあるいは自治省がやらなければならないかもしれません。しかし、何とかしてこれに対して助成措置をやるべきであるという農林大臣の腹がまえをまずきめていただいて、そうして処置をとることが最も必要じゃないか。こういうことを私は特に大臣にお願いしたいと思うわけであります。
  115. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、部内でいろいろ話をいたしておりますときに、そういうことが可能であるかどうかは別として、松代方式を参考にしたらどうかということを申したわけであります。松代のああいう地震対策におきましては、個人災害について政府が特別に補助をしたり何かいたしませんでしたけれども、つぶれかかった家をささえなければなりません。石がきも積んで、それをささえることには労賃も必要であります。資材費も必要であります。県は全部それを立てかえて、その被害者に心配をかけないようにいたしました。県の支出いたしたものは国がめんどうを見ました。私は非常な災害については、いろいろ知恵が出てくるものだと思っておるわけであります。松代地震のときにはやはりこの災害委員会でも、そういうことについて私ども自身被害地選出の代議士として要望もし、実行もされて、被害者はたいへん喜びました。いろいろやり方があると思いますので、できるだけのことを政府部内においては考慮してやるべきではないかということを相談いたしておる最中であります。
  116. 稲富稜人

    稲富委員 いまの松代方式の問題は、私も実はそういうような対策を樹立すべきであるということで、後ほど、今回の干害に対しても松代方式をとったらどうか、その御意思があるかどうかを聞こうと思っておったのでありますが、現地に参りましても私たち非常にそれを痛切に感じました。私たち調査に行きました調査団の諸君とも、松代ではこういうことをやったんで、こういう方式をこういう非常災害の場合はとって、そうして知事にある程度の権限を持たせなければ、一々中央の鼻息をうかがっておいて対策をやるということでは手おくれになるのだ、こういうことを言ったくらいでありますから、大臣がそういう気持ちでおられましたら、どうか今後そういうことでこれに対する十分なる対策をとっていただきたいということを私も大臣に希望を申し上げたいと思うのであります。  さらに災害緊急対策として考えなくちゃいけないことは、今回のこの農作物に対する病虫の被害、ことに災害をこうむりました枯れかかった稲なんかを見ましても、非常にウンカが発生しております。こういうことのために異常の病虫害の発生が当然起こり得ると私は思うのでございますから、病虫害の防除の費用であるとかあるいは農薬の購入費であるとかあるいは樹木が枯れて植えかえなくちゃいけない、そういう苗木の購入、こういうような問題に対しましても、いま言ったような立場から、樹勢の回復等に対しましても、緊急な場合、松代方式でやられたようなことで知事に責任を持たせてこれが緊急対策をやる、そうしなければ手おくれになります。こういうことも含んでひとつ十分お考え願う必要があると思うのでございますが、いかがでありましょう。
  117. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農林省におきましては、ただいまのような問題を考慮いたしまして、それぞれ検討をいたしたわけでありますが、事務当局のほうからお答えいたさせます。
  118. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいまの御質問の病害虫の問題でございますが、確かにウンカの発生が若干多いようでございます。われわれのほうといたしましては、干ばつによって異常発生したというような判断はまだいたしておりませんので、そこらあたりを十分調査いたしたいと思っております。  また農薬その他につきましては、補助等が末端は非常に零細になるというようなこともございまして、なかなか補助いたすということは困難ではないかと考えておりますが、状況の把握がまだ不十分でございますので、異常発生という状態であるかどうかもなお検討いたしたいと思っております。
  119. 稲富稜人

    稲富委員 病虫害の異常発生等を私たち実際に見ましたが、枯れかかった稲なんかにはもう農民は手入れをいたしません。中に入ってみると非常にウンカが発生いたしております。この異常発生は来年度に影響するのではないか、早くこれに対する防除策を立てる必要があるのではないか。これは早く調査して、こういう結果が当然あらわれると思いますので、これに対する対策を講じていただきたいと思います。  それから罹災地の農民は非常に飯米に窮しておるというところがあります。私はある地方に行きまして農民からこういう小言を食いました。米価対策にわざわざ東京まで行って、米価値上げでわれわれは戦ってきたんだ、ところが帰ってきて今度は高い米を買わなくちゃいけないようになった、こういう悲劇がありましょうかという訴えを受けたのであります。私はこういうような農家も相当あると思います。こういうような農家に対しては、やはり飯米の貸し付けをやるとかいうようなことも当然やるべきじゃないかと私は思います。さらにこういう農家に対しては、来年度の種の配給も当然考えてやらなければいけないと思うのでありますが、いかなるお考えでいらっしゃいますか。
  120. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういうことにつきましても農林省は心配をいたしまして、措置を講じておるわけでありますが、食糧序のほうからお答えいたします。
  121. 馬場二葉

    ○馬場説明員 先ほども申し上げましたように、従来完全保有農家であった農家が、今度の干害で飯米にも非常に不足するという場合は、一部保有農家に準じて配給いたしております。さらに再生産等に必要だという場合は、一人一カ月五キロの増配をいたすということも従来からやっておるわけでございます。  問題は、買い入れ代金支払いの問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、非常に多数の農家で飯米代金が支払いできないという事態があって、県のほうから、知事の申請があれば、よく実態調査の上検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  122. 稲富稜人

    稲富委員 それから、これはミカン関係で、園芸局長に聞きたいと思うのでありますが、今回の干害等に対する指導の問題であります。ある県に参りますと、今回のような干害に対してはミカンは早く実をとって、そして樹勢を保つような方法をとったらいいんだという指導をされておる場合もある。あるところに行きますと、ミカンの実は置いといて、そうして元木が水分をとるからこれはいつまでも実をならしておいたほうがいいのだという指導をやられておるところもある。こういうところはどちらがいいのであるか。こういう問題に対する指導というものが統一されていないのかどうか、また将来こういう問題に対して早く統一した指導をやるべきじゃないかと思いますが、これに対してはいかがな指導をやられておりますか。
  123. 八塚陽介

    ○八塚説明員 ただいまのお話でありますが、一般的にはなかなか言いにくい問題であろうかと思います。たとえば現在の状況は千差万別でございますから、一がいに東京からこれがいいんだということは非常に言いにくいと思います。ただ私ども、従来常識的には、そこの稲富先生の前にございます小さくなっておる程度のものは、むしろ摘果しないで根のための水分の貯水池的な役割りを果たさせたほうがいいというふうに聞いておるわけでございます。私どもその点につきましては本省で相談をいたしたのでありますが、これはむしろ現地現地の具体的な事情によって判断をする必要があるであろう。その意味におきまして、当然各県におきましては試験場があり、専門技術員等がおられるわけでございますし、一方園芸関係の農協の指導員等もおりますので、そういう点についてはむしろ各州の指導にまかしたほうが、現地に即した、現実に即した指導ができるということで、号令をかけることをむしろ差し控えたのでございます。ただ若干九州の県でまだ議論があるというようなことを聞いておりますので、具体的に何県でそういう議論があるということであれば、また私どものほうの試験場の技術者等の意見を聞いて指導をしてまいるということにいたしたいと思います。
  124. 稲富稜人

    稲富委員 これはこういうような干害が初めてだからついこれに対するいろいろな研究も十分でなかったかと思うのであります。今後もあることでありますから、こういう問題に対してはどちらをとったほうがいいんだという農林省としての一つ指導方針をとらなければいかぬ。あるいは防除対策もそうであります。樹勢回復の場合もそうであります。こういう問題が起こった場合、ほんとうに農民は右往左往するのだから、こういう方法をとるべきであるという指導体制を早く樹立して、そうして最善の方法をとらせることが最も必要であると私は思うのでありますから、こういう問題は十分この機会に検討されて、今後こういう場合に、ミカンの場合にもほかの果樹の場合にも、どういう方法をとるかという指導体制を確立しておくことが必要だと思う。各県で意見がまちまちでたいへん迷っております。この点を特に政府に要望しておきたいと思うのであります。  それからいま一つは、天災融資法によります経営資金の問題でありますが、「経営等に必要な資金」というふうに融資法の第一条にあります。これは農協あたりで借りて、あるいはいままで農家のほうで肥料代その他を払っております。この払ったものは、将来の必要じゃないのだということでもう対象にしないというような解釈をされておるやに承っておるのであります。こういうものに対しては無理をして農民は負担をしているのだから、この干害におうた被害農家としての統一見解でやはり融資の対象にするということで考えることが私は必要じゃないかと思う。しゃくし定木に考えて、そんなものはすでに金を出しておるのだから対象にならないんだというようなことは考えるべきじゃないと私は思うのでありますが、いかがでありますか。
  125. 大和田啓気

    ○大和田説明員 お話のような問題をぎりぎり詰めますと、いま先生がおっしゃいましたように、すでに支払ったものはなかなか天災融資の対象にはなりにくいということにもなるだろうと思いますけれども、私ども現地の事情に即して、天災融資法の運用については、非常に困っております場合は弾力的な運用をいたしておりますから、現地においてケース・バイ・ケースに解して適用される場合があろうかと思います。
  126. 稲富稜人

    稲富委員 それではこの問題は現地の情勢に応じて、政府のほうとしては十分農民の困らないような状態において処置をする、こういうような御答弁だと思ってさしつかえないのでございますか。
  127. 大和田啓気

    ○大和田説明員 この問題をあまりぎりぎり詰めますと、先生と反対のように申し上げることになるだろうと思いますけれども現地実情に応じてそう被害農民にとって困ることのないような運用はできるだけいたしたいというふうに考えます。
  128. 稲富稜人

    稲富委員 反対の答弁をされては困りますので、私はそういうふうに解釈を受け取りましたけれども、私の解釈が間違っていないということだったら御答弁はけっこうでございますから、私はそういうことで処置されるものだ、かように解釈いたしたいと思っております。  応急対策といたしましてはいろいろありますけれども、これは先刻大臣のおっしゃったような、いわゆる特段の処置を講ずるという、しかも融通性のある対策をやるということで、私は善処方を特に大臣に要望をしたいと思います。これは各地方から実情に応じた陳情等も参っております。先刻各知事等の陳情もありましたので、そういう陳情の内容等を十分検討されまして、今度のこの罹災農家に対してあたたかい手を伸ばすということで、ひとつ対策をやっていただきたいという希望を申し上げたいと思うのであります。  さらに今度は恒久対策に対して、まずお尋ねいたしたいと思いますが、この機会に――これは先刻小松委員からも申し上げておったのでございますが、水資源に対する基本的な考え方をこの機会に打ち立てるということをやっていただくということが必要であると思うのであります。それがためには具体的な問題がいろいろあると思いますが、まずその恒久対策を立てるための一つ方法として、身近の問題としては、先刻かなりありましたように、今日まで政府は開墾地に構造改善事業をやられておるが、水問題は考えに入れていないというのが非常にたくさんあるわけです。全山開墾しましてミカンを植えておる水は一つもないというような状態だ。そうして今度は困ったと思うのです。こういう問題は、今後のこういう事業に対してはさっき大臣も言われましたように、やはり水の問題を総合的に計画されていくということが必要であると思うのでありますが、現在は水問題がないということであります。これに対してため池を掘るというと土地も要りますので、これに対する一つの恒久的な、しかも緊急対策として山の上のほうに水槽をつくる、そうして下のほうから管を引いて、いつでも水を揚げられるような施設をやらせるような指導、これに対する国の助成、こういうことを考えて、この機会にひとつこれを推進することが最も必要じゃないかと思うのでございますが、大臣、いかがでございましょう。
  129. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農政の中心は水管理でありますから、水管理につきましては、今回の災害を機会といたしまして、全国的に見直しまして、対処してまいりたいと思っております。
  130. 稲富稜人

    稲富委員 それから先刻からしばしばため池の問題が出たのでありますが、ため池という問題は、全国的に調査をして再検討をするということはけっこうだと思うのでありますが、私は最近ため池農家が非常に等閑に付しているという点があると思うのです。私がこの春、広島の水害の調査に参りましたときに感じたことは、やはりため池を放任しておるためにあの集中豪雨ため池が決壊をして、その犠牲を生じたという事例があるのです。私はそのため池を見て、ため池を等閑に付しておる結果集中豪雨被害をこうむったので、こういうような老朽化したため池が全国的にあるのだから、これは再検討する必要があるのじゃないかということを言っておりました。ところがこのため池が、今度は干害で十分ため池の用をなしていないという状態なんです。このため池というものは、何とかして早く調査して、補強しておきませんと、水害の場合にも干害の場合にも、両面から農民に被害を与えるという結果になってくると思うのです。それで先刻から補助対象にならないこのため池問題でずいぶん話が出ているのでありますが、この際、直ちにため池の再検討をして、すべてのため池を補強するという必要があると思うのです。  さらにこの際最も必要であることは、現在のため池を見ましても、非常に底が浅くなっています。このため池はこんなに浅かったのですか、いや二メートルくらい底が上がっております。何年間も底ざらいをしないのです、昔はこれが堆肥の材料になったので農民も喜んで底ざらいをした、ところが堆肥に使わなくなってから二メートルも三メートルも底が上がってきているという状態です。水がたまりますと、底をさらおうといたしましても、なかなか困難なのです。いまなんですよ。水のないときに掘っておかなければいけない。それがために、私たちは救農土木事業の一端として、この際これをやることが必要ではないかと思う。水がたまってからではもう非常にめんどうなんですから、水がないときに下を掘るということをこの際やるべきである。これは対策としての最も緊急な処置として、ため池対策をやることが最も必要である、これは現金収入にもなる、こういうことをわれわれは特に考えるわけなんです。この機会にため池というものに対しては、補助対象になるとかならぬということでなくて、むしろそれならば、さっきも話がありましたように、何とか立法措置をやるとか、何とか特段の措置を講じて、ため池の補強をやることが最も緊急であり、最も適切な問題である、こういうことを考えますので、この際これも特に松代方式でやるならば、各官庁に命じて何とか早くやる、雨が降ったらできないぞ、あとは何とかこちらのほうで、政治のほうでめんどうを見るのだという、こういうようなぐらいに、思い切った対策措置をとっていただくということをひとつ大臣にお考えをいただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  131. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ため池の問題は、応急策と恒久策とあると思いますが、先ほど申しました、今回の干害についての政府部内の相談会では、しばしばこういう問題も論議されておりますので、できるだけ御要望に応じるようにいたしたいと思います。応急策から考えてみますと、国全体として、予算面を見まして、どうも農業に対する財政資金というようなものは、もっともっと出してもいいのじゃないか、こう思っておるわけであります。来年度予算においては何ぶんひとつ御協力のほどをお願いしたいと思います。そういうことで大いにやってまいりたい。恒久策についてはぜひやってまいりたいと思っています。
  132. 稲富稜人

    稲富委員 この点に対しましては、農林大臣の今後の善処方をわれわれも期待をいたすのでありまして、十分この機会に農林予算という問題で農業対策の基本的な考え方をやらなければ、いまのような状態だと農業はジリ貧になるだけだと思うのであります。何とかして日本の農業をこの際建て直すのだという気魄を持って十分やっていただきたいと思うのであります。  最後に一言だけ、恒久対策として大臣に意見を伺いたいと思うのでありますが、水利対策といたしまして、あるいはダムを引いてくるとか、あるいはかんがい排水事業をやるとか、いろいろな問題が起こってまいります。そうすると先刻から問題になっております一番困るものは、農民の自己負担の問題でありまして、農民は今日自分みずからこれを負担するということに経済的な余裕がない。それで自分たちが地元負担をしてこれをやることに困難性がある。いままでいろいろな水に対する施設がおくれてきたこともここにあると私は思うのであります。現に私たちが先般大分のあるところへ参りましたところが、九年間のうちに四回干害におうたということでありますが、干害にあったときには何とかして水対策をやろうじゃないかということでやっておる。雨が降ったらもう流れてしまった。これなら干害は来年は来ないだろうということで、負担をしたくないから、お流れになる。これは農民に経済的な余裕がないことになる。それで私はこれに対しての抜本的な考え方として、政府が出資をする、さらに農協その他が農協資本を出して、ちょうど公団式の事業団をつくって、これによってそういうような水資源対策をやるということをやったらどうか、そしてちょうど道路公団の費用を受益者が負担するような形でこれを将来償還さしていく。初めに出さなくても、利益を受けたときに負担していって、その金額がなくなったときには負担を持たせない、こういうような恒久対策でもやって、水資源対策をやらなければ、農民が負担するような水資源対策というものは、現在の農民の経済から見ても非常に困難だと思うのであります。これに対して政府は十分こういう問題を考えて、政府並びに農協その他からの融資をするというような、こういう専業団でもつくることによって、何かそういうような農業水資源対策をやったらどうか、こういうことも考えられると思いますが、いかがでございましょうか。
  133. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 たいへん示唆に富んだ御高説でございますので、十分に検討をさせていただきたいと思います。
  134. 稲富稜人

    稲富委員 今後の緊急の問題はどうか、罹災農民がほんとうにぼう然自失たる状態でございますので、次の生産に十分立ち上がるためにも、政府がほんとうに温情ある対策をやって、ひとつ救済策を講じていただきたいということを最後に述べまして、私の質問を終わることにいたします。
  135. 田原春次

  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先程から話がありましたとおり、九州四国干ばつは筆舌に尽くしがたいわけであります。すでに百日になんなんとする日照りで飲み水はかれてしまい、全国的に見ると大鵬作であると報ぜられているだけに、干害を受けた農家地方公共団体は想像に絶するものがあります。そこで、人心を安定し、具体的な措置を適切に講ずることは急を要する問題であるがゆえに、大臣の発言はまとにこ意義があるわけであります。  先ほど天災融資法、激甚地の指定については、大臣は、調査に基づいてなるべく早くするという答弁から、さらに十月二十日までに出す、そのように言われましたが、いま一度大臣の御決意のほどをお伺いしたい。
  137. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 天災融資法、激甚地指定、それからそれに基づいて自創資金のワクは十月二十日前までにきめたい、こういう方針で進めております。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 九月五日の閣議において、当面の景気調整策として、国、地方を通じ、公共事業の施設費を翌年度に繰り延べすることを決定されておりますが、地方公共団体の繰り延べ率は、北海道の三%を除き、平均繰り延べ率は六・六%となっておるが、後進地域である山口、九州四国各県には、新産業都市建設など一日もゆるがせにできない重要な施設が山積みされております。なかんずく七月下旬以降の異常乾燥による干ばつによって未曾有の干害が起こっているこの地域においては、九百三十六億円という巨額に達しておるわけでありますが、公共事業費の繰り延べについては比率の引き下げをはかる考えがあるかどうか。
  139. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 災霊地ですか。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうです。
  141. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 財政措置について閣議で決定いたしました方針は、ただいまの財政経済のわが国の状況において、ああいう措置を講ずることが妥当であるということで決定いたしました次第でありますが、今回起こりました干ばつ地帯のような緊急なものについては、そういうことに拘泥いたしておるわけではありません。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 干害という問題について、あながち十分な法的措置がとられていないことは先ほどからの答弁でも明らかでありますが、その谷間にある干害の問題は、前向きの対策が必要であると思うわけであります。市複してお聞きするものについては、何とかしてもらいたいという被災者の要望が強いことであるということを考えられて、さらに答弁をしていただきたいと思うわけでありますが、用水の確保のために実施した工事費、揚水機、ボーリング等の機械器具の購入及び借り入れに要する経費、また燃料費、動力費はばく大な金がかかって、各県の調査によれば、すでに数億円以上の額であるというふうにいわれているわけでありますが、農家の過重な負担であるこれらの動力費等に対する助成措置をどのように政府はお考えになっているか、お伺いしたい。
  143. 和田正明

    ○和田説明員 干ばつ対策につきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げたわけでございますが、いまお話しのように、井戸を掘りましたとか、そういう将来も恒久的に干ばつの際に再度利用のできるようなものにつきましては、従来の例に従いまして、農林省としても補助金を交付をいたしてまいりたいと思います。動力費等の消耗費については、過去におきます補助の実施の例等から考えまして、必ずしも直接補助することが適当ではないというふうに考えておりますが、先ほど来大臣もお答えになっておられますようなその他の方法等についても十分工夫はしてみたいと思います。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自作農維持資金災害貸し付けワクの増額をもうすでに考えられていると思うのですが、いつ、どのくらいのワクを考えられているかどうか、その点について……。
  145. 和田正明

    ○和田説明員 自作農維持資金は先ほど大臣からお答えがございましたように、天災融資法発動になりましてから、その資金ワク等を考慮して自作農維持資金貸し付けワクを決定するのが通常のルールになっております。天災融資法発動がございましたら、それに追いかけまして資金ワク等を決定して、早急に措置をいたします。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 同じく開拓者資金、それから各種営農資金の返還延期措置の具体案はどうなっておりますか。
  147. 大和田啓気

    ○大和田説明員 公庫関係の資金につきましては、すでに公庫に対して話を進めておりまして、現実に即しまして延ばすべきところは延ばすように指導をいたします。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどから何回も言われておりますが、救農土木事業、すなわちため池の問題でありますが、これは今度の干害においては非常に重要な問題だと私は思うわけであります。なお、ため池については、ため池並びに天水に主要な水源を求めておったところがほとんどやられたわけでありますが、それについて救農土木事業として大臣はどのような具体案を持って早急にやられるかということについてお伺いしたいのであります。
  149. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 とりあえず、できるだけ被害者に現金収入を与える道をまず講ずることが必要であるということで、先ほどもお答えいたしましたように、これは農林省だけの所管では限度があるものですから、総理府が中心になりまして、関係省、閣僚及び事務当局を幹事役にいたしまして、できるだけのことをいたすためには、どういうことができるかということについて万般の検討を進めておるわけであります。その中には、いま御指摘のような、こういう際にため池等で亀裂を生じておるようなところには、これはもう人間の手でなければうまくいきませんから、そういうことについて人の力を配置して、そうしてため池の補修をしてもらう。そのために現金収入を支出することができる。したがって、それは予備費でまかなうように財政当局にも話をつけたいといったようなことで、できるだけのことをやるためにただいま検討中でありますが、いま農林省ではそういうことのために、地方被害県の県知事がどういうような計画を持っておるかということについて、すでに申し出ているところもあり、これから言ってくるところもあります。したがって、急速にそういう措置を講じてまいるように努力をいたしたい、こういうことでございます。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 恒久対策については先ほどからもお話がありました水利調整ダム、大規模水利施設の建設推進のほか、地下水を総合した水源の開発を促進し、干ばつに対する基本的な水利対策というものをやらなければならないと思うわけであります。なお水利権の問題でありますが、今回のように大干害となることについての水利をめぐっての現地の争いというものは、目に余るものがあります。ここで水利権については、その災害対策本部に一任をするようにある程度の法改正も、あるいは抜本的な改正というものも必要ではないかというようにも考えられるわけであります。  実は、私、熊本災害地を見まして驚いたことには、あの菊池川という川をはさんで、片一方はちょうど土色のじゅうたんを敷いたようであるし、そして片一方、菊池川から取ったかんがい用水の完備しているところは鈴なりのような稲ができておりまして、大体十一俵は間違いない、そういうふうにいわれているわけであります。そういうところの、要するに水利の問題というものは、これはもう深刻な問題であるわけです。片一方では、水を豊富に流しておるし、また水が案外とそのようにしてむだにも流れている場合があるけれども、片一方にはほとんどいってない。そういうものに対するところの総合的な水利権の問題に対する対策というものについてお伺いしたいと思います。
  151. 和田正明

    ○和田説明員 御承知のように、河川の水は一つの公物でございますので、これを利用するにつきましては河川法という法律がございまして、主として建設省で所管をいたしておりますが、従前わが国の水田につきましては、古くからのいろいろな慣行の水利権もございます。その水利権の範囲は十分確保しながら、従来水対策実施をしてまいったわけであります。ただ、今回のような非常事態について、現地でいろいろとトラブルが起きましたことを今後具体的に解決する方策のことを言っておられるのだと思いますが、実情に即しまして建設省ともよく打ち合わせをして処理をしてまいりたいと思います。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 果樹園、園芸等に対する昨年の農林、大蔵の協定には非常に問題があると私は思うのですが、当局は、いまどのように考えられて、どのように処置をされるつもりでおられますか。
  153. 和田正明

    ○和田説明員 樹園地に対します応急対策の補助につきましては、いろいろ過去においていきさつがあったわけでありますが、本年の異常な災害実情にかんがみまして、樹園地に対しましても、工事――先ほど申しましたような井戸を掘りましたとか、そういうものにつきましては、実情に即して補助対象にいたしたいというふうに考えております。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 常襲干ばつ地帯においてはかんがい排水の事業、畑地かんがい事業、老朽ため池補強事業等の採択基準の引き下げ、短期間にする考えがあるかどうか。なお例をとってみますと、福岡県の場合でありますが、七千五十六のため池のうち、国庫補助の対象になっているのはわずかに百六十一であります。ゆえに県財政では立ち直りというのは非常に無理だと思うわけですが、それに対するところの政府の今後の処置についてお伺いします。
  155. 和田正明

    ○和田説明員 現在ため池は全国に約二十八万個所くらいございますが、そのうち受益面積――そのため池から水をかけますのが、五ヘクタール以上のものが約四万九千ほどあるわけでございます。それらにつきまして、従来いろいろな調査をいたしました結果、直接現在の採択基準で、老朽ため池として防災事業として実施を要しますものが約五千ございますので、これについては毎年約二十億程度の事業費をもちまして対策を講じております。それの基準に合いませんものについては、ごく小さなもの、それにつきましては、三分五厘の長期低利の金融で補助融資という措置をいたしておるわけであります。今回の干ばつに際しましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、干割れ等を生じましたものに関しましては、災害復旧ということで取り上げてまいりますと、これは受益面積とか、ためる水とかいうことで、工事費十万円以上ということで対策ができると思いますが、その他のものにつきましては、従来の計画をなるべく今後重点的にやっていきますように、恒久対策としても努力いたしたいと思います。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども干ばつによるところのいろいろの害虫の発生の問題について話がありましたが、干ばつによるマツクイムシが非常に各県において多く発生をしているという状況であります。政府にとって、このマツクイムシというのを撲滅することはたいへんな問題ではないかと思うわけですが、具体的な処置に対してはどのように指導されているか。
  157. 片山正英

    ○片山説明員 マツクイムシに関しましては、この干ばつによりまして、従来発生を見ております以上に、九月末現在をとりますと約三割程度増加いたしております。そういう情勢に対処しまして、過日担当官を集めましてその対策を練りますとともに、九月五日に防除に対する手続を完了いたしまして、激害地につきましては、十月一日から十一月十日までになりますけれども大臣命令として駆除命令をいたしておる段階でございます。それから、それ以外の地区につきましては、知事及び個人の駆除を願っておるわけであります。  それに対する予算でございますが、大体八万五千立方が現在のところ枯れておるわけでございます。それに対する予算についてはすでに配賦をして、実施にかかっていただいておる段階でございます。ただ、従来の例で見ますと、九月末で三割程度増加いたしておりますけれども、これが十月あるいは十一月にかけますとさらに増加する傾向がうかがわれます。したがいまして、それに対しましては十分早期発見の措置をとりながら、なお保留経費あるいは足りなければ予備費で対処していきたい、かように存じておる次第でございます。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 鹿児島県ですが、桜島の火山活動が近ごろ活発になっております。爆発のたびに噴出するところの噴煙や火山灰、それから亜硫酸ガスによる被害が、かなり干害に加えて増大をしているというふうに聞いておりますが、このような間接的な被害にはどういうふうに処置をされていくか、お伺いしたいと思います。
  159. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 干害とダブリまして、間接的な被害が加わっております場合には、被害をどういうふうに分離するかということは、非常に困難な問題になってくるわけでございますが、干害で見得る範囲は干害対策として措置をすることが実際問題として適当だろうというふうに思うのでございます。  なお、一般的に火山噴出物等による被害が生じましたときには、一定の要件のもとにおいては天災融資法の適用の対象になるというふうに考えております。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 指導の点でありますが、私どもが行きましたときに、三十度を越す炎天のもとに、何ら水も施すことなく果樹園が放置されておったのを見ましたが、その場合、幾らかでもやはり人工の日陰をつくるということはできないことではないし、また樹勢を衰えさせない上においても必要な処置ではないかと思うわけです。たとえばカヤのすだれの天蓋とか、そういうものをかぶせるとかということによって未然にその被害を食いとめ、樹勢の衰えるのを食いとめることができるということが一つです。それからもう一つは、稲の場合でありますが、稲の場合が最後まで刈り取られずして――今ここで刈り取れば何とか幾らかでも助かるものを、それを最後まで刈り坂らずして、その稲の水分まで吸って、そしてだめになってしまうような、そういうふうなことが、指導の点において見受けられたわけです。その点について、政府としてはどのように今後考えられ、また指導されていくつもりであるか。
  161. 八塚陽介

    ○八塚説明員 ただいまの桜島におきます具体的な事例については、私申しわけございませんが、存じていないわけでございます。ただ、果樹等につきましても、先ほど来からいろいろお話のありますように、一般的に農家の方は、いわば損得を度外視してでも自分の作物を育てていこうという気持ちがあるわけでございますが、そういう一般的なお気持ちであられる方が多い中で、特にもうやめたというような例があるといたしますと、よほど特殊な、その他のいろいろな事情があったのではないだろうかというふうに考えるわけであります。具体的に、カヤを切りまして、しばらく日陰をつくって、そしてその木からの蒸散を少なくするというようなことが、その地帯のそのときに、どの程度効果があったかどうかということについては、私どもとしてはやはり現地に即して判断をしなければならない問題ではないかと思いますので、この程度でひとつお許しを願いたいと思います。
  162. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 先ほどの水稲の場合でございますけれども、今先生のおっしゃいましたのは、要するにでん粉が粒の中に詰まらなくなるような、そういう状態になる前に刈ったらいいじゃないか、そういう御説ではないかと思いますが、稲のでん粉が水稲の粒の中に入ります過程というものは、御承知のようにいろいろなステージを通ってまいりますものですから、それをどこら辺でどの程度水分と関連させて刈るかということは、非常にむずかしい判断でございまして、もしかそういう指導がなされてなかったとすれば、それは問題ではございますけれども、またそういう指導を適確にやるということは非常に技術的に困難でございます。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その点については、現地のほうでいろいろ適切な指導というわけでありますが、やはりそれだけこまかい点についても、かなり具体的な指導をしていかなければならないのではないかと私は思うわけであります。そういう意味において、どうか早急に――現在なお日照りを見ながら水を求めている農民のことを思って、早急に対策を講じられることを要望しまして、質問を終わります。
  164. 田原春次

    田原委員長 これより鹿野君と阿部君の質問にはいるわけですが、両君に希望を申し上げます。大臣が所用によって長くおれませんので、御質問のうち、大臣に対する質問を最初にやっていただいて、それから阿部君にまた大臣に対する質問をやっていただいて、それからあと事務当局というふうにいたしたいと思います。  それでは鹿野彦吉君
  165. 鹿野彦吉

    鹿野委員 皆さん、お疲れのところすみませんが、しばらくがまんしていただきたいと思います。私は非常に簡単にやりたいと思います。  今回の新潟、山形を中心としたこの豪雨の災害に対して、二、三の質問をしたいのですが、この地帯は、申し上げるまでもなく非常な突発的な災害であったために、農地についても相当の被害を受けたわけですが、ただ問題は、こうした農民が全部の田畑を失って、とほうにくれておるという状態です。これに対して国有林の一部を即刻開放していただいて、そしてこれらの人々に牧野とかその他の仕事場をつくっていただきたい。この問題に対して大臣の御所見を承りたいのでございます。
  166. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 羽越地方の豪雨災害につきましては、御承知のように、政府としてはできるだけのことを措置をいたしました。新潟新潟、山形は山形、それなりに地方状況に応じて、地方の県知事とも協力いたしまして、諸般の手当てをいたしたわけでありますが、ただいまのようなことにつきましては、いまここで即答申し上げるという用意がございませんので、どういうような御趣旨であるか、さらに検討をいたしたいと思いますが、国有林を開放するということによってどのようにせよということでございますか。
  167. 鹿野彦吉

    鹿野委員 国有林を開放して払い下げることによって――これは大臣が帰られてから質問をいたしたい主眼目なんですが、河川敷地内にあるところの耕地の流失というような、もう復旧不可能なところが数々あるわけでございますから、こうした人々に対する仕事場として、採草地の造成とか、そうしたものに対する払い下げをしていただいて仕事場をつくる、こういう意味でございます。これは山形県当局からもお願いをしておると思います。そういうことに対する方針なり考え方なりのことをお尋ねいたしておるわけであります。
  168. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 河川敷内の耕地につきましては、河川管理者の承諾のもとに耕作をしておるものについては暫定法の対象として取り扱っておりますからして、当該耕作者はそのことを十分よく承知いたしておりますし、それで当該耕作者は満足しておられるのではないかと思う。ただあなたのお話のように、それにつけてもたいへんな災害を受けておる人々に対して特段の配慮はできないかということの一つに、国有林の開放ということが考えられたものであろうと思いますが、国有林の開放につきましては、町村合併等の前例はございますけれども、いまにわかに、あなたのおっしゃるようなことについてこれを財源として開放するということについては、少し農林省においても検討をした上でないと、何ともただいまはお答えをいたすことは困難でございます。
  169. 鹿野彦吉

    鹿野委員 けっこうでございます。十分御審議、検討していただいて結論を出していただいてけっこうですが、ただいま大臣から――実は私もこの問題は大臣が帰られてからそれを言おうと思ったのですけれども、河川敷地内におけるところの農地の問題ですが、これが、了承の上耕作をしておるという、この問題であれば別だけれども、従来農地として存在したところのものを、あとで堤防を築いた。あとで堤防を築いたならば、河川敷地として残したのだから、これは政府が買い上げるなり何らかの処置をしなければならないと思うのですけれども、これをそのままほっぽらかして河川敷地の中に残しておる、こういう問題でございます。そして、この買い上げなり何らかの処置を政府当局に頼んでも、これはできないのだということでいままで見捨てられてきた問題があるわけで、この問題は、私はあとで建設当局に質問するつもりでございましたが、もしも大臣実情を把握していただけないと困るので、この点を申し上げるのであります。いままで河川敷でないところに、河川敷としてこれだけ必要だというのでかってに堤防をした。そしてここに置き去りにされたところの農地問題はどうなるかという、この問題が未解決のままにあるわけでございます。そうした非常に気の毒な問題に関連して、いま私は、これからの生活のかてとしての国有林開放の問題をちょっとお願いしたわけです。きょうこのことで大臣と言い合うということでございませんので、ぜひ、そうしたことを、山形県当局からも出ておりますが、十分に御審議していただいて、このような方向に持っていっていただきたいことを要望いたして、私の質問を終わります。
  170. 田原春次

  171. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣がお急ぎですから、簡潔にお伺いします。  新潟へ明日おいでになるそうですか、自作農維持資金の問題はどのような形で方針を出されたのか、お伺いしたいと思います。
  172. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいま統計調査部で、災害の締めくくりをいたしておるわけでございまして、それがまだ未確定でございますので、そのワクについてはまだ確定いたしておりません。
  173. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もう災害以来四十日になんなんとしておるわけですし、現地の人たちは、この問題に非常に大きな関心を持って期待しておるわけです。そういう点で、統計調査部の問題はいつごろまとまるのか、その見当はどうですか。
  174. 和田正明

    ○和田説明員 御承知のように自作濃維持資金の貸し付けは、相当被害程度の高いものということでいたしますので、統計調査部の数字云々ということよりは、現在県の被害の度合いに応じた報告その他を検討いたしておる段階でございますので、できるだけ早い機会にワクを確定をいたすように努力をいたします。
  175. 阿部助哉

    阿部(助)委員 県のほうから大体出ておるわけですね。市町村段階での要求は三十七億であるとか、あるいはそれを共済あるいは天災融資である程度カバーして、十六億はぜひほしい、こういう形で出ておるわけです。それでもう四十日たった。またいままで――この前の災害のときもそうですし、きょうもいろいろ干害の問題でお伺いしておると、大臣の答弁は、法律の中でできるだけのことをしたい、こう言う。しかし昨年度災害を受けた農民の場合、必ずしも法律のワク内でできるだけしてもらっていないわけです。具体的に言いますと、七反歩以下は、足切りといいますか、七反歩以下の農民には金を貸さない、こういうことで、一町あるいは二町という人たちが何がしか借りた。それも十分には借りないで、新潟の場合、たいへん問題が起きた。そして今度は昨年に引き続いて連続して被害を受けた。そうしますと、借り得るものはもう全部借り尽くしておるわけです。そこで今度はどうなるのか。もう皆さんのきめたワク一ぱい、農民は借りておるわけです。そうすると、そのワクがないのに、一体今度借りられるのかどうかというところに非常な不安がある。そこで自殺者が出るというような騒ぎなんで、大臣があしたおいでになるとすれば、当然それくらいのものを考えて行かれると思う。その点、まだ全然見当がつかぬのですか。
  176. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお話しのように、県当局からいろんな要望も出ております。それらを参酌いたしまして、私どものほうの態度を決定いたしたいと思っておりますが、まだ申し上げるような段階に来ておりません。
  177. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いつごろになりそうなんですか。
  178. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 なるべく早くきめたいと思っております。
  179. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま申し上げたように、なるべく早くというのでは非常に不満でありますし、住民は困っておりますが、やはり法律のワク内で可能な人たちには出すという方針でございますか。
  180. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府につくられております災害対策本部では、あの当時、方針を世の中に示しまして、県当局にもわれわれ政府の考え方をお示しいたしておるので、県とはそういうことで緊密に連絡をいたしておる次第であります。ただ、いま申しましたように、自創資金のワクの確定については、今日まだはっきりしておらない。なるべく早く、できるだけのことをいたしたい、こう思っております。
  181. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま大臣のおっしゃるのは、十何億とかいうその総ワクでありますか。それとも、もう一つそのワクという場合に、一人の農家が、昨年は最大七十万というところまで広げていただいて、今度も七十万では、七十万もう全部借りておる人が多いのですから、それも二年続きの災害ですから、そういう人たちには、百万であるとか百二十万であるとかという個人当たりのワクを広げて、融資額を広げなければいかぬわけです。その点の方針くらいは――もう災害を受けてから四十日もたっておる、間もなく雪も来ようという段階です。それがまだ方針がきまらないなんということでは、農林省に対する農民の期待というか、信頼というものもなくなろうかと思うのですが、その辺はどうなんです。
  182. 和田正明

    ○和田説明員 県当局から正式に書類を受け取りましたのが十月四日でございます。昨年若干県庁のほうの事務的手違い等もございまして、若干の混乱を起こしまして、農家に御迷惑をかけたこと等もございますので、本年はそういう農家のほうへ迷惑のかからないように県のほうとも十分打ち合わせをして処理をしたいと考えております。先ほど来大臣が申しておられますのは、全体としての貸し付けワク及びいまおっしゃいます個人の貸し付けの限度額のワク、双方を含めて現在県と慎重に打ち合わせを続けておりますから、なるべく早く結論を出したいと考えております。
  183. 阿部助哉

    阿部(助)委員 事務当局としてはいつごろ出すつもりなんですか、これが一番問題なんです。
  184. 和田正明

    ○和田説明員 何ぶんにもまだ県庁から正式の文書を受け取りましてから日もございませんので、いまここでいつ出すというようにはちょっとお答えをいたしかねますが、現地実情もございますので、極力努力をいたしまして早くきめたいと思います。
  185. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういたしますと、これでは私が幾ら聞いてもしようがありませんし、大臣もお急ぎのようですからやめますけれども、もう貸し出し方針くらいはきめなければしょうがないじゃないですか。これは二年続きの災害という特別な災害であります。しかもその農民の人たちは昨年の災害で借りられるだけ借り尽くしておる人たちであります。そういう点で、これは災害当初から問題になっておったことでありますので、その点はできるだけ早く方針を明示されるというのが民心を安心させるもとだと思う。本来ならば、大臣がいまごろになって災害地へお出かけになるということ自体が不満でありますけれども、おいでになる。場合によれば参議院の補欠選挙があるから行くんじゃないかという話も出るくらいなのでありまして、本来ならばもっと早く行くべきものだと思う。それが今回行かれる。しかもそれでまだ住民の一番大きな関心であり、お願いであります自作農維持資金の方針すらきまらないということでは、農林省に対する農民の期待というものも信頼というものもなくなろうかと思いますので、これはできるだけ早く根本方針を出していただきたいという要望をして終わります。  またあとで大臣がお帰りになってからお聞きします。
  186. 田原春次

    田原委員長 大臣、御苦労さまでした。  それでは鹿野君。
  187. 鹿野彦吉

    鹿野委員 みんな疲れているし、たいへんだけれども、簡単にやりますから、私もこれだけできよう来て、あしたまた帰るんだから、どうぞよろしく。  先ほど話の出ました河川敷の中の農地、こういう問題について建設省がどういう方針でおるのか。たとえば堤防が築かれている河川の敷地内を借りて牧草を植えるとかあるいは耕作をするというような場合は、当然それは耕作者の責任だけれども、従来長い間農民がこれは耕作地として耕作をしてきたところに堤防を築いて、これを取り残したということに対しては、当然これは国が買い上げるとかあるいは何らかの措置をすべきだと思うのだけれども、こうしたことについて方針なり考え方なり、どういう立場に立っておるか、建設省当局の考え方をまず承っておきたいと思う。
  188. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 堤防の、河川の中の土地のことを堤外地と称しておりますが、堤外地の中には民有地も官有地もございます。官有地につきましては、従来から占用を許してきたところもございますが、これはそういう災害を前提として貸すわけでございまして、さような災害を受けたときに格別の考慮をいたしておりません。ただ認可を得てやられた場合には、農林省等におきまして適切な措置がとられると思います。堤防外の民有地につきましては、従来から歴史的な経過がございまして、堤防をつくる段階におきまして、その堤防の川側になる土地につきまして地元の方の御了解を得て堤防がつくられたものでございます。そのときに用地買収をするということがあっても、用地買収をしたいということを申し出ても、堤外民地としてそのまま保有しておきたいという希望もございます。したがいまして、そうしたことを条件にして堤防をやる場合もございます。あるいは、昔からあった堤防は、従来の治水方式が遊水地方式でございましたので、堤防の幅を、非常に広くとってある。そういったことで自然に、水を遊ばしておくという形の治水方法がとられてまいりました。そういう段階におきましては、堤防の外に従来からずっと民地が残っております。ただいまはさような……。
  189. 鹿野彦吉

    鹿野委員 そう詳しいことは要りません。
  190. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 したがいまして、原則としては、通常の河川の計画であれば、堤防の外の民地は買収していくという方針で進んでおります。ただし、非常に広い場所とかいろんな場所が残るような場合につきましては、民地を残したまま、堤防を強化していくということで進んでおります。
  191. 鹿野彦吉

    鹿野委員 そうすると、いまあなたの説明では、耕作地のあるところに堤防を築いた場合に、その耕作農民の了解も得てあるし、それからまた買い上げの問題についても考えたところもあるかもわからぬが、それは買い上げができなかったのだ、こういうことなんですね。そういう解釈をしてよろしいのですね。
  192. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 そのとおりでございます。
  193. 鹿野彦吉

    鹿野委員 そうすると、買い上げて何しいという希望をしても、建設省が予算がないから買い上げることができないといってほったらかしてきた場合に、責任はどこにありますか。
  194. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 全国で相当の河川敷の代打地がございますが、ただいまの財政の規模では、その民有地を買うことは非常に困難だと思います。ただ部分、部分につきまして、その民有地を買収することが非常に適切である場合には買っていくという方針をとっておりまして、全部買い上げるということは財政的に非常に困難でございます。それから河川の計画そのものとしても、必ずしもそこまで買わなければいかぬかどうかということがございます。一定の洪水の流れる幅あるいは高さを考えまして買収していくような方針にいたしております。
  195. 鹿野彦吉

    鹿野委員 ただいまの話でちょっと問題が出てくるのじゃないかと思う。私が再確認をしたのは、堤防をつくりますときに、農民の了解を得ておる、あるいはまたその農地を買い上げをしたいという考えを持ったのだけれども、それに応じなかった、こういうふうに了解してよろしいねということを私は念を押しております。ところがいまあなたの説明の中で、河川の都合から、買い上げる必要があるかないかということについては云々と、こういう表現をいたしましたが、ただいまは河川の遊ばせておるとか遊ばせないとかいったような都合ではなくて、堤防を築くことによって残された、要するに農民の農地というものに対する政府の責任の問題というのを問いただしておるのですから、河川の都合で貰うとか買わないとかいうようなことは全然問題にしなくてよろしいわけですよ。買ってほしいということを要請されても、予算がなくて買わないでほったらかしてきた、そのために災害を受けた、こういうことに対する政府の責任はどういうふうになるのか、こういうことを私は尋ねておるのです。
  196. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 法律的に申し上げると、河川は、いわゆる堤防の間は通常河川区域として認定されております。民地であっても官地であっても河川区域として認定されております。したがいまして、そこの中におけるところの作物その他は、当然洪水のときに若干の影響があることは考えられるわけでございまして、そういうことにつきましては、国としましてはただいまのところそれらに対して補償するとか、いろいろな方法は講じておりません。
  197. 鹿野彦吉

    鹿野委員 講じておりませんと言われるが、責任はどうなるのかということなのです。おりませんではなくて……。
  198. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 場所がはっきりいたしませんので明確にお答えできないのですが、堤防が従来から旧堤がどういうぐあいにあったか、それらの問題から始めてこられなければ、その問題はなかなか明確にお答えできないと私思います。
  199. 鹿野彦吉

    鹿野委員 堤防がどうあるとかこうあるとかいうことは別の問題として、新しく堤防が必要だということから堤防を築いた、その場合にここに農地をたくさん残してきた。一つは山形県の寒河江市の今回災害を受けた三十六町歩というようなところです。ここはほとんどが果樹畑なものですから、まあ共済によって救いを求めるという方法もなく、非常に困っておる問題がありますが、ほとんど全部あの川原と同じような状態になってしまっている。それを農地に回復するということは、とても不可能な状態が現実の状態ですが、そういったことについて一つのことを私参考までに話をいたしますと、私はこれを見にまいりました。私は当時はちょっと留守をしましたので、あとになって見にいったのですが、私の秘書たちと一緒に、また地元の市会議員や何かに案内されて行ったのです。これは河川敷じゃないか、こう言ったところが、河川敷ではない、こういうようなことで、これが河川敷でなければこれはかってに農民が耕作をしてきたのだからというような私の判断で実は議論をしたようなわけでしたが、現場に行って事情を聞きますと、まさしくこれは民有地であって、河川敷として何らの措置が講ぜられておらない。山形県知事の安孫子藤吉君と話したところが、これをいかに建設省に話をしても、予算がないということでほっておかれた問題だ、こういうようなことであります。ですからこの問題を、予算がないからほっておいた、こういうことになりますと、ほっておかれたところの農民は一体どうなるのか、こういうことです。しかもそれが農民の承諾書をちゃんと取るとか、あるいはまた買い上げをしようということについて、先ほど私があなたから答弁をいただいた、応じなかったということの実情があるならば、この問題は存在しないけれども、そうじゃなく、買い上げてほしいという意思表示あるいは何らかの処置をしてほしいという意思表示をしたのに、予算がないからということでいままでほったらかしてきたということによって災害が起こり、これが復旧不可能な状態の大災害を受けた場合にどこに責任があるのか、このことを私は尋ねておるのです。
  200. 古賀雷四郎

    ○古賀説明員 いま御指摘の山形県の島という個所につきましては、御指摘のとおり河川の堤防の外に民有地がございます。御指摘の点につきましては今後十分調査してみたいと思っております。
  201. 鹿野彦吉

    鹿野委員 そうしましたら、この寒河江だけでなく、山形県の今回災害を受けた各地に、この河川敷地内の民有地の耕作されたところのものがありますから、この点について十分調査をして、建設省の方針をひとつ立てていただきたい。  なお、農林省農家の味方として、いわゆる農民を何とかして保護するという立場におけるところの農林省が、こうした耕作地が全く保護されないままに堤防が築かれてほっておかれたという問題に対しては、農林省側の考え方がどういうものであるか承っておきたいと思います。
  202. 和田正明

    ○和田説明員 いまお話しの河川敷の中で耕作をいたしております場合に、今回災害等を受けました場合は、それが民有地でございまするならば、災害復旧の対象に当然いたして、普通の災害復旧事業と同様に私のほうは復旧工事をいたします。
  203. 鹿野彦吉

    鹿野委員 いや、私らとあなた方との間ではそういうような答弁でなく、実際堤防を築いたときにここに耕作地が置き去りにされた、置き去りにされておるこの耕地が大災害を受けるような場合に対して農林省としてどういうふうに考えるか、あるいはその堤防が築かれたときに何らかの措置を講ぜられずして置き去りにされておるというようなこうした問題について農林省側としてどう考えるか、こういうことを尋ねているのです。そしてまた、災害復旧費なんというようなことでいけるならば当然それはよいのだけれども、現在の制度の災害復旧費程度では、これについて全然補償されるところの方法がないという問題であるから私は尋ねているのです。
  204. 和田正明

    ○和田説明員 従来もいろいろ河川局と河川工事と農地との関係は相談をしてまいりましたが、ただいまお尋ねのありましたことにつきましては、先ほど河川局長の答弁がありましたように、実情調査いたしまして、十分検討いたします。
  205. 鹿野彦吉

    鹿野委員 それから、今回の災害で農業用水の取り入れ口が本年ようやく災害復旧によってでき上がったところが、三カ所ことごとくだめになったというのが上山市にあるわけです。これは要するに農林省の農業用水取り入れ口の設計が悪いのか、あるいはまた施工が悪いのか、そういうような問題がございますので、こうしたことについても御研究を願いたいと思います。これは要望いたしておきます。  それから、災害についての激甚地帯の指定を受けましても、住宅に対する救済策というものがまことにこれは少ないわけでありますが、とりあえず仮設住宅の建設費とかあるいはまた被服、寝具費用、こういうような問題について、あたたかい暖地の地区と、東北、北海道のような寒い地区において被害を受けたときに、こうしたものが同じように扱われておるというようなことは、まことにこれは理屈が合わないと思うのです。時間がないから、この点について御研究を願いたいとともに、一万五千円というような被服の補償というような問題がございますが、こうしたことについてはふとん一組も買うことができないというような現在の金からいってよく考え直していただきたい、こういうことを要望いたします。実は皆さんももうお疲れで時間もないことですから、私は要望だけしておいて、またこの答弁を求めることにいたしたいと思います。どうぞひとつ皆さん、きょうのそこにおられる各役所の方々にお願いいたしたいのは、形式的でなくて、要するにこうした悲惨なるところの人々に対してどのようにしたならば救済されるか、あるいは一部の者がしあわせで一部の者が不幸だというようなことにならないようにするためにはどうするか。たとえば河川の中に置かれたところの農民だけが不幸で、そうでないところの人々は非常に得するというようなことがないようにするにはどうすればよいかというようなことを十分と考えていただいて、大臣とも相談の上、それぞれ善処の方法を見つけていただきたいと強く要望いたしまして終わります。
  206. 田原春次

  207. 阿部助哉

    阿部(助)委員 時間がおくれていますので、簡単にお伺いします。  先ほどの自創資金でありますが、大蔵省は、承知のところへいって、これは農業の構造政策を進めるためにはこういう災害のときに出す金は政策に逆行するから出したくないという考えを大体持っておるようであります。それで、大蔵省との折衝が実際いって難航しておるというのがほんとうなんですか。それとも、農林省自体でもうこれはだめなんだ、こういうことは問題がある、こういうことなんですか、その実態は。
  208. 和田正明

    ○和田説明員 自作農維持資金の融資について、金額的に個人のワクを設定いたしますにしても、あるいは全体の融資のワクを考えますにいたしましても、被害の度合いその他に応じましていろいろと筋道を立てるべきルールがあるわけであります。そのルールの範囲でできるだけ運用の妙を発揮いたしまして地元の要望にこたえたいというふうに考えておるわけでございますが、何ぶんにも県庁からの正式な資料を受け取りましたのが四日でございますし、それから昨年若干手違いをいたしまして迷惑をかけた実績もございますので、そこらを勘案して慎重に処理をしたいというふうに考えております。大蔵省と難航しておるとかいろいろなことはございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど来お答えをしていますように、地元の農家実情も考えまして、早急に結論を出すように努力をいたします。
  209. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ではこの問題は終わりますが、ただ一点、昨年のようにまたことし七反歩以下は切り捨てるというようなことのないように、やはり二年続きという特別な災害でありますので、その辺をあたたかい配慮で方針を出していただくように要望して、これは終わります。  次に、新潟から出ておる資料によりますと、特に荒川、黒川のほうでは部落ぐるみ集団移転という問題が起きております。いま手元にある資料だけでも、十一の部落が部落ごと全部集団移転しよう、そのほか一部落の中で相当数が家屋も田畑もやられたということで、集団移転は全部の総計が世帯で四百九十七、二千六百人という人たちが希望をしておるわけです。実際この数字が最終的にどうなるかはわかりませんけれども、少なくとも一部落全部が集団移転を希望しておるというようなところは、当然これが何らかの措置で移転をせざるを得ないだろう。非常に大きな石だらけになって、宅地も畑も流れてしまったという地帯においては、集団移転ということになろうと思いますが、その場合、国のほうとしては、大体どのような援助や救済の手を講ぜられるのか、大ざっぱにお伺いしたいと思います。
  210. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 集団移転の意向があるということを私ども承知をいたしております。またごく最近に新潟県庁から各省の担当官が参集を求められまして、県の考え方の大あらましを聞いてまいったようでございます。一体集団移転のようなことをどこの省が世話をするかというのは非常にやっかいな問題でございまして、まあ結論的に言えば、県庁が中心になって、それぞれ関係省ができるだけ協力するという形以外になかろうと思うのでございます。たいへんな災害のために移転をするということではございますが、現行の災害復旧の制度のワク内では、この問題は片づかないということでございますので、政府全体として、一体そういう集団移転のような問題をどういうふうに受けて立つかという基本方針がきまらなければ、私どもどうしようもないのだというふうな感じでございます。その際、たとえばこれは、財政当局が顔が見えませんが、財政措置を伴うことでございますので、過去の例から申し上げますれば、農林省としては、そういうような移転に際して共同利用施設等についての特別な措置を考えるとか、あるいは特にへんぴなところであって電気の導入等がなければ、農山漁村電気導入促進法に基づく電気の導入のことについて御援助申し上げるというようなことは考えられるのではないだろうかというふうに思っておるのでございます。
  211. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまの官房長のおっしゃるとおりだと思いますが、この問題について、これだけ数多い、しかも復旧するといっても実際たいへんなんですね。私、一緒に行った建設省の技術屋さんが話をするには、あんな大きな石を一体どうやって処理するのか私もわからぬとおっしゃった。それぐらい石原になってしまったわけです。そうすると、これの復旧といっても、ばく大な金がかかってしまう。しかもそれでいて畑になるのかどうかというのはちょっと疑問がある。そういう地帯でありますだけに、県が中心になるにしても、やはり国の力にたよらざるを得ない。その場合に、いま県当局も一番困っているのは、何かどこかで一本窓口があって、そこへ各省の関係者が寄ってくれるといいけれども、いまのお話のように、共同施設と電気は農林省でございます。いやいや家の建設のほうは建設省でございますという形では、なかなか話が進まないので、何か総理府かその辺でまとめてもらうというようなことを皆さんのほうでお考えいただきたい。いま農林省と建設省だけのようでありますので、何かそういうことを連絡をして、窓口を一本化していただかないと、県や市町村のほうの人たちも困るわけですが、そういうお考えはございましょうか。
  212. 檜垣徳太郎

    檜垣説明員 このお答えも、私が答えますことは必ずしも適当と思わないのでございますが、お話のようにどこか中心になってこの問題の処理について世話をするところが必要という点は全く同感でございます。でございますので、御提案にもありましたように、総理府等で音頭をとってもらえるということであれば私は好都合かと思いますので、農林省としてもおおむねそういうようなことでやったらどうかというような提言はしてみたいと思います。
  213. 阿部助哉

    阿部(助)委員 各関係者がおれば、その場合の住宅の金利の問題とかいろいろお伺いしたいのですが、非常に時間も急いで、事務当局のほうも急いでおりますし、私きょうはこれで終わりますが、何といっても山地帯はひどい災害でありまして、簡単に原形復旧などと言ってみても、もう復旧の可能性すらない地帯が黒川、関川にかけて多いわけですから、当然こういう問題が起きてこようと思いますので、十分な御配慮をお願いしたいと思います。  これで終わります。
  214. 田原春次

    田原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明七日午前十時より理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時五十七分散会