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1967-11-10 第56回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十一月十日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 古川 丈吉君 理事 細田 吉藏君    理事 久保 三郎君 理事 野間千代三君    理事 河村  勝君       阿部 喜元君    大竹 太郎君       徳安 實藏君    中川 一郎君       堀川 恭平君    山村新治郎君       板川 正吾君    小川 三男君       神門至馬夫君    下平 正一君       内藤 良平君    米田 東吾君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         運輸省航空局長 澤  雄次君         運輸省航空局技         術部長     松本  登君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道の経営に関する件(第三次長期計  画に関する問題)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  航空に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間委員 昨年のちょうど十一月十三日に松山空港で大きな全日空の事故がありました。   〔委員長退席細田委員長代理着席〕  YS11型が伊予灘に墜落をして、たしか五十人くらいの、しかも新婚さんが十何組かあるという悲惨な事故があってちょうど一周年になるのですね。それで当時国会衆参両院で、地方空港整備について鋭く指摘が行なわれて、大臣のほうからも、地方空港整備についてすみやかに行なっていきたいという答弁がありました。したがって、その後その整備状況はどうなっているのかというのが問題なんです。しかも、最近の報道によると、この松山事故犠牲者で四体がまだ発見されていないとかいう話でもあり、また十一人の遺族の補償問題が未解決になっている。かつ、当時の事故原因がまだ正確に発表されていない、こういう状況であります。  最近また、地方空港である仙台空港あるいは岩手空港等で、日航訓練機事故が相次いで起きている。乗客の死傷がないから、そういうことだろうと思いますけれども、あまり報道もされておりませんしするけれども、地方空港の問題としては、これが内在をする問題としてきわめて重要な問題ではないかというふうに考えるわけであります。  そこで、きょうは時間もあまりございませんので、しぼってお答えをいただきます。したがって、問題もなるべく狭めてお尋ねをいたします。  まず最初に、いま申しましたような松山空港状況から考えてみて、当時われわれにあるいは社会に対して公表された地方空港全般整備の問題もさることながら、これはまた次の機会お尋ねをすることとして、とりあえず松山空港に考えてみた場合に、滑走路をまず延長しなければならぬということが一つ。それから、計器着陸装置を完備しなければならないということが一つ。三番目に、あの飛行場には農民が通る横断歩道遮断機がある、こういう変わった飛行場であるけれども、この横断歩道遮断機はどうなったのかという、この三つについてまず最初お尋ねをいたします。
  4. 澤雄次

    澤説明員 松山空港滑走路の延長につきましては、これは昭和三十八年から、現在の千二百メートルを二千メートルに延長する計画土地買収を進めてまいったわけでございます。それが昨年の事故が発生いたしまして、当時国会で御答弁申し上げましたように、従来の着陸帯の幅が百五十メートルのものを三百メートルに拡張いたしまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、計器着陸精密進入が可能なような、いわゆるILSをつける飛行場にいたしますために、三百メートルに着陸帯の幅を広げることを決定いたしました。これはその後いろいろ地元の方と買収交渉を進めてまいったわけでございますが、買収がうまくまいりません。それでやむを得ず、ことしの八月十五日にこの三百メートル、二千メートルの告示をいたしまして、事業認定をここ一両日のうちに、建設大臣運輸大臣から申請をいたしまして、土地収用手続を進めたい、かように考えております。それから海側につきまして、これも漁業補償の問題を進めてまいったわけでございますが、海側の約三百五十メートルばかり出す計画になっておりますので、この漁業補償が解決いたしましたら、この海側工事を先に進めまして、昭和四十六年にはとりあえず千五百メートルの滑走路として使用し得るようにいたしたい、このように考えております。  それから、御指摘横断歩道につきましては、これは現在の状態では、どうせ拡張いたしますし、いますぐこれを取りやめるというわけにはまいりませんので、二千メートルに拡張いたします際に、三メートルの地下道滑走路の下に通しまして、その際にこの横断歩道を廃止しよう、このように考えております。
  5. 野間千代三

    野間委員 用地買収の問題がむずかしい状況にあるということは承知しておる。これは成田空港で見られるように、地元との協議を十分にして、しかも事故のあった空港だから、農民方々の支持なり、やりようによっては得られるんじゃないかというふうにも思うのです。ただ最近のジェット機の関係で騒音の問題とかいろいろ公害の問題がある、そういう問題についても相当危惧があると思うのです。ですから、そういう方面、これは私もただ単に収用法を適用して強行すればいいんだというふうには言っておるわけではないんだけれども、その辺は少し考えていただいて、早急も必要なんだけれども、十分に手を尽くしてやってもらいたいというふうに思いますが、このLSを完備することについてはそう問題はないと思うのですよ。それで、進入灯がたしかあすこはなかったはずです。それがやはりあのときの、おりるときの距離に多少の誤りがあったんじゃないかというふうにされておったけれども、これはどうしたのですか。
  6. 澤雄次

    澤説明員 進入灯も設置することに相なっております。これは、総事業費約五十億の中には進入灯も考えております。これも用地買収が必要なわけでございまして、将来陸地のほうに延ばしまして、さらにその先に土地購入して、進入灯を設置することになっております。土地購入につきましては、運輸省はもちろん県、市、特に県知事市長——私も再三参りまして、県知事市長運輸省者一体になって、今後ともこの土地収用手続と並行いたしまして地元の方の御説得に当たりたい、このように考えております。
  7. 野間千代三

    野間委員 滑走路を拡張することについては、いまお話しのように多少時間がかかるというふうに私も考えるけれども、あるいは二重の投資になるかもしれない、手戻りになるかもしれないけれども、現在の滑走路進入灯をつけておかないと、それまでの期間にやはり問題がありはしないか。進入灯だけであれば、そうたいした金じゃないでしょう。それはどうなんですか。手戻りになるのは、それほど金の上で問題になることはないんじゃないかと思います。いまの滑走路の長さで多少まだ時間がかかるとすれば、この前のような事故が起きない最小限の、少なくとも進入灯くらいは必要じゃないか、つけてもいいのではないか、それはどうですか。
  8. 澤雄次

    澤説明員 進入灯をつけますのが将来二千メートルに拡張いたしました先につけるわけでございますが、現在も二千メートルに拡張する部分が買えていないわけでございます。それで現在のところでも進入灯がつけられない。現在の千二百メートルを前提にいたしましても、進入灯がつけられない。土地が確保できない。これは現地をごらんになるとわかりますが、非常に入り組んでおりまして、土地買収が非常に困難なところでございます。
  9. 野間千代三

    野間委員 そうすると、進入灯をつけるその位置がすでに買収しなければならぬ、全体として買収を進めていく、進入灯部分だけ買うというわけにはなかなかいかぬというわけですね。それではわかりました。いずれにしても、われわれの当時の考え方では、滑走路の問題とILSの問題と横断歩道横断歩道の問題は、これは歩道橋というわけにはいかないだろうから、地下にするということはできるんじゃないか、これはどうですか。
  10. 澤雄次

    澤説明員 これも先ほど御説明申し上げましたように、地下にする計画でございますが、その場所が、今後延長します先のところを地下にいたしますが、これは両方に村道が参っておりますので、それをつなぐ地下道をつけるということにいたしまして、幅三メートルを予定いたしております。そうすることによりまして、いわゆる補助工事として地下道を建設することは可能であろうと思いますので、そういう計画で進んでおります。
  11. 野間千代三

    野間委員 大体わかりましたけれども、いずれにしても拡張しなければならない。それに従って横断歩道なり、あるいはILSなりの関係が出てくるということですから、それでは、いま私が指摘した問題はすべて計画に入っておって、予算的な措置もしてある、したがってあと買収問題が片づけば直ちに着工できるということですね。
  12. 澤雄次

    澤説明員 おっしゃられたとおりでございます。
  13. 野間千代三

    野間委員 それでは地元方々との協議に支障のないような進め方をしていただいて、すみやかに実施していただく、実施の前にまた機会を見てお尋ねしますから、進捗状況について御報告をいただきたいと思います。  次に、最近の問題ですが、たしかことしの七月の二日に仙台空港の近くで、日航練習機が不時着をして重軽傷を負っている。それから九月の六日に同じく仙台空港で、着陸時に飛行機のタイヤのパンクがあった。これもたいした事故ではないけれども、とにかくパンクという事故があった。十月の五日に訓練機仙台空港から訓練飛行山形空港へ行って、そこでいわゆるトンビの事件があったということですね。それから十月の末に同じく仙台空港最終進入路のときに、プロペラのオーバー・スピードがあって、事故があったというふうに、最近、日航訓練機事故が頻発をしているというこの状況は、私が聞いた範囲ではこういうことです。これは間違いありませんね。——こういう事故があったということは——仙台空港というのはたしか自衛隊も使っている。そこのところへもってきて日航訓練を許可しているということですね。すると、これは仙台空港のような、自衛隊と民間とで使っておるところへもってきて、また加えて訓練機をやらせるということは、これはそのこと自体がすでに無理なんではないか、その無理が岩手空港事故なんかになっているんじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  14. 澤雄次

    澤説明員 日本航空におきましては、パイロット養成、技量の向上のために猛訓練実施いたしておることは事実でございます。これは航空の安全のために猛訓練実施いたしております。ただ御指摘のように、たびたびこの訓練機事故がございましたので、運輸省のほうでは日航に対してその訓練のやり方その他監査をいたしまして、いろいろと注意を与えております。  それから仙台空港は、これは自衛隊が元来使用しておりましたものが、運輸大臣の管理に移ったものでございます。定期便といたしましては、一日に三便程度のものは商業用定期便としては使用している状態でございまして、日本航空訓練飛行場がないということが一つと、それから運輸省航空大学校仙台空港を使うということから、仙台飛行場訓練のために使用をすることを許可いたしたわけでございます。それでここの管制能力限界が現在六万二千回程度でございます。この管制能力をこえぬ範囲で、自衛隊日本航空、それから海上保安庁の飛行機がございますが、これらが現地打ち合わせをして六万二千回をこえないように使用をいたしておるわけでございます。それで、この限界をこえる分につきましては、日本航空訓練機はここを飛び立ちまして山形あるいは秋田、花巻、これらの飛行場に参りまして、そこで訓練をして、また仙台に帰る、このような訓練実施いたしております。
  15. 野間千代三

    野間委員 その昨年の着陸回数を見ると、いま局長さんの言われるように六万回以下ですね。やしか五万八千回くらいだったと思う。それはそれでいいんだが、すでに今年に入ってくるというと、調べによると四月に五千六百二十六回ある。それから五月に七千百三十六回、六月に四千七百三十六回、七月には四千四百六十、八月に六千九百九十二、九月に五千九十二と、こういう回数になっております。このままずっと推移をすると、今年じゅうにはこれじゃ六万回ではおさまらぬ。推定すると九万回くらいになる可能性があるんじゃないですか、そうですね。そうすると、去年では確かに六万以下ではあったが、その当時からすでに自衛隊なり、あるいは民間航空なり、そういうものがことし、四十二年は相当ふえるというふうに推定がつくんですけれども、そうですね。そうすると、これはいつ認可したのですか。
  16. 澤雄次

    澤説明員 日本航空仙台空港使用はことしの初め、たしか三月ごろであったと思います。
  17. 野間千代三

    野間委員 そうですね、ことしの四月ですね。そうすると、ことしの四月にはすでに一月から四月まで、こういうふうに毎月五千回くらいずつきているわけですよ。そうすると、そのままずつといけば、十二月になれば、これは去年のようなぐあいにはおさまっていかない。ということは、ことしの前年比を比較すれば大体推定がつくわけです。そういう推定がつくにもかかわらず——もちろん訓練は必要なんだが、仙台空港に許可しなければならぬということは、これは当然無理がある。そこで局長の言うように、たしか自衛隊日航と、それから運輸省の三者で委員会があって調整したりすることになっている。ところが調整する機関では、これは回数規制できるのですか。
  18. 澤雄次

    澤説明員 この三者の委員会回数規制できることに相なっております。  それから先生の御指摘回数資料あとでまたいただきたいと思いますが、私のほうの調べとちょっと違う点もございます。  それから基本的に六万二千回では少ないので、これは主たる原因が、現在あります管制塔が低くて、場所が悪いということが一つ原因でございますので、今年度管制塔を移す工事をやっておりますから、来年からはこの能力が九万五千回くらいまで伸びてまいると思います。そうしますと、当分の間は管制能力が十分にあるようになる。このように考えております。
  19. 野間千代三

    野間委員 その管制塔をいま整備しつつあるということは承知しております。だから、それはいいんです。管制塔ができれば十万回できるという次元になれば、またその次元で考える。しかし、いますでに管制塔がない。しかもだんだん込んできている。この資料ではちゃんと計算してあるんですからね、あとで照合してもいいですが……。  そこで、もし三者の協議会規制の権限があって、処置ができるとすれば、少なくとも五月の七千百三十六回というのは異常に多いわけですね。この時期にある程度規制しておく必要がある。してあるならば、それは局長の言うことはわかりますよ。わかりますけれども、事実やっていない。しかも認可してすぐの五月なんだから、三者の協議会規制措置が実際にできるのかどうかということに私どもは疑問を持ちますよ。しかも日航が入っている。自衛隊も入っている。どこもみな使いたい。規制しなければならぬと考えているのは運輸省だけなんだから、こういう構成では規制はできないというふうに思うのです。したがって、まず第一に、なぜこういうところに訓練機というようなものを許したのか。訓練機を無理に許しているから、さっき私が言ったように、認可した直後の七月から訓練機を中心にした事故が四回も起きている、こういうことでしょう。だからこれは、認可をするところに無理があるのではないか。これはどうお思いでしょうか。
  20. 澤雄次

    澤説明員 これは訓練飛行場として——ビーチでございますが、訓練飛行場として、いろいろ運輸省日本航空の間で実はさがしたわけでございます。気候的にも大体仙台が北の限界でございます。ここは最適である。それから航空大学校もここに将来設置をいたします。航空大学校の第三学年度以降は、日本航空にその運営を委託するわけでございます。そういう理由でこの仙台使用を許可したわけでございます。ここには御承知のように、二千メートルの滑走路をもう一本将来設置いたします。その用地買収交渉はほとんど終了しておりますので、航空大学校がここにできましてフルに使うころには二千メートルの滑走路使用できるということで、将来計画とも結び合わせてここを決定したわけでございます。ただ現在の状態におきましては、六万二千回という限定がございますので、これを規制しよう、これは私も現地に参りましてよく実情を把握いたしまして、それでこういう規制する委員会をつくったわけでございます。それで、六万二千回と申しましても、結局密度でございます。密度が一番大事でございまして、日本航空はたとえば自衛隊の一番活躍する、訓練の多い時期をはずしてここでやる、あるいはその時期には、飛び立ったらほかの飛行場に行くとかいうことを実施いたしておりまして、そういう調整をするのが現地調整委員会でございます。
  21. 野間千代三

    野間委員 時間がないので……。もう一つあるのでちょっと急ぎますが、また、したがって、別の機会にもう少し正確に聞きたいのですが、いまの御答弁では、仙台空港が、置かれている位置と将来の計画にたいへん都合がいいということなんです。つまり都合の問題です。しかし事故はその次元で起きるのですからね。そうですね。したがって、将来なり、あるいは管制塔ができるとか大学校の問題とか、仙台空港位置とか、そういう問題だけで認可をされると事故が起きるのです。それまでにちゃんと、回数の問題にしても整備の問題にしてもしておいて、それに相応した体制もちゃんとつくっておく。管制要員の問題でも、つまり回数がふえるということは管制上の問題でしょう、管制要員管制塔整備しておいて、これでだいじょうぶだということで認可をしておいて初めて事故がないわけでしょう。そういう手当がしてないから、現実に事故が起きているということなんです。  そこで一つには、まず一番必要なことは認可を取り消すことですね。やめることです。事故が起きないようにする。訓練機は学生さんと教官がけがをしているだけだから、実は残念ながら新聞屋さんもあまり、取り上げていないだけなんです。これが一人でも二人でも乗客さんがやられてごらんなさい。日航定期便がやられたら、これは大騒ぎでしょう。しかし、お客さんであろうと練習生であろうと同じですよ、人間なんだから。まず第一に私が言いたいのは、訓練はやめるべきだ、訓練は専用の飛行場でやるべきだということが一つです。これがどうかということ。それから、もしそれがどうしてもできないならば、強力に回数規制をすべきだ、きちっと規制して、毎月の数がちゃんと、こんなふうでなくて、少なくとも去年の状態ぐらいの回数でいく、そういうふうな強力な規制の方法をとる以外に、次善の策としてはないのじゃないか。これはどうですか。
  22. 澤雄次

    澤説明員 仙台での訓練を中止するわけにはまいりません。ただし、このフライトの数を、飛行の数を管制能力範囲の中に規制するということは、おっしゃるとおり絶対必要でございます。これは今後とも強力に現地に指示をしてまいりますし、日本航空にもこれはかねがね、この管制能力を越えるような飛行はやめるべきであるということを申しております。
  23. 野間千代三

    野間委員 それではきょうはとりあえずそういう御答弁で、あと実施についてまた御報告をいただきます。それから整備について、急いでいただくというふうに要求をしておきたいと思います。  いまの問題に関連をして、乗員整備といいますか、乗員訓練ですね。いまのような状況で、適当な飛行場がないということなど、あるいは乗員増強していくということについてなかなか困難があるだろうということはわかります。わかりますが、これはたいへん大きな問題なので、問題だけ提起しておいて、急ぐ問題についてあとでもう一点あるので申し上げますが、日航のほうで四十二年から四十七年までの六カ年間の事業計画を出していますね。そのうちの四十二年から四十四年までの、つまり前半について認可をされていますね、増強計画について。これはたしかDC8型を十機、ボーイング727を六機購入をする、飛行機購入してふやして、輸送力をふやしていくということになっておったと思いますが、ただ問題は、飛行機をふやしていくということはまず飛ばなければならぬ、飛ばない飛行機は置くわけはない、飛ばなければならぬというふうになっている。その場合に、はたして機長あるいは機関士航空士整備士、そういうものの増員計画、特に機長航空士あるいは副操縦士などの増員養成計画というようなものは、この計画の中にどういうふうに行なわれているのか、これをひとつ……。
  24. 澤雄次

    澤説明員 日本航空では、御指摘のように、四十三年から四十八年までの長期計画の案をいま策定中でございまして、運輸省のほうにも御相談がありますが、これはまだ策定の途中でございまして、一応飛行機発注数をどうする、四十八年には一定の目標のもとに便数をどこまで拡張するかというような計画が主体になっておりまして、これに伴いまして、資金計画を、これらの飛行機を買う金をどのように手当てするか、乗員をどのように整備するかというような計画が相伴いまして、私のほうではその長期計画認可し、大蔵省その他関係省打ち合わせをするという段取りに相なるわけでございますが、その全貌がまだ出てまいりませんので、まだ確定した長期計画があるということではございません。
  25. 野間千代三

    野間委員 わかりました。四十三年から四十八年までの六カ年計画ですね。その前に四十二年から四十四年までの間に、私がさっき言ったような数で購入をする、そして増強をしていく、これは認可をしているのですか。
  26. 澤雄次

    澤説明員 これは一応飛行機発注ベースとして認可をいたしております。
  27. 野間千代三

    野間委員 その発注ベース認可をしておると、それは当然その発注した数に即応する乗員が必要ですね。その乗員についての計画も出ているのですか。
  28. 澤雄次

    澤説明員 その乗員についての計画も出ておりますが、それに従いまして、仙台訓練所を拡充し、それから一方これだけでは足りませんので、外人のパイロットの手当ても進めておるわけでございます。それから国におきましても、御承知のように、いろいろ御協力を得まして、宮崎の航空大学校を三十名を九十名に養成規模をふやしたわけであります。
  29. 野間千代三

    野間委員 それはわかりました。少し正確にそこのところだけ言ってください。四十二年から四十四年に向かって、日航ではたしかDC8型が何機、ボーイング727を何機というふうに購入計画を持っているわけですね。いま局長の言われたように、運輸省では購入計画として承認をしているというふうになる。そうすると、その機種と機数に即応して機長、副操縦士航空士機関士、こういうものが必要になりますね、その養成計画が必要ですね。その養成計画の内容、それと機長というのは、御承知のように、副操縦士期間が五、六年必要ですね、それから、その前の期間が少なくとも三年か四年必要です。そうすると、一人前の機長になるには十年はかかるということになります。そうすると、四十二年、つまりことしから買い始める、それに乗る機長はすでにその前に訓練が行なわれてなければならぬ、つまり十年かかっていなければならぬというふうになりますね。そういう計画についてどうなっているのか。それは、外人を使ったり何かすることもわかりますが、しかしそれはやはり日本の機長を使うということがたてまえであろうと思うのですね。したがって、その問題についてもお答え願いたい。
  30. 澤雄次

    澤説明員 数字につきましては、ただいま所持いたしておりませんので、資料として後刻御提出申し上げたいと思います。  それで、ただその計画が、最初四十三年から三年間の計画を承認いたしましてから、事情が非常に変わりまして、これが四十三年から四十八年までの六カ年計画に切りかえてまいりましたので、乗員養成計画その他も大幅に切りかえております。それでこれらも資料として後刻御提出申し上げたいと思います。
  31. 野間千代三

    野間委員 私のほうの時間がまいりましたが、ちょうど運輸大臣が見えましたから、来てすぐでちょっと悪いのですが、いま問題にしましたのは、松山空港事故があってちょうど一年になる。そこで松山空港整備の問題が一つ。これはいま局長さんが答えられました。答えた内容で、そう無理も言えない部分もあるので、急いでもらうということでこれは一応結論にいたしましたが、あとでまた御報告いただく。  問題は日航のほうで飛行機購入をするということが認可になっている。それに即応した機長、副操縦士航空士乗員訓練が必要である。養成が必要である。養成計画についてぼくは少し疑問があるというふうに思うので質問をしたのですが、答えとして、いま数字がないそうだから、日航のほうの六カ年計画の内容と、これに関する乗員養成計画について資料をいただくというふうになったわけです。運輸大臣。その資料を見なければ私も申し上げかねるけれども、たとえば現在日航の場合DC8型の機長が七十七名。つまり一機あたり五名。これが基準になると、十機ふえた場合には五十人ふえなければならぬ。たいへんな数です。したがってそれだけの人間を養成するのはたいへん大きな仕事なんで、この問題については、私は相当慎重に検討する必要があるというふうに思うのです。したがって、資料が出ましたらまた御質問を申し上げますけれども、その前に日航から上がってきたその資料について、運輸省のほうでまず十分に慎重に検討をして、簡単には認可せぬでしょうけれども、認可をするまでの間にもっと乗員訓練計画についてきわめて慎重を期してもらいたいというふうに思うのです。運輸大臣に頭の中に入れていただきたいのは、まずそれが一つ。最後にお答えをいただきます。  それで時間がないので、もう一回機会があるそうですからその際に申し上げますが、一つだけ申し上げておきますと、日航では十月一日からプリフライト・チェック——Pチェックというのを一日おきにした。それからPチェックとTチェックを隔日ごとにした。試験的に十月一日から実施をしている。それは一カ月間施行するんだが、それを十一月のいまなお続けているというふうに聞いておるのだが、それはどうですか。
  32. 澤雄次

    澤説明員 そのことについては、日本航空からまだ何も聞いておりません。
  33. 野間千代三

    野間委員 冗談じゃない。日航の正式書面の、ボーイング727Pチェック隔日実施についてという書面がちゃんと出ている。それで十月一日から実施しているのですよ。御承知のようにPチェックというのは三時間もかかるでしょう。それを一日おきにしているのですよ。これを知らぬわけはない。知らぬとすれば、これは監督不十分ですね。
  34. 澤雄次

    澤説明員 直ちに調査いたしまして、御回答申し上げたいと思います。
  35. 野間千代三

    野間委員 じゃ、もう一回尋ねますけれども、これは重大問題です。Pチェックをやめておる、一日おきにやらせておるのだ。しかも、それを堂々と書面でもって部内でやっておるのです。しかしそれが、この書面を見ると、日航のライン整備工場と運航部で協議をしたら、Pチェックをやめても安全性は低下しないと考えた、したがってPチェックとTチェックを隔日に実施をしよう、それを一カ月間施行しようとなったが、いまだに続けておるということは、これは航空法上からも問題がありますね。航空法の違反になるのじゃないか。整備規程があるでしょう。これは管轄上の取り扱いからいうとどうなんですか。これは会社でかってにやれるのですか。
  36. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 その前に乗員訓練につきまして、先ほど御懇篤なお話を承りましたが、全く同感でございまして、乗員訓練につきましては、必ず慎重を期したいと思っております。  なお、もう一つの問題につきましては、一応技術部長から申し上げます。
  37. 松本登

    松本説明員 先生おっしゃいますとおり、プリフライト・チェックは、整備規程に記載してあるとおりでございます。それでこれにつきましては、いままでは毎日やっておるというふうに了解しております。その十月一日から一カ月間ためしに隔日にやるというようなことは、日本航空としましては、従来の航空機の使用の実績、運航部からの情報、そういうことでいままでの整備の実績から見まして、将来これは一日おきも可能じゃないかというふうに考えて、したがいまして、一カ月間これをためしにやってみよう。もちろんその事績によってまずければもとに戻すということは、当然のことでございます。そういうことで、テストとしてやっておるものと思っております。もちろん先生承知のとおり、飛行機整備は、いままでやっておった整備をそのままずっと続けるものではございません。飛行機の進歩、それから整備技術の向上等によりまして、飛行機整備の様式は変わっていくはずでございます。御存じのように、エンジンのオーバーホールにつきましても、三千時間のオーバーホールが、同じエンジンでありましても、整備の技能の向上、使用状況の改善等によりまして、四千時間に伸びるというようなこともあり得ることでありまして、これは整備の体制の改善といいますか、もちろんこれが改悪になっては困るのでありますが、先ほども申し上げましたような能力とか、そういうようなことにつきましての向上によりまして、改善の一つの方策というふうに考えております。
  38. 野間千代三

    野間委員 機械が進歩したら点検が少なくていいということば、常識でわかる。これはわかるのですけれども、いま日航でやっておるのは、少なくとも飛行機は変わっておらない。飛行機はいままで使っておるボーイング727です。これはただ人員の合理化であるとか、そういう点だけで重要なPチェックを隔日にしておるというところに問題がある。そうすると、これは、いま部長さんのお答えですと、そういうことは、運輸省との関係では許可をすることになるのですか。許可という手続をしておるのですね。どうですか。
  39. 松本登

    松本説明員 整備規程の記載事項でございますので、認可事項でございます。
  40. 野間千代三

    野間委員 これは問題だ。その認可事項は、そうすると、先ほど局長さんは知らぬと言ったけれども、だれの認可ですか。
  41. 松本登

    松本説明員 整備規程の認可は、航空法上は大臣認可事項でございますが、部内的には……。
  42. 野間千代三

    野間委員 大臣認可事項を局長が知らぬということはおかしいじゃないか。別にことばじりじゃないですよ。そういうやり方に問題があるというのです。会社のやり方や何かに。そしてもしそういう、部長が言われるように、安全上問題がないとすれば、それは正式にちゃんと大臣認可したのだろうと思う。そうでないようなところに問題があるから、部内の、しかもライン整備工場と運航部とで問題がないと考えていると通知を出しているのだ。こういうことをやらしておくところに問題があるのです。時間がないのでたいへん残念だけれども、私はこれはそう簡単なものじゃないと思います。  そこで大臣に答えてもらいたいのだが、こういう追及をすればいろいろあるけれども、こういう、つまり利潤追求の考え方などに立脚をしたようなやり方は、何としても排除しなければならぬですよ。
  43. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま野間委員の御質問は、法規上認可事項になっておることについて、会社が一存で例外的な措置を続けておることについての監督上の問題でございまして、これは野間委員の言われるとおりでございます。まことに遺憾であると思います。今後こうした事態のないように十分に留意をいたし、監督上支障のないものならば、成規の手続のもとに成規の認可をした上で措置するというふうなきちんとした運びをつけるように注意をいたします。
  44. 野間千代三

    野間委員 けっこうです。いろいろ申し上げたいけれども、時間がないので……。最後に、同じ日航でもって、DC8型の航空士を乗務しなくてもいいというふうにしたい。これはドップラーレーダーなどがいま、部長の言うように進歩したものだから、したがって航空士は要らない。DC8型というと、これは国際線ですね。国際線に航空士を乗せることが要らないというふうにしたいというふうに一これは航空法の規定がありますね。そういう規定、考え方を変えてそういう措置をしたいという考え方があるというふうに伺っている。これは御承知と思うのです。これもいま大臣のお答えと同じことだと思うのです。どうですか。
  45. 澤雄次

    澤説明員 ドップラーレーダーを採用いたしますことによって、従来乗せていた航空士、ナビゲーターをおろしたいということは、日本航空から聞いております。これは、現在のパイロットはまたナビゲーターの資格を持っておりますから、パイロットのほかにナビゲーターが要るかどうかは、結局ドップラーレーダーの精度がどうかということ、ドップラーレーダーのエバリュエーション、評価の問題にかかると思います。航空局では、現在このドップラーレーダーの精度につきまして評価試験を実施いたしております。
  46. 野間千代三

    野間委員 その評価試験の結果はあまりよくなかったというふうになっていますね。そういう考え方で、たしか十一月の二日に航空局長が会社に答えておるわけです。ですから、その限りにおいては、航空士を乗せないということは適当でないというふうに思います。これは大臣、覚えておいてください。また次の機会に質問します。以上で終わります。      ————◇—————
  47. 細田吉藏

    細田委員長代理 次に陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。古川丈吉君。
  48. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 最初運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、実は先般新聞に、奈良県下でバスの運行について、一般の料金のほかに、地元の市町村等が、その運行を確保するために別途の金を支出しておる、これはまことにけしからぬというようなことを奈良の行政監察局から警告した、こういうような記事が出たわけで、陸運局が放置し、あるいは二重の運賃であるこの運賃はけしからぬ、こういう書き方であったわけです。私たちもバスの運行等につきましては関心を持っておりますが、どうしてもペイしないような線がある、しかしながらあるいは通学の関係、あるいはその土地においてはそれ以外に運輸機関がないということでぜひとも確保したいときには、場合によればそういうこともあり得る。また、適当な金額で適当な手順を踏むならば、当然そういうこともあっても差しつかえないという考え方を私は持っておるわけですけれども、そういうような記事が出た。しかしながら、私がいま申し上げたような線で、やはり関係当局が結論を出してこの問題は処理されるものだ、こう期待しておりましたけれども、どうも運輸省の第一線のほうでも、まだこの間の冷房料金の問題で行管の意見もあったやさきでありますので、それをたいへん気にしておるようであるし、また運輸大臣のほうからしかとしたその方針なりの指示がないように思われますので、その点につきまして運輸大臣としてはどういうお考えなのか。またそれと同時に、行政管理庁のほうも−私はその奈良の監察局がしたことは正式な内容は知りません。しかしどういう趣旨でおやりになったのか。とにかく両者の御意見と、それから運輸大臣の今後の方針を承りたいと思うわけでございます。
  49. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 実はそういうことが新聞に出たということは聞いておりますけれども、この問題につきまして、行政管理庁から運輸省関係機関に対しまして正式な勧告が出ておりません。それを受領いたしておりません。しかし、その内容につきましては、運輸省といたしましては、関係地方公共団体等の成規の手続を経て補助金あるいは協力金を会社が受けるということは、これは適法なことである、こう考えておるわけでございます。道路運送法にいわゆる二重運賃その他、抵触する事項とは毛頭考えておりません。必要があれば、関係機関にその旨を示してやりたいと思っております。
  50. 諸永直

    ○諸永説明員 奈良の地方監察局で、通学用を主にした一般の乗り合い自動車のただいまのお話のような協力金の問題は、二、三の市町村からそういう行政苦情を受けましたので、その問題を、管理庁といたしまして奈良全体を調査したわけでありますが、それについての結論はまだ出しておりません。奈良の監察局も、一般的な問題のようでもございますので、近畿行政監察局に問題を上げております。近畿行政監察局は、これがいわゆる道路運送法上の免許の対象になる運賃であるかどうか、それから、この問題について、たとえば道路運送法上のいわゆる認可運賃の対象でないとしましても一これは奈良県の陸運事務所長の御見解では、道路運送法上の運賃とは関係ない、したがってこれは陸運事務所として介入する意思はない、こういうふうな御回答を得ておりますが、はたしてそういうふうに放任していいものであろうか、つまり陸運局は何かそこに適切な行政指導を加えられたり、中にお入りになって、そして独占的な路線バス事業者の言うなりに協力金を出すような事態を放置してよろしいかどうか、そういう点につきまして、いま近畿行政監察局長から大阪陸運局長に対して御照会をしておるわけであります。まだ回答を得ておりません。
  51. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 運輸大臣がまだ正式の通知を受けておらぬというお話も、いまの行政管理庁の報告でわかったわけですが、しかし問題があるということだけは両者知っているはずなんです。しかも私たちは、協力金なり補助金なり出しておるところが苦情を言うということは、ちょっと普通のケースとしては想像がつきにくい。本人が承知の上で出しておるはずなんで、苦情を言うということはちょっと私には考えられない。あるいは当初そういう方針をとったときと、その市町村の理事者なり関係者がかわっておる場合があり得ることも考えられないわけではありませんけれども、もともと、とにかくぺイしない線であるから、協力するからやってくれということで始まったことだと思いますが、しかしそういう問題は運輸大臣はそう言っておられますけれども、とにかく一線のほうでは中央の方針がはっきりしないということで、この問題につきましては非常に仕事も、具体的なそれに関連した問題が起きても非常に消極的である、こういうふうに私は見受けますので、どうかひとつ、私の希望として、行政管理庁と運輸省とよく話し合いいただきまして、本筋の話なら私は意見は一致するはずだと思うのです。それだから、その一致したところで、こういう方針で、こういう手続をとって今後やるということを十分政府部内で統一をされまして、そして第一線の行政監察の官庁にひとつ指示をしていただきたい。これを私ひとつお願いいたします。
  52. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま古川委員の仰せはまことにごもっともでございますので、運輸省といたしましても取り急ぎ行政管理庁と協議の上意見を統一して、間違いのない、しっかりした考え方を下部へ通達するようにいたします。
  53. 細田吉藏

    細田委員長代理 福井勇君。
  54. 福井勇

    ○福井委員 自動車事故防止のことについて、取り締まりの警察関係でなくて、技術上の問題で運輸省の所管に関すること及び通産省の所管に関することについて約一時間ばかり質問をしようと思っておりましたが、私のちょっと手落ちから通産省のほうも呼んでありませんので、次会にその用意をしておいていただきたいと思います。これは希望だけ申し上げて、私の質問をきょうは延期いたします。
  55. 細田吉藏

    細田委員長代理 板川正吾君。
  56. 板川正吾

    ○板川委員 私は昨日の朝日新聞紙上で報道され、また本日の日本経済新聞等で報道されております福島交通問題、特に社長が会社を解散する、許可があろうがなかろうが十二日から電車、バスの全面休止を断行する、こういう問題を持つ福島交通問題について伺いたいと思います。  まず事実関係をはっきりしたいのですが、朝日新聞の記事、それから昨日福島地方のNHKのテレビで、社長が新聞に報道されておるような同様の趣旨をテレビ放送をして関係者に宣言をしたというか、知らしめた、こういう事実があるそうであります。また、休止については、陸運局に正式に意思表示する。さらに休止の理由が、一つは労働組合が横暴であるという主張、二つは、バス事故が続発して乗客の安全が保障できないからだ、第三として、運輸官僚が新免をそそのかして、運賃値上げの差別待遇をしたから、こうした運輸官僚相手に経営はできない、こういうような主張で全面停止をし、廃業する、会社を解散する、こういう意思表示があったといわれておりますが、この報道、こういった事実について、とりあえず政府の見解を発表していただきたい。
  57. 原山亮三

    ○原山説明員 福島交通の問題でございますが、昨日の午後、社長の代理で稲田調査役という人が仙台の陸運局に参りまして、先ほど先生おっしゃいましたように、十二日以降電車、バスを全面的にストップする、並びに、三十日に株主総会を開いて会社の解散決議をしたい、その二点について稲田調査役からの口頭による陸運局に対する報告がございました。
  58. 板川正吾

    ○板川委員 この主張についてはいずれまた機会をあらためて伺いたいと思いますが、時間がないので、当面緊急の問題だけ質問いたします。  この事業の休止または廃止は、いわゆる運輸大臣の許可事項であります。許可なくして全面的な休止を行なう——許可がなくてもやる、こういう宣言をしておるようでありますが、この免許事業というものは、社会から与えられた独占権を行使しておるものです。社会が独占権を与えておるわけであります。したがってその代償として、事業の内容については許可事項、認可事項、届け出事項等があって、制約をされることは当然であります。決して、八百屋や呉服屋さんや、自由営業でかってにやってかってにやめていいという性質のものではない。独占によって社会から利益を保護されておる。したがってそういう社会的、公共的責任があろう。ところがその公共的な責任を全く度外視をして、会社を私有物にしておる。そういう考え方に立つ今度の織田社長の宣言というものは、実際に十二日から休止するかどうかは別としまして、こういう宣言をすること自体、私は経営者の資格はない、公益事業者としての資格はないと思いますが、この点に関しまして、運輸大臣としてはいかなる見解をお持ちでしょうか。
  59. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 こういう宣言をすることが公益事業の経営者としての適格性を疑わしめるゆえんであるという御意見については、同感でございます。
  60. 板川正吾

    ○板川委員 それでは伺いますが、許可も受けずにかってに休止をし廃止をした場合に、罰則はどのような罰則がありますか。
  61. 原山亮三

    ○原山説明員 道路運送法の関係におきましては、許可なくして事業を休廃止した場合におきましては五万円以下の罰金に処するという規定があります。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 許可を受けずに休止をした場合には免許の取り消し、それから事業の全部または一部の停止等が道運法四十三条にあります。しかし免許を取り消していい、事業を停止していい、こう言っておるのですから、この点における罰則というのはこの場合に効力はない。意味はない。結局罰金が五万円以下であり、あるいは地方鉄道法三十九条によりますと、これはその後変わっているかどうか知りませんが、十円から千円までの間の過料ということになっておる。福島交通は御承知のようにバスも運営しておりますが、地方鉄道も運営しております。地方鉄道法によると、わずか十円から千円の罰則であります。こうした道路運送法及び地方鉄道法の罰則というのは、このような異常者を対象には考えてない法律体系であり示す。人間の善意と名誉というものを尊重した上に立っての法体系ですから、厳罰方針はとらなかったと思うのです。したがってこうした罰則では、実はこの問題に対して相手方は何らの痛痒も感じないという感じがいたします。そこで大臣に伺いますが、もし相手方がかってに十二日から宣言どおり事業を全面的に休止する、こういう方針で出られた場合に、大臣としてどういう措置をまずとられますか。われわれいま向こうの現地の人にいろいろ電話して聞いてみますと、おそらく今度は大蔵社長もほんとうにやるだろう、こういう見通しがあります。しかし織田大蔵という人は全く平常でない言動がしばしばありますから、発表したって前日になってやめたと言うかもしれません。しかし今度だけはやりそうな感じだというのが現地の情報でありますが、一体やるとなったらどういう措置大臣はとられますか。この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  63. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 実際にやるかやらぬかは知りませんが、そういう通知をいたしてまいったことは事実でございますので、まず運輸省といたしましては、本日仙台陸運局長から事業者に対しまして、運休は認められないという厳重な警告を発することにいたしております。それにもかかわらず十二日にやった場合はどうなるかという御質問の御趣旨でございますが、これには二つの問題があると思います。  まず第一は、事業者に対する制裁的な措置でございます。これは法の命ずるところによってやる以外にないと思う次第でございまして、ただいまそれに対するあらゆる場合を想定して、法規上の手続を検討いたしております。  第二は、この事業の休止に伴って生ずる地方の交通の混乱を最小限度に収拾するということでございますが、これに対しましては、近隣のバス業者に主要路線の代行を命じたり、あるいは国鉄等に協力を求めたりいたしまして、最善の努力をいたすつもりでございますけれども、これにつきましてもただいま事務的に準備中でございます。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 法的関係を見ますると、道路運送法三十条で輸送の安全命令を大臣が出せる、あるいは三十二条で公衆の利便を阻害する行為の停止命令が出せる、さらに三十三条では事業改善命令が出せるということがあると思うのです。おそらくそうした大臣命令によって事業の運営を確保しろ、事業の休止は認めないという指示を出されるものと私は思うのですが、ただ代行運転といいましても、道路運送法三十四条の代行運転ということになりましても、四千名の従業員を持ち、しかも千台近いバスを持つというところの運行を確保するということは、なかなかこれはむずかしい問題がある。結論として言うならば、やはりこれは四千名の従業員を動かして輸送を確保するほかにはないのじゃないかという感じがいたします。これはこれといたしまして、しかしこういう手段を講じてもどうしても聞かない場合の制裁の方法として、地方鉄道法の三十七条、これに、運輸大臣は地方鉄道業者の役員を解任することができる、そして場合によっては代行管理者を任命することができる、こういう条項が地方鉄道法三十七条にあります。ですから私は場合によったら、いままで前例もないでしょう、おそらく将来もないでしょうが、しかしこうした異常な業者、社会責任も感じないこういう者に対しては、この地方鉄道法三十七条の条項を大臣が発動して、役員の解任をし、代行管理者を命ずる、そうして従業員をもって運行を確保する、こういう段取りにならないと、私は、よそからバスやトラックを借りてきて一時代行するといっても、なかなか長期にそれをやれるものじゃないという感じがいたします。この役員解任、代行管理者任命権、これを発動する御意思はありませんか。
  65. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 もとより法的なあらゆる手段を尽くして足を確保するつもりでございまして、御指摘のような方法も当然考えの中に入れるべきだと思っております。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 そこでひとつ、じゃ、念のために法律関係について伺いたいと思うのです。  おそらく十二日より全面休止をするということになれば、社長命令で電車、バス、これを一切使用してはならない、同時に車庫、こういった施設に立ち入り禁止、こういう社長名による意思表示をするだろうと思うのです。その場合に、施設に立ち入った場合には建物の侵入罪とか、不退去罪とか、あるいは財産侵害罪とかいうようなことで問題を起こすとおそらく言うでしょう。しかしこの社長が事業を廃止するということ、しかもそれを許可なく廃止をする、大臣の許可を受くべしという法律があるのに、許可なくそれの廃止を断行するということは、これは違法行為です。違法行為ですから、この違法行為に基づく社長の業務命令というのは、私は民法九十条の公序良俗に反する行為として無効である、違法な社長の意思表示、宣言、業務命令、こういったものは無効である、こういう考え方を持つのでありますが、これは法制局、どういう見解をお持ちですか。
  67. 真田秀夫

    ○真田説明員 お答え申し上げます。  まず、あらかじめお断わりいたしておきたいと思うのでございますが、具体的な事案の処理ということになりますと、これは裁判所なり法務省がきめることでございます。また法律行為の効力が無効であるかどうか、あるいは刑事事件において違法性を阻却する事由があるかどうかというような点になりますと、これは諸般の事情を十分きわめた上でないと確定的なことは断言できない性質のものでございます。私たち実は新聞報道承知している程度の事実しか知識がございませんので、それを前提といたしまして一般論としてお答えするほかないと存ずるわけでございます。  それで御質問の点でございますが、先ほど来仰せのとおり、道路運送事業法によりまして、事業者が事業の休廃止をするときには許可を得なければならない。無許可で事業の休廃止をすれば、罰金ではございますけれども、罰金も用意されておりまして違法行為である、しかも犯罪であるということは明瞭でございます。したがいまして、事業者が許可を得ないで業務の休廃止をするということをきめまして、従業員に対してその線に沿って業務命令を出す、これはまことに遺憾なことでございますが、違法な行為であろうと存じます。したがいまして、そういう業務命令が出た場合に、従業員がその業務命令を排して従来どおりの業務に従事する、そのために会社の営業所に入る、それが建物侵入罪として刑事事件にかりになったとした場合のことを想定いたしますと、反対する人はあろうかと思いますけれども、私の感じといたしましては、刑法三十五条の正当な行為として違法性が阻却されるというふうに考える余地は十分あろうかと思います。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 たとえば、定期バスをこれこれに運行するという、運輸大臣、陸運局長認可を受けて発表している時間表、これは社長といえどもかってにこの時間を変えたり休止したりなんかはできないわけであります。これは公益事業者として社会から制約されている当然の行為である、だから、社長がやめたといっても、会社として社会にこれこれの運行を確保するということを発表し、そうして当局の認可を受けている事項ですから、社長といえどもこれをかってに変更するということはできないはずであります。したがって、社長がやめたといっても、従業員が、会社が社会に発表しておるバスの事業計画を遂行する、バスの運行をするということは正常な業務である、正当な行為であると私は思うのであります。したがって、法令に反する社長命令は無効だし、正常な運行の確保は正当行為だし、違法性を問われることはない、こういうふうに私も感じておりましたが、ただいまの説明で一応了承いたします。  ただ一つ問題があるかもしれない点は、社長はおれは仕事はやめたと言う、そして、もしかってに動かして事故を起こしたら、やめたおれが責任を負えぬじゃないか、いわゆる経営管理の問題に対して経営権の侵害であるというようなことを言う可能性もあるだろうと思うのです。これは、かってに従業員が動かして事故が起こったっておれには責任を問われることはないというような言い方をするかもしれません。しかしこの場合、社長の命令が無効であるから運転するという場合には経営管理ではない、経営管理ではないから、したがって、運転をして万が一不幸にして事故が起こったとしても、会社として、社長としての第三者に対する損害賠償の責め等は当然負うべきものである、やめたといっても、許可なくしてかってにやめることは効力を発生していないんですから、それは社会に対して会社としての責任は負うべきである、負わねばならない、こういうふうに感じておりますが、この点はいかがですか。
  69. 真田秀夫

    ○真田説明員 御質問の要旨は、民法七百十五条の使用者の損害賠償責任の件であろうと存じます。この点も先ほど申しましたように、終局的には裁判所がきめることでございますが、私なりの解釈を述べさせていただきたいと思います。  道路運送専業法で、会社の解散は運輸大臣認可を得なければ効力を生じないということになっております。でありますから、当該会社が解散したと称しましても、法律上まだ解散の効力は出ておらないと言わざるを得ないわけでございます。それから業務の休廃止は、先ほど申しましたように許可事項でございまして、無許可で業務の廃止をするということは違法な行為でございます。そういう場合に、従業員が会社の業務休止の命令にかかわらず通常どおりの業務を行なったといたしました場合に、この法律関係はどうなるかということでございますが、その場合に、会社の従業員が会社とは全く無関係に、経営管理と申しますか、自分たちの責任でやるというような前提で行なう場合と、それから会社の休廃止の命令が違法だからなきものとして、従来どおり会社の組織において会社の業務としてやっておるのだという形で運行する場合と、二つ考えられるわけでございますが、先生おっしゃいましたのは後者の場合としての御質問でございますので、その点に即して申し上げますと、それはやはり会社の業務という形になるだろうと思います。ましていわんや、損害賠償の責任をだれに負わせるかということは、その主たるねらいは、発生した損害をだれに負担させるのが社会公平の見地からいって妥当であるかというような原理で考えるというのが最近の趨勢でございますので、そういう点も考慮いたしまして、私の解釈といたしましては、御指摘のような場合には、会社の使用者責任は免れないというふうに存ずる次第でございます。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。会社の行為として正常な業務を継続するのですから、当然これは会社が責任を負わねばならないと思います。  そこで、今度のこの問題は争議行為ではない、これは会社の事業閉鎖、ロックアウトではございませんね。これは念のために伺います。
  71. 真田秀夫

    ○真田説明員 その点は、私、事実関係をつまびらかにいたしておりませんので、何ともお答えするわけにはいかない次第でございます。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 争議行為の場合には、御承知のように労調法七条によって、労使間において紛争があり、正常な業務の運営を阻害する行為といっておるんですから、会社が一方的に事業場を閉鎖するということは、この場合、正常な業務を阻害する行為ではない。会社側としては争議行為ではないのではないかと思います。しかし、場合によっては、組合側が争議の問題として対抗手段をとってもしかたがないと思います。  そこで警察庁に伺いますが、労働争議がありますと、よく労働組合の行き過ぎが間々あるとして、経営者側の要請に基づいて警官が出動する。場合によっては、違法行為だとして警官が実力行使でそれを排除するという例が間々あります。今度の場合は、全くこれは経営者の不法行為であり違法行為である。こういう経営者の全くの不当な行為に対して、罰則といえば、さっき言ったように千円以下の過料とか五万円以下の罰金であるが、罰金なんか問題にしていない。業務停止ということも、やめたいと言っておるんですから、これまた痛痒を感じない。ですから、こういう異常な問題に対しては、いまの罰則というのは何ら効用がないのです。だから、労働組合が違法な行為をしたときには、いろいろな法律で何とか理屈をつけてどんどん厳重に取り締まるのだから、経営者のこういう不当な行為、反社会的な行為を取り締まる方法はありませんか。たとえば、警察法の第一条目的、第二条責務、こういう点からいって社会公共の安全、社会秩序の維持を守るために、四千人からの事業規模が全面にストップして、しかも長期になれば、これは社会秩序の面からしてもたいへんな問題ですよ。公共の安全の上からいっても問題ですよ。だから、いまの罰則等では何ら痛痒を感じない相手ですから、私はこういった不法行為を何かの方法で取り締まる方法をひとつ検討してもらいたい、こう思うのですが、警察庁の見解はいかがですか。
  73. 三井脩

    ○三井説明員 いま仰せになりましたように、警察といたしましては、警察法によりまして、公共の秩序と安全を維持するためという任務を持っておるわけでございます。また、この福島交通はいわゆる公益事業でございまして、この業務の停廃が公衆にいろいろと迷惑をかける、こういう性質のものでございまして、労働関係の法規におきましてもむろん制約があるわけでございます。これが現実に業務の停廃が行なわれるということになりますと市民、県民に相当な迷惑を与えるという点につきまして、警察といたしましても重大な関心を持っておるわけでございます。  いまお話しのように、労働紛争にもからんでおるようでございますが、これにつきましては警察としては、労使双方に対しまして厳正中正な立場で臨んでおるわけでありまして、労働組合側に違法行為があればもちろんこれも取り締まりの対象になりますし、また会社側につきましても同様でございます。  ただ、今回の事件につきましては、いま運輸省当局からもお話しのように、直接の指導官庁、監督官庁として各種の手段、方法を講じておられるという状況でございますので、この状況とにらみ合わしまして、わがほうとしても重大な関心を持って推移をながめたい、こういう態度でおるわけでございます。  本人は十二日に実施すると言っておりますが、いまその直前でございますけれども、先ほどお話しのように、はたして実施されるのかというような点についても重大な関心を持ってながめておるということでございます。
  74. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまの板川委員の御質問に関連してお答え申し上げますが、福島交通の社長は、伝えられるところによると、罰金覚悟で、法を無視してその考え方を社会公共の犠牲において推し進めようといたしておるのでございます。私どもは、法秩序というものをどこまでも守らなければならぬのでございまして、そのためにはこちらもあらゆる法規を用いましてこれを制止するようにすべきでございます。こういう考え方のもとに、運輸省といたしましては、ただいま法務省、警察庁等と完全なる連絡をとって検討を進めておるところでございます。
  75. 板川正吾

    ○板川委員 これで終わりますが、当委員会でも、十二日から向こうが全面休止に入るようであれば、現地に調査団を派遣するという決定もいただいております。またそういう事態になれば、現地調査の上に、さらに私は今後の対策を考えたいと思います。  質問のこまかい点は今後に譲りまして、きょうはこれで終わります。
  76. 細田吉藏

    細田委員長代理 松本忠助君。
  77. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣に伺いたいのでございますが、ハーグの議定書の発効によりまして航空機の事故補償金の限度額が十一月の八日から六百万円に引き上げられました。この点につきまして私ども考えます点は、外国の例に比べますとまだまだ非常に安い、これをもっと引き上げる考えがないかという点。  そこで問題は、自動車の損害賠償の問題でありますけれども、これは最近引き上げられたことは事実でありますけれども、外国に比べますとまだまだ安い。そこで三百万を少なくとも五百万に即刻引き上げる考えはないかどうか、この点について大臣にお答えいただきたい。
  78. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 自動車事故の損害のための政府の経営しております賠償責任保険、この責任額が逐次引き上げられておるということは、これは御指摘のとおりでございます。政府といたしましても、被害者の損害の点から考えましても漸次引き上げたいと思っております。ただ、現在の段階におきましては、つい数カ月前に引き上げたばかりでございますので、しばらくこの実績を見る必要もあるということが一点。もう一点は、これ以上引き上げますと、保険料のほうも引き上げることになりはしないか、はたしてその負担にたえ得るかどうか、この辺のことも考える必要がございますので、今後の実績を見ながら積極的な、前向きの姿勢で慎重に考えてまいりたい、こう思います。
  79. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまのお話のとおりでありますが、空でも海でもあるいは陸でも、命の値段に変わりはないと思うのです。そういう点から考えましても、即刻これは引き上げるべきではないかという点を強く私は主張しておきます。  なお、これに関連しまして、支払いの問題について、従来もたびたび御指摘申し上げておりますが、一向に——支払いが延びるという点、即刻支払いがされないという点について、改善をする改善をすると大臣はたびたび言われておりますが、依然としてその支払いの手続きが繁雑をきわめ、しかもまた遅延する。この状態について、いつごろまでにどういう方途をもって改善する御意図であるか、その点をお答え願いたい。
  80. 原山亮三

    ○原山説明員 保険金額の支払いの促進につきましては、かねてからそういうお話もございまして、たびたび保険会社等に対しましてその促進方を要望してまいりまして、最近は相当一時よりはよくなっておる、こういうふうにわれわれとしては伺っておるのでございまして、先生指摘の点につきまして、確かにもっともっと早める必要もあろうかと思いますので、今後も極力その推進方についてさらに努力してまいりたいと思っております。
  81. 松本忠助

    松本(忠)委員 きょうは時間もございませんので、材料を一々列挙することもどうかと思いますからしませんが、私の手元には遅延しているために困っている材料が相当たくさん集まっております。これを整理いたしますと、まことに残念でありますが、保険会社の怠慢といわざるを得ないというふうに私は思うわけであります。この点について、次会必ず具体的な例でまたお答えをいただきたいと思っておりますが、きょうはこの点でとどめておきます。  それから交通事故が非常に多発しておる点は御承知のとおりでございますが、乗用車のサイドミラーによって死亡事故が起きた。この点に対しまして、当局としましても各自動車業者に対してサイドミラーの改善を指示されたということは、まことに適切な措置であって、たいへんけっこうなことだと思います。このように何事も早目早目にやっていただけば問題はないわけでありますけれども、やはり根本的な改革を必要とすると思います。わが党におきましても、自動車の安全に関しまして、サイドミラー等も含めました総合的な自動車の安全基準を目下作成中でありますが、当局としてこの自動車の安全基準をきめる考えがあるかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
  82. 原山亮三

    ○原山説明員 自動車の車両の安全につきましては、かねてから道路運送車両法に基づきまして、保安基準というものをつくっております。そこでこまかく自動車の各部についての基準を設けておりますので、それにつきまして、最近自動車の両数の増加に伴って、いろいろと新たな問題も次から次に発生してまいりますので、そのつどその保安基準を改正いたしまして、極力自動車の車両の保安という面の強化をはかってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  83. 松本忠助

    松本(忠)委員 次にお伺いしたい点は、事は国鉄の問題でございますけれども、大臣にお答えいただきたいと思います。  いわゆる国鉄の赤字路線の問題であります。赤字路線は相当たくさんあるということは、これはもう皆さん御承知のとおりであります。その赤字路線をかかえている。現在赤字路線が発生している主たる原因、それからまたこの解決策について、運輸当局としてはどう考えているか、この点をお答えいただきたい。
  84. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 昭和四十一年度で、赤字路線といわれておりますものが二百二十八線、一万七千四百キロメートルで、全国国鉄営業キロ数二万八百キロメートルの八四%に達しております。最近における黒字線の収益低下とともに、これら赤字線の負担が国鉄財政の重荷となっていることは事実であります。これらの線区の今後の運営につきましては、個々に当該地域における交通事情、特に代替交通手段がどうなっておるかというような実情を勘案しつつ検討を進めたいと思っております。  しかし、何と申しましても、国鉄の各線は地域社会と密接な関連があり、財政上の観点だけから直ちに路線の整理という結論を出すにはたいへん大きな問題があると思います。  また、日本鉄道建設公団の行なう新線建設も、国の高度な公共的見地から行なわれるものであります。こういう新線のうち、完成後有償で貸し付ける路線につきましては、利子補給などの財政措置によって公団の国鉄に対する貸し付け料を安くする、結果的には国鉄財政の軽減をはかっておるような次第でございます。また、地方開発線、地方幹線等、国鉄が経営に際して赤字を出すおそれのあるものにつきましては無償で貸し付けることになっておりますが、無償で貸し付ける場合にも、その運営を行なう国鉄としては赤字の負担となることは免れませんから、今後は新線建設の促進が国鉄財政の大きな圧迫になるような場合には、国鉄の公共負担是正の問題としてこれは慎重に検討したいと思っております。
  85. 松本忠助

    松本(忠)委員 大臣のお考えを聞きますと、そのように実行されていけばたいへんいいわけでありますが、現在の国鉄の状態を考えますと、このまま放置することはできないと思います。何としてもこれに対して財政的な援助を与えながらバックアップをして、一日も早く健全な国鉄の経営ができるように、ひとつ大臣のほうでも指導監督すべきではないか、このように思うわけであります。  次に、個人タクシーの問題でありますけれども、前国会におきましても、この問題につきましては再々大臣にも御答弁を願っております。年度内に三千件の処理をすると言っております。この点について中間報告をこの前も御提出願いたいということもお願いしてございますが、なかなか中間の報告もないようでございます。少なくとも十月までにはどれくらいのものが処理されたものか、それから、今後来年三月までにはたして三千件ができるものかどうか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  86. 原山亮三

    ○原山説明員 この前の通常国会で、年度内の三月末までに三千件を処理するというお約束をいたしておりますが、その後着々と事務が進行いたしまして、ここ二、三日中にも四百六両の審査が終了したので処分する予定でございますので、それを入れますと、国会でお約束した時点以降千百七十七両の処分をすることになりますので、このペースでいきますと、大体予定どおり年度内に三千件の処理ができるのではないか、かように考えております。
  87. 松本忠助

    松本(忠)委員 その千百七十七件のうち、認可になったものがどのくらいありますか。
  88. 原山亮三

    ○原山説明員 おおむね半分程度でございます。
  89. 松本忠助

    松本(忠)委員 そのおおむね半分という点でありますが、先般の法務委員会あるいは物価の委員会におきましての同僚議員からの質問に対しましても、申請の五割を認可するということがあらかじめもうきまっているような感じを受けるわけです。いつも申請の半分はもうこれはだめなのだと、頭からきめてかかっておるようにしか思えないわけであります。いままでの例でいつも半分けだめ。はたしてそういうふうにいつもいつも半分だめなのかどうか。非常に申請の書類も繁雑でありますし、それを一生懸命つくり上げて提出して、三年もおっぽっておいて、それがはたしてお役所として国民に対するサービスなのかどうか、この点も私は非常に疑問に思うわけであります。その五割を認可するという根拠、最初から五割ときめてかかっているとしか思えないわけでありますが、その点についてどうでありますか。
  90. 原山亮三

    ○原山説明員 もちろん最初からそういうふうに率がきまっているものでもございませんで、ただ審査した結果、おおむね半分が合格したということでございます。  それから、いろいろ申請手続が非常に複雑だというようなこと等の御指摘でございますけれども、そういう点について今後極力そういう面を簡素化していく、そして処理が早くできる、しかも自由裁量の余地というものを極力少なくするというふうな方針でもっていきたい、かように考えております。
  91. 松本忠助

    松本(忠)委員 了解いたしました。なお、どうか残りの件数に対しましても、年度内に必ずこれの審査を終わって、その許可あるいは不許可をはっきりしていただきたいと思っております。  それから最後にお伺いしたいことは、最近の陸運局の汚職の問題でありますが、この点についでは、大臣が異例の通達を出した直後において、また小型貨物自動車の免許について汚職の発生を見ております。また、さらに今月の八日にも、特定貨物自動車の運送事業免許について汚職が出たというようなことが新聞報道されております。これを考えましても、私ども国民といたしまして非常に残念に思うわけでありますが、単なる大臣の一片の通達でこれが改善されるものとは思いません。これに対して抜本的な対策を考えなければいけないと思います。この点について、大臣はいかにお考ええでありましょうか。
  92. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この汚職の問題は、まことに遺憾千万と言うほかはないわけでございまして、これにつきましては、まず関係公務員の心がまえというものを促す必要があると存じまして、とりあえず通達を出した次第でございます。さらに思いをいたしますならば、執務の順序なり方法なり、そういう面において絶対に汚職を排除するような、そういうふうなやり方があるとすれば、これはぜひそうすべきであると思うのでございまして、目下その点についても検討をいたしておる次第でございます。
  93. 松本忠助

    松本(忠)委員 検討を加えられることはけっこうでありますが、いつまでもいつまでも検討していて、次から次とこういう問題が発生しましてはまことに残念でございますので、どうか大臣の峻厳なる指示をもって措置していただきたいと思うわけであります。  それから八月に起きました大阪の冷房タクシーの認可の問題につきましても、陸運局と業者との黒いつながりが表に出てきました。これはもう周知の事実でございますが、その後の大阪地検の捜査の結果、大阪タクシー協会のほうの多島太郎氏、相互タクシーの多田清氏等の身辺調査の結果、数億円にのぼる使途不明の金が運輸省並びにその関係筋に流れておるということが明るみに出たというふうに聞いております。こういう点、いままで陸運局と業者というふうに思っておりましたのが、それがさらに政界上層部まで問題が広がってきているのじゃなかろうかというふうに思うわけでありますが、これは事実でございましょうか、どうでございましょうか、この点お答え願いたい。
  94. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私の聞いております範囲では、そういうことはないようでございます。
  95. 松本忠助

    松本(忠)委員 世間ではもっぱらのこれが評判でありますし、そのようなことがあってはならないと私どもも思うわけでございますが、さらにこの冷房料金の前に、LPガスの問題に関しましても、大阪のタクシー協会から相当の働きかけがあった。そのときにも七千万円というような膨大な政治献金が出ているということでありますが、すでにこのときも贈収賄がからんでおったということでございますが、この点の真相はいかがでございましょう。
  96. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政治献金ということが一部行なわれ、そしてそれが正規の政治献金として政党その他の政治団体の収支として届けられておるということは聞いております。しかし、さような多額の金が不正に動いておるということにつきましては、私はいま申し上げました政治献金として届け出られておるものがあるということ以外には聞いておりません。
  97. 松本忠助

    松本(忠)委員 わかりました。大臣がそこまではっきりと言い切られるのでありますからたいへんけっこうでありますが、われわれ国民の一員といたしましても、こういう問題がいつまでもいつまでも尾を引いていて疑惑の巣になっている。特に運輸省においてはいろいろの免許、許可の問題等をかかえておりますし、世上一般にいわれるところは、免許のさたも金次第だといわれるくらいでございます。こういうことが国民の口から出るということだけでも残念に思うわけでございまして、この点を徹底的に国民の前に事実は事実として発表して、そういう事実があったならば、大臣は率直にこれをわびるべきであると同時に、今後そのようなことのないようにひとつ厳重に監督をしていただきたいことを切にお願いしまして、私は終わります。      ————◇—————
  98. 細田吉藏

    細田委員長代理 次に、日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 いま松本君から赤字線というか、国鉄の経営についてお話が出て、大臣から答弁があったのですが、いま来年度の予算要求の時期にあたって、国鉄の経営全体と当然進行中の第三次長期計画実施というような問題で、いろいろな方面からいろいろな意見が出ているわけであります。  そこで、私は本日二、三の点で当面お尋ねをしたいのでありますが、先ほど赤字線の建設、そういうものについて大臣から御答弁がありましたが、建設公団が三十九年の三月にできた。その公団ができた直後に、経済の事情、そういう客観的事情が変化したので、一部基本計画を変更するということで審議会にかけられておる。その当時のわれわれが受け取った受け取り方では、御承知のように着工線、直ちに着工すべしというものがたしか四線あったと思うのです。鹿島線、小金線、京葉、湖西、こういうようなのが四つあって、そのほかに別口といっては語弊があるが、瀬戸線、落合線というのがいずれもすみやかに着工すべしということであります。そういうことと同時に、基本計画では六十六線のいわゆる着工というか、これは海底も入れまして、トンネルも入れまして六十六線ということになっているわけです。しかし先ほど申し上げたように、われわれが受け取った印象というかそれは、言うならば四つか五つの線がさしあたり完成を急ぐ、そのための投資をする。それからその他の十一線というか、そういうものは予算規模等を勘案して、着工の時期、方法をきめていくということで、六十六線の着工線全体を公団が当面その基本計画の中で完成するというのじゃなくて、いま申し上げた十一線を含めて十五線か十六線に工事を集中する、こういうふうな考え方であったかと思うのであります。  ところが、いま見ております実態は、大臣も御承知と思うのでありますが、国有鉄道が敷設法に基づいて自分で建設していた当時と何ら変わりはなくて、六十六線そのものに少しばかりずつの予算がついている。それからもう一つは、国鉄の意見でもそうだったと思うし、運輸省の意見でもそうだったが、まあ言うならば、ここの線はもはや鉄道の路盤までできているけれども、これは自動車でやるというので自動車でやっている。ところが、それから先の線区、それはいま建設公団が鉄道としての建設工事を進めているというのですね。こんなばかげたことがあるというと、ただいまの大臣答弁を疑いたくなるのですね。基本計画について審議会に諮問をして、公団に指示されているのが運輸大臣であります。お話とはだいぶかけ離れていると思うのです。だから、ここで統一した見解をきちんと政府部内でも、国鉄や公団を含めてやることが一番いいと私は思う。だから、さっきの御答弁は、抽象的にはそうだろうと思うのですね。至って常識的な御答弁であります。ところが、実際は常識的になっていない。だから、いわゆる地方線の、ローカル線の建設、そういうものは、言うまでもなく、鉄道でなくてはその地域なり全体の経済あるいは文化、そういうものを含めての発展ができないというところは、極端な言い分でありますが、これは赤字であろうがなかろうが、鉄道が国民的な立場からは必要なのでありますから、これは当然やる。しかし、今日のような時代になりましては、たとえば道路と並行してつくる必要はなくて、道路で十分やれるし、またそのほうがサービスというか、輸送力のつけ方も非常に容易である、そういうようなところは押える、こういうことだと思う。先ほど御答弁いただいたのはそのとおりだと思うのですが、そのとおりやっていない。最近国鉄当局等でも赤字線については、やはり経営改善ということで問題を提起しております。ところが、新線建設についてはいま申し上げたとおりであります。既設線区、いまあるところの赤字線区というものの扱いについても、これまた同じような問題で考えなければならぬと思うのですね。  それからもう一つは、私どものほうでは内部的に地方交通の整備振興方策というものを一応内々つくってございます。もちろんまだ未完成なところもありますので、外部発表の段取りにはなりませんけれども、きのうの新聞でありましたが、国鉄の内部にある法制研究会というのですか、そういうところで一応出した意見があるようでありますが、地方は地方なりに鉄道が必要であるか、バスでもっと輸送力をつけるか、それには資金的にどういう手当てをすべきか、朝晩のラッシュについてはどうなのかというようなこともあわせて、ローカル的な交通のあり方として一定の方針を出して、育成すべきものは金を出す、転換すべきものについても指導していく、私はこういう方法がなければならぬと思うのでありますが、この赤字線と新線建設について先ほどの御答弁は、私があなたの答弁を聞いて申し上げたとおりでよろしいか、よろしいとするならばどういう手段をおとりになりますか、ひとつお伺いをしたいと思う。
  100. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の趣旨は、口先で答弁をしておることはたいへんけっこうであるが、現実に各線に当たってみると答弁のとおりになっておらぬ、この点をどう改善するかという御趣旨かと存じます。私どももこの国鉄の新線建造あるいは赤字線の整理という問題は非常に重要な問題でございまして、先ほど申し上げましたとおり、単なる採算面だけから決定すべき問題ではなく、やはり国家全体の経済面、文化面、その他多角的な見地から決定すべき問題だ、こう思うのでございますが、これにつきまして、いろいろ関係者間の考え方が必ずしも統一されていないという点でいろいろ混乱を生ずるのではなかろうかと思います。今後は建設公団、国鉄、運輸省当局、これらでよく相談いたしまして、各方面の考え方を逐次統一いたしまして、権威ある考え方というものに基づいて処置するように努力をしたいと存じます。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんから、赤字線の問題についてはその程度でまいりたいと思うのであります。  次には、第三次長期計画の受けとめ方というか、そういうものについてどういうふうに大臣はお考えなのか。あらためてお伺いしたいのは、もうすでに御承知だと思うのでありますが、先般の記者会見では、何か運賃値上げとのてんびんにかけてそのことを判断されておるような印象を受ける記事が出ております。そういうものではないだろうとわれわれはいままで受け取ってきておるわけなんです。これはどういうことなのでしょうか。
  102. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 第三次長期計画というものは、今後の国鉄の改良建設というものについての至上命令であると考えております。これを遂行しなければわが国の輸送需要から見まして、経済発展の基礎を危うくするおそれがある、こういう意味でやらなければならぬ問題なのでございます。ただしかし、御承知のとおり、この第三次長期計画が国鉄財政のワク内で処理されるということに相なっておりますので、財政投融資、あるいは国鉄の収入、こういうものによってまかなわれなければならぬのが現在のたてまえでございます。現状をもっていたしましては、第三次長期計画を遂行するところの資金需要に対して、国鉄財政がなかなか応じかねるような情勢になっておるのであります。そうかといって、それを補う方法として定期運賃の引き上げというふうなものを安易に考えるべきではない、こう思うのでありまして、要するに第三次長期計画を推進するためには、現在の国鉄の財政状況から見まして、一般会計からの出資であるとか、あるいは利子補給であるとか、こういう方面に相当力を入れていかなければその遂行が危うくなる、こういう意味を申したつもりであります。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、定期運賃は大幅にというか小幅にというか、上げること自体はいまの政府として当然すべきでないという結論が先行すると私どもは思っています。物価がとまらぬのでありますから、物価政策上これはやはり問題があるというのは当然だと思います。しかしいまのようにお考えでは、運賃値上げを安易に考えるという前に、これは運輸大臣としてはどうなのでしょう。政府出資その他をいまおっしゃったが、そういうものについてそのことを前向きで考えて、第三次長期計画を推進するというのが当然かと思うのですが、この間の新聞報道では、何か計画の繰り延べも考えていったらいいだろうというふうな、これまた、非常に失礼ですが安易な御発言のように受け取っているのですが、その点はどうなのですか。
  104. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 報道でございますので、いろいろニュアンスの違いはあるかと存じますが、真意は先ほど申し上げたような趣旨でございます。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 国鉄当局、磯崎副総裁がお見えでありますから、いま来年度予算要求にからんで政府部内でもいろいろ意見がある、それから国鉄当局としてもそれぞれ意見を出しておられると思うのでありますが、そういう問題をくるめて国鉄経営の改善、こういうものは第三次長期計画を中心にしていかように考えられるのか、これをひとつ御披露いただきたいと思います。
  106. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 本日、総裁がちょっと病のため休んでおりますので、私からかわってお答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、私ども現在非常に苦境に立ちました国鉄財政の立て直し、あるいは国鉄経営の健全化の基本は、やはり現在遂行しつつある第三次長期計画が完全にできて、通勤輸送も多少よくなる、保安対策も強化される、あるいは幹線輸送力もつくということができない限り、根本的な国鉄経営の改善はあり得ないということを確信いたしておりますので、やはり今後とも三次計画の完全遂行ということを中心にして考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 そこで大臣にお伺いしたいのは、第三次長期計画策定するときに、日本国有鉄道基本問題懇談会というのがそれぞれ、政府の任命か委嘱かわかりませんが、そういうメンバーによって意見が取りまとめら証まして、これも政府は、言うならば閣議で政府の立場としてこの投資、そして資金の調達等について了解をしているところだと思うのです。ところがその中に書いてあることは、この二兆九千七百二十億というのは先行投資というようなものではない、こういっておるのですね。それはそのとおりだと思うのです。幹線輸送の増強あるいは通勤輸送の増強、保安対策、こういう三本の柱でいる限りでは、これはもうやらなければならぬ最小限度の工事である、こういつているのです。それからもう一つは、この資金調達でありますが、六年間ということには多少無理があるかもわからぬが、少なくとも七年間には完成すべきものであって、これは決して無理なものではない、こういっておるのですね。ところがいままでの経過を見ておりますと、計画に比べれば、御承知のように二百億も投資不足です。そこでお尋ねしたいのは、この基本問題懇談会というのはいまも生き続けているのですか、ないのですか。意見書を出したとたんにこれはやめているのですか、どうですか。
  108. 増川遼三

    ○増川説明員 ただいま、懇談会は一応なくなっております。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 いま答弁があったとおりでありますが、そうだとするならば、国鉄の経営を含めた、いわゆる輸送力増強、そういうものは、第三次長期計画を含めた経営の方針は、この意見書を了解したそのままでありますから、言うならばその方針どおりやっていくのが正しいのですね。そこでこういうものが出るときに問題になったのは、これ以前でありますが、いままで二回の五カ年計画というのがありましたが、これはみんな失敗。計画そのものが小さかったということ。経済の成長が早かったとも言えるでしょうが、小さかったということ。それからこの計画自体が政府においてオーソライズされていなかった。政府で、これは認めますということを言ってもらえなかった。ましてや、その裏づけの資金も保証がなかった。だから単年度の予算要求でやっていって、計画が小さいのに資金はもっと小さくなって、実際はかなり離れてしまった。だからこの長期計画というものは、当時総裁が出てきて、政府にこれはオーソライズされなければならない、資金についても責任を持ってもらわなければならぬというのが、国鉄を代表した石田総裁の発言であります。それを受けてこういうものができて、その結果とうとう政府が責任を持つということになったのです。それから出てきた。ところがいまはちっとも責任を持っていないようなかっこうになってきている。これはどうなんです。おかしいと思うのですね。どうも政府も責任を持ちかねるようだ。  それからもう一つ、続いて、時間もありませんから言うことだけ先に言ってしまいましょう。  最近大蔵省は、財政懇談会ですか、こういうところに大蔵省見解としてものを言っております。それには、おもしろいのですよ、この第三次長期計画は再検討の要がある。再検討というのは何かというと、国鉄の収益力はこの第三次長期計画策定当時考えていたものと、だいぶ今日違ってきた。国鉄の収益力には著しい変化があるというのです。ところが意見書には、それは自前で金も出さなければなりません、だから運賃値上げしましょうということになっている。そのほかに政府の出資も必要だ、あるいは固定資産税見合いの納付金の問題にも言及しております。ところが大蔵省は、やはり政府の一員でありましょうが、当時考えたこととはだいぶ変化がある。しかもその変化があるというのは、輸送事情に変化があるというのではなくて、銭のほうの変化があるというのです。だから計画を検討する必要があるということ。そこでこれは非常に問題だと思うのですが、さらに検討していけば、収益の高い投資と経営合理化、近代化の効果の大きい投資に限ってやれ、あとはやるなというのです。そうなると、さっき言った赤字線の問題などは、全然収益の高い投資ではありません。近代化、合理化の投資でもありません。そうしたら、これはやめろというのです。しかも通勤輸送は応益負担原則によって運賃を是正せよ。応益負担の原則によって、たとえば山手線や中央線の線増や何かやったものをそのまま乗っけて、応益負担の原則だから定期運賃をそれだけ上げたらどうかということは、今日だれが考えてもできない相談です。いい悪いは別にしてできない。そういうものを政府部内においてやっているのだ。そういうものの考え方や見方を整理しない限りは——これは国鉄の経営を抜本的に改善すると、政府も閣議了解事項ではいっているのです。だから、そういうものをどう考えて、どういうふうにやっているのかということがいま一番大事な点だと思うのです。いかがでしょう。
  110. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まことにそのとおりに存じます。現在各方面で、第三次長期計画について、また定期券の値上げについて、赤字線の問題についていろいろ論議が行なわれておりますが、要するにこれらの論議は、来年度の国鉄予算の編成について、どう歳入をあんばいすることが適切かということについての、各省同士のかけ引きも相当あるようでございまして、私どもも多少そういうことも意識しながら、発言も注意をしなければならぬと思っておるのでございますが、要するに国鉄といたしましては、第三次長期計画というものが国鉄の経済的、文化的の使命達成の上からいって絶対必要事だという考え方に基づいておるわけでございますから、私どもはあくまでもこれを尊重すると同時に、これが実現できるような財政措置をかちとりたい、かように思っております。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、いまのところ運輸大臣としては、第三次長期計画の中身なり規模というものを再検討する考えはなくて、これは既定方針どおり実行さるべきものである、こういうふうにお考えであるということですか。
  112. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいまのところは、そういう考え方で進んでおります。ただ、現在論議されておる予算上の問題点として、定期の引き上げの問題であるとか、あるいは政府出資の問題であるとか、あるいは地方納付金の問題であるとか、いろいろな問題がございますが、これらを総合した最後に出てくるのが、結局第三次長期計画をどうやって推進するかという問題だろうと思うのでございます。これらの問題にまどわされずに、できるだけ第三次長期計画を守り通していきたい、こういうつもりで進んでおります。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 いろいろお話ございましたが、問題はどういう金をどこから持ってくるかの問題だと私は思うのですね。それ以外のことを検討したって、国民は言うことを聞きませんよ。運賃値上げで第三次長期計画をこれだけやります——現にやっているでしょう。少ないけれどもやっている。そこで、運賃値上げができませんからやりませんとか、運賃値上げが必要ですというのは、これは少なくとも一番先に出るような話では私はないと思うのです。たとえばこの意見書にもあった納付金の制度の問題にしても、なかなか地方財政の苦しい中で、もぎ取るというか、その財源をすっぱり召し上げるということは問題があります。だから、少なくとも国鉄が経営のバランスがとれるようになるまでの間は、赤字に転落しているうちは、少なくともこの納付金はめんどうを見る。あるいはそれに見合ったものを政府がめんどうを見る。もちろん地方財源でこれが穴のあきっぱなしというわけにはまいりませんから、当然政府は地方財政については別途考慮するというようなことを考えていいのじゃないか。それから通行税にしても、保安対策は、大蔵省じゃありませんが、収益を生みません。だから通行税などは目的税に置きかえて、保安対策費の一部に繰り入れるとかいうようなことも考えるべきだし、それから、通勤定期の値上げを主張する前に、私が考えるのは、これはいままで石田総裁はじめ言っていますが、大企業、大産業の会社利用をしている数が多いのですというのだ。事業主負担ですという。だから、上げても、一般の工員というか、社員には関係がないような話をしますが、それはそういうものではないと私は思うのです。しかしながら、どうしてもそういうことが必要だというならば、大体、一定規模以上の大企業、大産業というか、そういう産業には銀行預金もあるのでしょうから、少なくとも銀行に定期預金をするうちの一部ぐらいは国鉄に出資したらどうか。そうすれば、大体五分五厘ぐらいの金を国鉄は使えるのですね。いま話に聞くと、国鉄は利子補給を六%までやってくれというのです。ずいぶんつつましやかな話で、海運などは五%までだと思うのですが、大蔵省あたりは六・五%もどうかと思うという話ですがね。私は企業や産業は、通勤定期を利用しているものは中小企業もありますから、利用債を買ってくれといってもなかなか無理かもしれぬ。あるいは金融財政の政策からいってもなかなか問題があるかもしれぬ。しかしながら、利子補給を運輸省が取り上げて要求するとするならば、産業に、銀行に持っていく金があるなら、少なくともそのうちの一部をひとつ国鉄のほうにも出してくださいと言うことは、別に筋の違った話じゃないと思うのです。だけれども、その前にやはり政府が、この意見書にあったとおり、大きな比重を占めている政府出資という問題を片づけない限りは、民間にと言ってもがえんじないと思うのです。だから、政府の出資について明確な見解をこの際とるべきじゃないか、こういうふうに思うのです。いかがでしょうか。
  114. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府出資につきましては、私も全くさように思います。ぜひ今回は実現いたしたいと思っております。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 副総裁にちょっとお尋ねしますが、昨年というか、今年度予算要求のときには、国鉄当局は政府に九百億の政府出資を要求されましたが、今回は少し違うようでありますが、これはどういうことなんですか。
  116. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 昨年は通勤輸送の所要資金のうちの、車両以外の金は全部政府で出してほしいということで九百億要求いたしましたが、本年につきましては、いろいろ政府のほうの財政の御事情もお苦しいようでありますし、また設備の中でも、やはりうちのほうでやるべきものもあるというふうに考えまして、来年度施行すべき工事の中から、道路でいえば用地費と、その上の路盤と申しますか、それに相当する部分、すなわち通路費と申しますか、それをこまかく算出いたしまして、三百九十億。すなわち線路の中でも、たとえば電気設備あるいはレール等は自前でやります。しかし、用地費と路盤だけは何とかひとつ道路並みにめんどう見ていただきたいという意味で、来年度の通勤輸送の設備費の中の、それらの用地費と路盤費を含んだ通路費だけを政府にめんどうを見ていただきたいということで、三百九十億に下げたものであります。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話だというと、公共負担の問題は後退した形ですね。それで、道路並みに、せめて通勤ぐらいは、基盤の構築費だけぐらいはただの金を出してほしいということで、たいへんな方向転換で、これはどうかと思うのですが、てまえどもは先年国会に提案した方針どおり、やはり公共負担の問題を政策上どうしてもやるとするならば、これは当面長期計画の性格からいっても、政府の出資をもっと大幅にふやす。もちろんこれは財源の求め方に大きな問題があろうかと思うのであります。これは当然われわれが指図するところではないのでありまして、大蔵大臣関係もありましょうが、まず隗より始めよで、運輸大臣がお考えになって、いかなる金をどこに持ってくるかということは考える筋だと思うのですね。ひとつそういうことでやってほしいと思うのであります。  最後に、くどいようですが、大臣に申し上げますが、これは党と政府が責任を持っている仕事ですよ。懇談会がまだあるとするならば、まだ結論が出ないで、毎年毎年続けざまにいろいろなことを考えながらやっていくこともあるかもしれませんが、すでに結論づけて、これは店じまいしているわけです。政府がこれをのんだのです。国民も了解して運賃値上げを、これはしかたがないということになったんです。だから、この際は、もしもこの方向に変化があるとするならば、これは金の持っていき場所が一大転換でありますから、だから、これは政治責任というか、そういうものも免れないとわれわれは思うので、おわかりでしょうが、ぜひもう一ペんこの意見書も大事なところを読み直して、推進に当たってほしい、こういうふうに思います。  時間ですから、これでやめます。
  118. 細田吉藏

    細田委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会