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1967-05-24 第55回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   委員異動  五月二十三日    辞任          補欠選任     小柳  勇君      戸田 菊雄君  五月二十四日    辞任          補欠選任     山本伊三郎君      占部 秀男君     占部 秀男君      鈴木  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         多田 省吾君     副主査         内藤誉三郎君     委 員                 井川 伊平君                 新谷寅三郎君                 吉武 恵市君                 小林  武君                 鈴木  力君                 戸田 菊雄君                 石本  茂君    担当委員外委員                 小柳  勇君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        国 務 大 臣  二階堂 進君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁長官        官房会計課長   藤井孝四郎君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君        文部省体育局長  赤石 清悦君        文部省文化局長  蒲生 芳郎君    説明員        厚生省医務局管        理課長      山高 章夫君        会計検査院事務        総局第二局長   井上  鼎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 多田省吾

    主査多田省吾君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について報告をいたします。  昨二十三日小柳勇君が委員辞任され、その補欠として戸田菊雄君が選任されました。  また本日、山本伊三郎君が委員辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。     —————————————
  3. 多田省吾

    主査多田省吾君) 昭和四十二年度総予算中、科学技術庁所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。二階堂科学技術庁長官
  4. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 昭和四十二年度における科学技術庁予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十二年度総理府所管一般会計予算要求額のうち科学技術庁予算要求額は、歳出予算額二百四十三億六千二百五十四万四千円、国庫債務負担行為額七十三億百万円でありまして、これを前年度予算額歳出予算額二百四億四百三十七万七千円、国庫債務負担行為額三十七億八千五百万円に比較いたしますと、歳出予算額三十九億五千八百十六万七千円、国庫債務負担行為額三十五億一千六百万円のそれぞれ増額となっております。  次に、予算要求額のうち、おもなるものについてその大略を御説明いたします。  まず、歳出予算といたしましては、第一に、科学技術庁一般行政費並びに科学技術会議及び原子力委員会運営費並びに資源の総合的利用方策調査等に必要な経費をはじめとし、科学技術者資質向上のための経費発明実施化促進をはかるための助成費科学技術試験研究助成費低温流通機構調査費及び地方科学技術振興事業助成等に必要な経費として十四億三千八百四十七万六千円を計上いたしました。これは前年度予算額に対し一億六百九十八万六千円の増額となっております。  第二に、重要総合研究推進のための特別研究促進調整費潜水調査船建造費並びに原子力平和利用推進するための試験研究費及び助成費、並びに放射能安全対策のための調査研究費等として二十二億六千二百十九万二千円を計上いたしました。これは前年度予算額に対し二億三千八万一千円の増額となっております。  なお、これらの経費のうち一部は、その執行にあたって必要に応じ、それぞれ関係各省所管に移しかえて使用させることになっております。  第三に、宇宙開発推進航空技術向上金属材料等の品質の向上無機材質創製研究放射線医学総合研究防災科学技術促進等を実施いたしますための当庁所管試験研究機関経費として五十二億八千百八十七万六千円を計上いたしました。これは前年度予算額に対し十二億三千七百十万円の増額となっております。  第四に、理化学研究所、日本原子力研究所原子燃料公社、及び新たに設立を予定いたしております動力炉・核燃料開発事業団等、当庁の監督下にあります特殊法人に対し、政府出資金を交付するため必要な経費として百五十三億八千万円を計上いたしました。これは前年度予算額に対し二十三億八千四百万円の増額となっております。  次に国庫債務負担行為といたしましては、核燃料物質の購入、大型耐震実験装置整備原子炉その他の研究施設整備原子力船建造等を実施いたしますには、多くの日数を要しますので、昭和四十二年度においてあらかじめ国庫負担となる契約を結ぶ必要があります。このため、国庫債務負担行為限度額として七十三億百万円を計上いたしました。  また、原子力損害を賠償することにより生ずる原子力事業者の損失を国が補償するため、原子力事業者とあらかじめ補償契約を締結することのできる金額の限度額を六十五億円と予定いたしました。  以上簡単でありますが、昭和四十二年度科学技術庁予算について、その概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  5. 多田省吾

    主査多田省吾君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 小林武

    小林武君 国産衛星を何年までに大体打ち上げることが可能であるか、このことをお尋ねしたい。何か新聞を見ると、四十二年度までに上げるというようなこともあるが、四十五年度までに上げてみせるというような、それぞれの意気込みもあったようでありますが、こういう質問をいたしましたのは、実は新聞を見て、興味本位的に考えたんではないのです。これはわが党の議員のうちのある人に、フランスの有力な新聞記者が一時間以上にわたりいろいろ質問をしたそうですが、そのときの第一問で、日本国産衛星がいつ上がるかということを非常な熱心さで聞かれた。私もそういうことについては外国がなかなか関心を持っているということは聞いているわけです。もちろんこの点については、日本の学界も重大なやはり目的を持ってやっているわけでありますから、その点について科学技術庁では一体どんな目算をしているか、それをお尋ねいたします。
  7. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この衛星打ち上げの計画は、もちろんこれは政府としては一応の計画を立てて、それに向かって研究開発を行なっているわけでございますので、科学技術庁が打ち上げようと計画いたしておりまする実験衛星は、昭和四十五年度に打ち上げるということを目途として、それが実現するように計画を立てて推進をいたしておるような次第でございます。
  8. 小林武

    小林武君 その衛星は、やがて人間衛星というようなことも目標に入りますか。
  9. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまそこまでは考えておるわけではございません。
  10. 小林武

    小林武君 しかし、日本でもぜひ打ち上げたいという意欲は、相当各関係方面に特に強いようにわれわれも聞いているわけですけれども、これはどうでしょう、そういうことはないわけですか。そういうめどで、たとえば一つの大きな計画があって、計画の中で、当面いま長官のおっしゃったようなものの打ち上げをやっていらっしゃるのか、そこらあたりはどういうことですか。
  11. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 小林先生の御質問内容は、いわゆる人間衛星を打ち上げるというような計画があるか、こういう御質問かと解しておりますけれども現時点におきまして、私どもは昨年の八月に出ました宇宙開発審議会人工衛星の打ち上げ及びその利用に関する長期計画に関しますところの建議に基づいて今後の開発を進めておるわけでございますが、現在の私ども考えといたしましては、いわゆる人間衛星船まで打ち上げるような計画はございません。ただし、長期計画を今後つくらなければなりませんと思いますけれども、これはただいま最も適切なる計画をことしの夏までにつくること、これは四十五年度までの打ち上げの計画と、それから四十六年度から五十年の間隔におきますところの計画と、さらにでき得ますれば、五十年以降六十年あたりの、これはいわゆる長期見通しでございますけれども、これをやろうと思っております。現時点におきましては、わが国技術段階からいたしまして、その期間内にいわゆる人間衛星船を打ち上げるというような可能性と申しますか、それはございませんし、そのような計画は出てこないのではないか、むしろ実用衛星という部面で、経済なり社会発展に寄与するというようなことがいまの目的となっております。以上でございます。
  12. 小林武

    小林武君 長期計画といっても、五十年以後ですね、五十一年からもっと遠い将来ということになると、かなり長期的なものになるのですが、その場合、そこらあたりになると全然何といいますか、一つめどというものはないわけですか。何か私はちょっとしろうと考えといたしまして、当面の四十六年とか何とかいうところまではわかるのです。それが六十年という長期計画ということになった場合に、いまのお話だというと、ちょっと説明が納得いかなくなるのです。これはしかし、別にたいしたことじゃないのですから、ざっくばらんにあったらお話し願います。
  13. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) 御指摘のございましたように、実際は宇宙開発の進度というものは非常に早いものでございますので、たとえば先ほど申しました宇宙開発審議会建議が四十一年八月に出ておりますけれども、これをさかのぼります二年前の昭和三十九年でございますかに、第三号答申というのが出ておりますけれども、この時点におきましては、場合によっては外国ロケットを使って衛星云々ということがございまして、独自で科学衛星もしくは実用衛星自体を打ち上げることも明記してなかったと思いますが、二年たちますると、自分のところで衛星も自力で開発をしてというふうな方向に変わったわけでございます。そういう点から見まして、先生指摘のとおり、今後の時点におきまして、そのようなものに相なるかもしれませんですけれども、ただ現時点におきましては、私ども考えと申しますのは、やはり非常にビッグ・サイエンスで、ソ連や米国がいわゆるアポロ計画やその他の計画人間衛星船、月に行くということを指向いたしておりますけれども、それよりもということは語弊がございますけれども、もっと実用的な、経済とかあるいは社会福祉発展というものに直接一義的に結びつくものをまず開発しよう、これが三号答申におきますところの一つの基本的な理念になっておりますので、その上に立ってやりたいと思っております。それがいまの時点でございますので、今後長期計画も、また場合によってはいわゆるローリング・プランで変わっていくかもしれませんけれども、やはり四十五年度までの第一期計画は、これは建議にも言っておりますように、実用実験衛星計画ということでございまして、まあ実用というと、ちょっとその前の段階ということに相なっております。したがいまして、それまでに実験的ないろいろな計画推進いたしまして、その後の五年間で第二期計画におきましてはいわゆる実用衛星の形にいくのではなかろうかと思っております。五十年以降六十年ぐらいの長期見通しにおきましては、やはり人間衛星というよりも、いわゆるロケット推進力と申しますか、の関係でたとえば原子力ロケットであるとか、イオン・ロケットであるとか、そういうようなこれからの、いまの段階で未開発と申しましょうか、そういう段階もの等研究開発するというような構想が入ってくるやもしれないと思っております。現時点では、やはり人間衛星船までのところは、長期計画の中には含み得ないのではないかと思いますが、これは推定でございますが、ただいま作業中でございます。
  14. 小林武

    小林武君 この点については、あと一つだけお尋ねするわけでございますけれども学者意見の中に、戦争あとには必ず科学技術進歩する、飛躍的に進歩をすると、こう言うのです。戦争はいけないから、それにかわるものが、これからの宇宙開発、これはちょっとおもしろい意見だと思うのです。というのは、私もいろいろ旧軍人の人たち政治をやっている人たち意見を聞くと、戦争というものは必ずしも悪い面ばかりあるのではなくて、いま言ったような科学技術進歩というものから見れば大きな貢献をしていると、そういう一面のことも一つあると思う。しかし、戦争がいよいよできなくなった場合には、宇宙開発というようなものをいわゆる戦争にかわるものとしてやらなければならぬ。いろいろな意味科学技術進歩を助けるとすれば、私はそれは相当長期的な見通しでまだまだこれからやっていかなければならないということになるだろうと思うのですが、そういう考え方は、やはり科学技術庁の中にあるわけですか。
  15. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 確かに今日の科学技術進歩は、戦争のためにいろいろな武器をつくる、また最近の傾向は、アメリカとかソ連等においても、相当進んだものが軍事の中に織り込まれて研究開発がされておることも、これも事実でありましょう。学者の中には、先ほど小林先生がおっしゃったような御意見を持っている方もおられることも、私も承知をいたしておるのですが、しかし、わが国におけるこうした科学技術開発というものは、あくまでも平和利用に限る、このことは御理解願えると思っております。原子力開発にいたしましても平和利用に限る、また宇宙開発の問題にいたしましても、宇宙間の物理科学の現象を探究するということや、あるいは実用衛星、放送、通信、測地、航海等に必要なそういう国民経済生活向上に資することを目途としての計画でございますので、わが国における科学技術振興に対する基本的な考え方というものは、あくまでも平和利用に限定していくという考えに徹してやっておるつもりでございます。
  16. 小林武

    小林武君 ごもっともな御意見でして、またそうあってほしいものですけれども、いうなら科学技術というものは、もろ刃のやいばみたいなもので、これもうんとやっていけば、平和の問題につながるとか、あるいは戦争の問題につながるとかいうようなことを、なかなか言い切れない。あるときはそれは大きな戦力となって発展していく、研究の途上に出てくるものですから、これはしかたがないと思う。この点は、私が小説を書く人たち陳情案内役で行きましたときに、いまのじゃない、前の官房長官がその人たちに話しているのを聞いておりましたが、まあロケットの何か予算を獲得するための陳情が来ていた。そのとき、結局これは平和目的のためにやっていると言っても、将来軍事的に非常に役立つこともあるんだから、予算はうんとふんばったほうがよろしいという、こういう陳情があった。しかし、自分としてはこれは平和目的であることを忘れてはならぬことだから、そういう陳情にはそういったことをきちんと言ったんだというような話をしておりました。私は、これは正直な話だと思います。でありますから、科学技術進歩を、そういうおそれがあるからやめるなんというばかなことは言わないで、むしろ、政治そのものが一体科学技術進歩をどう扱うかというところに問題があるわけですから、だからわれわれも科学技術進歩ということには一生懸命努力をしなければならぬと、こう思うのです。この姿勢の問題は、大いにお互いに考えなければならぬことだと思うんです。でありますから、たとえばいまの問題なんかについても、実はもう少し何か科学技術庁としては大胆な計画を述べられると思いましたが聞けませんでしたが、これはここらで打ち切ります。  もう一つ、ちょっと大臣に妙なことをお尋ねするようでありますが、私は科学技術白書というものを見たんです。そうしたら、どうも私の見方がおかしいのかしりませんけれども文部大臣と兼務しているときの科学技術白書というのは、やっぱり一つの型がある。それから科学技術庁長官というのが単独の場合は違うというふうにぼくは見たんです。何か前のあれが書いてあるときには、愛知さんと同じような傾向、それで私は文部大臣科学技術庁長官が兼務することがいいとか悪いとか議論することはないんですけれども、まあしかし、一緒にするということは、科学技術発展そのものからいえばあまりけっこうなものではないという気持ちは個人的に持っているのですが、これはどうなんですか。そういうふうにお考えになりませんか。これを見ただけで私はそう感ずるんですがね。目次をめくって見ただけでも、だいぶ違うような気がするんですが、そういうお感じはしませんか。
  17. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 科学技術庁長官文部省仕事と兼任したほうがいいのか、あるいは単独であったほうがいいのかという意味の私はお尋ねだろうと思っていますが、これはむしろ小林さんにどっちがいいだろうかと聞いてみたいくらいなんですが、しかし、大臣をきめるのは総理大臣仕事でもありますし、総理大臣のいまの佐藤総理自身も二つの役所を兼任しておられましたが、いま申されますのは、文部省との関係だろうと思いますが、率直に言って、私は自分の私見にわたりますけれども申し上げますと、やはり科学技術庁を置いたということも、科学技術専任する大臣を置いて科学振興技術開発をやれと、こういうことにあろうと思っております。また、今日技術革新の時代において、わが国科学現状技術開発現状考えてみ、また先進諸国の進んでいく状態を考えてみますと、非常に日本科学の面に対する国の施策、力の入れ方がまだ不十分であることを痛切に私は感じます。特に先進諸国、ヨーロッパあるいはアメリカ等におきましても、政治経済関係する首脳部人たちが、最近技術格差の問題を真剣に討議をいたしておる、また英国などを見てみますというと、科学技術担当大臣も置いているし、また科学技術者を養成するための人材養成専任大臣も置いて、そうして科学振興技術開発、そうしてそれが経済に大きな推進力になっているということに対する力を入れておる姿勢を示していることなどを考えますと、やはり私は専任大臣がおって、これらの仕事に専念したほうがいいのではないか、こういうことも私個人としては考えております。また兼任されても、それじゃ何から何まで悪いのかと言われますと、そうでもないというような気もします。しかし国会などの都合で見ますというと、文部大臣科学技術庁大臣一緒になって仕事をしていますと、なかなか文部大臣仕事は、私の仕事よりも相当広範囲にわたる渉外的な仕事もあるし、国会仕事もある。で、なかなかこれは、一生懸命がんばって仕事をやるのは当然でありますが、いろいろ支障があるのではないかというふうに私個人考えますが、私個人にわたる意見でありますが、私はやはり専任大臣を置いて、そうしておくれておるこの科学振興技術開発にもっと私は力を入れたほうがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  18. 小林武

    小林武君 これから質問することは、このごろずいぶん予算委員会あるいは衆議院でもいろいろなところで問題になりました、研究費アメリカの陸軍から受けたという問題なんです。このことについては、もうすでに内容的にはどういうことかということは、もうここでくどくど言う必要はないと思います。ただ一つ、私不審に思っている点が一つあるのは、これは政府が全然知らないということについては、私はどうも納得がいかないんです。どうも学者はけしからぬということになっているのは、これはどうも納得できないのです。それは納得できないといっても、こうこうこういう理由でこうなってというような理由を言えるあれはありますけれども、私はそういう疑いを持つ。その角度から御質問するわけでありますけれども日米科学委員会というのがありますね。この日米科学委員会というのは、一体発足以来どういう仕事をいままでしてきて、どんなことをきめて、具体的にそれが両方研究その他の活動でどんな関係を持ちつつやっているか、それをお伺いしたい。
  19. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) こまかい事務的なことは局長から答弁いたさせますが、御承知のとおりこの日米科学委員会昭和三十六年六月、御承知のとおり池田・ケネディ会談に基づいて発足をいたしたものだと私は了解をいたしておりますが、自来五カ年にわたるわけでございますが、その間六回の会合を開いておりまして、研究すべき分野については明確になっておるわけでございます。その一つ人物交流をやる、第二には科学技術に関する情報資料交換をする、第三には太平洋地域地球科学、第四は生物科学、第五は医学、第六が科学教育、第七はハリケーンと台風に関する研究、第八が農薬に関する研究、こういう八つテーマが明確にされておりまして、このテーマに基づいていろいろ両方の国において会議が行なわれておると承っております。科学技術庁におきましては、第二の科学技術に関する情報資料交換を担当してやっておる、こういうことでございますが、今日までいろいろ研究し、またそれらの報告が出ておりますが、それについては局長のほうから答弁いたさせます。
  20. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 内容につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように八つテーマについて研究をやっておるわけでございます。大体、具体的にどういうことかと申しますと、この八つテーマにつきましては、日米両方科学者の間における協力研究またゼミナール、あるいは人物交換、こういう問題は文部省が担当いたしまして、いま文部省財団法人日本学術振興会昭和四十一年度におきましては二億円の補助金を交付いたしております。この補助金の範囲内におきまして、具体的な協力研究なりゼミナールなり人物交換ということが行なわれるわけでございます。科学技術庁におきましては、昭和四十一年度に二百二十五万円の予算をいただきまして、それで科学技術に関する情報資料交換という仕事をやっております。また、これにつきましてアメリカ側では、アメリカ国立科学財団というのがございまして、これが昨年四十一年度の予算では約二億五千万円の予算をもちまして、アメリカ側の、ただいま申し上げましたような日本側活動に対応するような活動を行なっているわけでございます。したがいまして、この会議につきましては、全く平等の立場で研究協力が行なわれているわけでございまして、たとえば本会議は毎年一回、日本アメリカ日本アメリカというふうに交代で行なわれておりますが、こういう会議費用等は、すべて両国がそれぞれ支出する、それから先ほど申し上げましたゼミナールとか共同研究人物交流という場合の経費、出張旅費というふうなものも、それぞれ日本人の分は日本側で、アメリカ人の分はアメリカ側で持つというように、互恵平等の立場で研究が行なわれております。詳しい経過につきましては、昨年で五年を経過したわけでございまして、五年間にわたるリポートも出ておりますので、先生のお手元にいっていないかもわかりませんが、もしなんでございましたら、あとでお届けするように手配いたしたいと思います。
  21. 小林武

    小林武君 これは国際協力の中のあれでしょう。あなたのほうの四十一年十一月のものですが、二百六ページの中には二国間協力、この二国間協力というのが、アメリカとの間の二国間協力でありますが、「科学技術における二国間協力活動は、経済利害ないし研究テーマなどを共有しているために、二国間で協力を行なった方が効果的であるとの認識に基づいて行なわれるものである。」「経済利益ないし研究テーマなどを共有しているために、」こういうふうになっておりますが、でありますから、このことについては具体的に研究が行なわれる、あなたのおっしゃった協力、研究というのはそれだと思うのですが、そうすると、その間において一体研究に対して金を出すとか、あるいはアメリカ側として、これに対してこういう研究はどうだ、やってくれるか、研究やってくれればそれに対して一つの条件をつけて金を出す道があるということは、この二国間の協定の中に当然出てくるのじゃないですか、そういう道が開かれているのじゃないですか、それはひとつ事務局のほうで。
  22. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) どういうテーマを取り上げるかということは、先ほど申し上げましたように、テーマはきまっておりまして、このテーマは、両国が合意をしてきめるわけでございます。大体日米両方が関心を持つようなテーマが取り上げられておるわけでございます。そこでテーマがきまりまして、そのテーマについての研究をどういうふうに進めるかということは、各テーマごとに日米双方に、チェアマンと申しますか、取りまとめをする部長のようなものを両方で出しまして、その両方の部長が相談をしまして、じゃこういうテーマにつきましてはどういう学者を動員して、どういうような研究をしようかということを相談するわけでございます。それがきまりましたならば、それに基づきまして先ほど申し上げましたように、日本側日本学術振興会、アメリカ側科学技術財団、この事務局と相談をして、それじゃそれに対してどれだけの予算を割り当てようということで研究が進められているわけでございます。
  23. 小林武

    小林武君 予算の割り当てというのは、どういうことですか。具体的に言えば金はどっから出て、どういうことになるんですか。
  24. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 先ほど申し上げましたように、日本側におきましては八つテーマのうち科学技術に関する情報資料交換というテーマにつきましては、科学技術庁に昨年度二百二十五万円の金がございますので、これを配分をして使う。それから残りの七テーマにつきましては、日本学術振興会が文部省から受け取ります二億円の補助金がございますので、その二億円の範囲内で配分をされる、こういうことでございます。
  25. 小林武

    小林武君 その場合協力関係ですからね。前に私読み上げましたけれども研究テーマなど共有していると、ともに持っているということですからね、共有しているということですから、そうなれば、たとえばアメリカ側研究者はアメリカのとにかく何から出るか知らないけれども予算を出す、しかし、これはそう言っても、研究費というものは、いまのあれでもって必ずしも満足だとは言えないですね、もっとほしいというような場合もある。そういう場合は、これはまたそれを受けるところのことなども話し合われているんでしょう。そうじゃないんですか。たとえばアメリカなどにはこういう研究に対して金を出してくれるところがあるとか、日本ならばもっとこういうところからやれば出るとかいうようなことはどうなんですか、両者それぞれ理解し合っているんじゃないんですか。そうしてアメリカからもらってもけっこうなんでしょう。その間どうなんですか。
  26. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 実は日本側日本学術振興会の仕事は、文部省所管でございまして、私ども必ずしも詳しく存じておるわけではございませんが、いままで科学技術庁が関与して、見ておる範囲内においては、日米双方とも予算というものはきまっておりますので、その予算の範囲内でやれるだけのことはやるということで、予算が足りないからほかから金を調達して何とかしようということは、この日米協力委員会の研究については、そういう事実はないように私ども承知しております。
  27. 小林武

    小林武君 もう少し、あとで聞きますけれども大臣ね、先ほど大臣の御答弁でほんとうに明確にわかったんですが、ここにはやっぱりそう書いてあるんですよ。科学者の交流、それから科学技術とありますけれども、私はいまそれはとにかくとして、今度は実際の学問的な問題としては、地球科学生物科学医学科学教育、ハリケーン台風とか、そういうことがきめられておる。そうしてさらにそれを具体的にすれば神経生理学とか、生気候学とか、大気汚染の人体に対する影響とか、こういう具体的なものになりますと水質の汚濁とか、こういうようなもので、ずっと研究題目を見ますと、あの、この間問題になった研究者のテーマというのは、これと同じみたいなものなんですよ。だから私は日米科学委員会というものがあって、そうしてそういう研究テーマの共有をしてやるということになりますれば、これは全然知らぬということはどこからも出てこないことだと思うんです。それは学者だけをいじめる何かものの言い方だと、このごろそういうふうに感ずるんですね。それは今度陸軍からもらったのはいいか悪いかということになると、私はアメリカの機構の問題まで言わなければならぬ。これもここに書いてあるんですよ、はっきり書いてあるんですから。だから時間の関係もありましょうから、ここで全部言ってしまえば、たとえばあなたのほうの二八八ページです。そうすると、アメリカ政府研究開発投資というようなものの総計を私計算したんですけれども、八七%は国防総省、航空宇宙局、原子力委員会で、これは話を聞くと、ほとんど軍事的に影響がある。その中で特にこれは何といっても国防総省なんですよ。これは五〇%まではいかぬけれども四〇%ぐらいにはいけると思う、四〇何%だと思う。結局そういう研究費の半分に近いものは国防総省が持っているんですよ。あと原子力とか何とかも軍と関係のあるものだということは、ものを見るとそう書いてある。八七%というものはそこに占められておる。そういたしますと、ここから金がどんどん流れてくるということになる。このことも明らかな事実なんです。だから私は、科学技術庁が知らないし文部大臣も知らなかったというのは、ちょっとこれはどうも、どうしてもうなづけない。大臣はそういうこまかいことまでずっと目を通されておるというようなことはなくても、どうも事務当局あたりがわからぬということになったら、これは何たることだとぼくは思うんですがね。これはひとつ政府委員のほうに私はお尋ねしたいんですよ。そういうことがわからぬですか。それはアメリカの金、もらっていけないとか何とかいうことでなくて、第一私は茅さんがこれについて——茅さんは関係あるんでしょう、何か学術振興会とか何とかにあるでしょう。茅さんはよく御存じだから、これは君、使える金あるよと言ったら、ああそうですかと言ってもらったという。これは茅さんもそうおっしゃるのはあたりまえだと思う。そういう仕組みになっておる。それを受けてやったということもあたりまえ。あたりまえというのは、われわれそれを肯定してけっこうなことですと言っているんではないんですよ。その流れてきたことについてはきわめて——学者としては抵抗する人もありましょうけれども、結局抵抗する必要はないんじゃないか、使ったっていいじゃないかという気持ちの人もずいぶんある。あたりまえだと思う。だからそれを政府がいまさら知りませんというようなことを言うのは、これはいただけないと私は思うんです。先ほど御答弁の中に、これは文部省のほうでやっているというけれども、それだからぼくは文部大臣なんかと一緒にやっておったらだめだと思うんですよ。科学技術庁大臣というのは、ちゃんと科学技術庁の問題をがっちり握って、それは基礎教育——教育の問題とか研究の問題という立場で文部省が大学をいろいろなことをするのはけっこうだけれども科学技術そのものに関しては、そんな両またかけたようなあれだからこんなものができてしまう。これは有田さんのときのやつでしょう。有田さんを責めるわけじゃないですけれども、そうすると有田さんの大臣のときにあなたたちのほうが御存じなくて、文部省の連中がこの面をやっておったということになるんでしょう。おかしいですよ。どうですか、ぼくの言うこと間違っていますか、間違っていたらひとつ、ぼくは疑いを持ってかかっているから少し判断が誤るかもわからぬから、それは遠慮なくひとつ直してもらいたい。
  28. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 日米科学委員会に関します限りでは、科学技術庁も参画をいたしておりますので内容を見ておりますが、アメリカ側の相手方の国立科学財団と申しますのは、これは軍とは何ら関係のない機関でございまして、向こうから金が出るのは、この科学財団しか出しておりませんし、その金はしかもアメリカ側研究者にしか渡らないということになっておるわけでございます。それでいま先生のお話のうち、大学の先生あたりアメリカの軍の金が行くのがわからぬのはどういうわけだという御質問がございましたけれども、これはまあ非常に事務的な御答弁になって恐縮でございますが、科学技術庁といたしましては、大学に対しては、何と申しますか、触れるべからざるもののような立場になっておりまして、大学の先生方がどういうことをやっておりますかということは、私どもはこういう機構があるものは内容はわかりますけれども、そうでないものについては、全然わからない立場になっておりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  29. 小林武

    小林武君 それはあなた、どうもわからぬのは、科学会議とか関係委員会にはあなたたちは関係があるわけですよ。そこでテーマもきまっている。具体的なテーマもあって、そして共通した問題をやっているのでしょう。共有してやっている。そしていまあなたおっしゃったけれども、財団は民間のものだとおっしゃる。しかし、アメリカの場合はこういうふうに書いてある、あなたのほうでこうおっしゃる、とにかく予算があるけれども、一応これは民間に流して民間に流すこともやっているのですよ。こう書いてある。そうするとその財団の中にも流れていっているでしょう。だからそこらあたりがどうも。
  30. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) アメリカのいま申し上げました国立科学財団というのは、名前は財団となっておりますけれども、向こうの機構といたしましては純然たる政府機構でございまして、日本のいわば科学技術庁に当たる役所でございますので、その点をちょっと御了承願いたいと思います。
  31. 羽生三七

    ○羽生三七君 科学技術庁関係する、これはアメリカのそれは何ですか国立科学財団
  32. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) ナショナル・サイエンス・ファウンデーション。
  33. 小林武

    小林武君 国立科学財団というやつでしょう。国立科学財団というのはほんのわずかですよパーセンテージからいったら、金は。私はそれが間に合うか間に合わんとかいう問題ではなくて、これが民間に国防総省のものでも流れているということは、ここに書いてある。膨大な予算をつけているアメリカのそういう軍関係のものが各所へ流すということは当然のことだと思うのですよ。民間にも流れ、いろんなほうにも出している、こういうことでしょう。そしてこういった場合に科学財団から来ようが、どこから来ようが、アメリカ政府関係のところから金をもらってやるというようなことはないのですか。あなたたちのほうからいってふしぎなことではないのじゃないですか。そういう道は開かれているのでしょう。だから茅さんがそういうことで何かのパーティーのときにあれされたということは、みずから談話で述べておるでしょう。ふしぎですか、あれはどうでしょう。
  34. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) アメリカとの間の二国間の協力といたしましては、白書にも書いてございますように、日米科学委員会というのと天然資源の開発に関する日米会議と二つあるわけでございます。それで日米科学委員会のほうはいま問題になっておりますが、どうも先生に十分御理解願えずに残念ですけれども日米科学委員会につきましては、学術振興会の二億円とアメリカ側の、向こうの国立科学財団の二億五千万円ということで対等に平等に金を出し合って研究しましょうということをやっておりまして、日本側の二億円というのは、こう申しますと何ですが、日本の財政規模としましては相当大きな金でございまして、これだけの金があると、日本学者としては相当な研究ができるわけでございまして、アメリカ側はしたがいまして、本格的にやろうとすれば、もっと金が出せるのですけれども日本側でこれくらいしか出せないから、ひとつ向こうもそれに合わせたぐらいの金を出そうということで、あくまでも対等の立場でやっておりまして、そのほか向こうの軍の金が、いろいろな研究に流れるのじゃないかというお話でございますが、それは前に新聞等に出ました他の学会なり何なりでそういうことが行なわれてもおるかもわかりませんけれども、少なくとも私ども関係しております日米科学委員会研究一ついては、向こうの金が入ってきておるということはないと信じております。
  35. 小林武

    小林武君 どうもかみ合わんね。まず日米科学委員会、それから日米天然資源開発利用会議、これはあなたのほうに関係があるでしょう。それから、もう一つ日米医学協力、これも関係があるでしょう。
  36. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) ありません。
  37. 小林武

    小林武君 これはどうですか。科学技術の中に書かれておっても、あなたたちはこれは全然関知しないことですか。
  38. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 厚生省です。
  39. 小林武

    小林武君 それでもあなたのほうで取り上げているから、少なくとも日本政府、あれでしょう、この中にある日米医学協力に関する研究テーマを見ても、ウイルス性疾患の問題とか、らいとか、コレラとか、いろんな問題もありますが、これらを見ても、それから、天然資源開発利用会議テーマ、大気汚染とか、水質汚濁、新エネルギーの何とかというような研究テーマ、これらを見ても、どうですか、いずれも今度の学者の問題、学者の、金をもらって研究しているというテーマと同じようなものじゃないですか。ごらんになったでしょう。そうすれば、日米のやはり二国間協定によってお互いに共有のテーマでもって研究するということは、科学技術庁としては、そういう道を開いているのでしょう。そうでしょう、だから同じテーマでやって、そういう道を開いておったら、それはアメリカの金を使っちゃいけないとかなんとかいうことを、その際にあなたのほうでくぎ打っているのですか、そういうことはないでしょう。
  40. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) これはそれぞれのテーマにつきまして共同して研究をいたしましょうと、経費の分担についてはあくまでも日本側の使う分は日本側負担をし、アメリカ側の使う分は向こうで負担をする、こういう了解でやっておりますので、金をもらうというようなことは全然入っておりませんです。
  41. 小林武

    小林武君 もらうというのは、ちょっとことばがおかしいかもしらんけれども、たとえば具体的に言いましょう。それじゃ大気汚染に関する共同研究というのは、具体的にどうやりますか。
  42. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 大気汚染についての研究のほうは、先ほど申し上げました天然資源の開発利用に関する日米会議というところでやっておるわけでございます。それで、日米科学委員会のほうはどちらかと申しますと、基礎的な問題でございまして、これに参画しておるのは、ほとんど大学の先生が中心でございます。ところが天然資源の開発利用に関する日米会議というのは、例の日米貿易経済合同委員会の席上で、こういう天然資源の開発利用に関して共同で何かやろうじゃないかという話が出てきまして、したがいまして、この日米貿易経済合同委員会の下部機構のようなかっこうで行なわれておるわけでございます。したがいまして、これに参画しております者はどちらかと申しますと、今度は、ただ行政機関、たとえば大気汚染について言いますと、通産省とか厚生省とかいうところの研究所の技術者と申しますか、研究所の職員が中心になっておりまして、大学の先生は、どちらかというと副次的に若干入っておられるかどうかということで、中心はあくまでも行政機関の研究が中心になっております。したがいまして、このほうは、日本学術振興会にあります二億円というような金は全然ないわけでございまして、各省がそれぞれ自分研究所で持っております予算の範囲内において、アメリカ側と協力いたしまして、こういうテーマについてそれじゃ日本側ではこういうところを研究する。アメリカ側ではこういう部門を研究する、その成果を連絡等をいたしまして、お互いに連絡し合ってやっていくというようなことでやっておりまして、実は天然資源の開発利用に関する会議はそういうことで、むしろ非常に予算が少なくて困っておるような状況でございますが、しかし、これにつきましても先ほど申し述べましたように、予算の範囲内で官庁の研究者がやっておるということで、向こうの金等が入ってくる余地は全然ないわけでございます。
  43. 小林武

    小林武君 この問題はそのくらいでやめますが、最後に技術長官に申しますが、いま質疑をやっておったから大体おわかりだと思うのだが、結局二国間協定でかなり密接なとにかくテーマを共有して研究していくというわけですから、その間の連絡は非常に密だと思うのですがね。それでやっていった場合に、しかもそのテーマというのは共通の、この間の問題なんかと全く似通ったところがあるわけですがね。そうしますと、そういう道を開いて両方がやるというような場合には、それはアメリカ研究費の助けを借りて研究をするというようなことは、もうおかしいのは当然じゃないですか。たとえば人事交流をやれば、アメリカのほうに日本の頭脳が流出して閉口したというようなことが起こるような事態にもなる。政府が二国間協定とかなんとかいうあれで奨励したわけでもないだろうが、これは動いていくのが当然なんですわね。そういう道が開かれている。だから、研究の費用なんかについても、私はそういうことだと理解しているのです。だから、全然そういうことで研究の委託を受けていることは知りませんとか、金をもらっていることは知りませんなんということは、私は、もしほんとうに事実そうだったら、怠慢もはなはだしいと思うのです。それは役所の人たちが金をもらっているとは私は言いませんよ。しかし、学者研究で金をもらうというようなことは——金もらうというのははなはだ悪いですけれども、仰ぐというようなことは、これはもうたくさんあるわけですから、しかし、まあ一番心配したのは、陸軍というようなところから——アメリカの国家そのものの仕組みが問題なんですけれども、陸軍というところから金をもらうのはどうかということで、たいへん問題になっておる。われわれもとにかくそういうことは、条件づきでやるなんというごとはやめるべきだと思うのです。しかし、それを学者だけ責めるというような行き方は、政府としてはいささか無責任だと私は思っております。科学技術のいままでの行き方からいえば、あるいは二国間における科学技術の取りきめ模様からいったら、これはもうきわめて当然起こることが起こっていると私は思うのですよ。でありますから、ひとつ、これ以上はなかなかやると時間がかかりそうですからやめますけれども科学技術庁のほうは、ひとつもう少し具体的に、両者の関係がどうなっているかということについても、これは文部省のことだけというふうにお考えにならないで、十分お調べをいただいて、われわれによくわかるようにしてもらいたいと思います。  以上申し上げて私の質問を終わります。
  44. 多田省吾

    主査多田省吾君) 小林委員質疑を終わります。  速記とめて。  〔速記中止〕
  45. 多田省吾

    主査多田省吾君) 速記を起こして下さい。  分科担当委員異動について報告いたします。  本日、占部秀男君が予算委員辞任され、その後任として鈴木力君が選任されましたに伴い、同君が本分科会の担当委員に選任されました。  分科担当委員外委員小柳勇君から発言したい旨の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 多田省吾

    主査多田省吾君) 御異議ないものと認め発言を許します。小柳勇君。
  47. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 私は長官に二点質問いたします。  一つは、種子島のロケット打ち上げ実験に伴う県内漁民との話の進展状況、種子島のロケット実験場をきめますまでに相当話しがあっておるはずであるし、またなければならぬのでありますが、その後、県内漁業協同組合並びに漁連並びに漁民との間に話がしっくりいかないで実験を中止せざるを得ないという不祥事が起こりました。これはこの取り組み方全体に対する政府の誠意が足らないというか、勉強が足らぬということも一つありますが、宮崎県並びに鹿児島県の漁業連合会の漁民の皆さんが、この科学技術の進展に対してどのように考えておられるかというようなものにも影響すると思う。したがって、設置をするまでの話のいきさつ、設置してから今日までの漁民の感情及びこれに対する長官の取り組み方、そういうものを御報告願います。
  48. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 種子島の科学技術庁の打ち上げの基地を設置するまでのいきさつにつきましては、多少私も就任以後承りましたが、その後における漁民との対策の問題については、実は率直に申し上げまして非常に頭を痛めておる問題でございます。当庁といたしましては、実用衛星を打ち上げる基地を日本のどこかに求めなければならないということになりまして、従来、新島等で多少計画を実施しようということで進めておったようでございますが、新島の問題がなかなか解決できないという状態に直面をいたしましたので、そこでほかのところに基地を建設しなくちゃならないということになりまして、青森県の一部あるいは鹿児島県等がその候補地になったようであります。このロケットを打ち上げる基地は、御承知のとおり市内の近くではもちろんいけないわけでありますし、また空の交通状況等にもできるだけ支障のないところを選ぶというようないろいろな条件等がございまして、それらの条件を考えながらあちこちの候補地を慎重に検討した結果、種子島が一番いいところであろうということで種子島に基地をつくるということに、上原元長官のときに御決定になったようであります。それから建設に取りかかっておるわけでございますが、この東京大学が内之浦で基地をつくって、科学関係の学術的な研究開発のために仕事を十年ぐらいやっておりますが、この基地をあちこちにさがしておりましたときも、先ほど申し上げましたような条件等考えながら全国あちこち候補地をさがしてみた結果、やはり鹿児島県の大隅半島の一角が一番適地であるということで、内之浦というところに基地をつくって現在実験をやっておるわけであります。そのとき以来種子島も有力な候補地になっておったわけでございまして、直ちに種子島ということにきめられたようでございます。急にどこでもいいから種子島というふうにきめたということではないようであります。  そこで基地をつくってこれから実験をしようという段取りになりましたところが、漁民のほうから、特に宮崎県の漁民の団体、鹿児島県の漁民の団体のほうから、漁業の操業に支障を来たすということで非常に強い反対の意見陳情もあったようでございますし、また私が就任以来、特に宮崎県の漁連のほうから困るという強い反対の意思表示がございました。で、私はこういう実験をやる目的というものは、やはり国の政策として進めてまいらなければならない一つの政策でございますので、何とかしてここに基地を建設いたして、そして実用衛星を打ち上げるような基地にしたいということで進める方針は持っておりますが、しかし何と申しましても、この打ち上げについては、地元の人たちの協力がなければできない。特に漁民のほうから強い反対意向もございますので、漁民の団体の理解と協力を求めていきたいということを基本的な考え方といたしまして、以来鹿児島県は、元の知事の寺園知事あるいは漁連の団体の責任者等との打ち合わせをいろいろいたしましたし、また宮崎県のほうに対しましても、黒木知事でありますが、知事のほうにも、あるいは漁連の責任者の方々にも事務当局を通じ、あるいはみずからまた宮崎県のほうにも出向きまして漁民の方々と親しく話をいたしたりして理解を求め、協力をいただくように努力をいたしてまいっております。遺憾ながら、今日までまだ宮崎県側の漁民の方々の了解を得るに至っておりません。鹿児島県の漁連のほうは、知事あるいは漁連会長等のあっせんもありまして、九項目にわたる条件の提示がありまして、これに対して政府はどういうふうに処置するのかということの申し入れがございましたので、これに対しましては具体的にお答えをいたしましたところが、そういう条件が満たされるならば、あるいは将来にわたって満たすということであるならば協力しようということで、私と漁連の会長との間において文書の取りかわしをいたして了解を得たのでありますが、宮崎県側の方々のほうからは、まあ条件闘争ではない、漁民の生活に支障を来たすような有力なこの漁場に操業もできない、現在までに内之浦のロケットの発射についても、約束の日数をこえた長い期間操業を休まなければならないというような状態にもあるので、したがって漁民の受ける被害というものは相当大きい、そういうことではわれわれは非常に不満だ。さらに科学技術庁が種子島で実験をやられるということになるというと、さらにまた操業もできない。したがって生活につながる問題であるからよしてもらいたいと、こういうことでもございました。以来私は事務当局を通じ、あるいは、私、先ほど申し上げましたように、私自身出向きまして、政府考え方説明をいたしましたし、また漁民の方々の意向も十分聴取をいたしてまいりました。  そこで、政府といたしましては、政府全体の責任においてこの施策を進めるが、同時に、また、漁民の方々の不満あるいは要求に対しましても政府全体が責任を持つということが大事だと思いまして、政府の中におきましても関係各省次官クラスを含めた連絡協議会を設置いたしまして、これらの問題の進め方について、また政府がとるべき対策等について、鋭意検討を重ねております。  また、自由民主党の中にも、鈴木善幸氏を委員長とする特別委員会を設置していただきまして、そうして政府・党一体となって国策を進め、また進めることに関連しての漁民対策というものも考えてもらいたいということで、いま、これらの対策等について検討を進めてもらっておるような次第でございます。  私は、国民もまた漁民の方々も、この宇宙開発に対する国の施策に関しては御理解がいただけるものと思っておりますが、しかし、何でも国策という名において地元の方々を犠牲にしてやろうという考え方は今日まで持っておりません。あくまでもいろいろと折衝をし、話をいたしまして、そして円満にこれが進められるようになることを強く今日まで期待をいたしておるというような状態でございます。
  49. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) いま話を聞いていますと、宮崎県の漁民の皆さまは補償どころの問題ではなくて、やめてもらわなくては困るという、それほどの強い意思があるのに、これを種子島の試射場をつくるときになぜもっと前もって話し合わなかったか。そのいきさつが、まだよく私わからないのですが、いかがでしょう。
  50. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) ただいま御指摘のございましたように、率直に申し上げまして、事務当局の当初におきますところの折衝の過程におきまして十分でなかったということはお認め申し上げることに相なると思います。  私どもといたしましても、一応関係各省、水産庁その他、あるいは地元、県等の資料に基づきまして、あるいは当方の打ち上げの時日の調整によりまして、できるだけ損害を少なくするような方途も考えましたので、その線に沿いまして交渉いたしたわけでございますけれども、先ほど長官から御説明のございましたような諸点でなお解決に至っておりません。現時点までに事務当局といたしましてはできるだけの方途を考えまして、今後も県、あるいは地元の漁民の方々の御要望に沿いまして、漁業振興その他をはかりまして、御協力を得たいと考えておる次第でございます。
  51. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 種子島も内之浦も九州の南端でありまして、鹿児島県、宮崎県の両漁業関係の皆さんの被害というものは大同小異だと思うのですね。鹿児島も宮崎県とそう違わないと思うのです。場所的にも、あるいは漁場もですね。にもかかわらず、鹿児島の漁連の皆さんは三月の三日に覚え書きをかわして、協力しようという態勢にある。ところが宮崎県の漁民の皆さんは中止してくれ、もう試射場で実験をやってもらっては困るというかたい決心で、もっと何か根深いものがあるような気がしますが、長官、いかがでしょうか。
  52. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 根深いものがあるかどうか、私も約三時間半にわたって二百数十名の宮崎県の漁民の方々とも懇談をいたしました。代表九名の方々と、それからほかの講堂に二百名の方々に集まっていただきまして、私も話し、また九名の漁民の代表との話し合いもマイクを通じて講堂に全部流しておりましたから話し合いをいたしましたが、そのときの意見をかいつまんで申し上げますと、先ほど小柳先生がおっしゃいましたように、最初の話し合いが欠けておった、鹿児島県には行って話をされたようだが、宮崎県のほうには全然最初のときに話がなかった、ということが一点でもございました。その点につきまして私は、率直に私どものとりました処置について、そういう手落ちがあったことを認めて、私もそのことを申し上げたわけでございますが、第二には、いまおっしゃいましたとおり、同じ漁民であると申しましても、宮崎県の方々はいま指定されている区域は宮崎県の漁民の開拓した漁場である、いま、リマ水域で被害を受け、さらに新しく漁場を開拓した、そこがまた現在は約百日間漁ができない、鹿児島県の漁民の方々はそこに来られて少ないし、またわれわれが開拓した漁場に鹿児島県の人たちが来ておるのであって、鹿児島県の漁民の立場と、宮崎県の方が言われるには、宮崎県の漁民の立場というものは全然違う、そうしてまた鹿児島県は基地ができたり、あるいはそれに関連する道路ができたりして、県のためにもそこにそういう施設がいまできること等によって、いろいろ利益を受けておる面がある、宮崎県は何ら利益を受ける面がない、いうならば、宮崎県の漁民の犠牲においてそういう基地をつくった、国策ということはわからぬでもないが、そういうことをやられることは何ら宮崎県のためにもならない、しかも、漁場が今日まで百日間も操業を停止するというような実情におかれておるということは、これは忍びないことである、こういう御意見でございました。私は同じ漁民、農民の立場を南九州から出ております一人として守ってきて、一生懸命開発振興に努力をしてきた者の一人として、決して私は、鹿児島県の漁民と宮崎県の漁民を区分けしてこういう問題を考えておるつもりはないし、またやはり、漁民の将来を考え、漁業の振興、漁民の生活を一生懸命考えておればこそ、宮崎県にも出向いてまた二百数十名の方々にお目にかかり、また政府の意図する政策についてもいろいろお話し合いを申し上げ御理解を得たい、こういうことを三時間有余にわたって私も話をいたしたのでございますが、どうも第一点の点については多少感情的と申しますか、そういう点に触れた御発言もございました。こういうことでございますので、多少、時間がかかるにいたしましても、私は、誠意をもって国もこれらの問題に対処するのだということをひとつお話申し上げて、また先ほど申し上げましたように、政府も党も一体となって御理解を深めるように努力をしてまいりますならば、何か理解をしていただける、協力をしていただけるときが来るのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  53. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 非常に大事な時期なんですね。御存じのとおりです。四十四年にはこの国際的な通信衛星などの条約も本協定になる。しかも、日本でもこれを開発しておかなければ、相当国としては損をする。通信衛星を使えないというような重要な時期で、したがって、郵政省もNHKなども相当いらいらしながら通信衛星開発を急いでおるという実情にある、御存じのとおりなんです。この問題についてはあと質問しますけれども、そういう非常に重要なときに、もちろん漁民の漁場をなくするということはたいへんなことでありますが、鹿児島県の漁民が開拓したのでなくて、宮崎県の漁民が開拓した漁場だというようなことをいま国会の場で取り上げられるということは、私は遺憾なんです。これはつくるときにちゃんと農林省でもわかっているはずでしょうし、地元の漁民の皆さんはわかっているはずだと思う。それまで内之浦もあったのですが、種子島にできたら、どの辺の漁場が影響されるかということはわかるはずですから、それがもう目の前に実験をしなければならぬというのがわかっておって、いまこれは絶対反対である、実験場は閉鎖せえというようなことでは、これはまことに重大なことだと思う。ほかのことだったら、これは実験だからこれでいいが、ほかの交通政策あるいは通信などだったらたいへんな問題じゃないかと思うのです。私は、しかしこれは実験でも、実験の段階は通り越しておると思う。通信衛星などはもうある時期には上げなければ、日本はもう文化的にも立ちおくれてしまいます。そういうことでありますから、宮崎の漁民の皆さんがどういう理解をしているか、まだ私は長官説明ではよくわかりませんが、もう一問質問いたしますが、この鹿児島の漁連の皆さんと調印された覚え書き、私は骨子だけ三項目ここに書いておりますが、たとえば漁業への影響を少なくして実験しよう、第二は協力謝金を支払おう、第三には漁協並びに漁民は協力しよう、この三項目の覚え書きが調印され、交換されておるようでありますが、漁業への影響を少なくして実験するというのは一体どういうことか、謝礼金を出すというのは一体どういうことか、具体的に御説明願います。
  54. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) ただいま御指摘のございました漁業への影響を少なくするという点につきまして、本年の三月三日に鹿児島漁連のほうにお示しいたました内容につきましては、まず打ち上げ方向につきましては、北東方向に七十五度、それから九十度東の二方向とする。要するに、落下地点というものを一定のところに初めからはっきりきめまして、影響を非常に少なくしよう。これから打ち上げの時期につきましては、これは宮崎県の漁連の御要望によりまして、本年の二月の末に両県当局並びに両県の漁運、水産庁科学技術庁等が合同で種子島周辺の海域の漁業の実態調査をいたしましたが、この結果によりまして、一−二月それから八−九月におきましては、いわゆる閑漁期と申しますと語弊がございますが、多少漁獲量が減っておる時期がございますが、そのような時期でありますところの一−二月と八−九月の適当な時期にいたしたい。ただし、お知り置きのとおり、四十一年度につきましては、前々から実験をいたそうと思いました十一月実験が、宮崎県漁連と御了解を得られないためにそのまま延々としましたので、四十一年度に限りましては、三月十七日から月末までという例外を設けてございます。それから機数につきましては、四十二年度以降も年間二十機をこえないこととする、ただし四十一年度につきましては、さらに予算化しております十機ということでございます。  それから、ロケットの打ち上げの実験に際しましての直接的な影響と申しますか、こういうようなものに対しましては協力謝金を支払うということに相なっております。協力謝金は防衛庁でとっておりますところの船主に対しますところの諸措置と違いまして、漁連が打ち上げに御協力していただいたということで、具体的にはいろいろな通信その他単協この間の御連絡等、文書あるいは電話通信その他によることでいろいろと御迷惑をおかけいたしておりますので、そういうものに対しまして協力謝金という形で金額を支払うわけでございますが、これはそれぞれのケース・バイ・ケースによりまして金額をきめるわけでございます。ただ、ことしは一般的な協力謝金のほかに、ラジオブイ等を船につけまして、そうしまして、船が退避いたします場合、その後の集合に便になるように、そういうような意味のものなどもいわゆるプラスアルファで具体的に考えまして、そのような交渉を行なったわけでございます。
  55. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 宮崎県の皆さんが言われるのは、具体的には百日間休む金額として、概算してどのくらいの損害だとおっしゃるのでしょうか。
  56. 高橋正春

    政府委員高橋正春君) これは漁連のほうで従来の県の統計その他からおっしゃっておるわけでございますけれども、農林統計によりますと、宮崎県が、これは四十年度のものでございますけれども、全体の生産額が四十三億五千万円ということになっております。カツオの一本釣り、あぐり、マグロのはえなわ、あるいは底びき等のような、いろいろな方法でございますけれども、その中で種子島あるいは屋久島漁場関係につきましては、各その漁場に出漁せられておりまする十九組合と思いますのですが、ちょっといま資料がございませんけれども、それぞれの単協からの資料をお取りになりまして、昭和四十年度では大体二十億と、こういうような数字をあげられております。こまかい資料はちょっと手元にございませんけれども、各単協からの申請と申しまするか、そういうものに基づいたものでございます。
  57. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 宮崎漁連の人が種子島だけでこの試射のために二十億を損する、絶対中止するなら二十億を補償するのか、あるいはほかに種子島以外に実験場を求めるかどちらかですよ。いつかわかる、誠意はわかってもらえるでしょう、話せばわかる式の交渉ではいつまでたっても解決がつかぬと思います。二十億の金を用意して漁民の皆さんに補償するのか、あるいはもうほかに、二十億の金を毎年は出せませんからというので種子島以外に実験場を求めるか、あるいは内之浦に行って、内之浦でやるか、あるいは防衛庁の実験場と一緒にしてつくるか、どうせ種子島も内之浦も将来どうでしょうか、それでやれましょうか、科学技術庁長官の見解は、一緒にこれから本格的に取り組む場合に種子島、内之浦、内之浦ではもちろん東大が一緒にならぬでしょうがね。一元化いたしました場合に種子島で全部やれましょうか、それならこの二十億の金を毎年出すのか、あるいは十年間二百億くらい金を出して別にほかの実験場を求めるのか何かきめませんと、日本人工衛星、通信衛星など実用衛星につきましても、二、三年開発がおくれると思いますが、いかがですか。
  58. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この実験の段階に入っておる今日、おくれることは非常に困るということは小柳先生指摘のとおりであります。ただ、いま宮崎県の方々とこれからも話を進めていきたいと思っておりますが、多少時間がかかるということは私も覚悟いたしております。そこで漁獲が二十億という損害が——二十億の漁獲を年間にあげておる、これを二十億まるまる出しますと、さもなければほかのところにつくるのかと、こういう御意見でございますが、私はいま現在のところでは種子島をほかのところに直すという考えは持っておりません。また年間の漁獲が二十億だから、これが百日間たとえば操業禁止になっても、二十億を国が用意して補償いたしますという考えではございません。漁場がそのまま、たとえば空港をつくるような場合、農地が買収されて飛行場になるというような場合ともこれは趣が違うと思っております。まあ百日間操業ができないといっても、あとの二百五、六十日ぐらいは操業もできるわけでございますし、また今日までの打ち上げの実情を聞いてみますというと、打ち上げる日、半日ぐらいか、あるいは一日、それができないが、また打ち上げが済んで落下した後においてはその場所において操業もできるというようなことでございますので、漁場そのものが全部なくなるということでもありませんし、また全然漁業ができないということでもないと思っております。しかし、国の施策を進めていく場合におきましてもとより損害等が出てくることは明らかでございますので、それに対しましては向こうの漁連のほうから正確に条件と申しますか、出てまいりますれば、それに対しましては国がとるべき措置というものは私は思い切ってやりたいと思っております。また漁業の振興も大事でございますので、たとえば関係漁民の方々が集まっておられる港の修築あるいは改良あるいは無電の装置あるいはラジオブイあるいは漁船の近代化等々については政府全体の責任においてそれらの方々の漁業振興に十分協力をいたしたいという考えでございます。またほんとうに一億でも二億でも五億でもそのことによって漁民の方々が損害を実質的に受けられるということが明らかでありますならば、政府としてはそれだけの処置は私はやるべきものと考えております。いずれにいたしましても鹿児島県のほうは具体的に条件というものをお出しになりましたが、宮崎県のほうはそういう話し合いをする条件というものを全然お出しになっておりませんので、いまの段階では話ができませんが、しかし、党のほうもいろいろと話を進めていただきつつあるようでありますからして、私は多少時間がおくれても話し合いはつけられるものと期待をいたしております。
  59. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 話がつかなきゃならぬのですが、いうならば種子島の実験場をつくりましたときに、この問題が解決しなかった、当時の長官並びに役人の皆さんにも責任があると思う。それから三月の五日から十四日間に十基打ち上げるという告示をして——三月の七日でしたね、告示をして、それに待ったをかけられた、皆さんの責任だと思うのですよ。発射実験の告示をして漁民から待ったをかけられて、いまなお延期して、国会で問題になっておるということは、それ自体が私は政府関係者の責任だと思う。私はいまここで責任追及しましても意味ないと思いますが、しかし、責任を感じてもらわなきゃ困る。国の予算をいまわれわれは論議しておりますが、ばく大な予算をかけて実験する、しかも実験の日にちを告示をして、それに漁民から待ったをかけられた、さあここで種子島周辺漁業対策協議会をつくりました、あるいは自民党の中にもそういう水産関係の対策委員会をつくりましたから、早晩解決しましょうでは答弁にならぬのです。それでは答弁にならぬのです。実験を一生懸命に研究している皆さんの部下職員に対しても言いわけにならぬですよ。長官、一体何しておるかと、国会に対してもそれでは私は政府は言いわけにならぬと思うのです、そういうことでは。したがいまして、きょうここに問題になりましたことをさっそく漁連の皆さんにも伝えてもらいまして、非常に重大な問題だと、われわれ責任問題であるがどうしようかと、具体的に話を進めてもらって早急に解決してもらわなければ困ると思うのです。鹿児島県連ではちゃんと数字を交換して具体的に話ができておるのに、宮崎県の漁連は具体的の数字も出さんで絶対反対と言っていること、それも解せませんし、私はそのことも伝えてもらいたい。国会でそういう話があったと、それで早急に問題を解決してもらわなければ困るのです。でないと、真剣に取り組んでおる諸君及びこの実用衛星の上がることを待っておる各省庁も困る。早急に実験場が動き出せるように長官がひとつ最大の努力をされるように、あなたが南九州であるからできなければ長官おかえになったらいいと思う。南九州であろうと——私は南九州であるからこそ責任があると思いますから、私もできるだけの努力はいたしますが、早急にこの問題が解決されることを期待いたしまして次の質問をいたします。  同僚との時間の関係がありますから簡単に質問いたしますが、一、二口にいたしましたように、この実用衛星の問題は各省とも急いでおります。あなたのほうは四十五年打ち上げ完成を目標にしておられるようでありますけれども、通信衛星などは四十四年条約本ぎまりまでには上げなければ困るといって急いでおるようです。NHKなどは、二年くらいのうちには打ち上げなければ困るといっておるのです。そういたしますと、おたくのほうのテンポは少しおそいのです、計画が。これは全体を見てみますと、衛星本体だけでも各省ばらばらに予算が計上されておる。こういうことではこの実用衛星が上がりまして、国際的にわれわれがテレビその他を、電波の恩恵に浴することも日本国民はおくれやせぬかと思う。したがって、四十五年を最終的に完成目標にしておる皆さんの計画はもっとスピードを上げないといかぬ。それから各省庁の、あるいは放送局も含めて実用衛星の打ち上げについてもっと一元的な開発計画ができぬものかどうか。先般聞くところによりますと、特殊法人をつくってこの衛星開発をもっと強力に一元化しようという話もあるようですが、その辺のいきさつを御説明願います。
  60. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この打ち上げについて私非常なおしかりを受けるまでもなく、責任を感じております。そこでまあ閣議におきましても二、三回この問題について発言をいたして、関係各省の協力も求め、また政府の目標といたしておりまする計画も明らかにいたしておるわけでございますが、何と申しましても、一面においては、おくれるから早く実験をやれという強い激励もございますが、しかし、宮崎県のほうにも私はそういう話もいたしましたし、また何とか話し合いのできるようにひとつ考え方も述べていただきたいと、条件も出していただきたいと、鹿児島のほうは出しておるのだから何とかしてもらいたいという話も何回もいたしておるわけでございますが、先ほど来申し上げまするように、条件らしいものを正式に御提示になったことがないのであります。また、もしそういう反対の中に押し切って実験でもやりますれば、宮崎県の漁民の方々が漁場に出かけていくということすらいわれております。そうするとまたもつと大きな感情的な問題も惹起するのではないかということ等も私は考えまして、多少時間はおくれるが、しかし、最後までひとつ最善の努力をいたして了解を得てやりたいということで、私は非常に責任を痛感しながら、さらにまあいま小柳先生のおことばにもありましたようなことも十分考えまして、積極的にひとつ解決に対処していきたい、かように考えておるわけでございます。また衛星を打ち上げるために関係各省がそれぞれ研究を進めておられますし、予算関係各省研究に関する予算がついております。そこで、この宇宙開発は、国が進める一つの大きな政策の一つでもありますので、研究をやられることは、各省においてそれぞれ違った目的のもとに研究を進めておられますから、それはそれといたしましても、実際、これを打ち上げるというためには、相当膨大な施設も要るわけであります。そういう施設を早く一元的な機構のもとで整備して、そうして間違いなく所定の年度に所定のものが打ち上げられるということにいたしたほうがよかろうと思いまして、政府部内におきましても、この機構に関する一元化の問題を取り上げて目下検討を進めておるようなわけでございます。できれば来年度予算要求のころまでにはこの構想をまとめて、そうして関係各省や、あるいは宇宙開発審議会等の意見も徴しまして決定をいたしたいと思いまして、目下私の庁におきましても一つの素案というものをつくりつつあります。また、これらの促進につきましては先生方の御協力をお願い申し上げておく次第でございます。
  61. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) ことしの宇宙開発予算が全部合わせまして約六十億円、そのうち東京大学の宇宙研究所が三十四億であります。それからNHKで衛星本体だけの開発が三億、電電公社二億三千万、郵政五億、運輸省が八千七百万、こういうことで予算がばらばらにあります。おたくのほうで科学技術庁としてお使いになるのは十数億、予算もごくわずかです。先進諸国に比べましたら十分の一あるいは二十分の一、アメリカなどに比べますというと、百分の一、数百分の一しかございませんので、研究する技術者もなかなかたいへんと思います。先般、アメリカ陸軍からの援助を一人の技術家が受けておられるようでありますが、あれはわれわれもやむを得なかったような事情もあったんじゃないかと同情しております。したがって、こういうような予算をもう少し取って、研究者が十分に研究できる体制をひとつとってもらいたい。外国の陸軍から金を援助されなくとも研究できる体制、同時にもっと効率的に研究ができる体制、先般おたくのほうからいろいろ資料をいただいて調べますと、官民学一体となりますと約千数百名の人が宇宙開発について相当の見識なり、技術を持っておられるようです。そういう千数百名の人がほんとうに一丸となりましたら日本宇宙開発というものは急速度に前進しはしないかと私ども考えております。私もここ二、三年こういう問題に頭を突っ込みましてほうぼう資料を取り寄せて勉強しておりますけれども、千数百名の日本の官民学一体となりましてここに研究費を少しぶち込んでやるならばもっと急速に進歩をいたしまして、少なくともこの通信衛星ぐらいは国際的な列に入るのではないか、そういう気もいたしますから、そういう面で十分なるひとつ対策を立てていただきたいと思います。  あと細部の問題いろいろございますけれども、私はきょうは種子島の漁連の問題等を中心に質問いたしておりますので、あと同僚議員との関係もありますから、これで質問を終わりますけれども宇宙開発に対していろいろ問題がありますが、ひとつ私は希望しておきますのは、たとえば東京大学の宇宙研究所、これは学問の府でありますから、詳しい確固とした責任体制はないようであります。たとえば、L型ロケットが失敗いたしましても、これは失敗したで済みますけれども、少なくとも科学技術庁は責任ある役所でありますから、成功あるいは不成功の報告をちゃんとして、責任体制を明らかにして、技術陣がどこに欠陥があるかということをだれでもわかるような体制をとっておいていただきたい。実験したが、一回も上がらなかった、これでもう終わりますでは、私は済まぬのではないかと思います。十数億も予算を使うのでありますから、使うだけの責任体制をとるような機構の確立を希望しておきたいと思います。先般、東京大学の研究体制の中でも私はそういうことを発言をいたしておきましたけれども研究ですから、たとえば、失敗したから一つの役職の人がやめるというような責任のとり方ではないと思いますけれども、ちゃんと報告をして、どこが失敗であったかということがだれにもわかるように、あるいは国会報告するような体制をとっていただきたい、こういうことを希望いたしまして私の質問を終わりますが、見解があれば長官意見を聞きます。
  62. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) まず小柳先生のお述べになりましたこと、全く私も同感でございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりまするように国の計画を明確にいたす、そうしてその計画を遂行するための責任体制というものを確立いたしたいと、そうして頭脳と金とを有効に使いたい、こういうことで精魂打ち込んで努力をいたしてみたいと考えております。御協力をお願いいたします。
  63. 多田省吾

    主査多田省吾君) 小柳委員質疑を終了いたします。  次に、戸田委員質疑に入ります。
  64. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 東北大学臨界未満実験について若干専門技術的な角度からお伺いしたい。  まず、長官は東北大学で臨界未満実験装置というものをつくられていることはご存じですか。
  65. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 詳しい事情を私は聞いておりませんが、そういう話は局長のほうから聞いております。
  66. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 東北大学におきまして原子核工学科というものを持たれまして、そこで原子力研究の設備の一つである臨界未満実験装置というものを持たれているわけであります。
  67. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その臨界未満実験装置がいつ申請されていつ完成して、その後今日までの経過がどういうことになっているか、科学技術庁としてご存じですか。
  68. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 局長から答弁させます。
  69. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ただいま手元にその関係資料を持っておりませんので、申請あるいはそれの実際の建設がいつ行なわれて、いつ完成したかということをちょっと具体的にただいま申し述べられないのでありますが、必要でございましたら資料を取り寄せまして申し上げます。
  70. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 臨界未満実験装置というのは、学術上設置をされるのだと思うのですが、そういう研究に対する、もちろん大部分はその学園内の自主的な問題だと思いますけれども、その指導監督といいますかね、その責任の所在はどこになるのですか。
  71. 村田浩

    政府委員(村田浩君) これは原子炉等規制法、正確には核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律でありますが、この法律の定めるところによりまして科学技術庁のほうがこれを監督いたします。
  72. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、科学技術庁が、その指導監督に当たるということであれば、これは大学の場合でもそうですね、そういうことであれば、当然それらに対して設置時からその後の経過がどうなっているかということは、実際、科学技術庁長官報告もしくは科学技術庁長官としても、その指導監督上、具体的にその内容がどうなっているか、あるいは運営方針がどうなっているか、科学技術研究に供されているのかどうか、こういう点については十分知っているはずだと思うのですが、その辺はどうですか。
  73. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ただいま申し上げました原子炉等規制法に基づきまして、東北大学において臨界実験装置をつくろうという場合には、もちろん許可の申請があるわけでございますが、同大学が持っておりますのは、いわゆる原子炉と違いまして、未臨界実験装置といいまして、どのようにしてもいわゆる原子炉のような連鎖反応が続かない、こういう分類に属する装置でございます。このような装置は、いわゆる一般の連鎖反応が常時炉内において行なわれる原子炉とは若干取り扱いが違っております。いわば原子力関係の一般の実験設備のほうにやや近いわけであります。しかし、これにつきましても、そういうものをつくりますにあたっては、その指導監督というようなことは私どもやっておる。ただこれをつくりまして、その後どういう実験研究をどのようなプログラムでやるかという内容については、こちらへ入っておりません。
  74. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 臨界未満実験装置が本省のほうに、これは文部省のほうに申請になったと思うんですが、同時にあなたのほうも指導監督ということであれば、そういった書面は回っていると思いますが、この内容は三十七年に申請をされて許可をされた。少なくとも私が調べた範囲では二回にわたって予算が交付されて、臨界未満実験装置がつくられた。その後完成して二年有余になるわけでありますが、これが目的の用に供されていない、いまだに遊んでおる、この施設は。こういう事態について、最近学園内部におきましてもいろいろと問題になりまして、学園内に安全管理委員会というものがありますね、その安全管理委員会に工学部として意見書を出した。その意見書に従って審査をしたけれども、これは不適当であるからまだ運転開始という段階にならぬということでもたもたしている。そういうことで、現状では、せっかく巨額の金を投資してつくられて学術用の研究にということでありましたのが遊休状態にある、こういう実態についてあなたは御存じですか。
  75. 村田浩

    政府委員(村田浩君) その点につきましてはただいま申し上げますが、私どものほうでは安全性の観点からでの問題は取り扱っておるわけでありますけれども、それを使いましてのいわゆる実験計画あるいは同じく運転計画も、原子炉でないものについてはこちらでとることになっておりません。したがって、現在どのように研究状況として行なわれておるかということを当方として直接指導する立場には立っておらないわけでございます。
  76. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、いま臨界未満実験装置というものは全国のどこの学校にどれだけつくられているかひとつ説明願いたい。もう一つは、臨界未満実験装置というものはどういう概要で、そしてどういう目的のためにあなたたちは指導監督をしているのか、一定の目的はあるでしょう。それからもう一つは、東北大学で設置をされた臨界未満実験装置というものの特徴、これをひとつおあげ願いたい。
  77. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ただいま東北大学のものにつきましての資料がございませんので、正確にお答えできないのでございますが、臨界未満実験装置といいますのは、いわゆるウラン等の燃料を使いまして、この装置で中性子を外から入れてやりますと、その中性子によりまして燃料の中にありますウラン二三五が核分裂をする。その核分裂が行なわれる状況を観測いたしまして、いわゆる炉物理的な実験、こういうものを行なうのが主たる目的でございます。このような実験装置は東北大学のほかに、たとえば東京大学の工学部等にもございますが、現在どこの大学にあるかという一覧表を手元に持っておりませんので、正確にお示しできないわけでございますが、いわゆる大学における研究並びに教育用としてつくられているものが相当数ございます。東京工業大学にもあったかと記憶いたしております。それで、臨界実験装置というのと未臨界実験装置というのがございますが、臨界実験装置と申しますのは外から中性子を投入いたしますと、それ自体においてかつかつ臨界状態になる。つまり、あとは中性子をあとからあとから入れませんでも一応連鎖反応が炉内で起こる。ただし、それはやっと起こっている状態でございまして、外部にエネルギーを出すようなところまでは反応が進まない、こういうのが臨界実験装置でございまして、この連鎖反応がますます大きく起こってエネルギーを外部に出すのは原子炉であります。臨界未満実験装置というのは臨界実験装置にもまだ達していないもの、核物理関係の実験装置でございまして、外部から何らかの方法で中性子を常時注ぎ込んでやりませんと、中で核分裂の連鎖反応が起こらない、中性子発生装置のほうの電源を切りますと、全然中で核分裂が起こらない、こういう仕組みのものを未臨界実験装置といっているわけであります。
  78. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どうもはっきりわかりませんけれども、最初、四点目に私が聞いたのは、東北大学でつくった臨界未満実験装置の特徴は何だ、これをいま聞いたのですが回答がない。その点。
  79. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 申請書がございませんので、つまびらかにしませんが、私の理解しているところでは特別に未臨界実験装置の中でも、こうこういう特別のくふうのあるものとは考えておりません。
  80. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それじゃ技術庁として指導監督——たとえば臨界未満実験装置、私の調査によりますと、全国で九台あるように理解する。そういうふうにいま数多く原子核の研究に向けて学園内においてもそういう装置が取り入れられている情勢にあると思う。そういうところにおいて、少なくとも指導監督するという立場に対する、こういう問題に対するいろいろ経験があり、あるいは諸外国アメリカあたりでは相当進展していることは間違いない、そういう立場からいっても、一定の臨界未満実験装置については基準というようなもの、何かそういうものを科学技術庁としては方針を持っていないのですか、そういう点はないのですか。
  81. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 大学における研究につきましては、まあどのような設備を使うにしましても、当庁は直接これにタッチする形になっておりません。これは御案内のとおりです。ただ未臨界実験装置を含め、このような装置あるいは燃料というものの使用からきます安全性がございますので、この安全性の監督という点について当庁が関与しているわけでございます。でございますから、この使用にあたっての、いわゆる保安のための措置、保安の規定というようなことについて、不十分なところがありますれば、これは当庁として指導が十分でなかったということになろうと思いますが、これをどういう研究に使いなさいとか、いや、使うべきであるというところであるというところには当庁はタッチできない形になっているわけであります。
  82. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私が調査したところでは、少なくとも臨界未満実験装置というものは一つは天然二酸化ウラン、あるいは軽水減速、非均質形、こういった臨界未満集合体を中心にして、その他必要な付属装置ということになっている。付属装置には少なくとも中性子発生装置、あるいは純水製造設備、あるいは給水加熱器設備なり、あるいは中性子源駆動装置、あるいは計測制御系、あるいはボイド発生装置、こういうものを当然付属装置として入れなければこの目的の用に供しないのだということをいわれていると思う。そこで少なくとも東北大学の臨界未満実験装置の特徴というのはボイド装置にある、このボイド装置が何か学術上の意見相違がありまして、いまとっておるボイド装置の内容というものは、すでにアメリカで試験済みでありまして、その理論でいったのでは必ず失敗する、こういうことがすでに装置段階で論議されて、そういう結論が一応出ておったのでありますけれども、特定教授が強引にそれを押し切って今日の装置をつくられ、その結果、文字どおりいろいろ問題があったような形で今日学術上の研究に供することができないという結果におちいっているわけです。そういう状態について、私は少なくとも指導監督というのは専門的な立場からそういう問題について当然私は善良な指導もしくは忠告なり、そういうものが本庁からあってしかるべきじゃないかと思うのですがね。そういう点については全然関知していないわけですか。
  83. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 科学技術庁の設置法にもございますように、大学における研究にかかります問題につきましてはそれを研究計画、それからそれを実施するについての予算、そういった問題につきましては当庁の設置法から権限として除かれております。それで、未臨界実験装置をつくるにあたりまして、これでもってどのような研究を行なうかということは、当然大学の側の自主的な御判断に待つわけであります。安全性の面から管理しまして、当庁としてここでつくられる未臨界実験装置並びにそれに関連しての中性子発生装置というようなものが安全上支障なく使える、そういう設計構造になっておるということでございますならばけっこうであるということになります。その後これをどういうふうに使いますか、その運転上における安全性につきましては保安規定を見まして、その保安規定が十分できておれば、しかも、まずこれを実施するに必要な原子炉主任技術者というものがおりますればけっこうであるという立場をとっておりまして、これを使ってどういう研究をいたしますかは、ただいま先生いろいろおあげになりましたような、いわゆる実験のための付属装置が必要だと思いますが、そういった付属装置を含め、未臨界実験装置本体等を建設する、あるいは運転する、そういう費用というのは文部省に提出され、文部省がこれを所管して大蔵省から予算をとってくるという形になっております。私どものほうでも、大学でございません施設、機関におけるこのような問題につきましては、予算も一括計上しておりますので、研究計画を含めて、その予算の見積もり調整等の点で指導いたしておるわけでございますが、これが大学には及んでおりませんので、その点まことに遺憾ながら先生の御指摘の点まで入れないでおるわけでございます。
  84. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういった装置をつくる、いま言った各種付属装置とかそういうものが必要になってくると思うのですが、こういったいわば装置に対する購入価格の問題、一定の基準なり、市価の常識的なもの、そういうものありますか。
  85. 村田浩

    政府委員(村田浩君) たとえば計測器等についてはかなりある特定の型が普及しておりますから、大体市価というものが出てきておりますが、原子炉を含め、原子力関係のこういう特殊な機器、装置でございますと、いわゆる基準価格というものは一般的にまだないと申してよいと思います。
  86. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう予算要求に対しましては、現地申請どおり、じゃいま政府としては認める、こういう立場ですか。
  87. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 一般的に当庁が取り扱っております予算に関連しましては、種々の観点から参考資料なり、あるいは直接当事者から説明を聞きまして判断いたしておりますが、大学の場合にはこのような仕事文部省がおやりになっておるわけであります。
  88. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう査定等の問題は文部省に譲りますが、もう一つ聞いておきたいことは、原子関係科学技術行政についての基本的な考えはどういうところに置いておるのですか、この点をお聞かせ願いたい。
  89. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 御質問は、科学技術者でございますか。これにつきましては原子力委員会のほうで長期計画をおつくりいただきまして、長期計画の中で約十年間における今後の見通しを立て、これに必要な科学技術者数を査定いたしまして、そうしてその内容文部省の側にもお伝えし、御協力をお願いするとともに、私のほうで直接指導、監督いたしております日本原子力研究所、あるいは放射線医学総合研究等に設けられましたいわゆる研究施設をフルに活用いたしまして、トレーニングを行なう、こういうようなことで所要の科学技術者を養成しておるわけでございます。
  90. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういうことになりますると、学術会議長期研究計画委員会、その基本方針に沿ってそういう研究体というものを進めるのだ、こういうことであれば、そのことがイコール大学の学科編成ですね、たとえば原子工学科ですか、そういういわば学内の編成内容についても、その指導というものはやはり及んでいくわけですか。
  91. 村田浩

    政府委員(村田浩君) その点は文部省所管でございまして、私どものほうはどのくらいの数が要すかということだけにとどまっております。
  92. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、もう一点だけちょと聞いておきますが、この原子力等の安全管理委員会、これは東北大学の場合ですと大体何名くらいおられますか。
  93. 村田浩

    政府委員(村田浩君) この管理委員会とは、それぞれの施設、機関等において、まあ東北大学でございますと、学内において構成されるわけでございますが、この人数につきましての基準というものは特にございません。ただ原子力の施設を扱います場合には、安全管理という面から、一定の資格を持った——主任技術者と呼んでおりますが、この人が少なくとも一人いなければならないという仕組みになっております。
  94. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その安全審査委員の審査がない限り、オーケーという許可がない限り、こういった臨界未満実験装置といえども運転することができない、こういうことになっているんですね。
  95. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 正確に申しますと、未臨界実験装置はいわゆる原子炉とは申せませんので、いわゆる原子炉と全く同じように安全専門審査会にかかるかといいますと、そうではございません。むしろこの装置では、私どもが直接審査しますのは、燃料を使う点にあるわけでございます。燃料はウランを使っておりまして、この燃料の使用という点から安全審査をいたしております。実際には、大体科学技術庁原子力局のほうで専門家が審査にあたって、許可の判断をいたしております。
  96. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ボイド装置の正常な装置の方式というものは何か、どういうふうにお考えになっていますか。
  97. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ボイド装置と申しますのは、まあ東北大学の特定のものがどうなっておるか、ちょっとここに資料がございませんからわかりませんが、一般的に申しまして現在動力炉の主流になっております軽水型原子炉、この原子炉の中でも沸騰水型、ただいま原子力発電では敦賀に建設中のものがたとえばそうでございますが、こういう沸騰水型の原子炉の場合に、特に炉物理上問題のある事項でございまして、炉の中にあります水が核反応によって熱を与えられ高温になってまいります際に、中性子の刺激を受けまして、水の中で真空状態が、ちょうどあわ粒のように発生する。この状態をボイド現象と呼んでおるわけでございます。で、現象が起こりますと、熱の伝達状況が非常に悪くなります。この燃料のところで発生します熱を水で冷却するのが軽水型でございますが、その水の中に真空のあわ粒ができますと、真空と申しますのは熱を伝達いたしませんので、この熱をとっていく、つまり冷却能力が低下するわけでございます、そういうことは今度は燃料のほうの温度を高めるおそれがございますので、このボイド現象というものを炉工学として適当な範囲にコントロールする必要があります。そういったことをやっていきますためには、まずボイドというものがどういう条件でどういうときに発生するのか、発生したものがどういうふうに変化していくのかというようなことを勉強していく必要があるわけでございまして、これは現に大きな動力炉の設計を行ないます際には、当然のこととして相当大きなモックアップ装置をつくって実験いたします。大学等で行なっておりますものはもっと基礎的なものでございまして、ボイドというそのものの性質なり発生機構というような点についての御研究が一般的であろうと思います。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 最後に長官に、原子力開発等に向けて非常に大量のそういった装置が各所にできておる。非常に膨大なものになっていると思うんですね。少なくとも私の考えからいえば、そういった問題についてはもう大学とかそういう領域を越えて、何かもう少し大きな国家的な組織の上に立ってこの問題と大きく取り組んでいく必要があろう。そういう専門的な問題でどうしても学術上研究が必要だ。それは必要でありましょう。そういうものの中で今後のこういった一連の原子開発等に対する方向というのはそういう方向で進めていくのが妥当じゃないかと思うんですが、そういった方針上の問題、たとえば東大航空宇宙研究所、さっきも問題になりましたけれども、ずっとそういう原子力開発等について問題になっておりますが、同じように東北大学でもそういう状況になっておるわけですが、こういう問題についてやはりどこかの国の取り組み方の欠陥というものがそういうことを招来しておる、こういうふうにも考えますので、そういういわば原子力開発等に向けての研究その他一切を含めてそういう方針に対して、何か長官として方針を持ち合わせておればひとつ聞かしていただきたい。
  99. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 最近原子力開発平和目的開発が相当進められておりますが、国といたしましては、いま戸田先生おっしゃいますように、東海村の原子力研究所で基礎的な一般の研究、純粋な研究というものは過去十カ年間にわたって進めてまいっております。この研究開発されたものを利用して、さらに今度は実際の炉をつくり、効用していくという部面については、最近は発電の問題については民間あるいは原子力発電所等がやっておりますが、いま基礎的な研究につきましては、これは大学等で独自の立場で研究も進められておるところが、東京大学とか、東北大学とか、先生のいまおっしゃいましたようなところもあるでしょうし、あるいは東京の工業大学、こういう基礎的な、私は一般の純粋な基礎的な研究というものは、やはりそれぞれ大学、研究機関において進められていいと思いますが、ただ、私の、政府のほうの立場といたしましては、先ほど申し上げまするように、一般的な基礎研究というものは、日本原子力研究所という研究所を持っておりまして、ここでやっております。なおまた、燃料を取り扱うことに関連いたしまして、安全性の問題がこれは大事でありますし、また利用開発目的が、平和利用に限るということでもございますので、そういう観点から指導監督をしていく、こういうたてまえを今後も貫いていきたいと思っておりますが、そういう機構が、大学においても研究の範囲を越えた膨大な施設をつくって、また巨額な投資を行なっていくというようなことになりますれば、やはり基礎研究は自由であるといたしましても、大学等で行なっておる研究の範囲というものが、私は膨大なものに、大型プロジェクトになってまいりました際には、やはりここに一元的なものをつくって研究開発が進められていくような体制というものも、これは当然必要なときがくるのじゃないかと思っております。いまの段階では、先ほど申し上げましたように、国としては原子力研究所で基礎研究をやっている、大学におけるそれぞれの教授とか、学部の独自の考え研究開発は進められていいと思っております。また、燃料を使用する場合について、それに伴う安全施設、安全性については、それぞれ法律に基づいて規制等を行ない、監督を行なっていくという立場でいいのではないかと考えております。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 質問はきょうは終わりますけれどもあとでまたやりたいと思うんですが、正式に、この場で資料を請求しておきたいと思います。それは東北大学の安全審査委員会の意見書ですね、それから工学部の意見書、この二つをぜひ次回までに資料を提出願いたい。
  101. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 承知いたしました。
  102. 多田省吾

    主査多田省吾君) 戸田委員質疑を終わります。  他に御発言がなければ、以上をもちまして科学技術庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午後は、一時三十分から文部省所管について審査を行なうこととし、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  103. 多田省吾

    主査多田省吾君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  昭和四十二年度総予算中、文部省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。剱木文部大臣
  104. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 昭和四十二年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は五千八百四十五億八千六百二十九万円、国立学校特別会計の予算額は二千二百七十二億八千六百四十八万一千円でありまして、その純計は六千二百二十九億六千九十二万八千円となっております。  この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ八百三億円の増額となり、その増加率は一四・八%となっております。  以下、昭和四十二年度の予算案におきまして特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。  まず第一は、教育費の負担軽減と育英奨学事業の拡充であります。  このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、明年度は特に父兄負担の軽減に留意し、教材整備促進、教科書無償の推進、学校給食の普及充実、就学援助の強化、遠距離通学費補助の拡充につとめましたほか、地方公共団体の超過負担の解消を促進し、育英奨学事業の拡充を行なう等の施策を進めることといたしました。  そのうち、まず教材整備促進につきましては、国庫負担の対象となる教材基準の設定を行ない、当該教材基準の七〇%までの充実を十カ年計画整備充足することといたしました。また、教科書無償につきましても、国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第二学年までの児童、生徒に対して教科書の無償給与の措置を拡大することにいたしました。  次に、就学援助の強化につきましては、要保護・準要保護児童生徒の就学奨励として、通学用品費を新たに支給品目に加えるとともに、学用品費の補助単価の改定を行なうことにいたしております。  次に、遠距離通学費につきましては、対象人員を一万人増加いたしまして、その拡充につとめました。  次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の改善に特に配慮し、また、義務教育費国庫負担金の給与費のうち、政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。  また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生及び大学特別奨学生の増員を中心として引き続き事業を拡充し、また、大学特別奨学生で私学に進学した者について特別な配慮を加える等、全体で二十五億円余を増額いたしております。  第二は、義務教育の充実と後期中学教育等の拡充整備であります。  まず、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、給水施設の補助、眼科医の派遣、一・二級僻地学校給食の特別措置等、新しい試みを加えて、総合的かつ重点的に施策を推進することといたしております。  次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容の改善のため必要な経費増額いたしますとともに、特殊学校担当教員の待遇の改善を行ない、また、社会生活への適応性を一そう助長するため、職業教育の充実をはかり、さらに、特殊教育の振興に資するため、新たに特殊教育の総合的調査、特殊教育推進地区の設置及び心身障害児総合実態調査を行なうことといたしております。  次に、後期中等教育の拡充整備につきましては、引き続き定時制教育及び通信教育の振興をはかるとともに、新たに定時制通信制併置高等学校を設置し、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な経費を計上しております。  次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の充実につきましては、引き続き新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしましたほか、自営者養成のための農業高等学校の整備をはかり、また、新たに高等学校の衛生看護科教育に対し施設費の補助を行なうことにいたしております。  次に、学級規模の適正化と教職員定数の充足の推進につきましては、学級編成の基準を原則として、小・中学校いずれも最高四十六人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主著の充実等のための増員をはかっております。また、給与の改善につきましては、管理職手当、特殊学級担当教員の給料調整額、旅費の増額等を行ないました。  次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を強化いたしますとともに、所要の教員を確保するため、公、私立大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行ない、また、新たに私立幼稚園に対し施設費の補助を行なうことにいたしました。  また、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進めることとし、公立文教施設整備費二百九十五億円を計上いたしました。  このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動推進に必要な諸経費を計上いたしております。  第三は、大学の整備拡充と高等専用学校の拡充であります。  国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して三百十九億円の増額を行ない、約二千二百七十三億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ千八百八十九億円、借り入れ金二十五億円、付属病院収入二百四十七億円、授業料及び検定料五十六億円、学校財産処分収入二十八億円、その他雑収入二十六億円であります。歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千七百五十七億円、施設整備費四百九十八億円などであります。  国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加を予想して、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、三千九百八十五人の増募を行なうことにいたしました。このため、大学について、二学部の創設、三文理学部の改組、三十一学科の新設及び十九学科の拡充を行ない、短期大学について、一医療技術短大の創設及び一学科を新設することにいたしました。  なお、昭和四十三年度から九州芸術工科大学を設置することとし、これが準備のため必要な経費を計上いたしました。  次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費等、各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっております。  また、新制大学における大学院修士課程の拡充、付属病院、付置研究所の整備につきましても特段の配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、三公立医科大学付属病院の国立移管、五歯学部付属病院の創設及び病院教官の増員等の措置を講じております。  次に、専門的技術者育成のため、一工業高等専門学校の創設及び既設六校に学科を新設する予定であります。このほか、船舶職員の資質の向上をはかるため、既設の五商船高等学校を転換して、商船高等専門学校を創設することにいたしました。  次に、国立学校施設の整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて予算額を四百九十八億円と大幅に増額し、一段とその整備促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分について、百八十五億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。  第四は、私学の振興であります。  私立学校の振興は、今後の文教政策の重要な課題であり、その基本的な助成方策につきましては、なお慎重に検討中でありますが、現下の状況等にかんがみ、昭和四十二年度の予算案におきましても特に重点として取り上げたところであります。  まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百六十億円に拡大し、私学全般の施設の改善充実に充てることといたしました。  また、私立大学理科等教育設備整備費助成及び私立大学研究設備整備費助成につきましても合わせて四十四億円を計上し、前述の私立大学特別奨学に関する特別な配慮、その他私立幼稚園に対する施設費の補助の新設等の施策を請じております。  第五は、家庭教育、社会教育の振興と青少年の健全育成であります。  青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。  まず、社会教育は、国民の教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともに、きわめて重要なものであります。このため、社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導事業の充実強化につとめ、国立社会教育研修所の整備充実を行なっております。  また、特に家庭教育を直視して家庭教育学級を充実強化する等の措置を講じました。  次に、青少年に団体宿泊による研修、訓練の場をより多く与えるため、国立第六青年の家を新設いたしますとともに、公立青年の家につきましても、その機能の拡大を考慮して整備を進めることといたしております。また、青少年の団体活動を一そう促進するため、青少年団体等の育成も強化したいと考えております。  このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の制作の奨励及び普及を促進することといたしました。  また、社会教育の施設につきましては、青少年施設のほか、公民館、図書館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進することといたしております。  次に、体育・スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の整備を保進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体・行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。このほか、登山研修所の設置、オリンピック記念青少年総合センターの建物の整備、本年度開催されるユニバーシアード東京大会の実施のための経費、及び昭和四十七年度開催予定の札幌オリンピック冬季大会の準備経費等、それぞれ必要な予算を計上いたしております。  次に、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかるほか、夜間定時制高等学校の食堂の設置、栄養職員の増員等の施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、所要の補助金を計上いたしております。  第六は、学術研究推進であります。  わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に害与するため、学術研究推進につきましては、引き続き努力をいたしております。  昭和四十二年度予算につきましては、まず、科学研究費の拡充を行ない、特にガン特別研究費は一段と増額をはかっておりますほか、引き続き研究所の新設、整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測及び巨大加速器の基礎研究及び建設に件う準備研究等につきましても、それぞれの目的、に応じて必要な経費を計上いたしました。  なお、在外研究員の派遣のための経費についても増額計上いたしております。  第七は、芸術文化の振興であります。  すぐれた芸術を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。  まず、新しい試みとして、新人芸術家の開発育成につとめ、地方文化施設費の補助及び青少年のための芸術活動推進等を行なうために必要な予算を計上するとともに、芸術団体に対する助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の整備を進めることといたしております。  次に、文化財保存事業につきましては、文化財の修理、防災施設の整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近、国土開発の急速な進展に伴って、その必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特段の配慮を加え、平城宮趾の買い上げ及び発掘調査につきましても、必要な予算を計上することといたしました。さらに、無形文化財の保存活用等につきましては、引き続きその強化をはかることとし、わが国古来の無形文化財である歌舞伎、文楽等の保存と振興をはかるための国立劇場に対する助成につきましても、万全を期するよう配慮いたしました。  第八は、教育、学術、文化の国際交流の推進であります。  まず、外国人留学生教育につきましては、その受け入れ態勢の強化をはかっております。また、国際学術文化の交流を促進するため、新たに日米間の文化教育に関する人物交流促進をはかるとともに、引き続き教授、研究者の交流を推進することといたしました。  なお、最近、特にアジア、アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の派遣等を行なうために必要な経費を計上いたしております。  さらに、ユネスコ国際協力につきましては、国内ユネスコ活動普及促進事業の実施、国際大学院コースの継続等、一段とその事業の推進をはかることといたしました。  以上のほか、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、これを大幅に増額し、別途総理府所管として計上いたしております。  以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  105. 多田省吾

    主査多田省吾君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  106. 小林武

    小林武君 「予算要求額事項別表」の八ページに「教職員の研修の充実」、「教育研究団体の助成」、この二項目があります。これをちょっと暗算してやってみると約四億五千万か六千万、これは研修という費用ですから、研修とは何か、再教育とは何かとか、いろいろ議論すれば差があるでしょうけれども、教員が研修をしてさらに一そうよくなるということだと思うのですが、それでこういう予算を盛っていると思うんです。これは私は新聞に出ているから申し上げるんですけれども、剱木文部大臣はまさかそういうことをおっしゃらなかったのじゃないかと思いながらも、きょうの読売新聞だと思いますが、教育者としての誇りのないような者に再教育の必要なんかあるかというようなことを、日教組ぎらいの剱木文部大臣が言ったということが新聞に出ておったんですが、これをごらんになりましたか。ぼくはそれを見て、実際きょうはまたえらいことを言ってくれたと実は思ったんですが、何かそれには、前のほうにはこう書いてあります。佐藤総理が、教員の再教育をやらなきゃならぬなということを言った。再教育という意味はいろんなとり方がある。ぼくは研修費用を出して大いに研修の便宜をはかってやるということであれば、これは一応総理大臣の見解としてけっこうだと思うのですけれども、それに対して剱木文部大臣が、教育者の誇りのないようなやつに再教育なんか何の話や、そういうことになったと書いているんだね、これは。しかし、こういうことを言ったことはないですか。
  107. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) きのう閣議の終了後に私、記者会見をいたしましたが、その際にクラブの方とお話をいたしましたのは、閣議で例のインターンの問題がございまして、インターンの問題で総理から、特に司法研修制度ですか、それから医者の研修制度、並びに、同じようなことが教育者にもあるのではないか、それで、そういうことはひとつ関連して文部省でも研究したらどうかという話がございました。私は、それはまことにごもっともですから、研究をいたしますということを閣議で発言をいたしまして、そういう発言があったということを実は話をしたのでございますが、そのときに私の申しましたのは、これは率直に、そのときに座談的に、何も文部省の発表ということではなしに記者会見をやりますと、ときどき脱線して話をするわけでございますが、その新聞に書いてあるようなことは私は絶対に覚えはございません。ただ、こういうことだけは申しました。それは、いわゆる総理の申しますような特別の研修制度ということを考えますときに、それは司法官の場合は、これは弁護士になる者は別としまして、裁判官になる者は特別の給与体系というものを持っている。それからお医者さんの場合は、開業するということは別としまして、お医者さんに対しても特別なものをこれは考えるということは必要じゃないか。教育者に対しましても、やはり何か給与体系において特別のものを考えられるならば、私はその同じような範疇の中で考えられるかもしれないが、現在私どもとしては、実は教員の待遇について私は二通りの考え方があると思う。私自身は実は、ほんとうの給与体系としては、裁判官のような特殊の取り扱いをすべきではないかという感じを持っている。しかし、日教組の方々が、教育者という面よりも、労働者という面を非常に強く主張されている。労働者と同じような給与体系ということを要求されておる。そこになかなか同じ範疇の中に入らないのではないでしょうかと、こういうことを申しました。ただ、それを再教育することはだめだとか、そういったことには絶対私は触れてないと考えております。
  108. 小林武

    小林武君 私は、これについては、剱木文部大臣のおっしゃることを、そうおっしゃったと信じましょう。ただ一つ言えば、労働者だと言ったからといって、教員組合はいままで文部省に、教育という仕事の場合においては、一体給与がどうあるべきかということについては意見も述べている。文部大臣のような、労働者だから炭鉱と同じでなければいかぬとか——炭鉱だって、鉄だって、それぞれのあれがあるわけですから、要求があるわけですから、だから、そういう意味では、教育者としての労働者、教育労働者としての賃金の問題ということも、別にいまのようなお考えでやられることにも、日教組がどうこうという意思表示をしたこともないと私は思うんです。でありますから、その点については、ここで触れませんけれども、そういうふうに理解しておいてもらいたいし、わからなければ、日教組とも十分話し合いをしてもらいたいと思います。ただ、きょうの新聞はちょっと記事がごつかったですがね。教育者としての誇りのないようなやつに一体再教育とは何の話だという、そして、そのあとに、日教組ぎらいの剱木文部大臣がと書いているからね、まことに挑発的で、何かぼくに挑発かけられたような気持ちなんだけれども、しかし、剱木文部大臣はそううそをおっしゃる方でないから、そのとおり私は理解しておきましょう、これは記事の誤りだと。ただ、しかし、それと関連してお尋ねをいたしますが、文部大臣、この間衆議院で御質疑をかわされた中で、ぼくはよく読んでないのですけれども、この間長谷川君によく読んでもらって聞いておったんですが、その中で二カ所にわたって、これは私の考えばかりではなく、多くの人たちが、あの倫理綱領はマルクス主義教育をうたったものですと、こうおっしゃっています。この点は、そういうふうにおっしゃったということはお認めになりますね。
  109. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私は、マルクス主義並びにこの階級闘争理論によって成り立っておるということははっきり申し上げました。
  110. 小林武

    小林武君 そこで私も、いまそういうふうにはっきりおっしゃれば——私このマルクス主義ということにも、これはなかなかむずかしいいろいろな問題がありますが、中国とソ連の議論を聞いているというと、どっちがあれか、お互いに相手はマルクス主義のにせものだということを言っておって、これは中国やソ連の話になると、われわれはそういう議論が出るのがふしぎでたまらないんだけれども、日教組の話になるというと、これがマルクス主義だという断定を下し、しかも、マルクス主義によって教育をしようという断定をこの中に下していくということになると、私はどうしても納得いかない。だから、どこなのか、ひとつこれを御指摘いただきたいと思うのです、きょうは私のほうも持ってまいりましたから。あなたのお持ちのものは何か違うやつを読んでいるんじゃないかと思って心配しているんですが。
  111. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私も小林委員承知のとおり、終戦後ずっと日教組との交渉を持ってまいりました。倫理綱領を日教組が草案を発表いたします段階におきまして、あの当時の客観的な事情並びに倫理綱領草案作成の顧問団の方々の顔ぶれ、その他内容に盛られておりますところを全体として、私はマルクス主義及び階級闘争理論の上に成り立っておると、これは全体としてそう私は感じておるのでございまして、どの部面がどうだという問題ではないのです。でございますから、これがそうでないと、小林委員のほうでおっしゃいますならば、その当時の客観情勢——それはすでにやはり御承知だったと思います。私はそういうことから、私がそういう判断をするのは誤りだということに対する、何か私の納得するような点をお見せいただければ、私はいさぎよく私の説は取り消すつもりでございます。しかし、そうでない限りは、私はそういう確信を持って今日もおるのでございます。
  112. 小林武

    小林武君 そういうことをおっしゃるのはちょっと文部大臣らしくないんですね。マルクス主義ということには、一つのマルクス主義ということを判定する材料がなければならぬですね。それについてのお考えは一応お持ちなんでしょう、マルクス主義というのはこういう内容がなきゃならぬということについては。で、やっぱりあなたのほうから——私のほうはそんなこと、つい思ったことがないわけですから、それについて先に言いわけしなければならぬ理由はないんです。被害をこうむったほうが——車にひかれたやつが一体どうしておれがひかれたかと、おれのどこが悪かったということを反省する必要はない。ひいた人間がそれは考えることなんです。しかし、ひかれた者もそういうことについてあとで反省するということは必要かもしらぬけれども——もうひかれないようにということになるかもしらぬけれども、これは何といいますか、何かの討論会とか、各党何とかという場合ならば、お互いにはったり飛ばしてやるということもあるけれども文部大臣を相手にして、いまこの委員会で議論するという場合には、やっぱりそういう議論じゃなしに、私もなるだけきょうは大きい声を出さぬように静かにやりますから、一体どういうところからこの判断ができるかということを言ってもらわないと困るのです、これは相当検討していると思いますからね。それからあと、一応の見解を述べられれば、ぼくのほうでひとつ述べてもいいんです。  それからもう一つは、大体倫理綱領にはいろいろあって、ここに書いてあるのもありますけれども、これは日教組で出したもの、ぼくらが大会でお目にぶらさがったのはこれです。それから、その後、私が委員長時代、倫理綱領について、一つの、倫理綱領というものはこういうものですというものを述べた。その後、宮之原君の時代になってからまたやったのが一つある。それについては、きょうここに持ってきておりませんが、これらの中において、どこの部分がどうだということは、結局、どっちでもいいです。初めのものでもあとのものでもけっこうですから、やはり文部省らしい言い方で指摘してもらいたい。
  113. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私も学生時代に相当そういう書物を調べたこともございますし、どういう思想でどうだということについては、ある程度の判定力を持っておるつもりでございます。でございますから、一つの字句をつかまえてマルクス主義だとか、そういうものでないということは、これは小林さんも御承知のことと思います。一つの字句を、こういう字句を使っておるからそれはマルクス主義だ、そういうものではないと思います。その書きました文章の中に流れておりますところの大体の精神、それらを全体として把握しまして、これはマルクス主義ででき上がっておる、私はそう解釈しておる。これはそのおのおのの人の解釈の自由ということはありましょうが、私が間違いだとおっしゃるならば、それは君の言うことはどこが間違いじゃないか、そういうことは絶対ないという立証がない限り、これはあのときの、倫理綱領草案を出しましたときの客観的なわれわれ見ておりました情勢によりまして、これはマルクス主義に立脚して草案がなされたものと私は考えております。
  114. 小林武

    小林武君 そういう言い方はちょっとぼくはひきょうだと思うのですよ。どことはなしにマルクス主義だというような言い方はいかぬと思いますよ。あなたが大学時代にやられたという話を聞いて、やられたというのはマルクスボーイだったかどうか、それはわからないけれども研究されたことはお認めになっておる。研究すれば、およそマルクス主義というものは一体どういうものであるかということを、マルクス主義というものはどこからどうなっておるということの仕組みを考えられるでしょう。何とはなしにどうもこれを読んでおるとマルクス主義らしいにおいがするというのは、それは戦前そういうようなやり方をやりました、これは取り締まるほうで。貧乏ということを取り扱ったために教師が大量にやられたこともあるのですね。どうもあいつはその他の教科の扱いについて怪しいというようなこと、これは戦前にはそういうマルクス主義者でも何でもない者を引っぱったということもあるけれども、いまはそういう時代じゃありませんからね。倫理綱領というものがきちんとここにあるのだから、これは何か、その人が隠れて行動したとか何かうわさとかいうものじゃない、そういうものがあるのです、実際のものが。だから、ここだということを指定できないというのは、これはちょっと理屈が立たぬのじゃないですか、何とはなしにそうだとか、どこをどうやってというようなことを言わないでマルクス主義だということを断定するのは。これは速記録に載っておるのですからね。ほんとうのことを言うと、こういう問題であまり大胆なことを言ってもらいたくないという気持ちだったが、旅先であなたが言ったことが新聞に出て、そして、あれを見て、これはえらいことになったと思ったのですよ。これは言わなくてもいいことを言うから、国会の場でやらなければならなくなっちゃった。お互いにそれをやらなければ、自分を守ることができなくなりますから、それはやらざるを得なくなります。それは一体どうですか。
  115. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) これはここで私が全般的にとらえてそう解釈しておる、こう申し上げて、こまかい点についていまここで論議をしようとは思いません。ただ、私は率直に申しまして、小林さんも、あの当時の事情から推しまして、倫理綱領がこの顧問団によって草案がつくられましたときの事情からいって、日教組のこの草案作成の首脳部の中に共産党の方もおられましたし、また、そういう方が加わってこの草案が作成されたということだけはお認めになると思うのでございますし、また、あの客観情勢からこれがそうでないということは言えないんじゃないか。私ははっきりそれは確信をいたしておりますので、こまかくこれがこうだという学問的な論争とか、そういうことはこの場でやめさせていただきたいと思います。
  116. 小林武

    小林武君 それは文部大臣無責任ですよ。何か座談をあなたとしているときなら笑い話で済ましてもいいんですけれども、それはちょっと無責任ですよ。たとえば、この倫理綱領は実は私は北海道にいてこの草案を見たんですけれども、これを決定する大会に、私はとにかく日教組へ来るまで、たった一回この新潟大会に出ただけなんです。私はよく知っているんですよ、このときの思い出を。だから、その当時私は、これは共産党的だなんということ、共産党の人が書いて、これが共産党のマルクス主義だなんということを頭に置いていないですね、幼稚なのかどうかしらぬけれども。もしそうであったら、これはおそらく当時の状況で通らなかったでしょう。この本の前のほうにたくさんの協力者の名前が書いてあるんですが、上原専禄さんとか鵜飼信成さん、梅野悟さん、太田尭さん、海後勝雄さん、勝田守一さん、清水幾太郎さん、周卿さん、高見さん、中島さん、羽仁さん、宮原さん、務台さん、宗像さん、柳田さん、この十五人の中に一人はいるかしらぬけれども学者ですからね、共産党という名のつく人が全部だということは言えないでしょう。そうだとしたら、その当時の事情からいって、共産党の人がつくったなんというようなことは、私は当時地方の人間ですけれども、そんなこと考えたことないですよ。それはあなたの誤解です。それで、われわれはすなおにこの教師の倫理綱領というものを受けとめた。でありますから、はっきりここで結末をつけたほうがいいですよ。あなた、どこがどうだということ、マルクスの骨組みというものががっちりこの倫理綱領の中に入っておる、そうでなかったら、証拠にならぬですよ。そうでありませんか。マルクスの骨組み、マルクスの哲学がこの中にきちんと割り込まれておって、一項一項はどこを見てもそうなんだ、そうおっしゃらなければだめですよ。あなた、さっきおっしゃったけれども、逆のことを言えば、一つのことば、表現を見てマルクス主義者だと言うこともできないでしょう。それからまた同時に、何とはなしにと言うこともできないでしょう。剱木文部大臣、私もそれですから、いろいろな誤解があるから、いろいろそのときは組織の中に波紋を起こしたと思ったけれども、大胆にこれについての一つ一つの解説は書いた。あなたと私と共通面があるのは、あの当時の状況の中では、それぞれやっぱり使わなくてもいいような用語を使っておったということはありますよ。私が新しいやつをつくって、論説委員それから文部記者の皆さんにお集まりをいただいて説明をしたときに、こっちのほうがいいな、なるほど、あの当時いかにもなまのことばを使ったなということを批評されたときに、新聞記者のある一人の人が言った。しかし、その当時われわれの書いた新聞をながめたらどうだろうという話が出たわけです。われわれの新聞もまたなまなことばを使っておったなあという話が出て、みんなそうだなあということで、とにかく、あの当時の日本の情況というものはそういうものがあった。そういうことをおっしゃるなら、ぼくも認めるのです。もっと落ちつけば、そんななまなことばをぶっつけて誤解をされないようにできるということは、それは認めますよ。しかし、これがマルクス主義によってつくられた案だと、全編にみなぎるものはマルクスの哲学によって貫かれているということをおっしゃるなら、私はあなたとは全然意見が違いますから、これは非常に一人の人間に対するあれじゃありませんよ。一人の人間だからいいということではないけれども、五十万の人間がそうでないと思っているものを、そうだと言ってきめつけるのは、あなた潜越ですよ。あなたがきめつけるというんなら、こうだと、おまえが何と言おうと、わしはこうだと言って証明してくだされば、そうすれば、これは議論になりますね。だから、何とはなしということをおっしゃっても困るし、あなたも知っているだろうということを言うのは、どうも迷惑しごくで、ここには小柳さんというような国労の昔の幹部もいて、国労の中でもいろいろ苦労しているからわかっているだろうと思うが、ひとつ話してください、どこなのか。
  117. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) これは私は個々の例証をもって、学問的に例証するということを申し上げるような場でないと思うのですが、日教組の倫理綱領につきまして、それはいろいろな人が、学者がいろいろと論及をいたしております。たとえば私の信じております高山岩男先生なんかの書いた論文の中には、はっきりとそういうことが書いてあります。これは私だけが——高山岩男さんが言っておられることが、これだけが真実ではないじゃないか、これも一つの学説じゃないかと言われるかもしれませんが、やはり私もこの高山岩男さんの言われるような意味合いのことをまた信じているのでございまして、高山岩男先生の言われる、この倫理綱領が階級闘争的思想によって組み立てられていると、こう論評しておりますが、私はやはり同じような考え方を持っているのでございます。ですから、学説上そういうのは間違いだという意味合いにおいて、私どもはこう考えておりますことをいろいろ反対例証されまして、私どもが納得すれば、それはごもっともですと申し上げたいのですが、私はあくまで、倫理綱領の成立過程におきまして、この階級闘争理論がその基礎になっておったということだけは、私はどうしても否定できない問題だと考えております。
  118. 小林武

    小林武君 それは文部大臣無責任ですよ。あなたは高山さんをお出しになったのだが、高山さんが何を書いているか、そんなこと、ぼくは見たことない。あの人の何かやったことの中で、「期待される人間像」というつまらぬものを書いたと思っているのですが、しかし、戦前においては高山さんというのは私は相当な方だと思っておった。「期待される人間像」など書いたところを見ると、たいしたことないと私は思っている。そういうことをいま論争する必要ないでしょう。そういうことを、高山さんが何を書いてあった、高山さんの説をお信じになったとしても、それでいいのです。高山さんがどう言っている、私は高山さんと同じ考えで、こうこうこうですということを申し述べられれば、それはもう文部大臣の説として聞きますよ。だから、高山さんが言ったから私が言いましたということは、文教行政をあずかる文部大臣としては、これはやはりちょっと剱木さん御自身とらないほうがよろしいと思うのですよ。そういう方法はとらないほうがよろしい。だれが何と言おうが、だれの意見をお聞きになっても、私はこの点とこの点とこの点、ずっとあげて、そうして、これはマルクス主義のとにかく哲学の組み立てであるということをおっしゃるなら、それなら、ひとつあなたの意見があったら述べてもらいたい、こういう意味ですよ。それを、逆にぼくに説明せい、納得したら取り消す、そういう話は、これはおかしいですよ。あなた、そうして説得したらわかるようならいいけれども、わかりそうもないですよ、大体。もう高山さんにすっかり心酔し切っているのだから。私は、そういうことを言うのは、たいへん公平なようで公平じゃないと思いますよ。なくなった犬養さんが、日教組は共産党に牛耳られているということを発表されたから、犬養さんのところへ行って、犬養さんどうして一体牛耳られていると言うのかと言ったら、数の問題だ、数というのは幾らだと言ったら、これだけの数だと言う、それはちょっとおかしいのじゃないか、そうして話したら、いや実はおれもよく知らないのだ、聞いたのだ、なるたけひとつ証拠出してくれぬか、改めるからという、そういう話なら、まだ数の話だから、それはなるほどと思って、そのうち反論しましょうというようなことで別れられるけれども、この問題は違いますよ、ぼくのほうで出しているのだから、日教組が出しているのだから、文章で。文章が悪いならば、あなたのほうでここですよと言ってくれればいい。もしこういうことがいままで二十年の間にされているならば、これはもっといろいろな形ではっきりさせられたでしょう。それがないままに、とにかくいままでわれわれいろいろな手続しましたよ。だいぶあれですから、ひとつその問題は、とにかくやはり時間もあることですししますから、次々やる問題を発展させる意味でお尋ねいたしますが、いわゆる大会で決定した教師の倫理綱領というものは、どの部面をおさしになっているのか、これをひとつそれじゃ示してくださいませんか。
  119. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) これは私の独断だけではなしに、相当新聞論調におきましても、また、学者の学説におきましても、私と同じような説をなしておるのが相当たくさんございます。これをあげろと言えば、幾らでも資料として提出してもけっこうでございますが、私はその学説を信じて、その学説によって動かされて私はそう考えていると申し上げているのじゃございません。私の考えておるような学説を持っている方が相当いるということでございます。でございますから、私自身は私だけの独断の考え方ではない、したがいまして、これに対しまして、小林さん自身がそうでないとお考えになるのはけっこうだと思います。私はしかし、私どもがこれを客観的に解釈しまして、そういう解釈を持っている、これはやはり私どもの思想、信条の自由と申しますか、これはやはりひとつお許しを願わないと、まあ、そうでないということをはっきり反発されない限りは、私はそう信じておるのでございますから、また、そういうことと同じような考え方を持っている例証は、倫理綱領に対しまする非常な学者の批判とか新聞論調とかの報告を出せと言えば、私も当時からのやつを調べれば、ずいぶんたくさんあると思いますので、これは時間をかしていただかなければなりませんが、提出はいつでもします。
  120. 小林武

    小林武君 あなたのほうでやれば、やはりこっちのほうも、学者の批判はそれぞれ出ます。しかし、それでは私はやはり、結局、わあわあ言うだけで問題の解決にはならない、やはり文部大臣は、いま言い切ったように、自分考え方がそうだということをおっしゃるならば、この点とこの点とやらなければいかぬです。それが出れば、私のほうでも、とにかくそれはこうだ、こうだという、そのやはり論戦やります。それがあって初めて私はものごとが解決するようになるのじゃないかと思うのです。でありますから、どうですか、ここでそうあなたは言いたくない、言いたくないと言うのだが、あなたのおっしゃったことが客観的ということですね、客観的にこれを見るということ、感情論でなしに、客観的に物を見るということで、きょうはどうしてもやらないとおっしゃるなら、この次に約しましょう。きょうはどうしてもやれないというならば、言わないのなら、どうにもしかたがないです。だから、それはひとつそうしましょう。  そこで、やはりこの次のこともございますから、もう一ぺん申し上げますが、教師の倫理綱領というのを、たとえば、この青表紙の中に書いておるやつを、大会できまった——組合は大会できまったというものは非常にやかましく言うのです。どれが一体大会できまったかということについて、あなたたちのほうはどうお考えになっているか。私のほうで言うのは、この太字のところと、こういうのです。これにも二論であるのです。太字のところ——太字のところ、ないですかね、そこに。同じようなものがあるでしょう。ない。あなたのほうは何だか秘密兵器のような妙なものを持っていて、日教組も持っていないようなものを持っている。そんなものを、怪しげなものを持っていてはだめよ。これで言えば、太字で書いてあるところです。だから、これをその説によって、とにかくここに——その説ではない。決定したのはこれです。ここに全部書いてある。太字のところ、それ以外のところは、大体これはまあこれを書いた人の、解説をやった人の考え方が入っているのです。だから、この部面については、もういろいろな書き方をしてもよろしい。ほかの人がいろいろなことを書いてけっこうです。しかし、内容はここだということを、これはあなた、日教組は大会できめていることですから、これはお認めになるでしょね、どうですか。
  121. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 私どももあの現物は持っておりませんが、先生が太字とおっしゃいますのは、たとえば第一の、「教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる」というところが太字で、だから、その次にある「平和の擁護、」云々から「勉学し、努力する。」というのは、これは太字ではないと、こういう意味でおっしゃっているのでございましょうか。
  122. 小林武

    小林武君 そうではない。
  123. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) ですから、たとえば一で申しますれば「ともに生きる」という表題とともに、「教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」、そこまでが太字だと、こうおっしゃいますならば、私どもは、先生がおっしゃっている倫理綱領そのものはその部分で、これは十ありますが、そういうふうに考えます。でございますから、ついでに申しますと、日教組に申しましたのは、これと、それから及びその解説と、この二つに分けて言っておりますから、倫理綱領というのはいまのこの分、その解説というのはこれについて出された、たとえば、そこで申しますれば、「ここでは、まず、われわれに課せられた」云々と書いてある解説、これは分けて私たちはものを言っております。
  124. 小林武

    小林武君 そこで、ここですね。太字のところはわかりましたね。それから解説にわたることは、これは先ほども言っているように、いかようにもそのときのあれに合わしていいように書いていますね。それで、剣木文部大臣は一体どうですか、この解説のほうはあれですか、解説のほうは、これも合わせて考えているというお考えですか、客観的というのは。どうですか、その点は。
  125. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) まあ私ども、最近はいろいろこの倫理綱領解説とか、詳しいことを読んではおりませんが、しかし、かつては相当この問題につきましては研究もいたし、よく読みもいたしました。それで、私の今日の記憶しておるころでは、倫理綱領と解説を合わせまして、私どもは大体その理解をいたしておるつもりでございます。
  126. 小林武

    小林武君 そうすると、あなたは、一度出した解説というものが、一応出た、それからあなたのほうには、たしか私が聞いたところによると、何だかちょっと妙な男がいて、持ち込んだようなものもあるやに聞いておるわけですが、そういうものも、それではずっと日教組のいままでのものの考え方、倫理綱領というものはこういうものだというふうに持たれておる、こうですね。そうすると、私は片手落ちではないかと思うところがあるのです。これは剱木さんでなければわからないところだと思うのです。剱木さんは戦後ずっと文部省におられたですね。あの中で、文部省で出されたいろいろな文章というものや書物というようなものは、あの内容は全く変えられているのはどういうことになりますかね。たとえば、よくぼくが例に出しますけれども、教員は労働組合をつくって、とにかく抵抗しなければ、権力に追われて教育を間違うのだ、まことにうまいことを言ってくれて、いまの日教組と同じ考え方、それにおだてられて日教組がやったのかもしらんと私は思っている。そういうのもあるし、それからまた、あなたこの間、内藤さんがいて悪いけれども、内藤さんとの質疑の間にも出ておったね、八岐大蛇だとかなんとかいう話も。八岐大蛇のしっぽから草薙剣が出たなんということを教えているからぐあいが悪いのだ、こういうことも書いてあったでしょう。文部省の文章なんです。きょうはここに持ってきていませんけれども、ごらんになりたければ、いつでも持ってきてごらんに入れますよ。そういう文部省のものの考え方といまの考え方は、がらり変わっているわけですけれども、こういう点については、どういうことになりますか。
  127. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私は特に小林委員に申し上げたいと存じますが、いまこの倫理綱領理論だとか、文部省の過去に言ったことはどうだとか、また、そういうことを蒸し返して論議するときではなしに、私はむしろ、前向きに向かって教育者と私どもが手をどうして握っていくか、こういうことで私ども考えていかなければならぬときが来ていると思うのです。でございますから、この以外にも——むしろ、まあ私はそう考えております、これはマルクス的な考え方によってつくられたのだと、私の独断だとおっしゃるかもしれませんけれども。だけれども、そういうことから抜け出して、日教組もわれわれも、ともに、やはり新しい日本の教育のために、過去の言動とか、そういうことをとやかく言うのをやめて、もっと何とかこの間の改善をはかっていく、お互いに努力していくという方向に私はいきたいと考えておるのでございます。でございますから、私がいまいろいろどう考えておるか、いろいろな問題につきまして、こまかなところでこれを論争するということに、実は私は、自分の気持ちとして、あまりにいま気を引かれないと言っては悪いのですけれども、何だかそういうことをやりたくないような気がいたします。もっと、そうでなしに、やはり一歩先のほうにわれわれ何とかしていく方法はないものかということが、私の心の中に一ぱいになっている問題でございます。でございますから、いまさら倫理綱領をとがめだてしてどうこうするということでなしに、やはり日本の教育者として、また、私ども文部省の文教行政の責任者として、ほんとうに手を携えて日本の教育のために、前進に向かって努力したい、これの努力をいまやりたいという気で一ぱいでございまして、そういう意味で、対立感情を蒸し返すというような論議は、まともに開き直って聞かれると、それは私こうですと言わざるを得ないと思うのです。ですから、そういうことはできましたらいまお許しを願いたいと、私これはほんとうに誠意を持って小林委員に申し上げたいと思います。
  128. 小林武

    小林武君 その気持ちは、剱木先生が一番知っているじゃないですか、ぼくの気持ちは。前向きにひとついきましょう、相互の誤解を解くために。ひとつ文部大臣としても御尽力をお願いしたいということを私は申し上げている。だから、先ほども言ったように、あの新聞に、旅先でマルキシズムの何とか言ったときにはぎょっとしたわけです。これはまたうしろ向きになって妙なことをやって、がみがみ言わなければならないなということに追い込まれたことは、非常に残念だったのです。だから、いまあなたがそういうことをおっしゃるならば、あんなときでも、もっとうまいことを言ってくだされば、あなたは信じているとか信じていないとか言うけれども、ぼくはそのことで言わしてもらえば、倫理綱領というものは決してマルキシズムでも何でもない。だから、日教組がいつも言う憲法と教育基本法の線で話し合いましょうというのは、マルキシズムに立ったらその話はできないはずです。だから、私どもも長い間とにかくそういう対立関係の中にいて、一つも教育のプラスにならぬことをお互いにやってきた。この間、私は同じ文教委員だった野本品吉さんと一緒のとき、小林君、これは教育の能率を下げるだけだから、これからとにかく一生懸命そういうことをなくしようじゃないかという話だった。私は非常に賛成して、お互いに努力しましょうということを言い合ったのです。野本さんは議員をやめられて、それを痛感しているそうです。私は渦中の人間だったから、なおさら痛感している。だから、剱木さんにこの前何べんもお願いをした。だから、そうならばああいう速記録に載るようなことをやってもらいたくないのです。速記録に書かれて、そうだという断定をされるというと、それはふりかかる火の粉ですから払わなければならないということになるのです。それはあなたのほうも、学者を動員してやる、だれも動員してやったら、それはさまざまな議論は出るでしょう。ただ対立感がその中に生まれていくだけだと私は思う。しかしながら、ほんとに文部大臣とか当該責任者が集まって議論をすれば、これはこうだということになれば、これは釈然とする道は幾らでもあると思うのです。だから、話し合ってももらいたいし、とにかく国際的な一つの線も出ているんだから、その中で話し合いをして、お互いにこういうところはこういうふうにしようじゃないかというようなことも、やはり時間をかけてやるべきだと私は思う。ところが、あなたの説によると、いま私はあなたからそういうことを聞くというと逆だと思うのです。ぼくの言うことをあなたは先に言って、まことに妙なことになって、ほんとうですよ、衆議院でああいうことをやったから、どうも私はやらざるを得なくなったのです。そうでなければ、こんなことをこれだけ出したくなかった。そんなことをやるとうまくないですから、倫理綱領というような問題をしかつめ顔で分科会でやらなければならないとは、夢にも考えていない。そんなことでなく、予算のことで話をしたかった。だから、私はきょうは、どうしても言えないと言うから聞きません。内容も明らかになりました。どこどこの部分かということが明らかになりましたから、あなたのほうでこの点について話し合いをしてけりをつけるようにやるというお考えか、あるいは、あなたのほうで日教組にまたものをよく聞いて、内容はどういうことかというふうにお聞きになるか、それはあなた信じていると思っても、ただ信じているだけで、私はたいしたことはないと思う。聞けばなるほどというようなことになると思う。しかし、どうも腑に落ちないということはお互いの間にありますから、そういうことは後ほどみんなでまた話し合って、どういうふうに理解したらいいのかということをやり合えばいいことです。これはもう、とにかく自民党と社会党の間だって同じことなんです。しかし、国会の中でここにやはり一つのルールに従って正常に運営していくということが可能だということはちゃんと立証していると思うのです。そういう意味で、この点はやめましょう。やめますから、ひとつ準備をしていただきたいと思います。どうぞ、その意味で、党のほうにも文部大臣としていろいろお話をしていただきたいし、私のほうも労働者については十分また連絡するようなことがあれば、われわれの意見も述べていきたいと思います。いまの剱木文部大臣のお話を聞けば、ほんとにちょっと残念ですという気持ちがしている。いまからだって、私は別にけんかを盛んにするか、それとも落ちつかせるということば、何も決定的な段階に来てどうにもならぬということじゃないと思うのです。努力によってどうにもなることですから、ひとつそういうふうに私からも御尽力をお願いしておきます。私ばかり悪者にしたようなことを言わないでください。ぼくの質問は終わります。
  129. 多田省吾

    主査多田省吾君) 小林君の質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  130. 多田省吾

    主査多田省吾君) 速記を起こしてください。
  131. 鈴木力

    鈴木力君 いまの小林委員質問に対して、文部大臣もだいぶ前向きに努力されるという御答弁がございましたから、その線に沿って若干のことをお伺いしておきたいと思います。  一つは、さっきもお話に出ましたけれども新聞はうそだと言うから、それでよろしいが、何となしに教師としての誇りを最近の教師は失っているという言い方は、これは大臣だけでなくて、そういう言い方も世の中にはあると思いますが、大臣はそう思っていないというので非常に安心したのですけれども、最近の教育の行き方に、大臣のほうで、この手当については、今度の予算を見ますと、管理職手当が大幅に増額されている。手当を増額するということと、それから管理職の使い方ということについては、相当問題があるのじゃないかと思いますが、その管理職化するという基本的な考え方をひとつ伺いたいと思うのであります。
  132. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 学校はやはり教育の内容を児童に授けるほかにも、人的な管理あるいは物的な管理、これは小さいものといえども一つの経営体と見ますと、相当な仕事があります。その意味では、やはりそれを統合すべき地位の者というものについての責任は、各種の法律制度から見まして、非常になすべきことが多いのであります。その意味で、管理職の地位というものは非常に重要だと考えております。
  133. 鈴木力

    鈴木力君 時間がないのであまりくどいことは申しませんが、いまの教育の内容に携わるほかに、人的管理、物的管理の必要がある、この考え方は、いまの制度からいえば当然のことなんです。私が申し上げたいのは、文部省でよく研究をしてもらいたいということなんです。それはいま斎藤局長が言ったような、教育に携わることのほかに、人的、物的の管理という、そういう意味で今日の校長や教頭が管理職として動いているのかどうかということがある。何とはなしに最近は行政的な面が強調され過ぎて、いわゆる教育に携わるという教育者としての任務が薄らいでしまっている。ある悪口を言う人は、最近の校長、教頭は電話番だと言っている。それはなぜかというと、そういう法律的な、行政的な管理面をあまりにも強制する、だけれども、ほんとうのことを言うと、校長、教頭でも、ほんとうは教育者であります。行政面にはきわめてしろうとだ。ですから、朝から晩までまた指令が来た、指示が来た、そういうことになりますと、隣の学校長と打ち合わせに半日ぐらいかかって、それで結局、自分にわからぬので、教育委員会の事務局にこれを問い合わせて、結局、学校の運営というものの主体性が完全に失なわれて、その行政の末端機構の役割りだけを果たしてきておる。そこから最近の学校が生き生きとしないとか、あるいは教師としての誇りがどっかへいったとか、いろんな話が出てくる非常に大きな原因だと思うんです。で、これは時間がありませんからあまりくどい議論はいたしませんけれども、そういう面からの今日の行政のあり方ということをひとつ検討をしてみてもらいたいと思います。  なお、ついでにもう一つだけ申し上げますが、管理面が強化されましたために、教職員の主体的な研究というのが非常に窮屈になった、場合によりますと、教師の主体的な研究が何かやってはいけないことをやっているみたいな、そういう行き過ぎた人的管理が多過ぎてきている。こういうことも今日の教育を機械化しておるというのが生き生きとした教育がだんだんに失なわれていくという批判をされておる要点だと思うんですけれども、これらの点については、制度上何々というような言い方は別として、真剣にこれは調査もしてみてもらいたいし、検討もしてみてもらいたい。その上に管理職という、学校における管理職というのがどういうものなのかと、いうことをもっと突っ込んだ学校という一つの機能の上に立った考え方を指導していただきたい、こう思うわけです。
  134. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 私どもも学校の任務であります児童、生徒に対する教育というものに校長以下集約するというために、現在のいろんな経営でどういう問題点があるかという点は私ども一つ研究課題でございますので、そういうような観点でいろいろな事務その他を整理すべきものは整理し、また学校がみずからなさなくても、教育上利便を受ければいいようなものは他の援助を待つというものもございます。そういう観点で検討してまいりたいと思います。また教員の各位が濶達に授業を行ない、またそれぞれ十分に勉強していただくということは必要でございますので、そういう角度で検討してまいりたいと存じます。
  135. 鈴木力

    鈴木力君 その次に、教育職員の給与、給与と言いますか待遇について若干お伺いしておきたいと思うんですけれども、その第一は、いまの給与制度の給与の決定のしかたが教育職員としてはきわめて不合理な面がたくさんあるわけであります。まずその一つは、公務員の給与体系の中に入っておるから、これは先ほども大臣がちょっとそれに触れられたようでもありますけれども、そういたしますと、公務員の給与の決定ということは人事院の勧告を待って、これを国会が法律で決定をして給与体系が決定をいたします。その上でさらにこれを地方自治体が決定をして、教育職員の給与が決定をする、こういう仕組みになっておるわけであります。しかし実際は多くの教育職員は地方公務員の身分を持っておりますために、したがって、人事院は国家公務員を対象とする役所でありますから、地方公務員の身分を持っておるいわゆる地方の義務教育諸学校の教育職員の待遇がどうあればいいかということを直接的に調査したり勧告をしたりする任務がないわけです。制度上から言いますと、各都道府県にそれぞれ人事委員会がありますから、その人事委員会が独自の立場で調査研究をして、そしてその給与体系なり給与のあり方なりを勧告をすれば、それはそれでいいわけなんですけれども、結果から見ますと、各県の人事委員会の給与の調査、その結論、勧告なり報告なりというものは、ほとんど大部分は人事院が勧告をしたあとに、しかもほんとうの大部分は人事院が勧告をして、しかも国会で法律案がきまったころにおそるおそるそれに右へならえするような勧告が出ているわけでございます。そういたしますと、その地域のほんとうの教育職員としての職務に見合った給与というものがその地域からは上がってこない。担当する人事院は対象外だ、各県で交渉をしてもこれはもう中央に右へならえだ、こういう形で、事実上は教師が自分の待遇についてものを言う場もなければ、あるいはまた、それを理解してもらえる場もないわけです。  こういうような形にいま追い込まれているのですが、こういう教育職員の給与決定のあり方と言いますか、いまの行なわれているやり方に対して、文部省として、つまり教育職員の給与決定の立場からして、何かそれを考えていることがあるのか、現状でいいと思っているのか。その辺についての見解を伺いたいと思うんです。
  136. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 一般の地方の職員と違いまして、公立学校の先生に対しましては、教育公務員特例法によりまして、国立学校の先生の給与額を基準として自治体で定めると、こういうふうになっておりますから、またそういうことが必要であって、現在までやはり教員の地位の、待遇の改善というものにその制度というものが役立って来たということは私は言えると思います。で、これが将来にわたって、先生がおっしゃるように、もっと地方間の何というか弾力性と申しますか、実態に合うような特異のものが今後においてあったほうがいいかどうかというようなことは研究課題でございますけれども、私ども現状といたしましては、特例法の規定によって、基準となるべきものはこの国立学校の例にならうという仕組みはやはり待遇改善に役立って来たというふうに判断しておるわけであります。
  137. 鈴木力

    鈴木力君 いま基本的に教育公務員特例法によって、中央、まあ国家公務員の給与を基準として行なう、このこと自体をいまはずすかどうかという議論でなしに、私が申し上げておりますのは、教育職員の大部分は地方公務員という身分にある。そういたしますと、教育職員の給与がいかにあるかという検討をする機関がいま事実上国にはないじゃないかということを申し上げたいわけです。つまり、国家公務員であれ地方公務員であれ、教育職員として、その職務に見合った給与なり賃金体系なりができる、そういう機関がいまないような気がする。ないから人事院がこの分まで引き受けてやるにはやっておるのですけれども、しかし、たてまえ上から言うと、国家公務員が対象になっておる。しかも、国家公務員である教育職員というものは義務教育諸学校ではきわめて少数でありますから、これは調査の対象から全然除かれていると言うとうそになるかもしれませんけれども、ほとんど対象からはずされておるわけであります。そういたしますと、他の職種である行政職なり、あるいは他の職種の調査の上に立って、教育職というのはそれにやや準じたような形になっておるわけです。そういうあり方の中にいろんな矛盾というものをはらんでおる。だから、私は率直に申し上げたいのは、いまのようなこの制度上からすると、この欠陥を補なうのはどうしても文部省自体が直接教育職員の給与体系、給与体系と言いますか待遇がこうなければならないという点を、文部省自体が積極的に手をつけていくべきではないか、こういう考え方が私の考え方なんですけれども、こういう点についての所見をひとつ伺いたいわけです。
  138. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 実は、これは年度ははっきりいま記憶しておりませんけれども、実は私がたぶん文部次官の当時であったと思いますが、地方教育公務員ですね、いわゆる小中義務教育諸学校の先生の俸給を全額国庫負担とする法律を国会に出したことがございます。これは不幸にして特に私ども考えておりましたのと逆に、日教組の非常な反対に会いまして、ついに国会を通過するに至らず廃案になったと覚えております。実は私の基本的な考え、思想でございますが、やはりこれは一般地方公務員とは違う給与体系、これがあってしかるべきじゃなかろうか。それに対しまして全額国庫負担の法律を出しますれば、私はいま言うように、中央交渉とか何とかいうものは全然問題にならない。常にこれはもう文部省が直接に各先生方の給与についてお話し合いをするという形に、もしあれが通っておったらなっておったと思うのです。私はそういう意味合いにおきまして、あの法律案はつぶれましたけれども、あのときになぜもう少し日教組は考えてくれなかったのであろうかということをいまでもそう思うのです。そうなっておれば、これは直接に国が責任を持って義務教育諸学校の先生の俸給をきめることができたんじゃなかろうか。  それからもう一つ私が給与の問題で申し上げたいと存じますのは、いま私ども考えておりますのは、やはり一般国家公務員に準じてやるという法規によってやるわけでございますが、しかし先ほどちょっと私がお話し申し上げましたように、何か裁判官と同じような、教育者について特別の給与体系というものは考えられないかどうか。これはやはり裁判官は一人で裁判上の責任を負って裁判をいたします、対象は違いますけれども、学校の教師が教室におきまして子供たちに数えますのは、裁判官が全責任を持って裁判に当たると同じ立場で、一般の行政事務とは全然性質を異にするものじゃないか、こういう意味合いにおきまして、何らかこの給与の上において教育者としての違ったようなものが考えられないかどうかということを、私個人としては、非常にこれは昔からそういうことに思い悩んでおるわけでございます。だからといって、いまの給与体系を私が自分で破るとか、そういう意思はございませんけれども、しかし、このことはみんな一緒になって、私がそう思っているだけでなしに、そういうお考えをお持ちの方も相当おられると思うのですが、教育者の給与体系は現在のままでいいかどうか、これは真剣にやはり私は——いまの日教組の要求されることは、宿日直の廃止、それから超過勤務手当の要求というような問題になっておりますが、おそらくそれとは違った給与体系というものがあっていいのじゃなかろうか。これはひとつ全部で研究すべき問題じゃなかろうかと思う。いま給与体系がこれでいいかというなお尋ねでございましたから、私の考え方を率直に申し上げます。いま文部省がこうやるという意味じゃなしに、私自身がそういう考え方を持っておるということだけ一応申し上げておいたのでございます。
  139. 鈴木力

    鈴木力君 どうもよくわからんのですがね、自分はやる気がないけれども、こうやったほうがいいじゃないかという、文部大臣がそうおっしゃられると、だれがやるのかわからないのですよ。私は文部省がもう少し真剣にこの研究に取り組むべきではないかということを言っているのですが、自分はやる意思はないが、みんなで研究すべきではないかということじゃ私の質問に対する答えとしては、ちょっと答えにならないような気がいたしますけれども、しかし、お考えはだいぶわかってまいりました。ただ大臣に私が申し上げたいのは、大臣も私の気持ちを汲んでお答えをいただいたと思うのですけれども、中央交渉の問題ですね、これは全額国庫負担になったら中央交渉の問題は問題ではなくて、半額国庫負担であるから中央交渉は問題になるというのですか。この考え方は私は実体論から言って、捨ててほしいのです。私がさっき申し上げたのは、教師がどういう待遇があればいいかということを持っていく場所がないということを申し上げているわけです。そうして、実体論からいいますと、国が決定をいたしますと、全国右へならえですから、これは準ずるということがいいか悪いかは、いろいろの考え方がありますけれども、一面からいうと、局長がさっきおっしゃったように、今日の教員の待遇を過去から今日に持ってくる一つの功の面だって、ないわけじゃないですから、ですから必ずしも準ずるということをいま直ちに否定はできない面があると思う。ただし、教育職員としての特殊な職務に対する給与ということは、いまこれを直接取り扱う機関がなくなっているわけですから、だからこの問題は文部省が責任を持つべきであるし、そうして全額国庫負担になれば、中央交渉でやるのだとおっしゃるが、半額だって同じことになるわけです。そういう意味でも教育職員の待遇がどうあればいいかという行き方については、これは文部省はそういう行き方を考えていくべきだ、こういうことを申し上げたかったわけです。なお、裁判官と同様にということは、思い切った優遇をしたいという大臣の気持ちはよくわかります。そうするには教育職員のいまの教育に、やっぱり教育基本法なり憲法なりに定められている趣旨によって、はしの上げおろしまで、学校の教師に文部省なり教育委員会がつべこべ干渉するようなそういうことをやめて、まず裁判官のように主体的にやれるような雰囲気をつくることが先だと思います。したがって、私は大臣が裁判官のような給与を考えたい、その考えたいという気持ちの裏に、教育職員の主体性をほんとうに保障してやるということとあわせて考え研究をいただきたいと思うのです。一番先に私が申し上げたように、主体性というものは、だいぶ失なわれかけている。それはさっき済みましたけれども、この管理職、事務的な管理というか、行政的な管理、これが教育の上にきているという今日の風潮がそうさしているということもありますから、御検討の上に、ひとつ研究をお願いしたいと思うのです。  時間がありませんので、具体的な問題を一つ、二つ伺います。そういう形で給与体系を考えてもらいたいのですが、しかし、いま制度があるのですから、急にどうこうと言っても直らないかもしれません。だが、いまの制度の中で、少なくとも給与体系の中で一番教育職員が不利だと言っているのは、いわゆる昇格という機会が給与体系には非常に少ないわけです。したがって、給与表からいいますと、三本しかないわけです。二等級の人はずっと死ぬまで二等級でいかなければならない。しかも、それがいわゆる行政職と違って、教育の都合によっていろいろなことがあるわけです。学校長になるという場合も、その地域の条件によって非常に格差があるわけでありますから、あるいはまた学校長になっても、中心学校なんかの管理、それらの関係からまた降職して教頭職、二等級に下がるということを繰り返している。これがいまの教師といいますか、教育職員の勤務の実態なわけですね。これを直ちにどうこうというわけにはいかないわけですが、そういう点についての給与体系の、たとえば二等級から一等級への渡り、こういうような救い道は文部省考えてみる必要があると思いますけれども、これらの点についても一つの見解を伺いたいと思います。  それから時間がありませんが、もう一つ申し上げますが、旅費についてです。これは私は文部省にずいぶん何べんか申し上げておることであり、機会あるごとに文部省から善処する善処するというわかったようなお答えをいただいておるのです。しかし、わかったような答えだけでは、もうわかりきれないところにきているわけです。つまり今度も五百円しか増額をしていないわけですが、この五百円の増額では、宿賃の値上がり分にもなっていないわけです。でも私はそういう値上がり分というよりも、基本的に、いろいろ公務員がたくさんいる中に、教育職員だけが打ち切り旅費で出張させられるのが、常識になっている。このことを文部省がいつまでこのままにしておくのかということなんです。教師の社会的な地位がどうとかいろいろなことを言っておりますよ。しかし、たとえば大臣が招集をする何かの全国の会議がかりにあったといたしましょう。ほとんどもう一生教育に身をささげた学校長クラスが呼ばれてまいるときに、それのお世話をする教え子のまた教え子みたいな教育委員会の職員がついてくるわけです。教育委員会の教え子のまた教え子みたいな職員のほうは一等の汽車賃をもらって東京に出てくる、一生教育に身をささげた学校長は二等の汽車賃をもらって東京に出てくる、これが現実なんですね。これは明治以来の伝統だといえばそれまでの話なんです。明治以来の伝統かどうかしらぬけれども、少なくとも今日の段階でこれに手をつけないというあり方は、これは教師をべっ視するという以外に私は理由がないと思うのです。予算があるとかないとかという話は、それはあったらやりますぞというのはだれにでもやれるのです。問題はその態度をどう文部省が打ち出すかということなんです。要するに行政職と教育職とを見て、行政職より教育職は下にあってよろしいという教育職に対するべっ視、差別感、これが今日なお旅費の問題でも教育職員をひがませている一つの原因になっておる。だから私は出張するときの何円金が足りないというような議論でなしに、旅費一つを見ても、いまの教育職員をあまりにも軽視をしている。これらの点について改善をする意思があるのかないのか、この点を伺いたいと思うのです。
  140. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 第一の御質問の体系の問題、あるいはそれに対する文部省自体として検討すべきではないかということでございますが、私どもも、人事院自体もまた、他の職と違いまして、公立学校にはね返るという要素で国立学校の給与をいろいろお考えになっておると思います。また私どもも絶えず文部省意見というものは、これは非公式でありましょうとも、人事院に年々申しております。それからわれわれはまた、その権能は別といたしましても、教育を扱っている観点から、教員の給与の将来の方向というものを検討してまいらなければならぬ点はお説のとおりでございますから、検討してまいりたいと思います。  それから渡りの問題等ございましたが、現在の仕組みというものが一般行政の職階制のように係員とか課長補佐というような小刻みになっていないことは、むしろ理論的にいえばこれは教員の実態ということから差別が出てきておるわけでありまして、それを一概に私は別のほうに直していいということは簡単に言えない、合理性のあることだと思うのであります。ただその場合に、いまおっしゃったように、いろいろな職務を兼ね、あるいはその中間においていろいろな仕事が加わった場合の給与上の措置というものも考える余地があるのじゃないかということでございます。その点については私どもも考究してまいりたいと存じます。  それから旅費の問題につきましては、私どもは毎年わずかでありますけれども努力してまいりました。本年度の予算でも一般職員につきましては、もうおよそ旅費の問題には触れなかったのでございますが、教員だけではということで大蔵省もとにかく積算の単価を上げることについても同意をいたしましたし、また地方財政のほうにおきましても、高等学校につきましては交付税の配分基礎をこれを上げるように措置いたしました。もう一つは、この旅費の運用につきまして各地の各公共団体の旅費規程の正規のものをもって処理するようにという御要望でございます。この点につきましても、将来私どもといたしまして改善のための努力を重ねてまいりたいというふうに存じております。
  141. 鈴木力

    鈴木力君 いまの旅費の点につきましては、これはもうさっきも申し上げましたけれども、問題は、幾らか予算を増しましたと、そういうことでは私は片づく問題じゃないと思うのですね。同じ旅費規程があるのに教師だけはこの旅費規程を適用しないのが常識だ。この行政のあり方の基本的な調整が必要じゃないかということなんです。考え方をまず直すべきだ。いまたとえば修学旅行について来る教師でさえも正規の旅費をもらっていない教師が大部分なんです。こういうようなことにしておいて五百円を増しましたから、よそは見ませんけれども教師だけを見ました、こういう恩着せがましい言い方でなしに、規程どおりの支給をするというのがたてまえだということをはっきりとこれは行政上生かしてもらいたいという要望です。なおこれが特にいまの問題は僻地とも関係いたしますけれども、きょうは時間がないから僻地問題については申し上げませんが、僻地の教師の研修といまの旅費がからみ合って、非常に大きな障害条件にもなっておるわけです。そういう点からも真剣に取り組んで改善をしてもらいたいと思います。  もう一つだけ伺いたいのですが、これは小さなことなんですけれども、現場の教師は納得していないことがあるもんですから一つだけ伺っておきたいのは、日宿直についてですね、いま義務であるとか、警備員をどうするとかいう問題には触れませんが、日宿直手当については文部省の出した教員の勤務時間の特集号の中に、七七ページの終わりから三行目に書いてあるのですが、「宿日直手当……一回の宿直(日直)手当は、原則として、事業場で宿日直につくことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人一日平均額の三分の一を最低基準額とすること」、これは労働基準法から出ている通達ですが、こういうことで行政指導を一面からなさっているわけです。しかしその三分の一になっていないじゃないかという意見がだいぶあるのです。これは文部省はこういう指導はするけれども、給与面については法律改正やその他の場合にも押える方面の指導はどんどんしているけれども、待遇面についての場合には具体的なそういう検討をしているのかしていないのかというような声がだいぶあるもんですから、この通達といまの日宿直手当の関係はどうなっているのか、それを伺いたい。
  142. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 日宿直手当につきましては、国立学校につきましての基準を人事院が定めておりますから、先ほど申しました公務員特例法の規定でそれに準拠してきめるという仕組みになっておりますから、財源措置も私ども研究をいたします場合にその国立学校の額と同様な額を計上し、また地方でそれを実施しているということでございます。
  143. 鈴木力

    鈴木力君 時間をかけたくないんですけれども、その準ずることはわかるのですが、これは政府から法律案が出て金額がきまるのですから、国立学校の職員の宿直料がですね。この労働基準法の通達は国立学校は適用しないわけじゃないでしょう。全部の学校に適用するわけでしょう。そういたしますと、その法律を出すときに人事院の勧告があったかどうかは別として、だから人事院は教育職場についてのこういう問題までは調査から漏れていると私がさっき言ったのはこういうことも指すわけなんです。そういう場合に文部省はこういうことをお考えになっておって、そうしてこういう仕組みになっているという指導はするけれども、しかし法律改正や何かの待遇改善についてはきわめて冷たい、こういう見方があるわけなんです。これは一体三分の一現在の手当てはこえているんですか、こえていないのですか。
  144. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) いまその点もう少し検討して別の機会にお答えいたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  145. 鈴木力

    鈴木力君 それではこれはあと回しにいたしますけれどもあとの機会に調べてみてください。文部省だってこの通達違反を現実に見のがすわけにはいかないと思いますから、服務の厳正とかいろいろなことをいわれております中に、こういう点の配慮もお願いしたいと思います。あと聞きたいことたくさんありますけれども、時間でありますからこれでやめまして、あとの機会にいたしたいと思います。  もう一つだけ私は質問申し上げたいのは、ことし行なわれますユニバーシアード大会ですか、この大会の件について簡単にお伺いしたいと思いますが、よくわかりませんのですが、新聞等に伝えられるところによりますと、せっかく日本がこの大会を誘致することに成功いたしましていま準備中である、だが、いろいろないきさつがあって最初の計画のとおりの参加国がなくなるのじゃないか、あるいは日本で開催が非常にむずかしい問題が出るのじゃないかというようなことが伝えられておりますので、その辺の経緯を伺いたいと思います。
  146. 赤石清悦

    政府委員(赤石清悦君) 御承知のようにユニバーシアード大会は、ことしの八月二十六日から十日間開かれることになっております。当参議院文教委員会でも一昨年この招致につきまして決議をもって御指導を賜わっておるところでございます。当初から日本において行なわれます場合における入国の問題につきまして、この準備に当たっております組織委員会におきましては心配でございました。そこで、若干経緯を申しますと、昭和四十一年の九月にリスボンにおけるFISUと呼んでおりますが、国際大学スポーツ連盟実行委員会におきまして、わが国の代表が、入国にあたってはやはり多くの国に入っていただきたい、いろいろな外交上の事情があっても、オリンピック方式であるならば、日本の未承認国といえども入り得るという前提で、ぜひオリンピック方式でやらしてもらいたい、こういうことをいち早く申し入れてあったのであります。また昨年十二月このFISUのネビオロ会長が来日いたしまして、この大会の準備を視察いたしました。そのおりにも関係者が、ぜひ日本の場合におきましては、韓国と北朝鮮の問題があるし、またヨーロッパにおいては東ドイツ、西ドイツの関係がありますので、オリンピック方式によってやってほしい、こういうことを強く申し入れてあったのであります。諸般の情勢からいって、日本の置かれておるいろいろな情勢からいってこの方式しかないということで、FISUの関係者はまず大体この方式でよかろうといったようなムードであったのでございます。したがいまして、最終決定をいたす予定になっておりましたハバナにおける国際大学スポーツ連盟の実行委員会、これは四月に持たれました。新聞等にも報道されて御承知と思いますが、ここでも日本代表は強くこの機会にぜひきめていただきたい、でなければ相当な選手を迎えるし、日本も相当準備しておりますので、これ以上延ばされるならば大会の準備に間に合わないからぜひ決定してもらいたい、もしここで決定せざる以上は、日本としては返上せざるを得ないというくらいまで強硬な態度で臨んだのであります。ところが、御承知のようにここでもやはり諸般の情勢——キューバの置かれているいろいろな国際的な立場等があったようでございますが、ここでもきめずに、日本が棄権をいたしまして十三対一で、IOC——国際オリンピック委員会の総会がテヘランで開かれます、この場合の総会においてこの国名問題を討議せられるはずだから、オリンピック委員会の決定に従おう、こういう決議をいたしたのでございます。さてその五月のIOCの総会を迎えました。新聞等で御承知のとおり、ここにおきましても、北朝鮮提案の朝鮮人民民主主義共和国として国名を改称してほしいという提案につきましては、明年二月のグルノーブルにおけるIOCにおいて決定する、こういうふうに延期いたされたのでございます。ところで日本といたしましては、これはもう大会をすぐ真近に控えておりますので、もし万一テヘランにおけるIOCの会議で新しい決議をなされない場合は従来の方式によって採用されると、こういうことをはっきりしてほしい、こういうことでございましたし、またハバナにおけるこの実行委員会も、もしここで決定いたさなければ従来の方式によって決定する、こういうようになっておったのでございます。ただ手続上そういうことを確認するためのスタンディングコミティが六月に開かれるから、そこにおいてはっきり確認しよう、こういうことに現在相なっておるのでございます。したがって六月——日取りはまだはっきりしておらないのでございますが、スイスのローザンヌかまたはパリでこのスタンディングコミティ、御承知と思いますが、このスタンディングコミティというのは会長のネビオロ、第一副会長のパルフェノフ、ソ連、事務局長オースチン、ベルギー、第一実行委員ホーリイ、チェコスロバキア出身、この四人でもって現在のIOCのとっております方式によって決定されるということを日本の組織委員会としては期待をし、その前提において現在準備を進めているのでございます。もちろん諸般の情勢によりまして、もし万一このとおりきまった場合においても、共産圏が気持ちよく参加してもらうことがこの大会を非常に成果あらしめるゆえんであるから、やはりできるだけ大ぜいの国々が参加してもらうようにむしろ積極的に働きかけるべきである、こういった意見も組織委員会であるのでございますけれども、最近竹田委員長以下の努力によって、やはりこの問題は日本が決定するのではなくてFISU——国際大学スポーツ連盟がきめることであるから、ひとまずそちらのほうにげたを預けると申しますか、そちらのほうにおまかせしておこう、日本の熱意は変わることがない、こういうことに現在相なって、六月のスタンディングコミティの決定を見ることになっております。  なお御承知と思いますが、すでにエントリイが始まっておりまして、今日現在まで十二カ国申し込んできております。共産圏からキューバ、ポーラントが申し込んでおります。日本も本日——日本も二つの性格を持っておりますので、日本も本日付で参加を申し込んだようでございます。合わせて十二カ国いま申し込んでおる状態でございます。
  147. 鈴木力

    鈴木力君 問題は、この特にユニバーシアード大会というのは学生の大会でもありますし、まあ学生であろうとなかろうとにかかわらず、スポーツにだけは政治的な問題を持ち込んでいろいろなトラブルが起こったり、あるいは予定された競技が予定どおりやれなかったり、そういうことを心配するわけなんですけれども、いまの御答弁で大体わかったのですが、見通しはどうなんですか。
  148. 赤石清悦

    政府委員(赤石清悦君) 見通し——私ども政府側に籍を置いている者がとやかく申すべきものではあるいはないかと思いますが、ただ、うちの代表もこの組織委員会の一員に入っておりますから、そういう立場から申しまして、最終的にどうなるかはっきり申し上げられない面もあるやと思いますけれども日本はこれほどまで誠心誠意を持って未承認国である北朝鮮在住の選手にも入国を認めよう、ただ認める場合の国名が残念ながら国交を結んでいないといったようなことで地域名である北朝鮮でがまんしてもらいたい、それがオリンピック方式である、ここまで誠意を尽くしているわけでございますし、これでもって従来この種の大会も行なわれてきたことでございますから、ぜひ共産圏のほうもこういう日本の組織委員会の誠意を聞いて、できるだけ大ぜいの各国の選手が参加していただきたい、またたぶんそうなるであろう、こういうふうな期待を持っていま準備を進めておるようでございます。
  149. 多田省吾

    主査多田省吾君) 以上で質疑を終わります。  分科担当委員外委員小柳君から発言したい旨の申し入れがございます。これを許可することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 多田省吾

    主査多田省吾君) 御異議ないと認め、発言を許します。小柳君。
  151. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 総括質問、一般質問で、時間が足りませんので残りました問題を一括して質問いたします。  その前に、先般の一般質問質問いたしました大学教授並びに民間研究団体に対する米国陸軍の補助費の問題で、民間研究所の名前は明らかにされておりませんでした。ところが各大学で、教授同士で自分ではないのに自分らしいということで、まことに心外であるという電話がかかってまいりますし、それから学生対教授の間にも気まずい空気があるようでありますが、名前を私のほうでも調査はいたしておりますが、名前をこの際発表したほうがよくはないかと思う。研究者はだれ、責任者は学長なら学長、部長なら部長、明らかにしたほうが将来のためによくはないかと思いますが、文部大臣の見解をお聞きいたします。
  152. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 調べれば、実際はもうわかっておることでございますから、私どもは故意に隠そうという気持ちはございませんけれども、しかし個人の名前を発表することは、ただいま小柳委員も申されましたように、現在の混乱より以上に教授諸君に対しまするいろいろな問題も起こりまして、大学の混乱を来たすというようなことがあり得ると存じますので、私どもとしましては、ひとつ文部省のほうで発表するということはお許し願いたいと思っております。
  153. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 文部省で発表はされませんが、民間報道機関などで調査したものについてはやむを得ないということでございますか。
  154. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 実際上新聞にも一部出ましたし、また民間報道機関等がお調べになりまして出される分は、これはとめるわけにはまいらないと思います。
  155. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) わかりました。  次は、あれから電話がかかりますし、あるいは投書がまいっておりますが、なぜやるかという投書ではなくて、研究体制についてこの際文部省政府も、あるいは議会も、もっとしゃんしとした対策を立ててくれ、それはたくさんの研究費日本学者にも出ておると思う、その研究の成果について十分にたとえば学術会議などで検討しておられるかどうかについても疑問の点がある、われわれ同じ仲間であって言うてはならぬけれども、大した研究でないようなものもあるように見受けると、したがって今後金を使うならば、十分にたとえば外国のように論文を審査をして、それが研究に値しないようなものだったら研究費を没収するくらいの対策も考えてもらいたい、なお研究費が足らないから今度のようなこともあるのだろうから、研究費増額についてはさらに国会のほうで努力してもらいたい、というような投書なり電話がかかってまいりますから、この点はこの際発表しておきまして、文部大臣の今後の善処方を期待をいたします。  次の質問に入ります。第一の質問は、身体障害者の教育でありますが、身体障害児の能力の啓発につきましては、文部省だけではなくて、厚生省のほうも関係がありますから、先般厚生省のほうには質問をしておきました。すべての児童はからだが不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合、適切な治療と保護と、適切な教育が与えられる権利があると、これは国際的にも児童憲章にも宣言がなされています。いわゆる特殊教育の対象児童が現在九十三万千八百三十二人と報ぜられておる。その特殊児童の就学率を見ますと、盲ろう児については五九・九%、肢体不自由児が二一・一%、精神薄弱児に至っては一四・三%と私ども調べました。他方全般的な義務教育の就学率は九九・八%であるようであります。不就学児童はわずかに〇・二%ということでありますが、これらの二つの就学率を比較して、障害児の特殊教育就学率の低さを見ると、不就学者はわずかであって、盲ろう児、肢体不自由児、精薄児の大部分が就学はしているけれども、適切な教育を受けていないのではないか、一体その原因は何か、もちろん国の予算、あるいはいままで特殊教育についての立ちおくれなどありましょう。さっき私はこの教員組合の教師の倫理綱領を読んでおりまして、その中にもはっきり書いてありました。身体障害児など特殊教育については非常に立ちおくれておるということを書いてありまして、驚いておりますが、こういう問題につきまして、大臣の心がまえ、今後の取り組み方について見解をお聞きいたします。
  156. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) この日本が終戦後におきまして、まず六三制を採用いたしまして、通常の状態でございます六三制の完成ということに相当今日まで重点を置かれてまいりました。したがって実際いま申しますように、この特殊教育につきましては、むしろ非常に立ちおくれておるということは率直に認めなければならないと思います。しかし実際教育上の問題で、私ども考えますのは、教育の機会均等という面から見ますと、むしろこういったような私は地理的関係、僻地とか、あるいは経済関係、貧困児童という理由もありますが、身体的障害によりますこれらの児童に対しまして、いわゆる機会均等の精神からできるだけの就学をさせるような方向に向かわなければならない、これは非常に大きな教育の課題だと思っております。それで非常に立ちおくれておりますけれども、今後文部省の教育の重要な重点施策としまして、こういう問題に十分に取り組んでまいらなければならないと私覚悟いたしております。ただ今年度におきまして、多少の進展は見ているのでございますが、一番大事なことは、まだこの身体障害者に対しまする実態調査と申しますか、あるいは精神薄弱児につきましても、その判別と申しますか、こういう方法その他につきまして、学術的な面もまだ十分研究がいき届いておりませんし、実態調査もこれはまだ十分行なわれておらないのでございますから、今度この予算が通りますれば、まず一段階といたしまして、私はこの実態調査を早急にやっていきたい。それでとりあえずは特別の地域を、推進地区を設けまして、それでモデル的に、あるところに重点的にそれを一部実施いたしまして、その調査の結果がわかりますと同時に、全国的に、全国民的に推し広げていきたい。率直に、繰り返しますけれども、心身障害者、精神薄弱児、これらに対します教育的な施策は確かに立ちおくれておったことは認めざるを得ません。今後私ども重要な課題としてやっていかなければならないと覚悟いたしているのでございます。
  157. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 子供の能力を適切に伸ばしてやるための教育施設をきらって、普通学校へ入れたがる親たちの自己中心の態度を啓発するための対策はないものであろうか、たとえば特殊教育とか、特殊学級という名前をきらう親がおるから、そういう特殊学校とか特殊学級というような名前をこの際変えたらどうか、いかがでございますか。
  158. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 御質問の就学に対する父兄の理解というものがこの特殊教育を進展させる一つのかぎになることは御指摘のとおりでございます。全般的な指導はいたしますけれども、どうしても全般的な指導だけでは足りないので、先ほど大臣も申されましたように、その推進地区ということを拠点的に考えまして、そこで重点的にまず判別をし、そうして的確にいくということがわかりましたならば、それを父兄なり地域の人によく理解してもらうということを拠点的にやり、その成果がその周辺の地域に及ぶというようなことを考えまして、推進地区を今度初めて設定いたしましたのは、その理想の点のねらいが一つありました。名称の点につきましては、いま突然のお尋ねでございまして、なお考究してみたいと存じます。
  159. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 盲学校、ろう学校は府県で設置義務が負わされていますが、養護学校や特殊学校の設置は地方公共団体の裁量にまかされております。四十五年度を目途として全県一校の設置をされつつあるようでございます。その設置状況はいかがでございますか。
  160. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 特殊教育学校は盲学校七十七、ろう学校百八、養護学校のうち精薄関係が六十八、肢体不自由が六十八、それから病弱虚弱三十五校でございまして、この中で養護学校のうち肢体不自由児は、もう全県設置という見通しがつきました。ただ、一番問題は虚弱関係のことでございまして、これは学校自体としての扱いもむずかしくて、療養機関とも両方かね備えないとなかなか実施できないということでありまして、見通しとしては、これが一番おくれていくだろうと思いますけれども、引き続き肢体不自由児の関係の学校の完成後、精神薄弱児の独立校にいたしましても、病弱虚弱の関係にいたしましても推進をし、また多少の予算を計上してまいりたいと思います。なお今回総合的な研究調査費予算に計上いたしました。この問題は特殊教育が、はたして分野によりましては地方の施設だけにまかしていいものかどうかというような点も基本的に検討してまいりたいという考え方でございます。
  161. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 養護学校の施設が普通学校の施設よりも経費がうんとかかる。いまのところ補助額が肢体不自由児の場合百万、精薄の場合五十六万のようでございますが、これに問題はないかという点、御検討になりましたら見解をお聞きしたい。
  162. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) この養護学校等を新しく設置をする場合の施設設備の補助金、それから人権費の措置、それから今回教材費につきまして、従来落ち込んでおりました養護学校関係を相当基準を改善いたしますから、そういう面で設置自体につきましても、あるいは設置されたものの経営につきましても、財政的な援助といたしましては、他のものよりも格別に見ていると思いますが、なお単価等実情に合わない点がございますれば、今後年々努力してまいりたい、かように考えております。
  163. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 今度厚生省のほうでは在宅障害児のために家庭訪問、また母親の家事を助けるために出張援助がなされるようになりました。文部省のほうでは出張授業などという制度をお考えになっていないかどうか。たとえばある養護学校の付き添い率が三九%だと言われておりますが、子供が成長するにつれて母親の体力が弱ってまいりまして付き添いができなくなる。やむなく在宅しておる児童もある。こういうものに対して出張授業ができないものだろうか。御検討になったことがあれば見解を伺いたい。
  164. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 訪問教授につきまして、まあ学校教育で扱える限界と申しますのは、療養所とか、病院とか、そこに特別スクール施設をつくるということが限度で、現在の段階では個々の家庭を訪問して、そうして授業を行なうということは現在のところ無理だろうと思います。むしろいまの段階は、できるだけ集団的に扱う場所を、なお不十分でございますから設置するというのが第一の目標だと、かように考えております。
  165. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 私は、皆さんもあるいはおいでになったかもわかりませんが、トロントで中学校の肢体不自由児の学校を見まして、ハイヤーをもって朝迎えに参りまして、教育して、ちゃんと肢体の訓練をやって、そうしてまた夕方先生が連れて自宅に送り届ける、手厚い保護を加えている学校がありまして、あれがいまでも目の前にちらついております。若い三十七、八の校長先生でしたけれども、非常に希望を持って教育しておられましたが、ああいうふうに、文部省も手厚い保護を加えられ、費用をかけて教育されるように希望いたしまして、この問題はこれで終わります。  次は産炭地教育でありますが、これは文部大臣も十分御存じであるし、文部当局にも再三陳情しておりますから、きょうは具体的な問題をずっと質問いたしまして、現在文部省がとっておられる数字を教えてもらいたいと思うのであります。  まずその前に、ここに福岡県小中学校校長会と、筑豊地区小中学校校長会の「産炭地の教育」という陳情のパンフレットがございますが、この序文——これがいまの産炭地の、実際の姿であるし、教育の姿でありますから、これを読み上げますから、記憶にとどめておいてもらって、あと私は具体的に簡単に質問していきます。  紙コップのような簡単な品物でも、洩れて役立たなくなってくれば、あわれ、コップの底を指先きでおさえるなどしてつくろってみるが、ついには腹立たしくなり、なげ捨てながら、小さなコップのありがたさを痛感することがある。ところが、スクラップ化しつつある産炭地域、これほど大きな「こわれもの」があろうか。豊かであった土地の経済がこわされ、良俗が失われ、自然が風化されていく。人と人の信頼さえたち切れていく。ひもの切れたトロッコが地底へ吸われていくようにはげしい音をたててくずれていく。  選炭の汚れが流れなくなったので四十年ぶりに澄んできた川水。峠から見下す盆地の夜景は、かつては、光のじゅうたんをくりひろげていたのに、今はわずかに交差する国道の直線に光の軌跡をみせるのみ、町々は、闇にのまれている。人気のない炭住は荒れている。老齢の炭坑離職者は、夢を失っている。ふるさとの土地は、やせて、人を育てるものはうすい。「筑豊は谷間」それは、閉ざされたことばである。光のささない谷間に、非行の子が泣いている。そこには、文化のざわめきや歌声はきこえない。谷間の風が冷めたい。光のささない谷間は、あおいでも、希望の星はうすく、空は狭い。われわれ産炭地の教師は、なんとしてでも教育の谷間「産炭地の子ら」に光を与えなければならない。大きな破壊を最小限にくいとめ、やがて、それを建設の姿へつくりかえなくてはならない使命がある。」  これが序文です。大体こういう姿です。したがって簡単にこれから質問いたしますが、具体的に学校建物の新増築、改築について、該当市町村の財政力指数が、補助率の加算は考慮されておりますが、次のとおり特別措置をお願いしたい。まず学校建物の増改築でありますが、学校給食施設を含んで、危険校舎改築三分の一、屋内運動場及び特別教室、小学校三分の一、中学校二分の一を、三分の二の補助とすることについて、現在の予算の査定の状況をお聞きいたします。
  166. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 産炭地域の市町村の特定事業の補助率かさ上げの問題でございますが、義務教育諸学校の施設整備費につきまして、前年度予算額が九千二百万円に対しまして、四十二年度予算額が一億六百五十七万円と相なっております。これは従来の財政力の指数に応ずるかさ上げでございます。その他プールの整備費、一般体育館、運動場設備費を含めまして、この点につきましてもかさ上げをいたします。幼稚園の園舎につきましても、ことしの予算額かさ上げ額が四十九万円でございます。中学校の産振関係が、これは新産、工特分も含めまして三百三十万円ということを一応計上しております。それから学校給食施設整備につきまして、かさ上げが七百八十八万円でございまして、その他一般義務教育施設分等を含め合計いたしまして、かさ上げ分が一億一千八百二十四万円というのが今回の予算で計上されておるわけでございます。
  167. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 次は、学校の一般鉱害復旧でありますが、無資力の場合でも全額国庫負担としてもらいたい。現行は自治体二五%負担でありますから、これを全額国庫負担としてもらいたい。こういう要求であります。いかがですか。
  168. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいまの鉱害復旧の件につきましては、ただいま通産省のほうに事務が移りまして、通産省のほうでの状況をいまちょっと資料を持っておりませんので、ごかんべんください。
  169. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) これも産振法の問題ですから通産省でしょうが、おわかりであれば御答弁願います。離振法、産振法に基づく設備費を全額国庫補助されたい。現行では二分の一ないし三分の一で、産炭地域加算は認められていない。
  170. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 先ほど申しましたように、現在中学校の産業教育の設備分につきましては、かさ上げがございますけれども、理科関係等につきましては現在ございません。なお検討してまいりたいと思います。
  171. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) それから教材費、現行の補助率二分の一を十分の九としてもらいたい。現行は産炭地域加算は認められていない。この問題いかがですか。
  172. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 教材費につきましても、特別のかさ上げはいたしておりません。ただ、今回教材費自体について、公費、国の負担金にいたしましても、地方財政の措置にいたしましても、かなり大幅に強化いたしましたので、そのことは産炭地に及ぶだろうと思います。また、これらの点につきましては、ひとつ産炭地につきましては地方財政のほうでどういうふうに需要に合うように措置されるか、なおよく自治省等の関係も聞いてみたいと思います。
  173. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 次は、修学旅行援助費の補助率二分の一を十分の九まで認定してほしい。学用品費、通学用品費、医療費、修学旅費等の諸費の単価を引き上げてもらいたい。この問題はいかがですか。
  174. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 産炭地域におきます要保護、準要保護児童につきましては、これは四十年から教科書費、学用品費、修学旅行費、給食費等の援助費、通常二分の一でございますが、産炭市町村については最高十分の八までのかさ上げを行なっております。なお、実態におきましても、今回通学用品費を一般に加えましたものですから、これは産炭地等では、このほうの援助費等に新たな品目を加えたことは、かなりいい影響をもたらすだろうと考えております。
  175. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 次は、学級編制基準と教職員の配置の問題であります。全地域にわたって家庭環境が悪く、要保護と準要保護家庭が多い。かぎっ子、欠損家庭が多く、親の教育意識が低いため、非行児童、短期、長期にわたって欠席する者が多く、家庭との連絡や生活指導が特に必要である。転出、転入がはなはだしく、学業不振が目立っているので、学級編制基準の特例を設けて、一学級当たり四十名以下で編制してほしい。この問題は、いかがですか。
  176. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 学級編制については地域によって特例を設けておりませんけれども、この産炭地域に該当するようなところは、いずれも児童生徒数が急に減じていくという影響を受ける地域でございまして、それに対して一般的に急減緩和なり最低保障の措置がございまするから、たとえば北海道でありますとか、福岡でありますとか申しますと、通常の県に比しまして相当数の教諭等の配分が財政上なされるわけであります。これを利用いたしまして、たとえば福岡県でございますれば、その余裕を活用いたしまして、産炭地の学級編制の緩和のために四十一年度でございますと七十名、それから四十二年度になりますと、一般的に学級が寡小になってまいりますから、四十名程度これを県では配当するというようにいたしておるようでございます。
  177. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 次に、生活指導をつかさどる教員は少々ながら配当されて効果を上げておりますが、さらに小中学校に配置してもらいたい。この問題どうですか。
  178. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 生活指導の問題につきましても、教員自体の補導教員というものは制度上ございませんので、従来も充て指導主事の制度を活用して産炭地には相当の増配を行なっております。たとえば福岡で申しますれば、累計八十二人を増加しております。それから北海道でありますと百名をこす配当をいたしております。今回も充て指導主事を合計二百人予算上積算されておりますが、その配分に際して産炭地の要素というものを十分に勘案して配分をしてまいりたいと思います。また先ほど申しました一般の学級編制につきましては、教員の定数上、最低保障というような余裕がございまして、たとえば北海道でありますと二百七十八名、福岡でございますと、最低保障によって通常の県より救われる者が六百余もございますから、いま学級編制の問題も、あるいは補導を担当するために特に自県で措置するのも、このワク内で実情おおむねまかなえるというふうに考えておるわけであります。なお、福岡について申しますれば、補導教員ということで六十八名を産炭地に配置をしておるというのが実情でございます。
  179. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 充て指導主事の問題がありまして、なるべく現場の活動できる教員、教諭をふやしてもらいたい、役所におられては十分な生活指導ができないという意見がありますから、指導の面を十分に考慮してもらいたいと思います。  それから次は就学援助事務をする専任職員を配置すること、事務職員は百九十名増員になるようでございますが、全校にこういう事務職員の配置を要求しておられるのでありますが、今後の対策をお聞きしたい。
  180. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 今回の事務職員の特別加配ということは、これは要保護、準要保護児童が全校の四〇%に達する学校というものについて、現行法のワク内で一名ずつ増配するという措置をとったのであります。これは多いところでは、たとえば北海道と福岡とが十七名ずつにこの分がなっております。ただ、こういう関係のいわゆる著しい就学困難地域における問題、産炭地に限らず、こういう問題についてはどういうふうに教員の定数を考えるかということは、とりあえず当面の五カ年計画を完成したのちに、なお検討を続けてまいりたいと思っております。
  181. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) その問題の最後は、特殊学級の増設と収容人員を十名までとしてもらいたい、こういう意見ですが、どうでしょうか。
  182. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 特殊学級のほうは学級を現実に設置いたしまして、それが自然に十名いなければ、それは実際上実績自担で教員の給与をみるというたてまえになっております。ただ特殊学級は現行の十五名という数はそう多い数ではなくて、現実の問題としては十五名の学級編制の標準というものは妥当な数字ではないかというふうに考えておるわけであります。
  183. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 十五名、十名の差でも担当の現場ではたいへんな問題だと思いますので、十分御検討ください。  それから次は、大きな問題でしょうが、育英奨学制度の充実でありますが、産炭地における高校生を対象とする奨学資金貸与人員のワクを一割まで拡大されるようお願いしたい。この点いかがですか。
  184. 斎藤正

    政府委員(斎藤正君) 炭鉱の不況が始まりましたときから、奨学生の特別採用については、特に北九州の各地につきましては特別な配慮をしてきております。で、四十一年度においては、北九州地区の採用人員二千百人程度のうち、二十三人をさらに特別採用したということでございます。ただ、この関係は、四十年、四十一年、四十二年と見てみますと、実際の要望は年々やや実数としては減少する傾向にあるようでございます。育英奨学生の採用にあたっては、十分に産炭地の実情を考慮してまいりたいと存じます。
  185. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) いまの問題は、校長会や教育委員会や教員組合などの要求を総合したものでして、低目に要求してありますから、その点十分御検討していただきたいと思います。  それから最後に文部大臣に、これはこの前の総括のときにも質問したんですが、僻地教育振興法というのは昭和二十九年に制定されておるが、それよりもっと必要である産炭地教育振興法というものがない。したがって、すみやかに産炭地教育振興法を立法してもらって、国庫補助や県補助を大幅に増額して、ただいま申し上げましたような産炭地教育の隘路を切り開いてもらいたい、こういう要求が非常にきびしいのでありますが、この前の文部大臣の答弁は非常に冷たい答弁でありましたが、もう一回答弁を求めます。
  186. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 僻地教育の振興法を出しましたが、産炭地につきましては、北海道と福岡、佐賀、長崎と、こういうふうに非常に限定された地域になっておるわけでございます。しかも、この実情は大体つかめておるのでございますから、いまいろいろ御説明申し上げましたように、予算的措置で私どもとしてはできるだけ考慮してやっておるつもりでございます。でございますから、この前も申し上げましたように、産炭地の教育のために特別立法をいたすまでの必要はなかろうと、こう実は考えておるのでございますけれども、特に小柳委員の御意見でもございますし、われわれ十分検討をしてみたいと存じます。
  187. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 文部大臣も幸い産炭地教育について十分わかっておりますから、この際立法する方向で御検討願いたいと思います。  最後の質問は、吉田国際教育基金の問題でありますが、外国の大学、特にコロンビア大学の学者日本学者との交流を深めるというような趣旨で吉田国際教育基金というものが設置されようといたしておるようでありますが、この制度、目的及び将来の運営の見通しなどについて答弁を求めます。
  188. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) 吉田国際教育基金は、昭和三十九年の十月に、民法第三十四条の規定によって設立を許可されました財団法人でございます。で、この目的を見ますと、これは御承知のように吉田茂氏の国際親善に関する功績を記念いたしまして、国際的教養の豊かな前途有為な学者その他の青年を育成するために、わが国及び諸外国の教育、学術、文化に関する調査研究を助成して、また、留学生の交換に関する協力をはかって、よってもって広く世界の教育、学術、文化の向上に寄与するということを目的に掲げております。その目的を達成するためには、次のような事業を行なうということにいたしておりますが、その一つは、諸外国の教育、学術、文化に関する調査研究に対する奨励金の交付、それから二番目といたしまして、諸外国における日本の教育、学術、文化に関する調査研究に対する奨励金の交付、三番目には、アジアその他の地域における社会各般の諸問題に関するわが国と諸外国との協同研究に対する奨励金の交付、四番目に、わが国と諸外国との留学生の交換に関する協力、それから、その他前条の目的を達成するための諸事業、こういうふうになっております。  そこで、三十九年の十月に設立いたしましたけれども、その後の事業につきましては、これは基本財産として三億円を確保して、その果実をもって事業を行なう計画でございますが、現在まで約五〇%の募金を達成しておりまして、なおその募金は継続中でございます。そこで、昭和四十年、四十一年度は、この募金と、それから事業の実施準備に終わっておりまして、具体的な事業は現在までは行なっておりません。昭和四十二年度においては、それぞれ掲げましたような事業について行なうという予定になっておるように聞いております。
  189. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) 現在まで交流した学者や学生というものはまだないわけですね。四十二年から始まるということですね。
  190. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) さようでございます。
  191. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) それから、コロンビア大学の学者日本学者との交流を主体として設立されておるということは確認してよろしゅうございますか。
  192. 蒲生芳郎

    政府委員(蒲生芳郎君) そのことは、この法人の目的にも事業にもそうした具体的なコロンビア大学ということで出ておりませんので、承知いたしておりません。
  193. 小柳勇

    担当委員外委員小柳勇君) これが三十九年から法人組織になりまして募金活動をやっておるようでありますけれども、先般の、これは米軍からの援助でありましたから問題になりましたけれども、私ども、たてまえとしては、政府間同士の対等の立場の研究については賛意を表しておるものでありますが、今年度からの出発のようでありますから、これが出発いたしましてなお私どもこれを見守っていくという態度で、きょうは質問を保留しておきます。  以上で質問を終わります。
  194. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 文部大臣に、東北大学の臨界未満実験装置の設置についての諸問題について一、二ただしたいと思います。きょうは時間がありませんから、ごく大ざっぱに要点だけひとつお聞きをしておきたい。これは私の郷土の大学でもありますので、真に大学の発展考え質問をするわけであります。  第一点は、文部大臣として東北大学に臨界未満実験装置というものが設置をされたことを御存じかどうか。それから、この未満実験装置の設置をめぐって現地ではいま非常に経理上の疑惑、あるいはメーカー、商社等の疑惑、あるいはまた、いろいろな執行にあたっての法律違反、偽造、こういうことで非常に問題をかもし出しているわけです。そういう事実を御存じかどうか、まず第一にそれを聞きたい。
  195. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 東北大学に原子核工学科の設備としまして、いわゆる未臨界実験施設が設置されていることは了知しております。これにつきましては、三十九年度まで一億一千五百万円の国費が出ておりますから了知いたしております。  その後の、いまの現地におけるいろいろな事情につきましては、私はつまびらかに存じておりません。
  196. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この臨界未満実験装置が具体的に東北大学から要請されたのはいつで、それに許可を与えて、着工、そして完工、で、その予算内容は幾らか。それから、その後、でき上がったあとにおいて、運営資金として何年から、四十二年度を含めて、年別に一体どのくらい交付をしているか、その内容について明らかにしてください。
  197. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 未臨界実験装置は、原子力関係の実験施設として、東北大学のみならず東京大学、工業大学、京都大学、あるいは北大等にも設置しておりまして、これは原子力関係研究の一環として東北大学にも設置されております。三十七年に核分裂実験装置として置かれております。  予算措置は、三十七年度、三十八年度にわたって、先ほど申しましたように一億一千五百万、国費が出ております。そのほか、三十九年度から、年間その実験装置を中心とする実験費として四百三十一万、毎年計上いたしております。
  198. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、その四百三十一万円の運営資金は、これは四十年ですね。
  199. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 本年も——三十九年から出ております。本年まで出ております。
  200. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、それは四年間ということだから、約千二百万見当出ているわけですね。この理解は間違いないですね。  こういうことで国費を一応支出をして、未臨界実験装置をつくったわけでありますが、その後これがその立論の立て方によって失敗しているわけです。したがって、一応設備装置そのものは完工したけれども、これが本来の目的に供されておらない、こういう事実について御存じですか。
  201. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 大学の実験は、いろいろな方法がございますし、私たち了しておりますのは、線量測定、熱の測定をして解析を行なっておるので、何と申しますか、四六時中動かしているという状況でもないわけでございます。また、炉のタイプと申しますか、炉のあり方自身も研究の対象になっているようでございまして、炉のあり方が、いろいろ途中で実験の過程で炉のあり方を変えたりということは行なっているようでございますが、これは大学の目的に従って活用されていると、こう了しております。
  202. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どうも局長の答弁では自信さがないと思うのですがね。それは、実際活用されておると思う、という想定でしょうが、それは現地に確かめましたか。
  203. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 特に何か目的を持って詳しく確かめたことはございません。一般的にそういうふうに理解いたしております。
  204. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういう装置自体の活用等については、文部省としては指導なり監督というものは、どういう状況でやられているのですか。そのチェックのしかたについて、ちょっとお話し願いたい。
  205. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 大学の研究でございますから、研究材料、あるいは研究の施設をどう使うかについては、われわれはチェックという考え方は毛頭持っておりません。
  206. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、国から金は出してあるけれどもあとは全部野方図にかってにおやりなさいと、こういうことなんですか。
  207. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 野方図ということばでおっしゃると、ちょっとお答えしようがないんでございますが、本来、こういう研究をするからこういう研究施設なり設備が必要だということでわれわれは予算措置をし、制度的に必要なものは整えるわけでございますから、あとは大学がそれを活用して研究していくということでございますので、研究内容については、われわれは一々チェックいたさないということを申し上げているわけでございます。
  208. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 少なくとも原子核実験関係ですから、非常に高額なものがすべて購入をされたり装置をされたりしているだろうと思います。ですから、そういういわば要求に対しては、文部省のある一定のところにおいて十分点検をして、それがほんとうに目的に沿うのかどうかということを私は点検する義務があると思う。いま局長の答弁ですと、すべて大学でやるのだから、これはもうおまかせだ……。確かに私も大学の自主性、こういうものについては、人一倍強く持っておるつもりです。しかし、少なくとも国家の貴重な予算というものを交付をして、そうしてそういう実験に供して、それがほんとうに活用されている、また、実際の活用がされたのかどうかということについて、指導監督という文部省の立場から、そういう問題に対する一つの点検といいますか、こういうことがあってもいいんじゃないですか。その学術内容研究とか、思想上の問題とか学問上のそういったいろいろな問題については別だと思います。しかし、一たん三十七年に要求して、四千五百万の金が落ちて、そうしてその四千五百万でどのくらい工事が進捗した、あるいは三十八年で七千万落ちた、合計一億一千五百万、こういうことで完工した、一体そういうものに対してどういう監査をし、その後の活用状況はどうなっているか、こういう問題について、私は国家的見地から、一応の点検といいますか、その程度の状況は、どう動いているかぐらいは、文部省の担当として十分掌握をしておく必要があると思うのですが、その辺は、どうですか。
  209. 天城勲

    政府委員(天城勲君) もちろん研究を行ないますために、経費も要しますし、また施設設備の建設も必要でございます。それは目的に従った支出が行なわれているかどうかは、当然監査もいたしますし、われわれも責任を持っております。ただ原子核研究の問題につきましては、大学で原子力研究を始めますときに、新しい問題でございますので、関係学者が集まりまして、どういう方法で、どういう形で各大学でやったらいいかということを議論をいたしまして、先ほど申し上げたような大学に原子力研究をスタートいたしましたので、当時原子力研究の体制と申しますか、全体的な見通しにつきましては、十分関係学者の議を尽くしましてスタートしたわけでございますので、研究そのものは、先ほど申したような形で、私どもチェックいたすわけでもございませんし、また、その能力もございません。ただ会計上の問題につきましては、当然会計上の監査の対象になろうと思います。
  210. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、請求して金が落ちていった。その後の装置だとか、そういう問題については、全く学術研究上の問題であるから、そんなことは文部省は一切タッチしない、こういうことですね。なおかつ、そういうところの責任体制の問題について、私は、文部大臣考えとしてどういうふうにその点はお考えになっておりますか。
  211. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 御承知のように、この間からだいぶ問題になっておりますが、大学の研究につきましては、私ども学者の良識と、それから自主性にまかしまして、研究内容については、政府として、いわゆる学問研究の自由という面から関与しないというのがたてまえでございます。ただ大学内部におきまして、研究所を設けますと、大体におきまして、これがその管理の適正であるかどうかという責任は、一応その大学の学長が全責任を持ってやると、これが第一段階の責任でございます。したがいまして、いまの、研究所にいろいろな問題がございますならば、第一次の監督の責任は、当然に大学の学部長、学長という順序に責任監督体制があると、こういうふうにお考えいただいていいのじゃないかと思います。
  212. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、こういった一つの原子核研究所の問題については、文部省としては、一定の方針なり、指導方向なり、こういうものは全然持ち合わせておらないということですが、この点はどうですか。
  213. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) そういう研究所を必要とするかどうかという問題につきましては、先ほど局長からもお答えいたしましたように、ずいぶん学者意見を聞きまして、そうしてそれが必要であるということになれば、その設置につきましては、私どもから見ますと、予算をとって大学に差し上げるという、そういう状況になるのでございまして、原子核そのものの研究をどうしようというような方針を私どもはきめるわけじゃございません。ただしかし、そういう研究が大学において必要であるかどうかは、これは各部門の学者意見を十分取り入れて、そして合議の結果、そういう結論を出しておるというのが現状でございます。
  214. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと、端的に言うと、どういう学説、かりに結果的にこれは失敗する学説だというようなことになっても、それは国でもって、申請がされればその限りにおいては自主性があるのだから全部無制限に出していく、こういう形でいま予算執行に当たっているわけですか。
  215. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 抽象的に申しますれば、研究でございますから、初めから成功するか失敗するかという問題ではなくして、とにかく研究をするということでございまして、それが大学の研究として適当であるという、そういうプログラムが大学として適当であるということになれば、われわれのほうは予算措置なり制度上の措置をいたしまして、大学でやる研究が、幾ら出したら必ずそれが成功するのだということが初めからわかっているかいないか、それはちょっと私たち保証はいまできない問題だろう、事の性質上そういう議論はできない問題じゃないか、こう思っております。
  216. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 少なくとも未臨界実験装置というのは、東北大学ばかりではない。私の記憶するところでは、全国で八大学もうすでに設置されておる。したがって、こういった装置の内容というもの、研究目標というもの、これは一定の定説というものが私はあるような気がするのですよ。そういうものが全くさか立ちした立論によって装置がつくられて、こういうことによって失敗をし、現在この完工した時期から今日まで二年有余にわたって、そのまま遊んでおる。すでに施設ば腐食してきた、使いものにならぬ。おまけに、一番この東北大学の特徴といわれたボイド装置といわれたものもすでに取りはずさなければならない、こういう状態にまできた。このいわば装置そのものを取りかえなくちゃならないという状態にまで追い込まれている、そういういわば活用が全然なされずに遊びながら今日まできて、せっかく金をかけて、一億何がしを投じてつくったやつが、学術用にも原子炉そのものの研究にも何も役に立たない、こういうことに追い込まれた現状に対し、一体局長はどういうふうに考えるか。
  217. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 私は、やったことが全部失敗であって、投じた金がむだになって、いまはスクラップになっているというふうに承知いたしておりませんので、研究の過程では、ある場合には途中までいって、この方法がまずかったからやめようということは当然起こり得るわけでありまして、先ほど申したように、金が不当に支出されたり、正当に支出されないということに対しましては会計検査の対象になりますが、研究の、いわば俗にいって成功、不成功について、われわれは何とも申しかねる、それは研究の本質だと思っております。
  218. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この東北大学を含めて九カ所の大学にこういった装置はあるわけですが、いままでそういった実例がありますか。
  219. 天城勲

    政府委員(天城勲君) その実例とおっしゃるのが、私は東北大学の問題についてもつまびらかにいたしておりませんので、それぞれの方法で研究を進められております。  おっしゃるように東北大学が沸騰水型を考えておるとかということも聞いておるのでございますが、われわれは、これをどれがどうだといって、どこまで研究がどういう段階になっておるかということは一々チェックいたしておりませんし、また、東北のような例ということが、私にはちょっといま理解しかねる問題でございます。
  220. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 私は、まあ未臨界実験装置につきまして、実はきょう初めてそのことをお聞きしたのでございますが、これはまあいまお尋ねの程度では、いかなる、何があったか、私どもにはちょっと想像がつきません。しかし、はたしてその実験装置は、金はつぎ込んだが、そのつぎ込んだ責任者のほうで非常な過失がありましたり、また注意といいますか、研究の不足であるとか、そういったような問題になりますと、これはやはり大学におきまして当然に、私ども、いわゆる重大な国費をつぎ込んで研究をしていただく限りにおきましては、やはりこれはその大学においてりっぱにその目的を達するように研究をしていただくために、この重大な血税の国費を差し上げておるわけでございますから、いま局長が認識しておる程度では、私もまだ十分内容は知らないと存じます。十分ひとつこれは文部省におきまして調査さしていただきまして、その間におきまして、この責任の問題とか管理の問題、いろいろな問題がございますれば、私ども責任をもちまして善処したいと考えます。
  221. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの文部大臣の御答弁ですね、きょうは、この問題一応文部省関係は終わりたいと思いますが、よく現地を調査検討されまして、いずれ機会をあらためて時間を取ってもらって、それで文教委員会でこの問題についてさらにいろいろとただしていきたいと思います。その点はひとついま文部大臣答弁どおり、直ちに調査検討していただく、このことを要望して文部省関係は終わります。  ただ一つ、検査院の第二局長が来られておると思いますが、おそらく私が調べておる一端によりますと、毎年一回定期検査をやっておる。当然この問題についても検査をされたと思いますが、ことし定期検査の予定は大体いつごろになっているか、その点をお聞かせ願いたい。
  222. 井上鼎

    説明員(井上鼎君) ことしももちろん東北大学について検査をいたします。ただ、いつという時期については、まだ確定したわけでございませんので、この席から申し上げることはお許し願いたいと思いますが、この二、三カ月以内に行なうという予定でおります。
  223. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きょうは時間もありませんから、いずれ、検査関係については、決算委員会でこれをまたいろいろと質疑をしてまいりたいというふうに考える。  それで、最後ですけれども資料提示をひとつお願いしておきたいというふうに考える。  文部省関係は、未臨界実験装置についての仕様書一切をひとつお願いしたい。  それから二番目は、未臨界実験装置設置にあたっての東北大学工学部からの予算要求、それからその内容、それから文部省が決定したその内容、これをぜひひとつ詳細に資料整備して御提示を願いたいと思います。  それから未臨界実験装置が完了いたしまして、その運営資金の交付金額、これはいまわかりましたから、現地でこれが実際遊んでいるわけですから、実際それには金がかかってない。で、それは一体どこへ使われているのか、実際現地で使われた、たとえば機械購入にしたら、何々機械購入とか、こういう、いわば内容をひとつお調べ願って提示を願いたい。  それから会計検査院のほうにお願いしたいのは、検査経過一切の資料ですね、これをひとつ御提示願いたい。未臨界実験装置の着工、完工、それらの検査もありましょうから、それらを含めて御提示願いたい。  以上四点の資料提示をこの場でお願いいたします。
  224. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 文部省に関します限りは、早急に取り調べまして手配いたします。
  225. 井上鼎

    説明員(井上鼎君) ただいまのお示しの検査結果の資料でございますが、十分な資料がございますかどうかわかりませんが、できるだけ取りそろえたいと思います。
  226. 石本茂

    ○石本茂君 時間も予定時間を経過いたしましたので、非常に簡単な質問でありますけれども、お伺いいたしたいと存じますのは、文部省が現在所管されておりますところの大学の附属の病院二十数カ所でございますけれども、この病院において勤務いたしておりますところの職員、特に看護職員につきましては、以前——以前といいましても昭和四十一年でございましたが、人事院が判定を下しまして、こういう厚生省所管の国立病院、それからその後、これはもちろん労働組合の提訴によっての結果でございましたが、文部省におかれましても、その後に同じような判定が部分につきまして出ていると思うんでございますが、四十二年度の予算の措置におかれまして、そういう人事院判定を満たすような努力をどのようにされておりますかどうか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  227. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 人事院の判定の問題は、一言で申しますれば、病院の看護婦の勤務条件のまあ改善ということになろうかと思います。したがいまして、それの方法としていろいろな手当があるわけでございますが、一つは、定員の増加ということになろうかと思っています。簡単に申し上げますが、四十二年度では、中央施設の整備その他を含めまして、看護婦の増員を百五十四名いたしました。それから基準看護を実施するために定員がありましても欠員がありまして、実数が非常に不足しておりますので、これを何とか埋める方法はないかと存じまして、パートタイムででも埋められないかという考え方をとりまして、パートタイマーの賃金支弁で埋める方法を考えて、それの金額を、前年度二千七百万円余でございましたのを約倍にいたしまして、五千五百万円、延べ五万八千人というのをこのたび計上いたしたわけでございます。  そのほか、考え方といたしましては、重症病棟の看護要員とか、あるいは未熟児室の看護要員とか、幾つか特殊な部分から整備をいたしたいと思いましたけれども、これはついに予算の上で本年度は実現できませんでした。御存じのとおり、基本的な病院としての基準定数は、もちろん大学はございますが、それ以上にいろんな仕事が多いので、いろんな分野から機能に従った看護婦の定員増をはかっていこうと思っております。本年度の実績は、ただいま申し上げたような実数でございます。
  228. 石本茂

    ○石本茂君 そういうふうに御配慮をいただいておりますということはたいへんうれしいと思うんでございますが、まあ実際現場に参りますと、非常に手不足と申しますか、いくさ場のような状態で仕事をしております。御承知いただいておりますように、人事院の判定というものによりますと、特にやかましく言われておりますのが夜間勤務問題だったと思います。で、ぜひ夜間は一人でなくて二人置くようにとか、あるいはまた深夜勤務を月間八時間以内ときめるほうが好ましいとか、まあいろんなことが言われたわけでございますけれども、それがはたしてこの二十幾つの病院で現在全部実施されておりますかどうかということになりますと、現実を知っておりますのではっきり申し上げますが、いまだに夜間を一人にしている病院が相当ございますけれども、月間八時間といってみたところで、絵そらごとでございまして、とてもそういうわけにいっておりませんが、ここでお伺いしたいのは、きょうは、人事院当局からお出ましをいただいていると思うんですが、この人事院の判定というものの効力といいますか、力といいますか、人事院はただそのときの情勢判断をされまして言えばいいんだということで、そういうような判定をされて、受けとめてまいります文部省あるいは厚生省等の所管されますところは、ただそんなことを言ってるんだと、しかし、そんなものはできないんだということで、これは受け入れる体制がなかなか整わないままにいってよいものなのかどうか。法律でもございませんし、規則でもございませんし、どういう程度のものか、この際承っておきたいと思います。
  229. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) まず人事院の判定の効力でございますが、こういう勤務条件の改善に関する措置要求の判定につきましては、いわゆる法律上の義務というものは当局にはございませんが、しかし、その法の精神というものは当然尊重せられるべきものであるというふうに了解いたしております。いままで人事院におきましても、このような措置要求の判定は相当数多く出しておりますが、大部分は、当局において、まあ時間的な速度はいろいろございますが、内容においては、ほぼ人事院の判定の趣旨に沿って当局が御努力され、その実現につとめておられるように承っております。で、本件につきましても、そのような観点から、私どもといたしましても、十分関心を払っておるところでございますが、この判定の内容を直ちを実現するためには、予算上の問題あるいは定員の問題等がございまして、直ちに実現はできないという問題がいろいろございます。しかしながら、私のほうで、当局にそれぞれ照会をいたしておりまして、その結果につきまして、私どものほうとしてもいろいろ報告を求めておるわけでございますが、予算上の問題は、ただいま文部省のほうからもお答えのとおりでございまして、なおまた各大学につきましても、それぞれ報告を求めた結果によりますと、おおむねこの判定の趣旨に沿っていろいろ御努力されておるように承知いたしております。
  230. 石本茂

    ○石本茂君 まあいまおことばがありましたように、この種の職員は、人事院判定が出まして、何か仏さまに会ったような気持ちであったと思いますし、同時に、その後徐々に改善されていっておりますけれども、なかなか思うように目に見えてまいりませんものですから、仏さまが片一方にあったのに、実際の現場所管をされます厚生省、文部省等は鬼のようなものだというようなことを、いまむしろ職場の中では、この判定をめぐりまして、うらみがましいものも一部出てきているような状態でございます。  そこでこの際、もう一つお伺いしたいと思いますことは、この判定に基づきましての配慮でございましたのか、たまたまその時期にぶつかりましたのかわかりませんが、深夜勤務手当につきまして、夜間勤務の手当でございますが、これはもう国家公務員法の中にも定めてありますので、百分の二十五という割り増し金が支給されておりますが、そのほかに、夜間勤務二時間以上にわたりましたもの、これは深夜でありますと思いますが、それに対して百円のプラス金が出てきた。これはやはり四十一年からでございましたか、この百円というものに対しまして、皆さまありがたいという気持ちよりも、一つの踏み台として非常によかったという気持ちは持っておりますけれども、百円という議論は一体どこから出てきたのか。それから今後とも、四十二年におきましても、その百円がそのまま据え置きになってまいりますものかどうか。そのことをしばしば言われておりますので、この際文部当局にお伺いいたしたいと思います。
  231. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 石本先生よく御存じのことでございます。四十年に創設されまして、百円でございますが、その他の特殊勤務手当の支給額が、これは相対論になりますが、おおむね八、九十円という単価になっておりますので、その限りにおいては、特に均衡しておるとは思わないのでございますけれども、ほかのほうの手当が、大体三十七年くらいの単価でまだ据え置かれておるようであります。まあそういうようなバランスの状況がございまして、四十年度に発足したこの深夜間の手当でございますので、四十二年度直ちに引き上げるという状況にまいりませんでした。これは率直にその事情を申し上げます。全体としてこの単価が十分でない、今後も十分努力しろということは、もう私どもも十分わかっておりますので、今後の努力にひとつ譲らせていただきたいと思います。
  232. 石本茂

    ○石本茂君 まあぜひ、これは努力ということばの中で実現ということを私は期待するわけでございますが、百円という単価につきましては、他の比較もあったということでございますけれども、この百円というものは、むしろほんとうに、考えようによりますと、まあいまの問題点とあわせまして、何かかえって侮辱されたような気がするという一部の声もないわけではございません。特に女子労働者でございますところの看護の夜間勤務につきましては、いまむしろ民間の諸機関におきましては、労働基準法の百分の二十五というものはありませんで、ほとんどがその倍額、三倍、四倍、五倍というふうになっています。こういう時限でもございますので、百円というものにつきましては非常な疑問をみな抱いておりますので、努力ということばは、今年度、四十二年度において努力をしていただいて百円という金額が変更されますのか、四十二年度じゃなくてもっと先のことを見込まれての努力ということばでございますのか、もう一ぺん、関連におきまして関係当局にお聞きいたします。
  233. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 私のほうからお答え申し上げたいと思いますが、昨年一昨年の勧告におきまして、看護婦さんに対する夜間看護手当を創設したのでございますが、その際に、先ほど判定の関係と期をほぼ一にして、そういうことをやったということをおっしゃられましたのですが、やはり看護婦さんの労働条件等につきまして、いろいろできるだけ改善をしたいという意欲はございまして、片方におきましては判定の関係が出たのでございますが、それと他面において、いわば私どものほうの給与関係におきましては、そういう関係といたしまして努力をするということに相なったのでございます。  で、この百円につきましては、一昨年の夏でございますが、民間の病院につきまして、ほぼ五百社程度調査いたしたのでございますが、その場合に、夜勤の看護婦についてはどういう割り増しをしているかという点を調べたのでございます。その場合に、その結果いわゆる夜勤手当、基準法にも定められておりますけれども、その率は二五%と、基本法の最低限と同じでございますけれども、これが半分以上ということになりまして、したがって、特に夜勤手当そのものを措置するということはしなかったのでございます。ただ二五%以上支給しているところもございまして、そういう関係を平均をいたしてみますると、大体四四%ということになりまして、この関係がつまり国家公務員に支給しております二五%よりは、ほぼ二〇%ほど高目でございますので、その関係を平均給与額に合わせまして、夜間勤務時間というものを調整しますと、ほぼ八十円程度の割り増しになっておるということを確めたのでございます。それ以外に、特別な手当といたしまして、定額的なものが支給されているところもございます。そういうのは比較的、約二割程度の事業所でございましたが、そういう関係をまあならしてみますると、大体二十円程度ということでございますので、合わせまして百円ということで手当額を特に支給するということにしたのでございまして、いわば民間における夜間勤務に対する、基準法上における二五%以上の割り増しとして行なっているものをとらまえまして、支給するということにしたのでございます。したがって、今後につきましては、やはり一昨年の暮れでございますが、支給したばかりでございますけれども、今後におきましても、交代制勤務者につきましては、やはりその労働条件をどうしても圧迫してくるという状況のもとでは、どうしても相対的にいやがられる勤務ということになりますので、十分注意をいたしまして——交代制勤務、全般に勤務している人はほかにもございますけれども、そういう関係につきましてさらに留意をして改善に努力をしたいというふうに考えているのでございます。
  234. 石本茂

    ○石本茂君 よく御趣旨わかりましたが、なお、この際人事院当局お見えでございますので、ひとつ聞いておきたいと思いますが、医療職三表そのものが非常に問題視されていると思います。年ごとに関係当事者同士が参りましてるるお話を申し上げ、これが再検討するにつきましてお願いしておるわけでございますが、このことにつきまして、文部省、これは厚生省は済みましたのですが、当省におかれまして、これらのものの給与体系につきまして、いまのままでよいのか、改正するべきかどうかということを、人事院当局にお願いしてくだすったことがありますのかどうか。私はなぜこういうことを言うかと言いますと、いま交代制勤務している職員につきましては、おことばもございましたけれども、看護婦さんの場合は、御承知のように、これ人間の命を預っておりますし、しかも一人で一人というのじゃございませんで、一人の者が数十人、あるいは百人という病人をかかえて、ほとんど終夜その任に任ずるわけでございますが、こういうふうに心身共に変化していきますところの病人の観察を主体にした業務であり、かつまた、そこには非常に多くの診療補助業務があります。これは医師はいたしません。看護婦がいたしております。そうしたことから考えまして、その業務内容そのものを一体どのように考えていらっしゃるのか。なぜこういうことを申すかと申しますと、かって私が役所におりましたころ、当時の人事院当局の当事者にたびたびお願いいたしましてこの問題を討議いたしましたときは、看護労務は単純労務なんだ、単なる技能労務者なんだというようにきめつけられたことがあるのであります。私はその当時そのことばを納得できませんでした。いまでもいたしておりません。ほんとうに単純労務なのかどうかということにつきまして、御見解をこの際承っておきたいと思います。
  235. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 私のほうは、診療機関の診療要員ということで厚生省との関係がいろいろございますので、いまお尋ねの看護婦の給与問題につきましては、厚生省と交渉と申しますか、厚生省といろいろな点で調整をしながら、いままで主として厚生省から人事院に交渉をしておったと了解いたしております。
  236. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 看護婦さんの給与につきましては、官民格差等々から状況をみて見ますと、従前は民間に比べて、民間は相当低い水準でございましたが、だんだん総体的によくなってまいりまして、最近ではかなり国家公務員の水準に近づいてきているという面がございます。もちろんそうでございますけれども、その仕事の中身につきましては、先ほど御指摘もありましたけれども、やはり高学歴のある、相当の学歴を持った方々が重要なお仕事をなさっておる。しかも、かなり激しい労働条件のもとでやられておるという関係につきましては、総体的な関係としていま申し上げた学歴かつ労働条件のもとにおいては、やや低目じゃなかろうかという感じで、民間の状況はそうでございますけれども、同情をもってながめておる次第でございまして、そういう気持ちにおいて、今後改善に努力いたしたいというふうに考えているのでございます。
  237. 石本茂

    ○石本茂君 民間給与が非常に低いから、そのために足踏みをしているということをよく承知をいたしておりますけれども、民間との比較において人事院は給与を定めなさることもよくわかりますけれども、やはり私自身はいつも思うのでございますが、同じ看護婦でありますのに、たとえば、私などかつて行政職におりましたときにいただいておりました俸給より、その後現場に出ましたときに私は俸給が下りました。そして現場に出て総看護婦長という仕事を、少なくとも二百人以上の自分の部下を持ちまして、病院全体の管理体系の中に関連する仕事をするのですから、これはもう行政職におりました一係長、主査という責任権限よりは、はるかに大きくて重かったわけであります。ところが給与は落ちました。そういうことから考えましても、非常にこの技能職を軽視した精神によっていまの人事院給与が定まっていると思うのです。また、私どもと同じような教育を受けました者が、現在文部省所管でありますところのいわゆる養護教員でございますとか、あるいは新しくできましたところの保健看護学科の学校の教師にまいりますと、教育職でございますから、医療職におります者よりはるかに給与はよろしゅうございます。同一資格を持って教育職へ行った場合教育職になります。しかしながら、本命でありますところの看護業務に従事する場合は、なぜそんな低く不当にされるのか、非常に大きな疑問を持っております。私、言いたいことは山ほどございますが、時間もございませんので……。近々に要望書というものをつくりまして、そして全国立病院の療養所の総婦長協議会、それから全国立大学病院総婦長協議会というところから、さらに他職種との比較におきます医療職三表の現在の状態がいかに不当であるかという要望を資料として持ちまして文部省、厚生省、そして人事院当局に陳情に上がりますことにしているようでございますから、どうか持ってまいりましたものは大臣もお目通しをくださいまして、当局としての人事院はもちろんでございますが、この問題を真剣にひとつ御検討いただきたいと思うんです。やはり国家公務員給与が非常に大きな、標準といいますか、力を持っておりますですから、国家公務員が八百円なら民間は三百円でいいだろうというのがやはり一つの態勢でございますので、私は不当に高くしてくださいと言っているのじゃございませんから、この職務を正当に御理解いただきたい。で、ちょうど円熟しまして十年ぐらい経験持ちますと、その辺から俸給の中だるみが出てきます。頭打ちが大きく出てきますから、そうして丸い弧を描くように医療職の俸給表ができております。そのために看護婦の指示によって使われております看護助手——行(二)の看護助手のほうかややもいたしますと俸給が高くなってしまって、高校を出てそのまま看護助手になったほうが、三年の高等看護学院で看護教育を受け、国家試験を受けた者よりもよかったという現実があるわけでございます。で、こういうことにつきましてもよく御検討いただきまして、いますぐに手直しできると私は思いませんけれど、将来にかけまして正当なる給与体系というものをおつくりくださるよう、これをお願いいたしまして、この問題につきましては、私は一応打ち切りたいと思います。  なお、今日、厚生省の所管課長さんか局長さんおいでだと思うんですが、いまさっき文部省のほう言われましたのですが、人事院当局に対してしりを持ち込むのは主として厚生省だと言われましたけれども、一体厚生省はどのような御見解でこの問題を今日まで処理してきましたのか、重ねてお伺いいたします。
  238. 山高章夫

    説明員(山高章夫君) ただいまの石本先生の医療職三表の改善についてでございますけれども、御承知のように、ここ数年来、毎年四月、五月になりますと、看護関係職員の給与の実態を私どもそれなりに検討いたしまして、時宜に適したと申しますか、その実態に即した改正をお願いするようにいたしております。本年度もただいま研究中でございまして、いずれまた各関係方面に御要望したいと思います。
  239. 石本茂

    ○石本茂君 いまのことば信頼させていただきまして、よろしくお願いいたします。  もう一つお伺いさせていただきますが、もう一つと申しますのは、文部省当局におかれまして、いまの保健看護の教育につきまして相当程度、民間も含めまして、女子教育の振興ということで大きく浮かび上がってまいりました。そのための教師の育成でございますが、例の高等学校関係につきましては、非常に文部当局お気を使っていただきまして、現在二校の大学ができましたけれども、その上のクラス、たとえば本年、大臣以外皆さまのお力によりまして、看護短期大学が一校国立にできたわけでございまして、関係者一同非常に敬意を表しておるわけでございます。それから民間に四年制の大学、さらに短大はたくさんございますが、こういうところの教員養成が、一体どのような情勢において文部省は手をつけていただけないのか、この際お伺いしたいと思います。
  240. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ちょっと御質問の趣旨がはっきり把握できないのでございますけれども、そういう、端的に言うと、短大の増設の問題でございますか。短大の先生の問題でございますか。
  241. 石本茂

    ○石本茂君 先生でございます。短大以上の看護学校の教師の養成について、文部省は責任がないのでしょうかということを聞きたかったんです。
  242. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 大学の教官の養成、まあ一般問題になるわけでございまして、私たち、別にこれは計画養成という形で大学の教官をいたしておるわけでございませんで、また、看護関係の短大ないしは、四年制大学になりますと、大学基準に即してかなり幅の広い科目も要求されております、もちろん専門のものもございますが。これは結局、日本のまあ大学において、専門の教育から出てくる方々の中から教官が選ばれるわけでございまして、計画的に養成という形ではちょっと考えておりませんのでございます。医学部ですとか、あるいはそういうことは、いまの四年制大学の卒業生がさらに専門的御研究を重ねられて大学の教官になるというのが、大学の教官の普通のあり方だと思っております。もちろん一般に大学教官になるためには、高い学術水準が必要でございますので、大学全体の研究者の養成という面での努力はいろいろな方法からいたしておりますけれども、特定分野の特定の教官の養成ということは、特に現在やっておりません。
  243. 石本茂

    ○石本茂君 最後に一つ要望さしていただきますが、大臣、非常に恐れ入りますけれども、看護教育につきましては、基本法にのっとります学校教育にしてくださいということは、ここ数年来関係者一同お願いしてきております。たまたま基本法にのっとる学校ができましても、その学校の看護学科を担当する教員資格を持っている看護婦がいまの日本にはほとんどおらないのでございます。そうした意味合いにおきまして、どうかその部門を担当できる教師の育成をしてくださいということをいま切実にお願いしておるわけでございますが、どうか、小さい希望でございますと思いますけれども、よろしくこの問題は御検討、御勘案を願いたいと思うわけでございます。以上でございます
  244. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) まあ小さい御希望だとおっしゃいますけれども先生非常に御謙遜でございまして、非常に重大な問題だと思います。私どもも、この問題は十分重要視いたしまして取り組んでまいりたいと思います。
  245. 石本茂

    ○石本茂君 どうもありがとうございました。
  246. 多田省吾

    主査多田省吾君) 他に御発言もなければ、これをもちまして文部省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 多田省吾

    主査多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします    午後四時五十九分散会