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1967-05-24 第55回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      成瀬 幡治君     亀田 得治君  五月二十四日     辞任         補欠選任      岡本  悟君     小山邦太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         鈴木  強君     副主査         船田  譲君     委 員                 梶原 茂嘉君                 小山邦太郎君                 白井  勇君                 任田 新治君                 林田悠紀夫君                 矢山 有作君                 小平 芳平君                 瓜生  清君    担当委員外委員                 鈴木 一弘君    国務大臣        郵 政 大 臣  小林 武治君        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        内閣総理大臣官        房広報室長    三井 芳文君        近畿圏整備本部        次長       上田  稔君        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君        郵政大臣官房長  竹下 一記君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省郵務局長  曾山 克巳君        郵政省電波監理        局長       浅野 賢澄君        郵政省人事局長  山本  博君        郵政省経理局長  上原 一郎君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設大臣官房会        計課長      高橋 弘篤君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  三橋 信一君        建設省営繕局長  小場 晴夫君    説明員        放射線医学総合        研究所所長    塚本 憲甫君        大蔵省主計局主        計官       荒巻与四郎君        林野庁指導部長  手束 羔一君        農林省農地局農        地課長      小山 義夫君        通商産業省公益        事業局施設課長  和田 文夫君        消防庁予防課長  高田  勇君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社職員局長    遠藤 正介君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社計画局長    井上 俊雄君        日本電信電話公        社経理局長    中山 公平君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会営        業局受信サービ        ス部長      高橋  良君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 船田譲

    ○副主査船田譲君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  まず、分科会担当委員異動について報告いたします。去る二十三日、成瀬幡治君が委員辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。また、本日、岡本悟君が委員辞任され、その補欠として小山邦太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 引き続き、昭和四十二年度総予算中、郵政省所管を議題といたします。  質疑に入る前に、参考人出席要求についておはかりいたします。  ただいまの郵政省所管の、審査に資するため、日本放送協会会長前田義徳君、同営業局受信サービス部長高橋良君を参考人とし、その意見を聴取することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、総理府の長官、きょう何か御都合で出られないそうですが、関係の方おいででしょうと思いますから、お尋ねします。広報委託費というのが六億三千四百二十万円計上されておりますが、そのうちラジオテレビ、これに対する金はどの程度見込んであるのか。
  6. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) お答えいたします。  昭和四十二年度の広報委託費の総領六億三千四百二十万八千円、そのうち放送関係四億六千三百二十八万七千円、その他一億七千九十二万一千円ということであります。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 この四億六千万円のうち、ラジオテレビに分けてどうなっておりますか。
  8. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) ラジオ中波短波に分けまして、中波が六千百五十万一千円、それから短波のほうが三百九十八万八千円、それからテレビ放送が三億六千三百三十九万八千円、有線放送が三千四百四十万円。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 その他の千百万円というのはどういうのですか。
  10. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) 申し上げます。その他の内訳といたしましては、対外通信実施機関、これが五百七十万円、広報番組調査研究費百三十万八千円、放送モニター実施委託金百一万六千円、模写電送送信委託等三百六十万円、有線放送二千二百七十七万六千円。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 その有線放送とは何ですか。
  12. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) 有線放送は二千二百七十七万六千円……。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 千百万の内訳を聞いているんです、その他の。
  14. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) 失礼しました。有線放送は除きます。先ほど申し上げた四件でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 NHKに対して何か委託して調査する、そういうのはどうですか。
  16. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) 広報室NHKには委託しておりません。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 ことし、四十一年度はやりましたでしょう、何か。
  18. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) 委託しておりません。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 四十一年度も。
  20. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) はい。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 それでわかりました。ただし、時間がきょう限られておりますので、たいへん恐縮ですが、テレビ局別放送計画というものもひとつ資料あとから出してもらいたい。  それから特にこの際伺っておきたいのは、総理府として、先般、閣議でちょっと問題になりましたように、たとえばNHKをもう少し活用する問題だとか、それから一般放送事業者ですね、ラジオテレビを含めて、こういうものに対して具体的にどういう広報活動をこれから一年間やろうとしているのか、基本的な問題だけでけっこうですから、お答えいただきたい。
  22. 三井芳文

    政府委員三井芳文君) NHKとは月一度私どもで直接関係あります番組制作担当者、それから世論調査関係を担当しておる人たちの定例の懇談会をやりまして、わがほうのそれぞれ実施する計画も申し上げたり、それから政府施策で、毎月各省からそれぞれの施策をそれぞれの電波に乗せる計画がございますから、各省関係はこういうものがございますというようなことを報告し合ったりする連絡会議は持っておりますということでありまして、その他のテレビラジオのほうは、従前、テレビのほうは御案内のように日本テレビ、それから東京放送ですね、TBS、それからNETでございまして、それは毎週十五分の番組になっておりますから、それもやはり各省から出されるテーマをそれぞれ検討しまして、国民にお知らせしたほうが適当なものというものを選択いたしまして、それを実際向こう制作担当者に集まっていただきまして、両者練り上げて放送するということにいたしております。ことしは臨時番組で大体三十分番組、一時間番組というものの予算が増額されましたが、それはまだどの局でどうしていただくということはきまっておりませんが、それぞれ順番にやっていただくという考えなのでいま計画を練っております。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 この辺も資料あとで出していただけませんか。  それから次に、郵政大臣にお尋ねいたしますが、前回、電波放送の両法の改正が今度の国会で不可能である、こういう経過についてはわかりました。そこで、私一つ前回聞き漏らしておったのですが、前から問題になっておりました例のNHKラジオ受信料の全廃の問題ですね、これについては当時いろいろいきさつもありましたが、七十二万世帯ですか、とりあえず免除基準を拡大して四十二年度予算を通してあるのですが、これについては、大臣が、当初、法律改正をしてもやるというふうにおっしゃったですね。この考え方というのはいままだ今日でも生きているんでしょうか。電波放送法が全面的な臨時放送関係法制調査会からの答申に基づく改正ができない場合に、ラジオ受信料の全廃問題だけの改正法案を今度の国会に出して、これは来年からですね、施行は。そういう考え方はいまも持っておりますか。
  24. 小林武治

    国務大臣小林武治君) この問題は前からの方針に変わりがありません。したがって、最近の機会においてこのラジオ単独関係受信料は取らないと、こういう趣旨改正放送法の料金の条文改正することによっていたしたいということで、おそらく今月中には国会に提案をしたいと、かように考えております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 NHK会長、きょうおいでいただいているんですが、まあ従来のいきさつからすると少し問題があるように私は思うのですが、あなたの意見を伺ってから私も意見を申し上げたいと思うのですが、これに対してどうお考えですか。
  26. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもといたしましては、従来から考えておりますのは、テレビカバレージラジオカバレージがほぼ一致したときに、経営的見地からこの問題を処理すべきであるという考え方をまず第一に持っております。  第二には、公共放送としてのNHK受信料制度によって維持されて、この点は少なくとも大きな変化のない限りはやはり尊重しなければならない。したがって、申し上げ得ることは、第一には受信料制度は堅持したい、ただし、それと関連しての中身については、事業実態に応じて調整してまいりたいというのが従来からの考え方でございます。で、その点から申しますと、法案内容は知っておりませんけれども、それに近づく限度にきておる。したがって、私はNHK予算逓信委員会におきましても、第二次六カ年計画が終わることしを潜在初年度として新しい長期構想でこの問題を吸収してまいりたいという考え方を申し述べたわけでございます。そういう考え方で私どもは現在もおるわけでございます。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 大臣ね、これはいきさつがありますから、大臣考え方もわかりますが、私どもラジオにしてもテレビにしても安くすることについてはもうもちろん賛成でございますがね。ただ、会長の言われているように、NHKが一人一人の受信者基盤にした組織であるし、またその受信料によって経営をまかなっておる法人ですからね。ですから、やはりこれから宇宙通信その他の問題等もあるおりですから、財政的な見地も十分配慮して、経営基盤がくずれないということがやっぱり前提にならなければならぬ。それからもう一つ予算委員会でも申し上げましたように、個々のラジオ受信者実態というものですね、大きなキャバレーで商売ステレオ放送等を聞いているというようなこともあるわけですから、必ずしも生活困窮者だとか、あるいは老人の層の方で長年国家のために貢献したとか、そういうのでなくして、商売にやっているのもあるわけですから、こういうふうな実態をやはりもう少し見きわめた上で、全般的な経営がどうなるかということを十分お考えの上でやりませんと、問題があろうかと思うんです。ですから、もっと言うならば、それだけのラジオが引き下げられるならば、たとえ五円でも十円でもテレビを含めた甲契約ですね、こういうものをダウンできないか、そういう考え方も当然でてくるわけですから、そこいらはもう少し私は慎重に配慮する必要があると思うんです。まあ、いずれ法律案を出すそうですから出しましたときに内容等についての、私も十分意見を申し上げるつもりですが、そういうひとつ御配慮を十分した上でお願いしたいと、こう思いますが、どうですか。
  28. 小林武治

    国務大臣小林武治君) お話のような配慮は十分した上で、これを提出するということはもう当然なことでございます。NHK受信料あるいは聴視料経営されると、こういう基本的な問題に融れるようなことはないようにむろん考えております。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 それから、これはモスコー発の電報によりますと、川島特使がいまモスコーに行っておられるんですが、その際、文化協定の締結についてやろうじゃないかということに意見が一致をした。特にその中で宇宙通信衛星を使ってのテレビ中継ですね、こういうものをひとつ大いにやろうじゃないか、こういうふうな話が合意に達したと聞いているわけですね。特に放送番組交換等について積極的な姿勢を持っているようで、コスイギンは直ちに向こう担当大臣に命令して、ひとつ準備しろというところまで話が進んでいるようです。これは川島さんが行かれる前に郵政大臣とあらかじめそういう話をしたかどうか、それはわかりませんが、いずれにしても、そういう報道が新聞でもやられているわけですから、私は非常にけっこうなことであるし、先般の日本とソ連との飛行機の定期航空路の開設の際に、なま中継をしようとするときに多少そごがありました。結果的には一応成功しましたけれどもね、放送は。しかし、その間非常に周波数、チャンネルの利用が、いま米軍がかなり使っているわけですから、その関係でなかなか思うようにコマーシャルベースに乗ってこない、こういう問題があるわけですから、そこいらの点も含めて、私は今後コムサットなり、インテルサットなりと連携を保ちつつ準備を早目に進める必要があるのじゃないかと、こう思うわけですが、このことについて、大臣お知りになっていなければやむを得ないんですけれども、知っておらないとしても、そういう事情があるわけですから、それに対する考え方だけは伺いたいと思いまして、御質問申し上げたわけです。
  30. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私は趣旨としてまことにけっこうじゃないか、できるだけそういう方向に向かってひとつ話し合いをしたい、かように考えております。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 前田さんどうでしょう、この問題、NHKが当然窓口になってくると思うのですね、その番組交換になりますとね。そういう場合に、協会としては十分にそれに対応できる態勢というのはつくれるんでございましょうね、どうでしょう。
  32. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもは、御承知のとおり、十年前にモスクワに支局を開設いたしまして、そこにはテレビ考えながら画像専門のカメラマンも駐在しているわけでございます。それから一方、昭和四十年にソビエト国家ラジオテレビ委員会議長メシャツェフ氏が東京にこられたときにも、まあ私はその前年ソビエトの招請によりましてソビエトにも参りまして、NHKソビエト放送との間の必要な番組交換、それから技術協力、そういうものは二者間で一応の了解に達しており、従来もたとえばソビエトだけを目標としたものは、シベリア開発であるとか、あるいはまたソビエト一般的情勢特別取材を行なっており、大都市問題、それから経済の変革等についても、その後、部分的にソビエト取材を行なっておりますので、その点では、川島さんのお話し合い中身は熟知しておりませんけれども、私どもとしては現在のところ支障はございません。また、モルニヤの使用については、ソビエト——日本の、日本航空を中心とする共同運航の第一便に対して、私どもとしてはできればモルニヤを使ってフランス中継してもらい、フランスから一般的なサテライトに乗せて東京で受け取るという話し合いをいたしましたが、当時モルニヤの機能が十分でなかったためにこれは不成功に終わりました。したがいまして、政府間のお話し合いもしくは特殊なお話し合い内容は承知いたしておりませんが、必要な限度においてケース・バイ・ケースで従来もやってまいりましたし、私どもとしては何らの支障がないと考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 時間がありませんので、日の丸衛星の打ち上げについて、NHK国際電電、協力してやっておられますので、それにつきましてもお尋ねしたいと思いますが、これは逓信委員会に譲ります。  それから次に、きのうの毎日新聞を拝見しまして、ちょっと驚いたのですが、ニューヨーク発の二十一日共同によりますとですね、ゼネラル・エレクトリックの会社が、同社がつくっておりますカラーテレビに非常な量のエックス線が放射する、そういうことでもって、昨年六月から本年二月までの間に生産された大型テレビですね、この九万台を回収して改造すると、こういうニュースが載っているわけでありまして、最近カラーテレビがおそまきながら、徐々に日本におきましてもふえているわけでありまして、非常に私も心配をしているのですが、このニューヨーク電に対しまして、NHK技術研究所受信機研究室、これは名前が出ておりますが、沼口安隆さんですね、この方のカラーテレビに対する受像機エックス線の放出に対する見解というものは、「高圧をかけるための整流管真空管)から出るもの」と、それから「電子線がシャドーマスクに衝突した際に発生するX線」、これが二つ三つ目には、「同じく電子線ケイ光面にぶつかって出すもの」と、この三つがあるんだが、いま申し上げたこの最後からの二つですね、それについてはエックス線が非常に弱いので問題にならないが、第一番目の高圧をかけるために整流管から出てくるというこの問題について問題があると、「整流管からは毎時数ミリレントゲンから数十ミリレントゲンという許容量(〇・五ミリレントゲン)を越える量のX線が放射されている。したがって線源としては、かなりのものが存在することは確かだが、この整流管金属製容器にはいっているし、その外側にはさらにキャビネットがある。放射したX線のほとんどはこれらの“防壁”に吸収されて、実際に外部に出るX線量はごくわずかだと思う、」、こういう見解を発表されております。NHKは独自の立場からカラーテレビ受像機開発をされているわけです。非常に私どもしろうとですからね、よくわかりませんので、いずれまた科学技術庁、通産省の関係の方も来ていただいておりますから、それぞれ見解を承りたいと思いますが、協会として今日まで研究されている過程において、このGEの社がとっておりますようなそういう心配日本にはないのかどうか、こういう点、研究の成果としてひとつ伺いたい、こう思います。
  34. 高橋良

    参考人高橋良君) お答え申し上げます。  ただいま先生お話のように、カラーテレビ受像機エックス線をつくるという過程には三つございます。第一番目の整流管ではございませんで、それは整流回路と訂正していただきたいと思うのでございますが、整流回路の中の電圧調整管というところでもって、エックス線を出すということはわかっております。なお、カラー受像管の中で高速電子流螢光体に当たりまして出す発出機構と、もう一つはシャドー・マスクに衝突いたしましてエックス線を出す発光機構三つあるわけでございます。  先生の御指摘のように、整流回路電圧調整管のところで発生するエックス線につきましては、測定いたしますと、約十ミリレントゲン程度発生してございますが、この回路部分は全部金属容器に入れてございます。さらに外壁には木製並びに金属キャビネットがございますが、そこでどの程度吸収されるかということを測定いたしますと、一ミリの鉄板のキャビネットの場合には八〇%減衰いたします。また、木製キャビネットの場合には五〇%減衰いたします。さらにGEの場合を検討いたしますと、今回の報道でははっきりわからないのでございますが、九カ月間で九万台という生産台数から検討いたしますと、大きさは二十五インチ以上ではなかろうか。そういたしますと、二十五インチ以上の大型テレビアノード動作電圧というものが二十七万五千ボルト以上、エックス線の出る電圧というのは大体二十五万ボルト以上でもってハードエックス線が出てくる。それ以下におきましてはソフトエックス線である。ハードエックス線というのは波長の短い、透過力の強いエックス線でございます。その下のほうの電圧で出るところのソフトエックス線というのは二十万ボルト程度で出ると思いますが、それは非常に吸収も容易でございますし、また、透過力も非常に少ない。そういう意味から申し上げますと、GEの場合にはたぶんこの高圧が原因しておったということと、もう一つ整流回路電圧調整管部分遮蔽効果がきかなかったんではないかと判断しておるのでございます。  ひるがえりまして、日本カラー受像機の場合には、この辺の測定も十分進んでおります。アメリカの安全規格並びに国際放射線防御委員会審査規格にも十分入っております。なお、現在、日本に普及しておりますところのカラー受像機は大体十九インチ以下でございます。したがいまして、アノード動作電圧は二万ボルト以下でございます。これは出ておることは出ておるわけでございますけれども外壁におきましては〇・〇七ミリレントゲンということになりますので、さらに見ておる距離一メートルから約二メートルの間におきましては、さらに十分の一以下に減衰しておるということからまいりまして、現在、労働衛生法規に規定されている管理区域でございますところの三十ミリレントゲン・ウイーク、それを時間に直しますと、〇・五六ミリレントゲン時間ということになるわけでございます。それをずっと下回る、それの十分の一以下である。したがって、十分安心して家庭でもってお使いになってよいものというふうにわれわれは判断しておるわけでございます。  なお、御指摘もございましたので、今後とも十分そういうところをチェックいたしまして、私たち研究メーカーのほうとタイアップいたしまして注意していきたい、そういうふうに考えております。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 いまあなたの御説明いただいたのはNHK研究しておる結果でございますね。
  36. 高橋良

    参考人高橋良君) そうでございます。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 一般メーカーがいま製造しているものについては、お宅はわからぬわけでしょう。
  38. 高橋良

    参考人高橋良君) 全部測定しております。メーカーさんのおつくりになったものも私のほうで測定しておりますので、その辺は十分安全規格内に入っておるということは確認しております。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 それは放送法の第何条でしたか、ちょっと条文は忘れましたが、NHKとしてはメーカーに対してこういう問題に対しての干渉というのは厳に禁止されているわけなんです。そのの関連はどうなりますか、何かあなたのところで見ておると言っておるが。
  40. 高橋良

    参考人高橋良君) そういう意味じゃございませんで、私のほうの立場といたしましては、各聴視者の皆さんの受像機が安全で、しかも画質のいいものをおすすめしたいという意味から、私のほう独自で、町で売っております各会社受像機を一々チェックするという意味での測定でございます。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりました。許容ミリレントゲンというのは〇・五六でこれは間違いないですか。
  42. 高橋良

    参考人高橋良君) 〇・五六と申し上げましたのは労働衛生法規で規定しておりますところの管理区域の三十ミリレントゲン・ウイークを一時間単位に換算いたしますと〇・五六ミリレントゲンということを申し上げたわけでございます。先ほど、私、御説明申し上げましたのは単位を時間当たりで申し上げましたが、それに換算して申し上げましたということでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 毎時数に換算した場合の許容量というのが〇・五六であるということですか。
  44. 高橋良

    参考人高橋良君) 三十ミリレントゲン・ウイークというものを一時間量に換算いたしますと〇・五六ミリレントゲン・アワーになるということを申し上げたわけでございます。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  そこで、科学技術庁のほうにお尋ねしますが、この問題に対する科学技術庁の放射線医学総合研究所の伊藤物理研究部長さんのお話ですと、「整流管では相当量の電子が加速されるのだから、X線を発生するのは当然だ。しかし、わが国のテレビは鉛ガラスの使用など防護装置を十分にほどこしており、十年ほど前に調べたときは、外部に出るX線の量は許容量の百分の一以下だった。その後、電圧の高い大型テレビができているが、防護装置が進歩しているので、再度調べることもしていない」、こういう見解で、安全度についてはだいじょうぶ、こうおっしゃっているんですが、この十年ほど前に調べた結果によって現在もやっている、少し無謀のような気がするわけでありますが、これは新聞紙上のことですから、その前後のお考えが十分述べられているかどうか、紙面の都合で、あるいはそういう誤解があってはいけませんけれども、私も一方的なことはもちろん差し控えているわけですが、これですとそう感じますから、ひとつ、どうして十年ほど前に調べたままでその許容量の調査をしなかったのか、この点をひとつ伺いたい。
  46. 塚本憲甫

    説明員(塚本憲甫君) お答え申し上げます。  いまお話のありましたように、その数値については、現在ございますものの電圧その他整流管でございますが、その遮蔽、そういうものを考えますと、安全性が十分に保たれていると思いますが、伊藤部長にじかに会っておりませんので、どういう意味でああいうふうな発言になったか知りませんが、その後、全然そういうことを調べていないという意味ではなくて、そのときでさえもそういうふうだった。しかも、その後、先ほどもお話がありましたように、大体二十キロボルトぐらいなもののエックス線としますと非常にやわらかい、つまり人体を通す力もないような、少ないようなものでございますから、そうしてそれに遮蔽があるということであると、まず問題はないということが言えると思いますが、その上に私たちのところでそういう問題がございましたので、専門家が、あるそういう装置について調べましたところが、画面のほうからのはほとんど測定不能のような程度になっております。それから問題になっております整流回路、それが一番強いところを二十センチという距離で見ましたときに、一・二ミリレントゲン、一時間でございますね。という値が出ております。ただし、これは、もしそこのテレビの箱にじっと手をやってそのまま毎日三時間という勘定になると思いますが、いた場合に、そういう線量を受けるだろうということがありまして、しかも、それは遮蔽装置がついてない場合のことでございまして、いまのテレビ装置には十分な遮蔽がございますので、そこにさわっていても危険でないということに、すべてのものがそうなっておりますかどうか、私たち普通にあるものを、こういう問題がございましたので調べましたのでございますが、何か聞きますところによりますと、アメリカでも日本からかなり輸出しておりますけれども、いろいろそういう電圧の問題とか、破裂しちゃいかぬとか、いろいろそういう規格がございますそうで、それに全部合格して輸出しているというものは、そういう意味で私がいま申し上げたようなふうに全部なっているというふうに聞いております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それはいつお調べになったのですか、いまの。
  48. 塚本憲甫

    説明員(塚本憲甫君) さっそくきのうああいう問題がございましたので、うちの物理部の測定のほうの専門科にあります機械で調べてもらったのでございます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 それは御苦労さまでした。十月前にやったままでその後再度やってないというのですから、私もこれ非常に問題だと思ったのですが、じゃ十年前にやったときから何年ごとにいままで実験をやったのか、実績について資料くれませんか。それから、いまある社と言いました。それはいろいろのメーカー関係あるからそうと思いますが、じゃメーカー全部の製品に対してひとつそういう実験をしてみてもらいたいと思うのです。その点いいですね。資料もらいたいことと、過去の実績を。
  50. 塚本憲甫

    説明員(塚本憲甫君) そういうところからそういうことを許していただければ、私ども測定することは可能だと思います。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 資料ですね、十年前からいままでずっと何回そういうことをやったか、具体的な調査の月日とその結果を調べてもらいたい。
  52. 塚本憲甫

    説明員(塚本憲甫君) 私のほうはしかし、そういうものの測定、いろいろなことはやっておりますけれどもテレビのそういう問題になりそうなものについては、もちろん国民の健康のためにやるべきだと思いますけれども、何年のどこの製品とかいうふうに、シラミつぶしにそういうわけにはちょっといかないのじゃないかと思いますが、それはおそらく私のほうの責任ではなくて、通産省でございますか、電気試験所、その辺の問題じゃないかと思いますが。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと質問を取っ違えておられるのです。いまからやれということじゃなくて、十年前にこれやったままだ、再度やってないということですが、あなたはいまそうでなくてやっておるということですから、それなら十年前から今日までの間、何回そういう製品について調査をして、そういうのがあったということを、時間がないから資料で出してもらいたいということです、いままでやったものについて出してもらいたい。
  54. 塚本憲甫

    説明員(塚本憲甫君) わかりました。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 最後に通産省に伺いたいのですが、現在、直接テレビの危険防止関係の法律というものは、これはないのです。電気用品取締法もテレビは対象になっておらぬということでもって、問題になっておりますエックス線の障害についてもテレビについては取り締まりができないと、こういうような不備の法律になっているのですが、通産省としては直接品質の管理その他についても、それこそ責任を持っているわけですし、するのですが、こういう問題が起きて反省する点ありますか。それから将来どうしなければならぬという見解があったらひとつ示してもらいたいと思う、通産大臣来てないのだけれども
  56. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) お答えいたします。  御承知のように、最近各種の新しい電気器具が家庭に普及してまいっております。で、われわれのほうで従来からそういう安全性確保について電気用品取締法という法律で規制をしておりますが、その規制対象が現在のところ二百数十ございます。最近は非常に各種のそういう製品が出回っております。一方、消費者側からは、そういう各種の製品、新製品に対する安全を守ってくれという強い要望がありまして、われわれとしてももちろんそういう方向で検討しつつある、従前から検討しつつある段階でございますので、そういう際にも関係各省と御協議をいたしまして、この問題についても十分対処いたしたいと、こう考えております。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 実際にあなたは課長で、仕事をやる場合に困るわけなんでしょう。そういう問題が出てきても、それを法的に取り調べたり、検査する権限はないわけです。要するに、生産者まかせの立場にあるんですね。だから、これは日本の消費行政というものは、消費者保護の行政というものが実際あっちにもこっちにも飛び地になっておって、行管からおしかりを受けたように、消費者のほうを向いておらない。だから、やはりそういう科学の発展に伴って、いろんな電気製品が出てくるわけでしょう。そういう場合に、安全性を十分確保して、絶対だいじょうぶだという保証を与えてやらなければいかぬ。そうして少なくとも、かりそめにもGEのようなこういう心配日本国内にないという太鼓判を押してもらわなければ、問題になっても、通産省に行けば、取り締まりができませんからわかりませんと、これじゃあ国民はたまったものじゃないですよ。だから、もっと積極的に、実際に担当の課長さんとしては、これはもうふだん行政やる場合にお困りだと思いますから、まあ大臣でないから、ちょっと政治的な話はできぬかもしらぬが、実際にこれは無責任だと思うんだよ、こういう野放し状態にしておくのは。法律上取り締まりができないならば、早く改正をして、安全性を確保していくということを積極的にやらなければならないでしょう、これは。あなたはそう思わないですかね。
  58. 和田文夫

    説明員(和田文夫君) 現在の電気用品取締法の対象は、政令で物品を指定することになっております。テレビの安全取り締まりは、改正をすればもちろん十分できますが、そうしなくても、対象物品の追加指定で十分対処し得ると思います。そういう方向で従前から検討しております。去年の秋にも、まあいろいろな事故にかんがみまして、約三十品目の新製品を追加しております。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 まあひとつ、これはまた大臣法律改正等については別の機会に申し上げることにして、いずれにしても、どうか、カラーテレビも普及度が非常に遅々としております。まあ本来われわれは、カラーテレビなどというものは日本ではまだ早いと、時期尚早だということで、この委員会でも満場一致で、実は与野党一致して時期尚早ということできめておったんだが、ある政治的な力によって突破口を開いて、今日カラーテレビ放送される、実用化されているんだが、さっぱり伸びていかない。まあいろんな問題がありますが、いずれにしても実用化された以上は、その受像機に対する安全性というものを十分に確保していただきたいと思いますから、通産省としても積極的にひとつ取り組んでもらいたいと思います。  それから次に、郵政大臣にお尋ねしますが、せんだっての委員会でもちょっと申し上げましたように、二十日の日の名古屋の記者会見で、電話料金の、これはまあ電報、電話が一緒に入っていると思うんですが、値上げの問題に触れております。これは九月ごろに結論を出す、これはおそらく来年度の予算編成との関係だと思いますが、こういう趣旨の記者会見をされておりますが、その真意というものをひとつぜひこの際伺いたい。
  60. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 電話の料金は、もう御承知のように、国会でも四十二年度中は上げないということを言明いたしておりますが、四十三年度以降はどうなるかと、こういう問題でございます。それで、まあ電話の収入がだんだん減ってくる、仕事はどんどんふやさにやならぬ、こういう状態で、事務当局においてはぜひまあ料金を何とかしてもらいたい、こういうふうな御希望があるのでございますが、これはもう政府全体の問題として、他の物価との関係を十分考慮しなければならぬし、また、政府としてそれに対処すべき他の方法もあるかどうか、そういうふうなことも検討しなければなりませんので、四十三年度以降の問題については、いま政府としては白紙の状態である。しかし、どうしてもこの四十三年度の予算編成は、公社等も事務的にはもう九月以降においてはこれを適当な措置をとらなければならぬと、こういうふうに考えておりますので、いろいろの面において、ひとつそういうことを白紙の状態から出発して検討しなきゃならぬと、かように考えております。ことに最近、私は別の席で申したんでありますが、電話が市町村の合併その他によって、従来の慣習とされておった行政区域と加入区域をできるだけ一致させるのが私はほんとうのたてまえであろうと存じますが、こういうことにつきましても、非常なたくさんの経費もかかるし、また、一方において減収も必ず生ずると、こういう状態でありまして、いまの電話料金そのものは、従来の一万もあった市町村をもとにして市内通話、市外通話をきめておった、それが現在では三千以下に行政区域が統合されてしまっておると、こういうことになって、これを市内通話にするということになるとたいへんな問題があるのでございます。従来、公社当局では、この町村合併の際も、六キロ以内のものはみんな統合するという努力をされてきておりまして、六キロ以遠のもので残っておるのが千三百カ所もあるということでございすから、もしこれを世間の、要望に沿うように、加入区域の調整、統合というようなことになりますると、従前の電話料金の体系というものが非常な大きな変革を来たすであろうと、こういうふうなこともあって、料金の姿そのものも私は再検討すべき時期であると、かように考えます。一度、数年前に料金の体系というものを変えたのでありますが、いまのような要請があるとするならば、その面からも私は検討しなきゃならぬと思うのでありますし、一方また、加入区域をこのまま放置していいかという問題になると、どうも世間の期待、あるいは住民の便宜ということからいたしても、私はこのままで加入区域の調整をしなくてよいということにはなるまいと、こういうふうに思っております。これらの問題も加えて、ぜひひとつ根本的な検討が必要である。したがって、料金を上げるか上げないかというような問題は、いまは白紙の状態であって、これからの検討に待たなければならぬ。しかし、これも私がいま申したように、いつまでも放置するわけにいかない、次の公社の予算の編成の際には、何らかの財政投融資で間に合うものか、そうでないものか、こういうふうなことも加えてひとつ検討しなければならぬと、かように考えております。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常にむずかしい問題だと思います。これは一面、佐藤内閣としては、新しい経済社会発展計画の中で、特にこの国民生活充実との問題からして、物価の安定ということを三つの柱の中に入れているわけでありまして、そういう観点から申しますと、値上げをするということは、国民大衆に非常に迷惑がかかってくる。したがって、いま大臣がお述べになりましたような経営の合理化、その他経費の節約等、あらゆる手段を尽くして、なおかつ生ずる赤字については、資本をふやしてやるとか、あるいは低利、できるなら無利子の融資をしてやるとか、財政投融資の面でできるだけめんどうを見てやるとか、そういうことによって料金値上げを防いでやることが一番いいことですから、特に電報などは四百億近くの赤字が出ておりますので、こういうものは、少なくとも公共性を主張するがゆえにこれを押しつけるということは少し無理だと思う。収支ペイできない経営をやれということは無理だと思いますから、そういう面では、国税ではないけれども、もう少し政府として手厚い保護をしてやる必要があると思う。ですから、そういう面では非常に料金値上げをするということは問題だと思います。ですから、私は従来から申し上げておりますように、安易な値上げにたよるよりも、そういう財政措置を思い切ってやってやりなさい、資本もふやしてやりなさい、そういう意味も含めて料金値上げに反対してまいりました。そこで、先般の委員会でも、水田大蔵大臣は、早ければ四十三年、おそくとも四十四年には再検討しなきゃならないと、こういう趣旨のことを言っておりましたが、その再検討というのは料金値上げと、こういうふうに当然判断されるわけであります。そこで、もう少し大臣に突っ込んで伺いたいんですが、いまお話しのように、たとえば市町村合併に伴う電話の統合問題ですね。しかも、その統合が同一市内として通話ができるようにしてもらいたいと、こういう強い要望があります。ところが、全国千三百カ所やるには三千億円ものたいへん膨大な金がかかるわけであります。そこで、アメリカあたりでは、書物によると、やはり日本と同じようにこういう問題が利用者のほうから出ておるようでありまして、これに対しては世論の理解をしていただいて、基本料金が高くなってもいいということを条件にして市内通話区域というものを拡充していくとか、こういう例もあるようですね、アメリカあたりでは。ですからなかなか、これは国民の立場から見ればあすにもしてもらいたい、一方、設備を変えなきゃならぬわけですから、一方はそれに対する資金に困る。そういうことで利害が相対立するのだと思うのですね。それに加えて、新しい経済政策における八・二%の成長率というのは、電電公社が少なくとも長期拡充計画というものを策定した当時の経済成長率から見ると一%違うわけですね、七・二%だったわけですから。そうすると、百五十万ぐらいの電話がふえてくる。そうしますと、二千百万個といったものが二千二百万個になるか、二千三百万個になるか、料金値上げをすれば少し減るという計算をしているようですが、いずれにしても一千九十万の電話を六年間につける、こういう計画になっておるのですが、これは百万なり百五十万なりふえますと、この計画そのものがたいへん問題になってくる、すなわち資金計画というものがくずれてきます。しかも、政府は経済社会発展計画の中で、二兆六千六百億の電電に対する投資のワクしか認められておらない、こういう問題があるわけですね。ですから、ここらの問題をどういうところでつかんであなたが料金に手をつけなければならぬか、そういう点についてどういうお考えを持っているか、私はその点を伺いたいのです。率直に言って、財投あるいは政府出資によって乗り切っていくのか、あるいはその他の料金によってやっていくのか、二者択一になってきている。いま白紙だと、こうおっしゃるのですが、もう八月になりますと予算の話も出てくるわけですから、そうのんびりかまえているわけにはいきませんでしょうし、おおよそ政府の腹は私はきまっていると思うのです。ですから、もう少しその根拠について伺いたいと思います。
  62. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私は電話の問題を二者択一的に必ずしも考えておらないのです。あらゆる方法を用いるということになると思いますが、私はいま電話の計画というものが、経済成長を基礎として使っているのはやむを得ませんが、これだけでは無理だ、いま地方へ行きましても電話というものは電気やガスと同じように一種の生活必需品みたいなかっこうになってきておりますから、単なる生活用品という考え方が相当びまんしてきておる、こういうことになると、経済成長を基礎とした数字では間に合わない、そういうことまで私は考えております。したがって、ことしなども、御承知のとおり公社から出た概算は一つもけずらないで百六十万個というものを認めた、こういうこともやはり要求自体がそう大きくないのだというふうな考え方もそこらにあるというふうに考えております。したがって、私はいまの全体の計画の中にあるような資金の割り当てなどではこれはなかなか間に合わない、そうなると、料金問題というものもむろん起きてくると思いますが、私はどちらかいずれでやるというようなことでなくて、あらゆる方法を駆使して、そうして電話の非常な旺盛な需要に応ずると、こういうことにすべきではないか。それから、もう一つ、私は実は町村合併などは、これは電電公社がやったのじゃないので、他の事由によってできて、その結果、われわれが多大の出費をしいられるということになるからして、私はやはり国の一般財政においても何か考えてもいいんじゃないか。もともと町村合併促進法には、これについては電電公社が協力することは当然である、それに対する資金その他についても政府心配しろ、こういうふうな規定もかつてあったが、これは実はあまり適用されておらない。この間も申し上げましたように、たった十五億円かそれらしいものが融資されたというわけでありまして、公社から聞けばすでに一千億円、六キロ以内の加入区域の統合のために使っておる、こういうような問題もありますが、これは私は単なる電話事業だけの問題として片づけるには酷である、こういうふうな考え方もしております。したがって、財政投融資とか、政府としてもこれに当然あらゆる協力をすべきである、かような考え方をいたしておりますので、そういう考え方がどういう面において実現するかは別として、私どもは主張したい、かように考えておるのであります。とにかく電話の需要に応ずるような体制については、私は国全体の問題としても考えていくべき問題である、かように考えております。
  63. 船田譲

    ○副主査船田譲君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  64. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 速記を起こして。
  65. 瓜生清

    ○瓜生清君 前田会長、ほかに日程があるようでございますから、一点だけ私お聞きしたいと思います。それはたしかことしの三月二十五日だったと思いますが、衆議院の逓信委員会でおたくの理事をしておられる佐野さんが、いわゆるラジオの聴取料の問題について意見を述べておられますけれども、その中で、ラジオの聴取料を支払うべき車が現在二百八十万台あり、その中で本年度中には八十万台程度そういう利用者との契約行為というものを進めていきたい、こういうお話があったんですけれども、その後の進行状況、それから自動車の中にタクシーが入るのか入らないのか、そういった問題についてひとつ御意見をお伺いしたいと思います。その一点だけです。
  66. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 現在におきまして、NHKが契約をいたしております車の概数は五十一万になっております。本年度計画としてはさらに三十万台の契約をする予定でおりますので、その意味において佐野理事の答弁はそのことを総括的に申し上げていると思います。この自動車の中にはもちろんタクシーも含まれるわけでございます。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、二者択一でない、そう考えない。もちろん私も大きく分けてそう言ったのであって、それをミックスしてやる場合ももちろんあるでしょう。ただ、それよりも私はこれからの第四次ですか、第四次の四十七年末までに、申し込めばすぐつく電話、全国どこにでもすぐ通ずる電話、こういうスローガンを掲げてやってきたわけですね。したがって、そういう一つの展望の中に長期計画が進められてきたわけですが、現在ひるがえって過去と将来を見ましたときに、なるほど過去における公社の努力というのはこれはたいへんなものだと私は思います。しかし、今後においてもなおたいへんです。ですから、私は四十七年に、申し込めばすぐつく電話、全国どこにでもすぐ通ずる電話というものが、実際にいまの状態でやれるかどうかということですね。はたして四十八年以降——先般公社では十年後の電話はどうなるかという一つのビジョンを発表されておりますが、私も拝見しました。なかなか内容もよくできていると思いますが、これを十年間に実施していくということになりますと、たいへんな努力が要ると思います。私は、ただ単に第四次五カ年計画というものだけを展望して、いまの資金計画というものを論ずるわけにはいかない。  これは少なくとも、十年先といっても、これは百年先ではない、夢ではない、現実でしょう。第五次五カ年計画というものは一体どうなるか、当然第四次五カ年計画と同時にわれわれ考えなければならぬ問題ですから、一体四十八年以降の電話の需要はどの程度あって、それからその需要というものはどれだけ続いていくんだ。これを拝見しますと、たいへん、電話は冷蔵庫と同じようになっていくんだ、三世帯のうち二世帯までが住宅に電話をつける、普及率は十人に四台とする、また電話の故障修理はもちろん、架設、移転にも直ちに応ずるようにするとか、たいへんわれわれにとってはありがたいことが書いてあるわけですが、これを実現するにはたいへんな私は努力と苦労が必要だと思う。  だから、ただ単に九月に料金体系をいじられるとしても、そういう長期展望の中で日本の電気通信事業を一体どうするかということを考えてもらわぬといかぬと思うんですね。ですから、私はそういう構想の中で現実にどうしていくかということを大臣としてもお考えになっておられると思いますが、これは財政投融資も大いに出してもらわなければならない、それから資本の投下もしてもらいたい。公社総裁は、一兆何ぼの借金になる、これを返済するのはたいへんなことであると。なるほど財政投融資も全部借金です。借金がたまっていきます。将来の展望の中で需要供給のバランスがとれて、大いに機械がかせいでくれるという状態をどこに求めていくか、それによって借金をどう返していくかというところまで考えなければいかぬと思うんです。ですから、私もいま具体的にこうだという一つのあれはないんですが、ただおおよその考え方だけは持っておりますから、ですから、そういうことまで含めて大臣が料金問題を検討してもらっているんだろうか、どうだろうか、こういう点を実は私は聞きたかった。
  68. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのテンポでは、昭和四十七年度には、申し込まれたら電話をすぐつけますなんという大きな口はきけなくなってきておるということは事実でありまして、公社からも、もうそんなことは言わぬでほしいという注文も出ている。だから、いまのテンポではいけない。したがって、もっと気宇を壮大にして、電話の計画の建て直しと申しますか、考え直す時期に来ておる、こういうふうに思うんでありまして、そういうことを検討してもらっておる、こういうふうに申し上げておきます。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、具体的な検討をするという中身ですね。中身は、公社がすでに佐藤調査会に諮問をして、答申も出ております、一つの案がございますね、これは大臣もごらんいただいたと思いますが、われわれパンフレットなんかをいろいろ拝見するんですが、この中にもすでに、公社は四十七年度末における加入電話の需要は、既設の電話を含めて、現行の一万円を三万円とすることとして、約一千九百二十万と見込まれる、この設備料は一万円から三万円にする、こういうことを予想して、こういうパンフレットが出ているわけですね。ですから、もうこれをもらった人たちは、これはいつから一万円が三万円になるんだろうと。そのほかに通話料というものがどう上がってくるんだろうという心配を先にするわけですね。公社としては、すでに昨年七月に発表した計画の中で、料金値上げということは絶対条件なんだと。これをやっていかなければ、この計画はできませんよということになっているんです。それは二〇%になるか二二%になるか、これは政府の金の出しぐあいですからね。ただし、調査会としては二二%ですか、大体その程度の料金アップをしなければ、公社のこれからの計画はやれない、こういう答申が出ているわけですからね。それならば、上げるんだか上げないんだかわからないような大臣の話なんですがね、白紙だと。われわれは見解は違うんです。あなたのほうは、物価も安定させるという方針を長期計画で出しているんですから、その方針に反するようなことをやってもらいたくないから、ぼくらは絶対反対なんだが、政府の態度というものがあるでしょう。それを私は聞きたい。そういう中で国鉄にしても電信電話公社にしても、一体どういうふうにしていくことが国民の利益になり、将来の発展に向かってそのことがプラスになるのだという、そういう点をはっきりと言ってもらわなければ、国民はわからないでしょう。私はそのことをやはり大臣として、こういう料金をいじるというときにはよくわかりやすいように言ってもらいたいのですよ。  最初、私はあなたの記者会見なんか聞いておりますと、あるいは国会の答弁なんか聞いておりましても、何か市町村合併なんかというのはすぐにもやらなければならないような印象を受けるような記事が出ておりました。これは記事ですから、全部が全部あなたの意を述べられないので、たいへん誤解するようになっておりますが、印象を受けた。これはたいへんなことだ。合併するだけでもたいへんなことだ。どうしてそれが簡単にできるようになっているのだか、こういう感じを受けました。これは総裁の何か発言なんかもちょっと新聞に出たのを見ると、私は同じような印象を受ける、簡単にできるような。しかし、それには前提条件があるということは言っておりました。言っておりましたが、そのことはいま私が申し上げたようなことだと思います。いずれにしても、少し問題の処理に対するもあの見方というものが甘いような気がする、大臣の。そこいらを見ても、ですから、国民にもわかりやすく政府の態度はこうなんだということをあらゆる機会に意見を出すべきじゃないでしょうか。見解の違う者がやっておるのですから、なかなか一緒になりませんよ。なりませんけれども、私は、こういう立場上、政府はどういう一体物価安定政策の中で電話料金というものをとらえていくのか、いつからやっていくのか、一体どうなるだろう。それによって政府の財政投融資の問題とか、なし得る他の問題というものが出てくるわけです。そこらを少し大臣見解を明らかにしてもらえませんでしょうか。
  70. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは正直にいって、まだありません。申し上げるような決意と申しますか、結論というものはない、正直に申し上げて。これからひとつ考え、それから料金を上げることをもとにして財政投融資を考えるということよりか、政府というものはいま料金はなるべく上げたくないと、こういうことを当然考えておりますから、上げないとするなら、どうやったらそれができるかということを、料金の前に考えなければなりませんので、そのほうを私どもは優先して考えております。しかし、いずれにしろ、これは次の予算編成期にどうしても結論を出さなければならないという問題でありますから、私はまあ九月ころになったら、とにかくそれまでひとつ——なお、むろんいま検討しております。がしかし、これも具体的には結論は出ない、こういうことでありまして、正直に申して、いま私はどうだというふうに申し上げる段階に来ておらぬと、かように考えます。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 それであれば、私はこれ以上あなたに見解を聞こうとしても無理ですから、それなら私の意見として申し上げておきます。  少なくとも、この長期計画といいましても、四十七年末までの展望でなくて、やはりそのあとさらに五年ぐらい、いわゆる十年ぐらいの展望をもって、電話事業は一体どうなるのか、電報事業は一体どうなるのか、こういう点をよくひとつ検討してもらいたいのです。その上に立って財政措置はどうしたほうが一番いいんだということを十分にひとつ考えていただきたいということを、強くお願いしておきます。  大臣も何か向こう関係あるそうですから三十分ぐらいだそうですから、あと公社のほうに伺っておきますが、総裁、お聞きのとおり、大臣は率直にいって、もうないと、これはまだ勉強していないと、こういうことでしたから、公社としては一体、料金値上げをしてもらいたいという公社の考え方は、もう宣伝が行き届いておりますからどこでも知っておりますから、調査会の結論が出ておりますから、そこでひとつこの四十七年末、申し込めばすぐつく電話、どこへでもかかる電話もあやしくなってきた、あまり言ってもらいたくない、こういうところまでいっているそうですから、私もこの前の委員会でもその点はかなり突っ込んでお話をして情勢はかなりわかった。そこで、十年の展望に立って新規の長期計画、こういうものについて、パンフレットもこれは拝見しておりますけれども、これを含めて、日本の電話事業は一体どうなっていくか、構想をひとつ聞かしてもらいたい。
  72. 米津滋

    説明員(米津滋君) ただいま御質問ありましたが、最初に、公社として最近電信電話の十年のビジョンというものを発表したのであります。これは公社として発表したのではないのでありまして、公社の中のある部局で仮案としてきめたものでして、むしろ、これは外部に出るというよりも、われわれとしましては、公社に働いている職員の人に将来どうなるのだという希望といいますか、夢を与えるということを主体にしております。公社の案というものは、現在、第三次五カ年計画のことしが最終年度でございまして、第四次五カ年計画をきめるということが今後公社の当面する最大の問題であります。第四次五カ計画をきめる過程において、じゃその四十七年以降がどうなるのかというある程度見通しをつくるという、これは必要だと思いますけれども、それは計画的なものではなくて、何といいますか、見通しという程度にとめておきたい。といいますのは、第四次計画自身におきましても、先般予算委員会でお答えしたのでありますけれども、公社としては電信電話調査会の結論をくみ入れまして、昨年の八月に長期拡充計画の大綱というものをきめたのであります。その後政府の——政府といいますか、経済社会発展計画の中で電電に四十六年度末に、すなわち四十二年から四十六年の五カ年計画に二兆六千六百億円という建設投資額が振り当てられたのであります。この額ですと、とても申し込んだらすぐつくということは問題にならぬということは先般予算委員会でも申し上げましたので、私は繰り返しません。しかし、いずれにいたしましても、第四次五カ年計画というものは、従来の第一次、第二次、第三次というものが大体公社が自前で金をほとんど集められたものと違いまして、料金修正をその中に含めなければならないし、それから計画内容自体におきましても非常に多額の債務償還を持っているとか、あるいは赤字を持っているとか、新しい問題をかかえておりますので、第四次計画をつくるということをこの四十二年度予算国会で議決されたあと直ちに着手する、その場合に十年の問題についても見通しをつけたいと、こういうふうに思っております。先ほど申し上げました、ビジョンが公社のすぐ計画であるというふうに考えていただくのは早いのじゃないかと思います。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 総裁、そうおっしゃるけれども、ビジョン、夢ではないのです。十年先はもう夢ではないのですよ。百年先だったらビジョン、これは一つの夢だと考えていいですよ。しかし、当然、五年ですから、これは四次を立てるときに第五次の計画というものはどうなるか、たとえば拡充法が四十七年で切れておるでしょう、そういう場合に一体これはどうするのですか。それを含めての需要がどうなってくるのか、それを確実に消化していくにはどういう計画を立てるかということは、第四次のときに考えておかなければならぬ。いままで第二次を立てるときは第三次、第三次を立てるときは第四次と、少なくとも十年間の刻みをもっていままで計画をしておりますよ。だから、これは従業員に対する一つの希望であり夢であるなんて、そんなことを言っても、これは日本電信電話公社が別冊でちゃんと出している。しかも、その内容を見たって、別にこれは社員向けにやったんじゃないというのですから、当然これはみんなが見ます。見れば、まことにもっともだと思うでしょう。われわれはそのことを心配するので、これから十年先どうなるか、このことをわれわれはいつも心配しておったのですよ。申し込めばすぐつく電話云々というのはあやしくなってきたから、一体いつになったら申し込んだらすぐつく、すぐどこへでもかかる、つながる電話、これは四十八年になるか九年になるのかということがもう当然関連して出てきますから、これは総裁の消極的なものの考え方にはぼくはちょっと賛成できないのです、そんなことでは。  これから料金問題を論じるにしても、一体もう時限立法ですから、国会の審議の中では十一年間、この間安保条約よりも長い期間を延ばしたのですから、これ以上延ばせませんということをあのときはっきり確認しておるのです。そうなったときに、十五万の電話加入債券を負担してもらえなくなったときに、一体公社はその資金をどうするかということは、これは重大問題ですから、だから、それと関連して私はやはり料金問題も論じなければならないし、要員計画も立てなければならないでしょうし、新技術の導入もそれに基づいてやらなければならない。そういう構想でたとえば飛行機にも電話が通ずるようにしましょう、電子交換機も持ってまいりましょう、ボタン電話もつけます、電話をかけたら洗たく機のスイッチが入るようにしましょう、膨大なデータ通信をしましょう、非常にいいことが書いてある。私もこの中で拝見しまして、十年間でこれが全部できるとは思いません。これは一つのテーマとして卑近なものから進めていくという点もあるでしょう。拝見してみますと、全部が全部できるとは思いませんけれども、少なくとも国民が期待していることがおよそ出ていますから、これを十年間のうちにやってくれるということになると非常にけっこうなことだと、こう思うわけです。  ですから、どうも第四次の計画についてはもう来年から、この八月から第四次計画、五年間は入るわけですから、そういう段階でその先は全然考えないでやるということは無責任な考え方じゃないでしょうか。私はそう思いますがね。
  74. 米津滋

    説明員(米津滋君) いまそこに持っておられますパンフレットはやはり不十分でありまして、私たちはそれは計画というふうにまだ考えていないのです。先ほど先のことを全然考えていないじゃないかと言われましたが、それはそんなことはないのでありまして、たとえば最近きめました問題は、技術の調査、研究方針、これは十年間でつくりました。しかし、この実際の拡張計画というのは、まだ四十二年度予算国会で議決になっておらない関係もありまして、私たちとしましては、これが国会で済んだ後において四十三年の問題を当然考えていく。その考えるときには、結局郵政大臣のところに九月の前に、八月の末に概算要求を出すわけでありますから、その時点において、四十三年の公社の考え方というものは概算要求の中に入っていくわけであります。そのときに、同時に第四次五カ年計画内容というものは明らかにしたいのでありますけれども、ただ、しかし、従来公社というものは計画を立てますと必ずこれを実績であらわしてきたということでありまして、一次計画、二次計画、三次計画にいたしましても、計画そのものをこれは実施してきた。ですから、ただペーパープランだけをつくって、やれるのかやれないのかわからないというような形は、私は望ましくないのじゃないか。  それで、先ほど十年の問題について私は見通しをつけて言ったのでありまするが、その見通しというものと、それからいわゆる第四次五カ年計画というものとは、その内容の精粗といいますか、中身の精粗に非常に差があるのでありまして、見通しということは決して先ほど言われました何も考えていないということではないのでありまして、われわれが第三次あるいは第二次五カ年計画をつくるときもいわゆる見通しというものをつくってきたのでありまして、第二次のときに三次というものをはっきり固めたのではないのでありまして、それはやはりわれわれとして長期な問題についてはもちろん見通しをつけながら進む必要はあると思いますが、ただ、それがいわゆる何次計画とかいうふうに銘を打っていくことは考えない、こういうふうに申し上げたわけであります。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 そこは、大臣がおらないから、私もちょっとあなた一人に言うようになりますけれども、少しあなた方の姿勢は消極的ですよ。じゃ、十年間の、ビジョンじゃなくて考え方があるなら、その考え方を言ってくださいよ。その十年間の考え方を言えといえば、来年度の予算が通って、そうして料金の改正がどうなるかきまってからやろうということでしょう。この五カ年計画政府が発表するのも——やはり公社は公社としての一つの政策というものを持つべきですよ。それがペーパープランにならぬような現実性のあるものを考えるのがあなた方の任務でしょう。私はそう思うのですよ。いま今日、八月に来年度予算を問題にしなければならない段階になって、まだ言えないというようなことは、それはおかしいですよ。十年のビジョンの夢だと——ビジョンという英語を訳すとどうか私はわかりませんが、計画があるなら計画を言ってください。どうしてこの数字が出てくるのですか。
  76. 米津滋

    説明員(米津滋君) いまのビジョンの中で、たとえば技術の十年間にわたる調査研究方針、こういうものは経営委員会できめてありますから、きょうはいま持ってきておりませんから、別の資料として提出したいと思います。  それから、政府でも経済社会発展計画、こういうものを五カ年間で計画しておるわけでありまして、私たちもあまり先のほうまでやりまして、またそれが狂ってくるということがありますので、やはり第四次五カ年計画というものは計画として五年間、見通しとしては十年間、こういうふうにしたいと思っております。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 だから、十年間の大綱があるなら大綱を示してもらいたいと、私はこう言っているのです。技術関係はなるほど私も拝見しました。業界新聞で拝見しましたから、それはわかっておりますが、一体第四次そのものもまだそれじゃわれわれに発表できないのですか。第四次そのものはいつできるのですか。
  78. 米津滋

    説明員(米津滋君) 九月の初め、九月前に郵政大臣のところに公社として概算要求を出しますから、その時点において公社の案というものをつくりたいと思います。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 九月に出すのですか。いまは大綱はもうあるのでしょう。いま大綱を持っておられるでしょう。
  80. 米津滋

    説明員(米津滋君) 郵政大臣に四十三年度の概算要求を出すのは八月の末でございますから、例年のとおり、八月の末に出したいと思います。現在持っております大綱はあるかといいますと、長期拡充計画の大綱というのが四十二年度から四十七年度に至る六カ年計画がありまして、これが経営委員会できめた公社の計画であります。その中の初年度が加入電話百四十万、それから農村集団自動電話百二十万をつける、これでありまして、いまお手元に持っておられます長期拡充計画の大綱という印刷物がありますけれども、それが結局現在ある公社の計画であります。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、これによると、料金値上げは考えている。したがって、その料金値上げを考える場合に、これだけじゃいかぬでしょうと私は言うのですよ。当然四十八年以降の展望を持たなければだめでしょうと言うのです。これはたとえば二〇%なら二〇%の料金値上げがかりに行なわれたとして、それで拡充法を四十七年度で廃止させていくという場合に、四十八年度以降はどういうふうにしようというのですか、総裁としては。
  82. 米津滋

    説明員(米津滋君) 私、先ほど見通しと申し上げたのでありますが、展望ということばも同じ意味じゃないかと思います。したがって、見通しというのは展望というふうに解釈していけば、結局五カ年計画というものははっきりしている。さらに十年先に対しては、展望、見通しを考える、そういうことでございます。その時点は八月三十一日前に公社としての展望をつくりたいということでございます。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 計画はわかりました。プランニングをやる場合の計画はわかりましたが、いま私は料金問題を論じているときですから、したがって、全体的なプランというものが八月三十一日でありましょう。しかし、私は、いま料金がどうしてもまだお先まっ暗だ、勉強しておらない、わかっておらないというのですから、これは公社のほうとして、ある程度の、四十八年以降どうするかという問題を含めて、ここで当然検討されているだろうと思いますから、具体的な問題として伺うわけです。拡充計画に対して十五万円の加入債がなくなってくるでしょう。こういう問題に対して考えておられないのですか。
  84. 米津滋

    説明員(米津滋君) 四十七年度末における計画をまず固める必要があるのでありますが、そのときに、四十八年なりあるいはさらに四十九年からずっと先の五年の展望をつくることは当然だと思っておりますが、しかし、いまは私たちといたしまして、長期拡充計画の大綱をきめるときに、いろいろ頭の中では考えたのでありますけれども、この席では検討中であると申し上げるのが適当だと思います。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃ話は進まないわけです。しかし、あなたがそのときでないと検討できないというのに聞いてもしかたがないから、やめますけれども、ただし、この長期拡充計画、いま皆さんが示しているこの計画は、今度の新しい経済社会発展計画によって変更しなければならない。この点は間違いないですね。
  86. 米津滋

    説明員(米津滋君) 私たちといたしましては、経済社会発展計画というものが、前に予算委員会お話しましたけれども、一年のズレがありますから、四十七年をどうするかという問題が一つあります。  それから、もう一つは、いわゆる経済の成長率を何%にするかという問題がありまして、それらを含めて結局どちらにいたしましても、これは六カ年計画でありますから、それを五カ年計画に直すときに修正されることは予期されるのでありますけれども、どういうふうに修正するかは、これは八月末までにやりたいと思います。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 それはまず第一番に需要予測ですね、あなたがこの前百万ですか百五十万くらいはこの五年間にふえるということは、一年ずれていることは私も知っておりますけれども、具体的なことは私はこの前伺ったのです。四十二年から四十六年までの間百五十万ふえるということになれば、現在考えている千七十万に百五十万ふえていくわけでしょう。そうすると、四十三年に百五十五万、四十四年に百七十万という計画がずいぶん変わってくるでしょう、その点が一つ。  それから、もう一つは、加入区域の改善の場合、同一市町村内の市内通話区域の拡大と、もう一つ共同負担区域の均一料金の区域の拡大、こういうものがあるのですが、これは建設資金との関係において、さっきも大臣に質問したのですが、やらなければならないのだが、なかなか金がかかってできない。したがって、こういうものについてわれわれは加入電話の充足と同じように、一体いつになったらそういう不合理を直してもらえるかということですね。それを四十七年までにやってくれるというのですから、非常にけっこうなことですが、これはどういう計画か、そういうところについて具体的なある程度の修正ないし訂正——修正と訂正と同じかもしれませんが、検討を加えなければならないことがもう出てきているでしょう、すでにこの大綱の中で。
  88. 井上俊雄

    説明員(井上俊雄君) お答え申し上げます。  まず第一点の、大綱を修正するという問題でございますが、先ほど総裁からお答え申し上げましたが、現実の問題といたしまして、将来の電話の整備計画と規模との関連で変わってくるという面と、もう一つは、四十二年度の予算のいま御審議をいただいておりますが、それによりまして四十二年度末の財政その他の面が在来の大綱をつくりました基礎条件と変わってくる。さらには、経済社会発展計画の二兆六千六百億、これはいわゆる四十年度価額の五カ年の投資規模でございますが、それを名目にしていった場合にどういうことになるであろうか等々でございますので、公社のあの計画との関連において、長期計画の大綱のあとの五カ年分は修正をされざるを得ないわけでございます。  それから、その中で、サービスの改善計画の中の一環といたしまして、ただいまお話のございました同一行政区域の電話サービスをできるだけ市内通話にするとか、あるいは市内通話区域あるいは共同負担区域の拡大ということにつきましては、これは全部やるとすればとてもたいへんなことでございます。この程度はどうしても公社としてもやりたい、あるいは住民の皆さんにもこの程度はやることによって喜んでいただけるということもございますので、そのやる範囲をどうするか、そういうことにつきまして目下いろいろ検討中でございますが、これも先般来の大臣等からのお話もございましたように、当該期間中における資金との関係がからんでまいりますので、いろいろ検討中でございます。そういうことでございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 これは局長の答弁は明快です。私もそう思うのです。これは何としてもやはり需要予測はふえてきますから、修正されざるを得ないと思います。それで、これは料金値上げということを一応前提にして需要予測をはじいておりますね。前のものを修正しましたね。したがって、この料金値上げがあるいは二〇%になるか、あるいは一五%になるか、公社の考えどおりにいかない場合には、またそこに狂いが出てくるわけですね。そうなると、私はこの前も申し上げましたように、なかなか四十七年度に申し込めばすぐ通話できる計画というものはかなり困難になってくる。第四次の中で相当苦労してもらわなければできないと思います。大体この点は認識としてわかってきたと思うのです。  そこで問題は、こういう第四次は大体わかりました。したがって、第五次に持ち越していく数がふえるのか、あるいは第四次の中で七・二%から一%上がりましたね。経済社会発展計画によって需要予測が百五十万伸びて、はたして第四次の中でやっていけるかどうか。その資金調達の見通しがなかなかつけがたい、いまの段階では。したがって、政府の資金的な対策、料金対策を含めて、これは公社の立場からいって、そういうものが明らかになった時点において、はたして四十七年までに拡大するであろう需要予測を一挙に解決していける見通しがつけられるかどうか。あと五年間に配分して、あるいはあとの五年間についても、さらにまた需要予測というものが変わってきますから、そういうものをすべて五年間になし得るかどうかという問題が残るわけです。およそそういう考え方に立つと思うのです、公社のほうでは。ですから、私は、新技術の導入にしても、十年間でこれから研究するテーマを御発表になりまして、私もちょっと拝見いたしましたが、これにはかなり金もかかると思う、研究するときの。そういう研究費というものも、全体の予算の中でどう使っていくかということを考えなければ、ただ実情はこうだといってのろしをあげてみても、全体のベースから見てもおかしい。むしろそれは技術は先行するものですから、私もできるだけすべてに先行していくということはいいのですけれども研究のやり方についても、いま計画を見ていないから失礼かもしれませんが、どの程度の研究費というものを出して、これらのもろもろの研究を進めていくのか。それからまた、要員措置その他につきましても、一体どうなっていくか。そういうすべての要素を勘案した上で計画をつくらないと私はいかぬと思いますので、むしろ十年後の展望というものをいまビジョンとしてお掲げになったのですから、これに対して一体どういう取り組み方をしていくかという大綱は、これは料金改定のときにほしいのです。それを見なければ自信を持った審議ができない。八月の終わりごろになると大綱がきまるそうですからそういうものを見てわれわれも意見を申し上げたいと思います。ですから、そういう立場に立って料金値上げを論じないと、ただ金が足りないからこの程度上げていけばいいということでは、少しもの足らない。これは料金というのはみなさんもいやというほど知っていると思いますが、なかなか上げるのはむずかしいのです。ですから、公社もどうしてもやらなければならないという立場にあるならば、長期展望の上に立って国民に明らかにするということがあなた方の任務だと思います。私はそういうように思います。ですから、そういう点については十分に配慮して御検討いただきたいと思います。  それで、四十二年度の予算というのは当初には赤字予算でありましたが、逆に黒字予算になったというようなこともありまして、いろいろなじぐざぐを通ってきたのですが、結果的に見ると百五十万の電話というものを架設していく、基礎工程、サービス工程でどの点が変わったか知りませんが、要するに収入目標というものはかなりふえてきた。したがって、単金なんかをとりましても、一加入当たり三十七万円かかるのかかからないのかわかりませんが、しかし、加入電話というものが農集電話二十万個、一般加入電話百四十万個、合計百六十万個、この当初予算にもあるように、概計で要求した工事計画というものは五千六十六億円ですね。それがわれわれがいま持っております予算書を見ると四千六百七十六億ということになっているんですが、ここに何というのですか、サービス工程だけ見ましても、千四百六十九億に対して千四百三十四億で、すでに三十五億の削減になっておりますが、しかし、計画そのものは市外専用線というのですか、これが千三百回線が千百回線になっている程度ですね、この計画サービス工程を見てみますと。それではたしてやれるものでしょうかね。何か手品をしているように思うんですけれどもね。ここら辺、私わからぬものですからちょっと教えてくれませんか。
  90. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答えを申し上げます。  いまサービス工程の要求と予算額との二つの数字が先生から御指摘がございましたが、これはいろいろこまかい点はあるわけでございますが、大きく申しまして、百六十万の加入電話の増設の中で一般加入電話に予定しておりましたものを四万、団地電話のほうに振りかえました。その結果といたしまして、先生指摘のごとく、約三十数億円が要求に比べまして予算としては少なくなっておると、こういうことでございますが、単金といたしましては、いわゆる先生おっしゃる建設投資額を増設加入電話一加入当たりに帰納いたしましたいわゆる建設単金といたしましては、一般加入におきまして三十五万三千円ということで、四十一年度予算と全く同じでございます。団地電話におきましては、現状に即したようなことで、四十一年度予算が九万三千円に対しまして四十二年度予算、現場御審議中の予算におきましては九万五千円ということに相なっております。さらに、農村集団自動電話におきましては、四十一年度予算が六万八千円に対しまして、四十二年度におきましては農村集団自動電話の現状に即した改善ということも入れまして、八万五千円と、こういうことに相なっております。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 まあここら辺はよく私にはわかりませんけれども、またあとでこれは聞きましょう。  で、問題はこの工事面において心配はなかろうかということですが、四十一年度の繰り越し工事は大体、額にしてどの程度になっておりますでしょうか。四十二年度に持ち越した工事は……。
  92. 中山公平

    説明員(中山公平君) まだ決算の途中でございまして、最終的に決定はいたしておりませんけれども、予想といたしましては二百億円内外、こういうことに相なろうかと思っております。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、今年度も多少の繰り越しはやっぱり予想されますか、四十二年度ですね、この計画でいきました場合。
  94. 中山公平

    説明員(中山公平君) まあ四十二年度予算がいま御審議中でございまして、まだ暫定予算中の実行で約二カ月弱を経過しておりますので、今後の状況というものはちょっと予測しかねるのでございます。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 それからですね、この四十二年度中に新規のサービスをやろうというのは、どういうものが計画されておりますか。
  96. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 四十二年度中にというお話でございますが、大体いま考えておりますのは、先日先生からも御質問になりました無線呼び出しサービスがございます。それから集合自動電話、これはアメリカなどではセントレックスといっておりますもので、現在PBXから外に話をします場合にはゼロ発信が可能ですけれども、外からの通話は必ず交換手の手を要するということになっておりますが、最近企業の合理化等の要請がありまして、直接外からビルにかかってくるような新しい電話制度、言いかえれば、単独電話に相互短縮ダイヤルをつけたようなものといってもいいかと思いますが、そういった内容を持つ集合自動電話というものを試行的にやりたいというふうに思っております。  なお、本年度中に完成するわけではございませんが、データ通信がございます。これは電信情報処理のための通信の機械を置きまして、それによりまして現在進めておりますのは、地銀相互間の為替交換業務をこれによってやろうというふうに考えております。  なお、新規サービスというほどの大きいものではございませんが、電話機のベルの音量を調節いたします音量調節器つきの電話機、これを近く希望者があれば加入者の用に供しよう、こういうふうに考えております。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 このデータ通信は、私はこれはほんとうに大事な問題ですから、また場所を変えまして詳細に伺いたいんですが、ただここで伺っておきたいのは、「和製コンピュートピア物語」というのが、「潮流ジャーナル」の特集(3)というのに掲載されておりまして、私これを拝見しましたが、この中で日本情報処理センターというのがあるのですが。これはまたあとで伺いますが、これとことしの予算に計上されております地銀相互間のデータ通信ですね、これは全然関係はないものなんでしょうか。それとも将来、そういうあとで伺う日本情報処理センター構想の一環としてこういうものがスタートしておるのかどうなのか、その辺の関連性だけを伺っておきます。
  98. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 地方銀行相互間の為替交換業務を行ないますデータ通信網は、中心のコンピュター、回線、端末機器をすべて公社において設置をいたしまして、それをユーザーの利用に供するというものでございまして、公社独自で単独で実施をいたすものでございます。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 はい、わかりました。それでは、その点はまたあらためて伺います。  それから、その次に、ことしの予算の概計で、扶養手当を国家公助員並みに上げようという、こういう要求をいたしましたね。ところが、これが大蔵折衝の中で切られております。大蔵の主計官もおると思いますが、これはどういうわけで削ったのか。国家公務員はすでに、わずかであっても、人事院勧告が出てそれによって千円に上がっておりますね、妻の場合は。ですから、私は五現業の場合も三公社の場合も、従来は期末手当など増額になりますと、当然認めておったでしょう。ところが、今度の家族手当に関する限り認めないというのは、首尾が一貫しないし、わからない。こういうことが、わずかなことであるけれどもが、職員の士気を阻喪させるんですね。なぜもう少しこういう、幾らの額になるか私も試算しておりませんからわかりませんが、あまりにも血も涙もないやり方で、大蔵省はけしからぬと思いますが、どういう根拠で削ったのか。
  100. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答え申し上げます。  従来、扶養手当につきましては、公務員にならって予算に要求をすると、こういうことにいたしておりました関係上、四十二年度におきましても、人事院勧告が出されましたその扶養手当の改正の額を予算に計上して、概計を御提出したわけでございますが、最近、ここ数年来のいわゆる公労委の仲裁裁定、それから人事院の勧告と、これの関係を精査いたしますと、四十一年度の仲裁裁定は、四十一年度の民間賃金との権衡を考慮して出されたものでございますし、人事院勧告とまた調査のしかたは若干違っておるようでございますが、四十一年の春の民間賃金との権衡を考慮して出されたものだと伺っておりますので、基準内給与全体といたしまするならば、いわゆる公務員給与と公社の給与というものについては、均衡の保たれた関係にあると、こういう判断が出てまいるわけでございまして、したがいまして、扶養手当も御案内のごとく基準内給与の一部をなしております関係で、公務員が扶養手当が上がっても、それは基準内給与の増額でまかなっておるのでありますから、公社につきまして、基準内給与のいわゆるベースアップ分があげて基本給に充てられておるという、こういう違った関係があるんで、全体から見ますと、この要求はいかがであろうかという予算折衝中の御意見もございまして、この点については、筋として私どもももっともであろうということで、計上することを取りやめたと、こういう事情に相なっております。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 主計官。簡単でいい。
  102. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) お答えいたします。  私から申し上げるまでもなく、三公五現の職員の給与につきましては、一般公務員の給与、それから民間の従業員の給与等を考慮して定めるということが原則になっておりますが、三公五現については、具体的には公労法等によりまして、また各公社等によりまして、労使間の交渉によってその内容を定めていくというのが原則になっております。したがいまして、私どもといたしましては、この基準内給与の中の配分といったような重要な問題を、財政当局だけの判断で動かすということは妥当ではないというふうに考えましたので、御要求はございましたけれども、認めないということにいたしたわけであります。  なお、四十一年度におきましては、四十一年の五月ごろに仲裁で六・五%のベースアップの仲裁が出ておりますが、これについては、各企業体とも、郵政で若干の例外がございましたが、すべてこの配分を俸給表の改定に回しておるというような事実もございますので、そういうような考え方から認めなかったということであります。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、団体交渉できめるものであると。したがって、団体交渉がこれが一つの場だけれども、まとまらない。そうすると、仲裁なり調停にいきますわね。そういうものが出てこなければ認めない、こういう筋ですね。
  104. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) 現在の段階では、団体交渉と私申しましたが、これで労使の話が整わなければ、調停なり裁定という手続を踏まれることになります。そういう手続によって改定されるというふうに考えております。
  105. 鈴木強

    鈴木強君 それは非常識というものなんですね。それは法律的な解釈は私らも百も知っている。しかし、それは基本給であるか、あるいは基準内であるか外であるかということは、それはありますよ。しかし、少なくとも国家公務員諸君が、それは基本給において低いとか高いとか論議はあるでしょう。しかし、家族を、奥さんを持っているわけなんだから、はたが上がって三公社五現業が上がらぬということも、これもちょっとおかしな話なんですよ。だから、財政の許す限りは認めていくということでしょう。期末手当等についても、勧告が出ますと、それに準じて大蔵も認めておったわけなんです。ですから、いま電電がかなりの成績をあげて、企業の努力も認められているところですね。これは電電だけじゃなくて、三公社五現業が全部そうだと思います。ですから、そういう従業員から見ますと、感情としたって、これはあなたの、荒巻さんの言うことをだれだって受け付けないですよ。国会だからみんな静かに聞いているのだけれども、これはそんなことを従業員の家族が聞いてごらんなさい、たいへんなことになりますよ。だから、そういうところに誠意というものがない。わずかなところなんだけれども、思いやりがないのですね。それは理論上、振り回されてくると、それはわれわれも法律論的にいえば、あなたの言うことに反論するのに困るわけだ。困るけれども、それはやはり、そこが政治なんですからね。やはり従来も勧告というのは、大体向こうが上がれば、こっちも上がるのだ、こういうふうに通念として持ってきておりますからね。そういう期待を裏切ったのですね。だから、従業員から見ると、公社も公社だ、断固やると言っておきながら、大蔵へ行ってやられて引き下がってきたと、何だと、こういうやはり公社に対するものすごいふんまんがあるわけですね。と同時に、公共企業体になってからのいろいろな問題もあるでしょうけれども、もう少しその辺の自主性というものを、大蔵としても大きな見地から立ってやったらどうか。これはおそらくあなたの判断で、まあ担当の主計官というものが一番密接な関係がありますから、あなたの判断でおやりになったものでもないと思いますけれども、私はある程度、もう少し政治的な問題があったように思いますから、あなたにここで文句言うわけじゃないけれども、もう少し、ほかのことだったら、ある程度私はわかりますけれども、従業員の待遇の問題で、その感情として持っているそのことを裏切るということは、ぜひやめてもらったほうが、むしろそれによって従業員は仕事をふるい立ってやりますがね、上げてくれれば。そういうような気持ちをみな持っていると思いますから、これはあなたにお願いしておきます。ぜひそういうしゃくし定木なことを言わぬでもらいたい。これはまた大臣にでも別な機会にやります。  それで、私はいろいろまだありますが、きょうは最終日で、瓜生さんからも質問があるようですから、次の機会に譲りたいと思うのですが、これで終わります。  さっき関連をして聞きました日本情報処理センターというこの構想についてはですね、いろいろ物議をかもしていると思うのですが、これは通産省と電電公社の間には了解が成り立って、そうして諸般の準備が進められているのかどうなのか、これはどうでしょう。
  106. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) いまおっしゃいました日本情報処理センターの問題につきましては、いまおっしゃいましたものも含めまして、いろいろな雑誌だとか、あるいは新聞等に、いろいろのことが掲載されていることを私も承知いたしております。この問題につきましては、通産省からも文書等をもって公社に話があったというわけではございませんけれども、事実上の問題といたしまして、各種情報処理方式の開発とか、あるいは普及、あるいは情報処理に関します調査研究、広報あるいはプログラムの開発、普及、情報処理要員の訓練、それから養成等の、情報の処理の基礎固めをしたい、そういうためにこういうふうな財団を設置したいという意向が通産にあることは、通産省から話がありまして、それに対して公社にも協力してほしいというふうな話がございました。しかしながら、これが具体的な問題として、どういうふうな内容のものになり、そしてどういうふうに現実に運営されていくかということについて、まだ未確定の段階でございますし、また、財団ということになりますと、郵政省等との所管の問題もあるわけでございますから、いま先生のおっしゃいましたような意味におきまして、正式にはそういうものはないわけでございます。ただ、事実上話し合っていることは事実であります。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 その点は、総裁、はっきりしておいていただきたいんですけれども、情報によると、電電公社と通産省の間に了解がされて、そしてその準備を進められている。あと六社が入って、日電とか日立、東芝、三菱電機、富士通信機、沖電気というような構成でスタートするんですが、これは了解が成立するということは、すなわち、私はこれを一体どこでやっていくかということにもなると思うのです。通産省がこれをやろうとするのか、あるいは電電公社がこういう情報センターというものを中心にしてイニシアをとってやっていくのか、そこら辺をひとつはっきりしておいてもらわぬと困る。文書でやったやらないということよりも、基本的にこういう線でこういう構想でいこうじゃないかということが、文書であろうが口頭であろうが、了解されてスタートする、そうでないとたいへんなことですよ。あなたがデータ装置データ装置と言っているが、このデータ通信をどこでやっているんです。地銀のやつはその一環でないと言いましたからわかりましたけれども、それとの関連があるのですよ。通産省は通産省でやりたいと主張すると思うのですが、その所管というものは、一体これを公衆電気通信事業の一環としてどうとらえていくかという、そこのところが大事ですから、これはうやむやにして計画が進んでいくとたいへんなことになる。だから私はここでそういう質問をしている。特に万国博の推進協議会、これは日本電子工業振興会以下ずっと入っている。万国博電算化推進協議会というところから、情報産業育成の観点に立ち、万国博電算化に関する要望書というのが各方面に提出されている。これは電電公社にもいっているでしょう、どうですか。了解の点と。
  108. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 最初の点でございますが、これにつきましては、いま先生指摘のように、いろいろの問題がございます。目的、あるいは現実に行ないます事業、あるいは構成、また、法律上の問題、それから所管省の問題、いろいろの問題がございまして、現在通産省のほうから私のほうに、あるいは郵政省のほうにも話がございまして、この内容についていろいろ質問をしたり、あるいは意見を言ったりしている段階でございまして、固まったものではないわけでございます。  それから、その次におっしゃいました万博の電算化推進協議会の問題でございますが、この協議会から各方面へ意見書が出されているということは承知いたしておりますが、公社に対しましてはこの協議会から意見書が出されてはおりませんで、公社といたしましては受け取っておらないわけでございます。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 総裁、これは総裁としては、局長が答弁しておりますけれども、話をどういうふうに聞いて、どうしようとしておりますか。何かそこがあいまいですから、その点関連してお伺いしておきたい。
  110. 米津滋

    説明員(米津滋君) 先ほど営業局長がお答えいたしましたように、通産省との間にいろいろ話し合いをやっております。しかし、センターの問題に関しましては所管をどうするとかいうようなことは、まだはっきりきまってない。  それから、もう一つは法律解釈の問題で、これは郵政省のほうに有権解釈があるわけでございまして、郵政省の御意向も聞かなければならないわけでございますから、その点が問題の中心になっております。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、まだこの問題については通産省との間に了解はない、ただ、話があるので、法的な問題を含めて検討中である、こう受け取っていいですね。
  112. 米津滋

    説明員(米津滋君) いまの法的問題を含めまして、まだ問題が進行中で、きまってない、こういうことでございます。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 時間がないから、資料でひとつ出してくれませんか。それはアメリカ海軍の極東司令部から雇いあげられております米軍の商船がたくさんありますね、LSTを含めまして。これと日本が通信する場合、向こうからくる場合に、本来ですとこれは外国電報になると思うんですがね。これは行政協定によってこられるのかどうかわかりませんが、現実には国内電報の扱いをしているわけですね。こうした点は私はちょっと不勉強でわかりませんから、法的根拠を示していただくと同時に、これは時間がないから、資料でひとつ。船はどの程度あって、どういうふうな通信を月どのくらいやっているか、そういう点を含めて資料をいただきたい。  昨晩からきょうにかけて、賃金紛争に対する公労委の最終的な調停作業が行はれたのでありますが、たいへん御苦労さまでした。特に職員局長はたいへんだったと思います。私は、その経過は新聞で拝見しておりますが、われわれが総理大臣をはじめ、郵政大臣にも官房長官にも強く要望し、調停段階においてその解決を見るよう、熱意を持って努力していただくようお願いしておったのですが、遺憾ながら調停段階において結論が出なかったことは非常に残念に思います。しかし、従来の仲裁へすぐに移行するという行き方から見ますと、かなりいい方向に私はいっていると思うんです。これは政府当局の理解と、組合側のいわゆる良識がこういう方向に進んでいるのだと思います。非常に喜ぶわけでありますが、しかし、仲裁に送りますと、あとに問題が残るわけでありますから、私としては、ぜひひとつ、大臣もいらっしゃいますが、総裁におかれても、さらに問題が前進するよう、誠意を持って解決のために努力してもらいたい、そういう気持ちを持っているものですから、これは職員局長でもけっこうですが、簡単な経過だけを正式にこの分科会として聞いておきたいと思います。  これで私は質問を終わります。
  114. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) ただいま先生からお話がございましたように、私どもいろいろな場所で、調整段階でぜひ何とかしたいということを主張いたしておりましたが、政府当局のたいへんな御理解もありまして、非常にいいところまできました。最後にはああいう形で調停から仲裁に移行ということになりましたけれども、私ども長年の経験からいいますと、これが公労協全体、あるいは電電の労使関係全体の多年の懸案でございまして、将来に向かってたいへんいい例になることだと思っております。まだ正確には、これは昨日最終的に出された調停委員長の御意見というものに対して労使双方御回答申し上げました結果、使用者側の言う条件、すなわち、それを労組側がおのみになれば調停案を作成するという段階までいったわけです。ごく概略はそういう経過になっております。
  115. 瓜生清

    ○瓜生清君 私一、二大臣に御質問しまして、あと公社に対して行ないますが、時間があまりありませんから、ごく平面的に御質問いたしますので、明確に答えてもらいたいと思います。  まず第一に大臣にお尋ねしますが、従来郵政省の財政状態があまりよくないというような、そういうことも原因して、いわゆる特定郵便局というのがございますが、その実態を見ておりますと、一般の家屋を局舎として郵政省に貸す、必然的にそこの家主である人が局長になるというような、そういうたいへん前近代的な運営というものが行なわれているわけです。そういうふうな状態でございますから、どちらかというと、特定郵便局というのは、その局長の私物化しているような、そういう印象を受ける面があるわけですが、そういうことを事実認識の上に立ちまして質問をしたいと思います。  まず、現在、私がいま申し上げましたような、個人の私有物を局舎として郵政省に貸しているという、そういう局は全体の中でどのくらいあるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  116. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 現在特定局の総数が昨年末現在におきまして一万五千三百六十ございます。そのうち、借り入れ局舎の総数が一万四千八十一でございまして、率にしまして九三%でございます。並びに、それを内訳として申し上げますと、集配局が三千九百二十、集配局全体の八〇%、無集配局が一万百六十一でございまして、無集配局全体の約九九%ということに相なっております。
  117. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、これから当分の間やはりこういうふうな運営というものを続けていかれると、こういうふうに考えておられるのですか。
  118. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 先ほど先生のおことばにございましたが、郵政事業の企業的な運営すなわち、企業性に立脚して考えます場合に、全部これを国費でまかなっていくということにつきましては、私ども疑義があろうと思います。最も効果的な任務を遂行するにあたって、阻害のない範囲におきまして企業的にこれを経営するにつきましては、従来のような借り入れの方式がいいのではないかというぐあいに考えておる次第でございます。
  119. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうすると、ちょっとお尋ねしたいのは、この局長を任命する場合に、何か人事取り扱い上の基準のようなものがあるのですか。
  120. 山本博

    政府委員(山本博君) ただいまお尋ねの特定局長の任用の基準でございますが、これは特定局長任用に関する規定がございまして、その中に二つほど、大まかでございますが、基準として用いられているものがございます。一つは、満二十五歳以上であるということ、それから、もう一つは、相当の学識、才幹のあることという二つの条件があります。第一のほうは非常に基本的にはっきりいたしておりますので、客観的にこれを用いることができますが、二番目のほうは相当幅のある基準でございます。したがいまして、これは各地方の郵政局長が裁量によりまして、その土地土地、あるいはその人人の個々一人に当たりまして具体的にその基準を運用していくということでございます。
  121. 瓜生清

    ○瓜生清君 いまあなたの言われましたように、二つの任用上のワクのようなもの、基準のようなものがある。その一つは二十五歳以上というきわめて明確な条項ですが、二番目のやつはたいへん幅があるというふうに思うのです。そこで、最近たしか商業新聞ないし週刊誌等でも特定郵便局のあり方についていろいろな批判が出ておることは御承知のとおりだと思うのですが、確かにいまのような形態をとらなければならないという面もわからぬことはありませんが、同じ郵政業務の中で、何といいますか、少しことばは悪いけれども、封建的というか、近代性無視というか、そういう環境の中に置かれておるということはまぎれもない事実だと思うのですけれども、いままでのところ、いろいろな事情でそういうものにメスを加えることができなかったが、今後一体この特定郵便局というものの取り扱いをずっと今日のような状態で続けていくのか、それとも、ただいまお聞きするところによりますと、一万五千三百六十の中で一万四千八十一、九三%であるという、そういう数字が出ているわけですが、これは相当大きな問題じゃないかと私は思うわけです。大臣いかがでしょう。特定郵便局のあり方を根本的に考え直すそういう御意思があるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  122. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私は、郵便局の特質、すなわち、どんな山の中でも、どんな僻地でもああいう役所があるというようなのはこれしかないのです。しかも、仕事の性質上が、現在、貯金とか保険とか、こういうこと、無集配局などはこういうところに局のたくさんの仕事が占めておるのであります。こういうことから言うと、どうしてもいまのような制度でなければならぬと、こういうように私は考えております。すなわち、地元の住民の信望がある人物を部内、部外から広く求めて、そうして仕事自体、地域社会に密着してやっていかなければならぬ。また、保険にしても貯金にしても、その本人の信用、信頼、こういうものが業務上非常に大きな要素である、こういうことからいたしますれば、いわゆる無集配局なるものは他に例がない。私は、よく百年も前これだけ民主化された役所ができておったものだと感心するくらいでありまして、いまの時世でよく官庁の民主化などといいますが、どれだけ一体民主化ができておるのか。私は、ほんとうに特定局制度などがほんとうの民主化の範とすべきものじゃないかとさえ思っております。仕事の性質上から、ただ中央から役人を任命して山の中にやって、そして十分な成績をあげ得るなんということはなかなかむずかしい問題でございまして、私は、任務の性格から言うても、地域社会の信頼とか、地域社会に密着しなければならぬ、こういうことから言うても、いまの郵政制度をやっていく上においてはああいう制度がどうしても必要である。こういう制度を、改善はすべきことはいろいろあるが、根本的にはこれを維持したい、こういうことを強く考えております。
  123. 瓜生清

    ○瓜生清君 確かに大臣がおっしゃったように、山間僻地においてそういう郵政上の一つの根というものがある、地域住民に対して非常に便利を与えている、これはいまお話されたとおりだと思うのです。ただ、問題は、私、やはり一万五千もあるそういうものが、たとえて言いますと、局長とそこで働いておる職員とのいわゆる人事関係、そういったものが必ずしも明朗でない、あるいは、また、その地方の人たちの信頼を得ていない、批判があるという面が確かに私はあると思うのです。  〔副主査退席、主査着席〕 したがって、こういう制度を存置されるということについてはいたしかたない面がある。また、いい面もある。それは十分理解しますが、いま言いましたようなことがこれからなくなっていくように、やはり郵政省としては強い指導方針というものをお出しになっていく必要があるんじゃないか、そういう観点からいま質問したわけでありますが、主査のほうからも時間の制限を受けておりますので、次に移ります。  端的に大臣にお聞きしますが、本年度の郵政省関係予算書を見ますと、郵便貯金ですが、資金運用部に預け入れてある郵便貯金資金等の利子収入が約年間二千二百三十八億円あるわけですが、そうして預金者に払う利子が約千五百四億円、大体七百億円の剰余金が出るわけでありますが、私は、政府もそうですけれども、非常に貯蓄奨励という風潮が強くなっておる。そういう情勢の中で、こういった零細な郵便貯金をしておる人たちに対して、預金利子の引き上げというようなことを考えられたことがあるのかどうか、いままたそういう問題についてどういうふうにお感じになっておるのか。といいますことは、私が申し上げるまでもなしに、郵便貯金そのものは、回り回って財政投融資その他にいって、いわば社会開発の大きな財源になっているわけです。ところが、東京の町を歩いていてもそうですけれども、このごろ建つりっぱな建物というのは銀行であるとか、あるいは生命保険であるというような、民間の金融機関というものが大きな収益をあげておるわけです。そこで、私は、国家一つの政策として、郵便貯金のような、少ない金額を預けておる、物価は上がる、利子は一般市中よりも安い、そういうところに何らかの配慮を加えるということ自体、政治のあり方として必要じゃないかというような気がするわけですけれども、そういう点に対する大臣の御見解を承りたいと思うんです。
  124. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはもうお説のとおりでありまして、私ども郵便局員が貯金を非常な努力をして集めて、それがすべて資金部の資金になる、こういうことでありまして、いわゆる還元的、あるいは褒賞的と、こういう制度が一つもないということは、私どもは郵政当局としまして、また、郵政大臣として、これを非常に不満に思っております。すなわち、私ども郵便貯金も、いわゆる組合の貯金等と何も違わぬ。しかし、組合では貸し付けもできる。しかし、われわれの窓口では貸し付けもできない。それからして、いろいろの奨励策も、一般の貯蓄については講じておるが、郵政省ではそれもやっておらぬ。すなわち、私は、一般の貯金より郵便貯金はわれわれのほうが非常に大きなマイナスを背負っておる、そのマイナスがあるにもかかわらず、郵便局員の努力であれだけの成果をあげておる。こういうものに対して、これらの人たちに対する還元と申すか、褒賞と申すか、あるいは刺激と申すか、こういうものが一つもなかったということは私は非常に残念に思っております。御案内のように、保険については保険の加入者ホームとか、あるいは保養所とか、あるいは、また、窓口の貸し付けとか、いろいろなものが行なわれておるのに、郵便貯金には何もない。これは私は非常に片手落ちであり、つとにこれらについては大蔵省なりに要望をすべきだと思うのでありますが、そういうものが欠けておるということは非常に残念だと考えます。ことしはようやくおかげさまで、これらの多少の足しになるための郵便貯金会館というものの設置が初めて認められたと、こういうことでありまするし、また、私ども一般の金融機関がみんなもう貸し付け等の業務をやっておる、すなわち、預金者に対する還元をやっておる。また、簡易保険においても同様のことをやっておるが、貯金にはそれがないということでありまして、私ども、貯金などについても、定額貯金などは一年間なり一年半の期間があるから、途中で引き出すようなことがあれば、多少でもこれに対してこれを担保として貸し付けでもすれば、それだけでも貯金の預入者に対しては非常なサービスになるということを考えて、ことしもそういう要求をしておりますが、いまお話のように、何らかの手段を講じなければ、ただ集めろ集めろだけでは私は済まないというふうに考えておるのでございまして、奨励その他についてはきわめて手薄であった。したがって、一般の民間の貯金と同じような性格を有しながら、これらのものに比べて非常なマイナスを背負ってきておるということをわれわれは痛感しておりますが、いまのような御意見はまことにごもっともで、ぜひひとつそういう方向に向かって進めたいということを考えております。
  125. 瓜生清

    ○瓜生清君 大体いつごろそういうような問題が前向きの姿勢で結論が出るんでございますか。
  126. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはいま郵便貯金会館というものは初めてことし認められたということでありまするし、それからして、貯金の多少の貸し付けを窓口でさせたいということは数年来の懸案としてやってきておりますが、とにかく大蔵省方面においては、国家資金の運用の一元化という面からいたしまして、きわめて大蔵省の抵抗と申しまするか、これを排除するという意向が強いのでございまして、われわれは何とかしてこれは実現さしたい、かように考えておりますが、これがいつになるかということはいま申し上げかねます。また来年度の予算においてもわれわれは強くこれを要求する、そうして郵貯会館などの数も、できたら全国郵政局所在地などにはできるだけ早い機会においてこれを実現させたい、かように考えております。
  127. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうすると、明年度予算編成のときにも、いまのような大臣考え方を強力に盛り込んでいただく、こういう強い御意思をお持ちであると解釈してもいいわけですね。
  128. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 強力にひとつこれを促進したい、かように考えております。  それから、利子の問題は、これはもうやはり他との権衡ということが、これは金利政策上きわめて強くいわれて、それもやはりある程度やむを得ない。その権衡論のために、過般、瓜生先生も御存じのように、郵便貯金の利子の引き下げをしたいということが、民間にも、あるいは党内にもお話があったことは御承知のとおりでありますが、こういう零細貯金についてさような計らいは私は絶対行なうべきでないという主張をいたしまして、据え置きになったことも御承知のとおりでありまして、やっぱり金利の権衡は保ちたい、かように考えまするが、権衡を保つために下げるなどということは、私は郵便貯金の性質上いたすべきでない、かようなことを考えております。
  129. 瓜生清

    ○瓜生清君 では、大臣に最後に質問を一つ行ないます。先ほど鈴木委員からも相当詳しくお尋ねのありました電話料金の値上げの問題ですが、実は、私、昨年の七月の臨時国会のときに、参議院の予算委員会の総括質問で、当時の郡郵政大臣にお尋ねしたことがあるんですが、そのときは四十年の九月ですか、答申案が出て、それに基づいて、値上げ問題のことについてはいま全く白紙の状態ですと、こういう御答弁をいただいたわけです。きょうの大臣鈴木委員のやりとりを聞いておりましても、あれから十カ月たちますが、どうも具体的な答えというものが出てきません。ところが、いずれにしたって、これはいま上げるということにつきましては大きな政治問題になることは必至ですけれども、このままの状態で置いておくという、そういうお考えはないと思うのです。一体いつごろまでに電話料を値上げするのかしないのか、あるいは政府のいまやっております物価対策の方針に沿って、一年間は上げないというような、そういうことになるのか、それの最終結論は一体いつごろお出しになる予定ですか、お聞かせ願いたいと思う。
  130. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私も就任以来、電話の収入、あるいは電話の施設、経費と、こういうものを勘案いたしまして、早くに、四十二年度は上げないと、こういうことを私は決定をしたのでございまして、このことは早くに言明をされておる。しかし、四十三年度については何も言及しておらぬ。これはこれからの長期計画等も考えて、真剣に私はこれは検討しなきゃならぬ。しかし、何をもってやるか、要するに財源の問題でありますから、財源があれば間に合うから、四十二年度は財源で片づける、こういうことで財政投融資の増加によってこれのつじつまを合わせる。来年度の歳出を考える場合に、財政投融資で問に合うか間に合わぬか、こういうことを考えなきゃなりませんし、したがって、電話の施設計画というものができて、そして施設計画に合うような資金計画ができますから、その資金計画をほんとうに見て、その上でなければ結論は出ない、こういうことでありまして、私は、いま公社の総裁にも、真剣にひとついまのいわゆる事業計画というものをつくってもらっておる。計画がもとにならなければ経費がどれだけかかるかわかりませんから、それができてから初めて資金計画、あるいはその資金をどういうふうに調達するかと、こういうことになるのでありますから、一番大事なことは、まず来年度以降の計画がもとになる、そのために適正な計画をつくってもらう。結論としましては、私は、来年度の予算は、どうしても公社は十月ころまでにある程度めどをつけなければならない。したがって、この問題はそれまでには、少なくとも四十三年度はどうするかということをきめなければならない、かように考えて、実は今度の予算がお認め願えれば、すぐに来年度の事業計画、こういうものについて具体的なことを協議したい、こういうふうに思っております。
  131. 瓜生清

    ○瓜生清君 郵政大臣はこれでけっこうです。  次は、公社の総裁にお伺いしますが、いまの電話料金の問題ですが、いまの段階で大臣がなかなかすらっとしたことを言えない立場にあることはわかるのです。しかも、電話料金、あるいは電信料金の問題は相当大きな政治問題に発展する可能性もありますが、端的にお聞きしまして、そういうふうな大きな要素というものが片方にありますけれども、いまいわゆる公社として電話料金の中にはいろんなものがあるわけですね、たとえば基本料であるとか、あるいは施設料であるとか度数料であるとか、あるいは、また市外通話料であるとか公衆電話料であるとか、たくさんございますが、どういう部門の採算が一番悪いのか、一つ二つ例をあげていただきたい。
  132. 米津滋

    説明員(米津滋君) いまの御質問についてお答え申し上げます。  公社の電信電話料金上げましたのは昭和二十八年でございまして、それ以来十四年たちます。この間、技術革新も行なわれましたし、それから、また、従来磁石式の電話機がたくさんありまして、これはせいぜい県内くらいしかかからない。それが最近はダイヤルで全国どこへでもかかるというふうに、質的に非常に変わってまいりました。ところが、料金体系というものは、数年前にいわゆる距離別時間差法というものを取り入れ直しましたけれども、根本的にはちっとも変わっていないのでありまして、たとえば基本料金あたりは、これは全般的に非常に低過ぎるのじゃないか。それから、また、市内の料金というものが市外に対しまして相対的に低いというようなことがあります。したがって、われわれといたしましては、先般予算委員会で、昭和四十三年度において料金修正を考えなければならないと思っていますということをお答えしたのでありますが、その際にそういった問題もあわせてやはり考えなくちゃならないと思います。  それから、また、電報につきましては、昭和四十年度の決算で、一年間の赤字が約三百五十億である。これは公社としていままで何も手を打たないというわけではないのでありまして、全国の三十の中継局を世界に先がけて自動中継所に直すということでいろいろ対策を講じたわけでありますけれども、それでも人件費が七〇%以上占めておるという状態でありますし、したがって、今後合理化をやはり、どうしても進めなければならない。たとえばどんな合理化かといいますと、夜間の窓口を閉鎖しまして、そこにかわりの自動の電話機を置きまして、そして親局からそこへ電報が打てるようにする、あるいは配達に模写電信方式を取り入れるとか、それからいろいろ合理化を進めなければならぬと思いますが、しかし、それにいたしましても、やはり電報の値上げといいますか、料金修正というものはどうしても必要になってくると思います。公社といたしまして先ほどからいろいろお答えしておりますけれども、長期拡充計画をどうするかということが一つの問題点でありまして、それに対して資金をどういうふうに考えていくかということ、それから、経営全般のそういった問題を総合的に考えながら料金の体系をきめるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、とにかくこの十四年間値上げをしなかったという時点において、電話の効用というものも非常に変わっておりますし、それから、いままでせいぜい百二、三十万の範囲しか通話ができなかったのが、九百万くらいの間に相互に話ができる、その利用価値も非常に上がっておりますので、そういう点を総合的に考えていきたいと思っております。
  133. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、くどいようですが、純然たる政治的な考慮を払わずに、事務ペースで検討した場合にはどこが悪いというような区別をすることは比較的困難である。したがって、かりに上げることに踏み切るとするならば、いま私が申し上げましたようなたくさんの通話料の種類があるわけですけれども、大体料金体系そのものを変える場合には全般的にアップする、そういうふうなことに結論的に言うとなりますね、いかがですか。
  134. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) いま御指摘がこざいましたが、われわれといたしまして具体的に料金改正案を持っておるわけでございませんが、われわれといたしましては、もしやるとすれば、やはり佐藤調査会の答申を尊重するということになると思うわけですが、佐藤調査会で審議をされました結果出された答申におきましては、やはり電話についていいますと、基本料が非常に安過ぎる。現在大体日本の基本料は、一加入者当たり平均いたしまして八百円ですけれども、これは資本費用——保守費とか維持費とかを除いた単なる利子、減価償却費だけですが、そういう資本費用だけでも月に二千六百円、その三分の一にも足らないというふうな指摘を受けておりますし、また、諸外国に比較をいたしましても基本料金は非常に安いわけでございます。なお、度数料でございますが、度数料は諸外国に比較いたしましてもきわめて安いわけです。たとえば日本は七円ですが、イギリスは十二円六十銭、フランスは十九円七十銭、西ドイツは十六円二十銭とか、アメリカは十七円でございますけれども、アメリカにおきましては、シカゴの中で例をとって考えてみますと、シカゴの中は九つのゾーンになっておりまして、端から端までは九等差、すなわち、四セント四分の三の九倍かかる、中心から端まででも約六倍かかる。しかも、時分制であるということ等を勘案しますと、やはり度数料というものが諸外国に比較いたしましても非常に安過ぎますというような指摘を受けております。それから、事務用、住宅用の別などを付しておりますのはアメリカとイギリスだけでございまして、その他のヨーロッパの諸国は事務用、住宅用の別を付しておらないわけでございます。したがいまして、そういうふうな点を勘案いたしまして、やはり電話の将来を考えて、現実を無視していくわけにはいきませんし、沿革を無視していくわけにはいきませんけれども、そういうふうなやはり幾らか体系を是正する、できるだけ是正するという、現実を踏まえながら是正していくというふうなことにすべきだという答申を受けている次第でございますので、公社としてはそれを尊重してやるということになるのではないか、こういうふうに考えております。
  135. 瓜生清

    ○瓜生清君 最後の質問をいたします。  総裁にお尋ねしますが、最近非常に自動化が進んで合理化がなされていると思うのですが、いままでそういう事業計画をお立てになって、どの程度の電信電話公社の、何といいますか、合理化の効果があがったのか、それがまた従業員の配置転換がスムーズにいっているのか。それから、さらに、いままでは大体都市から手がけていった、これからは地方のほうにそういう自動交換機その他がどんどんできてくると思います。そうしますと、都市ではいろいろ電信電話公社関係の働く場所があって、そちらに切りかえていくということは比較的容易なんですけれども、これからそういったところに拡充の手を広げていかれるわけですけれども、そういう場合の対策等についてはお考えになっていると思いますけれども、大体総裁のそういう労働問題を中心にしたお考えを承っておきたいと思うのです。これでやめます。
  136. 米津滋

    説明員(米津滋君) ただいま御指摘がありましたように、公社といたしまして全国の電話を逐次自動化するということを第二次五カ年計画以来、特に進めてまいりました。初めは大都市でありましたけれども、それがだんだん県庁所在地にいき、さらにだんだん小さな都市にできまして、それで配置転換、あるいに職種転換等につきましては、第二次五カ年計画のときに、あるいは第三次五カ年計画を実施するときにも全電通の労働組合とも十分いろいろ話し合いいたしまして、いままで大体全般的には順調に進んできたと思っております。この間また国会にお願いいたしまして、電話の自動化特別措置法というものを通していただきまして、そういう自動化等によって運用要員が過剰になって、本人がやめたいという場合には特別な退職給付金を出すというようなこともやっておるわけであります。今後の問題を考えてまいりますと、だんだん公社の直轄局から郵政の委託局へ移ってくるという傾向にありまして、いわゆる郵政省の職員の方の配置転換なり職種転換、あるいは郵政から電電に移るという、そういう問題が起こってまいります。これにつきましては、これまでもいろいろ郵政省の郵務局と私のほうの関係の局とが十分打ち合わせをしながら進んでおりまして、これはまあ四次計画を実際われわれが具体的に考える場合のやはり一つの重要な問題だと思っております。過去においてどれだけ配置転換が行なわれたかという数字につきましては、所管局長から説明させたいと思います。
  137. 瓜生清

    ○瓜生清君 簡単でいいです。
  138. 中山公平

    説明員(中山公平君) 昭和三十八年から四十年までの三カ年のここに統計がございますが、それによりますと、昭和三十八年度におきましては、いわゆる先生指摘の設備の近代化によるものだけをとりまして五千二百九十七名、三十九年度におきましては四千九百八十三名、四十年度におきましては五千六百十七名、こういった配置転換、職種転換が組合との協約に基づいて行なわれております。
  139. 鈴木強

    主査鈴木強君) 以上をもちまして郵政省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十五分体感      —————・—————    午後一時五十二分開会
  140. 鈴木強

    主査鈴木強君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  昭和四十二年度総予算中、建設省所管を議題といたします。まず、政府側から説明を求めます。西村建設大臣
  141. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 建設省関係昭和四十二年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管の一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は三十五億二千百余万円、歳出は六千三百二十二億二千余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省の所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管の事業として実施される予定の経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十二年度の建設省関係予算は七千二百五十七億六千五百余万円となり、前年度の当初予算に比べ九百三十六億百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ八百五十七億九千四百余万円の増加となっております。なお、国庫債務負担行為として官庁営繕に五十四億九千四百万円、河川等災害復旧事業費補助に九十五億八千万円を予定いたしております。  次に、特別会計予算の概要を申し上げます。  道路整備特別会計の昭和四十二年度の予算総額は、歳入歳出とも四千五百二十七億四百余万円で、前年度の当初予算に比べ五百五十六億七千百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ五百五十三億百余万円の増でありまして、うちおもなる財源としましては、一般会計より受け入れとして四千八十三億五千百万円、地方公共団体工事費負担金収入として三百四十三億五千六百余万円、前年度剰余金の受け入れとして十六億円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄道路改築聖業に二百十九億二千七百万円、街路事業費補助に二十五億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円、直轄道路共同事業に二十一億五千万円、共同溝附帯工事に八億六千万円、道路橋架設受託工事に六億五千万円を予定いたしております。  次に、治水特別会計でありますが、本特別会計の昭和四十二年度の予算総額は、歳入歳出ともに一千五百七十一億四千五百余万円で、前年度の当初予算に比べ二百十九億八千六百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ二百九億七千六百余万円の増となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額一千三百五十九億七千三百余万円で、前年度の当初予算に比べ二百四億七千二百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ百九十四億九千四百余万円の増でありまして、うち、おもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして一千百四十一億四千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として百四十三億三千九百余万円、前年度剰余金の受け入れとして一億五千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百十一億七千百余万円で、前年度の喪初予算に比べ十五億一千四百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ十四億八千百余万円の増でありまして、うちおもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして百三十四億八千余万円、地方公共団体工事費負担金収入として二十四億九千四百余万円、電気専業者等工事費負担金収入として三十四億七千六百余万円、前年度剰余金の受け入れとして三億一千百余万円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に三十八億五千七百万円、首都圏河川改修費補助に十億二千五百万円、多目的ダム建設事業に七十億五千三百万円を予定いたしております。  次に、都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計の昭和四十二年度の予算総額は、歳入歳出とも三十六億六千八百余万円でありまして、うち、おもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして五億円、借入金として三十億円を予定いたしております。  建設省関係予算事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してありまする昭和四十二年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。  なお、お手元に配付してあります予算の説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮方をお願いいたします。
  142. 鈴木強

    主査鈴木強君) おはかりいたします。ただいま建設大臣の御発言中にありましたとおり、以下の説明につきましては会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 鈴木強

    主査鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  144. 白井勇

    ○白井勇君 私は、ごく常識的な質問でありますけれども、ちょっとお尋ねをしたいと思うのであります。  都市計画法というものがありまして都市計画が実施をされるわけでありますけれども、その実施をされまする段階におきまして、現在住宅地になっているどまん中にじんあい焼却場をつくるという姿というものは都市計画上あり得るものであるかどうかということなんですが、どうでしょうか。
  145. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) ごみ焼却場は、都市計画法の姉妹法でございます建築基準法に規定がございまして、「都市計画の施設としてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。」、こういう規定になっております。というのは、ごみ焼却場というのは、特に環境上の配慮を必要とするという施設でございますので、用途地域、いわゆる住居地域その他のように、一般的にここに住居を建ててよろしいというのでなくて、一つ一つについて都市計画支障がないかどうかというのを配慮して総合的に判断してきめるというようなたてまえになっていると思われます。その場合に、周囲に対する影響とか、あるいは交通処理とか、また、能率的に処理できるような観点から都市計画上適当かどうか配慮するわけでございますが、そういうように一つ一つ施設をきめるということになっております関係から、おそらくそういう関係から支障がない場合には、現在の法律のもとでは住居地域の中でも建ててもいいということになっております。ただ、住居専用地区という特別な地域指定をしたところがございまして、そこでは排除されておりますが、住居地域では設置してもいい、こういうことになっております。
  146. 白井勇

    ○白井勇君 これは私から申し上げるまでもなく、都市計画法の第一条を読んでみますと、「都市計画ト称スルハ交通、衛生、保安、防空、経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画」だと、こういうのですね。そうしてみますと、たとえば帳面上なり台帳の上におきまして緑地地帯とか、いろいろいまの指定がありましょうけれども、現実に周囲が住宅になっておりまするどまん中にじんあい焼却場というものがぽつっと割り込んでくる、こういう姿というものは一体都市計画であり得るかどうかということなんですよね。大体私知っている限りにおきましては、工場地帯の隣接地帯でありますとか、あるいは、また、河川の岸でありますとか野原でありますとか、その当時は少なくも住宅のなかったところに大体建てていると私は了解しておりますが、その後それを承知の上で住宅がきておりますれば、承知の上で建てるのですから問題ないのです。しかし、現実にどういうふうに帳面上指定されておりましても、いま申し上げたように、周囲は全部住宅地である、たまたまそこがあいておるからそこに割り込んでくるという、こういう一体都市計画があり得るかどうかと、非常に常識的にも疑問に思うのですが、どうでありましょう。
  147. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 原則的には確かにおっしゃいますように、住宅地から離れたところにごみ焼却場をつくるというのが一番いい姿だとわれわれも考えます。ただ、ごみ焼却場はごみを集めて焼却するわけでございますから、非常に離れたところにごみ焼却場をつくるということになりますと、収集の回数とか、あるいは運般の経費とかいうような問題が出てまいりますので、ある程度やはりごみを出すところからの距離の限度というものが出てまいります。そういうような場合に、やはり新しくごみ焼却場をつくらなければならないというような場合に、やむを得ずあき地を求めて住宅地の近くに建てるというような場合も出てくると思います。その場合には、もちろんごみ焼却場の施設は最も近代的なものをつくる、あるいはまわりに緑地をとるとかいうような配慮は当然必要かと思いますが、やむを得ずそういう場合が大都市等においては出てくる場合もあるわけでございます。
  148. 白井勇

    ○白井勇君 私は都市計画の原則を伺っているんです。一体いまのお話みたいなもので、東京都なんかでございますと、その区で出ましたじんあいなり汚物というものは、その区域内の地帯において処理施設を考えなければならぬという、そういう都市計画ですか。
  149. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 例を東京都にとりますと、大体東京都では周辺部の区部におきましては、南は別でございますが、東西南北にその周辺のごみを集める焼却場の配置をいたしておるわけであります。ただ、区部の内部になりますと、これは海岸のほうに持っていく。運搬距離等からみまして海洋に持っていったほうがいい。そこは海岸地帯を考えております。大体全体のごみの出てきます分布を考えまして、分布上はごみの処分については周辺部の区部に何カ所か置くというような形になってまいります。
  150. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、まことにわからないんですけれども、先ほどちょっとお話がありましたね、やはりごみを集めたり、交通の、何といいますか、便利なところ、しかも、焼却をするというためには、その事業からいいますれば非常に能率的なような場所につくらなければならぬというお話なんですけれども、そういう割り切り方で都市計画というものがやられるものか、非常に私は疑義を持つのですけれども、むしろ、やはりここにもありますとおり、これはどこまでも公共の安寧を維持しとか、衛生上どうのこうのということであって、まず住民のことを考えなければいかぬと思うんですね。いかにもごみを集めまして焼却をするその事業そのものから見れば非常に経済的であり、便利であります。ところが、そのことだけによって、地元の住民のことを考えないで、ぽつりと住宅地のどまん中に焼却場を持ってくると、こういうものの判断というものは、全くこれは都市計画でも何のためにやっているのかわからない結果になるんじゃないかと思うんですが、そこらあたりどうなんです。
  151. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、ごみ焼却場を非常に遠隔の地に持っていくということは、ごみ焼却場の運営、あるいはごみの収集上から、やはり距離に限度がございますので、住宅地域はできるだけ避けるべきだと思いますけれども、空地がないというような場合に、やむを得ず住宅地の近くにごみ焼却場を置くということも実際の問題として出てくる。その場合に問題になりますのは周辺に対する影響でございますので、まわりに緑地をとるなり、あるいはごみ焼却場自体を近代化する、あるいは運搬車自体をもっとくさいものが出ないような形にするなんというようなことを考えて、迷惑の及ばないような措置をとりながら、やむを得ず住宅地のそばにつくる場合があるわけでございます。
  152. 白井勇

    ○白井勇君 やむを得ずそういうことがあり得るとおっしゃいますけれども、ごみを集めるのに道路関係が非常によくなって、そこが便利だ、そういうことになりますと、道路がよくなってくるというのは、いま御承知のとおり、夢の島に捨てておるわけですね、非常に遠隔の地に持って行っているわけです。それは、たとえば山の手の郊外地から繁華街のどまん中を通って行って夢の島に行っているわけですね。ところが、郊外とおっしゃるような地帯におきましても、いま地方等に行きますといろいろな道路が完備されておりますね。そうしますと、いまはそこに集めるのに都合いいということは、逆に、もっと郊外のより遠いところに持っていけば非常に能率的になってくるんですね。そういう道路整備になっているんです。ですから、そのことにとらわれて、やむを得ないから住宅地につくるという考え方も、これもどうも私はちょっとふに落ちないのです。
  153. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 道路が整備されることを前提にいたしましても、やはり非常に遠い距離でございますと、運搬車がごみ焼却場まで物を集めて持っていくのに時間がかかりますので、そういたしますと、収集の回数というようなものにも響いてくるということになります。もう一つは、運搬距離が、運搬するところは全部ごみの車が通るわけでございます。そういう点からいいますと、やはり運搬距離が相当長いということが問題になるのでございますが、そういうような観点から、やはり運搬に便利なところである必要はございます。あまり遠くへ持っていくと困るという問題が出てくると思います。
  154. 白井勇

    ○白井勇君 この決定につきましては私よく存じませんけれども、この法律の三条によりますと、都市計画審議会ですか、都市計画審議会ですね、これの議を経て主務大臣がこれを内定して内閣の認可をとるという手続になるわけですか。一応東京の例でいいますと、これは審議会令か何かで、一応都知事が会長になるわけですね、そうしますと、都知事が審議会長になるわけです。これでいいだろうといって認めてきますと、それは建設省へいって、主務大臣が決定をして、これを内閣の認可を受くべしということになるわけですね。そうした場合に、この審議会から出ました結論は、今度建設大臣が決定をします場合に、どういう決議によるのですか。ただ書面で見ましても、大体形態がそろっておりますればそれですぐ決定をするのか、あるいは現地を見るとか再審査するというようなことはあるのですか。
  155. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 法律上はそうなっておりますけれども、ちょっと申しますと、内閣の認可というのは戦時特例ではずれております。建設大臣がきめる実際のやり方といたしましては、原案を東京都のほうから持ってまいりまして、それを都市計画審議会にかける前にわれわれのほうで審査いたします。その場合に実地調査もいたします。そういたしまして、確信が持てますものにつきまして審議会に付議いたします。建設大臣が付議したものが審議会で決定されますと、また上がってまいります。それを審査いたしまして決定をするということでございます。
  156. 白井勇

    ○白井勇君 それで、私、具体的にちょっと聞いてみたいのですが、杉並の上高井戸にいまつくるという——すでに決定をされたということですが、いまのように建設省の都市計画の専門家が見まして、あそこはやむを得ないというふうに決定をされました考え方、それをちょっと。
  157. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、東京都のごみ焼却は、一応二十三区内の分布を考えましてそれぞれごみ焼却場の位置を予定しております。その考え方といたしましては、区部周辺部におきましては、区部周辺部にやはりごみ焼却場を運搬距離等の関係からつくらざるを得ない。今度高井戸にきめましたのは、杉並と練馬の一部、それから中野の一部、これのごみを処理するわけでございますが、杉並のごみ処理が一番多いわけでございます、この中では。したがいまして、それと土地の関係上この辺を物色したわけでございますが、候補地は幾つかございました。そのうち、私どものほうで東京都から出てきた案に対しまして、逐一現地調査をいたしまして審査したわけでございますが、一つは、やはりまわりに対する環境上どうかという問題。それから、もう一つは、一番ごみ焼却場の場合に問題になりますのは、ごみ焼却場自身も問題になりますけれども、これは最近非常に設備が改善されまして、煙穴から出る煙の問題も、あるいはごみの車が入りますところの施設の問題も相当改善されてきておりまして、一番地方住民の方が苦情をいわれるのは、運搬の通路の問題が一番大きいわけでございまして、そういう運搬通路関係ということを主題にいたしまして検討しました結果、まあ最適地というよりは、ほかの候補地と比べまして、まあ、ここにせざるを得ないのじゃないかという判断でこれがよかろうという審査意見を出したわけでございます。
  158. 白井勇

    ○白井勇君 やむを得ずやらなきゃならぬ。いま候補地として載っているもので比較してみますと、それが一番適当だと思われる根拠ですね、どういうことなんですか。あれもごらんのとおり、全部周囲は住宅地ですね。ただ、地番の上におきましては緑地というようなものがあるようですが、現実は住宅地なんです。そのどまん中に持っていかれて、ほかの理由が多少あろうが、まず非常に私は常識的に頭が狂っているのじゃないかと思う。現実は、いまはとにかく、御承知のとおり、あの辺のじんあいというのは夢の島まで行っているわけです。道路から申しますと、八号線が拡大をされる、中央道は近くに通ってくる、幾ら遠いところまでも運び得るような道路交通があるわけです。それを先ほど申し上げましたように、ただごみを集めて焼却をするには都合がいいというだけの判断で、地元の民衆の意向などを全然無視をしてきめるというような、その姿というのは最も私は忌むべきものだと思うのですよ。どうしてあれが最も適当だというふうに判断できるのですか。
  159. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 四つばかり選定条件がございまして、一つは地域の問題でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、まあ現実は住宅が建っておりますけれども、緑地地域でございます。それから、敷地の地形等が合理的、効率的な土地利用ができるという点が一点でございます。それから、搬出入に幹線道路がある、環状八号線の幹線道路が利用できます。一般道路交通に支障を与える点が少ない、非常に広がりますから。それから、密集した商業住宅地を避けている、搬入出道路そのもの、あるいは敷地が。そういうようなことが第二点でございます。それから、三番目は、清掃業務の運営上、先ほどから申し上げておりますように、杉並、中野のごみを収集するのに適した距離にある。それから、四番目は、事業費等から見ましても適当であるという観点、これはいずれも相対的な問題でございまして、ここが最も適当だという判断よりは、先ほど申しましたように、ほかと比較いたしまして、ここでやむを得ないのじゃないかという判断になるわけでございます。そういう四点がおもな点であろうと思います。
  160. 白井勇

    ○白井勇君 先ほど焼却炉自体が非常に近代化されたとおっしゃいましたが、それはそのとおりだと思うのです。しかし、先ほど申しましたように、いままで住宅地のどまん中に少なくともじんあい処理場を持ってくるというような、そんな常識で判断された例は私は聞いていないのですが、幾ら近代化いたしましても、これは医科大学の専門家の意見なんですが、こういうことを言っております。幾ら煙穴を高くしましても、少なくもその被害というものは直経四キロに必ずわたります、こういうことを言っております。一番やっぱり具体的に被害をこうむる結果になるのは、アレルギー体質の人がまず一番最初にこうむる。それから、ぜんそくの誘発、皮膚の湿しん、目がしょぼしょぼしてくる、あるいは気分がいらいらする、こういうような結果になってくる。そうしまして、いま重油を使って焼くわけでして、一応ほこりをとりますけれども、やっぱり目に見えないじんあいというものは、どうしたっていまの処理では処理できないと思います。その結果どうなるかというと、そういう微小なごみというものは、これは煙突を幾ら高く上げてみたところで——これは私の専門ではありませんが、ブラウン運動というものの結果ですよ、地上に落ちてこないで、空中の一定の場所に停滞をして、そしてそこに一つの層をなす。したがって、学問的にいいますと逆転層ということになるそうでありますけれども、そのことによって紫外線というものはさえぎられてくる。そういう公害というものは、これはもう避けられないのだ、こういうのですね。いかにも目に見えるようなほこりというものはなくなるということはあるでしょう、あるいは運搬の途中の自動車も整備をしまして、ふたをするとか、そういうことはあるでしょうけれども、そういう公害というものは避けがたいことが立証されているわけですね。そういういまのような判断で大体じんあい焼却場というものをその近くに置かなければならぬと言うが、しかし、あの辺になりますれば、これはもう都市なんですね、どまん中ですよ。だから、都市計画上ああいう姿というものは、まずこれは考え直さなければならぬのじゃなかろうかと思うのですが、これはおそらく決定をしたというふうな話を聞いておりますけれども、地元あたりが承諾をしない、こういうのですから、これからいろいろもんちゃくを起こしてくる姿になるでしょうけれども、これは、少なくも都市計画を進める考え方としまして、最も間違った典型的な姿をあそこにあらわしている、こう思うのです。これは私の意見になるんですから、これ以上申し上げませんけれども、この点は将来よく考えなければならぬ問題じゃないかと思うのです。都市計画をやる場合に、汚物なり、じんあい物というものをその区域内で処理をしなければならぬとか、あるいは地元から、そういうものを地元に置いてくれというような過去の陳情のいきさつがあったとか、いろいろありましても、こういう新しいものをつくるわけですから、そういう高度な都市計画の観点に立って、そうして全体として考え、じんあい焼却場、汚物処理場というものを考えなければならぬ、これは当然のことじゃないかと思うのです。それを都議会なり区議会なりのいきさつにとらわれて、そういう計画はやむを得ない、場所はこれしかないのですという、こういうものの判断、先ほど申したように、ごみ焼却をやるための事業は効率的にやるというような判断のもとに、住民の意思を無視したような措置というものは、私は最も考えなければならぬ問題じゃなかろうか、こう思います。  これ以上質疑は続けませんが、よくお考えを願いたいと思います。
  161. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 実は、この問題は私も非常に真剣に検討いたしまして、私自身も現に候補地を全部見て比較検討して考えたわけであります。ただいま公害の問題がございましたけれども、最近のごみの施設につきましては、ばい煙の関係、亜硫酸ガス、無水炭酸というような関係からいいまして、これはもちろん絶無というわけじゃございませんけれども、いろいろ法律で規制しております規制量の大体七分の一くらいしか出てこないということになっております。それから、におい等も、最初にごみをたきますときにちょっとにおいが出ますが、それがある程度回転いたしますとそれほど煙のにおいも出ないというようなことが調査の結果出ておりますが、おっしゃいますように、周囲に非常に迷惑を及ぼす施設でございますので、慎重に事を処していくという態度で臨みたいと思います。
  162. 白井勇

    ○白井勇君 いまのお話を聞きまして、あなたみたいな専門家でいらっしゃる方があそこにきめたということを聞きますと、一体建設省の頭というのはどっか狂っているのじゃないかという感じがしますね。
  163. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私は、近畿圏整備の問題につきまして、主として次長にお伺いしたいと思うのです。近畿圏整備法ができましたのは、その目的はどういうものであったかということをまずお伺いいたします。
  164. 上田稔

    政府委員(上田稔君) お答えを申し上げます。  近畿圏整備本部ができました目的は、近畿を一つ考えまして、二府六県を一つ計画のもとに調和のある将来というものを描いて、それに向かって発展をさせていきたい、こういうことからスタートをしたわけであります。
  165. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 まあ近畿は一つという呼び声は高かったわけですけれども、そのときに東京はすでにもう過密都市になっていたわけですね。で、京阪神というのが東京と同じように過密都市になっては困る、したがって、過密都市になるのを防ぐということで近畿圏の整備をやらなければいかぬのだ、こういうことじゃなかったでしょうか。
  166. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 阪神間におきましては、産業、人口というものが非常に集中をいたしておりまして、そうしてその周辺にはさらに産業、人口が増大をしていくという傾向が明らかに出ておりまして、この傾向をやはり緩和いたしまして、そうして周辺の府県の、あるいわ都市開発区域といったほうがよろしゅうございますが、その区域に人口、産業というものをある程度分散して、そうして調和のとれた一つの圏として発展をさせていきたいというのが趣旨でございます。
  167. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そうして三十八年にできたのじゃなかったでしょうか。だから、もう三、四年たっておるということですね。
  168. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 三十八年に成立いたしまして、もうすぐ四カ年を迎えようといたしております。
  169. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それで、最近の京阪神のようなものは既成都市区域というようにいわれておりましたけれども、その既成都市区域の人口はふえておるのか減っておるのか、どういう様子なんでしょうか。
  170. 鈴木強

    主査鈴木強君) 速記をとめて。  〔速記中止〕
  171. 鈴木強

    主査鈴木強君) 速記をつけて。
  172. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 既成都市区域の人口でございますが、昭和三十年におきましては約五百十万でございます。それが三十五年におきましては約六百万になっております。それから、四十年におきましては六百三十四万でございますので、その伸びで申しますと、三十年から三十五年までは一・二倍程度の伸びになっており、三十五年から四十年までは一・〇五倍の伸びでございます。
  173. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それから、近畿圏整備が始まりましてから、既成都市区域から近郊整備区域とか、新しく都市を開発する区域とか、そういうところへ工場とかあるいは学校が移ったということはありますか。
  174. 上田稔

    政府委員(上田稔君) そういう工場の出ておる例もございます。しかしながら、また、工場が出たいという意思は非常に旺盛なんでございますけれどもあと地の買い上げの問題というのでしょうか、あと地をどこかに売りさばくという問題がやはり解決しませんと、なかなか移るということができないわけでございます。したがいまして、そのために建設省のほうであと地買い上げのための資金を府県に貸してやろうというような制度をつくられたのが四十一年度だったと思いますが、おつくりになったわけでございます。この制度がまだ十分に働いておりませんが、これが働きますとそういう工場がだんだん出ていくのではなかろうかというふうに考えております。学校の点におきましては、いま、たとえば同志社大学が、近郷の中でございますが、田辺の近くのほうに土地を買っておるとか、あるいは阪大が万国博覧会の用地の近くにやはり移転をしたい、工業部でございますが、そういうような用地の獲得というようなことをやっておりますが、また、具体的にはっきり動いたというものはありません。
  175. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 都市開発資金というのは非常にいい制度だと思うのですが、都市開発資金であと地を買い上げるのはだれが買い上げるのですか。
  176. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 公共団体に全額資金を融資するわけでございます。公共団体が工場あと地を買い上げる、こういう仕組みになっております。
  177. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 公共団体が買い上げて、それをあとで市街地にしたりあるいは高層住宅にしたり、そういうような公共的な用途に使っていくのですか。
  178. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 工場あと地を買います場合には、一応、あと地の計画を出させます。その場合に、それが住宅なりあるいは公園なりあるいは、その他再開発に資するような計画、こういう場合にそれを条件にいたしまして貸し付けるというわけであります。
  179. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 工場とか学校が今度新しいところへ移転したいという場合に、先行き投資として土地を買い上げておかなければいかぬわけですね。こういうものも都市開発資金で金を出せるようになっていますか。
  180. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) そのほうは別途宅地開発、工業宅地の開発事業というような形で府県なりあるいは公団なりがやっておりますので、そちらの方面は都市開発資金ではみないわけであります。
  181. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それで、日本全体として見ましても過密現象、これから過疎現象がいまきわめて顕著になって弊害が出ておる、そういうような状況なんですが、四月末の新聞を見ますと、自治省のほうは都市政策の基本的方向として、「大都市の再開発は必要とする範囲にとどめ、その余力を裏日本など新天地の計画開発に振り向けるべきである」、こういうふうに言っているというのですね。それからこれに対して『経済企画庁、建設省は「自由経済下では大都市への人口、産業のある程度の集中は避けられない」との見方をとり、とくに建設省は、この立場に立って円滑な都市機能と良好な都市環境の形成を目的とする都市計画法案を今国会に提出する方針である。』、「早くも政府部内で産業、人口をこのままに抑制すべきかどうかの基本問題で対立」しておる、こういうようなことが出ているわけです。それで建設省は、このように対立しておるということじゃないだろうと思うのですが、特に大臣は大分県の御出身でございますから、人口が東京あたりが過密になって、そして大分あたりが過疎になって困るということもよく御存じだと思いますので、この点、ちょっと大臣から建設省の考え方をお聞きしたいと思います。
  182. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 自治省とそう考え方が違うということはないのですけれども、やっぱりしかし、根本的にはこの過密過疎の問題ですが、将来に向かって均衝のある、日本全体が均衡のとれた発達をしなければいかぬということは根本の政府考えであろうと思うのです。したがいまして、新産業都市だとかあるいは工特のような法律案もできて地方開発をやっておる。しかしそれがあまり思わしく進まぬと、あるいは人口もそんなにあまりふえぬと、したがいまして、今後政府は強力に地方開発をやってなるべく産業の地方分散をやり、人口の集まり方をあれすると、産業のみならずやはり教育制度、教育機関等もなるべく過密にならないようにしたいということは考えておるわけであります。したがいまして、公共投資をやる場合に、建設省といたしましてももう少し新産都市だとか、工特のほうにどちらかというと重点を置いてやりたいと私は思います、地方開発を。しかし、それだからといって、いま起こっておる問題を、あるいは起こりつつある人口の問題を一ぺんになかなかとめるわけにいきません。とめるわけにいきませんから、現在でも非常に過密になっておるんだから、既成の市街地あるいはその周辺につきましてはやはり十分再開発をしていかにゃならぬということでありまして、決して自治省と建設省が意見が対立しておるというようなことではないのでありまして、あくまでもやはり国土の健全な発達をはかりつつ、まあ現在の焦眉の急務といたしましては大都市の過密に対して対処したいと、かように考えておるものでございます。
  183. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私も大臣意見と全く同意見でございまして、それで過密のところは人間がいよいよ過密になろうとする傾向があるわけですね。したがって、過疎地域をやはり相当投資もしていかなければ、そうでなくても過密になるのですから、困ったことになる。だから近畿圏整備の考え方といたしまして、裏日本というものがだんだん過疎になりつつあるのです。それでまあ京阪神を中心にして考えるということもあるでしょうが、やはりこれからの考え方として高速道路のような場合、縦断道路ばかりいまは主として考えられておるのですね。それで横断道路——裏日本と表日本を結ぶ横断道路を早くつくってもらうということが必要であろうと思うのです。近畿圏整備では大阪と裏日本を結ぶ、大阪と舞鶴間の横断高速道路がいま問題になっておるわけです。これの調査にことしから取りかかるということになっておるはずなんですが、どういうことになっていますか。
  184. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 近畿圏におきましては、先ほど申し上げましたように、近畿は一つという考え方と、それからもう一つは、非常に過密地帯に人口、産業が集中する、これを分散するために、先生のおっしゃいました裏日本に対しましても、京都におきましては中丹地区あるいは福井におきましては福井地区、それから滋賀県につきましては琵琶湖東部地区というように都市開発地域というものを設けまして、そこに産業というものを誘致して、そうして人口というものもそこに居つくようにしたいということで計画を立てておるわけでございます。その産業というものがそこに定着するためにはやはり先生がおっしゃいました道路というもの、輸送機関というものが、特にその生産物の輸送あるいはその製品になる資材の輸送、そういったものが、道路交通が多いのでございますので、その輸送の隘路である道路、高速道路というものを特にこれは計画をしなければいけないということで、そういう都市開発区域に対しては高速道路というものを計画いたしておるわけでございます。したがいまして、そういう裏日本側と和歌山方面とを結ぶこの横断道路というものは非常に整備をやる必要があるということは、もう先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、四十年五月に策定いたしましたものにはそういうことをはっきりと書きましてそうして推進をいたしているわけでございますが、この建設省のほうにおかれましても、国土開発縦貫自動車道建設法による自動車道といたしまして北陸自動車道の武生−富山間はすでに日本道路公団に対して施工命令をお出しになっているわけでありまして、それから北陸自動車道の武生−米原間、それから近畿自動車道の舞鶴線、また和歌山線というものに対しましては予定路線として決定をされておりまして、そうして目下建設省では調査をやり、また本年度からやろうというふうにしておられるところでございます。
  185. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 これは実は運輸省に聞かなければならぬ問題なのですけれども、次長わかりましたらちょっとお答え願いたいのですが、やはり同じように山陰線を複線化するという問題が必要なんですね。それでそのことについても整備本部のほうで進めてもらっておりますか。
  186. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 山陰線の複線化につきましては近畿圏の整備基本計画というものにおきまして、山陰線の複線、電化というものを促進するという方向を打ち出しております。それで現実に日本国有鉄道の第三次長期計画におきましては、これは四十年から四十六年までの七カ年計画であったと思いますが、その計画におきまして綾部−福知山間というものを昭和四十三年度までにこれを複線化する計画としております。それから園部−京都間でございますが、これは四十四年度までに複線化をするという計画にいたしております。さらに、これは国鉄の第三次計画ではございませんが、私どものつくっております建設計画におきましては、園部−船岡間というふうなものも進めていくと、こういうふうにして山陰線を漸次現在一番狭窄部といいますか、隘路ということになっているところから複線、電化を進めていくという方向をとっていこうというふうにいたしております。
  187. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つ、今度近畿圏の保全区域の整備に関する法律が出るように聞いておりますが、この建設省予算概要説明を読ましてもらいますと、「近畿圏の近郊整備地帯内における特別保全地区の広域緑地を保全」するというようなことが書いてあります。それでその予算が首都圏と一緒にして五億円、そうなりますと、この近郊整備地帯内の特別保全地区だけを買い上げるということになりますか、必要なときに買い上げるということになるのですか。
  188. 上田稔

    政府委員(上田稔君) ただいま国会に提出をいたしております近畿圏の保全法案でございますが、これにおきましては、先生がただいまおっしゃいました五億のうちの大体二億が近畿に充てられるのではなかろうかと思いますが、補助率が三分の二でございますので事業費にいたしますと三億ということになるわけでございますが、その事業費によりまして近郊緑地というものにおきまして制限をきびしくいたしますので、その制限に対して持ち主の方が損害を、通常受くべき損害に対して補償をする補償費、それからまたどうしてもそれが使えないために買い上げてもらいたいと言われる場合には買い上げができるような費用というものを見込んでおるわけでございます。
  189. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 古都保存地域はこの広域緑地の中に入ることになるのですか。
  190. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 保全区域全般といたしましては古都の区域も入っております。このたび出します保全法は、第一点が全体の保全区域の整備計画というものを立てるということになっておりますので、その点が古都の区域ももちろん入っておるわけでございます。しかしながら、近郊緑地の保全区域というものにつきましては、現在建設省でおやりになっております古都の区域というものをよく調べてみますと、その目的が私どものこの保全、近郊緑地の保全の目的に合すると思われますので、現在のところはダブらさないというふうにいたしたい、こういうふうに考えております。
  191. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 最後に一問だけ。近畿圏としまして特に京阪神は水の問題がやかましいわけですけれども、琵琶湖の計画ですね、これはもうほとんどできたのですか。
  192. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 琵琶湖につきましては、これは私どもの近畿圏の考え方からいたし、ますと、どうしても淀川水系としては琵琶湖を開発していただかないと水が出てこないのではないか。現在やっておりますのが下流のほうの正蓮寺川という川からそういう事業をやりまして出しますのが八・五トン、それから長柄の可動せきから出しますのが十トン、それから高山ダムから五トン、そのほか青蓮寺ダムから出るものと、それから宇陀川の室生ダムから出るもの、そのほかも考えておりますが、量はわずかでございますので、どうしても琵琶湖をやっていただかなければいけない。したがってこの調査は建設省のほうでやっていただいておりますが、もうだいぶ調査も進んでおりまして、もう最後の段階にきておるのではなかろうか、こう思われます。ただ、この開発方式というものが非常に各省にまたがっておる面もございますし、また、府県にいたしましても、各府県、つまり下流県と上流県というような関係もございますし、非常に関係が複雑でございます。また、琵琶湖が単にいままでの、御承知のとおりに、何といいますか、水を出されたのではあとの滋賀県全体の考え方というものもこれは変えざるを得なくなるような大きな影響を及ぼすというようなこともございまして、この総合開発というようなことも考えなければいけないのじゃないかというようなことになりますと、建設省ばかりではなくて、農林省、通産省その他にも影響ありますし、非常に複雑でございますので、十分にこの建設省のほうと打ち合わせをして開発方式というものをきめていきたいというふうに考えております。  〔主査退席、副主査着席〕
  193. 鈴木強

    鈴木強君 時間がどうもあまりない、ようですから、かいつまんで少しお伺いをしたいと思います。  まず、第一番にお尋ねしたいのは、夢のかけ橋と言われる本州−四国間の架橋の問題でございますが、この間土木学会から一応の結論が出ておりますね、この結論を拝見しますと、五年四カ月間かかりましていろんな角度から検討を加えた結果、尾道−今治、児島−坂出、それから神戸−鳴戸、日比−高松、宇野−高松、この五つの計画につきましてはその可能性がある、こういう報告のようでございますが、大体最初申し上げました尾道と今治、それから児島と坂出、神戸と鳴戸、こういうふうなものが有力な、科学的に技術的に経済的に見たときに有力な候補になるであろうという一応の予想がされるわけでありますが、建設省といたしましては、この土木学会から出てまいりました報告に対して、結論に対して、どういうふうにおやりになろうとしているのか、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  194. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 五月十九日に土木学会の小委員会と申しますか、いままでの結論をまとめたわけでございます。そこで私はその前に、そういうまとめて発表するということでありますから、閣議の席上、その前に、実は十九日に小委員会が発表することになる、しかし、これはおそらく報道機関で報道されるだろう、そうしますといろいろな混乱が起こると思うからということで、閣議で各閣僚に対しまして了承を求めたのでございます。その了承は、いままでの経過と今後の進み方というものについて申し述べたのであります。発表があったあのことだけからすれば、それは各人によりましてまたいろいろ判断は判断でつくわけでありますけれども、これですぐ各人が判断をつけることは、それはかってであるけれども、これでルートが決定するというようなものではありません。したがいまして、これからの建設省のとるべき方法といたしましては、まず第一番はこのデータに基づいて金をはじき出してみなければいかぬ、金をはじき出すとともにこのルートをとったら期間が幾らかかるだろうという工期の問題を考えなければいかぬと、この二つのことをやるにも相当な期間がかかると思う。しかし、これはあくまでも建設省の事務的な、費用と工期をはじき出すということでございまするが、一体ルートをきめるということになると、この問題は、ただ単に四国と中国を結ぶということではなしに、国土全般に対する非常な考慮が要る、したがってルート決定は政府ベースでやることはもちろんであるけれども、やはりある程度のこれを決定する機関というようなものでも考えなくちゃならぬのじゃないかと、また、それに対して関係閣僚の協議会というようなものも考えなければならぬのじゃないかと思う。いま私はそういうようなことを考え中であるから、いずれ私のほうの建設省の案がまとまれば閣議の決定を求めて進めたいと思います。建設省はデータに基づいて資金と工期の問題についてはひとつつとめてやってみますけれども、それも相当期間がかかるだろう、こういうことを先般閣議の席で申し上げまして了承を得たのでございます。したがいまして、まずこれは私のほうで今後は建設省としてはかかりますが、ルート決定に対する手段はどうするかということにつきましては、ただいま私としては考慮中でございます。
  195. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると土木学会からの結論というものは、経済的よ効果とか、大体どの程度の予算がかかるとか、いつ着工した場合にどのくらいの工期が必要であるとかいう、そういう具体的なデータについては全然ついておらないわけですか。
  196. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) それはついておらないわけです。この橋をかければセメントはこれだけ要って鉄鋼はこれだけ要って、工期はおそらくこれだけかかるだろうというようなことは全然それにはないわけでありまして、まあ、くろうとは大体想像はできましょうけれども、私たちは、個々の橋であればどれだけの金がかかってどれだけの材料が要るかということはわからぬわけでございます。それ以外の技術的な方法について、架橋するその方法論としてのことをもっぱら報告しておるようでございます。
  197. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、建設省としてはこの結論を尊重して、そうして具体的に実地の測量調査ですね、それをやっていくのだ。そうなりますと、そのやる時期とか方法とか、予算もありますね。大臣としては閣議の了承を得てそういう点をやるから、それまでひとつまかしてもらいたいと、こういうお話のようですから……。これはしかし、かけなければならぬことですからね。早いほうがいいでしょう、かけるとなれば。同じ建設資金を投下するならば早いほうがいいわけですから。ですからできるだけそのためには調査を急がなければなりませんね。この調査費は四十二年度予算には組んでないでしょう。そうなりますと、具体的に四十二年度、来年の三月三十一日まではその調査というものはできないということになりますね。しかし、何とかそこのところを、他の予備費等もあるでしょうから差し繰りをして、どの程度の調査費がかかるかわからぬが、まあいずれ五つのルートはおそらく全部調査しなければならぬでしょうね。おそらくこれはいろいろな政治的な問題も含んでいるようですから、そうなりますとこれは相当な期間が要る。それはわかります、期間は。一体具体的にいつごろにそういう実地調査というものをやって、どの程度の金がかかるかという調査にとりかかろうとするのか、四十二年度に予備費でも使ってさっそくやろうとするのか、そういう点の建設省としての心組みというのはどうなんですか。
  198. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 調査費はことしついております。三億二千万円ついております。そこでまあ急ぐ急ぐと、こう言いますが、実はたいへんな仕事なんです。たとえばあるルート、AならAでは、示されたデータ以外に、このAのルートをとるとすれば、こういうこと、こういうこと、こういうことはまだ問題だよ、実地に調べてみなければわからぬよというような条件もたくさんついておるわけであります。各ルートについて条件もやっぱりたくさんついておるわけですから、そういうようなことも今後実験をいろいろやっていかなければならぬのであります。いま申しましたように建設省が引き続いてやっぱり調査をすることになるわけでございます。と申しますのは、実は架橋の問題については、余談の話になりますけれども、若戸大橋が、あれが大事業であったのですが、径間三百メーターなんですね。今度やろうとする関門の連絡架橋、これが約二倍の七百メーターです。この関門架橋のやり方は、ようやく四十二年度から着手することになりましたが、これがそういういまの行き方からすれば四十七年ぐらいにでき上がるのじゃないか。この関門架橋すらもやっぱり非常な大事業でございます。いわんや、それよりもはるかにその条件とか、径間等においてたいへんな違いがあるものでございます。しかも、鉄道との併用という問題があるわけです。で、この問題があるし、また今度は船舶航行の問題等がまたこれがやっかいな問題でございますから、今後調査しなければならぬ項目としてはたくさんあるわけです。しかし、決してわれわれがそういうことを言って逃げ口上はいたしません。できるだけ努力いたしまして、結論をまあ早くつけたいわけでございます。そうしないと、やはりこれは天下の大問題でございまするから、非常にあちらこちらに御心配をかけておりますから、できるならば早くという気持ちは十分あります。さようなことで、これから強力に進めたいと思う次第でございます。
  199. 鈴木強

    鈴木強君 結論を早く出すということはもちろんですが、そのためにはまずその前提として調査が必要だろう。したがって、その調査はいつからやるかということを端的に聞いているわけですよ。したがって、いま大臣のおっしゃったような、運輸省関係の鉄道を併用するというような、そういうこともあるでしょうから、国鉄当局とも、あるいは運輸省当局ともそれぞれ御相談はなさらなければならぬと思います。ですから、そういうこともありますので、できるだけひとつ関係閣僚懇談会ですか、そういうものを開いて、それではどういうふうな形で調査を進めるか、そういうことまでそこで御相談になるかどうかわかりませんが、いずれにしても建設省としてはその当事者でありますからプランを立てなければなりませんね。だから、私は早く調査にかかってもらいたいということを言っているのです。そうしませんと、だんだん、だんだんおくれてしまいますから。それは差しつかえないわけですからね、やり方をどうやっていくかという基本方針さえきまればできるわけです。幸い予算も組んであるとすれば、これは早速にもかかれるわけですから、お忙しいでしょうけれども、ひとつ間髪を入れずにやってもらいたい、こういうことを言っているのです。調査にかかるのを急いでくれとか、いまの見通しとしてはどうですか。
  200. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 調査の点は道路局長から……。
  201. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま非常に調査を急げというお話でございますが、実はこれは私のほうで、昔のことになりますが、昭和三十四年からいろいろ調査をやっております。現在まで、四十一年まで二十二億三千六百万円の金を使ってございます。これはおもにいろいろ、経済調査も一部ございましたが、橋をかける五つのルートの自然条件、地質、地形、そういうものの測量、それから、いろいろ海上の施工の問題、そういうような施工の問題と地震に対する設計の問題とか、それから風に対するいろいろつり橋の強度の問題ということもございまして、土木研究所に大きな風洞をつくりまして、実物実験も相当やっておる次第でございます。そういういろいろな資料を全部土木学会に持ち込みまして、土木学会の調査委員会でいろいろその道の権威の学者の方に集まっていただきまして、いろいろ問題を究明してもらいまして、最後にこの五月十九日にこういう問題はこうしたほうがいいではないかというような結論を得た次第でございます。実はことしの三億二千万の中にも、さらに地質のボーリングとか、海上の施工、大きな基礎をつくらなければいけませんので、それに対する水中の施工の方法とか、そういうものは継続して実施している次第でございます。さらにわれわれは非常に早くこのルートがきまることが望ましいのでございますが、不幸にしてきまらなくても、当然どのルートになりましても相当大規模な、まだまだ施工上の実験をして確信を持たなければいかぬと思いますので、そういうものは四十一年の三億二千万で足りなければ、さらに四十二年、四十三年と、できるだけ早く施工の実験をやりまして、また、海底のさらにこまかい調査をやっていきまして、ルートがきまればすぐ着手することができるという形に持っていきたいというふうに考えております。
  202. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、大臣お話、ちょっと私も不勉強なものですから——それでは土木学会の出した結論というものは、一応の考え方というものは、もう建設省が大体いままで調査をして問題点になったところをさらに専門的に研究してもらって、知恵を貸してもらったのだということでしょう。そうなれば、もう限られたところですね、これから問題として調査しなければならぬところは。ですから、新しく調査するというよりも、もう調査が済んでいるわけだから、こういう結論が一応出たわけだから、なお一そうそのルートについて専門的に問題になった点を追究していけばいいわけですね。ですから、そういうことは、それこそもういまやられていると、現実にね。そう理解しておいていいわけですね。ですから、もうあらためてさらに出た結論に対してどうということよりも、いますでにやっていると、そうは言っても一応問題点を、あなた方は諮問したわけでもないだろうけれども、お知恵を拝借したわけだから、その問題に対する、こうしたらいいだろうという見解は出ているわけでしょう。それに対して、要するにもう一歩突っ込んだ調査研究というものはやらなければならないわけですから、それを早くやってくださいということを言っているのです。それはいつごろできますかということを言っているのです。
  203. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいまも土木学会で、われわれの提起いたしましたいろいろな工法に対する結論が出まして、それに対してまだいろいろ技術的には、例をあげますと、ケーソンを海の中へ沈めるのでございますが、これに、水深の非常に深いところはやはりケーソンの下に足をつけるというような方法も進めております。そういうものに対する工学的な耐震の設計なりそういうようなもの、及び相当長いつり橋になりますので、そのつり橋のケーブルを架設するとき及びそのケーブルの下に保護けたをつけます、この保護けたの架設の方法は、台風——風に対して一番問題になりますので、そういうものの研究は、いままでもやっておりましたが、できるだけこれを進めまして、早く実施できるようにわれわれが進めるわけでございます。
  204. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、おおよその経過はわかりましたが、しかし、物事は大体の目途がないといけないと思うのですね。ですからいろいろな困難はあるだろうが、最終的に海のかけ橋が実現するというその大体の見通しをね、おおよそどこに置いているかという、そういう構想もまだないわけですか。何年ごろに大体つくろうじゃないかと、それに向かって努力していくように、そういう最終の、終着の目標というものは、おおよそきまってないわけですか、大臣は。
  205. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 端的に申しますと、ないと言ったほうがいいでしょうね。しかし、それじゃ何年というわけにはいきませんけれども、いまどのくらいというような、関門が昭和四十七年にできる、だからこの橋もいつごろまでと、こういうような確信はいままだ持っておりません。
  206. 鈴木強

    鈴木強君 それは最終的には金の問題もあるし、これからのあれがあるでしょうから、わかります。しかし、道路局長ね、あなたは専門家なんですから、ですからいま問題になっている点をね、それぞれ克服して、さあ、それからいよいよ工事にかかるということになって、事務的に計算していった場合に、一番最短距離はどの程度になるかという、そういう見通しもないのですか。おおよそ事務当局は持っているのでしょう。
  207. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これはこの前、五月十九日の土木学会の報告書にございますように、各ルートについて、非常につり橋のスパンも変わっておりますし、また基礎の深さも相当、一番大きなものは百六十メートルの基礎にしなければいかぬ、簡単なもので二十数メートルにしなければならぬということでございまして、これがどのルートかによって、非常に技術的にやはり工期が違ってくると思います。われわれ一つの参考にいたしますのが、現在世界で一番長いつり橋がニューヨークのハドソン川にかかっておりますが、これもやはり相当調査をいたしまして、いろいろそういう陰の実験をいたしまして、実際かかってから大体四年半ぐらいでできていると聞いております。われわれやはりほんとうにかかるまでには、まだまだ四、五年のそういう実験的なものをやっていかなければいかぬと思います。かかれば大体五年か六年ぐらいでできるというのが、われわれ技術的な見方でございます。
  208. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それは当然でしょう。事務当局としては、いろいろな角度から、一番難航の工事をやった場合に幾らとか、このあとに幾らとか、そういうことは当然やっておくべきだと思う。だから、おおよそのめどはつくわけですよね。大臣ね、まあ十二、三年かかるということになるのじゃないですか。だけれども、できるだけこれを促進していくのが政治なんですから、これは大臣の腕の見せどころで、ひとつ御苦労ですが、てきぱきと仕事を進めていただいて、できるだけ早く国民の願っております橋がかかりますように今後の御奮闘をお願いしておきます。  それからその次に伺いたいのは、いまも話に出ておりました国土開発縦貫自動車道の問題ですが、先般この、審議会で決定いたしました基本計画、これに基づいて整備計画を急いでおられると思いますが、それぞれの地域で、この前私も審議会の委員ですから指摘しましたように、待望久しいものがあるわけですよ。ですから、できるだけ早くやってくれ、こういう意見がかなり強く出ておりますが、この次の整備計画はいまのところ大体いつごろの審議会にかかるように準備を進めておられますか、これを伺いたい。
  209. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 四十二年から五カ年計画が拡大に改定いたしたいというように考えておりますので、それに基づきまして昨年きめました千十キロの整備計画、さらにその前にきまりました千五百キロの基本計画がございます。これに対しましては、できるだけ早くことし整備計画を出していきたい。それからまだ基本計画がきまってないところについても、なるべくいま調査を急ぎまして、基本計画予算関係ございませんので、なるべく早く調査を済まして基本計画だけは出していきたい。基本計画を出した区間について、その年度の五カ年計画予算も勘案しまして緊急に整備するところから整備計画を出していきたいというふうに考えておる次第でございます。  ただ、これにはいろいろ問題がございまして、現在の高速道路、今度の七千六百キロに及びます高速道路につきましては、やはり国土開発ということが非常に大きな眼目になっておりますので、ただいまできております名神高速の料金、こういうものの体制をそのまま当てはめていいかどうか、また七千六百キロとなりますと、名神、現在工事をやっております中央道、東名高速と違いまして、非常にまだ国土を開発するという目的が先に立ちまして、実際の交通量がしばらくの間は少ないという個所がございますので、こういう点を今後どういうふうにしていくか。一つの形としては、やはり名神、東名全部含めまして、全国のプール採算の制度、こういうものにつきましていろいろ検討しなければならぬと思います。こういうように非常に問題がございますので、五カ年計画の改定と同時に、いわゆる関係各省、企画庁、大蔵省と、そういう今後の七千六百キロの進め方についてできるだけ早く考え方をまとめまして審議会を開いていきたいという考えでございますが、いまの見通しで審議会をいつ開けるかということになりますと、ちょっとやはり八月ぐらいまでには無理ではないかという感じがするのでございますが、いま言いました問題を解決しますと、やはりこの秋ぐらいになるのではないかという予定で、そういうふうに考えております。まだこれは大臣とよく相談して日にちをきめた問題ではございません。
  210. 鈴木強

    鈴木強君 これは新らしい道路計画が発表されておりますから、そういう影響も受けまして、地元としては関係の地域の住民からすると、早くやってもらいたい、こういう意見が強いわけですから、私は整備計画で、この前およそわれわれが論議したような程度のものは、もし全体的におそいならば、それだけでも早く特別につくってもらったらどうかと思うのです。それは私の希望です。  そこで、具体的に高速自動車道を建設する場合に問題になります土地買収、これは非常に幾多の困難があると思う。これは道路公団のほうでもたいへんな御苦労をいただいておると思いますが、きょうちょっと具体的にお伺いしたいのは、この整備計画の中で盛られております中央道の中で大月と甲府の間、これは一体、この次出ますか。
  211. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 中央自動車道についきまして、現在基本計画、整備計画の出ていないのがいま御指摘ございました大月と甲府間でございまして、これについては鋭意調査をしております。この間だけ抜けておりますので、これをできるだけ早く整備計画は出したい、もちろん今度の審議会には間に合わしたいという考え方で作業を進出ております。
  212. 鈴木強

    鈴木強君 それで全体的に見て、甲府と大月間の土地買収はどの程度進んでおりますか、全体から見て何%ぐらい進みましたか。
  213. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 昨年からいろいろ現地に、昨年の七月でございましたか、幹線自動車道の審議会がございまして、それで整備計画を決定いたしましたところには即日道路公団に施工命令を出してございます。公団でいろいろ現地の用地買収のために必要な調査と、用地の買収のためにはやはり設計をきめなければいけないために設計をつくりまして、センターぐいを打つようにしまして、そして用地の買収に入るわけでございますが、いまのところ中央道全体について何%か記憶しておりませんが、現在の段階は逐次長野のほう及び山梨の一部ではセンターぐいを打って幅ぐいを打つような作業をやっておるというふうに私記憶しております。
  214. 鈴木強

    鈴木強君 大体何%ぐらい買収できて、そのうちで地元とのトラブルのために問題になっているところ、それはいまはわかっておらないようですから、公団のほうと連絡をとって後ほど資料としてひとつ出してくれませんか。  それで、私がこの前——富士吉田地帯の、甲府——吉田間の路線の建設に例の問題が起きましたね、買収にからむ。私は地方自治体に対して協力をお願いするわけなんですが、少し中途はんぱじゃないか。ですから、公団のほうもいろいろ問題があろうが、むしろ県当局に、土地買収に対するお世話をいただくわけですから、かなり思い切った権限を移譲して、そうしてやはり地元の知事なり市長なり、そういう関係者がよく知っているわけですから、そういう人たちの協力が得られない限りは円満に買収ができない。したがって、従来建設省がやってきたような程度のものではまずい。これはよく自治大臣と相談して、関係自治体の最大の協力を得るということで、もう少し検討してもらいたいという意見を出しておったのですが、そういうことは現実に履行されていますか、どうなっていますか。
  215. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 富士吉田の、この前中央道で用地の買収につきまして公団から県に委託したのでございますが、これは内容をよく聞いてみますと、実際に用地の所有者との交渉は県がやっておったらしいのでございますが、その価格その他については、県は委託されたといいましても、県自身が決定する権限がなくて、一々公団の責任者に伺いを立ててやっておったような状況なのでございます。こういうことだと、せっかく委託してもほんとうの地元をよく知っている県なり市町村が委託を受けた利益があまりなくなりまして、公団のほんとうに使い走りみたいなことになりまするので、今後の委託は、全体とにかく一つの公団としての用地のはじき方もございますので、ある区間については、この区間についてはこのくらいの面積で、このくらいの範囲だということを示しまして、それで地元をよく知っております県なり町村が直接おのおのの事情において価格を公正にきめていくというような形をとるつもりでございます。
  216. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。その点ひとつ過去のいろいろな批判を率直に生かしていただくようにお願いしたいと思います。実は、甲府の市内を通過する路線について、私どもも皆さんから提示された北回り、甲府の駅から北のほう、これがいいだろう、こう思いました。ですから了承を与えたのですけれども、どうもその後地元のほうでたいへん問題が起きております。市の議会でも北のほうは武田神社という有名な神社もありますし、文教地区、したがって困る、そういう意見があるわけです。市のほうの議会でも北回りはまずいという決議をしましてね、その趣旨を建設省に伝えていると思うんですが、知事もおそらく建設省とも御連絡をとっていただいていると思うんです。で、この問題については、いろいろ聞いてみますと、航空写真もすでに道路公団の建設事務所ですか、とって、かなり真剣に調査してくれておるというような情報もあるんですけれども、現在の状況はどうなんでございましょうか、それを伺いたい。
  217. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは御指摘のように、昨年七月の幹線自動車道審議会では、甲府の北側を通るルートについて一応決定を見たわけでございます。ただ、これは甲府の東のインターからさらに長野寄りに決定されておったのでございまして、東のインターから大月までまだ基本計画も出ていないような状況の中できまったものでございます。その後いろいろ武田神社の問題もございまして、市も北回りについては反対ということもございます。実はその後私たちも南回りにつきまして一応ルートも検討しておる状態でございます。ことにいまの北回りにつきましては、武田神社の風致地区を害するということと、いまの甲府の東のインターから東側をどうするか、これはいまのルートでございますと、非常にブドウ畑の美田をつぶすというような結果になりますので、できるだけそういうようなことを避ける意味もありまして、南の山を回りまして、かつ、用地のつぶれ方は多少大きいかと思いますが、川沿いのいわゆる低湿地帯を通るということになれば、耕地の価値も、現在かなり排水で困難をしておるというところもございますので、そういうところをつぶすことであればあるいは地元の了承も得られるのではないかということを考えまして、現在南回りのルートを鋭意調査中でございます。どちらにいたしましてもやはりこれは用地の買収ということに結びつきますことでございますので、やはり県を中心といたしまして地元とよく話をして、円満に用地の買収ができる形でルートをきめていきたいというふうに考えております。
  218. 鈴木強

    鈴木強君 これもやっぱりいま大月と甲府の間が基本計画ないですね。ですから、その関係もちょっと私は考えておく必要があると思うんです。ですから、大月からどういう方向で甲府へ入っていくかということとの関連もあるわけです。現在われわれが認めました、了承した線よりもさらに北へ入って、山岳、山間部といいますか、そういうところを通って勝沼のほうから笹子の、いまの隧道のどっち回りか知りませんが、ということになりますと、北のずっと奥を通れば、これも一つの現実問題として可能性もあるように思うんですね。そして、北のほうの人たちも、とにかく住宅の中を通られちゃかなわぬ。まあ文教——あそこ山梨大学がありましたね、そういう関係で文教地区、それから神社仏閣、そういったものもあるわけですから、そういったところをつぶされては困るという、そういう考え方もあるし、公害の問題もあるようですが、ですからそこいらは私はもう少し現地の方々ともよく御相談なさって、幸い知事も本腰を入れてやってくれているようですから、この扱い方についてはぜひ地元と十分御相談なさって、トラブルの起きないようにぜひ御配慮をいただきたいと思うんです。  そこで道路公団の甲府出張所がありますね、この出張所が八王子の道路公団のほうに、現在甲府で問題になっております、すなわち武田神社付近を通ることについて、地元住民は反対しておる、これが一つですね。それから甲府市議会において意見書を出しておるということが一つ、それから田辺知事が南回りについて支持しているというような趣旨の報告が、甲府から八王子に来ているということを聞いていますが、それについては局長は聞いておりますか。
  219. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 市会からの反対及び武田神社の風致地区の関係の皆さんの反対は、私直接聞いております。知事さんとは最近ちょっと会いましたが、やはり北については非常な難色があるというような意見を申しておられました。
  220. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、甲府の出張所から八王子の公団のほうにそういうふうな趣旨の報告が行っているように聞いていますから、ひとつ確かめてくれませんか。来ておりますかどうですか。来ておりましたら、どういう内容か、ひとつ知らしてもらいたいと思います。  それで、これに関連をして、中央道が、いわゆる今度は諏訪の北回りになりましたね。南のほうを通る赤石山系のほうの住民は非常に憤激しているんです、これは私は何回も言いますが。ですから、相当に市町村の——あそこは町村ですが、金も使ってかなり運動したわけです。ところが、これは途中で基本計画が変わっちゃったものですから、したがって非常に憤激おくあたわざるという住民の気持ちがあるわけです。そこで、私は現在の富士吉田から本栖を通り、いま問題になっている清水と直江津を結ぶ高速自動車道ですか、こういう計画もあるようですね。したがって、それとの関連で、当初に計画した本栖から高速自動車道が下部という町に出て、富士川を越えて赤石に出ていく、こういうルートに沿った国道を一本つくってもらいたい、こういう私は強い要求を希望し、お願いをし、建設省のほうも了承していただいているわけですが、ただ、具体的にはそのやり方がありますものですから、知事とも私はよく相談をしておりますが、これはひとつ忘れないで実現してもらいたい、こう思いますけれども、その点を念のためにもう一回私は確認をしておきたい。これは大臣もひとつ答弁していただきたい。
  221. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 中央道の赤石山脈を突き抜けていくルートを諏訪回りにしたというときに、あそこの住民の期待にそむかないように、ある線を整備するとともに、また、これを国道に整備するという話も私は伺っております。まずその手始めといたしまして、できるだけ早い機会に国道昇格のチャンス——機会がこざいましたら、それの国道昇格も十分検討していきたい、まずこういうことと、もう一つ、やはり本栖から富士川の左岸に出る道路、これはどちらにしても、国道になりましょうとも現在のままでも、早く整備していかなきゃいけないもので、これを四十二年度予算で促進をしていきたいというふうに考えております。
  222. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣……。
  223. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 私は初めて——地理的に、お尋ねわからぬわけですが、道路局長はよく心得ておると思います。ただし、甲府市の北回り、南回りの問題はお尋ねがあるということですから図面を見まして考えたのですが、この辺はやはり市の方々が意見が一致すればですね、それは変更してもいいだろうと、ブドウ畑がずいぶんつぶれるようで、これはどうかなというお話でしたが、あとお話は道路局長が十分承知いたしておりますから、私もその意を了承したいと思います。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 それから八王子までは、何かことしの暮れごろに開通するそうですが、まあ全体の——吉田までが来年中には開通する、こういう予定ですが、料金の問題ですが、さっきあなたも審議会でもお触れになったように、全国的なプール制度の問題も考えたらどうかというお話もあったのですが、最近、何かせっかくりっぱな道路をつくってみたけれども、実際に通行する自動車というのは少ない。したがって、路線によっては全く赤字だと、人件費も払えない、こういうようなところもあるかもしれませんが、とにかく、いずれにしてもその経営上かなり困難があるようですね。したがって、多少なり現行の——プール制なんかを考える前に、通行料を上げなくちゃならぬのじゃないか、こういうふうな話をちょっと聞くんですけれどもね、そういうことは心配ないんですか、やれるんですか。
  225. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 料金の問題について、いまいろいろ検討してですね、なかなか結論が得られないのでございますが、ただ言えますことは、たとえばいまの名神高速でいいますと、小型乗用車一キロ当たり七円五十銭、普通トラックが一キロ当たり九円五十銭という料金になっております。ただこれがいまの道路公団でやっております一般有料道路のキロ当たりの料金と比べますと比較的安くなっております。しかしやはり高速道路というのはかなり遠距離を車に乗るということになりますので、利用者自身が払う金額の絶対額が非常に大きくなるということで利用者が少なくなるということもございます。これは一つの試案でございますが、近距離は高くして遠距離は安くするというようなこと、まあ国鉄でいいます遠距離逓減でございます。やはりそういうことも考えるのが実際利用者が払える料金の金額ということになるのじゃないかというふうに考えております。これは非常にむずかしい問題がございますので、いま公団及び建設省の両方で検討中の問題でございます。
  226. 鈴木強

    鈴木強君 これは確かに問題ですね。それで距離によってずいぶん高いところと距離によってそうでもないだろうというところとまちまちだと思うのです。ですから、あれは細川さんでしたか、意見を出したように、やはりこれはそういうことでなくてプール制にしたらどうか、まあ私たち意見と一緒でしたけれども、そういう意見もあるので、一がいにここで結論をつけることは私もむずかしいと思うのですが、しかし値上がりすることについてはやはりこれは問題です。そこで一回料金をきめますと、あとでいじることに対して困難が出てくるわけですから、今度八王子と東京の間が開通した場合に幾ら取るかわかりませんけれども、たとえばこれが富士吉田も開通した場合に幾ら取るか、そういった問題との関連ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、いままでの一キロ七円五十銭というそういう計算でずっとやっていくわけですね。そうすると八王子まで幾らかかるか、富士吉田の終点まで行った場合に幾らかかるか、こういった問題との関係で私は意見があるのですがね。
  227. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ちょっといま調布から八王子までのキロ数を覚えておりませんが、たとえば現在調布から富士吉田まで約九十キロございます。九十キロで七円五十銭というと大体普通の乗用車で約七百円というようなことになるかと思います。
  228. 鈴木強

    鈴木強君 それはそうですね。七百円くらいですか。これは人によってはそのくらい出しても安いという人もあるだろうし、人によってはばか高いぞという人もあるだろうと思う。だから使用する階層によっても違うと思うし、商売人である場合と、一般の場合、レジャーなんかに行く場合ですとこれは高いですよ。そういう人たちは敬遠するということになります。しかし商売でトラック飛ばす場合には、それは笹子のトンネル通るより早いですから、それくらいの金額だったらもちろん採算とれれば飛ばします。そういう経済的な考え方でやっておりますけれども一般の勤労者階級、サラリーマン、こういう人たちが自動車を月賦で買ってどんどんやっていますから、そういうやはり最低の層を対象にしてものを考えなければならない。ですからあなたが言われるような、近距離を高くして遠距離逓減、こういう国鉄方式も一つの方法だと思うのですが、これはやるとすればどうなんですか。ある程度全体の基本計画がきまって実際もう道路ができた場合にやるのか、現状のものをいつごろ切りかえようとするのか、そこいらの判断はどう考えていますか。
  229. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは非常にむずかしい問題でございまして、私考えておりますのは、やはり七千六百キロのときと今度の名神と東名、中央道ができるときと、そこにひとつ料金の考え方については段階があってもいいのじゃないかというように考えております。また七千六百キロと全体になりますと、これは先ほど言いましたようなやはり国土開発的な問題が相当ございまして、これについてはいいかどうか別でございますが、政策的な料金というようなことまであるいは出てくるかと思いますが、いまの名神と東名と中央道に関しては、なるべくその料金を適正にきめまして交通量が非常にふえるということをまず第一の目標にして料金を検討していきたいという考え方でございます。
  230. 鈴木強

    鈴木強君 大体人が通る道路で金を取るのはもってのほかだと識者もそう言っていますね。しかし、実際に金がないから借金でやるということになると、やっぱり減価償却で幾らかかるということで、料金にたよるアメリカ式の方法になると思うんですが、本来からいったら天下の道路、金とられて歩くのはおかしいですね。そういう意味もあるわけですから、その点はひとつ慎重にやってもらいたい。  私は住宅の問題もひとつ説明伺いたいと思いましたが、時間がありませんので最後に一つだけお尋ねいたしますが、建設大臣、閣僚の皆さんと与党の連絡会議というのがいつもあるんでしょう。そのときに山梨県知事の田辺国男さんが出てこられて総理に会って、富士山の形がだいぶ変わってきている、ちょっとこれを見ていただくとわかるんですが、大臣そこにありますのが大沢くずれというのです。大臣早いうちに手をつけないとたいへん困るというので、実は静岡県、山梨県のほうも真剣にこの対策を立ててかなりやっておりますが、それはやっぱりこそく的になりましてなかなか思うようにいかない。聞くところによると海抜一千メートル以上ですか、そこには建設省の所管になる、上のほうは何か裁判によって浅間神社の土地になったんですね。霊峰富士の姿がだんだん変わってくると困る、ですから早いうちに手当てをしないといけないという実は要望をしたわけですよ。総理大臣もこれはたいへんだ、ひとつ建設大臣にさっそく連絡して手当てしろ、こういうことになっているそうですが、これは私郷土の新聞で見たんですが、大臣、それをお聞きになりましたでしょうか。そして具体的にどういうふうにしてそのくずれを防いでくれるか、そういう計画をきょうは聞かしてもらいたいと思います。きのう農林省の関係にもお尋ねしたんですが、話が急でしたからきょうおいでいただいておると思いますから、農林省の分もあるようですからなかなかむずかしい、建設省と農林省に分かれております。両省からひとつ当面の対策を聞きたいと思います。
  231. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) その連絡会議に私は出ておりませんでしたが、あとから秘書を通じて総理のほうから話もありました。その前にやはりこういう問題があるということは、これは河川局長からも伺っておりました。しかし、まあ詳しくは局長からしますが、農林省と建設省と両方含めて治山治水をやろうというわけですが、これも私が見たのではいままでずっとやっておったようですが、規模も小さいし、全額で一億くらしか投入しないというのですが、そんなことで防げるかどうか、ちょっと局長から聞いただけでは私は疑問を持っておるわけですが、一応詳しいことは農林省の関係でやっているからひとつ局長から……。
  232. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 富士山の大沢くずれの問題でございますが、関係地域は神社有の頂上付近の分とその下にあります林野庁所管の分と、それからいわゆる国有林野の分とそれとその下に建設省が所管しておる渓流砂防の分がございます。そこで建設省といたしましては下流に対する地くずれの影響は相当ございますので、林野庁とともに事業計画をそれぞれ立てまして、治山治水五カ年計画においても、それぞれの費用を計上いたしております。上流の五カ年計画では、治山事業といたしましては約六千万円、それから建設省関係の補助砂防事業といたしましては約一億円を計上いたしまして実施いたしております。ただ、あのくずれは非常にひどうございますので、その後の豪雨等によりまして若干進展いたしておりますので、その間におきまして、ただいま大臣の申されたような点をいろいろ調査いたしまして、今後どう進めるかということを検討している段階でございます。
  233. 手束羔一

    説明員手束羔一君) ただいま河川局長のほうからお話がございましたように、林野庁といたしましては、海抜千百メートルから千六百メートルに至ります国有林の分につきましては、国有林の直轄治山で実施をいたしておりまして、現在まで約六千万円ばかり計上いたしました。なお、四十四年まで約三千万円の計画をいたしております。千六百メートル以上の部分につきましては、これは神社有地あるいは山梨県の県有地ということになっておりまして、民地でございますその部分につきましては、いままで調査したこともございませんけれども、何ぶん下流に比して急傾斜地で、土質の問題もございます。降雨量の問題もある。また風の問題もございます。いろいろ検討いたさなければならぬ点があるようでございます。また、建設省ともよく御連絡の上、十分調査検討いたしまして計画を立てたい、かように考えております。
  234. 鈴木強

    鈴木強君 大臣予算がおたくの五カ年計画で一億、それから農林省関係が六千万というのですが、これじゃ話にならぬですよ。これは田辺知事が陳情しない前の話なんですね。これは陳情が出てきたのだから、これはふやしてもらいたいのです。いまここで幾らふやせと言ってもむずかしいでしょうから、私は額は言いませんけれども、少なくとも従来やっておりますのを見ましても、これは一億にならぬのです。三十九年くらいからぼつぼつやっているのですがね、ですから、ひとつ大臣として、総理からもそういう話があったわけですし、山梨県、静岡県の人はもちろんのこと、これは富士山麓の開発問題で審議会をつくりまして、両県とも真剣にいままで取り組んできたのですよ。そういう関係もありますので、これは地元の治山治水の問題はもちろんでありますが、日本の霊峰富士ですからね、世界に知れ渡っている富士なんだから、ひとつあの姿をいついつまでも残しておきたいと思うのです。それが変形するようなことがあっては困るわけですから、ひとつ思い切った対策を立ててもらいたいと思うのですが、最後に大臣の決意をひとつ聞かしていただきたい。
  235. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) それは金の問題よりは、直すということでございますから、一体これで直るのか直らぬのか、そのことのほうが先決でございまするから、私も最近聞いたばかりでございますので、もう少しその復旧ができるかできぬかということにつきまして真剣に考えてみたいと思います。その上におきましてこの資金の問題は考慮したい、かように思います。
  236. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではいまの質問の続きといたしまして、鈴木委員のいま質問なさったことについては、私も関係しているので、一言だけお聞きしておきたいと思います。  建設省関係予算はきょうの大臣の御説明でも七千二百億からの予算でありまして、しかも、建設省関係予算というものは、きょうの分科会を通じてお聞きになっても、ごみ焼却場一つにしましても、これは時と所によって、それこそ地域住民にとっては頭をかかえる、寝るにも寝れない心配な問題でもあるし、また道路にしても、治山治水にしても、住宅にしても、これが一般民衆にとっては非常に大事な問題でありますので、きょうのこの分科会もなるべく実のある分科会にしていただきたいと主査にもお願いをいたしたわけです。したがいまして、お答えくださる場合も、実際に国民の生活を守っていく、また国土を総合的に開発していくという観点からこそお答えをいただきたいと思うのですが、最初にこれを申し上げたいわけです。  いまの富士山の大沢くずれの問題にしましても、それは確かにかっこうが変わってきている。また、今後かっこうが変わる可能性もあるわけですが、ところが、地域住民にとってみますと、これは常時くずれているわけです。とまらないわけです。それが押出河原というところを経て潤井川になりまして、それが相当数の村を通り、たんぼを通って太平洋に注ぐ、こういうふうになっているわけであります。したがいまして、確かに富士山の形も一つの問題であるが、その上に、その流域の住民にとってはそれこそ生命財産にかかわる重大な問題でもあるわけです。したがって、潤井川が太平洋に入るところは、東海道、国鉄も、国道も全部そこを通るわけです。そこが大幅にくずれた場合には、また国の交通の動脈がそこでストップすることにもなりかねないという問題もはらんでいるわけです。したがって、静岡県からも前々からいろいろな陳情もありまして、それで補助事業で——ですから、これは局長からまず説明を願いたいと思うのです。ずっと前からいろいろなそういう地元の陳情があり、したがって、三十八年ですか、補助事業で幾ら幾らの工事を始めた。それで、その補助事業でこれだけの工事をやって一体絶えずくずれているものかどうか。これはとても一年や二年の問題ではないというところから、国に対しても非常に陳情もし、お願いもしているはずなんですが、そこでもって建設省としては、くずれたものを上に持っていってくっつけるというような、そんななまやさしいものではなくて、こうした大規模な常時くずれているものをはたしてとめることができるかどうか、これがまず第一段階です。そういうような工事をいままでにやった例があるかどうか。そういうような可能性、また予算等について、まずその過去の経過の御説明とそれからいま申し上げた点について御説明願いたい。
  237. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) まあ通常砂防と申しておりますのは、土砂をとめるというよりも、土砂を調節して流すということが主体になっております。したがいまして、私大沢くずれの現地を見ましたけれども、あれをはたしてどうとめるかというような問題になりますと、具体的に現地を全部歩いてみたわけではございませんし、また砂防についてどういう対策があるのかということも今後の検討課題になると思いますが、そこで、これが、いまもしもくずれた場合には、先ほど御指摘のとおり、潤井川あるいは芝川に砂がたくさん入りまして非常に危険な状態になる、あるいは交通麻痺の状態も生ずることが考えられます。したがいまして、完全にとめるというよりも、土砂がもたらす下流に対する土砂害を防ぐ、砂は流れても防ぐという形のものができやしないかということも考えてみなくちゃならぬと思っております。ただいま大臣から申されましたとおり、これらの問題につきましては、最近の大沢くずれの状況にかんがみまして早急に検討いたしまして、これらの具体的対策を農林関係等と打ち合わせまして、どういう方法でとめるのか、場合によっては専門家の意見等も聞きまして、具体的対策を講ずるようにしたいと考えております。なお、予算等につきましては、御質問のありました予算等につきましては、先ほど建設省関係の砂防事業といたしましては、現在まで四千五百六十万円を使っております。建設省は三十九年度から着工いたしております。農林省関係は約五千七百万円程度の金を使っておられまして、来年も継続して事業を行なうようにいたしております。  〔副主査退席、主査着席〕
  238. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど確かに大臣が力を入れて研究するというふうに言われましたけれども、今後の方針としまして、至急にいままでの補助事業でいくか、それとも直轄でいくか、この点はいかがでしょうか。
  239. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) ただいま治山法におきましては、直轄治山が行なわれているわけでございます。建設省は静岡県の補助砂防事業として実施しております。従来から直轄事業の採択基準としましては相当大規模な困難があるものにつきましては、いままで実施いたしておりますが、今後新たに大沢くずれの具体的対策を検討する段階で、そういう必要があればそういうことも検討してまいりたい。どういうぐあに対策が講ぜられるのかということの検討も今後早急にやられなければいかぬというふうに考えております。
  240. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは要するに先ほどの鈴木委員に対するお答えにつきましても、国が積極的に乗り出そうという、そういう態度か、それとも県のほうの動きに対して、じゃ補助をつけていこうという、そういう動きか、その辺がまず第一に問題であろうと思います。国がそうした普通の、局長先ほども説明されたように、砂防事業とは違うと思うのです。ですから現にどういう構造かしろうとでわかりませんけれども、現に常時くずれておる。しかもああした山の高いところのそういうものをとめることが可能かどうか、それは県 まかしておく段階でないと思うのです。少なくとも、国として、建設省として、国土を保全していくというその任務を持っておる建設省でもって、そこのところをしっかり研究してもらわないことには、話は進まないと思うのです。それは実際工事はだれがやるか、そういうことはさて第二としましても、国がいままでのような、県のことは県にまかせておけというような問題かどうか、この問題が、私たちは、国が少なくともこういうものをとめることが可能か、先ほどから申し上げているようなことを早急に検討して、結論を出していただきたいと思うのですがいかがですか。
  241. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 先ほど大沢くずれの対策につきまして、早急に検討したいと申し上げました。必要があれば専門家も呼んで対策を検討したいということをお話ししましたけれども、その対策をどうするかということの中にも国が積極的に乗り出すべきであるかどうかという問題もあわせて検討してまいる。それは結局、事業規模とか、困難性の問題、そういったいろいろな問題も含まれております。その中の一環として検討することにいたしたいというふうに考えております。
  242. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長さんはそのように、必要があれば専門家を呼んでという形にしかおっしゃれないかもしれませんけれども、これは大臣、いままでも全然国が無関心でいたわけじゃないですよ。これはいまの御説明のように、農林省といい、建設省といい、それに当たる予算はもう組んでやってきているわけです。ただ、私がここで特に申し上げていることは、いままでと同じ程度の国の関与のしかたではどうにもこうにもならない段階で、しかもそれは地域住民の先ほど説明したような関係もあります。国の交通動脈というような関係もあります。また、富士山の形自体が変わってしまうというような関係もあります。したがって、必要があれば専門家を呼んで意見を聞こうというような、専門家を呼んで聞くくらいはもう当然のことですね。ここでもって国はもう一段進んで対策を考えていこうと、そういうふうに大臣から、一歩進んでいこうというような態度を表明できませんか。
  243. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 相当に長く農林省もやっておるようですし、それから建設省も三十九年からもう三、四年やっておるのです。そうしていまごろまだ何ともできない、はなはだ崩壊がひどいというのですから、どうもやり方については私は疑問を持ちますから、したがいまして場所が場所だけに、ほかのところと違いますから、これは十分早く直すような方法をとらなければいかぬと思うのです。ことに農林省は直轄でやっておるし、建設省は静岡に預けておる、こういうのですから、これはいままで補助事業としてやってきましたから、いまそこでぱっと切りかえられるかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、これはやはり急速に大規模なことをやって、ひとつこれは直さなければいかぬ。いまやっておりながらなおひどくなる、だんだんよくなるということならこれは別ですけれども、三年も四年もやっておってひどくなりつつあるというのですから、少し真剣に取り組んで、必要があればということになりましょうが、やり方についても考慮したいと、かように思う次第でございます。
  244. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣の御答弁を信じまして、ぜひそのようにお願いしたいと思うわけでございます。それはいま局長さんはあまり詳しく説明してくれませんけれども、実際ものすごくくずれているところを指一本でちょっと押えておるみたいなものじゃないかと思うのです。現状の工事というものはとてもこれだけの過去の工事によってとまるなどという簡単なものじゃない現実のように私たちも思いますので、いまの大臣の御所信に沿ってひとつ建設省もしっかりお願いしたいと思います。  私が質問いたしたいことはちょうどいま治水関係のことが出ましたので、治水関係のことをまず最初にお尋ねしたいと思います。  治水事業については五カ年計画を立てて、治水事業五カ年計画の進捗状況並びに四十二年度計画という資料をいただいておりますが、この治水事業五カ年計画が四十年、四十一年、四十二年という三カ年の実績が出ておりますが、国全体として五カ年計画が三年間で進捗率が五五・三%、これは資料は間違いないでしょうね。そこで、あと残り二年間で一〇〇%五カ年計画を達成できるお見込みかどうか、これが一つ。  それから四十一年と四十二年の伸び率を見ますと、この伸び率程度は結局は労務費の値上がりなどで吸収されてしまって、実際問題として工事の量としては五カ年計画の当初の目標どおり工事が実際に進んでいるかどうか、そういうような点をちょっとしろうとが見て感ずるわけですが、その二点についてまずお尋ねします。
  245. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 治水事業の五カ年計画は、投資総額が一兆一千億でございます。そのうち八千五百億が国の直轄事業あるいは補助する事業費の総額でございます。したがいまして、ここで対象になるものは、八千五百億を対象といたしております。昭和四十年度を初年度としまして第三年度目にかかっておりますが、その進捗状況は、先ほどお話のとおり、計画に対しましてやや上回って実施いたしております。すなわち、八千五百億円の昭和四十二年度までの計画額、これは八千五百億を一定伸び率で伸ばした場合の事業費の想定でありまして、四十、四十一、四十二と足して計画額といたしますと、それは四千五百十七億でございます。計画の進捗率は五三・一%と考えられます。しかし、実施額につきましては四千七百二億でございまして、その進捗率は五五・三%になりまして、計画より二・二%の増高をいたしております。  しかしながら、先ほど御指摘がございましたとおりに、その間に物価の値上がりその他がございまして事業量の確保につきましては確実にいったかどうかという問題でございますが、実は五カ年計画は三十九年度の価格できめられております。したがいまして、その間、四十年度、四十一年度、四十二年度と、それらに対しましてはそれぞれ治水工事の総合指数というのがございまして、三十九年度を一〇〇といたしますと、四十年度は一〇五%ぐらい、それから四十一年度は一一二%ぐらいでございます。いずれも、物価上昇その他によりましてそれだけよけいかかることになっております。さらに、四十二年度につきましては、これは推定値でございますが、約二〇%以上もよけいにかかることが考えられます。したがいまして、五五・三%と計画を上回ってやっていると申しましたが、事業量の確保につきまして、まあちょっと不足するぐらいの進捗率でございます。事業量そのものを見れば不足するぐらいな進捗率でございますが、それらにつきましては、工事の適正施行その他によりまして具体的工事の確保に当たってまいりたいと考えております。なお、そういう実情でございまして、四十三年、四十四年につきましては、これらの計画を従来の四十年からのベースでいきますと、八千五百億の投資額は十分確保できると考えております。
  246. 小平芳平

    ○小平芳平君 八千五百億という大きな計画であります。しかし、まあこれがそれぞれの実際の治水事業になった場合には、またここにいろいろな進みぐあいがあると思うのですが、私がいま持っておりますのは、東京都の場合ですね。東京都の場合は、河川改修がさっぱり行なわれていない。豪雨の予報が出ているのに、緊急三カ年計画が切れたというのに、実際に着工しているところは平均三〇%にも満たない状況だ。ですから、いまの局長さんの説明だと、全国的には実質的な事業も一〇〇%をやや切るというぐらいに進んでいると言われますけれども、たとえば、工場、人家の密集地帯の東京都でいえば、三分の一も進んでいない。そういうようなことも現象として起きるわけです。
  247. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 東京都の緊急三カ年計画は、三十八年八月あるいは三十三年の狩野川台風等によりまして、特に三十八年につきましては、三回にわたりまして豪雨を生じまして、各所に浸水被害を生じたわけでございますが、そのために急遽緊急三カ年で重要な部分を早くやろうということで、東京都と打ち合わせまして、石神井川ほか六カ所の主要河川につきまして、昭和三十九年度を初年度とする延長三十キロメートル、総事業費百四十億の中小河川の緊急対策を講じたわけでございます。そのうちの約五十六億が、国のいわゆる補助する事業として一応計上したわけでございます。その残りは、都単独費として一応計上いたしました。その間、オリンピック等、いろいろ施設の整備を急を要しまして、その都単の施設状況等につきましても若干そごがあったということでなかなか進まなかった。さらに、これらの河川は、すべて都市密集地区でございまして、したがいまして、用地の買収が意のごとく進まなかったという状況でございまして、現在の段階におきましては、用地買収につきましては、七〇%、あるいは多いところは九〇%以上達しておりますが、そういうこともございまして、ただいま小平先生指摘のとおりの状況でございます。しかしながら、われわれとしましては、東京都の中小河川対策につきましては、今後さらに一そう力を入れる必要がありますので、先般来から東京都の中小河川の緊急整備計画というのを具体的に立てておりまして、これらにつきましてただいま東京都と鋭意これらの実施の方法につきまして検討中でございます。
  248. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま局長の御説明の補助事業五十六億となりますと、単独が九十億程度と思いますが、この進みぐあいは、実際問題としてこの緊急三カ年計画でどの程度進んだかということを、補助と単独に分けていまお答えできましたら……。  それからもう一つ、新しい五カ年計画ですか、これはただ範囲を広くしたわけでしょうか、改修延長も相当長くなっているようですが。そこでもって問題は、私が申し上げるまでもなく大事なことは、工場、人家の密集地区で計画するということは、相当もう差し迫った大事な工事だと思うのですね。しかし、それが三カ年計画で、実際三年たっても三〇%しか進んでいないというようなことになりますと、これは責任というものがとられなければならないと思うのです。ということは、地域住民にとっては、そのときに、国が責任か都が責任か、いずれにしても、水につかる住民の立場に立ってみれば、そんな差し迫った緊急計画と称しながら、まるっきり三分の一もできていないなんというそんな怠慢なことで一体どうかというふうに言いたくなるのが当然じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  249. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 第一点の、都単の金の状況と、それから国の公共事業関係事業費の関係につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど提出させていただいてもよろしゅうございましょうか。
  250. 小平芳平

    ○小平芳平君 進みぐあいですよ。
  251. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 進入ぐあいの資料でございます。それにつきましては、後ほど資料を提出させていただきたいと思います。  それから百四十億の緊急三カ年計画は、先ほど申し上げたような都単と補助事業の比率でございますけれども、これらにつきましては、鋭意進めてまいったのですが、何ぶんにも用地補償の困難性という問題がございましてなかなか進まなかったというのが第一のポイントだと思います。資金の都合等もあったとは思いますが、何しろ非常に密集地区で、たとえば杉並の地区で妙正寺川をとりますれば、杉並の密集地帯を通ります。妙正寺川をとりましても非常に密集地区を通るわけでございまして、石神井川もそうでございます。各河川ともそれぞれ用地に非常に困難性を持っております。ただ、野川、仙川につきましては、まだ若干未開発——未開発と申しますか、家か建っていなかったので、これらにつきましては用地買収も順調に進みまして、事業も順調にいっておるということでございます。したがいまして、新しい計画におきましては、これらの用地対策につきましては、これらの計画を完成させる一つの大きなポイントだと考えておりますので、十分ひとつ都と協議をいたしましてやってまいりたいと考えております。
  252. 小平芳平

    ○小平芳平君 この点については、大臣も全く御同感だと思いますが、要は、私がここで指摘するまでもなく、いま東京都の例を一つ指摘したわけですが、そのほか同じようなことをここで繰り返しても、結局、結論は同じことですので申し上げませんが、治水事業の場合、とにかく平時はほとんど気にかけていないわけですけれども、いざ集中豪雨だ、さあ台風だということになれば、もう大問題になるわけです。少なくとも、五カ年計画を立て、三カ年計画を立て、むしろ計画を上回るくらいに事業そのものが進んでいって、はじめてなるほどいい政治だということが言えるのではないかと思うのですが、財政なりその他いろいろな事情はいろいろとありますけれども計画しても三分の一しかできない、あるいは半分しかできないというようなことは、非常にマイナスの政治であるというふうに言わざるを得ないと思います。したがって、大臣といたしましても、今後、そういうような思わぬところに抜け穴のないような、そういう政治をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  253. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 治水事業は、全般的には管理は進んでおるというのですが、東京だけがという話でございます。東京は、もう小平さんも知っておるように、なかなか直しにくいわけですね。それであるからこそいろいろ悪いところができたわけですが、もう中小河川の改修といえば東京のことを言うくらいだといま言っておるわけです。地方は、どちらかというと、悪いところはありますけれども、特に都会地の中小河川がどうにもならないというのが現状でございます。一つには、何と申しますか、住宅がむやみやたらにできましたので、そういうような関係だろうと思います。したがいまして、今後は、中小河川特に都市の河川の改修については、目標を立てたら、その目標に向かって達成に努力をする、かように考える次第でございます。
  254. 小平芳平

    ○小平芳平君 次は、今度は道路関係について、やはり同じように、道路関係五カ年計画、第五次道路整備五カ年計画資料をいただいておりますが、ここでもって六兆六千億というものを目標として出された考えですね。これは、一々、ここの高速道路をつくるのに幾らかかる、この舗装をするのに幾らかかるということを、ずっと積み上げて六兆六千億になったというわけでもないのじゃないかと思いますが、かといって、全くの目見当で六兆六千億を打ち出されたわけでもなかろうと思いますが、その基本的な考え方一つ。  もう一つは、四十二年度から始まって五カ年の目標を年度別に発表できたらお知らせを願いたい。
  255. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 積み上げてやっておるのです。ただ六兆六千億ができるわけじゃありません。  それから、建設省といたしましては、法律によりましてああいうふうに七千六百キロメーターの幹線の道路もつくれというくらいな法律ができておるのですから、それはこの五カ年くらいにできる話でありませんから、もう少し長期的な観点に立っているわけです。しかし、今度五カ年計画につきましても、この程度は五カ年で済ましたいというやつは積み上げておるわけでございます。もし、あれだったら、概略を道路局長からひとつ説明させます。
  256. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 最初の御指摘の、六兆六千億がどういうところから出てきたかということでございますが、これはいろいろ交通事情に見合います道路の整備、及び開発のために必要な道路、そういうものを積み上げまして七兆三千億ということで要求をまとめたのでございますが、さらに根本的な長期的な考えも盛っておる次第でございまして、これは昨年きまりました国土開発幹線自動車道建設法で七千六百キロの幹線自動車道路の予定路線がきまりました。これを昭和六十年までに全線を完成させるということ、これが第一点でございます。  もう一つは、いまの一般国道、これは二万七千キロございますが、これも、二十年後までには当然全部改良すると同町に、交通が非常に混雑してくるところの再改築を行なうということと、それからまた、県道につきましては、現在十二万キロございますが、十二万キロメーター全部改良を終わる。  さらに、将来の二十年後、昭利六十年に、自動車の保有台数の推定でございますが、現在約八百万台が約三千五百万台くらいになるだろう。そのうち、現在はトラックなり小型トラックが占めている率が多いのでございますが、乗用車が非常に圧倒的に多くなる、三千五百万台のうち約二千五百五十万台くらいは乗用車になるだろうというような長期的な車の保有台数の見込みを立てております。これは、昭和六十年までの国是の総生産の伸び、そういうものも勘案いたしまして、また、昭和六十年の日本の人口の推移、それを考えまして、二十年後の長期ビジョンというものをつかんでおるわけでございます。  これで、先ほど言いました県道以上を全部改良すると同時に、また、交通が混雑したところの再改築を行なう。さらに、現在、県道以上が十五万キロくらいございますが、将来、三千五百万台の車の保有台数になりますと、車の走る幹線といたしましては、県道以上十五万キロでは非常に少ないのじゃないか。平地については五百メーターおきの街路、山地は五キロくらいの道路というようなことも考えまして、全国を道路の網でおおいますと、約四十万キロくらいの網が必要になってくるということでございまして、先ほど言いました県道以上十四万キロと、さらに、現在の市町村道のうち二十二万キロが将来交通の幹線になるだろうということで、二十年後の長期ビジョンとしては、車の通ります幹線の道路として四十万キロぐらいを整備したいということでいろいろ積算をしました長期ビジョンがございます。これが、金額にいたしますと、大体五十三兆くらいの金が必要になるというような見方をいたしております。五十三兆を昭和六十年度までにやりますと、その後の交通の伸び、また自動車の保有台数の伸びというものは、それまでよりかなり鈍化するのではないか。三千五百万台の自動車の台数になりますと、国民三・五人に一台というような普及率になりまして、当然いまのアメリカには及びませんが、西欧、西ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、これがそのくらいになる。その辺が二十年後に予想されます自動車の保有台数とほぼ一致してくるのではないかというような見方で、まず二十年後の長期ビジョン五十三兆を達成するためにそういう目標を掲げまして、そのうちの昭和四十二年から四十六年までに七兆三千億必要だということで、その七兆三千億の内訳は、いろいろの道路の工事個所を集計して七兆三千億に積み上げたわけでありますが、そういうような観点から長期ビジョンを立てまして五カ年計画をきめている次第でございます。  次に、この五カ年計画はいろいろな関係で六兆六千億になりましたが、現在まだ作業中でございましてはっきりした数字は言えないのでございますが、いまの私たち考えているあらましを申し上げますと、高速幹線自動車道につきましては、現在、名神高速が百九十キロ供用開始になっておりますが、さらに東名高速が三百四十五キロ、中央道の東京——富士吉田間九十三キロ、これを供用開始いたします。そのほかに約三千キロくらいな工事に着手したいというふうに考えているわけでございます。このうち、供用開始されるのが約七百キロぐらいでございまして、いままでの東名、名神、中央を入れまして約千キロぐらいが四十六年ぐらいには供用開始できるのじゃないかというふうに考えております。そのほかの、首都高速、阪神高速についても、現在の計画を伸ばすということと、新規路線を着工するということでございまして、昭和四十七年の三月、この新しい五カ年計画が終わります時期におきまして、両方で約二千キロ近いものが供用開始されるのではないかというふうに考えております。  そのほかに、現在の一般国道でございますが、これの整備率がどれくらいになるかということでございますが、一般国道は、御承知のように、もと一級国道と二級国道がございますが、もとの一級国道については一〇〇%改良舖装を完成さしたい。また、もとの二級国道につきましては、四十一年度末の整備状況が、改良で五四%でございますが、これを八〇%台に持っていきたい、舗装で五一%のものを九〇%台に持っていきたいというような目標で現在作業しております。  また、地方道につきましても、主要地方道が、四十一年度未改良が五一%を四十六年度末約六四・五%ぐらいに、一般地方道の改良が四十一年度末二五%を二七・八%ぐらいまで上げていきたい。また、舗装につきましては、主要地方道が現在三二%の舗装率でございますが、これを六五%ぐらいに上げていきたい。また、一般地方道につきましては、一二%の舗装率を、その倍の二四・五%に持っていきたい。  こういうのが、現在作業しております新しい五カ年計画の大ざっぱな骨子でございます。
  257. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、そういうふうに検討作業をして、こうした事業計画ができるということは、当然そういうふうになると思うのですが、いまたとえば御説明の七兆三千億を六兆六千億にどうして削ったか。それは、削ったならば、それじゃどことどこを削ったというふうになるわけですか。
  258. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは、先ほど言いました五十三兆をベースといたしまして計算いたしますと、昭和六十年までに完成するために四十一年度を初工といたしまして等比級数で伸ばしますと、四十二年から四十六年までに五兆九千億ぐらいになると思います。また、これを等差級数で毎年同じ金額を伸ばしていくということになりますと、四十二年から四十六年までが七兆ぐらいになると思います。われわれは、交通のネックがいま激しいということで、その等差級数以上の先行投資をしなければいかぬということで七兆三千億を要求したのでございます。これが六兆六千にいろいろの関係で決定されたのでございます。そうなりますと、じゃ、七千億減ったのだから何と何が落ちるということになるような感じを受けるのでございますが、実は道路事業というものは毎年毎年継続していくのでございまして、逆に言いますと、七兆三千が六兆六千になったために、七兆三千の事業は五年半かかるというような考えでわれわれ進んでおる次第でございます。ということは、一つの個所の工事で言いますと、これを四十三年から始めるのが四十四年からになるというようなことでございまして、完成は多少半年ぐらいおくれるということでございますが、その間、いろいろ工事のどこから始めねばならぬというプライオリティについて十分選択すれば、そう大きな交通の支障を来たすことなく実質七兆三千の工事を五年半ぐらいで実行できるものとわれわれ見ておる次第でございます。
  259. 小平芳平

    ○小平芳平君 ずいぶんむずかしい説明をなさいますけれども、いろいろと計画についてはよくわかりましたが、結局、ただ金さえあれば何とかなるという問題でもないし、これは、技術的な問題、あるいは資材の問題、用地買収の問題、いろいろなことが重なり合ってくるとは思います。  そこで、時間もおそくなりますので、ここでもって具体的な一、二の問題をお尋ねいたしたいのですが、いまの御説明でも、東名高速、中央道はもうできますと。かりに東海道のほうを見ますと、東名高速ができた場合に、現在の麻痺状態の東海道一号線がどの程度緩和されるかという見通しですね。開通するころにはまた自動車の台数もふえるからというところから、バイパスの建設をもっとやっていかなくもやならないではないか、あるいはまた、第二東海道をむしろつくってしまうというようなことも新聞には報道されたことがありますが、その辺についてはいかがでしょう。
  260. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 東海道につきましては、いろいろわれわれは将来の交通量の算定をしておるのでございますが、東名をつくりましても、昭和五十年にしても、やはり県道の交通はいまのままでは間に合わないという結論でございまして、これはまあ東名に幾ら乗るかという問題もございますが、現在非常に込んでおります沼津から静岡まで、この間というものについてはやはり全部バイパスをつないでいかないと、県道の交通は非常に支障を来たすような状況になると思います。そういうようなところにつきましては、東名高速の完成に関係なく、さらにバイパスの建設をこの五カ年間の中で進めていきたいというふうに考えております。
  261. 小平芳平

    ○小平芳平君 大体、私もそのような考えを感じているわけですが、それで特に現在の東海道一号線というものは、わざわざ沿道の沼津とか、清水、静岡、そのほかずっと町のどまん中を通らなければならないというふうになっちゃったわけですけれども、やはりバイパスを考えていかなくてはならないと思います。  ところで、もう一つ、先ほども申し上げましたように、第二東海道線として国道を一本つくってはどうかということが一つと、それからもう一つは、東海道と中央道を結ぶ百三十九号線というのがありますが、この百三十九号線は、現在でも、日曜などは、もうほとんど車があふれるぐらいに観光客がふえているわけです。したがって、中央道が大月まで開通した場合でも、百三十九号線から向こうに抜けるような線でもあれば、その線を利用する方がふえてくると、いよいよあふれてしまって動きがとれたくなるのではないかと思うのですが、この点についての御検討はされておりますか。
  262. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 最初の御質問の第二東海道をじゃあすぐつくるかということになりますと、先ほど御説明いたしましたように、交通の混雑しているところのバイパス、特に先ほど言いました沼津それから静岡までをまずやらなければならぬというふうに考えております。そういうものを逐次つなげていって第二東海道にするような計画をしておりますが、四十六年までに第二東海道は全線できる見込みはちょっと薄いと思います。  さらに、百三十九号の問題でございますが、これも、百三十九号といいますのは、吉原から富士吉田まで行って大月まで行く線でございます。これは現在の道路の状況は、一次改築とわれわれ申しておりますが、六メートル五十以上の、車がすれ違えるような道路にするという一次改築は終わっております。その中で非常に込みますのは、現在の吉原から富士宮を過ぎるところではないかと思います。これにつきましては、われわれもまず富士宮の町をバイパスを現在やっております。これを早急に完成すると同時に、五カ年では、なるべく富士宮のバイパスと、東名高速の富士のインターを何とか結ぶようなバイパスを建設していくような方向で検討したいというふうに考えております。
  263. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの御答弁で私も了解いたします。それで、インターとインターを結ぶ線は将来の検討で、差しあたりいま混雑しておるところを打解するバイパスが必要だというふうに考えます。  そこで、時間がたいへんにおそくなりますので、別の問題でありますが、住宅関係で、新聞で私も見ただけですが、ベルギーで百貨店の火事があって、それで死者が二百六十人というふうなことが伝えられております。こういう点については、まあ外国のことですから、建設省でいますぐ、だからどうこうというわけにもいかないとは思いますけれども、このことをきっかけとしまして、わが国のこうしたビルに対する防火体制、あるいはわが国のデパートでもって火事があったような場合ですね、こうした——ベルギーは特殊の事情のようにも新聞にはございますけれども、わが国の場合はこういうふうにして安心なんだと、そういうようなことはあり得ないのだということならば、そういう点についてちょっと御説明を願いたい。
  264. 三橋信一

    政府委員(三橋信一君) お答え申し上げます。  ベルギーの非常な大きな災害でございまして、私もけさテレビなどで承知した次第でございます。これにつきまして、まだ早々の間でございますので、詳細はわかりませんが、あの百貨店に行った人の話などを聞きますと、かなり古い建築物のようでございます。そこで、建築研究所に命じまして、まあ直ちには資料も手に入らぬと思いますが、詳細にこれを調査したいと思っております。  そこで、お尋ねの、わが国の百貨店等に対してどういう防火措置あるいはそれに対する制度があるかというような点につきまして簡単にお答え申し上げたいと思います。  御承知のとおり、昭和の初期に白木屋の火災がございました。あれを契機といたしまして、当時、市街地建築物法——それが後にただいまの建築基準法になったわけでございますけれども、その白木屋の火事を契機といたしまして、市街地建築物法の施行令として特に百貨店規則というものができたわけでございます。これによりまして、百貨店に対しましては特にきつい建築制限ということが行なわれております。それで、建築基準法が戦後できまして、それを踏襲しております。  したがいまして、おもな対策といたしましては、百貨店につきましての特別の規定がいろいろございますが、まず第一に、特別避難階段の規定がございます。これは、ここへ入れば安全であるというような避難階段の規定でございます。それから次に階段までの歩行距離、これがほかの建物に比べまして最も厳重にできておりまして、階段まで歩いて三十メートルで行けるようにしなければならぬというような規定がございます。それから階段の幅につきまして、床の面積に比例いたしまして階段の幅を広くしなくちゃいかぬ。これは、床面積が広いと、それだけお客がたくさん入るということで、いざという場合に逃げやすいようにするというような意味から、階段の幅を床の面積に応じて広くするというような規定がございます。また、内装の制限でございますけれども、特に不燃材料、それから防火仕上げ、特にこれは天井、壁等でございますが、普通の場合でございますと、コンクリートの建物は、内装の防火仕上げというものはあまり必要でないというようなことになっておりますが、百貨店につきましては特に防火仕上げというものを必要とするというような制限を付しております。さらに、防火区画の問題でございますけれども、これにつきましてはやはり特別の規定がございますし、また、吹き抜けの場所の問題もございます。これについては、吹き抜けには全部シャッターで閉鎖できるようにすることを規定してございます。そのほか、スプリンクラー、消火設備等の規定もございまして、特に百貨店につきましてはただいま申し上げたように非常にきつい制限をいたしておる次第でございます。  なお、今回のベルギーの事件を参考にいたしまして、いろいろ検討したいと思いますが、今後消防庁あるいは自治体消防あたりと建築当局と連携を密にいたしまして、定期的な検査のほかに、必要があればこれを点検できるような体制を整えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  265. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、いまの御説明に対しまして、これが厳格に守られているかどうかということが一つです。建設省としては、いま局長が最後におっしゃいましたが、竣工したときは検査をしますけれども、それが今度は維持管理についてはもう建設省としてはタッチしていらっしゃらないのかどうか、今後タッチしていかれるかどうか。  それから消防庁、いまのような点について、こうした厳格な構造についての規定があるのに対して、実際問題として消防の観点からこのとおり守られているかどうか、あるいは、このとおり守られている場合の安全性についてお尋ねします。
  266. 三橋信一

    政府委員(三橋信一君) ただいまのお尋ねの、建築ができたときは確かにそうであろうけれども、後のアフターケアが十分にできているかどうかということでございますが、建築基準法の施行規則におきまして二年ないし五年の期間で定期的に都道府県の規則できめまして検査をするようになっております。と申しますのは、設備などのさびつきだとかそういうような問題につきましては、二年ないし五年の、大体三年の定期検査というのが現在通常でございますが、設備につきましては、そういうさびつき等のことを考えますと、大体そのくらいのことでいいのではないだろうかということで実施しております。と同時に、ただ問題になりますのは、たとえば、防火シャッターがございましても、その防火シャッターのところで、たとえば燃えやすいものを売っておった。そうすると、いざというときに防火シャッターがおりないで、非常な問題を起こすというようなことがございますけれども、これらにつきましては、実は私どものほうの行政の分野ではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、今後そういう点につきましても、建物のいわゆる安全管理、あるいは衛生管理と申しますか、そういうような防災、衛生等の管理につきましても、私どものほうでいろいろそれぞれの当局と連携いたしましてチェックをするようにしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  267. 高田勇

    説明員(高田勇君) いまお尋ねの点でございますけれども、消防法の体系で申しますと、五条で、火災予防上必要がある場合、あるいは火災が発生したならば人命に危険がある場合には、建築物の構造、管理に問題があった場合には、その構造そのものについて除去をする、あるいは使用の停止を求めるという規定があるのであります。実際問題としては、この点が権限がきついだけに、運用というものは慎重にやらなければならないという問題があり、私どもかなり慎重な態度をとっおります。そういった場合に、計画といたしましては、その以前にテパート等の防火対象物について消防計画というものもつくらせまして、それに基づいて、消火の訓練とか、あるいは避難の訓練とか、あるいは消防用の設備等の点検とかいうものを定期的に実施いたさせまして、それによって定期的に消防機関と協力して訓練をいたさせております。この点につきましては、防火管理者というものをその責任者にいたしておりますけれども、防火管理者の責務といたしまして消火あるいは避難の訓練を定期的に実施しなければならないということを一つ昨年の暮れに法律の改正のときに入れて、この訓練の実施を義務づけておるわけでございます。
  268. 鈴木強

    主査鈴木強君) おはかりいたします。  分科担当委員外委員鈴木一弘君から発言したい旨の申し出がございますが、これを許可することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 鈴木強

    主査鈴木強君) 御異議ないものと認め、発言を許します。鈴木一弘君。
  270. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) 皆さんの厚いお心によりまして許可をいただいたのですが、非常に時間が差し迫っておりますので、簡単にお伺いしたいと思います。  これは埼玉県に起きた問題なんですが、飯能入間川がかなり山砂利を採取したために濁っているという問題が起きている。入間川は、御承知と思いますが、浦和水系が源泉でありますし、流水が入間市の上水道に入っている。あるいは伏流水が狭山市の上水道に入っているし、入間基地にも使われている。そういうふうになっておるし、農村の用水あるいは井戸水にも使われておるわけですけれども、そのように流水を使用する際にも水道用水の割当というものはきびしい。ところが、私もこれはまだ現地は実際見たわすではありませんけれども、かなりひどい状況である。ある会社が無断でその山砂利を掘ったのを人間川の水で洗ってかなり濁している。そういうふうば被害が出ておるようなんであります。この点について、これは河川管理者は県だと思いますけれども、その被害の状況、はっきり言えば被害者のほうの立場に建設省が立っておると思います、その状況についてまずお伺いしたいと思います。
  271. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) ただいま御指摘の、飯能周辺の山砂利を洗った水の洗浄水の濁れた水が川に入ったために、飯能市の水道用水等に不測の事故を起こしたということでございます。これは、場所は、入間川の飯能市の阿須地先というところでございまして、この区間は県の一級河川の指定区間になっております。したがいまして、これらの管理に関する問題は、県の所管事項でございます。  問題の概要は、国分産業株式会社というのが民地を掘さくいたしまして砂利を採取しておりますが、非常に土が多いために、これの洗浄用水を入間川より取水をして、洗浄した水を入間川に放流しておる。そのために下流水利権者、たとえば飯能市の水道用水あるいは利用権者から苦情が出て、現在埼玉県においてこれらの問題について処置をいたしておるわけでございます。これらの問題につきまして、経緯としまして、四十一年四月ごろから、国分産業が、その周辺の民地の掘さくをやりまして砂利をとりたい、しかも洗浄水として入間川の水をとりまして適切な沈でん施設をつくって流したいという要望があったわけでございますが、河川法の二十五条、二十三条、二十七条、五十五条の許可の申請がありまして、これにつきまして浄化施設その他が十分でないのでございましたので、それらをつくるように指示いたしました。しかしながら、業者でございました関係上、四十一年の九月ごろ強引に水を入間川からとって作業を開始したということになっております。したがいまして、県では、敷地内に、これは河川敷ではございませんが、井戸を掘って水を求めるように指示したわけでございますが、水がないために洗浄用水が得られなかった。四十一年の十一月ごろは、入間市の上水道は取水できなかったという報告を受けております。河川管理者である県としましては、水利権者、利用権者に支障を与えないように、操業を中止するように指示いたしました。それが十二月ごろでございます。その間、いろいろ国分産業は苦肉の策を講じておりますが、自来、流水をとるということは河川法の違反であるし、また、洗浄水のよごれた水を流すこともこれは河川管理上非常に問題がありますので、埼玉県を呼びまして、私のほうから、国分産業に取水施設の撤去並びに工作物設置のあとあと片づけ等を命じまして、去る五月九日に知事名で警告書を出しまして、十三日までに撤去するように指示いたしました。十三日に現地に行きましたところ、ポンプ施設は撤去してありました。  以上のような状況であります。
  272. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) 確かに、私は十一日現在で調べたのですが、十一日じゃまだやっておりました。九日に警告されていたものが、十一日でやっていた。しかも、いま言ったように、無断で多量の流水を使用したと。完全な河川法違反なんですが、これが、ただの建設省だけじゃなくて、そのほかに、農業関係においても農地委員会の許可がなくて水田を約十町歩ばかりつぶして砂利を採取したのじゃないか、そういう疑いが持たれておるわけですが、その点は農林省のほうは聞いておりますか。詳しく言ってください。
  273. 小山義夫

    説明員小山義夫君) 農地法では、土層改良をやりますときには何ら転用の許可の手続は要らないわけでありますけれども、砂利を採取をするために農地を農地以外の状態にする場合には、知事の許可を受けなければならないということが農地法で規定をされております。埼玉県庁からの受けた報告によりますと、関係当事者は、土層改良という名目で砂利をとっておるということを言っておるようでございます。本件の土地は、確かに相当砂あるいは砂利が多くて、そういう砂利をとって、もっといい土を入れるということが本件の土地にとって有効であるということは確かに認められる土地柄のようでありますけれども、問題は、その土層改良にとどまる程度の工事であるのか、事業であるのか、あるいは、その土層改良の目的もあるだろうけれども、そのほかに砂利をとること自体を目的とした工専でもあるのかどうかというところが判断の分かれ目になるわけでございます。そうなりますと、具体的な事案に即してこの判断をしなければならないわけでありますが、まあ通常常識的に考えられますことは、作物の根が達します深さというのはおのずから限度があるわけでございますから、それはもちろん土地柄なりつくる作物によってかなりの差はありましょうけれども、かりに数メートルとかあるいは十メートル以上も掘っておるというふうな状況でもしありますれば、土層改良の目的、あるいはそういう実効もありましょうけれども、それと並んで、砂利採取の目的ということがやはり言えるのかもしれません。そうなりますと、たとえ土層改良の目的もあわせあったにしても、農地の転用の許可の手続はとってもらわなければいけないということになろうかと思います。
  274. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) 確かに、あなたのおっしゃるように、実際にはもう土層改良はできないほどの深さになっているわけでしょう。七メートルだとか五メートルとかそれだけ掘って、まださらに掘ろうというような気配があったわけです。そうなると、これは完全な農地法違反じゃないですか。一つには、そういうようにはっきりした農地法違反だと私どももいまの答弁から聞いてわかることがあります。  いま一つ、これはやはり同じく建設省に伺いたいのですが、その洗浄した汚水を、初めにおいては、河川敷にたくわえておって、夜間にせきを切って放流をした、そういうふうなことがあったのではないかと思うのです。河川敷を使用するについては、これは何か許可を与えてあるわけですか。
  275. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 四十一年の八月ごろ、先ほど申し上げましたように、二十三条、二十七条、これは占用の問題も含んでおります。五十五条の取水の許可申請等がございました。しかし、これにつきましては、浄化施設等の関係が不完全であったので、許可をしておりません。それで、再度そういったものを整備して出すように埼玉県としては指示いたしております。したがいまして、御指摘のように、占用の許可はその河川敷には与えておりません。ただ、現地で国分産業が使ったところは民地でございまして、河川の区域内の問題でございます。河川の区域内にはございますが、区域内にそういった洗浄池をつくるといういわゆる地形の変更をする場合には、当然地形の変更許可を要するものでございます。
  276. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) まあこれから川砂利等が非常に少なくなってくるわけですから、こういった事犯といいますか山砂利採取という方向は当然起き得るわけです。その際に、砂利採取法かあるいは採石法かどちらかで許可が出るのだと思いますけれども、山砂利をとったときに必ず多量の流水を使うことはもう必至だと思うのですね。これが四十一年四月からこういう事件が起きていて、実際に手のついたのはことし。一年間というものはとられっぱなし、よごされっぱなし、魚は住まなくなってアユが上がってこない、ヘドロがたまって水位は下がる、農業用水の取り入れ口でも困るという問題が起きている。この点で一ぺん考えなければならないのは、確かに砂利採取法では通産省の局長から許可が出ている、あるいは採石法でもそうです。ところが、農地のほうの問題になれば、農地法にかかってくる。実際に今度は河川敷その他を使うところになれば建設関係である。三本に分かれてくるわけですよ。何とたく、採石法あるいは砂利採取法というのは通産省に属しているということが、産業第一というふうな感じを受けるわけですけれども、ほんとうをいえば、国土保全であるとか、あるいは実際の資材の確保ということから考えれば、これは建設省側に移すべきではないか、この権利、許可の権利とかそういうものは。そういうふうに考えるわけですが、そういうところの法的整備というものがしっかりしておかないと、事ごとに、起こっても後手後手に回るような対策しか打てなくなってくる。その点を考えるわけですが、最後に、大臣、いかがです。その点についてお伺いしておきたい。こういうことば今後起きないように、時間がありませんので簡単に済ませるわけですけれども、十二分に各方面にも警告してもらいたいし、各都道府県にも言ってもらいたいし、その点の態度もあわせてお伺いしたい。
  277. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 仰せのように、現在の採石法ですが、これは通産省の所管と申しますかになっておるのですが、これはまあ通産省の主としておるところは採石権の問題でして、それは、砂利ばかりでなしに、いろいろの石があるわけですね。いろいろな材料に使います。歯みがき粉等も、あれは石の粉ですから、いろいろあるわけですが、それの一つとして、やっぱり砂利のほうも採石法でということでやっておるわけですから。それからこれは昭和二十五年の法律らしいのですが、相当前の法律です。それから砂利採取法、これは業者の石をとる、砂利をとる事業者に対する法律なんですから、しかもその法律を見ますと、届け出制であるわけです。したがいまして、それと現在の私どものほうの河川法あるいは農地法との関係で、いま御指摘のようにちょっとこんがらがったところがたいへんあるわけです。私は疑問にするのは、砂利採取法のこの事業のところにどうして建設省がもう少しきちんとしたあれをつくらなかったのかと言っているんですが、これはあとの祭りで、どうにもなりません。したがいまして、今後の問題といたしましては、これらの採石法、砂利採取法、あるいは河川法等、あるいは場合によっては農地法もあるかもしれませんが、そういうようなものの調整をとったやり方でひとつ考えなおさなければならぬのではないかと思っております。しかも、最近の事情は、いろいろ砂利問題につきまして問題が非常に起こっております。私のほうの、建設資材としての骨材としての砂利の問題につきましては、まあ進んで砂利を他の方法によって供給する、しかも能率のいいような供給をするというようなことを考えなければなりませんが、しかし、どうしても業者としてはやはり安くつきますから、こういうような問題については十分な考慮をしなければならぬと思っております。  もう一つふしぎなことで、いま鈴木さんから御指摘がありましたように、これは聞きますと、どうもやみで全部やっておるような気がするんですね。しかも、四十一年の何月にあった、それは設備が悪かったから許さなかったんでしょうが、あとは気がついたときには相当にやっておったというようなことも聞くんです。だんだんだんだんやかましくなったから、ごく最近ようやく撤去になったというのですが、その間のことにつきましては、取り締まりも、何と申しますか、少し手落ちじゃないかというような気も私自身がいたすようでございます。  いずれにいたしましても、これによって河川が非常によごされて、はじめて気がついたというようなことは、監督しておる者としてはまことに申しわけなく思っておりますから、これらについては、法的に、あるいは実際の監督上、あるいはまた、砂利が今後重要な問題になりまするから、進んで積極的な施策を講じたい、かように考えておる次第でございます
  278. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) 大臣、よくわかりました。それは善処していただきたいと思います。  一つだけ通産省側にお伺いしたいのですが、これは採石権は当然ないと思いますが、砂利採取について今回のこういう問題についてははっきりと防止するようなそういう措置というものはとられておりますか。
  279. 吉光久

    政府委員(吉光久君) 実は、先ほどお尋ねございましたように、砂利採取法そのものにつきまして、採取業者の監督を通産省のほうでやっておるわけでございますけれども、ただ、砂利採取法のたてまえからいたしまして、河川等、他の法令の規定によりまして、それぞれの行政庁の許可を要する事項が、砂利採取のため、あるいは土地の使用について許可を要するというふうな土地につきましては、実は砂利採取法は監督規定を置いていないわけであります。それはそれぞれの管理法令で監督してもらう、そういうたてまえでできております。したがいまして、今回の入間川の問題につきましては、私どものほうといたしましても、一般のいわゆる砂利採取業者の監督者という立場におきまして、現地調査を数回にわたってやりまして、現実に埼玉県庁あるいは関係首長さん方等とも、この問題について、どうしてとめるか、どうするかということについて数回お打ち合わせをいたしたわけでございます。先ほど河川局長からお答えございましたように、一番のきめ手になりますのが河川法上の占用の無許可でございまして、水利の使用について無許可でございますとか、要するにのど元のところについて一番企業の生命を制するところの事項があるわけでございまして、そこらの関係も、埼玉県庁のお方と相談した上で、建設省から先ほど御説明がございましたような全面的に無許可として施設の撤去等の指令を出していただいたわけでございます。これと相呼応いたしまして、関係の社長それ自身も呼び出しを求めまして、厳重に注意をいたしておるわけでございます。
  280. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) いまの答弁、ちょっと不満なんですが、砂利採取法の第九条には、「河川等以外の土地の区域において、砂利の採取のための」あるいは「公共の用に供する施設を破壊し、又は農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、著しく公共の福祉に反すると認めるときは、砂利採取業者に対し、その防止のために必要な措置を採るべきことを命ずることができる。」と、命ずることかできるのに、いまの話を聞いていると、通産側では命じやしないじゃないですか。これは怠慢ですよ。
  281. 吉光久

    政府委員(吉光久君) 実は、砂利採取法が成立いたしました当時におきます骨材の主要な原料は、河川砂利が中心であっただろうと思います。最近、河川砂利の枯渇に伴いまして、山砂利、丘砂利にだんだんと需要がふえてまいっておるという状況でございまして、公害の発生の態様が、いささかこれを立法されたときと違ってまいっておるんじゃなかろうかと思うわけでございまして、で、いままさしく公益保護のための命令権を第九条に書いておるわけでございますけれども、実はいまのような河川汚濁等についてのところまで触れておらなくて、原因たる行為が、掘ったこと自体と、それから掘ったものを堆積することによってというふうに、原因が限定的に書かれておるものでございますので、したがいまして、今回のような事件につきまして、すぐにこれらの汚濁水という角度からこの措置命令を出すわけにいかなかったというわけでございまして、事実問題としましては、これを背景にした形で行政指導を行なう、こういうわけでございます。
  282. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) ヘドロがたまったのですか。
  283. 吉光久

    政府委員(吉光久君) まさに河川敷に粘土の堆積がございます。この粘土の堆積それ自身が公共施設を破壊しているというような形になっていなかったのでございますので、したがいまして、つとめてこの第九条でいけないかということを検討したわけでございますけれども、少し無理ではないかと思われるということで、第九条そのものの発動はしないままで終わったというのが現状でございます。
  284. 鈴木一弘

    担当委員外委員鈴木一弘君) これで終わりますが、いまの答弁を聞いていると、公共の福祉に反するということははっきりわかっているのに、ぬけぬけと左右に話が飛ぶので話にならない。この点は、先ほどの大臣の御答弁にありましたように、法整備、それから取り扱いの簡素化といいますか、ひとつ強力に業者を監督できる、福祉を守れるようにせっかくつとめられるように心からお願いしておきます。
  285. 鈴木強

    主査鈴木強君) 以上をもちまして、建設省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省、通産省、郵政省及び建設省所管に関する質疑は終了いたしました。  これをもって、本分科会審査を終了いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 鈴木強

    主査鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後五時八分散会      —————・—————