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1967-05-22 第55回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十二日(月曜日)    午前十時四十分開会     —————————————  昭和四十二年五月十九日予算委員長において、  左のとおり本分科担当委員を指名した。                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 小山邦太郎君                 白井  勇君                 林田悠紀夫君                 船田  譲君                 鈴木  強君                 矢山 有作君                 吉田忠三郎君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君     —————————————    委員の異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      矢山 有作君     柳岡 秋夫君      中沢伊登子君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         鈴木  強君     副主査         船田  譲君     委 員                 岡本  悟君                 梶原 茂嘉君                 小山邦太郎君                 林田悠紀夫君                 柳岡 秋夫君                 吉田忠三郎君                 小平 芳平君                 瓜生  清君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        郵 政 大 臣  小林 武治君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省船員局長  河毛 一郎君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  澤  雄次君        海上保安庁長官  亀山 信郎君        気象庁長官    柴田 淑次君        郵政大臣官房長  竹下 一記君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省監察局長  鶴岡  寛君        郵政省貯金局長  稲増 久義君        郵政省簡易保険        局長       武田  功君        郵政省電波監理        局長       淺野 賢澄君        郵政省人事局長  山本  博君        郵政省経理局長  上原 一郎君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    関  忠雄君        大蔵省主計局主        計官       荒巻与四郎君        郵政省郵務局長  曾山 克巳君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社職員局次長   村手  義君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社施設局長    北原 安定君        日本電信電話公        社経理局長    中山 公平君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     成田  努君        新東京国際空港        公団総裁    今井 栄文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選参考人出席要求に関する件 ○昭和四十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————  〔梶原茂嘉主査席に着く〕
  2. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって私が正副主査選挙管理を行ないます。  これより正副主査互選を行ないますが、互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 御異議ないと認めます。  それでは、主査鈴木強君、副主査船田譲君を指名いたします。     —————————————  〔鈴木強主査席に着く〕
  4. 鈴木強

    主査鈴木強君) ただいま皆さまの御推挙によりまして主査の重責をになうことになりましたが、皆さま方の御協力を得てその任務を果たしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省運輸省郵政省及び建設省所管を審議することになっております。  なお、二十四日、委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日は運輸省及び郵政省を、明日は農林省を、明後日は郵政省及び建設省という順序で進めたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 原則的には異議はございません。ですけれども、きょうの運輸郵政につきましては、多少、運営上私は弾力的にやっていただきたい、こう思うわけです。その意味は、総括質問一般質問におきまして、時間が許さないものですから、ほとんど運輸関係については質疑をしていないという事情等を考慮、勘案されまして、ただいま申し上げたように、運用よろしきを得るように、ひとつ弾力的にやっていただきたい、こういうことを申し上げて賛成いたします。
  6. 鈴木強

    主査鈴木強君) 主査といたしましては、吉田委員のおっしゃいますように考えておりますから、どうぞ御協力を願いたいと思います。それでは御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめてください。  〔速記中止
  7. 鈴木強

    主査鈴木強君) それじゃ速記を起こしてください。     —————————————
  8. 鈴木強

    主査鈴木強君) それでは昭和四十二年度総予算中、運輸省所管を議題といたします。  まず、政府側から説明を求めます。大橋運輸大臣
  9. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 昭和四十二年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに予算の規模について申し上げます。まず一般会計について申し上げますと歳入予算総額は二十五億五千二十五万二千円、歳出予算総額他省所管計上分一百三十五億四千六百七十五万九千円を含み一千三百四十七億一千九百四十万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと一百七十七億四千四百四十二万六千円の増加となっており、約一五%の増加率を示しております。この増加額の内訳をみますと、行政費では一百六億四千六百二十八万七千円、公共事業費では七十億九千八百十三万九千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億三千六百二十九万五千円で前年度に比較して約六千万円の増加となっております。自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、加入対象車両数増加によりまして歳入歳出予算額を前年度の約三割増に当たる一千二百四十二億八千二百七十二万四千円といたしております。港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾整備を推進するため、前年度より約七十七億円を増額して七百六億八千九百七十八万五千円といたしております。自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は二十五億二千四十二万二千円で、前年度に比較して約二億四千六百万円の増加となっております。このほか、昭和四十二年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして約四千五百三十億円が予定されております。  昭和四十二年度予算におきましては、当省は、経済社会の発展に伴なって立ちおくれの著しい運輸関係社会資本の充実をはかり、国際収支の安定のため貿易外収支改善と、船舶鉄道車両等の輸出の振興につとめることとしております。また、航空機事故自動車事故等交通事故を防止するため交通機関基本的使命である交通安全対策並びに運輸関係公害防止対策を強力に推進するとともに、物価安定に資するため、物的流通近代化運輸関係事業基盤強化等重点を置き、諸施策を積極的に推進する所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げますと、昭和四十二年度の予算の編成に当たりましては、まず、四十二年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮して収入を見積もり、損益勘定において収入支出予算八千五百七十二億円を計上し、資本勘定において収入支出予算四千七百六十七億円を、工事勘定において収入支出予算三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき、大都市通勤輸送改善及び主要幹線輸送力の増強並びに保安対策強化等を推進してまいりたいと考えております。  運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和四十二年度運輸省予算の大綱」及び「昭和四十二年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知を願いたいと存じます。なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮をお願いいたします。
  10. 鈴木強

    主査鈴木強君) おはかりいたしますが、ただいま運輸大臣の御発言中にありましたとおり、以下の説明につきましては会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 鈴木強

    主査鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  12. 鈴木強

    主査鈴木強君) 質疑に入る前に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  ただいまの運輸省所管審査に資するため、新東京国際空港公団総裁成田努君、同副総裁今井栄文君を参考人とし、その意見を聴取することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 鈴木強

    主査鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  14. 鈴木強

    主査鈴木強君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は新東京国際空港の問題について若干質問をいたしたいのでございますが、まず、この昭和三十八年の十二月に航空審議会がこの空港の問題について答申をいたしましてから、新空港問題というものが、非常に国民の関心を呼びまして、しかも、この候補地にあげられました地域住民にとりましてはたいへん大きな問題として、いわば仕事も手につかない毎日の大きな不安と苦悩の中に生活をしていると言っても過言ではないわけでございますけれども、こういう大きな問題に対して、いままでとってまいりました所管省である運輸省、あるいは昨年発足いたしました公団、こういう関係当局のいわば官僚的と申しますか、無責任な態度というものが、私は一そう混乱した現実をつくり出しているのではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、このことについて、まず私は、大臣にどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いをしたいわけでございます。
  16. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 成田空港建設につきましては、御承知のとおり、航空界現状から見まするというと、少なくとも昭和四十六年にはその一部でも業務を開始できまするよう、極力工事を急がなければならぬ状況でございます。昨年、私、就任いたしまして以来、この問題はそういう意味におきまして、運輸省といたしましても最も重点的な問題である、かように考えましたが、何と申しましても、この新設が地方に及ぼす影響は甚大でございまして、しかも地元皆さまの全面的な御協力をいただかなければとうていこれを完成することは不可能なのでございます。そこで、千葉県知事を通じまして地元皆さまに対しまして、機会あるごとにこの計画内容並びに計画の実行に伴って地元に及ぼす影響等につきましては、偽わりない実情を徹底するように努力いたしてまいった次第なのでございますが、御承知のように、昨年の暮から今年の春にかけまして総選挙並びに地方統一選挙等がございまして、そうした関係上、関係者の努力も完全とは言いがたく、このために地元皆さまにいろいろ必要以上の不安をお感じ申させておる事実があることも否定できないと思うのでございます。そこで、地方統一選挙も終わりまして、各地方機関の体制も整ってまいりましたと存じましたので、今月以来、関係者の間では毎月数回の会合を持ちまして、相互に計画内容並びに準備状況を連絡し合い、これに基づいて、千葉県知事を通じて地元民への徹底をはかっていただこう、こういう措置をとることにいたしたわけでございまして、ただいまのところ、それに基づきまして近く用地の立ち入り測量を実施いたしまする必要がございまするので、この問題について地元民の御了解を得まするよう、千葉県知事に精力的に動いていただいておるのが実情でございます。
  17. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 空港問題が今日のように非常に、いまだにめどがはっきりつかないと、こういうような状態になっておりますことは、私はもうすでに昭和三十八年以来、運輸省に対して、また政府に対しましても強く要望してきたことでございますけれども地域住民と、いわゆる最近のことばでいえば政府の対話がない、そこに今日の混乱を引き起こしており、またいつ測量ができるのか、あるいはいつどうなるのか、さっぱり目安がつかない、こういうことになっていると思うんです。で、いま大臣は、非常にいいことばを使っておりますけれども、しかし、私はほんとうにその誠意があって、この新空港必要性を理解をして、そしてあくまでも国民協力のもとに建設をするのだというならば、なぜその地元の人とじっくり政府責任者が話し合わないのか。この点私は非常に疑問に思っているのですけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 一月二十三日に新空港計画の認可をいたしました。御承知のとおり、その後、総選挙並びに地方統一選挙等地元もいろいろな政治的な事情もございまして、そういう際にこの問題を持ち出しますことはかえって逆効果をおそれておったわけでございまして、今月に入りましてから、私どもといたしましてはもはや時期が熟しておる、こう考えまして、お示しのように、私ども責任者といたしまして、第一線に出まして地元方々実情を話し、また、地元の御事情等も直接に伺おうという計画をただいま立てておるような次第でございます。国会関係で手がすき次第、そうした運びにこぎつけたい、かように存じております。
  19. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私の言っておりますことは、現在どうするかというよりも、今日までのようなこの事態を引き起こしておることは、いわゆる過去もう三年来この問題があるにもかかわらず、そうした地域住民との話し合いが一つも行なわれておらないじゃないか、特に政府千葉県知事におんぶをしているような形になっているわけですよね。これは、空港をつくるのは政府でしょう。したがって、当然、政府が前面に立って地域の人と話し合うべきだと思うんです。ところが、いまなお県知事中心になってやっておる。どうしてこういうことになっておるのか私わかりませんが、しかし、ほんとう政府が国策として国民協力を得たいと思うならば、私は当然、政府あるいは関係当局地元に行って地元住民と話し合う、そういう必要がいままであったのじゃないか。そのことがやはり民主政治基本ではないか、こういうふうに私は思うんですけれども、過去そういうことがなされておらないことについてどういうふうにお考えかということを聞いているわけです。
  20. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 過去三年間に、なるほど所管大臣が直接地元へ行って、地元方々話し合いをしたという事実はあるいはないかもしれませんが、事務次官あるいは担当局長等がそうした運びをつけましたことは数回あるやに伺っております。しかし、いずれにいたしましても、大臣が直接行きまするのと担当官が行きまするのとは非常に地元としての受け入れの気持ちも違いましょうから、責任者が直接行けとおっしゃいまする先生のお考えには、私も全く同感でございまして、いままでそういう運びがなかったとすれば、これはまことに残念至極、今後、精力的にそうした運びをつけるようにしたい、こう思う次第でございます。
  21. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 担当官現地住民と話し合った、そういうことをいまちょっと言われたのですけれども、しかし、私たち過去の経過をずっと見てまいりますると、公団総裁にしろ、あるいは航空局局長にしろ、あるいはその他の幹部にしろ、現地に行って現地の人と話し合ったということはいままでないわけです。それは千葉県庁なり、成田市役所までは行ったかもしれません。しかし、富里なり、あるいは八街なり、あるいはまた三里塚なり、そういう現地に行って話し合ったということはないわけですね。これは認めますね。
  22. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) いままで、先生のおっしゃいましたように、航空局長なり担当官地元まで行って直接住民の方と話し合いをしたということはございません。私、着任以来、大臣からも御指示がありまして、現地に参りたいと思っております。国会のほうの御都合と見合いまして、なるべく早く現地に参りたいと、このように思っております。
  23. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、この国会のある程度の目安がつけば、航空局長大臣現地に行くと、こういうことを約束できますか。
  24. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はすでに、千葉県知事に対しましては、担当官を通じまして、ぜひ行きたいから適当な時期を指定してもらいたい、ただし、国会の手のすいたときでなければいけない、その点をうまく連絡してもらいたいという申し出をいたしてございます。
  25. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 私も、大臣からの御指令がありまして、国会のほうとの都合考えまして、すみやかに現地に参りたいと、このように考えております。
  26. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 過般の十日の日に、大臣千葉県知事と会談しておるはずですが、このときに、毎月一回、知事とそれから大臣公団総裁、この三者の定例のトップ会談を開いて、空港建設を強力に推進したい、こういう話し合いをしたようでございますけれども、私はそういうトップ会談を幾らやってもこれは推進ができない。トップ会談よりも、大臣みずからが、あるいは総裁みずからが現地に乗り込んで行って現地の人と十分話し合う、そういうことが私はこの問題を解決する大きな糸口になる、こういうふうに思うのですけれども、このことはどうですか。
  27. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御説のとおりでございまして、終局の目的は、土地所有者から必要な土地を譲り受けるということでございまするから、土地所有者に直接お願いして譲り受けるような運びをつけない限りは、すべてはその最終段階に至る準備手続にすぎないわけでございますが、しかし、従来の実績から考えますると、そのトップ会談という準備手続すらも不十分でございまして、このことが最終的な行動に出るような運びを妨げておったのではないかと、かように考えましたので、月一回ずつは、用があってもなくても三者が会談して、現状について話し合い、また今後の行動について打ち合わせをしよう、こういう約束をいたした次第でございます。
  28. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 公団総裁は、いま大臣の言われたような、現地に行って、とにかく地域の人と話し合う、そういう意思はございますか。
  29. 成田努

    参考人成田努君) いま御質問のとおり、現地に私が参って、それで各地主方々の御了解を得よと思います。しかし、ものには順序がございますので、ただいまのところは副総裁現地に参って、たびたび現地農民方々と折衝いたしております。その話が進み次第また私が参って、よくお話申し上げて御了解を得る考えでございます。
  30. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 現地に行っているということは、これは私たちが言っているのと違うんですよ。副総裁現地に行っているのは、成田市役所や県庁に行っているわけです。これでは現地にならぬですよ。成田市といっても広いですから、飛行場をつくるのは三里塚ですよ、中心は。現地というのは三里塚現地なんです。副総裁はそこへ行かなければ話にならぬです。行かれるつもりはありませんか。
  31. 成田努

    参考人成田努君) 現地地主方々、代表の方々と直接現地において副総裁は再三お話し合いをいたしております。
  32. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 総裁の言う現地とは一体どこですか。
  33. 成田努

    参考人成田努君) 成田市でございます。
  34. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 成田と言っても非常に広いんですよ。あそこは遠山村の合併なんかして、空港をつくるところは旧遠山村で、三里塚のあるところなんです。ですから、私たち現地というのはそこなんだ。どうです。
  35. 今井栄文

    参考人今井栄文君) いま総裁が申し上げたとおりでございますが、私はかねがねからぜひ現地に行って、直接農家をおたずねしてお話をしたいという気持ちは常に持っておるのでございますけれども、行くことによって、若干御迷惑をかけるというふうなことも懸念いたしまして、実はいままで差し控えておるわけでございますが、いま総裁がお答え申し上げたとおり、実際に農民方々とは成田におきましても、千葉におきましても、あるいはまた東京におきましても、できるだけ機会を多くして、多くの人とお会いいたしておるわけでございます。ただ、先生も御承知のように、条件づきでこの空港考えていこうという方々と、それから絶対に反対であるという方々と、現在二派に分かれておるわけでございまして、反対派方々に対しても、直接出向いていろいろお話しようということを、現在、千葉県知事ともお話し合いをいたしておる次第でございまして、できるだけそういう機会を早く持ちたいというつもりでおります。その点まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもとしてもできるだけ現地に行って、現地の実際の農家の方にお会いする機会が一日も早くくるように、心から念願しておる次第でございます。
  36. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 千葉当局政府反対派というのは二割ぐらいしかいないんだ、だから、それほど重要視する必要はないと、こういう何か気持ちを持っておられるようでございますけれども、私どもの調べたところでは、敷地内にかかる農家が五百四十戸、これは農家その他を含みます。そのうち反対だというのは百五十戸あるわけですよね。二割以上です。私はほんとう空港をあそこにつくりたいんだと政府が言うなら、こういう反対をしている地域住民との話し合いこそ私は大事だと思うのです。条件派あるいは賛成している人と条件について話し合う、そのことよりも、まず反対をしている人たちと、どうして反対をするんだ、政府はこうなんだ、率直に話し合ってみたらどうですか。話し合った上で、また結論がどう出るかは知りませんけれども、百五十戸、しかもこれはまたあとで御質問いたしますけれども騒音区域というものをどの程度考えているのか知りませんが、そういう地域を含めましたら、これは千戸以上にわたる農家に引っかかるわけですよ。そうなりますと、相当たいへんな仕事になるわけですから、そういう反対をしている人たちとの話し合いというもの、これを政府としては何よりも先にやらなくちゃならぬ、それには現地に乗り込んでいってやらなくちゃならぬわけですよ。いまのように、成田市役所や、県庁あたりで条件付賛成派、あるいは賛成派の人たちと話し合っているだけではいつまでたったってこれは問題の解決はできない、こういうふうに思うんですけれども、この点はどうですか。
  37. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私も先ほど来申し上げましたごとく、まだ現地に行っておらぬ状況でございますので、何とも申し上げることもできないような状況でございますが、私、考え方としては、先生のおっしゃることもまことにごもっとも千万に存する次第でございます。今後十分に考えまして、できるだけ有効な必要な措置をとるようにいたしたいと存じます。
  38. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 公団は、まあ地方選挙も済んだから、この際、先ほど大臣の言われたように、用地買収のための準備のために測量したい、この際ある程度強制的になっても測量をぜひやりたい、こういうことを県知事のほうに申し入れをしたようでございますけれども、これはいままでのお話では、大臣も、あるいは総裁も、航空局長もとにかく現地に行って現地人たちと十分話し合いをしたい、こういうことであればこの五月二十日——もう過ぎましたけれども、五月二十日ごろをめどに強制測量したいんだという方針をこの際変更して、そういう話し合いが済むまではやらない、このことをここでお約束できますか。
  39. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) できるだけ早く測量にかかりませんと、工期その他のほうから締めつけを食っているような状況でございますので、一応、五月二十日をめどにということであったのでございますが、現地の知事その他の方々と御相談を申し上げました結果、どうもまだ地元方々が十分納得するような状況になっておらぬというようなことで、五月二十日もその機及ばずして経過したような次第でございまして、今後も地元の納得を得るように百方手を尽くしまして、できるだけ地元の納得を得た上でこの測量のめどをつけるようにいたしたいと、かように存じております。
  40. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私はきのう現地へ行きまして、非常に農業も忙しい時期ですが、現地の皆さんが毎日仕事も手につかないということで非常に農作業もおくれているということで、援農というものをきのうやってきました。非常に農家はいま忙しい時期です。田植えがあり、落花生の下地をつくらなくちゃならない、あるいは麦刈りも近くなってきている。そういう忙しい時期をねらって強制測量に踏み切ろうとした意図というのは、これは政府や、公団はおそらくそういうことではないのだというかもしれませんけれども現地の人から見れば、これは農家が忙しい時期になれば、おそらくあまり動員もきかないし、そう抵抗もなしに測量ができるのではないかという下心があってこういう時期にきめたのではないか、こういう不信感と申しますかね、公団や、政府に対する不信感を現実に現地農民は持っているんですよ。これはどうですか。
  41. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) もし政府が、あるいは公団がさような意図で最初からおりましたならば、千葉県知事と相談して、まだ地元住民の納得が不十分であるから、そこで延期しようというようなことはやらなかったでございましょう。それをやって今日でもなおできるだけ地元との話し合いのついた上で測量にかかろう、こういうことを申し上げておりますのは、最初から御想像のような、さような意図は毛頭なかったということをはっきり証明しておるものと御理解賜わりたい次第でございます。
  42. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう意図がないとして、しかも話し合いがついてから測量すると、その話し合いがつくということは、この条件づき賛成派、いま三つに分かれておりますけれども、部落対策協議会と地権者会と反対同盟と、組織が三つあります。この三つとも全部の組織との話し合いがついて測量をする、こういうことに受け取ってよろしゅうございますか。
  43. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 話し合いのついた分から測量をするというふうにする場合もあり得ると存じますが、全部の話し合いがつかなければ一坪といえども土地測量はしないという、こういうわけのものではないと思います。場合によってはそういう重要な部分の話し合いがつかなければ、その地区は測量はできません。しかし、ある地区においては大体重要な地点の話し合いがついたということになりまするというと、それによって、測量を始め得る場合もあろうかと思います。これは今後の交渉の成り行きによって決定してまいるべき事柄だと思います。
  44. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その交渉の成り行きというその交渉相手には反対同盟も入るわけですか。
  45. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 交渉はむろん三者とも交渉を始めなければならないと思っております。
  46. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その反対同盟も含めて交渉をするという、その交渉場所は、もう一度確認をいたしますが、現地に行かれてやるということでございますね。
  47. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 交渉ということになりますと、おのずから交渉の担当官がございまするので、それが適宜な場所でやることになろうと思いますが、私も現地に参りまして、話し合い機会は持つつもりでございますが、すべての交渉を私が担当して最終段階まで必ず現地に出向いてやる、こういうお約束ではございません。その点だけお含みいただきたいと思います。
  48. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣現地に行っておられないので、あるいは総裁もそうでしょうし、局長もそうですが、千葉県知事なり、公団の出先の報告を聞いて、いろいろ情勢を把握しておるんではないかと思うんです。非常にいま険悪な現地の情勢なんです。大臣話し合いのついたところから測量をすると、こう言っておりますが、しかし、ああいう膨大なしかも滑走路は賛成の人たちだけのところじゃないんですよ。反対者の土地もあるわけです。したがって、反対している方々は、とにかく政府との話し合いがつかないのに一方的に権力を持って測量をするならば、直ちに——これは誇張でも何でもないんですよ——千五百人程度のものはすぐ集められるのだ。そしてあくまでも阻止をする、こういう態勢をいまとっておるわけです、常に。ですから話し合いがついたところから測量するんだというようなことは、これは絶対不可能なんです。どうしてもこの三者の団体と話し合いをして了解を得ない限り、私は大きな問題がこの測量の時点では起きるということを非常に懸念しておるわけです。したがって、もう一度、大臣並びに総裁は、そういう三者との話し合いを、とにかく煮詰めるまでは強制的な測量はしない、このことをひとつはっきりしていただきたいと思うんです。
  49. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 現地実情につきまして最も詳細に御存じの柳岡先生のお話でございますから、私もつつしんで傾聴いたす次第でございます。何分にも先ほど申し上げましたごとく、期限のある仕事でございまするので、しかし、いかに期限がありましても話し合いをつけて測量するというのがたてまえでございますから、これに向かってあらゆる努力はいたしまするが、おおよそ全部の人々が、みな話し合いがつかなければ絶対に測量は始められないと、そういうふうに考えるべきものでもないように思いますが、実行にあたりましては険悪な事態の発生することをできるだけ避けるため万全の注意をしながらやるつもりではございます。どうぞひとつそういう意味で御理解いただきたいと思います。
  50. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 期限のある問題だと、こう言われますが、それは四十六年の春までに四千メートルの滑走路だけでもつくりたい、こういう意向のようでございますが、それならば一体この測量を開始をする期限の限度というのはいつなんですか。
  51. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 測量はできるだけ早く開始するにこしたことはございませんが、いろいろ工事等も測量の時期がおくれれば督促をしなければなりませんし、また、工事をあまり督促することによって、いやしくも不完全なる工事などのないように絶対に注意をして、できるだけ早く測量にかかりたいと思っておりますが、なおそれ以上のこまかい時期的な問題につきましては今井総裁から。
  52. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 工事の竣工の予定からいつ測量に入ればいいのだという御質問でございますが、測量の時期そのものにつきましては、必ずしもいつまでに終わらなければならないというふうな限定は、時期そのものについてはございません。私どもは、政府基本計画の御指示をいただきましたのは、先ほど先生もおっしゃいますように、昭和四十六年の四月から四千メートルの滑走路を造成して国際線の一番機を飛ばすという指示をいただいて、それに向かっていろいろな計画を進めておるわけでございます。で、用地の取得につきましては、昭和四十二年並びに昭和四十三年度のこの時点内で用地を完全に買収するということでございます。で、いまの基本測量の問題でございますが、これは空港の区域を具体的に確定するために非常に大切な測量でございますが、用地買収との関連におきましても、たとえばある農家方々のどの敷地までが空港へかかるのか、かからないのかというふうな面について、地元におきましてもできるだけ早くその区域の確定のために測量はしてほしいという要望も強くあるわけでございます。で、現在私どもは少なくとも用地買収との関連におきまして、そういった問題は四十二年、四十三年両年にクリアにするという方向で現在努力いたしておるわけでございまして、したがいまして、そういった範囲内において測量の問題もできるだけ早く手をつけないと用地買収そのものに支障を生ずる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 できるだけ早く手をつけたいというためには、私が先ほどから申し上げておりますように、反対をしておる力とまず話し合う。それを煮詰めるまでは、いやしくも権力をもって強制的に測量するというようなことはやらない。それをやれば必ずまたよけい紛争が大きくなるわけですから、したがって、反対派の方と現地で十分話し合いをする、あるいは政府としての誠意を十分に説明をする、そういう機会を持つ。それまでは強制的な測量はしない、こういうふうに受け取っていいですか。
  54. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先生のただいまのお話はまことにごもっともなことでございます。大切な御意見といたしまして、今後実施にあたりましては十分考慮に入れ、尊重いたしてまいりたいと思います。
  55. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 佐藤総理は千葉県知事と会ったときに、喜ばれる空港をつくりたい、こういうことを言ったそうでございますが、一体喜ばれる空港なんていうのはありますか。大臣、どう思いますか。
  56. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 成田空港ができるということは、広くわが国全体の立場から見ますというと、わが国航空界の発展のために喜ばれることであり、またこの空港の設置による交通機関整備ということは、日本の将来の発展のために国民全体の立場からは喜ばれることだろうと思います。ただ、この空港設置のためにいささかでも犠牲を払わなければならない地元方々にとりましては、必ずしもこれが喜ぶべきことかどうか、この点は問題の存するところだろうと思うのでございまして、私どもといたしましては極力その犠牲を少なくして工事を実施する、また将来、飛行場ができたことによる利益をできるだけ地元方々に多く受け取っていただく、こういうことによりましていささかでも犠牲を少なくする。また空港のできた利益を多くするということは、これは一つの表現といたしましては、喜ばれるやり方で空港をつくるということと言えないわけではなかろうと存じまして、佐藤総理の言われました意味がいかなる意味か私も詳しくは承知いたしておりませんが、察するところ、以上のような意味ではなかろうかと存じます。
  57. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大阪でも、あるいは福岡のほうの板付におきましても、とにかく飛行場はうるさくてかなわぬ。たしかにこれを利用する人たちにとっては喜ばれる空港になるかもしれませんけれども地域住民にとってはたいへん迷惑なものだということはいまや私は常識だと思うのですね。そこでお伺いしたいのですけれども公団法第二条に、新東京国際空港というのは次の要件を備える公共飛行場、こういうことで、一つとしては、長期にわたっての航空輸送需要に対応できるもの、もう一つは、将来における主要な国際航空路線の用に供することができるもの、こうなっております。これと当初予定した七百万坪から半分の三百万坪ちょっとになった三里塚空港との関係はどういうことになりますか。
  58. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 公団に指示いたしました成田空港は、御承知のように四千メートルの滑走路一本と二千五百メートルの滑走路一本、それから横風用として三千二百メートルの滑走路がございます。敷地は御指摘のように三百二十万坪でございます。しかし、これはわれわれの計算によりますと二十六万回の離着陸の能力を有しております。それで、これは四十六年から供用開始をいたしますから、現在の国際客の伸びの傾向値から見ますと、これは四十六年から十年間は十分に国際旅客をさばく能力があるということでございまして、これは十分に将来の需要にたえ得る飛行場である。それから、これは十年たちましたらこの飛行場がだめになるということではございませんで、東京から六十六キロの地点にある国際飛行場ということは、これはかえがたい価値が将来にわたってあるものでございまして、将来も非常に重要な国際空港として、さらにその後他のところに国際飛行場ができても、この成田の国際空港の価値というものはかえがたいものがある、このように考えまして公団法の二条の要件に合致するもの、このように考えております。
  59. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いま局長が言われましたように、昭和四十六年から十年間の使用にたえ得る、それ以上については将来の航空需要、あるいは新航空機等の開発、こういう点からいくと使用にたえ得られないものになってしまうだろう、これは運輸委員会でも何か資料要求しているようでございますけれども、航空政策研究会の中間答申では、将来の主要国際空港としては非常に貧弱だ、しかも三百二十万坪というものでは非常に狭い、こういうことを言っているわけですね。それから昨年の六月の末に私は本会議で佐藤総理に質問をした際に、佐藤総理は、三里塚空港はあくまでも羽田空港の補助空港だと、補助空港ということは主要空港とどう違うんですか。
  60. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) その佐藤総理のおっしゃったことを不勉強でよく調べておりませんが、佐藤総理が当時言われたことは、成田空港が当初の予定と違いまして三百二十万坪に縮小されましたので、羽田の拡張も同時にあわせて考えていきたいということを、総理もそれから当時の中村運輸大臣も申されたように記憶いたしております。それで、これは補助あるいは主要という関係とまた別のことかもしれませんが、そういうふうに現在思っております。それから、先ほど十年たったらだめになるんだ、あるいは使用にたえないというお話ございました。これは十年たちましても東京から六十六キロの国際空港というものは、いま関東地方におきまして得られる一番近い空港ではないかと思いますので、十年たちましても、これはますます国際空港としての成田の価値というものは高まっていくものである、このように考えております。
  61. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 三十八年の十二月に航空審議会大臣に対して答申をした内容には、この際、中途はんぱな空港をつくることはかえって将来に禍根を残す、可能な限り能力の大きい空港とすることを基本的態度としてやりなさい、こういう答申なんです。ところが、いまいろいろ言われていることは、十年たつともう限界にくるだろう、しかも、あくまでも羽田空港の補助空港であって、したがって、拡張する意思はありません、これは総理がはっきりと本会議で答弁しているわけです。それじゃ一体航空審議会のこの答申にある将来の航空需要、あるいは新航空機の開発に対応できる一大国際空港というのは一体どういう計画を持ってどうしようとするのか、それをお聞きしたい。
  62. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いま御指摘になりました答中にもございますとおり、可能な限りということに相なっておるのでございます。私どもといたしましては、都心から一定距離内においてこれだけまとまった坪数を獲得できるといたしまするならば、これは最も便利な地点に可能な限り最大の規模を持った第二空港を設けることになる、こう思っております。
  63. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この大きい国際空港をつくるという理由の一つに、こういうことを言っているのですよね、現在、東洋における航空交通の中心であるわが国が、もしそれに見合う飛行場ができないとすれば、必然的にローカル線として立ちおくれていかなければならない。過去何回も、この審議の際も運輸省当局は言明をしておるわけですね。そうすれば、すでに新しい空港が必要だという声が出てきたのは昭和三十五、六年ごろですね。もうすでに七年たっているわけです。いまだもっていつ測量に入れるのか、建設できるのか、めどはつかないとすれば、今後三里塚空港以上の大きい飛行場をつくるとなれば、これは私は容易なわざでないと思うのですよね、しかも内陸につくるとなれば。いまから十年間しか使えないのですから——使えないというよりも、十年間たてばもう限界にくるというのですから、一体その後の航空機に対する対策は、航空交通に対する対策は一体どうするのか、いまから検討しておかなければこれはだめなんじゃないですか。これはどういうふうに考えていますか。
  64. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 近い将来において航空界に雄飛するであろうと予想されますジャンボ・ジェットあるいはSST、こういう飛行機を考えてみますというと、成田の飛行場は少なくとも完成後十カ年、すなわちいまから十五年ぐらい後までは完全に役に立つと、こういうふうに言われておるわけなのでございます。したがって、十五年後の日本の飛行場をどうするかという問題になってくるわけなのでございますが、御承知のように航空界は日進月歩でございまするので、十五年後の飛行機の性能なりあるいは形態なり、これはいろいろその間に進歩、発達もあると思いまするので、いまの段階で十年、十五年後の予想をつけるということはなかなかむずかしいことでございます。私どもは、まずここ五、六年の間にどうしてもつくり上げなければならぬこの成田空港をひとまずすみやかに完成していく、そうして当面の国際航空の需要に対応し、その後において、その後の航空界の変化、発展というものとにらみ合わせながらその後の対策を講じていく、これが実際的な立場ではなかろうか、こう思うわけであります。
  65. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことを言うから、政府のあらゆる施策は場当たり的だと、こういうふうになると思うのです、私はね。やはりもっとほんとうに日本が将来東洋における、あるいは世界における国際交通の要路として、中心地として、あるいは貿易の中心としてやっていこうというならば、この際、三里塚のような中途はんぱな飛行場をつくるのでなくて、もっと将来のそうした展望に立って、十分長い将来に対してたえ得るりっぱな空港をつくることが私は必要だと思うのです。昭和三十八年にこういう答申が出されてからもうすでに四年、五年たつ中で、なおかつ地元との話し合いも一ぺんすらやられずに、そうして測量もできない、こういう政府の態度では、私は今後大きな問題をさらに残すであろうと思うのですね。ですから、いまここで思い切って三里塚空港なんというのはこの際もう白紙に返して、そうしてより専門家の意見も十分取り入れた中で、すぐにでも着工できるそういう地域を探して、そうして将来に大きな航空事業と新しい航空機の開発に対応できる、そういう飛行場をこの際つくるべきだと私は思うのですけれども、この点どうですか。
  66. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私もいま柳岡委員のお述べになりました理想に対しましては全面的な同感を持つものでございまして、もしそれが現在の段階において可能であるといたしまするならば、ちゅうちょなくお説に従いたいと思うのでございます。ただ、現実の問題として、東京近郊において御指摘のような地域が発見できない今日、次善の策といたしましてもこの成田空港工事を促進するということは絶対必要な事柄であると思います。
  67. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうふうにあきらめないで、われわれもこれはもう飛行場は絶対必要でないということを言っているのじゃなくて、われわれも飛行場は将来必要だろう、だから、もっとお互いの頭脳を出し合って、そういう能力をお互いに出し合って、そうして探そうじゃないかと、こういう提案をしているわけですから、ひとつ政府もそういうことをこの際ぜひ考えてもらいたいと思うわけです。  そこで、もう一つ、騒音の問題でお伺いしたいのですけれども運輸省昭和四十一年七月に出したパンフレットの中で、騒音対策について、「一定ホン以上のものについて、格別の配慮をいたします。」、この一定ホンというのは一体何ホンですか。
  68. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これは昨年の七月の四日に、成田空港をきめます際に閣議決定をいたしまして、騒音対策につきましては、国が現在実施している騒音対策の基準を参照としてこの新空港について騒音対策を実施する、このように閣議決定をいたしました。われわれは決定に従いまして、いま作業をやっておるわけでございます。それで、この今国会にも航空機の騒音による障害の防止に関する法律案というものを御審議をお願いいたしておりますが、これによりましてとります対策は、個々の事項によりまして非常に違うわけでございます。それで、たとえば小学校、中学校等の騒音防止工事の場合は何ホン以上、それからいわゆる土地の買い取りの場合はどの程度、それから農業補償、農民の方が作業していて作業がおくれるということに対する農業補償についてはどの範囲というふうに、その範囲はそれぞれの項目によって違っているわけでございます。さらに防衛庁が実施しております騒音防止工事、小学校、中学校の騒音防止工事につきましては七十ホン——その土地によって違いますが、七十ホンから上を対象に取り上げております。
  69. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この騒音について、過日、千葉市におきまして日本公衆衛生学会というのが開かれた。ここで北海道の教授が騒音の問題について報告をしているわけでございますけれども、これによりますと、今後できる、たとえばマッハ二とか三とか、こういう飛行機、あるいはボーイング2707、こういうものを想像すれば、この危険区域というものが、大体五キロ範囲は騒音の影響区域として絶対に人間の住めるところではない、こう言っているわけですね。このことはお認めになるのですか。
  70. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 現在、防衛庁が実施しております騒音防止工事の範囲につきましては、七十ホン、八十ホンによって違っておりますが、その最高の防音工事を実施いたしますところは、滑走路の末端から五キロ、横二キロというところを、RA3と申しておりますが、鉄筋コンクリートの防音工事を小学校、中学校には実施いたしております。
  71. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いや、そういう現状でなくて、将来、三里塚につくろうとする四千メートルの滑走路はボーイング2707とか、あるいはさっき大臣の言われたジャンボ・ジェット機とか、SST、そういうような、飛行場のためつくるわけでしょう。そうすると、その飛行機から発する騒音というのは、ボーイング社の発表によれば、離陸点の五キロから高度四千メートルでもって騒音が百五ホンであるというのですね。そうすると、七十から八十ホン程度まで、以上は何とかしなくちゃならぬということであれば、百五ホンであれば、もう五キロ以内はとてもこれは生活できない、そういう地域になるのではないかと思うのですが、それはどうなんです。
  72. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ジャンボ・ジェット、あるいはSSTは、ただいま各国におきまして設計中の新鋭機でございまして、この設計に対しましては、各国政府もいろいろ騒音等の点を配慮いたしまして、飛行場における離着陸が、その周辺に与える影響を制限するような、そういう条件を設計に対して出しているところもあるようでございます。現在のところ一般的にこういう飛行機は百五ホンに、五キロ近くではなるだろうというようなことは、これはまだ想像の域を脱しない事柄じゃないかと思うのでございます。ことに、飛行機ができまして、離着陸いたします際におきましても、政府といたしましては、あくまでも現在以上の悪影響を周辺に及ぼすようなことがないようにするということが考え方の基本になっておりまするので、飛行機の操縦方法とか、あるいは飛行機の経路であるとか、そういう問題についても、その際においては、いろいろな面から完全なる規制をいたしまして、現在以上の迷惑を周辺にかけないようにいたす、これが基本的な飛行場の騒音に対する考え方であることを御了承いただきたいと思います。
  73. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうまだ何ともわからないのだから、騒音対策もまあ抽象的な対策にならざるを得ないのだ、こういうように私は聞こえるのですがね。それでは地元の人は納得できないと思うのですよ。一体ほんとうに騒音のために生活できない地域、それの範囲というのはどの程度なのか。これははっきりすべきじゃないですか。
  74. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いま私が申し上げましたのは、いまにできる飛行機で、できてみなければわからないじゃないかというような無責任なことを申し上げたのではないのでございまして、ある学者が千葉県の学会において、百五ホンというような報告をされたという、そのことはできてない飛行機に対して、百五ホンといまきめることは、これははたして適当かどうかわからないが、政府としては飛行場の離発着については、どこまでも現在以上の騒音を周辺に及ぼすようなことはさせないようにいたしたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  75. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 教授がそう言ったのではなくて、ボーイング社が出している資料の中に、このボーイング2707という今後できる、開発される航空機、これの騒音は、先ほど言った五キロで、高度四千メートルで百五ホンであると、こういうことですから、これは相当な範囲非常な大きな影響を受ける、こういうことになるわけです。そこで、一体、公団は、先ほどから七十ホンとか何とか言っておりますが、移転をさせる区域、それから用地買収をする区域、これはどの程度と考えておられるのですか。
  76. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 先ほどのアメリカのSSTの音響の問題でございますが、これはSSTが当初四十八、九年には出てくるだろうというのが、現在非常におくれておりまして、五十年以降になる見込みでございまして、その原因の一つは、アメリカのFAA——アメリカの航空局が、ボーイング社に対しまして、音響その他も現在のDC8以上にならないように、こういう指示をいたしております。その辺を勘案して、製作自身が非常に相当おくれておる、このように聞いております。ただいまの移転補償、買い取り区域につきましては、現在、騒音防止法を国会に御審議をお願い申し上げておりますのと並行いたしまして、運輸省航空審議会の中に騒音部会を設けまして、そして防衛庁の現在実施いたしております基準を、その騒音部会に提示いたしまして、民間航空の場合におきましては、一体どの範囲を買い取り補償、あるいは移転補償、それから騒音工事を実施すべき範囲とするのが適当かということを広く学者の方、それから関係政府機関も入りまして審議をお願いいたしております。それで、その範囲は騒音防止法が通りましたら、その騒音防止法に基づきまして実施いたしたい、このように考えております。
  77. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 当初、運輸省は二キロ六百と、こういういわゆる滑走路先端から二キロ六百、中心から幅六百、両側ですね、そういうことを言っておったのが、最近では一キロ三百だと、半分に減っているわけです。こういうことが、私はこれは一つの例として、いままで千葉当局や、あるいは政府が新国際空港に対する地元対策についてという、この閣議決定をしている、これらのものすべてがごまかしであるという印象を地元の人に与えているわけです。現実の問題として、一体、政府はこの地元対策、閣議決定に基づく、これを本気にやる気があるのですか、一体これから測量に入り、四十六年の春までにつくろうとする中で、どういう具体的なプランを持って、予算的な措置をもってあらゆる地元対策をやっていこうとするのか、いまあるのかどうかをお伺いしたい。
  78. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 政府として閣議で決定いたしました対策につきましては、もとより必ずこれを実行するということが前提になりまして、成田空航新設工事が進められておるわけでございますが、この点はとくと御了知を賜わりたいと思います。なお、予算等の問題につきましては、政府委員から申し上げます。
  79. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) その閣議決定をごらんいただきますとわかりますように、騒音対策につきましては、国が現在実施しております騒音対策の基準を参照として新空港については騒音対策を行なう、このように閣議決定にはあるわけでございます。それで、成田空港につきまして、滑走路の末端から二千メートル、幅六百メートル、この範囲を買うという話はわれわれもよく伺っております。それで、この成田空港につきましては、そういう問題があるということを航空審議会のほうにもよくお話をしてございます。これは国、公団、県、三者が話し合いまして、その二千メートル、六百メートルということが地元で確信をしておられるわけでございます。これは何とかしてその範囲のものは土地の買い取り——希望があればこれは買いたいと、このように考えております。
  80. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 空港公団が法に基づいて実施をする、いわゆる施設をつくるものは、一体どういうものがあるのですか。
  81. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 公団のつくる施設はいま、基本的には運輸大臣の御指示によってつくるわけでございますが、おそらく空港の敷地の中には基幹施設としては滑走路、誘導路、あるいはターミナル施設、あるいはそれ以外の保安施設、こういったものができるわけでございますが、それ以外に空港に関連いたしまして、飛行機の修理のための工場であるとか、あるいはまた機内に積み込むための食品の加工工場であるとか、そういうようなものをつくっていかなければならないと思います。
  82. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 たとえばですね。空港騒音の問題でいま問題になっているのは、確かに防音装置はする。ところが、防音装置はするけれども、そこの中に入っておる学校の子どもたちはもうむしぶろに入ったようなもので、勉強もできない。そうすれば防音装置だけでなくて冷房装置も必要じゃないかと思うのです。そういうところまで騒音対策というものを公団考えておられるのかどうか。
  83. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 学校並びに病院というふうなものにつきましては、当然にその改築あるいはまた新築の場合に、冷暖房を考えております。
  84. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) ただいまの副総裁の御答弁にちょっと補足させていただきますが、国が現在実施しております防音工事は通風装置を考えております。通風装置を実施いたしております。
  85. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それからもう一つ。この空港の防音林をつくる、こういうことをしばしば言っております。先般新聞の報道によると、木の高さ十メートルから二十四メートルですか、そういうものを長さ四千メートル、二千五百メートルの滑走路の両側につくるのだ、こういうことを言っておりますが、実際問題としてそいう木の高さのものをいますぐあそこには植えることができるのですか。大体、林野庁あたりの調べによりますと、杉なんかにして二十メートルの木の高さにするには四十年かかるといわれているのです。一体こういう計画が実現できると思いますか。
  86. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 防音林につきましては、すでに御承知と思いますけれども、ワシントンのダレス空港で実施中でございまして、ダレス空港からの具体的な資料によりますと、非常に効果があるというふうなことで、私どもとしてはぜひとも新空港には防音林をつくっていきたい、かように考えております。  ただ、先生がいまおっしゃいましたように、一定の樹齢に達しなければある程度の高さは保証できないではないか、そのためには非常に長期にかかるではないかという問題があるわけでございます。私どもは、防音林につきましては、すでに樹種の選定につきましては林業学会に、それからまた音響の効果につきましては音響学会に、調査研究を依頼して、その結論が出ておるわけでございまして、先ほど津局長が申されましたように、新空港東京の表玄関として、将来東京国際空港として、非常に大きな価値のある空港として存立することになるのでございますから、私どもは防音林の基本的な考え方としては、やはり長期にわたっての防音効果ということを考えて、その樹苗の育成から始めていきたいと思います。しかしながら、まず当初におきまして、どういう方法によって防音の効果を考えるかという点につきましては、あるいは空港の周辺に土盛りをするとか、それにまた灌木を植えるとか、あるいはまた現在既存の使用し得る木につきましてはそれを移植して、できるだけその需要にこたえるというふうな方法によって今後研究をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあ時間がこざいませんのでこれでやめますけれども、そういうような対策では、これは決して騒音から生活を守る、健康を守るということは、私はできないと思います。  それともう一つは、公団は滑走路をつくり、それの付帯施設をつくればそれでいいと思っているかもしれませんけれども、飛行場をつくればやはりそれに必要な鉄道もあるし道路もあるし、資材輸送のための交通機関も必要だろうし、それから排水、用水路、さらにはガソリンを運ぶところのもの、パイプラインにするのかどうするのか知りませんけれども、そういうものも必要なんですよ。そういうのは一体だれがやるのですか。公団はおそらくそういうものとは関係なく、滑走路さえつくればいいのだ、こういうふうに言われると思いますけれども、総合約なやはりそういうものがいま立てられなくて、どうして四十六年の六月に業務を開始することができるか、こう私は言いたいのです。
  88. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 各種の公共事業を含む飛行場建設に伴いまする諸般の工事につきましては、いまそれぞれ所管の各省がございますので、それらとの連絡をとりつつ、基本計画について協議中でございます。必ず相伴って実施するようにしたいと思います。
  89. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もっと質問したいのですけれども、いままでのお話を承っておりますと、私はますますこの三里塚空港はこの際あきらめて、そうしてもっと問題なくすぐつくれるようなやはり地域をこの際選定をして、そうして即刻工事にかかる、こういうような方向での新しい空港をつくるべきだと、こういうふうに感じます。いまだにもっていろいろな問題が手をつけられておらないということは、今後現地の情勢等を見ますると、あと何年かかればこの飛行場ができるのか、私は非常に疑問です。しかも、つくられた飛行場は当初の半分といわれるような狭い飛行場だ、将来の長い需要に対応できないという飛行場であれば、この際、私は、政府はもう一度検討し直して、国会における与野党の超党派的なもとでの空港建設、あるいは国民と十分協力のできるような空港建設、そういうものをこの際ぜひ考えていただきたい、こういうことをひとつ要求いたしまして、きょうは非常に時間がないので、申しわけないのですけれども、一応終わりたいと思います。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連してちょっと。いま、同僚の柳岡委員から成田空港についての諸般の質疑が行なわれました。私もこれを拝聴いたしまして、きわめて重大な問題だと思う。特に、十八日の日の運輸委員会で、これまた成田でございますけれども成田総裁と副総裁とのそれぞれの意見の食い違いがあるのではないかというような私は気がするわけです。非常にこの問題は困難な問題だと、実は柳岡委員質疑を通じて私は感じました。十八日の日の総裁のこれに対する答弁は、つまり、この賛成派は四分の三を占めているのでさして問題がないと言い切っているわけであります。これに対して今度は副総裁のほうは、たしか当時大倉委員質問したと思っておりますが、大倉委員質問中心は、やはりいま柳岡委員質問したのと同趣旨の内容であったと私は記憶をいたしております。副総裁、答えまして、お説のとおりきわめて困難な問題だと、こう答弁いたしているわけでございますが、総裁と副総裁が、まことに、同じ所管事項に携わっておりまする責任者同士が、どうも私はそのものの見方、ながめ方に非常に差があるような感じがいたしますので、この点をひとつ聞いておきます。  それから、二つ目は、四月の二十三日に、反対をいたしておりまする人々が、運輸大臣を相手どってこの問題は憲法に違反をする、あるいは航空法の精神に反する、こういうことで訴訟を起こしているように私は伺っているわけでございますけれども、この事実があるかないか。この二つを伺っておきます。
  91. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 吉田先生のあとのほうの御質問、この地元方々のうちから運輸大臣を相手にいたしまして、この成田空港運輸大臣工事の認可は航空法の精神に照らして違法であるから取り消しを要求する、こういう訴えは東京地方裁判所に出ておりまして、われわれは訴状の写しを受理いたしております。
  92. 成田努

    参考人成田努君) ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、敷地内におきまして賛成派、反対派の率についてはかようになっておると申し上げました。それで、楽観を許さないという点においては、なかなかこれから困難を伴うという点につきましては、副総裁の意見のとおりでございまして、ただ、この程度まで地元の人の了解を得たので喜んでおるということでございます。
  93. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、総裁、この間の十八日の委員会で申された意味は、副総裁が言うほうが正しいので、あなたが言った楽観論というのは楽観じゃないというわけですが、きょうの言い方はこれはどうですか。
  94. 成田努

    参考人成田努君) 少々私の申し上げることばが足りなかったのかと思いますが、決して非常な楽観すべき状態であるとは考えておりません。相当困難は伴うだろう、しかし何とかしてつくり上げる考えであるという点を申し上げた次第でございます。
  95. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 総裁はいま十八日の答弁を言い直したわけですから、私はそのこと自体を問題にしようとしているわけではないのです。柳岡委員が申された、あるいは大倉委員の十八日の質疑をした内容から見て、私は全く同じように感じておりますから、その点は副総裁が端的に表明したわけですから、あなたのことばじりをとらえてどうこう言おうと思いません。ですが、いま、何とかしたいのだと。何とかしたいのでは、何ともならないですよ、何とかしたいのでは。具体的にどういうことをやろうとしているかということを明らかにしなければ、これは何とかしたいからといっても何とかなるわけでは決してない。そこの点に非常に不明確な点が一つある。  それから、運輸大臣、いま澤局長が私の二番目に聞いたことに対して、そうした事情、訴訟の内容につきましても具体的に知っています、こういうことですが、これは私はしろうと考えですが、認可をしたことが憲法と、さらには航空法の精神に反するのだからということで、あなたがたまたま幸か不幸か認可したときの大臣かどうか存じ上げませんが、当面、所管の大臣でありますから、あなたが相手どられて訴えられているのですが、当然これは裁判にかかってくると思うのです。そうしますと、認可したこと自体に対する裁判が起きてくるわけですから、これがきまらなければ、私はなかなかいま総裁が言ったような、何とかなるであろうなどというようなことにならぬような気がするのですがね。これはどうですか。
  96. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この裁判に、この提訴に並行いたしまして、仮執行あるいは仮処分等が行なわれまするというと、お説のように現状から進めることが困難になりますが、ただいまの段階では仮処分等の申し立てはないようでございます。
  97. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 非常に大臣は明快に答えられましたので、わかりました。ただいまのところはそういうものがないというけれども、これは四月二十二日ですから、わずか一カ月くらいでそう簡単にそういうものは出ないと私は思うのですね。したがって、これからやられれば、そういうものが裁判の進行として進められていくと思うのですよ、常識的に考えて。ですから、これからどうなるかわかりませんね、これは。この辺はどうですか。
  98. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私、重大な点をただいま誤った答弁をいたしましたので、訂正をさしていただきます。  執行停止の、つまり、認可の行政処分の執行停止の仮処分の申し立てをあわせ行なっておるそうでございます。したがって、仮処分の裁判がありましたならば、当然、御指摘のように、現状から進行することは困難になります。この点は政府といたしましては極力、仮処分等の行なわれないように法律上の手段を尽くすつもりでございます。
  99. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、澤局長、そういう手続をいまとったということを、大臣を通してこの委員会で明らかにされたわけですが、いつごろそれが、具体的な最終的な決定が出る見通しですか。
  100. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) これはいつごろになるか、まだわかりませんですが、近く第一回の公判が行なわれる見込みでございます。
  101. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、この種の訴訟、裁判というものは、一回や二回で私はそう簡単に結論は出るものでないと思うのですがね。そうすると、かなり訴訟による時間が私はかかるように感ずるわけですが、この点はどう認識しておりますか。  それから、もう一つは、その決定が出なければ、これは総裁が言うように、何とかなるであろうというようなことには私はならぬと思いますが、どうですか。新聞紙上見ますれば、近々この強制測量をするような内容のことが書かれておりますが、これとの私は関連をいま頭の中に入れておかなければならないものですから、それで伺っているわけです。
  102. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 裁判のことでございますから、どれくらい時間がかかるか、これはわれわれにも予測がつかないのでございますが、運輸省といたしましては、訴えをもって、運輸大臣に対する訴えのいろいろな訴因を検討いたしております。運輸省といたしましては、われわれのほうに十分事由がある、このように確信をいたしている次第でございます。  それから、あとのほうの御質問の、強制測量との関係というお話でございますが、ただいま公団のほうが実施しようといたしております測量は、土地収用法十一条の手続による測量ではございますが、土地収用法十一条に基づきまして知事に通知をいたしましてそれに基づく測量ではございますが、まずいま公団が実施しようといたしておりますのは、反対者のところに十一条の権限に基づいて立ち入るということではなくて、立ち入ってもいいという人のところに入って測量しよう、こういうことでございますので、立ち入り測量自身は土地収用法十一条の権限に基づく測量ではない、このように了解いたしております。
  103. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもいまのお話を聞いておりますとね、裁判の時間的な将来の見込みについてはそれはわかりません。だけれども、決してそのような答えが出ないということには確信を持っている、こういうことでしたね、いま。そうするとね、その見通しがわからぬで確信を持っているということも、これもまた妙な話ですね。ですから、どういう確信を持っているのか具体的に言わなければ、見通しはわからぬ、しかし確信がある、これでは国民は納得しませんからね。まずここのところですよ。  それから、強制測量についても、反対している人についてやるのではなくて賛成している人のところから測量するのであるから、問題がないという意味の答えなんですね。ところが、最近ですよ、ごく直近じゃないですか、公団側がこの賛成であるという人々に対しても条件を提示したのは。この条件に対して、私の知っている範囲内では、賛成をしていない。ですから、賛成というのは条件が満たされれば賛成であって、条件が満たされなければ反対になるのですよ、これは。わかりますか。ですから、いまのところは全体の人々は反対だといっても過言ではないのですよ。あなた方の近々提示した条件には賛成していない。そうでしょう。そういう事柄を踏まえてみたら……。もう一つは、いまの裁判問題があるわけですから、この行き先は見通しがわからないということですから、総裁、どうですか、こういう客観的な情勢の中で、あなた簡単に、つまりこの問題を、新聞紙上に出ておりますような六月一日以降に強制測量ができると思いますか、総裁
  104. 成田努

    参考人成田努君) できるだけ地元皆さま方の御了解を得るべくいま努力中で、ございますから、その了解がつき次第測量に入りたいと思います。
  105. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのできるだけ、了解がつくまでということですがね、その場合、そのあなたがこの間、十八日のここの委員会で、運輸委員会で答弁した、四分の三の賛成者全体の条件が整わなければ私は前からの関連でやれないと思うのですがね、この点はどうなのですか。局部的に条件が整ったら、それでやるというのですか。
  106. 成田努

    参考人成田努君) 賛成を得られたところから調査に入りたいと思います。全部の了解を待ってというわけでなしに、了解を得ましたところから調査に入りたいと思っております。
  107. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも私は、柳岡委員のいろいろな、たくさん数聞いた中であなた方が答弁していることといまの答弁では、かなり差があるような気がするのです。しかも、一人でもその条件が満たされたらそこだけでやる、そんなことでこの大飛行場があなた方の計画どおり建設できますか。やるならやっぱり、少なくとも十八日の日に答弁をされたような、その人々が全部条件が満たされる段階でそのところをやるというならば、これはある程度なるほどなということで納得するかもしれませんが、いま全部反対なんですよ。あなた方の二、三日前に提示をした条件、全部反対です、私の知っているところ。もし賛成した人がいるのなら、この中で明らかにしてください。——そうすると、全部反対なのだ。その中で一人でも、つまり最低限百万補償できればよろしいなどということになってくると、あなたは測量するのだ、こう言う。これは測量になりませんよ。それを称して、あなた方が、実際成田空港については測量のくいを打った、こういう言質をとろうとしているのだと思うけれども、そう簡単に私はいかないのじゃないかと思うのですね。いまあなたの答えは、外堀を埋めて順次内堀を埋めていくというように、まことに卑劣なやり方ですよ。そういうことを考えているとすれば、私はそれならこの空港建設はもはや成功しないと見ておりますが、どうですか、この際。
  108. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっといまのに関連で。いまの総裁の答弁は、いままで私が質問をした中で、まだ時間、幾らもたっていないですよ、三十分ぐらいしか。その中で、もう全然違ったことを言っているのですよ、総裁は。おかしいじゃないですか。大臣は、私が言ったように、反対派の人とまず話し合わなければえらいことになりますよと。賛成だからそこだけ測量するのだとやった場合には、千五百人からの人が動員をかけて必ず大きな問題になるのですよ。だから、まず反対をしている人と話し合いをすることが先決じゃないですか、こう言ったら、大臣も、できるだけその意見を尊重して今後十分努力しますと言っているのですよ。それを全然忘れたかのように総裁は、賛成の人から了解がつき次第やるのですと、こういう無責任な態度でいるから、いつまでたっても解決しないのですよ。この点はどうなのですか。
  109. 鈴木強

    主査鈴木強君) 大臣、確かに御質疑を聞いておって、一体この空港建設するための測量から始まってずっと権限というものは公団に全部まかしてあるのか、それから土地接収に対する問題がこじれているのですから、そういう問題については政府が責任をもっていまおやりになっているのだと、こう思うわけですね。ところが、総裁のほうは、何か、賛成のほうからどんどんやっていくのだということになると、これはやっぱり問題ですよ。ですから、政治的な立場に立っての問題と、それからもう一つは空港建設に対する基本的な政府の態度というものが、地元とあくまでも折衝してその上でやっていく、公団のほうはその政府の方針に基づきながらやっていく、そういうことになっているとぼくらは聞いている。ところが、総裁の答弁は、柳岡委員から言うように、先走って、政府のほうは差しおいてやっていくから問題になるので、その辺ひとつ交通整理をして明快な答弁をやってください。そうしないと進まない。
  110. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 公団土地の取得と工事の推進につきましては、全面的に、法律上は権限が公団にあることは、御承知のとおりでございます。しかしながら、この問題は、先ほど来当委員会においても最大の問題になっておることでも明らかなとおり、きわめて重大な政治問題でございまするし、政府といたしましても最大の関心を払っておる事柄でございまするので、また政府ばかりでなく、地元千葉当局あるいは成田当局等も最大問題としてこれに取り組んでおるような状況でございまするので、先ほど申し上げましたごとく、この問題の進行等につきましては、私と総裁千葉県知事と、これが絶えず会談をし、その過程を通じて詳細連絡をつけて進行しよう、こういう申し合わせになっておるような次第でございます。
  111. 鈴木強

    主査鈴木強君) そうすると、いまの御答弁のとおりだとすれば、公団のほうとしてもその進行状態をかまわずにやるというわけにはいかぬのですからね、おかまいなしに。ですから、さっきの総裁の答弁は、その点誤解を受ける答弁でしたから、その点ひとつ総裁からも一言ってください。
  112. 成田努

    参考人成田努君) ただいまのお話のとおりでございまして、できるだけ地元の御了解を得べく目下努力中でございます。それで、地元農民方々個々に折衝しておるわけでなく、三つの団体に分かれておられるものですから、一つ一つ目下御了解を得べく折衝しておりますので、それが了解つき次第調査に入りたいと思います。どうぞことばの足らぬところは御容赦をお願いいたします。
  113. 鈴木強

    主査鈴木強君) 石田総裁から発言を求められておりますから、これを許します。
  114. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お許しを得まして、私、今度国鉄総裁として再任いたすことになりましたので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。(拍手)
  115. 岡本悟

    岡本悟君 石田総裁が去る十九日付で再任されまして、おめでとうございますと申し上げますより、まことに御苦労さんでございます。  きょうは、ただ一つだけ総裁に御質問申し上げたいと思いますが、国鉄の経営の基本問題、もっと突き詰めて申しますと財政問題、もう申し上げるまでもございませんが、本年度の予算を編成いたします際に、国鉄側といたしましては政府出資九百億円を非常に強く要求されましたけれども、ついに政府側としてはこれをいれるところとならず、この問題は持ち越されまして、御承知のように、昭和四十三年度の予算編成以降の問題として大蔵省対運輸省、国鉄との間においていろいろ相談をされる、こういうことになったのでございます。  そこで、この大蔵省との会談なり打ち合わせに臨まれる国鉄総裁基本的な考え方ですね、つまり、これは今度の会談に臨んで初めて基本的な考え方が出るというのじゃなくて、もうすでに政府に対して九百億円を出資してくれとか、あるいは総裁がしばしばあらゆる機会に申されておりますように、公共負担をこれだけやっているのだが、これをカバーしてくれとか、いろいろお話になっておる。そこで、何らかの国有鉄道の財政についてのあるビジョンというものを持っておられて、そういう見地からたとえば政府出資をしてくれとかなんとかという要求が出るのだと思うのです、当然。  たとえば、しばしば引き合いに出されます道路公団に対する政府出資は、大体いままで通じて平均して見ますと一三%くらいになっておりますが、その際の一つの目標としていわれておりますのは、資金コストが大体六分五厘くらいになる程度に、しかも、一方、有料道路は三十年で償還する、こういう二つの目標から政府出資をこのくらいやる、それからあとは財政投融資あたりで、つまり債券なり借り入れ金で調達する、こういう一つのルールがあるわけでございますが、総裁がたとえば政府出資九百億円要求するといったような場合、あるいは公共負担をカバーしてくれと言われるような場合に、どういうようなビジョンを持っておられるのか、この三次計画の完遂ということが絶対命令ですから、これを資金確保、安定した確実な資金を確保するという見地から言っておられるのか、そこらあたりが必ずしもはっきりしていないのですね。実は私自身も明確なビジョンを持っておるわけではないので、むしろ特に財政通の総裁からお教えをいただきたいと思いまして、お考えをお伺いしたいと思います。
  116. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 御承知のとおり、国鉄が直面しておる一番大きな問題は、第三次計画というものを予定どおり遂行する、達成するということであります。そのために四十一年度からの運賃の値上げということをやったんでありまするが、最近における道路の発達、輸送機関の発達のために、国鉄は年々増収はするが、その勢いというものはきわめて、前に比べるとだいぶ弱くなっている。一方、経費というものは、遠慮会釈なく上がってくる。プラスの面は弱く、マイナス面は強い。その結果が、自己資金というものの増勢がはなはだ弱化している。われわれ第三次計画を立った時分の見込みに比べて、非常にその点は失望せにやならぬような状態になっておるのであります。  そういうことで、ことに通勤通学の問題のごときは、われわれは第三次計画を遂行するについては五千二百億というものの予算であったんでありまするが、その需要力というものが、われわれが見込んだ百分の七ではとても足らぬ。どうしたって百分の九というものは見込まにゃならぬ。そうするというと、いまの交通地獄というものは、いつにして一体これを緩和することができるか、これははなはだ心もとない。そこで、ひとつこの問題は、非常な多数の国民の生活を麻痺しておることであり、国鉄としてはまことに申しわけない次第でありますので、何とかして思い切ってこれをひとつ早くやれないかということで、五千二百億の去年の予算に対して千六、七百億は見込まにゃいかぬ。まず七千億くらいはつぎ込まにゃいかぬ。それにはまず言ったように、自己資金の流入というものがまことに貧弱なんです。どこからか利息のつく金を入れにゃいかぬ。  どこから持ってくるかということになりまするというと、これはいまさら国鉄が新発明をしたわけでもなんでもないのです。すでに内閣においてつくられました国鉄基本問題の懇談会におきまして、国鉄の第三次計画の遂行については政府というものは出資及び公共負担の是正ということをぜひ考えにゃいかぬということをうたっているのでありまして、われわれもこれはぜひともそういう点について政府国会にひとつ考えてもらわにゃならぬということで、四十二年度の予算をつくるにあたりましては、政府の出資ということを特にお願いした次第でありまするが、これはどうもしかしわれわれの出した数字というものが大き過ぎた。私からいえば、やぶから棒のようなかっこう、これは国鉄としてははなはだまずかったと私は考えておりますが、いずれにしても、しかし精神はやはりちっとも変わらぬ。  それで、ことにこういういままで類のない要望を政府にいたしますにつきましては、おもむろに国鉄の内情というものをひとつ御了解願わにゃならぬ、こういうことで、四十二年度のわれわれの要望が切られた時分に、大蔵省に対しては、四十三年度の予算を作成するについてはこの出資の問題ということと公共負担の是正ということは、ひとつぜひ検討していただきたい——私は考慮していただきたいということに申したのでありまするが、考慮は少しきついから、まあ検討ぐらいでいいじゃないかと、こういうことで、私としてははなはだ本意ではないのであります。しかし、ベター・ザン・ナッシング、まあひとつそういうことでやろう。要するに、大蔵当局の頭は予算編成の時分にそういうことを持ち出したところで、内閣の各方面から来る予算を切ることに急にして、国鉄の立場になって考えるというようなことは、どうもこれは余裕がないだろう、これはおもむろにひとつやらにゃいかぬということで、ああいうふうな条項をつけまして私は出しました。これは第三次計画の遂行、特に交通地獄の緩和というものを急速にやらにゃいかぬ、こういうことが私の頭にある次第であります。
  117. 岡本悟

    岡本悟君 まあ私が先ほど申し上げましたように、第三次長期計画はこれは絶対至上命令だ、こういうことが前提なんです。ですから、その前提は議論しない。  で、たとえば政府出資を要求するというような場合は、第三次長期計画遂行に必要な確実な資金、安定した資金を調達しなきゃいかぬ、その方法として、一番手っとり早いのが政府出資であるという見地に立っておられるのか、確実な資金が得られるならば、まあ極端にいいますれば、財政的な顧慮は必要なしということなのか。つまり、先ほど道路公団の例を出して申し上げたのですが、もう一つ例を出しますと、まず確実な安定した資金の調達がこれは先決問題だと。それから、そうかといって、資金を調達する場合に、いまでも相当の長期借り入れ残高が出ておりますが、その利払いなりあるいは元金の支払いということが相当問題になる、まあ借金の利子の支払いのために借金をするという状態、つまり償却前に赤字が出るという状態でも、とにかく確実に工事遂行に必要な資金が調達できればいいと、こういうことになるのかどうかですね。つまりビジョンですね。ある程度ロングランに考えた国鉄財政を考えてみて、少なくとも償却前の赤字はないという状態で、しかも一面確実な資金の調達が必要である、そのためにはこういった見地から、コストはこのぐらいなければいかず、したがって政府出資は年々これぐらいなきゃいかぬというような何かビジョンがあるのじゃないかと思うのですけれども、その点どうでしょう。
  118. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 確定の資金を得るということは、これは根本問題です。ただ、問題は、通勤輸送の強化というようなことは、これはもう金ばかりかかって、収入というものは、非常に大きな割引をしておるために、とても引き合わぬ。たとえば、これはもう御承知のことと思いますが、ニューヨークにしてもシカゴにしても、フィラデルフィアにしても、市中の交通を持っておるあの地下鉄なんというものに対しては、市がこれをつくってその運営を会社にまかしておるというようなことでありまして、これは通勤の問題のごときは、輸送の増強のごときは、これはもう利息のつく金をもってしてはとても引き合わぬと。御承知のとおり、国鉄というものは独立採算というもののワクをはめてあるのでありますからして、これはやはりどっからか利子のつかない金を持ってくるより方法がない。しかも、御承知のとおり、国鉄というものは一方に赤字線の経営というもののために、四十年度のごときは千四百億以上の負担をしておりますし、また通勤、通学のごときにおいても、御承知のごとく非常な金をかけてやるためには、とてもこれはもう利息の負担でやり切れぬ。だからして——もう一つは、とにかく始めましても、投資しましても、それを完成するのにはやはり四、五年はかかると。かかったところで、また二年くらいたたなければほんとうの投資効果というものは出ないので、こういうことから考えますと、国鉄は利息の負担のために独立採算制というものは維持できぬということ、それから、これまで国鉄というものは政府のために政策を国鉄の犠牲においてやっておることは、三十二年から四十一年までに七千億以上あるのだから、まあせめて政府としては国鉄のこの危機に対してそういう救助の手を差し伸べてくだすってもいいのじゃないかということで、ああいう出資の問題を出したわけであります。
  119. 岡本悟

    岡本悟君 私はまあ総裁のおっしゃることは、気持ちはよくわかるのですけれども、その具体的なビジョンですね、どういうふうにお考えになっておるかと思って聞いたわけなんです。と申しますのは、この第三次長期計画に入る以前に第二次長期計画を策定いたしましたときにも問題になったのですが、投資のうちを分けまして、つまりすぐ利潤を生む、利益を生む投資、具体的にあげますと、たとえば車両の増加、増備、こういったものはすぐやはり収入増加につながるじゃないか。ところが、高架の問題であるとかあるいは踏切の問題であるとか、あるいは線路増設にいたしましても、これはいま総裁がおっしゃったように、利益を生むまでは相当かかる。そういったようなものに分けまして、そしてすぐ利益を計上し得るような性格の投資は、これはまあ借金、つまり利息のつく借金でもよろしいと。そうでないものは利息のつかない政府出資というふうな考え方に一応分けたことがあるのですね。そういう分け方もやってみたことがある。それから、あるいは先ほど申し上げましたように、道路公団のような政府が出資する場合の一つの目安を、資金コストとかあるいは三十年償還ということで考えると、あるいは運輸省が今度の四十二年度予算国会の審議をいまやってもらっておるのですが、その中で私鉄に対する、特に公営地下鉄に対する補助金を計上しております、これはまあ大臣も御承知のとおり。それに対しては、償却前の赤字は解消するように補助の手を差し伸べてやろう、その程度までは。そういう考え方に立っているわけで、何らかやはり国有鉄道に対する抜本的な財政計画予算編成を考える場合にそういうビジョンが必要じゃないかというふうな気持ちがしてならないのです。  そこで、まあ必ずしもきょうはその点においては明確な御回答がなかったのですが、つまり総裁のおっしゃることはよくわかるのですけれども、利息のつかない金を出せとか、あるいは公共負担の是正をしてくれということはわかりますけれども、どういうビジョンを描いて年々政府出資なら政府出資をしていくというふうな、あるいは公共負担の是正をしていくというふうなロングランにおける長期財政の見通しとの関連において、ビジョンがなければいかぬという見地からお尋ねしたんでございます。  特に、もう大蔵省との交渉が焦眉の急に迫っておりますので、特に運輸大臣におかれましても、ここのところをよく見きわめて御折衝なさるように。なさいませんと、またアトランダムと申しますか、極端にいいますと、そういう思いつきで、とにかく百億でもなんでも出しゃいいのだということでは困る。やはり長期の見通しで、政府出資はどうするとかあるいは公共負担の是正はどうするということはなきゃいけない。どうぞひとつお考えをいただきます。
  120. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 御質問の御趣旨はごもっともだと存じます。われわれといたしましても、具体的に大蔵省と折衝するときには、いまお話しのような長いビジョンのもとに、出資はどのくらいして何年間やる、そのほかの公共負担の是正というようなことにつきまして、よほどだれが考えても合理的であるというような数字を出したいと思っております。  さらに、御参考までに申し上げますが、幹線の輸送力増強というものに対しては、私はこれは大体において利息のつく金をもってしてもペイしていくと存じております。しかし、事通勤輸送の問題につきましては、御承知のとおり、地方の通勤輸送の増強というものは、これもうきわめて簡単である。輸送車両をふやすとかあるいは車両の種類を変えるというようなことでいくのでありますが、今度のつまり大きな問題というものは東京、大阪の通勤輸送の問題、ただいまのところでは、大体地価なんというものは工事費の四割以上を占めるというような、非常に高くつきまして、これはとても利息のつく金というのでは、独立採算制というものをとる以上できぬ。ここにおいて一には出資、そうしてあとは公共負担の是正ということにいかざるを得ぬというふうに考えております。
  121. 鈴木強

    主査鈴木強君) 一時二十分まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  122. 鈴木強

    主査鈴木強君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  大橋運輸大臣より発言を求められておりますから、これを許します。大橋運輸大臣
  123. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 午前中の本分科会におきまして、吉田委員からの御質問に、運輸大臣の行ないました新空港公団の設計認可の処分に対しまして地元民諸君からこれを取り消すよう請求されました訴訟が提起せられておることに関連して御質疑がこざいましたが、その際私より、公団立ち入り測量に対し土地立ち入り禁止の仮処分の申請があわせて提起されておるように誤解いたしまして、その旨答弁をいたしたのでございますが、これは事実誤りでございまして、右訴訟は提起されておりますが、仮処分の申請はいまだ提起されておりません。このことを訂正させていただきます。
  124. 鈴木強

    主査鈴木強君) それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  125. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、いま大臣訂正されましたことは、最初に大臣はそうおっしゃって、あとで言い直して、いままた訂正をしたわけですね。したがって、仮処分の申請をいたすことは相手方がやることですから、これはいつの時期になるか、これもその見当つきませんかね。
  126. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 仮処分の申請がいつ出るか、これは地元の方がやるとすればされることでございますし、まだ見当はつきません。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、先ほどの本訴の裁判はもとより見当つかない、仮処分の申請も見当つかないと、こういうことであれば、そうした客観情勢の中で、午前中の質疑のやりとりのように公団が強制的に近々立ち入り測量をやっていくのだということとは、どういう関係になるのですか。
  128. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 今朝説明いたしましたのは、これは土地収用法の規定による立ち入り測量とはなりますけれども、しかし、公団側はこれを相手方の意思に反して一方的に強制力を用いてやる考えはないのであって、あくまでも話し合いにより応諾したものについてのみ測量を進行してまいりたい、こういう趣旨の答弁をいたしておったように私は拝聴しております。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 次に、若干午前中の、国鉄の基本問題といいますか、今日置かれております財政事情の見地から、二、三伺っておきたいと思います。  今日まで国鉄が財政事情落ち込んでまいったものは、たびたび私ども運輸委員会で指摘をいたしておりますから、時間の関係できょうはあえてここでは申し上げません。ただ、午前中総裁が、九百億の国の支出を要求したけれども、それがだめになった、いま考えてみるとこれは少し金額が大きかった、要求のしかたが大きかった、こういう意味の発言があったわけでございます。私はこの総裁考え方と違うといえば違うのかもわからないけれども、そのあとも総裁は言っておったわけですが、国として当然考えられなければならない公共負担の問題であるとか、あるいは特別の割引の関係等々含めまして、概算して七千億ぐらい国鉄の犠牲において今日それぞれの国の経済政策なりあるいは産業政策なり等々を進めてきたと思うのです。思うよりも、そのことが明確であります。ですから、そうした事柄を考えてみると、少なくとも第三次長期計画というものは一体何かということ、これはもう政府の中期経済計画の一環としてなっていることは明らかですから、勢い国鉄基本問題懇談会なるものも政府の諮問機関として、政府として今日まで私は種々ここで議論しているゆえんもそこにあると思う。したがいまして、そうなりますれば、私は運賃法のときの経緯から見て、九百億というものの出資を求めたことについては間違いない、むしろ積極的に政府昭和四十二年度においてただいま審議中の予算にそのものを満たしてやらなきゃならぬ、むしろ責任があるんじゃないか、こう私は考えているんで、この点ひとつ御見解を、どなたさんでもけっこうですから、聞かしていただきたい。これが一つです。  それから、午前の岡本委員も伺っていたわけですけれども、いま置かれている現状の立場から、将来の国鉄の財政、落ち込んでまいったこの現状から、一体資金需要についての計画的な調達をどうするんだと、こういう問題が起きてくると思うんです、当然ですね。そこで、私は率直に言っておくわけですけれども、将来はやはり、出資がいいとかあるいは補助金政策がいいとかという議論は別として、国がかなりの財政的なものを積極的に負担をするということでなければならないと思います。で、具体的には毎度、毎度、年々歳々公共負担がこれ以上ふえるということは私はやめるべきだと思うんです。それから、もう一つは、午前の議論にもありましたが、もはや今日の国鉄の企業というのは独占でありませんから、一面今度は公共性が強くしいられますから、そういう面を勘案をいたしまして、とにかく利子については何とかしなければならない。このことはもとより長期安定的な資金を確保いたすというものとも関係がございます。とりもなおさず、とにかくこの利子についてはやはり一つの政府のやり方として利子補給をしていく、こういうやり方だって私は考えてみる必要があるんじゃないか、こう思います。それから、もう一つは、公共性が強くしいられるわけでありますから、その関係から、直接経費をまかない切れない赤字線区がたくさんあるわけです。この直接経費をまかない切れない赤字線区については、国家的な私は補償をやってやらなければならないのではないだろうか。  大別してこの三つをやらなければ、ことばの上で政府が先般来運輸委員会を通していろいろ答えられているものも具体性がないんじゃないか、こう考えますので、直ちにここで出資にするとかあるいは補助金政策をとるとかなんかいうことは大臣としては言えないと思うけれども、私は背景として去年の運賃値上げのときにおける、政府昭和四十二年度予算編成にあたっては少なくとも出資をしなきゃならない、第二には公共負担の問題、あるいは地方公共団体における負担金の問題、こういうものについて積極的に前向きで検討を加えなきゃならないという答えがあるものですから、運輸大臣はそれに乗っかって答えられているわけでございますけれども、きょうはいま私は具体的に、利子補給が一つあるではないか、公共負担はやめるべきだ、やるとするならば肩がわりをすべきですね、何かで。それから赤字線区について、これは直接経費の償えないものは、これは政府は当然それについての補償はやる。そうでなければ、国鉄のこの間から言っておりまする百年の大計とか、あるいは国鉄の再建などと、大臣はかなりこういうことばを使いましたけれどもね、その具体性というものがないんじゃないか、そのことばが具体的にならないのではないか、こう思うんですが、この関係はどうですか。
  130. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 国鉄財政の現状から考えて、公共負担に対する政府の肩がわりあるいは利子に対する補給方法ないしは赤字線区の赤字分の補給、まあこういった方法が具体的に必要ではないかという御意見につきましては、私もそのように考えるものでございます。しこうして、昨年の運賃引き上げ当時からこの問題が思考されていたのであるから、当然今年度予算の編成においてもそれらの点が取り上げられ、何らかの形で具体化してしかるべきではないかと、こういう仰せでございますが、私この点につきましても御意見に反対する考えはございません。  ただ、実情を振り返って申し上げてみまするというと、この運賃の引き上げによりまして国鉄としては相当な増収が期待できるものと、こういう考えで昨年の運賃問題の当時にはおったわけなのでございます。ところが、いざ引き上げが認められてみるというと、旅客運賃にいたしましても、また貨物運賃にいたしましても、運賃引き上げの当時予想されたような増収は無理である、こういうことになりまして、昨年の八月、四十二年度予算の要求を提出いたしたわけでございまして、これに対しましては、大蔵当局といたしましては、運賃引き上げ当時に言われておった財政予想と全く違った財政の見通しを基礎にした四十二年度の予算要求に対しては、おそらく内心はびっくりしたことだろうと思うのでございます。そこで、従来独立採算制のもとに、とにかく曲がりなりにも自力でやってきた国鉄が、急に一般会計に対して九百億という多額の出資を要求された。金額も大きいし、どうも話も急に言われたんでなかなか答えができぬ。何とか、その問題はほうっては置けないだろうから明年考えるが、考えるについては一年だけ考えるための余裕がほしい、こういうことで運輸省、国鉄、大蔵省三者話し合いの結果、この問題を昭和四十二年度の予算において解決することは思いとまりまして、四十三度まで双方話し合いをし、勉強をし、妥当な結論を出して、それによって国鉄の再建をはかろうじゃないか、こういうことになったのがいままでの経過であるわけで、ございます。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣からいま経過が述べられましたので、その点は私は了といたしておきます。ただ、その場合に、国鉄側が昭和四十二年に要求していますそれぞれの科目がございますが、特別債なるものは一つも要求していなかったんですね。いわばゼロなんです。ところが、この政府予算原案を作成する段階で、千二百三十億という特別債というものが予算化をしていくということにこの資料ではなっております。そこで、私はこの問題をとらえて考えてみる場合に、当初、政府昭和四十年に運賃値上げを準備しておったことはまぎれもない事実であります。たまたま佐藤総理大臣経済政策並びに物価対策として考慮されて、運賃値上げを押えた事実があるわけです。それの肩がわり的な性格を帯びてこの特別債券というものが当初からついて、四十一年には千百三億、それからただいま申し上げたように今年度は千二百三十億、こうなっていまして、どうもこれが国鉄予算に対する政府の恒常的なものになっているんじゃないかという気がするんです。  しかも、これのつまり資金確保についてはどういうことをやっているかというと、大臣承知のように、県の信用農業協同組合連合会であるとかあるいは農業共済、こういうところですね、もとより市中銀行、あるいは証券会社、農林中金、これは黒い霧で非常に問題になった農林中金、こんなところですね。はなはだしきは労働金庫からも金を借りている、この特別債券というのはですね。しかも、先ほどちょっとこの利子補給について私は触れたんですが、平均七分五厘というかなり高い利子をつけて借りている。いずれもこれは国鉄の信用借りになっている現状なんです。そうしますと、どうも国家的な財政事情の中で、いろいろ国鉄の言い分はわかるけれども都合がつかないからこうした特別債券は認めてやるといっているだけの話で、何ら政府として、たとえば今年の千二百三十億についても責任がなさそうな私は感じがするんですがね。こういう点は、大蔵省からだれか来ていますかな。これは大蔵省からでもけっこうですがね。もっと私は——さいぜんから議論されているように、かってにこれは国鉄が落ち込んできたんじゃない。政府運輸交通政策の一環として国鉄のあるべき位置づけの中から、あるときには運賃値上げというものを押えられ、あるときには公共性をよりしいられてここまで落ち込んできたんですがね。ですから、私は国鉄には全く責任ないとはいえないけれども、この大半は政府の責任だと思うんです。ところが、金のやりくりになると、このようにして特別債券なるものも今度は要求もしてないのにも認めて、この裏打ちはどうかというと、何ら責任がない。これは過去の実績でいえるんですね。こういう関係をひとつ教えていただきたいと同時に、いま大臣が答えられた、昭和四十三年度の予算を前提として一カ年間これは研究、検討あるいは調査をさしていただきたいという中に、一体この特別債券というものが含まれているかどうかですね、あわせてお聞かせを願いたいと思うわけであります。
  132. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) お答えいたします。  国鉄の問題につきましては、四十二年度の予算要求にあたりまして、九百億の出資要求がございました。これはいろいろ検討いたしましたけれども、当時非常に値上げの結果増収が得られるというふうに国鉄で予想いたしておりましたのが、どうも八月くらいまでの情勢ではよくなさそうだというような話であったわけでございます。しかし、当時は景気の後退の時期でもあり、また予算の編成時期までにはまだその原因がどこにあるのかよくわからないという事情であったわけでございます。  で、国鉄の問題につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、競争力が弱くなってきてるんじゃないかということも考えられます。それから、収入が伸びないのは、また景気の後退によるんではないかという問題も考えられます。それらを今後十分検討する必要があるということで、四十二年度におきましては、もう少し検討の時間がほしいということで、出資は見送りということになったわけでございますが、なお四十三年度までに検討するということになっておりますことは御指摘のとおりでございます。  まあ、国鉄のそういう場合の財源の調達策としましてはいろいろございます。政府のほうでも財政投融資のほうでも二千百五十億程度めんどう見たんでございますが、財投のほうも限度がございますので、従来国鉄自身で御努力を願っておる特別債が、四十年度におきましては補正後で千百七十六億ございます。それから、四十一年度におきましては補正後で千百三億の消化ができております。これは国鉄当局の非常な御努力の結果だと存じますけれども、そういうような実績から見まして、四十二年度におきましても、予算書に出しております千二百三十億程度は消化が可能ではないかということで、これはやむを得ず国鉄に御努力願うということで予算に計上してあるわけでございます。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、主計官、やむを得ずこれはやったのですね。それから、千二百三十億については、この消化ができるんじゃないかと、こういう想定ですがね、現状の金融の状況、それからわが国の経済動向等見た場合に、そこでまた大蔵省のあんたとぼくと見解の相違だということになるのかもしれませんがね、私はそう簡単にこれは消化できないと見ているんですよ。それはなぜかというと、これは特別債券というものは、今度の予算全体を見てみますると、これは国鉄だけじゃございませんね。ですから、消化をしていく場合に、去年の例で端的にあらわれているんですけれどもね、非常に競合するんです。だから、これは私はたいへんだと、消化はなかなか容易じゃないんじゃないか、こういう見方に立つんですよ。  しかも、四十年度の運賃値上げを押えた肩がわりにやむを得ずしてこれは出てきた。ところが、やむを得ずして出てきたものが、四十年、四十一年、四十二年と、年々歳々この金額がふえてきている。ですから、私はもう恒常化されてきたんじゃないかと、こう聞いたのもここにあるんですよ。ところが、いまあなたはやむを得ない措置だと、こう言っていますから、百歩、私はあなたの意見を尊重して、昭和四十三年には、こういういいかげんな、心配のあるような予算化をしないように、あなたは確信を持てますか、この点どうでしょうか。
  134. 荒巻与四郎

    説明員荒巻与四郎君) 私、申しわけありませんが、金融のほうの専門家でございませんけれども、現在までのところでは、これは当然努力しなければなりませんけれども、消化が可能になっているわけでございます。御指摘のとおり、国債も発行されまして、金融市場がいろいろ債券等の消化について問題が多くなっているということは事実でございます。その辺で担当の理財局あるいは銀行局等におきましても、いろいろ全般を見まして、消化可能と目される特別債を国鉄については計上したものと私は承知しておりますが、国鉄の問題につきましては、こういう問題を含めまして四十三年度までにどうしたらいいのか十分検討したいということになっておりますので、私どももその方向で十分検討をさしていただきたいと思います。
  135. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 主計官、あなたとこういう話をしても、なかなか責任あるお答えができないと思いますので、だから、これ以上ぼくは言いませんけれども、少なくともそういう立場において大蔵省が始末をいたすということになるならば、私はよりこれが完全に消化できるようなやはりやりやすい方法手段をとるべきだと思うのです、具体的には。やはりこれは先ほど来何回も言っておるように、いままでは国鉄の七千億にも及ぶ犠性において政府経済政策なり産業政策なりその他の諸施策というものを進めてきた、そういう事情の中から今日の悪化した国鉄の財政というところまで落ち込んじゃった。これを引き上げてやらなければならない責任は政府にあるのです。これは大蔵省にあるでしょう。そういう見地に立って、かりにやむを得ざる措置であるならば、政府は責任の一端を分担する立場で政府保証債にするとかなんとかいうことにしなければいかぬじゃないか。それが四十年の運賃値上げの抑制政策として特別にこういう債券を便宜的に出した、しかも金額は年々歳々上回ってくる、こういう傾向というのは改める段階じゃないか。これについて運輸大臣はどう思いますか。
  136. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 国鉄が特別債の消化につきまして意外に毎年苦労をいたしておるということを聞くにつきましても、この問題は何とか改められてしかるべきであると、それを希望いたしております。
  137. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、まことにいとも簡単な言い方なんですが、これは運輸大臣としてはその程度でやむを得ないでしょうが、ところで、これの消化に当たる副総裁、国鉄側が利用債、縁故債を二百八十億要求というのに対して、金のやり繰りでこれも大蔵省から押しつけられたと思うのですが、五百六十億にふえておるのですね。ですから、この利用債、縁故債の消化だってたいへんなものです。それに今度は全く政府の何らの保証のない国鉄の信用借りだけで千二百三十億というのは、これはたいへんなことじゃないかという気が私はするのですが、せめてこれが政府の保証債であれば、かなり容易でありますけれども、国鉄の総裁や幹部は金借りが本務じゃないのですよ。国の産業経済の動脈として輸送を的確にやっていくというのが本来の職務、仕事だと思うのです。ところが、これはだんだんだんだん予算を見ていくと、こういう借金政策ばかり並べられてくると、金借りるのが本務のような仕事になっちゃって、本来の業務というものはなかなかできないのじゃないかというふうに思うのですが、主計官、あなた方は末端の行政を知らないからこういうことになる。末端に行きますと、借金をするために地方の経理課長とか主計課長は三拝九拝して、しかももうことばで表現のできないような苦労をして金を集めて歩いておるのですよ。片や政府計画の三次長期計画というものを完遂しなければならないという強いものがあるわけですから、これが完遂できなければいまの長期計画というのは遂行できないわけですからね、こういう予算的な内容では。  副総裁、どうですか。これはざっくばらんにいって、利用債、縁故債が約倍近く多くなってきて、さらに全くの責任のない——特別債という名前はたいへん特別の債券のようになっておりますが、何ら特別な措置がとられていないんだ。これは実際問題として、いまの金融状態で、特に八千億という膨大な建設公債を発行した中における経済動向、経済情勢といいますか、そういう中で、国鉄側としてこれは容易に資金調達ができるようなものであるかどうか、聞かしていただきたいと思う。
  138. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま御指摘のように、非常に無理な予算を組みましたに至ったいきさつは、先ほど大蔵省からお話しになったとおりでございますが、この実行上の問題でございまして、現在特別債はすでに年度当初二千二百億現在高があるわけでございます。実は労働金庫から借りていることも御承知なんで非常に驚きましたけれども、実は借りて借りて借りまくって歩いているというのが現状でございます。来年度、この四十二年度につきましては、いま御指摘のいわゆる特別債のほかに利用債、縁故債が五百六十億計上してございます。この五百六十億の中の二百八十億は従前どおりの額でございまして、これも相当地方財政の関係から申しまして、地方自治体に利用債を相当引き受けてもらっておりますが、地方自治体のほうも大体現状程度が限界だということの実は反対もございますが、とにかく利用債は従来どおり引き受けていただき、また縁故債も国鉄共済組合にいままでどおり引き受けさせるということで、二百八十億だけは従前どおりの消化をするのが当然私どもの義務だと思いますけれども、その残りの二百八十億、それから特別債として計上しております千二百三十億、合計千五百十億になりますが、約千五百億につきましては、いま先生の御指摘のとおり、これは政府保証のない、しかも日銀が担保不適格債として、とってくれない債券でございます。したがいまして、これを引き受けましたものはもう持ち込まざるを得ない。すなわち、オペレーションの対象になりませんので、結局地方銀行なり証券会社が全部持ち込んでただ利食いだけをするかっこうだということになりますので、昨年までのようにわりに金融が楽なときには、特別債の利子は七分五厘平均並びに七分三厘でございますので、とにかく資金運用としてはわりあいにいいということで消化してまいったのでありますけれども、今年当初からいま御指摘の政府の公債もございますし、また民間産業の設備投資が徐々に景気の回復につれまして盛んになってまいりました。一方、先ほどのお話の、ことにコールの関係が非常に高くなってまいりました。それやこれやで、現時点でもいろいろ先ほど御指摘のほとんど私どもの気のつくあらゆる範囲にいま渡りをつけておりますけれども、実際問題として計上されております予算を現時点でまるまる完全に消化できるという見通しが立ったというまでの御答弁をいたしかねる現状でございます。  しかしながら、これは一たん予算に計上されましたので、全力をあげて、また時間の推移とともに努力いたすつもりでございますけれども、現時点では全額千五百億を国鉄の信用だけで借りまくるということが、非常に昨年と比べて困難の度合いを増してきているということを申し上げざるを得ない現状で、これは即工事費に響くものでありますので、もしこれが集まらなければ、やはり工事を差し控えなければならない。一方、先ほど大蔵省からおっしゃいました政府の財投を約二千百五十億、これは確かに間違いなく拝借できる金であります。しかし一方、八百九十三億という借り入れ金の返還金があります。これはどうしても期限がくれば返さなければなりません。八百九十三億の返還金を何で返すかと申しますと、不確定な、特別債で返すという約束はできませんので、やはり財投で借りたものが返還金に回る、こういう形に実は中のやりくりとしてはある部分なる点があるのです。それらの借金の返還自身が非常にきちっとしたものでありますし、利子は利払いと同じように、絶対に返還金をやめるわけにいきませんので、借り入れ金の返還金はどうしても確定財源の財投のほうから回るということになりまして、もし万が一特別債が消化できないときに、それだけ借金の返還が少なくて済むかと申しますと、それはいまの制度ではできない、八百九十三億はどうしてもまるまる返さなければならない。したがって、もし特別債が十分消化できませんければ、工事費に響くことはもちろんのこと、どうしても借金の返還が財投から優先的に返されますので、非常に二重に影響が出てこざるを得ないということで、いま、私どもの仕事の相当部分は実は金を借りる仕事に回っておるわけでありまして、これも幸い総裁は、民間の方で、いろいろお知恵がおありなので、お知恵を拝借しておりますが、非常に膨大な金額でございまして、国鉄だけの力で借りるという限界も、いままでのようにやさしく借りられる状態ではないということを申し上げます。ただ、予算に計上されている以上、全力をあげてこの消化には努力いたすつもりでございますが、非常に困難の度が増してきているということだけは率直に申さざるを得ない、こういうふうに考えます。
  139. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 この債券の扱い方について副総裁から答えられました。とりあえずはちょっと伏せておきます。  それから予算面で歳入のほうでございますが、運輸収入が八千二百五十五億、こういうことになっております。提出は八千百五十五億ですが、百億、大蔵省で予算査定でふやしたのであります。これを前年度の歳入と比較をしてみますと、六%増収を見込んでいるということにだれが見てもなるわけです。先ほど来いろいろ大臣の答えにもございましたが、今日の最悪の事態を招いた財政事情の一こまとして、運賃値上げの増収見込みが達成できなかった、こういうお話がございましたが、さて、去年がそういう影響を受けたが、ことしが八千二百五十五億というものは、  〔主査退席、副主査着席〕 いまの景気の動向等で完全にこの八千二百五十五億というものが運輸収入として見込まれるかどうかということが、これまた、たいへんあとあとの仕事に影響してくるわけですから、大半の国鉄会計の予算収入減ですからね、ですからこの点はどうお考えになっておりますか、国鉄側でけっこうですから。
  140. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今年度の収入の見込みでございますが、まだ一カ月半ほどで、確定的なことはもちろん申し上げられませんが、予算面でごらんのとおり、去年の実績に対しまして約五百億近い増収、すなわち七%以上の収入増加をはからなければならないということで、これも非常にむずかしい数字ではございますが、輸送量から申しますと、大体旅客で六%、貨物で一%くらいの輸送量の増加、何とか一人当たりの、あるいは一トン当たりの運賃収入をふやすという方法をとりまして、これを計上したわけでございますけれども、貨物のほうは、最近の景気の回復を反映いたしまして、大体この予算に近い収入をあげつつある。ただ問題は、石炭の今後の減産がどのくらいになるか、何と申しましても、私のほうの大崇の貨物は石炭でございます。この石炭が年々自動的に何百万トン減ってくるということになりますと、それが即私どものほうの運賃収入影響してまいりますし、この石炭で減りました分をほかの貨物で穴埋めするということは、非常に数量が多いためにむずかしい事態でございます。これらの今後の石炭事情等から、石炭の出炭見込みもございますが、貨物は現時点では何とかこの程度の数字を確保したいというふうに考えております。ただ旅客のほうは、これはある意味のちょっとお天気商売のような点もございまして、過般のゴールデンウイーク等はわりあいに順調でございましたが、四月の中下旬に非常に天候が悪いというふうなことで、全く天候によりまして一日数億の収入の差があるということでございます。現時点では旅客収入におきましては、この年度予算を月別、あるいは日別、時別に割りましたものよりもごく少し減少いたしております。すなわち、それだけの確保のできない数字になっておりますが、これにつきましても、今後できるだけの努力をいたして、まず何と申しましても、国鉄としては収入をあげること自体が一番の自分でできる仕事だということを、総裁以下現場に至るまで肝に銘じまして、収入増加につきましては、全力をあげてこの数字に近いものを確保したいというふうに考えております。しかし、これらもまだ一カ月半の状況で、的確には申し上げられませんが、非常に最大限の努力をお払いするという以外に、現時点では申し上げかねると思いますが、非常に大幅に穴があくということは考えられませんが、かと申しまして、この数字以上に増収するということは非常にむずかしいという実態だと考えております。
  141. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸収入についても、異常なほどの国鉄の努力をいたさなければ増収は得られないということを副総裁は明らかに申されました。  そこで、三番目の点は、支出の関係で、通勤輸送については三百億と見ておったわけですね、繰り上げ対策費として。これが今度政府予算編成の段階ではカットされている。さて、しかし、きのうかのたしか新聞だと思いますが、総裁が再選をされたことに関連して総裁が談話を発表しております。午前のたしかこの委員会でも、それをおっしゃっておったわけですが、総裁は、今日の東京周辺、きょうは大阪のことばも出たわけでございますが、つまり大都市だと思いますが、その関係の通勤輸送については至上命令である、ですから採算を度外視をしてやらなければならないと思います。私はやはりそのとおりで、この通勤対策というものは、もう早急にやらなければならない課題だと私ども思っているわけです。非常にこのことばに感酩をしながら受けとめたわけでありますが、さて、しからば財政的にどうか。から手ではできませんから、財政的に予算面では繰り上げ分が三百億カットされたと、こうなりますから、この分は必然的に金の面でできないのではないか、こう思います。これをあえて今度やるとすれば、いきおい第三次長期計画工事関係であるとか、あるいは国鉄が本来考えております安全対策の費用であるとか、一般的な経常的な経費を節減していく、こういう手段に待たなければ、総裁がきのうきょう申されていることができないんじゃないかというふうに思うのですがね。この点の具体的な対策はどう一体国鉄はお考えになっているかということを聞かせていただきたいと思うのです。
  142. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 午前中総裁が申し上げましたとおり、現在、国鉄に要求されております通勤輸送の問題は、もうそろばん勘定や理屈では解決のできない、もういかなることがあってもやらなければならない問題であるということは私どももそのとおりに考えております。実は、ことし政府出資をお願いいたしました一つの大きな理由は、最近の通勤輸送の伸びが、非常に皮肉な話でございますが、一般の旅客貨物の伸びがあまりよくない、しかし通勤輸送だけは非常に予想以上に伸びているというのが国鉄の現状でございまして、八%前後の伸びというふうに考えていたものが一〇%以上の伸びを示している。もちろんこれは収入面から見ると微々たるものでございますが、結局、輸送量だけは一般旅客貨物と格段の差でもって伸びてきている。しかも伸びております区域が、いままで大体国鉄の通勤輸送の平均距離が十七、八キロから二十キロぐらい、東京で申しますと旧二十三区の中で伸びている。たとえば中央線の荻窪とか阿佐ヶ谷とかせいぜい三鷹あたりまでが伸びておったのでございますが、最近の通勤輸送の伸びは、いわゆる首都圏近県の伸びが非常に大きいわけでございます。神奈川県で申しますれば湘南地帯あるいは小田原、あるいは東京で申しますれば中央線の立川以遠というふうに三十キロ以上の地域、ことにひどいところになりますと五十キロぐらいのところの伸びが非常に大きいということで、これをほおっておきますと、幾ら根もとのほう、東京に近いところばかりの計画を立てましても、結局は数年後には遠方の人が来られなくなってしまうということになりますので、私どもでは、昨年思い切って近県からの通勤輸送を強化する、これをしておかない限り、また、昭和四十五、六年時点では同じ問題が起こるということで、通勤輸送は繰り上げ施工ということをお願いしたわけでございます。たとえば東海道線ならば小田原までもう一線つくる。あるいは中央線ならば三鷹どまりであった複々線をさらに立川まで延長するというふうに、近県輸送の通勤対策というものをいまからやらないと、必ず昭和四十五、六年時点には行き詰まる。一方、都市の過密化ということが全然別な方向から押えられるということが期待できればともかくでございますが、これは非常にむずかしい問題だというふうにも考えられますので、やはり現在と同じようなテンポで通勤輸送が伸びる、しかも通勤客の足が長くなる、こういうことを前提といたしまして通勤輸送の繰り上げを考えたわけでございまして、その分といたしまして本年度三百億の予算の計上をお願いしたわけでございますが、不幸にして私どもの努力が足らずに政府出資ができなかったということで、本年度の予算ではその繰り上げ分を全然入れてございません。いままでの既定計画どおりの地上設備だけで七百億という経費を計上いたしましたが、今後大蔵省にもいろいろ御相談申し上げていることが前向きに解決いたしますれば、四十三年からは何とかいま申しました今後の通勤輸送のあり方を考えて、それに対する対策をやっていきたいというふうに思っていますが、ことしの予算には残念ながら既定計画以外の通勤輸送の繰り上げということは入れるだけの余地がなかった。かと申しまして、お説のとおり安全対策を切ったり、あるいは地方の幹線の複線化等を切るということも、これも非常にむずかしい問題でございますので、通勤輸送は、いまやっております大蔵省等とのいろいろなお話し合いの結果によりまして、来年度から緊急に繰り上げ分を取り上げてやりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  143. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大別して私、たった三つだけいま伺ったわけですがね。いずれもたいへんな困難な状況であるということがうかがえるわけです。まさにこれをやろうとすれば軽わざ師的なものでなければこれは解決できないような気がいたします。したがって運輸大臣大臣、眠っちゃいかぬよ。したがって、こういう事柄をはらんでおるわけですね、国鉄財政というものは、具体的に。ですから再三言うように、政府はこの際、昭和四十三年度でけっこうですよ、もうこの段階では。けっこうですが、この特別の——何でも特別というのがつきやすいのですがね、特別の措置として、物資に対する割引などをやっぱりやめるべきです、これは。石炭あるいは石灰石、たくさんございますので、硫安からいろいろなものがございますが、こういうものは割引が必要であるということは政府の産業政策から出てきているわけですからね。ですから、当然そういうものについては助成の策としてやるならやるように、政府が責任を持って、片や一企業である国鉄に肩がわってこれは財政援助していかなければならないものである。ですからこの割引はやめろとは言いませんけれども、このあと始末を政府はやはりしなければいけませんね、こういう点。  それから大臣ね、一九六二年の四月五日付にアメリカのケネディ大統領が通勤輸送を含めまして都市公共運輸法という法律を議会に教書として送っていますね。これは御案内のとおりだと思います。大臣もこれは読んでいると思います。これを翻訳していただいたものがちょっとあるのですね。私、これ一々読み上げていますと、きょう何か主査の方がだいぶ私の顔を見て時間がなさそうな顔をしていますから、会議の進行にも協力しなければならぬから読み上げません。ただ、ここに連邦政府としてのこうした問題についての長期計画と、それからただいま国鉄の副総裁が申された通勤輸送緩和の問題はもう急を要する問題ですから、緊急的な計画というものでしょうね。この二つに分類をして、具体的には、わが国でも非常に問題になっております都市交通の問題、あわせて、向こうは国鉄でありませんから、つまりこの通勤輸送の確立のための各それぞれの会社がございますが、これに対する計画、同時に道路との関連など、非常にりっぱなものができておるわけです。しかもその中には、わが国と違いまして、非常にこれは来年度予算を組むときに勉強になると思いますから、大蔵省でもこれは勉強してくださいよ。この中には、長期計画とそれから緊急計画に分けて、連邦政府の助成の具体的な政策が出ておるわけであります。したがって、私は、これを全部読み上げればたいへんいいんだけれども、いま言ったように、読む時間がありませんからあえて申し上げませんが、長期計画のほうでは建設経費の三分の二を連邦政府が援助する、補助金ですね。これは、その場合に、もとより条件がありますよ。何とかいう長官の認可を得るような、計画を出して認可を得るようなことになっていますよ。商務長官と書いてありますがね。それから緊急計画のほうは二分の一ですね。二分の一補助することになっていますね。これだけ見ると、先ほど、午前中に岡本委員質問したように、長期計画のほうについては三分の二援助するわけですから、ロングの安定した資金が確保されるような配慮がなされていると思うのですよ、この計画では。いずれにいたしましても、具体的にこういう、国家がそれぞれ財政援助をいたすように、一九六二年、すでに、これが確立されているわけなんで、わが国としても、客観的に見て、アメリカなどというものとは、ほぼ、はるか数段、通勤輸送などについては過密化されておりますよ。過密化されております。ですから、私は、ひとり国鉄だけではなくして、大都市周辺における私鉄、都市交通を含めて、こうしたことをわが国としても抜本的に考える必要があるのではないか、こう思うのですが、大臣、どうですか。
  144. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 大都市交通につきましては、その不採算性と申しましょうか——がっとに指摘されておるところであります。何ぶん、朝晩の限られたる時間に非常に大ぜいの利用者が殺倒いたします。しかも、そのために膨大なる設備を要する。しかし、それらの設備は、他の時間帯においてはほとんど役に立たない。こういう点から不採算性というものが指摘されておるのでございまして、これに対しましては、国鉄は、もういやというほど体験をいたしておりまするし、また、私鉄も、最近においてその悩みを訴えてまいりました。これが対策といたしまして、本年度におきましては、私鉄に対しては財政投融資資金の融通、あるいは金利の引き下げないしは租税負担の軽減というような措置を講じておるわけでございまして、はたしてこれだけで十分であるかどうか、今後のことを考えてみますると、いろいろ検討すべき事項が多かろうと存ずるのでございます。国鉄につきましてはかような措置に出ておりませんので、国鉄はほんとうに財政的に困っておる実情でございます。幸いにいたしまして、来年度予算編成に際しては、一般会計からの繰り入れということについても、大蔵省が十分相談に乗ろうというような話し合いになっておりまするので、その際にはこういった点についても徹底的な検討をお願いいたしたいと思っておりまするし、また私鉄につきましては今年度、先ほど申しましたような措置を講じております。将来、必要に応じましては、さらに一段と徹底したやり方も考えなければならぬと思っておる次第でございます。
  145. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 四十三年度の予算で大蔵省も何かしらこれの相談にあずかるような印象を受けるお答えがいまあったので、それはそれとして、そこのところで、国鉄の長期にわたるこうした疲弊のどん底に落ち込んできた財政事情等々も考えてみる、こういうことですから、私はこれ以上、国鉄のこの問題ばかりやっていきますと、時間がありませんからやめますが、ぜひひとつ大臣、非常にすばらしい法律になっていますよ、アメリカのやつは。ですから全部これを私はやれとは言いませんが、こういう問題を参考にして、この来年度予算についてはもう間違いのないように、去年の運賃法のときの議論で答えられた内容が、今回はいろんな事情で善意に解釈して、いろいろな事情でできなかったと思いますけれども、私ども審議に参加したものから見ますと、これは不満なんですから、したがって、来年度はもう間違いのないようにして、で、こうした外国の、外国といってもアメリカですから、ケネディ教書ですから、したがって、こういうりっぱなものがあるのですから、この中で得られるものがたくさんあると思うのです。これを十分参考にして、ぜひ国鉄の、運輸委員会でも大臣みずから答えられた百年の大計とそれからこの再建をいたして、言ってみれば基盤強化をさせるという、こういうことを積極的にとっていただきたいことを私は要望しておきます。これは大臣、どうですかね。
  146. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま吉田委員の要望されました事柄につきましては、できるだけ御満足の願えまするような結果を昭和四十三年度の予算に残すべく、最善の努力をいたしたいと存じます。
  147. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 では時間がありませんから、国鉄の関係はあとあと関連が出ればまた申しますが、この程度にしておきまして、交通安全の問題について大臣並びに関係方々に伺っておきます。  参考までにけさの朝日新聞ですね。これは全部持っています。全部持ってきたところが、紙面の大半が、トップのほうからあるいは中身のほうから、あるいは三面記事といわれるこの記事から、全部交通安全の問題が載っているのですね。で、総務長官もその中では、断固実現をさせなければならぬ、というふうに写真入りで出ていますが、私は新聞を取り上げるのではなくて、このように今日、交通安全の問題はたいへんな問題になってまいりました。交通戦争とか何とかと表現しておられる向きもございますけれども、そういったことはそれなりにして、私は、ここに、交通安全についての基本というものを確立しなければならぬもう時期に来たと思うのですね。  私が簡単に申し上げるわけですが、第一に、やはりいま国鉄の問題でも出てまいったように、財政的なものがからまってきます、金がなければできないということになりますね。ですから、そこで従前やっておりましたような場当たり的なことをやめまして、この際は、国と地方公共団体、これの責任体制を明らかにいたすことが一つある。  それからこの運転手だけ罰則を強化したり、あるいは交通教育を、交通法規の普及の教育ですね、こういうことのみやっておってもこれは問題は解決いたしません。やはり事業主の方々も真剣に取り組まなければならないと思います、これは。ですから、国と地方公共団体と運輸事業者の三者に交通安全確立のための万全な措置をとるという義務づけをしたらいいんじゃないか、義務づけをしたらどうだ。  〔副主査退席、主査着席〕 こういう一つの私は意見を持っています。具体的には、安全施設整備のための国の財政負担割合というものは、大臣、御承知のように、現在は五〇%ですね、この五〇%では市町村自治体は持ち切れるものではありません。ですから七〇%に引き上げていく、こういうことをひとつ義務づけたらどうか。  それから第二には、これは地方公共自治団体にも関係が出てくるのですよ、それで、ここで明確にしたらどうだということを言っているわけだが、救急医療の施設を整備してまいらなければならぬのじゃないか、この整備が不満足なためにとうとい人命が数多く失われていっているのです。その措置が早ければ助かる人も死んでいっている、こういう問題がたくさん山積しておりますね。ですからいま言ったようなことを早急にやらなければならぬのじゃないか。  それからもう一つは、この自動車損害賠償保障法、これは去年の委員会でも種々議論いたしましたが、その補償額の最高限度が百万から百五十万になりました。私はとうとい人命は金で換算はできないと思います。金で換算できないと思うけれども、だからといって、いまのような最高限度額を五十万値上げしただけで、百五十万では私は残られた人々はたいへんだと思うのです。ですから、思い切って最高限度額というものを五百万に引き上げたらどうか、こういう私は考え方を持っているわけであります。  それから、第三番目は、常時、政府の中に交通安全対策委員会というものを設置する、あわせてできるだけ民主的な意見を反映させるために付属機関として審議会を、政府の諮問機関として審議会をつくっていく、こういうことがなければ、少なくとも政府の交通安全の基本であるというようなことは言い得ないのじゃないか、こう思うので、こうした私の考えに対する当面の運輸交通の責任者である大臣の見解を承っておきたいと思うのです。
  148. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まず第一に、国と公共団体との交通安全に対する責任体制を確立せよ、具体的には交通安全のための施設についての費用の負担割合を検討すべきである、かような御意見であったと存じます。この問題につきましては、ただいま政府といたしましても、交通安全対策についてはいろいろな施策についてできるだけ深く検討をしようという態度でおるのでございまして、これがためにいろいろな交通安全施設の設置ということも進めてまいらなければならぬと思うのでございますが、これにつきましては公共団体の財政状態等々にらみ合わせて負担割合を定めていくべきものだろうと思います。ただいま一がいに七〇%にするというお答えを申し上げるわけにはまいりませんが、御趣旨のあるところを含めまして十分に今後の検討に資したいと存じます。  第二に、救急医療施設を整備せよというお話でございますが、この点は全く同感でございまして、ことに交通障害に伴う負傷者のうち最も緊急を要するものは脳外科的処置でございまするので、今日わが国の医学界の現状から見ますると、脳外科の手術が非常に不十分であるという点から見ましても、急速にこれを拡充強化するということが交通安全対策の上からも黙視できないことだと私は存じます。政府といたしましてもできるだけ努力をいたす方針でございます。  その次に、自動車損害保険の百五十万円を五百万円に引き上げろという御意見でございましたが、政府といたしましては五百万円にするということが将来望ましいことであることはもとより否定するものではございませんが、何ぶん現状、百五十万円に引き上げたばかりでございまするので、さしあたって、次の措置として三百万円に引き上げるべきではなかろうか、しかもそれは急速に実現すべきである、こういう考えで目下調査検討中でございます。  それから、第四の交通安全対策委員会ということでございまするが、御承知のように現内閣は内閣に交通安全対策本部というものを置き、ここで各省の交通安全に関する諸般の施策の統制連絡という事務を担当いたしておるわけでございまするが、この本部の事務の運営につきましても、今後仰せられましたような専門家なり、あるいは被害者大衆の代表者をも含むそういった機関を設置するということは有意義なことであろうと存じます。御意見のありますところは十分政府関係者にも連絡をいたしまして検討をいたしたいと思います。
  149. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、ぼくもごく基本のことだけ聞いたものですから抽象的になったのですが、したがって答えもそういう答えでしょうが、ただ、二つ目の、つまり自動車損害賠償保障法に基づく補償が最高限度額百五十万をたしか五百万にしたらどうか、こう言ったことに対してあなたは、三百万にいま検討中だ、調査研究中だ、これはやや具体化した答えで、あとはみな抽象的です。  そこで、具体的に伺いますが、現存しているものは、国は五〇%を補助する、地方公共自治団体に。これは、私たち具体的に七〇%に引き上げなさいと言った意味は、ここに鉄管局長もおりますが、鉄管局長は、この無人踏切の解決の一つの方策として、かなり早い時期に見解を新聞紙上で発表したことがございます。そのことについてひとつとってみても、そうなかなか、この踏切の関係になってまいりますれば、地方公共団体のただいまの財政能力では負担しきれないものがあるのですよ。だからですね、国がいま交通戦争などといわれるような大問題になってきただけに、私はやはり冒頭言ったように、国の責任も明らかにすべきだと思うのです。この見地から、つまり二〇%アップしなさい、そうしてその金で無防備の踏切の一掃をはかりなさいと。もう一つは、これは飛行機事故も非常に多いのですね。そういう関係からこの空港の計器着陸施設を中心とする保安施設の整備というものは必要である。これなども、これは市町村自治体でやれといったってできっこない。三十空港、これは地方自治団体が管理しておる、たくさんあるのですからね。できないから、こういうものについても、これは国がその責任を明確にして、これを補助しなさい。そうでなければ安全対策の本部が内閣にありますといったって、何ら具体的にこういうものはやっていないのですから、これは予算審議したって入っていませんから、そういう金は。ですから、私はそういうことをどんどん、どんどんやるべきだというのですよ。大臣、あなた、閣僚会議で在外資産の問題も必要かもしれぬけれども、二千五百億とか、二千億とかばく大な金をいまあなた方が折衝しておる段階のようだけれども、そのことよりも、こういうことは必要じゃないですか。必要でしょう。ですから、こういう点を、ああ対策本部を内閣につくったからというだけではいけないと思うのです、具体的にこういう措置をとらなければね。  それから二番目に申し上げた点もですよ、ただ、私はこの救急医療施設を拡充したらどうかと言った意味は、少なくともいま大臣の答えられたように、交通事故というものはたいてい頭をやられておる、脳を。これが致命的な、死亡いたしておる原因なのでしょう。ですから、そういう関係も含めまして、少なくとも人口百万くらいを単位にして救急医療センターなどというようなものを具体的につくっていくということにならなければ、安全交通対策には私はならぬと思うのですがね。こういうことを私は含めて申し上げたのです。  それから次に、損害賠償保障法の関係の三百万もいま勉強中だと、こう言っていますけれどもね、冒頭申し上げたように、人の命は金や何かにかえられるものじゃないのですね。ですけれども、そういってみても、経済社会に生きる限りはそうは参りませんから、あえて申し上げるのですが、アメリカで、この間の例の羽田のときに、カナダか何かの飛行機が落っこったですな、そのときにアメリカ人に対して補償したのは三千万円です。わが国は一体幾らでしたかね。私はアメリカ人と日本人というのは、人間の命には何も差がないと、ですから、必ずしも私は三千万一挙にやれとは言わぬけれども、少なくとも今日のこの常識的な経済事情の中で、百五十万というのはあまりにも少な過ぎる。あの法律改正のときに、去年でしたか、私どもは主張したのです、その点をね。ところが、五十万より上げなかった。既存の保険業者だけもうかるような算出のしかたをしてきたんです。多数決であれは通したのですよ。しかし、私はいまの時点に立つと、五百万は最低限度だと思う。最高額でなくて最低限度だと思う。これだって保険制度の中でやられますからね、そう政府も大した財政的な負担にはなろうはずがない。在外資産の二千億なんというもんじゃないです。大臣ね、対策本部が政府にあるとするなら、この点を具体的に、自動車局で試算させるというようなことでなく、私は人命を尊重する見地から、積極的にこれは取り上げていいんじゃないかと、こう思うのです。  それからもう一つは、この事故の問題は、何といたしましても運転者にもこれは関係が出てくる。そこで私は国の責任において、あるいは地方公共自治団体の責任において、やはり労働条件改善、それから適性の確保、これはある程度精神病者については今度は診断書が要るとか何とかやっておられますがね、こういう問題ね。それから運行管理改善、これに伴う施策、具体的にいえば労働時間の、これは大臣の専門でございますが、時間の短縮、あるいは今日非常に問題になっている歩合給を制限していく、なくしていく。健康管理の度合いを強めていく、こういうこと等があるのです。こういうことについては、これは自動車局でけっこうですが、どういう考えを持っているか、いまのところさっぱり、取り締まりの関係の警察から出てくるいろんな法律改正とか何とか出てきますけれども運輸省の肝心な自動車局からはさっぱりそういうものが出ていない。この点で伺っておきます。これは参議院の決議があるのですからね。で、これはもうたびたび指摘をいたしてきたところですが、何らやっていない。しかも、いまだに最低賃金を一万七千円にしなければならぬという当院の決議を何にも実行されてないですから、私は今日のこの社会事情の中ではこれでも不足していると思うのですけれども、とりあえず最低賃金の一万七千円というものはしなければならぬですよ、自動車局長の原山さん、こういうことが残っている。それから当面、勤務時間でありますが、一週四十二時間です。将来はやはり四十時間にして、週に二回は完全に週休を与える、こういう制度というものをきちんとやらなければいけない、法制度化をしなければならぬというのが私の持論であった、こういうことが後半に議論されて参議院の運輸委員会の議決になったわけでしょう、こういうことね。それから歩合給についても、これがいかに今日のこの交通安全対策ともからんでいるかということをしばしば指摘をしてきたところなんです。本来、近代的なこの社会において、こんな歩合給なんというものはあり得るはずがない、原則的には。これはやめる。そういう制度をきちんとつくる必要がある。  以上、大体私が申し上げましたが、大臣と自動車局長、それぞれ答えてみてください。
  150. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まず第一は、国と地方公共団体との安全施設についての負担割合でございますが、私一般的の問題として御質問を伺ったもんですから抽象的な問題を申し上げましたが、踏切問題についての具体的な点をお答え申し上げます。踏切問題につきましては建設省と国鉄との間に協定がございまして、踏切改善に要する経費を両者の間で折半するという考え方でございましたが、現在の国鉄経済から見まして、この考え方では国鉄はとうてい負担にたえない状態になっております。したがって、このままでは踏切の改善を促進することは不可能でございますので、何らか改定をするか、あるいは国鉄負担分の相当部分を国において肩がわりするか、こういう方法によって踏切の改良を促進しなければならぬ段階にまいっておるわけでございまして、この問題は目下本省といたしましても大切な問題として十分に検討を加えておるところでございます。  次に、第三種空港等の経費について仰せられましたが、計器着陸の費用のごときものは、これは国と公共団体で折半いたすというようなことではなかなか普及いたしませんので、現在すでに計器着陸装置の施設に要する経費は全額国が負担するというたてまえに相なっております。ただ御承知のように、非常にたくさんの空港がございまするので、それについて順次に、重要な飛行場から国の負担で施設を進めておりますために、第三種空港までまだ手が回っていないという状況でございますが、御承知のように飛行場の整備につきましては、空港整備五カ年計画というようなものもできまして、五カ年間に千百五十億の国費を投入して第二種空港以上をさしあたって整備するということになっておりますので、これが中にはこういったことも十分考慮に入れてあるわけでございます。この計画には不幸にして第三種空港は含まれておりませんけれども、緊急を要する第二種空港からまず整備を進めていきたいという考えでございます。  それから自動車損害保険の五百万円、御承知のとおり航空機による損害につきましては、従来三百万円を限度として補償するという国際条約に加盟をいたしておりましたが、これではどうも時勢に適合しないというので、今国会におきましては六百万円まで補償するという新しい国際条約の御承認をお願いいたしておるような次第でございます。したがって自動車損害保険につきましてもただいま百五十万円を三百万円まで引き上げたいということにいたしておるわけでございますが、国庫の負担もさることながら、保険料の引き上げということも当然に考えなければなりませんので、これらの負担等の見合いでいろいろ検討してきたところもあると思うのでございます。まず政府の方針といたしましては、できるだけ早い機会に一応三百万円まで引き上げる、そしてその後さらに考えるというようないき方をいたしてはどうか、こう思っておるような次第でございます。  最後の、自動車の運転者の労働条件あるいは運行管理等につきましては政府委員から申し上げます。
  151. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 事業用自動車の運転者の労働条件の問題につきましては、常々その労働条件をよくするように指導してまいったわけでございますが、特にハイヤー、タクシーの労働条件がかねてから問題になっておりまして、こういうことがタクシーの乗車拒否とつながるということで、参議院の運輸委員会でもたびたび御指摘を受けまして、われわれとしましては特に東京陸運局管内につきまして特別監査を実施いたし、それに伴いまして労働条件の著しく悪い事業者に対しましては強く行政指導を行なうというふうなことでやってまいったわけでございまして、今後とも事業監査の際には、そういう悪質な労働条件にあるものにつきましてはそれを是正するように特に指導してまいりたいと思っております。なお、ハイヤー、タクシー等の歩合給、固定給の関係でございますが、われわれとしましては、かねてから著しく刺激的な歩合給制度というものは、これはやめるべきである、こういうふうに指導してまいっておるわけであります。全面的にこれを固定給にすべきかどうかということにつきましては、こういう業態にございますので、これについては直ちにそれに移行することは問題だと思いますけれども、刺激的な歩合給の禁止については、今後とも強く指導してまいりたいと考えております。
  152. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 自動車局長、そんなことは百万だらいままで聞いてきたのです、これは。ぼくは国会に出てきてからまる五年ですよ。もう五年も前からそんなことは私は聞いてきたのですよ。そういうことを具体的にやらないから、いまとかく、地獄じゃなくて戦争だとか何とか、いろいろなことを言われる状態まで追い込まれたわけでしょう。だからぼくの言っておる意味は、この際は、たとえば勤務休暇規定なんというものは労働基準法にちゃんとあるのですよ、それが守られていないのです。だから参議院の運輸委員会のああした決議になるのだ。だから私は、この交通安全の問題が、これほど大きな政治問題なり、社会問題になった今日は、少なくとも安全対策上から運転者に対する——これはあなたハイ・タクだけ言いましたけれどもね。トラックにも非常に問題が多いのだ、トラックにも。最近の交通事故を見てごらんなさい。全部ダンプカーでしょう、小学生や中学生に突っ込んでいっている居眠り運転しておるのが。そうでしょう。トラックにも多い、バスにも多いのですよ。だから総合して、少なくともこの運転者の統一的な労働基準というものを整備して法制化をする必要があるのじゃないかとぼくは言っておるのです。その一例としては、最低賃金というものは何回言っても守られぬから、一万七千円——少ないのですよ。少ないけれども、せめてこの最低基準を二万七千円ということにして、それからこれも基準法にあるのだけれども、当面は一週間に四十二時間、それから将来は、それではいけないわけですからね、基準法に照らし合わせてみるといけないわけですから、将来は一週間四十時間、完全に週休を二日間とらすようにやりなさいというのです。そしてあの例の一番問題の多い、特に居眠りをしたり、スピードの出し過ぎをやらなければならぬ、そこまで追い込まれる最たるものの原因は何かといったら、もう歩合給なんです。この歩合給はやめなさいというのです。それを法制度化して、その上に立ってあなたは指導しなさい、こう言っておるのですがね。こういうことなんですよ、ぼくの言っておるのは。
  153. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 労働条件の問題でございますので、労働基準法の関係関係いたしますので、最近ちょうど労働省のほうから、事業用自動車の運転手の労働条件に関します通達を出しておりますし、その関係のほうとよく協議いたしまして適切な指導をいたしたいと、かように考えております。
  154. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関係方面と連絡して指導しますということは、それはまあいまの段階はそうかもしらぬけれどもね。幸いにいま労働省からもそういう通達が出ておるわけです。それから取り締まり強化のほうではこの国会に法律改正が具体的に出てきて、どの委員会で扱うかいま議論しているわけでしょうね。当面、あんた、この自動車のことに関する限りは、運輸省が一体主管でしょう。だからそんな、関係のところと相談をして善処しますとか指導しますなんといまごろ言ったって、これは交通安全対策からいってみて、これはもうなっていませんよ。むしろあなた方が主体性を持って積極的に警察と労働省と運輸省と合議して、少なくとも私の言った最低のものを法制度化していくというかまえがなければ、ねえ、大橋大臣、どうですか、内閣にはこの対策本部がありますなんと言ってみたって、逐一こまかく聞いてみると何もない。大臣、この考えどうですか。  それからもう一つ聞いておきますからね、せっかく大臣に聞いたんですから。  踏切の問題でいま大臣答えられました。いままでの負担割合は五〇%・五〇%、これがいわゆる国建協定なるものなんです。建設省と国鉄との協定がそうなっている。これではいまの踏み切りの解消はできない、国鉄の財政負担能力ではできないと、大臣が言ったんですね。できないものをいつまでも存在させておくと、できないです、これは。できないものをそういう存在させておくということはですね、あくまでもできないということなんです。これも対策になっていませんよ、対策にはね。だから私は、先ほど言ったように、国の五〇%というものを七〇%にアップすることによって、この踏切の問題とかあるいは三種空港とかの問題、一つの例にしたんだけれども、それがどの割合になるかは別として、具体的に国鉄のみならず私鉄の問題も含めて、踏切などというものはすみやかに解消しなければたいへんなことになると言うのです。たいへんなことになる。それを言ったわけなんです、ぼくはね。わかりますね。  それと関連してまいりまして、たとえば都市改造の問題が至るところに出てきていますね。それでは何かというと、もうもはや踏切の整備じゃないんですよ。高架化をしていきなさいということでしょう。このことだって、これはいろいろこの間からわれわれが聞いてみると、高架化をしていくというだけで四千億かかるという。これは大臣が答えられた。踏切さえできないのに、これも国建協定の半分半分ということになったらどうなりますか。よりできないということです。しかも、この高架化なんというものは、国鉄の必要性によってできたものじゃないんです、これは。都市の改造という新しいものができてきて、そのためにそういうことが必要だということなのでありますから、少なくともその高架化をするために国鉄が受益をする、利益をする、それからそれと同時に、並行してやはり行なわなければならない構内の改良工事、こういうものは、これは当然国鉄の負担でいいですよ。しかし、それ以外のものはやはり国が負担しなければならぬ。建設省というのは、これは国でしょう、政府ですね。ですから、そういうところで負担をしていくというようなものです。やはり安全対策本部なるものが具体的に、先ほどのケネディの教書じゃないけれども、そういうものを出さなければ対策にならないんじゃないでしょうか。これを私は言っているんです。
  155. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 仰せのごとく当面する建国協定の改正あるいは高架化問題の解決、こういうことに対しまして、運輸当局としていま対策を立てたという段階ではございませんので、対策を立てなければならぬ状態にあるということを十分に認識をいたし、その上に対策を検討いたしている段階でございます。運輸省考えがまとまりましたならば、御教示のごとく、交通安全対策本部にこれを運輸省側として持ち出して、政府案として採択の上実行してもらうように取り運びたいと思います。
  156. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、これはここ限りの答弁じゃなくて、それはやってくださいね。そのことでまだまだたくさんありますけれどもね、副主査のほうから、もうそろそろ時間のような催促がありましたから、議事協力するために、きょうはこんな程度にしておきますがね。これは大臣ね、陸のほうばかりじゃないのですよ。海だって最近、ひき逃げじゃなくて当たり屋というのがありましたね、たいへんな問題になっているでしょう。きょう、海のほう、おりますかね。で、これは結局、海というものは、広いようだけれども、いま日本の海は狭くなっている。これにはいろいろな要因があると思いますよ。船が大型化したとかなんとかいう理由があるが、やはり政府経済政策に伴ってですね、質的に変わってきていると思うのですよ、これはね。で、特に瀬戸内海については、太平洋のベルト地帯とかいって、池田さんがやっておった高度経済成長政策、それから佐藤さんがひずみを解消するとか言って中期経済計画なるものを出していますが、それを見ても重化学工業を中心としたやはり経済の発展を計画してるんですよ、事のよしあしは別としてね。したがって、海の関係についても、この工業政策が非常に危険に拍車をかけているような私は気がいたすわけです。主としてタンカーの問題、それからもう一つは内航船の、特に一ぱい船主といわれる船の関係について、非常にこれは問題がある、こういうことですね。ですからこれに対する安全対策ですね、これはどうなっているか。それからここまで海が狭められてきた段階で、私は陸と同じように——陸で例をとればハイウエーのようなものですな。したがって、海における大型船の航行のために専用の航路をひとつこうつくったらどうか、そういうことをきめる段階にもう来てるのじゃないか。それからあるいは陸でもやっておりますけれども、一方交通というのがあるのですね。瀬戸内は狭いですからね。これはもうそういう狭水道については、一方交通をやるように、いわゆる一方通行路を設けるということも考える段階にきているのじゃないか、こう思うのです。あるいはこれができないとすれば、そうした狭い水道を通る場合は速度制限をする、このためには法律改正が必要ですわね。ですから、こういうことが当面考えられないと、さらにはいまの水先案内制度というのがありますね、ありますが、これを強化をしていって、港内だけじゃなくて、こうした狭い水道については水先案内を乗っける、乗務させる、こういうことだって、やはり海の安全を守る一つの手段ではないか。それからもう一つは、ぶつかって救助をせぬで逃げていく当たり屋ですね。これについては、徹底した私は罰則を強化していく必要がある、こう思うのですがね。時間がありませんから、私はこれ以上多く申し上げませんがね。このためには現行法というものは、これはもう全然当てはまらない。ですから、現行法をそれぞれ改正しなさい。たまたまいま国会が開かれているんですからね。あなたがたの都合のいいときは国会の会期ぎりぎりにまで持ってきてすうっと通るんだから、こういうやつだって国会は会期はまだまだ長いんですから、やろうと思えばできるはずなんですがね。これはどうですかね、海のほうは。
  157. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 狭水路におけるタンカーその他大型船の航行がひんぱん化してまいりましたことに伴いまして、この航行の規制が必要であるという御意見は、私も全く賛成でございます。運輸省といたしましては、この問題につきましてはお示しのとおり、現行法規をもっていたしましては十分な取り締まりの成果をあげ得ない点がありまして、法案の改正が必要であるということ、また狭水路の航行の規制をやるということになりますというと、これに伴いまして新しく航路のしゅんせつ、あるいは航路標識の新設等のことが当然必要になる、こう思うのでございます。そこで先般来運輸省といたしましては、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、このわが国の大型船の最もひんぱんな最狭水路に関しまして、具体的に東京湾ならばどういうふうに大型船の航路を設定すべきか、また小型船の航行を制限すべきか、またその水路を大型船が航行する場合の速度の制限とか、あるいは水先とかというものをいかにすべきか、これを具体的にまず検討しようじゃないか、で、検討をした結果、これを実行するには、法案はこのように改正をしなければならない、予算はこのように要求しなければならないということが明らかになるので、そこで、来年度の予算要求までに一通りの検討を終えて、来年度において予算の要求並びに法案改正等の具体的な措置をとるようにしよう、こういうことでただいま勉強を始めた段階でございまして、いましばらく御猶予をいただきたいと思うのであります。
  158. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 来年度の予算のことを含めて勉強中で——勉強はしないよりしたほうがいいですから、やっぱり大臣大いにやっていただきたいが、海上保安庁の長官がおられますから伺っておきます。  一般的にいわれます遭難の件数はどんどんふえる傾向、それからいま私が申し上げた、工業を開発していくという政府の政策から出てきたもろもろの問題がありますね。瀬戸内海、太平洋沿岸ですね、特に瀬戸内海が多い。ですから、一ぱい船主の問題、大型タンカーの問題、あれなんか、言ってみれば爆薬をかかえて走っているようなもんです。こういう関係の海難が非常に多くなってきていますね。そこで、海上保安庁のいま持っておられます船艇がどういうものがあるかということは、時間がありませんから申し上げませんが、いまのこの海上保安体制の現状からたいへん無理なような気がするんですよ。私はこの保安庁を叱咤激励鞭撻する意味で言うんですがね、これこそ昭和四十三年度の予算編成にあたって、勉強中だと言っていますが、ここを大臣に勉強してもらいたいが、いまのこの新しい角度から出てきた海難事故に対する海上保安庁の体制、特にこの設備の関係、船艇の関係などは、これはもうたいへん——海上保安庁を目の前に置いて、私は口が悪いもんですから、どうも性分が直らぬで困ってますがね。これはなっていませんよ、なっていませんよ、というのは、そういうものがないんですよ。たとえば化学消防艇にしたって、あんなものは全然不足していますわね。あるという部類に入らないでしょう。ですから、そういう近代——何といいますか、重化学工業に対する対策といいますか、こういうものは大臣、全くゼロなんですよ。ですから、あなたに答えてもらわぬでもけっこうですがね。とにかく少なくとも今年の予算にもそれはもう入っておりません。ですから、四十三年の予算を編成するときには、ぜひ政府の大方針なんですから、重化学工業を中心とした日本の産業経済を推し進めていくというのが大方針なんですから、その方針に即応するようなやはり海上保安体制というものを確立してやらなければ、事故が起きてから保安庁の長官ばかりいじめられていたんでは、これはたいへんなことになりますよ。この関係で、保安庁の長官いますから、特筆されるような、いま申し上げましたような、海難事故はどうなっているのか、これに対する体制はどうなっているのか、あなた方のほうの具体的な対策はどうなっているのか、これを聞かしていただきたい。
  159. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) ただいま御指摘がございましたように、最近の海上交通量の増大は非常にめざましいものがございまして、特に港内及び港の外での狭水道におけるふくそうぶりは、非常に数がふえておるのみならず、非常に大型の船舶がふえてまいっております。大型船は、それ自体の安全性は高いわけでございますが、一たん事故を起こした場合の被害は非常に広範にわたるということで、われわれも常にその点の心配をしておりまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、大型タンカーを中心といたします対策というものを目下練っております。  そこで私どもとしては、これらの交通取り締まりと申しますか、のための手段といたしましては、まず電波標識、灯台等の交通標識を完全に整備する、次には取り締まりに当たるための船艇及び航空機を充実していきたい、こういう願いを持っておる次第でございます。さらに進んでいえば、大規模の工業立地に当たりましては、やはり海上交通というものの観点を十分考えた上で国の工業立地政策というものを考えていくべきではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。現状においては、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、法律的にも設備的にも不十分ではございますけれども、私どもは与えられた任務を守るためにあらゆる努力を傾注いたしまして行政指導というやり方で、危険なたとえば浦賀水道あるいは瀬戸内の水道については海上保安官を派遣いたしまして交通の行政指導を行なっております。これは罰則は伴なわない場合が多いわけでございますけれども、しかしながら、やはりその効果は相当あがっておるというふうに私は考えております。しかし、何分にも法律を執行する立場からいいますと、単なる行政指導だけで現在の交通整理というものはできない。やはり好ましいことではございませんけれども、違反者に対する罰則をもってこれを強制する手段が私どもとしては必要であると考えております。港内につきましては、幸いそういうすでに法の改正がなされておりまして、保安官の指示に違反した者等については、交通取り締まり上これを刑事事件として捜査をして検察庁に送るという手段が講ぜられております。港の外においては、海上衝突予防法という一般的なものだけでございます。私どもはいま勉強いたしまして、できる限り早い機会に港外、ことに狭水道等における交通規制、これは物的施設と並んで法律の整備ということを早急の機会にいたしたい、かように考えております。
  160. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 主査のほうからももう時間がないからという再三の注意でありますから、あまりこれはもう時間をとっておられません。国鉄の基本問題に時間をとり過ぎましてたいへん申しわけない。せっかく答弁がございましたから、ぜひ——今国会に間に合わないとするならば、来国会でもけっこうだと思いますが、現行法は時流にそぐわないのです、ですからそういうものはすみやかに改正していくという基本に立って、私は、努力してもらいたいということを申し上げておきます。  次に航空関係ですが、最近、国際的な特にわが国の日本航空がニューヨークに乗り入れですね、その関係の日米航空協定の線から出たと思えますが、アメリカ側が近々東京に向けて飛ばす飛行機の会社をふやすという動きがありますね、それとあわせて航空運賃を下げていくという動きがアメリカのほうにあるのですよね。これは日本航空にとってみればたいへんな問題ですな。ですから、この関係が一体どうなっているか。ところがそれと反比例して、一説によれば、国内の運賃を値上げしていくという趨勢になっているというふうに私は伺っているわけなんです。運輸委員会でこの間、このこととは別に日本航空の財政事情の問題で私聞いたときに、日本航空の幹線はもうかっている、あなたも答弁したとおり、資産内容は明らかでありますが、膨大にもうかっておって、さらに値上げをしていかねばならぬということは、いま動きつつある国際的な動向によって、国際線はダンピングといいますか、値下げをしていく、その穴埋めを国内の幹線で講じていくということになると、さなきだに、つまり財政負担能力が他国に比較して少ない日本人から利益を得てそれを外国人に放出する、こういうことになりませんかということを私は思うのです。政府の公共料金を押えていくという政策と関連さしてその間の事情を明らかにしていただきたいと思います。
  161. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) ただいま先生質問の前段は、通常パシフィックケース、太平洋ケースと申しておりまして、アメリカの航空会社約二十が太平洋の定期航空路を新たに開始したい、こういう申請をアメリカの航空当局に出しております。その中には、もし自分が許可されれば運賃を現在より三五%下げてもいいというようなことを申しておるものがございますので、太平洋の運賃は将来下がるであろうということがいわれているわけでございます。それから貸物につきましては、まだパーセントは決定いたしておりませんが、この秋から若干下がることに、これはIATAの総会で決定いたしております。それから国内運賃の値上げはこの太平洋ケースとは関連が実際ないのでございまして、今度は、先ほど大臣が申されました航空整備五カ年計画を千百五十億の規模で推進いたしますについて、これは国費だけを見ましても年率五〇%以上の非常な伸びになるわけでございます。それでその財源を、国ももちろん大幅に持ちますが、これを、その一部を航空会社及び乗客からも負担してもらいたいということで着陸料を二〇%値上げする、それから通行税を、現在は法律では一〇%でございますのを航空につきましては五%にしていただいておったわけでございます、これを四十二年度から一〇%に戻しましてその財源を捻出しようということに政府間で協議が整ったわけでございます。通行税の五%の値上げは、これは当然運賃の五%でございますから運賃値上げを航空会社としてはせざるを得ない、こういうことで七月から通行税の値上げと同時に運賃を、これは必ずしも五%とはさまっておりませんが運賃を値上げしたい、こういうことで現在航空会社のほうで申請書の案を練っておる状態でございます。
  162. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、税制上から出てくる問題は別として、どうなんですか、たいていは常識的には国鉄のように赤字が出てどうにもならない、財政的にたいへんになった、なおかつ政府が負担すべきものをしない、だから利用者負担ということで去年の場合運賃値上げをしたんですね。ところが、いまの日本航空の場合幹線を見ると黒字なんだ。二十数億もうかっている、私の調査ではですよ。もうかって、本来ならばそんなにもうける必要はないのだから——そうでしょう、国際線については競争力基盤という立場で政府も出資をするのですから、この間から議論をしているとおりだ、この予算にも出ているとおりだ。逆にこれはお客さんのほうはジェット機を飛ばしてくれなどという要請は一つもしたことないのだよ、飛行機会社に。かってにジェット機のほうが、いわゆる経済効率を考えて採算を考えた場合にプロペラ機より利益がより追求されるということでやった。やってまた特別料金、ジェット料金を取っているんだな。税制上の面でやむを得ずそういうもの、通行税を上げてくるということは、ジェット料金やめたらどうですか。何も基本料金を上げていくということにならないはずだ、経理上われわれが考えてみて。それを漫然とあなた方は認めていく方針ですか、これ。
  163. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 通行税の値上げに伴う運賃申請はまだ現実、運輸省に提出してきておりません。それでどの程度の値上げ申請になるか、いま日本航空と全日空その他関係会社で協議中でございます。日本航空は国内線につきまして、先生もおっしゃるように、利益を出しております。これはわれわれの計算では七億の利益を出しております。ところが、その他の航空会社は、全日空も四十一年度は非常な赤字決算をやっておりますし、東亜航空も赤字決算でございます。やはりこの通行税の五%値上げということが、実際にすぐ全日空なり国内航空の場合はそれだけが、もし上げなければ欠損の累増ということになってあらわれてまいりますので、通行税を政府が上げました分全額とは申しませんが、上げましたことに関する運賃値上げはこれは認めざるを得ないのではないか、このように考えております。
  164. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それは、日本航空を除いたものについては認めなければならぬということですか。
  165. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 日本航空を含めてでございます。これは、国内航空は運航を委託しておりますが、全日空と国内航空は幹線につきましては両方ともやっておりますし、それから運賃体系がやはりキロ当たり幾らということでやっておりますので、ある会社だけの申請を認めないでその他の会社の値上げを認めるということになりますと、航空機の運賃体系が非常にややこしくなってまいりますし、やはり日本航空を含めて運賃値上げを認めざるを得ないのではないか、このように事務当局としては考えております。
  166. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 複雑になってくるからね、ややこしいということは複雑でしょう、になってくるから日本航空も含めて認めなければならぬというのは、それはあなた理論上筋が通りませんよ、局長。日本航空は、あなた方も認めているように黒字なんですよ、幹線よりやっていませんから。全日空がやや赤字になってきたというのは、あの大事故から乗客が日本航空に移動したということなんです。それからもう一つには、あなた方が監督、認可権を持っているんですがね、全日空の幹線輸送のダイヤの編成上の時間帯を見てくださいよ。そのことによってもたいへんな違いで、いわゆる乗降率が変わってくる。そういうことも、つまりやや経営収支がバランスがとれないような傾向に、最近でしょう、なってきたのは。去年は黒字じゃないですか、事故前は、全日空だってですね。ですから、いまあなたが認めるような運賃を国内について値上げせぬばならぬというような客観的な事情というものはないですよ。それをあえて上げるということになれば、最初に聞いたように、政府の、公共料金を抑制していくと佐藤総理大臣ははっきり答えたんですからね、そのことにもとるじゃないですか。運輸大臣どうですか、これは。
  167. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まことにごもっともな御質問だと存じます。ただしかし、御承知のとおり、日本航空の持っておりまする国内航路というものは、ほとんど全部が他の航空会社の国内線と重複をいたしておる競争関係にございまするので、日本航空だけが現在の運賃を維持し、他の航空会社が五%だけ引き上げるというようなことに相なりまするというと、ますます他の航空会社の経営は困難になるのじゃなかろうかと推察をいたすわけなのでございます。運輸省といたしましては、各航空会社がそれぞれ経理を改善し、発展して、日本の航空界のために尽力してくれることを期待いたしておりまするので、この際は、運賃政策といたしましても、日本航空との間に運賃額の差額を生ぜしめざるよう、そういう配慮が必要であると存じまして、日本航空の経理から申しますと、必ずしもこの際五%引き上げなければならぬ理由はないかもしれませんが、他の航空会社を引き上げる以上は、それとのバランスということで日本航空も均てんするのはやむを得ない運賃政策だと思います。
  168. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それは大臣航空局考える運賃政策なんですよね。これはしかし運輸大臣、国内航空の採算にならないということは、もうたびたび議論されていますから、これはもう御承知ですね。それから全日空についても最近収益面が下降カーブをたどってきている。しかし、これを本質的に洗って見ると、幹線以外に全日空は、つまり運輸省航空局の指導によって地域開発の前提に立ったローカル運航をやっているんです。ですから、これは先ほども国鉄の例でもとったが、そこを運航することによって直接の経費を償いきれない路線をたくさんやらされているわけでしょう。したがって、従前、この問題を取り扱う場合には、日本航空には国際競争力を高めていくという、その策から国の出資が行なわれ、すでにもう百三十億、今度二十六億ですから、約百六十億に近いものが出資されていくんですよ、わかりますね。したがって、国内の場合は、しかもいま申し上げたように利益が上がる幹線よりやっていない、日本航空は。全日空は幹線以外に、飛べば赤字になる、国鉄と一緒だ。幹線のもうかったもので穴埋めしなければならぬ、こういう事情に置かれているんですよ。だから、われわれは全日空並びに国内航空については、飛んだら即この経費の償いえない路線については補助金制度でやるべきだと、こう主張して、あなた方も当然それは考えねばならぬということでいままで政策、施策というものを考えてきたわけでしょう。それを今度はちっともやらんで、賃金政策上バランスくずしてはいけないからと、こう言って、もうかってもうかってしようのないものまで一緒に上げるなどというのは、これはたいへんな私は間違いだと思います。物価政策上からいっても私は断じてこれは賛成できないんだ、こういうことは。むしろ、全日空、国内航空については、どうしても出る欠陥については政府が補ってやる。現状の、少なくてもきめられた賃金でやっている日本航空については、逆にそれでももうかっているわけだ。ここにも問題はあるけれども、それこそわが国の国内の賃金政策上やるとするならば、その利益金というものはどこかで利用されている国民に還元すべく、私は具体的なやり方をとるように指導するのが航空局の仕事じゃないかと思うのですがね、私は納得できませんよ、これは大臣
  169. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 日本航空に利益があれば、それをできるだけ運賃の低減その他の方法によって乗客に還元すべきだという御意向もまことにごもっともでございますが、私どもは今日、昨年の大きな相次ぐ事故の経験からも明らかにいたしましたとおり、日本の国内の飛行場の状態は、あまりにも安全性に乏しいのでございまして、これを安全にいたしまするために、政府といたしましては千百五十億の金を五カ年間に投げ出すという決心をいたしたわけでございまして、そのために今度の通行税の引き上げをいたしたわけでございまして、日本航空におきましても通行税の引き上げが行なわれまするからその分だけは運賃の引き上げを認めるのもやむを得ないのではなかろうかと、日本航空といたしましても、今度の料金の引き上げによりまして、引き上げ分だけさらに一そうもうかるというようなわけではないのでございまして、もうけはもともとあったわけでございまして、ただその分から通行税の引き上げ分だけ削減されることを免れるというにすぎないわけでございまして、何とぞ事情を御了察いただきたいと思います。
  170. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 時間ありませんから、もう多く言いません。もう御了承いただきたいというようなことですけれども、私としても了承するわけにはまいりません。かたや日本航空はもうかってもうかってしょうがないから、三十数社にわたる関連事業から、関係のないところに再投資しているのですよ。この前私が言ったように、トンネル融資じゃないかといった意味もそこにあるけれども、その議論は多くは言いませんけれども大臣、この事故と関連さして、その私企業の基盤強化をさしていかなければならぬ点は私はわかります。しかし、それはやり方に私は間違いがあるというのです、やり方に。その基盤強化のために国民に全部肩がわりしている、運賃を値上げするということは。政府としてはやらなければならぬことはありますよ。私企業ですから、全日空なり国内航空は、飛んだらすぐ経費を償えないところは航路全部やめたらいいでしょう。やめることはできましょうか。そういうことはいま運輸大臣できますかね。これは地域住民との感情、公共性の面と地域開発の面でやめることできないでしょう。できないということは、あなた方がやらせたということなんですよ。飛行場をつくって、国民の多くの税金を使って飛行場をやらせた。その責任においては、少なくともそういうものについては、日本航空だけが航空会社ではないのですから、国際競争力、基盤強化だという美名に隠れて日本航空だけに補助して、飛行機会社は日本航空だけでないのですよ。安全の問題は日本航空だけではないのですよ。全日空だって国内航空だって東亜航空だって、みんないずれも同じです。安全の問題を考えた場合、それであるならば、私が言ったように、少なくとも赤字路線については、在外資産のために二千五百億なんかも要らない。私が試算したところで四、五十億あればいいのです。そういう国の責任において、私は、この民間私企業といえども基盤強化をしていって、政府がねらう地域開発の目的遂行のために、あるいは公共性ですね、航空事業の公共性を追求するのがたてまえです。事故が起きた、事故の責任は全然政府は責任を負わぬわ、そして、それを指摘していって、最後は基盤強化だといって、全部すべて国民のほうに肩がわりしていくという、こういうやり方は根本的に間違いですよ、根本的に。ですから、私は、大臣がせっかく了承してくれということですけれども、これは了承できないということを申し上げて、時間がありませんから、これで質問終わりますが、主査、たった一つある、大事な問題が。たった一つだけですから。
  171. 鈴木強

    主査鈴木強君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止
  172. 鈴木強

    主査鈴木強君) 速記を起こして。
  173. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 最後に一つあることは、新聞紙上でもごらんのとおり、春闘の関係がいま最大のところにきているのじゃないかと、こう感じます。先般の運輸委員会で、このことについて大臣は私に答えられております。いま簡単に言えば、「仲裁手続において終局的には国鉄の関係労働者の諸君の賃金も他の二公五現に決して劣らないようなバランスのとれた賃金が仲裁裁定で出る、こういうふうに予想をいたしたわけなのでございます。」、したがって、従来からかくかくしかじかで、政府が責任をとります、こういうように答えられておりますね。これはたいへんけっこうでございますが、しかし、どうもこの答えだけでは私自体何をつかんでいいかということはつかみ得ませんから、新聞紙上を見ますと、これはたいへんな状態になるようでございますが、これに対する政府考え方、特に所管大臣としてどういう対策をお考えになっているか、聞かせていただきたいと思います。
  174. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 所管大臣といたしましても、先般お答え申し上げましたような趣旨をもちまして、数日前に国鉄関係の三大労働組合の三役を運輸省にお招きいたしまして、あるいは筋の通らぬ話かも知らんけれども、最後的な面においては必ず政府として責任を持つ考えであるから、できるだけ過激な手段に訴えないようにお願いしたい。これは団体交渉というような筋合いの事柄ではなく、政府の立場から、私が一方的に組合の代表の皆さまに対してお願いする事柄であるという趣旨をお伝えいたしたわけでございまして、別に事柄の性質上、イエスともノーともお答えはございませんでしたが、私の申し上げる趣旨だけは一応わかった、いずれ自分らとしては態度を相談しようということでお帰りになったわけでございます。その後国鉄当局に対しまして、国鉄当局の立場からは、たとい仲裁裁定があっても、これを実行するというようなことは、政府と財源上の話し合いがない限り、一方的に言うことはできないということでございましたので、国鉄当局考えはともかくとして、政府当局としては、期待される仲裁裁定については、例年どおり必ず厳格に実行する方針であるから、ひとつ十分その点を考えて善処してもらいたいという趣旨を組合の方々にただいまお伝えを願っておる最中でございます。
  175. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいまお伝えを願っている最中でありますということだけれども、これは具体性がないですよ。それで、具体性がないんですが、国鉄当局としても具体的なものを言えないところに、この間来のこの質疑で明らかになっていますように、追い込められているのですね。そうしますと、大臣、新聞紙上でうかがうところによりますと、二十四日ということですから、明後日ですね、最悪の事態がどうも予感してならない。その場合に、当然いま政府が官房長官を大体中心に、公全体についてはいろんな動きをしているような感じがするのです。私は感じがするのですが、そうした中で、いま言ったような国鉄の事情があるとすれば、所管大臣として、私は、当然それは閣議の中でもそういう話がされていると思います。思いますから、二十四日の日は最悪の事態にならないように、私は積極的に大臣行動を要請して、質問を終わりたいと思います。
  176. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 最善の努力を尽くしまして、最悪の事態を極力回避いたしたいと思います。
  177. 小平芳平

    小平芳平君 自動車交通関係についてお尋ねいたします。先ほど来の吉田委員に対する質疑応答は全部お聞きしておりますので、ダブっては必要ないのでありますが、それで、具体的に初めにお尋ねしますことは、去年六月に監査を行なったというふうに局長さっき述べておられましたが、この監査の結果どういう結果が出たか、それに対する処置を具体的に会社の経営者に対してはどういう処置をおとりになり、また、個々の運転手さんたちに対してはどういう処置をおとりになったか、監査の結果並びにこれに対する処置について具体的にお尋ねします。
  178. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 昨年、参議院の運輸委員会で、タクシーのサービスが非常に悪いというふうな御指摘を受けまして、東京陸運局におきまして、全事業者をやるわけにいきませんので、抽出して特別監査をいたしました。その結果、大部分の事業者がそういうふうなサービスの面で非常に悪いというふうな結果が出てまいりましたので、その悪い程度に応じまして行政処分を行なった次第です。
  179. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、その行政処分の具体的な内容はいまおわかりになりませんか。
  180. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 監査の結果、昨年の十一月九日付で、関係の事業者に対しまして改善の警告を発しました。その警告に基づきまして関係の事業者から改善措置の報告がまいりました。その報告に基づきまして、労働基準の問題でございまするので、労働省と協力いたしまして、その改善の措置の報告をそのとおり実施しているかどうかということを現在監査中でございます。
  181. 小平芳平

    小平芳平君 もう少し具体的に、結局先ほど吉田委員からも指摘されているように、歩合給の問題、労働時間の問題、そういう問題に対して具体的に、監査の結果こういう結果が出たので、こういう点を労働省と協議し、あるいは、また、労働省に対しては、むしろ運輸省のほうから働きかけて、こういう点、こういう点を労働省として決定してもらうなり、あるいはそうした会社の経営に対しては運輸省がこういう指導をし、あるいは行政処分を行なったという、もう少しそういうことを具体的には発表できないものですか。
  182. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 先ほど申し上げましたように、特別監査を実施いたしました会社が、ほとんど全部労働条件の点におきまして非常に悪いのでございますので、一括して警告を出しました結果、関係の事業者のほうから、タクシー事業運営の適正化に関する実施要領についての報告というものがことし五月十七日にまいりまして、それによりますと、勤務体係及び営業体系の基準につきまして、いままでのような勤務体系では労働基準の面から違反が多くなりますので、勤務の時差制度を設けたい、勤務をずらして時差制度を設けたいというふうなことを提案してまいりました。それから、帰庫時間、これは現在の勤務時間では午前二時になっておりますけれども、この帰庫時間につきましても、なかなかほとんどが励行されておらないというような問題もございまして、この問題につきましても、帰庫時間を全面のガラスにステッカーを張るというふうな措置を講じたいというふうなことを業者のほうからも提案してまいりました。こういうふうなことで労働条件をタクシー関係では非常に励行しないという根本原因は、やはり給与体系との問題もございまして、先ほど来吉田先生のほうからもお話ございましたが、固定給と歩合給の比率が、非常に歩合給の比率を高くするというふうな傾向もございますので、こういうふうな点を、給与体系等を変えていくことがいろいろな労働基準の違反を是正していく根本であろうというふうなことになりますので、そういう給与体系についても、できるだけそういう能率給を低くして固定給の比率を高くするという面で指導してまいっておるような次第でございます。
  183. 小平芳平

    小平芳平君 交通安全の問題は、先ほども指摘しておられましたように、非常にいま大事な問題でありますのと、それから、また、行政面では道路のいろいろな施設を建設省がつくる、あるいは警察庁がつくる、あるいは運輸省が自動車のいろいろな関係の部門を担当していかれる、いろいろ各省にわたっているわけです。安全施設の面では、三カ年計画を立て、四十一年、四十二年、四十三年というこの三カ年計画で安全施設を相当につくっていこう、これもそれができたら事故がすっぱりなくなるわけでもないですけれども、そうした努力が行なわれているわけでありますので、したがって、タクシー会社等の会社経営に対し、また、労働者の労働条件に対して、やはりこの面についても物的な施設が計画的に進んでいくと同じように、どれだけ具体的な改善が行なわれていくか、こういう点が少なくとも進歩していく、間違いなく歩合給はこういうふうに減っていく、あるいは労働時間はこういうように間違いなく短縮されていく、したがって、事故防止もこういうように期待できるんだというようなことを具体的に実現していかなくちゃならない段階だと思いますが、いかがでしょう。
  184. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) われわれといたしましては、自動車行政の第一義として事故防止のことを目的に掲げてありまして、したがいまして、タクシーなりトラックなりバス、それぞれにつきましては、事故防止という観点から、監査の際等も厳重にそれを見ておるわけであります。特に労働条件等に関連いたしまして、施設の整備でございますが、長時間の労働をさせますと非常に疲労が重なりまして、それが事故の原因になるというようなこともございますので、休養施設等につきましては、十分休養ができるような施設というように、施設の面では指導監督してまいっております。トラックの面につきましても、路線トラックの関係では非常に長距離の運転をいたしますので、そういう面でも十分監督の目を光らしておるようなわけでございますが、労働省との間におきましても、最近労働省におきまして営業用自動車の運転者の労働条件の問題につきまして厳重な通達を出されたというふうなことで、この労働条件の問題は、一義的にはやはり労働省の問題でございます。また、労働時間とか給与の問題は労使間でやはり第一義的に定めるべきだというふうにも考えておりますので、われわれとしましては、極力そういうふうな面で、労使間で円満に労働者の疲労が重ならないような労働協約が結ばれていくことが望ましいと考えておりますが、労働省の通達も出ましたので、労働省とよく連絡をとりつつ、労働基準法違反というものは極力減少させるような方向で指導してまいりたいと考えております。
  185. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、大臣、いま局長がおっしゃっておられるような労働条件について、あるいは労務管理について、それでもって事故防止の点から確かにいままではこういう点、こういう点に欠陥があった、しかし、給与の点、労働時間の点は今度は相当だいじょうぶだと、事故防止についてのそういう労務管理の面から、これならいい、いいといっても、全然事故がなくなるかというと、また問題は別になりますけれども、少なくともいままでもそういう点ではみんな事故防止を願い、あるいは会社に対しても、それから労働者に対しても、特別に無理を押しつけるみたいな結果にならないような、しかも、全体として事故を防止し、サービスが向上できるように、そういうことを全部が願っておりながら、一方では事故はふえる一方、しかも、悲惨な事故が連続して起きていると、こういうような現状からして、少なくとも運輸省関係においては、ことしからなり、とにかく今月からなり、こういう点で大幅な改善が行なわれていくと、こういう点を期待できると、そういう点はございませんか。
  186. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 従来から大型トラック並びにダンプカー、また、タクシー等の労務管理が非常に乱れておる、それがひいては事故の原因になっておるということはほとんど常識化しておったのでございます。それが昨年の調査の結果明らかにされたわけでございます。そのことを基礎にいたしまして、このたび業者のほうの反省を土台とした自主的な改善が行なわれたものと思うのでございます。したがって、こうした機運ができたということだけでも、業界の安全化については非常に大きな意味のあることだと思いまするが、しかし、何事も三日坊主ではしかたがございませんので、今後とも監督指導を強化いたしまして、せっかく業者の諸君が提案してまいりましたこの自主的改善策が厳格に励行できるように、一そう気をつけてまいりたいと思います。これによりまして相当の改善が期待できるかと存じます。
  187. 小平芳平

    小平芳平君 現状としてそういうように国会でもってお話を伺っている状態が、はたしていま東京都内なら東京都内のタクシーの利用者にとってそういう面がどれだけ反映しているかといえば、それに対して私は疑問に思うことは、やはりいまだに乗車拒否とか、それから、また、乗車拒否ばかりかと思うと、反対にお客の引っぱり合いをやるのですね。かと思うと、今度は無理無理乗せて、メーターも倒さないで走っていって、それで着いたら割り増しに料金をたくさん払えというようなことがいま現にあるわけですね。ですから、運輸省からもお答え願いたいのと、警察庁からも指導課長さんが見えているようですからお答え願いたいと思いますが、そういうように国会の中の論議が、政府の御答弁と現に町で行なわれていることと非常にちぐはぐになっているのがなお現状ではないかということをおそれるのですが、いかがですか。
  188. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーの乗車拒否の問題でございますが、この問題は三十八年の神風タクシーの問題が問題になりました当時から乗車拒否の撲滅ということはいわれておるわけでございます。われわれとしましては、機会あるごとにそういう乗車拒否を根絶しようということを強く指導してまいったので、一時よりは非常によくなったというようにわれわれ思っているわけですが、これが根絶したという状態になっておらないことについては非常に遺憾に思っておるわけでございます。乗車拒否の問題は、原因はいろいろとあろうかと思いますけれども、まず運転手の質をよくすることが第一だと思うし、それから、現在運賃制度が距離制度になっておりまして、東京のように道路が非常に混雑するというようになりますと、運転手が道路混雑によって非常に運賃収入が上がらない、したがって、そういう面で非常に変な行為を行なうというようなことも考えられますし、それから、給与体系上、先ほど申し上げましたように、能率給が高いような場合におきましては、収入を上げるためにいいお客さんを選ぶというようなことになるのでございますが、一方、こういうような乗車拒否というものは、銀座とか、そういう盛り場等で特定の時間に特定の場所で起こりやすいのでございますが、そういうふうな場所では、もちろん運転手が悪い面が大部分でございますけれども、利用者の方におかれても、相当にチップを払うから行け、ある特定の、夜銀座のバーの付近等でこういうような面もございますので、利用者の方もそういうようなことをされないように御協力願うというようなことで、極力こういう面を是正してまいりたいと考えておりますけれども、ある一定のそういうふうな銀座等の地域の深夜等におきましては、流しをつかまえるよりも、タクシーべーというようなものをつくりまして、そこでもって順番に利用される、そういうほうが、そういうような乗車拒否等を絶滅する上において効果があるのじゃなかろうか、こういうふうにして、これは現在乗車拒否の問題が特に起こります銀座地区では、そういうようなタクシーべーで並んで乗車願うというようなかっこうで指導しておる次第でございます。
  189. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) ただいまのタクシーの乗車拒否等の問題でございますけれども、このような行為が道路運送法の違反として取り締まりの対象になる事案でございます。先ほど自動車局長の答弁の中にもございましたけれども、このような違反は警察官の減員によって検挙いたしますことが困難な場合が多い事案でございまして、被害を受けられました方、あるいは一般市民の御協力に期待をいたすところが非常に大きい面があるわけでございます。現在東京都内におきましてこの乗車拒否等が行なわれております地域は、銀座地域、それから羽田空港地域、それと新宿地域、おおむね三地区でございますけれども、これらの地区におきまして昨年中五百三十五件の乗車拒否の違反を検挙いたしております。また、本年に入りましてから一月から四月までに百六十三件を検挙いたしておるのでございますけれども、これらは実態に比べまして、そう多い数とは申せないわけでございます。先ほど申しましたように、取り締まり上の難点があるわけでございますけれども、今後とも運輸当局の指導と相待ちまして、このような行為の取り締まりにさらに一そうの努力をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  190. 小平芳平

    小平芳平君 私が申し上げたことは、乗車拒否の問題と、もう一つは、反対に駅の改札口あたりでお客さんをむしろ引っ張る、そうしてそこには駅員もいらっしゃるし、近所に交番もあるのですが、そういう駅員も交番も、何も知らん顔しているけれども、お客さんを引っ張って、むしろ夜行列車で着いたようなお客さんを、いなかから出て来たような人を乗せてはメーターを倒さないで走って行って料金をよけいに請求する、そういうことすらも行なわれているのですね。ですから、これはもう悪いにきまっているのですから、そういうことがないように、これはただ警察が取り締まれることが一つと、それから、やはり局長は、いま歩合の問題と、そうした労働条件の問題から、そういうことが起きる可能性があるのだと御答弁しましたが、ですから、最初に大臣も、今度はそうした労働条件の面では大きく改善されていくからというふうにも言っておられるわけでありますから、ここでもってそういうようなことを起こさないように、労務管理の面で根本的なそういう改善を行なうとともに、そうした不正が起きないことを希望しているわけです。これはこのとおりでいいと思いますが、いかがですか。
  191. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ただいま御指摘の問題は上野駅でよくあるように伺っておりますが、そういうふうな事件につきましては、われわれのほうにお知らせ願いますれば、その会社に対しましては厳重な処分をいたすということでやっておりまして、最近の例におきましても、乗車拒否、その他いま先生がおっしゃったような事件につきまして六十三件の違反がございまして、これについてそれぞれ行政処分を行なっている実情でございますので、今後とも、そういう悪質なものについては厳重な処分をもって臨みたい、かように考えております。
  192. 小平芳平

    小平芳平君 私が新宿駅でそういうふうにやられたわけです。いなか者と見られたとみえて。ですから、そういう点はいまおっしゃったような線で、ただ悪いのをびしびし取り締まるというだけでなく、最初から申し上げているような労働条件の面を間違いなくこの際ひとつ立て直していくという点を、さっき大臣がおっしゃったとおりに実現をしていっていただければよろしいと思うのです。それを特に要望したいと思います。  それから、次に、タクシー料金についてですが、これは現行の料金がどういう形できまりますか。それから、何キロ何円ということが、都内と、それから周辺の都市とは違っておりますが、そういう現状について、代表的なものでけっこうですから、御説明願いたいと思います。それから、また、深夜料金というものを取っているところがございますが、これについても御説明願います。
  193. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーの運賃は道路運送によって認可制度になってございまして、法律上は、適正な原価に適正な人員をかけたるものできめるということになっておりまして、現在東京におきましては、普通車で二キロまで百円、それから自後四百五十メートルごとに二十円を足す、こういうふうな運賃制度でございまして、三十八年の十二月からこういう制度になっております。深夜料金の問題でございますが、現在埼玉で深夜について二〇%増しという制度になっております。東京においては深夜料金はございません。
  194. 小平芳平

    小平芳平君 それで、東京においては三キロまで百円、これはもっと高いところがあるわけでしょう、高い都市が。その例はいかがですか。
  195. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 各陸運局別、各都市別で運賃制度は若干変わっておりますが、東京付近で申し上げますと、埼玉におきましては二キロまで百二十円、それから自後四百メートルごとに二十円増し、こういう制度になっております。
  196. 小平芳平

    小平芳平君 これ一つの東京と埼玉の例ですけれども、むしろ東京都内のほうが生産性も高いのですね。大都市のほうが安くて、そうした生産性の低い、あるいは、また、農家の多いそうしたいなかが高いというのは、どうもそれは会社の経営上ということを言えばそういうことになるかもしれませんけれども東京都内よりもそうしたいなかのほうがタクシーに乗れば高いというのは、何といってもちぐはぐな感じがしますが、いかがでしょうか。また、深夜の割り増しも、これを昼間のほうがつかえつかえで走れない。深夜のほうがよく走れると思うのですが、そのほうが高くなるというのもちょっとふしぎな感じがいたしますね。
  197. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシー運賃は、先ほど申し上げましたように、当該地域のタクシーの収支状態によりまして、収支が適正に保ち得るような運賃ということになっておりますが、東京とか大阪のような大都市といなかと賃率の差が違ってきますのは、東京、大阪等におきましては、大体タクシーは流しでございます。ところが、いなかに参りますと、流してもお客さんがなかなかつかまりませんので、大体車庫で待っておって、そうして電話がかかってきて迎えに行って乗せていく、こういう客待ちと申しますか、客待ち方式でございますので、そういう面で収支状態がやはりいなかのほうが悪い。それとサービスの形態が違うというふうなことでもって、運賃制度が大都市といなかとは違う、こういうふうな事情がございます。
  198. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、会社の経営のほうからいえばそういうことになると思います。私もそう思いますからそう申し上げておるわけですが、利用者にとってはちょっとちぐはぐな感じがいたします。むしろ東京のほうが安くて、地方でもって電車もない、バスもない、万やむを得ずタクシーに乗ろうとすれば、基本料金も高ければ深夜料金もつくというような点、そういうちぐはぐな点は何とかこれを改善しようというようなことは可能じゃありませんか。
  199. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) やはり各地域ごとの原価に基づいて計算してきめておるわけでございますが、この問題はタクシーだけでなくて、私鉄の場合におきましても、大都会の私鉄のほうが賃率が安い、いなかのほうの中小私鉄のほうが賃率が非常に高いというような実情になっておりますし、国鉄のように経常形態が日本全国一本でございますれば、いなかのほうでその線だけは赤字であるけれども、黒字線でもってカバーするというようなこともできますけれども、タクシー事業というものが全国的に一本にするというわけにもまいりませんし、やはりその地域地域の形態、収支状態、減価償却費の状況に応じてやはりきめていくということでなければならない。そういうように考えております。
  200. 小平芳平

    小平芳平君 会社の経営だけを中心にして、利用者のほうを全然考えないわけでもないでしょうけれども、そういうふうに高ければ利用者も減るということになるわけですがね。その点は、タクシーはそのくらいにしまして、今度は国鉄のことについてちょっと一問だけ。国鉄のサービス面で、結局この国鉄の予算説明にもありますように、電化、電車化、ディーゼル化についてこれこれの工事費をつけて、そうして進めていく、このことが輸送力の増強とサービスの改善と経営の合理化になるというふうな御説明になっております。それで、全くこの点については、利用者にとっては電化にしても、また、電車化にしてもディーゼル化にしても、非常に助かると思うのですが、で、これについて概略の見通しについて御説明願いたい。
  201. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨年第三次長期計画の御承認を願いましたときに、大体電化区間は全国でもって全体の約一五%だったのであります。それを三四%ぐらいまでに上げたい。すなわち、主要幹線道を全部電化したい、まあこういう御説明をいたしまして、そしてそれが今度の計画に入っているわけでございます。おかげさまで工事が進みまして、今年の十月一日になりますと全体の約二三%、これは新幹線を含んでおりますが、四千八百キロぐらいが電化されることになるわけでございます。そういたしますと、大体電化いたしました区間は、原則として蒸気列車が走れないのはもちろん当然でございますけれども、電化区間の中で輸送密度が非常に高いところ、あるいは通勤輸送の非常に多いところ、これはなるべく電車化してまいりたい。と申しますことは、電車化と申しますのは、非常に回数の多いフリークェントサービスができるわけでございます。したがいまして、非常に通勤客が多いところであって、しかもデイタイムでも利用客の多いところでございますね、これは電車化すると非常に経済だ。しかし、同じ電化区間でも、わりあいに通勤客も少ないし、あるいは一般の通勤時間以外の輸送密度も低いところがございます。こういうところはむしろ電気機関車で客車を引っぱるほうが経済である。と申しますことは、通勤時間帯はわりあいにお客が多いわけでございます。通勤時間が過ぎますとがたっとすいてしまうというようなところは、電車よりも電気機関車で引っぱったほうが非常にコストが安い。と申しますことは、電車と申しますのは非常に簡便なようでございますけれども、長くしたり短くしたりすることがむずかしいわけでございまして、車の構造から申しまして、なるべく一つの編成で、たとえば十両なら十面、八両なら八両の編成で動くことが一番経済でございます。これを四両に切ったり三両に切ったりするのはむずかしいわけでございますので、輸送密度がそれほどないところでは、電化しても電車化しないほうが経済的に有利だということが一つでございます。  それから、もう一つは、いま申しましたように、現在電化の過程にございますので、電化区間と電化してない区間とをずっと通して走る列車が相当ございます。たとえば一番いい例が中央西線でございます。名古屋から塩尻のほうに行く線があるわけでございます。あれは間もなく中津川まで電化ができますが、列車回数から申しますと、中津川から先に行く列車の数が多いわけでございます。そういたしますと、中津川で機関車をつけかえることは不経済でございますので、既電化区間も通して、つまり電化区間も電車を使わないでディーゼルでやってしまう、そうして途中で機関車をつけかえるという煩瑣なことをしない。こういう意味で、電化区間と非電化区間がつながって輸送されるお客さんが多いときは、電化しても電車が走らない場合が相当多うございます。一番いい例はいまの名古屋の例でございます。そのほかは、大体電化すると電車化するというのがたてまえでございます。ことに、いわゆるローカル列車を電化いたしまして、極力ローカル輸送の回数をふやすということによってローカル交通を便利にする。同時に、急直行につきましては、やはり電車でもって長区間を走らせる、こういうような方針でもってまいるつもりでおりますが、ただ、電化は、先ほど吉田先年にお答えいたしましたことの中でも、一番実は進んでいるわけでございます。と申しますことは、電化でございますと、非常に地元が利用債をよけい引き受けてくださるわけでございます。複線化とか、あるいは保安設備ではとても利用債は引き受けてくれませんが、電化でございますと、わりあい地元が、いま申しましたように、直接利益があるものでございますから、非常に利用債でもって電化工事ができるという非常に利便がございます。ほかの工事から比較いたしますと、私どものほうで現在やっている計画の中では、一番実は電化工事が進んでいるわけでございます。むしろ複線化などと比較いたしまして、格段に電化が進み過ぎているということもございますけれども、やはり電化いたしますれば石炭費も節約になりますし、また、旅客列車と貨物列車が同じスピードで走りますので、単線の区間でもそのままで列車回数がふえるというふうな利便もございます。もちろん人の節約になるというふうなことで、今後とも極力電化を進めまして、昭和四十六年度までには大体予定の全国の二万キロのうちの三四%ぐらいの電化を完成したいというふうに思っているわけでございますが、ただ、実は昨年からほとんど新しい電化区間には手をつけておりませんで、現在問題になっておりますのは九州の長崎本線、鹿児島本線、日豊線、大きなところではこの三つがまだ手はついておりません。それから、あと裏日本の羽越線、奥羽線もまだ手がついておりませんが、その他につきましては、大体七カ年計画の予定どおり電化につきましては工事を進めているわけでございます。今後地元の御協力も願いまして大体予定どおり進めていきたい、こういうふうに考えております。
  202. 小平芳平

    小平芳平君 それで、電化しても電車化しないという事情はよくわかりますが、したがって、たとえばきまった団体輸送のような場合ですね、これはむしろ電車化できる。また、これは安全の上からいいましても、ドアが電車はぴっしゃり締まりますから、これはむしろ電車化のほうを希望するわけですが、これは可能ということでよろしゅうございますね。  それから、ついでに、もう時間がありませんので、もう一つ、冷房、暖房ですけれども、冷房している客車はまだそう多くないと思いますけれども、しかし、この冷房もだんだんふやしていかれる御計画かどうか。それから、冷房車をふやしていく場合に、これはいまの新幹線でお使いになっている冷房と、前に東海道で使っていた列車の冷房と、どうもちょっと違うように、何か冷房のやり方が新幹線のほうがうまくないみたいな感じもしますが、そういうような点について、これはほんとうはサービス面だと思いますが、いかがでしょうか。
  203. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の第一の点でございますけれども、団体車につきましても、たとえば九州から東京まで来られるというような場合には、やはり電化区間も九州まで電化いたしておりませんので、どうしてもこれは機関車で引っぱっあくるということになるわけでございます。しかしながら、今度東京から、たとえば東海道線だけというような場合には、私どものほうも極力電車でやりたいというふうに考えておりますが、ただ、実は電車は現在非常に両数が払底いたしておりまして、たとえば通勤電車では、いまは昼間はがらがらで遊んでいるわけでございますけれども、朝夕の二時間はどうしても使わなければならぬということで、通勤電車も団体輸送に使えないのが一番悩みの種でございます。これは不可能なこととしてあきらめまして、その他につきましては、大体団体輸送につきましても電車化してまいりたい。ことに一番問題になります子供たちの修学旅行につきましては、おかげさまでほとんど電車化、あるいはディーゼル化いたしまして、途中で子供がデッキから落ちるような心配のないように、修学旅行はほとんどもう電車化いたしましたけれども、その他の団体客につきましては、まだまだ電車化の途中にあるということでございますが、方向といたしましては、漸次電化区間がふえるに従いまして電車にしてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、冷房装置につきましては、実は私は技術者でございませんので、あまり正確な御答弁ができないかと存じますけれども、私ども、冷房装置は、極力市販の、町で使っておられるものそのままを持ってきて使える冷房装置を使いたい。国鉄独特のものを使いますと、故障その他のときに非常に金がかかりますので、極力市販のものをそのまま持ってきて使えるようにしたい。そうしたほうが経済的になりますので、そういう方向でやっておりますが、やはり市販と申しましても、車両用の冷房というふうなものはほかにございませんので、特殊なものになりますけれども、まあ今後どんどん冷房車をふやしてまいりますので、とりあえず最近は長距離の二等寝台は、七、八十両だったと思いますが、冷房車をつけております。寝台車から次は普通車というふうに普及してまいりたいと思います。新幹線の冷房につきましては、いずれすぐ調べましてお答えいたしたいと思います。私、ちょっと専門家でございませんので、いま間違って答弁するといけませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
  204. 瓜生清

    瓜生清君 だいぶ時間もたちましたから、簡単に二、三の点を質問したいと思います。  まず、大臣に海運政策についてお伺いをしたいと思います。  昭和四十四年以降、外航海運に対する助成措置がなくなるというふうに私聞いておるのですけれども、御承知のように、海運業界は、ここ一、二年、多少はよくなりましたけれども、従来、長い間非常に、何といいますか、いわば不況産業としてきたわけでありますけれども、しかも、これからどんどん貿易の拡大というような問題も起きてまいりますと、必然的に船の形も大型化していくというような、そういう事情の中にありまして、いま申し上げましたような外航海運の助成措置というものがなくなった場合に、はたしてうまくやっていけるかどうか、疑問を持っておるわけでありますけれども運輸省の外航海運政策といいますか、そういうものの中心点というものは一体どこにあるのか、承わりたいと思います。  〔主査退席、副主査着席〕
  205. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 現在実施いたしております海運業の再建整備に関する臨時措置法に基づきまする整備計画の実施に伴いまして、海運企業の体質改善が相当進んでおりますことは御承知のとおりでございます。企業の再建整備は、ほぼ目標期限であります四十四年度一ぱいには達成できようかという見通しになってまいっておるのでございます。この整備計画の実施にあたりまして、利子の支払い猶予、利子補給、税制と、いろいろの助成措置が講ぜられておりまするが、これらの助成措置の多くは、整備期間満了の四十四年度末に一応終了いたすことになっておるわけです。  そこで、その後の海運対策というものについて御質問があった次第でございまするが、今後のわが国の海運といたしましては、国際収支改善と貿易物資の安定的輸送のために一そう船腹を拡充する必要があることはもちろんであり、さきに策定されました経済社会発展計画におきましても、四十二年度から四十五年度までに九百万トンの船腹増強が当然必要である、こういう趣旨に基づいてこの計画が立てられておるわけなのであります。  こういう国民経済的要請とともに、他方、海運をめぐる国際環境をながめまするというと、今後さらに一そうきびしいものが予想されまするし、海運企業の体質は相当改善されつつあるとはいえ、外国の海運企業とこれを比較いたしまするというと、その内部保留等の劣悪であることは全く明らかであり、その国際競争力はいまだ脆弱を免れないと考えられる次第でございます。これらの点を勘案いたしますると、海運の国民経済的使命を達成いたしまするには、船腹の増強と海運企業の国際競争力の一そうの強化が必要であると考えられまするので、この観点から、整備期間終了後、すなわち、四十四年度終了以降の海運対策につきましても、また格段の考え方をする必要があると存じまして、現在では、目下慎重にこの問題を検討いたしておる次第でございます。
  206. 瓜生清

    瓜生清君 そうしますと、大臣、四十四年になりますと、いまお考えになっているようなそういう整備計画が完了するだろうという、そういう見通しを持っておられるわけでありますが、不幸にして運輸省当局で思っておられるようなそういう順調な状態というものにならないという場合には、さらに引き続き、いま申されましたような助成措置に匹敵するような、そういう対策をお立てになる、こういうふうに解釈していいわけですか。
  207. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どもは、現在の成り行きから見まするというと、大体四十四年度の目標期限までには、諸般の目標は大体達成できるだろうと思っておるのでございます。しかし、その達成後、すなわち、四十五年度以降の日本の海運界の将来というものを考えまするというと、やはり年々九百万トン以上の船腹の増強を行なわなければならぬ状況でございまするし、昭和四十五年に九百万トンの整備を行なわなければならない。さらに、また、そのころの日本の海運の企業者というものの企業の体質を考えて見まするというと、内部保留においても決して十分な状態になったとは言えないのではないか。かたがた、こうした状況考えまするというと、四十五年度以降におきましても、政府は相当な力を海運政策に入れていかなければならない、こういうふうに思うわけでございまして、当局といたしましては、その後の対策につきましていまから検討をいたしておる次第でございます。
  208. 瓜生清

    瓜生清君 四十五年度以降の対策につきまして、いま検討中というお答えがあったのでありますが、大体いつごろこれはできるのですか。四十五年から先の海運対策をいま研究しておるというお話ですが、それの結論が出るのはおよそどれくらいになるのですか。
  209. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 再建整備期間は四十四年の五月ころに大体くるわけであります。そうしますと、それ以後いま行なわれておりますところの利子の支払い猶予等の措置がそれで一応切れるということになります。それが一つと、もう一つ、それより先に、来年の三月三十一日に開銀に対する利子補給の期限がくるわけでございます。したがいまして、その開銀の利子補給をさらに延ばすかどうかということも今後の海運政策の基本になりまするので、それと合わせまして早急に結論を出す必要があると思います。したがいまして、来年の三月でございますから、少なくとも今年中くらいには大体の方向というものをきめる必要があるのではないか、かように存じております。
  210. 瓜生清

    瓜生清君 そうしますと、おそくともこの次の通常国会中には大体明らかになるというふうに解釈してもよろしいですね。
  211. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) そのころまでには何とかはっきりした方向を打ち出すべきだと考えております。
  212. 瓜生清

    瓜生清君 今度は逆に、内航海運の問題についてお尋ねしたいのですが、たしか去年の五月だったと思いますけれども、内航海運の再建整備計画ですか、そういうものがたしか閣議決定になっておると思うのですが、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド方式なんですけれども、それはその後順調に整備されておるのかどうか、現状についてお伺いしたいと思います。
  213. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 昨年の五月に内航対策の要綱が閣議決定をされました。それに伴いまして法律改正の必要がありましたので国会に提出いたしておりましたのでありますが、それが成立がずれまして、昨年の暮れにようやく公団法の改正が行なわれました。そういう関係から、実施はかなりずれてまいりました。それで、その間にいろいろ経済事情、輸送事情等が相当に変化をいたしております。すなわち、この内航対策が立案をされましたときは、内航海運業界といたしましては、相当まあ不況と申しますか、非常に苦しい状況にあったのでありますが、昨年の下期ごろから内航に対する輸送需要が非常に高まってまいりまして、そのためにこのいわゆる不況対策としての内航対策をやるのにはいろいろこれに都合の悪いような状況も相当起きております。すなわち、このスクラップをして、そうして新しい経済的な船をつくるということでございまして、その解撤比率を船一・五トンつぶして一トンをつくると、こういう基本的な考え方でございますが、輸送需要が相当高まってきましたので、いわゆるスクラップ船が手に入らない。スクラップ船の値段がだんだん高くなり、最初われわれが考えていたときはトン当たり一万二千円くらい考えておったのでありますが、最近におきましては三万円以上こすというようなことになりまして、その解撤比率というものはなかなか維持しにくいような事情が出てまいっております。また、一方、過剰船腹を係船をするという対策も一つの柱になっておるわけでございまして、当初の計画では九万総トンを係船をするということでございましたが、先ほど申しましたように、輸送需要が非常に高まってまいるに従いまして、なかなか船をつなぐということが困難でありまして、所期の係船量が維持できない。現在では三万デッドウェートを切るというような事情でございます。そのような観点から見ますと、予定どおり進んでないじゃないかという御批判もあろうかと思いますが、それにしましても、とにかくいま必要な近代的な経済船を早くつくるということも一つの要請でございますので、予定どおりの解撤比率等が維持できなかったのはまことに残念でございますけれども、できるだけ早く近代的な経済船をつくるということでこの計画を進めてまいりたい、かように考えております。
  214. 瓜生清

    瓜生清君 これは海運業界だけではないのですけれども、こういう不況その他によっていろいろ困ったことが起きると、すぐ政府なり何なりに泣きついてくる。そこで何らかの助成策というものをわれわれが考える。あるいは、また、政府もそういうことを指導される。ところが、ちょっといま局長の話じゃないけれども、景気がよくなって荷動きが激しくなると、そういう新型船の建造等はどっかへ忘れちゃって、そうして目先の利益を追うためにきゅうきゅうとする、そのことのために合理化なり近代化というものは一時的にはばまれる、そういう現象をそれぞれの産業が繰り返しておるわけですけれども、大体法案の通過がおくれたとはいえ、政府の意図されておる内航海運の整備計画というものがおくれたにしても、どの程度ぐらいでいわゆる所期の目的どおりのことをおやりになるのか、そのめどがわかればちょっと教えてもらいたいのです。
  215. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 三年間で自立体制に持っていくというのが目標でございます。で、この三年間に建造する船の一・五倍に当たるものを初年度にスクラップするというのが当初の計画であったわけです。それで、その量的には、いま申しましたように、解撤比率が一・五を維持できなかったという点が一つございます。それから、時期的には四十一年度の分がずれ込んで四十二年度に入ってきておるという点はございますが、最終の四十三年度までには、この計画をやり遂げたい、かように存じております。それで、建造計画でございますが、最初の計画では三十九万トンの計画でございましたが、いま申しましたような解撤比率が維持できなかった点から、二十六万九千トンというふうに、全体のワクが十二万トンばかり減るような結果になっておりますが、しかし、これの実施は四十三年度末には何とかなし遂げたい、かように存じております。
  216. 瓜生清

    瓜生清君 ということは、おくれてはおるけれども、三カ年を終了するまでには何とかそれを取り戻して完了したい、こういうことですね。
  217. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) そういうことでございます。
  218. 瓜生清

    瓜生清君 それでは、私時間がありませんから、次の問題に移りたいと思いますが、いま原子力船を建造する計画がございますね、それは一体どういうような、何というのですか、規模のものをおつくりになるのか、私しろうとであまりよくわからないので教えてもらいたい。
  219. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) わが国最初の原子動力船をつくる計画でございまして、これは原子力船開発事業団、特殊法人でございますが、原子力船開発事業団が建造するものでございます。で、原子力でございますので、本船の建造につきましては、御承知のとおり、科学技術庁が主でございまして、科学技術庁予算でこれを行なうものでございます。原子力船開発事業団は科学技術庁と運輸省の共管の事業団となっております。船は総トン数八千三百トン、それから、タービンを使いますが、タービンの出力が一万馬力でございます。それから、原子炉は、熱出力三十六メガワット、ただいまのところでは予算船価といたしまして一隻約五十六億円でございます。で、四十二年の夏ころまでに契約ということをいたしまして、それから四年ほどかけまして、四十六年の末までにこれを完成したい、こういうものでございます。
  220. 瓜生清

    瓜生清君 そうすると、あと四年ほど余裕があるということですね、完成するまでには。四十六年ということになりますとそういうことになりますね。  〔副主査退席、主査着席〕
  221. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) そのとおりでございます。原子炉の製作に非常に時間がかかると思いますので、相当長期を見込んでいるものでございます。
  222. 瓜生清

    瓜生清君 そういたしますと、原子力船ができ上がるまでの間に港などの整備計画等をつくるわけですか。その点について、たとえば現在使っております港を使用するのか、それとも新たな——この間決算委員会で問題になりましたけれども、原子力船を係船するような埠頭をつくられるのか、そういう問題は、いわゆるこの船ができるまでに結論が出るわけでしょうが、それはどういうふうになっているのですか。
  223. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 私どもがただいままで聞いておりますのは、原子力船が就航するに際しましては、核燃料の積み込み、補給と申しますか、そういう基地が必要であるということは聞いておりますが、この港の態勢なり、どこの港に寄港するということは現在まだ聞いておりません。
  224. 瓜生清

    瓜生清君 聞いておられませんけれども、結局船ができるまでにはそういうことは決定されるわけでしょう。現在の普通の船舶が出入りしている港を使うのか、それとも全然違ったタイプの港を別に設けるのかということは、近いうちにはきまるわけでしょう。いまはまだ検討中でしょうけれども、そういうような結論が出るのは一体いつですか。
  225. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 本船は一般の商船として貨物を扱うのではなくて、実験船であると聞いております。したがいまして、いわゆる埠頭について荷役をするために各港にそういう特別なものが要るということではなくて、母港と申しますか、燃料を補給する、もしくは休養のための基地だけあればいいのではないかと考えます。
  226. 瓜生清

    瓜生清君 そうすると母港のようなものができるわけでしょう、そうでしょう。そういうことがきまるのは、船をつくるのには四年かかるというお話なんですが、したがって、その四年たてば船が完成するわけでしょう、それをどこを母港にするかというような問題はいつごろきまるのですか。
  227. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まことに恐縮でございますが、実は、原子力船の事業につきましては、御承知のとおり、科学技術庁の所管になっておりまして、いままで運輸省といたしましては、この船舶の建造ということで船舶局がタッチいたしておったわけでございます。まだその完成しました船舶の運航等についての計画は、運輸省としては承知をいたしておりませんし、また、聞くところによりますると、母港が必要だということであり、うわさによりまするというと横浜港の一画、本牧付近のほうに適地があるそうだというようなこともうわさには聞いておりまするが、まだ所管省から正式に連絡を受けておらないような状況でございまして、せっかくのお尋ねでございますが、的確なお答えができかねますことをひとつお許しいただきたいと思います。
  228. 瓜生清

    瓜生清君 それじゃこの問題はこれ以上お尋ねするのをやめます。  そこで、少し話題を変えまして、最近非常に漁船とか小型の船の事故が多いわけですね。私聞くところによりますと、船舶検査官というのですか、何かそういう係があるそうですね。そういった人たちの、何といいますか、人員の確保が十分でないというようなことを耳にしているのですが、この点はどうですか。
  229. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 船舶検査官は、ただいま二百十二名定員を認められております。これを全国六十の海運局支局に配属いたしまして、ただいまおっしゃいましたような小型船のみならず、あらゆる船舶の安全性につきまして、船舶安全法による検査を執行するわけでございます。われわれといたしましては、検査方法の合理化、認定事業場制度の活用等をはかりまして、極力検査官の能率を向上させておるわけでございますけれども、検査の内容が非常に緻密になってまいります点等がございまして、これの増員の要求をいたしました。で、本国会に対しましても御承認を求めておるわけでございますけれども、幸いもし御承認を得られれば、本年度からこれに対しまして四名の増員を認められるということになるわけでございます。なお、最近の事務機械の能率のいいものが、御承知のとおり、たくさんございますので、そこらのいわゆる庁費もあわせてお願いしておるわけでございまして、これにつきましては相当の増額を認められたものでございます。
  230. 瓜生清

    瓜生清君 そうしますと、もう一ぺんお伺いしますけれども、いま二百十二名おられるわけですね、それがたった四名ふえるのですか、それで十分なのですか。
  231. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 二百十二名持っておりまして、これに対しまして非常に少ないのでございますけれども、御承知のとおり、ただいまでは公務員の定員を極力ふやさないという国の方向もございます。われわれのほうも極力定員をふやさずにいろいろ努力してまいりましたが、この際、本年度からはぜひとも何名か増員していただきたいということで四名認めていただいたわけでございます。そこで、これらの増員を認められた検査官を使いまして、極力事務能率をあげてまいりたいと思いますが、それでもやはり足りないという場合には、さらに増員の要求をしてまいるというつもりでございます。
  232. 瓜生清

    瓜生清君 海上保安庁に一つお尋ねしますが、タンカーですね、火災対策についてどのようにお考えになっておるか。私が聞いたところによりますと、三万トンか四万トンのタンカーが東京湾で火災を起こした場合に、海上保安庁にはそれを消火する能力のある船がないというふうに耳にしているのですけれども、実際はそういう貧弱なものかどうか。それから、また、もしそうであるとするならば、これから先どういうふうな手を打とうとしておられるのか。今年の予算を見ましても、たしか大型消防艇で五百万円くらいですか、設計費が載っているだけですね。そういうようなことでいいのかどうか、いわゆる海難防止の観点からひとつ意見を聞かしてもらいたいと思います。
  233. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) タンカーの火災事故に対応するために、現在すでに巡視船艇、あるいは港内艇の相当部分は化学消火能力を持っておるわけでございます。東京湾につきましても専門の消防艇は二隻ございますけれども、いわゆる十五メートル、あるいは十六メートルといわれる小型の海内艇に相当強力な化学消防能力を付与しております。御審議中の四十二年度予算におきましても、約六隻の港内艇に消防能力を付与するということで措置がとられております。ただ、大型の化学消防艇につきましては、仰せのとおり、本年度の予算としては四百八十八万円の設計費が計上してあるだけでございますが、これは総トン数四万トン以上、つまり重量トン数でいいますと、七、八万トンから十万トンクラスの船を目標とするものでございまして、それより以下のものでありましたら、現有のいま申し上げましたような消防艇、あるいは港内艇、巡視船艇によって相当な能力を持っておるわけでございます。そこで、十万トンクラス以上の大型タンカーに対応するために、目下御審議中の案に載っておりますのは、いま申し上げましたように、特殊な大型のものに対する消火のための、これも初期消火でございますが、もちろん一たん数万トンの船舶が全面的な火災を起こすという事態になりますと、これは通常の消防ではちょっと不可能だろうと思いますが、問題は、これを初期において消火いたすということでありますので、設計をいたす化学消防艇は、十万トン、あるいは十五万トンの船の油槽は、約一万数千トンの油の一つの区画がついております。その一区画が発火した場合に、これを消火し得るという能力を付年するだけのホースの高さ並びにホースから放出いたします一分当たりの能力というものを計算いたしまして、いま申し上げました十万トンクラス以上の船の一区画が発火した場合に、これを消しとめる、そういうものが大型の化学消防艇でございまして、これは四十二年度に設計費を計上しておりますので、実際の建造はその翌年からいたしたいというふうに考えております。
  234. 瓜生清

    瓜生清君 そうしますと、来年度予算に大型消防艇をつくる計画をお出しになるということですね。
  235. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) そのとおりでございます。
  236. 瓜生清

    瓜生清君 それは一隻ですか。
  237. 亀山信郎

    政府委員(亀山信郎君) いま申し上げましたように、大型消防艇は、そういう大型の船が入る港で、かつ、船舶のみならず、その船舶が一たん火災を生じた場合に、陸岸における工場、住民に被害が及ぶおそれのある、もしくはその港における他の船舶に被害が及ぶというふうな可能性のある地点を選びまして配置する、他には従来の消防艇及び巡視船艇が相当の消火能力を持っておりますので、それによって対処する。したがいまして、来年の四十三年度の予算におきましては、これは相当高価なものでございますので、まず一隻つくる。逐次増強いたしますが、現在の予定では東京湾地区、それから伊勢湾地区、それから大阪湾と申しますか、瀬戸内海を控えた大阪湾方面に一隻、合計三隻を計画いたしておりまして、それ以上の計画は現在のところ持っていない次第であります。
  238. 瓜生清

    瓜生清君 質問したいことがありますが、協力して、これでやめます。
  239. 鈴木強

    主査鈴木強君) 以上をもちまして運輸省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  〔主査退席、副主査着席〕
  240. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 速記をとめて。  〔速記中止
  241. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 速記を起こして。     —————————————
  242. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 引き続き、昭和四十二年度総予算中、郵政省所管を議題といたします。  まず、政府側から説明を求めます。小林郵政大臣
  243. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 郵政省所管各会計の昭和四十二年度予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計予算でありますが、歳出予定額は、四十七億一千百万円で、前年度予算額四十二億一千三百万円に比較して四億九千八百万円で一二%の増加となっております。  この予算には、宇宙開発体制の整備強化、すなわち、人工衛生開発研究に必要な諸施設費及びATSによる国際協同実験に参加するに必要な地上施設の整備費七億二千二百万円(国庫債務負担行為二億七千万円を含む)、電波監視体制の整備強化に必要な経費六千百万円が含まれております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は四千八百七十九億七千四百万円で前年度予算額四千百七十八億三千五百万円に比較しますと、七百一億三千九百万円で一七%の増加であります。  この中には、収入印紙収入等で一般会計へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外収入が一千百四十九億七千八百万円ありますので、これを差し引いた実体予算、すなわち郵政事業運営に必要な経費の財源となる歳入は、三千七百二十九億九千六百万円でありまして、これは前年度予算に比較しまして四百四億七千三百万円で一二%の増加であります。  この収入の内訳は、郵便、郵便為替、郵便振替等の業務収入が一千七百九十四億五千五百万円、他会計等から委託された業務の運営に必要な経費の財源に充てるための受託業務収入が一千七百五十三億三千六百万円、雑収入が六十二億九千二百万円、郵便局舎等建設財源のための借り入れ金五十億円、設備負担金六十九億一千三百万円となっております。  次に、歳出予定額は、歳入予定額と同額の四千八百七十九億七千四百万円であります。したがいまして、業務外支出を除いた実体予算も歳入と同額の三千七百二十九億九千六百万円となっております。この予算の中には、四十二年度予算の重要施策としておりますところの、郵便送達の安定向上のための経費、事業近代化のための局舎等の整備と作業の機械化に要する経費、及び労働力確保のための定員増員三千九人の経費などが含まれております。  なお、四十二年度の建設勘定予算は二百二億四百万円でありまして、前年度予算額に比較しますと、二十六億九千九百万円の増加であります。この増加は、主として郵便局舎及び職員宿舎の建設費の増加と郵便貯金会館設置に伴うものであります。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は二千五百九十七億二千四百万円で、前年度予算額二千百八億九千四百万円に比較しまして、四百八十八億三千万円の増加であります。  歳出予定額は二千百七十五億八千五百万円で、前年度予算額一千七百九十億九千八百万円に比較しまして三百八十四億八千七百万円の増加であります。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、歳入予定額は四千百二十三億九千五百万円で、前年度予算額の三千六百十六億九千七百万円に比較しまして五百六億九千八百万円の増加であります。  歳出予定額は二千五百三十七億三百万円で、前年度予算額二千百四十二億八千六百万円に比較しまして三百九十四億一千七百万円の増加であります。  なお、この中には、昭和二十二年以前の郵便年金契約に対する特別措置に必要な経費十億円が含まれております。  最後に、日本電信電話公社の予算について御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入六千五百二十億円を見込み、前年度予算額に比較しまして九百九十億円の増加となっております。  また、支出は六千四百四十九億円でありまして、施設及び要員の増加等により前年度予算額に比較しまして、一千百四十五億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は七十一億円となっており、前年度予算額に比較しまして百五十五億円の減少となっておりますが、この収支差額は、資本勘定に繰り入れられることになっております。  資本勘定におきましては、内部資金二千四百四十六億円、外部資金二千八百十七億円、総額五千二百六十三億円を予定いたしておりますが、前年度予算額に比較しまして、九百十四億円の増加となっております。  外部資金の調達は、加入者債券、設備料で一千八百七十七億円、公募債券で三百二十億円、縁故債券で六百二十億円を予定いたしております。  この資金は、債務償還等に、三百五十七億円、建設勘定繰り入れに四千九百六億円を充てることにいたしておりますが、建設勘定繰り入れ額は、前年度予算額に比較しまして七百八十六億円の増加となっております。  建設勘定におきましては、四千九百六億円をもって、一般加入電話百四十万個、農村集団自動電話二十万個の増設を主要工程とする建設計画を実施することといたしております。  以上をもちまして私の説明は終わりますが、なお、詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。  何とぞすみやかに御審議下さいますよう、お願い申し上げます。
  244. 船田譲

    ○副主査船田譲君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  245. 鈴木強

    鈴木強君 時間もたいへんおくれておりますから、重点的にお尋ねをいたしたいと存じます。  まず郵政大臣にお尋ねいたしますが、新聞によりますと、二十日に小林郵政大臣が名古屋で記者会見をいたしておりますが、そのうち、電電公社の電話料金の問題についてお触れになっておりますが、これは二十四日の日に公社の予算審議とあわせてお尋ねいたしますから、二十四日に回します。次に、放送法と電波法の改正については、各党間の調整が困難なので、これは次の通常国会——というのは今度の通常国会だと思うのですが、国会に提出することはむずかしいと、しかし、テレビの新免許は長年の懸案なので、これとは別に検討し、近く解決したい。いまのところ、新免では混信しやすい超短波は認めず、極超短波一本でする方針だと。要するに、VをやめてUでいこう、こういうことだと思うのですが、こういうような新聞に対する発表をなされておりますが、実は十三日の日に私は予算委員会で御質問申し上げたときに、大臣は、まだ出さないことにしているわけではないからということで、出せない場合に次にどうするかという私の質問に対してはお答えしてくれませんでしたが、まあ国会という場所があるわけですから、少なくとも十三日に私に答えた当時から情勢は変わっておったかもしれません。しかし、ここでわれわれに説明をいたしましたより以上に提出がむずかしい、おそらくこれはもう無理だということだと思いますが、そういうふうに発表しておりますが、これはもう出さぬ、出せないというふうに理解していいのですか、この国会には。
  246. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは、お話のように、鈴木委員の御質問に対して、予算委員会で、いまのところ困難であると思うということをお答えしておきました。率直に申し上げますると、私ども政府においても、一応提出予定法案の中に入っておる。これをまだ取り消す、こういうことに至っておりませんので、御返事は困難であろうと思う、こういうことを申し上げておきましたが、今日の段階におきましても、まだ政府がその態度をきめておりません。しかし、私の見通しとしては、この前お答えしたように、いまの段階に立ってはすでに困難な見通しである、こういうふうにお答えをしておきます。いまお話しのように困難であれば——困難だということは、出せないということも見通される場合には、そういうことも含んだことばである。そうであれば、あとどうするかという、そういうことが当然問題になると思います。これにつきましては、実はもう長い間の懸案となっておることは御承知のとおりでありまして、また、このまま推移さしていくことがテレビ行政として適当であるか、こういう問題が当然出てくる。その場合には、もう法律が出なければやりませんというふうな考え方を持つことが適当かどうかということになりますので、私は、法律は法律として、法律が通った場合やることが最も好ましい状態ではあろうと思うが、しかし、今後の見通しとしてそれでは必ずしも適当でないと、こういうふうな考え方がありますが、それならまたそれに応じたような方法を考えなければならぬ、こういうことでありまして、私も政府の態度そのものを近くきめなければならない。きめたとすれば、その時点においてそれでは次にどういうふうに対処するか、こういうこともひとつ考えていかなければならぬのじゃないか、かように考えております。
  247. 鈴木強

    鈴木強君 大体、私ども考えてみて、この国会には無理だろうと、そういうふうに見切りをつけざるを得ないと思いますが、したがって、それならそれで、大臣のおっしゃるように早い機会に——この十一月の再免許もございますが、問題になっておりますUの本格的な使用ですね。それからUを使ってまいりますと、UとVとの混乱になるわけですから、その場合の受像機はどういうふうな形で製造していくかということも当然出てくると思います。それからもっと懸案になっておりますFM放送の免許にいたしましても、いままで北九州とか名古屋とか大阪、近畿エリアですね、それから名古屋、東京、こういう広域放送をやっております地域におきまして、さらにふやしてもらいたいという、そういう声も強いわけですね。それからいまあります単局設置の県に対する複数局の設置ですね、こういった問題とか、やることになりますと、たいへんな当面解決しなければならない問題が出てくるわけです。ですから、第一次チャンネルプラン、第二次チャンネルプランをやりました経過にかんがみましても、本来ならば、電波法、放送法が改正されて、行政委員会等持たれて、その中でおやりになることが一番理想なんです。問題がありましたからこそああいう委員長の答申もあり、特に免許の問題についてはきびしいワクをはめるような答申も出ているわけでありまして、そのことを旧法の中でやることになりますから、これはたいへんな御苦労もあると思うのですが、しかし、私はそういう点は早い機会にこの国民の前に免許の方針をお示しになって、そして国民の電波であるこの免許についてはきわめてフェアに公明正大に認可をしていくと、こういう方針をぜひとってもらいたいと思う。われわれも、電波法、放送法の提案に対しては、この前も申し上げたように、積極的に受けて立っているわけですね。大臣、各党間の調整でなくて、むしろ自民党の中における調整が困難だと、こういうふうに私は見て感じたのですがね。ですから、そういう中でももうやむを得ぬということになれば、いま言ったような基本的な方針をきめたほうがいいと思いますがね。あと逐次伺っていきますが、そういう方針についての考え方は御賛成でございましょうか。
  248. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) いまのお話は、私も賛成いたします。いずれにいたしましても、国会に対する政府の法律提案の時期というものをきめておりますので、いまの提案するかどうかということは、今月中にひとつきめたい、かように考えております。しかる場合には御意見のようなことが必要であろうと、かように考えております。
  249. 鈴木強

    鈴木強君 具体的に私はこれらの問題について大臣の方針を伺っておきたいのですが、もちろんむずかしいことですから、いまここでにわかにお答えできないものもあるかと思いますが、そういう点はよろしゅうございます。ただ、考え方について私も希望を述べ、大臣の所見を伺いたいと、こう思うのです。  まず、Uの開発ですね。ことし徳島のNHKの実験が非常に成功しておるようですから、いま、電波技術審議会ですか、ここにこの技術的な問題に対する諮問が出されておると思いますが、そういう答申——Uの大電力放送の実験結果というものは、いま電波技術審議会のほうにかかっているんでしょう。かかっていますね。ですから、それらの答申を待って最終的には御判断をなさるんでしょうが、あなたが徳島で現実に現地で実験を見て来られまして、その結果、Uでだいじょうぶと、こういう判断を持たれたわけですから、あとは、技術的な問題についても解決しておるのであって、一応審議会の議を経なければならぬわけですから、答申を待っておると、こういうことだと思います。したがって、新しい免許はUでいくのだ、親局はですね、ということはもう間違いないですね。
  250. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) この徳島の実験の結果の最終報告は、今月一ぱいで出してもらう。それがいまの技術審議会等の議を経てやがて結論が出ると、こういうふうに思いますが、したがって、いまのところは、ただわれわれが一応の検討と申しますか、方向を考えておるにすぎない。その場合においても、今後はおそらく、いろいろの機関を経ても、免許というものはUに限られるであろうという一つの見通しを持っておるだけでありまして、まだ決定的な意見というわけじゃありません。そういうふうになるであろうとわれわれが考えておるわけであります。
  251. 鈴木強

    鈴木強君 大体そうでしょう。そこで、UV混在という形になるわけですが、いまもやっておりますが、地域的にはそういうUV混在があるのですが、その場合に、受信機を本格的にやっぱり変えていかなければならぬと思うのですね。いわゆるオールチャンネル式の受像機というものが必要になってくると思うのです。これらの準備態勢というものはいま現在どういうふうな方向になっておるのでしょうか。そうして、本格的にUV混在というものが実用化されてまいりますと、オールチャンネル受像機というものがどうしても必要になってくると思いますね。その受像機というものは、いまのアダプターをつけてやる、暫定的に一万円ぐらいかけてやる、そういう方法で当分、二年、三年、四年、五年ぐらいはカバーして、そうしていよいよUがある程度進んできた場合においてオールチャンネル受像機にかえていく、こういうことになるんでしょうが、そこらの見通しというものはどうお考えになっているんでしょう。これは電監局長もいらっしゃいますから、技術的なことはひとつ局長からでけっこうですから、基本的なことだけ大臣から……。
  252. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 御承知のように、アメリカなどのこともよく日本ではわかっておりますし、これからUVが混在するということになる、併用することになると、こういうふうに思います。したがって、これからのものは当然オールチャンネルが広範に開発されなければならぬ。現在、われわれ聞くところによれば、NHKでも、すでに各社二百台のオールチャンネルの提供を受けて、現にもうすでに徳島では実験に供しておるということでありますし、また、テレビ自体からいっても、これからもうある程度買いかえる更新の時期にきておる。価格においても、もうやがてたいした差がなくなると、こういうふうに思うので、いまでも三千円とか、幾らとか、大きな差ではないようなことを聞いておりまするから、私は、これからもしわれわれが希望することが許されるならば、ひとつオールチャンネルにできるだけ早くに切りかえていく、こういうふうな方向でやってもらったらどうか、こういうふうに考えております。したがって、われわれは、もし機会があればメーカー等に対してもそういう方向を示唆すると申しますか、お願いしたらどうか。できるだけ早くもう全体的にはオールチャンネルでいくような方向をとるべきではないか、かように考えております。
  253. 鈴木強

    鈴木強君 浅野さんは、あれですか、専門的な立場からお考えになってみて、大臣の方針があるわけですから、その方針でできるだけ早くオールチャンネルの受像機に切りかえていきたい、こういう御方針のようですから、どうでしょうか、見通しとして、何年くらいの時期がいいというふうに判断されるのでしょうか。ちょっとむずかしいでしょうかね。
  254. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 非常にむずかしいお話でございますが、現在、たとえば昨年の例をとりますと、二百数十万テレビの受像機が生産されております。二百二十万とも聞いております。そのうち、百二十万くらいが輸出されております。これは全部オールチャンネルでございます。それで、国内向けは、NHKの登録によりますと、九十八万にふえておるわけでありますが、それに対して輸出されました百二十万というのは全部オールチャンネル、こういった面からまいりますと、生産体制としましてはもうできておるわけでございます。そうしますと、問題として残りますのは、日本の国内におきましてUの局がどのくらいふえますか、こういうところにかかってくると思います。それで、現在、国内でUの局はもう民放だけで百五十ぐらいできておると思います。微小局、二次局を入れまして百五十ぐらいできておると思います。それに対して、いま出ておりますコンバーターが五十万ぐらいでありまして、現在コンバーターで見ていただいておるわけでございます。コンバーターの場合でありますと、大体八千円から一万円、ちょっと高くかかるわけであります。この点が一番問題でありまして、御指摘のように、早くオールチャンネルの受像機が普及されまして、よいものが安く手に入るようにやはりならなければならない、こういうところにくると思います。その場合に、やはりこれは商売であります。メーカー側としましても、うまくベルトに流れますような生産体制、それからそれに伴う販売体制ができないと、なかなかメーカーにも踏み切ってもらえないわけですが、ただいま大臣から申し上げましたように、いよいよUの結果が審議会の答申によって非常にいいというかりに答申がありまして、それからそれによっていよいよ本格的に使っていく、こういうふうになりましたなれば、その規模によりまして、メーカー側としてはいつでもそれに対応する姿勢があるのではないか、かように考えております。ぼつぼつ、大臣からの指示もございまして、メーカー側とも接触いたしておりますが、メーカー側としては、その点につきまして、Uに対する国の姿勢を見ましたら、積極的に乗り出てまいる、こういうふうに考えておるようであります。  ただ、御指摘のように、それじゃ何年ぐらいでオールチャンネルに切りかわるか、こういうことでございますが、これはやはり大都会に対してUの波が出るかということも一つのポイントでもございましょうが、同時に、その前に、もうすでに微小局、二次局は大体出そろっておりますし、もし近いうちにUの親局がある程度出るようになりますと、メーカー側としましては、場合によっては二、三千円、まあ当面三、四千円から四、五千円アップでオールチャンネルの受像機ができるようであります。すでにもう若干つくっております。そういった面から案外生産体制または販売状況が伸びてくるのではないか、こういうふうに考えております。
  255. 鈴木強

    鈴木強君 これは、生産体制ができる、これは必要な前提でしょうが、なお重要なことは、やはり全国の二千万に近い受像者の立場を考えなきゃいかぬです、これは。要するに、政策上Uが入ってきて、そのためにVで通用しておった受像機をオールチャンネルにかえていかなければならぬ。そのために何千円もかかってくるわけですから、そのことを十分考えておかないと、ただ生産体制がある、できるだけ早くやりたいと、こういうことだけでは国民が迷惑ですよ。ですから、これはチャンネルについては最大限の配慮をしていただいて、そうして潮どきというものを配慮していただかないと、混乱が起きてくるかもしれぬ。郵政省はやり込められるかもしれないということで、Uの切りかえについては慎重を期していただきたい。ですから、早いにこしたことはないが、かといって、いま言ったような情勢も十分考えていただきたい。更改期にきてこわれてしまったと、そのときに新しいのを買う場合に三千円か五千円高ければ買えるということになればがまんしていただけるでしょうけれども、いま買ったばかりのものをすぐかえなければUが見えないということになると承知しませんよ。コンバーターでやるとしても、その程度のことだったらある程度がまんするかもしれないが、そういう問題がございますので、これは大臣も十分に御配慮いただけると思いますが、ですから拙速主義におちいらないように、しかもあまりおくれても困るのでありますかう、何か一つの全国的な普及状況というものを考えて、しかも購入したときの状態というものをつかんで、そうして更改期等にやっていただくような方法ができれば一番いいと思うのです。  ただ、一つ問題になるのは、そうなった場合に、不ぞろいですね、戦列がそろわないんですよ。ですから、そういうときに何か法的な根拠を求めて、たとえばアメリカのようなオールチャンネル法というものをつくりまして国民協力してもらう、こういうことも一つの方法だと思います。こういうことについても大臣としては御配慮いただいておると思いますが、私の申し上げているようなそういう情勢の中で、もう少し、大臣、切りかえについて御所見を承りたいと思います。
  256. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは、具体的と申しましても、いまのところ私どもは、もういまになれば毎年もう損耗というものは当然ある率が出てくるわけです。要するに、更改ですね、テレビの受像機を買いかえなければならぬ、こういう時期にもうきている、こういうことでありますから、相当需要は自然に出てくるであろう。いま、これらについて、法律の問題も中には出ております。しかし、どうも、現状において、それまで出してというふうな考えはまだ持っておりません。いずれにしろ、お話のようなことは十分注意していかなければならぬと思うのでありますが、かまわんでおいても相当な受像機の更改する部分が比率が大きくなってきている、こういうことでありますから、自然に行く。したがって、法律でいまどうこうというようなことは考えておらない、こういうことであります。お話のように、Uの親局というものが相当早く多くやれば、これをある程度強要するような問題も出てきますから、これらのこともやはり頭に入れて考えなければならない、かように考えております。
  257. 鈴木強

    鈴木強君 この切りかえについていろいろ考え方があると思うのですが、あれですか、大臣、更改をどんどんやっている。そうでしょう、おそらく。しかし、その更改の時期というものは、テレビが始まって一つの受像機というものが耐用年限きまっているものですから、三年目にくるとか、四年目にくるとか、多少製品によっては違うでしょうが、まあそういうことでしょうね。私どものところなんか、これは七年も八年も買いかえなくてもけっこうちょっと修理してもらえば使えるわけですね。東芝のものですけれどもね。ですから、そういう更改期というものをある程度つかんでみたのですか。いま、大体どの程度毎月毎月かえているのでしょうか、その辺のデータはありますかね。
  258. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 現在考えられますのは、Vで出しておりますところは、従来どおり申すという形でまいることになると思います。UとVと一緒に出るようにチャンネルプランの基本方針を変えます場合に、そういった場合になりましたならば、基本方針の中でUとVとを一緒に出すことができる、こういうふうになるのではないかと考えます。したがいまして、従来の受像機でVの面につきましては見れるわけでございます。従来の受像機でいまお話しのようにまだ上等のやつであります場合、その場合はコンバーターでお使いいただく、こういう形で、やはり当分ここ何年かといいましても相当年数は要ると思います。おっしゃいますように、七年も八年ももつものがございますから、その点は十分に考えまして、御趣意の点を念頭に置きながら各方面に御迷惑のないような方法を考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  259. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりましたが、大体月平均どのくらいの更改をしていますか、そのデータはありますかと聞いている。
  260. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) そのデータは持っておりません。持っておりませんが、大体百万ぐらい売れておるというところから見ていきまして、まあひところ四年というふうに聞いておりましたが、どうも六年ぐらいは十分に使っておられるのじゃないかと考えます。その点、また調べましてお答えいたします。
  261. 鈴木強

    鈴木強君 これは、データを、最近の一年間くらいでもいいですから、大体どの程度更改していますか、それをひとつ資料で出していただけませんか。  そこで、安くなったというんですがね。まあテレビなんかの受像機も、いま価格協定の問題で公取からやられていますね。いま調査が進んでいるのですが、大体、オールチャンネルでどのくらいでできますか、インチによって違うでしょうが。それを教えてくれませんか。
  262. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 普通の受像機の三千円アップということになると思います。最近出ました分は四千円アップであります。もっとも、まだほとんど数が出ておりませんから、そんなものだろうと思いますが、もうしばらくして出るようになりましたら、三千円ぐらいはいくのじゃないか。二千円と言っているメーカーもございます。まあ平均をとりまして三千円ぐらい高いところで出るのではないかと、かように期待いたしております。
  263. 鈴木強

    鈴木強君 これは、十四インチとか十八インチとか二十何インチとか、そういうような型は幾つもいままで出ていますか。
  264. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 私申し上げておりますのは、いま、十四インチの話でございます。あんまり変わらぬだろうと思います。
  265. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりました。  それから次に、広域放送地帯における免許申請があると思いますが、北九州あるいは近畿、名古屋ですね。いま問題になっているのは、名古屋、近畿、北九州、ここいらに対する免許ですね、Uですよ。それからまた、大臣も、あとからちょっと私触れますが、テレビの政見放送というものができるように選挙法の改正をする。これは、自治大臣は、そういう方向は賛成だ、今度の審議会に答申をしたいということを言っておりましたが、問題は、郵政側の受け入れ態勢、これにかかってくるのだ、こういうことを言っておりました。そこで、東京あたり関東のような場合でも、Uが出た場合に、Uを各県にまた引きたいという意見も出てくると思うのですが、そうすることによって政見放送も楽にやれる、こういうことだと思う、あなたが言っているのも。ですから、そういうふうになってまいりますと、いまこういう問題になっている懸案の問題ですね、要するに、複数局の問題ですね、どこへ一番先に力点を置くのですか、免許する場合に。これはどうでしょう。
  266. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは、先ほどからお話しのように、放送法なりを整備して一般的にやるということが従来の考え方であったのでありまして、したがって、これからもし処理をするということにしても、全般的な問題とまでは考えないほうがいいんじゃないかと、こういうふうに思うのです。したがって、まあ長い間いろいろ争われたとか、あるいは懸案になっておるとか、こういうことがやはり考えるべき対象じゃないか。それで、一般的にどうこうというようなことは、この際まあ私は必ずしも適当でない。ただ、これはあとでお聞きになると、こういうことでありますが、もし選挙など政見放送をするということになれば、予算委員会等でお答えしたように、東京でもってとてもやり切れない、関東各県の選挙放送などは事実上不可能だ、こういう問題は必ず起きてくる。そうすると、ある程度地方局というものが必要になってくるんじゃないかということは考えられます。しかし、これはまずわれわれとしてはそれを見越してどうこうと言うことはいまできない。したがって、これは受け身の形において、政党全体がテレビをどういうふうに利用するかということは考えて、それのあとでこれに対してどういうふうに対応をするかということを考えてもおそくはないのじゃないかと、かように私は思っております。しかし、いまのような事態がくるかもしれぬと、こういうことは予想できるが、それは選挙法等の推移を見てからのことに考えたい、こういうふうに思っております。
  267. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、こういうふうに理解していいんですか。懸案の地区ですね。これにはもう最重点的に認可せざるを得ないだろう、最重点的にということですね。あとの、いま東京あたりでも出ておりますそういう問題だとか、あるいは二十七県が単数局になっておりますね、全国で。ここからは、一方では現状のままでよろしい、一方では複数にしてくれ、こういう運動が熾烈に行なわれてきておりますね。ここいらにはちょっと手がつかぬ、それはいずれもう少し放送法その他の改正整備の中でやったほうがよかろうと。一説によると、何か年間十億くらいの経営能力があったら許していいのじゃないかという説もあるそうですが、これは、大臣、どうですか、私が言ったように理解をしていいですか。
  268. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはまだ私がいろいろ申し上げる段階ではございませんが、私どもは放送法を整備してと、こういう考え方が従来からあったわけであります。私はやっぱりその考えは正しいと思うのです。したがって、もしそういうことをするにしても、あまり広範に考えるべきではないのじゃないかということも私は一応考えております。
  269. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました、大体の考え方は。  それからついでですが、テレビの問題で、これはいまのラジオ放送がやっておりますね、五分間ずつ政見放送を。これはけっこう関東のエリアの中で、朝とか昼とか夕方とか時間を非常に苦労されてやっておるわけですよね。ですから、私は、NHKにしても、あるいは民放にしても、実際にやる気になればやれると思います、そんなに長い期間ではないから。現にラジオでは紹介しているわけですから、テレビでできないということはない。甲子園の野球を一日じゅう放送するのもいいです。しかし、そういうときにはNHKにも協力してもらって、五分間くらいの放送ならばやることは可能だと私は思うのです。必ずしも一県に一つの放送局をつくらなければテレビの政見放送ができないということにはならぬと思います。ですから、この辺もひとつ十分御留意をいただくことにして、その点はよくわかりました。それからもう一つ、FMについて、これはNHKがかなり進んでしまって、民放はそのままになっているわけです。FM東海とNHKとが長い間やっているわけです。ですから、FMに対する何をしているんだというそういう不満がかなりある。私のところにもずいぶん来ているわけです。これについてはどういうふうに考えるのですか。
  270. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) この問題も、私ども外から見ておって何をしておるかという感じは、われわれも持っておったわけでありまして、まあ深夜時帯は、中波の混信問題等もあって、一番大事なこれからの唯一のラジオの媒体である、電波である、こういうことでありますが、こういつまで十年も実験しているのか、こういう非難を受けているのです。私もそのとおりだと思いますから、このような状態を今後もやはり放置しておくべきでない、こういうふうに考えております。これもできるだけ早い機会に世間の御要望に添うようにすべきではないか。まあいろいろの準備もありましょうし、具体的な計画もありましょうが、大体に申しまして、私もこのままで長く推移せしめるべきではない、こういうふうに考えております。
  271. 鈴木強

    鈴木強君 次に、最近、電波行政というものが非常に複雑になり、しかも量も多くなってきておると思うのですが、そういう意味で、私どもは、日本の電波行政というのは、一つには制度の欠陥、それからもう一つはやはり組織機構における陣容その他に対する弱さというものがあると思うのです。戦後、電波行政が相当ふえているにかかわらず、なかなか定員がふえていかないというような悩みを持っていると思うのです。ですから、私は、こういう機会にひとつ機構組織についても思い切った強化をしてもらいたいと思うのです。そうでありませんと、いろいろと問題が出てまいりまして、国民に迷惑をかける、こういうことになるわけですから、その辺、どうでしょうか、この機会にそういった電波関係の組織機構に対して拡充するというような方針を持っているのですか。
  272. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 私は、いまので十分とは思いませんが、しかし、監督行政というものは現業とは全く違いますから、人数によってどうこうと、こういうことでもない。人によってある程度動くと、こういうふうに考えますから、いたずらに機構の問題だけでなくて、有能な人で監督行政の処理は相当できるというふうに思っております。ことに、政府の方針が、公務員の数はふやしたくない、こういうことで、監督行政の面においては、もう非常な極端とまで言えるほどの増員の制限をしておる、こういう時勢でもありますので、われわれとしては、これを大いに機構を大きくする、あるいは充実するということは非常に言いにくいと思うが、私自身は、やはりいまのでは少し手不足であり、機構そのものについても問題がある、かように考えております。
  273. 鈴木強

    鈴木強君 私は、不必要な人をふやすということはないと思うんですね。たとえば、淺野さんが会長になっておる雑音防止中央協議会というのがございますが、最近東京にああいう高い上へ伸びるビルディングがどんどん建つわけですが、電波法を改正して、マイクロウェーブについては法律改正をしたんですね。ところが、ああいう谷間になりますと、地方の山と同じように、電波の到達というものがなかなか困難になってくるんです。そういう問題についても、あるいは有線放送とか、あるいはいろいろなこれからお伺いするベルボーイとか自動車に対する電話の問題とか、ごらんください、事務量というものはかなりふえているんですよ。公務員をふやさないということはわれわれも賛成ですよ。不必要なところは削っても必要なところに回すとか、要するに、現在いらっしゃる人員の中での適正配置ということもひとつ考えなければならぬでしょう。と同時に、必要なところにふやしていく、こういうことがやられませんと、われわれ全国を回ってみましても、異口同音に言っているのは、やはり相当にオーバーワークでかなわぬということですね。そのことが行政上にどこかに問題を起こしてくるというふうに私は考えていますから、これは何年も何年もここでも言われていることですから、再々私がここであなたに申し上げたわけです。そういう必要があるわけですから、もう少し実情を調査してくれませんかね。
  274. 小林武治

    政府委員(小林武治君) これはひとつ来年度の問題としては真剣に取り組んでみたい。それから事務量の調査等もしっかりしたい。実際、お話のような雑音の問題、有線放送の問題、いろいろな問題について手抜かりが出ておるということは私も認めておりますので、さような考えをひとつ持ちたいと思っております。
  275. 鈴木強

    鈴木強君 それから例のベルボーイですが、これはいま現在どうなっていますか。
  276. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 一月の中旬から、二カ月にわたりまして、郵政、電電、NHKが協力しまして調査をいたしました。最近調査がまとまりまして提出を受けまして、ただいま局内で審議中でございます。いまのところ、五十メガ帯でやったわけでありますが、実験の途中の状況並びにあとの概略を聞いておりますと、実験の結果は大体よかったように聞いております。ただ、テレビ等に対する影響が少しあるかもしれないということを聞いておりますので、その点につきましてあわせてすみやかに結論を出したい、かように考えております。
  277. 鈴木強

    鈴木強君 結論を出したいなんて、そんないいかげんな答弁じゃなくて、郡郵政大臣のときには、命令してでもやらせると。電電公社が予算を組んで、それを郵政省が認めておったわけなんです。まあ結局、四十一年度予算の中の電電公社が組んだ予算は、あなたのほうの許可ができませんものですから、不用になっていると思うんですよ。私は、この前、前の電波局長にいろいろ経過を伺いました。ですから、われわれも、技術的な問題であれば、ただ観念的にどうしているんだ、どうしているんだと責めることよりも、その問題点を早く解明していただいて、できるだけ早くやってもらいたい。そういうことで、おそらく百五十メガ帯の再調査をされたと思うのです。この前は、ちゃんと郵政省も試験電波の発射についても許可して、その許可はどういう目的でやるかぐらいのことは、あとで聞いたら知らなかったというようなことを言っているが、それは間違いです、そんなことは。そういうことの経過があるわけですから、これはもっとてきぱきやってくれませんか。答申というか、結論がおそらく出ているのでしょう。ですから、早くやれるようにしていただけませんかね。これは今月中ぐらいにひとつあなたスピードを上げてやってくれませんかね。そんなもたもたされては困るですよ。
  278. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 御趣旨のように実は急いでいるわけであります。遠からず結論は、技術的な面における問題は出ると思います。ただ、若干の影響等が出る面に対する措置だけを考えればいいのじゃないかと、かように考えます。
  279. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、それを克服していくのにはどれくらいかかるわけですか。もう調査は済んだわけでしょうからね。大体すべてつかんだわけでしょう、データは。ですから、そうなれば、今月といってもそうないですけれども、少なくとも十日か一カ月の間にはやりたいというぐらいの決意はないですか。
  280. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 今月中というふうにお問いになりますと、間に合いかねると思いますが、極力すみやかに、いまおっしゃった線以内ぐらいには出せるように努力してまいりたいと思います。
  281. 鈴木強

    鈴木強君 ぜひそれは促進をしてもらいたいと思います。  公社のほうは、昨年の予算は使えなくなったわけですが、ことしはどうなっていますか、四十二年度の受け入れ態勢は。
  282. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答え申し上げます。  繰り越しをいたすことにいたしております。
  283. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  次に、郵便関係で少し伺いたいのですが、昨年料金の改定をいたしましたが、その後、収入状況は、私どもがここで皆さんから御説明を伺ったような状況にいっているのでございましょうか。国鉄などは、去年改定して、もうどうにもならぬというような状態になっていますから、念のために伺っておきたいと思います。
  284. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) お答え申し上げます。  四十一年度の郵便業務収入の予定額千五百二十七億に対しまして、千五百五十六億三千九百万円収入がございましたので、二十八億五千五百万の増収ということになったわけでございます。
  285. 鈴木強

    鈴木強君 非常にけっこうでした。  そこで、ことしのこの予算を拝見しますと、いろいろな施策もやっておりますが、特にこの前私は記念切手の発行について大臣にただしましたが、大臣の所見はわかりました。そこで、たいへん恐縮ですが、昨年のガン切手の経験もありますから、一カ月に一ぺんとか二回とかいうことでなくて、どれだけの種類をどういうふうに発行しようとするのか、全部ここで明らかにしてもらいたいと思うんですよ。そうしておかないと、どうも途中でああいうふうに追加発行されて、しかもその発行したものが残っているなんというそんなぶざまなことじゃ困るわけですから、私はこの際明確にしていただきたいと思うんです。
  286. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) ただいまの発行計画でございますが、月別に申し上げます。  四月に、日本近代文学館開館記念切手並びに記念切手趣味週間の記念切手を出しました。二件でございます。五月に、第五回国際港湾協会総会記念切手を出しまして、さらに民生委員制度五十周年記念切手を出すことにいたしております。合計二件でございます。それから六月に、魚介シリーズのスルメイカの記念切手を出すますのが一件。七月が、国立公園記念切手とサザエの魚介シリーズの合計二件。八月が、第七回国際生化学会議の記念切手並びにユニバーシアード東京大会記念切手の二件。九月が、国定公園の記念切手一件。十月が、国際観光年記念切手、次に国際文通週間記念切手、次に第二十二回国民体育大会記念切手、計三件。十一月に、国宝シリーズ飛鳥時代集並びに第十三回国際道路会議記念切手及び国立公園記念切手、合計三件。来年の二月に、国宝シリーズ奈良時代集一件。同じく三月に、国定公園記念切手一件。合計十八件を予定しております。  さらに、準記念切手といたしまして、五月につい最近出すことにいたしました全国交通安全運動切手、及び先生承知の年賀のはがきに貼付いたします年賀切手、これを準記念切手と申しておりますが、それを足しますと二十件になります。  なお、最後の二件を除きまして、前申し上げました十八件の記念切手は、一件およそ平切千八百万枚を予定いたしております。
  287. 鈴木強

    鈴木強君 それから年賀はがきについては、あれですか、いまどういうふうな発行予定になっておりますか。
  288. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 年賀はがきにつきましては、四十二年度の発行計画につきましてまだ決定を見ておりません。いずれ、この問題につきましては、成案を得次第、郵政審議会等に諮問いたし、さらに大臣が決定いたすということになるわけであります。予算上は、枚数といたしまして十二億一千万枚発行することになっております。
  289. 鈴木強

    鈴木強君 これは、毎年予算の総ワクだけ承認を得ておって、どういうものを何億枚発行するかという種類と枚数については、郵政審議会の承認を得て郵政大臣がきめておったんですか、図案の問題も含めて。
  290. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) そのとおりでございます。
  291. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、十二億一千万枚ですか、枚数は。大体、いま、腹案としてどういうふうにするかということはきまっているんでしょう。それが全然なくて予算を出したというのはおかしな話だ。
  292. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 年賀はがきの発行枚数につきましては、従来の実績等を見まして、精密な科学的な私どもといたしましては計算をいたしておるつもりでございます。昨年は、御承知のように、寄付金つきの年賀はがきが六億五千万枚、寄付金のつかないものが六億五千万枚、合計いたしまして十三億枚であったわけでございます。毎年五%ぐらいの上昇を見ておりますので、ことしも一応私どもとしましては十二億一千万よりも少しは上回る数字を出すことになるのじゃないかと考えております。
  293. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、腹案というのはもう少し詳しく言えぬですか、十二億一千万の。
  294. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 御案内のように、寄付金をつけた場合の売れ行き等を考えました場合に、必ずしもいまここでことし何億何千万枚出すということを明言申し上げるだけの実は用意をいたしておりません。ただ、従来よりも少なく出すということにつきましては、私どもとしましてはそうでないような処置をとりたいと思っております。
  295. 鈴木強

    鈴木強君 昨年は、六億五千万と六億五千万の十三億ですね。ことし十二億一千万だというのは、少ないじゃないですか。
  296. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 参考までにいままでの発行枚数を申し上げてもよろしいんでございますが、時間の関係もございますので……。従来の枚数は、お年玉の年賀はがきにつきまして、寄付金をつけないつけるでかなり割合等が変わります。寄付金をつけるものは、あまりたくさん出し過ぎますと、むしろ購買者のほうが少なくなるということもございますので、いまここで、先ほど来申しておりますように、いかにするという数字を具体的に申し上げられないのは残念でございますが、毎年の傾向からいたしますと少しずつはふえておりますので、先ほど申し上げました十三億に近い数字で、それより上回った数字になるのではないかと考えております。
  297. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、ガン切手等の発行経過にかんがみ、あなたはこういうことについては反対だと。私もそうだと思うんですよ。そこで、年賀はがきについても、寄付金をつけるということはちょっとおかしいですよ。私も、これは廃止すべきだという意見が前からあるのですが、なかなかこれは廃止できない。これは方向はわかりましたから、ここでもう一つ念を押しておきたいのは、ことしも、年賀はがきについては、ある程度一円の寄付金つきを発行するのはわかりました。そのほか、記念切手等において、少なくとも寄付金を背負ったものを発行することはない。断じてない、しないと、こういうことを大臣から言明できますか。
  298. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 私は出したくないと思っておりますが、一応いままで予定されておるものがあるそうでございます。それは、札幌の冬季オリンピック、それから大阪で開かれる万国博覧会、こういうものは、法律の中に、そういうものを出すことができる、こういう規定が入っておるのでございます。聞くところによると、この二つはある程度予約したようなかっこうでもあるというふうな事務当局説明があるのでありまして、これをこの際はっきりお断わりだというまでにはまだ考えておりませんが、この二つがそういうふうな形ができておるそうでございます。なるべく私はそういうものは出したくない、こういうふうに考えております。
  299. 鈴木強

    鈴木強君 法律は、発行することができるのですから、しなければならぬじゃないんですよ。だから、これは当然やめようと思えばやめられるわけですから、そういう金は本来国から必要があれば出してもらって、郵政職員が慈善事業のようなことに一億を稼ぐのは、これは行き過ぎだ、間違いだ。ですから、いきさつもあるようですから、できるだけひとつ発行するとしても少な目にやるとか、そういう御配慮を願っておきたいと思います。  それからいまお話しになりました万国博ですね、これが開催されるわけですが、これに郵便事業がかなり利用されると思うんです、外国向けに。そういうことに対する万国博対策といいますか、そういうようなものは具体的に考えておられますか、切手だけでなくて。
  300. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 具体的なことは、また事務当局から御説明申し上げますが、万国博に対しましては、郵政関係では、放送協会、KDD、日本電信電話公社、郵政省、この四者が一緒になって、協同でひとつ相当な出品、出展その他の協力をするということで、いわゆる郵便関係そのものについては別に一つ施設をつくりたい、こういうふうに思っておりまして、公社その他の電信電話の放送の技術関係においてはあとう限りのひとつ協力をいたしたいということで、郵政省中心になって、これの協力の態勢をつくり、その準備を進めておる、こういうことでございます。郵便関係については、別段の施設をしなければならぬと思っております。
  301. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) ただいまお話のございました大臣のお話のほかに、郵便関係の施設といたしましては、吹田千里局という大きな局を建設する計画でおります。集配局でございます。さらに、窓口機関といたしまして、先生の御指摘になりました、外国郵便等も含めまして、分室あるいは臨時出張所、こういうものをつくる計画でおります。
  302. 鈴木強

    鈴木強君 それから、まだ、山の中に行きますと、毎日毎日郵便を配達してもらえないところがあるわけですね。郵便法何条だったですか、そういう特別な地域についての対策はありますが、これはできるだけ早く解消してもらいたい。これがわれわれ国民の願いですね。したがって、いま現在、どの程度そういう地域があるのでございましょうか。それからそれに対する解消策というのは具体的にどういうふうにお進めになっておりますか、それを伺いたい。
  303. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 先生御指摘になりました、ただいま郵便物を配達していない地域、これは、郵便規則八十五条の適用地と申しますか、私ども通称規則八十五条適用地と呼んでおりますが、全国で約四千五百ございます。私どもは、もちろん公共サービスをいたしておりますので、全国あまねく配達するということを使命と心得ておりますが、一方、また、採算のたてまえから、きわめて、へんぴなところまで配達することによりましてコストの上がることも考えますと、なかなか完全に配達できないわけでございます。その調和点をとりまして施策として考えておりますのは、次のとおりでございます。と申しますのは、できるだけ請負配達人というものを選びまして、請負配達人に指導をして配達させることが一つ。それから第二には、相手の配達を受けます方々にも協力をいただきまして、現在配達しております集配線路から相当二キロも三キロも離れておりますような場合には、その中間地にお互い金を出し合って受け箱をつくり、その受け箱までは配達して、そこまで取りに来てもらうというような制度を勘案しております。
  304. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、曾山さん、こういうふうな次善の策をとってできるだけ近づけようとする努力をしていただいておることはわかりましたが、もう将来にわたってこういうところは直接配達するというのはできないんだと、不可能だと、こういうことなんでしょうか。それとも、何か工夫をこらして配達するというような方法について何か研究の余地があるのでしょうか。
  305. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 御指摘のように、私どもとしましては、完全に各戸まで配達をしたいのでございますが、よその国の例を見ましても、なかなかそこまでやっておらないようでございます。そこで、先ほど申しましたように、両者相協力してやりたいというぐあいに考えておる次第でございますが、なお御趣旨の点もございますので、できるだけ経費のかからない方法をもちましてサービスを向上していきたいと考える次第でございます。
  306. 鈴木強

    鈴木強君 私は山の中に生まれたもんですから特に感ずるのかどうかわかりませんが、非常に文化の恩恵に浴せない僻地の人たちのために何とかできないものだろうかという見地でいろいろ御検討いただいているわけですが、なかなか遅々として進まない。それにはまた進まない理由もございますから私にもよくわかりますが、そこをひとつ克服して何とかできるようなくふうをひとつさらに御検討を願いたいと思います。時間がありませんので、私は最近の都市近郊地の郵便集配の問題等も出ておりまして、たいへん御苦労いただいていると思いますから、そういった問題だとか、あるいは郵便犯罪が非常に多うございます。一部を、先般、委員会のほうで大臣にお尋ねいたしましたが、いずれにいたしましてもそういう郵政犯罪というものを少しでもなくすために努力をちょうだいしていると思いますが、一方では郵政監察局を逆に二つ減らしていく、こういった矛盾もありますので、私はこれらの点もぜひ伺いたいと思いました。なお、簡易郵便局のこともいま盛んに国会のほうに請願が出ておりますが、これについても問題もあります。ですから、私はこれについてはかなり詳細な質問をしたいと思っておりましたが、いずれもこれは時間がありません。あとにまだ小平委員もいらっしゃいますから、私はもう最後に一つだけ質問をして終わりたいと思いますが、簡易保険事業については、いまその一部を事業団が受け持っていたしております。われわれはこの事業団をつくる際に、本来、郵政省がやる仕事をどうして事業団をつくってそちらに回さなければならないのだろうかという疑問を持ちましたから、いろいろ質問をいたしました。しかし、そのほうがより能率的であり、合理的である、経済的である、こういう御説明でございましたから、われわれはたしかこれには賛成したと思います。ただ、従業員の扱いについて、身分の扱い等について向こうに行かれることについて条件をつけましたが、たしか賛成したと思います。そこで、つくったからにはこれをひとつ十分に活用し、これが国民の期待に沿って動けるようなめんどうを郵政省として積極的にやってもらいたいと思うのです。そういう気持ちを持っておりますから、ひとつ事業団の現況と、うまくいっているかどうか、問題点はどっかにありますかどうか、そういう点だけひとつ関係のほうからお伺いしたい。
  307. 武田功

    政府委員武田功君) 事業団は御承知のように三十七年四月に開設いたしまして、現在のところ加入者ホームが十一カ所、センターが十三カ所、合計二十四カ所になりまして、事業団といたしましてはこの運営に全力をあげて努力しておるところでございます。したがいまして、一般の周知も大体いっておりまして、現在、加入者ホームは長期ではほぼ一〇〇%の利用ということでございますし、また、短期はいろいろ季節の問題もございますので、おおむね八〇%の利用というふうに私どもは報告を受けております。また、保養センターは御案内のように宿泊部と日帰りとございまして、宿泊部のほうはこれまたほぼ八〇%、ただ季節とか、土曜、日曜とかいうことで多少の差はございますが、おしなべまして、いま申し上げました程度、それから日帰りのほうは一センター当たり一日平均約百五十人の利用状況というところで、たいへん好評を得ておるわけでございます。なお、今後もっと周知をいたしますと同時に、多少、加入者の方から申し込んだ日に行けないとか、いろいろございます。郵便局とセンター施設と両方で受け付けるという関係もございますので、その辺もよく調整いたしまして万全を期したいと、こう考えております。
  308. 鈴木強

    鈴木強君 この保養センターのほうはいま十三カ所だそうですがね、原則的には各県に大体一つずつつくっていくと理解していいんですか、そうして最終的に全県に設置されるのはいつごろになるのですか。
  309. 武田功

    政府委員武田功君) 当面の目標といたしまして、少なくとも各県一カ所ということで、これは大体四十三年度にはほぼ達成いたす見込みでございます。また、すでに場所によりますと、特殊のところもございまして、二カ所も予定して、あるいは長野県のように二カ所できつつあるところもございますが、大体四十三年度でほぼ所期の計画数に達する見込みでございます。
  310. 鈴木強

    鈴木強君 これで終わります。資料をひとつお願いしたいんです。さっきの郵務局長のお話の記念切手の発行回数はわかりました。ただし、これを大体何万枚とか言っていましたが、具体的にこの種類は何千万発行するかという、発行数をひとつあとで資料でいただけますか。  それからもう一つ。最近迷いものの郵便物がかなりあるようですが、これは年間続けて小包と普通郵便でどれくらいありますか、これをひとつ資料で願いたい。  それからもう一つ。郵便貯金会館をつくることになっておるようですが、これの建設計画、概要でけっこうですから、これをひとつ資料で出していただきたい。主査のほうから、これをひとつ確かめていただきたい。
  311. 船田譲

    ○副主査船田譲君) では、いま鈴木君から要求のありました資料の提出につきましては、各関係当局において善処せられることを希望いたします。  ちょっと速記とめて。  〔速記中止
  312. 船田譲

    ○副主査船田譲君) 速記起こして。
  313. 小平芳平

    小平芳平君 いまの質問の御答弁のありましたもので、郵便物を配達しないという、配達できないという地域、そういう説明がありましたが、  〔副主査退席、主査着席〕 速達の場合どうなんでしょうか。速達の場合は地域によってそのような規則で定められた地域があって配達できないのか、それとも同じ地域であってもそのときの都合で翌日になったりするようなことが起きてはおりませんか。
  314. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 御指摘になりました速達につきましては、郵政大臣の定める地域にあてる郵便物ということで、郵政大臣が省令でもって地域を定めることになっております。現行省令では配達する郵便局から四キロ以内ということになっておりまして、ただし、四キロ以内の場合でも、がけがあって配達が無理であるとか、あるいは人家が連檐しておるとか——連檐というのは軒を連らねておることでございます——という場合におきまして配達はしない例外がございます。逆に四キロをこえましても、四キロ以上のところで軒を連ねて人家があるような場合には配達する、そういう若干の余裕を持っておりますが、原則としては集配局から四キロということになっております。ただし、私どもといたしましては、郵便料金値上げ後の国民に対するサービス改善ということも考えまして、ことしの七月から、これも現在の四キロを改正いたしまして六キロにするということを考えております。したがって、画期的なサービスの向上になろうかと思っております。
  315. 小平芳平

    小平芳平君 ということは、やはり当然速達を出したら早く着くつもりで差し出し人が出します。けれども、がけがあったとか、特別の場合ですね、いま説明のあった場合はどういう場合かちょっとはっきりいたしませんでしたけれども、どういうような場合に着かないか、それからまた六キロ以内なら着くということがもう原則になっていれば、そうすると、今度は当然ここは六キロ以上になるからいま速達では着きませんよということを差し出し人にあらかじめ言ってくださるのかどうか、そういう点はいかがですか。
  316. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 先生のお示しの点は、具体的にわかれば私どもも答弁がしやすいのでございますが、原則といたしましては、先ほど申しましたような現行省令によりまして、四キロ以内は完全な配達をしておるつもりでございます。ただ、おそらく先生のお示しの点は、時間的に現在におきましては八時を原則といたしまして、八時以降は——午後八時でございますが、到達いたしましたような速達郵便物は翌日回しということになっておりますので、あるいはそういう点で若干の差が出ておるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  317. 小平芳平

    小平芳平君 それは差し出し人にはわからないのですか。
  318. 曾山克巳

    説明員(曾山克巳君) 失礼しました。忘れておりましたが、差し出し人に対しましては郵便局の窓口に速達便覧というものを備えつけておきまして、したがって、局員に尋ねれば、当然、局員がその便覧によってこれを回答するというたてまえになっております。もちろん速達を出しますときには、現在、最低五十円の料金をいただいておりますので、そういった親切なサービスは当然いたしておると思いますが、もしそういうことがないとすれば十分な指導をしていきたいと思います。
  319. 小平芳平

    小平芳平君 あまり具体的にやっておるところは見たことないですけれども、これは出すほうもうっかり出す場合が相当あるのじゃないかと思います。  それから次にお尋ねいたしたいことは、郵便年金についてですが、これは昭和二十二年以前のものは平均五千円ですか、新聞で見ましたのですが、打ち切りになる、その点について御説明をお願いいたします。
  320. 武田功

    政府委員武田功君) 昭和二十二年までの年金契約につきまして、これは一時、特別付加金をつけまして繰り上げて支払いをしようということで、これは特別措置法案を提出いたしまして、近く当院にも御審議いただけるようになっております。これはただいま打ち切りというお尋ねがございましたけれども、申し出を待って、そして申し出た人だけについてこの措置をとって、そしてその契約を消滅させる、こういう内容でございます。
  321. 小平芳平

    小平芳平君 それで現状は毎月ごく少ない人もあるやに聞いております。しかし、実際保険に加入したときには、年金に加入したときには、もう一生涯の保障のつもりで加入して出発したと思うのですが、経済状況の激変の結果そういう結果になったことと思います。実際問題で特に私が申し上げたい点は、身体障害者の子供さんのために、親として即時払い、一時払いですか、全部払い込んで親としてはこの子供が身体障害者であるけれども、一生涯とにかく日本の国へあずけて死んでいく、それで戦争になった、それが今日まで、身体障害者の方々からもせっかく親のかけてくれた年金が、実際問題として、それこそお米も買えやしない、何十円とか、百円とか、そういう金額でしかない。特に少ない人は一円幾らですか、一円幾らだ、毎月もらう金が。送る郵便料にもならないというようなことになってきたわけですが、こういう場合、申し出があればそうした契約をそこで全部払ってあげましょう、それでもらうわけでしょうが、いずれにしても平均五千円でしょうか、平均五千円というと、私の知っている範囲ではもっともっと少ない人が多いんですけれども、戦前に親のかけてくれた身体障害者の人たちに対するその年金が五千円いくかどうか、少ない人だったらもうそれこそ何百円で終わってしまうんじゃないかと思いますが、そういう点でもってもう少しあたたかみのある措置がとれないものかどうか。
  322. 武田功

    政府委員武田功君) 個々の契約をとってみますと、いま御指摘のようなたいへん気の毒な事情もおありかと思いますが、御案内のように郵便年金の組織は任意年金の制度をとっております。制度自体といたしまして、戦後のあのような急激なインフレに対応できる措置がなっておりません。したがいまして、それらをいろいろと考えまして、そういうような現実におきますところの現在の姿を頭に置いて、今後わずかな年金で長年これを続けるという煩瑣も避け、かつまた費用上の効率化も考えまして、そうして今後の分につきまして繰り上げてお支払いをし、かつまたそれに特別付加金をつけてお返しする、こういう仕組みでございます。それで、五千円と申しましたのは、それらの対象契約が約六十万件ございます。この六十万件の分につきまして今後の繰り上げ支払い分を計算いたしますと、平均約二千五百円程度に相なります。それにいろいろ企業内といたしまして出せるだけのお金をつけようということで、ちょうどその二千五百円を倍にする程度の考え方で、さらに二千五百円を増しまして、それで平均五千円というようなことで新聞紙上にも伝わったわけでございます。極端な例を申しますと、確かに当時の金で入りましたので、年金額十二円という例もございます。で、これに対しまして、その年金額と、それから入りました加入年次、それとをかみ合わせまして、この二千五百円に相当いたします原資をもって特別付加金の配分額をつくったわけでございます。したがいまして、一番最低の方でございますと千八百円をプラスいたします。それからまた最高になりますと、六千七百円をプラスするということでございまして、極端な例を申しますれば、いま申し上げましたような十二円とか、あるいはもう少しの年金額でございますと、今後の繰り上げ分が百円に足らない分がかなりございます。それも大正十五年から昭和五年までに入った方でありましたら、二千六百円をプラスして、そうして繰り上げて支払いしよう、こういう仕組みでございます。
  323. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、昭和五年までに入った人ならば、最低幾らもらえるわけですか、プラス分を加えまして。で、一番少ない人で幾ら。それがもし昭和五年で以前と以後に分かれるようでしたら、最低幾らということになりますでしょうか。
  324. 武田功

    政府委員武田功君) 年金は、御案内のように入りました年、また加入者の年齢、それからそのときにきめました年金額によりまして、まことに千差万別でございまして、でございますから、どれが一番最低かというお尋ねに対しては的確にお答えできないかもしれませんが、設例的に申し上げますと、終身年金で見ますと、先ほど申し上げました例に近いところでございますが、おそらく千八百九十円というのが一番低いのではなかろうかと思います。それから定期年金でございますと、千八百七十五円というのが出てきやしないか、こう考えております。
  325. 小平芳平

    小平芳平君 そこで、そういうような方針を決定なさったからには、もう動かしようがないかと思いますけれども大臣、いかがでしょうか、そういう点。まあ年金ですから、実際もとをかけてあるわけですけれども、しかし、それが運用の面では、経済状況の激変によってそれにスライドして支払っていくような制度にはなっていないとは思いますけれども、また、ある程度はそういうふうな運用もしているんだというふうにも私聞いたことがあるのですが、実際問題としてそういう運用はしていらっしゃらないのかどうか。それからまた、大臣としてこれだけの多くの人たちが、とにかく政府がやることだからといって、何よりも最大の安心感を持って加入しているわけです。しかし、それがインフレになり、経済状態ががらり変わり、特に先ほど私が申し上げた身体障害者の子供のために親が年金をかけて死んでいかれた、そういう身体障害者の子供さんが——いま三十代、四十代になっている子供さんが、いまここで何千円か——五千円か六千円かないしは三千円か、そのくらいで、せっかくの親の子供を思う気持ちがそこで終わってしまうというような点についていかがでしょうか。
  326. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これはもういわゆる感情的に申せば当然のお話のようなことで、まことにお気の毒、こう言わざるを得ないのでありますが、あらゆる、たとえば恩給にしましても、あるいは年金にしましても、共済組合にしても、同じような問題がありまして、スライドするのがあたりまえじゃないかという議論は至るところに出ておりますが、しかし、実行問題としては全体の問題を考えなければならぬし、これが財政その他に対する非常に大きな影響考えなくちゃならぬということで、いままでスライドするべきであると、こういうふうな抽象的な法律の書き方は、もう共済組合その他にも、年金法にも出てきておりまするが、じゃ具体的にどうするのだと、こういうことはまだ全然きまっていないと、こういう状態でございます。しかし、お話のような実態もありますので、私どもは何とか、たとえばいまお話のようにたった十二円、一月一円と、こういう年金があるが、こういうものに対しても、少しでも——まあ長い間、年金に入っておられた、いろいろこれらに対して貢献もされておる。またスライドすべきであるが、それもできないと、こういうことであるから、少しでもいわゆる付加金を多くしたいということで、平均支払い額は二千五百円であるが、その倍額だけはひとつ何とかいたそうということで、平均五千円の支払いということでありまして、政府としてはこれは初めての試みでもありますし、われわれとしては相当思い切ったことをしたつもりでございます。実際問題として年額十二円の年金を今後まだ何年も継続していくということはいかにも非常識であり、加入者にとってもきわめて迷惑しごくであるし、また役所の事務処理としましても、そういうふうな平均百五十何円とかいうふうなものが六十万人もまだある、いずれの面からいたしましてもぜひこの際これを整理することが加入者のためでもあり、また私ども役所の事務能力の上からもぜひそういたしたい。私が就任しましてから一番御非難の多かったのは、ああいう非常識の年金をいつまで放置しておくのだ、いまの十二円じゃ、電車賃にもなりませんから、取りに行くにも行かれないと、こういうことで、こういう非難の投書が非常に多かったのでありますが、今度まあ皆さんの御理解を得てこういう案をいま提案しておりますが、これについてはけしからぬという投書をまだいただかないので、何とか一応世間的にも御了解をいただいておるのじゃないかと、かように考えております。で、お話のようなお考えは私どもも、もうしごくごもっともなことだと思いますが、ただそれが事実できないということを非常に残念に思っております。
  327. 小平芳平

    小平芳平君 私も別にこれをけしからぬと言っているわけじゃないのですが、それが前にも私取り上げていろいろやったことがありましたのですが、ですから、いずれはそういうふうに打ち切りになるのが当然だと思いますけれども、できることならばこの気の毒な何が多いので、できるだけ考慮していただきたかったということを申し上げておるわけでございます。  それからもう一つは、こういうふうにして郵便年金といえば一番安心して入ったわけですが、それが安心ではなかったというようなことにも実際は結果なってしまっているわけです、その人たちにとっては。それで、いまでは厚生年金あるいは国民年金、全体として年金制度がずっと発達し、また全体として年金もスライドしていこう、国民年金にしても完全にスライド制をとっているわけではありませんけれども、大体そういう方向で国民全部が年金に加入する。その年金もいまはあまりにも魅力のない現状にありますけれども、やがてそれがスライド制をとり、あるいは自分が何歳になったらこういう生活が保障されるのだというふうなこともわかってくれば、そうした年金に対する魅力というものが起きてくるのじゃないか。そういう場合に郵便年金が、これは制度としては古い歴史がありますけれども、今後の運用について、そうした国民に魅力のある郵便年金として将来とも発展していかれるかどうか、その点についていかがですか。
  328. 武田功

    政府委員武田功君) 私どもは戦後のああいう未曽有の異常な事態はもう再びこないであろう、こう思いますので、そのことはさておきまして、年金の今後の問題は、御指摘のように、やはり魅力のあるものは減額年金とか、そういったようなものでございます。限られた範囲内での運用面で、いろいろと困難な面はございますけれども、そういう面で多少とも現在の国民の各位のほうからの御要望に応じ得るような年金ができるかどうかという点を現在いろいろ検討いたしておりますので、もう少しお時間をいただきました上でそういう新しい方向をきめたい、こう考えて努力中でございます。
  329. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ、時間もおそくなりますので、とにかく年金は、国民のといいますか、要するに、魅力のあるみんなが喜んで将来を期待し、加入できる、そういう年金でなくてはならないと思うのですね。また、そうでなければ、郵便年金自体が非常に将来問題になってこやしないかということも感ずるわけであります。  次に、問題は違いますが、電電公社の電話局が、市町村が合併した場合に電話局が別なんですね。これは電話局が一本になれば市内通話でいかれるのを、電話局が別だから、同じ市内でも一々市外通話の申し込みになってしまう。これはよく現状承知と思いますが、こういう点についての改善策はいかがですか。
  330. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) これは御承知のように、昭和二十八年から町村合併法というものができてやったのでございますが、その法律についても、電話の加入区域等の調整についてはできるだけ協力をしろ、こういうことを言われておりまして、従来の常識として行政区域と加入区域は一緒にするのだ、こういうふうなことに相なっております。これは私の調べで、まあ法律上の義務等にはなっておりませんが、いままで長い間習慣的にそうなっておる。したがって、世間でも、町村の合併をすれば電話が一つになる、こういう期待をされておりました。したがって、電電公社としましては、これにできるだけの協力をするというたてまえで、標準として六キロ以内のものは全部統合すると、これは大体実行してきておりますが、六キロ以上のものは必ずしも実行されていないということで、最近調べまして、まだそういう地域が全国に千二百数十カ所あるそうでございます。これも私どもは世間の期待からいえば、当然何とか加入区域をひとつ一緒にしてもらいたいと、こういう希望を持って電電公社にもお話をいたしておりますが、これは実は非常なめんどうな問題で、めんどうというか、金のかかる問題で、私は町村合併は金がかからぬから勝手にやるが、やったしりは電電公社だけが背負わなければならない。加入区域を一つにしても収入は別になる。市外通話になるから収入はふえない。私は最近北九州を調べてみましたが、北九州だけでも年額四億円の減収になる。また、これの施設を直すには十億円くらいの電話局間の連絡その他において施設費がかかる、こういうことでありまして、それだけ減収になる。施設に金がかかるが収入はひとつもふえない、これは加入電話の増設じゃありませんから、全部そのまま公社の負担になる。こういうことで、すべきであると思うが、事実上なかなか困難である。それで、いまのように日本全国がこう町村合併、あるいは新しい市ができたことになると、一体、従来こまかく分けた市内通話、あるいは市外通話で電話料金というものの体系が一つできておる。それがほとんどいままで九千も一万もあった町村が、いまでは三千になってしまった。これは電話料金制度にとって革命的な事態と、こういうふうに言わなきゃならぬのでありまして、料金自体についての制度についても、私はこの際根本的に考えなきゃならぬということで、このままの状態において、ただ、いまの六キロから遠いところまで一緒にするということはたいへんな問題でありまして、これも最近私調べてもらったのでありますが、四カ年で三百五十億円くらいの減収になる、それから施設費が三千数百億円かかる、こういうような調査を公社で出されておる、これをお聞きになれば、なかなかそれはたいへんな仕事だというふうにお考えいただけると思うのです。これについては実は町村合併法の法律においては、その資金等については政府はめんどうを見ようというようなことを書いてありますが、実際問題として公社が資金の融通をしてもらったのは十五億しかなかった。しかし、六キロ以内を統一するだけで一千億円余の費用をかけている、こういうような状態でありますので、これは私は単に実情を申し上げて、いかにこの仕事が困難であるかということを申し上げたのでありますが、しかし、何らかの方法によってやはり住民の期待は、必ずこれは合併すれば市内通話になるのだ、こういう期待を持っているから、この期待にそむかないためにも、私どもは今度、公社には年次計画等でこれをやってもらうというようなくふうをしてもらいたい、それについてはいま申すように料金体系等も、今日のままでは三百五十億円も四カ年で減収になるという大きな問題をかかえておりますから、単なる、ただ、やりましょうというふうなお答えでは片づかない事態になっております。しかし、これは当然私は住民のために期待を持たすためにもやらなければならぬ問題であると、かように考えております。一応の実態だけを私が御説明申し上げたわけであります。
  331. 小平芳平

    小平芳平君 その計画は逐次毎年やってはいるのではないですか、計画と見通しは。
  332. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) それはもうただいま申し上げましたように、六キロ以内はもうすでに昭和二十八年から今日まで一千億円余の費用を投じて、六キロ以内はやってきた、これから六キロから遠いものをひとつ処理するということであります。遠いものにつきましても私はこのままではいけないから、公社においては、これの解決のために私は年次計画等もひとつぜひつくって処理をしてもらいたい、いろいろの関係があるが、しかし、それはやらなければなるまいと、かように考えております。
  333. 小平芳平

    小平芳平君 いまその住民の期待に沿うようにと大臣おっしゃいますので、それで年次計画で進めていただくことが非常に大事だと思いますが、いろいろ困難な問題があることもよくわかりました。  それで次に、赤電話ですね、赤電話が相当町にたくさんできまして、非常に便利になりましたのですが、夜になるとしまわれちゃうのですね、大部分が。そうなりますと、かりに駅でも、東京駅なら東京駅で、昼間なら相当数が多くて非常に便利なんですが、さて、夜となりますとほとんどしまわれてしまうのです。その点についてのくふうはいかがでしょうか。
  334. 武田輝雄

    説明員武田輝雄君) 御指摘のようなことは、赤電話はいま二十五万ございますけれども、夜間等におきましては利用できないという不便もございます。そこで、私どもはやはり夜間においても、公衆電話を利用していただく道を開くことが必要だと思います。そこで、われわれが現在考えておりますのは、第一にはボックス公衆電話をふやすことが必要ではないかと思います。そこで、最近に至りまして、ボックス公衆電話、すなわちわれわれ普通公衆電話と呼んでおりますが、普通公衆電話の設置基準というものをかえまして、従来は一日四十度あって、しかも赤電話の受託者がないといったようなところにしか設置できないようになっておりましたけれども、一日四十度以上あれば、赤電話の受託者がなくてもボックス公衆電話を置いていこうというふうに考えております。それからなお利用度数がありません場合でありましても、一定の三百メートルとか四百メートル、町によって差は設けておりますけれども、そういう一定の間隔ごとには置いていこう、またそういうような二つの場合に該当しません場合でも、たとえば、団地等ができて電話がないといった場合には、利用度数がなくても、私どもいろいろ公共の場におきましては、利用度数がなくても置いていくことによって、夜間の公衆通話機関の確保をはかろう、こういうふうに考えております。  なお、赤電話につきましては、現在、店を締めてしまいますと使えなくなるのでございますけれども、最近、赤電話の受諾者で結成されております公衆電話連合会というものがございます。この連合会のほうから、何といいますか、プラスチックのこういうきれいな置き台を置きまして、それは自分のほうの責任において設置するから、赤電話を出すような道を公社としても考慮してもらいたいということで、そういうふうな赤電話を外に出すことも考えております。本則的には普通公衆電話を設置して使う、あとボックスが置けないところには、壁面等を利用しまして設置するなど、いろいろ手段を講じまして、いま先生御指摘のような御要望に極力沿ってまいりたい、このように考えております。
  335. 小平芳平

    小平芳平君 たいへんおそくなりましたのでこれで終わりたいと思います。  最後になりましたが、電電公社で身体障害者を採用なさると、これは身体障害者雇用促進法もありまして、それぞれ各官庁とも身体障害者を採用する目標も示されているのですが、なかなか官庁みずからそれを実施してないということを訴えておられたわけですが、電電公社として特に本年から新しく採用されることになりました事情、今後の考え方等について御説明いただければ幸いだと思います。
  336. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) お答えいたします。電電公社といたしまして、政府のそういう身体障害者を積極的に企業内で活用したらどうかというお考えもありますし、私たちにいたしましても、この問題につきまして従来からいろいろ考えておりまして、労働省の専門家、あるいはまたこういう問題に対します学識経験者の意見も伺うために小規模の委員会を設けまして、そこでいろいろ討議いたしまして、そして身体障害者を職場に受け入れた場合にどういうことが具体的に起こるか、つぶさに調べました。その結果、積極的にこれを受け入れることにきめまして、三カ年計画でやることにいたしました。身体障害者といいましても、その程度にいろいろありますので、その程度等は十分考えて、そうして職場に入った場合に、その人が十分その面において仕事ができるという見きわめをつけながら進めたいと思います。そういうことで、数字等につきましては所管局からお答えいたさせますが、考え方といたしましては以上のとおりであります。
  337. 村手義

    説明員(村手義君) ただいま総裁から御説明ありましたように、大体、身体障害者の雇用促進率に適応する員数といたしまして、大体千名強を三年間に雇用する計画を立てまして、現在、各本社におきまして一番問題になります点は、雇用の基準がいままでいわば甲種合格というような基準になっておりますので、これを職種別にそれぞれ適応する身体機能を持つ一つのレベルを緩和いたしまして、採用基準を現在改正をいたしまして、それによって各通信局で身体障害者が採用できるような道を開いております。具体的には、東京通信局におきまして現在募集中でございます。それから、東京通信局が終わりまして、その状況その他を前例といたしまして、各通信局でもって、それぞれの事情に応じまして採用するという状況で、現在進行中でございます。
  338. 小平芳平

    小平芳平君 そういうふうによく研究なさって、準備をなさってやっていただけばよろしいと思いますが、普通の場合、身体障害者の方の場合は、就職しましても思うような職場を与えられない。ほんの下働きのまた下働きくらいの程度であり、したがって、待遇も非常に悪い。また周囲の人からばかにされる。したがって、なかなか安定した職場がないというようなことが現状だと思いますが、その点についてもよく研究していただいてやっていただくことは非常にけっこうなことだと思います。以上であります。
  339. 鈴木強

    主査鈴木強君) 郵政省所管に対する残余の質疑は明後二十四日午前十時から行なうことといたします。  なお、明日は午前十時より、農林省所管について質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時八分散会      —————・—————