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1967-07-10 第55回国会 参議院 本会議 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十日(月曜日)    午前十時二十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十四号   昭和四十二年七月十日    午前十時開議  第一 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を   改正する法律案趣旨説明)  第二 消防法及び消防組織法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第三 中小企業振興事業団法案内閣提出、衆   議院送付)  第四 中小漁業振興特別措置法案内閣提出、   衆議院送付)  第五 外国人漁業規制に関する法律案内閣   提出衆議院送付)  第六 建設省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第七 昭和四十年度一般会計予備費使用調書   (その2)(衆議院送付)  第八 昭和四十年度特別会計予備費使用調書   (その2)(衆議院送付)  第九 昭和四十年度特別会計予算総則第十条に   基づく使用調書衆議院送付)  第一〇 昭和四十年度特別会計予算総則第十一   条に基づく使用調書(その2)(衆議院送   付)  第一一 昭和四十一年度一般会計予備費使用総   調書(その1)(衆議院送付)  第一二 昭和四十一年度特別会計予備費使用総   調書(その1)(衆議院送付)  第一三 昭和四十一年度特別会計予算総則第十   一条に基づく使用調書(その1)(衆議院   送付)  第一四 昭和四十一年度一般会計国庫債務負担   行為総調書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案趣旨説明)。  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。藤枝自治大臣。    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  4. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、その趣旨とその内容の概略を御説明申し上げます。  御承知のとおり、政府は、選挙制度審議会に対し、選挙区制その他選挙制度根本的改善の方策について検討をお願いしてきたところでありますが、同審議会は、去る四月七日、最近の政治情勢にかんがみ当面緊急に措置することを要する事項として、政治資金規正及び連座制強化等中心とした「政治資金規正等改善に関する件」について、政府答申をいたしました。  政府といたしましては、この答申に基づき、その趣旨を尊重して、政治資金規正法及び公職選挙法所要改正を行なうこととし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず、政治資金規正法改正についてであります。  第一に、政治資金寄付制限についてであります。  まず、寄付総額につきましては、個人のする番付にあっては最高額を一千万円とし、会社その他の団体のする寄付にあっては最高額二千万円、最低額五十万円の範囲内において、それぞれ団体規模に応じて制限を加えることといたしました。この場合、会社のする寄付につきましては資本金のほか収益をも基準とし、労働組合等のする寄付につきましてはその組合員数に応じて十段階に区別して制限することとし、その他の団体のする寄付についてはその規模等を表示する尺度を求めることがきわめて困難であるため一律に前年の支出額の十分の三に相当する額を限度とすることとしたのであります。また、制限額範囲内において寄付する場合には、政党及び政治資金団体に対する寄付については制限を設けないこととし、それ以外の政治団体または個人に対する政治資金寄付については、同一の者に対し、年間五十万円をこえてはならないことといたしました。  次に、国または公共企業体請負契約関係にある者及び日本開発銀行等政府関係金融機関から融資を受けている中小企業以外の会社のする寄付につきましては、請負契約額融資額比重がきわめて低いものを除いて、一般の場合の二分の一に制限することといたしました。また、国から補助金等給付金の交付を受け、または資本金等の出資を受けているいわゆる特定会社その他の特定法人のする寄付につきましても、これを禁止することといたしましたが、これらの場合において、国と関係のない地方公共団体議会の議員または長の候補者等に対してする寄付については、適用を除外することといたしております。  なお、地方公共団体請負契約関係にある者、地方公共団体から補助金等給付金を受けている会社その他の法人等のする寄付についても、国の場合に準じて、制限ないし禁止することといたしました。  さらに、欠損を生じた会社のする寄付、匿名及び他人名義寄付並びに外国人等のする寄付につきましても禁止するとともに、寄付のあっせんにつきましては、寄付者威迫を加えたり、賃金、下請代金等から天引きして寄付を集めることのないよう措置することといたしました。  以上の政治資金寄付制限と関連して、その違反者に対する所要罰則規定を設けることといたしております。  第二に、政治団体届け出並びに収支報告及びその公表等についてであります。  すなわち、政治団体届け出があったときは、その内容を公表して、これを国民に周知することとするほか、会計帳簿及び収支報告書に記載すべき内容等について改善合理化を加え、政治資金公開趣旨を徹底することといたしました。  第三に、政党等定義についてであります。  今回の改正によりまして、政治資金寄付に関しましては、一定の制限が加えられることとなり、かつ、政党本位政治活動の推進を図るため、政党に対する寄付政党以外の政治団体に対する寄付を区別して制限することとなりますので、政党政党以外の政治団体との区別を明確に規定することといたしました。  また、政党中心資金調達を容易にするため、各政党について一の団体を限って政治資金団体を設けることを認め、これに対する政治資金寄付については、政党と同様の取り扱いをすることといたしました。  このほか、党費、会費及び政治活動に関する寄付等についても、その内容を明確にして、規制合理化をはかることといたしております。  以上申し上げましたほか、これらの改正に伴いまして、個人または法人寄付政党または政治資金団体に対してした場合には、その寄付金について課税上の優遇措置を講ずるとともに、その他必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。     —————————————  次に、公職選挙法改正について申し上げます。  第一は、公職候補者等寄付規制についてであります。  すなわち、公職候補者等選挙区内にある者に対してする寄付は、政党その他の政治団体または親族に対してする場合及び公職候補者等がもっぱら政治上の主義または施策を普及するために行なう講習会等において必要やむを得ない実費の補償としてする場合を除き、全面的に禁止することとしたほか、公職候補者等がその役職員または構成員である会社その他の団体がこれらの氏名を表示しまたはこれらの者の氏名が類推されるような方法でする寄付についても、政党その他の政治団体に対してする場合を除き、一切禁止することといたしました。また、後援団体のする寄付等禁止期間を延長するとともに、後援団体以外の団体特定公職候補者等を推薦しまたは支持するものについても、後援団体に関する制限に準じて制限を設けることといたしました。  第二は、連座制等についてであります。  いわゆる連座制につきましては、選挙運動実態にかんがみ、数個に分けられた選挙区の地域における選挙運動または多数の選挙人が属する職域または組織を通じて行なう選挙運動を主宰した者をも連座対象者範囲に含めるとともに、公職候補者または総括主宰者等意思を通じて選挙運動をした公職候補者父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者と同居の有無にかかわらず、連座対象者範囲に含めることとし、同居している父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者意思を通じているものと推定することといたしました。  また、選挙犯罪を犯し罰金の刑に処せられた者については、当該選挙犯罪がきわめて軽微なものである場合を除き、裁判所が情状により公民権を停止しない旨を宣告することができる制度を廃止することといたしました。  その他、昨年実施された永久選挙人名簿制度の運用の実態にかんがみ、選挙人名簿登録回数を増加する等、その合理化をはかることといたしました。  以上が、この法律案の要旨であります。(拍手
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。塩見俊二君。    〔塩見俊二登壇拍手
  6. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま御説明を承りました政治資金規正法並びに公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、以下五項目につき、総理大臣並びに関係大臣にその御所信をお伺いいたしたいと存じます。  まず第一に、昨年の秋、第五次選挙制度審議会の発足にあたりまして、総理大臣は「御答申をいただきました暁には、その趣旨を尊重し、勇断をもってその実現方に努力いたします」と、ごあいさつをせられたのであります。また、本年四月十日、政治資金規正等に関する答申を受けられまするや、法案早期国会提出を促進せられ、また、衆参両院審議を通じましても、本国会での成立をはかると言明せられ、終始一貫、答申実現に熱意を示されてまいったのであります。延長国会あとわずか十一日間になったのでありますが、法案は目下衆議院審議中でございます。総理大臣は、いまの時点におきましても、本国会成立を期するという御所信にお変わりはないのでございましょうか。参議院の審議につきまして、どのようにお考えでございましょうか、この点につきまして総理大臣の率直なる御所見を承りたいと存じます。  次に、今回提案されました両法案に対しまして、一部には、審議会答申より著しく後退したものであり、これを答申の線にまで引き戻すよう修正すべきであるとの意見があるのであります。あるいはまた、大骨も小骨も抜き去ったではないかとの議論も行なわれておるのでありますが、これらの所論に対します政府の御見解を第二の質問としてお尋ねをいたしたいのであります。私は両法案とも答申実現にはまことに忠実であると確信をいたしておるのであります。答申無視の重要な論拠の一つは、国または公共団体請負その他特別な利益を伴う契約の当事者であるもの、及び特定政府関係機関から融資を受けているものは、制限額のさらに二分の一をこえて寄付してはならないという答申になっておるのでありまするが、それにもかかわらず、その金額が十分の一以下のものを除いているのは、答申に反するではないかというのであります。今日、わが国国民経済の中で占める財政資金比重はまことに大きいのであります。企業を営むものは、会社であろうと個人であろうとを問わず、多かれ少なかれ、財政資金関係を持たないものは、むしろ例外といっても差しつかえがないのであります。請負金額借り入れ金額が、売り上げ金総額借り入れ金総額の十分の一程度以下の場合のごときは、答申にいう特別な利益を伴うものでないと判断することが、むしろ答申真意に合致するものであり、また国民の常識であろうと思うのであります。さらにまた、税金の問題にいたしましても、答申は、政治資金にかかる課税については、個人の受けた資金に対する課税個人のした寄付について優遇措置を講ずることとしたほか、さらに、その他のものにつきましても合理化を検討するということに相なっておるのであります。答申は目下議論対象となっておりまする会社寄付につきましても、最高限制限はいたしておるのでありまするが、寄付そのものは現段階では必要であると認めておるのであります。政治活動公共性からいたしまして、会社寄付金につきましても税法上、他の公共寄付と同様の取り扱いをいたしますることは、答申にいうその他合理化措置に該当するものと考える次第であります。  その他、論議せられておりまする二、三の点につきましては、時間の都合上、省略いたしたいと思いまするが、いずれにいたしましても、両法案答申直訳ではないかもしれませんが、その真意に忠実な意訳であり、大骨も小骨も抜かれていないのであります。答申に忠実さのあまり、あとから質問をいたしますとおり、むしろ、論議すべき重大問題が残されておるとすら考える次第であります。政府は、この機会に、国民の誤解を一掃するため、答申を忠実に実現したものであることを明白にすべきであると思うのでありまするが、総理大臣自治大臣並びに大蔵大臣の御所信をお伺いいたしたいのであります。  第三の質問といたしまして、寄付金最高額制限罰則の問題につきましてお伺いをいたしたいと存じます。現実の政治資金寄付につきましては、従来の経験に照らしてみましても、確かによい面ばかりではなく、遺憾ながら悪い面のあったことも否定することができないのであります。しかし、このよい面も悪い面も、ともに金額の大小によって決定するものでなく、その性質によってきまるのであります。特にまた、今日まで国民疑惑を招きました政治資金寄付に関する不祥事件は、すべて個人に対する寄付でありまして、政党そのものに対する寄付につきましては、いまだその例を見ないのであります。政治資金規正するにあたりましては、これらの事実を明確にとらえておかねばならぬと思うのであります。元来、政治資金規正法のたてまえは、収支公開の原則によりまして、その内容をガラス張りとして国民に公開し、その厳正なる批判によって政治資金の公正を実現しようとするものであります。政治資金規正法によって寄付金最高額制限したり、あるいは超過したものに処罰を加えるなどということは、いささか行き過ぎではないかと思うのであります。また、いかなる法律をもってするにしろ、政党政治発展に寄与する公共的性質を帯びた政治資金寄付、ことに、政党に対する政治資金寄付につきまして、その最高額制限するのは、妥当を欠いておるのではないかと思うのであります。また私は、審議会が、政治資金必要悪だと考えたとは絶対に信じません。しかし、かかる制限や、あるいは処罰が、国民にそのような印象を与えやしないかということを心配をいたしておるのであります。自治大臣の御所見を承りたいと存じます。また、善意をもってする制限額を超過した寄付者に対する処罰が、刑事政策上、はたして妥当であるかどうか、法務大臣の御所見を承りたいと存じます。  次に、答申によれば、政党は、できるだけすみやかに、近代化組織化をはかり、おおむね五カ年間を目途として、個人献金党費によりその運営を行なうものとなっておるのであります。また、一部には、この答申に従いまして、法人団体寄付は、五年後には禁止するよう原案を修正すべきであるという意見も行なわれておるのでありまするが、この問題につきまして、第四の質問として、政府の御見解を承りたいと存じます。  究極において、政党資金に占める党費個人献金比重が増大することは、まことに望ましいことだと思うのであります。しかし、わが国政党政治資金の現状は、一部出版収入等事業収入のほかは、大部分が会社労働組合等団体寄付金に依存しておるのでありまして、党費及び個人献金は九牛の一毛にすぎないのであります。これはもちろん、わが国政党の歴史も浅く、その組織化近代化が立ちおくれ、政党活動が不徹底等のために、党員数がきわめて少ないところに一つ原因があると思うのであります。同時に、また、国民所得水準が低く、個人所得に対する税金負担相当に重いところにも原因があると思うのであります。日本の産業は、米ソに次ぐ一流国として発展をしてまいったのでありまするが、一人当たりの個人所得は、世界で二十一番目であり、アメリカの五分の一、イギリスの半ばにも満たないのであります。会社団体等寄付金を禁止して、議会民主主義のこの先進国と同様の、あるいはまた、それよりさらにラジカルな選挙資金制度に、一挙に五年後に移行ずるということは、まことに私は暴論であると言わざるを得ないと思うのであります。答申は、政党組織化近代化を強く要望しておるのであります。そのためには、政党はますます多額の政治資金を必要とするのであります。ただ、個人寄付金につきましては、政党組織化近代化に伴う党員の増加、あるいは国民所得の増大、租税負担軽減等の推移と相まちまして、政治資金の中に占める比重の高まることが望ましいことは、もちろんのことでございます。これらの実情を無視して、五年後に一挙に、会社団体等寄付を禁止することは、政党政治の健全な発展に重大な悪影響を与え、無秩序な多党化の混乱を招くおそれなしとしないのであります。これらの点につきまして、総理大臣並びに自治大臣の御所見を承りたいと存じます。  最後に、第五の質問といたしまして、両法律案施行の時期についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  答申によりますると、政治資金等改正は、政党本位選挙制度確立一環として行なわなければならぬが、昨今の政治資金をめぐって、国民疑惑を招くような事態が生じたため、当面緊急に措置する必要があるといっておるのであります。確かに、今回の答申は、共和製糖事件等の黒い霧の重苦しい空気の中で、いわば一種の議会政治危機感の中で審議をせられた結果といたしまして、政治資金規正等が、政党本位選挙制度の体系の中から飛び出してまいったのであります。私は、当時の情勢から、やむを得ないことだと考えるのでありまするが、答申も認めておりますとおり、政治資金等の問題は、あくまでも、政党本位選挙制度一環でありますので、施行期日は、政党本位選挙制度改善同一の時期とすることが適当ではないかと思うのであります。ことに、今回の第五次選挙制度審議会は、五次にわたる審議会の総決算であると考えられておるのであります。委員の任期も十一月十日までとなっており、選挙区制、選挙運動等に関する論議はすでに第四次審議会でほとんど煮詰まっておるのであります。あと二、三カ月で答申提出は必至と見られておるのであります。  自治大臣は、去る六月二十二日の衆議院の本会議で、本法案施行には、国民への周知徹底をはかり、あるいは市町村の選挙管理委員会準備を整えるため、相当期日が必要だと答弁せられておるのでありますが、さらに一歩を進めて、二、三カ月後に答申が出たなら、その内容も検討して、同時施行を考えてもよいという程度の答弁を賜わるわけにはまいらないでございましょうか、御所信をお伺いして、私の質問を終わります。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  本法案は、私が申し上げるまでもなく、まことに重要法案でございます。この国会におきましてぜひ成立を期したい、これが私の所信でございます。この段階におきましても、私の所信には変わりはございません。したがいまして、ただ期日その他等から見まして、あまり時間がございませんので、一そうの御協力をお願いいたします。  第三の点で、この答申を得ましてこの法案をつくりました際には、答申趣旨を十分尊重したつもりでございます。いわゆる大骨、小骨骨抜き論等々もございますけれども、私は十分尊重したのでございます。委員会等審議におきまして、十分、政府の考え方は、これが趣旨に沿っているかどうか、それらの点を明らかにしていただき、また必ずしも私は原案にとらわれるものではございません。政党政治のために、よりいいものができれば、それにこしたことはございませんから、そういう意味では、ただ批判だけなさらないで、積極的に建設的な御意見を述べていただきたい、かように思います。  第三の点で、個人献金やあるいは党費でまかなうという、これは本来の理想的な形だと私は考えます。しかし、一足飛びにそういう事態を今日実現するということは困難ではないだろうか。この後、さらに国民政治意識も高まり、あるいは国民所得もふえて、そうして献金も自由になるというふうなときだと、よほどいいように思いますが、ただいまの段階一足飛びにそういう事態実現するということは困難だと思います。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  8. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 政府案答申から後退したかということにつきましては、ただいま総理がお答えしたとおりでございまして、私は、答申の中の表現が十分でないものを意訳いたしましたり、あるいは罰則関係定義を詳しくいたしましたことは、いたしましたが、この政府案は、そういう意味において、お話のとおり直訳ではございませんけれども、意訳であると考えておる次第でございます。  会社等寄付制限を加えましたのは、特定の者があまりにも多額な寄付をするというようなことによりまして、政治勢力影響を与えるようなことは好ましくないという、いわば分相応寄付が適当であるという意味でございまして、その限りにおきましては、憲法二十九条の公共の福祉の限界を示したものと考えます。もちろん、二千万円が善であって、二千百万円は悪であるという理論的根拠を申し上げるわけにはまいりませんけれども、分相応として審議会がこれを考えられたものと解しまして、政府案に盛った次第でございます。政党組織化されまして、広範な国民大衆の支持を得、また、広範な国民大衆の財政的な支援を得るようになりますることは好ましいことでございまするけれども、これはあげて政党御自身が努力をされるものでありまして、法律規制するというようなものでないという意味におきまして、この五年後という問題につきましては、今回の政府案に書かなかったような次第でございます。  施行期日につきましては、これが国民全般関係をいたし、また、選挙管理委員会等準備都合がございますので、相当な時間がかかると思います。その意味におきまして、政令にゆだねたわけでございますが、こうした周知徹底あるいは準備が済み次第、早急に出さなければならないと思います。と申しますのは、今回の答申が、選挙制度一環として政治資金を考えるべきではあるが、最近の政治情勢、緊急やむを得ずやらなければならない問題だとして答申になりましたので、その答申趣旨を尊重いたしまして、他の選挙制度とは別個に施行をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男登壇拍手
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 民主政治中核体政党でございますので、政党活動資金は高度の公共性を持っておるものと考えられます。したがって、政党の発達を健全ならしむるためには、弊害を避けるために資金規正相当きびしくする必要がある反面、政党への寄付公共寄付に準じて取り扱うということも必要でございまして、答申の線を逸脱した措置ではないというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇拍手
  10. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 寄付制限額違反をした場合にこれに罰則を付することは、わが国刑事政策上無理ではないかとの御意見でございます。申し上げるまでもなく、法人にしても個人にしても、本来は寄付は自由なものであります。思うとおりの寄付をして差しつかえのないものであります。しかるところ、今般問題になっております政界に対する寄付につきましては、何とかして政治資金規正を行なうことによって政界の秩序をりっぱなものにして、それがひいては国家の利益に重大なる影響があるものというたてまえに立って規制を行なうのでありますから、規制をいたします以上は、行き過ぎた刑罰はいけませんが、軽い刑罰はどうしてもこれをつけておきたい。現在の政界の現状に照らしまして、規制はするが刑罰はゼロである、いわゆる訓示規定にとどまるようなものでありましては規制意味を持たないことになりますので、一千万円、二千万円という総ワクの制限、五十万円という個別ワクの制限違反をいたしました場合においては、たいへん遠慮をいたしまして、五千円以上五万円以下の罰金という、きわめて軽い刑罰をもって処分しようという方針でございます。この程度のものはまことにやむを得ないものと政府は考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 松永忠二君。    〔松永忠二君登壇拍手
  12. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案になりました二法律改正案について、佐藤総理並びに関係大臣質問をいたします。  黒い霧事件が起こって、佐藤首相の責任が問われたとき、首相は国会で、「国民の間に政治不信が高まることはゆゆしいことである。私は国民の期待にこたえ、政治に対する信頼を回復するために、責任政党として自民党の体質改善と金のかからない選挙実現することの二点を当面の課題として考える。金のかからない選挙については、選挙制度審議会がその結論を得次第、勇断をもって取り組む所存だ」と言明しています。審議会に対しても一大決心をもって取り組むと言ってきました。ところが、答申が渡されて二カ月も過ぎて法案提出されました。たまりかねて審議会長は法制化を促進するように申し入れたほどです。特別委員会で審議の始まりましたのは六月の二十八日、会期末まで一カ月もないのに、十四人の自民党委員全員質問に立つと主張し、時間かせぎだといわれるような質問を展開し、改正案を成立させようという気がまえは全く見られませんでした。野党側から七月十二日質疑を終了し、十三日衆議院通過を申し入れたほどであります。しかも自民党は、党の方針がきまっていないといって、この日程を拒否いたしました。イギリスで効果をおさめた腐敗行為防止法が提案されたときも、罰則がきびし過ぎる、こんな少額の費用では選挙ができないと反対が議員から出されましたが、党の幹部は熱心にこれを推進してこの法案成立させました。しかるに自民党は、幹部が先に立って車の両輪説を持ち出し、自民党内でさえもまとまらない選挙制度とからませたり、福田幹事長のごときは、国会提出はメンツ問題である、あとは煮て食おうが焼いて食おうが、かってだと言ったり、現在では、政治資金規正法案は本国会では通過時刻のきまらない臨時列車だと言って、法案成立について全く熱意を示しておりません。自民党総裁であるあなたが成立を期していると国会で言明したのに、その態度すら疑わしい現在、今国会成立は絶望的だと、世論も見ているのはあたりまえではありませんか。これで自民党の体質が改善されたというのですか。これが勇断をもって取り組んだ結果なのですか。また、政党政治に対する国民の信頼を高めることになっているのですか。佐藤総理の言明や公約と全く逆になっている、現在のこのていたらくに対する政治責任をどう考えられているのでありますか。また、どういう形で政治責任に決着をつけるつもりであるのか。お伺いをいたします。また、本法案は、本国会でどうなるのか、総理の率直な見通しを伺いたいのであります。  自治大臣は、どんな日程的なめどを持って、本国会成立をさせる自信があるのか。また、法案成立の場合は、どういう形で一体責任をとるおつもりなのか。お尋ねをいたしたいのであります。  次に、法案内容についてお尋ねをいたします。総理は、国会において、この法案は、審議会答申を最も忠実に尊重してつくったと、たびたび答えられています。また、お話のありますように、答申を尊重し、骨抜きどころか、小骨一本も抜くことはしないと申されました。この答申の最大のねらいは、五年後に会社団体政治献金を禁止させ、政党の運営は党費個人献金だけでまかなうことができるように、政党近代化組織化への自覚を促している点であります。政治資金規正強化は、そのための当面の措置であります。審議会でも、従来の答申を大幅に後退したものを出すのはおかしいという意見もありましたが、しかし、今回はそれを実現しやすくするため、現在では制約を受けることの少ない団体二千万円、個人一千万円という金額が示されたのであります。五年をめどに会社団体寄付を禁止するという前提条件があってこそ、この金額制限意味があるのであります。しかるに、法案のどこにも、経過的にこの目標を達成することは書かれていません。基本的な点がぼけてしまって、不徹底な改正でお茶を濁すよりは、政治献金個人に限ることを中心とした改正を他日に期して、改正を見送れという意見すら国民の中から出ているのであります。総理伺いますが、五年ということはなぜ法律に書かないのでありますか。また、この趣旨に賛成なのか反対なのか、お答えをいただきたいのであります。  また、この法案では、国や公共団体請負や特別の契約をしている者の寄付の条件を答申以上にゆるめたり、答申が具体的に触れない会社団体寄付については、現に受けている減税をはるかに上回って、公益の増進に寄与し緊急を要する公益法人寄付のみに許している指定寄付並みの、全額損金という特別措置を受けることにしています。まさに政治献金制限ではなくて、奨励だとさえ言えるのであります。大蔵大臣にお尋ねいたしますが、なぜ法人についてこんな大幅な減税を認めたのか、その理由をお聞きしたいのであります。また、個人の受けた寄付については、今後どう処置をするつもりなのか、お答えをいただきたいのであります。  答申に全然ない寄付あっせんの規制を入れたり、労働協約まで拘束するような天引き徴収禁止が立法化されました。また、答申では、公職候補者及び後援団体などは選挙区内の者に対して寄付をしてはならないと簡単明快に禁止をしていますのに、温泉招待はだめですか、国会見学に来た消防団に帰りのバス代を出すのはどうなんだというような、ばかばかしい質問をしなければならないほど、あいまいなことばで、一定期間を除いて野放しにしてしまいました。供応、接待、物品の供与も、一定期間を除けば自由にできることになりました。政治国民に対してまずくいけば、それを補うために金が必要になることは、安保国会後の選挙で自民党が、勢力を維持するために、飛躍的に多額の金を使ったことを見れば、明らかなことであります。  実施の時期についても、答申趣旨を尊重するというならば、明年一月一日から実施をするという初めの自治省の案が最低でありますのに、この法案は実施の時期を明らかにしていません。参議院の新しい分野は安保の年まで続くので、負けられない選挙だから、選挙資金が不自由では選挙に自信が持てないので、一年延期の線が出てきたといわれるのであります。実施時期を明らかにしないということは、骨抜きという種類の修正ではなくて、答申に反撃をしているとさえ考えられるのであります。(拍手自治大臣は、衆議院特別委員会で原案に必ずしも固執しないと言っていますが、明年一月一日施行というように修正されることについて、異議はないと思うのでありますが、どうですか。(拍手)また、明年の参議院選挙にこの改正を適用するのかどうか、お答えをいただきたいと思うのであります。  以上述べましたように、答申の精神を曲げたり、答申にないことを加えたり、また大幅に変更したりしています。これでは修正が大幅過ぎて、骨抜きになったというよりも、全体として質が変化したと言って言い過ぎではありません。佐藤総理が、党内の事情から答申実現することができないので、最大の努力を払って、ようやくこの程度にまとめた、総裁として、首相として遺憾だと、な態度が披瀝されるならば、まだそこにもありますが、こんな内容で、答申を最も忠実に尊重した、小骨一本も抜かないなどと、白々しいことばを国会の場で述べるようでは、どう考えても三百代言的なものの言い方だとしかとれないのであります。このことばを聞き、この態度を見たときに、国民は、政治家の言うことは信用できないという気持ちになるのは当然であります。政治家という名のもとに、われわれもとんだ迷惑を受けているのであります。そこで、総理にお尋ねいたしますが、これで最も忠実に答申を尊重したというのは、いまのような御説明では納得ができません。どういうわけで最も忠実に尊重したというのか、具体的にひとつわかるように説明をしていただきたいのであります。また、衆議院会議で、原案に必ずしもこだわりませんと言われておりますが、答申を忠実に尊重するという意味で、答申に近い案に修正されることは歓迎するところであり、拒むものではないという態度であるのかどうか、お聞きをしたいのであります。  最後にお尋ねいたしたいのは、政治資金報告の問題であります。  この法律は、寄付制限を最も重要な事柄として、罰則もきめておりますが、その制限が守られているかどうかということは調査をしなければわかりません。特に個人に対しては五十万をこえて政治献金することを禁止していますが、もらった者が届け出の義務はないのでありますから、これまた、これを守っているかどうか、よほど厳密な調査が必要なのであります。届け出第一主義の机上の点検ではどうにも発見する方法は見当たりません。罰則がついて禁止されている事柄であって、単なる訓示規定ではないのでありますから、自治大臣が答えているように、悪知恵を働かすことは前提としていない、行なわれると考える脱法行為について一つ一つ穴をふさぐのはこの法律の性格ではないと申しているのでありますが、罰則をつけて禁止していることが容易に脱法行為が行なわれ、これを防ぐ方法がないなどという法律は、法律として不適当、不備だと思うのでありますが、法務大臣の見解をお聞きしたいのであります。  立ち入り調査を認めることは、本来自由であるべき政治活動に警察権の介入する危険もあり、本来避くべきことだとわれわれも考えておるのでありますけれども、世論がこれを支持しているのは、政党政治家の現状にその原因があるのであって、むしろ、政党人の反省すべきところであります。したがって、ざる法と言われた従来の方法を改めて、この法律が正しく守られるという信頼を国民から与えられるものにしなくてはなりません。そこで自治大臣伺いますが、学識経験者による第三者の調査のための機関を設けることが必要ではないかと思うのでありますが、どうお考えになりますか。また、選挙管理委員会に事務局を置いて常勤の委員を置くなど、委員会を充実させるとともに、政治資金規正法の補則第三十一条を修正して、「報告又は資料の提出を求めることができる。」という規定に、「かつ、必要な調査をすることができる。」とこれに加えても、その目的を達することができると思うのでありますが、この具体的な提案について、自治大臣のお考えをお聞きしたいのであります。また、大臣が具体的な案を持っておるというならば、お聞かせをいただきたいのであります。また、大蔵大臣に対しては、選挙管理委員会の充実のため、どんな財政的な用意を考えているのか、お聞きをいたしたいのであります。  なお、御承知のように、先ごろ行なわれました衆議院選挙、統一選挙で、二十五都道府県の中の県市町村で、公費から多額の陣中見舞いが候補者に贈られたことが明らかになりました。国または地方公共団体と特別の関係のある会社個人にする寄付について、罰則をつけて制限をしておりますのに、地方公共団体が公金を出して寄付する行為を野放しにしていることは、法の公平という立場から、公金であるという性格からも、放置すべきことではないと存じます。法的な規制を行なうべきものだと思うが、これについて今後どうする考えなのか、法務、自治両大臣にお伺いをいたします。  以上で、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松永君にお答えいたします。  今回、この政治資金規正法案を提案いたしましたが、その答申を出しました選挙制度審議会、これが特にこの資金規正を先に答申いたしましたことは、ただいま御指摘のような環境下においてなされたもので、これは私も同じように認めます。また、この法律が画期的な考え方のものであること、これは松永君も御承知のことだと思います。したがいまして、私は、こういうような画期的な、しかも重要法案、この提案がただいま御指摘になりましたように、二カ月もおくれた、たいへん時間をむだにしておるようでございますが、法案が持つ意義等からいたしまして、これはやむを得なかったと思うのであります。で、私は答申趣旨を尊重いたしまして法案をつくり、そうして国会に提案いたしたのであります。先ほど塩見君にお答えいたしましたように、この国会において法案成立を期する私の所信には、今日も変わりのないことを、これをあらためて松永君にもお答えをいたします。そこで、こういうように、もう会期の余日も少ない、そういう際に、この重要法案成立の見通しはどうかというお尋ねであります。私も、たいへんその点について心配をいたしておりますが、私の所信に変わりがないのでございますので、各党におかれましてもぜひ御協力願いたい。先ほど、塩見君にお答えしたとおりでございます。  第二の問題といたしまして——あるいはお尋ねに対しては前後するかわかりませんが、まず第一に、この答申を尊重したと、かように申しますのは、御承知のように、答申のうちの最も画期的な考え方というものは、この資金に対する限度、この制限額、これと、それからまた、特定会社についての制限、さらにまた、政党中心資金の拠出を願う、そういう点、この三つが特に私は重要な点であったと思います。との三点については、御承知のとおり、ほとんど文字どおり答申をそのまま法文化したような次第でございますので、私がしばしば申し上げますように、答申を尊重しているというのはこういう具体的な事例でございます。また、その他、罰則あるいは税の措置等について、答申どおりではございませんけれども、そういうものについても、やはり答申自身がねらっておるその趣旨を十分尊重したつもりでございます。それらは、先ほど自治大臣がお答えしたとおりであります。  また、やはり五年後、個人献金並びに党費によってまかなえという、こういうのが一つの理想の形であるが、私どもは、この答申がいわゆる五年後というのは一つの努力目標の期限のように解釈しております。したがいまして、このたび限時的な立法をしなかったのは、そういう考え方であります。また私は、党の近代化組織化、これは政党政治、また政治に対する国民の信頼を高める上からも、ぜひしなければならないことだ、かように考えておりますので、この五年後云々というのには、ただいまのように、努力目標ではありますが、積極的な近代化組織化を党としては当然はかるべきである、かように考えております。  また、この修正についてのお尋ねであります。私は、先ほど来申し上げておりますように、政党政治のためのりっぱな法律をつくりたい、かように申しております。私は、皆さん方の知恵をその意味でお借りしたいと思っております。ただいま国会審議にかかっておるのでございますので、私は、どういうような方向が望ましい、かように期待をする、その程度法律ではなくて、これは国民全体、衆参両院の皆さん方によって、よりりっぱなものをつくっていただきたいと、かように思いますので、私が答申の線に近いものに修正をしてくださいと、かように申し上げることは差し控えさしていただきます。  その他の点については、自治大臣からお答えさせます。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  14. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 法案成立につきまして自信を持っているかということでございます。国会の御審議につきまして政府側がいろいろ申し上げることはいかがかと思いますが、私といたしましては、審議促進のためにあらゆる便宜を供与いたしまして、そうして至急に成立できまするようにお願いをいたしておるような次第でございます。  政党が、広範な国民大衆に支持され、また、広範な国民大衆の財政的な支援によりましてやっていけるようになるということは、これは理想の姿であろうと思います。しかし、こういうことは、あげて政党そのものが努力をさるべきものでございまして、法的にそれを規制するのはいかがかと存じておるような次第でございます。  施行期日につきましては、先ほども塩見さんにお答え申し上げましたように、こうした国民全般関係するものでございますので、これが周知徹底をはかり、また、選挙管理委員会準備をいたしますには相当の時間がかかると思います。ことに、国会が延長されましたような今日の情勢におきましては、その成立の時期いかん、さらにそれからの準備期間というものを考えますると、これを期日を切ることは周知徹底に事を欠くようなことがあるのではないかとして、政令にゆだねたわけでございますが、準備のつき次第、至急に施行したいと考えておる次第でございます。  報告について調査機関を設けてはどうかという御意見はごもっともと存ずるわけでございますが、大体、寄付制限等につきまして、会社が受けている制限、これは会社の業績等は普通公表をされておりますので、届け出を見れば、寄付制限に反するかどうかということは見当がつくわけであります。しかも、行政権が、本来自由であるべき政治活動に介入するということはいかがか。あくまで国民並びに政党及び政治家の良識にまってこうした問題は処理していくべきものと考えておる次第でございます。  選挙管理委員会は、おそらく、今回の法律成立いたしますと、相当仕事の量も多くなります。したがいまして、選挙管理委員会の充実についての財政的な処置を今後考えてまいらなければならぬと思います。  市町村等が公金によって政治献金をするということは、もうこれは法律以前の、あり得べからざることでございます。新聞等に発表せられた中にも、なるほど公職の市町村長という名前で出ておりますが、市町村長のポケットマネーから出たのも相当多いように調査の結果はなっております。しかし、いずれにしても、市町村の公金が政治献金されるというようなことは、あり得べからざることでございまして、法的規制というよりも、市町村等地方自治体の指導によりまして、このようなことの今後絶対ないようにつとめてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男登壇拍手
  15. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政党への寄付金公共寄付に準じて扱うことにいたしました理由は、先ほど申し述べたとおりでございます。  政治個人に対する税の扱いについてお尋ねがございましたが、御承知のように、政治家の所得源は、ひとり歳費だけではございませんで、相当多様でございます。したがって、その所得を得るための費用の範囲、いわゆる必要経費の範囲をきめることもむずかしい問題でございますし、また、雑所得のある方とない方を区別して取り扱うことも問題でございますので、政治家の所得を課税上どう取り扱ったらいいかということを、ついせんだっての税制調査会に諮問をいたしまして、これを勉強していただくことになっておりますので、この結論を得てから、合理的な措置をとりたいと存じます。  それから選挙管理委員会の経費についてのお尋ねがございましたが、ただいまは地方交付税法上の財源措置がなされておるところでございます。昭和四十二年度について申しますと、人口百七十万人の標準団体の県については七百五十万円、人口十万人の標準団体の市については四百二十万円というふうに、地方交付税法上の財源措置がなされておりますが、もし今回の改正によってこの経費が増加するということでございましたら、やはり地方交付税法上の財源措置をさらに強化するという方法によるのが妥当ではないかというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇拍手
  16. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この寄付額の制限をしておいても、脱法行為は自由に行なえるじゃないか、これをどうする考えかという御意見でございます。これはお説のとおりに、脱法行為はぐんぐん行なえる。それは、政党に対して一億円の献金をしておきながら、献金の中身は二千万円であると届け出を行なう、八千万円は脱法であります。個人候補者が百万円の献金を受けておきながら、五十万円しか献金を受けていないと届け出をした。五十万円の残額は脱法である。そういうことは自由に、この法律をつくりましても起こり得る、かってなことができる。そういう余地がお説のとおりあるわけでございます。そこで、私の見解といたしましては、軽いものでよいから罰則をつけてくれ、罰則なき訓示規定というものでは、規制の役に立たない。非常に極端なことを申し上げて恐縮でありますが、罰則は、先ほど申し上げましたように、五千円以上五万円以下という罰則が、この総額制限、個別額の制限違反にはついているわけでございます。これは罰金の刑罰でありますけれども、罰金は最高限が五万円となっております。二万五千円以上の最高限であります場合においては、たいへん極端なことを申し上げて恐縮でありますが、悪質なりと認める場合においては——届け出を拝見し、悪質なるものがあるというふうに認めました場合においては、罰金刑の処断であるけれども、逮捕もできる。二万五千円以上の最高限でありますから、これは逮捕もできる。厳格な取り調べをすることが可能であるがごとくに罰則をつけているのでございます。そういうことでありますから、届け出を行なう義務を負わしております以上は、その届け出中心として調査をすることが可能でございますから、これは御心配が要らないと見るのであります。  それからもう一つ、市町村の寄付金ということが先般新聞にも出まして、私も驚いたのであります。驚いたのでありますが、これは二つに分けて考える必要があるのではなかろうか。一つは、何々市長何の何がしという名称で届け出が行なわれておりますようなことがある場合でも、それは市長個人の会計から寄付をしたものなりや、あるいは公金を財源として寄付をしたものなりやということは明白にする必要がある。届け出自体が、常識がありますならば、個人からもらったものであれば個人の名前でいくべきものである。公金である場合においては、肩書きがついているということは常識でございましょう。しかしながら、一体公金を寄付するなどということは、市町村のみならず、国の場合でも、あるいは三公社五現業のごとき政府関係機関の場合におきましても、さようなことがあろうはずがない。政党個人寄付をするという、そういう支出を予算の執行として行なえる余地があるはずがない。これは当然にさようなことはやるべきでないという、当然のことであるという意味において、このたびの改正案の中には、国、国家機関、地方公共団体等よりの寄付の禁止は、明文をもっては行なってはいないのであります。当然のこととしてこれは考えなければならぬところであると存じます。(拍手)     —————————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 矢追秀彦君。    〔矢追秀彦君登壇拍手
  18. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま提出されました政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたすものであります。  昨年秋以来、「黒い霧」と言われた政界不祥事件が相次いで国民大衆の前に明らかにされ、国民政治不信の声はちまたに満ち満ちたのであります。そして、この政界を浄化する道は、政治資金規正をきびしくして、金のかからない選挙、不正な金によって政治が動かされることをなくしていく以外にないとの世論が起こり、政治資金規正法改正は、国民大衆のひとしく願望するところとなったのであります。これに対し総理は、「政治資金規正法改正国民の至上命令だと思う」また、「政界の積年の病弊を根絶するために積極的かつ具体的措置を講ずることが私の義務である」として、「選挙制度審議会の結論を得次第、世論の動向をよく見きわめ、勇断をもって取り組む所存」と、政治資金規正強化の方向をはっきりと言明されたのであります。  しかるに、今回提出されました政府案は、政党はできるだけすみやかに近代化組織化をはかり、五年を目途として個人献金党費によりその運営を行なうという選挙制度審議会答申から大きく後退したことに対し、政界浄化を願う国民一人一人は、大きな失望の念を抱いたのであります。しかも、その上、今国会における政治資金規正法改正に対する政府の熱意のなさは、全くあきれるばかりであります。答申を十分尊重せず、自治省案さえもさらに骨抜きにしたあげく、いままで衆議院において行なわれてきた審議の状況に至っては、全く政府・自民党に成立を期する熱意は見られないではありませんか。そして、会期末も迫った今日においては、もはや廃案の声すら聞かれるようになり、これでは、政界浄化を願う国民大衆にとっては、唯一の望みが断ち切られることになり、日本政界は依然として黒い霧におおわれた状態が続くこととなり、遺憾にたえない次第であります。  わが公明党は、過去数回にわたり、このような国民の声を代弁して「政治資金個人献金のみに限り、会社団体からの献金は一切禁止する」という独自の改正案を提出してまいりました。さらに、わが党はこれを実行し、今日まで金のかからない公明選挙政界浄化への粘り強い活動をしてまいったのであります。したがってわが党は、今回の改正案は不満な点は多々ありますが、現行法よりわずかではあるが一歩前進であるとして、今国会におけるこの成立に賛意を表明してまいったのであります。この観点に立って、私は、以下若干の質問を試みようとするものであります。  質問の第一は、今国会において同法案成立させる意思があるかどうかであります。総理は、衆議院会議において、「成立を期さないような法律案を、皆さま方のごやっかいと申しますか、お手をわずらわすような考えはございません。成立を期すればこそ提案したのでございます。」と述べられておりますが、さきにも述べましたごとく、今国会におけるいままでの衆議院審議における政府・自民党の態度は、全く国民大衆を愚弄するもはなはだしいものがあります。すなわち、国民の間で反対の強い防衛二法案においては、議会民主主義を冒涜する強行採決をあえて行ない、国会を空転させる原因をつくり、国民大衆が心から願っている本改正案については、自民党は政府案をよしとせず、だらだらと審議を引き延ばし、そのあげくの果ては、廃案の声さえ今日においては聞かれ、総理は、「廃案は困る」と言われたそうでありますが、このような奇妙な現象は、一体どういうことでありましょうか。政府・自民党への不信感は、いまさら言うまでもありませんが、これでは、ますます政治不信の念は強まるばかりであります。総理は、一体この改正案を成立させる気があるのかどうか。あと残されたわずかな日程ではありますが、他の法案に優先して、この法律案成立をすべく努力をされる決意があるのかどうか。ただいまの御答弁でも決意を披瀝なさいましたが、有言実行を旨とされる総理に、ほんとうに成立の決意があるならば、具体的なスケジュールを、しかと承りたいのであります。  質問の第二は、答申には、「選挙区への全面的な寄付禁止」とあるのを、一定期間以外は、政治教育や政策普及などのための集会に関し、実費の補償として行なうものは差しつかえないとしたのは、広義に解釈すれば、幾らでも抜け道ができ、かえって金がかかる結果を招き、買収、供応などの選挙が、依然として行なわれるおそれがありますが、総理並びに自治大臣はいかにお考えか、お答え願いたい。  質問の第三は、法人寄付に対する税制上の破格の優遇措置は、寄付個人に限るという理想に対し、その方向づけをしたという答申の精神を、大きく踏みにじったものと考えますが、このような措置を設けられたことについて、大蔵大臣所信伺いたい。  答申は、法人寄付に対する税制上の優遇措置については、全く触れていなかったのであります。しかも大蔵大臣は、当初、委員会等において、「当面は、子弟の教育費に対する免税措置もとられていない現在、法人寄付の減税などはできない」と、みずから強調していながら、どうして急に豹変し、三年という期限つきとはいうものの、税制上の優遇措置について大幅に譲歩しなければならなかったのか。重税に苦しむ国民は、納得できないところであります。この点について、明確にお答え願いたい。  質問の第四は、罰則規定についてであります。  政界の腐敗堕落の一因は、違法行為に対する罰則のなまぬるさにあるといわれております。今回の罰則規定についても、きわめて弱体であります。さらに、監査機関の設置についても、うたわれておらず、結局は違反の事実を確認し、それをきびしく罰していくという処置はとれなくなり、軽い罰則覚悟の多くの違反者が出ることが予想されるのであります。この際、英国のように、思い切った罰則規定を設けるべきであると考えますが、政府は、この骨抜きの罰則規定をもって、いかなる方法で違反を取り締まっていかれるのか、法務大臣にお伺いしたいのであります。  最後に、政府・自民党が今国会においてこの法案成立させない意図は、金のかからない選挙という美名のもとに、一党独裁・ファッショ化への鋭いきばを隠した、小選挙区制実現へのあくなき野望があることを、強く感ぜずにはおられないのであります。施行日を政令に委任したことも非常識きわまることであり、ここにも小選挙区制とをかみ合わせる気配があると断ぜざるを得ないのであります。  政治資金規正を骨抜きにし、さらに廃案に持ち込み、そして小選挙区制を実現させるということは、全く民主政治を踏みにじる政府自民党の暴挙であり、国民の願う議会民主政治確立への道を完全に踏みにじるものであります。総理は、この選挙区制、選挙運動政治資金の問題をワンセットとして考えるという誤った説に賛成されているようでありますが、民主政治を踏みにじる小選挙区制との両輪論について、総理はいかにお考えであるか、はっきりとしたお答えを要求いたしまして、私の質問を終える次第であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  第一は、いままで二人の質問者と同じお尋ねでございまして、本法案成立についての私の所信でございますが、松永君や塩見君にお答えいたしましたように、私の考え方、この法案成立を期するこの所信には、今日も変わりはございません。かように御了承賜わりたいと思います。もちろん、もうすでに期日が差し迫っておりますので、たいへん皆さん方に御勉強いただかなければ成立が期せられないのじゃないか、かように思っておりますので、この上とも御協力のほどをお願いいたします。  また、この法律施行期日を政令にゆだねたという、この点は私が申し上げるまでもなく、新しい重要法案でございますし、また、いままでの考え方と全然変わっておりますから、そういう意味で、国民周知徹底さすためには、必要な期日、適当な時期を政令によって定めるということにいたしたのであります。  最後に、小選挙区制その他一連とワンセットにして、ものを考えておるのじゃないかというお尋ねでございますが、選挙制度審議会が特にこの政治資金規正についての答申も急いで、他と切り離してこれを答申いたしました。そのことに意義があるのでございますから、私は、あえてワンセットというような考え方はございません。しかし、おそらく選挙制度審議会といたしましては、時節柄緊急に処置すべきものがこの政治資金規正であると、こういう考え方で第一回の答申をした。しかし、引き続いて、次の選挙制度その他についても当然答申をされるものだと実は考えております。また、政府自身がそれらの点について、金のかからない選挙制度はどうしたらいいかと、ただいま諮問しておる際でございます。私は、この諮問しておるこの際に、政府の考え方を御披露することはいかがかと思いますので、これは遠慮させていただきたいと思います。  私は、今回の答申におきましても、この答申並びに意見は尊重しなければならないという、設置法の第三条を忠実に守るという考え方でございますし、今後どういうような答申をされますか、その答申を待った上で、十分それを尊重していくという政府の態度、これを守りたい、かように思っております。  その他の点につきましては、担当大臣からお答えいたします。    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  20. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの松永さんの御質問に対する答弁漏れがありましたようでございますので、それを申し上げておきます。  この法律案施行期日につきまして、参議院の通常選挙を考えているのか。——全然そういうことは考えないのでございまして、先ほど来申し上げたように、準備の整い次第施行いたしたいと考えております。また、施行期日について、国会が修正したらどうだというお話でございました。これは国会の御審議のことでございまして、私はただいまの案でよろしいと思っておりますが、よりよき修正案がありますならば、あえて原案に固執するものではございません。     —————————————  それから、選挙区への寄付禁止の問題でございます。選挙区への寄付というものは、結局、終局的には選挙の結果を目当てにするものと考えますので、従来は、選挙に関してだけ寄付禁止がありましたものを、一年じゅう寄付は禁止することにいたしたわけでございます。ただ、政治家としましては、自分の政策、主義主張というものを選挙民に徹底するということは、やはり政治家としての一つの使命だと存じます。そういう意味で、純粋な政治教育のための講習会等について、実費を弁償することはやむを得ないとしたのでございまして、これは審議会の御議論の中におきましても、社交上のものは除外してもいいんではないかという御議論がありましたが、社交上というのが、また、たいへんむずかしいことでございますので、純粋に政治教育に限った次第でございます。しかし、この種のものといえども、選挙に関しては、なお弊害がございますので、任期の満了前六カ月以内におきましては、この種の寄付と申しますか、実費弁償も禁止したような次第でございます。  なお、罰則につきまして、調査機関を設けたらどうだということにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、元来、こうした政治資金規正というようなものは、国民並びに政党及び政治家の良識にまつべきものでございます。また、会社の業績などは、すべて公表されておりますので、届け出によりまして、それが違反しておるかどうかということは大体把握できまするので、行政権が、本来自由であるべき政治活動に介入することを避けたような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男登壇拍手
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 答申の意図しておるところは、御承知のように、今後政党資金党費個人寄付でまかなわるべきものだということを特に強調しておりますが、その他必要な合理化というのは、いまの法人寄付を否定はしない、したがって、そこからいろいろな合理化措置を考えるという趣旨であろうと思います。そこで、私どもは、そういう答申趣旨でございますので、個人寄付についての優遇は、時限立法にいたしませんでした。法人のほうは、いままで多額な寄付をしておった一部の法人を除いて、大部分の法人は、もし政党寄付をするということになりますと、このいまの制限内でも、いままでの公共寄付のワクを圧迫するということが思われますので、特にそういう措置をとりましたが、これはやはり三年ぐらいの経験によって一ぺん見直して、次の措置を考えるべきだということで、このほうは三年間の時限立法ということにした次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇拍手
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 罰則が軽過ぎるではないかというおことばでございます。先ほども申し上げましたとおり、本来、この寄付なるものは、その寄付の財源を持っておる所有者の処分は自由であるべきものである、それは、憲法の所有権の規定内容から申しまして、当然のことで、だれにどんな寄付をしようということは、本人の自由である、処分は自由でなければ、憲法の所有権の保障は意味をなさぬ、そういうことから申しますというと、一体、この政治資金規正法によって寄付を禁ずるということは、一定の限界があるものだと言わなければならぬわけであります。  それからもう一つ重要な事柄は、このたびの政治資金規正法における、ものの考え方は、寄付を禁じていない、寄付はどんどんやってよろしい、しかし、一人の人間、一カ所の会社、そういうところから多額の寄付をいただくということが、政界を明朗化しない理由になる、そういうことでありますから、寄付はよろしいが、寄付金額制限するということが、この法律のねらいでございます。  こういう二つの点から顧慮いたしますというと、罰則は厳に過ぎることがあってはならぬ、こういう考え方が基本方針でございます。そういう点から、先ほど申し上げますように、一千万、二千万の総額制限、五十万の個別額の制限、この制限に関する違反については、五千円以上五万円以下の罰金をもって処する、こういう処置になっておりますし、それから、さらに必要性の高いものにつきましては、特定会社あるいは外国人から政治寄付を受ける、匿名で政治寄付を受けるというような三つの点につきましては、非常に重いのでありますけれども、二年以下の禁錮、三千円以上五万円以下の罰金ということで処する道を明らかにしておるわけであります。  そういうことでありますので、この程度は行き過ぎておるのか、行き過ぎていないのかということなのでありますが、それは何を基準に考えるかといえば、先般本会議場においても申し上げましたとおり、類似の法律と比較をするということ以外に、法制的には、行き過ぎておるかおらぬかを考える基準はない。その類似の法律とは、現行の政治資金規正法、現行の公職選挙法というものの罰則規定を基準にして見る以外にございません。この二つの基準を総合いたしましてこの改正案と並べてみるならば、この改正案の内容として持っております罰則内容は、決して重すぎるものではないが、決して軽すぎるものではない、当を得ておるものである、と信じておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 片山武夫君。    〔片山武夫君登壇拍手
  24. 片山武夫

    ○片山武夫君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました法律案について質問をいたします。  いままで衆議院あるいは当本会議におきましていろいろ質問がされておりまして、重複している点が幾つかあるかと存じますけれども、少し変わった角度から御質問を申し上げたいと思いますので、御迷惑とは思いますが、ひとつ十分に御答弁をお願いしたいと思うのであります。  この案は、四月七日、選挙制度審議会より答申を受けましてから改正案が国会提出されたのは六月の二十二日であります。佐藤総理は、当初、国民の要望を率直に受けとめて、しばしば、答申を尊重して——小骨大骨論が出ておりますが、小骨一本も抜かないのだ、こう言明されておったのでありますが、それにもかかわらず、党内事情にいろいろ左右されて、大幅に後退したものが提案されておると考えるのであります。いま、国民の大多数が失望をしております。その最大のものは、佐藤総理御自身が自由民主党の総裁でありながら、党内においてすら、その指導性を発揮されなかったことであります。その結果は、衆議院に提案されて以来今日までの審議をめぐりまして、自民党の態度は、この法案すら成立させる意思がないのではないかと疑わざるを得ない状態であります。総理は、この間、党内のいろいろ反対する人たち——聞くところによれば、政治資金規正法強化反対懇談会、こういうものがあるといわれておりますが、これらの人たちに対してどのような措置をとられてまいりましたか。あるいはまた、総理としては非常に言いにくいことだろうと存じますけれども、国民はみな知りたがっておると思います。どうか、この法案成立のために、さらにまた与党内部の意思統一のために、いかなる努力をされるか、その経過と現在の総理の決意を、まずお伺いいたしたいわけであります。  第二の質問は、今回提出された改正案によりますと、政治献金を行なう場合、一定の率、一定の金額、この範囲内におきまして、個人に対しては所得税の特別措置、これが認められ、また会社団体等に対しましては損金算入の特例が適用されることとなっております。このような税法上の優遇措置、これはいまだかつて聞いたことがありません。政治資金規正法の本家、アメリカのいわゆる腐敗行為防止法にもないものであります。今回提出されました改正案は、従来の悪い習慣を規制するたてまえで立案されたものであり、このような特例は、政治資金規正というよりは、むしろ政治献金をしやすくする結果になると私考えるのでありますが、総理はどのように解釈されるか、お尋ねしたいわけであります。いかに総理大臣、頭脳明晰な方であっても、これで政治献金がやりにくくなるのだ、規正するんだとはお考えにならないわけでありますが、ごく簡単に一言御答弁をお願いしたいと思うのであります。  続いて自治大臣にお伺いしたいと存じます。選挙制度議会答申の中には、法人に対する優遇措置はなかったのでありますけれども、これはやはり会社法人からの寄付が少なくなっては困る、かように考えて、この優遇措置を追加されたと思うのでありますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。  さらに、これと対象的な点は、寄付のあっせんに対する規正として、特に賃金からの天引きを禁止している点であります。これは従来の慣行を無視するものであり、明らかに労働組合などの政治献金を抑制するものであり、一方的な規正ではないかと考えます。答申趣旨と関連をいたしまして、おかりやすくひとつ説明をわずらわしたいのであります。  最後に、去る六月二十二日の衆議院会議におきましても、わが党の小澤議員の質問に対して、総理は、りっぱな法律をつくるためには原案にこだわらない、皆さんの御協力をお願いしたい。今日もそのような趣旨を述べておられるわけでありますけれども、わが党は、政府並びに自民党によって骨抜きにされましたこの本改正案を、答申案どおりに復活させるために修正案を用意しておるわけでありますが、この際、佐藤総理は与党の総裁として、また総理大臣として、原案にこだわらないとお答えになった精神、これは当然、自民党の修正を受け入れるということではないと考えるわけであります。したがって、私はわれわれの修正案に応じて、国民の期待にこたえるりっぱな法律成立させる熱意と、いわゆる指導力を総理は発揮させて、これを会期残すところわずかでありますけれども、重ねて総理の決意のほどをお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほどもお尋ねがありまして、社会党の方にお答えしたわけでありますが、答申を得てから提案するまで時日のかかりましたこと、まことに残念であります。しかし、何分にも重要法案であり、画期的な考え方の法律でありますので、私これを提案するまでの準備に二カ月を要した、まことに残念に思っております。  また、党内の問題について、私の指導力その他についていろいろ御心配をいただいておるようでございますが、たいへんありがとうございます。しかし、事は自民党のことでございますから、ただいま問題になっておるのは国会審議でございます。一党のことは一党の総裁また党員にまかしていただきたい、かように思います。したがいまして、お尋ねがございましたが、私は、それらの点についてお答えはいたしません。  また、第二の問題で、税法上の優遇措置、これについていろいろの御意見を交えてのお話でございます。私は国民政党と、もっと直結されることが望ましいことである、かように思います。そうして政治活動が公明正大に行なわれること、資金の援助もまた公明公正でなければならない、かように私思っておるのであります。そういう意味では、時期的に、あるいは税法上の優遇措置をとりましても別に差しつかえのないものだ、いな、むしろ国民政治に対する関心を深めるものだ、かような私は積極的な意味すら実は感ずるものでございます。  また、第三の問題について、この法案取り扱い方についてのお話でございます。これはもう、先ほどもお答えいたしましたように、私の最初の考え方に、ただいまもなお初心に変化はございません。また、私は、政党のためにりっぱな政治資金規正、これをひとつ考えたい、かように考えておりますので、この答申案にもこだわりませんし、また、自民党だけの考え方にもこだわるものではございません。皆さん方の御協力を得まして、ぜひこの機会にりっぱなものをつくるようにしたい、かように思っております。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  26. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 法人の税制上の優遇措置につきましては、なるほど、御指摘のように、答申にはそのものは書いてございません。ただ、政治献金課税について合理化をはかれという意味におきまして、これを入れたわけでございます。その趣旨は、しばしば大蔵大臣からお答え申し上げたようでございますが、いずれにいたしましても、今回の答申並びに政府案は、特定のものが、分不相応の寄付をすることを禁止しようとするものでございまして、政党自体の受け取る金額総額規制しておるわけではございません。そういう意味におきましては、この法人の税制上の優遇というものも、政党というものの性格からいたしまして、適当ではないかと考えておる次第でございます。  それから、寄付のあっせん等の問題でございますが、大部分審議会において御承知のとおり、寄付のあっせんは認めるが、強制にならないようにすべしという答申が出ておるわけでございます。これに従ったわけでございまして、そうして賃金とか、加工賃とか、下請代金というようなものは、元来その受け取る方が、経済的に弱い方々の立場にあるわけでございますから、こういうものが相殺をするというようなことになりますと、どうしても強制にまぎらわしくなる、そういう意味におきましてあの条項を置いた次第でございます。(拍手)     —————————————
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表し、佐藤総理に対し若干質問いたします。  今日、政治資金規正の問題が大きく取り上げられているのは、これと正しく取り組むならば、汚職・腐敗政治の打破に役立ち、黒い霧一掃を願う国民の要望に大きくこたえるからであり、また、やる気になれば、すぐにでもできる問題であるからであります。このような効果ある政治資金規正とは、独占資本や資本家団体、一切の営利会社政治献金を全面的に禁止することであります。なぜならば、まさに財界の政治献金こそ汚職・腐敗の大きな原因だからであります。しかるに、選挙制度審議会答申は、この大原則を無視したものであり、政府案に至っては、この不十分な答申すらも骨抜きにした、全くのざる法であります。これでもなお、総理は、これが国民の要望にこたえる政治資金規正と言い張るのですか、国民が納得できる答弁を要求いたします。  第二に、この法案に対する与党自民党の態度は、何事でありますか。衆議院における委員審議では、自民党が次々と人を繰り出し、政府案に対し、事実上の反対質問を行なっているではありませんか。このようなことは、いまだかつて前例のないことであります。他方、総理もまた、「世論の動向もあることだから、廃案にすることだけは因る」、こう言っております。これは、佐藤内閣と自民党が、「黒い霧」に対する反省など一かけらもないことをあらためて暴露するものであり、また政治資金については、どんなにわずかなものであっても、それが独占資本や財界との結びつきを制限するものである限り、絶対に規制を認めないというものであります。まさに、財界からの巨額の政治献金と大買収選挙なくしては、自民党も、またその政府もあり得ないことをみずから証明するものと言わなければなりません。このような佐藤内閣と自民党の卑劣な態度について、国民は心から憤慨しております。これに対して総理は、いかなる責任を感じておられるのか、明確な答弁を求めます。  最後に、見のがすことのできない問題は、佐藤内閣と自民党が、あたかも政治資金規正に対する国民の要望にこたえるようなふりをして、実は政治資金規正の問題を小選挙区制強行のためのてこにしようとする陰謀であります。衆議院における与党発言は、いわゆる「車の両輪論」をあおり立て、佐藤総理自身これに賛意を表しているではありませんか。しかも、あなたは、本法案を継続審議にする意図だと伝えられております。これはその端的な証拠であります。わが党は、このような悪らつな佐藤内閣の陰謀を許すことはできません。わが党は、腐敗政治の打破に役立つ、真に効果的な政治資金規正を即時実現するよう要求するものであります。  佐藤総理は、わが党のこの要求について真剣に取り組む用意があるかどうか、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 須藤君にお答えいたします。  この法案取り扱い方についての私の考え方は、今日もなお変わりはございません。いままでの質問者にお答えしたとおりでございます。  そこで、政治資金規正そのことは、国民の良識によりまして公明かつ公正に行なわれることが望ましいことであります。私は、今日の政治、このもとにおきましては、政党、これはなければならないと思っております。政党が悪いことばかりするとか、かように考えるわけにはいきません。いまの民主政治のもとにおいては、政党が大柱であります。基盤であります。また、政治活動そのものも資金はもちろん要るのでございますが、これが節度ある集め方でなければならない、その使い方でなければならない、かように私は考えておるのでありまして、先ほど来お答えしたところで、その点はもう誤解はないと思います。  そこで、ただいまのお話でありますが、この審議をめぐりまして、いろいろ社会党もおしかりを受けているようであります。私は、自民党だけの責任では実はないと、かように思っておりますので、各政党とも、りっぱな政治資金規正、その方向をきめるという、そういうことで国会において御審議をいただいて、必ずしも原案にはこだわるつもりはございません。十分御意見を述べられて、そしてりっぱなものをつくっていただく。ただいまたいへん期日が少ないのでありますから、一そうの御勉強をお願いしておるような次第であります。  また、小選挙区制とこれを結びつけておるのではないか、継続審議などと言っているが、小選挙区制を考えているのじゃないか、こういうお話でございますが、これは先ほど公明党の方にもお答えしたのでございますが、この政治資金規正が特に一つ引き抜かれて国会審議をただいま要求しておる、また選挙制度審議会もさような答申をしたという、その意義を十分考えていかなければならない、かように思っております。ただいま小選挙区がどういうような扱いを受けますか、これらの点はただいま選挙制度審議会において審議中でございますので、私はこれらの点については私の意見は申し述べません。(拍手)     —————————————
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 市川房枝君。    〔市川房枝君登壇
  31. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、ただいま上程されている法律案に関連し、関係当局に対し六項目についてお伺いしたいと思います。  第一は、六月二十九日に自治省から、四十一年の政党及び政治団体収支報告が発表されました。各新聞とも時節柄大きく取り上げましたが、自民党が前年の倍近くの約六十億円に増加したのをはじめ、自民党の有力な各派閥の金額が多くなったこと、収入も番付を正直に届け出ているのが少なくなって、会費などとして逃げていること、支出も疑問の点が多く、料亭の名前を隠しているのが目立っていること等々、自粛のあとは全く見られず、きわめて不明朗だと申しております。これに対して総理の御感想と、それから、もし政府がお出しになっている現在の案が成立しましたら、こうした非難はなくなるとお考えかどうか、総理伺いたい。  第二は、このばく大な金がどこからどうして自民党やその有力な派閥に出ているのか。財界から出ていることを知らされて国民は全くびっくりしております。そうして、この金が政党政治団体政治家の間を動いている間にまっ黒い霧が生じた。とすれば、金を出した人たち——財界にも政治の腐敗、「黒い霧」の責任があるのではないかと国民は考えておりますが、それは間違っておりましょうか。国民によくわかるように、総理のお考えを伺いたい。  第三は、衆議院においてのこの案の審議の状況を拝見しますと、先ほどから皆さんのおっしゃいましたように、野党が積極的で、政府与党が消極的な印象を受けます。審議会答申そのものに私は不満でありまするが、その答申からさらに幾多の骨を抜き、さらに現行法よりも改悪しておきながら、先ほどから政府も与党の方も、いや骨を抜いてはいないとおっしゃっておりまするが、それはうそであります。その与党が国会において反対しておいでになるように見えるのは、何とも不可解でありまして、国民は戸惑っております。総理は、今国会成立させると、あれほど強い意思表示を両院でなされましたし、先ほどからもそれをおっしゃっております。私は、総理は真実のお気持ちをおっしゃっていると認めるのでありまするが、それがどうも総理のお考えのようにいかないような様子であることは、むしろ御同情を申し上げたいくらいでございますが、とにかく国民は、どういうわけだかその辺の理解に苦しんでおります。その点を伺いたい。  第四は、本案の規定のように法人寄付の最高を二千万円に制限し、これが励行されれば、銀行、会社等寄付限度額には相当の余裕ができるはずだと思います。それなのに、三年間を限って政治献金金額を非課税とされた理由を大蔵大臣から伺いたい。なお、法人寄付限度額の推定総額、その中での政治献金に回されている推定総額、いままで課税対象となっていない政治献金総額、今度の改正による税の減少見込み額、それを伺いたい。  第五は、政治個人が受け取った政治献金は雑収入として、政治活動費を差し引いた残額を課税対象とする。もし不足の場合は、総合所得から差し引き税金を還付するというのは事実でありますか。その件数、還付した金額伺いたい。また、政治献金の収入のない一部の議員が政治活動費を総合所得から差し引き、税金の還付を受けた事実の有無、その件数、金額伺いたい。政治献金をもらっている人といない人との間の不公平、及び一般国民との差別扱いを蔵相はどういうふうにお考えになっておりますか。  第六は、永久選挙人名簿の調製は、今度は三月、六月、九月、十一月の四回になっておりますが、それでも最高約三十五万人の新有権者の新たに得た基本的人権である選挙権を行使できない場合が生じると思います。これに対しての救済方法を自治当局は考えておいでになられますかどうか。今国会審議中の住民基本台帳を利用すれば相当程度まで救済できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。お伺いしたいと思います。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 市川君にお答えいたします。  この四十一年の——最近の政党に対する献金収支報告、これはただいま御指摘のとおりでございます。今日ただいま行なわれております現行法では、いわゆる政治資金の公開の原則、こういうものを実はとっておりまして、公表することによって国民批判を仰ぎ、今後の政治活動の公明公正を期する、これが実はねらいでございます。この方法で大体目的を達するかと思ったら、必ずしもそうでないというので、今日政治資金規正法が出ておるわけであります。選挙制度審議会も、そういう意味で、どうも不十分だから、もっとりっぱなものをつくろうじゃないかというので答申を得たのでございます。したがいまして、皆さん方に提案しておるのは、さような状態のもとで原案をつくったということでありますから、御了承いただきたいと思います。  また、この成立について、先ほど来、たびたび私の所信に変わりがないかということで申し上げましたが、今後国会におきましても積極的に、さような意味で、この機会にりっぱな政治資金規正法をつくるという、その意気込みで御協力を得たいと思います。  私は、今回のこの事件を通じまして、政党が信用をなくしたり、政治家が国民的な批判を受けて、一切の信任を得ない、こういうような事態になりますと、これはたいへんなことだと実は心配しておるのであります。そういう意味で、民主政治のもとにおいて、政党民主政治の基盤である、国民政治に対する信頼を高める、こういう意味においても節度のある政治資金の使い方、これは最も望まなければならないと思うし、そういう意味で、その政治活動が今後公明正大に行われる、その場合の必要な資金、これは国民の各界各層からの協力を得てしかるべきものだ、かように思っておりますが、その出し方等については、選挙制度審議会答申をどこまでも尊重してまいる、こういうことでありたいと思っております。  この国会審議についての各委員の方の審議ぶり等について、御批判があるようでございますが、このことは、私がお答えするよりも、皆さま方のほうで十分お話を願いたいと思います。各委員会は、国会におきましてその独自の考え方で、それぞれ進められておると思いますので、その審議に万全を期してもらいたいと思います。  最後に、いまのようなお話をいたしますと、結局政党民主政治の基盤である、したがって、今後資金を集めるにしても、政党中心でありたい、かように思います。この政党中心ということについて、もっと理解をしていただかなければならないと思いますが、いわゆる選挙におきましても、個人もさることでありますが、政党本位政治活動が今後最も望ましい。これは市川君が特別な立場におられることを無視するという意味ではございませんが、私は、政党というものがやはり今後の民主政治のあり方では政治活動中心になるべきものだと、かように思うのでありまして、そういう意味で、この資金もやはり政党中心に集まる、そういうことを援助し得る国民の支持がそこに固まると、こういう方向で物事が考えられてしかるべきではないか、かように思います。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男登壇拍手
  33. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) お答えいたします。  昨年度の統計がまだできておりませんので、昭和四十年度で申しますと、法人が支出した寄付金総額は三百億円、このうち指定寄付金は九十六億円、試験研究法人への寄付金が十八億円、その他百八十六億円でございますが、このうちで政治献金が幾らなされておるかは明確ではございません。  また、今回の寄付に対する税制上の特例措置によって政治献金がどの程度増減するかということでございましたが、個人政党寄付する慣習はいまついておりませんので、今度の税制によって相当政党への寄付ということの要因になるんじゃないかと思います。したがって、個人政党への寄付金はある程度ふえるというふうに見ていますが、法人政治献金は非常に制限がきびしゅうございますので、献金金額は非常に私どもは減少すると見ております。したがって、税収において、この措置をとったために税収が減るということは、いまのところないというふうに思っています。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介登壇拍手
  34. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 永久選挙人名簿の発足当時は、年二回が選挙管理委員会の能力の限界でございました。しかし、本年一月行なわれました総選挙におきまして、いろいろな問題が出ましたので、その後、選挙管理委員会等意見も聞きまして、今回四回に改正をいたしたわけでございますが、四回にいたしましても、なお御指摘のような場合は最悪の場合には起ころうと思います。いま御審議中の住民基本台帳制度が数年後に発足いたしますが、発足をいたしますならば、これはもう基本台帳に載ったものを職権で選挙人名簿に載せるわけでございますから、新有権者が選挙権を行使できないというようなそういう事態はなくなるわけでございます。(拍手
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長仲原善一君。    〔仲原善一君登壇拍手
  37. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいま議題となりました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における交通事故の激増に対処し、人命救護の徹底を期するために、救急業務を行なっていない市町村の区域で、特に交通事故の多発している高速自動車国道及び一般国道について都道府県が救急業務を行なうものとし、また、液化石油ガス等による災害を予防するため、これらの物資を貯蔵しまたは取り扱う者は消防長または消防署長に届け出させること等をおもな内容とするものであります。  委員会におきましては、救急業務の整備、液化石油ガスの保安の確保等について熱心に審査いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、採決をいたしました結果、本案は原案のとおり全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、都道府県の行なう救急業務の実施については、やむを得ない場合に限ること、市町村の救急業務の充実をはかること、及びプロパン等液化石油ガスの保安の確保をはかること等について、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  38. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  40. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、中小企業振興事業団法(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長鹿島俊雄君。    〔鹿島俊雄君登壇拍手
  41. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 ただいま議題となりました中小企業振興事業団法案について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法案は、現行の「特別会計」による「中小企業高度化資金貸し付け制度」と日本中小企業指導センターにかえて、新たに事業団を設立し、工場または店舗の集団化、その他構造改善事業と指導とをあわせて総合的に実施させるとともに、経営合理化等に必要な研修指導事業もあわせ行なおうとするものであります。  本委員会におきましては、事業団新設の理由、役員の登用方針、事業計画と助成条件、その他、中小企業をめぐる経済環境等に関し、きわめて熱心に質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、小柳委員から賛成意見とともに、各党共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。  討論を終了し、採決いたしましたところ、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたし、次いで、附帯決議案も全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  42. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  44. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、中小漁業振興特別措置法案。  日程第五、外国人漁業規制に関する法律案。   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長野知浩之君。    〔野知浩之君登壇拍手
  46. 野知浩之

    ○野知浩之君 ただいま議題となりました二法案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  まず、中小漁業振興特別措置法案は、特に指定された業種について、計画的にその振興をはかる措置等を講じようとするものであります。  委員会におきましては、沿岸漁業等振興法との関係融資条件、労働問題等が問題となり、討論採決の結果、本法案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  続いて、川村委員提案の自民、社会、公明三党共同の附帯決議案が、全会一致をもって委員会の決議とすることに決定されました。     —————————————  次に、外国人漁業規制に関する法律案は、外国人がわが国の港その他の水域を使用して行なう漁業活動を規制しようとするものであります。  委員会におきましては、日本近海における外国人漁業、専管水域等が問題となり、討論採決の結果、本法律案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  47. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、中小漁業振興特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  49. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、外国人漁業規制に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  51. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長豊田雅孝君。     〔豊田雅孝君登壇拍手
  52. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案内容は、道路関係の公団の監理官制度を簡素化するため、日本道路公団監理官の定数を一人減ずるとともに、首都高速道路公団監理官及び阪神高速道路公団監理官を廃止して、新たに都市高速道路公団監理官一人を置くこと並びに中国地方建設局に用地部を設置すること等であります。  委員会における審査の詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  54. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)。  日程第八、昭和四十年度特別会計予備費使用総   調書(その2)。  日程第九、昭和四十年度特別会計予算総則第十   条に基づく使用調書。  日程第十、昭和四十年度特別会計予算総則第十   一条に基づく使用調書(その2)。  日程第十一、昭和四十一年度一般会計予備費使   用総調書(その1)。  日程第十二、昭和四十一年度特別会計予備費使   用総調書(その1)。  日程第十三、昭和四十一年度特別会計予算総則   第十一条に基づく使用調書(その1)。   (いずれも衆議院送付)  日程第十四、昭和四十一年度一般会計国庫債務   負担行為総調書。  以上八件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長亀田得治君。    〔亀田得治君登壇拍手
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)外三件、昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求めるの件、及び昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書について、決算委員会における審査の経過並びに結果について報告いたします。  決算委員会におきましては、以上八件につきまして、去る六月二十八日、大蔵当局から説明を聴取した後、質疑に入りました。質疑におきましては、予備費使用に関し、ベトナム共和国における難民救済援助、国際会議等出席のための経費の増額、高級公務員に対する国家公務員等退職手当法第五条の適用、公社公団等特殊法人問題、住宅公団花見川団地買収問題、共和製糖再建問題、災害復旧事業費の査定等について、各委員から活発な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、質疑、討論を終わり、採決に入りました。採決におきましては、まず、討論において社会、公明、共産の三党から反対意見の開陳のありました昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和四十年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)、以上三件を一括して、多数をもって承諾を与うべきものと議決し、続いて、討論において公明、共産両党から反対意見の開陳のあった昭和四十年度特別会計予算総則第十条に基づく使用調書昭和四十年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)、昭和四十一年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その1)、以上四件につきましても、これまた一括して多数をもって承諾を与うべきものと議決した次第であります。  続いて、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書について採決の結果、これまた多数をもって異議がないと議決した次第であります。  以上報告いたします。(拍手
  58. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和四十年度特別会計予備費使用調書(その2)及び昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)全部を問題に供します。三件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、三件は承諾することに決しました。      —————・—————
  60. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、昭和四十年度特別会計予算総則第十条に基づく使用調書昭和四十年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)、昭和四十一年度特別会計予備費使用調書(その1)及び昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その1)全部を問題に供します。四件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、四件は承諾することに決しました。      —————・—————
  62. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書を問題に供します。  本件は、委員報告のとおり議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は委員報告のとおり決せられました。  これにて休憩いたします。    午後零時三十六分休憩    〔休憩後開議に至らなかった〕