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国務大臣(
西村英一君) 第一番に、
都市再
開発と
住宅供給の
関係はどうか、こういうことでございましたが、
都市への
人口の
集中の
傾向は、極力私
どもも防いでおりまするけれ
ども、なお、長期にわたってやはり継続するものと考えられるのでございます。したがいまして、その
対策といたしまして、今回この
都市再
開発法を提案したのでございまして、そのねらいは、
既成市街地において
土地を高度的に、合理的に使って、そうして
住宅の
提供をしたい。その
住宅の
提供は、
地方から集まってくる人もありますし、また、
周辺で非常に
住宅に不適当なところに住んでいる方々も包容できることでございますから、この
市街地再
開発はぜひともやらなければならぬと思います。
宅地の供給につきましては、それであるからといって、なお
市街地の
周辺部も非常にまだ
住宅が
不足でございますから、
宅地の供給を
周辺地におきましてもやはり進めなければならぬと、かように思っているのでございます。
第二の御質問は、この私権の
制限が非常にひどくなるんじゃないか、いろいろな
法案を出して私権の
制限をやられることが非常にひどくなるんじゃないか、今回のこの
法律でも、三分の二以上の人が
同意すればそれはやれるが、あと反対があってもそれを押し切ってやるのか、こういうことでございまするが、やはりこれは、至るところでやるというわけではございません。そこに
住宅が非常に不合理に密集している——木造の家屋が密集しているところでやるのでございまして、その中で少数の方々が反対をいたしましても、ほんとうに
公共の
福祉になり、
公共の利益になると思う場合には、私は、これはやはりやらなければならぬと思っているのでございまして、必ずしも
憲法の二十九条に違反するものではない、かように考えておる次第でございます。
第三番は、できてない
建物を相手にして、そうしてそれに
権利を移しかえることが
一体合法的かということでございます。また、外国にそういう例があるかということでございますが、外国については私もあまりよく知りませんが、いま調べたところでは、そういう例はございません。こういう場合は、主として諸外国の方法では収用するのでございます。しかし、われわれは今回、この
建築されてない
建物を相手にしましてそれに
権利を移しかえるということは、新しい方法ではありまするが、必ずしもいままでなかった方法ではないのでございます。区画整理におきまして、やはり
宅地の
立体化、
宅地を非常に小さく持っている人はどうにもならぬから、それを
住宅で置きかえる、つまり、
権利の移動をやるということは新しい
考え方でありまするけれ
ども、これは私はいい方法である、かように考えておるものでございます。
それから、従来のいわゆる
市街地改造法、あるいは
防災建築街区
造成法を廃止したので、それは
中小都市に対して非常に困らないかということでございまするが、田中さんも御承知のとおり、いままで
市街地の
改造法及び
防災建築街区
造成法で相当の成績をあげてきました。しかし、現在の
都市を再
開発するには、これらの
法律では対処ができないのでございます。したがいまして、今度はやはりこの
法律のねらいとするところは、もっと総合的な新しい体制と新しい
手法を取り入れて、この再
開発をしようというのでございます。したがいまして、これらの従来の
法律については、この
法律で吸収することでございまするが、その場合にも、やはりこれは
都市を限定をいたしておりません。したがいまして、この運用によりまして、
中小都市に対しましても、これは十分適用でき、決して
中小都市が困るようなことはない、かように考えておるものでございます。
もう一つ、今回のこの
法律におきまして
土地収用権を与えていないが、どうかというような御質問でございまするが、今回のこの
法律では、
土地を収用するとか買収するとかいうようなことをやらないわけであります。つまり、
権利の変換によって
権利を移動させるという方法で、
土地を買う
土地を買収する、あるいは収用するというような方法をとらない、あくまでも
権利の移動によってやっていこうというのでございまして、こういうような
組合は、やはり従来の
土地区画整理の
組合もそれに類似した行き方であります。
最後に、霞ヶ関の
ビルの問題が出ましたが、正直なところ、やはり
住宅をつくるにいたしましても、あるいは施設をする場合も、やはり
交通の便のことを考えないと非常に困るのでございます。その一例として霞ヶ関の
ビルが引き合いに出されましたが、これは
昭和三十九年の特定街区として閣議決定をいたしたものでございます。御承知のように、あの
ビルができ上がれば相当な
人口の包容になります。この点につきましては、ただいま帝都高速度
交通営団等ともいろいろ相談いたしまして、そうしてこれらの
交通の便を
提供したい、かようにいま検討中でございます。(
拍手)
〔
国務大臣藤枝泉介君
登壇、
拍手〕