運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-05 第55回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月五日(水曜日)    午前十時三十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程第二十二号   昭和四十二年七月五日    午前十時開議  第一 都市開発法案趣旨説明)  第二 千九百五十四年の油による海水の汚濁の   防止のための国際条約締結について承認を   求めるの件(衆議院送付)  第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条   約の締結について承認を求めるの件(衆議院   送付)  第四 日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第五 船員災害防止協会等に関する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第六石油ガス税法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第七 運輸省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、御紹介いたします。  両院議長の招待により来日されましたソビエト社会主義共和国連邦最高会議連邦会議議長イヴァン・ヴァシリエヴィチ・スピリドーノフ氏が、ただいま貴賓席に見えられました。  ここに諸君とともに、心からなる歓迎の意を表します。    〔拍手〕      ——————————
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) (趣旨説明)。日程第一、都市開発法案  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。西村建設大臣。    〔国務大臣西村英一登壇拍手〕    〔議長退席、副議長着席
  5. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 都市開発法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  最近における都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とによりまして、都市機能は低下し、都市環境はますます悪化しつつありますが、これに対処いたしますためには、工場の分散、流通業務地の再配置、都市施設整備等の諸施策を講ずる必要があることはもとよりでありますが、現下の状況は、既存の法制の活用では不十分であり、この際、新たに市街地内における再開発を強力かつ効率的に推進するための制度を確立することが、ぜひとも必要となってきた次第であります。  現在、都市の再開発に関する法制としては、公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律防災建築街造成法等があり、それぞれ効果を発掘してまいったのでありますが、いずれも都市の総合的な再開発のための手法としては、不十分であり、これらを統合整備して、都市の再開発のための新たな体制と手法を盛り込んだ法律制定が望まれておったのであります。  都市の再開発は、建築物公共施設とを一体的に整備することにより、必要な道路、公園、駐車場等を備え、土地が合理的かつ高度に利用された、健全な市街地の形成をはかろうとするものであります。  今回、この法律案によりまして、市街地の再開発に関する都市計画市街地開発事業施行者市街地開発事業における権利処理方式等市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定め、時代の要請にこたえることとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明いたします。  第一に、市街地開発事業は、建築物容積最低限度及び建築面積最低限度が定められた容積地区内にあること、その他の一定の要件に該当する地区において施行することができることにいたしております。  第二に、市街地開発事業は、都市計画事業として施行することとし、その施行者市街地開発組合並びに地方公共団体及び日本住宅公団といたしております。  そのうち、市街地開発組合につきましては、事業施行地区内の土地所有者及び借地権者の三分の二以上の同意を得た上、都道府県知事認可を受けて設立されることといたしておりますが、なお、その事業の継続が困難となる場合の措置として、都道府県知事、または市町村長において事業を代行することができることにいたしております。  第三、市街地開発事業手法は、従前の土地及び建物についての権利を新しい建築物とその土地に関する権利に円滑に変換せしめつつ、建築物共同立体化公共施設整備をはかるものでありまして、事業施行地区内の関係権利者権利は、原則として、権利変換計画の定めるところに従い、本事業によって整備される土地共有持ち分または施設建築物の一部とその施設建築物のための地上権共有持ち分に変換されることにいたしております。  第四に、関係権利者権利を保護するため、施行者権利変換計画を定めるにあたっては、審査委員または市街地開発審査会の議を経なければならないこととするほか、公衆の縦覧に供して関係権利者意見書提出する機会を与えなければならないこととし、さらに、建設大臣または都道府県知事認可を要することにいたしております。  第五に、市街地開発事業を促進する措置として、事業に必要な資金について、国または地方公共団体は、補助金の交付、資金融通等の配慮をすることとし、施行者は、事業によって整備される重要な公共施設管理者に対して、費用の負担を求めることができることとするほか、地方税法租税特別措置法等の一部を改正し、本事業に対する課税上の特例を定めることにいたしております。  第六に、この法律制定に伴って、公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律及び防災建築街造成法を廃止することとし、これに必要な経過措置を定めることにいたしております。  以上が、この法律案趣旨でございます。(拍手
  6. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。田中一君。    〔田中一登壇拍手
  7. 田中一

    田中一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました都市開発法案について、総理大臣並びに関係閣僚質疑を行ないたいと存じます。  まず最初に、国土総合開発考え方についてであります。  周知のとおり、戦後、自由と平和とを愛する文化国家建設する基本法として、国土総合開発法制定されたのは昭和二十五年であります。そして、三十年代の経済成長期に入ると、首都圏整備法制定を皮切りに、東北、九州、四国、北陸、中国の各地方開発促進法が相次いで議員立法されましたが、政府は、近畿圏整備法を、四十一年には中部圏整備法制定して、京浜、阪神及び中京地区の三大工業地帯整備に乗り出し、巨大な設備投資に対処する姿勢を示してきたのであります。同時に、新産業都市建設工業整備特別地域整備促進立法をして、海浜の埋め立て、宅地造成に拍車をかけ、工場誘致に狂奔する事態を生み出してきたのであります。この経済高度成長政策による地域計画の結果は、どうあらわれてきているか。国民生活においても、地域間においても、大きなひずみをもたらし、大都市においては、公害の問題、交通混乱住宅不足に深刻な問題を起こしてきているのが現状であります。  一体、三十七年につくられた「全国総合開発計画」は、どのような役割りを果たしてきたのでありましょうか。大都市への人口産業集中は、世界の趨勢を見ても、やむを得ないとして、これを全面的に是認するのか、あるいはこれを抑制して地方開発を促進するのか、建設省自治省考え方が相対立している感があり、政府の統一的な見解がないように見受けられるのでありますが、国土開発に関する根本的な考え方について、総理大臣にお伺いしたいと思います。  第二は、都市政策についてであります。  今日、わが国都市は、大気の汚染、交通の麻痺、騒音、緑のない環境で、ますます人間の住める条件を失いつつあるのであります。きわめて速いテンポで流動する社会経済構造の変化に対応して、より合理的な都市機能人間の生存する場としての環境を備えた都市につくり変えていかなければなりません。すなわち、都市全体として総合的に計画され、建設されていかねばならないと考えるのでありますが、これまでの都市対策は、将来の都市目標なしに、その場その場の対策に終始してきたのが現状であります。私は、以前から市街地の再開発の必要を強調してまいりましたが、それは単に木造家屋の密集した地区不燃化、高層化すればよいというものではないのであります。一体総理は、都市の将来像をどのように考えておられるか、また、都市開発目的とするところは何であるか、明確な答弁をお願いしたいと思います。  国土計画のもとにおける地域計画都市計画がばらばらで、鉄道鉄道道路道路住宅住宅というように、その間の総合性が見受けられないのであります。現在、都市における建築活動はきわめて旺盛に行なわれているのでありますが、将来の都市ビジョンがなくして、これら建物が無計画につくられたならば、都市はますます混乱し、収拾がつかないものとなるでありましょう。その具体的な例をあげます。いま、総理官邸の目の前に、わが国初めての三十六階建ての霞ヶ関ビルが立ち上がっております。建築だけの面を見れば、もちろん建築基準法の範囲内で建てられているのでありますが、このビルが完成すると、一日三万人の人間が出入りすることになり、現在の虎ノ門付近における交通量は一そう増加し、混乱を招くこととなります。今後、このような大規模なビルが続々建設される趨勢にありますが、それらの周辺道路をはじめ、十分な空地をとった良好な環境改造しなければ、交通の渋滞、混乱は火を見るより明らかであります。一体、この責任はだれが負うのでありましょうか、総理並びに建設大臣及び国家公安委員長たる自治大臣見解をお伺いいたします。  第三は、大都市における住宅対策についてであります。  住宅問題は、いまや全国民関心事であります。特に大都市における住宅不足は深刻であります。狭小過密、高家賃遠距離通勤環境悪化、これが大都市に住む一般大衆現状であります。政府は、さきに住宅建設五ヵ年計画を策定し、四十五年度までには一世帯一住宅を実現することを国民に約束しました。その内容は、民間の建設に六割も依存するというものでありまして、しかも、住宅の質、立地条件環境等については、何ら具体的な計画性が示されておらず、国民生活の犠牲の上に立った、単なる戸数主義住宅政策にすぎないのであります。佐藤総理は、今国会の冒頭における所信演説の中で、「人間を大切にする政治を行なうため、社会開発政策基本とする。」と述べ、さらに住宅問題に触れて、「国民の住まいを安定し、改善することを社会開発中心とする。」と表明しております。かかる人間尊重を標榜する総理が、現実の過酷な条件をしいられている勤労大衆に、ただ何百万戸を建設すればよいということではないと思うのであります。この点をお伺いいたします。  そこで、従来の市街地改造では、オフィスビル建設が大部分でありましたが、その多くがあき室となっているのが実情であります。都市を再開発して、建物上部住宅に充て、郊外にスプロールした住宅都心部に引き戻すということが、都市開発の大きな目的であり、都市開発による住宅供給が今後の住宅政策の大きな柱とならなければならないと思うのであります。しかるに、本法案を見ましても、この点に関して何らの積極的姿勢もうかがえないのであります。建設大臣は、再開発による住宅供給をどの程度真剣に考えているのか、お伺いいたします。  市街地住宅高層化については、現在二、三の手法がありますが、それらの事業量は微々たるものであります。この法案では、上部住宅を載せることもできるようになっておりますが、実際には、オフィスビルの経営と同様に、採算が合うかどうか、はなはだ疑問であります。したがって、再開発住宅供給の大きな柱とするならば、国民の所得に見合った家賃とするために、相当な公共資金の投入、税制上の優遇措置が必要であります。この点について、大蔵大臣は具体的にどういう措置を講じようとしているのか、お伺いいたします。  第四は、土地所有権制限権利移行についてであります。  昭和三十年代の高度成長期以来、土地所有権土地利用権が、公共福祉または公共の利益の名のもとに一段と制約を受けてきている傾向があります。これを具体的に見ますと、都市及び宅地開発に関する諸立法をはじめ、地方拠点都市開発及び保全に関する立法等がきわめて多く、また、今国会でも、本法案のほか、土地収用法改正案総理みずから提出を約束された都市計画法改正案等によって一そう強められようとしております。この点、憲法第二十九条に規定する「公共福祉財産権」、特に土地所有権の保障との調整をどのように考え、その具体的な基準をどこに置こうとしているのか、総理大臣並びに法務大臣にお伺いいたします。もちろん、土地所有権等権利社会的制約が加えられることは一応認めるとしても、公共福祉公益性に名をかりて公法的制限を拡大し、これを、うのみに是認することは、官僚統制を強化することになり、権力行政国民にしいるおそれがあるからであります。  また、本法案では、新しい再開発組合が、各人の所有する所有権等権利を、三分の二以上の同意のみで財産変更並びに処分を行なうことになっておりますが、かかる行為公共福祉の限界内での行為であると言えるかどうか。権利者全員同意を得ないで財産変更及び処分行為を行なうことは、たとえ公益性があるとしても、公共福祉を越える不当の財産権侵害と考えられるのであります。したがって、不同意者がある場合には、収用権を発動して行なうのが従来のたてまえでありますが、組合事業に対して収用権の発動を考えていないところを見ると、公共福祉に名をかりた財産権侵害と、一面解釈されるのであります。この場合には、実際に事業が行なわれないと考えますが、法務大臣並びに建設大臣にお伺いいたします。  さらに、権利変換移動について、現在までの市街地改造手法では、旧建築物から新建築物への権利移行の時期は、新建築物ができ上がった時期としていたと思うのであります。しかしながら、本法案では、土地所有権等権利は、変換計画が確定された時、登記により効力を生ずることとし、実際に存在しない建築物の上に権利を認めるという新しい方式がとられております。まして、反対者がある場合に、はたして権利保護という見地から妥当な方式と言えるかどうか。これは権利をないがしろにした、きわめて強権的なもので、おそらく諸外国でもこのような権利移行はあまり例がないと考えるのでありますが、法務大臣並びに建設大臣の明確なる答弁をお願いいたします。  最後は、地方中小都市における再開発事業についてであります。  本法案の附則によれば、本法案制定に伴って、現行のいわゆる市街地改造法防災建築街造成法の二つの法律を廃止することとしております。前者の法律による市街地改造事業は、現在十三の地区で行なわれておりますが、最近完成しました新橋東口熱海駅前の例では、保留した床を埋めるのに苦心さんたんたる状態でございます。市街地改造法は、駅前広場等公共施設整備ということに限定されていたのでありますが、これを本法案に吸収して、一般に適用できるような形に変えてみましても、従来のやり方では、事業量飛躍的増加は期待できないし、同様の失敗を繰り返すにすぎないと思うのであります。  一方、防災建築街造成事業につきましては、これまで三百三十街区において行なわれているのでありますが、それらの行なわれている七十七都市の約七割というものは、人口二十万以下の中小都市であります。このように防災建築街造成事業は、不完全ながらも地方中小都市におきまして、中心部不燃高層化建築共同化に少なからず寄与してきたのであります。しかるに、本法案では、この制度を吸収するということでありますが、法案を見ても明らかなように、このような事業地方都市では、ほとんどできなくなるのであります。と申しますのは、本法による市街地開発事業を施行すべき区域条件として、容積地区内にあることがきめられているのでありますが、容積地区制がしかれた三十九年初めから今日まで、この容積地区を指定したのは東京の中心部だけであります。しかも、今度の事業区域条件は、容積地区の中に、さらに最低限の容積を定める特別容積地区を設定して、その地区内にあることを要件としているのであります。したがって、再開発事業の施行できるところは、容積地区を指定できる大都市のごく一部に限られるのであります。  建設大臣にお伺いいたしますが、本法案によって、はたして地方都市も含めて、都市の再開発が大々的に行なわれ得るのか、また、これまでかなりの実績をあげてきた防災建築街造成法制度を廃止するのはなぜか、その理由をお答え願いたいと思います。  本法案は、広く都市問題と関連して多くの問題点を含んでおりますが、特に重要な二、三の点にしぼって質問いたした次第であります。以上で、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま御指摘になりました国土総合開発法、これをつくりまして、いわゆる都市集中過密都市防止する、また地域格差をなくするように、できるだけ地方開発も促進していく、こういうねらいで、いわゆる均衡のとれた発展を期しているわけでありますが、しかし、御指摘になりましたように、こういう法律をつくったにもかかわらず、依然として関東、東海、近畿、これらの地域人口産業集中しているというのが現状でございます。別に、自治省建設省考え方が違っておるわけではございません。そこには、統一された、国土の均衡ある発展を期する、こういう方向で各省が協力いたしておりますが、実情はただいま言うような現状になっておりますので、この上とも、一そう本来の目的を達するように各省協力いたしまして、過密都市防止、また、地域格差を是正する、こういう方向で努力する考えでございます。そこで、ただいままで、都市はどんどん膨張いたしましたが、これが計画的な膨張でなかったことは御指摘のとおりであります。これからの都市、これは過大都市にいたしましても、計画に乗るということ、これが必要なように思います。また、今日再開発法をただいま御審議をいただこうというのも、現状混乱したこの都市に秩序を与えるということ、また、効率的な働きのできるような都市にすること、また、住みいい都会をつくるという、そういうことを目標にいたしまして、都市開発法案提出しておるのであります。  そこで、私どもが今後の都市をどういうものを考えるか、これはお話のうちにもその片りんが出ておると思いますが、何と申しましても、これから先の都市はだんだん広域化する傾向がございますから、広域化した場合におきましても、都市としての機能十分発揮ができるように、そういう考え方のもとに、計画的に進めていかなければならないのであります。したがいまして、その場合には土地利用計画はもちろん必要でございます。同時にまた、中心部周辺都市との間の連携緊密化をはかる、こういう意味で、幹線交通幹線通信網整備、これはもう絶対に必要なことであります。しかもなお、近代都市としての住居、あるいは事務所、工場、さらにまた、流通センター等のそれぞれの機能十分効果を発揮するように配置されなければなりませんし、また、適当な緑地帯も必要でありますし、また、田園も必要でございます。さような意味のいわゆる公共投資上下水道はもちろんのことでありますが、公共施設整備いたしまして、住みいい、しかも能率のあがる、効果のあがる都市をつくる、これが今後のビジョンでなければならない、かように私どもは考えております。したがいまして、再開発方向も、ただいま申し上げるような点において、現状混乱したものを是正していくということでありたいと、かように思っております。  次に、総理官邸の近くにできました三十六階のビルについて御批判がございました。もちろん、この種の建築を許します際には、国土計画あるいは地域開発計画十分連携がなければなりませんし、また、交通その他のものも十分考えて、そこに総合性を発揮して、初めてこの種の大きなビルの許可ができるんだと、かように考えております。その詳細は後ほど建設大臣からお答えいたしますが、現状において、また、今後整備されるであろう交通網において、ただいまのこのビルが直ちに交通混乱を引き起こすと、かようには私は考えておりません。いずれその詳細は建設大臣からお答えいたさせます。  次に、大都市において一番目について問題になりますのは、御指摘のとおり住宅問題であります。この住宅問題は、私どもも、大都市において最も不足し、また、整備されておらない、かように考えておりますので、社会開発中心課題といたしまして、これと真剣に取り組んでおります。私は、この住宅問題と取り組む際におきましても、ただいま御指摘になりましたように、ただ戸数だけふやせばいいと、かような考え方ではもちろんございません。もちろん、その内容におきましても、だんだん生活の向上と同時に、また、家族構成増加等にも対応するように、順次その広さも拡大していかなければなりませんが、何よりも住宅のありますその環境整備、これに特に注意をいたさなければならないと、かように考えております。ただいままで家だけができた、しかし、上下水道も十分でない、あるいは子どもの遊び場についてはもちろん考えられておらない、あるいは学校、病院等も考慮に入っておらない。こういうようなことがあってはならないと思いますので、この住宅の場合には、もちろん環境整備、それに重点を置きまして、そうして初めて住宅整備されるんだ、かように考えておりますので、関係当局に対しましても絶えずその点を注意しておるような次第であります。  次に、私有権の問題について……。私有権は絶対ではございません。御指摘になりましたように、憲法二十九条、また、憲法十二条におきましても、公共福祉、そういう立場から制約を受ける、これが現在の私有権でございます。この制約を受けるのは、一体どういうようになるのかというお尋ねでありますが、もちろんこれは時代に即応していかなければなりませんし、また、財産権の種類によりまして、その制約の程度、方法等はそれぞれ違っておるのでございます。私が申し上げるまでもなく、土地の場合でございますと、土地利用は、これは都市機能にも影響を与えますし、また、環境にも重大なる影響を与えるものでございますから、その意味におきまして、憲法二十九条あるいは十二条等からの制約を受ける、これはまた、当然のことのように私は考えております。いずれにいたしましても、今回提案いたしました都市開発法、これは重大なる意義を持つものでございますから、十分御審議をいただきまして、りっぱなものをこの機会につくるようにいたしたいと、かように念願しております。(拍手)    〔国務大臣西村英一登壇拍手
  9. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 第一番に、都市開発住宅供給関係はどうか、こういうことでございましたが、都市への人口集中傾向は、極力私どもも防いでおりまするけれども、なお、長期にわたってやはり継続するものと考えられるのでございます。したがいまして、その対策といたしまして、今回この都市開発法を提案したのでございまして、そのねらいは、既成市街地において土地を高度的に、合理的に使って、そうして住宅提供をしたい。その住宅提供は、地方から集まってくる人もありますし、また、周辺で非常に住宅に不適当なところに住んでいる方々も包容できることでございますから、この市街地開発はぜひともやらなければならぬと思います。宅地の供給につきましては、それであるからといって、なお市街地周辺部も非常にまだ住宅不足でございますから、宅地の供給を周辺地におきましてもやはり進めなければならぬと、かように思っているのでございます。  第二の御質問は、この私権の制限が非常にひどくなるんじゃないか、いろいろな法案を出して私権の制限をやられることが非常にひどくなるんじゃないか、今回のこの法律でも、三分の二以上の人が同意すればそれはやれるが、あと反対があってもそれを押し切ってやるのか、こういうことでございまするが、やはりこれは、至るところでやるというわけではございません。そこに住宅が非常に不合理に密集している——木造の家屋が密集しているところでやるのでございまして、その中で少数の方々が反対をいたしましても、ほんとうに公共福祉になり、公共の利益になると思う場合には、私は、これはやはりやらなければならぬと思っているのでございまして、必ずしも憲法の二十九条に違反するものではない、かように考えておる次第でございます。  第三番は、できてない建物を相手にして、そうしてそれに権利を移しかえることが一体合法的かということでございます。また、外国にそういう例があるかということでございますが、外国については私もあまりよく知りませんが、いま調べたところでは、そういう例はございません。こういう場合は、主として諸外国の方法では収用するのでございます。しかし、われわれは今回、この建築されてない建物を相手にしましてそれに権利を移しかえるということは、新しい方法ではありまするが、必ずしもいままでなかった方法ではないのでございます。区画整理におきまして、やはり宅地立体化宅地を非常に小さく持っている人はどうにもならぬから、それを住宅で置きかえる、つまり、権利の移動をやるということは新しい考え方でありまするけれども、これは私はいい方法である、かように考えておるものでございます。  それから、従来のいわゆる市街地改造法、あるいは防災建築街造成法を廃止したので、それは中小都市に対して非常に困らないかということでございまするが、田中さんも御承知のとおり、いままで市街地改造法及び防災建築街造成法で相当の成績をあげてきました。しかし、現在の都市を再開発するには、これらの法律では対処ができないのでございます。したがいまして、今度はやはりこの法律のねらいとするところは、もっと総合的な新しい体制と新しい手法を取り入れて、この再開発をしようというのでございます。したがいまして、これらの従来の法律については、この法律で吸収することでございまするが、その場合にも、やはりこれは都市を限定をいたしておりません。したがいまして、この運用によりまして、中小都市に対しましても、これは十分適用でき、決して中小都市が困るようなことはない、かように考えておるものでございます。  もう一つ、今回のこの法律におきまして土地収用権を与えていないが、どうかというような御質問でございまするが、今回のこの法律では、土地を収用するとか買収するとかいうようなことをやらないわけであります。つまり、権利の変換によって権利を移動させるという方法で、土地を買う土地を買収する、あるいは収用するというような方法をとらない、あくまでも権利の移動によってやっていこうというのでございまして、こういうような組合は、やはり従来の土地区画整理の組合もそれに類似した行き方であります。  最後に、霞ヶ関のビルの問題が出ましたが、正直なところ、やはり住宅をつくるにいたしましても、あるいは施設をする場合も、やはり交通の便のことを考えないと非常に困るのでございます。その一例として霞ヶ関のビルが引き合いに出されましたが、これは昭和三十九年の特定街区として閣議決定をいたしたものでございます。御承知のように、あのビルができ上がれば相当な人口の包容になります。この点につきましては、ただいま帝都高速度交通営団等ともいろいろ相談いたしまして、そうしてこれらの交通の便を提供したい、かようにいま検討中でございます。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介君登壇拍手
  10. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 具体的におあげになりました霞ヶ関ビルにつきましては、ただいま建設大臣からお答えしたとおりでございますが、私も、特定街区指定にあたりまして、道路上下水道等々の公共施設との関連を十分検討して、特定街区の指定をしたと承知をいたしておりまするので、あれが完成をしても、社会的な支障はないものと考えております。今後のこの種建築等につきましても、常に地域社会の健全性を確保するというところに重点を置き、特に、私といたしましては、防災、交通等に支障のないように、そうした点を重点といたしまして検討いたしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男君登壇拍手
  11. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 御質問の趣旨は、市街地の再開発によって住宅を供給する場合、地価の高い市街地住宅家賃をいかにして低く押えるかということであろうと存じます。地価を薄めるためには、土地の高度利用をはかる必要がございます。したがって、住宅公団等を通じ高層住宅をつくるとか、あるいは都市の他の施設の上に住宅を乗せるという、いわゆるげたばき住宅をつくるというようなことをしてまいりましたが、そのためには、住宅金融公庫を中心とする住宅金融を拡充するということ、それから税制の相当の優遇措置を講ずる必要があろうと思います。御承知のように、いま税制でどういうことをやっておるかと申しますと、新築の貸し家住宅の五年間の割り増し償却とか、あるいは新設住宅の保存登記、取得登記の登記料を軽減するとか、それから不動産取得税の軽減、固定資産税の軽減というようなことをいまやっておりますが、さらに、本年度の税制改正におきましては、高層住宅建設の促進をはかる見地から、新貸し家住宅の割り増し償却制度をさらに従来のを延長するということと、高層貸し家住宅建物の一部を構成している店舗部分の割り増し償却というような措置を新たに講ずるというようなことを、今年度の改正でいたしましたが、さらに必要に応じて、この都市住宅をもっと普及させるというためには、できるだけの措置を考究したいと考えております。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇拍手
  12. 田中伊三次

    国務大臣(田中伊三次君) 市街地の再開発計画を進めていく結果は、私有財産制限に過ぎるのではないか、これは権利侵害ではないかということが私に対するお尋ねでございますが、この点は、内閣総理大臣並びに建設大臣からお答えをいたしましたとおり、権利侵害となるものではない。公共福祉のためには、この程度の制限はやむを得ないものと考えるのであります。(拍手
  13. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  14. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第二、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約締結について承認を求めるの件。  日程第三、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約締結について承認を求めるの件。   (いずれも衆議院送付)  以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長赤間文三君。    〔赤間文三君登壇拍手
  16. 赤間文三

    ○赤間文三君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、「海水汚濁防止条約」は、一九五四年に作成せられまして、一九六二年に改正せられたものでありまして、海水の汚濁を防止するため、一定海域における船舶からの油の排出を規制するとともに、船内装置、油記録簿、港湾の廃油処理施設等について、締約国のとるべき措置を定めております。  次に、「大西洋まぐろ条約」は、大西洋のマグロ類に関し、常に最大の漁獲が可能となる水準に資源を維持するために、全締約国からなる委員会を設けること。この委員会は、調査、研究を任務とし、また、勧告を行ない得ること。締約国は、この条約の実施に必要な措置をとること等を定めたものでございます。  わが国は、大西洋におきましても、最大のマグロ漁業国である立場から、この条約の作成に当初から参画してまいったのであります。  委員会におきましては、慎重審議、特に、海水汚濁防止条約を今日まで長らく受諾しなかった理由、また、わが国国際漁業上の諸問題等につき、熱心な質疑が行なわれたのでありまするが、詳細は会議録に譲ります。  七月四日、質疑を終え、討論、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  17. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  18. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。寺      ——————————
  19. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第四、日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長野知浩之君。    〔野知浩之君登壇拍手
  20. 野知浩之

    ○野知浩之君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  本案は、最近における生糸の需給の動向に対処して、生糸の輸出をはかるため、当分の間、日本蚕糸事業団に、輸出すべき生糸の買い入れ、売り渡し業務を行なわせること等の改正を加えようとするものであります。  委員会におきましては、特に参考人の意見をも聴取し、生糸輸出の現状と国内需給の関係、繭糸価格の安定対策、製糸業及び労働問題等について、質疑応答がかわされました。  質疑を終了し、討論、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、武内委員から、自民、社会、公明三党共同の繭増産体制強化等六項目の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。  右報告いたします。(拍手
  21. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  23. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第五、船員災害防止協会等に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  24. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました法律案について、運輸委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案の要旨は、船員災害防止対策を推進するため、運輸大臣は船員災害防止計画を樹立するものとし、また、船舶所有者及びその団体は、この計画に即応する災害防止活動の促進、災害防止規程の設定等を業務とする船員災害防止協会を設立することができるものとし、政府はこの協会に対し費用の一部を補助することができることとしようとするものであります。  委員会におきましては、海上労働の特殊性を考慮した災害防止対策の推進、中小漁船船員に対する災害防止活動の徹底等に関し質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  25. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 過半教と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  27. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第六、石油ガス税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事青柳秀夫君。    〔青柳秀夫君登壇拍手
  28. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、石油ガスについて本年末まで適用されております一キログラム当たり十円の暫定軽減税率を、昭和四十四年十二月三十一日まで二年間延長しようとするものであります。  委員会の審議におきましては、暫定軽減税率の適用期間をなお二年間延長する理由、タクシー、ハイヤーの料金認可について行政上問題があるのではないか、タクシー、ハイヤーの自由営業についての当局の見解はどうか等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、須藤委員より理由を述べて賛成の発言があり、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  29. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  30. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  31. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第七、運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長豊田雅孝君。    〔豊田雅孝君登壇拍手
  32. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案内容は、第一に、航空局に飛行場部を設置すること、第二に、付属機関として航空保安職員研修所及び電子航法研究所を設置すること、第三に、東京及び大阪に地方航空局を設置すること、第四に、運輸省の定員を百二十七人増員すること等であります。  委員会における審査の詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、八田委員より、本法律案の施行期日を公布の日に改める等の修正案が提出され、また、北村委員より、最近の陸海空における交通量の激増に伴い、その安全対策を強化するため、施設等の整備並びに要員の増強をはかるべき旨の、自民、社会、公明、民社共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。  次いで採決の結果、八田委員提出の修正案並びに修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。北村委員提出の附帯決議案も、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本決議に対し、大橋運輸大臣より、その趣旨を尊重し、その実現に努力する旨の発言がありました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  33. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は委員会修正どおり議決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十八分散会      ——————————