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1967-06-09 第55回国会 参議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月九日(金曜日)    午前十時十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十五号   昭和四十二年六月九日    午前十時開議  第一 永年在職議員表彰の件  第二 国務大臣報告に関する件(林業基本法   に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四   十二年度林業施策について)  第三 石油開発公団法案及び動力炉核燃料開   発事業団法案趣旨説明)  第四 宮古群島及び八重山群島におけるテレビ   ジョン放送に必要な設備の譲与に関する法律   案(内閣提出)  第五 登録免許税法案内閣提出、衆議院送   付)  第六 登録免許税法の施行に伴う関係法令の整   備等に関する法律案内閣提出、衆議院送   付)  第七 科学技術庁設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員検察官適格審査   会委員予備委員及び台風襲地帯対策審議会   委員選挙   日程第一より第七まで  一、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特   別措置法案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  伊藤顕道君から、裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたいとの申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ―――――・―――――
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  裁判官弾劾裁判所裁判員二名、  検察官適格審査会委員予備委員台風襲地帯対策審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  7. 永岡光治

    永岡光治君 各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 園田清充

    園田清充君 ただいまの永岡君の動議に賛成いたします。
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 永岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員井川伊平君、阿部竹松君、  検察官適格審査会委員予備委員矢山有作君、  台風襲地帯対策審議会委員藤原道子君を指名いたします。      ―――――・―――――
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、永年在職議員表彰の件。  国会議員として在職期間二十五年に達せられました議員野溝勝君に対し、院議をもってその功労表彰することとし、その表彰文議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました表彰文を朗読いたします。    〔野溝勝君起立〕  議員野溝勝君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及ぶ常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します    〔拍手〕     ―――――――――――――  表彰状の贈呈方は、議長において取り計らいます。      ―――――・―――――
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 野溝勝君から発言を求められております。この際、発言を許します。野溝勝君。    〔野溝勝登壇拍手
  14. 野溝勝

    野溝勝君 一言お礼のことばを申し上げたいと思います。  ただいまは、院議をもちまして、私に対し、永年在職のゆえをもって御懇篤な表彰を賜わったことを、まことに名誉に感じます。ここに、心からお礼を申し上げたいと思います。  顧みれば、私は、日本における近代的な社会運動勃興期であった大正の中・後期から今日に至る半世紀を、農民解放社会主義の実現のために、その道一途に歩んでまいりました。そうして、いま静かに、この半世紀歴史の変遷を思うとき、なかんずく、敗戦惨禍から立ち直り、今日再び世界先進国の一つに数えられるに至った日本の姿を、いろいろの意味において思うとき、まことに感慨無量のものがあります。  申すまでもございませんが、私が歩んだこの半世紀を含めて、今日までの百年は、日本歴史の上でまたとない激動期でありました。特に、明治から大正昭和のいわゆる満州事変日華事変に始まりまして、太平洋戦争の侵略とその敗北に至った日本歴史は、戦争歴史でありました。そして、この中で、日本資本主義というものが伸びてきたわけであります。この間、ファシズムのあらしがすさび、言論、思想、信教、集会、結社の自由、あるいは学問、文芸、研究の自由は侵害されまして、人権がじゅうりんされ、ついにはすべてが破綻して、敗戦惨禍がもたらされたのであります。  私は、この太平洋戦争のはしりとも言うべき満州事変のころは、長野県の県会議員としての無産党議員として、地方議会で戦ってまいりました。次いで、昭和十二年、日華事変の年に、初めて衆議院議員に当選いたしました。自来三十年、いわゆる戦争協力翼賛議員を拒んで中断いたしましたこの期間などを除きまして、衆議院議員としては三期、七年十ヵ月、本院議員といたしましては三期、十七年二ヵ月、通算して二十五年の間、非力ではありましたが、私なりに、世界日本人民の自由、平等、平和と繁栄を、一筋に願ってまいりました。そして新憲法下にあっては、その擁護と民主化推進憲政発展に力を尽くしてきたつもりでございます。しかしながら、何ぶんにも浅学非才でございます。これという功績をあげることもできず、いたずらに歳月を重ねるのみで、ざんきにたえません。  それにもかかわらず、本日表彰の栄誉に浴することができましたことは、ひとえに、同僚諸君をはじめ、涙が出るほどの、あの苦しみをともにした、風雪をともにした、いまはなき先輩同志の御指導と、庶民各位のあたたかき御支援のたまものと存じ、深く深く感激にたえませんところであります。  私は、本日のこの感激を胸に深くおさめまして、皆さんとともに、内にあいては、あくまでも現憲法を守り、外にあっては、今日のベトナム、中東戦争を消しとめ、日本世界の平和、繁栄のために、なお微力をささげたいと存じております。  何とぞ、皆さまにおかれましても、私の微衷をおくみ取り賜わりまして、旧に倍する御指導、御鞭撻を賜わりますよう、衷心よりお願い申し上げる次第でございます。  特に最後に、議長に対しましては、御病気のところを、押して、本日、この私の表彰院議に出席されたということを聞きまして、まことに私は感激にたえません。感謝をするものであります。  一言述べまして、深甚な謝意を表する次第でございます。ありがとうございました。    〔拍手〕      ―――――・―――――
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣報告に関する件(林業基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度林業施策について)。  農林大臣から発言を求められております。発言を許します。倉石農林大臣。    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先般、政府は、林業基本法第九条の規定に基づきまして、「昭和四十一年度林業動向に関する年次報告」及び「昭和四十二年度において講じようとする林業施策」を国会に提出いたしましたが、以下その概要を御説明いたします。    〔議長退席、副議長着席〕  第一に、昭和四十年度を中心とする最近の林業動向について申し上げます。  まず、木材需要動向について見ますと、薪炭需要減少代替財進出等需要構造の変化を伴いつつも、趨勢的には拡大基調にあり、四十年の用材需要量は、一般経済影響を受けまして、前年より微減いたしましたが、四十一年には再び増勢に転じております。  これに対しまして、国内における木材生産は依然として停滞傾向を示しております。一方、外材輸入量は逐年増加し、四十年には、用材供給量に占める割合は前年を、さらに上回り、三八・六%となったのであります。このような需給状態を反映して、木材価格は四十年の前半には低迷いたしましたが、後半から四十一年にかけて上昇しております。  一方、国内における森林資源開発は必ずしも十分でなく、生産性の高い人工林は、全森林面積に対し、三一%にすぎない現状であります。しかも、最近における造林の状況を見ますと減少傾向を示しております。  次に、林業経営動向について申し上げます。  わが国林業生産を担当している経営体は、きわめて多様でありますが、林業生産の過半をになっております私有林経営におきましては、その経営規模は零細なものがきわめて多く、経営基盤が脆弱であり、その生産活動一般停滞的であります。  次に、林業従事者動向について申し上げますと、近年山村農民流出が著しくなってきておりまして、その結果、林業労働力不足とともに、質的劣弱化傾向が見られ、その労賃も上昇を見ております。  以上申し上げましたのが、最近における林業の主要な動向であります。  第二に、「林業に関して講じた施策」でありますが、これは最近特に四十年度以降において、政府林業振興上実施した主要な施策を述べたものであります。     ―――――――――――――  第三に、「昭和四十二年度において講じようとする林業施策」について、その概要を申し上げます。  政府といたしましては、ただいま御説明申しました林業動向を考慮し、林業基本法に定められた塗木的方向に従って諸施策推進をはかることといたしております。  四十二年度において講じようとする林業施策の主要なものといたしましては、  まず第一は林産物需要動向に応ずるよう、林業生産増大及びその生産性向上をはかることであります。このため、計画的施業推進林道開設造林推進等施策を積極的に推進することといたしております。  第二は、林業構造改善を積極的に推進することであります。このため、林業構造改善事業促進対策を前年度に引き続き計画的かつ強力に実施するとともに、入り会い林野近代化等の諸施策を講ずることといたしております。  第三は、林産物需給の安定、流通合理化等をはかるための施策を充実することであります。このため、林産物需給動向の把握、流通合理化及び外材輸入適正円滑化等施策推進することといたしております。  第四は、林業従事者確保をはかることであります。このため、林業労働力対策及び社会保障拡充等につとめることといたしております。  第五は、林業技術向上をはかることであります。このため、試験研究体制整備強化をはかるとともに、普及指導事業の充実につとめることといたし.ております。  第六は、林業金融拡充及び林業税制改善をはかることであります。このため、農林漁業金融公庫林業関係資金融資ワク拡大及び貸し付け条件改善等をはかるとともに、林業に関する税制についても改善を行なうことといたしております。  以上のほか、山村振興対策推進国有林野の積極的な活用をはかるとともに、森林の持つ公益的機能を増進するため、保安林整備治山事業拡充をはかることといたしております。  なお、この文書におきましては、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項をも含め、林業に関する施策全般について記述いたしております。  以上、「昭和四十一年度林業動向に関する年次報告」及び「昭和四十二年度において講じようとする林業施策」について、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手
  17. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。矢山有作君。    〔矢山有作登壇拍手
  18. 矢山有作

    矢山有作君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました「昭和四十一年度林業動向に関する年次報告」及び「昭和四十二年度において講じようとする林業施策」に対し、数点にわたり質問いたします。  まず、総理に伺います。  従来のわが国林政は、山を見て人を見ない資源政策であるといわれてきたのであります。すなわち、零細な山村民の上に大山林地主が君臨し、独占資本に奉仕する体制を是認したまま、ただ山を緑にすればよいとしたのが従来の林政であったのであります。林業基本法は、さすがの自民党政府も、この林政の立ちおくれを悟って、経済政策的な林政に転換しようとしたものでありましたが、その実体は、資源維持的な林政から木材消費資本のための資源造成政策に転換したにすぎないものであったのであります。かように、わが国林政は、独占資本奉仕の姿勢を一そう露骨にしたのでありますが、その結果はどうでありましょうか。白書も認めているように、木材国内生産は年々低下して、五年前より一一・二%も減少しております。再生産確保及び生産力強化に欠くことのできない人工造林も、五年前の一〇・三%減であり、特に民有林については一五・九%もの減少であります。また、これに反して、外材輸入は、五年間に、数量で二・七倍、金額で二・九倍という、おそるべき増加でありまして、輸入依存率は、昭和三十五年の一三・三%から四十年の二八・六%へと著しく高まり、総輸入額に占める割合も、三・八%から六・〇%に上昇したのであります。さらに、山村農家人口減少率三・三%、出かせぎ率二・六%は、都市近郊平地農村、農山村のいずれよりも高く、林業労働力減少老齢化が進んでいるのであります。政府は、森林資源基本計画等を作成して、当面、輸入依存率が高まると説明しているのでありますが、人工造林減少すれば、この計画は根底からくずれるのであります。  佐藤総理は、このわが国林業衰退山村民切り捨て現状をどう考え、山村民大衆のための林政をどう進めるお考えであるか、承りたいのであります。  次に、森林計面とその実績について伺います。  白書も述べているように、政府は、林業基本法に基づいて、今後五十年間の需給見通し及び森林資源基本計画を定め、さらに、森林法に基づいて十年間の全国森林計画を定めております。これらは、かつての林政伐採量を現実の生長量の範囲に抑制しようとしたのに対し、天然林より三倍程度生長力の大きい人工林化を行ない、これによって供給力を高めようとするものであり、かつ、増大ずる需要に対応するため、なるべく早い時期に人工林化を進めようどするものであります。全国森林計画によると、年平均二十九万ヘクタールの拡大造林計画されているのに対し、その実績は、四十年度には、計画量を一万ヘクタール下回るに至っておりますし、林道に至っては、年平均五千キロメートルの計画に対し、半分程度実績しかあげていないのであります。白書は、林道から千五百メートル以上離れた森林がなお全体の四割近くに及んでいると言っているのでありますが、ほとんど公共投資に依存している林道開設がかようなことでは、他の条件が好転をしても、造林伐採停滞せざるを得ないではありませんか。政府がみずから立てた計画を自分でサボタージュすることは、断じて見のがすことができません。この点について、農林大臣及び大蔵大臣所見を伺いたいのであります。  次に、林業構造政策について伺います。林業近代化のためには、林業構造改善が不可欠の条件であります。わが社会党は、このため、まず全国土土地利用区分を実施し、林地とすべき土地については大山林地主土地を解放し、林業共同経営国有林民主的管理とを進めて、山村民独占資本大山林地主の搾取から防衛する政策を提唱いたしました。しかるに、政府は、圧倒的多数の零細所有者を無視し、階層分解を進めて、無防備の賃労働者に鞍落させる政策を進めております。今日山村において、最も著しく、かつ、その傾向が強まっている人口流出や、いわゆる過疎現象出現、あるいは「出るも地獄、残るも地獄」と言われたゴースト・タウンの出現を、総理は何と考えておられるのでありますか。一体、大山林地主農地改革のよろな洗礼を受けておらず、戦前からの半封建的な性格を今日まで受け継いできたのであります。政府は、かようなわが国林業体制的問題を温存したまま、林業近代化をうたっているのでありますが、これが大きな誤りであることは、冒頭に申し上げた造林伐採停滞が雄弁に物語っているのであります。私は、一方で大山林地主の切り惜しみを放任しながら、林業衰退を招きつつある今日、この林業全体を支配しているユンカー的な、おくれた体制を打破して、弱い立場にある山村民大衆を擁護し、国土高度利用を実現する政策こそが、真の林業構造政策だと考えるのであります。政府が本年度から着手しようとしている個別森林施業計画制度や、団地造林制度のごときは、事の本質を無視した、きわめて不十分な施策であります。林業構造政府のあり方について、農林大臣所見を伺いたいのであります。  次に、外材問題について伺います。木材国内生産停滞した反面、旺盛な需要増加に、よって外材輸入が急激に増加しております。外材輪人は、白書によると、四十年には、石油鉄鉱石に次いで第三位の輸入品目になったと報告しておりますが、四十一年には鉄鉱石を抜いて第二位にのし上がったのであります。政府は、この外材輸入国内生産不足を補完するものだと説明しておりますが、事態はそれほど単純なものではありません。すなわち、外材輸入増大とともに、国産材はますます地場消費傾向が強まり、近代的な外材専門工場陸揚げ港に立地して、在来の中小製材二場を圧迫し、外材国産材と競合する分町に大幅に進出して、国内生産停滞最大の要因となり、三十六年以降、外材インパクトとして大いに業界で騒がれてきたのであります。また、昨年後半以降、高級材中心木材価格水準がかなり上昇し、外材米檜をはじめ大衆向け米ツガまで上昇を示すに、至ったのであります。私は外材問題に関して、特に次の三つの準項について問題を感ずるのであります。  その一は、外材価格動向であります。私は木材のように生産に長年月を要する資源は、長期的に免れば、国際的にも価格上昇を来たさざるを得ないと考えているのでありまして、木材輸入が総輸入額の六%も占めるに至っている今日、国土の許す限り国内生産の増強につとめるべきであると存ずるのであります。  その二は、製材品輸入の漸増であります。製材品輸入は、四十年こそ前年より下回りましたが、次第に水準を高めております。丸太を主とする外材輸入増大が、外材専門工場と既存の中小製材工場との激しい競争を引き起こしたことはすでに触れましたが、製材品輸入製材工業全体を圧迫し、最も脆弱な中小工場の脱落を激化するおそれが強いのであります。製材品輸入については、ただでさえ過剰設備過当競争に悩まされている国内中小製材工場への影響を十分考慮しなければならないのであります。  その三は、チップ輸入の急増であります。米材産地からの木材チップ輸入は三十八年から行なわれるようになりましたが、その後急増し、輸入チップを主体とするパルプ工場や、チップ専用船が稼動するに至っているのであります。山元の製材工場が不振の今日では、チップ工場山村におけるほとんど唯一の普遍的な木材関連産業でありますし、拡大造林は、天然の広葉樹をチップとして備品化できたため促進された面が強かったのでありまして、パルプ独占資本海外資源への転換は、国内ナップ工業、ひいては、拡大増林の将来に大きな暗影を投ずるものであります。  以上のような諸点を考えますと、外材国産材を補完するものだとする政府のあまりにも素朴な説明は、国民を欺瞞するものであると断ぜざるを得ないのであります。外材輸入増大に対する政府見解対策を、あらためて農林大臣から伺いたい。  次に、国有林について伺います。国有林は、木材価格停滞コスト上昇から、先行き経営不安が問題視され、一昨年三月、中央森林審議会から答申がなされたのでありますが、この答申は、国有林経営公社化を含めて企業化に徹することを勧告したものであり、われわれは、国有林の真の使命をないがしろにし、国有林労働者の締めつけをねらうものとして、大いに批判的な目でこれを迎えたのであります。しかるに、白書は、相変わらず人件費等コスト上昇を指摘して、答申さえ批判した林政協力費の支出を黙殺したばかりでなく、雇用量が大幅に減少し、賃金水準が、一般産業より、なお、きわめて低い水準にあり、労働力補充すら思うようにいかない実態には、一言も触れておりません。また、パルプ資本その他に対する国有林材の特売を通じて、国有林野事業が不当な損失をこうむっている事実にも円をおおっているのであります。国有林は、共和製糖事件のように、高級林野官僚政治家の食いものにすべきでは断じてないのであります。これは、単に土地の払い下げに尽きるのではありません。諸資材、土地等の購入、国有林野産物の売り払い、林道開設等国有林野事業のあらゆる面にわたって厳正な運営が行なわれなければならないのであります。  また、わが党は、社会主義的林業確立の一里塚として国有林を存置し、真に国民のための国有林として運営すべきだとの方針を持っているのであります。しかるに、政府与党は、国有林活用法案を準備して、今国会に提案の機をうかがっております。今回の国有林活刑法案は、いろいろな美辞麗句を並べておりますが、実態は、現行制度で十分処理可能なのであります。それにもかかわらず、政府与党があえて提案しようとする本旨は、結局、政府自民党と一部山林ボスの農山村の政治的、経済的支配強化のために行なうものと解されます。わが日本社会党としては、真に地域住民の要求に基づき地域住民が民主的に利用するものであれば、国有林活用すべきとの態度を持っていますが、現在政府の提出されようとしている活用法案は、多数の便乗的開放を伴う危険をはらんだ不健全きわまる政治法案であります。しかもこの法案は、白書の講じようとする施策には一言半句も触れられていないのでありまして、国会を愚弄するもはなはだしいものがあると考えます。国民全体の共有財産である国有林は、真に国民のために民主的に経営されなければならないと考えますが、これに対して農林大臣の所信を伺いたい。なお、あわせて、これまでに開放された国有林利用実態についてお聞かせ願いたいのであります。また、国有林活用法案の取り扱いについては、総理からその見解を伺いたいと存じます。  次に、林業労働の問題について伺います。林業労働者林業の重要なにない手であることは言うまでもありません。しかるに、林業労働者雇用条件はきわめて劣悪かつ不安定であり、賃金水準一般産業より低いのであります。その上、各種社会保険制度加入率も低いばかりか、政府は、任意適用の基準をきびしくし、締め出しをはかっているのでありまして、労災保険のごときは、四十年は、前年比二四%も適用君が減少したのであります。林業労働のように、人里離れた不便な土地が職場であり、通年雇用一般化せず、天候に左右される労働は、本来ならば一般常用者より高賃金でなければ労働者確保が困難であります。アメリカがそのよい例であります。しかるに、わが国においては、政府貧農切り捨て、その他、独占資本奉仕政策が続けられているため、雇用条件があらゆる面で悪いにもかかわらず、低賃金が支配しているのであります。このため、林業労働者流出あるいは不補充というミゼラブルな対応によって、一番おそい賃金上昇を、やっと、かちとりているのが現状であります。林業経営者の近年の最大関心事は、労働者確保、将来の経営不安、税金の三つだといわれておりますが、中でも最大の問題は、労働力確保であります。しかし、低賃金でなければ経営でぎないような林業では、存在価値はないし、第一、利潤よりむしろ地代収入を目的とする彼らは、賃金上昇しなければ、資本装備の高度化も、経営体制の近代化もやるはずがないのであります。わが国労働行政は、資本主義を前提にしているため、後進的な性格を多分に残している農林業に適合しない面が多いのでありまして、この間の調整をはかることは、むしろ農林大臣の責任であります。林業労働を安定化し、せめて、一般産業並みの賃金水準、雇用環境及び社会保障を享受させ、優秀な労働力確保することについて、総理及び農林大臣の所信を伺いたい。特に日給制国有林労働者賃金水準は、林業労賃をリードできるはずであり、国が直接関与できるのでありますから、これを林業労働者の低賃金水準打破の拠点として、大幅に改善すべきではないか、あわせてお答え、いただきたい。  以上、重要な数点にしぼって質問をいたしました。林業白書は前年同様、総花的で、問題意識がどこにあるのかわからないのであります。しかし、わが国林業は、衰退化の徴候をきわめて明白にしているのでありまして、政府の誠意ある答弁をこの際期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  19. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま述べられましたように、わが国林業は、ただいま、たいへんきびしい環境下に置かれておると思います。一方で林業そのものも衰退してきておりますし、外材が御指摘のように入ってもきております。また、人口流出もございますから、そういう意味で必要なる労働力確保もできない。こういうことで、たいへんきびしい状況下に置かれておると思います。こういう際の林政はいかにあるべきか、これは申すまでもなく、いろいろの御批判はありますが、ただいま私どもがこの林政のあり方として守っておりますものは、申すまでもなく林業基本法で示しておるところであります。この林業基本法で示しておりますいわゆる基盤の整備の問題、たとえば林道開設であるとか、あるいは拡大造林をするとか、さらにまた構造の改善事業、そういうものと積極的に取り組むのであります。特に構造改善の事業では、入り会い林野近代化等の問題があると思います。こういう点に真剣に取り組みまして、疲弊しております林業をこの際振興し、また林業従事者の福祉の向上、同時にまた、賃金の適正化をはかってまいらなければならない、かように私は基本的に考えておるのであります。  それらの詳細について、後ほど農林大臣から詳しく説明するだろうと思いますが、ただいま申し上げる点において、各界の協力を得なければ、この中業はまことに困難であります。特に御指摘になりましたように、山林については、いわゆる農地とはこと変わっておりまして、山林の大地主、こういうようなものも現在あるのでございますが、こういう方々が積極的に協力する、こういうことにぜひ持っていかなければならない。そこで、森林の施業案等についても、いろいろの御意見が述べられましたが、私はこういう際こそ、計画施業ということが、最も大事ではないかと、かように思います。その点で林業経営計画化をはかり、また適正化をはかっていくということは望ましい、かように考えております。しかし、たいへんむずかしい状況下に置かれておりますので、各界の積極的な協力を得、しかもまた山林従事者の確保についても十分思いをいたさなければならない、かように思います。  最後に、国有林野活用の問題についてお触れになりました。私も、国有林野というものはそう怪々しく開放すべきものではない、さような基本的な考え方に賛成でございます。しかし、御承知のように、わが国の地方によりましては国有林民有林割合が全国必ずしも均衡がとれているようには思いません。特殊な地域におきましては国有林が非常に多くのパーセンテージを占めておる、七割以上のものを占めておる、こういうような地域もございます。こういう際に、こういう地域におきましては、やはり林業、これを育成強化する、こういう立場であることが望ましいと思いますし、ことに公共の施設としてこの国有林野活用することは絶対に必要だ、かように私は考えるのであります。そういう点で、ただいま国有林活用法案を用意しつつございます。いずれそれらのものが国会に提出する運びになりましたら、委員会等を通じましてその詳細につき御審議を賜わりたい、かように思います。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  20. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 第一に、政府計画どおりに進んでいないではないかというお話でございますが、全国森林計画では毎年度ごとの計画を定めておりませんので、直接比較することは困難でございますが、私ども最近におけるこの拡大造林林道開設実績にかんがみまして、今後なおこの拡充につとめることといたしております。私どもは、過去の経過から見まして、必ずしもその年度の計画どおりに進んでおるとは思っておりませんが、これから最善の努力をいたしまして、所期の計画年度には計画目標を達成するように、鋭意努力を続けてまいりたいと思って、その計画も四十二年度からはなお造林停滞傾向の著しい低開発及び広葉樹地帯の拡大造林につとめ、その助成について優遇措置を講ずることといたしておりますほかに、林道開設等につきましても、御承知のように、四十二年度予算から補助体系の整備などを行ない、また御承知のスーパー林道等の開設をいたしまして、予定の計画を予定の年限に完成するようにさらに努力を続けてまいるつもりでございます。  それから、構造改善のことにつきましてお話がございました。今日、御指摘のように、構造改善事業につきましては、従来の民有林との関係等もございまして、私ども必ずしも万全であるとは申しませんけれども、この林業構造改善対策につきましては、林業生産増大、それから林業の産業性の向上をはかって、あわせてこの林業従事者の所得の増大に資するようにいたしまして、所期の構造改善政策を進めてまいるつもりでございます。  それから、外材のお話がございました。矢山さん御承知のように、最近の日本の材木需要傾向から見まして、非常にそれに合うように日本生産が行なわれておりませんので、この外材輸入が逐次ふえていることは御指摘のとおりであります。しかしながら、こういう傾向を放置いたしておくことは、きわめて安定的供給という立場からは危険でございますので、国内木材生産増大を考えるべきであることは当然でございます。したがって、先ほど私が申し上げましたように、生産を増強すること、特に、先ほどの御質疑の中でもございましたように、率直に見まして、林道開発は、やや、いままでの実績停滞ぎみでありますので、四十二年度予算においても、そういう面において特段の力を入れて御賛成を願ったわけであります。そういうようにいたしまして、わが国は、外材わが国生産とを調整をしてまいるようにいたしたい。しかしながら、これはもうすでに矢山さんも御承知のように、現在及びこれから将来の見通しといたしましては、この国内生産を補完する意味での、ある程度外材を必要とすることは当然なことでございますが、その中で、その調和をとりながら、わが国生産をあげてまいることに全力をあげなければいけない、こういう考え方で、農林省といたしましても、外材に対処いたしておるわけでございます。  それからもう一つは、国有林活用に関する法律案のことについてお尋ねがございました。いずれ、これは法案のときに、また詳しく御審議を願えると思いますが、先ほど総理大臣もお答え申し上げましたように、やはり国有林を時代に即応してこれを活用し、そして、その持っておる能率を拡大していくということがねらいでございまして、ほかに他意はあるわけではございません。  それから労働力流出することについて御指摘がございました。農林当局といたしましても、頭痛の種はここに一つございます。率直に申し上げますと、昨今の山村における労働力流出に伴って林業の経営においては、国有林のみならず、民営のほうにおいても、非常な支障を来たしておることでございます。そこで、私どもといたしましては、まず第一には、この林業従事者の生活を安定するということ、所得を確保するということに、全力をあげなければなりません。もう一つは、生活環境を改善することによって、やはりなるべく若者たち、また、林業の後継者を育成していくこと等に、いろいろ施策を進めておるわけでありますが、もう一つは、やはり経営の近代化をいたさなければなりません。  さらにまた、先ほど特に御指摘のありました雇用関係でございますが、この雇用関係につきましては、よく御存じのように、たとえば国有林関係の従業員でも、それぞれ雇用条件が違っておりますが、先ほどお話のございました日給制労働者のことにつきましては、実は、本年のいわゆる春闘という中での公共企業体等労働委員会におけるあっせん等におきまして、政府側といたしましても、この点には特段の力を入れまして、幸いにして、お話し合いも成就いたしまして、双方円満に話し合いがつきそうでございます。私どもといたしましては、前段申しましたように、農山村労働力をどのようにして確保するかということについて、ただいまの雇用条件改善等については、なお今後とも力を入れてまいるようにいたしたいと、こういうふうに思っておるわけであります。(拍手)    〔国務大臣水田三喜男君登壇拍手
  21. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。  林業生産拡大をはかりますためには、造林事業を振興する一方、林業生産基盤である林道拡充整備をはからなければなりませんので、本年度の予算におきましては、造林事業の補助費は、昨年の五十四億円に比べ、本年度は六十三億円を計上し、また、林道の事業費の補助は、昨年の七十六億円に比べ三二%増の九十二億円を計上した次第でございます。しかしながら、いま農林大臣からお話がありましたように、全国の森林計画では毎年の年度ごとの計画量を定めておりませんので、現在の実施量を直接この計画と比較することは困難でございますが、できるだけこの計画にそごしないように今後ともつとめてまいりたいと存じます。(拍手、「議長、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)     ―――――――――――――
  22. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 宮崎正義君。    〔宮崎正義君登壇拍手
  23. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました林業自誓について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  林業白書は、今回で三回目でありますが、前回と同様に、動向報告と、講じようとする施策との関連がほとんど示されておらず、とらえどころもなく、しかも、わが国の緊迫している林業の実情を国民報告し、その対策を知らせる誠実さに欠けていることを、はなはだ遺憾に思います。まず、この点、政府の猛省を促して、総理及び農林大臣所見をお伺いいたします。  また、わが国林業は、伐採量人工造林が年々減退し、これにかわって外材輸入が激増するという、きわめて憂慮すべき事態に陥っております。森林がよく育ってこそ国が栄えると言われておりますが、このように林業衰退化する傾向にある今日、林政を根本的に再検討し、具体的計画を進めるべきであると思いますが、総理並びに農林大臣のお考えをお伺いいたします。  次に、森林資源についてでありますが、最も大きい問題としては、いわゆる備蓄としての資源問題であります。白書は、森林資源の存在量から見て、現在の伐採量が能力いっぱいなのか、あるいは余裕があるのかどうか等の、当然なすべき分析を一切行なっていないのであります。たとえば、人工林の七割近くが二十年生以下という片寄った林齢構成でありますし、一方、天然林は三割五分が六十年生以上の老齢過熟林なのでありまして、森林の林齢構成が現在のようにいびつな姿を呈しているということは、伐採量の安定確保に非常な障害となるのであります。このように、森林資源についての分析がほとんどないのは、政府の怠慢であると言わざるを得ないのであります。農林大臣は、資源問題の現状と将来の見通しをどう理解し、どう対処されるお考えでありますか、お伺いいたしたいのであります。  次に、林業の構造政策についてお伺いいたします。  わが国林業は、従来、低労賃という条件のもとに独特の植林林業を展開してまいりましたが、近年の経済成長による労働力の逼迫や、立木価格停滞などで、現状は、所有規模の大小にかかわらず、ただ山を持っているというだけの人が多数であります。たとえ植林しても、財産として保持する傾向が強く、経営林家として生活しようとするものは意外に少ないのであります。また、過疎現象になっていく現況より見て、政府の構造政策は、林業構造改善事業を中心に、入り会い権の近代化、林道開設、部分林の設定、林業の機械化、シイタケ栽培等の導入、協業組織の育成等々を施策しようとしておりますが、その中核となる林業のにない手を育成する政策がありません。したがって、林業衰退を招いているというだけではなく、貧農切り捨て的な人口流出を放任しているのであります。林業の積極的なにない手を育成することを中心とする林業構造政策の確立を急ぐべきだと考えるのでありますが、農林大臣の御所見を伺いたいのであります。  次に、造林についてでありますが、労働力不足と、経済の逼迫しているということと、わが国のように地勢のけわしい林業にあっては、天然更新を主体とする省力経営に切りかえざるを得ない時期がくると考えられるのでありますが、天然更新の技術等はきわめて研究不足であります。その対象樹種としての松は、マツクイムシの被害が甚大であります。さらに、最近の林業を取り巻く諸条件の変動に即応して、種苗を含めた造林政策を根本的に再検討すべきだと考えるのでありますが、農林大臣の御所見を伺いたいのであります。  また、林道は、林業におけるほとんど唯一の土地基盤整備の手段であると同時に、林業以外の面で果たす効用もきわめて大きいのであります。によれば、林道から千五百メートル以上離れた森林は、なお四割近くもあるのでありますが、しかし、林道開設実績は、計画の半分程度にすぎず、そのようなことから、林道行政の抜本的再検討がしばしば問題となっております。林道行政のあり方について、農林大臣見解をお伺いいたします。  次に、国有林問題についてでありますが、国有林の運営にいろいろ問題のある中で、政府中央森林審議会答申に対する考え方は、きわめて微温的であります。答申後二年以上経過した今日、いまだこれに対する総合的な対策が立てられないようでは、国民の負託にこたえているとは言えないと思います。私は、企業体にまかせてしまえば、粗放利用造林事業が停滞を来たし、荒廃を続けることになりますから、そのような森林こそ、国有林として国が管理すべきだと考えるのであります。この点につきまして農林大臣所見をお伺いいたします。  次に、このたび国有林野活用法律案が提出されようとしていますが、国土の保安とわが国林業経営上支障なき国有林野のより有効なる活用を否定するものではありませんが、その必要を認めるときは、何も新しく国有林野の払い下げを推進するような法案をつくらないでも、現行法規によって、十分その目的を達することができると信じます。要するに、国有林活用に、先ほど農林大臣は、他意がないと答弁されましたが、便乗的な動きを厳に排除しなければならないのであります。この点、総理並びに農林大臣の所信をはっきりと伺っておきたいのであります。  次に、自治大臣に伺います。山村振興法によって、山村振興策が行なわれておりますが、これらの地帯では、いわゆる過疎現象が起こり、最低限の地方自治行政も、その実行が困難になってきたと言われております。この点、どう対処しようとされるのか、お考えをお尋ねいたします。  最後に、労働大臣にお伺いいたします。林業労働力林業経営上の最大の問題の一つになっております。林業労務者の実態は、雇用条件賃金水準も、社会保険の面においても、はなはだ恵まれていないと言われておりますが、他の一般労務者との賃金の比較はどうなっておりますか。今回、林業に従事する出かせぎ労務者の失業保険制度の改正をしようとしておりますが、どのように制定するのか、具体的に伺いたいのであります。  さらに、林業労務者で他産業に出かせぎに行くものと、林業労務者として出かせぎをしようとするものに対する、今後の労働対策所見をお伺いいたします。  以上の諸点をあげまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  24. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 今後の林政のあり方については、先ほど矢山君に詳しく説明いたしましたので、お許しを得たいと思います。しかし、今日まで、なかなか林政実績をあげていない、そういう点のおしかりを受けましたので、今後とも政府は、地域的にも、また業種別にも、不均衡がないように、ふしあわせがないようにすること、これが政治の要諦でございますから、一そう注意をいたしまして、林政の実をあげるようにいたします。その意味で一そうの御鞭撻をお願いしておきます。  次に、国有林町の活用法案についてのお尋ねでございます。先ほどもお答えいたしたのでありますが、やや十分でなかったかと思いますので、もう一度説明をいたしますが、私も、この払い下げが安易に行なわれることには、必ずしも賛成ではございません。しかし、国有林と、それから民有林との割合を見ますと、地方によって非常に差があるのであります。最も差のありますのが、ただいま東北地方だといわれております。この付近では、ほとんど国有林七〇%、県によっては八〇%と、そういうようなところもあるようであります。こういうところでは、これは何といたしましても、民有林、民業の発展のためにも、このままで置くことは、私は適当でないと、かように考えます。そこで、いま現行法でもそれがやれるじゃないか、現にやっておるじゃないかというお話でございますが、艇かに現行法でもやれます。しかし、この現行法でやって、いろいろの弊害を生じたことも事実でございます。私は、そういう点において、重ねて弊害を起こさないように、実害の生じないように、そういう意味の国有林活用、これをはかりたい、かように思っておるのであります。その中身につきましては、十分御審議のほどお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇
  25. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 宮崎さんにお答え申し上げます前に、矢山さんのお尋ねにお答えすることが漏れておりましたから、それを先にお答えいたします。  国有林の特売を通じて、不当に損害を与えているものがあるが、国有林事業の民主的経営はどういうふうにやるかというお尋ねだったと思います。特定の事柄についてどういうことであるか、いまここでは明らかにできません。よくわかりませんけれども、従来、とかく、いろいろな話を聞いておりますが、先般、林野庁では、こういうものの払い下げについて、その指導方針を地方の局に指令をいたしてございます。そういうような適正な方法をとらないで、そういう特売等をした事実があるといたしますならば、私どもといたしましては、監査制度も林野庁にはございますし、そういうことについて、適正な措置を講じたいと思います。また、将来の問題につきましては、私どもも、大事な国の財産でございますので、もちろん、民主的に合理的に処置をいたさなければなりません。そういう方向で指導いたしてまいります。     ―――――――――――――  宮崎さんのお尋ねでございますが、最近における林業動向についてのお話がございました。それからまた、われわれの考えておる林業政策について、どういう考えであるかということでございますが、御存じのように、最近における林業動向につきましては、国民経済の発展に伴いまして、木材等の需要増加が見られます一方、農山村からの労働力流出薪炭需要減少等、諸情勢の変化がございまして、林業生産が十分に対応しておらないことは、御指摘のとおりであります。この生産停滞傾向が見られ、その需給の開差を補完するために、外材増加が見られることは、先ほどお答えいたしたとおりでございますが、このような林業を取り巻く諸情勢の中で、これに対処いたしまして、私どもは、林業の振興をはかるためには、各種の林業施策を積極的に拡充強化することが必要でございますことはもちろんでございますが、このためには、計画的に森林施策推進をはかるように森林法の一部改正を行なうとともに、林道開設、それから四十二年度予算でも特に力を入れております造林推進等の各種生産対策を一段と促進いたしまして、林業生産増大と、森林資源確保につとめてまいりたいと思います。また、いまお話の入り会い林野整備事業等の林業構造改善対策でございますが、これの拡充強化によりまして林業経営の規模の拡大、その近代化の推進をはかってまいりたいと思っております。また、これらの施策とあわせまして、林産物流通改善林業従事者の養成確保、それからお話のありました後継者を育成していく等のことを、総合的にこういう施策を行なって、林業の振興をはかってまいらなければならない。基本的にはこういう考え方で林政と取り組んでおるわけでございます。  それから人工造林と、天然粗放造林のお話がございましたけれども、この点につきましては、森林資源に関する基本計画、これをすでに林野庁は発表いたしておりますが、さらにこの計画の充実をはかるために、林道整備、先ほどもお答えいたしましたように、どう見てもやはりこの森林資源拡大確保ということを考えてみますというと、やはり林道整備ということは大事なことでございますので、これにつきましては、一段と力を入れて人工造林をどうしても増大いたしていくと、そういうことでやってまいりたいと思っております。  それから従来からお話のありました山村労働力流出に伴って経営が非常にむずかしくなっておる。労働力流出のための後継者のことについてお話がございました。このことはさっき申し上げましたように、林業経営に携わります後継者の育成につきましては、従来から山村青年の組織いたします林業研究会等の自主的な林業活動に対する林業者普及指導職員による助言指導のほか、その活動の中心となる指導的中堅層青年に対する研修教育というのは従来もやっておりましたが、そういう育成についてさらにつとめてまいると同町に、先ほどもお答えいたしましたが、やはり何と申しましても山村におけるあと継ぎの生活改善等、これは着々やっておりまして、喜ばれておる地域もたくさんございますが、さらにやはり基本的には所得を拡大いたしてまいることが必要でございます。そういう意味におきましては、先ほどもお話し申し上げましたように、労働を供出いたしておる方々に対する待遇の改善ということは当然伴っていかなければならないことでございます。お答えは済んだと思います。     ―――――――――――――  それから、矢山さんの御質疑で、既開放国有林利用実態につきましてお呼ねがございましたが、私、いまその経過の詳細についてここにつまびらかにいたしておりません。それは私は、衆参両院の農林水産委員会等でもときどきお話にお答えいたしておりますように、先年町村合併が行なわれましたときに、その新しい合併の町村の財源を確保するというような目的で国有林の払い下げが行なわれました。ああいうことの結果、その当初の政府側が期待しておりましたとおりの利用が十分行なわれておるとは私どもは見ておりません。はなはだ遺憾な点がございますことは、率直に申し上げたとおりであります。たぶんそういうことについてのお尊ねのことだと思いますが、将来はわかりませんが、私ども、これから国有林等を処分いたしまするにつきましては、その利用方法等につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に詳しい指導方針を地方当局に出しておりますので、この方針に従って実施いたしてまいりたい、こういう考え方でございます。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介君登壇拍手
  26. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 山村市町村からの人口流出がはなはだしい現在、これらの市町村の行政水準が低下するおそれがございますので、こうした山村声町村に対しましては、地方交付税の傾斜配分をいたしますと同町に、辺地債の活用によりまして行政水準の低下を防止いたしたいと考えております。昭和四十二年度におきましては、山村振興対策事業費を道府県分の基準財政需要額に含めますと同時に、辺地債の対象を、農道、林道、学校給食施設等にまで拡充をいたしまして、この処置をいたしてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、国の山村振興事業が十分地元の市町村で消化されまするように、今後とも財政の拡充につとめたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣早川崇君登壇拍手
  27. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 第一点の林業労働者賃金の他産業との比較はどうだという御質問でございます。林業労働賃金の調査によりますと、一般の民間林業におきましては、昭和四十一年度平均一口当たり千三百八十四円であります。国有林の場合には、四十年度平均よりありませんが、一日当たり千七百八十九円と、さらに高くなっております。これに比較いたしまして、建設労働者の場合には千三百三十三円、陸上運送の労働者につきましては千五百十五円ということになっておるわけでありまして、同種の労働者に比べて必ずしも低くはないのでございます。なお、労働力不足に伴いまして、昭和三十五年以来六ヵ年で、林業労働者賃金は、二一四%、二倍以上の上昇率を示しております。これに比較いたしまして、他産業の労働者賃金上昇率はこの六年間で八一・三%でございまするから、労働力不足ということが影響いたしまして、上昇率は非常に高くなっておるわけでございます。ただ、林業労働者の場合に、労働省として非常に寒心にたえないのは、労働災害がたいへん多いということであります。一般産業に比べまして約四倍の労働災害がございまするので、労働監督署を督励をいたしまして、林業労働者の産業災害を防止するために努力をいたしておるのでございます。  二番目に、失業保険法の改正は林業関係の労働者にどう影響するかと、今回提案いたしておる保険法の改正に対する御質問でございます。これは二つありまして、たとえば国有林につとめておる人、これが循環的に失業するという方と、山村からほかの産業に出かせぎに行っているという方、両方を考えましてお答え申し上げまするが、今回の改正におきましても、従来すでに季節労務者として失業保険金をもらっておる人に対しましては、既得権を尊重いたしまして、従来どおりの保険給付をいたしたいと考えております。新規の、そういう毎年失業する循環季節労務に入られる方に対しましても、特に東北、北海道その他の失業多発地帯の方に対しましては、三十五歳以上の中高年の場合、三十五歳以下の場合におきましても扶養家族を持っておられる方、こういう方に対しましても、従来同様の保険給付をいたしたいと思っておる次第でございます。  最後に、出かせぎ者の対策でございまするが、雇用基本計画によりましても、出かせぎ労働者に対しましては特に配慮することといたしまして、今回、東京、大阪等、出かせぎ者の受け入れ地に出かせぎ相談所を設置することにいたしました。また、出かせぎ者のいま台帳がございますが、これを労働手帳にまで変えてまいりたい。また、建設業に非常に出かせぎ者が多いのでございますが、通年雇用融資の制度を設けまして、この通年雇用の方向に指導してまいりたい。また、受け入れ産業のそういう出かせぎ者に対する宿舎の設置にいたしましても、特別の融資をいたしまして、出かせぎ者の労働条件労働福祉に資したい。かように考えておる次第でございます。(拍手
  28. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  29. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第三、石油開発公団法案及び動力炉核燃料開発事業団法案趣旨説明)。  両案について、国会法第、五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。菅野通商産業大臣。    〔国務大臣菅野和太郎君登壇拍手
  30. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) ただいま提案いたしました石油開発公団法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  エネルギー革命の進展と経済の著しい発展に伴い、石油の重要性が近年とみに高まりつつあることにつきましては、御承知のとおりでございます。すなわち、石油は、現在すでに全エネルギー供給の大宗を占めるに至っておりますが、さきの総合エネルギー調査会での検討によりますると、昭和六十年度には、その比重は、七五%程度まで高まることが推定されております。したがいまして、今後この重要な石油の供給をいかに確保していくかは、わが国エネルギー政策の最も重要な課題の一つであると申しても過言ではないと存ずる次第であります。  ひるがえって、わが国石油供給の現状を見ますと、資源的な制約などもありまして、自主的な供給源がきわめて乏しく、その必要量のほとんどを海外に依存している状況にあります。このため、供給源が中近東に相当に偏在するなど種々の問題を内包しており、低廉、かつ、安定的な石油供給の確保の見地から、あるいは自主的なエネルギー政策遂行の上から、きわめて大きな問題があると申さざるを得ません。  かかる現状にかんがみまして、長期的な観点から事態の好転をはかるため、わが国自身の手による石油開発を強力に推進し、自主性がある石油供給源を確保することが喫緊の要務であります。加えて、特に海外石油開発推進は、将来の膨大な石油輸入に伴う外貨の節約にも資し、かつ、発展途上国の経済協力にも寄与するところ大なるものがあると考えます。  政府といたしましては、このような見地から、これまで国策会社石油資源開発株式会社に対し探鉱資金を供給するなど、石油開発推進につとめ、民間の努力と相まって相当の成果をあげてまいっております。しかしながら、近年におけるわが国石油需要の急激な増大と、最近における産油地域での諸外国の活動の活発化を考えますと、この際、わが国として、計画的、かつ、一元的な石油開発体制を確立し、国の総力をあげて、従来にもまして強力に石油開発推進することがきわめて必要であると痛感されます。このためには、いわば石油開発推進母体ともいうべき機関を設置し、総合的な視野のもとに、石油開発企業に対する投融資などの業務を行なわせることが最も適切な方策であろうと存じます。  かかる趣旨にかんがみ、この法律案は、石油の探鉱に必要な資金の供給、その他石油資源開発に必要な資金の融通を円滑にするなどのために必要な業務を行なう石油開発公団を設立し、これに対し、国が出資を行なうなど所要の措置を講ずるとともに、必要な監督を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、石油開発公団は、前述いたしました観点に立ち、石油資源開発株式会社の機構、機能を大幅に改組して発足するものであり、計面的、かつ、総合的に海外石油探鉱事業に対する出資及び資金の貸し付け、海外石油開発事業にかかる資金についての債務保証、石油探鉱機械の貸与、石油天然ガスに関する基礎的な調査などの業務を行なうことといたしております。  第二に、昭和四十二年度におきましては、これらの業務に対しまして産業投資特別会計から四十億円の出資を行なうことを予定いたしております。  第三に、役職員など公団の組織に関すること、予算、決算その他の財務及び会計に関すること、公団の業務についての通商産業大臣の監督等について規定しております。  第四に、石油資源開発株式会社の石油開発公団への移行に伴い、その移行の円滑化等につきまして必要な規定を設けております。  以上が石油開発公団法案の趣旨でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  31. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 二階堂国務大臣。    〔国務大臣二階堂進君登壇拍手
  32. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 動力炉核燃料開発事業団法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  原子力発電は、経済性向しの見通し、外貨負担の右利性及び供給の安定性等の面から、今後、わが国経済の成長をささえる大量のエネルギー供給の有力なにない手となるものとして、その開発の促進が強く要請されております。  わが国における原子力発電は、ここ当分の間は、現在すでに経済的、技術的に実証されている軽水炉がその主流を占めるものと考えられますが、資源の乏しいわが国といたしましては、今後予想される核燃料所.要量の増大傾向にもかんがみ、核燃料の安定供給と有効利用をはかるため、より効率的な動力炉を自主的に開発することが、エネルギー政策上の重要課題となっているのであります。また、この新しい動力炉を自主的に開発することは、産業基盤の強化及び科学技術水準向上にも多大の貢献をすることが期待されているものであります。このような観点から、新しい動力炉として高速増殖炉及び新型転換炉の開発を「国のプロジェクト」として、強力に推進することとしているのであります。  しかも、この開発は、わが国にとりまして、かつて経験したことのない新しい分野における大規模な事業であり、これを成功させるためには、政府はもちろん、学界、産業界等をはじめとする国の総力を結集してこれを推進することが必要であります。  このため関係各方面の総力を結集する中核機関として新たに動力炉核燃料開発事業団を設立し、これを積極的に推進しようとするものであります。  さらに、この新しい事業団の設立に伴いまして、原子燃料公社の業務の主体をなしております核燃料開発関係の事業は、この新しい動力炉研究開発と密接な関連を有するものであり、一つの事業主体が総合的に実施することが研究開発の効率的な遂行を確保するゆえんであると考えましたので、ここに原子燃料公社を解散することとし、その業務を全面的に新しい事業団が承継して行なうことといたしました。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この事業団は、すでに申し上げましたように、高速増殖炉及び新型転換炉という新しい動力炉開発並びに核原料物質及び核燃料物質の探鉱、生産、再処理等を計画的かつ効率的に行ない、もって原子力の開発及び利用の促進をはかることを目的として設立されるものであります。  第二に、事業団の資本金でありますが、設立に際しまして政府が出資する二億円と従来政府から原子燃料公社に対し出資されておりました金額及び民間からの出資との合計額を資本金として、この事業団は発足するものであります。このほか、将来、必要に応じまして資本金を増加することができるようにいたしております。  第三に、事業団の業務といたしましては、高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発及びこれに必要な研究を行なうとともに、これに関する核燃料物質の開発及びこれに必要な研究、核燃料物質の生産、保有及び再処理、核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱を行なうことといたしております。なお、事業団は、その業務を行なうにあたりましては、政府関係機関及び民間と密接に協力し、それらを活用していくことが必要でありますので、内閣総理大臣の認可を受けて定める基準に従いまして、その業務の一部をこれらの者に委託することができることとしております。  第四に、事業団の機構につきましては、役員として、理事長一人、副理事長二人、理事八人以内及び監事二人以内を置くとともに、非常勤理事及び顧問の制度を設けまして、関係各界との円滑な協力関係を保って国の総力を結集することといたしております。なお、事業団の業務の運営につきましては、特に、動力炉開発の業務は長期にわたる大規模な事業でありますので、内閣総理大臣が定める基本方針及び基本計画に従って計画的にその業務を行なうことといたしております。  第五に、動力炉開発関係の業務と再処理関係の業務に関しましては、その性格の特異性にかんがみ、それぞれその他の業務と区分して経理を行なうこととしております。  第六に、事業団の監督は、内閣総理大臣がこれを行なうこととなっておりますが、この法律に基づいて認可または承認等をする場合におきまして関係ある場合には大蔵大臣に、動力炉開発業務等については通商産業大臣にあらかじめ協議することとなっております。  第七に、この事業団の設立と同時に現在の原子燃料公社は解散し、その一切の権利義務は、事業団が承継するものといたしまして、所要の経過措置を講ずることといたしました。  その他、出資証券、財務及び会計等につきましては、他の特殊法人とほぼ同様の規定を設けております。  以上が、動力炉核燃料開発事業団法案の趣旨でございます。(拍手
  33. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小柳勇君。    〔小柳勇君登壇拍手
  34. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました二つの法案に対しまして、内閣総理大臣及び関係大臣に質問いたします。  この二つの法案は、ともに、総合エネルギー調査会の答申に基づいて、石油エネルギー及び原子力エネルギーの長期的な安定供給を目標といたしておるものであります。したがって、これから十年先、二十年先の日本のエネルギー確保については、これらの構想を基礎にして十分検討しなければなりません。ところが、現在、石油エネルギーの大部分を依存しておる中東諸国において戦争が起こりまして、現在なお、平常に復しておりません。いわば足元に火がついておるのでありますから、この問題を先に質問いたしまして、逐次、将来の問題に質問を展開いたしたいと思います。  通産省の報告によりますと、現在、日本における重油及び石油の備蓄量は、それぞれおよそ二十日分だと言われておるのであります。したがって、早急に中東の状態が平常に戻りませんと、日本の経済に大きな打撃を与えることは必至であります。わが国は、石油の九〇%を、ペルシャ湾を経てアラブ諸国及びイランから輸入しており、中東はわが国のきわめて重要な石油供給源となっております。アラブ諸国の石油輸出禁止措置が、わが国石油輸入にも相当の影響を及ぼしました。また、スエズ運河の閉鎖が長引くようなことがあれば、わが国と欧州方面との貿易が重大な影響を受けることは必至であります。中東の戦争は、単に石油などの経済的影響だけの問題ではありません。あるいはベトナム戦争以上に世界の平和に対する危険をはらんでいると言えましょう。かつてそうでありましたように、現在も中近東は世界の火薬庫であります。総理は、日ごろ、世界平和を念願し、そのためにあらゆる努力をすると言っておられますが、今度の中東の戦争が勃発した以後、どのような平和維持、または回復のために、積極的行動をとられたか、総理がとられました措置についてお伺いをいたした、いのであります。  また、三木外務大臣は、紛争不介入、厳正中立を置くと、方々で述べておられますが、その紛争不介入、厳正中立という意味について、外務大臣にお飼いをいたしたいのであります。  停戦は一応受諾されましたが、今後の事後処理のため、紛争当事国の間はもとより、米国とソ連との間にも、激しい意見の対立が予想されます。日本はその間にあって、どのような態度をとるのであろうか。紛争当事国の一方に偏せず、米国、ソ連のいずれにもくみせず、日本が独自の立場に立って、平和の回復と確保のために、日本の国際的地位にふさわしい積極的貢献をするよう努力するのであるか。それとも、局外に立って、紛争当事国及び米ソ間の話し合いを傍観して、話し合いがついたらこれに従うということであるのか。厳正中立と言いながらアメリカに引きずられるようなことはないのか。ベトナム問題に関する政府の親米的な態度から見て、この点について危惧の念を禁じ得ないのは、今後の外交方針を明らかに表明してもらいたいのであります。  また、通産大臣に対しましては、非常に緊急な問題でありますから、具体的な質問をいたします。いま紛争の解決がおくれまして、あるいはさらに悪化して、万一、原油の輸入が激減するようなことが起こりましたならば、一体、日本はどうなるか、原油の確保対策をどのように措置するつもりであるか、その方針と確保の見通しを伺っておきたいのであります。一応停戦になりましても、また激突しないとも限りませんが、原油輸入の安定確保のため、当面どのような措置をされるか、具体的にその方策を伺います。さきにも申し上げましたように、わが国の原油輸入の九〇%が中近東に依存しており、しかも、今回のような政情不安な地域に偏重しておりましては、わが国のエネルギーの安定供給は確保できないのであります。たまたま本日議題になりました石油開発公団と動力炉核燃料開発事業団を設立して、民族資本による海外原油の開発、あるいは原子力エネルギーの開発を急いだといたしましても、原子力で五十年度に総所要エネルギーの二・四%、六十年度に一〇%、また、海外開発原油では五十年度が一四・九%、六十年度わずかに二一・七%を占めるにすぎません。西欧諸国におきましては、昭和三十一年のスエズ動乱の経験から、原油輸入の中近東への依存度を低める努力を重ね、着々とその成果をあげているのが現状であります。しかるに、わが国は中近東偏重の危険性を認識しておりながら、石油業界の特殊事情のために、中近東への依存度をますます高くいたしているのであります。早急に、しかも積極的な、海外油田の開発輸入先の転換を検討する必要があると思うが、この法案では、東南アジア地区及びカナダ地域を問題にしているようでありますが、海外原油の開発について相手国側との交渉の進みぐあいはどうか、また、相手国の政情不安によって長期展望が困難ではないか、この点について具体的な説明を求めたいと思います。あわせて、ソ連原油の輸入の見通しと、積極的にソ連原油の輸入を進める方針はないか。社会主義圏に対しまして、自由主義諸国は相当制限をしておるようでありますが、政府の考え方をお伺いしたいのであります。  なお、昨年の日ソ経済合同委員会で、ソ連側から、ウラルの西にあるチューメニ油田からナホトカまで七千キロの輸送用パイプと、採掘機械など開発資材を日本が供結し、原油を長期にわたってソ連が日本に供給するシベリア油田開発協力を望んできたといわれているが、きょうから開かれております今年度の日ソ経済合同委員会では、どのような回答が出るように考えておられるか、外務大臣及び通産大臣から見解を伺いたいのであります。  わが国のエネルギーの総需要量は、現在一億六千五百万キロリットルでありまして、その構成比は、石油が五八・四%、石炭が二七・三%、水力が一一・三%、原子力は残念ながらゼロであります。しかるに、昭和四十五年度に二億一千九百五十万キロリットル、六十年度は五億五千十万キロリットルに増大するものと推定されております。その構成比は、石油が七四・八%、原子力が一〇%、石炭が九。五%を占めるものと推測されているのであります。これから二十年の間に、石油エネルギーと、原子力エネルギーを海外に求めて、日本の財力と知力を総動員しなければ、これらの推定はあくまで推定に終わる危険性があります。いわば、この提案された法案の自主開発のエネルギーは、遠い将来の夢物語といわなければなりません。したがって、とりあえず、ここ二十年の間、わが国国内エネルギー資源を有効に活用する努力を最大限にいたさなければならぬと考えるのであります。  国内エネルギーは石炭と水力であります。中でも、石炭の活用を再検討する必要があろうと考えておるのであります。石炭は理論可採埋蔵量二百億トンといわれ、実際に採掘できる炭量だけでも二十年分はあると推計されているところであります。たまたま、石炭は、石油との競争において、炭価の引き下げと急激な合理化の中で累積赤字が増大したために、今度の国会で、石炭企業の借金のうち一千億円を財政資金によって肩がわりして、私企業の再建をはかっているのでありますが、このことは、とりもなおさず私企業としての限界を示すものであり、このようなばく大な国費を私企業に投ずるくらいなら、エネルギーの安全供給の観点からも、石炭鉱業を国有化しなければならぬと考えておるのであります。現在、石炭関係には、各種事業団及び電力用炭販売会社がありますが、これらも統合一元化して、大石炭公社を設立する考えはないか。また、石炭火力発電所も、緊急事態に備えて増設をする必要があると考えるが、通産大臣の見解を伺いたいのであります。  次に、動力炉核燃料開発事業団法案での問題点は、いろいろあります。たとえば、核燃料を民間に野放しにする点、動力炉研究過程で開発された実用炉の利用を除外している点、及び電力会社が米国から軽水炉を独自に購入して原子力発電を急ごうとしている点など、いろいろ問題がありますが、これらは委員会で十分に論議したいと思います。  きょう質問しておきたいのは、新型転換炉及び高速増殖炉の開発のために、十年の長い歳月を民間の協力にのみ依存しながら研究を続けようとする、中途はんぱなこの事業団構想についてであります。大蔵大臣は、三ヵ年ごとにチェックして、悪かったら手直しすると言っておるそうでありますが、そんな不安定な基礎では長期的な研究はできないと考えるのであります。学者も研究者も生活しなければなりませんし、安定した研究体制を求めることは当然であります。私は、むしろ、現在の原子力委員会の権限を強化して、その傘下に、原子力研究所、原子力燃料公社、原子力発電会社を統合一元化して、強力な研究体制をつくるべきであると考えるのであります。研究開発の段階で、民間の発電会社が、これと無関係に原子力発電体制に移行することを抑制しながら、新型転換炉及び高速増殖炉の開発を急ぐべきであると考えるがどうか。科学技術庁長官の見解を求めます。  また、原子力発電は通産省関係が所管、動力炉開発は科学技術庁の所管であります。この所管の不統一にも原子力開発の隘路があると考えますが、これらの連携調整はだれがどのようにしてやるのか。通滝大臣と科学技術庁長官の見解を求めます。  最後に、行政管理庁長官にお伺いいたします。公社、公団の整理統合については、さきの臨時行政調査会でも答申され、その後、各種委員会でも問題にされ、佐藤総理は内閣の責任においてこの機会に断行すると言明しておられます。昨日も議運で問題になったようでありますが、臨時行政調査会の答申の中で、「政府関係機関等の設立は、人事管理の行き詰まりと、何らかの政治的圧力に原因が求められる。このため無秩序に乱設する傾向がある」と指摘しているのであります。結論として、「乱設を抑制するとともに、既存のものの実績を検討して、その統廃合を促進すること、統一的な設立基準の確定がぜひとも必要である」という見解を述べているところでありますが、本日提案されたこの事業団と公団は、これらの意見を排除してまで設立しなければならないものかどうか、その根拠は何か、また、設立基準は何か、お伺いをいたします。  総理大臣に対しましては、特殊法人が各省庁の植民地となり、役員人事が各省の私物化してしまっていると極論されているやさき、これらの特殊法人が新設されようとしておりますが、その運営なり役員人事の決定にいかなる措置をとられるか、また、既存の特殊法人の役員人事の問題になっている点についてどう解決されるか、お伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  35. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君にお答えいたします。  いろいろお尋ねがございましたが、具体的なものは各担当大臣にまかすといたしまして、私に対して特に名指しでお尋ねになりました二つの点にお答えいたしたいと思います。  一つは、最近国際的な大問題であります中近東の戦争の問題でございます。わが国がどういう態度をとったかと、こういうことでございます。わが国は、三木外務大臣からしばしばお答えいたしましたように、もちろん戦争に、不介入でございます。しかし、この地域が石油、原油の供給地であるし、また国際交通路線としても重要な意義を持つし、また多数の邦人もいる。それらの安全の確保もしなければならない。こういうことでございますから、最初からこの問題について真剣に検討いたしまして、特に厳正中立であること、これを態度としてはっきり確認しよう、そしてこの問題が、紛争が拡大せず、平静になり、世界の平和が確保されるようになるためには、これは何といっても、国連の場において各国がその主張を明らかにすることだ、かように考えまして、国連の場において国際平和の確保に努力してまいったのであります。私が申し上げるまでもなく、今日は、アメリカ、ソ連、フランス、イギリス、こういうような四大国のこういう問題に対する取り組み方いかんによって、世界の平和は維持できるのでございますから、そういう意味で、これらの大国の考え方について十分私どもの主張を取り入れていただけるように、そういう裏面的な交渉も努力いたしたのであります。幸いにいたしまして、御承知のように安全保障理事会の決議を見て、六日、七日に引き続いて決議が行なわれ、即時停戦、これを満場一致で可決している。こういうことで、関係国も、この決議は国際世論であり、また正論である、こういう意味でこれを受諾した、かような形になっております。このことはもうすでに御承知のとおりだと思います。したがいまして、今後停戦はされましても、あとの処理の問題、これはたいへんな問題だと思います。そういうことについて、わが国の国益を守り、同時にまた国際的な平和のためにわれわれが貢献できるように、この上とも努力するつもりでございます。ただいまこういう事柄が安全保障理事会を中心にして審議されている。わが国は常任理事国ではございませんけれども、ただいま理事国である、こういう立場において十二分に私どもの主張をはっきりさすことができる、かように思っております。この問題は、ただ一党一派の問題ではございません。たいへん国際的な重大な問題でございますし、また日本としてこれに慎重でもなければならないと、かように思いますので、どうか各党超党派的に、今後のわが国のあり方について御鞭撻を賜わりたいとお願いをいたします。  最後に、公団、公社の運営についてというお話でございます。あるいは各省それぞれが担当省の勢力を張る、こういうような意味で、公団、公社が運営されておらないか、そういうような御疑念、また心配から出てきたことだろうと思います。また、この担当所管省というものがこういうものの運営に十二分の関心を持つということは、これは当然のことでございます。そうしてりっぱな成績をあげるということでございますが、しかし、二面、公団、公社の運営、これは広く人材を求めるということでなければならないのでございますから、私は、広く人材を登用するという観点に立ちまし、て役員の人事等の選考はいたすつもりであります。一省等の壟断は許さない、こういうことで、また、国民の利益に役立つように厳正に運営していくつもりでございます。(拍手)     〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  36. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 小柳君から、中東の紛争が起こりまして以来、日本は厳正中立の態度をとっていきたいということを明らかにいたしたわけでございますが、その厳正中立という意味はどういう意味かという御質問でございます。厳正中立は、文字どおり、いずれの側にも加担をしない、一方の側に加担をして他を非難するようなことはしない、そうして公平な立場に立って、国連という場において、一日も早く紛争の解決のためにあらゆる努力を払うということでございます。また、その厳正中立は傍観者の態度ではないかというのでありますが、日本は原油の九〇%を中近東に仰いでいるわけでありますから、この紛争に対して傍観者の態度は日本はとれる状態ではないのであります。しかし、その日本の国益から考えてみましても、中東における紛争が一日も早く解決をする、こういうことが日本のために必要でありますから、国連の場においても、あるいは現地においても、東京においても、紛争の平和的解決にあらゆる努力を払うということが、傍観者の態度ではないと御理解を願いたいのでございます。  さらに、日ソ経済合同委員会におけるシベリア石油資源開発についての御質問でございましたが、日本は、シベリアの石油資源開発に対して非常な関心を持っておることは事実でございます。しかし、ソ連のシベリア石油開発に対しての内容はいまだ明らかになっていない。また、膨大な資金も要するようでありますので、今回の日ソ経済合同委員会の、この席上において、先方のソ連側の計画というものを詳細に聞く、その計画を聞きたいということで。現に何かの計画を持っておる、こういうわけではありません。関心を持ちながら、ソ連の計画というものを、この会議の場において聞いてみたい。そのソ連の計画によって、日本として開発に協力できるならば、大いに関心を持ってこれに当たりたい、これが日本の考えでございます。(拍手)     〔国務大臣菅野和太郎君登壇拍手
  37. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 今回の中東の紛争事件によって、ことにわれわれ日本といたしましては、石油問題については多大の関心を持たなければならないということは、小柳議員の仰せられたとおりでございまして、そこで当面の問題でありますが、当面、幸い日本は厳正中立を守るということで、アラブ諸国は、日本の原油についての取引については支障のないようにするということが先方のほうから確認いたしておりますので、目下のところは支障がないと考えておるのであります。しかしながら、仰せのとおり、中近東で九〇%の石油輸入しておること自体が、今後においてわれわれは再考を要する問題でありますので、長期的な観点から、今後の石油対策をどうするかという問題についてお尋ねがあったようでありますが、まず第一に、この供給源の分散ということが、仰せのとおり必要だと思うのでありまして、九〇%も中近東から輸入すること自体が、これは非常なリスクを持っていると思いますので、今後の方策といたしましては、中近東以外、たとえば東南アジアあるいはカナダ、アメリカ、ソ連あたりから供給を仰ぐということもやりたいし、また今回御審議をお願いしております石油開発公団によりまして、こういう各地で石油の探鉱をやりたいということをやっておりますので、この石油開発公団というものは、まさしくこの時期に私は非常に適した法案ではないかと、こう考えている次第でございます。  それからなお、長期的な観点から、先ほどもお話がありましたが、日本の貯油量が少ないということで、仰せのとおりであります。現在においても一ヵ月半しかありません。これではいかぬのでありますからして、さしあたり二ヵ月分ぐらいな貯油量は持ちたいという考えをいたしておりますので、至急に大型の原油基地をつくりたいという考えをいたしておりまするし、それからタンクの能力を増強して、そしてより多く貯油できるようにいたしたいという考えをいたしております。こういう点につきましては、至急にこれが対策を講じたいと、こう考えている次第でございます。もちろん、これは私企業でやってもらうわけでございますが、それについての資金ということについては、できるだけ政府のほうでも、これについては考慮しなければならないのではないかと、こう考えている次第であります。  それから、ソ連からの石油輸入問題については、いま外務大臣からお答えがありましたが、現に日ソ支払い協定によりまして、昭和四十五年には五百万トンの石油を入れることになっておりますが、もしもスエズ運河が閉鎖されたりする場合には、これが輸送については、非常な困難を来たすというおそれがあるのでありまして、お話のとおり、シベリアから石油輸入ができるようになれば、安定的に石油輸入が可能になってくるのじゃないかということが考えられておりますが、いま外務大臣の言われたとおり、これは今後の問題だと考えている次第であります。  それから、エネルギー資源についていろいろお話があり、それでまあ石油に非常に依存しているしも将来は原子力発電ということにも依存しているし、また日本は、幸いこの水資源ということで、エネルギー資源が多大に、多量に確保しておりますが、問題はこの石炭の問題でありまして、そこで、石炭について、これをもう少し根本的に考えて、あるいは国営、国有化というようなことも考えてみたらどうかというようなお話があったと思うのでありますが、しかし、これは昨年の石炭鉱業審議会の答申にもありますとおり、この答申は中立的な立場の人、あるいは経営者、また炭鉱労務者の関係の人々、関係者がすべて寄ってこの答申案ができたのでありますからして、経営者も企業能力を持っておりまするし、幸い炭鉱の労務者も、なおこの石炭対策によって、ここで大いに労働したい、活動したいというような御希望も持っておりますからして、したがいまして、この際、国有化するということは私は問題だと、こう考えております。これはあくまで民間企業でやるべきで、そのほうが能率があがると私は考えているのであります。  それから、この動力炉のことについてお尋ねがありましたが、科学技術庁のほうは、動力炉開発ということをやっていただいておって、通産省のほうでは、動力炉の発電の開発をやっているのでありまして、おのずから立場が違っておりますが、しかし、これは両々相まっていくべきものであるのでありますからして、あくまで行政的にいろいろ連係を保って、そうしてこの動力炉の発覚の発展をはかりたいと存じている次第であります。(拍手)    〔国務大臣二階堂進君登壇拍手
  38. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) お答えいたします。  動力炉開発に関するこの体制がきわめてばらばらでないか、不安定じゃないかというようなお尋ねでございますが、御承知のとおり、この動力炉開発、いわゆる原子力の平和利用開発計画につきましては、原子力委員会がございまして、そこで長期的な計画を立てて、その計画総理大臣が確認いたしまして、総理大臣が定める長期的な方針と計画に基づいて政府が諸施策を進めるわけでございます。今回動力炉開発事業団をつくりましたゆえんのものも、この新しい新型転換炉あるいは高速増殖炉というこの事業を積極的に推進するため、この基本計画に基づいて計画を進めている実施機関でございまして、この基本計画が定められ、総理大臣が長期的な方針と計画を定めて、その定めたものをば、基礎的な研究は原子力研究所がやる、そうして新しい動力炉開発の事業については事業団が遂行していく、そうしてまたこの事業が非常に大型なプロジェクトでございますから、官民一体となって総力を結集する体制というものをつくっていくという構想でございますので、この動力炉開発事業団のあり方について不安定なものはないと私どもは考えております。  なお、次のお尋ねでございますが、もっと強力な体制をしいていく必要はないかということでございますが、先ほど申し上げましたごとく、原子力委員会の権限をもっと強化しろというような意見もございます。先ほど申し上げましたような体制で進めることが現下日本の国情に合ったあり方であると思っておりますが、一部には、この原子力委員会等を英国のような原子力開発の機構に持っていくべきではないかという御議論もございます。慎重に検討はいたしてみたいと思っております。しかしながら、英国とわが国におきましては国情も違うし産業体制も違いますので、そのままの機構をわが国体制に持ってくることは不適当ではないかと考えております。私はいまの体制で十分官民一体の総力を集めて開発ができる、また、原子力委員会が基本計画を定めてその計画に従ってやるということでございますので、体制はいまのままでいいのではないかと考えておるのでございます。  なおまた、電力業界の協調の問題でございますが、今回この計画を定めますにつきましては、電力業界も非常に協力しております。また、今回のこの計画をつくりますにあたりましても参画いたしておるのでございまして、決して電力業界の協力は得られないということはないと私は確信をいたしております。  なおまた、関係各省、特に通産省との関係でございますが、この長期計画を立てる場合にも、総合エネルギーの観点からいたしましても、通産大臣と協調し、協議をいたしておりますし、また、万が一協力を必要とする場合には、原子力委員会がその機能も持っておりますので、原子力委員会等が調整に乗り出すということも考えられるのではないかと考えております。(拍手)    〔国務大臣松平勇雄君登壇拍手
  39. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 今年度、若干の特殊法人を新設いたしましたことは御指摘のとおりでございますが、これはたびたび申し上げますように、新しい行政需要に対処する最小限の処置でございまして、一方、閣議の申し合わせ、その他行政監理委員会の決議等もございまして、ただいま現存の百八の特殊法人に対しましては調査をいたしておりまして、今年の八月末までには結論を出してこれらの再編成あるいは整理統合等に関して処置をいたしたいという所存でございます。  なお、特殊法人の人事あるいは運営の面に関しましては、ただいま総理からお答えしたとおりでございます。  動力炉核燃料開発事業団について申し上げますと、動力炉開発わが国におけるエネルギー政策上の重要課題であることは科学技術庁長官が御説明したとおりでございますが、わが国においても可能な限り自主的な開発を行なうことが必要でございます。それに関しまして、ただいま原研、あるいは原燃、あるいは原子力発電所等を一緒にしたらどうかというような御意見もございましたが、動力炉核燃料開発事業団は、以上のような趣旨に沿うものであり、かつ、原子力委員会の決定の趣旨も十分取り入れて、これを認めることにいたした次第でございます。  なお、これに伴いまして、既存の原子燃料公社を統合する予定であることは、先ほどの科学技術庁長官の趣旨説明のとおりでございます。(拍手)     ―――――――――――――
  40. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 向井長年君。    〔向井長年君登壇拍手
  41. 向井長年

    ○向井長年君 私は、民主.社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました二法案に対して、政府の所信をただしたいと存じます。  まず、石油開発公団法案についてお伺いいたしますが、第一点として、この公団構想は、石油資源の自主開発によりまして、石油の安定的かつ低廉な供給の確保という点から見ますと、今回の中東戦争はまさに一大衝撃であります。現在、わが国石油輸入が、九〇・四%を中近東に依存しておる現状であり、わが国と同じく石油資源に乏しい西欧諸国が、極力輸入先を分散しているのに比べて、わが国の場合、輸入先は中近東に片寄り、しかも、その取引先は米英系石油資本に握られております。しかも、わが国には、備蓄についての国の制度も企業の責任も定められておりません。新公団構想の提案にあたり、総理は、このような石油供給の基本問題につき、いかなる展望を持っておられるか、お伺いをいたしたいのであります。  第二点として、今日までの政府国内資源開発並びに海外資源開発についての方策は、年ごとの予算のワクに縛られた、こま切れの開発にすぎません。これでは、開発に従事する人々の雇用は不安定であるし、公団は単に資金を流すトンネル機関にすぎなくなります。さらにまた、せっかく開発する海外石油資源についても、国内に、いかなる流通ルート、販路を保証していくのか、この点も国民にとって不明確であります。政府の責任ある見解をお伺いいたしたいのであります。  次に、動力炉核燃料開発事業団についてでありますが、科学技術の振興は二十世紀後半の各国の課題であることは、御承知のとおりであります。特に、資源の乏しい、一億の人口を持つわが国が、高度の文化国家として発展していくためには、先進諸国に伍する工業技術国として立つ以外に道はないと思います。したがって、その基礎となるところの科学技術の振興は、わが国の盛衰をかけるものと言わなければなりません。ここに、わが国の科学技術の振興と開発への無限の期待があり、同時に、科学技術に対する国家の責任も大であると言わなければならぬのであります。しかしながら、戦後わが国のたどった道を振り返ると、国としての自主的、計画的科学技術政策は不在であったと言っても、 何ら過言ではありません。もっぱら、民間産業の自由な研究開発にゆだねてきた結果、わが国の独自の研究開発を進める道は開けず、さらに、導入技術の改良発展の研究投資も乏しく、ついに現状において、先進国に大きくおくれをとる結果を招来したものであると断ぜざるを得ないのであります。  そこで、今日この情勢を踏まえて、基本的問題として、第一の質問は、政府は、科学技術政策は平和利用に徹し、かつ、国民の利益に資する産業振興の基盤であるという立場を認められると思うが、しからば、原子力開発と宇宙開発という二大目標は、全産業の向上を目ざすものでなければなりません。この点に対し、政府は具体的計画をどのように樹立しているのか、総理並びに関係大臣に、まずお伺いいたしたいのであります。  質問の第二点は、世界先進国はあげて核の平和利用開発に巨額の資金を投入している現状であります。しかるに、わが国では、その場その場当たり的で、核開発という重大問題を回避し、民間に依存してきたことは、まことに遺憾と言わなければなりません。今後大幅な研究開発の国家資金投入を、勇断をもってやる気があるのかないのか、総理にお伺いをいたしたいのであります。  次に、質問の第三点は、公庫・公団の整理統合、あるいは新設公団は極力抑えるという政府の方針には賛成であります。しかし、これが単なるびほう策として行なわれるのは排すべきてあって、必要なものはつくる、要らないものは廃止するという筋を通すべきであります。この観点に立って、事業団設立に関し、原子燃料公社が統合されることになったが、今日までの政府説明によると、これは発展的統合であるとされているが、しかし、原子力委員会は、政府予算案作成段階で、この統合には反対であったことは事実であります。原子力委員長としての科学技術庁長官に、あらためてお伺いをいたします。また、行政管理庁長官のこれに対する御意見もあわせてお伺いいたしたいのであります。  次に、第四点は、この事業団は、科学技術政策上設立されるのか、エネルギー政策上設立されるのか、この点を明確にされたいのであります。新型転換炉開発について、これまでの政府説明によると、両方にまたがっているものとしている。すなわち、核燃料の外国依存度を減少させるというエネルギー政策と、自主開発に伴う工業技術の振興という技術政策上の立場がある――いずれも、もっともなことであります。しからば、当面する軽水炉の国産化という身近な課題に触れていないのは何ゆえか。また、軽水炉の国産化について、科学技術政策の立場から何らかの措置を講ずる計画があるのかないのか、この点について、科学技術庁長官、並びに通産大臣にお伺いいたしたいのであります。  質問の第五点は、政府は、新型転換炉について、いま考えている日本的な炉は世界にないから、自主開発しなければならないと言われておりますけれども、自主開発そのものの意義は別として、日本的な炉が導入技術によって開発可能となるなれば、この政府の考え方はみずからくずれると思うのであります。さきの衆議院本会議において大蔵大臣が答弁されたのは、この点を踏まえてされたと考えるが、もし、日本的な炉、すなわち天然ウラン供給でプラトニウム自立サイクルの炉が早い一時期に導入技術を基礎として開発されるとしても、それに関係なく自主開発するのか、科学技術庁長官にお尋ねいたしたいのであります。  質問の第六点は、政府は、新事業団のうち、動力炉開発部門は、いわゆるボード的機能を持つものであるとか、あるいは建設から試運転までを実施するものであるとか、見解が統一されておらない。新型炉の開発性能という面で、この事業団がいかなる方法によってそれを実施するとしても、最終的責任を負うという点は理解できるが、いかなる規模で、人員数はどうか、また、いかなる機能を持つのか、お尋ねをいたしたいのであります。  第七点は、新型転換炉と高速増殖炉の自主開発のため、責任体制を明らかにするために、事業団の設立を要するということであるが、その必然性というものが明確ではありません。今日、予算も成立し、あたかも設立されることが前提であるがごとく論議されているが、この段階で、いま一度、事業団設立の必然性、すなわち理由を伺いたいのであります。なお、この場合、原研でできないという根拠もあわせて答弁を願いたいの、であります。聞くところによりますと、昨年計画された高速実験炉の建設はすべて一年ぐらいおくれているというが、その理由は原研と事業団の役割りがはっきりしないためである。事業団の設立問題は、原子力界全体の調和を考えて、当面各所の計面等に悪い影響を与えていると言えるでしょう。これに対して政府ほどう判断されるか。この点について特に通産大臣あるいは科学技術庁上長官にお伺いをいたします。  第八点は、核燃料確保の問題であるが、わが国で、将来少なくとも昭和六十年までに必要とされているウランは十万トンと見込まれております。しかるに。わが国では、今日三千八百トン前後のウラン埋蔵が確認されているにすぎないのであります。大半は海外に依存しなければならない現状であります。政府はウラン確保にいかなる基本的方針を持っておられるか。さらに濃縮技術及び再処理技術も重要な問題であります。これらに対していかなる方法をもって進めていくつもりか。科学技術庁長官並びに通産大臣にお伺いをいたします。  最後に、ただいま事業者が、原子力委員会の答申にこたえて、自主的に原子力発電の開発を進めているが、これに対して政府はいかなる指導助成をされているか。たとえば、中部電力が三重県芦浜に建設予定を進めているが、地元に反対等の問題が惹起している。これに対して、市、県、いわゆる地方公共団体の協力体制がなく、建設困難な状態にあるのであります。かかる事態に対して、政府はいかなる指導をしてきたか。また、今後、どのように指導していくつもりか。通産大臣にお伺いをいたします。  以上、基本問題についてお尋ねをいたしましたが、今日の政府の事業団が、はたして今後の国家的事業として、十分な役割りを果たし、成果をあげられるか、きわめて疑問と言わなければなりません。事業団設立の前に、国が取り組むべき基本問題が山積していることを、政府は十分認識すべきであります。基本的問題については、いずれ委員会において、十分な時間をかけて政府の所信をただすことにいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  42. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 向井君にお答えいたします。  わが国石油供給、これは御指摘のとおり、中近東に偏重しております。こういうことではこれは困る、今回のような事態に対しまして現実にたいへん心配せざるを得ないのであります。そこで、平素から東南アジアや、またソ連やアラスカ等にも、それぞれの道を開き、取引をしておるわけであります。しかし、東南アジアやソ連等におきましても、まだ総額といたしまして申し上げるほどに伸びておらないという状況でございます。こういうような点がありますから、今後とも一そう他地方から供給を受けるように努力してまいります。そのためにも、わが国が自主的に石油開発していくということがどうしても必要だ。それが今回の石油開発公団、これを設置することになりましたゆえんでございます。この公団の働きによりまして、今後は海外等におきましての、各国の協力のもとに、それぞれわが国石油供給源を確保していくということに相なろうかと思います。  ただいま、この開発公団は資金供給のトンネル会社ではないかというようなお話でございますが、とんでもない、これはトンネル会社ではございません。また、事業会社ではございませんから、そういう意味では誤解をされないように願いたいのであります。この公団を通じまして、いわゆる石油開発事業、これを推進してまいります。総合的に推進していく母体、これがただいまの公団でございます。そういう意味で、もちろん探鉱資金の供給もいたしますが、技術指導その他の面におきまして、あらゆる面で開発事業を推進していく考えでございます。これがうまく活動すれば、わが国の自主的な石油開発、これができると、かように確信しております。  次に、科学技術振興について意見を徴されましたが、申すまでもなく、わが国の科学技術、これは今日なお、最高の水準だと、かように自慢のできる状態ではございません。私どもも、あらゆる面におきまして、科学技術の振興に努力をしております。教育の面において、また、会社の事業体における研究資金の確保等におきまして、十分努力をしておるのでございます。国が持っております最高技術会議等におきましても、特に科学技術の振興について、具体的な方策として、今後は研究投資の国民所得に対する比率を一・七から、さらに二・五程度までひとつ至急に上げろ、こういうような強い要望が出ておりますし、政府も、さような御意見も伺っておりますので、こういうことが実現できるように、全体の科学技術の水準を高め、さらに、また、具体的な必要なる科学技術の開発に、一そう努力するつもりでございます。  最後に、原子力の開発についての問題でありますが、わが国には、それぞれの機関がありまして、いままで国家資金が投入されております。しかしながら、この原子力の開発程度は、なお不十分であります。いままでに約一千億程度の国家資金が投入されたと考えております。しかし、これだけでは十分ではございません。今度のこの計画では、今後十年間に、その倍の二千億をひとつ投入して、さらにこの開発を充実していこう、かように計画しておるような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣菅野和太郎君登壇拍手
  43. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 今度の中東の紛争事件に関連して、いろいろ石油問題について向井議員から御心配になっておられることは、われわれも同じような心配を実は持っておるのでありまして、それに対する基本的な考え方につきましては、いま総理から詳細なお話がありましたから、私は重ねて申し上げる必要はないと思います。今回、皆さも方の御審議をお願いしておる石油開発公団というものは、まさしく、この時期においては適した法案だと、私自身は考えておるのでありまして、いまの石油の供給源を分散したり、あるいは日本の資本で海外の石油開発したりするというような目的で、この石油開発公団を設立しようといたしておるのでありまして、これはひとつ、ぜひ早く実現するように、砦さん方にお願い申し上げたいと思うのであります。  それから、各電力会社が、いま軽水炉のことをやっておって、政府はあまりやらぬじゃないかというお話がありますが、まあ実際のところを申し上げますと、まだ日本自体でこの動力炉をつくるという技術は発達しておりません。そこで、海外のいままで実施をされておる往来の炉を用いなきゃならぬ、ということで電力会社がやっておるのでありますが、それに対して、政府が無関心でおるわけでは決してありません。たとえば、融資の問題についても、あるいは関税上の優遇措置についても、あるいは税制上の優遇措置についてもやっておるのでありまして、そういう方面から、各電力会社が、この軽水炉を建設することについては、極力援助をいたしておる次第でございます。  それから、中部電力の芦浜の問題について、政府は無関心でおるじゃないかというお話がありましたが、これはお説のとおり、われわれも非常な関心を持っておるのでありますが、現在のところでは、三重県自体で解決したいという希望を持っておるのであります。でありますからして、私は三重県にその解決方をお願いしておるのでありますが、いよいよこれが解決できなければ、これは政府みずから乗り出さなければならないのではないかと、こう考えておりますが、まあ現在のところでは、中部電力と三重県との間でこれが解決に奔走しておる状態であります。(拍手)    〔国務大臣二階堂進君登壇拍手
  44. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) お答えいたします。  科学技術振興のことにつきましては、総理から御答弁になったとおりでございます。時に私のほうでは、宇宙開発とか原子力の平和利用、こういう問題は、平和利用開発を進めてまいっておりますが、これらが産業基盤の育成強化、科学技術水準の引き上げに役立っていることはもとよりでございますので、今後一そう科学技術の水準の引き上げ、研究投資、国の投資の面につきましては、積極的に努力をいたしてまいりたいと考えております。  それから、原子力委員会がこの事業団の設立に反対しておったではないかということでございますが、当時はこの原子力研究所と燃料公社というものが――現在も存在しておるのでございますが、新しい動力炉事業団の構想が出ましたときにも問題になりましたけれども、行政管理庁とかあるいは臨時行政調査会等の御意見もありまして、できるだけ新しい事業団はつくるな、法人はつくるなということもございましたし、また、燃料が国有から民有化される今日におきましては、当然この二つの法人を一つにいたしまして、新しいこの事業団と原子力研究所というものを二本立てにしていくのが適当であろうと考えまして、このような機構をつくることに考えたわけでございます。  それから、この新事業団は科学技術政策を主として考えておるのか、あるいはエネルギー開発を主として考えておるのかという御質問でございますが、これはねらいは、申し上げるまでもなく、電力、エネルギーの開発でございますが、同時にまた、このことが産業基盤の強化あるいはエネルギー供給の安定確保にかかわることでもございますので、両方のこの要請に基づくものであろうと考えております。  それから新型転換炉の自主開発がなぜ必要かというようなことでございますが、当分、私は、先ほどお話がありました軽水炉の開発に重点を注ぐ、また、これは民間が主として開発していくべきものであると考えております。しかし、この新型転換炉とか高速増殖炉というようなものをなぜわれわれが考えるかと申しますと、主としてこの燃料の効率性の問題でございます。特にまた、この新型転換炉の開発につきましては、英国とかあるいはその他の国において研究は進められておりますが、これはわが国で考えておりまするものと、たとえばこの燃料におきましても、あるいは冷却炉におきましても違ったものでありますし、特にこの新しい動力炉開発には相当多量のエネルギーを必要とするものであります。したがいまして、この燃料をいかに効率的に使うかということが、私どもが自主的に開発していかなければならない重点でございます。したがって、この新型転換炉の考え方につきましても、進んだ国の技術はもとより研究をしてまいりますけれども、独自の燃料の効率性を考えた観点から開発を進めていくところに自主開発の意義があろうと考えております。  それから軽水炉のこの国産化の問題は、先ほど通産大臣がお答えされましたとおりでございます。  それから新事業団の体制、機構、運営等はどう考えておるのかということでございますが、これは基礎的な研究一般研究はもちろん原子力研究所におまかせしている。それからこの新しい事業団は、目標は新型転換炉あるいは高速増殖炉の開発にあるわけでございまして、その運営等につきましては、もとより原子力研究所あるいは民間等の協力を待て、いわゆる国の総力を結集して、その機能の完全な発揮をはかるように考えていきたい。しかも、長期にわたるものでございますので、この長期の開発につきましては、さっき御答弁申し上げたとおり、この基本計画に基づいて、計画的にこれを実施していくということでございます。また、人員等につきましては、原子力研究所等を含めまして大体千二百人ぐらいを予定をいたしておるつもりでございます。  それから、事業団がなぜ必要かということにつきましては、先ほど申し上げましたような、新しい自主的な開発をやるのだ、特に燃料の効率性を考えた事業団、わが国の国情に即した事業団というものをつくる必要があると考えまして、この事業団というものを原子力研究所と別にしてつくったということでございます。  また、燃料の問題についてはどうかということでございますが、これはもとより海外の燃料に依存しなければならないところがあることは当然でございます。したがいまして、将来のことに備えまして、民間におきましては、電力業界あるいは原子力産業会議等が、すでにアメリカとかカナダとか英国等にも調査に参りまして、長期の契約あるいは開発輸入契約等の構想を固めつつあるわけでございます。とりあえず軽水炉に必要な燃料の濃縮ウラン、これは大体アメリカとの協定を求めておりまして、近く改定をいたす考えでございますが、大体十ヵ年間に使用量といたしまして百三十トンというものが見込まれておるわけでございまして、この十年か十四、五年の間の軽水炉型の発電燃料には必要量をこと欠くことはないと考えておるような次第でございます。  大体その程度でございます。(拍手)    〔国務大臣松平勇雄君登壇拍手
  45. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 動力炉核燃料開発事業団の新設につきましては、先ほど申し上げましたとおり、原子力委員会の決定の趣旨を十分に取り入れて、これを認めることにいたしたのでございます。これに伴って核燃料の開発動力炉開発と密接に関連することもあり、また、臨調の答申では、原子力研究所と原子燃料公社を統合することを指摘しておりますが、この際、事業団の設立に伴って、原子燃料公社を改組して、その業務をすべて同事業団に引き継ぐことが、より合理的であると考えた次第でございます。(拍手
  46. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ―――――・―――――
  47. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第四、宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備の譲与に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。沖繩問題等に関する特別委員長山本利壽君。    〔山本利壽君登壇拍手
  48. 山本利壽

    ○山本利壽君 ただいま議題となりました宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備の譲与に関する法律案につきまして、沖繩問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  宮古群島及び八重山群島地域におけるテレビジョン放送局の設置につきましては、かねてから、これら地域の住民はもとより、琉球政府から強い要望がありましたが、本法律案は、この要請にこたえるため、日本政府が沖繩援助対策の一環として、昭和四十一年度予算及び昭和四十二年度予算合計七億一千四百七十六万二千円をもって、宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備を設置し、これを琉球政府に対し譲与することができることとしようとするものであります。  委員会におきましては、琉球政府の受け入れ体制、特に沖繩放送法に関する琉球政府の立法勧告と琉球立法院における審議状況、その成立の見通し、並びに沖繩における放送界の実情等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  六月二日、質疑を終え、討論に入りましたところ、共産党を代表して春日委員より、本件の実施が沖繩における言論の自由及び祖国復帰の障害にならぬようにとの希望を付して賛成の意見が述べられ、次いで採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  49. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ―――――・―――――
  51. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第五、登録免許税法案。  日程第六、登録免許税法の施行に伴う関係法令整備等に関する法律案。  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長竹中恒夫君。     ―――――――――――――    〔竹中恒夫君登壇拍手
  53. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  登録免許税法案は、今次税制改正の一環として、登録税の負担が最近の所得及び物価水準に適合するよう、定額税率について所要の調整を行なうとともに、個人の資格または事業開始等の場合の免許、許可等を新たに課税対象に加え、建物の床面積の増加による表示の変更登記、弁護士の登録がえ等の課税を廃止する等、課税範囲の適正化を行ない、あわせて課税標準の計算及び納付方法等について、所要の規定の整備合理化をはかるため、登録税法の全文を改正し、その名称を登録免許税法に改めることとしようとするものであります。  また、登録免許税法の施行に伴う関係法令整備等に関する法律案は、登録免許税法の施行に伴い、新たに登録免許税を課することとした登録、免許にかかる手数料を廃止するとともに、国税通則法、租税特別措置法その他、国税に関する法律、並びに登録免許税法に関連する他の法律について、その整備をはかるため、所要の規定の改正を行なおうとするものであります。  委員会におきましては、両案を一括審査いたしましたところ、定額税率の引き上げ幅、現金納付方式採用に伴う印紙売りさばき人の収入への影響、登録免許税収入の税務統計上の表示方法等について質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、両案を一括して採決の結果、両案とも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。      ―――――・―――――
  56. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 日程第七、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長豊田雅孝君。     ―――――――――――――    〔豊田雅孝君登壇拍手
  57. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案の改正点は、第一に、航空宇宙技術研究所に関する事務を振興局から研究調整局の所掌に移すこと、第二に、金属材料技術研究所及び宇宙開発推進本部の業務範囲を拡大すること、第三に、宇宙開発推進本部に沖繩電波追跡所及び支所を設置すること、第四に、科学技術庁職員の定員を九十八人増員すること等であります。  委員会におきましては、原子力船建造計画概要、宇宙開発一元化を構想、原子力開発利用新長期計画の内容等について質疑応答がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、八田委員より自由民主党を代表して、本法律案の施行期日を公布の日に改めるとともに、定員に関する改正規定は六月一日から適用することに修正の上、原案に賛成する旨の発言がありました。  次いで採決の結果、八田委員提出の修正案並びに修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法律案は、修正議決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  58. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案の委員報告は修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は委員会修正どおり議決せられました。      ―――――・―――――
  60. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書が提出された  沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案可決報告書      ―――――・―――――
  61. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) この際、日程に追加して、  沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。沖繩問題等に関する特別委員長山本利壽君。    〔山本利壽君登壇拍手
  63. 山本利壽

    ○山本利壽君 ただいま議題となりました沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案につきまして、沖繩問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  現在、沖繩住民であって本邦に就職し、本邦の失業保険法または船員保険法による失業保険金の受給資格を得ているにかかわらず、沖繩に帰郷した後に失業状態が生じているために、失業保険給付を受けることができないでいる者があります。他方、沖繩地域に施行されている失業保険法による失業保険金の受給資格を得ているにかかわらず、本邦に移転して失業しているために、その失業保険給付を受けることができないでおる者があるのであります。本法律案は、このような状態を解消することを目的とするものであります。日本政府及び琉球政府は、これらの失業者に対して、当該受給資格に基づくそれぞれの失業保険給付に相当する給付を行なうこととし、当該給付に要する費用及び給付事務の執行に要する費用は、給付を行なった政府間において清算すること等をおもな内容としております。  委員会におきましては、本邦と沖繩との間における労働力の交流の現状、今後の見通し、沖繩からの新規学卒者の本邦への就職状況、本法律案に至るいきさつ等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  本九日、質疑を終え、討論採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  64. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  65. 河野謙三

    ○副議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会