○
政府委員(
新谷正夫君) これは主として
双務契約の中で電力の供給契約が
会社更生法の
運用上の問題として大きく取り上げられたのでございまして、それについて具体的に御
説明申し上げるのがよかろうかと思います。たとえば
更生手続開始の
申し立てをいたします前に電力を供給しております場合、それに対する料金を支払っていない
更生会社のほうで電力料金の支払いについて履行遅滞の事実があったという場合にどうなるかということでございます。これは
継続的供給契約の場合におきまして、一方の当事者の
給付に対して相手方が反対
給付を履行しない場合には、一方の
給付者はその後の継続
給付をしない、言いかえれば相手方の
弁済がなければ自分のほうの
給付を行なわないという同時履行の抗弁権が働くのでございます。電力料金の場合におきましても、電力を供給したけれ
どもそれに対する代金が支払われないという場合には、自後の電力の供給をストップすることが理論上可能なわけであります。しかし、せっかく
会社更生の
手続に入っております
会社に対して、電力の供給をストップするということは、これは致命的な打撃を受けるわけでありまして、これは何とかして電力の供給を受けられるようにする必要があろうと思うのでございます。もちろんその間に法律の
規定に従いまして
債務不履行を
理由として契約を解除することもできるのでございますけれ
ども、さらに電力供給の申し出があれば電力
会社としてはそれに応じなければならないという現在の法制にもなっております。一方では
債権の
弁済を受けられない一面、他方におきましては電力はまた別の意味で供給しなければならないというふうな
状況下にございますので、いろいろこういうことをめぐりまして問題があったわけであります。そこで、
申し立て前に
給付した電力に対する代金の支払いがないということで自後の電力の供給をストップすることはできないようにしたのがこの
規定の
趣旨であります。法律的に申しますと、
申し立て前の
給付にかかる
債権の
弁済がないことを
理由にして自後の
給付についての同時履行の抗弁権を行使できないようにしたのでございます。そういたしますと、電力
会社は
給付のしっぱなしというふうな不利益な結果にもなろうかと思います。第二項に
規定を置きまして、
更生手続開始の
申し立て後
開始決定前に
給付したもの、いまの同時履行の抗弁権によって遮断することができなくなった
給付にかかる
債権につきましては、これを
共益債権として保護することにより、電力
会社と
更生会社の
利害の調整をはかったのでございます。これは電力
会社について例をあげましたけれ
ども、
継続的給付の義務を負う
双務契約に広めまして、たとえばガス、水道等においても同様であると考えまして、こういう表現にいたしたわけであります。