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1967-07-20 第55回国会 参議院 文教委員会オリンピック等対策小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後四時六分開会     —————————————  昭和四十二年六月十三日文教委員長において本  委員を左の通り指名した。                 北畠 教真君                 楠  正俊君                 玉置 和郎君                 二木 謙吾君                 小林  武君                 鈴木  力君                 柏原 ヤス君                 林   塩君  同日文教委員長は左の者を委員長に指名した。                 二木 謙吾君     —————————————    委員の異動  六月二十七日     辞任        補欠選任      玉置 和郎君     内藤誉三郎君  七月十八日     辞任          柏原 ヤス君  七月十九日     補欠選任        柏原 ヤス君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     委 員                 楠  正俊君                 小林  武君                 鈴木  力君                 柏原 ヤス君     委員以外の議員        議     員  西田 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部省体育局体        育官       中島  茂君    参考人        財団法人日本体        育協会事務局長  塩沢  幹君        財団法人札幌オ        リンピック冬季        大会組織委員会        事務総長     佐藤 朝生君        財団法人スポー        ツ振興資金財団        専務理事     近藤 直人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○札幌オリンピック冬季大会等選手強化に関す  る件     —————————————
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまからオリンピック等対策小委員会を開会いたします。  参考人出席要求の件についておはかりいたします。  札幌オリンピック冬季大会等選手強化に関する件について、本日参考人として、さきに申し上げましたとおり、財団法人日本体育協会事務局長塩沢幹君、財団法人札幌オリンピック冬季大会組織委員会事務総長佐藤朝生君、財団法人スポーツ振興資金財団専務理事近藤直人君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  4. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) それでは、札幌オリンピック冬季大会等選手強化に関する件を議題といたします。まず、塩沢参考人から意見を求めます。塩沢君。
  5. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) 札幌オリンピック冬季大会に関しまして、その選手強化事業推進を担当と申しますか、その責任にあります体育協会関係計画並びに今後の予算その他のことにつきまして、概要を申し上げて、また御質問によりまして、お答え申し上げたいと思います。参考資料といたしまして、お手元に印刷物を差し上げてあると存じますが、ごらんいただきたいと存じます。概要につきまして、以下申し上げたいと存じます。  日本体育協会は、札幌オリンピック冬季大会決定をいたしまして、直ちにこれの選手強化対策委員会を設置することをきめました。日本体育協会組織下にあります日本オリンピック委員会、いわゆるJOCにその委員会を設置することを定めました。これによりまして、今後の強化事業責任をもって遂行していくという体制をしいたわけでございます。最初考えましたことは、東京オリンピック大会経験からいたしまして、このとうとい経験土台といたしまして、当時この種の国際競技経験の十分でなかった最初から、いろいろと選手強化につきましては衆知を集め努力してまいりました。終わって振り返りますと、非常に時間的に間に合わなかったり、あるいは思い及ばなかったような点もございまして、必ずしも万全な施策が完全に遂行されたとは考えていなかったわけでございます。オリンピックが終わりました際に一番考えましたことは、体育協会といたしまして、今後は、トップクラスの選ばれた少数の人たちを勝たせようための選手強化にのみ専念することは十分でない、むしろ国民全体の基盤の上に立った底辺を拡大いたしまして、その上に頂点に立ったたくましいりっぱな戦力をつくらなければだめだということが一番大きな反省でございました。幸いにいたしまして、札幌オリンピックが招致されまして最初にこの委員会ができました際に、その反省に基づいて、今後はいたずらに機構を大きくしたり、そして多岐にわたったりすることなく、簡明な組織において強力に強化の実をあげるということが一番大切であるというふうに考えまして、ただいま申し上げましたように、札幌オリンピック強化対策本部と申しませんで委員会といたしまして、その委員会には小委員会として強化に専念をいたします小委員会と、財政問題を扱います委員会と二つに区分いたしまして、それぞれその下に各競技団体スキースケートボブスレーリュージュバイアスロン、この四つの競技団体のそれぞれの強化対策本部を踏まえまして、そして一貫した施策を強力に推進しよう、こういう機構考えて、今日までその中において活動を開始しておる次第でございます。  この委員会のただいままで決定をいたしましたのは、まず第一に一九七二年までの最終年度までにおきます長期計画を立てること、そしてその長期計画におきましても、昭和四十二年度と三年度は基礎的な強化考える、普及を含めまして広く国民方面から優秀な人材を開発するという部面を中心にして推進していく、それから四十三年からあとまで、大会までは、これはそれぞれ訓練を受け、選ばれてきた者を漸次しぼりまして、そして最終年度におきましてはその一番精鋭が十分みっちりと訓練をすることができるというような方向に持っていきたい、かように考えた次第でございます。これによりまして、それぞれの実際に行ないます各競技団体計画を提出してもらいまして、それらを総括的に査定をし、そして政府関係にも折衝いたしまして、できましたものが五カ年計画でございますが、予算で申し上げますというと、最終年度までの長期計画は約六億になっております。これは東京オリンピックに比較いたしますと、東京オリンピックは二十種目を行ないまして、そして大体同じ五カ年計画最終年度までに費やしました強化関係の総事業費は約二十三億に及んだと存じます。これの資金調達関係国庫補助金が約九億、そして資金財団が約それに同等額、そして残るところは体育協会自身の手で財界募金等でまかなってまいりました。今回の場合はそれらの点も考え合わせまして、体育協会が行ないました調達資金財団お願いを申し上げるというようなことになりました点が変わりましたが、あとは大体そのときの比率に従って三分の一程度、六億最終年度までに費やします予定でございますが、その予算の三分の一、二億余を国庫に仰ぎ、そうしてあとの三分の二を資金財団並びに公営競技等でまかないたい、かような考え方で進んでまいりました。東京大会の場合は約二十種目でございますが、平均いたしますというと、その全年度に費やしましたものが一億強になりますが、今回の冬季オリンピックの場合は五つの競技団体でございまするが、それは規模においておよそ四分の一に当たるわけでございますけれども、しかしスキー、特にスケート等は一つの競技と申しますよりは、たとえばスケート競技でございますと、スピード、それからホッケー、それにフィギュア、こういう三つ競技がそれぞれ性格の違いますものが合わさっておりますので、一がいに一種目と見るわけにはいかないものでございます。バイアスロンは若干の経験がございますけれどもボブスレーリュージュに至りましては未経験に近い種目でございまして、これまたこの扱いといたしましては、それだけに非常に努力経費を要する部面もございます。したがいまして、一がい東京大会と対比して考えることはむずかしいのでございますが、従来の先ほど申し上げましたように経験に徴しまして、それぞれ出されました計画を最も妥当な線にしぼりまして、そうしてそのほかにこの計画外に各競技団体自体が行なうものが少なくともこれの倍くらいな事業があるわけでございます。国庫補助金その他を対象といたしますようなものにつきましては、この程度という意味でございます。したがいまして、特別措置法その他でいろいろと施設を無料で使わしていただくとか、それから資金調達につきましてのいろいろな御配慮をいただくというようなことなどで、われわれはこの計画が堅実に、しかもできるだけ速度を速めていまから備えるというふうにいたしたいものと念願をいたしております。  幸いにも、冬季オリンピック大会決定いたしまして一年経ちまして、この間におきまして、この五カ年計画の第一年といたしまして十分な施策ができなかったのでございますけれども、お手元に差し上げておりますように、札幌においてオリンピックが行なわれるというこの雰囲気が、従来の競技団体の成果から申しますと、非常に明るい資料が出てまいりまして、この機運をただいま申しました合理的な、そしてまた強力な事業推進によりまして、大会の際にはできるだけ多くの日の丸の旗を掲げて、国民の各方面の御期待に十分沿い得るように万全の処置をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。  きわめて簡単でございますが、概要を申し上げて、お尋ねによりましてお答えをいたしたいと存じます。
  6. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 次に、中島文部省体育局体育官お願いをいたします。
  7. 中島茂

    説明員中島茂君) 私から国として、選手強化対策として、本年度予算的な面から計画していることを、いま塩沢事務局長のおっしゃった点に重複いたす部分はあるかと思いますが、簡単に御説明を申し上げます。  実は、昨年の四月二十六日に、IOCローマ総会札幌オリンピック決定したのでございまして、そうしてその後組織委員会ができ、私どものほうにも冬季オリンピック準備室というようなものが生まれたりしまして、昨年度は倉卒の間でございまして、いろいろな計画が立たなかったのでございますが、昨年度のいろいろな苦い経験土台にして、国といたしましても関係競技団体日本体育協会財団法人組織委員会等と緊密に連絡して計画を立てたのでございます。  選手育成強化対策といたしまして、まず文部省は広い基盤から、広い三角形の底辺から冬季オリンピック契機として、学校対抗を通じまして冬季競技振興をはかりたいという立場から、指導力強化費といたしまして、わずかな額でございますけれども三百万円を計上し、大体二十道府県が積雪寒冷地方でございまして、スキースケートの可能な県でございますが、それらの諸県の教育委員会と相提携して冬季スポーツ振興をはかる、どうもいままで冬季競技夏季競技に比べて立ちおくれがしておるというのは、そういう対策がなかったからであるということを言われておりますので、おくればせでございますが、札幌オリンピックがきまりましたのを契機として、指導力強化をはかるために指導者育成をはかるという計画を立てたのでございます。これにつきましては、二十一の都道府県教育委員会が積極的に協力してくれまして、いま具体的な計画を進めているところでございます。  それから第二番目には、直接選手育成強化のために冬季施設を整備する、あとお話が出るかと思いますが、札幌オリンピックに必要な競技施設もさることながら、とりあえずスケート人口の七〇%を持っていると言われる北海道でパイピングをしたコースがないというようなこと、それから国際級シャンツェが小樽にある、大鰐にあるということを聞いておりましたが、これが全くオリンピックシステムじゃない、角度もバーンも違うというようなことをお聞きいたしましたので、選手育成強化訓練のために冬季施設地元補助するというような形式で一億一千万円、苫小牧スピードリンクをもう着工しておりますが、これと、それからリュージュ競技というのが木ぞりの競技でございますけれども、全く道具もなければ、すべるところもない、とりあえずすべるところが必要だというようなこともございまして、真駒内の周辺の藤野沢というところにリュージュ競技場を一つつくるようにいたしたのでございます。それから先ほど申しました大鰐と小樽に国際級シャンツェを改造する補助金を計上し、その他合わせまして一億一千万円の予算を認めていただいたのでございます。  それから先ほど塩沢局長からお話がございました日本体育協会が行ないますところの選手育成強化に対しまして二千万円の本年度補助をし、体育協会では四千万円余の事業を今年度進められるようになっております。  そのほか来年のグルノーブルのオリンピックにも六十名の選手を派遣する経費のために一千四百万円の補助をすることにしております。  それからユニバーシアード冬季大会——先日来問題になっておりました東京大会のほうは夏の大会でございますが、冬のユニバーシアード大会が来年の一月インスブルックで開かれますので、二十名の選手団が行かれることになっておりますので、これに対しまして三百万円の補助をすることにしております。  以上が国として補助をするというような形の上からの選手強化でございますが、先ほど塩沢局長からもお話がありましたが、体育協会がやります選手強化のほかに協力団体が独自の力でやっていただくようになっておりまして、すでに四十一年度において先生方承知のようにアイスホッケーではCクラスで優勝をしたこと、そして今度札幌大会には堂々と開催地元というような資格でなくて、もう参加資格を得るというような成績をあげておりますし、それからスピード競技におきましては、鈴木恵一君が世界選手権で優勝する——五百メートルで四十秒九というような大記録をもって優勝するというようなこともあり、またフィギュアスケート大川嬢世界選手権で五位に入賞するというような、これはいい例だと思うのでございますが、その他バイアスロンでも世界選手権九位を獲得する等、選手強化第一年度において、札幌大会決定したという先ほど塩沢局長お話もありましたように、その心がまえというようなものが若い選手諸君に反映してこのような成績を当初からおさめてくれたというのは、何だかさい先いいような気持ちがあるのでございますが、以上私は国の立場からの選手強化の一部を申し上げた次第でございます。
  8. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 次に近藤参考人お願いいたします。
  9. 近藤直人

    参考人近藤直人君) スポーツ振興資金財団でございますが、ただいまお話ございました選手強化関係資金調達につきましては、五億六千万円からおよそ六億を目標にいたしまして、このうち国庫補助金予定されますので、約三億六千ないし四億というものを調達いたすことになっております。  なお、私どものほうといたしましては、組織委員会大会準備及び運営資金のほうにつきましても調達をいたしておりますので、そちらのほうは一応十三億六千万……。
  10. 楠正俊

    楠正俊君 参考資料があるのですか。これ何かあればそれについて説明していただきたい。
  11. 近藤直人

    参考人近藤直人君) 参考資料は差し上げておりますが、全年度資金計画案というのがございます。それにつきまして申し上げます。左側のほうに所要経費というのがございまして、これは組織委員会の直接の経費でございまして、大会準備及び運営実施に要する経費が約五十七億、内容はそこに書いてございますように管理費事業費というのでございますが、今後この経費もさらにふえるのではないかと考えられるのでありますが、一応五十七億。それからその下のほうに、選手強化に要する経費といたしまして、これは日本体育協会経費でございますが、やはり選手強化経費といたしまして一応五億六千万、これも先ほど塩沢局長お話で、六億くらいになるのじゃないかということでございますが、一応これは最低を押えまして五億六千万円、その内容はここにございますとおり、競技力研修費二億八千六百万、コーチ力強化費五千五百万というようになっております。それからその下では、資金財団事業遂行に要する経費というのがございますが、これは財団のこの事業を行なうための所要経費でございます。それが支出の見込みでございまして、それをどうして調達するかというのが右側に書いてございます。  まず、組織委員会経費につきましては、御承知のとおり、国と北海道庁並び札幌市の補助金がございます。その国の補助金道市補助金合わせまして二十七億二千万、それと、それから組織委員会がみずからの事業によります収入が十六億一千万、内訳はここにございますとおり、入場券あるいは放送の権利金収入、そういったものが事業収入でございます。その残りが資金財団調達しなければならない金額でございまして、これが約十三億六千万、大体国と道市財団調達額がほぼ同額の、三分の一ずつというのがただいまの原則になっております。そういうことで財団は十三億六千万を調達しなければならぬ。  その下の日本体育協会につきましては、五億六千万に対しまして国庫補助が二億、約三割を見込んでおりますが、この比率東京オリンピックの場合において国庫補助の割合が約三割でございますので、その比率を一応取りまして二億、したがいまして、その残額の三億六千万というのは財団調達するという計算でございます。  そこで、財団事業遂行に要する費用は、経費はこれはもとより財団調達しなければなりませんので、合計いたしまして六十四億二千万円のうち財団調達しなければなりません金は十八億九千万円、約十九億というのが財団調達しなければならない金でございます。で、財団といたしまして、これをどう調達するかということでございますが、それは裏をごらんいただきますと、資金調達事業計画目標額というのがございますが、一応目標額を二十億に置きまして、まず、その一番初めにございますように、特別措置法による事業、これは本日衆議院の文教委員会におきまして御承認いただきました。これによりまして、内容寄付金つき郵便切手発行、それからたばこの包装の広告収入、それから電話番号簿広告収入、それから国鉄広告収入というものが、この法律が施行されますとこれが発動いたしまして、郵政省あるいは専売公社、あるいは電電公社、あるいは国有鉄道から御援助をいただけるわけであります。その額は一応目標額といたしまして六億五千万という目算を立てておりますが、これは今後私がそれぞれの相手先に参りまして、交渉をいたすことになりますので、必ずしもこの金額どおりいくということは限っておりませんが、できるだけ多額に御援助いただきたいということでございます。  それから二番目は、公営競技でございますが、これは御承知と思いますが、競輪、競艇、オートレース、日本自転車振興会日本小型自動車振興会日本船舶振興会、ただいまこの三つ振興会から御援助を仰ぐべく話を進めておりますが、大体それが四億ないし五億くらいちょうだいいたしたいという考えを持っております。  第三は会社団体個人寄付金でございますが、これが一般の経済団体あるいは個々の会社あるいは個人寄付金予定しております。これが五億ということでございます。  それから競馬でございますが、これはただいまいろいろお願い申し上げまして、新聞等でもちょっと出ておりますが、中央競馬のほうから競馬売り上げ金によりまして御援助いただくという構想でございまして、これが二億ということでございます。しかし、私の気持ちといたしましては、競馬からはもっと御協力を仰ぎたいという気持ちを持っております。  それから宝くじでございますが、これはいま万国博覧会でもこれを実施しておりますが、都道府県発行宝くじによりまして万国博覧会協会補助金をもらっておりますが、それと同じ仕組みができないものか、実はこれは北海道庁におきまて、ただいま宝くじをやめておりますので、多少むずかしい問題があろうと思いますが、これは非常に財源としてはいいものでございますので、今後これはぜひ実現するように努力をいたしたいと思っております。これが二億。  それから次に記念メダルというのがございますが、これは東京オリンピックのときに金、銀、銅のメダル発行いたしまして、たいへん皆さまに好評を博したのでございますが、今回もこれを発行いたしまして寄付金をいただきたいという考えでございます。  それからあとプロスポーツ等とございますが、これはプロスポーツはプロレスとか、プロボクシングとか、相撲とか、野球とか、そういったプロスポーツ界からの御協力を仰ぎたいということでございます。いずれもこれは東京オリンピックのときに御協力いただいた先でございますので、ぜひ御協力を仰ぎたいと考えております。  最後は、その他事業といたしまして、いろいろ映画とか、催しものとか、あるいは商店の売り出しとか、そういったことによりまして御寄付を仰ぎたいと考えております。  以上、大体二十億ということはこういうことで予定をいたしております。何ぶんこれは今後折衝の次第によりますので、努力いたしたいと考えております。以上簡単でございますが。
  12. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 次に佐藤参考人お願い申し上げます。
  13. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 私から選手強化のことを申し上げるのもどうかと思いますが、組織委員会大会組織運営に当たりまして、もちろん選手強化に当たるものではございませんが、選手強化について非常に関心を持っておりまして、東京大会のときにたくさん日の丸が上がりまして、それによりまして大会ムードを上げて、東京オリンピックが成功いたしましたので、むろん札幌オリンピック冬季大会におきましても、日の丸がたくさん上がりまして、ムードが上がることがまた札幌オリンピックを成功させるゆえんであると思いまして、組織委員会としても、選手強化に対して応援を一緒になってやるつもりでございますので、私からも一言申し上げたいと思いますが、私のほうでやる分担のことといたしましては、札幌オリンピック会場競技場予定いたしておりますところを一日も早くつくっていただきまして、そこで日本選手強化に資するようにすることが私ども役割りであると思う次第でございます。  お手元に差し上げてあります組織委員会資料の中に「札幌冬季オリンピック競技会場建設分担」というのがございますが、そこに競技場がずっと出ております。先般の文教委員会におきまして、私は昭和四十七年の前年の四十六年にプレ・オリンピックをやりたい。また、その前年にスキースケートその他の競技の総合的な国内大会をいたしたいということを申し上げたわけでございますが、その四十五年の二月ごろ開く予定でございます総合大会に全部の施設が間に合うように、この施設を各施工主体につくっていただきたいというのが私どもの願望でございます。そのうちでも選手強化に資することのできる、先ほどお話ありました苫小牧スピードスケート競技場は、本年度予算国庫補助がつきまして、目下工事施工中でございまして、本年の冬には選手強化に間に合わせることができるというので、非常に喜ばしいことであると感じている次第でございます。  また、先ほどからお話ございます、日本で非常にまだ未知な競技でございますボブスレーリュージュのうち、リュージュにつきまして、予備競技場と申しますか、本競技場になるかもしれませんが、藤野の競技場を本年度あらかたつくっていただく。完成は本年度ではございませんが、選手強化に資するように本年度つくっていただくことになっていますし、また来年からの計画によりまして、札幌市内につくっていただきます美香保の屋内アイスホッケー競技場は、国庫補助を得て地元でつくっていただくわけでございますが、来年度中につくっていただきまして、来年の冬からホッケーの競技場として使っていただくことができるようにつくっていただきたいと思っております。また手稲山の回転競技場でありますとか、大回転の競技場につきましても、来年度予算で一部つけていただきまして、そこですべれるように、すなわちリフトをつくっていただきまして、手稲山で回転競技等の準備ができるようにしていただきたいと思っている次第であります。組織委員会の受け持ちになっております恵庭岳の滑降競技場につきましても、来年度一部ケーブルをつける予算をいただきまして、組織委員会施工して、来年の冬には恵庭で滑降競技が不完全ながらできるようにというふうに考えておる次第でございまして、来年度、再来年度予算で大体の施設の建設を大部分終わっていただく。ただ大倉山のジャンプ競技場でありますとか、真駒内のスピードスケート競技場、真駒内屋内スケート競技場、これは屋内の非常に大きなスケート場でございますが、これは再来年度と申しますか、四十五年度に完成するという目標でつくっていただくということを希望しておる次第でございまして、組織委員会といたしましても、大会に使います競技場がなるべく早くできまして、日本選手選手強化に役立つことができるようにということを念願しておる次第でございます。  以上簡単でございますが、組織委員会立場から選手強化について申し上げました。
  14. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で説明聴取は終了いたしました。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  15. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を起こして。
  16. 小林武

    小林武君 大体そうすると、資金面につきましては大体のめどがついたと見てよろしゅうございますか、これで。
  17. 近藤直人

    参考人近藤直人君) この前の東京オリンピックの先例がございますので、大体そういう先に話をつけて再び御協力を仰ぐという方針を立てまして今日まで進んでまいっておりますが、幸いにして政府、国会の御援助によりまして特別措置法が成立いたしまして、たいへん感謝にたえないのでございますが、ただ今後、たとえば郵政省と、あるいは電電公社、専売等と折衝いたしまして、はたして私ども希望いたしまする額がいただけるかどうか、これは今後の話になりますけれども、そういう問題はありますが、ただ東京の場合と比較いたしまして、何と申しましても、まだ国民的な感情と申しますか、ムードと申しますか、そういったものがどうもただいまのところまあ盛り上がっていないという印象を受けるのでございます。実はもうすでに日本相撲協会とか、あるいはプロボクシングとかというほうに回っておりますが、いつもそういう感じを受けまして、はたして東京オリンピックみたいにいくかという懸念を持っております。一応ここでは二十億はこうして集めるというこれは計画でございますが、今後できるだけ努力いたしまして、遺漏のないようにいたしたいと思っておりますが、まあ一応そういう懸念を持っております。その際いろいろまた御指示、御援助を仰ぎたいと思っております。
  18. 小林武

    小林武君 これはあれですか、メキシコの場合とか何とか、それらのものをも含めれば、体協ではあれですかね、資金面について、かなり札幌だけのことは一応こういうめどでもって二十億集めるというようなことで、これは法律もできましたから、私は型どおりいけばとれるような気がする、とれるというのはあれですけれども、集まるような気もする。その間東京オリンピックでもいろいろなあれがありますし、それからまたメキシコの場合でもある。その総体的な金額というようなことになると、あれですか、特にたとえば競馬のほうにさらに協力を求めるとか、そのためには法律の改正もある程度やらなければならぬとかいうようなそういう点はいまのところどうなっていますか。そういうような心配ないわけですか。何かこの間ちょっと私の党の人も何かそういう話があるというようなことを言っておりましたから。
  19. 近藤直人

    参考人近藤直人君) メキシコオリンピック選手強化費でございますが、これは、これとは別に財団といたしましては公営競技補助金、あるいは会社団体その他の寄付金というものによって、これはまかないたいという考えを持っております。それにいたしましても、やはり金が何といっても足りませんものですから、先ほど申し上げましたように、やはり競馬からある程度援助仰ぎたいと思いまして、実は前からお願いしていることでございますが、臨時に競馬を開催していただきまして、その馬券の勝馬投票券の売り上げの一部を、一部と申しますか、国庫納付金をしないでその分を体育のほうに援助していただきたいということでお願いしております。いまその途中でございまして、まだ結論は出ておりませんが。
  20. 小林武

    小林武君 まあこの委員会は当初出発のときは、話を出したときは、札幌冬季オリンピックだけということであったのですが、いろいろな皆さんの御意見があって、それに付随してメキシコの場合も、何の場合も、みんなひっくるめたということになりますが、冬季オリンピック前にある金を要する、そういういろいろな場合を考えますと、よほどその金の面はがっちりやらないというと、先ほど御説明あったように、札幌の場合は冬季競技というものに対する関心の薄さといいますか、何かしかし、東京の上野駅あたり冬見ているというと、それほど関心が薄いとも思われませんけれども、たいへん人気上昇の形ですけれども、それでもやはり北海道でやることだからという考え方は多少ないわけではないと思うのです。目の前で、東京近辺の人口の非常に込み入ったところでやるならば、おれも見られるかという感じがあるかもしれないけれども、あれは北海道のやつが大体見るものだとか、きわめて一部の人ということになりますと、資金面では、へたをするというと、北海道の場合はかなり困る事態が起きるのではないか。その際に北海道の道なり札幌市なりがそれだけの力量を持っているかというと、これはまた力量があまりあるほうだとはいえないというように私は考える。そういうことを考えますと、いわゆるいま言ったような総体的な問題があると、まあこの間私の耳に入ったあれだというと、競馬の問題なんか出てくると、これはなかなかつまり農林関係人たちがうんと言わなければできないことだし、そう簡単にはいかないような気もするのです。そういうことを考えまして、どっちかというとあとのほうに回る競技ですから、資金面についてはうんと皆さんが御努力をいただく。われわれもとにかく法律案が通ったのであるから、それについてやはり国会においても責任があることですから、みんなが協力しなければならぬと思うのです。まあおまかせしているところはそっちですから、折衝に当たるのはそちらが主ですから、自信を持っておやりになるようなことにお願いしておきたいと思います。
  21. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 小委員外議員西田君から発言の許可を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認めます。西田信一君。
  23. 西田信一

    委員以外の議員(西田信一君) 塩沢さん、さっきの御説明に関連してちょっとお聞きしたいのですが、主として選手強化の問題が議題になっておりますね。それでこれは六億というものについてはいろいろお考えいただいておるのだが、さっきの御説明の中に、東京の場合もそうであったけれども、今度も大体それに同額ぐらいのものはそれぞれの競技団体で心配していくのだというようなお話があったように聞いたのですが、なかなかこちらのほうもいろいろな方法を講じて、あるいは一般財界からの寄付なんかも入れて資金調達されておるわけですね。そういうこと以外に競技団体がそれに同額ぐらいのものを調達してやるということは、はたして可能かどうかという点についてちょっと私は疑問があるのだが、どういうふうにお考えか、塩沢先生のお考えをお聞きしたいと思います。
  24. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) ただいま西田先生から御指摘のありましたように、従来国庫補助金対象等の事業をやります場合には、みずからの手でその程度のものは調達してきたというのが従来のスポーツ団体のあり方であったということを申し上げたわけであります。おそらく今回の場合も六億程度のものでは、五つの競技団体が良心的にやります場合にはとても足りない、かように存じます。ただ、いままで委員会等で成案をつくりましたものは、そのうちで国庫補助金対象事業としてそれに該当するものだ、こういうものにつきまして拾ったものがこの額、たとえばそのほかに施設をつくろう、あるいは普及関係をしよう、あるいはコーチをこの際育成しよう、あるいは国際交流を国ではこれだけ認められているが、もう少し出そう、たとえて申しますというと、フィギュアならフィギュアを入賞圏内の者を海外に派遣する場合にしか補助対象に考えられないわけでございますが、それではいけないので、それに一、二人加えて出そうということになりますと、そういうのは競技団体負担でいままでやっておったというのが現状でございます。しかし、本来の良心的にりっぱな成績をあげようということをいまから取っ組んでまいります場合には、なかなかこの人が戦力になるということをいまから予定することはできない。したがってどうしても幅広い層で可能性のある人を持っていくということに実質的にはなる。したがいまして、そうした場合に、競技団体としてもここにあらわれた数字の事業のほかに相当の負担をかけてやっているというようなことをちょっと申し上げたわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ国なり、それから公営競技なりの御負担を願いまして、ただいまもお話のございましたような、いろいろ特別措置法等によりまして、財源をできるだけ潤沢にしていただいて、そういう際にはあらためてまた拾っていくというふうなことを心がけてまいりたい。こういうわけでございまして、これで打ち切るというようなことでなしに、ただいまのところはこういう予算を組みました。したがいまして、将来できますならば、これは資金財団にお骨折りいただいて、できるだけその点悔いの残らないようなふうにしてまいりたい、こういうことをこいねがっておるわけでございます。  それから、なお先ほど私差し控えましたが、他の参考人からお話もございましたが、選手強化の一番大事なものはいまのところ冬季大会施設でございます。レジャーのためのスキー場はたくさんございますけれども競技練習をやります、訓練をいたしますスキー場等はこれまたきわめて少ない。今度のオリンピックコースが日本で唯一のものができるというような状態でございますので、やはり最終的な成果をあげるためには、それに準じたようなところがぜひとも設置が望ましい。しかし、それを多くは望むことができない。そうしますと、それにかわりますものを、こま切れみたいになりますけれども、部分的にそういうことのできる適地を全国に求めて、そうして地方公共団体なりわれわれの手等でもこれを開発して、広くこの機会に一般のそういう青少年訓練の場所をつくりたい。こういうことも念願しておるわけでございますが、何にいたしましても、その本番の競技場になれることが第一でございまして、資金計画あるいは建設計画は一応立ちましても、佐藤参考人からお話のございましたように、これを一シーズンでも早く仕上げていただくということがすぐ戦力に影響してくるわけでございまして、さような意味で、これは予算的に申せば、できるだけ前のほうに片寄るような行き方にしていただければ、非常に選手強化立場といたしまして、しあわせだ、かようにお願いをしておるわけでございます。
  25. 西田信一

    委員以外の議員(西田信一君) かなり弾力的なお話を伺ったので、ぜひそうありたいと思うのですけれども、そこで選手強化は、やはり日本の冬季競技の水準がやや夏の競技なんかに比べてまだ低位にある、国際的に。というような立場から、これを国際水準に追いつけて、しかも日本で日の丸を上げようということですから、相当の努力を要すると思うのです。それにはどうしても施設もぜひこれは急がなければなりませんし、同時に選手強化のしかたも、だんだん年々強化費がふえていく形ではなくて、いま拝見しますと、大体ずっと平均になっているようですけれども、どちらかと言えば冬の競技団体の希望するところは、なるべく最初はたくさんを対象にして、その中から発掘して、そしてどんどんしぼっていくというような、仕上げていくというような考え方から言うと、なるべく強化費はあとからだんだんふえていくのじゃなくて、初めっからひとつやって、だんだんむしろしぼっていくというくらいの考え方でひとつやってもらいたいという希望が非常に強いのですが、そういう点はもう少し考えていただく余地があるでしょうか。
  26. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) 先ほど私申し上げましたのも、実際にはいま御指摘のとおりにしなければほんとうの実はあがらない、かように考えます。実際問題といたしましては、ここにございますように資料をごらんいただくとわかりますが、強化対象数が四十二年度基礎的な強化をするのに百七十三人、四十三年度で百七十三人、それに加えまして、普及強化のために四十二年度は三百六十人、四十三年産は八百十五人、こういうふうにしておりますが、これらも一々人を頭に置きながら選んできて、このくらいといういまの見当でございます。まだまだいまお説のようですとふえなければならぬ人数だと思います。しかし、少なくともこの程度はやりたいというこういう希望でございますし、そうして、あとになりますとだんだんとセレクトされてまいりまして、人数はしぼられてくる。したがいまして濃厚に強化はいたしますものの、やはり経費の点からはむしろ前年のほうがカーブは上になるというようなことが現実だろうと思います。しかし、こういう際に体育協会の内部の事情を申し上げるのはどうかと思いますけれども体育協会は三十六団体の加盟団体がございます。東京オリンピックをいたしますときには、東京オリンピック種目を優先ということで、選手強化というようなことはほとんどそこのところに重点が置かれて、他の競技団体は少し遠慮をしておられたというような形でございました。今後冬季の場合はその逆になるわけでございますけれども、やはり国庫補助金のつくものはよろしゅうございますが、その他の経費になりますと、やはり他の競技団体を全部圧迫するような形にすることはなかなかむずかしい点があります。したがいまして、ここに出ましたものは、選手強化大いに万全を期するといいながら、非常に押えられたものになっているということを、これはまあ体育協会組織の内部事情としておくみ取りいただきまして、私ども今後実際にこれを実施に移します場合には、予算要求等をいたします場合には、いま御指摘の点を十分に加味して、そしてまた先生方の御理解を賜わるようにお願い申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。
  27. 西田信一

    委員以外の議員(西田信一君) 東京の場合は二十種目でございましたかね。今度は競技団体五つといっておりますけれども、実際はさっきお話があったように、スケートといえばもう三団体に匹敵する、スキーの場合も同様であります。そうすると、それを合わせれば五種目が九種目にも十種目にもなるわけですね。そういうことと、さっき申しましたように、国際水準よりまだ低いやつを引き上げていこうということと、それからもう一つは冬季競技の場合には夏よりも金がかかるのですね、これはやっぱり氷をつくったりそれから雪を求めるとかということで、夏の場合と比較すると、ややどうしても経費がかかるということで、そういう点からいえば、夏が二十億かかったとすると、種目で大体それに近い八、九種目ぐらいに相当するとすれば、それに金がかかるということは、水準の低いやつを上げていくということを考えれば、いま御説明で内部事情も伺いましたが、まずもって東京大会以上のいい成績をあげるためには、もうひとふんばりひとつ考えていただく必要があるという気がするのですが、そういう御配慮があるようですから、その点を一言希望して私の質問はこれで終わります。
  28. 楠正俊

    楠正俊君 ちょっと私しろうと考えなんでございますけれども、この予算大綱を拝見いたしておりますと、このお金はいま必要なんであって、だんだん必要でなくなってくる。極端に言うならば、オリンピックが始まるときにはゼロでもいい。極端に言うとですよ。現在金がなかったら選手強化もできないわけなんです。これを拝見いたしますと、だんだんふえている。四十六年度へこうずっと上昇していって、四十二年度というのは、一番少ないわけですね。これじゃ選手強化もできないし、施設もできないというような感じがするのです。その点どういうことなんでしょうか。
  29. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) この中には施設は一応省いてございまして……。
  30. 楠正俊

    楠正俊君 借り上げ料ですか。
  31. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) 借り上げ料でございます。それで先ほど近藤参考人からお話がございました、最終年度まで入れまして五億六千万と申されておりましたが、この表は六億。ちょっと食い違っておりますのは、実は先ほどの苫小牧スケート場等ができまして、そうしてここらで強化をやりますための借り上げ料というものが具体的に必要になって手直しをいたします。そういうものを入れていきますとこの額になるわけでございます。この点は私どもの連絡の不備でございますが、御了承いただきたいと思いますが、ここのところのこの上がりぐあいは、やり方は先ほど気持ちは申し上げたとおりでございます。やはり合宿や何かをいたします場合、それから国際交流、他流試合をします場合、どうしてもいまの普及時代にそれが効果があるかというようなことになりますと、やはりはたしていまの選手がそのときの選手になるかどうかわからない。そうしますと、やはりそういう部面は押えていかなければならない、そうして一番その効果のあるときに集中するということで、人数は減ってまいります。人数は減ってまいりますが、合宿回数もここにございますように、初めは一年に一回とか二回ということでございますが、あとになりますというと、大体二週間を単位にして一回というのが前の経験で一番効果があるということでございます。その回数が一人に対しては多くなっていく。オリンピック委員会等でこれらの合宿の一応の基準を出しております。そういうのができてまいりますと、そこを頂点といたしまして、それに近いものをやるということになりまして、勢いそれは大会直前に集中してくるということで、回数はいま御指摘のような動きがございますが、やる波はそういう形になっておるということでございます。
  32. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 五年先のそこの大会に優秀な選手を出すというために強化を行なわれるわけですが、現在の選手の中で五年先に出られる選手はどのくらいおりますか。
  33. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) たいへんむずかしい御質問をいただきまして恐縮に存じますが、フィギュアなどを一つの例にとってみますと、いま世界選手権で六位以内に入賞する力を持っておりますが、この人たちはちょっと次のときに使うのはむずかしいのじゃなかろうかというような、くろうと筋の考え方でございます。それでただいま小学校はどうかと思いますけれども、中学生、それも中学に入ったばかりのそこらの素質のあるものを鍛えていって、ちょうどいいのじゃないかという専門家の意見もございます。したがって、そうなりますと、現在としてはやはり発掘というようなことで、それで素質のある人を広く全国に眼を配って漏れなく集めて、その中から拾い上げていかなければならないと思いますし、これは一つの例でございますが、他のたとえばアイスホッケーとかで申しますと、わりあいに年齢がある程度いきましても使うことができるという種目にいたしましても、なかなかこれから五年先まで鍛えて頂点に持っていくということが非常にむずかしいのじゃないか。もう一つの見方といたしましては、どんどん新しい層を鍛えていきますというと、その中心になるのは二十才前後——二十五才ぐらいまで、そういうわりあいに年のいった人たちでもがんばれるものであっても、そこらが頂点であろうということを一般的に考えますと、やはりそういう人たちはいまの中におりましても、ごくりょうりょうたるものではなかろうかと、こういうようなふうに考えられます。スキーなんかのジャンプも、ここに書いてございませんが、先般ユニバーシアードで入賞いたしました選手などはおそらく使えるのじゃなかろうかというようなことをいっておる程度でございます。したがいまして、いまの中学校から高等学校の人たち、まあ大学に在学中の者の中で非常に素質のある者が第一線に立つのじゃなかろうかというふうな見当でございます。一般的に申し上げるとそういうことでございまして、確かに現在活躍している人たちが残るということがありましょうが、しかしそういう人が残るような状態では、とても日の丸は上がらない。むしろ更新してどんどん新人が出るという雰囲気でなければ強化の実があがったということは言えないのじゃないか。くどく申し上げますけれども、いままでの訓練のしかたでここまできたという程度では、とても旗を上げるまでにはいかないだろう。むしろ新しいコーチをつくって、そしてその人たちの手によって有望な人を発掘して、そして鍛え上げていくということで、ようやく三位までに入るという人が出てくるのじゃなかろうか、こういうふうな観測を持っております。
  34. 中島茂

    説明員中島茂君) 先生の御質問に御参考までに。いまの御質問は、私は文部省準備室長ですが、実際はスポーツの専門家でスポーツ屋でございますが、よく質問を受けるのでございますが、私陸上競技を非常にやった男でございますけれども東京大会のときのマラソンなんか、広島とか、円谷とか、重松とか、ああいうクラスを非常にその当時は一番強くなるだろうと、その前にはああいった広島庫夫とか西田勝雄とか、そういう選手を非常に強化選手としてやったのであります。なぜやるかと申しますと、そういうトップクラスはトップクラスで、現在におけるトップクラスは、ある程度どんどんそのトップクラスの人が記録を向上するようにやっていきませんと、妙なものでついてこないのですね。だから五年後だから若い層だけ鍛えればいいという考え方は一般的ではないのではないか。現在のトップクラスを伸ばすと不思議にこれがずっとレベルが上がってくるので、現在のトップクラスもある程度対象にしなければならぬし、若い世代も対象にしなければならぬ。両方から攻め上げていかなければならないのじゃないかというような感じを私は持っておりますが、塩沢先生のお話にふえんしてお答えいたします。非常にむだなことをしているのじゃないかという御質問があって、あんな年寄りを、二十何才の選手をやって何になるのだという御質問がときどきあるものですから、そういう立場からもそういうことだと私は思うのであります。
  35. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 来年のグルノーブル大会選手はきまっておりますか、出場選手は。
  36. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) グルノーブルの選手はまだきめておりません。これから入賞可能というような基準にいたしまして、そして今後具体的に検討をするということになっております。近々におおよそその編成等の大綱がきまることになっております。まだきまっておりません。
  37. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そのきまった選手札幌大会までに具体的にどうなるということはわからないとしても、使えるかどうかというようなことはいかがでしょうか。
  38. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) 先ほど申し上げましたように、まあ一般的に申し上げますというと、今度グルノーブルの大会のものは、それが第一線で権威者になっていい成績をあげるということはむずかしいのじゃなかろうかという感じを持っております。ただそういうのも何人かが残っていくということはあり得ると思いますが、むしろそれらを凌駕していく新人がどんどん出るような雰囲気をつくっていかなければいかぬというふうに考えております。いままでのところでは、ともいたしますと、東京大会もそうでしたが、かつての名選手とか、それから名ランナーという人たちをやっぱり前面に押し出すような選考方針をいろいろとって、東京大会までというようなことで無理やり引っぱってきたという点で、それがどうもうまくいかなかったという点も反省されております。したかいまして、グルノーブルでしっかりやった人たちあとまで札幌のときの主力になるのだという気がまえで指導はしてまいりますけれども強化の行き方とすれば、そういうのを踏み越えていくという雰囲気をつくらなければとうてい旗を上げるまでにはいかない。員数をそろえるということならばできますけれども、やはりりっぱな成績をあげる、特に地元人たちの期待にこたえるような、ふるい立たせるような雰囲気をつくりたい、こういうふうに私ども考えております。あまり地元であるからといってフルエントリするということを考えないで、そしてみなさまの前でやって、どれもりっぱにやったというものに限ろうというようなきびしい姿勢でいまいっております。強化のほうもそういうようなふうに鍛えております。そういうことを考えております。
  39. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この競技場を早くつくらなければならないという点で施行主体の問題がはっきりしていないので、地元がたいへん困っているようですけれども、これはきまりましたでしょうか。
  40. 佐藤朝生

    参考人佐藤朝生君) 施行主体につきましては、先般の委員会のときに文部省からもいろいろお答えがございまして、前の政府の対策連絡協議会におきましては、七月の半ばをめどにしてつくるということで御答弁があったと思いますが、目下私のほうから要求申しておりますことは御存じのとおりでございますが、それを文部省あるいはほかの関係省が集りましていろいろ検討しておりまして、本日まではまだ結論を得ておりませんが、なるべく早く結論を得るように努力していただくように承っております。
  41. 小林武

    小林武君 一言だけお尋ねしますが、何かこう聞いていると、選手強化という場合に予算をつくる、その予算をつくる場合にはその選手強化をやる人間、中心になる人間がその予算を要求するという形になってないような気がするのですが、どうも体協はいろいろな団体の集まりであるということから、その振り合いの上でその予算がつくられて、いまの話を聞いていても、実際のことを言うと、スケートならスケート、アイスホッケーならアイスホッケーのほうの選手強化をやる者からいえば、ほんとうはこういうことをやってみたい、金はこのくらい要るというめどがあると思うのですよ。そういう予算ではなくて、ちょっと悪口過ぎるかもしれぬけれども、ぼくはそういうことがあってはならないと思うのですよ。今度の場合はやはり第一線でやるたとえばコーチ陣なり強化責任者なりがこれだけの金をかけてやってもらいたいと、それがやはり有効な金の使い方だと思うのです。そういうことはないのですよ、ぼくのその感じでは。
  42. 塩沢幹

    参考人塩沢幹君) お答えいたします。先ほど体協の内部事情を申し上げ、ちょっと口がすべりましてあれだと思いますが、実は予算規模なんかを考え、財源を考えます場合には、一番頭を悩ますのは自己財源の問題です。国庫補助金をたくさんいただけるということであれば、全部全額いただけるということならば非常にありがたいのですが、そうでなくて三分の一あるいは二分の一というそれぞれ事業対象の補助がありまして、そのあとをつくれという場合になりますと、やはり自己財源を幾らか持ってないと、せっかくの補助金をいただいても使えないのだということがございまして、そういう体協の持っております資金というものはきわめて少ないもので、一般経常予算その他でどうしても要るようなものに充てなきゃならぬ限度がある。したがいまして、全部それを吐き出してこれにということはなかなかむずかしいということで、ちょっとブレーキがあるということを申し上げました。それで実はここにお手元に差し上げてございますような強化対策委員会のメンバー等にもございますように、これは東京オリピックの際にはむしろJOCの委員長とか、体恊の理事とか、事務局長とかというような三者的な人が多く入って、そして競技団体、二十種目一応総会には全部出ますけれども、これを常任委員会的なところはしぼられた人でというようなことをいたしました。しかし、今回は御指摘のような反省もございまして、やはりそのものずばり効果があがるようにするためには、現場の声を聞くというようなことで、それぞれの先ほど申し上げました機構といたしましても、各競技団体対策本部と申しますか、選手強化責任者を委員に、一つの種目もはずさないで加えまして、そうして各競技団体から年次計画、こまかい計画を全部出していただく、それを全部内部的に検討いたしまして、西田先生もその委員の一人でございます。そういう際にディスカッションいたしまして、この程度ということがいまあらわれている数字でございます。したがいまして、東京オリンピックの際との違いは、各競技団体の意向が強くこれに反映し、むしろ私どもは、そこのところの非常に声の大きい人とか、発言の強い人ということにあまり何して不均衡にならないように、しかも今度の冬季大会の場合は、スキースケートは何といっても体協の中でも大きな力のある団体でございます。新しいもの、こちらが未経験なものは非常にうっかりいたしますというと、横に置かれるおそれがございます。これはやはり地元としてはある程度の面目を発揮できる程度のことは、それらは旗を上げる上げぬにかかわらず、しなきゃいけない。それらの基礎的な事業予算は、これはやはり最低限——というと悪いのでございますが、ある標準はきちっとつけて、そうしておくれないでやらせなきゃいけない、こういうことなどを考え合わしてやっておりますので、御指摘の点は、客観的にごらんいただけばさような御懸念もあるかと思いますけれども、私どもとしては、つとめてそういうことのないようにして、ずばり効果のある事業をしていただきたい、こういうふうに念願いたしておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  43. 小林武

    小林武君 最後に一つ中島さんにお尋ねしますが、選手強化で、先ほど来御説明を聞いておると、やっぱり小学校というのはあれでしょうけれども、中学というものは強化選手の対象になる、これは文部省との関係が出てくるわけです。それについてはもう早急にそういうものの結論が出るわけですか、審議会の結論というものは。どういうことになりますか。
  44. 中島茂

    説明員中島茂君) いま先生の御質問は、学徒の対外試合のことだと思うんですが、それは保健体育審議会に御審議を願っております。いつ答申いただけるか、盛んにいまやっていただいておりますが、私個人的にはあの規定必ずしも選手強化にさほどの障害にはなっていないんじゃないかというふうな見方をしております。あれがあるから負けたと、オリンピックに負けたというならば、ほんとうに何の選手——まあこれは私速記とられると非常に言いにくいのでございますけれども、あの基準ぐらいで日章旗が上がらなかったという人がおるならば、何の選手強化をやったかというふうな気は——私はきょうは思い切って申し上げますけれども、よくあの基準を、まあそういうことから離れまして、ああいうふうなコントロールしているようなものがいいのか悪いのか、学徒の体位向上あるいはスポーツ振興上、その基本的なことをあれはむしろお願いしているのじゃなかろうかと私は思うのでございますが、あえて申しますならば、あの基準があったから旗が上がらなかったというのは私は必ずしも賛成じゃない、そう私は個人的には思っております。
  45. 小林武

    小林武君 それは何もそう極端な結論は出せないと思います。しかしながら、体育協会選手強化をやろうとする人たちの中に、あれはなかなか足かせ手かせになるものの一つであるということだけは感じとして持っているようにぼくは思う。それからまた、地方その他の体育関係人たちもこれは多少そう思っている。ぼくはこの前からお話ししているように、文部省のあれそのものについては、必ずしもけしからぬものであるとは思っておらない、学校体育の立場から考えてね。しかし、その中に多少の調和点がやはり当面起こってきているのではないか、だから審議会にかけるのだからね。そうすると、私はこの段階にきたら、何とはなしにもやもやとしたような形で、もやもやとそれが見のがされたというようなあれではなくて、やはり正しい解釈を出して相互が理解し合うような結論というのはやはり出さなくちゃならぬ。もしその結論が長くかかるものであれは、その間における文部省側の態度というものは一応過渡的なあれとしてひとつ出すべきだというようなことを考えるのですよ。そうしないというと、ぼくはそれをもうやたらに、あんなものはという考え方でくずされると、これはまた重大なことだと思うので、これはもう中島さんは専門家でいらっしゃるから、もう思い切って、やはり文部省内でその問題についてひとつ結論を出すようにしたほうがいいのじゃないかと思うのです。
  46. 中島茂

    説明員中島茂君) 先ほど先生の御質問に私は個人的なことを申し上げてまことに……。まあいま私申し上げましたのは、局を代表した意見でなくて、同じ局内ででも私と異った見解を持っておられる方もございますし、いまの先生のおことばを、帰りましたら十分関係の局のほうにお伝えしていきたいと思います。
  47. 楠正俊

    楠正俊君 中学生とか高校生ですね、これをいまからいい選手をつくるために講習会やったり、指導者の養成のあれをやったり、それから講習会を開いたりしなきゃいかぬわけなんですが、その予算が何か今年度四十二年は三百万とか何とかという話を聞いているのだが、そんなに少ないものですか。
  48. 中島茂

    説明員中島茂君) 私が申しましたのは、学校体育の指導者ですね、学校の体育の教員、そういった方々に対して、特に積雪寒冷地方の二十県ばかりの方を中心にして、指導力をうんとつけたいというための講習会の経費でございます。したがって、いまの先生の仰せの若い学徒の諸君の有望選手育成の講習会は、塩沢局長関係体育協会の各競技団体のあれに入っておりますし、その方面でカバーされますので、私どもは国の予算、直接にはそういうものは計上いたしておりません。
  49. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  参考人の皆さん方、炎暑のおり長時間ありがとうございました。  委員の皆さん方も、選手強化の問題、あるいはまたオリンピック競技場の問題、あるいは資金の面等についても非常な関心を皆さん持っておられますから、今後皆さま方と十分連絡をとりまして、成果があがるようにいたしたい、かように念願をいたしておる次第であります。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十分散会