運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-06-27 第55回国会 参議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午前十一時九分開会     —————————————    委員異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     木暮武太夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 楠  正俊君                 中野 文門君                 秋山 長造君                 鈴木  力君     委 員                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 吉江 勝保君                 小野  明君                 小林  武君                 千葉千代世君                 柏原 ヤス君             発議者 小野  明君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君    政府委員        文部政務次官   谷川 和穂君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部大臣官房審        議官       西田亀久夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○女子教育職員出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(小  野明君外一名発議) ○産炭地域における公立小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案小野明君外一名発議) ○公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として木暮武太夫君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。小野明君。
  4. 小野明

    小野明君 ただいま議題となりました女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。  去る第四十六回国会における本法の一部改正によって、女子実習助手が法の対象に含まれ、国立及び公立小学校中学校高等学校、盲学校聾学校養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてが、この法律適用を受けるに至りました。その結果、いまや学校教育の現場に勤務する教職員のうち、ただひとり事務職員のみが産休補助職員適用ワク外に取り残されることとなったのであります。事務職員は、その名称の示すとおり、学校事務を担当し処理することがその本務でありますが、その事務内容は、文書の整理、起案、統計などの庶務的なものから職員給与学校給食費物品購入等に伴う会計の分野、施設、設備の管理の面に至るまで多岐多様にわたり、教員教育活動と相まって有機的に学校運営を推進するための、きわめて重要な使命になっているのであります。たとえば、一人の事務職員出産のための休暇に入った場合、その事務は、一括してクラス担当外教諭が代行したり、教頭と教諭が分割して処理に当たったり、あるいはまた養護教諭に充当するなど、種々の方法がとられましょうが、いずれの方法によるにせよ、一人の専門家事務量のすべてを、本来不なれな教諭に課さなければならないことは、おのずから教育プロパーの面に手不足を生じて児童生徒の自習時間を設けたり、事務職員の代理として養護教諭教育委員会等への出張中、児童生徒負傷事故の手当てが粗略に流れるなど、しばしば正常な学校教育を阻害する要因をもたらしております。  このように、学校教育をより正常に運営し、より円滑に推進して、その教育効果の高揚を期するための蔭の力となっている事務職員重要性にもかかわらず、事務職員配置現状をながめますと、必置制が規定されている高等学校においては比較的充実しており、国立及び公立高等学校に勤務する者の数は二万二千六百余人でありますけれども、中小学校においてはいまだ十分な配置を見るに至らず、国公立を合わせ、その数約一万四千三百人にすぎない状態にあり、かつまた、その代替職員臨時任用の道も開かれていないために、女子事務職員は安心して出産することができない状態にあるであります。ちなみに、女子事務職員の概数は、義務教育学校において約五千六百人、高等学校において約一万四百人であります。  ここに、昭和四十一年の義務教育関係事務職員出産状況を申し上げますと、年間出産者七十八名のうち、産前六週間の休暇を完全にとれた者は、わずかに一〇%にも達しない六名にすぎず、休暇日数、十日以内の者は三十五名、実に全体の四〇%をこえるという実情でありますから、出産者の大半が、産前においてはほとんど皆出勤、時間出勤、あるいは自宅執務を余儀なくされているのであります。これらはすべて複雑な事務を不なれな教員に依頼することの不安、給与事務報告書提出期限の切迫、地教委の監査、学校行事授業への影響に対する心づかい等事務職員の旺盛な職能的責任感に基づくところであり、その教育に対する献身的態度を雄弁に物語るものであると申すべきでありましょう。  以上申し述べました理由により、女子事務職員出産の場合について、女子教育職員の場合と同様に職員臨時任用を行なうことができるよう措置して、学校教育の正常な実施確保に資する目的をもって、ここに本改正案を提出いたしました。  改正案は、第一に、法第二条第二項の法の対象に新たに「事務職員」を加えることといたしました。この改正を行なうことにより、女子事務職員出産の場合、補助職員臨時任用を可能にするものであります。  第二に、法の題名及び本則中の「女子教育職員」の辞句を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めることといたしました。従来、事務職員は、その給与の面では教員と同様に義務教育費国庫負担法及び市町村立学校職員給与負担法適用を受けておりますけれども、「教育職員」とは呼ばれず、他の法律においても「教職員」と呼びならわされております。それゆえに、事務職を本法適用対象に加えるにあたり、題名及び本則中の「教育職員」、「補助教育職員」の字句を、事務職員をも含めて「教職員」、「補助教職員」に改めようとするものであります。  なお、この法律は、実施のための準備期間必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしてあります。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上で本法律案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  6. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。小野明君。
  7. 小野明

    小野明君 ただいま議題となりました産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  石炭産業構造的不況に基づく合理化整備が、産炭地域における経済の破綻、離職者の大量の発生、生活保護家庭急増自治体財政危機等を招来してから、すでに十年近い年月を経過しております。この間、国、地方公共団体等産炭地域振興対策離職者対策等が行なわれてまいりましたが、極端な経済的貧困と社会不安による産炭地の荒廃した事態は解決されないばかりでなく、ますます長期化ないし固定化して深刻の度を深めている現状であります。このような現状は、教育の面に最も強い影響を与えているのであります。すなわち、産炭地域に残された者は、その多くが老齢者病弱者労働障害者災害未亡人子供たちで、ほとんどが貧困家庭であり、閉山の朽ちてゆく炭鉱住宅で長年にわたる生活保護に依存しながら、将来に何の希望もなくかろうじて暮らしており、また、出かせぎ、家出、別居、離婚等による欠損家庭や共かせぎ家庭もきわめて多い実情であります。このような社会環境家庭環境の悪化のもとでは、保護者子供教育に対する関心は欠除し、子供教育は完全に放置されているのであります。したがいまして、学校がすべての教育活動を一手に引き受けなければならない状態の中で、教職員学習指導のほかに夜間の家庭訪問生活指導等に涙ぐましい努力を払っているにもかかわらず、産炭地域における教育は、次のような憂うべき状況に置かれているのであります。  まず、第一には、非行少年問題児増加が著しく、その非行はますます若年化の傾向にあり、さらに悪質化集団化の道をたどっております。福岡県における昭和三十九年度の非行少年の数は、警察で判明した数だけでも、小学校三千四百五十四人、中学校一万百四十八人の多きを数え、この数は年々増加しております。また、警察庁刊行の「昭和四十年の犯罪」によれば、福岡県における触法少年の数は五千四百三十九人で全国一多数であり、虞犯少年の数も十万五千七百三十九人と東京に次いで第二位のきわめて高い数を示しております。さらに、北海道福岡県では、全生徒数の二〇%近い非行少年が発生している学校の例も報告されており、このほかにも潜在的に多くの問題児をかかえているのであります。  第二には、勉強する意欲を失い、長期欠席、怠学常習児童生徒の数がきわめて多いことであります。福岡県における産炭地域の全就学児童生徒数に対する長期欠席児童生徒数割合は、産炭地域外に比べてはるかに高い比率を示しております。  第三には、炭鉱休閉山に伴う児童生徒の激減や生活のため一カ所に永住することなく、転々と職場を変え住居を変える家庭が多いことによる児童生徒転出入の著しさは、子供の心理に大きな不安を与え、落ちついた生活態度を困難にするとともに、教師の子供の十分な把握による教育を不可能としております。児童生徒数炭鉱休閉山以前に比べて五〇%以下になった学校はきわめて普道状態であって、はなはだしい学校にあっては三分の一以下に減少しております。また、長崎県の例によりますと、転校歴三回から五回といった子供が多数存在するのであります。  第四には、一般児童生徒は、学習意欲に欠ける、怠惰で生活に活気がない、根気に乏して、注意力散漫で落ちつきがない、情緒不安定で道徳意識が低い、陰うつである等教育危機的状況を示しているのであります。このことは、当然に学力の著しい低下を来たしております。たとえば、福岡県のある中学校の一年生の学級では、整数計算、九九算のできない者、アルファベットの読めない者が、それぞれ三分の一近い数を占めていることが報告されております。  第五には、産炭地域における児童生徒の体位、衛生状態の劣悪や疾病の著しい増加が見られることであります。  第六には、産炭地域特殊条件生活環境から特殊児童生徒数及び促進該当児童生徒数が著しく多いのでありますが、特殊学級に収容されている児童生徒はきわめて少数にとどまるのであります。福岡県の産炭地域についてみますと、特殊教育を行なう必要のある児童生徒数は、小学校において全児童数の一五%、中学校において全生徒数の一七%を占めておりますが、そのうちわずかに小学校三・五%、中学校三・三%が特殊学級に収容されているにすぎない状況にあります。また、これらのことは、一般家庭児童生徒等にも大きな悪影響を与えているのであります。  さらに、経済的貧困のため産炭地域における要保護、準要保護児童生徒数増加が著しく、窮迫した地方財政を圧迫すると同時に、他方、教職員のこれら児童生徒に対する扶助費補助金等支給に関する事務量のはなはだしい増大をもたらし、学習指導の著しい障害となっているのであります。ちなみに、全児童生徒数に対する要保護、準要保護児童生徒数割合のはなはだしい例を申し述べますと、北海道においては九四・四%、福岡県においては、七七・七%、長崎県においては六九・四%といった実態があり、四五%を占める学校も数多い現状であります。このほか、市町村財政との関係上、保護対象とならないボーダーライン層が相当数あるのが実情であります。  以上申し述べましたように、産炭地域における教育はきわめて憂うべき状況にありますが、これが対策については、他の石炭産業不況対策等に比べて着手がおくれ、わずかに四十年度から生活指導主事少数配置就学援助費補助率引き上げ等が行なわれるようになってまいりましたが、きわめて不十分な現状といわねばなりません。このまま推移すれば教育の崩壊を避け得ない事態が予想されるのであります。したがいまして、かような教育環境のもとにある最も抵抗力の弱い児童生徒に対して十分な教職員配置して学校教育維持向上を期し、また、激増した要保護、準要保護児童生徒教育に必要な補助をなし得るよう、疲弊した地方共団体に対し、国が一そうの援助策を講ずることが緊急不可欠のことと考え、この法律案提案する次第であります。  次に、この法律案内容は、石炭鉱業不況による疲弊の著しい地域及び、これに隣接し、当該不況による影響の著しい地域で、別に政令で定める産炭地域公立の小中学校について、次の特別の置を講じようとするものであります。  まず第一に、学級編制の基準について、同学年の児童または生徒で編制する学級は三十五人以内とする等の特例を定めることによって、不安な教育環境のもとに置かれている児童生徒教育水準維持をはかろうとするものであります。  第二に、もっぱら児童生徒生活指導をつかさどる教員を置かなければならないものとし、就学奨励非行の補導等十分な指導をはかろうとするものであります。  第三に、養護教諭を必置することとし、貧困家庭急増等により、児童生徒健康管理がきわめて重要となっている事態に対処しようとするものであります。  第四に、事務職員を必置することとし、要保護、準要保護児童生徒急増に伴い、扶助費補助金等支給事務が激増し、生活指導はもちろん、日々の授業にも支障を来たしている現状を打開しようとするものであります。  第五に、義務教育学校における教育の教材に要する経費並びに要保護、準要保護児童生徒にかかる教科書費学用品費修学旅行費給食費日本学校安全掛け金及び医療費に関する国庫補助金補助率を十分の八に引き上げることとし、これによって、窮迫した財政のもとで、合理化整備関連して派生する諸般の財政需要や、せっかく措置された特別交付税一般財源のゆえに就学援助費に優先充当することの困難な事情など、援助措置が徹底を欠いている事態の解決をはかろうとするものであります。  また、長期欠席児童生徒の中には、通学用品が購入できないため欠席する者が相当多数あり、一部市町村においては貧困財政のもとで、必要やむを得ずこれを支給している実情にかんがみ、これら児童生徒に対する就学奨励措置として、生活保護法による教育扶助費と同様に通学用品費を加え、国がその十分の八を補助することとしております。  なお、附則において、本法施行期日昭和四十三年四月一日とし、昭和四十七年三月三十一日限り効力を失うものとしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ慎重に御審の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  8. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上で本法律案提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  9. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より剱木文部大臣斎藤初中局長天城大学学術局長西田審議官が出席いたしております。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 私はこの前の委員会秋山委員質問関連をいたしまして、能研の問題に限ってお伺いをいたしたいと思います。  まず第一に、能研概要をちょうだいして拝見をいたしましたけれども、どうもはっきりしない点がありますが、この能研それ自体と政府との関係をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  11. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 能力開発研究所は、御承知のとおり、財団法人という法的な性格を持っておりますが、政府との関係と申しますと、この法人設立をして、このような事業実施しようというもともとの発意が、御承知昭和三十八年の中央教育審議会文部大臣に対する答申の中に関連があるわけでございます。その答申によりまして、大学の入試問題の改善のために、このような民間機関をつくって、これに大学高等学校並びに行政官庁の三者が協力をして、このような団体の育成をはかることが望ましいという趣旨が述べられております。それによりまして、この法人設立発起の段階から文部省はそれに参画をいたしまして、現在もこの法人の理事、評議員等行政官庁関係者がある程度加わっておるわけでございます。そして政府は、その事業を積極的に育成いたしますために、設立以来、毎年度、主としてこの団体研究開発に必要な経費国庫補助金として支給をしておる、かような関係でございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、最初にはっきりしておきたいことは、いまのような設立経過は大体わかるわけですが、民間団体として、いわゆる財団法人民間団体である、このことは間違いないですね。したがって、そうなりますと、性格的には政府から独立をしておる団体である、こういうこともはっきりしてよろしいわけですね。その辺はっきり伺いたいのです。
  13. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 財団法人というものが持っております一般的な政府との関係におきましては、民法上の監督関係がございますし、先ほど申し上げましたような国庫補助金支給しております限りにおいて、補助金適正化法律監督関係が起こる、そのような関係でございます。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 大体わかりました。その次に財政関係なんですが、いま審議官からの御答弁によりますように国庫補助金がある。これは設立趣旨経過等からしましてもそういうことはわかるわけですが、「収入の部」を見ますと、主たる収入事業収入になっておりまして、受験料が主たる収入になっておるように見受けられるのですけれども、この受験料のうち、総計は資料によってわかりますが、学力テスト進適テスト職適テストですか、これの一人当たりの一回の受験料は幾らになっておるのですか。
  15. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) この三つのテストとともにこの受験料単価というものを一応きめております。学力テストは、御承知のように各教科別にいろいろな科目がございまして、各人がそれを選択受験いたします。それから進学適性検査は、それを一部、二部に分けて二つの部分からなっております。職業テストも二部からなっております。そうして全体を通じまして学力テストなら一科目進適職適の場合にはその一部の単価をきめておりまして、それが現在では八十円ということになっております。したがって、職適進適の場合には二本ずつ受けますので、百六十円ずつ、学力テストの場合には、もの五教科を受けるとしますと五、八の四百円、こういうかっこうになるわけでございます。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つ、この事業収入について伺いたいのですが、もしこの事業収入のうち、いまの受験料関係が一番大きな収入になっておるわけですが、かりにここのところが、受験生徒が半分に減ったような場合のことを想定したら、この能力開発研究所事業運営といいますか、財政運営ではどういう形になってやるわけですか。
  17. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) この資料でごらんいただきますように、支出の部分の中で、1、2、3、4、5と大きく分けてございます。このうちの3と4という問題作成調査テスト実施、これらがこの受験料収入に直接しておる費用でございます。いまのお尋ねの点、私どもとしては財政上の問題としては、たいへん深刻な場合の仮定の質問でございますが、ただ、受験者が半分に減りました場合には、受験料は当然収入が半減したしますが、同時に、3、4の経費の中で、特にテスト実施経費というものは、受験者数の減少に応じて比例的に減少いたしてまいります。ところが、問題作成費の一部並びにこの一般事務費人件費等受験料収入受験者の多寡にかかわらず、ある固定的な経費でございますので、財政的にはたいへんむずかしいこととなるわけでございます。そういった場合には、おそらくこの一般事務費経費の予算上の削減を相当実施しなければならないだろうということと、それから上の収入の「その他の収入」というもので、現在、研究所は相当な寄付金募集の計画もいたしておりますがその財源収入確保することに全力を尽くさなければならない。かような結果になろうかと思います。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 寄付金募集でまかなえるというのならそれでもいいのですけれども、かりに受験生が半分に減ったら問題作成及び調査費が半分に減るからというようなことではちょっと私はこの数字を見てわからぬのですね。つまり受験料収入が一億三千六百万でしょう。これが半分に減りますと六千八百万ですか。六千八百万が減るわけですね。問題作成費がかりに半分に減ったといたしましても、テスト実施費ですか、これと合わしても五百万くらいしか減らないわけです。そういうような形に、かりにかれが半分に減るとしてもそういう状態になってくる。といたしますと、これはもう寄付金を求めるとかどうこういっても、私はやはり受験料財源というのは、相当大きなこの財団運営財源になっておるのではないか。こういうようにみるのですが、この辺はやはりそう大きな財源としては期待していないのですか。この辺はっきり伺いたいのですが。
  19. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 四十一年度の実績がありますとおりに、法人財政上の観点といたしましては、事業収入の中の受験料収入を最も大きなものとして期待いたしております。ただ、先生のただいまのお話でございますが、もし受験料が半分に減りまして六千万円ほど減が起こった場合には、おそらく、3、4のほうでの削減は五百万とおっしゃいましたが、五千万だろうと思います。したがって、「その他の収入」のところでもう一千万ほど寄付金募集が付加されなければ、その他は一般経費の節減でまかなうということになろうかと思っております。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 このことは数字を押し問答しておっても意味がないのですが、そういうことで私はほんとうに心配しているのは、最近の、きのう、おとといでしたか、新聞記事を見ますと、受験生がまた大きく減ったという記事が報道されているのですね。今度のは進適テストだと思いますけれども、この減少しているといいますか、ことしのこの進適テスト受験状況はどういうことになっておるのですか。そして、この減少しているという理由を、理由といいますか、原因をどういうふうに分析をされているのか、その辺もあわせてお答えいただきたい。
  21. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) ただいまお尋ねの進学適性能力テストは昨年度が二十九万人の受験者があったわけでございますが、本年度はそれが二十九万七千人程度に数字が減っております。この減少の背景には、一つは高等学校の二年生、三年生の在学者の絶対数が減ってきている部分のものがある程度そこに響いております。しかしながら、高等学校在籍者のうち、上級学校への進学を希望すると一応考えられます者に対する比率から申しますと、四十一年度が大体二五%でございましたが、これがそれよりも率としてもやや下がる程度になっておるかと思っております。そういう点から申しますと、おっしゃいますとおりに、一般の進学希望者の適性テスト受験生は明らかに減少しておると言えるかと思います。その原因につきまして、いろいろなことが考えられるわけでございますが、一つは、過去四カ年の間、能研テストの開発のためにもっぱら高等学校側の御協力を願いまして、これに対する資料の収集を進めてまいりました。そして、先般、文部省の入試の要項にも添付いたしましたように、ある程度現在までこのような能研テストを入試の資料として活用し得る可能性がだんだんそろってまいっております。しかしながら、高等学校側といたしましては、この開発されたテストが実際に入学の資料としてどのように具体的に活用されるのかということについての大学側の動きがまだはっきりしないという点が最大の問題だと思っております。そこで、文部省としては、それに対する、大学に対する積極的な指導、助言という形で進めておるわけでございますが、この本年の適性検査の申し込みの締め切りは、実はあのような具体的な文部省の措置が一般にあらわれてまいります以前に締め切りが行なわれております。したがって、昨年来懸念されておりましたように、今年からこの適性テストも、先ほど申し上げましたように、一科目単価を従事の五十円から八十円に値上げをいたしましたことが、受験者側としては非常にいろんな御不満が出てまいっておることが一つと、また、大学側の動きがまだはっきりしないと、こういったことが重なりまして、全体的な数字としては縮小してまいったかと思っております。その大学との関係がかなり大きな理由であるのじゃないかと想像いたします。この全体的な縮小の中でも、特にこれを入試の資料として活用されるというようなことを言われた大学は、昨年も十八ほどございました。そういう大学の周辺部分の府県におきましては、必ずしもそのような大きな減少が起こっていない。そういう反応がまるきりない地域には集中的に減少が起こっている。そういう点から考えましても、その減少の原因はもっぱら大学側のこれの活用の見通しということにあるんではないか、かように考えております。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 大体の文部省の考え方についてはわかったのですが、もう一つだけ先に伺っておきたいのは、育英会との関係ですね。この能研が育英会の特別奨学生の選考の資料に使われておる、こういうことになっておるわけなんですけれども、この特別奨学生になるためには、能研テストを受けなければ特別奨学生になることができないようになっておるのか、ほんの参考程度になっておるのか。その仕組みはどうなっておるのですか。
  23. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 日本育英会の特別奨学生を選考する手続につきましては文部省令が定まっておりまして、その中に、この選考の手続で特に能力に関する検定をいたします場合には、日本育英会が定める学力の検査、それから高校長の推薦、その他の資料によって判定をするということがきめられております。そして、その日本育英会が定める学力検査というものをどういう形で行なうかということは、育英会といたしましては、従来みずからいろんな委員を委嘱いたしまして、その特別奨学生の選考の問題をつくっておりました。ところが、育英会自体としても、そのような問題作成専門家を常時かかえておるというわけじゃございませんし、また、それに対する専門的な研究も十分にはいきがたい点がございまして、現在までの能力開発研究所の実績を見て、これに対して特奨制度のこの問題作成を委託するということの可能性を検討いたしまして、その結果、一つはこれまで育英会が行なってまいりました特奨試験の成績と、能研のこの進学適性テストというものの成績との間に、どの程度深い関係があるかということを検討いたしまして、テストの相互関係資料といたしましては、かなり満足すべき相互関係があるということがわかりましたので、昭和四十二年からこの問題の作成を能研に委託をする、ただし、その特奨試験の実施そのものは育英会自身の責任において行なう、こういうかっこうで、同一期日に行なわれますが、テスト実施者は日本育英会である、こういうたてまえで本年度は実施をすることにいたしておるわけであります。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、大体いままでに考え方を伺ったのですけれども、これからもう少し深くお伺いをいたしたいのですが、さきの秋山委員質問の中にもお答えをちょうだいしておるのですが、実はこの大学の入学試験に能研テストを利用している学校数というのは、必ずしもこの能研の制度が始まってからふえていない、そういうことが御答弁にたぶんあったと思うのです。これは去年の入学試験には、国立大学では一校しか採用されていない。このことについてはいろいろの御答弁を伺いましたが、たとえば、記憶しておるところによりますと、大学の側に理解がないから採用がされていないのだ、こういうような御説明を伺ったように記憶しておるのであります。しかし、私はこれをただ単に、大学が理解が足りないから利用者が足りないのだというふうにきめつけてしまうことは、これはどうも説得力がないのじゃないかという感じがするのですね。で、いま伺いますと、審議官の御説明にも、たとえば能研テストが、追跡調査をやってみても、いろいろな資料から正確なものである、あるいは参考資料として有意義なものである、そういう自信を深めてこれをやるのだという御説明であります。ただ、私が説得力がないという意味は、そうおっしゃっておるのは、設立のときに非常に積極的に参与した文部省がそうおっしゃっておる。それから、当の能研がそうおっしゃっておるということなんであって、現実には大学が——もう四年もたっておるのですから、この四年もたっておることが年々減っていく、あるいは誤解をされておる、こういうようなことになると、どうも少し何といいますか、独善的といいますか、ひとりよがりといいますか、そういう形のところがあるのじゃないかという感じがするのです。こういう点についてはもう少しこの能研自体といいますか、この関係者の間でもう少し突っ込んだ検討をされたことがなかったのかですね。たぶんあったと思うのですけれども、その間の事情をもう少し詳しく伺いたいと思います。
  25. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 大学側の利用について、大学の理解がないという言い方は、いろいろこれはまだことばが不十分ではないかという私は感じがいたしております。現段階で私どもが大学にお願いをしておりますことは、これまで能研が四カ年間やってまいりましたけれども、能研はこういう趣旨で、こういう見通しを持っているのだからひとつ協力をしていただきたいというだけでは、おっしゃいますとおりに、大学とてはまだまだその実績がないじゃないかというお立場があろうかと思います。そこで、その能研自体がほんとうに役に立つものかどうかという唯一のきめ手は、その能研テストを受けた人が大学に入りまして、大学でどんな成績をとったか、そのとった成績というものは、能研テストとか、高校の調査書とか、大学の入試とかでよしあしを見分けておったことが、どれが一番先々の見通しに役に立っておったか、この証拠を出すことが一番的確なものだと思っております。そして、そのようなものが、現在までの進行状況から見ますというと、大学の二年生の成績をとるところまでしかいっていないわけであります。したがって、能研としましては、今後、大学の三年生、四年生までの成績を引き続き追跡調査を実施する計画にいたしております。しかしながら、本年度、この二年生までの成績を見ましても、この段階において、すでに、大学が行なっておる一回限りの入学試験とか、あるいは高校の調査書とか、そういったものと比べますと、この能研テストを総合的に活用すれば、現在の学力検査一本よりもはるかにいい結果が出る可能性がきわめて多いということが資料的に出てまいりました。私どもは、この資料の上に基づいてこれを大学側に理解をしていただこうとしておるわけでありまして、いわゆる能研趣旨を述べて説得をするというような立場ではございません。したがって、おっしゃいますとおりに、これがはたして文部省なり能研の独善であるのか、それとも客観的な事実なのかということは、このような追跡調査にはすべて大学側が御協力をいただいておりますので、大学自身が御自分のデータを同じように分析をされれば、その結果を確かめることができるわけであります。したがって、これはもう議論の段階ではなくて、事実によってそのよしあしを検証するということを、われわれとしては大学としてもやっていただきたい。そして、同じ結果が出れば、そういう前提に立ってこれを活用するように、大学としても一歩進んでいただきたいということをお願いしているのでありまして、そのような方法が、最も、学問を中心として客観的な事実に基づいて判断する大学に対する説得としては一番合理的な方法ではないか、かように考えております。
  26. 鈴木力

    鈴木力君 いまのこの実績を出して、資料によって、文部省が説得しなくても大学が飛びつくように、そうなっていくことが望ましいという審議官のお考え方は、これは私ども賛成なんです。ところが、実際にやっておることは、そういう考え方とやっておることとは違うのじゃないかという感じをどうも私は持ってしようがない。それは、いまさきに伺いましたが、たとえば育英会についてもそうだと思うのですね。何か、手続上からいえば私は育英会のやったことは間違いだとは申し上げません。手続からいえば、確かに文部省令で、日本育英会が定める何かの方法によって選択をする、そうして育英会が能力開発研究所テストを選んだんだと、そう言えばそれだけの話になるわけですね。ところが、先ほどから私が御質問申し上げておったのは、能研自体の経営のうちの財源のうちの相当部分は、受験料によってまかなわれておる。それから、その次はテストの問題の作成受託料によってまかなわれておる。この二つがほとんどといってもいい柱なんですね。そういたしますと、能研の理事長ですか、会長ですかと、それから日本育英会の理事長とは同一の人ですぬ。同じ人が両方に役職の責任を持っておって、理屈はどうつけようとも、こっち側の受験料が減ってくると経営がむずかしいから何とかしなければいけない。そのときには、それじゃ自分のこっちの事業のほうを何とかこれを利用させればふえていく。どうもそういう意図のほうが私は大きく見えてしようがない。いわば、たとえば、政府が出資した何とか開発会社にセメントをつくらしておる。そうして、同じ政府が請負をする土木事業には、その土木仕様書の中にどこの会社のセメントを使うかを書け、の何かその、自分の会社のセメントを使ったものを優先的に少し使っていって会社を救おうというような、どうもそういう感じが見えてしようがない。だから、もしも——もしもですね、そういう誤解——それがまあ完全に誤解であるとおっしゃるに違いありませんから前もってそう申し上げますけれども、もし、しかし、かりにぬぐうべからざる誤解を解くためには、そういう人的な構成についても、同じ人間が、利用するほうと利用されるほうとにまたがっておって、片っ方は値上げをしてそうして受験をさせる。片っ方はその受験をしなければ育英資金を貸しませんぞと、この仕組みについてはやはり再検討してみる必要があるのじゃないかということが一つです。  それから、ついでですからもう一つ申し上げますが、入学試験についても同様だと私は思う。いま審議官がおっしゃったように、大学のほうにいろいろと研究させてみて、気長に、研究のデータが出てきたらそれによって大学側が飛びつく、高等学校側が指導してこれを受験していく、漸増の方向にいくような問題が学問の世界である。審議官のおことばのように、学問の価値によってこれが広がっていくということを期待する、そういうことならいいのですけれども、たとえば今度の入学試験の通達等を見ましても、この前と違ったところは、能研テストの成績を記入することだと、こうありますがね、ちゃんと表の中にも記入欄まで設けてある。しかし、おそらく皆さんのほうでは逃げようとすれば逃げられると思う。これは義務ではありません、記入しなくてもいいのですと言うかもしれません。しかし、通達に調査書という様式が出てまいりますと、片一方は値上げをしておりますけれども、今度は進適受験が減ったけれども、二五%から一八%に減ったけれども、秋の学力テストまでに追い込んで見せますという意図がどうも見えてしようがない。私がこういろような見方をするのに対して、政府側のひとつ説明といいますか、弁明といってもよろしいですが、聞かせていただきたい。
  27. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 最初の御質問の、育英会がこれを、能研の問題の作成を委託する件でございますが、おっしゃいますとおりに、育英会の会長と能研の理事長は同一の方にお願いしているかっこうになっております。しかしながら、これを能研に委託すべきや否やにつきましては、実は育英会は約二年間にわたりましてその仕事の性格を検討いたしました。その方法は先ほど申しましたような過去の育英会の特奨受験者能研テストも兼ぬて受けている者が相当ございます。その二つの成績を個人別に比較をいたしまして、そして特奨試験が従来測定しておりました能力の判別というものは、能研テストによって十分なし得る。端的に申しますならば、両者の間に成績の相関係数が〇・七%、これはテストとして予想し得る限りにおきましては、まず十分満足すべきものだという結論を育英会の研究部門のほうで出したわけであります。そして育英会側としましては、理事会にかけ、評議員会にも御意見を承って慎重に検討し、能研側に申し入れし、能研側としましては、ここに新しい問題が出てまいりまして、これは決して進適受験生がふえるという単純な問題ではございませんでして、かりにそれが入ったとしましても、特奨なんという受験者数は、先ほど申しました能研側の進適受験者のわずか数%であります。そして、しかもこの仕事を受託いたしますと、高校から大学に行く特奨生のみならず、中学から高校へ行くという特奨生の選考もあわせてやらなければなりません。これは能研としては従来やっていないテストでございまして、そのための問題作成と新しい仕事というものを引き受けて、どの程度能研としては財政負担を負荷しないで済むかという点で、育英会に与えられました予算の範囲内でこれがこなし得るということで、能研側がこれに同意をしたというような経緯でありまして、能研財政上の便宜のためにこれをくっつけたというような単純な結果でなかったことをひとつ御了承いただきたいと思います。  それから二番目の今回の通達によりまして、調査書に能研の成績を記入させることにいたした件でございますが、これは私どもも、それを検討されました入試改善会議におきましての議論を承っております。それは従来は、その受験した受験番号とか、その年度等が記載されて、本人が能研を受けたかどうかがわかるようにだけしておったわけであります。しかしながら、大学側が先ほど申し上げましたように、もし積極的にこれを利用しようとか、あるいは追跡調査に活用しようというように考えられます場合には、一々その個人の番号を別途転記して、能研に申し込んで、その成績をとらなければ利用はできなかったわけであります。これが大学側としましては、利用の側から非常な不便があるという点で、これを成績を記入したほうが大学側の便利になるではないかという議論でこのような結果になったわけでありまして、申すまでもなく、その場合は能研テストを受けておる者についてのみ書くわけでございまして、これを書くということがそのまま能研テストを受けることを強制するわけでもございませんし、従来と変わりますところは、大学側の利用の便宜を一歩進めたということだと考えております。これが大学が追い込むことになるのではないかというお話でございますが、私どもとしましては、能研の育成をします立場からみますと、あくまで大学が積極的に活用することを期待をいたしておりますが、そこに書かれたデータをどう使うか使わないかというのは、一にかかって大学側の判断にまつわけでございまして、そのようなことは、先ほどの大学側の学問的な検討の結果によるわけでございまして、それ以上これを積極的に何らかの力をもってプッシュするということは実際上不可能なことでございますので、その点につきましても御了承いただきたいと思います。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 二つ一緒にお伺いすると混乱してぐあいが悪いですから、さきに育英会のことからもう少し伺いますが、そうしますと、育英会の特奨を受けるのは、能研を受けなければ特別奨学生にはなれないということになっておるのか、なれるということになっておるのか。そうすると、その能研テストというのは特別奨学生を決定する条件の何%ぐらいの条件になっておるのか、伺いたいと思います。
  29. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 先ほども申し上げました特奨の選考手続は省令できめておりまするとおりでございまして、第一次的には本人の家庭状況に関する選考をいたしまして、そのあと本人の学問的な能力を測定して選考をいたします。したがって、選考が二段階に分かれますから、あとの半分から言えば五〇%になろうかと思いますが、その選考の場合に育英会が定める方法によって選考するわけでございます。そして、育英会がこの能研に問題をつくってもらって、その問題を使ってその選考の試験を実施するのは育英会がやるということになっておりますので、決して第三者が行なった試験を育英会がこれを採用するという形ではございませんので、そこを御了承いただきたいと思います。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 こういう関係じゃないですか、たとえば、あるAならAという人が社長をやっておるそしてトラックの運送会社をやっておる。もう一つは自動車の修理工場をやっておる。そして、このトラック会社のトラックの修理は自分の修理工場で修理したものでなければ使えない、そういう形になっておるのと違いますか。これはつまり、私は政府がいろいろと指導してつくったという性格とは違うとおっしゃいますけれども、一応、民間団体財団法人として、しかも事業の収益の大半は受験料によってまかなわれておる団体が、そこの長が、自分が会長をやっておる別の団体テストを使ってやる、そのテストを使わなければ奨学資金は貸さない、こういう仕組みをつくっておるということは、手続上からいうと——私はだから非合法だとは申しません。手続上は成り立っておるでしょうけれども、関係としては、きわめてこれは重要な問題だと私は思う、つまり育英会資金というのは国の資金であります。それを何かの都合によって、自分はどうもこの育英会の、育英会のというよりも能研テストのあり方についてはどうも疑問だ、そういうものがあるいは受けないこともあるかもしれません。そうすると、それは国民として国の機関である育英会の特奨を受ける資格を喪失されてしまう。だから、質的に見ればトラック会社と修理会社とそれは違うとおっしゃるには違いないでしょうけれども、しかし、見方からいえば、そういう見方が成り立つじゃありませんか、その辺の見解はどういうことなんです。
  31. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 営利会社の親会社子会社のおたとえがございましたが、私ども育英会は特奨生を育英会のほうの命ずるところによりまして公正に選考しようという立場でこれまで特奨制度をやってまいりました。そして、その問題作成を育英会が実施いたします場合も、従来とも、やはり問題作成委員を部会から委嘱をしてその御協力を仰いでおったわけでございます。そういう一時的な臨時体制で問題をつくっていくよりも、能研という、恒常的なこの研究機関が備えておるスタッフというものによって作成された問題のほうがより信頼性があり、そのテストの妥当性も高いということを考えまして、それを先ほど申し上げました手続によっていろいろ過去二カ年間にわたって具体的に検討したわけでございます。そして、育英会側はこれが十分目的にかなうとしてこれの採用をきめ、能研側もそれを財政上の負担がかさまないという段階においてこれ受諾したという関係でございます。したがって、特奨生になろうとするものは、日本育英会が定める方法によって選考試験を受けなければならないわけでありますから、これを規定されたものがその能研のつくる問題による育英会の試験を受けるのは私は当然じゃないかと思っております。決して能研自身が実施する能研テストを受けろという形にはなっていないわけでございますので、その点は受けない人が出るのではないか、あるいはそういった方が能研テストに疑問を持つのではないかというお尋ねでございますが、私どもは、これは育英会自身がその問題の質について判断をし、決定をしたことが妥当であろうと思って、この法律がむしろ合理的ではないか、そういう考え方を持っております。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 もう一ぺん関係を申し上げますが、先ほど一番先に私がお伺いいたしましたように、能力開発研究所ができた経緯、その経緯からいいまして、能力開発研究所というのをつくった、その会長はある人だ、名前を言っても同じことですけれども。それから日本育英会の理事長ですか、会長も同じ人だ。そして、たとえば日本育英会が判断をするテストをやればいいのだから、日本育英会が能研が一番妥当と判断したからこれが一番正しい、こういう言い方でしょう。文部省と育英会とそれから能研というのはいわば同じ穴の、ことばは悪いけれども、タヌキだ、(「ムジナだ」と呼ぶ者あり)その同じ穴のタヌキかムジナの人が相談をしたからこれが一番よかった、一番よかったと言っておる。しかし、能研テストそれ自体については、日本にたくさんある大学のうち十八しか去年は入学試験には採用しなかった、国立大学では一校しか採用しなかった。これが現実の問題でしょう、進適については。去年二五%受けたのが、ことし一八%に減っておる、それは文部省能研と育英会に関係しない人たちの現実の姿、それを三人集まって、そしてこれがりっぱだ、りっぱだと言っておることに、国民を説得する説得力があるかということを私は言っておるんですよ。だから、きわめて問題は私は重要だと思いますのは、それが偶然なのか、あるいは前から計画されておったのかわからぬけれども、まあ株式会社論やトラック会社論をやると恐縮ですから、それは人がそういう関係のところに二つにすわっておって、そうして、少なくともこっちがきめたのだからこれを受けなければなりませんとなれば、この関係はどうみても、国民はなるほどそうなんですか、学問的にりっぱなんですかと私はまだ言えないと思います。関係しない大学も、もしもこれが日本のほとんど全部の大学がなるほど能研というものは信憑性がある、そういう結果が出てきたときに、いまのような育英会なり何なりのそれに使っていくというならまだ話はわかるわけです。関係者がさきに自分で、一〇〇%これをやっておいて、これが正しいのです、だから大学は誤解なんです、あるいはだんだんにはわかってくるでしょう、こういう形でものごとをやっておって、それで済ましていいのかどうかということなんです。で、私は法案と関係ないというふうに御心配をちょうだいするから、私の質問している意図を申し上げますけれども、こういう形でこれが高等学校に入ってまいりますと、たとえば、今度は大学を通じての入学試験の資料にも、能検テストの結果を記入しようというのが出てきているわけでしょう。これは決して強制じゃありません、もちろん強制じゃないとおっしゃるでしょう。しかし、これが出てきているという事実は、大学の側のほうでまだ積極的に採用するという動きがはっきりしていないうちにこれを出してきたということは、やはり何といっても、これは年々受験者が減ってきて、能研株式会社が不景気になり、寄付金募集にも限度があるから、ここらで何とか大株主である文部省、少しいろんな手練手管を使ってというふうに曲解をしたくなるんです。まああえて私は曲解と申し上げたほうが、お聞きになるほうも民分がいいと思いますから、私は曲解するということばを使いますけれども。だから結論を申し上げますと、私はこの育英会の特奨制の採用については、いまの能研との関係については再検討すべきじゃないか。世間に対して非常に誤解を与えるわけです。純真な子供たちに、能研の会長さんが育英会の会長さんだから、これを受けないと、どうも評判が悪くなるから、受けて金を借りましょう。こんな形で子供たちの童心をむしばんでいくとしたら、これは教育的にはきわめていけないことです。それから入学試験についても同様です。少なくともこの通達の様式から、私はやはり能研テストの調査の項については削除すべきだ。そして、先ほど審議官説明をされましたように、客観的に、各大学も学問的に自発的に研究の成果、そういう評価が出てくるときには、また別だ。いまのところは関係者だけが正しい正しいと言ったって、関係しない人たちはまだ正しくないとは言い切らないにしても、どっちのものか怪しいという状態なんです。そういうときにこれをやるというのは押しつけがましいことだ。もしどうしても押しつけると文部省がおっしゃるならば、私はやはり大株主だな、そして株式会社論で、能研なり育英会というものを、これはこの面で見なければいけない、そう思うんですが、どうでしょう。
  33. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 両方の団体の最高責任の方が同一人であるということから、いろいろなお尋ねが最初にございましたが、これは先ほどのような手続きによって、育英会がこれを採用することも、その問題の性格上の検討を育英会がかなり慎重に行ないます。そしてこの両者の関係を結びます場合には、その両者に対する監督官庁である文部省に、この意見を求められたわけであります。私どもはその場合に、能研自体が持っております現在の能力、こういうものを考えますならば、育英会が独自で従来どおりの方式をするよりも、より特奨の選考が適正な方法でなされるであろうということを文部省として判断したわけであります。したがって、これは両方の代表者が同一人であるということでなくて、両方が文部省の行政の所轄にあるという立場から、文部省自身が行政上の判断を持ちましても、これは適切なものだということを、私どもがそこに認めたということが大きな動機であると思います。そして、そのことがはたして妥当な判断であったかどうかについては、これは文部省自体の立場で御批判をいただくべきものと思っておりまして、会長と理事長が同一人であるということは、これはこの問題には実質的な関係はなかろうと思います。そして、しからば文部省の判断自身がどうかと申しますと、現在まで大学側の採用不採用という議論は、学力テストについて行なわれているわけでありまして、適性テストにつきましては、大学はまだごく一部の大学以外にはこれについて積極的な検討をされておりません。これは問題も公開されておりませんし、一にかかって能研の追跡調査の結果を待つ以外には判断の材料がないはずであります。したがって、大学が採用するとかしないとかいうことが進適テストのよしあしをきめる何らの判断基準にはならない。したがって、受験生大学の側においてまだふえないという問題は、学力テストの問題でありまして、適性テストの問題とは関係がございませんし、育英会との問題は適性テストの問題に局限されておるわけでございます。また、現実に本年度の進学の適性テスト受験者が減ったではないかという御指摘は、先ほど申し上げましたように、現在までまだ十分な追跡調査の結果が過去には出ておりませんでして、本年の七月の初めから始めて、さきに御説明申し上げました要項の参考資料によって文部省大学側に積極的にこの検討をお願いしたまだばかりの段階でございます。したがって、受験者が適性検査で減少するというのはむしろ減少する理由があったわけでございまして、このテストそのものが基本的に能力判定として不適当な性格を持っているかどうかという問題につきましては、まだ第三者が判断をする段階になっていないということだと思います。したがってその問題は今後に待つべき問題で、先生が先ほどおっしゃいましたように、学問的な検討を大学でしてもらうためにも、調査書に能研の成績が書いてなければ、実際に調査を大学が進んでやろうという体制がとれないわけでございます。したがって、あくまでそのような大学側の学問的な検討の便宜を考えまして、調査書にこの記入をわれわれとしてはきめたわけでございますので、それを削除してはどうかということについては、私どもはむしろこれに対する正しい評価を今後につくるために、これをぜひやはり入れていくという方針を守っていきたい、かように考えております。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 育英会でも入学試験でも同じことだと思いますけれども、特にいまの西田審議官の答弁の中に、育英会は、あるいは能研は、ともかくもこれは文部省が判断したんだと、こういう開き直った言い方をされますね。文部省が判断をしたからこれを押しつけるのだ、こういわれると問題はますます大きくなる。それは育英会の役員やあるいは能研の役員はだれでも関係がない。判断したのは文部省だ。こういうものの言い方ができるように、能研なり、あるいは育英会なりを文部省が見ているというところが一番危険だと私は思いますよ。一番先に私が聞いたときには財団法人だ、これは民間団体だ、もちろん、しかし民間団体財団法人だといっても、これはまあ文部省関係ない民間団体だとあなたが言うとも思いませんし、私もそうは思っていません。しかし、文部省が出るのには限界があるだろうと思いますね。一つの方針としてこれをつくったんだから、国庫補助も出しているのだから、それからまた中教審の答申の中から生まれているのだから、これを育てる役目も持っているし、もちろん、やっていることは正しいように指導もしてきていると思っているのだから、正しいというのも、その気持ちもよくわかる。しかし、もう少し謙虚にこのことの実態というものをやっぱり見るべきじゃないのかということです。何といったって、たとえば、いま大学のほうで採用するかしないかはこれからの問題だ。これからの問題だというときに——去年もそうなんでしょう。そういう時期に、あえてことしこの調査表に能研の調査書を特につけ加えた。この意味は大学の便宜のためという説明だけでは、これはなかなかそうは言い切れないわけですよ。つまり大学側のほうでは、まだ能研テストをことしはどれだけ採用しましょうというようなことをきめた大学はきわめて少ないでしょう。一体、能研テストを入学試験で採用すると決定してある大学は幾らあるのですか、今年度の場合ですよ。私どもが聞いている範図ではまだほとんどない。おそらくこれから決定する段階だろう。そうすると、いまの審議官説明からいえば、これから大学を説得するのですからということが腹の中にあるかもしれませんけれども、そういう形では、ことばでいった学問的に将来決着をつけるんだという言い方は違うような気がする。だから、少なくともこの調査表の中からは一たんこれを削って、あるいは別なやり方があると思いますよ。去年だってこの調査書をつけなくても利用した大学はこれを利用したのだし、それは追跡調査というのも資料にもなったのでしょう。多少不便があっても、それはこれがあったとないでは、あったほうが便利ですというにきまっていますし、あったほうが便利だと私も思います、使う立場からいって。しかし、私が先ほど申し上げましたようないろいろな、あるいは誤解といったほうがいいか、曲解だといったほうがいいか、そういうような客観的な情勢があるときにこれを無理押しをするべきじゃない、このことが高等学校の今後の教育にまた要らない刺激を与えるということになるわけです。それをならないというのは、皆さんの役人的なものの見方で、私どもは学校側のほうの立場から、これを見ておって、そう言っておるわけです。だから、一応はこのところはここで撤回しますと、意地でも言いたくないという審議官の性格もわかっているから言わないかもしれない。しかし、やはりこれは再検討に値いするという私どもの指摘については、これは皆さんまじめに聞いてもらわなくちゃいけないと思う、どうです。
  35. 西田亀久夫

    説明員西田亀久夫君) 最初のほうのお尋ねの文部省が判断したということは、どういうあれで関与したかということでございますが、これはやはり特奨生の選考の中にそういう一般的な規定をきめておりまして、そして育英会がそのルールを具体的に定める場合には文部大臣の承認を受けろということになっております。したがって、当然この特奨生の試験をこういうかっこうで能研に問題の作成を委託してやりたいというのがありまして、その段階で育英会側の検討の内容文部省側の能研に対する評価とを重ねてこれに承認を与えた、そこにおいて判断があるわけだと思います。  それから後段のほうの能研テストの記入の削除の問題でございますが、私どもはあくまで大学側の学問的な立場による判断を仰ぐという姿勢でございますけれども、論理的に申しますならば、判断を仰ぐためには判断の材料がなければならない、その材料として能研テストが調査書に記載されていれば非常に便利である、そういう考え方でございます。削除しろという御要望でございますが、私どもは書いた場合にいかなる弊害があるのか、書かない場合にはどういう損夫があるのかという利害得失を考えた場合に、書いた場合には大学が追跡調査をやろうと思えばきわめて容易にやれる、書かない場合にはそれを使おうとする場合に不便がある、そして書いた場合には具体的に弊害が起こるということについての何らの私どもは判断を持ちませんので、これは利害得失から見て書くべきである、かように判断したわけでございます。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 あとのほうから申し上げますが、申の申し上げている意図が——これは言い方が悪かったと思うからもう一ぺんはっきり申し上げます。これは採用するということが決定した上で、その上での場合には、書いた場合と書かない場合というのは、これは弊害とか便宜とかいえば、書いたほうが便宜だ、こういうことはもうきまっておりますね。それから受けない者があった場合にも、別にこれを拘束しないのだというから差しつかえない、それはあなたが先に考えた考え方なんです。それに対して私がいまものを言っているわけです。それを今度あえて——ことしのこの大学入学者選抜実施要項についてというこの通知の中に、ことしあえてこれを取り上げて様式として入れた、このことの影響は、どうしてもこの能研を受けろという一つの強制力になると私は言っている。それから大学側についても、これは前にも例があることなんですけれども、たとえば学芸大学教育大学と名称を変更させるときにも、これは前にもう議論済みですから重ねませんけれども、最近は大学側に対していろいろな手を打っている。そういうことが今度の入学試験にもまた出てくるという可能性がある、そういうための説得力に、これが説得力というか説得の手段に使われる、そういう混乱をさせるだけの話だ。だから、私が言うのは、積極的にこういう方向に行くのにはもう少し大学側のほうに主体性を置かして、大学側のほうがもっと能研なら能研テストを採用するというふうに、ほんとうに学問的にそういう大勢が出たとき、そういうときでいいじゃないか。あなたのほうでは利用するためにはこれを記入しなければいけないという理屈を言ってくるわけです、今日までにも。しかし、この表をつけないからといって——能研を受けた者について追跡調査をやっているのですが、これをつけなければ入学試験ができないとか、能研の追跡調査ができないとか、研究ができないということにはならない、能研側のほうにすれば、つけたとつけないでは、つけたほうがやりやすいということはわかるのですけれども、事は教育の問題なんです。入学試験というのはいまの高等学校の相当数の生徒の問題なんです。この問題はいまいろいろな不安があり、いろいろな動揺もあり、そしてこれが社会問題になっているときに、能研の便宜のためにこれを撤回しないと、こうがんばるというのは、私はどうも、そうがんばればがんばるほど、この通達の意図には、いよいよ能研財政がおかしくなってきたから、ここらで手を打って何とかして受験生をふやしましょう、そういう意図が一つある、どうしても私はそう言わざるを得ない。だから、そういうところにそういう誤解があるなら、誤解がないようにいまのような点でも配慮してやっていくべきじゃないかということです。  それからもう一つ、あまり時間をかけて恐縮ですから政務次官にお伺いいたします。さっきのこの育英会の問題なんですね。いまの審議官の御答弁によりますと、育英会が、文部省令によって日本育英会がこれを決定するわけですが、日本育英会が能研を採用しようと、育英会自身が問題をつくろうとそれはかまわない。したがって、能研を使ったって一向かまわないのです。それを文部省が承認を与えているから、これが正しいのだというのが、いまの審議官のお答えです。私は手続的には正しいと思います。ただし、その場合に、何べんもくどいように私が申し上げたのは、育英会はこれは文部省の特殊法人ですね。それから能研文部省で国庫補助を出しており、設立のときに文部省で盛んに文部省がてこを入れたというのか、そうして、文部省からも理事、評議員というのですか、役員を出している財団法人ですね。そこまではわかる、そこまではわかるけれども、大体その言っていることは非常にりっぱなことを言っているが、いま最初に財政上で私がちょっと伺いましたように、予算の中の——全部で二億一千九百万かの予算ですわね。そのうちの一億三千六百万は受験料収入です。実態は。それからその次は、もう一つはテスト問題作成受託料というのが千二万九十七万五千円です。大体全部についておよそ一億五千万、二億一千万の財政のうち一億五千万は事業費でまかなっている団体が能検です。これの会長が育英会の会長と同じ人だ、そうしてこれを出してつくっているのは文部省だ、こういうときに、能研それ自体にもきわめて世間から批判があるときに、国の資金を使ってやる特別奨学生の選択に、手続上からは間違いがないとして、私は手続論は申し上げませんけれども、この能研の問題を育英会が使われなければ特別奨学比を選ぶことができないというこのシステムは、今日のところは多分に誤解を与えている。だから、少なくともやるほうからすれば、だれが見ても、はっきりするように、ほんとうの独自性というものは別々の団体であるという性格を国民の前に明らかにするのか、あるいはいまのように、これは人も、それはそっちが選んだので文部省が人を送ったのではない、民主的に選んだと言えばそれまでの話ですけれども、そういう形でも、こういう種類の性格のものには誤解を与えるような構成はやってはいけないのではないか、したがって、そういう問題について私は相当これは検討して見るべき問題ではないのか、こういうことをいま申し上げているのです。しかし、少なくとも、そういう誤解があるのだから、特別奨学生なら特別奨学生を募集する場合はには、いまのところ能研能研というこの絶対の方式をとらないように、全然使うなというとまたおこるでしょうから、そうは言わないにしても、能研オンリーで奨学資金をもらえるというような道はこれをどうしても私は納得できない。一つの参考資料なら参考資料能研テストというか、そういうものでなしに、いわば入学試験に能研を使うか使わないかというやり方もあるでしょうけれども、学校の内申なり、そういうようなものが主になるような、しばらくの間は能研の問題というのは、これは中止をするというのがやっぱり正しいのじゃないか。たとえば、理屈はいろいろありますけれども、今度の進適テストが減ってるという一つの原因の中には、ある担当者に言わせると、これは能研がやっている特奨のテストが別ワクになっているからという言い方も実はあるようです。そうなってきますと、生徒のほうの側から言いますと、これは決して西田審議官がいま言われたような、必ずしもりっぱなことには下には言っていない、こういう問題がありますから、これらの問題をあわせて、いまの能研のあり方については、入学試験の問題ともからめて再検討をする用意が文部省にはないかということを私は伺っている。政務次官、私の申し上げたことなんですけれども、どういうふうにお聞きになられたのか、ひとつお伺いしたい。
  37. 谷川和穗

    政府委員(谷川和穂君) 高等教育に人口が殺倒していくというのは、近代化された諸国の特異な現象だと私は思っております。日本もそのとおりで、しかも、それが先ほどから御指摘もございましたけれども、一つの悪い弊害を呼んでおる。すなわち戦後の日本の教育の一つのひずみと申しますか、入学試験というものを頂点にしたテスト偏重にあらわれてきた教育のひずみと申しますか、そういう意味でこれは社会問題であって、何とかしてこの入試の問題をもっと合理的に解決できる方法はないだろうかということで、非常に現在問題にされるところと思います。能研テストがそういった模索の中の一つの試案であるということは言えるんじゃないかというふうに考えております。ただ、御指摘のございました、その能研テスト、つまり能力開発研究所と、それからそれを使う団体、しかも非常に大きな団体である。入学試験とまた違った、育英会という団体の長がたまたま同じ方であったということについて、一般の方々から、もしいま御指摘のような御懸念があるとすれば、私はその点についてはひとつ内部で一ぺんゆっくり検討させていただきたい、かように考えている次第でございます。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 いまの次官のお答えで、能研それ自体も模索の中の試案である、こういうお考え方に立って私はやはりこの能検というのを見てもらう。いまの次官のおっしゃった、こういうお考え方については、私も賛成なんです。つまり、入学試験なら入学試験というのをどうやっていこうとするのか、そういう形の中に、能研というのも生まれて、四年か五年ですから、これに、ひとつの一助としての模索の中の試案である、そういう段階でいまこの能研というのを見てもらいたいわけです。ところが、一方は、さっきからいろいろ議論をしてもなかなかこれはお互いにらちがあかないと思いますけれども、そういう評案であるということが、たとえばこの通達の中に、資料の調査書として出すのだというランクが出てきます。と、それは説明は、試案であるという説明はするかもしれませんが、受けるほうはそうは受けないというのですね。だから、入学試験という問題は、これは高校、後期中等教育全体ともかかわる問題ですから、こういう問題とあわせてやる場合には、よほど慎重にこういう問題は扱ってもらわないと、これはまた混乱をさせると思います。そういう意味合いで、これは大学側ともなお話し合いをしてもらいたいと思いますし、そういう点からの検討をぜひ私はお願いしたいと思います。文部省という役所が一たん承認を与えて、これは通知として出したのですから正しいのでございますと、その論法の御説明をいただくつもりで私は申し上げておるのじゃありません。御理解いただきたいと思います。  これで私のほうは終わります。
  39. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記とめて。  〔速記中止〕
  40. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記起こして。  他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会      —————・—————