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1967-06-02 第55回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井 志郎君     理 事                 高橋  衛君                 渡辺 勘吉君                 田代富士男君     委 員                 岡本  悟君                 岸田 幸雄君                 任田 新治君                 山本  杉君                 木村美智男君                 田中寿美子君                 藤原 道子君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        食糧庁長官    大口 駿一君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        公正取引委員会        取引部長     柿沼幸一郎君        公正取引委員会        審査部長     曾我 正雄君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  恩田  博君        自治省財政局公        営企業第一課長  近藤 隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件)     —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価対策基本方針に関する件を議題といたし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。山本君。
  3. 山本杉

    山本杉君 経企長官お尋ねをいたしたいと思います。  今度のケネディラウンド大臣がお出かけになって、たいへん御活躍くださったということ、まことに私ども感謝にたえない次第でございます。大臣は、けがまでされて、どうもありがとうございました。  私ども日常生活にもずいぶん影響があることだと思います。それに、貿易市場の最大のスケールのものであったということで、実はひやひやもいたしておったようなわけでございますが、これについて、少しお尋ねをしたいのでございますけれども、今後の関税政策というものと物価との基本的な考え方大臣はどういうふうにお考えでございますか。ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは非常にやはりむずかしい問題だと思いますが、多角的な関税一括引き下げ交渉が妥結いたしましたので、今後これは世界貿易の伸びに対して、かなりの貢献をするであろうというふうに考えておるわけであります。今回のケネディラウンドをもって、ほぼ世界各国関税障壁というものは、貿易の障害としては、まずこの五年たちまして一括引き下げが終わりますと、まずまず、ほぼなくなる程度引き下げられる、こう考えてよろしいのではないかと思います。もちろん御承知のとおり、関税以外のいろいろの障壁がなお多少残っておりますので、その点は今後の問題として解決しなければならないと思いますが、ほぼ関税というものは、物資の自由な国際間の交流の障壁たるの機能をほとんど失うことになるのではないかと考えます。  そこで、申し上げるまでもなく、自由な物の流通があるということは、物価への要因としては、物価引き下げ要因になって働くということは当然のことでございますので、基本的には、やはりその点に一番大きな物価引き下げについての要因を認めることができると考えるわけでございます。それから個々の物につきましては、まだ全面的に各国間の詰めが終わっているわけではございませんけれども、たとえば大豆でありますとか、あるいは自動車でありますとか、あるいは若干の身の回り品でありますとか、比較的日常生活関係の多いものの関税引き下げが行なわれることになっておりますので、この点も幾らか物価引き下げ要因に働くであろう。けれども、御承知のように、五年間でぜいぜい平均して三〇%程度引き下げでございますから、それが現実に具体的な物の販売価格引き下げになって顕著にあらわれるといった程度のものとは申しがたいのではないか。こう思うわけでございます。  他方で、このたびの交渉を通じて幾らか物価引き上げ要因になるのではないかと考えられるものについては、たとえば小麦価格でございます。これは私自身は、すぐに、小麦最低価格がきまったからといって、小麦価格引き上げるような動きにはならない、また、長期的に考えましても、おそらくこれによって増産が行なわれますので、だから、小麦価格が長期的にも上がるとは必ずしも考えなくてよろしい、こう思いますが、しかし、協定上の最低価格実勢価格を勘案しながら上へ上げていったということは、やはりどちらかといえば、それは引き下げ要因ではなくて、逆なほうに考えるべきものであろう、現実にすぐにそうなるとは思いませんけれども、長期的には、どちらかといえば、やはりそういう方向のものであろう、と思います。  それからもう一つ、今回の会議を通じて、これは一九六四年ごろからの動きでありますけれども、いわゆる低開発国が、一時産品価格について、先進国はもう少し安定した高い価格で買ってくれということをずっと言い続けておるわけでございまして、この主張というものは、やはり何かの形で少しずつ実現していくであろうと考えられますので、この点も、どちらかといえば、逆にやや引き上げ要因になる、こう考えるべきかと思います。  しかし、いずれにしても、引き上げ要因については、いま二つのことを申し上げましたが、これはたいへんに長期で見て、しかも、やや抽象的に考えました場合の引き上げ要因という意味で申し上げておるわけでありますから、概して言えば、工業製品を中心にした関税一括引き下げというのは物価にはいい影響を与えるものであろう、こう考えておるわけでございます。
  5. 山本杉

    山本杉君 ただいまのお話で、大体の将来の見通し、見当がつくのでございますけれども、いまの引き上げ要因の中で、麦が増産されるであろうということをおっしゃったんですが、必ず増産されるものでございましょうか。何か、日本の気候や土地柄小麦などの生産には合わないんだということで、このごろはほとんど裏作もなくなっているというようなことを聞くのでございますけれども……。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の申し上げ方が不注意であったと思います。わが国のことを頭に置いて申したわけではございませんでしたので、このたびの交渉に参加しておりますところの主要小麦供給国、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア等々について、あるいはEECについてもさようかと思いますが、おそらく、今度低開発国への小麦による援助協定を結んだ関係もございまして、これらの各国は相当の増産に入るであろう。——わが国のことを実は頭に置いて申したのではございませんでした。したがって、国際的には、小麦増産が行なわれるでございましょうから、このたび最低価格を少し引き上げたからといって、小麦実勢価格がそのゆえに長期的に上がると必ずしも考え理由はない、こう申し上げたわけでございます。
  7. 山本杉

    山本杉君 品物の大体は日常生活関係のあるものだとおっしゃったのでございますが、さっきのお答えの中で、最後に、工業品は下がるだろう、そういうふうにおっしゃいました。それで、何だか今度のケネディラウンドの結果についての一般の評判を聞いておりますと、どうやら外国向けの見せかけみたいな、ことばが悪うございますけれども、そういうふうなきらいが大きくて、それは国内の大きな産業から圧力がかかっていたのじゃないかというようなことを言う人もあるんですが、そういうことはございませんでしょうか。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘の意味は、わが国国内産業外国競争関係にある産業が、外国との対抗あるいは競争上、わが国関税引き下げをしてもらっては困る、こういう意味お尋ねで……。
  9. 山本杉

    山本杉君 工業産品関税引き下げに大きく出てきたといっても、これは国内的にはあまり関係はないんじゃないか、外国向けで。そういう点から、国内の大きな産業圧力というようなものがあったんじゃないかというふうなことを言っている人があるのでございますが、そういうことは全然ございませんでしょうか。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いかなる意味お尋ねであれ、国内産業からそのような圧力というようなものはなかったように思います。もちろん、競争的な立場で申しますと、関税障壁を置いておいてもらったほうがいいと考えるのは、これは企業としては当然でございますけれども、私どもといたしましては、なおもう少し国内育成を要すると考えられる産業電子計算機でありますとか、あるいは非常に大型の重電機でありますとか、そういった特定のものについては、なお保護的な意味関税引き下げの対象としなかったという例は幾らもございますけれども、これはなおしばらく国内育成を要すると考えたものについていたしたわけでございまして、ある程度競争力があると考えましたものにつきましては、たとえば自動車などはそういうふうに判断しているわけでございますが、関税引き下げ交渉に出したわけでございます。
  11. 山本杉

    山本杉君 じゃ重ねて伺いたいのでございますが、中小企業、こういう中小企業近代化と申しましょうか、そういうふうな面についてはどうでございましょうか。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、やはり中小企業製品には、概して、いわば競争力の強くないものが多いわけでございますので、これについては、あるものについては完全留保をいたしましたし、あるものについては、五〇%引き下げでなく、引き下げ率を緩和したというようなことをいたしております。概して、国内中小企業の声は、私ども交渉でよく反映をしたつもりでございます。
  13. 山本杉

    山本杉君 どうもありがとうございました。  それでは農林省に伺いたいと思いますが、いま宮澤長官の御説明によりますと、小麦が幾らか将来物価引き上げ要因になりはしないかとおっしゃったのでございますが、小麦買い入れ価格、それが幾らか上がるであろうということは、だれしも考えるところでございますけれども、これが国内売り渡し価格というものをどの程度引き上げることになるのでございましょうか。それをひとつ伺いたいと思います。
  14. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 世界的な小麦全体の実勢価格が、今回の価格帯引き上げに伴って、生産が刺激されるというようなことがもしあるとすれば、世界全体の小麦実勢価格が、長期的に見れば、将来若干それは下がるという要因になるわけでございますけれども、しかし、最近の世界小麦実勢価格の足取りを見てみますと、共産圏、たとえばソ連、中共が世界市場に大量に買いに出るか、あるいは買いに出ないかということによって、最近数年間の小麦価格が一番大きく左右されておる現状でございます。しかし、後進国その他での需要増大等考えあわせますと、小麦のみならず食料品食糧全体として、この地球上における需給関係は、従来の慢性的な過剰状態がやや解消していくという傾向にあることは、一般論として言えると思います。  それから、現在食糧庁外国小麦一括管理をいたしておりまするその関係を通じて、今後の見通しということでお尋ねになったわけでございまするが、今回のケネディラウンド穀物協定できめられました価格帯は、いわゆる最低価格並びに最高価格、その幅が一ブッシェル当たり四〇セントという幅になっておりまするが、それが、従来の国際小麦協定においてきめられておりました価格帯より若干実勢を反映する意味引き上げられたということでございまするが、日常の実取引価格というものは、この新たにきめられました価格帯の中で変動いたしておるわけでございまするので、今回の締結になりまする穀物協定が実際に効力を発生をいたしましても、食糧庁外国から買っておりまする小麦買い付け価格そのものが直ちに上がるということは無関係——無関係ということばは若干適当でないかもしれませんが、直ちに上がることはないわけでございます。したがいまして、今回の穀物協定価格帯引き上げ政府小麦買い入れ価格引き上げとなってあらわれる、その結果、政府小麦売り渡し価格にも若干の手直しを必要とするというふうな事態を直ちに招くとは、私どもは当面考えておらないわけでございます。
  15. 山本杉

    山本杉君 まあ、日本はこの麦の消費量の七〇%を輸入にまたなければならない国だということでございますし、それから国際食糧不足というものがやはりじりじりと迫ってきておるということを聞くんですけれども、そういう事情の中で、いま、実勢価格には影響はない、したがって、これは食管の財政を脅かすようなことはないであろう、というふうにお答えになったと受け取ったんですが、さしあたって私たちの心配いたしますのは、うどんとかパンとか、そういうものに影響があるかないかということなんですが、それはどうなんでしょう。
  16. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) ただいまお答えをいたしましたように、政府小麦——つまりまだ粉になっておらないいわゆる原麦というものの売り渡し価格を、直ちに今回の穀物協定のために全体の水準として引き上げなければならない事態が起きるとは思っておりません。思っておりませんので、その小麦原料としてつくられまする小麦粉、またさらに小麦粉主原料としてつくられまする第二次加工品の値が、原料小麦値上げに伴って連鎖的に値上げになるということは、私ども当面の問題としては考えておらないわけでございます。  それからもう一つは、ここでちょっとお断わりを申し上げておきたいことは、小麦粉価格というのは、政府が売り渡しまする原料小麦価格が非常に大きな要因となって上がったり下がったりという傾向があることは認めざるを得ないと思いますけれども、やはり企業近代化合理化等によって、加工賃、コスト、その他の合理化をはかっていくことによって、その関係を直接的なものでないということにすることはできるわけでございまするし、さらにまた、第二次製品でありまするパンうどんというようなものは、小麦粉主原料であることは申すまでもないわけでありまするが、このパンとかうどん価格というものは、原料価格によって影響される面のほかに、この製品需給関係でありまするとか、いろいろな条件によって価格が左右される関係になっておることは申し上げるまでもないことかとも思いまするけれども、そういう条件も働く可能性のあるものでありまするので、原料小麦価格引き上げがかりにありましたといたしましても、パンうどん価格が、それによって直ちにその分だけ引き上げなければならぬ、引き上がるはずであるという関係にはなっておらないのでございますが、いま申しましたように、原料小麦価格政府が直ちに引き上げなけりゃならぬ事態がすぐ起こるというふうに私ども考えておりませんので、したがって、最終末端製品も、原料の面で、もしそういう価格影響があるという事態はすぐ起こらないというふうに私どもは理解をいたしております。そういうふうな点で御了承をいただきたいと思います。
  17. 山本杉

    山本杉君 中西局長が見えておりますので、ちょっと伺いたいと思います。  春闘の問題なんですけれども春闘でもっていろいろ物価が上がらないかという問題です。まあ、ベースアップが今度はたいへん幅が大きいのですけれども、そうすると、企画庁も労働省も、聞いてみると上がらないと言われるのです。もう、さしあたって今度は米価問題が出てまいりますし、交通問題の面にも出てくるだろうと思うのですけれども、この物価政策といいますか、所得政策といいますか、そういう面から、どういうふうにこれを見ていらっしゃいますでしょうか。その物価の上がり方を……。
  18. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 非常にむずかしい、根本的な問題に触れるお尋ねだと思います。で、まあ春闘一般というふうに考えますと、お米の値段のお話も出ましたが、米の生産費の中で労賃部分が六五%ぐらいございますから、それを他産業のほうの労賃で評価するという関係がありますので、他産業のほうの賃金が上がるというのが米価を上げる要素になるという点はそのとおりだと思います。なお、春闘一般賃金一般ということでなしに、日本経済を動かしておる全体の中で、そのほかの産業賃金をリードするような、そういう産業グループがあるかないかということが一つの大きな問題である。これは十分詰めてみませんと何とも言いかねますけれども、われわれの作業の一つの眼目にはなっております。  それから、所得政策というお話でございましたが、日本の場合には、そう簡単には導入できないというふうに学者さん方も大体おっしゃっておりますが、まあ大きな理由としては、賃金格差があって、それが平準化の過程にある、したがって、イギリスのように賃金ストップをしますと賃金格差が固定してしまう。そういうことは言うべくして行なわれがたいのではないかというような見解もありますし、まあ、イギリス労働組合あり方日本労働組合あり方も違いますし、そのほか、経済社会情勢の差がありますので、外国でやっておるからすぐ日本でできるとは考えにくい。しかし、まあいろいろ問題がこれからも起こってくるのではないかというような観点で、賃金物価生産性関係をそれぞれ統計調査を強化しまして資料を整備していくということは、これはどうしても必要なことであるというようなことで、事務的にはそういう態勢で進めたいということでございます。
  19. 山本杉

    山本杉君 もう一つ伺いたいことがあるのです。が、それは、きのうの新聞に、牛乳問題で、物価安定推進会議第一部会でございますか、そこでたいへんまた、政府の態度がなまぬるいとか無責任だというような建議書が出たと出ていたのですが、この牛乳小売り業者とかあるいは牛乳メーカーなどに対して、独禁法違反的なことがあるとしたら、そういうものに対して結論をお出しになるつもりがあるのかないのか、伺いたいのでございます。
  20. 曾我正雄

    説明員曾我正雄君) ただいまの件につきましては、目下審査中ということでございますが、ただいまおっしゃいましたように、乳業メーカー間の協定あるいは小売り業者の団体の内部における協定というような問題がはっきりいたしますれば、当然公取といたしましては勧告なりあるいは審判開始ということは考えております。
  21. 山本杉

    山本杉君 いま公正取引委員会がお立ちになりましたので、続いて伺いたいと思いますが、この再販問題なんですが、公正取引委員会再販規制というものを強化する法律を準備中であると伺いました。それに関連し伺いたいと思います。
  22. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) お答えいたします。  昨年六月に、物価問題懇談会におきまして、再販売価格維持行為についての規制を強化するようにという勧告を受けたわけでございます。公正取引委員会といたしましては、その勧告を受けまして、これを、現在独占禁止法の中に一条適用除外法律があるわけでございますけれども単独法といたしまして各種の規制強化の条文を整備いたしたいということで、目下鋭意検討中でございます。
  23. 山本杉

    山本杉君 その内容に触れるかどうかわからないのですけれども、いま再販適用除外要件というものは現在よりももっと強めるつもりでいらっしゃるかどうか。それからその再販を認めるための積極的な要件というものはどういうものでしょうか。
  24. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) お答えいたします。  新しい法律がねらいといたしております点は、大きく申しまして二点ございまして、一つは、再販売価格維持行為というものは、独占禁止法立場から申しましても、消費者物価値上がり抑制という立場から申しましても、一般消費者立場から申しますと好ましくない面を持っておる制度でございます。第一点といたしまして、この禁止についてできるだけ明確な規定を設けていきたいという点が一点でございます。それから、ただ、そういたしました場合におきましても、再販売価格維持行為の中でどうしても必要だというような面も一部あることは認められますが、これが現在の適用除外規定になっておるわけでございますけれども適用除外されるものにつきましては、現在以上にその規制を強化していこうという考え方でございます。適用除外要件といたしましては、現在の法律に、一般に自由な競争が行なわれている商品であること、あるいは一般消費者によって日常使用される商品であること、というような要件が設けられておるわけでございます。そうした要件を、公正取引委員会の従来の運用におきまして、必ずしも十分厳格にいたしておりませんので、その運用を強化するという問題があるわけでございますけれども、新しい法律といたしましては、その面よりもむしろ、適用除外されておりますものにつきましては、これに登録制度をとりまして一般の閲覧に供するというような制度を導入いたす等によって規制を強化したいというふうに考えております。
  25. 山本杉

    山本杉君 再販ないし拘束的な小売り価格影響下にある小売り商品というものは、私ども聞くところによりますと、二兆円以上だということをいわれているのですけれども、現在公取再販として認めているものは五千五百億円に該当する商品にすぎないということですが、今度できます法律案では、二兆円のものの規制をどういうふうになさるか、そのお考えを聞きたいと思います。そして、もしそれを規制なさらないなら、再販類似行為というものをどういうふうに規制していくかということを伺いたいと思います。
  26. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) 昨年、物価問題懇談会で議論がされておりましたときに、再販売価格維持行為が行なわれやすいような商品が、小売り価格で申しまして二兆円ぐらいあるんじゃないかという推計が出ておったわけでございます。私どもも、あまり的確な推計は、これ、なかなかむずかしいのでございますけれども、やはりそういった数字商品が再販売価格維持行為を行なおうとすれば行ない得る状態にあるというふうに承知しておるわけでございます。最近のように、ある面では物資が豊富になってまいりますと、メーカーなり販売店なりの立場といたしまして、そういった再販売価格維持行為が行ない得る商品についてはこういった再販売価格維持契約というものを結んでいき、それを強化していこうという動きが相当強くなってきておるように見受けられますので、私どもといたしましても、そういった商品全般につきまして、何が独禁法上いけない再販売価格維持行為なのかという点を一そう明確化しようということが今度の法律のねらいでございます。  それから、そのうちで公正取引委員会としてはやむを得ないと認められるような商品適用除外いたしておるわけでございますけれども、その金額が昨年の数字で大体五千五百億円ぐらいあるんじゃないか。現在では六千億をこえているくらいの数字になっておると思います。これは生産の増加やなにかの関係でございます。こういった商品につきましては、やはりある程度販売価格維持行為を認める必要があるんじゃないかという主張にももっともな点があるわけでございまして、先ほど申しましたように、登録制度をとって監視を強化していきたいというふうに考えております。
  27. 山本杉

    山本杉君 医薬品や化粧品などは現在認められている再販品ですけれども、これについて新しい法案ではどういうふうに規制を強化していかれるつもりであるか。それからまた、資本の自由化というものが行なわれるようになりますと、化粧品など、石けんなどもそうですけれども、最も影響を受けるものだろうと思うのです。外国資本による化粧品などは、いま国産のそういうものに対して規制をしていらっしゃるが、どういうふうになさるおつもりでしょうか。
  28. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) 現在指定されております商品の主要なものが、ただいま先生おっしゃいましたような医薬品、化粧品といったものでございます。この指定は、現在の独占禁止法適用除外規定ができました十年以上前に指定の品目が定められておりまして、現状から申しますと、やはり再検討を必要とする段階に来ていると思います。新しい法案が施行されますまでに、公正取引委員会といたしましては、この指定品目については全面的に再検討を加えたいというふうに考えております。  それから、こういった商品について外国商品も相当入ってまいっております。その場合に、わが国よりももう少し厳格な考えで再販売価格維持行為を行なおうというような行為も見られるわけでございます。私どもといたしましても、再販売価格維持行為についての規制を強化するというたてまえから、そういったものの審査を十分行ない得る態勢をとっていきたいというふうに考えております。
  29. 山本杉

    山本杉君 それでは、今度は大都市の交通料金について伺いたいと思います。  自治省の方に伺いたいのですが、自治省では最近、財政局長が、値上げ問題を織り込んだ再建計画というものを自治省に向かって提出するように申し入れされたということが新聞に出ておるのです。これは、四十一年度を初年度にして、そして具体的な措置をしていこうという、そういったものとどういうふうな関連があるのか、それについて伺いたいと思います。
  30. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) ただいま御質問の件につきましては、実は昨年の第五十一国会におきまして公営企業法の一部改正が行なわれました。そこで、過去の多額の赤字を擁する企業は、申し出によりまして再建計画をつくる、そしてそれを自治大臣が承認いたしますと、過去の赤字に対しまして起債を認める。起債の償還というものを通じまして赤字を消していく、そしてまた、その起債には利子補給等の国の恩典、財政措置をつけるというような構成になっております。そうして、百六十三の企業が昨年の暮れまでに再建の申し出をしたわけでございます。そのうち、現在までに百三十三の企業につきましては再建計画の承認をいたしました。ただ、三十企業がまだ再建計画をつくっておりません。その中に、大都市の交通事業、東京、大阪、京都、神戸、こういったところが含まれておるわけでございます。それで、通常の場合でございますと、赤字が多くて自力再建できないということで再建の申し出をしたわけでございますから、直ちに次の議会で再建計画を策定するという運びになるわけでございますが、ことしの地方選挙との関係もございまして、これらの三十団体はいまだ再建計画をつくっておりません。そうして、一日一日赤字がふえていくような状況でございますので、こういった公営企業の場合、赤字がどんどんふえてまいりますと、ますます再建が苦しくなるという面がございますので、次期定例議会というものを目途といたしまして再建計画をつくるよう所要の措置を講ぜられたいという通牒を、五月一日付をもちまして財政局長名で、これらまだ再建計画をつくっておらない団体に通知いたしたわけでございます。そうして、その再建計画の内容はいろいろあろうかと思いますが、いま御指摘の大都市の場合、特に東京都の場合には料金改定が若干おくれておりますが、もちろん経営の合理化措置というものも十分織り込まなければならないのでございますが、それとあわせまして、料金改定というものが当然再建計画策定の上に必要になってくるであろうと思っております。ただ、どういう方向におきまして再建するかということは、それぞれの地方団体の考え方によるところでございます。
  31. 山本杉

    山本杉君 自治省が考えていらっしゃる公営交通企業の再建計画というものの基本的な考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  32. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 公営企業でございますので、特定の理屈の立つものにつきまして、一般会計、つまり市民の税金を入れるということが考えられるわけでございますが、まあ交通企業と申しますと、大体民営企業と競合いたしております。たとえば、東京都の場合で申しますと、公営の占めるウェートというものは、東京都で、輸送力にいたしまして大体二割程度のものでございます。したがいまして、民営と同じような体質改善——現在、公営企業は非常に親方日の丸的な経営であって、どうも非能率だといわれております。確かにそういった面がないわけではございません。この際、体質改善という意味で徹底的な経営の合理化を行ない、料金も適正なコストを償うに足るだけの料金改定というものが必要であろう、このように考えております。
  33. 山本杉

    山本杉君 いままで自治省に提出された再建計画の事例というものは、それは東京都にもございますか。それからそのほかにありましたらひとつ……。
  34. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 大都市では、名古屋市、横浜市といったところは再建計画をすでに提出いたしまして、自治大臣の承認を受けております。東京都は、現在まだその再建計画そのものができておりませんので、提出がございません。したがって、自治大臣が承認いたしておりません。
  35. 山本杉

    山本杉君 その赤字の問題ですけれども、東京都は、今度美濃部さんが都知事におなりになったので、料金の値上げはしないような公約をしてらっしゃるのですが、それに対して、どういうふうになさるおつもりでしょうか。
  36. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 新知事が料金値上げをしないというふうに公約されておるのか——私は新聞紙上等で読みますと、適正な料金というものはやむを得ないと、つまり公営企業交通事業だからといって、料金を押えることはできないというようなニュアンスのこともいろいろ発言されているように聞いておりますが、いずれにいたしましても、東京都の赤字と申しますのは、この四十一年度末、この三月末で二百七十億の不良債務をかかえております。この二百七十億と申しますと、年間の東京都の料金収入と申しますのが百三十七億でございますので、年間の料金収入の約倍というものを赤字でかかえておるというような形になっておりますので、昨年以来、ある程度の料金改定もやむを得ないということで、執行部の側から三回にわたって議会へ料金改定案を出しておりますが、いずれもいろいろな事情で実現を見ておりません。今後どういう形で再建計画をつくっていくか、現在東京都交通局においていろいろ作業を進めておると聞いております。
  37. 山本杉

    山本杉君 じゃ、最後にひとつ運輸省に伺いたいと思いますけれども、大都市の交通料金というものはどこでも問題になっているんですけれども、これはどういうふうなかっこうで安定させていこうとしてらっしゃるのか、その方策を伺いたいのです。これは運輸省などでもそうだろうと思いますが、バス会社なんかが、料金を上げなけりゃやっていかれないからといって、そういう陳情といいましょうか、請願、そういう会社としてのあれのお願いをするわけですけれども、そういうときに、だんだんに一つ一つ上げていったら、しまいにみんな上がってしまう、だんだん上がるということになるんですが、どういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  38. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 大都市の交通につきましては、国鉄もこれを担当しております。また、民営の鉄道あるいはバス、それから公営、三種類のものがそれぞれ担当いたしておりますが、それぞれにつきまして、運賃の料金のたて方、あるいは賃率というものには多少の開きがございますけれども、これらにつきましては、それぞれ、われわれのほうにおきまして調整をとった体系にいたしておる次第でございますが、最近の大都市の交通につきましての問題は、人口の大都市集中とか、通勤通学輸送というものの急増に対処しまして、それに見合います線路容量の増大、車両の増加、諸施設の拡充等、大幅な輸送力増強施策というものの実施に迫られておるわけでございます。これに非常に巨大な設備投資というものが必要になってまいります。投資の急増によりまして、今後とも収支の悪化というものが非常に心配されておるわけでございます。こういった事態を回避いたしまして、円滑な輸送力の増強施策というものを可能にいたしますために、昨年の十月に都市交通審議会から、各種の国の助成措置の強化等につきまして、都市交通緊急整備対策に関する提議というものがなされたのでございまして、これは、昨年の十一月に、交通関係閣僚協議会の了解事項ともされておるわけでございますが、この答申に基づきまして、本年度もそれぞれ所要の施策がとられたわけでございます。われわれといたしましては、各交通企業に対しまして、経営の近代化、効率化というものを強力に指導いたしますとともに、資本費、人件費等の諸経費の値上がりというものが輸送コストの上昇に結びついて、その結果、運賃料金にはね返るというようなことがないようにできるだけの努力をしておるのでございますが、何ぶんにも非常に投下資本の必要な危機に直面しておりまして、将来におけるある程度の運賃の値上がり等も考慮を払わなければならないかと存じておりますけれども、現在におきます普通運賃の賃率につきましては、大体、現在以上に上げるわけにはいかないようにわれわれ見ておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、対象が非常に経費のかかる大都市における通勤通学というものでございますので、こういった割引率の非常に高いものにつきまして、適正妥当な賃率への改定ということも、われわれといたしましては、検討しなきゃならない問題だと考えておるわけでございまして、特に公営企業につきましては、先ほど自治省のほうから御説明ございましたように、公営交通事業の再建計画というものの確立がなされなければならないのでございまして、その計画の中に運賃料金の改定ということも含まれるものと承知いたしております。これにつきましては、自治省の御説明にありましたように、目下、東京都におきましても再検討をされておるやに承っておりますので、この公営につきましては、再建計画が樹立せられまして、その中でどういうふうに運賃改定案というものが立てられておるか、これを事前にでもわれわれはお聞きいたしました上で、われわれの態度を定めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  39. 山本杉

    山本杉君 いまのお答えの中で、経営などの近代化をはかるということを主体にして、そして、運賃にはね返りなどのないようにしたいとおっしゃったんですが、そのあとで、通勤通学の定期のような割引率の高いものは考えなければならぬとおっしゃったんです。最近、通勤定期を上げるというような話が出ておりますけれども、そういうふうに考えていらっしゃるのですか。もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
  40. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 極力、諸経費の値上がりというものが輸送コストの上昇に結びつかないように努力をいたしたいと考えておりますけれども、鉄道におきましては、輸送力増強という最大の使命を遂行いたしますためには、相当の措置を必要といたしますので、この点につきましては、都民、市民の方々にも十分御理解を願った上で、特にこれらの経費が通勤通学輸送のために措置されるものでございますので、こういった面につきましては、都民、市民の御理解の上に立ちまして割引率の引き下げというようなことも考えざるを得ないかと、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  41. 山本杉

    山本杉君 ちょっと物価からははずれて恐縮でございますけれども、最近の交通事情は日々悪くなるばかりなんですが、これに対してどういうふうな解決策を考えていらっしゃるものか。ちょっとついでにお漏らしいただきたいと思います。
  42. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 先ほど若干御説明申し上げましたが、大都市交通につきましては、最近の大都市の人口の増加傾向、その姿がドーナツ化という形をいたしておりまして、それだけ郊外から都心への通勤あるいは通学というものが、きわめて顕著に伸びておるわけでございます。これに対応いたします輸送力の増強策というものがなかなか追いつかない状況でございます。これに対しましては、都市に対する総合政策というものを打ち立てて、それに基づいて都市集中の傾向を緩和していただくということが裏に行なわれなければならないと思いますけれども、なお、そういった策が講ぜられましても、今後もある程度の都市集中というものは避けられないものと考えておりますので、その部分部分につきましては、やはり国鉄、公営、あるいは民営の各輸送機関の輸送力増強ということは避けがたいものと考えております。したがいまして、今日におきます都市交通の抜本的な対策といたしましては、地下鉄の増強、さらに、これとつながります郊外私鉄の輸送力の増強、また、私鉄から地下鉄による都心への乗り入れ、こういったものが必要でございます。また、交通の事故とも関連がございますけれども、高架化あるいは複々線化というような特殊な工事も行なわなければならないわけでございます。これに相当の金がかかりまして、現在のような資金事情ではなかなか容易に行なえない。したがいまして、われわれ当局といたしましては、公営及び営団の地下鉄に対しましては、昨年よりも相当大幅な補助金を交付いたすことになりまして、私鉄に対しましても特別償却等の措置を講じ、あるいは金利の引き下げということも措置をしていただいたのでございまして、これによりまして、現在二七〇%から二八〇%くらいの混雑度でございまして、これを、今後の五ヵ年計画が完了した暁には、線区によりましては異なりますけれども、混雑度を二〇〇%ないし二四〇%程度まで引き下げることができるのじゃないかというふうに期待いたしております。
  43. 高橋衛

    ○高橋衛君 運輸省の方に、関連して一つだけお聞きしたいと思います。  先般、国鉄の総裁が、いずれは通勤通学の割引率の削減と申しますか、縮小と申しますか、ということをせざるを得ないだろうという御答弁をたさったようでございます。それに関連して新聞紙上に出たところを散見しますると、大都市の通勤について公共負担になる金額が、国鉄について三百数十億円——具体的な数字は、いまここに持っておりません。それから、通学についても三百数十億円、双方あわせて七百億円余りの公共負担があるということが出ておりました。それで、ただいまの御説明によると、現在の混雑が二百七、八〇%、それを今度近代化計画を繰り上げて五ヵ年間にさらに充実することによって、二〇〇ないし二四〇%程度まで緩和いたしたい、こういうお話でございます。それで、私のお尋ねいたしたい点は、一体その新聞に出ておる数字がオフィシャルのものかどうか、その辺は存じませんが、一体どの程度公共負担として見るべき金額があるかという点、それでその根拠として、一体どの程度まで緩和された状態、つまり込み方が二〇〇%を基礎にしてペイするのにはどの程度の割引率の引き下げをしなければならないというふうに考え、そしてその計算を出しておられるか、ひとつその根拠を御説明願いたいのであります。言いかえれば、現在の込み率を一〇〇%にするなんていうことは、これはもともと国鉄ではお考えにはなっておるまいと思います。また、五ヵ年計画をやったところで、それが不可能であるということは初めから認めておられるところと思います。したがって、一〇〇%を基準にして七百億円を国鉄が企業の負担において負担をしておるという考え方は、これは成り立たないと思うのでありますが、その辺、どの程度の込み方まではやむを得ない、その込み方にして企業として国鉄がペイするためにはどの程度割引率を引き下げなければならないか、その金額が幾らになるのか。新聞にはああいうふうな数字が、具体的な三百何十何億円という数字が出ておりましたが、おそらく架空に出るはずはないと思うのでありますが、その数字の根拠をお示し願いたい。  それからもう一つは、諸外国でもそういうふうな割引の制度を持っていると思うのでありますが、日本の場合非常に極端に割引率が大きい。したがって都会生活者のみが企業の負担においてそういうふうな保護を受けておるというふうに説明をされておるのでありますが、諸外国との比較の関係においてどうなっておるか、この点の事実だけをひとつ御説明願いたいと思います。
  44. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 国鉄の通勤通学につきましては、先般の新聞にも出ましたようなことで大体妥当な報道がなされておると考えます。すなわち通勤通学につきましては、法定割引としまして、一ヵ月もの、三ヵ月ものが五割、六ヵ月ものが六割というふうに定められておりますが、実際にはこれ以上になっておりまして、通勤定期が最高七割六分、通学定期が最高九割一分七厘という高率に及んでいるわけでございます。これによる法定割引率以上の割引額というものが、昭和四十年度で見まして、通勤関係が三百九十六億円、通学関係が二百三十九億円、合計六百三十五億円と、こういう負担になっておるのでございまして、こういったことが国鉄の通勤通学輸送の増強のための投資力を減殺しておるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。国鉄といたしましては、第三次長期計画を立てまして今年度がその第三年度に当たるわけでございますが、この中で大都市交通関係の輸送力増強施策を遂行しようとしておるわけでございますが、ちょうどただいまあげました六百三十五億、この程度がそのまま増収ということになりますれば、国鉄といたしましては、計画どおり、あるいはそれ以上に輸送力増強作業が進むものと考えるわけでございますが、しかし、国鉄運賃料金というものは、各線区ごとに、あるいは地域ごとにきめられておるものではございませんで、地方のいなかの線区も全部含めまして総体的にきめられておるものでございますので、単に国鉄の収入減というもの、あるいは赤字というものを大都市交通の運賃料金というもののみにかぶせるわけにもまいりません。したがいまして、全般的な視野に立ちまして運賃料金というものの改定を将来とも考えていかなければならないと存じますが、特に大都市交通につきましては混雑がはなはだしい。これを第三次長期計画の終わります昭和四十六年度末におきまして二〇〇%ないし二四〇%というものに混雑度を押えるというためには、相当のやはり大きな投資が必要でございますので、これを幾らかでも埋め合わせたい。自力でこれを調達できれば幸いであるという見地から、国鉄側におきましても先般のような御発言があったと考えておるわけでございまして、ただこれが、いつ具体的にそういったことをやるかということにつきましては、われわれといたしましては、まだ作業を始めておるわけではございませんし、なお、今年度の予算編成にあたりまして、運輸大臣と大蔵大臣との間で、四十三年度の予算編成までには国鉄の財政全般につきまして抜本的な施策を検討する、こういうお約束をいただいておりますので、それに基づきまして、現在せっかくわれわれ事務当局相互間におきまして作業を進めておるわけでございまして、その中で、やはり公共負担の是正というものも一つの大きな要素として考えているわけでございます。四十三年度予算編成までのわれわれにできます努力にお待ちいただきたいと考えるわけでございます。
  45. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は後段のことを聞いておるんじゃないので、前段のことを端的に御説明願いたいと思っておるんですが、それは、さっきお尋ねしましたように、割引を全然しなかったらそれだけ増収になるという計算が六百何十億なのであるか、それとも、ああいう通勤通学というものはちょっと手数も省略されたりするので、企業としても多少の割引をするのは当然であろうかと思うのでありますが、それを普通の程度に割引し、またあれだけ今後充実しても二〇〇ないし二四〇%で、サービスが普通の状態よりも悪いことはきまっている。そういう状態のもとにおいて、なおかつそれだけ料金をとらなければペイしないというのであるか、その辺のことを端的に事実だけを、御意見はよろしゅうございますから、事実だけをお示し願いたいと思います。
  46. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 先ほど数字を申し上げましたように法定割引率以上の割引額でございます。それが先ほど申し上げました通勤三百九十六億、通学二百三十九億でございます。合わせて六百三十五億でございます。これを法定割引まで引き下げることができますならば、所期の輸送力増強というものは可能ではないかというふうにわれわれは考えます。しかしながらこれを一挙に……。
  47. 高橋衛

    ○高橋衛君 あとはよろしゅうございます。
  48. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 増川局長、答弁は簡潔に願います。
  49. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) それから先ほど外国の例をお尋ねになりましたが、ただいまここに資料を持っておりませんけれども、英国におきましては相当程度の割引をいたしておりますが、これに対しましては、一応公共団体のほうから助成金というもので負担を軽減しておるという事例がございます。
  50. 高橋衛

    ○高橋衛君 確認しておきますが、そうすると、法定割引歩合をこえて割り引きしておる金額が三百何十億円及び二百何十億円、そう理解して、その法定割引までは企業としてペイするという前提に立つ、しかもそれは、二〇〇ないし二四〇%まで込み率を見て、それならペイする、こういうふうに見ておる、こう考えていいんですね。——もうよろしゅうございます。
  51. 山本杉

    山本杉君 大都市の交通料金の安定方策ということについては質問したわけですが、これに対しても、これはなかなかむずかしい問題で適切なお答えが出ないのは当然かと思いますし、また、交通問題にしても、ずいぶんたいへんなことで、どんなに抜本的な努力をしてみても、どんどん人口がふえているので、思うような解決が得られないという状況でございますが、どうかひとつその点をよくお考えの上で御努力を願いたいということを申し添えまして質問を終わりたいと思います。
  52. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 中沢君。
  53. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間の予算委員会の代表質問のときに、宮澤企画庁長官お見えでございませんでしたし、たいへん時間が短かったものですから、私のした牛乳の問題について質問が若干残っておりますので、きょうは、その続きという意味で、牛乳の問題を質問させていただきたいと思います。  最近では、ほとんど毎日々々牛乳の問題が新聞に載らない日はないような状態でございまして、いささかほんとにうんざりしていらっしゃるかもしれませんが、牛乳の値段の問題がとやかく言い出されてから大かた一ヵ月半になりますのに、いまだに牛乳の値段がちゃんときまっておらないような状態で、あるところでは十六円していたり、あるところでは二十円、あるいは二十二円、二十三円と、いろいろまちまちの値段がきめられております。そういうようなことは、何ですか、消費者といいますか、主婦といいますか、そういう人たちの何か努力にまかされている、あるいはほったらかされている、このような感じを受けるものですから、きょうはもう一ぺん牛乳の問題を根本的に質問させていただきたい、このように考えているわけでございます。  ちょうど二年前に、日本でオリンピックがあったわけですが、当時オリンピックにいらっしゃった外国の選手が、日本の牛乳はどうも薄いと、非常に評判が悪かった。ひょっとしたら乳脂肪が抜かれているのではないか、あるいは乳脂肪が生クリームとして売られているのではないかといううわさがちらほら私たちの耳にも伝わってきたわけでございます。この間、実は公正取引委員会のほうで、どうもヤシ油が相当輸入されているので、牛乳のほうにヤシ油が混入されているのじゃないかというお話があったように私は新聞紙上で拝見したわけですけれども、これはほんとうでございましょうか。どうですか。
  54. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) お答えいたします。  公正取引委員会といたしまして、牛乳の成分について、いま乳飲料の標準の問題を検討いたしております。いまの御質問は、それと若干ずれるのでございますが、もう少し広い範囲で乳製品自体についてやはり一つ調査をいたしております。できるだけ乳製品について的確な表示をするということが国際的にも最近非常にやかましくなってきておりますので、その一環として乳製品の成分の調査をいたしておるわけでございます。その場合に、試験方法がやはり近年非常に諸外国で進歩してまいっておるようでございまして、その試験方法の問題。それからもう一つは、やはり東京のような大都市で牛乳のような生鮮食料品を供給いたします場合に、いろいろ新しい方法でその供給をはかるわけでございます。そういった供給方法、原料関係の問題の勉強もいまさせております。その点については、先般新聞にもちょっとその調査の途中の関係が出たわけでございますけれども、まだ不当表示の問題にはっきり結びつくという関係調査ではございませんので、何らかの結論を出すという段階にはまだ達しておりません。
  55. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 北海道なんかに行くと、非常に牛乳がおいしいですね。だれでも北海道の牛乳がおいしいと、こう申すわけで、私どもも農家に行って牛乳をごちそうになると、ほんとうにおいしい牛乳がいただけるわけです。それがいま売られているいわゆる市乳、普通の丸びんの牛乳ですね。それとあれはどうしてあんなに違うんでしょうか。そういうことは調査してみられたことはありませんですか。
  56. 恩田博

    説明員(恩田博君) いま北海道の牛乳が非常に濃い、内地の牛乳は薄いということでございますが、よく聞くことでございますが、牛乳の本質は、これは人間も同じでございますけれども、暑いところでは乳量が多くて乳固形分が少ないのであります。寒いところの乳は乳固形分が多くて水分が若干減るわけでございます。これは、暑いところは汗をかきましたりいたしまして、水分がよけい要りますために、そういうことになっておるのでございます。  それから、オリンピックのときに日本の牛乳が薄かったというふうなことにちょっとお伺いしましたが、当時私どもが知っております範囲におきましては、初めて外人が日本に参りますので、業界の先輩の人方が集まりまして、少なくとも日本においては悪い牛乳であるという評判はとりたくないという努力をいたしまして、相当厳密にいい牛乳を出したと承っております。まあ、事故はもちろんなかったのでございますが、そういうことで、牛乳そのものはたいへん悪いということは日本においてはなかったのでございます。日本の乳牛が白黒のホルスタインでございますので、乳量が多うございますが、よその国の黄色あるいは茶色あるいは茶と白というふうな牛と比べますと、水分が非常に多うございますので、外国の方々から見ますと、幾らか薄いんじゃないかという感じは受けたのかもしれませんが、格別にそういう操作をしたということは承知しておりませんし、そういうことはないと確信しております。
  57. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、いまのお話を伺いますと、ヤシ油が相当に輸入されている、しかもそれが乳業メーカーに供給されている——この間公正取引委員会のほうでお調べになったら、そういうような話が出た、こういうことなんですけれども、そうすると、そのヤシ油というものは、生乳から生ま脂肪を抜いて、それを生まクリームのほうに回して、そのあとにヤシ油を混入しているというようなことはなかったわけですか。
  58. 柿沼幸一郎

    説明員柿沼幸一郎君) お答えいたします。  現在、乳製品の会社では、これとあわせてマーガリンの生産をしている会社が非常に多いわけでございます。御承知のように、植物性のマーガリンの製品が非常に向上してまいりまして、バターに近いような状況になってきておるという問題もございます。その辺、バターとマーガリンの表示を厳格に区別させるというような指導を表示上の問題としていたしておりまして、本年の初め、マーガリンにつきまして公正競争規約ができたわけでございます。パターとマーガリンだけでなしに、乳製品全体につきましてその辺の表示を明確化していきたいという問題がございますので、原料関係調査をいたしたわけでございます。それが直ちに牛乳の原料になっておるかどうかという点は、まだつかんでおりません。
  59. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 厚生省のほうのお話ではございませんけれども、北海道の牛乳は確かにおいしい、こういうことですが、北海道では牛乳からバターやチーズを相当つくっているわけですね。そういうバターやチーズというものは、ニュージーランドや豪州のほうから輸入しても、それほど鮮度も落ちないし、しかも安いであろうかと考えるわけですが、そうすると、北海道から牛乳を内地に持ってくるわけにいかないのでしょうか。この間もちょっとそんな質問をさせていただいたわけです。
  60. 恩田博

    説明員(恩田博君) お答えいたします。  非常にやかましく言っておりますことは、牛乳は完全食品と言っていいほどの食品でございます。で、牛でございますので、しぼるときに非常に汚染しやすい状態にあるわけでございます。そこで、しぼるときの衛生状態によりまして、それが汚染が非常に早くなる。たとえて申しますと、かりに菌が牛乳の中へ一滴落ちますと、三十分くらいの間は、牛乳は生物でございますので、生物のために菌が殺される宿命を持っておりますが、三十分間くらい過ぎますと、牛乳が死んでしまいますので、いわゆる生物じゃなくなるわけでございます。冷えてまいりますと、その作用がなくなりますので、今度は牛乳が死んだ状態になってまいります。そうすると、落ち込んだ菌がそのまま残っておりますと、この栄養分をとりまして、非常に急速に菌は、ネズミ算と申しますが、それ以上に急速に増加をいたしてまいります。そこで、北海道とは申しませんが、遠くのほうから輸送するにつきましては、そのしぼるときから、あるいは輸送中、あるいは輸送する容器についての厳重な衛生措置が必要でございます。そこで、そのような状態が完備いたしますれば、それは可能なことでございますし、北海道は内地と違いまして一軒一軒で持っております牛の頭数も多うございますので、しかも消費者が非常に少のうございますので、そういう条件がそろいますことを期待しまして、私どもも内々検討いたしておるところでございます。農林省におきましても努力をされておるようでございます。
  61. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 中沢委員にちょっと申し上げます。宮澤企画庁長官が十二時半から重要会議を持っておりますので、もし長官に質問がありましたら、そのことを御承知でお願いします。
  62. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それじゃ、そのことを含んで、早くそっちの質問に移っていきます。  そうしますと、現在脱脂粉乳が相当輸入をされておりますね。日本でもつくっているように承っておりますけれども、それは還元乳の材料になるものと私は聞いております。いま普通に市販されている牛乳の中で、いわゆる丸びんと角びんとございます。その丸ぴんと角びんの違いをちょっと教えていただきたいと思います。おそらく私は、加工乳といわれる角びんのほうに脱脂粉乳が還元乳として入れられているのだろうと思いますけれども、そういうようなことがあるのに、それでは北海道の牛乳に、完全滅菌という、あのユーペリゼーションというものをどうして採用しないか、そのことをちょっとお聞きいたします。
  63. 恩田博

    説明員(恩田博君) 牛乳について、私ども大体三とおりに考えておるのでございます。  第一番目は、牛からしぼった状態のままを牛乳と言っております。これは、水を加えましても、あるいは防腐剤を加えましても、あるいは砂糖を加えても、何を加えてもいけないことにしております。これは、牛乳は合成できない、非常に貴重なものでございますので、しかも、それによりまして生物がそのまま育つということで、これは全世界とも、この牛乳についてはいろいろな学問的な意見がありましても、そのままの状態を尊く保存するということで取り締まっております。これが牛乳でございます。  その次に、乳製品というのがございます。その中には、粉ミルクあるいは練乳というものがございます。そのほかに、日本のように絶対量が足りない国では、粉ミルクとバターというようなものを牛乳のとおりに戻しまして、牛乳ではございませんので、それを以前は還元乳と言っておったのでございますが、何かしら還元乳のほうがよいという感じを持った方が多いということで、また加工乳と直したのでございますが、それに若干牛乳を入れて牛乳のにおいをつけるということで、いわゆる人工的に——合成というとちょっと語弊がございますが、牛乳を一ぺんかわかしたものをもう一ぺん戻す、それで足りないときに調製するというふうなことを含めまして、しかも、それは乳児にはどうかわかりませんけれども、乳離れした後はそのまま飲んでも差しつかえないというようなことで、その三通りを大体二次的な牛乳、いわゆる粉ミルク、練乳及び加工乳というものを非常に重要な食品としております。今度は、その牛乳の入ったものを、栄養を期待して使用するかどうかはわかりませんが、普通の生鮮飲料水よりはましだということで幾らかでも牛乳が入っておればという気持ちのものがございます。たとえばコーヒー牛乳とか、フルーツ牛乳とか、その他いろいろなものがあるわけでございます。それで、牛乳とその次のものは栄養と衛生を完ぺきにしなくちゃいかぬということでございますが、第三番目の乳飲料というものは、栄養というものが若干減りましても、牛乳の成分が入っておりますので細菌数の増加が相当多うございますから、これはむしろ衛生をやかましくということで、大体区分けしてやかましく言っておるのが実情でございます。  そういうことでございまして、いま御質問がありました加工乳につきましては、当然に、脱脂粉乳とバターというものを混ぜまして、それを水で溶きますので、ちゃんと戻したあとが牛乳と同じ成分でなくちゃいかぬ、こういうしかけになっておるのでございます。
  64. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで、丸びんというのが、今度の値段では大体二十二、三円、加工乳といわれる還元乳の入っている牛乳、角びんですね、それが大体二十七、八円から、この間飛行場で見たのは三十円、こういうふうな値段がついているわけですが、このたびの生産価格が上がったのにつれて小売り値段が一斉に上がりました。これについては、指導価格を撤廃するのがいいのだとか、あるいは自由な競争で値段がきまるのが望ましいのだとか、いろいろなことを言われたわけですが、宮澤経済企画庁長官は、生産者の乳価の値上げをするのはやむを得ないけれども小売り値段の値上げは押えられるはずだ、こういうふうなことを衆議院の物価対策委員会でおっしゃったように承っておりますが、いまだにちっとも値段はほんとうにきまらない、てんでんばらばらだ、こういうふうなことがいまの状態なんですけれども、どうして政府は積極的な措置をなさらないのか。あるいは、そういった牛乳の値段に対する抵抗は、主婦の団結といいますか、そういったものにだけまかせられているのか。その辺のことについて長官の御答弁をお願いいたします。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる農林省価格に関する通達を廃止すべきかどうかということは、私もだいぶん実は考えましたわけでございます。結局、廃止するほうがよかろうという結論に私どももなったわけでございますが、そのときに考えましたことは、やはり通達で指導価格をきめる、二円なら二円と限って引き上げてもよろしいということにいたしますと、事実問題として、二円というのは最大限を示したものではありましても、もう二円そのものが既得権であるというようなふうに供給側も考えますし、また需要者側も、まあしかたがないというふうに、どうしてもそういうふうに受け取りやすい。過去においても、さようなことがございました。そのことが一点。  それから、もう一つの点は、今回もそういうことが現にございましたが、この値上げ分の配分等等につきまして、その関係者の間で共同購入のようなものが非常に起こりやすい。そうしました場合に、今回はそういう疑いに基づいて公正取引委員会が幾つかの事案を調べておられますけれども、その際に、やはり政府の指導なり通達なりというものが一本でございますと、これは政府の指導に従っただけなんだというような説明が出てまいりまして、公取のほうで、その間に不公正な共同行為があったかどうかということを調べるのにやはりむずかしい障害になるというようなことが現実にもあるわけでございます。  そういう二つの理由から、つまり、前者はむしろ供給者側と消費者側との間のいろいろな交渉を通じて一律でなくきまることが望ましいと思いましたがゆえでありますが、そういったような理由から、ともかくも通達は廃止をいたしました。その後、私どもは実はこれを消費者の方々だけにおまかせしているわけでは必ずしもございませんので、各地で非常に具体的な問題として、どういう配達方法をしたらば幾らで済むか、あるいは取りに行ったらどうなるかとか、いろいろ具体的なお話し合いが消費者と供給者側との間でございまして、私ども役所の、ここにおります国民生活局長以下そういうところへ出てまいりまして、会議に出席をいたしまして、その両方のお話し合いを促進したり、それから時には必要なアドバイスを差し上げたりいたしております。現実にそういう会議に出ました者の意見を聞きますと、かなり具体的にその地区地区で問題の提起が消費者側からございまして、生産者側も一律にお話し合いに乗りませんということではなくて、かなり具体的にお話し合いが進んでいたところもある、こういうふうに承知をしておりますので、ただ放置をしたということではございません。通達の点はそういう気持ちから廃止をすることに私も賛成いたしたわけでございます。
  66. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 御懇切な説明をいただいたわけですけれども、それでも実際はやっぱりまだずいぶんいろいろなところでトラブルが起こっているわけですけれども、そうすると、指導価格制を撤廃をされても、それにかわる対策をまだ政府のほうでは立てていない、こういうふうに私は受け取っているわけですが、いかがですか。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は、私どもとしてもいろいろ改善をしたいことが、正直を申してございます。それは、配達の方法に対する指導でございますとか、容器に関することでありますとか、あるいは先ほどちょっとお触れになりましたユーペリゼーションの問題でございますとか、いろいろ部内で検討しておることがございますのですが、関係各省の合意というものがなかなか簡単に必ずしも得られないということで、しんぼう強くいろいろな努力は現実にいたしつつございます。確かに、いままでのところ、あまりこれといってちゃんとしたことができていないのではないかとおっしゃいますと、いかにもそういう感じがいたしますが、かなり根強く関係各省にいろいろな問題を私ども提起をしているわけであります。
  68. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 生産者が今度は値上げを少ししてほしいといったのは、確かに生産者は私は気の毒な場面もあると思います。それは、手間賃が上がったでしょうし、子牛の値段も相当高いでしょうし、飼料も高くなければ手に入らない、こういうふうなことで、値上げをしてほしいと要求されたのは同情すべき点もあると思います。そしてまた、実際に需要のほうがどんどん伸びて生産が追いつかないですから、生産意欲を盛り立てるために生産者は多少の値上げもやむを得ない、私はこう思っているわけですけれども、何だか、はるかに生産をこえて需要が伸びていく、こういうところで需要のほうが高いのだから、値段は上がってもしかたがないじゃないか、こういうふうな考え方もあるのじゃないかと、こう思うのです。いかがでございましょうか。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 値上げをしたいという側の主張というものは、おのおのの段階でいろいろに理屈があるだろうと思うのでございますが、やはり基本的には、私は生産者の手取りをふやしていくということは必要であると、こう考えたわけでございます。しかし、これが必ずしも消費者価格にすぐはね返るというものではないはずだと申しました意味は、たとえば、処理業者について言えば、決してこの部門で現に損をしておるわけではないということが指摘できますし、また考えようによっては、ユーペリーゼーションのようなことも考え得るわけです。それから配達の業者にいたしましても、これは明らかにメーカーの系列別の過当競争のようなものがあるというふうに見ておりますので、この辺についてもいろいろ合理化の方法があるだろう、したがって、吸収し得るのではないかという、そういう問題の提起をしたわけでございます。で、やはり基本的には、そのことは消費者と供給者側とのお話し合いなり、関係できまっていくのではないかと、こう思ってああいうことを申しましたわけです。したがって、御指摘のように、一律二円ということではなくて、一円でとどまっている場合もございます。いろんな場合があるようでございます。根本的には、生産者については、やはり供給が不足であるということから、何がしかの値上げをしてあげたいという気持ちが私どもにはあったわけでございます。
  70. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 順を追って質問をさしていただきたいと思いましたけれども、長官がお急ぎのようでございますから、長官に対する御質問を、もう一つ、二つさしていただきたいと思います。  それは、ある方が私のところに手紙をくれまして、こういう文面があったわけです。「農民を悩ましている濃厚飼料を安く輸入される措置を政府としてとってもらいたいものです。それには、東南アジア援助資金の中で、タイやビルマの飼料作物を計画的増産をせしめ、日本の農家に安く配給してもらいたいものです。」こういう手紙をいただいたんですけれども、実はゆうべもNHKのテレビを見ておりましたら、開発輸入ということで、トウモロコシのことをずいぶんテレビで取り上げておられましたけれども、こういうふうなことは日本としてとれるものでしょうか。また、とるようなお考えがないものでしょうか。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、政府としては、非常に実は大事なことだと考えておるわけでございます。現に、たとえば、タイにトウモロコシの開発を頼みまして、開発輸入の方式をいたしまして、できるだけ多くの地域にそれをやってまいりたい、ただ、東南アジアでございますと、雨季の関係がございまして、非常にしめってしまうという問題があるのでございますが、できるだけ開発輸入ということをやってまいりたい、こう思っております。
  72. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう一つちょっと……。  牛乳の問題からははずれるのですが、この間も質問さしていただきたいと思いましたのは、先ほど山本委員からも御質問がありましたけれども、資本の自由化に伴いまして、何ですか、あるスーパーマーケットがアメリカの資本と結びつきまして、日本にどんどんそういうスーパーマーケットがチェーン式にふくれ上がっていくと、そういうときに、日本国内産業というか、国内の小売り屋さんなんかが、そういうものに非常に圧迫を受けるのではないか、こういうふうに私ども心配をしているわけです。いよいよそうなってしまってから、これはたいへんだということでは困るので、一体、資本の自由化に伴って、そういうものが日本にできることを野放しにされていいものか、企画庁長官のほうは、そういうことをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ということをひとつお伺いをしてみたいと思います。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点について、最終的にどういう決定をすることになるか、実は私必ずしも所管でございませんので、はっきりは存じておりませんけれども、たとえば、百貨店には百貨店業法がございますので、これはかりに自由化いたしましても押えられるという問題がございます。スーパーについては、そういう規制がございませんので、これはよほど注意をしなければならないというふうに今日まで考えてきております。まあ、スーパー化というのはやはり一つの勢いでございましょうから、個々の小売り店に対して、できるだけ皆さん御一緒になって、寄り合いでスーパーをつくってくれるようにということはしばしばおすすめをしておりますし、また、そのための資金の貸し付けも、御承知のようにあるわけでございます。なかなか皆さん、やはり一国一城のあるじということで、寄り合いスーパーというものも、私どもが宙で思うようにはまいりませんけれども国内のそういう動きを重んじて、あるいはまた共同仕入れのようなこともしていただくというようなことで国内の態勢をつくっていく。それで、外資がかってに入ってどんどんスーパーが大きくなることは——自由化することにいたしましたが、ちょっといま私、まだ正式には決定いたしておりませんけれども、具体的にきのうきょうのことを存じませんが、どっちみち十分それは注意をしなければならないことだと存じます。
  74. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それは、なぜそういうことをお伺いをさしていただくかと申しますと、日本の消費者というのは、何か横文字に弱かったり、あるいはアメリカ式の包装があったりアメリカ式の売り方があったりしますと、ついそっちのほうに購買力を向けるわけですね。何かそっちに引かれる感じがあるわけです。そこで、いまから消費者教育といいますか、そういうものをやっておかないと、私はこれは将来たいへんなことになるのじゃないか、こういうことで、国民生活局なんかにも少し関係があって、どういうふうにこういうことを考えていらっしゃるか、このことをお伺いしてみたかったわけでございます。それは後ほどまた中西さんのほうからでも御答弁いただきますから、長官、お急ぎでございましたらどうぞ。あとはこちらでほかの質問をさしていただきます。
  75. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 昨日ですか、外資審議会の答申があったのですが、あの趣旨、私も全文読んだわけじゃないのですけれども、流通関係、あるいは中小企業には非常に大きな影響のある分野については、一〇〇%とか五〇%というふうな比較的フリーな形のものでなしに、慎重に対処していくという部類に入っておるはずでございます。執行上も十分注意を要するということでございます。
  76. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 国民生活局長がお立ちになったからついでにもう一つお伺いをしてみたいのは、牛乳のびんですね。ああいったものは、いままでずっと私らがほんとうに小さいときから牛乳というものはああいうもので、いつでも目がさめたときには牛乳が配達されているものだ、こういうふうにいままでずっと考えてきて、それが当然みたいなことになっているのですけれども、そういう小さい方面で消費者教育をしていくということも私は確かに必要だ、よく小さい行き届いたところまで消費者教育をしてくださいということを私はよく申し上げておるわけですけれども、それと同時に、将来を考えて、いまのような、ひょっとしたらアメリカ資本が日本へどんどん入ってきて消費者がアメリカナイズされてしまう、こういうことについても早くから消費者教育ということに目を向けておいてほしい、このようなお願いをしておく次第でございます。  それから続いてもう少し、先ほどの問題でございますが、牛乳の値段が大体いま二円ぐらいずつ上がっているのが当然みたいな形になっているのですけれども、一八〇CC一本で大体二円くらい上がった。その内訳が、この間私予算委員会のときに申し上げたわけですが、生産者が大体一円二十銭取る、それからメーカーが大体三十銭、小売り屋さんが五十銭、こういうふうなことが言われておるわけですけれども、この配分方法は適当なんでしょうか。そしてまた、それはどういうところを根拠にしてこういうことが言われるのでしょうか。
  77. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) まあ、今度の小売り価格の改定でございますけれども、地域によりまして、またメーカーによりまして、必ずしも同一であるというふうには思っておらないわけです。この四月の半ばから五月の半ばにかけまして消費者に申し入れがございまして新しい価格形成が生まれたわけでございまして、全貌につきましてはわれわれとしても十分つかんでおりませんけれども、都道府県の報告等によりますと、申し出は三円だとか、いろいろあったようでございますけれども、おおむね二円以下、あるいはまあ一円のところもあるようでございますけれども、そういうふうにきまったように了解いたしております。ただ、標準的に言いますと二円でございますが、その中身は、ただいまお話がございましたように、大体一円二十銭・三十銭・五十銭というふうなことになっているように承知をいたしておるわけでございますが、先ほどからお話がございましたように、一応自由に形成される価格というふうなことになっておりますので、それがはたしてどういう根拠でどういうふうな理屈でそれがそういうことになったかということにつきましては、必ずしもはっきりはいたしておりませんけれども、御承知のように、三十九年に値上げがあったわけであります。そのときは非常な小売り価格の高騰ということもございまして、そこで二円の値上げということを指導いたしたわけでございます。今回は生産価格の値上がりということもあったわけでございますけれども、三年間価格が据え置かれておったというふうなこともございまして、メーカーにしても小売りにしても、かなりコストは上がってまいっておるという実情にございます。そういうふうなことを反映いたしまして今度の価格形成が行なわれたというふうに考えておるわけでございます。
  78. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それからもう一つ伺ってみたいのは、卸売り格差というのがあるのですね。それは、いわゆる牛乳、それが卸売りでは大体十三円、それから加工乳では大体十四円十銭、こういうふうなのが卸売り値段と私は聞いてきておるのですけれども、その間に一円十銭の格差があるのですね。その一円十銭の中で、ミネラルを入れたり、ビタミンを入れたりするのに、メーカーは四十銭あればそれでほんとうは足りるはずなんです。それなのにこの格差が一円十銭ある。メーカーは不当に七十銭もうけておるのじゃないかというような、こういうふうな話も一部にささやかれておるわけです。そこで私は、この問題や、それからいまの一円二十銭・三十銭・五十銭というような、こういう問題から、メーカーが一番もうけているのじゃないかと、こういうふうに思うのですね。ところが、卸売り価格の普通の丸びんが十二円で、魚びん十四円十銭、それだのに、市販で私どもが実際に買ってみると、麹町のある店では二十二円、角びんのほうは二十八円、空港で買ったのは三十円、これは不当に何か値段が高過ぎるのじゃないか、その間にもうけ過ぎるのじゃないかと、こういうふうに思うのです。ある団地では、みんなで共同購入をして、初め十三円でやったとか、いやその十三円がいつの間にか非常にどっかから圧迫がかかって十三円の牛乳が来なくなった、今度十五円でなければならない、十六円でなければならない、やはりそれでもいけないから二十円にしてほしい、いろいろこういうようなことで、消費者が一番振り回されて困っているのですけれども、一体どのくらいの値段が適正な値段なんでしょうか。
  79. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、自由な価格形成が認められておりますので、厳密に幾らにすべきであるということがなかなか申し上げにくいわけでありますが、三十九年に値上げしましたときは、やはり普通の牛乳と加工乳との間には二円の格差があったわけであります。値上げの幅も、いずれも二円ということで押えておるわけであります。原則的と申しますか、平均的に申しますと、今度二円値上がりした場合には、普通牛乳が十八円が二十円になり、それから二十円の加工乳が二十二円になるというふうな形であるかと思うわけであります。ただ、メーカーによりまして、それに入れますものが違ってまいるというふうに思うわけであります。そういう意味から価格の相違というものはあろうかと思いますし、また、たとえば非常に遠隔の地、山の上に上がって行きますような場合には、輸送費等もかかりますので、そういうところで、もしも消費購入いたすような場合には、まあ輸送費が加えられまして高くなるということもあり得るわけでございます。したがいまして、一がいに幾らだからどうとかということはなかなか申しにくいというふうに考えておるわけでございますが、原則的に申しますと、今回の値上げによりますものはおおむね二円ということでございますから、普通乳が二十円、それから加工乳の普通のものが二十二円ということになろうかというふうに思っております。
  80. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、それぐらいが普通だろうと、こういうことでございますが、実際はもう少しいろいろなところで高く売られているところもあるわけです。それは月ぎめで買っているところ、あるいは今月はずっととりますとか、そういう約束をされたところにはあるいは二十円で売られたり、あるいは二十二円で売られたりするのですけれども、先ほど申し上げましたように、私どもが買いにいくと、角びんが二十八円でなければ買えない、丸びんも二十三円でしか買えない、こういうことがありますので、どうか牛乳の適正値段ということを早く考え出して、あるいは消費者が振り回されることにおいて値段がきまっていくということでなしに、政府のほうも何らかこれの対策を早く考えてほしいと思います。  それからもう一つ生産価格が、一升について、あれは十二円でしたか上がったわけですね。そして、これはこのままでどれぐらいいけるものでしょうか。やはり来年になったらもう少し上げてくれということになるのでしょうか。どれぐらいの期間、この値上がりでもつものでしょうか、見通しを伺いたい。
  81. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、昭和三十九年ごろまでは酪農家もふえておりましたし、それからもちろん乳牛の頭数もふえておりました。したがいまして、生乳の生産量というものはふえ続けてきたわけでございますけれども、三十九年ごろを境にいたしまして、農家戸数は減少に転じてまいっております。それから乳牛の頭数は伸びておりますけれども、伸び率が鈍化している。そういうことで生乳の生産も伸び率が鈍化してまいっております。絶対量としましては、もちろん伸びておるわけでございますけれども、毎年の伸び率というものが鈍化してまいっておるわけでございます。特に昨年の八月ごろから急速に生産の伸びが減ってまいりまして、対前年同月比が二%程度というふうなところまで落ち込んできたわけでございます。そこで、私たちも心配をいたしまして、いろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、御承知のように、まあ酪農というのは年間を通じまして搾乳という労働がございます。農業の中でも特殊な労働になっているわけでございます。そういう非常に労働を要しますことから、やはり酪農家が減少してくる。都市労賃が非常に高くなってきますと、そちらにいくというふうなことになりまして、減ってきておるわけでございます。世界的に見ましても、アメリカあたりも乳牛農家がいま相当減っておりますし、また、乳牛自体がむしろ絶対数が減りつつあるというふうな状態にあるわけでございます。世界的な傾向一つあるわけでございますけれども、何としましても労働が非常にかかりますわりあいには収益性が低い、こういうこともございまして、なかなか生産が伸びないということもございますので、生産者のほうから、ぜひ生産価格を上げて生乳の生産をふやしていこう、こういうことになったと思うのでございます。  一円二十銭上げまして、これがいつまでもつかということにつきましては、今後の生産費がどうなるかということ、都市の労賃がどういうふうになるか、生産費が今後どうなるかということによって影響を受けますので、現段階でいつまでもつかということについては、的確な御返事はいたしかねるわけでございますが、われわれといたしましては、乳牛につきましては、これは御承知のように、草食性の動物でございまして、草を食わすのが一番理想的な形態なんですけれども、残念ながら、日本では非常に土地の制約がございまして、しかも酪農が非常に発展がおくれてきた。おそらく終戦後になりまして酪農が本格的に始まったと言ってもいいような点もございまして、草地開発ということも必ずしも十分進んでいないわけでございます。そこで、できるだけ草地開発をやりまして、輸入飼料に依存する分を少なくしたい、購入飼料というものは、御承知のように、自然飼料に比べますと高いわけでございます。購入飼料に依存する率が高くなればなるほど、乳牛の生理的な条件も悪くなりますし、またコストが高くなるというようなこともございますので、できるだけ草地開発なり自給飼料の増産をいたしまして、コストを安くして、安い牛乳を消費者に届けることができるように、われわれとしては努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  82. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後にもう一つ。  この間も申し上げたように、草地開発は岩手県の千田知事さんなんかは本腰を入れて、あの山ばかりのところを、一生懸命でいま放牧をやろうということでがんばっていられるわけですね。それから山口県の秋吉台のあそこのカルスト台地ですか、あそこも、いま山口県の知事さんが一生懸命で草原をつくっていられるわけです。やろうと思えば私はできないはずはないと思うのです。そういう情熱といいますか、そういうものが少し足りないような感じがいたします。どんどん国民が牛乳を飲めるように、新しいいい牛乳が飲めるように、もう少し行政指導をやってほしい、こういうふうに思います。  そこで、最後に一つ伺っておきたいのは、そういうことで、夏場は特に生ま乳が足りない。そこで脱脂粉乳をどんどん輸入して、還元乳をまぜたり、加工乳として売り出す、こういうことになりますと、冬はそれほどまぜなくてもいいけれども、夏になると、なお牛乳が足りないから還元乳をたくさんまぜる、こういうふうなことになろうかと思いますが、牛乳の規格をつくる必要はないのですか。
  83. 恩田博

    説明員(恩田博君) 牛乳の規格は前からできております。牛乳の規格は、先ほど申しましたとおり、非常にむずかしいことでございます。分べんしましたあとと、十ヵ月の間にだいぶ組成が変わってまいります。生まれまして三月目に大体牛乳だけで体重が倍になり、十ヵ月目に大体三倍になるのでございますが、これは人間も大体同じでございます。牛乳だけでそのように完全に育ちます完全な食品でございます。生まれた当座の牛乳と、三月目ぐらいの牛乳と、十ヵ月目ぐらいの牛乳とは、内容的に、子供の発育状態によって変わりますので、違うわけでございます。しかも個体によって違う。しかも種類によって違う。かつまた気候によって違う。それらを全部総合しまして、現在日本は白黒の牛が多うございますので、その白黒の牛を中心にしまして、すなわち赤ん坊が完全にと申しますと、母乳に一番近いのが牛乳でございますので、牛乳の品質を守る意味におきまして、厳重な規格をつくっているのでございますが、加工乳につきましては、牛乳と同じであるという条件で規格をつくってございます。全く加工乳におきましても同じでございます。粉ミルクにしましても、それは牛乳の飛ばしただけの水を入れますと、それだけで使えるというふうなしかけになっております。現在規格はあるのでございます。なお、最近、飼料の状態あるいは牛の改良の状態等によりまして、若干変わりつつあるようなデータもございますので、なお検討中でございます。
  84. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 どうもありがとうございました。
  85. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本日はこの程度にいたしておきます。  これにて散会いたします。    午後零時二十八分散会