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政府委員(岡田
覚夫君) 御
承知のように、昭和三十九年ごろまでは酪農家もふえておりましたし、それからもちろん乳牛の頭数もふえておりました。したがいまして、生乳の
生産量というものはふえ続けてきたわけでございますけれ
ども、三十九年ごろを境にいたしまして、農家戸数は減少に転じてまいっております。それから乳牛の頭数は伸びておりますけれ
ども、伸び率が鈍化している。そういうことで生乳の
生産も伸び率が鈍化してまいっております。絶対量としましては、もちろん伸びておるわけでございますけれ
ども、毎年の伸び率というものが鈍化してまいっておるわけでございます。特に昨年の八月ごろから急速に
生産の伸びが減ってまいりまして、対前年同月比が二%
程度というふうなところまで落ち込んできたわけでございます。そこで、私たちも心配をいたしまして、いろいろ検討をいたしたわけでございますけれ
ども、御
承知のように、まあ酪農というのは年間を通じまして搾乳という労働がございます。農業の中でも特殊な労働になっているわけでございます。そういう非常に労働を要しますことから、やはり酪農家が減少してくる。都市
労賃が非常に高くなってきますと、そちらにいくというふうなことになりまして、減ってきておるわけでございます。
世界的に見ましても、アメリカあたりも乳牛農家がいま相当減っておりますし、また、乳牛自体がむしろ絶対数が減りつつあるというふうな
状態にあるわけでございます。
世界的な
傾向が
一つあるわけでございますけれ
ども、何としましても労働が非常にかかりますわりあいには収益性が低い、こういうこともございまして、なかなか
生産が伸びないということもございますので、
生産者のほうから、ぜひ
生産者
価格を上げて生乳の
生産をふやしていこう、こういうことになったと思うのでございます。
一円二十銭上げまして、これがいつまでもつかということにつきましては、今後の
生産費がどうなるかということ、都市の
労賃がどういうふうになるか、
生産費が今後どうなるかということによって
影響を受けますので、現段階でいつまでもつかということについては、的確な御返事はいたしかねるわけでございますが、われわれといたしましては、乳牛につきましては、これは御
承知のように、草食性の動物でございまして、草を食わすのが一番理想的な形態なんですけれ
ども、残念ながら、
日本では非常に土地の制約がございまして、しかも酪農が非常に発展がおくれてきた。おそらく終戦後になりまして酪農が本格的に始まったと言ってもいいような点もございまして、草地開発ということも必ずしも十分進んでいないわけでございます。そこで、できるだけ草地開発をやりまして、輸入飼料に依存する分を少なくしたい、購入飼料というものは、御
承知のように、自然飼料に比べますと高いわけでございます。購入飼料に依存する率が高くなればなるほど、乳牛の生理的な
条件も悪くなりますし、またコストが高くなるというようなこともございますので、できるだけ草地開発なり自給飼料の
増産をいたしまして、コストを安くして、安い牛乳を消費者に届けることができるように、われわれとしては努力をいたしたいというふうに
考えておるわけでございます。