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1967-07-18 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)    午前十一時二十八分開会     —————————————    委員の異動  七月十七日     辞任        補欠選任      高橋雄之助君     三木與吉郎君      北條 雋八君     鬼木 勝利君  七月十八日     辞任        補欠選任      三木與吉郎君     高橋雄之助君      鬼木 勝利君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        大蔵省主計局次        長        武藤謙次郎君        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        食糧庁長官    大口 駿一君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米価問題に関する件) ○漁業協同組合合併助成法案内閣提出衆議院  送付) ○漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  倉石農林大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。倉石農林大臣
  3. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先週末、政府責任者として米価を早急に決定する必要に迫られておりました事態にありましたため、当院農林水産委員会の御出席に応ずることができませんでしたことは、まことに遺憾に存じております。例年であれば予約集荷申し入れの時期にすでに入っておりますし、生産者米価を早急に決定する必要に迫られておりましたこと、また、米価審議会諸般事情によりまして会期を二日も延長せざるを得ず、しかも答申を得るに至らなかったことなどから、米価決定までに政府内部意見調整関係方面との連絡等引き続いて時間を要する結果と相なった次第でございます。  その間、当院野知委員長より、七月の十四日午後一時前、院内大臣室において、また、十五日の朝は農林省において、出席要求の御要望を受けたのであります。また、同七月十五日の午後二時前には、同じく農林省において、自由民主党田中国会対策委員長からもこのことについて強い御要望を受けたのでございますが、まことに不なれなために、いま申し上げましたような部内意見調整等に忙殺されておりまして、出席できませんでしたことを、まことに恐縮に存じております。  会期も挿し詰まりました当委員会におきまして、両日にわたり御審議に支障を及ぼしましたことは、私としてはまことに遺憾に存じております。この際、委員長はじめ、委員各位に、深く陳謝の意を表したいと存じます。
  4. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      ——————————    午前十一時五十分開会
  5. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから委員会を再開いたします。  農林水産政策に関する調査として、米価問題に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 中村波男

    中村波男君 ただいま、農林大臣から、当委員会として先週の金曜日、また土曜日に、農林水産常任委員会開会して米価問題を中心質問を行ないたいというので大臣に対しまして出席方を要請いたしたのでありますが、御出席がなくて二日間常任委員会が空転をいたしたことに対しまして釈明がなされ、なるほどことばの上では陳謝という表現があったのでありますが、私は、問題は、ただ単にこの場に臨みまして大臣陳謝をされたから国会として了解、了承を与えることのできない重大ないきさつがあるというふうに考えておるのであります。  もともと、社会党といたしましては、米については、また麦も同じでありますが、国が統制をし、政府価格をきめるのでありますから、少なくとも郵便料金鉄道運賃等々と同じく、国会審議をし、決定をすべきである。しかし、今日、制度上として米価審議会答申を得て政府決定をするということになっておりますので、その制度そのものの改変を要求し、また、今後もその方向で御検討を願いたいと思うのでありますが、そうした事態の中で、特に本年は米審が二度目の答申がなされなかったというこういう事情もございますので、したがって、その段階においては特に国会審議をすべきである。また、このことについては、ただ単に社会党、公明党、野党が要求したのではないのでありまして、少なくとも当委員会理事会においてそのことが確認をされ、野知委員長が窓口になりましていろいろ折衝が行なわれ、さらに、御承知だと思うのでありますが、国対の問題として田中自民党国対委員長からも当然であるという立場で交渉、お話があったとわれわれは報告を受けておるのであります。  いま弁明を聞いておりますと、部内調整等相当ひまをとり、また、早くきめなければならぬという状況の中で、どうしても委員会に出ることができなかった意味釈明がなされたのでありますが、今日、特にことしは強い批判が出ておるのでありますが、政治米価である、さらに、党略米価である、こういうマスコミを代表とするきびしいいわゆる政治家に対する風当たりが強く出ておりますのも、米審は全く形式的に諮問をするだけであって、実質的には自民党政府の手によって米価がきめられてきたし、ことしもきめられたと思うのであります。かかるやり方については、私たちは承服することが絶対できませんし、また、米価につきましては、来たる十月一日から消費者米価の値上げが政府としてはすでに決定をしておるところでありますし、また、来年も再来年も米価はきめなければならないのでありますから、したがって、この機会に、一ぺんの陳謝や一ぺんの釈明を聞きます前に、今度の大臣出席ができなかったということは、百歩譲りましてその事情を許すといたしましても、誠意を示されるというのであるならば、米価について国会での審議をどう考えて今後対処されるのか、少なくとも国会審議をするというこういう前向きの姿勢をお示しいただいて、釈明を願ってこそ、私たちが納得することができると思うのであります。  したがって、いま申し上げましたような意味において、農林大臣の御所信を承り、次の質問に入りたい、こう思うわけであります。
  7. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 米価決定につきましては、米審の御意見を承って、それを尊重してきめるという政府のたてまえでありますが、ただいまお話しのように、米審答申を得るに至りませんでしたことは、私どもとしてはまことに遺憾にたえない次第であります。  もう一つ、国会において米価について論議をするのが妥当ではないかと。このことは、もちろん私はそのとおりだと思います。したがって、国会においてそれぞれの委員会において米価問題について御審議に相なるということは、これはもう国会として当然なことだと心得ております。  このたび、米審答申を得られずに、政府考え方によって米価決定いたしましたが、こういうようなあり方について、なお、政府といたしましては、一般国民が納得のできるような方法米価決定される、そうしてその決定される米価日本経済の中で妥当であると多くの国民考えられるような線を打ち出すことについては、これからもさらに慎重に検討をいたしましてその方策を改善してまいりたいと、こう思っておるわけであります。
  8. 中村波男

    中村波男君 いま、私の質問に対する御答弁をいただいたのでありますが、何といいますか、返答をするという形式的な答弁の域を出ておりませんけれども、その問題についてさらに論議をいたしておりましても、時間的な制約がございますので、具体的にお聞きをしてまいりたいと思うのでありますが、新聞の報道によりますと、米価審議会自民党選出の四名の委員の方が、十六日に辞意を表明されました。この中で、坂村吉正氏は、辞表提出したその理由といたしまして、「もともと審議会という行政庁の機関に立法府の国会議員が参加するのは好ましくないと思っていたが、こんどの米価審議会に出てみて、その感を深くした。特に委員党利党略にしばられ、米価審議会を混乱させ、その権威を落させたのは遺憾である」と、このように「朝日新聞」は書いておるのでありますが、この席上で私は坂村氏の言動についてとかくの批判をいたそうとはいたしません。あえて言うならば、そういう考えであったならば、なぜ米価審議会自民党から推されて承諾をして出られたかと言いたいのでありますが、それは自民党の問題であり、個人のお考えでありますから、とやかく申しません。また、本人がいみじくも言っておりますように、党利党略に縛られる。語るに落ちるとは私はこのことであろうと思うのであります。したがって、米価審議会が無答申に終わったことにつきまして野党社会党マスコミから大きな批判を受けておるのでありますが、こうした批判には私たちは承服するわけにはまいりませんけれども、それはそれとして、大臣として、米審のあのような結果になったことについて、坂村氏が新聞記者に語ったような内容があったのかなかったのか、国会議員を今後入れることについてどのようなお考えをお持ちになっておるのか、この点を承っておきたいと思うのであります。
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私の立場といたしましては、米価審議会皆さん方が、深夜に及んで非常に熱心に、しかも厳粛の間に、また、あるときにはユーモアもまじえられた熱心な御討議を拝聴いたしておりまして、たいへん参考にもなり、教えられるところがありました。そこで、こういう状態であるならば何か一本のまとまった答申をいただけるものであると楽しんでおったわけであります。いまお話に出ましたように、かけ引きとかそういうことが行なわれたといたしましても、その間は私は関与いたしておりませんので、どういう経過でそういうことになりましたのかよく事情をつまびらかにいたしておらないわけでありまして、先ほど申し上げましたように、二回にわたって米価審議会答申を出すに至らなかったということにつきましては、これからもよく掘り下げて検討いたしまして、米審の価値を高くしていただくようにひとつどうやったらいいかということについての検討をこれからしてまいりたい、こう思っているわけであります。
  10. 中村波男

    中村波男君 いまの大臣答弁で、私ははなはだ遺憾に思いますのは、米審の具体的な内容については関与しないから、とかくの批判はできないという意味お話がございましたが、結果的には米審は無答申に終わったのであります。それも二年連続でそういう結果を来たしたのであります。したがって、大臣としてこれでよろしいとはお考えになっておらないのではないかと思うのであります。これでよろしくないということであるならば、次はどういう方法米価決定すべきかということを当然農林大臣責任でお考えにならなければならぬと思いますし、まだ米審が終わって四日か五日で結論を聞こうなどとせっかちな答弁を要求するものではございませんけれども、少なくとも大臣として、とにかく米審を主催された責任者といたしまして、米審運営あり方についてのお考えがなければならぬと思うのでありますが、全くお考えがないのですかどうですか。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私がいまお答えいたしましたのは、米審の四日間、国会に呼ばれた時間を除いてはほとんど陪席いたしておりまして、各委員方々の御意見を拝聴しておって非常に教えられ参考になるところがありましたと申し上げましたのは、その御意見内容についてであります。したがって、各委員のそれぞれの権識を吐露されましたことは、私どもといたしましては、米価決定にできるだけそれを参酌して決定いたしたつもりでありますが、これからどのようにしていくかということにつきましては、これはそれぞれの委員方々もいろいろ感じられたでありましょう。私どもも、いまさっき申し上げましたように、あのようななごやかな意見が活発に吐露せられておったのでありますから、ことしはたぶんこれは何らかの答申を得られるものであると楽しみにいたしておったのでありますが、終局においてそういかなかった。そのいかなかったいろいろな、まあどういうことばで表現いたしますか、いろいろなお立場によるかけ引きと言えばかけ引きかもしれませんが、そういうことの内容については、私は深くタッチをいたしておりませんので、いま坂村君の御意見をお読みになりましたが、必ずしも私はそれに同調いたすことは自分としてはでないのでありますが、いずれにいたしましても、国が学識経験者及びいろいろなお立場方々にこれから御意見を拝聴いたしまして、とにかく、日本の国の農作物の中心である、国民全体の食糧の中心である、また、その波及するところは日本経済全体にとって大きな影響を持ってくるのは米でございますからして、こういうことについて、現在の状況のもとに、どのようにいたすことが多数国民の意思に沿う方法であるかということについては、慎重に検討いたしたい、こういう態度でおるわけであります。
  12. 中村波男

    中村波男君 さらに、昨日、川野米審会長をはじめ、九人の中立委員が、政府申し入れを行なわれたようであります。その申し入れの要旨は、米価決定は、実質上、政府与党折衝で行なわれ、米審の機能は十分に発揮できなくなってきている。この際、米価審議会構成運営、さらには続けるべきか廃止すべきかの問題も含めて米価決定方法について根本から再検討すべき時期に来ている。政府のはっきりした態度を早急に表明してもらいたい。以上のような申し入れが昨日なされたのでありますが、これまた昨日の申し入れでありますから、大臣としてこの申し入れをどう受けて立ち、処理をしようかという案がまだまとまっておるとは私も思いませんけれども、このような意見が出たのでありますから、したがって、早晩——と申しましても、消費者米価諮問しなければならぬという時期的な関係からいいまして、三カ月も四カ月もほうっておくわけにはまいらない問題だと思うのでありますが、この意見についての大臣の御意見なり御所信を承っておきたいと思うのであります。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほどお答えいたしましたお答えといまの川野会長申し入れに対する答えと同じでありますが、したがって、政府がどのように態度決定するかということについては、たいへん重大な問題でありますので、さらに検討を続けてまいりたい。そして、政府としては、せっかく申し入れもあったのでありますけれども、これに対する態度は十分検討した上で答えたい。  このたび、米審が開かれる前後から、実に驚くべき数の投書が全国から私の家に来ております。これをだんだん拝見いたしますというと、一般農家方々、あるいは工場の労働者方々から、非常に丁寧に、しかも自分の長年の体験を生かした意見等もたくさんいただいております。私はこういうものを拝見いたしましたときに、ともすれば中央の生活をいたしておりまして選挙区の農村から離れておりまする私ども考えておりますことが上すべりをしておったのではないかというような反省すらときどき思うのでありまして、私は、この際、国民大多数の利益のために、また、その御期待に沿い得るような方法を、大ぜいの人々の御意見を徴してきめてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  14. 中村波男

    中村波男君 そこで、ことしは、米審から国会議員をはずそうという意見が、大臣をはじめ、農林省に多くあったと私たち承知をいたしておるのでありますが、その間のいきさつは省略をいたしまして、結局、国会議員学識経験者としてお選びになったのでありますが、国会議員米審に入れるにあたりまして、中立委員から昨年来猛烈な反対がありまして、国会議員米審に入れるならば中立委員は受諾をしないというような動きが表面に出ておった中にありまして、大臣は、また、農林省は、いろいろと最終的には説得をされまして、米価審議会が発足をいたしたのでありますが、その説得をされます場合に、来年から米審を改組する、中立委員意見を尊重する、政治加算などは廃止をする、こういうことが具体的に提示をされて、その説得に従って中立委員承諾をされたと新聞は報じておったのでありますが、まさか新聞もでたらめを書いたとは考えませんがゆえに、この間の事情をひとつ承っておきたいと、こう思うわけであります。
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いわゆる中立委員といわれる人々辞表を昨年出しまして、今年あらためて前の人たちにお願いをしようと思いましたら、お断わりがありました。私が会ってみましたところが、米審委員国会議員が参加するならば入らないと言った人は一人もありませんでした。昨年のようなああいうことになってしまうようなことでは意味がないから入らないということでありました。  そこで、私は、そういうことについてだれでも自分が気に入らないことを気に入るようにしてこなければ働かないというようなことでは国家というものは持っていかないのではないだろうか、みんなががまんし合ってその中に入って、そうしてこれを国民期待に沿う方向に持っていくというお骨折りを知識階級人々に願うべきではないか、やめてしまうということはだれにもできることであるが、それでは社会皆さん方期待しておる期待に沿うゆえんではないのではないかということで再考をお願いいたしまして、このたびもお受けを願った。でありますから、中立委員を称せられる人々は、このたびの米審においては、その意見とりまとめのために非常な努力を払ってくれた模様でございます。  でありますから、私は、そういう諸般事情等も勘案いたしまして、これから先、単に米審構成に限らず、社会からとかくの指弾を受ける政府政党との関係においていわゆる政治的にきめられるというような姿は好ましくない姿であると私は考えておりますので、そういう点については国民多数の経験者意見を聞いて、そうして素直な気持ちで、米価決定等については、国全体のこと、また、炎天に働いておられる農家人々に将来の再生産に励んでいただく気持ちを持っていただくためにはどういう方向でやったらいいのだろうかということをこの際すべてを白紙に戻して再検討いたしたいというのが私どもの情熱でございます。
  16. 中村波男

    中村波男君 それでは、新米価に対する具体的な内容について、いま少しお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、百五十キロ当たり一万九千五百二十一円、昨年より九・二%上がりまして千六百四十四円高くなったのでありますが、その高くなったという内容検討をしてまいりますと、米審に三通りの方式試算表が出され、諮問がなされておったのでありますが、指数化方式からいえば六百四十円、積み上げ計算方式からいえば、(その一)で千二百六十五円、(その二)でいえば八百七十六円、このように上がったのであります。その単価の出し方の内容でありますが、私たち新聞等々で見ました範囲においては、自作地の地代を正常売買価格基準にして算定をした、あるいは、資本利子は、諮問では五分五厘であったが、六分五厘に修正をし、間接労働範囲、いわゆる付帯労働時間というのを、諮問では一時間半でありましたが、二・六時間に見た。さらに、諮問にはなかったのでありますが、生産性向上のメリットの二分の一を農民に還元するという、こういう計算方式が取り入れられた。その結果として、いま私が申し上げましたように、諮問米価よりそれぞれ高くなったのでありますが、私は、ことしのみならず、従来の政府米価決定に大きな不信感を持ちますのは、米価審議会諮問をした額より、与党自民党が、悪いことばで言えば裏取引をいたしまして、そうして幾ばくかの加算を行なって、自民党努力をして、おれたちの力で米価が上がったんだと。だから、最初に申し上げましたように、米価審議会法律に基づいて開催をしなければならないから、開催はされるけれども米価決定権は、米価審議会にあるのではなしに自民党にあるというところに、政治米価として強く国民から批判を受ける原因理由があるというふうに思うのであります。したがって、米価審議会諮問をされる以上は、政府としてこれが最も正しい方法である、しかも、米価審議会で具体的に意見が出て、それをもとに政府修正をし、結果的に高くなるという、こういうものであるならば、国民も納得するでありましょうけれども、われわれが強く政府に迫ってまいりました生産費所得補償方式による米価算定、したがって、今回加えられた、たとえば付帯労働時間を二・六時間にふやしたけれども、これでも足りないと思う。総体的に価格の面では不満ではありますけれども、こういう方式を新しくつくったことについては私は高く評価をいたしますけれども、ただ、米価決定やり方がまことに不明朗であり、八百長の批判を世間が浴びせているのもそこに原因があるのではないかというふうに思うのであります。  まず、最初にお伺いしたいのは、こういうふうに修正をされました理論的な根拠なり理由なり、また、自民党との折衝の中でこれを認められたいきさつなりをこの機会に具体的にお聞きしておきたい、こう思うわけであります。
  17. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど私が申し上げましたことばの中に、いわゆる政治的米価といわれるような——私は、政治的米価ということばそれ自体はいろいろ解釈のしょうがあると思うのでありまして、そろばんはこう出てくる、しかし、政策的に考えて、生産意欲を高めていただくためには価格政策の面で米価についてもう少しかげんすべきだという考慮を払うことは、少しも悪いことではないと思います。これをあえて悪く言う政治米価ということばではないと思うのでございますが、ただ、たとえば米審答申があって、政府がそれを基準にして価格決定しようとするときに、いろいろな関係政党がそれに関与してこられる度合いというものはおのずから私は限界があると思いますが、ただいまの状態では、政府は一応の試算米審に出しましたけれども米審お答えがございませんでした。そこで、政府決定する場合に、与党である政務調査会と相談をいたした。その政調会において、いま御指摘のたとえば付帯労働等についてもいろいろこちらの考え方と先方の考え方との論議を戦わしました結果、なるほどそれでは二・六までこれは認めることが妥当であろう、こういうように一つ一つそういう結論に立ちまして政府決定をいたしたわけでございまして、私どもが一万九千五百二十一円になりました積み重ねの要素について申し上げることが必要でありましたならば、政府委員のほうから申し上げますが、趣旨はそういうことでございます。  今日、日本国会政党政治をやっております限りは、今日のような過程を一度は経過して、その間において十分に政策論議を戦わして、政府も、妥当であるという見解を持ちましたならば、それを尊重して政府案を修正するというようなことは、むしろ民主的な行動ではないか、こう理解しておるわけであります。
  18. 中村波男

    中村波男君 大臣、私が言いたいのは、政府自民党の上に成り立っておるのでありますから、自民党意見をお聞きになる、また、民主主義の原理からいいましても、多数決政治でありますから、自民党が過半数を両院に占めております段階においては、自民党意見が政治の上に大きく反映することは、当然であります。しかし、現実には、米価審議というのが、国会を無視し、軽視をし、自民党政府との間で最終的にきめられておるから、政治加算であり、党略米価だという批判が出てくるというふうに思うのであります。  さいぜんから何度も申し上げておりますように、全く米審というのは形式の場である、こういうことを考えてみましても、われわれが米価決定を前にいたしまして、参議院は一日も米価審議をいたしておらないのでありますから、したがって、国会という立場においてこの場で大臣出席を願ってわれわれの意見を聞いてもらいたいし、要求も出したかったけれども大臣が出られなかった理由が、政府のワクの中にあって調整その他で出られなかったのであるならば、まだ了解ができると思うのでありますが、問題は、自民党とどう話をつけるかということに全力が注がれ、また縛りつけられまして、国会に出られなかった。ここに大きな問題がひそんでおるというふうに思うのであります。  そういう意味におきまして、与党の皆さんにもお考えいただきたいのでありますが、少なくとも絶対多数を持っておるという自信の上に立って、国会でなぜもっと論議をされようとしないのか。そういう方向政府は持っていくべきだと私は考えるのでありますが、あえて同じようなことを御質問申し上げまするけれども、これらの点について、今回の米価決定の反省として大臣はどうお考えになっておるか、重ねて御質問をいたします。
  19. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまのお話の中に少し誤解があるように存じますのは、私どもと大蔵省とが最終的に意見が一致いたしたのは、十六日の午前一時かそこらであると存じます。どうしても意見の折り合わない点がたくさんございまして、したがって、なるほど夜中でありますから、ほかを使うことはできなくなりましたので、自由民主党の本部を使ってはおりましたけれども、最終的に財政当局とわれわれとの間になかなか意見が一致をいたさないものがございまして、非常に時間がかかりました。政党というのはその間に立ってむしろ調整をいたしておったようなことでありまして、私どもは財政当局としてそれぞれの立場でいろいろ主張される点もよく理解もできるのでありますが、農林側は農林側として主張をいたし、なかなか折り合いがつきませんでした。そのためにたいへん時間がおくれましたが、いま私に対してお話のございました米価決定するのは国会でというお話、これはもう国権の最高機関でありますから、国会において常にそういう問題が検討され論議されるのは当然なことでありますが、そういうことにつきましては、私はいま政府側におりますので、国会の御意思によってどのようにでも御決定になられるべきものではないか。政府国会でおきめになりました方針に従うのが普通ではないかと思いますが、決定やり方についてどうかと、こういうお尋ねでございますならば、ただいまのところは、いまのようなやり方が一番妥当である、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  20. 川村清一

    ○川村清一君 関連してちょっとお尋ねしたいと思うんですが、大臣のお考えになっておる基本的な考え方そのものにわれわれはなかなか了解ができない点があるわけであります。また、そういうようなお考え方が基本的にあるがゆえに、先週の金曜日、土曜日のようなああいう当委員会に対する軽視的な態度が行動としてとられたものであると、かように判断せざるを得ないわけであります。  私ども考えておりますのは、現在の制度のもとにおきましては、米審がありまして、米審答申を得て米価政府決定するものである、まあそういう制度でありますから、われわれは基本的にはそういった行き方に対して批判的であります。われわれは、御承知のように、米価国会審議を経て国会決定すべきものであるという考え方を持っておりますが、現在の制度はそういう制度でございますから、こういう制度を認めての上での考え方で私どもこれをやってきております。しかしながら、御承知のように、十三日の夜から十四日の明け方にかけまして徹宵で米審審議をやりましたけれども米審はついに答申ができないという決定になったわけでございます。  そこで、政府は、米審答申を得て米価決定するという段階を踏むわけにいかなくなりました。そこからが問題であります。私ども考え方は、米審答申を得られなかったその時点においては、当然政府は国権の最高機関である国会の意思を聞き、国会意見を聞き、国民の声を聞いて、そして的確な米価決定すべきである、こういう作業に入るべきであろうとわれわれはかたく信じております。しかるに、大臣は、そういう行き方に対しては、きわめて消極的というよりも、むしろ反対である。政党政治を行なっておる現在において、与党意見を聞いて決定するのが最も民主的な方法である、かような考え方でございます。もちろん、政党政治を否定するものではありません。否定しなければ、当然与党意見を聞くことはけっこうでございます。しかしながら、それは聞くだけでありまして、最終的な決定の大きな要素となるものは、やはり国会意見を聞いてやるべきである、私どもはかように断定せざるを得ないのであります。  こういう意味において、その時点に立って、私どもは、委員長を通じて、ぜひ大臣出席を得て委員会を開いてもらいたい、そして、答申が出なかった現段階においてどういうような米価決定するのかということについて十分審議し、国会意見を聞いてもらいたい、そういう場をつくってもらいたいということを要請したわけであります。野知委員長も、当然であるというようなことで、窓口になって、大臣出席を求めていろいろと努力をされたわけであります。しかしながら、大臣は、ついにその要求に応せられなかったのであります。この間、私ども理事会を数回開きまして、そして大臣がどうして来られないかという理由も、官房長を通じたりあるいは総務課長を通じましていろいろお話も承っておりましたが、どうもわれわれは納得できかねるような説明等もいろいろあったわけであります。特に十四日の金曜日の午後等になりましては、午前中のいろいろな大臣の模様をお聞きいたしましたが、とても大臣は忙しい、時間はとれない——忙しいことはこっちも百も承知でございます。答申が出なかった今日において、しかも一両日中に政府米価決定しなければならないとするなれば、大臣のからだは寸暇もないということは十分承知しております。しかしながら、基本的に、国会を重視する、国会意見を聞くということでありますならば、いかに忙しくても、一時間や一時間半の時間はとれないことはないだろう。われわれは、四時とか五時とか、そんな時間を限らぬ。六時でもいい、晩の八時でもいい、とにかく大臣の都合をつけて出てもらいたいということも強く要請したわけであります。しかしながら、ついに応ぜられなかった。私どもは、非民主的である、国会を軽視しておる、こういう行動に対しては断じて許すことはできないと、こういう考え方から、もう非常な憤りとなって、委員会がもめた、あるいはまた二日間休止した、こういう結果が生まれたのであります。  そこで、大臣がこういうような行動をとられたその根底には、いま答弁されておりますそういう考え方——そういう考え方はわれわれは了解できませんが、そういう考え方があるからこういう行動に出たのでありまして、したがって、結論的に申し上げますならば、冒頭、大臣からことばの上ではきわめて丁重な陳謝ということばでもって釈明されたわけでございます。しかしながら、それはことばだけであって、実際気持ちの上からそういうことになっておらないと思うわけであります。まず国会野党質問なんかいま聞いたってしょうがないじゃないか、あとは与党自民党と相談してきめればそれでいいんだと、こういうような考え方、もうきめてしまったら野党側がつべこべ言ったってそんなもの問題でない、こういうような考え方、こういうものがあるのじゃないか。そういう考え方があるならば、これは今後いろいろな行政的な措置において若干手直しされるかもしれませんけれども、根本的に国民が納得していくような形において米価決定をされるという、そういう道順が来年においても再来年においても絶対にできないのではないか、かように判断せざるを得ないのであります。したがって、そういう考え方を改めまして、大臣の言う民主的な考え方というのはわれわれは納得できません。民主的な行き方というのは、国会意見を積極的に聞いて、国会意見によって最後の判定を下していく、そうして米価をきめていく、こういう態度をとるべきではないかと、かように考えて、中村委員質問に関連して、私も理事の一人でありますので、いままでのいきさつも知っておりますから、そういうことで私の意見を申し上げたのでございますが、これに対しての大臣の御見解を率直に聞かしていただきたいと思うわけであります。
  21. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 過日の不出席のことにつきましては、先ほど申し上げましたのが私の本旨でございます。  そこで、野党のお立場を軽視するというふうな御意見がありましたけれども、私どもでもこれいつ何どき野党になるかわからないのでありまして、自分から自分を否定するわけにはいきません。国会は当然与野党があって形成しているわけでありますから、そんな気持ちを持っておったのでは、これは民主的な政治家ではないと思います。  そこで、国権の最高機関たる国会においては、常時、米価に限らず、国政の重要な問題についていつでも御討議が願えるわけでありますから、これからもそういう機会をつくっていただいて、そうして平素そういう問題について建設的な御意見を拝聴することができるような国会をわれわれは期待いたしておるわけであります。ただ、今回の米審答申が二年にわたってそういう結果になりましたこと等もあわせ考慮いたしまして、最初申し上げましたように、私どもは、どのようなやり方でやってまいったならば一番民主的であり、国民多数に納得してもらえるかという、そういうことについて深く掘り下げて検討いたしまして解決をいたしてまいりたいと、こう思っておりますので、これから国会でも済みましたならば十分検討いたしてみたいと思っております。
  22. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、きょうは、従来の行きがかりがあるから、理事の方とのやりとりを聞いておりましたが、実にやりとりを聞いておってふんまんにたえぬのは、先ほど理事も指摘されたように、ことばの上では陳謝されておる。しかしながら、私は大臣に聞きたいのですが、あなたは、国会は国権の最高機関だから、審議を尊重すると言われる。尊重すると言われるのなら、答申が不能になった段階で、国会が何とかして出てきてくれ、米価の問題について審議したいんだと言ったら、どんな事情があろうと、出てきて審議に応ずるというのがあなたのことばからしたら当然出てくる結論じゃないですか。それをやらないで、それをことさらに避けて、私はいままでの経過を裏の話まで聞いておりますが、ことさらに避けておいて、そうして、国権の最高機関だから、国会審議はそれはけっこうだ、いつでもやってください。米価の問題を審議するのに、いつでもやると言ったって、何の関係もないときにやるのがいいのか、あるいは、問題が焦点として浮かんでいるときに審議したのがいいのか、それはおのずから結論が出るでしょう。やっぱり問題が浮かび上がっておるときに審議するのが、一番審議としてはあるべき姿だし、そのことがまた一番いいのじゃないですか。したがって、答申が出なかった、出なかったからその段階で公正に米価をきめたんだという形をとる、その立場から踏まえても、やはり審議に応ずる、どんなことがあっても審議に応ずる。内部の調整というのは、あなた方自民党の内部の話し合いだ。そういうことをやっておるから、党利党略米価だと言われる。そういうことを言われないためにも、やはり国会審議に応ずるというのがあなたのとるべき態度だ。だから、あなたの言っておることは、腹の中で考えておることとまるで違うことを言っておるのです。そういうことでは、この国会をごまかして通ることはできませんよ。
  23. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいまのお話は、私としてははなはだ遺憾でありまして、私は国会を軽視しているような意思は毛頭ございませんし、ただ、御承知のように、大体十五日までにはさめようと。これは、翌日は日曜日であり、それからまた、いわゆる予約金を待っておる農家も多いのであるから、とにかく早くきめようと、こういうことでありますので、米審が二日も既定の日取りよりおくれておるわけでありますから、そこでひとつ急いでやらなくてはならない。米価審議会は、御存じのように、政府諮問機関でありますから、それの答申が出ない。そこで、政府は、米審の各委員方々がいろいろ参考になる御意見を吐露されておりますから、そういう御意向等も参酌をいたしまして、政府責任において決定をいたしたいと、そういうことのためにまず財政当局と調整に入ったのでありますが、これがなかなか手間をとりまして、そういうことで、ついに国会に伺うことができなかったことは、先ほど申し上げましたように、まことに遺憾なことでありますけれども、私のとってまいりましたことにつきましては、どうぞそういう事情でありますので、特段の御理解をいただきたいと思います。
  24. 中村波男

    中村波男君 関連してそれぞれ大臣態度考え方について質問が行なわれておるのでありますが、さいぜんの私の質問に対して、決して農林大臣自民党との調整で手間どったのではないのだ、十六日の午前一時にきまったが、財務当局すなわち大蔵省と農林省との話し合いに非常に時間がかかった、党は調整役に回ったんだと、こういうお話でありますが、私は全く詭弁だと思うのであります。農林省米価審議会諮問された米価、大蔵省の今回の米価決定に対するできるだけ押えようとする態度から言うならば、農林省と大蔵省でそんなに大きな意見の食い違いはあったのではないと思うのであります。問題は、自民党がいわゆる要求米価を出しまして、それをいかに調整するかに農林大臣が苦慮され、それがいわゆる政治力であったというふうに思うのであります。したがって、そういう言いわけではなしに、今後前向きで国会審議の場に乗せるという、こういう姿勢を強く要求をいたしまして、次の質問に入りたいと思うのであります。  とにもかくにも、昨年まで二カ年行なわれました指数化方式をことしは御破算にいたしまして、いわゆる生産費所得補償方式による積み上げ方式米価決定いたしました。このことは、われわれも望むところであります。しかしながら、聞くところによりますと、指数化方式農林省は断念したのではなしに、ことしの米価基準にして来年は指数化方式を出すんだという考えが相当強くあるというふうに承っておるのでありますが、その問題について明快な大臣の方針を承っておきたいと、こう思うわけであります。
  25. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、米審に対して政府農林省から提示いたしました三つの試算、このうちの第一は、指数化方式でやればこういうことになりますということを出しておりますが、政府立場としては、昭和三十九年産米を基準価格といたしました上に乗る指数化方式ということになりますと、これには必ずしもこだわるものではありませんと、こういうことを申しておったわけであります。つまり、基礎が三十九年でありますから、三年たてば検証をしなければならないということでございますので、昭和三十九年産米の上に基礎を置きました指数化方式には必ずしも拘泥するものではない。もう一つは、いわゆる積み上げ方式でやればこういう試算になりますと。どのような方法でやったらいいかということを御意見を承りたい、こういう諮問をいたしたわけでございます。  それから今年決定いたしました米価基準にして、明年はこの上で指数化方式をとるのであるということだがどうだというただいまお話のようでありますが、政府といたしましては、先ほど来私が申し上げておりますように、まず米全体の政策についてどういう姿勢で取り組むべきであるかということから、基本的な検討を掘り下げてやってまいりたい。その上に立ってやはり価格のこと等も自然に出てくる問題でございますが、そういう趣旨で掘り下げて検討をいたして態度をきめてまいりたいこう考えておるわけでありますから、いま、先のことについて、明年はどうしようというふうなことをまだ決定いたしておる段階ではありません。
  26. 中村波男

    中村波男君 大蔵大臣の御出席を要請申し上げまして、せっかくおいでをいただきましたので、さっそく御質問を申し上げたいと思うのでありますが、今回の生産者米価決定をめぐりまして、世間では、政治加算だという強い風当たりが政府与党に特に出ておるのでありますが、そういう風当たりの大きな理由といたしましては、生産者米価が上がったことによって配給米の値上げがぐんとエスカレーションするのではないかと、こういうおそれがあるからだと思うのであります。  そこで、新聞の伝えるところによりますと、水田大蔵大臣は、十六日の未明の記者会見で、「事情が変ったので、消費者米価の値上げ幅をさらに引上げることも検討する必要が出てきた。」と、このような発言をなされまして、暗に値上げをほのめかしておられるのでありますが、また、大蔵省として生産者米価引き上げ分だけ自動的に消費者米価引き上げる、すなわちスライド制の検討を始めたと、これまた新聞が伝えておるのでありますが、この問題について、この機会に大蔵大臣の明快な御見解、御所信を承っておきたい、こう思うわけであります。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま農林大臣がどうお答えしたか、打ち合わせがございませんので、よくわかりませんが、この問題はまだ政府間で全然いろいろ協議をしたこともございませんし、予算米価としては、御承知のように、昨年の産米、政府買い入れ米が逆ざやになることを防ぐという計算から、十月から値上げをするという方針で予算米価はきめておりますが、しかし、実際には、消費価格を幾ら上げるかというようなものは、政府間で関係各省が十分に相談して、最後は米価審議会諮問して決定される問題でございますので、政府としては、これから関係者で検討するという立場でございまして、現在まだ方針をきめてございません。
  28. 中村波男

    中村波男君 検討するということは、据え置くということも検討することでありましょうし、また、予算委員会等でわが党の木村政審会長から指摘をいたしましたように、本年度は自然増収が相当多額に出る見込みでありますから、それを財源にして消費者米価の据え置きをはかるべきだというのがわが党の要求であります。それも検討でありましょうけれども、しかし、記者会見にお述べになった時点また諸般の情勢から言いまして、検討をするということは、値上げを中心にお考えになっておるであろうし、また、国民はそのように受け取っておると思うのであります。なるほど、きのう、木村長官は、現段階では値上げする考えはない、こういうように述べられておるのでありますが、現段階では値上げする意思がなくとも、問題は十月一日から予算米価の値上げがきまっておるのでありますから、したがって、でき得るならば上がることは考えておらないという言明はこの機会にはできないのかどうか、その点だけはっきりお聞きしておきたいと思うわけであります。
  29. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 食管会計は、御承知のように、本年度の予算におきましても、さっき申しましたような十月から一四・四%値上げするということを見込んで千二百三十何億円という赤字がございますので、その赤字は一般会計で埋めるということにしたのが今度の予算でございます。もしこれが値上げされないとしますならば、二千五百億円をこす。さらに、本年度の新産米買い上げによって赤字は八百五十億から九百億に及ぶということになりますと、何にもしない場合は、食管会計が三千数百億の赤字になるということでございますので、これをどうするかということはこれからの問題でございます。これを全部消費者に負わせるということになりましたら、米価は相当の値上げをしなければなりませんし、これは国民の家計の問題とも関係いたしますし、また、物価政策とも関係いたしますし、一方、財政的にこれをどうするかの必要等を勘案しまして、これは合理的に今後対策を立てるべき問題かと思っておりますので、いま、この場合、これを幾らにするつもりかどうかということを聞かれましても、これから私どもあほうで考える問題だとお答えするよりしかたがございません。
  30. 中村波男

    中村波男君 この時点においてこれ以上のお答えをいただくことは無理だと私も思いますので、あえてこれ以上申し上げません。  そこで、大蔵大臣に頭に置いていただきたいと思いますのは、五月三十一日の参議院の大蔵委員会で、宮澤経済企画庁長官の答弁のあとに、生産者米価が上がっても、消費者米価の上げ幅は一四・四%をこえることはないであろうという趣旨の御答弁がなされておったのであります。したがって、あえて私が推測をするならば、これだけ——われわれは不満でありますが、生産者米価が上がるということを予期しておられなかった、だから一四・四%をこえることはないであろう、こういう答弁がなされたのでないかと思うのでありますが、このときのお考えと今日のお考えとでは、いま私が重ねて御質問をいたしましたことについて言明を避けていらっしゃるのでありますので、大体われわれも推測がつくのでありますが、しかし、三カ月も四カ月も前におっしゃったことではないのでありますから、大臣国会における答弁責任を持つという立場からも、この時点における答弁はどういう意味合いがあるのか、お聞きをしておきたいと思うわけであります。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、消費者価格の値上げの決定はやはり生産者米価決定を待ってからきめるのが順序であるというふうに考えておりましたので、いまおっしゃられたようなことをほんとうは言うはずはないのでございますが、いま聞きましたら、そういう答えをしているということでございますが、当時としては、いま言ったように、そういう順序であるというふうに考え、しかもその場合に生産者米価の値上げがその割りでなかったというようなときには、昨年のやり方を見ますというと、新しい米についての赤字は消費価格に織り込まないでやるというようなこともやっておりますし、また、そのときの財政状況によっていろいろやり方があろうと思いますので、そこらを考えて本年度の消費者米価はきめたいと思っておりましたから、私はほんとうに実はどうこうあれはなかったのですが、そう言ったとしますと、当時はそういうふうに考えて、財政との考えによってなるたけこれを最高限にする措置をとりたいというふうに考えて申したのではないかと思っております。
  32. 中村波男

    中村波男君 私も新聞等で御質問申し上げたのではないのでありまして、大蔵委員会の議事録を読みまして、大体私が申し上げましたような趣旨を宮澤さん、水田さん御両人が答弁としておっしゃっておるのでありまして、一度お調べをいただきまして、その答弁にこたえるような方向消費者米価の値上げは絶対やめてもらいたい、このことを強く要請いたしまして、せっかくの機会でありますから、もう一点だけ御質問いたしまして質問を終わりたいと思うのであります。  本年度の経済見通しは、年度中の消費者物価の値上がり幅を四・五%と政府は見ておられるのであります。実際には、東京都をはじめとする地方公営交通の値上げ、あるいは、バス、タクシー、航空運賃、牛乳、家賃、理髪、パーマ、授業料などのいわゆるさみだれ値上げが相当行なわれておりますし、また、出ようといたしております。さらに、春闘等における賃金の上昇等もありまして、中小企業やサービス業等による国民大衆の日常生活に最もつながりの深い食品やサービスの値上げが強く動いてきております等々の観点から、ことしの経済見通しを考えてまいります場合に、政府の消費者物価値上がり四・五%と見ておられるのは、このように動くかどうか、私はとても四・五%ではおさまらないような気がいたしますがゆえに、大蔵大臣にせっかくおいでをいただきましたので、その見通しについて御答弁をいただきたい、こう思うわけであります。
  33. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 日本の物価の上昇を見ますというと、過去十年間、平均六%以上上がっておりますが、その六%以上上がっておったのが、四十一年になって五%ちょっと切るということは、これはなかなか大きい変化でございまして、この変化は、結局、過去十年間、生産性の低い部門に対する投資が相当多く行なわれておりますので、その効果がそろそろ出てきたということを意味するものだろうというふうに私は解釈しております、したがって、そういう意味で見ますというと、今年度さらに中小企業につきましても、農業につきましても、近代化投資が相当強く行なわれておりますので、その状況から見ますと、一ぺん五%に落ちた物価は今年度はもう少し下がるという傾向にあるだろうということが当初の政府の見方でございましたが、いまのところまだこれをつくがえすようないろいろな変化が出ていないと思います。特にことしの四月あたりの物価を私どもは一番値上がり要因を持った月でございますので注意いたしましたが、これがそう思ったほどの変化を示されなかったというようなことから、全体としてまだあるいはその点に落ちつく可能性は本年度あるというふうに考えております。
  34. 中村波男

    中村波男君 私の割り当て時間がすでに経過しておりますので、もう一度だけ御質問をいたしまして終わりたいと思うのでありますが、これは今後の米価問題に対する基本的な態度でなければならぬという立場で申し上げるのでありますが、米価審議米価のワク内だけで論議をいたしますと、財界に代表されますように、準内地米と比較して政府の買い入れ米価は約二倍もするという、こういう高過ぎるという議論が出てくると思うのであります。しかし、一方、生産者農民が、このような農業政策の中では、ますます地域格差、所得格差が出てまいりまして、いわゆる低米価である、これでは再生産はできないと、こういう強い不満が今日の米価闘争となって現われてきておると思うのであります。したがって、私は時間もありませんから、はしょって申し上げまするけれども、国際価格に照らして高米価であるけれども生産農民にとっては低米価である、ここに問題の根本的な解決をしなければならないものがあるというふうに思うのであります。米価問題を議論いたしますには、基本的には価格政策は構造政策での過程でなければならぬ、このように考えますがゆえに、今日こういう状態になりまして食糧の自給度がますます低下を来たしておるという総合的な食糧対策の見地からも、政府として与党として考えてもらわなければなりませんのは、戦争中はもちろん、戦後、食糧の不足いたしましたときには、全く低米価で、強権をもって供出をさせてきた、いわゆる農民収奪の農業政策の中からこのような矛盾が出てきておると思うのであります。したがいまして、今日これを解決いたしまするためにはどうあるべきかということについて、農業近代化を目ざす抜本的構造対策の確立以外には解決の方法がない。それには、思い切った財政投融資を行なって、構造改善を格段と進める以外には米価問題の根本的な解決はないのではないか、このように考えております。  また機会を見ていろいろ意見を申し上げ、政府態度、方針をお聞きしたいのでありますが、基本的にいま私が申し上げましたことに対して、財政を握っておられる大蔵大臣、農林行政の責任者である農林大臣からそれぞれ御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、お説のとおりだと思います。で、農業基盤整備のための金、農業の構造改善のための金というものをもっと農業につぎ込まなければならぬ。この効果が出てこない間はある程度価格政策をもって対処しなければいけないというふうに思っておりますので、根本的には、農業生産のコストを下げる構造改善の仕事をすべきだ、それに対してもっと国の資金を投入しなければならぬというふうに思うのですが、農業政策に口を出しちゃ悪いのですが、一定の金をつぎ込む場合には、その金が有効になる軌道というものがしかれていなければこの金は有効にならない。そういうことを考えますというと、農業に金をつぎ込む場合に、いまの土地制度あり方はこれでいいかどうか、いろいろまだそこに考えるべき前提問題が加わっておるのではないかというふうにも考えますので、こういう問題の合理的な解決とともに農業への資金投入というものが行なわれるなら、農業コストはもっと下がるというふうに私は考えております。
  36. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お説のように、私どもも、価格政策だけでなくて、生産政策、構造政策に取り組まなければその成果はあがらないことは、そのとおりであります。したがって、政府部内におきましては、財政当局とも十分に相談をいたしまして、いま申し上げましたような方向で施策を進めてまいりたいと思っております。
  37. 北條雋八

    北條雋八君 時間がだいぶ食い込まれましたが、先ほど大臣釈明に対して社会党中村委員が種々御指摘をされました、特にその中で国会軽視の点につきましては、私といたしましても、はなはだ不満慨嘆にたえないのでありまして、先週末の委員会要求に対する農林大臣態度は、全く遺憾でございます。こまかいことは省きますけれども国会の詮議機関であります当農林水産委員会が、国民にとって最も大事な米価決定する前に一回も米価について審議をすることができない。しかも、その理由は、釈明によりましても、もっぱら農林大臣政府与党内の折衝に当たらなければならないからというのでは、まことに本末転倒していやしないかというふうに思われるわけでございまして、公明党といたしましても、この点はさらに指摘をしまして、農林大臣の猛省を促したいと思います。時間がございませんから、これに対する大臣お答えは、次の質問と同時にお答えいただきましょう。  次に伺いたいのは、諮問案として、指数化方式と、それから積み上げ方式の二通りがありますので、都合三方式諮問案として出されたわけでありますけれども大臣とされて、このうちどれが一番望ましいと考えられておるのか、その点をお伺いいたします。
  38. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その前に、先週不出席のことにつきましては、先ほど申し上げましたのが私の本心ございますので、この点はひとつ御了承願いたいと存じます。  それからお尋ねの諮問案に指数化と積み上げ方式を並列して諮問いたしましたが、指数化方式につきましては、先ほど申し上げましたように、三十九年度の基準米価を基礎にいたしておりますので、これは指数化方式には必ずしもこだわるものではありません、こう申しておるわけでありますが、指数化は、御承知のように、米価算定を安定させるという意味ではかなり効果があるものであると存じております。しかし、政策的に考えましていろいろな状況を勘案して決定しようという場合に、積み上げというのも一つの考え方であろう、こう理解しております。
  39. 北條雋八

    北條雋八君 この積み上げ方式は使われました各費目のうちで、一が付帯労働時間、二が資本利子の利率、三が地代、四が生産性向上のメリット還元というようなことで、四番目の生産性向上のメリット還元は当初の政府の案ではなかったようでありますが、この四つの費目につきまして、政府案ではこうではあったが、今度の最終段階の積み上げ方式ではこういうように変化した、それがために各費目について幾らに単価が上がったのかということを、これは政府委員でけっこうですが、簡単に御説明を願いたいと思います。
  40. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 米価審議会諮問をいたしました積み上げ計算方式につきましては、二通りの試算を出しておるわけでございますが、従来の米価審議会の御審議を通じまして政府が三十九年産米の価格決定いたしますまでの間に採用いたしておりました積み上げ計算方式の各要素の取り方に基づいて計算いたしました試算と、それからその中で若干の要素について新たな考え方を織り込みましたものを試算第二ということでお示しをいたしたのでございます。  そこで、ただいまのお尋ねは、政府が最終的に決定をいたしました米価算定基礎の内訳の数字と、それから政府米価審議会諮問案として提出いたしました試算の第二番目の数字との差額を内容的に御説明をすれば御質問の趣旨に合致するのじゃないかと思いますので、そういう順序で御説明いたしたいと思います。  政府米価審議会提出をいたしました試算の第二の合計額は一万八千六百四十五円でございまして、この金額は、三十九年産米を決定いたしまする際の積み上げ計算方式のほかに、新たに付帯労働として、農家が最近は共同作業を非常にやっておるということから、共同作業の打ち合わせに要する時間、並びに農家が簿記をつける習慣が非常に普及しているということから、簿記をつける時間等を農林省の統計調査部で補完的に調査をいたしました結果の時間を採用いたしまして、一・五時間という時間を織り込んで試算を出したのでございます。  それから修正点の第二点は、従来の米価算定の基礎になっております地代評価は、小作地につきましては、小作料として実際に払われた金額が入っており、自作地につきましては、自作地の近傍にある小作地の小作料というものを基礎にとっておったのでございますが、現在織り込んでおりまする地代部分の評価が最近の経済実勢には必ずしも合わないということを考えまして、新たに土地資本利子としてこれを評価するという考え方を導入をいたして試算そしてお示しをし、その結果、合計額一万八千六百四十五円ということでお示しをいたしたのでございます。  最終の決定米価は一万九千五百二十一円でございまするので、その差額について、これから順を追うて御説明いたしまするが、米価審議会の会議を通じまして、結果的には答申がいただけなかったのでございまするが、いまの付帯労働につきましては、いま私が申しました共同作業の打ち合わせに要する時間並びに簿記記帳に要する時間合計一・五時間のほかに、さらに研修会、講習会に出席をしておる時間並びに資金調達に要する時間の中で特に米の負担をすべき部分というものが、ただいま申しました統計調査部の補完調査の結果、さらに……
  41. 北條雋八

    北條雋八君 時間がありませんから、こまかいことはまたあとで伺いますから……。
  42. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 簡単に願います。
  43. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) それでは簡単に申し上げます。数字だけ申し上げます。  付帯労働政府案に対してさらに八十八円プラスいたしました。それから自己資本利子を五分五厘から五分六厘にすることによりまして九円プラスをいたしました。それから地代の評価を、自作地の地代につきましても実納小作料水準をとるということによりまして五百二十九円追加をいたしました。それから生産性向上のメリットのうち半分を農家に還元するということに伴いまして二百十九円加算をいたしました。それから従来基本米価のワクの中に入っておりましたモチ米加算金をワクの外に出しますことによって二十八円プラスいたしまして、合わせて一万九千五百十七円という数字を出しまして、これを実際の価格を告示いたしまする際には一俵当たりの価格にして、円以下の単位が出ないために端数を整理することによりまして一万九千五百二十一円という数字を算出いたした次第でございます。
  44. 北條雋八

    北條雋八君 いま説明していただきました各費目のほかに、新聞で見ますと、農薬の危険手当について加算をするような話が出ておりましたが、これは別途に処理する、農薬の危険手当を米価に入れるのはまずいので、来年度から予算措置を講ずるというふうに新聞には出ておりましたが、その点については、大臣に伺いたいのですが、どういう措置をとられましたか。
  45. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、米価算定の場合の家族労働者の評価額の考え方は、労働の質や態様の違いには立ち入らないで、稲作労働全体として他産業における平均的な賃金を計算の場合に置きかえる、こういうことでございますので、私ども農家方々が農薬等によるいろいろな被害のことも考慮いたしまして、これも何とかすべきではないかという御意見もございましたけれども、いま申しましたような労働費の計算から申しますというと、恒常的にそこに算入すべきものではないということで除外いたしたわけであります。しかしながら、農薬等のことにつきましては、別途にさらにどのようにしてお世話をすることができるかというふうなことを検討しようと、こういうことで、具体的にまだきまったわけではありません。
  46. 北條雋八

    北條雋八君 とかく積み上げ方式というのはいろいろな理由ができるわけでありますが、農薬の被害といえば、何も稲作だけに限ったわけじゃないのであります。こういう点はとくとお考え願いまして、他に畑作農家もたくさんおるわけでございますから、そういうものとの均衡も考えてやっていただきたいというふうに思います。  時間がございませんから、こまかい点は略しまして、最後に、米は、何といってもわが国農業の最も貴重な生産物であり、しかも国民食糧として最も重要な地位を占める農産物でありまして、したがって、需給に見合ってその生産が確保されなければならないということは、申し上げるまでもないことであります。一方、労働賃は毎年相当の率で上昇しておりますから、米価もこれに見合って農家の所得を確保するように定められなければ、生産意欲を失ってしまいまして、生産の減少を来たすおそれがあるのであります。最近五カ年間の水田面積の推移を見ましても、西日本の減少を北海道あるいは東北また北関東の開田でようやく補っているといったような状態でありまして、また、一方、世界の米の需給見通しを見ましても、決して楽観はできない状態であります。  わが公明党は、かかる見地に立ちまして、この際は、積み上げ方式によって農民の所得が少しでもよくなり、他産業におくれないように、地代、労働時間、賃金の評価、資本利子等について、従来の行き方にとらわれることなく、合理的な算定ルールを確立することが大事なことだと思います。また、それと同時に考えなければならないことは、米価の根本を支配する農業構造改善政策というものを強力に推し進めて、農業の近代化を一刻も早く達成することが米価問題を根本的に解決するかぎだと思うのであります。いまこそ米価問題を大所高所からの見地に立ちまして大胆に処理すべきときであると痛感するのでありますが、この点につきまして大臣の確信ある御所見を伺って、私の質問を終わります。
  47. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御高説、全く同感でございまして、先ほど大蔵大臣も同じことを申しておりましたが、価格政策と、もう一つは生産対策でございます。したがって、両々相まってはじめて日本の農政は完備するわけでありますから、ただいまお話しのような方向に力を入れてまいりたい、こう思っております。
  48. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件については、この程度にとどめます。暫時休憩いたします。   午後一時三十五分休憩      ——————————   午後三時四十四分開会
  49. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  漁業協同組合合併助成法案漁業災害補償法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  両案について質疑のある方は、順次御発言願います。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間が非常に少なくなりましてまことに残念なんですけれども、この二つの法案について、このあいだ、私は、午前中一時間四十分くらい、午後一時間四十分くらい質問したのですけれども、ちょうど大臣もいらっしゃらないし、政務次官もいらっしゃらなかった。政務次官は大水害のためにいらっしゃらなかった、大臣米価のためにいらっしゃらなかったというわけですね。承知の上で三時間余やったのですけれども、おいでにならなかった。さらに、この二つの法案が出ておったのですけれども、三十分くらいしか大臣はこの二つの法案について出ておらなかったわけです。最後にいろいろ伺わなければならぬ点がたくさんあるわけですが、時間がありませんので、それぞれの法案について一つずつお伺いしたいわけであります。  農林省は、今度、農林水産委員会には九つ法案を出してきておる。水産庁が四つ出してある。その中で、中小漁業振興特別措置法、これも非常に問題がありました。ですから、大臣の意思をはっきりさせるひまがなくて上がったように私は思います。漁災についても、非常に問題があると思う。ですから、漁災法あるいは漁協合併法につきまして、この法案を出すにあたっての大臣気持ちというものを伺いたいわけです。それからこの二つは非常に大きな問題をはらんでおるから、これからの行政庁の長としての考え方を伺いたいのです。時間がありますと詳細に伺いたいのでありますけれども、非常に少ないですから、その二つを伺いたいわけであります。こう言いましても、どうも親切味を欠きますから、中身を若干説明して、大臣の法案を出した気持ちと、これからの実施にあたっての考え方をお尋ねします。  漁災法は、御承知のように、三十二年から三十九年まで試験的に実施をいたしました。七年間たって三十九年に漁災法ができて、それで二年ばかり実施をして、十年という年月を踏んで、ここで国の保険を行なって、本格的に漁災法が発足をするということになるのでありますけれども、どれをとってみましても問題が多い。たとえて言いますと、いまの状況というのは、漁済の体をなしていないのですね。お互いに共済で危険を分散するというような体制にほとんどなっていない。たとえば漁獲共済のごときは、共済の中心である十トン未満の漁船漁家の加入というのはわずかに二%、それで危険を分散するといったって、ぼくは体をなさないと思う。漁具共済にしましても、これまた体をなしていないわけであります。そういう状況の中で、国が保険をして本格的に共済が発足しようというわけなんであります。さらに、この経緯を見てみますというと、試験期間が七年あったのです。試験的実施期間が七年あったのですが、そうして三十九年の十月から法律によりまして漁災法を発足するわけでありますけれども、突如として養殖共済が入ったわけでありますね。試験的な共済もやらないで、突如として養殖共済が入ってくるこの経緯がよくわからない。そして、入ったところが、とにかく三十九年の十月に発足すると同時に、非常に殺到している、養殖共済は。非常な勢いで殺到したわけです。三分の一というものがたちまち入っちゃう。そして、御承知のとおり、三十九年は平年作といわれたのだが、損害率は百五十何%、百七十何%かな、ごっそり赤字になっちゃうんですね。そして、今度は、漁具共済は、七年という試験期間を経て、さらに二年半という法律に基づいた漁済をやってきて、十年という年月があるにかかわらず、今回は国の保険からはずしてしまう。どうも納得いかない。どういう関係でそういうふうになるのか、私には納得がいかない。さらに、この漁済について、どうも奇妙な点が多いですね。ですから、これは、科学的に動いていかなければならぬ行政官庁というものと、漁済は漁済としての動きがある。漁済連というものが動くと思うんですよ、漁協というものも動くでしょうが。その間にあって公正な判断をしていかなければならぬと思うのです。十分公正な判断をしなければならないし、また、積極的な努力をしなければならぬと思うんだけれども、どうもその点については行政官庁は著しく消極的である。そして、こういう法案が出てきた。ですから、そういう中で加入率も非常に低いですよ。付保率も著しく低い。名義的な加入が非常に多い。こういう判断をいたしますと、漁済の今後の運営というものは非常に大きな問題があると私は思う。また、この法律案を出すについても、大臣はこういった面を判断されて出されたのだと思うんですが、どういうお考えで出されたのか。非常に困難な漁済の今後の運営についてどういう考え方を持っておられるのか、それをまずお伺いをいたします。  次の二番目の問題は、これは整促法によりまして不振漁協というものの解消をはかるということでやってきたわけですね。やってきたわけですが、本年で終わるわけです。ところが、漁協の不振というのは、全体として見ますというと、整促法を実行した前よりも深刻になっているです。四分の一の組合というものが赤字です。そして、漁協の職員ですね、一人もいないという漁協が一割というんです。一人とか二人しかいない漁協というのが三割あるという。だから、四割の漁協は、全然職員がいないか、一人か二人しか職員がいないというのが実情なんです。そして、四分の一の漁協というものが赤字だという。その赤字の状況というのは、整促法が始まる六年前よりもっと深刻になってきている。そして、漁業者の合併についての賛成というのはわずかに一七%です。これは、水産庁から委嘱されて総理府がやった世論調査によると、一七%しか賛成者がない。漁連なり県等においては非常に熱心なんですが、漁民の場合においては一七%しか賛成がないという状況ですね。六〇%以上の賛成をとらなければならぬことになっているわけですが、一七%しか漁民は賛成がない。さらに、今度の漁協の合併につきましては、共同漁業権を基礎にした漁協というものを、経済中心の漁協に切りかえるという、沿岸漁協の一つの新しいタイプをつくり上げようという大きなねらいを持っているわけなんです。そういう状況の中で、この合併促進法ができた。四年の期限だというんです。先ほど申し上げたような漁協の状況の中で四年だというんです。農協の合併促進法は、御承知のとおりなんです。五年でやった。しかし、足りなくなって、三年延長して八年にいまなっておるのです。四年という短い間でやりたいというその気持ちは十分わかります。わかりますが、先ほど申し上げたような状況の中でこれをやるには非常な困難が伴う。しかも、この助成というのは、非常に少ないんです。農協の合併と全く同じ三十万程度です。一漁協で十万円、三つを合わせて一つにすると三十万円。こういう大きな問題にあたってこの法案を出されるのには、相当の決意をして出しておられるに違いない、これからの運営にあたっても、非常な決意をもってやっておられるに違いないと私は推測するのです。  いま申し上げました二つの問題について、大臣考え方なりをお尋ねします。
  51. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) まず第一の漁済のほうでありますが、漁済は、これはなるべく完備したものが行なわれることが漁民の利益になることは当然のことであります。そこで、試験実施をやってまいりましたが、その間におきましては、やはりああいう制度が不備であった関係もありまして、この漁済を十分に理解される度合いが薄かったのでしょうし、それからまた、業種によっては参加率が非常に少なく、そういうようなことで、お互いに保険でありますからして、掛け金が少なくて大ぜいの人に均てんしてこそ、はじめて保険あるいは共済というものがうまくいくものでありますが、加入に魅力がないような制度ではこれはうまくいくはずはありません。そこで、試験実施を長年やってみた結果、この辺で踏み切って、そうして先ほどもちょっとお話しの養殖等にも呼びかける。これは頭数が多いわけであります。そこで、まずこれならばだいじょうぶと、こういうふうに思ってみんなが参加してもらうためには、やはり制度を整えなければいけない。まあ鶏が先か卵が先かみたいな議論でありますけれども、やはりまずもってそういうことで呼びかけるということが必要である。元来が、こういう事業につきましては、まあ農協関係でもそうですけれども、でき得べくんば数多くの者がこういう制度に参加して、お互いに社会連帯責任のような気持ちで分けあって、相互に援助し合うというたてまえが必要ではないか、これはぜひやりたい、こういうことで踏み切ったわけであります。  それからいまの合併でございますが、これはこの前も政府委員の側からつぶさにその趣旨を御説明申し上げましたが、なるほど、いまお話しのように、小さな助成——最近は町村合併がしきりに行なわれておりますが、その結果、取り残された一部の、前はそこに一つの漁協が生活しておりましたけれども、そういうものがやはりその漁港を中心に事務所を設け、その規模を拡大していくのでなければ、なおその漁協の使命を果たすことができませんからして、やはりこれは政府もできるだけ力を入れてこの漁協が成立してまいるようにつとめなければならない。これは、農協等と同じように、経済的に立ち行くような単位を早く仕上げることが必要であると思います。そういう意味で合併に踏み切ってまいった、こういうことでございます。  両方とも、やっぱり趣旨として私どもはこの趣旨が成功するように、最善の努力をいたしたいと、こう思っております。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣ね、水産庁は四つの法案、林野庁は三つですね、それに果樹——農林経済、それから畜産の加工原料乳等、九つの法案が農水に出ているわけですよ。九つの中で、水産庁は四つ法案を出している。そういう中で、いま大臣答弁になったように、漁災法についての大臣気持ち、それから漁協合併についての大臣気持ちについて、私ははなはだしく不足なものを感ずるわけです。ですから、もう少し大臣出席のところである程度詳細にわたって論議をすれば、あるいは大臣もまたほんとうの気持ちが、私が不足に思っておる点が出るかもしれませんが、時間がありませんのでこれで終わらざるを得ないんですが、私が不満に思いますのは、漁災法の問題にいたしましても、漁協の合併の問題にいたしましても、その法案を出すにあたって、九つしかないんですから、ついてはもう少し大臣としての見解があってしかるべきじゃないか。私どもがこの二つの法案についていろいろ不満に思い、不安に感じ、非常に足りないんじゃないかとか、今後非常に大きな困難をかかえていくのじゃないかというような点を感じているわけなんですから、そういう点についておそらく大臣も同じような感じを持たれたろうと思うのですけれども、あるいはそこまで至らないうちに法案が出たのかもしれませんけれども、ですが、足りない点を感じますけれども委員長のほうからは、四時前には上げるようにせいというきびしい話もありましたので、遺憾ながらこれで終わらざるを得ないんですが、まだ法案が残っておりますから、これ以外の法案で、加工原料乳の問題にいたしましても、森林法の問題にいたしましても、ぜひ大臣にもう少し出席してもらって詳細に論議をしたいと思います。  きょうは、この問題については、これで終わります。
  53. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ほかに御発言もなければ、両案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  これより漁業協同組合合併助成法案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。漁業協同組合合併助成法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。漁業災害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますので、これを許します。川村君。
  59. 川村清一

    ○川村清一君 ただいま可決されました漁業災害補償法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党、三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。
  60. 野知浩之

    委員長野知浩之君) おはかりいたします。  川村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  62. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、政府におきましても、その趣旨を十分尊重いたしまして、それの実現に努力いたす所存でございます。
  63. 野知浩之

    委員長野知浩之君) なお、ただいま可決すべきものと決定いたしました両法案について、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。  これにて暫時休憩いたします。    午後四時六分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      ——————————