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1967-06-29 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————    委員の異動  六月二十八日     辞任         補欠選任      横川 正市君     村田 秀三君  六月二十九日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     津島 文治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 津島 文治君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農政局長  森本  修君        食糧庁長官    大口 駿一君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農政局参        事官       加賀山国雄君        食糧庁総務部参        事官       小暮 光美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (麦価問題に関する件)  (農業協同組合運営等に関する件)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査として、麦価問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 中村波男

    中村波男君 昨晩、米審麦価等に関する答申も終わりました。政府としては、めでたしめでたしかもしれませんが、われわれとしては、予期しておったとはいいながら、大きな失望を持っておるのでありますが、そこで、きょうは、麦価と麦の生産対策について若干の質問を申し上げたいと考えております。  まず、最初に、政府は、大麦裸麦転換奨励金といたしまして昭和三十六年度予算で三十億円を計上いたしまして、小麦飼料作物、なたね、てん菜等へ十二万町歩にわたる転換を積極的にはかるという政策を打ち出したのでありますが、結果的には、大・裸麦作付は予期以上に減少をいたしましたけれども、それが転換に結びつかずに、私はこの政策は全く失敗をいたしたと断定せざるを得ないと思うのであります。しかしながら、わが国の米を中心にいたします食糧事情等から、昨年から、また麦の増産対策というのを大きく政策の中で出しまして、昨年二億五千万の予算を計上して四つのいわゆる麦の生産対策を行なってきており、ことしもこれを踏襲いたしておるのであります。  したがいまして、まず、最初に、大臣から、麦の需給並びに生産対策についての政府基本的な態度を伺いまして、それから具体的な価格生産問題等について質問に移ってまいりたいと、こう考えておるのであります。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 昨今の麦の作付反別減少が、基本的にはやっぱり経営面における麦作地位従属性と申しますか、それから経営零細性、それから麦作技術低位等によりまして、麦作収益性生産性が低いということに基因しているのではないかと考えるわけでありますので、私どもといたしましては、優良品種の導入、それからまた、土地基盤の整備、あるいはまた、土壌改良などと施肥改善等技術改善によって、一貫した機械化と表・裏作を通じて生産組織の育成による作付規模の増大、こういうことをはかってまいりたいわけでありますが、御存じのように、日本麦作の中には、いま申しましたように、非常な零細性もその特質でありますし、麦の間々に桑を植えたりイモを植えたりいたしておるような面が非常に多いのでございまして、したがって、これを近付化して機械化をいたしまして生産性をあげるというようなことに非常な困難性を感じておるわけであります。  したがって、私どもといたしましては、麦作維持拡大をはかりますためには、やはりどうしても近代化して生産性をあげるということが必要であると存じます。そういう方向で、昨年も予備費で二億五千万、また本年も大体同額、こういう方向に対して支出をいたし改善努力をいたしておるわけでありますが、基本的な考え方といたしましては、なかなか困難でありますけれども、やはりいま申し上げましたような近代化をはかってその生産維持拡大するように努力をいたしたいと、こう思っておるわけでございます。
  5. 中村波男

    中村波男君 政府統計等によりましても、三十五年に四百三十九万戸の麦の生産農家がいたのでありますが、それ以来毎年毎年戸数において生産反別において減少いたしておりまして、特に特徴的に考えなければならぬのは、その減少率水田裏作としての麦作に大きな減少を来たし、畑作はそれに比べれば少なかったのでありますが、最近畑作においてもその減少率が高くなってきたと、こういうことが特徴的に考えなければならない点ではないかというふうに思うわけであります。  したがって、この機会に、大麦小麦裸麦等作付減少の実態について、農政局長からでけっこうでありますが、御報告をいただき、また、いま私のあげましたその他の特徴なりあるいは政府として問題にされておるようなものがあるならば明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  6. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまの御質問でございますが、戦後の麦の最高面積は、昭和二十五年に百七十八万町歩でございます。これが漸次減少いたしまして、ことしの五月十五日のことしの作付予想でございますが、大体七十一万町歩というそういうことでございます。その中の三麦別減少割合でございますが、減少割合といたしましては、小麦が一番多いようなパーセンテージとなってまいりますけれども、やはり絶対的面積といたしましては小麦はなおことしの産麦で三十五万町歩ほど残っておりまして、それから大・裸麦をあわせましてやはりそのくらいの面積確保いたしております。ただ、御承知のように、小麦に比べまして大・裸麦のほうの減少率が激しいと、そういうわけでございます。ただその中で二条大麦だけが若干横ばいということで、本年大体十一万町歩ぐらいでございますが、これだけは昨年に比べまして、約一千町歩の増と、そういうふうなことになっております。  先ほどから申し上げておりますように、トータルといたしまして、昭和二十五年の百七十八万町歩から、本年の作付予想と申しますか、四十二年産麦になりますけれども、これは大体七十一万町歩、そういう次第でございます。
  7. 中村波男

    中村波男君 ただいまの説明で概括はわかるわけでありますが、この機会お尋ねしておきたいと思っておりますのは、二条大麦すなわちビール麦横ばいである、年によっては多少ふえると、これはどういうわけでビール麦だけが減らないのかということについては、契約栽培ということもあると思いますし、他の麦に比べて生産性が高い、率直な言い方をすれば収益があがるということではないかと思うわけであります。したがって、ビール麦収益性について、具体的に一反どれくらい利益があってどうなっているか、こういう点を御調査になっておると思いますので、ひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  8. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) これはただいまの御質問に正面から答えているかどうかちょっと問題でございますけれども、われわれは、収益性が高いかどうかということを判断いたします場合に、一日当たり労働報酬ということで比較しておりますので、ちょっとその実数を申し上げましてお答といたします。  農産物の一日当たり労働報酬でございますが、先ほど御指摘のございましたビール麦が、昭和四十年で六百五十三円ということに相なっております。それに比較いたしまして、大麦裸麦はそれよりも低位である。でございますから、たとえば大麦の——これは大麦も田、畑で違うわけでございますけれども大麦の畑をとりますと三百六十九円、それから小麦の畑というので申しますと五百九十一円に相なりまして、先ほど申し上げましたビール麦の六百五十三円が一番高いと、そういうふうなことになっております。
  9. 中村波男

    中村波男君 次に、昨日の米審で、大麦が二千三百二十六円、小麦が三千三十四円、裸麦が三千百五十八円、このようにきまったようでありますが、もちろんこのきめ方の算定方式としてはパリティということになっておるわけでありますが、ことしは基準年度を変える等の操作をいたしまして実質的に算定基礎を変えたことによって下がったということは、これは否定できない現実だと思うわけであります。  それはそれとして、食管法の第四条の規定による生産事情経済事情等を勘案するというそういう項目があると思うのでありますが、それをどうことしの麦価に具体的に勘案されておるかどうか、その点からひとつ聞いていきたいと思うわけであります。
  10. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 現在の麦の生産事情は、麦作農業経営の中に占める地位が従属的である、また、作付が零細であるために生産性が低いというようなこと、その他いろいろな事情で年々作付面積減少している傾向があることは、御承知のとおり、でありまして、また、一方、食糧管理の面において、昭和二十七年から現在の制度に移行いたしておりまするが、その後、麦の買い入れ価格は、パリティ指数の上昇によって毎年引き上げられておりまするのに対しまして、麦の売り渡し価格は、末端の消費者価格を引き上げないという配慮から、政府の売り渡り価格は年々据え置きもしくは引き下げが行なわれておりまする結果、非常に大きな逆ざや関係になっておることは、御承知のとおりかと思います。  それからまた、日本の麦の生産性を諸外国と比較をいたしますると、土地生産性の面から見ますると、必ずしもそれほど諸外国と比べて著しく遜色があるということではございませんが、労働生産性の面につきましては非常に大きな開差があるのであります。しかしながら、価格の面におきますると、国内における麦の価格と諸外国における国際価格というものが非常に大きな開きとなっている現状でございます。  このような事情等を勘案いたしまして、近年麦の政府買い入れ価格というものはパリティ方式によって決定するということにいたして今日に及んでおるのでございます。本年の政府の麦の買い入れ価格算定にあたりましても、従来と同様な考え方でいま申しましたような麦を取り巻くいろいろな事情生産事情並びに経済事情等を勘案いたしました結果、やはり農業パリティ指数によって算出された額を下回らないようにきめるという法律上の制約に基づきまして、パリティ価格決定をするという基本方針をとって算定作業に入ったのでございます。  ところが、本年の麦につきましては、別途、農業パリティ指数というものが、現在三十五年の農家消費構造を反映するいわゆる三十五年ウェートを基準にした指数になっておるわけでございますが、昭和三十五年以来、農家支出構造が、日本経済の著しい速度による変貌と申しますか、成長の速度のあとを受けまして、農家経済も大きく変貌をいたしておるということから、現在の農業パリティ指数算定する基礎となっております昭和三十五年の農家支出構造というものは、最近においては農家消費支出の状態を正確に反映しなくなってきておるということから、新しくこれを昭和四十年の支出構造基礎とする指数計算方式に改めたいということが別途ございまして、この指数を改正することによってパリティ指数計算をいたしますと、昨年と本年との伸び率が旧来のパリティ指数に比較いたしまして非常に大きな低下を来たすと申しますか、その差が大きいということになったのでございます。そこで、昨年パリティ指数によって算出をされた麦の価格はすでに昨年成立をいたして農家現実に支払いを受けておるわけでありまするので、本年の新しいパリティ指数の採用によって農家の面で影響をできるだけ緩和をしたいという配慮をすることによりまして若干その影響を緩和したいと考えまして、新指数ではじき出されます価格に対して若干の調整措置を加えて本年の政府買い入れ価格を算出してはどうかというふうに考えておるのでございます。  したがいまして、食糧管理法の現在の価格決定いたします際に参酌勘案いたすべき事項につきましては、近年麦の買い入れ価格算定の際にいろいろな事情を勘案してパリティ方式決定をするという基本は本年も踏襲をいたしておりまするが、そこに若干の調整措置を考えるということで本年の政府買い入れ価格決定することにしてはどうかというふうに考えておる次第でございます。
  11. 中村波男

    中村波男君 そこで、農林省として麦の生産費調査を行なっていると思うのでありますが、四十一年産麦生産費はどうなっているか、この機会にお聞きをしておきたいと思うわけであります。
  12. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまお尋ねの四十一年の生産費調査麦別に申し上げたいと思います。これは第二次生産費でございまして、資本利子、地代を算入してございます。大麦から申し上げます。十アール当たりでございます。これは田の場合と畑の場合と違いますが、これを平均してございますので、平均値を申し上げますが、大麦が一万八千七百六円でございます。それから小麦十アール当たり平均が一万五千六百十四円でございます。裸麦十アール当たり平均は一万九千六百十九円。それからビール麦が十アール当たり一万五千三百八十二円でございます。
  13. 中村波男

    中村波男君 いま一反当たり生産費数字をお示しいただいたわけでありますが、これを石当たりに直したのはありませんか。
  14. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) 石当たり計算いたしますと出るわけでございますが、時間がかかりますので、一俵当たりということで申し上げてみたいと思います。大麦小麦で一俵当たりのキログラムが違いますので、ちょっと御注意いただきたいと思いますけれども大麦は五二・五キロを一俵にいたしております、その平均でございますが、二千七百四十三円、こう相なっております。それから小麦でございますが、これは六〇キロが一俵でございます、これが三千五百三十三円、それから裸麦、これも六〇キロでございますが、これが四千六百二十六円でございます。それからビール麦が、これは五二・五キロでございますが、二千八百六十八円と相なっております。
  15. 中村波男

    中村波男君 その統計調査数字は、四十一年の修正はまだしてないのですか。
  16. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいま申し上げましたのは、四十一年の分の産麦でございます。
  17. 中村波男

    中村波男君 これは私間違っておるかもわかりませんけれども、これを現在の麦価決定するという時点に修正をしますと、大麦で二千八百七十九円、小麦で三千七百九円、裸麦で四千八百五十六円になるんじゃないかというふうに思うわけです。それを基礎にして今度の麦価を考えてまいります場合に、大麦の場合は五百五十三円安い。したがって、生産費基礎にした麦価から言うならば、八一%が確保されておるにすぎない。小麦につきましては六百七十五円安くて、八八、%である。裸麦は千六百九十八円安くついておりまして、六八%に押えられた、こういう結果になるのではないかと思うわけであります。そういう点から言いましても、いまの麦の価格計算というのは、生産費を全く無視した価格しか出てこない、こういうことが言えるのではないかというふうに思うわけであります。農林省生産費調査も、われわれの主張から言うならば、労賃がいわゆる農村労賃基礎にしておりますから、他産業との所得格差を均衡にするというたてまえからいえば、不十分であり、不満でありますが、それはそれとして考えても、このように低いということが言えるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣政府としての麦の基本的な態度についてのお答えの中に、生産性の低いということをおあげになっておりましたが、もちろんこの問題は重要な問題でありますので、生産を高くするための対策というのに中心が置かれることは当然でありますが、当面して考えなければならないのは、農村労働力が不足した等々もありまして、麦をつくっておるよりか、日雇い労賃に出て日銭をもうけたほうが勘定がよい。そうやらなければ農家経済がやっていけない。ここが水田裏作並びに畑作における麦作が放棄されておる一番の大きな最近の事情ではないかというふうに私は考えるのであります。したがって、さっきもお尋ねしたように、ビール麦作付が維持され、多少でもふえるという傾向は、ほかの三麦に比べていわゆる引き合うということではないかというふうに思うわけであります。したがって、ほんとうに食糧自給飼料自給という立場でいろいろと麦対策というものを政府が考えるならば、やはり再生産ができる麦の価格というものを当面はつくり上げなければ、いわゆる合理化が進んで生産費が安くつくれるような体制をつくるまではやらなければならない重大な政策であり方針でなければならぬと思うのでありますが、この点について大臣の御所信を伺って、次の質問に移りたいと思うのであります。
  18. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 麦作につきましてなかなか経済的に見て窮屈であることは、先ほど参事官から生産費について申し上げましたことでも私どもも理解できるわけでありますが、そういうことで、この麦作についてその生産費カバーするだけの価格が望ましいではないかと。先ほど申し上げましたのはまあ全国平均で、商品として麦を売却するような農家もございますし、中にはほんの家内仕事自分たちが若干食べるものをつくっておるというのまで、全部平均しての生産費でございますが、私どもといたしましては、麦の主産地の商品生産を主体といたしました麦作農家生産費カバーするということをめどに考えているわけでありまして、したがって、麦について、さらにいまお話しの飼料麦等も含めて増産されることは好ましいことでありますが、現状一般情勢からみまして、先ほど申し上げましたような農業としての従属性零細性等からかんがみて、まずいまのところはただいま私が申し上げましたような程度でやむを得ない。しかし、これを現状に満足することなく、どのようにして生産が引き合うようにやってまいるかということが、われわれに与えられた重大な責務でありますので、この麦作奨励については、先ほどもちょっと触れましたけれども、省力のために機械化をする、あるいは土地基盤の造成、その他あらゆる手段を講じまして麦作維持改善をはかるということに力を入れてまいらなければならぬ、こう考えております。
  19. 中村波男

    中村波男君 いま大臣の御答弁を聞いておりまして、私は重大な発言だと感じるのであります。大臣お答えによれば、価格基準というものをいわゆる麦の集約的な栽培をしているものを対象に考えているのだ、いまの生産費調査は農民が自家用につくっているのも含めたものである、そういう御答弁でありますが、それならば、今後の対策としてお尋ねをする前に、今日そういう考え方対象にし価格を考えておられるといたしますならば、その地域における面積収量はどういうことになっておりますか。
  20. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ちょっと最後のところが聞き取れませんでしたが……。
  21. 中村波男

    中村波男君 大臣価格をきめる基準として、大体、麦を集約的につくっておるようなそういうものを対象に考えていくんだ、こういうふうに私はとったのでありますが、そうだとするならば、いま政府対象とされている地域、具体的にはその面積、そこからいま生産されている収量、そういうものがどれだけあるのかということをまず聞いておきたいと思うわけであります。
  22. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府委員から申し上げます。
  23. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまの御質問でございますが、手元に十分な資料を持ち合わせませんので、はっきりしたことを申し上げるわけにいかないのでございますけれども小麦でございすと、商品化率が六〇%くらいございます。でございますから、全国友収というのはそれほどばらつきがございませんから、現在つくっておりますところの六〇%くらいが商品化地帯ではないかという想定をいたしておりますが、御承知のように、小麦でございますと、関東、東海、近畿、それから北九州、そういう地帯商品化地帯に当たるのではないかと思うのでございます。  それで、ただいま大臣から申し上げました点につきましては、商品生産農家とそれからそうでない農家というのが非常に生産費の構成が違っておりまして、現在でも、たとえば畑作小麦をとりますと、生産費価格カバーする、われわれはカバー農家と言っておりますけれども、そういう農家割合は五〇%近くになってきておるわけでございます。ただ、問題は、カバーの率でございますが、畑作小麦をとりますと、実際に生産費価格の差というのが一〇%から二〇%というそのくらいの程度でございまして、そういう意味では、もっとそのカバーする割合と申しますか、それを高めるというような努力をしなければならない。そういうふうなことと関連して申し上げたのだと私は考えておるわけでございますが、発表いたしております生産費調査というのは全国平均でございますので、そういう意味で、商品生産農家ということであれば、ただいま申し上げましたような問題が出てくる。そういうところで非常に安くまた反収をあげるとなれば、十分にペイするような麦作ができると、そういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 中村波男

    中村波男君 いま参事官がおっしゃったように、なるほど商品生産農家自家用等生産をしておる農家との生産費の違いは私もよくわかりますが、だとするならば、きのうきまりました麦価で、商品生産農家はこれで生産費が償える、再生産が可能である麦価であると政府は認識しておるのか、そのことからまず聞いておきたい。
  25. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 食糧管理法の第四条ノ二の第二項で「麦ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ」という規定があるわけでございますが、このことの意味を私どもは次のように理解をいたしておるのでございます。「再生産確保スルコトヲ旨トシテ」ということは、やはり政府買い入れ価格によって麦の生産のために投下された費用が回収をされて、さらに麦をつくろうとする場合にその生産に支障を来たさないようにということばの意味だろうということはもちろんそうでございますが、そういう額を念頭に置いて政府買い入れ価格を定めるべきであるというふうにこの規定規定されておると思うのでございます。したがいまして、これは、分量で、たとえば昨年の麦と数量において同じ数量の麦を本年も確保しなければならないというふうな意味ではないと思っております。それが第一点でございます。  しかし、そのように考えました場合の生産費というのは一体どういうものをさすかということが次に問題になろうかと思います。そこで、これは、いろいろな農産物価格規定をいたしまする法律なり制度でやはり再生産確保というものを旨としてきめるという考え方が採用されておるわけでございますが、この再生産確保を旨としてという意味は同様でございますけれども、その際に念頭に置くべき生産費というものの考え方は、個々の農産物ごとに、その農産物生産事情であるとか、あるいはその農産物を取り巻く経済事情によっていろいろ考え方が違うのではないかというふうに考えております。たとえて申しまするならば、現在の食糧管理法に基づいて全面的に政府が統制をして買い入れておるという制度になっております米の場合、これは政府以外に売る自由を持たないことになっておりまするので、これは生産費及び所得補償方式という算定方式価格決定をいたしておりまするので、これはほとんど大部分の米作農家生産費が結果的にカバーされておるという実態になっております。しかしながら、麦は、昭和二十七年以来いわゆる間接統制方式ということになっておりまするし、米とはその点が一線を画する制度上の差があるというふうに私ども理解をしております。  それからまた、先ほど生産事情並びに経済事情についての御質問の際にお答えをいたしたところでございますが、現在の食糧管理制度のもとにおける国内麦の買い入れ価格売り渡し価格というものが大きな逆ざや関係になっているということから、非常に大きな財政負担をしておるわけでございますが、この財政負担云々のことを申し上げるわけではございませんけれども、しかし、このように大きな逆ざや関係になっておって、さらに生産費というものを考えて麦の価格というものを高くするということは、ますます麦の管理の実態からして考えるならば非常に不自然なかっこうになるのではないかということが一つと、それから外国日本との生産性の差ということを申し上げましたが、価格現実外国日本日本が六割以上も高いというのが実態でございます。しかしながら、生産性においては非常な差がある。こういうようなところから麦が逐年減っておるというのを何らかの対策を講じてこれを必要とする麦の確保をはからなければならないということは当然でございますけれども、これを価格だけで生産を刺激をするということについてはいろいろな問題があろうと思いまするし、また、現実に現在の日本の麦の生産事情からして、価格を若干変えたといたしましても、それが直ちに生産刺激になるという形にはなっておらないのではないかというふうにも考えるのでございます。  そのようなことを彼此勘案いたしました結果、麦につきましては、近年、カバーすべき生産費というものは、麦のような農産物の場合においては、主産地におい商品生産を主体とするような麦作農家生産費カバーすることをもって足りるのだと麦いう考え方のもとにパリティー方式をもってはじいて今日に至っているのでございまして、先ほど大臣お答えになりましたのも、いま私がるる申し上げましたような配慮を加えた後に到達をした結論ということで申されたものと理解しております。
  26. 中村波男

    中村波男君 大体、政府の麦の価格に対する基本的な方針態度というものはわかったのですが、これは私たちと意見が違うのでありますから、議論をいたしましてもおそらくまあ平行線をたどりまして、時間をあまりにも食いますので、多くを質問いたしませんけれども、端的に聞きますが、いまおっしゃったような考え方のもとに価格の形式をしていんのだ、立てていくんだと。だとするならば、主産地における麦の価格というのは、今日きまった価格で大体適当なんだ。こういうふうににわれわれは承知していいのかどうか、馬鹿念かもしれませんけれども、結論から聞いておきたいと思うわけであります。
  27. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) もちろん、私どもは、いまのような基本的な考え方を持っておりますので、毎年麦価計算をいたしまする際に、そのような観点からの突き合わせと申しますか、というようなことをやっております。ただ、生産費というものが高い低いを左右されるファクターの中で非常に大きな要素として天候があることは御理解をいただけると思います。したがって、天候が悪いときの生産費の高いときとそうでないときとの年によって非常にフレがあるわけでございますが、いま、たとえば北関東の小麦について、これを田でつくっている場合と畑でつくっている場合を一例として見てみますると、昭和四十年では天候の関係で非常に生産費カバー率が悪かったのでございますけれども昭和四十一年度において田でつくている麦を北関東においては、ほとんどの規模別、つまり販売農家の一俵から五俵、五俵から十俵、こういう階層で考えてみまして、ほとんどの階層の農家生産費を償って、指数としては一〇〇%以上の数字になっており、全部の平均をとりましても一〇九・五という数字になっております。また、畑作につきましては、販売量の比較的少ない農家においては、若干カバー程度に足りないところがございますけれども、二十俵以上の農家等につきましては一一九ぐらいのカバー率になっておりまする関係上、全規模農家平均をいたしましたところでも一〇五・七という数字になっております。  以下、ほかの種類の大麦裸麦につきましても、それぞれそういうような比較をいたしておりまするが、すべての地域にいかなる年においてもいかなる天候のもとにおいても完全にカバーするという事態にはなっておりませんが、そういう主産地で気象条件その他が著しく悪くないときにおいてカバーする程度はまずまずのところにいっているのではないかというふうに見ております。
  28. 中村波男

    中村波男君 いま、天候の最も恵まれた時点における状況を御報告いただいたと思うのでありますが、再生産確保するということは、やはり凶作、豊作をひっくるめて平均して価格というものが考えられておらなければ、安定的な生産、安定的な供給ということは私はできないのではないかというふうに思うわけであります。大臣基本的な態度をお聞きすると、裏作放棄等を今後できるだけなくしていくために麦の生産増強のために力を入れるのだ、こういうお話でありますが、価格になりますと産地を中心に考えておられる。したがって、政策的に言うならば、それはそれとしてわれわれが認めたといたしまして、しからば、生産費がもっと合理化されるような栽培形態をつくるために、政府は、どれだけの金を出して、また、どれだけの対策というものを立てておるかということになりますと、全く貧弱なものであるというふうに思うわけであります。したがって、この機会に、少なくとも五年後くらいを見通して、麦に対して政府はどのような見通しのもとに生産増強政策というものを打ち出していこうとするのか、これをひとつ承っておきたい、こう思うわけであります。
  29. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 麦は、率直に申し上げまして、なかなかむずかしい問題であると存じております。それは、先ほど来ここでいろいろお話し申し上げました経過によりましても、麦の増産ということになりますと、口でそう言うことは言えますけれども、実際に生産を上げるということについては非常な困難があると思います。ことに、わが国の麦作は、主産地として伸びてまいりました地域は別といたしましても、多くが零細性でございます。しかも、その作付のやり方が、昔ながらの混雑をしておる。そこで、やはり表・裏作を通じて近代化できるような主産地を逐次増強いたしてまいって、生産コストを下げるようにしなければならないと思っております。したがって、そういうことにまず力を入れなければなりません。同時に、また、品種の改良、技術改善等も大いに力を入れなければなりません。  要するに、そのようにいたしまして麦作維持拡大いたしてまいるためには、先ほどちょっと申しましたけれども生産対策の増強のために、予備費で去年は二億五千万円、ことも二億五千万円出しましたが、さらに、私どもは、昨年行なわれました米審等におきましても各委員の諸氏から非常に建設的なお話もございまして、建議等も行なわれておる次第でありまして、私どもばかりでなくて、さらにいろいろな御意見をお持の方々とも御協議をいたしまして、この増強の方針について努力をいたしてまいりたい、こう思っておるわけであります。     —————————————
  30. 野知浩之

    委員長野知浩之君) この際、委員の異動について報告いたします。  ただいま、和田鶴一君が委員辞任され、その補欠として津島文治君が選任されました。     —————————————
  31. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して若干お尋ねをいたしますが、零細性という実態の中に生産性を上げていくという困難さ、これが基本的な問題の一つだろうと思うのですが、それに対して、一昨年は予備費から、本年は本会計から二億五千万の財政を投下して、大型機械を導入しておる。私、どうもしろうと的に不思議でならないのですが、こういう零細な、平均して二十アール未満の各農家の零細経営に対して、どうして生産性を高めるためにこういう大型機械がスムーズに活用されていくのかという点を疑問に思うのですが、その実態はどういうことにあるのか。これが可能であれば、また非常に明るい展望が見い出されると思うのです。その点はいかがなものでしょう。
  32. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまの渡辺委員の御質問でございますが、一般に大型機械を導入しているというそういうことになっておりますけれども、私どもは決して大型機械だけを導入しているというふうには考えていないわけでございます。日本の麦のつくられ方というのは、御承知のように、平均いたしますと二十アールという非常に小さいわけでございます。個々の農家は、場合によっては蔬菜の裏作のためにつくる。要するに、ほかの作物との関連において経営の中へ生かされて小面積をつくっているという場合も相当あるわけでございますけれども、われわれが指向いたしますのは、このような麦作も大事でございますけれども、麦を商品として売るというところに一つの焦点を合わしていく、さっきから何回か申し上げているわけでございますが、そういうところでは、このような個々の農家麦作経営規模というものは小さくても、できるならば麦作との関連において集団化と申しますか、何戸かの農家が集まって作業規模の拡大をはかってまいる、そこに可能であれば小型ではない中型、あるいは場合によってはそれよりも大きなものを導入して生産性を高めてまいる、そのような考え方生産対策の手を打っているわけでございます。  昨年の予備費のお話も出たわけでございますけれども、たとえばわれわれが現在、麦作の推進ということで始めております集団栽培事業というのがございますけれども昭和四十年、四十一年度で約四百地区くらいやったわけでございますが、その中で約百五十地区くらい裏作が導入されております。その場合も、明らかに表作に入ったものが裏作に使われるということでございます。  また、このような場合に、収穫の問題がございますが、収穫のところの機械というのは、一般的に何かコンバインだけを導入しているのじゃないか、そういうような御批判もあるわけでございますが、われわれは決してそう考えてはいないのでございまして、現在、バインダーという非常に小さな、小さな経営でも手ごろな機械も出てまいっております。バインダーも手軽に導入できるようなそういう措置もとってあるわけでございまして決してただいま御質問のようにわれわれは大型だけに指向いたしているというわけではないのです。しかし、将来の方向を見るならば、できるだけ作業規模の拡大をはかってコストの安い麦をつくることが麦生産農家にとってもプラスである、そういうふうに考えて長い目で見た対策を講じたい、こういうふうに御了解いただきたいのでございます。
  33. 中村波男

    中村波男君 政府の麦の生産対策として大きなものを四つあげておるわけでございますが、その一つは麦作付拡大生産合理化施設設置、これはいまお話があったような収穫機械等々の機械のこと、二番目は麦品質改善施設設置、これは共同調製、包装等の機械のこと、一方、つまり麦の品質を改善するというところに重点があるのではないかというふうに思います。三つ目は麦の種子を供給する事業、その他麦生産合理化施設設置という四つがあるわけでありますが、私はここで考えなければならぬ重大なことが一つ落とされているのじゃないかと思うのでありますが、なぜ特に水田裏作減少するかというそれを麦に当てはめて考ます場合に、言うまでもなく農村における労力が不足しておる。言いかえますならば、田植えと麦の収穫とを一時にやらなければならぬという時期的なものがあるわけであります。したがって、もう少し早熟性と申しまするか、早く収穫ができるような麦の品種というものをつくりあげる必要があるんじゃないか。そのことによって労力配分がうまくいくようになれば、またそれと合わせてもう少し価格が考えられるならば、生産というものが上がるのではないか。いくら機械による合理化をはかろうといたしましても、根本的にはやはりここに隘路があるような感じがいたすのであります。もちろん、麦作に対する政府の姿勢というのが、三十六年に特に大麦裸麦転換をはかるというように金まで出してやらせようという姿勢でありますから、品種改良等については全くもう手が抜かれてしまっておるのではないかというふうに私は考えるのであります。  それから私の狭い知識でありますから、間違っておるかもしれませんけれども、稲作についてのいわゆる増産という、反収を上げるということについては、まだまだ残された道はありまするけれども相当進んできておると思うのでありますが、麦の増産対策、いわゆる収量を上げるということについては、まだ大きな研究分野が残されておる。やり方によってはまだ麦は大きく収量を上げることができる品種でないかと思うわけであります。  そういう点を全くほおかぶりいたしまして、そうして主産地形成だと言いましても、実際昨年度実施された事業内容をわれわれが見聞いたしましても、いま渡辺先輩から指摘されたように、実際に実効が上がっておらない、そう考えるのでありますが、以上の点についての御見解を承っておきたい、こう思うわけであります。
  34. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) たいへんこまかい技術的な問題の御質問でございましたけれども、第一点、品種の問題の御質問でございましたけれども小麦、大・裸麦ビール麦、この三つをとって考えてみますと、育種という場面から申しますと、小麦の早生(わせ)化というのは非常にむずかしゅうございます。しかし、それを決してやっていないというのじゃございませんで、国の試験研究等で至るところで小麦のわせ化の研究をやっております。他方、大・裸麦あるいはビール麦というのは、小麦に比較いたしますと、わせ化の育種というものが、小麦よりも容易と申しますか、そういう可能性がある、そういうことでございます。たとえばビール麦を例にとりますと、御承知のように、ビール麦は、わせ化をいたしますと、たん白の量が澱粉との比率でふえてまいりますので、ビール会社は、この点、たん白が多いと醸造用に不適性なので、わせ化をきらうわけでございますけれども先ほど質問にございましたように、稲作との関係でどうしても麦が前に追いやられていくということになり、当然水田の麦が外へ出ていってしまうということは、水田の裏作から麦が消えていくというようなことだと思います。できるだけ水稲と重なるような時期に、そういうようなものの育種につとめてまいりました。一昨年でございましたか、新しくそういう品種を七品種ほど非常に早期のビール麦の導入をはかりまして、そのために、その影響も出たかと思っておりますが、若干ビール麦等は面積が維持できております。そういうことで、国をあげましてわせ化の育種の研究をやっているわけでございます。わせ化をやると同時に、機械化に適したようなもの、そういうような品種の育成をやっております。  それから反当収量のお話が出たわけでございますけれども、反当収量を上げるためには、収量の高い品種の育成ということが第一眼目でございますけれども、その次にやはり地力の問題がございます。地力の問題につきましては、田畑を通じまして、昭和四十八年ぐらいまでには日本のほとんど全面積の田畑の土壌調査を終了いたしたいと思っておりますが、そのような土壌調査基礎にいたしまして、かつ、同時に、一昨年から診断事業というのを始めまして、土地の状況がどういうような状況でございますか、これを調査することによりまして適正な施肥改全を行なってまいる、そういうことを進めてまいっておりますが、昔から言われますように、麦は肥料でとると言っておりまして、このような適正な肥料のやり方、それからもう一つは、多条まき栽培というのを最近やっておりますが、多条まき栽培によりまして密着することによって収量を上げていく、そういう技術もかなり確立をいたしております。こういうものが順次普及することによりまして反収の増加が期待できる。現在、わが国は世界のセカンド・クラスにあるわけでございますが、やはり一日当たり労働報酬というものをそういう面で上げるために、労働時間を下げると同時に、やっぱり反収の増がぜひ必要でございますので、そのような努力を続けてやっておるわけでありますが、今後そういうような努力をやってまいりたいと考えております。
  35. 中村波男

    中村波男君 私は、ほんとうに政府が麦の自給度を高め、また、収量対策としてこれをとらえるならば、何としても集団栽培による機械化を行なってコストを下げる、これが大きな近道だと思うわけでありますが、いまとられておるやり方というのは物を与えるというやり方で、もう一つ欠けておるものがあるんじゃないか。どうしたらいいか私見を申し上げるならば、農業協同組合等を中心生産体制を整備する必要があるんじゃないか。何としても、共同栽培、集約栽培というのがあらゆる点で合理的であり利点があるわけでありますから、したがって、これをだれかが責任を持ってやるという中心をつくらなければ、なかなか農民の自発的な意欲に待っておりましてもできないのではないか、こう思うわけであります。したがって、ほんとうにやるというならば、農協が中心になってそうして集団栽培をやる、そういう施設、そういうやり方について政府が大きく援助をしていくこと、こういう体制というものをつくること、それが軌道に乗るならば、労力がないだけに、麦の集約栽培というのが大きく伸びるんじゃないかというふうに思うわけであります。私の知った範囲では、委託栽培ということを農協がやりまして、ある程度成功いたしておる事例も知っておるわけでありますが、そういう点について政府はどう考えておるのか、ついででありますのでお聞きをしておきたい、こう思うわけであります。
  36. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいま御指摘の点でございますが、確かに、全国的にそのような形態をとりまして、受託をすると申しますか、農業協同組合が引き受けてやっておるようなところも散見をいたしております。しかし、そういうことをやります前提といたしまして、農家の方々がそういうふうなことで集団をおつくりになることが前提でございますので、われわれの考え方といたしましては、麦だけでそういうことをするというのはすぐにできるかどうか。われわれの考えは、現在やっておりますのは、米から入っていきまして、たとえば高度集団栽培という事業がございますが、これは農業協同組合が事業主体になり得る事業でございます。これも機械を導入することにいたしておりますが、そこで米でもって集団化をはかる。しかも、その機械を表作だけでやるのはもったいないから、この裏をつくってもいいじゃないか、そういう場合も出てまいるわけでございまして、先ほど申し上げましたような四百地区の中で百五十くらい麦が入っておりますが、全体がただいま御質問のような形とは申し上げません。たとえば東海、近畿近辺で農協の青年の方たちがオペレーター・グループをつくりまして、それが表と同時に裏をそのような形で耕作をしている、そしてかなりの収益を上げているようなケースも私ども承知しておるわけでありますが、われわれも、こういうような形が将来出てまいりますように、念願と申しますか、こういうことによって作業規模の拡大をはかることがやはりわれわれのねらっておるところと目的が一致すると、かように考えておりまして、このように強力に推進してまいりたいと考えております。
  37. 中村波男

    中村波男君 考えておるという域を脱して、モデル的に三つなり五つなり選定をしてですね、私の申し上げますのも、麦だけやるということは軌道に乗りにくいと思うんです。したがって、稲、麦を一体にした共同経営という、そういう方向に指導性というものは高めなきゃならぬということは私も承知しておりますし、そうしてもらわなければならぬと思うわけであります。考えておる、検討しておるという段階ではないと思いますので、来年度あたりにひとつそういう具体的な予算を組んで、失敗してみたところで、三つや五つやったその予算的に損失したものを負担するといったところで、たいしたことじゃないと思うのでありますから、思い切ってそういう方向に一つの活路を見出すことはどうかということをひとつ意見として申し上げまして、次の質問に移りたいと思うわけであります。  そこで、好むと好まざるとによらず、麦の国内における自給度はだんだんと下がってまいりますし、特に選択的拡大と称して畜産を奨励し、また、今後畜産を伸ばそうとする政府政策から言うならば、飼料としての麦の需要というものも大きく伸びつつありますし、輸入をせざるを得ないところに追い込まれておると思うわけであります。そういう観点に立って、食糧の立場、飼料の立場から見まして、何としても世界最大の輸入国である日本は、世界の麦の需給動向というものをよくみきわめる必要があるんじゃないか。そういう観点から、麦の世界における需給見通しについて御説明を承りたい、こう思うわけであります。
  38. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 小麦の世界的な需給事情は、第二次大戦後のしばらくの期間は非常な過剰状態であったと思います。アメリカ、カナダを通じまして非常に大きな在庫をかかえ、それがまたいろいろな形で世界の小麦事情なりあるいは世界経済に影響を及ぼした時代があったわけでありまするが、その後、これらの国においても不作の年があり、また、あるいはソ連、中共が大量の小麦の買い付けを行なった時期等もありまして、年々過剰在庫時代は解消し、また、アメリカにおきましても作付制限その他をいたしました結果、現在においては一ころの過剰時代の様相はすでになくなっておるのであります。ソ連、中共の買い付けによる非常に価格が騰貴いたしました時代は一応過ぎまして、小康を保っておりまするが、やはり国際的な需給はタイトであり、しかも、価格水準は、一ころから見ると比較的高い水準になっておりまして、国際小麦協定の価格帯の上限に近い価格が市場実勢価格として実現をしておることからいたしましても、そのようなことを反映いたしておると思います。  以上申しましたのがやや長期的なことでございまするが、短期的に見ますると、今年から来年にかけての穀物年度で考えますと、ソ連でも豊作であるということのようでございまするし、また、アメリカ等が逐次生産制限を若干づつなりとも緩和をするというようなことでもありますので、この状態がさらに窮屈になるということを短期的に見通す材料はございませんが、しかし、といって非常に緩和するという徴候もございませんので、大体、価格面、需給面からいたしまして、本穀物年度は従来の姿で推移をするのではないか。しかし、一般的には、小麦が過剰状態であるという一ころの常識になっておりましたような事態ではなくなっておると思います。
  39. 中村波男

    中村波男君 FAOの見通しによりますと、六六年から六七年度の世界の麦生産は約二億八千万トン、前年を八千万トン以上上回るということを言っておるのでありますが、その中で、いまおっしゃったように、主要な生産国であるオーストラリア、カナダ等の大増産が見込まれておる。アメリカもまあ世界最大の生産量三千五百六十万トンを維持して、さらに、いまおっしゃったように、作付制限緩和を行なおうという方向にあるわけでありますし、また、ソ連もかなり増産をされておるということが伝えられておりますし、また、中国も、もちろん公式な発表はいたしませんけれども、凶作だという報道は最近は全くないのでありまして、中国の増産体制等から見て、特別な天候等の異変がない限り、相当量増産を今後続けていくというふうに見るのが常識ではないかというふうに思うわけであります。したがって、従来までは小麦事情というものは相当窮屈であり、その結果として市況等の価格も強含みでだんだんと高くなってきておるのではありますが、こういう見通しの上に立ちますと、必ずしもいままでのような市況が続けられるというふうに考えられないと思うのであります。したがって、このことは、今後日本の国内における小麦の需給関係を考えます場合に重大な点だと思いますので、いま私の申し上げました見通しというものが、政府としては即断をするわけにはいかぬということでありますかどうか、お尋ねをして、次の質問に移りたいと思うわけであります。
  40. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) お話のございましたように、当面の六六年から六七年にかけての小麦年度ということで考えますと、御指摘のように、やや一年前に比べまして生産の増大が見られるというのが一般的な原則であるというように私どもも聞いておりますが、ただ、先ほどの長官の説明にございましたように、かつてアメリカ一国だけで六千万トン近い穀物の在庫を持っておったような姿が、現在、アメリカは、たしか千四、五百万トンの持ち越しになっておるはずであります。  そのほかに、かつての過剰在庫のありました時代と違います点は、かっては、穀物が残っておるから援助するというような形で、サープラスの使い方ということで援助を考える傾向が強かったと思いますが、最近は、後進国に対する食糧援助につきましても、それを一つの必要として考えようといったような気分が出てまいりまして、ある程度の量が援助に回されるというような事情もございまして、こういう非商業的な小麦の流通がかなりの量に固定してきておるのでございます。  通常、在庫は幾らかということは、なかなか技術的に言いがたいのでございますけれども、在庫は、きわめて短期間の需給の変動にたえる程度の在庫になっている。非商業的な取引が非常に多くなっている。そのほかに、長官の御説明にもございました、ソ連、中共等が大きく買いに出ましたものが、いままだそれぞれ三年間の長期の買い付けの約束になっております。こういったような形で、かなり小麦の取引が量的に活発化いたしておりますので、在庫が過剰でないということと、商業的、非商業的取引が活発化しているというような要素がからみ合いまして、当面主要な生産国での作柄はよいように思いますけれども、なおかつ価格が急激に下向くというふうには考えられない。先ほど長官の申し上げました、現在の水準を中心にしばらく推移するのじゃないかというふうに、食糧庁の事務当局としては観測をしております。
  41. 中村波男

    中村波男君 だとすると、食管特別会計における本年度の買い入れ価格をどれほどに見ておって、売買格差、売買差益というものはどのような結果になるか、そういうものがあると思うのでありますが、承っておきたいと思います。
  42. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 昭和四十二会計年度の食管特別会計の予算数字で申し上げたいと思いますが、食糧管理特別会計の中の、輸入食糧管理勘定の中の麦の勘定で申し上げますと、輸入買い付け価格売り渡し価格の差額で出てまいります売買損益が百十億、それから外麦を管理をいたしますための人件費、事務費、保管料、運賃等の経費が六十三億、差し引き四十七億になっております。  単価をちょっと申し上げます。いまのような損益計算のもとになっております外国小麦買い入れ価格の加重平均価格は三万二千六百十四円でございます。それから売り渡し価格をいまさがしておりますから、ちょっとお待ちください。
  43. 中村波男

    中村波男君 四十一年度と比較して御報告をいただけませんか。
  44. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) どうも失礼しました。四十一年度のまだ決算的なものが出ておりませんけれども、見込みで申しますと、小麦の輸入の単価の平均が二万九千円程度に相なるかと思います。四十二年度予算の積算上は三万二千円台で積算をいたしてございます。これは年平均で比較しますと、非常に大きく上がったように見えますけれども、四十一年度の前半がまだやや低目——一昨年、御承知のように、小麦戦争といわれるような大暴落を経験いたしました。それから徐々に海外相場が上がってきたという姿の時期が、四十一会計年度の前半でございますので、その前半の財政が年間の平均に響きますから、四十一年の平均としては二万九千円程度、後半は三万円をこしておるわけです。そういう姿を頭に描きまして、先ほど申しましたような需給事情をある程度勘案して、三万二千円台の買い付け単価を予算上積算いたしておるわけでございます。
  45. 中村波男

    中村波男君 そうしますと、政府は、世界市況というものが高くなるんだという前提で三万二千六百十四円ですか、そういう単価で予算を組んでおられますが、私がさっき申し上げたのも相当権威のあるものとして考えていいのじゃないかというふうに予測いたすわけでありますが、そういう面から見て、この単価についていまのところ修正する必要があるというふうには認めておられない、こういうふうに理解していいのですか。
  46. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 先ほどの需給の見通しからいたしましても、この予算の実行期間中に予算単価を修正しなければならないほどの値上がりがあるとは思っておりませんし、それからまた、この予算単価には、外国の相場のみならず、船運賃とか、あるいは日本に入りましたあとの輸入港諸掛りとか、いろいろなものにつきまして通常の値上げトレンドというものも織り込んで計算いたしております。そのような関係から、非常に余裕のある予算を組んだ、と言うとおしかりをこうむりますが、ちょっとでも相場が動いたら直さなければいかんほど窮屈なかっこうにはなっておらないというふうに考えております。
  47. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して。私は予算書を見て相当素朴な疑問を持つのですが、外麦の輸入差金は、四十一年度は、まだ予定だけれども、約百五十億台を出している。それから四十二年度は四十七億でしたか、そういう数字が出ている。おそらく、扱いは四十二年は四十一年よりもふえているでしょうね。同じとしても少なくはない。いろいろな船賃のトレンドその他の説明もありますけれども、それだけ差益が三分の一に激減するというものの占める大きなファイターは、私は単価じゃないかと思うのです。そう見ていいのですか。
  48. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 一言にして言えば、そういうことでございます。
  49. 中村波男

    中村波男君 私は、FAOの見通し等から見て、ケネディラウンドにおけるアメリカの主張に対して、アメリカとしては当然な主張をし、その結果として日本はたいへんな影響を受ける結果になるのではないかという感じを持つのであります。申し上げますまでもなく、低開発国に対しまして年間四百五十万トンという小麦の援助計画が承認されたわけでありますが、今後、世界の需給が緩和されるということになりますならば、これはアメリカの輸出国としての打算がみごと成功したというふうに見るべきではないかというふうに思うわけであります。したがって、世界市況が政府の見通しのように今後強含みで高くなるというならば別といたしまして、私は横ばいというふうに考えるのが妥当ないまの見通しではないかというふうに思うのでありますが、以上二点について、大臣からひとつ御見解を承りたいと思うわけであります。
  50. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府委員からお答えいたします。
  51. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 先ほど来の私どもの御答弁で、価格横ばいであるということを申し上げましたが、この横ばいというのは、現時点から将来に向かって大体現在の価格で推移するであろうという趣旨で申し上げているわけでございます、それからその前の御答弁でたしか申し上げたと思いまするが、一九六二年に発効いたしておりまする国際小麦協定においての価格帯、この価格帯というのは、御案内のように、国際相場をその帯のまん中に大体安定をさせるということのために、最高価格、最低価格制度が設けられているのでございまするが、この価格帯と比較いたしますると、最近の市場価格は、むしろ価格帯の天井にくっついておる状態であったのでございます。そこで、今回のケネディラウンドにおきまする新しい価格帯の設定をめぐっての輸出国、輸入国間のやりとりは、もちろん輸出国は高いほうがいい、輸入国はそれほど高くないことを欲するというやりとりの結果、結論が出たわけでごいざまするが、それは、現在の国際小麦協定の価格帯の中で、市場価格がすでに天井にくっついておるという状態をやや正常化するという形になったのにすぎないのでございまして、今後の価格横ばいであるのに、つまり価格が全然動いてないのに引き上げたということではないので、若干私どもの申し上げ方が、今後の問題と、それから今日に至るまでの価格が上がってきた経過とを区別して申し上げなかった点が不十分だったかと思いますけれども、そのように御理解をいただきたいと思います。
  52. 中村波男

    中村波男君 とにかく、ケネディラウンドの一環として穀物協定が成立をして、これが今後発動するということになりますと、わが国の今後ばく大にのぼる小麦輸入というものの価格が一ブッシェル一ドル七十三セントの高水準にくぎづけされるということが予想できるのではないかというふうに思われるわけであります。そういう点を考えますと、先般のケネディラウンドの日本における影響というものは看過できないものがあるのではないかというふうに思うのでありますが、この点について大臣の御所見を承っておきたいし、また、そういうことになるならば、それに対応するやはり国内産麦の需給計画というものを真剣に政府は考えなければならぬのではないか、こういう立場から重ねて質問を申し上げるわけであります。
  53. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 全体として考えますならば、私は、できるだけ世界各国が不当な競争をやって各自が保護政策をとってまいるよりも、それぞれの事情、国々の事情が許す限り、門戸を開放して自由な取引ができるようにすることは望ましいことだと思っております。  そこで、ケネディラウンドでございますが、いまここで穀物協定のお話が出ておるわけでありますが、食糧庁長官も申し上げましたように、現在の国際市場において取引いたしておるその価格が一番の上限のところにあるのであって、したがって、価格帯が引き上げられたことそれ自体が直ちにわが国の輸入する小麦価格影響するということではありません。これは、申し上げたとおりであります。ことに、これからわが国が外麦を買い付けますのには、さっき一ドル七十三セントのお話がございましたが、これは単に数字的に上がったということよりも、御承知のように、いままでの貿易取引の基準が、カナダのマニトバという麦を基準にいたしておりましたが、今度は、そういうあまり取引のないものよりは、アメリカのハードウインターという一番取引の多いものを基準にしようと、その格差が入ってまいりまして結局一ドル七十三セント、こうなりました。それからまた、初め、わが国では、総建て値はメキシコ湾のガルフFOBということでございましたが、今度の取引は、太平洋岸のどこでありましたか、そこからの取引の基準になりますので、大体国内を輸送いたしてまいります運賃が節約されることによって六セントは節約ができます。そういうような関係でいろいろやってみますというと、穀物協定の中で低開発国に対する援助義務を付随してやるということは政府は極力反対いたしましたことは御存じのとおりでありますが、ああいうものを除外いたして考えますならば、ケネディラウンドの結果というものは、私どものほうで輸入いたしておるもの及び輸出いたしておるものを収支計算してみますというと、やはりあのケネディラウンドの協定に参加して結ぶほうが究極において利益ではないか、このように判断いたしておるわけでありますが、ついでに申し上げますけれども、ただいま、ガット及びケネディラウンドの話し合いの中で、各国とも相互に輸出入についての関税引き下げの交渉等も行なわれ、自由化の交渉も行なわれておりますが、わが国の農産物の国際競争力というものは、御存じのようにきわめて低いものがございますので、そういう点については、われわれは譲るべからざることは断じて譲らないという態度で今日までやってきておるわけであります。
  54. 中村波男

    中村波男君 新聞によりますと、低開発国への援助計画といいますか、大体話がついたようでありますが、この機会大臣からはお聞きしておきたいのでありますが、さて、日本として、具体的にどういう計画、方針で受けてお立ちになるかということも、せっかくの機会でありますから、あわせてお伺いしたいと思います。
  55. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これは近く正式に協定が結ばれるわけでありますが、先ほどちょっと触れましたように、私どもといたしましては、低開発国に対する援助ということは、政治的に見まして世界各国ともできるだけその力を出すべきであるという考えにも協調をいたしまして、四百五十万トンの援助をやろうと。初めはもっと大きな数字であったようでありますが、だんだん話が積んできてそうなりまして、わが国にはその五%を負担してもらいたいという要望でございました。そこで、当初の話は、わが国が買い入れました小麦でその五%分を低開発国に援助してもらいたいという話でありましたが、さようなことは筋違いである、穀物協定その他ケネディラウンドについての話し合いはわが国においても国益を利することであるからけっこうであるが、それに付随した義務づけをもって低開発国の援助をいたすということは筋が通らないということで、その趣旨には反対いたしたわけであります。結局、長い間いろいろ折衝が行なわれまして、このいわゆる四百五十万トンの中の五%分をわが国が低開発国に対して援助をするということは賛成いたしましょう。その中には、米の場合もございましょう。雑穀の場合もありましょう。あるいはまた、相手方がつまり援助を受ける国が希望するならば、日本でつくっております農機具、農薬、そういうものを代替して、要するに五%に該当するものは援助いたしましよう、ということでございます。
  56. 中村波男

    中村波男君 あとの質問の関係もありますので、もう一つだけお尋ねをして質問を終わりたいと思うのでありますが、私は、麦の生産対策は、食糧としての立場も重大でありますが、飼料の需給対策という立場からも、麦類の増産対策というものにもっと政府は積極的に取り組むべきではないかというふうに思うわけであります。政府の今年度講じようとする政策という中で見ましても、麦の問題についてはほとんど触れておらないと言っても過言ではないのでありまして、そこで、畜産をさらに成長作目として考え振興していくという立場をとっておるのでありますが、牧野等の今後の対策は相当なものがありまするけれども、実際問題としてはなかなか思うように進んでおらないし、いかないのではないかというふうに思うわけです。これだけばく大な面積水田裏作として放棄されておる。また、畑作としてもだんだんと放棄が激しくなっておる中にありまして、やはり飼料対策として考えてみます場合でも、これにどうしたら麦をつくらせることができるかという立場で考えるならば、私はそのほうが近道ではないかという感じが強くいたすのであります。そういう立場から言いましても、何としても麦の生産増強について政府として積極的な対策予算を裏づけなければならないというふうに考えまして、いろいろ質問を申し上げてきたところでありますが、今後どのような具体的な方針をもって進まれるか。その一つは、やはり再生産の可能な麦の価格というものをとにかく与えなければ増産意欲はわいてこないのではないか。まあこういう立場でもう少し掘り下げて質問もいたしたいのでありまするけれども、次の機会に譲ることにいたしまして、以上、意見を申し述べ、大臣から最終的に御見解を披瀝願いまして、質問を終わりたいと思います。
  57. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ごもっともでございまして、先ほど率直に申し上げましたように、麦対策というのは、なかなか困難で、頭の痛い問題でありますが、私どもといたしましては、鋭意この維持拡大に全力をあげなければならぬと同時に、ただいまお話のございました飼料作物というような点についても、実は農林省の試験場等でもそういう角度からいろいろ技術的には検討いたしておるわけでありますが、なかなかまだこれが実現の運びには至っておりませんが、あらゆる角度から鋭意検討いたしまして、麦対策の確立をはかってまいりたいと、こう思っております。
  58. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件につきましては、この程度にとどめます。     —————————————
  59. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、農業協同組合運営等に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣、時間が四時半までだというお話ですから、非常に短い時間になってしまいました。しかし、この問題は、非常にたくさんあるものですから、いささか困っているわけですが、残りました問題はまた別の機会にあらためてお伺いをするというふうにいたしたいと思います。  私、ちょうど昨年のいまごろ、もう少し前ですね、五月ですね、当委員会におりまして、農協法の合併促進法の一年延長の問題のときに、全国農業共済連合会、俗称全共連の昭和四十年度の参議院全国区選出違反問題について、当時の大臣でありました坂田大臣お尋ねをいたし、また、当時の農政局長でありました和田局長にお尋ねをしたわけです。なお、当時やりました——まあ実質的には全中あるいは県中と言ってもいいと思いますが、米価の要求運動といいますかについて、全中が委任状という奇妙なものをやり始めた。去年からだったと思いますが、そういう問題についてお尋ねをしたわけなんです。しましたら、全国共済連の問題については、ちょうど取り調べの最中でありましたし、さらに、農林省としても調査中でありましたし、そういうことから内容については触れなかったんです。ただ、こういう問題が起こったことについてははなはだ遺憾に存ずるというような大臣説明があった。全中の委任状の問題については、実情を知らないというような話でした。新聞に載っているんだけども、実情を知らない、調べておくということでした。その二つが残っておるわけなんです。そして、私は決算委員会のほうに移りまして、一年間決算委員会におって、再びこの六月に農林水産委員会に戻ってきたわけですね。共和製糧問題をめぐりまして農林中央金庫の問題が盛んに取り上げられる。それが決算委員会でほぼ終局に近づきつつあるときに、御承知の千葉の共済連の問題が出てくる。これがごたごた始まっているうちに、農協の不正問題というものをシリーズのようにしまして新聞でも取り上げる、さらに特集号まで出すというようなことになりまして、そこで、私も、今回、千葉の共済連の問題も調べてみますというと、なかなか今日の農協のいろいろな重要な問題を含んでおりますし、ぜひともこれは当委員会において取り上げまして、大臣の所見も伺わなければならないし、あるいは解決についてのお考えも聞いておかなきゃならない、こういう考え方に立っておるわけであります。  そこで、まず全国共済連の選挙違反問題につきまして、当時は先ほど申し上げたような状態であったのでありますが、その後、おそらく農林省といたしましても検査をされたことだろうと思いますので、検査をされたのかどうなのか、あのあとですね、その年ですよ、検査をされたのかどうか、局長にお尋ねをします。
  61. 森本修

    政府委員(森本修君) 全共連のほうの検査は、昨年の七月から九月にかけまして検査をいたしました。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、あとほどいまの問題に関連しまして資料を要求いたしたいと思います。後ほど資料要求いたします、これが明らかになる資料をですね。いまの選挙違反が明らかになる資料要求を後ほどいたします。  それから全中の問題でありますが、昨年は、新聞に載っているからということで質問をいたしましたところが、新聞を見ていないということで終わったわけなんです、遺憾ながらですね。そこで、本年はまた委任状のごときものが始まってとられておるわけなんですが、局長は内容は御存じですか。
  63. 森本修

    政府委員(森本修君) 委任状のようなものをとりまして米価についての運動を行なっておるということでございますが、私ども承知をいたしておる限りにおきましては、いわゆる米価対策本部というのが農協とは形式的には別個の組織として設けられておりまして、その対策本部が、末端におきましては農民の委任、それからそれぞれ県——中央ということで再委任といいますか、そういう一連の行為を行なっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 何を委任するんですか、局長。何を委任するんですか。
  65. 森本修

    政府委員(森本修君) 文面によりますと、昨年とことしの委任をいたしますところの内容が多少変わっておるようでございます。昨年は、——ちょっといま手元にございませんが、たしか米価の折衝といいますか、そういうふうな事項も委任状の中には書き込まれておったようでございますが、四十二年度の内容を見ますというと、四十二年産米価運動方法についての指示ということが委任をされておる内容であるというふうに受け取れるわけでございます。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長、少し不勉強ですね。全中には八千三百万円の補助金を出していますよ。もっといろいろなものを入れると大きくなるんじゃないですか。もっと入っているでしょう。何を委任している。それが重要なんですよ。
  67. 森本修

    政府委員(森本修君) 委任状の内容を見ますと、市町村段階におきましては、四十二年産米の生産売り渡し価格にかかる要求額の決定、要求額、それから四十二年産米価運動方法の決定及び指示、それから副代理人の選任というのが委任の内容として書かれております。それから県段階におきましては、市町村段階と同様であります。それから県から全国への委任の内容としましては、四十二年産米価運動方法についての指示と、そういう事項になっておるようであります。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三番目に局長が読み上げました副代理人というのは何ですか。どういうことですか。これは、農民が、農家がといいますか、農家がといいますか、あるいは農協の組合員が、単協に委任するときに、副代理人を委任しているわけですね。単協は、今度は県連に出すときに、この副代理人を入れておるわけですね。そうすると、単協の組合長のところにはこの副代理人というのは全部名前がはいるわけですか。この副代理人というのはだれなんですか。
  69. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっとその間の事情は私どものほうで実地に確認はいたしておりませんが、文書には別段副代理人が何のたれ兵衛ということは書いていないようでありますから、文書を見た限りでは、副代理人を選任といいますか、副代理人を選任することを各農民が市町村段階における米価対策本部長に委任をしておるという関係であろうと思います。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは、その点については、局長、ひとつお調べいただいて、その上で私のほうは重ねてお尋ねをするということにします。  次に、全中というのと県の中央会というのは、中央会の任務というのははっきりしておるわけですね。そこで、不正事件がたくさん出てきて、いろいろ言われて、新聞等にも取り上げられたり何なりしているわけなんですが、県中央会の単協に対する監査というのは非常に貧弱ですね。これは全国的な資料はここで申し上げられませんが、行政管理庁の地方行政監察局、これが農協の中央会の監察状況を調査いたしておりますね。それはもうすでに発表になっている。それを見ますというと、県中央会の監査というのは、三十九年度も四十年度も一九%です。それからこれは農林省が出したものと言っていいんでしょうが、都道府県が行ないました行政検査ですね、行政庁が行なった検査、その結果が出ていますね、数字として。その数字を見ますと、これは全国的なものですよ。事件がいろいろあがっておりまして、それで発覚の端緒というのがあるんですよ。その発覚の端緒は、どこが検査したら発覚したか、端緒をだれが見つけたかということを書いてあるんですね。そして、パーセントまで親切に入れておるわけですよ。これは全国的なものですね。これを見ますと、中央会の監査で発覚したというのは四・五%なんですね。行政庁の検査によって発覚したというのは五割です。あと、警察が一八%ぐらい。で、単協の監事の監査、これはゼロなんですね。これを見ますと、中央会というのは、全中にいたしましてもそうでしょうが、県の中央会にいたしましてもそうでしょうが、これはいささか問題があると私は思うんです。いささかというよりも、たいへんな問題があると思うんです。農林省が八千三百万円の金を全中に対して補助金を出していますね。その主たる目的は監査を遂行するためですね。そのほか、単協に対しましても、あるいは県の連合会に対しましても金を出しておりますが、それはやはり検査の関係が多いんですね。それから全中の問題でいいますと、監査のために大きな補助金を出している、あるいは人件費を負担しているんだが、この状況から見ますというと、非常に問題があるというふうに思いますが、それはこれ以上のことはやめます。  千葉の共済連の事件につきまして、農林省としましては、あるいは政府としては、昨年の十月に検査をされたようですが、昨年の十月からこの問題は起きているわけですから、いまだに尾を引いて今日まだごたごたしていますね。解決していない。起訴になるのかということもまだわからない。で、いろいろごたごたしておるようですが、これは一体どこに問題があるんでしょうか。検査の結果どことどこに問題があるんだという点をひとつ検査の結果として御指摘をいただきたい。簡単でいいです。
  71. 森本修

    政府委員(森本修君) 事件の内容はかなり経理的な関係が輻湊しておりますので、概要を申し上げますと、千葉県の共済連が出資をいたしましてつくっておりますところの千葉県の農協不動産という会社があるわけですが、そこの会社がある不動産を取得しようとしまして手付金を五千万円払ったけれども、それが結果的には詐取になったという、概要はそういう事件でございます。その間、その五千万円の手付金を不動産会社が支出をいたしますのに、共済連がそれに対して資金を融通しておるという関係がございます。それからその後、共済連に対しまして、不動産会社から、その詐取の結果、詐取がありました後に代金を返却をするというふうな関係から、信連から不動産会社が約五千万円の融資を受けたわけですが、その融資に際しまして千葉県の共済連が担保を提供しておる、あるいは連帯債務者となっておる、こういうふうな形になっております。  事件の概要はそういうことでございますが、私どものほうで検査の結果指摘をいたしましたのは、千葉県の共済連が不動産会社に対して五千万円の貸し付けを行なった点、それから不動産会社が信連から先ほど申しました金額の金を借り入れるにあたって、担保を提供したり、あるいは連帯債務者となっておることが事業を逸脱しておるのではないかというふうな疑いがございます。そういう点につきまして、業務の運営上適切を欠くという点を指摘をいたしておるわけであります。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまおっしゃったことは、二つ問題を指摘されたわけですね。あとのほうの、信連から農協不動産会社が——これは会長は彼なんですね。そして、専務も全部四連が専務をやっておりますね。職員も、ほとんどは共済連から派遣してただで働いているんですね。専門家のブローカが三人ばかり入っているけれども、大部分の方は共済連のほうからただで職員を出している、こういう会社ですね。その会社に対して、信連が五千万円の金を貸し付けているわけですが、その際に、共済連が担保を与えた、あるいは連帯保証をやっているというんですね。揖保は何ですか。
  73. 森本修

    政府委員(森本修君) 担保は、預金でございます。
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ひどい話ですな。どれもこれもひどい話です。農協法の法律違反の疑いが二項あると、疑いと言われておりますが、監督機関として、疑いというようなあいまいな態度なんですか。もうあれからあなた十カ月たっていますよ。
  75. 森本修

    政府委員(森本修君) とりあえず私どもとしましてはそういった業務上適正を欠くと思われることに対して指摘をして、すみやかにそういう状態が改善されるということが検査としてもやっておりますところの趣旨でございます。そういう点から、法律問題につきましては疑いが濃いというふうなことを相手に伝えまして、いずれにせよ法律違反であるかないかということももちろん重要でございますが、運営上そういったことが適正を欠くということを指摘をいたしまして、この改善が一日も早く行なわれるように指導をいたしておるということでございます。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは長くなりますから端折りますが、もう一つ、千葉共済連が、四十年の二月に、約四千万円の金を投じて大利根寮というものを買った、そして二年間これが個人経営にまかされておった、こういう事実は御存じですか。
  77. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっと私承知をいたしておりません。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは新聞にも載りましたし、それ以外の農業関係の資料等にも出ておる問題ですから、あとでお調べになっての上でお尋ねをすることにいたします。  この農協不動産会社というのは、妙なものですね。こういうものがいま至るところに出ているようですが、私は今度の千葉の問題をもう少し詳細に伺わないとはっきりしない点もあると思いますが、いずれにいたしましても、千葉の共済連の問題は、今日の農協の問題の大きなものを白日のもとにさらしたという感じがするわけですが、一つは、農協不動産会社というようなもののそういう第二会社という問題、これは目に余るものがあるというふうに私は思うのです。これに対してどういうような処理をされるのか。いま、これは行政の監督が及ばないわけですが、どうもそういうものが農協の金でどんどんつくられていく。金は農協のものなんだが、第二会社ですからして監督が及ばないということになっていきますというと、たいへん重要な問題を含んでいると思う。そういう第二会社の問題。  それからだれしも指摘するように、千葉の共済連の問題は、共通役員制の問題を再検討しなければならぬということを知らしておるのではないか。農林省の資料によりますというと、ことしの三月に農業協同組合から出しました「農協の現状」という資料の中に、最後のところに共通役員制の問題が出ておりますが、この共通役員制の項を見ますというと、千葉が最も完全なる共通役員制ですね。会長はもちろん四連を兼ねている。副会長も四連を兼ねている。理事は全部共通。監事も全部共通ですね。全く共通役員制の頂点にあるものですね、千葉というのは。その共通役員制の問題を根本的に考えなければならぬじゃないかという点を露呈しているということと、もう一つは、農協の不正問題は、公務員の場合はけたが五万とか十万とかという一けた、二けたなんですけれども、農協の場合はでっかいですね。私も詳細に調べて見ましたら、いや、びっくりするですね。これは五けた、六けたですものね。このあいだ「朝日新聞」が特集を出しまして、去年の農協の五大事件というものを取り上げているのを見ますと、いずれもけたが六けた、五けたですね。こういう不正問題というのは一体どういうところから出てくるのか、そういうものをどういふうにしてこれから処理していかれようとされるのか、そういう問題について非常に大きな問題を提示しているように思うのですが、これは実際共通役員制がなかったら、こんなものは起こらなかったでしょうね。千葉の問題なんてのは起こらないですね。起こらないのですが、農林省としては三十八年に通達を出したですね、共通役員制について。その通達とこの現状を見て、どういう感じを持っておられますか。
  79. 森本修

    政府委員(森本修君) いわゆる共通役員制の問題でございますが、最近のように、村におきますところの単協が合併をいたしまして大型化していくというふうな組合内部における変化、そういうことから、系統の中におきまして種々そういった変化に対応する組織のあり方ということが論議を最近されまして、そういう過程から発生をしてきた現象であろうと思います。したがって、やはり組合自体の判断なりあるいは選任行為を通じてこういう形が出てきておるという発生の経緯がございます。農林省としましても、そういった組合内部における自主的な姿であるという実情を考えなければいけないということと、他面、また、御指摘がございますように、共通役員制に伴うある種の弊害ということも考慮をしなければならないということで、共通役員制についての是非はきわめて議論が多いわけでありますから、必ずしも共通役員制について最終的にいい悪いという判断は下しておらないわけであります。ただ、御承知のように、信連なりあるいは共済連は制度上兼営を禁止されておるというふうなことから見ますならば、少なくとも信連と共済連の間にはそれぞれ常勤の役員は独立であったほうがよろしい、先ほど言いましたような制度的な関連を考えますと。そういう観点から、先ほど御指摘がございました通達を出しておるわけであります。  通達の履行状況を見ますならば、従来かなりそういった県がございましたけれども、漸次改善はされてきておりますけれども、まだ数県が通達において指導いたしました状態とは達っておる県も残っております。したがいまして、私どもとしましては、少なくとも通達を出しました線に全国の連合会が合わせていただくというふうなことで今後も指導をしていきたい、こういうふうに考えます。
  80. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 千葉の共通役員制の問題で、先般会長は三連から除かれたようですね、理事会で。それで、仮処分の訴えをしたところが、それは却下されたということなんですが、いま残っておるのは中央会の会長だけですね。県中央会の会長だけ秋葉さんは残っておるわけですね。そうでしょう。あとは、販連も、経済連も、信連も、共済連も、会長はやっていないわけでしょうね。いまやっているのは中央会の会長だけ。中央会の会長は選挙のやり方が違うから、総会において選挙しなければならない。あとの会長は、全部これは理事会の互選だから、理事会で認めなかったようですね。ですから、いま秋葉さんは県中央会の会長だけということになるのですが、さらに、いま局長がおっしゃったように、三十八年の通達の農協の共通役員制の資料を見ても、おっしゃるように、数県この通達に従っていない、その後も指導したけれどもなかなかそのとおりに動かないというところが数県ある。これは名前もわかっている、県もわかっているのですが、まずお尋ねしたいのは、千葉の中央会には今度補助金を出しますか。ことしの補助金はもう出しましたか。それから何回指導しても通達と違ったことをやっている数県の中央会に対してはどうなんですか。一括全中に出すわけですか。
  81. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほども申し上げましたようなことで、共通役員制の問題は、系統内部においてそういった判断と動きによって発生をしてきておるわけでありまして、私どもとしては、行政庁の立場で、少なくともこの点は改めたほうがよろしいということで指導をいたしておるということであります。役員について権限をもってどうこうというわけにはいかない立場でございます。したがって、いまやっておりますことも、指導でございます。そういう関係から、そういった状態にある中央会に対して補助金を渡さないというふうなことまでは、補助金の性格等からいきまして、必ずしも適当でないのではないかというふうに思っております。  なお、千葉県の中央会に出したか出さないかということは、調べましてお答えいたします。
  82. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、いま私がそういうことをお伺いしたのは、どうも千葉の問題についての農林省態度というものがはなはだしく理解に苦しむという点から伺ったわけなんです。ですから、いまお話しのようなお考えも確かにあり得ると思うんですけれども、どうもそういう考え方が、千葉のこの問題について約十カ月もまれているんですが、そういう中にあって、農林省がとった態度というものがはなはだしく不明朗だと私は思うんです。一連の関係があるというふうに言わなきゃならないと思うんですが、愛媛県の共通役員制の問題については、今回中央会は独立するようです、県の中央会というのは。これは総合農協、専門農協、それぞれ指導し、監督をし、教育をしていく、そういう任務を持っていると思うんですが、信連と共済連、これが一緒である、役員が共通だというようなことは法律にいけないと書いてあるのだから、法律違反ですら——違反と言ったらまずいかもしれませんが、それもやむを得ないんだというお考えなんですか。違いますか。いま、中央会の存在について、愛媛は中央会だけ独立するような動きがはっきり出ておりますものですから、私は非常に興味を持っているんです。お尋ねをしておきます。
  83. 森本修

    政府委員(森本修君) 共済連と信連の法律上どうこうと先ほど申し上げましたのは、兼営を禁止している団体として事業として一緒になるということはいけないということになっておりまして、別段役員問題を法律規定しておるわけではございません。  それからなお、愛媛県の問題につきましては、私ちょっといま最近の実情を承知しておりません。
  84. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 愛媛県の問題は有名な問題でしょう。ことしの知事選以来の有名な問題なわけであって、御存じないというのはいささか腑に落ちないのだけれども、言っちゃまずいものだからおっしゃらないのかもしれないが、それは別にいたしまして、時間の関係もありますから、資料を、第二会社、つまり農協が金を出して別の会社をつくっている、あるいは農協が会社に対して株式を半分以上持っておる、そういう一覧表を出していただけませんか。購連、販連、その他共済連、それぞれ第二会社というのが非常に目立ちますので、顕著になってまいっておりますから、そういう問題について一覧表を出していただきたい。
  85. 森本修

    政府委員(森本修君) いわゆる農業協同組合が少しでも出資しておるといったような関係はかなりたくさんの数にのぼるわけですが、第二会社と俗に言っておりますけれども、おそらく農協の出資が全部または大部分といったような会社を称しているのだろうと思いますが、実は、私どもの現在手元にございますのは、ちょっとそういうものに合うような資料はございません。したがいまして、若干時間をいただきまして、調査の上、要求資料は提出さしていただきたいと思います。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 できるだけ早くひとつ調査の上資料をいただきたいと思います。  次に伺いたいのは、共済連の非常な伸び方ですね。五年間の間に四倍以上伸びましたね、件数並びに共済金額が。たいへんなものですね。金額で言いますと、四兆六千億、四十一年度末で。これは五年の間に四倍半ぐらい伸びたことになりますが、件数もそれにふさわしくたいへんな伸び方ですね。責任準備金も五倍近く伸びていますね。四千八百億円と、まあたいへんな膨脹をしたわけですが、世界に例がないそうですね。ぼくも寡聞にして知らないのだけれども、聞いてみたら、世界にもちろん例はないというんですわ。農業協同組合のいままでの歴史の中でもこんなものはないのでしょうね。たいへんな成長です。   〔委員長退席、理事任田新治君着席〕  そこで、私は、それを前提にして言いますよ。たいへんな伸び方をしたのだが、その運営なり管理の方式というのは、次から次に即応して改められているのでしょうか、どうなんでしょうか。——わからぬから聞いているんですがね。
  87. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっと御質問が具体的にどういうふうなことをお答えすればいいか、よくのみ込めない点もございますが、御指摘がございましたように、いわゆる農協共済の事業量といいますか、契約高は、かなり伸びております。大体、最近の状況では、年々対前年比三割ぐらいずつ伸びておるというふうに承知をいたしております、最近の実績では。したがいまして、そういった事業量が増加をしてくるというふううなことに即応いたしまして、共済連のたとえば財務についての運用等、改善すべき点は改善をしつつあるという状況でございます。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三割ぐらいというお話ですが、そうではないんで、たいへんなふえ方ですよ、この五年の間に。責任準備金だけでも、三十六年度末が千百五十二億でしょう、県と全国と合わせましてね。それがいま四千八百十五億ですよ。四倍以上になっていますよね。この異常な伸び方を、三割だというお話でありますが、三割ずつ伸びておるということは、どうも事態の認識がだいぶ違うと思うんですよ。そうすると、これは質問がぼけてしまうのですがね。
  89. 森本修

    政府委員(森本修君) 数字の問題でございますが、私が申し上げましたのは、年率で最近の増加率を申し上げたわけでございます。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 三割ずつふえていけば、五年の間に四倍になるのですか。——まあそれはいいことにしましょう。  それじゃ、次に伺いますが、この共済連は、こういうふうに世界に例がないといわれる生命保険関係、こういう関係でたいへんな伸び率を示しておるわけですし、農協の仕事の中でもこれだけ短い年数の間に膨張をするというようなこともいままでかつてない問題だというんですが、共済関係のいろいろな管理体制なり運営なりというものがそれに即応しているかどうかというお尋ねをしましたら、そういうことになっておるというお話のように聞いたのですが、千葉県連の問題をまた持ち出さざるを得ないのですが、それ以外にももっと持ち出したくなるわけですが、それはそれじゃ一応おきましょう。  そこで、このあいだ、一カ月くらい前ですが、NHKの総合テレビで、ある県の大型農協の組合長が盛んに訴えていまして、それは、実際末端においては共済というのはノルマだ。私の町はどう考えてみても八千万の契約しかできない。しかし、共済県連のほうからは一億八千万円の割り当てが来ている。何ともならない。しかし、このノルマを——ノルマということばですが、ノルマを何とか果たさなきゃならない。いま、われわれ共済組合は、農民のために奉仕しているんじゃなくて、共済連の県連合会のために奉仕しているんだ、ということを強調していましたよ。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕 それで、なるほどねと思って、これは全農協労連の資料ですが、この中に共済の関係がいろいろ出てくるのですね。これを見ますというと、共済は単協に対して一億八千万円というノルマを課する。そうして、この単協の組合長が、職員に対して、一人当たり何百万という割り当てをする。それを果たせ、消化せよ。そうして、一方においては、成績のいい、契約高の多い単協は表彰をする。全国連の会長が表彰する。農林大臣が表彰する。コンクールだ。われわれはしりっぺたをたたかれている、割り当てで。これは山口の農協の例その他がこの中にいろいろ出ておるのですが、一人一人割り当てられる。全職員が集められて、一人当たり二百万だとか五百万だとか割り当てられて、こなせと。これは執務中はできないから、執務が終わってから、その中でもどこでもよろしい、とにかく消化しなさいと、そういうものの上に立った、目ざましい、目をみはるような、それこそびっくりするような飛躍をしたわけですね。単協の組合長は、信連の預金、貯金の中から回すということもやらざるを得ないということを訴えておるわけですね。これは非常に問題があると私は思うんです。なお、NHKで放送した組合長は、購買の問題についてもノルマを課せられておる。これはまさか農林大臣賞なり会長賞というものはないでしょうけれども……。  そこで、これはどういうことだと私は疑問を持つわけです。農林大臣賞というのは、これは賞ですか。農林大臣の賞を出す基準というものはあるんでしょうね。その基準を一ぺんひとつ出してもらいたいですね。賞状ですか。よくわからないんですよ。農林大臣賞が出ているというんです。
  91. 森本修

    政府委員(森本修君) いわゆる農協の経済事業のあり方についての問題でございますが、ノルマを課してやっておるがどうかといったような問題で、確かに、一面におきましては、農協の経済活動をある程度計画的にものごとを進めなければならぬという点がございまして、ある意味では事業計画といったようなものが各連合会等でつくられておるというふうな状況であります。これは、おそらく、元来は、組合員の需要を的確に把握をいたしまして経済事業を計画的にやっていくということが本旨であると存じます。したがいまして、御指摘のような、やや行き過ぎといいますか、そういったような事態は必ずしも組合運営の本旨からいきますと、適切ではないというふうな感じもいたします。具体的にどこがどうということではございませんが、原則論としましては、さようなことで各農業団体において事業の運営をはかられることが適当であろう、かように感じております。  なお、成績が優良でありました組合に対しましてそれぞれ表彰をするといったようなこともやっておるわけでありますが、ある意味では、農協の事業活動の積極化ということが適正な事業運営のもとに行なわれますならば、組合員の福利とそういった福祉向上といったようなことにも資することでありますので、そういった事業活動が適切に行なわれ、また、業績を上げておる組合に対しまして農林省としてもしかるべく指導上の措置をとるということは、先ほどの表彰のような例から見ましても必要であると考えております。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは時間の関係もありますから別にいたしますが、最後に、時間の関係がありますから、資料を要求いたしておきますが、それは、サイトですね。全購連は運転資金を借りていますが、借りていないでしょう。その出どころはサイトにあると思うのですが、運転資金というものはいまの事業をやる人にとってはたいへんなことで、火の車になって金を借りて歩くのですが、一体このサイトによる利益というのはどのくらいあるものかですね、その資料と、そのサイトは協同組合の原則である利用高配当になっているかどうか。奨励金というような形で出しているようですけれども、その資料ですね。どういうふうにそのサイトによって出た利益というものを県連なりあるいは単協に対して出しているか、還元しているかという数字ですね、そういうものがはっきりわかるようなものを出してほしい。  それから手数料ですね。たとえば米の問題について、ちょっと早いのですが、ことしは手数料はたしか百三十億だ。保管料が二百何十億ですね。だいぶ農協にいくわけですが、去年でもいいし、その前の年でもいいですが、米の手数料を、全国連、それから県連、それから単協と割った場合に、一人当たり幾らになるのか。全国の一人当たり幾らになるのか、それから県連で一人当たり幾らになるのか、それから単協で一人当たり幾らになるのか、その数ですね。中央に幾ら行って、県に幾ら行って、単協に幾ら行って、それを組合員、職員数で割れば一人当たりの手数料が出ると思います。その手数料、そういうものを要求しておきましょう。  それから私は時間がないので一つだけ結論みたいな一つの結論を申し上げたいのですがね。やってみますと、確かに、農協というのは、一つの協同組合という思想で統一をされて、三段階の系統組織で運営されているのだけれども、しかし、どうも県連というのは全国連の請負機関である。単協はまたその県連の下請、こういう印象を非常に強く受ける。職員の給与をとって見ましても、この農協の農林省で出した資料の中に出ているように、中央を一〇〇とすると、下のほうは半分くらいですよ、単協はですね。そうして、県連はその中間。仕事のやりっぷりを見ると、どうも下請会社みたいに押しつける。いや、全く下請の下請というようなことで、そうして、農協はみな上のほうを向いている。単協は、上のほうを向いている、農民のほうは向いていないというような感じを非常に私どもは受けるのですが、それが私の結論で、その点についてひとつ農林省と争いたいと、こう思っているわけなんですよ、この問題で。さらに、単協の段階に行きますと、労働基準法違反というのが非常に多い。農林省は昨年調査をされたようですが、昨年の十二月に、五年間の農協の労働基準法違反、と言っちゃまずいかもしれませんが、そういう事項を調査されたようですね。これに載っているわけですから、調査されているわけですよ。調査しておりますから、その資料をひとついただきたい。  以上で、委員長、四時半になりましたから……。
  93. 森本修

    政府委員(森本修君) それぞれ御要求がございました資料は、できるだけ早くお出ししたいと思います。
  94. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————