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1967-06-20 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十日(火曜日)    午前十時五十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  桧垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        林野庁長官    若林 正武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ○農業共済基金法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 北條雋八

    北條雋八君 まず第一に伺いたいことは、比較的災害の発生の多いところの赤字連合会と、その反対災害をこらむらない黒字連合会と、いつもその区域を異にしております。これがある程度赤字連合会黒字連合会区域が固定化するという傾向を、基金融資との関係で政府としてはどういうふうに考えておられるか。黒字連合会基金からの貸し付けを受ける機会か少なく、これと反対赤字連合会は年々資金貸し付けを受けるようになりまして、基金利用する連合会と未利用連合会との格差ができてまいります。最近の未利用連合会はどういう県で、また、何年ぐらい利用しないでおるかなどの実態の概略についてまず御説明していだたきたいと思います。
  4. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 連合会によりまして、不足金相当ありますものと、それから不足金がありませんでかえって剰余金があるところと、連合会によりましていろいろでございます。そういう事情もございまして、私ども、四十年の四月一日現在で二十四億六千七百万円という連合会不足金の一部をたな上げをいたしまして、無利息無期限の貸し付けに直したわけでございます。その後、連合会収支相当改善を見まして、四十年におきましては三十八年末当時に比べまして約四億円不足金が減少いたしましたが、四十一年度におきましては幸いに災害の起こり方によりまして連合会不足金がさらに減って、四十一年度に九億円程度連合会赤字が減少したわけでございます。したがいまして、現在、連合会の中で、不足金を持っておりますものが二十四連合会剰余金を持っておりますのが二十二連合会という状態でございます。したがいまして、連合会によりましては、現在、基金から金を借りないで自分のところだけで収支を繰り回しておるところがございます。  ただ、昭和二十七年に基金ができましてから通算いたしますと、四十六の連合会は全部基金利用をいたしておるわけでございまして、災害の態様によりましては、相当規模の黒字を持っておりますところでも、短期のうちに赤字に変わるという可能性もないことはございませんので、基金といたしましては、全部の連合会が一応利用をするという観点から設計をいたしておるわけでございます。  なお、最近におきます連合会利用程度を申し上げますと、三十八年度におきましては四十六のうちの三十九でございます。三十九年度におきましては二十五の連合会、四十年度におきましては二十九の連合会基金利用をいたしておるという状況でございます。
  5. 北條雋八

    北條雋八君 黒字連合会がだんだんふえてくるということは考えられますし、また、一方、果樹あるいは鶏、肉豚、畑作などのまだ災害補償の行なわれていないいわゆる未利用連合会地帯もあるために、地域的には基金利用度のアンバランスがあることは明らかであります。  そこで、伺いますけれども、今度六億円の追加出資のうちで連合会が出す三億については、未利用地帯において犠牲的出資を余儀なくされる黒字連合会相当できると思うのですが、政府はこれらの未利用連合会出資方法その他についてどう考えておられますか、その点を伺います。
  6. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほど申し上げましたように、確かに、連合会の中に赤字のものと黒字のものとがおおむね半々程度ございますし、それとも関連がございまして、四十六県全部の連合会基金利用いたしておる状態ではございませんけれども、しかし、農業災害共済あるいは保険でございますから、災害のずっとないようなところでも、一ぺん災害がありますと、相当被害を受けて、連合会ふところぐあいが二、三年のうちに相当苦しくなるということもあるわけでございます。したがいまして、黒字連合会で現在は利用しておらないというところでも、将来利用可能性が当然あるわけでございまして、黒字連合会自体もそういうことをよく承知をしております。  しかし、現実に今回の増資分六億のうちの三億円を連合会出資いたすわけでございますが、実は、内部の事情を申し上げますと、連合会の中ではいろいろ意見がございまして、黒字連合会意見としては、自分たちはあんまり基金利用しないから、基金出資することはできるだけ遠慮したいという気持ちが確かにあるわけでございます。それと同時に、赤字連合会といたしましては、黒字連合会とともに同じように一生懸命共済事業あるいは保険事業をやっているわけでございますが、それが、災害の来方によって、ある連合会黒字となり、ある連合会赤字となるわけでございますから、それはいわば偶然的なことであって、赤字連合会でとにかく財政状態が非常に苦しいのに、黒字人たちがのんきにかまえていて、赤字連合会だけが出資をするということはおかしいではないかという意見でございます。これは、私、赤字連合会黒字連合会それぞれの意見としては、当然そういう気分であることはわかることでございますけれども先ほど申し上げましたように、四十六の連合会が全部利用するというたてまえでこの基金が性格づけられておるわけでございますから、私どもは、赤字連合会黒字連合会もともに同じ条件で出資をいたしてほしいという気持ちでございます。事実、連合会長が集まりまして議論をいたしましたときに、まあ内部的な意見としては私が御披露したような気分の相違はありますけれども結論としては、全部四十六の連合会が、赤字連合会黒字連合会を問わず、さきに昭和二十七年のとき出資いたしましたような割合で、そのときは連合会が十五億の出資をいたしておるわけでございますが、その五分の一を各連合会出資をするということにはっきりきまって、その点について全然異論はないわけでございます。
  7. 北條雋八

    北條雋八君 しかし、災害は、場所によって、先ほど申しましたとおり、常襲地帯とそうでないところと非常に違うわけでありますが、基金にやっかいになっていないというところも必ずあると思いますし、そういうような未利用黒字連合会からは、あるいは基金に対して配当の要望があったり、あるいは無事戻し、あるいは病虫害の防除に対する助成をしてもらいたい、そういうような利益の還元を望んでいるという声も聞きますし、また、赤字連合会連合会で、基金貸し出しの金利をいまの一銭五厘をもっと安くしてくれといったような要望もこの増資のときにだいぶ出たという話を聞きましたが、そういう要望は実際ありましたか。連合会会長会議話し合いがあったということでありますけれども、三億の追加出資に関しましては、政府連合会話し合いは、円満に解決しておるんですか、どうですか。
  8. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 内部的には、とにかく三億の金といのはそう少額な金ではございませんから、連合会出資する場合に、会長さんとしてはいろいろ御意見があったわけでございすが、結論としては、とにかく基金増資をして基金経営を健全にすることが農業保険全体の運営を健全にするゆえんであるということに意見が一致して、私どもも、四十二年度予算を要求するときにも、その点についてはよく連合会会長会議で確かめまして、これは政府だけが出資するものではなくて、連合会出資政府とがいわば相乗りでやる仕事でございますから、あとになってある連合会のほうで出資できないというようなことになって全体の足並みがそろわないと非常に困った事態になるわけでございますから、その点はよく確かめまして、四十六の連合会がとにかく前と同じような方式で三億の金を積むということに全会一致の決議をしてもらったわけでございます。したがいまして、当初の内部的な議論としてはいろいろ御意見も出ましたけれども、現在のところは、すべて割り切って三億の出資をいたすといろふうになっておるわけでございます。  それから連合会黒字連合会被害率が大体低いのが通例でございまして、農業保険被害率なりあるいは掛け金率というのは実は組合ごとに現在は違えておりまして、災害の常襲地と、あるいは災害がほとんどない地帯と、それからその中間地帯と、これは大体二十年にわたる被害率平均等利用いたしまして組合ごと被害率を違えておりますから、被害率が低いところで掛け金率をよけいとられてそのために農家の人が非常に不満を持つという事態は、私は現在のところなくなったというふうに考えております。
  9. 北條雋八

    北條雋八君 現在の農業共済基金は、資本金が三十億で、積立金が約十二億円であります。設立以来、基金自己資金連合会不足金に対する貸し付け資金量が足りない場合に、中金から資金を借り入れて、日歩二銭二厘ですかで借り入れまして、そしてこれを連合会に一銭五厘で貸し付けてきておるわけであります。いわゆる逆ざやになっておるのでありますが、これは当初から基金自己資金すなわち資本金が不足していることを示すものじゃないかと思うんです。結局、設立当初から資金が足りなかったのではないかというふうに思うのですが、その点につきまして政府の見解を伺いたいと思います。
  10. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 昭和二十七年に基金設立いたしましたとき、出資金三十億といたしまして、政府が十五億、連合会が十五億ということで発足いたしたわけでございます。そのときの予算がきまりますまでの計算といたしましては、最悪の事態を予想いたしますと、基金は六十億程度の金があったほうがいいというふうな計算がありましたことは事実でございます。しかし、当時の連合会事業不足金が約二十八億でございましたから、不足金二十八億に対しまして出資金三十億というのは大体見合っておりますので、まあ必要以上に基金を積むといたしますと、それは基金としては健全経営でございますが、国の金あるいは民間の金をそれだけ寝かすことにもなりますので、私は、それはどたっぷり多過ぎるくらいの額で出発する必要もまずなかったというふうに考えるわけでございます。それで、確かに、御指摘のように、中金から二銭二厘で借りて、その金を基金連合会に一銭五厘で貸して、七厘の逆ざやでございますけれども、根っこの出資金なりあるいは積立金等自己資金は無利子の金でございますから、その無利子の金を計算をして収支が相償えばそれで基金としてはよいわけでございますから、中金から二銭二厘で借りる事態が来ましても、ある程度自己資金が充実しておればそれでよろしかろうというふうに思うわけでございます。
  11. 北條雋八

    北條雋八君 しかし、やはりその後に赤字がこの表で見ましても相当に出ておりますし、もっとたっぷりすればなおさらよかったんじゃないか。たな上げによってなおさら収入が減ってまいりましたから、いずれにしても、今後の収支バランスを見ましても、基金が非常に足りないんじゃないかという感じを持つわけでございます。連合会累積赤字四十七億五千万円のうちで二十四億六千七百万円をたな上げしたので基金収入が減りまして、そしてこれに対してこのたび基金融資の能力を充実するために六億という資金増加することになったわけでありますが、これについて先般政府説明によりますと、もし六億の増資をしないでこのままにしておけば、十年後に昭和五十一年には基金収入は一億円の赤字になる。これを防ぐために四十二年度に六億増資するんだと。この六億の増資によって十年後には収支とんとんになるんだという話であります。この表で見ましても、十年後には九百万円の赤字に減ってくるわけであります。しかし、この提出資料で見ますと、四十九年度まではずっと黒字で来ているんです。それが五十年度になって初めて四百万円の赤字になっている。五十一年度はそれが九百万円の赤字になってだんだんふえる傾向を示しておるんです。また、先ほども申しましたように、逆ざやになる中金の借入金も、この表で見ますと、四十八年度から二千二百万を皮切りに借りているわけです、中金からの金を。そして、これまた、四十九年度には一億六百万円、それから五十年度は一億九千八百万円、それから五十一年度には三億二百万円、非常に大幅に増加してきておるのを見ますと、収支とんとんになるという楽観的なことを言っておられますが、安定するどころか、今後五十一年以後の赤字は、この調子ではますます増加して行き詰まっていくんじゃないかというふうに考えます。その点はいかがですか。
  12. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 基金の十年間の収支につきましては、当初御提出いたしました資料によりますと、昭和五十一年における累積赤字は九千百万円、さらに、渡辺先生の御要求によりましてその後提出いたしました資料によりますと、無利息のたな上げをいたしました二十四億六千七百万円の処置が最初の表と違うわけでございますが、それによりますと、五十一年の累積赤字が九百万円ということでございます。それで、実は、この表は、前にも御説明いたしましたけれども、私ども、たな上げいたしました二十四億六千七百万円という数字、このたな上げ額をどうするか、返してもらうか、あるいはどういう方法によってこれを解消するかということにつきましては、現在のところまだ何らの結論を出しておらないわけでございますが、この表の考え方といたしましては、一応連合会経営も次第に健全になるであろうから、四十五年度以降は、赤字連合会の生みます利益の九千五百万円の三分の一程度をたな上げした資金の返還に充てるという、そういう前提で実は計算をされておるわけでございます。その点についての御説明を前回もいたしたわけでございますが、いずれにいたしましても、一億程度赤字が今回六億の出資をいたしませんと出ますし、六億の出資をいたすといたしましても、九百万円程度赤字が五十一年度に残ることは、計算上お説のとおりでございます。  ただ、農業保険でございますから、先ほども申し上げましたように、私ども一応は毎年一億程度不足金増加するという想定でこの計算をいたしておりますところ、四十一年度におきましては約九億円の黒字増加――黒字増加といいますか、赤字の減少でございます。したがいまして、そういうことを入れて新しく計算いたし直しますと、また別の結論が出るわけでございまして、今回六億の出資をして、出資金が三十六億、それから積立金が約十二億それで、たな上げしております金が二十四億六千七百万円ということで計算をいたしますと、十年間で大体収支とんとん程度にいくのではないか。これは非常に動きやすい農業保険を材料にして議論するわけでございますから、いかような計算もある意味でできるわけでございますけれども、幸いに四十一年度に予想外不足金が減りましたということを前提に置いて考えますと、大体御心配のようなことはないのではないか。これは、出資金がふえれば基金としてはありがたいことでありますけれども、それにつけましても、また国の出資なりあるいは連合会出資もふえる道理でございますから、まず今回六億程度出資をしてしばらく様子を見る、当分これで収支基金経営がらまくいくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 北條雋八

    北條雋八君 先ほどこの表の説明を私がしましたけれども、十年後の五十一年には収支とんとんになると言われるけれども、実は九百万円の赤字になっているわけですね。それで、その前の年の五十年が四百万円の赤字になっておる。だんだんふえてきているんですね。その前はプラスだった、黒字だった。五十年に四百万円、五十一年に九百万円。むしろ逆にふえてきておりますね、マイナスが。ですから、この以後はどうなるんですか、試算をされたんだろうと思うんですが。
  14. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、五十一年以降の試算を特別にやっておりませんけれども、このような前提計算をいたしますと、おっしゃるように五十二年度以降少しずつ赤字がふえるという計算になるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、四十二年度における計算で前年度末の不足金四十四億一千万というのは、実は、今回差し上げました資料によりますと、まだ暫定でございますけれども、前年度末の不足金が大体三十四億円になっております。この表の計算と十億程度の違いがすでに出ておるわけでございますから、中身も相当の食い違いがあろうかと思います。  それからこの計算自体一つ前提を申し上げますと、昭和二十四年から四十年度まで相当古い資料を使いまして、三十八年度に制度を変えました新しい計算によりまして連合会不足金が年八千二百万円程度増加する、そういう計算でこの表が成り立っているわけでございます。したがいまして、今後の農業災害のあり方によりまして、昭和二十四年ないし昭和四十年という不足金動きとまた多少違う動きを示してきますと、この表自体考え方もまた当然変わってくるわけでございますから、私ども、いまの計算でまず十年基金が健全に経営できるならば、そのときの時点においてまた再度増資等について検討するということでよろしかろうといろふうに考えているわけでございます。
  15. 北條雋八

    北條雋八君 時間もありませんから、次に移りますが、いまのお話でも、災害つまり程度といいますか頻度によることでありますけれども、はたしてこの六億の増資基金収支バランスが今後何年保てるか、非常に疑問だと思います。いずれにしても、基金収支が苦しくなることが考えられるわけであります。そのたんびに増資を繰り返すようなことがあるんじゃないかと思います。いずれにしても、増資をする場合に、政府としても責任のあることでありますから、いつも連合会政府と均分に出すということだけを考えないで、やはり資金量を十分な安全率を見込んできめられることが必要じゃないかと思うのです。場合によれば、政府全額出資してもいいし、あるいは政府負担割合を引き上げるというような方針をとることも必要だと思うのですが、そういう点については政府はどういうふうに考えられるのか。政府全額出資をして増資をするというようなことは絶対にしないということが言い切れるのかどうか。
  16. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私は、基金に対する政府出資全額であっては絶対悪いとか、そういうことを絶対にしないというふうに言い切るつもりはございませんけれども、しかし、農業保険全体のシステムが、農家政府のいわば合体しての制度でございますから、基金増資にあたりましても、政府民間といいますか連合会とのいわば相乗りの形で半々というのが一番すなおな考え方ではないかというふうに考えております。
  17. 北條雋八

    北條雋八君 異常災害の突発とかあるいは新種共済進展等のあります十年先の資産見通しが非常に至難なことは、明らかでございます。したがって、それだけ安全率を十分に見込んでおくということは必要だと思います。今度の場合も、六億で半々の出費にされましたけれども、少なくとも十億ぐらいにしまして、そうして折半にこだわることなく、やはり額を先にきめて、そうして負担あとから半々でなしに政府連合会との間できめていけばいいのじゃないかと思います。ですから、今度の場合も、本法設立のときの出資負担とは意味が違うと思うのです。これは基金制度一つの建て直しという意味が今度の場合には含まれておりますし、やはり政府がそれだけ力を入れて出資にも割り当てを多く負担するという心がまえは持っていただきたいと思うのです。でありますから、六億にしないで、少なくとも十億ぐらい、そうして七分・三分にでもすれば、同じ連合会負担が三儀で済むのですから、そういうようなふうに考えるべきだと思うのですけれども、そういう点を考えられたことがあるかどうか。
  18. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、検討の過程においてはそういうことを考えたこともございますけれども、別に前の二十七年のときの経過にこだわるわけではございませんが、その当時におきましても折半でございましたし、それから連合会のほうの意見としても、それは政府ができるだけ多く出資することが望ましいでございましょうけれども、ただいまのところ三億・三億で行こうというふうにお互いの気脈も通じ合っておりますので、今回はこれで行かしていただきたいというふうに考えております。
  19. 北條雋八

    北條雋八君 その点は、私と少し意見が違いますが、水かけ論になりますから、これ以上は申し上げません。  次に、共済基金業務範囲について伺いたいと思うのですが、共済基金融資対象は、会員すなわち連合会事業不足金貸し出し、これに限定されておるわけです。末端組合事業融資対象から全然はずれておるわけであります。しかし、三十八年度の本法案の改正によりまして連合会責任部分末端組合が大幅に分担することになりましたし、また、組合もだんだん大型化して強化拡充されることを考えるならば、共済基金融資対象にやはり組合も入れてやるべきじゃないかと思うのです。組合事業にも融資ができるようにするには、これは法律改正も要ることでありますが、その点について政府として考えられたことがあるかどうか、また、今後それに対してどう考えておられるか、その点をお伺いいたします。
  20. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 組合に対して基金から融資をしたらどうかという御意見は、組合共済金を支払う場合に削減が一部できることになっておりますのに対応して、農家に対して共済金全額支払わないで一部削減する場合に、削減をさせないで基金から金を貸し付けたらどうかと、そういう御意見であろうと思います。私ども、今回の増資に関連して、基金業務をそこまで拡大すべきかどうかについてだいぶ議論をいたしたわけでございますが、私も、筋としては、共済組合共済金を一〇〇%農家に渡して、削減ということがないほうが望ましいというふうに思います。しかし、実際問題といたしまして、昭和三十八年に制度改正をいたしました結果、組合の手持ちの掛け金なりあるいは責任の持ち方が非常に変化をいたしまして、制度改正の前までは、組合は、通常災害異常災害を含めて全体の責任の一〇%を持っていたわけでございます。一〇%の責任を持って、全体の掛け金の一〇%を組合が受け取って、受け取るといいますか、保有をいたしておったわけでございますが、三十八年の制度改正によりまして、異常災害部分は全部政府が再保険をする、通常災害分に限って組合連合会とで持ち合うという制度にいたしましたものですから、三十八年以降の制度改正によりまして組合の手持ちの責任は全体の二・三%になったわけでございます。そうして、掛け金は、全体の三七・四%にふくらんだわけでございます。これは、当然、通常災害分は被害が多いわけでございますから、被害率としては頻度が高いわけでございますから、責任は少ないけれども掛け金は多いという状態になるわけでございます。したがいまして、組合削減をしなければならない場合は、積立金が全然なくて、しかも、通常標準被害率と通常共済掛け金率との差額ということになりまして、一組合で三、四十万円程度ということになるわけでございます。事実、昭和四十年におきましても、四十一年におきましても、多少の削減をやっておりますけれども、最近の例で申し上げますと、かりに全国べたに被害が皆無になりました場合に水稲関係で削減しなければならない数字、最大額というのは、全国で十三億円、一組合当たり平均三十五万八千円、そして二戸当たり二百三十八円、反当四十円という程度削減率になるわけでございます。実際、最近の農家に支払います掛け金のうちで削減したものは〇・五%にすぎない状態でございますから、私は、削減するほうがいいか削減しないほうがいいかというふうに問われば、これは削減しないほうがいいわけでございますけれども、実際問題として三十八年度の制度改正によって削減しなければならない範囲というのは非常に小さくなったわけでございます。したがって、基金からどうしても組合が金を借りなければならないという必要性もまた少なくなったわけでございます。  したがいまして、基金の今後の自己資金の充実ぶり、あるいは積立金がどの程度になるか。基金といたしましては、財政状態がよくなりますれば、連合会からの出資金に対して配当あるいは配当類似の優遇措置を講ずることが望ましいわけでございます。そういうことをどの程度にするかというようなことに関連をして組合に対する融資の問題を今後十分検討していきたいと、そういうふうに思っております。
  21. 北條雋八

    北條雋八君 いまのお話で削減も大したことはないのだと言われますけれども、この間のこの表で拝見したのは、これは全国ベースあるいは全県ベースの数字でありますから、それで見ると、そう大きい削減の率の実態はつかめないのであります。しかし、市町村段階の個々の組合については、共済金の大きな削減が行なわれた例があるに違いないと思います。それで、削減払いの大きな実績組合について伺いたいのですが、時間がありませんから、省きますが、農家としましては、当然受け取るべき共済金全額が受け取れないということは、まことにそれこそ情けない制度だと思うのです。これにかわる特別の措置は何か考えられておるかどうかわかりませんが、積立金などによってある程度は助成しているのだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  22. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) おっしゃるように、組合といたしましては、剰余金がありますれば、特別積立金を積んでおるわけでございます。それで、かりに削減せざるを得ないような事態が参ります場合は、まず特別積立金を取りくずして共済金に支払うということを現にやらしておるわけであります。  それで、一つ組合につきまして相当多額な削減があったろうというお話でございますけれども先ほど申し上げました数字は、一組合について三十万円程度という削減額は、これは全国平均でございますけれども、大きな組合につきましても制度のたてまえからいってそんなに多く削減しなければならないようには保険設定ができておらないわけでございます。したがいまして、ただいま、全国平均では大した数字ではないけれども、ある組合にとっては相当大きな削減があったのではないかということは、私、本日、時間がございませんから、そら詳しいことは申し上げません。またあとで御説明いたす機会があると思いますけれども、特定の組合についてもそういう大きな削減はございません。
  23. 北條雋八

    北條雋八君 それでは、時間がありませんから、私もこれで最後にします。  この基金業務というものは、先ほどもお話しのとおり、連合会不足金のみを貸し付け対象としているために、組合削減があっても、基金は何の役にも立たない。私は、組合事業不足金をも基金貸し付け対象として、いわゆる組合融資を本基金業務範囲に加えるべきだと思います。また、もう一つは、削減の問題でありますが、私は、組合共済金も、連合会保険金と同様に、削減することができないとすべきであると思うのであります。まあいずれもこれは法律改正しなければならないことでありますけれども政府は将来の検討課題としてどう考えておられるか、この点をまず局長に伺って、次に大臣からも所信を伺って、私の質問を終わります。
  24. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が申し上げておりますごとは、削減するということ自体は、決していいことではございません。私もなければないで済ましたいところでございますけれども、三十八年の制度改正によって非常に少なくなった。それで、私が申し上げたいことは、三十八年の制度改正以前では、組合責任負担異常災害を含めて一割でございますから、大きな災害が来れば、相当削減をしたわけでございます、現に。三十八年を境にして、どんな災害が来ても組合削減をする範囲というものは非常に小部分に限られているということで、私は削減問題は制度改正によって本質的に違ったというふうに考えております。しかし、それにもかかわらず、削減をやらないで済めばそれにこしたことはございませんから、決して削減を今後も続けるんだとか、あるいは基金から絶対に組合に貸すつもりはございませんというふうに申し上げておるのではございません。これからの基金の運用の実績を見まして十分検討をいたしたいと思います。
  25. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま種々御質疑に政府委員からお答えいたしておったわけでありますが、制度改正によりまして、いま申し上げましたように、削減も少なくなってまいっておることでございますし、財源の点等もございますので、削減はなるべく少ないほうがいいと政府委員が申し上げました趣旨もございますので、なおこれから慎重にひとつ検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  26. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ほかに御発言もなければ、質疑はつきたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。農業共済基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  29. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。     午前十一時四十三分休憩      ―――――・―――――     午後一時十八分開会
  31. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから委員会を再開いたします。  森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  林野庁長官から発言を求められておりますので、これを許可します。若林林野庁長官
  32. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 提出をいたしました資料につきまして説明を申し上げます。第一ぺ一ジの、民有林の「森林病害虫等の被害と駆除調」でございますが、昭和三十八年度、三十九年度、四十年度、三カ年間にわたりまして被害量と駆除量及び駆除率を掲記いたしたものでございます。駆除量の中でその他という欄がございまするが、これは市町村及び個人が防除をいたしました駆除量でございます。  まず、マツクイムシについてでございまするが、駆除率でごらんをいただきますと、昭和三十八年度が九九%、三十九年度が八七%、四十年度が九四%ということで、若干駆除量のほうが下回っております。これは、地形等の関係で駆除がはなはだしく困難であるというふうなものもございますし、また、一部におきましては、労働力の不足というふうなことによるのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。  マツクイムシ以外の法定病害虫等でございまするが、その中でまずノネズミでございまするが、駆除率をやはりごらんいただきますると、昭和三十八年度におきましては約十四倍、三十九年度におきましては四倍半、四十年度におきましては約十二倍というふうな駆除率に相なっております。これはノネズミにつきましては予防的な防除というものが可能でございまして、被害発生が予想されます林地につきまして予防措置といたしまして薬剤の散布を相当広い範囲に実施をいたしておるのでございます。  国有林につきまして御指摘がございましたように、ノネズミは、民有林におきましても、予防ということを加味いたしまして相当大面積の薬剤散布をいたしておるのでございます。  ノネズミを除きましたその他の病害虫でございまするが、これは森林の食葉性の害虫でございまして、マツクイムシのように被害を受けますると枯死をするというふうなものではないのでございます。備考欄にもございまするように、私どものほらでは、激害、中害、微害というふうに三つの区分をいたしております。その基準といたしましては、食葉量または罹病枝の率というものを前提にいたしまして、五〇%以上が激害、二〇%から五〇%未満が中害、二〇%未満が微害というふうにいたしておるのでございますが、この二〇%未満の微害につきましては、天敵その他によりまして自然に回復をするという場合が多くございまして、現在、防除事業といたしましては、激害及び中害というものを主体にいたしまして防除を実施いたしておるのでございます。この駆除率でございまするが、昭和三十八年度が三五、三十九年度が二七、四十年度が二八というふうに相なっておりまして、大体、激害、中害を対象にいたしまして駆除が行なわれておるのでございます。  この数字につきましては、欄外の注にもございまするように、「森林病害虫等被害報告」というものによって取りまとめをいたしたものでございます。それで、この報告は、毎年、民有林につきましては、都道府県知事から調査年度の翌年度の六月末日までに林野庁のほうに提出をされておるものでございます。  この作成につきましては、民有林につきましては、森林害虫防除員等が、その担当区域内の被害量につきましてはみずから調査をいたしまして、また、駆除量につきましては、国費及び都道府県費に関連いたします駆除量は事業の指導検査等によって確認いたすとともに、市町村及び個人によります駆除量は聞取調査を行ないまして作成をいたしておるのでございます。  市町村及び個人によります駆除量は、ただいま申し上げましたように、聞取調査をやっておりますため、以下申し上げますような不明確な点があると考えられております。なお、この点につきましては、従来から改善につとめておりますが、今後さらに積極的に改善をはかってまいりたいというふうに考えておるものでございます。  まず、第一に、マツクイムシの駆除量につきましては、被害木の周辺にありまする健全木を同時に伐倒いたしました場合に、当該健全木というものも駆除量に含めているものがございます。また、ノネズ、ミ、マイマイガ等の駆除量につきましては、森林に隣接いたしまする牧野、畑地等を同時に駆除をした場合に、これらを駆除量にやはり含めているものがあるわけでございます。また、実際に駆除しているものにつきまして聞取調査漏れ、あるいは、個人によります駆除量につきましては見込駆除量が多いというふうなことで、若干不正確な点もあるようでございますので、今後精度の向上につとめてまいりたいというふうに考えておるのでございます。  それから四ページでございまするが、「森林病害虫等に関する研究の現況」でございます。現在、林業試験場におきまして研究テーマといたしまして取り上げておりますのは、病害関係で十三、虫害関係で十二、獣害関係で二、合計二十七取り上げております。それで、森林病害虫等の生態、気象、地形、土壌、水分、栄養等の林地の諸条件、あるいは樹木の生理等々、森林病害虫等の被害の発生との関係、こういった基礎的な面におきましてまだ相当これから研究をしなければならないものもたくさんあるわけでございまして、私どもといたしましては、試験研究の充実強化というものをはかりまして、効率的な駆除、予防技術ということをすみやかに確立をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  33. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  34. 村田秀三

    ○村田秀三君 お忙しいところをこの資料を作成いただいたわけでありまして、この点はたいへん恐縮に存じますが、この資料の中にもありますように、問題点を提起いたしまして、必ずしも正確を期すものではないという断わり書きがついておりますが、努力をして集約をいたしました資料につきましては、この内容を承知をしてその判断をする、こういうことにいたしたいと思います。したがいまして、この資料の中身については、この際、私は、これ以上いろいろと申し上げるつもりはないわけであります。ただ、しかし、先般来からの質疑を通じ、かつまた、本日提出いただきました資料に基づいて判断をいたしました場合に、やはり調査が不徹底であったということ、このことについては認めざるを得ないのではないかと思います。  それからこれは次の問題になりますけれども、調査が不徹底であり、かつ明確に正確を期すことができなかった。その正確の上に立って対処ができなかったということについては、心ならずも努力はしたけれどもという前置詞がつくかもしれませんけれども、対策が不十分であったことについては認めざるを得ない、このように考えるわけでありますが、その点についてお認めになりますかどうか、お答えをいただきたい。
  35. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 先ほども申し上げましたように、市町村及び個人が直接駆除をいたしました数量の把握につきましては、やや正確を欠いているというふうには判断されると思います。
  36. 村田秀三

    ○村田秀三君 そのことはわかりました。そのことはわかりましたけれども、結局、その正確を欠いたものに基づいて国が対処をしておったということについては、国としての対策が、局部的にあるいは部分的に、市町村の段階にずっと下がって考えてみれば、それはA村はあるいは完全にやっておったかもしれない、B村は不十分であるにもかかわらず報告をしておったかもしれないということでありますから、それは村個々によっては相当な隔たりがあろうかと思います。そういう実情を踏まえながら林野庁としてはやったと思いますけれども、私がお伺いしておるのは、市町村の問題ではなくて、国が林野庁の手によって行なう林野行政、その部分の病害虫駆除については、不完全な資料であったからこそ不十分であったと言わざるを得ないのではないか、こういうことを私は言っておるわけなんです。別に林野庁の責任を追及しようとかなんとかいう意味で私は言っているわけじゃありませんが、その点は、先般来の質疑を通じて考えますに、やはりどうしてもそう言わざるを得ないのではないかという点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  37. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 駆除量の把握につきましては、遺憾ながら不十分であったというふうに私ども考えております。今後、正確な駆除量の把握ということについては、大いに努力をいたしてまいるつもりでございます。
  38. 村田秀三

    ○村田秀三君 その問題にかかわっておりますとなにですが、まあなかなか不十分であったという言い方は端的に言えない面もあろうかと思います。努力はしたんだということだけは御主張なさるのは当然なんであります。  そこで、次の問題に移りますが、私が考えてみますに、これは新だな提案かと思うのですが、三ページにあるように、都道府県の出先機関等に関係市町村、森林組合、森林所有者等からなるところの防除連絡協議会を設けたいということであります。仮称ということでもありますから、これはこれから設けたいということではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  39. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 御承知のように、個人防除というものがだんだん困難になってまいるというふうな情勢にございますので、今回法律改正をいたしまして、集団防除、組織防除というものに切りかえてまいりたいというふうな私ども考え方でございます。そこで、三ページにございますように、関係者を打って一丸といたしました組織づくりといろものについて今後積極的にこれを進めまして、集団防除が可能のような組織の確立をはかってまいりたいというふうに考えております。
  40. 村田秀三

    ○村田秀三君 わかりました。そこで、ただいまのお話は、本法案審議に際しましていろいろ資料が出されておりますが、その資料の中に防除連絡協議会を設置するという項については載っておりますか。
  41. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 資料の中には載っておりません。
  42. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、防除連絡協議会を新たに林野庁がここへ出してきたということについては、先般来の質疑を通じて対象とされました論議は、被害に対する駆除の問題ではございましたけれども、その駆除を正確に把握するためにもこういう組織が必要である、病害虫の駆除を完全に行なわせたいということについては、いままでの、何も私一人の質問ということではありませんけれども、本法案を提出するにあたって関連して幾多の質問が出てきて、その体制をつくるために必要だと思って新たにこれを出してきた、こう理解してよろしゅうございますか。
  43. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 資料としては提出いたしておりませんが、この法案の改正ということに関連いたしまして、私どもといたしましては、当初からこういうふうな組織づくりをやりまして防除体制を強化いたしたいというような考え方を持っておったのであります。
  44. 村田秀三

    ○村田秀三君 そういうお考えがあったとするならば、最初からお出しいただくならば、またわれわれの質問の角度も変わっていたのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、あらためてここに出されてきたということは、私自身の考えからするならば、駆除量を正確に把握するためには何らかの組織が必要である、公的な機関が必要である、こういう立場に立って資料の収集の正確を期するためにおつくりになった、こう理解をしたわけであります。その理解のしかたというのは、これは間違いでありますか。
  45. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 連絡協議会のような組織をつくることにつきましては、被害を早期に発見いたしたい、かつまた、適期に駆除をいたしたい、しかも、駆除いたしますにつきましては、そういうふうな組織によりまする集団防除というものをやりたいというふうなことで考えておったのでございまして、もちろん、ただいま先生から御指摘のございましたような駆除量の把握等につきましても、こういう組織を通じまして精度の高いものを把握いたしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、先日の質問の中で、被害の早期発見、早期防除、その対策のための体制づくり、こういうことについて質問をいたしまして、市町村段階でこれらの任務が消化できる職員の配置についてはどう考えるか、まあこれに対して大臣は検討を約したことになっておるわけでありますが、それとの関連でこの防除連絡協議会というものが出てきておるのかどうか。
  47. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 森林病害虫等に関係いたしておりまする職員でございまするが、国有林関係につきましては、まず、第一線におりまする担当区主任というのがございますが、これが約二千五百名ほどおります。それから都道府県の職員で第一線におります者といたしましては、前から申し上げておりますように、森林害虫防除員千三百名、林業普及指導職員三千名がおるわけでございます。さらに、森林組合には技術職員が約四千名おるのであります。こういうふうな技術者を対象にいたしまして防除体制をつくってまいりたいという考え方で、まあこれは仮称ではございまするが、防除連絡協議会というふうなものを必要によっては市町村単位まで置きたいというふうに考えております。
  48. 村田秀三

    ○村田秀三君 それでは、これら組織をつくることになりますと、まあ国が指導してつくらせるということにこれは理解いたします。国は関係のないようになっておりますが、それにいたしましても、都道府県、関係市町村、これらが入っておりますので私はお伺いしたいのでありますが、その連絡協議会をおつくりになるにいたしましても、これは何がしかの金が必要ではないかという意味におきまして、これが四十二年度の予算の中に計上されておりますかどうか、お伺いしたい。
  49. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 予算といたしましては、市町村あるいは森林組合の協力を得ました場合の協力費と申しますか、こういうものは若干予算を計上いたしておるのでございます。
  50. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうすると、項目的には防除連結協議会というものは特にとらないけれども、協力費全般の中にこれも入っているんですよと、こういうことの説明ですね。
  51. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 私が申し上げましたのは、連絡協議会そのものの予算ということではないのでございまして、市町村あるいは森林組合防除についての協力を要請いたしました場合の協力費と申しますか、そういうもので予算を手当てしておるわけでございます。
  52. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうすると、これは国の行政機関だとは私は認めませんけれども、少なくとも要請をしてこれらの協議会をつくらせる、これが徹底的に作業して事業を行なうということになると、相当な金がかかると私は考えますけれども、そうしますと、林野庁は、こうしてもらいたいとは言うけれども、金は全部おてまえさんが出しなざい、こういうことで突っ放してしまっているということですね。
  53. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 被害の発見あるいは被害防除等につきます事業費、あるいはそれに伴いまする事務費、こういうものは予算の中で全部見ておるわけでございます。
  54. 村田秀三

    ○村田秀三君 私も予算書をここに持ってきておるわけではありませんから、これ以上追及はいたしません。私はもっと追及したい気持ちもありますが、しかし、お約束もありますから、私はそれをこれ以上追及はいたしません。いたしませんが、いまいろいろとお話を伺って、やはりどうしても抜けない疑念というのは、もしも今年からこの防除連絡協議会を設置したいということであれば、前回の質問で、私はもちろん、あるいは同僚の中村委員の質問の中でも、その組織体制はどうなのかということはずいぶん出されているはずだと思うのです。しかし、その際には、防除連絡協議会ということばは一言も出てこなかった。そして、十三日の質問を契機にいたしましてこの資料が出てきたと考えるならば、やはり、質問の趣旨を認めて、感ずるところあって、こういう組織も必要であるという立場から防除連絡協議会というものが出てきたと理解せざるを得ない。しかも、この種の連絡協議会を設けるために、少なくとも今日までの経過からするならば、何がしかの対策費なるものを、市町村段階にもあるいは関係市町村森林組合にも少しずつ配分するということがたてまえでなければならないと思うわけです。にもかかわらず、これは相手側の協力にまつものであるということになりますと、これははなはだ私は疑問だと思います。  と同時に、いままでの資料の調査が不十分に終わってきた縄過とあわせて何としても私の考えから抜けないのは、林野庁は営林署じゃないか、日本の森林行政をつかさどるところの林野庁が、国有林には相当に力を注ぎ金を注ぐけれども、民有林のほらはかまわないではないかというような考えというものが抜け切れないわけです。単に小さなこの種の問題だけでそれを論断するということについては、あるいは問題があろうかもしれませんけれども、まあ全体を通じてみてもそういうことが言われる。特に、最近は、外材の輸入がきわめて多くなってきております。これは倉石大臣もお認めになっておられる。そうしてまた、一部からは、開発輸入などというような話も提起されておる。提起はされておりますけれども、少なくとも国内の森林資源を活用してその上に立って外材云々ということを言うのであれば話はまだともかくといたしましても、今日はその段階ではないのではないか。特に、過去における飼料問題――大臣も最近何かの雑誌にお書きになっているようでありますけれども、少なくとも飼料の問題を考えてみるならば、これは林野とは関係ございませんけれども昭和三十年以降、減反奨励をして、そうして作付反別も収穫量も比較にならないほど今日低下をしておる現実の中で、飼料の問題が当面大きな農政の問題になっておること、これは大臣もお認めのようであります。これと同じようなことが今日の林野行政の中から生まれてきたとするならば、国の百年の大計からするならばきわめて問題であろうという立場に立って私はものを申し上げておるわけでありますけれども、その点についての考え方をひとつ大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  55. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話を承っておりまして、私どもの考えておりますことを御指摘になったように存じます。私ども、もちろん国有林につきましては林野庁の当然の使命としてその確保育成について努力をいたすのは当然でありますが、民有林につきましても、政府といたしましては、これを単たる雑木林にして放置しておく、あるいは、薪炭がこのごろはもう御存じのような情勢でだいぶ要らたくなってきているが、そういう民有林についても、やはり必要な民有林を培養していくということは、ぜひ必要なことであると存じます。そういう意味では、前にいろいろお答えいたしたかと思いますが、森林病害虫につきましては、いままでも先ほど来お答え申し上げましたようにできるだけのことはやっておりますが、なお引き続いて、先ほど林野庁長官がお答えいたしましたように、さらに一そう市町村関係の森林組合等の技術員にも協力を願う。協力を顔うにあたりましては、御指摘のようにそれ相当の経費もかかるでありましょう。私どもといたしましては、原則として、国有林、民有林を問わず、国の森林資源を保護し、そうして国土を保っていくということについての必要なことにつきましては、国の財政の許す限り力を入れなければならないと思っております。  外材のお話がございましたけれども、国内のそういう生産に全力をあげて、しかる後に外材をもって需要の調整をいたす、こういうふうにいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  56. 村田秀三

    ○村田秀三君 いままでのいただきました資料の中には、四十一年の被害状況、これが出ておらないようであります。把握できないとすればこれはまたやむを得ませんけれども、もしも四十一年度の被害状況がおわかりになれば、それを教えていただきたい。それは六月まで資料をとるということになっておりますから、今日は六月でありますから、なければないでけっこうでございます。  それと同時に、四十二年度の予算との関係でありますが、四十二年度の防除計画、これについてお伺いをしたいと思います。
  57. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 四十一年度の被害量の報告につきましては、ただいま各都道府県から報告が集まってきておりますので、集計に入る段階でございます。したがいまして、ただいま、幾らという数字はまだつかんではおりません。  それから四十二年度の予算、これに伴いまする防除計画でございますが、提出いたしました「資料(その一)」の九ページから一〇ページにかけて予算の内容及びこれに伴いまする駆除量等を掲記いたしておるのでございますが、この概要について申し上げますると、農林大臣命令によりまするマツクイムシの駆除を実施するのに必要な経費といたしまして五千百万円を計上いたしております。この内容は、受命者がみずから駆除をいたしました場合の損失補償金が二千三百万円と、受命者が十分に行ない得ないような場合、国が都道府県に委託いたしまして駆除をいたします場合の委託費二千八百万円というようになっております。  なお、駆除困難地等におきます立木の駆除等につきましては、伐倒費も含めまして補償することとし、その補償金、委託費は、これは立木(二種)駆除でございますが、これにつきましては四百十万円、及び市町村等に対します協力要請の事務費、これは九十万円を新規に本年度から計上いたしております。都道府県に対しまする補助金といたしましては、三億六千二百万円を計上いたしておりますが、このらち、法定病害虫の駆除補助金は三億三千五百万円で、マツクイムシ、タマバエ、ノネズミ等については、被害の増大に対処いたしまして、事業量の増加に伴いまして相当大幅に増額をいたしております。また、マツクイムシにつきましては、伐倒費を含みまする立木(二種)駆除の駆除費九百八十万円を新規に計上いたしております。  法定以外の病害虫の被害の大きいもの等に対しましては、突発病害虫駆除費補助金といたしまして四百万円を計上いたしまして防除の弾力的な対策をはかっておるのでございます。  以上、病害虫の直接の防除費を申し上げたのでございますが、そのほかに農林大臣命令によりまする松丸太等の移動制限に伴いまする検査費として検査実行費三百万円、組織的な共同防除を推進するための必要な経費に対します補助金といたしまして九百万円を計上いたしておりまして、病害虫等の防除の推進をはかることといたしておるのでございます。
  58. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいま予算的な内容説明を伺いました。私もこの内容を見て若干疑問に思う点がありますので、質問してみたいと思います。  予算的な計画はわかりましたが、この中では、防除方法、これはさまざまあろうかと思います。私はその、中で薬剤散布によるところの計画というものは昨年と比較してどのようになっておるのか、昨年の資料は私も見ておりませんが、どのようになっておるかということについて伺いたいと思います。
  59. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 薬剤防除の関係でございますが、今回の法律改正によりまして新たに命令によりまして薬剤防除が可能となりますのは、伐倒木及び伐採跡地の根株、枝条並びに丸太の駆除の場合でございます。従来、マツクイムシの防除につきましては、命令駆除の場合におきまして、剥皮、焼却というものを主体にして行なわれておるのでありますが、ただいま申し上げましたように、法律改正に伴いまして薬剤防除というものが今後非常に拡大ができることになるわけであります。昭和四十一年度におきまして、民有林におきましては、薬剤と剥皮、焼却の割合が大体相半ばしておったのでありまして、薬剤の使用量が約五十万リットルでございます。今回の法改正に伴いまして私どものほらで計画を立てておりますのは、薬剤につきましては二十一万リットルふやしたい。昭和四十一年度に対しまして三七%の増大ということになろうかと思うのであります。  なお、マツクイムシ以外の薬剤駆除の関係でございますが、民有林について申し上げますると、液剤は、四十一年度におきましては二十一万リットルでございますが、四十二年度におきましては一二%の増、粉剤におきましては四十一年度が三百二万二千キログラムでございますが、四十二年度におきましては一三%の増、粒剤につきましては四十一年度が十万八千キログラム、四十二年度におきましては三〇%の増、燻煙剤につきましては三万九千本、これは横ばいで考えております。それから錠剤につきましては、五十五万錠が四十二年度におきまして一六%の増というふうな計画を立てておるのでございます。
  60. 村田秀三

    ○村田秀三君 お伺いしたところ、いずれもふえておるわけですね。もちろん法改正の目的もそこにあるわけですから、ふえるのが自然であろうかとは思いますが。  そこで、お伺いしたいのでありますが、これは先般中村委員のほうからも質問がありましたが、最近の傾向といたしましては、農業関係の薬剤については少しく政治問題化しつつある傾向にあることは、御存じのことと存じます。聞くところによりますと、森林関係の薬剤の系統というのは、私も詳しいことは存じませんけれども、農薬関係と大体同じものが使用されているということになりますと、今日農薬が問題になっておることは、人畜にきわめて影響があるからということでこれは問題になっておる。昨年の予算委員会におけるところの佐藤総理の答弁の中にも、魚のフナやドジョウの住めるたんぼをつくりたい、こういうような答弁を実はしておるわけであります。そうしますと、山の中であるから薬害のことは心配しなくてもいいというような考え方にもなるかもしれませんが、農薬と系統が同じであるならば、何かしらの薬害があるものであろうと推察をするわけであります。特にことしは多くて、一番大きいのが三〇%増ということでありますけれども、おそらく来年度以降はこれに輪をかけて拡大をするであろうということが予想されるだけに、やはりこの問題はこの際きちっとしておかなければならないと思います。  こういう意味で、いま私がいろいろ申し上げたことについての考え方について御答弁をいただきたいと思います。
  61. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 森林病害虫等の防除に使用いたしておりまする薬剤の種類は、提出いたしました資料でおわかりになりますように、非常に数が多いのでございまするが、その中で特定毒物というもめに指定をされておりますのは、モノフルオール酢酸塩の製剤でございまして、これは、御承知のように、ノネズミの防除に使う、通称フラトールと言っておるものでございます。これを除きますると、大部分のものが、その成分なり、あるいはまた使用濃度を十倍とか二十倍に私どものほらでは薄めて使っておりますので、毒性が低く、安全なものが多いのでございます。  また、その使用につきましては、森林害虫防除員等が必要な指導を行なうことといたしておりますので、幸いなことにいままで人畜なりその他に薬害が問題になったというふうなことは聞いておらないのでございます。  森林病害虫で薬剤防除をやります場合に考えられます薬害は、一つは、魚毒性のあります薬剤――ドリン剤でございますが、これによりまする魚の被害、それからBHC剤によります野鳥であるとか養蜂等への影響、フラトール殺鼠剤によります野生鳥獣等に対しまする二次被害、こういうものが考えられるのでございまするが、この魚毒性の薬剤でありますドリン剤は、マツクイムシの防除剤として、BHC剤原液に二ないし三%程度を混入いたしまして、これを十倍から二十倍に薄めて伐採をいたしました丸太に直接散布をいたしております。森林の中に広くまくというやり方をいたしておらないのでございまして、散布に際しましても、河川、池沼、養魚田、こういったものに直接影響を来たさないように指導をいたしておるのでございます。それからBHC剤は、先ほど申し上げましたように、野鳥なりあるいは養蜂等に影響があるわけでございます。影響が考えられるわけでございまするが、あらかじめ薬剤散布にあたりましては相手方とも十分打ち合わせをいたしまして、被害が起こらないように十分注意をいたしまして散布するように指導いたしておるのでございます。この野鳥への直接的な被害ということにつきまして私どものほうの鳥獣実験等におきましてもいろいろ調査もいたしておるのでございますが、薬害によって直接的な被害を受けたという事例はいままでのところないようでございまするが、薬剤散布にあたりましては、野烏の繁殖期間、まあ主といたしましてふ化いたします時期、あるいは育雛の時期、こういったものは極力避けるとかあるいは、御承知のように鳥獣保護区というふうなものも全国各地に相当ございますが、こういうふうなものに対する配慮等もございまして、極力薬害によりまするいろいろな被害が出ないように指導いたしておるところでございます。それからフラトールの殺鼠剤によりまする野生鳥獣への二次被害でございますが、これもいろいろ調査はやっておるのでございまするが、従来この二次被害につきまして確認をされた事例は聞いていないのでございますが、その使用にあたりましては適正な管理をするように指導をいたしますとともに、より安全な殺鼠剤、これは燐化亜鉛剤等でございますが、こういったものに逐次切りかえをしていくというふうに現在指導いたしておるようなわけであります。  いずれにいたしましても、今後、先生から御指摘のございましたように、森林病害虫等の防除につきまして相当多量な薬剤というものを使うようになってまいろうかと思いますので、薬害の問題につきましては十分安全対策も講じまして、他に被害を及ぼすことのないように配慮いたしてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  62. 村田秀三

    ○村田秀三君 本問題は、非常に重要な問題ではなかろうかと実は思います。いまお話を聞きますると、その薬剤の使用方法によりましては思わざる事態が発生をする。いままでその事実はなかった、こういうことが言われておりますけれども、私どもが仄聞する限りでは、確証を得ていませんから、こういう例があるではないかという言い方はいまはできません。しかし、やはり影響はあるんだという話も実は聞いておるわけであります。とするならば、これは薬剤の使用に指導方法と異なった使用をしたのかという面も考えられるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、その方法によっては薬害があるんだということだけは確認できるわけです。  同時に、私は、薬剤散布の方法が森林に拡大をされておるという傾向、これは実はひねくれた考え方かもしれませんが、昨年予算委員会等において農薬の薬害について論議をされた以降というものは、農家の方々の農薬使用というものも相当に選択をされ、かつ警戒をされてきておるという傾向があるのではないかと思います。そうしますと、いままで生産をされた薬剤をどこへ持って行って消化をするかということになれば、人の知らない山奥でひとつまいてやれというふうに簡単に考えられたそのことがこれと影響してきたとするならば、これはきわめてまずいというふうに実は考えたわけでございまして、これが両方から交錯をするならば、きわめて重大な問題であろうと私は思います。  しかしながら、これ以上今回は追及をいたしませんけれども、少なくともそうした薬害の発生をしたときの対処の方法、方途というものを確立しながら、薬剤散布によって人畜に被害を与える、魚族でも同じことが言えるのではないかと思いますが、ということのないように、十二分に配慮をしていただきたいと思います。  と同時に、それが起きた場合には、即刻責任をとる。今日、阿賀野川の水の汚染問題でいろいろ論議をされておりますけれども、とかくいたしまするとその責任の回避をはかるというような傾向が見受けられるわけでありますけれども、少なくともそのようなことのないように、責任をもって即刻対処をするという体制だけは確立をしておいていただきたいということについて申し上げたいと思います。  これは最後の問題になりますけれども、総括をしてみますると、被害の発生状況、そして対策、その対策はさまざまあろうかと思いますけれども予算的に見てまいりますと、非常に興味のある問題だと思うのです。まあ、言ってみれば、病害虫の被害面積なり態様というものは、その年によりまして下がり上がりはありますけれども、総体的に言ってやはり上がっておるということは、御提出いただきました資料によって確認せざるを得ないと思います。ところが、それに対応する予算措置が、これは昭和二十五年から四十二年までを、出されたものによってながめてみますと、数字的に、三十八年は九三%、三十九年は一一一%、四十二年になりましてようやく一六九%という状態でございます。そうしますと、防除費の効率が技術の開発によってきわめて高くなってきたんだと、そういう点がかりにあったといたしましても、この予算の動向を見ますと、十二分な対策が立てられておらなかったと言わざるを得ない、私はこう思うのでありますが、いかがでございますか。
  63. 若林正武

    政府委員(若林正武君) 森林病害虫等の防除予算につきましては、私どものほらでは、大体、被害の発生に対応いたしまして予算の編成をいたしてまいっておるのでございますが、民有林におきましては、昭和二十五年度は二億四千万円でございまして、その後主といたしましてマツクイムシの被害の減少の傾向とともに逓減をいたしまして、三十四年度には一億五千万円程度になりました。これは最低額になったわけでございますが、その後マツクイムシが増加する傾向になりまして、かつまた、カラマツの先枯れ病というものが大発生をいたしたこと等によりまして、漸次予算増加をはかってまいったのでございます。昭和四十一年度には三億四千万円、さらに四十二年度には四億一千万円程度を計上いたしまして現在に至っているわけでございます。  ただいま先生から御指摘のございました予算の伸び率等につきましては、当初予算におきましては御指摘のとおりでございますが、予算の編成を終わりましたあとでたとえば病害虫等が異常に発生をしたというような場合等におきましては、御承知のように、予備費の使用をいたしておりまして、多い年には約一億円近い予備費の使用もいたしておるわけでございまして、そのような突発的な異常発生というものには、予備費の使用ということによって従来対処いたしてまいっておりますが、それはそれといたしまして、先生から御指摘がございましたように、今後、病害虫等の防除予算につきましては、さらに増額ということについて私ども努力をして、防除の万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  64. 村田秀三

    ○村田秀三君 これは大臣に御答弁いただきたいと思いますが、いろいろ説明を受けてみても、先般来の質疑を通じて見た場合でも、その体制が不十分であるということとあわせて、やはり予算的措置もまた不十分であったと言わざるを得ないと思うのです。農林予算は、昭和二十五年から今日を比較いたしますと、これは七四五になっております。ところが、森林病害虫等防除に必要な経費の推移を見ますと、これは一六九で、物価指数、賃金指数、そういう面からいたしましても、予算的に見て完全な対策がとられておらなかったと言わざるを得ない。そこで、今回の法改正でありますけれども、法改正をすることは、もちろんその対策をより強化しよら、このことはわかります。わかりますけれども、法改正をいたしましても、今日まであらわれてまいりましたような資料状態であるとするならば、文句は変わったけれども中身はさっぱり変わらなかったということになったとするならば、法改正意味はないのではないかと考えるわけでございまして、それらに対するところの大臣の所信を最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 近年、森林病害虫の発生件数が多くなっていることにかんがみまして、この度の法改正もお願いいたしておるわけでありますが、さらに防除の徹底を期するために、将来とも予算的にも最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。なかなか広範囲なことでございまして、完ぺきということは困難かもしれませんが、できるだけ努力をいたしまして、所期の目的が達成されますように、さらに一段の努力を続けてまいりたいと思います。
  66. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。森林病害虫警防除法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  中村君から発言を求められておりますので、これを許します。中村君。
  70. 中村波男

    ○中村波男君 ただいま可決されました森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党、三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、協賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。    森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、本法の施行に当り、特に左記事項の実現に努力すべきである。     記  一、森林病害虫等の駆除予防に関する試験研究を充実強化して、効率的な駆除予防技術を速やかに確立すること。  二、すでに広範にまん延している森林病害虫等特に松くい虫については、できるだけ早期にその被害を終息せしめるよら総合対策を樹立して、その措置に万全を期すること。  三、森林病害虫等の被害の早期発見、早期駆除により、被害の拡大を未然に防止できる防除体制を整備すること。  四、薬剤にかわる天敵の利用及び薬剤散布等に起因する公害の調査研究を促進して、公害の発生を未然に防止する措置を講じ、被害を生じた場合はその対策及び措置に遺憾なきを期すること。  五、森林害虫防除員の人員の増加をはかるとともに、これら職員による総合的組織的な防除活動が行なえるよう充分な措置を講ずること。  六、各種開発事業の実施にあたっては、森林病害虫等の異常発生を来たさないよら調整指導に努めること。  七、最近における労働力の流出と防除技術の進歩に対応して効果的な集団防除を行なうため、労務組織の確立、技術普及の強化及び技術研修の実施について、必要な措置を講ずること。   右決議する。以上でございます。
  71. 野知浩之

    委員長野知浩之君) おはかりいたします。中村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。
  73. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま御決定の附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。
  74. 野知浩之

    委員長野知浩之君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十三分散会